(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-17
(54)【発明の名称】プリント品質の光学モニタリングを用いるCIJプリンタを動作させる方法、プリント品質の光学モニタリングを用いるCIJプリンタ及びプリント品質の光学モニタリングを用いるCIJプリンタを訓練する方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/08 20060101AFI20220510BHJP
B41J 2/085 20060101ALI20220510BHJP
B41J 2/09 20060101ALI20220510BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
B41J2/08
B41J2/085
B41J2/09
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552743
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(85)【翻訳文提出日】2021-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2019084488
(87)【国際公開番号】W WO2020177912
(87)【国際公開日】2020-09-10
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521395757
【氏名又は名称】ポール ライビンガー ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー ヌメリアー-ウント マーキーラングスシステメ
【氏名又は名称原語表記】PAUL LEIBINGER GMBH & CO.KG NUMMERIER-UND MARKIERUNGSSYSTEME
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】シュペッカー、クラウス
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EB26
2C056EB58
2C056EC28
2C056HA58
2C057AL31
2C057AL35
2C057AM40
2C057DC03
2C057DC15
(57)【要約】
本発明は、光学モニタ手段(80)によってCIJプリンタを動作させる方法であって、プリントされるプリント画像のビットマップ(90、190)を生成するステップと、インク液滴(12)を、プリントされる被印刷物(100)に印刷することにより、ビットマップ(90、190)のドット又はドット群を生成し、もって、リアルプリント画像(195)を被印刷物(100)に順次印刷するように、CIJプリンタの荷電電極(25)及び偏向電極(30)の少なくともいずれか一方を順次作動させるステップと、光学モニタ手段(80)を使用して、被印刷物(100)に印刷されたリアルプリント画像(195)を検知するステップと、所望のプリント画像のビットマップ(90、190)と、光学モニタ手段(80)を使用して検知され、且つ被印刷物(100)に印刷されたリアルプリント画像(195)とを自動的に比較するステップとを有し、所望のプリント画像のビットマップ(90、190)及び被印刷物(100)に印刷されたリアルプリント画像(195)は、ビットマップ(90、190)の行若しくは列又はビットマップ(90、190)の行若しくは列の構成要素のいずれかに基づいて自動的に比較される、方法に関する。本発明は、そのような方法を実行するためのCIJプリンタ及びそのようなCIJプリンタの光学モニタ手段(80)をトレーニングする方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モニタ手段(80)を有するCIJプリンタを動作させる方法であって、
プリントされるプリント画像のビットマップ(90、190)を生成するステップと、
インク液滴(12)を、プリントされる被印刷物(100)に印刷することにより、前記ビットマップ(90、190)のドット又はドット群を実現し、もって、前記被印刷物(100)にリアルプリント画像(195)を順次印刷するように、前記CIJプリンタの荷電電極(25)及び偏向電極(30)の少なくともいずれか一方を順次制御するステップと、
前記光学モニタ手段(80)によって、前記被印刷物(100)に印刷された前記リアルプリント画像(195)を撮像するステップと、
所望のプリント画像の前記ビットマップ(90、190)と、前記被印刷物(100)に印刷されるとともに前記光学モニタ手段(80)によって撮像された前記リアルプリント画像(195)とを自動的に比較するステップと
を有する方法において、
前記所望のプリント画像の前記ビットマップ(90、190)と、前記被印刷物(100)に印刷された前記リアルプリント画像(195)との前記自動的な比較は、前記ビットマップ(90、190)の行若しくは列と、前記ビットマップ(90、190)の行若しくは列の構成要素との何れかに基づいて実行されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記CIJプリンタの荷電電極(25)及び偏向電極(30)の少なくともいずれか一方を前記順次制御するための少なくとも1つの制御信号が、それぞれの行又は列の期待されるプリント画像を特定するために、前記所望のプリント画像の前記ビットマップ(90、190)と、前記被印刷物(100)に印刷されるとともに前記光学モニタ手段(80)によって撮像された前記リアルプリント画像(195)との前記自動的な比較において使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記CIJプリンタの荷電電極(25)及び偏向電極(30)の少なくともいずれか一方を前記順次制御するための少なくとも1つの更なる制御信号が、前記ビットマップ(90、190)のそれぞれの行又は列の期待されるプリント画像を特定するために、前記所望のプリント画像の前記ビットマップ(90、190)と、前記被印刷物(100)に印刷されるとともに前記光学モニタ手段(80)によって撮像された前記リアルプリント画像(195)との前記自動的な比較において使用されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記CIJプリンタの荷電電極(25)及び偏向電極(30)の少なくともいずれか一方の前記順次制御は、行毎又は列毎にも行われることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記CIJプリンタが複数のプロセッサ又は複数のプロセッサコアを有するプロセッサを有し、一のプロセッサにおいて、前記所望のプリント画像の前記ビットマップ(90、190)が生成され、且つ前記CIJプリンタの前記荷電電極(25)及び偏向電極(30)の少なくともいずれか一方を前記順次制御するための制御信号の生成がモニタされるとともに、他のプロセッサにおいて、前記所望のプリント画像の前記ビットマップ(90、190)と、前記被印刷物(100)に印刷されるとともに前記光学モニタ手段(80)によって撮像された前記リアルプリント画像(195)との前記自動的な比較が実行されることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の方法を実行するためのCIJプリンタであって、
インク供給のための液圧モジュール(5)と、
ノズル(10)及び発振器(20)を有する液滴生成器であって、前記液圧モジュール(5)によってインクを供給され、且つインク液滴(12)を生成する液滴生成器と、
規定された電荷を、前記液滴生成器によって生成されたインク液滴(12)に印加するための少なくとも1つ荷電電極(25)と、
前記液滴生成器によって生成され、且つ前記荷電電極(25)によって荷電された前記インク液滴(12)の軌道に影響を及ぼすための少なくとも1つの偏向電極(30)と、
行毎に又は列毎にプリントされるビットマップ(90、190)を一連の制御信号に変換するように構成された制御部であって、前記一連の制御信号により、前記荷電電極(25)及び前記偏向電極(30)の少なくともいずれか一方は、前記行又は列の画像が液滴シーケンスの液滴(12)からプリントされる被印刷物(100)上に形成されるように制御される、制御部と、
前記プリントされる被印刷物(100)上に形成された前記リアルプリント画像(195)をモニタするための光学モニタ手段(80)と
を有するCIJプリンタにおいて、
請求項1~5の何れか一項に記載の自動的に比較するステップを実行するように構成されたデータ処理装置を有することを特徴とするCIJプリンタ。
【請求項7】
前記制御部に関連付けられた第1のプロセッサ又は第1のプロセッサコアを有し、且つ前記データ処理装置に関連付けられた第2のプロセッサ又は第2のプロセッサコアを有することを特徴とする、請求項6に記載のCIJプリンタ。
【請求項8】
前記制御部は、前記データ処理装置と信号通信し、それにより、前記それぞれの一連の制御信号又は前記一連のものに対応する制御コマンドは、前記制御部によって前記データ処理装置に転送されることを特徴とする、請求項6又は7に記載のCIJプリンタ。
【請求項9】
請求項6~8の何れか一項に記載のCIJプリンタの光学モニタ手段(80)を訓練する方法において、
少なくとも1つのパスにおける前記CIJプリンタは、ストローク(40、41)を実行するとき、前記CIJプリンタの荷電電極(25)及び偏向電極(30)の少なくともいずれか一方を制御するための一連の制御信号を含むビットマップ(90、190)を生成し、
前記ビットマップ(90、190)のリアルプリント画像(195)は、プリントされる被印刷物(100)にインク液滴を印刷することによって実現され、
前記リアルプリント画像(195)の画像が、前記光学モニタ手段(80)によって撮像されるとともに、所与のストローク(40、41)のための制御信号に応答して前記被印刷物(100)に印刷される前記リアルプリント画像(195)のそれぞれの部分が識別されるように評価され、且つ、前記ストローク(40、41)又は前記制御信号に関連付けられた期待されるプリント画像として記憶されるように評価されることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記プリンタが、複数のパスにおいて、前記ビットマップ(90、190)のドット又はドット群を、プリントされる被印刷物(100)にインク液滴(12)を印刷することにより、リアルプリント画像にするように、前記CIJプリンタの荷電電極(25)及び偏向電極(30)の少なくともいずれか一方を制御するための一連の制御信号を含むビットマップ(90、190)をプリントし、及び
前記制御信号に応答してそれぞれの場合に前記被印刷物に印刷される前記プリント画像は、前記光学モニタ手段によって撮像及び識別され、且つ前記制御信号に関連付けられたプリント画像として記憶されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プリンタは、前記複数のパスのそれぞれにおいて、前記CIJプリンタの荷電電極(25)及び偏向電極(30)の少なくともいずれか一方を制御するための一連の制御信号を生成し、前記CIJプリンタの前記荷電電極(25)及び前記偏向電極(30)の少なくともいずれか一方を制御するための前記制御信号が生成される順序がシーケンス毎に変わることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プリンタが前記複数のパスのそれぞれにおいて、前記CIJプリンタの前記荷電電極(25)及び前記偏向電極(30)の少なくともいずれか一方を制御するための一連の制御信号を生成し、異なるパスにおいて、前記CIJプリンタのプリント動作で変動し、且つ前記プリント画像(195)の変更をもたらし得るプリントパラメータは、変わることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント品質の光学モニタリングを用いるCIJプリンタを動作させる方法、プリント品質の光学モニタリングを用いるCIJプリンタ及びプリント品質の光学モニタリングを用いるCIJプリンタを訓練する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、広く使用されているプリンタのクラスである。産業用途に特に適し、従ってこの分野で高い人気を達成したこのクラスのファミリは、いわゆる連続インクジェットプリンタ(CIJプリンタ)である。
【0003】
連続インクジェットプリンタは、可変量の溶媒を含むインクによってプリントする。従って、溶媒槽からの溶媒及びインク槽からの濃縮インクが一緒に混合されて、プリントに使用されるインクを得る混合槽がある。以下では、用語「インク」が使用されるとき、プリントに使用される液体を意味し、用語「濃縮インク」は、インク槽に提供される液体に使用される。
【0004】
混合槽から、インクは、圧力下でプリントヘッドのノズルに供給され、そこで、実際のプリントプロセスに必要な液滴がレイリーの液体層流噴流減衰の基本原理に従ってインクジェットから生成される。液滴の形成、特に液滴のサイズは、モジュレーションにより制御され、これは、例えば、適するように励起される圧電素子によりインクジェットに付与される。
【0005】
このように生成された液滴は、好適に帯電し、偏向電極により所望の軌道に導かれ、所望の軌道は、プリントされる被印刷物の所望の位置に液滴をつなぐか、又はプリントプロセスがその瞬間に実行されない場合、プリントヘッド、例えば捕集管において捕捉し、インク液滴のリサイクル、すなわち混合槽へのその帰還を可能にする。
【0006】
それぞれの場合にプリントされる要素、例えば文字又は数字は、多くの場合、インク液滴のマトリックス又はビットマップにより、例えば多くの場合に7×5マトリックスによりこのように実現され、それにより、一般に、マトリックス又はビットマップの行又は列を意味する一方の次元は、インク液滴の偏向により実現され、他方の次元は、プリントされる材料の材料供給により実現される。従って、原則として、CIJプリンタは、一連のいわゆるストローク、すなわち並べて配置されたインク液滴の一連の行をプリントし、その制御において、表される文字は、解像度に対応するマトリックス又はビットマップに変換され、これは、次に、行毎又は列毎に処理される。
【0007】
明らかに、基本的な目的は、プリント画像が所与の被印刷物上で歪むことなく、しかも連続してプリントされる被印刷物上のプリント画像の位置が大きく変化することもないように、プリントされる被印刷物の正確な場所に可能な限り再現可能にインク液滴が着地することを、偏向電極を制御することにより保証することである。プリント画像の位置が大きく変化することは、潜在的に動作パラメータの変動に起因して生じることがあり、一方では、設定を調整することによって所望のプリント画像を再度生成するため、他方では、ミスプリントを有する製品を製造ラインから適時に取り出せるようにするために、それらを可能な限り迅速に検出することが望ましい。
【0008】
この目標に近づく既知の方法は、プリント画像のカメラモニタリングを実行することであり、カメラは、好ましくは、CIJプリンタと信号通信し、それにより、カメラにより収集されたデータ及び撮像された画像は、CIJプリンタのディスプレイに表示され得る。
【0009】
特に、プリント速度に最適化されたシステムにおいて、製品の異なるコピーがプリントされる2つの連続したプリントプロセス間の時間間隔は、非常に短いことが多く、従って、目標は、プリントが不正確な製品数を可能な限り低く保つように、ミスプリントを可能な限り迅速に識別することである。
【0010】
プリント画像のカメラモニタリングにおける別の大きい問題は、確かに、これが自動的に行われる場合、訓練プロセスが実行されなければならないことである。
この訓練プロセスは、複雑なものであり、特にCIJプリンタの場合、少なくともプリント速度を保証するように最適化されて動作する場合、個々の液滴の位置(すなわちプリント画像のドット)の変動が、例えば、前に生成された液滴がプリント/偏向されたか否か及び/又はそうされた場所に応じて生じるという事実により複雑である。その結果、カメラが接続又は統合されたCIJプリンタは、真のプラグアンドプレイシステムを表さず、代わりに複雑な試運転手順を最初に実行する必要があり、複雑な試運転手順は、プリント条件、例えばプリントされる材料のそれぞれの変化するたびに新しく実行する必要があり得る。
【発明の概要】
【0011】
従って、本発明の目的は、特にモニタリング中の応答時間及び/又は光学モニタリングシステムの訓練に必要な時間に関して、光学モニタリングを用いるCIJプリンタを改善することである。
【0012】
この目的は、請求項1の特徴を有する、光学モニタ手段を有するCIJプリンタを動作させる方法、請求項6の特徴を有する、そのような方法を実行するための、光学モニタ手段を有するCIJプリンタ、及び請求項9の特徴を有する、そのようなCIJプリンタの光学モニタシステムを訓練する方法により達成される。本発明の更なる有利な発展形態は、それぞれの従属請求項の主題である。
【0013】
本発明による、光学モニタ手段を有するCIJプリンタを動作させる方法は、少なくとも、以下の順に、しかし、必ずしも直ちに続けてではなく実行される。
所望のプリント画像のビットマップを生成するステップと、
インク液滴を、プリントされる被印刷物に印刷することにより、ビットマップのドット又はドット群を実現し、もって、被印刷物にリアルプリント画像を順次印刷するように、CIJプリンタの荷電電極及び/又は偏向電極若しくは偏向板を順次制御するステップと、
光学モニタ手段によって、被印刷物に印刷されたリアルプリント画像を撮像するステップと、
所望のプリント画像のビットマップと、被印刷物に印刷された、光学モニタ手段によって撮像されたリアルプリント画像とを自動的に比較するステップと
を有する。
【0014】
本発明にとって重要なことは、所望のプリント画像のビットマップと、被印刷物に印刷されたリアルプリント画像との自動的な比較が、通常、ストロークによって形成されるプリント画像の行若しくは列に基づいて実行されること、又はインク液滴の位置を意味するプリント画像の行若しくは列の構成要素に基づいて実行されることである。
【0015】
これは、全体ビットマップ、例えばプリントされる文字又はプリントされる数字が、プリントされる材料上のリアルプリント画像として実現された後、前記実現されたビットマップが所望のプリント画像又は全体ビットマップに対応するか否かがもはや確認されず、ストローク毎、特に各ストローク後又は該当する場合には更にストロークの実行中、このストローク又はこのストロークを構成する個々のインク液滴が正確に配置されたことが確認されることを意味する。
【0016】
この手法には、多くの利点がある。認識又はチェックされるパターンは、はるかに単純であり、パターン認識をより容易且つより確実にし、それらの計算時間要件及びハードウェア要件を低減する。加えて、確認速度が大幅に増大し、それによりエラーをより迅速に検出することができる。
【0017】
方法の有利な実施形態によれば、少なくとも1つの制御信号が、それぞれの行又は列の期待されるプリント画像を特定するために、所望のプリント画像のビットマップと、プリントされ、且つ例えば光学モニタ手段によって撮像された画像との自動的な比較中、CIJプリンタの荷電電極及び/又は偏向電極の順次制御のために使用されることが提供される。
【0018】
上述した実施形態の更なる発展形態では、少なくとも1つの更なる制御信号は、それぞれの行又は列の期待されるプリント画像を特定するために、所望のプリント画像のビットマップと、被印刷物に印刷されるとともに光学モニタ手段によって撮像されたプリント画像との自動的な比較中、CIJプリンタの荷電電極及び/又は偏向電極の順次制御のために使用されることが提供される。このようにして達成され得ることは、文字比較の精度向上、従って例えば前に実行されたストロークに応じて変わり得る、所与のストロークのプリント画像のわずかな変化をもたらし得る出現した干渉影響の検出感度の増大である。
【0019】
CIJプリンタの荷電電極及び/又は偏向電極の順次制御が行毎又は列毎にも行われる場合、この制御信号は、モニタリングのターゲット位置の定義に直接使用することができる。
【0020】
CIJプリンタが、複数のプロセッサ又は複数のプロセッサコアを有するプロセッサを有する場合、特に有利であることが証明されており、その場合、1つのプロセッサにおいて、所望のプリント画像のビットマップが生成され、且つCIJプリンタの荷電電極及び/又は偏向電極の順次制御のための制御信号の生成がモニタされ、他のプロセッサにおいて、所望のプリント画像のビットマップと、被印刷物に印刷されるとともに光学モニタ手段によって撮像されたプリント画像との自動的な比較が検出される。このようにして、高CPU電力が要求されても、画像処理が実際のプリント動作に悪影響を有さないことを特によく保証することができる。
【0021】
本発明による方法を実行する本発明によるCIJプリンタは、インク供給のための液圧モジュールと、ノズル及び圧力変調する発振器を含む液滴生成器であって、液圧モジュールによってインクを供給され、且つインク液滴を生成する液滴生成器と、規定された電荷を、液滴生成器によって生成されたインク液滴に印加するための少なくとも1つの荷電電極と、液滴生成器によって生成されたインク液滴の軌道に影響を及ぼすための少なくとも1つの偏向電極と、行毎に又は列毎にプリントされるビットマップを一連の制御信号に変換するように構成された制御部であって、一連の制御信号により、荷電電極及び/又は偏向電極は、一連の液滴の液滴から、この行又はこの列の画像が、プリントされる被印刷物上に形成されるように制御される、制御部と、プリントされる被印刷物上に形成された画像をモニタするための、特にCCDカメラとして設計され得る光学モニタ手段とを含む。
【0022】
CIJプリンタは、請求項1~5の何れか一項に記載の自動的に比較するステップを実行するように構成されたデータ処理装置を有することが本発明にとって重要である。
本発明の好ましい発展形態によれば、CIJプリンタは、制御部に割り当てられた第1のプロセッサ又は第1のプロセッサコアを有し、且つデータ処理装置に割り当てられた第2のプロセッサ又はプロセッサコアを有することが提供される。このようにして、実行される画像分析によるプリント速度への望ましくない影響を回避することができる。
【0023】
更に、制御部がデータ処理装置と信号通信し、それにより、それぞれの一連の制御信号又はこれらの一連のものに対応する制御コマンドが制御部によってデータ処理装置に転送される場合、有利である。前者は、アナログ信号送信に対応し、後者は、デジタル信号送信に対応する。
【0024】
本発明による、そのような光学モニタシステムを有するCIJプリンタの光学モニタシステムを訓練する方法では、ストロークの実行中、CIJプリンタは、CIJプリンタの荷電電極及び/又は偏向電極を制御するための一連の制御信号を含む少なくとも1つのランでビットマップを生成し、このビットマップのリアルプリント画像は、プリントされる被印刷物にインク液滴を印刷することによって実現され、リアルプリント画像の画像は、光学モニタ手段によって撮像され、及び所与のストロークのための制御信号に応答してそれぞれの場合に被印刷物に印刷されるリアルプリント画像の部分が識別され、且つ制御信号に関連付けられた期待されるプリント画像として記憶されるように評価されることが提供される。このシーケンスが全ての制御信号を含む場合、特に有利であるが、プリント画像が、特定の予期されるずれを含むストロークの特定の示差的な制御信号のみを含む場合でも十分であり得る。
【0025】
原理上、このビットマップをストローク毎に生成することもできること、すなわち、CIJプリンタは、インク液滴を、プリントされる被印刷物に印刷することにより、ビットマップのドット又はドット群を実現するように、少なくとも1回の実行においてCIJプリンタの荷電電極及び/又は偏向電極を制御するための全ての制御信号を順次生成することと、制御信号に応答してそれぞれの場合に被印刷物に印刷されるプリント画像は、光学モニタ手段によって撮像され、且つ制御信号に関連付けられたプリント画像として記憶されることとが指摘されるべきである。
【0026】
第1の事例では、可能な又は選択された「基本ストローク」からより複雑なビットマップが形成され、光学モニタ手段によって撮像されたこのビットマップの画像が評価される一方、第2の事例では、各ストロークが個々に実行及び分析される。第1の手法の利点は、連続ストローク間の相互作用を既に考慮に入れることができるが、第2の事例での評価がより単純になり得ることである。
【0027】
両方の事例において、画像ファイルとして記憶されることの他に、記憶は、インク液滴の信号が期待されるカメラピクセルの座標の形態で行うことができる。このようにして、それぞれストロークに割り当てられた少なくとも1つの画像のライブラリがそれぞれ自動的に作成されるか、又は特定のストロークでの期待されるインク液滴位置のライブラリが作成される。
【0028】
この訓練方法の大きい利点は、プリントコマンドの結果とプリントコマンドとの間の即時且つ自動的な関連付けが可能になることであるが、現在まで、ユーザによる訓練を用いる場合、複数のストロークによってビットマップが作成された後、より複雑なビットマップを分類する必要があった。
【0029】
更なる利点は、個々のストロークにおいて系統的なずれをより容易に識別することができることが多く、必要に応じて補正できることである。例えば、プリントされる媒体が供給される速度が速すぎる場合、ストローク及びストロークを構成するビットマップが傾き得る。この特性は、個々のインク液滴のオフセットがストロークの具体的なプリント画像に関係なく系統的に生じることであり、これは、対象の液滴が生成されたのがストロークの終わりに近いほど大きくなる。
【0030】
得られる液滴位置の変動範囲を得るために、プリンタが、インク液滴を、プリントされる被印刷物に印刷することにより、ビットマップのドット又はドット群を実現するように、CIJプリンタの荷電電極及び/又は偏向電極を制御するための一連の――必須ではないが、好ましくは全ての――制御信号を生成する場合、及び制御信号に応答してそれぞれの場合に被印刷物に印刷されるプリント画像が、光学モニタ手段によって撮像され、且つ制御信号に割り当てられるプリント画像として記憶される場合に有利である。
【0031】
プリント画像、特に個々の液滴のサイズ又は1つの液滴により生成される液滴若しくはドットのサイズは、使用されるインク及び被印刷物にも依存することにも留意されたい。
特に、そのように処理する場合、所与のストロークでの異なる先行ストロークにより生じるプリント位置の差を検出し、プリント結果のモニタリングに使用することができる。このために、プリンタは、複数のパスにおいて、CIJプリンタの荷電電極及び/又は偏向電極を制御するための一連の――必須ではないが、好ましくは全ての――制御信号を生成することが許容され、CIJプリンタの荷電電極及び/又は偏向電極を制御するための一連の制御信号が生成され、シーケンス毎に変えられる。原理上、ストロークの全ての可能な組合せについてこれを行うことも可能である。次に、プリントプロセスの成功についてのモニタリングに使用することができる個々の液滴位置の変動マージンの完全な検出に加えて、この場合、例えばプリントされるストローク前にプリントされたストロークを考慮に入れ、それによりプリント画像のモニタリング中に位置情報の精度を上げることも可能である。
【0032】
訓練ルーチンで得られたデータによってもたらすことができる分析可能性は、複数のパスにおいて、プリンタが、CIJプリンタのプリント動作中に変動し、且つプリント画像の変更をもたらし得るプリントパラメータを変更する場合、更に増大させることができる。例えば、動作中、インクの粘度が変動することがあり、これは、プリント画像の変化をもたらし得る。訓練フェーズにおいて、このパラメータを意図的に変えることにより、その影響を捕捉し、一方ではプリントプロセスの成功のモニタリングの改善に使用することができるが、他方では起こりつつある誤作動の早期検出にも使用することができる。
【0033】
本発明について、例示的な実施形態を表す図に基づいて以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1b】個々のストロークへのプリントプロセスの分割の概略表現。
【
図1c】CIJプリンタによる被印刷物上のストロークのライティングの概略表現。
【
図1d】ユーザにより作成することができる複雑なビットマップの一例。
【
図2a】カメラの訓練にも使用することができるプリントされるビットマップの一例。
【
図2b】
図2aのビットマップのプリント中に得られる、カメラによって撮像されたプリント結果。
【
図4】例示的な訓練プロセスの概略フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0035】
まず、CIJプリンタの動作原理について、
図1a~
図1dに基づいて概略的に説明する。プリントされる文字は、それぞれマトリックス上のドット群として定義され、次に、ドットは、インク液滴により作成される。これは、機械処理のビットマップ90として表すことができる。
【0036】
図1aでは、7×5のマトリックス1上の文字「E」がそのようなビットマップ90の単純な例として示されている。しかしながら、現実では、今日、CIJプリンタは、通常、2行以上のドット、例えば32ドットを示すことができ、
図1dの例に示されるように、ユーザが所望のプリント画像として複雑な内容を編纂できるようにし、これは、次に、対応するビットマップに変換されて処理される。
【0037】
そのようなビットマップ90がプリントされる場合、ビットマップが基づくマトリックスの一次元である
図1aの向きにおいて、行の方向zは、インク液滴の異なる偏向により実現される一方、
図1aの向きにおいて、他方の次元である列の方向sは、プリントされる材料の移動により実現される。特に、異なる向きの場合、行及び列の役割は、当然のことながら、逆にされ得る。
【0038】
図1cは、インク液滴の生成及び偏向がCIJプリンタによってどのように実現されるかを概略的に示す。インクは、規定された属性、特に規定された圧力及び規定された粘度で、
図1cに概略的にのみ示される液圧モジュール5により提供され、
図1cでは見ることができないノズル10のインクチャネルに供給される。ノズル10のインクチャネルにおけるインク列は、例えば、圧電アクチュエータとして設計することができる発振器20により変調される。ジャーナル・オブ・アプライド・マスマティックス・アンド・メカニクス(journal of applied mathmetics and mechanics)、第2巻、1931年において、C.ウェーバ(C.Weber)によって理論的に導出された適宜選択された噴射条件によって、ノズル10を出た後、インク液滴噴流を形成するテアオフ点11におけるインク液滴12のスプラッターなし分離があるまで制約が形成される。通常、これらの条件を満たす噴流のインク液滴12は、20m/s~30m/sの速度で伝播し、今日、毎秒当たり5桁という高い数、更に6桁の数のインク液滴12を生成することができる。
【0039】
インク液滴12の分離後、荷電電極25にターゲット電荷が提供される。
図1cでは認識可能ではない検出電極によって荷電プロセスの成功をチェックすることができる。
図1cに例によりに示されるように、帯電したインク液滴12は、プリントされる被印刷物100に衝突するとき、文字を定義するマトリックスの、現在の向きでのマトリックス位置における多少なりとも明確に定義された位置に着地するように電荷に応じて異なる程度で、通電された偏向板すなわち偏向電極30において偏向される一方、帯電しない使用されないインク液滴12aは、捕集管35内に飛び続け、液圧モジュール5内のインク混合槽(図示せず)に戻る。
【0040】
荷電電極25は、制御部により制御され、制御部は、ユーザによりメモリ60において直接又は間接的に生成されるプリント画像をグリッド画像プロセッサ65におけるビットマップ90に変換する一方、好ましくは別個のプロセッサとして設計される荷電電圧コンピュータ70に、プリントされる行又は列についての情報を転送する。荷電電圧コンピュータ70は、印加すべき計算された電荷に従って対応する荷電信号を生成し、それを制御信号として荷電電極25に渡す。
【0041】
プリントされる被印刷物100が移動することは、特にプリント速度を最大化すべき場合、液滴12の異なる偏向により生成される行(又は列)を可能な限り高速でプリントする必要性を生じさせる。なぜなら、これらは、他の場合にもはや1行ではなくなるためである。従って、
図1bに示されるように、これらは、それぞれ共通の「ストローク」40、41としてCIJプリンタにより処理される。
【0042】
具体的には、概略流れ図の形態の
図3に示されるように、処理は、例えば、カウンタ情報を含む場合、順次直接実行されるべきプリントプロセス間で変更することができ、メモリ60に記憶又はキャッシュされる、ステップ110においてユーザにより予め定義されたプリント画像であるプリントされるビットマップ90が、リッピング120と呼ばれるプロセスにおいてプロセッサ又はプロセッサコアであるラスタ画像プロセッサ(RIP:Raster Image Processor)65で得られ、特にドットを生成するためにインク液滴12が印刷されるべき被印刷物100上の場所を示す、CIJプリンタにより次に撮像される各ドットシーケンスである現在ストローク40、41が特定されるという点でCIJプリンタにおいて達成される。
【0043】
この時点で、モニタリング成功のターゲット仕様として本発明により構成される、期待されるプリント画像についての少なくとも暗黙的な情報が既に存在することが本発明にとって重要である。
【0044】
次に、この情報は、一方では、ステップ125において、入力としてデータ処理システム75に転送され、データ処理システム75は、ここで、別個のプロセッサによって実施され、プリントされる信号と、本実施形態においてCCDカメラとして実行される光学モニタ手段80からデータ処理システム75に転送された、実行されたプリントの画像との比較を実行する。
【0045】
他方では、情報は、荷電電圧コンピュータ70により更に処理される。ステップ130において、荷電電圧コンピュータ70は、前記情報から荷電電圧を計算する。計算には、好ましくは、1つ以上の何れのストロークが直前にプリントされたかの情報、及び、該当する場合には1つ以上の何れのストロークがその直後にプリントされるかの情報も既に考慮に入れられる。計算される荷電電圧は、接近通過中に荷電電極25に印加できるように被印刷物の所望の場所に着地するべく、ストロークに関連付けられた液滴に印加する必要があるものである。
【0046】
これらの計算は特に複雑である。一方では空間電荷、他方では他の液滴のスリップストリーム等の空気力学的効果がインク液滴の軌道及び被印刷物上へのインク液滴の衝突点に大きく影響を及ぼし得るからである。従って、プロセスステップ130も、好ましくは、別個のプロセッサ又はプロセッサコアで実行される。
【0047】
次に、このようにして得られた荷電電圧は、ステップ140において、実際のプリントプロセスが実行される間、荷電電極25を制御するために用いられ、連続インク液滴ストリームの液滴12を荷電する。それによって、前記インク液滴は、偏向板30に印加される偏向電圧により捕集管35に移動中の非帯電インク液滴12aのストリームから偏向され、被印刷物100に印刷される。
【0048】
印刷されるプリント画像のプリントプロセスの開始時間を規定し、そのタイミングを可能にするために、例えばCIJプリンタを通過し、通過する間にプリントされるべきプリントされる対象物が、CIJプリンタに対して定義された位置に達したとき、「プリントゴー(print GO)」信号が生成される。これは、次に、好ましくは調整された待機時間後に、第1のストローク40、41から開始して、プリントをトリガーする。連続するストローク40、41間の予め指定可能な待機時間だけ待機することが有用であり得る。
【0049】
プリントプロセスをチェックしモニタするために、ステップ150において、好ましくは、本実施形態においてCCDカメラとして設計される光学モニタ手段80によってカメラ画像が撮像される。これは、例えば、プリントゴー信号を基準時間枠として使用してトリガーすることができる。次に、カメラ画像の画像データは、データ処理システム75に転送され、ステップ160において評価される。
【0050】
この評価は、最新の技術において、通常、対象物上のプリント全体の評価として実行されるが、プリントされるビットマップ90と比較する本発明によれば、これは、ストローク40、41によりそれぞれ形成されたプリント画像の個々の行又は列の評価により行われる。明確に指摘されるべきことは、これは、依然として自動的ではない、ということである。本実施形態ではCCDカメラとして設計される光学モニタ手段80のCCDチップの個々のセルが画像評価中に行毎又は列毎に読み出される場合、次に対応するデータが更に処理されるのであるが、それはプリント画像の行又は列の評価ではなく、カメラ画像の行又は列の評価である。しかしながら、これは、被印刷物上のインク液滴がカメラ画像内の設定されたピクセルのみに対応する場合、獲得可能な解像度精度にとって満足がいくものではないであろうという理由のみで、同じ結果を提供することができない。
【0051】
ステップ160における評価が誤作動又はプリントエラーの指示を示す場合、ステップ170において、エラー警告又はプリント停止をトリガーすることができる。そうでなければ、特に次のストローク40、41が依然として計算されていない場合、処理は、ステップ120に戻ることにより継続することができる。しかしながら、ステップ120に戻るに当たり、ローカルメモリから既に計算された更なるストロークを読み出すことも可能であり、これは、好ましくは、FIFO原理に従って管理される。
【0052】
そのような行又は列に基づく評価から生じる手順の利点を更に精確に理解するために、プリントされるビットマップ190と、本実施形態においてCCDカメラとして実行される光学モニタ手段80により撮像される、
図2bに示される対応するプリント画像195とについて、
図2aを参照してここで考察する。本実施形態においてCCDカメラとして実現される光学モニタ手段80により撮像されたプリント画像195内のインク液滴12の撮像は、通常、10~20個のピクセルを含む。当然のことながら、厳密な値は、使用される各光学モニタ手段80の解像度と、プリントされる被印刷物100に対するその幾何学的配置とに依存する。
【0053】
図2aに示されるビットマップ190、特に、本発明による訓練プロセスに使用することもできるビットマップ190は、5ドットのストローク40、41によって記述することができる、一連の全てのドット又はインク液滴の組合せ、すなわち5つの液滴幅を記述する、プリンタにより実行される可能な全てのストローク40、41により形成される。
【0054】
2つの
図2a及び
図2bを互いに比較すると、
図2aによるビットマップ190からの、
図2bによるリアルプリント画像195の幾つかの系統的なずれを明確に見ることができる。
【0055】
例えば、個々のストローク40、41の左へのわずかな傾斜を即座に見ることができ、従って、それぞれの場合において、ストローク40、41の一番上の液滴は、被印刷物上の最も左に配置されたストローク40、41の液滴である。この影響は、被印刷物100が移動する速度に関連する。
【0056】
しかしながら、加えて、個々の行の位置は、特に隣接する液滴が存在するか否かに応じて変わることを見ることもできる。この影響は、この液滴群の最後の8つのストローク40、41に属する液滴群を、この液滴群の最後の9番目から16番目のストローク40、41に属する群であって、最初の群と比較して上方にオフセットされたものと比較した場合に、一番上の行において特に明確に見ることができるが、前記影響は、明らかに、最後の行に属する液滴の高さのオフセットからも生じる。
【0057】
図2bによる光学モニタ手段80により撮像された、生成されたプリント画像195において、
図2aのビットマップ190により特定される、理想的な画像からの更なるずれは、隣接するインク液滴が収束し得ることからなるものである。例えば、これは、
図2bの下から2番目の行の、例えばこの行の5番目及び8番目の液滴の対の幾つかで見ることができる。
【0058】
これらの各ずれは、干渉の影響の現れではなく、干渉なしで行われるプリントでも生じる。プリントされるビットマップ190との全体プリント画像195の従来の慣例的な比較では、新たに生じつつあるいかなるプリントエラーによっても実際には生じないずれが考慮に入れられる。
【0059】
これに対して、本発明による教示を使用する場合、光学モニタ手段80により撮像された個々のストローク40、41のプリント画像を、このストローク40、41のプリントコマンドに応答して生成されるべき所望の画像として使用することができ、非常に迅速な評価が可能になる。まず、プリントされた結果をビットマップ190と比較するために、全体ビットマップ190がプリントされるまで待つ必要がなく、比較は、ストローク40、41の実行直後に可能である。
【0060】
画像評価を用いる場合、互いに比較すべき対応する対象がはるかに小さいことのみならず、光学モニタ手段80のCCDチップ上で現在プリントされたストローク40、41のドットを探すべき場所を事前に知ることも有利な点である。なぜなら、一方では、
図2bに示されるようなカメラ画像からストローク40、41に特徴的なy方向のインク液滴位置を導出することができ、他方では、隣接するストローク40、41間のx方向におけるオフセットを導出することができるためである。
【0061】
これにより、非常に的を絞った比較アルゴリズムが可能になり、プリントされたインク液滴のサーチは、CCDチップの正確なエリアで即座に開始することができ、インク液滴画像の期待される位置は、比較的高い確実度で指定することができる。
【0062】
このような予想される位置と、カメラ画像内でそれぞれのストローク40、41の対応するインク滴が発見される位置との間のずれが体系的に記録されていれば、インク粘度の変化や濃縮インクと溶媒の割合の変化など、徐々に現れ、長期的には印刷パラメータの修正が必要となる変化を、印刷画像の対応する変化から早期に導き出し、故障やミスプリントが発生する前に適切な対策を開始して修正できる可能性がある。
【0063】
加えて、ストロークベースの手法は、最終的には、真のプラグアンドプレイモジュールとしてCIJプリンタの光学モニタ手段80を動作させることを更に可能にし得る、極めて簡単な訓練プロセスを可能にし、この訓練プロセスは、
図4に概略的に示されている。設置後、光学モニタ手段80を訓練するために必要とされることは、ステップ210において、後の動作条件下で、全てのストローク40、41の少なくとも1つの定義されたシーケンス、すなわちストローク40、41における書き込まれたインク液滴位置の全ての可能な組合せをビットマップとして生成し、ステップ220において、このシーケンスを被印刷物100にプリントすることのみである。
【0064】
次に、ステップ230において、このプリント画像は、カメラとして設計される光学モニタ手段80によって撮像され、ステップ240において、少なくとも1つの対応するカメラ画像が評価されて、好ましくは個々のストローク40、41のインク液滴位置の期待値を得る。
【0065】
具体的には、例えば、各ストローク40、41又はこれらのストローク40、41に対応する制御信号は、期待されるインク液滴位置として、インク液滴12の偏向方向に対応するy方向における、カメラとして実行される光学モニタ手段(80)のCCDチップ上のインク液滴12の位置に割り当てられるか又は論理的に結び付けられる。他方では、カメラとして設計される光学モニタ手段80のCCDチップ上の個々のストローク40、41の画像間の距離を分析することにより、光学モニタリングのCCDチップ上の何れのx位置が、所定のシーケンスのストローク40、41のn番目のストローク40、41の80個のインク液滴により期待されるかの情報が得られる。
【0066】
次に、訓練プロセス後、実際の動作でビットマップ90、190がプリントされる場合、特定のストローク40、41を表すリッパ65の出力は、該当する場合にはこのビットマップ90、190を記述するためのストローク40、41についての情報と共に、カメラ画像を分析するデータ処理装置75の入力として直接転送され得る。
【0067】
次に、この入力は、このストローク40、41に関連付けられたインク液滴12の期待されるピクセル位置の組に直接変換することができ、対応するピクセルがカメラ画像において設定されているか否かチェックすることができる。液滴位置がわずかに動いた場合でも、このように新たに追加された液滴12を迅速に見つけることが保証され、ずれを分析することにより、一方では、決定される許容範囲との比較によりプリントがなお許容可能であるか否かを判断することが可能であり、他方では、ターゲット位置からのずれを生じさせた目下の問題の指示を既に取得し得る。
【符号の説明】
【0068】
5 液圧モジュール
10 ノズル
11 テアオフ点
12 インク液滴
12a 非帯電インク液滴
20 発振器
25 荷電電極
30 偏向板
35 捕集管
40、41 ストローク
65 ラスタ画像プロセッサ(リッパ)
70 荷電電圧コンピュータ
75 データ処理装置
80 光学モニタ手段
90 ビットマップ
100 被印刷物
110 プリント画像を指定
120 リッピング
125 入力のデータ処理システムへの転送
130 荷電電圧の計算
140 荷電電極の制御
150 カメラ画像の撮像
160 カメラ画像の評価
170 エラー警告
190 ビットマップ
195 プリント画像
210 ビットマップとして可能な限りのストロークのシーケンスを生成
220 ビットマップのプリント
230 カメラ画像の撮像
240 カメラ画像の評価
s 列方向
z 行方向
【国際調査報告】