(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-17
(54)【発明の名称】キレート化金属を含む電気化学貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
H01M 8/18 20060101AFI20220510BHJP
H01M 4/86 20060101ALI20220510BHJP
C25D 7/00 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
H01M8/18
H01M4/86 M
C25D7/00 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504037
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(85)【翻訳文提出日】2021-11-16
(86)【国際出願番号】 US2020023953
(87)【国際公開番号】W WO2020191330
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】308032460
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ コロラド,ア ボディー コーポレイト
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF COLORADO,a body corporate
(71)【出願人】
【識別番号】521435293
【氏名又は名称】ウォーターズ スコット
【氏名又は名称原語表記】WATERS, Scott
【住所又は居所原語表記】1800 Grant Street, 8th Floor, Denver, Colorado 80203 The United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【氏名又は名称】菅野 亨
(72)【発明者】
【氏名】ウォーターズ スコット
(72)【発明者】
【氏名】マルシャック マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ロブ ブライアン ハレット
【テーマコード(参考)】
4K024
5H018
5H126
【Fターム(参考)】
4K024AB01
4K024BA11
4K024BB09
5H018BB07
5H018EE02
5H018HH05
5H126AA03
5H126BB10
5H126FF05
5H126GG17
5H126HH01
5H126HH08
5H126JJ00
5H126JJ05
5H126JJ06
5H126JJ08
5H126JJ09
5H126JJ10
5H126RR01
(57)【要約】
金属キレート、金属キレートを作製する方法、金属キレートを含む電解質調合物、および少なくとも1つの金属キレートを使用、または含むエネルギー貯蔵用電気化学装置を開示する。開示は、また、電極が電池内にある間に電極をめっきするためにフロー電池中の電解質に金属をもたらす方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属キレートを含む陽極液と、
Fe(CN)
6を含む陰極液とを含むフロー電池であって、
前記金属キレートの金属は遷移金属であり、
前記キレートは、PDTA、BDTA、DTPA、NTA、CyDTA、EDTA、またはHEDTAからなる群から選択される、フロー電池。
【請求項2】
前記遷移金属は、クロム、チタン、マンガン、バナジウム、セリウム、または鉄である、請求項1に記載のフロー電池。
【請求項3】
前記金属キレートの電荷は負である、請求項1に記載のフロー電池。
【請求項4】
前記電荷は、-1、-2、または-3である、請求項3に記載のフロー電池。
【請求項5】
さらに、少なくとも1つの対イオンを含む、請求項1に記載のフロー電池。
【請求項6】
前記少なくとも1つの対イオンは、カリウム、ナトリウム、リチウム、アンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、または他のテトラアルキルアンモニウム塩である、請求項5に記載のフロー電池。
【請求項7】
前記対イオンを備えた前記金属キレートの溶解度は約0.1M~約2.0Mである、請求項5に記載のフロー電池。
【請求項8】
前記キレートは前記金属の約90%~約100%に配位している、請求項1に記載のフロー電池。
【請求項9】
前記キレートはNTAであり、2つのNTA分子は単一金属に結合している、請求項1に記載のフロー電池。
【請求項10】
前記金属キレートのpHは約6~約11である、請求項1に記載のフロー電池。
【請求項11】
金属キレートを形成する方法であって、
金属塩およびキレートを溶液中で混合するステップであり、混合物を形成するために、前記キレートは、前記金属塩に対して化学量論的に過剰である、混合するステップと、
前記金属キレートを形成するために、前記混合物を約0℃~約150℃の温度に約10分~約7日の時間加熱するステップとを含み、前記金属キレートの収率は85%より高い、方法。
【請求項12】
前記金属塩は前記混合するステップに先立って精製していない、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記時間は約3日であり、前記温度は約100℃である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記金属塩の金属の約99%より多くは、前記金属キレート中で錯体化されている、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
水分子は、前記金属キレートの金属中心に配位していない、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記金属塩の金属は遷移金属である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記金属キレートのキレートは、PDTA、BDTA、DTPA、NTA、CyDTA、EDTA、またはHEDTAからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
溶媒と、
金属キレートと、
ビスマス、鉛、ビスマスキレート、鉛キレート、またはそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む第2の金属とを含む、電解質であって、
前記金属キレートは前記溶媒に溶解して前記電解質を形成し、
前記金属キレートの金属は遷移金属であり、
前記金属キレートのキレートは、PDTA、CyDTA、NTA、DTPA、HEDTA、EDTA、BDTA、およびそれらの組み合わせである、電解質。
【請求項19】
さらに第2の金属を含む、請求項18に記載の電解質。
【請求項20】
前記第2の金属は前記溶媒に可溶である、請求項19に記載の電解質。
【請求項21】
前記金属キレートは、CrPDTA、CrBDTA、FePDTA、FeBDTA、V(PDTA)、V(BDTA)、Mn(PDTA)、またはMn(BDTA)である、請求項18に記載の電解質。
【請求項22】
前記溶媒は水である、請求項18に記載の電解質。
【請求項23】
前記電解質は陽極液である、請求項18に記載の電解質。
【請求項24】
前記電解質は陰極液である、請求項18に記載の電解質。
【請求項25】
金属キレートを含む陽極液と、
陰極液と、
少なくとも2つの電極と、
薄膜とを備えたフロー電池であって、
前記金属キレートの金属は遷移金属であり、
前記金属キレートのキレートは、PDTA、CyDTA、NTA、DTPA、HEDTA、またはBDTAであり、
前記薄膜は、前記陽極液と前記陰極液とを分離し、
前記フロー電池の充電状態は約83%~約100%である、フロー電池。
【請求項26】
前記陽極液の前記金属キレートはさらに対イオンを含む、請求項25に記載のフロー電池。
【請求項27】
前記陰極液は第2の金属キレートを含み、
前記第2の金属キレートの第2の方法は遷移金属であり、
キレートは、PDTA、BDTA、DTPA、NTA、CyDTA、EDTA、またはHEDTAからなる群から選択される、請求項25に記載のフロー電池。
【請求項28】
前記陽極液の前記金属キレートは、さらに対イオンを含み、
前記陰極液は第2の金属キレートおよび第2の対イオンを含み、
前記第2の金属キレートの第2の方法は遷移金属であり、
キレートは、PDTA、BDTA、DTPA、NTA、CyDTA、EDTA、またはHEDTAからなる群から選択され、
前記対イオンおよび前記第2の対イオンは同じである、請求項26に記載のフロー電池。
【請求項29】
前記陰極液のpHおよび前記陽極液のpHは6~11である、請求項26に記載のフロー電池。
【請求項30】
電流密度は50mA/cm
2~200mA/cm
2である、請求項25に記載のフロー電池。
【請求項31】
電流密度は約100mA/cm
2~約200mA/cm
2である、請求項30に記載のフロー電池。
【請求項32】
電流密度は約50mA/cm
2~約100mA/cm
2である、請求項30に記載のフロー電池。
【請求項33】
前記フロー電池の電圧効率は約75~95%である、請求項25に記載のフロー電池。
【請求項34】
全体効率は約70~95%である、請求項25に記載のフロー電池。
【請求項35】
電流効率は約50%~約100%である、請求項25に記載のフロー電池。
【請求項36】
電池容量は1週当たり約5%未満減少する、請求項25に記載のフロー電池。
【請求項37】
前記電池の水素発生は1日当たり約5%未満である、請求項25に記載のフロー電池。
【請求項38】
前記電池の充電状態は20℃、大気圧での1週間の貯蔵後に10%未満減少する、請求項25に記載のフロー電池。
【請求項39】
前記薄膜はカチオン交換膜である、請求項25に記載のフロー電池。
【請求項40】
前記カチオン交換膜は、スルホン化テトラフロオルエチレン系フッ素ポリマー共重合体(Nafion(登録商標))である、請求項39に記載のフロー電池。
【請求項41】
前記電極の少なくとも0.01μg/cm
2は、第2の金属でめっきされている、請求項25に記載のフロー電池。
【請求項42】
前記第2の金属は、ビスマス、鉛、ビスマスキレート、鉛キレート、またはそれらの組み合わせである、請求項41に記載のフロー電池。
【請求項43】
前記陽極液はK[Cr(PDTA)]を含み、前記陰極液はK
4[Fe(CN)
6]を含む、請求項25に記載のフロー電池。
【請求項44】
前記陽極液はNa[Cr(EDTA)]を含み、前記陰極液はNa
4[Fe(CN)
6]を含む、請求項25に記載のフロー電池。
【請求項45】
前記pHは約8を超える、請求項44に記載のフロー電池。
【請求項46】
さらに、前記陽極液としてK[Cr(PDTA)]を含み、
前記陰極液は、K
2[Mn(BDTA)]、K[Cr(EDTA)]、またはBr
2/Br
-のうちの1つである、請求項25に記載のフロー電池。
【請求項47】
前記陽極液は第2の金属を含む、請求項25に記載のフロー電池。
【請求項48】
前記第2の金属はビスマス、鉛、ビスマスキレート、鉛キレート、またはそれらの組み合わせを含む、請求項47に記載のフロー電池。
【請求項49】
めっき材料を溶液に溶解するステップを含み、前記溶液は電解質である、電極をめっきする方法。
【請求項50】
前記電極はフロー電池内にあり、前記フロー電池は前記電極をめっきするために分解されない、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
キレートに配位する金属を含む金属キレートであって、
前記金属は遷移金属を含み、
前記キレートはEDTAであり、
前記金属キレートの濃度はpH約6~約11で0.8M~約2Mである、金属キレート。
【請求項52】
キレートに配位する金属を含む金属キレートであって、
前記金属は、クロム、バナジウム、セリウム、チタン、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される遷移金属を含み、
前記キレートは、PDTA、CyDTA、NTA、DTPA、HEDTA、またはBDTAの少なくとも1つであり、
前記金属キレートの濃度は、0.4Mより大きく約2M以下である、金属キレート。
【請求項53】
前記金属キレートはCrEDTAであり、前記電池は、pH9で99%の電流効率でサイクルすることができる、請求項1に記載のフロー電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願へのクロスリファレンス)
本願は、2019年3月20日に出願された米国特許仮出願第62/821,227号の優先権および利益を主張し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
この開示は、金属キレートを作製する方法、少なくとも1つの金属キレートを含む電解質調合物、および少なくとも1つの金属キレートを使用または含むエネルギー貯蔵用電気化学装置に関する。開示は、また、フロー電池中の電解質に金属をもたらす方法に関する。
【背景技術】
【0003】
酸化還元フロー電池(RFB)などの電気化学装置は、エネルギー貯蔵要素を液体形態とし、出力変換装置から独立させることによって、グリッドスケールエネルギー貯蔵システム用の魅力的な工学構造を提供する。出力およびエネルギーを切り離すことによって、フロー電池は長い持続エネルギー貯蔵をもたらすことができ、エネルギー貯蔵の限界コストは、主として電解質および貯蔵タンクのコストに基づく。これらの利点にもかかわらず、現在の電解質調合物は、バナジウム酸化還元フロー電池中のバナジウムなどの高価な材料を必要とし、このように広範囲の採用にはひどく高いコストである。
【0004】
エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)は、先行技術の方法において金属イオンと錯体化されている。しかし、金属-EDTA錯体は、低電圧効率、低電流効率、および低エネルギー効率(いくつかの実施形態では、およそ7%)をもたらす可能性がある。
【0005】
表1は、様々なpHで、様々な金属、配位子(キレート)を備えた金属キレート錯体を含むフロー電池電解質の先の例を示す。所与のpHで特別の金属キレートについての溶解度も表1に示す。特に、表1に記載された最も高い溶解度は0.8mol/L(M)であるが、その材料のpHは未知である。pHは、0.5Mの表1の2番目に高い溶解度についても未知である。
【0006】
【発明の概要】
【0007】
本発明は、金属キレートを含むフロー電池、金属キレートを作製する方法、および金属キレートを含む。特に、本発明は、先行技術と比較して利点を含む。
【0008】
Bae,C.;Roberts,E.P.L.;Chakrabarti,M.H.;Saleem,M.All-Chromium Redox Flow Battery for Renewable Energy Storage.Int.J.Green Energy 2011,8(2),248-264(「Bae2011」)は、その全体が参照によって組み込まれ、1Mの酢酸ナトリウム中にpH5.5ですべてのCrEDTA RFBで利用された0.2MのCrEDTA溶液を開示する。低電流密度(30mcm-2)では、セルは99%の電流効率および1.89mWcm-2mWの出力を達成することができるが、劣ったポソライト(つまり、正の電解質または陰極液)反応速度を有し、5%未満のエネルギー効率を引き起こした。Bae2011からの表2は、0.2MのCr(III)-EDTAを使用する非分離酸化還元フロー電池システムの充放電に結果をもたらす。要約すると、Bae2011の表2は、一定の充電電流密度が約15mAcm-2であるなら、そのときCr(III)-EDTAのCr(II)-EDTAへの転換率は約16.63%であり、全体電流効率は約67.57%であり、エネルギー効率は約4.23%であることを示す。一定の充電電流密度が約30mAcm-2である場合、そのとき、Cr(III)-EDTAの転換率は約47.99%であり、全体電流効率は約99.69%であり、エネルギー効率は約3.56%である。Bae2011の表3は、Cr(III)-EDTA/1Mの酢酸ナトリウムの異なる濃度について、2.5mAcm-2の放電電流密度で、Cr(III)-EDTA非分離RFBの平均出力を示す。Cr(III)-EDTA電解質の濃度は0.2Mであり、それをCr(II)-EDTA濃度が0.095Mであるように30mAcm-2で充電する場合、これは、2.12Vの開回路電位(OCP)、3.56%の全体エネルギー効率、および1.89mWcm-2の出力をもたらす。Cr(III)-EDTA電解質の濃度が0.1Mであり、Cr(II)-EDTA濃度が0.066Mであるように30mAcm-2で充電する場合、これは、2.17VのOCP、3.16%の全体エネルギー効率、および1.79mWcm-2の出力をもたらす。Cr(III)-EDTA電解質の濃度が15mAcm-2で0.1Mである場合、濃度が0.04M、OCPが2.13V、全体エネルギー効率が6.94%、出力が1.58mWcm-2である。Cr(III)-EDTA電解質の濃度が0.2Mであり、Cr(II)-EDTA濃度が0.033Mであるように15mAcm-2で充電する場合、これは、2.02VのOCP、4.23%の全体エネルギー効率、および0.92mWcm-2の出力をもたらす。Bae2011のCrEDTA紙は、酢酸ナトリウム緩衝液中で、pH5.5で0.2Mの最大CrEDTA濃度を使用する。放電電流密度は2.5mAcm-2である。充電電流密度は15mAcm-2または30mAcm-2である。到達した充電状態(SOC)は、Cr(III)-EDTA転換としても公知であり、48%未満であり、最大電流効率は99.69%であり、最大エネルギー効率は6.94%である。比較すると、CrEDTAフロー電池(実施例25に記載されるように)は、0.5Mの濃度でCrEDTAを使用した。その実施例における本発明のpHは、四ホウ酸ナトリウム緩衝液中で9.0である。実施例の充放電電流は100mA/cm2であった。さらに、実施例25の電解質を使用する本発明の電池は、99.9%のクーロン効率および78.3%のエネルギー効率を示しながら80%SOCへのサイクルを可能にする。
【0009】
「電力貯蔵電池」と題する国際公開第2012117594号パンフレットは、その全体が参照によって組み込まれ、CrEDTAが様々な正の電解質と組み合わせられていることを記載している。使用されるCrEDTAの最も高い濃度は0.4Mであった。検討されたpH範囲は、pH3.0~8.0であった。充放電電流密度は5または10mAcm-2であった。pH3.0では、最良のクーロン効率は68%であり、電圧効率は64%であり、全体エネルギー効率は42%であり、セルは29%の充電状態にサイクルされた。pH5.7では、最良のセル性能は、クーロン効率が80%、電圧効率が80%、全体エネルギー効率が64%であり、セルは、利用可能な容量の75%にサイクルされた。pH8.0で、最良のセル性能は、クーロン効率が70%、電圧効率が68%、全体エネルギー効率が48%であり、セルは、利用可能な容量の43%にサイクルされた。表2には、国際公開第2012117594号パンフレットに記載された結果がまとめられている。表2は、国際公開第2012117594号パンフレットからの実施例を含み、CrEDTAの濃度、pH、緩衝液、電流密度(CD)(mA/cm2)、クーロン効率(CE)(%)、電圧効率(VE)(%)、エネルギー効率(EE)(%)、および使用した利用可能な容量(ACU)(%)を変化させている。
【0010】
【0011】
比較すると、本発明は、pH9.0で、0.5Mの濃度でRFB中のCrEDTAのサイクルを考慮に入れる。セルは、クーロン効率が99.9%、電圧効率が79.0%、全体エネルギー効率が78.3%であり、セルは、利用可能な容量の80%にサイクルされた。セルは100mA/cm2に増加した電流密度で充放電することもできた。特に、本発明は、より高い電流密度、より高い濃度を得る能力、およびより大きな割合の利用可能な容量を利用する能力をもたらす。本発明の効率は報告されたものよりも良好であり、特に重要には、100%近いクーロン効率を以下の実施例25において説明する。表3は、国際公開第2012117594号パンフレットと実施例25との比較を考慮に入れるために要約をもたらす。
【0012】
【0013】
「酸化還元電池」と題する米国特許第4362791号明細書は、その全体が参照によって組み込まれ、pH3で0.5Mの負の電解質として使用されるCrEDTAについて記載する。セルがどのように動作されたか、または結果として生じる効率に関してそれ以上の情報は記載されていない。米国特許第4362791号明細書の開示は、本発明で使用されるpH9と比較して、pH3でのCrEDTAを記載するように本発明とは異なる。特に、CD、CE、VE、EE、またはACUを開示していない。
【0014】
Modiba,P.;Matoetoe,M.;Crouch,A.M.Kinetics Study of Transition Metal Complexes(Ce-DTPA,Cr-DTPA and V-DTPA) for Redox Flow Battery Applications.Electrochimica Acta 2013,94,336-343は、その全体が参照によって組み込まれ、1MのH2SO4での様々な配位子を備えたCe、Mn、Cr、Fe、Vの電気化学特性を開示する(pH0)。本発明は、様々な緩衝液系についてより高いpH(いくつかの実施形態では、pH約9)で動作することができ、それによって性能が向上する。
【0015】
Ogino,H.;Nagata,T.;Ogino,K.Redox Potentials and Related Thermodynamic Parameters of (Diaminopolycarboxylato)Metal(III/II)Redox Couples.Inorg.Chem.1989,28(19),3656-3659は、その全体が参照によって組み込まれ、様々なEDTAおよびPDTAタイプの配位子と接合する様々なCr、Fe、V、Ruの還元電位を開示する。特に、Oginoで開示した材料のどれも電池設定において使用されていない。
【0016】
Ogino,Hiroshi.;Watanabe,Toshiyuki.;Tanaka,Nobuyuki.Equilibrium and Kinetic Studies of the Reactions of N-Substituted Ethylenediamine-N,N’,N’-Triacetatoaquachromium(III) with Acetate Ions.Inorg.Chem.1975,14(9),2093-2097は、その全体が参照によって組み込まれ、CrEDTA上で水を交換する酢酸塩の機構について議論している。そのような置換は本発明には有利ではない。
【0017】
Tanaka,N.;Ito,T.The Polarographic Investigation on the Reaction between Chromium(II)-Ethylenediaminetetraacetate and Nitrate Ions.Bull.Chem.Soc.Jpn.1966,39(5),1043-1048は、その全体が参照によって組み込まれ、Cr(II)種による硝酸塩の還元を開示し、それは、本発明の最終製品において再び不利である。
【0018】
Ibanez,J.G.;Choi,C.S.;Becker,R.S.Aqueous Redox Transition Metal Complexes for Electrochemical Applications as a Function of PH.J.Electrochem.Soc.1987,134(12),3083-3089は、その全体が参照によって組み込まれ、酸性から弱酸性の状態でFe-ポリアミノアセテート錯体およびCr(EDTA)を含む様々なキレート錯体について記載している。最大pH5.0で0.15MのCrEDTA(低濃度)および0.1MのFe(II)DTPA(低濃度)は、フッ化アンモニウム中でpH8で電気化学的活性を有することも報告されている。対照的に、本発明は、より高いpH9で、いくつかの実施形態では、より高い濃度(0.5Mより高い、いくつかの実施形態では約1.3Mまで)、異なる緩衝液条件下でフロー電池中で動作する。
【0019】
鉄-クロム(FeCr)RFBは、豊富な量のクロマイト鉱物のために低コストである。FeCr電解質のコストは低いが、FeCrフロー電池に関連した課題としては、低いセル電圧(1.2V)、遅いCr3+/2+酸化還元反応速度による低電流密度(21.5mAcm-2)、金属イオン溶解度についての腐食性HCl溶液中で必要な動作、金属イオンの薄膜クロスオーバーの問題、および水素ガス発生が挙げられる。クロムおよび鉄を使用するものを含む金属キレートの使用は、RFB電解質について調査され、酸化還元電位、溶解度、および溶液電解質pHの操作を可能にする。特に、クロムを、遍在するキレートEDTAでキレートすることは、中性pH付近で-0.99V対SHEにCr3+/2+還元電位をシフトし、クロム酸化還元反応速度を、105を超えて向上することが示されている。CrEDTAを負および正の酸化還元対に使用する対称なフロー電池は、Bae2011に報告されていたが、全体エネルギー効率は、キレートがEDTAである場合7%未満だった。
【0020】
水のCrEDTAへの配位が水分解用の触媒経路を促進することができたので、1,3-プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)は潜在的なキレートとして利用された。PDTAは、ほとんど八面体形状(六座配位子)でCr3+イオンを錯体化し、主配位圏から水を排除する。CrPDTAのCr3+/2+還元電位(-1.10V対SHE)は、また、CrEDTAよりも負であり、負の電解質として使用される場合に電池電圧を増加させる。他のフロー電池系で使用される安価で堅牢な正の電解質である、K4Fe(CN)6と組み合わせられる電解質としてのCrPDTAの電気化学的挙動も利用された。同様の結果は、金属イオンを備えたキレートとして1,4-ブチレンジアミン四酢酸(BDTA)を使用することにより得ることができる。
【0021】
この開示は、別の系での多くの欠陥に対処、解決する金属キレートの1つの種類を含む電解質調合物について記載している。予想外に、これらの電解質調合物は、以前に金属-EDTA錯体を使用して報告されたものよりも大きな溶解度、酸化還元反応速度、および安定性をもたらす。これらの電解質調合物は、非常に効率的で、高電圧、および高性能フロー電池の製造を可能にする。
【0022】
開示に記載された電解質としては、遷移金属、例えば、キレート剤、例えば、PDTA、BDTA、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ニトリロトリアセテート(NTA)、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、または1,2-ジアミノシクロヘキサン-N,N’-四酢酸(CyDTA)と錯体化するクロムが挙げられ、pH6~11、いくつかの実施形態では、中性pH付近の高電圧水性フロー電池を生成する。この電解質を使用することによって、この電解質を含まないRFBと比較して、より大きなセル電位がもたらされる。開示の例の電解質、PDTA電解質は、Fe(CN)6
4-/3-対で試験され、1.62Vのセル電位を備えたフロー電池を生成する。鉄-クロムキレートRFBは、100%の電流効率、80%の往復エネルギー効率、75サイクルにわたる無容量ロス、および0.5Wcm-2を超えるピーク出力密度で0.1Acm-2でサイクルした。
【0023】
図1は、金属-PDTA、具体的に、CrPDTAを利用する本発明の電解質と比較して、先行技術の電解質、具体的にCrEDTAを含むフロー電池についての単一の充放電サイクルの電圧および電流効率の差を説明する。CrPDTAは、より高い放電電圧および100%の電流効率をもたらす。
【0024】
第2のRFBは、CrPDTAをBr2/Br-酸化還元対と組み合わせて示され、全水性フロー電池についてかつて記録された最も高い2.13Vのセル電位をもたらした。CrBr電池は、0.1Acm-2でのサイクル時に76%の往復エネルギー効率の他に、ほぼ0.7Wcm-2のピーク出力密度を示した。これらの結果は、キレート化金属錯体の、酸化還元電位、溶解度、安定性、および電子伝達速度を向上する能力を示す。さらに、金属イオンに直接配位した水の完全な排除は、安定した高電圧水性電池系を可能にするのに有益なアプローチであり、水分解反応を抑制するための一般法を確立する。陰極液(つまり、陰極電解質)および陽極液(つまり、陽極電解質)の両方が金属キレートを含む場合、他の利点はRFBにあり得、ここで、キレートはPDTAまたはBDTAである。
【0025】
開示の態様は、金属キレートに関する。金属キレートは、PDTA、CyDTA、NTA、DTPA、HEDTA、EDTA、またはBDTAキレート材料を含み、金属は、クロム、マンガン、チタン、バナジウム、セリウム、または鉄とすることができる。金属キレートの金属は電圧に影響することができる。有利には、金属は、それが水分解反応を低減する(5%未満)または除去するようにキレート材料に配位する。
【0026】
開示の態様は、金属キレートを作製する方法である。有利には、本発明の方法は、約85%より多い、いくつかの実施形態では、約90%~約100%の金属イオンがキレートと錯体化されることをもたらす。先の方法は、CrPDTAについて、Weyh,J.A.;Hamm,R.E.Iminodiacetato,Methyliminodiacetato,and 1,3-Propanediaminetetraacetato Complexes of Chromium(III).Inorg.Chem.1968,7(11),2431-2435(その全体において参考例として組み入れられている)、およびCrBDTAについて、Ogino,H.;Chung,J.-J.;Tanaka,On the Utilization of Chromium(II) Ions for the Syntheses of Alkylenediaminetetraacetatochromate(III)Complexes.Inorganic and Nuclear Chemistry Letters 1971,7(2),125-129(その全体において参考例として組み入れられている)は、それぞれ60および85%の収率(つまり、固体となる錯体化材料の量)をもたらす。
【0027】
開示の態様は、金属キレートを含むフロー電池である。電池は1つより多い金属キレートを含むことができ、金属キレートは負に荷電される。フロー電池の薄膜は、カチオン交換膜もしくはアニオン交換膜、または他の適切なセパレーターとすることができる。フロー電池の電解質は金属キレートの水溶液を含むことができる。フロー電池の電極は、多孔性カーボン電極または金属めっき炭素電極とすることができる。
【0028】
開示の態様は、フロー電池中の電極に金属をもたらす方法を対象とする。有利には、電極を金属で被覆、めっきするためにフロー電池を分解する必要はない。金属は、ビスマスまたは鉛とすることができ、例えば、約0.1mM~約10mMの量で電解質中に存在することができる。
【0029】
開示の態様は、金属キレートを含む陽極液と、Fe(CN)6とを含む陰極液を含むフロー電池であって、金属キレートの金属は遷移金属であり、キレートは、PDTA、BDTA、DTPA、NTA、CyDTA、EDTA、またはHEDTAからなる群から選択される、フロー電池を含む。
【0030】
様々な実施形態は、本発明の様々な態様と組み合わせることができる。フロー電池の遷移金属は、クロム、チタン、マンガン、バナジウム、セリウム、または鉄とすることができる。金属キレートの電荷は負とすることができ、それは-1、-2、または-3とすることができる。金属キレートは、少なくとも1つの対イオンを含むことができ、それは、カリウム、ナトリウム、リチウム、アンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、または他のテトラアルキルアンモニウム塩とすることができる。対イオンを備えた金属キレートの溶解度は約0.1M~約2.0Mとすることができる。キレートは金属の約90%~約100%に配位することができる。キレートがNTAである場合、2つのNTA分子は単一金属に結合することができる。金属キレートのpHは約6~約11とすることができる。いくつかの実施形態では、pHは約8より大きくすることができる。いくつかの実施形態では、陽極液はK[Cr(PDTA)]を含むことができ、陰極液はK4[Fe(CN)6]を含み、陽極液はNa[Cr(EDTA)]を含み、陰極液はNa4[Fe(CN)6]を含み、または、陽極液はK[Cr(PDTA)]を含み、陰極液は、K2[Mn(BDTA)]、K[Cr(EDTA)]、またはBr2/Br-のうちの1つである。陽極液は第2の金属を含むことができ、それは、ビスマス、鉛、ビスマスキレート、鉛キレート、またはそれらの組み合わせとすることができる。
【0031】
本発明の態様は、金属キレートを形成する方法であって、金属塩およびキレートを溶媒中で混合するステップであり、混合物を形成するために、キレートは、金属塩に対して化学量論的に過剰である、混合するステップと、金属キレートを形成するために、混合物の温度を約10分~約7日間に約0°C~150°Cに調整するステップとを含む、方法。金属キレートの収率は85%より高い。
【0032】
様々な実施形態は本発明の態様と組み合わせることができる。例えば、混合に先立って金属塩を精製する必要はない。混合時間は約3日とすることができ、温度は約100°Cとすることができる。金属塩の金属の約99%より多くを金属キレート中で錯体化することができる。水分子は金属キレートの金属中心に配位することができない。金属塩の金属は遷移金属とすることができる。金属キレートのキレートは、PDTA、BDTA、DTPA、NTA、CyDTA、EDTA、またはHEDTAからなる群から選択することができる。
【0033】
電解質は、溶媒と、金属キレートと、ビスマス、鉛、ビスマスキレート、鉛キレート、またはそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む第2の金属とを含み、金属キレートは溶媒に溶解して電解質を形成し、金属キレートの金属は遷移金属であり、金属キレートのキレートは、PDTA、CyDTA、NTA、DTPA、HEDTA、EDTA、BDTA、およびそれらの組み合わせである。
【0034】
第2の金属は溶媒に可溶とすることができる。金属キレートは、CrPDTA、CrBDTA、FePDTA、FeBDTA、V(PDTA)、V(BDTA)、Mn(PDTA)、またはMn(BDTA)とすることができる。溶媒は水とすることができる。電解質は陽極液または陰極液とすることができる。
【0035】
本発明の態様は、金属キレートを含む陽極液と、陰極液と、少なくとも2つの電極と、薄膜とを備えたフロー電池であって、金属キレートの金属は遷移金属であり、金属キレートのキレートはPDTA、CyDTA、NTA、DTPA、HEDTA、またはBDTAであり、薄膜は陽極液と陰極液とを分離し、フロー電池の充電状態は約83%~約100%である、フロー電池である。
【0036】
様々な実施形態は、本発明の様々な態様と組み合わせることができる。陽極液の金属キレートは対イオンを含むことができる。陰極液は第2の金属キレートを含むことができ、第2の金属キレートの第2の方法は遷移金属であり、キレートは、PDTA、BDTA、DTPA、NTA、CyDTA、EDTA、またはHEDTAからなる群から選択される。陽極液の金属キレートはさらに対イオンを含み、陰極液は第2の金属キレートおよび第2の対イオンを含み、第2の金属の第2の方法は遷移金属であり、キレートは、PDTA、BDTA、DTPA、NTA、CyDTA、EDTA、またはHEDTAからなる群から選択され、対イオンおよび第2の対イオンは同じである。陰極液のpHおよび陽極液のpHは6~11である。フロー電池の電流密度は、50mA/cm2~200mA/cm2、約100mA/cm2~約200mA/cm2、または約50mA/cm2~約100mA/cm2とすることができる。フロー電池の電圧効率は約75~95%とすることができる。全体効率は約70~95%とすることができる。電流効率は約50%~約100%とすることができる。電池容量は、1週当たり約5%未満減少することができる。電池の水素発生は1日当たり約5%未満とすることができる。電池の充電状態は20°C、大気圧での1週間の貯蔵後に10%未満減少することができる。薄膜はカチオン交換膜とすることができ、それはスルホン化されたテトラフロオルエチレン系フッ素ポリマー共重合体(Nafion(登録商標)とすることができる。フロー電池の電解質は、第2の金属の少なくとも0.01μg/cm2で被覆することができる。第2の金属は、ビスマス、鉛、ビスマスキレート、鉛キレート、またはそれらの組み合わせである。
【0037】
本発明の態様は、溶液中にめっき材料を溶解するステップを含み、溶液は電解質である、電極をめっきする方法である。フロー電池は電極をめっきするために分解されない。
【0038】
本発明の態様は、キレートに配位する金属を含む金属キレートであって、金属は遷移金属を含み、キレートはEDTAであり、金属キレートの濃度はpH約6~約11で0.8M~約2Mである、金属キレートである。
【0039】
本発明の態様は、キレートに配位する金属を含む金属キレートであって、金属は、クロム、バナジウム、セリウム、チタン、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される遷移金属を含み、キレートは、PDTA、CyDTA、NTA、DTPA、HEDTA、またはBDTAの少なくとも1つであり、金属キレートの濃度は0.4Mより大きく、約2M以下である、金属キレートである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】負の電解質としてのCrEDTAまたはCrPDTA電解質(0.4M)および正の電解質としての0.3MのK
4Fe(CN)
6および0.45MのK
3Fe(CN)
6の混合物を含むフロー電池についての1回の充放電サイクルを説明する。CrPDTAは、より高い放電電圧および100%の電流効率をもたらし、一方、CrEDTAは、より低い放電電圧をもたらす。
【
図2A】ガラス質炭素作用電極に記録された、0.125MのKB
i(pH9)中の5mMのK[Cr(PDTA)]および5mMのK
4[Fe(CN)
6]の100mVs
-1で記録されたサイクリックボルタモグラムを説明する。
【
図2B】変化するSOCで鉄-クロムキレートセルの分極曲線を説明し、差し込み図は、セルOCP対SOCを説明する。
【
図2C】変化するSOCでの鉄-クロムキレートセルの放電出力密度対電流密度を説明する。
【
図3A】0.4MのCrPDTA電解質を使用して、80%SOCへの±0.1Acm
-2でのサイクル当たりの電流、電圧、およびエネルギー効率を説明する鉄-クロムキレートセルサイクルを説明する。
【
図3B】1.0MのCrPDTA電解質を使用して、80%SOCへの±0.1Acm
-2での25サイクルの1サイクル当たりの鉄-クロムキレートセルについてのセル効率を説明する。
【
図3C】
図3Bからのサイクル中に鉄-クロムキレートセルについてのセル電圧を説明する。
【
図4A】90%SOCからの10mAcm
-2放電中にセル電位を説明するクロム-臭素セルサイクルデータを説明し、差し込み図は、80%および90%SOCへの±0.1Acm
-2でのサイクル中のセル電位を含む。
【
図4B】変化するSOCでクロム-臭素セル分極曲線を説明し、差し込み図はセルOCP対SOCを説明する。
【
図4C】変化するSOCでのクロム-臭素セル放電出力密度対電流密度を説明する。
【
図5A】pH9での0.125MのKB
iに5mMのK[Cr(PDTA)]を含む溶液の異なるスキャン速度で記録されたサイクリックボルタンメトリーを説明するCrPDTA還元の反応速度分析を説明する。垂直線は、E
0(-1.31V対Ag/AgCl)の文献値を表す。
【
図5B】ピーク還元電流対スキャン速度γ
1/2を異なるスキャン速度について説明するCrPDTA還元の反応速度分析を線形フィッティングで説明する。
【
図5C】ピーク還元電流(i
pc)対ピーク還元電流(E
pc)での電圧と文献で付与された還元のE
0との電位差の自然対数を説明するCrPDTA還元の反応速度分析を線形フィッティングで説明する。
【
図6A】90%SOCへの3つの電流密度で一定の充電/放電時のセル電位を説明する鉄-クロムセルサイクル効率を説明し、1.62Vの水平線は50%SOCでのOCPを表す。
【
図6B】
図6A中のセル充電/放電サイクルのついての電流、電圧、およびエネルギー効率を説明する鉄-クロムセルサイクル効率を説明する。
【
図6C】一定の充電/放電サイクル中の1/2全充電時間および1/2全放電時間でのセル電位を説明する鉄-クロムセルサイクル効率を説明する。
【
図7A】80%SOCへの0.1Acm
-2での定電流充電/放電時のセル電位を説明する鉄-クロムセルサイクルプロットを説明する。
【
図7B】90%SOCへの0.1Acm
-2での定電流充電/充電時のセル電位を説明する鉄-クロムセルサイクルプロットを説明する。
【
図8A】90%SOCへの0.1Acm
-2での充電/放電時のFeCrセル効率を説明する鉄-クロムおよびクロム-臭素セルサイクル効率を説明する。
【
図8B】80%SOC(サイクル1~5)および90%SOC(サイクル6~10)への0.1Acm
-2での充電/放電時のCrBrセル効率を説明する鉄-クロムおよびクロム-臭素セルサイクル効率を説明する。
【
図9A】鉄-クロムセル分極データを、5つの異なるSOCでの電圧効率対出力密度を説明するポンプパルスのフィッティングで説明する。
【
図9B】鉄-クロムセル分極データを、オリジナルのポンプパルスデータを用いてプロットされた、5つの異なるSOCでの電圧効率対出力密度を説明するポンプパルスのフィッティングで説明する。
【
図9C】鉄-クロムセル分極データを、オリジナルのポンプパルスデータを用いてプロットされた、変化するSOCでのセル出力密度対電流密度を説明するポンプパルスのフィッティングで説明する。
【
図9D】鉄-クロムセル分極データを、オリジナルのポンプパルスデータを用いてプロットされた、変化するSOCでのセル分極データを説明するポンプパルスのフィッティングで説明する。
【
図10A】クロム-臭素セル分極データを、5つの異なるSOCでの電圧効率対出力密度を説明するポンプパルスのフィッティングで説明する。
【
図10B】クロム-臭素セル分極データを、オリジナルのポンプパルスデータを用いてプロットされた、5つの異なるSOCでの電圧効率対出力密度を説明するポンプパルスのフィッティングで説明する。
【
図10C】クロム-臭素セル分極データを、オリジナルのポンプパルスデータを用いてプロットされた、変化するSOCでのセル出力密度対電流密度を説明するポンプパルスのフィッティングで説明する。
【
図10D】クロム-臭素セル分極データを、オリジナルのポンプパルスデータを用いてプロットされた、変化するSOCでのセル分極データを説明するポンプパルスのフィッティングで説明する。
【
図11】ホウ酸塩緩衝液中のpH9でのCrEDTA(5mM)を説明する。
【
図12】ホウ酸塩緩衝液中のpH9でのCrPDTA(5mM)を説明する。
【
図13】-2~2の電位にわたるホウ酸塩緩衝液中のpH9でのCrEDTA(5mM)を説明する。
【
図14】NaOAc緩衝液中のpH5.5でのCrEDTA(ほぼ10mM)を説明する(電極上にビスマスがない)。
【
図15A】KCrPDTA(~5mM)中のpH9でのNaHCO
3の単一サイクルを説明する(ビスマスがない)。
【
図15B】KCrPDTA(~5mM)中のpH9でのNaHCO
3の2つのサイクルを説明する(ビスマスがない)。
【
図16A】緩衝液がNaHCO
3であるpH約9でのMgMnBDTA(~10mM)の単一サイクルを説明する。
【
図16B】緩衝液がNaHCO
3であるpH約9でのMgMnBDTA(~10mM)の2つのサイクルを説明する。
【
図17A】pH9およびNaHCO
3の緩衝液でのNa
2MnPDTA(~5mM)の単一サイクルを説明する。
【
図17B】pH9およびNaHCO
3の緩衝液でのNa
2MnPDTA(~5mM)の2つのサイクルを説明する。
【
図18】±20mA/cm
2でpH9での0.2MのK
2B
4O
7緩衝液中の0.5MのCrPDTA対FeDTPAフロー電池サイクルを説明する。
【
図19】±100mA/cm
2でのK
2B
4O
7緩衝液中の80%SOCへの単一の0.2MのCrPDTAおよび0.2MのCrEDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【
図20】±100mA/cm
2でのK
2B
4O
7およびNTA緩衝液中の80%SOCへの単一の0.2MのCrPDTAおよび0.2MのCrEDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【
図21】±100mA/cm
2でのPDTA緩衝液中の80%SOCへの単一の0.4MのCrPDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【
図22】±100mA/cm
2でのPDTAおよびNTA緩衝液中の80%SOCへの単一の0.4MのCrPDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【
図23】±100mA/cm
2でのK
2HPO
4緩衝液中の80%SOCへの単一の0.4MのCrPDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【
図24】±100mA/cm
2でのBiがめっきされたカーボン紙を用いた、K
2B
4O
7緩衝液中の90%SOCへの単一の0.4MのCrPDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【
図25】±100mA/cm
2での炭素布電極を用いた、K
2B
4O
7緩衝液中の90%SOCへの単一の0.4MのCrPDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【
図26】±100mA/cm
2でのNafion211紙を用いた、K
2B
4O
7緩衝液中の90%SOCへの単一の0.4MのCrPDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【
図27】±100mA/cm
2でのFumapem F-930RFS薄膜を用いた、K
2B
4O
7緩衝液中の80%SOCへの単一の0.4MのCrPDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【
図28】±100mA/cm
2でのNa
2B
4O
7緩衝液中の80%SOCへの単一の0.5MのCrEDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【
図29】ガラス質炭素作用電極上で0.1MのTBAPF
6を用いた、アセトニトリル中に10mMのTBACrPDTAの100mVs
-1で得られたサイクリックボルタンメトリーを説明する。
【
図30】ガラス質炭素作用電極上でpH8で1Mのカリウムホウ酸塩中のK[VPDTA]の100mVs
-1で得られたサイクリックボルタンメトリーを説明する。
【
図31】±100mA/cm
2でのK
2B
4O
7緩衝液中での75%SOCへの単一の1.0MのCrPDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【
図32】100mVs
-1でガラス質炭素電極上で行った、3MのHCl中のpH9.0での0.25mのKBiを用いた50mMのCrPDTA/FeDTPAおよび50mMのCrCl
3/FeCl
2のサイクリックボルタモグラム(CV)を説明する。
【
図33A】±100mA/cm
-2での10サイクルの時間の関数としてセル電位を説明するpH9での0.2mのKBiを用いた、0.5MのCrPDTAおよび0.5MのFeDTPAのセルサイクルデータを説明する。
【
図33B】±50mA/cm
-2での10サイクルの時間の関数としてセル電位を説明するpH9での0.2mのKBiを用いた、0.5MのCrPDTAおよび0.5MのFeDTPAのセルサイクルデータを説明する。
【
図33C】±20mA/cm
-2での10サイクルの時間の関数としてセル電位を説明するpH9での0.2mのKBiを用いた、0.5MのCrPDTAおよび0.5MのFeDTPAのセルサイクルデータを説明する。
【
図33D】20、50、および100mA/cm
-2での10サイクルにわたる平均電流および電圧効率を説明するpH9での0.2mのKBiを用いた、0.5MのCrPDTAおよび0.5MのFeDTPAのセルサイクルデータを説明する。
【
図34】pH9で0.2mのKBiを用いた、0.5MのCrPDTAおよび0.5MのFeDTPAの変化するSOCでの分極曲線を説明する。
【
図35】pH9で0.2mのKBiを用いた、0.5MのCrPDTAおよび0.5MのFeDTPAを含むセルの変化するSOCでの放電出力密度対電流密度を説明する。216mWcm
-2の最大電力が達成される。
【
図36】pH9で0.2mのKBiを用いた、0.5MのCrPDTAおよび0.5MのFeDTPAについてのセル開回路電位対SOCを説明する。
【
図37】サイクル数の関数として0.375MのK
2CrPDTA/0.125MのKCrPDTAの20mLと対にされた0.5MのK
2FeDTPAの10mLのセルについての陰極能力を説明し、30.8AhL
-1(点線)の最大理論FeDTPA能力によって制限される。
【
図38】±100mA/cm
-2での1サイクル対40サイクル後にpH9.5で0.1mのKBiを用いた、1.0MのCrPDTAおよび1.15MのFeDTPAセルを含むセルについてのセル電位対容量を説明する。
【
図39】100mVs
-1でカーボン紙電極に記録された3MのHCl系でのpH9.0での50mMのCrPDTA/FeDTPA(黒)および0.25mのKBi、および50mMのCrCl
3/FeCl
2のCVを説明する。CrCl
3酸化還元電位は、溶媒窓内に見ることができない。
【
図40】緩塩基性状態の[Fe(III)PDTA(OH)]
2-の分解経路を説明する。
【
図41A】結晶学データに基づいて、pH7でFe
3+APC種[FeEDTA]
1-中に存在する七配位五角形バイピラミダル分子形状を説明する。
【
図41B】結晶学データに基づいて、pH7でFe
3+APC種[FeCyDTA]
1-中に存在する七配位五角形バイピラミダル分子形状を説明する。
【
図41C】滴定データに基づいて、pH7.5でFe
3+APC種[FePDTA]
2-中に存在する七配位五角形バイピラミダル分子形状を説明する。
【
図41D】結晶学データに基づいて、pH9でFe
3+APC種[FeDTPA]
2-中に存在する七配位五角形バイピラミダル分子形状を説明する。
【
図42A】10mMのNaFeEDTAについてのpH5.2および9.0でのFeキレート錯体のCVを説明する。
【
図42B】10mMのK
2FeDTPAについてのpH5.2および9.0でのFeキレート錯体のCVを説明する。
【
図43】K
-2[FeDTPA]・2.5H
2OのX線結晶構造を説明する。
【
図44A】ガラス質炭素電極上にpH9で0.25mのKBiに10mMのFeDTPAを含む溶液の異なるスキャン速度で記録されたCVを説明する(AgCl)。
【
図44B】異なるスキャン速度について、ピーク還元電流対スキャン速度γ
1/2を線形フィッティングで説明する。
【
図44C】ピーク還元電流(i
pc)対ピーク還元電流(E
pc)での電圧と還元の計算されたE
0との電位差の自然対数を線形フィッティングで説明する。
【
図45A】ガラス質炭素電極上の3MのHClに10mMのFeCl
3を含む溶液の異なるスキャン速度でのCVを説明する。垂直線は、E
0の文献値を表す(0.55V対Ag/AgCl)。
【
図45B】ピーク還元電流対異なるスキャン速度についてのスキャン速度γ
1/2を線形フィッティングで説明する。
【
図45C】ピーク還元電流(i
pc)対ピーク還元電流(E
pc)での電圧と還元の文献値E
0との電位差の自然対数を線形フィッティングで説明する。
【
図46】0.5MのFeDTPAの10mLおよび20mLの0.5MのK
4Fe(CN)
6/0.3MのK
3Fe(CN)
6から構成されたセルを説明し、セル電位を50mAcm
-2および20mAcm
-2でのサイクル中の充電状態の関数として説明する。その例は、FeDTPAの利用可能な容量の99%を達成する能力を量的電流効率で示す。
【
図47】最大の溶解度でのK
2FeDTPAの溶液がpH9で過剰のFe(CN)
6を背景にしてバルク電解されることを説明する。FeDTPAは、50mAcm
-2で99%SOCに充放電されて36.2AhL
-1の最大能力を生じる。
【
図48】±100mAcm
-2で40サイクルにわたるセル電位を表す、1MのCrPDTAおよび1.15MのFeDTPAのセルサイクルを説明する。
【発明を実施するための形態】
【0041】
この開示は、少なくとも1つのキレート化金属を含むフロー電池で用いる電解質調合物を提供する。
【0042】
キレート化金属は単一金属を含み、負に荷電される。いくつかの実施形態では、金属キレートは、陽極液、陰極液、または両方に存在することができる。金属キレートは、陽極液および/または陰極液中で同じである必要はない。さらに、キレート材料は、使用される金属によって金属に有効に配位することが好ましいので、水は金属に配位することができない。1,6-ジアミノヘキサン四酢酸などの長鎖アミノポリカルボキシレート(APC)は、それらが、1つを超えるクロムがAPCと錯体を形成することをもたらして金属キレートの効率を低下させる可能性があるので好ましくない。いくつかの実施形態では、キレートは、EDTAではないが、他の実施形態では、キレートはEDTAとすることができる。他の適切なキレート材料、例えば、PDTA、BDTA、DTPA、CyDTA、HEDTA、またはNTAは、電池のエネルギー効率を約8~95%向上することができる。いくつかの実施形態では、エネルギー効率は約8%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、2つの規定値以内の範囲、または8%~95%の範囲内の任意の値もしくは範囲とすることができる。この文脈中のエネルギー効率は、セルの往復DC-DCエネルギー入力(Wh)対エネルギー出力(Wh)を意味し、ポンピングまたは他の要求される操作用電力システムからの損失を含まない。金属キレートがPDTA、BDTA、DTPA、HEDTA、EDTA、CyDTA、またはNTAである場合の電流効率は、約50~約100%とすることができる。いくつかの実施形態では、電流効率は、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、2つの規定値以内の範囲、または50%~100%の範囲内の任意の値もしくは範囲とすることができる。電流効率は、AC-DC電力変換効率のようなシステム性能を考慮に入れずに、セルによって出力されたクーロン電荷数をセルに入力されたクーロン電荷数で割ることを意味する。対照的に、EDTAがクロムに配位する場合、水はセル非能率をもたらす金属イオンに結合することができる。
図1に説明するように、本発明の金属キレートのエネルギー効率および放電電圧は、電解質でCrEDTAを使用する電池と比較して向上する。
【0043】
特に、EDTAを含む金属キレートの使用は、また、本発明の態様である。EDTAを含む金属キレートを低濃度および低pHで使用し得る先行技術の方法と異なり、本発明は、約0.4M~約2.0Mの濃度、pH約6~約11でEDTAを含む金属キレートを利用する。
【0044】
本発明の態様は、金属キレートであって、金属は遷移金属であり、キレートは、PDTA、BDTA、DTPA、CyDTA、HEDTA、EDTA、またはNTAである、金属キレートである。キレートに結合した単一金属をもたらす他の適切なAPC材料は、キレートとして使用することもできる。いくつかの実施形態では、キレートはEDTAとすることができない一方、他の実施形態では、キレートはEDTAとすることができる。遷移金属は、クロム、チタン、マンガン、バナジウム、セリウム、または鉄とすることができる。金属キレートは、中性、負、または正に荷電されることができ、それは金属イオンに依存することができる。いくつかの実施形態では、例えば、金属がセリウムである場合、そのとき、セリウムは正の電解質として使用することができる。いくつかの実施形態では、金属キレートの電荷は-1、-2、または-3とすることができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、金属キレートの溶解度は、対カチオンの性質によって変更することができる。溶解度の変更は、金属キレートを含む電池のエネルギー密度を向上することができる。適切な対イオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、TEA、TBA、混合したカチオン、またはそれらの組み合わせを含むことができる。対イオンを備えた金属キレートの溶解度は、約0.4M~約2.0M、いくつかの実施形態では、約0.4M、約0.5M、約0.6M、約0.7M、約0.8M、約0.9M、約1.0M、約1.1M、約1.2M、約1.3M、約1.4M、約1.5M、約1.6M、約1.7M、約1.8M、約1.9M、約2M、これらの値の2つの間の範囲、または0.4M~2Mの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。対イオンおよび金属キレートの適切な組み合わせを、以下の表4に説明する。
【0046】
いくつかの実施形態では、金属および金属キレートのキレートの配位は、キレート、金属、および金属酸化状態に依存して変化することができる。いくつかの実施形態では、金属は、金属キレート錯体と遊離金属イオンと遊離キレートとの平衡定数が1025を超えるようにキレートに配位することができる。言い換えれば、事実上検出できない量の非キレート化金属イオンは溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、金属キレートのキレートは、約90%~約100%、いくつかの実施形態では、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%、これらの値の2つの間の範囲、または90%~100%の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲の量で金属イオンに配位することができる。キレートに優先的に配位することによって、水配位子は、金属キレートの金属に配位することができない、または困難である。水が金属キレート中の金属に配位することによって、得られた電池の効率を低下する可能性がある。さらに、過剰のクロムは沈殿を形成する可能性があり、それは、さらに得られた電池の効率を低減する可能性がある。このように、開示の有利な態様は、金属キレートのキレートが金属イオンに優先的に配位することである。本発明の金属キレートとしては、ほんの一例であり、CrPDTA、CrBDTA、CrDTPA、CrNTA、CrCyDTA、CrHEDTA、CrEDTA、FePDTA、FeBDTA、FeDTPA、FeNTA、FeCyDTA、FeHEDTA、FeEDTA、V(PDTA)、V(BDTA)、V(DTPA)、V(NTA)、V(CyDTA)、V(HEDTA)、V(EDTA)、Mn(PDTA)、Mn(BDTA)、MnDTPA、MnNTA、MnCyDTA、MnHEDTA、MnEDTA、CePDTA、CeBDTA、CeDTPA、CeNTA、CeCyDTA、CeHEDTA、CeEDTA、TiPDTA、TiBDTA、TiDTPA、TiNTA、TiCyDTA、TiEDTA、またはTiHEDTAが挙げられる。金属キレートの濃度は、約0.1M~約2Mとすることができる。いくつかの実施形態では、金属キレートの濃度は、約0.1M、約0.5M、約1.0M、約1.5M、約2M、これらの値の2つの間の範囲、または0.1M~2Mの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。
【0047】
本発明の態様は、金属キレートを形成する方法である。方法は、金属錯体およびキレートを溶液中で混合することを含み、キレートは、混合物を形成するために金属錯体に対して化学量論的に過剰にある。混合物の温度は約10分~約7日間に、約20°C~約150°Cに調整されて金属キレートを形成する。金属キレートは、約0.1M~約2Mの濃度を有する。金属キレートへの金属錯体およびキレートの転化率は、90%~約100%である。
【0048】
いくつかの実施形態では、金属塩前駆体は、金属錯体をキレートと溶媒中で混合する前に精製する必要はない。金属塩は金属キレートを製造するために選択することができ、ここで、金属は遷移金属である。遷移金属は、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、セリウム、または鉄とすることができる。適切な金属塩は。限定されないが、KCr(SO4)2・12H2O、TiCl4、TiOSO4、V2O5、V2(SO4)3、kV(SO4)2、FeSO4、MnSO4、MnCl2、FeCl3、Fe(NO3)3・12H2O、Ce2(SO4)3およびCeCl3またはCrCl3・6H2Oが挙げられる。混合物の溶媒は、水溶液、例えば、水(水道水、脱イオン水、蒸留水、またはそれらの組み合わせ)とすることができる。いくつかの実施形態では、金属キレート錯体との溶媒相互作用は、還元電位を変更することができる。適切な溶媒は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,2-ジフルオロベンゼン、ジメチルホルムアミド、およびそれらの組み合わせを含むことができる。例として、材料がCrPDTAである場合、概算のE1/2[V対Fc/Fc+]は、アセトニトリルについては-2.3V、テトラヒドロフランについては-2.6V、1,2-ジフルオロベンゼンについては-2.3Vである。
【0049】
溶媒中の金属塩およびキレートの混合物は、最初に、周期的に(混合時間の約5~約30分ごとに)、または連続的にパージすることができる。適切なパージガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、またはそれらの組み合わせが挙げられる。混合物の温度は、約0°C~約150°Cであり、いくつかの実施形態では、約100°Cである。水の沸点は100°Cであるので、100°Cを超える温度は加圧下とすることができる。いくつかの実施形態では、温度は、約0°C、約5°C、約10°C、約15°C、約20°C、約25°C、約30°C、約35°C、約40°C、約45°C、約50°C、約55°C、約60°C、約65°C、約70°C、約75°C、約80°C、約85°C、約90°C、約95°C、約100°C、約105°C、約110°C、約115°C、約120°C、約125°C、約130°C、約135°C、約140°C、約145°C、約150°C、これらの値の2つの間の範囲、または約0°C~約150°Cの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、合計混合時間は、約10分~約168時間とすることができ、いくつかの実施形態では、約72時間とすることができる。いくつかの実施形態では、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、約60分、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間、約4時間、約4.5時間、約5時間、約5.5時間、約6時間、約6.5時間、約7時間、約7.5時間、約8時間、約8.5時間、約9時間、約9.5時間、約10時間、約10.5時間、約11時間、約11.5時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約60時間、約72時間、約84時間、約96時間、約108時間、約120時間、約132時間、約144時間、約156時間、約168時間、これらの値の2つの間の範囲、または10分~7日の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。混合物の混合温度への初期加熱の約5分~約120分後に、pH調整剤を混合物に添加することができる。pH調整剤は、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、約60分、約65分、約70分、約75分、約80分、約85分、約90分、約95分、約100分、約105分、約110分、約115分、約120分、これらの値の2つの間の範囲、または約5分~約120分の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲後に添加することができる。
【0050】
金属塩およびキレートの混合中に、混合物のpHは、架橋または重合を含む望まれない副反応を低減するためにモニターすることができる。pH調整剤は、固体、液体、またはそれらの組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態では、pH調整剤は、KOH、NaOH、K2CO3、KHCO3、Na2CO3、NaHCO3、NH4OH、LiOH、またはそれらの組み合わせとすることができる。対イオンは、pH調整剤に基づいてキレートに提供することができる。例えば、金属キレートの所望の対イオンがカリウムであれば、そのとき、KOH、K2CO3、またはKHCO3は、pH調整剤として使用することができる。CrPDTAについては、カリウム塩基の利点は、金属キレートのより高い濃度を得ることができるということであり、濃度は1.0Mより高くすることができる。いくつかの実施形態では、濃度は0.5M~約1.1Mとすることができる。いくつかの実施形態では、pHは緩衝液を備えた水とすることができる。pH調整剤は、混合物のpHをpH約6~約11に調整するために使用することができる。いくつかの実施形態では、pHは、約6、約7、約8、約9、約10、約11、これらの値の2つの間の範囲、またはpH6~pH11の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲に調整することができる。
【0051】
混合物の温度は、0°C~50°C、いくつかの実施形態では25°Cに調整することができる。いくつかの実施形態では、混合物は、約0°C、約10°C、約15°C、約20°C、約25°C、約30°C、約35°C、約40°C、約45°C、約50°C、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約0°C~約50°Cの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲に冷却することができる。いくつかの実施形態では、第2の溶媒を添加する前に、合成物は約室温(約25°C)に冷却することができる。第2の溶媒は、混合物に、混合物と第2の溶媒とをおよそ等しい体積比(約1:0.75~1:1.25、いくつかの実施形態では、約1:0.75、約1:1、約1:1.1、約1:1.2、約1:1.25)で添加して固体を沈殿することができる。いくつかの実施形態では、第2の溶媒は、アルコール、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、メタノールなど、またはケトン、例えば、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトンなど、またはアルコールとケトンとの組み合わせとすることができる。沈殿は、混合物の最初の成分に依存し、それは当業者によって決定することができる。有利には、本発明の方法は、存在する場合、混合物から硫酸塩を取り除くために使用することができる。いくつかの実施形態では、沈殿物はK2SO4とすることができる。存在する場合に硫酸塩および/またはアセトンを除去することによって、金属キレートの純度が増加する。しかし、いくつかの実施形態では、硫酸塩またはアセトンなどの性能に影響する不純物は、材料の合成中にこれらの材料を使用しないことにより回避することができる。もっと正確に言えば、金属キレートの金属を含む他の材料は、合成中に使用することができる。金属の例としてクロムを使用すると、クロムは、反応中にCrCl3・6H2O、Cr2O3、またはCr(OH)3を使用して提供することができる。最終生成物中の硫酸塩および/またはアセトンを回避することによって性能に影響を与える不純物に対して材料の純度が増加し、材料を含む得られた電池の電流効率は約50%~約100%に増加する。いくつかの実施形態では、NO3
-は、CrPDTAなどのCr(II)キレート材料によって低減することができる一方、Cr(NO3)3・9H2Oは、NO-3不純物を除去することが難しいために回避されるべきである。
【0052】
濾液を濃縮して、大気圧未満(当業者によって理解されるように、例えば、異なる緯度での海抜ゼロメートル地点等での1atm未満、いくつかの実施形態では、約0psi~約14.7psi)で約5分~約24時間(必要に応じて繰り返す、または延長することができる)で望まれないアセトンを除去する、または水性溶液を濃縮することができる。圧力は、約0psi、約1psi、約2psi、約3psi、約4psi、約5psi、約6psi、約7psi、約8psi、約9psi、約10psi、約11psi、約12psi、約13psi、約14psi、約14.7psi、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または0psi~約14.7psiの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。期間は、約5分~約24時間、いくつかの実施形態では、約5分、約30分、約60分、約90分、約8時間、約10時間、約12時間、約16時間、約24時間、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または5分~24時間の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。濾液中の金属キレートの濃度は、約0.2M~約2M、いくつかの実施形態では、約0.4M~約1.0Mとすることができる。いくつかの実施形態では、濾液の濃度は、約0.2M、約0.3M、約0.4M、約0.5M、約0.6M、約0.7M、約0.8M、約0.9M、約1.0M、約1.1M、約1.2M、約1.3M、約1.4M、約1.5M、約1.6M、約1.7M、約1.8M、約1.9M、約2M、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または0.2M~2.0Mの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。金属キレートを含む濾液のUV-Vis(紫外・可視)分光吸収波長は、約280nm~約800nm、いくつかの実施形態では、約506nmとすることができる。いくつかの実施形態では、金属キレートを含む濾液の吸収は、約280nm、約300nm、約320nm、約340nm、約360nm、約380nm、約400nm、約410nm、約420nm、約430nm、約440nm、約450nm、約460nm、約470nm、約480nm、約490nm、約500nm、約510nm、約520nm、約530nm、約540nm、約550nm、約560nm、約570nm、約580nm、約590nm、約600nm、約610nm、約620nm、約630nm、約640nm、約650nm、約660nm、約670nm、約680nm、約690nm、約700nm、約710nm、約720nm、約730nm、約740nm、約750nm、約760nm、約770nm、約780nm、約790nm、約800nm、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約280nm~約800nmの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。
【0053】
電解質溶液は、金属キレートの形成に従って作製することができる。いくつかの実施形態では、電解質溶液は、第2の溶媒を備えた濾液の濃度を調整することによって濾液から形成することができ、それは、水(蒸留水、水道水、脱イオン水、またはそれらの組み合わせ)とすることができる。
【0054】
電解質溶液の濃度は、約0.4M~約2.0Mとすることができる。いくつかの実施形態では、電解質溶液の濃度は、約0.4M、約0.5M、約0.6M、約0.7M、約0.8M、約0.9M、約1.0M、約1.1M、約1.2M、約1.3M、約1.4M、約1.5M、約1.6M、約1.7M、約1.8M、約1.9、約2.0M、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約0.4M~約2.0Mの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。
【0055】
金属キレートの溶解度は、溶解度調整剤を含むことで変更することができる。いくつかの実施形態では、溶解度調整剤は、液体、例えば、水を界面活物質とともに含むことができる。界面活物質は、硫酸ドデシル、エチレングリコール、アルキルアンモニウム塩(例えば、ステアリルアンモニウムクロリド)、またはそれらの組み合わせとすることができる。金属キレート(または金属キレートを含む電解質、または金属キレートを含む電池)に添加することができる溶解度調整剤の量は、必要に応じて約0.4M~約2.0M、いくつかの実施形態では、約0.4M、約0.5M、約0.6M、約0.7M、約0.8M、約0.9M、約1.0M、約1.1M、約1.2M、約1.3M、約1.4M、約1.5M、約1.6M、約1.7M、約1.8M、約1.9M、約2.0M、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約0.4M~約2Mの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲の溶解度となるように調整することができる。加えて、カチオンを変更、またはカチオン対イオンの混合物を利用すると、金属キレートの溶解度を調整することができる。適切な対イオンは、K、Na、NH4、Li、テトラエチルアンモニウム(TEA)、テトラブチルアンモニウム(TBA)、または他のテトラアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
【0056】
本発明の態様は電解質である。電解質は、溶媒、少なくとも1つの金属キレートを含み、金属キレートは溶媒に溶解して電解質を形成する。金属キレートの金属は遷移金属であり、金属キレートのキレートは、PDTA、BDTA、DTPA、CyDTA、NTA、HEDTA、またはEDTAである。
【0057】
いくつかの実施形態では、金属キレートの溶解度は、対カチオンの性質によって変更することができる。溶解度の変更は、金属キレートを含む電池のエネルギー密度を向上することができる。適切な対イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、TEA、TBA、混合したカチオン、またはそれらの組み合わせを挙げることができる。対イオンを備えた金属キレートの溶解度は、約0.4M~約2.0M、いくつかの実施形態では、約0.4M、約0.5M、約0.6M、約0.7M、約0.8M、約0.9M、約1.0M、約1.1M、約1.2M、約1.3M、約1.4M、約1.5M、約1.6M、約1.7M、約1.8M、約1.9M、約2M、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約0.4M~約2Mの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。対イオンおよび金属キレートの適切な組み合わせは、以下の表4に説明する。
【0058】
いくつかの実施形態では、金属および金属キレートのキレートの配位は、キレート、金属、および金属酸化状態に依存して変化し得る。いくつかの実施形態では、金属は、金属キレート錯体と遊離金属イオンと遊離キレートとの平衡定数は1025を超えるように、キレートに配位することができる。言い換えれば、事実上検出できない量の非キレート化金属イオンは、溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、金属キレートのキレートは、金属イオンに、約90%~約100%の量で、いくつかの実施形態では、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または90%~100%の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲の量で配位することができる。キレートに優先的に配位することによって、水配位子は、金属キレートの金属に配位することができない、または困難とすることができる。水が金属キレート中の金属に配位すると、得られた電池の効率を低下する可能性がある。さらに、過剰のクロムは沈殿物を形成する可能性があり、それは、得られた電池の効率を低減する可能性もある。このように、開示の有利な態様は、金属キレートのキレートが金属イオンに優先的に配位するということである。本発明の金属キレートは、ほんの一例として、CrPDTA、CrBDTA、CrDTPA、CrNTA、CrCyDTA、CrHEDTA、CrEDTA、FePDTA、FeBDTA、FeDTPA、FeNTA、FeCyDTA、FeHEDTA、FeEDTA、V(PDTA)、V(BDTA)、V(DTPA)、V(NTA)、V(CyDTA)、V(HEDTA)、V(EDTA)、Mn(PDTA)、Mn(BDTA)、MnDTPA、MnNTA、MnCyDTA、MnHEDTA、MnEDTA、CePDTA、CeBDTA、CeDTPA、CeNTA、CeCyDTA、CeHEDTA、CeEDTA、TiPDTA、TiBDTA、TiDTPA、TiNTA、TiCyDTA、TiEDTA、またはTiHEDTAが挙げられる。金属キレートの濃度は約0.1M~約2Mとすることができる。いくつかの実施形態では、金属キレートの濃度は、約0.1M、約0.5M、約1.0M、約1.5M、約2M、これらの値の2つの間の範囲、または約0.1M~約2Mの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、電解質は第2の金属を含むことができる。第2の金属は、ビスマス、鉛、キレート化鉛、キレート化ビスマス、またはそれらの組み合わせとすることができる。第2の金属は溶媒に可溶とすることができる。溶媒は、液体、例えば、水(蒸留水、水道水、脱イオン水、またはそれらの組み合わせ)とすることができる。他の溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,2-ジフルオロベンゼン、ジメチルホルムアミド、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。第2の金属は、材料がフロー電池中の電極と接触するまで金属キレートと組み合わせた場合に可溶とすることができる。第2の金属は、そのとき、炭素電極上に電着することができ、それは、電子伝達速度を高めることができ、このように、電池性能を向上することができる。他の適切な溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、オルト-ジフルオロベンゼン、ジメチルホルムアミド、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0060】
いくつかの実施形態では、電解質は第2の金属キレートを含むことができ、第2の金属キレートは第1の金属キレートとは異なる。いくつかの実施形態では、第1の金属キレートの金属および第2の金属キレートの金属は同じまたは異なることができる。第2の金属キレートは、PDTA、BDTA、DTPA、CyDTA、HEDTA、EDTA、またはNTAを含むことができる。対イオンは第2の金属キレートに含まれることができる。適切な対イオンとしては、K、Na、NH4、Li、テトラエチルアンモニウム(TEA)、テトラブチルアンモニウム(TBA)、または他のテトラアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
【0061】
第2の対イオンを備えた第2の金属キレートの溶解度は、約0.4M~約2.0M、いくつかの実施形態では、約0.4M、約0.5M、約0.6M、約0.7M、約0.8M、約0.9M、約1.0M、約1.1M、約1.2M、約1.3M、約1.4M、約1.5M、約1.6M、約1.7M、約1.8M、約1.9M、約2.0M、これらの値の2つの間の範囲、または約0.4M~約2Mの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。加えて、カチオンの変更またはカチオン対イオンの混合物の利用によって、金属キレートの溶解度を調整することができる。
【0062】
本発明の態様はフロー電池である。フロー電池の陽極液は少なくとも1つの金属キレートを含む。金属キレートの金属は遷移金属であり、金属キレートのキレートは、PDTA、BDTA、DTPA、CyDTA、HEDTA、EDTA、またはNTAである。金属キレートの濃度は、0.8Mより高く、2.0M以下である。フロー電池はさらに陰極液を含む。フロー電池は、さらに、少なくとも1つの電極、および陽極液と陰極液とを分離する少なくとも1つの薄膜を含む。
【0063】
本発明の態様はフロー電池である。フロー電池の陽極液は金属キレートを含む。金属キレートの金属は遷移金属であり、キレートは、PDTA、BDTA、DTPA、NTA、CyDTA、EDTA、またはHEDTAからなる群から選択される。陰極液はFe(CN)6を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、金属および金属キレートのキレートの配位は、キレート、金属、および金属酸化状態に依存して変化し得る。いくつかの実施形態では、金属は、金属キレート錯体と遊離金属イオンと遊離キレートとの平衡定数が1025を超えるようにキレートに配位することができる。言い換えれば、事実上検出できない量の非キレート化金属イオンは溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、金属キレートのキレートは、約90%~約100%、いくつかの実施形態では、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%、これらの値の2つの間の範囲、または90%~100%の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲の量で金属イオンに配位することができる。キレートに優先的に配位することによって、水配位子は金属キレートの金属に配位することができない、または困難とすることができる。水が金属キレート中の金属に配位することによって、得られた電池の効率を低下する可能性がある。さらに、過剰のクロムは沈殿を形成する可能性があり、それは、さらに得られた電池の効率を低減する可能性がある。このように、開示の有利な態様は、金属キレートのキレートが金属イオンに優先的に配位することである。本発明の金属キレートとしては、ほんの一例であり、CrPDTA、CrBDTA、CrDTPA、CrNTA、CrCyDTA、CrHEDTA、CrEDTA、FePDTA、FeBDTA、FeDTPA、FeNTA、FeCyDTA、FeHEDTA、FeEDTA、V(PDTA)、V(BDTA)、V(DTPA)、V(NTA)、V(CyDTA)、V(HEDTA)、V(EDTA)、Mn(PDTA)、Mn(BDTA)、MnDTPA、MnNTA、MnCyDTA、MnHEDTA、MnEDTA、CePDTA、CeBDTA、CeDTPA、CeNTA、CeCyDTA、CeHEDTA、CeEDTA、TiPDTA、TiBDTA、TiDTPA、TiNTA、TiCyDTA、TiEDTA、またはTiHEDTAが挙げられる。金属キレートの濃度は約0.1M~約2Mとすることができる。いくつかの実施形態では、金属キレートの濃度は、約0.1M、約0.5M、約1.0M、約1.5M、約2M、これらの値の2つの間の範囲、または約0.1M~約2Mの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、陽極液の金属キレートはさらに対イオンを含む。対イオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、TEA、TBA、他のテトラアルキルアンモニウム塩、混合したカチオン、またはそれらの組み合わせとすることができる。表4は、多くの対イオン、キレートと錯体を形成する金属イオン、およびキレートを示す。その他に明記しない限り表4に列挙された材料はそれぞれ組み合わせることができる。
【0066】
【0067】
対イオンを備えた金属キレートの非限定的は例としては、ほんの一例として、NaCrPDTA、NaFePDTA、NaV(PDTA)、NaMnPDTA、NaCePDTA、NaTiPDTA、KCrPDTA、KFePDTA、KV(PDTA)、KMnPDTA、KCePDTA、KTiPDTA、LiCrPDTA、LiFePDTA、LiV(PDTA)、LiMnPDTA、LiCePDTA、LiTiPDTA、NH4CrPDTA、NH4FePDTA、NH4V(PDTA)、NH4MnPDTA、NH4CePDTA、NH4TiPDTA、(TEA)CrPDTA、(TEA)FePDTA、(TEA)V(PDTA)、(TEA)MnPDTA、(TEA)CePDTA、(TEA)TiPDTA、(TBA)CrPDTA、(TBA)FePDTA、(TBA)V(PDTA)、(TBA)MnPDTA、(TBA)CePDTA、(TBA)TiPDTA、NaCrBDTA、NaFeBDTA、NaV(BDTA)、NaMnBDTA、NaCeBDTA、NaTiBDTA、KCrBDTA、KFeBDTA、KV(BDTA)、KMnBDTA、KCeBDTA、KTiBDTA、LiCrBDTA、LiFeBDTA、LiV(BDTA)、LiMnBDTA、LiCeBDTA、LiTiBDTA、NH4CrBDTA、NH4FeBDTA、NH4V(BDTA)、NH4MnBDTA、NH4CeBDTA、NH4TiBDTA、(TEA)CrBDTA、(TEA)FeBDTA、(TEA)V(BDTA)、(TEA)MnBDTA、(TEA)CeBDTA、(TEA)TiBDTA、(TBA)CrBDTA、(TBA)FeBDTA、(TBA)V(BDTA)、(TBA)MnBDTA、(TBA)CeBDTA、(TBA)TiBDTA、NaCrDTPA、NaFeDTPA、NaV(DTPA)、NaMnDTPA、NaCeDTPA、NaTiDTPA、KCrDTPA、KFeDTPA、KV(DTPA)、KMnDTPA、KCeDTPA、KTiDTPA、LiCrDTPA、LiFeDTPA、LiV(DTPA)、LiMnDTPA、LiCeDTPA、LiTiDTPA、NH4CrDTPA、NH4FeDTPA、NH4V(DTPA)、NH4MnDTPA、NH4CeDTPA、NH4TiDTPA、(TEA)CrDTPA、(TEA)FeDTPA、(TEA)V(DTPA)、(TEA)MnDTPA、(TEA)CeDTPA、(TEA)TiDTPA、(TBA)CrDTPA、(TBA)FeDTPA、(TBA)V(DTPA)、(TBA)MnDTPA、(TBA)CeDTPA、(TBA)TiDTPA、NaCrNTA、NaFeNTA、NaV(NTA)、NaMnNTA、NaCeNTA、NaTiNTA、KCrNTA、KFeNTA、KV(NTA)、KMnNTA、KCeNTA、KTiNTA、LiCrNTA、LiFeNTA、LiV(NTA)、LiMnNTA、LiCeNTA、LiTiNTA、NH4CrNTA、NH4FeNTA、NH4V(NTA)、NH4MnNTA、NH4CeNTA、NH4TiNTA、(TEA)CrNTA、(TEA)FeNTA、(TEA)V(NTA)、(TEA)MnNTA、(TEA)CeNTA、(TEA)TiNTA、(TBA)CrNTA、(TBA)FeNTA、(TBA)V(NTA)、(TBA)MnNTA、(TBA)CeNTA、(TBA)TiNTA、NaCr(CYDTA)、NaFe(CYDTA)、NaV(CYDTA)、NaMn(CYDTA)、NaCe(CYDTA)、NaTi(CYDTA)、KCr(CYDTA)、KFe(CYDTA)、KV(CYDTA)、KMn(CYDTA)、KCe(CYDTA)、KTi(CYDTA)、LiCr(CYDTA)、LiFe(CYDTA)、LiV(CYDTA)、LiMn(CYDTA)、LiCe(CYDTA)、LiTi(CYDTA)、NH4Cr(CYDTA)、NH4Fe(CYDTA)、NH4V(CYDTA)、NH4Mn(CYDTA)、NH4Ce(CYDTA)、NH4Ti(CYDTA)、(TEA)Cr(CYDTA)、(TEA)Fe(CYDTA)、(TEA)V(CYDTA)、(TEA)Mn(CYDTA)、(TEA)Ce(CYDTA)、(TEA)Ti(CYDTA)、(TBA)Cr(CYDTA)、(TBA)Fe(CYDTA)、(TBA)V(CYDTA)、(TBA)Mn(CYDTA)、(TBA)Ce(CYDTA)、(TBA)Ti(CYDTA)、NaCrEDTA、NaFeEDTA、NaV(EDTA)、NaMnEDTA、NaCeEDTA、NaTiEDTA、KCrEDTA、KFeEDTA、KV(EDTA)、KMnEDTA、KCeEDTA、KTiEDTA、LiCrEDTA、LiFeEDTA、LiV(EDTA)、LiMnEDTA、LiCeEDTA、LiTiEDTA、NH4CrEDTA、NH4FeEDTA、NH4V(EDTA)、NH4MnEDTA、NH4CeEDTA、NH4TiEDTA、(TEA)CrEDTA、(TEA)FeEDTA、(TEA)V(EDTA)、(TEA)MnEDTA、(TEA)CeEDTA、(TEA)TiEDTA、(TBA)CrEDTA、(TBA)FeEDTA、(TBA)V(EDTA)、(TBA)MnEDTA、(TBA)CeEDTA、(TBA)TiEDTA、NaCrHEDTA、NaFeHEDTA、NaV(HEDTA)、NaMnHEDTA、NaCeHEDTA、NaTiHEDTA、KCrHEDTA、KFeHEDTA、KV(HEDTA)、KMnHEDTA、KCeHEDTA、KTiHEDTA、LiCrHEDTA、LiFeHEDTA、LiV(HEDTA)、LiMnHEDTA、LiCeHEDTA、LiTiHEDTA、NH4CrHEDTA、NH4FeHEDTA、NH4V(HEDTA)、NH4MnHEDTA、NH4CeHEDTA、NH4TiHEDTA、(TEA)CrHEDTA、(TEA)FeHEDTA、(TEA)V(HEDTA)、(TEA)MnHEDTA、(TEA)CeHEDTA、(TEA)TiHEDTA、(TBA)CrHEDTA、(TBA)FeHEDTA、(TBA)V(HEDTA)、(TBA)MnHEDTA、(TBA)CeHEDTA、または(TBA)TiHEDTAが挙げられる。
【0068】
いくつかの実施形態では、陰極液は第2の金属キレートを含むことができる。第2の金属キレートの金属は遷移金属とすることができ、第2の金属キレートのキレートは、PDTA、BDTA、DTPA、EDTA、CyDTA、HEDTA、またはNTAとすることができる。第2のキレートは第1のキレートと同じまたは異なるものとすることができる。第2の金属キレートは陽極液の金属キレートの金属とは異なる第2の金属を含むことができる。陰極液における第1の金属キレートの第2の金属キレートに対する比率は、約100:1~約1:1、約100:1、約90:1、約80:1、約70:1、約60:1、約50:1、約40:1、約30:1、約20:1、約10:1、約5:1、約2:1、約1:1、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約100:1~約1:1の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。第1の金属キレートのように、第2の金属キレートは対イオンを含むことができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、陰極液は対イオンを含むことができる。陰極液の対イオンはフロー電池中の陽極液の対イオンと同じとすることができる。陰極液のpHおよび陽極液のpHは約6~約11とすることができる。いくつかの実施形態では、pHは、約6、約7、約8、約9、約10、約11、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、またはpH約6~約11の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、陰極液はK4[Fe(CN)6]とすることができ、金属キレートはキレートとしてBDTAまたはPDTA、例えば、K2[Mn(BDTA)]を含み、金属キレートは、キレートとしてEDTA、例えば、K[Cr(EDTA)]またはBr2/Br-を含む。
【0070】
電池は緩衝液を含むことができる。適切な緩衝液は、ホウ酸塩、NaOAc、NaHCO3、K2B4O7、K2HPO4、Na2B4O7、錯体を形成していないBDTA、錯体を形成していないCyDTA、錯体を形成していないEDTA、錯体を形成していないNTA、錯体を形成していないPDTA、リン酸イオン、ホウ酸イオン、およびそれらの組み合わせを含むことができる。緩衝液は電池の電解質中に維持することができる。緩衝液はpH約6~約11とすることができる。緩衝液の濃度は約1mM~約1.0Mとすることができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、電池の陰極液はFe(CN)6またはBr2/Br-を含むことができる。陰極液の濃度は、それがFe(CN)6である場合、約0.01M~約1.5Mとすることができる。陰極の濃度はそれがBr2/Br-である場合、約0.01M~約5.7Mとすることができる。陰極液のpHは約3~約14とすることができる。いくつかの実施形態では、金属キレートは陽極液に使用することができ、Fe(CN)6は陰極液で使用される。
【0072】
不安定な先行技術の電池と異なり、開示は高電圧および前例のない安定性を提供する。フロー電池の電圧効率は約80%~約95%とすることができる。いくつかの実施形態では、フロー電池の電圧効率は、約80%、約85%、約90%、約95%、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約80%~約95%の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、フロー電池の全体効率は約75%~約95%とすることができる。いくつかの実施形態では、フロー電池の効率は、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約75%~約95%の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、電池の充電状態の約5%未満がフロー電池中で1日当たり失われる。いくつかの実施形態では、電池の水素発生は24時間後に約5%未満とすることができる。いくつかの実施形態では、電池の水素発生は、約0分(水素発生なし)~約24時間後、いくつかの実施形態では、約0分、約10分、約30分、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間、約4時間、約4.5時間、約6時間、約6.5時間、約7時間、約7.5時間、約8時間、約8.5時間、約9時間、約9.5時間、約10時間、約10.5時間、約11時間、約11.5時間、約12時間、約12.5時間、約13時間、約13.5時間、約14時間、約14.5時間、約15時間、約15.5時間、約16時間、約16.5時間、約17時間、約17.5時間、約18時間、約18.5時間、約19時間、約19.5時間、約20時間、約20.5時間、約21時間、約21.5時間、約22時間、約22.5時間、約23時間、約23.5時間、約24時間、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約0分~約24時間の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲後、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、約0%、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約0%~約5%の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。さらに、いくつかの実施形態では、電池の充電状態は、20°C(いくつかの実施形態では、約-20°C~約20°C、約-20°C、約-15°C、約-10°C、約-5°C、約0°C、約5°C、約10°C、約15°C、約20°C、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約-20°C~約20°Cの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲)および大気圧(当業者によって理解されるように、異なる緯度での海抜ゼロメートル地点等で約1atm)での保存を、1週間(いくつかの実施形態では、約1時間~約7日、すなわち、約1時間、約2時間、約8時間、約12時間、約24時間、約1.5日、約2日、約2.5日、約3日、約3.5日、約4日、約4.5日、約5日、約5.5日、約6日、約6.5日、約7日、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約1時間~約7日の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲)後、10%未満(いくつかの実施形態では、約0%~約10%、約0%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約0%~10%の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲)減少する。
【0073】
フロー電池の薄膜はカチオン交換膜とすることができる。開示の陽極液および陰極液中の金属キレートは、水または酸に溶解した場合でさえ、両方とも負に荷電することができるので、カチオン交換膜は、系において有益とすることができる。金属キレートの負電荷および/または大きなサイズの結果、薄膜を介した金属キレートの移動は、活性金属材料が正に荷電される系と比較して低減することができる。いくつかの実施形態では、カチオン交換膜は、スルホン化テトラフロオルエチレン系フッ素ポリマー共重合体(例えば、Nafion(登録商標))、スルホン化PEEK、または他の同様の材料とすることができる。他の適切な薄膜としては、Fumapem F-930 RFS、Nafion(登録商標)211、またはNafion(登録商標)212を挙げることができる。この電解質化学が、サイズ排除薄膜、多孔性セパレーターなどと同様に、様々なカチオンおよびアニオン交換膜と親和性があることは当業者によって評価されるべきである。
適切な電極としては、カーボン紙、炭素フェルト、炭素布、炭素繊維、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0074】
陽極液または陰極液は、さらに第2の金属を含むことができる。第2の金属は電解質に添加して少なくとも電極の一部をめっきすることができる。いくつかの実施形態では、電極の少なくとも約1μg/cm2は第2の金属でめっきすることができる。いくつかの実施形態では、約0.1μg/cm2~約100μg/cm2の電極は第2の金属でめっきすることができる。第2の金属は、ビスマス、鉛、キレート化鉛、キレート化ビスマス、またはそれらの組み合わせとすることができる。第2の金属は溶媒に可溶とすることができる。溶媒は、液体、例えば、水(蒸留水、水道水、脱イオン水、またはそれらの組み合わせ)とすることができる。他の溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,2-ジフルオロベンゼン、ジメチルホルムアミド、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。第2の金属は、材料がフロー電池中の電極と接触するまで金属キレートと結合した場合可溶とすることができる。第2の金属は、そのとき炭素電極上に電着することができ、それは、電子伝達速度を高め、このようにして、電池性能を向上することができる。他の適切な溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、オルト-ジフルオロベンゼン、ジメチルホルムアミド、またはそれらの組み合わせが挙げられる。第2の金属は、陽極液および/または陰極液に可溶とすることができる。
【0075】
金属キレートの濃度は約0.1M~約2Mである。いくつかの実施形態では、金属キレートの濃度は、約0.1M、0.5M、約1.0M、約1.1M、約1.2M、約1.3M、約1.4M、約1.5M、約1.6M、約1.7M、約1.8M、約1.9M、約2M、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約1.0M~約2Mの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。その結果、電池のサイズは先行技術の電池のサイズの約5倍までに低減することができる。比較すると、国際公開第2012117594号パンフレットに示すようなNaCrEDTAの濃度は、最大約0.4Mとすることができ、電池のサイズが増加する。
【0076】
いくつかの実施形態では、電池の電流効率は10%~約100%とすることができる。いくつかの実施形態では、効率は、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約10%~約100%の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。
【0077】
電池の最大の充電状態は約80%~約100%とすることができる。いくつかの実施形態では、電池の最大の充電状態は、約80%、約83%、約84%、約85%、約90%、約95%、約100%、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約0%~約100%の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。
【0078】
電池の電圧は約1V~約2.2Vとすることができる。いくつかの実施形態では、電池の電圧は、約1V、約1.1V、約1.2V、約1.3V、約1.4V、約1.5V、約1.6V、約1.7V、約1.8V、約1.9V、約2.0V、約2.1V、約2.2V、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約1V~約2.2Vの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。
【0079】
フロー電池中の薄膜としては、Fumapem F-930 RFS、Nafion211、Nafion212、スルホン化PEEK、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0080】
本発明の態様はフロー電池である。フロー電池は陽極液および陰極液を含む2つの電解質を含む。電解質はpH約6~約11で緩衝液を含む。緩衝液は、リン酸イオン、ホウ酸イオン、NTA、錯体を形成していない有機材料、またはそれらの組み合わせとすることができる。錯体を形成していない有機材料は、EDTA、BDTA、PDTA、CyDTA、DTPA、HEDTA、またはNTAとすることができる。緩衝液は電池中に維持される。陽極液は金属キレートを含む。金属キレートの金属は遷移金属であり、金属キレートのキレートはEDTAである。いくつかの実施形態では、フロー電池は電極、および陽極液と陰極液とを分離する薄膜を含むこともできる。電池の電流効率(電子不足に対する電子)は60%より大きくすることができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、金属および金属キレートのキレートの配位はキレート、金属、および金属酸化状態に依存して変化する可能性がある。いくつかの実施形態では、金属は、金属キレート錯体と遊離金属イオンと遊離キレートとの平衡定数が1025を超えるようにキレートに配位することができる。言い換えれば、事実上検出できない量の非キレート化金属イオンは溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、金属キレートのキレートは、約90%~約100%、いくつかの実施形態では、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%、これらの値の2つの間の範囲、または90%~100%の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲の量で金属イオンに配位することができる。キレートに優先的に配位することによって、水配位子は、金属キレートの金属に配位することができない、または困難とすることができる。水が金属キレート中の金属に配位することによって、得られた電池の効率を低下する可能性がある。さらに、過剰のクロムは沈殿を形成する可能性があり、それは、さらに得られた電池の効率を低減する可能性がある。このように、開示の有利な態様は、金属キレートのキレートが金属イオンに優先的に配位することである。本発明の金属キレートとしては、ほんの一例であり、CrPDTA、CrBDTA、CrDTPA、CrNTA、CrCyDTA、CrHEDTA、CrEDTA、FePDTA、FeBDTA、FeDTPA、FeNTA、FeCyDTA、FeHEDTA、FeEDTA、V(PDTA)、V(BDTA)、V(DTPA)、V(NTA)、V(CyDTA)、V(HEDTA)、V(EDTA)、Mn(PDTA)、Mn(BDTA)、MnDTPA、MnNTA、MnCyDTA、MnHEDTA、MnEDTA、CePDTA、CeBDTA、CeDTPA、CeNTA、CeCyDTA、CeHEDTA、CeEDTA、TiPDTA、TiBDTA、TiDTPA、TiNTA、TiCyDTA、TiEDTA、またはTiHEDTAが挙げられる。金属キレートの濃度は約0.1M~約2Mとすることができる。いくつかの実施形態では、金属キレートの濃度は、約0.1M、約0.5M、約1.0M、約1.5M、約2M、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約0.1M~約2Mの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、陽極液の金属キレートはさらに対イオンを含む。対イオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、TEA、TBA、他のテトラアルキルアンモニウム塩、混合したカチオン、またはそれらの組み合わせとすることができる。表4は、多くの対イオン、キレートと錯体を形成する金属イオン、およびキレートを示す。
【0083】
いくつかの実施形態では、陰極液は第2の金属キレートを含むことができる。第2の金属キレートの金属は遷移金属とすることができ、第2の金属キレートのキレートは、PDTA、BDTA、DTPA、EDTA、CyDTA、HEDTA、またはNTAとすることができる。第2のキレートは第1のキレートと同じまたは異なるものとすることができる。第2の金属キレートは陽極液の金属キレートの金属とは異なる第2の金属を含むことができる。陰極液における第1の金属キレートの第2の金属キレートに対する比率は、約100:1~約1:1、約100:1、約90:1、約80:1、約70:1、約60:1、約50:1、約40:1、約30:1、約20:1、約10:1、約5:1、約2:1、約1:1、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約100:1~約1:1の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。第1の金属キレートのように、第2の金属キレートは対イオンを含むことができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、陰極液は対イオンを含むことができる。陰極液の対イオンはフロー電池中の陽極液の対イオンと同じとすることができる。陰極液のpHおよび陽極液のpHは、約6~約11とすることができる。いくつかの実施形態では、pHは、約6、約7、約8、約9、約10、約11、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、またはpH約6~約11の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、陰極液はK4[Fe(CN)6]とすることができ、金属キレートはキレートとしてBDTAまたはPDTA、例えば、K2[Mn(BDTA)]を含み、金属キレートは、キレートとしてEDTA、例えば、K[Cr(EDTA)]またはBr2/Br-を含む。
【0085】
電池は緩衝液を含むことができる。適切な緩衝液は、ホウ酸塩、NaOAc、NaHCO3、K2B4O7、K2HPO4、Na2B4O7、錯体を形成していないBDTA、錯体を形成していないCyDTA、錯体を形成していないEDTA、錯体を形成していないNTA、錯体を形成していないPDTA、リン酸イオン、ホウ酸イオン、およびそれらの組み合わせを含むことができる。緩衝液は電池の電解質中に維持することができる。緩衝液はpH約6~約11とすることができる。緩衝液の濃度は約1mM~約1.0Mとすることができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、電池の陰極液はFe(CN)6またはBr2/Br-を含むことができる。陰極液の濃度はそれがFe(CN)6である場合、約0.01M~約1.5Mとすることができる。陰極の濃度はそれがBr2/Br-である場合、約0.01M~約5.7Mとすることができる。陰極液のpHは約3~約14とすることができる。いくつかの実施形態では、金属キレートは陽極液に使用することができ、Fe(CN)6は陰極液で使用される。
【0087】
不安定な先行技術の電池と異なり、開示は高電圧および前例のない安定性を提供する。フロー電池の電圧効率は約80%~約95%とすることができる。いくつかの実施形態では、フロー電池の電圧効率は、約80%、約85%、約90%、約95%、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約80%~約95%の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、フロー電池の全体効率は約75%~約95%とすることができる。いくつかの実施形態では、フロー電池の効率は、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約75%~約95%の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、電池の充電状態の約5%未満が、フロー電池中で1日当たり失われる。いくつかの実施形態では、電池の水素発生は24時間後に約5%未満とすることができる。いくつかの実施形態では、電池の水素発生は、約0分(水素発生なし)~約24時間後、いくつかの実施形態では、約0分、約10分、約30分、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間、約4時間、約4.5時間、約6時間、約6.5時間、約7時間、約7.5時間、約8時間、約8.5時間、約9時間、約9.5時間、約10時間、約10.5時間、約11時間、約11.5時間、約12時間、約12.5時間、約13時間、約13.5時間、約14時間、約14.5時間、約15時間、約15.5時間、約16時間、約16.5時間、約17時間、約17.5時間、約18時間、約18.5時間、約19時間、約19.5時間、約20時間、約20.5時間、約21時間、約21.5時間、約22時間、約22.5時間、約23時間、約23.5時間、約24時間、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約0分~約24時間の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲後、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、約0%、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約0%~約5%の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。さらに、いくつかの実施形態では、電池の充電状態は、20°C(いくつかの実施形態では、約-20°C~約20°C、約-20°C、約-15°C、約-10°C、約-5°C、約0°C、約5°C、約10°C、約15°C、約20°C、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約-20°C~約20°Cの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲)および大気圧(当業者によって理解されるように、異なる緯度での海抜ゼロメートル地点等で約1atm)での保存を、1週間(いくつかの実施形態では、約1時間~約7日、すなわち、約1時間、約2時間、約8時間、約12時間、約24時間、約1.5日、約2日、約2.5日、約3日、約3.5日、約4日、約4.5日、約5日、約5.5日、約6日、約6.5日、約7日、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約1時間~約7日の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲)後、10%未満(いくつかの実施形態では、約0%~約10%、約0%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約0%~10%の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲)減少する。
【0088】
フロー電池の薄膜はカチオン交換膜oとすることができる。開示の陽極液および陰極液中の金属キレートは、水または酸に溶解した場合でさえ、両方とも負に荷電することができるので、カチオン交換膜は系において有益であり得る。金属キレートの負電荷および/または大きなサイズの結果、薄膜を介した金属キレートの移動は、活性金属材料が正に荷電される系と比較して低減することができる。いくつかの実施形態では、カチオン交換膜は、スルホン化テトラフロオルエチレン系フッ素ポリマー共重合体(例えば、Nafion(登録商標))、スルホン化PEEK、または他の同様の材料とすることができる。他の適切な薄膜としては、Fumapem F-930 RFS、Nafion(登録商標)211、またはNafion(登録商標)212を挙げることができる。この電解質化学が、サイズ排除薄膜、多孔性セパレーターなどと同様に、様々なカチオンおよびアニオン交換膜と親和性があることは当業者によって評価されるべきである。
適切な電極としてはカーボン紙、炭素フェルト、炭素布、炭素繊維、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0089】
陽極液または陰極液は、さらに第2の金属を含むことができる。第2の金属は電解質に添加して少なくとも電極の一部をめっきすることができる。いくつかの実施形態では、電極の少なくとも約1μg/cm2は第2の金属でめっきすることができる。いくつかの実施形態では、約0.1μg/cm2~約100μg/cm2の電極は第2の金属でめっきすることができる。第2の金属は、ビスマス、鉛、キレート化鉛、キレート化ビスマス、またはそれらの組み合わせとすることができる。第2の金属は溶媒に可溶とすることができる。溶媒は、液体、例えば、水(蒸留水、水道水、脱イオン水、またはそれらの組み合わせ)とすることができる。他の溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,2-ジフルオロベンゼン、ジメチルホルムアミド、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。第2の金属は、材料がフロー電池中の電極と接触するまで金属キレートと結合した場合可溶とすることができる。第2の金属は、そのとき、炭素電極上に電着することができ、それは、電子伝達速度を高め、このようにして、電池性能を向上することができる。他の適切な溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、オルト-ジフルオロベンゼン、ジメチルホルムアミド、またはそれらの組み合わせが挙げられる。第2の金属は陽極液および/または陰極液に可溶とすることができる。
【0090】
金属キレートの濃度は約0.1M~約2Mである。いくつかの実施形態では、金属キレートの濃度は、約0.1M、0.5M、約1.0M、約1.1M、約1.2M、約1.3M、約1.4M、約1.5M、約1.6M、約1.7M、約1.8M、約1.9M、約2M、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約1.0M~約2Mの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。その結果、電池のサイズは先行技術の電池のサイズの約5倍までに低減することができる。比較すると、国際公開第2012117594号パンフレットに示すようなNaCrEDTAの濃度は、最大約0.4Mとすることができ、電池のサイズが増加する。
【0091】
いくつかの実施形態では、電池の電流効率は10%~約100%とすることができる。いくつかの実施形態では、効率は、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約10%~約100%の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。
【0092】
電池の最大の充電状態は約80%~約100%とすることができる。いくつかの実施形態では、電池の最大の充電状態は、約80%、約83%、約84%、約85%、約90%、約95%、約100%、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約0%~約100%の範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。
【0093】
電池の電圧は約1V~約2.2Vとすることができる。いくつかの実施形態では、電池の電圧は、約1V、約1.1V、約1.2V、約1.3V、約1.4V、約1.5V、約1.6V、約1.7V、約1.8V、約1.9V、約2.0V、約2.1V、約2.2V、これらの値の2つの間のいずれかの範囲、または約1V~約2.2Vの範囲のいずれかの値もしくは部分範囲とすることができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、陰極液は金属キレートを含むことができる。金属キレートの金属は遷移金属とすることができ、キレートは、EDTA、BDTA、PDTA、CyDTA、DTPA、HEDTA、またはNTAからなる群から選択することができる。
【0095】
フロー電池中の薄膜としては、Fumapem F-930 RFS、Nafion211、Nafion212、スルホン化PEEK、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0096】
開示の態様は電極をめっきする方法である。方法は溶液にめっき材料を溶解することを含む。溶液は電解質である。有利には、めっき材料は、フロー電池を分解することなく、フロー電池中の電極にめっきすることができる。言い換えれば、電極はフロー電池中に存在しながらめっきすることができる。電極は、カーボン紙、炭素布、炭素フェルト、炭素繊維、またはそれらの組み合わせとすることができる。めっき材料は、ビスマス、鉛、キレート化ビスマス、キレート化鉛、およびそれらの組み合わせとすることができる。めっき材料はフロー電池の電解質に可溶とすることができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、電極の少なくとも約1μg/cm2はめっき材料でめっきすることができる。いくつかの実施形態では、電極の約0.1μg/cm2~約100μg/cm2は、めっき材料でめっきすることができる。めっき材料は、ビスマス、鉛、キレート化鉛、キレート化ビスマス、またはそれらの組み合わせとすることができる。めっき材料金属は溶媒に可溶とすることができる。溶媒は、液体、例えば、水(蒸留水、水道水、脱イオン水、またはそれらの組み合わせ)とすることができる。他の溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,2-ジフルオロベンゼン、ジメチルホルムアミド、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。さらに、めっき材料は、材料がフロー電池中の電極と接触するまで金属キレートと組み合わせた場合、可溶とすることができる。めっき材料は、そのとき、炭素電極上に電着し、それは、電子伝達速度を高めることができ、このように、電池性能を向上することができる。適切な溶媒としては、限定されないが、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、オルト-ジフルオロベンゼン、ジメチルホルムアミド、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
適切な電解質は、明細書全体にわたって議論され、電極をめっきする方法で使用することができる。
【実施例】
【0098】
(実施例1)
(金属キレートを形成する方法)
錯体はいくつかの異なる方法で合成することができる。次の実施例を提供して、記載された材料を合成するために使用することができる手順を説明する。Cr2O3またはCr(OH)3の使用を含めて他の方法を使用して同じ錯体を合成することができる。
【0099】
K[Cr(PDTA)]を、KCr(SO4)2・12H2O(40g、80mmol、Acros、98+%)および1,3-ジアミノプロパン-N,N,N’、N’-四酢酸(27.5g、90mmol、Sigma Aldrich、99%)を脱イオン水30mLに溶解し、混合物を110℃に加熱することによって下記手順に従って調製した。1時間の加熱後、固体のKOH(10g)を15秒ごとに0.5gずつ添加した。24時間後、5MのKOH16mLを1mLずつゆっくり添加した。さらなる24時間の加熱後、5MのKOH16mLをさらに添加した。溶液のpHをKOHの添加中にモニターし、48時間の加熱後まで2.5より下に維持した。72時間の全反応時間後、最終溶液pHは5~6であった。溶液を室温に冷却し、アセトン95mLを添加し、固体K2SO4を沈殿させろ過によって除去した。
【0100】
濾液を減圧下で濃縮して貯蔵液を製造した。K[Cr(PDTA)]の濃度は、506nm(ε=116M-1cm-1)で吸光度を使用した吸光分光法によって評価した。
【0101】
(電解質を形成する方法)
フローセルを、0.4Mおよび1.0MのK[Cr(PDTA)]の濃度で動作させた。貯蔵液をDI水で10mLに希釈し、K2B4O7・4H2O(0.6g、2mmol)を添加し、pH9.5で0.4MのK[Cr(PDTA)]および0.2MのK2B4O7を含む電解質を得ることによって、0.4MのK[Cr(PDTA)]溶液を作製した。40℃で飽和K[Cr(PDTA)]をDI水で10mLに希釈し、K2B4O7・4H2O(0.3g、1mmol)を添加して、pH9.0で1.0MのK[Cr(PDTA)]および0.1MのK2B4O7を含む電解質を得ることによって、1.0MのK[Cr(PDTA)]溶液を作製した。
【0102】
(分析)
(半電池測定)
サイクリックボルタンメトリーを、Gamry Interface1000ポテンシオスタット、Ag/AgCl水系参照電極(3MのNaCl充填溶液)、Ptワイヤー対極、および直径3mmのガラス質炭素電極を使用して実施した。半電池実験を、pH9で5mMのK[Cr(PDTA)]、5mMのK4Fe(CN)6、および0.125MのK2B4O7を含む溶液で実施した。
【0103】
(反応速度の計算)
不可逆反応について、ピーク電流ipは、式(1)により与えられる。
【0104】
【0105】
式中、ipはアンペア、Aは電極面積(cm2)、CO°は酸化剤のバルク濃度(moles cm-3)、γは電位掃引速度(Vs-1)、DOは酸化剤の拡散係数、αは電荷移動係数、naは律速段階に含まれる電極の数である。この式は25°Cで式(2)に帰着する。
【0106】
【0107】
ip対γ1/2をプロットして、傾きがDOに比例する直線を与えた。1/2のαna値を想定することによってDOを解くことができた。全体的に不可逆なピークについて、ピーク電位Epはスキャン速度の関数であり、Epと正式な電位との差E0’は標準的不均質速度定数k°に関連する。ピーク電流は、式(3)に示すように表すことができる。
【0108】
【0109】
Ln(ip)対(Ep-E°’)は、異なるスキャン速度でプロットし、切片は比例し、k°を解することを可能にする。E°’は、文献において-1.31V対Ag/AgClであることが分かった。バルク濃度は0.005Mであり、naは、移動する1個のみの電子があるので1であった。電極の面積は直径3mmのガラス質炭素電極から0.0707cm2である。スキャン速度は、25、50、100、200、および500mVs-1で行った。ip対γ1/2の傾きは0.0747であり、ln(ip)対(Ep-E°’)の切片は-13.527であった。
これらの式から、式(4)および(5)を決定した。
Ko=1.7×10-4cms-1(4)
Do=6.2×10-6cm2s-1(5)
【0110】
(フローセル装置)
5cm2の単一セルフロー電池を、電解質を運ぶチューブは、アルミニウムやステンレス鋼セル部品と接触せずに黒鉛フロープレートに直接つながるように酸性セル構成でフュエルセルテクノロジーズ社から購入した。フロープレートは、5cm2の単一の蛇紋石フローフィールドを備えたPoco graphiteブロックを含んでいた。K4Fe(CN)6電解質は、1/8インチのODペルフルオロアセトキシ(PFA)入口/出口チューブ用に穴が空けられ、1/8インチOD、1/16インチID PFAチューブ、およびPFA接続具を使用して、歯車ポンプ(Cole-Parmer)を備えたフローセルに対して供給および排気されるゴム隔壁を装着した100mLの丸底フラスコ内に配置した。
【0111】
ステンレス鋼に対するK[Cr(PDTA)]およびBr
2溶液の感度により、PTFEダイヤフラムポンプ(Cole-Parmer)をこれらの電解質に使用した。ダイヤフラムポンプのパルス流により、分極データ(電流-電圧)は、セル内のパルス流量に対する正弦波応答および大量輸送制限を生成した。
図2B、2C、3A、3B中の分極プロットおよび出力密度プロットは、これがパルス流によって課される大量輸送制限がない状態でのセル性能に反映するので、ピーク電流に関連したグラフ上の選択点にフィッティングした。フィッティングした全データは、
図9C、9D、10C、および10Dに示され、それはクロム-イオンサイクルプロットを説明する。
【0112】
Nafion212薄膜(50mmの厚み)を12時間DI水に浸漬し、0.002インチのPTFEシートでシールした。積層した5枚のGDL39AAカーボン紙(SGL)(280mmの厚み、各々5cm2)を150℃に12時間加熱し、0.04インチのPTFEガスケットによって38%圧縮させて各側で使用した。セルをともにボルト締めし、10Nmまでトルクレンチで締めた。フローセル実験を、Gamry Interface5000Eポテンシオスタット/ガルバノスタットを使用して実施した。K[Cr(PDTA)]およびKBr溶液を、PTFEダイヤフラムポンプを使用して42mL/minの流量で送り込み、Fe(CN)6溶液を、歯車ポンプを使用して50mL/minの流量で送り込んだ。
【0113】
(フロー電池実験)
0.4MのCrPDTAフローセル実験では、セルの負側において、0.4MのKCrPDTAおよび0.2Mの四ホウ酸カリウムの10mLを電解質として使用し、一方、セルの正側において、0.3MのK4Fe(CN)6、0.45MのK3Fe(CN)6、および0.025Mの四ホウ酸カリウムの50mLを完全放電状態で電解質溶液として使用した。溶液を100mLのガラス丸底フラスコに室温で入れた。CrPDTA溶液をサイクル開始前の1時間アルゴンでパージし、実験中に正圧のアルゴン下で維持した。
【0114】
1.0MのCrPDTAフローセル実験では、セルの負側において1.0MのCr3+PDTAおよび0.1Mの四ホウ酸カリウム10mLを電解質として使用し、一方、セルの正側において、0.4MのK4Fe(CN)6、0.6MのK3Fe(CN)6、および0.025Mの四ホウ酸カリウムの50mLを完全放電状態で電解質溶液として使用した。溶液を、40℃の油浴に沈めた100mLのガラス丸底フラスコに入れた。CrPDTA溶液をサイクル開始前の1時間アルゴンでパージし、実験中に正圧のアルゴン下で維持した。40℃に加熱した蒸留水の溶液をアルゴンでバブリングしてアルゴンをH2Oで前飽和し、CrPDTA溶液の体積ロスを最小化した。
【0115】
鉄側の反応速度が系を放出する際に限定因子でなく、CrPDTAの十分な能力が示されることができるようにFe(CN)6濃度を選択した。鉄側が、種の濃度が実質的に変化しないかなりの過剰で動作する場合でさえ、荷電した種は最小で0.45Mであり、一方、CrPDTAは最大で0.4Mである。K4Fe(CN)6およびK3Fe(CN)6の両方の制限のある溶解度により、1.0MのCrPDTAが動作するために、鉄の濃度を、鉄側に関連した電圧を変更しない同じFe3+/Fe2+比を維持しながらできるだけ高いように選択した。
【0116】
選択された調合物は、粘性と関係するどんな問題をもたらさず、サイクル全体にわたって、電解質の不均衡または電気浸透抗力による体積変化に実質的な問題ではなかった。さらに系を向上するさらなる電解質の最適化の検討は現在進行中である。
【0117】
KBrフローセル実験について、セルの負側に、0.4MのKCrPDTAおよび0.2Mの四ホウ酸カリウムの10mLを電解質として使用し、一方、セルの正側に、2.0MのKBr、0.5MのBr2、および0.1Mの四ホウ酸カリウムの20mLを完全放電状態で電解質溶液として使用した。CrPDTA溶液を100mLのガラス丸底フラスコに室温で入れた。KBr溶液を、2つの1/8インチのOD圧縮フィッティングポート(Savillex)を備えた58mmのトランスファー閉鎖具でキャップした60mLのPFAカラム部品容器に入れた。CrPDTA溶液をサイクル開始前の1時間アルゴンでパージし、実験中に正圧のアルゴン下で維持した。
【0118】
(実施例2)
(フローセル実験)
開回路電位(OCP)実験を、5~95%SOCから5%充電状態(SOC)の間隔で、定電流でCrPDTA溶液を充電し、30秒のOCP読み出しをすることによって実施し、その後、平均して報告値を見つけた。出力実験を、200mVs-1のスキャン速度でCVを動作し、次に、定電流で溶液を放電する前に所望のSOCに規定時間定電流でCrPDTA溶液を充電し、次いで、5分間低電圧で保持して特定のSOCへの次の充電を開始する前に溶液を完全放電することによって実施した。サイクル実験を定電流で充放電することによって実施して、所望のSOCに達する規定時間で充電が終了し、放電が電圧遮断で終了した。電圧遮断は、正の電解質がFe(CN)6である場合0.5Vであり、正の電解質がKBrである場合0.8Vであった。電流効率を、最終放電時間を充電時間で割ることによって計算した。全体電圧効率を、放電動作の中間点での電圧を充電動作の中間点での電圧で割ることによって計算した。全体エネルギー効率を、全体電圧効率に電流効率を掛けることによって計算した。放電電圧効率は、放電動作の中間点での電圧を放電サイクル直前のセルの開回路電位で割ることによって計算した。放電エネルギー効率を、放電電圧効率に電流効率を掛けることによって計算した。[Cr(PDTA)]のステンレス鋼との不適合性により、PTFEダイヤフラムポンプを使用した。
【0119】
(実施例3)
四ホウ酸カリウム(KB
i)緩衝液とともにCrPDTAおよびFe(CN)
6の両方を含む水溶液のサイクリックボルタンメトリー(CV)は、-1.31Vでの酸化還元反応および0.31対Ag/AgClをそれぞれ示し、これらの錯体の1.62Vの電位差との適合性を示す(
図2A)。CrPDTA還元の反応速度分析は、ガラス質炭素で拡散係数D
O=6.2×10
-6cm
2s
-1および還元速度定数k
0=1.7×10
-4cms
-1をもたらし(
図5A~5C)、CrPDTAが溶液中に自由に拡散し、V
3+/2+より速いが、ある有機物より遅く還元可能であることを示唆する。表5は、CrPDTAの還元用の電気化学データを説明する。表5中の値はすべて概算である。
【0120】
【0121】
0.4MのK[Cr(PDTA)]のバルク電解質溶液を、KOHの存在下でPDTAとともにクロムミョウバンを加熱することによって調製し、0.2MのKB
iでpH9.5で緩衝化した。正の電解質を、K
3[Fe(CN)
6]およびK
4[Fe(CN)
6](0.75Mの全Fe濃度)の両方を容量過剰にして調製し、25mMのKB
iで緩衝化した。これらの溶液を、カチオン交換膜によって分離されたカーボン紙電極を含むフローセルの中にポンプで送り込んだ。セルを、50mAcm
-2で充電し、開路電位(OCP)を、5~95%の充電状態(SOC)の関数としてモニターした(
図2B、差し込み図)。OCPは1.54~1.70Vまで増加し、50%SOCで1.62Vの値であった。セルの電流-電圧挙動を様々なSOC値でモニターし(
図2B)、50%SOCで1.2~2.0Vの略線形(つまり、オーム)応答を示し、CrPDTA酸化還元反応速度によってではなく、膜抵抗(全オーム抵抗=1.7オームcm
2)によってセル性能が実質的に妨げられることを示唆する。
図2Cで示される放電出力密度は、10%~90%SOCで0.2~0.5Wcm
-2に及ぶピーク出力密度を示し、ピーク出力は0.515Wcm
-2であった。
【0122】
セルを、サイクル当たりのクーロン充電制限値として全電解質容量の80%を使用して、±0.1Acm
-2の定電流で26時間にわたって室温で75回サイクルした(
図3A)。これらの条件下では、サイクル当たりの電流効率は定量的であり(100.0±0.3%)、有意な副反応が発生しないことを示し、往復のエネルギー効率は80.0±0.4%であり、放電容量は第1から最終サイクルまで不変だった。50および20mAcm
-2でのサイクルによって、過電圧が低減され、
図6A~6Cに説明するように往復エネルギー効率を90および93%にそれぞれ向上した。表7は、Cr(PDTA)-Fe(CN)
6フロー電池についてのサイクルデータを説明する。表7中の値はすべて概算である。
【0123】
【0124】
Cr(PDTA)電解質の濃度を1.0Mに増加し、セルを40°Cで25回サイクルした(
図3Bおよび3C)。再び、量的電流効率(100±0.2%)を観察したが、エネルギー効率は78.1±0.2%であった。室温でのK[Cr(PDTA)]の最大溶解度は1.32Mであることを観察し、したがって、Fe(CN)
6電解質について示したように、CrPDTA電解質を向上して濃度、粘性、および性能を最適化するために大きな好機が利用可能である。
【0125】
電池の試験中に、最大SOCを80%から90%に増加させることによって、電流効率が99.5%に減少し(
図7A、Bおよび
図8Aに示すように)、それはH
2発生に起因し得る。フル充電した0.4MのCrPDTA溶液の安定性は、ガスクロマトグラフィーによって上部スペースを分析することによって評価した。H
2を1週間静置した後に観察したが、それは、1日当たり2.7%または0.4%の等価容量損失となった。この観察と一致して、CrPDTAの電解質のpHは、
図3Aのサイクル実験中に9.5から10.0まで増加した。これは、もしもっぱらH
2発生に起因すれば、サイクル当たり0.1%の電流効率損失と同じであろう。pHの増加も、OH
-を形成するサイクル前後に、KB
iのクロスオーバーまたは還元されたCrPDTAのO
2への曝露によって引き起こされる可能性がある。
【0126】
CrPDTAの分解は試験の間に観察されず、最終放電容量は各サイクル実験において不変だった。長期的耐久性の研究なしでは非常に遅い分解を除外することができないが、関連するキレート剤EDTAは、UV放射線への曝露により主として分解する難分解性有機化学物質と考えられる。PDTAの分解は、pH9でのCr2O3としてのCr3+イオンの沈殿を伴い、それは観察されなかったが、電解質溶液に過剰のPDTAを添加することによって、いかなる潜在的劣化も緩和することができた。
【0127】
(実施例4)
(CrBr RFB)
CrPDTA酸化還元対が炭素上でH
2発生の負の限界の近くで動作するので、Fe(CN)
6
3-/4-より正の酸化還元対は、さらに電池電圧を増加させることが要求される。したがって、Br
2/Br
-酸化還元対を、2.1Vを超える電位を備えたRFBを製造するために選択した。
図4Aは、クロム-臭素(CrBr)RFBの放電曲線を示し、セルは、ほとんど完全放電時間、2ボルトを超える動作電圧を維持する(
図4A)。80%および90%SOCの両方への±0.1Acm
-2でのサイクルによって、サイクル当たり97%の電流効率および76%の全体エネルギー効率で、安定した充電/放電サイクル(
図4A、差し込み図)がもたらされる(
図8B)。セル分極曲線は
図4Bで報告されており、開回路電位は5~95%SOCで2.05~2.2Vであった(
図4B、差し込み図)。ピーク出力は0.2~0.6Wcm
-2であり、最大0.684Wcm
-2を90%SOCで観察した(
図4C)。
【0128】
(概要)
これらの結果は、非水またはハイブリッドRFB系の大部分より高い動作電圧を備えた2つの高性能水性RFBを示す。高電圧電池用の非水電解質を促進する1つの要求は、水が水分解電位(1.23V)によって制限されるということであるが、水は、それらの元素組成に対して、非常に、ほとんどの有機溶媒より熱力学的に安定している。水の電気分解生成物H2およびO2が自然に再結合して水を改質することは、pHリバランスセルによって水分解を緩和することができるので、非水電解質に対する非常に大きな利点である。リチウムイオン電池は、電極を電解質との接触から安定、保護する固体-電解質界面相(SEI)と呼ばれる腐食層を形成することによって、非水電解質中で高電圧で動作する。同様に、Cr2+イオンは、障壁として堅牢な有機的レート、または水が反応性金属中心と相互に作用することを除外する分子SEIを使用することによって、水溶液中で動力学的に安定する。金属イオンへの水または陽子の配位は、水分解における陽極および陰極プロセスの両方での第1の機構ステップの1つであると通常考えられる。
【0129】
CrPDTA電解質は、酸化還元フロー電池の電流制限の多くに取り組み、グリッドスケールエネルギー貯蔵のコストを劇的に低下させるために新しい経路を提供する。CrPDTAを使用することによって、EDTAおよび関連するキレートが、既に、肥料、水処理、および消費者製品に108kgyr-1のスケールで製造された商品化学物質であるので、多くの有機電解質より迅速な市場浸透が可能となるに違いない。より一般に、金属錯体の主配位は、安価な大量製造されたキレートの使用によって制御することができ、大過剰な熱力学的な水分解電位での電位で水性フロー電池を熱力学的に安定することができる。開示は、このように、高電圧水性電池に動的安定性を与える際に一般的なアプローチをもたらすことができ、また、他の電気化学用途でのH2発生を管理するためにより広い意味を有するだろう。
【0130】
(実施例5)
CrPDTAを、CrCl3・6H2O(21.3g、80mmol)および1,3-ジアミノプロパン-N,N,N’,N’-四酢酸(27.5g、90mmol)を使用し、それらを脱イオン水30mLに溶解し、110°Cに加熱することによって合成した。1時間の加熱後、固体KOH(10g)を15秒ごとに0.5gずつ添加した。24時間後、5MのKOHの16mLを、1mLずつゆっくり添加した。5MのKOHのさらなる16mLを、さらなる24時間の加熱後に添加した。溶液のpHをKOHの添加中にモニターし、48時間の加熱後まで2.5未満に維持した。72時間の全反応時間後、溶液を冷却、ろ過して、得られた最終溶液のpHは5~6であった。さらなる精製を行わなかった。
【0131】
(実施例6)
CrEDTAを、CrCl3・6H2O(21.3g、80mmol)およびエチレンジアミン四酢酸(26.28g、90mmol)を使用し、それらを脱イオン水30mLに溶解し、110°Cに加熱することによって合成した。1時間の加熱後、固体KOH(10g)を15秒ごとに0.5gずつ添加した。24時間後、5MのKOHの16mLを、1mLずつゆっくり添加した。5MのKOHのさらなる16mLを、さらなる24時間の加熱後に添加した。溶液のpHをKOHの添加中にモニターし、48時間の加熱後まで2.5未満に維持した。72時間の全反応時間後、溶液を冷却、ろ過して、得られた最終溶液のpHは5~6であった。さらなる精製を行わなかった。実施例1の合成後、遊離配位子(キレート)の約0.125等量が溶液中に存在し、実施例5および6の合成後、遊離配位子の0.125等量およびKClの3等量が溶液中に存在する。
【0132】
(実施例7)
K2[Fe(III)DTPA]を、FeCl3(0.810g、5.0mmol)を用いて合成し、H5DTPA(2.162g、5.5mmol)を脱イオン(DI)H2O(10mL)に添加した。活発に撹拌して、K2CO3(2.070g、15mmol)をゆっくり添加した。溶液をCO2の発生が弱まるまで撹拌した。暗黄褐色溶液が最終pH9で残った。さらなる精製を行わなかった。遊離配位子の約0.1等量およびKClの3等量が合成後に溶液中に存在する。
【0133】
(実施例8)
半電池測定を、サイクリックボルタンメトリー(CV)を使用して行い、それは、その他に明記しない限り、Gamry Interface1000ポテンシオスタット、Ag/AgClの水性参照電極(3MのNaCl充填溶液)、Ptワイヤー対極、および直径3mmのガラス質炭素作用電極を使用して実施した。溶液を、最初に、不活性ガス、例えば、N2、ヘリウム、ネオン、アルゴン、またはそれらの組み合わせで、少なくとも15分間スパージし、次いで、不活性ガス、例えば、N2、ヘリウム、ネオン、アルゴン、またはそれらの組み合わせのブランケット下で維持し、試験を行った。試験をすべて常温で行った。カーボン紙サイクリックボルタンメトリー実験の間、ガラス質炭素電極と同様に、同じ設定を使用したが、作用電極は1枚のカーボン紙であった。すべてのクロム錯体およびFe(CN)6溶液については、50mMの溶液を利用したカーボン紙電極を利用するもの以外の5mMの溶液を、すべてのCV実験に利用した。他の金属キレート錯体は、図のキャプションで特定された濃度を有する。
【0134】
(実施例9)
5cm2の単一セルフロー電池を、電解質を運ぶチューブは、アルミニウムやステンレス鋼セル部品と接触せずに黒鉛フロープレートに直接つながるような酸性セル構成でフュエルセルテクノロジーズ社から購入した。フロープレートは、5cm2の単一の蛇紋石フローフィールドを備えたPoco graphiteブロックを含んだ。特に断らない限り、フローセルは、最短12時間DI水に浸漬され、0.002インチのPTFEシートでシールされたNafion212薄膜(50mmの厚み、3cm×3cm)で構成され、12時間空気中で150°Cに加熱され、0.04インチのPTFEガスケットが27%の圧縮をもたらすように各側で使用される5枚の積層されたGDL39AAカーボン紙(各280mmの厚み、5cm2)(SGL)でも構成された。セルをボルト締めし、トルクレンチで10Nmに締めた。Cr(II)PDTAおよびCr(II)EDTA溶液のステンレス鋼および他の金属との反応性により、C-Flex ultra L/S 16チューブを利用するPTFEダイヤフラムポンプ(Cole-Parmer)または蠕動ポンプのいずれかを、40~60mLmin-1の平均流体流量で使用した。流体を、非反応性1/8インチOD、1/16インチIDパーフルオロアセトキシ(PFA)チューブおよびPFA圧縮接続具を使用して流した。溶液を、1/8インチのOD圧縮接続ポート(Savillex)を備えた58mmのトランスファー閉鎖具でキャップした60mLのPFAカラム部品容器に、または1/8インチのODチューブ用に開けられた穴を含むゴム隔壁が取り付けられた100mLのガラス丸底フラスコに入れた。フローセル実験を、Gamry Interface5000Eのポテンシオスタット/ガルバノスタットを使用して実施した。特に断らない限り、フロー電池実験では、クロム溶液の10mLを利用した。
【0135】
(実施例10)
実施例5で使用されるのと同じ系を含む負の電解質を調製した。実施例7に記載するように、正極用活物質としてK
2FeDTPAを含む正の電解質を調製した。FeDPTAを調製して0.5Mの濃度にした。K
2B
4O
7を0.2Mの濃度となるように添加した。CrPDTAを、実施例10で使用されるものに類似する犠牲Fe(CN)
6溶液に対して予め加えた。±20mA/cm
2の電流密度で動作した場合、クーロン効率は100.3±0.4%、エネルギー効率は92%であった。この電池の最大貯蔵に対する能力は、36.2Ah/literであることが分かった。セルは、216mWcm
2の最大出力を達成し、平衡電位は1.18Vであった。セルは、分極抵抗が2.58オームcm
2であった。
図18は、±20mA/cm
2でpH9での0.2MのK
2B
4O
7緩衝液中の0.5MのCrPDTA対FeDTPAフロー電池サイクルを説明する。
【0136】
(実施例11)
負極用活物質としてNaCrPDTAおよびカリウム1,2-エチレンジアミン四酢酸(KCrEDTA)酸化還元系を含む負の電解質を、実施例5および6に記載するようにであるが、別のカチオン(所望のカチオン、例えば、NaOHまたはNH
4OHで構成された塩基の添加によって異なるカチオン形態が形成されるように)で調製した。CrPDTAの濃度は0.2Mであり、CrEDTAは0.2Mであった。四ホウ酸カリウム(K
2B
4O
7)を0.2Mの濃度となるように添加し、得られたpHは8.75であった。実施例10で使用されるのと同じ系を含む正の電解質を調製した。得られたフロー電池を、実施例9に記載するように組み立て、±100mA/cm
2の電流密度で全電解質容量の80%を利用して動作した場合、クーロン効率が98.7%、エネルギー効率が72.7%であった。
図19は、±100mA/cm
2でのK
2B
4O
7緩衝液中の80%SOCへの単一の0.2MのCrPDTAおよび0.2MのCrEDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【0137】
(実施例12)
実施例14からの負の電解質に、pH10で1.0MのNTA溶液の1mLを添加した。実施例14に記載された負の電解質を利用し続ける場合、得られたフロー電池を、±100mA/cm
2の電流密度で全電解質容量の80%を利用して作動する場合、クーロン効率が98.5%、エネルギー効率が73.2%であった。
図20は、±100mA/cm
2でのK
2B
4O
7およびNTA緩衝液中の80%SOCへの単一の0.2MのCrPDTAおよび0.2MのCrEDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【0138】
(実施例13)
負極用活物質としてKCrPDTA酸化還元系を含む負の電解質を、実施例5に記載するようにではあるが、緩衝液として実施例5に記載された反応からの過剰のPDTAのみで調製した。溶液のpHをKOHでpH8.32に調整し、CrPDTAの濃度は0.4Mであった。得られたPDTA緩衝液は、合成からの過剰の配位子に基づいて0.045Mになるであろう。実施例10で使用されるのと同じ系を含む正の電解質を調製した。得られたフロー電池を、実施例9に記載するように組み立て、±100mA/cm
2の電流密度で全電解質容量の80%を利用して動作した場合、クーロン効率が98.9%、エネルギー効率が74.6%であった。
図21は、±100mA/cm
2でのPDTA緩衝液中の80%SOCへの単一の0.4MのCrPDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【0139】
(実施例14)
実施例16からの負の電解質に、pH9で1.0MのNTA溶液の1mLを添加した。実施例16に記載された負の電解質を利用し続ける場合、得られたフロー電池を、±100mA/cm
2の電流密度で全電解質容量の80%を利用して作動する場合、クーロン効率が99.8%、エネルギー効率が79.0%であった。
図22は、±100mA/cm
2でのPDTAおよびNTA緩衝液中の80%SOCへの単一の0.4MのCrPDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【0140】
(実施例15)
負極用活物質としてKCrPDTA酸化還元系を含む負の電解質を、実施例16のようにではあるが、0.2MのK
2HPO
4固体を緩衝液として添加して調製した。得られた溶液のpHは7.85であった。実施例10で使用されるのと同じ系を含む正の電解質を調製した。得られたフロー電池を、±100mA/cm
2の電流密度で全電解質容量の80%を利用して作動する場合、クーロン効率が100.0%、エネルギー効率が74.4%であった。
図23は、±100mA/cm
2でのK
2HPO
4緩衝液中の80%SOCへの単一の0.4MのCrPDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【0141】
(実施例16)
負極用活物質としてKCrPDTA酸化還元系を含む負の電解質を、実施例16のようにではあるが、0.2MのK
2B
4O
7固体を緩衝液として添加して調製した。得られた溶液のpHは9.31であった。実施例10で使用されるのと同じ系を含む正の電解質を調製した。サイクルに先立って、クロム側のカーボン紙電極を、BiEDTA錯体を利用したビスマスでめっきした。得られたフロー電池を、実施例9に記載するように組み立て、±100mA/cm
2の電流密度で全電解質容量の90%を利用して動作した場合、クーロン効率が10.0%、エネルギー効率が84.7%であった。
図24は、±100mA/cm
2でのBiがめっきされたカーボン紙を用いた、K
2B
4O
7緩衝液中の90%SOCへの単一の0.4MのCrPDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【0142】
(実施例17)
負極用活物質としてKCrPDTA酸化還元系を含む負の電解質を、実施例19のように調製した。得られた溶液のpHは9.31であった。実施例10で使用されるのと同じ系を含む正の電解質を調製した。得られたフロー電池を、各側の5つのカーボン紙電極を同じサイズの未処理のELAT疎水性炭素布電極のうちの4つと取り替えた以外は、実施例9に記載するように組み立てた。これは37.4%の圧縮をもたらした。得られたフロー電池を、±100mA/cm
2の電流密度で全電解質容量の90%を利用して作動する場合、クーロン効率が99.0%、エネルギー効率が82.0%であった。
図25は、±100mA/cm
2での炭素布電極を用いた、K
2B
4O
7緩衝液中の90%SOCへの単一の0.4MのCrPDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【0143】
(実施例18)
負極用活物質としてKCrPDTA酸化還元系を含む負の電解質を、実施例19のように調製した。得られた溶液のpHは9.31であった。実施例10で使用されるのと同じ系を含む正の電解質を調製した。得られたフロー電池を、Nafion212薄膜をNafion211薄膜と同じ処理で取り替え、0.002インチのPTFEシートを0.001インチのPTFEシートと取り替え、5つのカーボン紙電極を4つのカーボン紙電極と同じ処理で取り替えた以外は実施例9に記載するように組み立てた。これは9.3%の圧縮をもたらした。得られたフロー電池を、±100mA/cm
2の電流密度で全電解質容量の90%を利用して作動する場合、クーロン効率が99.4%、エネルギー効率が84.5%であった。
図26は、±100mA/cm
2でのNafion211紙を用いた、K
2B
4O
7緩衝液中の90%SOCへの単一の0.4MのCrPDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【0144】
(実施例19)
負極用活物質としてKCrPDTA酸化還元系を含む負の電解質を、実施例19のように調製した。得られた溶液のpHは9.31であった。実施例10で使用されるのと同じ系を含む正の電解質を調製した。得られたフロー電池を、Nafion212薄膜を未処理のFumapem F-930 RFS薄膜と取り替え、0.002インチのPTFEシートを0.001インチのPTFEシートと取り替えた以外は実施例9に記載するように組み立てた。得られたフロー電池を、±100mA/cm
2の電流密度で全電解質容量の80%を利用して作動する場合、クーロン効率が98.7%、エネルギー効率が78.9%であった。
図27は、±100mA/cm
2でのFumapem F-930 RFS薄膜を用いた、K
2B
4O
7緩衝液中の80%SOCへの単一の0.4MのCrPDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【0145】
(実施例20)
負極用活物質としてKCrPDTA酸化還元系を含む負の電解質を、実施例19のように調製した。得られた溶液のpHは9.31であった。実施例10で使用されるのと同じ系を含む正の電解質を調製した。系を、100mA/cm2の電流密度で90%SOCに充電し、その後、目に見えるH2発生が観察されるまで20mA/cm2で充電した。得られた荷電クロム溶液を上部スペースがCO2で満たされた密封フラスコに移した。得られた混合物を7日間放置し、その後、ガスクロマトグラフィーサンプルをhayesep-dカラムを利用して採取した。COおよびCH4生成物の両方を、COおよびCH4を含む参照ガスサンプルと比較して観察した。
【0146】
(実施例21)
負極用活物質としてKCrPDTA酸化還元系を含む負の電解質を、実施例19のように調製した。得られた溶液のpHは9.31であった。実施例10で使用されるのと同じ系を含む正の電解質を調製した。系を、100mA/cm2の電流密度で90%SOCに充電し、その後、目に見えるH2発生が観察されるまで20mA/cm2で充電した。得られた荷電クロム溶液を上部スペースがCO2で満たされ、CuCl2固体を含む密封フラスコに移した。得られた混合物を7日間放置し、その後、ガスクロマトグラフィーサンプルをhayesep-dカラムを利用して採取した。COおよびCH4生成物の両方を、COおよびCH4を含む参照ガスサンプルと比較して観察した。
【0147】
(実施例22)
負極用活物質としてNaCrEDTA酸化還元系を含む負の電解質を、KOHではなくNaOHとした以外は実施例6に記載するように調製した。Na
2B
4O
7を0.1Mの濃度となるように添加し、CrEDTAの濃度は0.5Mであった。溶液のpHはNaOHでpH9.0に調整した。実施例10で使用されるのと同じ系を含む負の電解質を調製した。得られたフロー電池を、実施例9に記載するように組み立て、±100mA/cm
2の電流密度で全電解質容量の80%を利用して動作した場合、クーロン効率が99.9%、エネルギー効率が78.3%であった。
図28は、±100mA/cm
2でのNa
2B
4O
7緩衝液中の80%SOCへの単一の0.5MのCrEDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【0148】
(実施例23)
KCrPDTAの飽和溶液を、KCrPDTA結晶を結晶が溶解しないままであるように室温で最小限のDI水に溶解することによって調製した。溶液を1日撹拌した。溶液をDI水に201倍に希釈し、次いで、506nmでUV-Visを使用して分析した(116M-1L-1=ε)。最大溶解度は1.32Mであることが分かった。表8は、異なるカチオンを備えた金属配位子錯体の溶解度を説明する。CrEDTAを備えたNa+カチオンについては、溶解度を3:1NaClを含む濃縮不純物溶液から決定した。濃度は粘性の増加によって制限した。Fe-DTPAを備えたK2について、溶解度を3:1KClを含む濃縮不純物溶液から決定した。濃度は粘性の増加によって制限した。表8中の値はすべて概算である。
【0149】
【0150】
(実施例24)
質量1.078g(0.0025mol)のNaCrPDTA(最大溶解度=0.17M)および1.038g(0.0025mol)のKCrEDTA(最大溶解度=0.22M)に、DIH2Oを6mLの最終体積まで添加した。溶液を室温で1日撹拌し、その時に固体は残らなかった。溶液は、0.84Mの全クロム濃度で0.42Mの各電解質を含んでいた。表8を参照されたい。
【0151】
(実施例25)
テトラブチルアンモニウム(TBA)CrPDTAの0.010Mの溶液をアセトニトリル中で調製した。テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスファート(TBAPF
6)を0.1Mの濃度となるように添加した。サイクリックボルタンメトリーを、ガラス質炭素作用電極、Ag/AgCl参照電極、およびプラチナワイヤー参照電極を使用して実施した。スキャンを100mVs
-1で行った。フェロセンを、フェロセン/フェロセニウムの内部基準として溶液に添加した。溶液をオルト-ジフルオロベンゼンおよびテトラヒドロフラン中で同様に調製した。高還元電位は、非水性環境において可逆的であることが示される。表8を参照されたい。
図29は、ガラス質炭素作用電極上で0.1MのTBAPF
6を用いた、ACN中に10mMのTBACrPDTAの100mVs
-1で得られたサイクリックボルタンメトリーを説明する。
【0152】
(実施例26)
N
2でスパージされた水(20mL)に、硫酸バナジウム(V
2(SO
4)
3)(1.950g、5mmol)をH
4PDTA(1.53g、5mmol)の存在下で添加、80°Cで加熱した。KOH(1.120g、20mmol)を正の窒素流で添加した。溶液を80°Cで16時間撹拌し、そのとき、溶液は暗赤色であった。最終pHをKOHでpH6に調整した。サイクリックボルタンメトリーを、Ag/AgCl参照およびプラチナワイヤー加工電極とともにガラス質炭素電極上で、1Mのホウ酸塩溶液中でpH9で行った。1V対Ag/AgCl近くに存在するV
4+/5+の酸化で、pH9でのCrPDTAおよびVPDTAのフロー電池は、約2.3Vのセル電位を生じる。
図30は、ガラス質炭素作用電極上でpH8で1Mのホウ酸カリウム中のK[VPDTA]の100mVs
-1で得られたサイクリックボルタンメトリーを説明する。VDTPA、VEDTA、およびVBDTAの同様のバナジウム化合物は、実用的な正の電解質であることが示された。
【0153】
(実施例27)
配位子対金属比1:1を合成の間に使用したこと以外は実施例1に記載するように、負極用活物質としてCrPDTAを含む負の電解質を調製した。CrPDTAの濃度は1.0Mであった。K
2B
4O
7を0.1Mの濃度となるように添加し、最終pHは9.5であった。K
4Fe(CN)
6およびK
3Fe(CN)
6酸化還元系を含む正の電解質を容量過剰で調製した。K
2B
4O
7の添加で、pHを、0.1MのK
3Fe(CN)
6、0.5MのK
4Fe(CN)
6、および0.025MのK
2B
4O
7で9.5に調整した。両方の溶液は常温であった。得られたフロー電池を、CrPDTA溶液が、±100mA/cm
2の電流密度で全電解質容量の75%を利用して作動する場合、体積が10mLの代わりに30mLであること以外は、実施例9に記載するように組み立て、クーロン効率が98.5%、エネルギー効率が79.8%であった。
図31は、±100mA/cm
2でのK
2B
4O
7緩衝液中での75%SOCへの単一の1.0MのCrPDTA対Fe(CN)
6フロー電池サイクルを説明する。
【0154】
(実施例28)
鉄-クロム(FeCr)RFBは、電解質の低コストおよび1.2ボルトのセル電位により調査される第1のフロー電池の中にあった。Fe3+/2+酸化還元対の溶解度および電気化学的特性に対するキレート化の効果である。DTPAを利用するFe電解質は、Crキレート錯体を利用するPDTAに対してpH9で効率的で高性能なフロー電池を示す。FeDTPA電解質を1.35Mまでの濃度でサイクルすることができ、ほぼ量的効率で36.2AhL-1の貯蔵容量と一致する。CrPDTA電解質と組み合わせた場合、全キレート化FeCr RBFの平衡セル電位は、216mWcm-2の最大放電出力で1.18Vである。FeDTPAの配位化学の重要な態様を、CrPDTAと比較して、フロー電池系性能を推進するための分子レベルの理解の重要性を強調する。
【0155】
キレート剤、例えば、EDTAは、農肥料、医薬、および消費者健康製品を含む様々な用途用の金属イオンを溶解し安定させるために一般的に使用される。EDTAを含むアミノポリカルボキシラート(APC)クラスのキレートは、典型的には、疑似八面体形状で金属イオンを囲む2つの窒素原子および4つのカルボキシレートアームで6つの位置で金属イオンに結合する。中性pHでの強い配位挙動および向上した溶解度は、それらの環境上の無害性および工業規模の製造と組み合わされ、APCキレート錯体をフロー電池用途の魅力的な電解質とする。
【0156】
キレート化は、電子伝達速度および酸化還元電位を含む金属イオンの電気化学的特性に影響を及ぼし、それはフロー電池性能を向上することができる。金属酸化状態の変化に関連した溶媒のエントロピー再編成エネルギーは、マーカスハッシュ理論によって説明されており、キレート化によって強く影響を受ける。キレート錯体は、半径または溶媒相互作用の大きな変化を受けない疑似剛構造を生成し、このようにして電子移動の活性化エネルギーを低減する。この結果は、Fe(OH2)6
3+/2+についてのエントロピー再配置エネルギー(43cal K-1mol-1)をFe(bpy)3
3+/2+(bpy=2,2’-ビピリジン)(2cal K-1mol-1)と比較することによって観察され、それはグラファイト電極上の10-3から10-2cms-1までの不均一還元速度定数の増加に一致する。
【0157】
キレートは、また、酸化還元反応の熱力学に影響し、配位子選択を通じて得ることができる一連の還元電位をもたらす。これは、RFBで使用するための正の電解質(ポソライト)および負の電解質(ネゴライト)の両方として金属が調査されることを可能にし、典型的に向上された酸化還元反応速度の追加の利点がある。例えば、水性環境Fe(OH2)6
3+/2+中のFe3+/2+の還元電位は、+0.573V対Ag/AgClであるが、Fe3+/2+の還元電位は、Feがトリエタノールアミン([FeTEA]3+)にキレート化した場合、-0.953V対Ag/AgClで負であり、Feがbpy,[Fe(bpy)3]2+にキレート化した場合、+0.903V対Ag/AgClで正であることが示された。
【0158】
FeCr RFBは、低い材料コストにより調査された第1のRFBの中にあった。初期のFeCr RFB系は、室温でHCl中に1MのFeおよびCrの濃度で典型的に動作し、1.18Vまでの電圧をもたらした。Cr3+/2+の遅い酸化還元反応速度は、H2発生による低電流密度(21.5mAcm-2)および低効率を引き起こし、系の性能が劣っていた。
【0159】
FeCr RFBで使用されるFe3+/2+ポソライトに対比して、高度に酸化するFe錯体は不安定な傾向があるので、Feキレートはネゴライトとして主として使用される。ネゴライトとして使用されるFe錯体の一例は、Br2/Br-ポソライトと組み合わされて1.98Vのセル電位を備えたRFBを生じる[FeTEA]3+/2+である。EDTA、クエン酸塩、および蓚酸塩などのキレートを利用する他のFe系錯体も、pH6で0V対Ag/AgCl前後のそれらの酸化還元電位のためにネゴライトとして調査した。それらは、Br2/Br-ポソライトと組み合わせた場合、1V前後のセル電位を生じる。FeDTPAは、また、上記実験では、Br2/Br-と組み合わされるネゴライトと見なされたが、それは酸性状態で十分に可溶ではなかった(<0.4M)。
【0160】
Cr錯体を利用するPDTA、EDTAと関係するAPCは、-1.392V対Ag/AgClで、E0でpH9の中性近くでCr3+/2+酸化還元対を安定させることができたことを示した。CrPDTAは、RFB中のFe(CN)6
3-/4-と組み合わされた場合、作用pH9~10でH2の生成を抑制し、かつ電極触媒なしで高性能(515mWcm-1)を有することを示した。しかし、0.3V対Ag/AgClでのFe(CN)6
3-/4-の低い溶解度および酸化還元電位は、ポソライトの著しい向上に余地を残す。キレート化クロムをキレート化鉄と組み合わせようとして、出願人は、APCにFeおよびCrイオンの両方がキレート化したFeCr電池を報告する。
【0161】
異なるAPCキレートを、それらの高い配位数、結合強度、環境上の無害性、および低コストのために可能性のあるFe系ポソライトとして調査した。FePDTAを、+0.070V対Ag/AgClのその正の還元電位およびCrPDTAを備えた同じキレートRFBでのその潜在的な使用のために最初に考慮した。PDTAの六座配位子の配位は配位から水を除外するが、弱アルカリ性条件は、7配位の形状での水酸化物の配位[Fe(PDTA)OH]
2-)をもたらし、それはキレート錯体を不安定にし、Fe(OH)
3の沈殿を引き起こす。
図41A~Dは、Fe
3+APC種中に存在する七配位五角形バイピラミダル分子形状を説明する。五角形平面モチーフは太字である。
図41Aは、結晶学データに基づいて、pH7で[FeEDTA]
1-を説明する。
図41Bは、結晶学データに基づいて、pH7で[FeCyDTA]
1-を説明する。
図41Cは、滴定データに基づいて、pH7.5で[FePDTA]
2-を説明する。
図41Dは、結晶学データに基づいて、pH9で[FeDTPA]
2-を説明する。キレートがFeの好ましい7配位形状を安定させる能力は、中性pHより上で溶解度の増加を可能とすることができる。例えば、FeEDTA錯体は6配位のEDTA配位子を利用するが、式[Fe(H
2O)EDTA]の、全Fe配位数7の金属に追加的な水が配位する配位圏において利用可能なスペースが残存する。
図41Aは、結晶学データに基づいて、pH7で[FeEDTA]
1-を説明する。FeEDTAは、還元電位pH依存性を有しているので理想的なRFB電解質ではなく、配位水により、低下した電気化学的可逆性およびより負の還元電位を有する弱アルカリ種においてダイマー種を形成する(
図42A、Bは、pH5.2および9.0でのFeキレート錯体のCVを説明する。
図42Aは、10mMのNaFeEDTAを説明する)。CyDTAやHEDTAなどの他のAPCを、FeEDTAに類似する、アルカリ性溶液中で水の配位および二量体化により鉄とともに使用するためにさらに検査しなかった。
図41Bは、結晶学データに基づいて、pH7で[FeCyDTA]
1-を説明する。FePDTAに類似して、イミノ二酢酸と錯体化した場合、Fe(IDA)
2は必要とされるpH9で不溶性沈殿を形成した。Fe(bpy)
3
2+錯体も検査したが、錯体は酸化時に不溶性沈殿を形成することが分かった。表9は、鉄-キレート錯体の安定性および結合定数を示す。表9中の値はすべて概算である。
【0162】
【0163】
DTPAは、様々な目的のためのFeキレートとして研究され、Fe
3+およびFe
2+ついてそれぞれ28.60および16.55の高い結合定数でpH2~10で有望な安定性を示すAPCである(表9)。6つの位置で金属に結合することができる前述のEDTAなどのAPCと異なり、DTPAは、5つのカルボキシレートアニオンおよび3つの中性窒素の使用によって8までの場所で金属に結合する能力を有する。FeDTPA上の最終カルボキシレートアームは、pH7で脱プロトン化し、したがって、pH9で、配位子は-5の電荷を有し、Fe
3+については-2、Fe
2+については-3の錯体の全体電荷を生じる。K
2[Fe(DTPA)]・2.5H
2O結晶はpH9で得られ、X線回折(XRD)を行って、配位子が固体状態において7配位で、自由カルボキシレートアームで、五角形バイピラミダル形状で3つのNおよび4つのOに結合することを示す(
図41Dは、結晶学データに基づいて、pH9で[FeDTPA]
2-を説明する。
図43は、K
-2[FeDTPA]・2.5H
2OのX線結晶構造を説明する。熱楕円体が50%信頼区間で表されている。水素は明瞭さのために省略されている)。FeDTPAは、溶液中でIRおよびメスバウアー分光法によって8配位までであり、すべてのカルボキシレートアームを介して窒素に結合することが分かった。その配位および立体バルクを介して、DTPAは、H
2OおよびOH
-の両方の結合を防ぎ、それはFe(OH)
3またはオキソ架橋二量体錯体の形成を抑制すると推測される。FeDTPAは、このように、中性付近および弱アルカリ性溶液中での疑似電気化学的可逆性で、ある範囲のpHにわたって高濃度で可溶である(
図42Bは、10mMのK
2FeDTPAを説明する。CVを10mV/sでガラス質炭素電極上に集める。pH5.2からの溶液は1MのNaOAc中で行い、pH9の溶液は0.25MのKBi中で行った)。
【0164】
サイクリックボルタンメトリー(CV)を、FeDTPAおよびCrPDTAの電気化学的挙動をそれらのそれぞれの非キレート化金属イオンと比較するために行った。反応速度分析を使用して、不均一還元速度定数(k
0)を決定し、Feがキレート化して3MのHCl中のFeCl
3について3.40×10
-6cms
-1から四ホウ酸カリウム(KBi)緩衝液中のpH9でFeDTPAについて1.55×10
-5cms
-1となった場合にk
0が増加したことがガラス質炭素電極に示された(表10、
図41A~D、
図42AおよびB、
図44A~C、
図45A~C)。この傾向は、Crについて同様に観察された。それらの非キレート化対応物と比較して、より大きな電気化学的可逆性が、非キレート化金属上でキレート化されたもので観察される(
図32)。向上された電流応答に加えて、キレート化は、Cr
3+/2+について692mVから192mVまで、Fe
3+/2+について903mVから162mVまでFeおよびCrキレートの両方の100mVs
-1でのCVピーク分離を減少させ、ガラス質炭素電極上に疑似可逆的反応速度を示す。
【0165】
金属イオン両方のE0値は、異なる配位子であるにもかかわらずキレート化でほぼ同じ値(700~750mV)によって負にシフトし、したがって、キレート化された電解質からなる電池は、非キレート化系(1.18V)として同様の電圧性能を生じることが必要であるが、向上された反応速度により効率および出力が高められる(表10)。表10は、特に断らない限り、ガラス質炭素電極上の電解質についての拡散速度定数、電子移動速度定数、およびE0を示す。表10中の値はすべて概算である。
【0166】
【0167】
FeDTPAのpH9でのその還元および酸化状態の安定性を、周知のフェロ/フェリシアン化物(Fe(CN)
6
3-/4-)酸化還元対に対してRFB中で電解質をサイクルすることによって評価した。溶液は、20mLの0.5MのK
4Fe(CN)
6/0.3MのK
3Fe(CN)
6の過剰のポソライトに対してネゴライトとして10mLの0.5MのK
2FeDTPAで構成された。両方の溶液をpH9で0.2MのKBiで緩衝した。セルを、それぞれ0.9Vおよび0.0Vの充放電セル電位遮断への50および20mAcm
-2の電流密度で各々10サイクルの間にサイクルした。K
2FeDTPAとK
4Fe(CN)
6との電位はわずか450mVであったが、50および20mAcm
-2での100.0±0.2%および99.9±0.1%の電流効率を記録した。
図46は、0.5MのFeDTPAの10mLおよび20mLの0.5MのK
4Fe(CN)
6/0.3MのK
3Fe(CN)
6から構成されたセルを説明し、セル電位を50mAcm
-2および20mAcm
-2でのサイクル中の充電状態の関数として説明する。表11は、FeDTPAによって達成された電流効率および最大充電状態を説明する。表11中の値はすべて概算である。
【0168】
【0169】
実施例は、FeDTPAが量的電流効率で利用可能な容量の99%を達成する能力を示す。FeDTPAがその充放電状態間で定量的にサイクルされる能力は、FeDTPAがFe3+およびFe2+充電状態の両方でpH9で安定していることを示す。
【0170】
K
2FeDTPAの最大溶解度を決定するために、1.35MのK
2FeDTPA溶液の10mLを、過剰の0.5MのK
4Fe(CN)
6/0.3MのK
3Fe(CN)
6(50mL)に対してバルク電解し、36.2AhL
-1までの容量を生じた。
図47は、最大溶解度でのK
2FeDTPAの溶液がpH9で過剰のFe(CN)
6に対してバルク電解されることを説明し、FeDTPAは、50mAcm
-2で99%SOCに充放電されて36.2AhL
-1の最大容量を生じる。この濃度を超えて、FeDTPAは沈殿しないが、より高い粘性を示し、それはセルサイクルを困難にする。
【0171】
pH9でのFeDTPAの安定性を前提として、FeDTPAを、過剰のCrPDTAネゴライトに対してポソライトとして次に評価した。FeDTPAを[FeDTPA]
2-(充電状態)として合成したので、CrPDTAを、犠牲Fe(CN)
6
4-電解質に対して予め投入して75%SOCで0.5MのK
2CrPDTAの20mLを得た。0.5MのK
2FeDTPAの10mLの系を、0.375MのK
2CrPDTA/0.125MのKCrPDTAの20mLに対してサイクルした。過剰の[CrPDTA]
2-を使用して、FeDTPAがセルにおける制限する電解質になり、FeDTPAの50%充電状態(SOC)では、CrPDTAは、平衡セル電位が影響されないように同様に50%SOCであることを確保した。セルを、38.6時間にわたる20、50、およびその後100mAcm
-2の各々の電流密度で10回サイクルし、各電流密度についての平均電流効率は、100.3±0.4%(20mAcm
-2)、100.1±0.4%(50mAcm
-2)、および100.5±0.7%(100mAcm
-2)の値で100%をわずかに超えた(
図33A~D)。誤差の範囲内であるが、観察された100%を超える電流効率は支援情報部門で検討される。得られた電圧効率は、20、50、および100mAcm
-2で92±1%、78±1%、および56±1%であった。
図12は、0.5MのK
2FeDTPAの10mL、および0.375MのK
2CrPDTA/0.125MのKCrPDTAの20mLで構成されたセルについてのセル効率データを説明する(セル2)。セルは、10サイクル各々に±20、50、および100mAcm
-2の電流密度でサイクルした。値はすべて概算である。
【0172】
【0173】
図34は、pH9で0.2MのKBiを用いた、0.5MのCrPDTAおよび0.5MのFeDTPAの変化するSOCでの分極曲線を説明する。
図35は、pH9で0.2MのKBiを用いた、0.5MのCrPDTAおよび0.5MのFeDTPAを含むセルの変化するSOCでの放電出力密度対電流密度を説明する。216mWcm
-2の最大出力が達成される。
図36は、pH9で0.2MのKBiを用いた、0.5MのCrPDTAおよび0.5MのFeDTPAについてのセル開回路電位対SOCを説明する。セル電位をSOCの関数としてモニターし、セルの平衡電位は1.18Vであることが示された。
【0174】
1.15MのK
2FeDTPAの10mLの系を、pH9.5で0.1MのKBiを備えた0.75MのK
2CrPDTA/0.25MのKCrPDTAの30mLに対してサイクルした。pH9.5で0.1MのKBiを備えた1.0MのCrPDTAおよび1.15MのFeDTPAセルを、2.0Vおよび0.0Vの充放電セル電位遮断まで40回(46.25時間)それぞれサイクルし、高濃度で材料安定性を示す。セルは、100.1±0.1%の平均電流効率でFeDTPA容量の94%を利用可能とすることができた。1回目および40回目のサイクルの陰極液放電容量は、それぞれ28.82AhL
-1および28.49AhL
-1であり、46.25時間にわたる6.5mAL
-1の割合で0.33AhL
-1の損失に対応する(
図48は、1MのCrPDTAおよび1.15MのFeDTPAのセルサイクルを説明し、±100mAcm
-2で40サイクルにわたるセル電位を表す)。これは、1日当たり0.596%(1サイクル当たり0.029%)の適度な容量損失に相当し、それは、1.0Vを超えるOCPを備えたRFB中のポソライトには典型的である。サイクル後、セルをバルク電解して、FeDTPAの11.5mmolが残留することが分かり、FeDTPAの分解または膜クロスオーバーが生じなかったことを示す。したがって、容量損失は、電圧遮断が1番目のサイクルと比較して40番目のサイクルで早く達していることによって見られるように、電気浸透抗力による膜抵抗の増加または粘性の増加などの他の要因によりやすい。
【0175】
CVおよびRFB分析の両方によって、報告された電解質の向上された電気化学的および物理的特性が示され、したがって、Feイオンに対するキレート化の影響を強調する。Feの好ましい7配位形状の調査は、望まれない溶媒相互作用を防ぐための適合したキレートの必要性を示す。高座数キレートDTPAの利用は、溶媒相互作用を抑制し、したがって、弱塩基性状態のFeイオンの溶解度および不均一還元速度定数を増加させる。
【0176】
中性pH付近の鉄-クロムRFBを、FeおよびCrについてのキレートDTPAおよびPDTAをそれぞれ使用して示した。FeDTPAは、高い溶解度を示し、次世代のキレート化FeCr RFBに適切な反応速度で1.35M(20°C、pH9)で可逆的にサイクルすることができる。触媒改質電極をHCl中の44°Cで、40mAcm-2でサイクルする最も高い性能のFeCrセル(1.25M)と比較して、完全にキレート化されたFeCr RFBを、未改質カーボン電極で50mAcm-2、20°C、およびpH9で動作することができる。両方のセルは、1.18Vの平衡電位を有しながら、示された結果は、性能の向上、73mWcm-2と比較して216mWcm-2の最大放電出力密度(196%の増加)、97%と比較して100%のクーロン効率、および73%と比較して78%の往復エネルギー効率を通じてのキレート化の効果を示す。
【0177】
上記説明において、範囲を検討、使用した。当業者は、規定範囲内のいずれか部分範囲が発明から逸脱することなく広範囲内のいずれかの数として適切であることを理解するであろう。
【0178】
本発明の上記説明は、金属キレートおよび金属キレートを含む電池、ならびに金属キレートを作製する方法に関し、図解および説明の目的のために示した。さらに、説明は、本発明を本明細書に開示した形態に限定することを意図しない。したがって、上記教示に対応する変更および修正、ならびに同等の技術の技量または知識も、本発明の範囲内にある。上記実施形態は、本発明を実施するための最良の形態を説明し、他の当業者が本発明をこのような実施形態で、または他の実施形態で、かつ本発明の特定の用途または使用において必要とされる様々な修正を加えて利用可能とすることをさらに意図する。添付の特許請求の範囲は、先行技術によって許される範囲まで変形実施形態を含むものと意図される。
【国際調査報告】