(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-18
(54)【発明の名称】ヒトの紙巻きタバコの喫煙過程及び喫煙環境をシミュレーションするマニピュレータ及びそのシミュレーション方法
(51)【国際特許分類】
A24C 5/32 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
A24C5/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528971
(86)(22)【出願日】2021-01-21
(85)【翻訳文提出日】2021-08-16
(86)【国際出願番号】 CN2021073107
(87)【国際公開番号】W WO2021212937
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】202010329623.9
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010313947.3
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517283640
【氏名又は名称】雲南中煙工業有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鄭▲はん▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ちゃん▼建波
(72)【発明者】
【氏名】王浩
(72)【発明者】
【氏名】李▲げん▼
(72)【発明者】
【氏名】張瑩
(72)【発明者】
【氏名】余振華
(72)【発明者】
【氏名】王涛
(72)【発明者】
【氏名】謝▲じゃお▼
(72)【発明者】
【氏名】余▲てぃん▼▲てぃん▼
(72)【発明者】
【氏名】王旭
(72)【発明者】
【氏名】李利偉
(72)【発明者】
【氏名】丁海燕
(72)【発明者】
【氏名】岳保山
(72)【発明者】
【氏名】余江
(72)【発明者】
【氏名】張静
【テーマコード(参考)】
4B144
【Fターム(参考)】
4B144CF08
4B144CL01
(57)【要約】
ヒトの紙巻きタバコの喫煙過程及び喫煙環境をシミュレーションするマニピュレータであって、順次接続されるベース(1)、第1アーム(3)、第2アーム(4)、ハンド(5)及びタバコクランプ(6)を備え、タバコクランプ(6)は、タバコ挿入口(61)と、吸引シミュレーターに接続されるタバコ吸引管(62)とを含み、マニピュレータは、タバコクランプ(6)の周囲に位置し、吸気管路を介して吸気機に連通する少なくとも1つの吸気口(8)をさらに備える。マニピュレータは、タバコクランプ(6)がタバコを持ったまま吸引位置から灰叩き位置に到達するようにアームを移動させ、移動中の気流の灰柱への影響をリアルにシミュレーションする。ヒトの紙巻きタバコの喫煙過程及び喫煙環境をシミュレーションするマニピュレータは、吸気の形で吸気口(8)の付近に気流を形成させることで、ヒトが紙巻きタバコを喫煙するときの屋外環境における風速の灰柱への影響をシミュレーションし、ヒトの紙巻きタバコの喫煙環境をリアルにシミュレーションする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの紙巻きタバコの喫煙過程及び喫煙環境をシミュレーションするマニピュレータであって、
順次接続されるベース(1)、第1アーム(3)、第2アーム(4)、ハンド(5)及びタバコクランプ(6)を備え、
前記タバコクランプ(6)は、タバコ挿入口(61)と、吸引シミュレーターに接続されるタバコ吸引管(62)とを含み、
前記マニピュレータは、前記タバコクランプ(6)の周囲に位置し、吸気管路を介して吸気機に連通する少なくとも1つの吸気口(8)をさらに備え、
前記マニピュレータは、支持部材(72)と叩き片(71)とを含み、前記タバコクランプ(6)に固定されるか又は作業台に単独で配置される灰叩き機構(7)をさらに備えることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項2】
前記ベース(1)と回転台(2)との間の接続位置が第1接続部(11)であり、前記回転台(2)と第1アーム(3)との間の接続位置が第2接続部(22)であり、前記第1アーム(3)と前記第2アーム(4)との間の接続位置が第3接続部(33)であり、前記第1アーム(4)と前記ハンド(5)との間の接続位置が第4接続部(44)であり、
前記第2接続部(22)、第3接続部(33)、第5接続部(55)が回動式接続であり、前記第1接続部(11)、第4接続部(44)が回転式接続であることを特徴とする請求項1に記載のマニピュレータ。
【請求項3】
前記吸気口(8)にフィルター(9)を有することを特徴とする請求項1に記載のマニピュレータ。
【請求項4】
請求項1に記載のマニピュレータによって、ヒトの紙巻きタバコの喫煙過程及び喫煙環境をシミュレーションする方法であって、
(1)タバコに点火し、吸引シミュレーターを吸引モードに設定して吸引を作動させるとともに、吸気機を作動させるステップと、同時に又はその後、
(2)マニピュレータを作動させるとともに制御パラメータを設定し、前記タバコクランプ(6)がタバコを持ったまま吸引位置から灰叩き位置に到達するようにアームを移動させるステップと、
(3)灰叩き位置に到達した後、前記叩き片(71)がタバコを叩いて灰落としを行い、灰落としが終了した後、前記タバコクランプ(6)がタバコを持ったまま灰叩き位置から吸引位置に到達するようにアームを移動させ、1回の喫煙動作を完了させるステップと、
(4)ステップ(2)~(3)を繰り返して、複数回の喫煙動作を完了させるステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
ステップ(2)における前記タバコクランプ(6)がタバコを持ったまま吸引位置から灰叩き位置に到達するようにアームを移動させるプロセスにおいて、下ろし位置を通過することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記吸引位置から前記ベース(1)の底部までの高さを第1高さとし、前記下ろし位置から前記ベース(1)の底部までの高さを第2高さとし、前記灰叩き位置から前記ベース(1)の底部までの高さを第3高さとすると、前記第1高さが前記第2高さよりも大きく、前記第2高さが前記第3高さよりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(1)における吸気機の吸気速度が10m/s未満であり且つ0m/sを含まないことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(1)における吸引シミュレーターの吸引モードがISO、FTC、Massachusetts吸引モードであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙巻きタバコの喫煙検出分野に関し、特に、ヒトの紙巻きタバコの喫煙過程及び喫煙環境をシミュレーションするマニピュレータ及びそのシミュレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコの燃焼中に灰柱が形成され、紙巻きタバコの葉の成分、材料の成分、物理的指数などの違いにより、紙巻きタバコの灰柱は、燃焼前のタバコに比べて異なる程度に収縮されるとともに、灰のひびや灰の割れ(灰の割れとは紙巻きタバコの燃焼時に灰片が灰柱の本体から脱落して外方に破裂することを指す)が生じることもある。紙巻きタバコの灰収斂性は、紙巻きタバコ製品が燃焼するときに喫煙者が直観的に感じられる重要な外観形態であり、灰収斂性の優劣は喫煙者の紙巻きタバコ製品の品質に対する判断に直接影響を与える。また、紙巻きタバコの喫煙中に、灰の落下や灰の飛散が頻繁に発生し、深刻な時には燃焼コーンの脱落が発生したため、環境を汚染するだけでなく、喫煙者や受動喫煙者の置かれた環境に対する不快感や不満感を引き起こす要因の1つでもあり、また、紙巻きタバコのブランドに対する喫煙者のロイヤルティにも影響を及ぼし、さらに安全上の危険をもたらすこともある。
【0003】
現在、紙巻きタバコサンプルの燃焼時の灰収斂性に対する検出設備及び技術には、主に静的燃焼画像分析法、吸引モード画像分析法、CTスキャン法などが含まれており、採用されている技術的手段はいずれも紙巻きタバコサンプルを固定位置に配置して検出を行うことであるが、検出データは、喫煙者の実際の喫煙過程におけるタバコ燃焼時の灰収斂性を正確に反映することができない。その具体的な原因としては次の2つが考えられる。1つは、タバコの静的燃焼試験はヒトの典型的な喫煙動作を反映することができず、すなわち、ヒトの喫煙過程において吸引点を出発点とし、灰皿を終点とする腕の移動経路をシミュレーションすることができない。燃焼中にタバコが移動すると、空気流がタバコの灰柱の性能に大きな影響を与える。もう1つは、喫煙者の典型的な喫煙過程において、喫煙者は、一服の吸引が完了した後、手に持ったタバコを灰皿に近づけて灰を叩き落とすが、この動作は紙巻きタバコの灰収斂性の測定に対して特に重要であるので、静的測定は、測定サンプルを製造や生活に適用した場合の優劣を正確に反映することができない。また、ヒトによる紙巻きタバコの喫煙の多くは実際屋外環境において行われ、風速が灰柱に大きな影響を与えるが、静的燃焼試験は環境が相対的に安定した室内で行われることが多いので、実際のヒトによる紙巻きタバコの喫煙をよりリアルにシミュレーションするには、喫煙環境のシミュレーションも重要である。
【0004】
以上の問題を解決するために、本発明を提案する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、従来の静的燃焼検出方法の欠陥を解決するために、ヒトの紙巻きタバコの喫煙過程及び喫煙環境をシミュレーションするマニピュレータを提供することにあり、該マニピュレータは、順次接続されるベース1、第1アーム3、第2アーム4、ハンド5、及びタバコクランプ6を備え、タバコクランプ6は、タバコ挿入口61と、吸引シミュレーターに接続されるタバコ吸引管62とを含み、マニピュレータは、タバコクランプ6の周囲に位置し、吸気管路を介して吸気機に連通する少なくとも1つの吸気口8をさらに備える。
【0006】
好ましくは、ベース1と回転台2との間の接続位置が第1接続部11であり、回転台2と第1アーム3との間の接続位置が第2接続部22であり、第1アーム3と第2アーム4との間の接続位置が第3接続部33であり、第1アーム4とハンド5との間の接続位置が第4接続部44であり、
第2接続部22、第3接続部33、第5接続部55が回動式接続であり、第1接続部11、第4接続部44が回転式接続である。
【0007】
回転台2は、第1接続部11が位置する平面に沿ってベース1に対して回転し、ハンド5は、第4接続部44が位置する平面に沿って第1アーム4に対して回転し、これにより、実際の喫煙過程における喫煙者の肩の回転、肘の回転及び手首の曲げなどの動作をシミュレーションする。典型的な喫煙者の喫煙過程は、一服の吸引が完了した後、喫煙者がタバコを持ったまま、肘を中心とし、口を出発点とし、灰皿を終点とする腕の移動動作、灰皿に到達した後の手首関節を中心とした手首曲げ動作、又は、腕の移動動作と同時に行われる手首曲げ動作、最後に行われる灰叩き動作を含む。
【0008】
好ましくは、吸気口8にフィルター9を有し、煙を吸い取ると同時に灰をろ過することができる。
【0009】
好ましくは、マニピュレータは、支持部材72と叩き片71とを含み、タバコクランプ6に固定されるか又は作業台に単独で配置される灰叩き機構7をさらに備える。
【0010】
本発明の第2の態様は、マニピュレータによって、ヒトの紙巻きタバコの喫煙過程及び喫煙環境をシミュレーションする方法であって、具体的には、
(1)タバコに点火し、吸引シミュレーターを吸引モードに設定して吸引を作動させるステップと、同時に又はその後、
(2)マニピュレータを作動させるとともに制御パラメータを設定し、タバコクランプ6がタバコを持ったまま吸引位置から灰叩き位置に到達するようにアームを移動させるステップと、
(3)灰叩き位置に到達した後、叩き片71がタバコを叩いて灰落としを行い、灰落としが終了した後、タバコクランプ6がタバコを持ったまま灰叩き位置から吸引位置に到達するようにアームを移動させ、1回の喫煙動作を完了させるステップと、
(4)ステップ(2)~(3)を繰り返して、複数回の喫煙動作を完了させるステップと、を含む。
【0011】
好ましくは、ステップ(2)におけるタバコクランプ6がタバコを持ったまま吸引位置から灰叩き位置に到達するようにアームを移動させるプロセスにおいて、下ろし位置を通過し、ここで所定時間停留することによって、ヒトによる吸引後の、灰叩き動作を行わないときのタバコの停留状態をシミュレーションする。
【0012】
吸引位置からベース1の底部までの高さを第1高さとし、下ろし位置からベース1の底部までの高さを第2高さとし、灰叩き位置からベース1の底部までの高さを第3高さとすると、第1高さが第2高さよりも大きく、第2高さが第3高さよりも大きい。
【0013】
好ましくは、ステップ(1)における吸気機の吸気速度は10m/s未満(0m/sを含まない)である。
【0014】
好ましくは、ステップ(1)における吸引シミュレーターの吸引モードはISO、FTC、Massachusetts吸引モードである。
【0015】
従来技術に比べて、本発明は次の有益な効果を奏する。
1、本発明のマニピュレータは、支持部材72と叩き片71とを含み、タバコクランプ6に固定されるか又は単独で配置される灰叩き機構7を備える。タバコクランプ6がタバコを持ったまま吸引位置から灰叩き位置に到達した後、叩き片71がタバコを叩いて灰落としを行い、ヒトの紙巻きタバコの喫煙過程をよりリアルにシミュレーションする。
2、本発明のマニピュレータは、タバコクランプ6がタバコを持ったまま吸引位置から灰叩き位置に到達するようにアームを移動させる。典型的な喫煙者の喫煙過程は、一服の吸引が完了した後、喫煙者がタバコを持ったまま、肘を中心とし、口を出発点とし、灰皿を終点とする腕の移動動作、灰皿に到達した後の手首関節を中心とした手首曲げ動作、又は、腕の移動動作と同時に行われる手首曲げ動作、最後に行われる灰叩き動作を含む。本発明のマニピュレータは、燃焼中にタバコが移動した場合の灰柱に対する空気流の影響をよりリアルにシミュレーションする。
3、本発明のマニピュレータは、タバコクランプ6の周囲に位置し、吸気管路を介して吸気機に連通する少なくとも1つの吸気口8をさらに備える。吸気機によって吸気口8の位置で吸気することにより、(1)タバコの燃焼により発生した煙を吸い取ること、(2)吸気の形で吸気口8の付近に気流を形成させ、吸気機の吸気速度を調整することで、ヒトが実際紙巻きタバコを喫煙するときの屋外環境における風の灰柱への影響をシミュレーションすることができる。さらに、吸気口8にフィルター9を有し、煙を吸い取ると同時に灰をろ過することできる。
4、本発明の好ましい実施形態において、タバコクランプ6がタバコを持ったまま吸引位置から灰叩き位置に到達するようにアームを移動させるプロセスにおいて、下ろし位置を通過し、ここで所定時間停留することによって、ヒトによる吸引後の、灰叩き動作をしないときのタバコの停留状態をシミュレーションする。
5、本発明のマニピュレータは、喫煙者が紙巻きタバコを吸う際の動作過程をシミュレーションし、毎回動作過程をシミュレーションする時の一致性を確保して、紙巻きタバコ燃焼時の灰収斂性の検出精度を効果的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例1においてマニピュレータが吸引位置にある状態を示す図である。
【
図2】本発明の実施例1においてマニピュレータが下ろし位置にある状態を示す図である。
【
図3】本発明の実施例1においてマニピュレータが灰叩き位置にある状態を示す図である。
【
図4】本発明の実施例2においてマニピュレータが吸引位置にある状態を示す図である。
【
図5】本発明の実施例2におけるマニピュレータの吸気口8の構造概略図である。
【
図6】本発明の実施例2におけるマニピュレータの吸気口8の構造概略図である。
【
図7】本発明の実施例2においてマニピュレータが下ろし位置にある状態を示す図である。
【
図8】本発明の実施例2においてマニピュレータが灰叩き位置にある状態を示す図である。
【
図9】設定された収集燃焼長さに達したときに収集した対応画像である。
【
図10】設定された収集燃焼長さに達したときに収集した対応画像である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施例1
本実施例では、本発明のマニピュレータを使用して、ヒトの実際の紙巻きタバコの喫煙環境及び喫煙過程をシミュレーションすることにより、喫煙過程におけるタバコの灰収斂性をより正確に検出する。具体的な測定プロセスは次の通りである。
(1)タバコに点火し、吸引シミュレーターを吸引モードに設定して吸引を作動させるステップと、同時に又はその後、
(2)マニピュレータを作動させるとともに制御パラメータを設定し、タバコクランプ6がタバコを持ったまま吸引位置から灰叩き位置に到達するようにアームを移動させるステップと、
(3)灰叩き位置に到達した後、叩き片71がタバコを叩いて灰落としを行い、灰落としが終了した後、タバコクランプ6がタバコを持ったまま灰叩き位置から吸引位置に到達するようにアームを移動させ、1回の喫煙動作を完了させるステップと、
(4)ステップ(2)~(3)を繰り返して、複数回の喫煙動作を完了させるステップと、を含む。
【0018】
ステップ(2)におけるタバコクランプ6がタバコを持ったまま吸引位置から灰叩き位置に到達するようにアームを移動させるプロセスにおいて、下ろし位置を通過し、ここで所定時間停留することによって、ヒトによる吸引後の、灰叩き動作をしないときのタバコの停留状態をシミュレーションする。
【0019】
吸引位置からベース1の底部までの高さを第1高さとし、下ろし位置からベース1の底部までの高さを第2高さとし、灰叩き位置からベース1の底部までの高さを第3高さとすると、第1高さが第2高さよりも大きく、第2高さが第3高さよりも大きい。
【0020】
ステップ(1)における吸引シミュレーターの吸引モードはFTC吸引モードである。
【0021】
2組の同じロットの紙巻きタバコサンプル1~5(2組中、サンプル1は同じロットであるが、サンプル1とサンプル2~5は同じロットではない)を取り、それぞれ本発明の動的吸引シミュレーション及び静的吸引を行った。吸引中において検出サンプルの画像に対してリアルタイム記録分析を行い、検出サンプルが設定された収集燃焼長さに達した後、検出を終了し、収集燃焼長さ範囲内の指数データの平均値をサンプルの検出指数結果とした。表1は、異なる条件における、ある紙巻きタバコサンプルの収集燃焼長さを30mmに設定した場合の灰凝固指数の検出結果である。
図9は、設定された収集燃焼長さに達したときに収集した対応画像である。
【0022】
灰凝固指数の計算式:紙巻きタバコ燃焼時の灰凝固指数AIは、下記式:
(式中、Srは灰柱のひび割れ部分の面積であり、Stは灰柱の全体面積である)により算出される。
被検出紙巻きタバコの燃焼時の灰凝固指数AIは、複数のカメラにより収集された画像の計算結果の平均値である。
【0023】
【0024】
図9の検出結果より分かるように、ヒトの喫煙のシミュレーションは、喫煙シミュレーション中において一部の画像がタバコの灰を落とした後に収集された画像であるため、画像処理において紙巻きタバコの燃焼コーンに対して画像比較処理が行われ、燃焼コーンが除去された場合に実際の喫煙過程では灰落とし部分の画像収集が行われない。したがって、同じロットのサンプルにおいて、動的吸引シミュレーション時の灰凝固指数は静的吸引時に収集された灰凝固指数よりも高い。実際の喫煙過程において喫煙者が腕を移動してタバコを移動させるときに、空気流がタバコの灰柱に影響を与えるので、本実施例における動的吸引シミュレーション時の紙巻きタバコの灰凝固指数は、実際の喫煙時の紙巻きタバコの灰凝固指数の研究にとって参考の価値がある。
実施例2
【0025】
本実施例では、本発明のマニピュレータを使用して、ヒトの実際の紙巻きタバコの喫煙環境及び喫煙過程をシミュレーションすることにより、喫煙過程におけるタバコの灰収斂性をより正確に検出する。具体的な測定プロセスは次の通りである。
(1)タバコに点火し、吸引シミュレーターを吸引モードに設定して吸引を作動させるとともに、吸気機を作動させるステップと、同時に又はその後、
(2)マニピュレータを作動させるとともに制御パラメータを設定し、タバコクランプ6がタバコを持ったまま吸引位置から灰叩き位置に到達するようにアームを移動させるステップと、
(3)灰叩き位置に到達した後、叩き片71がタバコを叩いて灰落としを行い、灰落としが終了した後、タバコクランプ6がタバコを持ったまま灰叩き位置から吸引位置に到達するようにアームを移動させ、1回の喫煙動作を完了させるステップと、
(4)ステップ(2)~(3)を繰り返して、複数回の喫煙動作を完了させるステップと、を含む。
【0026】
ステップ(2)におけるタバコクランプ6がタバコを持ったまま吸引位置から灰叩き位置に到達するようにアームを移動させるプロセスにおいて、下ろし位置を通過し、ここで所定時間停留することによって、ヒトによる吸引後の、灰叩き動作をしないときのタバコの停留状態をシミュレーションする。
【0027】
吸引位置からベース1の底部までの高さを第1高さとし、下ろし位置からベース1の底部までの高さを第2高さとし、灰叩き位置からベース1の底部までの高さを第3高さとすると、第1高さが第2高さよりも大きく、第2高さが第3高さよりも大きい。
【0028】
ステップ(1)における吸気機の吸気速度はそれぞれ0m/s、2m/s、4m/sである。
【0029】
ステップ(1)における吸引シミュレーターの吸引モードはISO吸引モードである。
【0030】
2組の同じロットの紙巻きタバコサンプル1~5(2組中、サンプル1は同じロットであるが、サンプル1とサンプル2~5は同じロットではない)を取り、それぞれ本発明の吸気速度0m/s、2m/s、4m/sの動的吸引シミュレーションを行った。吸引中において検出サンプルの画像に対してリアルタイム記録分析を行い、検出サンプルが設定された収集燃焼長さに達した後、検出を終了し、収集燃焼長さ範囲内の指数データの平均値をサンプルの検出指数結果とした。表2は、異なる条件における、ある紙巻きタバコサンプルの収集燃焼長さを35mmに設定した場合の灰凝固指数の検出結果である。
図10は、設定された収集燃焼長さに達したときに収集した対応画像である。
【0031】
灰凝固指数の計算式:紙巻きタバコ燃焼時の灰凝固指数AIは、下記式:
(式中、Srは灰柱のひび割れ部分の面積であり、Stは灰柱の全体面積である)により算出される。
被検出紙巻きタバコの燃焼時の灰凝固指数AIは、複数のカメラにより収集された画像の計算結果の平均値である。
【0032】
【0033】
表2及び
図10から分かるように、吸気速度の増加に伴い、紙巻きタバコサンプル1~5の灰凝固指数がいずれも異なる程度に低下し、これは、実際の喫煙時の屋外環境における風の灰柱への影響を考慮しなければならないことを示している。本実施例は、吸気の形で吸気口8の付近に気流を形成させ、吸気機の吸気速度を調整することで、ヒトの実際の紙巻きタバコの喫煙時の屋外環境における風の灰柱への影響をシミュレーションした。したがって、本実施例における吸気速度2m/s又は4m/sの場合の紙巻きタバコの灰凝固指数は、実際の喫煙時の紙巻きタバコの灰凝固指数の研究にとって参考の価値がある。本実施例では、紙巻きタバコサンプル1、3、4は、屋外で風のある実際の喫煙の状況において、紙巻きタバコサンプル2、5よりも紙巻きタバコの灰凝固性が良好である。
【符号の説明】
【0034】
1:ベース
2:回転台
3:第1アーム
4:第2アーム
5:ハンド
6:タバコクランプ
7:灰叩き機構
8:吸気口
9:フィルター
11:第1接続部
22:第2接続部
33:第3接続部
44:第4接続部
55:第5接続部
61:タバコ挿入口
62:タバコ吸引管
71:叩き片
72:支持部材
【手続補正書】
【提出日】2021-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの紙巻きタバコの喫煙過程及び喫煙環境をシミュレーションするマニピュレータによって、ヒトの紙巻きタバコの喫煙過程及び喫煙環境をシミュレーションする方法であって、
ヒトの紙巻きタバコの喫煙過程及び喫煙環境をシミュレーションするマニピュレータは、順次接続されるベース(1)、第1アーム(3)、第2アーム(4)、ハンド(5)及びタバコクランプ(6)を備え、
前記タバコクランプ(6)は、タバコ挿入口(61)と、吸引シミュレーターに接続されるタバコ吸引管(62)とを含み、
前記マニピュレータは、前記タバコクランプ(6)の周囲に位置し、吸気管路を介して吸気機に連通する少なくとも1つの吸気口(8)をさらに備え、
前記マニピュレータは、支持部材(72)と叩き片(71)とを含み、前記タバコクランプ(6)に固定されるか又は作業台に単独で配置される灰叩き機構(7)をさらに備え、
前記方法は、
(1)タバコに点火し、吸引シミュレーターを吸引モードに設定して吸引を作動させるとともに、吸気機を作動させるステップと、同時に又はその後、
(2)マニピュレータを作動させるとともに制御パラメータを設定し、前記タバコクランプ(6)がタバコを持ったまま吸引位置から灰叩き位置に到達するようにアームを移動させるステップと、
(3)灰叩き位置に到達した後、前記叩き片(71)がタバコを叩いて灰落としを行い、灰落としが終了した後、前記タバコクランプ(6)がタバコを持ったまま灰叩き位置から吸引位置に到達するようにアームを移動させ、1回の喫煙動作を完了させるステップと、
(4)ステップ(2)~(3)を繰り返して、複数回の喫煙動作を完了させるステップと、を含むことを特徴とする
、方法。
【請求項2】
ステップ(2)における前記タバコクランプ(6)がタバコを持ったまま吸引位置から灰叩き位置に到達するようにアームを移動させるプロセスにおいて、下ろし位置を通過することを特徴とする
、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記吸引位置から前記ベース(1)の底部までの高さを第1高さとし、前記下ろし位置から前記ベース(1)の底部までの高さを第2高さとし、前記灰叩き位置から前記ベース(1)の底部までの高さを第3高さとすると、前記第1高さが前記第2高さよりも大きく、前記第2高さが前記第3高さよりも大きいことを特徴とする
、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(1)における吸気機の吸気速度が10m/s未満であり且つ0m/sを含まないことを特徴とする
、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(1)における吸引シミュレーターの吸引モードがISO、FTC、Massachusetts吸引モードであることを特徴とする
、請求項
1に記載の方法。
【国際調査報告】