特表 2022-525584 幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャー及びその製造方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公表特許公報(A)

(11)【公表番号】

(43)【公表日】2022-05-18

(54)【発明の名称】幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャー及びその製造方法

(51)【国際特許分類】

   A41C 3/00 20060101AFI20220511BHJP

   A41C 3/12 20060101ALI20220511BHJP

   A41C 5/00 20060101ALI20220511BHJP

【ＦＩ】

A41C3/00 Z

A41C3/12 C

A41C5/00 B

【審査請求】有

【予備審査請求】未請求

(21)【出願番号】P 2021544601

(86)(22)【出願日】2019-05-10

(85)【翻訳文提出日】2021-07-30

(86)【国際出願番号】 CN2019086457

(87)【国際公開番号】W WO2020181644

(87)【国際公開日】2020-09-17

(31)【優先権主張番号】201910174237.4

(32)【優先日】2019-03-08

(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN

(81)【指定国・地域】

(71)【出願人】

【識別番号】510301253

【氏名又は名称】アンブリー （チャイナ） ガーメンツ リミテッド

(74)【代理人】

【識別番号】100115381

【弁理士】

【氏名又は名称】小谷 昌崇

(74)【代理人】

【識別番号】100067828

【弁理士】

【氏名又は名称】小谷 悦司

(74)【代理人】

【識別番号】100155848

【弁理士】

【氏名又は名称】福山 東成

(72)【発明者】

【氏名】チェン ピ ハォ リーザ

【テーマコード（参考）】

3B131

【Ｆターム（参考）】

3B131AA11

3B131AB06

3B131BA33

3B131BA41

3B131BA45

3B131BB36

3B131DA02

3B131DA23

(57)【要約】

本発明は、幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャー及びその製造方法を提供する。前記ブラジャーはカップと、前中心と、バックウィングと、アンダーベルトヘムとを備え、前記アンダーベルトヘムが連続した帯状の構造であり、前記アンダーベルトヘムに位置決め線が設けられ、前記カップの下縁が前記位置決め線に沿って前記アンダーベルトヘムに接続し、前記アンダーベルトヘムと前記カップが対向して重なる領域において、前記アンダーベルトヘムと前記カップの間に中間層が形成されるように、前記アンダーベルトヘムと前記カップが接続せず、前記中間層が胸脂肪の一部を収容するために用いられる。本発明に係る幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャー及びその製造方法は、構造が簡単であり、快適に着用でき、支持安定性が良好で、造形効果がよく、蒸れて通気が悪くなる問題、及びアンダーベルトヘムがカールしたり、外転したりする問題を効果的に回避できる。

【特許請求の範囲】

【請求項1】

カップ（５）と、前中心（２）と、バックウィング（３）と、アンダーベルトヘム（１）とを備え、
前記アンダーベルトヘム（１）が連続した帯状の構造であり、
前記アンダーベルトヘム（１）に位置決め線（４）が設けられ、
前記カップ（５）の下縁が前記位置決め線（４）に沿って前記アンダーベルトヘム（１）に接続し、
前記アンダーベルトヘム（１）と前記カップ（５）が対向して重なる領域において、前記アンダーベルトヘム（１）と前記カップ（５）の間に中間層（７）が形成されるように、前記アンダーベルトヘム（１）と前記カップ（５）が接続せず、
前記中間層（７）が胸脂肪の一部を収容するために用いられることを特徴とする幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャー。

【請求項2】

前記前中心（２）及び前記バックウィング（３）が前記アンダーベルトヘム（１）の上側に位置し、
前記バックウィング（３）及び前記前中心（２）の下側縁が前記アンダーベルトヘム（１）の上側縁に接続することを特徴とする請求項１に記載の幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャー。

【請求項3】

前記バックウィング（３）及び前記前中心（２）の下側縁が、カバーステッチ、へリンボーンステッチ、スリーニードルステッチ及び接合プロセスのうちの１種又は複数種によって、前記アンダーベルトヘム（１）の上側縁に接続することを特徴とする請求項２に記載の幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャー。

【請求項4】

前記アンダーベルトヘム（１）の幅が３５ｍｍ以上であることを特徴とする請求項１に記載の幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャー。

【請求項5】

前記位置決め線（４）が前記アンダーベルトヘム（１）上に設けられた弧形の曲線であることを特徴とする請求項１に記載の幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャー。

【請求項6】

前記位置決め線（４）が前記前中心（２）から離れる側に向かってアーチ状となった弧形の曲線であることを特徴とする請求項１に記載の幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャー。

【請求項7】

点ｂと点ｃがそれぞれ前記前中心（２）と前記アンダーベルトヘム（１）の接続線の両端点であり、
点ａと点ｄがそれぞれ２つのバックウィング（３）の前記前中心（２）に近い一端と前記アンダーベルトヘム（１）の接続点であり、
点ａ、点ｂ、点ｃ、点ｄが順に前記アンダーベルトヘム（１）の上側縁に排列し、
前記位置決め線（４）が２本あり、そのうちの１本の位置決め線（４）の両端点がそれぞれ点ａと点ｂであり、もう１本の位置決め線（４）の両端点がそれぞれ点ｃと点ｄであることを特徴とする請求項２に記載の幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャー。

【請求項8】

前記カップ（５）の縁にワイヤケーシング（６）が設けられ、
前記ワイヤケーシング（６）がダブルニードルステッチによってカップ（５）に接続することを特徴とする請求項１に記載の幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャー。

【請求項9】

請求項１～８のいずれか一項に記載の幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャーの製造に用いられる方法であって、
（Ｓ１）寸法に応じてアンダーベルトヘムを裁断するステップと、
（Ｓ２）アンダーベルトヘムの上側縁において前中心とバックウィングの接続点を決定するステップと、
（Ｓ３）カバーステッチ、へリンボーンステッチ、スリーニードルステッチ及び接合プロセスのうちの１種又は複数種によって、前中心及びバックウィングを接続するステップと、
（Ｓ４）アンダーベルトヘム上に位置決め線を書くステップと、
（Ｓ５）シングルニードルステッチによって、カップと、アンダーベルトヘム、バックウィング及び前中心とをそれぞれ接続するステップと、
（Ｓ６）ワイヤケーシングを配置し、ダブルニードルステッチによって接続するステップと
ことを特徴とする幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャーの製造方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、衣料の技術分野に関し、具体的には、女性用下着、特に幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャー及びその製造方法に関する。

【背景技術】

【0002】

ブラジャーは、主にカップと、ウイングと、肩紐の３つの部分からなる。２つのカップの間には前中心が設けられており、前中心は主に中心距離を制御し、カップを接続し、カップを変位しにくくする機能を有する。ウイングは通常サイドウィングとバックウィングを備え、両脇の脂肪を引き締め、胸の支持を補助するために用いられる。カップは主に胸脂肪を集めて、胸のラインを作るために用いられる。一般に、ウイングの下側にアンダーベルトヘムが設けられ、その主な機能はブラジャーを支持してその位置を固定し、着用をより安定的に、ぴったりに、快適にすることにある。

【0003】

現在市場にあるブラジャーのアンダーベルトヘムには、さまざまな幅がある。一般に、アンダーベルトヘムは、逆順敷設結合法によって、アンダーバスト、サイドウィング及びバックウィングの内側に敷設され、その上縁は通常アンダーバストに連続して接続される。アンダーベルトヘムの幅は、一般にその上縁がカップの下縁又はワイヤケーシングと接続できるように設定されていればよい。図１～３に示すように、伝統的な逆順敷設結合法は以下のステップを備える。先ず、図１に示すように、シングルニードルステッチによって前中心、アンダーバスト及びバックウィングを接続する。次に、図２に示すように、へリンボーンステッチ、スリーニードルステッチ又はカバーステッチによってアンダーベルトヘムを配置固定する。そして、図３に示すように、シングルニードルステッチによってカップを縫い付け、カップの底にワイヤケーシングを配置し、ダブルニードルステッチによってこれらを縫い付ける。

【0004】

伝統的な逆順敷設結合法によって製造されたブラジャーは、アンダーベルトヘムが比較的に細く、以下の欠点がある。第１に、力を受ける面が小さく、きつく締め付けられる着用感が発生しやすい。第２に、支持力と安定性が悪く、特に胸が大きい消費者が着用した場合には、ブラジャーがずれたり滑ったりする現象が生じる。第３に、従来の伝統的な逆順結合プロセスでは、胸が大きい消費者にとって、乳房と胴体が密着して、蒸れて通気が悪くなることが生じやすい。第４に、構造が複雑であり、製造難度が高く、コストが高い。

【0005】

上記の課題を解決するために、本願発明者は、伝統的なブラジャー構造を基礎にして、アンダーベルトヘムを幅広にすることで上記欠点の克服を試みた。しかしながら、アンダーベルトヘムを幅広にすることで、力を受ける面と支持力を増大させ、きつく締め付けられる着用感をある程度改善させ、ブラジャーの安定性を向上させて、ブラジャーがずれたり滑ったりする現象を生じさせる可能性を低くできるものの、アンダーベルトヘムを幅広にしたことによって、幅広にした後のアンダーベルトヘムがカールしたり、外転したりする欠点が生じて着用に影響するといった新たな問題も発生することを、発明者は発見した。そして、アンダーベルトヘムを幅広にした後には、ブラジャー下部と胴体はより密着して、より一層蒸れて通気が悪化する。

【0006】

それ故、上記課題を解決するために、幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャー及びその製造方法を提供することは、当業者が早急に解決すべき技術的課題の１つである。

【発明の概要】

【0007】

上記の状況を鑑み、本発明は幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャー及びその製造方法を提供することを目的とし、以て従来のブラジャーが有する課題：構造が複雑であり、着用時にきつく締め付けられる不快感があり、支持力と安定性が悪く、ずれたり滑ったりする現象が生じやすく、乳房と胴体が密着して蒸れて通気が悪くなり、アンダーベルトヘムがカールしたり外転したりすることを解決する。

【0008】

上記の目的を達成するための本発明の技術方案は、次の通りである。

【0009】

カップと、前中心と、バックウィングと、アンダーベルトヘムとを備え、前記アンダーベルトヘムはが連続した帯状の構造であり、前記アンダーベルトヘムに位置決め線が設けられ、前記カップの下縁が前記位置決め線に沿って前記アンダーベルトヘムに接続し、前記アンダーベルトヘムと前記カップが対向して重なる領域において、前記アンダーベルトヘムと前記カップの間に中間層が形成されるように、前記アンダーベルトヘムと前記カップが接続せず、前記中間層が胸脂肪の一部を収容するために用いられる幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャーである。

【0010】

さらには、前記前中心及び前記バックウィングが前記アンダーベルトヘムの上側に位置し、前記バックウィング及び前記前中心の下側縁が前記アンダーベルトヘムの上側縁に接続する。

【0011】

さらには、前記バックウィング及び前中心の下側縁がカバーステッチ、へリンボーンステッチ、スリーニードルステッチ及び接合プロセスのうちの１種又は複数種によって、前記アンダーベルトヘムの上側縁に接続する。

【0012】

さらには、前記アンダーベルトヘムの幅が３５ｍｍ以上である。

【0013】

さらには、前記位置決め線が前記アンダーベルトヘム上に設けられた弧形の曲線である。

【0014】

さらには、前記位置決め線が前記前中心から離れる側に向かってアーチ状となった弧形の曲線である。

【0015】

さらには、点ｂと点ｃがそれぞれ前記前中心と前記アンダーベルトヘムの接続線の両端点であり、点ａと点ｄがそれぞれ２つのバックウィングの前記前中心に近い一端と前記アンダーベルトヘムの接続点であり、点ａ、点ｂ、点ｃ、点ｄが順に前記アンダーベルトヘムの上側縁に排列し、前記位置決め線が２本あり、そのうちの１本の位置決め線の両端点がそれぞれ点ａと点ｂであり、もう１本の位置決め線の両端点がそれぞれ点ｃと点ｄである。

【0016】

さらには、前記カップの縁にワイヤケーシングが設けられ、前記ワイヤケーシングがダブルニードルステッチによってカップに接続する。

【0017】

本発明のもう１つの目的は、幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャーの製造方法を提供することであり、前記方法は前記ブラジャーの製造に用いられ、前記方法は、（Ｓ１）寸法に応じてアンダーベルトヘムを裁断するステップと、（Ｓ２）アンダーベルトヘムの上側縁において前中心とバックウィングの接続点を決定するステップと、（Ｓ３）カバーステッチ、へリンボーンステッチ、スリーニードルステッチ及び接合プロセスのうちの１種又は複数種によって、前中心及びバックウィングを接続するステップと、（Ｓ４）アンダーベルトヘム上に位置決め線を書くステップと、（Ｓ５）シングルニードルステッチによって、カップと、アンダーベルトヘム、バックウィング及び前中心とをそれぞれ接続するステップと、（Ｓ６）ワイヤケーシングを配置し、ダブルニードルステッチによって接続するステップとを有する。

【0018】

従来技術に対し、本発明に係る幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャーは以下の利点を有する。

【0019】

（１）本発明に係る幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャーは、伝統的なアンダーベルトヘム及びアンダーバストの代わりに、幅広タイプのアンダーベルトヘム一体型を採用しており、幅広タイプのアンダーベルトヘムと前中心及びバックウィングが直接接続する。これにより、前記ブラジャーの構造がより簡単になり、製造プロセスがより簡単になり、コストがさらに低くなる。

【0020】

（２）本発明に係る幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャーは、アンダーベルトヘムの幅を大きくすることによって、位置決め線をアンダーベルトヘムに直接形成し、前記アンダーベルトヘムと前記カップの間に中間層を形成している。消費者は、着用時に、下側の胸脂肪の一部を中間層に配置し、中間層によって胸脂肪を支持する。これによって、一方では、ブラジャーの安定性及びホールド性を効果的に向上させることができ、他方では、胸脂肪と胴体の摩擦を改善でき、離間機能を効果的に発揮する。伝統的なブラジャーに比べ、乳房と胴体が密着しないため、ブラジャーによる蒸れて通気が悪くなることを回避できる。さらに、アンダーベルトヘムで胸脂肪を包んで覆うことによってブラジャーの造形が安定し、着用が快適となり、胸のラインが美しくなる。又、アンダーベルトヘムの幅を大きくしたので、ブラジャー下側と胴体の接触面積が大きくなり、ブラジャー着用時のきつく締め付けられる不快感を効果的に緩和することができる。

【0021】

（３）本発明に係る幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャーは、位置決め線をアンダーベルトヘムに設けることによって、アンダーベルトヘムとカップの下側縁とが互いに接続し、カップによるアンダーベルトヘムへの強化作用によって、幅広タイプのアンダーベルトヘムがカールしたり外転したりする問題を回避できる。

【0022】

（４）本発明に係る幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャーの製造方法は、プロセスが簡単であり、製造コストが低く、ブラジャー製品の全体的な品質と市場競争力の向上に有利であり、製品市場の将来性は良好である。

【0023】

上記の通り、本願に係る幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャー及びその製造方法によれば、構造が簡単であり、快適に着用でき、支持安定性が良好で、造形効果がよいことが難なく得られ、蒸れて通気が悪くなる問題、及びアンダーベルトヘムがカールしたり、外転したりすること問題を効果的に回避できる。

【図面の簡単な説明】

【0024】

本発明の一部を構成する図面は、本発明のさらなる理解のために用いられるものであり、本発明の模式的実施例及びその説明は、本発明を解釈するためのものであって、本発明を不当に限定するものではない。

【0025】

【図1】図１は、従来技術における前中心、アンダーバスト及びバックウィングの接続構造の模式図である。

【図2】図２は、従来技術におけるアンダーベルトヘムと前中心、アンダーバスト及びバックウィングとの接続構造の模式図である。

【図3】図３は、従来技術におけるブラジャーの構造の模式図である。

【図4】図４は、本発明の実施例に係る幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャーの全体構造の模式図である。

【図5】図５は、本発明の実施例に係る幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャーにおけるアンダーベルトヘムの構造の模式図である。

【図6】図６は、本発明の実施例に係る幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャーにおけるアンダーベルトヘムと前中心及びバックウィングとの接続構造の模式図である。

【図7】図７は、本発明の実施例に係る幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャーにおける位置決め線の位置の模式図である。

【図8】図８は、本発明の実施例に係る幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャーにおけるカップとアンダーベルトヘムとの接続構造の模式図である。

【発明を実施するための形態】

【0026】

本発明の技術手段、達成する目的及び効果を理解しやすくするために、以下、具体的な図面と合わせて本発明の実施例について詳細に説明する。

【0027】

本発明において方向及び位置を示す全ての用語、例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」、「トップ」、「ボトム」、「横方向」、「縦方向」、「中心」等は、ある特定の状態での各部材間の相対的な位置関係、接続状況等を解釈するためにのみ用いられるものであって、本発明の説明を容易にするためにのみ用いられ、本発明に、必ず特定の方位で構成及び操作されることを求めるものではなく、本発明を限定するものとして理解すべきではない。又、本発明における「第１」、「第２」等に係る説明は、説明のためにのみ用いられ、その相対的な重要性を示したり暗示したり、又は示された技術的特徴の数を示唆するものとして理解すべきではない。

【0028】

本明細書の説明において、「１つの実施例」、「いくつかの実施例」、「模式的な実施例」、「例示」、「具体的な例示」、又は「いくつかの例示」等の用語を参照するという説明は、当該実施例又は例示を結び付けて説明される具体的な特徴、構造、材料又は特性が、本発明の少なくとも１つの実施形態又は例示に含まれることを意味する。本明細書において、上記の用語に対する模式的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例示を指すとは限らない。さらに、説明される具体的な特徴、構造、材料、又は特性は、いずれか１つ又は複数の実施例又は例示において適切な方法で組み合わせることができる。

【0029】

以下、図面を参照し、実施例により本発明について詳細に説明する。

【実施例1】

【0030】

図４～８に示すように、幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャーは、カップ５と、前中心２と、バックウィング３と、アンダーベルトヘム１とを備え、前記アンダーベルトヘム１は連続した帯状の構造であり、前記前中心２及び前記バックウィング３は、前記アンダーベルトヘム１の上側に位置するとともに、前記アンダーベルトヘム１の上側縁に接続し、前記アンダーベルトヘム１に位置決め線４が設けられ、前記カップ５の下縁は前記位置決め線４に沿ってアンダーベルトヘム１に接続し、前記アンダーベルトヘム１と前記カップ５が対向して重なる領域において、前記アンダーベルトヘム１と前記カップ５の間に中間層７が形成されるように、前記アンダーベルトヘム１と前記カップ５は接続せず、前記中間層７は胸脂肪の一部を収容するために用いられる。

【0031】

さらに、前記アンダーベルトヘム１は幅広タイプのアンダーベルトヘムであり、前記アンダーベルトヘム１の垂直方向の幅は３５ｍｍ以上である。

【0032】

具体的には、本実施例においては、伝統的なアンダーベルトヘム及びアンダーバストの代わりに、幅広タイプのアンダーベルトヘム１一体型を採用しており、幅広タイプのアンダーベルトヘム１と前中心２及びバックウィング３とが直接接続する。これにより、前記ブラジャーの構造がより簡単になり、製造プロセスがより簡単になり、コストがさらに低くなる。

【0033】

さらに、本実施例では、アンダーベルトヘム１の幅を大きくすることによって、位置決め線４をアンダーベルトヘム１上に直接形成し、そして、そのあとに、前記カップ５の下縁を前記位置決め線４に沿ってアンダーベルトヘム１に接続するとともに、アンダーベルトヘム１とカップ５が対向して重なっている領域においては、アンダーベルトヘム１とカップ５は接続せず、前記アンダーベルトヘム１と前記カップ５の間に中間層７が形成される。消費者は、着用時に、下側の胸脂肪の一部を中間層７に配置する。その際、中間層７によって胸脂肪を支持する。これにより、一方では、ブラジャーの安定性及びホールド性を効果的に向上させることができ、ブラジャーの変位と滑りを回避して、着用効果をより安定させる。他方では、中間層７によって胸脂肪を支持する場合には、アンダーベルトヘム１は肌に密着し、胸脂肪と胴体の摩擦を改善でき、離間機能を効果的に発揮して、乳房が胴体と密着しないようにし、ブラジャーによる蒸れて通気が悪くなることを回避する。さらに、アンダーベルトヘム１で胸脂肪を包んで覆うことによってブラジャーの造形が安定し、着用が快適となり、胸のラインが美しくなる。又、アンダーベルトヘム１の幅を大きくしたので、ブラジャー下側と胴体の接触面積が大きくなり、ブラジャー着用時のきつく締め付けられる不快感を効果的に緩和することができる。さらに、位置決め線４がアンダーベルトヘム１上に位置することにより、アンダーベルトヘム１とカップ５の下側縁とが互いに接続し、カップ５によるアンダーベルトヘム１への強化作用によって、幅広タイプのアンダーベルトヘム１がカールしたり外転したりする問題を回避できる。

【0034】

さらに、前記バックウィング３と前記前中心２は前記アンダーベルトヘム１の上側に位置し、前記バックウィング３及び前記前中心２の下側縁は前記アンダーベルトヘム１の上側縁に接続する。

【0035】

さらに、前記ブラジャーは２つのバックウィング３を有し、前記前中心２は前記アンダーベルトヘム１の上側の中心に位置し、２つのバックウィング３はそれぞれ前記前中心２の両側に位置し、２つのバックウィング３と前記前中心２との間には距離がある。

【0036】

具体的な作り方は、下記の通りである。先ず、パターンの寸法要求に応じて、前記アンダーベルトヘム１において、前記前中心２と前記アンダーベルトヘム１の接続線の両端点ｂとｃ、及び２つのバックウィング３の前記前中心２に近い一端と前記アンダーベルトヘム１の接続点ａとｄを決定する。点ａ、点ｂ、点ｃ、点ｄは順に前記アンダーベルトヘム１の上側縁に排列している。次に、点ｂと点ｃの位置に基づいて前記前中心２と前記アンダーベルトヘム１を接続し、点ａと点ｄの位置に基づいて２つのバックウィング３と前記アンダーベルトヘム１を接続する。

【0037】

さらに、前記バックウィング３及び前記前中心２の下側縁は、カバーステッチ、へリンボーンステッチ、スリーニードルステッチ、及び接合プロセスのうちの１種又は複数種によって、前記アンダーベルトヘム１の上側縁に接続する。

【0038】

さらに、前記位置決め線４は、前記アンダーベルトヘム１に設けられた曲線であり、好ましくは、前記位置決め線４は、アンダーベルトヘム１に設けられた弧形の曲線である。より好ましくは、前記位置決め線４は、前記前中心２から離れる側に向かってアーチ状となった弧形の曲線である。

【0039】

さらに、前記位置決め線４は２本あり、そのうちの１本の位置決め線４の両端点はそれぞれ点ａと点ｂであり、もう１本の位置決め線４の両端点はそれぞれ点ｃと点ｄである。

【0040】

さらに、前記ブラジャーは２つのカップ５を有し、２つのカップ５は前中心２によって接続し、前記カップ５の下縁は前記位置決め線４に沿ってアンダーベルトヘム１に接続し、前記カップ５の前記バックウィング３に隣接する縁は、前記バックウィング３に接続する。前記カップ５は、シングルニードルステッチによって前記位置決め線４に接続する。

【0041】

さらに、前記カップ５の縁にはワイヤケーシング６が設けられ、前記ワイヤケーシング６はダブルニードルステッチによってカップ５に接続する。

【0042】

さらに、前記ブラジャーは肩紐８とホック９をさらに有する。

【実施例2】

【0043】

幅広タイプのアンダーベルトヘムを有するブラジャーの製造方法は、（Ｓ１）寸法に応じてアンダーベルトヘムを裁断するステップと、（Ｓ２）アンダーベルトヘムの上側縁において前中心とバックウィングの接続点を決定するステップと、（Ｓ３）カバーステッチ、へリンボーンステッチ、スリーニードルステッチ及び接合プロセスのうちの１種又は複数種によって、前中心及びバックウィングを接続するステップと、（Ｓ４）アンダーベルトヘム上に位置決め線を書くステップと、（Ｓ５）シングルニードルステッチによって、カップと、アンダーベルトヘム、バックウィング及び前中心とをそれぞれ接続するステップと、（Ｓ６）ワイヤケーシングを配置し、ダブルニードルステッチによってを接続するステップとを有する。

【0044】

具体的には、先ず、アンダーベルトヘムの寸法に応じてアンダーベルトヘムを裁断する。次に、パターンに従ってアンダーベルトヘムの上側縁に前中心及びバックウィングの接続点を決定し、前中心とアンダーベルトヘムの接続線の両端部をそれぞれ点ｂと点ｃとし、２つのバックウィング３の前記前中心２に近い一端と前記アンダーベルトヘム１の接続箇所をそれぞれ点ａと点ｄとすることにより、点ａ、点ｂ、点ｃ、点ｄは順に前記アンダーベルトヘム１の上側縁に排列する。次に、カバーステッチによって前中心、バックウィングを順に接続する。次に、パターンに従ってアンダーベルトヘムに線を書いて位置決めする。そのうちの１本の位置決め線の両端点はそれぞれ点ａと点ｂであり、もう１本の位置決め線の両端点はそれぞれ点ｃと点ｄである。最後に、シングルニードルステッチによって、カップと、アンダーベルトヘム、バックウィング及び前中心とをそれぞれ接続するとともに、カップの縁にワイヤケーシングを配置し、ダブルニードルステッチによってワイヤケーシング６とカップ５を接続する。

【0045】

本実施例は、伝統的なアンダーベルトヘム及びアンダーバストに代わって、一体型されたアンダーベルトヘムを採用しており、構造が簡単である。又、前中心とバックウィングがカバーステッチによってアンダーベルトヘムに接続することにより、前中心、バックウィング及びアンダーベルトヘムの接続が緊密かつ強固になる。さらに、アンダーベルトヘムに位置決め線を設け、シングルニードルステッチによって、カップと、アンダーベルトヘム、バックウィング及び前中心との初歩的な接続を実現するとともに、カップの内側に中間層を形成し、そしてワイヤケーシングを配置し、ダブルニードルステッチによって接続して、カップと、アンダーベルトヘム、バックウィング及び前中心の接続強度を強化する。プロセスは簡単で合理的であり、製造コストが低いため、ブラジャー製品の全体的な品質と市場競争力を向上させ、製品市場の将来性は良好である。

【0046】

以上の記載は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するものではない。本発明の精神及び原則の範囲内で実施されるあらゆる変更、均等な置換、改良等は、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。

【符号の説明】

【0047】

１ アンダーベルトヘム
２ 前中心
３ バックウィング
４ 位置決め線
５ カップ
６ ワイヤケーシング
７ 中間層
８ 肩紐
９ ホック

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【国際調査報告】