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特表2022-525589生分解するのが困難又は遅鈍である要素(有害要素)の、環境内への放出の程度を指し示す、物体に対するマーカ
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  • 特表-生分解するのが困難又は遅鈍である要素(有害要素)の、環境内への放出の程度を指し示す、物体に対するマーカ 図1
  • 特表-生分解するのが困難又は遅鈍である要素(有害要素)の、環境内への放出の程度を指し示す、物体に対するマーカ 図2
  • 特表-生分解するのが困難又は遅鈍である要素(有害要素)の、環境内への放出の程度を指し示す、物体に対するマーカ 図3
  • 特表-生分解するのが困難又は遅鈍である要素(有害要素)の、環境内への放出の程度を指し示す、物体に対するマーカ 図4
  • 特表-生分解するのが困難又は遅鈍である要素(有害要素)の、環境内への放出の程度を指し示す、物体に対するマーカ 図5-A
  • 特表-生分解するのが困難又は遅鈍である要素(有害要素)の、環境内への放出の程度を指し示す、物体に対するマーカ 図5-B
  • 特表-生分解するのが困難又は遅鈍である要素(有害要素)の、環境内への放出の程度を指し示す、物体に対するマーカ 図6
  • 特表-生分解するのが困難又は遅鈍である要素(有害要素)の、環境内への放出の程度を指し示す、物体に対するマーカ 図7
  • 特表-生分解するのが困難又は遅鈍である要素(有害要素)の、環境内への放出の程度を指し示す、物体に対するマーカ 図8
  • 特表-生分解するのが困難又は遅鈍である要素(有害要素)の、環境内への放出の程度を指し示す、物体に対するマーカ 図9
  • 特表-生分解するのが困難又は遅鈍である要素(有害要素)の、環境内への放出の程度を指し示す、物体に対するマーカ 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-18
(54)【発明の名称】生分解するのが困難又は遅鈍である要素(有害要素)の、環境内への放出の程度を指し示す、物体に対するマーカ
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/02 20060101AFI20220511BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20220511BHJP
   A44B 1/02 20060101ALI20220511BHJP
   A44B 1/08 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
G09F3/02 U
G09F3/02 A
G09F3/00 M
A44B1/02 Z
A44B1/08 610Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021548228
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(85)【翻訳文提出日】2021-10-13
(86)【国際出願番号】 ES2020070212
(87)【国際公開番号】W WO2020201600
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】P201930292
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(31)【優先権主張番号】U201930861
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521362612
【氏名又は名称】ネイコ マネジメント、エセ.エレ.
(71)【出願人】
【識別番号】521362623
【氏名又は名称】アウグスト ベッリーニ、エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コスタ ボーテイ、ホセ マリア
(57)【要約】
本発明は、生分解するのが困難又は遅鈍である要素、有害要素の、環境内への放出の程度を指し示す、物体に対するマーカに関係し、そのマーカは、要素1、1’、1”であって、その要素の対象とされる衣服2の布の摩滅と調和したレートにおいて、その要素の外観を表立って変えて、ユーザに注意喚起する、構造を有する、要素からなる。要素は、2つの異なる見かけの層、外面層11、及び、中央又は下部層12を備える、ボタン1又はタグ1’であり、外部層11は、「摩滅可能」であり、衣服2の布と調和したレートにおいて消失する。別の実施例において、要素は、縫い1”であって、その縫いの対象とされる衣服2の布の悪化と調和したレートにおいて消失する「摩滅可能」糸からなる、縫いである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用及び/又は洗浄に起因して、環境内へと、難又は遅生分解性である要素(有害要素)を放出する物体(2)に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカであって、前記マーカが、難又は遅生分解性である要素の、指数関数的又は加速度的放出の段階に前記物体が入ろうとしているときに、ユーザに警告する、前記物体(2)の、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の前記程度と調和したレートにおいて変えられる可変構造を備える要素(1、1’、1”)からなることを特徴とする、マーカ。
【請求項2】
前記要素(1、1’、1”)が、2つの層、すなわち、表面層(11)、及び、中央又は下側層(12)を備えることを、並びに、前記要素(1、1’、1”)の前記構造の前記変動が、表面層(11)の侵食又は摩滅によるものであり、前記表面層が、前記表面層が消失するときに、中央層(12)が前記ユーザによりアクセス可能になることを引き起こすことを特徴とする、請求項1に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項3】
前記要素が、2つの層、すなわち、表面層(11)、及び、中央又は下側層(12)を備えるボタン(1)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項4】
前記要素が、2つの層、すなわち、表面層(11)、及び、中央又は下側層(12)を備えるラベル(1’)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項5】
前記要素が、2つの層、すなわち、表面層(11)、及び、中央又は下側層(12)を備える糸(1”)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項6】
前記表面層(11)、及び、前記中央又は下側層(12)が、異なる色を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項7】
前記表面層(11)、及び、前記中央又は下側層(12)が、粗さの異なるレベルを有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項8】
前記表面層(11)、及び、前記中央又は下側層(12)が、異なる音質を有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項9】
前記中央又は下側層(12)が、前記中央又は下側層が空気と接触するときに放出される嗅覚成分を備えることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項10】
前記中央又は内方層(12)が、前記表面層(11)が消失したときにのみアクセス可能な情報を伴う、前記中央又は内方層の表面上に組み込まれる、情報価値のある要素(13)を備えることを特徴とする、請求項2から9までのいずれか一項に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項11】
前記表面層(11)が消失したときにのみアクセス可能である情報を伴う、前記中央又は内方層の前記表面上に組み込まれる、前記情報価値のある要素(13)が、スキャン可能又は読み取り可能コードであることを特徴とする、請求項10に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項12】
前記情報価値のある要素(13)が、QR又はBIDIコードであることを特徴とする、請求項11に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項13】
前記情報価値のある要素(13)が、受動電子ラベルであることを、並びに、前記表面層(1)が、前記表面層が消失していない間、前記表面層が、前記電子ラベルの励磁を阻止して、前記電子ラベルが、前記電子ラベル内に内包される前記情報を発することを防止するような、材料、及び/又は、厚い部分から作製されることを特徴とする、請求項11に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項14】
難又は遅生分解性である要素の、指数関数的又は加速度的放出の前記段階内への、前記物体の前記入りを検出するための、請求項1から13までのいずれか一項に記載のマーカの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象
本発明は、本明細書の名称において説述されているように、衣類、履物、アクセサリ、ベッド用リネン製品、個人用保護具(PPE:personal protective equipment)などの物体に対する、環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度の、マーカ、インジケータ、又は信号に関係し、そのマーカ、インジケータ、又は信号は、それの対象とされる機能に、後で詳細に説明される利益及び特色を与える。
【0002】
本発明の対象は、それらの物体の、製造プロセスの間、又は、製造プロセスの後の、ある時間においてのいずれかで、調査されることになる難又は遅生分解性である要素の放出の程度と、相関的な、同等の、又は同様の様式での可変構造を有する、衣類、履物、アクセサリ、ベッド用リネン製品の物品などの、使用、洗浄、及び/又は、洗濯から誘導されるプロセス(例えば、浸漬、石鹸洗い、及びすすぎ)からの摩滅を目立たせることになりやすい物体内に組み込まれるように応用可能であるマーカに属する。
【0003】
かくして、マーカは、難又は遅生分解性である要素を放出する物体内へと組み込まれることにより、ユーザが、物体の放出の程度に関して、及び、物体が、その物体の推奨されるリサイクリングに進行するために、これ以上使用されてはならないということを、そのユーザに気付かせるために、警告されることを可能にするものであり、そのことは、悪化が指数関数的である、換言すれば、悪化が、加速度的である、又は、それまでの段階においてよりも著しい、段階に、物体が入ることを防止するためのものであり、その段階は、大きい数の有害要素であって、それらの遅生分解に起因して、生態系に対して危険である、有害要素が放出されるときである。さらにまた、好まれる実施例において、要素は、有害要素の放出が指数関数的である段階に物品が入るときの特定の情報、それまでユーザに対してアクセス可能でなかった情報に、ユーザがアクセスすることを可能にする。
【0004】
本発明の用途の分野
本発明の用途の分野は、特に、衣類、履物、アクセサリ、ベッド用リネン製品、個人用保護具(PPE)、その他の物品の分野に重点を置く、使用及び/又は洗浄に起因して有害要素を放出する物体を製造することに精力が注がれる業界の部門に属する。
【背景技術】
【0005】
知られているように、物体は、一般的には、環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出のレートを有し、そのレートは、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出のレートが指数関数的又は加速度的になる時点にその放出が達するまで、線形である。指数関数的又は加速度的放出の段階において、要素の放出は、線形放出段階においてよりもはるかに急速であり、そのため、物体を使用及び/又は洗浄することを、その物体が指数関数的又は加速度的放出段階にあるときに回避することが、関心を引くことになる。
【0006】
例えば、物品又はシーツが、人工及び/又は合成繊維、中でも、ポリエステル、人工ポリアミド、又はアクリル繊維を内包する、紡績糸又は他の要素を使用して作製されると、元来、それらの物品又はシーツが、疲労し、はるかに高いレートにおいて破損して、微小粒子及び/又は微小繊維を生成するときが来るものであり、それらの微小粒子及び/又は微小繊維は、使用によって、又は、継続的な洗浄によってのいずれかで、例えば、摩擦により、又は、衣類の物品が洗浄されるときに、引き起こされる摩滅により、環境内へと放出される。
【0007】
物品、靴、又はシーツが、綿、リネン、その他などの天然繊維からの紡績糸によって作製されると、それらの物品、靴、又はシーツが、使用及び/又は洗浄されるとき、それらは、やはり微小粒子及び/又は微小繊維を放出するが、それらの有機的(人工的でない)性質を考え合わせれば、それらは易生分解性であるので、それらは大きい環境問題を生出しない。
【0008】
前記物品が、人工的及び/又は合成的である要素(非天然要素)によって製造されるとき、それらの要素は易生分解性でない(有害要素である)ので、それらが、微小粒子及び/又は微小繊維の形式で環境内へと放出されると直ちに、問題が出現するものであり、結果として、それらの要素は、正しく処理/破壊されず、必然的に海生動物群に達する。結果として、前記海生動物群は、悪影響を及ぼされる(例えば、微小繊維が、軟体動物、魚、及びさらには鳥などの特定の海生動物の、肝臓及び内臓内で検出されている)。
【0009】
難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出は、物品の伸縮性などの、物体の他の機能的特性とは違い、ユーザの肉眼では検出可能でない。ユーザは、物品が、その物品の有用寿命の終了に達したかどうかを、例えば、物品が伸縮自在でなくなったということを認めるときに容易に検出することができるが、ユーザは、物品が、難又は遅生分解性である要素(有害要素)を、指数関数的又は加速度的レートにおいて放出しているかどうかを容易に検出することはできない。
【0010】
実例として、反射性要素を組み込む個人用保護具のセットは、個人用保護具が洗浄される際、反射性粒子(合成的であり、それゆえに難生分解性である粒子)を放出し、結果として、反射する能を喪失する。それでも、反射性能力においての減少は、ユーザが、高可視性を伴う反射性ベスト、ズボン、ポロ・シャツ、ジャケット、又はシャツなどの高可視性個人用保護具を眺めるとき、肉眼では可視でない。研究機関においての分析によってのみ、個人用保護具のセットは、もはや十分に反射的でなく、それゆえに、もはやその個人用保護具の目的を果たさないということが決定され得る。反射性要素を組み込む個人用保護具は、それらがもはや十分に反射的でないときに、それらが使用され続けることを防止するために、時間の所定の期間の後に取り替えられなければならないということを根付かせる規制が存する。高可視性個人用保護具が、要される程度の反射率を呈する間の時間が見積もられ、そのことは、まだその反射性能力を喪失していないことがある装具が市場から退かせられるということを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
それゆえに、衣類又は個人用保護具の物品などの物体が、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の、指数関数的又は加速度的放出の段階に入ることになるときに、前記物体が、使用され、結果として洗浄され続けることを防止し、かくして、前記有害要素が、指数関数的又は加速度的様式で放出されることを防止するために、ユーザに警告する手段を有することができることが、望ましいことになる。
【0012】
結論として、物体が、物体がもはや使用され得ないということを助けなしにユーザが承知するときである、その物体の非汚染又は低汚染寿命の終了、物体がその物体の有用寿命の終了に達する前に生起する時期に達したと、ユーザに警告するマーカを有することが、関心を引くことになる。
【0013】
その上、本発明の狙いは、物体の、環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカを開発する手段により、前記警告手段を提供することである。
【0014】
第2に、本発明の目標は、特定の情報、例えば、物体それ自体に関係付けられる側面に関する、特に、その物体のリサイクリングに関する情報に、ユーザがアクセスすることを可能にすることを、物品が有害要素の指数関数的放出の段階に入ったときにのみ、ユーザがそのリサイクリングを最も良好な可能な手立てで実行することができるように行うことである。
【0015】
その上、及び、現況技術への言及として、本出願人は、少なくとも、物体に対する、環境内への、難若しくは遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のいかなる他のマーカも、又は、本発明が主張するものと同じ若しくは同様である、技術的及び構造的特色を有する、同様の用途を伴ういかなる他の発明も、その存在を把握していないということが留意されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の解説
本発明が提案する、物体に対する、環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカは、前に述べられた問題に対する適した解決策として構成され、その解決策を可能にする、及び、その解決策の区別となる、特徴付ける詳細が、本説明に付随する最後の特許請求の範囲に好都合に含まれる。
【0017】
具体的には、本発明が提案するものは、上記で触れられたように、人工又は非天然繊維から作製される、織物物品、履物、アクセサリ、ベッド用リネン製品、又は個人用保護具(PPE)などの、使用及び洗浄に起因して摩滅を目立たせる、並びに、難生分解性である要素(有害要素)を放出するときに潜在的可能性として環境に有害であることがある物体内へと組み込まれることを意図される要素である。
【0018】
本特許のマーカ物体は、そのマーカ物体が組み込まれる物体からの、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出と相関的な様式で変動する構造を有し、以て、そのマーカ物体は、要素が将来の洗浄において加速度的様式で放出されることを防止するために、物体が指数関数的又は加速度的摩滅の段階に入ろうとしているときに、ユーザに警告する。
【0019】
構造の変動は、表面層の侵食であり得るものであり、その表面層は、その表面層が消失するときに、中央層がユーザによりアクセス可能になることを引き起こす。前記中央層は、ユーザに警告するために、別の色、音質、粗さのレベルを有することがあり、又は、その中央層が空気と接触するときに放出される嗅覚成分を組み込むことさえある。
【0020】
かくして、例えば、要素が、その要素が組み込まれる物体が、その物体が受ける摩擦又は洗浄の数のいずれかにより、所定の使用に基づいて摩滅させられる際に、その要素の構造を変動させ、色、手触り、厚さにおいての変化を、又は消失さえも引き起こすとき、要素は、物体のユーザに、その物体の摩滅の程度に関して警告することを、物体が指数関数的摩滅段階に入ることになるということをそのユーザに気付かせ、かくして、有害要素が将来の使用及び/又は洗浄において放出されることを防止するために行う、マーカとして働く。
【0021】
さらにまた、前記マーカ要素は、各々の事例において、そのマーカ要素が組み込まれる物体、及び、その物体が放出する有害要素のタイプに依存して、1つのタイプの構造、又は別のものを伴って設計されることになる。例えば、要素が、ポリエステル又は合成ポリアミド(潜在的可能性として有害な要素)を内包する、繊維又は紡績糸から作製される衣類の物品内へと組み込まれることを意図されるならば、要素の構造は、ポリエステルが将来の洗浄において環境内へと微小繊維の形式で放出されることを防止するために、ポリエステルが指数関数的摩滅段階に入ろうとしているときに、ユーザに警告するように、ポリエステルの摩滅と相関的な、又は同様の様式で変動することになる。
【0022】
本発明の1つの実施例選択案において、環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ要素は、例えば異なる色を伴って、外観において顕著に異なる、2つの層、表面層、及び、中央又は下側層を備えるボタンであり、外部層は、そのボタンの対象とされる物品が作製される素材の布の悪化と整合したレートにおいて、使用及び洗浄によって「摩滅させられ得る」ものであり、以て、前記ボタンを組み込む物品を洗浄するとき、表面層は、物品が微小粒子を喪失又は放出する同じレートにおいて摩滅することになり、ついには、物品の有用寿命が、環境に対して潜在的可能性として危険である悪化をその物品がすでに経ているので、終了に至っており、それゆえに、その物品のリサイクリングが賢明であるときに、その表面層は、中央層をあらわにして消失する。
【0023】
本発明の実施例の別の変形例において、環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度に対するマーカは、例えば異なる色を伴って、外観において顕著に異なる、2つの層、表面層、及び、中央又は下側層を備える、ラベル、ストラップ、刺繍、又はマークであり、外方層は、物品の布により経られる悪化のレートによって、使用及び洗浄によって「摩滅させられ得る」ものであり、以て、前記ラベルを組み込む物品を洗浄するとき、表面層は、物品と同じレートにおいて摩滅させられることになり、ついには、その表面層は、中央又は下側層をあらわにして消失する。
【0024】
本発明の別の実施例選択案は、物品の、環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ要素であって、可視又は隠された様態のいずれかで、その物品の一部に組み込まれる2重層を伴う糸である、マーカ要素からなり、糸の外方層は、物品の布の悪化と調和して、使用及び洗浄によって「摩滅させられ得る」性質を有し、以て、物品が洗浄されるとき、糸の外方層は、物品と同じレートにおいて摩滅させられることになり、ついには、その外方層は、物品の有用寿命が終了に至ったということを明らかにして、消失し、中央又は下側層をあらわにする。
【0025】
好まれる実施例において、摩滅に起因する可変構造を伴う要素は、表面層の消失の後にアクセス可能なままである中央又は下側層内に組み込まれる様態で、表面層の前記消失が生起するときにアクセス可能であるのみである、情報価値のある要素を備える。
【0026】
述べられた情報価値のある要素は、前記中央層の表面上に印刷される、QRコード(登録商標)、BIDIコード、バーコード、英数字組み合わせ、電話番号、電子メール・アドレス、又は、任意の他の同様の要素などの、スキャン可能又は読み取り可能コードであり得るものであり、以て、そのコードが完全な形で見える様態になるまで、そのコードは、正しくスキャン又は読み取りされ得ないものであり、そのコードが我々に送り出す情報は、例えばウェブサイト又は電話番号によってアクセスされ得ない。
【0027】
代替案として、又は、相補的な様式で、中央層を組み込む、前に述べられた情報価値のある要素は、受動電子ラベルであり、そのラベルは、摩滅させられ得る表面層がなくなったときに、そのラベルが励磁されることが、そのようにすることに適した電子デバイスにより行われるときに読み取り可能であるのみである。この事例において、前記表面層は、その表面層が消失していない限りにおいて、受動ラベルが、励磁されることを、及び、そのラベルの情報を発することを防止するために、その表面層が、電子波を阻止するための障壁を決定するように、あるタイプの材料、又は、十分な厚い部分から作製されなければならない。
【0028】
情報価値のある要素を内包する物体に関する情報は、異なる種類のものであり得るが、好ましくは、その情報は、より良好なリサイクリングのために物体を解体するための指示書、又は、リサイクリングのための場所、又はさらには、リサイクルされる場合の支払いなど、その物体のリサイクリングに関係付けられる。
【0029】
摩滅層が除去されるとアクセス可能な情報は、物体がリサイクルされやすいか否かを決定するために、リサイクリング実体、前記物品を販売した実体、コンピュータ・システムの管理組織体、又は、決められた任意の他の組織体により、読み取り又はスキャンされ得る。
【0030】
本説明を完全なものにするために、及び、本発明の特色をよりたやすく理解可能にする助けとなる目的のために、本説明は、本説明の不可欠な部分を組成する図面のセットにより付随され、そのセットは、制限ではなく例解として、後に続くことを表す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の、物体に対する、環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカのいくつかの実例、具体的には、ラベルの形式での1つ、ボタンの形式での別のもの、及び、縫い目の形式での別のものを付けられる、衣類の物品の概略視図を示す図である。
図2】この事例においてはボタンとしての、そのボタンが備える部分を示す、本発明による、環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカの実例の断面視図を示す図である。
図3】摩滅を伴わずに示される、先の図において示されるボタンの対応する平面視図を示す図である。
図4】部分的に摩滅させられた様態で示される、先の図において示されるボタンの対応する平面視図を示す図である。
図5-A】環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカの別の実例、具体的には、ラベルとしての実例の、そのラベルの構成を示す、断面概略視図を示す図である。
図5-B】ラベルにより備えられる2つの層がより良好に確認されることを可能にする、図5-Aにおいて指し示される詳細Aの拡大視図を示す図である。
図6】摩滅を伴わずに示される、先の図において示されるラベルの対応する平面視図を示す図である。
図7】部分的に摩滅させられた様態で示される、先の図において示されるラベルの対応する平面視図を示す図である。
図8】部分的に摩滅させられた表面層を伴って示されているラベルを示し、そのラベルの、QRラベルとしての選択案において、そのラベルの中央又は下側層の表面により組み込まれる、情報価値のある要素が確認されることを可能にする図である。
図9図8において示されるものと同様の、ただし、この事例においては、中央層により組み込まれる、情報価値のある要素の実例として受動電子ラベルを伴う、ラベルを示す図である。
図10】物品が経る洗浄の数の関数としての、放出される粒子の数の進展(下側線)、及び、物品の視覚的外観の進展(上側線)を、グラフによって示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
前に述べられた図に照らして、及び、取り入れられる番号付けによって、下記で詳細に説明されるものを備える、織物物品、履物、アクセサリ、ベッド用リネン製品、又は個人用保護具(PPE)などの、使用及び洗浄に起因して摩滅し、結果として、環境内へと、難生分解性である要素(有害要素)を放出することになりやすい物体に対する、環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ要素の、非制限的な例示的な実施例が、それらの図において確認され得る。
【0033】
環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出は、図10において示されるように、その放出が、レートが指数関数的又は加速度的になる時点に達するまで、線形レートにしたがう。指数関数的又は加速度的放出の段階において、要素の放出は、線形放出段階においてよりもはるかに急速であり、そのため、物体を使用及び/又は洗浄することを、その物体が指数関数的又は加速度的放出段階にあるときに回避することが、関心を引くことになる。この図において、ユーザは、有害要素の放出のレートが線形から指数関数的又は加速度的へと変化する時期よりはるかに後で、物品が、伸縮性などの、その物品の機能性(物理的外観)を喪失したということを確認することのみができるということが、さらには確認され得る。ユーザは、有害要素の放出のレートが線形から指数関数的又は加速度的へと変化する時期が、物品がその物品の機能性(物理的外観)を喪失するときに生起すると、誤って関連付けて考えることがある。この想定は誤っており、なぜならば、有害要素の放出のレートにおいての変化は、機能性の喪失の前に生起し、それゆえに、物品が、その物品がその物品の機能性を喪失するときに除去されるならば、物品は、長い時間の間、指数関数的又は加速度的レートにおいて有害要素を放出しており、それゆえに、悪影響が防止されていないからである。
【0034】
かくして、前記図において確認されるように、使用及び洗浄に起因して、難又は遅生分解性である要素(有害要素)を放出することになりやすい、布によって作製される衣類の物品(2)などの物体内へと組み込まれることを意図される、本発明のマーカ要素は、物品(2)の布の摩滅と調和したレートにおいて可変である構造を持たせられ、ユーザにその摩滅に関して警告する、要素(1、1’、1”)からなる。
【0035】
図2から4を考慮に入れると、どのように、実施例選択案において、前記要素が、2つの層、表面層(11)、及び、中央又は下側層(12)を備えるボタン(1)であり、外部層(11)が、その要素の対象とされる物品(2)の布の悪化と調和したレートにおいて、使用による摩擦、及び洗浄に起因して、消失の時点まで「摩滅させられ得る」かが認められる。
【0036】
構造の変動は、表面層(11)の侵食又は摩滅であり得るものであり、その表面層は、その表面層が消失するときに、中央層がユーザによりアクセス可能になることを引き起こす。前記中央層(12)は、ユーザに警告するために、表面層(11)とは別の色、音質、粗さのレベルを有することがあり、又は、その中央層が空気と接触するときに放出される嗅覚成分を組み込むことさえある。
【0037】
図5-Aから7を考慮に入れると、どのように、別の実施例選択案において、環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ要素が、例えば異なる色を伴って、外観において顕著に異なる、2つの層、表面層(11)、及び、中央又は下側層(12)を備えるラベル(1’)からなり、外部層(11)が、そのマーカ要素の対象とされる物品(2)の布の悪化と調和したレートにおいて、使用による摩擦に起因して、及び、洗浄に起因して、消失し得ることの時点まで「摩滅させられ得る」かが認められる。
【0038】
図1の物品(2)において表される、実施例の別の変形例において、環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ要素は、例えば異なる色を伴って、外観において顕著に異なる、2つの層、表面層(11)、及び、中央又は下側層(12)を備える、可視又は隠された様態のいずれかで、その物品の一部に組み込まれる糸(1”)からなり、外部層(11)は、そのマーカ要素の対象とされる物品(2)の布の悪化と調和したレートにおいて、使用による摩擦に起因して、及び、洗浄に起因して、消失し得ることの時点まで「摩滅させられ得る」。
【0039】
好まれる実施例において、中央又は内方層(12)は、代わって、表面層(11)が消失したときにのみアクセス可能な情報を伴う、情報価値のある要素(13)を備える。
【0040】
図8において示されるものなどの実施例選択案において、情報価値のある要素(13)は、中央又は下側層(12)の表面上に印刷される、スキャン可能又は読み取り可能コード、例えば、QRコード(登録商標)又はBIDIコード又はバーコードであり、以て、そのコードが、表面層(11)の消失に起因して完全に可視になるまで、そのコードは、正しくスキャンされ得ないものであり、スキャンされるときにそのコードが送り出す男性的情報は、アクセスされ得ない。
【0041】
そして図9は、別の実施例選択案を示し、中央又は下側層(12)により組み込まれる、情報価値のある要素(13)は、表面層(11)が完全に消失したときに読み取り可能であるのみである受動電子ラベルである。この事例において、表面層(11)は、その表面層が消失していない間、その表面層が、電子ラベルの励磁を阻止して、その電子ラベルが、その電子ラベル内に内包される情報を発することを防止するような、材料、及び/又は、厚い部分から作製される。
【0042】
本発明の性質、及び、本発明を実現する手立てを十分に説明したので、本発明の範囲、及び、本発明に由来する利点を理解すべき、現況技術においてのいかなる専門家に対しても、本発明の解説を延長することは、必要とは考えられない。
図1
図2
図3
図4
図5-A】
図5-B】
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2021-10-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用及び/又は洗浄に起因して、環境内へと、難又は遅生分解性である要素(有害要素)を放出する物体(2)に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカであって、前記マーカが、難又は遅生分解性である要素の、指数関数的又は加速度的放出の段階に前記物体が入ろうとしているときに、ユーザに警告する、前記物体(2)の、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の前記程度と調和したレートにおいて変えられる可変構造を備える要素(1、1’、1”)からなり、
前記要素(1、1’、1”)が、2つの層、すなわち、表面層(11)、及び、中央又は下側層(12)を備え、前記要素(1、1’、1”)の前記構造の変動が、表面層(11)の侵食又は摩滅によるものであり、前記表面層が、前記表面層が消失するときに、中央層(12)が前記ユーザによりアクセス可能になることを引き起こす、マーカ。
【請求項2】
前記要素が、2つの層、すなわち、表面層(11)、及び、中央又は下側層(12)を備えるボタン(1)である、請求項1に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項3】
前記要素が、2つの層、すなわち、表面層(11)、及び、中央又は下側層(12)を備えるラベル(1’)である、請求項1に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項4】
前記要素が、2つの層、すなわち、表面層(11)、及び、中央又は下側層(12)を備える糸(1”)である、請求項1に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項5】
前記表面層(11)、及び、前記中央又は下側層(12)が、異なる色を有する、請求項1からまでのいずれか一項に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項6】
前記表面層(11)、及び、前記中央又は下側層(12)が、粗さの異なるレベルを有する、請求項1からまでのいずれか一項に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項7】
前記表面層(11)、及び、前記中央又は下側層(12)が、異なる音質を有する、請求項1からまでのいずれか一項に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項8】
前記中央又は下側層(12)が、前記中央又は下側層が空気と接触するときに放出される嗅覚成分を備える、請求項1からまでのいずれか一項に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項9】
前記中央又は内方層(12)が、前記表面層(11)が消失したときにのみアクセス可能な情報を伴う、前記中央又は内方層の表面上に組み込まれる、情報価値のある要素(13)を備える、請求項からまでのいずれか一項に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項10】
前記表面層(11)が消失したときにのみアクセス可能である情報を伴う、前記中央又は内方層の前記表面上に組み込まれる、前記情報価値のある要素(13)が、スキャン可能又は読み取り可能コードである、請求項に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項11】
前記情報価値のある要素(13)が、QR又はBIDIコードである、請求項1に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項12】
前記情報価値のある要素(13)が、受動電子ラベルであ、前記表面層(1)が、前記表面層が消失していない間、前記表面層が、前記電子ラベルの励磁を阻止して、前記電子ラベルが、前記電子ラベル内に内包される前記情報を発することを防止するような、材料、及び/又は、厚い部分から作製される、請求項1に記載の、物体に対する、前記環境内への、難又は遅生分解性である要素(有害要素)の放出の程度のマーカ。
【請求項13】
難又は遅生分解性である要素の、指数関数的又は加速度的放出の前記段階内への、前記物体の前記入りを検出するための、請求項1から1までのいずれか一項に記載のマーカの使用。
【国際調査報告】