(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-18
(54)【発明の名称】細胞サンプルの評価のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/02 20060101AFI20220511BHJP
C12N 5/078 20100101ALN20220511BHJP
C12N 5/09 20100101ALN20220511BHJP
【FI】
C12Q1/02
C12N5/078
C12N5/09
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555585
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(85)【翻訳文提出日】2021-11-15
(86)【国際出願番号】 US2020023445
(87)【国際公開番号】W WO2020191105
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521420152
【氏名又は名称】ユン,キュソン
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ユン,キュソン
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B063QA06
4B063QA18
4B063QQ21
4B063QQ79
4B063QQ91
4B063QR77
4B063QS40
4B063QX10
4B065AA90X
4B065BD21
4B065CA46
(57)【要約】
【解決手段】
本明細書で、癌組織などの組織サンプルを含む、細胞サンプルを評価するための方法およびシステムが開示される。場合によっては、細胞サンプルを評価することは、1以上の候補分子の長期的評価を含む。細胞生存率を評価する方法およびシステムが提供される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
候補分子を評価する方法であって、前記方法は、
(a)前記候補分子を、被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルに投与する工程と、
(b)前記細胞サンプルを前記候補分子の存在下で少なくとも1日間培養する工程と、
(c)前記候補分子に対する前記細胞サンプルの反応を評価する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
工程(b)において、前記細胞サンプルは、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、培養される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(b)において、前記細胞サンプルは12日間培養される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
(d)追加的候補分子を前記細胞サンプルに投与し、そして前記細胞サンプルを少なくとも24時間培養する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(d)において、前記細胞サンプルは、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、培養される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程(d)において、前記細胞サンプルは12日間培養される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(e)前記追加的候補分子に対する前記細胞サンプルの反応を評価する工程をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
(d)前記追加的候補分子の第2の用量を前記細胞サンプルに投与し、そして前記細胞サンプルを少なくとも24時間培養する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(d)において、前記細胞サンプルは、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、培養される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程(d)において、前記細胞サンプルは12日間培養される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(e)前記追加的候補分子の第2の用量に対する前記細胞サンプルの反応を評価する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記細胞サンプルは複数の細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記細胞サンプルは無傷組織である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記細胞サンプルはオルガノイドである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記細胞サンプルは前記腫瘍組織から単離される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞サンプルは癌細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記細胞サンプルは前記腫瘍組織の微小環境からの細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記腫瘍組織の前記微小環境からの前記細胞は、免疫細胞、繊維芽細胞、内皮細胞、周皮細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、または骨髄由来細胞である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記免疫細胞はリンパ球細胞または骨髄球系細胞である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記リンパ球細胞は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記骨髄球系細胞は、好塩基球、好酸球、マスト細胞、好中球、単球、赤血球、マクロファージ、骨髄性抑制性細胞、または樹状細胞である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記細胞サンプルは無血清条件で培養される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記細胞サンプルは液体-空気界面で培養される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記細胞サンプルは細胞培養培地に浸されている、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記反応は、生存率反応、遺伝子発現反応、タンパク質発現反応、タンパク質修飾反応、細胞シグナル伝達反応、形態的反応、または代謝反応である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
生存率反応を評価する工程は、前記細胞サンプルからの代謝産物を計測することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記細胞サンプルからの前記代謝産物を計測することは、細胞培養培地から前記代謝産物を単離し、そして前記細胞サンプルが存在しない状態で前記代謝産物を計測することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記細胞サンプルからの前記代謝産物は還元反応の産物である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記細胞サンプルからの前記代謝産物はレサズリンに由来する、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記細胞サンプルからの前記代謝産物はレゾルフィンである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記細胞サンプルからの前記代謝産物はテトラゾールに由来する、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記テトラゾールは、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウム(MTT)またはその塩、2,3-ビス-(2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム-5-カルボキサニリド(XTT)またはその塩、および3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム(MTS)またはその塩、から成る群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記細胞サンプルからの前記代謝産物はホルマザンである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記細胞サンプルは患者に由来する異種移植片からのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記細胞サンプルは原発性腫瘍サンプルからのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記原発性腫瘍サンプルは被験体からの外科サンプルである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記原発性腫瘍サンプルは患者から取得された生検サンプルである、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記生検サンプルはコア針生検によって取得される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記候補分子での被験体の処置を推奨する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記候補分子で被験体を処置しないことを推奨する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記候補分子は、生物分子と化学分子から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記生物分子は、組み換えタンパク質、酵素、抗体、成長因子、受容体、およびそれらの任意の一部、から成る群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
工程(a)は1以上の追加的候補分子を提供することをさらに含み、工程(c)は前記候補分子と前記1以上の追加的候補分子に対する前記細胞サンプルの前記反応を評価することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
前記1以上の追加的候補分子は前記候補分子と同時に提供される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記候補分子と前記1以上の追加的候補分子は連続して提供される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
(d)前記候補分子を、前記被験体に由来する前記腫瘍組織の追加的細胞サンプルに投与する工程と、
(e)少なくとも5日間、前記候補分子の存在下で前記追加的細胞サンプルを培養する工程と、
(f)前記候補分子に対する前記追加的細胞サンプルの反応を評価する工程と、
(g)前記追加的細胞サンプルの前記反応を前記細胞サンプルの前記反応と比較する工程と、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記細胞サンプルは前記腫瘍組織の第1の位置に由来し、そして、前記追加的細胞サンプルは前記腫瘍組織の第2の位置に由来する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記細胞サンプルと前記追加的細胞サンプルは異なる時に前記腫瘍組織から取得される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記異なる時は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、10日、15日、または20日離れている、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記細胞サンプルと前記追加的細胞サンプルは実質的に同時に前記腫瘍組織から取得される、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記細胞サンプル上で生物アッセイを実行する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
前記細胞サンプル上で前記生物アッセイを実行する工程は、前記細胞サンプルを固定することを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記細胞サンプル上で前記生物アッセイを実行する工程は、前記細胞サンプルを透過処理することを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記細胞サンプル上で前記生物アッセイを実行する工程は、前記細胞サンプルを溶解させることを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記生物アッセイは、フローサイトメトリー、核酸配列決定、ポリメラーゼ連鎖反応、組織学的分析、免疫組織化学的検査法、免疫蛍光検査法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、質量分析法、およびその任意の組み合わせ、から成る群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
候補分子を評価する方法であって、前記方法は、
(a)前記候補分子を 被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルに投与する工程と、
(b)前記腫瘍組織の前記細胞サンプルを少なくとも1日間培養する工程と、
(c)前記候補分子に対する前記腫瘍組織の前記細胞サンプルの反応を評価する工程と、
(d)工程(a)-(c)を繰り返す工程と、
を含む、方法。
【請求項57】
工程(b)において、前記細胞サンプルは、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、培養される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
工程(b)において、前記細胞サンプルは4日間培養される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
工程(d)は、(a)-(c)を少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、または少なくとも6回繰り返すことを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
工程(d)は、(a)-(d)を3回繰り返すことを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記細胞サンプルは複数の細胞を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記細胞サンプルは無傷組織である、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記細胞サンプルはオルガノイドである、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記細胞サンプルは前記腫瘍組織から単離される、請求項59に記載の方法。
【請求項65】
前記細胞サンプルは癌細胞を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項66】
前記細胞サンプルは前記腫瘍組織の微小環境からの細胞を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項67】
前記腫瘍組織の前記微小環境からの前記細胞は、免疫細胞、繊維芽細胞、内皮細胞、周皮細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、または骨髄由来細胞である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記免疫細胞はリンパ球細胞または骨髄球系細胞である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記リンパ球細胞は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記骨髄球系細胞は、好塩基球、好酸球、マスト細胞、好中球、単球、赤血球、マクロファージ、骨髄性抑制性細胞、または樹状細胞である、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記細胞サンプルは無血清条件で培養される、請求項56に記載の方法。
【請求項72】
前記細胞サンプルは液体-空気界面で培養される、請求項56に記載の方法。
【請求項73】
前記細胞サンプルは細胞培養培地に浸されている、請求項56に記載の方法。
【請求項74】
前記反応は、生存率反応、遺伝子発現反応、タンパク質発現反応、タンパク質修飾反応、細胞シグナル伝達反応、形態的反応、または代謝反応である、請求項56に記載の方法。
【請求項75】
前記反応を評価する工程は、前記細胞サンプルからの代謝産物を計測することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項76】
前記細胞サンプルからの前記代謝産物を計測することは、細胞培養培地から前記代謝産物を単離し、そして前記細胞サンプルが存在しない状態で前記代謝産物を計測することを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記細胞サンプルからの前記代謝産物は還元反応の産物である、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記細胞サンプルからの前記代謝産物はレサズリンに由来する、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
前記細胞サンプルからの前記代謝産物はレゾルフィンである、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記細胞サンプルからの前記代謝産物はテトラゾールに由来する、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
前記テトラゾールは、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウム(MTT)またはその塩、2,3-ビス-(2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム-5-カルボキサニリド(XTT)またはその塩、および3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム(MTS)またはその塩、から成る群から選択される、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記細胞サンプルからの前記代謝産物はホルマザンである、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記細胞サンプルは患者に由来する異種移植片からのものである、請求項56に記載の方法。
【請求項84】
前記細胞サンプルは原発性腫瘍サンプルからのものである、請求項56に記載の方法。
【請求項85】
前記原発性腫瘍サンプルは患者から取得された外科サンプルである、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記原発性腫瘍サンプルは患者から取得された生検サンプルである、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記生検サンプルはコア針生検によって取得される、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記候補分子での被験体の処置を推奨する工程をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項89】
前記候補分子で被験体を処置しないことを推奨する工程をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項90】
前記候補分子は、生物分子と化学分子から成る群から選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項91】
工程(a)は1以上の追加的候補分子を提供することをさらに含み、工程(c)は前記候補分子と前記1以上の追加的候補分子に対する前記細胞サンプルの前記反応を評価することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項92】
前記1以上の追加的候補分子は前記候補分子と同時に提供される、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記候補分子と前記1以上の追加的候補分子は連続して提供される、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
(e)前記候補分子を、前記被験体に由来する前記腫瘍組織の追加的細胞サンプルに投与する工程と、
(f)前記腫瘍組織の前記追加的細胞サンプルを少なくとも1日間培養する工程と、
(g)前記候補分子に対する前記腫瘍組織の前記追加的細胞サンプルの反応を評価する工程と、
(h)工程(e)-(g)を繰り返す工程と、
(i)前記追加的細胞サンプルの前記反応を前記細胞サンプルの前記反応と比較する工程と、
をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項95】
前記細胞サンプルは前記腫瘍組織の第1の位置に由来し、そして、前記追加的細胞サンプルは前記腫瘍組織の第2の位置に由来する、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記細胞サンプルと前記追加的細胞サンプルは異なる時に前記腫瘍組織から取得される、請求項94に記載の方法。
【請求項97】
前記異なる時は、少なくとも1日、2日、3日、4日、または5日離れている、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記細胞サンプルと前記追加的細胞サンプルは実質的に同時に前記腫瘍組織から取得される、請求項95に記載の方法。
【請求項99】
前記細胞サンプル上で生物アッセイを実行する工程をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項100】
前記細胞サンプル上で前記生物アッセイを実行する工程は、前記細胞サンプルを固定することを含む、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記細胞サンプル上で前記生物アッセイを実行する工程は、前記細胞サンプルを透過処理することを含む、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記細胞サンプル上で前記生物アッセイを実行する工程は、前記細胞サンプルを溶解させることを含む、請求項99に記載の方法。
【請求項103】
前記生物アッセイは、フローサイトメトリー、核酸配列決定、ポリメラーゼ連鎖反応、組織学的分析、免疫組織化学的検査法、免疫蛍光検査法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、質量分析法、およびその任意の組み合わせ、から成る群から選択される、請求項99に記載の方法。
【請求項104】
細胞生存率を評価する方法であって、前記方法は、
(a)細胞培養培地で腫瘍の細胞サンプルを培養する工程と、
(b)前記細胞培養培地から代謝産物を単離する工程と、
(c)前記細胞サンプルが存在しない状態で前記代謝産物を計測する工程であって、それによって前記細胞サンプルの前記細胞生存率を評価する、工程と、
を含む、方法。
【請求項105】
前記細胞サンプルは細胞株からのものである、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記細胞サンプルは複数の細胞を含む、請求項104に記載の方法。
【請求項107】
前記細胞サンプルは無傷組織である、請求項104に記載の方法。
【請求項108】
前記細胞サンプルはオルガノイドである、請求項104に記載の方法。
【請求項109】
前記細胞サンプルは腫瘍から単離される、請求項104に記載の方法。
【請求項110】
前記細胞サンプルは癌細胞を含む、請求項104に記載の方法。
【請求項111】
前記細胞サンプルは腫瘍組織の微小環境からの細胞を含む、請求項104に記載の方法。
【請求項112】
前記腫瘍組織の前記微小環境からの前記細胞は、免疫細胞、繊維芽細胞、内皮細胞、周皮細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、または骨髄由来細胞である、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記免疫細胞はリンパ球細胞または骨髄球系細胞である、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記リンパ球細胞は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞である、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記骨髄球系細胞は、好塩基球、好酸球、マスト細胞、好中球、単球、赤血球、マクロファージ、骨髄性抑制性細胞、または樹状細胞である、請求項113に記載の方法。
【請求項116】
前記細胞サンプルは無血清条件で培養される、請求項104に記載の方法。
【請求項117】
前記細胞サンプルは液体-空気界面で培養される、請求項104に記載の方法。
【請求項118】
前記細胞サンプルは細胞培養培地に浸されている、請求項104に記載の方法。
【請求項119】
前記代謝産物を計測する工程は、蛍光計測または化学発光計測を含む、請求項104に記載の方法。
【請求項120】
前記細胞サンプルは、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、培養される、請求項104に記載の方法。
【請求項121】
前記細胞サンプルは12日間培養される、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記細胞サンプルからの前記代謝産物は還元反応の産物である、請求項104に記載の方法。
【請求項123】
前記細胞サンプルからの前記代謝産物はレサズリンに由来する、請求項104に記載の方法。
【請求項124】
前記細胞サンプルからの前記代謝産物はレゾルフィンである、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記細胞サンプルからの前記代謝産物はテトラゾールに由来する、請求項104に記載の方法。
【請求項126】
前記テトラゾールは、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウム(MTT)またはその塩、2,3-ビス-(2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム-5-カルボキサニリド(XTT)またはその塩、および3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム(MTS)またはその塩、から成る群から選択される、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記細胞サンプルからの前記代謝産物はホルマザンである、請求項125に記載の方法。
【請求項128】
候補分子を前記細胞サンプルに投与する工程をさらに含む、請求項104に記載の方法。
【請求項129】
前記細胞サンプルは患者に由来する異種移植片からのものである、請求項104に記載の方法。
【請求項130】
前記細胞サンプルは原発性腫瘍サンプルからのものである、請求項104に記載の方法。
【請求項131】
前記原発性腫瘍サンプルは外科サンプルである、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記原発性腫瘍サンプルは患者から取得された生検サンプルである、請求項130に記載の方法。
【請求項133】
前記生検サンプルはコア針生検によって取得される、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
前記候補分子での被験体の処置を推奨する工程をさらに含む、請求項104に記載の方法。
【請求項135】
前記候補分子で被験体を処置しないことを推奨する工程をさらに含む、請求項104に記載の方法。
【請求項136】
(d)追加的細胞培養培地で追加的細胞サンプルを培養する工程と、
(e)前記追加的細胞培養培地から代謝産物を単離する工程と、
(f)前記追加的細胞サンプルが存在しない状態で前記追加的細胞培養培地からの前記代謝産物を計測する工程であって、それによって、前記追加的細胞サンプルの細胞生存率を評価する、工程と、
(g)前記追加的細胞サンプルの前記細胞生存率を前記細胞サンプルの前記細胞生存率と比較する工程と、
をさらに含む、請求項104に記載の方法。
【請求項137】
前記細胞サンプルは腫瘍組織の第1の位置に由来し、そして、前記追加的細胞サンプルは前記腫瘍組織の第2の位置に由来する、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
前記細胞サンプルと前記追加的細胞サンプルは異なる時に前記腫瘍組織から取得される、請求項136に記載の方法。
【請求項139】
前記異なる時は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、10日、15日、または20日離れている、請求項138に記載の方法。
【請求項140】
前記細胞サンプルと前記追加的細胞サンプルは実質的に同時に前記腫瘍組織から取得される、請求項136に記載の方法。
【請求項141】
前記腫瘍組織は被験体に由来する組織サンプルである、請求項104に記載の方法。
【請求項142】
放射線量を評価する方法であって、前記方法は、
(a)前記放射線量を被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルに投与する工程と、
(b)前記細胞サンプルを少なくとも1日間培養する工程と、
(c)前記放射線量に対する前記細胞サンプルの反応を評価する工程と、
を含む、方法。
【請求項143】
腫瘍処置照射野を評価する方法であって、前記方法は、
(a)被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルを腫瘍処置照射野に曝露する工程と、
(b)前記細胞サンプルを少なくとも1日間培養する工程と、
(c)前記腫瘍処置照射野に対する前記細胞サンプルの反応を評価する工程と、
を含む、方法。
【請求項144】
放射線量を評価する方法であって、前記方法は、
(a)前記放射線量を被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルに投与する工程と、
(b)前記腫瘍組織の前記細胞サンプルを少なくとも1日間培養する工程と、
(c)前記放射線量に対する前記腫瘍組織の前記細胞サンプルの反応を評価する工程と、
(d)工程(a)-(c)を繰り返す工程と、
を含む、方法。
【請求項145】
腫瘍処置照射野を評価する方法であって、前記方法は、
(a)被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルを腫瘍処置照射野に曝露する工程と、
(b)前記腫瘍組織の前記細胞サンプルを少なくとも1日間培養する工程と、
(c)前記腫瘍処置照射野に対する前記腫瘍組織の前記細胞サンプルの反応を評価する工程と、
(d)工程(a)-(c)を繰り返す工程と、
を含む、方法。
【請求項146】
候補分子を評価する方法であって、前記方法は、
(a)前記候補分子を、被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルに投与する工程と、
(b)前記細胞サンプルを前記候補分子の存在下で少なくとも12日間培養する工程と、
(c)前記候補分子に対する前記細胞サンプルの反応を評価する工程と、
を含む、方法。
【請求項147】
候補分子を評価する方法であって、前記方法は、
(a)前記候補分子を、被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルに投与する工程と、
(b)前記腫瘍組織の前記細胞サンプルを少なくとも12日間培養する工程と、
(c)前記候補分子に対する前記腫瘍組織の前記細胞サンプルの反応を評価する工程と、
(d)工程(a)-(c)を繰り返す工程と、
を含む、方法。
【請求項148】
細胞生存率を評価する方法であって、前記方法は、
(a)細胞培養培地で腫瘍の細胞サンプルを少なくとも4日間培養する工程と、
(b)前記細胞培養培地から代謝産物を単離する工程と、
(c)前記細胞サンプルが存在しない状態で前記代謝産物を計測する工程であって、それによって前記細胞サンプルの前記細胞生存率を評価する、工程と、
を含む、方法。
【請求項149】
候補分子を評価する方法であって、前記方法は、
(a)前記候補分子を、被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルに投与する工程と、
(b)前記腫瘍組織の前記細胞サンプルを少なくとも4日間培養する工程と、
(c)前記候補分子に対する前記腫瘍組織の前記細胞サンプルの反応を評価する工程と、
(d)工程(a)-(c)を少なくとも3回繰り返す工程と、
を含む、方法。
【請求項150】
放射線量を評価する方法であって、前記方法は、
(a)前記放射線量を被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルに投与する工程と、
(b)前記細胞サンプルを少なくとも12日間培養する工程と、
(c)前記放射線量に対する前記細胞サンプルの反応を評価する工程と、
を含む、方法。
【請求項151】
腫瘍処置照射野を評価する方法であって、前記方法は、
(a)被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルを腫瘍処置照射野に曝露する工程と、
(b)前記細胞サンプルを少なくとも12日間培養する工程と、
(c)前記腫瘍処置照射野に対する前記細胞サンプルの反応を評価する工程と、
を含む、方法。
【請求項152】
放射線量を評価する方法であって、前記方法は、
(a)前記放射線量を被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルに投与する工程と、
(b)前記腫瘍組織の前記細胞サンプルを少なくとも12日間培養する工程と、
(c)前記放射線量に対する前記腫瘍組織の前記細胞サンプルの反応を評価する工程と、
(d)工程(a)-(c)を繰り返す工程と、
を含む、方法。
【請求項153】
腫瘍処置照射野を評価する方法であって、前記方法は、
(a)被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルを腫瘍処置照射野に曝露する工程と、
(b)前記腫瘍組織の前記細胞サンプルを少なくとも12日間培養する工程と、
(c)前記腫瘍処置照射野に対する前記腫瘍組織の前記細胞サンプルの反応を評価する工程と、
(d)工程(a)-(c)を繰り返す工程と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2019年3月19日に出願された米国仮特許出願62/820,719号の利益を主張するものであり、それは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0002】
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態における、候補分子を評価する方法であって、該方法は、(a)候補分子を、被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルに投与する工程と、(b)細胞サンプルを候補分子の存在下で少なくとも1日間培養する工程と、(c)候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する工程と、を含む。いくつかの実施形態では、工程(b)において、細胞サンプルは、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、培養される。いくつかの実施形態では、工程(b)において、細胞サンプルは12日間培養される。いくつかの実施形態では、工程(b)において、細胞サンプルは16日間培養される。いくつかの実施形態では、工程(b)において、細胞サンプルは20日間培養される。いくつかの実施形態では、方法は、(d)追加的候補分子を細胞サンプルに投与し、そして細胞サンプルを少なくとも24時間培養する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、工程(d)において、細胞サンプルは、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、培養される。いくつかの実施形態では、工程(d)において、細胞サンプルは4日間培養される。いくつかの実施形態では、工程(d)において、細胞サンプルは8日間培養される。いくつかの実施形態では、工程(d)において、細胞サンプルは12日間培養される。いくつかの実施形態では、方法は、(e)追加的候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、(d)追加的候補分子の第2の用量を細胞サンプルに投与し、そして細胞サンプルを少なくとも24時間培養する工程を、さらに含む。いくつかの実施形態では、工程(d)において、細胞サンプルは、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、培養される。いくつかの実施形態では、方法は、(e)候補分子の第2の用量に対する細胞サンプルの反応を評価する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、工程(d)において、細胞サンプルは4日間培養される。いくつかの実施形態では、工程(d)において、細胞サンプルは8日間培養される。いくつかの実施形態では、工程(d)において、細胞サンプルは12日間培養される。
【0003】
いくつかの実施形態では、細胞サンプルは複数の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは無傷組織である。いくつかの実施形態では、細胞サンプルはオルガノイドである。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは細胞組織から単離される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは癌細胞である。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは腫瘍組織の微小環境からの細胞を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍組織の微小環境からの細胞は、免疫細胞、繊維芽細胞、内皮細胞、周皮細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、または骨髄由来細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はリンパ球細胞または骨髄球系細胞である。いくつかの実施形態では、リンパ球細胞は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞である。いくつかの実施形態では、骨髄球系細胞は、好塩基球、好酸球、マスト細胞、好中球、単球、赤血球、マクロファージ(例えば組織常在性および末梢由来マクロファージ)、骨髄性抑制性細胞、または樹状細胞である。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは無血清条件で培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルはサイトカインまたは成長因子で培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは液体-空気界面で培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは細胞培養培地に浸されている。いくつかの実施形態では、反応は、生存率反応、遺伝子発現反応、タンパク質発現反応、タンパク質修飾反応、細胞シグナル伝達反応、形態的反応、免疫表現型反応、または代謝反応である。
【0004】
いくつかの実施形態では、生存率反応を評価する工程は、細胞サンプルからの代謝産物を計測することを含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物を計測することは、細胞培養培地から代謝産物を単離し、そして細胞サンプルが存在しない状態で代謝産物の計測することを含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物は還元反応の産物である。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物はレサズリンに由来する。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物はレゾルフィンである。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物はテトラゾールに由来する。いくつかの実施形態では、テトラゾールは、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウム(MTT)またはその塩、2,3-ビス-(2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム-5-カルボキサニリド(XTT)またはその塩、および3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム(MTS)またはその塩、から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物はホルマザンである。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは患者に由来する異種移植片からのものである。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは原発性腫瘍サンプルである。いくつかの実施形態では、原発性腫瘍サンプルは患者から取得された外科サンプルである。いくつかの実施形態では、原発性腫瘍サンプルは患者から取得された生検サンプルである。いくつかの実施形態では、生検サンプルはコア針生検によって取得される。
【0005】
いくつかの実施形態では、方法は、候補分子での被験体の処置を推奨する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、候補分子で被験体を処置しないことを推奨する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前期候補分子は、生物分子と化学分子から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、生物分子は、組み換えタンパク質、酵素、抗体、成長因子、受容体、およびそれらの任意の一部、から成る群から選択される。
【0006】
いくつかの実施形態では、工程(a)は1以上の追加的候補分子を提供することをさらに含み、ここで、工程(c)は候補分子と1以上の追加的候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価することを含む。いくつかの実施形態では、1以上の追加的候補分子は候補分子と同時に提供される。いくつかの実施形態では、候補分子と1以上の追加的候補分子は連続して提供される。いくつかの実施形態では、方法は、(d)候補分子を、被験体に由来する腫瘍組織の追加的細胞サンプルに投与する工程と、(e)少なくとも5日、候補分子の存在下で追加的細胞サンプルを培養する工程と、(f)候補分子に対する追加的細胞サンプルの反応を評価する工程と、(g)追加的細胞サンプルの反応を細胞サンプルの反応と比較する工程と、をさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは腫瘍組織の第1の位置に由来し、そして、追加的細胞サンプルは腫瘍組織の第2の位置に由来する。いくつかの実施形態では、細胞サンプルと追加的細胞サンプルは異なる時に腫瘍組織から取得される。いくつかの実施形態では、異なる時は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、10日、15日、または20日離れている。いくつかの実施形態では、細胞サンプルと追加的細胞サンプルは実質的に同時に腫瘍組織から取得される。いくつかの実施形態では、細胞サンプル上で生物アッセイを実行する工程は、細胞サンプルを透過処理することを含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプル上で生物アッセイを実行する工程は、細胞サンプルを溶解させることを含む。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、フローサイトメトリー、核酸配列決定、ポリメラーゼ連鎖反応、組織学的分析、免疫組織化学的検査法、免疫蛍光検査法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、質量分析法、およびその任意の組み合わせ、から成る群から選択される。
【0007】
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態における、候補分子を評価する方法であって、該方法は、(a)候補分子を、被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルに投与する工程と、(b)腫瘍組織の細胞サンプルを少なくとも1日間培養する工程と、(c)候補分子に対する腫瘍組織の細胞サンプルの反応を評価する工程と、(d)工程(a)-(c)を繰り返す工程と、を含む。いくつかの実施形態では、工程(b)において、細胞サンプルは、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、培養される。いくつかの実施形態では、工程(b)において、細胞サンプルは4日間培養される。いくつかの実施形態では、工程(d)は、(a)-(d)を少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、または少なくとも6回繰り返すことを含む。いくつかの実施形態では、工程(d)は、(a)-(d)を3回繰り返すことを含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは複数の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは無傷組織である。いくつかの実施形態では、細胞サンプルはオルガノイドである。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは細胞組織から単離される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは癌細胞である。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは腫瘍組織の微小環境からの細胞を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍組織の微小環境からの細胞は、免疫細胞、繊維芽細胞、内皮細胞、周皮細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、または骨髄由来細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はリンパ球細胞または骨髄球系細胞である。いくつかの実施形態では、リンパ球細胞は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞である。いくつかの実施形態では、骨髄球系細胞は、好塩基球、好酸球、マスト細胞、好中球、単球、マクロファージ(例えば組織常在性および末梢由来マクロファージ)、骨髄性抑制性細胞、赤血球、または樹状細胞である。
【0008】
いくつかの実施形態では、細胞サンプルは無血清条件で培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは液体-空気界面で培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは細胞培養培地に浸されている。いくつかの実施形態では、反応は、生存率反応、遺伝子発現反応、タンパク質発現反応、タンパク質修飾反応、細胞シグナル伝達反応、形態的反応、または代謝反応である。いくつかの実施形態では、反応を評価する工程は、細胞サンプルからの代謝産物を計測することを含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物を計測することは、細胞培養培地から代謝産物を単離し、そして細胞サンプルが存在しない状態で代謝産物の計測することを含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物は還元反応の産物である。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物はレサズリンに由来する。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物はレゾルフィンである。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物はテトラゾールに由来する。いくつかの実施形態では、テトラゾールは、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウム(MTT)またはその塩、2,3-ビス-(2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム-5-カルボキサニリド(XTT)またはその塩、および3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム(MTS)またはその塩、から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物はホルマザンである。
【0009】
いくつかの実施形態では、細胞サンプルは患者に由来する異種移植片からのものである。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは原発性腫瘍サンプルである。いくつかの実施形態では、原発性腫瘍サンプルは患者から取得された外科サンプルである。いくつかの実施形態では、原発性腫瘍サンプルは患者から取得された生検サンプルである。いくつかの実施形態では、生検サンプルはコア針生検によって取得される。いくつかの実施形態では、方法は、候補分子での被験体の処置を推奨する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、候補分子で被験体を処置しないことを推奨する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前期候補分子は、生物分子と化学分子から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、工程(a)は1以上の追加的候補分子を提供することをさらに含み、ここで、工程(c)は候補分子と1以上の追加的候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価することを含む。いくつかの実施形態では、1以上の追加的候補分子は候補分子と同時に提供される。いくつかの実施形態では、候補分子と1以上の追加的候補分子は連続して提供される。いくつかの実施形態では、方法は、(e)候補分子を 被験体に由来する腫瘍組織の追加的細胞サンプルに投与する工程と、(f)腫瘍組織の追加的細胞サンプルを少なくとも1日間培養する工程と、(f)候補分子に対する腫瘍組織の追加的細胞サンプルの反応を評価する工程と、(h)工程(e)-(g)を繰り返す工程と、(i)追加的細胞サンプルの反応を細胞サンプルの反応と比較する工程と、をさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは腫瘍組織の第1の位置に由来し、そして、追加的細胞サンプルは腫瘍組織の第2の位置に由来する。いくつかの実施形態では、細胞サンプルと追加的細胞サンプルは異なる時に腫瘍組織から取得される。いくつかの実施形態では、異なる時は、少なくとも1日、2日、3日、4日、または5日離れている、いくつかの実施形態では、細胞サンプルと追加的細胞サンプルは実質的に同時に腫瘍組織から取得される。いくつかの実施形態では、細胞サンプル上で生物アッセイを実行する工程は、細胞サンプルを固定することを含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプル上で生物アッセイを実行する工程は、細胞サンプルを透過処理することを含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプル上で生物アッセイを実行する工程は、細胞サンプルを溶解させることを含む。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、フローサイトメトリー、核酸配列決定、ポリメラーゼ連鎖反応、組織学的分析、免疫組織化学的検査法、免疫蛍光検査法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、質量分析法、およびその任意の組み合わせ、から成る群から選択される。
【0010】
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態における、細胞生存率を評価する方法であって、該方法は、(a)細胞培養培地で腫瘍の細胞サンプルを培養する工程と、(b)細胞培養培地から代謝産物を単離する工程と、(c)細胞サンプルが存在しない状態で代謝産物を計測する工程であって、それによって細胞サンプルの細胞生存率を評価する、工程と、を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは細胞株からのものである。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは複数の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは無傷組織である。いくつかの実施形態では、細胞サンプルはオルガノイドである。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは腫瘍サンプルから単離される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは癌細胞である。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは腫瘍組織の微小環境からの細胞を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍組織の微小環境からの細胞は、免疫細胞、繊維芽細胞、内皮細胞、周皮細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、または骨髄由来細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はリンパ球細胞または骨髄球系細胞である。いくつかの実施形態では、リンパ球細胞は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞である。いくつかの実施形態では、骨髄球系細胞は、好塩基球、好酸球、マスト細胞、好中球、単球、赤血球、マクロファージ(例えば組織常在性および末梢由来マクロファージ)、骨髄性抑制性細胞、または樹状細胞である。
【0011】
いくつかの実施形態では、細胞サンプルは無血清条件で培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは液体-空気界面で培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは細胞培養培地に浸されている。いくつかの実施形態では、代謝産物を計測する工程は、蛍光計測または化学発光計測を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは12日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは16日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは20日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物は還元反応の産物である。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物はレサズリンに由来する。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物はレゾルフィンである。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物はテトラゾールに由来する。いくつかの実施形態では、テトラゾールは、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウム(MTT)またはその塩、2,3-ビス-(2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム-5-カルボキサニリド(XTT)またはその塩、および3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム(MTS)またはその塩、から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物はホルマザンである。いくつかの実施形態では、方法は、細胞サンプルに候補分子を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは患者に由来する異種移植片からのものである。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは原発性腫瘍サンプルからのものである。いくつかの実施形態では、原発性腫瘍サンプルは患者から取得された外科サンプルである。いくつかの実施形態では、原発性腫瘍サンプルは患者から取得された生検サンプルである。いくつかの実施形態では、生検サンプルはコア針生検によって取得される。いくつかの実施形態では、方法は、候補分子での被験体の処置を推奨する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、候補分子で被験体を処置しないことを推奨する工程をさらに含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、方法は、(d)追加的細胞培養培地で追加的細胞サンプルを培養する工程と、(e)追加的細胞培養培地から代謝産物を単離する工程と、(f)追加的細胞サンプルが存在しない状態で追加的細胞培養培地からの代謝産物を計測する工程であって、それによって、追加的細胞サンプルの細胞生存率を評価する、工程と、(g)追加的細胞サンプルの細胞生存率を細胞サンプルの細胞生存率と比較する工程と、をさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは腫瘍組織の第1の位置に由来し、そして、追加的細胞サンプルは腫瘍組織の第2の位置に由来する。いくつかの実施形態では、細胞サンプルと追加的細胞サンプルは異なる時に腫瘍組織から取得される。いくつかの実施形態では、異なる時は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、10日、15日、または20日離れている。いくつかの実施形態では、細胞サンプルと追加的細胞サンプルは実質的に同時に腫瘍組織から取得される。いくつかの実施形態では、腫瘍組織は被験体に由来する組織サンプルである。
【0013】
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態における、放射線量を評価する方法であって、該方法は、(a)放射線量を被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルに投与する工程と、(b)細胞サンプルを少なくとも1日間培養する工程と、(c)放射線量に対する細胞サンプルの反応を評価する工程と、を含む。いくつかの実施形態では、工程(b)において、細胞サンプルは、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、または少なくとも19日間、または少なくとも20日間、培養される。いくつかの実施形態では、工程(b)において、細胞サンプルは12日間培養される。いくつかの実施形態では、工程(b)において、細胞サンプルは16日間培養される。いくつかの実施形態では、工程(b)において、細胞サンプルは20日間培養される。
【0014】
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態における、腫瘍処置照射野を評価する方法であって、該方法は、(a)被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルを腫瘍処置照射野に曝露する工程と、(b)細胞サンプルを少なくとも1日間培養する工程と、(c)腫瘍処置照射野に対する細胞サンプルの反応を評価する工程と、を含む。いくつかの実施形態では、工程(b)において、細胞サンプルは、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、培養される。いくつかの実施形態では、工程(b)において、細胞サンプルは12日間培養される。いくつかの実施形態では、工程(b)において、細胞サンプルは16日間培養される。いくつかの実施形態では、工程(b)において、細胞サンプルは20日間培養される。
【0015】
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態における、放射線量を評価する方法であって、該方法は、(a)放射線量を被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルに投与する工程と、(b)腫瘍組織の細胞サンプルを少なくとも1日間培養する工程と、(c)放射線量に対する腫瘍組織の細胞サンプルの反応を評価する工程と、(d)工程(a)-(c)を繰り返す工程と、を含む。いくつかの実施形態では、工程(b)において、細胞サンプルは、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、培養される。いくつかの実施形態では、工程(b)において、細胞サンプルは4日間培養される。いくつかの実施形態では、工程(d)は、(a)-(d)を少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、または少なくとも6回繰り返すことを含む。いくつかの実施形態では、工程(d)は、(a)-(c)を3回繰り返すことを含む。
【0016】
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態における、腫瘍処置照射野を評価する方法であって、該方法は、(a)被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルを腫瘍処置照射野に曝露する工程と、(b)腫瘍組織の細胞サンプルを少なくとも1日間培養する工程と、(c)腫瘍処置照射野に対する腫瘍組織の細胞サンプルの反応を評価する工程と、(d)工程(a)-(c)を繰り返す工程と、含む。いくつかの実施形態では、工程(b)において、細胞サンプルは、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、培養される。いくつかの実施形態では、工程(b)において、細胞サンプルは4日間培養される。いくつかの実施形態では、工程(d)は、(a)-(d)を少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、または少なくとも6回繰り返すことを含む。いくつかの実施形態では、工程(d)は、(a)-(c)を3回繰り返すことを含む。
【0017】
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態における、腫瘍処置照射野を評価する方法であって、該方法は、(a)被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルを腫瘍処置照射野に曝露する工程と、(b)腫瘍組織の細胞サンプルを少なくとも1日間培養する工程と、(c)腫瘍処置照射野に対する腫瘍組織の細胞サンプルの反応を評価する工程と、(d)工程(a)-(c)を繰り返す工程と、を含む。
【0018】
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態における、候補分子を評価する方法であって、該方法は、(a)候補分子を、被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルに投与する工程と、(b)細胞サンプルを候補分子の存在下で少なくとも12日間培養する工程と、(c)候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する工程と、を含む。
【0019】
本明細書に開示されるのは、候補分子を評価する方法であって、該方法は、(a)候補分子を、被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルに投与する工程と、(b)腫瘍組織の細胞サンプルを少なくとも12日間培養する工程と、(c)候補分子に対する腫瘍組織の細胞サンプルの反応を評価する工程と、(d)工程(a)-(c)を繰り返す工程と、を含む。
【0020】
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態における、細胞生存率を評価する方法であって、該方法は、(a)細胞培養培地で腫瘍の細胞サンプルを少なくとも4日間培養する工程と、(b)細胞培養培地から代謝産物を単離する工程と、(d)細胞サンプルが存在しない状態で代謝産物を計測する工程であって、それによって細胞サンプルの細胞生存率を評価する、工程と、を含む。
【0021】
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態における、候補分子を評価する方法であって、該方法は、(a)候補分子を 被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルに投与する工程と、(b)腫瘍組織の細胞サンプルを少なくとも4日間培養する工程と、(c)候補分子に対する腫瘍組織の細胞サンプルの反応を評価する工程と、(d)工程(a)-(c)を少なくとも3回繰り返す工程と、を含む。
【0022】
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態における、放射線量を評価する方法であって、該方法は、(a)放射線量を被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルに投与する工程と、(b)細胞サンプルを少なくとも12日間培養する工程と、(c)放射線量に対する細胞サンプルの反応を評価する工程と、を含む。
【0023】
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態における、腫瘍処置照射野を評価する方法であって、該方法は、(a)被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルを腫瘍処置照射野に曝露する工程と、(b)細胞サンプルを少なくとも12日間培養する工程と、(c)腫瘍処置照射野に対する細胞サンプルの反応を評価する工程と、を含む。
【0024】
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態における、放射線量を評価する方法であって、該方法は、(a)放射線量を被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルに投与する工程と、(b)腫瘍組織の細胞サンプルを少なくとも12日間培養する工程と、(c)放射線量に対する腫瘍組織の細胞サンプルの反応を評価する工程と、(d)工程(a)-(c)を繰り返す工程と、を含む。
【0025】
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態における、腫瘍処置照射野を評価する方法であって、該方法は、(a)被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルを腫瘍処置照射野に曝露する工程と、(b)腫瘍組織の細胞サンプルを少なくとも12日間培養する工程と、(c)腫瘍処置照射野に対する腫瘍組織の細胞サンプルの反応を評価する工程と、(d)工程(a)-(c)を繰り返す工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
特許又は特許出願のファイルは、色付きで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラーの図面を有するこの特許または特許出願公開のコピーが、必要な料金の請求および支払い後に当該事務局によって提供される。本開示の新規な特徴は、とりわけ添付の特許請求の範囲で説明される。本開示の特徴と利点についてのよりよい理解は、本開示の原則が用いられている例証的な実施形態と添付の図面を説明する以下の詳細な記載とを参照することによって得られる。
【
図1A】乳房(
図1A)、膵臓(
図1B)、および膠芽腫(
図1C)の腫瘍サンプルに対する、インビトロの、0日目、4日目、8日目と12日目(div)における、生存率計測値を示す。
【
図1B】乳房(
図1A)、膵臓(
図1B)、および膠芽腫(
図1C)の腫瘍サンプルに対する、インビトロの、0日目、4日目、8日目と12日目(div)における、生存率計測値を示す。
【
図1C】乳房(
図1A)、膵臓(
図1B)、および膠芽腫(
図1C)の腫瘍サンプルに対する、インビトロの、0日目、4日目、8日目と12日目(div)における、生存率計測値を示す。
【
図1D】インビトロの、0日、1日、3日、5日、および13日後の、PA0170の膵臓の患者由来の異種移植片(PDX)組織の組織学的分析(H&E染色)を示す。
【
図1H】同じ腫瘍スライス中で計測された時の、生存率の読み取り値(
図1H)と手動で数えた細胞の個数(
図1I)との間の相関を示す。
【
図1I】同じ腫瘍スライス中で計測された時の、生存率の読み取り値(
図1H)と手動で数えた細胞の個数(
図1I)との間の相関を示す。
【
図1J】示されるように、培地で、または空気-培地界面で、浸されて培養されたGBM組織からの、生存率の読み取り値を示す。
【
図2A】シスプラチンまたはドキソルビシンで処置された時の、BR0851 TNBC PDX腫瘍細胞の生存率の読み取り値を示す。
【
図2B】シスプラチンまたはパクリタキセルで処置された時の、BR1126 TNBC PDX腫瘍細胞の生存率の読み取り値を示す。
【
図2C】インビトロで6日間シスプラチンまたはあるいはドキソサイクリン(doxocyclin)で処置された、BR0851 TNBC PDXスライスの免疫組織化学分析を示す。
【
図2D】放射線のみ、テモゾロミド(TMZ)プラス放射線、あるいはプロカルバジン、ロムスチン、およびビンクリスチン(PCV)プラス放射線で処置された、SN289 GBM PDX組織の、培養0日目、4日目、8日目、および12日目の、生存率分析を示す。
【
図2E】オキサリプラチン、5-フルオロウラシル(5-FU)、あるいはその組み合わせ(Ox+5FU)で処置された、大腸癌PDXモデルの、培養0日目、4日目、および8日目の、生存率分析を示す。
【
図3A】ビヒクル、オキサリプラチン(OXP)、または5-フルオロウラシル(5FU)で、示された濃度で示された時間処置された、CN0458大腸PDX組織(
図3A)とCNSTG大腸PDX(
図3B)組織の、生存率分析を示す。
【
図3B】ビヒクル、オキサリプラチン(OXP)、または5-フルオロウラシル(5FU)で、示された濃度で示された時間処置された、CN0458大腸PDX組織(
図3A)とCNSTG大腸PDX(
図3B)組織の、生存率分析を示す。
【
図3C】ビヒクルまたはシスプラチン(Cis)で、示された濃度で示された時間処置された、BR11267 TNBC PDX(
図3A)細胞とBR0851 TNBC PDX(
図3B)細胞の、生存率分析を示す。
【
図3D】ビヒクルまたはシスプラチン(Cis)で、示された濃度で示された時間処置された、BR11267 TNBC PDX(
図3A)細胞とBR0851 TNBC PDX(
図3B)細胞の、生存率分析を示す。
【
図4A】示される通りの119の薬物の1つで処置された、CN0458結腸PDX腫瘍の生存率計測値を示す。
【
図4B】
図4Aに示される119の薬物の7つで処置された、CN0458結腸PDX腫瘍の生存率計測値を、より高い倍率で示す。
【
図5A】ダブラフェニブ(dabrafeninb)、プラス、トラメチニブ(trametinib)処置に対する、4人の異なる患者(CN1571、CN1572、CN1473、およびCN1574)からのPDX腫瘍スライスの生存率反応を示す。
【
図5B】トラメチニブ、プラス、ダブラフェニブ処置に対する、対応する患者、PDXマウスモデル、およびPDX腫瘍スライスにおける、処置反応の相関を示す。
【
図6】腫瘍組織から生存率を計測するための、例示的実験パラダイムを示す。
【
図7】MMTV-PyMT乳腺腫瘍とCT26大腸腫瘍からの18ゲージの生検針コアを使用した、例示的成長曲線と処置反応とを示す。MMTV-PyMTの生検コアスライスを、溶媒対照(DMSO)、シクロホスファミド(CPP、20μM)、ドキソルビシン(DOX、100nM)、または組み合わせ(CPP(20μM)+DOX(100nM)+TAXOL(1nM))で処置した。CT26大腸腫瘍の生検コアスライスを、対照(IgG+DMSO)、IgG+5-フルオロウラシル(5FU、1μM)、抗-PD1+DMSO、または抗-PD1+5FU+オキサリプラチン(抗-PD1+5FU(1μM)+OX(1μM))で処置した。
【
図8】いくつかの腫瘍組織における長期間培養による、治療耐性の出現を示す。エンコラフェニブ(E、100nM、BRAFV600E阻害剤)、セツキシマブ(C、10μg/ml、EGFR阻害剤)、ビニメチニブ(B、100nM、MEK阻害剤)および組み合わせ、で処置されたヒトmCRC生検コアは、16日間の培養後に、エンコラフェニブ耐性の出現を示し、当該耐性は、MEK阻害剤ビニメチニブでの処置によって抑制される(16日目と20日目のE vs Bと、E+C vs E+C+Bとを比較のこと)。
【
図9】培養4日目の、腫瘍スライスにおける免疫細胞の維持を示す。
【
図10】ヒト腫瘍における示差的な免疫療法反応を計測するための、腫瘍スライスの使用を示す。2人の異なるmCRC患者からの針生検コアを、対照(DMSO)、エンコラフェニブ(100nM)+セツキシマブ(E(100nM)+C(10μg/ml))、免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブ(N、10μg/ml)、あるいは組み合わせ(E+C+N)で処置した。抗-PD1処置に対するマウスの乳腺腫瘍組織反応については、
図7も参照のこと。
【発明を実施するための形態】
【0027】
多くの細胞毒性療法と標的療法が培養細胞で有望な活性を示すが、ほとんどは、患者で同等の有効性を示すことがなく、既存の細胞培養モデルの予測力が最適とは言えないことを示唆している。単離で培養された細胞株(例えば癌細胞株)は、複数のレベルで、ヒト組織(例えば腫瘍組織)の複雑性を十分に再現できないことがある。例えば、癌の開始と進行は、(例えば炎症性サイトカインを介した)免疫細胞、間質細胞などの非癌細胞を含む、腫瘍微小環境によって調節することができる。患者由来の異種移植片(PDX)や他の動物モデルなどの複合体モデルシステムは、度々、高価で時間がかかる。樹立細胞株、新たに解離された初代細胞、またはオルガノイドは、ネイティブ細胞(native cell):つまり細胞間情報伝達と細胞外基質、を破壊し、そしてまた、免疫細胞を含む重要な間質細胞を欠いている。
【0028】
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態で、細胞の異質性を再現し、細胞:つまり細胞相互作用、を保持し、そして、費用対効果が高く、かつタイムリーな実験操作に適している、細胞サンプル(例えば無傷の癌組織)を評価するための方法とシステムである。本明細書に開示されるのは、ある実施形態で、無傷の系として細胞サンプルを評価するための方法とシステムである。本明細書に開示されるのは、ある実施形態で、被験体からの細胞サンプルを評価するための方法とシステムである。
【0029】
いくつかの実施形態では、細胞サンプルを評価することは、所与の持続時間、細胞サンプルに供給される候補分子(例えば化学分子、生物分子等)を評価する工程を含み、それによって、候補分子に対するサンプルの反応を評価する。いくつかの実施形態では、候補分子は細胞サンプル(例えば腫瘍組織)に投与され、当該細胞サンプルは少なくとも5日間候補分子の存在下で培養され、そして候補分子に対する反応(例えば細胞の生存率)が評価される。いくつかの実施形態では、候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する、開示された方法は、例えば、被験体からの腫瘍細胞を処置する際に、1以上の化合物の長期間の有効性を確認するのに有用である。いくつかの実施形態では、開示された方法は、同じ腫瘍サンプルからの細胞を処置する際に、複数の化合物の長期間の有効性を比較するのに有用である。いくつかの実施形態では、開示された方法は、腫瘍サンプルからの細胞サンプルの細胞状態(例えば癌幹細胞の成熟、免疫細胞の再分極等)の変化を判定するのに有用である。いくつかの実施形態では、開示された方法は、候補分子または候補分子の組み合わせに対する、患者に特異的な反応を検出するのに有用である。
【0030】
いくつかの実施形態では、細胞サンプルを評価することは、長期的な方法で候補分子を評価する工程を含む。いくつかの実施形態では、候補分子は細胞サンプル(例えば腫瘍組織)に投与され、当該細胞サンプルは、少なくとも1日間候補分子の存在下で培養され、候補分子に対する反応(例えば細胞の生存率)が評価され、そして当該プロセスは少なくとも1回繰り返される。いくつかの実施形態では、候補分子に対する細胞サンプルの反応は、細胞サンプルを破壊することなく遂行され、これによって、細胞サンプルの継続的な培養と評価とが可能になる。いくつかの実施形態では、候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する、開示された方法は、例えば、被験体からの腫瘍細胞を経時的に処置する際に、1以上の化合物の有効性を判定するのに有用である。例えば、いくつかの実施形態では、開示された方法は、腫瘍サンプルに対して処置の初期には最小限の有効性を有し、そして処置の後期には高い有効性を有するものであると確認するのに有用である。いくつかの実施形態では、開示された方法は、同じ腫瘍サンプルからの細胞サンプルを経時的に処置する際に、複数の化合物の有効性を比較するのに有用である。
【0031】
いくつかの実施形態では、細胞サンプルを評価することは、細胞生存率を評価する工程を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、細胞の生存率を評価する方法である。いくつかの実施形態では、細胞の生存率を評価することは、細胞サンプルを細胞培養培地内で培養する工程と、細胞培養培地から代謝産物を単離する工程と、細胞サンプルが存在しない状態で代謝産物を計測する工程と、を含む。いくつかの実施形態では、細胞の生存率を評価するための開示された方法は、例えば、候補化合物に対する細胞サンプル(例えば腫瘍細胞)の反応を評価するのに有用である。いくつかの実施形態では、細胞サンプルが存在しない状態で細胞サンプルからの代謝産物を計測することは、細胞サンプル内で代謝産物を計測するのと比較して、ばらつきの少ない計測を取得するのに有用である。
【0032】
定義
本明細書で使用される場合、用語「被験体」は、動物、好ましくは、ヒトまたは非ヒトを含む哺乳動物を意味するために使用される。患者、被験体、個体という用語は、交換可能に使用される。これらの用語のいずれも、医療専門家(例えば、医者、看護師、医師助手、看護助手、ホスピスワーカー)の監督を必要とするものであるとは解釈されない。
【0033】
「約」の用語は、量、時間的な持続期間などの計測可能な値を指す場合、指定値から、±20%、または場合によっては±10%、または場合によっては±5%、または場合によっては±1%、または場合によっては±0.1%の変動を包含することが意図されており、その理由は、そのような変動が、開示された方法を実行するのに適切であるからである。さらに、「約」は、プラスまたはマイナス1パーセント未満、あるいはプラスまたはマイナス1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30パーセント、あるいは30パーセントを上回り、これは状況によって変わり、そして当業者にとっては既知、または知り得ることである。「約」は正確な量も含む。従って、「約10kDa」は、「約10kDa」と、さらに「10kDa」とを意味する。
【0034】
候補分子の長期間評価
本明細書に開示されるのは、ある実施形態で、細胞サンプル上での1以上の候補分子の長期間の評価のための方法である。いくつかの実施形態では、開示された方法は、1以上の候補化合物を細胞サンプルに投与する工程と、1以上の候補分子の存在下で、細胞サンプルを少なくとも5日間培養する工程と、複数の候補分子の1つに対する細胞サンプルの反応を評価する工程と、を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、腫瘍組織に由来する細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する前に、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、少なくとも20日間、少なくとも25日間、少なくとも30日間、またはそれ以上培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも5日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも6日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも7日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも8日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも10日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも12日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも15日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも16日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも20日間培養される。
【0035】
いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、複数の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、無傷組織である。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、オルガノイドである。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、腫瘍組織から単離される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、腫瘍組織の微小環境からの細胞を含む。腫瘍組織の微小環境からの細胞の例は、免疫細胞、線維芽細胞、内皮細胞、周皮細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、および骨髄由来細胞を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、リンパ球細胞または骨髄球系細胞である。リンパ球細胞の例としては、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、および樹状細胞が挙げられる。骨髄球系細胞の例としては、マクロファージ、組織常在性単球(例えばミクログリア細胞)、単球由来抑制細胞、好塩基球、好酸球、マスト細胞、好中球、単球、赤血球、マクロファージ(例えば組織常在性マクロファージおよび末梢由来マクロファージ)、骨髄性抑制性細胞、および樹状細胞が挙げられる。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、患者由来の異種移植片サンプルに由来する。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、一次組織サンプル(例えば原発性腫瘍サンプル)に由来する。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、膠芽腫細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、結腸癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、膵臓癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、乳癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、前立腺癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、腎臓癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、肺癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、頭頚部癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、皮膚癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、卵巣癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、子宮癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、肉腫細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、肝臓癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、胃癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、異なる臓器部位に転移した癌細胞(例えば肺に転移した乳癌細胞)を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、少なくとも20日間、少なくとも25日間、少なくとも30日間、またはそれ以上、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも5日間、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも6日間、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも8日間、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも10日間、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも12日間、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも15日間、培養される。いくつかの実施形態では、細胞は、無血清培地で培養される。いくつかの実施形態では、細胞は、液体-空気界面で培養される。いくつかの実施形態では、細胞は、細胞培養培地に浸されて培養される。いくつかの実施形態では、細胞は、低酸素環境(例えば低酸素チャンバ中)で培養される。いくつかの実施形態では、細胞は、標準培養条件に対して低いpH(例えば酸性条件)で培養される。いくつかの実施形態では、細胞は、標準培養条件に対して高いpH(例えばアルカリ条件)で培養される。いくつかの実施形態では、細胞は、標準培養条件に対して、アミノ酸、代謝物質、および/または炭素源の濃度が高い状態で培養される。いくつかの実施形態では、細胞は、標準培養条件に対して、アミノ酸、代謝物質、および/または炭素源の濃度が低い状態で培養される。いくつかの実施形態では、開示された方法は、1以上の候補分子の第2の用量を細胞サンプルに投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の候補分子の第2の用量を投与した後、少なくとも24時間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の候補分子の第2の用量を投与した後、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、少なくとも20日間、少なくとも25日間、少なくとも30日間、またはそれ以上、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の候補分子の第2の用量を投与した後、少なくとも1日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の候補分子の第2の用量を投与した後、少なくとも3日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の候補分子の第2の用量を投与した後、少なくとも5日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の候補分子の第2の用量を投与した後、少なくとも8日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の候補分子の第2の用量を投与した後、少なくとも10日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の候補分子の第2の用量を投与した後、少なくとも12日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の候補分子の第2の用量を投与した後、少なくとも15日間培養される。いくつかの実施形態では、1以上の候補分子の第2の用量に対する細胞サンプルの反応が評価される。
【0037】
いくつかの実施形態では、開示された方法は、1以上の追加的候補分子を細胞サンプルに投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の追加的候補分子を投与した後、少なくとも24時間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の追加的候補分子を投与した後、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、少なくとも20日間、少なくとも25日間、少なくとも30日間、またはそれ以上、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の追加的候補分子を投与した後、少なくとも1日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の追加的候補分子を投与した後、少なくとも3日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の追加的候補分子を投与した後、少なくとも5日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の追加的候補分子を投与した後、少なくとも8日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の追加的候補分子を投与した後、少なくとも10日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の追加的候補分子を投与した後、少なくとも12日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の追加的候補分子を投与した後、少なくとも15日間培養される。いくつかの実施形態では、1以上の追加的候補分子に対する細胞サンプルの反応が評価される。
【0038】
いくつかの実施形態では、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応が(例えば生存率分析を介して)評価され、その後、生物アッセイ(例えば核酸配列決定、組織学的分析等)が細胞サンプル上で実行される。いくつかの実施形態では、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する工程は、細胞サンプルを破壊すること(例えば、溶解、透過処理、固定等)を含まない。いくつかの実施形態では、細胞サンプル上で生物アッセイを実行する工程は、細胞サンプルを破壊すること(例えば、溶解、透過処理、固定等)含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応は、1以上の候補分子に対する追加的な細胞サンプルの反応と比較される。例えば、いくつかの実施形態では、候補分子が2つの細胞サンプルの各々に提供され、各細胞サンプルは少なくとも5日間培養され、候補分子に対する各細胞サンプルの反応が評価され、そして、各細胞サンプルの反応が比較される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルと追加的細胞サンプルは、異なる腫瘍組織から取得される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルと追加的細胞サンプルは、同じ腫瘍組織から取得される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルと追加的細胞サンプルは、異なる時に同じ腫瘍組織から取得される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルと追加的細胞サンプルは、実質的に同時に同じ腫瘍組織から取得される。いくつかの実施形態では、同じ腫瘍組織から取得された2つの細胞サンプルに対する候補分子の反応を評価することは、腫瘍組織内の異質性を評価する際に有用である。例えば、細胞サンプルと追加的細胞サンプルは、実質的に同時に同じ腫瘍組織の異なる位置から取得されてもよく、そして、候補分子に対する各細胞サンプルからの反応が比較されてもよく、それによって、腫瘍組織内の候補分子に対する反応における特別な異質性を評価してもよい。別の例では、細胞サンプルと追加的細胞サンプルは、異なる時に同じ腫瘍組織から取得されてもよく、そして、候補分子に対する各細胞サンプルからの反応が比較されてもよく、それによって、腫瘍組織内の候補分子に対する反応における特別な異質性を経時的に評価してもよい。別の例では、腫瘍組織からの細胞サンプルと健康な組織からの細胞サンプルが、同じ被験体から取得されてもよく、そして候補分子に対する各細胞サンプルからの反応が評価されてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、開示された方法は、複数の放射線量の1つと組み合わせて、1以上の候補分子を細胞サンプルに投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、開示された方法は、腫瘍処置照射野への曝露と組み合わせて、1以上の候補分子を細胞サンプルに投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、開示された方法は、免疫療法と組み合わせて、1以上の候補分子を細胞サンプルに投与する工程を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、開示された方法は、1以上の放射線量を細胞サンプルに投与する工程と、細胞サンプルを少なくとも5日間培養する工程と、1以上の放射線量に対する細胞サンプルの反応を評価する工程と、を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、1以上の放射線量に、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、またはそれ以上、曝露される。いくつかの実施形態では、開示された方法は、腫瘍処置照射野に細胞サンプルを暴露する工程と、細胞サンプルを少なくとも5日間培養する工程と、腫瘍処置照射野に対する細胞サンプルの反応を評価する工程と、を含む。
【0042】
候補分子の長期的評価
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態で、細胞サンプル上での1以上の候補分子の長期間の評価のための方法である。いくつかの実施形態では、開示された方法は、1以上の候補分子を細胞サンプルに投与する工程と、細胞サンプルを培養する工程と、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する工程と、投与する工程、培養する工程、および評価する工程を、同じ1以上の候補分子または1以上の追加的候補分子の第2の用量で繰り返す工程と、を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する前に、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも16時間、少なくとも24時間、またはそれ以上、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも12時間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも24時間培養される。
【0043】
いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する前に、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、少なくとも20日間、少なくとも25日間、少なくとも30日間、またはそれ以上、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも1日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも2日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも3日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも4日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも5日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも10日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも12日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも16日間培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、少なくとも20日間培養される。
【0044】
いくつかの実施形態では、1以上の候補分子を細胞サンプルに投与する工程と、細胞サンプルを培養する工程と、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する工程とは、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、またはそれ以上、繰り返される。いくつかの実施形態では、1以上の候補分子を細胞サンプルに投与する工程と、細胞サンプルを培養する工程と、反応を評価する工程とは、少なくとも1回繰り返される。いくつかの実施形態では、1以上の候補分子を細胞サンプルに投与する工程と、細胞サンプルを培養する工程と、反応を評価する工程とは、少なくとも2回繰り返される。いくつかの実施形態では、1以上の候補分子を細胞サンプルに投与する工程と、細胞サンプルを培養する工程と、反応を評価する工程とは、少なくとも3回繰り返される。いくつかの実施形態では、1以上の候補分子を細胞サンプルに投与する工程と、細胞サンプルを培養する工程と、反応を評価する工程とは、少なくとも4回繰り返される。いくつかの実施形態では、1以上の候補分子を細胞サンプルに投与する工程と、細胞サンプルを培養する工程と、反応を評価する工程とは、少なくとも5回繰り返される。いくつかの実施形態では、投与する工程と、培養する工程と、評価する工程とは、同じ1以上の候補分子の追加的用量で繰り返され、例えば、細胞サンプル(例えば腫瘍組織サンプル)に対する1以上の候補分子の長期的な影響が評価される。いくつかの実施形態では、投与する工程と、培養する工程と、評価する工程とは、1以上の異なる候補分子で繰り返され、例えば、複数の異なる候補分子の影響が評価される。
【0045】
いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、複数の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、無傷組織である。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、オルガノイドである。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、腫瘍組織から単離される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、腫瘍組織の微小環境からの細胞を含む。腫瘍組織の微小環境からの細胞の例は、免疫細胞、線維芽細胞、内皮細胞、周皮細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、および骨髄由来細胞を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、リンパ球細胞または骨髄球系細胞である。リンパ球細胞の例としては、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、および樹状細胞が挙げられる。骨髄球系細胞の例としては、マクロファージ、組織常在性単球(例えばミクログリア細胞)、単球由来抑制細胞、好塩基球、好酸球、マスト細胞、好中球、単球、赤血球、および樹状細胞が挙げられる。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、患者由来の異種移植片サンプルに由来する。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、一次組織サンプル(例えば原発性腫瘍サンプル)に由来する。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、膠芽腫細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、結腸癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、膵臓癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、乳癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、前立腺癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、腎臓癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、肺癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、頭頚部癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、皮膚癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、卵巣癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、子宮癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、肉腫細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、肝臓癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、胃癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、異なる臓器部位に転移した癌細胞(例えば肺に転移した乳癌細胞)を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、少なくとも20日間、少なくとも25日間、少なくとも30日間、またはそれ以上、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも5日間、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも6日間、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも8日間、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも10日間、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも12日間、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも20日間、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、無血清培地で培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、サイトカインまたは成長因子の存在下で培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、液体-空気界面で培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプル培養培地に浸されて培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、低酸素環境(例えば低酸素チャンバ中)で培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、標準培養条件に対して低いpH(例えば酸性条件)で培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、標準培養条件に対して高いpH(例えばアルカリ条件)で培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、標準培養条件に対して、アミノ酸、代謝物質、および/または炭素源の濃度が高い状態で培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、標準培養条件に対して、アミノ酸、代謝物質、および/または炭素源の濃度が低い状態で培養される。
【0047】
いくつかの実施形態では、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応が(生存率分析を介して)評価され、その後、生物アッセイ(例えば核酸配列決定、組織学的分析等)が細胞サンプル上で実行される。いくつかの実施形態では、1以上の細胞特性を評価するために生物アッセイが実行され、例えば、細胞形態、遺伝子異常、遺伝子発現、タンパク質発現、エピジェネティック特性、タンパク質修飾、免疫表現型、代謝産物発現、および/または組織学的特性が評価される。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、細胞形態を評価するためのアッセイ(例えば光学顕微鏡法、電子顕微鏡法、フローサイトメトリー等)である。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、遺伝子異常を評価するためのアッセイ(例えば核型分析、DNA配列決定、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)等)である。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、遺伝子発現を評価するためのアッセイ(例えばRNA-配列決定、マイクロアレイ分析、ノーザンブロット法、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT-PCR)等)である。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、タンパク質発現を評価するためのアッセイ(例えば免疫ブロット法、質量分析法、フローサイトメトリー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、タンパク質免疫沈降法、免疫蛍光検査法、免疫組織化学等)である。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、タンパク質の翻訳後修飾を評価するためのアッセイ(例えば免疫ブロット法、質量分析法、ELISA、免疫蛍光検査法、免疫組織化学等)である。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、エピジェネティック特性を評価するためのアッセイ(例えばATAC-配列決定、DNase-配列決定、MNase-配列決定、バイサルファイト配列決定、クロマチン免疫沈降法(ChIP)等)である。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、タンパク質修飾を評価するためのアッセイ(例えば免疫ブロット法、質量分析法等)である。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、代謝産物発現を評価するためのアッセイ(例えば質量分析法、HPLC,、NMR等)である。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、分泌タンパク質を評価するためのアッセイ(例えば質量分析法、サイトカイン配列、成長因子配列、ELISA、ビーズベースアッセイ(bead-based assay)等)である。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、組織学的特性を評価するためのアッセイである。いくつかの実施形態では、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する工程は、細胞サンプルを破壊すること(例えば、溶解、透過処理、固定等)を含まない。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、免疫細胞の組成、活性状態、または機能における変化を評価するためのアッセイである。いくつかの実施形態では、細胞サンプル上で生物アッセイを実行する工程は、細胞サンプルを破壊すること(例えば、溶解、透過処理、固定等)含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応は、1以上の候補分子に対する追加的な細胞サンプルの反応と比較される。例えば、いくつかの実施形態では、候補分子が2つの細胞サンプルの各々に提供され、各細胞サンプルは候補分子の存在下で培養され、候補分子に対する各細胞サンプルの反応が評価され、当該プロセスが少なくとも1回繰り返され、そして、候補サンプルに対する各細胞サンプルの長期的な反応が比較される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルと追加的細胞サンプルは、異なる腫瘍組織から取得される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルと追加的細胞サンプルは、同じ腫瘍組織から取得される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルと追加的細胞サンプルは、異なる時に同じ腫瘍組織から取得される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルと追加的細胞サンプルは、実質的に同時に同じ腫瘍組織から取得される。いくつかの実施形態では、同じ腫瘍組織から取得された2つの細胞サンプルに対する候補分子の反応を評価することは、腫瘍組織内の異質性を評価する際に有用である。例えば、細胞サンプルと追加的な細胞サンプルは、実質的に同時に同じ腫瘍組織の異なる位置から取得されてもよく、そして、候補分子に対する反応が各細胞サンプルで比較されてもよく、それによって、腫瘍組織内の候補分子に対する反応における特別の異質性を評価してもよい。別の例では、細胞サンプルと追加的な細胞サンプルは、異なる時に同じ腫瘍組織から取得されてもよく、そして、候補分子に対する反応が各細胞サンプルで比較されてもよく、それによって、腫瘍組織内の候補分子に対する反応における特別の異質性を経時的に評価してもよい。別の例では、腫瘍組織からの細胞サンプルと健康な組織からの細胞サンプルが、同じ被験体から取得されてもよく、そして候補分子に対する各細胞サンプルからの反応が評価されてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、開示された方法は、複数の放射線量の1つと組み合わせて、1以上の候補分子を細胞サンプルに投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、開示された方法は、腫瘍処置照射野への曝露と組み合わせて、1以上の候補分子を細胞サンプルに投与する工程を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、開示された方法は、放射線量を細胞サンプルに投与する工程と、細胞サンプルを培養する工程と、複数の放射線量の1つに対する細胞サンプルの反応を評価する工程と、投与する工程、培養する工程、および評価する工程を、例えば第2の放射線量で繰り返す工程と、を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、反応を評価する前に、1以上の放射線量に、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、またはそれ以上、曝露される。いくつかの実施形態では、開示された方法は、腫瘍処置照射野に細胞サンプルを曝露する工程と、細胞サンプルを培養する工程と、腫瘍処置照射野に対する細胞サンプルの反応を評価する工程と、投与する工程、培養する工程、および評価する工程を、例えば同じ腫瘍処置照射野または異なる腫瘍処置照射野で繰り返す工程と、を含む。
【0051】
反応の評価
いくつかの実施形態では、開示された方法は、1以上の候補分子に対する細胞サンプル(例えば細胞)の反応を評価する工程を含む。いくつかの実施形態では、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する工程は、細胞サンプルを破壊すること(例えば、溶解、透過処理、固定等)を含まない。いくつかの実施形態では、反応は、1以上の候補分子への曝露に対する反応である、1以上の細胞条件の変化である。いくつかの実施形態では、反応は、例えば、生存率反応、遺伝子発現反応、タンパク質発現反応、タンパク質修飾反応、細胞シグナル伝達反応、形態的反応、または代謝反応である。いくつかの実施形態では、反応は生存率反応である。いくつかの実施形態では、反応は、1以上の候補分子への曝露に対する反応である、細胞の生存率の変化である。
【0052】
いくつかの実施形態では、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する工程は、1以上の候補分子に曝露された細胞サンプルの遺伝子発現を計測することを含む。遺伝子発現を計測する方法は、核酸配列決定とマイクロアレイ分析を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する工程は、1以上の候補分子に曝露された細胞サンプルのタンパク質発現を計測することを含む。タンパク質発現を計測する方法は、質量分析法、ウエスタンブロット法、免疫組織化学、免疫蛍光検査法、フローサイトメトリー、マスサイトメトリー、および酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する工程は、1以上の候補分子に曝露された細胞サンプルのタンパク質修飾を計測することを含む。タンパク質修飾を計測する方法は、質量分析法、ウエスタンブロット法、およびELISAを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する工程は、1以上の候補分子に曝露された細胞サンプルの細胞のシグナル伝達を計測することを含む。細胞のシグナル伝達を計測する方法は、質量分析法、ウエスタンブロット法、核酸配列決定、およびマイクロアレイ分析を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する工程は、1以上の候補分子に曝露された細胞サンプルの形態的変化を計測することを含む。形態的変化を計測する方法は、光学顕微鏡法および電子顕微鏡法を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する工程は、1以上の候補分子に曝露された細胞サンプルの代謝産物発現を計測することを含む。タンパク質修飾を計測する方法は、ガスクロマトグラフィー-質量分析法(GC-MS)、液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC-MS)、および核磁気共鳴法(NMR)を含むが、これらに限定されない。
【0053】
いくつかの実施形態では、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する工程は、1以上の候補分子に曝露された細胞サンプルの細胞の生存率を計測することを含む。例えば、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価する工程は、1以上の候補分子の存在下で、細胞サンプルを所与の期間培養した後に細胞サンプルの細胞の生存率を計測することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、細胞サンプルの細胞の生存率を計測することは、細胞サンプルからの代謝産物を計測することを含む。いくつかの実施形態では、代謝産物を計測することは、代謝産物を励起させること、および結果として生じた螢光を計測すること(例えば蛍光強度および波長を計測すること)とを含む。いくつかの実施形態では、代謝産物は、細胞サンプルの内部にある間に計測される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物は、細胞培養培地から単離され、そして細胞サンプルがない状態で計測される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物は、還元反応の結果である。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物は、細胞サンプルに提供された分子に由来する。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物は、レサズリンに由来する。いくつかの実施形態では、代謝産物は、レゾルフィンである。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物は、テトラゾールに由来する。テトラゾールの例としては、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウム(MTT)またはその塩、2,3-ビス-(2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム-5-カルボキサニリド(XTT)またはその塩、および3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム(MTS)またはその塩、が挙げられる。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物はホルマザンである。
【0054】
細胞の生存率の計測
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態で、細胞の生存率を計測する方法である。いくつかの実施形態では、開示された方法は、細胞サンプルが存在しない状態で、細胞の生存率を計測する工程を含む。いくつかの実施形態では、開示された方法は、細胞培養培地で細胞サンプル(例えば細胞)を培養する工程と、細胞培養培地から代謝産物を単離する工程と、細胞サンプルが存在しない状態で代謝産物を計測する工程と、を含む。いくつかの実施形態では、代謝産物を計測する工程は、代謝産物を励起させること、および結果として生じた螢光を計測すること(例えば蛍光強度および波長を計測すること)とを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、複数の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞株からのものである。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、無傷組織である。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、オルガノイドである。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、腫瘍組織から単離される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、腫瘍組織の微小環境からの細胞を含む。腫瘍組織の微小環境からの細胞の例は、免疫細胞、線維芽細胞、内皮細胞、周皮細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、および骨髄由来細胞を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、リンパ球細胞または骨髄球系細胞である。リンパ球細胞の例としては、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、および樹状細胞が挙げられる。骨髄球系細胞の例としては、マクロファージ、組織常在性単球(例えばミクログリア細胞)、単球由来抑制細胞、好塩基球、好酸球、マスト細胞、好中球、単球、赤血球、および樹状細胞が挙げられる。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、患者由来の異種移植片サンプルに由来する。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、一次組織サンプル(例えば原発性腫瘍サンプル)に由来する。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、膠芽腫細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、結腸癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、膵臓癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、乳癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、前立腺癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、腎臓癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、肺癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、頭頚部癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、皮膚癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、卵巣癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、子宮癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、肉腫細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、肝臓癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、胃癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、異なる臓器部位に転移した癌細胞(例えば肺に転移した乳癌細胞)を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、少なくとも20日間、少なくとも25日間、少なくとも30日間、またはそれ以上培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも5日間、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも6日間、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも8日間、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも10日間、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも12日間、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞サンプルの継続的な生存を可能にするのに十分な条件で、少なくとも15日間、培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、無血清培地で培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、液体-空気界面で培養される。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞培養培地に浸されて培養される。
【0056】
いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物は、細胞サンプルに提供された分子に由来する。いくつかの実施形態では、分子は、細胞サンプルからの代謝産物を計測する前に、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも16時間、少なくとも24時間、またはそれ以上、細胞サンプルに提供される。いくつかの実施形態では、分子は、細胞サンプルからの代謝産物を計測する前に、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約12時間、約16時間、約24時間、細胞サンプルに提供される。いくつかの実施形態では、分子は、細胞サンプルからの代謝産物を計測する前に、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、細胞サンプルに提供される。いくつかの実施形態では、分子は、細胞サンプルからの代謝産物を計測する前に、約12時間細胞サンプルに提供される。いくつかの実施形態では、分子は、細胞サンプルからの代謝産物を計測する前に、約13時間細胞サンプルに提供される。いくつかの実施形態では、分子は、細胞サンプルからの代謝産物を計測する前に、約14時間細胞サンプルに提供される。いくつかの実施形態では、分子は、細胞サンプルからの代謝産物を計測する前に、約15時間細胞サンプルに提供される。いくつかの実施形態では、分子は、細胞サンプルからの代謝産物を計測する前に、約16時間細胞サンプルに提供される。
【0057】
いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物は、還元反応の結果である。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物は、レサズリンに由来する。いくつかの実施形態では、代謝産物は、レゾルフィンである。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物は、テトラゾールに由来する。テトラゾールの例としては、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウム(MTT)またはその塩、2,3-ビス-(2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム-5-カルボキサニリド(XTT)またはその塩、および3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム(MTS)またはその塩、が挙げられる。いくつかの実施形態では、細胞サンプルからの代謝産物はホルマザンである。
【0058】
いくつかの実施形態では、細胞サンプルが存在しない状態で代謝産物を計測することは、細胞サンプルの存在下で(細胞サンプル内部にある間に)代謝産物を計測するのと比較して、計測ばらつきの低下をもたらす。例えば、いくつかの実施形態では、同じ細胞サンプルからの複数の細胞からの複数の代謝産物からの計測は、細胞サンプルが存在しない状態で(例えば細胞培養培地から単離された状態で)計測された時に、細胞サンプルの存在下で(細胞内で)計測された時よりも、ばらつきが小さくなる。
【0059】
細胞サンプル
いくつかの実施形態では、開示された方法は、1以上の細胞サンプルの使用を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、1以上の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、腫瘍の微小環境からの細胞を含む。腫瘍組織の微小環境からの細胞の例は、免疫細胞、線維芽細胞、内皮細胞、周皮細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、および骨髄由来細胞を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、リンパ球細胞または骨髄球系細胞である。リンパ球細胞の例としては、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、および樹状細胞が挙げられる。骨髄球系細胞の例としては、マクロファージ、組織常在性単球(例えばミクログリア細胞)、単球由来抑制細胞、好塩基球、好酸球、マスト細胞、好中球、単球、赤血球、および樹状細胞が挙げられる。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、組織サンプルである。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、腫瘍組織に由来する。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、被験体(例えば被験体からの組織)に由来する。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、細胞株に由来する。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、オルガノイドである。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、オルガノイドに由来する。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、一次組織(例えば原発性腫瘍組織)に由来する。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、患者由来の異種移植片(PDX)に由来する。いくつかの実施形態では、患者由来(例えば原発性腫瘍組織または患者由来の異種移植片から)の細胞サンプルの使用は、候補分子に対する患者に特異的な反応の検出を可能にする。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、単一タイプの細胞(例えば癌細胞)を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、複数タイプの細胞(例えば癌細胞、および腫瘍の微小環境からの細胞)を含む。いくつかの実施形態では、細胞サンプルは、原発性腫瘍サンプルである。いくつかの実施形態では、請求項1に記載で、ここで、細胞サンプルは転移性腫瘍サンプルからのものである。
【0060】
いくつかの実施形態では、原発性腫瘍サンプルは、被験体からの外科サンプルである。いくつかの実施形態では、原発性腫瘍サンプルは、患者生検(例えばコア生検、切除生検、切開生検、またはパンチ生検などの、患者の体の任意の一部からの組織の取り出し)に由来する。いくつかの実施形態では、生検は、コア針生検(例えば中空針を腫瘍の中に挿入して、腫瘍から組織サンプルを取り出す生検)である。いくつかの実施形態では、コア生検を取得するための針は、14ゲージ、15ゲージ、16ゲージ、17ゲージ、18ゲージ、19ゲージ、20ゲージ、21ゲージ、または22ゲージの針である。いくつかの実施形態では、針は、18ゲージの針である。
【0061】
いくつかの実施形態では、複数の細胞サンプルは、同じ腫瘍上の異なる解剖学的位置からのコア針生検を介して取得される。いくつかの実施形態では、複数のサンプルは、同じ時点で取得される。いくつかの実施形態では、当該サンプルは、異なる時点で取得される。例えば、いくつかの実施形態では、開示された方法は、腫瘍サンプルに対して処置の初期には最小限の有効性を有し、そして処置の後期には高い有効性を有するものであると確認するのに有用である。
【0062】
候補分子
いくつかの実施形態では、開示された方法は、1以上の候補分子を評価する工程を含む。いくつかの実施形態では、候補分子は、治療薬である。いくつかの実施形態では、治療薬は、癌治療薬である。いくつかの実施形態では、候補分子は、治療薬であるとされる化合物である。いくつかの実施形態では、候補分子は、治療薬ではない。いくつかの実施形態では、候補分子は、細胞サンプルからの反応を引き出すことができるとされる分子である。
【0063】
いくつかの実施形態では、候補分子は、化学分子である。いくつかの実施形態では、候補分子は、小分子である。いくつかの実施形態では、小分子は、最大で900ダルトン、最大で800ダルトン、最大で700ダルトン、最大で600ダルトン、最大で500ダルトン、最大で400ダルトン、最大で300ダルトン、最大で200ダルトン、最大で100ダルトン、またはそれ以下のサイズである。いくつかの実施形態では、候補分子は、生物分子である。生体分子の例は、組み換えタンパク質、酵素、抗体、操作された抗体、操作された抗体薬物キメラ、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、受容体、およびその任意の一部を含むが、これらに限定されない。
【0064】
生物学的アッセイ
いくつかの実施形態では、開示された方法は、1以上の生物アッセイを細胞サンプル上で実行する工程を含む。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、1以上の候補分子に対する細胞サンプルの反応を評価した後に、細胞サンプル上で実行される。例えば、候補分子が細胞サンプルに提供され、細胞サンプルは候補分子の存在下で少なくとも5日間培養され、細胞サンプルの生存率反応が評価され、そして、生物アッセイが続いて実行される。いくつかの実施形態では、細胞サンプル上で生物アッセイを実行する工程は、細胞サンプルの細胞を破壊すること(例えば、溶解、透過処理、固定等)含む。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、候補分子の長期間の評価の後に、細胞サンプル上で実行される。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、候補分子の長期的な評価の後に、細胞サンプル上で実行される。
【0065】
いくつかの実施形態では、生物アッセイは、細胞を固定すること含む。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、細胞を透過処理すること含む。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、細胞を溶解させること含む。いくつかの実施形態では、1以上の細胞特性を評価するために生物アッセイが実行され、例えば、細胞形態、遺伝子異常、遺伝子発現、タンパク質発現、エピジェネティック特性、タンパク質修飾、代謝産物発現、および/または組織学的特性が評価される。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、細胞形態を評価するためのアッセイ(例えば光学顕微鏡法、電子顕微鏡法、フローサイトメトリー等)である。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、遺伝子異常を評価するためのアッセイ(例えば核型分析、DNA塩基配列決定、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)等)である。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、遺伝子発現を評価するためのアッセイ(例えばRNA-配列決定、マイクロアレイ分析、ノーザンブロット法、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT-PCR)等)である。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、タンパク質発現を評価するためのアッセイ(例えば免疫ブロット法、質量分析法、フローサイトメトリー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、タンパク質免疫沈降法、免疫蛍光検査法、免疫組織化学等)である。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、エピジェネティック特性を評価するためのアッセイ(例えばATAC-配列決定、DNase-配列決定、MNase-配列決定、バイサルファイト配列決定、クロマチン免疫沈降法(ChIP)等)である。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、タンパク質修飾を評価するためのアッセイ(例えば免疫ブロット法、質量分析法等)である。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、代謝産物発現を評価するためのアッセイ(例えば質量分析法、HPLC等)である。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、組織学的特徴を評価するためのアッセイである。いくつかの実施形態では、生物アッセイは、分泌分子を評価するためのアッセイである。
【実施例】
【0066】
実施例1:PDX腫瘍スライスの長期間培養と長期的モニタリング
エクスビボで20日を超えて、無傷の腫瘍組織の継続的成長を可能にするスライス培養システムを開発した。最適培養条件の開発において4つのパラメータをテストし、そこには、5つの培養培地条件、4つの異なる生存率アッセイ、3つの異なる培養条件、および5つの異なる腫瘍サイズが含まれる。これらのパラメータと最終培養条件が、表1に示される。
【0067】
【0068】
培養条件は、無血清培養培地内の液体-空気界面で培養された、定義されたサイズの腫瘍スライス(直径3mm、厚み250-350μM)を生成することで構成されていた。
【0069】
これらの条件で、複数の器官部位(例えば脳、乳房、結腸、膵臓)を起源とする腫瘍組織を、エクスビボで最大16日間継続的に成長させながら維持した。
【0070】
各サンプルの成長を蛍光代謝生存率アッセイ(fluorescent metabolic viability assay)、CellTiter-Blue(CTB)を使用して長期的に計測し、異なる摂動前後の、同じ組織からの複数のリアルタイム計測が可能になった。
図1A-
図1Cは、乳房(
図1A)、膵臓(
図1B)、膠芽腫(
図1C)の腫瘍サンプルに対する、インビトロの、0日目、4日目、8日目、および12日目(div)における、生存率計測値を示す。これらの結果は、これらの条件下での培養組織の生存率と継続的増殖とを実証する。
図1Dは、インビトロの、0日、1日、3日、5日、および13日後の、PA0170膵臓細胞の組織学的分析(H&E染色)を示す。
図1E-
図1Gは、インビトロの、示された日数後の、乳癌(
図1E)、肺癌(
図1F)、および腎臓癌(
図1G)からの、ヒト患者腫瘍のH&E染色を示す。これらの結果は、異なる器官部位からの腫瘍組織が13日間の培養後でさえも、元の組織学的特徴を維持することを示す。
【0071】
生存率計測値が腫瘍細胞数の変化を正確に反映していることを検証するために、生存率読み取り値を、同じ組織からの実際の細胞の個数と比較した。複数の異なるPDXモデルを使用して、生存率を計測した。生存率読み取りを行った直後に、同じ組織上で、生細胞を手動でカウントした。組織を分離し、そして、生細胞を、トリパンブルー排除法(Trypan blue exclusion)によって血球計を使用して、各ウェルからカウントした。
図1Hと
図1Iは、SN211 GBM PDX組織における、細胞のカウント数と生存率の読み取り値との間の相関を示す。
図1Jは、浸された状態(左)、または空気-培地界面(右)において、培養されたGBM組織からの生存率計測値を示す。示されるように、計測を、1日目、7日目、または14日目に行った。これらのデータは、浸された状態で培養された組織と比較して、空気-培地界面で培養された組織に対して、生存率と増殖との著しい改善を示す。
【0072】
材料と方法
患者由来の異種移植片
初期継代(P0-P1)の患者由来の異種移植片(PDX)をJax-Westから取得し、そして月齢2-3ヵ月のメスのNSGマウス(NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ;株:005557)、NSG-Hprtマウス(NOD.Cg-Prkdcscid Hprtem1Mvw Il2rgtm1Wjl/MvwJ;株:026222)、またはNGS-EGFPマウス(NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl Tg(CAG-EGFP)1Osb/SzJ;株:021937)で増やした。2つの三種陰性乳癌(TNBC)サンプル、5つの多形神経膠芽腫(GBM)サンプル、3つの膵臓癌サンプル、および3つの結腸癌サンプルをテストした。GBMとTNBCのモデルを、脳または4番目の乳房の脂肪パッドにそれぞれ注入することによって、同所的にそれらを増やした。膵臓腫瘍モデルと結腸腫瘍モデルを、皮下に注射して増殖させた。
【0073】
腫瘍組織回収と器官型スライス培養
腫瘍が500-1000mm3に達した時に、腫瘍組織を回収した。サンプルを、KREB緩衝液またはリン酸緩理食塩水(PBS)中で、4%の低融点アガロース(Bio-Rad(登録商標))に埋め込み、Vibratome VT1200S(Leica Microsystems)を使用して250-350μMの厚さのスライスに精密にカットした。スライス速度と大きさは、腫瘍組織の密度と完全性によって調節した。1mm、2mm、または3mmの直径の組織を、生検針を使用して、壊死領域を回避して、腫瘍含有領域から生成した。各スライスパンチを、1mlまたは0.2mlの無血清スライス培養培地(スライス培地:DMEM/F-12(Hyclone(登録商標))、B27サプリメント(Gibco(登録商標))、100U/mLのペニシリン(Gibco(登録商標))、および100μg/mLのストレプトマイシン(Gibco(登録商標))を使用して、12ウェルまたは48ウェルの培養皿の、薄い多孔質膜(Nucleopore(商標)Track-Etched-Whatman(登録商標))上で培養した。
【0074】
生存率アッセイと組織学的分析
5μlのCell-Titer Blue(CTB)(Promega(登録商標))基質を、1mlの培養培地に添加し、そして37°Cで15時間または24時間インキュベートした。100μlの培地を、各サンプル培養物から取り出し、そしてEnspire(登録商標) multimode plate reader (Perkin Elmer(登録商標))を使用して、蛍光を計測した(Ex560/Em590)。培養培地の背景蛍光は、毎日、各サンプルの読み取り値から差し引いた。CTB読み取り直後に培地を変更し、そして、新規培地に薬物を添加して、培養を継続した。望ましい時点で、追加的な生存率計測を行って長期的データを収集し、そして、馴化培地を収集して分析した。最終時点後、組織を、ホルマリン中に固定して、組織学的分析用にパラフィンまたはOCTに埋め込むか、あるいは、RIPA緩衝液またはトリゾール中に溶解させ、そして、馴化培地を冷凍する。各スライスパンチの組織組成におけるばらつきを考慮して、各サンプルの生存率読み取り値を、スライス直後のCTB読み取り値(0日目エクスビボ:1 dex CTB読み取り値)にそれぞれ正規化し、そして、各時点におけるCTB計測値の相対的な倍率変化を分析した。
【0075】
実施例2:PDXスライスの長期間培養物を使用して、薬物反応をテストする
脳、乳房、結腸、および膵臓からの12の異なるPDXモデルにおいて、13の薬物を、単独でまたは放射線との組み合わせでテストした(表2)。テストした組み合わせとしては、プロカルバジン、ロムスチン、およびビンクリスチン(「PCV」)と5FU、ロイコボリン、イリノテカン、およびOXP(「FLCO」)が挙げられた。
【0076】
【0077】
図2Aと
図2Bは、観察された反応を表わす、2つの三種陰性乳癌(TNBC)PDXからの例を示す。2つの別個のTNBC PDXスライスを、標準ケア化学療法(standard care chemotherapy)、シスプラチン(Cis)、ドキソルビシン(Dox)、またはパクリタキセル(Taxol)で処置した。実施例1に記載される通り、結果を、生存率計測を介して観察した。生存率アッセイの読み取り値は、BR0851 TNBC PDX腫瘍は、シスプラチン処置に対して感受性が無いが、Dox処置に感受性が高いことを示しており、このことは、12日目のエクスビボ(「div」)を0divと比較して、12divで、ビヒクルとシスプラチン処置スライスで生存率読み取り値が上がっていること、および、Dox処置スライスで生存率読み取り値が下がっていることよって実証されている(
図2A)。他方、BR1126 TNBC PDX腫瘍は、Cis処置とTaxol処置の両方に対して感受性が高い(
図2B)。
【0078】
13divでのBR0851 TNBC PDXスライスの免疫組織化学法は、全組織数は、ビヒクルとCis処置組織とにおいては同様であるが、ビヒクルとシスプラチン処置組織と比較してDox処置組織では、細胞数が全体的に減少し、核濃縮と核異常が増加し、そして壊死領域が増加していることを示している(
図2C)。従って、免疫化学分析はCTB読み取り値と一致しており、つまり、Dox処置は、結果として、13divまでに完全寛解をもたらす。対照的に、薬物への長期間曝露後ですら、シスプラチン処置組織は成長し続け、そして疾患プロファイルの進行を呈し続けた。
【0079】
PDX GBMモデル(SN289)を使用して、2つの処置レジメンを同じ腫瘍上で並びで比較した。単一のPDX腫瘍から複数のスライスパンチを生成し、そして複数の複製で異なる処置にさらした。放射線治療(IR)自体は、最初は成長を抑制したが、長期間培養では抑制せず、一方で、TMZを放射線と組み合わせると、生存率は結果的に、4divから13divで低下した(
図2D)。PCVも、放射線と組み合わせると同様の反応を示し、結果として、13divまで安定的な疾患プロファイルであった(
図2D)。
【0080】
転移性大腸癌(mCRC)用の現在の標準ケアは、オキサリプラチンと5-フルオロウラシル(5-FU)処置とを含む。
図2Eは、実施例1に記載されるように、オキサリプラチン(左から右に示される通り、0.1μM、1μM、および10μM)で、5-FU(左から右に示される通り、1μM、10μM、および100μM)で、または組み合わせで、示された日数インビトロ(div)で処置された細胞から観察された、生存率計測値を示す。このデータは、mCRCのオキサリプラチンに対する反応が、用量と時間とに依存することを実証する。対照的に、5-FU処置は、最高用量であっても細胞生存率の低下を示すことはない。これらの結果は、そのような組織培養と反応計測を使用して、個別の患者の併用処置から、効果の無い化学療法を排除することができることを示している。
【0081】
材料と方法
組織学分析と免疫組織化学法
ホルマリン固定組織部分、パラフィン-またはOCT-包埋の組織部分を、組織学的評価用に、ヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)で染色した。増殖に関する特定のマーカー(KI67:Abcam(登録商標)、ab15580、1:300)と、アポトーシスに関する特定のマーカー(切断型カスパーゼ3:Cell Signaling(登録商標)、#9661、1:300)とを、標準免疫組織化学法分析プロトコルを使用して分析した。加えて、ヒトに特異的な抗体(HuNu:EMD Millipore(登録商標)、MAB1281、(クローン235-1)、1:300)を使用することによって、PDX腫瘍がヒト起源のものであることをも確認した。
【0082】
実施例3:薬物感受性におけるモデル間および患者間の差異を予測するためのエクスビボスライス培養
腫瘍間および腫瘍内の異質性は、薬物反応と薬物耐性の出現に重大な役割を果たす。ちょうど、異なる患者が同じ薬物に対して異なる反応を呈するように、異なるPDXモデルは、同じ薬物に対して示差的感受性を示すことが見込まれる。スライス培養システムが異なるPDXモデルの示差的な薬物感受性を報告できるか否かをテストするために、同じ臨床タイプの別個の腫瘍の処置反応を比較した。例えば、2つの異なる結腸PDX腫瘍を、標準ケア剤オキサリプラチン(OXP)と5-フルオロウラシル(5FU)で処置し、そして、両方の結腸腫瘍モデルは、OXPと5FUに対して異なる反応を呈した(
図3Aと
図3B)。生存率読み取り値に基づいて、100uMのOXPは、CN0458結腸腫瘍スライスと比較して、CNSTG結腸腫瘍スライスの生存率を抑えるのにより効果的であり、一方で、100uMの5FUは、CNSTG結腸腫瘍スライスと比較して、CN0458腫瘍スライスの生存率を抑えるのにより効果的である(
図3Aと
図3B)。
【0083】
エクスビボにおける薬物反応における差異が、インビボにおける薬物感受性と一致するか否かを判定するために、インビボ薬物反応データが存在する2つの異なるTNBC PDXモデル(BR1126とBR0851、JAX PDX Resource)の反応を比較した。エクスビボのシスプラチン処置は、結果的に、BR1126 TNBC PDXスライスで部分的反応をもたらしたが、BR0851 TNBC PDXスライスではそうならなかった(
図3Cと
図3D)。このパターンはインビボ処置においても同様であり、BR0851が反応を示さなかった一方で、BR1126は部分的反応を示した(
図3Aと
図3B)。処置の用量およびスケジューリングはインビボ研究とエクスビボ研究との間で大きく異なっていたが、この相関は明白だった。これらの結果は、エクスビボスライスシステムが、費用的かつ時間的に効率的な方法で相対的なインビボ感受性を予測するのに使用できることを示唆する。
【0084】
実施例4:腫瘍スライスを使用する、ゲノミクス情報に左右されない、偏り無い薬理学的スクリーニング
FDA認可の腫瘍薬物は100を超えるが、臨床の場における特定の腫瘍タイプの処置のための標準ケアとして使用される薬物の数は、全ての入手可能な薬物の内のほんの一部である。個々の患者の限られた量の腫瘍組織で、偏り無い薬物有効性スクリーンを実施するために、本明細書に記載されたエクスビボスライス培養システムに変更を加えて、高含有量薬物スクリーニングを実施した。119のFDA認可の腫瘍薬物を含む認可腫瘍薬物セットVIを、国立癌研究所(NCI)から取得した。PDX腫瘍スライスを、実施例1に記載されるように取得し、そして直径2mmの腫瘍スライスパンチを96のウェルプレートに播種し、そして200ulのTSC培地に浸した。1日目と3日目に、生存率を、実施例1に記載されるように長期的なCell-Titer Blue (CTB)生存率アッセイを使用して計測し、そして、1日目に、培地を、CTB計測後に交換した。薬物を、1日目に、100μMの最終濃度で添加した。3日目(つまり2日の薬物曝露)のサンプルの生存率読み取り値を、各ウェルの1日目の生存率読み取り値に正規化し、そして、1日目の読み取り値と比較した3日目の倍数変化として表した。
【0085】
NCI薬物パネルの119のFDA認可薬物の各々を、それぞれ3回テストすることができるように、2mmのパンチを、2つのCN0458結腸PDX腫瘍から生成した。細胞を3日間培養した。各スライスのベースラインの生存率を、培養物をセットアップした直後(0div)に、CTB読み取りを実施することによって評価した。119の薬物の各々を、ベースラインのCTB読み取り後に、複製ウェルに添加した。CTB読み取りを、初期の反応を判定するために、1日目の薬物処置後(1div)と、再び3日目の薬物処置後(3div)とに実施した。手順の再現性をテストするために同じ実験を2回実施し、高度に一貫した結果を観察した。
図4Aは、3divでの、各薬物に対するこれらの2つの実験からのCTB計測値の平均(合計n=6)で、ベースライン読み取り値に正規化されたものを示す。7つの薬物が、開始時の組織の50%を上回る生存率を、再現性良く抑制した。これらの7つの薬物の2つは、同じタンパク質、ALKに対する阻害活性を有する。7つの薬物のどれも、現在はmCRC患者のための標準ケアではなく、FDA認可腫瘍薬物を別の目的で使用するためにこの方法を使用しても良いことを示唆する。
図4Bは、ベースライン読み取り値に正規化された、より高い倍率における、これらの7つの薬物の平均CTB計測値を示す。
【0086】
実施例5:腫瘍スライスは患者の反応を正確に予測する
腫瘍スライスシステムの臨床的有用性を検証するために、臨床試験に登録された4人の患者(CN1571、CN1572、CN1573、およびCN1574)から生成されたmCRC PDXモデルからの組織サンプルを取得し、培養し、実施例1に記載される方法を使用して評価した。
図5Aは、示された日のエクスビボ(dev)における、ダブラフェニブ(Dab)、プラス、トラメチニブ(Tra)の併用療法またはDMSO対照に反応する、組織サンプルの生存率分析を示す。腫瘍スライス反応を、表3に概説されている修正を加えたRECIST基準を使用して、患者の反応に関して以前に公表されているデータ、および同じ4人の患者からのインビボPDXモデルの反応と比較し、腫瘍スライス反応の相互関係を示した。この比較の結果を
図5Bに示す。腫瘍スライス反応は、対応するPDXと患者の反応に一致した。
【0087】
【0088】
実施例6:腫瘍サンプルの異なる位置からの細胞における、反応のばらつき
同じ患者の腫瘍の2つの位置からの腫瘍組織サンプルを、実施例1に記載されるように、取得し培養した。各サンプルを、シスプラチン(Cis)、ドキソルビシン(Dox)、またはパクリタキセル(Taxol)で処置する。生存率計測を、インビトロで0日目、3日目、5日目、9日目、および12日目に取得する。2つのサンプルの各々の生存率計測値間の有意差を観察し、これは腫瘍組織内の薬物反応における異質性を実証している。
【0089】
実施例7:腫瘍スライスを、生検針コアから確立し調査することができる。
自然発症のMMTV-PyMTマウスの乳腺腫瘍とCT26マウスの大腸腫瘍からの、腫瘍組織標本を、18ゲージコアの生検針を使用して抽出した。サンプルは、Vibratome VT1200S(Leica Microsystems)を使用して、250-350μMの厚さのスライスに精密にカットした。各スライスを、200μlの無血清腫瘍様塊培養培地(serum free tumorsphere culture medium)(TSC培地:DMEM/F-12(Hyclone(登録商標))、B27サプリメント(Gibco(登録商標))、100U/mLのペニシリン(Gibco(登録商標))、および100μg/mLのストレプトマイシン(Gibco(登録商標))を使用して、48ウェルの培養皿の、薄い多孔質膜(Nucleopore(商標)Track-Etched-Whatman(登録商標))上で培養した。
【0090】
MMTV-PyMTスライスを、対照(DMSO)と化学療法:つまり、シクロホスファミド(CPP)と、ドキソルビシン(DOX)と、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびパクリタキセル(CPP+DOX+TAXOL)の組み合わせと、で処置した。薬物を、1日目に、以下の最終濃度で、MMTV-PyMTコアスライス培養物に添加した;20μMのCPP、100nMのDOX、および1nMのTAXOL、そして、各培地変更を-1日目、4日目、および8日目に行った。
【0091】
その後、CT26コアスライスは、対照、免疫グロブリンG(IgG)とDMSO(IgG+DMSO)、および化学療法と免疫療法との組み合わせで処置し、当該組み合わせとしては、IgG、フルオロウラシル(5FU)、およびオキサリプラチン(Ox)の組み合わせ(IgG+Ox+5FU);抗-PD1とDMSO(抗-PD1+DMSO)の組み合わせ;そして、抗-PD1、5FU、およびオキサリプラチンの組み合わせ(抗-PD1+5FU+Ox)、が挙げられる。薬物を、1日目に、以下の最終濃度で、CT26コアスライス培養物に添加した;1μMの5FU、1μMのOX、および10μg/mlの抗-PD1。
実施例1に記載される通り、結果を、生存率計測を介して観察した。代表的な結果を
図7に示す。生存率アッセイによる読み取り値は、MMTV-PyMT腫瘍が、Dox処置とCCP+Dox+Taxol処置に感受性が高く、そしてCPP処置に感受性が無いことを示し、このことは、12日目を0日目と比較して、CCP処置スライスで生存率読み取り値が上がっていること、および、Dox処置スライスと、CCP+Dox+Taxol処置スライスとで生存率読み取り値が下がっていることよって実証されている。追加的に、生存率アッセイによる読み取り値は、CT26腫瘍が、IgG+OX+5FU処置と抗-PD1+OX+5FU処置とに感受性がより高く、そして抗-PD1+DMSO処置に感受性が低いことを示す。
【0092】
実施例8:長期間の腫瘍スライス培養物を使用する、治療耐性の出現の検出
臨床試験中の患者から、ヒトの転移性の大腸癌(mCRC)のコア針生検のサンプルを取得した。サンプルを、実施例7に記載されるように、スライス上に精密にカットして培養した。サンプルを、標的療法-エンコラフェニブ(enco)、BRAFV600E阻害剤;セツキシマブ(cetux)(EGFR阻害剤);ビニメチニブ(bini)(MEK阻害剤);およびそれらの組み合わせで処置し、当該組み合わせとしては、エンコラフェニブとセツキシマブの組み合わせ(enco+cetux)、およびエンコラフェニブ、セツキシマブ、およびビニメチニブ(enco+cetux+bini)の組み合わせが挙げられる。薬物を腫瘍スライス培養物に、1日目に、以下の最終濃度で添加し、各培地変更を-4日目、8日目、12日目、および16日目に行った:100nMのエンコラフェニブ、10μg/mLのセツキシマブ、および100nMのビニメチニブ(binitetinib)。
【0093】
実施例1に記載される通り、結果を、生存率計測を介して観察した。代表的な結果を
図8に示す。
図8は、培養16日目での、エンコラフェニブ耐性の出現を示し、これは、下流のMEK阻害剤ビニメチニブでの処置によって抑制される(16日目と20日目の、enco vs bini、およびenco_cetux vs enco+cetux+biniとを比較のこと)。
【0094】
実施例9:常在性免疫細胞の長期間の維持
抗-CD45、CD3、CD8、およびCD4抗体で分析された自然発症のMMTV-PyMTマウスの乳腺腫瘍スライス培養物のフローサイトメトリー分析を実施し、本明細書に記載される培養条件にさらされた腫瘍スライス中の常在性免疫細胞の長期的な維持を評価した。MMTV-PyMTマウスの乳腺腫瘍からの組織標本を、エクスビボで4日間、IL2有りと無しとで、培養した。エクスビボの4日目に、MMTV-PyMT腫瘍スライスを、9:1の比のアキュターゼ:コラゲナーゼ+ヒアルロニダーゼ(hyaloruronidase)を含むカクテルを使用して、分離した。分離された単一の細胞を洗浄し、遮断抗体(抗CD16/32)に再懸濁し、そして、氷の上で30分間、2%のBSA/PBS中で希釈した。その後、細胞を洗浄し、Brilliant Violet染色緩衝液中で、抗-CD45、CD3、CD8、およびCD4抗体(PE-CY7、PE、APC、FITC、BV650、およびBV711)を含む、45μlの抗体カクテルに再懸濁し、そして、氷の上で30分間、インキュベートした。インキュベーション後、細胞を洗浄し、室温で30分間固定可能な生存率染料で染色した。染色後、細胞を洗浄し、ICfix溶液で固定し、そしてその後、LSRIIフローサイトメーターで分析した。
【0095】
結果を
図9Aに示す。スライス培養物におけるCD3+細胞、CD4+細胞、およびCD8+細胞は、(IL2の添加無しで)親の腫瘍周波数に近い周波数で維持され、腫瘍スライスが免疫細胞微小環境に対する原発性腫瘍組織を表わすことを裏付ける。IL2の添加によって、免疫細胞周波数は親の腫瘍周波数に対して増加した。
【0096】
実施例10:免疫療法に対する患者に特異的な反応の計測
コア針生検を使用して、臨床試験中の2人の患者から、ヒトの転移性の大腸癌(mCRC)生検コアのサンプルを取得した。サンプルを、実施例7に記載されるように、スライス上に精密にカットして培養した。その後、各患者からのサンプルは、対照(DMSO)と、エンコラフェニブおよびセツキシマブ(E+C)と、免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブ(N)と、エンコラフェニブ、セツキシマブ、およびニボルマブの組み合わせ(E+C+N)と、で処置された。薬物を腫瘍スライス培養物に、1日目、4日目、8日目、12日目、および16日目に、以下の最終濃度で添加した:100nMのエンコラフェニブ、10μg/mLのセツキシマブ、100nMのビニメチニブ、および10μg/mLのニボルマブ。サンプルを14日間培養した。
【0097】
実施例1に記載される通り、結果を、生存率計測を介して観察した。結果を
図10に示す。2つのmCRCサンプルは、早期の時点と後期の時点において、チェックポイント阻害剤ニボルマブのみ、およびエンコラフェニブとセツキシマブとの組み合わせ(E+C+N)に対して、示差的な感受性を示した。
【0098】
本開示の好ましい実施形態が本明細書中で示され、記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されているに過ぎないということは、当業者に明らかであろう。多くの変形、変更、および置き換えは、本開示から逸脱することなく、当業者によって想到されるものである。本明細書に記載される本開示の実施形態の様々な代案が、本開示の実施に際して利用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本開示の範囲を定義するものであり、ならびに、それによって、この特許請求の範囲およびその同等物の範囲内の方法および構造は包含されることが、意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
候補分子を評価する方法であって、前記方法は、
(a)前記候補分子を、被験体に由来する腫瘍組織の細胞サンプルに投与する工程と、
(b)前記細胞サンプルを前記候補分子の存在下で少なくとも1日間培養する工程と、
(c)前記候補分子に対する前記細胞サンプルの反応を評価する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
工程(b)において、前記細胞サンプルは、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、培養される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(d)追加的候補分子を前記細胞サンプルに投与し、そして前記細胞サンプルを少なくとも24時間培養する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(d)において、前記細胞サンプルは、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、培養される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
(e)前記追加的候補分子に対する前記細胞サンプルの反応を評価する工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
(d)前記追加的候補分子の第2の用量を前記細胞サンプルに投与し、そして前記細胞サンプルを少なくとも24時間培養する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(d)において、前記細胞サンプルは、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、培養される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(e)前記追加的候補分子の第2の用量に対する前記細胞サンプルの反応を評価する工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記細胞サンプルは複数の細胞、無傷組織、オルガノイド、癌細胞、および腫瘍組織の微小環境からの細胞の1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記細胞サンプルは前記腫瘍組織から単離される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記腫瘍組織の前記微小環境からの前記細胞は、免疫細胞、繊維芽細胞、内皮細胞、周皮細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、または骨髄由来細胞である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記免疫細胞はリンパ球細胞または骨髄球系細胞である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記リンパ球細胞は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞であるか、あるいは、骨髄球系細胞は、好塩基球、好酸球、マスト細胞、好中球、単球、赤血球、マクロファージ、骨髄性抑制性細胞、または樹状細胞である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記細胞サンプルは無血清条件で、液体-空気界面で、または細胞培養培地に浸されて培養される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記反応は、生存率反応、遺伝子発現反応、タンパク質発現反応、タンパク質修飾反応、細胞シグナル伝達反応、形態的反応、または代謝反応である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
生存率反応を評価する工程は、前記細胞サンプルからの代謝産物を計測することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記細胞サンプルからの前記代謝産物を計測することは、細胞培養培地から前記代謝産物を単離し、そして前記細胞サンプルが存在しない状態で前記代謝産物を計測することを含み、前記細胞サンプルからの前記代謝産物は還元反応の産物であり、前記細胞サンプルからの前記代謝産物はレサズリンに由来し、前記細胞サンプルからの前記代謝産物はレゾルフィンであり、前記細胞サンプルからの前記代謝産物はテトラゾールに由来し、前記細胞サンプルからの前記代謝産物はホルマザンである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記テトラゾールは、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウム(MTT)またはその塩、2,3-ビス-(2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム-5-カルボキサニリド(XTT)またはその塩、および3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム(MTS)またはその塩、から成る群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記細胞サンプルは患者に由来する異種移植片からのものであるか、あるいは原発性腫瘍サンプルからのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記原発性腫瘍サンプルは被験体からの外科サンプルであるか、あるいは患者から取得された生検サンプルである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記生検サンプルはコア針生検によって取得される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記候補分子での被験体の処置を推奨する工程か、あるいは被験体を処置しないことを推奨する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記候補分子は、生物分子と化学分子から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記生物分子は、組み換えタンパク質、酵素、抗体、成長因子、受容体、およびそれらの任意の一部、から成る群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
工程(a)は1以上の追加的候補分子を提供することをさらに含み、工程(c)は前記候補分子と前記1以上の追加的候補分子に対する前記細胞サンプルの前記反応を評価することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記1以上の追加的候補分子は前記候補分子と同時に提供されるか、あるいは前記候補分子と前記1以上の追加的候補分子は連続して提供される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
(d)前記候補分子を、前記被験体に由来する前記腫瘍組織の追加的細胞サンプルに投与する工程と、
(e)少なくとも5日間、前記候補分子の存在下で前記追加的細胞サンプルを培養する工程と、
(f)前記候補分子に対する前記追加的細胞サンプルの反応を評価する工程と、
(g)前記追加的細胞サンプルの前記反応を前記細胞サンプルの前記反応と比較する工程と、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記細胞サンプルは前記腫瘍組織の第1の位置に由来し、そして、前記追加的細胞サンプルは前記腫瘍組織の第2の位置に由来する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記細胞サンプルと前記追加的細胞サンプルは異なる時に前記腫瘍組織から取得される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記異なる時は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、10日、15日、または20日離れている、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記細胞サンプルと前記追加的細胞サンプルは実質的に同時に前記腫瘍組織から取得される、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記細胞サンプル上で生物アッセイを実行する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記細胞サンプル上で前記生物アッセイを実行する工程は、前記細胞サンプルを固定することを含み、前記細胞サンプル上で前記生物アッセイを実行する工程は、前記細胞サンプルを透過処理することを含み、前記細胞サンプル上で前記生物アッセイを実行する工程は、前記細胞サンプルを溶解させることを含み、あるいは前記生物アッセイは、フローサイトメトリー、核酸配列決定、ポリメラーゼ連鎖反応、組織学的分析、免疫組織化学的検査法、免疫蛍光検査法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)分析、質量分析法、およびその任意の組み合わせ、から成る群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
(d)工程(a)-(c)を繰り返す工程、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
工程(d)は、(a)-(c)を少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、または少なくとも6回繰り返すことを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
(e)前記候補分子を、前記被験体に由来する前記腫瘍組織の追加的細胞サンプルに投与する工程と、
(f)前記腫瘍組織の前記追加的細胞サンプルを少なくとも1日間培養する工程と、
(g)前記候補分子に対する前記腫瘍組織の前記追加的細胞サンプルの反応を評価する工程と、
(h)工程(e)-(g)を繰り返す工程と、
(i)前記追加的細胞サンプルの前記反応を前記細胞サンプルの前記反応と比較する工程と、
をさらに含む、請求項34に記載の方法。
【国際調査報告】