IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジン パワー ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2022-525626骨組み、及び骨組みから作製される洋上支持構造体
<>
  • 特表-骨組み、及び骨組みから作製される洋上支持構造体 図1
  • 特表-骨組み、及び骨組みから作製される洋上支持構造体 図2
  • 特表-骨組み、及び骨組みから作製される洋上支持構造体 図3
  • 特表-骨組み、及び骨組みから作製される洋上支持構造体 図4
  • 特表-骨組み、及び骨組みから作製される洋上支持構造体 図5
  • 特表-骨組み、及び骨組みから作製される洋上支持構造体 図6
  • 特表-骨組み、及び骨組みから作製される洋上支持構造体 図7
  • 特表-骨組み、及び骨組みから作製される洋上支持構造体 図8
  • 特表-骨組み、及び骨組みから作製される洋上支持構造体 図9
  • 特表-骨組み、及び骨組みから作製される洋上支持構造体 図10
  • 特表-骨組み、及び骨組みから作製される洋上支持構造体 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-18
(54)【発明の名称】骨組み、及び骨組みから作製される洋上支持構造体
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/38 20060101AFI20220511BHJP
   B63B 35/00 20200101ALI20220511BHJP
   B63B 5/24 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B63B35/38 B
B63B35/00 T
B63B5/24 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021555852
(86)(22)【出願日】2020-03-23
(85)【翻訳文提出日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 EP2020058041
(87)【国際公開番号】W WO2020188124
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】102019203881.6
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520109313
【氏名又は名称】ジン パワー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ジン,フィリップ
(57)【要約】
洋上骨組み構造体のモジュール式構成のための骨組み(50)であって:浮体として機能する第1のバー(51);第2のバー(52);バー(51、52)の略平行な支持のための2つのポスト(53);及び骨組み(50)に張力を印加するための2つのベルト(54)を備える、骨組み(50)。接続要素(55)は、バー(51、52)の各端部に位置決めされ、この接続要素(55)は、接続要素(55)をバー(51、52)に取り付けるためのフランジ(56)を備える。接続要素(55)内には、ポスト(53)を取り付けるために、受承エリア(57)がバー(51、52)の長手方向(61)に位置決めされる。更に接続要素(55)は、張力印加デバイス(60)を備えたベルト(54)を固定することによって、張力印加デバイス(60)を用いて、骨組み(50)の形状を保持できる、又は骨組み(50)に対角線方向に張力を印加できるようにするための、固定手段(58)を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上骨組み構造体のモジュール式構成のための骨組み(50)であって、
前記骨組み(50)は:浮体として機能する第1のバー(51);第2のバー(52);前記バー(51、52)の略平行な支持のための2つのポスト(53);及び前記骨組み(50)に張力を印加するための2つの斜材(54)を備え、接続要素が、前記バー(51、52)の各端部に位置決めされ、
前記接続要素は:
‐前記接続要素(55)を前記バー(51、52)に、前記バー(51、52)の長手方向(61)に接合するための、フランジ(56);
‐前記ポスト(53)を前記バー(51、52)に、前記バー(51、52)の前記長手方向(61)に接合するための、受承エリア(57);
‐張力印加デバイス(60)を備えた前記斜材(54)を締結することによって、前記張力印加デバイス(60)を用いて、前記骨組み(50)の形状を保持できる、又は前記骨組み(50)に対角線方向に張力を印加できるようにするための、締結手段(58)
を備える、骨組み(50)。
【請求項2】
前記接続要素(55)は、前記バー(51、52)の前記長手方向(61)に関して非対称に構成され、
延長部分(62)が片側に構成され、ホルダ(66)がもう片側に構成され、これにより、ある1つの前記骨組み(50)のある1つの前記接続要素(55)の前記延長部分(62)を、更なる1つの前記骨組み(50)の別の1つの前記接続要素(55)の前記ホルダ(66)と接合できる、請求項1に記載の骨組み(50)。
【請求項3】
前記延長部分(62)は接続用小孔を有し、前記接続用小孔内では接続ボルト(67)を交換でき、
前記斜材(54)は、前記接続ボルト(67)に設けられた横方向穿孔(68)内に設置できる、請求項2に記載の骨組み(50)。
【請求項4】
前記ホルダ(66)は、互いに対面した漏斗状凹部を備える2つのプレートを備え、前記プレートを前記ポストの前記長手方向(61)において互いに向かってガイドした場合に、前記プレートを用いて、前記接続ボルト(67)の先細端部を受承し、センタリングし、固定できる、請求項3に記載の骨組み(50)。
【請求項5】
前記接続要素(55)の前記フランジ(56)、及び前記バー(51、52)の前記端部は、前記フランジ(56)が、前記第1のバー(51、52)の少なくとも前記端部を液密封止するように構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の骨組み(50)。
【請求項6】
前記第1のバー(51、52)は、円形断面を備え、及び/又は中空体として構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の骨組み(50)。
【請求項7】
前記バー(51、52)、前記ポスト、前記接続要素(55)、及び/又は前記斜材(54)は、金属材料、プラスチック、又は複合材料で作製される、請求項1~6のいずれか1項に記載の骨組み(50)。
【請求項8】
前記第1のバー(51)の浮力のみによって浮揚性となっている、請求項1~7のいずれか1項に記載の骨組み(50)。
【請求項9】
前記ポストのうちの少なくとも1つの延長部分に:浮体(100)、特に請求項14~20のいずれか1項に記載の浮体(100);例えば太陽光発電プラント若しくは風力タービンのための台座の部品;又はプラットフォームのためのホルダが位置決めされる、請求項1~8のいずれか1項に記載の骨組み(50)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の3つの骨組み(50)から形成された、洋上骨組み構造体(70)であって、
前記骨組み(50)は、前記接続要素(55)を介して接合されて、直立三角柱構造を形成し、
前記直立三角柱構造では、浮体として機能する前記第1のバー(51)は、略三角形の底面にわたって広がり、前記第2のバー(52)は、前記底面と合同の略三角形の上面にわたって広がり、2つの隣接する前記骨組み(50)の2つの前記ポスト(53)それぞれが1つの側縁部を形成する、洋上骨組み構造体(70)。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の4つ以上の骨組み(50)から形成された、洋上骨組み構造体(70)であって、
前記骨組み(50)は、前記接続要素(55)を介して接合されて、直立四角柱又は多角柱構造を形成し、
浮体として機能する前記第1のバー(51)は、略長方形又は多角形の底面にわたって広がり、前記第2のバー(52)は、前記底面と合同の略長方形又は多角形の上面にわたって広がり、2つの隣接する前記骨組み(50)の2つの前記ポスト(53)それぞれが1つの側縁部を形成し、
各前記骨組み(50)の前記接続要素(55)は、固定手段を備え、前記固定手段に、張力印加デバイス(60)を備えたコネクタ(69)を締結することによって、
前記骨組み構造体(70)の2つの前記骨組み(50)を、隣接していない端部において互いに接合できる、洋上骨組み構造体(70)。
【請求項12】
前記コネクタ(69)は、略前記底面及び/若しくは前記上面内に、並びに/又は対角線に沿って、延在する、請求項11に記載の骨組み構造体(70)。
【請求項13】
前記第1のバー(51)の浮力のみによって浮揚性となっている、請求項10~12のいずれか1項に記載の骨組み構造体(70)。
【請求項14】
1つ以上の浮体(100)、特に請求項17~23のいずれか1項に記載の浮体(100);又は台座、保持デバイス、プラットフォーム等を、前記側縁部のうちの1つ以上の延長部分に、及び/又は前記バー(51、52)のうちの1つ以上に、取り付け可能である、請求項10~13のいずれか1項に記載の骨組み構造体(70)。
【請求項15】
浮体(100)、特に請求項17~23のいずれか1項に記載の浮体(100)が、前記側縁部のうちの1つ以上の上の、前記第1のバー(51)と前記第2のバー(52)との間に、垂直方向に移動可能となるように位置決めされる、請求項9~13のいずれか1項に記載の骨組み構造体(70)。
【請求項16】
太陽光発電プラント、風力タービン等のための保持デバイス、プラットフォーム、上部構造、台座の浮揚状態での支持のために、モジュール式で構成された、浮揚性洋上支持構造体(80)であって、
請求項10~15のいずれか1項に記載の複数の洋上骨組み構造体(70)を備える、浮揚性洋上支持構造体(80)。
【請求項17】
トーラス回転軸(2)を内包したトーラス小孔(4)を備える、トーラス状浮体(100)であって、
複数のトーラスセグメント状ポンツーン(1)から構成され、
前記ポンツーン(1)は:
‐隣接する前記ポンツーン(1)を、軸方向及び/又は半径方向に、はめ込みによって接合できるように設計された、略平坦な側面(9)上の接続手段(10);
‐前記トーラス小孔(4)内に接続部品(15)を設置するための、半径方向内側ポンツーン表面(5)上の受承エリア(30);
‐隣接する前記ポンツーン(1)を、トーラス周方向において一体に保持して、前記ポンツーン(1)を前記トーラス小孔(4)の方向において固定するための、半径方向外側ポンツーン表面(7)上の保持手段(20)
を備え、
前記ポンツーン(1)はプラスチック製であり、回転溶融、ブロー押出成形、又はRIMプロセスで製造される、トーラス状浮体(100)。
【請求項18】
前記接続手段(10)は、前記側面(9)のうちの一方の上の、略半径方向、軸方向、又は斜め半径方向に延在する少なくとも1つの溝(12)、及び他方の前記側面(9)の上の、前記溝(12)と対向する少なくとも1つの略相補的な突起(14)として構成される、請求項17に記載の浮体(100)。
【請求項19】
前記保持手段(20)は、個々の前記ポンツーン(1)を周方向において一体に保持する、周方向リング若しくはベルト、又は張力印加デバイス(22)である、請求項17又は18に記載の浮体(100)。
【請求項20】
前記浮体(100)を構成する個々の前記トーラスセグメント状ポンツーン(1)のサイズを画定する角度は、互いに異なっており、及び/又は前記浮体(100)を構成する個々の前記トーラスセグメント状ポンツーン(1)の軸方向長さは、互いに異なっている、請求項17~19のいずれか1項に記載の浮体(100)。
【請求項21】
前記ポンツーン(1)を少なくとも部分的に流出させる又は排水する目的で、前記ポンツーン(1)の少なくとも1つの弁デバイス(40)を作動させるために使用できる、弁アクチュエータ(45)を備える、請求項17~20のいずれか1項に記載の浮体(100)。
【請求項22】
前記ポンツーン(1)のうちの少なくとも1つは、前記ポンツーン(1)及び/又は前記浮体(100)の輸送を目的として、上部及び/又は底部にアイレット(17)を有する、請求項17~21のいずれか1項に記載の浮体(100)。
【請求項23】
略回転対称のポンツーンキャリア(15)が、前記受承エリア(30)を用いて前記トーラス小孔(4)内に設置され、前記ポンツーンキャリア(15)の回転軸は、前記トーラス回転軸に対応し、また前記ポンツーンキャリア(15)には、前記トーラス回転軸に対して略平行に整列されたリフティングロッド(25)を、前記浮体(100)の振動運動の伝達のために取り付けることができる、請求項17~22のいずれか1項に記載の浮体(100)。
【請求項24】
請求項12に記載の複数の骨組み構造体(70)からモジュール式で構成され、請求項20に記載の複数の浮体(100)を備える、波力発電プラント(200)であって、
前記リフティングロッド(25)は、リニア発電機(90)の駆動シャフトに動作可能に接続され、前記駆動シャフトは、前記リフティングロッド(25)に対して弾性的に予備応力を印加されており、これにより、前記リフティングロッド(25)の振動運動が、前記リニア発電機(90)の前記駆動シャフトを回転させる、波力発電プラント(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略平面状に構成された浮揚性骨組み、並びに、例えばソーラーパネル及び風力発電プラントの設置のための浮体プラットフォームのための支持構造体として、又は波力発電プラントのための支持構造体として、上記骨組みからモジュール式で組み立てられた、浮揚性3次元支持構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
浮体又はポンツーン等によって支持されたプラットフォーム等の、浮体プラットフォームは、当該技術分野において様々な形態で知られている。これらの構造体の多くは構造が複雑であるため、陸上で組み立てられ、組み立てられた状態で使用場所に輸送されることが多い。これにより特に、これらのプラットフォームのサイズが限定される。
【0003】
洋上で組み立てられる、表面積が比較的大きな支持構造体は、特に外洋、即ち海で使用されることになる場合には、操作又は操縦が困難であることが多い。これに関連して、特に洋上での構成には、補助リソースを多量に使用する必要があり、従ってコストが発生し、このコストは、このような広範囲にわたって平面状の支持構造体については極めて大きなものとなり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の目的は、支持構造体であって、簡単な手段で安価に構成できる支持構造体を提供することであり、ここで上記支持構造体は、モジュール式で構成され、また拡張可能である。製造及び組み立ての労力、特に洋上での組み立てに必要な労力を最小限に削減できる。更に、本発明による荷重支承構造体を用いると、寸法及び荷重支承能力に関して柔軟な適合が可能な、堅牢な浮揚性支持構造体を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、請求項1に記載の、略平面状に構成された浮揚性骨組みによって達成される。有利な実施形態は従属請求項2~7に示されている。本発明の上述の目的は更に、請求項8又は9に記載の浮揚性骨組み構造体によって達成される。これらの骨組み構造体の好ましい実施形態は従属請求項に示されている。浮力を増大させるために、独立請求項14に記載の浮体が更に提供され、ここで、好ましい更なる改良形態が、請求項14に従属する従属請求項に示されている。請求項21は更に、本発明による複数の骨組み構造体からモジュール式で構成された、波力発電プラントを開示し、上記骨組み構造体は、本発明による上記骨組みからモジュール式で構成される。上述の浮体は、波のエネルギを電気エネルギに変換するために使用される。
【0006】
本発明によるベースユニットは、洋上骨組み構造体のモジュール式構成を目的とした、略平面状の構成の骨組みを形成する。
【0007】
本発明による骨組みは、浮体として機能する第1のバーと、第2のバーとを備え、これらはいずれも、2つの横方向ポストによって、互いに対して平行に支持される。上記骨組みは、2つの斜材を用いて、形状保持できるか、又は対角線方向に張力を印加できる。フランジを有する接続要素は、上記バーの端部に位置決めされて、上記バーを上記ポスト及び上記斜材に接合する。上記第1及び/又は第2のバーが中空体で作製されている場合、上記フランジは、上記バーを液密閉鎖し、これにより、上記バー内に閉じ込められた空気の容積が、対応する浮力を生成する。金属材料を使用する場合、これは、例えば上記フランジを上記バーに溶接することによって実施できる。ねじ留め、又は場合によってはシールを用いた接着といった、他の標準的な接続も、本発明の概念の範囲内である。更なる実施形態では、少なくとも上記第1のバーは、液密中空体として設計され、その端部には上記接続要素を取り付けることができる。
【0008】
好ましくは、上記バーと、上記バーの端部に締結された上記接続要素とは、本発明による上記骨組みの組立体を形成し、上記組立体は、陸上で予備組み立てされる。この場合、上記接続要素は、上記ポストを上記バーに、上記バーの長手方向に対して横断方向に取り付けるための、上記フランジに隣接する受承エリアを有し、これにより、上記バーを平行に離間させて保持する。好ましくは、上記バーと略垂直に整列されたこれらの横方向ポストは、上記受承エリアと一体となるように単純に差し込まれる。更に好ましくは、これは工具を使用せずに実施され、従って、工具を用いずに上記ポストを上記接続要素に取り付けるために好適な、全ての公知のタイプの剛性又は関節式プラグイン接続、クランプ接続、及びクリップ接続が包含される。本発明の骨組みの形状を保持するため;上記骨組みに張力を印加して一体に保持するため;従って上記バーを上記ポストに取り付けた状態で保持するためには、張力印加デバイスを備える斜材を使用する。これらの斜材を上記接続要素上の固定手段に取り付けて、上記骨組みを対角線方向に固定できるか、又は上記骨組みをその略長方形の形状に保持できる。用語「斜材」は、テンションストラップ及びラッシングストラップ、並びに張力印加デバイス、例えば関連する左/右ねじ、ロープ等を備える、支柱を含む。
【0009】
ある好ましい実施形態では、ボルトを上記接続要素に、上記バーの長手方向に対して横断方向に、又は上記ポストの長手方向に対して横断方向に挿入し、ここで上記ボルトは好ましくは回転可能であるが、上記接続要素内に、上記接続要素に挿入された上記斜材によって軸方向に固定された状態で設置される。本発明の一実施形態では、斜材として構成された上記骨組み支柱は、上記張力印加デバイスにおいて分割でき、それぞれが上記張力印加デバイスの反対側の端部にカラーを有することができ、上記カラーの直径は、上記接続要素に設置された上記ボルトの横方向穿孔の直径よりも大きい。上記張力印加デバイスを用いて、上記斜材/骨組み支柱を、上記接続要素への又は上記回転可能なボルトへの挿入後に、互いに接合する、即ちこれらに、互いに対して対角線方向に張力を印加することができ、これにより、本発明による上記骨組みがしっかりと接合され、関連する全ての構成部品が固定される。上記バー及び/又はポストを延長すると、上記骨組みの対角線の長さに加えて、その角度も変化するため、上記接続要素内で上記ボルトを回転させることができることにより、本発明による骨組みを拡張できる。例えば、斜材としてテンションストラップを用いて張力を印加する場合、上記接続要素内に回転可能に設置されるボルトは不要である。というのは、上記斜材のための上記固定手段は、例えばブッシュ、アイレット、又はスロットの形態で構成されるためである。
【0010】
このように、本発明による骨組みは:接続要素を備えるバーを、簡単に、好ましくは工具を用いずに、ポストに取り付けること;及び(分割可能な)斜材をブッシュに、又は骨組み支柱を、横方向穿孔を備える回転可能なボルトに、挿入することのみによって、形状を保持できるか、又は一体に保持できる。その結果、本発明による骨組みの構成には、補助リソースの使用は最小限しか必要ない。本発明によると、上記第1のバーは浮揚性であり、即ち浮体として機能する。これにより、上記第1のバーは浮力を生成し、上記浮力は、水中での上記第1のバーの自重の重量を減少させるか、平衡化するか、又は超える場合さえある。ある好ましい実施形態では、上記第1のバーの上記浮力は、骨組みを水面に浮いた状態で保持できる程度に高く、他の実施形態では、上記第1のバーの上記浮力は比較的低く、追加の浮体を、例えば上記ポストの延長として、上記骨組み上に位置決めできる。
【0011】
従って好ましくは、本発明による骨組みは、例えば陸上で組立体として構成でき、また、陸上若しくは洋上で骨組構造体を形成するために作製でき、又は荷重支承構造体を拡張するために洋上に運ぶことができる。別の実施形態では、洋上荷重支承構造体モジュールは、本発明による複数の骨組みから、陸上又は海岸付近で組み立てて、例えばタグボートを用いて、その使用場所に運ぶことができ、上記使用場所において、更なる洋上骨組み構造体モジュールに接続できる。更なる詳細については以下を参照されたい。
【0012】
本発明による骨組みの浮揚性は、上述のように、上記接続要素によって液密封止される中空体としての、又は本発明による上記接続要素に取り付けることができる液密中空体として構成される、上記第1のバーの構成によって、保証できる。本発明による骨組みでは、上記第1及び第2のバーは、異なる断面若しくは直径を備えることができ、又は異なる材料で作製できる。というのは、上記第2のバーは、浮力に貢献することも考えられるものの、浮力に貢献する必要がないである。これは、本発明による骨組みを支持構造体内で垂直に整列させ、例えば上記第1のバーが下側のバーを形成する場合に、特に当てはまる。この場合、水面又は水面のすぐ下に浮かぶ上記第1のバーは、浮力の生成における主要な因子である。従って、第1のバーの直径を他方の第2のバーよりはるかに大きくすることが考えられ、これは例えば重量を削減するためである。しかしながら、経済的な理由から、これら2つのバーを同一の部品として設計することも考えられる。これは、そのようにすると、各骨組みに4つ設置される接続要素も同一の部品として構成でき、アダプター部品の必要がなくなるためである。すると、十分に高い浮力を生成するために、ポストの延長として、又はバー上に、追加の浮体を位置決めする必要がある場合がある。また、本発明によると、上記バーに同一の材料を使用する必要はないため、例えば、浮力を生成する上記第1のバーは、プラスチック又はプラスチック複合材料で作製でき、もう一方の平行な(上側の)第2のバーは、金属材料で作製でき、例えば二重T字型ビームの断面形状を備えることができ、また更に、例えば耐海水性アルミニウムで作製できる。
【0013】
原則として、浮力を生成するためには、中空体や、水、特に塩水よりも密度が低い材料といった、当該技術分野で使用可能ないずれの材料を使用できる。例えば上記バーの中実のコアを取り囲む発泡材料も考えることができ、上記中実のコアは、例えば強度を理由として必要とされる。
【0014】
浮力を更に増大させるために、本発明による別の実施形態では、例えば上記2つのバーを互いにに対して平行に離間させる上記ポストの延長として、浮体を上記骨組みに取り付けることができる。しかしながら、浮体を2つの上記接続要素の中間に固定することも、2つ以上の浮体を上記骨組み上に積み重ねて位置決めすることと同様に、本発明の概念に包含され、ここで本発明によると好ましくは、上記骨組み自体が浮揚性である。
【0015】
本発明による骨組みを、その表面に対して斜めに若しくは直角に、互いに接合できるようにする、又は3次元構造体を形成するように接合できるようにするために、上記接続要素は、上記バーの上記長手方向に関して非対称形状を有し、片側には延長部分が形成され、反対側にはホルダが形成され、これにより、1つ目の骨組みの接続要素の延長部分を、更なる2つ目の骨組みの別の接続要素のホルダに接続できる。従って、本発明による骨組みの全ての隅の接続要素を、同一部品として構成できる。そのため、2つの骨組みの2つの隣接する接続要素は常に、オス‐メス接続によって接合できる。
【0016】
本発明の一実施形態は、上記接続要素上に延長部分を備え、上記延長部分には接続用小孔(connecting eye)が挿入されており、上記接続用小孔内では、接続ボルトを交換できる。このような接続ボルトを固定するために、ホルダのためのねじ留め点が、上記接続要素の、上記接続用小孔と対向する側部に設けられ、これにより、各接続ボルトを、隣接する接続要素の上記接続用小孔に、軸方向に固定できる。従って本発明によると、上記接続要素について同一の部品を使用して、本発明による骨組み自体を一体に保持すること、及び本発明による複数の骨組みを、これらの接続要素を介して互いに接合することの両方が可能である。必要に応じて補強用ソケットを有する接続用小孔の正確な構成、並びに好ましくは円錐状の端部を備える接続ボルト、及び接続ボルトを受承してロックするための保持要素の正確な構成は、技術的制限を受けない。以下では、添付の図面を参照して、ある特定の実施形態を更に詳細に説明する。
【0017】
上述のように、それ自体が浮揚性であってよい本発明による骨組みは、好適な接続要素を用いて組み立てることにより、浮揚性3次元洋上骨組み構造体、特に直角三角柱又は直角四角柱又は直角多角柱の形状の本発明による3次元骨組み構造体モジュールを形成できる。このような直角多角柱の特徴は、底面と上面とが合同であることである。本発明によると、上述の骨組みは、基本組立体として、このような洋上骨組み構造体モジュールの側面を形成する。
【0018】
本発明によると、本発明による洋上骨組み構造体内の骨組みが、上記第1のバーが水中又は水上に浮いた状態で、垂直に、即ち水面と直交するように、配向されることが好ましい。これらの骨組み構造体モジュールは、特に例えば大型の骨組み構造体の構築のための平面状の荷重支承構造体のモジュール式基体を形成するものであるが、これらは陸上及び海上の両方で組み立てることができる。というのは、これらの骨組みは剛性であり、また張力が印加されているため、個々の部品に比べて運搬、組み立て、及び操作が簡単であるためである。これは特に、うねりがある中で骨組みを接合しなければならない場合に当てはまる。
【0019】
本発明による3つの骨組みから形成された骨組み構造体は、直角三角柱の最小のモジュールを構成する。第1のバーは略三角形の底面にわたって広がり、第2のバーは合同の三角形の上面にわたって広がる。この場合の3つの骨組みは垂直に位置決めされているため、このような三角柱の側縁部は、2つの隣接する骨組みの2つの横方向ロッドによって形成される。上記骨組みは上記接続要素を介して接続される。具体的には、上述のように、例えば接続ボルトを挿入できる接続用小孔を有する接続要素上に形成された延長部分を介してであり、ここで上記ボルトは、例えば隣接する接続要素にねじ留めできるホルダによって保持される。直角三角柱構造により、このようなモジュールは本質的に安定しており、底面又は上面に張力を印加することも考えられるものの、それを必要としない。
【0020】
互いに垂直に立っている本発明による4つの骨組みを互いに接合する場合、結果は略立方体の構造体であり、ここで垂直な側縁部はそれぞれ、隣接する骨組みの2つの横方向ロッドから形成される。ここでは、第1のバー及び第2のバーはそれぞれ、略長方形の底面又は上面を形成する。またここでも、隣接する骨組みは、上述のように接続要素によって互いに接合される。
【0021】
更に、個々の接続要素の接続ボルトは横方向穿孔を備えることができ、これに、張力印加デバイスを備えるコネクタを挿入することによって、骨組みを例えば底面及び上面においてクランプできる。横方向穿孔が対角線方向の穿孔として設計されている場合、コネクタは、対角線方向の、即ち底面の接続点から、同一の骨組みの一部ではない上面の接続点までの空間内でも接合できる。ここでもまた、接続ボルトは好ましくは接続要素内に回転可能に設置され、これにより、好ましくは拡張可能な骨組みから構成された3次元洋上骨組み構造体モジュールもまた、拡張可能となる。
【0022】
本発明による骨組みを接合することによって、直角三角柱又は直角四角柱又は直角多角柱が形成され、これは、平面状に広がる荷重支承構造体の、洋上骨組み構造体モジュールを形成できる。これらの3次元三角形、立方体、又は多角形構造を用いて、用途に応じて個別に設計された荷重支承構造体を構築でき、これは、再生可能エネルギ若しくはメンテナンス用プラットフォームのための、又は風力タービン若しくは掘削プラットフォームのための、プラットフォーム又は支持設備とすることができる。当然のことながら、本発明による骨組みは、レジャー用の入浴プラットフォームのための支持構造体で、又はダイビング用の機器プラットフォーム若しくは休憩プラットフォームとして、使用することも考えられる。本発明による洋上荷重支承構造体の使用分野はこれらの可能性に限定されないため、浮橋等も考えられる。本発明による骨組みから形成された洋上荷重支承構造体の固有の浮力が、各用途には十分でない場合、浮力のために、浮体を第1のバーに又は第1のバーの下に更に取り付けることができる。この目的のために例えば、ポストの延長部分に、浮体の保持用ロッド又は保持用アイレットのための、対応する設置デバイスを位置決めすることも考えられ、これを用いて、骨組み構造体を各接続点/ノードにおいて支持できる。ある好ましい実施形態では、このようにして4つの浮体を、例えば立方体骨組み構造体の長方形底面の4つの隅それぞれに位置決めできるが、4で割り切れる、より多数の浮体も可能である。
【0023】
同様に、保持用ロッドを、骨組み構造体モジュールの上部ノード又は隅の点に取り付けることもでき、これにより、保持デバイス用の更なる構造的要素をこれらの保持ロッドに更に取り付けることができる。
【0024】
本発明によると、複数のトーラスセグメント状ポンツーンからなるトーラス状構造を備える浮体を使用することが好ましい。このようなトーラス状浮体は好ましくは、複数の同様のトーラスセグメント状ポンツーンを備える。これらのトーラスセグメントはそれぞれ、その略平坦な/平面の側面上に接続手段を有し、これを用いて、ケーキを切ったような形状に構成されたポンツーンを、はめ込みによって、軸方向及び/又は半径方向に互いに接続できる。本発明による好ましいタイプの接続は、さねはぎ接合の構成である。従って、本発明に従って使用されることが好ましい浮体は、ケーキを切ったような状態に組み立てられ、ここで受承エリアがトーラスの中央、即ちトーラスの小孔に形成され、これにより、例えば骨組み構造体のノードの接続要素への接合のための、接続部品が提供される。個々のポンツーンの外周上に保持手段が設けられ、これによって、個々のセグメント状ポンツーンを一体に保持することにより、これらを固定して、これらが離れるのを防止する。ある簡単な実施形態では、これらは、トーラスセグメントの周方向溝に係合することによって、トーラスセグメントが離れるのを防止する、ベルトである。
【0025】
トーラスは、これもまた本発明によると、トーラス回転軸の周りでトーラス回転軸から離れて回転する凸状の線から形成される閉鎖された輪郭から形成される、物体である。最も簡単な場合、凸状の線で構成される輪郭は例えば円であり、この特定の場合、「ドーナツ」状の形状が得られる。しかしながら、本発明に従って、凹状のエリアも備える他のいずれの輪郭を使用でき、これは、トーラス回転軸からある距離の位置において、トーラス回転軸の周りで回転し、中央のトーラス小孔を形成する。以下で与えられる、軸方向(axial)、半径方向(radial)、又は周方向(circumferential)といった方向は、特段の記載がない限り、トーラス回転軸に関するものである。
【0026】
本発明によると、1つのポンツーンはこのようなトーラスの1つのトーラスセグメントを形成し、即ち1つの完全なトーラス状浮体は、これらの複数のトーラスセグメント状ポンツーンを用いて構成できる。1つの完全なトーラス状浮体を形成するために必要なトーラスセグメント状ポンツーンの数は、本発明の概念とは無関係である。ここで、各ポンツーンはそれ自体が浮揚性であり、例えば閉鎖された中空体を構成する。
【0027】
トーラス状浮体の組み立てのために、本発明による浮揚性トーラスセグメント状ポンツーンは、略平坦な側面上に、隣接するポンツーンの、はめ込みによる、軸方向、半径方向、及び/又は斜め半径方向の接合のための、好適な接続手段を有する。本発明によると、ここでは平坦な側面が好ましい。というのはこれによって、特にトーラスの回転軸の方向が軸方向になっている場合に、隣接するポンツーンのはめ込み及び摩擦力による良好な接続を達成できるためである。
【0028】
更に、本発明は、半径方向外側ポンツーン表面上に保持手段を提供し、これによって、隣接するポンツーンを、トーラスの周方向に、及び/又は半径方向に接合する。本発明に従って、接続手段を側面上に位置決めし、また保持手段を半径方向外側ポンツーン表面上に位置決めすることにより、個々のトーラスセグメント状ポンツーンを組み立てて、本発明による浮体を形成でき、これは中央トーラス小孔を備える。このようにして、1つのトーラスセグメント状ポンツーンの分解が、浮体全体を分解する必要なしに半径方向に取り外すことができることによって可能となる。半径方向外側ポンツーン表面に取り付けられた保持手段は特に、個々のトーラスセグメント状ポンツーンが半径方向に離れるのを防止する。ある簡単で堅牢な実施形態では、これらの保持手段は、特に金属リングであるリング、又は例えば無端ベルトであるベルトとすることができ、これらはポンツーンの周りの保持手段に挿入又はスナップ係合できる。
【0029】
更に本発明によると、本発明によるトーラスセグメント状ポンツーンは、半径方向内側ポンツーン表面上に受承エリアを備え、この受承エリアでは、例えばポンツーンキャリアである更なる構成部品を、トーラス小孔に設置できる。本発明によると、このようなポンツーンキャリアは好ましくは、個々のポンツーンそれぞれに対して、従って浮体全体に対して、平面状になるように部分的にはめ込まれ、これにより、トーラス回転軸の軸方向に作用する力を効果的に伝達できる。特にポンツーンキャリアは、浮体に作用する力が特定の点において個々のポンツーンに伝達されないように、トーラス小孔に接続される。波力発電プラントの機能に必要となり得る他の設備、例えばリフティングロッドを、従来の方法でこのようなポンツーンキャリアに取り付けることができる。
【0030】
従って全体として、トーラス状浮体を、小型の形状及び構造を備える本発明によるトーラスセグメント状ポンツーンから、簡単に組み立てることができる。この小型の形状はトーラス状浮体に、高い安定性及び堅牢性を与える。更に、1つのトーラス状セグメントに対する即ち1つのポンツーンに対する損傷が発生した場合、このようなトーラス状浮体は、損傷したポンツーンを交換するだけで修理できる。この場合、浮体の全体の交換は不要である。これにより、修理対象の骨組み構造体モジュールの浮体全体を、例えば船の甲板上又は陸上で分解する必要なしに、水上で容易にメンテナンスを行うことも可能になる。
【0031】
本発明によると、本発明によるトーラスセグメント状ポンツーンは、回転溶融、ブロー押出成形、又はRIMプロセスによってプラスチックから製造され、これら3つのプロセスは全て、内部キャビティを有する構成部品の製造が可能である。RIMプロセスの場合、中実の浮体の製造も考えられる。これは、本発明によるトーラスセグメント状ポンツーンの製造に関して、コスト効率の高いプロセスをもたらし、これは、比較的簡単な基本形状で、多数のポンツーンを循環プロセスで順次製造できる。上述の製造プロセスは、当業者に公知の、産業的に成熟したプロセスであり、本発明のここでの説明の文脈において更に詳細に説明する必要はない。これらのプロセスは、高い再生産性を保証するものであり、本発明による多数のポンツーンを、小さな製造公差で製造できる。回転溶融、ブロー押出成形、及びRIMプロセスは、産業的に成熟した大規模なプロセスであるため、例えば単一セクションの浮体の個別の製造に関するコストについても、コスト効率が高い。
【0032】
本発明によると、特にブロー押出成形及びRIMプロセスの使用によって暗示されるように、本発明によるポンツーンをプラスチックから製造することが更に好ましい。回転溶融及びブロー押出成形を用いると、本発明によるポンツーンを中空体として製造でき、これにより、ポンツーンの浮揚性が改善される。回転溶融を用いて、本発明によるポンツーンを必要に応じてアルミニウムから製造できるが、これには、海水中で使用するための特別なアルミニウム合金が必要となる。一方、プラスチックは、残念なことに環境問題によって示されているように、海水に対する耐性がより高く、従って本発明によるトーラスセグメント状ポンツーンでの使用に好ましい。プラスチックの別の好ましい特徴は、弾性、破断伸び、シャルピー衝撃値等に関するプラスチックの特性を、木材、金属、及びテキスタイルといった他の材料によって可能な程度よりも良好に、各用途の要件に適合させることができることである。
【0033】
本発明によるポンツーンの好ましい実施形態では、略半径方向、軸方向、又は斜め半径方向に延在する少なくとも1つの溝が、隣接するポンツーンの側面への接続手段として、側面に位置決めされ、上記溝は、隣接するポンツーンの平坦な接続面上の、対向する略相補的な突起と係合することによって、2つの隣接するポンツーン間のはめ込みを達成できる。従ってその結果、単一のポンツーンについて、半径方向又は軸方向において斜めに延在する少なくとも1つの溝が、一方の側面上に形成され、上記溝に対向する略相補的な突起が、同じポンツーンのもう一方の側面上に形成されることになる。これは、トーラス状浮体の概念的な完成のために必要となり、これにより、個々のポンツーン全てを、側面のさねはぎ接続によって接合できる。
【0034】
突起と溝とのペアリングについて必要なのは、ポンツーンを一体に連結できる、又は押し込むことができるという点で相補的であることだけであることは、当業者には明らかである。しかしながら、特に溝の半径方向の長さを、溝の中に設置されることになる突起の半径方向の長さよりも長くすることもできる。必要なのは突起の方が半径方向に長くならないことだけであり、もしそうなると、突起を設置できなくなる。従って、「相補的(complementary)」とは実質的には、溝及び突起の、これらを少なくともトーラスの軸方向において互いにはめ込むことができるような、幾何学的構成を指す。
【0035】
構成、即ち浮体の構造に関して、個々のトーラスセグメント、即ちポンツーンを、軸方向、半径方向、斜め方向のいずれに、一体に押し込むことができるかは、無関係である。トーラス、即ち浮体の完成を容易にするために、個々のさねはぎ接合部が停止部を備えてよいことは、当業者には公知である。このような停止部は例えば、半径方向内向き及び/又は半径方向外向きに溝を制限することによって、実装できる。しかしながら、側面から突出したラグ又は突出部もこのような停止部を形成できる。半径方向外側には、さねはぎ接続についてこのような制限は不要であるが、必要に応じて、半径方向外向きに作用するこのような制限により、浮体の組み立て又は事前組み立てを容易にすることができる。
【0036】
別の好ましい実施形態では、本発明によるポンツーンは略対称であり、各側面が少なくとも1つの溝及び1つの突起を備える。この場合、このようなポンツーンは、トーラスの赤道面に関して対称であり、ここで、一方の側面の上部に位置決めされた溝は、他方の側面の底部に位置決めされる。反対側の、略相補的に構成された突起にも、同じことが当てはまる。このようなポンツーンの対称な構成により、浮体の挿入又は組立時にポンツーンの配向に注意を払う必要がなくなるため、組み立てを容易にすることができる。
【0037】
本発明によるポンツーンはまた、半径方向外側ポンツーン表面上に保持手段を備え、これを用いて、隣接するポンツーンを、トーラスの周方向において、即ち浮体の周方向において、一体に保持できる。同時にこれらの保持手段は、トーラス小孔又はトーラス回転軸の方向に、半径方向内向きを向いた力を印加でき、従ってポンツーンを半径方向に固定することもできる。ある例示的実施形態では、これらの保持手段は、半径方向外側トーラス表面上の周方向溝の形態で構成され、その中に、例えば金属又はテキスタイル又はエラストマ製のリングを、挿入又はスナップ係合できる。周方向においてこのような固定を実施できる方法について、多数の可能性が当業者に公知であるため、全ての可能性が本発明の概念に包含される。他の例は張力印加デバイスであり、例えば:張力印加ラグと係合する張力印加ブラケット;輸送目的でしばしば使用されるもののような、張力印加ベルト;弾性及び/若しくはゴム状リング;又はロープ等である。しかしながら、この目的のために使用される材料を選択する際には、公海での過酷な環境条件を考慮する必要があり得る。
【0038】
更に好ましくは、本発明によるポンツーンは、個々のポンツーン又は複数のポンツーンから構成された浮体の輸送、保管、及び/又は締結を目的として、上部及び/又は底部にアイレットを備える。これらのアイレットは、ラッシングベルト等の固定手段又は他の(場合によってはこれもまた弾性の)接続手段を、これらのアイレットに取り付けるために、展開可能な浮体の下側に位置決めすることもできる。トーラスの赤道面に関して対称なポンツーンの場合、輸送のため、又はベルト若しくは他の接続手段の締結のために設けられるアイレットは、上部及び底部の両方に位置してよい。
【0039】
例えばポンツーンキャリアをトーラス小孔内に設置するために、更なる受承エリアを内側ポンツーン表面に設けることができ、これにより、浮体を、例えば波力発電プラントの保持用ロッド又はリフティングロッドに取り付ける又は締結することができる。例えばトーラス小孔内に設置されたポンツーンキャリアと、これに取り付けられたリフティングロッドとによる、このようなシステムを用いて、特に波の通過中の浮体の振動運動を、波力発電プラントの他のデバイスに伝達できる(独国特許第10 2008 048 730 B4号を参照)。
【0040】
外側ポンツーン表面上の保持手段、及び内側ポンツーン表面上の受承エリアの両方は、例えば周方向に形成された溝又はスロットのように、ポンツーンの一方の側面からポンツーンのもう片側へと延在できる。本発明による複数のポンツーンから本発明による浮体を組み立てた後、ベルトを外側ポンツーン表面上の上記溝に、浮体の周りに周方向に挿入でき、続いて上記ベルトに、好適な張力印加デバイス又はラッシングデバイスによって、周方向に張力を印加でき、これにより複数のポンツーンを、半径方向及び周方向の両方において固定できる。同時にポンツーンキャリアを浮体のトーラス小孔内に位置決めする場合、特にこのポンツーンキャリアがスロット状の受承エリア内に設置されていれば、これもまた、浮体の外周上の保持デバイスによって固定できる。更なる好ましい実施形態では、半径方向内側の受承エリアをスロット状に構成することにより、ポンツーンキャリアの締結要素(好ましくはプレート又はディスク形状を有する)をこの受承エリアに挿入でき、これによって、ポンツーンキャリアと個々のポンツーンとの間で、軸方向のトーラス回転軸方向に、平面内での力の伝達が可能となる。
【0041】
更なる好ましい実施形態では、本発明によるポンツーンは、ポンツーンのキャビティを少なくとも部分的に流出させて空にするための、弁デバイスを備える。
【0042】
本発明によるポンツーンを用いると、トーラス回転軸を内包したトーラス小孔を備えるトーラス状浮体を、本発明による複数のポンツーンから簡単に構築でき、隣接するポンツーンの側面上の溝及び突起が、軸方向及び/又は半径方向の固定のために連結し、例えば外側ポンツーン表面上のクランプ係合手段が、ポンツーンを、互いに対して半径方向及び周方向に固定する。全体として、本発明による複数のポンツーンからなる小型の浮体を、このようにして組み立てることができ、これは、公海上で発生するもの等の劣悪な環境条件下であっても、特に摩擦力による接続によって支援されるはめ込み接続によって、極めて多数の荷重変化に堅固かつ堅牢に耐えることができる。
【0043】
別の実施形態では、1つの浮体の複数のポンツーンは、トーラスセグメントの角度、即ちトーラスセグメントにまたがる角度又はトーラスセグメントが取り囲む角度に関して、サイズが異なる。使用されるポンツーンのトーラスセグメント角度の合計は360°未満であり、1つ以上の残部の空隙が例えば支柱によって橋渡しされていることが考えられる。このような支柱は、測定デバイス等の他の構成部品のための締結要素として機能できる。この文脈では、トーラスセグメントの開き角度が互いに異なるだけでなく、これらの軸方向の高さ/長さも互いに異なることも考えられる。このような実施形態は、例えば積層浮体を使用するものの、横方向の力にさらされる面積を削減したい、又は粗くしたい場合に展開できる。全体として、本発明は、組み立て、輸送、及びメンテナンスが簡単であり、またコスト効率の高い方法で組み立て、保管、及び輸送が可能である浮体を、本発明に従って個々のポンツーンを製造することによって提供する。更にリング又はベルトを保持デバイスとして周方向に使用する場合、これは、本発明による複数のポンツーンを1つの小型の浮体として一体に保持する、安価かつ簡単で堅牢な手段も提供する。
【0044】
上述のように、略回転対称のポンツーンキャリアがトーラス小孔内に位置決めされ、上記ポンツーンキャリアの回転軸は、トーラス回転軸と整列される。ポンツーンキャリアは好ましくは、内側ポンツーン表面上の受承エリアと相互作用する、ディスク状の支持要素を備える。更に、ポンツーンキャリアは好ましくは、トーラス軸と同心の回転対称支持リングを備え、この回転対称支持リング上で、ポンツーンを、ポンツーンに作用する荷重及びモーメントに対して支持できる。
【0045】
本発明によるポンツーンをポンツーンキャリア上で更に支持するために、ポンツーンキャリアは更に、略半径方向に整列された取り付けウェブを備えてよく、これらは、本発明による浮体を組み立てるとき、個々のポンツーンの側面と接触する。このような取り付けウェブは好ましくは、支持要素の、支持リングとは反対側に位置決めされる。
【0046】
支持要素、支持リング、及び取り付けウェブ(その上に位置決めされたポンツーンを伴う)の間の相互作用により、小型の浮体が提供され、これは閉じた力の分布を有し、また、トーラスの回転軸の外側に力が作用する場合であっても、海上での悪条件に耐えることができる程度に十分に安定している。
【0047】
好ましくは、ポンツーンキャリアは更に、その回転軸に対して略平行に、従ってトーラス軸に対して略平行に位置決めされた、追加の締結要素を備え、この締結要素には、トーラス小孔内でトーラス軸に対して平行に整列された保持手段を、浮体に対して締結でき、これを用いて、浮体を、例えば本発明による骨組み、本発明による洋上骨組み構造体、又は浮揚性の島のプラットフォーム上で支持できる。
【0048】
本発明による骨組み構造体はまた、複数の骨組み構造体で構成された平面状の支持構造体を形成することによって、上述のように、波力発電プラントを構成するためにも使用できる。洋上骨組み構造体モジュールの各側縁部には、上述のトーラス状浮体を、支持構造体/波力発電プラントを垂直方向に通る波の通過に追従できるように、移動可能に設置できる。これは、個々の浮体が、現在波の頂点にあるか波の谷の中にあるかに応じて、振動運動で垂直方向上下に移動することを意味する。リフティングロッドをこれらのトーラス状浮体の、好ましくはトーラス小孔内に取り付けるが、上記リフティングロッドは、この垂直方向の振動運動をリニア発電機に伝達する。リニア発電機は、振動運動によって回転するように設定され、ダイナモの原理に従って電気エネルギを生成でき、上記電気エネルギは、好適な手段によって蓄積され、整流され、地上へと伝送される。
【0049】
例えば、直立三角柱の形態の、骨組み構造体の図示されている簡潔な実施形態では、3つの移動可能に位置決めされた浮体が、このような上下運動を行うことができる。従って、モジュール式に拡張すると、100個以上のこのような三角形の骨組み構造体モジュールを含む平面構成の構造体が、エネルギ変換のための複数の可動浮体を提供でき、これによって波力発電プラントを形成できることが、容易に理解できる。
【0050】
例えばバーの長さが10mの本発明による骨組みで構成された、100メートル以上の縁部長さを有する立方体の表面構造体、例えば10×10立方体骨組み構造体モジュールを考える場合、このような平面構成の洋上支持構造体が、このような拡張された支持構造体を波が通過する場合であっても、特定の表面の上で比較的安定して浮かんでいることは、容易に理解できる。また、平面状に広がる支持構造体は重量のバランスが取れているため、一方では波によるたわみに対して高い慣性を有し、また他方では十分な固有の浮力を提供し、従って、移動可能に位置決めされた浮体は、波の力によってたわむだけであり、支持構造体を保持するためのいかなる浮力も印加する必要はないことも考えられる。
【0051】
本発明による骨組み及び本発明によるモジュール式骨組み構造体、並びに平面状に広がった支持構造体へのこれらの組み立てを、好ましい実施形態に基づく以下の図面に示され、ここで、これらの図面及びこれらの図面に示される実施形態は、発明の概念を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1図1は、本発明による骨組みを示す。
図2図2は、本発明による骨組みの構成のための接続要素の斜視図を示す。
図3図3は、本発明による骨組みの接続点を示す。
図4図4は、隣接する骨組みの2つの接続要素を接合するための実施形態を示す。
図5図5は、本発明による骨組み構造体モジュールの斜視図を示す。
図6図6は、複数の骨組み構造体モジュールからなる支持構造体の斜視図を示す。
図7図7は、本発明によるモジュール式支持構造体の斜視図を示す。
図8図8は、本発明による更なる実施形態における、図6による骨組み構造体を示す。
図9図9は、波力発電プラントのためのモジュールを示す。
図10図10は、本発明による浮体の断面を示す。
図11図11は、複数の骨組み構造体モジュールで構成される波力発電プラントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、第1のバー51と、それに平行な第2のバー52とを有する、本発明による浮揚性骨組み50を、各バーの長手方向61と共に示す。2つのバー51及び52はポスト53によって所定の位置に保持され、ポスト53は接続要素55内に設置される。ポスト53の長手方向63は、バー51及び52の長手方向61と垂直である。接続要素55は、第1のバー51及び第2のバー52の各端部に位置決めされ、張力印加デバイス60を備える斜材54によって、一体となるように張力を印加される。これにより、安定した骨組み50が形成され、これは、斜材54によって対角線方向に張力を印加されている。斜材54は、例えば骨組みの中心の方向にロックされるように、接続要素55に引っ掛けられる。更なる好ましい実施形態では、斜材54は、張力印加デバイス60に接続されて骨組み50に対角線方向に張力を印加できるように、横方向穿孔68を有する回転可能なボルト59(図2を参照)内に設置される。
【0054】
図1に示されている骨組み50は、2つのバー51、52に関して概ね同一の直径を有するが、これは上述のように必須ではない。横方向ポスト53及び斜材54は例えば、金属材料製の、チューブ又は中実のバーとすることができる。しかしながら、骨組み50が海での洋上使用を目的としている場合、材料の選択時に耐塩水製合金を選択する必要がある。これは当然のことながら、接続要素55にも当てはまる。
【0055】
図2は、本発明による骨組み50の接続点/ノードの詳細図を示し、ここでは、ポスト53が接続要素55の受承エリア57に設置され、バー51及び52がフランジ56を介して接続要素55に接合されていることを確認できる。更に、ボルト59を確認でき、これは接続要素55の穿孔58に挿入されており、斜材の形態の骨組み支柱54を保持する。接続要素55の片側には、突出部62が示されており、その中には接続用小孔64が形成されており、その中には、例えば接続ボルト67(図4を参照)を挿入できる。接続ボルトはホルダ66によってロックでき、ホルダ66は、延長部分62の反対側にあるねじ留め点65において、接続要素55に取り付けることができる。
【0056】
図3は、本発明による1つの骨組みを組み立てる際に、骨組み1つあたり4つ使用されるような、接続要素を示している。右側には、接続要素55をバー51又は52の一方の端部に場合によっては液密に取り付けるためのフランジ56、及びポスト53を取り付けるための受承エリア57が示されている。受承エリア57の上方には穿孔58が示されており、その中には、斜材54を保持するためのボルト59を挿入できる。穿孔58の上方には2つのねじ留め点65が示されており、これらには、接続ボルトを固定するためのホルダ66をねじ留めできる。ここで、ねじ留め点65の軸73は、ホルダ66をガイドする役割を果たすことができ、これにより例えば、別の骨組みの隣接する接続要素の接続用小孔に設置された接続ボルト67を受承し、センタリングし、最終的に固定できる。反対側には、接続ボルト67(ここでは図示せず;図4を参照)を挿入するための対応する接続用小孔64を有する上側延長部分62がある。
【0057】
図4は、2つの接続要素55と、2つの接続要素55を接合する方法の実施形態とを示す。このような接続の状況は例えば、本発明による2つの骨組み50を互いに接合して、骨組み構造体70又は洋上骨組み構造体モジュール70を構築したい場合に発生する。図4ではホルダ66が使用されており、これは、概ね三角形の形状を有し、先細端部72を備えた接続ボルト67を、漏斗状開口71を介して受承してロックできる。この目的のために、ホルダは、例えばねじ留め点65の軸73に沿ってガイドされたスクリューボルトによって徐々に近づけることができ、これにより、本発明による2つの骨組み50を組み立てる際に、2つのホルダ66を、例えば接続ボルト67の軸方向長さより大きな距離において事前に固定する。接続用小孔に挿入された接続ボルト67は、ホルダがその漏斗状開口を向かい合わせた状態で近づくと、これら2つのホルダ66の間に受承される。2つのホルダ66が互いに近づくと、接続ボルト67は、ホルダ66の漏斗状の受承エリア71に受承され、これによってセンタリングされて、最終的に固定される。
【0058】
図4はまた、骨組みモジュール70に張力を印加するためにコネクタ69を挿入できる、接続ボルト67の横方向穿孔68を示す。図4では、この横方向穿孔68は、複数のバーの長手方向61の間に広がる平面内に整列され、これは上述のように、張力印加を骨組みモジュール70の対角線の方向に行いたい場合には、上記平面に対して角度を付けて実施できる。
【0059】
図5は、骨組みモジュール70としても知られる骨組み構造体モジュール70を示し、これは本発明による4つの骨組み50から構成されている。この場合、第1のバー51はそれぞれ、略長方形のベースエリアを形成する。第2のバー52の間に略長方形に広がる上面は、互いに対して平行に離間した、各側縁部上の2つのポスト53によって支持される。本発明による骨組み50は、各骨組み50の「外面(outersurface)」上に支持された斜材54によって、張力を印加される。個々の骨組み50は、例えば図4に示されているように接続要素55によって一体に保持され、底面又は上面に対角線方向に延在するコネクタ69によって張力を印加される。個々のコネクタ69及び斜材54はそれぞれ、例えばコネクタ69及び斜材54を接合してこれらに張力を印加するための、張力印加デバイス60を有する。
【0060】
図6は、複数の骨組み構造体モジュール70で構成された、平面状の構成の支持構造体80を示し、ここで、本発明による骨組み50が基本組立体を形成する。図6の実施形態では、17個の個別の骨組みが互いに接合されており、ここで、形成される6個の上面及び6個の底面それぞれの支持構造体80の更なる張力印加のために、対角線方向の支柱69が位置決めされていることが、当業者には認識されるだろう。
【0061】
図7は骨組みモジュール70の例を示し、ここでは浮体100が、第1のバー51上、又はポスト53の延長部分に位置決めされている。隣接する骨組み50の第1のバー51の各接続点に位置決めされたこれらの浮体100は、個々のトーラスセグメント状ポンツーン1からなり、これらはそれぞれ、それ自体が浮揚性である。これらのトーラスセグメント状ポンツーン1は、その側面上に位置決めされた接続手段によって、一体となるように差し込まれ、周方向表面上の保持手段30によって一体に保持される。最も簡単な場合には、これらの保持手段30は張力印加ベルト24からなり、これは、トーラスセグメント状ポンツーンの周りにおいて張力を印加される。このタイプの浮体100の構成は、第1には浮体の輸送体積の削減のために、また第2には浮体の故障の蓋然性をより低くするために、好ましい。動作中にトーラスセグメント状ポンツーン1のうちの1つから漏れが発生した場合、これを個別に交換でき、浮体100全体を交換する必要がない。このセグメント状構成の別の利点は、個々のセグメントの重量が、浮体100の総重量よりはるかに小さいことである。
【0062】
図8は、図7による6個のモジュールで構成された、支持構造体80を示す。ここでは、各モジュール70が本発明による4つの骨組み50から形成され、隣接するモジュールが共通の骨組み50を備えることも確認できる。支持/荷重支承構造体80の外側縁部上の二重ポスト53が特徴である。従って、2つの内側ノードが4つの垂直なポスト53を備える。従って、側面上にT字型のノードを形成する接続は、3つの垂直なポスト53を有する。
【0063】
図9は、波力発電プラントの一部を形成する立方体骨組み構造体モジュール70を示す。図示されているこの例示的なモジュールでは、浮体100は、本発明による各骨組み50の第1のバー51と第2のバー52との間に位置決めされている。従って浮体100はポスト53に沿って振動して、リフティングロッド25を、トーラス回転軸2に沿って上下に直線状に動かすことができる。これらのリフティングロッド25は、リフティングロッド25の直線状の上昇運動がリニア発電機90の回転運動に変換されるように、リニア発電機90に接合され、これにより、波のエネルギをダイナモの原理によって電気エネルギに変換できる。本発明に従って使用される浮体100の断面は図10に示されており、この図10は、図9の平面A‐Aに沿った断面を示す。
【0064】
図10は、トーラス回転軸2に関して対称に位置決めされた2つのポンツーン1を示す。ここでは、図10の右側に示されているポンツーン1について、略平坦に構成されたポンツーン側面9上に突起14が確認でき、上記突起は、図10の左側に示されているポンツーン1の側面9上に確認できる溝12に係合できる。この図から、各ポンツーン1がその側面9のうちの1つに突起14を備え、もう一方の側面9に溝12を備え、これらはそれぞれ、浮体100の組み立て時に、隣接するポンツーン1とのさねはぎ接続を形成することを確認できる(図9の左前方の浮体100も参照)。このようなさねはぎ接続を用いて、ポンツーン1をトーラス回転軸2の軸方向に固定する。周方向の溝20に挿入されたクランプ係合手段24によって、ポンツーンは、ポンツーンキャリア15に対する半径方向に離れないよう、固定される。リフティングロッド25は、ポンツーンキャリア15に、トーラス回転軸2の方向に取り付けられ、例えば波によって浮体がたわむと、垂直方向に移動できる。リフティングロッド25に対して平行に、本発明による骨組み構造体モジュールのポスト53を確認でき、これに沿って浮体100のポンツーンキャリア15が摺動できるか、又はこれによってポンツーンキャリア15が垂直方向にガイドされる。ポンツーンキャリア15は、ポンツーン1の半径方向内側の受承エリア30に、プレート33の形態の支持要素32によって、はめ込まれるように設置される。好ましくは、支持要素32は、その上部又は底部に取り付けウェブ/バー35を備え、これらは半径方向に整列されて、個々のポンツーン1に対する更なる周方向の支持を提供し、これにより、浮体100に作用する周方向の力を、ポンツーンキャリア15からポスト53に伝達でき、従ってリフティングロッド25は、回転力がほとんどない状態に維持される。
【0065】
当然のことながら、例えば図11に示されているように、更なる浮体100を、第1のバー51の下方の、洋上骨組み構造体モジュール70の下端に位置決めできる。図11は、図9による6個の骨組み構造体モジュール70から構成された波力発電プラント200を示す。ここでは、本発明に従ってそれ自体が浮揚性である骨組み構造体モジュール70の骨組み50の個々のノードに、更なる浮体100を設けることにより、波力発電プラントに更なる浮力を与える。
【0066】
第1のバー51と第2のバー52との間に位置決めされた浮体100は、波の通過に追従して、ポスト53に沿って振動するように運動できる。これはリフティングロッド25を昇降させてリニア発電機90を駆動し、波のエネルギを電気エネルギに変換する。複数の可動浮体100を用いて、このような波力発電プラント200をはるかに大きな寸法で設計することもできることは、当業者には容易に理解でき、ここで、骨組み構造体又は支持構造体80の自己安定性は、波力発電プラント200の平面的な広がりが大きくなると共に上昇する。
【0067】
全体として、本発明による浮揚性骨組み50は、多数の可能な支持構造体を、多数の異なる洋上用途のために提供でき、その中で波力発電プラント200に関して示されている用途は、多数の用途のうちの一例にすぎない。本発明の目的のために、本発明による支持構造体80はすべて、本発明による骨組み50の基礎組立体を用いてモジュール式で拡張でき、このようにして大型化できる。更に、骨組み50及び支持構造体モジュール70のモジュール式の設計、並びに浮体100のモジュール式の設計により、組み立てを容易にすることができ、また損傷した要素をモジュール式で簡単に交換できるため、メンテナンスを削減できる。
【符号の説明】
【0068】
1 ポンツーン
2 トーラス回転軸
3 トーラス赤道面
4 トーラス小孔
5 内側ポンツーン表面
6 ポンツーン上部
7 外側ポンツーン表面
8 ポンツーン底部
9 側面
10 接続手段
12 溝
14 突起
15 ポンツーンキャリア
17 アイレット
20 保持手段/周方向溝
22 張力印加デバイス
24 張力印加ベルト/リング
25 保持要素/リフティングロッド
30 受承手段
32 支持要素
33 プレート
35 取り付けウェブ/バー
37 支持リング
40 弁デバイス
45 弁アクチュエータ
50 骨組み
51 第1のバー
52 第2のバー
53 ポスト
54 斜材
55 接続要素
56 フランジ
57 受承エリア
58 穿孔
59 ボルト
60 張力印加デバイス
61 バーの長手方向
62 突出部/延長部分
63 ポストの長手方向
64 接続用小孔
65 ねじ留め点
66 ホルダ
67 接続ボルト
68 横方向穿孔
69 対角線方向の支柱
70 骨組み構造体モジュール
71 漏斗状開口
72 先細端部
73 軸‐ねじ留め点
80 支持構造体
82 隅のノード
83 T字型ノード
84 内側ノード
90 リニア発電機
100 浮体
200 波力発電プラント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2021-01-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上骨組み構造体のモジュール式構成のための骨組み(50)であって、
前記骨組み(50)は:浮体として機能する第1のバー(51);第2のバー(52);前記バー(51、52)の略平行な支持のための2つのポスト(53);及び前記骨組み(50)に張力を印加するための2つの斜材(54)を備え、前記バー(51、52)の各端部に接続要素が位置決めされ、
前記接続要素は:
‐前記第1のバー(51)又は前記第2のバー(52)を前記接続要素(55)に、前記第1のバー(51)又は前記第2のバー(52)の長手方向(61)に接合するための、フランジ(56);
‐前記ポスト(53)を前記バー(51、52)に、前記バー(51、52)の前記長手方向(61)に接合するための、受承エリア(57);
‐張力印加デバイス(60)を備えた前記斜材(54)を締結することによって、前記張力印加デバイス(60)を用いて、前記骨組み(50)の形状を保持できる、又は前記骨組み(50)に対角線方向に張力を印加できるようにするための、締結手段(58)
を備える、骨組み(50)において、
前記接続要素(55)は、前記バー(51、52)の前記長手方向(61)に関して非対称に構成され、延長部分(62)が片側に構成され、ホルダ(66)がもう片側に構成され、これにより、ある1つの前記骨組み(50)のある1つの前記接続要素(55)の前記延長部分(62)を、更なる1つの前記骨組み(50)の別の1つの前記接続要素(55)の前記ホルダ(66)と接合できることを特徴とする、骨組み(50)。
【請求項2】
前記延長部分(62)は接続用小孔を有し、前記接続用小孔内では接続ボルト(67)を交換でき、
前記斜材(54)は、前記接続ボルト(67)に設けられた横方向穿孔(68)内に設置できる、請求項1に記載の骨組み(50)。
【請求項3】
前記ホルダ(66)は、互いに対面した漏斗状凹部を備える2つのプレートを備え、前記プレートを前記ポストの前記長手方向(61)において互いに向かってガイドした場合に、前記プレートを用いて、前記接続ボルト(67)の先細端部を受承し、センタリングし、固定できる、請求項2に記載の骨組み(50)。
【請求項4】
前記接続要素(55)の前記フランジ(56)、及び前記バー(51、52)の前記端部は、前記フランジ(56)が、前記第1のバー(51、52)の少なくとも前記端部を液密封止するように構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の骨組み(50)。
【請求項5】
前記第1のバー(51、52)は、円形断面を備え、及び/又は中空体として構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の骨組み(50)。
【請求項6】
前記バー(51、52)、前記ポスト、前記接続要素(55)、及び/又は前記斜材(54)は、金属材料、プラスチック、又は複合材料で作製される、請求項1~5のいずれか1項に記載の骨組み(50)。
【請求項7】
前記第1のバー(51)の浮力のみによって浮揚性となっている、請求項1~6のいずれか1項に記載の骨組み(50)。
【請求項8】
前記ポストのうちの少なくとも1つの延長部分に:浮体(100);例えば太陽光発電プラント若しくは風力タービンのための台座の部品;又はプラットフォームのためのホルダが位置決めされる、請求項1~7のいずれか1項に記載の骨組み(50)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の3つの骨組み(50)から形成された、洋上骨組み構造体(70)であって、
前記骨組み(50)は、前記接続要素(55)を介して接合されて、直立三角柱構造を形成し、
前記直立三角柱構造では、浮体として機能する前記第1のバー(51)は、略三角形の底面にわたって広がり、前記第2のバー(52)は、前記底面と合同の略三角形の上面にわたって広がり、2つの隣接する前記骨組み(50)の2つの前記ポスト(53)それぞれが1つの側縁部を形成する、洋上骨組み構造体(70)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の4つ以上の骨組み(50)から形成された、洋上骨組み構造体(70)であって、
前記骨組み(50)は、前記接続要素(55)を介して接合されて、直立四角柱又は多角柱構造を形成し、
浮体として機能する前記第1のバー(51)は、略長方形又は多角形の底面にわたって広がり、前記第2のバー(52)は、前記底面と合同の略長方形又は多角形の上面にわたって広がり、2つの隣接する前記骨組み(50)の2つの前記ポスト(53)それぞれが1つの側縁部を形成し、
各前記骨組み(50)の前記接続要素(55)は、固定手段を備え、前記固定手段に、張力印加デバイス(60)を備えたコネクタ(69)を締結することによって、
前記骨組み構造体(70)の2つの前記骨組み(50)を、隣接していない端部において互いに接合できる、洋上骨組み構造体(70)。
【請求項11】
前記コネクタ(69)は、略前記底面及び/若しくは前記上面内に、並びに/又は対角線に沿って、延在する、請求項10に記載の骨組み構造体(70)。
【請求項12】
前記第1のバー(51)の浮力のみによって浮揚性となっている、請求項9~11のいずれか1項に記載の骨組み構造体(70)。
【請求項13】
1つ以上の浮体(100);又は台座、保持デバイス、プラットフォーム等を、前記側縁部のうちの1つ以上の延長部分に、及び/又は前記バー(51、52)のうちの1つ以上に、取り付け可能である、請求項9~12のいずれか1項に記載の骨組み構造体(70)。
【請求項14】
浮体(100)、特に請求項17~23のいずれか1項に記載の浮体(100)が、前記側縁部のうちの1つ以上の上の、前記第1のバー(51)と前記第2のバー(52)との間に、垂直方向に移動可能となるように位置決めされる、請求項9~13のいずれか1項に記載の骨組み構造体(70)。
【請求項15】
太陽光発電プラント、風力タービン等のための保持デバイス、プラットフォーム、上部構造、台座の浮揚状態での支持のために、モジュール式で構成された、浮揚性洋上支持構造体(80)であって、
請求項10~15のいずれか1項に記載の複数の洋上骨組み構造体(70)を備える、浮揚性洋上支持構造体(80)。
【請求項16】
請求項15に記載の複数の骨組み構造体(70)からモジュール式で構成された、波力発電プラント(200)であって、
第1のバー(51)と第2のバー(52)との間に配設された浮体に、リフティングロッド(25)が配設され、前記リフティングロッド(25)は、リニア発電機(90)の駆動シャフトに動作可能に接続され、これにより、前記リフティングロッド(25)の振動運動が、前記リニア発電機(90)の前記駆動シャフトを回転させる、波力発電プラント(200)。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トーラス状浮体(100)のための、浮揚性のトーラスセグメント状ポンツーン(1)であって、
前記トーラス状浮体(100)は、複数の前記ポンツーン(1)から構成され、トーラス回転軸(2)を内包するトーラス小孔(4)を備え、
前記ポンツーン(1)は:
‐隣接する前記ポンツーン(1)を、軸方向にはめ込みによって接合できるように設計された、略平坦な側面(9)上の接続手段(10);
‐構成部品を前記トーラス小孔(4)内に受承するための、半径方向内側ポンツーン表面(5)上の受承エリア(30)
を備え、
前記ポンツーン(1)はプラスチック製であり、回転溶融、ブロー押出成形、又はRIMプロセスで製造され、
‐隣接する前記ポンツーン(1)を、トーラス周方向及び半径方向において一体に保持するために、保持手段(20)が半径方向外側ポンツーン表面(7)上に配設されること;
‐前記接続手段(10)は、前記側面(9)のうちの一方の上の、略半径方向、軸方向、又は斜め半径方向に延在する少なくとも1つの溝(12)、及び他方の前記側面(9)の上の、前記溝(12)と対向する少なくとも1つの略相補的な突起(14)として構成されること
を特徴とする、ポンツーン(1)。
【請求項2】
前記ポンツーン(1)及び/又は前記浮体(100)の輸送を目的として、上部及び/又は底部にアイレット(17)を備える、請求項1に記載のポンツーン(1)。
【請求項3】
前記ポンツーン(1)は、トーラス赤道面(3)に関して略対称であり、各前記側面(9)は少なくとも1つの溝(12)及び1つの突起(14)を備える、請求項1又は2に記載のポンツーン(1)。
【請求項4】
前記保持手段(20)及び/又は前記受承エリア(30)は、それぞれ前記半径方向外側ポンツーン表面(7)上又は前記半径方向内側ポンツーン表面(5)上に、一方の前記側面(9)からもう一方の前記側面(9)まで周方向に延在する溝又はスロットの形態で構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載のポンツーン(1)。
【請求項5】
前記ポンツーン(1)は、前記ポンツーン(1)を少なくとも部分的に流出させて空にする目的で、弁デバイス(40)を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載のポンツーン(1)。
【請求項6】
トーラス回転軸(2)を内包したトーラス小孔(4)を備える、トーラス状浮体(100)であって、
請求項1~5のいずれか1項に記載の複数のトーラスセグメント状ポンツーン(1)から構成され、
隣接する前記ポンツーン(1)の側面(9)上の溝(12)及び突起(14)は、軸方向及び/又は半径方向の固定のために連結し、外側ポンツーン表面(7)上の保持手段(20)は前記ポンツーン(1)を半径方向及び周方向に固定する、浮体(100)。
【請求項7】
前記保持手段(20)は、個々の前記ポンツーン(1)を周方向において一体に保持する、周方向リング若しくはベルト、又は張力印加デバイス(22)である、請求項6に記載の浮体(100)。
【請求項8】
略回転対称のポンツーンキャリア(15)が、受承エリア(30)を用いて前記トーラス小孔(4)内に設置され、前記ポンツーンキャリア(15)の回転軸は、前記トーラス回転軸に対応し、また前記ポンツーンキャリア(15)には、前記トーラス回転軸に対して略平行に整列されたリフティングロッド(25)を取り付けることができる、請求項6又は7に記載の浮体(100)。
【請求項9】
前記ポンツーンキャリア(15)を備え、
前記ポンツーンキャリア(15)は、略回転対称の支持リング(37)が配設された前記内側ポンツーン表面(5)上の前記受承エリア(30)と相互作用する、ディスク状の支持要素(32)を備え、上記略回転対称の支持リング(37)に対して前記ポンツーン(1)を支持でき、
前記ポンツーンキャリア(15)は、個々の前記ポンツーン(1)の前記側面(9)と接触する、略半径方向に整列された追加の取り付けウェブ(35)を備えてよい、請求項8に記載の浮体(100)。
【請求項10】
前記浮体(100)を構成する個々の前記トーラスセグメント状ポンツーン(1)のサイズを画定する角度は、互いに異なっており、及び/又は前記浮体(100)を構成する個々の前記トーラスセグメント状ポンツーン(1)の軸方向長さは、互いに異なっている、請求項6~9のいずれか1項に記載の浮体(100)。
【請求項11】
前記ポンツーン(1)を少なくとも部分的に流出させる又は排水する目的で、前記ポンツーン(1)の少なくとも1つの弁デバイス(40)を作動させるために使用できる、弁アクチュエータ(45)を備える、請求項6~10のいずれか1項に記載の浮体(100)。
【国際調査報告】