(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-18
(54)【発明の名称】復熱装置を有するプラズマ発生器
(51)【国際特許分類】
H05H 1/24 20060101AFI20220511BHJP
B01J 19/08 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
H05H1/24
B01J19/08 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556396
(86)(22)【出願日】2020-03-01
(85)【翻訳文提出日】2021-11-16
(86)【国際出願番号】 US2020020570
(87)【国際公開番号】W WO2020197705
(87)【国際公開日】2020-10-01
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514014827
【氏名又は名称】リカーボン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】レオナルド, ザ サード, ジョージ スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】マクレランド, ステファン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】クー, ジェ モ
【テーマコード(参考)】
2G084
4G075
【Fターム(参考)】
2G084BB36
2G084CC14
2G084CC32
2G084DD44
2G084DD51
2G084DD56
2G084FF02
2G084FF04
2G084FF11
2G084FF19
2G084FF31
2G084FF39
4G075AA03
4G075AA45
4G075AA63
4G075BA10
4G075CA47
4G075DA02
4G075EA05
4G075EB41
4G075FB02
4G075FC06
(57)【要約】
プラズマ発生システム(10)が、そこを通してマイクロ波エネルギーを伝送するための導波管(20)、およびプラズマ空洞を画定するために導波管内に配置される内壁(40)を有し、マイクロ波エネルギーを使用してプラズマ(46)がプラズマ空洞内で発生する。プラズマ発生システム(10)が、ガス出口(32)を有するアダプタ(44)であって、プラズマ(46)によって処理される排出ガスがガス出口(32)を通ってプラズマ空洞から外に出る、アダプタ(44)と、アダプタ(44)内のガス出口(32)と流体連通しているガス通路を有する、アダプタ(44)に直接取り付けられる復熱装置(100)と、をさらに有する。復熱装置(100)が排出ガスから熱エネルギーを回収し、熱エネルギーを使用して入力ガスを加熱する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ発生システムであって、
中にプラズマを発生させるためのプラズマ空洞と、
ガス出口を有するアダプタであって、前記プラズマによって処理される排出ガスが前記ガス出口を通って前記プラズマ空洞から外に出る、アダプタと、
前記アダプタ内の前記ガス出口と流体連通しているガス通路を有する、前記アダプタに直接取り付けられる復熱装置であって、前記復熱装置が前記排出ガスから熱エネルギーを回収し、前記熱エネルギーを使用して入力ガスを加熱するように構成される、復熱装置と
を備えるプラズマ発生システム。
【請求項2】
前記復熱装置が、内部にある閉鎖空間と、前記閉鎖空間の内部に配置されて前記入力ガスに熱エネルギーを受け渡す1つまたは複数のバッフルと、を有する、請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項3】
前記復熱装置が前記ガス通路内に配置される1つまたは複数のバッフルを有し、前記1つまたは複数のバッフルが前記排出ガスから熱エネルギーを回収する、請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項4】
前記1つまたは複数のバッフルの各々が、前記ガス出口から外に出る前記排出ガスの流れ方向に平行に配置構成される、請求項3に記載のプラズマ発生システム。
【請求項5】
前記1つまたは複数のバッフルの各々が、前記ガス出口から外に出る前記排出ガスの流れ方向を基準として螺旋溝を有する、請求項3に記載のプラズマ発生システム。
【請求項6】
前記復熱装置が、内部にある閉鎖空間と、前記閉鎖空間に入る前記入力ガスが流れるときに通るガス入口と、前記熱エネルギーを使用して加熱された前記入力ガスが前記閉鎖空間から外に出るときに通るガス出口と、を有する、請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項7】
前記復熱装置が前記アダプタの底部壁に直接接触するキャップを有し、前記復熱装置の前記ガス出口が前記キャップ内に形成され、前記アダプタの前記底部壁がガス入口を有し、前記復熱装置の前記ガス出口が前記アダプタの前記ガス入口に位置合わせされ、その結果、前記閉鎖空間内で加熱された前記入力ガスが前記復熱装置のガス出口および前記アダプタの前記ガス入口を通って前記アダプタの中まで流れる、請求項6に記載のプラズマ発生システム。
【請求項8】
前記復熱装置によって加熱された前記入力ガスを前記プラズマ空洞の中に導入するように構成される流れ入口と、
前記復熱装置の前記ガス出口に結合される一方の端部、および前記流れ入口に結合されるもう一方の端部を有するパイプであって、前記復熱装置によって加熱された前記入力ガスが前記パイプを通過する、パイプと
をさらに備える、請求項6に記載のプラズマ発生システム。
【請求項9】
そこを通してマイクロ波エネルギーを伝送するための導波管と、
前記プラズマ空洞を画定するように前記導波管内に配置される内壁であって、前記マイクロ波エネルギーを使用して前記プラズマ空洞内でプラズマが発生する、内壁と
をさらに備え、
前記アダプタが前記導波管の底部側に設置され、前記流れ入口が前記導波管の頂部側に設置される、
請求項8に記載のプラズマ発生システム。
【請求項10】
前記流れ入口が前記プラズマ空洞に入る渦流れとして前記入力ガスを導入する、請求項8に記載のプラズマ発生システム。
【請求項11】
円形の中空円筒の形状を有して前記プラズマ空洞の中へ突出するプラズマスタビライザであって、前記流れ入口の一部分が前記プラズマスタビライザの内部に配置される、プラズマスタビライザ
をさらに備える、請求項8に記載のプラズマ発生システム。
【請求項12】
前記アダプタが、前記復熱装置によって加熱された前記入力ガスを使用して前記プラズマ空洞内で渦流れを発生させるように構成される、請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項13】
円形の中空円筒の形状を有して前記アダプタ上に配置されるプラズマスタビライザ
をさらに備え、
前記プラズマスタビライザの長手方向が前記渦流れの回転軸に平行である
請求項12に記載のプラズマ発生システム。
【請求項14】
前記アダプタおよび前記復熱装置が1つのモノリシックボディとして形成される、請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項15】
プラズマ発生システムであって、
そこを通してマイクロ波エネルギーを伝送するための導波管と、
プラズマ空洞を画定するために前記導波管内に配置される内壁であって、前記マイクロ波エネルギーを使用して前記プラズマ空洞内でプラズマが発生し、前記導波管がガス出口を有し、前記プラズマによって処理された排出ガスが前記ガス出口を通って前記プラズマ空洞から外に出る、内壁と、
前記導波管内の前記ガス出口と流体連通しているガス通路を有する、前記導波管に直接取り付けられる復熱装置であって、前記復熱装置が、前記排出ガスから熱エネルギーを回収し、前記熱エネルギーを使用して入力ガスを加熱するように構成される、復熱装置と、
前記復熱装置から前記入力ガスを受け取って前記入力ガスを前記プラズマ空洞の中に導入するように構成される、前記導波管上に設置されるガス入口と、
前記復熱装置に結合される一方の端部および前記ガス入口に結合されるもう一方の端部を有するパイプと
を備え、
前記入力ガスが前記復熱装置から前記パイプを通って前記ガス入口まで流れる
プラズマ発生システム。
【請求項16】
前記復熱装置が、内部にある閉鎖空間と、前記閉鎖空間の内部に配置される1つまたは複数のバッフルと、を有し、熱エネルギーが前記1つまたは複数のバッフルから流入ガスに受け渡される、請求項15に記載のプラズマ発生システム。
【請求項17】
前記復熱装置が前記ガス通路内に配置される1つまたは複数のバッフルを有し、前記1つまたは複数のバッフルが前記排出ガスから熱エネルギーを回収する、請求項15に記載のプラズマ発生システム。
【請求項18】
前記1つまたは複数のバッフルの各々が、前記ガス出口から外に出る前記排出ガスの流れ方向に平行に配置構成される、請求項15に記載のプラズマ発生システム。
【請求項19】
前記1つまたは複数のバッフルの各々が、前記ガス出口から外に出る前記排出ガスの流れ方向を基準として螺旋溝を有する、請求項15に記載のプラズマ発生システム。
【請求項20】
前記ガス入口が、渦流れとして前記入力ガスを前記プラズマ空洞の中に導入するように構成される、請求項15に記載のプラズマ発生システム。
【請求項21】
円形の中空円筒の形状を有して前記プラズマ空洞の中へ突出するプラズマスタビライザであって、前記ガス入口の一部分が前記プラズマスタビライザの内部に配置される、プラズマスタビライザ
をさらに備える、請求項15に記載のプラズマ発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラズマ発生器に関し、より詳細には、プラズマ発生器の排出ガスから熱を回収するための復熱装置を有するプラズマ発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロ波テクノロジが種々の種類のプラズマを発生させるのに適用されている。例えば、プラズマ源として利用されるマイクロ波放電が、マイクロ波エネルギーを、処理されるべきガスを収容する放電チャンバに結び付けることにより達成される。通常、排出ガスが高温になると、ガスがプラズマによって処理され/プラズマに反応し、プラズマチャンバから出る。排出ガスを冷却するための従来の配管システムでは、排出ガスの未回収の熱的エネルギーを原因とした熱損失の被害を受ける可能性がある。
【0003】
また、排出ガスを冷却するための従来の冷却システムはプラズマ反応器を従来の冷却システムに接続するチューブ類またはパイプ類を有し、ここでは、チューブ類が、排出ガスの熱的および化学的性質に、また可能性として酸化に、耐えることが必要である。通常、耐熱金属または耐熱材料の上に非標準(exotic)のコーティングを用いて熱的ダメージおよび化学的ダメージからの保護を達成することが最もひいき目に見ても非実用的であり、高価である。さらに、排出ガスの熱的エネルギーを回収する場合、チューブ類またはパイプ類に付随のあらゆる熱損失および断熱条件によりプラズマシステムの効率が低下することになる。その理由は、通常、パイプ類の熱損失が、プラズマ反応器の従来の流量および温度に非常に大きい影響を与え得るからである。
【0004】
したがって、複雑な冷却システムのデザインおよび/または加工することが困難である材料を導入することなく、プラズマシステムのエネルギー効率を向上させるために、排出ガスから熱エネルギーを回収して熱エネルギーを流入ガスに受け渡すためのコンパクトな復熱装置が必要である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様によると、プラズマ発生システムが、中にプラズマを発生させるためのプラズマ空洞と、ガス出口を有するアダプタであって、プラズマによって処理される排出ガスがこのガス出口を通ってプラズマ空洞から外に出る、アダプタと、アダプタ内のガス出口と流体連通しているガス通路を有する、アダプタに直接取り付けられる復熱装置であって、復熱装置が排出ガスから熱エネルギーを回収し、熱エネルギーを使用して入力ガスを加熱するように構成される、復熱装置と、を有する。
【0006】
本発明の一態様によると、プラズマ発生システムが、そこを通してマイクロ波エネルギーを伝送するための導波管と、プラズマ空洞を画定するために導波管内に配置される内壁であって、マイクロ波エネルギーを使用してプラズマ空洞内でプラズマが発生し、導波管がガス出口を有し、プラズマによって処理された排出ガスがこのガス出口を通ってプラズマ空洞から外に出る、内壁と、導波管内のガス出口と流体連通しているガス通路を有する、導波管に直接取り付けられる復熱装置であって、復熱装置が、排出ガスから熱エネルギーを回収し、熱エネルギーを使用して入力ガスを加熱するように構成される、復熱装置と、復熱装置から入力ガスを受け取って入力ガスをプラズマ空洞の中に導入するように構成される、導波管上に設置されるガス入口と、復熱装置に結合される1つの端部およびガス入口に結合される別の端部を有するパイプと、を有し、入力ガスが復熱装置からパイプを通ってガス入口まで流れる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態によるプラズマ発生システムを示す概略図である。
【
図2】本開示の実施形態による、線2-2に沿う、
図1のプラズマチャンバを示す断面図である。
【
図3】本開示の実施形態による渦発生器を示す斜視図である。
【
図4】本開示の実施形態による、線4-4に沿う、
図3の渦発生器を示す断面図である。
【
図5】本開示の実施形態によるアダプタを示す斜視図である。
【
図6】本開示の実施形態による、線6-6に沿う、
図5のアダプタを示す断面図である。
【
図7】本開示の実施形態による内側渦流れを示す斜視図である。
【
図8】本開示の実施形態による外側渦流れを示す斜視図である。
【
図9】本開示の実施形態による復熱装置を示す斜視図である。
【
図10A】本開示の実施形態による復熱装置を示す斜視図である。
【
図10C】本開示の実施形態による
図10Aのフィン/バッフルを示す斜視図である。
【
図11】本開示の実施形態によるフィン/バッフルを示す斜視図である。
【
図12】本開示の実施形態による、線2-2に沿う、
図1のプラズマチャンバを示す断面図である。
【
図13】本開示の実施形態による復熱装置を示す斜視図である。
【
図14】本開示の実施形態による、線2-2に沿う、
図1のプラズマチャンバを示す断面図である。
【
図15】本開示の実施形態による、線2-2に沿う、
図1のプラズマチャンバを示す断面図である。
【
図16】本開示の実施形態による復熱装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の記述では、説明のために、本開示を理解するのを可能にする具体的な細部が記載される。しかし、本開示がこれらの細部なしでも実施され得ることが当業者には明らかであろう。さらに、以下で説明される本開示の実施形態が多様な手法で実装され得ることを当業者であれば認識するであろう。
【0009】
図に示される構成要素またはモジュールは本開示の例示の実施形態を説明するためのものであり、本開示を不明瞭するのを回避することを意図される。さらに、本考察の全体を通して構成要素がサブユニットを含んでよい別個の機能ユニットとして説明され得ることが理解されるであろうが、種々の構成要素またはその部分が別個の構成要素として分割されてもよいか、あるいは単一のシステムまたは構成要素内で一体化されることを含めて一体に統合されてもよいことを当業者であれば認識するであろう。本明細書で考察される機能または動作が構成要素として実装され得ることに留意されたい。
【0010】
本明細書において、「1つの実施形態(one embodiment)」、「好適な実施形態(preferred embodiment)」、「一実施形態(an embodimet)」または「実施形態(embodiments)」を参照することは、この実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、特性、または機能が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれ、さらに2つ以上の実施形態に存在してもよい、ことを意味する。さらに、上で述べたフレーズが本明細書の多様な場所で現れることは、必ずしもすべてが同じ実施形態を意味するわけではない。
【0011】
本明細書の多様な場所で特定の用語を使用することは例示のためであり、限定するものとして解釈すべきではない。「含む、有する(include)」、「含む、有する(including)」、「備える(comprise)」、および「備える(comprising)」という用語は非限定の用語であると理解されるものであり、後述のいかなるリストも例であり、列記されるアイテムのみに限定されることを意図されない。
【0012】
図1は、本開示の実施形態によるプラズマ発生システム10の概略図を示す。描かれるように、プラズマ発生システム10が、中空チューブの形状を有するマイクロ波空洞/導波管20と、導波管20に接続されるプラズマチャンバ22と、マイクロ波導波管20を介してプラズマチャンバ22にマイクロ波エネルギーを提供するように動作可能である、導波管20に接続されるマイクロ波供給ユニット12と、を有する。実施形態では、プラズマチャンバ22がマイクロ波エネルギーを受け取り、受け取ったマイクロ波エネルギーを使用することによりガスを処理する。実施形態では、ガスタンク30がガスライン28を介してプラズマチャンバ22にガスを提供する。
【0013】
マイクロ波供給ユニット12がプラズマチャンバ22にマイクロ波エネルギーを提供し、マイクロ波供給ユニット12が、マイクロ波を発生させるためのマイクロ波発生器14と、マイクロ波発生器14に電力を供給するための電源16と、プラズマチャンバ22から反射してマイクロ波発生器14の方に移動するマイクロ波エネルギーを低減するためのチューナー18と、を有する。実施形態では、マイクロ波供給ユニット12が、マイクロ波発生器14の方に伝播する反射マイクロ波エネルギーを消散させるための擬似負荷を有するアイソレータ、反射マイクロ波エネルギーを擬似負荷まで誘導するためのサーキュレータ、および導波管20の端部のところに配置されるスライド式の短絡回路(sliding short circuit)などの、他の構成要素を有することができる。
【0014】
図2は、本開示の実施形態による、線2-2に沿う(つまり、紙に平行な平面に沿って切断される)、
図1のプラズマチャンバ22の断面図を示す。描かれるように、プラズマチャンバ22が、内壁40と、プラズマスタビライザ38と、プラズマチャンバに前進流を導入するように構成される、ガスライン29に接続される前進流入口42と、プラズマチャンバに逆流を導入するように構成される、ガスライン28に接続される逆流入口(「アダプタ」とも称される)と、排出ガスから熱エネルギーを回収するように構成される、アダプタ44に接触する復熱装置100と、を有する。ここでは、プラズマ空洞という用語は、内壁40と、導波管20と、前進流入口42と、アダプタ44とによって囲まれる閉鎖空間を意味し、逆流および前進流が、導波管20を介して伝送されるマイクロ波エネルギーによりプラズマ空洞内で処理/改質される。
【0015】
実施形態では、内壁40が、石英またはセラミックなどの、マイクロ波エネルギーに対して透過性である材料で形成される。実施形態では、内壁40が、一様な流れ、熱抵抗、化学的耐久性、および電磁透過性のために所望される任意適切な他の誘電材料で形成される。実施形態では、内壁40が、限定しないが、好適には中空円形の円筒の形状を有する。
【0016】
図3は、本開示の実施形態による前進流入口42の斜視図を示す。
図4は、本開示の実施形態による、線4-4に沿う、前進流入口42の断面図を示す。描かれるように、前進流入口42が、ガスライン29と、その壁の中に形成される1つまたは複数のガス通路48とを結び付けるための孔/アダプタ47を有する。実施形態では、ガス通路48の出口がプラズマスタビライザ38の内部に位置し、その結果、プラズマスタビライザ38が、ガス通路48から外に出る流れを使用して内側渦流れ43を形成する。実施形態では、プラズマスタビライザ38の内径が内側渦流れ43の外径を調整するために変更され得る。実施形態では、上で考察したように、プラズマスタビライザ38が、中空円形の円筒の形状を有することができ、前進流入口42と同心円状に配置され得る。
【0017】
実施形態では、各ガス通路48が、ガス通路48を介して前進流がプラズマ空洞に入るときに前進流にスパイラル運動を加えるように配置構成される。実施形態では、各ガス通路48が前進流の渦度を向上させるように湾曲していてよい。実施形態では、前進流入口42がセラミックなどの任意適切な材料で形成され、その結果、入口が導波管20から電気的に隔離され、プラズマ46からの熱エネルギーに耐える。実施形態では、前進流入口42が金属または誘電材料で形成される。
【0018】
実施形態では、プラズマスタビライザ38が、マイクロ波エネルギーに対して透過性である材料で形成され、好適には内壁40と同じ材料で形成される。実施形態では、プラズマスタビライザ38が導波管20に取り付けられ、プラズマ空洞の中へ突出しており、ここでは、プラズマスタビライザ38の軸方向がy軸に平行である。実施形態では、上で考察したように、内壁40が中空円形の円筒の形状を有することができ、プラズマスタビライザ38が内壁40に同心円状に装着され得る。実施形態では、プラズマスタビライザ38の内部の前進流が内側渦流れ43を形成し、導波管20のもう一方の端部の方に、またより具体的には、ガス出口32の方に、前進する。
図7は、本開示の実施形態による内側渦流れ43の斜視図を示す。描かれるように、前進流(または等価の意味で、内側渦流れ)が螺旋運動で内壁40の長さ方向に移動し、最終的に内側渦流れがガス出口32から外に出る。
【0019】
実施形態では、プラズマ点火器(
図2には示されない)によるプラズマプルーム(または簡単に言うと、プラズマ)の点火時、プラズマ46がマイクロ波発生器14によって伝送されるマイクロ波エネルギーによって維持される。プラズマ点火器の例示の実施形態の説明を、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2020年2月28日に出願した、「Durable auto-ignition device for plasma reactor」と題する、同時係属の米国特許出願第16/805,661号で見ることができる。
【0020】
実施形態では、プラズマ46が内側渦流れ43内に位置し、その結果、内側渦流れ43のガス粒子がプラズマ46を通過する。実施形態では、プラズマスタビライザ38が内側渦流れ43の外径を決定し、それによりガス出口32を通ってプラズマ空洞から外に出る前に前進流がプラズマ46を迂回することが防止される。実施形態では、プラズマスタビライザ38が、内側渦流れ43を外側渦流れ45から分離することによりプラズマ46を安定状態で維持するのを補助する。
【0021】
図5は、本開示の実施形態によるアダプタ44の斜視図を示す。
図6は、本開示の実施形態による、線6-6に沿う、アダプタ44の断面図を示す。描かれるように、アダプタ44が、開口部82であって、復熱装置100からのガスがこの開口部82を通ってアダプタの中へ流れる、開口部82と、ガス出口32を形成するための孔と、停滞チャンバ(stagnation chamber)80と、アダプタ44の壁内に形成される1つまたは複数のガス通路51と、を有する。実施形態では、開口部82がアダプタの底部壁内に形成され、リング形状のスリットである。それでも、開口部が他に適切な形状を有してもよい。
【0022】
実施形態では、各ガス通路51が、ガス通路51を介して逆流がプラズマ空洞に入るときに逆流にスパイラル運動を加えるように配置構成される。実施形態では、各ガス通路51が逆流の渦度を向上させるように湾曲していてよい。実施形態では、アダプタ44が、限定しないが、好適には、インコネルまたはハステロイなどのNi合金で形成される。
【0023】
実施形態では、開口部82を通って流れるガスが停滞チャンバ/空間80に入る。実施形態では、逆流と称される流れが、停滞チャンバ80から外に出て内壁40の方に移動し、さらに、螺旋運動で、内壁40に沿って導波管20のもう一方の端部の方へと上方に前進する(y軸方向)。次いで、逆流が、下方に前進して外側渦流れ45を形成するように、流れ方向を反対にする。実施形態では、外側渦流れ45の回転軸がy軸に実質的に平行である。
図8は、本開示の実施形態による外側渦流れ45の斜視図を示す。描かれるように、外側渦流れ45が中空円筒形状を有し、2つの流れ領域、内側下向きの流れ領域45-1および外側上向きの流れ領域45-2、を有する。実施形態では、内側渦流れ43が外側渦流れ45の中心の中空部分内に配置され、内側下向きの流れ領域45-1によって囲まれる。前進流入口42からのガスがアダプタ44からの流れに混合され、それにより内側渦流れ43を形成することに留意されたい。実施形態では、外側渦流れ45が内側渦流れ43を囲み、それにより内壁40をプラズマ46から遮蔽する。
【0024】
実施形態では、上で考察したように、プラズマスタビライザ38の内径が内側渦流れ43の半径方向寸法を決定する。したがって、実施形態では、プラズマスタビライザ38の内径が、外側渦流れ45により内側渦流れ43を囲んで内側渦流れ43の流れ形態を安定して維持するように、調整され得、それによりプラズマを安定させ、スループットおよび効率を向上させる。
【0025】
実施形態では、プラズマ46が流入ガスを所望の製品ガスへと改質するのに使用され、ここでは、流入ガスが前進流入口42およびアダプタ44によりプラズマ空洞に導入される。実施形態では、前進流入口42から外に出る内側渦流れのガス組成が、CO2、CH4、およびO2を含み、ガス出口32から外に出るガスがCOおよびH2さらには前進流ガスの未反応部分を含む。実施形態では、前進流の好適な配分が、プラズマチャンバ22に入る全体の流れの質量の5%~95%である。実施形態では、前進流および逆流のガス組成および流量が、プラズマの安定性およびプラズマチャンバ22内での化学反応の効率を向上させるように調整され得る。
【0026】
実施形態では、復熱装置100が、ガス出口32から外に出る排出ガスから熱エネルギーを回収し、この熱エネルギーを流入ガスに受け渡す。
図9は、本開示に実施形態により、復熱装置100の斜視図を示す。描かれるように、復熱装置100が閉鎖空間/チャンバ109を中に有するガス容器であり、復熱装置100の壁が、内側シェル102と、外側シェル103と、頂部キャップ106と、底部キャップ107と、頂部キャップ106内に形成される開口部(「出口」とも称される)と、内側シェルおよび外側シェルに固定されて閉鎖空間/チャンバ109内に配置される1つまたは複数のフィン/バッフルと、を有する。実施形態では、開口部111がリング形状のスリットである。それでも、開口部111が他の適切な形状を有してもよい。実施形態では、アダプタ44内の開口部82が復熱装置100の頂部キャップ内に形成される開口部111に位置合わせされ、その結果、加熱されたガスがチャンバ109からアダプタ44の中まで流れる。
【0027】
実施形態では、内側シェルおよび外側シェルの各々が中空円形の円筒の形状を有し、頂部キャップおよび底部キャップの各々がリング形状のディスクの形状を有し、ここでは、内側シェル102、外側シェル103、頂部キャップ106、および底部キャップ107がチャンバ109を画定する。実施形態では、復熱装置100が、好適には、インコネルファミリーのうちの1つなどの、ニッケル合金で作られる(しかし、これのみに限定されない)。
【0028】
実施形態では、内側シェル102が、アダプタ44のガス出口32と流体連通しているガス通路/孔108を画定し、ここでは、排出ガスがガス通路108を通って流れる。実施形態では、外側シェル103が、ガスライン28に結び付けるための入口孔/アダプタ114と、ガスライン29に結び付けるための出口孔/アダプタ112とを有する。
【0029】
実施形態では、ガス通路108を通って流れる反応ガス/排出ガスが高温である。実施形態では、復熱装置100が、受け渡された熱エネルギーを、ガスタンク30からの流入ガスを加熱するのに使用し、加熱された流入ガスがアダプタ44および/または前進流入口42に入り、それによりプラズマ46によって引き起こされる反応の効率を向上させる。さらに、復熱装置100が、ガス通路108を通って反応ガス/排出ガスが流れるときに反応ガス/排出ガスから熱エネルギーを抽出し、それにより、排出ガスの温度を復熱装置の材料の融点または使用温度未満まで低下させる。
【0030】
実施形態では、フィン/バッフル104が、過度の圧力低下を誘発することなく、表面積および熱輸送を最大にするように配置構成される。実施形態では、追加のバッフルがガス通路108内に配置され得る。
図10Aは、本開示の実施形態による復熱装置150の斜視図を示す。
図10Bは、本開示の実施形態による、
図10Aの復熱装置150の上面図を示す。描かれるように、1つまたは複数のフィン/バッフル152がガス流れに平行に配置され、それにより過度の圧力低下を誘発することなく熱交換を改善する。
【0031】
図10Cは、本開示の実施形態による、
図10Aのフィン/バッフル152の斜視図を示す。描かれるように、フィン152が長方形プレートの形状を有し、アダプタ44から外に出る排出ガス流れに実質的に平行に配置構成される。実施形態では、バッフル152が、ガス通路108を通るガスの流れを基準としていずれかの向きの螺旋溝を有することができる。
図11は、本開示の実施形態によるフィン/バッフル162の斜視図を示す。描かれるように、フィン/バッフル162が、排出ガス流れを基準として、螺旋溝を有し/湾曲しており、その結果、排出ガス流れがフィンによって偏向される。実施形態では、フィン162がフィン152の平面内で使用され得る。
【0032】
実施形態では、チャンバ109内部の加熱された流入ガスの一部が、頂部キャップ106内に形成される開口部111およびアダプタ44の底部側に形成される開口部82の両方を通って停滞チャンバ80に入る。実施形態では、チャンバ109内部の加熱された流入ガスの残りの部分が出口孔/アダプタ112およびガスライン29を通って流れて前進流入口42に入る。
【0033】
代替的実施形態では、前進ガス入口(forward gas inlet)42がガスタンク30に類似の別個のガスタンクから流入ガスを受け取ることができ、つまり、ガスライン29が別個のガスタンクに直接結合され得、前進ガス入口42の中へ流れるガスが室温であってよい。このような構成では、前進流が逆流とは異なるガス組成を有することができる。さらに、動作中、前進流(および/または、逆流)のガス組成が変えられ得る。例えば、前進流がプラズマ46の点火を補助するためにアルゴンの塊を含むことができる。実施形態では、前進流および逆流のガスおよび流量が、プラズマの安定性およびプラズマチャンバ22内の化学反応の効率を向上させるために調整され得る。
【0034】
図12は、本開示の実施形態による、線2-2に沿う、
図1のプラズマチャンバの断面図を示す。
図13は、本開示の実施形態による復熱装置230の斜視図を示す。描かれるように、プラズマチャンバ222は
図2のプラズマチャンバ22と同様であるが、プラズマチャンバ222が逆流入口(アダプタ)を有さないことが異なる。実施形態では、導波管220がガス出口232を有し、プラズマ246によって処理された/プラズマ246に反応したガスがガス出口232を通ってプラズマ空洞から外に出る。プラズマチャンバ222が、外側渦流れ45と同様の外側渦流れを発生させないことに留意されたい。
【0035】
実施形態では、復熱装置230が導波管220に直接取り付けられ、復熱装置230の内側シェル242が、導波管220の壁内に形成されるガス出口232と流体連通している孔248を画定する。実施形態では、復熱装置230が孔248を通って流れる排出ガスから熱エネルギーを回収し、ガスライン229を介してチャンバ239内のガスを前進ガス入口242に移送する前にチャンバ239内のガスを加熱するのにこの熱エネルギーを使用する。
【0036】
実施形態では、復熱装置230は
図9の復熱装置100と同様であるが、復熱装置230の頂部キャップ236がプラズマ空洞にガスを提供するためのリング形状のスリットを一切有さないことが異なる。プラズマチャンバ222の構成要素がプラズマチャンバ222のそれらの対応する部分と同様の材料で形成されることに留意されたい。さらに、プラズマスタビライザ238が任意選択の構成要素であることに留意されたい。
【0037】
図14は、本開示の実施形態による、線2-2に沿う、
図1のプラズマチャンバの断面図を示す。描かれるように、プラズマチャンバ322はプラズマチャンバ22と同様であるが、プラズマスタビライザ338が逆流入口(「アダプタ」とも称される)344上に配置されることが異なる。プラズマチャンバ322が
図1のプラズマチャンバ22の種々の実施形態のうちの1つの実施形態であることに留意されたい。プラズマチャンバの他の例示の実施形態の説明を、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2020年1月26日に出願した、「Plasma reactor for processing gas」と題する、同時係属の米国特許出願第16/752,689号で見ることができる。
【0038】
図15は、本開示の実施形態による、線2-2に沿う、
図1のプラズマチャンバの断面図を示す。描かれるように、プラズマチャンバ422はプラズマチャンバ22と同様であるが、プラズマチャンバ422が、前進流入口、さらには前進流入口のための加熱された流入ガスを提供するためのガスライン29を有さないことが異なる。したがって、プラズマチャンバ422が、内側渦流れ43と同様の内側渦流れを発生させない。
図16は、本開示の実施形態による、
図15の復熱装置430の斜視図を示す。実施形態では、
図9の復熱装置100と比較すると、復熱装置430が、ガスライン29に接続されるためのガス出口孔/アダプタ112を有さない。
【0039】
復熱装置230および430が復熱装置100内にあるフィン/バッフル152(または、162)と同様の追加のフィン/バッフルを有することができ、つまり、各々の復熱装置230および430が孔の中にフィン/バッフルを有することができ、反応ガス/排出ガスがこの孔を通って流れることに留意されたい。
【0040】
図2に関連させて上で考察したように、ねじ(
図2では示されない)などの適切な固定機構により、復熱装置100がアダプタ44に着脱自在に固定される。代替的実施形態では、復熱装置がアダプタに固定されず、代わりに、復熱装置100およびアダプタ44が1つのモノリシックボディとして形成される。同様に、代替的実施形態では、
図14(または、
図15)の復熱装置およびアダプタが1つのモノリシックボディとして形成され得る。
【0041】
図1~16の復熱装置がアダプタまたは導波管に直接取り付けられ、つまり、復熱装置がプラズマチャンバに直接固定されるかまたはプラズマチャンバと同じボディとして一体化され、それにより高価な材料または加工することが困難である材料の使用を最小にすることに留意されたい。さらに、実施形態では、排出ガスおよび流入ガスは、復熱装置内の流入ガスが復熱装置のボディを冷却するように機能することで、復熱装置のボディの材料の融解またはその推奨の使用温度を超えるのを防止するように、および復熱装置のボディの温度が復熱装置の使用温度を超えるのを防止するために排出ガスを復熱装置のボディに過度に衝突させないように、配置構成される。
【0042】
実施形態では、
図1~16のプラズマチャンバが、物理的に分離している反応器および復熱装置を実装するのを通常必要とする湾曲形のおよび直線形の従来のチューブ類の必要性を排除する。この従来のチューブ類は、排出ガスの熱的および化学的性質に、また可能性として酸化に、耐えることが必要であり、これは、耐熱金属または耐熱材料の上に非標準のコーティングを用いて達成するには最もひいき目に見ても非実用的であり、高価である。さらに、反応器を復熱装置に接続するための従来のチューブ類またはパイプ類に付随するあらゆる熱損失および断熱条件が全体として排除され、それにより回収可能な熱が増大する。
【0043】
実施形態では、
図1~16のプラズマチャンバが従来の必須のチューブ類、パイプ類、および/または接続金具を有さず、それにより、それ以外の場合での従来のシステムの等価の復熱装置および反応器よりも小さい幾何学的な設置面積で動作することが可能となる。より多くの量の流入ガスを処理するために、一体化される復熱装置を備えるプラズマ反応器のアレイが密にパッケージ化される場合、
図1~16のプラズマチャンバのコンパクトさは非常に重要である。
【0044】
上記の実施例および実施形態が例示であり、本開示の範囲を限定するものではないことを当業者であれば認識するであろう。本明細書および図面の考察を読むことにより当業者には明らかとなる、上記の実施例および実施形態に対しての、あらゆる置換形態、拡張形態、均等物、組み合わせ、および改善形態は、本開示の真の精神および範囲内に含まれることを意図される。さらに、任意の請求項の要素が、複数の従属関係、構成、および組み合わせを有することを含めて多様な形で、配置構成され得ることに留意されたい。
【国際調査報告】