IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ポカイ,リカルドの特許一覧

特表2022-525710航空機における乗客の情報、組織化、案内、搭乗及び着席のための方法及びシステム、そのための設備及びコンピュータプログラム
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-19
(54)【発明の名称】航空機における乗客の情報、組織化、案内、搭乗及び着席のための方法及びシステム、そのための設備及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/30 20120101AFI20220512BHJP
   B64F 1/36 20170101ALI20220512BHJP
【FI】
G06Q50/30
B64F1/36
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021513808
(86)(22)【出願日】2019-01-29
(85)【翻訳文提出日】2021-06-11
(86)【国際出願番号】 BR2019050026
(87)【国際公開番号】W WO2020154778
(87)【国際公開日】2020-08-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521098423
【氏名又は名称】ポカイ,リカルド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ポカイ,リカルド
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC42
(57)【要約】
本発明は、1つ以上の乗客の波が、着席過程にあると同時に航空機の通路に立っているかもしれない乗客の数に対応するサイズを有することを特徴とする方法に関する。本発明は、対応するコンピュータプログラムに加え、本発明による方法を実施することのできるシステム及び設備にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機における乗客の情報、組織化、案内、搭乗及び着席のための方法であって、
着席過程にあると同時に前記航空機の通路に立っているかもしれない乗客の数に対応するサイズを有する1つ以上の波を備えることを特徴とする、方法。
【請求項2】
各波は、1つ以上の乗客グループによって形成され、搭乗方向に逆流する方向で移動し、各グループ間に、前記航空機の通路で同時に立っている1つ以上のグループの乗客の合計のライン内での同時永続性のための十分な余裕を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記着席過程は、前記航空機への入場と最終的な座席占有との間の、乗客の何らかの中間的状況であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
対立が、後続の波の乗客間でのみ起こり得ることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1から4に記載の方法を実施することを特徴とする、航空機の乗客の情報、組織化、案内、搭乗及び着席システム。
【請求項6】
メインユニットが、1つ以上のデータ処理センタと、1つ以上のデータベースと、1つ以上の情報提示設備と、追加的な設備及びデバイス、又は適当な周辺機器と、を備えることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記情報提示設備は、請求項1から4の方法による搭乗順序を表示する仮想ガイドであり、地上に直接配設され及び/又は前記乗客の上方に位置するプロジェクタによって前記地上に投影されることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
乗客の上方又は下方のプロジェクタの数は、影又は提示が不十分な領域が形成されない程度であることを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記仮想ガイドは、適応的な手法で乗客の移動に従う、隣り合う布によって形成された動的なマットであり、前記仮想ガイド上/内の人々の数を識別し、計数し、分類し、前記人々の移動を検出して各乗客並びに前記乗客のグループの流れ及び速度を追跡し、モニタされた前記流れ及び速度に応じて実時間で搭乗順序の指示を更新することを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
請求項5から9に記載のシステムの一部として請求項1から4に記載の方法を実施する仮想ガイドであることを特徴とする、航空機における乗客の情報、組織化、案内、搭乗及び着席のための設備。
【請求項11】
コンピュータ可読媒体に設定されたコンピュータプログラムであって、
請求項1から4に記載の方法を実施することを意図された請求項5から9に記載のシステム及び請求項10に記載の1つ以上の設備を調整すると共にこれらに関連付けられていることを特徴とする、コンピュータプログラム。
【請求項12】
コンピュータ可読媒体に設定されており、請求項10に記載の「仮想ガイド」設備上で請求項1から4に記載の方法を実施可能であることを特徴とする、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001] 本発明は、データ及び情報の処理、プランニング、組織化及び資源割り当て、並びに人の輸送のロジスティクスの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
[002] 本発明は、乗客のグループによって形成される連続した波として乗客を分類すること及び案内することを通じた資源最適化を目的とする方法及びシステムに関する。各波のパラメータ化は、輸送手段と、乗客及び通路及び空席の数と、に応じて、特に、依然として着席の過程にある(立っている、並びに/又は荷物及び/もしくは手荷物を収納している、及び/又は別の乗客を着席させるために再び立ち上がっている、など)ときの、搭乗方向に逆流する各波の乗客による通路の占有空間に応じて、行われる。
【0003】
[003] 本発明は、設備及び対応するコンピュータプログラムにも関する。
【0004】
[004] 航空会社は、効率と利益と乗客の満足感とを同時に高める必要により生じる不断の献身によって、絶えず、そしてますます、時間最適化、特に折り返し時間の短縮の絶え間ない追求を余儀なくされている。
【0005】
[005] 搭乗段階は、より大きくより複雑な航空プロセスの1つの構成要素にすぎないものの、最も重大且つ高価な事象の1つである。搭乗時間の実質的な短縮は、航空機の折り返し時間を短縮すると共に空港の物理的な交通流を削減するであろう。これはひいては物流及び運転コストを下げ、労働力需要を低減させ、地上設備の使用を改善し、汚染物質の排出を削減する。
【0006】
[006] よって、最適化された搭乗戦略を採用することは、航空会社のみならず、環境、空港オペレータにも恩恵を与える。また、搭乗プロセスは乗客の提供されるサービスに対する品質の認識に直接に且つ大きく影響するので、乗客の快適性及びロイヤルティ(忠誠心)の指標としても役に立つ。
【0007】
[007] 搭乗時間を短くするための調査を援助すると共に全体として航空機の折り返し時間の短縮に力を入れた技術的及び物流的解決策が、数年にわたって全世界の専門家及び技師に挑戦を求めてきた。
【0008】
技術水準
[008] 米国特許出願公開第20060206353A1号明細書に開示される解決策のように、所定の一連の規則に従ったラインの組織化やライン内での又はラインからの個人の先導及び案内のためのいくつかの解決策が、従来技術から既知である。同明細書にはインテリジェントライン管理のための方法及びシステムが記載されており、この方法及びシステムは、仮想移動先ロケータを使用し、予め配分された最終移動先の割り当てによってライン構成員を先導する。この先導は、ライン構成員をある順序に配列し、その順序に応じて移動先位置を移動させることによってライン構成員を最終移動先に先導する。
【0009】
[009] 米国特許出願公開第20060206353A1号明細書の方法は、本質的にはライン構成員の入口を通じた入場を管理することに関するものであって、それぞれ最終移動先を配分された複数のライン構成員を識別するステップと、各最終移動先を仮想移動先位置にマッピングするステップと、各ライン構成員がそれぞれの最終移動先に移動する際に他のライン構成員を遅れさせないように入口を通過すべき順序を決定するステップにより仮想移動先位置を用いて各ライン構成員を対応する最終移動先へと先導するステップと、を備える。搭乗の順序は、入場から離れた列(列n)を、まだ乗客が占有していない、入場からより離れていない列(列m)に対して管理することによって決定される。すなわち、常に複数列のグループ単位で、より離れている列(n-1)からより離れていない列(m-1)へ、全ての座席が占有されるまで、「後ろから前」という占有のパラメータに従って決定される。
【0010】
[010] 米国特許出願公開第20060206353A1号明細書において提案されている解決策にはいくつかの欠点があることに注意しなくてはならない。この解決策は乗客に与えられる指示の絶え間ない更新を提供するが、そのシステム更新は、航空会社の地上搭乗スタッフによって手動で又は搭乗券リーダを通じて行われる搭乗条件更新のための特定の指示に依存する。なぜなら、システムは、特定のグループが完全に搭乗したことを地上の搭乗エージェント(又は設備)が報告してから次のグループを呼ぶからである。これは流れを遅らせ得る。
【0011】
[011] 例えばP,E,PBP及びNSといった略語を用いて搭乗の状況又は条件を符号化し、搭乗する飛行機に投影して乗客に見えるようにすることは、何の違いも生まないばかりか、各々が自分の搭乗で手一杯であろう乗客にとって関心事ではない。このことは乗客を更に混乱させ、搭乗が決められないことになり、その結果、搭乗の遅延を招き得る。
【0012】
[012] また、上記で見たように、更新順序は常に連続する列のグループを考慮していて、搭乗の安全性及び快適性のための余裕は残っていない。米国特許出願公開第20060206353A1号明細書の、「m」から「n」までの列を有する航空機の例を考えると、このシステム及び方法は、より離れている列「n」、例えば列30から開始して、より離れていない列「m」、例えば列26まで、乗客に指示することによって搭乗を始める。したがって、搭乗は列30(「n」)から列26(「m」)という一連の列のセットで始まる。最も離れた列「n」すなわち列30からの搭乗の後、搭乗エージェント(又は設備)がアップグレードを起動する。システムは、アップグレードの後、列「n-1」から列「m-1」まですなわち列29から列25までの乗客を呼び、列29の搭乗及び搭乗エージェントによる更なる更新の後、列28から列24を呼ぶ、といった具合である。この解決策は、乗客が航空機の入口又はその付近にいるという条件しか考慮しておらず、空港の搭乗領域にいる乗客及び既に搭乗した乗客の着席条件を無視している。したがって、通路で立っている及び/又は荷物や機内持ち込み品を収納している及び/又は別の乗客を収容するために再び立ち上がっている乗客によって占有される空間の問題を解決していない。
【0013】
[013] さらに、搭乗計画が床に投影されることに触れているにもかかわらず、米国特許出願公開第20060206353A1号明細書は、その投影がどうやって行われるのか、特に、乗客の移動がない場合又は予期しない変位もしくは移動が発生したときに、投影の更新がどのように振る舞うのかについて、何ら言及も示唆もしていない。
【0014】
[014] 上記の乗客の混雑及び不快感の問題を繰り返す別の搭乗分類解決策が独国特許出願公開第102009058848A1号明細書に開示されている。同明細書は、分類された状態での航空機内への搭乗を乗客に準備させるためのデバイスを開示及び説明していて、出発ラウンジにいる乗客を搭乗順序に従って先導及び指揮するためのバリア形状のデバイスを明らかにしており、地面、壁、天井等への投影の使用を提供しているが、その詳細については述べていない。
【0015】
[015] 国際公開第201622209A1号は、航空機の座席構成の地面への投影を用いる航空機搭乗の方法及び装置を説明している。これにより各乗客は、出発ラウンジにおいて自分の位置を占有し、その分類を維持した状態で、後ろから前へ且つ窓側から通路側へ、航空機に搭乗する。国際公開第201622209A1号の解決策は、空港の出発エリアにおいてかなりの空間を必要とすることに加え、搭乗済みの乗客の空間条件に無関心である。この解決策は、搭乗を指示する/開始する特定のコマンドに依存し、搭乗条件のアップグレードがどのようにして行われるのかを説明していない。
【0016】
[016] 類似の搭乗分類条件及びそれに伴う類似の欠点が、中国特許第104386261B号明細書によって開示される解決策にも見られる。上述した文献とは異なり、同明細書は、地上クルーによって物理的に取り扱われる必要のある一種のマット又はトレッドミルの使用を規定している。この条件の欠点は詳細を述べるまでもない。
【0017】
[017] 最後に、現在航空会社が採用している方法も言及に値するであろう。これらの方法は、標準的な一列又は複数列搭乗からグループ単位又はカテゴリ毎の搭乗にまで及んでいる。前者のタイプは、従来の搭乗方法の明らかな欠点を提示するものであるから、更なるコメントは不要である。その一方で、例えば、最初に窓側の座席の乗客、次の中間の座席の乗客、そして最後に通路側の座席の乗客の搭乗が行われるグループ単位又はカテゴリ毎の搭乗も、後方に属する乗客から開始し、その後で前方に属する乗客が搭乗する、飛行機を前方及び後方の2つの部分に細分化した搭乗も、地上及び航空機内で費やされる立ち時間及び座り時間を考慮すると、乗客の通過障害及び長い待ち時間を撲滅することはできない。
【0018】
[018] なお、関連のある技術水準の方法はいずれも、搭乗状況にある乗客が(i)自分の航空機への入場の順番を知る又は理解すること、(ii)航空機の内外での移動のための柔軟且つ十分な物理的空間に対処すること、及び(iii)搭乗を遅らせることなく、搭乗前の位置(及びその後は座席)に到達できること、を同時に可能にするものではない。
【0019】
[019] 最後に、上記で言及した技術水準から既知の解決方法のいずれもが、乗客にとって搭乗をより単純な課題にし、航空会社のユーザエクスペリエンスを改善し、クルー及び地上の搭乗エージェントの負担を軽くするのに十分なほど直感的なものではないことを強調する必要がある。
【0020】
[020] 以上の説明から推論できるように、技術水準の欠点を克服し、乗客搭乗の分類及び案内の改善によって資源の最適化を図る方法及びシステムには、余地が存在している。
【発明の概要】
【0021】
[021] したがって、本発明の目的の1つは、単純且つ費用効果の高い解決策であり、ユーザ及びオペレータにとって直感的であり、導入が容易でありつつ、技術水準の欠点を克服することが可能な方法及びシステムを提供することである。この方法及びシステムはまた、柔軟且つ適応性があり、既存の空港インフラとの衝突を回避し、ひいては乗客の待ち時間を短縮すること、乗客の分類及び案内並びにその後の搭乗を促進すること、そして何より、航空機の折り返し時間を短縮すること、もできる。
【0022】
[022] 本発明の更に別の目的は、本発明によるシステムを備え、本発明による方法を実行することのできる設備である。
【0023】
[023] 最後に、本発明の別の目的は、対応するコンピュータプログラムを提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
方法
[024] 本発明による方法は、集合的な輸送手段における乗客の情報、組織化、案内、搭乗及び着席のための方法である。
【0025】
[025] この方法は、乗客のグループによって形成される連続した波として乗客を搭乗させることを通じて資源最適化を図るものである。
【0026】
[026] 本発明の文脈において、連続した波とは、輸送手段の性質に応じて決定される質的特性及び量的特性、すなわち、その輸送手段において利用可能な座席の数、グループ分け及び物理的な配置を有する人々の1つ以上のグループのセットである。
【0027】
[027] 搭乗手続きにおける一般的な要素を説明することに加え、本発明の方法による波のパラメータ化は、乗客が依然として着席の過程にある間に航空機の通路で各波の乗客によって占有される空間を考慮する。
【0028】
[028] 本発明の文脈において、着席過程とは、乗客の、航空機内への入場から最終的な座席占有までの中間的な状況と理解されるべきである。これには例えば、1人以上の乗客が依然として立っている、及び/又は、手荷物及び/又は所持品を収納している、及び/又は、別の乗客が通過できるように再び立ち上がっている、及び/又は、任意の類似の中間的な条件を備える状況が含まれる。
【0029】
[029] 本発明の方法による搭乗は、好適には座席の最後列又は航空機へのアクセスから最も遠い座席の列から開始される。これは、前方搭乗又は後方搭乗にも、前方及び後方搭乗にも当てはまると共に、最終的には、2つよりも多くのアクセス扉があるときの搭乗にも当てはまり、その場合、必要な適応化が行われなければならない。
【0030】
[030] したがって、本発明による乗客の第1波は、1つ以上の乗客グループからなる波であって、搭乗の逆流を考慮して、航空機の入口から最も遠い列から座席の占有を開始することが意図されており、乗客の最大数は明らかにその最後列の座席の数に制限される。
【0031】
[031] 本発明の文脈において、「全ての座席」という概念は、何らかの手法で乗客リスト又は搭乗リスト又は占有リストに従って占有可能な、販売され及び/又は予約された全ての座席を含む。もっとも、乗客は自身の列の1つ以上の座席が空いていることにすぐに気が付くであろうから、本方法は、航空機の占有率に関係なく、搭乗を妨害することなしに、事実上全ての座席を考慮して設計され得る。
【0032】
[032] 本方法は、航空機の占有率又は特定の占有条件を考慮して、例えばグループを形成するときに列及び/又は空席をスキップして、適用可能である。
【0033】
[033] 乗客の快適性を確保するため、そして特に搭乗手続きを可能な限り高速にすることを可能にするために、第1のグループの搭乗に続き、最初は第1のグループと同じ乗客の最大数を有するが必ずしもそうでなくてもよい第2のグループが搭乗する。第2のグループは、搭乗方向に逆流する方向で第1のグループの列から距離を置いた次の列を占有する。これにより、航空機の通路にいる第1のグループの全ての乗客の、ライン内(縦並び及び/又は横並び及び/又は交互)での同時永続性が可能になる。これは、移動及び着席の点で最悪の場合であろう。
【0034】
[034] 実際面では、非限定的な一例を考えると、各々が6座席を備える32列があり、列間の間隔が0.75メートルであり、通路に立っている乗客が平均で自身の周囲の半径0.5メートルの円周に相当する空間を占有する航空機では、最大で6人の乗客からなる第1のグループが列32の座席を占有するように決められ、やはり最大で6人の乗客を有する第2のグループは、上記で説明した条件で列32から少なくとも6人の乗客分、したがって少なくとも3メートル又は4列離れた1列を占有するように、すなわち列28を占有するように決められる。同様に、第3のグループは列24を、第4のグループは列20を、第5のグループは列16を、第6のグループは列12を、第7のグループは列8を、そして第8のグループは列4を占有する。こうして第1波の搭乗が完了し、合計で48人の乗客が、各グループが6人で成る8つのグループの順序で搭乗した。
【0035】
[035] したがって、上記の例では、航空機を満たすのに4つの波が必要とされ、本明細書においては6×24ともいう方式で、6人の乗客が24座席毎に搭乗する。
【0036】
[036] その後、第2波が第1波と同じ基準に従う。第2波も各々が6人の乗客で形成される8つのグループから成り、第1のグループは、航空機の入口から最も遠い列の逆流方向で次の列を占有することが意図されている。好適には列のうち1つ、好適には(第1波が偶数番号の列で始まった場合には)偶数番号又は(第1波が奇数番号の列で始まった場合には)奇数番号の次の列がスキップされる。すなわち、好適には、列30の座席から始めて、他のグループは、第1波のルールに従い、前のグループの乗客が通路で余裕を持つことができるように、十分に距離を置いた列、つまり、列26,22,18,14,10,6及び2を占有するように続く。第2波の搭乗は48人の乗客で終わり、合計で96人の乗客が機内にいる。
【0037】
[037] その後、第3波が前の波と同じ構造に従う。第3波は各々が6人の乗客で形成される8つのグループから成り、第1のグループの搭乗は、航空機の入口から最も遠い列の逆流方向で次の列を占有することが意図されている。好適には列のうち1つ、好適には(第1波が偶数番号の列で始まった場合には)奇数番号又は(第1波が奇数番号の列で始まった場合には)偶数番号の次の列がスキップされる。すなわち、好適には、列31の座席から始めて、他のグループは、第1波のルールに従い、前のグループの乗客が余裕を持つことができるように、十分に距離を置いた列、つまり、列27,23,19,15,11,7及び3を占有するように続く。第3波の搭乗は48人の乗客で終わり、合計で144人の乗客が機内にいる。
【0038】
[038] 最後の第4波が前の波と同じ基準に従う。第4波も各々が6人の乗客で形成される8つのグループから成り、航空機の入口から最も遠い列の逆流方向で次の列から始めて、好適には列のうち1つ、好適には(第3波が奇数番号の列で始まった場合には)奇数番号又は(第3波が奇数番号の列で始まった場合には)偶数番号の次の列がスキップされる。すなわち、好適には、列29の座席から始めて、他のグループは、第1波のルールに従い、前のグループの乗客が余裕を持つことができるように、十分に距離を置いた列、つまり、列25,21,17,13,9,5及び1を占有するように続く。第4波の搭乗は48人の乗客で終わり、合計で192人の乗客が機内にいる。こうして乗客の搭乗の過程は終了する。
【0039】
[039] 各波の各グループの第1列の間の距離が各グループに特有の事象を作り出して、異なるグループの乗客間の対立を防ぎ、乗客の快適性及び搭乗の迅速性を確保することに注意されたい。これは、各グループの全人数がきちんと着席することができるように必要な座席の列間の余裕を尊重しているからである。
【0040】
[040] 本発明の文脈において、対立とは、遅延をもたらす又は乗客の不快感を作り出す何らかの状況、通過の阻害によって生じる待機、又は別の乗客が着座できるように1人以上の乗客が立つ状況を意味する。
【0041】
[041] やはり特筆に値するのは、各波の最初の列間の距離は、乗客が通常よりも長く着席過程にあり、依然として立っていて、例えば依然として搭乗の迅速性のために協働している、などの予期せぬ事象が発生した場合に対処するための余地を残しているという点である。
【0042】
[042] 本発明の方法では、搭乗状況での乗客間の対立の可能性は、後続の波の間で起こり得る1つの対立のみに低減される。すなわち、ある波の最後の乗客と次の波の最初の乗客との間で波の対立があるかもしれない。
【0043】
[043] 奇数の波と偶数の波とを2つずつ交互にする過程は、各航空機の特徴に応じて変化し得るものであると共に、各適用の一般条件に即して調整されなければならない。航空機の側部及び/又は通路によって列を交互にすることも考えられ得る。
【0044】
[044] 例えば、航空機の非常端部(emergency ends)又は非常口の付近の領域のように、航空機が異なる座席数及び/又は列間距離及び/又は座席構成を有する場合、あるいは空間がクラス(ファーストクラス、ビジネスクラス、追加的余裕のあるエコノミークラス、エコノミークラスなど)に細区分されている場合には、座席の数が最大の列を計算の基礎として考えてもよい。これらの条件を考慮して、異なるサイズの波及びグループを割り当てることも可能である。
【0045】
[045] 座席数の異なる列及び/又は距離の異なる列及び/又は座席構成の状況を説明するために、エコノミークラスに30列があり、各窓の隣に2組の3座席、航空機の中央に1組の4座席、3座席と4座席との各グループの間に通路があり、各列の間には少なくとも0.8mの距離がある航空機を例にとる。この場合、本発明の方法は、例えば各々が10人の乗客から成るグループを形成することを提案する。状況に応じて、各グループは、右の通路に1つ、左の通路にもう1つというサブグループに分割可能である。各グループには、座席の3列分の間隔を空けて配置された10人の乗客がおり、1つの波につき最大で10グループを構成する。よって、第1波は、列30、列27、列24、列21、列18、列15、列12、列9、列6、及び列3の乗客をそれぞれ呼ぶであろう。第2波は、列29、列26、列23、列20、列17、列14、列11、列8、列5、列2の乗客によって形成されるであろう。そして、最後の波は、列28、列25、列22、列19、列16、列13、列10、列7、列4、及び列1によって形成されるであろう。このようにして、10人の乗客が30座席毎に、10×30方式で搭乗する。なお、本例においては、偶数と奇数とを交互にすることは不要であった。このことは、この方法の柔軟性及び汎用性を実証している。
【0046】
[046] 航空機の空間をクラス(ファーストクラス、ビジネスクラス、追加的な空間のあるエコノミークラス、エコノミークラスなど)に細区分する状況の一例は、列の間隔が従来よりも高い又は通常とは異なる、各々が4つの座席を有する4列から形成されるファーストクラスを備える航空機の例であろう。方法によれば、上記で説明した論理に従って、2つのグループから成る2つの波が形成される。第1波は列4及び列2から成り、第2波は列3及び列1から成り、4人の乗客が8座席毎に、本明細書において4×8と称される方式で、搭乗する。
【0047】
[047] したがって、波もグループ化して、同じ航空機のクラスによって波の搭乗を促進することが可能である。
【0048】
[048] したがって、本発明の方法は、柔軟であり、どんなタイプ及びモデルの航空機でも、実用的に全ての座席構成について、搭乗を促進することを可能にし、特定の需要に応じたバリエーションも可能にする。
【0049】
[049] 各々が6座席の32列を備える航空機について初めに示した6人の乗客が24座席毎に搭乗する例は、各々が6座席を有する24列の航空機にも適用され得るが(6グループから成る4つの波)、この同じ航空機構造には、6人の乗客を36座席毎に(6×36)、つまり各々が4グループから成る6つの波で乗せることができる。第1波は座席24,座席18,座席12,座席6によって形成され、第2波は座席22,座席16,座席10,座席4によって形成され、第3波は座席20,座席14,座席8,座席2によって形成され、第4波は座席23,座席17,座席11,座席5によって形成され、第5波は座席21,座席15,座席9,座席3によって形成され、第6波は座席19,座席13,座席7,座席1によって形成される。搭乗方式のこのバリエーションは、列間の距離や通路に立っている各乗客の余裕など、いくつかの要素に依存するであろう。
【0050】
[050] なお、同じ搭乗過程の連続する波が異なる数のグループを有することも可能である。例えば、各々が6座席の29列を備える航空機においては、波はそれぞれ、座席28,座席24,座席20,座席16,座席12,座席8,座席4のグループ、次いで座席26,座席22,座席18,座席14,座席10,座席6,座席2のグループ、次いで座席29,座席25,座席21,座席17,座席13,座席9,座席5,座席1のグループ、そして最後に座席27,座席23,座席19,座席15,座席11,座席7,座席3のグループによって形成される。このように、7グループを有する3つの波と、8グループを有する1つの波とがある。この場合、搭乗は最後の列から開始したのではないことにも注意されたい。これもやはり、本発明の方法の柔軟性及び汎用性を証明している。本例では、6人の乗客が24座席毎に搭乗する場合を参照する。
【0051】
[051] 上記の例と同じ構成で、やはり列間の距離や通路に立っている各乗客の余裕に依存する航空機は、6人の乗客が36座席毎の方式で搭乗が可能である。波はそれぞれ、座席28,座席22,座席16,座席10,座席4のグループ、次いで座席26,座席20,座席14,座席8,座席2のグループ、次いで座席24,座席18,座席12,座席6のグループ、次いで座席29,座席23,座席17,座席11,座席5のグループ、次いで座席27,座席21,座席15,座席9,座席3のグループ、そして最後に座席25,座席19,座席13,座席7,座席1のグループによって形成される。このように、5グループを有する5つの波と、4グループを有する1つの波とがある。
【0052】
[052] なお、本発明による方法は、単純且つ直感的で、乗客が理解しやすいものであって、乗客を案内するための何らかの又は全てのツール、補完的な符号又は信号、凡例、指示を排除する。そして、重要なことには、この方法は乗客が何らかのデバイスに接続されること又は地上クルーによって支援されることを必要としない。
【0053】
[053] 各波は、航空機の通路において同時に立つであろう乗客の総数に対応している。全員が同時に立つ及び/又は着席するのに十分な余裕をもった状態で、乗客間の対立は、後続の波の間でのみ起こり得る。
【0054】
[054] さらに、本発明の方法は、搭乗エージェントによる中間コマンド及び追加的な制御及び監督サービスを必要としない。なぜなら、形成されるラインは短時間的なものであり、波の最後のグループの最後の乗客の前進ペースに従って、つまり、各波の最後の乗客が着席するにつれて、自動的に消散するからである。
【0055】
システム
[055] 本発明によるシステムは、集合的な輸送手段における乗客の情報、組織化、案内、搭乗及び着席のためのシステムであり、乗客のグループによって形成される連続した波として乗客を搭乗させることによって資源の最適化を図り、したがって、本発明による方法の実行を支援するものである。
【0056】
[056] 本発明のシステムは、空港の物理的構造と、空港の物理的構造の少なくとも1つの搭乗領域とを前提とするものであり、基本的に、1つ以上のデータ処理センタと、1つ以上のデータベースと、1つ以上の情報提示設備と、本発明による方法の完全な全体的及び/又は部分的実行のための動作を可能にする他のデバイス及び/又は設備とを備えるメインユニットから成る。
【0057】
[057] データ処理センタとは電子プロセッサであり、好適には、データネットワーク並びに遠隔データベース又は局所的及び/又は集中的及び/又は分散的及び/又はクラウドの情報記憶検索手段への接続を装備すると共に、電子的及び物理的手段と情報を交換することのできる技術水準の全ての通常の周辺機器、インターフェイス、アプリケーション、モバイル機器等も装備しているコンピュータである。
【0058】
[058] データ処理センタは、空港のデータ及び通信ネットワーク、インターネット、クラウド、コンピュータ端末、モバイルデバイス、電話機、チケット及び搭乗券リーダ、クレジットカード、NFC又はBLEデバイス、チェックインカウンタ、旅行代理店と、つまりは本発明の方法を実施するのに必要な機器又はインターフェイスと、直接又は間接に接続され得る。
【0059】
[059] 情報提示設備とは、画像及び光を投影及び/又は放射及び/又は提示することができると共に視覚信号及び可聴信号一般を放射することができるデバイスによって形成された視覚信号の何らかのセットであり、データ処理センタに直接接続されている。情報提示設備は、空港のインフラ環境全体に分配された補助的なサポートモニタも備え得る。
【0060】
[060] 本発明の情報提示設備は、本発明の方法による搭乗順序を表示する仮想ガイドであり、地上に直接配設され及び/又は乗客の上方に位置するプロジェクタによって地上に投影される。乗客の上方又は下方のプロジェクタの数は、影又は提示が不十分な領域が形成されない程度である。
【0061】
[061] 仮想ガイドは、隣り合う布によって形成された動的なマットの形態を有しており、適応的な手法で乗客の移動に同行する。すなわち、地上及び/又は乗客の上方及び/又は乗客の横方向のセンサが、データ処理センタを介して搭乗又はアクセスされるコンピュータプログラム又はアプリケーションと共に、仮想ガイド上/内の人々の数を識別し、計数し、分類し、人々の移動を検出して各乗客並びに乗客のセットの流れ及び速度を追跡し、モニタされた流れ及び速度に応じて実時間で搭乗順序の指示に従う。
【0062】
[062] 仮想ガイドは空港の物理的構造の搭乗エリア、好適には搭乗ゲートの隣にある空港ラウンジに設置され、そこから本発明の方法に従って搭乗の調整が行われる。
【0063】
[063] 仮想ガイドは、基本的に、本発明による手順の指示及び表示を乗客に提示する。つまり、仮想ガイドは、各状況及び選ばれた搭乗方式に応じて、搭乗対象の座席及び/又は列及び/又は波及び/又はグループの番号を順次提示する。
【0064】
[064] したがって、第1波の第1のグループに属する乗客が最初に、仮想ガイドから搭乗ゲートへと進んで搭乗管理に出向くように指示を受け、自身の列の番号及び/又は各座席番号を仮想ガイドに投影又は提示され、個々に又はグループ単位で、物理的な空港構造の搭乗領域において、自身の位置に自身のための空間を確保される。
【0065】
[065] 乗客が仮想ガイド上で出発ゲートに向かって移動するにつれ、仮想ガイドは動的なマットのように次の乗客の数に従って、乗客を仮想ガイド上で前進させるように誘導する。
【0066】
[066] 1列につき6座席を有する32列の座席と単一の通路とを備える192座席の航空機に搭乗する波に関する上記と同じ例を用い、4波の搭乗モデルを採用するのであれば、幅1.20メートル×長さ10.00メートルの寸法の仮想ガイドを想像することができる。
【0067】
[067] 仮想ガイドは、特定の色及び/又は初期視覚パターンの最初の布の投影又は提示を開始する。これは幅1.20メートル×長さ1.80の寸法で、例えば、列32の番号を示す(用いられる例の第1のグループの第1波)。この形状及びサイズであれば、その列32の6人の乗客を収容するのに十分な余裕がある。この第1の布の直後に、列28の番号を示す、区別を容易にすると共に乗客の注意を引くために、第1の布に隣接し第1の布とは色及び/又は視覚パターンが異なる別の布が投影される。列28の6人の乗客は、ここにいることになる。その後、列24を示す別の布が投影され、順次、列20のための別の布、列16のための別の布、そして列12のための別の布が、好適には交互の色及び/又は視覚パターンで投影される。こうして、36人の乗客が仮想ガイドの第1の静止画像に収容される。残りの乗客はガイドの近くに留まって、仮想ガイドに自身の位置が表示されるのを待たなければならない。このガイドは、より多数の布を有するべく異なる寸法を有して、より多くの乗客をためることができる及び/又は乗客のためにもっと余裕及び快適性を提供できることに注意が必要である。
【0068】
[068] 搭乗が始まると、列32に位置している最初の乗客たちは、仮想マットの上で搭乗ゲートの方へ移動し、スクリーン32の最後の位置にいる乗客が移動し始めた後でやっと、布32の最後の区分が移動を開始する。これによって列32の布の長さは短縮され、次の布、つまり列28に対応する布のサイズが大きくなる。
【0069】
[069] 同じように、布28と布24との間の区分は、布28の最後の乗客が移動した後でやっと移動し始め、初期静止投影の全ての布、つまり、布32から布28,布24,布20,布16,布12がそのような調子で移動する。なお、各布は、その布の最後の乗客が仮想ガイドの表面を離れると消える。
【0070】
[070] 布12が移動した後、布8が見え始め、マットの経路に沿って進んで、少なくとも1.80メートルのサイズを形成し、その上に位置する乗客がいなくなるまでそうであり続ける。乗客が現在の布エリアに進入した後、移動は有機的なものになり、1.80の最小サイズを維持する。
【0071】
[071] 布8上の乗客はマットから成る全ルートを有し、搭乗を継続するために、自身をそのマット上に位置させる。こうして、連続的に、布8が現れ、次に布4が現れ、4つの波の全てのグループが形成されるまで、波の概念に従う。
【0072】
[072] 全ての布及びその区分の移動は有機的な概念に従い、仮想ガイドは、地上又は乗客の上方もしくは横方向のセンサを通じて、乗客の移動を識別し、仮想ガイドの配向、形成及び変位を作り出す。したがって、この有機的な搭乗フォーマットは、航空機モデル及び搭乗のタイプを先に選択することのみに依存するので、他のコマンドを必要とすることなく乗客の分類全体を進めることができる。
【0073】
[073] 乗客は仮想ガイドにアクセスするときにのみガイドによって先導されるので、このように機能することで、仮想ガイドは生命体の効果を作り出す。その後、乗客がガイドによって先導される必要はもはや無くなる。ガイドの布の全ての移動がサイズ、速度、加速及び一時停止といった点で乗客の移動に適応するので、ガイドは乗客の前で一般的なラインとして乗客に追従することのみを必要とされる。このように、ガイドを移動させるのは乗客であり、乗客を移動させるのがガイドではないことは明らかである。
【0074】
[074] 仮想ガイドを部分的に有機的な方式で及び手動方式で指揮することも想像できる。
【0075】
[075] 部分的に有機的な方式の場合、上述のように有機的に制御されたマットの前の2枚の布の間にのみ区分を有するマットを想像することができる。後の布の形成及び創出は1枚目の布の移動の結果であるが、後の布は、マット上の乗客が停止したときの最小長さや、乗客が移動中であるときの最大長さなど、追加的な構成を有するであろう。
【0076】
[076] 手動制御バージョンでは、マットの制御は人間のオペレータによって実行可能である。オペレータは1枚目の布の前進を手動で制御して、部分的に有機的な方式での移動の効果と類似の効果を創出する。これはオペレータによって与えられる単純なコマンドを通じて実行され、布を前に移動させたり、停止させたり、あるいは引き戻しさえする。
【0077】
[077] なお、仮想ガイドは、スマートではあるが、単純且つ直感的で、乗客が理解しやすいものであって、乗客を案内するための何らかの又は全てのツール、補完的な符号又は信号、凡例、指示を排除し、重要なことには、乗客が何らかのデバイスに接続されること又は地上クルーによって支援されることを必要としない。
【0078】
[078] 仮想ガイドは乗客に、出発ラウンジにおいて、搭乗のための乗客の出席順序を通知し、乗客の移動方向で、各グループの全ての乗客の、出発ラウンジにおいてさえ物理的な着席を可能にするのに十分な連続した空間を投影する。
【0079】
[079] 本発明による方法は、全体として本発明のシステムとは独立して並びに仮想ガイドを使用することなく実施可能であり、例えば視覚コマンド及び/もしくは可聴コマンド並びに/又は地上クルーの声によって、既に導入済みのインフラ、例えば既に空港に存在しているモニタ、ディスプレイ、表示矢印、絵などを利用して、調整することができる。
【0080】
設備
[080] 本発明による設備は、集合的な輸送手段における乗客の情報、組織化、案内、搭乗及び着席のための設備であり、乗客のグループによって形成される連続した波として乗客を搭乗させることによって資源の最適化を図るものであり、したがって、本発明による方法の実行を支援すると共に、本発明によるシステムの一部である。
【0081】
[081] 本発明の設備は合成セットの一部であり、基本的に、1つ以上のデータ処理センタと、1つ以上のデータベースと、1つ以上の情報提示設備と、本発明による方法の完全な全体的及び/又は部分的実行のための動作を可能にする他のデバイス及び/又は設備と、を備えるメインユニットから成る。
【0082】
[082] 本発明の設備は、特に「仮想ガイド」設備であり、これは、本発明による方法を実行するための本発明によるシステムの一部である。
【0083】
コンピュータプログラム
[083] 本発明によるコンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体に設定されたコンピュータプログラムであり、本発明による方法を実行することを意図された本発明によるシステム及び/又は1つ以上の設備と、本発明によるシステムの1つ以上の要素の連携と、に関連付けられている。
【0084】
[084] 本発明による別のプログラムは、コンピュータ可読媒体におけるコンピュータプログラムセットであり、本発明による「仮想ガイド」設備において本発明による方法を実行することができる。
【0085】

[085] 広範囲な実験及びシミュレーションが実行された。それらの結果は、本発明による方法の効率及び有効性を明確に示している。
【0086】
[086] 以下のシミュレーションは、コンピュータ用に開発されたシミュレータに適用されたモデルにより実施されたものであり、航空機における乗客の搭乗のための本発明の方法をテストすることを意図している。このモデルでは、通路が1つの航空機が検討され、合計で192の座席が全て占有され、各々が6座席の32列に分けられている。
【0087】
[087] 乗客の行動に関しては、以下の変数が検討され、192人の占有者に無作為に割り当てられた。
A)乗客の移動速度:毎秒0.8メートルから1.2メートル
B)ライン遅延:0.6秒から1秒(知覚の時間及び前の乗客の移動後の乗客移動の開始)
C)乗客が着席及び荷物を収納するための時間4秒から32秒
D)別の乗客が着席できるように座席から立ち上がる:3秒から5秒
E)搭乗カウンタでの認識時間:3秒から9秒
【0088】
[088] 本発明のモデルに関しては、24座席毎に乗客6人の搭乗モデルが使用された。したがって、1つの波につき8グループを有する4つの波があった。
【0089】
[089] 本発明の波モデルとの比較のため、2つの他の搭乗方法のシミュレーションが検討された。一方は単列、他方は複列によるもので、航空機を前方部分と後方部分とに分割した。
【0090】
[090] 本発明の方法のシミュレーションでは、2人が搭乗券を確認するダブルカウンタについても検討された。よって、このモデルでは、単純なカウンタが使用された場合、ボトルネックはカウンタであったものと思われる。
【0091】
[091] シミュレータにおいて乗客に適用された変数は無作為であるため、得られた時間は実施されたシミュレーション間で変動した。したがって、テストされた3つの搭乗方法の各々につき50のシミュレーションが実施され、得られた結果の平均が検討された。
【0092】
[092] シミュレーションで得られた時間は、1人目の乗客の航空機への入場から最後の乗客の着席までの平均時間に相当する。
【0093】
[093] 単ラインモデルについて得られた平均時間は22分6秒であった。これに対し、複ラインモデルで得られた平均時間は23分3秒であった。
【0094】
[094] 一方、本発明のモデルによって得られた平均時間は10分55秒であった。
【0095】
[095] したがって、航空機の内部で節約される時間は、通路が1つの航空機において最も一般的に用いられている搭乗モデルと比べ、少なくとも50%であると結論される。
【0096】
[096] 32列の航空機(192座席)はあまり一般的ではないが、このモデルが選ばれたのは、最もよく利用される通路が1つの航空機の平均的な専有率を示すからである。
【0097】
結論
[097] 本発明は、新しく且つ創意に富んだ手法で航空機搭乗物流の技術水準の課題に対する解決策を増加させる方法、システム、設備及びコンピュータプログラムを提供する。
【0098】
最後に
[098] 当業者には、上記の説明に記載された概念から逸脱することなく本発明に対する修正がなされ得ることが容易に理解されるであろう。そのような修正は本発明の範囲内に含まれるものと見なされるべきである。したがって、上記で詳細に記載された特定の実施形態は説明的且つ例示的なものに過ぎず、本発明の範囲に限定するものではなく、添付の特許請求の範囲及びその何らかの且つ全ての均等物の全範囲を与えられるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2020-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機における乗客の情報、組織化、案内、搭乗及び着席のための方法であって、
i. 前記航空機(A)のモデルと搭乗方式とをデータ処理センタからのデータに基づいて選択するステップと、
ii. 乗客(P)の数を、前記データ処理センタからの前記データに基づいて、着席過程にあると同時に航空機(A)の通路(C)に立っているかもしれない乗客(P)の数に対応するサイズを有する波に分割するステップと、
iii. 各波を、前のステップに基づいて、1つ以上の乗客(P)のグループ及び/又はサブグループに分割するステップであって、各グループのサイズはその指定された列の座席(S)の数に限定されている、ステップと、
iv. 前記データ処理センタに接続された情報表示設備を用いて、搭乗のための乗客(P)の出席順序について乗客(P)に通知し、乗客の列の番号及び/又はそれぞれの座席(S)の番号を投影し、搭乗ゲートに進むように指示を出すことによって搭乗を開始するステップと、
v. 乗客(P)を搭乗管理に委ねるステップと、
vi. 前のステップに基づいて、第1波の第1のグループを案内し、搭乗させ、着席させるステップと、
vii. ステップiv及びvを繰り返すステップと、
viii. 前のステップに基づいて、前記航空機(A)の通路(C)にいる前のグループの全ての乗客(P)のライン内での同時永続性を可能にするように、搭乗方向とは逆方向で前のグループの列から距離を置いた次の座席(S)の列を占有する前記第1波の第2のグループを案内し、搭乗させ、着席させるステップと、
ix. ステップviiを繰り返すステップと、
x. 前のステップに基づいて、第1波の全ての乗客(P)が搭乗するまで、1つ以上の次のグループを案内し、搭乗させ、着席させるステップと、
xi. ステップixを繰り返すステップと、
xii. 前のステップに基づいて、搭乗を予定された全ての乗客(P)が搭乗するまで、ステップiからixに従って1つ以上の次の波を案内し、搭乗させ、着席させるステップと、
を備えることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記着席過程は、前記航空機(A)への入場と最終的な座席占有(S)との間の、乗客(P)の何らかの中間的状況であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
乗客(P)は、波の最後のグループの最後の乗客(P)の前進ペースに従って、つまり、各波の最後の乗客(P)が着席するにつれて、自動的に解放されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
対立が、後続の波の乗客(P)間でのみ起こり得ることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1から4で定義された方法を実施することを特徴とする、航空機の乗客の情報、組織化、案内、搭乗及び着席システム。
【請求項6】
メインユニットが、1つ以上のデータ処理センタと、1つ以上のデータベースと、1つ以上の情報提示設備と、追加的な設備(100)及びデバイス、又は適当な周辺機器とを備えることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記情報提示設備(100)は、請求項1から4の方法による搭乗順序を表示する仮想ガイド(120)であり、地上に直接配設され及び/又は前記乗客(P)の上方に位置するプロジェクタ(110)によって前記地上に投影されることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
乗客(P)の上方又は下方のプロジェクタ(110)の数は、影又は提示が不十分な領域が形成されない程度であることを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記仮想ガイド(120)は、適応的な手法で乗客の移動に従う、隣り合う布(121,122,123,124,125,126)によって形成された動的なマット(120)であり、前記仮想ガイド上/内の人々(P)の数を識別し、計数し、分類し、前記人々(P)の移動を検出して各乗客(P)並びに前記乗客(P)のグループの流れ及び速度を追跡し、モニタされた前記流れ及び速度に応じて実時間で搭乗順序の指示を更新することを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
画像及び光を投影及び/又は放射及び/又は提示すると共に視覚信号及び音声信号を放射するデバイスによって形成された視覚信号のセットであって、請求項5から9に定義されるシステムの一部として請求項1から4に定義される方法を実施する仮想ガイド(120)の形で、前記データ処理センタに直接接続されていることを特徴とする、航空機における乗客の情報、組織化、案内、搭乗及び着席のための設備。
【請求項11】
コンピュータ可読媒体に設定されたコンピュータプログラムであって、
請求項1から4に記載の方法を実施することを意図された請求項5から9に記載のシステム及び請求項10に記載の1つ以上の設備を調整すると共にこれらに関連付けられていることを特徴とする、コンピュータプログラム。
【請求項12】
コンピュータ可読媒体に設定されており、請求項10に記載の仮想ガイド(120)設備上で請求項1から4に記載の方法を実施可能であることを特徴とする、コンピュータプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001] 本発明は、データ及び情報の処理、プランニング、組織化及び資源割り当て、並びに人の輸送のロジスティクスの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
[002] 本発明は、乗客のグループによって形成される連続した波として乗客を分類すること及び案内することを通じた資源最適化を目的とする方法及びシステムに関する。各波のパラメータ化は、輸送手段と、乗客及び通路及び空席の数とに応じて、特に、依然として着席の過程にある(立っている、並びに/又は荷物及び/もしくは手荷物を収納している、及び/又は別の乗客を着席させるために再び立ち上がっている、など)ときの、搭乗方向に逆流する各波の乗客による通路の占有空間に応じて、行われる。
【0003】
[003] 本発明は、設備及び対応するコンピュータプログラムにも関する。
【0004】
[004] 航空会社は、効率と利益と乗客の満足感とを同時に高める必要により生じる不断の献身によって、絶えず、そしてますます、時間最適化、特に折り返し時間の短縮の絶え間ない追求を余儀なくされている。
【0005】
[005] 搭乗段階は、より大きくより複雑な航空プロセスの1つの構成要素にすぎないものの、最も重大且つ高価な事象の1つである。搭乗時間の実質的な短縮は、航空機の折り返し時間を短縮すると共に空港の物理的な交通流を削減するであろう。これはひいては物流及び運転コストを下げ、労働力需要を低減させ、地上設備の使用を改善し、汚染物質の排出を削減する。
【0006】
[006] よって、最適化された搭乗戦略を採用することは、航空会社のみならず、環境、空港オペレータにも恩恵を与える。また、搭乗プロセスは乗客の提供されるサービスに対する品質の認識に直接に且つ大きく影響するので、乗客の快適性及びロイヤルティ(忠誠心)の指標としても役に立つ。
【0007】
[007] 搭乗時間を短くするための調査を援助すると共に全体として航空機の折り返し時間の短縮に力を入れた技術的及び物流的解決策が、数年にわたって全世界の専門家及び技師に挑戦を求めてきた。
【0008】
技術水準
[008] 米国特許出願公開第20060206353A1号明細書に開示される解決策のように、所定の一連の規則に従ったラインの組織化やライン内での又はラインからの個人の先導及び案内のためのいくつかの解決策が、従来技術から既知である。同明細書にはインテリジェントライン管理のための方法及びシステムが記載されており、この方法及びシステムは、仮想移動先ロケータを使用し、予め配分された最終移動先の割り当てによってライン構成員を先導する。この先導は、ライン構成員をある順序に配列し、その順序に応じて移動先位置を移動させることによってライン構成員を最終移動先に先導する。
【0009】
[009] 米国特許出願公開第20060206353A1号明細書の方法は、本質的にはライン構成員の入口を通じた入場を管理することに関するものであって、それぞれ最終移動先を配分された複数のライン構成員を識別するステップと、各最終移動先を仮想移動先位置にマッピングするステップと、各ライン構成員がそれぞれの最終移動先に移動する際に他のライン構成員を遅れさせないように入口を通過すべき順序を決定するステップにより仮想移動先位置を用いて各ライン構成員を対応する最終移動先へと先導するステップと、を備える。搭乗の順序は、入場から離れた列(列n)を、まだ乗客が占有していない、入場からより離れていない列(列m)に対して管理することによって決定される。すなわち、常に複数列のグループ単位で、より離れている列(n-1)からより離れていない列(m-1)へ、全ての座席が占有されるまで、「後ろから前」という占有のパラメータに従って決定される。
【0010】
[010] 米国特許出願公開第20060206353A1号明細書において提案されている解決策にはいくつかの欠点があることに注意しなくてはならない。この解決策は乗客に与えられる指示の絶え間ない更新を提供するが、そのシステム更新は、航空会社の地上搭乗スタッフによって手動で又は搭乗券リーダを通じて行われる搭乗条件更新のための特定の指示に依存する。なぜなら、システムは、特定のグループが完全に搭乗したことを地上の搭乗エージェント(又は設備)が報告してから次のグループを呼ぶからである。これは流れを遅らせ得る。
【0011】
[011] 例えばP,E,PBP及びNSといった略語を用いて搭乗の状況又は条件を符号化し、搭乗する飛行機に投影して乗客に見えるようにすることは、何の違いも生まないばかりか、各々が自分の搭乗で手一杯であろう乗客にとって関心事ではない。このことは乗客を更に混乱させ、搭乗が決められないことになり、その結果、搭乗の遅延を招き得る。
【0012】
[012] また、上記で見たように、更新順序は常に連続する列のグループを考慮していて、搭乗の安全性及び快適性のための余裕は残っていない。米国特許出願公開第20060206353A1号明細書の、「m」から「n」までの列を有する航空機の例を考えると、このシステム及び方法は、より離れている列「n」、例えば列30から開始して、より離れていない列「m」、例えば列26まで、乗客に指示することによって搭乗を始める。したがって、搭乗は列30(「n」)から列26(「m」)という一連の列のセットで始まる。最も離れた列「n」すなわち列30からの搭乗の後、搭乗エージェント(又は設備)がアップグレードを起動する。システムは、アップグレードの後、列「n-1」から列「m-1」まですなわち列29から列25までの乗客を呼び、列29の搭乗及び搭乗エージェントによる更なる更新の後、列28から列24を呼ぶ、といった具合である。この解決策は、乗客が航空機の入口又はその付近にいるという条件しか考慮しておらず、空港の搭乗領域にいる乗客及び既に搭乗した乗客の着席条件を無視している。したがって、通路で立っている及び/又は荷物や機内持ち込み品を収納している及び/又は別の乗客を収容するために再び立ち上がっている乗客によって占有される空間の問題を解決していない。
【0013】
[013] さらに、搭乗計画が床に投影されることに触れているにもかかわらず、米国特許出願公開第20060206353A1号明細書は、その投影がどうやって行われるのか、特に、乗客の移動がない場合又は予期しない変位もしくは移動が発生したときに、投影の更新がどのように振る舞うのかについて、何ら言及も示唆もしていない。
【0014】
[014] 上記の乗客の混雑及び不快感の問題を繰り返す別の搭乗分類解決策が独国特許出願公開第102009058848A1号明細書に開示されている。同明細書は、分類された状態での航空機内への搭乗を乗客に準備させるためのデバイスを開示及び説明していて、出発ラウンジにいる乗客を搭乗順序に従って先導及び指揮するためのバリア形状のデバイスを明らかにしており、地面、壁、天井等への投影の使用を提供しているが、その詳細については述べていない。
【0015】
[015] 国際公開第201622209A1号は、航空機の座席構成の地面への投影を用いる航空機搭乗の方法及び装置を説明している。これにより各乗客は、出発ラウンジにおいて自分の位置を占有し、その分類を維持した状態で、後ろから前へ且つ窓側から通路側へ、航空機に搭乗する。国際公開第201622209A1号の解決策は、空港の出発エリアにおいてかなりの空間を必要とすることに加え、搭乗済みの乗客の空間条件に無関心である。この解決策は、搭乗を指示する/開始する特定のコマンドに依存し、搭乗条件のアップグレードがどのようにして行われるのかを説明していない。
【0016】
[016] 類似の搭乗分類条件及びそれに伴う類似の欠点が、中国特許第104386261B号明細書によって開示される解決策にも見られる。上述した文献とは異なり、同明細書は、地上クルーによって物理的に取り扱われる必要のある一種のマット又はトレッドミルの使用を規定している。この条件の欠点は詳細を述べるまでもない。
【0017】
[017] 最後に、現在航空会社が採用している方法も言及に値するであろう。これらの方法は、標準的な一列又は複数列搭乗からグループ単位又はカテゴリ毎の搭乗にまで及んでいる。前者のタイプは、従来の搭乗方法の明らかな欠点を提示するものであるから、更なるコメントは不要である。その一方で、例えば、最初に窓側の座席の乗客、次の中間の座席の乗客、そして最後に通路側の座席の乗客の搭乗が行われるグループ単位又はカテゴリ毎の搭乗も、後方に属する乗客から開始し、その後で前方に属する乗客が搭乗する、飛行機を前方及び後方の2つの部分に細分化した搭乗も、地上及び航空機内で費やされる立ち時間及び座り時間を考慮すると、乗客の通過障害及び長い待ち時間を撲滅することはできない。
【0018】
[018] なお、関連のある技術水準の方法はいずれも、搭乗状況にある乗客が(i)自分の航空機への入場の順番を知る又は理解すること、(ii)航空機の内外での移動のための柔軟且つ十分な物理的空間に対処すること、及び(iii)搭乗を遅らせることなく、搭乗前の位置(及びその後は座席)に到達できることを同時に可能にするものではない。
【0019】
[019] 最後に、上記で言及した技術水準から既知の解決方法のいずれもが、乗客にとって搭乗をより単純な課題にし、航空会社のユーザエクスペリエンスを改善し、クルー及び地上の搭乗エージェントの負担を軽くするのに十分なほど直感的なものではないことを強調する必要がある。
【0020】
[020] 以上の説明から推論できるように、技術水準の欠点を克服し、乗客搭乗の分類及び案内の改善によって資源の最適化を図る方法及びシステムには、余地が存在している。
【発明の概要】
【0021】
[021] したがって、本発明の目的の1つは、単純且つ費用効果の高い解決策であり、ユーザ及びオペレータにとって直感的であり、導入が容易でありつつ、技術水準の欠点を克服することが可能な方法及びシステムを提供することである。この方法及びシステムはまた、柔軟且つ適応性があり、既存の空港インフラとの衝突を回避し、ひいては乗客の待ち時間を短縮すること、乗客の分類及び案内並びにその後の搭乗を促進すること、そして何より、航空機の折り返し時間を短縮することもできる。
【0022】
[022] 本発明の更に別の目的は、本発明によるシステムを備え、本発明による方法を実行することのできる設備である。
【0023】
[023] 最後に、本発明の別の目的は、対応するコンピュータプログラムを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
[024] 次に、本発明の目的を、良い理解及び視覚化のために、添付の図を参照して説明する。図は例示的な実施形態を通じて得られる技術的効果を表すものであって、本発明の範囲に限定するものではない。図は以下のものを概略的に示す(矢印は乗客移動の方向及び配向を表す)。
【0025】
図1】航空機の内部の部分上面図を示し、本発明の方法による、第1列(破線の枠で強調されている)における第1波の第1のグループの例示的な搭乗手順の開始を表す。
図2】第1のグループの直後に第1波の第2のグループが搭乗しているとき(破線の枠で強調されている列)及び第3のグル―プの搭乗の開始直後(破線の枠で強調されている列)の図1の航空機を示す。
図3図1の例の航空機の内部の部分上面図を示し、本発明による各波が、着席過程にあると同時に航空機の通路に立っているかもしれない乗客の数に対応するサイズを有することを示す。
図4図1の例の航空機の内部の部分上面図を示し、同例の航空機を満たすのに必要な4つの波の順序(a,b,c,d)を表す。6人の乗客が24座席毎に、本明細書において6×24と称される方式で搭乗する。
図5図1の例の航空機を示し、第1波の乗客が全員既に着席している状態での第2波の第1のグループの搭乗を表す。
図6図1の例の航空機の内部の部分上面図を示し、最初の2つの波の順序(a,b)を表すと共にそれぞれのグループを強調し、乗客の順次着席を表す。
図7図1の例の航空機を示し、第1波及び第2波の乗客が全員既に着席している状態での第3波の第1のグループの搭乗を表す。
図8図1の例の航空機の内部の部分上面図を示し、第1波及び第2波の乗客が全員既に着席している状態での第3波のそれぞれのグループを強調している。
図9図1の例の航空機を示し、第1波、第2波、及び第3波の乗客が全員既に着席している状態での最後の第4波の第1のグループの搭乗を表す。
図10図1の例の航空機の内部の部分上面図を示し、最後の第4波のそれぞれのグループを強調しており、これによって本発明による物理的な搭乗手順を終了する。
図11図1の例の航空機の内部の部分上面図を示し、各波の各グループの第1列の間の距離が各グループに特有の事象を作り出して、異なるグループの乗客間の対立を防ぎ、乗客の快適性及び搭乗の迅速性を確保することを証明している。これは、各グループの全人数がきちんと着席することができるように必要な座席の列間の余裕を尊重しているからである。
図12】本発明の方法による搭乗順序を表示する仮想ガイドの部分斜視図を示す。
図13図12の仮想ガイドの部分上面図を示す。
図14図13の仮想ガイドを示し、乗客が仮想ガイド上で出発ゲートに向かって移動するにつれ、仮想ガイドは動的なマットのように次の乗客の数に従って、乗客を仮想ガイド上で前進させるように誘導することを証明している(順序a,b及びc)。
図15図13の仮想ガイドを示し、1列につき6座席を有する32の座席の列と1つの通路とを備える192座席の航空機における波搭乗で、4波の搭乗モデルを採用した例において、仮想ガイド上の第1波の乗客を航空機の内部に向かって前進させるための順序を概略的に表す。
図16図15の仮想ガイドを示し、仮想ガイド上の第1波の乗客を航空機の内部に向かって前進させるための順序に従った仮想ガイドの有機的移動を概略的に表す。
図17図16の仮想ガイドを示し、第1波の搭乗完了及び布31による(列31からの)第2波の開始を概略的に表す。
図18図17の仮想ガイドを示し、第2波の乗客及び仮想ガイドの前進を概略的に表す。
図19図18の仮想ガイドを示し、既に着座した乗客(列32,28,24,20)並びに他の乗客及び仮想ガイドの進行を概略的に表す。
図20】本発明による仮想ガイドを示し、仮想ガイドが生命体効果を作り出すことによって機能することを実証している。乗客たちがガイドによって先導されるのはガイドにアクセスしたときのみであるから、ガイドの布の移動は、サイズ、速度、加速及び一時停止といった点で乗客の移動に適応し、ガイドを移動させるのは乗客であり、乗客を移動させるのがガイドではないことを証明している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
方法
[025] 本発明による方法は、集合的な輸送手段における乗客の情報、組織化、案内、搭乗及び着席のための方法である。
【0027】
[026] この方法は、乗客のグループによって形成される連続した波として乗客を搭乗させることを通じて資源最適化を図るものである。
【0028】
[027] 本発明の文脈において、連続した波とは、輸送手段の性質に応じて決定される質的特性及び量的特性、すなわち、その輸送手段において利用可能な座席の数、グループ分け及び物理的な配置を有する人々の1つ以上のグループのセットである。
【0029】
[028] 搭乗手続きにおける一般的な要素を説明することに加え、本発明の方法による波のパラメータ化は、乗客が依然として着席の過程にある間に航空機の通路で各波の乗客によって占有される空間を考慮する。
【0030】
[029] 本発明の文脈において、着席過程とは、乗客の、航空機内への入場から最終的な座席占有までの中間的な状況と理解されるべきである。これには例えば、1人以上の乗客が依然として立っている、並びに/又は手荷物及び/もしくは所持品を収納している、並びに/又は別の乗客が通過できるように再び立ち上がっている、並びに/又は任意の類似の中間的な条件を備える状況が含まれる。
【0031】
[030] 本発明の方法による搭乗は、好適には座席の最後列又は航空機へのアクセスから最も遠い座席の列から開始される。これは、前方搭乗又は後方搭乗にも、前方及び後方搭乗にも当てはまると共に、最終的には、2つよりも多くのアクセス扉があるときの搭乗にも当てはまり、その場合、必要な適応化が行われなければならない。
【0032】
[031] したがって、本発明による乗客の第1波は、1つ以上の乗客グループからなる波であって、搭乗の逆流を考慮して、航空機の入口から最も遠い列から座席の占有を開始することが意図されており、乗客の最大数は明らかにその最後列の座席の数に制限される。
【0033】
[032] 本発明の文脈において、「全ての座席」という概念は、何らかの手法で乗客リスト又は搭乗リスト又は占有リストに従って占有可能な、販売され及び/又は予約された全ての座席を含む。もっとも、乗客は自身の列の1つ以上の座席が空いていることにすぐに気が付くであろうから、本方法は、航空機の占有率に関係なく、搭乗を妨害することなしに、事実上全ての座席を考慮して設計され得る。
【0034】
[033] 本方法は、航空機の占有率又は特定の占有条件を考慮して、例えばグループを形成するときに列及び/又は空席をスキップして、適用可能である。
【0035】
[034] 乗客の快適性を確保するため、そして特に搭乗手続きを可能な限り高速にすることを可能にするために、第1のグループの搭乗に続き、最初は第1のグループと同じ乗客の最大数を有するが必ずしもそうでなくてもよい第2のグループが搭乗する。第2のグループは、搭乗方向に逆流する方向で第1のグループの列から距離を置いた次の列を占有する。これにより、航空機の通路(C)にいる第1のグループの全ての乗客の、ライン内(縦並び及び/又は横並び及び/又は交互)での同時永続性が可能になる。これは、移動及び着席の点で最悪の場合であろう。
【0036】
[035] 実際面では、非限定的な一例を考えると、各々が6座席(S)を備える32(01から32)列があり、列間の間隔が0.75メートルであり、通路(C)に立っている乗客(P)が平均で自身の周囲の半径0.5メートルの円周に相当する空間を占有する航空機(A)では、最大で6人の乗客(P)からなる第1のグループが列32(図1)の座席(S)を占有するように決められ、やはり最大で6人の乗客(P)を有する第2のグループは、上記で説明した条件で列32から少なくとも6人の乗客乗客(P)分、したがって少なくとも3メートル又は4列離れた1列を占有するように、すなわち列28(図2)を占有するように決められる。同様に、第3のグループは列24を、第4のグループは列20を、第5のグループは列16を、第6のグループは列12を、第7のグループは列08を、そして第8のグループは列04を占有する。こうして第1波の搭乗が完了し、合計で48人の乗客(P)が、各グループが6人(P)で成る8つ(1,2,3,4,5,6,7,8)のグループの順序で搭乗した(図3)。
【0037】
[036] したがって、上記の例では、航空機(A)を満たすのに4つの波が必要とされ、本明細書においては6×24ともいう方式で、6人の乗客(P)が24座席(S)毎に搭乗する。(図4、順序a,b,c,d。これらはそれぞれ第1波、第2波、第3波、及び第4波に対応する)。
【0038】
[037] その後、第2波が第1波と同じ基準に従う。第2波も各々が6人の乗客(P)で形成される8つのグループから成り、第1のグループは、航空機(A)の入口から最も遠い列の逆流方向で次の列を占有することが意図されている。好適には列のうち1つ、好適には(第1波が偶数番号の列で始まった場合には)偶数番号又は(第1波が奇数番号の列で始まった場合には)奇数番号の次の列がスキップされる。すなわち、好適には、列30(図5)の座席(S)から始めて、他のグループは、第1波のルールに従い、前のグループの乗客(P)が通路(C)で余裕を持つことができるように、十分に距離を置いた列、つまり、列26,22,18,14,10,06及び02を占有するように続く。第2波の搭乗は48人の乗客(P)で終わり、合計で96人の乗客(P)が機内にいる(図6)。
【0039】
[038] その後、第3波が前の波と同じ構造に従う。第3波は各々が6人の乗客(P)で形成される8つのグループから成り、第1のグループの搭乗は、航空機(A)の入口から最も遠い列の逆流方向で次の列を占有することが意図されている。好適には列のうち1つ、好適には(第1波が偶数番号の列で始まった場合には)奇数番号又は(第1波が奇数番号の列で始まった場合には)偶数番号の次の列がスキップされる。すなわち、好適には、列31(図7)の座席(S)から始めて、他のグループは、第1波のルールに従い、前のグループの乗客(P)が余裕を持つことができるように、十分に距離を置いた列、つまり、列27,23,19,15,11,07及び03を占有するように続く。第3波の搭乗は48人の乗客(P)で終わり、合計で144人の乗客(P)が機内にいる(図8)。
【0040】
[039] 最後の第4波が前の波と同じ基準に従う。第4波も各々が6人の乗客(P)で形成される8つのグループから成り、航空機(A)の入口から最も遠い列の逆流方向で次の列から始めて、好適には列のうち1つ、好適には(第3波が奇数番号の列で始まった場合には)奇数番号又は(第3波が奇数番号の列で始まった場合には)偶数番号の次の列がスキップされる。すなわち、好適には、列29(図9)の座席(S)から始めて、他のグループは、第1波のルールに従い、前のグループの乗客(P)が余裕を持つことができるように、十分に距離を置いた列、つまり、列25,21,17,13,09,05及び01を占有するように続く。第4波の搭乗は48人の乗客(P)で終わり、合計で192人の乗客(P)が機内にいる。こうして乗客の搭乗の過程は終了する(図10)。
【0041】
[040] 各波の各グループの第1列の間の距離が各グループに特有の事象(N)を作り出して、異なるグループの乗客(P)間の対立を防ぎ、乗客(P)の快適性及び搭乗の迅速性を確保することに注意されたい。これは、各グループの全人数(P)がきちんと着席することができるように必要な座席の列間の余裕を尊重しているからである(図11)。
【0042】
[041] 本発明の文脈において、対立とは、遅延をもたらす又は乗客の不快感を作り出す何らかの状況、通過の阻害によって生じる待機、又は別の乗客が着座できるように1人以上の乗客が立つ状況を意味する。
【0043】
[042] やはり特筆に値するのは、各波の最初の列間の距離は、乗客が通常よりも長く着席過程にあり、依然として立っていて、例えば依然として搭乗の迅速性のために協働している、などの予期せぬ事象が発生した場合に対処するための余地を残しているという点である。
【0044】
[043] 本発明の方法では、搭乗状況での乗客間の対立の可能性は、後続の波の間で起こり得る1つの対立のみに低減される。すなわち、ある波の最後の乗客と次の波の最初の乗客との間で波の対立があるかもしれない。
【0045】
[044] 奇数の波と偶数の波とを2つずつ交互にする過程は、各航空機の特徴に応じて変化し得るものであると共に、各適用の一般条件に即して調整されなければならない。航空機の側部及び/又は通路(C)によって列を交互にすることも考えられ得る。
【0046】
[045] 例えば、航空機の非常端部(emergency ends)又は非常口の付近の領域のように、航空機が異なる座席数及び/又は列間距離及び/又は座席構成を有する場合、あるいは空間がクラス(ファーストクラス、ビジネスクラス、追加的余裕のあるエコノミークラス、エコノミークラスなど)に細区分されている場合には、座席の数が最大の列を計算の基礎として考えてもよい。これらの条件を考慮して、異なるサイズの波及びグループを割り当てることも可能である。
【0047】
[046] 座席数(S)の異なる列並びに/又は距離の異なる列及び/又は座席(S)構成の状況を説明するために、エコノミークラスに30列があり、各窓の隣に2組の3座席(S)、航空機(A)の中央に1組の4座席(S)、3座席と4座席(S)との各グループの間に通路(C)があり、各列の間には少なくとも0.8mの距離がある航空機(A)を例にとる。この場合、本発明の方法は、例えば各々が10人の乗客から成るグループを形成することを提案する。状況に応じて、各グループは、右の通路(C)に1つ、左の通路(C)にもう1つというサブグループに分割可能である。各グループには、座席(S)の3列分の間隔を空けて配置された10人の乗客がおり、1つの波につき最大で10グループを構成する。よって、第1波は、列30、列27、列24、列21、列18、列15、列12、列09、列06、及び列03の乗客をそれぞれ呼ぶであろう。第2波は、列29、列26、列23、列20、列17、列14、列11、列08、列05、列02の乗客によって形成されるであろう。そして、最後の波は、列28、列25、列22、列19、列16、列13、列10、列07、列04、及び列01によって形成されるであろう。このようにして、10人の乗客が30座席(S)毎に、10×30方式で搭乗する。なお、本例においては、偶数と奇数とを交互にすることは不要であった。このことは、この方法の柔軟性及び汎用性を実証している。
【0048】
[047] 航空機(A)の空間をクラス(ファーストクラス、ビジネスクラス、追加的な空間のあるエコノミークラス、エコノミークラスなど)に細区分する状況の一例は、列の間隔が従来よりも高い又は通常とは異なる、各々が4つの座席(S)を有する4列から形成されるファーストクラスを備える航空機(A)の例であろう。方法によれば、上記で説明した論理に従って、2つのグループから成る2つの波が形成される。第1波は列04及び列02から成り、第2波は列03及び列01から成り、4人の乗客が8座席(S)毎に、本明細書において4×8と称される方式で、搭乗する。
【0049】
[048] したがって、波もグループ化して、同じ航空機(A)のクラスによって波の搭乗を促進することが可能である。
【0050】
[049] したがって、本発明の方法は、柔軟であり、どんなタイプ及びモデルの航空機(A)でも、実用的に全ての座席(S)構成について、搭乗を促進することを可能にし、特定の需要に応じたバリエーションも可能にする。
【0051】
[050] 各々が6座席(S)の32列を備える航空機(A)について初めに示した6人の乗客が24座席(S)毎に搭乗する例は、各々が6座席(S)を有する24列の航空機(A)にも適用され得るが(6グループから成る4つの波)、この同じ航空機(A)構造には、6人の乗客を36座席(S)毎に(6×36)、つまり各々が4グループから成る6つの波で乗せることができる。第1波は座席(S)24,座席(S)18,座席(S)12,座席06によって形成され、第2波は座席22,座席16,座席10,座席04によって形成され、第3波は座席20,座席14,座席08,座席02によって形成され、第4波は座席23,座席17,座席11,座席05によって形成され、第5波は座席21,座席15,座席09,座席03によって形成され、第6波は座席19,座席13,座席07,座席01によって形成される。搭乗方式のこのバリエーションは、列間の距離や通路(C)に立っている各乗客の余裕など、いくつかの要素に依存するであろう。
【0052】
[051] なお、同じ搭乗過程の連続する波が異なる数のグループを有することも可能である。例えば、各々が6座席(S)の29列を備える航空機(A)においては、波はそれぞれ、座席(S)28,座席(S)24,座席(S)20,座席(S)16,座席(S)12,座席(S)08,座席(S)04のグループ、次いで座席(S)26,座席(S)22,座席(S)18,座席(S)14,座席(S)10,座席(S)06,座席(S)02のグループ、次いで座席(S)29,座席(S)25,座席(S)21,座席(S)17,座席(S)13,座席(S)09,座席(S)05,座席(S)01のグループ、そして最後に座席(S)27,座席(S)23,座席(S)19,座席(S)15,座席(S)11,座席(S)07,座席(S)03のグループによって形成される。このように、7グループを有する3つの波と、8グループを有する1つの波とがある。この場合、搭乗は最後の列から開始したのではないことにも注意されたい。これもやはり、本発明の方法の柔軟性及び汎用性を証明している。本例では、6人の乗客が24座席毎に搭乗する場合を参照する。
【0053】
[052] 上記の例と同じ構成で、やはり列間の距離や通路(C)に立っている各乗客の余裕に依存する航空機(A)は、6人の乗客が36座席(S)毎の方式で搭乗が可能である。波はそれぞれ、列28,列22,列16,列10,列04のグループ、次いで列26,列20,列14,列08,列02のグループ、次いで列24,列18,列12,列06のグループ、次いで列29,列23,列17,列11,列05のグループ、次いで列27,列21,列15,列09,列03のグループ、そして最後に列25,列19,列13,列07,列01の座席(S)のグループによって形成される。このように、5グループを有する5つの波と、4グループを有する1つの波とがある。
【0054】
[053] なお、本発明による方法は、単純且つ直感的で、乗客が理解しやすいものであって、乗客を案内するための何らかの又は全てのツール、補完的な符号又は信号、凡例、指示を排除する。そして、重要なことには、この方法は乗客が何らかのデバイスに接続されること又は地上クルーによって支援されることを必要としない。
【0055】
[054] 各波は、航空機(A)の通路(C)において同時に立つであろう乗客の総数に対応している。全員が同時に立つ及び/又は着席するのに十分な余裕をもった状態で、乗客間の対立は、後続の波の間でのみ起こり得る。
【0056】
[055] さらに、本発明の方法は、搭乗エージェントによる中間コマンド及び追加的な制御及び監督サービスを必要としない。なぜなら、形成されるラインは短時間的なものであり、波の最後のグループの最後の乗客の前進ペースに従って、つまり、各波の最後の乗客が着席するにつれて、自動的に消散するからである。
【0057】
システム
[056] 本発明によるシステムは、集合的な輸送手段における乗客の情報、組織化、案内、搭乗及び着席のためのシステムであり、乗客のグループによって形成される連続した波として乗客を搭乗させることによって資源の最適化を図り、したがって、本発明による方法の実行を支援するものである。
【0058】
[057] 本発明のシステムは、空港の物理的構造と、空港の物理的構造の少なくとも1つの搭乗領域とを前提とするものであり、基本的に、1つ以上のデータ処理センタと、1つ以上のデータベースと、1つ以上の情報提示設備と、本発明による方法の完全な全体的及び/又は部分的実行のための動作を可能にする他のデバイス及び/又は設備とを備えるメインユニットから成る。
【0059】
[058] データ処理センタとは電子プロセッサであり、好適には、データネットワーク並びに遠隔データベース又は局所的及び/もしくは集中的及び/もしくは分散的及び/もしくはクラウドの情報記憶検索手段への接続を装備すると共に、電子的及び物理的手段と情報を交換することのできる技術水準の全ての通常の周辺機器、インターフェイス、アプリケーション、モバイル機器等も装備しているコンピュータである。
【0060】
[059] データ処理センタは、空港のデータ及び通信ネットワーク、インターネット、クラウド、コンピュータ端末、モバイルデバイス、電話機、チケット及び搭乗券リーダ、クレジットカード、NFC又はBLEデバイス、チェックインカウンタ、旅行代理店と、つまりは本発明の方法を実施するのに必要な機器又はインターフェイスと、直接又は間接に接続され得る。
【0061】
[060] 情報提示設備(100)とは、画像及び光を投影(110)及び/又は放射及び/又は提示することができると共に視覚信号及び可聴信号一般を放射することができるデバイスによって形成された視覚信号の何らかのセットであり、データ処理センタに直接接続されている。情報提示設備(100)は、空港のインフラ環境全体に分配された補助的なサポートモニタ(130)も備え得る。
【0062】
[061] 本発明の情報提示設備(100)は、本発明の方法による搭乗順序を表示する仮想ガイド又は動的なマット(120)であり、地上に直接配設され及び/又は乗客の上方又は下方に位置するプロジェクタ(110)によって地上に投影される。乗客(P)の上方又は下方のプロジェクタ(P)の数は、影又は提示が不十分な領域が形成されない程度である(図12)。
【0063】
[062] 仮想ガイドは、隣り合う布(121,122,123,124,125,126)によって形成された動的なマット(120)の形態を有しており、適応的な手法で乗客(P)の移動に同行する。すなわち、地上及び/又は乗客(P)の上方及び/又は乗客(P)の横方向のセンサが、データ処理センタを介して搭乗又はアクセスされるコンピュータプログラム又はアプリケーションと共に、仮想ガイド(120)上/内の人々(P)の数を識別し、計数し、分類し、人々(P)の移動を検出して各乗客(P)並びに乗客(P)のセットの流れ及び速度を追跡し、モニタされた流れ及び速度に応じて実時間で搭乗順序の指示に従う。
【0064】
[063] 仮想ガイド(120)は空港の物理的構造の搭乗エリア、好適には搭乗ゲートの隣にある空港ラウンジに設置され、そこから本発明の方法に従って搭乗の調整が行われる。
【0065】
[064] 仮想ガイド(120)は、基本的に、本発明による手順の指示及び表示を乗客(P)に提示する。つまり、仮想ガイドは、各状況及び選ばれた搭乗方式に応じて、搭乗対象の座席(S)及び/又は列及び/又は波及び/又はグループの番号を順次提示する。
【0066】
[065] したがって、第1波の第1のグループに属する乗客(P)が最初に、仮想ガイド(120)から搭乗ゲートへと進んで搭乗管理に出向くように指示を受け、自身の列の番号及び/又は各座席(S)番号を仮想ガイド(100)に投影又は提示され、個々に又はグループ単位で、物理的な空港構造の搭乗領域において、自身の位置に自身のための空間を確保される(図13)。
【0067】
[066] 乗客が仮想ガイド(120)上で出発ゲートに向かって移動するにつれ、仮想ガイドは動的なマット(120)のように次の乗客(P)の数に従って、乗客を仮想ガイド(120)上で前進させるように誘導する(図14)。
【0068】
[067] 1列につき6座席(S)を有する32列の座席(S)と単一の通路(C)とを備える192座席の航空機(A)に搭乗する波に関する上記と同じ例を用い、4波の搭乗モデルを採用するのであれば、幅1.20メートル×長さ10.00メートルの寸法の仮想ガイド(120)を想像することができる。
【0069】
[068] 仮想ガイド(120)は、特定の色及び/又は初期視覚パターンの最初の布(121)の投影又は提示を開始する。これは幅1.20メートル×長さ1.80の寸法で、例えば、列32の番号を示す(用いられる例の第1のグループの第1波)。この形状及びサイズであれば、その列32の6人の乗客(P)を収容するのに十分な余裕がある。この第1の布(121)の直後に、列28の番号を示す、区別を容易にすると共に乗客(P)の注意を引くために、第1の布(121)に隣接し第1の布(121)とは色及び/又は視覚パターンが異なる別の布(122)が投影される。列28の6人の乗客(P)は、ここにいることになる。その後、列24を示す別の布(123)が投影され、順次、列20のための別の布(124)、列16のための別の布(125)、そして列12のための別の布(126)が、好適には交互の色及び/又は視覚パターンで投影される。こうして、36人の乗客(P)が仮想ガイド(120)の第1の静止画像に収容される(図15)。残りの乗客(P)は仮想ガイド(120)の近くに留まって、仮想ガイドに自身の位置が表示されるのを待たなければならない。この仮想ガイド(120)は、より多数の布(121,122,123,124,125,126)を有するべく異なる寸法を有して、より多くの乗客(P)をためることができる及び/又は乗客(P)のためにもっと余裕及び快適性を提供できることに注意が必要である。
【0070】
[0069] 搭乗が始まると、列32に位置している最初の乗客たち(P)は、仮想マット(120)の上で搭乗ゲートの方へ移動し、スクリーン32の最後の位置にいる乗客(P)が移動し始めた後でやっと、布32の最後の区分が移動を開始する。これによって列32の布の長さは短縮され、次の布、つまり列28に対応する布のサイズが大きくなる(図16)。
【0071】
[070] 同じように、布28と布24との間の区分は、布28の最後の乗客(P)が移動した後でやっと移動し始め、初期静止投影の全ての布、つまり、布32から布28,布24,布20,布16,布12がそのような調子で移動する。なお、各布は、その布の最後の乗客(P)が仮想ガイド(120)の表面を離れると消える。
【0072】
[071] 布12が移動した後、布8が見え始め、動的なマット(120)の経路に沿って進んで、少なくとも1.80メートルのサイズを形成し、その上に位置する乗客(P)がいなくなるまでそうであり続ける。乗客(P)が現在の布エリアに進入した後、移動は有機的なものになり、1.80の最小サイズを維持する。
【0073】
[072] 布8上の乗客(P)は動的なマット(120)から成る全ルートを有し、搭乗を継続するために、自身をそのマット上に位置させる。こうして、連続的に、布8が現れ、次に布4が現れ、4つの波の全てのグループが形成されるまで、波の概念に従う(図17図18、及び図19)。
【0074】
[073] 全ての布(121,122,123,124,125,126)及びその区分の移動は有機的な概念に従い、仮想ガイド(120)は、地上又は乗客(P)の上方もしくは横方向のセンサを通じて、乗客の移動を識別し、仮想ガイド(120)の配向、形成及び変位を作り出す。したがって、この有機的な搭乗フォーマットは、航空機(A)モデル及び搭乗のタイプを先に選択することのみに依存するので、他のコマンドを必要とすることなく乗客(P)の分類全体を進めることができる。
【0075】
[074] 乗客(P)は仮想ガイド(120)にアクセスするときにのみガイドによって先導されるので、このように機能することで、仮想ガイドは生命体の効果を作り出す(図20)。その後、乗客(P)がガイドによって先導される必要はもはや無くなる。ガイドの布(121,122,123,124,125,126)の全ての移動がサイズ、速度、加速及び一時停止といった点で乗客(P)の移動に適応するので、ガイドは乗客(P)の前で一般的なラインとして乗客(P)に追従することのみを必要とされる。このように、ガイド(120)を移動させるのは乗客(P)であり、乗客(P)を移動させるのがガイド(120)ではないことは明らかである。
【0076】
[075] 仮想ガイド(120)を部分的に有機的な方式で及び手動方式で指揮することも想像できる。
【0077】
[076] 部分的に有機的な方式の場合、上述のように有機的に制御されたマットの前の2枚の布の間にのみ区分を有するマット(120)を想像することができる。後の布の形成及び創出は1枚目の布の移動の結果であるが、後の布は、マット上の乗客が停止したときの最小長さや、乗客(P)が移動中であるときの最大長さなど、追加的な構成を有するであろう。
【0078】
[077] 手動制御バージョンでは、マット(120)の制御は人間のオペレータによって実行可能である。オペレータは1枚目の布の前進を手動で制御して、部分的に有機的な方式での移動の効果と類似の効果を創出する。これはオペレータによって与えられる単純なコマンドを通じて実行され、布を前に移動させたり、停止させたり、あるいは引き戻しさえする。
【0079】
[078] なお、仮想ガイド(120)は、スマートではあるが、単純且つ直感的で、乗客(P)が理解しやすいものであって、乗客(P)を案内するための何らかの又は全てのツール、補完的な符号又は信号、凡例、指示を排除し、重要なことには、乗客(P)が何らかのデバイスに接続されること又は地上クルーによって支援されることを必要としない。
【0080】
[079] 仮想ガイド(120)は乗客(P)に、出発ラウンジにおいて、搭乗のための乗客(P)の出席順序を通知し、乗客(P)の移動方向で、各グループの全ての乗客(P)の、出発ラウンジにおいてさえ物理的な着席を可能にするのに十分な連続した空間を投影する。
【0081】
[080] 本発明による方法は、全体として本発明のシステムとは独立して並びに仮想ガイド(120)を使用することなく実施可能であり、例えば視覚コマンド及び/もしくは可聴コマンド並びに/又は地上クルーの声によって、既に導入済みのインフラ、例えば既に空港に存在しているモニタ、ディスプレイ、表示矢印、絵などを利用して、調整することができる。
【0082】
設備
[081] 本発明による設備は、集合的な輸送手段における乗客の情報、組織化、案内、搭乗及び着席のための設備であり、乗客のグループによって形成される連続した波として乗客を搭乗させることによって資源の最適化を図るものであり、したがって、本発明による方法の実行を支援すると共に、本発明によるシステムの一部である。
【0083】
[082] 本発明の設備は合成セットの一部であり、基本的に、1つ以上のデータ処理センタと、1つ以上のデータベースと、1つ以上の情報提示設備と、本発明による方法の完全な全体的及び/又は部分的実行のための動作を可能にする他のデバイス及び/又は設備とを備えるメインユニットから成る。
【0084】
[083] 本発明の設備は、特に仮想ガイド(120)設備であり、これは、本発明による方法を実行するための本発明によるシステムの一部である。
【0085】
コンピュータプログラム
[084] 本発明によるコンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体に設定されたコンピュータプログラムであり、本発明による方法を実行することを意図された本発明によるシステム及び/又は1つ以上の設備と、本発明によるシステムの1つ以上の要素の連携とに関連付けられている。
【0086】
[085] 本発明による別のプログラムは、コンピュータ可読媒体におけるコンピュータプログラムセットであり、本発明による仮想ガイド(120)設備において本発明による方法を実行することができる。
【0087】

[086] 広範囲な実験及びシミュレーションが実行された。それらの結果は、本発明による方法の効率及び有効性を明確に示している。
【0088】
[087] 以下のシミュレーションは、コンピュータ用に開発されたシミュレータに適用されたモデルにより実施されたものであり、航空機における乗客の搭乗のための本発明の方法をテストすることを意図している。このモデルでは、通路が1つの航空機が検討され、合計で192の座席が全て占有され、各々が6座席の32列に分けられている。
【0089】
[088] 乗客の行動に関しては、以下の変数が検討され、192人の占有者に無作為に割り当てられた。
A)乗客の移動速度:毎秒0.8メートルから1.2メートル
B)ライン遅延:0.6秒から1秒(知覚の時間及び前の乗客の移動後の乗客移動の開始)
C)乗客が着席及び荷物を収納するための時間4秒から32秒
D)別の乗客が着席できるように座席から立ち上がる:3秒から5秒
E)搭乗カウンタでの認識時間:3秒から9秒
【0090】
[089] 本発明のモデルに関しては、24座席毎に乗客6人の搭乗モデルが使用された。したがって、1つの波につき8グループを有する4つの波があった。
【0091】
[090] 本発明の波モデルとの比較のため、2つの他の搭乗方法のシミュレーションが検討された。一方は単列、他方は複列によるもので、航空機を前方部分と後方部分とに分割した。
【0092】
[091] 本発明の方法のシミュレーションでは、2人が搭乗券を確認するダブルカウンタについても検討された。よって、このモデルでは、単純なカウンタが使用された場合、ボトルネックはカウンタであったものと思われる。
【0093】
[092] シミュレータにおいて乗客に適用された変数は無作為であるため、得られた時間は実施されたシミュレーション間で変動した。したがって、テストされた3つの搭乗方法の各々につき50のシミュレーションが実施され、得られた結果の平均が検討された。
【0094】
[093] シミュレーションで得られた時間は、1人目の乗客の航空機への入場から最後の乗客の着席までの平均時間に相当する。
【0095】
[094] 単ラインモデルについて得られた平均時間は22分6秒であった。これに対し、複ラインモデルで得られた平均時間は23分3秒であった。
【0096】
[095] 一方、本発明のモデルによって得られた平均時間は10分55秒であった。
【0097】
[096] したがって、航空機の内部で節約される時間は、通路が1つの航空機において最も一般的に用いられている搭乗モデルと比べ、少なくとも50%であると結論される。
【0098】
[097] 32列の航空機(192座席)はあまり一般的ではないが、このモデルが選ばれたのは、最もよく利用される通路が1つの航空機の平均的な専有率を示すからである。
【0099】
結論
[098] 本発明は、新しく且つ創意に富んだ手法で航空機搭乗物流の技術水準の課題に対する解決策を増加させる方法、システム、設備及びコンピュータプログラムを提供する。
【0100】
最後に
[099] 当業者には、上記の説明に記載された概念から逸脱することなく本発明に対する修正がなされ得ることが容易に理解されるであろう。そのような修正は本発明の範囲内に含まれるものと見なされるべきである。したがって、上記で詳細に記載された特定の実施形態は説明的且つ例示的なものに過ぎず、本発明の範囲に限定するものではなく、添付の特許請求の範囲及びその何らかの且つ全ての均等物の全範囲を与えられるべきである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】