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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-19
(54)【発明の名称】ガラス化ストロー及び凍結保存装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20220512BHJP
【FI】
G01N1/04 J
G01N1/04 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549557
(86)(22)【出願日】2019-02-25
(85)【翻訳文提出日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 IN2019050149
(87)【国際公開番号】W WO2020174481
(87)【国際公開日】2020-09-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521167936
【氏名又は名称】パイェリ、 スラヴァン クマール
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】パイェリ、 スラヴァン クマール
(72)【発明者】
【氏名】モカルラ、 パヴァーニ スリーヴィッディヤ
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA28
2G052AD14
2G052BA17
2G052DA27
2G052EB08
(57)【要約】
本明細書には生殖生物材料を格納するための凍結保存装置(200,300)の例が記載されている。この装置(200,300)は、平面基部及び三角形断面を有する長尺部材(208,306)を有するガラス化ストロー(202,302)を含む。ガラス化ストロー(202,302)は、長尺部材(208,306)の端部から離れて延びる先端部材(208,308)をさらに含む。先端部材(208,308)の少なくとも一部は、生物材料を収容するための空洞(212)を画定する。さらに、凍結保存装置は、ガラス化ストロー(202,302)の先端部材(208,308)上に配置されるシース(204,304,402)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生殖生物材料を格納するためのガラス化ストロー(100,202,302)であって、
平面基部及び三角形断面を有する長尺部材(102,208,306)と、
前記長尺部材(102,208,306)の端部から離れて延びる先端部材(108,208,308)と、
前記先端部材(108,208,308)と反対側の端部において、前記長尺部材(102,208,306)と一体化された平面ハンドル(110,210,310)と
を備え、
前記先端部材(108,208,308)の少なくとも一部が、前記生物材料を収容するための空洞(108,212)を画定し、
前記平面ハンドル(110,210,310)は、前記長尺部材(102,208,306)の前記平面基部に対して垂直である、ガラス化ストロー。
【請求項2】
前記平面ハンドル(110,210,310)は、前記長尺部材(102,208,306)の前記平面基部と同一平面上にある縁部を含む、請求項1に記載のガラス化ストロー。
【請求項3】
前記平面ハンドル(110,210,310)の少なくとも一部が、金属材料から作られる、請求項1に記載のガラス化ストロー。
【請求項4】
前記平面ハンドル(110,210,310)は、金属体に取り付けるためのスロット(112)を備える、請求項1に記載のガラス化ストロー。
【請求項5】
前記三角形断面は、二等辺三角形である、請求項1に記載のガラス化ストロー。
【請求項6】
前記三角形断面は、正三角形である、請求項1に記載のガラス化ストロー。
【請求項7】
前記先端部材(108,208,308)は、可撓性材料から作られる、請求項1に記載のガラス化ストロー。
【請求項8】
生殖生物材料を格納するための凍結保存装置(200,300)であって、
ガラス化ストロー(202,302)と、
前記ガラス化ストロー(202,302)の先端部材(208,308)上に配置されるシース(204,304,402)と、
平面ハンドル(210,310)と
を備え、
前記ガラス化ストローは、平面基部及び三角形断面を持つ長尺部材(208,306)、及び前記長尺部材(208,306)の端部から離れて延びる先端部材(208,308)を備え、
前記先端部材(208,308)の少なくとも一部が、前記生物材料を収容するための空洞(212)を画定し、
前記平面ハンドル(210,310)は、前記先端部材(208,308)と反対側の端部において、前記長尺部材(208,306)と一体化されており、前記長尺部材(208,306)の前記平面基部に対して垂直である、凍結保存装置。
【請求項9】
前記平面ハンドル(210,210)は、前記長尺部材(208,306)の前記平面基部と同一平面上にある縁部を含む、請求項8に記載の凍結保存装置。
【請求項10】
前記平面ハンドル(210,310)の少なくとも一部が、金属材料から作られる、請求項8に記載の凍結保存装置。
【請求項11】
前記平面ハンドル(210,310)は、金属体に取り付けるためのスロットを備える、請求項8に記載の凍結保存装置。
【請求項12】
前記三角形断面は、二等辺三角形である、請求項8に記載の凍結保存装置。
【請求項13】
前記三角形断面は、正三角形である、請求項8に記載の凍結保存装置。
【請求項14】
前記シース(204)は、閉じ込められた空気を逃がすことを可能にする少なくとも1つの孔(212)を含む、請求項8に記載の凍結保存装置。
【請求項15】
前記ガラス化ストロー(202,302)を確実に保持するために前記シース(304,402)に結合された案内部材(312,404)を備える、請求項8に記載の凍結保存装置。
【請求項16】
前記先端部材(208,306)が前記シース(402)に収容されるときに、前記案内部材(312,404)の長さに沿って前記長尺部材(208,308)を摺動可能に収容するために、前記案内部材(312,404)は、前記シース(402)の開放端(402a)に隣接して配置される、請求項15に記載の凍結保存装置。
【請求項17】
前記先端部材(208,306)が前記シース(304)に収容されるときに、前記長尺部材(208,308)を前記案内部材(312,404)上にロック可能に置くために、前記シース(304)の閉鎖端(304b)が、前記案内部材(312,404)に旋回可能に連結され、前記シースの前記閉鎖端(304b)は、開放端(304a)とは反対側である、請求項15に記載の凍結保存装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の主題は、一般に、凍結保存に関し、特に、限定されないが、ガラス化ストロー及び凍結保存装置に関する。
【背景技術】
【0002】
凍結保存は、生物材料を使用又は操作することが不可能又は便利でない状況において、組織、細胞、雄性配偶子、及び雌性配偶子等の生物材料を保存するための極低温の使用である。凍結保存は、多くの場合、卵母細胞又は胚を採取した後に保存し、それらを低温で格納することが望ましい。凍結保存は、収集した生殖細胞を将来の治療に使用できるようにするため、生殖補助技術において重要な役割を果たす。
【発明の概要】
【0003】
生殖生物材料を格納するためのガラス化ストローは、平面基部及び三角形断面を有する長尺部材と、前記長尺部材の端部から離れて延びる先端部材とを備え、前記先端部材の少なくとも一部が、前記生物材料を収容するための空洞を画定する。
生殖生物材料を格納するための凍結保存装置は、ガラス化ストローと、前記ガラス化ストローの先端部材上に配置されるシースとを備え、前記ガラス化ストローは、平面基部及び三角形断面を持つ長尺部材、及び前記長尺部材の端部から離れて延びる先端部材を備え、前記先端部材の少なくとも一部が、前記生物材料を収容するための空洞を画定する。
添付図面を参照して、詳細な説明が提供される。なお、説明及び図面は、本主題の単なる例示であり、主題自体を表すことを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本主題の例示的な実装によるガラス化ストローの斜視図を示す。
【0005】
図2】本主題の例示的な実装による凍結保存装置の斜視図を示す。
【0006】
図3A】本主題の例示的な実装による凍結保存装置の別の斜視図を示す。
【0007】
図3B】本主題の例示的な実装による凍結保存装置のシースの斜視図を示す。
【0008】
図4】本主題の例示的な実装による凍結保存装置の支持構造の斜視図を示す。
【0009】
図面全体を通して、同一の参照番号は類似の要素を示すが、同一の要素を示していない場合もある。図面は尺度に合わせて描かれておらず、いくつかの部分のサイズは、図示された例をわかりやすく説明するために誇張されている場合がある。さらに、図面は、説明と一致する例示及び/又は実装を提供する。ただし、図面に記載されている例示及び/又は実装に限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
卵母細胞又は胚等の生物材料は、将来の生物医学的応用のためにそれらの生存性と有用性を一時的に延長するために凍結保存されることが多い。凍結保存の間、患者から抽出された生物材料は、培地中のマルチウェルプレートに移される。生物材料を保存するために、生物材料は、液体窒素が充填されたタンクに入れられたストロー内に運ばれかつ格納される。一例において、ストローはまた、凍結プロセス中に生物材料を保護する電解質及び化合物を含んでもよい。通常、複数のストローが1つのタンク内に格納される。
【0011】
既存のストローは、ストローの正しい配置を容易にするために、可視マークを一端に有する正方形又は円形又は六角形の本体部分を含み得る。また、ストローは、患者ID、名前、年齢、日付、番号、ステージ等の患者の識別詳細を提供するために、可視マークの近くに平坦化された領域を含み得る。さらに、ストローの本体部分は、製造業者等のロゴを含み得る。このようなロゴは、卵母細胞を装填する間にストローの向きを決定する際にユーザを補助し得る。さらに、既存のストローは、本体部分から長手方向に離れて延びる先端部材を含む。先端部材は、保存される卵母細胞等の生物材料を収容するための表面を含み得る。さらに、表面の縁部を黒色等の暗い色でマーキングして、卵母細胞をストローに装填する際の案内を提供してもよい。
【0012】
卵母細胞が先端部材の表面に装填されると、先端部材はカバーで覆われ得る。先端部材上の暗色のマーキングは、先端部材上にカバーを組み付けるのにも役立つ。卵母細胞は極低温で格納及び保存されるので、カバーは、先端部材にカバーを置く前に最適な温度にされる。例えば、カバーは、液体窒素が充填されたタンクに浸漬されてもよい。例えば、施術者は鉗子でカバーを把持し、カバーをタンクに浸漬させ得る。液体窒素の中で、施術者は先端部材をカバーで閉じなければならない。カバー及びストローの組み立てを容易にするために、先端部材に近接するカバーの縁部には、好ましくは暗色のマーキングが設けられている。したがって、施術者は、先端部材の暗色と液体窒素内のカバーのそれとを整列させ得る。
【0013】
しかしながら、既存のストローの形状は、ストローの本体に何らかの力が加えられると、ストローが転がりやすくなっている。このようなストローの偶発的な転動により、ストローの先端部材が汚染され得る。また、ストローの本体部に設けられた配向マーク及びロゴ等のマークは、非触知性である。その結果、ユーザは、時間内に、及び装填及び解凍手順の間に、ストローの向きを視覚的にチェックし又は感じる必要がある。凍結保存では秒単位の規定時間が重要であるため、施術者はストローの向きを目視で確認するためにより多くの時間を費やさなければならない場合がある。さらに、先端部材に設けられたマーキングは、先端部材に装填された卵母細胞を覆い隠す場合がある。これにより、施術者はストローから取り出している間にそのような卵母細胞を見逃し得る。
【0014】
また、ストローをタンクに格納する前に、先端部材にカバーが被せられる。卵母細胞は極低温で保存されるので、カバーはしばらくの間液体窒素中に維持又は保持される。さらに、液体窒素の存在下で先端部材の上にカバーを置く間、施術者は先端部材及びカバーに設けられたマーキングを明確に見ることができない場合がある。これは先端部材からの卵母細胞の流出を引き起こし得る。しかしながら、これは面倒であり、鉗子でストロー及びカバーを把持するために施術者の両手が塞がり続けることを要求し得る。
【0015】
例えば、生物材料がタンクの底部に向かうように、キャップを下に向けて、複数のガラス化ストローがタンク内に縦方向に配置される。また、何らかの理由でストローがタンク内に落下した場合には、施術者は鉗子を用いてタンクからストローを拾おうとする場合がある。しかしながら、施術者には、鉗子による拾い上げ時にストローの向きを確認する手段がない。その結果、施術者が誤って先端部材からストローを取り出す場合がある。先端部材が空気にさらされると、先端部材によって保持される生物材料は、室温と液体窒素温度との間でわずか数秒のうちに非常に急速に温度が変動し、生物材料の品質に有害な影響をもたらし得る。さらに、タンクが液体窒素で充填されているので、所望の縁部から、すなわち、生物材料の装填領域の反対側の端部からストローを操作して拾うことが困難になり得る。ストローはタンク内の所定の位置に正確に保持されかつ格納されなければならないので、施術者によるこのような試行錯誤法は、手順に影響を与え、解凍時の生物材料の生存にさらに影響を及ぼし得る。
【0016】
本明細書には、卵母細胞及び胚等の生殖生物材料の格納に関連する本主題の例示が記載される。具体的には、本主題は、施術者がガラス化ストローを見ることなくガラス化ストローの向きを決定することを可能にする。さらに、本主題は、施術者が、先端部材及びカバー上の暗色マーキングに依存することなく、カバーを組み付けることを容易にする。
【0017】
本主題は、卵母細胞及び胚等の生殖生物材料を格納するためのガラス化ストロー及び凍結保存装置に関する。凍結保存装置は、ガラス化ストローとシースとを含む。一例として、ガラス化ストローは、平面基部及び三角形断面を有する長尺部材を含む。三角形断面は、力が加えられたときに最適な重心を維持することによって、ガラス化ストローの転動を防止する。さらに、長尺部材の側面は、ラベル付けのための十分なスペースを提供する。さらに、ガラス化ストローは、長尺部材の一端から離れて延びる先端部材を含む。先端部材は、生物材料を収容するために、1つの部分に空洞を画定してもよい。
【0018】
一実装形態では、ガラス化ストローは、先端部材とは反対側の端部に長尺部材と一体化された平面ハンドルを含む。平面ハンドルは、長尺部材の平面基部に対して垂直である。平面が一方向に延びるので、平面ハンドルは、保持することによってガラス化ストローを正しい向きに維持することを容易にする。さらに、平面ハンドルの平坦な表面は、ユーザに確実な把持を提供する。一態様では、平面ハンドルは、ストローの向きを定めるために、鉄クリップ等の金属クリップを備え得る。したがって、金属クリップは、ガラス化ストローがタンク内に落下した場合に、卵母細胞又は胚が堆積される先端部材からではなく、平面ハンドルの端部によって、ガラス化ストローが液体窒素内から磁気ロッドによって正確に拾い上げられることを確実にする。
【0019】
さらに、凍結保存装置は、ガラス化ストローを確実に保持するためにシースに結合される案内部材を含む。一実装形態では、案内部材は、ガラス化ストローを摺動可能に収容するために、シースと一列になってもよい。このような構成では、先端部材は、長尺部材が案内部材に支持している間、シースによって受け取られる。したがって、案内部材は、マーキングに依存することなく、液体窒素中で先端部材をシースに整列させることを容易にする。別の実装形態では、案内部材は、シースによって先端部材が受け取られたときに長尺部材上にロック可能に置かれるように、シースの閉鎖端に旋回可能に連結されてもよい。閉鎖端はシースの開放端の反対側である。したがって、案内部材は、シースのハンドルのように作用し、それによって、施術者は、液体窒素内で鉗子操作を用いることなく、案内部材を保持することが可能になる。
【0020】
生物材料は卵母細胞として言及されているが、この例は限定的な意味で解釈されることを意図していない。本主題は、組織、細胞、胚等の他の生物材料にも適用可能である。
【0021】
添付の図面を参照して本主題をさらに説明する。図面及び以下の説明においては、可能な限り同一の参照番号を用いて同一又は類似の部分を示している。説明及び図面は、単に、本主題の原理を例示するに過ぎないことに留意されたい。したがって、本明細書に明示的に記載又は図示されていないが、本主題の原理を包含する様々な構成が考案され得ることが理解される。さらに、本主題の原理、態様、設計及び例示、ならびにそれらの具体例を記載する本明細書の全ての記述は、それらの等価物を包含することを意図している。
【0022】
図1は、本主題の例示的な実装によるガラス化ストロー100(以下、ストロー100と称する)の斜視図を示す。ストロー100は、一端が開放され、他端が閉鎖されている。一例として、ストロー100は、プラスチック材料又は非反応性材料から作られる。ストロー100は、平面基部(図示せず)及び三角形断面を有する長尺部材102を含む。本実装形態では、長尺部材102は、約10cmから約15cmの長さを有し得る。さらに、長尺部材102は、約2mm~約5mmの高さを有し得る。
【0023】
三角形断面は、任意の平坦な表面上に置かれたとき、ストロー100のより良好な把持を可能にする。したがって、長尺部材102は、いかなる転動も生じることなくストロー100の配置を容易にする。さらに、長尺部材102の側面102aは、名前、年齢、血液型等の患者に関する詳細を提供するのに十分なラベル付けスペースを提供する。一例として、長尺部材102の三角形断面は、二等辺三角形、正三角形等であってもよい。長尺部材102は、三角形断面を有するように示されているが、長尺部材102は、ストロー100の転動を防止する任意の他の形状の断面を有してもよい。
【0024】
さらに、ストロー100は、長尺部材102の一端106aから離れて延びる先端部材104を含む。先端部材104は、充填又は解凍手順の間に卵母細胞又は胚を運ぶことを容易にするために部分的に可撓性であるプラスチック又は任意の非反応性の性質の材料等から作られ得る。先端部材104の少なくとも一部は、空洞108を含み得る。一例として、空洞108は、卵母細胞又は胚を収容するために先端部材104の部分に画定された、スプーン又は半円等を形成する凹面を含み得る。別の例では、空洞108は、卵母細胞を収容する先端部材104の部分に画定された中空円筒の形態であってもよい。
【0025】
一実装形態では、ストロー100は、先端部材104の端部106aの反対側の端部106bにおいて、長尺部材106と一体化された平面ハンドル110を含む。一例として、平面ハンドル110は、プラスチック材料又は任意の非反応性材料で作られてもよい。さらに、平面ハンドル110は、約2cmから約3cmの長さを有し得る。さらに、平面ハンドル110は、約0.2cmから約1cmの高さを有し得る。一例として、平面ハンドル110は、約1mmから約3mmの厚さを有し得る。平面ハンドル110は、長尺部材102の平面基部に対して実質的に垂直であり得る。一例として、平面ハンドル110は、長尺部材102の平面基部と同一平面上にある縁部(図示せず)を含む。このように、平面ハンドル110は、長尺部材102の平面基部とは反対側に一定方向に延びる。平面ハンドル110の平面構造により、施術者等のユーザは、胚の装填及び解凍手順中の任意の所与の時点でストロー100が転動することを恐れずにストロー100を把持することが可能になる。
【0026】
さらに、平面ハンドル110は、金属体に取り付けられるように設けられてもよい。一例として、平面ハンドル110の少なくとも一部は、金属材料で作られてもよい。別の例では、平面ハンドル110は、鉄クリップ等の金属クリップを収容するスロット112を含み得る。したがって、ストロー100が液体窒素で充填されたタンク内に落下した場合には、ストロー100を磁気ロッド又は任意のこのようなアクセサリで容易に検出することができる。平面ハンドル110の金属体は、ストロー100が常に平面ハンドル110から持ち上げられ、胚が堆積される先端部材104から持ち上げられないことを確実にする。一例として、長尺部材102、先端部材104及びハンドル110は、プラスチック材料又は任意の他の胚に安全な材料等の同じ材料で作られてもよい。
【0027】
上述のガラス化ストロー100は、卵母細胞の凍結保存を補助するための完全に信頼できる装置を提供する。ストロー100の一定方向ハンドル110は、ストロー100に剛性把持を提供する。加えて、一定方向ハンドルは、製造業者識別側によって提供された向きを感じることで施術者がストロー100を見ることなく、ストロー100が正しい向きに配置されることを確実にする。そのため、施術者の集中力と焦点が保たれる。さらに、長尺部材102の三角形断面は、ストロー100が平坦な表面上に置かれたときにストロー100が横転することを防止し、重心を維持することによって、何らかの力が意図せずに加えられた場合に転動することを回避する。
【0028】
次に図2を参照すると、本主題の例示的な実装形態による凍結保存装置200の斜視図が示されている。凍結保存装置200は、液体窒素中で卵母細胞又は胚を装填、保持、保存及び格納するために使用されることを意図された生殖補助装置である。凍結保存装置200は、ガラス化ストロー100等のガラス化ストロー202及びシース204を含む。したがって、ガラス化ストロー202は、長尺部材206、先端部材208、及び平面ハンドル210を含む。長尺部材208は、平面基部(図示せず)及び三角形断面を含み得る。ガラス化ストロー202の先端部材208は、長尺部材206の一端から離れて延びている。一例として、先端部材208の少なくとも一部は、卵母細胞又は胚等の生物材料を収容するための空洞212を画定する。シース204は、ガラス化ストロー202の先端部材208上に配置されるように構成し得る。
【0029】
平面ハンドル210は、先端部材206と反対側の端部で長尺部材208と一体化されてもよい。さらに、平面ハンドル210は、長尺部材208の平面基部に対して垂直であってもよい。図1を参照して説明したように、平面ハンドル210は、長尺部材208の平面基部と同一平面上にある縁部を含む。一例では、ガラス化ストロー202及びシース204は、シース204がガラス化ストロー202の先端部材208上に組み付けられた後に、確実な密封を提供するように設計されている。
【0030】
一実装形態では、シース204は、図2に示すような中空管状構造であってもよい。シース204は、シース204が先端部材208の上に置かれた後に、シース204内の空気のロックを防止するために、複数の孔214を含み得る。孔214を通って空気が逃げることにより、凍結材料の温度を維持することが容易になり、キャップが破裂して開くことを防止する。さらに、シース204の下部216は、卵母細胞又は胚を保持する先端部材208がシース204に挿入されたときに卵母細胞の温度が維持されるように、一定量の液体窒素を保持し得る。さらに、シース204の下部216内の液体窒素は、ストロー202が意図せず迅速に露出されたときにも、凍結材料の温度を保存する。
【0031】
操作時に、施術者等のユーザは、ストロー202をハンドル210で保持し、先端部材208をシース204内に挿入し得る。シース204を先端部材208上に組み付けると、シース204の下部216内に保持された液体窒素が先端部材208に向かって上方に流れる。したがって、シース204内の液体窒素は、意図せず空気へ迅速に露出されたときにも、卵母細胞又は胚の温度を維持することを容易にする。
【0032】
図3Aを参照すると、本主題の別の実装形態による凍結保存装置300が示されている。この実装形態では、凍結保存装置300は、ガラス化ストロー302及びシース304を含み得る。図3 Bは、本主題の本実装形態によるシース304の斜視図を示す。ガラス化ストロー302は、長尺部材306、先端部材308、及び平面ハンドル310を含み得る。さらに、凍結保存装置300は、案内部材312を含み得る。案内部材312は、細長い構造であってもよく、シース304の取り扱いを容易にし得る。
【0033】
図3Bに示すように、シース304は、開放端304a及び閉鎖端304bを含み得る。また、シース304は、閉鎖端304bの近くに二つの突起314を含む。突起314は、シース304が案内部材312上に配置されるのを容易にする。例えば、案内部材312は、組み立て中に突起314がスロット内に嵌合するように、突起314に対応するスロット(図示せず)を含み得る。このような構成により、シース304を案内部材312に旋回可能に連結することが容易になる。さらに、シース304の開口端304aは、ガラス化ストロー302の先端部材308を収容する凹部316を含んでいる。
【0034】
案内部材312の細長い構造は、ガラス化ストロー302を組み付ける間、シース304を保持するためのハンドルとして機能し得る。したがって、施術者は、ガラス化ストロー302をシース304内に組み付けるために鉗子を使用する必要がなくなり得る。さらに、シース304は、ガラス化ストロー302がたどる経路を画定する。例えば、ガラス化ストロー302の先端部材308がシース304の凹部316と整列するとすぐに、ガラス化ストロー302の長尺部材304は、案内部材312上にロック可能に置かれ得る。
【0035】
次に図4を参照すると、本主題の実装形態による支持構造400が示されている。この実装形態では、支持構造400は、案内部材404に結合されたシース402を含み得る。シース402は、ストロー302等のガラス化ストローの先端部材を収容する中空管状構造を有してもよい。一例として、案内部材404は、細長い構造であってもよく、第1の端部406及び第2の端部408を含み得る。第1の端部406はシース402に結合されてもよく、第2の端部408は開放されてもよい。さらに、案内部材404は、案内部材404を介してシース402内にガラス化ストローを容易に摺動させることができるようにサイドレール410を含み得る。一例として、第2の端部408は、ガラス化ストローの平面ハンドルに対応するスリット又は切り抜きを含み得る。
【0036】
したがって、施術者は、ガラス化ストローの先端部材とシース402とを確実に整列させるために、ストローだけでなくシース402上にも可視マーキングを探す必要がない。さらに、案内部材404は、シース402のハンドルとして機能してもよい。その結果、施術者は、ガラス化ストローの上にシース402を組み付けるために鉗子を使用する必要がなくなる。案内部材404の長尺構造は、ユーザに良好な把持を提供し、誤りの可能性を低減する。
【0037】
操作時に、施術者等のユーザは、一方の手で、平面ハンドル410等のハンドルからストローを保持し得る。さらに、ユーザは、他方の手で、シース402を案内部材404で保持してもよい。一例では、シース402が液体窒素に浸漬され、かつ案内部材404がユーザによって開放端408で保持されるように、支持構造400は保持される。ユーザは、ガラス化ストローの先端部材を案内部材404の開放端408に整列させ、ストローを案内部材404に沿って摺動させるだけでよく、それによって、ガラス化ストローの長尺部材が案内部材404上に置かれ、(卵母細胞又は胚を保持する)先端部材がシース402内に入り、ストローの長尺部材が開放端408のスリット内にロックする。
【0038】
本主題は、特定の実施形態を参照して説明されてきたが、この説明は、限定的な意味で解釈されることを意味しない。開示された実施形態の種々の変更、並びに、主題の代替実施形態は、主題の説明を参照することにより、当業者に明らかになるであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図4
【国際調査報告】