(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-19
(54)【発明の名称】酸素貯蔵用のセリア含有混合酸化物
(51)【国際特許分類】
C01G 25/00 20060101AFI20220512BHJP
B01J 37/12 20060101ALI20220512BHJP
B01J 37/16 20060101ALI20220512BHJP
B01J 37/18 20060101ALI20220512BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20220512BHJP
B01J 23/63 20060101ALI20220512BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20220512BHJP
B01J 20/02 20060101ALI20220512BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
C01G25/00
B01J37/12 ZAB
B01J37/16
B01J37/18
B01J37/08
B01J23/63 A
B01D53/94 280
B01D53/94 245
B01D53/94 222
B01J20/02 B
B01J20/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021551903
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(85)【翻訳文提出日】2021-09-01
(86)【国際出願番号】 GB2020050868
(87)【国際公開番号】W WO2020201748
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー、ジャネット メアリー
(72)【発明者】
【氏名】コルピン、エイミー
(72)【発明者】
【氏名】トンプセット、デヴィッド
【テーマコード(参考)】
4D148
4G048
4G066
4G169
【Fターム(参考)】
4D148AA06
4D148AA13
4D148AA18
4D148AB01
4D148AB09
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4D148BA33X
4D148BA33Y
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4D148BA41X
4D148BA42X
4D148BB01
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4G048AA03
4G048AB05
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4G066AA21D
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4G066BA20
4G066BA22
4G066BA26
4G066BA32
4G066CA28
4G066DA02
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4G066FA22
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4G169AA03
4G169AA08
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4G169BC22A
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4G169BC40A
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4G169BC71B
4G169BC72B
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4G169CA18
4G169CB81
4G169CC17
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4G169EA01Y
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4G169EB18Y
4G169EC02X
4G169EC02Y
4G169EC03Y
4G169EC22X
4G169EC22Y
4G169EC27
4G169EE06
4G169FA01
4G169FA06
4G169FB29
4G169FB39
4G169FB43
4G169FB44
4G169FC02
4G169FC08
(57)【要約】
【解決手段】 本開示は、Ce含有混合酸化物、特にLn
yCe
xM
wO
zの化学量論を有するものを含む組成物[式中、0.15≦x≦0.5、y≦0.25、w=(1-x-y)≧0.5、及びz=(2x+2w+1.5y)であり、Mは、Zr、Hf、Ti、Sn、若しくはGe、又はこれらの組み合わせであり、Lnは、Y、及び/又はCeを除く1種以上の希土類金属である]及びこれらの組成物の使用を目的とする。これらの組成物は、混合酸化物の格子中でのCeの均一な分布によって特徴付けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ln
yCe
xM
wO
zの化学量論を有する結晶性混合酸化物を含む組成物であって[式中、
0.15≦x≦0.5、y≦0.25、w=(1-x-y)≧0.5、及びz=(2x+2w+1.5y)であり、
Mは、Zr、Hf、Ti、Sn、若しくはGe、又はこれらの組み合わせであり、
Lnは、Y、及び/又はCeを除く1種以上の希土類金属である]、
前記Ceは、格子全体に均一に分布している、組成物。
【請求項2】
Mが、Zr若しくはHf、又はこれらの混合物若しくは組み合わせである、又はZr若しくはHf、又はこれらの混合物若しくは組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Lnが、La、Nd、Pr、及び/又はYである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記結晶性混合酸化物が、メソ細孔質又はマクロ多孔質のアグリゲート又はアグロメレートとして存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記結晶性混合酸化物が、約10m
2g
-1~約100m
2g
-1の範囲の表面積を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記結晶性混合酸化物が、約1nm~約100nmの範囲の結晶子サイズを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記結晶性混合酸化物が、正方晶相、立方晶相、又はこれらの組み合わせ中に存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記結晶性混合酸化物が、粉末X線回折(PXRD)パターンを示し、2θ=14.5±0.5°及び2θ=29.5±1°での回折線強度の比(I
14.5/I
29.5)は0.02未満である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記結晶性混合酸化物が、完全なCe分布を仮定した対応する組成物の理論的最小値の20%以内であるCe-Ce配位数(CN)を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の結晶性混合酸化物を調製する方法であって、
(a)前記Ceと、前記Zr、Hf、Ti、Sn、又はGeのうちの1つ以上と、前記任意のY、及び/又はCeを除く1種以上の他の希土類金属との酸化物前駆体を還元条件に供して、前記結晶性混合酸化物の還元形態を形成することと、
(b)所望により、前記結晶性混合酸化物の前記還元形態を酸化して、前記結晶性混合酸化物を形成することと、を含む、方法。
【請求項11】
前記還元条件が、炭素熱還元又は水素還元である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記Ceと、前記Zr、Hf、Ti、Sn、又はGeのうちの1つ以上と、前記任意のY、及び/又はCeを除く1種以上の他の希土類金属との前記酸化物前駆体が、高表面炭素担体上に堆積された後に、前記担持酸化物前駆体を前記炭素熱還元条件に供する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
完全なCe分布を仮定した対応する組成物の理論的最小値の20%以内、15%以内、10%以内、5%以下以内のCe-Ce配位数(CN)を有する最終Ce含有混合酸化物組成物を提供するように、初期Ce含有混合酸化物組成物内でCe原子を再分配する方法であって、
前記初期Ce含有混合酸化物組成物は、Ln
yCe
xM
wO
zの化学量論を有し[式中、
0.15≦x≦0.5、y≦0.25、w=(1-x-y)≧0.5、及びz=(2x+2w+1.5y)であり、
Mは、Zr、Hf、Ti、Sn、若しくはGe、又はこれらの組み合わせであり、
Lnは、Y、及び/又はCeを除く1種以上の希土類金属である]、
前記方法は、
(a)前記初期混合酸化物を還元条件に供して、前記結晶性混合酸化物の還元形態を形成することと、
(b)所望により、前記結晶性混合酸化物の前記還元形態を酸化して、前記結晶性混合酸化物を形成することと、を含む、方法。
【請求項14】
(a)三元触媒(TWC)、又は(コーティングされた)ガソリン微粒子フィルタ若しくはディーゼル微粒子フィルタ若しくは煤フィルタなどのガソリン後処理システム、(b)ディーゼル後処理システム用のリーンNO
xトラップ、(c)受動NO
x吸着剤(PNA)、(d)ディーゼル酸化触媒(DOC)、(e)水性ガスシフト触媒、(f)水蒸気改質触媒及び/若しくは部分酸化触媒の場合を含む炭化水素改質触媒、並びに/又は(g)H
2を生成するための高温水分解触媒における、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項15】
触媒システムが、TWC、(コーティングされた)ガソリン微粒子フィルタ若しくはディーゼル微粒子フィルタ若しくは煤フィルタ、ディーゼル後処理用のリーンNO
xトラップ、PNA、DOC、水性ガスシフト触媒、炭化水素改質触媒、水蒸気改質触媒、部分酸化触媒、及び/又は高温水分解触媒である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物を含む触媒物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Ce含有混合酸化物、特にLnyCexMwOzの化学量論を有するものを含む組成物[式中、
0.15≦x≦0.5、y≦0.25、w=(1-x-y)≧0.5、及びz=(2x+2w+1.5y)であり、
Mは、Zr、Hf、Ti、Sn、若しくはGe、又はこれらの組み合わせであり、
Lnは、Y、及び/又はCeを除く1種以上の希土類金属である]と、
これらの結晶性混合酸化物の酸素貯蔵材料としての使用と、に関する。好ましくは、組成物は、混合酸化物の格子中でのCeの分布によって特徴付けられる。これらの組成物は、酸素貯蔵組成物として、及び様々な関連する触媒用途で有用である。
【背景技術】
【0002】
内燃機関では、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、及び窒素酸化物(「NOx」)を含む様々な汚染物質を含有する排気ガスが生成される。排気ガス触媒を含む排出制御システムは、大気に排出されるこれらの汚染物質の量を低減するために広く利用されている。ガソリンエンジン用途に通常使用される触媒は、三元触媒(TWC)である。TWCにより、次の3つの主な役割、すなわち、(1)COの酸化、(2)未燃HCの酸化、及び(3)NOxのN2への還元を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、高表面積のアルミナ及びセリア-ジルコニア担体上に分散された白金族金属(PGM)で構成されるTWCは、ガソリンエンジンの後処理のために1980年代初頭に最初に導入された。ますます厳しくなる排出制限を満たす必要があるため、自動車用途向けの触媒特性が改善された代替触媒組成物を特定することが望ましい。したがって、最適化された触媒特性を備えた新規TWC化合物を改善及び合成する必要が依然としてある。
【0004】
本発明の第1の態様では、LnyCexMwOzの化学量論を有する結晶性混合酸化物を含む組成物であって[式中、
0.15≦x≦0.5、y≦0.25、w=(1-x-y)≧0.5、及びz=(2x+2w+1.5y)であり、
Mは、Zr、Hf、Ti、Sn、若しくはGe、又はこれらの組み合わせであり、
Lnは、Y、及び/又はCeを除く1種以上の希土類金属である]、
Ceが、格子全体に均一に分布している、組成物を提供する。
【0005】
本発明の第2の態様では、上記定義された結晶性混合酸化物を調製する方法であって、
(a)Ceと、Zr、Hf、Ti、Sn、又はGeのうちの1つ以上と、任意のY、及び/又はCeを除く1種以上の他の希土類金属との酸化物前駆体を還元条件に供して、結晶性混合酸化物の還元形態を形成することと、
(b)結晶性混合酸化物の還元形態を酸化して、結晶性混合酸化物を形成することと、を含む、方法を提供する。
【0006】
本発明の第3の態様では、完全なCe分布を仮定した対応する組成物の理論的最小値の20%以内、15%以内、10%以内、5%以下以内のCe-Ce配位数(CN)を有する最終Ce含有混合酸化物組成物を提供するように、初期Ce含有混合酸化物組成物内でCe原子を再分配する方法であって、
初期Ce含有混合酸化物組成物は、LnyCexMwOzの化学量論を有し[式中、
0.15≦x≦0.5、y≦0.25、w=(1-x-y)≧0.5、及びz=(2x+2w+1.5y)であり、
Mは、Zr、Hf、Ti、Sn、若しくはGe、又はこれらの組み合わせであり、
Lnは、Y、及び/又はCeを除く1種以上の希土類金属である]、
本方法は、
(a)初期混合酸化物を還元条件に供して、結晶性混合酸化物の還元形態を形成することと、
(b)結晶性混合酸化物の還元形態を酸化して、結晶性混合酸化物を形成することと、を含む、方法を提供する。
【0007】
本発明の第4の態様では、(a)TWC、又は(コーティングされた)ガソリン微粒子フィルタ若しくはディーゼル微粒子フィルタ若しくは煤フィルタなどのガソリン後処理システム、(b)ディーゼル後処理システム用のリーンNOxトラップ、(c)受動NOx吸着剤(PNA)、(d)ディーゼル酸化触媒(DOC)、(e)水性ガスシフト触媒、(f)水蒸気改質触媒及び/若しくは部分酸化触媒の場合を含む炭化水素改質触媒、並びに/又は(g)H2を生成するための高温水分解触媒における、上記で定義された組成物のいずれか1つの使用が提供される。
【0008】
本発明の第5の態様では、触媒物品が、TWC、(コーティングされた)ガソリン微粒子フィルタ若しくはディーゼル微粒子フィルタ若しくは煤フィルタ、ディーゼル後処理用のリーンNOxトラップ、PNA、DOC、水性ガスシフト触媒、炭化水素改質触媒、水蒸気改質触媒、部分酸化触媒、及び/又は高温水分解触媒である、上記で定義された組成物を含む触媒物品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本出願は、添付の図面と併せて読むことで更に理解される。主題を説明するために、主題の例示的な実施形態が図面に示されている。しかし、本開示の主題は、開示される特定の方法、プロセス、デバイス、及びシステムに限定されない。また、図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。各図面の簡単な説明は、以下のとおりである。
【0010】
【
図1】
図1は、実施例1に記載された実験の結果を示す。
【0011】
【
図2】
図2は、実施例2に記載された実験の結果を示す。
【0012】
【
図3】
図3は、実施例3に記載された実験の結果を示す。
【0013】
【
図4】
図4は、実施例4に記載された実験の結果を示す。
【0014】
【
図5】
図5は、実施例5に記載された実験の結果を示す。
【0015】
【
図6】
図6は、実施例6に記載された実験の結果を示す。
【0016】
【
図7】
図7は、実施例7に記載された実験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、その全てが本開示の一部を形成する添付図面及び実施例に関連してなされた以下の説明を参照することによって、より容易に理解することができる。本発明は、本明細書に記載又は示される特定の製品、方法、プロセス、条件、又はパラメータに限定されるものではなく、本明細書で使用される用語は、単に例として特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、いかなる特許請求される発明も限定することを意図するものではないことを理解されたい。同様に、特に断りのない限り、改善のための考え得る機構又は作用モード又は理由に関する任意の説明も、例示的なものに過ぎず、いずれのそのような改善のための提案される機構又は作用モード又は理由の正確さ又は不正確さによって制約されるものではない。本明細書、特許請求の範囲、及び図面全体を通して、説明は、組成物及び当該組成物を作製及び使用するプロセスに言及することが認識される。すなわち、本開示が、組成物又は組成物を作製若しくは使用する方法に関連する特徴又は実施形態を記載又は特許請求する場合、このような説明又は特許請求の範囲は、これらの特徴又は実施形態をこれらの文脈(すなわち、組成物、作製方法、及び使用方法)のそれぞれにおける実施形態に拡張することを意図すると理解されたい。
【0018】
本開示は、Ce含有結晶性混合酸化物を含む組成物、そのような組成物を作製及び使用する方法、並びにこれらの組成物を含む触媒物品に関する。
【0019】
本明細書に記載の結晶性混合酸化物を含む組成物を作製するための方法は、本開示の更なる態様である。これらの方法のいくつかには、本明細書に記載又は提案されている任意の結晶性混合酸化物を調製するのに有用な方法が含まれる。本発明の好ましい方法では、本方法は、
(a)Ceと、Zr、Hf、Ti、Sn、又はGeのうちの1つ以上と、任意のY、及び/又はCeを除く1種以上の他の希土類金属との酸化物前駆体を還元条件に供して、結晶性混合酸化物の還元形態を形成することであって、特に、Ceが+3酸化状態で存在する、形成することと、
(b)所望により、Ceの(再)分配を可能にする温度で組成物を保持することと、
(c)所望により、結晶性混合酸化物の還元形態を酸化して、結晶性混合酸化物を形成することと、を含む。
【0020】
好ましい還元条件は、炭素熱還元、水素還元、一酸化炭素還元、メタン還元、又はこれらの還元条件の任意の2つ以上の混合である。炭素熱還元及び水素還元が特に好ましい。
【0021】
更に好ましい方法としては、Ceと、Zr、Hf、Ti、Sn、若しくはGeのうちの1つ以上と、任意のY、及び/又はCeを除く1種以上の他の希土類金属との酸化物前駆体が、高表面炭素担体上に堆積された後に、担持酸化物前駆体を炭素熱還元条件に供する方法が挙げられる。
【0022】
組成物
本発明の組成物は、(a)Ce、及び任意のY、及び/又はCeを除く1種以上の他の希土類金属、並びに(b)Zr、Hf、Ti、Sn、若しくはGe、又はこれらの組み合わせを含む1つ以上のM元素を含む結晶性混合酸化物を含む。Ceは、結晶性混合酸化物の格子全体に均一に分布している。いくつかのそのような組成物において、格子は、Ceがあまり均一に分布されていない部分を少なくとも含み、その結果、結晶性混合酸化物は、その全体又は一部に、局所濃度のCeを含有する。このような濃度差は、Ce-Ce CN、及び完全なCe分布を仮定した対応する組成物の理論的最小値へのその近接度の観点から説明できる。本発明の更なる態様において、結晶性混合酸化物は、例えば、対応する酸化物前駆体の還元(例えば、炭素熱還元又は水素還元)による、その作製方法、記載された組成物の範囲内の酸化物成分の相対的比率、結晶性混合酸化物の粒子サイズ及び/若しくは表面積、並びに/又は結晶性混合酸化物の結晶相及び相純度の観点から定義される。
【0023】
本発明の組成物は、LnyCexMwOzの化学量論を有する結晶性混合酸化物[式中、
0.15≦x≦0.5、y≦0.25、w=(1-x-y)≧0.5、及びz=(2x+2w+1.5y)であり、
Mは、Zr、Hf、Ti、Sn、若しくはGe、又はこれらの組み合わせであり、
Lnは、Y、及び/又はCeを除く1種以上の希土類金属である]を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。
【0024】
本発明の組成物は、Ceが結晶性混合酸化物格子全体に実質的に均一に分布している組成物、及び結晶性混合酸化物格子が少なくとも部分的に、本明細書の他の場所に記載されているような局所濃度のCeを含有する組成物を含む。
【0025】
結晶性混合酸化物は、好ましくは、他の材料を実質的に含まなくてもよい。結晶性混合酸化物は、Mg、Ca、及びScなどのドーパントを、これらのドーパントの存在が結晶性材料の相の性質に影響を及ぼさない程度まで含有してよい。
【0026】
好ましくは、M元素は、Zr若しくはHf、又はこれらの混合物若しくは組み合わせであるか、又はそれを含む。
【0027】
好ましくは、Lnは、Y、La、Nd、Pr、Gd、Sm、若しくはこれらの組み合わせであるか、又はそれを含む。特に好ましくは、Mは、Zr及び/又はHfであり、Lnは、La、Nd、Pr、及び/又はYである。
【0028】
本発明の結晶性混合酸化物は、結晶性混合酸化物のアグリゲーション又はアグロメレーション(例えば、メソ細孔及びマクロ多孔を含む)から生じる多孔性の観点から説明することができる。結晶性混合酸化物はまた、その表面積の観点から定義されてもよい。この後者の点に関して、結晶性混合酸化物は、約10m2g-1~約200m2g-1、好ましくは20m2g-1~約100m2g-1の範囲の表面積を有し得、又は本書の他の場所で説明されているように、その任意のサブ範囲の観点から定義されてもよい。結晶性混合酸化物は、好ましくは、200nm以下、より好ましくは100nm以下の結晶子サイズ、又は本明細書の他の場所に記載されている任意の他のサイズを有する。
【0029】
結晶性混合酸化物は、立方晶相又は正方晶相として独立して存在し得る。結晶性混合酸化物の結晶相は、いくらかのパイロクロア相又は単斜晶相を含み得る。しかしながら、好ましくは、結晶性混合酸化物は、パイロクロア相及び/又は単斜晶相を実質的に含まない。本明細書で使用されるとき、「パイロクロア相」という用語は、X線回折(XRD)パターンにおける14°2θピークの有意な強度によって区別される個別のパイロクロア相を意味する。カチオン格子配列の秩序化の1つの潜在的尺度として、結晶性混合酸化物は、好ましくは、粉末X線回折(PXRD)パターンを示し、ここで、2θ=14.5±0.5°及び2θ=29.5±1での回折線の強度の比(I14.5/I29.5)は0.02未満である。
【0030】
好ましくは、結晶性混合酸化物は、完全なCe分布を仮定した対応する組成物の理論的最小値の20%以内、好ましくは15%以内、より好ましくは10%以内、又は更により好ましくは5%以下以内のCe-Ce CNを有する。
【0031】
好ましくは、結晶性混合酸化物は、空気中の熱的ストレスなどの環境ストレスに対して安定であり、ここで、安定性は、結晶性混合酸化物を空気中で少なくとも600℃の温度に2時間曝露した後、例えば、そのCe-Ce CNの5%未満の変化を示す結晶性混合酸化物として測定される。
【0032】
例えば、本発明の組成物は、(a)TWC、又は(コーティングされた)ガソリン微粒子フィルタ若しくはディーゼル微粒子フィルタ若しくは煤フィルタなどのガソリン及びディーゼル後処理システム、(b)ディーゼル後処理システム用のリーンNOxトラップ、(c)PNA、(d)DOC、(e)水性ガスシフト触媒、(f)水蒸気改質触媒及び/若しくは部分酸化触媒の場合を含む炭化水素改質触媒、並びに/又は(g)H2を生成するための高温水分解触媒において使用され得る。組成物、使用方法、及びそのような方法を使用するシステムは全て、本開示の範囲内の独立した実施形態と見なされる。
【0033】
本発明の一態様は、(a)Ce、及び任意のY、及び/又は1種以上の他の希土類金属、並びに(b)Zr、Hf、Ti、Sn、若しくはGe、又はこれらの組み合わせを含む1つ以上のM元素を含む結晶性混合酸化物を含む組成物である。本発明者らは、結晶性混合酸化物格子におけるCe原子の分布が、特に酸素貯蔵用途のために、これらの材料の使用に関して特定の有益な属性を有することを見出した。いくつかの実施形態では、Ceは、結晶性混合酸化物の格子全体に実質的に均一に分布している。他の実施形態では、格子は、Ceがあまり均一に分布されていない部分を少なくとも含み、その結果、結晶性混合酸化物は、その全体又は一部に、局所濃度のCeを含有する。このような考慮事項における重要な性能指数は、材料のCe-Ce CN、及び完全なCe分布を仮定した対応する組成物の理論的最小値へのその近接度である。結晶性混合酸化物は、例えば、対応する酸化物若しくは混合酸化物前駆体の水素還元若しくは炭素熱還元による、その作製方法、酸化物成分の相対的比率、結晶性混合酸化物の粒子サイズ及び/若しくは表面積、並びに/又は結晶性混合酸化物の結晶相及び相純度の観点から定義することができる。
【0034】
本開示内で考慮される組成物は、
(a)Ce、及び任意のY、及び/又はCeを除く1種以上の他の希土類金属、並びに
(b)Zr、Hf、Ti、Sn、若しくはGe、又はこれらの組み合わせである1つ以上のM元素を含む結晶性混合酸化物を含む。
【0035】
本明細書で論じられる組成物は、1つ以上のドーパント、例えば、Mg、Ca、及び/又はScを更に含み得る。
【0036】
更に、本明細書に記載の任意の組成物はまた、偶発的な不純物を含み得、その結果、この又は任意の他の化学量論への任意の参照は、これらの不純物を考慮に入れることを意図することも理解されるべきであり、したがって、混合酸化物は、本明細書に記載の化学量論を有する(すなわち、それからなる)か、又は本質的にそれからなると見なされ得る。
【0037】
本明細書の他の場所に記載されているように、本発明の組成物の重要な特徴は、混合酸化物の格子全体にわたるCeの分布である。いくつかの実施形態では、Ceは、格子全体に均一に分布している。組成物は、局所濃度のCeを含み得る。Ce分布の均一性の程度、及びこの分布の均一性の程度を決定する方法は、本明細書の他の場所で説明されている。
【0038】
1つ以上の遷移金属元素を含み得るM元素の一般的な含有量に関して(ただし、Zr、Hf、Ti、Sn、又はGeのうちの1つ以上を含むことが特に好ましい)、これらは一般に、CeとM元素のうちの任意の1つ以上との比が1:5.7~1:1まで変化するように存在し得る。特に好ましい組成物では、M元素は、Zrである(すなわち、Zrからなる)か、又はZrを含む。
【0039】
Yを含む希土類元素に関して、用語「任意に」は、これらの元素が存在するか存在しないかのいずれかであるという事実を指す。Yは、常にではないが、ランタニド元素と見なされる場合があるが、絶対的な明確さのために、本明細書ではそのように定義される。Ln含有の利点は、高温酸化条件下での構造内のCeの再クラスタ化に対する耐性が向上することである。
【0040】
本発明の更なる態様では、組成物は、水素若しくは他の還元ガス混合物のいずれかによる、又は炭素熱還元による適切な前駆体の還元によって得られるか、又は得ることができ、本方法及び前駆体は本明細書に記載される。
【0041】
本発明の組成物は、LnyCexMwOzの化学量論を有する結晶性混合酸化物[式中、
0.15≦x≦0.5、y≦0.25、w=(1-x-y)≧0.5、及びz=(2x+2w+1.5y)であり、
Mは、Zr、Hf、Ti、Sn、若しくはGe、又はこれらの組み合わせであり、
Lnは、Y、及び/又はCeを除く1種以上の希土類金属である]を含む。
【0042】
上記のように、M元素は、Zr若しくはHf、又はこれらの混合物若しくは組み合わせであり得るか、又はそれを含み得る。Lnは、Y、La、Nd、Pr、Gd、又はSmであり得るか、又はそれを含み得る。好ましい組成物では、Mは、Zr又はHfであり、Lnは、La、Nd、Pr、Gd、Sm、及び/又はYである。
【0043】
本明細書の他の場所で論じられるように、これらのフレームワーク内で、Ceは、結晶性混合酸化物格子全体にわたって実質的に均一に分布している。結晶性混合酸化物は、少なくとも部分的に、局所濃度のCeを含み得る。構造内において、局所的なCeのクラスタリングと比較してCeを均一に分布させることの利点は、混合酸化物の酸素貯蔵容量が向上することである。更に、これらの材料の使用中に遭遇する特定のストレス時に、Ce原子は様々なメカニズムによって格子内を移動し得る。一部には、これは、Ce原子が局所的に集中した「島」に集まることがますます困難になった結果である。格子内のこれらのCe原子の初期分布を最大化することにより、最適な性能の寿命が維持される。
【0044】
秩序化の程度(又は分布の「均一性」)は、結晶性混合酸化物内のCe-Ce(又はCe-O-Ce)配位数の観点から、特に理論的に完全な分布への近接の観点から定量化できる。これは、構造のカチオン副格子内のCeの秩序化(又は混合)の程度の尺度を表す。完全に混合された格子(例えば、二元混合酸化物)では、Ceは、最小数のCe-O-Ce隣接を有し、反対に、最大数のCe-O-M元素隣接を有するべきである。この最小値を超える増加は、不完全な混合(又は構造内のCeのナノクラスタリング)を表す。
【0045】
所与の組成の理論上の最小Ce-O-Ce値は、純粋なCeO2を参照して決定される。CeO2は面心立方構造であり、各Ceは8個の隣接原子O、及び12個の次の隣接原子Ceを有する。したがって、例えば、完全に混合されたCe0.5Zr0.5O2構造の場合、次の隣接原子のCeの半分がZrに置き換えられ、したがって、Ce-Ce CNは6になる(同様に、LnyCexMwOzの観点から本明細書に記載される構造では、x=0.5の場合、次の隣接原子がLn又はM元素ではあるが、やはりこれらの条件が満たされる)。したがって、Ce-Ce CNが7.8の場合は、Ce-Zr CNは4.2に過ぎないため、不完全混合格子を表す。この材料の局所構造は、個々の結晶子内にCeリッチ領域及びZrリッチ領域のナノドメインを含有する。この不完全な混合は、XRD粉末パターンから抽出することが困難である。有用な唯一の特徴は、Ce及びZrカチオン副格子が秩序だった相互貫入配列を発達させ、その結果、余分な回折反射が生じるため、秩序だった構造から生じる余分な超格子反射である。更に、秩序化は、X線回折とX線吸収分光法との組み合わせ[具体的には、広域X線吸収微細構造(Extended X-ray Absorption Fine Structure、EXAFS)又はペア分布関数(Pair Distribution Function、PDF)分析を使用したX線散乱]によって測定することもできる。したがって、この秩序化は、これらの方法の少なくとも1つの観点から定義することができる。
【0046】
好ましくは、結晶性混合酸化物は、完全なCe分布を仮定した対応する組成物の理論的最小値の20%以内、18%以内、16%以内、15%以内、14%以内、13%以内、12%以内、11%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、又は1%以内である本明細書に記載のCe-Ce CNを有する。この配位は、巨視的に、又は結晶性混合酸化物の特定の領域で測定できる。
【0047】
本明細書に記載のいくつかの結晶性混合酸化物では、結晶性混合酸化物の安定性は、混合酸化物が特定の熱的、還元的、及び/又は酸化的ストレスにさらされた後のCNの変化の観点から定義され得る。したがって、いくつかの好ましい組成物は、空気中、400~1200℃、好ましくは500~1100℃の範囲の温度に1~10時間曝露した後、元のCe-Ce CNと比較して、20%未満、15%未満、10%未満、8%未満、6%未満、5%未満、又は4%未満のCe-Ce CNの変化を呈する結晶性混合酸化物を含む。
【0048】
特に好ましい組成物は、例えば、600℃~800℃の範囲の温度に4時間、空気中で曝露された後、5%未満の変化、又は400℃~900℃の範囲の温度に5時間、空気中で曝露された後、8%未満の変化を示す。
【0049】
ナノクラスタリング又は更にはマクロクラスタリングは、成分酸化物を粉砕、混合、及び焼結することによって調製されたCe含有混合酸化物材料で発生する。そのような方法は必然的に不完全な、又は少なくとも完全若しくは「完璧」ではない混合をもたらし、高レベルのCe-O-Ce隣接が集まった残りのセリアの局所領域をもたらす。Ce含有混合酸化物材料は、共沈などの他の経路でも作製できるが、ここでも、合成で特別な予防措置を講じない限り、不完全な混合の局所領域が発生する可能性がある。例えば、Ce含有量が50mol%以下であり、Ceが格子内に均一に分布している場合、理論的には、各Ce原子に隣接するカチオンの半分以下がCeであるはずである。このようなサンプルは、調製条件を慎重に制御することにより、X線回折によって決定されるように単相であり得るが、ほとんどの場合は、不完全な混合領域が含まれ、Ceは、程度の差はあれ、クラスタ化される。いくつかの特定のCe含有混合酸化物化学組成物の場合、構造内のCeの完全な分散は、XRDの弱い超格子線の出現を通して見ることができる非常に高度なカチオン副格子秩序として現れる。しかしながら、一般に、Ce-O-Ce隣接の度合いを決定し、構造内のCe分布を測定するには、局所構造に敏感な高度な特性評価が必要である。
【0050】
本発明の組成物の結晶性混合酸化物は、典型的には、正方晶相、立方晶相、又はこれらの組み合わせで存在する。これらの組成物内で、混合酸化物は、好ましくは、10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満、又は0.5%未満のパイロクロア相を含む。好ましくは、結晶性混合酸化物は、実質的又は本質的にパイロクロア相を含まない(例えば、パイロクロア相は、PXRD分析によって検出されない)。
【0051】
いくつかの好ましい組成物では、組成物は、結晶性混合酸化物の回折線強度の比の観点から特徴付けられる。これにより、結晶格子の相純度及び秩序の性質に関する洞察を提供する。いくつかの実施形態では、混合酸化物は、2θ=14.5±0.5°及び2θ=29.5±1°でそれらのPXRDパターンに回折ピークを示す。ピーク強度を使用する際の実験的アーチファクト(例えば、サンプル調製、サンプルパッキング、結晶子サイズなど)の潜在的な影響を認識して、本発明者らは、1つの有用な性能指数がこれらの2つのピークの比であることを発見した。反射の比は、カチオン格子配列の秩序の比率を指す。14.5±0.5°での反射は、カチオン副格子全体内のカチオンの超格子配列の形成を示す。29.5±1°での反射と比較して、この反射の強度が大きいほど、構造の秩序化の程度が大きくなる。特定の実施形態では、2θ=14.5±0.5°(I14.5と指定)及び2θ=29.5±1°(I29.5と指定)での回折線強度の比(I14.5/I29.5)は、0.1未満、0.08未満、0.07未満、0.06未満、0.05未満、0.04未満、0.03未満、0.02未満、0.01未満、又は0.005未満である。好ましくは、この比は、0.02未満、特に好ましくは0.01未満、又は実質的に0である。バルク秩序のあるCeZr材料に関する他の特許は、材料のバルク構造が十分に秩序化されているという指標として、この比に最小要件を課す。
【0052】
本明細書に記載の組成物の結晶性混合酸化物は、典型的には、約1nm~約250nm、好ましくは約1nm~約100nm、例えば、約10nm~約25nmの範囲の結晶子サイズを有する。結晶子サイズは、XRDパターンの反射の線の広がりから推定される(Reitveld分析を使用)。このアプローチは、反射格子面の特定の方向におけるユニットセルの繰り返し距離を測定する。これらの距離はTEMでも確認できるが、粒子カウント統計が不十分なため、主要な測定アプローチとしてTEMを使用することはあまり好ましくない。
【0053】
これらのナノスケールの結晶子はまた、大きな粒子サイズにアグリゲート又はアグロメレートする可能性がある。典型的には、これらの場合、アグリゲート又はアグロメレートは、少なくとも結晶子配向に関して、マクロ構造において無秩序であり、メソ細孔質又はマクロ多孔質細孔がアグリゲート全体に浸透している。好ましくは、これらの結晶性混合酸化物の粒子は、結晶子又はアグリゲートのいずれかとして、約5m2g-1~約200m2g-1、好ましくは約10m2g-1~約100m2g-1の範囲の表面積を有する。これらの表面積は、不活性ガス(例えば、窒素又はアルゴン)のポロシメトリーによって最も便利に測定され、BET方程式を使用して分析される。本明細書で特定の値が引用されている場合、これらは、3Flex表面特性分析器(Micromeritics)で77KでN2を使用して得られたものとして見ることができる。
【0054】
好ましくは、これらの結晶性混合酸化物の粒子は、結晶子又はアグリゲートのいずれかとして、約10m2g-1を超える表面積を有する。表面積が10m2g-1以上の粒子の利点は、酸素貯蔵機能にアクセスするために、又は酸素貯蔵機能を触媒することができる遷移金属若しくは他の元素のプロモーター(例えば、Pt、Pd、又はRh)を固定するために利用できるいくつかの支持部位があることであり、すなわち、構造内外への酸素移動の速度を改善し、したがって、性能の向上、又は他の触媒機能につながる。
【0055】
本明細書に記載の組成物はまた、結晶性混合酸化物の表面上及び/又はアグリゲート若しくはアグロメレートした結晶性混合酸化物粒子の細孔内に分布する遷移金属又は遷移金属酸化物の触媒を更に含み得る。遷移金属及び/又は遷移金属酸化物という用語の全範囲が本明細書の他の場所で定義されているが、そのような材料は、好ましくは、Cr、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、又はZnの少なくとも1つの少なくとも1つの金属及び/又はその酸化物(物理的混合物又は合金を含む)を含む。そのような触媒は、当業者に知られているように、化学的に又は蒸着技術によって堆積させることができる。
【0056】
組成物の作製方法
この時点までの本開示は、組成物に焦点を合わせてきたが、本発明の更なる態様はまた、本明細書に記載されるような結晶性混合酸化物を作製する方法を包含する。
【0057】
一部のCe含有混合酸化物では、+3酸化状態でのCeの形成により、結晶性混合酸化物の格子全体に移動することによるCeの容易で均一な分布が促進される。これらの原理は、Ceが酸化物前駆体から混合酸化物格子に実質的に均一に分散しているCe含有結晶性混合酸化物を調製するために、又は既存の結晶構造内にCeを再分配させるためにも使用できる。実施例に示されているように、特定の高度に秩序化された相の形成を介して又は事前に形成された単相混合酸化物の還元熱処理、例えば、Ce0.5Zr0.5O2の900℃以上の温度の水素での処理を介して、Ceを+3酸化状態に調製及びロックする。しかしながら、H2によるこのような還元熱処理は、制御がより困難であり、表面積の大幅な崩壊につながる可能性がある。この開示に対する改善は、高表面積炭素担体上へのCe混合酸化物の共沈による、より高表面積の秩序構造の形成を更に網羅する。次いで、還元熱処理を実行することができ(H2を使用するか、又は好ましくは、炭素担体の一部が還元剤として作用する炭素熱モードで)、したがって、混合酸化物の表面積は崩壊しない。次いで、炭素担体は、著しい焼結を引き起こさない温度で空気中で処理することによって除去することができる。
【0058】
次いで、本開示の文脈において、本発明の一態様は、完全なCe分布を仮定した対応する組成物の理論的最小値の20%以内、15%以内、10%以内、5%以下以内のCe-Ce CNを有する最終Ce含有混合酸化物組成物を提供するように、初期Ce含有混合酸化物組成物内でCe原子を再分配する方法であって、
初期Ce含有混合酸化物は、
(a)Ce、及び任意のY、及び/又はCeを除く1種以上の他の希土類金属、並びに
(b)Zr、Hf、Ti、Sn、若しくはGe、又はこれらの組み合わせである1つ以上のM元素を含み、
本方法は、
(a)初期混合酸化物を還元条件に供して、結晶性混合酸化物の還元形態を形成することと、
(b)結晶性混合酸化物の還元形態を酸化して、最終Ce含有結晶性混合酸化物を形成することと、を含む、方法である。
【0059】
このような方法では、処理前後のCe含有混合酸化物の元素組成は、本質的に同じであり、初期と最終との間の違いは、格子内のCeの分布のみであり、処理後のCeは処理前よりも均一に分布している(Ce-Ce CNが理論値により近い)。Ce分布の均一性の程度、及びこの分布の均一性の程度を決定する方法は、本明細書の他の場所で説明されている。
【0060】
本発明の好ましい方法では、Ce含有混合酸化物組成物は、LnyCexMwOzの化学量論を有する[式中、
0.15≦x≦0.5、y≦0.25、w=(1-x-y)≧0.5、及びz=(2x+2w+1.5y)であり、
Mは、Zr、Hf、Ti、Sn、若しくはGe、又はこれらの組み合わせであり、
Lnは、Y、及び/又はCeを除く1種以上の希土類金属である]。
【0061】
好ましくは、還元条件は、初期混合酸化物を高温で水素で処理することを含む。本発明の他の好ましい方法では、還元条件は、初期結晶性混合酸化物を炭素熱還元条件に供することを含む。
【0062】
本発明の更なる態様は、前述のような結晶性混合酸化物を作製する方法であって、
(a)Ceと、Zr、Hf、Ti、Sn、又はGeのうちの1つ以上と、任意のY、及び/又はCeを除く1種以上の他の希土類金属との酸化物前駆体を還元条件に供して、結晶性混合酸化物の還元形態を形成することと、
(b)所望により、結晶性混合酸化物の還元形態を酸化して、結晶性混合酸化物を形成することと、を含む、方法である。
【0063】
好ましい還元条件は、炭素熱還元、水素還元、一酸化炭素還元、メタン還元、又はこれらの還元条件の任意の2つ以上の混合である。炭素熱還元及び水素還元が特に好ましい。
【0064】
好ましい方法では、Ceと、Zr、Hf、Ti、Sn、又はGeのうちの1つ以上と、任意のY、及び/又はCeを除く1種以上の他の希土類金属との酸化物前駆体が、高表面炭素担体上に堆積された後に、担持酸化物前駆体を還元条件に供する。
【0065】
本明細書に記載されるように、炭素熱還元は、気相還元剤(H2又はCOなど)ではなく、還元剤としての炭素の使用に依存している。混合酸化物前駆体を適切な高表面炭素担体上に堆積させることにより、炭素と酸化物前駆体粒子との間の良好な接触を可能にする。得られた混合物を不活性条件下で処理すると、混合酸化物が結晶化及び還元されて、担持された還元組成物が得られる(これはまだ酸化物であるが、単なる還元形態である)。それは、例えば、可溶性塩と塩基の共沈によって、炭素上にアモルファス含水酸化物/水酸化物/炭酸塩として個々の成分を一緒に沈殿させることによって最も容易に行われる。炭素がCeを4+から3+に減少させ、Ce3+と主要なM元素カチオンとの間のイオン半径サイズの不一致が秩序化を促進するため、これが組成物を秩序化するための便利な経路であることが文献に示されている。得られた材料を空気又は他の酸素含有雰囲気で適度な温度に処理すると、燃焼によって炭素担体が除去され、秩序化又は再秩序化された構造を維持しながら、Ce3+が酸化されてCe4+に戻る。炭素はまた、表面積を維持するために還元プロセス中に粒子を分離し続けるために不可欠である(及び熱焼結による結晶子サイズの成長を制限する)。
【0066】
炭素熱処理は、事前に形成された結晶性酸化物材料、特に結晶子サイズがより大きい市販の酸化物材料には容易に適用できず、これは、すでに結晶性材料を炭素上に分散させることが困難であるためである。アモルファス/含水金属酸化物又は炭酸塩は、有用な前駆体である。
【0067】
適切な炭素源には、活性炭粉末、カーボンブラック、カーボンスート、及びランプブラックを含む、予め形成されたアモルファス炭素粉末が含まれ、及び/又は商業的供給源から、若しくは非酸化条件下で分解若しくは熱分解されて炭素質材料を形成するポリマーから誘導することができる。高度に分散したアモルファス材料は、これらの合成に必要な、又は少なくとも好ましい、密接な混合に有利に働く。最終結晶性混合酸化物材料中の無機残留物の量を最小限に抑えることが望ましい場合があるため、特に好ましい炭素源は高純度炭素である。このタイプの高純度炭素の例には、アセチレンブラック及び高導電性ブラック(例えば、KETJENBLACK)が含まれる。
【0068】
Ce、M元素、又はLn金属の典型的な結晶性酸化物前駆体源には、アルコキシド(例えば、C1-6アルコキシド)、水酸化物、含水酸化物、ヒドロゲル、ヒュームド若しくはコロイド酸化物、又はそれらの組み合わせが含まれる。更に、ゾルゲル合成での使用が知られているものなど、β-ジケトネート(例えば、アセチルアセトナート、又は「acac」)、アルキル置換β-ジケトネート(例えば、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタノエートなど)、炭酸塩、カルボン酸塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、2-エチルヘキサン酸塩、オクタン酸塩)、ハロゲン化物、水酸化物、硝酸塩、シュウ酸塩、及び/又は硫酸塩を含むものなどのこれらの金属又は元素の任意の酸化塩は、適切な前駆体として役立つ場合があるが、ハロゲン化物又は硫黄を含まない前駆体の使用が好ましい。同様に、より高価であるが、原子層堆積に有用な前駆体、例えば、ジアルキルアミノアルコキシド(例えば、ジメチルアミノエトキシド)、任意で置換されたホルムアミド、又はジアルキル若しくはジアリールアミド(-NR2、Rは、メチル、エチル、(イソ)プロピルなどのアルキル又はフェニルなどのアリール)を含む金属もまた、この点で有用である。
【0069】
誤解を避けるために、本明細書に記載されている各元素又は金属(少なくともCe、Zr、Hf、Ti、Sn、Ge、Y、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLu、又は任意の遷移金属材料を含む)と前述の前駆体タイプのいずれかとの全ての組み合わせ、又はそれらの組み合わせは、本明細書で使用又は有用であると記載されている酸化物前駆体又は結晶性酸化物前駆体に存在し得る。
【0070】
炭素及び(結晶性)酸化物前駆体は、物理的方法によって密接に混合することができ、又は炭素は、前駆体の形成中に(結晶性)酸化物前駆体源と混合され得る(例えば、(結晶性)酸化物前駆体のゾルゲル処理中にゾルゲル格子に捕捉される)。あるいは、(結晶性)酸化物前駆体を、炭素源に噴霧するか、又はそうでなければ堆積させることができる。
【0071】
炭素熱還元に用いられる典型的な条件は、密接に混合された(結晶性)酸化物前駆体及び炭素を、350℃~1100℃の範囲の温度、好ましくは350℃~850℃の温度で、非酸化性雰囲気の温度で加熱(及び保持)することが挙げられる。処理レジームは、元素又は金属の完全に酸化された形態をより低い原子価状態の材料に還元するのに十分でなければならないが、いずれもそれらの元素又は炭化物の形態に還元するほどではない。
【0072】
得られた還元形態の結晶性混合酸化物は、適切な化学的方法によって酸化されて結晶性混合酸化物を形成する。そのような適切な化学的方法は、例えば、酸素及び/又は有機若しくは水素の過酸化物材料の存在下での高温での、結晶性混合酸化物を形成するのに十分な時間及びそのような条件下での処理を挙げることができる。この酸化は、350℃~1100℃の範囲、好ましくは350℃~850℃の範囲の温度で実施することができる。好ましくは、結晶性混合酸化物の成分は完全に酸化され、本明細書の他の場所に記載されているような粒子サイズ及び特性を有し、並びに/又は炭素は完全に燃焼される。
【0073】
組成物の使用
本開示はまた、その範囲内で、本明細書に記載の変換に使用される任意の方法、触媒、又はシステムにおける本明細書に記載の組成物のいずれか1つの使用を考慮する。Ce/Zrシステムは、酸素貯蔵システムとして有用であることが知られており、本発明で定められている組成物が有用で、この点に関して以前に報告されたCe/Zrシステムに対して特定の利点を提供すると考えられる。このような混合酸化物システムはまた、より一般的には、酸化、還元、改質、水性分解、水性ガスシフト触媒の文脈において、それ自体だけの及び大規模システムの文脈の両方において、有用である。これらの触媒形態及びシステムのそれぞれは、本開示の別個の実施形態と見なされる。
【0074】
これらの能力はまた、本開示の範囲内に、(a)TWC、又は(コーティングされた)ガソリン微粒子フィルタ若しくはディーゼル微粒子フィルタ及び/若しくは煤フィルタなどのガソリン又はディーゼル後処理システム、(b)ディーゼル後処理システム用のリーンNOxトラップ、(c)PNA、(d)DOC、(e)水性ガスシフト触媒、(f)水蒸気改質触媒及び/若しくは部分酸化触媒の場合を含む炭化水素改質触媒、並びに/又は(g)H2を生成するための高温水分解触媒のような用途を含めるための基礎を提供する。
【0075】
上記のようなTWCにおける本発明の組成物の使用が特に好ましい。
【0076】
酸素貯蔵組成物及び材料
セリア(CeO2)ベースの酸素貯蔵成分材料は、エンジンからの排出物を処理する際の重要な成分である。セリアは、ガソリン車及びディーゼル車からの炭化水素及びNOxの排出を処理する際のパラジウム(Pd)、白金(Pt)、及びロジウム(Rh)の担体としても使用されている。セリアベースのOSC材料の重要な特性の1つは、セリアが+4と+3との酸化状態の間を切り替える能力である。この酸化還元特性により、セリアベースの材料は様々な排出物処理用途に役立つ。したがって、本開示の組成物は、これらの用途において有用である。
【0077】
三元触媒(TWC)物品
当技術分野でよく知られている理由により、TWCは、動作サイクルのリーン期間中に酸素を貯蔵し、動作サイクルのリッチ期間中に酸素を放出することにより、有効な動作期間を拡大させる、成分を組み込むように開発されている。このような目的のために、セリアベースの(例えば、セリア-ジルコニア混合酸化物)材料が、現在の市販のTWCの大部分において、酸素貯蔵成分(oxygen storage component、OSC)として使用されている。
【0078】
本明細書に記載の組成物はよく適しており、この目的に使用される他のシステムに比べて大きな利点を提供する。特に、本明細書に記載の混合酸化物組成物におけるCeの分布の均一性は、この特徴を含まない他の材料によって認識又は実現されないレベルの安定性及び酸素貯蔵能力を提供する。
【0079】
したがって、本発明の一態様は、少なくとも本明細書に開示される結晶性混合酸化物組成物を含む排気ガスを処理するための触媒物品に関する。そのような触媒物品はまた、基材と、基材上の触媒領域と、を含み得、触媒領域は、第1の白金族金属(PGM)成分と、OSC材料として機能する、本明細書に記載の結晶性混合酸化物のいずれか1つを含む組成物と、を含む。この触媒物品はまた、無機酸化物担体を含み得る。本発明の追加の態様はまた、内燃機関用の排気システムを包含する。本発明のなお更なる態様は、内燃機関からの排気ガスの処理、特にガソリンエンジンからの排気ガスの処理の方法を含む。本方法は、排気ガスを本発明の触媒物品、例えば、TWC物品と接触させることを含む。
【0080】
本明細書に記載のいくつかの好ましい触媒物品では、本開示の結晶性混合酸化物は、セリア、ジルコニア、及びLa2O3、Nd2O3、Y2O3、Pr6O11のうちの1つ以上を含む混合酸化物を含む。
【0081】
この使用の文脈において、第1のPGMは、好ましくは、パラジウム、白金、ロジウム、及びそれらの混合物である。より好ましくは、第1のPGMは、パラジウムである。触媒領域は、パラジウム、白金、ロジウム、及びそれらの混合物であり得る第2のPGM成分を更に含み得る。特に好ましくは、第1のPGM成分がパラジウムである場合、第2のPGM成分はロジウムである。触媒領域は、パラジウム、白金、ロジウム、及びそれらの混合物であり得る第3のPGM成分を更に含み得る。したがって、触媒領域は、PtPdRhなどのトリメタルPGM成分を含み得る。好ましくは、触媒領域は、パラジウム成分以外のPGM金属を本質的に含まない。
【0082】
また、この文脈の中で、OSC材料は、触媒領域の総重量に基づいて、20~80重量%の範囲であってもよい。
【0083】
この文脈における触媒領域は、当業者に既知の更なる成分を含んでもよい。例えば、本発明の組成物は、少なくとも1つのバインダー及び/又は少なくとも1つの界面活性剤を更に含んでもよい。バインダーが存在する場合、分散性アルミナバインダーが好ましい。
【0084】
また、この文脈の中で、基材は、金属又はセラミック基材であってもよい。好ましくは、基材は、フロースルーモノリス又はフィルタモノリスである。モノリス基材を形成するのに好適な材料としては、コーディエライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、ムライト、スポジュメン、アルミナ-シリカマグネシア若しくはケイ酸ジルコニウムなどのセラミック様材料、又は多孔質の耐火金属が挙げられる。多孔質モノリス基材の製造におけるそのような材料及びそれらの使用は、当該技術分野において周知である。
【0085】
ガソリン及びディーゼル微粒子フィルタ並びに触媒煤フィルタ
圧縮着火式内燃機関は、排気通路内の排気ガス中に粒子状物質を閉じ込めるための粒子トラップと同様に、そこで使用される燃料の不完全燃焼によって粒子状物質を生成することも知られている。これらのトラップ又はフィルタの目的は、排気浄化システムの文脈において、大気中に放出される粒子状物質の量を抑制することである。このようなフィルタシステムは、多くの場合、アルミナ、シリカ-チタニア、チタニア-ジルコニア、シリカ-ジルコニア、シリカ-酸化ガリウム、チタニア-アルミナ、シリカ-酸化イットリウム、アルミナ-ジルコニア、シリカ-酸化ランタン、チタニア-酸化カドミウム、チタニア-酸化スズ、チタニア-酸化亜鉛、酸化亜鉛-シリカ、及び酸化亜鉛-酸化カドミウムのような混合酸化物を含む構造を含む。したがって、本組成物及び混合酸化物システムは、この用途に特に適しており、本明細書に記載の組成物を含むフィルタもまた、本開示の一部と見なされる。
【0086】
上で論じたTWCシステムの文脈で使用される場合、両方の特徴を含む排気システムにおいて、微粒子フィルタは、三元触媒の上流又は下流のいずれかに配置され得る。TWCは、追加的又は代替的に、微粒子フィルタ上に存在し得る。
【0087】
ディーゼル酸化触媒
ディーゼルエンジン及びガソリンエンジンはどちらも、世界中の政府間組織によって規制されている少なくとも4種類の汚染物質、すなわちCO、未燃焼HC、NOx、及び粒子状物質(PM)を通常は含有している排ガスを、様々な程度で生成する。固定式又は移動式(例えば、車両用エンジンなど)にかかわらず、両方のタイプのエンジンの排出基準は、徐々に厳しくなっている。これらの基準を満たす、費用効果の高い改良された触媒及び排気システムを提供する必要がある。
【0088】
ディーゼル酸化触媒(DOC)などの酸化触媒は、典型的には、ディーゼルエンジンによって生成される排気ガス中のCO及びHCを酸化する。ディーゼル酸化触媒は、排気ガス中に存在する一酸化窒素(NO)の一部を二酸化窒素(NO2)に酸化することもできる。NO2自体は汚染物質であるが、NOをNO2に変換することは有益であり得る。生成されたNO2は、例えば、下流のディーゼル微粒子フィルタ(DPF)又は下流の触媒煤フィルター(CSF)によってトラップされたPMを再生するために使用できる。一般に、酸化触媒によって生成されるNO2は、入口の排気ガスと比較して、酸化触媒の出口からの排気ガス中のNO2b:NOの比率を増加させる。この増加した比率は、下流の選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルタ(SCRF(商標))触媒を含む排気システムにとって有利であり得る。ディーゼルエンジンによって直接生成される排気ガス中のNO2:NOの比率は、最適なSCR又はSCRF触媒性能には低すぎる可能性がある。
【0089】
少なくともこの文脈において、実施形態は、1つ以上の遷移金属触媒、好ましくは白金族触媒を含むそれらの酸化触媒を含む。いくつかの実施形態では、触媒金属は、独立して、Pd、Pt、Rh、金(Au)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)のいずれか1つ以上、及びそれらの2つ以上の混合物を含む。
【0090】
これらの触媒は、排気システムに組み込むことができ、その場合、排気システム、及び排気システムを含む固定式又は移動式(例えば、車両)の排気発生器が、本開示の一部を形成すると見なされる。酸化触媒としてのこれらの材料の使用は、ディーゼルシステム、又は更には内燃システムでの使用に限定されないことも理解されるべきであり、揮発性有機化合物(VOC)の破壊、HCの処理及びクリーンアップ、水性ガスシフト(WGS)反応、又は例えば、合成ガスにおけるCOの部分的な選択的酸化など、他の化学プロセス指向システムでも同様である。
【0091】
ディーゼル後処理用のリーンNOxトラップ
インラインNOx貯蔵ユニットの使用は、多くの場合、リーンNOxトラップと呼ばれるが、現在ではより一般的にNOxトラップ又はNOx吸収触媒(NOx Absorber Catalysts、NAC)と呼ばれ、リーンバーン内燃機関の排気ガス後処理システムでよく知られている。おそらく最も初期の特許公開は、トヨタの欧州特許第0560991号であり、NOxと反応して硝酸塩を形成する酸化バリウムなどの材料及び白金などのNOx変換触媒を組み込むことによってNOx貯蔵ユニットを構築することができる方法を説明している。トラップは、空燃比(一般に「ラムダ」又はλと呼ばれる)を化学量論的(λ=1)又はリッチ(λ>1)に調整することによって定期的に再生され、そのため、NOxが放出され、同時に触媒との接触によって窒素ガスに還元される。
【0092】
従来のNOxトラップは、NOxトラップ成分(例えば、バリウム、ネオジム、若しくはランタンなどのアルカリ土類又は希土類材料)、並びに任意でOSC及び触媒成分をハニカム状のフロースルー基材モノリス上に堆積させることによって構築される。
【0093】
本明細書で定義される組成物は、リーンNOxトラップ(lean NOx trap、LNT)、例えば、ディーゼル後処理用のリーンNOxトラップにおける酸素貯蔵成分として有用であり得る。
【0094】
定義
本開示では、特に明示しない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は、複数の参照を含み、任意の特定の数値への参照は、少なくともその特定の値を含む。したがって、例えば、「材料」への言及は、そのような材料及び当業者に周知であるその均等物のうちの少なくとも1つへの言及である、などである。
【0095】
値が記述語「約(about)」を使用することにより近似値として表現される場合、その特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。概して、用語「約」の使用は、開示された主題により得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値を示し、その機能に基づいて、それが使用される特定の文脈において解釈されるべきである。当業者は、これを日常的に行うこととして解釈できるであろう。場合によっては、特定の値に使用される有効数字の数が、単語「約」の範囲を決定する1つの非限定的な方法であり得る。他の場合、一連の値で使用される段階的な変化を使用して、各値について用語「約」に利用可能な意図された範囲を決定できる。存在する場合、全範囲は包括的かつ組み合わせ可能である。すなわち、範囲内で提示されている値への言及は、その範囲内のあらゆる値を含む。
【0096】
明確にするために、別個の実施形態の文脈において本明細書に記載される本発明の特定の特色はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことを理解されたい。すなわち、明らかに互換性がないか又は具体的に除外されない限り、個々の実施形態はそれぞれ、任意の他の実施形態と組み合わせることが可能であると見なされ、そのような組み合わせは別の実施形態であると考えられる。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載される本発明の様々な特色はまた、個別に、又は任意の部分的な組み合わせで提供されてもよい。最後に、実施形態は、一連の工程の一部、又はより一般的な構造の一部として記載され得るが、その各工程はまた、それ自体が独立した実施形態であり、他の工程と組み合わせることができると見なされ得る。
【0097】
移行語(transitional term)「含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting)」は、それらの特許専門用語において一般に認められた意味を内包することを意図しており、すなわち、(i)「含む(comprising)」は、「含む(including)」、「含有する(containing)」又は「特徴付けられる(characterized by)」と同義であり、包括的又はオープンエンドであって、追加の列挙されていない要素又は方法、又はプロセス工程を除外しないものであり、(ii)「からなる(consisting of)」は請求項で指定されていないあらゆる要素、工程、又は成分を除外し、(iii)「から本質的になる(consisting essentially of)」は、請求項の範囲を、指定された材料又は工程、及び特許請求された発明の「基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を与えないもの」に限定する。語句「含む(comprising)」(又はその同等語)という観点から記載された実施形態はまた、実施形態として、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」という観点から独立して記載される実施形態も提供する。「本質的にからなる(consisting essentially of)」という観点から提供されるこれらの実施形態については、プロセスの基本的かつ新規な特性(複数可)は、結晶性混合酸化物内の任意の組成の変化が、その指定されたトポロジーを維持し、及びその結晶性混合酸化物内のCe-Ce配位数を記載又は特許請求されたレベルに維持する能力である。
【0098】
リストが提示される場合、別途記載のない限り、そのリストの各個別要素、及びそのリストの全ての組み合わせは、別個の実施形態であることを理解されたい。例えば、「A、B、又はC」として提示される実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「A若しくはB」、「A若しくはC」、「B若しくはC」、又は「A、B、若しくはC」を含むものと解釈されるべきである。更なる例として、「Pt、Pd、及び/又はRh」のリストには、独立した実施形態「Pt」、「Pd」、「Rh」、「Pt及び/又はPd」、「Pt及び/又はRh」、「Pd及び/又はRh」、及び「Pt、Pd、及び/又はRh」を含む。同様に、記号「≦」及び「≧」の使用は、端点値が範囲内に含まれる範囲を指す。ただし、これらの範囲のサブセットにはまた、一方又は両方の端点値が除外されているものも含まれる場合がある。例えば、実施形態「0.15≦x≦0.5」は、範囲が端点0.15及び0.5を含むように定義される範囲を指す。別個の独立した実施形態には、範囲が「0.15<x≦0.5」又は「0.15≦x<0.5」又は「0.15<x<0.5」として定義され得るものが含まれる。
【0099】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似又は同等の任意の方法及び材料もまた、本発明の実施又は試験に使用することができるが、代表的な例示的な方法及び材料が本明細書に記載されている。
【0100】
関連技術の当業者により理解されるように、本明細書全体を通して、単語は、それらの通常の意味を与えられるべきである。しかし、誤解を避けるために、特定の用語の意味は具体的に定義又は明確化される。
【0101】
「Ce-Ce配位数」及び「Ce-O-Ce配位数」という用語は、混合酸化物格子内の任意の他のCe原子に隣接する(Oが介在する)Ce原子の平均数を指すために交換可能に使用される。
【0102】
「ハロ」及び「ハロゲン」などの用語は、従来の意味で、クロロ、ブロモ、フルオロ、又はヨード置換基を指すために使用される。
【0103】
特に明記しない限り、「単離された」という用語は、溶媒又は他の不純物がないように他の成分から物理的に分離されていることを意味し、追加の実施形態は、化合物が実質的に溶媒又は溶媒画分の唯一の溶質であり、そのような液体又は気体クロマトグラフィ相で分析的に分離されるものを含む。
【0104】
本明細書で使用される用語「混合酸化物」は、概ね、当該技術分野において従来知られているように、単相での酸化物の混合物を指す。本明細書で使用される用語「複合酸化物」は、概ね、当該技術分野において従来知られているように、2つ以上の相を有する酸化物の組成物を指す。
【0105】
「任意の(optional)」又は「任意に(optionally)」は、その後に記載する状況が発生する場合又は発生しない場合があり、そのため、その記載には、その状況が発生する実施形態とその状況が発生しない場合とが含まれることを意味する。例えば、「任意でY及び/又はCeを除く1種以上の希土類金属[を含有]」という用語は、Y及び/又は1種以上の希土類金属が結晶性混合酸化物に存在する場合又は存在しない場合があることを意味し、その記載には、これらの材料が存在する場所と、これらの材料が存在しない組成物とが含まれる。同様に、「任意で単離された」という語句は、標的材料が、本方法で使用又は生成された他の材料から分離される場合又は分離されない場合があることを意味し、したがって、その記載は、標的分子又は他の材料が分離される場合、及び標的材料が分離されない場合の別個の実施形態を含み、その結果、その後に続く工程は、単離された生成物又はin situで生成された生成物に対して行われる。
【0106】
本明細書で使用されるとき、頭字語「PGM」は、「白金族金属」を指す。用語「白金族金属」は、一般に、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、又はPt、好ましくはRu、Rh、Pd、Ir、又はPtを指す。用語「PGM」は、好ましくは、Rh、Pt、及び/又はPdのうちの少なくとも1つを指す。
【0107】
「分離する(separating)」又は「分離された(separated)」という用語は、生成物材料を、その材料を生成する反応条件に関連する他の出発物質又は共生成物(co-products)又は副生成物(side-products)(不純物)から分離又は単離することを意味する限り、当業者によって理解されるであろうそれらの通常の意味を有する。したがって、それは、当業者が少なくとも生成物の存在を認識し、それを分離又は単離するための具体的行動をとることを暗に意味する。材料は少量の不純物を含み得、分離若しくは単離された材料は残留溶媒を含み得るか、又は材料の反応若しくはその後の精製に使用される溶媒に溶解され得ることから、絶対的に純粋であることは、好ましいが必須ではない。
【0108】
本明細書で使用されるとき、「結晶性混合酸化物」という用語は、Ce原子が全体に均一に分布しているかどうかにかかわらず、実質的に均一な巨視的組成物を含む結晶構造である。
【0109】
その伝統的な意味と一致して、「遷移金属」又は「遷移金属酸化物」という用語は、周期表の第3族~第12族を含む周期表のdブロック内の元素の金属又は酸化物を指す。このような元素としては、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、及びAuが挙げられる。
【0110】
また、本明細書で使用されるとき、その伝統的な意味と一致して、「希土類金属」という用語は、ランタニド及びアクチニド系内と考えられる元素、特にセリウム(Ce)、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ホルミウム(Ho)、ランタン(La)、ルテチウム(Lu)、ネオジム(Nd)、プラセオジミウム(Pr)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、スカンジウム(Sc)、テルビウム(Tb)、ツリウム(Tm)、及びイッテルビウム(Yb)を指す。いくつかの定義では、イットリウム(Y)もまた、希土類元素と見なされるが、ここでこのカテゴリに含まれる可能性についての疑いを避けるために、それは、この点に関して全体を通して具体的に記載されている。
【0111】
本明細書で使用されるとき、材料に関して本明細書で使用される「実質的に含まない」という用語は、典型的には、組成物の文脈において、材料が少量、例えば、5重量%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下であることを意味する。「実質的に含まない」という表現は、「含まない」という表現を包含する。本明細書で使用される「本質的に含まない」という表現は、材料が更に少ない微量、例えば、1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下を意味する。「本質的に含まない」という表現は、「含まない」という表現を包含する。
【0112】
本明細書で使用される重量%として表されるドーパントの量、特に総量に対する任意の言及は、担体材料又はその耐火金属酸化物の重量を指す。
【0113】
以下の特定の実施形態のリストは、前述の説明を置き換えるか、又は取って代わるのではなく、補完することを意図している。
【0114】
実施形態1.
(a)Ce、及び任意のY、及び/又はCeを除く1種以上の他の希土類金属、並びに
(b)Zr、Hf、Ti、Sn、若しくはGe、又はこれらの組み合わせである1つ以上のM元素を含む結晶性混合酸化物を含む、組成物。
【0115】
本実施形態のいくつかの態様では、Ceは、格子全体に均一に分布している。他の態様では、組成物は、局所濃度のCeを含む。Ce分布の均一性の程度、及びこの分布の均一性の程度を決定する方法は、本明細書の他の場所で説明されている。
【0116】
M元素又はそれらの組み合わせのそれぞれが、この実施形態の独立した態様を提供することを理解されたい。特定の態様では、M元素は、Zrであるか、又はZrを含む。
【0117】
本実施形態の独立した態様では、Y、及び/又はCeを除く1種以上の希土類金属が存在する、又は存在しない。
【0118】
本実施形態の一態様では、Ce、1つ以上のM元素、Y、及び1種以上の希土類金属のそれぞれは、それらの完全に酸化された原子価状態にある。本実施形態の追加の独立した態様では、これらの金属又は元素の1つ以上が、部分的に酸化された状態(すなわち、完全に酸化されていない)で組成物中に存在する。
【0119】
本実施形態のいくつかの独立した態様では、組成物は、適切な前駆体の還元(例えば、炭素熱還元又は水素還元)によって得られるか、又は得ることができ、本方法及び前駆体は本明細書に記載されている。すなわち、そのような方法の使用、及びそこから導出又は導出可能な組成物は、本明細書に記載の成分の特定の比とは無関係に、本開示の独立した態様である。
【0120】
簡潔さ及び明確さのために、所与の実施形態(この場合、実施形態1)の態様として説明されている特徴のそれぞれは、先行する実施形態を参照する任意の後続の実施形態がまた、後者の実施形態における別個のサブ実施形態としてそれらの態様を含むように、その実施形態のサブ実施形態と見なされる。
【0121】
実施形態1の態様に加えて、又はそれを補完するもの:
【0122】
実施形態2.LnyCexMwOzの化学量論を有する結晶性混合酸化物を含む組成物[式中、
0.15≦x≦0.5、y≦0.25、w=(1-x-y)≧0.5、及びz=(2x+2w+1.5y)であり、
Mは、Zr、Hf、Ti、Sn、若しくはGe、又はこれらの組み合わせであり、
Lnは、Y、及び/又はCeを除く1種以上の希土類金属である]。
【0123】
本実施形態の一態様では、Ceは、結晶性混合酸化物格子全体にわたって実質的に均一に分布している。他の態様では、結晶性混合酸化物格子は、本明細書の他の場所に記載されているように、少なくとも部分的に、局所濃度のCeを含む。このCe分布の性質及び程度は、任意の適切な分析方法によって証明されるが、好ましくは、本明細書の他の場所に記載されている1つ以上の方法によって証明される。
【0124】
本実施形態のいくつかの態様では、結晶性混合酸化物の各成分(すなわち、Ce、1つ以上のM元素、Y、及び1種以上の希土類金属)は、それらの完全に酸化された原子価状態で存在する。独立して、M金属は、完全に酸化された状態で存在してもよく、すなわち、公称+4酸化状態を有する。本実施形態の追加の独立した態様では、これらの金属又は元素の1つ以上が、部分的に酸化された状態(すなわち、完全に酸化されていない)で組成物中に存在する。
【0125】
実施形態3.M元素が、Zr若しくはHf、又はこれらの混合物若しくは組み合わせであるか、又はそれを含む、実施形態1又は2に記載の組成物。
【0126】
実施形態4.Lnが、Y、La、Nd、Pr、Gd、又はSmであるか、又はそれを含む、実施形態1~3のいずれか一つに記載の組成物。これらの実施形態の特定の好ましい態様では、Mは、Zr(又はHf)であり、Lnは、La、Nd、Pr、又はYである。
【0127】
実施形態5.結晶性混合酸化物が、メソ細孔質又はマクロ多孔質のアグリゲート又はアグロメレートである、実施形態1~4のいずれか一つに記載の組成物。
【0128】
実施形態6.結晶性混合酸化物が、約10m2g-1~約200m2g-1の範囲の表面積を有する、実施形態1~5のいずれか一つに記載の組成物。
【0129】
実施形態7.結晶性混合酸化物が、100nm以下の結晶子サイズを有する、実施形態1~6のいずれか一つに記載の組成物。
【0130】
実施形態8.結晶性混合酸化物が、正方晶相、立方晶相、又はこれらの組み合わせ中に存在する、実施形態1~7のいずれか一つに記載の組成物。本実施形態の特定の態様では、結晶性混合酸化物は、10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満、又は0.5%未満のパイロクロア相を含む。他の態様では、結晶性混合酸化物は、パイロクロア相及び/又はカッパ相を実質的に含まない(例えば、パイロクロア相は、PXRD分析によって検出されない)。
【0131】
実施形態9.結晶性混合酸化物が、PXRDパターンを示し、2θ=14.5±0.5°及び2θ=29.5±1°での回折線強度の比(I14.5/I29.5)は0.02未満である、実施形態1~8のいずれか一つに記載の組成物。
【0132】
実施形態10.結晶性混合酸化物が、完全なCe分布を仮定した対応する組成物の理論的最小値の20%以内、15%以内、又は10%以内であるCe-Ce CNを有する、実施形態1~9のいずれか一つに記載の組成物。
【0133】
実施形態11.実施形態1~10のいずれか一つに記載の結晶性混合酸化物を調製する方法であって、
(a)Ceと、Zr、Hf、Ti、Sn、又はGeのうちの1つ以上と、任意のY、及び/又はCeを除く1種以上の他の希土類金属との酸化物前駆体を還元条件に供して、結晶性混合酸化物の還元形態を形成することと、
(b)所望により、結晶性混合酸化物の還元形態を酸化して、結晶性混合酸化物を形成することと、を含む、方法。
【0134】
実施形態12.Ceと、Zr、Hf、Ti、Sn、又はGeのうちの1つ以上と、任意のY、及び/又はCeを除く1種以上の他の希土類金属との酸化物前駆体が、高表面炭素担体上に堆積された後に、担持酸化物前駆体を炭素熱還元条件に供する、実施形態11に記載の方法。
【0135】
実施形態13.完全なCe分布を仮定した対応する組成物の理論的最小値の20%以内、15%以内、又は10%以内のCe-Ce CNを有する最終Ce含有混合酸化物組成物を提供するように、初期Ce含有混合酸化物組成物内でCe原子を再分配する方法であって、
初期Ce含有混合酸化物は、
(a)Ce、及び任意のY、及び/又はCeを除く1種以上の他の希土類金属、並びに
(b)Zr、Hf、Ti、Sn、若しくはGe、又はこれらの組み合わせである1つ以上のM元素を含み、
本方法は、
(a)初期混合酸化物を還元条件に供して、結晶性混合酸化物の還元形態を形成することと、
(b)結晶性混合酸化物の還元形態を酸化して、結晶性混合酸化物を形成することと、を含む、方法。
【0136】
このような方法では、処理前後のCe含有混合酸化物の元素組成は、本質的に同じであり、初期と最終との間の違いは、格子内のCeの分布のみであり、処理後のCeは処理前よりも均一に分布している(Ce-Ce CNが理論的最小値により近い)。Ce分布の均一性の程度、及びこの分布の均一性の程度を決定する方法は、本明細書の他の場所で説明されている。
【0137】
本実施形態のいくつかの態様では、Ce含有混合酸化物組成物は、LnyCexMwOzの化学量論を有する[式中、
0.15≦x≦0.5、y≦0.25、w=(1-x-y)≧0.5、及びz=(2x+2w+1.5y)であり、
Mは、Zr、Hf、Ti、Sn、若しくはGe、又はこれらの組み合わせであり、
Lnは、Y、及び/又はCeを除く1種以上の希土類金属である]。
【0138】
本実施形態の特定の態様では、還元条件は、初期結晶性混合酸化物を炭素熱還元条件に供することを含む。本実施形態の他の態様では、還元条件は、初期混合酸化物を高温で水素で処理することを含む。
【0139】
実施形態14.(a)TWC若しくはコーティングされたガソリン微粒子フィルタ(GPF)などのガソリン後処理システム、(b)ディーゼル後処理システム用のリーンNOxトラップ、(c)PNA、(d)DOC、(e)水性ガスシフト触媒、(f)水蒸気改質触媒及び/若しくは部分酸化触媒の場合を含む炭化水素改質触媒、並びに/又は(g)H2を生成するための高温水分解触媒における、実施形態1~10のいずれか一つに記載の組成物の使用。
【0140】
実施形態15.触媒システムが、TWC、コーティングされたGPF、ディーゼル後処理用のリーンNOxトラップ、Cu、Pt、Au...を含有する水性ガスシフト触媒、炭化水素改質触媒、水蒸気改質触媒、部分酸化触媒、及び/又は高温水分解触媒である、実施形態1~10のいずれか一つに記載の組成物を含む触媒システム。
【実施例】
【0141】
以下の実施例は、本開示内で説明される概念のいくつかを説明するために提供される。各実施例は、組成物、調製方法、及び使用の特定の個々の実施形態を提供すると見なされるが、本明細書に記載のより一般的な実施形態を限定すると見なされるべきではない。全ての材料は市販されており、別途記載のない限り、既知の供給元から入手した。
【0142】
次の実施例では、使用される数値(例えば、量、温度など)に関して正確さを確保するように努力したが、ある程度の実験誤差及び偏差は考慮されるべきである。特に明記されていない限り、温度は摂氏であり、圧力は大気圧又は大気圧近辺である。
【0143】
材料
全ての材料は市販されており、別途記載のない限り、既知の供給元から入手した。
【0144】
以下及び本明細書の他の場所で説明される実施例で製造された材料は、以下の分析方法のうちの1つ以上によって特性評価した、又は特性評価する。PXRDパターンは、5°~100°(2θ)の間、0.04°のステップサイズ及びステップあたり1秒で、CuKα放射線(40~45kV、40mA)を使用してBruker D8粉末回折計で収集した。透過型電子顕微鏡(Transmission electron microscopy、TEM)画像は、200kVの電圧でJEM2800(走査型)TEMで取得した。ミクロ細孔の体積及び表面積は、3Flex表面特性分析装置(Micromeritics)で77KでN2を使用して測定した。
【0145】
以下の実施例で使用した強還元軽度酸化(Strong Reduction Mild Oxidation、SRMO)条件は次のとおりであった:処理のSR部分は、フロースルーセラミック管状炉で実施した。粉末状の担体を、床の深さが浅い高面アルミナ焼成ボートの底に置いた。管状炉をN2で完全にフラッシュして空気を除去した後、約800mL/分の流量で100%H2に切り替えた。炉は10℃/分の速度で設定温度まで上昇した(ホールドバックなし)。次いで、炉を同じ800mL/分の100%H2環境下で4時間設定温度に保持し、その後、温度をリセットして、炉を制御せずに室温まで冷却した。
【0146】
処理のMO部分は、静的オーブンで実行した。炉は10℃/分の速度で500℃まで上昇した(ホールドバックなし)。次いで、炉を3時間設定温度に保持し、その後、温度をリセットして、炉を制御せずに室温まで冷却した。
【0147】
OSCは、次の2つの方法で決定した。
【0148】
方法1:典型的なOSC実験では、トレーサーガスとして10mL分-1のArを使用して、キャリアガスとして40mL分-1のHeを使用して、0.05gのサンプルを酸化条件(5%O2/Heの50mL分-1)と還元条件(100%COの50mL分-1)との間で循環するようにプログラムした。質量分析計を使用して、複数のレドックスサイクルにわたってCO2及びO2信号を監視し、OSCは、CO2の生成が開始される時点から最初の300秒間のCO2曲線下面積として計算する。
【0149】
方法2:コーティングされたモノリシック基材のOSCは、ガソリンエンジンで、質量流量30~70kg時-1、触媒入口温度400℃で評価した。ラムダは1.05~0.95まで循環させ、OSCは、ラムダの変化を記録する触媒前後のAFRセンサー間の時間遅延として報告する。
【0150】
実施例1:Ce0.5Zr0.5O2粒子を、900℃で空気(OSC 1A)及びSRMO条件下の水素(OSC 1B)で別々に処理した。SRMOで処理された粒子(OSC 1B)には、次の特性があった。
SSA:25m2/g;
結晶子サイズ:12nm;
I14.5/I29.5:約0.007
理論最小Ce-O-Ce CN:6.0。
【0151】
900℃の空気で4時間処理した後、OSC 1Aで測定されたCe-O-Ce CNは、7.8±0.5(理論値の30%)であることがわかった。
【0152】
900℃のSRMOで処理した後、OSC 1Bで測定されたCe-O-Ce CNは、5.9±0.2(0%からの変動)であることがわかった。
【0153】
図1のOSC 1A及びOSC 1Bについて、OSC方法1によってO
2を放出する対応する能力。
図1に示すように、400℃と500℃との両方でO
2を放出する能力は、Ce-O-Ce CNが理論的最小値又はそれに近いOSC 1Bの方が、この最小値から更に離れたCe-O-Ce CNを持つOSC 1Aよりも実質的に高かった。
【0154】
実施例2:La0.015Nd0.045Ce0.375Zr0.565O1.97粒子を、900℃で空気(OSC 2A)及びSRMO条件下の水素(OSC 2B)で別々に処理した。SRMOで処理された粒子(OSC 2B)には、次の特性があった。
SSA:47m2/g;
結晶子サイズ:8nm;
I14.5/I29.5:約0.000;
理論的最小値Ce-O-Ce CN:5.2。
【0155】
900℃の空気で4時間処理した後、OSC 2Aで測定されたCe-O-Ce CNは、6.6±0.4(理論値の27%以内)であることがわかった。
【0156】
900℃のSRMOで処理した後、OSC 2Bで測定されたCe-O-Ce CNは、5.7±0.3(理論値の9%以内)であることがわかった。
【0157】
OSC 2A及びOSC 2Bについて、OSC方法1によるO
2を放出する対応する能力が、
図2に示される。ここでも、
図2に示すように、400℃と500℃との両方でO
2を放出する能力は、Ce-O-Ce CNが理論的最小値又はそれに近いOSC 2Bの方が、この最小値から更に離れたCe-O-Ce CNを持つOSC 2Aよりも実質的に高かった。
【0158】
実施例3:Y0.063Ce0.437Zr0.5O1.969は、以下のように調製した。高導電性カーボンブラックKetjen EC300J(5g)を、Silversonミキサー(4000rpm、10分)を使用して水(400mL)に分散させた。次に、分散液を磁気的に撹拌し、pHを約9に調整した。硝酸イットリウム六水和物(2.39g、0.00625mol)を水に溶解し、硝酸セリウム溶液(1M、43.75mL、0.04375mol)と硝酸ジルコニル溶液(2.2M、22.6mL、0.05mol)を加えて、総量を約100mLにした。この塩溶液を10mL/分でカーボンスラリーに注入した。全体を通してpHを9に維持した。添加が完了したら、スラリーを30分間撹拌し、次いで炭素担持材料を濾過により収集した。サンプルを水で洗浄し、105℃で16時間乾燥させた。
【0159】
炭素に担持された混合酸化物前駆体をH2中で1050℃で4時間焼成して、材料を強く焼結することなく秩序化を誘導した。次いで、600℃の空気中で1時間焼成することにより、炭素を除去した。
【0160】
Y0.063Ce0.437Zr0.5O1.969粒子(OSC 3Bとして上記のように取得)には、次の特性があった。
SSA:23m2/g;
結晶子サイズ:20nm;
I14.5/I29.5:約0.016;
理論的最小値Ce-O-Ce CN:4.5。
【0161】
焼成が100%H2で処理せずに600℃で2時間空気中で行われたことを除いて、材料の別のバッチを上記のように調製した。これにより、OSC 3Aとして炭素を含まない参照サンプルが得られた。
【0162】
[0161]に記載のように600℃の空気で処理した後、OSC 3Aで測定されたCe-O-Ce CNは、7.5±0.4(理論値の67%以内)であることがわかった。
【0163】
[0159]に記載のように1050℃のH2、続いて600℃の空気で処理した後、OSC 3Bで測定されたCe-O-Ce CNは、5.0±0.3(理論値の11%以内)であることがわかった。
【0164】
OSC 3A及びOSC 3Bについて、OSC方法1によるO
2を放出する対応する能力が、
図3に示される。ここでも、
図3に示すように、400℃と500℃との両方でO
2を放出する能力は、Ce-O-Ce CNが理論的最小値又はそれに近いサンプルの方が、この最小値から更に離れたCe-O-Ce CNを持つサンプルよりも実質的に高かった。
【0165】
実施例4:La0.015Nd0.045Ce0.24Zr0.705O1.98粒子を、900℃で空気(OSC 4A)及び水素(SRMO)(OSC 4B)で別々に処理した。
【0166】
SRMOで処理された粒子(OSC 4B)には、次の特性があった。
SSA:78m2/g;
結晶子サイズ:8nm;
I14.5/I29.5:約0.000;
理論的最小値Ce-O-Ce CN:3.6。
【0167】
900℃の空気で4時間処理した後、OSC 4Aで測定されたCe-O-Ce CNは、4.6±0.5(理論値の27%以内)であることがわかった。
【0168】
900℃のSRMOで処理した後、OSC 4Bで測定されたCe-O-Ce CNは、3.9±0.6(理論値の8%以内)であることがわかった。
【0169】
OSC 4A及びOSC 4Bについて、OSC方法1によるO
2を放出する対応する能力が、
図4に示される。ここでも、
図4に示すように、400℃と500℃との両方でO
2を放出する能力は、Ce-O-Ce CNが理論的最小値又はそれに近いOSC 4Bの方が、この最小値から更に離れたCe-O-Ce CNを持つOSC 4Aよりも実質的に高かった。
【0170】
実施例5:Y0.125Ce0.375Zr0.5O1.97は、以下のように調製した。高導電性カーボンブラックKetjen EC300J(5g)を、Silversonミキサー(4000rpm、10分)を使用して水(400mL)に分散させた。次に、分散液を磁気的に撹拌し、pHを約9に調整した。硝酸イットリウム六水和物(4.79g、0.0125mol)を水に溶解し、硝酸セリウム溶液(1M、37.5ml、0.0375mol)と硝酸ジルコニル溶液(2.2M、22.6mL、0.05mol)を加えて、総量を約100mLにした。この塩溶液を10mL/分でカーボンスラリーに注入した。全体を通してpHを9に維持した。添加が完了したら、スラリーを30分間撹拌し、次いで炭素担持材料を濾過により収集した。サンプルを水で洗浄し、105℃で16時間乾燥させた。
【0171】
乾燥した炭素に担持された混合酸化物前駆体の一部をN2中で1050℃で4時間焼成して、材料を強く焼結することなく秩序化を誘導した。次いで、600℃の空気中で1時間焼成することにより、炭素を除去した。得られた粒子(OSC 5B)には、次の特性があった。
SSA:24m2/g;
結晶子サイズ:13.5nm;
I14.5/I29.5:約0.006;
理論的最小値Ce-O-Ce CN:4.5。
【0172】
乾燥した炭素に担持された混合酸化物前駆体の別の部分を、炭素熱処理なしで空気中、600℃で1時間焼成して、OSC 5Aとしての参照を提供した。
【0173】
[0172]に記載のように600℃の空気で処理した後、OSC 5Aで測定されたCe-O-Ce CNは、6.7±0.5(理論値の48%以内)であることがわかった。
【0174】
[0171]に記載のように炭素熱処理した後、OSC 5Bで測定されたCe-O-Ce CNは、4.8±0.4(理論値の6%以内)であることがわかった。
【0175】
OSC 5A及びOSC 5Bについて、OSC方法1によるO
2を放出する対応する能力が、
図5に示される。ここでも、
図5に示すように、400℃と500℃との両方でO
2を放出する能力は、Ce-O-Ce CNが理論的最小値又はそれに近いOSC 5Bの方が、この最小値から更に離れたCe-O-Ce CNを持つOSC 5Aよりも実質的に高かった。
【0176】
実施例6:Y0.063Ce0.375Zr0.562O1.969は、以下のように調製した。高導電性カーボンブラックKetjen EC300J(5g)を、Silversonミキサー(4000rpm、10分)を使用して水(400mL)に分散させた。次に、分散液を磁気的に撹拌し、pHを約9に調整した。硝酸イットリウム六水和物(2.39g、0.00625mol)を水に溶解し、硝酸セリウム溶液(1M、37.5ml、0.0375mol)と硝酸ジルコニル溶液(2.2M、25.4ml、0.05625mol)を加えて、総量を約100mLにした。この塩溶液を10mL/分でカーボンスラリーに注入した。全体を通してpHを9に維持した。添加が完了したら、スラリーを30分間撹拌し、次いで炭素担持材料を濾過により収集した。サンプルを水で洗浄し、105℃で16時間乾燥させた。
【0177】
乾燥した担持された混合酸化物前駆体の一部をN2中で1050℃で4時間焼成して、材料を強く焼結することなく秩序化を誘導した。次いで、600℃の空気中で1時間焼成することにより、炭素を除去した。得られた粒子(OSC 6B)には、次の特性があった。
SSA:22m2/g;
結晶子サイズ:14.7nm;
I14.5/I29.5:約0.01;
理論的最小値Ce-O-Ce CN:4.5。
【0178】
炭素に担持された混合酸化物前駆体の別の部分を、空気中、600℃で1時間焼成して、OSC 6Aとしての参照を提供した。
【0179】
[0178]に記載のように600℃の空気で処理した後、OSC 6Aで測定されたCe-O-Ce CNは、6.9±0.5(理論値の53%以内)であることがわかった。
【0180】
[0177]に記載のように炭素熱処理した後、OSC 6Bで測定されたCe-O-Ce CNは、4.7±0.3(理論値の4%以内)であることがわかった。
【0181】
OSC 6A及びOSC 6Bについて、OSC方法1によるO
2を放出する対応する能力が、
図6に示される。ここでも、
図6に示すように、400℃と500℃との両方でO
2を放出する能力は、Ce-O-Ce CNが理論的最小値又はそれに近いOSC 6Bの方が、この最小値から更に離れたCe-O-Ce CNを持つOSC 6Aよりも実質的に高かった。
【0182】
実施例7:単層三元触媒配合物を、OSC 2A及びOSC 2Bを使用して更に調製した。
【0183】
触媒7A:は、単層構造を有する三元(Pd-Rh)触媒である。ウォッシュコートは、OSC 2A上に担持されているPd及びRh、Laで安定化されたアルミナ、並びにBaプロモーターからなる。ウォッシュコート充填量は約3.0g/in3(OSC2Aの約1.5g/in3)で、Pd充填量は63.6g/ft3、Rh充填量は6.4g/ft3であった。このウォッシュコートを、セラミックモノリシック基材上にコーティングして(標準のコーティング手順を使用)、100℃で乾燥させ、500℃で30分間焼成した。
【0184】
触媒7B:触媒7Bは、OSC 2Aの代わりにOSC 2Bが使用されたことを除いて、触媒7Aと同様の手順に従って調製した。
【0185】
触媒7A及び触媒7Bについて、OSC方法2によるO
2を放出する対応する能力が、
図7に示される。
図7に示すように、試験された全ての質量流量に対して400℃でO
2を放出する能力は、触媒7B(Ce-O-Ce CNが理論的最小値又はそれに近いOSC 2Bを含む)の方が触媒7A(この最小値から更に離れたCe-O-Ce CNを有するOSC 2Aを含む)よりも実質的に高かった。
【0186】
当業者には理解されるように、本発明の多くの改変及び変更が、これらの教示を考慮して可能であり、その全てが本明細書において意図される。
【0187】
本明細書に引用又は記載された各特許、特許出願、及び刊行物の開示は、全ての目的のために、又は少なくともそれらが本明細書で使用された文脈のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】