(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-19
(54)【発明の名称】バイオフィルム形成の処置及び防止を強化する材料及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20220512BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220512BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20220512BHJP
A01N 25/30 20060101ALI20220512BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P31/04
A61K31/704
A01N25/30
A01P3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555557
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(85)【翻訳文提出日】2021-11-10
(86)【国際出願番号】 US2020022591
(87)【国際公開番号】W WO2020190699
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519246261
【氏名又は名称】ローカス アイピー カンパニー、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】特許業務法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファーマー,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】アリベック,ケン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4H011
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084AA20
4C084MA02
4C084NA14
4C084ZB35
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA11
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086ZB35
4H011AA01
4H011BA05
4H011BC06
4H011BC17
4H011BC19
4H011DH11
4H011DH15
(57)【要約】
本発明は、バイオフィルム形成及びバイオフィルム感染を防止、阻害又は低減するための材料及び方法を提供する。本発明は、有益な微生物の成長副産物を利用して、バイオフィルムの処置、破壊及び/又は防止における殺生物性物質の有効性を強化する。利点としては、本発明が抗生物質耐性細菌株(例えば、MRSA及び特定のHelicobacter pylori株)に対して有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある部位のバイオフィルムを破壊する方法であって、前記方法は、1つ以上の生体両親媒性分子(BAM)、及び任意で、1つ以上の殺生物性物質を含む組成物を前記バイオフィルムに投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記組成物は、ペニシリン、テトラサイクリン、セファロスポリン、キノロン、リンコマイシン、マクロライド、スルホンアミド、糖ペプチド、アミノグリコシド、及びカルバペネムから選択される1つ以上の殺生物性物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物は、アンピシリン、ドキシサイクリン、セファレキシン、シプロフロキサシン、スルファセタミド、クリンダマイシン、メトロニダゾール、エリスロマイシン、アジスロマイシン、スルファメトキサゾール、アモキシシリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、ストレプトマイシン、ダプソン、メチシリン、ペニシリン、バンコマイシン、バシトラシン、ダプトマイシン、バクトリム及びレボフロキサシンから選択される1つ以上の殺生物性物質を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記組成物は、抗菌効果を有する精油、植物及び植物抽出物から選択される1つ以上の殺生物性物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上のBAMは、微生物バイオサーファクタント及び/又はサポニンである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ラムノ脂質(RLP)、ソホロ脂質(SLP)、トレハロース脂質(TL)、セロビオース脂質、及びマンノシルエリトリトール脂質(MEL)から選択される糖脂質、
サーファクチン、イチュリン、アンスロファクチン、フェンギシン及びリケニシンから選択されるリポペプチド、
カルジオリピン、及び
脂肪酸エステル化合物
から選択される少なくとも1つのバイオサーファクタントを投与することを含む
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記部位は、対象の体内又は体上にある、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記部位は、対象の口腔、鼻腔、気道、消化管、泌尿生殖器、眼、副鼻腔、皮膚、並びに/又は手術部位及び/若しくはインプラントである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
敗血症を処置するために使用される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記バイオフィルムは、微生物の抗生物質耐性株によって引き起こされる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記微生物は、MRSA又は
Helicobacter pyloriである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記部位は、不活性表面である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記不活性表面は、カテーテル、インプラント、手術器具、床、カウンター、シンク、トイレ、ドレイン、ボート、プールデッキ、ショッピングカート、シート、パイプ、チューブ、ドアハンドル、ベント、マウスピース、又はスポーツ器具である、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願を相互参照
本出願は、2019年3月15日出願の米国仮出願第62/819,000号及び2019年3月10日出願の米国仮出願第62/846,079号の優先権を主張するものであり、内容を参照することにより組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
感染症を処置する主な手段である抗生物質は、通常、浮遊(プランクトン)状態で研究される微生物殺傷の効率に基づくものであり、単一の細胞として機能する。抗生物質効力の定量は、例えば、従来からの最小発育阻止濃度(MIC)アッセイで行われる。しかしながら、現在では、多くのヒト(及び他の動物)感染症を含むある種の微生物の増殖は、バイオフィルム状態で協調して働く微生物で構成されることの多い微生物コロニー全体によって引き起こされ、悪化させると理解されている。バイオフィルムは、接着性細胞外成分を含み、これは、コロニーを取り囲み、例えば、抗生物質及び免疫系による環境障害からコロニーを保護する。
【0003】
バイオフィルムは、医学の多くの領域において広範囲にわたる臨床的関連性を有する。PseudomonasやStaphylococcusと一般的に関連するような細菌バイオフィルムは、慢性の軽度の炎症と同様に難治性感染の原因であることが知られている。細菌バイオフィルム中の細菌コロニーは、抗生物質処置と同様に、宿主の自然防御に非常に抵抗性があると思われる。バイオフィルムは、これらのコロニーが接着するあらゆる表面にコロニー形成する。人体内又は人体上の表面が含まれる。尿道カテーテル、経皮的静脈ライン及び人工心臓弁等の生体材料にコロニーを形成することが多い。
【0004】
バイオフィルムは、浮遊するプランクトン性細菌が、埋め込み型医療機器などの表面に固定される場合に形成され始める。接着した細菌は増殖し、成長してマイクロコロニーを形成し、続いて臨界質量となって、そこで細菌クロストークが起こり、クオラムセンシングとして知られる現象を誘発する。クオラムセンシングは、バイオフィルム表現型を導き、非固着性細菌で発現又は産生されないバイオフィルム産生遺伝子をオンにする。細菌は、バイオフィルム表現型に特異的な因子を発現するために集合的に応答し、それが個々の細胞を取り囲み、連結する菌体外多糖類(EPS)マトリックスの分泌につながる。バイオフィルム表現型は、微生物塔の形成によって形態学的に特徴付けられ、微生物塔は、水路の介在する、埋め込まれた生きた細菌の層から構成される。特定の環境条件下では、バイオフィルムは、浮遊する細菌を放出して、他の位置及び他の表面で分散し、サイクルを継続する。
【0005】
バイオフィルムは、浮遊形態の同じ細菌とは異なる挙動を示す。ゲノム発現が異なるため、バイオフィルム関連感染症は、プランクトン型感染症とは臨床経過及び抗生物質応答が異なる。さらに、バイオフィルム関連感染症をプランクトン感染症のように処置すると、抗生物質耐性菌が生じる。これは、コロニーによって生成されたEPSマトリックスが、プランクトン様式で微生物を通常死滅させる抗生物質に対する耐性を獲得する能力をコロニーに与えるからである。
【0006】
バイオフィルムが人体に存在すると、細菌は抗生物質に対する感受性がはるかに低くなり、肺炎等特定の感染症は処置が困難になり、致死的になる可能性がある。さらに、抗生物質は、これらのEPSで保護された微生物群を根絶できないので、抗生物質の使用は抗生物質がますます抗生物質耐性菌を選択し、永続させるため、問題を悪化させる可能性がある。これらの細菌には、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus(MRSA)、院内感染の世界における主たる原因、そして現在では市中全体に広がっている細菌が含まれる。
【0007】
もう1つの普及病原体は、ヘリコバクターピロリで、消化管に感染し、胃や腸の酸性環境から自身を守るためにバイオフィルムを利用する。H.ピロリは、慢性胃炎、潰瘍、生命を脅かす出血、非潰瘍性消化不良を含む上部消化管障害及び合併症を引き起こし、胃癌の主要な原因の1つである。一部にはバイオフィルムを形成する能力があるため、ヘリコバクターピロリの治療には、多くの抗生物質は効果がなくなっている。
【0008】
現在、抗生物質は、バイオフィルム関連感染の処置に失敗を繰り返している。さらに、周知の又は証明された抗バイオフィルム処置自体存在しない。実際、細菌は、バイオフィルム状態で抗生物質に強い耐性があるばかりでなく、アルコール、酸及びヨウ素溶液等の他の抗菌剤及び殺生物剤にも耐性がある。
【0009】
病原性バイオフィルム感染を処置する試みとしては、反復及び延長された抗生物質療法、バイオフィルムの物理的除去(例えば、外科手術又はデブリードマンによる)、アルコールベースの発泡体又はゲル等の局所滅菌剤が挙げられる。しかしながら、残念なことに、これらの処置は正常な生理機能を回復させることができず、自然免疫の恒常性を崩壊させる。抗生物質は、ますます耐性菌を繁殖させ、手術又はデブリードマンが感染の可能性のある別の部位を作り出す解剖創傷となり、局所消毒剤は共生微生物を根絶することによって病原性バイオフィルムの発生と成長を促進する恐れがある。
【0010】
バイオフィルムは、一連の処置困難な疾患及び健康状態の原因となり得る。従って、バイオフィルム形成、特に、体内や、病院、診療所、及び手術室の機器のバイオフィルム感染を処置及び/又は防止する材料及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、表面及び広範囲の組織や他の身体部位におけるバイオフィルム形成を処置、破壊及び/又は防止し、対象におけるバイオフィルム関連感染に関連する症状、共存症、及び疾患の発症を処置及び/又は防止するための組成物及び方法を提供する。利点としては、特定の実施形態において、本発明は、病原性細菌の抗生物質耐性株に対抗するための現在のアプローチを強化することである。
【0012】
特定の実施形態において、本発明の方法は、例えば、微生物によって産生される1つ以上の生体両親媒性分子(BAM)を含む組成物を利用する。好ましくは、組成物は、1つ以上の追加の殺生物性物質をさらに含む。利点としては、抗バイオフィルム組成物は、MRSA及びH.ピロリを含む薬物耐性を有する、又はそれに関連するバイオフィルムを排除するのに有用であることである。さらに、いくつかの実施形態において、微生物は、本発明の処置に対する耐性を容易に獲得しない。
【0013】
特定の実施形態において、1つ又は複数の殺生物物質は、例えば、ペニシリン、テトラサイクリン、セファロスポリン、キノロン、リンコマイシン、マクロライド、スルホンアミド、糖ペプチド、アミノグリコシド、及びカルバペネムを含む抗生物質である。
【0014】
いくつかの実施形態において、殺生物性物質は、精油、植物、又は殺菌及び/又は抗菌効果を有する他の植物抽出物を含むことができる。これらは、例えば、茶樹、グレープフルーツ、レモン、オレガノ、シナモン、ユーカリ、シトロネラ、タイム、及び/又はラベンダーのオイル/抽出物を含む。
【0015】
好ましい実施形態において、組成物は、例えば、糖脂質(例えば、ソホロ脂質、ラムノ脂質、マンノシルエリトリトール脂質、セロビオース脂質、及びトレハロース脂質)、リポペプチド(例えば、サーファクチン、イチュリン、フェンギシン、アンスロファクチン、及びリケニシン)、フラボ脂質、リン脂質(例えば、カルジオリピン)、脂肪酸エステル化合物、脂肪酸エーテル化合物、ならびにリポタンパク質、リポ多糖-タンパク質複合体、及び多糖-タンパク質-脂肪酸複合体等の高分子量ポリマーから選択されるバイオサーファクタントである、1つ以上のBAMを含む。
【0016】
1つ以上のバイオサーファクタントは、生物学的に又は合成的に修飾された形態を含む、バイオサーファクタントの改質形態、誘導体、分率、アイソフォーム、異性体又はサブタイプのいずれか1つ又は組み合わせをさらに含むことができる。
【0017】
一実施形態において、1つ以上のバイオサーファクタントは、臨界ミセル濃度(CMC)で組成物中に存在する。特定の実施形態において、1つ以上のバイオサーファクタントは、単離及び/又は精製される。
【0018】
組成物は、例えば、担体、pH調整剤、緩衝剤、局所麻酔剤、創傷治癒を促進する薬剤、バイオフィルムを分解するのを助ける薬剤、出血を停止させる及び/又は血餅形成を促進する薬剤、ならびに他の治療成分及び非治療成分を含む他の成分を含んでいてもよい。
【0019】
特定の実施形態において、組成物は、細菌バイオフィルムマトリックスを攻撃し、溶解し、又はその他弱体化して、バイオフィルム形成微生物の個々の細胞への殺生物性物質の浸透を可能にする。
【0020】
好ましい実施形態において、本発明は、直接的又は間接的のいずれかで、バイオフィルムの部位又は潜在的なバイオフィルム形成の部位に組成物を投与することによって、バイオフィルム形成を処置、破壊及び/又は防止するための方法を提供する。
【0021】
特定の実施形態において、本方法は、バイオフィルム感染を有すると診断された、及び/又はバイオフィルム感染を獲得する危険性があると診断された対象を処置するのに用いられ、本方法は、1つ以上の微生物BAMを含む組成物の有効量を、バイオフィルムを有する、又はバイオフィルム形成の可能性のある患者の部位に投与する工程を包む。好ましい態様において、組成物は、1つ以上の殺生物性物質をさらに含む。
【0022】
一実施形態において、本発明は、バイオフィルム又は抗生物質耐性微生物によって引き起こされる、又はそれに関連する疾患の防止及び/又は処置のための方法を提供する。
【0023】
本方法を用いて、対象の体の部位を含む様々な部位のバイオフィルム関連感染を防止及び/又は処置することができる。例えば、組成物は、局所送達システム(例えば、皮膚軟膏、鼻スプレー、坐剤、経口吸入器又はネブライザー、点眼剤、ピル又はカプセル、又は経口液体)を介して、対象の部位に、バイオフィルムによって影響を受けるか、又は影響を受ける危険性がある組織に直接、投与することができる。
【0024】
さらに、本方法を用いて、例えば、内在医療機器、医療器具、浴室、床、プールデッキ、ボート、キッチンカウンター等の不活性表面への殺菌組成物の適用により、バイオフィルム形成微生物の拡散を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、バイオフィルム形成を処置、破壊及び/又は防止するための組成物及び方法を提供する。これは、対象における広範囲の組織及び身体位置における表面上のバイオフィルム形成を処置、破壊及び/又は防止し、対象におけるバイオフィルム関連感染に関連する症状、共存症、及び疾患の発症を処置及び/又は防止することを含む。利点としては、本発明が病原性細菌の抗生物質耐性株に対抗するための現在のアプローチを強化することである。
【0026】
選択した定義
本明細書中で使用される「対象」という用語は、バイオフィルム形成病原体に感染しているか、又はそれに感染する危険性があるヒト又は動物をいう。動物は、例えば、ブタ、ウマ、ヤギ、ネコ、マウス、ラット、イヌ、霊長類、例えば、類人猿、チンパンジー及びオランウータン、モルモット、ハムスター、ウシ、ヒツジ、鳥類、例えば、ニワトリ、爬虫類、魚類、ならびに任意の他の脊椎動物又は無脊椎動物である。本発明において好ましい対象は、任意の性別のヒトである。対象は、乳児、幼児、青年、ティーンエイジャー、成人、中年及び高齢を含む、任意の年齢又は発達段階である。特定の実施形態において、対象は、免疫不全であるか、又は弱体化した免疫系を有する。
【0027】
本明細書中で使用される「感染」は、疾患を引き起こす、又は病原性の生物の、別の生物、組織又は細胞への導入及び/又は存在をいう。
【0028】
本明細書中で使用される「バイオフィルム」は、細菌等の微生物の複合凝集体であり、通常、これに限定されるものではないが、多糖材料から構成されるマトリックスを使用して、細胞が互いに接着している。バイオフィルム中の細胞は、同じ生物のプランクトン細胞とは生理学的に異なり、液体又は気体媒体中で浮遊又は泳動したり、固体又は半固体表面上又は中に存在する単一細胞である。個々の微生物細胞は、明確なバイオフィルムを形成することなく、フィラメント状で、細胞鎖と共に束ねられていることもある。ただし、細胞のフィラメント状の性質は、バイオフィルムの形成を促進する。
【0029】
本明細書中で使用される場合、疾患、状態又は障害の「防止」は、その特定の徴候又は症状の発症又は進行を遅延、阻害、抑制、防止、及び/又は最小限にすることを意味する。防止には、対象の生涯を通じて、無期限の、絶対的又は完全な防止が含まれるが、これを必要とするものではなく、すなわち、徴候や状態が後になってもなお発現する可能性があることを意味する。防止には、そのような疾患、状態又は障害の発症の重症度を低下させること、及び/又はその状態又は障害のより重篤な状態又は障害への進行を阻害することが含まれる。
【0030】
本明細書中で使用される場合、疾患、状態又は障害の「処置」は、疾患、状態又は障害(例えば、感染)の少なくとも1つの徴候又は症状の根絶、改良、軽減、改善又は反転を意味する。処置は、疾患、状態又は障害の完全な治癒を含むが、これを必要とするものではなく、すなわち、処置は、部分的な根絶、改良、減少、改善又は反転を含む。
【0031】
本明細書中で使用される場合、微生物についての「コントロール」は、微生物を死滅及び/又は根絶すること、又はその他、集団数を減少させること、及び/又は特定の部位における微生物の病原性もしくはさらなる成長を阻害することをいう。コントロールはまた、バイオフィルム接着の阻害又は破壊を含む。一実施形態において、微生物及び/又はバイオフィルムが感染を引き起こした場合、微生物及び/又はバイオフィルムをコントロールすることは処置の形態である。
【0032】
「有効量」及び「有効ドーズ量」という用語は、本開示において、部位に投与される場合、部位において所望の効果(例えば、微生物のコントロール又は感染の処置)を提供し得る化合物又は組成物の量をいう。化合物又は組成物の実際の量は、これらに限定されるものではないが、処置される特定の微生物、部位に存在する微生物の数、及び、例えば、バイオフィルム感染のために処置される対象の場合には、対象のサイズ及び健康、ならびに化合物又は組成物を投与する経路を含む多くの因子によって変わる。
【0033】
植物「抽出物」は、本明細書で使用される場合、植物部分を溶媒に曝露し、溶媒を除去することから、又は、これらに限定されるものではないが、沈殿、水蒸気蒸留、遠心分離、濾過、カラムクロマトグラフィー、洗剤溶解及び冷間プレス(又は加工)をはじめとする当業者に公知の種々の化学的、免疫学的、生化学的もしくは物理的手順を使用することから生じる材料をいう。植物抽出物は、例えば、精油を含む。植物材料は、根、茎、葉、花、又はそれらの一部を含むことができる。
【0034】
「単離された」又は「精製された」という用語は、核酸分子、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、タンパク質、有機化合物、例えば、小分子、微生物細胞/株、又は宿主細胞のような生体又は天然の材料と関連して使用される場合、天然に生じる細胞材料等の他の化合物を、材料が実質的に含まないことを意味する。すなわち、材料は、他の化合物なしでは天然に存在せず、及び/又は天然材料中に見出されるものと比較して、異なる又は特有の特徴を有する。
【0035】
特定の実施形態において、精製された化合物は、目的の化合物の少なくとも60重量%である。好ましくは、調製物は、所望の化合物の少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%又は100重量%(w/w)である。純度は、任意の適切な標準的な方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によって測定される。
【0036】
「有する」又は「含有する」と同義である「含む」という移行句は、包含的又はオープンエンドであり、追加の引用されていない要素又は方法ステップを除外しない。対照的に、「からなる」という移行句は、請求項に記載されていない要素、ステップ又は成分を除外する。「から実質的になる」という移行句は、請求項の範囲を、特定の材料又はステップ、及び請求された発明の「基本的かつ新規な特性に実質的に影響を及ぼさないもの」に限定する。「含む」という用語の使用は、記載された構成要素「からなる」又は「本質的にからなる」他の実施形態を包含するものである。
【0037】
具体的に述べられていないか、又は文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される「又は」という用語は、包括的であると理解される。具体的に述べられているか、文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される「1つの」、「及び」、「その」という用語は、単数形又は複数形であると理解される。
【0038】
具体的に述べられていないか、又は文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される「約」という用語は、当技術分野における通常の許容範囲内、例えば、平均の2標準偏差内と理解される。約は、記載された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内と理解することができる。
【0039】
本明細書に記載される可変の任意の定義における化学基の列挙の再引用は、任意の1つの基又は列挙された基の組み合わせとしてその可変の定義を含む。本明細書中の可変又は態様用の実施形態の列挙は、その実施形態を任意の単一の実施形態として、もしくは任意の他の実施形態又はその一部と組み合わせて含む。本明細書に引用されている全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
殺菌組成物
特定の実施形態において、本発明は、例えば、微生物によって産生される1つ以上の生体両親媒性分子(BAM)、及び、好ましくは1つ以上の殺生物性物質を含む組成物を利用する。利点としては、いくつかの実施形態において、抗バイオフィルム組成物は、MRSAやH.pyloriによって形成されるものを含む、薬物耐性を有するか、又はそれに関連するバイオフィルムを排除するために有用であることである。さらに、いくつかの実施形態において、微生物は、本発明の処置に対する耐性を容易に獲得しない。
【0041】
一実施形態において、1つ以上のBAM及び1つ以上の殺生物性物質が、バイオフィルムを破壊及び処置する際に、互いの機能を促進する。従って、1つ以上のBAMと1つ以上の殺生物性物質との組み合わせは、例えば、任意のBAM又は殺生物性物質単独と比較した場合、バイオフィルムを破壊及び処置する際に有利な特性を示す。
【0042】
一実施形態において、本発明の組成物は、加圧下でバイオフィルムに適用される。圧力は、例えば、2psi~50psi、3psi~30psi、5psi~15psi、又はそれらの間の任意の範囲である。
【0043】
好ましい実施形態において、本発明の殺菌組成物の部位への投与は、未処置部位と比較した場合、その部位での微生物の数及び/又はバイオフィルムの形成の減少となる。利点としては、好ましい実施形態において、対象の部位に投与される場合、本発明による殺菌組成物は組織損傷を引き起こすことなく、バイオフィルム関連感染の効果的なコントロール及び/又は防止となることである。
【0044】
利点としては、好ましい実施形態において、本発明の組成物の成分は共に作用して、バイオフィルム形成及びバイオフィルム関連感染を破壊及び/又は阻害し、一方で、病原性バイオフィルム分散液の強化ならびに通常の局所先天性免疫応答の改善を通して、関連する慢性炎症状態を改善する。
【0045】
具体的な実施形態において、1つ以上の殺生物性物質は、例えば、ペニシリン(ペニシリンG、ペニシリンV、アンピシリン、アモキシシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、カルベニシリンインダニル、チカルシリン、アズロシリン、メズロシリン、メチシリン、ピペラシリン等)、テトラサイクリン(クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン等)、セファロスポリン(セファドロキシル、セファレキシン、セフラジン、セファロチン、セファピリン、セファゾリン、セファクロル、セファマンドール、セフォニシド、セフォキシチン、セフォテタン、セフォキシム、セフロキシムアキセチル、セフォタゾール、セフプロジル、ロラカルベフ、セフォラニド、セフェピム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフィキシム、セフポドキシム、セフチブテン等)、フルオロキノロン(レボフロキサシン等)、キノロン(ナリジクス酸、シノキサシン、シプロフロキサシン、ノルフフロキサシン等)、リンコマイシン(クリンダマイシン等)、マクロライド(エリスロマイシン、アジスロマイシン等)、スルホン(ダプソン等)、スルホンアミド(スルファニルアミド、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾール、スルファイソキサゾール、スルファセタミド、バクトリム等)、リポペプチド(ダプトマイシン等)、ポリペプチド(バシトラシン等)、グリコペプチド(バンコマイシン等)、アミノグリコシド(ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルマイシン、カナマイシン等)、ニトイミダゾール(メトロニダゾール等)及び/又はカルバペネム(チエナマイシン等)をはじめとする抗生物質である。
【0046】
いくつかの実施形態において、殺生物性物質は、精油、植物、又は殺菌及び/又は抗菌効果を有する他の植物抽出物を含むことができる。これらは、1~10%体積/体積(抽出物/発明)の間の濃度で、油/抽出物を含み、オオグルマ(Inula helenium、L., Asteraceae、elecampane)、バラ(Rosa damascena、L., Rosaceae)、ラベンダー(Lavandula angustifolia、L., Labiatae)、カモミール(Matricaria recutica、Asteraceae)、オレンジ(Rutaceae)、グレープフルーツ(Citrus paradisi)、ユーカリ(Eucalyptus globulus、L., Myrtaceae)、ゲラニウム(Geranium robertianum、L., Geraniaceae)、ジュニパー(Juniperus communis、L., Cupressaceae)、シトラス(Citrus sinensis、L., Rutaceae)、ティーツリー(Melaceuca alternifolia)、マヌカブッシュ(Leptospermum scoparium)、ネエムツリー(Azadirachta indica、A. Juss)、茶樹(Camellia sinensis)、ローズマリー(Rosmarinus officinalis、L., Lamiaceae)、レモン、オレガノ、シナモン、ユーカリ、シトロネラ、及びタイムオイルが挙げられる。
【0047】
アルコール、アルデヒド、塩素、塩素消毒剤(例えば、次亜塩素酸ナトリウム、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン)、ヨウ素、過酸化水素化合物(例えば、過酸化水素、過酢酸)、フェノール型化合物、第四級アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム)、塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム)、及び酸(例えば、無機酸及び有機酸)等の、非治療殺生物剤を含む他の公知の殺生物剤も利用することができる。
【0048】
好ましい実施形態において、組成物は、1つ以上のBAMをさらに含み、BAMは、例えば、糖脂質(例えば、ソホロ脂質、ラムノ脂質、マンノシルエリトリトール脂質、セロビオース脂質、及びトレハロース脂質)、リポペプチド(例えば、サーファクチン、イチュリン、フェンギシン、アンスロファクチン、及びリケニシン)、フラボ脂質、リン脂質(例えば、カルジオリピン)、脂肪酸エステル化合物、脂肪酸エーテル化合物、ならびにリポタンパク質、リポ多糖-タンパク質複合体、及び多糖-タンパク質-脂肪酸複合体等の高分子量ポリマーから選択されるバイオサーファクタントである。
【0049】
1つ以上のバイオサーファクタントは、生物学的に又は合成的に修飾された形態を含む、バイオサーファクタントの改質形態、誘導体、画分、アイソフォーム、異性体又はサブタイプのいずれか1つ又は組み合わせをさらに含むことができる。
【0050】
一実施形態において、1つ以上のバイオサーファクタントは、臨界ミセル濃度(CMC)で組成物中に存在する。特定の実施形態において、1つ以上のバイオサーファクタントは、単離及び/又は精製される。
【0051】
特定の実施形態において、BAMの濃度は、約5重量%以下、好ましくは約0.5%~約2.5%、より好ましくは約0.7~1.5%である。
【0052】
特定の実施形態において、生体両親媒性分子は、界面活性剤、好ましくはバイオサーファクタントである。バイオサーファクタントは、それぞれの表面及び界面における個々の分子間の表面張力及び界面張力を低下させる界面活性化合物である。他の能力として、バイオサーファクタントは、ウイルス感染に対するさらなる免疫支援を提供し、他の活性成分のバイオアベイラビリティを強化する。
【0053】
バイオサーファクタントは、生分解性であり、再生可能な基質上の選択された生物を用いて産生することができる。ほとんどのバイオサーファクタント産生生物は、増殖培地中の炭化水素源(例えば、油、糖、グリセロール等)の存在に応答してバイオサーファクタントを産生する。鉄の濃度のような他の培地成分もまた、バイオサーファクタント製造に大きく影響する可能性がある。
【0054】
微生物バイオサーファクタントは、例えば、Pseudomonas spp(P. aeruginosa、P. putida、P. florescens、P. fragi、P. syringae)、Flavobacterium spp、Bacillus spp.(B. subtilis、B. pumillus、B. licheniformis、B. amyloliquefaciens、B. cereus)、Wickerhamomyces spp(例えば、W. anomalus)、Candida spp(例えば、C. albicans、C. rugosa、C. tropicalis、C. lipolytica、C. torulopsis)、Rhodococcus spp.、Arthrobacter spp.、Campylobacter spp、Cornybacterium spp(例えば、P. anomala、P. guilliermondii、P. occidentalis)、Starmerella spp(例えば、S. bombicola)といった様々な微生物によって産生される。
【0055】
全てのバイオサーファクタントは両親媒性物質で、極性(親水性)部分と非極性(疎水性)基の2つの部分からなる。脂肪酸の炭化水素鎖は、バイオサーファクタント分子の共通の親油性部分として作用し、一方、親水性部分は、中性脂質のエステル基又はアルコール基によって、脂肪酸又はアミノ酸(又はペプチド)のカルボキシレート基によって、フラボ脂質の場合には有機酸によって、又は糖脂質の場合には炭水化物によって形成される。
【0056】
両親媒性構造のために、バイオサーファクタントは、疎水性の水不溶性物質の表面積を増加させ、そのような物質の水バイオアベイラビリティを増加させ、細菌細胞表面の特性を変化させる。バイオサーファクタントは、界面に蓄積し、これにより界面張力を減少させ、溶液中に凝集ミセル構造を形成させる。バイオサーファクタントの両親媒性構造は、自己会合及び生体膜との相互作用を可能にする。バイオサーファクタントの細孔を形成し、生体膜を不安定化する能力は、抗菌剤、抗真菌剤、及び溶血剤としてのその使用を可能にする。バイオサーファクタントは、毒性が低く、生分解性という特長を兼ね備えており、人の健康をはじめとした様々な用途にとって利点がある。
【0057】
一実施形態において、本発明によるバイオサーファクタントは、糖脂質、例えば、ラムノ脂質、ラムノース-d-リン脂質、トレハロース脂質、トレハロースジミコレート、トレハロースモノミコレート、マンノシルエリトリトール脂質、セロビオース脂質、ウステラギン酸及び/又はソホロ脂質(ラクトン及び/又は酸性形態を含む)である。
【0058】
一実施形態において、バイオサーファクタントは、例えば、サーファクチン、イチュリン、フェンギシン、アンスロファクチン、ビスコシン、アンフィシン、シリンゴマイシン、及び/又はリケニシン等の1つ又は複数のリポペプチドを含むことができる。
【0059】
一実施形態において、バイオサーファクタントは、例えば、カルジオリピン、エマルサン、リポマナン、アラサン、及び/又はリポサン等の1つ又は複数の他のタイプのバイオサーファクタントを含むことができる。
【0060】
好ましい実施形態において、組成物は、糖脂質バイオサーファクタントを含む。特定の実施形態において、糖脂質は、精製SLPである。SLPは、Starmerella bombicola及びWickerhamomyces anomalus等の酵母から得ることができる。SLPは、例えば、Escherichia coli、Moraxella sp、Ralstonia eutropha、Rhodococcus erythropolis、及びSalmonella choleraesuisに対して抗細菌活性を有する。さらに、SLPは、微生物クォーラムセンシングを阻害し、バイオフィルムを破壊し、及び/又はそれらの形成を阻害することができる。これは特に感染症の処置に有用である。なぜなら、ウイルスや細菌によるバイオフィルム形成により、薬剤に対する耐性を獲得し、その病原性を高めることができるからである。
【0061】
ある実施形態において、組成物は、リポペプチドバイオサーファクタントを含む。特定の実施形態において、リポペプチドバイオサーファクタントは、サーファクチンである。リポペプチドは、種々のプロバイオティクス及び非病原性細菌、例えば、Bacillus natto、Bacillus coagulans、Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefaciens、乳酸菌等によって産生される。
【0062】
特に、サーファクチンは、最も強力なリポペプチドバイオサーファクタントの1つである。サーファクチンは種々のBacillus subtilis菌株によって産生され、抗菌、抗腫瘍、抗ウイルス及び抗接着特性を有することが示されている。これは、フィブリン凝塊形成を阻害し、脂質二重層膜におけるイオンチャネルの形成を誘導し、環状アデノシン一リン酸(cAMP)を阻害することができる。
【0063】
一実施形態において、界面活性剤は、バイオサーファクタントと同様の物理的特性及び/又は挙動を有するが、バイオサーファクタントとしては一般に知られていない、1つ以上の微生物産生脂肪酸エステル化合物及び/又は脂肪酸エーテル化合物を含むことができる。
【0064】
特定の実施形態において、脂肪酸エステル化合物は、例えば、オレイン脂肪酸エチルエステル及び/又はオレイン脂肪酸メチルエステル(FAME)等の高度にエステル化されたオレイン脂肪酸を含むことができる。
【0065】
一実施形態において、生体両親媒性分子はサポニンである。サポニンは、多くの植物において見出され、微生物バイオサーファクタントと同様の特性、例えば、自己会合及び生体膜との相互作用を示す界面活性剤である。サポニンには、トリテルペノイドサポニン、ステロイドサポニン、及びステロイドグリコールアルカロイドを含む3つの基本的なカテゴリーがある。
【0066】
いくつかの周知のトリテルペノイドサポニン蓄積植物科には、とりわけ、Leguminosae、Amaranthaceae、Apiaceae、Caryophyllaceae、Aquifoliaceae、Araliaceae、Cucurbitaceae、Berberidaceae、Chenopodiaceae、Myrsinaceae及びZygophyllaceaeが含まれる。大豆、豆及びエンドウ豆等のマメは、トリテルペノイドサポニンの豊富な供給源である。ステロイドサポニンは、典型的には、Agavaceae、Alliaceae、Asparagaceae、Dioscoreaceae、Liliaceae、Amaryllidaceae、Bromeliaceae、Palmae及びScrophulariaceae科の一員に見られ、ヤム、アリウムス、アスパラガス、フェヌク、ユッカ及びニンジン等の作物植物に豊富に蓄積する。ステロイド性グリコアルカロイドは、トマト、ジャガイモ、オーベルギン及びトウガラシを含むナス科の一員に一般的に見られる。
【0067】
多くのサポニン及び他のバイオサーファクタントの1つの注目すべき特徴は、P糖タンパク質を阻害する能力である。P-糖蛋白質(P-gp)は、ATP依存性膜輸送蛋白質の一員であり、ATP依存性機構で基質を細胞外にポンプすることが知られている。腫瘍細胞におけるP-gpの過剰発現は、細胞内薬物濃度を低下させ、これは広域スペクトルの抗腫瘍薬の有効性を低下させる。従って、P-gpを阻害することは、これらの化合物のいくつかの細胞バイオアベイラビリティを潜在的に強化することである。
【0068】
従って、いくつかの実施形態において、サポニン等のバイオサーファクタントは、例えば、組成物中に存在する他の化合物のバイオアベイラビリティを強化することによって、組成物の有効性に寄与する。
【0069】
特定の実施形態において、組成物は、細菌バイオフィルムマトリックスを攻撃し、溶解し、又はその他弱体化し、バイオフィルム形成細菌の個々の細胞への殺生物性物質の浸透を可能にする。本発明はまた、抗生物質をより少ない量で使用することを可能にし、それによって、毒性及び処置のコストを減少させる。
【0070】
組成物は、例えば、担体、pH調整剤、緩衝剤、局所麻酔剤、創傷治癒を促進する薬剤、バイオフィルムの分解を助ける薬剤、出血を停止させ、及び/又は血餅形成を促進する薬剤、ならびに、例えば、抗ウイルス剤、殺真菌剤、化学療法剤、局所消毒剤、麻酔剤、酸素化流体及び/又は薬剤、診断剤、ホメオパシー剤、及び市販薬/薬剤等の他の治療及び非治療成分を含む他の成分を含んでいてもよい。
【0071】
一実施形態において、組成物は、クエン酸、リン酸塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のジ-、トリ-、及びテトラ-ナトリウム塩、EDTAのカルシウム塩、エチレングリコール-ビス-(b-アミノエチルエーテル)-N,N,N',N'-四酢酸(EGTA)、1,2-ビス(2-アミノフェノキシ)エタン-N,N,N',N'-四酢酸(BAPTA)、エチレン-N,N'-ジグリシン(EDDA)、2,2'-(エチレンジイミノ)-ジブチル酸(EBDA)、ラウロイルEDTA、ジラウロイルEDTA、トリエチレンテトラミンジヒドロクロリド(TRIEN)、ジエチレントリアミン-五酢酸(DPTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTG)、デフェロキサミン(DFO)、デフェラシロクス(DSX)、ジメルカプロール、クエン酸亜鉛、ペニシルアミン、サクシマー、エディトロネート、ヘキサメタリン酸ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、D-ペニシラミン、ポリフェノール、ガロール、カテコール、ジメルカプロール、テトラチオモリブデート、ラクトフェリン、クリオキノール及びその組み合わせから好ましくは選択される1つ以上のキレート剤を含んでもよい。
【0072】
組成物の処方及び送達
本発明の組成物は、直接適用によって罹患組織(又は他の部位)に送達されて、有効性が大幅に増加する。殺菌組成物はまた、例えば、ウェットワイプ及び/又はスプレーを使用して、不活性表面に投与されるように処方される。
【0073】
特定の実施形態において、殺菌組成物は、例えば、経口、注射(例えば、静脈内(IV)、筋肉内(IM)、腹腔内、髄腔内又は皮下)、経皮、直腸、泌尿生殖器(例えば、膣)、眼、耳、鼻、吸入及び皮膚経路を含む、任意の投与経路を介して対象に投与されるように処方することができる。
【0074】
組成物は、ヒト粘膜及び角質化及び非角質化上皮等の表面を含む、バイオフィルムの影響を受ける領域に直接適用することができる。そのような局所的に向けられた療法の例としては、皮膚薬剤、鼻スプレー及び洗浄液、点耳薬、直腸投与、経口吸入器及びネブライザー、点眼薬、コンタクトレンズ、コンタクトレンズ溶液、経口錠剤、洗口剤等の歯磨き剤、練り歯磨き、フロス、及び歯周療法が挙げられる。それぞれの場合において、本発明の組成物は、その組成物が投与部位に基づいて生理学的に適切であるビヒクルを介して投与される。
【0075】
それはまた、これらに限定されるものではないが、外科用メッシュ、血管移植片、乳房インプラント、又は他の移植可能な医療機器のような医療機器に直接適用してもよい。さらに、それはまた、床、トイレ、台所及び浴室カウンター、プールデッキ、ショッピングカート、ボート及び船舶の側面、及び/又はバイオフィルムが容易に形成される他の表面のような、他の不活性表面に直接適用してもよい。
【0076】
一実施形態において、殺菌組成物の成分は、任意の追加の成分、例えば、1つ以上の担体(例えば、薬学的に受容可能な担体)及び/又は賦形剤を含む混合物として処方される。
【0077】
本明細書で使用される「薬学的に許容される」という用語は、医薬組成物の他の成分と適合性があり、そのレシピエントに有害ではないことを意味する。
【0078】
担体及び/又は賦形剤は、例えば、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、ゲル、ローション、溶液、坐剤、滴剤、パッチ、注射剤、吸入剤及びエアロゾル等の固体、半固体、液体又は気体形態の製剤に処方することができる。
【0079】
本発明による担体及び/又は賦形剤は、全ての溶剤、緩衝剤(例えば、中性緩衝食塩水、リン酸緩衝食塩水、任意で、トリス-HCl、酢酸塩又はリン酸塩緩衝剤)、油中水又は油中水型エマルジョン、例えば、IV使用に適した有機共溶媒を含む、又は含まない水性組成物、可溶化剤(例えば、ツイーン80、ポリソルベート80)、コロイド、分散媒体、ビヒクル、フィラー、キレート剤(例えば、EDTA又はグルタチオン)、アミノ酸(例えば、グリシン)、タンパク質、崩壊剤、結合剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、香味料、芳香剤、増粘剤、コーティング、防腐剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、張度調節剤、吸収遅延剤、アジュバント、増量剤(例えば、ラクトース、マンニトール)等を含むことができる。
【0080】
場合によっては、担体は、例えば、無菌又は非無菌の水性又は非水性溶液、懸濁液、及びエマルジョンである。非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、及び有機エステルが挙げられるが、これらに限定されない。水性担体としては、水、アルコール、食塩水、及び緩衝溶液が挙げられるが、これらに限定されない。許容される担体はまた、生理学的に許容される水性ビヒクル(例えば、生理食塩水)又は特定の投与経路に適切な他の公知の担体も含む。薬物及びサプリメントの分野における担体及び/又は賦形剤の使用は周知である。サプリメント組成物と適合しない任意の従来の培地又は薬剤を除いて、本組成物におけるその使用が意図される。
【0081】
一実施形態において、サプリメント組成物は、経口で対象に送達されるように処方される。特に、組成物は、経口消耗品として処方される。
【0082】
本発明による経口消耗品は、消費、栄養、口腔衛生又は嗜好に適した任意の調剤又は組成物であり、ヒト又は動物の口腔に導入され、一定期間そこに留まり、次いで嚥下される(例えば、インスタント食品)か、又は再び口腔から除去される(例えば、チューインガム、口腔衛生製品又は医療用口腔洗浄剤)ことを意図した製品である。これらの商品には、ヒト又は動物が、加工、半加工又は未加工の状態で摂取することが意図された全ての物質又は製品が含まれる。これにはまた、それらの製造、処理又は加工の間に経口消費可能な製品(例えば、抽出物、栄養素、サプリメント、又は医薬品等の活性成分)に添加され、そしてヒト又は動物の口腔に導入されることが意図される物質も含まれる。
【0083】
経口消耗品はまた、ヒト又は動物によって嚥下され、次いで、改変されていない、調製された、又は加工された状態で消化されることが意図される物質を含む。これらには、製品と一緒に嚥下される、又は嚥下が予想されることも意図されるケーシング、コーティング、又は他のカプセル化が含まれる。
【0084】
本発明の組成物はまた、カプセル、錠剤(コーティングされていない錠剤及びコーティングされた錠剤、例えば、胃耐性コーティング)、コーティングされた錠剤、顆粒、ペレット、固体物質混合物、液相分散液、エマルジョン、粉末、溶液、ペースト又は他の嚥下可能もしくは咀嚼可能な製剤として、又は栄養補助食品としての形態でも存在する。
【0085】
経口投与のために、錠剤又はカプセルは、結合剤、充填剤、滑沢剤、崩壊剤、又は湿潤剤等の許容される賦形剤を用いて、従来の手段によって調製することができる。所望であれば、錠剤をコーティングすることができる。経口投与のための調剤はまた、活性成分の徐放を行うように適切に処方することができる。経口投与のための液体製剤は、例えば、溶液、シロップ、又は懸濁液の形成をとることができ、又はそれらは、使用前に食塩水又は他の適切な液体ビヒクルで構成させる乾燥生成物とすることができる。
【0086】
本明細書に記載される処方物(formulation)はまた、経口送達の特定の形態に応じて、当業者であれば理解されるように、許容される添加剤を含有することができる。添加剤としては、これらに限定されるものではないが、懸濁剤、乳化剤、非水性ビヒクル、防腐剤、緩衝塩、香料、着色剤、及び甘味剤が適宜含まれる。具体的な添加剤としては、これらに限定されるものではないが、ゼラチン、グリセリン、水、蜜蝋、レシチン、カカオ、カラメル、二酸化チタン、及びカルミンが挙げられる。
【0087】
一実施形態において、組成物は、注入による投与のために、例えば、溶液又は懸濁液として処方することができる。溶液又は懸濁液は、マンニトール、1,3-ブタンジオール、水、リンゲル液又は等張塩化ナトリウム溶液等の適切な非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒、又は合成モノ-又はジグリセリドを含む無菌の不揮発性油、及びオレイン酸を含む脂肪酸等の適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を含む。静脈内使用のための担体の例を1つ挙げると、10%USPエタノール、40%USPプロピレングリコール又はポリエチレングリコール600と、注射用残部USP水(WFI)の混合物である。静脈内使用のための担体の他の例を挙げると、10%のUSPエタノール及びUSP WFI、USP WFI中の0.01~0.1%のトリエタノールアミン、又はUSP WFI中の0.01~0.2%のジパルミトイルジホスファチジルコリン、及び1~10%のスクアレン又は非経口的植物水中油型エマルジョンが挙げられる。水又は食塩水溶液及び水性デキストロース及びグリセロール溶液は、特に、注射可能な溶液のための担体として好ましく使用される。皮下又は筋肉内使用のための担体の例としては、リン酸緩衝食塩水(PBS)溶液、WFI中5%デキストロース及び5%デキストロース中0.01~0.1%トリエタノールアミン又はUSP WFI中0.9%塩化ナトリウム、あるいは、10%USPエタノール、40%プロピレングリコール、及び、例えば、5%デキストロース又は0.9%塩化ナトリウム中の残部の許容可能な等張溶液又はUSP WFI中の0.01~0.2%ジパルミトイルジホスファチジルコリン及び1~10%スクアレン又は非経口的植物水中油型エマルジョンの1~2又は1~4混合物が挙げられる。
【0088】
他の処方物はまた、点眼剤、ゲル、軟膏、クリーム、又は適用領域に適切な組成物の送達をする他のビヒクル、眼周囲ローション、鼻腔内水性又は非水性スプレー、鼻用食塩水リンス、皮膚石けん、ローション、クリーム、肌軟化剤、及びコンタクトレンズ洗浄及び維持又はスプレーのための溶液を含むことができる。
【0089】
一実施形態において、サプリメント組成物は、自己形成送達システムに処方され、BAMは、その中にカプセル化された殺生物成分と共に、リポソーム、又はマイクロカプセルもしくはナノカプセルを形成する。一実施形態において、カプセル化のためのさらなる構造を提供するために、追加の生体ポリマーを含むことができる。
【0090】
BAMカプセル化は、化合物に結合し、それが標的部位に浸透するのを妨げる恐れのある、タンパク質及び他の分子のような血液中の成分から保護することによって、殺生物性成分のバイオアベイラビリティを強化することができる。さらに、カプセル化された送達システムは、酸又は酵素に対する障壁を作り出すので、消化管の中の酸又は酵素によって分解される化合物が経口投与されることを可能にする。さらに、BAMカプセル化送達システム処方物は中の化合物の徐放を可能にし、それによって、対象における潜在的な毒性又は潜在的な負の副作用を低減する。
【0091】
例えば、緩衝剤、担体、粘度調整剤、防腐剤、香味料、染料及び意図された使用に特異的な他の成分のような、当業者によって決められる、さらなる成分を組成物に添加することができる。当業者であれば、上記の説明が網羅的ではなく例示的なものであることが分かるはずである。実際、特定の投与様式に適した多くのさらなる処方技術及び薬学的に許容される賦形剤及び担体溶液は、当業者に周知である。
【0092】
一実施形態において、処方物のpHは、約5.5~8.0、約6.0~8.0、約6.5~8.0、より好ましくは、約6.5~7.5、最も好ましくは、約7~7.4である。好ましいpHは、処方物に対する細菌耐性を回避するのに役立つ。
【0093】
方法
好ましい態様において、本発明は、1つ以上の生体両親媒性分子を含む組成物を部位に投与することによって、その部位におけるバイオフィルム形成を処置、破壊及び/又は防止するための方法を提供する。好ましい実施形態において、組成物は、1つ以上の殺生物性化合物をさらに含む。一実施形態において、本方法は、バイオフィルム又は抗生物質耐性微生物によって引き起こされる、又はそれに関連する疾患の防止及び/又は処置のために使用することができる。
【0094】
特定の実施形態において、1つ以上の殺生物性物質は、例えば、前に列挙したものを含む抗生物質で、例えば、ペニシリン、テトラサイクリン、セファロスポリン、キノロン、リンコマイシン、マクロライド、スルホンアミド、糖ペプチド、アミノグリコシド、及びカルバペネムである。
【0095】
いくつかの実施形態において、殺生物性物質は、精油、植物、又は殺菌及び/又は抗菌効果を有する他の植物抽出物を含む。いくつかの実施形態において、殺生物物質は、アルコール、クロルヘキシジン(例えば、CHG)、又は過酸化水素等の治療用又は非治療用殺生物剤を含む。
【0096】
好ましい実施形態において、組成物は、1つ以上のBAMをさらに含み、BAMは、例えば、低分子量糖脂質(例えば、ソホロ脂質、ラムノ脂質、マンノシルエリスリトール脂質及びトレハロース脂質)、リポペプチド(例えば、サーファクチン、イチュリン、フェンギシン、アンスロファクチン及びリケニシン)、セロビオース脂質、フラボ脂質、リン脂質(例えば、カルジオリピン)、ならびにリポタンパク質、リポ多糖-タンパク質複合体、及び多糖-タンパク質-脂肪酸複合体等の高分子量ポリマーから選択されるバイオサーファクタントである。一実施形態において、BAMはサポニンである。
【0097】
特定の実施形態において、抗バイオフィルム組成物の適用部位は、その上にバイオフィルムを有するか、又はバイオフィルム形成の潜在的な部位である。一実施形態において、本発明は、少なくとも1日、2日、5日、1週間、2週間、3週間、又は1ヶ月以上にわたって形成されるような、新しく形成されたバイオフィルムならびに老化及び/又は慢性バイオフィルムを分散させ、排除するのに有効である。
【0098】
特定の実施形態において、殺菌処置は、バイオフィルム感染を有すると診断された、及び/又はバイオフィルム感染を獲得する危険性があると診断された対象を処置するために使用され、この方法は、1つ以上の殺生物性物質及び1つ以上の微生物性BAMを含む有効量の組成物を、患者の部位に投与することを含む。
【0099】
この方法は、対象の身体の種々の部位のバイオフィルム関連感染を防止及び/又は処置するために使用される。例えば、組成物は、局所送達システム(例えば、皮膚軟膏、経鼻スプレー、経口吸入器又はネブライザー、点眼液、又は経口液)を介して、バイオフィルムによって影響を受けるか、又は影響を受ける危険性がある組織に直接投与することができる。
【0100】
一実施形態において、部位は、その上にバイオフィルムを有するか、又はバイオフィルム形成の危険性がある、活性又は不活性の任意の表面である。例えば、バスルーム、キッチン、工場、スイミングプール、ロッカールーム、食品加工プラント、ボート、船舶、及びその他の場所が、本発明による部位である。
【0101】
一実施形態において、本発明の組成物は、加圧下でバイオフィルムに適用される。圧力は、例えば、2psi~50psi、3psi~30psi、5psi~15psi、又はそれらの間の任意の範囲である。
【0102】
一実施形態において、部位は、バイオフィルム関連感染を発症する危険性があるか、又はバイオフィルムの形成に関連する既存の感染を有する、対象の体内の任意の部位である。特定の実施態様において、部位は、口腔、鼻腔、気道、消化管(腸、胃、及び結腸を含む)、泌尿生殖器、眼、副鼻腔、手術部位、インプラント、及び皮膚から選択される。いくつかの実施形態において、組成物は、部位に直接又は間接的に適用される。
【0103】
特定の実施形態において、患者は、本発明の組成物での処置の前に、バイオフィルム感染とまず診断される。対象はまた、治療の効力を調べるために、治療後及び/又は治療中にモニターされてもよい。
【0104】
バイオフィルム感染の位置は、例えば、X線及びCTスキャンのような画像化技術によって決定される。一実施形態において、バイオフィルム感染は、対象から生体サンプルを取り、バイオフィルム状態ではあるが自由浮遊(プランクトン性)状態ではない微生物に関連し、及び/又はそれによって選択的に発現される1つ以上のバイオマーカー(例えば、エキソ多糖、タンパク質、mRNA)の存在を測定することによって検出される。
【0105】
他の実施形態において、バイオフィルム感染は、細菌細胞外多糖(EPS)マトリックス、又はEPSに含まれる化学物質の存在によって検出される。
【0106】
さらに、バイオフィルムを形成する薬物耐性微生物及び/又は病原性微生物の種は、例えば、病原性微生物の存在に関連する抗原又はペプチドを認識する抗体を使用することによって、又は病原性微生物の核酸分子を認識するプローブを使用することによって決めることができる。
【0107】
本明細書で使用される「生体サンプル」という用語には、対象から単離された組織、細胞、及び/又は生体流体を含有するサンプルが含まれるが、これに限定されない。生体サンプルの例としては、これらに限定されるものではないが、組織、細胞、生検材料、血液、リンパ液、血清、血漿、尿、脳脊髄液、唾液、及び涙が挙げられる。特定の実施形態において、生体サンプルは、涙、鼻液、及び唾液を含む。
【0108】
本発明に有用なバイオマーカーの存在及び/又はレベルは、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット、ノーザンブロット、免疫学的アッセイ、免疫蛍光、及び核酸ハイブリダイゼーション技術等の当技術分野で公知の技術によって決めることができる。
【0109】
一実施形態において、バイオフィルム感染は、抗生物質に対して耐性があることが分かっている。利点としては、本発明の抗バイオフィルム組成物は、細菌の薬物耐性菌株においてさえ、バイオフィルムを排除したり、バイオフィルムの形成を減少させるのに有用であることがある。さらに、本発明は、細菌薬物耐性を減少させるのに有用である。
【0110】
特定の実施形態において、例えば、バイオフィルムの部位又は潜在的なバイオフィルムの部位が対象の消化管内にある場合、本方法は、治療有効量のプロトンポンプ阻害剤(PPI)を適用することをさらに含むことができる。PPIは、胃の粘膜にある腺でつくられる胃酸の量を減らすことによって作用する。
【0111】
一実施形態において、PPIは、対象の胃中の胃酸の量を減少させることによって、本サプリメント組成物の抗菌成分の効力を強化する。一実施形態において、PPIは、ウレアーゼを阻害する。一実施形態において、PPIは、抗バイオフィルム効果を有する。
【0112】
一実施形態において、PPIは、オメプラゾール、ランソプラゾール、デキスランソプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、イラプラゾール及びテナトプラゾールから選択される薬剤である。
【0113】
好ましい実施形態において、PPIはオメプラゾールである。オメプラゾール(Prilosec)は、パケット、懸濁液、遅延放出タブレットもしくはカプセル、又は経口崩壊タブレットの形態で投与することができる。一実施形態において、本組成物によるオメプラゾールの1ドーズ量は、2.5mg~40mg、又は5mg~20mgである。一実施形態において、液体形態で投与される場合、オメプラゾールの濃度は、1ドーズ量当たり1~5mg/ml、好ましくは、2mg/mlである。
【0114】
この実施形態において、抗バイオフィルム組成物は、化学療法剤及び/又は他の癌治療と併せて投与することができる。
【0115】
本発明の組成物を含む組成物の抗バイオフィルム効力は、カルガリーバイオフィルム装置、MBEC(最小バイオフィルム根絶濃度)手順又は抗バイオフィルム効力を評価する他の手段を実施するためのバイオフィルムの接種のためのFDAクラスI承認装置(米国特許第6,599,714号、本明細書中に参考文献として組み込まれる)を使用して評価される。使用することができる他の抗菌試験には、寒天又はディスク拡散技術、カービー-バウアー試験及び最小阻害濃度(MIC)が含まれる。これらの技術は当業者には周知であり、ここでは詳細に説明しない。プロトコルは、John Lammert、Pearson Education、2007による「Techniques in Microbiology」、及びGeorge AWistreich、Pearson Education、2003による「Microbiology Laboratory Fundamentals and Applications」にあり、全体が参照により組み込まれる。
【0116】
抗菌フィルム効力(バイオフィルム阻害濃度又はBIC)は、試験される同じ抗菌化合物及び微生物について最小阻害濃度(MIC)試験を実施することによって、プランクトン効力に対して直接比較することができる。さらに、抗バイオフィルム効力は、この場合に測定されるものが、蜂蜜のような化合物の抗菌物質の死滅直径(「阻害ゾーン」)ではなく、完全なバイオフィルム成長阻害(バイオフィルム阻害濃度、又はBIC)のサイズであることを除いて、マヌカ因子(Molan、Peter、「Method for assay of antibacterial activity of honey」、2005、参照により本明細書に組み込まれる)に類似する分類システムを使用して測定することができる。この手順は、グラム陰性細菌、メチシリン感受性及びメチシリン耐性ブドウ球菌Staphylococcus等の細菌群だけでなく、一連の細菌に対する組成物のBIC規格を開発するために使用される。
【0117】
利点としては、本発明の殺菌組成物が、有機物質(血液、組織、及び/又は汚れ及びデブリを含む)が存在する場合であっても、バイオフィルム関連感染に対抗するのに有効であることである。さらに、この方法は、不活性表面、例えば、内在医療機器、カテーテル、医療/外科ツール、インプラント、床、カウンター、シンク、トイレ、ドレイン、ボート、プールデッキ、ショッピングカート、パイプ/チューブ、シート(例えば、スツール、ベンチ、椅子)、ドアハンドル、通気口、マウスピース、スポーツ器具、又は細菌が存在し、バイオフィルム形成を生じ得る他の場所への消毒組成物の適用を介して、バイオフィルム形成微生物の拡散を防止するために使用される。
【0118】
本発明の実施形態において、抗バイオフィルム組成物の投与は、数日間又はそれ以上にわたって毎日行われる。投与は、経口、経鼻、皮膚、静脈内投与、又は本明細書に記載されるような他の方法を含むが、これらに限定されない、薬物投与の任意の公知の方法を含む。一実施形態において、サプリメント組成物は、当業者によって対象ごとに決定されて、1日に1回、2回、又は3回、部位に適用される。投与する投与回数を決定する際に考慮すべき因子には、処置を受けている個人の年齢及び対象の症状の重篤度が含まれる。
【0119】
一実施形態において、感染が処置されたかどうか、及び/又はどの程度まで処置されたかを判定するために、本方法は、対象に対して追跡試験を実施することをさらに含む。感染の状況及び組成物が感染を効果的に処置しているか否かを判断するために、処置の過程を通して、例えば、毎日又は1日おきに対象をモニターすることができる。これには、例えば、感染を診断するために使用されるような試験の実施、及び健康を改善する兆候について対象を観察することが含まれる。追跡試験が改善された健康の割合が所望されるものより低いことを示す場合、組成物のドーズ量は、当業者によって決定されるように調節することができる。
【0120】
本発明の抗バイオフィルム組成物は、広範囲の現在利用可能な送達機器、システム、及び方法を使用して、多くの経路によって部位に送達される。これらの経路には、例えば、皮膚、腹腔内、頭蓋内、病変内、胸腔内(手術中)、鼻腔、外耳道内、口腔腸前処置、胃洗浄、洗眼剤、歯周、直腸、軟組織、皮下、及び膣経路が含まれる。
【0121】
送達は、これらに限定されるものではないが、尿路感染症、血流感染症、頭蓋内感染症、及び関節感染症を含むが、これらに限定されない、一連の病原性バイオフィルム、又は潜在的な病原性バイオフィルムによって引き起こされる感染症を処置するために、カテーテルを介して行うことができる。
【0122】
一実施形態において、組成物は、これらに限定されるものではないが、例えば、髄膜炎を含む脊髄感染を治療及び/又は防止するために、シリンジを介して投与することができる。
【0123】
一実施形態において、組成物は、慢性創傷及び火傷等の適切な部位を処置する、又は鼻投与のために、又は、例えば、生物兵器に関して、病原体に曝露されたか、又は曝露されたと疑われる対象を消毒するための全身シャワー又は部分シャワーとして、噴霧又はミストを介して投与することができる。
【0124】
一実施形態において、組成物は、例えば、肺炎又は他の気道感染を処置するために、吸入によって投与することができる。特定の実施形態において、組成物は、バイオフィルムに関連する肺感染を発症したか、又はそのような感染を発症する危険性があるのう胞性線維症(CF)患者による吸入のために処方される。特定の実施形態において、対象は(CF)と診断されている。
【0125】
一実施形態において、組成物は、皮膚、及び、例えば、外耳道を含む他の身体表面を消毒するための材料を介して投与される。材料は、例えば、拭き取り用品、布、又は綿棒であってもよい。好ましくは、拭き取り用品、布、綿棒、又は他の材料は、乳児又は高齢者の肌のような敏感な肌でも使用できるように処方される。例えば、保湿剤を含む他の成分を添加することができる。
【0126】
一実施形態において、組成物は、組織を治癒する部位に投与することができる。本発明の目的のために、治癒組織部位は、損傷又は疾患のある、損傷又は疾患の処置後に回復している組織の領域である。治癒組織部位は、肌の表面にあっても内部にあってもよい。一実施形態において、組成物は、パッチ、包帯、又はドレッシング材、濃厚な粘性溶液、生分解性ゲル又は縫合糸を介して治癒組織部位に投与することができる。
【0127】
一実施形態において、組成物は、経口的に服用された錠剤、マイクロカプセル送達球、ナノ粒子、標的ナノ粒子(例えば、受容体媒介標的ナノ粒子)、時間制御送達システム、滅菌殺菌組成物の凍結ブロック、活性剤の普通水溶液、活性剤の等張溶液、又は移植可能な時間放出送達システムを介して投与される。
【0128】
一実施形態において、組成物は、感染によって引き起こされる炎症を減少させるのに有効である。減少は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、又は炎症もしくは感染における本質的に完全な減少、又は前述の数に約がついたもの、又は前述の数のいずれか2つによって区切られる範囲である。
【0129】
一実施形態において、本発明は、対象におけるバイオフィルム関連感染によって引き起こされる炎症を防止、軽減及び治療するための方法であって、1つ以上の生体両親媒性分子(BAM)及び任意で1つ以上の殺生物性物質を含む組成物を対象に投与することを含む。好ましくは、炎症は、気道感染、尿路感染、血流感染、頭蓋内感染、及び関節感染によって引き起こされる。より好ましくは、炎症は、バイオフィルムの形成によって引き起こされる肺感染である。
【0130】
特定の実施形態において、組成物は、投与後にその部位に残される。さらなる実施形態において、部位又は組織は、例えば、活性剤を含まない無菌溶液で洗浄する。活性剤を含まない溶液の例としては、これに限定されるものではないが、水、食塩水、及び活性剤を含まない等張溶液が挙げられる。洗浄は、活性剤を含まない溶液を部位に投与し、得られた溶液を、例えば、吸入によって部位又は組織から除去することによって行うことができる。特定の実施形態において、洗浄は、対象の部位に組成物を投与してから約1分~約10分、約2分~約5分、又は約3分以内に行われる。他の実施形態において、吸引は、洗浄を伴って、又は伴わずに行われる。
【0131】
本発明による方法に用いるドーズ量は、処置が治療的であるか防止的であるか、症状の発症、進度、重篤度、頻度、持続期間、確率又は感受性であるか、処置の対象となる病因の種類、望まれる臨床的エンドポイント、前回、同時又は後回の処置、対象の一般的な健康状態、年齢、性別又は人種、バイオアベイラビリティ、潜在的な有害な全身性、局所又は局部の副作用、対象における他の障害又は疾患の存在、及び当業者であれば理解される他の因子(例えば、医療歴又は家族歴)に応じて変化する。
【0132】
ドーズ量、頻度又は期間は、所望の臨床転帰、感染の状況、症状又は病理、処置又は療法のあらゆる有害な副作用によって示されると、増減される。当業者であれば、防止的又は治療的効果又は利益を提供するのに十分又は有効な量を提供するために必要とされるドーズ量、頻度及びタイミングに影響する因子が分かるであろう。正確なドーズ量は、処置を必要とする対象に関連する因子に応じて、医療従事者によって決定される。ドーズ量及び投与は、十分なレベルの活性剤を提供するために、又は所望の効果を維持するために調節される。当然のことながら、本明細書に記載の処置には、疾患を防止する、症状を改善する、疾患の進行を遅らせる、損傷を反転させる、又は疾患を治癒させることを含むことが理解されるのであろう。
【0133】
バイオフィルム関連感染を処置するための組成物は、約0.01mg/ドーズ量~3000mg/ドーズ量、約0.1mg/ドーズ量~2000mg/ドーズ量、約1mg/ドーズ量~1500mg/ドーズ量、約10mg/ドーズ量~1000mg/ドーズ量、約20mg/ドーズ量~800mg/ドーズ量、約50mg/ドーズ量~500mg/ドーズ量、約100mg/ドーズ量~300mg/ドーズ量、又は約100mg/ドーズ量~200mg/ドーズ量の1つ以上の抗生物質を含んでもよい。好ましくは、抗生物質は、約10mg/ドーズ量、20mg/ドーズ量、30mg/ドーズ量、50mg/ドーズ量、100mg/ドーズ量、150/ドーズ量、200mg/ドーズ量、250mg/ドーズ量、200mg/ドーズ量又は300mg/ドーズ量で吸入可能な組成物中に提供される。
【0134】
一日当たりの抗生物質の総量は、約0.01mg/日~6,000mg/日、約0.1mg/日~5,500mg/日、約1mg/日~5,000mg/日、約10mg/日~4,500mg/日、約20mg/日~4,000mg/日、約30mg/日~3,000mg/日、約50mg/日~2,000mg/日、約100mg/日~2,000mg/日、約150mg/日~2,000mg/日、約200mg/日~2,000mg/日、約250mg/日~2,000mg/日、約300mg/日~1,500mg/日、約500mg/日~1,000mg/日、又は約800mg/日~1,000mg/日である。好ましくは、抗生物質は、約200mg/日、300mg/日、500mg/日、1,000mg/日又は1,250mg/日で組成物中に提供される。
【0135】
バイオフィルム関連感染を処置するための組成物は、約0.01mg/ドーズ量~3000mg/ドーズ量、約0.1mg/ドーズ量~2000mg/ドーズ量、約0.5mg/ドーズ量~1000mg/ドーズ量、約1mg/ドーズ量~1000mg/ドーズ量、約10mg/ドーズ量~1000mg/ドーズ量、約20mg/ドーズ量~800mg/ドーズ量、約50mg/ドーズ量~500mg/ドーズ量、約100mg/ドーズ量~300mg/ドーズ量、約100mg/ドーズ量~200mg/ドーズ量、約0.1mg/ドーズ量~100mg/ドーズ量、約0.5mg/ドーズ量~100mg/ドーズ量、約1mg/ドーズ量~100mg/ドーズ量、約5mg/ドーズ量~100mg/ドーズ量、約10mg/ドーズ量~100mg/ドーズ量又は約0.1mg及び10mg/ドーズ量の1つ以上のBAMを含む。好ましくは、BAMは、約0.1mg/ドーズ量、0.5mg/ドーズ量、1mg/ドーズ量、5mg/ドーズ量、10mg/ドーズ量、20mg/ドーズ量、30mg/ドーズ量、50mg/ドーズ量、100mg/ドーズ量、150mg/ドーズ量、200mg/ドーズ量、250mg/ドーズ量、200mg/ドーズ量又は300mg/ドーズ量で組成物中に提供される。
【0136】
活性スペクトル
本発明の組成物及び方法は、好気的及び/又は嫌気的に増殖するバイオフィルムに適している。バイオフィルムのコントロールは、生体又は非生体表面へのバイオフィルム又は病原性微生物の堆積、密着、及び/又は固定を防止、阻害、及び/又は破壊し、例えば、エキソ多糖(EPS)マトリックスといった細胞外因子の分泌及び/又は放出を防止、阻害、及び/又は破壊し、及び/又はクオラムセンシング機構を防止、阻害、及び/又は破壊することをはじめとする、種々の機構を介して達成される。これらの病原体には、好気性及び嫌気性のグラム陽性菌とグラム陰性菌が含まれる。
【0137】
バイオフィルムの形成を排除、防止又は阻害することに加えて、本発明の組成物はまた、特定のバイオフィルム形成細菌を「脱病原化」することもでき、これらの細菌を無力化して感染を引き起こさないようにする。利点としては、本発明による殺菌組成物の投与が組織損傷を引き起こすことなく、バイオフィルム関連感染を効果的にコントロールできることである。
【0138】
微生物は、Streptococcus spp.(例えば、S. agalactiae、S. pneumoniae、S. pyogenes、S. salivarius及びS. sanguis)、Staphylococcus spp.(例えば、S. aureus、S. epidermidis、S. haemolyticus、S. hominis及びS. simulans、オキサシリン耐性(ORSA)及びオキサシリン感受性ブドウ球菌(別名:メチシリン耐性[MRSA]又はメチシリン耐性ブドウ球菌)、Acinetobacter spp.、Bacteroides spp.(例えば、B. fragilis)、Clostridium difficile、Enterobacter spp.、Enterococcus spp.(例えば、E. faecalis及びE. faecium、バンコマイシン感受性及びバンコマイシン耐性株)、Escherichia coli、Francisella spp. 、Helicobater spp.(例えば、H. bilis、H. bizzozeronii、H. canadensis、H. canis、H. cinaedi、H. fennelliae、H. heilmannii、H. hepaticus、H. pullorum、H. pylori、H. rappini、H. salmonis及びH. suis)、Klebsiella spp.(例えば、K. aerogenes、K. pneumonia)、Propionibacterium spp.、Proteus mirabilis、Pseudomonas aeruginosa、Salmonella spp.、Selenomonas spp.、Stenotrophomonas spp.、Veillonella spp.及びYersinia pestisから選択できるが、これらに限定されない。
【0139】
バイオフィルム感染に関連する条件
利点としては、本発明によって、バイオフィルム感染によって引き起こされる疾患、障害及び状態の同時改善、バイオフィルム感染発生の減少、ならびに細菌の抗生物質耐性株の発生の減少ができることである。
【0140】
特定の実施形態において、本発明は、バイオフィルムによって引き起こされるか、又はバイオフィルムに関連する疾患を防止、処置、又は改善するために使用される。これらに限定されるものではないが、敗血症、毒血症、アレルギー、喘息、アスペルギルス症、「外耳炎」、限局性外耳炎、中耳炎、慢性中耳炎、アトピー性皮膚炎、慢性副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜疾患、慢性気管支炎、のう胞性線維症、鼻感染、副鼻腔感染症、はやり目、眼感染症、ドライアイ症候群、片頭痛、不安症、うつ、慢性歯肉炎、慢性歯周炎、胃痛、悪心、嘔吐、消化性潰瘍、胃癌、胃炎、消化管出血、下痢、便秘、ガス、膨満感、食物過敏症、むねやけ、逆流、胃食道逆流症(GERD)、消化不良、過敏性腸症候群(IBS)、癌(例えば、結腸癌)、湿疹、ニキビ、慢性非治癒創傷、慢性膀胱炎、眼瞼炎、マイボーム腺炎、酒さ、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、急性虚血性脳卒中、心筋梗塞、肝細胞癌、肝硬変及び肝性脳症、非アルコール性脂肪性肝疾患及び線維症、急性及び慢性膵炎の病因、自己免疫性膵炎、糖尿病及びメタボリックシンドローム、 慢性扁桃炎、ならびにアデノイド炎が挙げられる。
【0141】
一実施形態において、本発明の組成物は、例えば、外科用インプラント、ステント、カテーテル、及び他の内在医療機器に関して、バイオフィルムの形成を防止又は低減するために使用される。
【国際調査報告】