IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ ユーエイビー リサーチ ファウンデイションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-19
(54)【発明の名称】サポニン系ワクチンアジュバント
(51)【国際特許分類】
   C07J 63/00 20060101AFI20220512BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20220512BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220512BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220512BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20220512BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220512BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220512BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20220512BHJP
【FI】
C07J63/00 CSP
A61K39/00 H
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K39/39
A61P37/04
A61P35/00
A61K47/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021555818
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(85)【翻訳文提出日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 US2020023185
(87)【国際公開番号】W WO2020190959
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】62/820,477
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】301044015
【氏名又は名称】ザ ユーエイビー リサーチ ファウンデイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ペンフェイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C091
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC07
4C076CC27
4C076CC41
4C076DD66
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA19
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZB09
4C084ZB26
4C084ZC75
4C085AA03
4C085EE01
4C085EE03
4C085EE06
4C085FF14
4C091AA06
4C091BB20
4C091CC01
4C091DD01
4C091EE06
4C091FF01
4C091GG01
4C091HH01
4C091JJ03
4C091KK01
4C091LL01
4C091MM03
4C091QQ01
4C091RR08
(57)【要約】
いくつかのMSおよび天然サポニン系ワクチンアジュバント候補が調製されている。MS誘導体は、アミド形成反応を通じて天然サポニンMS IおよびIIのC3グルクロン酸単位に末端官能化側鎖を組み込むことによって調製され、QS類似体は、複数ステップの有機合成を介して調製された。これらの非天然サポニンは、顕著に異なる免疫刺激物質活性プロファイルを示し、側鎖、トリテルペノイドコア、およびオリゴサッカリドドメインの構造が一緒になって、各サポニンの特徴的な免疫応答の増強を結集することを示唆している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Momordica cochinchinensis Sprengから誘導され、下式を有する変性サポニンであって、
【化1】

式中、
が、HまたはOHであり、
およびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され、
およびfが、各々独立して、OH、またはアセチル、またはフオクシル(fuocsyl)単位のC3およびC4であり、fおよびfが、環式ケタール環または環式炭酸エステルを形成し、
およびgaが、各々独立して、H、メチル基、カルボキシル基、R-NR-C(O)-、およびR-O-からなる群から選択され、
およびRが、各々独立して、構造R(CH0-20-またはR[(CH0-200-20(CH0-200-20を有する直鎖であり、
が、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり、
が、Hまたはアルキル基であり、
r3が、H、モノサッカリド、ジサッカリド、またはトリサッカリドであり、
x3が、H、モノサッカリド(キシロースを除く)、またはジサッカリドであり、
ga3が、H、モノサッカリド、またはジサッカリドである、変性サポニン。
【請求項2】
前記担体が、
ポリアミンポリマー、ポリエチレングリコールアミン、ポリ(エチレンイミン)、ナノカーボン、またはアミノ含有生体分子からなる群から選択される、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項3】
前記変性サポニンが、式Iを有し、
【化2】

式中、
が、HまたはOHであり、
およびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され、
が、H、メチル基、カルボキシル基、R-NR-C(O)-、およびR-O-からなる群から選択され、
およびRが、各々独立して、構造R(CH0-20-またはR[(CH0-200-20(CH0-200-20を有する直鎖であり、
が、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり、
が、Hまたはアルキル基である、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項4】
が、カルボキシル基である、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項5】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、構造HOOC-(CH6-20-を有する長鎖脂肪酸である、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項6】
が、構造HC-(CH6-20-O-CH-を有するアルコキシ基である、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項7】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、構造HO-(CH6-20-を有する長鎖アルコールである、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項8】
が、エステル基、エーテル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アジド基、および芳香族基から選択された官能基で終端する長鎖アルキルである、請求項7に記載の変性サポニン。
【請求項9】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、長鎖アルキルRO(CH6-20-であり、Rが、モノサッカリド、ジサッカリド、およびトリサッカリドからなる群から選択されたサッカリド単位から選択される、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項10】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、モノホスホリル脂質A(MPL)で終端する長鎖アルキルである、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項11】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)またはトリパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)で終端する長鎖アルキルである、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項12】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、ムラミルジペプチド単位で終端する長鎖アルキルである、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項13】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、α-Galcer単位で終端する長鎖アルキルである、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項14】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、MS I単位で終端する長鎖アルキルである、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項15】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、MS II単位で終端する長鎖アルキルである、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項16】
前記変性サポニンが、下式A~Eからなる群から選択される、請求項1に記載の変性サポニン。
【化3】
【請求項17】
Momordica cochinchinensis Sprengから誘導され、下式を有する変性サポニンを含む、薬学的組成物であって、
【化4】

式中、
が、HまたはOHであり、
およびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され、
およびfが、各々独立して、OH、またはアセチル、またはフオクシル単位のC3およびC4であり、fおよびfが、環式ケタール環または環式炭酸エステルを形成し、
およびgaが、各々独立して、H、メチル基、カルボキシル基、R-NR-C(O)-、およびR-O-からなる群から選択され、
およびRが、各々独立して、構造R(CH0-20-またはR[(CH0-200-20(CH0-200-20を有する直鎖であり、
が、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり、
が、Hまたはアルキル基であり、
r3が、H、モノサッカリド、ジサッカリド、またはトリサッカリドであり、
x3が、H、モノサッカリド(キシロースを除く)、またはジサッカリドであり、
ga3が、H、モノサッカリド、またはジサッカリドである、薬学的組成物。
【請求項18】
前記担体が、ポリアミンポリマー、ポリエチレングリコールアミン、ポリ(エチレンイミン)、ナノカーボン、またはアミノ含有生体分子からなる群から選択される、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
前記変性サポニンが、式Iを有し、
【化5】

式中、
q1が、HまたはOHであり、
q2が、CHO、CH3、CH2OH、H、またはアセタール基の一部であり、
q3が、CHO、CH3、CH2OH、H、またはアセタール基の一部であり、
R3が、H、メチル基、カルボキシル基、R-NR-C(O)-、およびR-O-からなる群から選択され、
およびRが、各々独立して、構造R(CH0-20-またはR[(CH0-200-20(CH0-200-20を有する直鎖であり、
が、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり、
が、Hまたはアルキル基である、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
が、カルボキシル基である、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、構造HOOC-(CH6-20-を有する長鎖脂肪酸である、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
前記Rが、構造HC-(CH6-20-O-を有するアルコキシ基である、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項23】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、構造HO-(CH6-20-を有する長鎖アルコールである、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項24】
が、エステル基、エーテル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アジド基、および芳香族基から選択された官能基で終端する長鎖アルキルである、請求項23に記載の薬学的組成物。
【請求項25】
が、構造HC-(CH6-20-O-CH-を有するアルコキシ基である、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、構造HO-(CH6-20-を有する長鎖アルコールである、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項27】
が、エステル基、エーテル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アジド基、および芳香族基から選択された官能基で終端する長鎖アルキルである、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、長鎖アルキルR6O(CH6-20-であり、Rが、モノサッカリド、ジサッカリド、およびトリサッカリドからなる群から選択されたサッカリド単位から選択される、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項29】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、モノホスホリル脂質A(MPL)で終端する長鎖アルキルである、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項30】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)またはトリパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)で終端する長鎖アルキルである、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項31】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、ムラミルジペプチド単位で終端する長鎖アルキルである、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項32】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、α-Galcer単位で終端する長鎖アルキルである、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項33】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、MS I単位で終端する長鎖アルキルである、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項34】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、MS II単位で終端する長鎖アルキルである、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項35】
前記変性サポニンが、下式A~Eからなる群から選択される、請求項17に記載の薬学的組成物。
【化6】
【請求項36】
前記組成物が、少なくとも1つの免疫原をさらに含む、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項37】
前記組成物が、薬学的に許容可能な担体をさらに含む、請求項36に記載の薬学的組成物。
【請求項38】
前記組成物が、動物またはヒト対象に投与するために製剤化される、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項39】
前記組成物が、少なくとも1つのがん治療剤と、薬学的に許容可能な担体と、をさらに含み、前記少なくとも1つの化学療法剤およびサポニン誘導体が、薬学的に許容可能な製剤中に混和されているか、または互いに共有結合している、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項40】
動物またはヒト対象に投与されると、免疫原の免疫原性を増加させる方法であって、少なくとも、請求項36に記載の薬学的組成物を含むワクチンを前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項41】
サポニン誘導体を合成するための合成経路であって、天然サポニンを官能化側鎖分子とカップリングすることを含み、前記官能化側鎖が、アミノ基またはヒドロキシル基を含む、合成経路。
【請求項42】
前記天然サポニンが、Momordica cochinchinensis Sprengから得られる、請求項41に記載のサポニン誘導体を合成するための合成経路。
【請求項43】
前記天然サポニンが、アミド形成反応またはエステル形成反応を介して前記官能化側鎖分子にカップリングされる、請求項41に記載のサポニン誘導体を合成するための合成経路。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月19日出願の「Saponin-Based Vaccine Adjuvants」と題された米国仮特許出願第62/820,477号に対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
米国政府によって提供された資金に関する声明
本発明は、米国国立衛生研究所によって授与された契約R01 GM120159のもとで政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明においてある特定の権利を有する。
【0003】
ワクチンアジュバントは、ワクチンによって導入された特定の抗原(複数可)に対する宿主の免疫応答を増強するためにワクチンと共に使用される物質である(Brunner et al.,(2010)Immunol.Lett.128:29-35、Kensil et al.,(2004)Frontiers Biosci.9:2972-2988、Leroux-Roels G.(2010)Vaccine28(Suppl3):C25-36、Sharp&Lavelle(2012)Development Therapeutic Agents Handbook John Wiley&Sons,Inc;pp.533-546、Wang W.(2011)World J.Vaccines 1:33-78、Weeratna&McCluskie(2011)Recent Advan.Vaccine Adjuvants.pp.303-322;Cox&Coulter(1997)Vaccine 15:248-256、Klebanoff et al.,(2010)Immunol.Rev.239:27-44、Plotkin SA.(2005)Nat.Med.11:S5-S11、Rappuoli&Aderem(2011)Nature473:463-469、Kensil et al.,(2005)Vaccine Adjuvants:Immunological and Clinical Principles Humana Press Inc.pp.221-234)。
【0004】
ワクチンアジュバントはまた、ある特定の病原体に対して望ましい応答に免疫系を調整する。例えば、2つの異性体の混合物であるQS-21は、抗原特異的CTL産生でバランスの取れたTh1/Th2応答を増強する能力で知られているFDA承認のアジュバントであり、これは、細胞内病原体およびがんに対するワクチンに有益である(Ragupathi et al.,(2011)Expert Rev.Vaccines 10:463-470、Deng et al.,(2008)Angew Chem.Int.47:6395-6398、Kensil CR.(1996)Critical Revs.Therap.Drug Carrier Systs.13:1-55、Kensil et al.,(1991)J.Immun.146:431-437)。これは、幅広い臨床応用の潜在性を有し、したがって需要が高い(Kensil et al.,(1991)J.Immun.146:431-437)。QS-21の供給は、非常に限定的である。天然産生物は、温暖なチリ中部原産の常緑樹であるQuillaja saponaria Molina(QS)の樹皮から単離される。しかしながら、現在の需要下でさえ、天然源の過剰収集によって生態学的かつ経済的な結果が生じている(Ragupathi et al.,(2010)Vaccine28:4260-4267)。さらに、QS樹皮抽出物中のQS-21の存在量は低く、その単離には労力がかかる(Kensil et al.,(1991)J.Immun.146:431-437、Ragupathi et al.,(2010)Vaccine28:4260-4267、Wang et al.,(2005)J.Am.Chem.Soc.127:3256-3257)。QS-21はまた、その製剤化を複雑にする2つの加水分解的に不安定なエステル部分に起因する化学的不安定性の問題を有し、その用量を限定する毒性はまた、完全な効力に到達することを妨げる。平易なドデシル側鎖または末端カルボキシル基を有する側鎖を担持するQS-21類似体は、異なるアジュバント活性を有することが示されている(Adams et al.,(2010)J.Am.Chem.Soc.132:1939-1945、Chea et al.,(2012)J.Am.Chem.Soc.134:13448-13457)。
【0005】
Momordicaサポニン(MS)I(2)およびII(3)の誘導体化は、目的のQS-21の実用的な代替物を達成するための潜在的に実行可能な方式であることが示されている(Wang et al.,(2019)J.Med.Chem.62:9976-9982)。MS IおよびIIは、中国および東南アジアで生育する多年生Momordica cochinchinensis Spreng(MC)の種子から単離される(Lieberman et al.,(2009)Clin.Vaccine Immunol.16:1332-1337)。種子は、広く入手可能かつ安価である。C3グルクロン酸でのMS Iへの脂肪族ドデシル鎖の組み込みによって、特に抗原特異的IgG2a応答を向上させることによる、天然前駆体と顕著に異なるアジュバント活性プロファイルを有する誘導体VSA-1(4a)がもたらされた(Slovin et al.,(2005)Vaccine23:3114-3122)。MS誘導体4aおよび別のMS II誘導体5aの2つは、C16において5aのキラル酸コアに対して4aのトリテルペノイドコアの構造のみが異なるにもかかわらず、5aおよびその天然サポニン前駆体3は、IgG1およびIgG2aの応答においてそのような顕著な変化を有さなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の一態様は、下式を有する変性サポニンであって、
【化1】

式中、qが、HまたはOHであり得、qおよびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され得、fおよびfが、各々独立して、OH、またはアセチル、またはフオクシル(fuocsyl)単位のC3およびC4であり得、fおよびfが、環式ケタール環または環式炭酸エステルを形成し得、fおよびgaが、各々独立して、H、メチル基、カルボキシル基、R-NR-C(O)-、およびR-O-からなる群から選択され得、RおよびRが、各々独立して、構造R(CH0-20-またはR[(CH0-200-20(CH0-200-20を有する直鎖であり得、Rが、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、Rが、Hまたはアルキル基であり得、r3が、H、モノサッカリド、ジサッカリド、またはトリサッカリドであり得、x3が、H、モノサッカリド(キシロースを除く)またはジサッカリドであり得、ga3が、H、モノサッカリドまたはジサッカリドであり得る、変性サポニンの実施形態を包含する。
【0008】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、担体は、ポリアミンポリマー、ポリエチレングリコールアミン、ポリ(エチレンイミン)、ナノカーボン、およびアミノ含有生体分子からなる群から選択され得る。
【0009】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、変性サポニンは、下式Iを有し得、
【化2】

式中、qが、HまたはOHであり得、qおよびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され得、Rが、H、メチル基、カルボキシル基、R-NR-C(O)-、およびR-O-からなる群から選択され得、RおよびRが、各々独立して、構造R(CH0-20-またはR[(CH0-200-20(CH0-200-20を有する直鎖であり得、Rが、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、Rが、Hまたはアルキル基であり得る。
【0010】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、カルボキシル基であり得る。
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、構造HOOC-(CH6-20-を有する長鎖脂肪酸であり得る。
【0011】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、構造HC-(CH6-20-O-CHを有するアルコキシ基であり得る。
【0012】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、構造HO-(CH6-20-を有する長鎖アルコールであり得る。
【0013】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、エステル基、エーテル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アジド基、および芳香族基から選択された官能基で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0014】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり、Rが、長鎖アルキルRO(CH6-20-であり得、Rが、モノサッカリド、ジサッカリド、およびトリサッカリドからなる群から選択されたサッカリド単位から選択され得る。
【0015】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、モノホスホリル脂質A(MPL)で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0016】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)またはトリパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0017】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、ムラミルジペプチド単位で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0018】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、α-Galcer単位で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0019】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、MS I単位で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0020】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、MS II単位で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0021】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、変性サポニンは、下式A~Eからなる群から選択され得る。
【化3】
【0022】
開示の別の態様は、下式を有する変性サポニンを含む、薬学的組成物であって、
【化4】

式中、qが、HまたはOHであり得、qおよびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され得、fおよびfが、各々独立して、OH、またはアセチル、またはフオクシル単位のC3およびC4であり得、fおよびfが、環式ケタール環または環式炭酸エステルを形成し得、fおよびgaが、各々独立して、H、メチル基、カルボキシル基、R-NR-C(O)-、およびR-O-からなる群から選択され得、RおよびRが、各々独立して、構造R(CH0-20-またはR[(CH0-200-20(CH0-200-20を有する直鎖であり得、Rが、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、Rが、Hまたはアルキル基であり得、r3が、H、モノサッカリド、ジサッカリド、またはトリサッカリドであり得、x3が、H、モノサッカリド(キシロースを除く)またはジサッカリドであり得、ga3が、H、モノサッカリドまたはジサッカリドであり得る、薬学的組成物の実施形態を包含する。
【0023】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、担体は、ポリアミンポリマー、ポリエチレングリコールアミン、ポリ(エチレンイミン)、ナノカーボン、およびアミノ含有生体分子からなる群から選択され得る。
【0024】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、変性サポニンは、下式Iを有し得、
【化5】

式中、qが、HまたはOHであり得、qおよびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され得、Rが、H、メチル基、カルボキシル基、R-NR-C(O)-、およびR-O-からなる群から選択され得、RおよびRが、各々独立して、構造R(CH0-20-またはR[(CH0-200-20(CH0-200-20を有する直鎖であり得、Rが、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、Rが、Hまたはアルキル基であり得る。
【0025】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、カルボキシル基である。
【0026】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり、Rが、構造HOOC-(CH6-20-を有する長鎖脂肪酸である。
【0027】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、構造HC-(CH6-20-O-を有するアルコキシ基であり得る。
【0028】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、構造HO-(CH6-20-を有する長鎖アルコールであり得る。
【0029】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、エステル基、エーテル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アジド基、および芳香族基から選択された官能基で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0030】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、構造HC-(CH6-20-O-CH-を有するアルコキシ基であり得る。
【0031】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、構造HO-(CH6-20-を有する長鎖アルコールである。
【0032】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、エステル基、エーテル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アジド基、および芳香族基から選択された官能基で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0033】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、長鎖アルキルR6O(CH6-20-であり得、Rが、モノサッカリド、ジサッカリド、およびトリサッカリドからなる群から選択されたサッカリド単位から選択され得る。
【0034】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、モノホスホリル脂質A(MPL)で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0035】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり、Rが、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)またはトリパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0036】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、ムラミルジペプチド単位で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0037】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、α-Galcer単位で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0038】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、MS I単位で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0039】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、MS II単位で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0040】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、変性サポニンは、下式A~Eからなる群から選択され得る。
【化6】
【0041】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも1つの免疫原をさらに含み得る。
【0042】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含み得る。
【0043】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、薬学的組成物は、動物またはヒト対象に投与するために製剤化され得る。
【0044】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも1つのがん治療剤と、薬学的に許容可能な担体と、をさらに含み得、少なくとも1つの化学療法剤およびサポニン誘導体が、薬学的に許容可能な製剤中に混和されているか、または互いに共有結合している。
【0045】
開示のさらに別の態様は、動物またはヒト対象に投与されると、免疫原の免疫原性を増加させる方法の実施形態を包含し、方法が、少なくとも、本開示による薬学的組成物を含むワクチンを対象に投与するステップを含む。
【0046】
開示のなおさらに別の態様は、サポニン誘導体を合成するための合成経路の実施形態を包含し、合成経路が、天然サポニンを官能化側鎖分子とカップリングすることを含み、官能化側鎖が、アミノ基またはヒドロキシル基を含む。
【0047】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、天然サポニンは、Momordica cochinchinensis Sprengから得ることができる。
【0048】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、天然サポニンは、アミド形成反応またはエステル形成反応を介して官能化側鎖分子にカップリングされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本開示のさらなる態様は、添付の図面と併せて考慮すると、以下に記載のその様々な実施形態の詳細な説明を考察することにより、より容易に理解されるであろう。
【0050】
図1】天然サポニンMS IおよびMS II、ならびにそれらの誘導体を示す。
図2】開示の誘導体A~Eを示す。
図3】Aおよび関連化合物を調製するための天然サポニンMS IおよびIIの化学的誘導体化を示す。
図4】Bおよび関連化合物を調製するための天然サポニンMS IおよびIIの化学的誘導体化を示す。
図5】側鎖の例を示す。
図6A-6C】オボアルブミン(OVA)単独、GPI-0100を含むOVA、および天然サポニン3もしくは4またはそれらのそれぞれの誘導体5もしくは6を含むOVAを用いた皮下経路によって免疫化したマウスにおける血清IgG、IgG1、およびIgG2a抗OVA応答を示す。
図6A】オボアルブミン(OVA)単独、GPI-0100を含むOVA、および天然サポニン3もしくは4またはそれらのそれぞれの誘導体5もしくは6を含むOVAを用いた皮下経路によって免疫化したマウスにおける血清IgG抗OVA応答を示す。
図6B】オボアルブミン(OVA)単独、GPI-0100を含むOVA、および天然サポニン3もしくは4またはそれらのそれぞれの誘導体5もしくは6を含むOVAを用いた皮下経路によって免疫化したマウスにおける血清IgG1およびIgG2a抗OVA応答を示す。
図6C】オボアルブミン(OVA)単独、GPI-0100を含むOVA、および天然サポニン3もしくは4またはそれらのそれぞれの誘導体5もしくは6を含むOVAを用いた皮下経路によって免疫化したマウスにおける血清IgG2a抗OVA応答を示す。
図7】構造3、4、5、および6を示す。
図8】rHagB単独、GPI-0100を含むrHagB、および天然サポニン3もしくは4またはそれらのそれぞれの誘導体5もしくは6を含むrHagBを用いた皮下経路によって免疫化したマウスにおける血清IgG、IgG1、およびIgG2a抗rHagB応答を示すグラフを示す。
図9A-9D】OVA単独、またはGPI-0100を含むOVA、またはMS誘導体を含むOVAを用いたs.c.経路によって免疫化したマウスにおける血清IgG、IgG1、およびIgG2a抗OVA応答を示す。0、14、および28日目にマウスを免疫化した。各免疫化前および初回免疫化後6週目に、血清試料を収集した。値は、平均±SEMとして表される。(対応のない独立2群のノンパラメトリックおよびMann-Whiteny検定を用いた)t検定によって、抗体応答における統計的有意性を評価した。*P<0.05および**P<0.01、OVA単独を用いて免疫化したマウスと比較。
図9A】OVA単独、またはGPI-0100を含むOVA、またはMS誘導体を含むOVAを用いたs.c.経路によって免疫化したマウスにおける血清IgG抗OVA応答を示す。
図9B】OVA単独、またはGPI-0100を含むOVA、またはMS誘導体を含むOVAを用いたs.c.経路によって免疫化したマウスにおける血清IgG1抗OVA応答を示す。
図9C】OVA単独、またはGPI-0100を含むOVA、またはMS誘導体を含むOVAを用いたs.c.経路によって免疫化したマウスにおける血清IgG2a抗OVA応答を示す。
図9D】例示的なMS誘導体を示す。
図10A-10D】rHagB単独、またはGPI-0100を含むrHagB、またはサポニンアジュバントを含むrHagBを用いたs.c.経路によって免疫化したマウスにおける血清IgG、IgG1、およびIgG2a抗rHagB応答を示す。0、14、および28日目にマウスを免疫化した。各免疫化前および初回免疫化後6週目に、血清試料を収集した。値は、平均±SEMとして表される。(対応のない独立2群のノンパラメトリックおよびMann-Whiteny検定を用いた)t検定によって、IgG、IgG1、およびIgG2a抗体応答における統計的有意性を評価した。*P<0.05、および**P<0.01、rHagB単独を用いて免疫化したマウスと比較、#P<0.05、示された群間で比較。
図10A】rHagB単独、またはGPI-0100を含むrHagB、またはサポニンアジュバントを含むrHagBを用いたs.c.経路によって免疫化したマウスにおける血清IgG抗rHagB応答を示す。
図10B】rHagB単独、またはGPI-0100を含むrHagB、またはサポニンアジュバントを含むrHagBを用いたs.c.経路によって免疫化したマウスにおける血清IgG1抗抗rHagB応答を示す。
図10C】rHagB単独、またはGPI-0100を含むrHagB、またはサポニンアジュバントを含むrHagBを用いたs.c.経路によって免疫化したマウスにおける血清IgG2a抗抗rHagB応答を示す。
図10D】サポニン誘導体5b、5c、9b、および9cを示す。
図11】MS化合物を精製するためのフローチャートを示す。
図12A】Momordica cochinchinensis SPRENG.(Cucurbitaceae)の種子サポニンから単離した天然産生物MS-Iを示す。
図12B】Momordica cochinchinensis SPRENG.(Cucurbitaceae)の種子サポニンから単離した天然産生物MS-IIを示す。
図12C】Momordica cochinchinensis SPRENG.(Cucurbitaceae)の種子サポニンから単離した天然産生物MS-Cを示す。
図13】マウスにおける、開示のサポニンアジュバントを含むrHagBによって誘導された抗rHagB IgG抗体形成を示す。
図14】マウスにおける、開示のサポニンアジュバントを含むrHagBによって誘導された抗rHagB Ig1抗体形成を示す。
図15】マウスにおける、開示のサポニンアジュバントを含むrHagBによって誘導された抗rHagB Ig2a抗体形成を示す。
図16】Momordicaサポニンを誘導体化するためのスキーム1を示す。
図17】異なる側鎖を有するQSサポニン類似体を合成するためのスキーム2を示す。
図18】血清抗rHagB IgG2aおよびIgG1活性の比(IgG2a/IgG1)を示す。値は、平均±SDとして表される。rHagB+VSA-2(5b)と比較した統計的有意性、(対応のない独立2群のノンパラメトリックおよびMann-Whiteny検定を用いた)t検定によって、統計的有意性を評価した。P<0.05、**P<0.01。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本開示は、記載の特定の実施形態に限定されず、そのため、無論変動し得る。本明細書で使用される専門用語は、本開示の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、特定の実施形態を説明することのみを目的として機能し、限定することを意図するものではない。
【0052】
値の範囲が提供される場合、文脈による明らかな指示がない限り、下限の10分の1単位までのその範囲の上限と下限との間の各中間の値、および記載の範囲の任意の他の記載の値または中間の値は、開示内に包含される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して、より小さい範囲に含まれ得、また、記載の範囲の任意の特定の除外された限界に従って、開示に包含される。記載の範囲が、限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた、開示に含まれる。
【0053】
本開示の実施形態は、別段の指示がない限り、当該技術分野の範囲内である、医学、有機化学、生化学、分子生物学、薬理学などの技法を用いるであろう。そのような技法は、文献で十分に説明されている。
【0054】
以下の実施例は、当業者に、方法を実施する方法および本明細書で開示および特許請求される組成物および化合物を使用する方法の完全な開示および説明を提供するために記載される。数(例えば、量、温度など)に関して精度を保証するように努力がなされているが、いくらかの誤差および偏差が考慮されるべきである。別段の指示がない限り、部は、重量部であり、温度は、℃であり、圧力は、ほぼ大気圧である。標準温度および圧力は、20℃および1気圧と定義する。
【0055】
本開示の実施形態が詳細に説明される前に、別段の指示がない限り、本開示は特定の材料、試薬、反応材料、製造プロセス、寸法、周波数範囲、用途などに限定されるものではなく、したがって変動し得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図するものではないことを理解されたい。また、論理的に可能である場合、ステップを異なる順序で実行することができることも本開示において可能である。本開示の実施形態は、限定することを意図するものではない、本明細書に記載の実施例を超える測定値を伴う追加の実施形態に適用することができることも可能である。さらに、本開示の実施形態は、限定することを意図するものではない、本明細書に記載の実施例を超える他の測定技法と組み合わせるか、または統合することができることが可能である。
【0056】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈による明らかな指示がない限り、複数の指示物を含むことが留意されるべきである。したがって、例えば、「支持体」への言及は、複数の支持体を含む。本明細書および以下の特許請求の範囲では、反対の意図が明らかでない限り、以下の意味を有するように定義されるいくつかの用語について言及されるであろう。
【0057】
本文中で引用される各出願および特許、ならびに各出願および特許において引用される各文書または参照文献(各発行された特許の公訴中を含む;「出願引用文書」)、ならびにこれらの出願および特許のうちのいずれかに対応するおよび/またはそれらからの優先権を主張する各PCTおよび外国出願または特許、ならびに各出願引用文書において引用または参照される各文書は、参照により本明細書に明らかに組み込まれる。さらに、本文中で引用される文書もしくは参照文献、特許請求の範囲の前の参照文献リスト、または本文自体、およびこれらの各文書または参照文献(「本明細書で引用される参照文献」)、ならびに本明細書で引用される各参照文献で引用される各文書または参照文献(任意の製造業者の仕様書、指示書などを含む)は、参照により本明細書に明らかに組み込まれる。
【0058】
様々な実施形態を説明する前に、以下の定義が提供され、別段の指示がない限り、これらが使用されるべきである。
【0059】
定義
本明細書で使用される「アシル」という用語は、単独で、または組み合わせて、例えば、任意選択的に置換された、ヒドリド、アルキル(例えば、ハロアルキル)、アルケニル、アルキニル、アルコキシ(アセチルオキシ、ブチリルオキシ、イソ-バレリルオキシ、フェニルアセチルオキシ、ベリゾイルオキシ(berizoyloxy)、p-メトキシベンゾイルオキシ、ならびにアルコキシアルキルおよびハロアルコキシなどの置換アシルオキシを含む「アシルオキシ」)、アリール、ハロ、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、スルホニル(例えば、アリルスルフィニルアルキル)、スルホニル(例えば、アルキルスルホニルアルキル)、シクロアルキル、シクロアルケニル、チオアルキル、チオアリール、アミノ(例えば、アルキルアミノまたはジアルキルアミノ)、およびアラルコキシから選択されたラジカルに結合しているカルボニルまたはチオカルボニル基を意味する。「アシル」ラジカルの例示的な例は、ホルミル、アセチル、2-クロロアセチル、2-ブロマセチル(bromacetyl)、ベンゾイル、トリフルオロアセチル、フタロイル、マロニル、ニコチニルなどである。本明細書で使用される「アシル」という用語は、基-C(O)R26を指し、R26が、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルである。例としては、限定されないが、ホルミル、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチルカルボニル、ベンゾイル、ベオジルカルボニル(beozylcarbonyl)などが挙げられる。
【0060】
本明細書で使用される「アジュバント分子」という用語は、宿主において免疫応答を誘発することが可能な表面タンパク質を指す。特定の実施形態では、アジュバント分子は、「膜に固定された形態」のアジュバント分子であり、これは、アジュバント分子が、タンパク質の輸送および膜配向を指示するために、シグナルペプチド(SP)および膜固定配列を含むように操作されていることを示す。したがって、実施形態では、膜に固定された形態のアジュバント分子は、SPおよび膜固定配列に融合したタンパク質の一部分を含む組み換えタンパク質である。
【0061】
本明細書で使用される「投与すること」および「投与」という用語は、本開示の組成物(例えば、ワクチン、アジュバント、または免疫原性組成物)を対象に導入することを指す。ワクチン組成物の好ましい投与経路は、静脈内である。
【0062】
本明細書で使用される「アルコキシル」または「アルコキシアルキル」という用語は、アルキルが前述の通りであるアルキル-O-基を指す。本明細書で使用される「アルコキシル」という用語は、例えば、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、イソプロポキシル、ブトキシル、t-ブトキシル、およびペントキシルを含む、線状、分岐または環式、飽和または不飽和のオキソ-炭化水素鎖を含むC1-20を指し得る。
【0063】
単独で、または「チオアルキル」および「アリールアルキル」などの他の用語内のいずれかの、本明細書で使用される「アルキル」という用語は、直鎖(すなわち、線状)または分岐鎖であり得る一価飽和炭化水素ラジカルを意味する。本開示で使用するためのアルキルラジカルは、一般に、約1~20個の炭素原子、特に約1~10個、1~8個または1~7個、より具体的には約1~6個、または3~6個の炭素原子を含む。例示的なアルキルラジカルとしては、以下の分岐したバリエーションと共に、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、アミル、sec-ブチル、tert-ブチル、tert-ペンチル、n-ヘプチル、n-アクチル、n-ノニル、n-デシル、ウンデシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、ペンタデシル、n-ヘキサデシル、ヘプタデシル、n-オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ドシル、n-テトラコシルなどが挙げられる。開示のある特定の態様では、アルキルラジカルは、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、アミル、トリブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、tert-ペンチル、およびn-ヘキシルを含むか、またはそれらからなる群から選択されるC-C低級アルキルである。アルキルラジカルは、任意選択的に、本開示の化合物の調製を顕著に妨げず、かつ化合物の有効性を顕著に低減しない位置で、本明細書で定義される置換基で置換され得る。開示のある特定の態様では、アルキルラジカルは、ハロ、低級アルコキシ、低級脂肪族、置換低級脂肪族、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、チオ、アミノ、ケト、アルデヒド、エステル、アミド、置換アミノ、カルボキシル、スルホニル、スルフリル、スルフェニル、硫酸塩、スルホキシド、置換カルボキシル、ハロゲン化低級アルキル(例えば、CF)、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルキルカルボニルアミノ、脂環式置換シクロ脂肪族、またはアリール(例えば、フェニルメチルベンジル))、ヘテロアリール(例えば、ピリジル)、および複素環式(例えば、ピペリジニル、モルホリニル)を含む、1~5個の置換基で置換されている。アルキル基上の置換基は、それら自体が置換され得る。
【0064】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製物、ならびに親抗体分子の免疫学的結合特性を呈するハイブリッド抗体、改変抗体、F(ab’)断片、F(ab)断片、Fv断片、単一ドメイン抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、およびそれらの機能的断片を含む調製物を指す。
【0065】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、別の分子の特定の空間および極性組織に特異的に結合し、それによって相補的であると定義される免疫グロブリンをさらに指す。抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、または組み換え抗体であり得、宿主の免疫化および血清(ポリクローナル)の収集などの当該技術分野で周知の技法によって、または連続的なハイブリッド細胞株を調製し、分泌されたタンパク質(モノクローナル)を収集することによって、または天然抗体の特異的結合に必要なアミノ酸配列を少なくともコードする、ヌクレオチド配列もしくはその変異したバージョンをクローニングおよび発現させることによって、調製され得る。抗体は、完全免疫グロブリンまたはその断片を含み得、この免疫グロブリンとしては、IgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2a、IgG2b、およびIgG3、IgM、IgYなどの様々な部類およびアイソタイプが挙げられる。それらの断片としては、Fab、Fv、およびF(ab’)、Fab’、scFvなどを挙げることができる。加えて、免疫グロブリンまたはそれらの断片の凝集体、ポリマー、およびコンジュゲートは、特定の分子に対する結合親和性が維持される限り、適切な場合に使用することができる。
【0066】
本明細書で使用される「抗原」という用語は、分泌性、体液性、および/もしくは細胞性抗原特異的応答を作製するために宿主の免疫系を刺激する1つ以上のエピトープを有する分子、または脊椎動物においてそのような抗原を産生することが可能であるDNA分子を指す。この用語はまた、「免疫原」と互換的に使用される。例えば、特定の抗原は、完全タンパク質、タンパク質の一部分、ペプチド、融合タンパク質、グリコシル化タンパク質、およびそれらの組み合わせであり得る。本開示の組成物と共に使用するために、1つ以上のPvDBPII抗原(ネイティブタンパク質またはタンパク質断片)を直接または組み換え核酸発現系の一部として提供して、宿主免疫応答を引き起こす抗原性PvDBPII産生物を提供してもよい。
【0067】
本明細書で使用される「抗原性構成成分」という用語は、動物、好ましくはマウスおよびヒトを含む哺乳類における免疫応答を刺激することが可能な、生物から誘導された構成成分を指す。抗原性構成成分は、免疫原性物質であり得る。抗原性構成成分は、オルガネラ、膜、タンパク質、脂質、糖タンパク質、および生物から誘導された他の構成成分を含む、細胞よりも小さい構成成分を含み得る。抗原性構成成分は、生物全体、例えば、寄生虫全体、または生物の一部、例えば、生物の細胞または組織から誘導され得る。また、タンパク質のサブセットは、例えば、サイズ分画または親和性精製によって精製および組み換えられ得る。
【0068】
本明細書で使用される「糖」および「サッカリド」という用語は、ポリヒドロキシアルデヒド、ポリヒドロキシケトン、およびそれらの誘導体を指す。この用語としては、エリトロース、アラビノース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、トレオース、キシロース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、アルドヘキソース、フルクトース、ケトヘキソース、リボース、およびアルドペントースなどのモノサッカリドが挙げられる。この用語はまた、ジサッカリド、オリゴサッカリド、またはポリサッカリドを含む、モノサッカリド単位で構成された炭水化物を含む。ジサッカリドの例は、スクロース、ラクトース、およびマルトースである。オリゴサッカリドは、一般に、3~9個のそのモノサッカリドを含有し、ポリサッカリドは、10個超のモノサッカリド単位を含有する。糖は、D系列またはL系列のメンバーであり得、アミノ糖、デオキシ糖、およびそれらのウロン酸誘導体を挙げることができる。炭水化物がヘキソースである場合の開示の実施形態では、ヘキソースは、グルコース、ガラクトース、もしくはマンノース、またはヘキソサミン、ガラクトサミン、グルコサミン、特にD-グルコサミン(2-アミノ-2-ドエキシ(doexy)-D-グルース)もしくはD-ガラクトサミン(2-アミノ-2-デオキシ-D-ガラクトース)などのアミノ糖残基などの置換ヘキソース糖残基である。例示的なペントース糖としては、アラビノース、フコース、およびリボースが挙げられる。1,1連結、1,2連結、1,3連結、1,4連結、1,5連結、または1,6連結からの糖残基が、開示の化合物に連結され得る。連結は、開示の化合物の酸素原子を介したものであり得る。酸素原子は、--CH-または--S--基によって1回以上置き換られ得る。
【0069】
本明細書で使用される「カルボキシル」という用語は、単独でまたは組み合わせて、-C(O)OR25-または-C(-O)OR25を指し、R25が、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アミノ、チオール、アリール、ヘテロアリール、チオアルキル、チオアリール、チオアルコキシ、ヘテロアリール、または複素環式であり、これらは、任意選択的に置換され得る。開示の態様では、カルボキシル基はエステル化形態であり、エステル化基として低級アルキル基を含有し得る。開示の特定の態様では、-C(O)OR25は、エステルまたはアミノ酸誘導体を提供する。エステル化形態はまた、本明細書では特に「カルボン酸エステル」とも称される。開示の態様では、「カルボキシル」は、置換され得、特に、任意選択的にアミノ、アミン、ハロ、アルキルアミノ、アリール、カルボキシル、または複素環式のうちの1つ以上で置換されたアリルで置換され得る。カルボキシル基の例は、メトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、tert.ブトキシカルボニルなどのtert.アルコキシカルボニル、限定されないが、例えば、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、ハロ、および/またはニトロによって任意選択的に置換されたフェニルを含む、ベンジルオキシカルボニル、メトキシベンジルオキシカルボニル、ジフェニルメトキシカルボニル、2-ブロモエトキシカルボニル、2-ヨードエトキシカルボニルtert.ブチルカルボリル、4-ニトロベンジルオキシカルボニル、ジフェニルメトキシ-カルボニル、ベンズヒドロキシカルボニル、ジ-(4-メトキシフェニル-メトキシカルボニル、2-ブロモエトキシカルボニル、2-ヨードエトキシカルボニル、2-トリメチルシリルエトキシカルボニル、または2-トリフェニルシリルエトキシカルボニルなどの、1つまたは2つのアリールラジカルを有するアリールメチオキシカルボニル(arylmethyoxycarbonyl)である。エステル化形態の追加のカルボキシル基は、有機シリルオキシカルボニルを含むシリルオキシカルボニル基である。そのような化合物中のケイ素置換基は、低級アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)、および/またはハロ(例えば、塩素)で置換され得る。ケイ素置換基の例としては、トリメチルシリイ(trimethylsilyi)およびジメチルtert.ブチルシリルが挙げられる。開示の態様では、カルボキシル基は、アルコキシカルボニル、特にメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル、t-ペンチルオキシカルボニル、サーヘプチルオキシ(sir heptyloxy)カルボニル、特にメトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルであり得る。
【0070】
本明細書で使用される「組成物」という用語は、指定された量の指定された成分を含む産生物、ならびに指定された量の指定された成分の組み合わせから直接または間接的に生じる任意の産生物を指す。薬学的組成物に関連するそのような用語は、活性成分(複数可)、および担体を構成する不活性成分(複数可)を含む産生物、ならびに成分のうちの任意の2つ以上の組み合わせ、錯体形成、もしくは凝集から、または成分のうちの1つ以上の解離から、または成分のうちの1つ以上の他の種類の反応もしくは相互作用から直接的または間接的に生じる任意の産生物を包含することが意図される。したがって、本開示の薬学的組成物は、本開示の化合物と、薬学的に許容可能な担体とを混和することによって作製される任意の組成物を包含する。
【0071】
本開示の化合物が1つ以上の他の薬物と同時に使用されるとき、本開示の化合物に加えてそのような他の薬物を含有する薬学的組成物が企図される。したがって、本開示の薬学的組成物は、本開示の化合物に加えて、1つ以上の他の活性成分も含有するものを含む。本開示の化合物対第2の活性成分の重量比は、変動し得、各成分の有効用量に依存するであろう。一般に、有効用量の各々が使用されるであろう。したがって、例えば、限定されることを意図しないが、本開示の化合物が別の薬剤と組み合わせられるとき、本開示の化合物対他の薬剤の重量比は、一般に、約1000:1~約1:1000、好ましくは約200:1~約1:200の範囲であろう。本開示の化合物と他の活性成分との組み合わせはまた、一般に、前述の範囲内であるが、各場合において、有効用量の各活性成分が使用されるべきである。そのような組み合わせでは、本開示の化合物と他の活性剤とは、別々にまたは併せて投与され得る。加えて、1つの要素の投与は、他の薬剤(複数可)の投与の前、同時、または後であり得る。
【0072】
開示の組成物は、液体溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性製剤、または粉末であり得る。組成物は、従来の結合剤およびトリグリセリドなどの担体を用いて、座薬として製剤化することができる。経口製剤は、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的な担体を含み得る。様々な送達系が既知であり、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセルなどへのカプセル化が、本開示の組成物を投与するために使用され得る。
【0073】
開示の治療組成物は、ポリマー、炭水化物、ペプチド、またはそれらの誘導体のうちの1つ以上などの担体を含み得、これらは化合物に直接的または間接的に共有結合され得る。担体は、限定されないが、1つ以上のアルキル、アミノ、ニトロ、ハロゲン、チオール、チオアルキル、硫酸塩、スルホニル、スルフィニル、スルホキシド、ヒドロキシル基を含む、本明細書に記載の置換基で置換され得る。開示の態様では、担体は、アラニン、グリシン、プラリン、メチオニン、セリン、スレオニン、アスパラギン、アラニル-アラニル、プロリル-メチオニル、またはグリシル-グリシルを含むアミノ酸である。担体はまた、本開示の化合物を特定の組織または臓器に標的化する分子を含み得る。
【0074】
開示の化合物は、化合物の知識、および実施例を含む本出願の開示を鑑みて、当業者に一般に既知である反応および方法を使用して調製され得る。反応は、使用される試薬および材料に適切であり、かつ成し遂げられる反応に好適な溶媒中で実施される。化合物に存在する官能性は、提案される反応ステップと一致するべきであることが、有機合成の当業者によって理解されるであろう。これは、開示の所望の化合物を得るために、合成ステップの順序の修正、または別のプロセススキームよりもある特定のプロセススキームを選択することを必要とする場合があるであろう。また、合成経路の開発における別の主要な考慮事項は、本開示に記載の化合物中に存在する反応性官能基の保護に使用される保護基の選択であることも認識されるであろう。当業者に対して多くの代替案について記載している権威ある説明は、Greene and Wuts(Protective Groups In Organic Synthesis,Wiley and Sons,1991)である。
【0075】
開示の開示の化合物は、当該技術分野で既知の適切な方法によって対象に投与するための薬学的組成物に製剤化され得る。本開示の薬学的組成物またはその画分は、意図された投与形態に基づいて選択され、従来の薬学的慣行と一致する好適な薬学的に許容可能な担体、賦形剤、およびビヒクルを含む。好適な薬学的担体、賦形剤、およびビヒクルは、標準的なテキストであるRemington:The Science and Practice of Pharmacy(21.sup.st Edition.2005,University of the Sciences in Philadelphia(Editor),Mack Publishing Company)、および1999年出版のThe United States Pharmacopeia:National Formulary(USP 24 NF19)に記載されている。カプセルまたは錠剤の形態での経口投与の例として、活性構成成分は、ラクトース、デンプン、スクロース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、グルコース、硫酸カルシウム、リン酸二カルシウム、マンニトール、ソルビタル(sorbital)などの経口で非毒性の薬学的に許容可能な不活性担体と組み合わせられ得る。液体形態での経口投与の場合、チャグ(chug)構成成分は、エタノール、グリセロール、水などの任意の経口で非毒性の薬学的に許容可能な不活性担体と組み合わせられ得る。好適な結合剤(例えば、ゼラチン、デンプン、トウモロコシ甘味料、グルコースを含む天然糖、天然および合成ガム、ならびにワックス)、潤滑剤(例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、および塩化ナトリウム)、崩壊剤(例えば、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、およびキサンタンガム)、香味剤、および着色剤もまた、組成物またはそれらの構成成分に組み合わせられ得る。本明細書に記載の組成物は、湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤をさらに含み得る。
【0076】
本明細書で使用される「免疫原性組成物」という用語は、宿主に注射されると特異的な抗体産生または細胞性免疫を生じるものである。
【0077】
本開示の免疫原性組成物および/またはワクチンは、当該技術分野で既知の方法のうちのいずれかによって製剤化され得る。それらは、典型的には、液体溶液または懸濁液のいずれかの、注入可能な製剤として、または鼻腔内投与のための製剤として調製され得る。注射または他の投与前に、好適な固体形態を、液体中の溶液または液体中の懸濁液で調製してもよい。調製物はまた、例えば、乳化されても、リポソームに封入されたタンパク質(複数可)/ペプチド(複数可)であってもよい。
【0078】
活性免疫原性成分は、多くの場合、薬学的に許容可能であり活性成分と適合性である、賦形剤または担体と混合される。好適な賦形剤としては、限定されないが、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの組み合わせが挙げられる。注射可能なエアロゾル製剤または経鼻製剤中の免疫原性ポリペプチドの濃度は、通常、約0.2~5mg/mlの範囲である。同様の用量を、他の粘膜表面に投与することができる。
【0079】
加えて、所望される場合、ワクチンは、ワクチンの有効性を向上させる、湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤、および/または他の薬剤などの少量の補助物質を含有し得る。有効であり得る薬剤の例としては、限定されないが、水酸化アルミニウム、N-アセチル-ムラミル-L-スレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-アセチル-ノル-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(CGP 11637、ノル-MDPと称される)、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミニル-L-アラニン-2-(1’-2’-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミン(CGP 19835A、MTP-PEと称される)、ならびに2%のスクアレン/Tween80エマルション中に細菌から抽出された3つの構成成分:モノホスホリル脂質A、トレハロースジミコレート、および細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)を含有するRIBIが挙げられる。補助物質の有効性は、問題のアジュバントを含むワクチン中の免疫原の投与から生じる免疫原に対して指向される抗体(特に、IgG、IgM、またはIgA)の量を測定することによって決定することができる。追加の製剤および投与モードも使用され得る。
【0080】
本開示の免疫原性組成物および/またはワクチンは、当該技術分野で既知の様式による、用量製剤と適合可能な様式で、ならびに予防的および/または治療的に有効であるようなそのような量および様式で投与され得る。一般に、約1~1,000マイクログラムの1用量当たりのウイルス表面エンベロープ糖タンパク質および/または1用量当たりのアジュバント分子の範囲内であり、より一般には、約5~500マイクログラムの1用量当たりの糖タンパク質および/または1用量当たりのアジュバント分子の範囲内である投与される量は、抗原および/またはアジュバント分子の性質、治療される対象、宿主の免疫系が抗体を合成する能力、ならびに所望の保護の程度に依存する。投与する必要がある活性成分の正確な量は、医師または獣医の判断に依存し得、各個体に特有であり得るが、そのような決定は、そのような専門医の技能の範囲内である。
【0081】
ワクチンまたは免疫原性組成物は、単回用量、2回用量スケジュール、例えば、2~8週間間隔で、または多回用量スケジュールで与えられ得る。多回投与スケジュールは、ワクチン接種の一次工程が1~10回以上の別々の用量を含み得、続いて、免疫応答を維持および/または強化するために必要なその後の時間間隔で投与される他の用量(例えば、第2回用量は1~4ヶ月で、および必要に応じて、数ヶ月後にその後の用量(複数可))を含み得るものである。
【0082】
本明細書で使用される「免疫原性断片」という用語は、1つ以上のエピトープを含み、したがって、免疫応答を調節することができるか、または同時投与される抗原のアジュバントとして作用することができる免疫原の断片を指す。そのような断片は、当該技術分野で周知である任意の数のエピトープマッピング技法を使用して同定することができる(例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66(Morris,G.E.,Ed.,1996)Humana Press,Totowa,NJを参照されたい)。
【0083】
免疫原性断片は、少なくとも約2アミノ酸長、より好ましくは約5アミノ酸長、および最も好ましくは少なくとも約10~約15アミノ酸長であり得る。タンパク質配列のほぼ全長、またはさらには2つ以上のエピトープを含む融合タンパク質を含み得る断片の長さには、重要な上限はない。
【0084】
本明細書で使用される「免疫グロブリン」という用語は、抗体活性を呈し、高い特異性の程度で他の分子(例えば、抗原およびある特定の細胞表面受容体)に結合するタンパク質の部類を指す。免疫グロブリンは、5つの部類:IgM、IgG、IgA、IgD、およびIgEに分類することができる。IgGは、体内で最も豊富な抗体の部類であり、ねじれた「Y」形状の構造が想定される。IgMを除いて、免疫グロブリンは、鎖内および鎖間ジスルフィド結合によって連結している4つのペプチド鎖で構成される。IgGは、非共有ジスルフィド結合によってカップリングされている2つのポリペプチド重鎖(H鎖)および2つのポリペプチド軽鎖(L鎖)で構成される。
【0085】
本明細書で使用される「免疫学的応答」という用語は、対象における、目的の組成物中に存在する抗原に対する体液性および/または細胞性免疫応答の展開を指す。本開示の目的のために、「体液性免疫応答」は、抗体分子によって媒介される免疫応答を指し、「細胞性免疫応答」は、Tリンパ球および/または他の白血球細胞によって媒介される免疫応答である。
【0086】
細胞性免疫の一態様は、細胞溶解性T細胞(「CTL」)による抗原特異的応答を伴う。CTLは、主要組織適合性複合体(MHC)によってコードされるタンパク質と会合して提示され、細胞の表面上で発現されるペプチド抗原に対する特異性を有する。CTLは、細胞内微生物の破壊、またはそのような微生物に感染した細胞の溶解を誘導し、促進するのに役立つ。細胞性免疫の別の態様は、ヘルパーT細胞による抗原特異的応答を伴う。ヘルパーT細胞は、非特異的エフェクター細胞の機能を刺激し、細胞の表面上のMHC分子と会合してペプチド抗原を提示する細胞に対して、非特異的エフェクター細胞の活性を集中させるのに役立つように作用する。「細胞性免疫応答」はまた、CD4+およびCD8+T細胞から誘導されたものを含む、活性化T細胞および/または他の白血球細胞によって産生されるサイトカイン、ケモカイン、および他のそのような分子の産生を指す。したがって、免疫学的応答は、以下の効果:B細胞による抗体の産生、ならびに/または目的の組成物またはワクチン中に存在する1つの抗原または複数の抗原に特異的に指向されたサプレッサーT細胞および/もしくはγδT細胞の活性化、のうちの1つ以上を含み得る。これらの応答は、感染性を中和する、および/または抗体補体もしくは抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を媒介して、免疫化された宿主に保護を提供するように機能し得る。そのような応答は、当該技術分野で周知の標準的なイムノアッセイおよび中和アッセイを使用して決定することができる。
【0087】
本明細書で使用される「免疫原性量」という用語は、ワクチンが投与された宿主において、ウイルスに対して指向される抗体の産生を誘発することが可能な量を指す。
【0088】
本明細書で使用される「免疫原性担体」という用語は、本明細書で論じられるウイルスのうちのいずれかからのビロソームの免疫原性を向上させる組成物を指す。そのような担体としては、限定されないが、タンパク質およびポリサッカリド、ならびに例えば、DL-ラクチド-コグリコリド、リポソーム、および細菌細胞および膜などの生分解性ポリマーを使用して製剤化されるミクロスフェアが挙げられる。タンパク質担体は、プロテイナーゼ、またはそれから誘導されたペプチドに接合されて、組み換えもしくは合成技法によって、または化学的カップリングによって融合タンパク質を形成し得る。有用な担体およびそのような担体をポリペプチド抗原にカップリングする方式は、当該技術分野で既知である。
【0089】
本明細書で使用される、「免疫増強剤」という用語は、免疫原と混合されると、免疫原単独よりも高い免疫応答を誘発する物質を意味することが意図される。例えば、免疫増強剤は、免疫原性を向上させ、優れた免疫応答を提供することができる。免疫増強剤は、例えば、マクロファージおよび他の抗原提示細胞上の共刺激物の発現を向上させることによって作用することができる。
【0090】
本明細書で使用される「対象」、「個体」、または「患者」という用語は、互換的に使用され、動物、好ましくは、哺乳類などの温血動物を指す。哺乳類としては、限定されないが、哺乳類門の任意のメンバーが挙げられる。本開示における対象または患者としての哺乳類は、霊長類、肉食動物、長鼻目、奇蹄目、偶蹄目、げっ歯目、および兎形目のファミリーからのものであり得る。特定の実施形態では、哺乳類は、ヒトである。他の実施形態では、動物を治療することができ、動物は、鳥類および哺乳類の両方を含む脊椎動物であり得る。開示の態様では、この用語は、ウマ、ウシ、ヒツジ、家禽、魚、ブタ、イヌ、ネコを含む食料またはペット用の家畜、ならびに動物園の動物、ヤギ、類人猿(例えば、ゴリラまたはチンパンジー)、ならびにラットおよびマウスなどのげっ歯目を含む。
【0091】
本明細書で使用される「薬学的に許容可能な担体」という用語は、開示のプローブが共に投与され、連邦政府もしくは州政府の規制機関によって承認されているか、または米国薬局方もしくは他の一般に認識されている薬局方に列挙されている、動物、より具体的にはヒトで使用するための希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。そのような薬学的担体は、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油などの石油、動物、植物、または合成由来のものを含む、水および油などの液体であり得る。薬学的担体は、生理食塩水、アカシアガム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素などであり得る。患者に投与されるとき、プローブおよび薬学的に許容可能な担体は、滅菌することができる。プローブが静脈内投与されるとき、水は、有用な担体である。生理食塩水溶液、ならびに水性デキストロースおよびグリセロール溶液はまた、特に注射可能な溶液用の液体担体として用いることができる。好適な薬学的担体としてはまた、グルコース、ラクトース、スクロース、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどの賦形剤が挙げられる。本組成物はまた、所望される場合、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有し得る。本組成物は、有利には、溶液、エマルション、徐放性製剤の形態、または使用に好適な任意の他の形態をとり得る。
【0092】
本明細書で使用される「薬学的に許容可能な」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に見合った、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴わずに、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに好適な化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
【0093】
本明細書で使用される「ワクチン」という用語は、免疫原性量の1つ以上のビロソーム、それらの断片(複数可)またはサブユニット(複数可)を指す。そのようなワクチンは、1つ以上のウイルス表面エンベロープ糖タンパク質およびその一部分、ならびにビロソームの表面上のアジュバント分子およびその一部分、またはウイルス粒子もしくはそれから誘導されたエピトープペプチドに自然に会合する1つ以上の追加のウイルス構成成分などの別のタンパク質もしくは他の免疫原と組み合わせたそれらを含み得る。
【0094】
1974年のDalsgaard et al.(「Saponin adjuvants」,Archiv.fur die gesamte Virusforschung,Vol.44,Springer Verlag,Berlin,p243-254)によって、南米の樹木Quillaja saponaria Molinaから単離されたサポニン調製物がアジュバント活性を有することが初めて記載された。Quil Aの精製した断片は、HPLCによって単離されており、この断片は、Quil A(EP 0 362278)、例えば、QS7およびQS21(QA7およびQA21としても知られている)に関連する毒性を伴わずにアジュバント活性を保持する。QS-21は、CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)、Th1細胞、および優位なIgG2a抗体応答を誘導する、Quillaja sapanaria Molinaの樹皮から誘導された天然サポニンである。
【0095】
開示のサポニンは、アジュバント組成物の1ヒト用量当たり1~100μgの量で、約50μg、例えば40~60μg、好適には45~55μg、または49~51μg、または50μgのレベルで使用され得る。いくつかの実施形態では、ヒト用量のアジュバント組成物は、約25μg、例えば20~30μg、好適には21~29μg、または22~28μg、または28~27μg、または24~26μg、または25μgのレベルでQS21を含み得る。
【0096】
アジュバントを抗原性組成物の液体形態と組み合わせるとき、アジュバント組成物は、ヒト用量の好適な体積であり、これはヒト用量の意図される最終用量のほぼ半分である。例えば、1μlの意図された最終ヒト用量では500μlの体積のアジュバント、または0.5mlの意図された最終ヒト用量では250μlの体積。抗原組成物と組み合わせるとき、最終ヒト用量のワクチンを提供するために、アジュバント組成物は希釈される。そのような用量の最終体積は、アジュバント組成物の初期体積、およびアジュバント組成物に添加される抗原組成物の体積に応じて無論変動するであろう。代替的な実施形態では、水性アジュバントは、凍結乾燥させた抗原組成物を再構築するために使用される。この実施形態では、アジュバント組成物のヒト用量に好適な体積は、ヒト用量の最終体積にほぼ等しい。液体アジュバント組成物は、凍結乾燥させた抗原組成物を含有するバイアルに添加され、凍結乾燥させた抗原組成物を再構成するために使用される。
【0097】
略語
IgG、免疫グロブリンG;Th、Tヘルパー細胞;CTL、細胞傷害性Tリンパ球;rha、ラムノース;xyl、キシロース;OVA、オボアルブミン;NMM、N-メチルモルホリン;HOBt、ヒドロキシベンゾトリアゾール;EDC HCl、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;DCM、ジクロロメタン;MeCN、アセトニトリル;THF、テトラヒドロフラン;rHagB、組み換えヘマグルチニンB;s.c.、皮下;ESI-TOF、エレクトロスプレーイオン化飛行時間型質量分析計;ELISA、酵素結合免疫吸着アッセイ;
【0098】
考察
Quillaja saponaria Molinaの樹皮以外の天然源からの、構造的に定義された新しいサポニンアジュバントを有する利点は、多重的である。第1に、植物Momordica cochinchinensis Sprengは、多年生のつる植物であり、生育しやすく、QSサポニンの供給が限定的であるという欠点を回避する。第2に、MS種子中のサポニンの存在量が高く(図1)、それらの単離はQSサポニンよりも効率的であり、したがって費用対効果が高い。M.cochinchinensis Sprengは、主に中国および東南アジアで生育する。種子(Mubiezi)は、潰瘍、乳腺炎、吹き出物、痔ろう、痔、湿疹、および神経皮膚炎の治療用に、1000年超にわたって伝統的な漢方薬として中国で利用されてきた。近年、口蹄病(FMD)に対する実験的な豚ワクチンにおけるそのアジュバント効果および安全性について、M.cochinchinensis種子からの抽出物が評価された。MSサポニンは、モルモットにおける抗原特異的IgGの増強において、油エマルションとの相乗効果を示した。しかしながら、抗原F4線毛を用いて免疫化されたニワトリにおける他のアジュバント、すなわち、フロイントアジュバント、Quil A(QA)、およびプロポリスに対するアジュバント活性の比較において、MSサポニンは、血清および卵黄の両方のIgG応答の増強において、フロイントアジュバントおよびQAよりも低い能力を示した。これらの結果は、脂肪側鎖を含まない、脱アシル化されたQS-17/18は体液性免疫のみを示したという観察と一致する。
【0099】
Momordica cochinchinensis(Lour.)からの2つの天然MSサポニン。図11に概説されるように公開された手順を使用することによって、Spreng種子を単離した。次いで、2つのMS誘導体、すなわち、それぞれ、天然サポニン3および4からの5および6を、通常の1ステップアミド形成反応を使用することによって合成した(図3)。
【0100】
純粋な天然サポニン3および4、ならびに利用可能なそれらの誘導体5および6(図7)を用いて、鶏卵オボアルブミン(OVA)に対する抗体応答を増強するそれらの能力を評価した。既知のサポニンアジュバントGPI-0100を陽性対照として使用した。したがって、雌BALB/cマウス群(8~10週齢、1群当たり6匹)を、0、14、および28日目に、OVA(20μg)単独、またはGPI-0100を含むOVA、100μgの用量のサポニン3~6を含むOVAを用いた皮下経路(s.c.)によって免疫化した。マウスを計量し、各免疫化前および初回免疫化後6週目に、血清試料を収集した。図6A~6C、9A~9C、および表1に示されるように、OVAに対する血清IgG抗体活性のレベルを、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって決定した。
【0101】
血清IgG応答は、初回免疫化後2週目までに全ての群で検出された。第2回免疫化後にOVA+アジュバントを受けたマウスにおいてIgG抗OVA抗体活性のレベルに顕著な増加が見られ、第3回免疫化後に応答の大きさが増加し続けた(表1)。陽性対照としてのGPI-0100は、2週目(P<0.05)、4週目(P<0.001)、および6週目(P<0.001)に抗原単独で見られたよりも顕著に高く、OVAに対するIgG応答を増強させた。GPI-0100と同様に、アジュバントVSA-1(5、天然MS I(3)の誘導体)は、2週目(P<0.01)、4週目(P<0.001)、および6週目(P<0.01)に抗原単独を受けたマウス、ならびに2週目(P<0.001)、4週目(P<0.001)、および6週目(P<0.01)にOVA+3を受けたマウスよりも顕著に高い抗OVA IgG応答を示した。サポニン3は、IgG応答にOVA群との顕著な差を示さなかった。サポニン4は、2週目(P<0.01)および4週目(P<0.001)でIgG応答にOVA群との顕著な差を示したが、6週目では示さなかった。アジュバント6(天然MS II(4)の誘導体)は、4週目(P<0.001)および6週目(P<0.05)に、OVA群よりも顕著に高い抗OVA IgG応答を示したが、6週目(P<0.05)までその親化合物4との顕著な差を示さなかった。マウスのうちのいずれにおいても、体重モニタリングに基づく毒性の兆候は観察されなかった。
【0102】
次いで、異なるアジュバントによって誘導されたIgGサブクラス抗体応答を分析した。全てのアジュバントは、2週目および4週目では、OVA群のマウスよりも顕著に高いIgG1応答を示した(表1)。しかしながら、6週目では、GPI-0100(P<0.001)、5(P<0.05)、および6(P<0.01)のみが、OVA群よりも顕著に高いIgG1応答を示した。IgG2a評価(図6B)において、2週目では群間に顕著な差はなかったが、GPI-0100(P<0.001)およびVSA-1(5)(P<0.001)は、4週目にはOVA群よりも顕著に高いIgG2aを誘導した。6週目では、GPI-0100(P<0.05)およびVSA-1(5)(P<0.01)は、OVA単独、またはアジュバント3(P<0.01)、4(P<0.01)、もしくは6(P<0.01)を用いたマウスで見られたよりも、依然として顕著に高いIgG2aの力価を示したが、GPI-0100とVSA-1との群間に顕著な差はなかった。
【0103】
6週目の抗OVA応答のIgG2a/IgG1比の分析によって、アジュバント5が、OVA単独、または3、4、もしくは6を含むOVAよりも顕著に高い比(P<0.01)を有したが、GPI-0100とは顕著な差がなかったことが明らかになった(図8)。アジュバントを含まない、またはアジュバント3、4、もしくは6を含む群からの微量なIgG2a応答は、Th2偏在免疫応答がこれらの群において選択的に誘導されたことを示唆している。GPI-0100は、CTL産生と共に、混合Th1/Th2応答を増強する能力で知られているので、GPI-0100(0.194、表1、エントリ2))とアジュバント5(0.312、表1、エントリ5)との間の同様のIgG2a/IgG1分布は、これらの2つのアジュバントが同様の活性プロファイルを有し得ることを示唆している。
【表1】
【0104】
比較として、図8A~8Cに示されるように、Porphyromonas gingivalis由来の組み換え非線毛接着ヘマグルチニンBであるrHagBに対する免疫応答の強化についても、アジュバント3~6を評価した。抗原は歯周病の病因因子であり、実験動物モデルにおいて、P.gingivalis誘導性歯槽骨損失に対する保護免疫応答を誘導するrHagBの有効性が実証されている。同じ手順を使用することにより、(35μg用量の)rHagB抗原での結果は、OVA抗原での結果と同様であり、IgG、IgG1、およびIgG2aデータを、図8A~8Cに要約する。
【0105】
抗原rHagBは、強力な体液性免疫応答を刺激した。アジュバントを含まない群のIgGおよびIgG1力価は、2週目および4週目のアジュバントを含む群よりも低かったが、(5(P<0.05)を用いた群のIgGを除いて)6週目では差が僅少になった(それぞれ、図8Aおよび8B)。IgG2a(図8C)に関しては、GPI-0100または5を用いたマウスは、2週目(P<0.001)、4週目(P<0.001)、および6週目(P<0.05)にrHagB単独を用いた群よりも顕著に高い活性を示し、これはOVA抗原で観察されているものと一致している。また、6を用いたマウスは、2週目(P<0.05)および4週目(P<0.01)で、rHagB対照群よりも顕著に高いIgG2a力価を示したが、6週目では示さなかった。
【0106】
単純かつ化学的に安定な脂肪側鎖を天然MomordicaサポニンI(3)に組み込むことによる新しい誘導体(5)が、3のIgG1免疫を保持および向上させるだけでなく、顕著なIgG2a免疫応答を誘導することによって、そのアジュバント活性プロファイルも調節することを、これらの結果は示した。しかしながら、同じ戦略をMomordicaサポニンII(4)に適用すると、IgG2aの顕著な増加は観察されなかった。いずれか1つの理論に拘束されることを望むものではないが、2つのMS誘導体間の唯一の構造的な差が、トリテルペノイドコア、すなわち、キラ酸(R=OH)に対するジプソゲニン(R=H)であることを考慮すると、サポニン構造の親水性-親油性バランスに代わり、トリテルペノイドコアの構造が、誘導体5および6のアジュバント活性に影響を及ぼす重要な役割を果たしていると思われる。
【0107】
GPI-0100と同じ手順を使用することによって、アジュバントVSA-1(5)の急性毒性を評価した。したがって、10週齢の雌BALB/cマウスに、0.1mLのPBS中の表2に示す用量のアジュバントを、首の後ろにs.c.注射を与えた。
【表2】
【0108】
5(5000μg)およびQuil-Aで治療した群の全てのマウスは、注射後5日以内に死亡した。全ての生存マウスは健康的な外観の毛を有し、正常に挙動しているように思われた。生存マウスのいずれも、7日目までには決して不活発には見えず、いずれのマウスでも病変形成は観察されなかった。表2のデータは、5の急性毒性がGPI-0100のものと同様であったが、Quil Aのものよりもはるかに低かったことを示した。
【0109】
MomordicaサポニンIおよびIIは、それらをC3グルクロン酸部位でドデシルアミンとカップリングすることによって誘導体化されている。得られた誘導体は、それらの天然親サポニンとは顕著に異なる免疫刺激物質活性プロファイルを示す。特に、MomordicaサポニンI(3)の誘導体であるアジュバントVSA-1(5)は、対応する天然産生物よりも顕著に高いIgG2a応答を誘導する。そのIgG1およびIgG2aの産生は、GPI-0100のものと同様であり、天然サポニンによって誘導されるTh2免疫とは異なる、特異的抗原に対する潜在的な混合Th1/Th2免疫応答を示唆している。毒性評価は、VSA-1(5)がGPI-0100と同様の毒性プロファイルを有し、広く使用されている天然サポニン混合物Quil Aよりもはるかに毒性が低いことを示している。これらの結果は、Momordicaサポニンを誘導体化することが、混合Th1/Th2免疫応答に対して低い毒性を有する構造的に定義されたサポニン免疫刺激物質に容易に到達するための実行可能な方式であることを証明した。MSサポニンが容易に入手可能であり、単離が容易であることを考慮すると、潜在的な前臨床研究および臨床応用のためのMS誘導体の大規模な調製に有用であろう。
【0110】
2つのMS I(2)誘導体4bおよび4c(スキーム1、図16)を調製した。4bの側鎖は、末端エステル基を有し、4cは、QS-21類似体7と同じ側鎖を有する。同様に、対応する2つのMS II(3)誘導体5bおよび5cも調製した。公開された手順を使用することによって、2つの天然MSサポニン(2および3)を市販の安価なMC種子から単離した。次いで、通常のアミド形成方法を使用することによって、誘導体4bおよび5bを、それぞれの天然サポニンおよび側鎖から合成した。4bおよび5bの水素分解により、それぞれ高収率で4cおよび5cがもたらされた。水素化分解条件下では、キラル酸コア中のC12アルケン部分はそのままであった。
【0111】
次いで、鶏卵オボアルブミン(OVA)に対する抗体応答を増強するそれらの能力を評価した。既知のサポニンアジュバントGPI-0100は、陽性対照のうちの1つであった。他の陽性対照として、近年報告されたMS誘導体VSA-1(4a)も使用した。その高いIgG1/IgG2a産生および低毒性は、GPI-0100のものと同様である。したがって、雌BALB/cマウス群(8~10週齢、1群当たり6匹)を、0、14、および28日目に、OVA(20μg)単独、またはGPI-0100を含むOVA、または100μgの用量のMSサポニン誘導体を含むOVAを用いた皮下経路(s.c.)によって免疫化した。マウスを計量し、各免疫化前および最後の免疫化後2週目に、血清試料を収集した。OVAに対する血清抗体活性のレベルを、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって決定した。
【0112】
全ての群のマウスは、初回免疫化後2週目までに血清抗OVA IgG応答を有し、IgG力価のレベルは、4週目および6週目で上昇し続けた(図9A)。4週目および6週目では、全てのアジュバント群は、アジュバントを含まないOVA対照群よりも顕著に高いIgG活性を示した。抗OVA IgG1活性においても同じ傾向が現れたが(図9B)、6週目では、OVA+5c群は、OVA対照群との統計的な差を示さなかった。IgG2a活性に関して(図9C)、OVA対照群は、経時的に同じ活性を維持したが、アジュバントを含む他の群(OVA+5c群を除く)は、4週目および6週目で、IgG2a力価の安定した増加を示した。アジュバントVSA-2(5b)は、6週目にOVA群(P<0.01)、OVA+4b(P<0.05)、およびOVA+5c群(P<0.01)よりも顕著に高くIgG2a活性を増強したが、陽性対照群およびOVA+4c群との顕著な差を示さなかった。
【0113】
MS I/II(図1)と脱アシル化QS-17/18(8)(スキーム2、図17)との間の構造的類似性を考慮して、5b/5cと同様のQS-17/18誘導体を合成して、C3およびC28オリゴサッカリドドメインのわずかな差がアジュバント性にどのように影響を及ぼすかを同じ側鎖を用いて見た。QS-17/18誘導体9aを事前に合成および評価し、同じ合成経路を使用することによって、新しい誘導体9bおよび9cを調製した。したがって、全てのベンジル保護基を除去するためにまず、完全に保護された中間体10に脱ベンジル化を施した。C3グルクロン酸のカルボキシル基を露出させた。水素化分解条件下で、全てのトリエチルシリル基も同様に除去した。その後のアミド結合形成反応により、4bおよび5bの合成と同様に側鎖を設置した。塩基性条件下でフコシル単位上のC28位の2つのアセチル基を除去した後、アジュバント候補9bを得た。9bの脱ベンジル化によって、アジュバント候補9cがもたらされた。
【0114】
抗原特異的抗体活性を増強する能力9bおよび9cを、5bおよび5cのものと比較した。rHagB抗原(Porphyromonas gingivalis由来の組み換えおよび非線毛接着ヘマグルチニンB)を使用した。以前の研究では、P.gingivalis誘導性歯槽骨損失に対する保護免疫を誘導するのに有効であることが示された。雌BALB/cマウス群(8~10週齢、1群当たり6匹)を、0、14、および28日目に、rHagB(35μg)単独、またはGPI-0100を含むrHagB、100μgの用量のサポニンアジュバントを含むrHagBを用いた皮下経路(s.c.)によって免疫化した。OVA抗原と同じ免疫化およびELISA評価手順を使用した。
【0115】
全ての群のマウスは、初回免疫化後2週目までに血清抗rHagB IgG、IgG1、およびIgG2a応答を示し、抗体力価のレベルは、4週目および6週目で増大し続けた(図10A~10C)。2週目および4週目では、全ての群がアジュバントを含まないrHagB対照群よりも顕著に高いIgG力価を示したが、6週目ではGPI-0100群のみがrHagB群との統計的な差を示した。IgG1応答は、IgGに見られるような同様の傾向を有したが(図10B)、6週目では、OVA+9aおよびOVA+9b群は、rHagB群との統計的な差を示した。IgG2a応答に関して、全ての群は、2、4、および6週目に、rHagB対照群よりも顕著に高い活性を示した(図10C)。
【0116】
VSA-2(5b)は、4週目(P<0.05)および6週目(P<0.05)では、陽性対照GPI-0100よりも高くIgG2aを増強した。VSA-2(5b)はまた、2週目(P<0.01)、4週目(P<0.01)、および6週目(P<0.01)でのQS-17/18誘導体9b、ならびに2週目(P<0.05)、4週目(P<0.01)、および6週目(P<0.01)での9cよりも高いIgG2a活性を示した。OVA抗原(図10C)とは異なり、VSA-2(5b)は、IgG2a応答の増強において5cとの顕著な差を示さなかった。
【0117】
マウスにおけるIgG1またはIgG2aの産生は、それぞれのTh2またはTh1サイトカインによって向上されるので、それらの相対量を、アジュバントによって増強されるTh2およびTh1免疫の関与の暫定的な指標として使用することができる。rHagB抗原では、VSA-2(5b)は、2、4、および6週目に他の群(5cを除く)よりも顕著に高いIgG2a/IgG1比を示した(図18)。これらの結果は、5b(および5c)が、GPI-0100が為し得るよりもTh1免疫を増強することが可能であり得ることを示唆しており、強力なTh1免疫が望まれるときに有益であろう。
【0118】
半合成MS誘導体および合成QS類似体の免疫学的評価は、異なるタンパク質抗原(すなわち、OVAまたはrHagB)で、VSA-2(5b)が、同様の全体的なIgG産生を有するGPI-0100と同等またはより高いIgG2a/IgG1比を示すことを明らかにした。OVA抗原では、MS誘導体4aは、5aよりも顕著に高くIgG2a産生を向上させた。図4aおよび5bはまた、同様のIgG2a産生を示している(顕著な差なし、図10C)。5aと5bとの間の唯一の差は、それらの側鎖であり、側鎖の構造が、誘導された免疫学的応答の抗体活性プロファイルに影響を及ぼすことを示唆している。さらに、異なる側鎖を有する誘導体5bおよび5cはまた、それらをOVA抗原と組み合わせると異なる抗体活性を示したが、rHagB抗原と組み合わせると同様の活性を示した。同じ側鎖を有する異なるコア構造を有するサポニン4b、5b、および9bは、異なる抗体誘導刺激活性を示した。2つのサポニン、4bおよび5bは、それぞれのトリテルペノイドコアにおいてのみ異なり、5bは、4bのジプソゲニンコアと比較して過剰なC16 OH(キラ酸コア)を有する。サポニン5bおよび9bは、同一のトリテルペノイドコア(すなわち、キラ酸)および側鎖を有するが、C3およびC28オリゴサッカリドドメインではわずかに異なる。これらの全てのサポニンは、同様の親水性-親油性バランス(HLB)を有し、それらは、同様の全体的なIgG活性を示した。しかしながら、IgG2a産生を増強するそれらの能力は顕著に異なり、これは、サポニンの特異的構造、すなわち、側鎖、トリテルペノイドコア、およびオリゴサッカリドドメインの構造詳細が、免疫応答の詳細に影響を及ぼすことを示している。
【0119】
いくつかのMS-およびQS-サポニン系ワクチンアジュバント候補が調製されている。MS誘導体は、アミド形成反応を通じて天然サポニンMS IおよびIIのC3グルクロン酸単位に末端官能化側鎖を組み込むことによって調製され、QS類似体は、複数ステップの有機合成を介して調製された。これらの非天然サポニンは、顕著に異なる免疫刺激物質活性プロファイルを示し、側鎖、トリテルペノイドコア、およびオリゴサッカリドドメインの構造が一緒になって、各サポニンの特徴的な免疫応答の増強を結集することを示唆している。
【0120】
様々なアジュバント候補のなかでも、MS IIの誘導体であるVSA-2(5b)は、OVAまたはrHagB抗原のいずれかと共に送達されると、恒常的にIgG2a産生を向上させた。抗原rHagBでは、QSサポニンから誘導されたよく研究された半合成サポニンアジュバントであり、バランスの取れたTh1/Th2免疫を誘導する能力で知られている陽性対照GPI-0100よりも顕著に高いIgG2aレスポノースを誘導した。本開示の結果は、Momordicaサポニンが、単純な化学的誘導体化を通じて異なるアジュバント活性を有する非天然サポニンアジュバントの調製に有用なサポニンの実行可能な天然源であることを立証し、(既知のVSA-1(4a)に加えて)有用なMS系免疫刺激物質としてVSA-2(5b)が、IgG2a応答を増強するその独自の能力では特に有用であることがわかる。
【0121】
したがって、本開示の化合物および薬学的組成物は、ウイルス感染および他の疾患を治療するための1つ以上の他の治療剤と組み合わせて使用することができる。例えば、本開示の化合物および本明細書で提供される薬学的組成物は、ウイルス感染を治療するために他の抗ウイルス剤と組み合わせて用いることができる。
【0122】
開示の一態様は、下式を有する変性サポニンであって、
【化1】

式中、qが、HまたはOHであり得、qおよびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され得、fおよびfが、各々独立して、OH、またはアセチル、またはフオクシル単位のC3およびC4であり得、fおよびfが、環式ケタール環または環式炭酸エステルを形成し得、fおよびgaが、各々独立して、H、メチル基、カルボキシル基、R-NR-C(O)-、およびR-O-からなる群から選択され得、RおよびRが、各々独立して、構造R(CH0-20-またはR[(CH0-200-20(CH0-200-20を有する直鎖であり得、Rが、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、Rが、Hまたはアルキル基であり得、r3が、H、モノサッカリド、ジサッカリド、またはトリサッカリドであり得、x3が、H、モノサッカリド(キシロースを除く)またはジサッカリドであり得、ga3が、H、モノサッカリドまたはジサッカリドであり得る、変性サポニンの実施形態を包含する。
【0123】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、担体は、ポリアミンポリマー、ポリエチレングリコールアミン、ポリ(エチレンイミン)、ナノカーボン、およびアミノ含有生体分子からなる群から選択され得る。
【0124】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、変性サポニンは、下式Iを有し得、
【化2】

式中、qが、HまたはOHであり得、qおよびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され得、Rが、H、メチル基、カルボキシル基、R-NR-C(O)-、およびR-O-からなる群から選択され得、RおよびRが、各々独立して、構造R(CH0-20-またはR[(CH0-200-20(CH0-200-20を有する直鎖であり得、Rが、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、Rが、Hまたはアルキル基であり得る。
【0125】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、カルボキシル基であり得る。
【0126】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、構造HOOC-(CH6-20-を有する長鎖脂肪酸であり得る。
【0127】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、構造HC-(CH6-20-O-CHを有するアルコキシ基であり得る。
【0128】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、構造HO-(CH6-20-を有する長鎖アルコールであり得る。
【0129】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、エステル基、エーテル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アジド基、および芳香族基から選択された官能基で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0130】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり、Rが、長鎖アルキルRO(CH6-20-であり得、Rが、モノサッカリド、ジサッカリド、およびトリサッカリドからなる群から選択されたサッカリド単位から選択され得る。
【0131】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、モノホスホリル脂質A(MPL)で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0132】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)またはトリパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0133】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、ムラミルジペプチド単位で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0134】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、α-Galcer単位で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0135】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、MS I単位で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0136】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、MS II単位で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0137】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、変性サポニンは、下式A~Eからなる群から選択され得る。
【化3】
【0138】
開示の別の態様は、下式を有する変性サポニンを含む、薬学的組成物であって、
【化4】

式中、qが、HまたはOHであり得、qおよびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され得、fおよびfが、各々独立して、OH、またはアセチル、またはフオクシル単位のC3およびC4であり得、fおよびfが、環式ケタール環または環式炭酸エステルを形成し得、fおよびgaが、各々独立して、H、メチル基、カルボキシル基、R-NR-C(O)-、およびR-O-からなる群から選択され得、RおよびRが、各々独立して、構造R(CH0-20-またはR[(CH0-200-20(CH0-200-20を有する直鎖であり得、Rが、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、Rが、Hまたはアルキル基であり得、r3が、H、モノサッカリド、ジサッカリド、またはトリサッカリドであり得、x3が、H、モノサッカリド(キシロースを除く)またはジサッカリドであり得、ga3が、H、モノサッカリドまたはジサッカリドであり得る、薬学的組成物の実施形態を包含する。
【0139】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、担体は、ポリアミンポリマー、ポリエチレングリコールアミン、ポリ(エチレンイミン)、ナノカーボン、およびアミノ含有生体分子からなる群から選択され得る。
【0140】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、変性サポニンは、下式Iを有し得、
【化5】

式中、qが、HまたはOHであり得、qおよびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され得、Rが、H、メチル基、カルボキシル基、R-NR-C(O)-、およびR-O-からなる群から選択され得、RおよびRが、各々独立して、構造R(CH0-20-またはR[(CH0-200-20(CH0-200-20を有する直鎖であり得、Rが、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、Rが、Hまたはアルキル基であり得る。
【0141】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、カルボキシル基である。
【0142】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり、Rが、構造HOOC-(CH6-20-を有する長鎖脂肪酸である。
【0143】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、構造HC-(CH6-20-O-を有するアルコキシ基であり得る。
【0144】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、構造HO-(CH6-20-を有する長鎖アルコールであり得る。
【0145】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、エステル基、エーテル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アジド基、および芳香族基から選択された官能基で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0146】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、構造HC-(CH6-20-O-CH-を有するアルコキシ基であり得る。
【0147】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、構造HO-(CH6-20-を有する長鎖アルコールである。
【0148】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、エステル基、エーテル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アジド基、および芳香族基から選択された官能基で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0149】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、長鎖アルキルR6O(CH6-20-であり得、Rが、モノサッカリド、ジサッカリド、およびトリサッカリドからなる群から選択されたサッカリド単位から選択され得る。
【0150】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、モノホスホリル脂質A(MPL)で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0151】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり、Rが、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)またはトリパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0152】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、ムラミルジペプチド単位で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0153】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、α-Galcer単位で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0154】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、MS I単位で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0155】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、MS II単位で終端する長鎖アルキルであり得る。
【0156】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、変性サポニンは、下式A~Eからなる群から選択され得る。
【化6】
【0157】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも1つの免疫原をさらに含み得る。
【0158】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含み得る。
【0159】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、薬学的組成物は、動物またはヒト対象に投与するために製剤化され得る。
【0160】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも1つのがん治療剤と、薬学的に許容可能な担体と、をさらに含み得、少なくとも1つの化学療法剤およびサポニン誘導体が、薬学的に許容可能な製剤中に混和されているか、または互いに共有結合している。
【0161】
開示のさらに別の態様は、動物またはヒト対象に投与されると、免疫原の免疫原性を増加させる方法の実施形態を包含し、方法が、少なくとも、本開示による薬学的組成物を含むワクチンを対象に投与するステップを含む。
【0162】
開示のなおさらに別の態様は、サポニン誘導体を合成するための合成経路の実施形態を包含し、合成経路が、天然サポニンを官能化側鎖分子とカップリングすることを含み、官能化側鎖が、アミノ基またはヒドロキシル基を含む。
【0163】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、天然サポニンは、Momordica cochinchinensis Sprengから得ることができる。
【0164】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、天然サポニンは、アミド形成反応またはエステル形成反応を介して官能化側鎖分子にカップリングされ得る。
【0165】
本開示の実施形態は、実施例、ならびに対応する本文および図面と関連して説明されるが、開示をこれらの説明の実施形態に限定する意図はない。むしろ、本開示の実施形態の趣旨および範囲内に含まれる全ての代替案、修正案、および同等物を網羅することを意図している。
【実施例
【0166】
実施例1
概要有機溶液を、回転式蒸発によって約12Torrで濃縮した。230~400メッシュシリカゲルを用いてフラッシュカラムクロマトグラフィーを実施した。蛍光インジケータ(254nm)を含浸させた230~400メッシュシリカゲルで0.25mmの深さまで予めコーティングしたガラスプレートを使用して、薄層クロマトグラフィーを実施した。吸収周波数(cm-1)として、赤外線(IR)データを提示する。プロトンおよび炭素-13核磁気共鳴(H NMRまたは13C NMR)スペクトルを、400、700、および850MHZ NMR分光計で記録し、化学シフトを、テトラメチルシランからのパーツパーミリオン(δスケール)ダウンフィールドで表し、NMR溶媒中の残留プロチウムを基準とする(CHCl:δ=7.26)。データは、以下の:化学シフト、多重度(s=単一項、d=二重項、t=三重項、q=四重項、m=多重項および/または多重共鳴、AB=AB四重項)、ヘルツ(Hz)でのカップリング定数、積分として提示する。蒸留せずに無水溶媒を使用した。ワークアップおよびカラムクロマトグラフィー用の溶媒を販売者から得、さらに精製することなく使用した。免疫学的研究用の産生物の純度は、HPLCとH NMRとの組み合わせによって決定し、実測値は>95%であった。
【0167】
実施例2
開示のアジュバントの前駆体を、他のサポニン系列のアジュバントよりも、アジュバントおよびアジュバント前駆体のより入手可能な供給源である、Momordica cochinchinensis SPRENG.(Cucurbitaceae)の種子サポニンから単離した。
【0168】
図11に示すフローチャートに従って、Momordica cochinchinensis Spreng.(Cucurbitaceae)の種子サポニンから単離された天然産生物MS-I、MS-II、およびMS-Cをそれぞれ図12A図12Cに示す。
【0169】
実施例3
側鎖の選択肢:標準的なアミド形成手順を用いて(例えば、図5に示される)側鎖を組み込んで、様々なサポニン誘導体を産生することができる。組み込まれた側鎖の構造が、刺激された免疫応答の大きさおよび性質の観点でのアジュバント活性に顕著な影響を有することが、予備的研究によって明らかになった。したがって、異なる側鎖を有する類似体を合成することができる。極性官能基で終端する側鎖を組み込んだQS-21類似体は、誘導体のアジュバント活性を顕著に改善する。側鎖は、末端カルボキシル基を有する。以前の研究では、末端カルボキシル基は、IgGサブクラス分布を変化させ、より多くのIgG2a産生をもたらすことができ、これはおそらく、向上されたTh1免疫に関連し得る。側鎖bおよびcは、アジュバント活性に関係し得る、分子全体の親水性と疎水性との間のバランスを微調整することができる。側鎖d~fは、側鎖a~cと同様の洞察を提供することができた。QS-21類似体の以前のSAR研究はまた、末端糖単位を有する側鎖hもまた、類似体のアジュバント活性を顕著に改善することを示した。側鎖gは、側鎖hの簡略化されたバージョンである。側鎖iは、末端アルデヒド部分を有する。SAR研究は、天然QS-21のキラル酸コア上のカルボニル基が、QS-21の並外れたアジュバント活性に不可欠であることを示した。カルボニル基は、T細胞表面受容体上のアミノ基と一緒になって、イミンを形成し得ることが示唆された。このSchiff塩基形成は、おそらく共刺激シグナルを提供し、T細胞活性化およびTh1免疫をもたらす。追加のアルデヒド部分の組み込みは、アジュバント分子とT細胞表面受容体との間のSchiff塩基誘導性相互作用を向上させ、したがってTh1免疫を向上させ得る。側鎖jは、芳香族カルボニル基を担持する末端ツカレソール部分を有する。ツカレソールは、アジュバントとして研究されており、抗原特異的な体液性および細胞性免疫応答を向上させる。側鎖kおよびl(各々が2つのシス/トランス異性体を有する)は、エスシンおよびジプソフィラサポニンなどの天然サポニンに由来し、高い体液性免疫を既に示している天然サポニンとそれらを組み換えることにより、細胞媒介性免疫の向上がもたらされ得る。
【0170】
QS-MPL組み合わせアジュバントのMPL側鎖23d:末端基はまた、確立されたアジュバント部分から誘導され得る。動物モデルにおいて、QS-21およびその変異体のものは、モノホスホリル脂質A(TLR4アゴニストであるMPL)などの他のアジュバントと相乗効果的に作用することができる(Ashtekar et al.,(2012)PloS one.7:e50460)。MPLは、TLR4活性化で知られており、Th1型細胞性および体液性免疫応答を顕著に向上させる。典型的には、ワクチン単独と比較すると、血清Ab力価を10~20倍増強する。ヒトワクチン試験では、MPLが、alumのものと同様の安全性プロファイルを有することが示されている(Wang et al.,(2016)J.Org.Chem.81:9560-9566)。したがって、MPL側鎖23dは、対応するQS-MPL単一分子組み合わせアジュバントを生成するサポニン誘導体に組み込むことができる。
【0171】
QS-Pam2Cys組み合わせアジュバントのPam2Cys側鎖23e:細菌リポペプチドの合成類似体であるPam2CysおよびPam3Cysは、前臨床研究でワクチンアジュバントとして使用される2つのTLR 2アゴニストである。これらの脂質アジュバントは、体液性および細胞媒介性の両方の応答を向上させるが、それらはCTL応答の増強にあまり有効ではない。それらは、エピトープ系ワクチンに有効であり、多くの他のアジュバント製剤に一般的に関連する有害な副作用を呈さないことが示されている。完全合成炭水化物系抗がんワクチンへのPam3Cysの化学的組み込みは、TLR 2アゴニストを化学的に接続することが免疫応答を向上させるのに実現可能であることを実証した結果を示している。適切に保護されたPam2Cys部分の合成は、通常の慣行であり、文献で既知である。
【0172】
実施例4
4b(14.4mg、78%)のH NMR(600MHz,CDOD)(特徴的なプロトン)δ9.49(s,1H),7.41-7.37(m,4H),7.35(m,1H),5.36(d,J=1.5Hz,1H),5.34(d,J=8.2Hz,1H),5.29(t,J=3.3Hz,1H),5.15(s,2H),5.05(d,J=1.5Hz,1H),4.67(d,J=7.9Hz,1H),4.60(d,J=7.8Hz,1H),4.52(d,J=7.6Hz,1H),4.51(d,J=6.9Hz,1H),4.48(d,J=7.2Hz,1H),4.29(t,J=2.4Hz,1H),4.04(dd,J=3.2,1.9Hz,1H),4.01(dd,J=11.4,5.3Hz,1H),3.16(t,J=10.9Hz,1H),3.07(dd,J=9.1,8.0Hz,1H),2.83(dd,J=12.9,3.6Hz,1H),2.40(t,J=7.4Hz,2H),2.07(td,J=12.8,2.3Hz,1H),1.02(s,3H),0.94(s,3H),0.93(s,3H),0.83(s,3H);13C NMR(150.9MHz,CDOD)δ209.3,176.5,173.8,169.9,169.8,143.6,136.4,128.2,127.9,127.8,121.8,104.6,103.9,103.7,102.8,102.5,101.8,100.0,94.0,87.3,84.4,84.1,81.5,77.7,77.6,76.6,76.1,76.0,75.4,74.8,74.5,74.0,73.6,73.0,72.8,72.4,72.2,71.6,71.3,70.8,70.7,70.5,70.1,69.9,69.6,69.2,69.1,68.1,67.4,65.8,65.7,65.6,60.8,54.9,46.6,46.0,41.8,41.6,39.6,38.9,38.7,38.0,35.7,33.7,33.5,32.2,32.1,31.5,30.1,29.2,29.1,29.0,28.9,28.8,27.5,26.5,24.8,24.7,24.4,23.2,22.8,22.6,20.2,17.1,16.5,16.4,15.1,15.0,9.5;HRMS(ESI-TOF)m/z:C94148NO41の[M+H]計算値1946.9527、実測値1946.9496。
【0173】
実施例5
4c(56.0mg、98%)のH NMR(600MHz,CDOD)(特徴的なプロトン)δ9.48(s,1H),5.35-5.32(m,2H),5.28(s,1H),5.05(s,1H),4.46(d,J=7.8Hz,1H),4.60(d,J=7.8Hz,1H),4.51(d,J=7.5Hz,2H),4.48(m,1H),4.28(s,1H),4.05(s,1H),4.01(dd,J=11.3,5.1Hz,1H),3.16(t,J=11.0Hz,1H),3.07(t,J=8.5Hz,1H),2.83(d,J=10.4Hz,1H),2.31(t,J=7.4Hz,1H),2.07(t,J=13.2Hz,1H),1.02(s,3H),0.81(s,3H);13C NMR(150.9MHz,CDOD)δ209.4,176.5,176.3,169.8,143.5,121.8,104.6,103.9,103.6,102.8,102.5,101.9,100.0,94.0,87.2,84.4,84.2,81.5,77.6,76.6,76.1,76.0,75.4,74.8,74.5,74.0,73.6,73.01,72.98,72.4,72.2,71.6,71.3,70.8,70.6,70.5,70.1,69.9,69.6,69.2,69.1,68.1,67.5,65.7,65.6,60.8,54.9,46.6,46.0,41.8,41.6,39.6,38.8,38.0,35.7,33.6,32.2,31.6,30.2,29.4,29.2,29.14,29.11,28.9,27.5,26.5,24.9,24.7,24.4,23.2,22.8,22.7,20.2,17.1,16.6,16.4,15.2,15.0,9.5;HRMS(ESI-TOF)m/z:C87142NO41の[M+H]計算値1856.9057、実測値1856.8998。
【0174】
実施例6
5b(12.5mg、72%)のH NMR(700MHz,CDOD)(特徴的なプロトン)δ9.51(s,1H),7.39-7.38(m,4H),7.34(m,1H),5.44(d,J=1.5Hz,1H),5.34(t,J=3.2Hz,1H),5.24(d,J=8.3Hz,1H),5.15(s,2H),5.05(d,J=1.3Hz,1H),4.75(d,J=7.9Hz,1H),4.57(d,J=7.8Hz,1H),4.54(s,1H),4.52-4.47(m,2H),4.46(d,J=7.6Hz,1H),4.26(t,J=3.2,1.8Hz,1H),4.06-4.02(m,2H),3.19(t,J=10.7Hz,1H),3.15(dd,J=9.2,8.1Hz,1H),2.92(dd,J=9.4,4.2Hz,1H),2.40(t,J=7.3Hz,2H),2.31(t,J=13.6Hz,1H),1.44(s,3H),1.26(d,J=6.2Hz,3H),1.24(d,J=6.4Hz,3H),1.19(s,3H),1.21(s,3H),1.04(s,3H),0.95(s,3H),0.89(s,3H),0.82(s,3H);13C NMR(150.9MHz,CDOD)δ209.6,175.5,173.8,169.8,143.5,136.4,128.2,128.1,127.9,127.8,121.5,104.7,103.8,103.5,102.8,102.7,101.9,99.3,94.0,87.4,84.6,84.5,82.1,77.3,76.8,76.4,76.0,75.42,75.38,75.1,74.2,74.0,73.6,73.3,73.0,72.4,72.3,71.6,71.51,71.45,70.8,70.7,70.5,70.1,70.0,69.6,69.2,69.1,68.0,67.4,65.8,65.7,60.8,60.6,54.8,48.5,46.6,41.6,41.1,39.7,38.7,38.0,35.7,35.2,33.7,32.8,32.0,30.5,29.9,29.4,29.2,29.1,29.0,28.9,28.7,26.5,25.9,24.7,23.3,23.1,20.0,17.0,16.5,16.4,15.1,9.6;HRMS(ESI-TOF)m/z:C94148NO42の[M+H]計算値1962.9476、実測値1962.9436。
【0175】
実施例7
5c(11.0mg、96%)のH NMR(700MHz,CDOD)(特徴的なプロトン)δ9.51(s,1H),5.44(d,J=1.3Hz,1H),5.35(t,J=3.4Hz,1H),5.25(d,J=8.3Hz,1H),5.05(s,1H),4.75(d,J=7.8Hz,1H),4.57(d,J=7.9Hz,1H),4.54(s,1H),4.45-4.47(m,2H),4.46(d,J=7.6Hz,1H),4.25(s,1H),4.06-4.00(m,2H),3.19(t,J=11.3Hz,1H),3.15(dd,J=9.3,8.1Hz,1H),2.31(t,J=13.9Hz,1H),2.29(t,J=7.5Hz,2H),1.44(s,3H),1.21(s,3H),1.05(s,3H),0.97(s,3H),0.90(s,3H),0.82(s,3H);HRMS(ESI-TOF)m/z:C87142NO42の[M+H]計算値1872.9006、実測値1872.9016。
【0176】
実施例8
9bおよび9cの調製:THF/MeOH(2:1)1.5mL中のコンジュゲート10(30.0mg、7.9mmol)および10%Pd/C(6.0mg)に、55psiで16時間水素ガスを施した。次いで、懸濁液をセライトプラグに通して濾過し、濃縮し、0.6mLのEtOH/HO(v/v5:1)中に再溶解させた。溶液に、11-アミノデカン酸ベンジルエステル塩酸塩(6.4mg、20μmol)、N-メチルモルホリン(NMM)(13.0mg、127μmol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(8.8mg、58μmol)、および1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCHCl)(11.4mg、58μmol)を室温で添加した。反応混合物を1日間撹拌し、次いで濾過した。semi-Prep C18、250x10mm、5ミクロンカラム、およびHO/MeCN勾配(3mL/分の流量で30分かけて90%~10%のHO)を使用することによるRP HPLCで、濾液を精製した。所望の産生物は、23分間の保持時間を有し、室温で画分を回転式蒸発器で濃縮してMeCNを除去し、次いで残留している水を凍結乾燥機で除去して、2ステップかけて中間体を白色の固体(8.0mg、52%)として提供した。中間体をメタノール(0.5mL)およびHO(0.3mL)に溶解させ、KCO(20mg)で一晩処理した。反応混合物を酢酸で中和させ、semi-Prep C18、250x10mm、5ミクロンカラム、およびHO/MeCN勾配(3mL/分の流量で45分かけて90%~10%のHO)を使用することによるRP HPLCでこれを精製した。所望の産生物は、23分間の保持時間を有し、室温で画分を回転式蒸発器で濃縮してMeCNを除去し、次いで残留している水を凍結乾燥機で除去して、9bを白色の固体(4.4mg、57%)として提供した。4c/5cについて記載したのと同じ脱ベンジル化手順を使用することによって、9cを白色の固体(4.0mg、96%)として得た。
【0177】
実施例9
9bのH NMR(600MHz,CDOD)(特徴的なプロトン)δ9.38(s,1H),7.87(t,J=5.5Hz,1H),7.27-7.24(m,4H),7.22(m,1H),5.22-5.19(m,2H),5.17(d,J=8.2Hz,1H),5.03(s,2H),4.71(d,J=7.7Hz,1H),4.63(d,J=7.9Hz,1H),4.48(d,J=7.8Hz,1H),4.44(d,J=7.7Hz,1H),4.41(d,J=7.5Hz,1H),4.38(s,1H),4.34(d,J=7.4Hz,1H),4.16(dd,J=2.9,1.9Hz,1H),2.85(dd,J=13.9,4.0Hz,1H),2.28(t,J=7.3Hz,2H),2.21(t,J=13.3Hz,1H),1.29(s,3H),1.11(d,J=6.4Hz,3H),1.07(s,3H),0.90(s,3H),0.84(s,3H),0.78(s,3H),0.66(s,3H);13C NMR(176.0MHz,CDOD)δ211.4,177.1,175.2,170.8,145.0,137.8,129.6,129.3,129.2,123.1,105.9,105.3,105.0,104.8,104.7,103.7,101.7,95.3,95.2,88.3,87.0,86.3,83.0,78.9,78.23,78.20,78.0,77.8,77.7,77.0,76.4,76.3,75.37,75.34,75.26,75.0,74.9,74.6,73.6,73.5,72.7,71.4,71.3,71.1,71.0,70.7,69.9,68.9,67.2,66.6,62.3,61.9,56.3,42.7,42.2,41.1,40.1,39.4,37.1,36.6,36.5,35.1,33.8,33.4,32.1,31.3,30.8,30.6,30.52,30.45,30.3,30.2,27.9,27.3,26.1,26.0,24.8,24.5,21.6,18.7,17.8,16.52,16.45,11.0;HRMS(ESI-TOF)m/z:C93145NO42Naの[M+Na]計算値1970.9139、実測値1970.9172。
【0178】
実施例10
9cのH NMR(700MHz,CDOD)(特徴的なプロトン)δ9.50(s,1H),7.95(t,J=5.9Hz,1H),5.36-5.32(m,2H),5.30(d,J=8.2Hz,1H),4.75(d,J=7.9Hz,1H),4.60(d,J=7.8Hz,1H),4.56(d,J=7.7Hz,1H),4.54(d,J=7.6Hz,1H),4.50(s,1H),4.46(d,J=7.5Hz,1H),4.29(dd,J=3.2,1.7Hz,1H),2.98(dd,J=14.1,3.8Hz,1H),2.33(t,J=13.8Hz,1H),2.33(t,J=7.4Hz,2H),1.41(s,3H),1.31(d,J=6.2Hz,3H),1.24(d,J=6.4Hz,3H),1.21(s,3H),1.03(s,3H),0.98(s,3H),0.91(s,3H),0.79(s,3H);HRMS(ESI-TOF)m/z:C86139NO42Naの[M+Na]計算値1880.8669、実測値1880.8645。
【0179】
実施例11
抗原:インビボで使用するための鶏卵アルブミンン(Vac-pova)を、InvivoGenから購入した。組み換えPorphyromonas gingivalis HagBを以前説明されたように調製した(Zhang et al.,(2003)Vaccine21:4459-4471、Zhang et al.,(2004)Infect.Immun.72:637-644、Zhang et al.,(2005)Infect.Immun.73:3990-3998)。簡単に述べると、HagB遺伝子をP.gingivalis381からlacプロモーターおよびヒスチジンタグを有するpETベクターにクローニングし、Escherichia coli JM109で発現させた。イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)誘導後に、タンパク質発現を誘導した。製造業者(Novagen、Madison,WI)の指示書に従って、His結合樹脂カラムを使用することによって、細菌溶解物の可溶性画分からrHagBを精製した。ウサギ抗rHagB抗体を使用した銀染色およびウェスタンブロット分析によって、rHagBの純度を確認した。ウシ血清アルブミン(BSA)を標準物質として使用するビシンコニン酸タンパク質決定アッセイ(Pierce、Rockford,IL)によって、rHagBの濃度を推定した。
【0180】
実施例12
マウスおよび免疫化:この研究で使用したBALB/cマウスは、Frederick Cancer Research(Fredrick,MD)からのものであった。MSサポニン系免疫アジュバントのアジュバント活性を評価するために、0、14、および28日目に、OVA(20μg)もしくはrHagB(35μg)単独、または抗原プラスGPI-0100(100μg)もしくはMSアジュバント(100μg)などの適切なアジュバントを用いた皮下(s.c.)経路によって、雌マウス群(8~10週齢、1群当たり6匹)を免疫化した。各免疫化の前および最後の免疫化後2週間目に、マウスを計量し、ヘパリン化毛細管ピペットを使用することによって、外側尾静脈から血液試料を収集した。遠心分離後に血清を得、アッセイまで-20℃で保管した。
【0181】
実施例13
抗体応答の評価:各群におけるOVAまたはrHagBに対する特異的血清IgGおよびIgGサブクラスのレベルを、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって決定した。ホウ酸塩緩衝生理食塩水(BBS;100mMのNaCl、50mMのホウ酸、1.2mMのNa7,、pH8.2)中の、rHagB(1μg/ml)、OVA(0.1μg/ml)、または最適量のヤギ抗マウスIgG、IgG1もしくはIgG2aで、Maxisorpmicrotiterプレート(NUNC International、Roskilde,DK)を4℃で一晩コーティングした。プレートを、BBS中1%のウシ血清アルブミン(BSA)および0.02%のアジ化ナトリウムで2時間、室温で遮断した。血清試料の連続2倍希釈液をプレートに二重に添加した。標準曲線を生成するために、適切な抗マウスIgGまたはIgGサブクラス試薬でコーティングした各プレートの2列のウェルに、マウス免疫グロブリン参照血清(MP Biomedicals、Solon,OH)の連続希釈液を添加した。(4℃で一晩)インキュベーションし、プレートを洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼ-コンジュゲーションヤギ抗マウスIgGまたはIgGサブクラス抗体を適切なウェルに添加した。室温で4時間インキュベーションした後、プレートを洗浄し、過酸化水素を含むo-フェニレンジアミン基質によって現像した。カラー現像を490nmで記録した。マウス免疫グロブリン参照血清を使用することによって生成し、4パラメータロジスティックアルゴリズム(Softmax/Molecular Devices Corp.、Menlo Park,CA)に基づいたコンピュータプログラムによって構築した標準曲線に対する補間によって、抗体の濃度を決定した。
【0182】
実施例14
統計的分析:GraphPad Prism 8を使用する(対応のない独立2群のノンパラメトリックおよびMann-Whiteny検定を用いた)t検定によって、抗体応答における統計的有意性を評価した。<0.05のP値の差を顕著であるとみなした。
【0183】
実施例15
一般構造
【化7】

式中、
が、HまたはOHであり、
およびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され、
およびfが、各々独立して、OH、またはアセチル、またはフオクシル単位のC3およびC4であり、fおよびfが、環式ケタール環または環式炭酸エステルを形成し、
およびgaが、各々独立して、H、メチル基、カルボキシル基、R-NR-C(O)-、およびR-O-からなる群から選択され、
およびRが、各々独立して、構造R(CH0-20-またはR[(CH0-200-20(CH0-200-20を有する直鎖であり、
が、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり、
が、Hまたはアルキル基であり、
r3が、H、モノサッカリド、ジサッカリド、またはトリサッカリドであり、
x3が、H、モノサッカリド(キシロースを除く)、またはジサッカリドであり、
ga3が、H、モノサッカリド、またはジサッカリドである。
【0184】
実施例16
合成誘導体:これらの半合成産生物は、天然産生物(MS-A、MS-B、およびMS-C)のグルクロン酸単位のカルボキシル基における誘導体化から調製した(それぞれ、図12A~12C)。
【化8】
【0185】
実施例17
サポニン-MPLコンジュゲート
【化9】
【0186】
実施例18
サポニン-Pam2Cysコンジュゲート
【化10】
【0187】
実施例19
合成誘導体:
【化11】

【化12】

【化13】
【0188】
実施例20
マウスにおける、開示の多様なサポニンアジュバントを含むrHagBによって誘導された抗rHagB抗体形成:200μl/マウスで免疫化した、雌、BALB/cマウス(6匹のマウス/群)におけるIgG、Ig1、およびIg2aの生成:100μl/部位、背側s.c.で2部位/マウスをそれぞれ図13~15に示す。
【0189】
以下で免疫化した:A、20μgのrHagB;B、20μgのrHagB+100μgのGPI-0100;G、20μgのrHagB+100μgのMA;H、20μgのrHagB+100μgのMB;J、20μgのrHagB+100μgのMA-N;K、20μgのrHagB+100μgのMA-X;L、20μgのrHagB+100μgのMA-XBn;M、20μgのrHagB+100μgのMB-N;N、20μgのrHagB+100μgのMB-X;O、20μgのrHagB+100μgのMC-N。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6A-C】
図7
図8A-C】
図9A-B】
図9C
図9D
図10A-B】
図10C
図10D
図11
図12A-B】
図12C
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2021-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Momordica cochinchinensis Sprengから誘導され、下式を有する変性サポニンであって、
【化1】

式中、
が、HまたはOHであり、
およびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され、
およびfが、各々独立して、OH、またはアセチル、またはフオクシル(fuocsyl)単位のC3およびC4であり、fおよびfが、環式ケタール環または環式炭酸エステルを形成し、
が、H、メチル基-NR-C(O)--O-、R -O-CH -、およびR -O-C(O)-からなる群から選択され、RおよびRが、各々独立して、構造R(CH -20-またはR[(CH -200- (CH0-20 -20を有する直鎖であり、Rが、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり、Rが、Hまたはアルキル基であり、
ga が、H、メチル基、H-O-C(O)-を除くカルボキシルR -O-C(O)-、R -NR -C(O)-、R -O-、およびR -O-CH -からなる群から選択され、R およびR が、各々独立して、H、構造R (CH 1-20 -またはR [(CH 1-20 0-1 (CH 0-20 1-20 を有する直鎖であり、R が、H、OH、COO(CH 0-6 H、COOBn、C(O)NR Bn、NR Bn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり、R が、Hまたはアルキル基であり、
r3が、H、モノサッカリド、ジサッカリド、またはトリサッカリドであり、
x3が、H、モノサッカリド(キシロースを除く)、またはジサッカリドであり、
ga3が、H、モノサッカリド、またはジサッカリドである、変性サポニン。
【請求項2】
前記担体が、ポリアミンポリマー、ポリエチレングリコールアミン、ポリ(エチレンイミン)、ナノカーボン、およびアミノ含有生体分子からなる群から選択される、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項3】
前記変性サポニンが、式Iを有し、
【化2】

式中、
が、HまたはOHであり、
およびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され、
が、H、メチル基、カルボキシル基(H-O-C(O)-を除くR -O-C(O)-)、R-NR-C(O)--O-、およびR -O-CH からなる群から選択され、
およびRが、各々独立して、構造R(CH -20-またはR[(CH -200- (CH0-20 -20を有する直鎖であり、
が、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり、
が、Hまたはアルキル基である、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項4】
が、である、請求項に記載の変性サポニン。
【請求項5】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、構造HOOC-(CH6-20-を有する長鎖脂肪酸である、請求項に記載の変性サポニン。
【請求項6】
が、構造HC-(CH6-20-O-CH-を有するアルコキシ基である、請求項に記載の変性サポニン。
【請求項7】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、構造HO-(CH6-20-を有する長鎖アルコールである、請求項に記載の変性サポニン。
【請求項8】
が、エステル基、エーテル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アジド基、および芳香族基から選択された官能基で終端する長鎖アルキルである、請求項7に記載の変性サポニン。
【請求項9】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、長鎖アルキルRO(CH6-20-であり、Rが、モノサッカリド、ジサッカリド、およびトリサッカリドからなる群から選択されたサッカリド単位から選択される、請求項に記載の変性サポニン。
【請求項10】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、モノホスホリル脂質A(MPL)で終端する長鎖アルキルである、請求項に記載の変性サポニン。
【請求項11】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)またはトリパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)で終端する長鎖アルキルである、請求項に記載の変性サポニン。
【請求項12】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、ムラミルジペプチド単位で終端する長鎖アルキルである、請求項に記載の変性サポニン。
【請求項13】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、α-Galcer単位で終端する長鎖アルキルである、請求項に記載の変性サポニン。
【請求項14】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、MS I単位で終端する長鎖アルキルである、請求項に記載の変性サポニン。
【請求項15】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、MS II単位で終端する長鎖アルキルである、請求項に記載の変性サポニン。
【請求項16】
前記変性サポニンが、下式A~Eからなる群から選択される、請求項に記載の変性サポニン。
【化3】
【請求項17】
Momordica cochinchinensis Sprengから誘導され、下式を有する変性サポニンを含む、薬学的組成物であって、
【化4】

式中、
が、HまたはOHであり、
およびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され、
およびfが、各々独立して、OH、またはアセチル、またはフオクシル単位のC3およびC4であり、fおよびfが、環式ケタール環または環式炭酸エステルを形成し、
が、H、メチル基-NR-C(O)--O-、R -O-CH -、およびR -O-C(O)-からなる群から選択され、RおよびRが、各々独立して、構造R(CH -20-またはR[(CH -200- (CH0-20 -20を有する直鎖であり、Rが、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり、Rが、Hまたはアルキル基であり、
ga が、H、メチル基、H-O-C(O)-を除くカルボキシルR -O-C(O)-、R -NR -C(O)-、R -O-、およびR -O-CH -からなる群から選択され、R およびR が、各々独立して、H、構造R (CH 1-20 -またはR [(CH 1-20 0-1 (CH 0-20 1-20 を有する直鎖であり、R が、H、OH、COO(CH 0-6 H、COOBn、C(O)NR Bn、NR Bn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり、R が、Hまたはアルキル基であり、
r3が、H、モノサッカリド、ジサッカリド、またはトリサッカリドであり、
x3が、H、モノサッカリド(キシロースを除く)、またはジサッカリドであり、
ga3が、H、モノサッカリド、またはジサッカリドである、薬学的組成物。
【請求項18】
前記担体が、ポリアミンポリマー、ポリエチレングリコールアミン、ポリ(エチレンイミン)、ナノカーボン、およびアミノ含有生体分子からなる群から選択される、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
前記変性サポニンが、式Iを有し、
【化5】

式中、
が、HまたはOHであり、
およびq が、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され
が、H、メチル基、カルボキシル基(H-O-C(O)-を除くR -O-C(O)-)、R-NR-C(O)--O-、およびR -O-CH からなる群から選択され、
およびRが、各々独立して、H、構造R(CH -20-またはR[(CH -200- (CH0-20 -20を有する直鎖であり、
が、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり、
が、Hまたはアルキル基である、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
が、である、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、構造HOOC-(CH6-20-を有する長鎖脂肪酸である、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
前記Rが、構造HC-(CH6-20-O-を有するアルコキシ基である、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項23】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、構造HO-(CH6-20-を有する長鎖アルコールである、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項24】
が、エステル基、エーテル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アジド基、および芳香族基から選択された官能基で終端する長鎖アルキルである、請求項23に記載の薬学的組成物。
【請求項25】
が、構造HC-(CH6-20-O-CH-を有するアルコキシ基である、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、構造HO-(CH6-20-を有する長鎖アルコールである、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項27】
が、エステル基、エーテル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アジド基、および芳香族基から選択された官能基で終端する長鎖アルキルである、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、長鎖アルキルRO(CH6-20-であり、Rが、モノサッカリド、ジサッカリド、およびトリサッカリドからなる群から選択されたサッカリド単位から選択される、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項29】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、モノホスホリル脂質A(MPL)で終端する長鎖アルキルである、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項30】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)またはトリパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)で終端する長鎖アルキルである、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項31】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、ムラミルジペプチド単位で終端する長鎖アルキルである、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項32】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、α-Galcer単位で終端する長鎖アルキルである、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項33】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、MS I単位で終端する長鎖アルキルである、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項34】
が、R-NH-C(O)-であり、Rが、MS II単位で終端する長鎖アルキルである、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項35】
前記変性サポニンが、下式A~Eからなる群から選択される、請求項19に記載の薬学的組成物。
【化6】
【請求項36】
前記組成物が、少なくとも1つの免疫原をさらに含む、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項37】
前記組成物が、薬学的に許容可能な担体をさらに含む、請求項36に記載の薬学的組成物。
【請求項38】
前記組成物が、動物またはヒト対象に投与するために製剤化される、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項39】
前記組成物が、少なくとも1つのがん治療剤と、薬学的に許容可能な担体と、をさらに含み、前記少なくとも1つの化学療法剤およびサポニン誘導体が、薬学的に許容可能な製剤中に混和されているか、または互いに共有結合している、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項40】
動物またはヒト対象に投与されると、免疫原の免疫原性を増加させる方法であって、少なくとも、請求項36に記載の薬学的組成物を含むワクチンを前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項41】
前記合成経路が、天然サポニンを官能化側鎖分子とカップリングすることを含み、前記官能化側鎖が、ga5である請求項1に記載のサポニン誘導体を合成するための合成経路。
【請求項42】
前記天然サポニンが、Momordica cochinchinensis Sprengから得られる、請求項41に記載のサポニン誘導体を合成するための合成経路。
【請求項43】
前記天然サポニンが、アミド形成反応またはエステル形成反応を介して前記官能化側鎖分子にカップリングされる、請求項41に記載のサポニン誘導体を合成するための合成経路。
【請求項44】
ga5が、構造H C-(CH 6-20 -O-CH -を有するアルコキシ基である、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項45】
ga5が、R -NH-C(O)-であり、R が、構造HO-(CH 6-20 -を有する長鎖アルコールである、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項46】
が、エステル基、エーテル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アジド基、および芳香族基から選択された官能基で終端する長鎖アルキルである、請求項45に記載の変性サポニン。
【請求項47】
ga5が、R -NH-C(O)-であり、R が、長鎖アルキルR O(CH 6-20 -であり、R が、モノサッカリド、ジサッカリド、およびトリサッカリドからなる群から選択されたサッカリド単位から選択される、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項48】
ga5が、R -NH-C(O)-であり、R が、モノホスホリル脂質A(MPL)で終端する長鎖アルキルである、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項49】
ga5が、R -NH-C(O)-であり、R が、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(Pam Cys)またはトリパルミトイル-S-グリセリルシステイン(Pam Cys)で終端する長鎖アルキルである、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項50】
ga5が、R -NH-C(O)-であり、R が、ムラミルジペプチド単位で終端する長鎖アルキルである、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項51】
ga5が、R -NH-C(O)-であり、R が、α-Galcer単位で終端する長鎖アルキルである、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項52】
ga5が、R -NH-C(O)-であり、R が、MS I単位で終端する長鎖アルキルである、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項53】
ga5が、R -NH-C(O)-であり、R が、MS II単位で終端する長鎖アルキルである、請求項1に記載の変性サポニン。
【請求項54】
前記変性サポニンが、下式A~Eからなる群から選択される、請求項1に記載の変性サポニン。
【化7】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
ワクチンアジュバントはまた、ある特定の病原体に対して望ましい応答に免疫系を調整する。例えば、2つの異性体の混合物であるQS-21は、抗原特異的CTL産生でバランスの取れたTh1/Th2応答を増強する能力で知られているFDA承認のアジュバントであり、これは、細胞内病原体およびがんに対するワクチンに有益である(Ragupathi et al.,(2011)Expert Rev.Vaccines 10:463-470、Deng et al.,(2008)Angew Chem.Int.47:6395-6398、Kensil CR.(1996)Critical Revs.Therap.Drug Carrier Systs.13:1-55、Kensil et al.,(1991)J.Immun.146:431-437)。これは、幅広い臨床応用の潜在性を有し、したがって需要が高い(Kensil et al.,(1991)J.Immun.146:431-437)。QS-21の供給は、非常に限定的である。天然産生物は、温暖なチリ中部原産の常緑樹であるQuillaja saponaria Molina(QS)の樹皮から単離される。しかしながら、現在の需要下でさえ、天然源の過剰収集によって生態学的かつ経済的な結果が生じている(Ragupathi et al.,(2011)Expert Rev.Vaccines 10:463-470、Martin et al.,(1999)Econ.Bot.53:302-311)。さらに、QS樹皮抽出物中のQS-21の存在量は低く、その単離には労力がかかる(Kensil et al.,(1991)J.Immun.146:431-437、Ragupathi et al.,(2010)Vaccine28:4260-4267、Wang et al.,(2005)J.Am.Chem.Soc.127:3256-3257)。QS-21はまた、その製剤化を複雑にする2つの加水分解的に不安定なエステル部分に起因する化学的不安定性の問題を有し、その用量を限定する毒性はまた、完全な効力に到達することを妨げる。平易なドデシル側鎖または末端カルボキシル基を有する側鎖を担持するQS-21類似体は、異なるアジュバント活性を有することが示されている(Adams et al.,(2010)J.Am.Chem.Soc.132:1939-1945、Chea et al.,(2012)J.Am.Chem.Soc.134:13448-13457)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
Momordicaサポニン(MS)I(2)およびII(3)の誘導体化は、目的のQS-21の実用的な代替物を達成するための潜在的に実行可能な方式であることが示されている(Wang et al.,(2019)J.Med.Chem.62:9976-9982)。MS IおよびIIは、中国および東南アジアで生育する多年生Momordica cochinchinensis Spreng(MC)の種子から単離される(Iwamoto et al.,(1985)Chem.Pharm.Bull.33:464-478、Tang et al.(2011)Handbook Chinese Medicinal Plants,2:768)。種子は、広く入手可能かつ安価である。C3グルクロン酸でのMS Iへの脂肪族ドデシル鎖の組み込みによって、特に抗原特異的IgG2a応答を向上させることによる、天然前駆体と顕著に異なるアジュバント活性プロファイルを有する誘導体VSA-1(4a)がもたらされたMS誘導体4aおよび別のMS II誘導体5aの2つは、C16において5aのキラル酸コアに対して4aのトリテルペノイドコアの構造のみが異なるにもかかわらず、5aおよびその天然サポニン前駆体3は、IgG1およびIgG2aの応答においてそのような顕著な変化を有さなかった。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
開示の一態様は、下式を有する変性サポニンであって、
【化1】

式中、qが、HまたはOHであり得、qおよびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され得、fおよびfが、各々独立して、OH、またはアセチル、またはフオクシル(fuocsyl)単位のC3およびC4であり得、fおよびfが、環式ケタール環または環式炭酸エステルを形成し得、f が、H、メチル基、カルボキシル(a-carboxyl)基、 -O-C(O)-、-NR-C(O)--O-、およびR -O-CH からなる群から選択され得、RおよびRが、各々独立して、H、または構造R(CH -20-またはR[(CH -200- (CH0-20 -20を有する直鎖であり得、Rが、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、ga が、H、メチル基、H-O-C(O)-を除くカルボキシルR -O-C(O)-、R -NR -C(O)-、R -O-、およびR -O-CH -からなる群から選択され得、R およびR が、各々独立して、H、構造R (CH 1-20 -またはR [(CH 1-20 0-1 (CH 0-20 1-20 を有する直鎖であり得、R が、H、OH、COO(CH 0-6 H、COOBn、C(O)NR Bn、NR Bn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、が、Hまたはアルキル基であり得、r3が、H、モノサッカリド、ジサッカリド、またはトリサッカリドであり得、x3が、H、モノサッカリド(キシロースを除く)またはジサッカリドであり得、ga3が、H、モノサッカリドまたはジサッカリドであり得る、変性サポニンの実施形態を包含する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、変性サポニンは、下式Iを有し得、
【化2】

式中、qが、HまたはOHであり得、qおよびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され得、Rが、H、メチル基、カルボキシル基(H-O-C(O)-を除くR -O-C(O)-)、R-NR-C(O)--O-、およびR -O-CH からなる群から選択され得、RおよびRが、各々独立して、H、構造R(CH -20-またはR[(CH -200- (CH0-20 -20を有する直鎖であり得、Rが、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、Rが、Hまたはアルキル基であり得る。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、であり得る。
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり得、Rが、構造HOOC-(CH6-20-を有する長鎖脂肪酸であり得る。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり、Rが、長鎖アルキルRO(CH6-20-であり得、Rが、モノサッカリド、ジサッカリド、およびトリサッカリドからなる群から選択されたサッカリド単位から選択され得る。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
開示の別の態様は、下式を有する変性サポニンを含む、薬学的組成物であって、
【化4】

式中、qが、HまたはOHであり得、qおよびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され得、fおよびfが、各々独立して、OH、またはアセチル、またはフオクシル単位のC3およびC4であり得、fおよびfが、環式ケタール環または環式炭酸エステルを形成し得、f が、H、メチル基、カルボキシル基 -O-C(O)-、R-NR-C(O)--O-、およびR -O-CH からなる群から選択され得、RおよびRが、各々独立して、H、構造R(CH -20-またはR[(CH -200- (CH0-20 -20を有する直鎖であり得、Rが、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、Rが、Hまたはアルキル基であり得、ga が、H、メチル基、H-O-C(O)-を除くカルボキシルR -O-C(O)-、R -NR -C(O)-、R -O-、およびR -O-CH -からなる群から選択され得、R およびR が、各々独立して、H、構造R (CH 1-20 -またはR [(CH 1-20 0-1 (CH 0-20 1-20 を有する直鎖であり、R が、H、OH、COO(CH 0-6 H、COOBn、C(O)NR Bn、NR Bn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、R が、Hまたはアルキル基であり得、r3が、H、モノサッカリド、ジサッカリド、またはトリサッカリドであり得、x3が、H、モノサッカリド(キシロースを除く)またはジサッカリドであり得、ga3が、H、モノサッカリドまたはジサッカリドであり得る、薬学的組成物の実施形態を包含する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、変性サポニンは、下式Iを有し得、
【化5】

式中、qが、HまたはOHであり得、qおよびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され得、Rが、H、メチル基、カルボキシル基(H-O-C(O)-を除くR -O-C(O)-)、R-NR-C(O)--O-、およびR -O-CH からなる群から選択され得、RおよびRが、各々独立して、H、構造R(CH -20-またはR[(CH -200- (CH0-20 -20を有する直鎖であり得、Rが、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、Rが、Hまたはアルキル基であり得る。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、であり得る。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり、Rが、構造HOOC-(CH6-20-を有する長鎖脂肪酸であり得る。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり、Rが、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)またはトリパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)で終端する長鎖アルキルであり得る。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0122
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0122】
開示の一態様は、下式を有する変性サポニンであって、
【化1】

式中、qが、HまたはOHであり得、qおよびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され得、fおよびfが、各々独立して、OH、またはアセチル、またはフオクシル単位のC3およびC4であり得、fおよびfが、環式ケタール環または環式炭酸エステルを形成し得、f が、H、メチル基、カルボキシル基 -O-C(O)-、R-NR-C(O)--O-、およびR -O-CH からなる群から選択され得、RおよびRが、各々独立して、H、または構造R(CH -20もしくは[(CH -200- (CH0-20 -20を有する直鎖であり得、Rが、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、Rが、Hまたはアルキル基であり得、ga が、H、メチル基、H-O-C(O)-を除くカルボキシルR -O-C(O)-、R -NR -C(O)-、R -O-、およびR -O-CH -からなる群から選択され得、R およびR が、各々独立して、H、構造R (CH 1-20 -またはR [(CH 1-20 0-1 (CH 0-20 1-20 を有する直鎖であり、R が、H、OH、COO(CH 0-6 H、COOBn、C(O)NR Bn、NR Bn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、R が、Hまたはアルキル基であり得、r3が、H、モノサッカリド、ジサッカリド、またはトリサッカリドであり得、x3が、H、モノサッカリド(キシロースを除く)またはジサッカリドであり得、ga3が、H、モノサッカリドまたはジサッカリドであり得る、変性サポニンの実施形態を包含する。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0124
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0124】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、変性サポニンは、下式Iを有し得、
【化2】

式中、qが、HまたはOHであり得、qおよびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され得、Rが、H、メチル基、カルボキシル基(H-O-C(O)-を除くR -O-C(O)-)、R-NR-C(O)--O-、およびR -O-CH からなる群から選択され得、RおよびRが、各々独立して、H、構造R(CH -20-またはR[(CH -200- (CH0-20 -20を有する直鎖であり得、Rが、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、Rが、Hまたはアルキル基であり得る。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0125
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0125】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、であり得る。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0130
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0130】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり、Rが、長鎖アルキルRO(CH6-20-であり得、Rが、モノサッカリド、ジサッカリド、およびトリサッカリドからなる群から選択されたサッカリド単位から選択され得る。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0138
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0138】
開示の別の態様は、下式を有する変性サポニンを含む、薬学的組成物であって、
【化4】

式中、qが、HまたはOHであり得、qおよびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され得、fおよびfが、各々独立して、OH、またはアセチル、またはフオクシル単位のC3およびC4であり得、fおよびfが、環式ケタール環または環式炭酸エステルを形成し得、f が、H、メチル基、カルボキシル基 -O-C(O)-、R-NR-C(O)--O-、およびR -O-CH からなる群から選択され得、RおよびRが、各々独立して、H、または構造R(CH -20-またはR[(CH -200- (CH0-20 -20を有する直鎖であり得、Rが、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、Rが、Hまたはアルキル基であり得、ga が、H、メチル基、H-O-C(O)-を除くカルボキシルR -O-C(O)-、R -NR -C(O)-、R -O-、およびR -O-CH -からなる群から選択され得、R およびR が、各々独立して、H、構造R (CH 1-20 -またはR [(CH 1-20 0-1 (CH 0-20 1-20 を有する直鎖であり、R が、H、OH、COO(CH 0-6 H、COOBn、C(O)NR Bn、NR Bn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、R が、Hまたはアルキル基であり得、r3が、H、モノサッカリド、ジサッカリド、またはトリサッカリドであり得、x3が、H、モノサッカリド(キシロースを除く)またはジサッカリドであり得、ga3が、H、モノサッカリドまたはジサッカリドであり得る、薬学的組成物の実施形態を包含する。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0140
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0140】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、変性サポニンは、下式Iを有し得、
【化5】

式中、qが、HまたはOHであり得、qおよびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され得、Rが、H、メチル基、カルボキシル基(H-O-C(O)-を除くR -O-C(O)-)、R-NR-C(O)--O-、およびR -O-CH からなる群から選択され得、RおよびRが、各々独立して、H、構造R(CH -20-またはR[(CH -200- (CH0-20 -20を有する直鎖であり得、Rが、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり得、Rが、Hまたはアルキル基であり得る。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0141
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0141】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、であり得る。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0142
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0142】
開示の本態様のいくつかの実施形態では、Rは、R-NH-C(O)-であり、Rが、構造HOOC-(CH6-20-を有する長鎖脂肪酸であり得る。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0183
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0183】
実施例15
一般構造
【化7】

式中、
が、HまたはOHであり、
およびqが、各々独立して、CHO、CH、CHOH、H、またはアセタール基の構成成分から選択され、
およびfが、各々独立して、OH、またはアセチル、またはフオクシル単位のC3およびC4であり、fおよびfが、環式ケタール環または環式炭酸エステルを形成し、
が、H、メチル基、カルボキシル基 -O-C(O)-、R-NR-C(O)-、R-O-、およびR -O-CH からなる群から選択され、
およびRが、各々独立して、構造R(CH -20-またはR[(CH -200- (CH0-20 -20を有する直鎖であり、
が、H、OH、COO(CH0-6H、COOBn、C(O)NRBn、NRBn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり、
が、Hまたはアルキル基であり、
ga が、H、メチル基、H-O-C(O)-を除くカルボキシルR -O-C(O)-、R -NR -C(O)-、R -O-、およびR -O-CH -からなる群から選択され、
およびR が、各々独立して、H、構造R (CH 1-20 -またはR [(CH 1-20 0-1 (CH 0-20 1-20 を有する直鎖であり、
が、H、OH、COO(CH 0-6 H、COOBn、C(O)NR Bn、NR Bn、OBn、サッカリド単位、MomordicaサポニンIもしくはII、ムラミルジペプチド、モノホスホリル脂質A(MPL)単位、α-Galcer単位、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(PamCys)単位、または担体の官能基であり、
が、Hまたはアルキル基であり、
r3が、H、モノサッカリド、ジサッカリド、またはトリサッカリドであり、
x3が、H、モノサッカリド(キシロースを除く)、またはジサッカリドであり、
ga3が、H、モノサッカリド、またはジサッカリドである。
【国際調査報告】