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特表2022-525789超臨界二酸化炭素を用いた炭素繊維製造のためのメソフェーズピッチ
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  • 特表-超臨界二酸化炭素を用いた炭素繊維製造のためのメソフェーズピッチ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-19
(54)【発明の名称】超臨界二酸化炭素を用いた炭素繊維製造のためのメソフェーズピッチ
(51)【国際特許分類】
   C10C 1/18 20060101AFI20220512BHJP
   D01F 9/15 20060101ALI20220512BHJP
   D01F 9/14 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
C10C1/18
D01F9/15
D01F9/14 511
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556529
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(85)【翻訳文提出日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 US2020023162
(87)【国際公開番号】W WO2020190949
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】62/820,162
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/532,334
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513313945
【氏名又は名称】テラパワー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】グッドリッチ,ベンジャミン,エル.
(72)【発明者】
【氏名】キム,ビョンチョン
(72)【発明者】
【氏名】ターゲット,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター,ジョシュア,シー.
【テーマコード(参考)】
4H058
4L037
【Fターム(参考)】
4H058BA01
4H058BA03
4H058HA02
4L037CS02
4L037CS03
4L037PA63
4L037PC05
4L037PP02
4L037PP14
4L037PP20
4L037PP32
4L037PP38
4L037PS02
(57)【要約】
超臨界二酸化炭素を使用する炭素繊維製造のためのメソフェーズピッチを改善する方法の実施形態が記載される。本方法は、既に少なくともいくらかのメソフェーズピッチを有するコールタールなどの供給原料中のメソフェーズピッチの相対量および品質を改善する。1つの特定の方法は、コールタール上でsCO/トルエン抽出を行ってコールタールのトルエン不溶性画分を得ること、トルエン不溶性画分をsCOと混合してsCO/トルエン不溶性画分混合物を得ること、および、sCO/トルエン不溶性画分混合物を押し出し、それによってトルエン不溶性画分からsCOを分離してメソフェーズピッチの繊維を得ることを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともいくらかのメソフェーズピッチ前駆体を含むコールタールを超臨界二酸化炭素(sCO)とトルエンとの混合物と接触させ、それによってコールタールから少なくともいくらかのトルエン可溶性成分を除去し、トルエン不溶性画分を得るステップと、
接触工程後、トルエン不溶性画分からsCOとトルエンとの混合物を分離するステップと、
キノリンでトルエン不溶性画分を洗浄し、キノリンと、トルエン不溶性画分のキノリン可溶性画分との混合物を得るステップと、
キノリン可溶性画分からキノリンを分離するステップと、
キノリン可溶性画分をsCOと混合してsCO/キノリン可溶性画分混合物を得るステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
接触工程はさらに、sCO/キノリン可溶性画分混合物を押出機に通し、それによってキノリン可溶性画分からsCOを分離してメソフェーズピッチの繊維を得るステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法はさらに、分離工程後、トルエン不溶性画分に対してトルエン洗浄を行い、それによってトルエン不溶性画分から追加の可溶性物質を除去するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
キノリン可溶性画分からキノリンを分離するステップはさらに、キノリンとキノリン可溶性画分との混合物を蒸留するステップを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
キノリン可溶性画分からキノリンを分離するステップはさらに、キノリンを蒸発させてキノリン可溶性画分混合物を得るステップを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法はさらに、キノリン可溶性画分を300~400℃に加熱するステップを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法はさらに、キノリン可溶性画分を300~400℃に24時間未満加熱するステップを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法はさらに、メソフェーズピッチの繊維に対して安定化工程を行うステップを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法はさらに、メソフェーズピッチの繊維に対して炭化工程を行うステップを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法はさらに、メソフェーズピッチの繊維に対して黒鉛化工程を行うステップを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法はさらに、sCOとトルエンとの混合物を、コールタールを含む反応容器に通すステップを含み、
洗浄工程は、トルエン不溶性画分を前記反応容器で洗浄するステップを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法はさらに、キノリン可溶性画分からキノリンを分離する前に、キノリンを前記反応容器にて24時間まで循環させるステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法はさらに、キノリン可溶性画分を200~800℃に加熱するステップを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
加熱工程はさらに、キノリン可溶性画分を、300~400℃の温度に加熱したsCOと接触させるステップを含む、請求項6~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法はさらに、加熱工程後、キノリン不溶性物質の少なくとも一部をキノリン可溶性物質から分離するステップを含む、請求項6~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
炭素繊維の製造方法であって、
少なくともいくらかのメソフェーズピッチ前駆体を含むコールタールを超臨界二酸化炭素(sCO)とトルエンとの混合物と接触させ、それによってコールタールから少なくともいくらかのトルエン可溶性成分を除去し、トルエン不溶性画分を得るステップと、
接触工程後、不溶性コールタール画分からsCOとトルエンとの混合物を分離するステップと、
分離工程後、トルエン不溶性画分をsCOと混合してsCO/トルエン不溶性画分混合物を得るステップと、
sCO/トルエン不溶性画分混合物を押出機に通し、それによってトルエン不溶性画分からsCOを分離してメソフェーズピッチの繊維を得るステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記方法はさらに、キノリンでトルエン不溶性画分を洗浄し、キノリンとキノリン可溶性画分との混合物と、トルエン不溶性画分のキノリン不溶性画分とを得るステップと、
トルエン不溶性画分のキノリン可溶性画分からキノリンを分離するステップと、
トルエン不溶性画分のキノリン可溶性画分をsCOと混合してsCO/トルエン不溶性画分混合物を得るステップと、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記方法はさらに、トルエン不溶性画分のキノリン可溶性画分をsCOと混合する前に、トルエン不溶性画分のキノリン可溶性画分を300~400℃に24時間未満加熱するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
加熱工程はさらに、キノリン可溶性画分を、300~400℃の温度に加熱したsCOと24時間まで接触させるステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法はさらに、メソフェーズピッチの繊維に対して安定化工程を行うステップを含む、請求項16~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記方法はさらに、メソフェーズピッチの繊維に対して炭化工程を行うステップを含む、請求項16~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記方法はさらに、メソフェーズピッチの繊維に対して黒鉛化工程を行うステップを含む、請求項16~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
炭素繊維の製造方法であって、
少なくともいくらかのメソフェーズピッチ前駆体を含むコールタールを超臨界流体溶媒と第1の共溶媒との混合物と接触させ、それによってコールタールから少なくともいくらかの可溶性成分を除去し、不溶性コールタール画分を得るステップと、
接触工程後、不溶性コールタール画分から超臨界流体溶媒と第1の共溶媒との混合物を分離するステップと、
分離工程後、不溶性コールタール画分をsCOと混合してsCO/不溶性画分混合物を得るステップと、
sCO/不溶性画分混合物を押出機に通し、それによって不溶性画分からsCOを分離してメソフェーズピッチの繊維を得るステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
前記方法はさらに、第2の共溶媒で不溶性画分を洗浄し、第2の共溶媒と第2の共溶媒可溶性画分との混合物と、第1の不溶性画分の第2の共溶媒不溶性画分とを得るステップと、
不溶性画分の第2の共溶媒可溶性画分から第2の共溶媒を分離するステップと、
不溶性画分の第2の共溶媒可溶性画分をsCOと混合してsCO/不溶性画分混合物を得るステップと、
を含み、
第2の共溶媒は、ベンゼン、キシレン、テトラリン、テトラヒドロフラン、ピリジン、およびキノリンのうちの1つ以上から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記方法はさらに、第2の共溶媒可溶性画分をsCOと混合する前に、不溶性画分の第2の共溶媒可溶性画分を300~400℃に24時間未満加熱するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
加熱工程はさらに、第2の共溶媒可溶性画分を、300~400℃の温度に加熱したsCOと24時間まで接触させるステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記方法はさらに、メソフェーズピッチの繊維に対して安定化工程を行うステップを含む、請求項23~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記方法はさらに、メソフェーズピッチの繊維に対して炭化工程を行うステップを含む、請求項23~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記方法はさらに、メソフェーズピッチの繊維に対して黒鉛化工程を行うステップを含む、請求項23~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記超臨界流体溶媒が、二酸化炭素、水、メタン、亜酸化窒素、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、メタノール、エタノール、およびアセトンのうちの1つ以上から選択される、請求項23~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
第1の共溶媒が芳香族有機溶媒である、請求項23~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の共溶媒が芳香族有機溶媒である、請求項24~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の共溶媒が、ベンゼン、キシレン、テトラリン、テトラヒドロフラン、ピリジン、およびキノリンのうちの1つ以上から選択される、請求項23~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記第2の共溶媒が、ベンゼン、キシレン、テトラリン、テトラヒドロフラン、ピリジン、およびキノリンのうちの1つ以上から選択される、請求項23~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
コールタールが、
炭素質供給原料の組み合わせを第1の温度および第1の圧力で第1の期間、熱分解してC-Cガスを生成するステップと、
前記組み合わせを第1の温度よりも高い第2の温度に増加させるステップと、
第2の温度で第2の期間の間、前記組み合わせを熱分解してコールタールを生成するステップと、
前記組み合わせからコールタールを抽出するステップと、
によって生成される、請求項23~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の温度が150~350℃であり、前記第1の圧力が7~30MPaである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第2の温度が350~550℃である、請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の期間が1~120分である、請求項35~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の期間は、前記炭素質供給原料から前記第1の温度で生成される少なくとも1つのC-Cガスの量に基づいて決定される、請求項35~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記第2の期間は、1分~24時間である、請求項35~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
第1の温度および第1の圧力で炭素質供給原料を熱分解するステップが、第1の熱分解反応チャンバ内で行われる、請求項35~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記第2の温度で前記炭素質供給原料を熱分解するステップが、前記第1の熱分解反応チャンバ内で行われる、請求項35~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記第2の温度で前記炭素質供給原料を熱分解するステップが、前記第1の熱分解反応チャンバとは異なる第2の熱分解反応チャンバ内で行われる、請求項35~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
第1の温度および第1の圧力で炭素質供給原料を熱分解するステップが、二酸化炭素雰囲気中で行われる、請求項35~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記方法はさらに、熱分解雰囲気における1つ以上のC-Cガスの濃度を監視するステップを含む、請求項35~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
コールタールを抽出するステップが、二酸化炭素雰囲気を分離システムに移すステップを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
コールタールを抽出するステップが、二酸化炭素雰囲気の温度または圧力の少なくとも一方を低下させるステップを含む、請求項45または46に記載の方法。
【請求項48】
前記超臨界流体溶媒が超臨界二酸化炭素であり、前記第1の共溶媒がトルエンであり、前記第2の共溶媒がキノリンである、請求項23~47のいずれか1項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、PCT国際特許出願として2020年3月17日に出願され、2019年3月18日に出願された米国仮特許出願第62/820,162号の利益を主張し、さらに、2019年8月5日に出願された米国特許出願第16/532,334号の優先権を主張し、これらの出願は参照によってここに導入される。
【0002】
〔はじめに〕
熱分解は、酸素の非存在下での高温での有機材料の熱化学的分解を指す。熱分解システムがどのように構成され、工程されるかに応じて、異なる熱分解生成物を得ることができる。超臨界二酸化炭素を用いた石炭の熱分解によってコールタールを生成するためのシステムおよび方法がある。これらのシステムおよび方法のいくつかでは、得られるコールタール生成物は、メソフェーズ(中間相)(mesophase)ピッチを作り出すために使用することができる少なくともいくつかのメソフェーズ材料を含む。メソフェーズピッチは、プレグラファイトオーダー、高密度、および高軟化温度を特徴とするピッチの異方性液晶相を指す。メソフェーズピッチは、高性能炭素繊維を製造するために使用することができる。
【0003】
〔超臨界二酸化炭素を用いて炭素繊維製造のためのメソフェーズピッチを改善する〕
超臨界二酸化炭素を用いて炭素繊維製造のためのメソフェーズピッチを改善する方法の実施形態が記載される。本方法は、既に少なくともいくらかのメソフェーズピッチを有するコールタールなどの供給原料中のメソフェーズピッチの相対量および品質を改善する。1つの特定の方法は、コールタールに対してsCO/トルエン抽出を行って、コールタールのトルエン不溶性画分を得ることと、トルエン不溶性画分をsCOと混合してsCO/トルエン不溶性画分混合物を得ることと、sCO/トルエン不溶性画分混合物を押し出し、それによってトルエン不溶性画分からsCOを分離してメソフェーズピッチの繊維を得ることとを含む。
【0004】
〔図面の簡単な説明〕
本出願の一部を形成する以下の図面は記載された技術を例示するものであり、いかなる方法においても特許請求される本発明の範囲を限定することを意味するものではなく、その範囲は、本明細書に添付された特許請求の範囲に基づくものとする。
【0005】
図1は、高レベルで、所与の供給原料から生成されるピッチの相対量を改善する熱分解方法の簡略化された実施形態を示す。
【0006】
図2は、図1の熱分解方法のより詳細な実施形態を示す。
【0007】
図3は、上述のピッチ製造方法に適したシステムの一例である。
【0008】
図4は、所与の供給原料から得られる熱分解生成物を変化させるように調整することができる柔軟な熱分解システムのバッチ実施形態のプロセスフロー図を示す。
【0009】
図5A図5Cは、図4に示すシステムの一実施形態の実験性能を示す図である。
【0010】
図6は、COを用いて炭素質供給原料を熱分解して反応生成物を得るための広範な方法の実施形態を示す。
【0011】
図7は、超臨界COを用いて石炭を熱分解する法のより詳細な実施形態である。
【0012】
図8は、超臨界二酸化炭素を用いて炭素繊維製造のためのメソフェーズピッチを改善する方法の実施形態を示す。
【0013】
〔詳細な説明〕
超臨界二酸化炭素を用いて炭素繊維製造のための改善されたメソフェーズピッチを調製するためのシステムおよび方法が開示され、記載される前に、本開示は本明細書に開示される特定の構造、プロセスステップ、または材料に限定されず、当業者によって認識されるように、それらの等価物に拡張されることが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的でのみ使用され、限定することを意図しないことも理解されるべきである。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は文脈が明らかに異なることを示さない限り、複数の指示対象を含み、したがって、例えば、「一つの(「a」)水酸化リチウム」への言及は定量的または供給源限定として解釈されるべきではなく、「一つの(「a」)ステップ」への言及は複数のステップ(工程)を含むことができ、反応の「生成」または「生成物」への言及は反応の生成物のすべてであると解釈されるべきではなく、「反応する」への言及はそのような反応ステップの1つまたは複数への言及を含むことができることに留意されたい。したがって、反応させる工程は、同定された反応生成物を生成するために、類似の材料の複数回または反復反応を含むことができる。
【0014】
「ピッチ」は、石炭、木材および他の有機材料から製造することができるポリ芳香族炭化水素を含む炭化水素の集合体を指す。ピッチは高い(>80重量%)元素炭素組成物、高濃度の多環式芳香族炭化水素(PAH)、および軟化温度を有することを特徴とし、軟化温度は、100℃~250℃を超える範囲であり得る(Vicat方法ASTM-D 1525を使用して測定)。一般に、炭素繊維に適したピッチは、高濃度の異方性メソフェーズピッチを形成することができる。これは、コーティングおよび塗料のための基材として、屋根および舗装において、ならびにアスファルト製品中のバインダーとして使用することができる。ピッチはまた、以下により詳細に議論されるように、炭素繊維を作製するために使用され得る。
【0015】
以下のシステムおよび方法は超臨界二酸化炭素の実施形態に関して提示されるが、任意の超臨界流体(例えば、二酸化炭素、水、メタン、亜酸化窒素、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、メタノール、エタノール、アセトンなど)または超臨界流体の混合物が使用され得る。
【0016】
図1は、高レベルで、所与の供給原料から生成されるピッチの相対量を改善する熱分解方法の簡略化された実施形態を示す。図示の方法100では、炭素質供給原料物質および水が2段階熱分解に供される。水は、供給原料内の水分含量として存在してもよい。あるいは、追加の水を、熱分解の前または熱分解中のある時点で供給原料に添加してもよい。
【0017】
第1段階は、供給原料からC-Cガスを除去するための低温熱分解工程(動作、工程、作業、運転)102である。この段階102では、熱分解がより低い温度(例えば、7~30MPaで150~350℃)で行われる。供給原料は第1段階温度に加熱され、その温度に保持されて、供給原料からC-Cガスを生成し、除去される。一実施形態では、熱分解チャンバ内のガスが監視され、作業者の基準に基づいてC-Cガス濃度が横ばいになり始めたと判定されると、高温熱分解動作104が実行される。
【0018】
第1段階温度は、供給原料の特性の事前知識に基づいて選択されてもよく、または熱分解反応および生成される生成物のリアルタイム分析に基づいて自動的に決定されてもよい。実施形態に応じて、第1段階温度は、150℃、175℃、200℃、225℃、250℃、275℃、300℃、および325℃から選択されるより低い範囲を有してもよく、175℃、200℃、225℃、250℃、275℃、300℃、325℃、および350℃から選択されるより高い範囲を有してもよく、その結果、前述のより低い範囲およびより高い範囲の任意の組み合わせが使用されてもよい。
【0019】
第2段階熱分解工程104では、7~30MPa、例えば7~12MPaで温度を350~550℃に上昇させ、ピッチを生成するのに十分な期間、その温度に保持される。第1段階と同様に、システムが平衡になると、生成される熱分解生成物の量は時間の経過と共に横ばいになり、第2の熱分解工程104の長さは作業者の裁量である。
【0020】
第2段階温度は、供給原料の特性の事前知識に基づいて選択されてもよく、または熱分解反応および生成される生成物のリアルタイム分析に基づいて自動的に決定されてもよい。実施形態に応じて、第2段階温度は、350℃、375℃、400℃、425℃450℃、および480℃から選択されるより低い範囲を有してもよく、375℃、400℃、425℃、450℃、450℃、480℃、500℃、525℃、および550℃から選択されるより高い範囲を有してもよく、その結果、前述のより低い範囲およびより高い範囲の任意の組み合わせが使用されてもよい。
【0021】
次に、ピッチは、抽出および分離動作106において得られる。抽出および分離工程106において、ピッチは超臨界二酸化炭素(sCO)のような溶媒を用いて抽出され、溶媒および溶解されたピッチは反応チャンバから除去され、次いで分離されてピッチ生成物を生成する。
【0022】
ピッチから炭素繊維を得るために、任意の(図面において破線で示される)押し出し工程108が行われ得、ここで、ピッチは、所望の断面プロファイルの繊維となるように押し出され、そして冷却され得る。ピッチは不要な製品を除去してピッチをさらに精製するために、最初に、例えば、トルエンまたは他の溶媒によって洗浄されてもされなくてもよい。
【0023】
図1の2段階プロセスについての実験データは、所与の供給原料について生成されるピッチの量が、より高い温度での単一段階熱分解を使用して同じ供給原料から得られるのであろう量よりも多いことを示している。いかなる特定の理論にも束縛されることなく、上記の2段階プロセスは第1段階において供給原料から、より軽質の炭化水素を除去するように思われ、これは第2段階中に、このより軽質の炭化水素がより大きな炭化水素鎖および芳香族と反応するのを利用不可能にし、これは生成されるピッチの相対量を改善する。
【0024】
供給原料物質は、当技術分野で知られている任意の炭素質物質を含むことができる。例えば、供給原料物質は石炭、バイオマス、混合源バイオマテリアル、ピート、タール、プラスチック、ごみ、および埋め立て廃棄物を含むことができるが、これらに限定されない。例えば、石炭の場合、供給原料は、瀝青炭、亜瀝青炭、亜炭、無煙炭などを含むことができるが、これらに限定されない。別の例として、バイオマスの場合、供給原料は、針葉樹または広葉樹のような木材材料を含むことができるが、これらに限定されない。本明細書中で議論される詳細な実施形態の実験において、供給原料は石炭として提示される。しかしながら、ピッチは、任意の他のタイプの供給原料物質から等しく生成され、その後、石炭で説明したのと同じ方法で炭素繊維を生成するために使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0025】
石炭などの任意の炭素質供給原料は、いくらかの量の水を含み得ることに留意されたい。さらに、水は、本明細書中で議論される任意の方法およびシステムにおいて、熱分解の前または熱分解中に供給原料に添加されて、反応によって生成された生成物を改質してもよい。同様に、供給原料は熱分解の前に乾燥されて、熱分解工程中に利用可能な水の量を低下させることができ、このような乾燥工程は、本明細書で議論される方法およびシステムのいずれかの一部であり得る。
【0026】
図2は、図1の熱分解方法のより詳細な実施形態を示す。方法200は、装填(積込み)工程202において、熱分解反応チャンバ内に供給原料物質および水を配置することによって開始する。一実施形態では、供給原料物質および/または水は、熱分解反応チャンバ内に配置する前に予熱することができる。使用される水の量は、乾燥された供給原料物質の重量の1%~1000%であり得る。一実施形態では、水の量は、下端の乾燥供給原料物質の重量の10%、20%、30%、40%、または50%から、上端の100%、200%、または500%までとすることができる。水は、別途添加されてもよく、または供給原料物質中に既に存在してもよい。例えば、一実施形態では、使用される供給原料物質は、供給原料物質の重量の10%超が水であり、石炭中の水が装填工程202のための水として使用されるように、水で半飽和された石炭である。
【0027】
装填工程はまた、熱分解反応チャンバを動作圧力(例えば、7~12MPa)に加圧することを含み得る。一実施形態では、これは酸素を除去するステップと、加圧されたCOを反応チャンバに加えるステップとを含むことができる。この実施形態では、加圧されたCOは、後に、ピッチおよび他の可溶性生成物を抽出し、チャンバから除去するための溶媒として使用することができる。
【0028】
方法200はまた、初期加熱工程204において、7~12MPaで150~350℃の中間温度まで熱分解反応チャンバを加熱することを含む。より狭い温度範囲、例えば、範囲の下端の160、170、180、190、200、210、220、230、または240から、範囲の上端の250、260、270、280、290、300、310、320、330、または340までを使用することができる。初期加熱工程204は、装填工程202の前後で行うことができる。一実施形態では、工程204は、中間温度より低い温度での反応が低減されるように、所与の装置で実行可能な限り速く温度を上昇させるように実行することができる。
【0029】
次いで、中間温度は、第1の温度保持工程206において、ある期間維持される。保持時間は、10分、15分、30分、60分、120分、または240分のように予め選択されてもよい。例えば、予め選択された保持時間は、以前の実験に基づくことができる。あるいは、保持時間は、熱分解反応チャンバ内のガスを監視することによって決定されてもよい。例えば、一実施形態では、メタン、エタン、ブタン、プロパン、または任意の他の軽質ガス反応生成物などの1つまたは複数の熱分解反応生成物ガスの濃度が監視される。監視される1つまたは複数のガスの濃度は最初に上昇し、最終的には、指数曲線に従ってほぼ横ばいになり始める。保持時間は、経時的なガスまたはガス濃度の監視された変更に基づくことができる。例えば、一実施形態では、第1の温度保持工程206は、監視される1つまたは複数のガスの濃度が、ある所定の期間(例えば、10秒、1分、5分など)にわたって、ある閾値量(例えば、2%または100ppm)未満だけ増加したことが観察されたときに終了することができる。さらに別の実施形態では、熱分解温度または供給原料物質の視覚的または物理的な状態などの任意の他のパラメータを維持するためにチャンバに投入されるエネルギー量を監視して、反応が作業者の満足度まで進行したことを判定することもできる。
【0030】
次いで、第2の加熱工程208が行われる。第2の加熱工程208では、熱分解チャンバおよび供給原料物質の温度を、300℃から550℃の熱分解温度まで上昇させる。例えば、第2の加熱工程208は、反応チャンバを、範囲の下端の325℃、350℃、375℃、または400℃から、範囲の上端の425℃、450℃、475℃、500℃、525℃、または550℃まで、加熱することを含むことができる。
【0031】
ピッチ製造温度とも呼ばれる熱分解温度は、その後、第2の温度保持工程210において1分~24時間の第2の期間維持される。再び、第2の保持時間は例えば、以前の実験に基づいて予め選択されてもよい。あるいは、保持時間は、熱分解反応チャンバ内の第1の温度保持工程206の間に監視される同一の1つ以上のガスであってもそうでなくてもよい1つ以上のガスを監視することによって決定されてもよい。さらに別の実施形態では、熱分解温度または供給原料物質の視覚的または物理的な状態などの任意の他のパラメータを維持するためにチャンバに投入されるエネルギー量を監視して、反応が作業者の満足度まで進行したことを判定することもできる。
【0032】
第2の保持時間の終わりに、ピッチは、抽出工程212において、抽出され、熱分解チャンバから除去されてもよい。
【0033】
次いで、分離工程214を行って、抽出されたピッチを溶媒から分離することができる。一実施形態では、溶媒がsCOである場合、分離工程214は、チャンバからsCOおよび溶解熱分解反応生成物を除去する工程と、溶剤の温度や圧力を、ピッチが得られるまで低下させる工程とを含むことができる。例えば、二酸化炭素中で異なる溶解度を有する、ピッチを含む反応生成物の成分を分別的に除去するために、sCOを、それぞれ異なる圧力・温度の組み合わせで、連続する捕集チャンバに通してもよい。分離チャンバの1つは、溶媒からのピッチの凝縮に特有の温度および圧力に維持され得る。例えば、一実施形態では、ピッチは、350℃以上の温度、7.39MPa以上に維持されたチャンバ内のCO溶媒から得られる。
【0034】
ピッチから炭素繊維を得るために、任意の(図面において破線で示される)押し出し工程216が行われ得、ここで、ピッチは、所望の断面プロファイルの繊維となるように押し出され、そして冷却され得る。ピッチは、不要な生成物を除去するために最初に洗浄されてもされなくてもよく、押し出し前または押し出し後にピッチをさらに精製する。さらに、押し出されたピッチは、延伸され、乾燥され、冷却され、ベークされ、(酸化的または不活性環境において)熱処理され、または他の方法で後処理されて、繊維ストランド(糸、strand)の特性を改善することができる。
【0035】
上述の方法200は、単一の熱分解反応チャンバ内のバッチプロセスに関して記載された。代替実施形態では、この方法は、1つまたは複数の熱分解反応チャンバを使用する連続プロセスまたは半連続プロセスとして実施することができる。例えば、一実施形態では初期加熱工程204および第1の温度保持工程206が第1の反応チャンバ内で実行されてもよく、次いで、内容物は第2の加熱工程208および第2の温度保持工程210のために第2のチャンバに移送されてもよい。
【0036】
図3は、上述のピッチ製造方法に適したシステム300の一例である。図3は、炭素質物質を1つ以上の反応生成物に変換するためのシステム300のブロック図を示す。一実施形態では、システム300は、熱化学変換システム302を含む。一実施形態では、熱化学変換システム302は、ある体積の供給原料物質305(例えば、炭素質物質)および水を収容し、供給原料物質を、ピッチを含む1つまたは複数の反応生成物に変換するのに適した、熱分解反応チャンバなどの熱化学反応チャンバ304を含む。
【0037】
図示の実施形態では、システム300は、1つまたは複数の熱源308と、熱エネルギーを1つまたは複数の熱源308から熱化学反応チャンバ304内に含まれる上述のある体積の供給原料305に伝達するための熱エネルギー伝達システム306とを含む。熱エネルギー伝達システム306は、熱伝達要素307を含む。例えば、熱伝達要素307は熱伝達ループ、熱伝達線を含むことができるが、これらに限定されない。例えば、熱伝達要素307は、1つまたは複数の熱源308の1つまたは複数の部分と(例えば、直接的または間接的に)熱連通して配置された超臨界流体(例えば、sCO)で満たされた熱伝達ループを含むことができるが、これに限定されない。
【0038】
一実施形態では、熱エネルギー伝達システムは、ある体積の超臨界流体を、熱化学反応チャンバ内に含まれるある体積の供給原料と熱連通するように選択的に配置するように構成される。この点に関して、熱エネルギー伝達システム306は、1つ以上の熱源308からの熱エネルギーを、少なくとも1つの熱化学反応チャンバ304内に含まれるある体積の供給原料305に選択的に伝達することができる。別の実施形態では、熱化学反応チャンバ304は、超臨界流体を介して供給原料に運ばれる熱エネルギーを使用して、供給原料305の少なくとも一部を熱分解して、1つまたは複数の反応生成物を得ることができる。
【0039】
システム300の超臨界流体は、1つまたは複数の熱源308から熱化学反応チャンバ304に含まれる供給原料305にエネルギーを伝達するのに適した、当技術分野で知られている任意の超臨界流体を含むことができる。一実施形態では超臨界流体はsCOを含むが、これに限定されない。別の実施形態では超臨界流体は水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトンを含むが、これらに限定されない。別の実施形態では、超臨界流体は、熱伝達要素307および熱化学反応チャンバ304のうちの少なくとも1つの内部で高圧に加圧される。
【0040】
本明細書では、COのような(ただし、これに限定されない)システム300の超臨界流体は低い粘性および表面張力を有することができ、そのような超臨界流体が有機物質(例えば、石炭)に容易に浸透することを可能にすることに留意されたい。超臨界流体の供給原料305への浸透は、熱化学反応の前に、供給原料305を微粒子に変換する必要性を低減し、それによって供給原料物質の調製におけるエネルギーを節約する。一実施形態では、超臨界流体が超臨界COであるケースでは、超臨界流体は、その臨界圧(7.39MPa)および臨界温度(31℃)を超えて加圧されてもよい。本明細書では、これらの条件下では、COは、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、およびトルエンなどの有機溶媒と同様に、独特の溶解特性を示すことに留意されたい。超臨界COの非極性の性質は、水系環境で一般に起こる望ましくないイオン二次反応の制御を容易にすることができる。さらに、システムが臨界状態で減圧されると、COが揮発し、低含水量の油の回収を容易にする。再び、これは、熱分解後の、本明細書にさらに記載される、反応生成物-超臨界流体分離の間のエネルギー消費を有意に減少させ得る。さらに、システム300の超臨界流体は、加熱され加圧されたCOを供給原料物質305に加え、反応条件(例えば、時間、圧力、および温度)のより良好な制御を提供し、それによって、高価値の目標化合物または燃料中間体のより良好な選択性を可能にすることに留意されたい。
【0041】
別の実施形態では、超臨界COなどの超臨界流体が、反応を和らげるための熱化学反応チャンバ304へのより低温の超臨界流体の注入、または、反応を加速するためのより高温の超臨界流体の注入を介して、強い温度および反応時間制御を提供することができる。さらに、超臨界COのような多数の超臨界流体を効率的に圧縮することができるので、熱化学反応チャンバ304内の加圧状態を使用して、熱化学反応チャンバ304内の熱化学反応を制御することもできることが認識される。
【0042】
別の実施形態では超臨界流体中の1つ以上の反応生成物(例えば、ピッチ)の溶解度は、超臨界流体中に極性材料を添加または除去することによって制御され得る。例えば、超臨界二酸化炭素中の1つ以上の油の溶解度は、極性分子(例えば、HO、エタノール、メタノール、高級アルコールなどが挙げられるが、これらに限定されない)を含む1つ以上の材料の添加/除去によって制御され得る。別の例として、供給原料物質が石炭を含む場合、sCO中の1つ以上の油の溶解度は、水素供与体分子(例えば、H、HO、ギ酸、テトラリン、および当該分野で公知の任意の他の水素供与体溶媒が挙げられるが、これらに限定されない)を含む1つ以上の物質を添加/除去することによって制御され得る。
【0043】
本明細書では、熱化学反応チャンバ304内に含まれる供給原料305は、1つ以上の反応生成物(例えば、バイオオイル)を超臨界流体に適切に溶解するのに十分な水分および極性を含み得ることが認識される。本明細書中でさらに議論されるように、供給原料の「乾燥度」は熱化学変換システム302によって制御され得(例えば、乾燥機134を介して制御される)、熱化学変換システム302が、供給原料305内の水分含量レベルを、超臨界流体中に1つ以上の反応生成物を適切に溶解するのに十分なレベルに維持することを可能にする。
【0044】
別の実施形態では、超臨界流体は、システム300内の1つまたは複数の物理的または熱化学的反応を促進するための1つまたは複数の材料を含むことができる。例えば、超臨界流体は、限定されないが、金属、金属塩および有機物などの1つ以上の触媒を含有することができる。別の例として、超臨界流体は、アルコール、油、水素、および炭化水素などの1つまたは複数の溶質を含むことができるが、これらに限定されない。
【0045】
1つまたは複数の熱源308は、供給原料305を熱分解の2つの段階で使用される選択された温度まで加熱するのに十分な熱エネルギーを提供するのに適した、当技術分野で知られている任意の熱源を含むことができる。
【0046】
一実施形態では、1つまたは複数の熱源308は、非-CO放出熱源を含む。一実施形態では、1つ以上の熱源308は、1つ以上の原子炉を含む。1つまたは複数の熱源308は、当技術分野で知られている任意の原子炉を含むことができる。例えば、1つ以上の熱源308は、液体金属冷却原子炉、溶融塩冷却原子炉、高温水冷却原子炉、ガス冷却原子炉等を含むことができる。別の例として、1つまたは複数の熱源308は、プール反応器を含むことができる。別の例として、1つまたは複数の熱源308は、モジュール炉を含むことができる。
【0047】
本明細書において、原子炉は供給原料305の熱分解(例えば、高速熱分解)を実施するのに十分な温度を生成し得ることが認識される。例えば、原子炉熱源は、350~600℃を超える温度を発生し得る。この点に関して、原子炉は、熱エネルギーを(例えば、350~600℃を超える温度で)超臨界流体に伝達するために使用され得る。次に、超臨界流体は、原子炉で生成された熱エネルギーを、熱化学反応チャンバ304内に含まれる供給原料305に伝達することができる。
【0048】
さらに、本明細書では、システム300の熱化学反応温度が多くの原子炉の動作温度の範囲内にあるので、原子炉熱源がシステム300に関連して熱源として特に有利であり得ることに留意されたい。原子炉が熱化学変換のための反応温度で動作している(すなわち、熱化学反応温度で加えられた熱が必要な反応エンタルピーを供給する)ので、原子炉熱は、高効率で熱化学反応チャンバ304内に反応生成物(例えば、ピッチ)を生成するために使用することができる。
【0049】
一実施形態では、図3に示すように、熱エネルギー伝達システム306は、1つ以上の熱源308から熱伝達要素307のある体積の超臨界流体に直接熱エネルギーを伝達するように構成された直接熱交換システムを含む。例えば、熱伝達要素307は、1つまたは複数の熱源308の部分と直接熱連通するように配置することができる。例えば、1つ以上の熱源308が原子炉を含む場合、原子炉の1つ以上の冷却材システムは、熱エネルギー伝達システム306と一体化されてもよい。この点に関して、原子炉は1つまたは複数の冷却材システム内の超臨界流体を利用することができ、次いで、この超臨界流体は、熱化学反応チャンバ304に直接結合することができる。例えば、原子炉の一次または中間冷却材ループは、超臨界COのような超臨界流体からなる冷却材流体を含むことができる。さらに、原子炉の冷却材ループは、原子炉の冷却材ループの超臨界流体を熱化学反応チャンバ304内に含まれる供給原料物質305と混合するように、熱エネルギー伝達システム306を介して熱化学反応チャンバ304に直接結合されてもよい。次に、原子炉から供給原料物質305に熱エネルギーを伝達する際に、熱エネルギー伝達システム306は、戻り経路318を介して超臨界流体冷却材を原子炉に戻すように循環させることができる。熱エネルギー伝達システム306は、原子炉の冷却材システムへの供給原料および/または反応生成物の伝達を回避するために、任意の数の濾過要素を含むことができることが、本明細書でさらに企図される。
【0050】
図示されていない別の実施形態では、熱エネルギー伝達システム306は、間接熱交換システムを含む。一実施形態では、間接熱交換システムは、1つまたは複数の熱源308から熱伝達要素307内に含まれるある体積の超臨界流体に間接的に熱エネルギーを伝達するように構成される。一実施形態では、間接熱交換システムは、1つまたは複数の熱源308から中間熱伝達要素に熱エネルギーを伝達するように構成された中間熱伝達要素(図示せず)を含む。次に、中間熱伝達要素は、中間熱伝達要素から熱伝達要素307内に含まれる超臨界流体の体積に熱エネルギーを伝達することができる。
【0051】
一実施形態では、中間熱伝達要素は、中間熱伝達ループおよび1つまたは複数の熱交換器を含むことができる。中間熱伝達ループは、熱エネルギーを伝達するのに適した当技術分野で知られている任意の作動流体を含むことができる。例えば、中間熱伝達回路の作動流体は、液体塩、液体金属、ガス、超臨界流体(例えば、超臨界CO)または水を含むことができるが、これらに限定されない。
【0052】
さらに、本明細書で前述したように、熱伝達システム306の熱伝達要素超臨界流体を、熱化学反応チャンバ304内に含まれる供給原料物質305と混合することができる。次に、熱源308から熱伝達要素307を介して供給原料物質305に熱エネルギーを伝達すると、熱エネルギー伝達システム306は、戻り経路318を介して超臨界流体冷却材を再循環させることができる。
【0053】
1つまたは複数の熱源308と供給原料305との間の直接的および間接的な結合に関する上記の説明は、限定的なものではなく、単に例示目的のために提供されたものであることに本明細書で留意されたい。一般的な意味で、1つ以上の熱源(例えば原子炉)と熱化学反応チャンバ304との間の統合は、1つ以上の熱源308の一次、中間、または三次熱伝達システム(例えば、冷却材システム)からの熱を、熱化学変換システム302の超臨界COのような作動流体に伝達することによって生じ得ることが認識される。この統合は、1つ以上の熱伝達回路、1つ以上のヒートシンク、1つ以上の熱交換器等のような(ただし、これらに限定されない)当技術分野で知られている任意の熱伝達システムまたはデバイスを使用して実行されてもよいことが、本明細書でさらに認識される。
【0054】
一実施形態では、熱エネルギー伝達システム306は、流量制御システム310を含む。流量制御システム310は、超臨界流体を、熱化学反応チャンバ304内に含まれるある体積の供給原料と熱連通させるように選択的に配置するように構成することができる。この点に関して、流量制御システム310は、1つ以上の熱源308からの熱エネルギーを、熱化学反応チャンバ304内に含まれるある体積の供給原料に選択的に伝達することができる。例えば、流量制御システム310は、熱伝達要素307を通る超臨界流体の流れを制御するために、熱伝達要素307(例えば、熱伝達ループ)に沿って配置されてもよい。この点に関して、流量制御システム310はある体積の供給原料305への超臨界流体の流量を制御することができ、それによって、供給原料305への熱エネルギーの伝達を制御することができる。
【0055】
流量制御システム310は、第1の位置から第2の位置への超臨界流体の流れを制御するのに適した、当技術分野で知られている任意の流量制御システムを含むことができる。例えば、流量制御システム310は、これに限定されないが、熱伝達要素307に動作可能に連結され、熱伝達要素307を通る流動を確立しかつその流動を停止するのに適した1つまたは複数の制御バルブを含んでもよい。例えば、流量制御システム310は、手動制御弁、弁/弁アクチュエータ等を含んでもよい。
【0056】
別の実施形態では、流量制御システム310は、1つまたは複数の熱源308からの熱エネルギーを電気発生システム(図示せず)に結合することができる。例えば、流量制御システム310は、発生した熱源308のタービン電気システムおよび熱化学変換システム302への並列結合を確立することができる。一実施形態では、熱化学変換システム302は、1つまたは複数の熱源308(例えば、原子炉)から熱を受け取ることができる複数のバッチ型反応システムを含むことができる。このようにして、複数のバッチ処理を、同時に、または連続して実行することが可能であり、これは、全体的な熱および供給原料変換の必要性に対処する。別の実施形態では、熱は1つまたは複数のタービン電気システムに並列に連結されながら、1つまたは複数の連続熱化学反応器に伝達されてもよい。
【0057】
一実施形態では、システム300は、供給原料供給システム312を含む。一実施形態では、供給原料供給システム312は、熱化学変換システム302の熱化学反応チャンバ304に動作可能に結合される。別の実施形態では、供給原料供給システム312は、一定量の供給原料物質305および水を熱化学反応チャンバ304の内部に供給する。供給原料供給システム312は、固体物質、粒状物質または液体物質などの選択された量の供給原料物質を1つ以上の供給源から熱化学反応チャンバ304の内部に移送するのに適した、当技術分野で公知の任意の供給システムを含むことができる。例えば、供給原料供給システム312は、コンベヤシステム、流体移送システムなどを含むことができるが、これらに限定されない。
【0058】
供給原料供給システム312は、供給原料を移送し、所望の反応に必要な量の追加の水を移送するための、別個のシステムを含むことができる。代替の実施形態では、反応チャンバ304内への供給原料の移送の前に、供給原料に水を添加することができる。これは、供給原料供給システム312において、または供給原料供給システム312によって受け取られる前に、行われてもよい。
【0059】
水分制御システム(図示せず)を設けて、供給原料の水分を測定し、必要に応じて水を加えることができる。そのようなシステムは、供給原料の水分を連続的または周期的に決定し、水分を目標含水範囲と比較し、水分が目標範囲未満である場合に水を加える水分検出器を含むことができる。水分が供給原料物質305を乾燥させるための目標範囲を上回る場合には、乾燥機を設けることもできる。
【0060】
供給原料物質305は、当技術分野で公知の任意の炭素質物質を含むことができる。例えば、供給原料物質305は、石炭、バイオマス、混合源バイオマテリアル、ピート、タール、プラスチック、ごみ、および埋め立て廃棄物を含むことができるが、これらに限定されない。例えば、石炭の場合、供給原料は、これに限定されないが、歴青炭、亜歴青炭、亜炭、無煙炭などを含むことができる。別の例として、バイオマスの場合、供給原料は、限定されるものではないが、針葉樹または広葉樹のような木材材料を含むことができる。
【0061】
本明細書では、温度、圧力、反応時間、前処理オプション、および有機製品製造後オプションを制御する能力により、システム300内で複数の種類の炭素質供給原料を利用することができることに留意されたい。加えて、供給原料の種類を同時利用または切り替える能力は、利用可能な資源の利用を改善し、全体的なピッチ製造経済性を改善することができる。
【0062】
再び図3を参照すると、熱化学変換システム302は、熱分解を実施するのに適した任意の熱化学反応チャンバ304を含む。一実施形態では、熱化学反応チャンバ304は、供給原料305に対して熱分解反応を実行するように構成される。別の実施形態では、熱化学反応チャンバ304は、熱分解チャンバを含む。別の実施形態では、熱化学反応チャンバ304は、非燃焼または低燃焼熱分解チャンバを含む。システム300の熱分解チャンバは、酸素の非存在下または低酸素環境下で有機分子の熱化学分解を実施するのに適した任意の熱化学反応チャンバを包含してもよい。
【0063】
一実施形態では、熱化学反応チャンバ304は、石炭などの供給原料305をピッチを含む反応生成物に変換するのに適した高速熱分解反応器を含む。高速熱分解反応器は、約2秒以内に酸素の不在下(または低酸素環境下)で有機分子の熱化学分解を実施することができる任意の熱化学反応チャンバを含むことができる。高速熱分解はRoel J.M.Westerhofらによって、「Effect of Temperature in Fluidized Bed Fast Pyrolysis of Biomass: Oil Quality Assessment in Test Units」、Industrial & Engineering Chemistry Research、Volume 49 Issue 3(2010)、pp.1160-1168に一般的に記載されており、ここでは全体に参考として組み込まれている。熱分解および高速熱分解はまた、Ayhan Demirbasらによって、「An Overview of Biomass pyrolysis」、Energy Sources、Volume 24 Issue 3(2002)、pp.471-482に一般的に記載されている。
【0064】
別の実施形態では、熱化学反応チャンバ304は、石炭またはバイオマスなどの供給原料305をピッチなどの反応生成物に変換するのに適した超臨界熱分解反応器を含む。本開示の目的のために、「超臨界熱分解反応器」は、超臨界流体から供給される熱エネルギーを使用して供給原料物質の熱分解反応を実施するのに適した任意の反応器、反応容器または反応チャンバを包含すると解釈される。別の実施形態では熱化学反応チャンバ304は流動床反応器を含むことができるが、これに限定されない。
【0065】
別の実施形態では、熱化学反応チャンバ304は、供給原料に対して1つまたは複数の抽出プロセスを実行することができる。別の実施形態では、熱化学反応チャンバ304に動作可能に結合された抽出チャンバが、第1または第2の熱分解段階のいずれかの後に、供給原料に対して1つまたは複数の抽出プロセスを実行することができる。一実施形態では、熱化学反応チャンバ304は、熱分解の前に、供給原料物質から追加の化合物を除去するように構成される。例えば、熱化学反応チャンバ304は、油および脂質、糖、または他の酸素化化合物のうちの少なくとも1つを除去するように構成されてもよい。別の実施形態において、抽出された化合物は、さらなる生物由来製品の開発のために捕集され、保存され得る。
【0066】
供給原料物質305から糖を除去することが有利であり得る。ここで、糖は高温でカラメル化し、超臨界COのような超臨界流体が供給原料物質305のセルロース構造に入るのを阻止するように作用し得ることが認識される。さらに、熱化学変換システム302中に存在する糖はまた、下流の触媒床(もしあれば)を害するように作用し得る。糖の除去はフルフラール、ヒドロキシメタルフルフラール、バニリンなどのような、しかしこれらに限定されない、酸素化化合物の形成を回避するのに役立つことが、本明細書中で注目される。
【0067】
一実施形態では、熱化学変換システム302は、200℃未満の温度で原料305から材料を抽出することができる。ここで、フルクトース、スクロースおよびマルトースはそれぞれ約180℃未満の温度でカラメル化するので、200℃未満の温度で糖を抽出することが有益であることに注意されたい。この点に関して、超臨界流体は、セルロース材料の分解および糖の掃き出しによって、熱分解中の温度上昇の前に原料305から糖を抽出するのに役立ち得る。
【0068】
別の実施形態では、熱化学反応チャンバ304は、熱分解の前に原料305を予熱するように構成される。別の実施形態では、熱化学反応チャンバ304に動作可能に結合された予熱チャンバが、熱分解の前に原料305を予熱するように構成される。例えば、熱化学反応チャンバ304(または予熱チャンバ)は、液化および/または熱分解に必要な温度またはその付近の温度まで供給原料物質を予熱することができる。
【0069】
別の実施形態では、熱化学反応チャンバ304は、熱分解の前に供給原料305を前処理するように構成される。例えば、熱化学反応チャンバ304は、液化および/または熱分解の前に、供給原料物質を水素で予備水素化(pre-hydrotreat)処理することができる。例えば、供給原料物質を水素で前処理することは、限定されるものではないが、硫黄などの物質を除去するのを助けるとともに、反応種(species)に水素を供与する(すなわち、フリーラジカルを安定化する)のを助けることができる。
【0070】
図示されていない代替の実施形態では、熱化学変換システム302は、システム300の多段熱化学プロセスの様々なステップを実行するために、複数のプロセスチャンバに分離される。例えば、一実施形態では、中間温度での熱分解の第1段階のための第1チャンバが設けられ、熱分解温度での熱分解の第2段階のための第2段階が設けられ、溶媒を接触させてその溶媒で所望のピッチ生成物を抽出するための抽出チャンバが設けられる。供給原料305は連続的に、またはバッチプロセスとして、チャンバ間で移送されてもよい。
【0071】
上記の説明は、いくつかの実施形態において、熱分解反応チャンバおよび抽出チャンバが別個のチャンバとして存在し得ることを指摘しているが、これは限定として解釈されるべきではないことに留意する。むしろ、本明細書では、熱化学工程のうちの2つ以上がそれぞれ、単一の反応チャンバ内で実行されてもよいことが企図される。
【0072】
一実施形態では、熱化学反応チャンバ304は、多段単一熱化学反応チャンバを含む。一実施形態では、熱化学変換システム306は、複数の温度範囲にわたって、超臨界流体の複数の部分を、多段単一熱化学反応チャンバ304内に含まれるある体積の供給原料305に移動させて、ある体積の供給原料の少なくとも一部に対して熱化学反応プロセスのセットを実行するように構成される。
【0073】
別の実施形態では、熱エネルギーエネルギー伝達システム306は、第2の温度範囲の超臨界流体の第1の部分を、単一の熱化学反応チャンバ304内に含まれるある体積の供給原料305に伝達して、ある体積の供給原料の少なくとも一部に対して予熱プロセスを実行するように構成される。
【0074】
別の実施形態では、熱エネルギーエネルギー伝達システム306は、第1の温度範囲の超臨界流体の第2の部分を、単一の熱化学反応チャンバ304内に含まれるある体積の供給原料305に伝達して、ある体積の供給原料の少なくとも一部に対して熱分解の第1の段階を実施するように構成される。
【0075】
別の実施形態では、熱エネルギーエネルギー伝達システム306は、第2の温度範囲の超臨界流体の第3の部分を、単一の熱化学反応チャンバ304内に含まれるある体積の供給原料305に伝達して、ある体積の供給原料の少なくとも一部分に対して第2の熱分解段階を実施するように構成される。
【0076】
一実施形態では、超臨界流体の流量および温度は、熱化学反応チャンバ304を横切って空間的に変化する。例えば、反応チャンバ304を横切って流量および/または温度を変化させるために、単一の反応チャンバに入る前に、それぞれ異なる温度の超臨界流体の複数の流量を確立することができる。この点に関して、垂直反応チャンバでは、様々な熱化学段階に対応する、いくつかの空間位置での流量および温度を変化させることができる。別の例として、超臨界流体の温度は、熱化学反応チャンバ304の長さに沿って超臨界流体を流すことによって、熱化学反応チャンバ304の長さに沿って変化させることができる。例えば、低温超臨界COの流れを、より高い温度(例えば、70~150℃)のCOの流れと組み合わせて、糖を溶解させることができる。下流の別の地点(例えば、1~3メートル下流、0.25~4m/sの平均流量)で、熱分解温度以上の超臨界COがチャンバ内に混合される。長さに従って種々の熱化学反応工程の温度を段階化することによって、流量を使用して反応時間を制御することができる。
【0077】
さらに、熱分解、抽出および分離のような2つ以上の熱化学ステップが熱化学チャンバ304内で実行され、一方、乾燥および予熱のような追加の工程が熱化学反応チャンバ304に動作可能に結合された専用チャンバ内で実行されることが企図される。
【0078】
反応チャンバは、システム300の1つ以上の実施形態に従って、1つ以上の出口319を含み得る。図3に示す実施形態では、反応チャンバ304には、第2段階の熱分解後に残っている供給原料残留物(残渣)を除去するための出口と、ピッチおよび他の溶解熱分解反応生成物を含む溶媒を除去するための別の出口とが設けられている。一実施形態では、熱分解の第2段階が完了した後に残っている供給原料残留物のための出口が残留物を除去し、それを残留物貯蔵システム314に移送するように配置される。一実施形態では、残留物貯蔵システム314は、ドラム、鉄道車両、Conexボックス、または他のポータブルコンテナのような単純なものとすることができる。代替の実施形態では、残留物は、後の輸送のために重ねて貯蔵されてもよい。
【0079】
溶媒出口319は、この実施形態ではsCOである溶媒を分離システム320に移送する。一実施形態では、出口は、反応チャンバ304から分離システム320へのガスの流れを制御するバルブを含む。
【0080】
一実施形態では、分離システム320は、連続するステップで、温度および/または圧力を低下させて、異なる溶解成分を得る。例えば、任意に、分離システム320の前または後に熱排除熱交換器を使用することができる。これらの工程の1つにおいて、ピッチは凝縮され、ピッチ押出機326に移送される。ピッチは、保持容器内に中間的に貯蔵されてもよい。あるいは、ピッチは、sCOから凝縮すると直ちに押出機326に渡されてもよい。
【0081】
一実施形態では、各ステップは、溶解した生成物を溶媒から凝縮させることができる温度および圧力の異なる状態に維持された捕集チャンバに対応する。次に、各チャンバは、そのチャンバの温度および圧力で凝縮する生成物を捕集する。一実施形態では、ピッチは、温度が350℃以上、圧力が7.39MPa以上に維持されたチャンバから得られる。
【0082】
ピッチ押出機は上述のように、ピッチを押し出して繊維にし、次いで、この繊維は、炭素繊維として直接的または間接的に使用するために冷却されてもよい。
【0083】
反応チャンバ304から除去された溶媒流中の他の化合物は、生成物捕集システム322においてさらなる処理または販売のために捕集される。一実施形態では、揮発性ガス分離器および貯蔵システムが、生成物捕集システム322または分離システム320の一部として提供されてもよい。揮発性ガス分離器は、1つ以上の反応生成物の残りから1つ以上の揮発性ガスを分離することができる。例えば、揮発性ガス分離器は、CH、C、C、CO、CO、H、および/またはHOのような揮発性ガスを、これに限定されるものではないが、固体または液体の反応生成物から分離することができる。本明細書では、揮発性ガス分離器が当技術分野で知られている任意の揮発性ガス分離装置またはプロセスを含むことができることに留意されたい。さらに、これらのガスは、将来の利用のために、冷却され、洗浄され、捕集され、貯蔵されてもよいことが認識される。揮発性ガスは、水素源を提供するために生成されてもよい。
【0084】
図示の実施形態では、COは、溶解した生成物が閉ループシステムで除去された後、再利用のために熱源308に戻される(318)。別の実施形態では、COは単純に排気される。
【0085】
図示されていない別の実施形態では、システム300は、熱回収システムを含む。回収の場合、システムは、sCOと熱回復システムとを熱結合するように作用する熱伝達ループを介して、分離システム320(またはシステム300の他の適切なサブシステム)の前または一部として、sCOから熱を回収することができる。一実施形態では、回収された熱は、回復器または再生器(蓄熱器)として働くことができる。別の実施形態では、チャンバ304によって実行される熱化学プロセスに続いて、エネルギーを回収することができる。別の実施形態では、回収されたエネルギーは、熱化学処理の前に供給原料物質を予熱するために使用されてもよい。別の実施形態では、回収されたエネルギーは、システム300の1つ以上のサブシステムに付随的な動力(例えば、機械的動力または電力)を生成するために使用されてもよい。
【0086】
図4は、所与の供給原料から得られる熱分解生成物を変化させるように調整することができる柔軟な熱分解システムのバッチ実施形態のプロセスフロー図を示す。図示の実施形態では、供給原料は石炭として提供される。しかしながら、読者は、バイオマスのような任意の炭素質供給原料を使用することができることを理解するであろう。
【0087】
図4は、上述したものと動作が類似した閉ループCO熱分解システムを示す。図4に示す実施形態では、熱分解チャンバは石炭404で満たされた塔402である。sCOのような超臨界流体の入口流が塔の上端部に入り、石炭404を通って流れる。sCOの流量を制御することにより、sCOと石炭との滞留または接触時間は、チャンバの出口流中で観察されるsCO中の溶解した反応生成物の量を制御するために、当技術分野で知られているように制御することができる。一実施形態では熱分解チャンバ402に入るsCOは、300~600℃の温度および7.39~12MPaの圧に及ぶことができ、その結果、熱分解は超臨界状態のCO雰囲気で起こる。より高い温度および圧力を使用することもできる。
【0088】
バッチシステムでは、熱分解チャンバは、石炭を適所に維持するためのスクリーン以外の内部部品を全く有さない単純な円筒形チャンバであってもよい。複数のチャンバが並列に設けられてもよく、その結果、一方が使用中であってもよく、他方から炭化物が除去され、新たな石炭が再充填される。代替の実施形態では、チャンバは、熱分解中に石炭を移動させるための攪拌機またはスクリューを備えることができる。
【0089】
石炭404を接触させ、熱分解した後、sCOは、上記のように溶解熱分解反応生成物と共に塔402の底部から出る。次いで、排出されたsCOは、溶解熱分解反応生成物を除去し、次いで、熱分解チャンバ402内で再利用するためにCOを回復する回復・凝縮回路を通過する。回復・凝縮回路は、チャンバ402に供給されるCOの入口/戻り流(その中で生成物は大部分が流から凝縮されている)を予熱しながら、熱分解チャンバ402によって排出されたCO流を同時に冷却する一連の1つ以上の回復器406を含む。図示のシステム400では、4つの回復器406、第1段回復器406a、第2段回復器406b、第3段回復器406c、および第4段回復器406dが示されている。以下に説明するように、必要に応じて、より多くのまたはより少ない回復器406を使用することができる。
【0090】
回復器406は、現在知られているか、または後に開発されるいかなるタイプの熱交換器であってもよい。一実施形態では、例えば、回復器406はそれぞれ、管内熱交換器であり、外側管内の排出COと、内側管を通って流れる、より低温の入口CO流とを有する。しかし、有益または所望であると判断される任意の構成で、任意のタイプの熱交換器を使用することができる。
【0091】
回復器406に加えて、任意の最終冷却熱交換器408段階が、回路の所望の低温にまでCOの温度を最終的に低下させるために、回復・凝縮回路の一部として設けられてもよい。これは、図示のような冷水システム424からの冷水などの冷却材を使用して達成され、出力流の最終冷却を実行する。回復器406と同様に、利用される場合、最終熱交換器408は、任意のタイプの熱交換器であってもよい。
【0092】
上述のように、COの超臨界状態は31.1℃以上であり、圧力は7.39MPa以上である。システムを説明する際に、COは、システム内のいくつかの点において、状態が温度または圧力のいずれかにおいて臨界点未満に低下し得る場合であっても、超臨界と呼ばれる。これらの点において、COは、温度および圧力状態に応じて、気体または液体状態であってもよいことを理解されたい。このような状態は例えば、第4の回復器406または最終熱交換器408のような、熱分解器402の下流で起こり得る。
【0093】
例えば、一実施形態では低sCO回路温度は室温(20℃)などの50℃未満とすることができ、低圧は6~8MPaとすることができる。より低い温度および圧力を使用することもできる。この実施形態では、できるだけ多くの熱分解生成物を除去するために、COを亜臨界にすることができる。代替の実施形態では、回路(循環路)の温度および圧力は、COがシステム400の全体にわたって超臨界状態のままであるように維持される。
【0094】
図示の実施形態では、回路内の各熱交換器の後に、凝縮捕集容器410がある。各容器は、その後、左から右へ、より低い温度にある。凝縮容器410は、任意の種類の能動または受動凝縮装置であってもよい。例えば、図示の実施形態では、凝縮容器410は、COが流れる温度制御面を提供するコールドフィンガー(cold finger)凝縮器である。これにより、制御された温度以上で凝縮可能な任意の熱分解生成物が凝縮容器410に捕集される。代替の実施形態では、コールドフィンガー凝縮器の代わりにサイクロン分離器を使用することができる。他の可能な凝縮容器としては、ほんの数例を挙げると、Liebig凝縮器、Graham凝縮器、コイル凝縮器、およびAllihn凝縮器が挙げられる。
【0095】
必要に応じて、「プロセス流」という語は、熱分解チャンバ402から最後の凝縮捕集容器410を通って流れるCOを有するCO回路の一部のCO流を指すために使用され、「戻り流」または「入口/戻り流」は、最後の凝縮容器から回路を通って流れ、ポンプ420を通り、最終的に熱分解チャンバ402に戻るCO流を指すために使用される。戻り流は完全に純粋なCOでなくてもよいが、少なくとも痕跡量の反応生成物、水、または凝縮容器内に完全に捕集されない他の化合物を含有する可能性が高いことに留意されたい。他方、プロセス流は、回路内の位置に応じて、種々の凝縮容器410によって連続的に除去される熱分解反応生成物の少なくともいくらか、場合によっては非常に多量を含有する。
【0096】
図示の実施形態では、異なる回復器を異なる温度で作動させることができる。例えば、一実施形態では、第1の回復器406aが約550℃でCOおよび溶解した反応生成物の処理流を受け取り、それを450℃で排出することができる。第2の回復器406bは450℃の流れを受け取り、300℃で排出することができる。第3回復器406cは300℃の流れを受け取り、150℃で排出することができる。第4の回復器406dは150℃の流れを受け取り、50℃で出力することができる。
【0097】
COの戻り流は、COを動作圧(例えば、約10MPa)に戻すポンプ/コンプレッサ420と、COに追加の熱を与えてそれを所望の熱分解温度にするヒーター422とによって部分的に再調整される。例えば、一実施形態では、ポンプ/圧縮機420は、約10MPaのCOを受け取り、流れを約12MPaに圧縮し、これは追加のポンプなしでCO回路全体を通る流れを維持するのに十分な圧力を提供する。ヒーター422は、作業者の好みに応じて、単一の加熱ユニットであってもよいし、並列および/または直列の複数のユニットであってもよい。例えば、一実施形態では、第1の回復器406aから、回復されたCO流を受け取り、約450℃~約550℃の温度の入口からその流を加熱する3つの別個のヒーターが直列に設けられる。同様に、図示のように単一のポンプ420があってもよいし、CO回路全体に分配された複数のポンプがあってもよい。例えば、回路の一部が超臨界状態未満である実施形態では、COを超臨界に再調整するだけのために、専用のヒーターおよび/またはコンプレッサ(圧縮器)(図示せず)を設けることができる。
【0098】
熱交換器406、408のペアを複数段設け、続いて凝縮容器410を設けることによって、熱分解生成物を、凝縮温度によって分画および捕集することができる。これにより、所望の特定の画分を回復処理の一部として容易に分離することができる。より多いまたはより少ない段階を提供することによって、画分のより多いまたはより少ない分化が達成され得、ならびに各画分の構成を制御し得る。
【0099】
複数段の熱交換器406、408と、それに続く凝縮容器410とを有することに加えて、回路の出力CO部分および回路の入口/戻りCO部分に多数のバイパス弁412によって作られるバイパス回路を使用することによって、さらなる柔軟性が得られる。一実施形態では、熱交換器のうちの1つまたは複数は、熱分解出力流および入口/戻り流のいずれかまたは両方によって、その交換器を完全にまたは部分的にバイパスすることを可能にするバイパス能力を備える。図示の実施形態では、種々のバイパス弁412が設けられており、これらのバイパス弁は、種々の段の各々が作業者によって所望されるように、完全にまたは部分的にバイパスされることを可能にする。任意のバイパス弁412において、作業者は、どのくらいの入力流がバルブのいずれかの出口に向けられるかを選択することができる。このレベルの流量制御はシステム400の動作に著しい柔軟性を提供し、熱分解生成物の様々な画分がシステム内のどこに捕集されるかについてのさらなる動作制御を可能にする。
【0100】
熱分解システム400は、熱分解チャンバ402への供給の前に、CO入口/戻り流に添加剤を注入するための添加剤注入システムをさらに備えることができる。図示の実施形態では、2つの添加剤注入システムが示されており、それぞれが注入ポンプ414および添加剤供給部416を含む。上記により詳細に記載される添加剤の例には、H、HO、ギ酸、およびテトラリンが含まれる。一実施形態では、注入ポンプ414は、HPLC注入ポンプである。
【0101】
さらに別の実施形態(図示せず)では、1つまたは複数の凝縮容器410をバイパスできるように、バイパス弁412を設けることができる。これにより、反応生成物の捕集を、所望に応じて、より少ない容器に組み合わせることが可能になり、したがって、システム400の柔軟性がさらに増大する。
【0102】
コントローラ430が図4に示されている。一実施形態では、コントローラ430は、所望の結果を達成するために熱分解システム400を監視および制御するように構成されたプログラマブルロジックコントローラである。コントローラは、目的の構築されたハードウェアコントローラから、制御ソフトウェアを実行する汎用コンピューティングデバイスまで、多くの異なる方法で実装することができる。プロセスコントローラは当技術分野で周知であり、現在知られている、または今後開発される任意の適切なコントローラ設計または設計の組み合わせを使用することができる。
【0103】
コントローラ430は、回復器の様々な段を通るプロセス流および戻り流の流れの分配を制御する。このようにして、各段階における流の入口および出口の温度を変更することができる。熱交換器内の高温流と低温流との間の熱交換を支配する熱伝達方程式は周知であり、これらの方程式の任意の形態をコントローラが使用して、CO回路内の特定の位置で特定の温度を得るために、段階間の流の分配を決定することができる。例えば、使用され得る1つの基本的な熱交換器方程式は、aを横切る熱の伝達を記述する一般的な向流熱交換方程式である:
pa(Ta1-Ta2)=mpb(Tb2-Tb1
ここで、mはプロセス流の質量流量、cpaはプロセス流の比熱、Ta1は回復器段階に入るプロセス流の入口(高)温度、Ta2はプロセス流の出口(低)温度、mは戻り流の質量流量、cpbは戻り流の比熱、Tb1は回復器段階に入る戻り流の入口(低)温度、Tb2は戻り流の出口(高)温度である。上述の式から、当技術分野で知られているように、回復器の性能を、しばしば、その寸法および特性に基づく回復器のための全体的な熱伝達係数に関して、数学的に記述する追加の式を導出することができる。多くの場合、熱交換器の性能方程式は、製造者によって提供されてもよい。そのような方程式は、作業者によって設定された目標を達成するために、回復器段を通る流の流れをどのように分配するかを決定するために、コントローラによって解かれ、その例が以下に提供される。
【0104】
一実施形態では、コントローラ430は、バイパス弁412、ヒーター422、冷水システム424、添加ポンプ414、およびシステム400の他の構成要素に接続され、それらを制御することが可能である。加えて、コントローラ430は1つ以上の監視装置426に接続されてもよいし、あるいは監視装置426から情報または信号を受信してもよく、そこから、コントローラ430は、システム400の状態に関するデータを受信する。
【0105】
図4は、システム400全体の様々な位置にあるいくつかの監視装置426を示す。監視装置426は、いくつか例を挙げると、任意の種類の処理モニタ、分析器、またはセンサ、例えば、流量センサ、温度センサ、圧力センサ、重量計、pHセンサ、分光計、光イオン化検出器、ガスクロマトグラフ、触媒センサ、赤外線センサ、および火炎イオン化検出器であってもよい。監視装置426は、必要に応じて、システム400内の任意の場所に配置することができる。例えば、一実施形態では、ガスクロマトグラフを使用して、反応チャンバ402を出るsCO中の反応生成物中の様々な化合物およびそれらの相対量を定期的または連続的に監視し、決定することができる。あるいは、各凝縮容器上の液体レベルセンサを設け、そこからデータから各回復器段階の凝縮物の相対製造速度を決定することができる。
【0106】
監視装置426から受け取った情報に基づいて、コントローラ430は、1つ以上のバイパス弁を通る流量および1つ以上の流の温度を変化させて、1つ以上の凝縮物容器内の所望の炭化水素凝縮物画分(すなわち、分子量の範囲)を得ることができる。例えば、一実施形態では、コントローラは、300~350℃の沸点を有する炭化水素を分離して回収するように指示されてもよい。この実施形態では、種々のバイパス弁を通る流れは、プロセス流が350℃の温度で第1回復器406aから排出され(上述したように450℃とは対照的に)、300℃の温度で第2回復器406bから排出されるように調節されてもよい。これは、第2の回復器406bの周りの戻り流の一部をバイパスして、第1の回復器406aを通して比較的大きくかつより冷却された戻り流が駆動され、第1の段階によって実行される冷却の相対量を増加させることによって達成することができる。このようにして、350℃を超える沸点を有する反応生成物は第1の回復器406aと第2の回復器406bとの間の凝縮物容器410に捕集され、300~350℃の沸点を有する反応生成物は第2の回復器406bに続く凝縮物容器410に捕集される。
【0107】
上記の例から分かるように、コントローラ430の使用およびシステムの設計によって達成される柔軟性を介して、システム400の動作構成をリアルタイムで変更して、異なる目標を達成することができる。さらに、システム400の制御を、センサおよび監視装置によって報告されたリアルタイム知識に基づくことによって、システム400は、供給原料品質の変化などの変化する状態に応じて、経時的に調整することができる。この態様では、コントローラ430と、複数段の回復器および凝縮容器とを介して、システム400は、炭化水素の異なる画分を分離し、異なる凝縮容器に捕集するように容易に構成することができる。より多くの段階を提供することによって、必要に応じてさらに多くの分化を提供することができる。コントローラ430はバイパス弁412を容易に再構成することができるので、システム400は、異なる出力要件または供給原料特性の変化を独自に処理することができる。
【0108】
さらに、コントローラ430は、熱分解反応から得られる反応生成物を制御し最適化するために使用することもできる。例えば、一実施形態では、コントローラ430は、反応チャンバ402内の温度および/または圧力を直接的または間接的に制御して、異なる反応生成物の相対量を変化させることができる。一実施形態では、反応チャンバ内の温度または圧力の変化は、センサおよび監視装置から受け取った監視情報に基づいてリアルタイムで行うことができる。例えば、反応チャンバ402を出るsCO中の様々な反応生成物の種類および量を示す監視データを、コントローラ430に提供することができる。例えば反応生成物のサブセットを最適化する(例えば、250~350℃の沸点を有する反応生成物の製造を最大化する)といった、予め設定された目標に応じて、コントローラ430は次に、反応生成物の最適化されたプロファイルがシステム400の現行の目標に基づいて得られるまで、反応チャンバ内の温度および/または圧力を反復的に変化させることができる。
【0109】
図5A図5Cは、図4に示すシステムの一実施形態の実験性能を示す図である。図において、システムは、複数段階超臨界液化システムと交互に呼称される。実験では、図4に示すシステムの実施形態が、図示されているように、4つの回復器および最終的な冷水熱交換器を使用して、ベンチスケールで作成された。1kgのPower River Basinの亜瀝青炭試料を塔に入れ、上記のようにsCOを用いて熱分解した。微細メッシュスクリーンを塔の底部に設けて、固体がチャンバから出るのを防止した。
【0110】
始動のために、バイパス回路を使用して、システムが所望の熱状態に達するまで熱分解チャンバを隔離(孤立化)(isolate)した。ループ(循環路)が試験温度に達した後、バイパスを無効にし、熱分解チャンバをループ内に配置した。熱分解チャンバを出るsCOの出口温度は約490℃であり、熱分解チャンバに供給されるsCOの入口温度は約500℃であった。実験中、熱分解チャンバ中のsCOの圧力は約10MPaであり、回路を循環するsCOの質量流量は4.5~10kg/分であった。このシステムは、COの全ての流れがそれぞれの交換器/凝縮容器段階を通過するように、5つの熱交換器のいずれもバイパスしないで工程した。凝縮器容器はコールドフィンガーであり、図5に示す温度に維持されたボトル1~5と名付けられた。システムをある期間運転し、次いで、凝縮容器からの凝縮された熱分解生成物を分析した。
【0111】
図5Aは、凝縮容器温度によって石炭のバッチを熱分解することから得られる代表的な液体収率(収量)を示す。凝縮器容器はコールドフィンガーであり、図5Aに示される温度に維持されるボトル1~5として指定された。
【0112】
ボトル2および5から得られた凝縮物画分について質量分析を行った。図5Bはボトル2の結果を示し、図5Bはボトル5の結果を示す。予想されたように、結果は、低温ボトル5で得られたよりも、高温ボトル2で実質的により高い分子量の生成物分配が凝縮されたことを示す。これは、複数段階分離システムが炭素質供給原料から異なる熱分解生成物を生成し、分画することに成功していることを示す。
【0113】
図6は、COを用いて炭素質供給原料を熱分解して反応生成物を得るための広範な方法の実施形態を示す。示された実施形態は、閉ループで再利用するためにCOを再調整し、再循環する進行中の処理に関して論じられる。図6のプロセスは、接触工程602から始まるものとして示されている。接触工程602において、炭素質供給原料は、COを超臨界状態に維持するのに充分な熱分解温度および圧力で、および熱分解が起こる接触時間の間、超臨界二酸化炭素と接触した状態に維持される。得られた熱分解は、供給原料の少なくともいくらかを炭化物に変換させ、COに溶解されるいくらかの熱分解生成物を生成する。
【0114】
使用される接触時間または滞留時間は、作業者によって選択されてもよい。接触は、COが熱分解中に接触チャンバを通って流れないという点で、静的であってもよい。むしろ、チャンバにCOおよび供給原料を充填し、次いで、内的撹拌または他の混合を伴って、または伴わずに、反応させる。このケースでは、接触時間は、COが超臨界であって供給原料と共に接触チャンバ内にある時間である。あるいは、接触は、COが、供給原料を含むチャンバを通って絶えず流れているという点で、動的であってもよい。動的接触では、滞留時間は、COの流量および接触チャンバの体積から計算される。
【0115】
熱分解反応生成物の化学的構成は、熱分解条件を変えることによってある程度変化させることができる。例えば、接触工程602で使用される比較的高い温度および圧力は、いくつかの反応生成物(例えば、油などのより重い炭化水素)の生成を他のもの(例えば、中重量油またはより軽い炭化水素ガス)よりも有利にすることができる。さらに、水、ギ酸、水素、または何らかの他の水素供与体などの添加剤を使用して、熱分解の間の水素の利用可能性を増加させてもよく、これはまた、反応生成物の化学的構成を変化させる。熱分解反応に影響を及ぼし、反応生成物の化学的構成を変化させるために、他の添加剤を使用することもできる。
【0116】
接触後、溶解熱分解反応生成物を含む超臨界COは、分離工程604で炭化物から分離される。分離工程は、COから炭化物を除去するか、炭化物からCOを除去するかのいずれかの形式になる。
【0117】
分離工程604の後、超臨界COは、第1の冷却工程606において第1温度および第1圧力に冷却される。例えば、一実施形態では、熱分解温度および圧力がそれぞれ540℃および11MPaであり、第1の温度および第1の圧力は450℃および10.9MPaである。第1の冷却工程606は、接触工程602で使用される熱分解温度および圧力から、COの温度または温度および圧力を低下させることを含むことができる。さらに、一実施形態では、冷却工程606と呼ばれるが、「冷却」は、温度を熱分解温度またはそれに近い温度に維持しながら、COの圧力を低下させることのみからなってもよい。温度、圧力、またはその両方が低下するかどうかにかかわらず、冷却工程606は、溶解した反応生成物の溶解度を変化させ、もはや第1の温度および圧力ではCOに溶解しない任意の反応生成物が、凝縮物としてCOから凝縮する。
【0118】
第1の冷却工程606の一部として、または後に、第1の冷却工程転606によって生成される凝縮物は、後に使用するために捕集され、貯蔵されてもよい。この凝縮物の含有量は、熱分解反応によって生成される反応生成物、ならびに第1の冷却工程606の第1の温度および圧力によって決定される。したがって、上述のように、第1の温度および圧力を選択することによって、第1の冷却工程606によって生成される凝縮物の化学的構成を制御して、特定の画分の熱分解反応生成物を得ることができる。温度が分かれば、一実施形態では、熱交換器方程式を使用して、それらの温度を達成、および、したがって、所望の凝縮物を達成するために必要な、異なる回復器を通る、戻り流およびプロセス流の相対流量を決定することができる。この情報から、コントローラは、次いで、必要に応じてバイパス弁の位置を設定して、決定された流量を得ることができる。
【0119】
残りの反応生成物を有するCOは次に、第2の冷却工程608にかけられる。第1の冷却工程606と同様に、第2の冷却工程608は、COを第1の温度および圧力から第2の温度および圧力に低下させる。この場合も、これは、COの温度、圧力、またはその両方を低下させることを含むことができる。第2の冷却工程は、第1の冷却工程606と同じ装置を使用して、または第2の冷却工程が実行される第2の組の装置(例えば、熱交換器、冷却容器など)にCOを通すことによって、実行することができる。
【0120】
第2の冷却工程608の一部として、または後に、第2の冷却工程608によって生成される凝縮物は、後に使用するために捕集され、貯蔵されてもよい。この第2の凝縮物の含有量は、熱分解反応によって生成される反応生成物、第1の冷却工程606で使用される第1の温度および圧力、ならびに第2の冷却工程608の第2の温度および圧力によって決定される。したがって、上述のように、第1および第2の温度および圧力を選択することによって、第2の冷却工程606によって生成される凝縮物の化学的構成を制御して、熱分解反応生成物の特定の画分を得ることができる。温度が分かれば、一実施形態では、熱交換器方程式を使用して、それらの温度を達成、および、したがって、所望の凝縮物を達成するために必要な、異なる回復器を通る、戻り流およびプロセス流の相対対流量を決定することができる。この情報から、コントローラは、次いで、必要に応じてバイパス弁の位置を設定して、決定された対流量を得ることができる。
【0121】
追加の冷却工程(図示せず)を行うことができる。追加の冷却工程を使用することによって、反応生成物の分画および捕集を厳密に制御することができる。例えば、25回の冷却工程を用いて、非常に微細に分画された凝縮物を得ることができる。作業者の目標に応じて、任意の回数の冷却工程を所望に応じて使用することができる。5つの冷却工程の可能性を有するシステムを示す図4を参照すると、5つの段階の各々の凝縮物の化学的構成は、工程の相対温度および圧力を変化させることによって変化させることができる。例えば、1つの構成では、最初の4つの冷却工程が非常に狭い温度および/または圧力差で行われてもよく、例えば、第1の温度は熱分解温度より10℃低く、第2の温度は20℃低く、第3の温度は30℃低く、第4の温度は40℃低くてもよく、一方、最後の温度は30℃でもよく、より高い温度の反応生成物(すなわち、より高い温度でCOから凝縮する反応生成物)を分画する構成である。別の構成では、段階間で温度差がより均一であってもよく、さらに別の構成では、温度がより低い温度の生成物を分画するように集中されてもよい。したがって、この方法の一部として、異なる冷却工程の温度および圧力を制御して、反応生成物の特定の所望の画分を得ることができる。
【0122】
最後に、再利用工程610で追加の熱分解のために、COは、再循環され、再利用される。再利用は、CO図4に示すようなループ内を連続的に流れる継続的なシステムで行われてもよい。あるいは、COは、後にバッチまたはセミバッチシステムで再利用するために記憶されてもよい。
【0123】
方法600の一部として、COは、方法全体を通して超臨界状態に維持されてもよい。あるいは、COは、再利用工程610においてCOが超臨界状態に戻される前に、できるだけ多くの反応生成物を凝縮し、除去するために、例えば最終冷却工程において、亜臨界状態にされてもよい。
【0124】
図7は、超臨界COを用いた石炭の熱分解法のより詳細な実施形態である。図6の方法600は任意のバッチ式、半バッチ式、または連続式熱分解処理を包含するように、より広く記載されているが、図7の方法700は、石炭から熱分解生成物を分画し、連続的に流れるループでCOを再循環させる連続式熱分解処理に、より特有である。
【0125】
図7に示す実施形態では、該方法700は、超臨界CO注入工程702において、石炭を含む反応チャンバに二酸化炭素(CO)の入口流を流すことから始まる。一実施形態では、入口CO流の温度は300~600℃であり、圧力は7~12MPaである。
【0126】
反応チャンバは、反応チャンバ内のCOを超臨界状態に維持するのに充分な熱分解温度および圧力に維持される。これは、熱分解工程704によって図7に示されている。熱分解工程704は、反応チャンバの温度および圧力を能動的に制御することを含んでもよい。例えば、内部または外部ヒーターを使用して、反応チャンバに直接熱を加えて、その温度を制御してもよい。同様に、圧力は、入口および出口CO流の流量を調節することによって制御することができる。あるいは、反応チャンバの温度および圧力は、単に入口流の温度および流量を制御することによって、間接的に制御されてもよい。したがって、石炭は、熱分解工程704において、炭化物と、溶解熱分解反応生成物を含む超臨界COを得るために熱分解される。図6を参照して上述したように、反応生成物の化学的構成は、反応チャンバ内の温度および圧力を変化させることによって、また、特定の添加剤を使用することによって、ある程度まで制御することができる。
【0127】
反応チャンバを通るCO流量およびチャンバ内のCOの体積によって決定される接触時間の後、溶解熱分解反応生成物を含む超臨界COは、次いで、反応チャンバから出口流排出工程706の出口を介して反応器出口流として流れる。
【0128】
次いで、出口流は、第1回復および捕集工程706aにおいて第1の回復器に通される。この工程706aでは、反応器出口流は、反応チャンバに戻る途中でCOの戻り流に熱を伝達することによって、第1の回復器内で冷却される。出口流は、第1の回復器を通過する2つのCO流、すなわち出口流および戻り流の温度および流量に基づいて、熱分解反応温度未満の第1の温度に冷却される。
【0129】
出口流を冷やす行為は、出口流中の第1の温度よりも高い温度で凝縮する溶解した反応生成物がもしあればそれを、COから凝縮させる。第1回復および捕集工程706aは、図4に示すように、捕集容器のようなコレクタ内にこの第1段階凝縮物を捕集することを含む。それはまた、第一段階凝縮物として除去されなかった任意の溶解した反応生成物を含む第一段階CO流出流を排出することを含む。
【0130】
出口流の必ずしも全てが第1回復および捕集工程706aで処理されなくてもよいことが指摘されるべきである。一実施形態では、出口流の一部を後段の回復器に送り、後の回復・捕集工程で処理することができる。出口流の一部のこの転換(分岐)(diversion)は、異なる段階から得られる凝縮物の化学的構成を制御するために行われてもよい。
【0131】
次いで、第1段階CO流出流は、第2回復および捕集工程706bにおいて第2の回復器に送られる。この工程706bでは、反応器の第1段CO流出流は、反応チャンバに戻る途中でCOの戻り流に熱を伝達することによって、第2の回復器内で冷却される。第1段階のCO流出流は、2つのCO流、すなわち第1段階のCO流出流と戻り流との温度と流量とに基づいて、第1温度よりも低い第2温度に冷却され、第2の回復器を通過する。
【0132】
この場合も、出口流を冷やす行為は、第2の温度よりも高い温度で凝縮する第1段階のCO流出流中に残存する溶解した反応生成物がもしあればそれを、COから凝縮させる。第2回復および捕集工程706bは、図4に示すように、捕集容器のようなコレクタ内にこの第2段階凝縮物を捕集することを含む。それはまた、第2段階凝縮物として除去されなかった任意の残りの溶解した反応生成物を含む第2段階CO流出流を排出することを含む。
【0133】
この場合も、第1段CO流出流の必ずしも全てが第2回復器に通される必要はなく、第1段CO流出流の一部は、後段の凝縮物の化学的構成を変更するために、後の回復・捕集工程に回されてもよい。
【0134】
方法700では、任意の数の追加の回復・捕集工程を実行することができる。これは、省略記号および第n段階回復・捕集工程706nによって図7に示されている。回復・捕集工程706a~nの各々は、含まれる2つのCO流の工程温度および圧力を除いて、同一であり得る。各工程706a-nから回収される凝縮物は、所望の凝縮物を得るために、プロセス流および/または戻り流の一部を種々の工程706a-nの周囲およびその工程へ回すことによって制御することができる。異なる回復・捕集工程706a~nを通る流れの分配は、上記のように異なる段階で異なる画分を捕集するために、手動で制御され得るか、またはコントローラによって自動的に制御され得る。
【0135】
例えば、図4のような最終回復・捕集工程706nのような工程706a~nの1つ以上は、プロセス流から熱を回復することを含まなくてもよいことに留意されたい。すなわち、熱をCOの戻り流に送り、そのエネルギーを効果的に再循環させるのではなく、熱を冷水流に移すことなどによって単に除去し、廃棄するか、または別の目的に再循環させることができる。
【0136】
さらに、回復・捕集工程706a~nの必ずしもすべてが、別個の容器中の凝縮物の捕集を含む必要はない。むしろ、いくらかの凝縮物は、下流の回復・捕集工程における後の捕集のために、次の段階の回復器に導かれ得る。
【0137】
最後の回復・捕集工程706nの後、最終段階のCO流出流は、次いで、それを戻り流として、再調整工程708における種々の回復段階を通過させることによって再調整される。再調整工程708は、システムのCO戻り回路の1つ以上の点で、戻り流を圧縮すること、および/または戻り流を加熱することを含むことができる。例えば、図4では、戻り流は、第5の回復・捕集工程の直後にポンプ420によって圧縮され(その場合、熱が冷水流を使用して除去されるので、真の回復ではない)、反応チャンバ402に注入される直前に、ヒーター422によって加熱される。
【0138】
なお、再調整工程708は、残存する生成物をCOから除去してもよいし、除去しなくてもよい。一実施形態では、微量の反応生成物および/または水などの他の化合物は、反応チャンバ内に注入されたときにCO戻り流内に残る。
【0139】
再調整後、CO戻り流は、注入工程402において入口流として反応チャンバに注入される。これは、図7において、再調整工程708から注入工程702への戻り矢印によって示される。
【0140】
図8は、超臨界二酸化炭素を用いて炭素繊維製造のためのメソフェーズピッチを改善する方法の実施形態を示す。この方法は、供給原料として、上記のものを含む、少なくともいくらかのメソフェーズピッチを有するコールタール生成物のいくらかまたは全てを使用する。代替の実施形態では、石炭、任意の他のバイオマス、または炭化水素物質に由来するかどうかにかかわらず、少なくともいくらかのメソフェーズピッチを有する任意の供給原料を、供給原料として使用することができる。本明細書の残りの部分では、「コールタール」は、石炭の熱分解またはコークス化に由来する物質/油である。コールタールから抽出される物質は、「コールタールピッチ」と呼ばれる。
【0141】
一般に、以下の方法800は、供給原料を超臨界流体溶媒および共溶媒の混合物と接触させることによって、例えば、上記の図4に示されるようなシステム400から高分子量(MW)コールタールを単離および回収することによって、コールタール生成物の品質を改善する。高分子量とは、1,000amu(原子質量単位)(atomic mass unit)以上の分子量を有する化合物を意味する。コールタールの高MW炭化水素は、メソフェーズ前駆体物質である。超臨界流体は上記のような任意の超臨界流体であってもよく、共溶媒は、芳香族有機溶媒(例えば、ベンゼン、キシレン、テトラリン、テトラヒドロフラン、ピリジン、キノリン、イソキノリンなど)または共溶媒の混合物を含む任意の共溶媒であってもよいが、本明細書の残りの部分では超臨界二酸化炭素(sCO)/トルエン溶媒/共溶媒の組み合わせの具体的な実施形態について論じる。当業者は、本開示が、以下に記載される特定の実施形態に限定されないことを認識するであろう。
【0142】
方法800は、上記の容器404のような反応容器内に供給原料コールタールを配置することから始まる(工程802)。一実施形態では、コールタールの任意の特定の画分、または画分の組み合わせを、初期供給原料として使用することができる。例えば、一実施形態では、公開された出願のシステム400によって生成されたコールタールの全てを使用することができる。あるいは、ある閾値温度を超えて凝縮するコールタールの全てを使用してもよい。例えば、50℃、100℃、150℃、200℃以上で凝縮するコールタールの全てを使用することができる。あるいは、いくつかの定義された温度範囲の間で凝縮するコールタールを使用してもよい。
【0143】
次いで、反応容器を(上記のように)工程温度および工程圧力に上昇させ、sCO/トルエン抽出工程804において、sCO/トルエン溶剤を反応容器404および凝縮回路に通す。凝縮回路により、流動sCO/トルエン溶剤からトルエン可溶性(TS)画分が捕集されて回収され、反応容器を出る。流量は、作業者によって選択された、例えば、1分、1時間、2時間、4時間、10時間、24時間などのようなある期間の間維持される。期間は、固定されてもよく、または、経時的に回収されるTS画分物質の量に基づいて決定されてもよい。例えば、1分当たりのTS画分物質の量が閾値を下回った場合、抽出は完了したとみなすことができる。この期間の後、流れを停止し、反応器条件を超臨界条件未満に下げる。
【0144】
場合により、反応容器内に残った物質は、次いで、工程804において最終工程としてトルエンで洗浄されてもよい。あるいは、温度および圧力条件が超臨界条件未満に低下した後に、トルエン以外の溶媒または複数の溶媒(例えば、トルエンおよびキシレン)の組み合わせで洗浄されてもよい。
【0145】
sCO/トルエン抽出工程804の後、キノリン可溶性画分抽出工程806において、反応容器中に残っているトルエン不溶性(TI)画分をキノリンで洗浄することができる。代替の実施形態では、抽出工程806は、容器間の移送工程を必要とする異なる反応容器内で行われてもよい。
【0146】
この工程806の一実施形態では、容器内に残っている物質にキノリンを添加し、ある温度および圧力で、ある期間保持する。代替の実施形態では、キノリンは、ある温度および圧力で、ある期間保持された反応容器を通って循環される。所望の期間の後、任意の期間、例えば、1分、1時間、2時間、4時間、10時間、24時間など未満、またはそれまでの任意の期間、キノリンが除去され、それによって、任意のキノリン可溶性(QS)物質が除去され、キノリン不溶性(QI)物質が反応容器内に残る。
【0147】
次いで、キノリンは、溶解したQS構成要素と一緒に、例えばロータリー蒸発を用いて蒸留工程で蒸留され、QS化合物からキノリンが分離される。キノリンの蒸留から回収されたQS化合物(本明細書ではQS画分と呼ぶ)は、炭素繊維形成/紡糸に適した異方性メソフェーズピッチの製造に適した改善されたコールタール生成物を表す。
【0148】
蒸留後、QS画分は、押出機に添加する前に、メソフェーズピッチを作るために熱処理される。この熱処理工程807は、メソフェーズ物質が既に存在する場合、メソフェーズ構造を生成するか、またはメソフェーズ物質の量を増加させる。一実施形態では、熱処理工程807は、減圧、大気圧、または加圧条件(例えば、1.01atm~500atm)で実施することができ、QS画分を300~400℃に加熱し、メソフェーズ構造を生成するのに充分な期間その温度に保持することを含む。例えば、一実施形態では、温度制御されたsCOを使用して、反応容器内のQS画分を加熱することができる。この工程により、メソフェーズ構造(70~100%)が生成される。工程807はまた、次の工程の前に、示されるように、QS画分から分離され得る、いくらかの追加のキノリン不溶性(QI)物質を生成し得る。これは、もう一つの(第2の)抽出工程806を実行することによって行うことができる。
【0149】
代替的な実施形態では、熱処理工程807は、作業者によって選択される任意の期間、例えば、1分、1時間、2時間、4時間、10時間、24時間など未満、またはそれまでの任意の期間、200~800℃の任意の温度にQS画分を加熱することができる。期間は固定されていてもよいし、メソフェーズの生成量に基づいて決定されてもよい。
【0150】
次いで、QS画分を完全に混合し、配合工程808において固定状態で押し出す。これは、例えば、HAAKE(登録商標)MiniLab 3 Micro CompounderまたはPharma 11 Twin-screw押出機(両方ともThermo Scientific(登録商標)による)などの任意の市販の配合機または押出機を使用して行うことができる。この工程において、QS画分は、超臨界状態で、sCO環境中で、所望の期間、完全に混合される。所望量の混合後、QS画分およびsCO混合物を押し出す。物質が配合機/押出機から離れると、高温で、sCO溶媒は、sCOに溶解されたあらゆる(any)化合物を運び出して混合物から蒸発し、メソフェーズピッチの繊維を残す。残りの押し出された物質は、完全ではないにしても、ほとんどメソフェーズピッチであると考えられ、この理由のために、メソフェーズ画分と呼ばれる。特定の理論に束縛されるものではないが、sCOを用いた高温での押し出しは、潜在的に、黒鉛化の際にコークスまたは不十分な結晶化を最終的に形成し得て不十分な炭素繊維の質をもたらす、残留する望ましくない軽質MW化合物(メソフェーズピッチ溶液中の不純物を表す)に対する、酸化剤および触媒の両方として役立ち得ると考えられる。
【0151】
上述の配合工程808では、混合および押し出しが、組み合わされたプロセスとして同時に行われる。代替の実施形態では、混合および押し出しは、別個の工程として処理することができる。この実施形態では、混合は、超臨界状態で、完全にQS画分が混合されたと判断するのに要する期間、sCO環境下で行われる。それが完全に混合された後、QS画分およびsCOは次に、押出機に通され、sCOをメソフェーズ画分から分離させ、メソフェーズ繊維画分を生成させる。sCOの圧力、分圧、濃縮は、押し出し前に調節することができる。分離されたsCOは、少なくともいくつかの溶存低MW化合物を含むと思われ、sCO画分として除去される。
【0152】
さらに別の実施形態では、押し出し工程は、メソフェーズ画分とともに、sCO/トルエン抽出工程804から、ある量のCO溶媒および共溶媒(例えば、キノリンまたはトルエン)を用いて実施することができる。次いで、メソフェーズ画分は、当技術分野で知られているように、溶融紡糸するか、または押し出して直接繊維にすることができる。
【0153】
さらに別の実施形態では、押し出し工程は、sCO画分をメソフェーズ画分から分離する簡単な分離プロセスに置き換えることができる。この分離の後、メソフェーズ画分は、次いで、当技術分野で知られているように、溶融紡糸されるか、または押し出して直接繊維にすることができる。あるいは、メソフェーズ画分がそのまま販売されてもよいし、繊維を製造する以外の目的に使用されてもよい。
【0154】
メソフェーズ繊維画分は、任意選択の安定化工程810においてさらに安定化されてもよい。現行の安定化処理は、一連の中温(~200~300℃)酸化オーブンを通して繊維を押し出し、引っ張る。従来の安定化の1つの目的は、黒鉛化の前に残留軽質MW物質を酸化的に除去することである。方法800におけるこれより前の工程、特にsCO/トルエン抽出工程804および配合工程808は、低分子量化合物の、大部分または全てではないにしても、多くを除去することが予想されるので、上記のsCO処理は、安定化工程810の必要性を完全に除去することができるか、または代わりに、充分な安定化に必要な時間を減少させることができる。
【0155】
安定化後、当技術分野で知られているように、任意選択の炭化工程812を実施することができる。炭化は、酸素を含まない環境中で繊維を加熱することによって全ての非有機元素を除去するプロセスであり、繊維中に結晶性炭素構造を生成する。これより前の抽出工程によって、メソフェーズ画分は、炭化工程の必要性を排除できるほどに非有機元素を十分に欠いているか、または、炭化に必要な時間を減少させることができる。
【0156】
黒鉛化工程814は、次いで、炭素繊維を作製する際の最終工程として当技術分野で知られているように、メソフェーズ画分に対して実施することができる。黒鉛化は、繊維方向に沿った結晶領域の位置合わせおよび配向を改善するために、高温で繊維を処理することを含む。結晶領域を繊維方向に沿って整列させ、積み重ね、配向させると、炭素繊維の全体的な強度が増加する。
【0157】
以下の番号を付した条項は、本技術のさらなる実施態様および特徴を定義する:
1.
少なくともいくらかのメソフェーズピッチ前駆体を含むコールタールを超臨界二酸化炭素(sCO)とトルエンとの混合物と接触させ、それによってコールタールから少なくともいくらかのトルエン可溶性成分を除去し、トルエン不溶性画分を得るステップと、
接触工程後、トルエン不溶性画分からsCOとトルエンとの混合物を分離するステップと、
キノリンでトルエン不溶性画分を洗浄し、キノリンと、トルエン不溶性画分のキノリン可溶性画分との混合物を得るステップと、
キノリン可溶性画分からキノリンを分離するステップと、
キノリン可溶性画分をsCOと混合してsCO/キノリン可溶性画分混合物を得るステップと、
を含むことを特徴とする方法。
2.
接触工程はさらに、sCO/キノリン可溶性画分混合物を押出機に通し、それによってキノリン可溶性画分からsCOを分離してメソフェーズピッチの繊維を得るステップを含む、条項1に記載の方法。
3.
前記方法はさらに、分離工程後、トルエン不溶性画分に対してトルエン洗浄を行い、それによってトルエン不溶性画分から追加の可溶性物質を除去するステップを含む、条項1または2に記載の方法。
4.
キノリン可溶性画分からキノリンを分離するステップはさらに、キノリンとキノリン可溶性画分との混合物を蒸留するステップを含む、条項1~3のいずれか1項に記載の方法。
5.
キノリン可溶性画分からキノリンを分離するステップはさらに、キノリンを蒸発させてキノリン可溶性画分混合物を得るステップを含む、条項1~4のいずれか1項に記載の方法。
6.
前記方法はさらに、キノリン可溶性画分を300~400℃に加熱するステップを含む、条項1~5のいずれか1項に記載の方法。
7.
前記方法はさらに、キノリン可溶性画分を300~400℃に24時間未満加熱するステップを含む、条項1~6のいずれか1項に記載の方法。
8.
前記方法はさらに、メソフェーズピッチの繊維に対して安定化工程を行うステップを含む、条項1~7のいずれか1項に記載の方法。
9.
前記方法はさらに、メソフェーズピッチの繊維に対して炭化工程を行うステップを含む、条項1~8のいずれか1項に記載の方法。
10.
前記方法はさらに、メソフェーズピッチの繊維に対して黒鉛化工程を行うステップを含む、条項1~9のいずれか1項に記載の方法。
11.
前記方法はさらに、sCOとトルエンとの混合物を、コールタールを含む反応容器に通すステップを含み、
洗浄工程は、トルエン不溶性画分を前記反応容器で洗浄するステップを含む、条項1~10のいずれか1項に記載の方法。
12.
前記方法はさらに、キノリン可溶性画分からキノリンを分離する前に、キノリンを前記反応容器にて24時間まで循環させるステップを含む、条項11に記載の方法。
13.
前記方法はさらに、キノリン可溶性画分を200~800℃に加熱するステップを含む、条項1~12のいずれか1項に記載の方法。
14.
加熱工程はさらに、キノリン可溶性画分を、300~400℃の温度に加熱したsCOと接触させるステップを含む、条項6~13のいずれか1項に記載の方法。
15.
前記方法はさらに、加熱工程後、キノリン不溶性物質の少なくとも一部をキノリン可溶性物質から分離するステップを含む、条項6~14のいずれか1項に記載の方法。
16.
炭素繊維の製造方法であって、
少なくともいくらかのメソフェーズピッチ前駆体を含むコールタールを超臨界二酸化炭素(sCO)とトルエンとの混合物と接触させ、それによってコールタールから少なくともいくらかのトルエン可溶性成分を除去し、トルエン不溶性画分を得るステップと、
接触工程後、不溶性コールタール画分からsCOとトルエンとの混合物を分離するステップと、
分離工程後、トルエン不溶性画分をsCOと混合してsCO/トルエン不溶性画分混合物を得るステップと、
sCO/トルエン不溶性画分混合物を押出機に通し、それによってトルエン不溶性画分からsCOを分離してメソフェーズピッチの繊維を得るステップと、
を含むことを特徴とする方法。
17.
前記方法はさらに、キノリンでトルエン不溶性画分を洗浄し、キノリンとキノリン可溶性画分との混合物と、トルエン不溶性画分のキノリン不溶性画分とを得るステップと、
トルエン不溶性画分のキノリン可溶性画分からキノリンを分離するステップと、
トルエン不溶性画分のキノリン可溶性画分をsCOと混合してsCO/トルエン不溶性画分混合物を得るステップと、
を含む、条項16に記載の方法。
18.
前記方法はさらに、トルエン不溶性画分のキノリン可溶性画分をsCOと混合する前に、トルエン不溶性画分のキノリン可溶性画分を300~400℃に24時間未満加熱するステップを含む、条項17に記載の方法。
19.
加熱工程はさらに、キノリン可溶性画分を、300~400℃の温度に加熱したsCOと24時間まで接触させるステップを含む、条項18に記載の方法。
20.
前記方法はさらに、メソフェーズピッチの繊維に対して安定化工程を行うステップを含む、条項16~19のいずれか1項に記載の方法。
21.
前記方法はさらに、メソフェーズピッチの繊維に対して炭化工程を行うステップを含む、条項16~20のいずれか1項に記載の方法。
22.
前記方法はさらに、メソフェーズピッチの繊維に対して黒鉛化工程を行うステップを含む、条項16~21のいずれか1項に記載の方法。
23.
炭素繊維の製造方法であって、
少なくともいくらかのメソフェーズピッチ前駆体を含むコールタールを超臨界流体溶媒と第1の共溶媒との混合物と接触させ、それによってコールタールから少なくともいくらかの可溶性成分を除去し、不溶性コールタール画分を得るステップと、
接触工程後、不溶性コールタール画分から超臨界流体溶媒と第1の共溶媒との混合物を分離するステップと、
分離工程後、不溶性コールタール画分をsCOと混合してsCO/不溶性画分混合物を得るステップと、
sCO/不溶性画分混合物を押出機に通し、それによって不溶性画分からsCOを分離してメソフェーズピッチの繊維を得るステップと、
を含むことを特徴とする方法。
24.
前記方法はさらに、第2の共溶媒で不溶性画分を洗浄し、第2の共溶媒と第2の共溶媒可溶性画分との混合物と、第1の不溶性画分の第2の共溶媒不溶性画分とを得るステップと、
不溶性画分の第2の共溶媒可溶性画分から第2の共溶媒を分離するステップと、
不溶性画分の第2の共溶媒可溶性画分をsCOと混合してsCO/不溶性画分混合物を得るステップと、
を含み、
第2の共溶媒は、ベンゼン、キシレン、テトラリン、テトラヒドロフラン、ピリジン、およびキノリンのうちの1つ以上から選択される、条項23に記載の方法。
25.
前記方法はさらに、第2の共溶媒可溶性画分をsCOと混合する前に、不溶性画分の第2の共溶媒可溶性画分を300~400℃に24時間未満加熱するステップを含む、条項24に記載の方法。
26.
加熱工程はさらに、第2の共溶媒可溶性画分を、300~400℃の温度に加熱したsCOと24時間まで接触させるステップを含む、条項25に記載の方法。
27.
前記方法はさらに、メソフェーズピッチの繊維に対して安定化工程を行うステップを含む、条項23~26のいずれか1項に記載の方法。
28.
前記方法はさらに、メソフェーズピッチの繊維に対して炭化工程を行うステップを含む、条項23~27のいずれか1項に記載の方法。
29.
前記方法はさらに、メソフェーズピッチの繊維に対して黒鉛化工程を行うステップを含む、条項23~28のいずれか1項に記載の方法。
30.
前記超臨界流体溶媒が、二酸化炭素、水、メタン、亜酸化窒素、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、メタノール、エタノール、およびアセトンのうちの1つ以上から選択される、条項23~29のいずれか1項に記載の方法。
31.
第1の共溶媒が芳香族有機溶媒である、条項23~30のいずれか1項に記載の方法。
32.
前記第2の共溶媒が芳香族有機溶媒である、条項24~30のいずれか1項に記載の方法。
33.
前記第1の共溶媒が、ベンゼン、キシレン、テトラリン、テトラヒドロフラン、ピリジン、およびキノリンのうちの1つ以上から選択される、条項23~32のいずれか1項に記載の方法。
34.
前記第2の共溶媒が、ベンゼン、キシレン、テトラリン、テトラヒドロフラン、ピリジン、およびキノリンのうちの1つ以上から選択される、条項23~33のいずれか1項に記載の方法。
35.
コールタールが、
炭素質供給原料の組み合わせを第1の温度および第1の圧力で第1の期間、熱分解してC-Cガスを生成するステップと、
前記組み合わせを第1の温度よりも高い第2の温度に増加させるステップと、
第2の温度で第2の期間の間、前記組み合わせを熱分解してコールタールを生成するステップと、
前記組み合わせからコールタールを抽出するステップと、
によって生成される、条項23~34のいずれか1項に記載の方法。
36.
前記第1の温度が150~350℃であり、前記第1の圧力が7~30MPaである、条項35に記載の方法。
37.
前記第2の温度が350~550℃である、条項35または36に記載の方法。
38.
前記第1の期間が1~120分である、条項35~37のいずれか1項に記載の方法。
39.
前記第1の期間は、前記炭素質供給原料から前記第1の温度で生成される少なくとも1つのC-Cガスの量に基づいて決定される、条項35~38のいずれか1項に記載の方法。
40.
前記第2の期間は、1分~24時間である、条項35~39のいずれか1項に記載の方法。
41.
第1の温度および第1の圧力で炭素質供給原料を熱分解するステップが、第1の熱分解反応チャンバ内で行われる、条項35~40のいずれか1項に記載の方法。
42.
前記第2の温度で前記炭素質供給原料を熱分解するステップが、前記第1の熱分解反応チャンバ内で行われる、条項35~41のいずれか1項に記載の方法。
43.
前記第2の温度で前記炭素質供給原料を熱分解するステップが、前記第1の熱分解反応チャンバとは異なる第2の熱分解反応チャンバ内で行われる、条項35~42のいずれか1項に記載の方法。
44.
第1の温度および第1の圧力で炭素質供給原料を熱分解するステップが、二酸化炭素雰囲気中で行われる、条項35~43のいずれか1項に記載の方法。
45.
前記方法はさらに、熱分解雰囲気における1つ以上のC-Cガスの濃度を監視するステップを含む、条項35~44のいずれか1項に記載の方法。
46.
コールタールを抽出するステップが、二酸化炭素雰囲気を分離システムに移すステップを含む、条項45に記載の方法。
47.
コールタールを抽出するステップが、二酸化炭素雰囲気の温度または圧力の少なくとも一方を低下させるステップを含む、条項45または46に記載の方法。
【0158】
特に断らない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量、反応条件などの特性を表すすべての数字はすべての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきであり、したがって、反対に示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似である。
【0159】
本技術の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の具体例に示される数値は可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【0160】
本明細書に記載されたシステムおよび方法は、記載された目的および利点、ならびにそこに固有の目的および利点を達成するように十分に適合されていることは明らかであろう。当業者は、本明細書内の方法およびシステムが多くの方法で実施されてもよく、したがって、前述の例示された実施形態および例によって限定されないことを認識するのであろう。この点に関して、本明細書に記載される異なる実施形態の任意の数の特徴は、1つの単一の実施形態に組み合わされてもよく、本明細書に記載される特徴の全てよりも少ないか、またはそれよりも多くを有する代替の実施形態が可能である。
【0161】
本開示の目的のために様々な実施形態を説明してきたが、本開示によって十分に意図される範囲内にある様々な変更および修正を行うことができる。例えば、一実施形態では、キノリン抽出工程806を省略し、TI画分を熱処理工程807に直接送ることができる。当業者に容易に示唆され、本開示の精神に包含される多数の他の変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0162】
図1】高レベルで、所与の供給原料から生成されるピッチの相対量を改善する熱分解方法の簡略化された実施形態を示す。
図2図1の熱分解方法のより詳細な実施形態を示す。
図3】上述のピッチ製造方法に適したシステムの一例である。
図4】所与の供給原料から得られる熱分解生成物を変化させるように調整することができる柔軟な熱分解システムのバッチ実施形態のプロセスフロー図を示す。
図5A図4に示すシステムの一実施形態の実験性能を示す図である。
図5B図4に示すシステムの一実施形態の実験性能を示す図である。
図5C図4に示すシステムの一実施形態の実験性能を示す図である。
図6】COを用いて炭素質供給原料を熱分解して反応生成物を得るための広範な方法の実施形態を示す。
図7】超臨界COを用いた石炭の熱分解法のより詳細な実施形態である。
図8】超臨界二酸化炭素を使用して、炭素繊維製造のためのメソフェーズピッチを改善する方法の実施形態を示す。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
【国際調査報告】