(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(54)【発明の名称】曲面ディスプレイ並びにその支持構造及び製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20220513BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220513BHJP
G09F 9/40 20060101ALI20220513BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20220513BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20220513BHJP
【FI】
G09F9/00 338
G09F9/30 308A
G09F9/40 301
G09F9/33
G09F9/00 346D
G09F9/00 350Z
H01L33/00 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020537216
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(85)【翻訳文提出日】2020-06-30
(86)【国際出願番号】 CN2020081027
(87)【国際公開番号】W WO2021174608
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】202010151983.4
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520238325
【氏名又は名称】ナンジン ロップー テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NANJING LOPU TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building D-04, No.1 Gaoke 1st Road, Jiangbei New Area, Nanjing, Jiangsu 210061, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェン シァォビン
(72)【発明者】
【氏名】ヂュ ビン
(72)【発明者】
【氏名】ジー リーリー
(72)【発明者】
【氏名】シェン フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジィァン リンリン
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA01
5C094AA43
5C094BA23
5C094CA18
5C094DA01
5C094DA05
5C094DB02
5C094EB01
5C094FA01
5C094FA02
5C094GB01
5C094JA08
5F142DB54
5F142EA02
5F142GA02
5G435AA01
5G435AA17
5G435BB04
5G435CC09
5G435EE04
5G435EE07
5G435EE13
5G435EE36
5G435EE41
5G435KK02
(57)【要約】
本発明は、LEDディスプレイの分野に関し、詳細には、曲面ディスプレイ並びにその支持構造及び製造方法に関する。本発明の曲面ディスプレイの製造方法では、すべての仮想表示モジュールのサイズを同じ比率で拡大または短縮したものが実際の表示モジュールの平面サイズとなるように、仮想表示モジュールのサイズを実体表示モジュールのサイズに反映させる。即ち、実際の組み立て用の表示モジュールは平面板構造であり、平面板構造の表示モジュールは加工しやすく、寸法精度も制御しやすい。また、表示モジュールに対して辺を短縮し、隣接する2つの表示モジュールに調整スペースが設けられる。さらに、各辺に調整突起が設けられ、加工精度が高くない場合、表示モジュールの接合過程中において隙間が形成されることを回避し、取り付けがきつすぎる問題がある場合には、サイズが大きい表示モジュールの調整突起に対して加工処理を行い、組み立て精度を確保し、取り付け精度を効果的に向上させ、累積誤差を解消することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モデリングによって曲面状の仮想表示層(11)を形成し、前記仮想表示層(11)に対して横方向及び縦方向に沿ってそれぞれ均等に仮想分割を行い、複数の仮想表示モジュール(111)を得て、各仮想表示モジュール(111)のサイズを計算し、
すべての仮想表示モジュール(111)のサイズが実体表示モジュール(111)の平面サイズに対応するように、仮想表示モジュール(111)のサイズを、実体表示モジュール(111)のサイズに反映させ、
実体表示モジュール(111)の辺を短縮すると共に、延在距離が実体表示モジュールの辺を短縮する長さの半分未満である少なくとも2つの調整突起(1111)を実体表示モジュール(111)の各辺に設け、
複数の仮想プレート部材(121)から構成された仮想調整層であって、各仮想プレート(121)が、複数の仮想表示モジュール(111)のアレイに対応し、前記仮想プレート(121)が、対応する複数の仮想表示モジュール(111)のサイズに一致するような仮想調整層(12)を構築し、
すべての仮想プレート(121)のサイズに曲線から平面線への変換の導出係数を掛けたものが実体プレート(121)の平面サイズとなるように、仮想プレート(121)のサイズを実体プレート(121)のサイズに反映させ、
完全な曲面ディスプレイが構成されるように、実体表示モジュール(111)と実体プレート(121)とを対応させるように組み立てて調整することを特徴とする曲面ディスプレイの製造方法。
【請求項2】
前記表示層(11)がドームスクリーンであり、直径Dの断面円が位置する平面を赤道面と定義し、赤道平面から上方向と下方向とへ両方向に対称に表示層(11)を複数の等角台形円弧面の表示モジュール(111)に等分して、赤道面から上方向に、第1、第2・・・第n番目の等角台形の円弧面として定義された前記仮想表示モジュール(111)のサイズは、a
nをn番目の等角台形の円弧面のベースラインの弧長、a
n+1vをn番目の等角台形の円弧面のトップラインの弧長、c
nをn番目の等角台形の円弧面の2辺の弧長、l
nをn番目の等角台形のベースラインが位置する緯線の長さ、l
n+1をn番目の等角台形のトップラインが位置する緯線の長さ、xをドームスクリーンの横方向に関する等分数、yをドームスクリーンの縦方向に関する等分数、l
pをドームスクリーンの経線の長さとすると、a
n=l
n/x、a
n+1=l
n+1/x、c
n=l
p/yであることを特徴とする請求項1に記載の曲面ディスプレイの製造方法。
【請求項3】
前記表示層(11)に対して横方向及び縦方向に沿って,それぞれ固定角度θ及びλで均等に仮想分割をすることを特徴とする請求項1又は2に記載の曲面ディスプレイの製造方法。
【請求項4】
実体表示モジュール(111)のサイズを得た後、実体表示モジュール(111)の4つの辺を同じ距離だけ短縮すると共に、辺を短縮する距離をsとして、延在距離がs/2より小さくなるように、実体表示モジュール(111)の各辺に少なくとも2つの調整突起(1111)を設けることを特徴とする請求項2に記載の曲面ディスプレイの製造方法。
【請求項5】
前記仮想プレート(121)は等角台形弧状面であり、1つの仮想プレート(121)はMを列数、Nを行数とするとM*N個の表示モジュール(111)のアレイに対応し、仮想プレート(121)のサイズである、前記仮想プレート(121)のベースラインの弧長であるA
b、前記仮想プレート(121)のトップラインの弧長であるA
u、前記仮想プレート(121)の2辺の弧長であるCはそれぞれA
b=M*a
n、A
u=M*a
n+1、C=N*c
nであることを特徴とする請求項2に記載の曲面ディスプレイの製造方法。
【請求項6】
Dをドームスクリーンの直径、βを球体の変化率、Hをドームスクリーンの中心からの高さ、LhをHに対応する位置の弧長、tを材料の厚さ、α=ΔL/(L*ΔT)として、計算式ξ=[(D-β)/D]x(H/Lh)+t*αから導出係数を求め、前記仮想プレート(121)のベースライン、トップライン及び2辺の弧長に、曲線から平面線への変換の前記導出係数を掛けることにより、実体プレート(121)の平面サイズを得ることを特徴とする請求項5に記載の曲面ディスプレイの製造方法。
【請求項7】
内側に凹んだ湾曲の曲率が、当該平面線に対応する仮想プレート(121)のベースライン、トップライト及び2辺が位置する弧の曲率に等しくなるように、平面への変換後の実体プレート(121)のベースライン、トップライト及び2辺の平面線を、内側に凹むように湾曲させることを特徴とする請求項6に記載の曲面ディスプレイの製造方法。
【請求項8】
表示層(11)と調整層(12)とを含み、前記表示層(11)は複数の表示モジュール(111)を含み、前記表示モジュール(111)の各辺に少なくとも2つの調整突起(1111)が設けられ、且つ隣接する2つの表示モジュール(111)の突起が対応しており、前記調整層(12)は複数のプレート部材(121)で構成され、各前記プレート部材(121)は複数の表示モジュール(111)のアレイに対応し、前記プレート部材(121)は対応する複数の表示モジュール(111)のサイズに一致し、前記プレート部材(121)の各辺が内側に凹むように湾曲(1211)していることによって、隣接するプレート部材(121)と点接触していることを特徴とする曲面ディスプレイ。
【請求項9】
前記表示モジュール(111)の基板はプリント基板であり、プリント基板の発光面に複数の発光画素(1115)が配置され、隣接する発光画素(1115)の間に前記プリント基板を貫通する少なくとも1つの通音孔が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の曲面ディスプレイ。
【請求項10】
前記プリント基板の発光面の背面は、コネクタ(1113)、集積回路及び駆動デバイス(1112)が配置された駆動面であり、前記駆動デバイス(1112)は集積回路を介して発光画素(1115)に電気的に接続されて発光画素(1115)を駆動及び制御し、前記駆動デバイス(1112)は集積回路を介してコネクタ(1113)の端子に電気的に接続され、前記コネクタ(1113)の端子はそれぞれ画像処理ユニット、給電ユニットに接続されて表示信号の伝送と電力の供給を行うことを特徴とする請求項9に記載の曲面ディスプレイ。
【請求項11】
前記画像処理ユニットは制御ユニットを介して表示モジュール(111)と通信を確立し、前記制御ユニットは複数組の制御ブロックを含み、前記制御ブロックは各領域の表示データを対応する前記表示モジュール(111)に送信して当該表示モジュール(111)の領域分割制御を実現することを特徴とする請求項10に記載の曲面ディスプレイ。
【請求項12】
請求項8~11のいずれか1項に記載の曲面ディスプレイを支持する曲面ディスプレイ支持構造であって、
支持構造を形成する主構造層(3)と、
前記支持構造に接続された第1曲面層(21)及び前記第1曲面層(21)に接続された第2曲面層(22)を含み、前記第2曲面層(22)には前記曲面ディスプレイが取り付けられる二重曲面構造層(2)とを含むことを特徴とする曲面ディスプレイ支持構造。
【請求項13】
前記第1曲面層(21)は複数の横方向湾曲ロッド(211)を含み、前記第2湾曲層(22)は複数の縦方向湾曲ロッド(221)を含み、前記横方向湾曲ロッド(211)及び前記縦方向湾曲ロッド(221)が互いに交差するよう接続されていることを特徴とする請求項12に記載の曲面ディスプレイ支持構造。
【請求項14】
前記縦方向湾曲ロッド(221)は接続アセンブリI(23)を介して前記横方向湾曲ロッド(211)の内周に接続されており、前記接続アセンブリI(23)はスナップフィット(231)及び嵌合部材(232)を含み、前記スナップフィット(231)が縦方向湾曲ロッド(221)に係合し、前記嵌合部材(232)が前記横方向湾曲ロッド(211)を締め付けることによって、前記横方向湾曲ロッド(211)を前記スナップフィット部材(231)の外表面に移動可能にロックしていることを特徴とする請求項13に記載の曲面ディスプレイ支持構造。
【請求項15】
前記二重曲面構造層(2)が主構造層(3)によって調整可能に支持され、前記主構造層(3)が前記二重曲面構造層(2)の外周に設けられ、前記主構造層(3)に複数の支持部材(31)が調整可能に配置され、前記支持部材(31)と前記主構造層(3)との間に上向きの鋭角開口が形成され、前記横方向湾曲ロッド(211)が前記鋭角開口を貫通して水平オーバハングを形成していることを特徴とする請求項13に記載の曲面ディスプレイ支持構造。
【請求項16】
前記主構造層(3)と前記二重曲面構造層(2)とが接続アセンブリII(24)を介して接続され、前記接続アセンブリII(24)は固定フレーム(241)、スクリュー(242)及びクランプ(243)を含み、前記固定フレーム(241)の位置は前記主構造層(3)に調整可能に固定され、前記スクリュー(242)の位置は前記固定フレーム(241)に調整可能に配置され、前記スクリュー(242)の端部にクランプ(243)が固定され、前記クランプ(243)は円状の挟み口であることを特徴とする請求項15に記載の曲面ディスプレイ支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDディスプレイの分野に関し、詳細には、曲面ディスプレイ並びにその支持構造及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LED業界の発展に伴い、市場ニーズに対応するため、大型曲面のLEDディスプレイも増えている。現在、大型曲面LEDディスプレイ画面はすべて同じ大きさのLEDモジュールが接続されたものであり、組立てた後、曲面の平滑性が悪い、隙間が大きいなどの問題があり、結果的にディスプレイ効果が良くない。このため、大型曲面LEDスクリーンの製造方法として、以下のステップが提案されている。1)一つのスクリーンモデルを形成する。2)直径Dの断面円が位置する平面を赤道平面 と定義し、大型球面LEDスクリーンモデルの円弧面を赤道平面から上方向と下方向とへ両方向に対称に複数の等高LEDスクリーンモジュールバンドに等分する。3)固定度数で同じ大きさの偶数部数の台形LEDスクリーンモジュールに等分し、且つ行ごとに下方向に等分する。底部まで等分して、モジュールの幅サイズが一定サイズ以下である場合は、2倍の固定角度を用いて再度等分する。順次類推して分割を完了して、各LEDスクリーンモジュールのサイズと形状とを獲得する。4)サイズ、形状に応じて各LEDスクリーンモジュールに対して順次番号を付け、加工及び組立てを行い、完全な大型曲面LEDスクリーンを完成させる。しかし、この製造方法には以下の問題点がある。1、上記の方法で形成したLEDスクリーンモジュールは曲面スクリーンモジュールであり、曲面スクリーンモジュールは加工時のプロセスの実現が難しく、高価である。2、曲面スクリーンモジュールの精度制御が困難であり、曲面スクリーンモジュールの弧度が必ずしも曲面スケルトンとぴったり合うとは限らない上、製造誤差が累積し、最終的に曲面スクリーンの段ボールのような波形感が深刻になる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、従来技術に存在する曲面LEDスクリーンの製造難度が大きく、表示効果が悪いという技術的問題を解決するため、平面板であり、製造しやすく、コストが安く、取り付け調整もしやすく、表示効果に優れた曲面ディスプレイ並びにその支持構造及び製造方法を提案する。本発明の技術的解決手段は、下記の通りである。
【0004】
本発明の一態様は、以下の工程を含む曲面ディスプレイの製造方法を提供する。
【0005】
モデリングによって曲面状の仮想表示層を形成し、前記仮想表示層に対して横方向及び縦方向に沿ってそれぞれ均等に仮想分割を行うことによって複数の仮想表示モジュールを得て、各仮想表示モジュールのサイズを計算する。
【0006】
すべての仮想表示モジュールのサイズを同じ比率で拡大または短縮したものが実体表示モジュールの平面サイズとなるように、仮想表示モジュールのサイズを、実体表示モジュールのサイズに反映させる。
【0007】
実体表示モジュールの辺を短縮すると共に、延在距離が実体表示モジュールの辺を短縮する長さの半分未満である少なくとも2つの調整突起を実体表示モジュールの各辺に設ける。
【0008】
複数の仮想プレートから構成された調整層であって、各仮想プレートが、複数の仮想表示モジュールのアレイに対応し、前記仮想プレートが、対応する複数の仮想表示モジュールのサイズに一致するような仮想調整層を構築する。
【0009】
すべての仮想プレートのサイズに曲線から平面線への変換の導出係数を掛けたものが実体プレートの平面サイズとなるように、仮想プレートのサイズを実体プレートのサイズに反映させる。
【0010】
完全な曲面ディスプレイが構成されるように、実体表示モジュールと実体プレートとを対応させるように組み立てて調整する。
【0011】
さらに、前記表示層がドームスクリーンであり、直径Dの断面円が位置する平面を赤道面と定義し、赤道平面から上方向と下方向との両方向に対称に表示層を複数の等角台形円弧面の表示モジュールに等分する。赤道面から上方向に、第1、第2・・・第n番目の等角台形の円弧面として定義された前記仮想表示モジュールのサイズは、an=ln/x、an+1=ln+1/x、cn=lp/yである。ここで、anはn番目の等角台形の円弧面のベースラインの弧長であり、an+1はn番目の等角台形の円弧面のトップラインの弧長であり、cnはn番目の等角台形の円弧面の2辺の弧長であり、lnはn番目の等角台形のベースラインが位置する緯線の長さであり、ln+1はn番目の等角台形のトップラインが位置する緯線の長さであり、xはドームスクリーンの横方向に関する等分数であり、yはドームスクリーンの縦方向に関する等分数であり、lpはドームスクリーンの経線の長さである。
【0012】
さらに、前記表示層を横方向及び縦方向に沿って,それぞれ固定角度θ及びλで均等に仮想分割をする。
【0013】
さらに、実体表示モジュールのサイズを得た後、実体表示モジュールの4つの辺を同じ距離だけ短縮する。辺を短縮する距離をsとして、延在距離がs/2より小さくなるように、実体表示モジュールの各辺に少なくとも2つの調整突起を設ける。
【0014】
さらに、仮想プレートも等角台形円弧面であり、1つの仮想プレートは、Mを列数、Nを行数とするとM*N個の表示モジュールのアレイに対応する。また、仮想プレートのサイズである、前記仮想プレートのベースラインの弧長Ab、前記仮想プレートのトップラインの弧長Au、前記仮想プレートの2辺の弧長CはそれぞれAb=M*an、Au=M*an+1、C=N*cnである。
【0015】
さらに、前記仮想プレートのベースライン、トップライン及び2辺の弧長に、曲線から平面線への変換の導出係数を掛けることにより、実体プレートの平面サイズを得る。前記導出係数の計算式はξ=[(D-β)/D]x(H/Lh)+t*αである。ここで、Dはドームスクリーンの直径、βは球体の変化率、Hはドームスクリーンの中心からの高さ、LhはHに対応する位置の弧長、tは材料の厚さ、αはα=ΔL/(L*ΔT)である。
【0016】
さらに、平面への変換後の実体プレートのベースライン、トップライト及び2辺の平面線を、内側に凹むように湾曲させる。このとき、内側に凹んだ湾曲の曲率は、当該平面線に対応する仮想プレートのベースライン、トップライト及び2辺が位置する弧の曲率に等しい。
【0017】
一方で、本発明は表示層と調整層とを含む曲面ディスプレイを提供する。前記表示層は複数の表示モジュールを含み、前記表示モジュールの各辺に少なくとも2つの調整突起が設けられ且つ隣接する2つの表示モジュールの突起が互いに対応している。前記調整層は複数のプレート部材で構成され、各前記プレート部材は複数の表示モジュールのアレイに対応し、前記プレート部材は対応する複数の表示モジュールのサイズに一致し、前記プレート部材の各辺が内側に凹むように湾曲していることによって、隣接するプレート部材と点接触を形成している。
【0018】
さらに、前記表示モジュールの基板はプリント基板であり、プリント基板の発光面に複数の発光画素が配置され、隣接する発光画素の間に前記プリント基板を貫通する少なくとも1つの通音孔が設けられている。
【0019】
さらに、前記プリント基板の発光面の背面は、コネクタ、集積回路及び駆動デバイスが配置された駆動面であり、前記駆動デバイスは集積回路を介して発光画素に電気的に接続されて発光画素を駆動及び制御する。前記駆動デバイスは集積回路を介してコネクタの端子に電気的に接続され、前記コネクタの端子はそれぞれ画像処理ユニット、給電ユニットに接続されて表示信号の伝送と電力の供給を行う。
【0020】
さらに、前記画像処理ユニットは制御ユニットを介して表示モジュールと通信を確立し、前記制御ユニットは複数組の制御ブロックを含み、前記制御ブロックは各領域の表示データを対応する表示モジュールに送信して表示モジュールの領域分割制御を実現する。
【0021】
一方、本発明は、上述した曲面ディスプレイを支持するための曲面ディスプレイ支持構造を提供する。
【0022】
この曲面ディスプレイ支持構造は、主構造層であって、支持構造を形成する主構造層と、前記支持構造に接続された第1曲面層及び前記第1曲面層に接続された第2曲面層を含み、前記第2曲面層に前記曲面ディスプレイが取り付けられる二重曲面構造層とを含む。
【0023】
さらに、前記第1曲面層は複数の横方向湾曲ロッドを含み、前記第2曲面層は複数の縦方向湾曲ロッドを含み、前記横方向湾曲ロッド及び前記縦方向湾曲ロッドは互いに交差するように接続されている。
【0024】
さらに、前記縦方向湾曲ロッドは接続アセンブリIを介して前記横方向湾曲ロッドの内周に接続され、前記接続アセンブリIはスナップフィット及び嵌合部材を含む。前記スナップフィットが縦方向湾曲ロッドに係合して、前記嵌合部材が前記横方向湾曲ロッドを締め付けて、前記横方向湾曲ロッドを前記スナップフィットの外表面に移動可能にロックしている。
【0025】
さらに、前記二重曲面構造層が主構造層によって調整可能に支持され、前記主構造層が前記二重曲面構造層の外周に設けられ、前記主構造層に複数の支持部材が調整可能に配置されている。前記支持部材と前記主構造層との間に上向きの鋭角開口が形成され、前記横方向湾曲ロッドが前記鋭角開口を貫通して水平オーバハングを形成している。
【0026】
さらに、前記主構造層と前記二重曲面構造層とが接続アセンブリIIを介しても接続され、前記接続アセンブリIIは固定フレーム、スクリュー及びクランプを含む。前記固定フレームの位置は前記主構造層に調整可能に固定され、前記スクリューの位置は前記固定フレームに調整可能に配置され、前記スクリューの端部にクランプが固定され、前記クランプは前記横方向湾曲ロッドを締め付けることができる。
【0027】
本発明は、上記技術的解決手段を採用することにより、以下の技術的効果を奏する。
【0028】
1、本発明の曲面ディスプレイ製造方法では、すべての仮想表示モジュールのサイズを同じ比率で拡大または短縮したものが実際の表示モジュールの平面サイズとなるように、仮想表示モジュールのサイズを実体表示モジュールのサイズに反映させる。即ち、実際の組み立て用の表示モジュールは平面板構造であり、平面板構造の表示モジュールは加工しやすく、寸法精度も制御しやすい。
【0029】
2、平面板構造を曲面骨格に適合させるため、本発明の製造方法では平面板構造の表示モジュールに対して辺を短縮し、同時に実体表示モジュールの各辺に少なくとも2つの調整突起を設ける。前記調整突起の延在距離は、実体表示モジュールの辺を短縮する長さ(変化量)の半分未満であり、表示モジュールの辺が短縮されたため、隣接する2つの表示モジュールにそれに応じた調整スペースが設けられる。さらに、各辺に調整突起が設けられるので、加工精度が高くない場合、表示モジュールの接合過程において隙間が形成されることを回避し、取り付けが過度に締め付けられた場合に、サイズが大きい表示モジュールの調整突起に対して加工処理を行い、組み立て精度を確保し、取り付け精度を効果的に向上させ、累積誤差を除去することができる。
【0030】
3、上記内容から分かるように、加工を容易にするために、本発明の表示モジュールは平面板構造に設計され、平面サイズとして仮想表示モジュールのサイズを直接採用し、その後に辺を短縮すると同時に調整突起を配置し、辺の短縮と調整突起によって、当然のことながら一定の調整作用を果たすが、実際の取り付けにおいては依然として誤差があり、表示モジュールの取り付け範囲を表示層全体に拡大した場合には、誤差の累積が顕著になり、依然として表示の効果に影響を与えることがある。取り付け精度をさらに向上させ、累積誤差を解消するために、本発明の製造方法においては、調整層を介して表示モジュールの取り付け精度を調整する。即ち、表示モジュールを曲面骨格に直接取り付けず、まず表示モジュールをプレート部材に取り付ける。具体的には、一つのプレート部材を複数の表示モジュールのアレイに対応して取り付けると、一つのプレート部材の範囲内における表示モジュールの取り付け精度がより調整しやすく、さらに、プレート部材の取り付けを調整する。公知のように、プレート部材が製造時も曲面構造を採用する場合、その加工精度も制御しにくい。そのため、本発明ではプレート部材も平面構造を採用するが、本発明は仮想プレートのサイズを直接に実体プレートのサイズに変換するのではなく、プレート部材の面積が比較的大きいため、直接変換して得られる誤差が大きい。このため、本発明のプレート部材は設計時に、まず仮想プレートのサイズを得て、次に仮想プレートのサイズに曲線から平面線への変換の導出係数を掛けることにより、実体プレートの平面サイズを得る。この実体プレートの平面サイズは即ちプレート部材の実際サイズであり、変換により得られたプレート部材のサイズの誤差がより小さく、累積誤差もそれに応じてより小さくなる。
【0031】
4、プレート部材を接合するときに、二重曲面構造層を介して調整することができ、他方では、プレート部材の各辺が内側に凹むように湾曲しているため、互いに干渉することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の実施例における曲面ディスプレイの製造方法を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施例における表示層の横方向に均等な切断概略図である。
【
図3】本発明の実施例における表示層の縦方向に均等な切断概略図である。
【
図4】本発明の実施例における表示層の切断概略図である。
【
図5】本発明の実施例における表示モジュールの構造の概略を示す図である。
【
図6】本発明の実施例における表示モジュールの背面構造の概略を示す図である。
【
図7】本発明の実施例におけるプレート部材の構造の概略を示す図である。
【
図8】本発明の実施例における導出係数計算の概略を示す図である。
【
図9】本発明の実施例におけるプレート部材が内側に凹んで湾曲した構造概略図である。
【
図10】本発明の実施例におけるプレート部材の組み立て構造の概略を示す図である。
【
図11】本発明の実施例における表示モジュールの組み立て概略図である。
【
図12】本発明の実施例における主構造層の構造の概略を示す図である。
【
図13】本発明の実施例における表示層、調整層の構造の概略を示す図である。
【
図14】本発明の実施例における二重曲面構造層の構造の概略を示す図である。
【
図15】本発明の実施例における支持部材の構造の概略を示す図である。
【
図16】本発明の実施例における接続アセンブリIの構造の概略を示す図である。
【
図17】本発明の実施例における二重曲面構造層の取り付け構造の概略を示す図である。
【
図18】本発明の実施例における接続アセンブリIIの構造の概略を示す図である。
【
図19】本発明の実施例における調整層の取り付け構造の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施例における図面と併せて、本発明の実施例における技術的解決手段について、明確且つ完全に説明する。記載される実施例が本発明の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。以下では、少なくとも一例の例示的な実施例についての描写は、実際には単なる説明であり、本発明及びその応用又は使用に対するいかなる制限もしない。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的労働を行わない限り得られる他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0034】
ここで使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためのものに過ぎず、例示的な実施形態を制限する意図はないことに留意されたい。ここで使用されるように、単数形は、特に文脈上明示されていない限り、複数形も含むことが意図され、また、本明細書において、用語「含む」及び/又は「包括」が使用される場合には、それらは、特徴、ステップ、オペレーション、デバイス、アセンブリ、及び/又はこれらの組み合わせを示すことを意味することが理解されるべきである。
【0035】
特に詳細な説明がない限り、これらの実施例で述べた構成要素及びステップの相対的な配置、数字表式、及び数値は、本発明の範囲を制限しない。また、説明を容易にするために、図に示されている各部分のサイズは実際の比例関係に従って描かれているわけではない。当業者に知られている技術、方法および装置については、詳細には議論されないが、適切な場合には、前記技術、方法及び装置は、登録される明細書の一部であると考えられるべきである。ここで示され、説明されたすべての例において、任意の特定の値は単なる例示として解釈されるべきであり、制限するものではない。したがって、例示的な実施例の他の例は、異なる値を有することができる。
【0036】
注意すべきこと:類似するラベル及びアルファベットは、下図に示すように類似するものであるため、いずれか1つが図において定義されている場合は、後続の図においてはさらに議論する必要はない。
【0037】
本発明の説明において、「前、後、上、下、左、右」、「横方向、縦方向、垂直、水平」および「頂部、底部」などの方位語が示す方位または位置関係は、図面に示された方位または位置関係に基づくものであり、本発明の説明を簡単にし、記述を簡略化するためだけである。逆の説明をしない場合、これらの方位語は、指している装置または要素が特定の方位を有している又は特定の方位で構造や操作を行う必要があることを意味するものではなく、本発明の保護範囲を制限するものと解釈されるべきではなく、「内」及び「外」という方位語は、各構成要素自体に対する輪郭の内外を指す。
【0038】
説明を容易にするために、ここでは、空間的相対的な用語、例えば、「…上に」、「……の上方」、「…上表面に」、「上面の」などは、図に示すように、1つのデバイス又は特徴と他のデバイス又は特徴との空間的位置関係を記述するために用いられる。空間的相対的な用語は、デバイスが図に示された方位に加えて、使用または動作中の異なる方位を含むことを意図していることが理解されるべきである。例えば、図中のデバイスが倒置されている場合、「他のデバイス又は構造の上方」又は「他のデバイス又は構造の上にある」と記述されたデバイスは、後に「他のデバイス又は構造の下方」又は「他のデバイス又は構造の下にある」と位置づけられる。従って、例示的用語「……の上方」は、「……の上方」及び「……の下方」2つの方位を含むことができる。このデバイスは別の方法で位置づけることもでき(90度回転する又は他の方位にある)、且つここで使用される空間的相対的な記述に対して適切な説明をする。
【0039】
また、「第1」、「第2」などの用語を用いて部品を限定するのは、対応した部品を区別しやすくするためだけであり、特に説明しない限り、上記の用語は特殊な意味を有していないため、本発明の保護範囲の制限とは解釈できない。
【0040】
実施例:
図1及び
図13に示すように、本実施例は、以下のステップを含む曲面ディスプレイの製造方法を提供する。
【0041】
S1:モデリングソフトウェアを利用して曲面状の仮想表示層11を形成し、仮想表示層11に対して横方向及び縦方向に沿って、それぞれ均等に仮想分割を行うことによって、複数の仮想表示モジュール111を得る。
図2-3に示すように、本実施例ではドームスクリーン状の仮想表示層11を例として、分割時に仮想表示層11に対して横方向及び縦方向に沿ってそれぞれ一定の角度θ及びλで均等に仮想分割を行う。
【0042】
次に、各仮想表示モジュール111のサイズを計算する。仮想表示モジュール111のサイズを計算する方法は以下のとおりであり、
図4に示すとおり、直径Dの断面円が位置する平面を赤道面と定義し、赤道平面から上方向と下方向との両方向に対称に表示層11を複数の等角台形円弧面の表示モジュール111に等分する。2本の経線の間、赤道面から上方向に、第1、第2・・・第n番目の等角台形の円弧面として定義された仮想表示モジュール111のサイズは、a
n=l
n/x、a
n+1=l
n+1/x、c
n=l
p/yである。ここで、a
nはn番目の等角台形の円弧面のベースラインの弧長であり、a
n+1はn番目の等角台形の円弧面のトップラインの弧長であり、c
nはn番目の等角台形の円弧面の2辺の弧長であり、l
nはn番目の等角台形のベースラインが位置する緯線の長さであり、l
n+1はn番目の等角台形のトップラインが位置する緯線の長さであり、xはドームスクリーンの横方向に関する等分数であり、yはドームスクリーンの縦方向に関する等分数であり、l
pはドームスクリーンの経線の長さである。
【0043】
前記方法によって、2本の経線の間にある赤道面から上方向への表示モジュール111のサイズを得ることができる。また、両方向に対称であるため、赤道面から下方向への表示モジュール111のサイズも得ることができる。このようにすべての仮想表示モジュール111のサイズを得ることができる。
【0044】
S2:すべての仮想表示モジュール111のサイズを同じ比率で拡大または短縮したものが実際の表示モジュール111の平面サイズとなるように、仮想表示モジュール111のサイズを実体表示モジュール111のサイズに反映させる。具体的には、すべての仮想表示モジュール111のサイズを、同じ比率で拡大または短縮したものを実体表示モジュール111の平面サイズとすることができる。当然ながら仮想表示モジュール111のサイズが実体表示モジュール111の平面サイズとして直接使用されてもよい。
図5に示すように、実体表示モジュール111は平面板構造である。即ち、実際の組み立て用の表示モジュール111は平面板構造である。平面板構造の表示モジュール111は加工が容易であり、寸法精度も制御しやすい。
【0045】
S3:
図5~
図6に示すように、表示モジュール111を調整しやすくするために、実体表示モジュール111の辺を短縮する。具体的には実体表示モジュール111の4つの辺を同じ距離だけ短縮する。辺を短縮する距離sは0.3mm~0.4mmである。好ましくは、辺を短縮する距離sは0.35mmである。同時に実体表示モジュール111の各辺に少なくとも2つの調整突起1111を設ける。調整突起1111の延在距離は実体表示モジュール111の辺を短縮する長さ(変化量)の半分未満である。表示モジュール111の辺を短縮したので、隣接する二つの表示モジュール111には調整スペースが対応するように設けられる。各辺の調整突起1111の加工精度が高くない場合に、表示モジュール111の接合過程中に隙間を形成することを避け、取り付けがきつすぎる問題がある場合には、サイズが大きい表示モジュール111の調整突起に加工処理を施すことで、接合精度を確保することができ、効果的に取付精度を向上させ、累積誤差を解消することができる。
【0046】
S4:仮想調整層12を構築する。仮想調整層12は複数の仮想プレート121から構成される。各仮想プレート121が、複数の仮想表示モジュール111のアレイに対応し、仮想プレート121は、対応する複数の仮想表示モジュール111のサイズに一致する。
【0047】
上記内容から分かるように、加工を容易にするために、本発明の表示モジュール111は平面板構造に設計され、平面サイズとして仮想表示モジュール111のサイズを直接採用し、その後辺を短縮すると同時に調整突起1111を配置する。辺の短縮と調整突起1111によって、当然のことながら一定の調整作用を果たすが、実際の取り付けにおいては依然として誤差があり、表示モジュール111の取り付け範囲を表示層11全体に拡大した場合には、誤差の累積が顕著になり、依然として表示の効果に影響を与えることがある。取り付け精度をさらに向上させ、累積誤差を解消するために、本発明の製造方法において調整層12を介して表示モジュール111の取り付け精度を調整する。即ち、表示モジュール111を曲面骨格に直接取り付けず、まず表示モジュール111をプレート部材121に取り付ける。具体的には、一つのプレート部材121を複数の表示モジュール111のアレイに対応して取り付けると、一つのプレート部材121の範囲内における表示モジュール111の取り付け精度がより調整しやすく、さらに、プレート部材121の取り付けを調整する。公知のように、プレート部材121が製造時も曲面構造を採用する場合、その加工精度も制御しにくい。そのため、本発明ではプレート部材121も平面構造を採用するが、本発明は仮想プレート121のサイズを直接実体プレート121のサイズに変換するのではなく、プレート部材121の面積が比較的大きいため、直接変換して得られる誤差が大きい。このため、本発明のプレート部材121は設計時に、まず仮想プレート121のサイズを得て、次に仮想プレート121のサイズに曲線から平面線への変換の導出係数を掛けることにより、実体プレート121の平面サイズを得る。この実体プレート121の平面サイズは即ちプレート部材121の実際サイズであり、変換により得られたプレート部材121のサイズの誤差がより小さく、累積誤差もそれに応じてより小さくなる。
【0048】
本発明の一実施例において、仮想プレート121も等角台形円弧面であり、1つの仮想プレート121は、Mを列数、Nを行数とするとM*N個の表示モジュール111のアレイに対応する。また、仮想プレート121のサイズである、仮想プレート121のベースラインの弧長Ab、仮想プレート121のトップラインの弧長Au、仮想プレート121の2辺の弧長CはそれぞれAb=M*an、Au=M*an+1、C=N*cnである。
【0049】
例えば、本実施例において、
図7に示すように、1つの仮想プレート121が4*4個の表示モジュール111のアレイに対応しているとすると、仮想プレート121のサイズを、16個の仮想表示モジュール111のサイズから計算することができる。
【0050】
S5:すべての仮想プレート121のサイズに曲線から平面線への変換の導出係数を掛けたものが実体プレート121の平面サイズとなるように、仮想プレート121のサイズを実体プレート121のサイズに反映させる。
【0051】
本発明の一実施例によって、仮想プレート121のベースライン、トップライン及び2辺の弧長に、曲線から平面線への変換の導出係数を掛けることにより、実体プレート121の平面サイズを得る。
図8を参照すると、導出係数の計算式はξ=[(D-β)/D]x(H/Lh)+t*αであり、Dはドームスクリーンの直径、βは球体の変化率、Hはドームスクリーンの中心からの高さ、LhはHに対応する位置の弧長、tは材料の厚さ、αはα=ΔL/(L*ΔT)である。
【0052】
さらに、
図7及び
図9に示すように、平面への変換後の実体プレート121のベースライン、トップライト及び2辺の平面線を、内側に凹むように湾曲させる。
図7を参照すると、平面変換後の実体プレート121の内側に凹んだ湾曲の曲率(即ちR1、R2とR3)は、この平面線に対応する仮想プレート121のベースライン、トップライト及び2辺が位置する弧の曲率に等しい。プレート部材121を接合するときに、二重曲面構造層2を介して調整することができ、他方では、プレート部材121の各辺は内側に凹むように湾曲しており、互いに干渉することを回避することができる。
【0053】
S6:完全な曲面ディスプレイが構成されるように、実体表示モジュール111と実体プレート121とを対応させるように組み立てて調整する。
【0054】
前記方式で製造したディスプレイ1の累積誤差はさらに小さく、組み立て精度はさらに高く、これに応じて表示効果もさらによい。
【0055】
本実施例は、表示層11と調整層12とを含む曲面ディスプレイをさらに提供する。表示層11は複数の表示モジュール111を含み、表示モジュール111の各辺に少なくとも2つの調整突起1111が設けられ、且つ隣接する2つの表示モジュール111の突起が対応している。調整層12は複数のプレート部材121で構成され、各プレート部材121は複数の表示モジュール111のアレイに対応し、プレート部材121は対応する複数の表示モジュール111のサイズに一致し、プレート部材121の各辺が内側に凹むように湾曲1211している。したがって、実際の取り付けでは、プレート部材121の接合は、辺が4つの点で互いに接触するだけで、中間に隙間が残される。プレート部材121の加工精度が確保できないため、隙間を残す目的はプレート部材121の加工誤差が大きいことによる相互干渉を回避することである。
【0056】
二重曲面構造層2の精度が要件を満たすことができれば、プレート部材121を必要とせず、表示モジュール111を二重曲面構造層2に直接取り付けることができるが、実際には以下の問題があるため、プレート板材121を使用しなければならない。1、二重曲面構造層2の精度制御が不足する一方で、プレート部材121の加工精度は二重曲面構造層2より遥かに高く、且つ接合された表示面に調整スペースがある。2、二重曲面構造層2は荷重に耐える必要があるため、鋼構造として設計されている。コスト、重量、空間レイアウトの原因で密集した配置ができず、その間に表示モジュール111を配置するのに不向きである。3、表示モジュール111の加工サイズにも制限があり、大きくしすぎることができないため、プレート部材121が二重曲面構造層2と表示モジュール111との間に接続する橋となる。
【0057】
本発明の一実施例によって、
図5と
図6を参照すると、表示モジュール111の基板はプリント基板である。プリント基板は非フレキシブルなPCB板であり、曲面ディスプレイ全体として異なる規格の様々な種類のプリント基板接合が必要である。プリント基板の発光面には、複数の発光画素1115が配置されている。発光画素1115は、溶接により発光面に固定されている。プリントボードの発光面の背面は、コネクタ1113、集積回路及び駆動デバイス1112が配置された駆動面である。集積回路、コネクタ1113及び駆動デバイス1112は溶接により駆動面に固定されている。駆動デバイス1112は集積回路によって発光画素1115と電気的に接続されて発光画素1115を駆動及び制御する。駆動デバイス1112は集積回路を介してコネクタ1113の端子に電気的に接続され、コネクタ1113はそれぞれ画像処理ユニット、給電ユニットに接続されて表示信号の伝送と電力の供給とを行う。
【0058】
本発明の一実施例によって、画像処理ユニットは、標準的なビデオソースをドームスクリーンディスプレイの再生に適する画面に変換して処理する。さらに、この画像処理ユニットが3D画面を再生可能であることによって、この没入型ドームスクリーンディスプレイに3D再生機能を持たせることができる。本実施例において,曲面ディスプレイは完全な球面又は完全な楕円面表示であってもよく、類球面または類楕円面表示であってもよい。球面または楕円面が任意に切断された円弧面であってもよく、球面または楕円面が他の形状に接合された不規則な表示面であってもよい。表示面は、球面または楕円面の外表面にあってもよく、球面または楕円面の内表面にあってもよい。
【0059】
本発明の一実施例において、画像処理ユニットは制御ユニットを介して表示モジュール111と通信を確立する。制御ユニットは複数組の制御ブロックを含む。制御ブロックの主な機能は、各領域の表示データを対応する表示モジュール111に送信して表示モジュール111の領域分割制御を実現することである。
【0060】
本発明の一実施例によって、給電ユニットは複数組の給電アセンブリを含む。給電アセンブリの主な機能は、表示モジュール111に電力を供給することである。
【0061】
表示モジュール111の配線を容易にするために、
図19に示すように、プレート部材121の中間をくりぬかれてなる正方形の通音孔1116が形成されており、表示モジュール111の配線、放熱及びメンテナンスを便利なものとしている。さらに、
図11に示すように、表示モジュール111の位置を調整しやすくするために、表示モジュール111の駆動面にさらに磁石鋼1114が設けられている。表示モジュール111は磁石鋼1114を介してプレート部材121に接続されている。
【0062】
本発明の一実施例においては、発光画素1115と発光画素1115との間に複数の通音孔1116が設けられている。通音孔1116は、通音、放熱、スクリーン重量を低減させる等の多くの効果を実現することができる。ディスプレイ再生画面の背面に音響設備が配置されたときに、音声は通声孔1116から出て、視聴者にタイムリーに伝送され、視聴者に良好な視覚と聴覚との感覚を与え、良好な没入感を提供する。通音孔1116と通音孔1116との間隔は制限されず、等間隔又は不等間隔であってもよい。透音孔1116の形状は制限されず、円形、楕円形、正方形、台形等の加工可能な任意の形状であってよい。通音孔1116はプリント基板の表裏面を貫通する通音孔1116でなければならず、且つ通音孔1116はLEDディスプレイの少なくとも3%の通音率を実現することができる単位面積当たりの総面積を有している。好ましくは、隣接する4つの発光画素1115は、菱形、正方形又は長方形に配列される。同時に隣接する発光画素と発光画素との間の通音孔1116の数は1つだけであってもよく、複数であってもよい。
【0063】
本実施例は、曲面ディスプレイ1を支持することに用いられる曲面ディスプレイ支持構造をさらに提供する。
図12-13に示すとおり、この曲面ディスプレイ支持構造は、主構造層3及び二重曲面構造層2を含む。主構造層3は本体フレームとして形成され、支持作用を果たす。二重曲面構造層2は、本体フレームに接続された第1曲面層21及び第1曲面層21に接続された第2曲面層22を含む。第2曲面層22には曲面ディスプレイが取り付けられている。二重曲面構造層2は二重曲面の曲率を調整して使用要件を満たすために用いられる。
【0064】
本実施例において、二重曲面構造層2は球体、楕円球体、球冠体、ラグビーボール体、サッカーボール体、花瓶体等として形成されてもよいが、本発明は、上記実施形態に限定されない。本発明の趣旨から逸脱しない限り、様々な変更を行うことができる。
【0065】
本発明の一実施例においては、
図12-14に示すように、第1曲面層21は複数の横方向湾曲ロッド211を含み、第2湾曲層22は複数の縦方向湾曲ロッド221を含む。横方向湾曲ロッド211及び縦方向湾曲ロッド221は、互いに交差するように接続されている。ロッドは、異なる断面形状、異なる曲率の弧度、多種多様な材料で製作されてもよく、上記に制限されないことを付言しておく。
【0066】
さらに、
図15及び
図16に示すように、縦方向湾曲ロッド221は、接続アセンブリI23を介して横方向湾曲ロッド211の内周に接続されている。接続アセンブリI23は、スナップフィット231及び嵌合部材232を含む。スナップフィット部231は縦方向湾曲ロッド221に係合する。嵌合部材232は横方向湾曲ロッド211を締め付けて、横方向湾曲ロッド211をスナップフィット231の外表面に移動可能にロックしている。接続アセンブリI23は、2つの網板Aと網板B(即ち2つの縦方向湾曲ロッド221)とをネジにより長さ方向に接ぎ足すことができ、同時に嵌合部材232を介して縦方向湾曲ロッド221を横方向湾曲ロッド211に固定する。本実施例では、スナップフィット231が縦方向湾曲ロッド221に係合した後に両側がネジで固定接続されている。これによりスナップフィット231が占める取り付け面積を最大限に減少させることができ、ドームスクリーンのクラウン部に近い縦方向湾曲ロッド221が比較的緊密であり、スナップフィット231がより多くの取り付け空間を節約することができる一方で、嵌合部材232を介して縦方向湾曲ロッド221の相対位置を容易に調整することができる。
【0067】
本発明の一実施例によって、
図12及び
図15に示すように、二重曲面構造層2は主構造層3によって調整可能に支持されている。主構造層3は二重曲面構造層2の外周に配置されている。主構造層3はシートフレーム構造であり、ドームスクリーン全体の荷重本体である。主構造層3には、複数の支持部材31が調整可能に配置されている。、支持部材31はネジによって主構造層3に固定されている。支持部材31と主構造層3との間には、上向きの鋭角開口が形成されている。横方向湾曲ロッド211が鋭角開口を貫通して水平オーバハングを形成している。さらに、支持体31と主構造層3との接続位置には複数の孔が設けられている。複数の孔は支持体31の角度を調整するために用いられる。好ましくは、支持体31は山形鋼である。
【0068】
さらに、
図17及び
図18に示すように、主構造層3と二重曲面構造層2とが接続アセンブリII24を介して接続されている。接続アセンブリII24は、固定フレーム241、スクリュー242及びクランプ243を含む。固定フレーム241は主構造層3に調整可能に固定され、スクリュー242は固定フレーム241にネジで接続され、スクリューは固定フレーム241に対して伸縮でき、二重曲面構造と球心との相対的位置を調整することができる。スクリュー242の端部にはクランプ243が固定されている。クランプ243は横方向湾曲ロッド211を締め付けることができる。本実施例では、クランプ243は円状の挟み口であり、このようにして、横方向湾曲ロッド211を緯線方向に調整することが容易となる。また、本実施例のクランプ243は、ヒンジとクイックロックとを組み合わせたものであり、ヒンジを開き、横方向湾曲ロッド211を入れて、クイックロックを素早くかぶせることによって、接続が完了する。
【0069】
本発明の一実施例においては、調整層12のプレート部材121は、
図19に示すように、ネジにより縦方向湾曲ロッド221に固定接続されている。
【0070】
本発明の一実施例には、主鋼構造層3の底端に固定接続されるスタンドも含まれる。
【0071】
以上、図面と併せて本発明に係る実施形態につい詳細に説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に限定されない。当業者が有する知識範囲内において、本発明の趣旨から逸脱しない限り、様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0072】
1 ディスプレイ
11 表示層
111 表示モジュール
1111 調整突起
1112 駆動デバイス
1113 コネクタ
1114 磁石鋼
1115 発光画素
1116 通音孔
12 調整層
121 プレート部材
1211 内凹湾曲
2 二重曲面構造層
21 第1曲面層
211 横方向湾曲ロッド
22 第2曲面層
221 縦方向湾曲ロッド
23 接続アセンブリI
231 スナップフィット
232 嵌合部材
24 接続アセンブリII
241 固定フレーム
242 スクリュー
243 クランプ
3 主構造層
31 支持部材
【国際調査報告】