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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(54)【発明の名称】殺線虫組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/56 20060101AFI20220513BHJP
   A01P 5/00 20060101ALI20220513BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20220513BHJP
   A61K 31/415 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
A01N43/56 C
A01P5/00
A61P33/00
A61K31/415
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536165
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(85)【翻訳文提出日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2019086912
(87)【国際公開番号】W WO2020128091
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】1821036.9
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519295993
【氏名又は名称】シンジェンタ パーティシペーションズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】サイモンズ ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ジェニ ドメニカ
(72)【発明者】
【氏名】アイルランド デール スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】スラーツ ブリジット
(72)【発明者】
【氏名】ダットン アナ クリスティーナ
【テーマコード(参考)】
4C086
4H011
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086GA13
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB37
4H011AC01
4H011BB09
4H011DA13
4H011DD03
4H011DD04
(57)【要約】
本発明は、農業における線虫の防除のための、並びに動物及びヒトにおける内部寄生生物に対する駆虫剤としての、N-メトキシ(フェニルエチル)-ピラゾール-カルボキサミドの使用、さらにはかかる化合物を含む組成物の使用に関する。本発明5はさらに、線虫及び/又は蠕虫を防除するための、特定的には植物寄生線虫を防除するためのこれらの化合物又は組成物の使用、並びに殺線虫及び/又は駆虫組成物の調製におけるこれらの化合物の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線虫を防除するための3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド又はその農薬的に許容可能な塩、異性体、立体異性体、ジアステレオ異性体、エナンチオマー、若しくは互変異性体の使用。
【請求項2】
植物寄生線虫を防除する又は植物寄生線虫から保護する方法であって、前記植物寄生線虫に又は前記植物寄生線虫の位置に有効量の3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドを適用することを含む方法。
【請求項3】
植物寄生線虫による有用植物への寄生を防除する方法であって、植栽前に前記有用植物の植物種子又は植物根に有効量の3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドを適用することを含む方法。
【請求項4】
3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドが有用植物の植物根に適用される、請求項2又は請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記植物寄生線虫が、次の種:ヘテロデラ属(Heterodera)、メロイドギネ属(Meloidogyne)、プラティレンカス属(Pratylenchus)、ロチレンクラス属(Rotylenchulus)、ベロノライマス属(Belonolaimus)、ヘリコチレンカス属(Helicotylenchus)、プラティレンカス属(Pratylenchus)、ホプロライマス属(Hoplolaimus)キシフィネマ属(Xiphinema)、ロンギドラス属(Longidorus)、メソクリコネマ属(Mesocriconema)、ヘミシクリオフォラ属(Hemicycliophora)、ヘリオティレンカス属(Heliotylenchus)、パラトリコドラス属(Paratrichodorus)、及びティレンコルヒンカス属(Tylenchorhynchus)の種からなる群から選択される、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記植物寄生線虫が、次の種:ヘテロデラ属(Heterodera)、メロイドギネ属(Meloidogyne)、プラティレンカス属(Pratylenchus)、ロチレンクラス属(Rotylenchulus)、ベロノライマス属(Belonolaimus)、ヘリコチレンカス属(Helicotylenchus)、プラティレンカス属(Pratylenchus)、及びホプロライマス属(Hoplolaimus)の種からなる群から選択される、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドを接着して有する植物繁殖材料であって、繁殖により線虫感染フリー又は実質的に線虫感染フリー又は線虫感染耐性の植物を発生させる、植物繁殖材料。
【請求項8】
有用植物の種子である、請求項7に記載の植物繁殖材料。
【請求項9】
有用植物の根を含む、請求項7に記載の植物繁殖材料。
【請求項10】
(i)蠕虫、節足動物内部寄生生物若しくは節足動物外部寄生生物の防除、又は蠕虫、節足動物内部寄生生物若しくは節足動物外部寄生生物からの保護、或いは
(ii)蠕虫、節足動物内部寄生生物又は節足動物外部寄生生物の寄生の低減、或いは
(iii)内部寄生生物症又は外部寄生生物症の治療、
に使用するための3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド。
【請求項11】
3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドと、生理学的耐容性担体とを含み、1種以上の慣用的製剤助剤を含んでもよい、蠕虫、節足動物内部寄生生物又は節足動物外部寄生生物を防除するための医薬組成物。
【請求項12】
蠕虫、節足動物内部寄生生物若しくは節足動物外部寄生生物の感染、及び/又は蠕虫、節足動物内部寄生生物若しくは節足動物外部寄生生物を介して伝染する疾患を予防するための、3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドと、生理学的耐容性担体とを含み、1種以上の慣用的製剤助剤を含んでもよい、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業における線虫の防除のための、並びに動物及びヒトにおける内部寄生生物に対する駆虫剤としての、N-メトキシ(フェニルエチル)-ピラゾール-カルボキサミドの使用、さらにはかかる化合物を含む組成物の使用に関する。本発明はさらに、線虫及び/又は蠕虫を防除するための、特定的には植物寄生線虫を防除するためのこれらの化合物又は組成物の使用、並びに殺線虫及び/又は駆虫組成物の調製におけるこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
植物寄生線虫は、その多くがルートフィーダーであり、ほとんどの植物に関連して見いだされる。いくつかは、植物壁を介して外部から摂食する外部寄生であるが、他のものは、たとえば、根、塊茎、芽、種子などの植物組織内に生息し摂食する内部寄生である。経済的に重要な有害生物としては、いくつかの主要な内部寄生ルートフィーダー、たとえば、ネコブセンチュウ(メロイドギネ属(Meloidogyne)の種)、レニフォームセンチュウ(ロチレンクルス属(Rotylenchulus)の種)シストセンチュウ(ヘテロデラ属(Heterodera)の種)、及びネグサレセンチュウ(プラティレンクス属(Pratylenchus)の種)が挙げられる。植物への損傷は、線虫による摂食が植物内への栄養素及び水の取込みの低減をもたらすおそれがあるという点で直接的でありうるか、又は摂食が植物内に創傷を形成するという点で間接でありうるとともに、これらは、細菌、ウイルス、及び/又は真菌による二次病原性感染を受けやすい。単一線虫は、植物を死滅させるか又はその生産性に有意な悪影響を及ぼすかのどちらかが可能であるので、農業及び園芸の産業内で線虫防除が明らかに望ましいことが分かる。典型的には、これは殺線虫活性を有する化学化合物を用いて対処され達成された。理想的には、かかる化合物は、さまざまな系統の線虫に対して高活性、広域スペクトル活性を有すべきであり、且つ非標的生物に対しては毒性がないようにすべきである。
【発明の概要】
【0003】
国際公開第2010/063700号に記載の化合物3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(ピジフルメトフェン)は、新しい広域スペクトル茎葉殺真菌剤であるとともに、コハク酸デヒドロゲナーゼ阻害剤(SDHI)に属するN-メトキシ-(フェニルエチル)-ピラゾール-カルボキサミドの新しいグループの最初の例である。本発明は、3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドが抗線虫活性も呈するので、現時点で動物又はヒトにおいて線虫及び/又は内部寄生生物との闘いにも採用可能であるという驚くべき発見に基づく。
【0004】
そのため、第1の態様では、本発明は、線虫を防除するための3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、又はその農薬的に許容可能な塩、異性体、立体異性体、ジアステレオ異性体、エナンチオマー、若しくは互変異性体の使用に関する。
【0005】
第2の態様では、植物寄生線虫を防除する方法が提供される。前記方法は、有効量の3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドを植物寄生線虫に又は植物寄生線虫の位置に適用することを含む。
【0006】
第3の態様では、植物寄生線虫による有用植物への寄生(infestation)を防除する方法が提供される。前記方法は、植栽前に有効量の3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチルN-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドを有用植物の植物種子又は植物根に適用することを含む。
【0007】
第4の態様では、植物繁殖材料が繁殖により線虫感染フリー植物を発生するように3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドを接着して有する植物繁殖材料が提供される。
【0008】
第5の態様では、3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドと、生理学的耐容性担体と、任意選択的に1種以上の慣用的製剤助剤と、を含む蠕虫又は節足動物内部寄生生物若しくは外部寄生生物の防除のための医薬組成物が提供される。
【0009】
第6の態様では、蠕虫又は節足動物内部寄生生物若しくは外部寄生生物の感染及び/又はそれらを介して伝染する疾患を予防するための、3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドと、生理学的耐容性担体と、任意選択的に1種以上の慣用的製剤助剤と、を含む医薬組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド及びその調製は、国際公開第2010/063700号、国際公開第2013/127764号、及び国際公開第2014/206855号に記載されている。3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドが2つの鏡像異性体:3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[(1R)-1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド及び3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[(1S)-1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドで存在することは、当業者であれば分かるであろう。エナンチオマーは両方とも、個別に又はラセミ体として線虫を防除するために本発明に従って使用可能である。化合物3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドは、完全名により又は代替的に「化合物」として本明細書で参照されうる。
【0011】
本明細書に記載されるように、本発明は、典型的には、保護される生物に又はその位置に3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドを線虫に作用する有効量で適用することを含む、線虫を防除する方法に関する。かかる方法は、土壌に位置する植物寄生線虫である線虫に特に好適であり、それゆえ、かかる方法は、土壌に又は有用植物の根、種子、若しくは他の植物繁殖材料への-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドの適用を含む。
【0012】
本明細書で用いられる場合、「有用植物」という用語は、典型的には、次の種:ブドウ蔓植物、穀物、たとえば、コムギ、オオムギ、ライムギ、又はエンバク、ビート、たとえば、シュガービート又は飼料ビート、果実、たとえば、仁果、核果、又は、柔果、たとえば、リンゴ、セイヨウナシ、プラム、モモ、アーモンド、サクランボ、イチゴ、ラズベリー、又はブラックベリー、マメ科植物、たとえば、ビーン、ヒラマメ、エンドウ、又はダイズ、油料植物、たとえば、セイヨウアブラナ、カラシナ、ケシ、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、ヒマ、カカオビーン、又はグラウンドナッツ、キュウリ植物、たとえば、マロー、キュウリ、又はメロン、繊維植物、たとえば、ワタ、アマ、アサ、又はジュート、柑橘果実、たとえば、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、又はマンダリン、野菜、たとえば、ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ、ウリ、又はパプリカ、クスノキ科植物、たとえば、アボカド、シナモン、又はクスノキ、コメ、メイズ、タバコ、ナッツ、コーヒー、サトウキビ、チャ、蔓植物、ホップ、ドリアン、バナナ、天然ゴム植物、芝生又は観賞植物、たとえば、花、低木、広葉樹、又は常緑植物、たとえば、コニファーなどの植物を含む。この以上のリストは、なんら限定を表すものではない。しかしながら、特に好ましい有用植物は、ダイズ、コムギ、メイズ、又はワタを含む。
【0013】
「有用植物」という用語は、育種又は遺伝子工学の従来法の結果として、ブロモキシニルのような除草剤又は除草剤クラス(たとえば、HPPD阻害剤、ALS阻害剤、たとえば、プリミスルフロン、プロスルフロン、及びトリフロキシスルフロン、EPSPS(5-エノール-ピロビル(pyrovyl)-シキミ酸-3-リン酸シンターゼ)阻害剤、GS(グルタミンシンテターゼ)阻害剤など)に対する耐性が付与された有用植物も含むものとして理解されるべきである。従来の交配法(突然変異誘発)によりイミダゾリノンたとえばイマザモックスに対する耐性が付与された作物の例は、Clearfield(登録商標)ナツアブラナ(キャノーラ)である。遺伝子工学法により除草剤又は除草剤クラスに対する耐性が付与された作物の例は、RoundupReady(登録商標)、Herculex I(登録商標)、及びLibertyLink(登録商標)という商品名で市販されているグリホセート及びグルホシネート耐性メイズ品種を含む。
【0014】
「有用植物」という用語は、1種以上の選択的に作用する毒素、たとえば、毒素産生細菌とりわけバチルス属(Bacillus)のものに由来することが知られる毒素を合成可能なように組換えDNA技術の使用によりトランスフォームされた有用植物も含むものとして理解されるべきである。
【0015】
かかるトランスジェニック植物により発現可能な毒素としては、たとえば、殺虫タンパク質、たとえば、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)若しくはバチルス・ポプリエ(Bacillus popliae)に由来する殺虫タンパク質、又はバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)に由来する殺虫タンパク質、たとえば、δ-内毒素、たとえば、CryIA(b)、CryIA(c)、CryIF、CryIF(a2)、CryIIA(b)、CryIIIA、CryIIIB(b1)、若しくはCry9c、又は栄養期殺虫タンパク質(VIP)、たとえば、VIP1、VIP2、VIP3、若しくはVIP3A、又は細菌コロニー形成線虫、たとえば、フォトラブダス属(Photorhabdus)の種若しくはゼノラブダス属(Xenorhabdus)の種、たとえば、フォトラブダス・ルミネッセンス(Photorhabdus luminescens)、ゼノラブダス・ネマトフィルス(Xenorhabdus nematophilus)の殺虫タンパク質、動物により産出される毒素、たとえば、サソリ毒、クモ形動物毒素、カリバチ毒素、及び他の虫特異的神経毒素、真菌により産出される毒素、たとえば、ストレプトミセス属放線菌毒素、植物レクチン、たとえば、エンドウレクチン、オオムギレクチン、若しくはスノードロップレクチン、アグルチニン、プロテイナーゼ阻害剤、たとえば、トリプシン阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、パタチン、シスタチン、パパイン阻害剤、リボソーム不活性化タンパク質(RIP)、たとえば、リシン、メイズRIP、アブリン、ルフィン、サポリン、若しくはブリオジン、ステロイド代謝酵素、たとえば、3-ヒドロキシステロイドオキシダーゼ、エクジステロイド-UDP-グリコシル-トランスフェラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、エクジソン阻害剤、HMG-COA-レダクターゼ、イオンチャネルブロッカー、たとえば、ナトリウム若しくはカルシウムチャネルブロッカー、幼若ホルモンエステラーゼ、利尿ホルモンレセプター、スチルベンシンターゼ、ビベンジルシンターゼ、キチナーゼ、及びグルカナーゼが挙げられる。
【0016】
本発明との関連では、δ-内毒素、たとえば、CryIA(b)、CryIA(c)、CryIF、CryIF(a2)、CryIIA(b)、CryIIIA、CryIIIB(b1)、若しくはCry9c、又は栄養期殺虫タンパク質(VIP)、たとえば、VIP1、VIP2、VIP3、若しくはVIP3A、明示的にまたハイブリッド毒素、トランケート毒素、及び修飾毒素によるものと理解されるべきである。ハイブリッド毒素は、それらのタンパク質のさまざまなドメインの新しい組合せにより組換え産生される(たとえば、国際公開第02/15701号を参照されたい)。トランケート毒素の例は、トランケートCryIA(b)であり、以下に記載されるように、Syngenta Seed SAS製のBt11メイズで発現される。修飾毒素の場合には、天然に存在する毒素の1つ以上のアミノ酸が置換される。かかるアミノ酸置換では、好ましくは、天然に存在しないプロテアーゼ認識配列が毒素に挿入され、たとえば、CryIIIA055の場合には、カテプシンD認識配列がCryIIIA毒素に挿入される(国際公開第03/018810号を参照されたい)。
【0017】
かかる毒素又はかかる毒素を合成可能なトランスジェニック植物の例は、たとえば、欧州特許出願公開第0374753号明細書、国際公開第93/07278号、国際公開第95/34656号、欧州特許出願公開第0427529号明細書、欧州特許出願公開第451878号明細書、及び国際公開第03/052073号に開示されている。
【0018】
かかるトランスジェニック植物の作製プロセスは、当業者に一般に知られており、たとえば、上述した刊行物に記載されている。CryI型デオキシリボ核酸及びその調製は、たとえば、国際公開第95/34656号、欧州特許出願公開第0367474号明細書、欧州特許出願公開第0401979号明細書、及び国際公開第90/13651号から公知である。
【0019】
トランスジェニック植物に含有される毒素は、害虫に対する耐容性を植物に付与する。かかる虫は、いずれの虫の分類群にも存在可能であるが、とりわけ通常は、甲虫(鞘翅目(Coleoptera))、2枚の翅をもつ虫(双翅目(Diptera))、及び蝶(鱗翅目(Lepidoptera))に見いだされる。
【0020】
殺虫耐性をコードして1種以上の毒素を発現する1つ以上の遺伝子を含有するトランスジェニック植物は公知であり、そのいくつかは市販されている。かかる植物の例は、YieldGard(登録商標)(CryIA(b)毒素を発現するメイズ品種)、YieldGard Rootworm(登録商標)(CryIIIB(b1)毒素を発現するメイズ品種)、YieldGard Plus(登録商標)(CryIA(b)及びCryIIIB(b1)毒素を発現するメイズ品種)、Starlink(登録商標)(Cry9(c)毒素を発現するメイズ品種)、Herculex I(登録商標)(除草剤グルホシネートアンモニウムに対する耐容性を達成するようにCryIF(a2)毒素及び酵素ホスフィノトリシンN-アセチルトランスフェラーゼ(PAT)を発現するメイズ品種)、NuCOTN 33B(登録商標)(CryIA(c)毒素を発現するワタ品種)、Bollgard I(登録商標)(CryIA(c)毒素を発現するワタ品種)、Bollgard II(登録商標)(CryIA(c)及びCryIIA(b)毒素を発現するワタ品種)、VIPCOT(登録商標)(VIP毒素を発現するワタ品種)、NewLeaf(登録商標)(CryIIIA毒素を発現するジャガイモ品種)、NatureGard(登録商標)、及びProtecta(登録商標)である。
【0021】
かかるトランスジェニック作物のさらなる例は、以下の通りである。
1. Syngenta Seeds SAS, Chemin de l’Hobit 27, F-31 790 St. Sauveur, France製のBt11メイズ、登録番号C/FR/96/05/10。トランケートCryIA(b)毒素のトランスジェニック発現によりアワノメイガ(オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)及びセサミア・ノナグリオイデス(Sesamia nonagrioides))による攻撃に対する耐性が付与された遺伝子修飾ゼア・マイス(Zea mays)。Bt11メイズはまた、除草剤グルホシネートアンモニウムに対する耐容性を達成するように酵素PATをトランスジェニック発現する。
【0022】
2. Syngenta Seeds SAS, Chemin de l’Hobit 27, F-31 790 St. Sauveur, France製のBt176メイズ、登録番号C/FR/96/05/10。CryIA(b)毒素のトランスジェニック発現によりアワノメイガ(オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)及びセサミア・ノナグリオイデス(Sesamia nonagrioides))による攻撃に対する耐性が付与された遺伝子修飾ゼア・マイス(Zea mays)。Bt176メイズはまた、除草剤グルホシネートアンモニウムに対する耐容性を達成するように酵素PATをトランスジェニック発現する。
【0023】
3. Syngenta Seeds SAS, Chemin de l’Hobit 27, F-31 790 St. Sauveur, France製のMIR604メイズ、登録番号C/FR/96/05/10。修飾CryIIIA毒素のトランスジェニック発現により耐虫性が付与されたメイズ。この毒素は、カテプシンDプロテアーゼ認識配列の挿入により修飾されたCry3A055である。かかるトランスジェニックメイズ植物の作製は、国際公開第03/018810号に記載されている。
【0024】
4. Monsanto Europe S.A. 270-272 Avenue de Tervuren, B-1150 Brussels, Belgium製のMON863メイズ、登録番号C/DE/02/9。MON863は、CryIIIB(b1)毒素を発現してある特定の鞘翅目(Coleoptera)の虫に対する耐性を有する。
【0025】
5. Monsanto Europe S.A. 270-272 Avenue de Tervuren, B-1150 Brussels, Belgium製のIPC531ワタ、登録番号C/ES/96/02。
【0026】
6. Pioneer Overseas Corporation, Avenue Tedesco, 7 B-1160 Brussels, Belgium製の1507メイズ、登録番号C/NL/00/10。ある特定の鱗翅目(Lepidoptera)の虫に対する耐性を達成するためのタンパク質Cry1F及び除草剤グルホシネートアンモニウムに対する耐容性を達成するためのPATタンパク質を発現する遺伝子修飾メイズ。
【0027】
7. Monsanto Europe S.A. 270-272 Avenue de Tervuren, B 1150 Brussels, Belgium製のNK603×MON810メイズ、登録番号C/GB/02/M3/03。遺伝子修飾品種NK603及びMON810の交配により従来法で育種されたハイブリッドメイズ品種からなる。NK603×MON810メイズは、除草剤Roundup(登録商標)(グリホセートを含有する)に対する耐容性を付与するアグロバクテリウム属(Agrobacterium)の種の株CP4から得られるタンパク質CP4 EPSPSと、さらにはアワノメイガを含めてある特定の鱗翅目(Lepidoptera)に対する耐容性を引き起こすバチルス・チューリンゲンシス・サブスピーシーズ・クルスタキ(Bacillus thuringiensis subsp. kurstaki)から得られるCryIA(b)毒素と、をトランスジェニック発現する。
【0028】
耐虫性植物のトランスジェニック作物は、BATS (Zentrum fur Biosicherheit und Nachhaltigkeit, Zentrum BATS, Clarastrasse 13, 4058 Basel, Switzerland) Report 2003にも記載されている(http://bats.ch)。
【0029】
「有用植物」という用語は、選択的作用を有する抗病原性物質、たとえば、いわゆる「病原性関連タンパク質」(PRP、たとえば、欧州特許出願公開第0392225号明細書を参照されたい)などを合成できるように組換えDNA技術を用いてトランスフォームされた植物も含むものとして理解されるべきである。かかる抗病原性物質及びかかる抗病原性物質を合成可能なトランスジェニック植物の例は、たとえば、欧州特許出願公開第0392225号明細書、国際公開第95/33818号、及び欧州特許出願公開第0353191号明細書から公知である。かかるトランスジェニック植物の作製方法は、当業者に一般に知られており、たとえば、上述した刊行物に記載されている。
【0030】
かかるトランスジェニック植物により発現可能な抗病原性物質としては、たとえば、イオンチャネルブロッカー、たとえば、ナトリウム及びカルシウムチャネルブロッカー、たとえば、ウイルスKP1、KP4、若しくはKP6毒素、スチルベンシンターゼ、ビベンジルシンターゼ、キチナーゼ、グルカナーゼ、いわゆる「病原性関連タンパク質」(PRP、たとえば、欧州特許出願公開第0392225号明細書を参照されたい)、微生物により産生される抗病原性物質、たとえば、ペプチド抗生物質若しくはヘテロ環式抗生物質(たとえば、国際公開第95/33818号を参照されたい)、又は植物病原体防御に関与するタンパク質若しくはポリペプチド因子(いわゆる「植物病害耐性遺伝子」、国際公開第03/000906号に記載の通り)が挙げられる。
【0031】
本発明との関連で特に対象となる有用植物としては、作物学的対象のもの、たとえば、穀物、ダイズ、ワタ、ラッカセイ、ソルガムなど、野菜、たとえば、ビーン、メイズ、ニンジン、クルシファー、トマト、ジャガイモ、シュガービートなど、果実、たとえば、シトラス、イチゴ、バインなど、芝草、及び森林作物(たとえばマツ)が挙げられる。
【0032】
有用植物には、線虫に対するある程度の内因性耐性を呈するもの、さらには線虫に対する耐性の増加を有するように工学操作されたものも含まれる。かかる場合には、3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドの適用は補完的である。
【0033】
本明細書で用いられる有用植物の「位置(locus)」という用語は、有用植物が成長している場所、有用植物の植物繁殖材料が植え付けられている場所、又は有用植物の植物繁殖材料が成長のために配置される予定の場所たとえば土壌を包含することが意図される。かかる位置の例は、土壌、たとえば、作物植物が成長している圃場である。
【0034】
本明細書で用いられる「植物繁殖材料」という用語は、有用植物の繁殖部分、たとえば、その増殖に使用可能な種子、及び植生材料、たとえば、挿し穂又は塊茎(たとえばジャガイモ)を意味するものと理解される。たとえば、種子(厳密な意味で)、根、果実、塊茎、毛球、球茎、根茎、及び植物体部分が挙げられうる。発芽後又は土壌からの出芽後に移植される発芽植物及び幼植物もまた、挙げられうる。こうした幼植物は、化合物に浸漬する完全又は部分的処理により移植前に保護されうる。好ましくは「植物繁殖材料」は、種子及び/又は根、より好ましくは種子を意味するものと理解される。
【0035】
3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドに関して本明細書で用いられる「殺線虫剤」という用語は、化合物が線虫を防除可能であることを意味する。
【0036】
線虫を防除するために、3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドは、好適な適用により所望の線虫防除レベルを達成するのに十分ないずれかの量の3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドを意味する「有効量」で適用又は投与される。
【0037】
本明細書で用いられる「線虫を防除する」という語句は、線虫を死滅させるか又は線虫の発生若しくは成長を予防することを意味する。この用語はまた、線虫後代(生存シスト及び/又は卵塊の発生)を防除することも包含する。化合物3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドは、生物を健康に保つために使用されうるとともに、線虫を防除するために治癒的、予防的、又は系統的に使用されうる。
【0038】
以上のパラグラフに挙げられる「生物」は、植物でありうる。植物を健康に保つために3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドを使用する場合、線虫の防除は、植物への損傷を低減し、ひいてはそれに伴って収量の増加をもたらしうる。
【0039】
代替的に、上述した生物は、ヒト又は動物でありうる。ヒト又は動物を健康に保つために本明細書に記載の3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドを使用する場合、使用は、線虫による損傷を予防又は治癒することを目的とした治療的使用及び獣医的使用を包含する。
【0040】
植物寄生線虫に対する3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドの効能は、本発明に係る3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドで処理された植物、植物部位、又は土壌と、未処理の植物、植物部位、又は土壌(100パーセント)と、の間で、線虫の死亡率、ゴールの発生、シストの形成、土壌、シストの体積当たりの線虫の濃度、根当たりの線虫の濃度、土壌の体積当たりの線虫卵の数、線虫の運動能を比較することにより評価されうる。当業者は、かかる方法を熟知しており、各種方法のさらなる詳細は、以下の実施例に与えられる。
【0041】
以上に述べたように、本発明は、植物寄生線虫を防除する必要性に対処する。本明細書で用いられる「線虫」という用語は、線形動物門(Nematoda)のすべての種、特定的には、寄生性の種、又は植物に健康問題を引き起こす種(たとえば、葉線虫目(Aphelenchida)、メロイドギネ属(Meloidogyne)、茎線虫目(Tylenchida)などの種)、又はヒト及び動物に健康問題を引き起こす種(たとえば、旋毛虫目(Trichinellida)、茎線虫目(Tylenchida)、桿線虫亜目(Rhabditina)、及び旋尾線虫目(Spirurida)の種)、さらには他の寄生蠕虫を包含する。
【0042】
植物線虫としては、植物寄生線虫及び植物に損傷を引き起こす土壌生息線虫が挙げられる。
【0043】
植物寄生線虫としては、限定されるものではないが、外部寄生生物、たとえば、キシフィネマ属(Xiphinema)の種、ロンギドラス属(Longidorus)の種、及びトリコドラス属(Trichodorus)の種、半寄生生物、たとえば、ティレンクラス属(Tylenchulus)の種、移動性内部寄生生物、たとえば、プラティレンカス属(Pratylenchus)の種、ラドフォラス属(Radopholus)の種、及びスクテロネルナ属(Scutellonerna)の種、定着性寄生生物、たとえば、ヘテロデラ属(Heterodera)の種、グロボデラ属(Globodera)の種、及びメロイドギネ属(Meloidogyne)の種、並びに茎葉内部寄生生物、たとえば、ディティレンカス属(Ditylenchus)の種、アフェレンコイデス属(Aphelenchoides)の種、及びヒルシュマニエラ属(Hirshmaniella)の種が挙げられる。
【0044】
とりわけ有害な根寄生土壌線虫は、たとえば、ヘテロデラ属(Heterodera)若しくはグロボデラ属(Globodera)のシスト形成線虫及び/又はメロイドギネ属(Meloidogyne)のネコブセンチュウである。
【0045】
これら属の有害な種は、たとえば、メロイドギネ・インコグニタ(Meloidogyne incognita)、ヘテロデラ・グリシネス(Heterodera glycines)、(ダイズシストセンチュウ)グロボデラ・パリダ(Globodera pallida)、及びグロボデラ・ロストキエンシス(Globodera rostochiensis)(ジャガイモシストセンチュウ)であり、これらは本発明に係る化合物により防除されうる。
【0046】
しかしながら、3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドの使用は、これらの属又は種になんら制限されるものではなく、他の線虫にも同様に拡張される。
【0047】
植物線虫としては、アグレンクス・アグリコラ(Aglenchus agricola)、アングイナ・トリチシ(Anguina tritici)、アフェレンコイデス・アラキジス(Aphelenchoides arachidis)、アフェレンコイデス・フラガリア(Aphelenchoides fragaria)、及びアフェレンコイデス属(Aphelenchoides)の種全般、ベロノライマス・グラシリス(Belonolaimus gracilis)、ベロノライマス・ロンギカウダタス(Belonolaimus longicaudatus)、ベロノライマス・ノルトニ(Belonolaimus nortoni)、ブルサフェレンクス・ココフィラス(Bursaphelenchus cocophilus)、ブルサフェレンカス・エレマス(Bursaphelenchus eremus)、ブルサフェレンカス・キシロフィラス(Bursaphelenchus xylophilus)、及びブルサフェレンカス属(Bursaphelenchus)の種全般、カコパウラス・ペスティス(Cacopaurus pestis)、クリコネメラ・クルバタ(Criconemella curvata)、クリコネメラ・オノエンシス(Criconemella onoensis)、クリコネメラ・オルナタ(Criconemella ornata)、クリコネメラ・ルシウム(Criconemella rusium)、クリコネメラ・キセノプラクス(Criconemella xenoplax)(=メソクリコネマ・キセノプラクス(Mesocriconema xenoplax))、及びクリコネメラ属(Criconemella)の種全般、クリコネモイデス・フェルニエ(Criconemoides ferniae)、クリコネモイデス・オノエンセ(Criconemoides onoense)、クリコネモイデス・オルナツム(Criconemoides ornatum)、及びクリコネモイデス属(Criconemoides)の種全般、ディティレンカス・デストルクトル(Ditylenchus destructor)、ディティレンカス・ディプサシ(Ditylenchus dipsaci)、ディティレンカス・ミセリオファガス(Ditylenchus myceliophagus)、及びディティレンカス属(Ditylenchus)の種全般、ドリコドラス・ヘテロセファルス(Dolichodorus heterocephalus)、グロボデラ・パリダ(Globodera pallida)(=ヘテロデラ・パリダ(Heterodera pallida))、グロボデラ・ロストキエンシス(Globodera rostochiensis)(ジャガイモシストセンチュウ)、グロボデラ・ソラナセアルム(Globodera solanacearum)、グロボデラ・タバカム(Globodera tabacum)、グロボデラ・バージニア(Globodera Virginia)、及びグロボデラ属(Globodera)の種全般、ヘリコチレンカス・ディゴニカス(Helicotylenchus digonicus)、ヘリコティレンカス・ディヒステラ(Helicotylenchus dihystera)、ヘリコチレンカス・エリトリネ(Helicotylenchus erythrine)、ヘリコティレンカス・ムルティシンクタス(Helicotylenchus multicinctus)、ヘリコチレンカス・ナヌス(Helicotylenchus nannus)、ヘリコチレンクス・シュードロブスタス(Helicotylenchus pseudorobustus)、及びヘリコティレンカス属(Helicotylenchus)の種全般、ヘミクリコネモイデス属(Hemicriconemoides)、ヘミシクリオフォラ・アレナリア(Hemicycliophora arenaria)、ヘミシクリオフォラ・ヌダタ(Hemicycliophora nudata)、ヘミシクリオフォラ・パルバナ(Hemicycliophora parvana)、ヘテロデラ・アベネ(Heterodera avenae)、ヘテロデラ・クルシフェレ(Heterodera cruciferae)、ヘテロデラ・グリシネス(Heterodera glycines)(ダイズシストセンチュウ)、ヘテロデラ・オリゼ(Heterodera oryzae)、ヘテロデラ・シャクチ(Heterodera schachtii)ヘテロデラ・ゼエ(Heterodera zeae)、及びヘテロデラ属(Heterodera)の種全般、ヒルシュマンニエラ・グラシリス(Hirschmaniella gracilis)、ヒルシュマンニエラ・オリゼ(Hirschmaniella oryzae)、ヒルシュマンニエラ・スピニカウダタ(Hirschmaniella spinicaudata)、及び、ヒルシュマンニエラ属(Hirschmaniella)の種、ホプロライマス・アエギプティイ(Hoplolaimus aegyptii)、ホプロライマス・カリフォルニカス(Hoplolaimus californicus)、ホプロライマス・コルンバス(Hoplolaimus columbus)、ホプロライマス・ガレアタス(Hoplolaimus galeatus)、ホプロライマス・インディカス(Hoplolaimus indicus)、ホプロライマス・マグニスチラス(Hoplolaimus magnistylus)、ホプロライマス・パラロブスタス(Hoplolaimus pararobustus)、ロンギドラス・アフリカナス(Longidorus africanus)、ロンギドラス・ブレビアンヌラタス(Longidorus breviannulatus)、ロンギドラス・エロンガタス(Longidorus elongatus)、ロンギドラス・ラエビカピタタス(Longidorus laevicapitatus)、ロンギドラス・ビネアコラ(Longidorus vineacola)、及びロンギドラス属(Longidorus)の種全般、メロイドギネ・アクロネア(Meloidogyne acronea)、メロイドギネ・アフリカナ(Meloidogyne africana)、メロイドギネ・アレナリア(Meloidogyne arenaria)、メロイドギネ・アレナリア・タメシ(Meloidogyne arenaria thamesi)、メロイドギネ・アルチエラ(Meloidogyne artiella)、メロイドギネ・キトウッディ(Meloidogyne chitwoodi)、メロイドギネ・コフェイコラ(Meloidogyne coffeicola)、メロイドギネ・エチオピカ(Meloidogyne ethiopica)、メロイドギネ・エキシグア(Meloidogyne exigua)、メロイドギネ・ファラクス(Meloidogyne fallax)、メロイドギネ・グラミニコラ(Meloidogyne graminicola)、メロイドギネ・グラミニス(Meloidogyne graminis)、メロイドギネ・ハプラ(Meloidogyne hapla)、メロイドギネ・インコグニタ(Meloidogyne incognita)、メロイドギネ・インコグニタ・アクリタ(Meloidogyne incognita acrita)、メロイドギネ・ジャバニカ(Meloidogyne javanica)、メロイドギネ・キクイエンシス(Meloidogyne kikuyensis)、メロイドギネ・ミノル(Meloidogyne minor)、メロイドギネ・ナアシ(Meloidogyne naasi)、メロイドギネ・パラナエンシス(Meloidogyne paranaensis)、メロイドギネ・タメシ(Meloidogyne thamesi)及びメロイドギネ属(Meloidogyne)の種全般、メロイネマ属(Meloinema)の種、
ナコッバス・アベランス(Nacobbus aberrans)、ネオチレンカス・ビギシ(Neotylenchus vigissi)、パラフェレンカス・シュードパリエチナス(Paraphelenchus pseudoparietinus)、パラトリコドラス・アリウス(Paratrichodorus allius)、パラトリコドラス・ロバタス(Paratrichodorus lobatus)、パラトリコドラス・ミノル(Paratrichodorus minor)、パラトリコドラス・ナナス(Paratrichodorus nanus)、パラトリコドラス・ポロサス(Paratrichodorus porosus)、パラトリコドラス・テレス(Paratrichodorus teres)、及びパラトリコドラス属(Paratrichodorus)の種全般、パラティレンカス・ハマタス(Paratylenchus hamatus)、パラティレンカス・ミヌタス(Paratylenchus minutus)、パラティレンカス・プロジェクタス(Paratylenchus projectus)、及びパラティレンカス属(Paratylenchus)の種全般、プラティレンカス・アギリス(Pratylenchus agilis)、プラティレンカス・アレニ(Pratylenchus alleni)、プラティレンカス・アンディナス(Pratylenchus andinus)、プラティレンカス・ブラキウラス(Pratylenchus brachyurus)、プラティレンカス・セレアリス(Pratylenchus cerealis)、プラティレンカス・コフェエ(Pratylenchus coffeae)、プラティレンカス・クレナタス(Pratylenchus crenatus)、プラティレンカス・デラトレイ(Pratylenchus delattrei)、プラティレンカス・ギイビカウダタス(Pratylenchus giibbicaudatus)、プラティレンカス・グッデイ(Pratylenchus goodeyi)、プラティレンカス・ハマタス(Pratylenchus hamatus)、プラティレンカス・ヘキシンシサス(Pratylenchus hexincisus)、プラティレンカス・ロオシ(Pratylenchus loosi)、プラティレンカス・ネグレクタス(Pratylenchus neglectus)、プラティレンカス・ペネトランス(Pratylenchus penetrans)、プラティレンカス・プラテンシス(Pratylenchus pratensis)、プラティレンカス・スクリブネリ(Pratylenchus scribneri)、プラティレンカス・テレス(Pratylenchus teres)、プラティレンカス・トルネイ(Pratylenchus thornei)、プラティレンカス・ブルナス(Pratylenchus vulnus)、プラティレンカス・ゼエ(Pratylenchus zeae)、及びプラティレンカス属(Pratylenchus)の種全般、シュードハレンカス・ミヌタス(Pseudohalenchus minutus)、プシレンカス・マグニデンス(Psilenchus magnidens)、プシレンカス・ツミダス(Psilenchus tumidus)、プンクトデラ・カルコエンシス(Punctodera chalcoensis)、キニスルシウス・アクタス(Quinisulcius acutus)、ラドフォラス・シトロフィラス(Radopholus citrophilus)、ラドフォラス・シミリス(Radopholus similis)、及びラドフォラス属(Radopholus)の種全般、ロチレンクラス・ボレアリス(Rotylenchulus borealis)、ロチレンクラス・パルバス(Rotylenchulus parvus)、ロチレンクラス・レニフォルミス(Rotylenchulus reniformis)、及びロチレンクラス属(Rotylenchulus)の種全般、ロティレンカス・ラウレンティナス(Rotylenchus laurentinus)、ロティレンカス・マクロドラタス(Rotylenchus macrodoratus)、ロティレンカス・ロブスタス(Rotylenchus robustus)、ロティレンカス・ユニフォルミス(Rotylenchus uniformis)、及びロティレンカス属(Rotylenchus)の種全般、スクテロネマ・ブラキウラム(Scutellonema brachyurum)、スクテロネマ・ブラディス(Scutellonema bradys)、スクテロネマ・クラトリカウダタム(Scutellonema clathricaudatum)、及びスクテロネマ属(Scutellonema)の種全般、スバングイナ・ラジシオラ(Subanguina radiciola)、テチレンカス・ニコティアネ(Tetylenchus nicotianae)、トリコドラス・シリンドリカス(Trichodorus cylindricus)、トリコドラス・ミノル(Trichodorus minor)、トリコドラス・プリミティバス(Trichodorus primitivus)、トリコドラス・プロキシマス(Trichodorus proximus)、トリコドラス・シミリス(Trichodorus similis)、トリコドラス・スパルサス(Trichodorus sparsus)、及びトリコドラス属(Trichodorus)の種全般、ティレンコルヒンカス・アグリ(Tylenchorhynchus agri)、ティレンコルヒンカス・ブラッシセ(Tylenchorhynchus brassicae)、ティレンコルヒンカス・クララス(Tylenchorhynchus clarus)、ティレンコルヒンカス・クライトニ(Tylenchorhynchus claytoni)、ティレンコルヒンカス・ディジタス(Tylenchorhynchus digitatus)、ティレンコルヒンカス・エブリエンシス(Tylenchorhynchus ebriensis)、ティレンコルヒンカス・マキシマス(Tylenchorhynchus maximus)、ティレンコルヒンカス・ヌダス(Tylenchorhynchus nudus)、ティレンコルヒンカス・ブルガリス(Tylenchorhynchus vulgaris)、及びティレンコルヒンカス属(Tylenchorhynchus)の種全般、ティレンクラス・セミペネトランス(Tylenchulus semipenetrans)及びティレンクラス属(Tylenchulus)の種全般、キシフィネマ・アメリカナム(Xiphinema americanum)、キシフィネマ・ブレビコレ(Xiphinema brevicolle)、キシフィネマ・ジモルフィカウダタム(Xiphinema dimorphicaudatum)、キシフィネマ・インデクス(Xiphinema index)、及びキシフィネマ属(Xiphinema)の種全般が挙げられる(限定されるものではないが)。
【0048】
3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドを適用可能な線虫の例としては、限定されるものではないが、メロイドギネ属(Meloidogyne)の線虫、たとえば、サツマイモネコブセンチュウ(メロイドギネ・インコグニタ(Meloidogyne incognita))、ジャワネコブセンチュウ(メロイドギネ・ジャバニカ(Meloidogyne javanica))、キタネコブセンチュウ(メロイドギネ・ハプラ(Meloidogyne hapla))、及びアレナリアネコブセンチュウ(メロイドギネ・アレナリア(Meloidogyne arenaria))、ディティレンカス属(Ditylenchus)の線虫、たとえば、ジャガイモ腐敗線虫(ディティレンカス・デストルクトル(Ditylenchus destructor))、並びにリンケイ及びクキセンチュウ(ディティレンカス・ディプサシ(Ditylenchus dipsaci))、プラティレンカス属(Pratylenchus)の線虫、たとえば、キタネグサレセンチュウ(プラティレンカス・ペネトランス(Pratylenchus penetrans))、キクネグサレセンチュウ(プラティレンカス・ファラクス(Pratylenchus fallax))、ミナミネグサレセンチュウ(プラティレンカス・コフェエ(Pratylenchus coffeae))、チャネグサレセンチュウ(プラティレンカス・ロオシ(Pratylenchus loosi))、及びクルミネグサレセンチュウ(プラティレンカス・ブルナス(Pratylenchus vulnus))、グロボデラ属(Globodera)の線虫、たとえば、ジャガイモシストセンチュウ(グロボデラ・ロストキエンシス(Globodera rostochiensis))及びジャガイモシストセンチュウ(グロボデラ・パリダ(Globodera pallida))、ヘテロデラ属(Heterodera)の線虫、たとえば、ダイズシストセンチュウ(ヘテロデラ・グリシネス(Heterodera glycines))及びシュガービートシストセンチュウ(ヘテロデラ・シャクチ(Heterodera schachtii))、アフェレンコイデス属(Aphelenchoides)の線虫、たとえば、イネシンガレセンチュウ(アフェレンコイデス・ベッセイ(Aphelenchoides besseyi))、ハガレセンチュウ(アフェレンコイデス・リツェマボシ(Aphelenchoides ritzemabosi))、及びイチゴセンチュウ(アフェレンコイデス・フラガリアエ(Aphelenchoides fragariae))、アフェレンカス属(Aphelenchus)の線虫、たとえば、菌食性線虫(アフェレンカス・アベネ(Aphelenchus avenae))、ラドフォラス属(Radopholus)の線虫、たとえば、ネモグリセンチュウ(ラドフォラス・シミリス(Radopholus similis))、ティレンクラス属(Tylenchulus)の線虫、たとえば、ミカンセンチュウ(ティレンクラス・セミペネトランス(Tylenchulus semipenetrans))、ロチレンクラス属(Rotylenchulus)の線虫、たとえば、レニフォームセンチュウ(ロチレンクラス・レニフォルミス(Rotylenchulus reniformis))、樹木に発生する線虫、たとえば、マツノザイセンチュウ(ブルサフェレンカス・キシロフィラス(Bursaphelenchus xylophilus))などが挙げられる。
【0049】
3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドは、次の種:ヘテロデラ属(Heterodera)の種、メロイドギネ属(Meloidogyne)の種、プラティレンカス属(Pratylenchus)の種、ロチレンクラス属(Rotylenchulus)の種、ベロノライマス属(Belonolaimus)の種、ホプロライマス属(Hoplolaimus)の種、キシフィネマ属(Xiphinema)の種(オオハリセンチュウ)、ロンギドラス属(Longidorus)の種(ハリセンチュウ)、メソクリコネマ属(Mesocriconema)の種(ワセンチュウ)、ヘミシクリオフォラ属(Hemicycliophora)の種(サヤセンチュウ)、ヘリオティレンカス属(Heliotylenchus)の種(ラセンセンチュウ)、パラトリコドラス属(Paratrichodorus.)の種(スタビールートセンチュウ(stubby root nematode))、及びティレンコルヒンカス属(Tylenchorhynchus)の種(イシュクセンチュウ)の防除に使用することが好ましい。3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドは、ヘテロデラ属(Heterodera)の種、メロイドギネ属(Meloidogyne)の種、プラティレンカス属(Pratylenchus)の種、ロチレンクラス属(Rotylenchulus)の種、ベロノライマス属(Belonolaimus)の種、及びホプロライマス属(Hoplolaimus)の種の防除に使用されることが特に好ましい。
【0050】
本明細書に示されるように、3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドは、ダイズシストセンチュウ(ヘテロデラ・グリシネス(Heterodera glycines))、ネコブセンチュウ(メロイドギネ・インコグニタ(Meloidogyne incognita))、クサレセンチュウ(プラティレンカス・ブラキウラス(Pratylenchus brachyurus))、レニフォームセンチュウ(ロチレンクラス・レニフォルミス(Rotylenchulus reniformis))、刺毛センチュウ(ベロノライマス・ロンギカウダタス(Belonolaimus longicaudatus))、及びヤリセンチュウ(ホプロライマス属(Hoplolaimus)の種)に対して特に有効である。
【0051】
化合物3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドは、線虫防除に利用されうるとともに、非修飾形態で、好ましくは、製剤の技術分野で従来から利用されている、たとえば、国際公開第2010/063700号にすでに記載されている担体及びアジュバントと一緒に使用可能である。典型的には、真菌防除に使用する場合、3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドは、茎葉適用を介して有用植物に適用される。しかしながら、線虫を防除するために、好ましい適用方法は、前記線虫の位置(たとえば土壌)に直接に又は植物繁殖材料に直接に行われる。
【0052】
以上に述べたように、一態様では、本発明は、植物寄生線虫を防除する方法を提供する。前記方法は、有効量の3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドを植物寄生線虫に又は植物寄生線虫の位置に適用することを含む。
【0053】
一実施形態では、3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドは、土壌に適用されるとともに、本方法は、土壌に位置する植物寄生線虫の防除に使用される。たとえば、化合物は、有用植物が成長する土壌に直接導入されうるか、又は有用植物の位置は、化合物の液状又は固形調製物で処理される。この処理は、植栽前又は植栽後に行われうる。化合物は、スプレー処理することにより又はドレンチシステム若しくはドリップシステムを用いることにより適用されうるか、又は土壌に鋤込むのに好適な顆粒状製剤でありうるか、又はコメの場合、かかる顆粒剤は、湛水田に計量導入されうる。
【0054】
1ヘクタール当たりの典型的適用量は、1ヘクタール当たりの有効成分換算で一般に1~2000g、特定的には10~1000g/ha、好ましくは10~600g/ha、より好ましくは30~300g/ha、最も好ましくは40~200g/haである。
【0055】
さらなる実施形態では、3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドは、殺線虫製剤の形態で植物繁殖材料(たとえば種子)に適用される。この製剤は、1つ以上の他の望ましい成分、たとえば、限定されるものではないが、液状希釈剤、本明細書に記載の化合物に対するマトリックスとして機能する結合剤、種子を保護する充填剤、並びにコーティングの柔軟性、接着性、及び/又は展延性を改善する可塑剤を含有しうる。
【0056】
植物繁殖材料の処理に使用される殺線虫製剤は、サスペンジョン剤、エマルジョン剤、水性媒体(たとえば水)中の粒子のスラリー剤、湿潤性粉末剤、水和性顆粒剤(ドライフロアブル剤)、及び乾燥顆粒剤の形態でありうる。サスペンジョン剤又はスラリー剤として製剤化される場合、製剤中の3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドの濃度は、好ましくは約0.5重量%~約99重量%(w/w)、好ましくは5~40%(w/w)である。
【0057】
化合物3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド又はその殺線虫製剤は、いずれかの標準的種子処理方法、たとえば、限定されるものではないが、容器(たとえば、ボトル又はバッグ)への混合導入、機械的適用、タンブル処理、スプレー処理、及び浸漬により種子に適用されうる。従来の活性又は不活性材料、たとえば、従来のフィルムコーティング材料、たとえば、限定されるものではないが、水性フィルムコーティング材料、たとえば、Sepiret(Seppic, Inc., Fairfield, N.J.)及びOpacoat(Berwind Pharm. Services, Westpoint, Pa.)はいずれも、種子と本明細書に記載の化合物とを接触させるために使用可能である。
【0058】
3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドは、種子コーティングの成分として種子に適用されうる。本明細書に記載の化合物を含む種子コーティング方法及び組成物は、本発明に包含される。本明細書に記載の化合物と共に使用するのに有用なその適用のための被覆方法及び装置の非限定的例は、欧州特許第0963689号明細書、米国特許第5,891,246号明細書、欧州特許第0652707号明細書、英国特許第2207035号明細書、米国特許第5,107,787号明細書、及び欧州特許第0245731号明細書に記載されている。種子コーティング組成物は、たとえば、米国特許第5,939,356号明細書、欧州特許第0758198号明細書、米国特許第5,876,739号明細書、5,791,084、国際公開第9702735号、米国特許第5,580,544号明細書、欧州特許第0595894号明細書、欧州特許第0378000号明細書に記載されている。
【0059】
有用な種子コーティングは、1種以上の結合剤と、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物又は少なくとも2種の化合物と、を含有する。本発明に有用な結合剤は、好ましくは、天然又は合成でありうる接着性ポリマーを含むとともに、被覆される種子に植物毒性作用を及ぼさない。結合剤は、ポリビニルアセテート、ポリビニルアセテートコポリマー、エチレンビニルアセテート(EVA)コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、セルロース、たとえば、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、多糖、たとえば、デンプン、変性デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、アルギネート及びキトサン、脂肪、油、タンパク質、たとえば、ゼラチン及びゼイン、アラビアガム、シェラック、ビニリデンクロライド及びビニリデンクロライドコポリマー、カルシウムリグノスルホネート、アクリルコポリマー、ポリビニルアクリレート、ポリエチレンオキシド、アクリルアミドポリマー及びコポリマー、ポリヒドロキシエチルアクリレート、メチルアクリルアミドモノマー、並びにポリクロロプレンから選択されうる。
【0060】
結合剤は、本明細書に記載の化合物に対するマトリックスとして機能できるように選択されることが好ましい。以上に開示される結合剤はすべて、マトリックスとして有用でありうるが、特定の結合剤は、本明細書に記載の化合物の性質に依存するであろう。本明細書で用いられる「マトリックス」という用語は、化合物3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドが不連続相として全体にわたり分配されている1種以上の結合剤化合物の連続固相を意味する。任意選択的に、充填剤及び/又は他の成分もまた、マトリックス中に存在しうる。マトリックスという用語は、マトリックス系、リザーバー系、又はマイクロカプセル化系として目視されうるいずれをも含むものとして理解されるべきである。一般的には、マトリックス系は、ポリマー内に均一に分散された本明細書に記載の1種以上の化合物と充填剤とからなるが、リザーバー系は、周囲の律速高分子相内に物理的に分散された3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドを含む個別相からなる。マイクロカプセル化は、小粒子又は液体ドロップレットのコーティングを含むだけでなく、固形マトリックス中のディスパージョンに対するものも含む。
【0061】
コーティング中の結合剤の量は、変動可能であるが、種子の重量の約0.01~約25%、より好ましくは約0.05~約15%、さらにより好ましくは約0.1%~約10%の範囲内であろう。
【0062】
上述したように、マトリックスは、任意選択的に充填剤を含みうる。充填剤は、当技術分野で公知の吸収性又は不活性充填剤でありうるとともに、木粉、クレー、活性カーボン、糖、珪藻土、穀粉、微粒子無機固体、炭酸カルシウムなどを含みうる。使用されうるクレー及び無機固体としては、カルシウムベントナイト、カオリン、チャイナクレー、タルク、パーライト、マイカ、バーミキュライト、シリカ、石英粉末、モンモリロナイト、及びそれらの混合物が挙げられる。有用でありうる糖としては、デキストリン及びマルトデキストリンが挙げられる。穀粉としては、コムギ粉、エンバク粉、及びオオムギ粉が挙げられる。充填剤は、種子に適正マイクロ気候を提供するように選択され、たとえば、充填剤は、本明細書に記載の化合物のローディング率を増加させるように且つ前記化合物の制御放出を調整するように使用される。充填剤は、生産又は種子被覆プロセスを支援可能である。充填剤の量は、変動可能であるが、一般に、充填剤成分の重量は、種子重量の約0.05~約75%、より好ましくは約0.1~約50%、さらにより好ましくは約~0.5%~15%の範囲内であろう。
【0063】
種子に適用される3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドの量は、種子のタイプに依存して変動するであろうが、一般的には種子に適用される量は、種子の重量100kg当たりの化合物換算で約10g~約2000gの範囲内であろう。特定実施形態では、適用される化合物の量は、種子100kg当たりの化合物換算で約50g~約1000gの範囲内であろう。他の特定実施形態では、適用される化合物の量は、種子100kg当たりの化合物換算で約50g~約600gの範囲内であろう。さらに他の特定実施形態では、適用される化合物の量は、種子重量100kg当たりの化合物換算で約50g~約200gの範囲内であろう。さらに他の特定実施形態では、適用される化合物の量は、種子重量100kg当たりの化合物換算で約50g~約100gの範囲内であろう。
【0064】
本発明はまた、蠕虫、蛛形動物及び節足動物の内寄生生物及び外寄生生物による寄生及び感染に対して、ヒトをはじめとする温血動物及びサカナを治療、治癒、制御、予防、及び保護する方法を提供する。この方法は、駆虫的、殺ダニ的、又は殺内部若しくは殺外部寄生生物的に有効量の3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドを経口的、局所的、又は非経口的に前記動物に投与又は適用することを含む。以上の方法は、温血動物、たとえば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ラクダ、シカ、ウマ、家禽、サカナ、ウサギ、ヤギ、ミンク、キツネ、チンチラ、イヌ、及びネコ、さらにはヒトにおいて、蠕虫、線虫、ダニ及び節足動物の内部及び外部寄生生物の寄生及び感染を制御及び予防するのに特に有用である。
【0065】
温血動物における寄生及び感染の制御及び予防との関連では、3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドは、蠕虫及び線虫の防除にとりわけ有用でありうる。蠕虫の例は、吸虫又は扁虫として広く知られる吸虫綱(Trematoda)のメンバー、とりわけ、ファスシオラ属(Fasciola)、ファスシオロイデス(Fascioloides)、パラムフィストム属(Paramphistomu)、ディクロコエリウム(Dicrocoelium)、ユーリトレマ属(Eurytrema)、オピストルキス属(Ophisthorchis)、ファスシオロプシス(Fasciolopsis)、エキノストーマ属(Echinostoma)及びパラゴニマス属(Paragonimus)のメンバーである。3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドにより防除されうる線虫としては、ハエモンカス属(Haemonchus)、オステルタギア属(Ostertagia)、クーペリア属(Cooperia)、オエスファゴストム属(Oesphagostomu)、ネマトディラス属(Nematodirus)、ジクチオカウラス属(Dictyocaulus)、トリクリス属(Trichuris)、ジロフィラリア属(Dirofilaria)、アンシロストマ属(Ancyclostoma)、アスカリア属(Ascaria)などが挙げられる。
【0066】
化合物3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドはまた、ウシバエや胃ボットなどの節足動物の内部寄生生物寄生も防除しうる。そのほか、温血動物及びサカナにおけるダニ及び節足動物の外部寄生生物寄生、たとえば、ハジラミ、吸血シラミ、ウマバエ、サシバエ、キンバエ、ハエ、ハエウジ、ブユ、カ、ノミ、ダニ、マダニ、鼻ボット、ヒツジシラミバエ、及びツツガムシは、化合物により防除、予防、又は排除されうる。ハジラミとしては、ハジラミ目(Mallophaga)のメンバー、たとえば、ボビコラ・ボビス(Bovicola bovis)、トリコデクテス・カニス(Trichodectes canis)、及びダミリナ・オビス(Damilina ovis)が挙げられる。吸血シラミとしては、シラミ目(Anoplura)のメンバー、たとえば、ハエマトピナス・エウリステルナス(Haematopinus eurysternus)、ヘマトピナス・スイス(Haematopinus suis)、リノグナタス・ビツリ(Linognathus vituli)、及びソレノポテス・カピラタス(Solenopotes capillatus)が挙げられる。サシバエとしては、ハエマトビア属(Haematobia)のメンバーが挙げられる。マダニとしては、ボオフィラス属(Boophilus)、リピセファラス属(Rhipicephalus)、イキソデス属(Ixodes)、ヒアロンマ属(Hyalomma)、アンブリオンマ属(Amblyomma)、及びデルマセントル属(Dermacentor)が挙げられる。化合物3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドはまた、アカリフォルメス目(Acariformes)及びダニ目(Parasitiformes)のダニをはじめとする温血哺乳動物及び家禽に寄生するダニの防除にも使用されうる。
【0067】
温血動物への経口投与に供される場合、化合物は、動物飼料、動物飼料予混合物、動物用飼料濃縮物、丸剤、溶液剤、ペースト剤、サスペンジョン剤、ドレンチ剤、ゲル剤、錠剤、ボーラス剤、及びカプセル剤として製剤化されうる。そのほか、化合物は、飲料水に入れて動物に投与されうる。経口投与に供される場合、選ばれる製剤は、約0.01mg/kg~100g/kg動物体重/日の3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドで動物に提供するべきである。
【0068】
代替的に、3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドは、非経口的に、たとえば、動物反芻胃内に、筋肉内に、静脈内に、又は皮下注射で投与されうる。化合物は、皮下注射のために生理学的に許容可能な担体に分散又は溶解されうる。代替的に皮下投与用植込み中への化合物は、製剤化されうる。そのほか、化合物は、動物に経真皮的に投与されうる。非経口投与に供される場合、選ばれる製剤は、約0.01mg/kg~100mg/kg動物体重/日の3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドで動物に提供するべきである。
【0069】
3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドはまた、ディップ剤、ダスト剤、粉末剤、首輪剤、メダリオン剤、スプレー剤、及びポアオン製剤の形態で動物に局所適用されうる。局所適用に供される場合、ディップ剤及びスプレー剤は、通常は約0.5ppm~5,000ppm、好ましくは約1ppm~3,000ppmの化合物を含有する。そのほか、化合物は、動物、特定的にはウシやヒツジなどの四肢動物に対して耳標として製剤化されうる。
【0070】
3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドはまた、限定されるものではないが、駆虫剤、たとえば、ベンゾイミダゾール、ピペラジン、レバミソール、ピランテル、プラジカンテルなど、エンドエクトサイド、たとえば、アベルメクチン、ミルベマイシンなど、殺外部寄生生物剤、たとえば、アリールピロール、有機ホスフェート、カルバメート、ガンマ酪酸阻害剤、たとえば、フィプロニル、ピレトロイド、スピノサド、イミダクロプリドなど、虫成長調節剤、たとえば、ピリプロキシフェン、シロマジンなど、及びキチンシンターゼ阻害剤、たとえば、フルフェノクスロンをはじめとする1種以上の他の殺寄生生物化合物(活性スペクトルの拡張)と組み合わせて又は並行して使用されうる。
【0071】
かかる殺寄生生物組成物は、殺寄生生物的に有効量の3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、又は経口投与、経皮投与、及び局所投与の獣医医薬規範から公知の1種以上の生理学的耐容性のイナートな固形又は液状の担体と混合されたその組合せを含むであろう。かかる組成物は、さらなる添加剤、たとえば、安定化剤、消泡剤、粘度調整剤、結合剤、及びタック付与剤を含みうるとともに、一方では、市販品は、好ましくは濃縮剤として製剤化され、エンドユーザーは、通常は製剤を希釈して利用するであろう。
【0072】
次に、以下の実施例を参照して本発明を説明するが、それらは例示を目的としており、本発明の範囲をなんら限定するものではない。以下の実施例は、線虫を防除する3-(ジフルオロメチル)-N-メトキシ-1-メチル-N-[1-メチル-2-(2,4,6-トリクロロ-フェニル)エチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドの能力を実証する。
【実施例
【0073】
ダイズ上のダイズシストセンチュウ(ヘテロデラ・グリシネス(Heterodera glycines))
温室内のダイズ上のすべての生活環でヘテロデラ・グリシネス(Heterodera glycines)の防除を評価する方法
3.5インチ×8インチ深さのプラスチックポットの中心の1インチの穴に5000個のヘテロデラ・グリシン(Heterodera glycine)卵を配置した。種子処理として活性化合物を適用するとき、最初に種子を播種した。処理された種子を中心穴に配置し、滅菌されたトップ土壌でカバーした。各ポットに手で灌水し、各ポットにおおよそ50mlsの水を1日1回適用した。植栽35日後、出芽した植物の根から土壌を穏やかに濯ぎ、60メッシュシーブ上の20メッシュシーブに配置した。根系に水を吹き付けて成熟雌を除去した。20メッシュシーブを除去した。雌を洗浄して60メッシュシーブのボトムに移し、濯いでチューブに入れてステレオスコープ下でカウントした。根侵入実験では、植栽7~14日後にポットから植物の根を取り出し、土壌を濯いで清浄にし、そして酸性フクシン染色で染色した。根中の染色された線虫を電子ステレオスコープを用いてカウントした。
【0074】
シリーズ1試験
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【表5】
【0080】
シリーズ2試験
ダイズシストセンチュウ(SCN、ヘテロデラ・グリシネス(Heterodera glycines))に対するピジフルメトフェンの作用及びダイズ植物に対するその影響を以上に記載されたように評価し、フルオピラムのものと比較した。染色された根1本当たりのSCNの数をカウントし、植物1つ当たりの平均根重量を計算し、根1グラム当たりのSCNの数を計算可能にした。
【0081】
【表6】
【0082】
ネコブセンチュウ(メロイドギネ・インコグニタ(Meloidogyne incognita))
ネコブセンチュウゴール数及び等級付けプロセスの評価方法
植物の根を土壌から取り出した。次いで、根系に水をスプレーして残留土壌を除去した。根をトレイ上若しくはカウンタートップ上に広げてゴール形成率を見るか、又は各根系を拡大光下に配置してゴールをカウントする。ゴールアセスメント等級では、標準的ゴール等級チャートと比較されたとき、0~10スケールのスケール等級が与えられた。ゴール数も評価された。
【0083】
ネコブセンチュウ(メロイドギネ・インコグニタ(Meloidogyne incognita))防除-ダイズ
【0084】
【表7】
【0085】
複数の線虫種[ネコブ(メロイドギネ・インコグニタ(Meloidogyne incognita))、ラセン(ヘリコティレンカス属(Helicotylenchus)の種)、及びレニフォームセンチュウ(ロチレンクラス・レニフォルミス(Rotylenchulus reniformis))]-ワタ
【0086】
【表8】
【0087】
ネコブセンチュウ(メロイドギネ・インコグニタ(Meloidogyne incognita))卵孵化の評価
【0088】
【表9】
【0089】
クサレセンチュウ(プラティレンカス・ブラキウラス(Pratylenchus brachyurus))効能-ダイズ
酸性フクシン/メチルブルーを用いてダイズ植物根を染色し、標準的方法を用いて根系に入った内部寄生線虫、内部/外部寄生線虫、及び半内部寄生線虫を評価した。
【0090】
【表10】
【0091】
レニフォームセンチュウ(ロチレンクラス・レニフォルミス(Rotylenchulus reniformis))効能-ダイズ
チェックと比較した土壌線虫数の平均差
【0092】
【表11】
【0093】
ヤリ(ホプロライマス属(Hoplolaimus)の種)及び刺毛(ベロノライマス・ロンギカウダタス(Belonolaimus longicaudatus))線虫
刺毛及びヤリセンチュウに対するAPNの用量反応を測定するIn Vitroアッセイ。
【0094】
【表12】
【0095】
トウモロコシ(ゼア・マイス(Zea mays))におけるクサレセンチュウ(プラティレンカス属(Pratylenchus)の種)防除
酸性フクシン/メチルブルーを用いてトウモロコシ根組織を染色し、標準的方法を用いて根系に入った内部寄生線虫、内部/外部寄生線虫、及び半内部寄生線虫を評価した。ピジフルメトフェンの効果をフルオピラムと比較した。
【0096】
【表13】
【0097】
ピジフルメトフェンは、線虫数を減らすだけでなく、未処理及びフルオピラム処理のトウモロコシ植物で観測されたものを上回るトウモロコシシュート及び根量の増加をもたらした。
【国際調査報告】