(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(54)【発明の名称】生体内ラジカル線量測定及び生体内ヒドロキシルラジカルのタンパク質フットプリント法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/68 20060101AFI20220513BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20220513BHJP
G01N 21/78 20060101ALI20220513BHJP
G01N 21/53 20060101ALI20220513BHJP
G01N 33/483 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N21/64 F
G01N21/78 C
G01N21/53 Z
G01N33/483 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539578
(86)(22)【出願日】2020-01-06
(85)【翻訳文提出日】2021-09-01
(86)【国際出願番号】 US2020012430
(87)【国際公開番号】W WO2020142785
(87)【国際公開日】2020-07-09
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521296764
【氏名又は名称】ジェネクスト テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GENNEXT TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】スコット ワインバーガー
(72)【発明者】
【氏名】ミッシェル ジョーンズ
【テーマコード(参考)】
2G043
2G045
2G054
2G059
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043BA07
2G043CA04
2G043DA02
2G043DA05
2G043EA01
2G043EA06
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2G043EA14
2G043GA06
2G043GA07
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2G043GB21
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2G059JJ03
2G059JJ07
2G059JJ11
2G059KK01
2G059KK02
2G059MM01
2G059MM12
2G059NN01
(57)【要約】
生体内ヒドロキシラジカルタンパク質フォットプリント法のシステム及び方法が供される。これらの教示は、たとえば3次元タンパク質構造又は生体動力学を研究するのに用いられ得る。任意の内部標準を含むラジカル線量計は、分離したそのままの細胞で用いられる。内部標準に基づくリアルタイムフィードバックによって、実際の生体条件を表すデータにおいて様々な実験と生体内分析結果との間での比較が可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集束されたシース流の中で互いに分離されているそのままの生物体をフォトリシス領域へ提供するように構成された試料導入システムと、
光を発生させてヒドロキシラジカル源からヒドロキシラジカルを生成するように構成されたフォトリシス光源と、
前記シース流及び光を受けて、内部標準を酸化させ、前記生体内の生物体の生体化合物を酸化させるように構成されたフォトリシス領域と、
前記フォトリシス領域から前記生物体を受け取り、蛍光検出器を用いて前記内部標準の酸化を検出するように構成された線量測定領域と、
前記生物体のそれぞれについて目標濃度のヒドロキシラジカルが生成されたことを判断し、前記目標濃度のヒドロキシラジカルを満たすように前記フォトリシス領域の動作を調整するように構成された制御ロジックと、
前記の酸化された生体化合物を含む前記生物体を受け取るように構成された容器、
を備える分析システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記フォトリシス領域で酸化されたペプチド又はアミノ酸を識別するように構成され、任意で質量、電荷、又はサイズに基づいてペプチドを分離するように構成される分析装置をさらに備える、システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシステムであって、前記試料導入システムは、シース流を用いて生物体を互いに分離するように構成される、システム。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載のシステムであって、前記試料導入システムは、前記ヒドロキシラジカル源を前記生物体へ追加するように構成される、システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のシステムであって、
前記内部標準は前記生物体が混合される緩衝液に内在し、
前記内部標準は、前記生物体の内部に吸収されるように構成され、及び/又は、
前記内部標準は、前記生物体の表面に吸着されるように構成される、
システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のシステムであって、前記ヒドロキシラジカル源はH
2O
2である、システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のシステムであって、前記散乱光検出器は、前記生物体がそのままであるかどうかを判定するようにも構成される、システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載のシステムであって、前記線量測定領域は、散乱光検出器を用いて前記生物体の存在を検出するようにさらに構成される、システム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載のシステムであって、前記制御ロジックは、前記光が前記フォトリシス領域内の前記生物体によって受け取られる時間を、前記線量測定領域における蛍光又は散乱光の検出に基づいて決定するように構成される、システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載のシステムであって、前記制御ロジックは、前記ヒドロキシラジカル源の濃度の変更、前記フォトリシス光源から受光される光の量の変更、及び/又は、前記フォトリシス光源から前記光が受光される時間の変更によって前記フォトリシス領域の動作を調節するように構成される、システム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載のシステムであって、前記制御ロジックは、前記生物体のうちの孤立した複数のものが前記フォトリシス領域に入る期間を決定するように構成される、システム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載のシステムであって、前記制御ロジックは、破裂した生物体が前記容器から外れるように前記生物体の流れを制御するように構成される、システム。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載のシステムであって、前記内部標準の蛍光が、前記ヒドロキシラジカルとの反応により少なくとも10倍蛍光を増加するように構成される、システム。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載のシステムであって、前記制御ロジックは、前記線量測定領域内の前記内部標準からの蛍光信号に基づいて、前記の同定されたペプチドの定量を規格化するように構成される、システム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載のシステムであって、前記制御ロジックは、前記生物体のうちの第1生物体の分析に基づいて、前記試料導入システム又は前記フォトリシス光源にフィードバックを与えることで前記生物体のうちの第2生物体の分析を改善するように構成される、システム。
【請求項16】
そのままの細胞内の生体分子を酸化する方法であって、
少なくとも1つの細胞を含む試料混合物をフォトリシス領域へ導入し、ヒドロキシラジカル源及び線量計内部標準をフラッシュフォトリシスシステムのフォトリシス領域へ導入する工程と、
前記少なくとも1つの細胞内の生体分子を酸化する前記ヒドロキシラジカルを前記ヒドロキシラジカル源から生成するように光を供給する工程と、
前記線量計内部標準と前記ヒドロキシラジカルとの反応に起因する前記線量計内部標準の測光特性を検出するように構成されたラジカル線量計の線量測定領域に、光散乱によって前記ラジカル線量計の線量測定領域内で検出可能である前記少なくとも1つの細胞が到達するまでの時間だけ待つ工程と、
前記少なくとも1つの細胞が前記線量測定領域内にある間に前記ラジカル線量計を用いて前記線量計内部標準の測光特性を測定する工程と、
前記線量計内部標準の測定された測光特性に基づいて目標レベルのヒドロキシラジカルが生成されなかったと判断する工程と、
前記フォトリシス領域内のヒドロキシラジカルの濃度を、1)前記フォトリシス領域に供給される光の量、2)前記ヒドロキシラジカル源の濃度、3)前記フォトリシス領域内の前記少なくとも1つの細胞の流量、又は4)前記フォトリシス領域へ前記光を供給する時間、のうちの少なくとも1つを調節することによって調節する工程と、
を含む方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記フォトリシス領域へ少なくとも第2細胞を導入する工程と、
前記第2細胞内の生体分子を酸化する前記ヒドロキシラジカルを前記ヒドロキシラジカル源から前記の調節された濃度で生成するように光を供給する工程と、
前記第2細胞がラジカル線量計の線量測定領域へ到達する時間だけ待つ工程と、
前記第2細胞が前記線量測定領域内にある間に前記ラジカル線量計を用いて前記線量計内部標準の測光特性を測定する工程と、
前記第2細胞が前記線量測定領域内にある間に前記線量計内部標準の前記の測定された測光特性に基づいて目標レベルのヒドロキシラジカルが生成されたと判断する工程と、
前記第2細胞を収集することで前記第2細胞内又は前記第2細胞の表面上の前記生体分子の酸化に基づいて前記第2細胞の生体分子の生体内3次元構造解析を行う工程と、
をさらに有する方法。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の方法であって、
前記少なくとも1つの細胞を、前記線量計内部標準が前記少なくとも1つの細胞の内部を移動するのに十分な時間だけ前記線量計内部標準を含む緩衝液に入れる工程と、
前記少なくとも1つの細胞を含む前記試料混合物を当該フラッシュフォトリシスシステムの前記フォトリシス領域へ導入する前に、前記少なくとも1つの細胞を洗浄することで前記少なくとも1つの細胞を取り囲む細胞外溶液から前記少なくとも1つの細胞を除去する工程と、
をさらに有する方法。
【請求項19】
請求項1~18のいずれかに記載の方法又はシステムであって、前記線量計内部標準は前記緩衝液に内在する、方法又はシステム。
【請求項20】
請求項1~19のいずれかに記載の方法又はシステムであって、前記線量計内部標準は
図4に列挙される化合物のうちの少なくとも1つを含む、方法又はシステム。
【請求項21】
請求項1~20のいずれかに記載の方法又はシステムであって、前記線量計内部標準は、前記少なくとも1つの細胞の内部に吸収されるように構成される、方法又はシステム。
【請求項22】
請求項1~21のいずれかに記載の方法又はシステムであって、前記少なくとも1つの細胞はそのままの多細胞生命体の一部である、方法又はシステム。
【請求項23】
請求項1~22のいずれかに記載の方法又はシステムであって、前記少なくとも1つの細胞は分離された細胞である、方法又はシステム。
【請求項24】
請求項1~23のいずれかに記載の方法又はシステムであって、
前記少なくとも1つの細胞は前記フォトリシス領域へ導入される複数の細胞の一部で、
前記複数の細胞の各々は、同一の分離体積によって前記複数の細胞のうちの隣接する細胞から分離される、
方法又はシステム。
【請求項25】
請求項1~24のいずれかに記載の方法又はシステムであって、前記そのままの生物体又は少なくとも1つの細胞は、少なくとも1つの細胞、そのままのウイルス、そのままの細胞に取り付けられたウイルス、又は多細胞生命体を含む、方法又はシステム。
【請求項26】
請求項1~25のいずれかに記載の方法又はシステムであって、前記測光特性は蛍光又は発光である、方法又はシステム。
【請求項27】
請求項1~26のいずれかに記載の方法又はシステムであって、前記線量測定領域は、前記少なくとも1つの細胞からの蛍光信号と散乱光信号の両方を同時に検出するように構成される、方法又はシステム。
【請求項28】
請求項1~27のいずれかに記載の方法又はシステムであって、前記ヒドロキシラジカルの濃度は供給される光の量を変化させることによって調節される、方法又はシステム。
【請求項29】
請求項1~28のいずれかに記載の方法又はシステムであって、前記フォトリシス領域で前記ヒドロキシラジカルによって酸化された前記少なくとも1つの細胞内のアミノ酸を識別する工程をさらに有する、方法又はシステム。
【請求項30】
請求項1~29のいずれかに記載の方法又はシステムであって、前記線量内部標準の前記測光特性に基づいて前記少なくとも1つの細胞の酸化の分析を規格化する工程をさらに有する、方法又はシステム。
【請求項31】
請求項1~30のいずれかに記載の方法又はシステムであって、
前記少なくとも1つの細胞は複数の細胞を含み、
試料混合物は、互いに略同一距離だけ分離して前記複数の細胞の各々を一列に設けるように構成されるシース流内に導入される、
方法又はシステム。
【請求項32】
請求項1~31のいずれかに記載の方法又はシステムであって、前記線量計内の光散乱信号は、前記光が前記ヒドロキシラジカルを生成する時間を決定するのに用いられる、方法又はシステム。
【請求項33】
請求項1~32のいずれかに記載の方法又はシステムであって、前記ラジカル線量計内で検出される散乱信号に基づいて前記第2細胞がそのままであると判断する工程をさらに有する、方法又はシステム。
【請求項34】
請求項1~33のいずれかに記載の方法又はシステムであって、前記分析装置は、同位体によって標識が付された核酸、アミノ酸、脂質、炭水化物、又はペプチドの酸化を検出するように構成される、方法又はシステム
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年1月4日に出願された米国仮出願第62/788,219号の優先権の利益を主張するものであり、その開示内容は参照によりここに組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ヒドロキシルラジカルのタンパク質フットプリント法のプロセスによる生体分子の高次構造分析の装置及び方法に関する。本発明の一部の実施形態は、細胞、組織、又は生物内のタンパク質を生体内でフラッシュ光酸化してその高次生体分子構造を決定するための改良された装置及び方法を使用して、バイオ医薬品の三次及び四次構造並びに関連する立体配座を決定することに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術:本出願とともに提出された書類を含め、本提出書類のどこかで掲載されている仕事、出版物、販売物、又は活動の議論は、そのような仕事が先行技術を構成することを認めるものではない。本明細書での活動、作品、出版物の議論は、そのような活動、仕事、又は出版物が特定の管轄区域に存在していた、または知られていたことを認めるものではない。
【0004】
バイオシミラーは、既存のイノベーター製品や参考製品と類似しているが同一ではない治療薬である。低分子医薬品の場合とは異なり、バイオシミラーは先発品の単なるジェネリック版ではない。従来のジェネリック医薬品は、治療上でも分子としても先発品と同等であると考えられている。このことは、複雑な3次元の生体分子であり、その不均一性と生細胞での生産に依存していること故に従来の医薬品とは全く異なるものであるバイオシミラーついては当てはまらない。バイオ医薬品の構造と機能的活性は、その環境に対して非常に敏感である(非特許文献1)。治療薬の意図された構造は、複数の因子-タンパク質の濃度、翻訳後修飾の制御、pH及び製剤中の共溶出物、製造/精製手順を含む-微妙なバランスによって維持される(非特許文献1)。このように、バイオ医薬品の構造は慎重に維持されなければならない。抑制されていない場合、望ましくない有害な薬理学的結果が生じる恐れがあるからである。
【0005】
バイオ医薬品の薬物有害反応(ADR)は一般的には、過剰な薬理作用や免疫学的な反応に起因している。患者のADRの範囲は、症状としての刺激から罹患や死亡にまで及ぶ。一部のADRの病因は、患者の薬理遺伝学的な感受性に起因するものもあるが、多くは治療薬の本質的な特性に起因するものであり、その結果、患者の病的・致命的な事態を招き、バイオ医薬品業界に多大な経済的損失をもたらしている(非特許文献2)。このように、壊滅的なADRの発生は、バイオ医薬品の開発と品質管理のための分析方法の改善の必要であることを例証している。
【0006】
ADRを最小化し、バイオシミラーの開発を促進するために、FDA、医薬品評価研究センター、生物製剤評価研究センターは、タンパク質の高次構造(HOS)を評価するために最先端の技術を使用することを強調するガイドラインを発行している(非特許文献3)。HOS分析では、与えられた生体分子の三次構造と四次構造、及び関連する立体配座の決定を含む。このような生体分子には、タンパク質やタンパク質複合体が含まれ、これらは生体治療薬であると考えられる場合もあれば、そうでない場合もある。現在、様々なHOS解析が存在しているが、生体治療の有効性や安全性を確実に予測するには不十分であることが問題視されており、新しく改良されたHOS解析が必要とされているものの実現されていないことが明らかになってきた(非特許文献4)。
【0007】
実現されていないHOS分析の要求に応える技術として、質量分析(MS)と組み合わせた不可逆的なタンパク質の水酸化がある(非特許文献5)。この方法は、ヒドロキシルラジカルタンパク質フットプリンティング(HRPF)と呼ばれている。様々な手法がHRPFを実行するために用いられてきた。おそらく最も広く使われている手法は、1回の高フルエンスの短パルス紫外光を用いて過酸化水素(H2O2)からヒドロキシル(OH)ラジカルを生成する高速光化学的タンパク質酸化法(FPOP)に依拠している。OHラジカルと溶媒に曝されたアミノ酸との反応の結果、通常、アミノ酸に酸素原子が1つ挿入される。OHラジカルは短命であり、短い紫外パルスによって生成される場合、標識されたタンパク質による立体配座変化が起こる前に、アミノ酸とラジカルの反応が完了する可能性がある(非特許文献6)。酵素消化によるペプチド生成物の質量スペクトルは、16Da、32Da、48Daなどのピークシフトによって示唆される様々なレベルの酸化を示している。この情報は、どのペプチドがHOSの外側に位置しているのかを推測することでHOSの理解を深めるのに利用できる。
【0008】
比較研究に悪影響を及ぼすFPOP HRPFの技術的限界は、OHラジカルが試料中の非分析物成分-たとえば緩衝剤成分、初期溶質、外来生物-と反応することに起因する。バックグラウンド除去の速度にばらつきがあると、試験間での再現性が低くなり、比較研究が制限されてしまう(非特許文献7)。OHラジカルは優れたタンパク質のトポグラフィーのプローブである一方で、分析用製剤に含まれる多くの化合物とも反応する。遊離OHラジカルに対する分析対象タンパク質とバックグラウンドのスカベンジャーとの間には競合が存在するため、再現性のある結果を得るためには、標的タンパク質を酸化させるのに利用できるラジカルの有効濃度を測定することが望ましい。光化学では、有効ラジカル濃度は、ラジカル線量計の内部標準を用いることによって測定される。理想的には、線量計は,有効ラジカル濃度と線量計の応答との間に単純な関係と、単純かつ迅速で非破壊的な測定手段を有し、ほとんどのタンパク質に反応しない。
【0009】
先行技術は、スパイクされたペプチド内部標準(非特許文献8)、又は緩衝液に添加されて標識後に評価されるアデニンなどのUV吸収性内部標準(非特許文献9)を用いて実行されるラジカル線量測定を教示している。ペプチドラジカル線量測定法では、標識されたペプチドと標的タンパク質はその後、(任意のタンパク質分解と共に)LC-MSを用いて分析され、その結果標的タンパク質に対する酸化ペプチドの相対的な比率が評価される。望ましいペプチドとタンパク質の酸化比率が得られない場合、実効的なOHラジカル負荷の増減に応じてH2O2の濃度を調整するように実験全体が繰り返される。アデニンの線量測定では、標識プロセスの完了時にアデニンUV吸光度の効果的な変化が決定され、達成したアデニンUV吸光度と目標のアデニンUV吸光度の変化の比率が決定される。続いてH2O2濃度はUV吸光度の望ましい変化に応じて変化される。これらの方法のいずれも標識完了後に行われ、実効的なOHラジカル負荷をリアルタイムに調整することができないため、貴重な試料を消費し,研究者の時間を無駄にしてしまう。
【0010】
特許文献1,2は、FPOP HRPF方法中に生体が標識される際に、リアルタイムでラジカル線量測定を実行するシステム及び方法を教示している。バックグラウンド除去の変動を調整及び補償するためのリアルタイム手段を構築する一方で、これらの出願で教示されているシステム及び方法は、生物学的混合物に外的内部標準線量計を加えることを必要とする。一部の条件下では、外的内部標準は、生体分子の高次構造に人工的な変化を引き起こす可能性があり、そのような場合、生体の新生高次構造を特徴付ける容易な手段を提供するという所望の目的とは相容れない。特許文献1,2の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0011】
特許文献3は、一般的に使用されている生物学的緩衝系をラジカル線量計の内部標準として採用することができる装置及び方法を記載している。一般的に使用されている生物学的緩衝液の光特性は、OHラジカルの攻撃により予測可能な方法で変化する。そのため、これらの緩衝液はラジカル線量計の内部標準として使用可能であるため、外部試薬を加える必要がなくなる。また、これらの緩衝液の溶媒和特性は生体分子の初期構成を安定化させるために確立されているため、生物学的高次構造を変化させることはない。
【0012】
前述の技術は、生体外でタンパク質やバイオ医薬品を標識しながらHRPFラジカルの線量測定を行う装置や手段を記載している。しかし、生体外での構造実験の結果を本物の生体内での挙動に適用する実践が問題視されている(非特許文献10)。生体外でのHRPFの欠点のため、最近では、HRPFの使用を生体内でそのまま全細胞に拡張することに関心と要望が寄せられている。例えば特許文献4には、生体内HRPFを行うことができる手段及び方法が記載されている。簡単に言えば、複数の溶融シリカ毛細管及びマイクロ流体継手が、緩衝液で懸濁された細胞とH2O2との混合を支援するのに使用される。教示されているように、H2O2は、細胞の破壊を引き起こすことなく、アポトーシスを誘導することなく、または細胞死を早めることなく細胞に迅速に取り込まれる。しかし、教示されたシステムと方法は、依然として様々な欠点をもたらしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許仮出願第62/511571号
【特許文献2】国際特許出願第PCT/US2018/34682号
【特許文献3】米国特許仮出願第62/747247号
【特許文献4】米国特許出願公開第2018/0079998号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2014/0030751号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Gabrielson, J. P.; Weiss IV, W. F., Technical decision-making with higher order structure data: starting a new dialogue; Journal of pharmaceutical sciences, 2015
【非特許文献2】Giezen, T. J.; Schneider, C. K., Safety assessment of biosimilars in Europe: a regulatory perspective; Generics and Biosimilars Initiative Journal; 2014
【非特許文献3】Quality considerations in demonstrating bio-similarity of a therapeutic protein product to a reference product; guidance for industry; U.S. Department of Health and Human Services; Food and Drug Administration; Center for Drug Evaluation and Research; Center for Biologics Evaluation and Research Washington, DC; 2015
【非特許文献4】Gabrielson, J. P.; Weiss IV, W. F., Technical decision-making with higher order structure data: starting a new dialogue; Journal of pharmaceutical sciences; 2015
【非特許文献5】Hambly, D. M.; Gross, M. L., Laser flash photolysis of hydrogen peroxide to oxidize protein solvent-accessible residues on the microsecond timescale; Journal of the American Society for Mass Spectrometry; 2005
【非特許文献6】Konermann, L.; Tong, X.; Pan, Y., Protein structure and dynamics studied by mass spectrometry:H/D exchange, hydroxyl radical labeling, and related approaches; Journal of mass spectrometry; 2008
【非特許文献7】Niu, B. et al.; Dosimetry determines the initial OH radical concentration in Fast photochemical oxidation of proteins (FPOP); Journal of the American Society for Mass Spectrometry; 2015
【非特許文献8】Niu, B., et al., Dosimetry determines the initial OH radical concentration in Fast photochemical oxidation of proteins (FPOP).J Am Soc Mass Spectrom, 2015.26(5): p. 843-6; Niu, B., et al., Incorporation of a Reporter Peptide in FPOP Compensates for Adventitious Scavengers and Permits Time-Dependent Measurements.J Am Soc Mass Spectrom, 2016.
【非特許文献9】Xie, B.; Sharp, J. S., Hydroxyl Radical Dosimetry for High Flux Hydroxyl Radical Protein Foot-printing Applications Using a Simple Optical Detection Method.Analytical Chemistry 2015, 87 (21), 10719-23.
【非特許文献10】Mourao, M. A.; Hakim, J. B.; Schnell, S., Connecting the dots: the effects of macromolecular crowding on cell physiology. Biophysical Journal 2014, 107 (12), 2761-2766
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の様々な実施形態は、実効ヒドロキシルラジカル濃度のリアルタイムの生体内測定を行い、かつ、生体内ラジカル線量計内部標準の測光特性を用いることによって不要なバックグラウンド除去を調整することで、細胞の分離と区分化が評価及び再現可能に制御され得る手段、並びに、HRPFフォトリシス領域への細胞の到達時間を決定する手段を提供することよって、上述した現在の生体外HRPFの欠点を解決するシステムと方法を含む。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の様々な実施形態は、タンパク質の生体内フラッシュ光酸化を行うことでヒドロキシルラジカルによる高度タンパク質フットプリンティングを可能にする改良された実施形態を含む、タンパク質高次構造分析のシステム及び方法に関する。一部の実施形態では、本発明は制御された生体内ラジカル線量測定システムを提供する。当該システムでは、細胞内の内部標準ラジカル線量計の測光特性の測定された変化に応答してフラッシュフォトリシスシステムの照射量を制御する閉ループ制御が前記フラッシュフォトリシスと線量計との間で確立される。
【0017】
一部の実施形態では、本発明は制御された生体内ラジカル線量測定システムを含む。当該システムでは、細胞内の内部標準ラジカル線量計の測光特性の測定された変化に応答してH2O2の濃度を制御する閉ループ制御が、自動制御のマイクロ流体混合システムと線量計との間で確立される。
【0018】
一部の実施形態では、本発明は制御された生体内ラジカル線量測定システムを含む。当該システムでは、細胞内H2O2のフォトリシスによってOHラジカルが生成される細胞内内部標準ラジカル線量計の測光特性の測定された変化に応答してフラッシュフォトリシスシステムの照射量を制御する閉ループ制御が前記フラッシュフォトリシスシステムと線量計との間で確立される。
【0019】
一部の実施形態では、本発明は制御された生体内ラジカル線量測定システムを含む。当該システムでは、細胞外で光触媒金属酸化物を用いて水からOHラジカルが生成されるように、細胞内の内部標準ラジカル線量計の測光特性の測定された変化に応じてフラッシュフォトリシスシステムの照射量を制御する閉ループ制御が前記フラッシュフォトリシスシステムと線量計との間で確立される。
【0020】
一部の実施形態では、本発明は制御された生体内ラジカル線量測定システムを含む。当該システムでは、細胞内で光触媒金属酸化物を用いて水からOHラジカルが生成されるように、細胞内の内部標準ラジカル線量計の測光特性の測定された変化に応じてフラッシュフォトリシスシステムの照射量を制御する閉ループ制御が前記フラッシュフォトリシスシステムと線量計との間で確立される。
【0021】
制御された生体内ラジカル線量計システムを使用する一部の実施形態では、本発明は分析用標識生体分子を製造する方法を含む。当該方法は、(1)細胞を、生物学的緩衝液、最終的に細胞に取り込まれる内部標準ラジカル線量計、及びその他の必要な標識試薬と混合する工程、(2)前記細胞を光線量測定領域へ導入する工程、(3)前記細胞の初期光特性を決定する工程、(4)フォトリシス領域において前記細胞へ少なくとも1回のバーストUV照射を行う工程、(5)光照射後の前記細胞の測光特性の変化を測定する工程、(6)ラジカル線量計の測光特性の変化に応じてUV源光のスペクトル照射量を調整する工程を有する。
【0022】
制御された生体内ラジカル線量計システムを使用する一部の実施形態では、本発明は分析用標識生体分子を製造する方法を含む。当該方法は、(1)細胞を、生物学的緩衝液、最終的に細胞に取り込まれる内部標準ラジカル線量計、及びその他の必要な標識試薬と混合する工程、(2)前記細胞を光線量測定領域へ導入する工程、(3)前記細胞の初期光特性を決定する工程、(4)フォトリシス領域内部で前記細胞へ少なくとも1回のバーストUV照射を行う工程、(5)光照射後の前記細胞の測光特性の変化を測定する工程、(6)ラジカル線量計の測光特性の変化に応じて制御されたマイクロ流体混合器を用いてH2O2の濃度を調整する工程を有する。
【0023】
制御された生体内ラジカル線量計システムを使用する一部の実施形態では、本発明は分析用標識生体分子を製造する方法を含む。当該方法は、(1)細胞を、生物学的緩衝液、最終的に細胞に取り込まれる内部標準ラジカル線量計、及び金属酸化物光触媒と混合する工程、(2)前記細胞を光線量測定領域へ導入する工程、(3)前記細胞の初期光特性を決定する工程、(4)フォトリシス領域において前記細胞へ少なくとも1回のバーストUV照射を行う工程、(5)光照射後の前記細胞の測光特性の変化を測定する工程、(6)ラジカル線量計の測光特性の変化に応じてUV源光のスペクトル照射量を調整する工程を有する。
【0024】
制御された生体内ラジカル線量計システムを使用する一部の実施形態では、本発明は分析用標識生体分子を製造する方法を含む。当該方法は、(1)細胞を、生物学的緩衝液及び最終的に細胞に取り込まれる内部標準ラジカル線量計と混合する工程と、(2)前記細胞を光線量測定領域へ導入する工程と、(3)前記線量測定領域から出る散乱光の強度を監視することによって前記細胞の到着及び存在を検出する工程と、 (4)連続する細胞の到着間の経過時間を決定する工程と、(5)経過時間と正味の緩衝液流量の積あたりの細胞分離体積を決定する工程と、(6)シース流と緩衝液流のパラメータを調整することで所望の細胞分離体積を実現する工程を有する。
【0025】
制御された生体内ラジカル線量計システムを使用する一部の実施形態では、本発明は分析用標識生体分子を製造する方法を含む。当該方法は、(1)細胞を、生物学的緩衝液及び最終的に細胞に取り込まれる内部標準ラジカル線量計と混合する工程と、(2)前記細胞を光線量測定領域へ導入する工程と、(3)前記線量測定領域から出る散乱光の強度を監視することによって前記細胞の到着及び存在を検出する工程と、(4)前記の到着する細胞の正味の流量を決定する工程と、(5)前記フォトリシス領域及び前記光線量測定領域から延びる相互接続体積を決定する工程と、(6)前記細胞が前記フォトリシス領域から前記光線量測定領域へ進行するのに必要な遷移時間を決定する工程と、(7)前記細胞のフォトリシス領域到着時間を決定する工程と、(8)すべての後続細胞が前記フォトリシス領域へ到着するときに前記フォトリシスシステムを始動させる工程を有する。
【0026】
標識された生体分子の製造後、質量分析や電気泳動などの他の方法が、標識されたペプチドを同定し、生体内の生体分子の高次構造に関する情報を推測するのに用いられ得る。
【0027】
本発明の様々な実施形態は分析システムを含む。当該分析システムは、集束されたシース流の中で互いに分離されているそのままの生物体をフォトリシス領域へ提供するように構成された試料導入システムと、光を発生させてヒドロキシラジカル源からヒドロキシラジカルを生成するように構成されたフォトリシス光源と、前記シース流及び光を受けて、内部標準を酸化させ、前記生体内の生物体の生体化合物を酸化させるように構成されたフォトリシス領域と、前記フォトリシス領域から前記生物体を受け取り、散乱光検出器を用いて前記生物体の存在を検出し、蛍光検出器を用いて前記内部標準の酸化を検出するように構成された線量測定領域と、前記生物体のそれぞれについて目標濃度のヒドロキシラジカルが生成されたことを判断し、前記目標濃度のヒドロキシラジカルを満たすように前記フォトリシス領域の動作を調整するように構成された制御ロジックと、前記の酸化された生体化合物を含む前記生物体を受け取るように構成された容器とを備える。
【0028】
本発明の様々な実施形態は、そのままの細胞内の生体分子を酸化する方法を含む。当該方法は、少なくとも1つの細胞を含む試料混合物をフォトリシス領域へ導入し、ヒドロキシラジカル源及び線量計内部標準をフラッシュフォトリシスシステムのフォトリシス領域へ導入する工程と、前記少なくとも1つの細胞内の生体分子を酸化する前記ヒドロキシラジカルを前記ヒドロキシラジカル源から生成するように光を供給する工程と、前記線量計内部標準と前記ヒドロキシラジカルとの反応に起因する前記線量計内部標準の測光特性を検出するように構成されたラジカル線量計の線量測定領域に、光散乱によって前記ラジカル線量計の線量測定領域内で検出可能である前記少なくとも1つの細胞が到達するまでの任意の所定時間だけ待つ工程と、前記少なくとも1つの細胞が前記線量測定領域内にある間に前記ラジカル線量計を用いて前記線量計内部標準の測光特性を測定する工程と、前記線量計内部標準の測定された測光特性に基づいて目標レベルのヒドロキシラジカルが生成されなかったと判断する工程と、前記フォトリシス領域内のヒドロキシラジカルの濃度を、1)前記フォトリシス領域に供給される光の量、2)前記ヒドロキシラジカル源の濃度、3)前記フォトリシス領域内の前記少なくとも1つの細胞の流量、又は4)前記フォトリシス領域へ前記光を供給する時間、のうちの少なくとも1つを調節することによって調節する工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。本発明の特徴及び利点のより良い理解は、本発明の原理が利用されている例示的な実施形態を規定する以下の詳細な説明を参照することによって得られるであろう。さらに、本発明の上記の目的及び利点は、本発明の特徴を組み込んだ添付の図に照らして考えると、例示的な実施形態に関する以下の説明を読むことによって、当業者に容易に明らかになるであろう。図面中の構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに本開示の原理を明確に示すことに重点が置かれている。
【0030】
本明細書に記載された方法のいずれも、特定の実施形態によれば、以下のうちのいずれか1つ以上をさらに利用することができる。
【
図1】アルタイムのラジカル線量測定用に構成され、複数のサブアセンブリで構成されるフラッシュフォトリシスシステム100の実施形態を示す。試料導入システム101、フォトリシス領域102、フラッシュフォトリシス光103、ラジカル線量計104、制御電子機器105、機器制御装置106、試料導入システム101とフォトリシス領域102との間の流体相互接続ライン107、フォトリシスセルとラジカル線量計との間の流体相互接続ライン108、フラッシュフォトリシスシステム103とフォトリシス領域102との間の光相互接続109、ラジカル線量計104と制御電子機器105との間の電子相互接続線110、試料導入システム101と制御電子機器105との間の電子相互接続線111、制御電子機器105と機器制御装置106との間の電子相互接続線112、及び前記制御電子機器とフラッシュフォトリシスシステムとの間の電子相互接続線113が示されている。またフォトリシス領域102、フラッシュフォトリシス光103、ラジカル線量計104は、「フラッシュフォトリシスシステム」に含まれる。フォトリシス領域102は通常、フォトリシスセルに含まれる。
【
図2】様々な実施形態による
図1に示されたフラッシュフォトリシスシステム100の様々な部材間での試料の移動を示す。前記試料の移動は、細胞の導入、試料の処理、及び標識が付された細胞の収集を含む。動作中の緩衝液201に懸濁された細胞、細胞懸濁液シリンジポンプ202、マイクロ流体ミキサー203、過酸化水素容器204、過酸化水素シリンジポンプ205、シース緩衝液容器206、シース緩衝液シリンジポンプ207、流体力学的集束ミキサー208、フォトリシス領域209、線量測定領域210、標識細胞容器211、及び分析装置212が示されている。
【
図3】本発明の様々な実施形態による生体内での細胞ラベリングのための方法300を示す。内部標準を追加するステップ301、細胞を洗浄するステップ302、標識が付された(1つ以上の)細胞を導入することを含む導入ステップ303、非照射細胞の光測定を含む測定ステップ304、生体内標識化プロセスを開始するために細胞を照射することを含む照射ステップ305、前記の照射された細胞の光測定を含む測定ステップ306、照射後の試料の光物性の変化を分析して実効OHラジカル濃度を評価する評価ステップ307、所望の実効OHラジカル濃度を達成した後に、標識が付された細胞をどのように処理するかを決定する決定ステップ308、所望のレベルの実効OHラジカル濃度に基づいて細胞をさらに処理する良好な結果ステップ309、又は、後続の細胞の照射条件を調整する調整ステップ310が示されている。調整ステップ310の結果、フラッシュスペクトル照射量及び/又はH
2O
2濃度を調整した後に、1つ以上の追加の細胞への照射が行われる。
【
図4】本発明と共に使用可能な典型的な生体外蛍光線量計内部標準の表400を含む。各例は、それぞれの最大励起波長及び最大発光波長、ならびに蛍光内部標準線量計が蓄積する一般的な細胞内区画とともに列挙されている。これらの同様の化合物は、個別に又は組み合わせて使用され得る。
【
図5】本発明の様々な実施形態による本発明の蛍光及び光散乱光検出システムの構成要素-例えばフラッシュフォトリシスシステム-のさらなる詳細を示している。このフラッシュフォトリシスシステムは、
図1に示されているように、フォトリシス領域102、フラッシュフォトリシス光103及び/又はラジカル線量計104を含んでよい。紫外狭帯域光源501-たとえば紫外発光ダイオードまたは紫外ダイオードレーザ-、集束レンズ502、励起光503、二色ミラー504、線量測定領域210、該線量測定領域210内で発生した蛍光からの放出光506、コリメートレンズ507、放出光を選択的に透過させる干渉ノッチフィルタ508、蛍光/放出光光検出器509、前記線量測定領域210からの散乱励起光510、コリメートレンズ511、散乱光光光検出器512が示されている。
【
図6】本発明の様々な実施形態による一貫した細胞分離体積を確立するための方法600を示す。示されている。標識が付されるべき1つ以上の第1細胞が個々の細胞または細胞群を分離するように構成されたシース流へ導入される細胞導入ステップ601と、ステップ601で導入された第1細胞(または複数の細胞の組)のフォトリシス領域102への到達が検出される第1の細胞検出ステップ602と、第2の細胞がフォトリシス領域102内に到着したことが検出される第2の細胞検出ステップ603と、正味の流量(シース流、過酸化水素、細胞緩衝液シリンジポンプのポンプ速度に依存する)が決定される正味流量決定ステップ604と、前記細胞分離体積が細胞到着時間の差と正味の流量の積として決定される細胞分離量決定ステップ605と、所望の細胞分離体積(前記細胞分離体積は各細胞または細胞群がフォトリシス領域102内でどれだけ分離されているかの尺度である)が達成されたか否かを決定する決定ステップ606と、所望の細胞分離体積が達成されなかった場合に実行される調整ステップ607、(例えば、シリンジポンプ202、205及び/又は207の)流量が前記分離体積に到達しやすくなるように調整され、これまでのステップが繰り返されるステップ608、及び所望の分離量が達成され、細胞の標識化及び分析のプロセスを進めることができる良好ステップ606が示されている。
【
図7】様々な実施形態によるフォトリシスシステムのフラッシュフォトリシス活動を、フォトリシス領域内の細胞の到着に合わせて調整する方法を示している。標識が付されるべき単一の分離細胞又は細胞群が集束シース流を用いて導入される導入工程701と、第1の細胞の到着がフォトリシス領域102内で検出される検出ステップ702と、シース流、過酸化水素、及び細胞緩衝液シリンジポンプのポンプ速度に基づいて純流量が決定される正味の流量決定ステップ703と、フォトリシス領域102と(ラジカル線量計104の)線量測定領域210との間の体積が決定される相互接続体積決定ステップ704と、フォトリシス領域102から線量測定領域210までの細胞通過時間が決定される通過時間決定ステップ705と、前記フォトリシス領域102における前記第1細胞の到着時間が決定される到着時間決定ステップ706と、ステップ706で決定された到着時間にフォトリシス領域102に光を供給するようにフラッシュフォトリシス光103が発出されるトリガーステップ707と、追加の細胞に対してプロセスを繰り返される継続ステップ708が示されている。
【0031】
有効OHラジカル濃度をリアルタイムで監視・制御する生体内高速光酸化によって触媒される、溶媒に曝された分子基の選択的な標識によって達成される生体分子高次構造の分析のための装置及び方法が提供される。さらに、生体内での種の分離量とそれに続くフラッシュフォトリシスをリアルタイムで監視・制御しながら、生体内での高速光酸化によって達成される生体分子の高次構造を分析するための装置と方法が提供される。本発明の装置及び方法は、真核細胞、原核細胞、細菌、細胞内ウイルス、ビリオン、ウイルス様粒子、単細胞生物、真核組織、多細胞生物など、光測定的に半透明または透明な様々な生体内の実施形態に適用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では例示を目的として細胞に言及しているが、そのような言及は制限的なものではなく、そのような言及は本質的に、あらゆる光電的に半透明または透明な生体内の生物体または非生物体に適用可能であることが理解される。
【0032】
本装置及び方法は、一般的なタンパク質生化学、診断学研究、感染症研究、バイオ医薬品の研究及び開発、抗体の研究及び開発、バイオシミラーの開発、治療用抗体の研究及び開発、低分子医薬品の研究及び開発、ならびに他の治療用化合物及び材料の開発のような様々な研究分野に適用することができる。さらに、本装置及び方法は、タンパク質-リガンド相互作用解析、タンパク質-タンパク質相互作用解析、タンパク質-DNA相互作用、タンパク質-RNA相互作用、タンパク質-融合産物解析、タンパク質の立体配座及び立体配座変化の解析、細胞-細胞相互作用、ウイルス-細胞相互作用、低分子薬剤の作用機序解析、バイオ医薬品の作用機序解析、抗体-抗原解析、タンパク質エピトープマッピング、タンパク質パラトープマッピング、化学反応モニタリングなど、さまざまな研究分析に適用できる。
【0033】
本装置は、後続の化学的標識のために細胞を受け取ることができるが、これは、システムの試料導入アセンブリに置かれた適切なマイクロ遠心管またはマイクロプレートに細胞を手動でピペッティングすることによって、段階的に細胞を導入することができる。あるいは、本装置は、他の分離・分析装置-選択的な細胞選別、細胞計数、組織からの細胞分離を行う装置など-と結合され、かつ、他の分離・分析装置から直接細胞を受け取ることができる。
【0034】
本項では、生体内の有効OHラジカル濃度を評価し、最終的に制御するために、内部標準線量計の測光特性を使用する、制御された生体内ラジカル線量計を備えたフラッシュフォトリシス装置の一般的な概要を提供する。さらに、このセクションでは、生体内の実施形態の測光特性を使用して隔離体積を評価し、生体内の実施形態がシステムのフォトリシス領域に到着するようなタイミングでフラッシュフォトリシスシステムの正確なトリガーを制御する本発明の概要を提供する。各サブアセンブリの詳細な説明は、本明細書の別の箇所に記載されている。さらに、典型的な装置の動作を理解するために、これらのサブアセンブリの相互作用を説明する方法を提供する。
【0035】
本発明の様々な実施形態は、
図1に示されているように、フラッシュフォトリシスシステム100を含む。フラッシュフォトリシスシステム100は、生体内ラジカル線量測定を実現するために、試料細胞をリアルタイムで酸化させるように構成されている。生体内の分析物(すなわち、細胞)は、試料導入システム101を介して導入される。懸濁液中の細胞は、小容量のマイクロ遠心分離管を用いて提示することができ、また、エッペンドルフ(ドイツ・ハンブルグ)から容易に入手できるマルチウェルマイクロタイタープレートを用いて提示することもできる。マイクロ流体回路は、細胞の吸引、H
2O
2との混合、シース流装置を用いた細胞の流体力学的集束、フォトリシス及び線量測定領域への輸送、ならびに標識された細胞の輸送及び沈着のために構成される。一部の実施形態では、試料導入システム101は、そのままの生物体をフォトリシス領域(例えば、フォトリシス領域102)に提供するように構成されており、生物体は、集束したシース流の中で互いに分離されている。シース流は、典型的には、生物体を互いに分離するように構成される。例えば、生物体は適切な条件を用いて一定の間隔で互いに分離される。
【0036】
光酸化は、フォトリシス領域102内で起こる。一部の実施形態では、フォトリシス領域102は、Polymicro Technologies-Molex (Phoenix, AZ, USA)から入手可能な溶融シリカ毛細管で構成される。典型的な毛細管の内径は、50マイクロメートルから5ミリメートルの範囲である。一般的な壁の厚さは50~2000マイクロメートルである。一部の実施形態では、光流体チップは、リソグラフィによる湿式化学エッチング、乾式反応性イオンエッチング、レーザーアブレーションによる微細構造化などの様々な技術を用いて製造され、石英基板内にマイクロ流体チャネルを形成する。一部の実施形態では、光流体チップは、プラスチック基板内に流体チャネルをエンボス加工することによって製造され、形成された流体チャネルは、プラスチック基板が取り除かれた領域に光学的に透明な窓を封止することによって作成された光学的に透明なセルに試料を輸送する。例示的なプラスチック基板としては、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー、ポリテトラフルオレン、Kalrez(登録商標)、ポリクロロトリフルオロエチレンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。流体及び光学チャネルの内径は、0.1~5.0mmの範囲であるが、これに限定されない。一部の実施形態では、流体及び光学チャネルは、流体移送、流体混合、流体力学的集束、及び光結合の異なる要件に理想的に適合するように、異なる内径を有することができる。さらに、光流体チップは、一体型光ファイバ、モノリシック導波路、液体コア導波路、または金属酸化物、希土類金属、またはグレーティング構造を用いたエバネッセント導波手段などの光導波構造を含むことができる。別の実施形態では、フォトリシスセルの少なくとも1つの試料接触面が、TiO2などの光触媒金属酸化物でコーティングされている。いくつかの光触媒金属酸化物製剤では、長紫外線(波長>300nm)または可視光を用いてフォトリシスを開始することができる。これらの実施形態では、キャピラリー及び光流体チップは、BK-7またはBorofloat(登録商標)33(Schott AG、ドイツ)などの様々な種類のガラスを使用して、溶融シリカまたは石英の代わりに製造することができる。別の実施形態では、石英またはガラス製の光流体セルは、共振構造を備えており、少なくとも1つの試料接触面上で、懸濁した細胞、H2O2などの溶解した反応物、懸濁した金属酸化物ナノ粒子、または固定化された金属酸化物フィルムとの共振及び/又はマルチパス入射光子の衝突を支援する。
【0037】
フォトリシス領域102は、試料導入システム101からマイクロ流体経路107を介して浮遊細胞を受け取る。処理後、フォトリシス領域102内の光照射された細胞は、ラジカル線量計104に転送される。フォトリシス領域102は、フラッシュフォトリシス光103と光連通する。フラッシュフォトリシス光103は、ヒドロキシラジカルの供給源からフォトリシス領域102内にヒドロキシラジカルを生成するための光を生成するように構成されたフォトリシス光源の一例である。一部の実施形態では、フォトリシス領域102は、生物体を含むシースの流れを受け取り、生体内で生物体の生物学的化合物を酸化させるように線量計内部標準を酸化させるように、フラッシュフォトリシス光103からの光を受け取るように構成される。例えば、アミノ酸からなるペプチドは、フォトリシス領域102で酸化されてもよい。
【0038】
フォトリシス領域102、フラッシュフォトリシス光103及びラジカル線量計104は、フラッシュフォトリシスシステムを構成している。フラッシュフォトリシスシステムは、プラズマフラッシュランプ、またはエキシマレーザ、固体レーザ、レーザダイオードなどの他の適切な光源と、フォトリシス領域への光伝送手段の要件に合わせた関連する集光/伝送光学系とで構成される。
【0039】
ラジカル線量計104は、フォトリシス領域102から流体及び浮遊細胞を受け取るように構成されており、または代替的な実施形態では、ラジカル線量計104は、直交光路を採用することによってフォトリシス領域102に組み込まれる。線量計内部標準の関連する光度特性を監視するために、ラジカル線量計によって様々な光度検出方法が採用されてもよい。一部の実施形態では、線量計内部標準は、生物学的試料にスパイクされる外部添加物であり得る。一部の実施形態では、一旦細胞に取り込まれた生物学的緩衝系の固有の測光特性が、固有の線量計内部標準の役割を果たすことができる。緩衝液に内在する、または内在するとは、内部標準が緩衝特性を提供する化学種の1つであることを意味する。緩衝液は、任意に、細胞を生理的なpHまたはイオン濃度に維持するように構成された生理的に適合する緩衝液である。一部の実施形態では、内部標準は、フォトリシス領域102で受けたフラッシュフォトリシス光の結果、蛍光になるように構成されている。例えば、線量計の内部標準は、様々な実施形態において、ヒドロキシラジカルとの反応により、少なくとも10倍、100倍、または1000倍の係数で蛍光を増加させることができる。
【0040】
光度検出法には、蛍光、吸光度、屈折率検出、光散乱検出、及び発光が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、光度検出法は、UV蛍光または発光を生成するために紫外(UV)光励起源を採用した蛍光検出器を備える。一部の実施形態では、蛍光検出器は、可視蛍光または発光を生成するためにUV励起源を採用する。一部の実施形態では、蛍光検出器は、可視蛍光または発光を生成するために可視励起源を採用する。一部の実施形態では、蛍光検出器はまた、積分光散乱検出器を含む。
【0041】
制御電子機器105は、実験室の交流(AC)電源から得られる直流(DC)駆動電圧を周辺アセンブリに提供する機能、アナログ及びデジタル制御信号を周辺デバイスに提供する;周辺デバイスからアナログまたはデジタル情報を受信する機能、ADC及びデジタル/アナログ変換(DAC)機能を提供する機能、及びデータを機器コントローラ106に提供し、コマンドを機器コントローラ106から受信する機能を提供する。典型的な実施形態では、制御電子機器アセンブリは、試料導入収集システム101内に配置されたモータとインタフェースするモータコントローラからなる。さらに、そのような実施形態の制御電子機器アセンブリは、機器コントローラ106とのデジタル通信のためのユニバーサル・シリアル・バス(USB)ハブを含んでいてもよい。
【0042】
機器コントローラ106は、様々な機器周辺装置に対してプロセス制御を提供する一方で、これらの装置からステータス及びデータ情報をデジタル形式で受信するように機能する。一部の実施形態では、機器コントローラ106は、機器コンポーネント制御のための低レベルのマルチスレッドモジュールと、高レベルのユーザインタフェース(UI)モジュールの2つの主要モジュールを有するソフトウェア制御プログラムを実行する。一部の実施形態では、制御電子機器105は、USBまたは無線インターフェースを介して機器106の高レベルUI制御プログラムと通信しながら、低レベルの機器コンポーネント制御を提供する組み込みマイクロプロセッサを備える。
【0043】
機器コントローラ106、制御電子機器105、及び様々な相互接続が一緒になって、フラッシュフォトリシスシステム100を制御するように構成された制御ロジックを表す。この制御ロジックは、本明細書に開示された方法のいずれかのステップを実行するように構成することができる。例えば、一部の実施形態では、制御ロジックは、各生物体に対してヒドロキシラジカルの目標濃度が生成されたことを決定するように構成される。この目標濃度は、細胞構成要素の酸化反応が所望のレベルの完了に近づくのに十分な酸化剤を有することを保証するために任意に選択される。
【0044】
制御ロジックはさらに、ヒドロキシラジカルの目標濃度を満たすためにフォトリシス領域102内の条件を調整することを含むフィードバックループを管理するように構成されてもよい。フォトリシス領域102内の条件は、例えば、ヒドロキシラジカル源の濃度を変更すること、試料導入システム101内の流量を変更すること、フォトリシス光源103から受ける光の量を変更すること、フォトリシス光源から光を受ける時間を変更すること、分離された細胞の分離距離/体積を変更すること、及び/又は同様のことによって調整されてもよい。フォトリシス領域102の条件を変更することで、制御ロジックは、第1の細胞の分析に基づいて、試料導入システム101及び/又はフォトリシス光源103にフィードバックを与え、第2の細胞の分析を改善することができる。
【0045】
一部の実施形態では、制御ロジックは、線量測定領域210内の内部標準からの蛍光信号に基づいて、細胞からの酸化及び/又は同定されたペプチドの定量を規格化するように構成される。これにより、フラッシュフォトリシスシステム100の異なるインスタンスを用いた異なる実験の結果を比較することができる。
【0046】
制御ロジックは、任意で、フォトリシス領域102内の細胞によってフォトリシス光が受け取られる時間を決定し、及び/又は孤立した複数の細胞がフォトリシス領域102に入る期間を決定するようにさらに構成される。これらの決定は、線量測定領域210における蛍光及び/又は散乱光の検出に基づいてもよく、試料導入システム101における流量及び/又は体積を調節することによって制御してもよい。
【0047】
制御ロジックは、任意で、ラベル付き細胞容器211及び分析装置212への細胞の流れを制御するようにさらに構成される。例えば、制御ロジックは、破裂した細胞が標識細胞容器211の特定の容器から外れるように、または異なる酸化細胞が時間の関数にわたって異なる区画に配置されるように、細胞の流れを制御するように構成されてもよい。一部の実施形態では、制御ロジックは、分析装置212からの分析物信号を使用して、フラッシュフォトリシスシステム100の任意の側面を制御するように構成される。
【0048】
機器コントローラ106及び制御電子機器105は、任意に単一の装置にまとめられる。
【0049】
図2は、
図1のフラッシュフォトリシスシステム100のさらなる詳細を示す図である。 フラッシュフォトリシスシステム100は、細胞の導入、細胞の処理、及び処理済み細胞の収集に使用される。処理される細胞は、緩衝液に懸濁/配置され、容器201に保存される。一部の実施形態では、細胞は、外因性及び/又は内因性ラジカル線量計の内部標準を含む緩衝液とあらかじめ培養されている。この培養により、内部標準が細胞の内部に入り(吸収され)、及び/又は細胞の表面に吸着される。一部の実施形態では、緩衝液は、ラジカル線量計を実行するための内在的な生体内内部標準として本質的に作用する化合物を含む。マイクロプロセッサ(例えば、制御電子機器105及び/又は機器コントローラ106)の制御下で、シリンジポンプ202は、容器201から細胞を吸引し、ミキサー203にポンプで送り込む。部材201~208及び211は、任意の試料導入システム101の一部である。
【0050】
H2O2は、容器204に貯蔵される。マイクロプロセッサの制御下で、シリンジポンプ205は、容器204からH2O2を吸引し、吸引されたH2O2をミキサー203にポンプで送り込む。容器204内のH2O2の水性濃度は、ポンプ202及び205のための所望の正味の流量で、H2O2の有効な所望の最終濃度が達成されるように選択される。例示的なH2O2濃度は、5~200mMの範囲であるが、これに限定されない。ミキサー203の後の例示的な正味の流量は、5~100uL/分の範囲であるが、これに限定されない。H2O2は、ヒドロキシラジカル源の一例であり、試料導入システム101によって細胞(または他の生物体)に加えられる。
【0051】
シース緩衝液は容器206に格納される。マイクロプロセッサの制御下で、シリンジポンプ207は、容器206からシース緩衝液を吸引し、シース緩衝液を流体力学的集束ミキサー208にポンピングする。H2O2と混合された細胞は、ポンプ202及び205の結合されたポンプ作用により、ミキサー203から流体力学的集束ミキサー208へとポンプ搬送される。その後、シース緩衝液は、細胞を流体力学的に集束させるように機能し、それぞれが所定の体積のシース緩衝液によって隔離された細胞の一列の配列を作成する。細胞の単列配列は、ミキサー203からの流れを、流れの直径が細胞の直径と同様になるように収縮させることによって作られる。例示的なシース緩衝液の流量は、20~1000uL/分の範囲であるが、これに限定されるものではない。
【0052】
シリンジポンプ202、205、及び207の組み合わせたポンピングによる一列の細胞分離の後、細胞はフォトリシス領域102に輸送され、そこでフラッシュフォトリシス光103によって照射され得る。フォトリシス領域102を通って流れた後、細胞は、ラジカル線量計104の一部である線量測定領域210にポンピングすることができ、ここで、細胞の光測定特性を測定することができる。線量測定領域210は、例えば、蛍光検出器を用いて内部標準の酸化を検出するように構成される。線量測定領域210は、任意に、光散乱を検出するように構成された検出器を使用して、線量測定領域210内の細胞(または他の生物体)の存在を検出するようにも構成される。この散乱光検出器は、任意に、細胞がそのままであるかどうかを判定するようにも構成される。例えば、散乱光検出器及び関連する機器制御ロジックは、そのままの細胞、破壊された細胞、及び共に付着している細胞を区別するように構成されてもよい。一部の実施形態では、ラジカル線量計104は、線量測定領域210とフォトリシス領域102の両方を含む。線量測定領域210は、フォトリシス領域102を含む。測定される光学的特性は、光学的蛍光及び/又は光学的吸光度を含むことができるが、これらに限定されない。ドジメトリ領域210を出た後、懸濁した細胞は、任意で、標識された細胞容器211にポンピングされ、収集される。用量測定領域210で行われるリアルタイム測定は、所望の量のH2O2生成が起こり、所望の量の生体外または生体内分析物酸化が起こることを保証するために、フォトリシス条件を修正することができるフィードバックループを可能にする。
【0053】
システムの初期運用時には、任意で細胞の光特性のベースライン測定が行われる。ベースライン測定は、フォトリシスを行わずに導入された細胞に対して行われる。ベースライン測定が行われると、フォトリシスが進み、(1つ以上の)光照射された細胞が線量測定領域に入ると、光照射された細胞の測光特性が評価される。一部の実施形態では、標識された細胞容器211は、1つ以上の流体貯蔵区画を含む。例えば、標識細胞容器221は、酸化された生物学的化合物を選択的に配置することができる複数の区画またはウェルを含んでもよい。一部の実施形態では、線量測定領域210で行われた蛍光及び/又は光散乱測定に基づいて、線量測定領域の出力のそれぞれ異なるアリコートがそれぞれ異なる区画に配置される。つの区画では、ベースライン測定プロセス中にシステムを通って流れた非光曝露細胞が収集される。別の区画では、光照射されたそのままの細胞が収集される。別の区画では、そのままであることが判明した細胞が置かれることがある。光照射された細胞(例えば、酸化した細胞)は、動力学研究などの時間ベースの実験を行うために、時間の関数として異なる区画に置かれることがある。区画は、「試料ウェル」、「キャピラリーの長さ」、「チャネル」などであってもよい。
【0054】
標識された細胞容器211から収集された試料は、任意で分析装置212を用いて分析される。分析装置212は、試料の化学分析を行うように構成される。例えば、分析装置212は、フォトリシス領域102で酸化されたペプチド、炭水化物、金属、核酸、脂質、及び/又はアミノ酸を識別するように構成されてもよい。分析装置212は、例えば、質量分析計、シンチレーター、電気泳動装置、クロマトグラフ、及び/又は、放射能、質量、電荷、サイズ、または他の化学的特性に基づいて試料構成要素を分離及び/又は識別するように構成された他の装置を含んでもよい。一部の実施形態では、分析装置212は、細胞または他の生物体内の同位体または放射性同位体標識を検出し、任意に、そのような標識を含む成分が酸化されたかどうかを識別するように構成される。一部の実施形態では、分析装置212は、特定の成分の酸化された/非酸化された濃度の比を測定するように構成される。一部の実施形態では、分析装置212は、標識細胞容器211と連携しており、したがって、リアルタイムで試料を受け取り、分析するように構成されている。例えば、標識細胞容器211は、試料を質量分析計の入力に直接提供するように構成された毛細管を含んでもよい。
【0055】
図3は、本発明の様々な実施形態による、生体内での細胞ラベリングのための方法300を示す。
【0056】
任意の内部標準追加ステップ301では、線量計の内部標準を分析対象の細胞などに追加する。内部標準は、細胞が混合又は添加される緩衝液に内在していてもよい。細胞は、内部標準が細胞の内部に吸収され、及び/又は細胞の表面に吸着される時間を持つように、内部標準と接触した状態でしばらく放置されてもよい。この時間の後、洗浄細胞ステップ302で細胞から内部標準物質を洗浄してもよい。ステップ301及び302は、細胞に吸収または吸着された内部標準物質を残す一方で、周囲の液体には内部標準物質を実質的に残さない。これらの2つのステップは、細胞に結合していない内部標準物質のバックグラウンドを減少させることにより、内部標準物質の測定精度を向上させる。ステップ301は、例えば、細胞が既に線量計の内部標準を含んでいる場合には任意である。
【0057】
導入ステップ303では、試料導入システム101を用いて、1つ以上の第1の細胞をフラッシュフォトリシスシステムに導入する。他で述べたように、導入された細胞は、線量計内部標準を加えたものであってもよい。例えば、細胞は、細胞の表面に吸着するか、あるいは細胞の内部に吸収される内在内部標準を含む緩衝液に入れられていることも考えられ得る。細胞が内部標準を受け取った後、H2O2によって酸化される可能性のある最小限の成分を有する溶液に入れられてもよい。これにより、内部標準物質は細胞と結びつくが、周囲の溶液とは結びつかない。
【0058】
任意の測定ステップ304では、内在的または外在的な線量計内部標準を含む第1の導入された細胞(複数可)を、未照射状態(すなわち、フォトリシスを用いてまだ酸化されていない状態)で測定して、その初期の光計測特性を評価する。この最初の評価は、その後の測光特性の測定値を比較するためのベースライン測定として役立つ。
【0059】
照射ステップ305では、導入された細胞(または複数の細胞)がフォトリシス領域102で照射される。照射された細胞は、第1の導入細胞または第2の導入細胞であり得る。測定ステップ306では、ラジカル線量計104を用いて、照射された細胞(1つ以上)の1つ以上の測光特性が測定される。ステップ306で行われた測定値をステップ304で行われた測定値と比較して、有効なH2O2濃度と、フォトリシスによる生体分子の酸化がどの程度起こったかを決定することができる。線量計内部標準が主に細胞と関連(吸収&吸着)している実施形態では、測定されたフォトリシス誘導酸化は、細胞の生体分子の生体内酸化の定量的な測定を表す。
【0060】
評価ステップ307では、測光特性の測定された変化が、有効なOHラジカル濃度にアクセスするためのサロゲートとして使用され、それによって標的(生体内)生体分子との酸化反応の完全性が評価される。判定ステップ308では、目標OHラジカル濃度が達成されたかどうかが判定される。判定が真である場合、本方法は良好な結果ステップ309に進み、このステップでは、フォトリシス条件が満足のいくものであると考えられ、酸化プロセスが追加の細胞で継続され、
図2に示されるように、後続の照射された細胞が最終的に収集され、分析される。良好な結果のステップ309は、任意に、分析装置212を用いた細胞の分析と、分析装置212からの結果を用いて、細胞の特性、例えば、動力学、三次元タンパク質構造、分子相互作用カイト、及び/又は同様のものを決定することを含む。判定がFALSEである場合、本方法は調整ステップ310に進み、フォトリシスシステムのフルエンス及び/又はH
2O
2濃度を変化させ、
図3の方法を追加の細胞に対して繰り返し、調整されたパラメータから得られるOHラジカル収量の新しいレベルを評価する。一部の実施形態では、方法300はユーザーによって手動で操作される。一部の実施形態では、方法300のすべてまたは一部は、機器コントローラ106または制御電子機器105を用いたマイクロプロセッサ制御の下で自動化される。この方法は、所望のレベルのOHラジカル収量及び/又は生体分子の酸化が達成されるまで繰り返してもよい。測定ステップ304は、方法のすべてのサイクルで実行してもしなくてもよい。
【0061】
本発明の様々な実施形態は、酸化反応の細胞内蛍光インジケータを用いた生体内ラジカル線量測定を含む。蛋白質の高速光化学酸化(FPOP)ヒドロキシラジカル蛋白質フットプリンティング(HRPF)の技術的な限界は、緩衝剤成分、外来の蛋白質、細胞構造、及び初期溶質などの試料中のバックグラウンドまたは非分析物成分とOHラジカルの反応から生じる。バックグラウンドスカベンジングの程度にばらつきがあると、試験と試験の間に再現性がなく、比較研究が制限されている(Niu, B. et al.; Dosimetry determines the initial OH radical concentration in Fast photochemical oxidation of proteins (FPOP); Journal of the American Society for Mass Spectrometry; 2015)。OHラジカルはタンパク質のトポグラフィーの優れたプローブである一方で、分析用製剤に含まれる多くの化合物とも反応する。標的タンパク質とバックグラウンドのスカベンジャーの間には、フリーのOHラジカルに対する競合が存在する。そのため,再現性のある結果を得るためには,標的タンパク質を酸化するのに有効なヒドロキシルラジカルの濃度を測定し,それに応じて総ヒドロキシルラジカル生成量を調整することが望ましい。生体内HRPFでは、細胞内で発生する有効なOHラジカル負荷の変化のみをモニターし、場合によっては特定の細胞小器官内で優先的に発生することで、ラジカル線量測定を任意に行うことができる。
【0062】
光化学では、ラジカル線量計104のようなラジカル線量計を用いて有効ラジカル濃度を測定する。理想的には、線量計は、有効ラジカル濃度と線量計の応答との間の単純な関係、単純で迅速かつ非破壊的な測定手段、及びほとんどのタンパク質に対して非反応性であることを有する。1つのアプローチでは、生体外システムのバックグラウンド消去の評価のためのラジカル線量計の使用は、アデニンの吸光度変化を測定してフリーOHラジカル濃度を決定する方法を含む。この方法には、光照射されたアデニンと関連する分析対象タンパク質を収集するオフラインの方法が含まれており、流れはキャピラリーフォトリシスセルから分岐し、オフラインのUV検出器に導かれる。この方法では、かなりの量(数マイクロリットル)の製品を消費し、試料を輸送してUV吸光度測定を行うのに十分な量を生成するのに多くの時間を必要とする。他にも、FPOPのHRPFプロセスで生体を標識する際に、リアルタイムで生体外ラジカル線量測定を行う方法がある。これらのアプローチでは、線量計内部標準の光学的特性の変化を検出するために、分析物の流れに光度検出法が適用される。特に、アデニンを外因性または内因性の成分として分析試料に添加する線量計内部標準の使用について説明する。さらに、これらのアプローチには、有効OHラジカル濃度及び関連する標識効率の所望のレベルを達成するために標識パラメータをリアルタイムで変更することができる方法、及びH2O2濃度をディザリングすることに加えて、プラズマフラッシュランプ源のフルエンス及び/又はスペクトル放射照度を変化させることによって有効OHラジカル収量を制御することができる方法が含まれる。例えば、特許文献1,2,5を参照のこと。
【0063】
上記のアプローチは、生体外HRPFの再現性を向上させるためにオフライン及びインラインの閉ループラジカル線量測定を行うための生体外の方法を教えているが、生体内HRPFの要件には対応していない。生体内HRPFを効果的に行うためには、各細胞を1回だけ短時間のUV照射で光照射することが好ましく、典型的なパルス幅は10~20,000ナノ秒程度である。さらに、インラインでの生体内ラジカル線量測定が最も有用であるためには、比較測定を可能にするために、単一の細胞または一定量の細胞が一貫してプローブされるような方法で光度測定を行う必要がある。このように、細胞の流れは、各細胞を一列に配列して分離する予測可能な量の分離容積を提供し、各細胞または所定の数の細胞をフォトリシス及び線量測定領域に正確かつ予測可能な時間的送出を可能にする正確な方法で作成されるべきである。また、測定と収集の両方において、照射された細胞と照射されていない細胞を分離することが望ましい。
【0064】
生体内HRPFは、有効な細胞内OHラジカル濃度の評価から大いに恩恵を受ける。したがって、生体内でのラジカル線量測定は、線量計内部標準(内在性または外在性)が細胞内にのみ(または主に)存在し、細胞外液には存在しない場合に有益である。細胞の種類にもよるが、細胞内の体積は10~100nLである。内部標準ラジカル線量計の典型的な使用濃度は、1~10mM程度である。そのため、細胞内の線量計の有効量は10ピコモルから1ナノモルの範囲となり、光計測による検出は困難を極めることになる。このような制約の下では,吸光光度法による検出では,OHラジカルの導入に伴う細胞内ラジカル線量計の吸光度の変化を正確に把握するのに十分な分析感度が得られない可能性が高い。これは、吸光光度法が、入射光による試料の透過光の変化を検出することで機能しているためである。1μM以下の溶質濃度では、入射光の元の強度と比較して、結果的に透過光の光学的変化は測定不能となり、事実上重要ではない。
【0065】
蛍光検出は、吸光検出とは異なり、蛍光検出器への入射が禁止された適切な波長の励起光を用いて蛍光体を照射した場合にのみ検出光が発生するため、暗い背景でのわずかな光の変化を検出する機能を有している。このように、蛍光検出は吸光法に比べて1,000~10,000倍の感度を持っている。10,000倍の感度を持ち、単一細胞のイメージングや光計測に応用されている。内部標準を用いてラジカル線量を測定する場合,理想的な蛍光線量計は,有効ラジカル濃度と蛍光応答の間に単純な関係があること,細胞成分や生体分子の補体に反応しないこと,酸化化学的な攻撃を受けない限り蛍光を発しないこと,などが挙げられる。生体内の線量測定に使用できる蛍光部位について記載された文献は数多く存在するが、これらの化合物の大部分は固有の蛍光性を有している。このような条件下では、本来の蛍光性ラジカル線量計を使用して有効なOHラジカル濃度を検出するには、OHラジカルの攻撃による蛍光の消失を検出することに依存することになる。このように、これらの蛍光プローブは、大きな背景の中で光の強さのわずかな変化を探すことによって検出することになるため、光度計の吸光度に似た限られた感度しか得られない。
【0066】
本発明の様々な実施形態では、内在性または外在性の、細胞内ラジカル線量計内部標準を用いて、発生したOHラジカルの有効濃度を、照射細胞と非照射細胞の蛍光信号の差を比較することによって評価することができる。プロトコル開発時には、線量計の蛍光変化の測定値を生体内HRPFの経験値と比較して、その後の実験における理想的な有効OHラジカル濃度を決定する。線量計の蛍光信号の変化の指標が確立されると、同様の細胞とマイクロ流体条件を用いて行われた後続の実験における線量計の蛍光変化の測定値のばらつきを利用して、バックグラウンド除去の変化を監視することができるようになる。バックグラウンドスキャベンジングが評価されると、
図3に示すように、試行間のばらつきを補正するための補正を適用することができる。いくつかの方法では、バックグランド除去の変化に比例して光照射量を変化させることができる。照射量を増加させて掃気量の増加を補ったり、減少させて掃気量の減少を補ったりすることができる。いくつかの方法では、H
2O
2の濃度は、細胞内除去の変動に対応するために比例して調整することができる。別の方法では、質量分析または等電点収束電気泳動などの他の検出法によって検出された、2つ以上の異なる試行における酸化種の測定された存在量は、前記応答に、異なる試行の蛍光信号変化の比から得られる規格化係数を乗じることによって、実行間で規格化され得る。
【0067】
例示的な外因性蛍光ラジカル線量計の内部標準は、
図4の表400に示されている。
図4に列挙された内部標準は、例示を意図したものであり、範囲を制限するものではなく、他の内部標準は、ここに提示された教示に照らして、当業者にとって明らかになるであろう。
図4に挙げた線量計内部標準は、低い固有の蛍光を示し、酸化的攻撃を受けて蛍光種に変換され、その変換プロセスは、酸化的攻撃の速度論に依存し、その速度論は、酸化的種の収量または濃度に依存する。さらに、これらの内部標準は、細胞懸濁液または培養された細胞株の栄養バッファーに加えられると、当該細胞に容易に取り込まれる。生体内HRPFの前に、細胞は、透析、緩衝液交換、または遠心分離のプロセスによって元の栄養緩衝液から分離され、その後、線量計を含まない緩衝液に再懸濁される。生体内HRPFプロセスでは、細胞はフォトリシスの直前にH
2O
2と混合される。H
2O
2は、細胞に迅速かつ容易に取り込まれ、本明細書のようにUV光を照射すると、OHラジカルにフォトリシスされ、蛍光ラジカル線量計を含む細胞内成分を迅速に攻撃する。酸化されると,
図4に示したラジカル線量計は,図のように適切な励起波長で照射されると鮮やかな蛍光を発するようになり,測定された蛍光の正味の変化は,OHラジカルの有効収率に依存する。各種物性の蛍光発光波長も記載されている。
【0068】
いくつかの生体内HRPF研究では、DNA複製やDNA-mRNA転写を研究する際の核や、細胞のエネルギーや呼吸を研究する際のミトコンドリアなど、細胞小器官の生物学的補完や生物生理学を分析することが望ましい。このような状況下では、前記オルガネラに優先的に区画化する生体内線量計の内部標準を使用することが有用であり、可能となる。そのような生体内線量計の1つが、ThermoFocus社のCellROX(登録商標)Green(米国ThermoFisher社製)がある。CellROX Greenは、真核細胞の核及びミトコンドリアに選択的に局在する。
【0069】
図5に示されるように、一部の実施形態は、生体内HRPFラジカル線量測定のための統合測光蛍光及び光散乱検出器500を含む。
図5は、生体内HRPFラジカル線量測定で使用するための統合測光蛍光及び光散乱検出器500のための重要な光学部品を示している。この統合装置は、少なくとも2つの基本的な機能を提供するが、これらに限定されるものではない。1)細胞内、内部標準、蛍光ラジカル線量計のために蛍光信号を生成及び検出することができるシステムを提供し、2)線量計領域210への生体内生物体の進入を検出し、指定された期間内に線量計領域210に進入する生体内生物体の数を数え、前記生体内生物体のサイズを決定し、線量計領域210内の単一の生体内生物体の滞在時間を決定するシステムを提供する。
【0070】
蛍光検出器の動作理論は以下の通りである。励起光503は、Q-Photonics(Ann Arbor, MI)から入手可能なUV発光ダイオード(LED)、またはThorlabs(Newton, NJ)から入手可能な小型固体レーザーなどの高フラックス、狭いバンド幅のソリッドステートUV源501によって提供される。典型的な出力は0.1~10mWで、典型的な帯域幅は1~15nmだが、これに限定されない。紫外線源501の波長は、採用された生体内標準ラジカル線量計の励起波長に対して適切な選択となるように選択される。集束レンズアセンブリ502は、励起光を線量測定領域210の中心内の1 ~ 20μmのオーダーの狭いビーム廃棄物に集束するために使用され、プローブされた線量測定領域を作成する。励起光は、二色ミラー504によって、生体内生物体を含む可能性のある線量測定領域210に当たるように指示される。二色ミラー504は、励起波長の光を優先的に反射し、同時に、蛍光発光光506のようなより長い波長の光に対しては透明である。蛍光発光光506は、コリメータ507を用いてコリメートされる。コリメート後、発光光は、ノッチフィルタ508によって任意にフィルタリングされ、適切な発光波長の光を選択的に透過させることができる。収集された発光光は、蛍光光だけでなく、細胞の光学面やプローブされた内容物に入射した励起光の後方散乱によって生じた二色ミラー504を透過する少量の元の励起光の両方で構成される場合があるため、ノッチフィルタ508が必要となる場合がある。放出光は、最終的に蛍光/放出光検出器509に当たるように導かれ、蛍光/放出光の強度を測定する役割を果たす。光検出器509は、浜松(日本国浜松市)から入手可能なS1336-8BQシリコンフォトダイオードのようなUV応答性シリコンフォトダイオードで構成されてもよい。あるいは、光検出器509は、浜松市で入手可能なMicro PMT assembly H12400のような小型の光電子増倍管(PMT)で構成されていてもよい。 光検出器509の出力電流は、電流-電圧(I-V)変換器によって処理され、入射した発光光強度506に比例した電圧が得られる。光検出器509の出力電圧は制御電子機器105に伝送され、ここでアナログ・デジタル変換器(ADC)がデジタル信号を作成し、最終的に装置コントローラ106に伝送されて蛍光計算が実行される。
【0071】
光散乱検出器の動作理論は以下の通りである。UV源501からの励起光503は、レンズ502によって集束され、二色ミラー504によって反射されて線量測定領域210に入る。線量測定領域210のプローブ領域内に位置する生体内生物体に入射すると、入射した励起光503は弾性的に散乱される。入射励起波長(nm)と生体内生物体サイズ(μm)とのサイズ差により、散乱光510は、入射励起光に対して直交するように優先的に検出される。散乱光510は、コリメータ511によってコリメートされ、最終的に散乱光検出器512に入射する。所与の励起光強度に対して、散乱光の測定強度は、線量測定領域210のプロービングされたボリューム内に位置する生体内生物体のサイズ及び数に比例する。散乱光の検出は、入射励起光に対して直交する方向で行われているため、生体内生物体が存在しない場合の測定されたバックグランド散乱は、プローブされた体積の内容物の弾性散乱及び非弾性散乱、ならびにラジカル線量計104の光学面からの弾性散乱に起因するものであり、非常に低いバックグランド信号を生成する。
【0072】
散乱光検出器512は、浜松(日本国浜松市)から入手可能なS1336-8BQシリコンフォトダイオードのようなUV応答性シリコンフォトダイオードで構成されていてもよい。あるいは、光検出器は、浜松から入手可能なMicro PMT assembly H12400のような小型光電子増倍管(PMT)で構成されていてもよい。 散乱光検出器512の出力電流は、電流-電圧(I-V)変換器によって処理され、入射散乱光506に比例した電圧が得られる。光検出器509)の出力電圧は制御電子機器105に伝送され、ここでアナログ・デジタル変換器(ADC)がデジタル信号を作成し、最終的に光散乱計算が実行される機器コントローラ106に伝送される。
【0073】
本発明の様々な実施形態は、再現性のある生体内ラジカル線量測定を可能にするために、細胞間隔離量を決定し制御する方法を含む。生体内HRPFラジカル線量測定を効果的に実施するためには、細胞間、細胞内ラジカル線量計応答の違いを表す意味のある比較測定を可能にするために、(複数の)生体内生物体が線量測定領域内に存在するときに、内部標準ラジカル線量計の光度測定を実施する必要がある。
【0074】
図6は、線量測定領域内の生体内生物体の検出をさらに可能にする、本明細書に記載された発明を使用して、細胞間分離体積を決定及び制御する方法600を示す。細胞導入ステップ610では、本明細書の他の箇所に記載されているように、細胞の一列の配列が形成され、ミキサー203に導入され、そこから線量測定領域210に流入する。第1細胞の検出ステップ602では、Scatter光検出器512からの信号を監視して、前記第1細胞の線量測定領域210への到着時間を検出する。線量測定領域内に細胞または他の生体内生物体が進入すると、散乱励起光510の強度は、プローブされた領域内の生体内生物体のサイズ及び数に応じて増加する。第2の細胞を検出するステップ603では、上述のプロセスを用いて、線量測定領域210への第2の細胞の到着時間を検出する。システムの正味の流量は、シリンジポンプ202、シリンジポンプ205、及びシリンジポンプ207のポンピング速度を合計することによって604を計算する。流量は、第1の細胞の検出と細胞の検出との間の時間が十分に長く、2つの細胞が同時に線量測定領域210に存在する確率を低下させるところまで減少させることができる。これにより、一度に1つの細胞の照射及び酸化を可能にする条件である単一細胞の分離が達成される。
【0075】
細胞分離容積を計算するステップ605では、第1の細胞と第2の細胞との間の到着時間差に正味の流量604を乗じることによって、細胞間の分離容積が決定される。経験的に決定された細胞分離体積が、所望の分離体積(これは、分離距離及び分離時間に直接関連する)から±5%(または他の所定の限界)未満の偏差がある場合、システムは、続行ステップ606において、さらなる調整なしに追加の細胞を標識することに進む。進むステップ606は、任意に、
図3に示される方法を含む。任意に、経験的に決定された細胞分離体積が±5%よりも大きく逸脱した場合、シース流シリンジポンプ207のポンプ速度は、調整シース流量ステップ607において、所望の細胞分離目標体積607を達成するために変更され、目標の細胞分離体積が達成されるまで、決定プロセスは608を繰り返す。
【0076】
様々な実施形態は、線量測定領域210内の生体内生物体の存在を検出するシステム及び方法を含む。線量測定領域内の生体内生物体の進入及び退出の検出された時間は、細胞内線量計内部標準ラジカル応答を光計測的に決定するためのデータ取得期間を決定するために使用することができる。線量測定領域210に入ると、生体内生物体は、散乱光検出器512によって検出される散乱光の強度の急激な上昇を引き起こす。同調して、生体内生物体の退出時には、散乱光検出器512によって検出される散乱光の強度が急激に低下する。散乱光強度の上昇と下降の間の時間差は、生体内生物体、例えば細胞の線量測定領域の滞留期間を表す。滞留期間中、発光光検出器509によって検出された光強度値を合計及び/又は積分して、対象となる生体内生物体の正味の線量測定信号を決定する。このアプローチを採用することにより、細胞内及び/又は細胞外の光計測信号から生じる信号を検出することで、光計測による線量測定を行うことができ、一方で、生体内生物体が存在しない領域については、細胞外液から生じる固有のバックグラウンド信号を拒絶することができる。このように、細胞外液のバックグラウンドは、実験的設計により、細胞内液のバックグラウンドよりも実質的に低く、測定は生体内生物体の存在下でのみ行われるため、測定された測光信号の大部分は、細胞内成分に起因するものである。
【0077】
一部の実施形態は、生体内生物体の生存率を決定するためのシステム及び方法を含む。所与の生体内生物体について、散乱光強度は、光度測定評価中に線量測定領域210内に存在する生体内生物体のサイズ及び数に比例する。本明細書に開示された方法を用いて、線量測定領域内の生体内生物体の一定の到着率を効果的に確保する手段が記載されている。このような状況下では、各データ取得期間の生体内生物体の数を常に制御することができ、測定された散乱光の変動が生体内生物体サイズの変化に大きく依存することになる。生体内生物体サイズの変化は、固有の形態的変化に起因することもあれば、細胞/種の形態の人工的な変化を示すこともあり、これは、細胞の破壊、細胞死、または細胞のアポトーシスを示す可能性がある。生体内HRPFの本来の目的は、生存可能な条件下で生体分子補体のHOSを評価することであるため、生存不可能なプロセス及び/又は条件の存在を検出して信号を送ることが望ましいと考えられる。本明細書に記載の本発明の実施形態は、HRPFプロトコルから生じる可能性のある生体内部位への潜在的な害を検出するシステム及び方法を提供し、そのようなものとして、生体内HOS分析を、生存可能で破壊されていない生体内生物体に対して行うことができる手段を提供するものである。例えば、破壊された細胞、または線量測定領域210内に同時に複数の細胞が存在することを、測定された光散乱に基づいて検出することができる。これらの状況下で検出された生物体は、これらの状況下で照射されなかった生物体から分離され、廃棄されてもよい。
【0078】
本発明の様々な実施形態は、フォトリシス領域102への生体内生物体の到着に同期してフラッシュフォトリシス光103を発出するシステム及び方法を含む。生体内HRPFは、理想的には、再現性のある方法で前記(複数の)生物体を確実に照射し、再現性のある細胞内OHラジカル負荷を光触媒的に作成するために、フォトリシス領域内の生体内生物体の存在を決定し、定量することを含む。
【0079】
図7は、フォトリシス領域102への生体内生物体の到着を決定する方法700を示しており、一方で、前記フォトリシス領域への生体内生物体の到着に応じてフラッシュフォトリシス光103を正確に点滅させるシステム及び方法を提供している。細胞導入ステップ701では、本明細書の他の箇所に記載されているように、細胞の一列の配列が形成され、第1細胞がフォトリシス領域102に導入される。検出ステップ702では、散乱光検出器512の出力信号を監視して、前記第1細胞の前記線量測定領域102への到着時間を検出する。線量測定領域102内に細胞または他の生体内生物体が進入すると、プローブされた領域内の生体内生物体のサイズ及び数に応じて、散乱光の強度が増加する。この増加は、散乱光検出器512によって検出される。純流量の決定ステップ703では、システムの純流量は、シリンジポンプ202、シリンジポンプ205、及びシリンジポンプ207のポンプ速度を合計することによって計算される。相互接続容積を決定するステップ704では、マイクロ流体システム設計の直接的な現れとして、フォトリシス領域及び線量測定領域から延びる相互接続容積が決定され、生体内HRPFプロセスの間、一定に保たれる。トランジットタイムの決定ステップ705では、生体内生物体がフォトリシス領域102から線量測定領域210まで移動するのに必要なトランジットタイムを、相互接続容積を正味の流量で割ることによって計算する。フォトリシス領域到着時間の決定ステップ706において、フォトリシス領域到着時間は、用量測定領域到着時間とフォトリシス領域から用量測定領域への通過時間の差を決定することによって計算される。トリガーステップ707では、後続の細胞または生体内生物体について、フォトリシスシステムをトリガーして、決定されたフォトリシス領域到着時間またはその後の一貫した間隔でフラッシュさせる。処理継続ステップ708では、処理が進み、目標数の細胞が処理されるまで、追加の標識細胞が標識細胞容器211内に堆積される。
【0080】
本明細書の教示では、光散乱光検出器512及び蛍光/発光光検出器509から生じる検出信号の特定の有用性を説明しているが、前述の検出器は、複数の説明されていない組み合わせまたは手段によって、線量測定領域210への生体内生物体の到達を検出する目的で、またはフォトリシス領域102への生体内生物体の到達を予測する目的で使用され得ることは、当業者には明らかであろう。例えば、蛍光/発光光検出器509で生成された信号は、線量測定領域内の生体内生物体の存在を検出するための全体的な感度を向上させるために、光散乱光検出器512からの信号と時間的なコヒーレンスで合計され得る。このように、本明細書に記載された方法は、例示的なものであり、範囲を制限するものではないことを意図している。
【0081】
本発明の様々な実施形態は、閉ループ制御ラジカル線量測定システムを較正するシステム及び方法を含む。これらの実施形態では、閉ループ制御ラジカル線量測定システムは、測定されたラジカル線量計の測光蛍光変化に応答して、必要な光フルエンスまたは過酸化水素濃度の変化を予測するために使用される較正ロジックを備える。較正関数は、既知のまたは制御混合物である支持緩衝液、生体内生物体、及びラジカル線量計を、様々なフルエンスまたはH2O2濃度レベルで、それぞれの異なる制御アリコートに対して単一のフラッシュ光で処理する複数の測定を通じて経験的に決定される。例示的な実施形態では、低レベル機器制御または高レベルユーザインタフェースプログラム(例えば、制御電子機器105及び/又は機器コントローラ106)のいずれかで実行されるソフトウェアルーチンが、各フルエンスまたはH2O2濃度での線量計測光蛍光の測定変化を記述するルックアップテーブルまたはカーブフィットを生成し、1回のフラッシュ照射に対する印加フルエンス及び/又はH2O2濃度と測定された線量計蛍光変化との間の関係を記述する数学的式、または較正関数の作成を可能にする。別の実施形態では、ルックアップテーブルとそれに続くキャリブレーション関数は、各フラッシュ電圧値及び/又はH2O2濃度の蛍光変化値を用いて、ユーザーによって手動で生成される。
【0082】
生体内HRPF処理の際に、バックグラウンドのヒドロキシルラジカル消去量を線量計で評価する。線量計の測光蛍光の測定された変化は、ユーザー指定の目標変化と比較される。線量計の測定値が目標値から±10%以上乖離した場合、適用されるフルエンスまたはH2O2濃度を変更して、線量計の測定吸光度の目標変化を達成する。上記の校正機能は、必要なフルエンスまたはH2O2濃度の変化を予測するために使用される。
【0083】
本発明の様々な実施形態は、標識された生成物のアバンダンスの分析後の正規化を含む。これらの実施形態では、スペクトル照射量及び/又はH2O2濃度は、OHラジカルのバックグラウンド掃気における望ましくない変化を調整するために変更され、そのようなものとして、補正の前分析またはデータ前処理法を表している。また、取得したHRPFデータに対して、分析後またはデータ処理後にスキャベンジング補正を行うことも可能である。分析後の補正では、質量分析や等電点電気泳動などの他の検出方式で検出された実験的な試験の酸化種の存在量の測定値に、実験的な試験と基準的な試験との間で決定された線量計の蛍光変化の比率から得られた正規化係数を乗じることで、前記応答を正規化する。具体的には、正規化係数は、実験試験の線量計蛍光変化の測定値を基準試験の線量計蛍光変化の測定値で割った比率である。あるいは、正規化係数は、参照試行の線量計蛍光変化量の測定値を実験試行で割った比率からなることもできる。このようにして、例えば、所定のタンパク質の質量分析(MS)測定またはペプチドのシングルMSまたはタンデムMS測定のイオン電流は、前記イオン電流値に決定された正規化係数を乗じることによって調整することができる。分析前及び分析後の正規化スキームの適用は、相互に排他的なものではなく、代替的にまたはタンデムに採用して、他の方法で達成可能なよりも高いレベルの補償を実現することができる。一実施形態では、分析前のスキャベンジング補正の制御下で実施された生体内HRPF実験から得られたデータに、分析後の正規化が適用される。
【0084】
ヒドロキシルラジカルタンパク質フットプリンティングのための生体内ラジカル線量測定システムが開示されている。しかし、当業者には、本明細書の発明概念から逸脱することなく、既に説明したもの以外にも多くの変更が可能であることが明らかになるはずである。したがって、本発明の主題は、開示の精神に基づいている場合を除き、制限されるべきではない。さらに、本開示を解釈する際には、すべての用語は、文脈と一致する可能な限り広い方法で解釈されるべきである。特に、「有する」及び「備える」という用語は、非排他的な方法で要素、構成要素、またはステップを参照していると解釈すべきであり、参照された要素、構成要素、またはステップが提示されたり、利用されたり、明示的に参照されていない他の要素、構成要素、またはステップと組み合わされてもよいことを示している。
【0085】
本明細書では、本発明の様々な実施形態を説明するために生物学的細胞が使用されているが、代替的な実施形態では、任意の例または請求項において、「細胞」は、非生物体、生物体、ウイルス、多細胞生物(例えば、真菌、胞子、ナノビー、カビ、藻類、線虫、アメーバ、原生動物、Trichoplax adhaerensまたは酵母)または非生物学的材料などの他の生物体によって置き換えられてもよい。
【0086】
一般的な構造及び技術、ならびにより一般的な目標を遂行するさまざまな方法を実現するために使用することができるより具体的な実施形態を本明細書で説明する。上記では一部の実施形態のみを詳細に開示したが、他の実施形態も可能であり、本発明者はこれらを本明細書内に包含することを意図している。本明細書では、別の方法で達成することができるより一般的な目標を達成するための具体的な例を説明している。本開示は例示を意図したものであり、特許請求の範囲は、当技術分野における通常の技能を有する者にとって予測可能な任意の修正型または代替型を網羅することを意図している。
【0087】
本明細書で議論される論理は、非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された電子回路、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができる。
【0088】
また、本発明者らは、「手段」という言葉を使用している請求項のみが、35 USC 112の6段落に基づいて解釈されることを意図している。さらに、本明細書からのいかなる制限も、それらの制限が請求項に明示的に含まれていない限り、いかなる請求項にも読み込まれることを意図していない。本明細書に記載されているコンピュータは、汎用のコンピュータでも、ワークステーションや実験室や製造装置などの何らかの特定目的のコンピュータでも、どのような種類のコンピュータであってもよい。コンピュータは、Windows 10、8、7、またはLinuxを実行する、Intel(PentiumまたはCore 2 duo、i3など)またはAMDベースのコンピュータであってもよく、あるいは、Macintoshコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、Android、Windows Mobile、iOSなどを含む任意の利用可能なオペレーティングシステムを実行する、PDA、携帯電話、タブレット、またはラップトップなどのハンドヘルドコンピュータであってもよい。
【0089】
著作権表示。37 C.F.R. 1.71(e)に従い、出願人は本開示の一部に著作権保護の対象となる資料が含まれていることに留意する(例えば、ソースコードリスト、スクリーンショット、ユーザーインターフェース、ユーザーインストラクション、または本提出物のその他の側面で、いずれかの管轄区域において著作権保護が得られる、または得られる可能性があるもの)。著作権所有者は、特許商標庁の特許ファイルまたは記録に記載されている特許文書または特許開示を誰もがファクシミリで複製することに異議を唱えない。その他のすべての権利は留保されており、本願またはその一部の複製、配布、内容に基づく二次的著作物の作成、公共の場での表示、及び公共の場での演奏は、適用される著作権法により禁止されている。
【国際調査報告】