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特表2022-525843抗BAG2抗体を用いて癌を診断するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(54)【発明の名称】抗BAG2抗体を用いて癌を診断するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/18 20060101AFI20220513BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20220513BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20220513BHJP
【FI】
C07K16/18 ZNA
G01N33/574 A
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547308
(86)(22)【出願日】2020-02-12
(85)【翻訳文提出日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 IB2020051139
(87)【国際公開番号】W WO2020165797
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】10-2019-0016347
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0016359
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521355289
【氏名又は名称】メドパクト,インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521353908
【氏名又は名称】ヨンセイ ユニバーシティ メディカル カリッジ,カンナム セバランス ホスピタル,デパートメント オブ サージェリー
(71)【出願人】
【識別番号】521353919
【氏名又は名称】ソンキュンクヮン ユニバーシティ,デパートメント オブ バイオロジカル サイエンシズ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】キム,セオン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,キュン-ミン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン,ジューン
(72)【発明者】
【氏名】アン,サン グウェ
(72)【発明者】
【氏名】パーク,セオク ヒー
(72)【発明者】
【氏名】カン,ドン ウー
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA28
(57)【要約】
本出願は、癌を診断することにおける使用のための組成物を開示し、この組成物は、BAG2ポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
BAG2ポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、癌を診断することにおける使用のための組成物。
【請求項2】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、
SEQ ID NO:33のアミノ酸配列からなる相補性決定領域(VH-CDR)1と、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列からなるVH-CDR2と、SEQ ID NO:45のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:51のアミノ酸配列からなる相補性決定領域(VL-CDR)1と、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列からなるVL-CDR2と、SEQ ID NO:63のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域、
SEQ ID NO:34のアミノ酸配列からなるVH-CDR1と、SEQ ID NO:40のアミノ酸配列からなるVH-CDR2と、SEQ ID NO:46のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:52のアミノ酸配列からなるVL-CDR1と、SEQ ID NO:58のアミノ酸配列からなるVL-CDR2と、SEQ ID NO:64のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域、
SEQ ID NO:35のアミノ酸配列からなるVH-CDR1と、SEQ ID NO:41のアミノ酸配列からなるVH-CDR2と、SEQ ID NO:47のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:53のアミノ酸配列からなるVL-CDR1と、SEQ ID NO:59のアミノ酸配列からなるVL-CDR2と、SEQ ID NO:65のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域、
SEQ ID NO:36のアミノ酸配列からなるVH-CDR1と、SEQ ID NO:42のアミノ酸配列からなるVH-CDR2と、SEQ ID NO:48のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:54のアミノ酸配列からなるVL-CDR1と、SEQ ID NO:60のアミノ酸配列からなるVL-CDR2と、SEQ ID NO:66のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域、
SEQ ID NO:37のアミノ酸配列からなるVH-CDR1と、SEQ ID NO:43のアミノ酸配列からなるVH-CDR2と、SEQ ID NO:49のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:55のアミノ酸配列からなるVL-CDR1と、SEQ ID NO:61のアミノ酸配列からなるVL-CDR2と、SEQ ID NO:67のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域、およびSEQ ID NO:38のアミノ酸配列からなるVH-CDR1と、SEQ ID NO:44のアミノ酸配列からなるVH-CDR2と、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:56のアミノ酸配列からなるVL-CDR1と、SEQ ID NO:62のアミノ酸配列からなるVL-CDR2と、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、
SEQ ID NO:21~26から選択される任意の1種のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と;
SEQ ID NO:27~32から選択される任意の1種のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、
SEQ ID NO:33のアミノ酸配列からなるVH-CDR1、6番目のXaaおよび7番目のXaaがそれぞれGlyであるSEQ ID NO:39のアミノ酸配列からなるVH-CDR2、およびSEQ ID NO:45のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域とSEQ ID NO:51のアミノ酸配列からなるVL-CDR1、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列からなるVL-CDR2、およびSEQ ID NO:63のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合フラグメント;ならびに
SEQ ID NO:38のアミノ酸配列からなるVH-CDR1、SEQ ID NO:44のアミノ酸配列からなるVH-CDR2、およびSEQ ID NO:50のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:56のアミノ酸配列からなるVL-CDR1、SEQ ID NO:62のアミノ酸配列からなるVL-CDR2、およびSEQ ID NO:68のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合フラグメント、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、
2番目のXaaがTyrであるSEQ ID NO:35のアミノ酸配列からなるVH-CDR1、8番目のXaaがSerであるSEQ ID NO:41のアミノ酸配列からなるVH-CDR2、および12番目のXaaがHisであるSEQ ID NO:47のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域と3番目のXaaがMetであるSEQ ID NO:53のアミノ酸配列からなるVL-CDR1、2番目のXaaがAlaであるSEQ ID NO:59のアミノ酸配列からなるVL-CDR2、およびSEQ ID NO:65のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合フラグメント;ならびに
SEQ ID NO:37のアミノ酸配列からなるVH-CDR1、SEQ ID NO:43のアミノ酸配列からなるVH-CDR2、およびSEQ ID NO:49のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:55のアミノ酸配列からなるVL-CDR1、SEQ ID NO:61のアミノ酸配列からなるVL-CDR2、およびSEQ ID NO:67のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合フラグメント、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、
SEQ ID NO:33のアミノ酸配列からなるVH-CDR1、6番目のXaaおよび7番目のXaaがそれぞれAlaおよびGlyであるSEQ ID NO:39のアミノ酸配列からなるVH-CDR2、ならびにSEQ ID NO:45のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域とSEQ ID NO:51のアミノ酸配列からなるVL-CDR1、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列からなるVL-CDR2、およびSEQ ID NO:63のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合フラグメント;ならびに
SEQ ID NO:37のアミノ酸配列からなるVH-CDR1、SEQ ID NO:43のアミノ酸配列からなるVH-CDR2、およびSEQ ID NO:49のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:55のアミノ酸配列からなるVL-CDR1、SEQ ID NO:61のアミノ酸配列からなるVL-CDR2、およびSEQ ID NO:67のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合フラグメント、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、
SEQ ID NO:36のアミノ酸配列からなるVH-CDR1、SEQ ID NO:44のアミノ酸配列からなるVH-CDR2、およびSEQ ID NO:50のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:56のアミノ酸配列からなるVL-CDR1、SEQ ID NO:62のアミノ酸配列からなるVL-CDR2、およびSEQ ID NO:68のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合フラグメント;ならびに
SEQ ID NO:37のアミノ酸配列からなるVH-CDR1、SEQ ID NO:43のアミノ酸配列からなるVH-CDR2、およびSEQ ID NO:49のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:55のアミノ酸配列からなるVL-CDR1、SEQ ID NO:61のアミノ酸配列からなるVL-CDR2、およびSEQ ID NO:67のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合フラグメント、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、モノクローナル抗体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、検出可能な標識、または検出可能なシグナルを発することができる標識で標識される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、アクセッション番号KCTC 13737BP、KCTC 137388P、KCTC 137398P、KCTC 13740BP、KCTC 13741BP、KCTC 13742BP、KCTC 13743BP、KCTC 13744BP、KCTC 13745BPおよびKCTC 13746BPで寄託されたハイブリドーマ細胞から選択されるハイブリドーマ細胞により生成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記癌が、例えば、乳癌、大腸癌、頭頸部癌、結腸癌、皮膚癌、膵臓癌、肺癌、胃癌、前立腺癌、膀胱癌、尿道癌、肝臓癌、腎臓癌、淡明細胞肉腫、黒色腫、脳脊髄腫瘍、脳癌、胸腺、中皮腫、食道癌、胆管癌、精巣癌、胚細胞腫瘍、甲状腺癌、副甲状腺癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、リンパ腫、骨髄異形成症候群(MOS)、骨髄線維症、急性白血病、慢性白血病、多発性骨髄腫、ホジキン病、内分泌癌、および肉腫から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物を含む、癌を診断することにおける使用のためのキット。
【請求項13】
対象の癌を診断するために用いられる情報を提供する方法であって、前記対象から単離された試料をBAG2ポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させること、および前記BAG2ポリペプチドまたはそのフラグメントと前記抗体またはその抗原結合フラグメントの形成された複合体を測定すること、を含む、方法。
【請求項14】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、
SEQ ID NO:33のアミノ酸配列からなる相補性決定領域(VH-CDR)1と、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列からなるVH-CDR2と、SEQ ID NO:45のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:51のアミノ酸配列からなる相補性決定領域(VL-CDR)1と、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列からなるVL-CDR2と、SEQ ID NO:63のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域、
SEQ ID NO:34のアミノ酸配列からなるVH-CDR1と、SEQ ID NO:40のアミノ酸配列からなるVH-CDR2と、SEQ ID NO:46のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:52のアミノ酸配列からなるVL-CDR1と、SEQ ID NO:58のアミノ酸配列からなるVL-CDR2と、SEQ ID NO:64のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域、
SEQ ID NO:35のアミノ酸配列からなるVH-CDR1と、SEQ ID NO:41のアミノ酸配列からなるVH-CDR2と、SEQ ID NO:47のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:53のアミノ酸配列からなるVL-CDR1と、SEQ ID NO:59のアミノ酸配列からなるVL-CDR2と、SEQ ID NO:65のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域、
SEQ ID NO:36のアミノ酸配列からなるVH-CDR1と、SEQ ID NO:42のアミノ酸配列からなるVH-CDR2と、SEQ ID NO:48のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:54のアミノ酸配列からなるVL-CDR1と、SEQ ID NO:60のアミノ酸配列からなるVL-CDR2と、SEQ ID NO:66のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域、
SEQ ID NO:37のアミノ酸配列からなるVH-CDR1と、SEQ ID NO:43のアミノ酸配列からなるVH-CDR2と、SEQ ID NO:49のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域、および
SEQ ID NO:55のアミノ酸配列からなるVL-CDR1と、SEQ ID NO:61のアミノ酸配列からなるVL-CDR2と、SEQ ID NO:67のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域、ならびに
SEQ ID NO:38のアミノ酸配列からなるVH-CDR1と、SEQ ID NO:44のアミノ酸配列からなるVH-CDR2と、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:56のアミノ酸配列からなるVL-CDR1と、SEQ ID NO:62のアミノ酸配列からなるVL-CDR2と、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記試料が、生物学的試料である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記生物学的試料が、細胞、臓器、細胞溶解物、全血、血液、血清、血漿、リンパ液、細胞外液、体液、尿、糞便、組織、骨髄、唾液、痰、脊髄液、またはそれらの組み合わせである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記癌が、乳癌、大腸癌、頭頸部癌、結腸癌、皮膚癌、膵臓癌、肺癌、胃癌、前立腺癌、膀胱癌、尿道癌、肝臓癌、腎臓癌、淡明細胞肉腫、黒色腫、脳脊髄腫瘍、脳癌、胸腺、中皮腫、食道癌、胆管癌、精巣癌、胚細胞腫瘍、甲状腺癌、副甲状腺癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、リンパ腫、骨髄異形成症候群、骨髄線維症、急性白血病、慢性白血病、多発性骨髄腫、ホジキン病、内分泌癌、および肉腫から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記情報が、前記対象において測定された前記BAG2のレベルが陰性対照群で測定されたBAG2より高い、それと同じであるまたはより低いかどうかについてである、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
個体における癌の存在を検出するための方法であって、
前記個体から単離された生物学的試料をBAG2ポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させること、および
前記BAG2ポリペプチドまたはそのフラグメントと前記抗体またはその抗原結合フラグメントの形成された複合体を測定することであって、前記試料中で測定された前記BAG2が陰性対照群で測定されたBAG2のレベルより高ければ癌の存在が検出される、測定すること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本開示は、BAG2ポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、癌を診断することにおける使用のための組成物、および癌を診断するために用いられる情報を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2.一般的背景および最新技術
コシャペロンBcl-2関連アタノジーン(BAG)タンパク質ファミリーは、細胞内タンパク質フォールディング、ストレス応答、神経細胞分化、アポトーシス、および細胞増殖を含む種々の生理学的プロセスを媒介し、様々な協調的タンパク質に機能的に結合する。抗アポトーシス活性を有するBAGドメインファミリーのメンバーの1種であるBAG2は、シャペロン関連ユビキチンリガーゼであるHsc70相互作用タンパク質のC-末端(CHIP)の負の調節因子である。CHIP活性の阻害を通したタンパク質調節におけるBAG2の主な役割は、PINK1およびCFTRなどのシャペロンに関係するタンパク質の安定化を通して神経変性疾患および常染色体劣性遺伝疾患に関連する。BAG2の発現がプロテアソーム阻害剤に誘導されたアポトーシスを増加させ、甲状腺癌細胞がプロテアソーム阻害剤MG132に暴露されるとBAG2ノックダウンがアポトーシスを部分的に阻害する、というように、BAG2がアポトーシス促進活性を有することが報告されている。様々な変異体K-Rasに誘導された腫瘍において、BAG2の過剰発現が強力な腫瘍遺伝子であるSTK33タンパク質の安定化を促進し、これにより腫瘍の発達を促進することも、報告されている。しかし、これらの知見にもかかわらず、癌の進行および転移におけるBAG2の役割は、明確には知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、BAG2ポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合する抗体を用いて癌を診断するための組成物および方法を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本発明のこれらおよび他の目的は、本発明の以下の記載、それに付属の参照図面および添付の特許請求の範囲からより完全に理解されよう。
【0005】
一態様は、BAG2ポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、癌を診断することにおける使用のための組成物を提供する。
【0006】
別の態様は、この組成物を含む、癌を診断することにおける使用のためのキットを提供する。
【0007】
別の態様は、癌を診断するために用いられる情報を提供する方法を提供する。
【0008】
追加の態様は、一部は以下の記載に表され、一部は以下の記載から明白となるか、または本開示で提示された実施形態の実践により学習され得る。
【0009】
一態様は、BAG2ポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、癌を診断することにおける使用のための組成物を提供する。
【0010】
BAG2ポリペプチドは、哺乳動物に由来してもよい。哺乳動物は、ヒト(ホモ・サピエンス)、マウス(ハツカネズミ)、サル、ウシ、またはウマであってもよい。BAG2は、SEQ ID NO:69のアミノ酸配列を含んでいてもよい。SEQ ID NO:69のアミノ酸配列は、NCBI参照SEQ ID NO:NM_004282.4に対応する配列である。BAG2タンパク質は、SEQ ID NO:69のアミノ酸配列と生物学的に同等の活性を有する変異体を含むが、それらのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:69のアミノ酸配列と一致しない。BAG2ポリペプチドは、SEQ ID NO:69の配列に対して少なくとも60%、例えば少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。BAG2タンパク質は、少なくとも1つのアミノ酸残基、少なくとも2つのアミノ酸残基、少なくとも3つのアミノ酸残基、少なくとも4つのアミノ酸残基、少なくとも5つのアミノ酸残基、少なくとも6つのアミノ酸残基、または少なくとも7つのアミノ酸残基以外は、SEQ ID NO:69と同じ配列を有するポリペプチドであってもよい。本明細書において、「ポリペプチド」は、「タンパク質」と互換的に用いられてもよい。
【0011】
抗体は、抗原性部位に対する特異的免疫グロブリンを指す。抗体は、BAG2ポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合するポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせを指す。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、または組換え抗体、例えばScFvフラグメント、ダイアボディ、一本鎖抗体および同様のものを包含し、全ての免疫グロブリン抗体を包含する。抗体は、2つの完全長軽鎖および2つの完全長重鎖を有する抗体の完全形態を包含してもよく、かつ2つの軽鎖および2つの重鎖を有する完全形態のインタクト抗体の構造が存在しないにもかかわらず、特異的抗原結合部位、即ち結合ドメインを有することの包含により、抗原結合機能を保持する抗体分子の機能的フラグメントを含んでいてもよい。
【0012】
抗原結合フラグメントは、免疫グロブリンの全構造のフラグメントであり、それに抗原が結合できる部分を含むポリペプチドの部分を指す。例えば、抗原結合フラグメントは、scFv、(scFv)2、Fv、Fab、Fab’、FvF(ab’)2、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0013】
5種の重鎖γ、δ、α、μおよびεが存在し、重鎖は、抗体の型を決定してもよい。αおよびγはそれぞれ、450のアミノ酸を含み、μおよびεはそれぞれ、550のアミノ酸を含む。重鎖は、2つの領域、即ち、可変領域および定常領域を有する。
【0014】
2種の軽鎖カッパおよびラムダが存在し、約211のアミノ酸~約217のアミノ酸を含んでいてもよい。軽鎖は、定常領域および可変領域を有していてもよい。
【0015】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列からなる相補性決定領域(VH-CDR)1と、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列からなるVH-CDR2と、SEQ ID NO:45のアミノ酸配列からなるVH-CDR3とを含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:51のアミノ酸配列からなる相補性決定領域(VL-CDR)1と、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列からなるVL-CDR2と、SEQ ID NO:63のアミノ酸配列からなるVL-CDR3とを含む軽鎖可変領域;
【0016】
SEQ ID NO:34のアミノ酸配列からなるVH-CDR1と、SEQ ID NO:40のアミノ酸配列からなるVH-CDR2と、SEQ ID NO:46のアミノ酸配列からなるVH-CDR3とを含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:52のアミノ酸配列からなるVL-CDR1と、SEQ ID NO:58のアミノ酸配列からなるVL-CDR2と、SEQ ID NO:64のアミノ酸配列からなるVL-CDR3とを含む軽鎖可変領域;
【0017】
SEQ ID NO:35のアミノ酸配列からなるVH-CDR1と、SEQ ID NO:41のアミノ酸配列からなるVH-CDR2と、SEQ ID NO:47のアミノ酸配列からなるVH-CDR3とを含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:53のアミノ酸配列からなるVL-CDR1と、SEQ ID NO:59のアミノ酸配列からなるVL-CDR2と、SEQ ID NO:65のアミノ酸配列からなるVL-CDR3とを含む軽鎖可変領域;
【0018】
SEQ ID NO:36のアミノ酸配列からなるVH-CDR1と、SEQ ID NO:42のアミノ酸配列からなるVH-CDR2と、SEQ ID NO:48のアミノ酸配列からなるVH-CDR3とを含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:54のアミノ酸配列からなるVL-CDR1と、SEQ ID NO:60のアミノ酸配列からなるVL-CDR2と、SEQ ID NO:66のアミノ酸配列からなるVL-CDR3とを含む軽鎖可変領域;
【0019】
SEQ ID NO:37のアミノ酸配列からなるVH-CDR1と、SEQ ID NO:43のアミノ酸配列からなるVH-CDR2と、SEQ ID NO:49のアミノ酸配列からなるVH-CDR3とを含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:55のアミノ酸配列からなるVL-CDR1と、SEQ ID NO:61のアミノ酸配列からなるVL-CDR2と、SEQ ID NO:67のアミノ酸配列からなるVL-CDR3とを含む軽鎖可変領域;および
【0020】
SEQ ID NO:38のアミノ酸配列からなるVH-CDR1と、SEQ ID NO:44のアミノ酸配列からなるVH-CDR2と、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列からなるVH-CDR3とを含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:56のアミノ酸配列からなるVL-CDR1と、SEQ ID NO:62のアミノ酸配列からなるVL-CDR2と、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列からなるVL-CDR3とを含む軽鎖可変領域;またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0021】
SEQ ID NO:39中の6番目および7番目のXaaは、グリシン(Gly)またはアラニン(Ala)であってもよい。SEQ ID NO:35中の2番目のXaaは、チロシン(Tyr)またはヒスチジン(His)であってもよい。SEQ ID NO:41中の8番目のXaaは、セリン(Ser)またはトレオニン(Thr)であってもよい。SEQ ID NO:47中の12番目のXaaは、チロシン(Tyr)またはヒスチジン(His)であってもよい。SEQ ID NO:53中の3番目のXaaは、メチオニン(Met)またはイソロイシン(lie)であってもよい。SEQ ID NO:59中の2番目のXaaは、AlaまたはSerであってもよい。
【0022】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列からなるVH-CDR1、6番目および7番目のXaaがGlyであるSEQ ID NO:39のアミノ酸配列からなるVH-CDR2、およびSEQ ID NO:45のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:51のアミノ酸配列からなるVL-CDR1、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列からなるVL-CDR2、およびSEQ ID NO:63のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体もしくはその抗原結合フラグメント;または
【0023】
SEQ ID NO:38のアミノ酸配列からなるVH-CDR1、SEQ ID NO:44のアミノ酸配列からなるVH-CDR2、およびSEQ ID NO:50のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:56のアミノ酸配列からなるVL-CDR1、SEQ ID NO:62のアミノ酸配列からなるVL-CDR2、およびSEQ ID NO:68のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、であってもよい。
【0024】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、2番目のXaaがTyrであるSEQ ID NO:35のアミノ酸配列からなるVH-CDR1、8番目のXaaがSerであるSEQ ID NO:41のアミノ酸配列からなるVH-CDR2、および12番目のXaaがHisであるSEQ ID NO:47のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域と、3番目のXaaがMetであるSEQ ID NO:53のアミノ酸配列からなるVL-CDR1、2番目のXaaがAlaであるSEQ ID NO:59のアミノ酸配列からなるVL-CDR2、およびSEQ ID NO:65のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体もしくはその抗原結合フラグメント;またはSEQ ID NO:37のアミノ酸配列からなるVH-CDR1、SEQ ID NO:43のアミノ酸配列からなるVH-CDR2、およびSEQ ID NO:49のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:55のアミノ酸配列からなるVL-CDR1、SEQ ID NO:61のアミノ酸配列からなるVL-CDR2、およびSEQ ID NO:67のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体もしくはその抗原結合フラグメントであってもよい。
【0025】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列からなるVH-CDR1、6番目のXaaおよび7番目のXaaがそれぞれAlaおよびGlyであるSEQ ID NO:39のアミノ酸配列からなるVH-CDR2、ならびにSEQ ID NO:45のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:51のアミノ酸配列からなるVL-CDR1、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列からなるVL-CDR2、およびSEQ ID NO:63のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体もしくはその抗原結合フラグメント;またはSEQ ID NO:37のアミノ酸配列からなるVH-CDR1、SEQ ID NO:43のアミノ酸配列からなるVH-CDR2、およびSEQ ID NO:49のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:55のアミノ酸配列からなるVL-CDR1、SEQ ID NO:61のアミノ酸配列からなるVL-CDR2、およびSEQ ID NO:67のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体もしくはその抗原結合フラグメントであってもよい。
【0026】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:36のアミノ酸配列からなるVH-CDR1、SEQ ID NO:44のアミノ酸配列からなるVH-CDR2、およびSEQ ID NO:50のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:56のアミノ酸配列からなるVL-CDR1、SEQ ID NO:62のアミノ酸配列からなるVL-CDR2、およびSEQ ID NO:68のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体もしくはその抗原結合フラグメント;またはSEQ ID NO:37のアミノ酸配列からなるVH-CDR1、SEQ ID NO:43のアミノ酸配列からなるVH-CDR2、およびSEQ ID NO:49のアミノ酸配列からなるVH-CDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:55のアミノ酸配列からなるVL-CDR1、SEQ ID NO:61のアミノ酸配列からなるVL-CDR2、およびSEQ ID NO:67のアミノ酸配列からなるVL-CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む、抗体もしくはその抗原結合フラグメントであってもよい。
【0027】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:21~26から選択される任意の1種のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;SEQ ID NO:27~32から選択される任意の1種のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;またはその重鎖可変領域およびその軽鎖可変領域を含んでいてもよい。
【0028】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:21の重鎖可変領域およびSEQ ID NO:27の軽鎖可変領域;SEQ ID NO:22の重鎖可変領域およびSEQ ID NO:28の軽鎖可変領域;SEQ ID NO:23の重鎖可変領域およびSEQ ID NO:29の軽鎖可変領域;SEQ ID NO:24の重鎖可変領域およびSEQ ID NO:30の軽鎖可変領域;SEQ ID NO:25の重鎖可変領域およびSEQ ID NO:31の軽鎖可変領域;もしくはSEQ ID NO:26の重鎖可変領域およびSEQ ID NO:32の軽鎖可変領域;またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0029】
SEQ ID NO:21中の56番目および57番目のXaaは、GlyまたはAlaであってもよい。SEQ ID NO:23において、1番目のXaaは、グルタミン(Gin)またはグルタミン酸(Glu)であってもよく、7番目のXaaは、Serまたはプロリン(praline)(Pro)であってもよく、12番目のXaaは、バリン(Val)またはアラニン(Ala)であってもよく、27番目のXaaは、TyrまたはHisであってもよく、58番目のXaaは、SerまたはThrであってもよく、61番目のXaaは、アスパラギン(Asn)またはSerであってもよく、74番目のXaaは、アルギニン(Arg)またはリシン(Lys)であってもよく、83番目のXaaは、フェニルアラニン(Phe)またはロイシン(Leu)であってもよく、92番目のXaaは、GlyまたはAlaであってもよく、108番目のXaaは、HisまたはTyrであってもよい。SEQ ID NO:27における53番目のXaaは、lieまたはPheであってもよい。SEQ ID NO:29において、23番目のXaaは、Metまたはlieであってもよく、45番目のXaaは、AlaまたはSerであってもよく、73番目のXaaは、Gluまたはアスパラギン酸(Asp)であってもよく、100番目のXaaは、Metまたはlieであってもよい。
【0030】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、モノクローナル抗体であってもよい。
【0031】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、検出可能な標識、または検出可能なシグナルを発することができる標識でマーキングされてもよい。標識は、抗体に直接的または間接的にコンジュゲートされて標識された抗体またはその抗原結合フラグメントを生成する検出可能な化合物または組成物を指す。標識は、それ自体が検出可能であってもよく、検出可能な基質化合物または組成物の化学修飾を触媒してもよい。標識は、免疫蛍光標識、化学発光標識、ホスホレッセント標識、放射性標識、エピトープタグ、アビジン/ビオチン、コロイド金粒子、着色粒子、磁気粒子、クロモフォア標識、ECL標識、酵素、または同様のものであってもよい。
【0032】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、アクセッション番号KCTC 137378P、KCTC 137388P、KCTC 137398P、KCTC 137408P、KCTC 137418P、KCTC 137428P、KCTC 137438P、KCTC 137448P、KCTC 137458PおよびKCTC 137468Pで寄託されたハイブリドーマ細胞から選択されるハイブリドーマ細胞により生成されてもよい。
【0033】
ハイブリドーマ細胞は、2種の細胞の人工的融合による腫瘍形成能を有するハイブリッド細胞を指し、一般に、B細胞と免疫化された対象から単離された形質細胞腫細胞とを融合させることにより抗体を連続的に生成するために用いられてもよい。本明細書において、ハイブリドーマ細胞は、ハイブリドーマ細胞または融合細胞と称される場合がある。
【0034】
癌は、固形または非固形癌であってもよい。固形癌は、肝臓、肺、乳房および皮膚などの臓器における癌性腫瘍の発達を指す。非固形癌は、血中で発生する癌であり、血液癌とも呼ばれる。癌は、癌腫、肉腫、造血細胞由来の癌、生殖細胞腫瘍、または芽腫であってもよい。癌は、例えば乳癌、大腸癌、頭頸部癌、結腸癌、皮膚癌、膵臓癌、肺癌、胃癌、前立腺癌、膀胱癌、尿道癌、肝臓癌、腎臓癌、淡明細胞肉腫、黒色腫、脳脊髄腫瘍、脳癌、胸腺、中皮腫、食道癌、胆管癌、精巣癌、胚細胞腫瘍、甲状腺癌、副甲状腺癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、リンパ腫、骨髄異形成症候群(MOS)、骨髄線維症、急性白血病、慢性白血病、多発性骨髄腫、ホジキン病、内分泌癌、および肉腫から選択されてもよい。
【0035】
本発明者らは、抗BAG2抗体またはその抗原結合フラグメント、詳細にはBAG2ドメインスクリーニングにより選択される抗BAG2抗体またはその抗原結合フラグメントの組み合わせが用いられる場合、正常細胞中と異なり、乳癌細胞株、膵臓癌細胞株、多形性膠芽腫細胞株、胃癌細胞株、卵巣癌細胞株、またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を含む癌細胞株中で、BAG2の存在が同定されるか、またはそのレベルが著しく高かったことを見出した。したがって、組成物を用いることにより診断される癌は、乳癌、膵臓癌、膠芽腫、胃癌、卵巣癌、およびリンパ腫から選択されてもよい。
【0036】
本発明者らは、抗BAG2抗体またはその抗原結合フラグメント、詳細には抗BAG2抗体またはその抗原結合フラグメントの組み合わせが用いられる場合に、BAG2が、正常対象に比較して乳癌患者で過剰発現され、およびBAG2のレベルが高い場合、乳癌患者が、転移性乳癌を有する確率が高いことを見出した。したがって、組成物で診断された乳癌は、転移性乳癌であってもよい。
【0037】
乳癌の分子サブタイプのうち、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)は、非常に攻撃的な型であり、全身処置にもかかわらず予後不良であり死亡率が高い。TNBCは、ルミナル型またはHER2エンリッチ型に比較して不均一型のものである。ほとんどの乳癌標的療法は、ホルモン受容体およびHER2陽性乳癌に対する陽性転帰を示したが、TNBC患者はエストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、ヒト上皮成長因子受容体(HER2)、または他の確定された分子標的を含む3つの型の標的受容体を欠くため、効果的処置への限定された選択肢、例えばポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)、上皮成長因子受容体(EGFR)、Srcチロシンキナーゼまたは同様のものなど、を含める必要がある。それゆえ、TNBC患者への不要な治療アプローチを防ぎ効果的処置を選択するために、TNBC患者を様々な型の乳癌患者から迅速かつ正確に識別する必要がある。
【0038】
本発明者らは、抗BAG2抗体またはその抗原結合フラグメント、詳細には抗BAG2抗体またはその抗原結合フラグメントの組み合わせが用いられる場合、BAG2が、乳癌患者で過剰発現され、およびBAG2のレベルが高い場合、乳癌患者が、TNBC型乳癌と診断される確率が高いことを見出した。したがって、方法を用いることにより診断され得る乳癌は、トリプルネガティブ乳癌またはTNBC型乳癌であってもよい。
【0039】
別の態様は、組成物を含む、癌を診断することにおける使用のためのキットを提供する。
【0040】
キットは、1種または複数の他の成分の組成物、溶液、またはデバイスをさらに含んでよく、それらは、キットにより用いられる分析法、例えばウェスタンブロッティング、ELISA、放射性免疫測定法、放射性免疫拡散法、オクタロニー免疫拡散法、ロケット免疫電気泳動法、組織免疫染色、免疫沈降アッセイ、補体結合法、FAGS、タンパク質チップ、またはそれらの組み合わせなど、に適する。例えば、試料中のBAG2の免疫複合体の、それらのそれぞれに特異的な抗体による検出のために、キットは、基質、適切な緩衝液、着色酵素もしくは蛍光物質でマークされる二次抗体、または着色基質をさらに含んでいてもよい。基質は、ニトロセルロース膜、ポリビニル樹脂で合成された96ウェルプレート、ポリスチレン樹脂で合成された96ウェルプレート、ガラス製スライドガラス、または同様のものであってもよく、着色酵素は、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、または同様のものであってもよく、蛍光物質は、蛍光イソチオシアナート(FITC)、ローダミンB-イソチオシアナート(RITC)、または同様のものであってもよく、着色基質は、2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)、o-フェニレンジアミン(OPD)、テトラメチルベンジジン(TMB)、または同様のものであってもよい。
【0041】
別の態様は、癌を診断するために用いられる情報を提供する方法を提供する。
【0042】
方法は、対象におけるBAG2の存在を検出して対象の体内に存在する癌を診断する、癌を診断するために用いられる情報を提供する方法である。
【0043】
方法は、対象から単離された試料を、BAG2ポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合する抗体と接触させること、およびBAG2ポリペプチドまたはそのフラグメントと抗体とで形成された複合体を測定すること、を含んでいてもよい。
【0044】
方法は、対象が癌を有するかどうかを決定することをさらに含んでいてもよい。情報は、対象において測定されたBAG2のレベルが、対照群で測定されたBAG2より高い、それと同じである、またはより低いかどうかについての情報であってもよい。
【0045】
試料は、診断される対象から分離された生物学的試料であってもよい。生物学的試料は、細胞、臓器、細胞溶解物、全血、血液、血清、血漿、リンパ液、細胞外液、体液、尿、糞便、組織、骨髄、唾液、痰、脊髄液、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0046】
試料は、血液、血清、血漿、またはそれらの組み合わせであってもよい。本発明者らは、BAG2が細胞から分泌されること、およびBAG2が実際に乳癌患者の血清中の抗BAG2抗体またはその抗原結合フラグメントを用いることにより検出されることを、実証した。それゆえ、BAG2は、血液、血清、血漿、またはそれらの組み合わせに可溶性であってもよい。
【0047】
BAG2が対象から単離された試料中に存在する場合、BAG2ポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合する抗体は、試料中のBAG2に結合してもよい。抗体は、例えば試料中のBAG2の存在を視覚化するために、例えばフルオロフォア、クロモフォア、または基質をクロモフォアに変換できる酵素で、標識されてもよい。
【0048】
結合反応のため、試料中のBAG2は、BAG2ポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合する抗体と複合体を形成し、その複合体から、BAG2の存在または必要に応じてそのレベルが、当業者に知られる方法を利用することにより同定または測定されてもよい。複合体は、ウェスタンブロッティング、酵素免疫測定法(ELISA)、放射性免疫測定法(RIA)、放射免疫拡散法、オクタロニー免疫拡散法、ロケット免疫電気泳動法、組織免疫染色、免疫沈降アッセイ、補体結合法、FAGS、タンパク質チップ、またはそれらの組み合わせにより測定されてもよい。測定は、試料中の複合体のレベルを測定するために実施されてもよい。
【0049】
対照群は、健常対象から回収された試料、または乳癌、膵臓癌、多形性膠芽腫、胃癌、卵巣癌、もしくはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)から採取された試料であってもよい。したがって、対照群のBAG2レベルは、健常対象から採取された試料、または必要に応じて乳癌、膵臓癌、多形性膠芽腫、胃癌、卵巣癌、もしくはDLBCLから採取された試料の中のBAG2の濃度の平均値であってもよい。
【0050】
対照として用いられる試料は、診断のための試料と解剖学的に同じ場所で採取された同じ種類のものであってもよい。例えば試料が、対象の肘正中皮静脈から収集された血液である場合、対照は、対照群の正中口蓋静脈から収集された血液であってもよい。
【0051】
健常対象は、任意の急性または慢性疾患、少なくとも癌、例えば乳癌、膵臓癌、多形性膠芽腫、胃癌、卵巣癌、またはDLBCLに罹患していない対象である。
【0052】
健常対象から収集された試料中のBAG2レベルは、BAG2を実質的に含まなくてもよい。それゆえ、対照群が健常対象から得られた値を有するように設定されている例では、診断される対象がBAG2を有すること、またはその対象中のBAG2のレベルが著しく高いことが見出された場合、対象は、癌を有することが疑われてもよい。その一方で、本明細書の実施例2の第3節に示された通り、転移性乳癌患者、例えば乳癌患者のうちのTNBC型患者の血液中で、BAG2の存在を同定する確率が高く、BAG2の平均値は有意に高い(図7および8)。それゆえ、対照群が乳癌患者、非転移性乳癌患者または非TNBC型乳癌患者から単離された試料に設定される例では、BAG2のレベルが、診断される対象において有意に高いと決定された場合、対象は、転移性乳癌またはTNBC型乳癌を有することが疑われてもよい。
【0053】
それゆえ、一態様において、本発明は、個体における癌の存在を検出するための方法であって、個体から単離された生物学的試料を、BAG2ポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させること、およびBAG2ポリペプチドまたはそのフラグメントと抗体またはその抗原結合フラグメントとで形成された複合体を測定すること、を含み、試料中で測定されたBAG2が陰性対照群で測定されたBAG2のレベルより高ければ、癌の存在が検出される、方法を対象とする。
【0054】
本特許または出願ファイルは、有色で実行された少なくとも1つの図面を含む。有色の図面を有する本特許または特許出願公開のコピーは、要求に応じて、必要な料金の支払いを受けて、特許事務所により提供されよう。
【0055】
本発明は、本明細書の以下に与えられた詳細な記載および添付の図面からより完全に理解され、添付の図面は、例示に過ぎず、このため本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】10種のマウスハイブリドーマ細胞から生成された抗BAG2抗体のウェスタンブロッティングの結果を示す。
図2A】抗BAG2抗体またはそのフラグメントの完全長BAG2ポリペプチドについてのウェスタンブロッティングの結果を示す。
図2B】抗BAG2抗体またはそのフラグメントの完全長BAG2ポリペプチドについてのウェスタンブロッティングの結果を示す。
図3】各抗BAG2抗体と反応するBAG2ドメインを示す。
図4】抗BAG2抗体の考えられる90の組み合わせにおけるBAG2タンパク質の標準曲線を示す。
図5】BAG2タンパク質に関する選択された14種の抗体組み合わせの特異的結合力を示す図表を示す。
図6】2A11-3F12の抗体組み合わせおよび9B12-3G8の抗体組み合わせを用いて観察された様々な癌細胞株におけるBAG2発現パターンの差を示す。
図7】2A11-3F12の抗体組み合わせおよび9B12-3G8の抗体組み合わせを用いることにより観察されたルミナル型およびTNBC型乳癌患者の血清におけるBAG2タンパク質発現の有意差を示す。
図8】8C4-3G8の抗体組み合わせおよび10H7-3G8の抗体組み合わせを用いることにより観察されたルミナル型およびTNBC型乳癌患者の血清におけるBAG2タンパク質発現の有意差を示す。
図9A】4種の抗体組み合わせの受信者操作特性曲線(ROC)値および曲線下面積(AUC)値を示す。
図9B】4種の抗体組み合わせの受信者操作特性曲線(ROC)値および曲線下面積(AUC)値を示す。
図9C】4種の抗体組み合わせの受信者操作特性曲線(ROC)値および曲線下面積(AUC)値を示す。
図9D】4種の抗体組み合わせの受信者操作特性曲線(ROC)値および曲線下面積(AUC)値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
好ましい実施形態の詳細な記載
以下の実施例は、本発明の例示として提供され、限定ではない。
【0058】
実施例
実施例1:抗Bag2抗体の選択、シーケンシングおよび抗原-抗体反応
1.bag2を標的とするモノクローナル抗体の選択およびそのアミノ酸配列の解析
本発明者らは、Bag2を標的とする抗体を選択し、それらのアミノ酸配列を解析し、抗体のそれぞれの相補性決定領域(CDR)を決定した。
【0059】
詳細には、SEQ ID NO:69のアミノ酸配列からなるヒトBAG2タンパク質をコードするSEQ ID NO:70のヌクレオチド配列からなる遺伝子を、pCAGGSプラスミドにクローニングし直鎖状にし、直鎖状にされた構築物をその後、電気ショックをあてることにより、5匹の6週齢雌BALB/cマウスの筋肉に接種した。この構築物を、3週間間隔で3回、筋肉内に接種し、それは100μlのPBS中の100μgのDNAからなった。この時、対照群のプラスミドも同じ手法に供した。治療抗体および診断抗体を生成するために、タンパク質を基にした抗原注射よりも効率的な、DNAワクチンを基にした免疫方策を実施した。血液をマウスの眼底大静脈または尾静脈から採取し、酵素免疫測定法により検査し血清抗体価を示し、脾臓を、充分な抗体価を示したマウスから、最後の免疫化の3日後に摘出した。Bリンパ球を、脾臓から単離し、単離されたBリンパ球を、即ちATCCのSP2/0-Ag14細胞株と培養された骨髄腫細胞による融合が続き、それにより融合された細胞を得た。融合された細胞を、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含有するHAT培地中で培養した後、骨髄腫およびBリンパ球のみで融合されたハイブリドーマ細胞を、およそ130のクローンを選択することにより得た。免疫ブロッティングによる選択工程を通して得られたハイブリドーマ細胞から、ヒトBAG2タンパク質に特異的に結合する抗体を生成する10種のハイブリドーマ細胞を、得た。
【0060】
抗Bag2抗体の総RNAを、5×10ハイブリドーマ細胞から生成し、5’-RACE-cDNAを、製造業者の使用説明に従いSMART RACE cDNA Amplificationキット(Clontech)を用いることにより、100ngの総RNAから生成した。重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)をコードする領域を、PCRにより増幅し、増幅された遺伝子をpGEM-Tベクター(Promega、USA)に挿入し、クローニングし、そのヌクレオチド配列を、自動遺伝子解析装置(ABI Prism 310、Applied Biosystem Co.)を用いることにより解析した。解析された遺伝子のヌクレオチド配列を、過去に報告されたヌクレオチド配列との比較により同定し、同定されたヌクレオチド配列を、相補性決定領域VH-CDR1、-CDR2、および-CDR3、ならびにVL-CDR1、-CDR2、および-CDR3の配列を決定することにおける使用のために人工的に翻訳した。相補性決定領域の配列を決定することを、Kabatのデータベース(http://www.bioinf.org.uk/abs/)を用いることにより実施した。
【0061】
結果として、BAG2に特異的に結合する10種の抗BAG2抗体を、ハイブリドーマ細胞から得た。10種の抗BAG2抗体は、2A11、4C2、8C4、3B5、9B3、9B12、3B10、10H7、3GB、および3F12抗体であった。加えて、表1~3に示された重鎖可変領域、軽鎖可変領域およびそれらの相補性決定領域のアミノ酸配列、ならびに抗体をコードする遺伝子のヌクレオチド配列を、決定した。
【0062】
2A11、4C2、および8C4抗体は、SEQ ID NO:21のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域と、SEQ ID NO:27のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域とを含む。2A11抗体では、SEQ ID NO:21の56および57番目のXaaは、それぞれGlyであり、SEQ ID NO:27の53番目のXaaは、lieである。4C2抗体では、SEQ ID NO:21の56番目のXaaおよび57番目のXaaは、それぞれGlyおよびAlaであり、SEQ ID NO:27の53番目のXaaは、Pheである。8C4抗体では、SEQ ID NO:21の56番目のXaaおよび57番目のXaaは、それぞれAlaおよびGlyであり、SEQ ID NO:27の53番目のXaaは、Pheである。
【0063】
2A11、4C2、および8C4抗体のVH-CDR1、-CDR2および-CDR3は、それぞれSEQ ID NO:33、39および45のアミノ酸配列からなり、VL-CDR1、-CDR2および-CDR3は、それぞれSEQ ID NO:51、57および63のアミノ酸配列からなる。2A11抗体では、SEQ ID NO:21の56および57番目のXaaは、それぞれGlyである。4C2抗体に関しては、SEQ ID NO:21では56番目のXaaは、Glyであり、57番目のXaaは、Alaである。8C4抗体に関しては、SEQ ID NO:21では56番目のXaaは、Alaであり、57番目のXaaは、Glyである。
【0064】
9B3、9B12および3B10抗体は、SEQ ID NO:23のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域と、SEQ ID NO:29のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域とを含む。9B3抗体に関しては、SEQ ID NO:23では1番目のXaaは、Gluであり、7番目のXaaは、Serであり、12番目のXaaは、Valであり、27番目のXaaは、Tyrであり、58番目のXaaは、Serであり、61番目のXaaは、Asnであり、74番目のXaaは、Lysであり、83番目のXaaは、Pheであり、92番目のXaaは、Alaであり、108番目のXaaは、Tyrである。9B3抗体に関しては、SEQ ID NO:29では23番目のXaaは、lieであり、45番目のXaaは、Alaであり、73番目のXaaは、Gluであり、100番目のXaaは、lieである。9B12抗体に関しては、SEQ ID NO:23では1番目のXaaは、Ginであり、7番目のXaaは、Serであり、12番目のXaaは、Valであり、27番目のXaaは、Tyrであり、58番目のXaaは、Serであり、61番目のXaaは、Asnであり、74番目のXaaは、Argであり、83番目のXaaは、Pheであり、92番目のXaaは、Glyであり、108番目のXaaは、Hisである。9B12抗体に関しては、SEQ ID NO:29では23番目のXaaは、Metであり、45番目のXaaは、Alaであり、73番目のXaaは、Gluであり、100番目のXaaは、Metである。3B10抗体に関しては、SEQ ID NO:23では1番目のXaaは、Ginであり、7番目のXaaは、Proであり、12番目のXaaは、Alaであり、27番目のXaaは、Hisであり、58番目のXaaは、Thrであり、61番目のXaaは、Serであり、74番目のXaaは、Argであり、83番目のXaaは、Leuであり、92番目のXaaは、Glyであり、108番目のXaaは、Hisである。3B10抗体に関しては、SEQ ID NO:29では23番目ではXaaは、Metであり、45番目のXaaは、Serであり、73番目のXaaは、Aspであり、100番目のXaaは、lieである。
【0065】
9B3、9B12および3B10抗体に関しては、VH-CDR1、-CDR2、および-CDR3は、それぞれSEQ ID NOS:35、41、および47のアミノ酸配列からなり、VL-CDR1、-CDR2、および-CDR3は、それぞれSEQ ID NOS:53、59、および65のアミノ酸配列からなる。9B3抗体に関しては、SEQ ID NO:35の2番目のXaaは、Tyrであり、SEQ ID NO:41の8番目のXaaは、Serであり、SEQ ID NO:47の12番目のXaaは、Tyrであり、SEQ ID NO:53の3番目のXaaは、lieであり、SEQ ID NO:59の2番目のXaaは、Alaである。9B12抗体に関しては、SEQ ID NO:35の2番目のXaaは、Tyrであり、SEQ ID NO:41の8番目のXaaは、Serであり、SEQ ID NO:47の12番目のXaaは、Hisであり、SEQ ID NO:53の3番目のXaaは、Metであり、SEQ ID NO:59の2番目のXaaは、Alaである。3B10抗体に関しては、SEQ ID NO:35の2番目のXaaは、Hisであり、SEQ ID NO:41の8番目のXaaは、Thrであり、SEQ ID NO:47の12番目のXaaは、Hisであり、SEQ ID NO:53の3番目のXaaは、Metであり、SEQ ID NO:59の2番目のXaaは、Serである。
【表1】
【表2】
【表3】
【0066】
2.乳癌細胞における抗BAG2抗体の抗原-抗体応答の同定
図1は、10種のマウスハイブリドーマ細胞から生成された抗BAG2抗体の免疫ブロッティングの結果を示す。具体的には、ヒト乳癌細胞であるMDA-MB-231細胞を、10%FBS、100U/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを含有するDMEM(Welgene)培地中にて、37℃の温度で培養した。細胞をウェルから剥離し、PBSで洗浄し、1% Brij97、5mM EDTA、0.02M HEPES pH7.3、0.15M NaCl、1mM PMSF、0.5mM NaF、10μg/rni アプロチニン、0.2mMオルトバナジン酸ナトリウムを含有する溶解緩衝溶液に溶解した。氷上での15分のインキュベーション後に、核を、遠心分離により細胞から除去し、上清を、採取した。20%グリセロール、4.6%SOS、0.125M Tris pH6.8、0.1%ブロモフェノールブルーからなる2X試料緩衝液を、適当な量の上清に添加した。10μgのタンパク質試料を、mini-Protean IIシステム(Bio-Rad、カリフォルニア州ハーキュリーズ所在)を用いることによる、標準条件下の12%ゲル上でのSOS-PAGE解析に供した。免疫ブロッティングのために、タンパク質を、Millipore PVDF膜の上に移した。TBS中の0.1%Tween 20および5%ウシ血清アルブミン(BSA)からなるブロッキング溶液を、1時間反応させた。次に一次抗体は、ハイブリドーマ細胞培養物から抽出された抗BAG2抗体の1/2000希釈液であり、二次抗体として用いられるヤギ抗マウスHRPコンジュゲート(Dako)を、1/5000に希釈した。フィルム感光を、EGL試薬(Amersham Pharmacia Biotech)を基質として用い暗所で実施した。感光されたバンドを、標準の分子マーカと比較して、BAG2のサイズに対応するバンドを同定した。
【0067】
結果として図1に示す通り、陽性対照として用いた市販のポリクローナル抗BAG2抗体であるab58682(Abcam)と比較して、抗体2A11、3B5、3B10、3F12、3GB、4C2、8C4、9B3、9B12および10H7は、BAG2を標的とする抗原-抗体反応を示した。
【0068】
次いで、それに対し10種の抗体が先の第1節で同定されたBAG2抗原のドメインマッピングのために、約26kDaの分子量を有するGST-エンプティベクター(pcDNA3.1+/GSTベクター、NovoPro Bioscience Inc.、中国)が導入された細胞を、陰性対照として用いた。それぞれがヒトBAG2タンパク質をコードするポリヌクレオチドとBAG2タンパク質のフラグメントをコードしたポリヌクレオチドを含む、GST-Bag Fullベクター、GST-Bag F1ベクター、GST-Bag F2ベクター、GST-Bag F3 ベクター、およびGST-Bag F4ベクターを、細胞に導入し、ベクターが導入された細胞を、培養して遺伝子を発現させ、その後、細胞溶解物を得た。細胞溶解物のために、免疫ブロッティングを10種の抗体それぞれを用いて実施した。ヒトBAG2タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:70のヌクレオチド配列を有する。GST-Bag F1、-Bag F2、-Bag F3、および-Bag F4ベクターは、それぞれSEQ ID NO:71~74のヌクレオチド配列からなる。
【0069】
図2Aおよび2Bは、抗BAG2抗体またはそのフラグメントの完全長BAG2ポリペプチドについての免疫ブロッティングの結果を示す。図2において、Aは、ベクターおよびBAG2タンパク質およびそのフラグメントの図表を示し、Bは、免疫ブロッティングの結果を示す。詳細には、免疫ブロッティングを、以下のとおり実施した:ベクターのそれぞれを、Lipofectamineトランスフェクション(Thermo Fisher Scientific, Inc.、米国マサチューセッツ州ウォルサム所在)方法によりHEK2T細胞に導入し、得られた形質転換細胞を、10%FBS、100U/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを含有するDMEM(Welgene)培地中にて、37℃の温度で30時間培養し、その後、細胞を単離した。単離された細胞を、図1に関連して記載されたものと同じ方法を利用して破壊し、12%ゲル上でSOS-PAGE解析に供した。免疫ブロッティングのために、図1に関連して記載されたものと同じブロッキング溶液で1時間反応させた後、2mg/mlの濃度を有する10種の精製抗BAG2抗体のそれぞれを、1/10000希釈して一次抗体として用い、細胞に結合させた。二次抗体として用いたヤギ抗マウスHRPコンジュゲートを、1/5000希釈濃度で用い、フィルム感光を、EGL試薬(Amersham Pharmacia Biotech)を基質として用いて暗所で実施した。標準の分子マーカサイズを発現させて、BAG2のサイズを確認した。
【0070】
結果として、図2に示された通り、各抗BAG2抗体は、完全長BAG2ポリペプチドまたはそのフラグメントに差別的に結合した。特に、10種の抗BAG2抗体のそれぞれについて、シグナルが、GST-Bag Fullベクター導入細胞の溶解物において、約50kDaの位置で共通して検出された。この結果は、これらの抗体の全てが完全長BAG2抗体に結合し得ることを示す。最後に、各BAG2抗体が反応するBAG2のドメイン領域を、同定した。
【0071】
図3は、各抗BAG2抗体と反応するBAG2ドメインを示す。図3に示された通り、9B3、9B12、3B10、および10H7抗体を、BAG2タンパク質のN-末端に結合させ、2A11、3B5、4C2および8C4抗体を、BAG2タンパク質の中央領域に結合させ、3F12および3GB抗体を、BAG2タンパク質のC-末端に結合させた。N-末端は共通して、21~60アミノ酸のコイルドコイル領域を含み、中央領域は、109~189アミノ酸のBNB領域の一部に結合される。それゆえ、異なる部位に結合する一組の抗体を用いることにより、試料中に存在するBAG2タンパク質またはそのフラグメントを、高い感度および特異度で検出してもよい。
【0072】
実施例2:抗BAG2抗体の組み合わせのスクリーニングおよび癌診断有効度の確認
【0073】
1.癌診断に有用な抗BAG2抗体の組み合わせのスクリーニング
図4は、抗BAG2抗体の考えられる90の組み合わせにおけるBAG2タンパク質の標準曲線を示す。結果として、図4に示された通り、抗BAG2抗体の考えられる組み合わせの中から、高い勾配の標準曲線を示す14種の抗体組み合わせ、2A11-3F12、10H7-3G8、9B12-3G8、10H7-3F12、9B8-3G8、3G8-3F12、3B5-3F12、3G8-4C2、3F12-3G8、3B5-3G8、3B5-4C2、3G8-8C4、および9B3-3F12、を選択した。
【0074】
図5は、BAG2タンパク質に関する選択された14種の抗体組み合わせの特異的結合力を示す図表を示す。詳細には、Mycタグ-BAG2発現ベクターまたはMycタグ-エンプティベクターをそれぞれ、製造業者の使用説明に従いLipofectamine 2000(lnvitrogen)を用いて、ヒト乳癌細胞株MDA-MB-231中に形質導入した。14種の抗体組み合わせを用いて、Mycタグ-エンプティベクターが導入された対照細胞およびMycタグ-BAG2発現ベクターが導入されたBAG2タンパク質を過剰発現する細胞の溶解物30μgから分泌されたBAG2タンパク質の相対量を、決定した。対照細胞を、EVで標識し、BAG2過剰発現細胞を、OEで標識した。即ち、BAG2過剰発現細胞および対照細胞の分泌されたBAG2タンパク質の相対量を確認することにより、BAG2タンパク質に関する抗体組み合わせの特異的結合能を決定できる。
【0075】
結果として、図5に示された通り、BAG2タンパク質への高い特異的結合能を有する4種の抗体組み合わせ、2A11-3F12、9B12-3G8、8C4-3G8、および10H7-3F12を、選択した。
【0076】
2.様々な癌の診断における選択された抗BAG2抗体組み合わせの有効度の同定
第1節で選択された抗体組み合わせの癌診断有効度を確認するために、抗体組み合わせとBAG2の抗原抗体反応を、確認した。詳細には、ヒト293T細胞から生成および精製されたN-末端への6つのヒスタミン付着を有するヒトBAG2タンパク質を、抗原として得た。
【0077】
サンドイッチ酵素免疫測定法(サンドイッチELISA)を、2A11-3F12および9B12-3G8抗体組み合わせのそれぞれを用いて実施した。
【0078】
詳細には、サンドイッチELISAを、以下の工程を通して実施した。抗体3F12および3G8のそれぞれを1mgの量で、27μlの10mM NHS-ビオチン(スクシンイミジルビオチン、Thermo scientific、Cat#21435)と反応させて、ビオチン結合検出抗体を調製した。捕捉抗体として抗体2A11、9B12、8C4、および10H7のそれぞれを、ELISAプレートコーティング緩衝液(R&D system、DY006)を用いることにより3μg/mlの濃度に希釈し、96ウェルプレートの各ウェルに100μlの量で塗布し、その後、4℃の温度で一晩コートした。抗体コートされたプレートを、1%ウシ血清アルブミン(BSA)緩衝液(R&D system、DY995)により室温で1時間ブロックした。BAG2標準材料として、ヒト由来細胞株HEK293T中で生成され精製されたヒトHisタグ-BAG2組換えタンパク質(Ybiologics、韓国所在)を、1%BSA緩衝液を用いて100ng/mlの濃度で調製し、その後、4倍希釈して、0.02、0.097、0.31、1.56、6.25、および25ng/mlの標準溶液を調製した。血液試料のために、8ml以上の血液を健常人14名、ルミナル型乳癌と診断された患者20名およびTNBC型乳癌と診断された患者38名のそれぞれから収集し、その後、穏やかに浸透することにより混合し、室温で20~30分間放置した。その後、血液を、2,500rpmで10分間遠心分離した。4℃未満で貯蔵された血清を、1%BSA緩衝液を用いて1/2倍希釈した。そこからブロッキング溶液を除去したプレートの各ウェルの中に、0、0.02、0.097、0.39、1.56、6.25、25、および100ng/mlのBAG2標準溶液および1/2倍希釈された患者試料100μlを分配し、室温で1時間反応させ、その後、洗浄緩衝液(R&D system、WA126)で洗浄した。1%BSA緩衝液を用いることにより1:50000に希釈されたストレプトアビジン-HRP(Pierce、21130)100μlを、各ウェルに分配し、室温で30分間反応させた後、洗浄緩衝液で洗浄した。3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB、R&D system、DY999) 100μlを、各ウェルに分配し、フィーメイルカウ(female cow)において室温で15分間反応させ、その後、それに停止溶液を添加して、反応を停止させた。患者試料中のBAG2タンパク質の濃度を、450nmで反応溶液の吸光度を測定することにより得られた抗体の標準曲線から計算した。
【0079】
図6は、抗BAG2抗体組み合わせを用いることにより観察された、乳癌、膵臓癌、多形性膠芽腫、胃癌、卵巣癌、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を含む癌細胞株におけるBAG2発現パターンの差を示す。図6Aは、2A11-3F12の抗体組み合わせのサンドイッチELISAの結果を示し、図6Bは、9B12-3G8抗体組み合わせのサンドイッチELISAの結果を示す。
【0080】
図6Aおよび6Bに示された通り、2A11-3F12および9B12-3G8抗体組み合わせが用いられた場合、BAGタンパク質は、乳癌細胞株であるMDA-MB-231およびHs578T、膵臓癌細胞株であるSNU2564およびPANC1、多形性膠芽腫(GBM)細胞株であるU251MGおよびT98G、胃癌細胞株であるSNU1およびSNU484、卵巣癌細胞株であるSKOV3およびA2780、ならびにびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)細胞株であるSU-DHL4およびSU-DHL6を含む様々な癌細胞株において高レベルで発現された。対照的に、正常細胞株であるT47D、SNU2469、A172、SNU620、OVCAR3、およびU2932中でBAG2タンパク質は、全く発現されないか、またはほとんど発現されなかった。言い換えれば、BAG2タンパク質は、正常細胞に比較して、2A11-3F12および9B12-3G8抗体組み合わせを用いることにより乳癌、膵臓癌、多形性膠芽腫、胃癌、卵巣癌、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を含む癌細胞において有意に高度に発現されることが確認された。
【0081】
それゆえ、上記の抗体組み合わせが用いられる場合、癌は、BAG2タンパク質の発現パターンが正常細胞に比較して癌細胞で示されたBAG2タンパク質の発現パターンと類似しているかどうかを同定することにより、効果的に診断され得る。
【0082】
3.乳癌の診断における選択された抗BAG2抗体組み合わせ有効度の同定
第2節に記載された同じサンドイッチELISA法を用いることにより、ルミナル型乳癌患者とTNBC型乳癌患者と正常対象の間の血清中BAG2タンパク質の発現パターンの差を確認した。詳細には、健常志願者(N=4)、ルミナル型乳癌患者(N=4)およびTNBC型乳癌患者(N=38)の血清を収集し、得られた血清中のBAG2タンパク質の発現パターンを確認した。
【0083】
図7Aおよび7Bおよび8Aおよび8Bは、抗BAG2抗体組み合わせを用いることにより同定されたルミナル型およびTNBC型乳癌患者の血清における、BAG2タンパク質発現の有意差を示す。図7Aは、9B12-3G8抗体組み合わせを用いる例を示し、図7Bは、2A11-3F12抗体組み合わせを用いる例を示す。図8Aは、8G4-3G8抗体組み合わせを用いる例を示し、図8Bは、10H7-3G8抗体組み合わせを用いる例を示す。
【0084】
図7Aおよび7Bおよび8Aおよび8Bに示された通り、9B12-3G8、2A11-3F12、8G4-3G8、および10H7-3F12抗体組み合わせが用いられた場合、各抗体組み合わせのp値は、p<0.0001、p=0.0373、p=0.0009、およびp=0.0190であり、正常対象に比較してルミナル型およびTNBC型乳癌患者の血清におけるBAG2タンパク質発現パターンに有意差があったことを示す。それゆえ、抗体組み合わせを利用してBAG2タンパク質発現パターンにおける有意差を観察することにより、乳癌を、効果的に診断できる。
【0085】
4.乳癌診断における選択された抗BAG2抗体組み合わせの有用性の確認
4種の抗体組み合わせのそれぞれを用いて癌診断の感度および特異度を確認するために、第2節の結果を、ROG曲線を用いることにより示した。
【0086】
図9A~90は、各抗体組み合わせの受信者操作特性曲線(ROC)および曲線下面積(AUC)を示す。図9Aは、9B12-3G8抗体組み合わせを用いる例を示し、図9Bは、8G4-3G8抗体組み合わせを用いる例を示し、図9Gは、2A11-3F12抗体組み合わせを用いる例を示し、図90は、10H7-3F12抗体組み合わせを用いる例を示す。
【0087】
図9A~90に示された通り、9B12-3G8、8G4-3G8、2A11-3F12および10H7-3G8抗体組み合わせが用いられた場合、AUG値は、0.8596、0.8368、0.8554、および0.6736であった。即ち、全ての抗体組み合わせの例で、ROG曲線におけるAUG値は、およそ0.7であり、9B12-3G8、8G4-3G8、および2A11-3F12抗体組み合わせが用いられた場合、AUG値は、0.8~0.9であると測定された。これらの結果は、高い感度および特異度を利用することにより、各抗体組み合わせを用いて乳癌を診断し得ることを示す。それゆえ、この4種の抗体組み合わせを、乳癌を診断するために、有益に用いることができる。
【0088】
一態様による抗BAG2抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、癌を診断することにおける使用のための組成物は、癌を診断するために用いられる情報を提供してもよい。
【0089】
別の態様による癌を診断するために用いられる情報を提供する方法によれば、組織を収集する従来の診断方法と異なり、血中のBAG2ポリペプチドの存在またはレベルを、血液から同定または測定でき、診断有用性は、高い。したがって、様々な組織体が、癌の診断のために方法を用いることができる。
【0090】
[アクセッション番号]
寄託:韓国生命工学研究院(Korea Research Institute of Bioscience and Biotechnology)
アクセッション番号:KCTC13737BP
寄託日:2018年11月28日

寄託:韓国生命工学研究院
アクセッション番号:KCTC13738BP
寄託日:2018年11月28日

寄託:韓国生命工学研究院
アクセッション番号:KCTC13739BP
寄託日:2018年11月28日

寄託:韓国生命工学研究院

アクセッション番号:KCTC13740BP
寄託日:2018年11月28日

寄託:韓国生命工学研究院
アクセッション番号:KCTC13741BP
寄託日:2018年11月28日

寄託:韓国生命工学研究院
アクセッション番号:KCTC13742BP
寄託日:2018年11月28日

寄託:韓国生命工学研究院
アクセッション番号:KCTC13743BP
寄託日:2018年11月28日

寄託:韓国生命工学研究院
アクセッション番号:KCTC13744BP
寄託日:2018年11月28日

寄託:韓国生命工学研究院
アクセッション番号:KCTC13745BP
寄託日:2018年11月28日

寄託:韓国生命工学研究院
アクセッション番号:KCTC13746BP
寄託日:2018年11月28日
【0091】
本明細書に引用された参考資料は全て、全体として参照により組み入れられる。
【0092】
当業者は、日常的実験法を利用するだけで、本明細書に具体的に記載された発明の具体的実施形態の多くの均等物を認識する、または確かめることができるであろう。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
【手続補正書】
【提出日】2021-10-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
SEQ ID NO:21中の56番目および57番目のXaaは、GlyまたはAlaであってもよい。SEQ ID NO:23において、1番目のXaaは、グルタミン(Gn)またはグルタミン酸(Glu)であってもよく、7番目のXaaは、Serまたはプロリン(Pro)であってもよく、12番目のXaaは、バリン(Val)またはアラニン(Ala)であってもよく、27番目のXaaは、TyrまたはHisであってもよく、58番目のXaaは、SerまたはThrであってもよく、61番目のXaaは、アスパラギン(Asn)またはSerであってもよく、74番目のXaaは、アルギニン(Arg)またはリシン(Lys)であってもよく、83番目のXaaは、フェニルアラニン(Phe)またはロイシン(Leu)であってもよく、92番目のXaaは、GlyまたはAlaであってもよく、108番目のXaaは、HisまたはTyrであってもよい。SEQ ID NO:27における53番目のXaaは、IleまたはPheであってもよい。SEQ ID NO:29において、2番目のXaaは、MetまたはIleであってもよく、51番目のXaaは、AlaまたはSerであってもよく、7番目のXaaは、Gluまたはアスパラギン酸(Asp)であってもよく、10番目のXaaは、MetまたはIleであってもよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
9B3、9B12および3B10抗体は、SEQ ID NO:23のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域と、SEQ ID NO:29のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域と、を含む。9B3抗体に関しては、SEQ ID NO:23では1番目のXaaは、Gluであり、7番目のXaaは、Serであり、12番目のXaaは、Valであり、27番目のXaaは、Tyrであり、58番目のXaaは、Serであり、61番目のXaaは、Asnであり、74番目のXaaは、Lysであり、83番目のXaaは、Pheであり、92番目のXaaは、Alaであり、108番目のXaaは、Tyrである。9B3抗体に関しては、SEQ ID NO:29では2番目のXaaは、lleであり、51番目のXaaは、Alaであり、7番目のXaaは、Gluであり、10番目のXaaは、lleである。9B12抗体に関しては、SEQ ID NO:23では1番目のXaaは、Ginであり、7番目のXaaは、Serであり、12番目のXaaは、Valであり、27番目のXaaは、Tyrであり、58番目のXaaは、Serであり、61番目のXaaは、Asnであり、74番目のXaaは、Argであり、83番目のXaaは、Pheであり、92番目のXaaは、Glyであり、108番目のXaaは、Hisである。9B12抗体に関しては、SEQ ID NO:29では2番目のXaaは、Metであり、51番目のXaaは、Alaであり、7番目のXaaは、Gluであり、10番目のXaaは、Metである。3B10抗体に関しては、SEQ ID NO:23では1番目のXaaは、Gnであり、7番目のXaaは、Proであり、12番目のXaaは、Alaであり、27番目のXaaは、Hisであり、58番目のXaaは、Thrであり、61番目のXaaは、Serであり、74番目のXaaは、Argであり、83番目のXaaは、Leuであり、92番目のXaaは、Glyであり、108番目のXaaは、Hisである。3B10抗体に関しては、SEQ ID NO:29では2番目ではXaaは、Metであり、51番目のXaaは、Serであり、7番目のXaaは、Aspであり、10番目のXaaは、lleである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2022525843000001.app
【国際調査報告】