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特表2022-525877照明インフラストラクチャに実装された無線電力システム技術
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(54)【発明の名称】照明インフラストラクチャに実装された無線電力システム技術
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/20 20160101AFI20220513BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220513BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20220513BHJP
   H05B 47/115 20200101ALI20220513BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20220513BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20220513BHJP
   F21K 9/23 20160101ALI20220513BHJP
   F21K 9/27 20160101ALI20220513BHJP
   F21K 9/66 20160101ALI20220513BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220513BHJP
【FI】
H02J50/20
H02J7/00 301D
H05B47/19
H05B47/115
F21V23/00 140
F21V33/00 400
F21K9/23
F21K9/27
F21K9/66
F21V23/00 160
F21Y115:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555422
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(85)【翻訳文提出日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 US2019066928
(87)【国際公開番号】W WO2020190346
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】62/818,858
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/715,542
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521209926
【氏名又は名称】オシア インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】ゼイン,ハテム イブラヒム ムニル
【テーマコード(参考)】
3K014
3K273
5G503
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014RB00
3K273PA01
3K273QA29
3K273QA39
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA41
3K273TA54
3K273TA62
3K273UA15
3K273UA18
3K273UA19
3K273UA22
3K273UA24
3K273UA25
3K273VA08
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA07
5G503GB08
(57)【要約】
無線電力送信は、既存の電気配線インフラストラクチャを使用する発光ダイオード(LED)電球や照明器具などの照明と組み合わせて使用される。例えば、照明装置が電気配線インフラストラクチャに接続されているときに、照明装置を介して電気動作電力を受信するように無線電力送信機が接続される照明装置が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電力送信機と、
照明装置と、を備え、
前記照明装置が電気配線インフラストラクチャに接続されているとき、前記無線電力送信機は前記照明装置を介して電気的な動作電力を受信するように接続される、システム。
【請求項2】
前記照明装置は電球を備え、前記無線電力送信機は前記電球に組み込まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記照明装置はねじ込み式基部を含む電球を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記照明装置は管状ランプを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記無線電力送信機は前記照明装置に接続された電力ケーブルにより前記照明装置を介して前記動作電力を受信するように接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記無線電力送信機はフラットパネルを備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記無線電力送信機は缶照明のトリムリング、ランプシェード、またはライトカバーの一部のうちの少なくとも1つに組み込まれる、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記照明装置に接続され、信号装置からの無線信号に基づき前記照明装置の照明を制御するリレーをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記照明装置はスイッチを介して電力供給され、前記スイッチを閉位置に維持し前記照明装置の照明を制御する信号装置を含むスイッチカバーをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記信号装置はリレーに無線接続され、前記信号装置からの前記無線信号に基づき前記照明装置の照明を制御する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記信号装置は調光器に無線接続され、前記信号装置からの前記無線信号に基づき前記照明装置の照明を制御する、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記無線送信機からの電力を受信するように構成された電気的なロック装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記電気的なロック装置は前記無線送信機からのデータ通信を受信するようにさらに構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記照明装置はスイッチを介して電力供給され、前記スイッチに接続されたモーションセンサをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記無線電力送信機は第1の無線電力送信機であり、前記第1の無線電力送信機と通信可能に接続された第2の無線電力送信機をさらに備え、前記第1の無線電力送信機は前記第2の無線電力送信機と協調し、無線電力受信装置に対して単一の無線電力送信機ユニットとして動作するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記無線電力送信機は複数の受信機に電力供給するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記無線電力送信機は情報を取得し、前記情報に基づき前記照明装置を制御するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記情報は通知を含み、前記無線電力送信機は前記照明装置を制御して前記通知を示す、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記情報は状態データを含み、前記無線電力送信機は前記照明装置を制御して前記状態データを示す、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
LEDを囲む管状の半透明または透明の包囲構造に対して全体的に縦に配置されたLEDを含むLED照明装置と、
前記管状の包囲構造に対して間隔をあけて配置された無線電力送信機と、
を備えるシステム。
【請求項21】
前記無線電力送信機は前記管状の半透明または透明の包囲構造の中に包囲される、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記無線電力送信機は前記管状の包囲構造を支持する取り付け具に配置される、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記取り付け具は前記無線電力送信機に動作電力を供給する、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
無線電力送信機と、
煙感知器と、を備え、
前記煙感知器が電気配線インフラストラクチャに接続されているとき、前記無線電力送信機は前記煙感知器を介して動作電力を受信するように接続される、システム。
【請求項25】
無線電力送信機と、
照明装置ソケットと、を備え、
前記照明装置ソケットが電気配線インフラストラクチャに接続されているとき、前記無線電力送信機は前記照明装置ソケットを介して電気的な動作電力を受信するように接続される、システム。
【請求項26】
無線電力送信機と、
照明取り付け具と、を備え、
前記照明取り付け具が電気配線インフラストラクチャに接続されているとき、前記無線電力送信機は前記照明取り付け具を介して電気的な動作電力を受信するように接続される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2019年3月15日に出願された「WIRELESS POWER SYSTEM TECHNOLOGY IMPLEMENTED IN LIGHTING INFRASTRUCTURE」と題する米国仮特許出願第62/818,858号および2019年12月16日に出願された「WIRELESS POWER SYSTEM TECHNOLOGY IMPLEMENTED IN LIGHTING INFRASTRUCTURE」と題する非仮出願第16/715,542号に対する優先権を主張しており、各出願の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本開示は、一般に、既存の電気配線インフラストラクチャを使用する発光ダイオード(LED)電球または照明取り付け具などのように、照明と共に使用される無線電力送信に対応する実施形態、および関連する実施形態に関する。
【背景技術】
【0003】
指向性アンテナシステムは、無線電力受信機に接続された様々な装置に無線周波数(RF)信号を介して無線電力を送信することができ、誘導充電型システムに必要な短い電磁界距離と比較して、相対的に長い距離にわたって無線電力を提供する。一般に、アンテナ(1つまたは複数のアンテナ素子)を介した無線電力送信機は、アンテナと、受信したRF信号を電力に変換する回路とを含む無線電力受信機にRF信号を送信する。
【0004】
一般に、受信機の上に無線電力送信機を搭載することにより、受信機への様々な直接または反射伝送路のうち、妨害されないものを選択できるため、良好な結果が得られる。したがって、無線電力送信機を天井タイル等に組み込むことは、望ましい解決策を提供する。しかしながら、動作電力(例えば、120ボルトAC)を送信機に供給することは、問題となる可能性がある。例えば、配線を実施するために電気技師が典型的に必要とされる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の非限定的な実施形態は、以下の図を参照して説明されており、ここで、他に特定されない限り、様々な図の全体にわたって同じ参照番号が同じ部品を参照している。
図1】本明細書に開示された主題の様々な実施形態による、各照明装置のハウジングが無線電力送信器およびアンテナ素子を含む(電球形ハウジング内の)照明装置の例を示す。
図2】本明細書に開示された主題の様々な実施形態による、各照明装置のハウジングが無線電力送信器およびアンテナ素子を含む(電球形ハウジング内の)照明装置の例を示す。
図3】本明細書に開示された主題の様々な実施形態による、ハウジングが無線電力送信器およびアンテナ素子を含む(管状ハウジング内の)照明装置の例を示す。
図4】本明細書に開示される主題の様々な実施形態による、照明関連構成要素を介して照明の制御を容易にしながら、「オン」状態で無線電力送信機への電力をロックするスイッチカバープレートの例を示す。
図5】本明細書に開示される主題の様々な実施形態による、別個の無線電力送信機に電気的に接続する電球形ハウジング内の照明装置の例を示す。
図6】本明細書に開示される主題の様々な実施形態による、物理的に分離された無線電力送信機に電気的に接続する照明装置中間アダプタソケットの例を示す。
図7】本明細書に開示される主題の様々な実施形態による、物理的に分離された無線電力送信機に電気的に接続する照明装置中間ソケット構成要素の例を示す。
図8A】本明細書に開示される主題の様々な実施形態による、缶照明用のトリムリングに組み込まれた無線電力送信機を示す。
図8B】本明細書に開示される主題の様々な実施形態による、缶照明用のトリムリングに組み込まれた無線電力送信機を示す。
図9】本明細書に開示される主題の様々な実施形態による、受信装置への無線電力送信を調整するために互いに通信する無線電力送信機を有する照明装置の例を示す。
図10】本明細書に開示される主題の様々な実施形態による、別の装置(例えば、電子ドアロック)の機能性を制御する無線電力送信機を備えた照明装置の例を示す。
図11】本明細書に開示される主題の様々な実施形態による、無線電力供給環境内の様々な無線装置への1つまたは複数の無線電力送信システムからの無線電力供給の例を示す、無線電力供給環境のブロック図を示す。
図12】本明細書に開示される主題の様々な実施形態による、無線電力送信システムと無線電力供給を開始するための無線電力受信機クライアントとの間の動作の例を示すシーケンス図を示す。
図13】本明細書に開示される主題の様々な実施形態による、無線電力送信システムの構成要素の例を示すブロック図である。
図14】本明細書に開示される主題の様々な実施形態による、無線電力受信機クライアントの構成要素の例を示すブロック図である。
図15A】本明細書に開示される主題の様々な実施形態による、マルチパス無線電力供給環境の例を示すブロック図である。
図15B】本明細書に開示される主題の様々な実施形態による、マルチパス無線電力供給環境の例を示すブロック図である。
図16】本明細書に開示される主題の様々な実施形態による、携帯電話(またはスマートホン)またはタブレットコンピュータ装置の形態の無線電力受信機またはクライアントを備えた代表的な形態装置またはタブレットコンピュータの構成要素の例を示すブロック図である。
図17】本明細書に開示される主題の様々な実施形態による、機械に本明細書に記載された方法論のいずれか1つまたは複数を実行させるための命令セットを実行することができるコンピュータシステムの機械の形式の例における概略的表現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書に記載される技術は、一般に、既存の電気配線インフラストラクチャを使用して、動作電力を無線電力送信機に供給することを目的とする。一態様では、照明装置は、無線電力送信器回路およびアンテナ素子を含むことができる。照明装置が電源に接続されている場合、例えば、電球をソケット/取付具にねじ込むことによって、または管状照明装置を対応するランプホルダー/ソケットに取り付けることによって、電力が無線電力送信器に供給される。
【0007】
別の態様では、照明装置は、分離可能な無線電力送信機が接続可能な電気ケーブルまたは端子セットを提供することができる。さらに別の態様では、照明装置および無線電力送信機が接続可能なソケットを提供することができる。
【0008】
本開示の態様を、例示的な実施形態が示されている添付図面を参照して、以下により十分に説明する。以下の説明において、説明の目的のために、様々な実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載される例示的な実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0009】
本明細書中、「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」などという用語は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。このように、本明細書の各箇所に現れる「一実施形態に(in one embodiment)」、「一実施形態に(in an embodiment)」等の語句は、必ずしも全て同じ実施形態を指すものではない。さらに、特定の特徴、構造、または特徴は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0010】
図1は、従来のLED電球102の形状の照明装置の一例を示しており、発光するLED(発光ダイオード)とともに、アンテナ素子Aに接続された無線電力送信器Txを含む。一般に、アンテナ素子Aは、出射された光を遮らない(またはかろうじて遮らない)位置に配置され、例えば、電球または電球の基部の周囲にリング状に配置され得る。なお、この技術は、LEDに限定されるものではなく、例えば、白熱灯、蛍光灯、小型蛍光灯、冷陰極蛍光灯、高輝度放電灯などに適用することができる。
【0011】
図2は、同じく無線電力送信器およびアンテナ素子を組み込んだ、投光型LED電球の形状の類似の照明装置202を示す。
【0012】
図3は、管状照明装置302を示す。一実施例では、多数(例えば、10個)のアンテナ素子をそれぞれ有する多数の無線電力送信器331-333が、管状構造体内に長手方向に、例えば、同じく管状構造体内にあるLED336のアレイにほぼ平行に配置される。このような照明装置には、任意の実用的な数の送信機(1個程度)およびアンテナ素子を組み込むことができる。
【0013】
管状のLED「ショップ照明」は、天井などの表面から吊り下げられて(または他の方法で取り付けられて)従来の電気コンセントに差し込まれる器具に組み込まれた単一の差し込み可能なユニットとして市販されていることに留意されたい。このようなショップ照明器具内に1つまたは複数の無線電力送信器および対応するアンテナ素子を実装することは簡単である。望ましく配置された電気コンセントが既に利用可能である場合には、プラグイン無線電力送信機を、照明の有無にかかわらず使用することができる。
【0014】
図1図3の例では、照明装置が接続するソケット等に動作電力を供給するために閉じられていなければならない壁スイッチ(「照明スイッチ」)がしばしば存在する。このような状況では、無線電力送信機は、照明スイッチが閉じられているときにのみ電力を受信する。十分なスペースがあれば、電力がオフにされた場合に無線送信機に電力を供給するために、電池を電球/管構造に組み込むことができるが、そのような電池は限られた時間しかそのような電力を供給できない。
【0015】
図4は、スイッチカバープレート440を示し、このスイッチカバープレート440は、ロック構成要素442と、例えばボタン446等によって作動する信号装置444とを含む。一般に、スイッチカバープレート440の設置は簡単であり、既存のスイッチカバープレートを置き換える。図から分かるように、ロック構成要素442は、スイッチを閉位置に維持し、それによって、動作電力を無線電力送信機448に継続的に供給する。
【0016】
図4に示されるロック構成要素442は、スイッチを閉じたままにしておくための1つの可能な方法である。他のスタイルのスイッチも同様にロックできる。また、ロック構成要素442は、「常にオン」状態をオーバーライドすることを可能に構成できることに留意されたい。例えば、ロック構成要素442は、一端から揺動または回転するようにヒンジで連結されてもよく、横方向に(または、努力次第で上下に)スライドしてもよく、あるいはタブ/磁石などから引き出されてもよい。
【0017】
照明装置450を動作させるために、信号装置444は、信号受信装置452および照明制御構成要素454、例えば、リレー、調光器および/またはタイマーなどに無線で接続される。ボタン446が押されると、信号装置444は信号受信装置452に信号を送信し、信号受信装置452は次に、制御(CTL)信号を照明制御構成要素454に、例えばリレーをトグルさせ、それによって照明装置をオンまたはオフ(または、調光器設定の変更、タイマーのリセットなど)にするために送信する。
【0018】
図4には明示的に示されていないが、構成要素448、450、452および/または454の一部または全部を、図1図3に例示されている電球または管状ハウジング構造に組み込み可能であることが理解される。
【0019】
モーションセンサなどを信号装置446に接続して、動きがないときにスイッチが「開き」、無線電力送信機448および照明装置450をオフにすることができる。代替的に、モーションセンサは、照明装置450をオフにするためだけに配置することができる。なお、無線電力送信機448は、動きを感知することができる。照明装置450および/または無線電力送信機448を動作させる他の方法、例えば音声コマンドを実装することができる。
【0020】
信号装置444に電力を供給する何らかの方法が必要である。ほとんどのシナリオでは、信号装置444は、無線電力送信機448によって電力を供給され、それによって、従来のバッテリが必要なくなり、または信号装置に電力を供給するためにスイッチで利用可能な電力を使用する必要もなくなる。スイッチが無線電力送信機448から無線電力を受信することができない位置にあるいくつかのシナリオでは、バッテリ、誘導結合、AC源への配線、または場合によっては異なる無線電力送信機を使用して、信号装置444に電力を供給することが可能である。
【0021】
別の態様では、無線電力送信機は、照明装置から物理的に分離されていても、照明装置または照明装置に接続された構成要素から電力を受信することができる。図5は、分離された無線電力送信機552への電力ケーブル550を有する電球ハウジング構造502の一例を示す。無線電力送信機552は、例えば接着性裏当て(backing)、取り付けネジなどによって天井または壁に取り付けることができる。電球ハウジングは、グローブ、缶取り付け具(fixture)などに含まれ得るので、配線があってもごくわずかしか見えないことに留意されたい。
【0022】
接続ケーブル550上の電力供給はACであってもよく、またはLED素子は直流(DC)によって電力供給されるため、分離された無線電力送信機552は、ケーブル550上を搬送されるDCによって電力供給されるように構成されてもよい。なお、接続プラグ554等が示されているので、電球ハウジングは、電球/交換用電球のねじ込みを容易にするために、無線電力送信機552から一時的に分離することができる。
【0023】
図6は、中間ソケット664から動作電力を受信する、同様に物理的に分離された無線電力送信機662を示す。一般に、中間ソケット664は、取り付け具ソケット666にねじ込まれ、より小さい電球ベースのためのアダプタソケットとして機能する。
【0024】
図7に示されるように、ソケット長さが問題でない場合、(図6の中間ソケット664に対して延長された)中間ソケット764は、同じサイズの電球ベース(または、場合によっては、さらに大きい電球ベース)を有する電球768を受け入れる。
【0025】
図8Aおよび図8Bは、(照明装置から)分離された無線電力送信器およびアンテナ素子の別の実施例を示しており、例えば、缶照明用のトリムリング888上に配置され、そこから電力が電力ケーブル(明示的には示されていない)を介して得られる。同様の無線電力送信機は、一般的に、放出される光を可能な限り遮断しないように構成されたランプシェード、照明器具グローブカバー、ランプシェード、壁付きの燭台などに組み込むことができる。
【0026】
無線電力送信機およびアンテナ素子を電球などの小さな構造に組み込むと、出力可能な電力量を制限することができるが、多くの用途では、相対的になお一層低い無線電力が望ましい。例えば、アパートのドアのような電子式(一般的にキーレス)ロックを考える。そのようなロックが機能するには電力が必要だが、配線が高価で、バッテリを交換する必要がある。
【0027】
しかしながら、図10に示されるように、多くのそのようなドアは、それらの上に電球1010を有し、したがって、電球ハウジング内からの無線電力は、安価な解決策を提供する。なお、無線電力受信機は、従来のサイズのバッテリに適合するハウジング内に実装することができ、したがって、バッテリ駆動ロック1012は、無線電力受信機1014を受け入れるように変更する必要はない。さらに、無線電力受信機は、そのハウジング内に1つまたは複数の小型バッテリを含み、したがって、停電中に電力を供給し続ける。さらに、典型的にはあまり使用されない電子ロックのような用途では、(1つまたは複数の)無線電力受信機バッテリは、低電力送信機から相対的にゆっくり再充電することができる。
【0028】
別の態様では、無線送信機を有する複数の電球が部屋に存在することを考慮する。これは、シャンデリア、複数の電球を保持する取り付けられた照明取り付け具、間隔を置いて配置された缶ライトのグループなどであり得る。
【0029】
複数の電球を近接して配置することにより、(政府規制に容易に適合する)複数の低ワット無線電力送信機を容易にすることができ、これらの送信機は、互いに協調して、1つ(または複数)のより強力な無線電力送信機として動作し、送信口(transmission aperture)を拡大することができる。図9のように互いに信号を送ることによって、例えば、無線電力送信機間の距離を決定するタイミングを使用して、近接性を検出することができる。無線電力送信機Tx1~Tx3のグループが、例えばアンテナ選択を調整することを決定した場合、RF電力信号タイミング等は、少なくとも1つの受信装置990に送信する単位(unit)として決定することができる。
【0030】
別の態様では、無線電力送信機をWi-Fi(登録商標)データ通信によって制御することができる。このように、他の機能は、例えば、Wi-Fi拡張機として動作する無線電力送信機を介したWi-Fiデータ通信によって制御することができる。Wi-Fi経由でデータを受信し、Bluetooth(登録商標)信号を出力して機器の機能を制御するなど、別の通信メカニズムを使用することも可能である。
【0031】
一例として、上述の電子ロックを考える。住人以外でありロックされて締め出された人は、住人に電話をかけることができ、住人はすでに無線電力送信機に接続されているWi-Fiと、ロックを制御するための信号を使って、遠隔操作でドアを開けることができる。また、無線電力送信機は、動きを検出することができ、また、例えば、荷物がいつ配達されたかを報告する、大きな人や小さな人(あるいは複数の人)がドアの前にいるなど、ある程度形状およびサイズを認識することができる分析を含むか、またはそれにリンクすることができることに留意されたい。
【0032】
別の態様では、送信機は、照明取り付け具に埋め込むことができ、この場合、送信機を備えた照明取り付け具は、例えば、約1メートルの距離で複数の装置に電力を供給することができる。照明は、さまざまな状態を示すように制御できる。これに限定されない例として、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、セルラーまたは他の無線技術などによって通信されるような通知がユーザにある場合、光はn秒間(例えば、3秒)点滅することができる。別の非限定的な例として、光は、例えば、受信機のバッテリが満杯/空であることを示すために、一時的に減光(または明るく)され得る。別の非限定的な例として、光強度を変化させて、無線電力受信機を表す異なる状態を表すことができる。ある種のLEDでは、光の出力色を変更して、無線電力状態データおよび/または無線電力システムによって受信された情報に関する情報を同様に伝えることもできる。
【0033】
見てわかるように、既存の電気配線インフラストラクチャを使用して、無線電力送信を実装することができる。ソケット等の照明は、既存の電気配線インフラストラクチャの典型的な例であるが、特定の状況では、他の既存の電気配線インフラストラクチャ(例えば、取り出し口)が望ましい位置に存在し、したがって同様に使用されてもよい。一部の家庭には、有線式煙感知器も設置されており、そのため、既存の電気配線インフラストラクチャを無線電力送信に使用する別の方法を提供している。
【0034】
さらに、所望の量の光を生成するために照明装置によって取られる空間は、より小さくなり続け、それによって、LEDハウジングは、無線電力送信機/アンテナ素子のためのより多くの空間を提供し、これらの素子自体は、時間とともにより小さくなる傾向がある。その結果、照明は、家庭の消費者のような多くのシナリオにおいて、無線電力送信を提供するための直接的で安価な方法を提供する。
【0035】
図11は、いくつかの実施形態による、1つまたは複数の無線電力送信システム(WPTS)1101a~n(「無線電力供給システム」、「アンテナアレイシステム」および「無線充電器」とも呼ばれる)から無線電力供給環境1100内の様々な無線装置1102a~nへの無線電力供給を図示する例示的な無線電力供給環境1100を含むブロック図を示す。より具体的には、図11は、無線電力および/またはデータが、1つまたは複数の無線電力受信機クライアント1103a~1103n(本明細書では「クライアント」および「無線電力受信機」とも呼ぶ)を有する利用可能な無線装置1102a~1102nに供給され得る無線電力供給環境1100の例を示す。無線電力受信機クライアントは、1つまたは複数の無線電力送信システム1101a~1101nから無線電力を受信し、処理するように構成される。例示的な無線電力受信機クライアント1103の構成要素は、図14を参照してより詳細に示され、議論される。
【0036】
図11の例に示すように、無線装置1102a~1102nは、携帯電話装置および無線ゲームコントローラを含む。しかしながら、無線装置1102a~1102nは、電力を必要とし、1つまたは複数の統合無線電力受信機クライアント1103a~1103nを介して無線電力を受信することができる任意の装置またはシステムであり得る。本明細書で説明するように、1つまたは複数の統合無線電力受信機クライアントは、1つまたは複数の無線電力送信システム1101a~1101nから電力を受信して処理し、その動作のために無線装置1102a~1102n(または無線装置の内部バッテリ)に電力を供給する。
【0037】
各無線電力送信システム1101は、複数のアンテナ1104a~n、例えば、無線装置1102a~1102nに無線電力を供給することができる数百または数千のアンテナを含むアンテナアレイを含むことができる。一部の実施形態では、アンテナは、適応位相RFアンテナである。無線電力送信システム1101は、コヒーレント電力伝送信号を無線電力受信機クライアント1103a~1103nに送るための適切な位相を決定することができる。アレイは、相互に対して特定の位相で複数のアンテナから信号(例えば、連続波またはパルス電力送信信号)を放射するように構成される。用語「アレイ」の使用は、必ずしもアンテナアレイを任意の特定のアレイ構造に限定するものではないことが理解される。すなわち、アンテナアレイは、特定の「アレイ」形態または幾何学的配置で構成される必要はない。さらに、本明細書で使用される場合、用語「アレイ」または「アレイシステム」は、無線、デジタル論理およびモデムなどの信号生成、受信および送信のための関連および周辺回路を含むことができる。いくつかの実施形態では、無線電力送信システム1101は、1つまたは複数のアンテナまたはトランシーバを介したデータ通信のための埋め込みWi-Fiハブを有することができる。
【0038】
無線装置1102は、1つまたは複数の無線電力受信機クライアント1103を含むことができる。図11の例に示すように、電力供給アンテナ1104a~1104nが示されている。電力供給アンテナ1104aは、無線電力供給環境において無線RF電力の供給を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の電力供給アンテナ1104a~1104nは、代替的に、または追加的に、無線電力供給に加えて、または無線電力供給の代わりに、データ通信のために構成することができる。1つまたは複数のデータ通信アンテナは、無線電力受信機クライアント1103a~1103nおよび/または無線装置1102a~1102nとの間でデータ通信を送受信するように構成される。いくつかの実施形態では、データ通信アンテナは、Bluetooth、Wi-Fi___33、ZigBee(ともに登録商標)などを介して通信することができる。
【0039】
各無線電力受信機クライアント1103a~1103nは、無線電力送信システム1101a~1101nから信号を受信するための1つまたは複数のアンテナ(図示せず)を含む。同様に、各無線電力送信システム1101a~1101nは、互いに相対的に特定の位相で連続波または離散(パルス)信号を放射することができる1または複数のアンテナおよび/または一組または複数組のアンテナを有するアンテナアレイを含む。上述のように、各無線電力送信システム1101a~1101nは、コヒーレント信号を無線電力受信機クライアント1102a~1102nに供給するための適切な位相を決定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コヒーレント信号は、アレイの各アンテナで受信されたビーコン(またはキャリブレーション)信号の複素共役を計算して、ビーコン(またはキャリブレーション)信号を送信した特定の無線電力受信機クライアントに電力を供給するためにコヒーレント信号が位相合わせされるように決定することができる。
【0040】
図示されていないが、環境の各構成要素、例えば、無線装置、無線電力送信システムなどは、制御および同期メカニズム、例えば、データ通信同期モジュールを含むことができる。無線電力送信システム1101a~1101nは、例えば、無線電力送信システムを建物内の標準または一次AC電源に接続する電源コンセントまたは電源などの電源に接続することができる。代替的に、または追加的に、1つまたは複数の無線電力送信システム1101a~1101nは、バッテリによって、または他の機構、例えば太陽電池などを介して電力供給され得る。
【0041】
無線電力受信機クライアント1102a~1102nおよび/または無線電力送信システム1101a~1101nは、マルチパス無線電力供給環境で動作するように構成される。すなわち、無線電力受信機クライアント1102a~1102nおよび無線電力送信システム1101a~1101nは、例えば、壁または範囲内の他のRF反射障害物などの反射物体1106を利用して、無線電力送達環境内でビーコン(またはキャリブレーション)信号を送信するように、および/または無線電力および/またはデータを受信するように構成される。反射物体1106は、障害物が無線電力送信システムと無線電力受信機クライアント1103a~1103nとの間の視線上にあるか否かにかかわらず、多方向信号通信に利用することができる。
【0042】
本明細書に記載されるように、各無線装置1102a~1102nは、例示的環境1100内の別の装置、サーバ、および/または他のシステムとの接続を確立することができる任意のシステムおよび/または装置、および/または装置/システムの任意の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、無線装置1102a~1102nは、ユーザにデータを提示するためのディスプレイまたは他の出力機能、および/またはユーザからデータを受信するための入力機能を含む。一例として、無線装置1102は、ビデオゲームコントローラ、サーバデスクトップ、デスクトップコンピュータ、コンピュータクラスタ、ノートブック、ラップトップコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、PDA、Blackberry(登録商標)装置、Treo、および/またはiPhone(登録商標)などのモバイルコンピューティング装置であり得るが、これらに限定されない。一例として、無線装置1102はまた、時計、ネックレス、リング、または顧客にまたは顧客の内部に埋め込まれた装置であってもよい。無線装置1102の他の例としては、(例えば、火災または一酸化炭素の)安全センサ、電動歯ブラシ、電子ドアロック/ハンドル、電灯スイッチコントローラ、電気シェーバなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
図11の例では図示していないが、無線電力送信システム1101および無線電力受信機クライアント1103a~1103nは、それぞれデータチャネルを介して通信するためのデータ通信モジュールを含むことができる。代替的に、または追加的に、無線電力受信機クライアント1103a~1103nは、無線装置1102a~1102nに、既存のデータ通信モジュールを介して無線電力送信システムと通信するように指示することができる。いくつかの実施形態では、ここでは主に連続波形と呼ばれるビーコン信号は、代替的にまたは追加的に変調信号の形態を取ることができる。
【0044】
図12は、一実施形態による、マルチパス無線電力供給において無線電力供給を確立するための、無線電力供給システム(例えば、図11の無線電力送信システム1101)と無線電力受信機クライアント(例えば、図14)との間の動作例を示すシーケンス図1200を示す。最初に、無線電力供給システムと電力受信機クライアントとの間で通信が確立される。初期通信は、例えば、無線電力送信システムの1つまたは複数のアンテナ(例えば、1104a~1104n)を介して確立されるデータ通信リンクであり得る。議論されるように、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のアンテナは、データアンテナ、無線電力送信アンテナ、またはデュアルパーパスデータ/電力アンテナであり得る。このデータ通信チャネルを介して、無線電力送信システムと無線電力受信機クライアントとの間で様々な情報を交換することができる。例えば、無線電力シグナリングは、無線電力配信環境でさまざまなクライアント間でタイムスライスできる。このような場合、無線電力送信システムは、ビーコンスケジュール情報、例えば、ビーコンビートスケジュール(BBS)サイクル、電力サイクル情報等を送信することができ、これにより、無線電力受信機クライアントは、いつビーコン信号を送信(放送)すべきか、いつ電力を待ち受けるべきか等を知ることができる。
【0045】
図12の例に続いて、無線電力送信システムは、電力を受信するために1つまたは複数の無線電力受信機クライアントを選択し、選択された無線電力受信機クライアントにビーコンスケジュール情報を送信する。また、無線電力送信システムは、無線電力受信機クライアントが無線電力送信システムから無線電力をいつ期待するか(例えば、時間の窓)を知るように、電力伝送スケジューリング情報を送信することもできる。次に、無線電力受信機クライアントは、ビーコン(またはキャリブレーション)信号を生成し、ビーコンスケジュール情報(例えば、BBSサイクル)によって示される割り当てられたビーコン送信ウィンドウ(またはタイムスライス)中にビーコンを放送する。本明細書で説明するように、無線電力受信機クライアントは、無線電力受信機クライアントが埋め込まれている無線装置に近接する3次元空間に放射および受信パターンを有する1つまたは複数のアンテナ(またはトランシーバ)を含む。
【0046】
無線電力送信システムは、電力受信機クライアントからビーコンを受信し、複数のアンテナでビーコン信号が受信される位相(または方向)を検出および/または測定する。次に、無線電力送信システムは、対応する各アンテナにおける受信ビーコンの検出または測定された位相(または方向)に基づいて、複数のアンテナから電力受信機クライアントに無線電力を供給する。いくつかの実施形態では、無線電力送信システムは、ビーコンの測定された位相の複素共役を決定し、複素共役を使用して送信位相を決定し、この送信位相は、ビーコン信号が無線電力受信機クライアントから受信されたのと同じ経路を介して無線電力を無線電力受信機クライアントに送達および/または他の方法で誘導するためにアンテナを構成する。
【0047】
いくつかの実施形態において、無線電力送信システムは、多数のアンテナを含む。多数のアンテナのうちの1つまたは複数を使用して、電力を電力受信機クライアントに供給することができる。無線電力送信システムは、各アンテナでビーコン信号が受信される位相を検出および/または他の方法で決定または測定することができる。多数のアンテナにより、無線電力送信システムの各アンテナで受信されるビーコン信号の位相が異なる場合がある。上述のように、無線電力送信システムは、各アンテナで受信されたビーコン信号の複素共役を決定することができる。複素共役を使用して、1つまたは複数のアンテナが、無線電力送信システム内の多数のアンテナの影響を考慮した信号を放射することができる。言い換えれば、無線電力送信システムは、1つまたは複数のアンテナからの無線電力送信信号を、その1つまたは複数のアンテナから、ビーコンの波形をほぼ反対方向に再現する集約信号を生成するように放射することができる。別の方法では、無線電力送信システムは、無線電力送信システムでビーコン信号を受信するのと同じ経路を介して無線RF電力を無線電力受信機クライアントに供給することができる。これらの経路は、環境内の反射物体1106を利用することができる。加えて、無線電力送信信号は、無線電力送信信号がクライアント装置に近接する3次元(3D)空間においてクライアント装置のアンテナ放射および受信パターンに集合的に一致するように、無線電力送信システムから同時に送信することができる。
【0048】
図示のように、ビーコン(またはキャリブレーション)信号は、例えば、BBSにしたがって電力供給環境内の無線電力受信機クライアントによって周期的に送信することができ、その結果、無線電力送信システムは、無線電力供給環境内の電力受信機クライアントの知識を維持し、かつ/または、位置を追跡することができる。無線電力送信システムにおいて無線電力受信機クライアントからビーコン信号を受信し、次いで、その特定の無線電力受信機クライアントに向けられた無線電力で応答するプロセスを、本明細書では、逆方向無線電力供給と呼ぶ。
【0049】
さらに、本明細書で議論されるように、無線電力は、電力スケジュール情報によって定義される電力サイクルで供給され得る。次に、無線電力供給を開始するために必要なシグナリングのより詳細な例を、図13を参照して説明する。
【0050】
図13は、一実施形態による、無線電力送信システム1300の例示的な構成要素を示すブロック図を示す。図13の例に示すように、無線電力送信システム1300は、マスターバスコントローラ(MBC)ボードと、アンテナアレイを集合的に含む複数のメザニン基板とを含む。他の実施形態(図示せず)では、無線電力送信システム1300は、例えば、複数のメザニン基板を介してアンテナアレイに通信可能に接続されることに加えて、またはその代わりに、そのような他の構成要素と通信可能に接続することができることを理解されたい。
【0051】
MBCは、制御ロジック1310と、外部データインターフェース(I/F)1315と、外部電力インターフェース(I/F)1320と、通信ブロック1330と、プロキシ1340とを含む。メザニン基板(またはアンテナアレイ基板1350)は、それぞれ複数のアンテナ1360a~1360nを含む。一部の実施形態では、構成要素の一部または全部を省略することができる。追加の構成要素も可能である。例えば、いくつかの実施形態では、通信ブロック1330またはプロキシ1340のうちの一方のみが含まれてもよい。
【0052】
制御ロジック1310は、アレイ構成要素に制御およびインテリジェンスを提供するように構成される。制御ロジック1310は、1つまたは複数のプロセッサ、FPGA、メモリユニット等を含み、種々のデータ通信および電力通信を直接制御することができる。通信ブロック1330は、クロック同期のためのベース信号クロックなどのデータキャリア周波数でデータ通信を指示することができる。データ通信は、Bluetooth、Wi-Fi、ZigBee(ともに登録商標)などであってよく、これらの組み合わせまたは変形を含む。同様に、プロキシ1340は、本明細書で説明するように、データ通信を介してクライアントと通信することができる。データ通信は、限定ではなく例として、Bluetooth、Wi-Fi、ZigBee(ともに登録商標)などとすることができ、他の通信プロトコルも可能である。
【0053】
いくつかの実施形態では、制御ロジック1310は、モノのインターネット(IoT)装置のためのデータ集約を容易にし、および/または可能であれば可能にすることもできる。一部の実施形態では、無線電力受信機クライアントは、無線電力受信機クライアントが組み込まれている装置に関するIoT情報にアクセスし、追跡し、および/またはその他の方法で取得し、そのIoT情報を、データ接続を介して無線電力送信システムに提供することができる。このIoT情報は、外部データインターフェース1315を介して中央またはクラウドベースのシステム(図示せず)に提供することができ、そこでは、データを集約し、処理し、等を行うことができる。例えば、中央システムは、地理、無線電力送信システム、環境、装置等にわたる様々な傾向を識別するためにデータを処理することができる。いくつかの実施形態では、集約されたデータおよび/または傾向データを使用して、遠隔更新などを介して装置の動作を改善することができる。代替的に、または、いくつかの実施形態では、さらに、集約されたデータを第三者のデータ消費者に提供することができる。このように、無線電力送信システムは、IoT装置のゲートウェイまたはイネーブラとして機能する。これに限定されない例として、IoT情報は、無線電力受信機クライアントが組み込まれている装置の能力、装置の使用情報、装置の電力レベル、装置または、例えば、センサなどを介して無線電力受信機クライアント自体によって取得される情報を含むことができる。
【0054】
外部電力インターフェース1320は、外部電力を受け取り、様々な構成要素に電力を供給するように構成される。いくつかの実施形態では、外部電力インターフェース1320は、標準の外部24ボルト電源を受信するように構成することができる。他の実施形態では、外部電力インターフェース1320は、例えば、様々な構成要素に電力を供給するために必要な12/24/48ボルトの直流電源を供給する組み込み直流電源に対する120/240ボルトの交流(AC)電源とすることができる。あるいは、外部電力インターフェースは、必要な12/24/48ボルトDCを供給するDC電源装置であってもよい。別の構成も可能である。
【0055】
動作時、無線電力送信システムを制御するMBCは、電源から電力を受け取り、起動される。次に、MBCは、無線電力送信システム上のプロキシアンテナ素子を起動し、プロキシアンテナ素子は、デフォルトの「発見」モードに入り、無線電力送信システムの範囲内で利用可能な無線電力受信機クライアントを識別する。クライアントが見つかると、無線電力送信システムのアンテナ要素がオンになり、列挙され、(オプションで)調整される。
【0056】
MBCは、スケジューリング処理中にビーコン送信スケジューリング情報および電力送信スケジューリング情報を生成する。スケジューリングプロセスは、電力受信機クライアントの選択を含む。例えば、MBCは、電力送信のために電力受信機クライアントを選択し、選択された無線電力受信機クライアントのためにBBSサイクルおよび電力スケジュール(PS)を生成することができる。本明細書で説明するように、電力受信機クライアントは、それらの対応する特性および/または要件に基づいて選択することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、MBCは、クライアントクエリテーブル(CQT)でステータスがクエリされる利用可能なクライアントを識別および/または選択することもできる。CQTに配置されるクライアントは、「スタンバイ」状態にあるクライアント(例えば、課金を受けていないクライアント)である。BBSとPSは、バッテリの状態、電流のアクティビティ/使用率、電力が切れるまでのクライアントの残り時間、使用率の優先度など、クライアントに関する重要な情報に基づいて計算される。
【0058】
プロキシアンテナエレメント(AE)はすべてのクライアントにBBSを放送する。ここで説明するように、BBSは、各クライアントがいつビーコンを送信すべきかを示す。同様に、PSは、アレイがいつ、どのクライアントに電力を送信し、クライアントがいつ無線電力を待ち受けるべきかを示す。各クライアントはビーコンの放送を開始し、BBSおよびPSごとにアレイから電力を受け取る。プロキシAEは同時にクライアントクエリテーブルを照会して、他の利用可能なクライアントのステータスをチェックすることができる。いくつかの実施形態では、クライアントは、BBSまたはCQT(例えば、待機リスト)にのみ存在することができ、両方に存在することはできない。前のステップで収集された情報は、BBSサイクルおよび/またはPSを継続的および/または定期的に更新する。
【0059】
図14は、いくつかの実施形態による、無線電力受信機クライアント1400の例示的な構成要素を示すブロック図である。図14の例に示されるように、無線電力受信機クライアント1400は、制御ロジック1410、バッテリ1420、IoT制御モジュール1425、通信ブロック1430および関連するアンテナ1470、電力計1440、整流器1450、合成器1455、ビーコン信号生成器1460、ビーコン符号化ユニット1462および関連するアンテナ1480、ならびに整流器1450またはビーコン信号生成器1460を1つまたは複数の関連するアンテナ1490a~nに接続するスイッチ1465を含む。一部の実施形態では、構成要素の一部または全部を省略することができる。例えば、いくつかの実施形態では、無線電力受信機クライアント1400は、それ自体のアンテナを含まず、代わりに、無線電力受信機クライアントが組み込まれている無線装置の1つまたは複数のアンテナ(例えば、Wi-Fi___33アンテナ)を利用し、および/または共用する。さらに、一部の実施形態では、無線電力受信機クライアントは、データ送信機能および電力/データ受信機能を提供する単一のアンテナを含むことができる。追加の構成要素も可能である。
【0060】
合成器1455は、受信機1400が複数のアンテナを有する場合に、電力送信機から受信した電力送信信号を受信し合成する。合成器は、整合状態を維持しながら出力ポート間の分離を達成するように構成された任意の合成器または分割器回路とすることができる。例えば、合成器1455は、ウィルキンソン電力分割器回路とすることができる。整流器1450は、合成器1455から合成された電力送信信号を受信し、存在する場合に電力計1440を介してバッテリ1420に供給され、充電される。他の実施形態では、各アンテナの電力経路は、それ自体の整流器1450を有することができ、整流器からのDC電力は、電力計1440に給電する前に合成される。電力計1440は、受信電力信号強度を測定することができ、この測定値を制御ロジック1410に提供する。
【0061】
バッテリ1420は、保護回路および/または監視機能を含むことができる。さらに、バッテリ1420は、電流制限、温度保護、過不足電圧警報および保護、ならびにクーロン監視を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の特徴を含むことができる。
【0062】
制御ロジック1410は、バッテリ1420自体からバッテリ電力レベルを受信して処理する。また、制御ロジック1410は、通信ブロック1430を介して、クロック同期のためのベース信号クロックなどのデータキャリア周波数のデータ信号を送受信してもよい。ビーコン信号生成器1460は、ビーコン信号を生成し、ビーコン信号を符号化した後、アンテナ1480または1490を用いてビーコン信号を送信する。
【0063】
バッテリ1420は無線電力受信機クライアント1400によって充電され、電力を供給するように示されているが、受信機は整流器1450から直接その電力を受け取ることもできることに留意されたい。さらに、これは整流器1450がバッテリ1420に充電電流を供給すること、または充電を供給する代わりとしてもよい。また、複数のアンテナの使用は、実装の一例であり、構造は、1つの共用アンテナに低減され得ることに留意されたい。
【0064】
いくつかの実施形態では、制御ロジック1410および/またはIoT制御モジュール1425は、無線電力受信機クライアント1400が組み込まれている装置と通信し、および/またはIoT情報を引き出すことができる。図示されていないが、いくつかの実施形態では、無線電力受信機クライアント1400は、無線電力受信機クライアント1400が埋め込まれ、IoT情報を取得することができる装置との1つまたは複数の(有線または無線)データ接続を有することができる。代替的に、または追加的に、IoT情報は、例えば、1つまたは複数のセンサを介して、無線電力受信機クライアント1400によって決定および/または推論され得る。上述したように、IoT情報は、無線電力受信機クライアント1400が組み込まれている装置の能力に関する情報、無線電力受信機クライアント1400が組み込まれている装置の使用情報、無線電力受信機クライアント1400が組み込まれている装置のバッテリの電力レベル、および/または、無線電力受信機クライアントが組み込まれている装置または無線電力受信機クライアント自体によって、例えばセンサなどを介して取得または推測される情報を含むことができるが、これらに限定されない。
【0065】
いくつかの実施形態では、クライアント識別子(ID)モジュール1415は、無線電力供給環境において無線電力受信機クライアント1400を一意に識別することができるクライアントIDを記憶する。例えば、通信が確立されたときに、IDを1つまたは複数の無線電力送信システムに送信することができる。一部の実施形態では、無線電力受信機クライアントは、クライアントIDに基づいて、無線電力供給環境において他の無線電力受信機クライアントを受信し、識別することもできる。
【0066】
オプションの動作センサ1495は、動きを検出し、それにしたがって動作するように制御ロジック1410に信号を送ることができる。例えば、電力を受ける装置は、加速度計のようなモーション検出機構または動きを検出する同等の機構を統合することができる。装置が動いている最中であることを検出すると、それはユーザによって掴まれていると想定され、電力の送信を停止するか、または装置に送信される電力を低下させるためにアレイへの信号をトリガする。いくつかの実施形態では、装置が自動車、列車、または飛行機のような移動環境で使用される場合、装置の電力が非常に低い場合を除き、電力は間欠的にまたは低減されたレベルでのみ送信され得る。
【0067】
図15Aおよび図15Bは、いくつかの実施形態による、例示的なマルチパス無線電力供給環境1500を示す図を示す。マルチパス無線電力供給環境1500は、1または複数の無線電力受信機クライアント(例えば、1503)を含む無線装置(例えば、510、1502など)を操作するユーザを含む。無線装置1502は、本明細書に記載するような無線装置であってもよく、1つまたは複数の無線電力受信機クライアント1503は、無線電力受信機クライアント1400であってもよいが、代替構成も可能である。同様に、無線電力送信システム1501は、例えば、別の構成も可能であるが、本明細書に図示および/または説明されたもののいずれであってもよい。マルチパス無線電力供給環境1500は、反射性物体1506と、様々な吸収性物体、例えばユーザ、または人間、家具等を含む。
【0068】
無線装置1502は、無線装置1502の近くに3次元空間の放射および受信パターン1510を有する1つまたは複数のアンテナ(またはトランシーバ)を含む。1つまたは複数のアンテナ(またはトランシーバ)は、無線装置1502および/または無線電力受信機クライアント(図示せず)の一部として全体的または部分的に含まれ得る。例えば、いくつかの実施形態では、無線装置1502の1つまたは複数のアンテナ、例えば、Wi-Fi___33、Bluetooth等を、無線電力受信のために利用し、および/または他の方法で共用することができる。図15Aおよび図15Bの例に示すように、送受信パターン1510は、主ローブと複数のサイドローブとを有するローブパターンからなる。他のパターンも可能である。
【0069】
無線装置1502は、複数の経路を介してビーコン(またはキャリブレーション)信号を無線電力送信システム1501に送信する。本明細書で説明するように、無線装置1502は、無線電力送信システムによる受信ビーコン信号の強度、例えば受信信号強度表示(RSSI)が放射および受信パターン1510に依存するように、放射および受信パターン1510の方向にビーコンを送信する。例えば、放射および受信パターン1510にヌルがあり、放射および受信パターン1510のピーク、例えば主ローブのピークでビーコン信号が最も強い場合、ビーコン信号は送信されない。図15Aの例に示すように、無線装置1502は、5つの経路P1~P5を介してビーコン信号を送信する。経路P4およびP5は、反射性および/または吸収性物体1506によってブロックされる。無線電力送信システム1501は、経路P1~P3を介して強度が高くなるビーコン信号を受信する。太い線はより強いシグナルを示す。いくつかの実施形態では、ビーコン信号は、例えば、ユーザへの不要なRFエネルギー露出を回避するために、このように方向性を持って送信される。
【0070】
アンテナの基本的な特性は、受信に使用されるときのアンテナの受信パターン(方向の関数としての感度)が、送信に使用されるときのアンテナの遠方界放射パターンと同一であることである。これは電磁気学における相反定理の結果である。図15Aおよび図15Bの例に示すように、送受信パターン1510は3次元ローブ形状である。しかしながら、放射および受信パターン1510は、アンテナ設計に使用されるホーンアンテナ、単純な垂直アンテナなどのように、タイプに応じて任意の数の形状とすることができる。例えば、放射および受信パターン1510は、様々な指向性パターンを含むことができる。無線電力供給環境において、複数のクライアント装置の各々に対して、任意の数の異なるアンテナ放射および受信パターンが可能である。
【0071】
再び図15Aを参照すると、無線電力送信システム1501は、複数のアンテナまたはトランシーバにおいて複数の経路P1~P3を介してビーコン(またはキャリブレーション)信号を受信する。図示されているように、経路P2およびP3は視線方向の直接経路であり、経路P1は非視線経路である。ビーコン(またはキャリブレーション)信号が無線電力送信システム1501によって受信されると、電力送信システム1501はビーコン(またはキャリブレーション)信号を処理して、複数のアンテナの各々におけるビーコン信号の1つまたは複数の受信特性を決定する。例えば、他の動作の中で、無線電力送信システム1501は、ビーコン信号が複数のアンテナまたはトランシーバの各々で受信される位相を測定することができる。
【0072】
無線電力送信システム1501は、複数のアンテナの各々におけるビーコン信号の1つまたは複数の受信特性を処理して、対応するアンテナまたはトランシーバで測定されたビーコン(またはキャリブレーション)信号の1つまたは複数の受信特性に基づいて、複数のRFトランシーバの各々に対する1つまたは複数の無線電力送信特性を決定または測定する。限定ではなく例として、無線電力送信特性は、各アンテナまたはトランシーバの位相設定、送信電力設定などを含むことができる。
【0073】
本明細書で説明するように、無線電力送信システム1501は、一旦アンテナまたはトランシーバが構成されると、複数のアンテナまたはトランシーバが、クライアント装置に近接する3次元空間におけるクライアント放射および受信パターンに一致する無線電力信号を伝送するように動作可能であるように、無線電力送信特性を決定する。図15Bは、経路P1~P3を介して無線電力を無線装置1502に送信する無線電力送信システム1501を示す。有利には、本明細書で説明するように、無線電力信号は、クライアント装置に近接する3次元空間内のクライアント放射および受信パターン1510と一致する。別の方法として、無線電力送信システムは、無線電力受信機が最大利得を有する方向に、例えば、最も無線電力を受信する方向に無線電力信号を送信する。その結果、無線電力受信機が電力を受信することができない方向、例えばヌルおよび障害物で信号が送信されない。いくつかの実施形態では、無線電力送信システム1501は、受信されたビーコン信号のRSSIを測定し、ビーコンが閾値未満である場合、無線電力送信システムは、その経路を介して無線電力を送信しない。
【0074】
図15Aおよび図15Bの例に示される3つの経路は、簡略化のために示されており、無線電力供給環境における反射性および吸収性物体に応じて、無線装置1502に電力を送信するために任意の数の経路を利用できることが理解される。図15Aの例は、放射および受信パターン1510の方向にビーコン(またはキャリブレーション)信号を送信することを示しているが、いくつかの実施形態では、ビーコン信号を代替的にまたは追加的に全方向に送信することができることが理解される。
【0075】
図16は、一実施形態による、携帯電話(またはスマートフォン)またはタブレットコンピュータ装置の形態の無線電力受信機またはクライアントを備えた代表的なモバイルデバイス(例えば、510)またはタブレットコンピュータ1600の例示的な構成要素を示すブロック図である。様々なインターフェースおよびモジュールが図16を参照して示されているが、モバイルデバイスまたはタブレットコンピュータは、本明細書に記載された機能を実行するためにすべてのモジュールまたは機能を必要としない。多くの実施形態では、様々な構成要素が含まれておらず、かつ/またはカテゴリコントローラの動作に必要でないことが理解される。例えば、コストおよび/または複雑性を低減するために、GPS無線機、セルラー無線機および加速度計のような構成要素をコントローラに含めないことができる。さらに、ZigBee無線機やRF識別(RFID)トランシーバなどの構成要素をアンテナとともにPCBに実装できる。
【0076】
無線電力受信機クライアントは、図16の電力受信機クライアント1603とすることができるが、代替構成も可能である。さらに、無線電力受信機クライアントは、充電器、例えば図16のWPTS1601から電力および/またはデータ信号を受信するための1つまたは複数のRFアンテナを含むことができる。
【0077】
図17は、例示的な形態のコンピュータシステムの機械の概略図を示しており、このコンピュータシステム内で、機械に本明細書に記載された方法のうちの任意の1つまたは複数を実行させるための命令セットを実行することができる。
【0078】
図17の例では、コンピュータシステムは、プロセッサ、メモリ、不揮発性メモリ、およびインターフェース装置を含む。説明を簡単にするために、様々な共通の構成要素(例えば、キャッシュメモリ)は省略されている。コンピュータシステム1700は、例えば、図1図16等に示されている構成要素のいずれか(および、本明細書に記載されている他の構成要素)を実装することができるハードウェア装置を示すことを意図している。例えば、コンピュータシステムは、任意の放射物体またはアンテナアレイシステムとすることができる。コンピュータシステムは、任意の適用可能な既知のタイプまたは便利なタイプとすることができる。コンピュータシステムの構成要素は、バスを介して、または何らかの他の公知のまたは便利な装置を介して互いに接続することができる。
【0079】
プロセッサは、例えば、Intel Pentium(登録商標)マイクロプロセッサまたはMotorola Power PC(登録商標)マイクロプロセッサなどの従来のマイクロプロセッサであってもよい。当業者は、「機械可読(記憶)媒体」または「コンピュータ可読(記憶)媒体」という用語が、プロセッサによってアクセス可能な任意のタイプの装置を含むことを認識するであろう。
【0080】
メモリは、例えばバスによってプロセッサに接続される。メモリは、例えば、ダイナミックRAM(DRAM)およびスタティックRAM(SRAM)などのランダムアクセスメモリ(RAM)を含むことができるが、これに限定されるものではない。メモリは、ローカル、リモート、または分散のいずれかであってよい。
【0081】
バスはまた、プロセッサを不揮発性メモリおよびドライブユニットに接続する。不揮発性メモリは、多くの場合、磁気フロッピー(登録商標)またはハードディスク、磁気光ディスク、光ディスク、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、電気的にプログラム可能なROM(EPROM)、または電気的に消去可能なROM(EEPROM)などの読み出し専用メモリ(ROM)、磁気カードまたは光学カード、または大量のデータのための別の形式の記憶装置である。このデータの一部は、コンピュータ1700におけるソフトウェアの実行中に、ダイレクトメモリアクセスプロセスによってメモリに書き込まれることが多い。不揮発性ストレージは、ローカル、リモート、または分散のいずれかである。不揮発性メモリは、メモリ内で利用可能なすべての該当するデータを使用してシステムを作成できるため、オプションである。典型的なコンピュータシステムは、通常、少なくとも1つのプロセッサ、メモリ、およびメモリをプロセッサに接続する装置(例えば、バス)を含む。
【0082】
ソフトウェアは、通常、不揮発性メモリおよび/またはドライブユニットに格納される。実際、大規模なプログラムでは、プログラム全体をメモリに格納することさえできないかもしれない。それにもかかわらず、ソフトウェアが実行されるためには、必要に応じて、処理に適したコンピュータ読み取り可能な場所に移動され、説明のために、この文書ではその場所をメモリと呼ぶことを理解されたい。実行のためにソフトウェアがメモリに移動される場合であっても、プロセッサは、典型的には、ハードウェアレジスタを利用して、ソフトウェアに関連する値を記憶し、ローカルキャッシュを利用して、理想的には、実行を高速化する。本明細書で使用される場合、ソフトウェアプログラムは、そのソフトウェアプログラムが「コンピュータ可読媒体に実装される」と呼ばれる場合、(不揮発性記憶装置からハードウェアレジスタまでの)任意の既知のまたは便利な場所に格納されると想定される。プロセッサは、プログラムに関連付けられた少なくとも1つの値がプロセッサによって読み取り可能なレジスタに格納されている場合、「プログラムを実行するように構成されている」と考えられる。
【0083】
バスはまた、プロセッサをネットワークインターフェース装置に接続する。インターフェースは、1つまたは複数のモデムまたはネットワークインターフェースを含むことができる。モデムまたはネットワークインターフェースは、コンピュータシステムの一部と見なすことができることが理解されよう。インターフェースは、アナログモデム、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)モデム、ケーブルモデム、トークンリングインターフェース、衛星伝送インターフェース(例えば、「ダイレクトPC」)、またはコンピュータシステムを他のコンピュータシステムに接続するための他のインターフェースを含むことができる。インターフェースには、1つまたは複数の入力または出力(I/O)装置を含めることができる。I/O装置は、例えば、キーボード、マウスまたは他のポインティング装置、ディスクドライブ、プリンタ、スキャナ、およびディスプレイ装置を含む他の入力および/または出力装置を含むことができるが、これらに限定されるものではない。表示装置は、例えば、限定するものではないが、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、または他の適用可能な既知または便利な表示装置を含むことができる。簡単のために、図17の例に示されていない任意の装置のコントローラがインターフェース内に存在すると仮定する。
【0084】
動作中、コンピュータシステム1700は、ディスクオペレーティングシステムのようなファイル管理システムを含むオペレーティングシステムソフトウェアによって制御することができる。関連付けられたファイル管理システムソフトウェアを伴うオペレーティングシステムソフトウェアの一例は、ワシントン州レドモンドのMicrosoft CorporationによるWindows(登録商標)として知られるオペレーティングシステムのファミリーおよびそれらの関連付けられたファイル管理システムである。オペレーティングシステムソフトウェアとそれに関連するファイル管理システムソフトウェアの別の例は、Linux(登録商標)オペレーティングシステムとそれに関連するファイル管理システムである。ファイル管理システムは、通常、不揮発性メモリおよび/またはドライブユニットに格納され、プロセッサに、不揮発性メモリおよび/またはドライブユニットにファイルを格納することを含む、データを入出力し、メモリにデータを格納するためにオペレーティングシステムによって要求される様々な動作を実行させる。
【0085】
本明細書中で使用される場合、用語「処理構成要素」は、実質的に、単一コアプロセッサ;ソフトウェアマルチスレッド実行機能を持つシングルプロセッサ;マルチコアプロセッサ;ソフトウェアマルチスレッド実行機能を備えたマルチコアプロセッサ;ハードウェアマルチスレッドテクノロジを搭載したマルチコアプロセッサ;パラレルプラットフォーム;および分散共有メモリを持つパラレルプラットフォームを含む任意のコンピューティング処理ユニットまたは装置を指すことができるが、これに限定されない。さらに、処理構成要素は、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)、離散ゲートまたはトランジスタ論理、離散ハードウェア構成要素、または本明細書に記載の機能および/またはプロセスを実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせを指すことができる。処理構成要素は、限定されるものではないが、本明細書に記載する構成要素のスペース使用を最適化するか、または性能を向上させるために、分子および量子ドットベーストランジスタ、スイッチおよびゲートなどのナノスケールアーキテクチャを利用することができる。さらに、処理構成要素は、計算処理ユニットの組み合わせとして実装することもできる。
【0086】
本明細書において、用語「メモリ構成要素」、および本明細書に記載される構成要素および/またはプロセスの動作および機能性に関連する実質的に任意の他の情報記憶構成要素は、「メモリ」に具現化されるエンティティ、またはメモリを含む構成要素を指す。本明細書に記載されるメモリ構成要素は、揮発性メモリまたは不揮発性メモリのいずれかであってもよく、または揮発性メモリと不揮発性メモリの両方を含んでもよいことが理解されよう。
【0087】
例として、非限定的に、不揮発性メモリ、例えば、ROM、プログラマブルROM(PROM)、EPROM、EPROM、またはフラッシュメモリに含めることができる。揮発性メモリには、外部キャッシュメモリとして機能するRAMを含めることができる。限定ではなく例示として、RAMは、SRAM、DRAM、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンストSDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)、およびダイレクトランバスRAM(DRRAM)などの多くの形態で利用可能である。さらに、本明細書に開示されているシステムまたは方法のメモリ構成要素は、これらのメモリおよび任意の他の適切なタイプのメモリを含むことに限定されるものではないが、含むことを意図している。
【0088】
本明細書で説明されるシステム、装置、およびプロセスの態様は、機械内に具体化された機械実行可能命令、例えば、機械に関連するコンピュータ可読媒体(または媒体)内に具体化された機械実行可能命令を構成することができる。このような命令は、マシンによって実行されると、マシンに上記の動作を実行させることができる。さらに、システム、プロセス、プロセスブロックなどは、特定用途向け集積回路(ASIC)などのハードウェア内で実現することができる。さらに、プロセスブロックの一部または全部が各プロセスに現れる順序は、限定的とみなされるべきではない。むしろ、本開示の利点を有する当業者には、いくつかのプロセスブロックは、図示されていない種々の順序で実行され得ることが理解されるべきである。
【0089】
別の例として、構成要素は、電気または電子回路によって操作される機械部品によって提供される特定の機能を有する装置であってもよい。電気または電子回路は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されるソフトウェアアプリケーションまたはファームウェアアプリケーションによって動作させることができる。1つまたは複数のプロセッサは、装置の内部または外部にあってもよく、ソフトウェアまたはファームウェアアプリケーションの少なくとも一部を実行することができる。さらに別の例として、部品は、機械部品なしで電子部品を介して特定の機能を提供する装置であり得る。電子構成要素は、電子構成要素の機能性を少なくとも部分的に付与するソフトウェアおよび/またはファームウェアを実行するための1つまたは複数のプロセッサをその中に含むことができる。
【0090】
さらに、本明細書では、「例示的(exemplary)」および/または「実証的(demonstrative)」という用語は、例(example)、具体例(instance)、または例示(illustration)として機能することを意味するために使用される。疑問を避けるために、本明細書に開示される主題は、そのような例によって限定されない。さらに、「例示的(exemplary)」および/または「実証的(demonstrative)」として本明細書に記載された任意の態様または設計は、必ずしも、他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではなく、本開示の利益を有する当業者に公知の同等の例示的構造および技術を排除することを意味するものでもない。
【0091】
さらに、用語「含む(includes)」、「有する(has)」、「含む(contains)」、および他の類似の用語が、詳細な説明または添付の特許請求の範囲のいずれかにおいて使用される限り、このような用語は、追加的または他の要素を排除することなく、開放遷移語として用語「含む(comprising)」と同様の方法で、包括的であるように意図される。さらに、用語「または(or)」は、排他的な「または(or)」ではなく包含的な「または(or)」を意味することを意図している。すなわち、別段の指定がない限り、または文脈から明らかな限り、「XはAまたはBを採用する」は、自然包含的置換のいずれかを意味することを意図している。つまり、XがAを採用している;XはBを採用している;またはXがAとBの両方を採用している場合、上記のいずれかの場合に「XがAまたはBを採用している」が満たされる。さらに、本出願および添付の特許請求の範囲において使用されるような冠詞「a」および「an」は、別段の指定がない限り、または文脈から単数形を指すことが明確でない限り、一般に「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである。
【0092】
本明細書で使用される場合、用語「接続された(connected)」、「接続された(coupled)」、またはそれらの任意の変形は、2つ以上の要素間の直接的または間接的な任意の接続または結合を意味する。要素間の接続の結合は、物理的、論理的、またはそれらの組み合わせであり得る。文脈上許される場合には、単数または複数の数を使用する上記の詳細な説明における語は、それぞれ複数または単数の数を含んでもよい。2つ以上の項目のリストに言及する「または(or)」という語は、リスト内の任意の項目、リスト内のすべての項目、およびリスト内の項目の任意の組み合わせ、その語の以下のすべての解釈を包含する。
【0093】
開示の実施形態の上記の詳細な説明は、網羅的であるか、または教示を上記に開示された正確な形態に制限することを意図していない。本開示の特定の実施形態および実施例は、説明の目的のために上述されているが、当業者が認識するように、本開示の範囲内で種々の等価な修正が可能である。例えば、プロセスまたはブロックが所与の順序で提示されている間、代替の実施形態は、異なる順序でステップを有するルーチンを実行するか、またはブロックを有するシステムを採用することができ、一部のプロセスまたはブロックは、削除、移動、追加、細分化、結合、および/または修正されて、代替またはサブコンビネーションを提供することができる。これらのプロセスまたはブロックのそれぞれは、様々な異なる方法で実施することができる。また、プロセスまたはブロックは、連続して実行されるものとして示される場合があるが、これらのプロセスまたはブロックは、代わりに並列に実行されてもよく、または異なる時間に実行されてもよい。さらに、本明細書に記載された任意の特定の番号は、単なる例であり、代替の実施形態は、異なる値または範囲を使用してもよい。
【0094】
本明細書で提供される開示の教示は、必ずしも上述のシステムではなく、他のシステムに適用することができる。上述の様々な実施形態の要素および作用は、さらなる実施形態を提供するために組み合わせることができる。
【0095】
要約に記載されているものを含む、本開示の例示された実施形態の上記の説明は、網羅的であること、または開示された実施形態を開示された正確な形態に限定することを意図していない。本明細書では、具体的な実施形態および実施例を説明目的で説明するが、当業者が認識するように、そのような実施形態および実施例の範囲内で考慮される様々な修正が可能である。
【0096】
この点に関して、開示された主題は、様々な実施形態および対応する図(適用可能な場合)に関連して説明されてきたが、他の同様の実施形態を使用することができ、または、開示された主題の同一の、同様の、代替の、または代替の機能を、それらから逸脱することなく実行するために、説明された実施形態に修正および追加を行うことができることが理解されるべきである。したがって、開示された主題は、本明細書に記載された任意の単一の実施形態に限定されるべきではなく、むしろ、以下の添付の請求項にしたがって、幅広さおよび範囲において解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
【国際調査報告】