(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(54)【発明の名称】製品適用ノズルを動作させるためのシステム
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20220513BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556312
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(85)【翻訳文提出日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 EP2020057820
(87)【国際公開番号】W WO2020188096
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516299279
【氏名又は名称】エクセル インダストリー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ バトヨ
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AB01
4F041BA21
4F042AB00
4F042BA05
4F042CB19
4F042CB24
(57)【要約】
本発明は、ノズル(4)を端とするフレキシブルダクト(6)と、ノズル(4)に固定された複数の永久磁石(12)と、ノズル(4)の永久磁石の周りに、ある距離で位置する複数の電磁石(14)とを有する磁気装置とを備える製品適用ノズルを動作させるためのシステム(2)に関するものであり、前記磁気装置は、システム(2)の中央軸(X)に対して偏心して、ノズル(4)の振動を発生させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を適用するためのノズルを動作させるためのシステム(2)であって、ノズル(4)を端とするフレキシブルダクト(6)を備え、前記ノズル(4)に取り付けられた複数の永久磁石(12)と、前記ノズル(4)の前記永久磁石(12)の周りに、ある距離で位置する複数の電磁石(14)とを備える磁気装置(10)をさらに備え、この磁気装置(10)が、システム(2)の中央軸(X)に対する、前記ノズル(4)の偏心した振動を発生させることを特徴とする、システム(2)。
【請求項2】
前記電磁石(14)のそれぞれが、エアギャップ(140)及び電力供給されるコイル(142)を備えること、並びに前記エアギャップ(140)が、前記ノズル(4)の前記永久磁石(12)に対向して半径方向に延在している部分(140a)を有することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記エアギャップ(140)が、前記ノズル(4)に対向して位置するダンパー(140b)を有することを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電磁石(14)の全てが前記永久磁石(12)に反発するか、又は前記電磁石(14)の全てが前記永久磁石(12)を引き付けるように、前記電磁石(14)が供給されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記磁気装置(10)が、前記ノズル(4)の外周に分布し、かつ外側を向いて配向された同じ極性を有する少なくとも2つの永久磁石(12)と、前記ノズル(4)の前記永久磁石(12)の周りに配置された少なくとも2つの電磁石(14)とを備えること、及び前記電磁石(14)が、前記ノズル(4)の振動を発生させるように、位相をずらして電力供給されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記磁気装置(10)が、互いに対して120°の角度で配向された3つの永久磁石(12)と、互いに対して120°で配向された3つの電磁石(14)とを備えることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記電磁石(14)が、2π/3ラジアンの位相シフトで電力供給されることを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
製品を堆積するための直径(D、D’)を変えるように制御されるエアブロワ装置(18)を備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記電磁石(14)のそれぞれが、それが発生させる磁力線が、対向して位置する前記永久磁石(12)を通過するように、かつ前記永久磁石(12)の磁場に対向して配向されるように構成されていることと、それぞれの電磁石(14)が、前記永久磁石(12)に対向して半径方向に位置する中央部(140c)及び前記永久磁石(12)の上方と下方とにそれぞれ延在している2つの側部(140d)を有するエアギャップ(140)、並びに前記側部(140d)のうち1つ又は前記中央部(140c)を囲むコイル(142)を備えることとを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
それぞれの電磁石(14)が、前記電磁石(14)への電力供給がない場合であっても、前記ノズル(4)に固定された前記永久磁石(12)によって発生した前記磁場に対向するように、前記側部(140d)に固定され、かつ前記ノズル(4)の中央軸(X4)に沿って、前記ノズル(4)に固定された前記永久磁石(12)に対向して位置する少なくとも2つの永久磁石(144)をさらに備えることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品適用ノズルを動作させるためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
らせん状の又は均質な粘性製品のビードを、一定の幅にわたって(例えば10~30mm)、小さい厚さで(例えば2mm未満)適用するために、製品適用ノズルの出口で製品を動作させることが必要である。このことは、例えばシーラント、接着剤又はグリスなどの製品について、特に金属板組立の領域において、マスチックシーリングビードの適用において、又はより一般的には、粘度が例えば5000~1000000センチポアズである製品の適用の場合において、有効である。
【0003】
エアフローの間に、又はノズルをずらすこと及び機械回転動作による、製品を回転するためのシステムが公知である。空気ベースのプロセスは適応性及び安定性を欠き、一方で、電気モーターを使用する機械的にずれたノズルのシステムは、高価であること、ガイドの磨耗及び電気モーターのサイズの欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、これらの欠点を、システムの複雑さ、価格、サイズ及び部品の磨耗を低減する、製品適用ノズルを動作させるための新規のシステムを提案することによって改善することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のために、本発明は、ノズルを端とするフレキシブルダクトを備える、製品を適用するためのノズルを動作させるためのシステムに関する。このシステムは、ノズルに取り付けられた複数の永久磁石と、ノズルの永久磁石の周りに、ある距離で配置された複数の電磁石とを備える磁気装置をさらに備え、この磁気装置が、システムの中央軸に対する、ノズルの偏心した振動を発生させることを特徴とする。
【0006】
本発明によって、磁気操作は、動作する部品の間の摩擦及び磨耗を除去して、システムの寿命を向上する。加えて、電気モーターがないことは、システムのコスト及びサイズを低減する。
【0007】
本発明の有利であるが必須ではない態様によれば、製品を適用するためのノズルを動作させるためのこのようなシステムは、以下の特徴のうち1つ又は複数を包含することができ、それらの特徴は、任意の技術的に可能な組み合わせで採用される。
電磁石のそれぞれは、エアギャップ及び電力供給されるコイルを備え、エアギャップは、ノズルの永久磁石に対向して半径方向に延在している部分を有する。
エアギャップは、ノズルに対向して位置するダンパーを有する。
電磁石は、それら全てが永久磁石に反発するか、又はそれら全てが永久磁石を引き付けるように励磁される。
磁気装置が、ノズルの外周に分布し、かつ外側に向かって配向された同じ極性を有する少なくとも2つの永久磁石と、ノズルの永久磁石の周りに配置された少なくとも2つの電磁石とを備え、電磁石が、ノズルの振動を発生させるように、位相をずらして電力供給される。
磁気装置が、互いに対して120°の角度で配向された3つの永久磁石と、互いに対して120°の角度で配向された3つの電磁石とを備える。
電磁石が、2π/3ラジアンの位相シフトで電力供給される。
システムが、製品の堆積直径を変えるように制御されるエアブロー装置を備える。
電磁石のそれぞれが、電磁石が発生させる磁力線が対向して位置する永久磁石を通過し、かつ永久磁石の磁場に対向して配向されるように構成され、それぞれの電磁石が、永久磁石の前方に半径方向に位置する中央部と、それぞれ永久磁石の上方及び下方に延在している2つの側部と、中央部か、又は側部のうち1つを囲むコイルとを有するエアギャップを備える。
それぞれの電磁石が、電磁石への電力供給がない場合であっても、ノズルに固定された永久磁石によって発生した磁場に対向するように、側部に固定され、かつノズルの中央軸に沿って、ノズルに固定された永久磁石に対向して位置する少なくとも2つの永久磁石をさらに備える。
【0008】
添付の図面の参照による非限定的な例によってされる、本発明の原理に従う、製品適用ノズルを動作させるためのシステムの以下の説明と照らして、本発明はより良く理解され、本発明の他の利点はより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】
図1のシステムの部分的な断面模式図である。
【
図6】エアブロワ装置をさらに備えるシステムの、
図5と同様の図である。
【
図7】本発明の第二の実施態様によるシステムの部分的な断面模式図である。
【0010】
図1~6は、製品を適用するためのノズル4を動作させるためのシステム2を示している。システム2は、特に金属板組立の分野において、シーラントビードの適用において、粘性のある製品を、例えば、とりわけ、マスチック、接着剤又はグリスを、適用するための機械に結合されることを意図されている。「粘性のある」は、粘度が、例えば5000~1000000センチポアズである製品を意味する。このような粘性のある製品は、製品の均質かつ正確なビードを得るために、例えば回転によって、ノズル4の出口において、運動させられるべきである。
【0011】
システム2は、ノズル4を端とするフレキシブルダクト6を備える。システム2は、製品をフレキシブルダクト6に投入するためのオリフィス8を備える。フレキシブルダクト6及びオリフィス8は、システム2の中央軸Xを規定する。
【0012】
システム2は、ノズル4に取り付けられた複数の永久磁石と、ノズル4の永久磁石の周りに、ある距離で位置する複数の電磁石とを備える磁気装置10を備え、この磁気装置10は、システム2の中央軸Xに対する、ノズル4の偏心した振動を発生させる。「複数」の表現は、磁気装置10が、少なくとも2つの永久磁石と、少なくとも2つの電磁石とを、すなわち少なくとも2つの永久磁石/電磁石のペアを備えることを意味する。
【0013】
示される例において、磁気装置10は、外側に配向された同じ極性をそれぞれ有する、ノズル4の外周に分布する3つの永久磁石12と、ノズル4の永久磁石12の周りに配置された3つの電磁石14とを備える。電磁石14は、矢印F1に沿った、中央軸Xの周りの円状の振動を形成するノズル4の振動を発生させるように、位相をずらして電力供給される。
【0014】
例えば、磁石12は、内側に、すなわち中央軸Xを向いて、配向された負(-)極性、及び外側に、すなわち中央軸Xの反対を向いて、配向された正(+)極性をそれぞれ有する。ある変形のように、この構成は逆転することができる。この構成は、中央軸Xに沿って置き換えることもできる。この場合において、ノズル4の外周の周りに分布する永久磁石12は、鉛直方向に配向された極性を有し、一方で、電磁石14は、対向した鉛直方向の極性を作り出す。
【0015】
電磁石14のそれぞれは、エアギャップ140又は鉄心とも呼ばれる場合がある固定された磁気部品と、電力供給されるコイル142とを備える。エアギャップ140は、ノズル4の永久磁石12に対向して半径方向に延在している部分140aを有する。部分140aは、フレキシブルダクト6及びノズル4が中央軸Xに沿って配置されたシステム2の非作動構成において、永久磁石12から半径方向の距離Eに位置する。システム2が作動しているとき、すなわち、電磁石14が電力供給されているとき、フレキシブルダクト6及びノズル4は、もはや中央軸Xに沿って配置されておらず、距離Eは、ノズル4の振動に応じて変化する。
【0016】
例によれば、永久磁石12は、システム2の非作動の構成において中央軸Xを中心とした、円状の外周輪郭をともに形成することができる。エアギャップ140の部分140aは、環状の形状の、及び中央軸Xと同軸の内部面を、それぞれ有することもできる。
【0017】
電磁石14は、それらの全てが永久磁石12に反発するか、又はそれらの全てが永久磁石12を引き付けるかのいずれかであるように電力供給され、その目的は、ノズルが中央軸Xからずれるように、永久磁石12の変位をもたらすことである。実際には、斥力又は引力を得るように、コイル142における電流の方向は、それらに面する永久磁石12の極性に対して選択される。
【0018】
コイル142は、電流源(図示されていない)によって電力供給される。電磁石14は、2π/3ラジアンの位相シフトを有する電流で供給される。電気的な位相シフトは、磁気装置10の永久磁石/電磁石のペアの数に応じて変化する。
【0019】
電磁石14は、ノズル4の振動の速度を決定する所定の周波数で電力供給される。この周波数は、例えば200Hz~20KHzであってよい。この振動周波数の範囲は、提供される電磁気力を最小化するように、ノズル4及び永久磁石12によって形成される動作部分の自然周波数より高くなければならない。例えば、質量が5g~10gであり、かつ平衡の軸の周りで、100Hz~200Hzの周波数で、±250μmのインターバルで振動するノズル4について、電磁石14によって供給される磁力は、15N~30Nであってよい。
【0020】
3つの永久磁石12は、互いに対して120°の角度で配向されていて、一方で、3つの電磁石14は、互いに対して120°の角度で配向されている。
【0021】
示されていない変形において、システム2は、永久磁石12/電磁石14の3より多くのペアを備えてよく、互いに対するそれらの角度の配向は、それらの数に応じて適合される。実際には、所与の数の永久磁石12について、磁石12の角度の配向は、360°を磁石の数によって割ったものに等しい。
【0022】
図4において示される任意選択の態様によれば、エアギャップ140は、ノズル4に対向して半径方向に位置するダンパー140bを有してよい。このダンパー140bは、エアギャップ140の部分140aとの衝突を引き起こす、ノズル4の大きすぎる半径方向の変位を妨げることを目的とする。このダンパー140bは、例えばエラストマー材料製であってよい。
【0023】
ノズル4によって説明される円振動は、
図5において直径Dによって特徴づけることができる。直径Dは、ノズル4によって堆積される製品のコーン16のベースの直径として規定され、その中心は中央軸Xに位置する。
【0024】
図6において表される任意選択の態様によれば、システム2は、エアブロワ装置18を備えてよく、この装置18は、ノズル4の振動によって発生するビードの堆積物の直径を変化させるように制御される。例えば、この装置18は、中央軸Xの周りでノズル4の振動を狭めて、それによってコーン16を狭めるように、圧縮された空気を供給するための供給源(図示されていない)によって供給されて、ノズル4の周りに、例えばシステム2の中央軸Xに平行な方向に配向されたエアジェットF2を生じさせる1つ又は複数のエアブローノズルによって形成されてよい。この場合において、コーン16は、直径Dより小さいベース直径D’を有する。この直径D’は、ブロー装置18の操作パラメータを、例えば圧力及び/又は中央軸Xに対する傾きを変えることによって制御することができる。
【0025】
図7は、本発明の第二の実施態様による動作システムを示している。この実施態様において、第一の実施態様と共通の要素は、同じ符号を有し、同様に操作する。
【0026】
この実施態様において、ノズル4は、ノズル4の軸X4を中心とした非磁性のノズルホルダー40又はチューブに取り付けられる。このノズルホルダー40は、製品の適用の圧力に耐え、一方で良好な柔軟性を与えられるように、フレキシブルダクト6と同様に、熱可塑性材料、例えば繊維強化材を含有する熱可塑性材料で製造することができる。
【0027】
このノズルホルダー40の1つの側面に、永久磁石12のうち1つが固定される。
【0028】
それぞれの電磁石14は、それが発生させる力線が、ノズル4又はノズルホルダー40の上に対向して位置する永久磁石12を通過するように、かつ対向して位置する永久磁石12の磁場に対向して配向されるように構成されている。このことは、得られる磁力を増加させる。
【0029】
永久磁石12に対向して位置する電磁石14は、例えば蹄鉄状の構造を有してよい。エアギャップ140は、又は固定された磁気部品若しくは鉄心は、永久磁石12に対向して半径方向に位置し、かつコイル142によって囲まれた中央部140cを有する。エアギャップ140は、それぞれ永久磁石12の上方及び下方の、中央部140cのいずれかの側に延在している2つの側部140dへと延在している。図示されていない変形によれば、コイル142は、中央部140cの代わりに、側部140dのうち1つを囲んで、システム2の半径方向のコンパクト性を改善することができる。
【0030】
この場合において、電磁石14は、側部140dに固定され、かつ中央軸X4に沿って永久磁石12に対向して位置する2つの永久磁石144をさらに備えてよい。電磁石14は、永久磁石144を通過する、軸X4に沿って下方向に配向された力線Lと、永久磁石12を通過する、軸X4に沿って上方向に配向された力線Lとを発生させる。電磁石14への電力供給がない場合であっても、永久磁石144は、ノズル4に固定された永久磁石12によって発生する磁場に対向する磁場を発生させる。このことは、電磁石14が電力供給されていないときであっても、中央軸Xに対してノズル4を安定化することを可能とする。
【0031】
図示されていない変形において、それぞれの電磁石14は、2より多い永久磁石144を備えてよい。
【0032】
上で説明される実施態様及び変形の特徴を組み合わせて、特許請求の範囲内において、本発明の新規の実施態様を形成することができる。
【国際調査報告】