(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(54)【発明の名称】常染色体優性中心核ミオパシーを処置するためのアンフィファイジン/BIN1
(51)【国際特許分類】
A61K 38/04 20060101AFI20220513BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20220513BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20220513BHJP
A61K 31/711 20060101ALN20220513BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20220513BHJP
C12N 15/864 20060101ALN20220513BHJP
【FI】
A61K38/04 ZNA
A61P21/00
A61K35/76
A61K31/711
C12N15/12
C12N15/864 100Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556580
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(85)【翻訳文提出日】2021-11-09
(86)【国際出願番号】 EP2020057853
(87)【国際公開番号】W WO2020188103
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】507241492
【氏名又は名称】アンスティトゥート・ナシオナル・ドゥ・ラ・サンテ・エ・ドゥ・ラ・ルシャルシュ・メディカル・(インセルム)
(71)【出願人】
【識別番号】509228260
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・ストラスブール
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレンティーナ・マリア・リオネッロ
(72)【発明者】
【氏名】ジョスリン・ラポルテ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084CA53
4C084NA14
4C084ZA94
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA94
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZA94
(57)【要約】
本開示は、常染色体優性中心核ミオパシーの処置における使用のためのBIN1タンパク質又はそれを産生若しくはコードするBIN1核酸配列に関する。本発明は、常染色体優性中心核ミオパシーを処置するための組成物及び方法を提供する。本発明は、常染色体優性中心核ミオパシーを有する対象にBIN1ポリペプチドを送達する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常染色体優性中心核ミオパシー(ADCNM)の処置における使用のための、アンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列。
【請求項2】
BIN1核酸配列が、配列番号1によって表される配列を含むか、又はそれぞれ配列番号3~22によって表される少なくとも2個若しくは3個の異なるBIN1エクソン1~20の任意の組合せを含む配列を含む、請求項1に記載の使用のためのアンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列。
【請求項3】
BIN1核酸配列が、それぞれ配列番号3~22によって表され、エクソン1~20の昇順番号付けによる少なくとも2個又は3個の異なるBIN1エクソン1~20の任意の組合せを含む、請求項2に記載の使用のためのアンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列。
【請求項4】
BIN1核酸配列が、少なくともエクソン1~6及び8~11を含む核酸配列、より詳しくは配列番号23によって表される核酸配列を含む核酸配列、少なくともエクソン1~6、8~10、12、及び17~20を含む核酸、より詳しくは配列番号25によって表される核酸配列を含む核酸配列、少なくともエクソン1~6、8~10、12、及び18~20を含む核酸、より詳しくは配列番号31によって表される核酸配列を含む核酸配列、少なくともエクソン1~6、8~12、及び18~20を含む核酸配列、より詳しくは配列番号27によって表される核酸配列を含む核酸配列、少なくともエクソン1~6、8~12、及び17~20を含む核酸配列、より詳しくは配列番号29によって表される核酸配列を含む核酸配列、又は配列番号1、23、25、27、29若しくは31の配列にハイブリダイズする、若しくは配列番号1、23、25、27、29若しくは31の配列に相補的であるBIN1核酸配列である、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用のためのアンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列。
【請求項5】
アンフィファイジン2ポリペプチドが、配列番号2によって表されるポリペプチド配列を含む、又は、それぞれ配列番号3~22によって表される、少なくとも2個の異なるBIN1エクソン1~20の任意の組合せから得られる、若しくは少なくとも2個の異なるBIN1エクソン1~20の任意の組合せによってコードされる任意のポリペプチド配列を含む、請求項1に記載の使用のためのアンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列。
【請求項6】
アンフィファイジン2ポリペプチドが、それぞれ配列番号3~22によって表され、エクソン1~20の昇順番号付けによる、少なくとも2個の異なるBIN1エクソン1~20の任意の組合せから得られる、又は少なくとも2個の異なるBIN1エクソン1~20の任意の組合せによってコードされるポリペプチド配列を含む、請求項1に記載の使用のためのアンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列。
【請求項7】
アンフィファイジン2ポリペプチドが、配列番号2、24、26、28、30若しくは32によって表されるアミノ酸配列、又は配列番号2、24、26、28、30若しくは32と少なくとも90%同一のアミノ酸配列、又はその生物活性断片若しくはバリアントを含む、請求項5又は6に記載の使用のためのアンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列。
【請求項8】
アンフィファイジン2ポリペプチドが、配列番号2、26、28、30又は32の天然に存在するアンフィファイジン2と少なくとも80%、85%、好ましくは少なくとも90%、95%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項5又は6に記載の使用のためのアンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列。
【請求項9】
BIN1核酸配列が、アンフィファイジン2ポリペプチドの産生を指示する1つ又は複数の制御配列に作動可能に連結されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用のためのアンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列。
【請求項10】
BIN1核酸配列が組換え発現ベクター内にある、請求項1から9のいずれか一項に記載の使用のためのアンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列。
【請求項11】
組換え発現ベクターが発現ウイルスベクターである、請求項10に記載の使用のためのアンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列。
【請求項12】
ウイルスベクターがアデノ随伴ウイルスベクターに由来し、好ましくはAAV9ベクターである、請求項11に記載の使用のためのアンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列。
【請求項13】
組換え発現ベクターが組換え宿主細胞に含まれる、請求項10から12のいずれか一項に記載の使用のためのアンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列。
【請求項14】
アンフィファイジン2ポリペプチド、BIN1核酸配列、組換え発現ベクター、又は組換え宿主細胞が医薬組成物に含まれる、請求項9から11のいずれか一項に記載の使用のためのアンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列。
【請求項15】
常染色体優性中心核ミオパシーが重症型又は軽症型のADCNMである、請求項1から14のいずれか一項に記載の使用のためのアンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列。
【請求項16】
常染色体優性中心核ミオパシーが早期発症又は後期発症、好ましくは後期発症のADCNMである、請求項1から15のいずれか一項に記載の使用のためのアンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、常染色体優性中心核ミオパシーの処置における使用のためのBIN1タンパク質又はそれを産生若しくはコードするBIN1核酸配列に関する。本発明は、常染色体優性中心核ミオパシーを処置するための組成物及び方法を提供する。本発明は、常染色体優性中心核ミオパシーを有する対象にBIN1ポリペプチドを送達する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中心核ミオパシー(CNM)は、筋力低下を特徴とし、線維萎縮、I型線維の優位、及び筋肉再生を伴わない核の中心化の増加によって組織学的に確認される、先天性ミオパシーの一群である。CNMの3つの主要な特徴的な型のうち、常染色体優性中心核ミオパシー(ADCNM)は重症度の症状を示し、関連する徴候及び症状は罹患した人によって非常に異なる。軽症型の人においては、状態の特徴は、一般的には青年期又は成人早期まで現れず、徐々に進行する筋力低下、運動に伴う筋肉痛、歩行困難が含まれ得る。一部の罹患した人の中には最終的には歩く能力を失う人もいるが、通常は人生で60歳以前には起こらない。より重症の場合には、罹患した人は、乳児期又は幼児期に、筋緊張低下及び全身の脱力感等の症状が現れる可能性がある。このような子供は、一般に運動機能の主要段階が遅れており、多くの場合、幼少期及び青年期に車椅子の補助が必要になる。
【0003】
ADCNMのほとんどの場合は、DNM2遺伝子の変異によって引き起こされる。この状態は、常染色体優性形式で遺伝する。現在の処置は、それぞれのADCNM患者で見られる徴候及び症状を緩和することに基づいており、理学療法及び/又は作業療法、並びに移動、食事及び/又は呼吸を助けるための補助器具等を含み得る。
【0004】
ダイナミンは、膜小胞輸送及びエンドサイトーシスにおいて、またアクチン細胞骨格形成において重要な役割を果たす大型のGTPaseタンパク質である。ダイナミンタンパク質は、N末端GTPaseドメイン、中間ドメイン、PHドメイン(ホスホイノシチド結合)、GED(GTPaseエフェクタードメイン)、タンパク質間相互作用のためのPRD(プロリンリッチドメイン)を含有する。現在までに次の3つのヒトダイナミンが確認されている:ダイナミン1、神経細胞のみに発現;ダイナミン3、脳及び精巣で主に発現;並びに偏在的に発現されるダイナミン2(DNM2)。DNM2は、エンドサイトーシス及びリサイクリングにおける小胞出芽、並びに細胞骨格組織において主に関与するメカノエンザイムである。膜に結合すると、DNM2は膜細管の周りでオリゴマー化し、そのGTPase活性によって膜の分裂が促進される。
【0005】
ADCNMの場合、これまでの研究では、ヘテロ接合型DNM2変異は「機能獲得」変異であること、すなわち、DNM2の活性の増強につながるが、必ずしもDNM2発現レベルの増加を伴うものではないことが示唆されている。DNM2-CNMの変異は、典型的には、in vitroでDNM2 GTPase活性及びオリゴマー安定性を高める。ADCNM患者で観察される最も一般的な変異(アミノ酸465位のDNM2変異、R465W変異とも呼ばれる)は、DNM2のオリゴマー化に有利に働くことが特に明らかにされている。この変異を有するノックインマウスモデルの作製及び特性評価がこれまで行われてきた。Dnm2 R465W/+マウスは生存可能であり、正常の寿命と体重を有する。これらのマウスは、2か月目に筋力低下及び組織学的欠陥を示し始める(Durieuxら、2010 J Mol Med (Berl). 2010年4月;88(4):339~50頁. Doi: 10.1007/s00109-009-0587-4)。最近、Buonoら(Buonoら、2018 Proc Natl Acad Sci U S A. 2018年10月23日; 115(43):11066~11071頁. Doi: 10.1073/pnas.1808170115. Epub 2018年10月5日)は、Dnm2 R465W/+マウスのDNM2のpre-mRNA及びmRNAを標的とするオリゴヌクレオチド(ASO)又はAAV-shRNAを介して、DNM2の総プールをダウンレギュレートさせるという新規の治療方策を提案した。これらのアプローチにより、骨格筋力及び筋肉組織を回復させることができ、また、総タンパク質量レベルの減少(変異アリルに特異的ではない)によりCNM骨格筋表現型が回復されたので、Dnm2 R465W/+ではDNM2がより活性化されていることが示唆された。
【0006】
しかし、ホモ接合型マウスDnm2 R465W(早発性ADCNM表現型のマウスモデル)は生後数日で死亡してしまうので、これらのこれまでに行われた研究は、ヘテロ接合型Dnm2 R465W変異のマウス(遅発性ADCNM表現型のマウスモデル)を対象にしていた。実際、Durieuxら 2010は、生後2週間、6つのホモ接合型Dnm2 R465W/R465Wが生存していることを観察した。1匹のマウスのみを解析したところ、WT対照群と比べて、筋内部の結合組織が増加し、繊維サイズの直径が縮小した。超微細構造解析では、筋線維の崩壊とZ線に近い管状構造の増加が明らかであった。Dnm2 R465W/R465Wマウスモデルについて、これ以上の調査は行われていない。現在まで、ホモ接合型R465W/R465Wマウスの寿命が回復したという研究はない。
【0007】
BIN1(すなわち、Bridging Integrator 1)はアンフィファイジン2をコードしており、この遺伝子における変異は、CNM、より詳細には常染色体劣性CNM(ARCNMとも呼ばれる)を引き起こす可能性がある。BIN1は偏在的に発現されており、エンドサイトーシス、膜リサイクリング及びリモデリングに不可欠である。BIN1の様々な組織特異的アイソフォームがある。それらのうち、骨格筋特異的アイソフォームは、ホスホイノシチド(PI)結合ドメインを含有するアイソフォーム8である。このドメインは、BIN1のPtdIns4,5P2、PtdIns5P及びPtdIns3Pに対する親和性を増加させる。in vitro試験では、骨格筋のT細管に似た膜細管の形成におけるこのホスホイノシチド(PI)結合ドメインの関与が実証されている(Leeら Amphiphysin 2 (BIN1) and T-tubule biogenesis in muscle. Science. 2002年8月16日:297(5584): 1193~6頁 PMID: 12183633)。
【0008】
ここで、本出願は、BIN1の過剰発現がADCNM表現型を回復させるのに、又は少なくとも重症型において軽減するのに十分であることを実証している。そのことについて、本発明者らは、BIN1が骨格筋のDNM2の活性、特にDNM2オリゴマー化及び膜分裂活性を制御していることを発見した。BIN1が増加すると、ADCNMマウスモデル(Dnm2RW/+及びDnm2RW/RW)の病態生理を改善することができ、このことにより、BIN1の過剰発現がヒトのADCNMの処置において、疾患の早期又は後期の発症時に有効な治療法となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,399,346号
【特許文献2】米国特許第5,580,859号
【特許文献3】米国特許第5,589,466号
【特許文献4】WO 01/96584
【特許文献5】WO 01/29058
【特許文献6】米国特許第6,326,193号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Durieuxら、2010 J Mol Med (Berl). 2010年4月;88(4):339~50頁. Doi: 10.1007/s00109-009-0587-4
【非特許文献2】Buonoら、2018 Proc Natl Acad Sci U S A. 2018年10月23日; 115(43):11066~11071頁. Doi: 10.1073/pnas.1808170115. Epub 2018年10月5日
【非特許文献3】Leeら Amphiphysin 2 (BIN1) and T-tubule biogenesis in muscle. Science. 2002年8月16日:297(5584): 1193~6頁 PMID: 12183633
【非特許文献4】Bohmら、Hum Mutat. 2012年6月;33(6):949~59頁. doi: 10.1002/humu.22067. Epub 2012年4月4日 PMID: 22396310
【非特許文献5】Needleman及びWunsch、Journal of Molecular Biology; 1970年、48(3): 443~53頁
【非特許文献6】Smith及びWaterson、Journal of Molecular Biology; 1981年、147: 195~197頁
【非特許文献7】Amphiphysin 2(BIN1) and T-tubule biogenesis in muscle._Lee E、Marcucci M、Daniell L、Pypaert M、Weisz OA、Ochoa GC、Farsad K、Wenk MR、De Camilli P. Science. 2002年8月16日;297(5584): 1193~6頁. PMID: 12183633
【非特許文献8】Regulation of Binl SH3 domain binding by phosphoinositides. _Kojima C、Hashimoto A、Yabuta I、Hirose M、Hashimoto S、Kanaho Y、Sumimoto H、Ikegami T、Sabe H. EMBO J. 2004年11月10日;23(22):4413~22頁. Epub 2004年10月14日 PMID: 15483625
【非特許文献9】Mutations in amphiphysin 2 (BIN1) disrupt interaction with dynamin 2 and cause autosomal recessive centronuclear myopathy. Nicot AS、Toussaint A、Tosch V、Kretz C、Wallgren-Pettersson C、Iwarsson E、Kingston H、Garnier JM、Biancalana V、Oldfors A、Mandel JL、Laporte J. Nat Genet. 2007年9月;39(9): 1134~9頁. Epub 2007年8月5日
【非特許文献10】Sambrookら(2001年、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、New York)
【非特許文献11】Wuら、2005年、Gene Ther、12(6): 477~486頁
【非特許文献12】P. Maliら、Nature Methods、第10巻、第10号、2013年10月
【非特許文献13】Vora S、Tuttle M、Cheng J、Church G、FEBS J. 2016年9月;283(17):3181~93頁. doi: 10.1111/febs.l3768. Epub 2016年7月2日 Next stop for the CRISPR revolution: RNA-guided epigenetic regulators
【非特許文献14】Remington: The Science and Practice of Pharmacy (第20版)、A. R. Gennaro、Lippincott Williams & Wilkins編、2000
【非特許文献15】Encyclopedia of Pharmaceutical Technology、J. Swarbrick及びJ. C. Boylan編、1988~1999、Marcel Dekker、New York
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本開示は、BIN1の過剰発現によってADCNMを処置するための方法及び組成物を提供する。本発明は、それを必要とする対象においてADCNMを処理するための組成物及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ADCNMを有する対象にBIN1を発現する方法に関する。本発明の組成物及び方法は、ADCNMを有する対象において、筋力を増加させ、及び/又は筋肉機能を改善し、及び/又は組織学的特徴を回復させることができる。
【0013】
一実施形態では、本発明は、ADCNMを有する個体の処置に有用である。特に、本発明は、ADCNMの処置における使用のための、アンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列に関する。言い換えると、本発明は、ADCNMを処置するための医薬を調製するための、アンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列の使用に関する。より詳しくは、本発明は、それを必要とする対象に治療有効量のアンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列を投与する工程を含む、前記対象においてADCNMを処置するための方法に関する。実際に、本発明は、罹患している対象の筋肉機能を改善し、生存を延長する。
【0014】
特定の態様では、本発明は、アンフィファイジン2ポリペプチド、又はそのようなポリペプチドを産生又はコードする核酸配列、例えばBIN1を含む組成物に関する。前記組成物は、ADCNMの処置においける使用のための物であり得る。
【0015】
本発明はまた、アンフィファイジン2タンパク質を含む単離されたポリペプチド、並びに医薬担体と組み合わせてアンフィファイジン2タンパク質を含む医薬組成物を提供する。
【0016】
本発明はまた、少なくとも1つのBIN1核酸配列を含む単離された核酸配列、又は少なくとも1つのBIN1核酸配列を含むそのような核酸配列を含む発現ベクター、並びに医薬担体と組み合わせてそれを含む医薬組成物に関する。
【0017】
更に、本発明は、そのようなアンフィファイジン2又は少なくとも1つのBIN1核酸配列を含む構築物を作製する方法に関する。
【0018】
加えて、本明細書には、ADCNMを処置するための、アンフィファイジン2ポリペプチド、又は少なくとも1つのBIN1核酸配列を含む発現ベクターを使用する方法が開示されている。
【0019】
本発明のこれらの及び他の目的及び実施形態は、本発明の詳細な説明の後により明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1a】Dnm2
R465W/+ Tg BIN1マウス(BIN1を過剰発現するDnm2
R465W/+マウス)の特性決定(
図1A)抗BIN1及びDNM2抗体でプローブした前脛骨筋(TA)のウエスタンブロット。(
図1B)ベータアクチンに対して正規化されたBIN1定量化。統計的検定:グラフBのノンパラメトリック検定、クラスカル・ウォリス事後検定。*p<0.05。(
図1C)WT、Tg BIN1、Dnm2
RW/+及びDnm2
RW/+ Tg BIN1マウスに関する生存率のパーセンテージとして表される寿命。(
図1D)1~7か月齢のマウス体重(n≧5)。(
図1E)吊り下げ試験:マウスを最大60秒間ケージの蓋から吊り下げ、各マウスをそれぞれの時点で3回試験して繰り返した(n>5)。(
図1F~G)生後4か月(
図F)及び8か月(
図G)でのロータロッド試験。
【
図2a】Dnm2 R465W/+におけるBIN1の過剰発現はin situでの筋力を改善する。(
図2A)4か月での総体重に対して正規化されたTA筋重量(g/g)。(
図2B)4か月及び8か月でのTAの絶対最大力。(
図2C)生後4か月及び8か月での比TA筋力(n≧7)。統計的検定:一元配置分散分析及びボンフェローニ事後検定。*p<0.05、**p<0.01。平均±SEM。
【
図3a】BIN1の過剰発現によりDnm2
RW/+マウスの組織病理が改善される(H&E及びSDHで染色した横断TA筋切片)。(
図3A)4か月での、HEで染色した横断TA筋切片。スケールバー:100μm。(
図3B)4か月での5μm間隔にグループ化したTA線維の最小フェレット(n=3)。4か月及び8か月でのNADH-TR(
図3C)及びSDH(
図3D)で染色した横断TA筋切片。(矢印は異常凝集体を示す)。スケールバー:100μm。統計的検定:グラフBについてはノンパラメトリック検定、クラスカル・ウォリス事後検定。*p<0.05。平均±SEM。(
図3E)4か月及び8か月での異常SDH染色のある線維の頻度。(
図3F)電子顕微鏡で観察された縦断TA筋の超微細構造。トライアド(triad)(矢頭)、縦方向のT細管(矢印)、拡大したミトコンドリア(星印)。スケールバー0.5μm。(
図3G)トライアドの高倍率図。スケールバー0.1μm。(
図3H)誤方向のT細管の定量化(n≧2)。(
図3I)Dnm2
RW/+における拡大したミトコンドリアのクラスター:電子顕微鏡によって観察されたTA筋の超微細構造。スケールバー1μm。
【
図4a】BIN1の出生後の筋肉内過剰発現はDnm2
RW/+マウスの組織病理を改善する。Dnm2
RW/+マウスに、3週齢で、片足にAAV空(AAV-Ctrl)又は反対の足にAAV-BIN1を注射し、注射の4週間後にマウスを分析した。(
図4A)抗BIN1抗体及びベータアクチニン抗体でプローブした前脛骨筋(TA)のウエスタンブロット。(
図4B)ベータアクチニンに対して正規化されたBIN1のウエスタンブロット定量化グラフ。(
図4C)総体重(g/g)に対して正規化されたTA筋重量(n≧3)。(
図4D)筋肉内注射の4週間後の絶対TA筋力(n≧3)。(
図4E)8週齢マウスでの比TA筋力(n≧3)。統計的検定:グラフBについてはノンパラメトリック検定、クラスカル・ウォリス事後検定。*p<0.05。平均±SEM。(
図4F)5μm間隔にグループ化されたTA線維の最小フェレット(n≧3)。(
図4G)異常SDH染色のある線維の頻度。
【
図5】BIN1の出生後筋肉内過剰発現はDnm2
RW/+マウスの組織病理を改善する(HE及びSDHで染色した横断TA筋切片)。(
図5A)HEで染色した横断TA筋切片。WT及びDnm2R465W/+に、AAV Ctrl及びAAV-BIN1アイソフォーム8を注射した。(
図5B~C)NADH-TR(
図5B)及びSDH(
図5C)で染色した横断TA筋切片。AAV-CTRLを注入したDnm2R465W/+筋肉は、線維の中心に異常凝集体を有しており(矢印)、AAV-BIN1アイソフォーム8を注入した筋肉では検出されなかった。スケールバー:100μm。
【
図6a】BIN1過剰発現は、Dnm2 R465W/R465Wマウスの生存率(すなわち、寿命及び成長)を改善する。(
図6A)マウスの週齢と体重(1~8週)(n>5)。(
図6B)2か月目での吊り下げ試験。マウスを格子から最大60秒間つるした(n>5)。(
図6C)総体重に対して正規化されたTA筋重量(g/g)(n>5)。(
図6D)8週齢での絶対最大TA筋力(n>5)。(
図6E)8週齢での比最大TA筋力(n=5)。(
図6F~G)抗DNM2抗体及びBIN1抗体でプローブされた前脛骨筋(TA)からのウエスタンブロット。ベータアクチンに対して正規化されたDNM2及びBIN1の定量化グラフ。(
図6H)WT、Dnm2
RW/RW及びDnm2
RW/RWTg BIN1のマウスの生存率。統計的検定:ノンパラメトリック検定。マン・ホイットニー事後検定。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【
図7a】Dnm2R465W/R465W Tg BIN1の筋肉組織像及び構造。(
図7A)HEで染色した横断TA筋切片。スケールバー100μm。(
図7B)5μm間隔にグループ化されたTA線維の最小フェレット(n=5)。(
図7C)内在化した核を有する筋線維の頻度(n=5)。(
図7D)SDHで染色した横断TA筋切片。スケールバー100μm。(
図7E)異常SDH染色のある線維の頻度(n=3)。(
図7F)電子顕微鏡で観察されたTA筋の超微細構造。スケールバー1μm。(
図7G)T細管の円形度の定量化(n=2)。(
図7H)ジスフェリン抗体で染色した横断TA筋切片。スケールバー10μm。統計的検定:スチューデントのt検定 *p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【
図8】BIN1-DNM2分子相互作用の特性決定。(
図8A)昆虫細胞で産生されたDNM2タンパク質の細菌で産生された精製GST-BIN1又はGST-SH3によるプルダウン。クマシー染色。(
図8B)精製DNM2及び(
図8C)BIN1を用いた精製DNM2のネガティブ染色及び電子顕微鏡検査。スケールバー200nm。BIN1の有無によるDNM2オリゴマーの拡大例:フィラメント状、馬蹄形、リング状(矢じり)又はボール状(矢印)。スケールバー50nm。(
図8D)カウントした合計678構造上の異なるDNM2オリゴマーの定量化。統計的検定:ノンパラメトリック検定、マン・ホイットニー検定。ダンの事後検定 *p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。(
図8E)Dnm2
RW/RWTg BIN1マウスにおけるBIN1レベル:昆虫細胞で産生されたDNM2タンパク質の、細菌で産生された精製GST-SH3(左パネル)又はGST-BIN1(右パネル)によるプルダウン。クマシー染色。
【
図9a】BIN1及びDNM2の細管形成及び分裂活性。(
図9A)精製したBIN1、DNM2 + GTP、又はBIN1 + DNM2 + GTP(BIN1:DNM2が1:1の比)とインキュベートしたリポソームのネガティブ染色及び電子顕微鏡検査。矢印は膜細管を示す。スケールバー200nm。(
図9B)リポソームから発出する膜細管の数の定量化。(
図9C)DNM2+GTP又はBIN1+DNM2+GTP(BIN1:DNM2が1:1の比)とインキュベーションした後のリポソーム直径の定量化。リポソームはn>150で分析された。(
図9D)BIN1でトランスフェクトされたCOS-1細胞。(
図9E)0.5μg又は1μgのDNM2 WT又はDNM2
R465W(n=3)でトランスフェクションした後のBIN1細管を有する細胞のパーセンテージ。統計的検定:ノンパラメトリック検定。マン・ホイットニー検定及びスチューデントT検定:*p<0.05、****p<0.0001。(
図9F)BIN1-GFPでトランスフェクトされたCOS-1細胞。(A)BIN1-GFPのみでトランスフェクトされ、抗DNM2をプローブしたCOS-1細胞。
【発明を実施するための形態】
【0021】
別段の定めがない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0022】
冠詞の「a」及び「an」は、本明細書では、冠詞の文法的目的語の1つ又は複数(すなわち、少なくとも1つ)を指すように使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素又は複数の要素を意味する。
【0023】
測定可能な値、例えば、量、時間的持続時間等に言及する場合に本明細書で使用される「約(about)」又は「およそ(around)」とは、指定された値から±20%又は±10%、より好ましくは±5%、更により好ましくは±1%、及び更により好ましくは±0.1%の変動を包含することを、そのような変動が開示した方法又は組成物を実施するのに適当である場合に意味する。
【0024】
範囲:本開示全体を通して、本発明の様々な態様は範囲形式で提示することができる。範囲形式での記載は、単に便宜上及び簡潔さのためのものであると理解されるべきであり、本発明の範囲に対する融通のきかない限定として解釈されるべきではない。したがって、範囲の記載は、全ての可能な部分範囲、並びにその範囲内の個々の数値を具体的に開示しているとみなすものとする。例えば、1~6等の範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等の部分範囲、並びにその範囲内の個々の数値、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、及び6を具体的に開示しているとみなすものとする。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0025】
本発明によれば、用語「含む(comprise)」又は「含む(comprising)」(及び他の同等の用語、例えば「含有する(containing)」、及び「含む(including)」)は「オープンエンド」であり、一般的には、詳細に言及されている特徴の全て、並びに任意の任意選択の、追加の及び明示されていない特徴が含まれるように解釈することができる。特定の実施形態によれば、その用語はまた、明示された特徴、並びに特許請求されている発明の基本的及び新規の特性に実質的に影響を及ぼさない任意の任意選択の、追加の及び明示されていない特徴が含まれる「から本質的になる(consisting essentially of)」という句、又は別段の明記のない限り、明示された特徴のみが含まれる「からなる(consisting of)」という句として解釈することができる。
【0026】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は、ペプチド結合によって共有結合されたアミノ酸残基のポリマーを指すように本明細書で互換的に使用される。この用語は、1つ又は複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的模倣物であるアミノ酸ポリマー、並びに天然に存在するアミノ酸ポリマー及び天然に存在しないアミノ酸ポリマーに適用される。「ポリペプチド」には、例えば、数ある中でも、生物学的に活性な断片、実質的に相同なポリペプチド、オリゴポリペプチド、ホモダイマー、ヘテロダイマー、ポリペプチドのバリアント、修飾ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質が含まれる。ポリペプチドには、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、又はそれらの組合せが含まれる。
【0027】
本明細書で使用される場合、「疾患又は障害を処置する」とは、疾患又は障害の症状が患者によって経験される頻度を低減することを意味する。疾患及び障害は、本明細書では互換的に使用される。この用語が本明細書で使用される場合の疾患を「処置する」とは、対象によって経験される疾患又は障害の少なくとも1つの徴候又は症状の頻度又は重症度を低減することを意味する。本発明の文脈では、用語の処置とは、根治的処置、対症的処置、及び予防的処置を示す。本明細書で使用される場合、用語の疾患の「処置」とは、対象(又は患者)の寿命を延ばすことを意図した任意の行為、例えば、治療及び疾患進行の遅延を指す。処置は、疾患を根絶するように、疾患の進行を止めるように、及び/又は疾患の退縮を促進するように設計することができる。用語の疾患の「処置」とは、その疾患に関連する症状、例えば、筋緊張低下及び筋力低下を軽減することを意図した任意の行為も指す。より詳しくは、本発明による処置は、ADCNMの表現型又は症状の出現を遅らせるか又は元に戻し、運動及び/又は筋肉の挙動及び/又は寿命を改善することを意図している。
【0028】
疾患若しくは障害の症状の重症度、そのような症状が患者によって経験される頻度、又はその両方が低減する場合、疾患又は障害は「緩和される」。「治療的」処置は、病態の徴候を示す対象に、それらの徴候の少なくとも1つ又は全てを減少又は排除する目的で施される処置である。
【0029】
本文脈において、処置される疾患は、常染色体優性中心核ミオパシー(ADCNM)である。ADCNMは、小児期、青年期/成人期に発症するものから、新生児期に発症するより重篤な散発型のものまで、ゆっくりと進行するCNMの幅広い臨床スペクトラムと関連している。これらの異なる型は、DNM2遺伝子座(ヒトでは第19染色体)における複数のミスセンス変異を特徴としており、したがって、DNM2関連CNMとも呼ばれる(Bohmら、Hum Mutat. 2012年6月;33(6):949~59頁. doi: 10.1002/humu.22067. Epub 2012年4月4日 PMID: 22396310、これは参照により本明細書に組み込まれる)。
【0030】
ADNCMは、筋肥大の有無によって2つのサブグループに分けることができる:(i)古典型、軽症型とも呼ばれ、発症が遅く、進行が遅いことを特徴とする、(ii)筋肥大を伴うもので、重症型とも呼ばれ、これは通常、若年で発症し、より急速な経過をたどる。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、処置される常染色体優性中心核ミオパシーは、重症型又は軽症型のADCNMであり、好ましくは軽症型のADCNMである。
【0032】
本発明の好ましい実施形態では、常染色体優性中心核ミオパシーは、早期発症又は後期発症のADCNMであり、好ましくは後期発症のADCNMである。早期発症は、典型的には、新生児期の発症を含み、一方、後期発症は小児期/青年期、又は成人期の発症を含む。好ましくは、本発明に従って処置されるADCNMは、小児期/青年期又は成人期発症であり、より好ましくは成人期発症である。
【0033】
句「治療有効量」とは、本明細書で使用される場合、対象への有益な効果の提供又はそのような疾患の症状の緩和を含む、疾患又は障害を予防又は処置する(疾患又は障害の発症を遅延させる又は予防する、疾患又は障害の進行を予防する、疾患又は障害を抑制、軽減又は好転させる)のに十分な又は有効な量を指す。
【0034】
用語「患者」、「対象」、「個体」等は、本明細書では互換的に使用され、in vitro又はin situにかかわらず、本明細書に記載の方法に適した、任意の動物又はその細胞を指す。ある特定の非限定的な実施形態では、患者、対象又は個体はヒトである。好ましくは、対象は、その年齢又は性別にかかわらず、ヒト患者である。胚、胎児、新生児(生後間もない新生児(neonates))、乳児、小児/青年も同様に含まれる。本発明の文脈において、ADCNMの患者は、異なる疾患の重症度を示すので、典型的には、新生児、小児/青年、成人に分けることができる。発症が早ければ早いほど、疾患はより重症化する。実施例で示したように、胚及び胎児もまた、本発明に従って処置することができる。胚及び胎児は、生まれていない子を指す。新生児は、典型的には、0日目から約1歳までの新生児を含むが、小児期/思春期は約1~2歳の患者から約16歳の患者の範囲であり得る(含まれる)。したがって、成人には16歳を過ぎた人が含まれ得る。
【0035】
「コードする」とは、ヌクレオチド(すなわち、rRNA、tRNA及びmRNA)の定義された配列又はアミノ酸の定義された配列のいずれかを有する、生物学的プロセスにおいて他のポリマー及び高分子を合成するための鋳型として機能するポリヌクレオチド中のヌクレオチド、例えば遺伝子、cDNA、又はmRNAの特定の配列の固有の特性、及びそれによって得られる生物学的特性を指す。したがって、遺伝子に対応するmRNAの転写及び翻訳が細胞又は他の生物系においてタンパク質を産生する場合、その遺伝子はタンパク質をコードする。ヌクレオチド配列がmRNA配列と同一であり、通常は配列表で提供されるコード鎖と、遺伝子又はcDNAの転写の鋳型として使用される非コード鎖の両方は、その遺伝子又はcDNAのタンパク質又は他の産物をコードするということができる。
【0036】
「発現ベクター」は、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指し、これは本明細書では構築物と呼ぶことができる。発現ベクターは、発現のために十分なシス作用エレメントを含む。発現のための他のエレメントは、宿主細胞によって、又はin vitro発現系で供給され得る。発現ベクターには、当技術分野で公知の全てのもの、例えば、組換えポリヌクレオチドを組み込む、コスミド、プラスミド(例えば、裸の又はリポソームに含有されたもの)、並びにウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)が含まれる。したがって、用語「ベクター」には、自己複製プラスミド又はウイルスが含まれる。この用語はまた、細胞への核酸の導入を容易にする非プラスミド化合物及び非ウイルス化合物、例えば、ポリリジン化合物、リポソーム等を含むと解釈するものとする。ウイルスベクターの例には、限定するものではないが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター等が含まれる。したがって、構築物は発現ベクターに組み込まれる。
【0037】
「相同な」とは、2つのポリペプチド間、又は2つの核酸分子間の配列類似性又は配列同一性を指す。2つの比較した配列の両方における位置が同じ塩基又はアミノ酸モノマーサブユニットによって占められている場合、例えば、2つのDNA分子のそれぞれの位置がアデニンによって占められている場合、分子はその位置で相同である。2つの配列間の相同性のパーセントは、2つの配列によって共有される一致する位置又は相同な位置の数を、比較される位置の数で割って100を掛けた関数である。例えば、2つの配列中の位置の10個のうち6個が一致するか又は相同である場合、2つの配列は60%相同である。例として、DNA配列のATTGCC及びTATGGCは50%の相同性を共有する。一般に、比較は、2つの配列が最大の相同性を得るようにアラインされる場合に行われる。2つのヌクレオチド(又はアミノ酸)配列間の「相同性の%」は、最適な比較のためにこれらの配列をアラインメントした際に決定することができる。配列の最適なアラインメントは、本明細書では、好ましくは、同じ長さ又は類似の長さの配列を使用してアラインメントが実施される場合、グローバル相同性アラインメントアルゴリズムによって、例えば、Needleman及びWunschによって記載されたアルゴリズム(Journal of Molecular Biology; 1970年、48(3): 443~53頁)によって、このアルゴリズムのコンピューター導入(例えば、DNASTAR (登録商標) Lasergeneソフトウェアの使用)によって、又は目視検査等によって実行され得る。或いは、異なる長さの配列を使用してアラインメントが実施される場合、配列の最適なアラインメントは、好ましくは、局所的相同性アラインメントアルゴリズムによって、例えば、Smith及びWatersonによって記載されたアルゴリズム(Journal of Molecular Biology; 1981年、147: 195~197頁)によって、このアルゴリズムのコンピューター導入(例えば、DNASTAR (登録商標) Lasergeneソフトウェアの使用)によって、又は目視検査によって実行され得る。グローバル相同性アラインメントアルゴリズム及びローカル相同性アラインメントアルゴリズムの例は当業者に周知であり、限定するものではないが、ClustalV(グローバルアラインメント)、ClustalW(ローカルアラインメント)、及びBLAST(ローカルアラインメント)が含まれる。
【0038】
「単離された」とは、天然の状態から変化された又は取り出された状態を意味する。例えば、生きている動物に天然に存在する核酸又はペプチドは「単離されて」いないが、天然の状態の共存する物質から部分的に又は完全に分離された同じ核酸又はペプチドは「単離されて」いる。単離された核酸又はタンパク質は、実質的に精製された形態で存在することができるか、又は非天然環境中に、例えば宿主細胞に存在することができる。
【0039】
本発明の文脈において、一般に存在する核酸塩基について以下の略号が使用される。「A」はアデノシンを指し、「C」シトシンを指し、「G」はグアノシンを指し、「T」はチミジンを指し、「U」はウリジンを指す。
【0040】
別段の明示のない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」には、互いの縮重バージョンであり、同じアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチド配列が含まれる。タンパク質又はRNAをコードするヌクレオチド配列という句はまた、タンパク質をコードするヌクレオチド配列がいくつかのバージョンでイントロンを含有することができる範囲内でイントロンも含有し得る。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「核酸」又は「ポリヌクレオチド」とは、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドのいずれかの、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。核酸、核酸配列、及びポリヌクレオチドは、本明細書で使用される場合、交換可能である。したがって、この用語には、限定するものではないが、一本鎖、二本鎖若しくは多重鎖のDNA若しくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAハイブリッド、又はプリン及びピリミジン塩基を含むポリマー、又は他の天然の、化学的若しくは生化学的に修飾された、非天然の、若しくは誘導されたヌクレオチド塩基が含まれる。ポリヌクレオチドの骨格は、糖及びリン酸基(典型的にはRNA若しくはDNAで確認され得る)、又は修飾若しくは置換された糖若しくはリン酸基を含むことができる。或いは、ポリヌクレオチドの骨格は、ホスホルアミデート等の合成サブユニットのポリマーを含んでいてもよく、したがって、オリゴデオキシヌクレオシドホスホルアミデート(P-NH2)又は混合ホスホルアミデートホスホジエステルオリゴマーであり得る。本発明の核酸は、化学合成、組換え、及び突然変異誘発を含む、当業者に公知の任意の方法によって調製することができる。好ましい実施形態では、本発明の核酸は、DNA分子、好ましくは二本鎖DNA分子であり、好ましくは、当業者に周知の組換え方法、例えば、通常のクローニング技術及びPCR(商標)等を使用する組換えライブラリー又は細胞ゲノムからの核酸配列のクローニングによって、及び合成手段によって合成される。
【0042】
本明細書で使用される場合の用語「プロモーター」とは、ポリヌクレオチド配列の特定の転写を開始するのに必要とされる、細胞の合成機構、又は導入された合成機構によって認識されるDNA配列として定義される。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「プロモーター/調節配列」とは、プロモーター/調節配列に作動可能に連結された遺伝子産物の発現に必要とされる核酸配列を意味する。いくつかの事例では、この配列はコアプロモーター配列であってもよく、他の事例では、この配列はまた、遺伝子産物の発現に必要とされるエンハンサー配列及び他の調節エレメントを含んでいてもよい。プロモーター/調節配列は、例えば、組織特異的な方法で遺伝子産物を発現するものであり得る。
【0044】
「構成的(constitutive)」プロモーターは、遺伝子産物をコードするか又は指定するポリヌクレオチドと作動可能に連結された場合、細胞のほとんど又は全ての生理的条件下で、遺伝子産物を細胞において産生させるヌクレオチド配列である。
【0045】
「誘導性」プロモーターは、遺伝子産物をコード又は指定するポリヌクレオチドと作動可能に連結された場合、実質的に、プロモーターに対応するインデューサーが細胞に存在している場合にのみ、遺伝子産物を細胞において産生させるヌクレオチド配列である。
【0046】
「組織特異的」プロモーターは、遺伝子によってコードされるか又は指定されるポリヌクレオチドと作動可能に連結された場合、実質的に、細胞がプロモーターに対応する組織型の細胞である場合にのみ、遺伝子産物を細胞において産生させるヌクレオチド配列である。
【0047】
ヒトBIN1発現は、Dnm2 R465W/+マウスによって示されるミオパシーを回復させることができ、ADCNMを処置するための有効な薬剤となる。この方法は、ADCNM患者に筋力、筋肉サイズ、及び筋肉機能の持続的な改善を導くことができる。
【0048】
ヒトBIN1遺伝子は、第2染色体NC_000002.12の位置の塩基対127048023から塩基対127107400に位置している。BIN1遺伝子又は遺伝子産物は、限定するものではないが、AMPH2、AMPHL、SH3P9を含む他の名称によっても知られている。cDNA BIN1の完全長は、ヒトで確認される最長のアイソフォームに対応し、それは19個のエクソンを包含する。前記BIN1配列は配列番号1によって表され、これは筋肉特異的エクソン11を含有せず、したがって筋肉で自然には発現されない。しかし、本発明の文脈において、エクソン11の存在は必須ではない。BIN1はDNA上に合計20個のエクソンを有するが、これらのエクソンがヒトのRNAレベルで一緒になって確認されることは決してない。しかし、20個全てのエクソンは、本発明に従って使用することができる。配列番号1によって表される配列の一部分、又はBIN1の少なくとも2個若しくは3個の異なるエクソン1~20(それぞれ、配列番号3~22)の任意の組合せ、より好ましくは、エクソン1~20の昇順番号付けによるBIN1の少なくとも2個若しくは3個の異なるエクソン1~20(それぞれ、配列番号3~22)の任意の組合せを本発明に従って使用することができる。当業者には、「エクソンの昇順番号による」とは、エクソンがその連続した順序に従って、言い換えれば、連続的順序に従って組み合わされることを意味することが容易に理解されよう。好ましくは、本発明のBIN1核酸配列に存在するエクソンの数は、配列番号3~22によって表される、より好ましくはその配列内の前記エクソン1~20の昇順番号付けによる20個のBIN1エクソンから選択される3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のエクソンである。例えば、以下の配列を本発明に従って使用することができる:少なくともエクソン1~6及び8~11を含む人工cDNA配列(配列番号23)、少なくともエクソン1~6、8~10、12、及び17~20を含むcDNA(配列番号25;長いアイソフォーム9とも呼ばれる)、少なくともエクソン1~6、8~10、12、及び18~20を含むcDNA(配列番号31;短いアイソフォーム9とも呼ばれる)、少なくともエクソン1~6、8~12、及び18~20を含むcDNA(配列番号27;アイソフォーム8とも呼ばれる - エクソン17は含まず、筋肉特異的エクソン11を含有するBIN1の短い筋肉アイソフォームである)、又は少なくともエクソン1~6、8~12、及び17~20を含むcDNA(配列番号29;アイソフォーム8とも呼ばれる - エクソン17を含み、筋肉特異的エクソン11を含有するBIN1の長い筋肉アイソフォームであり、NCBIアイソフォーム8に対応する)。本発明に従って使用されるBIN1核酸配列は、本発明のアンフィファイジン2ポリペプチドをコードし得る。本発明による特に好ましいBIN1核酸は、少なくともエクソン1~6、8~10、12、及び17~20を含むcDNA(配列番号25)、並びに少なくともエクソン1~6、8~12、及び18~20を含むcDNA(配列番号27)である。
【0049】
上述のように、BIN1の様々な組織特異的アイソフォーム又は転写バリアントがあり、それらの中で、骨格筋特異的に確認されたアイソフォームは、ホスホイノシチド(PI)結合ドメインを含有するアイソフォーム8である。前記cDNAアイソフォーム8は、配列番号27又は配列番号29によって表され、対応するタンパク質は、配列番号28又は配列番号30によって表される。
【0050】
本発明の天然ヒトアンフィファイジン2タンパク質は、593アミノ酸長である。これは、BIN1遺伝子(Gene ID 274)によってコードされている。アンフィファイジン2タンパク質は、限定するものではないが、BIN1、AMPH2、AMPHL、SH3P9を含む他の名称でも知られている。前記タンパク質は、配列番号2によって表される。上述のように、BIN1遺伝子の様々な組織特異的アイソフォームがある。配列番号2によって表される配列の一部分、又は少なくとも2個若しくは3個の異なるBIN1エクソン1~20の任意の組合せから得られるか若しくはそれらによってコードされる任意のポリペプチド配列、より好ましくは、BIN1エクソン1~20の昇順番号付けによる少なくとも2個若しくは3個の異なるBIN1エクソン1~20(それぞれ、配列番号3~22)の任意の組合せから得られるか若しくはそれらの組合せによってコードされる任意のポリペプチド配列を本発明に従って使用することができる。特定の実施形態によれば、ADCNMの処置に有用なアンフィファイジン2ポリペプチドは、配列番号2、24、26、28、30又は32によって表されるアミノ酸配列を含む。本発明による特に好ましいアンフィファイジン2ポリペプチドは、配列番号26又は28によって表されるアミノ酸配列を含む。
【0051】
一態様では、本明細書に開示したアンフィファイジン2タンパク質は、配列番号2、24、26、28、30若しくは32と少なくとも90%同一の(若しくは相同の)アミノ酸配列、又はその生物活性断片若しくはバリアントを含む。いくつかの実施形態では、アンフィファイジン2は、配列番号2、24、26、28、30又は32と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%同一であり、593アミノ酸長であるか若しくは593アミノ酸長未満であるアミノ酸配列、又はその生物活性断片若しくはバリアントを含む。
【0052】
本明細書で使用される場合、本明細書で開示したアンフィファイジン2は、上述したように593アミノ酸長であり、配列番号2によって表されるヒトアンフィファイジン2の天然に存在するタンパク質の様々なアイソフォーム、断片、バリアント、融合タンパク質、及び修飾形態を含み得る。天然に存在するアンフィファイジン2ポリペプチドのそのようなアイソフォーム、断片又はバリアント、融合タンパク質、及び修飾形態は、天然に存在するポリペプチドとの実質的な配列同一性のアミノ酸配列の少なくとも一部分を有し、天然に存在するアンフィファイジン2ポリペプチドの少なくとも1つの機能を保持する。
【0053】
ある特定の実施形態では、天然に存在するアンフィファイジン2ポリペプチドの生物活性断片、バリアント、又は融合タンパク質は、配列番号2、26、28、30又は32の天然に存在するアンフィファイジン2と少なくとも80%、85%、好ましくは少なくとも90%、95%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。本明細書で使用される場合、「断片」又は「バリアント」とは、本明細書に記載した「生物活性」を示す生物活性断片又は生物活性バリアントを含むものと理解される。すなわち、アンフィファイジン2の生物活性断片又は変異体は、測定及び試験され得る生物活性を示す。例えば、生物活性断片又はバリアントは、天然(すなわち、野生型又は通常の)アンフィファイジン2タンパク質と同じ又は実質的に同じ生物活性を示し、そのような生物活性は、断片又はバリアントについて、例えば、in vitroで細胞にトランスフェクションする際の、若しくはin vivoで膜をカーブするか若しくはリモデリングする能力、又は公知のエフェクタータンパク質、例えばダイナミン2、若しくは脂質、例えばホスホイノシチドに結合する能力によって評価することができる。これらの基準のいずれかを評価する方法は本明細書に記載されており、及び/又は以下の参考文献をより詳細に参照しなければならない: Amphiphysin 2(BIN1) and T-tubule biogenesis in muscle._Lee E、Marcucci M、Daniell L、Pypaert M、Weisz OA、Ochoa GC、Farsad K、Wenk MR、De Camilli P. Science. 2002年8月16日;297(5584): 1193~6頁. PMID: 12183633; Regulation of Binl SH3 domain binding by phosphoinositides. _Kojima C、Hashimoto A、Yabuta I、Hirose M、Hashimoto S、Kanaho Y、Sumimoto H、Ikegami T、Sabe H. EMBO J. 2004年11月10日;23(22):4413~22頁. Epub 2004年10月14日 PMID: 15483625; Mutations in amphiphysin 2 (BIN1) disrupt interaction with dynamin 2 and cause autosomal recessive centronuclear myopathy. Nicot AS、Toussaint A、Tosch V、Kretz C、Wallgren-Pettersson C、Iwarsson E、Kingston H、Garnier JM、Biancalana V、Oldfors A、Mandel JL、Laporte J. Nat Genet. 2007年9月;39(9): 1134~9頁. Epub 2007年8月5日。
【0054】
本発明の文脈において、アンフィファイジン2ポリペプチド、又はその生物活性断片若しくはバリアントの機能(又は生物活性)はまた、以下に記載した実施例に記載されているようにして、特に、例えば、生存率、寿命、筋力、協調、筋線維/筋肉の超微細構造の組織化、接着斑、及び/又はDNM2活性(GTPase活性、オリゴマー化、膜分裂/細管形成)の改善を評価することによって試験することもできる。
【0055】
本明細書で使用される場合、「実質的に同じ」とは、パラメータが相対して測定される対照の少なくとも70%である任意のパラメータ(例えば、上記のような活性又は生物活性)を指す。ある特定の実施形態では、「実質的に同じ」とはまた、パラメータが相対して測定される対照の少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%、100%、102%、105%、又は110%である任意のパラメータ(例えば活性)を指す。
【0056】
ある特定の実施形態では、本明細書で開示したアンフィファイジン2ポリペプチドのいずれかは、場合により、in vivoでの安定性、in vitroでの半減期、取り込み/投与、及び/又は精製の1つ又は複数を増強する1つ又は複数のポリペプチド部分を更に含むキメラポリペプチドにおける使用のためのものである。
【0057】
本明細書で使用される場合、BIN1核酸配列は、本発明のタンパク質又は断片(例えば、上述したもの)をコードする、並びに/或いは配列番号1、23、25、27、29若しくは31、又はその断片を含有するBIN1核酸配列を含むことができる。一実施形態では、本発明に従って使用することができるBIN1核酸配列は、ストリンジェントな条件下で、配列番号1、23、25、27、29又は31の配列にハイブリダイズする。別の実施形態では、本発明は、配列番号1、23、25、27、29又は31の核酸配列に相補的な核酸配列を提供する。更に別の実施形態では、本発明は、本発明の融合タンパク質をコードする核酸配列を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、本発明のBIN1核酸配列のいずれかの対立遺伝子バリアントを提供する。
【0058】
本発明は、筋肉におけるBIN1発現を増加させる組成物を提供する。例えば、一実施形態では、組成物は、単離されたBIN1核酸配列、又は少なくとも1つのBIN1核酸配列を含む核酸を含む。本明細書に記載されているように、そのような核酸配列を含む組成物の送達は、筋肉機能を改善する。更に、そのような核酸配列を含む組成物の送達は、ADCNMを有する対象の生存を延ばす。
【0059】
本発明はまた、上記で定義したアンフィファイジン2ポリペプチド、又は上記で定義した少なくとも1つのBIN1核酸配列を含む発現ベクターを、医薬担体と組み合わせて含む医薬組成物に関する。また、開示した前記組成物は、ADCNMの処置における使用のためのものである。
【0060】
本発明は、更に、ADCNMを処置するための方法であって、そのような処置を必要とする対象に、上記で定義した、アンフィファイジン2ポリペプチド、又は少なくとも1つのBIN1核酸配列を含む発現ベクターの治療有効量を投与する工程を含む、方法に関する。
【0061】
最後に、本発明は、ADCNMを処置するための医薬組成物を調製するための、上記で定義した、アンフィファイジン2ポリペプチド、又は少なくとも1つのBIN1核酸配列を含む発現ベクターの使用に関する。
【0062】
上記で定義した単離された核酸配列又は生物学的に機能的なその断片若しくはバリアントは、当技術分野で公知の任意の多くの組換え方法を使用して、例えば、標準的な手法(例えばPCR)を使用して、BIN1遺伝子を発現する細胞からcDNA若しくはDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、それらを含むことが知られているベクターから遺伝子を得ることによって、又はそれらを含有する細胞及び組織から直接的に単離することによって得ることができる。或いは、目的とする遺伝子は、クローン化よりもむしろ合成的に作製することができる。
【0063】
本発明はまた、単離されたBIN1核酸配列又は本発明の少なくとも1つのBIN1核酸配列を含む核酸が挿入されており;これが、一般的には、BIN1の発現を指示する1つ又は複数の制御配列に作動可能に連結されている、ベクターも含む。当技術分野は、本発明において有用である適切なベクターが豊富にある。それはまた、本発明のベクターで形質転換された核酸構築物又は組換え宿主細胞を指す。
【0064】
要約すると、BIN1核酸配列の発現は、典型的には、BIN1核酸配列又はその一部分をプロモーターに作動可能に連結し、構築物を発現ベクターに組み込むことによって達成される。使用されるベクターは、真核細胞における複製、場合により組込みに適している。典型的なベクターは、転写ターミネーター及び翻訳ターミネーター、開始配列、並びに所望の核酸配列の発現の調節に有用なプロモーターを含有する。
【0065】
本発明のベクターはまた、標準的な遺伝子送達プロトコルを使用して、遺伝子治療に使用することができる。遺伝子送達の方法は、当技術分野において公知である。例えば、米国特許第5,399,346号;第5,580,859号;又は第5,589,466号を参照されたい。別の実施形態では、本発明は、遺伝子治療ベクターを提供する。
【0066】
本発明のBIN1核酸配列は、多くのタイプのベクターにクローニングすることができる。例えば、核酸は、限定するものではないが、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルス、及びコスミドを含むベクターにクローニングすることができる。特に目的とするベクターには、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクター、及び配列決定ベクターが含まれる。
【0067】
更に、ベクターは、ウイルスベクターの形態で細胞に提供することができる。ウイルスベクター技術は当技術分野において周知であり、例えば、Sambrookら(2001年、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、New York)、並びに他のウイルス学及び分子生物学マニュアルに記載されている。ベクターとして有用であるウイルスには、限定するものではないが、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、及びレンチウイルスが含まれる。一般に、適切なベクターは、少なくとも1つの生物において機能的な複製起点、プロモーター配列、便利な制限エンドヌクレアーゼ部位、及び1つ又は複数の選択可能なマーカーを含有する(例えば、WO 01/96584; WO 01/29058;及び米国特許第6,326,193号)。
【0068】
多数のウイルスベースの系が哺乳動物細胞への遺伝子導入のために開発されてきた。例えば、レトロウイルスは、遺伝子送達系にとって便利なプラットフォームを提供する。選択された遺伝子は、当技術分野において公知の手法を使用して、ベクターに挿入され、レトロウイルス粒子にパッケージングされ得る。次いで、組換えウイルスは単離され、in vivo又はex vivoのいずれかで対象の細胞に送達され得る。多数のレトロウイルス系が当技術分野において公知である。一部の実施形態では、アデノウイルスベクターが使用される。多数のアデノウイルスベクターが当技術分野において公知である。一実施形態では、レンチウイルスベクターが使用される。
【0069】
例えば、レトロウイルス、例えばレンチウイルス由来のベクターは、導入遺伝子の長期的な安定した組込み及び娘細胞へのその伝播を可能にするので、長期的な遺伝子導入を達成するための適切なツールである。好ましい実施形態では、組成物は、アデノ随伴ウイルス(AAV)由来のベクターを含む。アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、様々な障害を処置するための効果の高い遺伝子送達ツールになっている。AAVベクターは、病原性の欠失、最小限の免疫原性、及び分裂後の細胞を安定した効率的な方法で形質導入する能力を含む、遺伝子治療に理想的に適したものにする多くの機能を保持する。AAVベクター内に含有される特定の遺伝子の発現は、AAV血清型、プロモーター、及び送達方法の適当な組合せを選択することにより、1つ又は複数の細胞タイプを特異的に標的化することができる。
【0070】
一実施形態では、BIN1核酸配列はAAVベクター内に含有される。30を超えるAAVの天然に存在する血清型が利用可能である。AAVカプシドに多くの天然のバリアントが存在しており、骨格筋に特異的に適合した特性を有するAAVを同定及び使用することができる。AAVウイルスは、従来の分子生物学的手法を使用して操作することができ、ミオチューブラリン核酸配列の細胞特異的送達、免疫原性の最小化、安定性及び粒子寿命の調整、効率的な分解、核への正確な送達のために、これらの粒子を最適化することができる。
【0071】
ヒト又は非ヒト霊長類(NHP)から単離され、十分に特徴付けられたAAVの血清型のうち、ヒト血清型2は、遺伝子導入ベクターとして開発された最初のAAVである。これは様々な標的組織及び動物モデルにおける効率的な遺伝子導入実験に幅広く使用されている。いくつかのヒト疾患モデルに対するAAV2ベースのベクターの実験的適用の臨床試験が進行している。他の有用なAAV血清型には、AAV1、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9及びAAV10、並びにAAV-DJ及びAAV-PHP.Sが含まれる。
【0072】
一実施形態では、本明細書に記載した組成物及び方法において有用なベクターは、少なくとも、選択されたAAV血清型カプシド、例えばAAV8カプシド、又はその断片をコードする配列を含有する。別の実施形態では、有用なベクターは、少なくとも、選択されたAAV血清型repタンパク質、例えばAAV8 repタンパク質、又はその断片をコードする配列を含有する。場合により、そのようなベクターは、AAVcap及びrepタンパク質の両方を含有し得る。
【0073】
本発明のAAVベクターは、AAV5'(逆方向末端反復)ITR及びAAV3' ITRに隣接している上記のBIN1核酸配列を含むミニ遺伝子を更に含有することができる。適切な組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)は、本明細書で定義したアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型カプシドタンパク質、又はその断片をコードする核酸配列;機能性rep遺伝子;少なくとも、AAV逆方向末端反復(ITR)及びBIN1核酸配列、又はその生物学的に機能する断片から構成されるミニ遺伝子;並びにミニ遺伝子をAAVカプシドタンパク質にパッケージングすることを可能にするのに十分なヘルパー機能を含有する宿主細胞を培養することによって生成される。AAVミニ遺伝子をAAVカプシドにパッケージングするために宿主細胞で培養されることが必要とされる成分は、宿主細胞にトランスで提供され得る。或いは、必要な構成要素(例えば、ミニ遺伝子、rep配列、cap配列、及び/又はヘルパー機能)の任意の1つ又は複数は、当業者に公知の方法を使用して、1つ又は複数の必要な構成要素を含有するように操作されている安定な宿主細胞によって提供され得る。
【0074】
特定の実施形態では、そのような安定した宿主細胞は、構成的プロモーターの制御下で必要とされる構成要素を含有する。他の実施形態では、必要とされる構成要素は、誘導性プロモーターの制御下にあり得る。適切な誘導性プロモーター及び構成的プロモーターの例は、本明細書の他の箇所で提供されており、当技術分野において周知である。さらなる別の代替では、選択された安定した宿主細胞は、選択された構成要素を構成的プロモーターの制御下で含有していてもよく、他の選択された構成要素を1つ又は複数の誘導性プロモーターの制御下で含有していてもよい。例えば、293細胞(構成的プロモーターの制御下でE1ヘルパー機能を含有する)に由来するが、誘導性プロモーターの制御下でrepタンパク質及び/又はcapタンパク質を含有する、安定した宿主細胞を生成することができる。更に他の安定した宿主細胞は、当業者によって生成することができる。
【0075】
本発明のrAAVの生成に必要とされるミニ遺伝子、rep配列、cap配列、及びヘルパー機能は、その上に担持される配列を導入する任意の遺伝的エレメントの形態でパッケージング宿主細胞に送達され得る。選択された遺伝的エレメントは、本明細書に記載されているもの及び当技術分野において利用可能な任意の他のものを含む、任意の適切な方法を使用して送達することができる。本発明の任意の実施形態を構築するために使用される方法は、核酸操作における当業者には公知であり、遺伝子操作、組換え操作、及び合成技術を含む。同様に、rAAVビリオンを生成する方法は周知であり、適切な方法の選択は本発明を制限するものではない。
【0076】
特段の指示のない限り、AAV ITR、及び本明細書に記載した他の選択されたAAV構成要素は、限定するものではないが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9及びAAV10、並びにAAV-DJ及びAAV-PHP.S、又は他の公知の若しくは未知のAAV血清型を含む、任意のAAV血清型の中から容易に選択することができる。これらのITR又は他のAAV構成要素は、当業者に利用可能な技術を使用して、AAV血清型から容易に単離することができる。そのようなAAVは、単離され得るか、又は学術的、商業的若しくは公的な供給源(例えば、バージニア州マナッサスのアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection))から入手することができる。或いは、AAV配列は、文献又はデータベース、例えば、GenBank、PubMed等で利用可能であるような、公開された配列を参照することによって、合成手段又は他の適切な手段により取得することができる。
【0077】
ミニ遺伝子は、少なくとも、BIN1核酸配列(導入遺伝子)及びその制御配列、並びに5'及び3' AAV逆方向末端反復(ITR)から構成される。一実施形態では、AAV血清型2のITRが使用される。しかし、他の適切な血清型由来のITRを選択することができる。カプシドタンパク質にパッケージングされ、選択された宿主細胞に送達されるのはこのミニ遺伝子である。BIN1をコードする核酸コード配列は、宿主細胞における導入遺伝子の転写、翻訳、及び/又は発現を可能にする方法で調節構成要素に作動可能に連結される。
【0078】
ミニ遺伝子について上記で同定した主要なエレメントに加えて、AAVベクターは、一般的に、プラスミドベクターでトランスフェクトされた細胞、又は本発明によって生成されたウイルスに感染した細胞におけるその転写、翻訳及び/又は発現を可能にする方法で、導入遺伝子に作動可能に連結される従来の制御エレメントを含む。本明細書で使用される場合、「作動可能に連結される」配列は、目的の遺伝子と隣接する発現制御配列、及び目的の遺伝子を制御するためにトランスで又は少し離れて作用する発現制御配列の両方を含む。発現制御配列には、適切な転写開始配列、終止配列、プロモーター配列及びエンハンサー配列;効率的なRNAプロセシングシグナル、例えば、スプライシングシグナル及びポリアデニル化(ポリA)シグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を増強する配列(すなわち、コザックコンセンサス配列);タンパク質の安定性を増強する配列;並びに、所望する場合、コードされた産物の分泌を増強する配列、が含まれる。天然の、構成的、誘導性及び/又は組織特異的であるプロモーターを含む、非常に多数の発現制御配列が当技術分野においては公知であり、利用され得る。追加のプロモーターエレメント、例えばエンハンサーは、転写開始の頻度を調節する。典型的には、これらは開始部位の30~110bp上流領域に位置しているが、最近、多数のプロモーターが、開始部位の下流にも機能性エレメントを含有することが明らかにされた。プロモーターエレメント間の間隔は、多くの場合、フレキシブルであるため、エレメントが互いに反転又は移動する場合にプロモーター機能は保存される。プロモーターに応じて、個々のエレメントは協調して又は独立して機能し、転写を活性化することができるようである。
【0079】
BIN1の発現を評価するため、細胞に導入される発現ベクターはまた、ウイルスベクターによってトランスフェクト又は感染させようとする細胞の集団からの発現細胞の同定及び選択を容易にするための選択可能なマーカー遺伝子若しくはレポーター遺伝子のいずれか、又はその両方を含有することができる。他の態様では、選択可能なマーカーは、別個のDNA片に担持され、共トランスフェクションの手順において使用され得る。選択可能なマーカー及びレポーター遺伝子は両方とも、宿主細胞における発現を可能にするように適当な調節配列と隣接させることができる。有用な選択可能なマーカーには、例えば、neo等の抗生物質耐性遺伝子が含まれる。
【0080】
レポーター遺伝子は、トランスフェクトされた可能性のある細胞を同定するために、また調節配列の機能性を評価するために使用される。一般に、レポーター遺伝子は、レシピエント生物又は組織に存在しないか又は発現されず、その発現がいくつかの容易に検出可能な特性、例えば酵素活性によって明らかにされるポリペプチドをコードする遺伝子である。レポーター遺伝子の発現は、DNAがレシピエント細胞に導入された後に適切な時点でアッセイされる。適切なレポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌型アルカリホスファターゼ、又は緑色蛍光タンパク質遺伝子をコードする遺伝子を含み得る。適切な発現系は周知であり、公知の技術を使用して調製され得るか、又は商業的に入手することができる。一般に、レポーター遺伝子の最高レベルの発現を示す最小の5'隣接領域を含む構築物がプロモーターとして同定される。このようなプロモーター領域は、レポーター遺伝子に連結され、プロモーター駆動転写をモジュレートする能力について薬剤を評価するために使用され得る。
【0081】
一実施形態では、組成物は、上記で定義した裸の単離されたBIN1核酸を含み、その単離された核酸は、トランスフェクション促進タンパク質、ウイルス粒子、リポソーム製剤等を本質的に含まない。例えば裸のDNAを含む、裸の単離された核酸構造物を使用すると、筋肉における発現の誘導とうまく機能することは当技術分野において周知である。そのため、本発明は、筋肉への局所送達及び全身投与のためのそのような組成物の使用を包含する(Wuら、2005年、Gene Ther、12(6): 477~486頁)。
【0082】
遺伝子を細胞に導入し、発現させる方法は、当技術分野において公知である。発現ベクターの文脈において、ベクターは、当技術分野における任意の方法によって、宿主細胞、例えば哺乳動物、細菌、酵母、又は昆虫細胞に容易に導入することができる。例えば、発現ベクターは、物理的、化学的、又は生物学的な手段によって、宿主細胞に導入することができる。
【0083】
in vivoでの使用のために、本発明のヌクレオチドは、化学修飾、例えばリン酸骨格修飾(例えばホスホロチオエート結合)等によって安定化され得る。本発明のヌクレオチドは、遊離(裸の)形態で投与されてもよく、或いは安定性及び/又は標的化を増強する送達系、例えばリポソームの使用によって投与されてもよく、或いは他のビヒクル、例えばハイドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセル、生体接着性ミクロスフェア、若しくはタンパク質性ベクターに組み込まれていてもよく、又はカチオン性ペプチドと組み合わせてもよい。それらはまた、生体模倣細胞貫通ペプチドに結合することもできる。それらはまた、それらの前駆体又はそれらをコードするDNAの形態で投与され得る。
【0084】
ヌクレオチドの化学的に安定化されたバージョンにはまた、「モルホリノ」(ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー - PMO)、2'-O-メチルオリゴマー、AcHN-(RXRRBR)2XBペプチドタグ化PMO(R、アルギニン、X、6-アミノヘキサン酸及びB、(登録商標)-アラニン)(PPMO)、トリシクロ-DNA、又は核内低分子(sn)RNAも含まれる。これらの技術は全て、当技術分野において周知である。ヌクレオチドのこれらのバージョンは、内因性BIN1の発現を促進するためのエクソンスキッピングに使用することもできる。
【0085】
非ウイルス送達系が利用される場合、例示的な送達ビヒクルはリポソームである。宿主細胞に核酸を(in vitro、ex vivo又はin vivoで)導入するために、脂質製剤の使用が企図される。別の態様では、核酸は脂質と結合され得る。脂質と結合される核酸は、リポソームの水性内部にカプセル化され、リポソームの脂質二重層内に散在され、リポソーム及びオリゴヌクレオチドの両方と結合される連結分子によってリポソームに結合され、リポソームに封入され、リポソームと複合体化され、脂質を含有する溶液に分散され、脂質と混合され、脂質と結合され、懸濁液として脂質中に含有され、ミセルと共に含有されるか若しくは複合体化され、又はさもなければ脂質と結合され得る。脂質、脂質/DNA又は脂質/発現ベクター結合組成物は、溶液中のいかなる特定の構造にも限定されない。
【0086】
宿主細胞中の組換えDNA配列の存在を確認するために、外因性核酸を宿主細胞に導入するか、又はさもなければ細胞を本発明のBIN1核酸配列に曝露するのに使用される方法に関係なく、様々なアッセイを実施することができる。そのようなアッセイには、例えば、当業者に周知の「分子生物学的」アッセイ、例えばサザンブロッティング及びノーザンブロッティング、RT-PCR及びPCR;「生化学的」アッセイ、例えば、免疫学的手段(ELISA及びウエスタンブロット)によって、又は本発明の範囲内にある薬剤を同定するための本明細書に記載したアッセイによって、特定のペプチドの存在又は非存在を検出することが含まれる。
【0087】
ゲノム編集はまた、本発明によるツールとして使用することができる。ゲノム編集は、人工的に操作されたヌクレアーゼ、又は「分子ハサミ(molecular scissors)」を使用して、DNAがゲノムに挿入され、置き換えられ、又はゲノムから除去される遺伝子操作の一種である。ヌクレアーゼは、ゲノム内の所望する位置で特異的二本鎖切断(DSB)を作り、細胞の内因性メカニズムを利用して、相同組換え(HR)及び非相同末端結合(NHEJ)の自然なプロセスにより、誘導された切断を修復する。現在、使用されている操作されたヌクレアーゼの4つのファミリーが存在する:ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、CRISPR/Casシステム(より詳しくは、P. Maliらによって記載されているNature Methods、第10巻、第10号、2013年10月のCas9システム)、又は操作されたメガヌクレアーゼの再操作されたホーミングエンドヌクレアーゼ(engineered meganuclease re-engineered homing endonucleases)。前記ヌクレアーゼは、DNA又はmRNAのいずれかとして細胞に送達することが可能であり、そのようなDNA又はmRNAは、本発明によるBIN1を過剰発現するように操作される。CRISPR/Casシステムは、アクチベータータンパク質又はレギュレータータンパク質と融合して使用され、転写活性化又はエピジェネティック修飾を介してBIN1の発現を増強することができる(Vora S、Tuttle M、Cheng J、Church G、FEBS J. 2016年9月;283(17):3181~93頁. doi: 10.1111/febs.l3768. Epub 2016年7月2日 Next stop for the CRISPR revolution: RNA-guided epigenetic regulators)。
【0088】
本発明に従って使用される上記で定義したヌクレオチドは、DNA前駆体の形態で投与することができる。
【0089】
上記で定義したアンフィファイジン2ポリペプチドは、その断片又はバリアントを含め、当技術分野で公知の技術、例えば、従来の固相化学等を使用して、化学的に合成することができる。断片又はバリアントは、(例えば、化学合成によって)生成され、例えば、in vitroで細胞にトランスフェクションした際に、若しくはin vivoで、膜を曲げるか若しくはリモデリングするそれらの能力、又は既知のエフェクタータンパク質、例えばダイナミン2、若しくは脂質、例えばホスホイノシチドを結合するそれらの能力、又はADCNMを処置するそれらの能力を試験することによって、天然タンパク質と同様に又は実質的に同様に機能することができるそれらの断片又はバリアントを同定するために試験され得る。
【0090】
ある特定の実施形態では、本発明は、治療的若しくは予防的有効性、又は安定性(例えば、ex vivoでの有効期間、及びin vivoでのタンパク質分解に対する耐性)を増強するというようなこうした目的で、アンフィファイジン2ポリペプチドの構造を修飾することを企図する。そのような修飾アンフィファイジン2ポリペプチドは、天然に存在する(すなわち、天然型又は野生型の)アンフィファイジン2ポリペプチドと同じ又は実質的に同じ生物活性を有する。修飾ポリペプチドは、例えば、1つ又は複数の位置でのアミノ酸の置換、欠失、又は付加によって生成することができる。例えば、ロイシンのイソロイシン若しくはバリンによる単独置換、アスパラギン酸のグルタミン酸による単独置換、又はアミノ酸の構造的に関連するアミノ酸による同様の置換(例えば、保存的変異)が、得られた分子の生物学的活性に大した影響を及ぼさないことを期待するのは妥当である。保存的置換は、それらの側鎖に関連するアミノ酸のファミリー内で行われるものである。
【0091】
特定の実施形態では、本発明に従って投与される治療有効量は、ADCNMの徴候の少なくとも1つ若しくは全てを軽減するか、又はADCNMを有する対象の筋肉機能を改善するのに十分な量である。投与されるアンフィファイジン2、又は少なくとも1つのBIN1核酸配列を含む発現ベクターの量は、当業者に周知の標準的な手順により決定することができる。適当な投与量を、場合により中心核ミオパシーを示さない対象と比較して、決定するためには、患者の生理学的データ(例えば年齢、サイズ、及び体重)、投与経路、並びに処置される疾患を考慮しなければならない。当業者は、投与されるアンフィファイジン2ポリペプチド、又は少なくとも1つのBIN1核酸配列を含むベクターの量が、ADCNMの徴候の少なくとも1つ若しくは全てを処置するか、又はADCNMを有する対象の筋肉機能を改善するのに十分な量であることを認識するであろう。そのような量は、とりわけ、選択されたアンフィファイジン2ポリペプチド若しくはそれを発現するベクター、又は少なくとも1つのBIN1核酸配列ポリペプチドを含む発現ベクター、患者の性別、年齢、体重、全体的な体調等の要因に応じて変わる可能性があり、ケースバイケースで決定することができる。量はまた、処置プロトコルの他の構成要素(例えば、他の医薬品の投与等)によっても変わり得る。一般に、治療的薬剤が核酸である場合、適切な用量は、約1mg/kg~約100mg/kg、より通常的には約2mg/kg/日~約10mg/kgの範囲である。核酸のウイルスベースの送達が選択される場合、適切な用量は、種々の要因、例えば、使用されるウイルス、送達経路(筋肉内、静脈内、動脈内又はその他)等に応じて決まるが、典型的には10-9~10-15ウイルス粒子/kgの範囲であり得る。当業者には、そのようなパラメータが、通常、臨床試験中に解決されることが理解されよう。更に、当業者には、疾患症状が本明細書に記載した処置によって完全に軽減され得るが、そのようである必要はないことは理解されよう。症状の部分的又は断続的な軽減でさえも、レシピエントにとって非常に有益となる可能性がある。更に、患者の処置は単一の事象であり得るか、或いは患者は、アンフィファイジン2若しくはこれをコードする核酸、又は少なくとも1つのBIN1核酸配列を含む発現ベクターを複数回投
与され、これは、得られた結果に応じて、数日間隔、数週間間隔、又は数か月間隔、更には数年間隔であり得る。
【0092】
本発明の医薬組成物は、当業者に公知である、標準的な薬務(Pharmaceutical practice)(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (第20版)、A. R. Gennaro、Lippincott Williams & Wilkins編、2000、並びにEncyclopedia of Pharmaceutical Technology、J. Swarbrick及びJ. C. Boylan編、1988~1999、Marcel Dekker、New Yorkを参照)に従って製剤化される。
【0093】
可能性のある医薬組成物には、経口、直腸、膣内、粘膜、局所(経皮、口腔及び舌下を含む)投与、又は非経口(皮下(sc)、筋肉内(im)、静脈内(iv)、動脈内、皮内、胸骨内、注射、又は点滴の技術を含む)投与に適したものが含まれる。これらの製剤については、従来の賦形剤が当業者に周知の技術に従って使用され得る。
【0094】
特に、筋肉内投与又は全身投与が好ましい。より詳しくは、局所治療効果を提供するために、特定の筋肉又は筋肉内投与経路が好ましい。
【0095】
本発明による医薬組成物は、実質的に投与直後、又は投与後の任意の所定の時点若しくは期間に、活性薬物を放出するように製剤化することができる。
【0096】
配列表
配列番号1 [cDNAヒトBIN1アイソフォーム1(最長のアイソフォーム)]
ATGGCAGAGATGGGCAGTAAAGGGGTGACGGCGGGAAAGATCGCCAGCAACGTGCAGAAGAAGCTCACCCGCGCGCAGGAGAAGGTTCTCCAGAAGCTGGGGAAGGCAGATGAGACCAAGGATGAGCAGTTTGAGCAGTGCGTCCAGAATTTCAACAAGCAGCTGACGGAGGGCACCCGGCTGCAGAAGGATCTCCGGACCTACCTGGCCTCCGTCAAAGCCATGCACGAGGCTTCCAAGAAGCTGAATGAGTGTCTGCAGGAGGTGTATGAGCCCGATTGGCCCGGCAGGGATGAGGCAAACAAGATCGCAGAGAACAACGACCTGCTGTGGATGGATTACCACCAGAAGCTGGTGGACCAGGCGCTGCTGACCATGGACACGTACCTGGGCCAGTTCCCCGACATCAAGTCACGCATTGCCAAGCGGGGGCGCAAGCTGGTGGACTACGACAGTGCCCGGCACCACTACGAGTCCCTTCAAACTGC CAAAAAGAAGGATGAAGCCAAAATTGCCAAGCCTGTCTCGCTGCTTGAGAAAGCCGCCCCCCAGTGGTGCCAAGGCAAACTGCAGGCTCATCTCGTAGCTCAAACTAACCTGCTCCGAAATCAGGCCGAGGAGGAGCTCATCAAAGCCCAGAAGGTGTTTGAGGAGATGAATGTGGATCTGCAGGAGGAGCTGCCGTCCCTGTGGAACAGCCGCGTAGGTTTCTACGTCAACACGTTCCAGAGCATCGCGGGCCTGGAGGAAAACTTCCACAAGGAGATGAGCAAGCTCAACCAGAACCTCAATGATGTGCTGGTCGGCCTGGAGAAGCAACACGGGAGCAACACCTTCACGGTCAAGGCCCAGCCCAGTGACAACGCGCCTGCAAAAGGGAACAAGAGCCCTTCGCCTCCAGATGGCTCCCCTGCCGCCACCCCCGAGATCAGAGTCAACCACGAGCCAGAGCCGGCCGGCGGGGCCACGCCCGGGGCCACCCTCCCCAAGTCCCCATCTCAGCTCCGGAAAGGCCCACCAGTCCCTCCGCCTCCCAAACACACCCCGTCCAAGGAAGTCAAGCAGGAGCAGATCCTCAGCCTGTTTGAGGACACGTTTGTCCCTGAGATCAGCGTGACCACCCCCTCCCAGTTTGAGGCCCCGGGGCCTTTCTCGGAGCAGGCCAGTCTGCTGGACCTGGACTTTGACCCCCTCCCGCCCGTGACGAGCCCTGTGAAGGCACCCACGCCCTCTGGTCAGTCAATTCCATGGGACCTCTGGGAGCCCACAGAGAGTCCAGCCGGCAGCCTGCCTTCCGGGGAGCCCAGCGCTGCCGAGGGCACCTTTGCTGTGTCCTGGCCCAGCCAGACGGCCGAGCCGGGGCCTGCCCAACCAGCAGAGGCCTCGGAGGTGGCGGGTGGGACCCAACCTGCGGCTGGAGCCCAGGAGCCAGGGGAGACGGCGGCAAGTGAAGCAGCCTCCAGCTCTCTTCCTGCTGTCGTGGTGGAGACCTTCCCAGCAACTGTGAATGGCACCGTGGAGGGCGGCAGTGGGGCCGGGCGCTTGGACCTGCCCCCAGGTTTCATGTTCAAGGTACAGGCCCAGCACGACTACACGGCCACTGACACAGACGAGCTGCAGCTCAAGGCTGGTGATGTGGTGCTGGTGATCCCCTTCCAGAACCCTGAAGAGCAGGATGAAGGCTGGCTCATGGGCGTGAAGGAGAGCGACTGGAACCAGCACAAGGAGCTGGAGAAGTGCCGTGGCGT CTTCCCCGAGAACTTCACTGAGAGGGTCCCATGA
【0097】
配列番号2 [ヒトBIN1アイソフォーム1(最長のアイソフォーム)のアミノ酸配列]
MAEMGSKGVTAGKIASNVQKKLTRAQEKVLQKLGKADETKDEQFEQCVQNFNKQLTEGTRLQKDLRTYLASVKAMHEASKKLNECLQEVYEPDWPGRDEANKIAENNDLLWMDYHQKLVDQALLTMDTYLGQFPDIKSRIAKRGRKLVDYDSARHHYESLQTAKKKDEAKIAKPVSLLEKAAPQWCQGKLQAHLVAQTNLLRNQAEEELIKAQKVFEEMNVDLQEELPSLWNSRVGFYVNTFQSIAGLEENFHKEMSKLNQNLNDVLVGLEKQHGSNTFTVKAQPSDNAPAKGNKSPSPPDGSPAATPEIRVNHEPEPAGGATPGATLPKSPSQLRKGPPVPPPPKHTPSKEVKQEQILSLFEDTFVPEISVTTPSQFEAPGPFSEQASLLDLDFDPLPPVTSPVKAPTPSGQSIPWDLWEPTESPAGSLPSGEPSAAEGTFAVSWPSQTAEPGPAQPAEASEVAGGTQPAAGAQEPGETAASEAASSSLPAVVVETFPATVNGTVEGGSGAGRLDLPPGFMFKVQAQHDYTATDTDELQLKAGDVVLVIPFQNPEEQDEGWLMGVKESDWNQHKELEKCRGVFPENFTERVP
【0098】
配列番号3 [BIN1エクソン1]
Atggcagagatgggcagtaaaggggtgacggcgggaaagatcgccagcaacgtgcagaagaagctcacccgcgcgcaggagaag
【0099】
配列番号4 [BIN1エクソン2]
Gttctccagaagctggggaaggcagatgagaccaaggatgagcagtttgagcagtgcgtccagaatttcaacaagcagctg
【0100】
配列番号5 [BIN1エクソン3]
acggagggcacccggctgcagaaggatctccggacctacctggcctccgtcaaag
【0101】
配列番号6 [BIN1エクソン4]
Ccatgcacgaggcttccaagaagctgaatgagtgtctgcaggaggtgtatgagcccgattggcccggcagggatgaggcaaacaagatcgcagag
【0102】
配列番号7 [BIN1エクソン5]
Aacaacgacctgctgtggatggattaccaccagaagctggtggaccaggcgctgctgaccatggacacgtacctgggccagttccccgacatcaag
【0103】
配列番号8 [BIN1エクソン6]
Tcacgcattgccaagcgggggcgcaagctggtggactacgacagtgcccggcaccactacgagtcccttcaaactgccaaaaagaaggatgaagccaaaattgccaag
【0104】
配列番号9 [BIN1エクソン7、骨格筋アイソフォームには存在しない]
Cctgtctcgctgcttgagaaagccgccccccagtggtgccaaggcaaactgcaggctcatctcgtagctcaaactaacctgctccgaaatcag
【0105】
配列番号10 [BIN1エクソン8]
Gccgaggaggagctcatcaaagcccagaaggtgtttgaggagatgaatgtggatctgcaggaggagctgccgtccctgtggaacag
【0106】
配列番号11 [BIN1エクソン9]
Ccgcgtaggtttctacgtcaacacgttccagagcatcgcgggcctggaggaaaacttccacaaggagatgagcaag
【0107】
配列番号12 [BIN1エクソン10]
Ctcaaccagaacctcaatgatgtgctggtcggcctggagaagcaacacgggagcaacaccttcacggtcaaggcccagcccag
【0108】
配列番号13 [BIN1エクソン11、筋肉特異的エクソン]
aaagaaaagtaaactgttttcgcggctgcgcagaaagaagaacag
【0109】
配列番号14 [BIN1エクソン12、骨格筋アイソフォームには存在しない]
tgacaacgcgcctgcaaaagggaacaagagcccttcgcctccagatggctcccctgccgccacccccgagatcagagtcaaccacgagccagagccggccggcggggccacgcccggggccaccctccccaagtccccatctcag
【0110】
配列番号15 [BIN1エクソン13、骨格筋アイソフォームには存在しない]
ctccggaaaggcccaccagtccctccgcctcccaaacacaccccgtccaaggaagtcaagcaggagcagatcctcagcctgtttgaggacacgtttgtccctgagatc agcgtgaccaccccctcccag
【0111】
配列番号16 [BIN1エクソン14、骨格筋アイソフォームには存在しない]
tttgaggccccggggcctttctcggagcaggccagtctgctggacctggactttgaccccctcccgcccgtgacgagccctgtgaaggcacccacgccctctggtcag
【0112】
配列番号17 [BIN1エクソン15、骨格筋アイソフォームには存在しない]
tcaattccatgggacctctgggag
【0113】
配列番号18 [BIN1エクソン16、骨格筋アイソフォームには存在しない]
cccacagagagtccagccggcagcctgccttccggggagcccagcgctgccgagggcacctttgctgtgtcctggcccagccagacggccgagccggggcctgcccaa
ccagcagaggcctcggaggtggcgggtgggacccaacctgcggctggagcccaggagccaggggagacggcggcaagtgaagcagcctcc
【0114】
配列番号20 [BIN1エクソン18]
Agctctcttcctgctgtcgtggtggagaccttcccagcaactgtgaatggcaccgtggagggcggcagtggggccgggcgcttggacctgcccccaggtttcatgttcaag
【0115】
配列番号21 [BIN1エクソン19]
Gtacaggcccagcacgactacacggccactgacacagacgagctgcagctcaaggctggtgatgtggtgctggtgatccccttccagaaccctgaagagcag
【0116】
配列番号22 [BIN1エクソン20]
gatgaaggctggctcatgggcgtgaaggagagcgactggaaccagcacaaggagctggagaagtgccgtggcgtcttccccgagaacttcactgagagggtcccatga
【0117】
配列番号23 [BIN1エクソン1~6及び8~11を含む人工cDNA配列、部分的なBIN1アイソフォーム8に対応]
atggcagagatgggcagtaaaggggtgacggcgggaaagatcgccagcaacgtgcagaagaagctcacccgcgcgcaggagaaggttctccagaagctggggaaggcagatgagaccaaggatgagcagtttgagcagtgcgtccagaatttcaacaagcagctgacggagggcacccggctgcagaaggatctccggacctacctggcctccgtcaaagccatgcacgaggcttccaagaagctgaatgagtgtctgcaggaggtgtatgagcccgattggcccggcagggatgaggcaaacaagatcgcagagaacaacgacctgctgtggatggattaccaccagaagctggtggaccaggcgctgctgaccatggacacgtacctgggccagttccccgacatcaagtcacgcattgccaagcgggggcgcaagctggtggactacgacagtgcccggcaccactacgagtcccttcaaactgccaaaaagaaggatgaagccaaaattgccaaggccgaggaggagctcatcaaagcccagaaggtgtttgaggagatgaatgtggatctgcaggaggagctgccgtccctgtggaacagccgcgtaggtttctacgtcaacacgttccagagcatcgcgggcctggaggaaaacttccacaaggagatgagcaagctcaaccagaacctcaatgatgtgctggtcggcctggagaagcaacacgggagcaacaccttcacggtcaaggcccagcccagaaagaaaagtaaactgttttcgcggctgcgcagaaagaagaacag
【0118】
配列番号24 [部分的なBIN1アイソフォーム8のアミノ酸配列]
MAEMGSKGVTAGKIASNVQKKLTRAQEKVLQKLGKADETKDEQFEQCVQNFNKQLTEGTRLQKDLRTYLASVKAMHEASKKLNECLQEVYEPDWPGRDEANKIAENNDLLWMDYHQKLVDQALLTMDTYLGQFPDIKSRIAKRGRKLVDYDSARHHYESLQTAKKKDEAKIAKAEEELIKAQKVFEEMNVDLQEELPSLWNSRVGFYVNTFQSIAGLEENFHKEMSKLNQNLNDVLVGLEKQHGSNTFTVKAQPRKKSKLFSRLRRKKNS
【0119】
配列番号25 [BIN1エクソン1~6、8~10、12、及び17~20を含むcDNA配列-BIN1アイソフォーム9と呼ばれる]
atggcagagatgggcagtaaaggggtgacggcgggaaagatcgccagcaacgtgcagaagaagctcacccgcgcgcaggagaaggttctccagaagctggggaaggcagatgagaccaaggatgagcagtttgagcagtgcgtccagaatttcaacaagcagctgacggagggcacccggctgcagaaggatctccggacctacctggcctccgtcaaagccatgcacgaggcttccaagaagctgaatgagtgtctgcaggaggtgtatgagcccgattggcccggcagggatgaggcaaacaagatcgcagagaacaacgacctgctgtggatggattaccaccagaagctggtggaccaggcgctgctgaccatggacacgtacctgggccagttccccgacatcaagtcacgcattgccaagcgggggcgcaagctggtggactacgacagtgcccggcaccactacgagtcccttcaaactgccaaaaagaaggatgaagccaaaattgccaaggccgaggaggagctcatcaaagcccagaaggtgtttgaggagatgaatgtggatctgcaggaggagctgccgtccctgtggaacagccgcgtaggtttctacgtcaacacgttccagagcatcgcgggcctggaggaaaacttccacaaggagatgagcaagctcaaccagaacctcaatgatgtgctggtcggcctggagaagcaacacgggagcaacaccttcacggtcaaggcccagcccagtgacaacgcgcctgcaaaagggaacaagagcccttcgcctccagatggctcccctgccgccacccccgagatcagagtcaaccacgagccagagccggccggcggggccacgcccggggccaccctccccaagtccccatctcagccagcagaggcctcggaggtggcgggtgggacccaacctgcggctggagcccaggagccaggggagacggcggcaagtgaagcagcctccagctctcttcctgctgtcgtggtggagaccttcccagcaactgtgaatggcaccgtggagggcggcagtggggccgggcgcttggacctgcccccaggtttcatgttcaaggtacaggcccagcacgactacacggccactgacacagacgagctgcagctcaaggctggtgatgtggtgctggtgatccccttccagaaccctgaagagcaggatgaaggctggctcatgggcgtgaaggagagcgactggaaccagcacaaggagctggagaagtgccgtggcgtcttccccgagaacttcactgagagggtcccatga
【0120】
配列番号26 [BIN1アイソフォーム9のアミノ酸配列]
MAEMGSKGVTAGKIASNVQKKLTRAQEKVLQKLGKADETKDEQFEQCVQNFNKQLTEGTRLQKDLRTYLASVKAMHEASKKLNECLQEVYEPDWPGRDEANKIAENNDLLWMDYHQKLVDQALLTMDTYLGQFPDIKSRIAKRGRKLVDYDSARHHYESLQTAKKKDEAKIAKAEEELIKAQKVFEEMNVDLQEELPSLWNSRVGFYVNTFQSIAGLEENFHKEMSKLNQNLNDVLVGLEKQHGSNTFTVKAQPSDNAPAKGNKSPSPPDGSPAATPEIRVNHEPEPAGGATPGATLPKSPSQPAEASEVAGGTQPAAGAQEPGETAASEAASSSLPAVVVETFPATVNGTVEGGSGAGRLDLPPGFMFKVQAQHDYTATDTDELQLKAGDVVLVIPFQNPEEQDEGWLMGVKESDWNQHKELEKCRGVFPENFTERVP
【0121】
配列番号27 [BIN1エクソン1~6、8~12、及び18~20を含むcDNA - エクソン17を含まないBIN1アイソフォーム8に対応、BIN1の短い筋肉アイソフォーム13とも呼ばれる]
atggcagagatgggcagtaaaggggtgacggcgggaaagatcgccagcaacgtgcagaagaagctcacccgcgcgcaggagaaggttctccagaagctggggaaggcagatgagaccaaggatgagcagtttgagcagtgcgtccagaatttcaacaagcagctgacggagggcacccggctgcagaaggatctccggacctacctggcctccgtcaaagccatgcacgaggcttccaagaagctgaatgagtgtctgcaggaggtgtatgagcccgattggcccggcagggatgaggcaaacaagatcgcagagaacaacgacctgctgtggatggattaccaccagaagctggtggaccaggcgctgctgaccatggacacgtacctgggccagttccccgacatcaagtcacgcattgccaagcgggggcgcaagctggtggactacgacagtgcccggcaccactacgagtcccttcaaactgccaaaaagaaggatgaagccaaaattgccaaggccgaggaggagctcatcaaagcccagaaggtgtttgaggagatgaatgtggatctgcaggaggagctgccgtccctgtggaacagccgcgtaggtttctacgtcaacacgttccagagcatcgcgggcctggaggaaaacttccacaaggagatgagcaagctcaaccagaacctcaatgatgtgctggtcggcctggagaagcaacacgggagcaacaccttcacggtcaaggcccagcccagaaagaaaagtaaactgttttcgcggctgcgcagaaagaagaacagtgacaacgcgcctgcaaaagggaacaagagcccttcgcctccagatggctcccctgccgccacccccgagatcagagtcaaccacgagccagagccggccggcggggccacgcccggggccaccctccccaagtccccatctcagagctctcttcctgctgtcgtggtggagaccttcccagcaactgtgaatggcaccgtggagggcggcagtggggccgggcgcttggacctgcccccaggtttcatgttcaaggtacaggcccagcacgactacacggccactgacacagacgagctgcagctcaaggctggtgatgtggtgctggtgatccccttccagaaccctgaagagcaggatgaaggctggctcatgggcgtgaaggagagcgactggaaccagcacaaggagctggagaagtgccgtggcgtcttccccgagaacttcactgagagggtcccatga
【0122】
配列番号28 [BIN1アイソフォーム13のアミノ酸配列]
MAEMGSKGVTAGKIASNVQKKLTRAQEKVLQKLGKADETKDEQFEQCVQNFNKQLTEGTRLQKDLRTYLASVKAMHEASKKLNECLQEVYEPDWPGRDEANKIAENNDLLWMDYHQKLVDQALLTMDTYLGQFPDIKSRIAKRGRKLVDYDSARHHYESLQTAKKKDEAKIAKAEEELIKAQKVFEEMNVDLQEELPSLWNSRVGFYVNTFQSIAGLEENFHKEMSKLNQNLNDVLVGLEKQHGSNTFTVKAQPRKKSKLFSRLRRKKNSDNAPAKGNKSPSPPDGSPAATPEIRVNHEPEPAGGATPGATLPKSPSQSSLPAVVVETFPATVNGTVEGGSGAGRLDLPPGFMFKVQAQHDYTATDTDELQLKAGDVVLVIPFQNPEEQDEGWLMGVKESDWNQHKELEKCRGVFPENFTERVP
【0123】
配列番号29 [BIN1エクソン1~6、8~12、及び17~20を含むcDNA :筋肉特異的BIN1エクソン11を含有し、BIN1エクソン17も含有するBIN1の長い筋肉アイソフォームであり、BIN1アイソフォーム8とも呼ばれる]
atggcagagatgggcagtaaaggggtgacggcgggaaagatcgccagcaacgtgcagaagaagctcacccgcgcgcaggagaaggttctccagaagctggggaaggcagatgagaccaaggatgagcagtttgagcagtgcgtccagaatttcaacaagcagctgacggagggcacccggctgcagaaggatctccggacctacctggcctccgtcaaagccatgcacgaggcttccaagaagctgaatgagtgtctgcaggaggtgtatgagcccgattggcccggcagggatgaggcaaacaagatcgcagagaacaacgacctgctgtggatggattaccaccagaagctggtggaccaggcgctgctgaccatggacacgtacctgggccagttccccgacatcaagtcacgcattgccaagcgggggcgcaagctggtggactacgacagtgcccggcaccactacgagtcccttcaaactgccaaaaagaaggatgaagccaaaattgccaaggccgaggaggagctcatcaaagcccagaaggtgtttgaggagatgaatgtggatctgcaggaggagctgccgtccctgtggaacagccgcgtaggtttctacgtcaacacgttccagagcatcgcgggcctggaggaaaacttccacaaggagatgagcaagctcaaccagaacctcaatgatgtgctggtcggcctggagaagcaacacgggagcaacaccttcacggtcaaggcccagcccagaaagaaaagtaaactgttttcgcggctgcgcagaaagaagaacagtgacaacgcgcctgcaaaagggaacaagagcccttcgcctccagatggctcccctgccgccacccccgagatcagagtcaaccacgagccagagccggccggcggggccacgcccggggccaccctccccaagtccccatctcagccagcagaggcctcggaggtggcgggtgggacccaacctgcggctggagcccaggagccaggggagacggcggcaagtgaagcagcctccagctctcttcctgctgtcgtggtggagaccttcccagcaactgtgaatggcaccgtggagggcggcagtggggccgggcgcttggacctgcccccaggtttcatgttcaaggtacaggcccagcacgactacacggccactgacacagacgagctgcagctcaaggctggtgatgtggtgctggtgatccccttccagaaccctgaagagcaggatgaaggctggctcatgggcgtgaaggagagcgactggaaccagcacaaggagctggagaagtgccgtggcgtcttccccgagaacttcactgagagggtcccatga
【0124】
配列番号30 [BIN1アイソフォーム8のアミノ酸配列]
MAEMGSKGVTAGKIASNVQKKLTRAQEKVLQKLGKADETKDEQFEQCVQNFNKQLTEGTRLQKDLRTYLASVKAMHEASKKLNECLQEVYEPDWPGRDEANKIAENNDLLWMDYHQKLVDQALLTMDTYLGQFPDIKSRIAKRGRKLVDYDSARHHYESLQTAKKKDEAKIAKAEEELIKAQKVFEEMNVDLQEELPSLWNSRVGFYVNTFQSIAGLEENFHKEMSKLNQNLNDVLVGLEKQHGSNTFTVKAQPRKKSKLFSRLRRKKNSDNAPAKGNKSPSPPDGSPAATPEIRVNHEPEPAGGATPGATLPKSPSQPAEASEVAGGTQPAAGAQEPGETAASEAASSSLPAVVVETFPATVNGTVEGGSGAGRLDLPPGFMFKVQAQHDYTATDTDELQLKAGDVVLVIPFQNPEEQDEGWLMGVKESDWNQHKELEKCRGVFPENFTERVP
【0125】
配列番号31 [BIN1エクソン1~6; 8~10; 12及び18~20を含む人工cDNA配列-BIN1アイソフォーム10とも呼ばれる]
atggcagagatgggcagtaaaggggtgacggcgggaaagatcgccagcaacgtgcagaagaagctcacccgcgcgcaggagaaggttctccagaagctggggaaggcagatgagaccaaggatgagcagtttgagcagtgcgtccagaatttcaacaagcagctgacggagggcacccggctgcagaaggatctccggacctacctggcctccgtcaaagccatgcacgaggcttccaagaagctgaatgagtgtctgcaggaggtgtatgagcccgattggcccggcagggatgaggcaaacaagatcgcagagaacaacgacctgctgtggatggattaccaccagaagctggtggaccaggcgctgctgaccatggacacgtacctgggccagttccccgacatcaagtcacgcattgccaagcgggggcgcaagctggtggactacgacagtgcccggcaccactacgagtcccttcaaactgccaaaaagaaggatgaagccaaaattgccaaggccgaggaggagctcatcaaagcccagaaggtgtttgaggagatgaatgtggatctgcaggaggagctgccgtccctgtggaacagccgcgtaggtttctacgtcaacacgttccagagcatcgcgggcctggaggaaaacttccacaaggagatgagcaagctcaaccagaacctcaatgatgtgctggtcggcctggagaagcaacacgggagcaacaccttcacggtcaaggcccagcccagtgacaacgcgcctgcaaaagggaacaagagcccttcgcctccagatggctcccctgccgccacccccgagatcagagtcaaccacgagccagagccggccggcggggccacgcccggggccaccctccccaagtccccatctcagagctctcttcctgctgtcgtggtggagaccttcccagcaactgtgaatggcaccgtggagggcggcagtggggccgggcgcttggacctgcccccaggtttcatgttcaaggtacaggcccagcacgactacacggccactgacacagacgagctgcagctcaaggctggtgatgtggtgctggtgatccccttccagaaccctgaagagcaggatgaaggctggctcatgggcgtgaaggagagcgactggaaccagcacaaggagctggagaagtgccgtggcgtcttccccgagaacttcactgagagggtcccatga
【0126】
配列番号32 [BIN1アイソフォーム10のアミノ酸配列]
MAEMGSKGVTAGKIASNVQKKLTRAQEKVLQKLGKADETKDEQFEQCVQNFNKQLTEGTRLQKDLRTYLASVKAMHEASKKLNECLQEVYEPDWPGRDEANKIAENNDLLWMDYHQKLVDQALLTMDTYLGQFPDIKSRIAKRGRKLVDYDSARHHYESLQTAKKKDEAKIAKAEEELIKAQKVFEEMNVDLQEELPSLWNSRVGFYVNTFQSIAGLEENFHKEMSKLNQNLNDVLVGLEKQHGSNTFTVKAQPSDNAPAKGNKSPSPPDGSPAATPEIRVNHEPEPAGGATPGATLPKSPSQSSLPAVVVETFPATVNGTVEGGSGAGRLDLPPGFMFKVQAQHDYTATDTDELQLKAGDVVLVIPFQNPEEQDEGWLMGVKESDWNQHKELEKCRGVFPENFTERVP
【0127】
配列番号33 [プライマーBIN1]
ACGGCGGGAAAGATCGCCAG
【0128】
配列番号34 [プライマーBIN1]
TTGTGCTGGTTCCAGTCGCT
【0129】
以下の実施例は例示目的のために示されており、限定のためではない。
【実施例】
【0130】
略号:Aa又はAA:アミノ酸; AAV:アデノ随伴ウイルス; DMSO:ジメチルスルホキシド; EDTA:エチレンジアミン四酢酸; HE:ヘマトキシリン-エオシン; KO:ノックアウト; MTM:ミオチューブラリン; MTMR:ミオチューブラリン関連; PPIn:ホスホイノシチド; PtdIns3P:ホスファチジルイノシトール3-リン酸; PtdIns(3,5)P2:ホスファチジルイノシトール3,5-ビスホスフェート; SDH:コハク酸デヒドロゲナーゼ; SDS:ドデシル硫酸ナトリウム; TA:前脛骨筋; Tg:トランスジェニック; WT:野生型。
【0131】
材料及び方法
材料
使用した一次抗体は、ウサギ抗ジスフェリン抗体(Abcam社, AB15108, Cambridge, UK)、抗BIN1抗体(IGBMC)、ウサギ抗DNM2抗体(IGBMC)、及びマウスβアクチンであった。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させたマウス及びウサギIgGに対する二次抗体は、Jackson ImmunoResearch Laboratories社から購入した(カタログ115-035-146及び111-036-045)。ECLキットは、Pierce社から購入した。
【0132】
使用した構築物は、pEGFP BIN1(EGFPタグ付けヒトBIN1完全長アイソフォーム8:配列番号29及び30)、pEGFP BIN1 ΔSH3 pAAV BIN1(EGFPタグ付けヒトBINアイソフォーム8、エクソン17なし:配列番号27及び28))、pMyc DNM2 WT(mycタグ付けヒト完全長DNM2野生型cDNA)、pMyc DNM2 R465W(mycタグ付けヒト完全長DNM2 cDNA、R465W変異を有する)、並びにプラスミドpGEX6P1及びpVL1392であった。
【0133】
使用したリコンビナントタンパク質は、ヒトBIN1(全体)及びBIN1のSH3、ヒトDNM2-12b(エクソン12b無し、胚性骨格筋で発現される主要なDNM2アイソフォームに対応;このアイソフォームは成人骨格筋でも発現される)、及びDNM2+12b(エクソン12b有り、成人骨格筋で発現される主要なDNM2アイソフォームに対応)であった。
【0134】
タンパク質精製
GSTタグ付きのヒトBIN1全体及びBIN1タンパク質のSH3をコードするpGEX6P1プラスミド(GST-BIN1及びGST-SH3)は、大腸菌(E. coli)BL21のpGEX6P1プラスミドから生成した。これらの組換えタンパク質を産生する大腸菌を、IPTG(1mM)を用いて37℃で3時間誘導し、7,500gで遠心分離し、次いでタンパク質を、グルタチオンセファロース4Bビーズ(GSH樹脂)を使用して精製した。
【0135】
ヒトDNM2-12bタンパク質及びDNM2+12bタンパク質は、バキュロウイルス系を用いて、Sf9細胞のダイナミン遺伝子をコードするpVL1392プラスミドから生成した。簡単に説明すると、トランスフェクションをDNM2(±12b)プラスミドで実施し、ウイルスを生成した。Sf9細胞をウイルスに感染させ、27℃で3日間増殖させ、次いで、2,000gで10分間遠心分離した。DNM2組換えタンパク質は、グルタチオン-セファロース4Bビーズ(GE Healthcare社)に結合させたBIN1のSH3で精製した。
【0136】
溶出後のタンパク質は、12%SDS-PAGEにより分析した。
【0137】
DNM2とBIN1の結合アッセイについては、純粋なGST-BIN1とGST-SH3をグルタチオンセファロース4Bビーズにロードし、洗浄し、精製DNM2-12b及びDNM2+12bの有無を問わず、バッファーと+4℃で1時間インキュベートした。洗浄後、樹脂を12%SDS-PAGEで分析した。
【0138】
ネガティブ染色
5μlのDNM2(90ng.μL-1)及びDNM2_BIN1複合体3(150ng.μL-1-1)を、新たにプラズマ洗浄した(Fischione 1070)カーボンフィルム(Euromedex CF300-CU-050)で被覆した300メッシュのCu/Rhグリッドに堆積させた。60秒間の吸着後、各サンプルを2%の酢酸ウラニルで染色し、Gatan US1000検出器を備えた200kVの電圧で動作するFEI Tecnai F20顕微鏡を用いた電子顕微鏡によって観察した。画像は、SerialEMソフトウェアを使用して、50000Xの公称倍率で記録し、ピクセルサイズ2.12を得た。
【0139】
リポソーム実験
リポソームは、5%のPI(4,5)P2(P-4516、Echelon Biosciences社)、45%のBrain Polar Lipids(141101C、MERK社)、及び50%のPS(840035P、MERK社)を、クロロホルムで予め洗浄したガラスバイアルで混合して調製した。次いで、窒素ガス流を使用し、2時間真空デシケーター内でクロロホルムを蒸発させ、透明な脂質膜を作製した。乾燥させた脂質を、GTPaseバッファー(20mM HEPE、100mM NaCl、1mM MgCl2、pH 7.4)を使用して、最終濃度1mg/mlに再水和させ、暗所にバイアルを維持しながら、凍結(-80℃)及び解凍(37℃)をそれぞれ15分間3サイクル実施した。得られたリポソームは、プレヒットさせたAvanti Mini Extruderを使用して、それぞれ11回、0.4μmのポリカーボネートフィルターを通過させた。リポソームを4℃で最大24時間、暗所にて保存した。
【0140】
リポソームをGTPaseバッファーで0.17mg/mlに希釈し、Takedaら、201828によって既に開示されているBIN1及びDNM2とインキュベートした。BIN1、DNM2、又はBIN1-DNM2をGTPaseバッファーで2.3μMに希釈した。10μlのリポソーム溶液をパラフィルム上で調製し、EMカーボンコーティンググリッド上で、5分間室温にて暗湿チャンバー内で吸着させた。EMグリッドをBIN1、DNM2、又はBIN1-DNM2の液滴に移し、30分間室温にて暗所でインキュベートした。次いで、グリッドを1mMのGTPと5分間インキュベートした。フィルターペーパーを使用して溶液を除去した。EMグリッドを、前の段落で説明したようにネガティブ染色した。
【0141】
セルロチューブレーションアッセイ
COS-1細胞をイビディプレートに塗抹し、DMEM + 1g/Lのグルコース + 5%のFCSで70%コンフルエンスまで増殖させた。細胞は、製造業者のプロトコルに従って、リフォフェクタミン3000ミックス(L3000-015 Thermofisher社)試薬を使用して、0.5 uM BIN1-GFPプラスミド及び0.5uM又は1uMのDNM2-Myc又はDNM2RW-Mycと一時的にコトランスフェクトした。トランスフェクションした24時間後に、COS-1細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、PBSで希釈した4%のPFAで20分間固定した。細胞を、PBSで希釈した0.2%のTriton X-100で透過処理し、洗浄した後、PBS中の5%ウシ血清アルブミン(BSA)で1時間ブロックした。COS-1細胞を1%BSAで希釈した一次抗体抗DNM2と一晩インキュベートした。二次抗体抗ウサギAlexa594を1:500に希釈し、2時間インキュベートした。COS-1細胞を共焦点顕微鏡で観察し、同時トランスフェクトされた細胞のみを考慮した。細管の直径よりも短いと思われる細管を有する細胞を断片化されているものとみなした。
【0142】
マウス系統
Mtm1-/yマウス系統(129PAS)は既に作製され、特性決定されている(Buj-Bello, Laugelら、2002、Tasfaout, Buonoら、2017)。Mtm1ヘテロ接合型の雌を標的配列の相同組換えにより得て、これをWTの雄と交配してMtm1-/yマウスを作製した。
【0143】
Tg BIN1(B6J)マウスは、180.52Kbのゲノム配列を有する完全BIN1遺伝子を含むヒトBAC(n°RP11-437K23 Grch37 Chr2:127761089-127941604)を挿入することによって得た。Dnm2RW/+ Tg BIN1マウスを得るために、雌のDnm2RW/+をTg BIN1の雄と交配させた。
【0144】
ヘテロ接合型のDnm2R465W/+マウス系統(C57BL/6J)は、エクソン11に点突然変異を挿入して作製した。
【0145】
ホモ接合型のDnm2RW/RW Tg BIN1マウスは、Tg BIN1の雄とDnm2R465W/+の雌のマウスを遺伝的交配させることによって作製した。Dnm2R465W/+ Tg BIN1マウスは、Tg BIN1をDnm2R465W/+と交配させることによって作製したが、Dnm2R465W/R465W Tg BIN1マウスは、Dnm2R465W/+ Tg BIN1雄とDnm2R465W/+雌を交配させることによって作製した。
【0146】
動物は、12時間の明/12時間の暗サイクルで室温に維持した。動物は、倫理委員会によって承認された動物実験及び試験に関する欧州の法律(APAFIS#5640- 2016061019332648; 2016031110589922; Com'Eth 01594)に従って、頸椎脱臼により致死させた。
【0147】
動物の表現型試験、吊り下げ試験及びロータロッド試験
表現型の実験は盲検で実施し、全ての実験は、再現性を確保し、ストレスを回避するために、各マウスについて、同じ検査者によって3回繰り返した。毎日の表現型実験は、コホート内の全てのマウスに対して、常に1日の同じ時間帯に実施し、毎週の実験は常に同じ曜日に実施した。
【0148】
吊り下げ試験は、マウス系統Dnm2RW/RW Tg BIN1に対して、3週齢から8週齢までは毎週実施し、Dnm2RW/+ Tg BIN1系統に対して、1か月齢から7か月齢は毎月実施した。マウスをケージの蓋から最大60秒間吊り下げ、試験は各時点の各マウスについて3回繰り返した。各マウスが格子に吊り下がっている平均時間をグラフに表示する。
【0149】
ロータロッド試験は、生後4か月及び8か月で実施した。マウスに5日間試験を実施した。1日目(「訓練日」)の間、マウスをロータロッド上で、加速モードで走るように訓練した。2日目から5日目までは、マウスをロータロッド上に1日3回置き、加速しながら(4~40rpm)最大5分間走らせた。各マウスを、各時点で毎日3回の試験を実施した。グラフで報告したデータは、ロータロッド上で動物が走った時間に対応した。
【0150】
筋力測定(TA筋収縮)
マウスに、ドミトール(1mg/kg)、フェンタニル(0.14mg/kg)及びジアゼパム(4mg/kg)を使用して腹腔内注射により麻酔した。坐骨神経を切り離し、等尺性変換器に結び付けた。
【0151】
次いで、前脛骨筋(TA)に対する筋力測定を、既に開示されているようにして(Tasfaout, Buonoら. 2017)、力変換器(Aurora Scientific社)を使用して実施した。TAの絶対最大筋力は、1~125Hzのパルス周波数で坐骨神経を強縮性刺激した後に測定した。比最大筋力は、絶対最大筋力をTA重量で割って決定した。測定後、マウスを頸椎脱臼により致死させ、TA筋を抽出し、液体窒素冷却したイソペンタンで凍結させ、-80℃で保存した。
【0152】
前脛骨筋(TA)のAAV形質導入
筋肉内注射は、3週齢の雄の野生型、Mtm1-/y又はDnm2R465W/+マウスで実施した。マウスに、ケタミン(20mg/ml)及びキシラジン(0.4%;5μl/g体重)の腹腔内注射により麻酔をかけた。TA筋に、20μlのAAV9(7x10^11vg/mL)CMVヒトBIN1構築物(エクソン17を含まないアイソフォーム8)、又は生理溶液(PBS)で希釈した空のAAV9対照を注射した。このウイルスは、IGBMCの分子生物学施設によって作製された。注射後の動物は、直ちに換気したケージに収容した。
【0153】
組織回収
二酸化炭素窒息後に、頸椎脱臼を使用してマウスを致死させた。TA筋を抽出し、次いで液体窒素で冷却したイソペンタンで凍結させた。筋肉は、-80℃で保存した。
【0154】
組織分析
8μmの横断TA筋の凍結切片を固定し、組織学的分析のためにヘマトキシリン及びエオシン(HE)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH-TR)及びコハク酸デヒドロゲナーゼ(SDH)で染色した。染色後、画像をHamamatsu Nano Zoomer 2HTスライドスキャナーで取得した。線維のサイズは、Fijiソフトウェアを使用して手作業により測定し、異常なSDH染色及び核位置を有する線維を、FijiソフトウェアのCell Counter Pluginを使用してカウントした。
【0155】
組織免疫標識
横断面の8μm凍結切片スライドを、イソペンタンで凍結したTAから調製し、-80℃で保存した。解凍し、PBSで3回洗浄した後、切片を0.5%のPBS-Triton X-100で透過処理し、PBS中の5%ウシ血清アルブミン(BSA)で飽和させた。一次抗体のジスフェリンを1%BSAで希釈し、二次抗体は抗ウサギであり、Alexa Fluor 488は1%BSAで1:250希釈した。
【0156】
組織電子顕微鏡
切除後、TAは0.1Mカコジル酸緩衝液中の2.5%パラホルムアルデヒド及び2.5%グルタルアルデヒドで保存した。切片を電子顕微鏡により観察した。T細管を観察するため、フェロシアン化カリウムを緩衝液(K3Fe(CN)6 0.8%、オスミウム2%、カコジル酸0.1M)(Al-Qusairi, Weissら 2009)に添加した。サルコメア当たりのトライアド数及びT細管の方向は、Fijiプログラムを使用し、手動で測定した。
【0157】
タンパク質抽出及びウエスタンブロット
TA筋を、氷上で1mMのDMSO、1mMのPMSF及びmini EDTAフリープロテアーゼ阻害剤カクテルタブレット(Roche Diagnostic社)を含むRIPA緩衝液中に溶解させた。タンパク質濃度は、BIO-RAD Protein Assay Kit(BIO-RAD社)を使用して測定した。ローディング緩衝液(50mM Tris-HCl、2%SDS、10%グリセロール)をタンパク質溶解物に添加し、全てのトリプトファン含有タンパク質を視覚化するために、2,2,2-トリクロロエタノール(TCE)を含有するSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動でタンパク質を8%又は10%分離させた。ニトロセルロースに移した後、3%BSA又は5%ミルクで飽和させ、一次抗体及び二次抗体を添加した:β1インテグリン(MAB1997, 1:500)、ビンキュリン(V9131, 1:1000)、BIN1(1:1000; IGBMC),MTM1(2827、1:1000; IGBMC)、GAPDH (MAB374、1:100000)。
【0158】
統計解析
全てのデータは、平均±s.e.mとして表されている。GraphPad Prismソフトウェアバージョン5&6を使用して、グラフ及び統計学的検定を作成した。対応のないスチューデントT検定を使用して、正規分布に従った2つの群を比較した。正規分布に従った3つ以上の群を比較するため、一元配置ANOVA及びテューキー事後検定を使用した。これらの群が正規分布に従わなかった場合、ノンパラメトリッククラスカル・ウォリス検定及びダン事後検定は適用しなかった。0.05未満のP値は、有意であるとみなした。各実験に使用したマウスの数及び試験は、図の凡例に示している。
【0159】
結果
Dnm2
R465W/+ Tg BIN1マウス系統の作製
in vivoでのDNM2-CNM変異に対するBIN1過剰発現の影響を検討するため、雌のDnm2
R465W/+マウス(Durieuxら、2010)を、細菌人工染色体からヒトBIN1を発現するTg BIN1マウスと交配して、Dnm2
R465W/+ Tg BIN1マウスを作製した。WTマウスとDnm2
R465W/+マウスの前脛骨筋(TA)可溶化物の間には、BIN1タンパク質レベルに差は観察されなかった(データは示さず)。Tg BIN1マウス及びDnm2
R465W/+ Tg BIN1では、Dnm2
R465W/+と比べて、それぞれ8倍及び3倍の増加が検出された(
図1A~
図B)。
【0160】
分析したほとんどのマウスは、試験の終了時まで(7か月齢)生存しており、一部のWT(28.5%)及びDnm2
R465W/+(18%)のみが原因不明の問題で死亡した(
図1C)。この試験で分析した7か月間を通じて、WT、Tg BIN1、Dnm2
R465W/+、及びDnm2
R465W/+ Tg BIN1の各マウスの体重には差は認められなかった(
図1D)。
【0161】
Dnm2 R465W/+ Tg BIN1マウスモデル表現型の特性決定
以前の結果からは、Dnm2 R465W/+が正常に成長することが明らかになっている(Durieuxら、2010)。
【0162】
BIN1発現の増加が、Dnm2
RW/+で報告された骨格筋力の低下を改善するかどうかについて検証するため、異なる時点で吊り下げ試験及びロータロッド試験を実施した。Dnm2
R465W/+は、Dnm2
R465W/+ Tg BIN1及び対照の遺伝子型(Tg BIN1及びWTマウス)に比べて、わずかに短く格子にぶら下がっている(
図1E)。
【0163】
Dnm2
R465W/+が一般的な協調に問題を示すかどうかについて評価するため、異なるマウスコホートを使用し、4か月及び8か月のマウスでロータロッド試験を実施した。マウスを加速モードで5分間ロータロッド上に置き、各コホートについて4日間試験を繰り返した。全てのマウス遺伝子型の間で、ロータロッドに費やされた時間に差は認められなかった。Dnm2
R465W/+は、WT及びTg BIN1対照マウスよりも優れたパフォーマンスであった(
図1F~
図G)。
【0164】
全体として、これらの結果は、BIN1の過剰発現がDnm2RW/+マウスの全身筋力にプラスの影響を及ぼしていることを示唆している。
【0165】
次いで、本発明者らは、TA筋力が損なわれるかどうかを検証した。これまでの刊行物では、Dnm2
R465W/+ TA筋が生後2か月から萎縮することが明らかにされている(Durieuxら、2010)(Buonoら、2018)。本発明者らが4か月齢のTA筋を分析したところ、BIN1の過剰発現により、Dnm2
R465W/+マウスのTA筋の重量が有意に回復した(
図2A)。次いで、本発明者らは、絶対TA筋力を試験した。絶対TA筋力は、Dnm2
R465W/+マウスでは、4か月齢のTg BIN1及びWT対照マウス並びに8か月齢のWTと比較して、有意に低下した(
図2B)。Dnm2
R465W/+でのBIN1の過剰発現は、4か月及び8か月で絶対筋力を改善した(
図2B)。次に、比in situ TA筋力を測定した。4か月齢ではDnm2
R465W/+マウスと対照表現型の間に有意な差は認められず、この時点でマウスの表現型はまだ重度ではないことを示唆している。8か月のDnm2
R465W/+ Tg BIN1では、Dnm2
R465W/+マウスと比較して、改善傾向が観察された(
図2C)。
【0166】
結論として、Dnm2 R465W/+マウスは、WT対照と、全身強度がわずかに低下を示したが、協調及び運動活性において差はなかった。しかし、BIN1の過剰発現により、4か月齢及び8か月齢で、TAの筋肉重量が回復し、絶対筋力がわずかに改善された。実際、Dnm2RW/+ Tg BIN1マウスは、Dnm2RW/+疾患モデルと比較して、全身強度のわずかな改善と筋萎縮の完全な回復が示された。
【0167】
BIN1レベルの過剰発現により、Dnm2 R465W/+の筋肉における組織学的特徴が回復する:BIN1はCNMの組織学的特徴を改善する
Dnm2 R465W/+ Tg BIN1マウスにおいて観察されたTAの筋肉重量と筋力の改善が、Dnm2 R465W/+の筋肉構造の改善と相関しているかどうかを検証するため、TA筋の組織解析像と超微細構造の特徴を分析した。その実施のため、横断TA切片をヘマトキシリン及びエオシン(HE)で染色した。
【0168】
4か月では、Dnm2
RW/+及びDnm2
RW/+ Tg BIN1及び対照との間に、核の位置及び線維サイズに差は認められなかった(
図3A~
図3B)。Dnm2
RW/+マウスの主要な組織学的特徴は、筋線維の中心部に異常なNADH-TRの凝集とSDH染色があることである(Durieuxら、2010)。この知見は、コハク酸デヒドロゲナーゼ(SDH)及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH-TR)の染色で確認された。実際、この異常染色は、Dnm2
R465W/+ TAにおいて4か月齢及び8か月齢で検出された(
図3C、矢印及び
図3D)。Dnm2
R465W/+マウスにおけるBIN1の過剰発現は、4か月で対照(WT)表現型(Tg BIN1)を回復させた(
図3E)。SDH染色は、ミトコンドリア活性を特異的に標識する。したがって、遺伝的交雑によるBIN1の過剰発現により、Dnm2
R465W/+マウスにおいて観察される組織学的欠陥が改善される。
【0169】
骨格筋の超微細構造を電子顕微鏡によって調べた。Dnm2
RW/+筋肉は、多くの場合クラスター化が確認される、ミトコンドリアの拡大を示し、酸化的染色の蓄積と相関していた(
図3I)。T細管の横断切片は、WTと比較して、Dnm2
RW/+マウス及びDnm2
RW/+ Tg BIN1マウスにおいて丸くなっていた(
図3F~
図3K)。以前の分析ではTg BIN1の異常が同定されていないので、本発明者らは、この表現型がBIN1の過剰発現によるものであることを排除した。しかし、Dnm2
RW/+マウスではT細管の向きが変わり、より縦方向になり、Dnm2
RW/+ Tg BIN1マウスにおいて回復した(
図3H)。全体として、BIN1の過剰発現により、Dnm2
RW/+マウスとDNM2-CNM患者の間で共通する主要な組織病理学的特徴を示す異常なミトコンドリア組織が回復した。
【0170】
BIN1の出生後の過剰発現により、Dnm2
RW/+の筋萎縮及び組織学的筋肉特性が改善する。
Dnm2
R465W/+ Tg BIN1マウスが遺伝的交雑によって得られ、BIN1が胎児期から過剰発現していた。翻訳された治療アプローチを発展させるため、本発明者は、出生後のBIN1発現をモジュレートすることを目的とした。それを行うため、マウス及びヒトの成人骨格筋で発現される主要なBIN1アイソフォームであるヒトBIN1アイソフォーム8(エクソン17なし、すなわち、配列番号27及び配列番号28に対応)を、アデノ随伴ウイルス(AAV)を使用して過剰発現させた。要するに、AAV-BIN1を3週齢のDnm2
R465W/+マウスに筋肉内注射し、その後、注射の4週間後に分析を行った。AAV-BIN1を注射したDnm2
R465W/+マウスの筋肉では、AAV-Ctrlを注射した対側の脚に比べて、BIN1発現の4倍の増加が検出された(
図4A~
図4B)。BIN1発現の増加により、AAV-BIN1を注射したDnm2
R465W/+の脚のTA筋重量は、AAV-Ctrlを注射した脚と比べてわずかに改善された(
図4C)。AAV-BIN1を注射したWTのTAは、対照の脚よりも重くなった(
図4C)。AAV-BIN1又はAAV-Ctrlのいずれかを注射したDnm2
RW/+のTA筋では、絶対的筋力及び比筋力の改善は検出されなかった(
図4D~
図4E)。
【0171】
7週間で、AAV-Ctrlを注射したDnm2
RW/+では、同週齢のDnm2
RW/+で確認されたように、線維サイズの低下が認められた。これは、AAV-BIN1で部分的に回復された(
図5A及び
図4F)。AAV-BIN1の注射により、主要なDnm2
RW/+の組織学的欠陥が改善された。AAV-Ctrlを注射したDnm2
RW/+ TAにおいて観察されたNADH-TR及びSDH染色の中心部での蓄積は、AAV-BIN1を注射した場合には見られなかった(
図5及び
図4G)。
【0172】
要約すると、AAVを介したDnm2R465W/+ TA筋におけるヒトBIN1の外因性発現により、発現4週間後に酸化活性の中心部蓄積は改善されたが、筋力は改善されなかった。しかし、筋力は遺伝的交雑によって改善された。ウイルスベクターが少し早く投与される場合及び/又はAAV-BIN1を投与したマウスがもう少し後の時点で分析された場合、筋力の改善は、AAV-BIN1を介して観察される可能性が高いであろう。
【0173】
BIN1の過剰発現はDnm2 R465W/ R465Wマウスの早期致死を防ぐ。
子宮内でのBIN1の過剰発現がDnm2R465W/+の筋萎縮/体重及び組織病理を改善することができたので、次に、BIN1の過剰発現がADCNMの最も重篤な表現型をモデル化する、ホモ接合体Dnm2 R465W/ R465Wマウスの寿命が回復するかどうかを試験した。Dnm2 R465W/ R465Wマウスは、出生後に最大2週間生存することが既に開示されており、生存マウスは重度の筋肉表現型を示した(Durieuxら、2010)。
【0174】
それを行うため、子宮内でBIN1を過剰発現するDnm2
R465W/ R465Wマウスを作製し、次いで、雌のDnm2
R465W/+を雄のDnm2
R465W/+ Tg BIN1マウスと交配させた。10日目に、分析した仔マウスの0.7%のみがDnm2
RW/RWマウスであり、大多数がそれよりも前に死亡したことを示唆しているが、18%は予想されるメンデル比に一致するDnm2
RW/RW Tg BIN1であり(表1)、全てのマウスが8週間まで生存した(
図6H)。Dnm2
RW/RW Tg BIN1マウスの少数のコホートを追跡調査したところ、WTマウスの通常の寿命である18か月まで際立って生存した。
【0175】
【0176】
BIN1の過剰発現は、ウエスタンブロットによって確認された(
図6F):2倍のBIN1の過剰発現はDnm2
R465W/R465Wマウスの寿命を回復させるのに十分であった。Dnm2
R465W/R465W Tg BIN1マウスにおいては、わずかな差しか観察されなかったが、その体重が6週齢からWT対照よりも軽くなった(
図6A)。
【0177】
全体として、これらの結果は、BIN1の発現の増加が、Dnm2 R465W/R465Wマウスの新生仔の致死性及び寿命を回復させるのに十分であることが明らかである。
【0178】
Dnm2 R465W/R465W Tg BIN1マウスの表現型及び筋力の特性決定
BIN1の過剰発現によりDnm2 R465W/R465Wの生存を回復させたので、本発明者らは、2か月目のそれらの運動機能及び筋肉表現型を特性決定した。それを実施するため、全身強度と特異的in situ筋力を測定した。
【0179】
全身強度を評価するため、吊り下げ試験を実施した。4週齢では、Dnm2
R465W/R465W Tg BIN1は、最高20秒間、格子にぶら下がることができた。8週齢では、Dnm2
R465W/R465W Tg BIN1とWT対照との間に差は観察されなかった(
図6B)。
【0180】
次に、本発明者らはTA筋を分析した。Dnm2
R465W/R465W Tg BIN1は、WT対照と比べてTA筋が小さかった(
図6C)。WTとDnm2
R465W/R465W Tg BIN1のTA筋の絶対力と比力の間に有意差が得られた(
図6D~
図6E)。Dnm2
RW/RW Tg BIN1マウスとWTマウスとの間では、筋肉の絶対力と比力の有意差が認められた(
図6E~
図6F)。Dnm2
R465W/R465W Tg BIN1マウスのTA絶対力は600mNであり、これはDnm2
R465W/+マウスと同様の値であった(
図2B)。更に、本発明者らは、Dnm2
R465W/R465W Tg BIN1マウスのTA溶解物のDNM2レベルを確認したが、これはWTと比べると有意に高かった(
図6G)。結論として、Dnm2
R465W/R465W Tg BIN1は、正常な身体強度を有しているが、8週間でWT対照よりもTA筋力が低下している。言い換えると、筋力はWTレベルではなかったが、吊り下げ試験で測定した正常な運動機能については十分であった。
【0181】
Dnm2
R465W/R465W Tg BIN1の筋肉組織像及び超微細構造の特性決定
骨格筋の組織像及び構造を評価するため、TA筋をHEによる組織学的染色後に分析し、WTと比較してDnm2
RW/RW Tg BIN1マウスにおける線維径が縮小していることを明らかにした(
図7G~
図7H)。更に、HE横筋切片染色(
図7A)は、Dnm2
R465W/R465W Tg BIN1 TA筋において異常に配置された核を有する線維をわずかな割合(約7%)で示したが(
図7C)、このCNM表現型はDnm2
RW/+マウスでは観察されなかった(
図3)。更に、異常な内部暗染色が、HE及びSDHで染色した一部の筋線維において見られた(矢印)(
図7A及び
図7D)。Dnm2
R465W/ R465W Tg BIN1 TA筋線維の約15%は、異常なSDH凝集体(すなわち、酸化活性の異常な中心部蓄積)を有していた(
図7D~
図7E)。異常な凝集体を有する線維は、主としてTA筋の周辺に位置していた。
【0182】
電子顕微鏡写真では、Dnm2
RW/RW Tg BIN1マウスにおける筋肉の超微細構造での異常は明らかではなく、ヘテロ接合体Dnm2
RW/+マウス(
図3)とは異なり、整列したZ線及び正常筋肉トライアドの位置と形状が明らかになった(
図7F~
図7G)。膜の修復及びT細管の新生に関与し、成人の筋鞘に通常は存在するタンパク質であるジスフェリンは、主として筋線維内部に蓄積されていた(
図7H)。T細管は電子顕微鏡によって正常な形状及び方向を有しているので、ジスフェリンの欠陥は、別の膜区画の変化を明確に示している可能性がある。留意点として、Dnm2
RW/+マウスにおけるジスフェリンの細胞内部蓄積は、既に文献で報告されている。
【0183】
結論として、Dnm2 R465W/ R465W Tg BIN1は、核の位置に欠陥があり、WT対照と比べてSDH染色を有していた。言い換えるとDnm2RW/RW Tg BIN1マウスは、Dnm2RW/+マウスで確認されたほとんどの表現型を示し、CNMを連想させたが、それ以外では、それらの筋肉の超微細構造はむしろ保存されていた。
【0184】
BIN1はDNM2オリゴマー構造に影響を及ぼす。
上記のデータは、BIN1がin vivoでDNM2のモジュレーターであることを支持している。
【0185】
それらの機能的相互作用を分子レベルでより良好に解読するために、細胞及びin vitroでの実験を実施した。まず、ヒトDNM2とヒトBIN1との間の相互作用を、細菌で産生された組換えGST-BIN1(完全長アイソフォーム8)又はGST-BIN1-SH3(SH3のみ)を用いて昆虫細胞で産生された組換えDNM2のプルダウンによって試験した。BIN1は、DNM2と相互作用した(
図8A及び
図8E)。ヒトDNM2のオリゴマー構造は、ネガティブ染色及び電子顕微鏡により評価した。DNM2は、フィラメント状、馬蹄形、又はリング状として構築することができる(
図8B)。BIN1を添加すると、DNM2のオリゴマー表現(典型的にはフィラメント状、馬蹄形、又はリング状の形態で)が「ボール状」に似た第4の構造に向けて偏っていたが、ボール構造はDNM2単独ではほとんど存在しなかった(
図8C~
図8D;矢印)。これらのデータは、BIN1がDNM2のオリゴマー構造に影響を及ぼすことを示唆している。
【0186】
BIN1-DNM2複合体は膜チューブ化を調節する。
BIN1-DNM2複合体によって調節される機能をより詳細に調査するため、本発明者らは、膜細管形成に着目した。
【0187】
それを行うため、ホスファチジルセリン及びPtdIns(4,5)P2を補充したリポソームを、BIN1、DNM2、又はBIN1及びDNM2とインキュベートし、ネガティブ染色で分析した。BIN1はリポソームから膜細管を形成したが(633リポソームで78細管、管状リポソームの13%)、GTPを有するDNM2では細管はほとんど認められなかった(782リポソームで8細管、管状リポソームの1%)(
図9A~
図9B)。BIN1にDNM2とGTPを1:1の比で添加することにより、細管のないリポソームが得られ(454リポソームに対して5細管をカウントした)、このことはDNM2がBIN1によって形成された細管を阻止又は切断したことを示唆している(
図9B)。2つの可能性を区別するため、得られたリポソームの直径を測定し、BIN1がDNM2に添加された場合に減少することが確認された(
図9C)。平均リポソーム直径は、DNM2のみについては126.66+/-2.8であり、BIN1を含むDNM2では108.283+/-1.89であった。
【0188】
全体として、これらのデータは、BIN1とDNM2が一緒になって作用し、膜細管の分裂を促進することを支持している。
【0189】
DNM2 R465W CNM変異は細胞におけるDNM2の分裂特性を変化させる。
BIN1-DNM2複合体が生存細胞における膜細管形成を調節することを確認するため、BIN1+/-DNM2をCOS-1細胞で過剰発現させた。
【0190】
BIN1発現は、主として原形質膜に由来する細胞内膜細管を誘導した(
図9F)。共発現されたDNM2 WTは細管上にBIN1と共局在しており、その数は高濃度のDNM2 DNAで細胞をトランスフェクトした場合に減少し、リポソームデータが示唆したように、BIN1がDNM2を動員して細管を分裂させることを確認した(
図9D)。細管のない同時トランスフェクトされた細胞においては、BIN1とDNM2は細胞内ドットに共局在し、おそらく細管分裂の生成を示している。低濃度でBIN1とDNM2R465W CNM変異体が共発現すると、DNM2 WTとの共発現と比べて、細管を有する細胞の数を減少させた(
図9E)。SH3ドメインを欠損しているBIN1 ΔSH3タンパク質はDNM2を動員することができなかったので、BIN1のSH3ドメインはDNM2を細管に動員するのに必要であった。結論として、BIN1及びDNM2は、膜細管分裂に対して一緒に作用し、DNM2-CNM変異はこのプロセスを変化させる。
【0191】
考察
この研究において、本発明者らは、ヒトBIN1の外因性発現が、DNM2変異に関連した中心核ミオパシーの哺乳類モデルであるDnm2RW/+マウスの筋肉表現型と、ホモ接合体Dnm2RW/RWマウスの周産期致死性を改善することを報告している。これらのデータは、BIN1の増加がこの型の中心核ミオパシーに対する治療法として使用できることを立証している。更に、in vitro実験及び細胞実験は、BIN1がDNM2に直接結合し、膜細管へのその動員に必要であること、BIN1-DNM2複合体が細管分裂を調節することを支持する。要するに、BIN1はDNM2のin vivoでのモジュレーターであると思われる。
【0192】
BIN1はDNM2のin vivoでのモジュレーターである。
本発明者らは、Dnm2
RW/+マウスにおけるBIN1の過剰発現が筋肉の表現型を回復させることを本明細書で立証した。このメカニズムは完全には理解されていないが、BIN1及びDNM2が、それらのそれぞれのSH3ドメイン及びPRDドメインを介して互いに結合する可能性によって、膜細管分裂に一緒に作用すると思われる。次いで、膜でのダイナミン活性は、BIN1により誘導されるPIP2のクラスター化によって調節され得る。細胞において、DNM2はBIN1誘導型の膜細管に動員され、DNM2促進型の膜分裂が増加する(
図8E)。同様に、リポソーム上のDNM2にBIN1を添加することにより、リポソームサイズが小さくなった(
図8B~
図8D)。
【0193】
DNM2-CNM変異体R465Wは、細胞におけるDNM2分裂活性を変える(
図8E)。更に、BIN1の過剰発現はホモ接合体Dnm2
RW/RWマウスの寿命を回復させるので、BIN1はin vivoでこの変異体を特異的にモジュレートすることができる(
図4)。R465W DNM2変異は、GTPase活性及び膜分裂を増加させる。全体として、BIN1及びDNM2は、一緒に膜細管の分裂に作用し、DNM2-CNM変異は、おそらくは「機能獲得」メカニズムを介してこのプロセスを変える。BIN1は膜の湾曲を誘導し、DNM2をこれらの膜部位に動員し、DNM2-CNM変異によって増加される分裂活性を促進する。
【0194】
心臓及び骨格筋では、BIN1はT細管の新生を調節することが提案された。T細管は、細胞内カルシウムの放出及び収縮にとって重要な原形質膜陥入である。T細管及びトライアドの方向及び形状の変化は、Dnm2
RW/+マウス(
図1)、R465W DNM2-CNM変異体を過剰発現するAAVで形質導入したWTマウス、並びに同じ変異体を過剰発現するショウジョウバエ及びゼブラフィッシュで認められた。したがって、BIN1-DNM2複合体は、T細管の新生又は/及び維持を調節する可能性がある。しかし、BIN1発現がCNMの重要な特質である筋線維におけるミトコンドリア酸化活性の中心部蓄積を明白に回復させたので、この複合体はまた他の細胞機能も調節することを除外することはできない(
図1~
図4)。
【0195】
DNM2変異に対応する療法としてのBIN1の増加。
本データは、BIN1を介してAD-CNM筋表現型を回復させることが可能であることを明らかにしている。
【0196】
「概念実証」(POC)は、子宮内での外因性BIN1発現が、軽度のADCNMをモデル化する、ヘテロ接合体DNM2-CNMマウスを回復させることができることを実証することにより本明細書で提供された。次いで、このPOCは、出生後のAAV-BIN1送達を介して変換された。
【0197】
次いで、重症型のADCNM(ホモ接合体Dnm2RW/RWマウス)を模倣したマウスにおいて次の実験を実施した。BIN1過剰発現はまた、筋肉の表現型/機能を回復させ、これらのマウスの寿命を改善した。興味深いことに、Dnm2RW/RW Tg BIN1マウスは、筋萎縮、筋力低下、並びに筋線維における核の中心部蓄積と酸化活性を示したが、これらはマウスの生存率に影響を及ぼさなかった。注目すべきことに、これらの変化は、未処置のDnm2RW/+マウス(BIN1発現なし)において観察されたものと似ており、このことは、BIN1発現が重症のDNM2-CNM疾患を非常に軽症の疾患型に変換することを示唆している。本データはまた、BIN1発現が主としてR465W変異による小児期発症DNM2-CNM型と、主として他のミスセンス変異による重度の新生児型の両方を改善することができることを明らかにしている。
【0198】
本データはまた、BIN1とDNM2の機能的関係についても調査し、それが骨格筋の完全性に重要であることを示している。
【0199】
したがって、BIN1レベル、特に筋肉特異的BIN1アイソフォームをモジュレートすることは、常染色体優性中心核ミオパシーに対する新規の治療法となり得る。
【0200】
結論
BIN1の過剰発現は、重症型又は軽症型、すなわち、疾患の早期発症又は後期発症のいずれであっても、DNM2-CNMの効果的な処置として使用することができる。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2021-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンフィファイジン2ポリペプチド又はBIN1核酸配列
を含む、常染色体優性中心核ミオパシー(ADCNM)の処置用組成物。
【請求項2】
BIN1核酸配列が、配列番号1によって表される配列を含むか、又はそれぞれ配列番号3~22によって表される少なくとも2個若しくは3個の異なるBIN1エクソン1~20の任意の組合せを含む配列を含む、請求項1に記載の
組成物。
【請求項3】
BIN1核酸配列が、それぞれ配列番号3~22によって表され、エクソン1~20の昇順番号付けによる少なくとも2個又は3個の異なるBIN1エクソン1~20の任意の組合せを含む、請求項2に記載の
組成物。
【請求項4】
BIN1核酸配列が、少なくともエクソン1~6及び8~11を含む核酸配列、より詳しくは配列番号23によって表される核酸配列を含む核酸配列、少なくともエクソン1~6、8~10、12、及び17~20を含む核酸、より詳しくは配列番号25によって表される核酸配列を含む核酸配列、少なくともエクソン1~6、8~10、12、及び18~20を含む核酸、より詳しくは配列番号31によって表される核酸配列を含む核酸配列、少なくともエクソン1~6、8~12、及び18~20を含む核酸配列、より詳しくは配列番号27によって表される核酸配列を含む核酸配列、少なくともエクソン1~6、8~12、及び17~20を含む核酸配列、より詳しくは配列番号29によって表される核酸配列を含む核酸配列、又は配列番号1、23、25、27、29若しくは31の配列にハイブリダイズする、若しくは配列番号1、23、25、27、29若しくは31の配列に相補的であるBIN1核酸配列である、請求項1から3のいずれか一項に記載の
組成物。
【請求項5】
アンフィファイジン2ポリペプチドが、配列番号2によって表されるポリペプチド配列を含む、又は、それぞれ配列番号3~22によって表される、少なくとも2個の異なるBIN1エクソン1~20の任意の組合せから得られる、若しくは少なくとも2個の異なるBIN1エクソン1~20の任意の組合せによってコードされる任意のポリペプチド配列を含む、請求項1に記載の
組成物。
【請求項6】
アンフィファイジン2ポリペプチドが、それぞれ配列番号3~22によって表され、エクソン1~20の昇順番号付けによる、少なくとも2個の異なるBIN1エクソン1~20の任意の組合せから得られる、又は少なくとも2個の異なるBIN1エクソン1~20の任意の組合せによってコードされるポリペプチド配列を含む、請求項1に記載の
組成物。
【請求項7】
アンフィファイジン2ポリペプチドが、配列番号2、24、26、28、30若しくは32によって表されるアミノ酸配列、又は配列番号2、24、26、28、30若しくは32と少なくとも90%同一のアミノ酸配列、又はその生物活性断片若しくはバリアントを含む、請求項5又は6に記載の
組成物。
【請求項8】
アンフィファイジン2ポリペプチドが、配列番号2、26、28、30又は32の天然に存在するアンフィファイジン2と少なくとも80%、85%、好ましくは少なくとも90%、95%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項5又は6に記載の
組成物。
【請求項9】
BIN1核酸配列が、アンフィファイジン2ポリペプチドの産生を指示する1つ又は複数の制御配列に作動可能に連結されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の
組成物。
【請求項10】
BIN1核酸配列が組換え発現ベクター内にある、請求項1から9のいずれか一項に記載の
組成物。
【請求項11】
組換え発現ベクターが発現ウイルスベクターである、請求項10に記載の
組成物。
【請求項12】
ウイルスベクターがアデノ随伴ウイルスベクターに由来し、好ましくはAAV9ベクターである、請求項11に記載の
組成物。
【請求項13】
組換え発現ベクターが組換え宿主細胞に含まれる、請求項10から12のいずれか一項に記載の
組成物。
【請求項14】
アンフィファイジン2ポリペプチド、BIN1核酸配列、組換え発現ベクター、又は組換え宿主細胞が医薬組成物に含まれる、請求項9から11のいずれか一項に記載の
組成物。
【請求項15】
常染色体優性中心核ミオパシーが重症型又は軽症型のADCNMである、請求項1から14のいずれか一項に記載の
組成物。
【請求項16】
常染色体優性中心核ミオパシーが早期発症又は後期発症、好ましくは後期発症のADCNMである、請求項1から15のいずれか一項に記載の
組成物。
【国際調査報告】