IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイエル アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(54)【発明の名称】安定化チオケトン製剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/00 20060101AFI20220513BHJP
   A01N 43/653 20060101ALI20220513BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20220513BHJP
   A01N 43/56 20060101ALI20220513BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20220513BHJP
   A01P 7/02 20060101ALI20220513BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20220513BHJP
   A01P 5/00 20060101ALI20220513BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20220513BHJP
   A01N 37/50 20060101ALI20220513BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20220513BHJP
   A01N 43/30 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
A01N25/00 101
A01N43/653 Q
A01P3/00
A01N43/56 C
A01N25/02
A01P7/02
A01P7/04
A01P5/00
A01P13/00
A01N43/653 C
A01N37/50
A01N43/40 101A
A01N43/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556584
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(85)【翻訳文提出日】2021-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2020057189
(87)【国際公開番号】W WO2020187871
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】19163615.8
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591063187
【氏名又は名称】バイエル アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ショテス
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・クラウス
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ヴァイス
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA00
4H011AB00
4H011AB03
4H011AC00
4H011AC04
4H011AC06
4H011AC07
4H011BA01
4H011BA06
4H011BB06
4H011BB08
4H011BB09
4H011BC03
4H011BC06
4H011BC08
4H011BC16
4H011BC19
4H011DA15
4H011DA16
4H011DF03
4H011DF04
4H011DH02
4H011DH03
4H011DH10
4H011DH14
(57)【要約】
本発明は、特定の抗酸化剤を含み、2-(1-クロロシクロプロピル)-1-(2-クロロフェニル)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロパン-2-オールの含有量が特に低い貯蔵安定性プロチオコナゾール含有製剤、それらの調製方法、作物保護で植物病原性真菌を制御する方法および作物保護剤としてのそれらの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)チオン基を有する活性成分、ならびに
b)アスコルビン酸、トコトリエノール、トコフェロール(例えば、(+)-デルタ-トコフェロール、(+/-)-アルファ-トコフェロール)、トコフェロールの混合物、チオ乳酸、BHT、オイゲノール、コーヒー酸(3,4-ジヒドロキシケイヒ酸)、メルカプトプロピオン酸およびD,L-チオトレイトールを含む群から選択される少なくとも1種の抗酸化剤
を含む製剤。
【請求項2】
前記抗酸化剤が、アスコルビン酸、トコトリエノール、トコフェロールおよびこれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記製剤が、抗酸化剤としてアスコルビン酸を含む水性製剤であることを特徴とする、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
前記製剤が、有機溶媒に基づく製剤であり、前記抗酸化剤が、トコトリエノールおよびトコフェロールならびにこれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
前記活性成分a)が、プロチオコナゾールおよび4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシ-3-(5-メルカプト-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリルを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
前記活性成分a)が、プロチオコナゾールであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
成分a)の割合が、1重量%~50重量%であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
成分b)の割合が、0.01重量%~15.00重量%であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
前記製剤が、水性SC製剤であり、成分b)の割合が、0.01重量%~10.00重量%であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
前記製剤が、非水性ECまたはOD製剤であり、EC製剤中の成分b)の割合が、好ましくは0.05重量%~15.00重量%であり、OD製剤中の成分b)の割合が、好ましくは0.1重量%~5.00重量%であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項11】
この製剤が、以下の成分:
c)c1:非イオン性分散剤/乳化剤、
c2:イオン性分散剤/乳化剤
d)a)とは異なる他の活性農芸化学的成分
e)OD担体を含む溶媒
f)担体(WG、およびSC/TC/WG用Aerosilも)
g)g1:有機増粘剤
g2:無機増粘剤
h)さらなる添加剤および補助剤
のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項12】
前記製剤が、非イオン性(c1)および/またはアニオン性(c2)乳化剤を含むことを特徴とする、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
活性農芸化学的成分d)が、1種または複数の活性殺虫または殺真菌成分であることを特徴とする、請求項11に記載の製剤。
【請求項14】
前記さらなる活性農芸化学的成分d)が、ビキサフェンであることを特徴とする、請求項11に記載の製剤。
【請求項15】
前記製剤が、5重量%以下の水を含有することを特徴とする、請求項11に記載の製剤。
【請求項16】
成分a)およびb)ならびに場合によりさらなる添加剤を混合することによって、請求項1から15のいずれか一項に記載の製剤を調製する方法。
【請求項17】
有害生物を制御する方法であって、前記有害生物、その生息地、その宿主、例えば植物および種子、ならびにそれらが成長するかまたは成長する可能性がある土壌、領域および環境、また植物に有害な生物による攻撃または侵襲から保護される材料、植物、種子、土壌、表面または空間の、有効量の請求項1に記載の製剤との接触を含む、方法。
【請求項18】
有害生物による侵襲から、種子を含む植物、特に有用植物を保護するための、請求項1から15のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項19】
植物に有害な生物、例えば植物病原性有害真菌、昆虫、クモ類、線虫および有害植物を制御するための、請求項1から15及び18のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項20】
前記有害生物が、植物病原性有害真菌であることを特徴とする、請求項18または19に記載の使用。
【請求項21】
水と請求項1に記載の製剤を混合することによって得られるエマルジョンであって、エマルジョン濃縮物に対する水の混合比が、1000:1~1:1の範囲であり得る、エマルジョン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チオケトン(チオン)、特に官能基としてチオン構成ブロック、特にトリアゾリンチオンを含有する活性成分の安定化製剤に関する。
【0002】
本発明は、特に、チオン、例えばプロチオコナゾールまたは4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシ-3-(5-メルカプト-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリルを含有する貯蔵安定性製剤であって、対応するデチオ化合物、例えば2-(1-クロロシクロプロピル)-1-(2-クロロフェニル)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロパン-2-オールの含有量が特に低い製剤に関する。
【0003】
本発明はさらに、上記の製剤を調製する方法、作物保護で植物病原性真菌を制御する方法、および作物保護組成物としての製剤の使用に関する。
【0004】
さらに、本発明は、チオン化合物、特にチオン基を有する農芸化学的活性成分の、一定の抗酸化剤を含む製剤、特にビタミンC(アスコルビン酸)および/またはトコフェロール(ビタミンE)を含む製剤、ならびにチオン化合物、特にチオン基を有する農芸化学的活性成分を安定化するための一定の抗酸化剤、特にビタミンCおよびトコフェロール(ビタミンE)の使用に関する。
【背景技術】
【0005】
例えば、プロチオコナゾールを、真菌を制御するための標準的な製剤で使用することができることが既に知られている(国際公開第96/16048号パンフレット)。この活性成分は、2-[2-(1-クロロシクロプロピル)-3-(2-クロロフェニル)-2-ヒドロキシプロピル]-2,4-ジヒドロ-3H-1,2,4-トリアゾール-3-チオンである。プロチオコナゾール含有製剤は、一般に液体製剤であり、例えばエマルジョン濃縮物の形態で、市場で供給されている。
【0006】
さらに、活性成分プロチオコナゾールは、特定の条件下で分解して、化合物2-(1-クロロシクロプロピル)-1-(2-クロロフェニル)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロパン-2-オール(PSM-Zulassungsbericht[作物保護剤登録報告書]、Tilmor、2010.08.30、第21版、ドイツ連邦消費者保護食品安全局)を与え得ることが知られている。
【0007】
したがって、プロチオコナゾール(以下、PTZと呼ばれる)含有製剤は、製造過程の早い段階で、一定量の2-(1-クロロシクロプロピル)-1-(2-クロロフェニル)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロパン-2-オールを含有し得る。高温、光の入射および激しい酸素接触などの厳しい条件下での貯蔵の場合、プロチオコナゾールの分解が同様に起こり、2-(1-クロロシクロプロピル)-1-(2-クロロフェニル)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロパン-2-オールを与え、その結果として、製剤中の活性成分の割合がそれに応じて減少する可能性がある。化合物2-(1-クロロシクロプロピル)-1-(2-クロロフェニル)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロパン-2-オール(以下、デチオと呼ばれる)は関連不純物であるため、プロチオコナゾール含有製剤中のその含有量は規制上の制限を受ける。これは、4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシ-3-(5-メルカプト-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリルなどの他のチオン含有化合物にも同様に当てはまる。
【0008】
ここで、PTZ製剤中のデチオの最大許容量は、製剤中のPTZの量(g/l)に依存する。デチオの最大許容量はppmで与えられ、ppmでのデチオの許容割合はg/lでのPTZ負荷の値の半分である。したがって、100 g/lのPTZを含む製剤中の最大許容デチオ含有量は、50 ppm(=0.005重量%)である。
【0009】
国際公開第2012/033590号パンフレットは、安定化のために硫黄化合物、例えばL-システインを含有するプロチオコナゾールの水性分散液を開示している。
【0010】
国際公開第2017/097882号パンフレットおよび国際公開第2018/228885号パンフレットは、最も近い先行技術であると考えられ得る安定化PTZ含有製剤を記載している。そこに記載されているのは、溶媒に溶解したPTZを含むエマルジョン濃縮物および懸濁濃縮物である。式(I)
【化1】
の化合物
(式中、
nは3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、15または18を表す)
の添加によって製剤を安定化し、デチオ含有量の減少を達成することが可能であった。
【0011】
式(I)の化合物は、国際公開第2012/061094号パンフレットから公知であり、メタセシスのプロセスによって調製することができる。これらは、例えば、Stepan((N,N-ジメチル9-デセンアミド、CAS番号:1356964-77-6、Hallcomid(登録商標)1025またはSteposol(登録商標)MET-10U)製の製品である。
【0012】
これらの化合物は、製剤のメイヤー修飾(mayor modification)に相当する、所望の効果を達成するために極めて大量の最大30%の安定剤を必要とするという欠点を有する。また、これらは、場合によっては、作物保護製剤における使用の承認を依然として必要とする新規な添加剤である。
【0013】
したがって、長期間にわたって、酸素への曝露、高温または光の作用などの好ましくない貯蔵条件下であっても、チオン、特にトリアゾリンチオン、特にPTZの対応するデチオ生成物、例えば2-(1-クロロシクロプロピル)-1-(2-クロロフェニル)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロパン-2-オール(化合物III)への分解を有効に抑制または防止し、同時に農芸化学的使用にとって許容されるか、または規制上の障壁に直面しない安定なPTZ含有製剤が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第96/16048号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2012/033590号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2017/097882号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2018/228885号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2012/061094号パンフレット
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】PSM-Zulassungsbericht[作物保護剤登録報告書]、Tilmor、2010.08.30、第21版、ドイツ連邦消費者保護食品安全局
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、高い貯蔵安定性を有し、対応するデチオ生成物へのチオンの、特に2-(1-クロロシクロプロピル)-1-(2-クロロフェニル)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロパン-2-オールへのプロチオコナゾールの有意な分解速度を何ら示さない新規な改善されたチオン含有製剤を提供することであった。
【0017】
さらに、本発明の目的は、チオンのための安定剤および/または安定剤系であって、農芸化学的製剤での使用に適しており、少量でも非常に有効な安定剤を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0018】
さらに、チオンのデチオ生成物への分解は、とりわけ一定の波長の光によって容易に誘因されることが分かった。しかしながら、驚くべきことに、ここでは、従来のUV遮断剤またはUV吸収剤は不十分な有効性しかないことが分かった。
【0019】
さらに、様々な市販の抗酸化剤でさえも、チオンの分解に対する有効な保護を提供せず、むしろ分解を促進することさえ分かった。
【0020】
驚くべきことに、極めて少量のアスコルビン酸およびトコフェロール(ビタミンE)などの一定の抗酸化剤であっても、チオン、特にプロチオコナゾールのデチオ生成物への分解を著しく有効に防止することが分かった。
【0021】
したがって、本発明は、
a)チオン基を有する活性成分、好ましくは農芸化学的活性成分と、
b)アスコルビン酸、トコトリエノール、トコフェロール(例えば、(+)-デルタ-トコフェロール、(+/-)-アルファ-トコフェロール)、トコフェロールの混合物、チオ乳酸、ブチルヒドロキシトルエンBHT、オイゲノール、コーヒー酸(3,4-ジヒドロキシケイヒ酸)、メルカプトプロピオン酸およびD,L-チオトレイトール、ならびにこれらの化合物の混合物を含む抗酸化剤の群から選択される少なくとも1種の化合物と
を含む製剤を提供する。
【0022】
製剤は、好ましくは農芸化学的製剤である。
【0023】
さらに好ましい実施形態では、チオン基を有する活性成分a)が、プロチオコナゾールおよび4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシ-3-(5-メルカプト-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル、特に好ましくはプロチオコナゾールのみを含む群から選択される。
【0024】
さらに、活性成分は、製剤の総重量に基づいて、好ましくは1重量%~50重量%、より好ましくは4重量%~30重量%、特に好ましくは5重量%~28重量%の量で存在する。
【0025】
抗酸化剤b)は、より好ましくは、ビタミンC(アスコルビン酸)およびトコフェロールおよびトコトリエノール(好ましくは、(+)-デルタ-トコフェロール、(+/-)-アルファ-トコフェロール、(+)-アルファ-トコフェロールおよびビタミンEならびにトコフェロールの混合物)を含む群のものである。さらに、水性製剤ではアスコルビン酸が好ましく、有機溶媒を含む製剤ではトコフェロールが好ましい。
【0026】
ビタミンEは、抗酸化作用を有する脂溶性物質の総称であり、トコフェロールおよびトコトリエノールが最も頻繁に遭遇する形態である。以下では、ビタミンEという用語は、アルファ-トコフェロール(RRR-α-トコフェロールまたはD-α-T0)、ベータ-トコフェロール、ガンマ-トコフェロール、デルタ-トコフェロール、アルファ-トコトリエノール、ベータ-トコトリエノール、ガンマ-トコトリエノール、デルタ-トコトリエノール、および例えば酢酸塩などのそれらの誘導体も含むことを意味する。
【0027】
抗酸化剤は、製剤型とは無関係に、製剤の総重量に基づいて、好ましくは0.01重量%~15.00重量%、より好ましくは0.03重量%~5.00重量%、特に好ましくは0.2重量%~4重量%の量で存在する。
【0028】
製剤、例えば水系または油系に応じて、好ましくは以下の量の水溶性または油溶性抗酸化剤を使用することが好ましい:
【0029】
SC製剤:
SCでは、抗酸化剤が、製剤の総重量に基づいて、好ましくは0.01重量%~10.00重量%、より好ましくは0.03重量%~5重量%、さらにより好ましくは0.03重量%~1.00重量%、特に好ましくは0.05重量%~0.5重量%の量で存在する。
【0030】
ODおよびEC製剤:
ODでは、抗酸化剤が、製剤の総重量に基づいて、好ましくは0.10重量%~5.00重量%、より好ましくは0.2重量%~4.00重量%、特に好ましくは0.2重量%~3重量%の量で存在する。
【0031】
ECでは、抗酸化剤が、製剤の総重量に基づいて、好ましくは0.50重量%~15.00重量%、より好ましくは1重量%~10.00重量%、特に好ましくは3重量%~10重量%の量で存在する。
【0032】
プロチオコナゾール(化学名2-[2-(1-クロロシクロプロピル)-3-(2-クロロフェニル)-2-ヒドロキシプロピル]-1,2-ジヒドロ-3H-1,2,4-トリアゾール-3-チオン)(CAS番号178928-70-6)はラセミ体の形態をとる。その調製に適した方法は、ドイツ特許出願公開第195280号明細書に記載されている。プロチオコナゾールは、一般式(II)
【化2】
のチオノ形態、または一般式(IIa)
【化3】
の互変異性体メルカプト形態で存在し得る。
【0033】
以下、「プロチオコナゾール」という用語の使用は、ここに示される異性体およびさらなる可能な互変異性体を常に網羅する。
【0034】
2-(1-クロロシクロプロピル)-1-(2-クロロフェニル)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロパン-2-オールもまたラセミ体として存在し、一般式(III)を有し、全ての互変異性体がこの表記に包含されるべきである。
【化4】
【0035】
さらに、上記の、本発明による製剤はそれぞれ、さらなる成分、例えば:
c)c1:非イオン性分散剤/乳化剤、
c2:イオン性分散剤/乳化剤
d)a)とは異なる他の活性農芸化学的成分
e)OD担体を含む溶媒
f)担体(WG、およびSC/TC/WG用Aerosil(登録商標)も)
g)g1:有機増粘剤
g2:無機増粘剤
h)さらなる添加剤および補助剤
を含み得る。
【0036】
製剤型は、FAOによって定義されており、www.fao.org/ag/agp/agpp/pesticidに見出される。2016年3月版では、慣用的な製剤型が66~231頁に記載されている。本発明による製剤は、FAOによって記載されている慣用的な製剤型である。ここで言及され得る例は、懸濁濃縮物(SC)、ならびに種子処理のための着色剤含有濃縮物(FS)、エマルジョン濃縮物(EC)、水分散性濃縮物(WG)、油性懸濁(OD)、サスポエマルジョン(SE)、水性エマルジョン(EW)、マイクロエマルジョン(ME)および液体製剤(SL)である。EC、SC、FS、SE、ODおよびWG製剤型が好ましく、少なくとも1種の活性成分が溶解していない製剤が極めて特に好ましい。FS、SC、SE、ODおよびWG製剤、最も好ましくはSC、FSおよびWG製剤が極めて特に好ましい。
【0037】
本発明はさらに、植物を処理するための本発明の製剤および対応する方法の使用を提供する。
【0038】
非イオン性乳化剤および分散剤c1)
有用な非イオン性乳化剤および分散剤c1)、例えば乳化剤、湿潤剤、界面活性剤および分散剤には、活性農芸化学的成分の製剤に存在する標準的な表面活性物質が含まれる。例としては、エトキシル化ノニルフェノール、直鎖または分岐アルコールとエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとの反応生成物、エチレンオキシド-プロピレンオキシドブロック共重合体、末端基がキャップされたおよび末端基がキャップされていないアルコキシル化直鎖および分岐の、飽和および不飽和アルコール(例えば、ブトキシポリエチレンプロピレングリコール)、アルキルフェノールとエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとの反応生成物、エチレンオキシド-プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール、さらに、脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリコールエーテルエステル、アルキルスルホネート、アルキルスルフェート、アリールスルフェート、エトキシル化アリールアルキルフェノール、例えば分子あたり平均16個のエチレンオキシド単位を有するトリスチリルフェノールエトキシレート、さらに、エトキシル化およびプロポキシル化アリールアルキルフェノール、さらに、硫酸化またはリン酸化アリールアルキルフェノールエトキシレートまたはエトキシレートおよびプロポキシレートが挙げられる。特に好ましいのは、トリスチリルフェノールアルコキシレートおよび脂肪酸ポリグリコールエーテルエステルである。非常に特に好ましいのは、トリスチリルフェノールエトキシレート、トリスチリルフェノールエトキシプロポキシレートおよびヒマシ油ポリグリコールエーテルエステルであり、いずれの場合も個々に、または混合物で非常に特に好ましい。生物学的有効性の改善に起用する添加剤、例えば界面活性剤または脂肪酸のエステルなどがさらに有用であろう。適切な非イオン性乳化剤および分散剤c1)は、例えば、Soprophor(登録商標)796/P、Lucramul(登録商標)CO30、Lucramul(登録商標)HOT、Lucramul(登録商標)PSI 100またはSynperonic(登録商標)T304である。
【0039】
適切な非イオン性分散剤c1)も同様に、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール、PVPとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合体、ブチル化PVP、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、および部分的に加水分解された酢酸ビニル、フェノール樹脂、変性セルロースの種類、例えばLuviskol(登録商標)(ポリビニルピロリドン)、Mowiol(登録商標)(ポリビニルアルコール)または変性セルロースを含む群から選択され得る。好ましいのは、ポリビニルピロリドンの種類、特に好ましいのは低分子量の種類、例えばLuviskol(登録商標)K30またはSokalan(登録商標)K30である。
【0040】
アルキレンオキシドのジブロックおよびトリブロック共重合体の群の有用なさらなる非イオン性乳化剤および分散剤c1)は、例えば、平均モル質量が200~10000の間、好ましくは1000~4000g/molの間であるエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドに基づく化合物であり、ポリエトキシ化ブロックの質量比率が10~80%の間で変化する場合は、例えばSynperonic(登録商標)PEシリーズ(Uniqema)、プルロニック(登録商標)PEシリーズ(BASF)、VOP(登録商標)32またはGenapol(登録商標)PFシリーズ(Clariant)である。
【0041】
本発明による懸濁濃縮物中に必要とされる非イオン性乳化剤および分散剤c1)の割合は、好ましくは1重量%~15重量%、より好ましくは2重量%~10重量%、特に好ましくは2.5重量%~8重量%である。
【0042】
アニオン性乳化剤および分散剤c2)
乳化剤、界面活性剤、湿潤剤および分散剤などの適切なアニオン性乳化剤および分散剤b1)は、例えば、スルホン酸、硫酸、リン酸、カルボン酸およびこれらの混合物のアルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウム塩、例えばアルキルスルホン酸塩またはアルキルリン酸塩およびアルキルアリールスルホン酸塩またはアルキルアリールリン酸塩、ジフェニルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、リグノスルホン酸塩、脂肪酸および油のスルホン酸塩、エトキシル化アルキルフェノールのスルホン酸塩、アルコキシル化アリールフェノールのスルホン酸塩、縮合ナフタレンのスルホン酸塩、ドデシル-およびトリデシルベンゼンのスルホン酸塩、ナフタレンおよびアルキルナフタレンのスルホン酸塩、スルホコハク酸塩またはスルホサクシナメート(sulfosuccinamate)である。硫酸塩の例は、脂肪酸および脂肪油の硫酸塩、エトキシ化アルキルフェノールの硫酸塩、アルコールの硫酸塩、エトキシ化アルコールの硫酸塩または脂肪酸エステルの硫酸塩である。リン酸塩の例は、リン酸エステルである。カルボン酸塩の例は、アルキルカルボン酸塩およびカルボキシル化アルコールエトキシレートまたはアルキルフェノールエトキシレートである。同様に適しているのは、ポリスチレンスルホン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウム塩、ポリビニルスルホン酸の塩、アルキルナフタレンスルホン酸の塩、アルキルナフタレンスルホン酸-ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸およびホルムアルデヒドの縮合生成物の塩のアニオン性乳化剤の群である。例は、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、例えばRhodocal(登録商標)70/B(Solvay)、Phenylsulfonat CA100(Clariant)またはドデシルベンゼンスルホン酸イソプロピルアンモニウム、例えばAtlox(登録商標)3300B(Croda)である。
【0043】
さらに典型的な代表例としては、Phenylsulfonat CA(ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム)、Soprophor(登録商標)製品(トリスチリルフェノールエトキシレートの場合によりエステル化された誘導体)、Emulsogen(登録商標)3510(アルキル化EO/POコポリマー)、Emulsogen(登録商標)EL400(エトキシル化ヒマシ油)、Tween(登録商標)製品(脂肪アシル化ソルビタンエトキシレート)、Calsogen(登録商標)AR100(ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム)が挙げられる。フェニルスルホン酸カルシウムおよび/またはCalsogen(登録商標)AR100などのアルキル化芳香族スルホン酸の塩と、Emulsogen(登録商標)3510などのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのアルキル化コポリマーの組合せが好ましい。特に好ましいのは、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩、例えばCalsogen(登録商標)AR 100と、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのアルキル化共重合体、例えばEmulsogen(登録商標)3510との組合せである。
【0044】
ナフタレンスルホン酸塩の群のさらなるアニオン性乳化剤および分散剤c2)の例は、Galoryl(登録商標)MT 800(ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム)、Morwet(登録商標)IP(ジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム)およびNekal(登録商標)BX(アルキルナフタレンスルホン酸塩)である。ナフタレンスルホン酸塩とホルムアルデヒドの縮合物の群の陰イオン性界面活性剤の例は、Galoryl(登録商標)DT 201(ホルムアルデヒドおよびメチルフェノールナトリウム塩を含むナフタレンスルホン酸ヒドロキシポリマー)、Galoryl(登録商標)DT 250(フェノールスルホン酸塩とナフタレンスルホン酸塩の縮合物)、Reserve(登録商標)C(フェノールスルホン酸塩とナフタレンスルホン酸塩の縮合物)またはMorwet(登録商標)D-425、Tersperse(登録商標)2020である。好ましいのは、1,2-ジブチル-または-ジイソブチル-置換ナフタレンスルホン酸塩、例えば、Galoryl(登録商標)MT 800(CFPI-Nufarm)およびNekal(登録商標)BX(BASF)などの製品である。さらに典型的な界面活性剤は、Soprophor(登録商標)3D33、Soprophor(登録商標)4D384、Soprophor(登録商標)BSU、Soprophor(登録商標)CY/8(Solvay)およびHoe(登録商標)S3474であり、Sapogenat(登録商標)T製品(Clariant)、例えばSapogenat(登録商標)T 100の形態である。
【0045】
本発明による技術的濃縮物中に必要とされるアニオン性乳化剤および分散剤c2)の割合は、好ましくは2重量%~35重量%、より好ましくは3重量%~30重量%、さらにより好ましくは5重量%~25重量%、特に好ましくは10重量%~20重量%である。
【0046】
本発明による懸濁濃縮物中に必要とされるアニオン性乳化剤および分散剤c2)の割合は、好ましくは0.1重量%~10重量%、より好ましくは0.2重量%~7重量%、特に好ましくは0.3重量%~4重量%である。
【0047】
PTZとは異なるさらなる活性農芸化学的成分d):
本発明の文脈におけるさらなる活性農芸化学的成分d)は、活性殺真菌、殺虫または除草成分である。代替実施形態では、本発明の製剤が、1種または複数のさらなる活性殺虫または殺真菌成分d)、より好ましくは1種または複数の活性殺真菌成分d)を含む。使用される活性成分は、好ましくは水不溶性である。
【0048】
Pesticide Manualが、典型的な作物保護剤の総説を提供している。
【0049】
好ましい殺虫成分d)は、例えば、イミダクロプリド、ニテンピラム、アセタミプリド、チアクロプリド、チアメトキサム、クロチアニジン、シアントラニリプロール、クロラントラニリプロール、フルベンジアミド、テトラニリプロール、シクラニリプロール、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト、アバメクチン、アクリナトリン、クロルフェナピル、エマメクチン、エチプロール、フィプロニル、フロニカミド、フルピラジフロン、インドキサカルブ、メタフルミゾン、メトキシフェノジド、ミルベマイシン、ピリダベン、ピリダリル、シラフルオフェン、スピノサド、スルホキサフロル、トリフルムロン、実施例I-1-a-4としての国際公開第2006/089633号パンフレットの化合物、実施例I-1-a-4として国際公開第2008/067911号パンフレットに開示されている化合物、実施例Ib-14として国際公開第2013/092350号パンフレットに開示されている化合物、実施例Ik-84として国際公開第2010/51926号パンフレットに開示されている化合物である。
【0050】
好ましい殺真菌成分d)は、例えば、ビキサフェン、ビキスゾロン、フェナミドン、フェンヘキサミド、フルオピコリド、フルオピラム、フルオキサストロビン、イソフルシプラム、イプロバリカルブ、イソチアニル、イソピラザム、ペンシクロン、ペンフルフェン、プロピネブ、テブコナゾール、トリフロキシストロビン、アメトクトラジン、アミスルブロム、アゾキシストロビン、ベンチアバリカルブ-イソプロピル、ベンゾビンジフルピル、ボスカリド、カルベンダジム、クロロタノニル(chlorothanonil)、シアゾファミド、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、エタボキサム、エポキシコナゾール、ファモキサドン、フルアジナム、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルチアニル、フルキサピロキサド、イソピラザム、クレソキシム-メチル、リセルフェンバルピル(lyserphenvalpyr)、マンコゼブ、マンジプロパミド、メトコナゾール、ピリオフェノン、フォルペット、メタミノストロビン、オキサチアピプロリン、ペンチオピラド、ピコキシストロビン、プロベナゾール、プロキナジド、ピジフルメトフェン、ピラクロストロビン、セダキサン、スピロキサミン、テブフロキン、テトラコナゾール、バリフェナレート、ゾキサミド、ジラム、N-(5-クロロ-2-イソプロピルベンジル)-N-シクロプロピル-3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(5-クロロ-2-イソプロピルベンジル)-N-シクロプロピル-3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、2-{3-[2-(1-{[3,5-ビス(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]アセチル}ピペリジン-4-イル)-1,3-チアゾール-4-イル]-4,5-ジヒドロ-1,2-オキサゾール-5-イル}フェニルメタンスルホネート、2-{3-[2-(1-{[3,5-ビス(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]アセチル}ピペリジン-4-イル)-1,3-チアゾール-4-イル]-4,5-ジヒドロ-1,2-オキサゾール-5-イル}-3-クロロフェニルメタン-スルホネート、(3S,6S,7R,8R)-8-ベンジル-3-[({3-[(イソブチリルオキシ)メトキシ]-4-
メトキシピリジン-2-イル}カルボニル)アミノ]-6-メチル-4,9-ジオキソ-1,5-ジオキソナン-7-イル2-メチルプロパノエート(リセルフェンバルピル)である。
【0051】
プロチオコナゾールのための特に好ましい殺真菌混合パートナーd)は、例えば:テブコナゾール、スピロキサミン、ビキサフェン、フルオキサストロビン、トリフロキシストロビン、N-(5-クロロ-2-イソプロピルベンジル)-N-シクロプロピル-3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、(3S,6S,7R,8R)-8-ベンジル-3-[({3-[(イソブチリルオキシ)メトキシ]-4-メトキシピリジン-2-イル}カルボニル)アミノ]-6-メチル-4,9-ジオキソ-1,5-ジオキソナン-7-イル2-メチルプロパノエート(リセルフェンバルピル)およびフルオピラムである。
【0052】
a)(プロチオコナゾール)と化合物d)の群から選択される1種または複数の化合物の混合物が極めて特に好ましい:
a)+d)テブコナゾール;
a)+d)トリフロキシストロビン;
a)+d)フルオキサストロビン;
a)+d)ビキサフェン;
a)+d)ビキスゾロン;
a)+d)イソフルシプラム;
a)+d)フルオピラム;
a)+d)スピロキサミン;
a)+d)フルオキサストロビン+トリフロキシストロビン;
a)+d)トリフロキシストロビン+スピロキサミン;
a)+d)ビキサフェン+テブコナゾール;
a)+d)ビキサフェン+フルオキサストロビン;
a)+d)ビキサフェン+トリフロキシストロビン;
a)+d)ビキサフェン+スピロキサミン;
a)+d)ビキサフェン+フルオピラム;
a)+d)テブコナゾール+スピロキサミン;
a)+d)テブコナゾール+フルオピラム;a)+d)N-(5-クロロ-2-イソプロピルベンジル)-N-シクロプロピル-3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
a)+d)N-(5-クロロ-2-イソプロピルベンジル)-N-シクロプロピル-3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド+テブコナゾール
a)+d)N-(5-クロロ-2-イソプロピルベンジル)-N-シクロプロピル-3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド+フルピラム(flupyram)
a)+d)ビキサフェン+(3S,6S,7R,8R)-8-ベンジル-3-[({3-[(イソブチリルオキシ)メトキシ]-4-メトキシピリジン-2-イル}カルボニル)アミノ]-6-メチル-4,9-ジオキソ-1,5-ジオキソナン-7-イル2-メチルプロパノエート(リセルフェンバルピル)
【0053】
本発明の製剤中の成分d)の割合は、好ましくは1重量%~40重量%、特に好ましくは3重量%~35重量%である。
【0054】
溶媒e):
製剤は、例えばEC、ODまたはSE製剤の場合、溶媒e)を含み得る。
・芳香族炭化水素混合物(好ましくはナファリン(naphaline)還元)、例えばSolvesso(登録商標);
・芳香族炭化水素、例えば、ホワイトスピリット、石油、アルキルベンゼンおよびスピンドル油、キシレン、トルエンまたはアルキルナフタレン;
・脂肪族/脂環式炭化水素、例えば、鉱油、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、デカリンまたはホワイト油;
・塩素化芳香族または脂肪族炭化水素、例えば、クロロベンゼン、クロロエチレン、または塩化メチレン、クロロホルムまたはテトラクロロメタン;
・アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはベンジルアルコール;
・エーテル、例えばテトラヒドロフラン、テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオクチルエーテル、ジデシルエーテル、ジベンジルエーテル、ジメチルイソソルビド、ジフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、フェニルベンジルエーテルまたはアニソール;
・モノエステル/ジエステル/グリセロールエステル、例えば酢酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル、酢酸ベンジル、安息香酸ベンジル、安息香酸ブチル、Rhodiasolv(登録商標)Polarclean、Rhodiasolv(登録商標)RPDE、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸2-エチルヘキシル、3-エトキシプロピオン酸エチル(UCAR(登録商標)Ester EEP、Dow Chemical Company)、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、グルタル酸ジメチル、グルタル酸ジエチル、グルタル酸ジプロピル、ビス(2-エチルヘキシル)アジペート、ジイソプロピルアジペート、ジメチル2-メチルグルタレート、マレイン酸ジオクチル、グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、グリセロールトリアセテート、植物油、例えば、菜種油、ヒマワリ油、大豆油、ヒマシ油またはトウモロコシ油;
・ラクトン、例えば、ブチロラクトン、アルファ-メチル-ガンマ-ブチロラクトン、ガンマ-バレロラクトンまたはデルタ-バレロラクトン;
・ポリエチレン/プロピレンオキシド、例えば、モノエチレングリコール、モノエチレングリコールモノメチルエーテル、モノエチレングリコールモノエチルエーテル、モノエチレングリコールモノプロピルエーテル、モノエチレングリコールモノブチルエーテル、モノエチレングリコールモノペンチルエーテル、モノエチレングリコールモノヘキシルエーテル、モノエチレングリコールモノフェニルエーテル、モノエチレングリコールジメチルエーテル、モノエチレングリコールジエチルエーテル、モノエチレングリコールジプロピルエーテル、モノエチレングリコールジブチルエーテル、モノエチレングリコールジペンチルエーテル、モノエチレングリコールジヘキシルエーテル、モノエチレングリコールジフェニルエーテル、およびそれらのより長いエチレングリコール同族体;モノプロピレングリコール、モノプロピレングリコールモノメチルエーテル、モノプロピレングリコールモノエチルエーテル、モノプロピレングリコールモノプロピルエーテル、モノプロピレングリコールモノブチルエーテル、モノプロピレングリコールモノペンチルエーテル、モノプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、モノプロピレングリコールモノフェニルエーテル、モノプロピレングリコールジメチルエーテル、モノプロピレングリコールジエチルエーテル、モノプロピレングリコールジプロピルエーテル、モノプロピレングリコールジブチルエーテル、モノプロピレングリコールジペンチルエーテル、モノプロピレングリコールジヘキシルエーテル、モノプロピレングリコールジフェニルエーテル、およびそれらのより長いプロピレン同族体;モノエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、モノエチレングリコールジアセテート、およびそれらのより長いエチレングリコール同族体;モノプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、モノプロピレングリコールアセテート、およびそれらのより長いポリプロピレングリコール同族体;
・単純および置換アミン、例えば、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、およびより高度にアルコキシル化されたアミン、アニリンまたはジメチルアニリン;
・アミド/尿素、例えば、N-ホルミルモルホリン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルベンズアミド、N,N-ジメチルオクタンアミド、N,N-ジメチルデカンアミド、N,N-ジメチルデカ-9-エン-1-アミド、N,N-ジメチルドデデカンアミド(N,N-dimethyldodedecanamide)、N,N-ジメチルラクタミド、N,N-デシルメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-プロピル-2-ピロリドン、N-ブチル-2-ピロリドン、N-ペンチル-2-ピロリドン、N-ヘキシル-2-ピロリドン、N-ヘプチル-2-ピロリドン、N-オクチル-2-ピロリドン、N-ノニル-2-ピロリドン、N-デシル-2-ピロリドン、N-ウンデセニル-2-ピロリドン、N-ドデシル-2-ピロリドン、N-メチル-2-ピペリドン、N-メチルカプロラクタム、N-オクチルカプロラクタム、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3,4-トリメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン、1-ヘプチル-3-メチル-2-イミダゾリジノン、1-ヘプチル-1,3-ジヒドロ-3-メチル-2H-イミダゾール-2-オン;
・ケトン、例えば、アセトン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、4-オクタノン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソペンチルケトン、エチルイソプロピルケトン、エチルイソブチルケトン、エチルイソペンチルケトン、プロピルイソプロピルケトン、プロピルイソブチルケトン、プロピルイソペンチルケトン、3,3-ジメチル-2-ブタノン、2,4-ジメチル-3-ペンタノン、4,4-ジメチル-2-ペンタノン、2,6-ジメチル-4-ヘプタノン、2,2,4,4-テトラメチル-3-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、2,4,6-シクロヘプタトリエン-1-オン、アセトフェノン、プロピオフェノン、1-(4-メチルフェニル)エタノン、1-(4-エチルフェニル)エタノン、2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、1-(3-エチルフェニル)エタノン、4-フェニル-2-ブタノン、1-フェニル-2-プロパノン、1-フェニル-2-ブタノン、2-フェニル-3-ブタノン、ブチロフェノンまたはバレロフェノン。
・ニトリル、例えば、アセトニトリル、プロパンニトリル、2-メチルプロパンニトリル、ブタンニトリル、3-メチルブタンニトリル、ペンタンニトリル、4-メチルペンタンニトリル、ヘキサンニトリル、ヘプタンニトリル、オクタンニトリル、ノナンニトリル、デカンニトリル、ベンゾニトリル、ベンゼンアセトニトリル、ペンタンジニトリル、2-メチルペンタンジニトリル、ヘキサンジニトリル、ヘプタンジニトリル、オクタンジニトリルまたはノナンジニトリル;
・アセタール、例えば1,1-ジメトキシメタン;1,1-ジメトキシエタン;1,1’-[メチレンビス(オキシ)]ビスエタン;1,1-ジエトキシエタン;1,1’-[メチレンビス(オキシ)]ビスプロパン;2,4,6,8-テトラオキサノナン、1,1’-[メチレンビス(オキシ)]ビスブタン、2-メチル-1-[(2-メチルプロポキシ)メトキシ]プロパン、2,4,6,8,10-ペンタオキサウンデカン、2,5,7,10-テトラオキサウンデカン、1,3-ジオキソラン、1,3-ジオキサンまたは4-メチル-1,3-ジオキサン;オルトエステル、例えば、1,1,1-トリメトキシメタン、1,1,1-トリメトキシエタン、1,1,1-トリメトキシプロパン、2-メトキシ-1,3-ジオキソラン、2-メトキシ-2-メチル-1,3-ジオキソラン、2-メトキシ-2-メチル-1,3-ジオキソラン、2-エトキシ-1,3-ジオキソラン、2-エトキシ-2-メチル-1,3-ジオキソラン、2-エチル-2-メトキシ-1 3-ジオキソラン、2-メトキシ-1,3-ジオキサン、2-メトキシ-2-メチル-1,3-ジオキサンまたは2-エトキシ-1,3-ジオキサン;
・カーボネート、例えば、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、ジノニルカーボネート、ジデシルカーボネート、エチレンカーボネート、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-(メトキシメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オン、グリセロールカーボネート、ブチレンカーボネート、4,6-ジメチル-3-ジオキサン-2-オンまたはジベンジルカーボネート;
・ホスフェート、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリイソブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(2-ブトキシエチル)ホスフェートまたはトリフェニルホスフェート;
・スルホキシド、例えばジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、1,1-ジオキソテトラヒドロチオフェン、1,1-ジオキソテトラヒドロ-3-メチルチオフェンまたは1,1-ジオキソテトラヒドロ-2,4-ジメチルチオフェン。
【0055】
さらに、本発明の製剤は、場合により、液体充填剤e)、例えば、植物油もしくは鉱油、または植物油もしくは鉱油のエステルを含み得る。適切な植物油e)は、農薬に典型的に使用することができ、植物から得ることができる全ての油である。例としては、ヒマワリ油、菜種油、オリーブ油、ヒマシ油、種油、トウモロコシ油、綿実油、クルミ油、ヤシ油および大豆油が挙げられる。可能なエステルは、例えば、パルミチン酸エチルヘキシル、オレイン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸エチルヘキシル、カプリル酸エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸メチル、パルミチン酸メチル、オレイン酸エチルである。菜種油メチルエステルおよびパルミチン酸エチルヘキシルが好ましい。可能な鉱油は、Exxsol(登録商標)D100およびホワイト油である。
【0056】
【表1A】
【表1B】
【0057】
WG用の担体材料f).
本発明による製剤中の充填剤および担体材料f)は、鉱物、アルカリ土類金属およびアルカリ金属の炭酸塩、硫酸塩およびリン酸塩、例えば炭酸カルシウム、高分子炭水化物、吸収の少ない沈降シリカなどの立体網状ケイ酸塩、およびカオリンなど天然の立体網状ケイ酸塩を含む群から選択される。適した充填剤f)の典型的な代表は、例えば、Agsorb(登録商標)LVM(登録商標)-GA(アタパルガイト)、Harborlite(登録商標)300(パーライト)、Collys(登録商標)HV(加工デンプン)、Omya(登録商標)チョーク(炭酸カルシウム)、カオリン(登録商標)Tec 1(カオリン、アルミニウムハイドロシリケート)、Steamic(登録商標)OOS(タルク、ケイ酸マグネシウム)である。c2)に関して、天然の立体網状ケイ酸塩および炭酸カルシウム製品、例えばOmya(登録商標)チョーク(炭酸カルシウム)、カオリンTec 1(登録商標)(カオリン)およびHarborlite(登録商標)300(パーライト)がここでは好ましく、天然の立体網状ケイ酸塩、例えばKaolin(登録商標)、Tec(登録商標)1(カオリン、アルミニウムハイドロシリケート)およびHarborlite(登録商標)300(パーライト)が特に好ましい。WG製剤に関して、カオリンおよび炭酸カルシウムを使用することが極めて特に好ましい。さらに適した担体材料または充填剤f)は、担体材料100g当たり少なくとも200gのフタル酸ジブチルの吸収能力を有する高吸収性担体の群から選択される。好ましい高吸収性担体f)は、シリカ、例えばSipernat(登録商標)製品(高吸収性の合成沈降シリカ)およびヒュームドシリカ(Aerosil(登録商標)製品)である。沈降シリカが好ましい。本発明によるTC中の充填剤f)の割合は、好ましくは0.1重量%~10重量%、特に好ましくは0.3重量%~8重量%、極めて特に好ましくは1重量%~7重量%である。
【0058】
増粘剤g)
有用な増粘剤g)には、有機増粘剤g1)および無機増粘剤g2)が含まれる。
【0059】
有用な有機増粘剤g1)には、有機天然増粘剤または生物工学によって変性された増粘剤または有機合成増粘剤が含まれる。典型的な合成増粘剤は、Rheostrux(登録商標)(Croda)またはThixin(登録商標)またはThixatrol(登録商標)シリーズ(Elementis)である。これらは典型的には、アクリレートに基づく。典型的な有機増粘剤は、キサンタンまたはセルロース(例えば、ヒドロキシエチルもしくはカルボキシメチルセルロース)またはそれらの組合せに基づく。さらに典型的な代表はリグニンに基づく(例えば、リグノスルホネート、Borresperse(登録商標)NA、REAX(登録商標)88またはKraftsperse 25 S)。キサンタンに基づく天然変性増粘剤を使用することが好ましい。典型的な代表は、例えば、Rhodopol(登録商標)(Solvay)およびKelzan(登録商標)(Kelco Corp.)、さらにSatiaxane(登録商標)(Cargill)である。
【0060】
本発明によるSC中の有機増粘剤g1)の割合B)は、5重量%以下、好ましくは0.01重量%~1.0重量%、より好ましくは0.01重量%~0.6重量%、さらにより好ましくは0.05重量%~0.5重量%、さらにより好ましくは0.1重量%~0.3重量%である。
【0061】
適切な無機増粘剤g2)は、例えば、変性天然シリケート、例えば化学修飾ベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト、モンモリロナイト、スメクタイトまたは他のケイ酸塩鉱物、例えばBentone(登録商標)(Elementis)、Attagel(登録商標)(Engelhard)、Agsorb(登録商標)(Oil-Dri Corporation)またはHectorite(登録商標)(Akzo Nobel)、またはVan Gelシリーズ(R.T.Vanderbilt)などである。
【0062】
本発明による製剤中の無機増粘剤g2)の割合は、0重量%~5重量%、好ましくは0.1重量%~3重量%、より好ましくは0.2重量%~1.5重量%、さらにより好ましくは0.3重量%~1.5重量%、さらにより好ましくは0.4重量%~1.3重量%である。
【0063】
増粘剤g1)およびg2)の混合物を使用することが好ましい。Scの場合、もっぱら有機増粘剤d1)を使用することが特に好ましい。キサンタン(Solvay製のRhodopol(登録商標)Gなど)に基づく増粘剤g1)が極めて特に好ましい。
【0064】
さらなる成分h)
さらに、本発明によるSCまたはTCまたはWGは、場合により、さらなる成分h)として、
湿潤剤、pH調整剤、消泡剤、殺生物剤、崩壊剤、接着促進剤、不凍剤、保存剤、色素または肥料、および成分c)以外の界面活性剤
も含み得る。
【0065】
適切な消泡剤は、Tegopren(登録商標)製品(Goldschmidt)、SE(登録商標)製品(Wacker)、およびBevaloid(登録商標)(Kemira)、Rhodorsil(登録商標)(Solvay)、およびSilcolapse(登録商標)製品(Blustar Silicones)などの表面活性シリコーンまたはシランベースの化合物であり、SE(登録商標)(Wacker)、Rhodorsil(登録商標)およびSilcolapse(登録商標)製品が好ましく、例えばSilcolapse(登録商標)5020などの製品が特に好ましい。
【0066】
適切な不凍剤は、尿素、ジオールおよびポリオールの群のもの、例えばエチレングリコールおよびプロピレングリコール、グリセロール、好ましくはプロピレングリコールまたはグリセロールである。
【0067】
適切な保存剤は、例えば、Acticide(登録商標)MBS(Biozid、Thor Chemie)、CIT、MITまたはBIT、例えば、Proxel(登録商標)GXL(BIT)、Acticide(登録商標)SPX(MIT、CIT)などの製品である。
【0068】
適切な接着促進剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール、PVPとジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー、ブチル化PVP、塩化ビニルと酢酸ビニルのコポリマー、プロペンスルタン酸(propenesultanic acid)と部分的に加水分解された酢酸ビニルのコポリマーのナトリウム塩、カゼインナトリウム、フェノール樹脂、変性セルロース型、例えば、Luviskol(登録商標)(ポリビニルピロリドン)、Mowiol(登録商標)(ポリビニルアルコール)、変性セルロースを含む群から選択され得る。
【0069】
適切な消泡剤は、リン酸と低級アルコールのエステル、C6~C10アルコール、シリコーン界面活性剤(液体シリコーン界面活性剤に基づく水性エマルジョン濃縮物中の疎水化シリカ粒子のサスポエマルジョン)、例えばポリジメチルシロキサン、および固体担体材料上へのその吸着物、例えばRhodorsil(登録商標)432(シリコーン界面活性剤)、リン酸ブチル、リン酸イソブチル、n-オクタノール、Wacker ASP15(固体担体上に吸着されたポリジメチルシロキサン)、Antifoam(登録商標)SE(ポリジメチルシロキサン)の群から選択され得る。Antifoam(登録商標)SE(ポリジメチルシロキサン)などの液体シリコーン界面活性剤に基づく水性エマルジョン濃縮物中の疎水化シリカ粒子のサスポエマルジョン、およびWacker ASP15(ポリジメチルシロキサン)などの固体消泡剤が好ましい。
【0070】
本発明の製剤中に存在し得るさらなる添加剤h)は、浸透剤、湿潤剤、展着剤および/または保持剤である。適切な物質は、農薬でこの目的のために典型的に使用することができるものの全てである。
【0071】
適切な添加剤h)は、例えば、
・2~20個のEO単位を有するエトキシル化分岐アルコール(例えば、Genapol(登録商標)X型);
・2~20個のEO単位を有する末端メチルを有するエトキシル化分岐アルコール(例えば、Genapol(登録商標)XM型);
・2~20個のEO単位を有するエトキシル化ヤシアルコール(例えば、Genapol(登録商標)C型);
・2~20個のEO単位を有するエトキシル化C12/15アルコール(例えば、Synperonic(登録商標)A型);
・プロポキシ-エトキシル化アルコール、分岐または直鎖、例えば、Antarox(登録商標)B/848、Atlas(登録商標)G5000、Lucramul(登録商標)HOT 5902;
・末端メチルを有するプロポキシ-エトキシル化脂肪酸、例えば、Leofat(登録商標)OC0503M;
・有機変性ポリシロキサン、例えばBreakThru(登録商標)OE444、BreakThru(登録商標)S240、Silwett(登録商標)L77、Silwett(登録商標)408;
・スルホサクシネートナトリウム塩と1~10個の炭素原子を有する分枝または直鎖アルコールのモノ-およびジエステル;
・エトキシル化ジアセチレンジオール(例えば、Surfynol(登録商標))
である。
【0072】
【表2】
【0073】
適切な消泡剤hは、農薬でこの目的のために典型的に使用することができる全ての物質である。シリコーン油、シリコーン油配合物、ステアリン酸マグネシウム、ホスフィン酸およびホスホン酸が好ましい。例は、Bluestar Silicones製のSilcolapse(登録商標)482、Wacker製のSilfoam(登録商標)SC1132[ジメチルシロキサンおよび-シリコーン、CAS番号63148-62-9]、Momentive製のSAG 1538もしくはSAG 1572[ジメチルシロキサンおよび-シリコーン、CAS番号63148-62-9]、またはFluowet(登録商標)PL 80である。
【0074】
可能な保存剤hは、農薬でこの目的のために典型的に使用することができる全ての物質である。可能な保存剤は、例えば、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン[CIT;CAS番号26172-55-4]、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン[MIT、CAS番号2682-20-4]または1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン[BIT、CAS番号2634-33-5]を含む配合物である。例としては、Preventol(登録商標)D7(Lanxess)、Kathon(登録商標)CG/ICP(Rohm&Haas)、Acticide(登録商標)SPX(Thor GmbH)およびProxel(登録商標)GXL(Arch Chemicals)が挙げられる。
【0075】
適切な抗酸化剤hは、農薬でこの目的のために典型的に使用することができる全ての物質である。ブチルヒドロキシトルエン[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、CAS番号128-37-0]およびクエン酸が好ましい。
【0076】
可能な着色剤hは、農薬でこの目的のために典型的に使用することができる全ての物質である。例としては、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化亜鉛、青色顔料、赤色顔料およびPermanent Red FGRが挙げられる。
【0077】
適切な不活性充填剤h)は、農薬でこの目的のために典型的に使用することができ、増粘剤として機能しない全ての物質である。炭酸塩、ケイ酸塩および酸化物などの無機粒子、ならびに尿素-ホルムアルデヒド縮合物などの有機物質も好ましい。例としては、カオリン、ルチル、二酸化ケイ素(「微細シリカ」)、シリカゲル、ならびに天然および合成ケイ酸塩、ならびにさらにタルクが挙げられる。
【0078】
本発明はさらに、
- 1種または複数のアニオン性乳化剤c2と、
- 1種または複数の非イオン性乳化剤c1)と、
- 少なくとも1種または2種以上の担体材料fと
を含む、上記組成物に基づく水分散性技術濃縮物(TC)を提供する。
【0079】
本発明は同様に、
- 1種または複数のアニオン性乳化剤c2と、
- 1種または複数の非イオン性乳化剤c1と、
- 少なくとも1種または2種以上の増粘剤g)と
を含む懸濁濃縮物(SC)を提供する。
【0080】
本発明は同様に、
- 1種または複数の非イオン性乳化剤c1と、
- 少なくとも1種の溶媒e)と
を含むECを提供する。
【0081】
本発明は同様に、
- 1種または複数の非イオン性乳化剤c1と、
- 少なくとも1種のさらなる活性農芸化学的成分、好ましくは殺真菌剤と
を含むECを提供する。
【0082】
本発明は同様に、
- 1種または複数の非イオン性乳化剤c1と、
- 1種または複数のアニオン性乳化剤c2と、
- 少なくとも1種の溶媒e)と
- 少なくとも1種の増粘剤g)と
を含むODを提供する。
【0083】
施用
使用することができる投与形態の例としては、当業者に一般的に使用されるものとして知られている全てのプロセス:噴霧、浸漬、ミスチング、ならびに植物全体または部分(種子、根、走根、茎、幹、葉)の地下または地上での直接処理のためのいくつかの特定の方法、例えば樹木の場合、幹への注入または多年生植物の場合、茎の包帯、およびいくつかの特定の間接的な施用方法が挙げられる。
【0084】
有害生物を制御するための多種多様な異なる製剤型の作物保護組成物のそれぞれの面積および/または対象に基づく施用量は、非常に大きく変化する。一般に、それぞれの使用分野に一般的に使用されることが当業者に知られている施用媒体は、この目的のための従来の量で、例えば、標準的な噴霧プロセスの場合には1ヘクタール当たり数百リットルの水から、「極小量」飛行機施用の場合には1ヘクタール当たり数リットルの油、注入プロセスの場合には数ミリリットルの生理学的溶液まで使用される。したがって、特定の施用媒体中の本発明の作物保護組成物の濃度は、広範囲内で変化し、それぞれの使用分野に依存する。一般に、それぞれの使用分野に一般的に使用されることが当業者に知られている濃度が使用される。好ましい濃度は、0.01重量%~99重量%、より好ましくは0.1重量%~90重量%である。
【0085】
本発明の農芸化学的製剤は、例えば、液体調製物に慣用的な製剤形態で、そのままで、または水で事前に希釈した後に、すなわち、例えば、エマルジョン、懸濁液または溶液として展開することができる。施用は、慣習的な方法、すなわち、例えば噴霧、注入または注射によって行われる。
【0086】
プロチオコナゾールに加えて存在する可能性がある活性成分の性質に応じて、本発明の製剤は、多数の有害生物を制御するために有用であり、植物作物の処理のために、または無生物材料の処理のために、および家庭内で使用することができる。
【0087】
「有害生物(pest)」または「有害生物(harmful organism)」は、ここでは、有機作物保護活性成分、すなわち作物保護剤、特に殺真菌剤および殺真菌剤と他の作物保護剤の混合物で制御する、または制御下に維持することができるあらゆる種類の有害生物を意味すると理解される。したがって、「有害生物(pest)」という用語は、植物に有害な生物、特に有害真菌およびその胞子を包含するが、有害昆虫、クモ類、線虫および有害植物も包含する。「制御する(control)」という用語は、治癒的処理、すなわち本発明の製剤による罹患植物の処理と、保護的処理、すなわち有害生物侵襲から保護するための植物の処理の両方を包含する。
【0088】
したがって、本発明はまた、有害生物、特に植物有害生物を制御するための本明細書に記載される製剤の使用、ならびに有害生物、特に植物損傷生物を制御する方法であって、有害生物、その生息地、その宿主、例えば植物および種子、ならびにそれらが成長するかまたは成長する可能性がある土壌、領域および環境、また植物に有害な生物による攻撃または侵襲から保護される材料、植物、種子、土壌、表面または空間の有効量の本発明の製剤との接触を含む方法に関する。
【0089】
本発明のさらなる態様は、有害生物、特に有害真菌による侵襲から、種子を含む植物、特に有用植物を保護するための本明細書に記載される製剤の使用に関する。したがって、本発明はまた、植物損傷生物、例えば有害真菌、昆虫、クモ類、線虫および有害植物を制御するための、特に有害真菌を制御するための製剤の使用に関する。
【0090】
本発明の製剤は、植物病原性真菌を制御するためにそれ自体公知の方法で、作物保護で、特に葉面、種子粉衣および土壌殺真菌剤として使用することができる。
【0091】
本発明の製剤で処理することができる植物には以下が含まれる:ワタ、アマ、ブドウ、果実、野菜、例えばバラ科(Rosaceae)種(例えば、リンゴおよびナシなどの仁果類果実だけでなく、アプリコット、チェリー、アーモンドおよびモモなどの核果類、およびイチゴなどの柔らかい果実)、リベシオイダエ科(Ribesioidae)種、クルミ科(Juglandaceae)種、カバノキ科(Betulaceae)種、ウルシ科(Anacardiaceae)種、ブナ科(Fagaceae)種、クワ科(Moraceae)種、モクセイ科(Oleaceae)種、マタタビ科(Actinidaceae)種、クスノキ科(Lauraceae)種、バショウ科(Musaceae)種(例えば、バナナの木およびプランテーション)、アカネ科(Rubiaceae)種(例えば、コーヒー)、ツバキ科(Theaceae)種、アオギリ科(Sterculiceae)種、ミカン科(Rutaceae)種(例えば、レモン、オレンジおよびグレープフルーツ);ナス科(Solanaceae)種(例えばトマト)、ユリ科(Liliaceae)種、キク科(Asteraceae)種(例えば、レタス)、セリ科(Umbelliferae)種、アブラナ科(Cruciferae)種、アカザ科(Chenopodiaceae)種、ウリ科(Cucurbitaceae)種(例えば、キュウリ)、ネギ科(Alliaceae)種(例えば、ニラ、タマネギ)、マメ科(Papilionaceae)種(例えばエンドウ);主要な作物植物、例えばイネ科(Gramineae)種(例えば、トウモロコシ、芝、コムギ、ライムギ、イネ、オオムギ、エンバク、キビおよびライコムギなどの穀物)、キク科(Asteraceae)種(例えばヒマワリ)、アブラナ科(Brassicaceae)種(例えば、白キャベツ、赤キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ、チンゲン菜、コールラビ、ライムギ、ダイコンおよびアブラナ、カラシ、セイヨウワサビおよびクレソン)、マメ科(Fabacae)種(例えば、マメ、ピーナッツ)、マメ科(Papilionaceae)種(例えば、ダイズ)、ナス科(Solanaceae)種(例えば、ジャガイモ)、アカザ科(Chenopodiaceae)種(例えば、サトウダイコン、飼料ビート、スイスチャード、ビートルート);サトウキビ、ポピー、オリーブ、ココヤシ、カカオ、タバコならびに庭園および森林の有用な植物および観賞植物;ならびにこれらの植物の各々の遺伝子組換え品種、ならびにまたこれらの植物の種子。
【0092】
コムギ、オオムギ、ライムギ、ダイズ、タマネギ、トウモロコシおよびピーナッツを処理するために本発明の製剤を使用することが好ましい。
【0093】
より具体的には、原則として、本発明のプロチオコナゾールの製剤を使用して、プロチオコナゾールの既知の製剤でも制御することができる全ての有害真菌疾患を制御することが可能である。各場合に存在する特定の混合パートナーに応じて、植物病害は、例えば、以下の植物病害である:
【0094】
野菜、アブラナ、テンサイ、ダイズ、穀物、ワタ、果実およびイネのアルテルナリア属(Alternaria)種(例えば、ジャガイモおよび他の植物のA.ソラニ(A.solani)またはA.アルテルナータ(A.alternata))、テンサイおよび野菜のアファノミセス属(Aphanomyces)種、ワタおよびイネのアスコキタ属(Ascochyta)種、トウモロコシ、穀物、イネおよび芝生のビポラリス属(Bipolaris)およびドレクスレラ属(Drechslera)種(例えば、オオムギのテレス(teres)、コムギのD.トリチシ-レペンチス(D.tritci-repentis))、穀物のブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)(うどんこ病)、イチゴ、野菜、花およびブドウのボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)(灰色かび病)、ワタのボトリオディプロディア属(Botryodiplodia)種、レタスのブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae)、トウモロコシ、ダイズ、イネおよびテンサイのセロスポラ属(Cerospora)種(例えば、テンサイのC.ベチクラ(C.beticula))、トウモロコシ、穀物、イネのコクリオボルス属(Cochliobolus)種(例えば、穀物のコクリオボルス・サチブス(Cochliobolus sativus)、イネのコクリオボルス・ミヤベアヌス(Cochliobolus miyabeanus))、ダイズ、ワタおよび他の植物のコリネスポラ属(Corynespora)種、ダイズ、ワタおよび他の植物のコレトトリカム属(Colletotrichum)種(例えば、様々な植物のC.アクタツム(C.acutatum))、穀物およびイネのクルブラリア属(Curvularia)種、穀物およびイネのディプロディア属(Diplodia)種、トウモロコシのエクセロヒルム属(Exserohilum)種、キュウリ種のエリシフェ・シコラセアルム(Erysiphe cichoracearum)およびスファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)、様々な植物のフザリウム属(Fusarium)およびバーティシリウム属(Verticillium)種(例えば、V.ダリエ(V.dahliae))(例えば、コムギのF.グラミネアラム(F.graminearum))、穀物のガエウマンノミセス・グラミニス(Gaeumanomyces graminis)、穀物およびイネのジベレラ属(Gibberella)種(例えば、イネのジベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi))、イネの穀粒染色複合体(Grainstaining complex)、トウモロコシおよびイネのヘルミントスポリウム属(Helminthosporium)種(例えば、H.グラミニコラ(H.graminicola))、ダイズおよびワタのマクロフォミナ属(Macrophomina)種、穀物、バナナおよびピーナッツのミクロドキウム属(Michrodochium)種(例えば、穀物のM.ニバレ(M.nivale))、ミコスファエレラ属(Mycosphaerella)種(コムギのM.グラミニコラ(M.graminicola)、バナナのM.フィジエシス(M.fijiesis))、ダイズのフェオイサリプシス属(Phaeoisaripsis)種、ダイズのファコプサラ属(Phakopsara)種(例えば、ダイズのP.パキリジ(P.pachyrhizi)およびP.メイボミアエ(P.meibomiae))、フォーマ属(Phoma)種、ダイズ、ヒマワリおよびブドウのフォモプシス属(Phomopsis)種(ブドウのP.ビチコラ(P.viticola)、ヒマワリのP.ヘリアンチイ(P.helianthii))、ジャガイモおよびトマトのフィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)、ブドウのプラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)、ダイズおよびワタのペニシリウム属(Penecilium)種、リンゴのポドスファエラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotricha)、穀物のシュードサーコスポラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides)、ホップおよびキュウリ種のシュードペロノスポラ属(Pseudoperonospora)種(例えば、キュウリのP.キューベニス(P.cubenis))、穀物、トウモロコシおよびアスパラガスのプッシニア属(Puccinia)種(コムギのP.トリチシナ(P.triticina)およびP.ストリホスミス(P.striformis)、アスパラガスのP.アスパラギ(P.asparagi))、穀物のピレノフォラ属(Pyrenophora)種、イネのピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)、コルティシウム・ササキイ(Corticium sasakii)、サロクラジウム・オリザエ(Sarocladium oryzae)、S.アテヌアツム(S.attenuatum)、エンティロマ・オリザエ(Entyloma oryzae)、芝生および穀物のピリキュラリア・グリセア(Pyricularia grisea)、芝生、イネ、トウモロコシ、ワタ、アブラナ、ヒマワリ、テンサイ、野菜および他の植物のフィチウム属(Pythium)種、ワタ、イネ、ジャガイモ、芝生、トウモロコシ、アブラナ、ジャガイモ、テンサイ、野菜および他の植物のリゾクトニア属(Rhizoctonia)種、イネおよび穀物のリンコスポリウム属(Rynchosporium)種(例えば、R.セカリス(R.secalis))、アブラナ、ヒマワリおよび他の植物のスクレロチナ属(Sclerotinia)種(例えば、S.スクレロチオルム(S.sclerotiorum))、コムギのセプトリア・トリチシ(Septoria tritici)およびスタゴノスポラ・ノドルム(Stagonospora nodorum)、ブドウのエリシフェ属(Erysiphe)(別名ウンシヌラ・ネカトール(Uncinula necator))、トウモロコシおよび芝生のセトスファエリア属(Setosphaeria)種、トウモロコシのスファセロテカ・レイリニア(Sphacelotheca reilinia)、ダイズおよびワタのチエバリオプシス属(Thievaliopsis)種、穀物のティレティア属(Tilletia)種、穀物、トウモロコシおよびテンサイのウスチラゴ属(Ustilago)種、ならびにリンゴおよびナシのベンチュリア属(Venturia)種(黒星病)(例えば、リンゴのV.イナエクアリス(V.inaequalis))。
【0095】
本発明の製剤は、非希釈形態で施用することができる、または水で希釈することができる。一般に、これらは、1部の製剤に基づいて、少なくとも1部の水、好ましくは10部の水、より好ましくは少なくとも100部の水、例えば1~10 000部、好ましくは10~5000部、より好ましくは50~24 000部の水で希釈される。
【0096】
本発明は同様に、水を本発明の液体製剤と混合することによって得られるエマルジョンを提供する。水とエマルジョン濃縮物の混合比は、1000:1~1:1、好ましくは400:1~10:1の範囲であり得る。
【0097】
希釈は、本発明のエマルジョン濃縮物を水に注ぎ入れることよって達成される。濃縮物を水と迅速に混合するために、アジテーション、例えば撹拌を使用することが通例である。しかしながら、アジテーションは一般に不要である。希釈操作の温度は重要な因子ではないが、希釈は、典型的には0℃~50℃の範囲の温度、特に10℃~30℃または周囲温度で行われる。
【0098】
希釈に使用される水は、一般的に水道水である。しかしながら、水は、作物保護で使用される水溶性または微分散化合物、例えば栄養素、肥料または殺有害生物剤を既に含有していてもよい。
【0099】
様々な種類の油、湿潤剤、アジュバント、肥料または微量栄養素およびさらなる殺有害生物剤(例えば、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、成長調節剤、毒性緩和剤)を、本発明のエマルジョンにプレミックスの形態で添加する、または適切な場合には使用直前まで添加しない(タンクミックス)ことが可能である。これらの組成物は、1:100~100:1、好ましくは1:10~10:1の重量比で本発明の製剤に添加され得る。
【0100】
使用者は、本発明の製剤を、典型的には、事前投与システム、バックパック噴霧器、噴霧タンク、噴霧飛行機または灌注システムから施用する。本発明の製剤は、典型的には、水、緩衝液および/またはさらなる補助剤で所望の施用濃度に希釈され、本発明の使用準備済噴霧液または農芸化学的組成物を与える。典型的には、有用な農業地域1ヘクタール当たり20~2000リットル、好ましくは50~400リットルの使用準備済噴霧液が展開される。
【0101】
製剤助剤を含まない純粋な活性成分の必要な施用量は、有害生物侵襲の強度、植物の発達段階、使用部位の気候条件および施用方法に依存する。一般に、施用量は、1ヘクタール当たり0.001~3kg、好ましくは0.005~2kg、より好ましくは0.01~1kg、最も好ましくは50~500gの活性成分の範囲であり、ここでの活性成分はプロチオコナゾール+可能なさらなる活性成分を意味する。
【0102】
本発明の一般的に希釈された製剤は、主に噴霧、特に葉の噴霧によって施用される。施用は、当業者に公知の噴霧技術によって、例えば担体としての水および1ヘクタール当たり約50~1000リットル、例えば1ヘクタール当たり100~00リットルの噴霧液量を使用して行うことができる。
【0103】
新規なプロチオコナゾール含有製剤は、植物の処理に関して有利な特性を有する;より具体的には、これらは、良好な使用特性、高い安定性および高い殺真菌活性を特徴とする。
【0104】
本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0105】
実施例
使用される供給原料:
以下の実施例で使用される用語は、以下の意味を有する:
プロチオコナゾール PTZ(Bayer AG)
Atlox Metasperse 500 Croda、アクリレート系コポリマー
クエン酸 Sigma-Aldrich
ビタミンC Sigma-Aldrich、アスコルビン酸
ビタミンE Sigma-Aldrich、アルファ-トコフェロール
Pluronic PE 10500 プロピレンオキシド/エチレンオキシド(PO-EO)ブロックポリマー(BASF)
Rhodopol(登録商標)23 キサンタン誘導体(Solvay)
Silcolapse(登録商標)426 シリコーン消泡剤(Solvay)
グリセロール 不凍剤
Proxel(登録商標)GXL 保存剤(バイオザイド(biozide)、Proxel)
Lucramul(登録商標)CO30 非イオン性乳化剤、エトキシル化ヒマシ油、Levaco Chemicals、DE
SAG1572 ポリジメチルシロキサン水性エマルジョン Momentive(登録商標)
Genagen(登録商標)4296 ジメチルデカンアミド(DAA)、Clariant
【0106】
水性懸濁濃縮物(SC)の一般的調製:
まず、最初に室温で水を装入する。活性成分および他の成分を、撹拌しながら添加する(順不同)。混合物をコロイドミルで予備粉砕し、引き続いて、例えばビーズミルを使用して湿式粉砕する。最後に、有機増粘剤を添加する。
【0107】
エマルジョン濃縮物(EC)の一般的調製
最初に有機溶媒を装入する。次いで、他の全ての成分を撹拌しながら添加する(順不同)。透明な溶液が形成されるまで撹拌を続ける。
【0108】
製剤中の2-(1-クロロシクロプロピル)-1-(2-クロロフェニル)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロパン-2-オール(化合物III)の決定
2-(1-クロロシクロプロピル)-1-(2-クロロフェニル)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロパン-2-オールを、逆相カラムでイソクラティック溶離液を使用して製剤成分から分離する。MS/MS検出後、外部標準を使用してピーク面積を参照物と比較することによって定量的評価を行う。
高圧液体クロマトグラフ:HP 1090
試料注入:HP 1090自動注入器
質量分析計:Quattro I、Fisons
積分および評価:Micromass製のMassLynx
【0109】
各場合で、試料を、特に指示しない限り、光に曝露し、4週間貯蔵する。
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】
【0112】
実施例1eに示されるように、10%ビタミンEの濃度では、望ましくない効果(結晶化、沈降)が製剤で生じるが、製剤中1%ビタミンEの含有量でさえ、化合物IIIの減少に対するプラスの効果を測定することができる。
【0113】
実施例1fを、透明な実験室窓で、最大で約10%までしか満たされていない容器に室温で4週間貯蔵した。これらの非典型的な条件下(空気および光への曝露)でも、化合物IIIの割合は21ppmのままであり、したがって許容されるEU閾値62.5ppmをかなり下回った。
【0114】
【表5】
【0115】
【表6】
【0116】
製剤中3%ビタミンCの割合まで、製剤の特性の有害な変化はなかった。0.1%ビタミンCの含有量でも、化合物IIIの減少に関してプラスの効果を得ることができた。
【0117】
【表7】
【0118】
【表8】
【0119】
少量のビタミンEでさえ、光下でプロチオコナゾールを安定化し、OD製剤中の化合物IIIの形成を減少させる。
【0120】
実施例4:
UV遮断剤の効果
表項目1:
0.4gのプロチオコナゾールおよび1.6gのN,N-ジメチルデカンアミドを20mlバイアル中で合わせた。
表項目2:
表項目1として、60mgのオクトクリレンを添加した。
表項目3:
0.4gのプロチオコナゾール、1.6gのアセトニトリルおよび0.78gのアセトンを20mlバイアル中で合わせた。
全ての反応混合物を、LEDランプ(波長450nm、47mW/cm2)を使用して24時間撹拌しながら(マグネチックスターラー)光反応器内で照射した。次いで、試料を採取し、HPLCクロマトグラフィー(カラム:Agilent Zorbax Eclipse Plus C18、50×4.6mm、1.8μm、移動相:アセトニトリル/0.1重量%のリン酸水溶液、勾配2ml/分、温度:45°C、外部標準)によって化合物IIIのそれぞれの含有量を決定した。
【0121】
【表9】
【0122】
純粋なDAA中で、UV遮断剤と組み合わせても、照射すると、純粋な溶媒(アセトニトリル/アセトン)の場合と同様に、かなりの割合のデチオが形成される。
【0123】
実施例5:
N,N-ジメチルデカンアミド中プロチオコナゾールに対する5重量%の添加剤の効果
0.4gのプロチオコナゾール、1.5gのN,N-ジメチルデカンアミドおよび0.1gのそれぞれの安定剤を20mlバイアル中で合わせた。反応混合物を、LEDランプ(波長350nm、19mW/cm2)を使用して24時間撹拌しながら(マグネチックスターラー)光反応器内で照射した。次いで、試料を採取し、HPLCクロマトグラフィー(カラム:Agilent Zorbax Eclipse Plus C18、50×4.6mm、1.8μm、移動相:アセトニトリル/0.1重量%のリン酸水溶液、勾配2ml/分、温度:45°C、外部標準)によって化合物IIIのそれぞれの含有量を決定した。
【0124】
【表10】
【0125】
上記の表から分かるように、全ての抗酸化剤がデチオ形成の減少に関してプロチオコナゾールの安定化をもたらすわけではない。むしろ、これらのうちの一部は、悪影響(デチオ形成の増加)を有するようにさえ見える。
【0126】
実施例6:
DAAを含む20%プロチオコナゾール:
一定量の(+/-)-アルファ-トコフェロール(以下の表参照)を透明な50mlガラス瓶に添加し、次いで、N,N-ジメチルデカンアミド中20重量%のプロチオコナゾールの溶液を使用して内容物を総重量5gにした。瓶を振盪し、屋外試験で、直射日光に2週間曝露した。次いで、試料を採取し、HPLCクロマトグラフィー(カラム:Agilent Zorbax Eclipse Plus C18、50×4.6mm、1.8μm、移動相:アセトニトリル/0.1重量%のリン酸水溶液、勾配2ml/分、温度:45°C、外部標準)によって化合物IIIのそれぞれの含有量を決定した。
【0127】
【表11】
【0128】
プロチオコナゾールのEC250製剤:
一定量の(+/-)-アルファ-トコフェロール(以下の表参照)を透明な50mlガラス瓶に添加し、次いで、プロチオコナゾールのEC250製剤を使用して内容物を総重量5gにした。瓶を振盪し、屋外試験で、直射日光に2週間曝露した。次いで、試料を採取し、HPLCクロマトグラフィー(カラム:Agilent Zorbax Eclipse Plus C18、50×4.6mm、1.8μm、移動相:アセトニトリル/0.1重量%のリン酸水溶液、勾配2ml/分、温度:45°C、外部標準)によって化合物IIIのそれぞれの含有量を決定した。
【0129】
【表12】
【0130】
上記の実験によって示されるように、組成物の総重量に基づいて1重量%の(+/-)-アルファ-トコフェロールを添加しても、EC250製剤とDAA中20重量%のプロチオコナゾール溶液の両方において、屋外試験での化合物IIIの形成は有意に減少し、濃度を3重量%のトコフェロールまで増加させた場合、効果はさらに顕著であった。
【0131】
実施例7:
2gのSC325(Fox325)製剤およびプロチオコナゾールのSC450製剤(XPRO SC 450)を、20mlバイアル中で以下の表に記載される量のビタミンCと合わせた。反応混合物を、LEDランプ(波長450nm、47mW/cm2)を使用して24時間撹拌しながら(マグネチックスターラー)光反応器内で照射した。次いで、試料を採取し、HPLCクロマトグラフィー(カラム:Agilent Zorbax Eclipse Plus C18、50×4.6mm、1.8μm、移動相:アセトニトリル/0.1重量%のリン酸水溶液、勾配2ml/分、温度:45°C、外部標準)によって化合物IIIのそれぞれの含有量を決定した。
【0132】
【表13】
【0133】
上記の実験によって示されるように、ビタミンCは、わずか0.1重量%を添加しただけでも極めて効率的にプロチオコナゾールのSC製剤を保護する。3重量%のビタミンCの含有量までは、ビタミンC含有量が増加するほど効果が高くなる。
【0134】
実施例8:
2gの表に記載されるEC製剤(分散剤:N,N-ジメチルデカンアミド)を、20mlバイアル中で1または3重量%の(+/-)α-トコフェロールと合わせた。反応混合物を、LEDランプ(波長365nm、19mW/cm2)を使用して24時間撹拌しながら(マグネチックスターラー)光反応器内で照射した。次いで、試料を採取し、HPLCクロマトグラフィー(カラム:Agilent Zorbax Eclipse Plus C18、50×4.6mm、1.8μm、移動相:アセトニトリル/0.1重量%のリン酸水溶液、勾配2ml/分、温度:45°C、外部標準)によって化合物IIIのそれぞれの含有量を決定した。
【0135】
【表14】
【0136】
上記の実験によって示されるように、(+/-)α-トコフェロールの添加によって市販のプロチオコナゾール含有製剤においてもデチオの形成を有意に減少させることができる。
【国際調査報告】