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特表2022-525977電気泳動粒子、媒体、およびディスプレイならびにそれらの生成のためのプロセス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(54)【発明の名称】電気泳動粒子、媒体、およびディスプレイならびにそれらの生成のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/167 20190101AFI20220513BHJP
【FI】
G02F1/167
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557100
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(85)【翻訳文提出日】2021-09-22
(86)【国際出願番号】 US2020027461
(87)【国際公開番号】W WO2020219274
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】62/837,760
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ジヤン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, デイビッド ダレル
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA04
2K101BB72
2K101BC02
2K101BE32
2K101BE45
2K101BE71
(57)【要約】
表面に共有結合した中間残基を有する顔料粒子、および中間残基に結合したポリマーを含む、電気泳動粒子。ポリマーは、1種または複数の種類のモノマーから誘導されてもよく、モノマーの少なくとも1種は、ハロゲン化スチレン系モノマーを含めた置換または非置換のスチレンモノマーである。電気泳動粒子は、懸濁流体中に粒子の分散物を含む電気泳動媒体で使用することができる。電気泳動媒体は電気光学ディスプレイに組み込むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に共有結合した中間残基を有する顔料粒子、および前記中間残基に結合したポリマーを含む電気泳動粒子であって、
前記ポリマーが、1種または複数のモノマーから誘導され、前記モノマーのうちの少なくとも1種が式I:
【化3】
によるフェニル基を有するスチレン系モノマーであり、式中、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、水素およびハロゲンからなる群より選択される、
電気泳動粒子。
【請求項2】
前記ポリマーが前記中間残基にイオン結合している、請求項1に記載の電気泳動粒子。
【請求項3】
前記ポリマーが前記中間残基に共有結合している、請求項1に記載の電気泳動粒子。
【請求項4】
前記スチレン系モノマーが、4-フルオロスチレン、2-フルオロスチレン、4-クロロスチレン、2-クロロスチレン、4-ブロモスチレン、2-ブロモ-スチレン、4-ヨードスチレン、2-ヨードスチレン、およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の電気泳動粒子。
【請求項5】
前記ポリマーが、前記電気泳動粒子の約1~約15重量パーセントを構成する、請求項1に記載の電気泳動粒子。
【請求項6】
前記顔料粒子が金属酸化物または水酸化物を含む、請求項1に記載の電気泳動粒子。
【請求項7】
前記顔料粒子がチタニアを含む、請求項6に記載の電気泳動粒子。
【請求項8】
前記チタニアがシリカでコーティングされている、請求項7に記載の電気泳動粒子。
【請求項9】
前記中間残基がシランから誘導される、請求項1に記載の電気泳動粒子。
【請求項10】
前記シランが、3-(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項9に記載の電気泳動粒子。
【請求項11】
前記顔料粒子が、亜クロム酸銅およびマンガンフェライトのうちの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の電気泳動粒子。
【請求項12】
前記1種または複数のモノマーが、アクリレート、メタクリレート、ハロゲン置換アクリレート、およびハロゲン置換メタクリレートのうちの1種または複数をさらに含む、請求項1に記載の電気泳動粒子。
【請求項13】
前記1種または複数のモノマーが、2-エチルヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、t-ブチルアクリレート、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、および3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチルアクリレート、2-フルオロエチルメタクリレート、2-フルオロエチルアクリレート、2-クロロエチルメタクリレート、2-クロロエチルアクリレート、2-ブロモエチルメタクリレート、ならびに2-ブロモエチルアクリレートのうちの1種または複数を含む、請求項12に記載の電気泳動粒子。
【請求項14】
懸濁流体に懸濁されている、請求項1に記載の複数の電気泳動粒子を含む電気泳動媒体。
【請求項15】
請求項14に記載の電気泳動媒体、および前記媒体に隣接して配置され、電場を前記媒体に印加することが可能な少なくとも1つの電極を含む、電気光学ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2019年4月24日に出願した米国特許出願第62/837,760号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、電気泳動粒子(すなわち、電気泳動媒体において使用するための粒子)およびこのような電気泳動粒子の生成のための方法に関する。本発明はまた、このような粒子を組み込んでいる電気泳動媒体およびディスプレイに関する。より詳細には、本発明は、その表面がポリマーで修飾されている電気泳動粒子に関する。
【背景技術】
【0003】
電気泳動ディスプレイは、数年にわたり、集中的研究および開発の対象となってきた。このようなディスプレイは、液晶ディスプレイと比較して、良好な輝度およびコントラスト、幅広い視角、状態双安定性、および低消費電力という特質を有することができる。(「双安定」および「双安定性」という用語は、本明細書では、当技術分野でのそれらの従来の意味で使用されており、第1および第2のディスプレイ状態が、少なくとも1種の光学特性において異なるディスプレイ要素を含み、これによって、持続期間が有限のアドレシングパルスにより、任意の所与の要素が駆動された後、その第1または第2のディスプレイ状態のいずれかを引き継ぐことで、アドレシングパルスが終結した後、少なくとも数回、例えば、少なくとも4回、ディスプレイ要素の状態を変えるのに必要とされるアドレシングパルスの最小持続期間、その状態が持続するディスプレイを指す。)
【0004】
電気泳動媒体は、2つの主な種類に分けることができ、本明細書では以下便宜上それぞれ「単一粒子」および「二重粒子」と呼ぶ。単一粒子媒体は、着色された懸濁媒に懸濁した単一種類の電気泳動粒子のみを有し、その着色された懸濁媒の少なくとも1種の光学的特徴は粒子のものとは異なる。(単一種類の粒子と言及する場合、その種類のすべての粒子が全く同一であるという意味ではない。例えば、その種類のすべての粒子が実質的に同じ光学的特徴および同じ極性の電荷を有する場合に限り、媒体の有用性に影響を与えることなく、粒径および電気泳動移動性などのパラメーターにおけるかなりの変動は許容され得る)。光学的特徴は通常、ヒトの眼で見ることができる色であるが、代わりにまたは加えて、さらに反射率、再帰反射性(retroreflectivity)、発光、蛍光、リン光、または非可視波長における吸収もしくは反射の差異というより広い感覚の意味での色のうちのいずれか1種または複数であってもよい。このような媒体が、その少なくとも一方が透明である一対の電極の間に配置された場合、2つの電極の相対的電位に応じて、媒体は、粒子の光学的特徴(粒子がオブザーバーにより近い電極に隣接する場合、本明細書では以下「前方」電極と呼ぶ)、または懸濁媒の光学的特徴(粒子がオブザーバーから離れた電極に隣接する場合、本明細書では以下「後方」電極と呼び、よって、粒子は着色された懸濁媒により隠される)を表示することができる。
【0005】
二重粒子媒体は、少なくとも1種の光学的特徴が異なる2種類の粒子、および未着色でも着色されていてもよいが、通常未着色の懸濁流体を有する。2種類の粒子は電気泳動移動性が異なり、この移動性における差異は、極性(この種類は本明細書では以下「逆の電荷の二重粒子」媒体と呼ぶことができる)および/または大きさにおける差異であってよい。このような二重粒子媒体が上述の対の電極間に配置された場合、2つの電極の相対的電位に応じて、媒体は、いずれかのセットの粒子の光学的特徴を表示することができるが、ただし、これが達成される正確な方式は、移動性の差異が極性に存在するか、または大きさのみに存在するかにより異なる。例証を簡略化するために、一方の種類の粒子が黒色であり、他方の種類が白色である電気泳動媒体について考察する。2つの種類の粒子が極性において異なる場合(例えば、黒色の粒子が正に荷電し、白色の粒子が負に荷電している場合)、粒子は2つの異なる電極へと誘引され、よって、例えば、後方電極に対して前方電極が負である場合、黒色の粒子が前方電極に、白色の粒子が後方電極に誘引され、よって媒体はオブザーバーには黒色に見える。逆に、後方電極に対して前方電極が正である場合、白色の粒子が前方電極に、黒色の粒子が後方電極に誘引され、よって媒体はオブザーバーには白色に見える。
【0006】
カプセル型電気泳動ディスプレイの耐用年数は、単一粒子と二重粒子の両種類とも、電気泳動粒子のカプセル壁への固着、および粒子がその光学状態間のディスプレイを切り替えるために必要な動きを完了するのを妨げる、粒子のクラスターへと凝集する傾向などの要因により制限され得る。この関連で、逆電荷の二重粒子電気泳動ディスプレイは、互いに近接する本質的に逆に荷電した粒子が互いに静電気により誘引され、安定した凝集を形成するという強い傾向を示すため、特に困難な問題を提示する。実験的に、未処理の市販のチタニアおよびカーボンブラック顔料を使用してこの種類の黒/白のカプセル型ディスプレイを生成するよう試みた場合、ディスプレイはまったく切り替わらないか、または商業目的では望ましくない程短い耐用年数を有するかのいずれかであることが判明した。
【0007】
電気泳動粒子の物理的特性および表面特徴は、粒子の表面上に様々な材料を吸着させること、または様々な材料をこれらの表面に化学的に結合させることにより改質することができることが長い間公知である。例えば、米国特許第4,285,801号は、分散剤として作用し、粒子のフロキュレーションを阻止し、それらの電気泳動感度を増加させると言われている高度フッ化ポリマーで粒子をコーティングした電気泳動ディスプレイ組成物について記載している。米国特許第4,298,448号は、媒体の作動温度では固体であるが、より高い温度で融解する、ワックスなどの有機材料で粒子をコーティングした電気泳動媒体について記載している。コーティングは電気泳動粒子の密度を低下させる働きをし、その上の電荷の均一性を増加させるとも言われている。米国特許第4,891,245号は、電気泳動ディスプレイに使用するための粒子を生成するためのプロセスについて記載しており、その高いコントラストまたは屈折率特性により好ましいとされる、重い固体の顔料がポリマー材料でコーティングされている。このプロセスは、結果として生じた粒子の比重を著しく減少させ、所与の電気泳動キャリア流体中の安定性のために選択することができ、許容される電気泳動の特徴を有する平滑なポリマー表面を有する粒子を作り出すと言われている。米国特許第4,680,103号は、第四級アンモニウム基を含有するオルガノシラン誘導体でコーティングした無機顔料粒子を使用した単一粒子電気泳動ディスプレイについて記載している。このコーティングは、オブザーバーに隣接する電極からの粒子の急速な放出、および凝集に対する耐性を提供すると言われている。
【0008】
後に、作動条件の変化が一部またはすべての改質材料の粒子の表面からの離脱を引き起こすことがあり、それによって、粒子の電気泳動特性に望ましくない変化を引き起こすことから、改質材料による電気泳動粒子の単純なコーティングは完全に満足できるものではないことが判明した。改質材料は電気泳動ディスプレイ内の他の表面上に堆積する可能性があり、これがさらなる問題を引き起こしかねない。したがって、改質材料を粒子の表面に固定させるための技術が開発されている。
【0009】
例えば、米国特許第5,783,614号は、ペンタフルオロスチレンのポリマーで改質されたジアリライドイエロー顔料粒子を使用した電気泳動ディスプレイについて記載している。改質された粒子は、未改質粒子、ペンタフルオロスチレンモノマーおよびフリーラジカル開始剤の混合物を形成し、モノマーが粒子の表面上で、in situで重合されるよう、この混合物を加熱およびかき混ぜることにより生成される。
【0010】
米国特許第5,914,806号は、ポリマーが粒子の表面に共有結合するように、顔料粒子を予め形成したポリマーと反応させることにより形成される電気泳動粒子について記載している。このプロセスは当然のことながら、共有結合を形成するために必要な反応を可能にする化学的特性を有する顔料およびポリマーに限定される。さらに、粒子材料と反応することが可能な部位をわずかしか有さないポリマーは、粒子表面の固体界面と反応することが困難である。これは、溶液中でのポリマー鎖立体配座、粒子表面での立体的な混雑、またはポリマーと表面との間の遅い反応が原因であり得る。多くの場合、これらの問題によりこのような反応は短いポリマー鎖に限定され、このような短鎖は通常、電気泳動媒体での粒子安定性に対してわずかな効果しか有さない。
【0011】
電気泳動ディスプレイにおいて、ポリマーから本質的になる粒子を使用することもまた公知である。暗色の粒子が必要とされる場合、ポリマー粒子は重金属酸化物で染色することができる。例えば、米国特許第5,360,689号;第5,498,674号;および第6,117,368号を参照されたい。ポリマーから電気泳動粒子を形成することは、粒子の化学組成に対する綿密な制御を可能にするが、このようなポリマー粒子は普通、無機顔料から形成された粒子よりもずっと低い不透明性を有する。
よって、電気泳動媒体用の顔料粒子への改善されたコーティングに対する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,285,801号明細書
【特許文献2】米国特許第4,298,448号明細書
【特許文献3】米国特許第4,891,245号明細書
【特許文献4】米国特許第4,680,103号明細書
【特許文献5】米国特許第5,783,614号明細書
【特許文献6】米国特許第5,914,806号明細書
【特許文献7】米国特許第5,360,689号明細書
【特許文献8】米国特許第5,498,674号明細書
【特許文献9】米国特許第6,117,368号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
一態様では、本発明は、表面に共有結合した中間残基を有する顔料粒子、および中間残基に結合したポリマーを含む電気泳動粒子を提供する。ポリマーは、1種または複数のモノマーから誘導され、モノマーの少なくとも1種は、式Iによるフェニル基を有するスチレンモノマーである:
【化1】
【0014】
[式中、R、R、R、R、およびRの少なくとも1つは、水素およびハロゲンからなる群より選択される]。電気泳動粒子は、懸濁流体中に粒子の分散物を含む電気泳動媒体中に含められてもよい。電気泳動媒体は電気光学ディスプレイに組み込まれてもよい。
【0015】
本発明のこれらおよび他の態様は以下の説明を考慮して明らかとなる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態は、例証にすぎないが、添付の図面を参照してここに記載される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、ポリマーコーティングでコーティングした様々な顔料粒子についての、ゼータ電位対ポリマーコーティング内のスチレン系モノマー単位のモルパーセントのプロットである。
【0018】
図2A図2A~2Eおよび図3A~3Eは、ポリマーコーティングでコーティングした顔料粒子を含有する様々なディスプレイ試料についての、5分間間隔にわたり行った反射率測定から計算した白色状態L*値のプロットである。
図2B図2A~2Eおよび図3A~3Eは、ポリマーコーティングでコーティングした顔料粒子を含有する様々なディスプレイ試料についての、5分間間隔にわたり行った反射率測定から計算した白色状態L*値のプロットである。
図2C図2A~2Eおよび図3A~3Eは、ポリマーコーティングでコーティングした顔料粒子を含有する様々なディスプレイ試料についての、5分間間隔にわたり行った反射率測定から計算した白色状態L*値のプロットである。
図2D図2A~2Eおよび図3A~3Eは、ポリマーコーティングでコーティングした顔料粒子を含有する様々なディスプレイ試料についての、5分間間隔にわたり行った反射率測定から計算した白色状態L*値のプロットである。
図2E図2A~2Eおよび図3A~3Eは、ポリマーコーティングでコーティングした顔料粒子を含有する様々なディスプレイ試料についての、5分間間隔にわたり行った反射率測定から計算した白色状態L*値のプロットである。
図3A図2A~2Eおよび図3A~3Eは、ポリマーコーティングでコーティングした顔料粒子を含有する様々なディスプレイ試料についての、5分間間隔にわたり行った反射率測定から計算した白色状態L*値のプロットである。
図3B図2A~2Eおよび図3A~3Eは、ポリマーコーティングでコーティングした顔料粒子を含有する様々なディスプレイ試料についての、5分間間隔にわたり行った反射率測定から計算した白色状態L*値のプロットである。
図3C図2A~2Eおよび図3A~3Eは、ポリマーコーティングでコーティングした顔料粒子を含有する様々なディスプレイ試料についての、5分間間隔にわたり行った反射率測定から計算した白色状態L*値のプロットである。
図3D図2A~2Eおよび図3A~3Eは、ポリマーコーティングでコーティングした顔料粒子を含有する様々なディスプレイ試料についての、5分間間隔にわたり行った反射率測定から計算した白色状態L*値のプロットである。
図3E図2A~2Eおよび図3A~3Eは、ポリマーコーティングでコーティングした顔料粒子を含有する様々なディスプレイ試料についての、5分間間隔にわたり行った反射率測定から計算した白色状態L*値のプロットである。
【0019】
図4図4は、ハロスチレンコモノマー単位を特色とするいくつかの顔料のゼータ電位(ZP)を報告する表である。Mw:分子量;Mn:数平均分子量;PDI:多分散指数;Mz:Z-平均分子量;Mp:ピーク分子量。
【0020】
図5図5および図6は、例である顔料を特色とするピクセル上で行った電気光学測定の結果を報告する表である。
図6図5および図6は、例である顔料を特色とするピクセル上で行った電気光学測定の結果を報告する表である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
定義
「ポリマー」という用語は、本明細書で使用される場合、同じ種類または2種もしくはそれよりも多くの種類であるかに関わらず、モノマーを重合することにより調製されるポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという一般名は「ホモポリマー」という用語を包含することを意図し、「インターポリマー」という用語は、本明細書で以下に定義される通りである。微量の不純物が、ポリマー構造に、および/またはポリマー構造内に組み込まれていてもよい。
【0022】
「インターポリマー」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも2種の異なるモノマーの重合により調製されるポリマーを指す。インターポリマーという一般名は、コポリマー(2種類の異なるモノマーから調製されるポリマーを指すよう使用される)および2種類より多くの異なるモノマーから調製されるポリマーを含む。したがって、「1種または複数のモノマーから誘導されるポリマー」は、モノマーが1種の場合にはホモポリマーを、モノマーが2種の場合にはコポリマーを、モノマーが3種またはそれよりも多い事例では他の種類のインターポリマーを指す。
【0023】
「モノマーの単位」、「モノマー単位」、「モノマー残基」、または「モノマーの残基」という用語は、対応するモノマーの重合から生じる残基を意味すると理解される。例えば、スチレンモノマーの重合から誘導されるポリマーは、スチレン系モノマーの繰返し単位を含むポリマーのセグメント、すなわち「-CH(C)CH-」をもたらす。
【0024】
詳細な説明
本発明の様々な実施形態は、電気泳動ディスプレイに組み込むことができる電気泳動媒体を提供する。Massachusetts Institute of Technology(MIT)、E Ink Corporation、E Ink California,LLCおよび関連会社に譲渡され、またはこれらの名義となっている多くの特許および出願は、カプセル型および微小セル電気泳動媒体ならびに他の電気光学媒体に使用される様々な技術について記載している。カプセル型電気泳動媒体は多くの小型カプセルを含み、これらのそれぞれはそれ自体、流体媒体中に電気泳動移動性粒子を含有する内相、および内相を取り囲んでいるカプセル壁を含む。通常、カプセルはそれら自体、ポリマー結合剤内に保持されて、2つ電極間に位置する干渉層を形成する。微小セル電気泳動ディスプレイでは、荷電した粒子および流体はマイクロカプセル内にカプセル化されないが、代わりに担体媒体、通常ポリマー性フィルム内に形成される複数の空洞内に保持される。これらの特許および出願に記載されている技術は以下を含む:
(a)電気泳動粒子、流体および流体添加剤;例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号を参照されたい;
(b)カプセル、結合剤およびカプセル化プロセス;例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号を参照されたい;
(c)微小セル構造、壁材料、および微小セルを形成する方法;例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号を参照されたい;
(d)微小セルを充填および密閉するための方法;例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号を参照されたい;
(e)電気光学材料を含有するフィルムおよびサブアセンブリー;例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号を参照されたい;
(f)ディスプレイに使用されるバックプレーン、接着剤層および他の補助層ならびに方法;例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号を参照されたい;
(g)色の形成および色の調整;例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号を参照されたい;
(h)ディスプレイを駆動するための方法;例えば、米国特許第7,012,600号および第7,453,445号を参照されたい;
(i)ディスプレイの適用;例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号を参照されたい;ならびに
(j)米国特許第6,241,921号および米国特許出願公開第2015/0277160号に記載されているような非電気泳動ディスプレイ;ならびにディスプレイ以外のカプセル化および微小セル技術の適用;例えば、米国特許出願公開第2015/0005720号および第2016/0012710号を参照されたい。
【0025】
上述の特許および出願の多くは、カプセル型電気泳動媒体の別個のマイクロカプセルを取り囲んでいる壁を連続相で置き換え、よって、電気泳動媒体が電気泳動流体の複数の別個の液滴およびポリマー材料の連続相を含む、いわゆるポリマー分散型電気泳動ディスプレイを生成することができること、ならびに別個のカプセル膜がそれぞれ個々の液滴と会合していないとしても、このようなポリマー分散型電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の別個の液滴は、カプセルまたはマイクロカプセルとみなすことができることを認識している。例えば、米国特許第6,866,760号を参照されたい。したがって、本出願の目的に対して、このようなポリマー分散型電気泳動媒体はカプセル型電気泳動媒体の亜種とみなされる。
【0026】
カプセル型電気泳動ディスプレイは通常、従来の電気泳動デバイスのクラスタリングおよび沈降の不具合モードに悩まされることなく、さらなる利点、例えば、多種多様な柔軟かつ剛性の基材上にディスプレイを印刷またはコーティングする能力を提供する。(「印刷」という単語の使用は、すべての形態の印刷およびコーティングを含むことを意図し、これらに限定されないが、予備計量されたコーティング、例えば、パッチダイコーティング、スロットまたは押出しコーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング;ロールコーティング、例えば、ナイフオーバーロールコーティング、フォワードおよびリバースロールコーティング;グラビアコーティング;ディップコーティング;スプレーコーティング;メニスカスコーティング;スピンコーティング;ブラシコーティング;エアナイフコーティング;シルクスクリーン印刷法;静電気印刷法;熱印刷法(thermal printing process);インクジェット式印刷法;電気泳動堆積(electrophoretic deposition)(米国特許第7,339,715号を参照されたい);および他の類似の技術が含まれる。よって、結果として得られるディスプレイは柔軟であり得る。さらに、ディスプレイ媒体は(様々な方法を使用して)印刷することができるので、ディスプレイそれ自体は安価に作製することができる。
【0027】
電気泳動ディスプレイは通常、電気泳動材料の層および電気泳動材料の対向する面に配置された少なくとも2つの他の層(これら2つの層のうちの一方は電極層である)を含む。大部分のこのようなディスプレイでは、両方の層が電極層であり、電極層のうちの一方または両方がパターン化されて、ディスプレイのピクセルを定義する。例えば、一方の電極層は細長い行電極へ、他方は行電極に対して直角に走る細長い列電極へとパターン化され得、ピクセルは行電極と列電極との交点により定義される。代わりに、およびより一般的には、一方の電極層は単一の連続電極の形態を有し、他方の電極層はピクセル電極のマトリックスへとパターン化され、そのそれぞれがディスプレイの1つのピクセルを定義する。ディスプレイとは別のスタイラス、プリントヘッドまたは類似の移動可能な電極を用いた使用を目的とする別の種類の電気泳動ディスプレイでは、電気泳動層に隣接する層のうちの1つのみが電極を含み、電気泳動層の反対側の層は通常、移動可能な電極による電気泳動層の損傷を阻止することを目的とする保護層である。
【0028】
3層電気泳動ディスプレイの製造は通常、少なくとも1つの積層作業を含む。例えば、上述のMITおよびE Inkの特許および出願のうちのいくつかにおいて、カプセル型電気泳動ディスプレイを製造するためのプロセスであって、結合剤中にカプセルを含むカプセル型電気泳動媒体がインジウムスズ酸化物(ITO)を含む柔軟性基材上に、または類似の伝導性コーティング(最終ディスプレイの1つの電極として作用する)がプラスチックフィルム上にコーティングされ、カプセル/結合剤コーティングを乾燥させて、基材に強固に接着された電気泳動媒体の干渉層を形成する、プロセスが記載されている。これとは別に、回路を駆動するピクセル電極を接続する一連のピクセル電極および適当な配置の伝導体を含有するバックプレーンが調製される。最終ディスプレイを形成するため、積層接着剤を使用して、その上にカプセル/結合剤層を有する基材がバックプレーンに積層される。(バックプレーンを、単純な保護層、例えば、その上をスタイラスまたは他の移動可能な電極がスライドすることができるようなプラスチックフィルムに置き換えることにより、非常に類似のプロセスを使用して、スタイラスまたは類似の移動可能な電極で使用可能な電気泳動ディスプレイを調製することができる)。このようなプロセスの1つの好ましい形態では、バックプレーンは、それ自体柔軟であり、ピクセル電極および伝導体をプラスチックフィルムまたは他の柔軟性基材上に印刷することにより調製される。このプロセスによるディスプレイの大量生産のための明らかな積層技術は、積層接着剤を使用したロール積層である。
【0029】
本発明は、上記のいずれかの形態のカプセル型電気泳動媒体に適用することができる。しかし、本発明はカプセル型媒体に限定されず、非カプセル型媒体にも適用することができる。
【0030】
本発明は、電気泳動媒体に使用可能な任意の種類の粒子に適用することができ、このような粒子の選択には多大な柔軟性がある。本発明の目的のため、粒子は、荷電しているか、または電荷を獲得することが可能な任意の構成成分(すなわち、電気泳動移動性を有する、または獲得することが可能である)であり、場合によっては、この移動性はゼロであっても、またはゼロに近くてもよい(すなわち、粒子は移動しない)。粒子は、例えば、ニートの顔料もしくは染色(レーキ(laked))顔料、または荷電しているか、または電荷を獲得することが可能な任意の他の構成成分であってよい。電気泳動粒子に対する典型的な考慮事項は、その光学特性、電気的特性、および界面化学である。粒子は有機または無機化合物であってよく、それらは光を吸収しても、または光を散乱してもよい。本発明で使用するための粒子は、散乱性顔料、吸収性顔料および発光性粒子をさらに含むことができる。粒子は再帰反射性、例えば、コーナーキューブであってもよく、または粒子はエレクトロルミネッセンス性、例えば、ACフィールドにより励起されると光を放出する硫化亜鉛粒子であってもよく、または粒子は光ルミネセンス性であってもよい。硫化亜鉛エレクトロルミネッセンス粒子は、絶縁用コーティングでカプセル化して、電気伝導を減少させることができる。
【0031】
電気泳動粒子は普通、顔料、レーキ顔料、または上記のいくつかの組合せである。ニートの顔料は任意の顔料であることができ、普通明色の粒子に対して、顔料、例えば、ルチル(チタニア)、鋭錐石(チタニア)、硫酸バリウム、カオリン、または酸化亜鉛が有用である。いくつかの典型的な粒子は、高い屈折率、高い散乱係数、および低い吸収係数を有する。他の粒子は吸収性の、例えば、カーボンブラックまたはペイントおよびインクに使用される着色顔料である。顔料はまた懸濁流体には不溶性であるべきである。イエロー顔料、例えば、ジアリライドイエロー、Hansaイエロー、およびベンジジンイエローは、類似のディスプレイにおける使用も見出されている。任意の他の反射材料を、金属粒子などの非顔料材料を含めた明色の粒子に対して用いることができる。
【0032】
粒子はまた、レーキ顔料または染色顔料を含むこともできる。レーキ顔料とは、その上に染料を沈殿させた、または染色された粒子である。レーキは容易に溶解するアニオン性染料の金属塩である。これらは1種または複数のスルホン酸またはカルボン酸のグループ分けを含有するアゾ、トリフェニルメタンまたはアントラキノン構造の染料である。それらは普通カルシウム、バリウムまたはアルミニウム塩により、基材上に沈殿される。典型的な例は、ピーコックブルーレーキ(Clピグメントブルー24)およびペルシャオレンジ(Clアシッドオレンジ7のレーキ)、ブラックMトナー(GAF)(カーボンブラックとレーキ上に沈殿させた黒色染料の混合物)である。
【0033】
染色した種類の暗色の粒子は、任意の光吸収材料、例えば、カーボンブラック、または無機黒色材料から構築することができる。暗色の材料はまた選択的に吸収性であることができる。例えば、濃緑色の顔料を使用することができる。
【0034】
粒子の光学的目的は光を散乱すること、光を吸収すること、または両方であってよい。有用なサイズは1nmから約100μmまでの範囲であってよい。電気泳動粒子の密度は懸濁(すなわち、電気泳動)流体の密度に実質的に合致させることができる。本明細書で定義された通り、懸濁流体は、それらのそれぞれの密度の差異が約ゼロ~約2グラム/ミリリットル(「g/ml」)の間である場合、粒子の密度に「実質的に合致させた」密度を有する。この差異は好ましくは約ゼロ~約0.5g/mlの間である。
【0035】
新たなおよび有用な電気泳動粒子はさらに発見され得るが、いくつかの粒子は電気泳動ディスプレイの当業者にはすでに公知であり、液体トナーもまた有用であることが分かり得る。
【0036】
白色のエレクトロ粒子(electroparticle)を形成するための現在好ましい材料は金属酸化物(および/または水酸化物)、特にチタニアである。チタニア粒子は酸化物、例えば、アルミナまたはシリカでコーティングされていてもよく、例えば、このようなコーティングの存在は、おそらく、むき出しのチタニア表面と懸濁流体との間の境界面で生じ得る光化学反応などの反応を抑制することにより、電気泳動媒体中のチタニアの安定性を改善するように見える。チタニア粒子は、1つ、2つまたはそれよりも多くの層の金属酸化物コーティングを有することができる。例えば、本発明の電気泳動ディスプレイに使用するためのチタニア粒子は、アルミナのコーティングおよびシリカのコーティングを有することができる。コーティングは、任意の順序で粒子に加えることができる。代わりに、チタニア粒子は、チタニア粒子の表面にシリカおよびアルミナの別個の領域が含まれるシリカ/アルミナコーティングを有することもできる。このようなコーティングしたチタニアは、商標名R960でE.I.du Pont de Nemours and Company、Wilmington、Del.から市販されている。このようなコーティングした粒子においてコーティングはチタニアを完全に覆っているため、開始剤または重合性基を粒子表面に付着させるために使用される任意の試薬は、コーティングと反応しなければならず、チタニアと反応し得る必要はないことが認識されよう。顔料上にシリカコーティングを形成するための技術は文献に記載されており(例えば、米国特許第3,639,133号を参照されたい)、このような技術は多種多様な材料上にシリカコーティングを生成するように容易に適合させることができるので、本プロセスが、最初にシリカコーティングをその材料上に提供することにより、これらの材料のいずれかを利用するように容易に適合させることができることが本発明の重要な利点の1つである。シリカコーティングを粒子の表面上に生成する別の好ましい技術は米国特許第6,822,782号に記載されている。シリカコーティングは、一度適用させてしまえば、ポリマーコーティングした粒子を形成する残りのステップは本質的に類似のものである。なぜなら、これは、使用される試薬はシリカコーティングのみを「見る」ため、化学的プロセスのステップはシリカコーティングの下にある顔料の化学的性質とは本質的に無関係だからである。粒子表面は、二官能性試薬、好ましくは以下に論じられているシランカップリング剤と反応するために少なくともいくつかの曝露されたシリカの領域を有するべきであり、このシランカップリング剤がシリカと反応し、粒子表面とポリマーコーティングとの間の連結を形成する。
【0037】
暗色のエレクトロ粒子を形成するために好ましい材料として、亜クロム酸銅ブラックスピネル、例えば、The Shepherd Color Company、Cincinnati、OHによりブラック20C920として商業的に販売されているC.I.Pigment Black28、またはマンガンフェライトブラックスピネル、例えば、The Shepherd Color CompanyによりBlack444としても商業的に販売されているC.I.Pigment Black26が挙げられる。
【0038】
本発明の様々な実施形態によると、非置換または置換スチレンモノマーを含む1種または複数のモノマーから誘導されたポリマーで顔料粒子がコーティングされている場合、電気泳動粒子は改善された電気泳動分散物を提供することができる。スチレンモノマーは、式Iによるフェニル基を含むことができる:
【化2】
[式中、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、水素およびハロゲンからなる群より選択される]。置換スチレンモノマーの例として、これらに限定されないが、4-フルオロスチレン、2-フルオロスチレン、4-クロロスチレン、2-クロロスチレン、4-ブロモスチレン、2-ブロモ-スチレン、4-ヨードスチレン、2-ヨードスチレン、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0039】
以下の実施例からわかるように、電気泳動ディスプレイに使用される粒子のポリマーシェルを形成するためのスチレン系モノマーの使用は、負に荷電した粒子のゼータ電位を増加させる。ポリマーシェル中のスチレン系モノマーの単位の割合が増加するにつれて、ゼータ電位は次第に負となる。置換スチレン系モノマーに関して、ハロゲン化モノマーの単位の最適な割合は、使用される特定のハロゲン化スチレンモノマー、用いられる他のモノマーおよび電気泳動媒体中に存在する他の粒子を含めた他の要素と共にいくらか変動し得ることが認識されよう。
【0040】
本発明の電気泳動媒体に使用されるポリマーコーティングした粒子は、その全内容が本明細書に参照により組み込まれている上述の米国特許第6,822,782号に記載されているプロセスのいずれかにより生成することができる。
【0041】
1つのこのようなプロセスでは、ポリマーコーティングがその上に形成されることになる粒子は、粒子表面と反応し、それに結合することが可能な官能基、およびスチレン系モノマーを含む他の重合性モノマーと重合し得る重合性基、例えばペンダントビニルまたは他のエチレン性不飽和基を有する二官能性試薬と反応する。したがって、二官能性試薬は、顔料粒子の表面とポリマーコーティングとの間の連結を形成する中間残基へと変換される。チタニアおよび類似のシリカコーティングした顔料へ結合するために好ましいクラスの二官能性試薬の官能基は、シランカップリング基、特にトリアルコキシシランカップリング基である。重合性基をチタニアおよび類似の顔料に付着させるために特に好ましい1種の試薬は、上述の3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートであり、これは、商標名Z6030でDow Chemical Company、Wilmington、Del.から市販されている。対応するアクリレートもまた使用することができる。
【0042】
別のプロセスでは、二官能性試薬は、粒子表面と反応し、これに結合することが可能な第1の官能基、および例えば、酸塩基反応を介した、重合性モノマーとのイオン結合を形成することが可能な第2の官能基を有する。例えば、二官能性試薬は、塩基性基、好ましくは置換アンモニウム基、例えば、N-トリメトキシシリルプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリドを含有し、これによって、シリカコーティングした粒子表面上にアミノ基を提供するシランカップリング剤であってよい。次いで、結果として生じたアミノ官能化粒子は、好ましくは所望の重合性基を含有する酸、例えば、4-スチレンスルホン酸クロリド二水和物で処理して、第四級アンモニウム基とイオン会合したスチレン官能性を有する顔料を得る。次いで、スチレン官能基は、置換または非置換のスチレンモノマーを含む1つまたは複数のモノマーと重合することができる。
【0043】
さらに別のプロセスでは、二官能性試薬は、粒子表面と反応し、これに結合することが可能な第1の官能基、および原子移動ラジカル重合のための開始部位を提供する第2の官能基を有する。次いで、置換または非置換のスチレンモノマーを含む1つまたは複数のモノマーを開始部位で重合することができる。
【0044】
次いで、重合性基を、重合を実行する条件下で、置換または非置換のスチレンモノマーを含む1つまたは複数のモノマーと反応させる。置換または非置換のスチレンモノマーと重合して、顔料粒子の周囲にポリマーコーティングを形成することができる追加のモノマーとして、これらに限定されないが、2-エチルヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、t-ブチルアクリレート、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチルアクリレート、2-フルオロエチルメタクリレート、2-フルオロエチルアクリレート、2-クロロエチルメタクリレート、2-クロロエチルアクリレート、2-ブロモエチルメタクリレート、2-ブロモエチルアクリレートおよびこれらの組合せが挙げられる。代わりに、以前に列挙したステップを逆転して、置換または非置換のスチレンモノマーを含む1つまたは複数のモノマーを予め重合して、オリゴマーおよび/またはポリマーを形成し、続いてこのオリゴマーおよび/またはポリマーを顔料粒子に結合することができるようにしてもよい。
【0045】
顔料粒子上へのポリマーの提供とは別に、本発明の電気泳動媒体は、上述のMassachusetts Institute of TechnologyおよびE Ink Corporationの特許および出願と同じ構成成分および製造技術を用いることができる。以下のセクションは、本発明のカプセル型電気泳動ディスプレイの様々な構成成分に使用するための有用な材料について記載する。
【0046】
A.懸濁流体
【0047】
粒子を含有する懸濁流体は、特性、例えば、密度、屈折率、および溶解度に基づき選択されるべきである。好ましい懸濁流体は、低い誘電率(約2)、高い体積抵抗率(約1015ohm-cm)、低い粘度(5センチストーク(「cst」)未満)、低い毒性および環境への影響、低い水溶解度(10百万分率(「ppm」)未満)、高い沸点(90℃より上)、ならびに低い屈折率(1.2未満)を有する。
【0048】
懸濁流体の選択は、化学的不活性、電気泳動粒子に適合した密度、または電気泳動粒子と結合カプセル(カプセル型電気泳動ディスプレイの場合)の両方との化学的適合性などの懸案事項に基づくことができる。粒子の動きが所望される場合、流体の粘度は低くするべきである。
【0049】
懸濁流体は単一の流体を含んでもよい。しかし、流体は多くの場合、その化学的および物理的特性を調節するために1つより多くの流体のブレンドである。さらに、流体は、電気泳動粒子または結合カプセルの表面エネルギーまたは電荷を改変するための表面改質剤を含有することができる。マイクロカプセル化プロセスに対する反応物または溶媒(例えば、油溶性モノマー)も懸濁流体中に含有されていてもよい。電荷制御剤もまた懸濁流体に加えることができる。
【0050】
カプセルが形成される前に、流体を小液滴へと形成することが可能でなければならない。小液滴を形成するためのプロセスは、フロースルージェット、膜、ノズル、または開口部、ならびに剪断ベースの乳化スキームを含む。小液滴の形成は電場または音波場(sonic field)により補助されてもよい。エマルジョン型カプセル化の場合、液滴の安定化および乳化を助けるために界面活性剤およびポリマーを使用することができる。
【0051】
いくつかのディスプレイにおいて、懸濁流体が光学的吸収染料を含有することが有利であり得る。この染料は、流体に溶解可能でなければならないが、カプセルの他の構成成分には一般的に不溶性である。染料材料の選択には多大な柔軟性が存在する。染料は、黒色を含めた特定の色を達成するために、純粋な化合物、または染料のブレンドであり得る。染料は蛍光であり得、これによって蛍光特性が粒子の位置に依存するディスプレイが生成される。染料は、可視光または紫外線光の照射により、別の色に変化したり、無色になったりする光反応性であり得、これにより光学的応答を得るための別の手段が得られる。染料はまた、例えば、熱的、光化学的または化学的拡散プロセスにより重合可能であってもよく、これによって、結合シェルの内側に固体吸収ポリマーを形成する。
【0052】
カプセル型電気泳動ディスプレイに使用することができる多くの染料が存在する。ここで重要な特性として、耐光性、懸濁物体への溶解度、色、およびコストが挙げられる。これらの染料は一般的に、アゾ、アントラキノン、およびトリフェニルメタンタイプの染料のクラスから選択され、油相でのそれらの溶解度を増加させる、および粒子表面によるそれらの吸着を減少させるために化学的に改質されてもよい。
【0053】
B.電荷制御剤および粒子安定剤
【0054】
電荷制御剤は、ポリマーコーティング中の荷電した基と共に、または荷電した基なしで使用して、良好な電気泳動移動性を電気泳動粒子にもたらすことができる。安定剤を使用して、電気泳動粒子の凝集を阻止すること、ならびに電気泳動粒子のカプセル壁上への不可逆的堆積を阻止することができる。いずれの構成成分も、広範囲な分子量にわたる(低分子量、オリゴマーの、またはポリマーの)材料から構築することができ、単一の純粋な化合物であっても、または混合物であってもよい。粒子表面電荷を改変および/または安定化するために使用される電荷制御剤は、液体トナー、電気泳動ディスプレイ、非水性ペイント分散物、およびエンジン油添加剤の技術分野で一般的に公知の通り適用される。これら技術分野のすべてにおいて、荷電種は、電気泳動移動性を増加させるまたは静電気安定化を増加させるために非水性媒体に加えることができる。材料は、立体安定化も改善することができる。選択的イオン吸着、プロトン移動、および接触帯電を含めた荷電の異なる理論が仮定される。
【0055】
必要に応じた電荷制御剤または電荷指向剤(charge director)を使用することができる。これらの構成物質は通常、低分子量の界面活性剤、ポリマー作用物質(polymericagent)、または1種もしくは複数の構成成分のブレンドからなり、電気泳動粒子上の電荷の符号および/または大きさを安定化させるまたは他の方法で改変するために機能する。関連があり得る追加の顔料特性は、粒径分布、化学組成、および耐光性である。
【0056】
電荷佐剤(charge adjuvant)を加えることもできる。これらの材料は、電荷制御剤または電荷指向剤の有効性を増加させる。電荷佐剤はポリヒドロキシ化合物またはアミノアルコール化合物であってよく、好ましくは少なくとも2重量%の量で懸濁流体中に溶解可能である。電荷佐剤は、懸濁流体中に、粒子質量1グラム当たり約1~約100ミリグラム(「mg/g」)、より好ましくは約50~約200mg/gの量で好ましくは存在する。
【0057】
一般的に、荷電は、連続相および粒子表面に存在するいくつかの部分間での酸塩基反応として生じると考えられている。よって有用な材料は、このような反応、または当技術分野で公知の他の任意の荷電反応に参加することが可能なものである。
【0058】
粒子のフロキュレーションまたはカプセル壁への付着を阻止するために粒子分散安定剤を加えてもよい。電気泳動ディスプレイに懸濁流体として使用される抵抗性の高い典型的な液体に対して、非水性界面活性剤を使用することができる。
【0059】
双安定電気泳動媒体が所望される場合、懸濁流体中に約20,000を超える数平均分子量を有するポリマーを含むことが望ましいこともあり、このポリマーは電気泳動粒子上で本質的に非吸収性であり、この目的のためにはポリ(イソブチレン)が好ましいポリマーである。米国特許第7,170,670号を参照されたい。
【0060】
C.カプセル化
【0061】
電気泳動媒体を含有するカプセルは任意のサイズまたは形状のものであってよい。カプセルは、例えば、球状であってよく、ミリメートル範囲またはミクロン範囲の直径を有してもよいが、好ましくは約10~約数100ミクロンである。
【0062】
内相のカプセル化は、いくつかの異なる方式で達成することができる。マイクロカプセル化に対する多くの適切な手順は、Microencapsulation, Processes and Applications, (I.E. Vandegaer,ed.), Plenum Press, New York, N.Y.(1974)およびGutcho, Microcapsules andMicroencapsulation Techniques, Noyes Data Corp., Park Ridge, N.J.(1976)の両方に詳述されている。プロセスは、いくつかの一般的カテゴリーに分類されており、それらすべては本発明に適用することができる:界面重合、in situ重合、物理的プロセス、例えば、共押出しおよび他の相分離法、液中硬化、ならびに単純/複合コアセルベーション。本発明との関連で、当業者は、所望のカプセル特性に基づき、カプセル化手順および壁材料を選択する。これらの特性として、カプセル半径の分布;カプセル壁の電気的、機械的、拡散、および光学特性;ならびにカプセルの内相との化学的適合性が挙げられる。
【0063】
カプセル壁は一般的に高い電気抵抗を有する。比較的低い抵抗性を有する壁を使用することも可能ではあるが、これは比較的より高いアドレシング電圧を必要とするという点で性能を限定する可能性がある。カプセル壁はまた機械的に強くあるべきである(ただし、完成したカプセルがコーティング用の硬化性ポリマー結合剤中に分散される場合、機械的強度はそれほど重大ではない)。カプセル壁は、一般的に多孔質であるべきではない。しかし、多孔質カプセルを生成するカプセル化手順を使用することが所望される場合、これらは後処理ステップでオーバーコートすることができる(すなわち、第2のカプセル化)。さらに、カプセルが硬化性結合剤中に分散される場合、結合剤は細孔を閉鎖するように機能する。カプセル壁は光学的に透明であるべきである。しかし、壁材料は、カプセルの内相(すなわち、懸濁流体)またはカプセルが分散する結合剤の屈折率と一致するように選択することができる。いくつかの適用に対して(例えば、2つの固定された電極間の介在)、単分散のカプセル半径が望ましい。
【0064】
本発明に適合したカプセル化技術は、油/水エマルジョンの水相内での、負に荷電し、カルボキシル置換された、直鎖炭化水素高分子電解質材料の存在下でのウレアとホルムアルデヒドとの間の重合を含む。結果として得られるカプセル壁はウレア/ホルムアルデヒドコポリマーであり、これは内相を別個に封入する。カプセルは透明で、機械的に強く、良好な抵抗特性を有する。
【0065】
in situ重合の関連技術は油/水エマルジョンを利用し、この油/水エマルジョンは、電気泳動流体(すなわち、顔料粒子の懸濁物を含有する誘電性液体)を水性環境で分散することにより形成される。モノマーを重合して、水相に対する親和性よりも高い親和性を内相に対して有し、よって乳化した油性液滴の周囲に縮合するポリマーを形成する。1つのin situ重合法では、ウレアおよびホルムアルデヒドは、ポリ(アクリル酸)の存在下で縮合する(例えば、米国特許第4,001,140号を参照されたい)。米国特許第4,273,672号に記載されている他のプロセスでは、水溶液中にある様々な架橋剤のいずれかが微細な油液滴の周囲に堆積する。このような架橋剤として、アルデヒド、特にホルムアルデヒド、グリオキサール、またはグルタルアルデヒド;ミョウバン;ジルコニウム塩;およびポリイソシアネートが挙げられる。
【0066】
コアセルベーション手法もまた油/水エマルジョンを利用する。1種または複数のコロイドが水相からコアセルベートされ(すなわち、凝集される)、温度、pHおよび/または相対濃度の制御を介して油性液滴の周囲にシェルとして堆積し、これによってマイクロカプセルを作り出す。コアセルベーションに適した材料として、ゼラチンおよびアラビアガムが挙げられる。例えば、米国特許第2,800,457号を参照されたい。
【0067】
界面重合手法は、電気泳動組成物中の油溶性モノマーの存在に依存し、これもまた水相中のエマルジョンとして存在する。微細な疎水性液滴中のモノマーは、水相に導入されたモノマーと反応し、液滴と取り囲んでいる水性媒体との間の境界面で重合し、液滴の周囲にシェルを形成する。結果として得られる壁は比較的薄く、透過性であり得、このプロセスは、いくつかの他のプロセスの特徴である高温を必要とせず、したがって誘電性液体を選択するという点でより大きな柔軟性が生まれる。
【0068】
上で説明されたように、代替の技術は、本発明の様々な実施形態に従い、分散物をポリマー性フィルムで形成された複数の微小セルに充填および密閉すること、または分散物をポリマー分散型フィルムに組み込むことを含むことができる。
【0069】
D.結合剤材料
【0070】
生成されたカプセルは、硬化性担体、例えば、結合剤材料に分散することができ、従来の印刷およびコーティング技術を使用して、大きい、かつ任意の形状のまたは湾曲した表面上に印刷またはコーティングすることができるインクをもたらす。結合剤は通常、カプセルを支持および保護し、ならびに電極材料をカプセル分散物に結合させる接着性媒体として使用される。結合剤は非伝導性、半導性、または伝導性であり得る。結合剤は多くの形態および化学型で入手可能である。これらの中には、水溶性ポリマー、水性ポリマー、油溶性ポリマー、熱硬化性および熱可塑性ポリマー、ならびに放射線硬化型ポリマーがある。
【0071】
コーティング助剤は、コーティングまたは印刷された電気泳動インク材料の均一性および品質を改善するために使用することができる。湿潤剤は通常、コーティング/基材境界面の界面張力を調整するため、および液体/空気表面張力を調整するために加えられる。湿潤剤として、これらに限定されないが、アニオン性およびカチオン性界面活性剤、ならびに非イオン性種、例えば、シリコーンまたはフルオロポリマーベースの材料が挙げられる。分散剤は、カプセルと結合剤との間の界面張力を改変するために使用することができ、これによってフロキュレーションおよび粒子沈降に対する制御が得られる。
【0072】
表面張力改質剤は、空気/インク界面張力を調整するために加えることができる。ポリシロキサンは通常、コーティング内の他の欠陥を最小限に抑えながら、表面平滑化を改善するような適用に使用される。泡止め剤、例えば、シリコーンおよびシリコーンフリーのポリマー材料は、インク内から表面への空気の動きを増強し、コーティング表面における気泡の破裂を促進させるために加えることができる。安定剤、例えば、UV吸収体および抗酸化剤もまた、インクの寿命を改善するために加えることができる。
【0073】
他のカプセル型電気泳動ディスプレイのように、本発明のカプセル型電気泳動ディスプレイは、簡単に製造することができ、わずかな電力しか消費しない(またはある特定の状態での双安定ディスプレイの場合には電力を消費しない)柔軟な、反射型ディスプレイを提供する。したがって、このようなディスプレイは様々な適用に組み込むことができ、多くの形態を取ることができる。電場が除去されると、電気泳動粒子は一般的に安定し得る。さらに、その後電荷を提供することにより、粒子の以前の構成を変化させることができる。このようなディスプレイは、例えば、懸濁流体中に複数の異方性粒子および複数の第2の粒子を含むことができる。第1の電場の印加は、異方性粒子に特定の方向性を担わせ、光学特性を提示させることができる。第2の電場の印加は、次いで複数の第2の粒子を変換させ、それによって異方性粒子の方向を失わせ、光学特性を撹乱させることができる。代わりに、異方性粒子の方向性は、複数の第2の粒子のより簡単な変換を可能にし得る。代わりにまたは加えて、粒子は、懸濁流体の屈折率と実質的に一致させた屈折率を有することもできる。
【実施例
【0074】
本発明の様々な実施形態に従い電気泳動媒体を作製するために使用される特に好ましい試薬、条件および技術の詳細を示すために、以下の実施例が、例証としてのみではあるがここに付与される。
【0075】
試料の調製
【0076】
1Lプラスチックビン内で、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(Dow Z-6030)で表面官能化した300gのDuPont R-794チタニアを290.0gのトルエン中に分散させ、次いで所望の量に従いモノマーを顔料トルエン混合物に加えた。モノマーは、総量0.912モルの前駆体で、ラウリルメタクリレート、ならびに4-クロロスチレン、4-ブロモスチレン、4-フルオロスチレン、およびペンタフルオロスチレンのうちのいずれか1種、ならびにスチレンモノマーで調製した試料の間で分割して、所望のモル濃度(1、2、および5)のモル%の各スチレン系モノマーを得た。
【0077】
顔料およびモノマー混合物を1Lジャケット付きガラス反応器に加え、反応器を窒素でパージし、激しく混合しながら65℃に加熱した。事前に43gのトルエンに溶解した、フリーラジカル開始剤2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN、Aldrich)2.00gを15分間にわたり滴下添加した。重合の第1のステップは、AIBNの添加後、窒素下、65℃で60分間加熱することであった。次いで、第2のステップの重合のため、ラウリルメタクリレートを30分間にわたり計量した。ラウリルメタクリレートの添加後、65℃で連続的にかき混ぜながら、容器を窒素下で8時間加熱した。次いで、容器を大気に曝露した。次いで、混合物を3つの1Lプラスチックビンに分け、およそ500mLのトルエンを各ビンに加えた。ビンを激しく混合した。顔料を3500rpmで20分間、遠心分離により単離した。上清を廃棄し、およそ500mLのトルエンを各ビンに添加することにより顔料を2回洗浄し、激しく撹拌して、顔料を分散し、3500rpmで20分間遠心分離した。顔料を対流式オーブン内で、90℃で終夜乾燥させた。
【0078】
試料の分析
【0079】
試料をTHFで洗浄した前と後の両方に(洗浄物TGA)、コーティングした顔料粒子に対して熱重量分析(TGA)を実施した。洗浄物TGAは、白色顔料粒子上にグラフトしたポリマーの指標であり、これは6.8重量%~7.8重量%であった。界面活性剤(Solsperse17000)と共にIsopar E中に分散させた試料上で、Colloidal Dynamics ZetaProbeを使用して、ゼータ電位(ZP)測定を実施した。
【0080】
図4の表に示されている通り、ハロスチレンコモノマー単位を有するすべての顔料は、基準の顔料のゼータ電位よりも著しく負のゼータ電位を有する結果となった。図1は、より多量のハロスチレンコモノマーを使用するほど、結果として生じる顔料がより負のゼータ電位値を有したこともまた例証している。より多くフルオロ基を有するモノマー、すなわち2,3,4,5,6-ペンタフルオロスチレン(pentafluorostyene)は、白色顔料のゼータ電位に対して多くの効果を有さなかった。
【0081】
炭化水素溶媒中で白色顔料の試料を、黒色顔料と合わせることにより分散物を調製した。分散物をゼラチン/アカシアマイクロカプセルにカプセル化し、次いでこれをポリマー結合剤と混合して、スラリーを生成した。インジウムスズ酸化物(ITO)をコーティングしたポリマー性フィルム上にスラリーをバーコーティングし、乾燥させた。結果として生じたシートを小片に切断した。これとは別に、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートをドープした特注のポリウレタン積層接着剤の層で剥離シートをコーティングし、マイクロカプセル/ポリマーフィルムの小片よりもわずかに小さなサイズに切断した。マイクロカプセルでコーティングしたフィルムを、コーティングした剥離シートに積層した。最終ステップで、剥離シートを除去し、接着面を、伝導層を有する2インチ(51mm)の正方形ポリマーフィルムに積層して、単一ピクセルディスプレイを生成し、これに電気的接続を加えた。
【0082】
明所視補正された(photopically corrected)フォトダイオードを使用して、単一ピクセルディスプレイの電気光学測定値を得た。これらの試験では、240ミリ秒15Vパルスを使用して、ディスプレイをそれらの黒色および白色の極限光学状態へと繰り返し駆動し、次いでそれらの黒色または白色の極限光学状態のいずれかへと駆動した。駆動パルスの終点から20ミリ秒間隔で5分間の期間、光学状態の反射率を測定した。次いで、反射率値を使用して、試料の白色状態(WS)および暗色状態(DS)に対するL*(式中、L*は通常のCIE定義:L*=116(R/R1/3-16を有し、Rは反射度(reflectance)であり、Rは標準的反射度値である)を計算した。5分間の期間にわたる白色状態L*値をプロットし、これが図2A~2Eおよび図3A~3Eに提供されている。加えて、駆動パルスの終点から30秒後に記録された反射率値から計算したWSとDSのL*値の間の差異と等しいダイナミックレンジ(「DR」)、ならびに30秒の状態における白色状態の暗色状態に対する反射率の比率と等しいコントラスト比率(「CR」)を計算した。5分間の期間の間に取得した反射率測定から計算した最大L*値と最小L*値との間の差異と等しいWS範囲およびDS範囲を計算することによって、5分間画像の安定性を決定した。結果は図5および6の表に提供されている。
【0083】
図5および6を参照すると、すべての顔料は類似の30s WS/DS値を示したが、1%の2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート(TFEM)コモノマーで調製した対照試料は、1%のハロゲン置換および非置換のスチレンで調製したポリマーコーティングを有する粒子とは異なり、5分のWSおよびDS範囲の両方に対して高い範囲を示した。よって、本発明の様々な実施形態に従い作製されたポリマーは、粒子が組み込まれているディスプレイの画像安定性に悪影響を与えることなく、電気泳動粒子のゼータ電位を増加させる方法を提供する。
【0084】
本発明の範囲から逸脱することなく、上記の本発明の特定の実施形態に多くの変更および修正を行うことができることは当業者には明らかである。したがって、前述の説明の全部が、限定的意味ではなく、例証的意味として解釈されるものとする。
【0085】
上述の特許、出願、および刊行物のすべての内容は、それらの全体において本明細書に参照により組み込まれている。本出願および本明細書に参照により組み込まれている特許および出願のいずれかの内容にいずれかの不整合があった場合、このような不整合を解決するのに必要な範囲内で、本出願の内容が優先されるものとする。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
図6
【国際調査報告】