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特表2022-526009流体配管用のクイックコネクタ装置に挿入するための挿入片
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  • 特表-流体配管用のクイックコネクタ装置に挿入するための挿入片 図1a
  • 特表-流体配管用のクイックコネクタ装置に挿入するための挿入片 図1b
  • 特表-流体配管用のクイックコネクタ装置に挿入するための挿入片 図2a
  • 特表-流体配管用のクイックコネクタ装置に挿入するための挿入片 図2b
  • 特表-流体配管用のクイックコネクタ装置に挿入するための挿入片 図3
  • 特表-流体配管用のクイックコネクタ装置に挿入するための挿入片 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(54)【発明の名称】流体配管用のクイックコネクタ装置に挿入するための挿入片
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/02 20060101AFI20220513BHJP
【FI】
F16L37/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559144
(86)(22)【出願日】2020-03-23
(85)【翻訳文提出日】2021-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2020058002
(87)【国際公開番号】W WO2020200886
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】102019108768.6
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591044393
【氏名又は名称】ノルマ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】スタッフ, ミハル
【テーマコード(参考)】
3J106
【Fターム(参考)】
3J106AB01
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC03
3J106BD01
3J106BE01
3J106BE27
3J106DA03
(57)【要約】
本発明は、流体配管用のクイックコネクタ装置に挿入するための挿入片に関する。挿入片(20)は、中空円筒形の本体(21)を備え、中空円筒形の本体(21)が、シリンダ軸(29)に沿って前側リング面(24)と後側リング面(25)との間に延び、シリンダ軸(29)に沿って延びる通路開口部(26)と、クイックコネクタ装置の内壁に配置するための外側側面(22)とを有し、通路開口部(26)が、前側リング面(24)に向かって広がる通路部(27)を有する。本発明は、流体配管および/またはクイックコネクタ装置が損傷するのを防ぐ改良された挿入片(20)を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体配管用のクイックコネクタ装置に挿入するための挿入片であって、挿入片(20)が中空円筒形の本体(21)を備え、該中空円筒形の本体(21)が、シリンダ軸(29)に沿って前側リング面(24)と後側リング面(25)との間に延び、前記シリンダ軸(29)に沿って延びる通路開口部(26)を有し、前記クイックコネクタ装置の内壁に配置するための外側側面(22)を有し、前記通路開口部(26)が、前記前側リング面(24)に向かって広がる通路部(27)を有する挿入片。
【請求項2】
前記通路部(27)が、前記前側リング面(24)に丸いエッジ(28)を有する請求項1に記載の挿入片。
【請求項3】
前記中空円筒形の本体(21)が、前記通路部(27)の周囲に環状に延び、前記中空円筒形の本体(21)において通路部(27)を半径方向に画定する傾斜面(23)を有する請求項1または請求項2に記載の挿入片。
【請求項4】
前記丸いエッジ(28)が、前記前側リング面(24)と前記傾斜面(23)とを接続している請求項2および請求項3に記載の挿入片。
【請求項5】
繊維(33)によって補強された材料からなる請求項1から請求項4のいずれかに記載の挿入片。
【請求項6】
前記繊維(33)が、ガラス繊維からなる請求項5に記載の挿入片。
【請求項7】
前記材料が、0%以上70%以下、好ましくは0%以上50%以下の繊維含有率を有する請求項5または請求項6に記載の挿入片。
【請求項8】
前記前側リング面(24)および前記後側リング面(25)が、少なくとも13mm以上15mm以下の内径、好ましくは14mmの内径を有する請求項1から請求項7のいずれかに記載の挿入片。
【請求項9】
流体配管を接続するためのシステムであって、請求項1から請求項8のいずれかに記載の挿入片(20)と、流体配管(40)のためのクイックコネクタ装置(30)とを備え、前記クイックコネクタ装置(30)が、入口開口部(32)と、該入口開口部(32)から前記クイックコネクタ装置(30)内に延びる内壁(34)とを有し、前記挿入片(20)が、前記外側側面(22)によって内壁(34)上に配置され、前記前側リング面(24)が前記入口開口部(32)に向けられているシステム。
【請求項10】
端片(42)を有する流体配管(40)を備え、前記端片(42)は、その大きさが前記通路部(27)の最大直径(37)と前記通路開口部(26)の最小直径(35)との間の外径(44)を有する請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記流体配管(40)の呼び幅が1mm以上30mm以下、好ましくは14mmである請求項9または請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記流体配管(40)および前記クイックコネクタ装置(30)が、0°以上10°以下、好ましくは0°以上5°以下の角度で互いに接続される請求項9から請求項11のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体配管用のクイックコネクタ装置(クイックアクションコネクタ装置)に挿入するための挿入片に関する。請求項1の前提部によれば、挿入片が中空円筒形の本体を備え、中空円筒形の本体が、シリンダ軸に沿って前側リング面と後側リング面との間に延び、シリンダ軸に沿って延びる通路開口部を有し、クイックコネクタ装置の内壁に配置するための外側側面を有する。
【背景技術】
【0002】
一般的にプラスチック材料で作られた流体配管を接続するために、特に自動車産業ではクイックコネクタ装置がよく使用されている。クイックコネクタ装置は、流体配管が導入されて固定されるチューブ部分を有している。この場合、クイックコネクタに導入された流体配管を接続するために、クイックコネクタ装置に溶接リングが使用される。溶接リングは加熱され、部分的または完全に溶融させられる。この処理において、溶接リングの材料は、流体配管とクイックコネクタ装置の内壁にぴったりと密着する。冷却後、材料は固化し、流体配管とクイックコネクタ装置とを接続する。
【0003】
溶接リングは、流体配管をクイックコネクタ装置に導入する前に導入される。ここで、溶接リングの外径は、クイックコネクタ装置の内径よりも最小限に大きい。これにより、溶接リングがクイックコネクタ装置の内壁に密着する効果が得られる。さらに、内壁には、溶接リングの位置を内壁に固定するために、溶接リングが配置される凹みまたは溝が設けられていてもよい。この場合、流体配管は溶接リングを貫通して案内され、溶接リングの内径に一致する外径を有している。しかし、流体配管が導入されるときに、溶接リング、流体配管、および/またはクイックコネクタ装置に損傷が生じる可能性がある。
【0004】
したがって、本発明の目的は、流体配管および/またはクイックコネクタ装置の損傷を回避する改良された装置を提供することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な特徴は、請求項1から請求項9の特徴部分に明記されている。請求項2から請求項8、および請求項10から請求項12は構成に関連している。
【0006】
本発明は、流体配管用のクイックコネクタ装置に挿入するための挿入片を提供するものであり、挿入片が、中空円筒形の本体を備え、中空円筒形の本体が、シリンダ軸に沿って前側リング面と後側リング面との間に延び、シリンダ軸に沿って延びる通路開口部を有し、クイックコネクタ装置の内壁に配置するための外側側面を有し、本発明によれば、通路開口部が、前側リング面に向かって広がる通路部を有している。
【0007】
本発明においては、前側リング面に向かって広がる通路部によって、通路開口部に、外側側面に対する傾斜面を有する挿入片が提供される。ここで、通路開口部は、中空円筒形の本体の内側側面によって画定されている。さらに、外側側面は、シリンダ軸に平行に形成されていてもよい。さらに、前側リング面および後側リング面は、シリンダ軸に直交する方向に延びていてもよい。外側側面によって、挿入片は、クイックコネクタ装置の内壁に配置されてもよく、その際、前側リング面は、クイックコネクタ装置の入口開口部に向けられている。言い換えれば、挿入片がクイックコネクタ装置に適切に挿入された後に、外側側面は、クイックコネクタ装置の内壁に支持される。したがって、外側側面がクイックコネクタ装置の内壁に支持されると、通路部は、同様に、内壁に対する傾斜面を提供する。通路開口部に正しく向けられていない流体配管が導入されると、流体配管は前側リング面を通過した後、最初に通路部において挿入片と接触する。通路部が広がった形状をしているため、挿入片との接触によって流体配管が伝達する力は、内壁に平行な方向の成分と、内壁に垂直な方向の成分とに分けられる。そのため、流体配管によって挿入片に伝達される力の一部は、内壁に対して垂直に作用し、挿入片を内壁に押し付ける。このように、力の一部だけが平行成分に関連しており、流体配管と接触している挿入片の部分において、シリンダ軸に平行な挿入片の剪断をもたらす。そのため、流体配管を導入する際に挿入片に作用する剪断力が減少する。これにより、挿入片の機械的ストレスが軽減されるので、挿入片が破損するリスクも同様に軽減される。そのため、破片が流体配管やクイックコネクタ装置を損傷するリスクが低減される。その結果、流体配管およびクイックコネクタ装置の損傷が回避される。ここで、挿入片は、流体配管用のクイックコネクタ装置用の挿入リングであってもよい。
【0008】
さらに、前側リング面から見て通路部は狭くなった部分を有しているので、流体配管は通路部の傾斜面によって通路開口部に導かれる。さらに、通路部のおかげで、流体配管の長手軸がシリンダ軸に対して最大5°の角度を有することができ、流体配管の通路開口部への導入が困難になったり、妨げられたりすることがない。このようにして、挿入片を有するクイックコネクタ装置への流体配管の導入が容易になる。
【0009】
通路部は、さらに、前側リング面に丸いエッジを有していてもよい。
【0010】
このように、前側リング面と、通路部を画定する中空円筒形の本体の表面とは、互いに融合している。そのため、前側リング面の方向では、通路部の拡大率は、前側リング面からの距離が減少するにつれて、丸いエッジにおいて増加する。したがって、挿入片に導入されるときに、流体配管は、鋭利なエッジや、シリンダ軸に対して垂直に配置された前側リング面ではなく、丸いエッジに接触することになる。ここで、丸いエッジは、通路部を画定している中空円筒形の本体の表面と同様に、導入された流体配管によって伝達される力が、クイックコネクタ装置の内壁に部分的に垂直に向けられるという効果を有する。さらに、丸いエッジは、挿入片自体における力の誘導の改善をもたらす。すなわち、流体配管が通路部の丸いエッジの後ろに力を伝達するときに、丸いエッジは鋭いエッジよりもストレスが少なくなる。そのため、丸いエッジは挿入片にかかる剪断力をさらに低減する。
【0011】
さらに、中空円筒形の本体は、通路部の周囲にリング状に延び、中空円筒形の本体において通路部を半径方向に画定する傾斜面を有していてもよい。ここで、丸いエッジは、前側リング面と傾斜面とを接続してもよい。
【0012】
この場合には、傾斜面は、中空円筒形の本体の内側側面の一部であってもよく、通路部を画定する。傾斜面は、大きな労力をかけずに、後の段階でワークピースに形成することができ、または、押出成形品の場合には、製造されるワークピース用の金型によって既に提供されてもよい。これにより、挿入片の製造が容易になる。
【0013】
挿入片は、さらに、繊維よって強化された材料を含んでいてもよい。繊維は、ガラス繊維を含んでいてもよい。
【0014】
繊維には、挿入片にかかる外力が挿入片内において最適に分散されるという効果がある。さらに、繊維は、挿入片の通路部に作用し、クイックコネクタ装置の内壁に向けられる力の割合が増加するように構成されていてもよい。
【0015】
ここで、材料は、0%以上70%以下、好ましくは0%以上50%以下の繊維含有率を有していてもよい。
【0016】
材料の繊維含有量によって、挿入片によって内壁に垂直に向けられる力の割合を設定することができる。これにより、挿入片やクイックコネクタ装置にストレスを発生させる力の割合を設定することができる。これにより、最適なストレス分布を選択することができ、破損のリスクをさらに低減することができる。
【0017】
リング表面は、少なくとも13mmから15mmの間の内径、好ましくは14mmの内径を有していてもよい。
【0018】
したがって、好ましい例示的な実施形態では、呼び幅が14mmの流体配管用挿入片を提供することができる。
【0019】
本発明のさらなる態様は、流体配管を接続するためのシステムに関し、このシステムは、上記説明による挿入片と、流体配管のためのクイックコネクタ装置とを備え、クイックコネクタ装置が、入口開口部と、入口開口部からクイックコネクタ装置内に延びる内壁とを有し、挿入片が、外側側面によって内壁上に配置され、前側リング面が、入口開口部に向けられている。
【0020】
システムの利点や効果、改良点は、上述の挿入片の利点や効果、改良点から明らかになる。したがって、この点においては、前記の説明を参照する。
【0021】
システムは、端片を有する流体配管を備えていてもよく、端片は、その大きさが通路部の最大直径と通路開口部の最小直径との間にある外径を有している。
【0022】
したがって、外径が通路部を通して案内され得る。ここで、流体配管は、端片を介して、挿入片の前側リング面が配置されている側から通路開口部内に導かれる。通路部は、端片の導入方向に狭くなり、通路開口部において端片を案内する。端片の外径は、その最小直径における通路開口部の直径よりも大きいため、流体配管が通路開口部を通して案内されると、この位置で大きな摩擦が生じ、流体配管および挿入片の材料がわずかに弾性変形、あるいは塑性変形する可能性がある。ここで、材料はプラスチックによって構成されていてもよい。流体配管が通路開口部を通って意図された位置に配置された後、通路開口部の最小直径と端片の外径との間の摩擦は、流体配管が挿入片によってクイックコネクタ装置内に保持されるという効果をもたらす。そのため、溶接工程を省くことができ、時間とコストを削減できる。
【0023】
さらに、流体配管の呼び幅は、1mm以上30mm以下、好ましくは14mmであってもよい。
【0024】
ここで、流体配管とクイックコネクタ装置は、0°以上10°以下、好ましくは0°以上5°以下の角度で互いに接続されてもよい。
【0025】
このように、流体配管を、角度をつけてクイックコネクタ装置に導入し、この角度においてクイックコネクタ装置に接続することができる。これにより、流体配管のクイックコネクタ装置への接続が簡単になる。
【0026】
本発明の他の特徴、詳細、および利点は、特許請求の範囲の文言、および図面を参照した以下の実施形態の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1a】システムの概略断面図である。
図1b】システムの概略断面図である。
図2a】挿入片を初手の角度から見た概略図である。
図2b】挿入片を図2aとは異なる角度から見た概略図である。
図3】挿入片の概略断面図である。
図4】内壁部分の概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1aは、流体配管を接続するためのシステム10を示しており、システム10は、クイックコネクタ装置30と、流体配管40と、挿入片20とを備えている。ここで、挿入片20は、クイックコネクタ装置30内に配置され、流体配管40は、挿入片20によってクイックコネクタ装置30に接続される。
【0029】
クイックコネクタ装置30はチャンバ38を備え、チャンバ38は、挿入片20および流体配管40をクイックコネクタ装置30のチャンバ38に導入することができる入口開口部32を備える。チャンバ38は、クイックコネクタ装置30の内壁34によって画定され、内壁34は、中空円筒の内側側面のように形成されている。内壁34には、さらに、挿入片20を受け入れるように構成された凹み36が配置されている。入口開口部32から、凹み36の後ろに配置されているのは、Oリングの形状のシール39である。
【0030】
挿入片20は、凹み36内に配置されている。挿入片20は、中空円筒形の本体21を備え、つまり、挿入片20は、リングの形状を有している。ここで、中空円筒形の本体21は、シリンダ軸29に沿って、前側リング面24と後側リング面25との間に延びている。ここで、前側リング面24は、入口開口部32に向けられている。さらに、前側リング面24および後側リング面25は、シリンダ軸29に直交する方向に延びている。
【0031】
中空円筒形の本体21は、さらに、クイックコネクタ装置の内壁に配置するための外側側面22を備える。外側側面22は、シリンダ軸29に平行に延びている。図1aでは、外側側面22は、クイックコネクタ装置30の内壁34上に配置されている。ここで、外側側面22は、クイックコネクタ装置30の内壁34によって定義された直径よりも最小限に大きい直径を有する。リング面24,25は、外側側面と同じ外径を有する。これにより、側面22全体が内壁34に押し付けられる。ここで、外側側面22は、少なくとも部分的に凹み36に配置されている。
【0032】
中空円筒形の本体21のリング開口部は、シリンダ軸29に沿って延びる通路開口部26によって形成されている。中空円筒形の本体21の内側側面43は、シリンダ軸29から半径方向に通路開口部26を区切っている。ここで、通路開口部26は、中空円筒形の本体21の全体を通って延びており、前側リング面24のリング開口部と後側リング面25のリング開口部とを接続している。この例では、リング面24,25は、少なくとも13mm以上15mm以下の内径を有しており、好ましくは14mmの内径を有している。
【0033】
通路開口部26は、前側リング面24から狭くなる通路部27を有している。逆に、通路部27は、前側リング面24に向かう方向に広がっている。この例では、図1aのように、中空円筒形の本体21において通路部27を画定する表面は、傾斜面23である。傾斜面23は、前側リング面24の内側の区切りの全周にわたって延びており、内側側面43の一部分であってもよい。さらに、傾斜面23は、前側リング面24から、通路部27の外側に配置されている通路開口部26のその部分まで円錐状に収束している。
【0034】
中空円筒形の本体21は、傾斜面23と前側リング面24との間に丸いエッジ28を備えている。丸いエッジ28は、傾斜面23と前側リング面24とを接続している。つまり、傾斜面23と前側リング面24との間の領域には、鋭いエッジが存在しない。
【0035】
流体配管40は、端片42を有しており、この端片42は、図1aの流体配管40の上面を経由して傾斜面23上に配置されている。ここで、図1aは、流体配管40のクイックコネクタ装置30への導入を示している。流体配管40の図1aにおける右方向への移動により、傾斜面23が端片42によって通路部27を通して流体配管40を通路開口部26に案内する。
【0036】
ここで、流体配管40が挿入片20のシリンダ軸29と平行に通路開口部26に導かれることは、必ずしも必要ではない。通路部27は、導入される際に、流体配管40がクイックコネクタ装置30に対して角度を有することができるという効果がある。さらに、通路部27が前側リング面24に向かって広がることによって提供する遊びのために、流体配管40とクイックコネクタ装置30とは、当該角度で互いに接続されてもよい。角度は、0°と10°との間、好ましくは0°と5°との間であってもよい。このように、挿入片20によって、小さな傾斜角度での接続位置でも、流体配管40とクイックコネクタ装置30との確実な接続が行われる。
【0037】
挿入片20との接触により、流体配管40は挿入片20に力を伝達する。これは、図1bに示されている。矢印は、端片42と挿入片20との間の接触面を指している。図1bにおいて、流体配管40と挿入片20との間の接触は、丸いエッジ28において実現されている。ここで、流体配管40によって伝達される力は、矢印に沿う方向に向けられている。当該力は、挿入片20の外側側面22を、クイックコネクタ装置30の内壁34に対して斜めに押す。ここで、当該力は、内壁34に対して垂直に向けられる成分と、シリンダ軸29または内壁34に対して平行に向けられる成分とを有する。
【0038】
傾斜面23は、丸いエッジ28によってもたらされる効果と類似した効果をもたらす。ここでは、傾斜面23は、同様に、流体配管40によって伝達される力の一部を、外側側面22を介して内壁34に垂直に向ける。
【0039】
流体配管40によって伝達される力の少なくとも一部は、傾斜面23または丸いエッジ28によって内壁34に垂直に伝達され、したがって、力の全てがシリンダ軸29または内壁34に平行に作用しない。力の平行成分の減少は、挿入片20に対する剪断作用を減少させる効果がある。その結果、挿入片20が破損する危険性が低減される。挿入片20は、内壁34に対して凹み31に保持されているので、流体配管40によって挿入片20を介して凹み31のエッジに伝達される力による凹み31のエッジの破損も同様に回避される。
【0040】
ここで、図2aのように、挿入片20は、繊維33を含む材料によって構成されている。なお、繊維33は、ガラス繊維であってもよい。繊維33は、傾斜面23に作用する力が少なくとも部分的に外側側面22の方向に伝達されるような方法で、挿入片20の材料内に配置されている。すなわち、挿入片20がクイックコネクタ装置30に配置されているときには、挿入片20の材料に繊維33がない場合に比べて、傾斜面23に作用する力のより大きな部分が、外側側面22を経由して内壁34に伝達される。
【0041】
この場合の材料は、プラスチックであってもよい。したがって、挿入片20は、繊維強化プラスチック材料によって構成されていてもよい。
【0042】
材料中の繊維33の割合によって、流体配管40によって挿入片20および内壁34に伝達される力の、外側側面22に対して垂直に作用する成分およびシリンダ軸29に平行に作用する成分への分割を設定することができる。ここで、材料は、0%以上70%以下、好ましくは0%以上50%以下の繊維含有率を有していてもよい。材料中の繊維33の繊維含有率が高いほど、外側側面22に垂直に伝わる力が大きくなる。逆に、材料が含有する繊維33が少ないほど、外側側面22に垂直に伝わる力は小さくなる。
【0043】
流体配管40は、その外径44が、通路部27における最大直径37と通路開口部26の最小直径35との間の大きさを有するように設計されている。最大直径37および最小直径35は、図2bに示されている。
【0044】
ここで、流体配管40の呼び幅は、1mm以上30mm以下、好ましくは14mmであってもよい。
【0045】
選択された大きさの外径44により、流体配管40は、通路部27に受け入れられ、通路開口部26に導かれ得る。通路開口部26においては、通路開口部26のより小さい最小直径35によって、流体配管40は、流体配管40と通路開口部26の壁との間の摩擦に打ち勝って、流体配管40および/または挿入片20をわずかに変形させるために、力を増加させて、シリンダ軸に沿って移動する。
【0046】
通路開口部26の壁と流体配管40との間の摩擦は、さらに、流体配管40がクイックコネクタ装置30における摩擦係合によって挿入片20に保持されるという効果を有する。流体配管40のクイックコネクタ装置30への溶接は必要ない。
【0047】
図3は、挿入片20のさらなる例示的な実施形態の断面を示している。この場合、挿入片20の外側側面22は、シリンダ軸29を取り囲む溝31を有している。溝31は、溝31にフィットするように形成され、クイックコネクタ装置30の凹み36に配置され、シリンダ軸29回りに内壁34に沿って延びるビード41を受け入れることができる。
【0048】
挿入片20が凹み36に挿入されると、挿入片20はまずビード41で停止し、力を増してビード41を乗り越えるように押されなければならず、このとき挿入片20はビード41において弾性変形させられる。ビード41が溝31内に配置されるとすぐに、ビード41は、この位置においてクイックコネクタ装置30内に挿入片20を保持する。
【0049】
ビード41は、凹み36との組み合わせにより、挿入片20をこの位置に固定する。その結果、挿入片20は、内壁34に対して確実に保持され、シリンダ軸29に平行に作用する力によって内壁34に沿って変位することはない。
【0050】
本発明は、上述のいずれかの実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0051】
構造的な詳細、空間的な配置、方法のステップなど、特許請求の範囲、明細書、図面から生じるすべての特徴と利点は、個別におよび多種多様な組み合わせでも、本発明に不可欠なものであると考えられる。
【符号の説明】
【0052】
10 システム
20 挿入片
21 本体
22 外側側面
23 傾斜面
24 前側リング面
25 後側リング面
26 通路開口部
27 通路部
28 丸いエッジ
29 シリンダ軸
30 クイックコネクタ装置
31 溝
32 入口開口部
33 繊維
34 内壁
35 最小直径
36 凹み
37 最大直径
38 チャンバ
39 シール
40 流体配管
41 ビード
42 端片
43 内側側面
44 外径
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
【国際調査報告】