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特表2022-526011多価免疫療法組成物、WT1陽性癌を処置するための使用及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(54)【発明の名称】多価免疫療法組成物、WT1陽性癌を処置するための使用及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/00 20060101AFI20220513BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220513BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20220513BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20220513BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20220513BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220513BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220513BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220513BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20220513BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220513BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220513BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20220513BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220513BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20220513BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20220513BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20220513BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20220513BHJP
   C07K 7/08 20060101ALI20220513BHJP
   C07K 14/00 20060101ALI20220513BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20220513BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20220513BHJP
   C12N 5/078 20100101ALI20220513BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20220513BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20220513BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220513BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20220513BHJP
【FI】
A61K39/00 H
A61P37/04
A61K38/08
A61K38/16
A61K38/10
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P35/02
A61P7/00
A61K45/00
A61K39/395 N
A61K39/39
A61K48/00
A61P43/00 105
A61K31/7088
A61K35/17 Z
A61K35/76
C07K7/06 ZNA
C07K7/08
C07K14/00
C12N15/12
C12N5/0783
C12N5/078
C12N15/86 Z
C12N15/85 Z
C12N5/10
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559623
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(85)【翻訳文提出日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 US2020027681
(87)【国際公開番号】W WO2020210632
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】62/832,244
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521172848
【氏名又は名称】エスエルエスジー リミテッド エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】500213834
【氏名又は名称】メモリアル スローン ケタリング キャンサー センター
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】特許業務法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステルギオウ,アンジェロス,エム.
(72)【発明者】
【氏名】サーリス,ニコラス,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シェインバーグ,デイビッド,エー.
(72)【発明者】
【氏名】ダオ,タオ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA13
4C084AA19
4C084AA24
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA17
4C084BA18
4C084BA23
4C084CA53
4C084DC50
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA511
4C084ZA512
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC412
4C084ZC75
4C085AA04
4C085AA14
4C085AA38
4C085BB01
4C085BB11
4C085CC03
4C085DD62
4C085EE03
4C085EE06
4C085FF02
4C085FF03
4C085FF11
4C085FF13
4C086AA01
4C086EA16
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA51
4C086ZB09
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC41
4C086ZC75
4C087AA01
4C087BB37
4C087BB65
4C087BC83
4C087MA02
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA51
4C087ZB09
4C087ZB21
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC41
4C087ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA15
4H045BA17
4H045CA40
4H045DA76
4H045DA86
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、YMFPNAPYL、RSDELVRHHNMHQRNMTKL、PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG、SGQAYMFPNAPYLPSCLES、NLMNLGATL、WNLMNLGATLKGVAA及びWNYMNLGATLKGVAAを含むWT1ペプチドの組み合わせ又はWT1ペプチドの組み合わせにより誘導される細胞毒性T細胞を投与することにより、WT1発現癌を処置し、その発生率を減少させ、そしてそれに対する免疫応答を誘導する方法を提供する。WT1ペプチドの組み合わせは、ペプチドの形態で、WT1ペプチドをコードする核酸の形態で、又はWT1ペプチドをコードする核酸を含む、及び/又はWT1ペプチドを含むもしくは提示する免疫細胞の形態で、WT1送達剤を介して対象に投与される。WT1送達剤又はCTLは、単一の組成物(7価の免疫療法組成物として)又は複数の組成物で対象に投与され、7つの全てのWT1ペプチドが送達され、WT1発現癌に対する免疫応答が誘導される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
YMFPNAPYL(配列番号124)、
RSDELVRHHNMHQRNMTKL(配列番号1)、
PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(配列番号2)、
SGQAYMFPNAPYLPSCLES(配列番号125)、
NLMNLGATL(配列番号21)、
WNLMNLGATLKGVAA(配列番号26)及び
WNYMNLGATLKGVAA(配列番号205)
からなる少なくとも7つの単離されたペプチドの組み合わせ(a)、
(a)の少なくとも7つの単離されたペプチドの組み合わせをコードする核酸(b)、又は
(a)の少なくとも7つの単離されたペプチドの組み合わせをコードする核酸を含む、及び/又は前記(a)の少なくとも7つのペプチドを含む又は提示する免疫細胞(c)、又は
(a)の少なくとも7つの単離されたペプチドの組み合わせによって誘導される細胞傷害性T細胞(CTL)(d)、又は
(a)、(b)、(c)、及び(d)のうちの2つ、3つ、又は4つ全ての組み合わせ(e)を含む、
免疫療法組成物。
【請求項2】
前記組成物は、
YMFPNAPYL(配列番号124)、
RSDELVRHHNMHQRNMTKL(配列番号1)、
PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(配列番号2)、
SGQAYMFPNAPYLPSCLES(配列番号125)、
NLMNLGATL(配列番号21)、
WNLMNLGATLKGVAA(配列番号26)及び
WNYMNLGATLKGVAA(配列番号205)
からなる少なくとも7つの単離されたペプチドの組み合わせ(a)を含む、
請求項1に記載の免疫療法組成物。
【請求項3】
前記組成物は、
YMFPNAPYL(配列番号124)、
RSDELVRHHNMHQRNMTKL(配列番号1)、
PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(配列番号2)、
SGQAYMFPNAPYLPSCLES(配列番号125)、
NLMNLGATL(配列番号21)、
WNLMNLGATLKGVAA(配列番号26)及び
WNYMNLGATLKGVAA(配列番号205)
の少なくとも7つの単離されたペプチドの組み合わせをコードする核酸(b)
を含む、
請求項1に記載の免疫療法組成物。
【請求項4】
前記(b)の核酸は、ウイルスベクター又は非ウイルスベクター中にあるか、又はそれに関連している、
請求項1に記載の免疫療法組成物。
【請求項5】
前記組成物は、
YMFPNAPYL(配列番号124)、
RSDELVRHHNMHQRNMTKL(配列番号1)、
PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(配列番号2)、
SGQAYMFPNAPYLPSCLES(配列番号125)、
NLMNLGATL(配列番号21)、
WNLMNLGATLKGVAA(配列番号26)及び
WNYMNLGATLKGVAA(配列番号205)
(a)の少なくとも7つのペプチドの組み合わせをコードする核酸を含む、及び/又は(a)の少なくとも7つのペプチドを含む又は提示する(c)免疫細胞を含む、
請求項1に記載の免疫療法組成物。
【請求項6】
前記組成物は、(a)の少なくとも7つの単離されたペプチドの組み合わせによって誘導されるCTL(d)を含み、前記CTLは、in vitroで生成、ex vivoで生成、又はin vivoで生成され、ドナーから得られる、
請求項1に記載の免疫療法組成物。
【請求項7】
前記組成物は、(a)、(b)、(c)、及び(d)のうちの2つ、3つ、又は4つ全ての組み合わせ(e)を含む、
請求項1に記載の免疫療法組成物。
【請求項8】
前記組成物は、WT1発現腫瘍を処置するために、又はWT1発現癌に特異的なT細胞の形成及び増殖をin vitro、ex vivo又はin vivoで誘導するために有用であり、前記組み合わせは、前記の1つ以上に対して相乗効果を有する、
請求項1に記載の免疫療法組成物。
【請求項9】
前記ペプチドの組み合わせは、7つの単離されたペプチドのみからなる、
請求項1に記載の免疫療法組成物。
【請求項10】
抗原提示細胞、キャリア、ビヒクル、希釈剤、又はアジュバントをさらに含む、
請求項1に記載の免疫療法組成物。
【請求項11】
前記組成物は、アジュバントをさらに含み、前記アジュバントは、QS21、フロイント不完全アジュバント、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、BCG、ミョウバン、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、インターロイキン、モンタニドISA51、又はGM-CSFである、
請求項10に記載の免疫療法組成物。
【請求項12】
前記7つのペプチドは、等量で存在する、
請求項1に記載の免疫療法組成物。
【請求項13】
前記7つのペプチドは、等量で存在しない、
請求項1に記載の免疫療法組成物。
【請求項14】
前記ペプチドの組み合わせは、クラスI応答及びクラスII応答を誘導する、
請求項1に記載の免疫療法組成物。
【請求項15】
前記ペプチドの組み合わせは、CD4+応答、CD8+応答、又はそれらの組み合わせを誘導する、
請求項1に記載の免疫療法組成物。
【請求項16】
T細胞は、HLA*A02、HLA*A03、HLA*B07、HLA*A24、又はこれらの2つ以上の任意の組み合わせを有する対象において形成される、
請求項1に記載の免疫療法組成物。
【請求項17】
7つのペプチドの比率は、0.1~10部のYMFPNAPYL(配列番号124)、0.1~10部のRSDELVRHHNMHQRNMTKL(配列番号1)、0.1~10部のPGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(配列番号2)、0.1~10部のSGQAYMFPNAPYLPSCLES(配列番号125)、0.1~10部のNLMNLGATL(配列番号103)、0.1~10部のWNLMNLGATLKGVAA(配列番号26)、0.1~10部のWNYMNLGATLKGVAA(配列番号205)を含む、
請求項1に記載の免疫療法組成物。
【請求項18】
7つのペプチドの互いの比は、1つ以上の予測アルゴリズム(例えば、BIMAS、RANKPEP、SYFPEITHI、Net MCH)からの7つのペプチドのHLA結合スコアの相対強度に比例する、
請求項1に記載の免疫療法組成物。
【請求項19】
WT1発現癌を処置する、WT1発現癌の発生率を低下させる、又はWT1発現癌に対する免疫応答を誘導するための方法であって、これらを必要とする対象に
YMFPNAPYL(配列番号124)、
RSDELVRHHNMHQRNMTKL(配列番号1)、
PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(配列番号2)、
SGQAYMFPNAPYLPSCLES(配列番号125)、
NLMNLGATL(配列番号21)、
WNLMNLGATLKGVAA(配列番号26)及び
WNYMNLGATLKGVAA(配列番号205)
からなる少なくとも7つの単離されたペプチドの組み合わせ(a)、
前記(a)の少なくとも7つの単離されたペプチドの組み合わせをコードする核酸(b)、又は
前記(a)の少なくとも7つの単離されたペプチドの組み合わせをコードする核酸を含む、及び/又は前記(a)の少なくとも7つのペプチドを含む又は提示する免疫細胞(c)、又は
前記(a)の少なくとも7つの単離されたペプチドの組み合わせによって誘導される、WT1発現癌に対する細胞傷害性T細胞(CTL)(d)、又は
(a)、(b)、(c)、及び(d)のうちの2つ、3つ、又は4つ全ての組み合わせ(e)
のうち少なくとも1つを投与することを含む、方法。
【請求項20】
(a)が前記対象に投与され、前記少なくとも7つの単離されたWT1ペプチドが単一の組成物で投与される、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
(a)が前記対象に投与され、前記少なくとも7つの単離されたWT1ペプチドが複数の組成物で投与され、各組成物が7つの単離されたWT1ペプチドのうちの1つ以上を含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項22】
(b)が前記対象に投与され、前記核酸が単一の組成物で投与される、
請求項19に記載の方法。
【請求項23】
(b)が前記対象に投与され、前記核酸が複数の組成物で投与され、各組成物が、前記7つの単離されたWT1ペプチドのうちの1つ以上をコードする核酸を含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項24】
(b)の前記核酸は、ウイルスベクター又は非ウイルスベクター中にあるか、又はそれに関連している、
請求項19に記載の方法。
【請求項25】
(c)は前記対象に投与され、前記免疫細胞は単一の組成物で投与される、
請求項19に記載の方法。
【請求項26】
(c)は前記対象に投与され、前記免疫細胞は複数の組成物で投与され、各組成物は、(a)の前記少なくとも7つのペプチドのうちの1つ以上をコードする核酸を含む、及び/又は(a)の前記少なくとも7つのペプチドのうちの1つ以上を含むか又は提示する免疫細胞を含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項27】
(d)が前記対象に投与され、前記CTLがin vitroで生成、ex vivoで生成、又はin vivoで生成され、ドナーから得られる、
請求項19に記載の方法。
【請求項28】
(e)が前記対象に投与される、
請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記WT1発現癌は、固形腫瘍である、
請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記WT1発現癌は、血液悪性腫瘍である、
請求項19に記載の方法。
【請求項31】
前記WT1発現癌は、白血病、線維形成性小円形細胞腫瘍、胃癌、結腸癌、結腸直腸癌、肺癌、乳癌、胚細胞腫瘍、卵巣癌、子宮癌、甲状腺癌、肝癌、腎癌、カポジ肉腫、肉腫、肝細胞癌、ウィルムス腫瘍、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群(MDS)、中皮腫(例えば悪性胸膜中皮腫)、又は非小細胞肺癌(NSCLC)である、
請求項19記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を前記対象に投与することをさらに含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項33】
前記チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK1キナーゼ及びCHK2キナーゼ、A2aR、並びにB-7ファミリーリガンドから選択されるチェックポイントタンパク質をブロック又は阻害する、
請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、BMS936559、MPDL328OA、MEDI680(AMP-514)、AMP-224、AUNP-12、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、デュルバルマブ(MEDI4736)、アベルマブ(MSB0010718C)、BMS93559(MDX-1105)、rHIgM12B7、BMS-986016、GSK2831781、IMP321、リルマブ(BMS-986015)、IPH2101(1-7F9)、インドキシモド(NLG9189)、NLG919、INCB024360、PF-05082566、ウレルマブ(BMS-663513)、及びMEDI6469から選択される、
請求項32記載の方法。
【請求項35】
対象におけるWT1発現癌に特異的なT細胞の形成及び増殖を誘導する方法であって、
YMFPNAPYL(配列番号124)、
RSDELVRHHNMHQRNMTKL(配列番号1)、
PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(配列番号2)、
SGQAYMFPNAPYLPSCLES(配列番号125)、
NLMNLGATL(配列番号21)、
WNLMNLGATLKGVAA(配列番号26)及び
WNYMNLGATLKGVAA(配列番号205)
からなる少なくとも7つの単離されたペプチドの組み合わせ(a)、
前記(a)の少なくとも7つの単離されたペプチドの組み合わせをコードする核酸(b)、又は
前記(a)の少なくとも7つの単離されたペプチドの組み合わせをコードする核酸を含む、及び/又は前記(a)の少なくとも7つのペプチドを含む又は提示する免疫細胞(c)、又は
(a)、(b)及び(c)のうちの2つ、又は3つの組み合わせ(d)
であるWT1送達剤のうちの1つ以上を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項36】
(a)が前記対象に投与され、前記少なくとも7つの単離されたWT1ペプチドが単一の組成物で投与される、
請求項35に記載の方法。
【請求項37】
(a)が前記対象に投与され、前記少なくとも7つの単離されたWT1ペプチドが複数の組成物で投与され、各組成物が7つの単離されたWT1ペプチドのうちの1つ以上を含む、
請求項35に記載の方法。
【請求項38】
(b)が前記対象に投与され、前記核酸が単一の組成物で投与される、
請求項35に記載の方法。
【請求項39】
(b)が前記対象に投与され、前記核酸が複数の組成物で投与され、各組成物が、7つの単離されたWT1ペプチドのうちの1つ以上をコードする核酸を含む、
請求項35に記載の方法。
【請求項40】
(b)の前記核酸が、ウイルスベクター又は非ウイルスベクター中にあるか、又はそれに関連している、
請求項35に記載の方法。
【請求項41】
(c)が前記対象に投与され、前記免疫細胞が単一組成物で投与される、
請求項35に記載の方法。
【請求項42】
(c)が前記対象に投与され、前記免疫細胞が複数の組成物で投与され、各組成物が、(a)の前記少なくとも7つのペプチドのうちの1つ以上をコードする核酸を含む、及び/又は(a)の少なくとも7つのペプチドのうちの1つ以上を含むか又は提示する免疫細胞を含む、
請求項35に記載の方法。
【請求項43】
(d)が前記対象に投与される、
請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記WT1発現癌は、固形腫瘍である、
請求項35に記載の方法。
【請求項45】
前記WT1発現癌は、血液悪性腫瘍である、
請求項35に記載の方法。
【請求項46】
前記WT1発現癌は、白血病、線維形成性小円形細胞腫瘍、胃癌、結腸癌、結腸直腸癌、肺癌、乳癌、胚細胞腫瘍、卵巣癌、子宮癌、甲状腺癌、肝癌、腎癌、カポジ肉腫、肉腫、肝細胞癌、ウィルムス腫瘍、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群(MDS)、中皮腫(例えば悪性胸膜中皮腫)、又は非小細胞肺癌(NSCLC)である、
請求項35記載の方法。
【請求項47】
少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を、前記対象に投与することをさらに含む、
請求項35に記載の方法。
【請求項48】
前記チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK1キナーゼ、CHK2キナーゼ、A2aR、B-7ファミリーリガンドの中から選択されるチェックポイントタンパク質をブロック又は阻害する、
請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、BMS936559、MPDL328OA、MEDI680(AMP-514)、AMP-224、AUNP-12、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、デュルバルマブ(MEDI4736)、アベルマブ(MSB0010718C)、BMS93559(MDX-1105)、rHIgM12B7、BMS-986016、GSK2831781、IMP321、リルマブ(BMS-986015)、IPH2101(1-7F9)、インドキシモド(NLG9189)、NLG919、INCB024360、PF-05082566、ウレルマブ(BMS-663513)、及びMEDI6469の中から選択される、
請求項47記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願を相互参照
本出願は、2019年4月10日出願の米国仮出願第62/832,244号の優先権を主張するものであり、図表、核酸配列、アミノ酸配列を含む内容を参照することにより組み込まれる。
【0002】
本出願の配列表は、2020年4月9日に作成され、47KBである「Seq-List.txt」とラベル付けされたものである。配列表の全内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
本発明は、WT1発現癌を処置し、その発生率を減少させ、そしてそれに対する免疫応答を誘導する方法、及び同じ目的に有用な組成物を提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
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【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はWT1発現癌を処置し、その発生率を減少させ、そしてそれに対する免疫応答を誘導する方法、及び同じ目的に有用な免疫原性組成物を含む組成物を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする対象に、少なくとも以下の7つのWT1ペプチドの組み合わせを投与することを含むそのような使用のための方法を提供する:YMFPNAPYL(配列番号124)、RSDELVRHHNMHQRNMTKL(配列番号1)、PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(配列番号2)、SGQAYMFPNAPYLPSCLES(配列番号125)、NLMNLGATL(配列番号21)、WNLMNLGATLKGVAA(配列番号26)、及びWNYMNLGATLKGVAA(配列番号205)。いくつかの実施形態において、7つ全てのペプチドは、多価(7価)免疫療法組成物として、対象に投与される組成物中に存在する。
【0006】
少なくとも7つのWT1ペプチドの組み合わせは、1つ以上のWT1送達剤を対象に投与することによって対象に投与することができ、その結果、WT1ペプチドの組み合わせの送達及びWT1発現癌に対する免疫応答が誘導される。使用されるこれらのWT1送達剤の例には、(i)1つ以上の単離されたWT1ペプチド自体、(ii)WT1ペプチドをコードする1つ以上の核酸、及び(iii)WT1ペプチド又はWT1ペプチドの組み合わせをコードする核酸の組み合わせを含むか又は提示する1つ以上の免疫細胞、あるいは(i)、(ii)又は(iii)の2つ又は3つの任意の組み合わせが含まれる。
【0007】
WT1ペプチドをコードする核酸のような他の形態のWT1送達剤を介して、又はWT1ペプチドを含むかもしくは提示する免疫細胞を介して、少なくとも7つのWT1ペプチドのうちの1つ以上をペプチドとして投与し、少なくとも7つのWT1ペプチドのうちの他のものを投与することが所望される。従って、少なくとも7つのWT1ペプチドは、ペプチドの形態で、又はペプチドをコードする核酸の形態で、又はWT1ペプチドもしくはコード核酸を含む、もしくは提示する免疫細胞の形態で、又はこれらの形成のうちの2つもしくは3つ全て(すなわち、ペプチド及び核酸、ペプチド及び免疫細胞、核酸及び免疫細胞、又はペプチド、核酸、及び免疫細胞)で投与される。このように、少なくとも7つのWT1ペプチドの組合せは、(i)個別に又は任意の1つ以上の組合せで、7つ以上のペプチドとして、又は(ii)個別に又は任意の1つ以上の組合せで、少なくとも7つのWT1ペプチドの組合せをコードする核酸として、又は(iii)個別に又は任意の1つ以上の組合せで、少なくとも7つのWT1ペプチド又は少なくとも7つ以上のペプチドの組合せをコードする核酸の組合せを含む又は提示する免疫細胞として投与されてもよい。いくつかの実施形態において、少なくとも7つのWT1ペプチドは、これらの形態のうちの2つ又は3つ全ての組み合わせとして投与される(すなわち、(i)及び(ii)、又は(i)及び(iii)、又は(ii)及び(iii)、又は(i)、(ii)、及び(iii)))。
【0008】
任意で、WT1発現癌に対するWT1送達剤(ペプチド、ペプチドをコードする核酸、及び免疫細胞)の代わりに、又はそれに加えて、WT1発現癌に対する細胞傷害性T細胞(CTL)を対象に投与することができ、CTLは、少なくとも7つの単離ペプチド:YMFPNAPYL(配列番号124)、RSDELVRHHNMHQRNMTKL(配列番号1)、PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(配列番号2)、SGQAYMFPNAPYLPSCLES(配列番号125)、NLMNLGATL(配列番号21)、WNLMNLGATLKGVAA(配列番号26)、及びWNYMNLGATLKGVAA(配列番号205)の組み合わせによって誘導される。
【0009】
任意で、7つのWT1ペプチドの組み合わせ、7つのWT1ペプチドをコードする核酸、7つのWT1ペプチドを含むか又は提示する免疫細胞、及び/又はWT1ペプチドをコードする核酸を含む及び/又はWT1ペプチドをコードする核酸を含む又は提示する免疫細胞、あるいは7つのWT1ペプチドによって誘導されるCTLに加えて、1つ以上のさらなるWT1ペプチド、又は1つ以上のさらなるWT1ペプチドによって誘導されるCTLが、組成物に含まれてもよく、又は対象に投与されてもよい。1つ以上のさらなるWT1ペプチドは、WT1タンパク質のフラグメントである天然ペプチドであってもよく、又はそれらはその免疫原性を増強する1つ以上の修飾を有するペプチドであってもよく、又は混合物であってもよい。このような修飾はアミノ酸変化(例えば、ヘテロクリティックペプチド)、又は任意の他の修飾である。1つ以上のさらなるWT1ペプチドは、WT1送達剤を介して対象に投与されてもよく、又はWT1発現癌に対するCTLであって、1つ以上のさらなるWT1ペプチドによって誘導されたものが投与されてもよい。
【0010】
任意で、WT1送達剤及び/又はCTLの投与前、投与中、又は投与後に、1つ以上のチェックポイント阻害剤を対象に投与してもよい。1つ以上のチェックポイント阻害剤(免疫チェックポイント阻害剤としても知られる)は、免疫チェックポイントタンパク質をブロック又は阻害する化合物又は薬剤である。チェックポイント阻害剤である化合物又は薬剤の例としては、小分子、ペプチド、及び抗体が挙げられるがこれらに限定されるものではない。抗体の例としては、ニボルマブ(OPDIVO)、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA)、ピジリズマブ(CT-011)、MEDI680(AMP-514)、AMP-224、AUNP-12、BMS936559、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、デュルバルマブ(MEDI4736)、アベルマブ(MSB0010718C)、BMS93559(MDX-1105)、rHIgM12B7、BMS-986016、GSK2831781、IMP321、リルマブ(BMS-986015)、IPH2101(1-7F9)、インドキシモド(NLG9189)、NLG919、INCB024360、PF-05082566、ウレルマブ(BMS-6635が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
一実施形態において、1つ以上のWT1送達剤又はCTL、及び1つ以上のチェックポイント阻害剤が、対象に最大限利点を与えるスケジュールに従って、それぞれ対象に投与される方法が具体化される。従って、1つ以上のWT1送達剤又はCTL及び1つ以上のチェックポイント阻害剤は、必ずしも同時に、又は同じ組成物中で、又はそれぞれ同じ期間にわたって、又はそれぞれ同じ経路によって投与されるわけではない。各WT1ペプチドは、各チェックポイント阻害剤と同様に、特定のスケジュールに従って投与することができる。一実施形態において、少なくとも1つのWT1ペプチド及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の投薬スケジュールが同時である。一実施形態において、少なくとも1つのWT1ペプチド及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の投薬スケジュールは重複する。一実施形態において、少なくとも1つのWT1送達剤又はCTL及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤が、同じ組成物中に存在する。一実施形態において、本明細書に具体化される方法は、WT1送達剤又はCTL及びチェックポイント阻害剤単独よりも、WT1発現癌を処置し、その発生率を減少させ、そしてそれに対する免疫応答を誘導するための増強又は増加した能力を提供する。一実施形態において、本明細書に記載の方法によって提供される、WT1発現癌を処置し、その発生率を低下させ、その免疫応答を誘導する能力は、WT1送達剤又はCTL単独及びチェックポイント阻害剤単独の効果の組み合わせよりも大きい。
【0012】
WT1送達剤、又はCTLの用量レベル及び投薬スケジュール、チェックポイント阻害剤の用量レベル及び投薬スケジュール、投与経路、ならびに他の投与態様は、対象に対する最大の利益のために最適化される。本明細書中の実施形態は、WT1発現癌を処置し、その発生率を減少させ、そしてそれに対する免疫応答を誘導する改善された方法、及び同じ目的に有用な改善された組成物を提供する。
【0013】
本明細書中に具体化される方法に従う癌は、WT1タンパク質又はそのフラグメントを発現する任意の癌である。一実施形態において、癌は卵巣癌である。他の実施形態において、癌は乳癌である。他の実施形態において、癌は、結腸癌又は結腸直腸癌である。他の実施形態において、癌は、中皮腫である。他の実施形態において、癌は、白血病である。他の実施形態において、癌は、ウィルムス腫瘍、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄異形成症候群(MDS)、黒色腫、中皮腫(例えば、悪性胸膜中皮腫)、胃癌、前立腺癌、胆道癌、泌尿器系癌、膠芽腫、軟部組織肉腫、骨肉腫、又は非小細胞肺癌(NSCLC)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、WT1発現癌を処置し、その発生率を減少させ、そしてそれに対する免疫応答を誘導する方法、及び同じ目的に有用な免疫原性組成物を含む組成物を提供する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする対象に、少なくとも7つのWT1ペプチド又はそれに対する細胞傷害性T細胞(CTL)の組み合わせを投与することを含む、そのような使用のための方法を提供する。ここで、組み合わせはYMFPNAPYL(配列番号124、WT1-A1とも呼ばれる)、RSDELVRHHNMHQRNMTKL(配列番号1、WT1-427ロングとも呼ばれる)、PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(配列番号2、WT1-331ロングとも呼ばれる)、SGQAYMFPNAPYLPSCLES(配列番号125、WT-122A1ロングとも呼ばれる)、NLMNLGATL(配列番号21、NLMショートとも呼ばれる)、WNLMNLGATLKGVAA(配列番号26、WNLM又はNLMロングとも呼ばれる)、及びWNYMNLGATLKGVAA(配列番号205、WNYM又はNYMロングとも呼ばれる)の各々を含む。7つのWT1ペプチドの組み合わせは、1つ以上のチェックポイント阻害剤を伴って、又は伴わずに投与される。いくつかの実施形態において、免疫療法組成物は、WT1発現腫瘍を処置したり、WT1発現癌に特異性T細胞の形成及び増殖をin vitro、ex vivo又はin vivoで誘導するために使用され、組合せが前述の1つ又は複数に対して相乗効果を有する。
【0015】
少なくとも7つのWT1ペプチドの組み合わせは、少なくとも7つのWT1ペプチドの組み合わせの送達及びWT1発現癌に対する免疫応答の誘導をもたらす1つ以上の薬剤を対象に投与することによって(すなわち、1つ以上のWT1送達剤)、対象に投与することができる。少なくとも7つのWT1ペプチドの各々は、1つ以上の同じ又は異なるWT1送達剤において、及び1つ以上のそれらの組み合わせにおいて送達される。使用されるこれらのWT1送達剤の例としては、(i)単離されたWT1ペプチド、(ii)少なくとも1つのWT1ペプチドをコードする核酸、及び(iii)少なくとも1つのWT1ペプチド又は少なくとも1つのWT1ペプチドをコードする核酸を含むか又は提示する免疫細胞が挙げられる。従って、いくつかの実施形態において、少なくとも7つのWT1ペプチドの組み合わせは、7つの単離されたWT1ペプチドの形態で投与される。いくつかの実施形態において、組成物は対象に投与され、組成物は7つ全ての単離されたWT1ペプチドを含む。
【0016】
任意で、WT1送達剤(ペプチド、ペプチドをコードする核酸、及び免疫細胞)の代わりに、又はこれに加えて、WT1発現癌に対する細胞傷害性T細胞(CTL)を対象に投与してもよく、CTLは、少なくとも7つの単離ペプチド:YMFPNAPYL(配列番号124)、RSDELVRHHNMHQRNMTKL(配列番号1)、PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(配列番号2)、SGQAYMFPNAPYLPSCLES(配列番号125)、NLMNLGATL(配列番号21)、WNLMNLGATLKGVAA(配列番号26)、及びWNYMNLGATLKGVAA(配列番号205)の組み合わせによって誘導される。CTLは、in vitro又はex vivoで作製されるか、又はドナーにおいてin vivoで作製され、ドナーから得られるWT1特異的CTLを含む。
【0017】
WT1送達剤又はCTLは、キャリア、賦形剤、又は希釈剤を含む組成物で提供されてもよく、その中でアジュバントであってもよい。本明細書中に具体化される方法及び組成物において使用されるペプチド成分の選択を後述するが、これらに限られるものではない。
【0018】
卵巣癌は、最も一般的な婦人科悪性腫瘍の1つであり、米国の女性における癌による死亡原因の第5位となっている。毎年22,000を超える症例が診断され、年間15,500人の死亡が推定される[1]。患者の大半は、発症時に広範囲に病変が認められている[2]。進行期症例の5年生存率は30%未満にとどまっている[1]。初期化学療法後の完全な臨床的寛解は、多くの患者で期待されるが、ルーチンのケアの問題として実施されることの多いセカンドルック開腹術のレビューでは、実際に無病状態である患者は50%未満であることが示されている[3]。さらに、セカンドルック手術が陰性であった患者の半数近くが再発し、追加処置が必要となる[4]。多くの患者は、追加の化学療法により2回目の臨床的完全奏効を達成する。しかしながら、ほぼ全ての患者が9~11ヵ月の短い寛解間隔の後に再発する[5]。その後の寛解は、化学療法抵抗性が広範に発現するまでの期間が徐々に短くなるため、寛解期間を延長する、又は再発を予防するための効果的な戦略が必要である[2]。
【0019】
抗体及びT細胞エフェクターはいずれも、卵巣癌モデルにおいて利益をもたらすことが示されている。抗体は、早期の組織浸潤を抑制することが注目されている[6]。前臨床モデルでも、受動的に投与された抗体とワクチン誘導抗体の両方の使用により、循環腫瘍細胞のクリアランス及び全身性微小転移の排除が実証されている。T細胞エフェクターに関しては、全般的に活性化された免疫応答が、進行性卵巣癌患者において、臨床転帰の改善と関連していることが示されている。Zhangらは、腫瘍細胞島内に腫瘍浸潤性T細胞が存在すると、無増悪生存期間、全生存期間共に改善に関連したことを示した[7]。逆に、T調節細胞の浸潤は予後を悪くする[8]。
【0020】
二次以上の寛解期にある卵巣癌患者のデータから、予測可能な形で再発することが確認されている[9]。近年、卵巣癌は、様々な新規免疫に基づくアプローチにより標的化されている。抗体療法には、CA125抗原を標的としたモノクローナル抗体療法であるオレゴボマブ[10]、CA-125を標的とした抗イディオタイプ抗体であるアバゴボマブ[11]、モノクローナルヒト化抗HER2抗体であるトラスツズマブ[12]が含まれている。他の戦略には、インターフェロン-γ[13、14]及びIL-2[15]等のサイトカイン療法が含まれている。Lewis y[16]、MUC1[17]、HLA制限ペプチドNY-ESO-1b[18]及びKH-1-KLHコンジュゲート等の他の抗原による能動免疫化も評価されている。これまでの戦略は無効であり、現在利用可能な治療法では効果的に治療されていない卵巣癌だけでなく、他の多数の癌に対する治療法の有効性を高めるために、新たな治療法が必要とされている。
【0021】
WT1は、ウィルムス腫瘍1又はWT1遺伝子の遺伝子産物を指す。ウィルムス腫瘍抑制遺伝子WT1は、小児腎腫瘍で初めて同定されたが、WT1は、他の複数の血液悪性腫瘍や中皮腫を含む固形腫瘍でも高発現している[19,20]。WT1は、元々、染色体11p13の領域へのcDNAマッピングによって同定された。WT1 cDNAは、4つのKruppelジンクフィンガーを含むタンパク質をコードし、4つの異なる転写因子を生じる選択的スプライシングの複雑なパターンを含む。各WT1アイソフォームは、異なるDNA結合と転写活性を有しており[21]、細胞増殖、分化、アポトーシス、臓器発生及び性決定に関与する様々な遺伝子を正又は負に調節することができる。WT1は、通常、腎臓、性腺、心臓、中皮及び脾臓を含む胚発生中の中胚葉起源の組織で発現される[22]。通常成人組織では、WT1の発現は、通常CD34+造血幹細胞、筋上皮前駆細胞、腎足細胞及び精巣や卵巣の一部の細胞の核では低レベルに限られている[23]。WT1は、マウス及びヒトにおいて高度に相同であり(アミノ酸レベルで96%)、そして類似の組織分布及び機能を有する[24、25]。元々は癌抑制遺伝子として記述されていたが、WT1タンパク質は腫瘍形成に関与しているようにみうけられる。
【0022】
提案された作用機序と相まって卵巣癌におけるWT1蛋白質の強い発現は、中皮腫、白血病、ウィルムス腫瘍、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄異形成症候群(MDS)、メラノーマ、胃癌、前立腺癌、胆道癌、泌尿器系癌、膠芽腫、軟部組織肉腫、骨肉腫、及び非小細胞肺癌(NSCLC)等のWT1蛋白質も発現するが、これらに限定されない多くの他の癌の中でも、免疫療法の合理的な対象となっている。卵巣癌では、その発現頻度が非常に高いため、病理医は、WT1の免疫組織化学染色(発現を記述し、「陽性」又は「陰性」と判定するための標準化された規約を用いて)をルーチンに用いて、上皮性卵巣癌と他の腫瘍との鑑別に役立てている。WT1は、漿液性卵巣癌のマーカーとして特に感度・特異度が高い[26]。卵巣組織マイクロアレイは、漿液性卵巣癌の70~80%がWT1を発現することを示唆しており、その結果、患者の大半が標的を有し、研究参加に適格となる。
【0023】
7つのWT1ペプチドと組み合わせて使用される1つ以上のさらなるWT1ペプチドは、WT1タンパク質のフラグメントである天然ペプチドである。一実施形態において、さらなる1つ以上のWT1ペプチドは、LVRHHNMHQRNMTKL(配列番号3)又はNKRYFKLSHLQMHSR(配列番号4)である。他の実施形態において、1つ以上のさらなるペプチドは、SGQARMFPNAPYLPSCLES(配列番号5)又はQARMFPNAPYLPSCL(配列番号6)である。他の実施形態において、さらなる1つ以上のペプチドは、RMFPNAPYL(配列番号7)、SLGEQQYSV(配列番号8)、ALLPAVPSL(配列番号9)、NLGATLKGV(配列番号10)、DLNALLPAV(配列番号11)、GVFRGIQDV(配列番号12)、KRYFKLSHL(配列番号13)、ALLLRTPYS(配列番号14)、CMTWMQMNL(配列番号15)、NMHQRNMTK(配列番号16)、QMNLGATLK(配列番号17)、FMCAYPGCNK(配列番号18)又はKLSHLQMHSR(配列番号19)の中から選択される。
【0024】
他の実施形態において、さらなる1つ以上のWT1ペプチドは、NQMNLGATL(配列番号20)、NYMNLGATL(配列番号22)、CMTWNQMNLGATLKG(配列番号23)、CMTWNLMNLGATLKG(配列番号24)、WNQMNLGATLKGVAA(配列番号25)、MTWNQMNLGATLKGV(配列番号27)、TWNQMNLGATLKGVA(配列番号28)、CMTWNLMNLGATLKG(配列番号29)、MTWNLMNLGATLKGV(配列番号30)、TWNLMNLGATLKGVA(配列番号31)、WNLMNLGATLKGVAA(配列番号32)、MTWNYMNLGATLKGV(配列番号33)、TWNYMNLGATLKGVA(配列番号34)、CMTWNQMNLGATLKGVA(配列番号35)、WNQMNLGAT(配列番号36)、TWNQMNLGA(配列番号37)、MTWNQMNLG(配列番号38)、CMTWNLMNLGATLKGVA(配列番号39)、WNLMNLGAT(配列番号40)、MNLGATLKG(配列番号41)、MTWNQMNLG(配列番号42)、CMTWNYMNLGATLKGVA(配列番号43)、MNLGATLKG(配列番号44)、MTWNQMNLG(配列番号45)、GALRNPTAC(配列番号46)、GYLRNPTAC(配列番号47)、GALRNPTAL(配列番号48)、YALRNPTAC(配列番号49)、GLLRNPTAC(配列番号50)、RQRPHPGAL(配列番号51)、RYRPHPGAL(配列番号52)、YQRPHPGAL(配列番号53)、RLRPHPGAL(配列番号54)、RIRPHPGAL(配列番号55)、GALRNPTAC(配列番号56)、GALRNPTAL(配列番号57)、RQRPHPGAL(配列番号58)、RLRPHPGAL(配列番号59)、RIRPHPGAL(配列番号60)、QFPNHSFKHEDPMGQ(配列番号61)、QFPNHSFKHEDPMGQ(配列番号62)、HSFKHEDPM(配列番号63)、HSFKHEDPY(配列番号64)、HSFKHEDPK(配列番号65)、KRPFMCAYPGCYKRY(配列番号66)、SEKRPFMCAYPGCNK(配列番号67)、KRPFMCAYPGCNK(配列番号68)、FMCAYPGCN(配列番号69)、FMCAYPGCY(配列番号70)又はFMCAYPGCK(配列番号71)の中から選択される。
【0025】
他の実施形態において、1つ以上のさらなるWT1ペプチドは、RQRPHPGAL(配列番号72)、GALRNPTAC(配列番号73)、PLPHFPPSL(配列番号74)、HFPPSLPPT(配列番号75)、THSPTHPPR(配列番号76)、AILDFLLLQ(配列番号77)、PGCLQQPEQ(配列番号78)、PGCLQQPEQQG(配列番号79)、KLGAAEASA(配列番号80)、ASGSEPQQM(配列番号81)、RDLNALLPAV(配列番号82)、GGCALPVSGA(配列番号83)、GAAQWAPVL(配列番号84)、LDFAPPGAS(配列番号85)、LDFAPPGASAY(配列番号86)、SAYGSLGGP(配列番号87)、PAPPPPPPP(配列番号88)、ACRYGPFGP(配列番号89)、SGQARMFPN(配列番号90)、RMFPNAPYL(配列番号91)、PSCLESQPA(配列番号92)、NQGYSTVTF(配列番号93)、HHAAQFPNH(配列番号94)、HSFKHEDPM(配列番号9)、CHTPTDSCT(配列番号96)、CTGSQALLL(配列番号97)、TDSCTGSQA(配列番号98)、RTPYSSDNL(配列番号99)、NLYQMTSQLE(配列番号100)、WNQMNLGAT(配列番号101)、NQMNLGATL(配列番号102)、WNQMNLGATLK(配列番号103)、CMTWNQMNLGATLKG(配列番号104)、NLGATLKGV(配列番号105)、LGATLKGVAA(配列番号106)、TLGVAAGS(配列番号107)、GYESDNHTT(配列番号108)、FMCAYPGCNK(配列番号109)、KRPFMCAYPGC(配列番号110)、RKFSRSDHL(配列番号111)、LKTHTTRTHT(配列番号112)、NMHQRNHTKL(配列番号113)、LLAAILDFL(配列番号114)、CLQQPEQQGV(配列番号115)、DLNALLPAV(配列番号116)、ALLPAVPSL(配列番号117)、VLDFAPPGA(配列番号118)、CMTWNQMNL(配列番号119)、QARMFPNAPY(配列番号120)、ALRNPTACPL(配列番号121)、YPGCNKRYF(配列番号122)又はAPVLDFAPPGASAYG(配列番号123)の中から選択される。
【0026】
他の実施形態において、1つ以上のさらなるWT1ペプチドは、WO2017087857号、WO2014113490号、又はWO2019006401号に記載されている任意のペプチドである。上記は、その全体が本明細書に援用される。
【0027】
他の実施形態において、1つ以上のさらなるWT1ペプチドは、WO2005053618号、WO2007047763号、WO2007047764号、WO2007120673号、US20060084609号、WO2014113490号及びWO2013106834号に記載されている任意の天然WT1ペプチドである。上記は、その全体が本明細書に援用される。
【0028】
他の実施形態において、1つ以上のさらなるWT1ペプチドは、US20110070251A1号、US7,063,854B1号、US7,063,854号、US7901693号、US7662386号、US7,063,854号、US7115272号、US7368119号、US7329410号、US7144581号、US7323181号、US76555249号、US7553494号、US7608685号、US7380871号、US7030212号、US7807792号、US7517950号、US2010/0166738号、US2011/0070251号、US2009/0143291号及びWO2003037060号に記載されている任意の天然WT1ペプチドである。上記は、その全体が本明細書に援用される。
【0029】
他の実施形態において、1つ以上のさらなるWT1ペプチドは、US76666985B2号、US20080070835A1号、US20070128207A1号、US791539B2号、US20110136141A1号、US7598221B2号、US20100111986A1号、US20100092522A1号、US2003008219494A1号及びWO2001025273A2号に記載されている任意の天然WT1ペプチドである。上記は、その全体が本明細書に援用される。
【0030】
1つ以上のさらなるWT1ペプチドは、天然のペプチド配列に対する免疫原性を増強するための1つ以上のヘテロクリティック修飾を含むような、修飾WT1ペプチドフラグメントであってもよい。他の実施形態において、さらなるWT1ペプチドは、QAYMFPNAPYLPSCL(配列番号126)である。他の実施形態において、1つ以上のさらなるペプチドは、YLGEQQYSV(配列番号127)、YLLPAVPSL(配列番号128)、YLGATLKGV(配列番号129)、YLNALLPAV(配列番号130)、GLRRGIQDV(配列番号131)、KLYFKLSHL(配列番号132)、ALLLRTPYV(配列番号133)、YMTWNQMNL(配列番号134)、NMYQRNMTK(配列番号135)、NMHQRVMTK(配列番号136)、NMYQRVMTK(配列番号137)、QMYLGATLK(配列番号138)、QMNLGVTLK(配列番号139)、QMYLGVTLK(配列番号 140)、FMYAYPGCNK(配列番号141)、FMCAYPFCNK(配列番号142)、FMYAYPFCNK(配列番号143)、KLYHLQMHSR(配列番号144)KLSHLQMHSK(配列番号145)及びKLYHLQMHSK(配列番号146)のうちの任意のものである。
【0031】
他の実施形態において、1つ以上のさらなるWT1ペプチドは、NQMNLGATL(配列番号147)、NYMNLGATL(配列番号149)、CMTWNQMNLGATLKG(配列番号150)、CMTWNLMNLGATLKG(配列番号151)、WNQMNLGATLKGVAA(配列番号152)、MTWNQMNLGATLKGV(配列番号154)、TWNQMNLGATLKGVA(配列番号155)、CMTWNLMNLGATLKG(配列番号156)、MTWNLMNLGATLKGV(配列番号157)、TWNLMNLGATLKGVA(配列番号158)、WNLMNLGATLKGVAA(配列番号159)、MTWNYMNLGATLKGV(配列番号160)、TWNYMNLGATLKGVA(配列番号161)、CMTWNQMNLGATLKGVA(配列番号162)、WNQMNLGAT(配列番号163)、TWNQMNLGA(配列番号164)、MTWNQMNLG(配列番号165)、CMTWNLMNLGATLKGVA(配列番号166)、WNLMNLGAT(配列番号167)、MNLGATLKG(配列番号168)、MTWNQMNLG(配列番号169)、CMTWNYMNLGATLKGVA(配列番号170)、MNLGATLKG(配列番号171)、MTWNQMNLG(配列番号172)、GALRNPTAC(配列番号173)、GYLRNPTAC(配列番号174)、GALRNPTAL(配列番号175)、YALRNPTAC(配列番号176)、GLLRNPTAC(配列番号177)、RQRPHPGAL(配列番号178)、RYRPHPGAL(配列番号179)、YQRPHPGAL(配列番号180)、RLRPHPGAL(配列番号181)、RIRPHPGAL(配列番号182)、GALRNPTAC(配列番号183)、GALRNPTAL(配列番号184)、RQRPHPGAL(配列番号185)、RLRPHPGAL(配列番号186)、RIRPHPGAL(配列番号187)、QFPNHSFKHEDPMGQ(配列番号188)、QFPNHSFKHEDPMGQ(配列番号189)、HSFKHEDPM(配列番号190)、HSFKHEDPY(配列番号191)、HSFKHEDPK(配列番号192)、KRPFMCAYPGCYKRY(配列番号193)、SEKRPFMCAYPGCNK(配列番号194)、KRPFMCAYPGCNK(配列番号195)、FMCAYPGCN(配列番号196)、FMCAYPGCY(配列番号197)はFMCAYPGCK(配列番号198)のうちの任意の修飾WT1ペプチドである。
【0032】
他の実施形態において、WT1ペプチドは、WO2005053618号、WO2007047763号、WO2007047764号、WO2007120673号、US20060084609号、WO2014113490号及びWO2013106834号に記載されている任意の修飾WT1ペプチドである。上記は、その全体が本明細書に援用される。
【0033】
他の実施形態において、WT1ペプチドは、US20110070251A1号、US7,063,854B1号、US7,063,854号、US7901693、US7662386号、7,063,854号、US7115272号、US7368119号、US7329410号、US7144581号、US7323181号、US76555249号、US7553,494号、US7608685号、US7380871号、US7030212号、US7807792号、US7517950号、US2010/0166738号、US2011/0070251号、US2009/0143291号及びWO2003037060号に記載されている任意の修飾WT1ペプチドである。上記は、その全体が本明細書に援用される。
【0034】
他の実施形態において、WT1ペプチドは、US76666985B2号、US20080070835A1号、US20070128207A1号、US791539B2号、US20110136141A1号、US7598221B2号、US20100111986A1号、US20100092522A1号、US2003008219494A1号及びWO2001025273A2号に記載されている任意の修飾WT1ペプチドである。上記は、その全体が本明細書に援用される。
【0035】
本明細書中に記載される目的に有用な1つ以上のさらなるWT1ペプチドは、単一のペプチド又はペプチドの組み合わせである。1つ以上のさらなるWT1ペプチドはそれぞれ、天然のWT1ペプチド又は修飾されたWT1ペプチドである。2つ以上のペプチドが使用される場合、それぞれ、個別に(別々の処方で)又は別の1つ以上のペプチドとの組み合わせで(同じ処方で)投与される。1つ以上のペプチドは、キャリア、希釈剤又は賦形剤と組み合わせて投与される。一実施形態において、ペプチドは、アジュバントと組み合わせて投与される。各ペプチドは、異なるアジュバント又はアジュバントの組み合わせと共に投与されてもよく、又は、複数のペプチドは、複数のアジュバントを組み合わせたアジュバントと共に、2つ以上のペプチドの組み合わせで投与されてもよい。1つ又は複数のペプチドを含有する免疫原又は組成物は、本明細書ではワクチン、ペプチドワクチン、WT1ワクチン等と呼ぶ。
【0036】
アジュバントは、ミョウバン塩及び他のミネラルアジュバント、細菌産物又は細菌由来アジュバント、テンソアクティブ剤(例えば、サポニン)、水中油(o/w)及び油中水(w/o)エマルジョン、リポソームアジュバント、サイトカイン(例えば、IL-2、GM-CSF、IL-12、及びIFN-ガンマ)、アルファ-ガラクトシルセラミド類似体のような任意の部類のものであってよい。アジュバントの例としては、モンタニド乳剤、QS21、フロイント完全又は不完全アジュバント、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、Bacillus Calmette-Guerin(BCG)、及びミョウバンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態において、アジュバントは、WT1ペプチドに対する免疫系のCTL応答を増強する薬剤、例えば、オリーブ油由来の植物グレード(VG)オレイン酸を含有する界面活性剤マンニドモノオレエート(Montanide ISA 51 VG w/oエマルジョン)である。アジュバントは、1つ以上のWT1ペプチドと同じ組成物で、又は1つ以上のチェックポイント阻害剤と同じ組成物で、又は1つ以上のWT1ペプチド及び1つ以上のチェックポイント阻害剤の両方と同じ組成物で、又は1つ以上のWT1ペプチド及び1つ以上のチェックポイント阻害剤とは別の組成物で投与される。
【0037】
他の実施形態において、前述のペプチドのいずれか(7つのWT1ペプチド、及び、任意で、1つ又は複数のさらなるWT1ペプチドの組合せ)は、HLAクラスI結合モチーフの一次又は二次アンカー残基に1つ又は複数の点突然変異を有する。一実施形態において、ペプチドは、クラスI結合モチーフの2位又は9位、又はクラスI結合モチーフの2次アンカー残基1位、3位、4位、5位、6位、7位又は8位に点突然変異を有する。一実施形態において、ペプチド、HLAクラスI結合モチーフの位置1はグリシン、トレオニン又はフェニルアラニンに変更される。一実施形態において、HLAクラスI結合モチーフの2位は、ロイシン又はイソロイシンに変更される。一実施形態において、HLAクラスI結合モチーフの6位は、バリン、グルタミン又はヒスチジンに変更される。一実施形態において、HLAクラスI結合モチーフの9位は、バリン、アラニン、トレオニン、イソロイシン、又はシステインに変更される。
【0038】
任意で、7つのWT1ペプチドの組み合わせは、WO2014113490号に開示されている1つ又は複数の天然又は修飾WT1ペプチド、例えば、NQMNLGATL(配列番号147)、NLMNLGATL(配列番号)、NYMNLGATL(配列番号149)、CMTWNQMNLGATLKG(配列番号150)、CMTWNLMNLGATLKG(配列番号151)、WNQMNLGATLKGVAA(配列番号152)、MTWNQMNLGATLKGV(配列番号154)、TWNQMNLGATLKGVA(配列番号155)、CMTWNLMNLGATLKG(配列番号156)、MTWNLMNLGATLKGV(配列番号157)、TWNLMNLGATLKGVA(配列番号158)、WNLMNLGATLKGVAA(配列番号159)、MTWNYMNLGATLKGV(配列番号1260)、TWNYMNLGATLKGVA(配列番号161)、CMTWNQMNLGATLKGVA(配列番号162)、WNQMNLGAT(配列番号163)、TWNQMNLGA(配列番号164)、MTWNQMNLG(配列番号165)、CMTWNLMNLGATLKGVA(配列番号166)、WNLMNLGAT(配列番号167)、MNLGATLKG(配列番号168)、MTWNQMNLG(配列番号169)、CMTWNYMNLGATLKGVA(配列番号170)、MNLGATLKG(配列番号171)、MTWNQMNLG(配列番号172)、GALRNPTAC(配列番号173)、GYLRNPTAC(配列番号174)、GALRNPTAL(配列番号175)、YALRNPTAC(配列番号176)、GLLRNPTAC(配列番号177)、RQRPHPGAL(配列番号178)、RYRPHPGAL(配列番号179)、YQRPHPGAL(配列番号180)、RLRPHPGAL(配列番号181)、RIRPHPGAL(配列番号182)、GALRNPTAC(配列番号183)、GALRNPTAL(配列番号184)、RQRPHPGAL(配列番号185)、RLRPHPGAL(配列番号186)、RIRPHPGAL(配列番号187)、QFPNHSFKHEDPMGQ(配列番号188)、QFPNHSFKHEDPMGQ(配列番号189)、HSFKHEDPM(配列番号190)、HSFKHEDPY(配列番号191)、HSFKHEDPK(配列番号192)、KRPFMCAYPGCYKRY(配列番号194)、SEKRPFMCAYPGCNK(配列番号194)、KRPFMCAYPGCNK(配列番号195)、FMCAYPGCN(配列番号196)、FMCAYPGCY(配列番号197)又はFMCAYPGCK(配列番号198)をさらに含む。
【0039】
組み合わせの各ペプチドは、それ自体の処方内で別々に投与されてもよく、又は組み合わせの2、3、4、5、6、もしくは7以上のペプチドが同じ処方内で共に投与されてもよい。一実施形態において、少なくとも7つのWT1ペプチドの組み合わせは、同じ処方内で投与される。
【0040】
各ペプチドの用量レベル、各個別の投与頻度、又は7つまで、又はそれ以上のペプチドの1つもしくは複数の組み合わせの投与頻度、投与期間及び7つ以上のWT1ペプチドによる免疫化の他の態様は、患者の臨床像、疾患の期間又は経過、共存症、及び臨床ケアの他の態様に応じて最適化される。本発明は、本明細書中に具体化された方法の免疫化成分の特定の態様に関して、限定するものではない。
【0041】
一実施形態において、多価免疫療法組成物は、7つの前述のペプチドYMFPNAPYL(配列番号124)、RSDELVRHHNMHQRNMTKL(配列番号1)、PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(配列番号2)、SGQAYMFPNAPYLPSCLES(配列番号125)、NLMNLGATL(配列番号21)、WNLMNLGATLKGVAA(配列番号26)、及びWNYMNLGATLKGVAA(配列番号205)を、それぞれ280mcg含む。一実施形態において、組成物が1つ以上のさらなるWT1ペプチドをさらに含む。一実施形態において、組成物は、さらなるWT1ペプチドを含まない。一実施形態において、組成物は、さらなるペプチドを含まない。
【0042】
一実施形態において、200mcgの各ペプチドを各用量(0.5ml)で投与する。一実施形態において、100~2000mcgの各ペプチドを各用量で投与する。一実施形態において、前述の用量が10週間にわたって1週間おきに投与される(すなわち、6回の投与)。一実施形態において、投与は皮下である。一実施形態において、アジュバントは、投与前にワクチンと混合(乳化)される。一実施形態において、0.5mLの免疫療法組成物(すなわち、各ペプチド200mcg)を、投与前に1.0mLのアジュバントと乳化させる。他の実施形態において、アジュバントは、免疫療法組成物が注入される前又は後に、ワクチンと同じ部位に注入される。一実施形態において、アジュバントはエマルジョンである。一実施形態において、エマルジョンはモンタニド(Montanide)エマルジョンである。一実施形態において、モンタニドエマルジョンは、免疫学的アジュバントであるモンタニドISA51VGである。任意で、本発明の実施において、1つ以上のチェックポイント阻害剤もまた、以下にさらに記載されるように、免疫療法組成物と共に対象に投与される。
【0043】
上記のように、7つのWT1ペプチドの組み合わせを含むか、又はそれらからなる免疫療法組成物は、WT1発現癌に対する免疫応答を誘発するための免疫原性組成物として投与されてもよく、又は他の実施形態において、WT1ペプチドの組み合わせは、in vitro又はex vivo方法を使用してWT1特異的CTLを調製するために使用されてもよく、CTLは患者への投与時に、WT1発現癌に対して向けられる。一実施形態において、少なくとも7つのWT1ペプチドの組み合わせは、例えば、細胞株由来の細胞を使用して、in vitroでCTLの生成を誘導するために使用される。他の実施形態において、少なくとも7つのWT1ペプチドの組み合わせを使用して、患者から採取した細胞のサンプル中のCTLの生成を誘導し、ex vivoで誘導されたCTLを、それを必要とする同じ患者に注入して戻す。他の実施形態において、少なくとも7つのWT1ペプチドの組み合わせを使用して、ドナーから採取された細胞のサンプル中のCTLの生成を誘導し、ここで、ex vivoで誘導されたCTLはドナーではない、それを必要とする患者に注入される。他の実施形態において、治療を必要とする患者ではない対象に、CTLの形成を誘導するために、本明細書に記載の7つ以上のWT1ペプチドの組み合わせを投与し、次いで、これをドナーから患者に移す。これらの実施形態の各々は本発明の他の態様、及び本明細書に記載されるように、癌を処置すること、又は癌の発生率もしくはその再発を減少させることにおいて有用なWT1特異的細胞の供給源である。前述の実施形態のいずれかにおいて、少なくとも7つのWT1ペプチドの各々に対するCTLは、個別に又は組み合わせて調製される。個々に調製されるCTLは対象に別々に投与することができ、又は対象に投与する前に組み合わせることができる。
【0044】
前述の方法のいずれかにおいて、WT1発現癌に対するCTL応答を誘導するために患者に免疫療法を実施するか、又は、患者又は患者ではないドナーの細胞株からの免疫細胞を用いるin vitro又はex vivoの方法によりドナーからWT1特異的CTLを得るかにかかわらず、チェックポイント阻害剤の併用は、本明細書中で任意で具体化することができ、癌の治療、癌の発生率又はその再発率を低下させるための方法が、それらを必要としている対象を7つ以上のWT1ペプチドの組合せで免疫化することによるか、又はin vitroでex vivo又はドナー対象においてCTLを生成することによるかにかかわらない。これらの方法のいずれにおいても、1つ以上のチェックポイント阻害剤の併用は、本明細書中で任意で具体化されてもよい。1つ以上のチェックポイント阻害剤は、1つ以上のWT1ペプチドで免疫化されている患者に投与されてもよい。チェックポイント阻害剤は、その後患者に注入されるWT1特異的CTLの形成を増強するために、in vitro又はex vivoで使用される。1つ以上のチェックポイント阻害剤は、ドナー対象において使用されて、次いで患者に移されるWT1特異的CTLの形成を増強する。チェックポイント阻害剤は、in vitro、ex vivo、又はドナーがチェックポイント阻害剤も投与されたか否かにかかわらず、in vitro、ex vivo、又はドナーにおいて調製されたCTLを受ける患者において使用される。後者の実施形態において、同じ又は異なる1つ以上のチェックポイント阻害剤を、in vitro、ex vivo又はドナー対象、及び患者において使用してよい。
【0045】
免疫チェックポイントは、免疫系におけるT細胞機能を調節する。T細胞は、細胞性免疫において中心的な役割を果たしている。チェックポイントタンパク質は、信号をT細胞に送り、本質的にT細胞機能をオフにするか又は阻害する特定のリガンドと相互作用する。癌細胞は、その表面にチェックポイントタンパク質の高レベルの発現を駆動することにより、腫瘍微小環境に入ったT細胞の表面にチェックポイントタンパク質を発現するT細胞が制御され、抗癌免疫応答を抑制することにより、この系を利用する。このように、チェックポイントタンパク質の阻害は、T細胞機能を修復し、癌細胞に対する免疫応答をもたらす。免疫チェックポイント阻害剤(又はチェックポイント阻害剤)は、免疫チェックポイントタンパク質をブロック又は阻害する(すなわち、チェックポイント受容体又はチェックポイント受容体リガンドをブロック又は阻害する)化合物又は薬剤である。チェックポイントタンパク質の例としては、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、IDO、KIR、2B4(CD2系列の分子に属し、全てのNK細胞、及びメモリCD8T細胞で発現する)、CD160(BY55とも呼ばれる)、CGEN-15049、CHK1及びCHK2キナーゼ、A2aR、及び様々なB-7系列リガンドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。プログラム死-1(PD-1)は、T細胞活性化の規制に関与する分子の免疫グロブリンスーパーファミリー(IGSF)の一員である。PD-1は、細胞死を起こすT細胞ハイブリドーマにおいてアップレギュレートされる遺伝子として1992年に同定されたときに、「プログラム死」という名称がついた。PD-1の構造は、1つのIGSFドメイン、膜貫通ドメイン、及び免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)と免疫受容体チロシンベースのスイッチモチーフ(ITSM)を含む細胞内ドメインから構成されている[38]。PD-1は、PD-L1(B7-H1、CD274)とPD-L2(B7-DC、CD273)の2つの結合パートナーを有する。PD-L1は、造血系と非造血系の両系統に広く発現している[39,40]。T細胞、B細胞、マクロファージ、NK細胞、DC、肥満細胞のほか、末梢組織にも認められる[41,42]。PD-1関与は、腫瘍が免疫サーベイランス及びクリアランスを回避する1つの手段を表す[43]。免疫正常マウス癌モデルで活性を示すニボルマブにより、PD-1経路の遮断が証明されている[44]。
【0046】
チェックポイント阻害剤の例としては、小分子、ペプチド、及び抗体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。抗体の例としては、ニボルマブ(OPDIVO)、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA)、ピジリズマブ(CT-011)、MEDI680(AMP-514)、AMP-224、AUNP-12、BMS 936559、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、デュルバルマブ(MEDI4736)、アベルマブ(MSB0010718C)、BMS93559(MDX-1105)、rHIgM12B7、BMS-986016、GSK2831781、IMP321、リルマブ(BMS-986015)、IPH2101(1-7F9)、インドキシモド(NLG 9189)、NLG919、INCB024360、PF-05082566、ウレルマブ(BMS-6635が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
ニボルマブ(OPDIVO)は、活性化T及びBリンパ球上のPD-1受容体を標的とした完全ヒト型IgG4モノクローナル抗体である[47]。ペンブロリズマブ(KEYTRUDA)は、PD-1を標的とする抗体の別の非限定的な例である。チェックポイントタンパク質をブロック、阻害、又は標的とする他の化合物及び薬剤には、試験中の化合物が含まれ、まだ市販されていない。本発明は、特定のチェックポイント阻害剤に限定されない。使用されるチェックポイント阻害剤の例を表1にリストするが、これらに限定されるものではない。
【0048】
【表1】
【表2】
【0049】
一実施形態において、2つ以上のチェックポイント阻害剤の組み合わせが対象に投与される。一実施形態において、チェックポイント阻害剤の組み合わせは表1のもの中から選択される。2つ以上のチェックポイント阻害剤は、互いに関して、及び1つ以上のWT1ペプチドに関して、同時に又は連続的に投与することができる。さらなる実施形態において、2つ以上のチェックポイント阻害剤の組み合わせは、2つの異なるチェックポイントタンパク質、例えば、PD-1(例えば、ニボルマブ又は他のPD-1阻害剤)及びCTLA-4(例えば、イピルムマブ又は他のCTLA-4阻害剤)を標的とし、互いに関して、及び1つ以上のWT1ペプチドに関して、同時に又は連続して対象に投与される。一実施形態において、2つ以上のチェックポイント阻害剤の組み合わせは、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK1キナーゼ、CHK2キナーゼ、A2aR、及びB-7ファミリーリガンドの2つ以上の異なるチェックポイントタンパク質を標的とする。一実施形態において、2つ以上の異なるチェックポイントタンパク質を標的とする2つ以上のチェックポイント阻害剤の組み合わせは、表1の中から選択される。
【0050】
チェックポイント阻害剤の投薬レベル、投薬頻度、投薬期間及び投与のその他態様は、患者の臨床症状、疾患の期間又は経過、合併症、及び臨床ケアの他の態様に応じて最適化される。本発明は、本明細書中に具体化された方法のチェックポイント阻害剤成分の特定の態様に関して、限定するものではない。
【0051】
一実施形態において、ニボルマブの用量及び3mg/kgのスケジュール選択は、12週間のコースにわたって2週間ごとに行われる。一実施形態において、投与は静脈内である。一実施形態において、チェックポイント阻害剤投与の過程は、WT1ワクチン投与の過程と同時である。一実施形態において、チェックポイント阻害剤投与の過程は、WT1ワクチン投与の過程と重複する。一実施形態において、チェックポイント阻害剤投与の過程は、WT1ワクチン投与の過程とほぼ同時に開始される。
【0052】
一実施形態において、免疫療法組成物は、200mcgのペプチドYMFPNAPYL(配列番号124)、RSDELVRHHNMHQRNMTKL(配列番号1)、PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(配列番号2)、SGQAYMFPNAPYLPSCLES(配列番号125)、NLMNLGATL(配列番号21)、WNLMNLGATLKGVAA(配列番号26)、及びWNYMNLGATLKGVAA(配列番号205)を、1.0mLのモンタニドISA51VGで乳化され、6回の投与のために2週間毎に皮下投与される0.5mLの総容量で組み合わせて含み、ニボルマブ3mg/kgは、WT1免疫療法と同時に開始して、2週間毎に60分間の注入によって、7回の投与のために静脈内投与される。
【0053】
一実施形態において、7つ以上のWT1ペプチドの組み合わせ、及び、任意で、1つ以上のチェックポイント阻害剤が、患者に最大限に利益をもたらすスケジュールに従って、それぞれ対象に投与される方法が、本明細書において具体化される。従って、1つ以上のWT1ペプチド及び1つ以上のチェックポイント阻害剤は、必ずしも同時に、又は同じ組成物中で、又はそれぞれ同じ期間にわたって投与されるわけではない。各WT1ペプチド、又はWT1ペプチドの組み合わせは、各チェックポイント阻害剤のように、特定のスケジュールに従って投与される。一実施形態において、7つ以上のWT1ペプチドと1つ以上のチェックポイント阻害剤との組み合わせは、同じ組成物中に存在するがこれに限定されるものではない。
【0054】
本明細書中に記載されるように、用量レベル及び投薬スケジュールは、WT1ペプチド(別々に又は共に投与される)の頻度及び期間、1つ以上のチェックポイント阻害剤(別々に又は共に投与される)の用量レベル及び投薬スケジュール、投与経路、及び他の投与態様を含み、患者対象に対する最大の利益のために最適化される。ドナー対象が、患者に投与するためのWT1特異的CTLを生成する目的のためのWT1ペプチド及びチェックポイント阻害剤のレシピエントである場合、同じ態様も考えられる。
【0055】
一実施形態において、少なくとも7つのWT1ペプチドと少なくとも1つのチェックポイント阻害剤との組み合わせを含む組成物が提供される。一実施形態において、組成物中のWT1ペプチドは、本明細書に開示されているものである。一実施形態において、チェックポイント阻害剤は、本明細書に開示されているものである。一実施形態において、組成物は、チェックポイント阻害剤ニボルマブ、ペンブロリズマブ、又はそれらの組み合わせを含む。組成物は、賦形剤、希釈剤又はキャリアをさらに含んでもよい。組成物はまた、1つ以上のアジュバントを含んでもよい。
【0056】
前述の実施形態は、WT1発現癌を処置し、その発生率を低下させ、それに対する免疫応答を誘導する改善された方法、及び同じ目的に有用な組成物を提供する。本発明の他の態様を、以下にさらに記載する。
【0057】
一実施形態において、修飾WT1ペプチドは、1つ以上の修飾されたアミノ酸を有し、本明細書中では突然変異WT1ペプチドと称す。一実施形態において、突然変異WT1ペプチドは、(a)ヒト白血球抗原(HLA)クラスII分子の結合モチーフ、及び(b)HLAクラスI分子の結合モチーフの1つ以上のアンカー残基に点突然変異を含むHLAクラスI分子の結合モチーフを含む。他の実施形態において、ペプチドは、11以上のアミノ酸長である。特定の他の実施形態において、ペプチドは、長さが11~22、11~30、16~22又は16~30アミノ酸である。他の実施形態において、点突然変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの1~3アンカー残基にある。他の実施形態において、点突然変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの1つのアンカー残基にある。他の実施形態において、点突然変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの2つのアンカー残基にある。他の実施形態において、点突然変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの1~2アンカー残基にある。他の実施形態において、点突然変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの2~3アンカー残基にある。他の実施形態において、点突然変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの1~4アンカー残基にある。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0058】
他の実施形態において、本発明は、WT1発現癌を有する対象を処置する方法を提供し、この方法は、少なくとも7つのWT1ペプチドと、任意で、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤との組合せを対象に投与することを含み、それによってWT1発現癌を有する対象を処置する。
【0059】
他の実施形態において、本発明は、対象におけるWT1発現癌又はその再発の発生率を減少させる方法を提供し、この方法は対象に、少なくとも7つのWT1ペプチドと、任意で少なくとも1つのチェックポイント阻害剤との組み合わせを投与することを含み、それによって、対象におけるWT1発現癌又はその再発の発生率を減少させる。
【0060】
他の実施形態において、本発明は、WT1タンパク質特異性CTLの形成及び増殖を誘導する方法を提供し、この方法は、リンパ球集団を、少なくとも7つのWT1ペプチド及び、任意で少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の組み合わせと接触させ、それによって、WT1タンパク質特異性CTLの形成及び増殖を誘導することを含む。
【0061】
他の実施形態において、本発明は、(a)WT1タンパク質特異性CD8リンパ球、及び(b)WT1タンパク質に特異性なCD4リンパ球の形成及び増殖を誘導する方法を提供し、この方法は、リンパ球集団を、少なくとも7つのWT1ペプチド、及び、任意で少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の組合せと接触させ、それによって(a)WT1タンパク質特異性CD8リンパ球、及び(b)WT1タンパク質に特異性なCD4+リンパ球の形成及び増殖を誘導することを含む。
【0062】
一実施形態において、WT1発現癌を処置し、WT1発現癌の発生率を減少させ、又はWT1タンパク質特異的T細胞応答の形成及び増殖を誘導する前述の方法は、そのような方法が少なくとも7つのWT1ペプチド単独又はチェックポイント阻害剤単独の組み合わせのみを使用する場合よりも大きな効果が達成される。一実施形態において、WT1免疫療法の投与過程及び1つ以上のチェックポイント阻害剤の投与過程は、ワクチンに対する生物学的反応が1つ以上のチェックポイント阻害剤の投与によって増強されるように、同時、重複、又は同時である。同時投与は、WT1特異的CTLを誘導するためのWT1免疫療法のコース、及び癌に対するCTLの活性を増強するための1つ以上のチェックポイント阻害剤の投与を含む。一実施形態において、WT1免疫療法投与によって誘発されるCTLの有効性がチェックポイント阻害剤療法によって増強される限り、WT1ワクチン投与のコースは、チェックポイント阻害剤療法のコースが始まる前に終了させることができる。一実施形態において、チェックポイント阻害剤療法の最初の投与が最後のWT1免疫療法投与と同日である。一実施形態において、WT1免疫療法の終了及びチェックポイント阻害剤療法の開始は、1~7日又は1~4週間離れている。
【0063】
本明細書中に記載されるように、1つ以上のさらなるWT1ペプチドは、WT1タンパク質の天然のフラグメント又は連続するアミノ酸配列であるか、又は、それらは、ペプチドに対する免疫原性又は任意の他の有益な特性及びWT1発現癌に対する免疫の発生を増強するために、アミノ酸配列の1つ以上の修飾を有していてよい。特定の実施形態において、1つ又は複数のアミノ酸は、免疫原性を増強するために変更される。一実施形態において、使用方法は、(a)ヒト白血球抗原(HLA)クラスII分子の結合モチーフ、及び(b)HLAクラスI分子の結合モチーフの1つ以上のアンカー残基に点突然変異を有するHLAクラスI分子の結合モチーフを含む、単離された突然変異WT1ペプチドを使用する。他の実施形態において、ペプチドは、長さが11以上のaaである。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0064】
「点突然変異」は、他の実施形態において、フラグメントがタンパク質の天然配列に対して突然変異しており、従ってHLAクラスI分子結合モチーフを作り出していることを示している。他の実施形態において、「点突然変異」が、天然配列に存在するHLAクラスI分子結合モチーフの結合能力を強化する。各可能性は、本発明の使用方法の別個の実施形態に相当する。
【0065】
他の実施形態において、点突然変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの1~3アンカー残基にある。他の実施形態において、点突然変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの1つのアンカー残基にある。他の実施形態において、点突然変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの2つのアンカー残基にある。他の実施形態において、点突然変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの1~2アンカー残基にある。他の実施形態において、点突然変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの2~3アンカー残基にある。他の実施形態において、点突然変異は、HLAクラスI分子結合モチーフの1~4アンカー残基にある。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0066】
他の実施形態において、本発明のペプチドは、長さが11~453アミノ酸(AA)である。他の実施形態において、長さは12~453AAである。他の実施形態において、長さは13~453AAである。他の実施形態において、長さは14~453AAである。他の実施形態において、長さは15~453AAである。他の実施形態において、長さは16~453AAである。他の実施形態において、長さは17~453AAである。他の実施形態において、長さは18~453AAである。他の実施形態において、長さは19~453AAである。他の実施形態において、長さは20~453AAである。
【0067】
他の実施形態において、長さは11~449AAである。他の実施形態において、長さは12~449AAである。他の実施形態において、長さは13~449AAである。他の実施形態において、長さは14~449AAである。他の実施形態において、長さは15~449AAである。他の実施形態において、長さは16~449AAである。他の実施形態において、長さは17~449AAである。他の実施形態において、長さは18~449AAである。他の実施形態において、長さは19~449AAである。他の実施形態において、長さは20~449AAである。
【0068】
他の実施形態において、長さは11~30AAである。他の実施形態において、長さは16~22AAである。他の実施形態において、長さは19AAである。他の実施形態において、ペプチドの長さは15~23AAである。他の実施形態において、長さは15~24AAである。他の実施形態において、長さは15~25AAである。他の実施形態において、長さは15~26AAである。他の実施形態において、長さは15~27AAである。他の実施形態において、長さは15~28AAである。他の実施形態において、長さは14~30AAである。他の実施形態において、長さは14~29AAである。他の実施形態において、長さは14~28AAである。他の実施形態において、長さは14~26AAである。他の実施形態において、長さは14~24AAである。他の実施形態において、長さは14~22AAである。他の実施形態において、長さは14~20AAである。他の実施形態において、長さは16~30AAである。他の実施形態において、長さは16~28AAである。他の実施形態において、長さは16~26AAである。他の実施形態において、長さは16~24AAである。他の実施形態において、長さは16~22AAである。他の実施形態において、長さは18~30AAである。他の実施形態において、長さは18~28AAである。他の実施形態において、長さは18~26AAである。他の実施形態において、長さは18~24AAである。他の実施形態において、長さは18~22AAである。他の実施形態において、長さは18~20AAである。他の実施形態において、長さは20~30AAである。他の実施形態において、長さは20~28AAである。他の実施形態において、長さは20~26AAである。他の実施形態において、長さは20~24AAである。他の実施形態において、長さは22~30AAである。他の実施形態において、長さは22~28AAである。他の実施形態において、長さは22~26AAである。他の実施形態において、長さは24~30AAである。他の実施形態において、長さは24~28AAである。他の実施形態において、長さは24~26AAである。
【0069】
他の実施形態において、本発明の方法及び組成物に有用なペプチドは、HLAクラスII分子(他の実施形態において約12AA)に結合するための最小長よりも長い。他の実施形態において、HLAクラスII結合ペプチドの長さを増加させると、2つ以上のHLAクラスII分子への結合が可能になる。他の実施形態において、長さを増加させると、その結合モチーフが知られていないHLAクラスII分子への結合が可能になる。他の実施形態において、長さを増加させると、HLAクラスI分子への結合が可能になる。他の実施形態において、HLAクラスI分子の結合モチーフは知られている。他の実施形態において、HLAクラスI分子の結合モチーフは知られていない。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0070】
上記のペプチド長の各々は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0071】
他の実施形態において主要組織適合複合体(MHC)分子として知られるHLA分子はペプチドに結合し、それらを免疫細胞に提示する。従って、他の実施形態において、ペプチドの免疫原性は、HLA分子に対するその親和性によって部分的に決定される。HLAクラスI分子は、通常、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)に存在するCD8分子と相互作用する。HLAクラスII分子は、通常、ヘルパーTリンパ球上に存在するCD4分子と相互作用する。
【0072】
他の実施形態において、本発明のペプチドは免疫原性である。他の実施形態において、「免疫原性」という用語は、免疫応答を刺激する、誘発する、又は関与する能力をいう。他の実施形態において、誘発される免疫応答は、細胞媒介免疫応答である。他の実施形態において、免疫応答は、細胞性応答と体液性応答との組み合わせである。
【0073】
他の実施形態において、HLA分子-ペプチド複合体に結合するT細胞は、活性化され、そしてペプチドを含むタンパク質を発現する細胞を増殖及び溶解するように誘導される。T細胞は、典型的には、最初に「プロフェッショナル」抗原提示細胞(「APC」、例えば、樹状細胞、単球、及びマクロファージ)によって活性化され、これらは、アネルギー又はアポトーシスよりもむしろT細胞活性化を促進する共刺激分子を提示する。他の実施形態において、応答は、本明細書中に記載されるように、ヘテロクリティックであり、その結果、CTLは、本発明のペプチドに相同なAA配列を有するタンパク質、又はT細胞を最初に刺激するために使用されるペプチドとは異なるペプチドを発現する新生物細胞を溶解する。
【0074】
他の実施形態において、T細胞と本発明のペプチドとの遭遇は、エフェクター及び/又はメモリーT細胞へのその分化を誘導する。エフェクター又はメモリーT細胞と同じペプチドとの間、又は、他の実施形態においては、本発明のヘテロクリティックペプチドとのその後の遭遇がより速く、より強力な免疫応答をもたらす。このような応答は、他の実施形態において、ペプチドに曝露されたT細胞集団の増殖の程度を測定することによって測定される。他の実施形態において、このような応答は、本明細書中で以下に列挙される方法のいずれかによって測定される。
【0075】
他の実施形態において、本明細書に記載されるように、対象は、発現される天然タンパク質とは異なる本発明のペプチド、又はペプチドを含む組成物/細胞集団に曝露され、その後、天然タンパク質/抗原と交差反応性の宿主免疫応答が生じる。
【0076】
他の実施形態において、本発明のペプチド、組成物、及びワクチンは、腫瘍細胞溶解を生じる免疫応答を刺激する。前述の実施形態の全てにおいて、チェックポイント阻害剤の同時使用は、腫瘍に対する免疫応答を増強する。
【0077】
他の実施形態において、本発明のペプチドのHLAクラスI分子結合モチーフは、ペプチドのHLAクラスII分子結合モチーフ内に含まれる。他の実施形態において、HLAクラスI分子結合モチーフは、HLAクラスII分子結合モチーフと重複する。他の実施形態において、HLAクラスI分子結合モチーフは、HLAクラスII分子結合モチーフと重複しない。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0078】
結合モチーフが本発明のペプチドに含まれるHLAクラスII分子は、他の実施形態において、HLA-DR分子である。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、HLA-DP分子である。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、HLA-DQ分子である。
【0079】
他の実施形態において、HLAクラスII分子は、HLA-DRB分子である。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、DRB101である。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、DRB301である。他の実施形態において、HLAクラスII分子はDRB401である。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、DRB701である。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、DRB1101である。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、DRB1501である。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、当該分野で公知の任意の他のHLA-DRB分子である。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、HLA-DRA分子である。他の実施形態において、HLAクラスII分子がHLA-DQA1分子である。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、HLA-DQB1分子である。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、HLA-DPA1分子である。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、HLA-DPB1分子である。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、HLA-DMA分子である。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、HLA-DMB分子である。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、がHLA-DOA分子である。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、HLA-DOB分子である。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、当該分野で公知の任意の他のHLAクラスII分子である。
【0080】
他の実施形態において、本発明のペプチドは、2つの異なるHLAクラスII分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、3つの異なるHLAクラスII分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、4つの異なるHLAクラスII分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、5つの異なるHLAクラスII分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、6つの異なるHLAクラスII分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、6個を超える別個のHLAクラスII分子に結合する。
【0081】
他の実施形態において、本発明のペプチドによって結合されるHLAクラスII分子は、所与のHLAクラスII遺伝子座における2つ以上の異なる対立遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、遺伝子座において3つの異なる対立遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、遺伝子座において4つの異なる対立遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、遺伝子座において5つの異なる対立遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、遺伝子座において6つの異なる対立遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、HLAクラスII分子が遺伝子座において6つより多い別個の対立遺伝子によってコードされる。
【0082】
他の実施形態において、ペプチドによって結合されるHLAクラスII分子は、2つの異なる遺伝子座でHLAクラスII遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、2つ以上の異なる遺伝子座でHLAクラスII遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、3つの異なる遺伝子座でHLAクラスII遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、3つ以上の異なる遺伝子座でHLAクラスII遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、4つの異なる遺伝子座でHLAクラスII遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、4つ以上の異なる遺伝子座でHLAクラスII遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、5つの異なる遺伝子座でHLAクラスII遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、5つ以上の異なる遺伝子座でHLAクラスII遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、6つの異なる遺伝子座でHLAクラスII遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、6つ以上の異なる遺伝子座でHLAクラスII遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、6を超える別個の遺伝子座でHLAクラスII遺伝子によってコードされる。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0083】
他の実施形態において、本発明のペプチドは、2つの異なるHLA-DRB分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、3つの異なるHLA-DRB分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、4つの異なるHLA-DRB分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、5つの異なるHLA-DRB分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、6つの異なるHLA-DRB分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、6個を超える別個のHLA-DRB分子に結合する。
【0084】
他の実施形態において、WT1ペプチドによって結合されたHLAクラスII分子は、2つの異なる遺伝子座でHLAクラスII遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、結合したHLA分子は、2つ以上の異なる遺伝子座でHLAクラスII遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、結合したHLA分子は、3つの異なる遺伝子座でHLAクラスII遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、結合したHLA分子は、3つ以上の異なる遺伝子座でHLAクラスII遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、結合したHLA分子は、4つの異なる遺伝子座でHLAクラスII遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、結合したHLA分子は、4つ以上の異なる遺伝子座でHLAクラスII遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、結合したHLA分子は、4つを超える別個の遺伝子座でHLAクラスII遺伝子によってコードされる。他の実施形態において、遺伝子座は、HLA-DRB遺伝子座から選択される。他の実施形態において、HLAクラスII結合ペプチドは、HLA-DRA結合ペプチドである。他の実施形態において、ペプチドは、HLA-DQA1結合ペプチドである。他の実施形態において、ペプチドは、HLA-DQB1結合ペプチドである。他の実施形態において、ペプチドは、HLA-DPA1結合ペプチドである。他の実施形態において、ペプチドは、HLA-DPB1結合ペプチドである。他の実施形態において、ペプチドは、HLA-DMA結合ペプチドである。他の実施形態において、ペプチドは、HLA-DMB結合ペプチドである。他の実施形態において、ペプチドは、HLA-DOA結合ペプチドである。他の実施形態において、ペプチドは、HLA-DOB結合ペプチドである。他の実施形態において、ペプチドは、当該分野で公知の任意の他のHLAクラスII分子に結合する。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0085】
他の実施形態において、本発明のペプチドは、DRB101、DRB301、DRB401、DRB701、DRB1101、及びDRB1501から選択される2つの異なるHLA-DRB対立遺伝子によってコードされるHLA-DRB分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、DRB101、DRB301、DRB401、DRB701、DRB1101、及びDRB1501から選択される3つの異なるHLA-DRB対立遺伝子によってコードされるHLA-DRB分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、DRB101、DRB301、DRB401、DRB701、DRB1101、及びDRB1501から選択される4つの異なるHLA-DRB対立遺伝子によってコードされるHLA-DRB分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、DRB101、DRB301、DRB401、DRB701、DRB1101、及びDRB1501から選択される5つの異なるHLA-DRB対立遺伝子によってコードされるHLA-DRB分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、以下のHLA-DRB対立遺伝子、DRB101、DRB301、DRB401、DRB701、DRB1101、及びDRB1501のそれぞれによってコードされるHLA-DRB分子に結合する。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0086】
上記のHLAクラスII分子、型、クラス、及びそれらの組み合わせの各々は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0087】
結合モチーフが本発明のペプチドに含まれるHLAクラスI分子は、他の実施形態においてHLA-A分子である。他の実施形態において、HLAクラスI分子は、HLA-B分子である。他の実施形態において、HLAクラスI分子は、HLA-C分子である。他の実施形態において、HLAクラスI分子は、HLA-A0201分子である。他の実施形態において、分子はHLA A1である。他の実施形態において、HLAクラスI分子は、HLA A2である。他の実施形態において、HLAクラスI分子は、HLA A2.1である。他の実施形態において、HLAクラスI分子は、HLA A3である。他の実施形態において、HLAクラスI分子は、HLA A3.2である。他の実施形態において、HLAクラスI分子は、HLA A11である。他の実施形態において、HLAクラスI分子は、HLA A24である。他の実施形態において、HLAクラスI分子は、HLA B7である。他の実施形態において、HLAクラスI分子は、HLA B27である。他の実施形態において、HLAクラスI分子は、HLA B8である。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0088】
他の実施形態において、本発明の方法及び組成物のHLAクラスI分子結合WT1ペプチドは、HLAクラスI分子のスーパーファミリーに結合する。他の実施形態において、スーパーファミリーは、A2スーパーファミリーである。他の実施形態において、スーパーファミリーは、A3スーパーファミリーである。他の実施形態において、スーパーファミリーは、A24スーパーファミリーである。他の実施形態において、スーパーファミリーは、B7スーパーファミリーである。他の実施形態において、スーパーファミリーは、B27スーパーファミリーである。他の実施形態において、スーパーファミリーは、B44スーパーファミリーである。他の実施形態において、スーパーファミリーは、C1スーパーファミリーである。他の実施形態において、スーパーファミリーは、C4スーパーファミリーである。他の実施形態において、スーパーファミリーは、当技術分野で知られている任意の他のスーパーファミリーである。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0089】
他の実施形態において、本発明のペプチドのHLAクラスI分子結合モチーフは、ペプチドの非突然変異対応物と比較して、HLAクラスI分子に対して、増加した親和性を示す。他の実施形態において、点突然変異は、HLAクラスI分子に対する単離された突然変異WT1ペプチドの親和性を増加させる。他の実施形態において、親和性の増加は、単離された突然変異WT1ペプチドが誘導された、単離された非突然変異WT1ペプチドの親和性(同じHLAクラスI分子に対する)に関連している。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0090】
他の実施形態において、本発明の方法及び組成物のHLAクラスI分子結合WTペプチドは、9~13AAの長さを有する。他の実施形態において、長さは8~13AAである。他の実施形態において、ペプチドは、本明細書中に列挙される本発明のペプチドの長さのいずれかを有する。
【0091】
他の実施形態において、HLAクラスI分子結合WTペプチドは、8AAの長さを有する。他の実施形態において、ペプチドは9AAの長さを有する。他の実施形態において、ペプチドは10AAの長さを有する。本明細書中に提供されるように、9~10AAの天然及びヘテロクリティックペプチドは、HLAクラスI分子への実質的な結合及びCTLによるサイトカイン分泌及び細胞溶解を誘発する能力を示した。
【0092】
他の実施形態において、本発明のWT1ペプチド内に埋め込まれたHLAクラスI分子結合WT1ペプチドは、上記の長さの1を有する。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。一実施形態において、WT1ペプチドは、HLAクラスI分子結合WT1ペプチドよりも長い長さのペプチドである。より長い長さのペプチドは、細胞によって、HLAクラス1分子によって提示される適切な長さに分解される。
【0093】
他の実施形態において、HLAクラスI分子結合WT1ペプチドによって結合されるHLAクラスI分子は、HLA-A分子である。他の実施形態において、HLAクラスI分子は、HLA-A2分子である。他の実施形態において、HLAクラスI分子がHLA-A3分子である。他の実施形態において、HLAクラスI分子は、HLA-A11分子である。他の実施形態において、HLAクラスI分子は、HLA-B8分子である。他の実施形態において、HLAクラスI分子は、HLA-0201分子である。他の実施形態において、HLAクラスI分子は、当該分野で公知の任意の他のHLAクラスI分子に結合する。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0094】
他の実施形態において、本発明のペプチドは、本発明のペプチドが誘導された単離されたWT1ペプチドによって示されるように、複数のHLAクラスII分子に結合する能力を保持する。
【0095】
本明細書中の全ての態様において、本明細書中のワクチンにおいて、又はin vitro、ex vivoもしくはドナーにおいてCTLを生成するために有用な1つ以上のWT1ペプチドは、患者又はドナーのHLA型(単数又は複数)に一致するように、天然であろうと修飾されようと、ペプチド又はペプチド配列の選択が本明細書中に具体化される。
【0096】
本発明のペプチドが由来し得るWT1分子は、他の実施形態において、配列MGSDVRDLNALLPAVPSLGGGGGCALPVSGAAQWAPVLDFAPPGASAYGSLGGPAPPPAPPPPPPPPPHSFIKQEPSWGGAEPHEEQCLSAFTVHFSGQFTGTAGACRYGPFGPPPPSQASSGQARMFPNAPYLPSCLESQPAIRNQGYSTVTFDGTPSYGHTPSHHAAQFPNHSFKHEDPMGQQGSLGEQQYSVPPPVYGCHTPTDSCTGSQALLLRTPYSSDNLYQMTSQLECMTWNQMNLGATLKGVAAGSSSSVKWTEGQSNHSTGYESDNHTTPILCGAQYRIHTHGVFRGIQDVRRVPGVAPTLVRSASETSEKRPFMCAYPGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTGEKPYQCDFKDCERRFSRSDQLKRHQRRHTGVKPFQCKTCQRKFSRSDHLKTHTRTHTGKTSEKPFSCRWPSCQKKFARSDELVRHHNMHQRNMTKLQLAL(配列番号199、GenBank受託番号AY245105)を有する。
【0097】
他の実施形態において、WT1分子は、以下の配列
AAEASAERLQGRRSRGASGSEPQQMGSDVRDLNALLPAVPSLGGGGGCALPVSGAAQWAPVLDFAPPGASAYGSLGGPAPPPAPPPPPPPPPHSFIKQEPSWGGAEPHEEQCLSAFTVHFSGQFTGTAGACRYGPFGPPPPSQASSGQARMFPNAPYLPSCLESQPAIRNQGYSTVTFDGTPSYGHTPSHHAAQFPNHSFKHEDPMGQQGSLGEQQYSVPPPVYGCHTPTDSCTGSQALLLRTPYSSDNLYQMTSQLECMTWNQMNLGATLKGHSTGYESDNHTTPILCGAQYRIHTHGVFRGIQDVRRVPGVAPTLVRSASETSEKRPFMCAYPGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTGEKPYQCDFKDCERRFSRSDQLKRHQRRHTGVKPFQCKTCQRKFSRSDHLKTHTRTHTGEKPFSCRWPSCQKKFARSDELVRHHNMHQRNMTKLQLAL(配列番号200、GenBank受託番号NM_000378)を有する。
【0098】
他の実施形態において、WT1分子は、以下の配列
MQDPASTCVPEPASQHTLRSGPGCLQQPEQQGVRDPGGIWAKLGAAEASAERLQGRRSRGASGSEPQQMGSDVRDLNALLPAVPSLGGGGGCALPVSGAAQWAPVLDFAPPGASAYGSLGGPAPPPAPPPPPPPPPHSFIKQEPSWGGAEPHEEQCLSAFTVHFSGQFTGTAGACRYGPFGPPPPSQASSGQARMFPNAPYLPSCLESQPAIRNQGYSTVTFDGTPSYGHTPSHHAAQFPNHSFKHEDPMGQQGSLGEQQYSVPPPVYGCHTPTDSCTGSQALLLRTPYSSDNLYQMTSQLECMTWNQMNLGATLKGVAAGSSSSVKWTEGQSNHSTGYESDNHTTPILCGAQYRIHTHGVFRGIQDVRRVPGVAPTLVRSASETSEKRPFMCAYPGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTGEKPYQCDFKDCERRFSRSDQLKRHQRRHTGVKPFQCKTCQRKFSRSDHLKTHTRTHTGEKPFSCRWPSCQKKFARSDELVRHHNMHQRNMTKLQLAL(配列番号201、GenBank受託番号NP_077742)を有する。
【0099】
他の実施形態において、WT1分子は、以下の配列
MGHHHHHHHHHHSSGHIEGRHMRRVPGVAPTLVRSASETSEKRPFMCAYPGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTGEKPYQCDFKDCERRFFRSDQLKRHQRRHTGVKPFQCKTCQRKFSRSDHLKTHTRTHTGEKPFSCRWPSCQKKFARSDELVRHHNMHQRNMTKLQLAL(配列番号202)を有する。
【0100】
他の実施形態において、WT1タンパク質は、以下のGenBank受託番号:NM_024426、NM_024425、NM_024424、NM_000378、S95530、D13624、D12496、D12497、AH003034、又はX77549のうちの1つに規定される配列のうちの1つを含む。他の実施形態において、WT1タンパク質は、上記のGenBank受託番号の1つに規定される配列の1つを有する。他の実施形態において、WT1タンパク質は、当該分野で公知の任意のWT1タンパク質である。他の実施形態において、WT1タンパク質は、当該分野で公知の任意の他のWT1配列を有する。
【0101】
他の実施形態において、本発明の目的に有用なペプチドは、WT1タンパク質のフラグメントに由来する。他の実施形態において、誘導のプロセスは、HLAクラスI分子結合モチーフのアンカー残基における点突然変異の導入を含む。他の実施形態において、誘導のプロセスは、HLAクラスI分子結合モチーフのアンカー残基における点突然変異の導入からなる。他の実施形態において、本発明のペプチドは、HLAクラスI分子結合モチーフアンカー残基における点突然変異によってのみ、WT1タンパク質の対応するフラグメントと異なる。他の実施形態において、本発明のペプチドのHLAクラスI分子結合モチーフは、アンカー残基における点突然変異によってのみ、対応するWT1配列と異なる。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0102】
他の実施形態において、本発明のペプチドの誘導プロセスは、アミノ酸(AA)のAA類似体への1つ以上の修飾をさらに含む。他の実施形態において、誘導のプロセスは、2つ以上のAAを連結する1つ以上のペプチド結合の修飾をさらに含む。他の実施形態において、AA類似体又はペプチド結合修飾は、以下に列挙するAA類似体又はペプチド結合修飾の1つである。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0103】
本発明のペプチド(野生型配列における「対応物」)が由来するWT1タンパク質の非突然変異フラグメントは、他の実施形態において、配列SGQARMFPNAPYLPSCLES(配列番号5)を有する。他の実施形態において、非突然変異WT1フラグメントは、配列QARMFPNAPYLPSCL(配列番号6)を有する。他の実施形態において、非突然変異WT1フラグメントは、配列LVRHHNMHQRNMTKL(配列番号3)を有する。他の実施形態において、非突然変異WT1フラグメントは、配列RSDELVRHHNMHQRNMTKL(配列番号1)を有する。他の実施形態において、非突然変異WT1フラグメントは、配列NKRYFKLSHLQMHSR(配列番号4)を有する。他の実施形態において、非突然変異WT1フラグメントは、配列PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(配列番号2)を有する。他の実施形態において、非突然変異WT1フラグメントは、HLAクラスII分子結合モチーフを含む任意の他のWT1フラグメントである。他の実施形態において、非突然変異WT1フラグメントは、HLA-DR分子結合モチーフを含む任意の他のWT1フラグメントである。他の実施形態において、非突然変異WT1フラグメントは、複数のHLA-DR分子結合モチーフを含む。他の実施形態において、非突然変異WT1フラグメントは、HLA-DRB分子結合モチーフを含む任意の他のWT1フラグメントである。他の実施形態において、非突然変異WT1フラグメントは、複数のHLA-DRB分子結合モチーフを含む。他の実施形態において、本発明のペプチドは、それが含有する点突然変異においてのみ、その対応物と異なる。他の実施形態において、本発明のペプチドは、HLAクラスIアンカー残基における突然変異においてのみ、その対応物と異なる。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0104】
他の実施形態において、本発明のペプチドは、ペプチドが誘導された非突然変異WT1フラグメントによって示されるように、HLAクラスII分子に結合する能力を保持する。他の実施形態において、本発明のペプチドは、非突然変異WT1フラグメントによって示されるように、複数のHLAクラスII分子に結合する能力を保持する。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0105】
他の実施形態において、本発明は、AA配列GATLKGVAAGSSSSVKWT(配列番号203)及びLKGVAAGSSSSVKWT(配列番号204)を含む単離されたペプチドを提供する。
【0106】
本発明の方法及び組成物の他の実施形態における「ペプチド」は、ペプチド結合によって連結されたサブユニットAAの化合物を指す。他の実施形態において、ペプチドは、AA類似体を含む。他の実施形態において、ペプチドは、ペプチド模倣体である。他の実施形態において、本発明のペプチドは、以下に列挙されるAA類似体の1つを含む。サブユニットは、他の実施形態において、ペプチド結合によって連結される。他の実施形態において、サブユニットは、別のタイプの結合、例えば、エステル、エーテル等によって連結される。他の実施形態において、本発明のペプチドは、以下に列挙されるペプチド模倣物のタイプの1つである。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0107】
他の実施形態において、本発明の方法及び組成物のペプチドは、その結合モチーフがその中に含まれるHLAクラスI分子に高い親和性で結合する。他の実施形態において、HLAクラスI分子は、本明細書に列挙される任意のHLAクラスI分子である。他の実施形態において、ペプチドは、中程度の親和性でHLAクラスI分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、大きな親和性でHLAクラスI分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、測定可能な親和性でHLAクラスI分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、HLAクラスI分子への安定な結合を示す。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0108】
他の実施形態において、本発明の方法及び組成物のペプチドは、その結合モチーフがその中に含まれるHLAクラスII分子に高い親和性で結合する。他の実施形態において、HLAクラスII分子は、本明細書に列挙される任意のHLAクラスII分子である。他の実施形態において、ペプチドは、1を超えるHLAクラスII分子に高い親和性で結合する。他の実施形態において、ペプチドは、中程度の親和性でHLAクラスII分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、1を超えるHLAクラスII分子に中程度の親和性で結合する。他の実施形態において、ペプチドが大きな親和性でHLAクラスII分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、1を超えるHLAクラスII分子に大きな親和性で結合する。他の実施形態において、ペプチドは、測定可能な親和性でHLAクラスII分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、1を超えるHLAクラスII分子に測定可能な親和性で結合する。他の実施形態において、ペプチドは、HLAクラスII分子への安定な結合を示す。他の実施形態において、ペプチドは、1を超えるHLAクラスII分子への安定な結合を示す。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0109】
他の実施形態において、本発明の方法及び組成物のペプチドは、HLAクラスI分子とHLAクラスII分子の両方に大きな親和性で結合する。他の実施形態において、ペプチドは、高親和性でHLAクラスI分子とHLAクラスII分子の両方に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、中程度の親和性で、HLAクラスI分子とHLAクラスII分子の両方に結合する。他の実施形態において、ペプチドは、測定可能な親和性で、HLAクラスI分子とHLAクラスII分子の両方に結合する。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0110】
他の実施形態において、「フラグメント」とは、長さが11以上のAAのペプチドを指す。他の実施形態において、本発明のペプチドフラグメントは、16以上のAA長である。他の実施形態において、フラグメントは、12以上のAA長である。他の実施形態において、フラグメントは13以上のAAである。他の実施形態において、フラグメントは、14以上のAAである。他の実施形態において、フラグメントは15以上のAAである。他の実施形態において、フラグメントは、17以上のAAである。他の実施形態において、フラグメントは、18以上のAAである。他の実施形態において、フラグメントは19以上のAAである。他の実施形態において、フラグメントは22以上のAAである。他の実施形態において、フラグメントは8~12AAである。他の実施形態において、フラグメントは約8~12AAである。他の実施形態において、フラグメントは16~19AAである。他の実施形態において、フラグメントは約16~19AAである。他の実施形態において、フラグメント10~25AA。他の実施形態において、フラグメントは約10~25AAである。他の実施形態において、フラグメントは、任意の他の長さを有する。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0111】
一実施形態において、本発明は、
YMFPNAPYL(配列番号124)、
RSDELVRHHNMHQRNMTKL(配列番号1)、
PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(配列番号2)、
SGQAYMFPNAPYLPSCLES(配列番号125)、
NLMNLGATL(配列番号21)、
WNLMNLGATLKGVAA(配列番号26)及び
WNYMNLGATLKGVAA(配列番号205)からなる少なくとも7つの単離されたペプチドの組み合わせ(a)、又は
(a)の少なくとも7つの単離されたペプチドの組み合わせをコードする核酸(b)、又は
(a)の少なくとも7つのペプチドの組み合わせをコードする核酸を含む、及び/又は(a)の少なくとも7つのペプチドを含む、又は提示する免疫細胞(c)、又は
(a)の少なくとも7つの単離されたペプチドの組み合わせによって誘導される細胞傷害性T細胞(CTL)(d)、又は
(a)、(b)、(c)、及び(d)のうちの2つ、3つ、又は4つ全ての組み合わせ(e)、含む組成物を提供する。
【0112】
一実施形態において、組成物は、YMFPNAPYL(配列番号124、WT1-A1とも呼ばれる)、RSDELVRHHNMHQRNMTKL(配列番号1、WT1-427ロングとも呼ばれる)、PGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(配列番号2とも呼ばれる、配列番号125、WT1-122A1ロングとも呼ばれる)、NLMNLGATL(配列番号21、NLMショートとも呼ばれる)、WNLMNLGATLKGVAA(配列番号26、WNLM又はNLMロングとも呼ばれる)、及びWNYMNLGATLKGVAA(配列番号205、WNYM又はNYMロングとも呼ばれる)の各々を含むWT1ペプチドの組み合わせを含む。任意で、組成物は、少なくとも1つのさらなるWT1ペプチドをさらに含む。特定の実施形態において、本発明の少なくとも2つの異なる単離ペプチドを含む組成物が提供される。特定の実施形態において、本発明の少なくとも3つ又は少なくとも4つの異なる単離ペプチドを含む組成物が提供される。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。特定の実施形態において、本発明の組成物はワクチンである。
【0113】
他の実施形態において、本発明の方法及び組成物の各ペプチドは、大きな親和性でHLAクラスII分子に独立して結合し、一方、元のペプチドに由来する各ペプチドは、大きな親和性でHLAクラスI分子に独立して結合し、そして組み合わせを含む各ペプチドに独立して関係する。
【0114】
他の実施形態において、「親和性」とは、示されたMHC分子への標準ペプチドの結合を50%阻害するために必要なペプチドの濃度を指す。他の実施形態において「高親和性」とは、約500ナノモル(nM)以下の濃度のペプチドが、標準ペプチドの結合を50%阻害するために必要とされるような親和性を指す。他の実施形態において、約400nM以下の濃度のペプチドが必要とされる。他の実施形態において、結合親和性は300nMである。他の実施形態において、結合親和性は200nMである。他の実施形態において、結合親和性は150nMである。他の実施形態において、結合親和性は100nMである。他の実施形態において、結合親和性は80nMである。他の実施形態において、結合親和性は60nMである。他の実施形態において、結合親和性は40nMである。他の実施形態において、結合親和性は30nMである。他の実施形態において、結合親和性は20nMである。他の実施形態において、結合親和性は15nMである。他の実施形態において、結合親和性は10nMである。他の実施形態において、結合親和性は8nMである。他の実施形態において、結合親和性は6nMである。他の実施形態において、結合親和性は4nMである。他の実施形態において、結合親和性は3nMである。他の実施形態において、結合親和性は2nMである。他の実施形態において、結合親和性は1.5nMである。他の実施形態において、結合親和性は1nMである。他の実施形態において、結合親和性は0.8nMである。他の実施形態において、結合親和性は0.6nMである。他の実施形態において、結合親和性は0.5nMである。他の実施形態において、結合親和性は0.4nMである。他の実施形態において、結合親和性は0.3nMである。他の実施形態において、結合親和性は0.3nM未満である。
【0115】
他の実施形態において、「親和性」とは、MHC分子に対する結合強度の尺度を指す。他の実施形態において、親和性は、競合結合親和性を測定するために、当該分野で公知の方法を使用して測定される。他の実施形態において、親和性は、相対的結合親和性を測定するために、当該分野で公知の方法を使用して測定される。他の実施形態において、この方法は、競合結合アッセイである。他の実施形態において、この方法は、ラジオイムノアッセイ又はRIAである。他の実施形態において、この方法は、BiaCore分析である。他の実施形態において、この方法は、当該分野で公知の任意の他の方法である。他の実施形態において、本方法は、既知の親和性の参照ペプチドのIC50に関連してIC50を生じる。
【0116】
親和性の各タイプ及び親和性の測定方法は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0117】
他の実施形態において、「高親和性」とは、0.5~100nMのIC50を指す。他の実施形態において、IC50は1~100nMである。他の実施形態において、IC50は1.5~200nMである。他の実施形態において、IC50は2~100nMである。他の実施形態において、IC50は3~100nMである。他の実施形態において、IC50は4~100nMである。他の実施形態において、IC50は6~100nMである。他の実施形態において、IC50は10~100nMである。他の実施形態において、IC50は30~100nMである。他の実施形態において、IC50は3~80nMである。他の実施形態において、IC50は4~60nMである。他の実施形態において、IC50は5~50nMである。他の実施形態において、IC50は6~50nMである。他の実施形態において、IC50は8~50nMである。他の実施形態において、IC50は10~50nMである。他の実施形態において、IC50は20~50nMである。他の実施形態において、IC50は6~40nMである。他の実施形態において、IC50は8~30nMである。他の実施形態において、IC50は10~25nMである。他の実施形態において、IC50は15~25nMである。各親和性及び親和性の範囲は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0118】
他の実施形態において、「中程度の親和性」とは、100~500nMのIC50を指す。他の実施形態において、IC50は100~300nMである。他の実施形態において、IC50は100~200nMである。他の実施形態において、IC50は50~100nMである。他の実施形態において、IC50は50~80nMである。他の実施形態において、IC50は50~60nMである。各親和性及び親和性の範囲は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0119】
「大きな親和性」とは、他の実施形態において、MHC分子-ペプチド複合体を認識するT細胞受容体(TCR)を有するT細胞による標的細胞の認識を媒介するのに十分な親和性を指す。他の実施形態において、この用語は、MHC分子-ペプチド複合体を認識するTCRを有するT細胞による癌細胞の認識を媒介するのに十分な親和性を指す。他の実施形態において、この用語は、ペプチドを提示する樹状細胞によるナイーブT細胞の活性化を媒介するのに十分な親和性を指す。他の実施形態において、この用語は、ペプチドを提示するAPCによるナイーブT細胞の活性化を媒介するのに十分な親和性を指す。他の実施形態において、この用語は、ペプチドを提示する樹状細胞によるメモリーT細胞の再活性化を媒介するのに十分な親和性を指す。他の実施形態において、この用語は、ペプチドを提示するAPCによるメモリーT細胞の再活性化を媒介するのに十分な親和性を指す。他の実施形態において、この用語は、ペプチドを提示する体細胞によるメモリーT細胞の再活性化を媒介するのに十分な親和性を指す。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0120】
「測定可能な親和性」とは、他の実施形態において、免疫学的アッセイによって測定可能である十分な親和性を指す。他の実施形態において、免疫学的アッセイは、本明細書中に列挙される任意のアッセイである。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0121】
他の実施形態において、本発明の方法及び組成物のペプチドは、HLA分子のスーパーファミリーに結合する。HLA分子のスーパーファミリーは、非常によく似たあるいは同一の結合モチーフを共有している。他の実施形態において、スーパーファミリーはHLAクラスIスーパーファミリーである。他の実施形態において、スーパーファミリーはHLAクラスIIスーパーファミリーである。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0122】
「HLA結合ペプチド」、「HLAクラスI分子結合ペプチド」、及び「HLAクラスII分子結合ペプチド」という用語は、他の実施形態において、測定可能な親和性でHLA分子に結合するペプチドを指す。他の実施形態において、この用語は、高親和性でHLA分子に結合するペプチドを指す。他の実施形態において、この用語は、T細胞前駆体を活性化するのに十分な親和性でHLA分子に結合するペプチドを指す。他の実施形態において、この用語は、T細胞による認識を媒介するのに十分な親和性でHLA分子に結合するペプチドを指す。HLA分子は、他の実施形態において、本明細書に列挙されるHLA分子のいずれかである。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0123】
他の実施形態において、本発明の方法及び組成物のペプチドは、ヘテロクリティックである。「ヘテロクリティック」とは、他の実施形態において、ヘテロクリティックペプチドが由来する元のペプチド(例えば、アンカー残基突然変異を含まないペプチド)を認識する免疫反応を生じるペプチドを指す。他の実施形態において、「元のペプチド」とは、配列SGQAYMFPNAPYLPSCLES(配列番号124)を有する「WT1122A1」と呼ばれるペプチドを、残基5のアルギニンへの突然変異によって、野生型WT1ペプチドSGQARMFPNAPYLPSCLES(配列番号5)から生成した。ヘテロクリティック突然変異は、CD8+WT1ペプチドRMFPNAPYL(配列番号7)ペプチド生成YMFPNAPYL(配列番号124)を導入した。他の実施形態において、「ヘテロクリティック」とは、ヘテロクリティックペプチドが由来する元のペプチドを認識する免疫応答を生成するペプチドを指し、ここで、ヘテロクリティックペプチドによるワクチン接種によって生成される免疫応答は、元のペプチドによるワクチン接種によって生成される免疫応答よりも大きい。他の実施形態において、「ヘテロクリティック」免疫応答とは、改善されたペプチドが由来する元のペプチドを認識する免疫応答(例えば、アンカー残基突然変異を含まないペプチド)を指す。他の実施形態において、「ヘテロクリティック」免疫応答とは、ヘテロクリティックペプチドが由来する元のペプチドを認識する免疫応答を指し、ここで、ヘテロクリティックペプチドによるワクチン接種によって生成される免疫応答は、元のペプチドによるワクチン接種によって生成される免疫応答よりも大きい。他の実施形態において、ヘテロクリティックペプチドでのワクチン接種によって生成される免疫応答の大きさは、元のペプチドでのワクチン接種に対する応答に実質的に等しい免疫応答よりも大きい。他の実施形態において、ヘテロクリティックペプチドでのワクチン接種によって生成される免疫応答の大きさは、元のペプチドでのワクチン接種に対する応答よりも小さい免疫応答よりも大きい。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0124】
他の実施形態において、本発明のヘテロクリティックペプチドは、ヘテロクリティックペプチドが由来するWT1ペプチド(「天然ペプチド」)と比較して少なくとも2倍増加した免疫応答を誘導する。他の実施形態において、増加は天然ペプチドに対して3倍である。他の実施形態において、増加は天然ペプチドに対して5倍である。他の実施形態において、増加は天然ペプチドに対して7倍である。他の実施形態において、増加は天然ペプチドに対して10倍である。他の実施形態において、増加は天然ペプチドに対して15倍である。他の実施形態において、増加は天然ペプチドに対して20倍である。他の実施形態において、増加は天然ペプチドに対して30倍である。他の実施形態において、増加は天然ペプチドに対して50倍である。他の実施形態において、増加は天然ペプチドに対して100倍である。他の実施形態において、増加は天然ペプチドに対して150倍である。他の実施形態において、増加は天然ペプチドに対して200倍である。他の実施形態において、この増加は天然ペプチドに対して300倍である。他の実施形態において、増加は天然ペプチドに対して500倍である。他の実施形態において、増加は天然ペプチドに対して1000倍である。他の実施形態において、増加は天然ペプチドに対して1000倍を超える。各可能性は本発明の別個の実施形態を表し、組み合わせにおいて、それぞれのヘテロクリティック、及びそれから誘導される天然ペプチドに独立して関連する。
【0125】
他の実施形態において、本発明のヘテロクリティックペプチドはHLAクラスIヘテロクリティックペプチドである。他の実施形態において、本発明のヘテロクリティックペプチドはHLAクラスIIヘテロクリティックペプチドである。他の実施形態において、本発明の異種クラスIIペプチドはクラスII結合残基において突然変異される。他の実施形態において、本発明のヘテロクリティッククラスIIペプチドは本明細書中に例示されるように、HLAクラスIヘテロクリティックペプチドの同定及び試験と類似の様式で同定及び試験される。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0126】
「アンカーモチーフ」又は「アンカー残基」とは、他の実施形態において、HLA結合配列の特定の位置における1つ又は1組の好ましい残基を指す。例えば、1、2、3、6、及び9位の残基をアンカー残基として使用する。他の実施形態において、HLA結合配列はHLAクラスII結合配列である。他の実施形態において、HLA結合配列はHLAクラスI結合配列である。他の実施形態において、アンカーモチーフに対応する位置は、HLA分子の結合において重要な役割を果たす位置である。他の実施形態において、アンカー残基は、一次アンカーモチーフである。他の実施形態において、アンカー残基は二次アンカーモチーフである。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0127】
他の実施形態において、「アンカー残基」は、HLAクラスI結合モチーフの1、3、6、及び9位の残基である。他の実施形態において、この用語はHLAクラスI結合モチーフの1、2、6、及び9位を指す。他の実施形態において、この用語はHLAクラスI結合モチーフの1、6、及び9位を指す。他の実施形態において、この用語はHLAクラスI結合モチーフの1、2、及び9位を指す。他の実施形態において、この用語はHLAクラスI結合モチーフの1、3、及び9位を指す。他の実施形態において、この用語はHLAクラスI結合モチーフの2及び9位を指す。他の実施形態において、この用語はHLAクラスI結合モチーフの6及び9位を指す。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0128】
MHCクラスIIエピトープを同定するための方法は、当該分野で周知である。他の実施形態において、MHCクラスIIエピトープはTEPITOPEを使用して予測される(Meister GE、Roberts CGら、Vaccine 1995 13:581-91)。他の実施形態において、MHCクラスIIエピトープはEpiMatrix(De Groot AS、Jesdale BMら、AIDS Res Hum Retroviruses 1997 13:529-31)を使用して同定される。他の実施形態において、MHCクラスIIエピトープはPredict Method(Yu K、Petrovsky Nら、Mol Med.2002 8:137-48)を用いて同定される。他の実施形態において、MHCクラスIIエピトープはSYFPEITHIエピトープ予測アルゴリズムを使用して同定される。SYFPEITHIは、クラスI及びクラスIIのMHC分子に結合することが知られている4500を超えるペプチド配列を含むデータベースである。SYFPEITHIは、MHC結合溝に沿った一定の位置に特定のアミノ酸が存在することに基づくスコアを提供する。理想的なアミノ酸アンカーは10点で評価され、異常なアンカーは6~8点の価値があり、補助アンカーは4~6点の価値があり、好ましい残基は1~4点の価値があり、-1と-3の間の結合スコアに対する負のアミノ酸効果である。HLA-A*0201の最大スコアは36である。
【0129】
他の実施形態において、MHCクラスIIエピトープは、Rankpepを使用して同定される。Rankpepは、MHC-ペプチド結合の予測因子として、位置特異的スコアリングマトリックス(PSSM)又は所与のMHC分子に結合することが知られている整列したペプチドのセットからのプロファイルを使用する。Rankpepは、選択されたプロファイルを用いて、ペプチドのスコア、及び最大スコアを生じるコンセンサス配列のスコアに対する予測ペプチドの最適%又はパーセンタイル値スコアについての情報を含む。Rankpepには、MHC I及びMHC II分子へのペプチド結合の予測のための、それぞれ102及び80のPSSMの選択が含まれる。異なるサイズのペプチドバインダーの予測のためのいくつかのPSSMは、通常、各MHC I分子について利用可能である。
【0130】
他の実施形態において、MHCクラスIIエピトープは、SVMHC(Donnes P、Elofsson APrediction of MHC class I binding peptides、using SVMHCBMC Bioinformatics.2002Sep 11、 3:25)を用いて同定される。他の実施形態において、MHCクラスIIエピトープは、当該分野で公知の任意の他の方法を使用して同定される。上記の方法は、他の実施形態において、MHCクラスII結合が、WT1配列へのMHCクラスIアンカー残基突然変異の導入によって乱されることを同定するために利用される。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0131】
MHCクラスIエピトープを同定するための方法は、当該分野で周知である。他の実施形態において、MHCクラスIエピトープは、BIMASソフトウェアを使用して予測される。BIMASスコアは、ペプチド結合親和性の尺度である、MHC-I/β2-ミクログロブリン/ペプチド複合体の理論値半減期の算出に基づく。このプログラムは、長さ8~10アミノ酸のHLA-Iペプチドに関する情報を使用する。MHCに対するペプチドの結合親和性が高いほど、このペプチドがエピトープを表す可能性が高くなる。BIMASアルゴリズムは、ペプチド中の各アミノ酸がクラスI分子への結合に独立して寄与すると仮定する。結合に重要な優性アンカー残基は、表中で1よりもかなり高い係数を有する。好ましくないアミノ酸は、1未満の正の係数を有する。アミノ酸が結合に好ましい又は好ましくない寄与をすることが知られていない場合、値1が割り当てられる。アミノ酸に割り当てられた全ての値を乗算し、得られたランニングスコアに定数を乗じて、解離の半減期の推定値を得る。
【0132】
他の実施形態において、MHCクラスIエピトープは、SYFPEITHIを使用して同定される。他の実施形態において、MHCクラスIエピトープは、SVMHC(Donnes P、Elofsson APrediction of MHC class I binding peptides、using SVMHCBMC Bioinformatics.2002 Sep 11、3:25)を用いて同定される。他の実施形態において、MHCクラスIエピトープは、NetMHC-2.0を使用して同定される(「Query by Committee」人工ニューラルネットワークアプローチによるペプチド-MHC結合の高感度定量予測、Buus S、Lauemoller SL、Worning P、Kesmir C、Frimurer T、Corbet S、Fomsgaard A、Hilden J、Holm A、Brunak S. Tissue Antigens、62:378-84、2003)。他の実施形態において、MHCクラスIエピトープは、当該分野で公知の任意の他の方法を使用して同定される。上記の方法は、他の実施形態において、WT1配列へのアンカー残基突然変異の導入によって作製できるMHCクラスIエピトープを同定するために利用される。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0133】
他の実施形態において、MHC結合を増強する突然変異は、HLAクラスI結合モチーフの1位の残基にある。他の実施形態において、残基をチロシンに変える。他の実施形態において、残基をグリシンに変える。他の実施形態において、残基をトレオニンに変える。他の実施形態において、残基をフェニルアラニンに変える。他の実施形態において、残基を、当該分野で公知の任意の他の残基に変える。他の実施形態において、1位における置換(例えば、チロシンへの)は、2位アンカー残基の結合を安定化する。
【0134】
他の実施形態において、突然変異は、HLAクラスI結合モチーフの2位にある。他の実施形態において、残基をロイシンに変える。他の実施形態において、残基をバリンに変える。他の実施形態において、残基をイソロイシンに変える。他の実施形態において、残基をメチオニンに変える。他の実施形態において、残基を、当該分野で公知の任意の他の残基に変える。
【0135】
他の実施形態において、突然変異がHLAクラスI結合モチーフの6位にある。他の実施形態において、残基をバリンに変える。他の実施形態において、残基をシステインに変える。他の実施形態において、残基をグルタミンに変える。他の実施形態において、残基をヒスチジンに変える。他の実施形態において、残基を、当該分野で公知の任意の他の残基に変える。
【0136】
他の実施形態において、突然変異は、HLAクラスI結合モチーフの9位にある。他の実施形態において、突然変異は、C末端位置で残基を変化させる。他の実施形態において、残基をバリンに変える。他の実施形態において、残基をトレオニンに変える。他の実施形態において、残基をイソロイシンに変える。他の実施形態において、残基をロイシンに変える。他の実施形態において、残基をアラニンに変える。他の実施形態において、残基をシステインに変える。他の実施形態において、残基を、当該分野で公知の任意の他の残基に変える。
【0137】
他の実施形態において、点突然変異は、一次アンカー残基にある。他の実施形態において、HLAクラスI一次アンカー残基は、2及び9位である。他の実施形態において、点突然変異は、二次アンカー残基にある。他の実施形態において、HLAクラスI二次アンカー残基は、1及び8位である。他の実施形態において、HLAクラスI二次アンカー残基は、1、3、6、7、及び8位である。他の実施形態において、点突然変異は、4、5、及び8位から選択される位置にある。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0138】
他の実施形態において、点突然変異は、HLAクラスI結合モチーフの1、2、8、及び9位から選択される位置の1つ以上の残基にある。他の実施形態において、点突然変異は、1、3、6、及び9位から選択される位置の1つ以上の残基にある。他の実施形態において、点突然変異は、1、2、6、及び9位から選択される位置の1つ以上の残基にある。他の実施形態において、点突然変異は、1、6、及び9位から選択される位置の1つ以上の残基にある。他の実施形態において、点突然変異は、1、2、及び9位から選択される位置の1つ以上の残基にある。他の実施形態において、点突然変異は、1、3、及び9位から選択される位置の1つ以上の残基にある。他の実施形態において、点突然変異は、2及び9位から選択される位置の1つ以上の残基にある。他の実施形態において、点突然変異は、6及び9位から選択される1つ以上の残基にある。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。他の実施形態において、突然変異は、HLAクラスI結合モチーフの4位にある。他の実施形態において、突然変異は、HLAクラスI結合モチーフの5位にある。他の実施形態において、突然変異は、HLAクラスI結合モチーフの7位にある。他の実施形態において、突然変異は、HLAクラスI結合モチーフの8位にある。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0139】
上記のアンカー残基及び置換の各々は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0140】
他の実施形態において、本発明のペプチドにおけるHLAクラスII結合部位は、HLAクラスIIモチーフアンカー残基の突然変異によって作製又は改善される。他の実施形態において、修飾されたアンカー残基はP1位にある。他の実施形態において、アンカー残基はP2位にある。他の実施形態において、アンカー残基はP6位にある。他の実施形態において、アンカー残基はP9位にある。他の実施形態において、アンカー残基はP1、P2、P6、及びP9位から選択される。他の実施形態において、アンカー残基はP3位にある。他の実施形態において、アンカー残基はP4位にある。他の実施形態において、アンカー残基はP5位にある。他の実施形態において、アンカー残基はP6位にある。他の実施形態において、アンカー残基はP8位にある。他の実施形態において、アンカー残基はP10位にある。他の実施形態において、アンカー残基はP11位にある。他の実施形態において、アンカー残基はP12位にある。他の実施形態において、アンカー残基はP13位にある。他の実施形態において、アンカー残基が当該分野で公知のHLAクラスII分子の任意の他のアンカー残基にある。他の実施形態において、P1、P2、P6、及びP9以外の残基は二次アンカー残基として働く。従って、それらを突然変異させることはHLAクラスII結合を改善し得る。他の実施形態において、上記残基の任意の組み合わせを突然変異させる。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0141】
他の実施形態において、本発明は、対象に抗WT1発現癌免疫応答を誘導する方法を提供し、この方法は本明細書中に開示される免疫療法組成物を、任意で、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に対象に投与し、それによって対象において抗WT1発現癌免疫応答を誘導するステップを含む。
【0142】
他の実施形態において、本発明は、WT1発現癌を有する対象を処置する方法を提供し、この方法は本明細書に開示される免疫療法組成物を対象に、任意で、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与し、それによってWT1発現癌を有する対象を処置するステップを含む。
【0143】
他の実施形態において、本発明は、対象におけるWT1発現癌又はその再発の発生率を減少させる方法を提供し、この方法は本明細書中に開示される免疫療法組成物を、任意で少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に対象に投与し、それによって、対象におけるWT1発現癌又はその再発の発生率を減少させるステップを含む。
【0144】
「相同性」、「相同性の」等の用語は、任意のタンパク質又はペプチドに関して、他の実施形態において、最大パーセント相同性を達成するために、配列を整列させ、必要であれば、ギャップを導入した後、対応する天然ポリペプチドの残基と同一である候補配列中のAA残基のパーセンテージを指し、配列同一性の一部として任意の保存的置換を考慮しない。整列のための方法及びコンピュータプログラムは当該分野で周知である。
【0145】
他の実施形態において、「相同性」という用語は、任意の核酸配列に関して、同様に、対応する天然核酸配列のヌクレオチドと同一である候補配列中のヌクレオチドのパーセンテージを指す。
【0146】
相同性は、他の実施形態において、当該分野で十分に記載された方法によって、配列整列のためのコンピュータアルゴリズムによって決定される。他の実施形態において、核酸配列相同性のコンピュータアルゴリズム分析には、例えば、BLAST、DOMAIN、BEAUTY(BLAST Enhanced Alignment Utility)、GENPEPT及びTREMBLパッケージのような、利用可能な任意の数のソフトウェアパッケージの利用が含まれる。
【0147】
2つの配列間の同一性パーセントは、ギャップの数、及び2つの配列の最適な整列のために導入される必要がある各ギャップの長さを考慮して、配列によって共有される同一位置の数の関数である(すなわち、%同一性=同一位置の数/位置の総数×100)。配列の比較及び2つの配列間の同一性パーセントの決定は、配列分析ソフトウェアにおける数学的アルゴリズムを使用して達成される。タンパク質分析ソフトウェアは、様々な置換、欠失、及び保存的アミノ酸置換を含む他の修飾に割り当てられた類似性の尺度を使用して、類似の配列をマッチさせる。
【0148】
2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、例えば、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comで入手可能)中のGAPプログラムに組み込まれているNeedleman及びWunsch(J.Mol.Biol.48:444-453(1970))アルゴリズムを使用して、Blossum62マトリックス又はPAM250マトリックスのいずれか、そして16、14、12、10、8、6、又は4のギャップ重量及び1、2、3、4、5、又は6の長さ重量を使用して決定される。ポリペプチド配列はまた、FASTAを使用して、デフォルト又は推奨されるパラメータを適用して比較される。GCGバージョン6.1のプログラム、FASTA(例えば、FASTA2及びFASTA3)は、クエリ配列と検索配列との間の最良の重複領域の整列及びパーセント配列同一性を提供する(Pearson、Methods Enzymol.1990;183:63-98;Pearson、Methods MolBiol.2000;132:185-219)。2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントはまた、PAM120重量残基表、12のギャップ長ペナルティー及び4のギャップペナルティーを使用して、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれたEMeyers及びWMiller(Comput.Appl.Biosci.,1988;11-17)のアルゴリズムを使用して決定される。
【0149】
配列を、データベースに含まれる他の配列と比較するための別のアルゴリズムは、デフォルトパラメータを使用するコンピュータプログラムBLAST、特にblastpである。例えば、それぞれ、本明細書に援用されるAltschulら、J.Mol.Biol.1990;215:403-410;Altschulら、Nucleic Acids Res.1997、25:3389-402(1997)を参照のこと。本発明のタンパク質配列は、例えば、関連する配列を同定するために、公共データベースに対する検索を行うための「クエリー配列」として使用できる。このような検索は、Altschulら、1990(前出)のXBLASTプログラム(バージョン2.0)を用いて行うことができる。BLASTタンパク質検索は、本発明のWT1ペプチドに相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム(スコア=50、ワード長=3)を用いて行うことができる。比較目的でギャップ整列を得るために、Altschulら、1997(前出)に記載されるように、Gapped BLASTを利用することができる。BLAST及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLAST及びNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる。
【0150】
他の実施形態において、相同配列に関する「相同性」は、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%より大きい本明細書に開示された配列に対するパーセント同一性を指す。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0151】
他の実施形態において、本発明は、少なくとも7つのWT1ペプチド、又は少なくとも7つのWT1ペプチドによって誘導されるCTLの組み合わせを送達するための1つ以上のWT1送達剤と、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤とを含む組成物を提供する。他の実施形態において、組成物は、薬学的に受容可能なキャリアをさらに含む。他の実施形態において、組成物は、アジュバントをさらに含む。他の実施形態において、組成物は、本発明の2つ以上のペプチドを含む。他の実施形態において、組成物は、以下に記載する添加剤、化合物、又は賦形剤のいずれかをさらに含む。他の実施形態において、アジュバントは、ミョウバン塩又は他のミネラルアジュバント、細菌産物又は細菌由来アジュバント、テンソアクティブ剤(例えば、サポニン)、o/w又はw/oエマルジョン、リポソームアジュバント、サイトカイン(例えば、IL-2、GM-CSF、IL-12、及びIFN-ガンマ)、又はアルファ-ガラクトシルセラミド類似体である。他の実施形態において、アジュバントは、QS21、フロイント完全又は不完全アジュバント、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、BCG又はミョウバンである。他の実施形態において、キャリアは、本明細書に列挙される任意のキャリアである。他の実施形態において、アジュバントは、本明細書に列挙される任意のアジュバントである。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0152】
他の実施形態において、本発明は、少なくとも7つのWT1ペプチド又はCTLの組み合わせを送達するための1つ以上のWT1送達剤と、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤とを含むワクチンを提供する。他の実施形態において、ワクチンは、キャリアをさらに含む。他の実施形態において、ワクチンは、アジュバントをさらに含む。他の実施形態において、ワクチンは、キャリアとアジュバントの組み合わせをさらに含む。他の実施形態において、ワクチンは、APCをさらに含む。他の実施形態において、ワクチンは、APCとキャリア又はアジュバントとの組み合わせをさらに含む。他の実施形態において、ワクチンは、細胞ベースの組成物である。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0153】
他の実施形態において、本発明は、本発明のペプチド及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を含む免疫原性組成物を提供する。他の実施形態において、免疫原性組成物は、キャリアをさらに含む。他の実施形態において、免疫原性組成物は、アジュバントをさらに含む。他の実施形態において、免疫原性組成物は、キャリアとアジュバントの組み合わせをさらに含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0154】
他の実施形態において、「ワクチン」という用語は、対象に導入された場合に、特定の疾患、状態、又はその症状に対する予防的又は治療的応答を提供する材料又は組成物を指す。他の実施形態において、本発明は、ペプチドベースのワクチンを含み、ペプチドは、本明細書に列挙される任意の実施形態を含み、任意で、サイトカイン、アジュバント等の免疫調節化合物をさらに含む。
【0155】
他の実施形態において、本発明の方法の組成物又はワクチン、及び組成物は、アジュバントをさらに含む。他の実施形態において、アジュバントは、モンタニドISA51である。モンタニドISA51は、天然の代謝可能な油及び精製された乳化剤を含有する。他の実施形態において、アジュバントは、GM-CSFである。他の実施形態において、アジュバントは、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)であり、これは、ペプチド抗原にコンジュゲートされるか、又はペプチドと共に投与されてもよい。組換えGM-CSFは、他の実施形態において、酵母(S.cerevisiae)ベクター中で増殖させたヒトタンパク質である。GM-CSFは、造血前駆細胞、APC、及び樹状細胞とT細胞のクローン性増殖と分化を促進する。
【0156】
他の実施形態において、アジュバントはサイトカインである。他の実施形態において、アジュバントは増殖因子である。他の実施形態において、アジュバントは細胞集団である。他の実施形態において、アジュバントはQS21である。他の実施形態において、アジュバントはフロイント不完全アジュバントである。他の実施形態において、アジュバントはリン酸アルミニウムである。他の実施形態において、アジュバントは水酸化アルミニウムである。他の実施形態において、アジュバントはBCGである。他の実施形態において、アジュバントはミョウバンである。他の実施形態において、アジュバントはインターロイキンである。他の実施形態において、アジュバントはケモカインである。他の実施形態において、アジュバントは当該分野で公知の任意の他のタイプのアジュバントである。他の実施形態において、WT1ワクチンは、上記のアジュバントのうちの2つを含む。他の実施形態において、WT1ワクチンは、3つ以上の上記アジュバントを含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0157】
他の実施形態において、本発明の方法において使用されるWT1ワクチンは、本発明の1つ以上のWT1ペプチドをコードする1つ以上の核酸分子(DNA又はRNA)である。この実施形態の実施において、1つ以上のWT1ペプチドをコードする核酸分子を含むワクチン(核酸ワクチン)が投与され、そして1つ以上のチェックポイント阻害剤が患者に投与される。本発明の全ての他の実施形態において、核酸ワクチンは、ペプチドワクチンの代わりに使用できる。核酸は単独で、ウイルスキャリアの一部として、又は細胞の内部に、おそらくプラスミドとして、又は細胞の核酸に組み込まれて導入される。細胞キャリアは、患者から除去された患者の細胞、又はドナーからの細胞、又は細胞株である。細胞は、樹状細胞又は単球/マクロファージ系細胞のような抗原提示細胞であってよい。細胞ベクターは、自家細胞、同種細胞、細胞株、樹状細胞又は抗原提示細胞等の細胞、又は上記細胞のいずれかのハイブリッド細胞への融合からなる群から選択される。
【0158】
WT1ペプチド又はそれをコードする核酸、又は本明細書中に記載される形態のいずれかにおけるそのキャリアは、CTLのex vivo又はin vivoに曝露される。in vitro又はex vivoの場合、細胞を成長又は増殖してから患者に導入することができる。
【0159】
本明細書中で区別なく使用される「核酸」、「核酸分子」、「オリゴヌクレオチド」、及び「ポリヌクレオチド」という用語は、一本鎖又は二本鎖形態のいずれかの2つ以上のヌクレオチドのRNA、DNA、又はRNA/DNAハイブリッド配列を含む。用語は、限定ではなく例として、(a)代替連結基、(b)プリンの類似形成、(c)ピリミジンの類似形成、又は(d)類似糖を含む、少なくとも1つの修飾を含む「修飾ヌクレオチド」を含む。類似の連結基、プリン、ピリミジン、及び糖の例については、例えばPCT公開番号WO95/04064号を参照されたい。本発明の核酸配列は、合成、組換え、ex vivo生成、又はそれらの組み合わせを含む任意の公知の方法によって、ならびに当該分野で公知の任意の精製方法を利用して調製される。本明細書中で使用される場合、「核酸ワクチン」という用語は、DNAワクチン及びRNAワクチン、ならびにウイルス又は非ウイルスベクターを含むワクチンを含む。
【0160】
他の実施形態において、本発明の使用は、核酸分子(DNA又はRNA)を含むベクターを提供する。他の実施形態において、本発明の実施において使用される組成物又はワクチンは、本発明のWT1ペプチドの実施形態及びそれらの組み合わせのいずれかを含むことができる。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0161】
他の実施形態において、本発明の実施に使用されるワクチン又は本発明の組成物は、同じWT1フラグメントに由来する2つのペプチドを含み、それぞれが異なるHLAクラスIヘテロクリティックペプチドを含有する。他の実施形態において、2つのHLAクラスIヘテロクリティックペプチドは、異なるHLAクラスI分子アンカー残基に突然変異を含む。他の実施形態において、2つのHLAクラスIヘテロクリティックペプチドは、同じアンカー残基に異なる突然変異を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0162】
他の実施形態において、本発明において使用される組成物中のペプチドは、2つの異なるHLAクラスII分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは3つの異なるHLAクラスII分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは4つの異なるHLAクラスII分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは5つの異なるHLAクラスII分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは5つを超える別個のHLAクラスII分子に結合する。他の実施形態において、組成物中のペプチドは同じHLAクラスII分子に結合する。
【0163】
他の実施形態において、本発明の組成物又は使用方法におけるペプチドの各々は、HLAクラスII分子のセットに結合する。他の実施形態において、ペプチドの各々は、HLAクラスII分子の別個のセットに結合する。他の実施形態において、組成物中のペプチドはHLAクラスII分子の同じセットに結合する。他の実施形態において、ペプチドのうちの2つは、HLAクラスII分子の異なる重複するセットに結合する。他の実施形態において、2つ以上のペプチドはHLAクラスII分子の同じセットに結合し、一方、別のペプチドは、異なるセットに結合する。他の実施形態において、2つ以上のペプチドはHLAクラスII分子の重複セットに結合し、一方、別のペプチドは、別個のセットに結合する。
【0164】
他の実施形態において、本発明の実施又は本発明の組成物において使用するためのペプチドは、2つの異なるHLAクラスI分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは3つの異なるHLAクラスI分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは4つの異なるHLAクラスI分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは5つの異なるHLAクラスI分子に結合する。他の実施形態において、ペプチドは5つを超える別個のHLAクラスI分子に結合する。他の実施形態において、組成物中のペプチドは同じHLAクラスI分子に結合する。
【0165】
他の実施形態において、本発明の実施又は本発明の組成物において使用するためのペプチドの各々は、HLAクラスI分子のセットに結合する。他の実施形態において、ペプチドの各々は、HLAクラスI分子の別個のセットに結合する。他の実施形態において、組成物中のペプチドはHLAクラスI分子の同じセットに結合する。他の実施形態において、ペプチドのうちの2つは、HLAクラスI分子の異なるが重複するセットに結合する。他の実施形態において、2つ以上のペプチドはHLAクラスI分子の同じセットに結合し、一方、別のペプチドは、異なるセットに結合する。他の実施形態において、2つ以上のペプチドはHLAクラスI分子の重複セットに結合し、一方、別のペプチドは、別個のセットに結合する。
【0166】
他の実施形態において、「HLAクラスII分子のセット」又は「HLAクラスI分子のセット」は、特定の遺伝子座において異なる対立遺伝子によってコードされるHLA分子をいう。他の実施形態において、この用語は、特定の結合特異性を有するHLA分子を指す。他の実施形態において、この用語は、特定のペプチドコンセンサス配列を有するHLA分子を指す。他の実施形態において、この用語は、HLAクラスII分子のスーパーファミリーをいう。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0167】
上記の組成物及び組成物のタイプのそれぞれは、本発明の別個の実施形態を表す。
【0168】
本発明のペプチド、核酸、組成物、及びワクチンに関して本明細書に記載される任意の実施形態は、本発明の任意の方法において使用される。ペプチド、核酸、組成物、又はワクチンと方法との各組み合わせは、その別個の実施形態を表す。
【0169】
他の実施形態において、本発明は、WT1発現癌を有する対象を処置する方法を提供し、この方法は、本明細書中に記載されるようなWT1免疫療法組成物、及び、任意でチェックポイント阻害剤を対象に投与し、それによって、WT1発現癌を有する対象を処置することを含む。他の実施形態において、本発明は、WT1発現癌を有する対象を治療する方法を提供し、この方法は、少なくとも7つのWT1ペプチド、又は少なくとも7つのペプチドによって誘導されるCTL、及び、任意で、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の組合せを送達するための少なくともWT1送達剤を含む本発明の組成物を対象に投与し、それによってWT1発現癌を有する対象を処置することを含む。他の実施形態において、本発明は、WT1発現癌を有する対象を処置する方法を提供し、この方法は、ワクチン等の免疫原性組成物、及び、任意で、チェックポイント阻害剤を対象に投与し、それによってWT1発現癌を有する対象を処置することを含む。
【0170】
他の実施形態において、本発明は、対象におけるWT1発現癌の進行を抑制又は停止する方法を提供し、この方法は、少なくとも7つのWT1ペプチド、又は少なくとも7つのWT1ペプチドによって誘導されるCTL、及び、任意で、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の組み合わせを送達するために、1つ以上のWT1送達剤を対象に投与することを含み、それによってWT1発現癌の進行を抑制又は停止する。他の実施形態において、本発明は、対象におけるWT1発現癌の進行を抑制又は停止する方法を提供し、この方法は、少なくとも7つのWT1ペプチドと、任意で、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤との組合せを含む組成物を対象に投与することを含み、それによってWT1発現癌の進行を抑制又は停止する。他の実施形態において、本発明は、対象におけるWT1発現癌の進行を抑制又は停止する方法を提供し、この方法は、本発明の免疫療法組成物等の免疫原性組成物を対象に投与することを含み、この組成物は、少なくとも7つのWT1ペプチドと、任意で、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤との組合せを含み、それによってWT1発現癌の進行を抑制又は停止する。
【0171】
他の実施形態において、本発明は、対象におけるWT1発現癌の発生率を減少させる方法を提供し、この方法は、対象に、少なくとも7つのWT1ペプチド、又は少なくとも7つのペプチドによって誘導されるCTL、及び、任意で、及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の組み合わせを送達するために、1つ以上のWT1送達剤を投与することを含み、それによって、対象におけるWT1発現癌の発生率を減少させる。他の実施形態において、本発明は、対象におけるWT1発現癌の発生率を減少させる方法を提供し、この方法は、1つ以上のWT1送達剤を含む本発明の組成物を対象に投与して、少なくとも7つのWT1ペプチド、又は少なくとも7つのWT1ペプチドによって誘導されるCTL、及び、任意で、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の組合せを送達し、それによって対象におけるWT1発現癌の発生率を減少させることを含む。他の実施形態において、本発明は、対象におけるWT1発現癌の発生率を減少させる方法を提供し、この方法は、少なくとも7つのWT1ペプチドと、任意で、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤との組み合わせを含む本発明の組成物を対象に投与することを含み、それによって対象におけるWT1発現癌の発生率を減少させる。
【0172】
他の実施形態において、本発明は、対象におけるWT1発現癌の再発の発生率を減少させる方法を提供し、この方法は、少なくとも7つのWT1ペプチド、又は少なくとも7つのWT1ペプチドによって誘導されるCTL、及び、任意で少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の組み合わせを送達するために、1つ以上のWT1送達剤を含む組成物を対象に投与することを含み、それによって対象におけるWT1発現癌の再発の発生率を減少させる。他の実施形態において、本発明は、対象におけるWT1発現癌の再発の発生率を減少させる方法を提供し、この方法は、対象に、少なくとも7つのWT1ペプチド、及び、任意で少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の組み合わせを含む本発明の組成物を投与することを含み、それによって、対象におけるWT1発現癌の再発の発生率を減少させる。
【0173】
他の実施形態において、本発明は、WT1発現癌に対する対象のT細胞トレランスを克服する方法を提供し、この方法は、対象に、少なくとも7つのWT1ペプチド、又は少なくとも7つのWT1ペプチドによって誘導されるCTL、及び、任意で、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の組合せを送達するための1つ又は複数のWT1送達剤を投与し、それによってWT1発現癌に対するT細胞トレランスを克服することを含む。他の実施形態において、本発明は、WT1発現癌に対する対象のT細胞トレランスを克服する方法を提供し、この方法は、本発明の組成物を対象に投与する工程を含み、この組成物は、少なくとも7つのWT1ペプチド、及び、任意で、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の組み合わせを含み、それによって、WT1発現癌に対するT細胞トレランスを克服する。他の実施形態において、本発明は、WT1発現癌に対する対象のT細胞トレランスを克服する方法を提供し、この方法は、対象に、少なくとも7つのWT1ペプチドと、任意で少なくとも1つのチェックポイント阻害剤との組み合わせを含む、本発明の免疫療法組成物等の免疫原性組成物を投与することを含み、それによって、WT1発現癌に対するT細胞トレランスを克服する。
【0174】
他の実施形態において、本発明は、(a)本発明の方法によって癌の悪性細胞を認識するヒト細胞傷害性Tリンパ球(CTL)のドナー形成及び増殖を誘導し、(b)ヒトCTLを対象に注入し、それによって癌を有する対象を治療することを含む、WT1発現癌を有する対象を処置する方法を提供する。一実施形態において、ドナーに少なくとも7つのWT1ペプチドの組み合わせを投与し、前記ドナーからのCTLを対象に注入し、任意で、対象にチェックポイント阻害剤を投与し、それによって癌を有する対象を処置する。一実施形態において、ドナーに少なくとも7つのWT1ペプチドと、任意で、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤との組み合わせが投与され、前記ドナーからのCTLは対象に注入され、それによって癌を有する対象を処置する。一実施形態において、ドナーに少なくとも7つのWT1ペプチドと、任意で、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤との組み合わせが投与され、前記ドナーからのCTLは対象に注入され、任意で、対象にチェックポイント阻害剤が投与され、それによって癌を有する対象が治療される。
【0175】
他の実施形態において、本発明は、(a)本発明の方法によって癌の悪性細胞を認識するヒトCTLのex vivo形成及び増殖を誘導し、ヒト免疫細胞はドナーから得られ、b)ヒトCTLを対象に注入し、それによって癌を有する対象を処置することを含む、WT1発現癌を有する対象を処置する方法を提供する。一実施形態において、チェックポイント阻害剤が、ex vivo工程に含まれる。他の実施形態において、チェックポイント阻害剤が対象に投与される。他の実施形態において、ex vivo工程の両方がチェックポイント阻害剤を含み、対象にもチェックポイント阻害剤が投与される。
【0176】
ex vivo免疫療法の方法は、当該分野で公知であり、例えば、Davis IDら(Flt3リガンドとCD40リガンドプライムCD8+T細胞により効率的に癌患者に生成される血液樹状細胞、J Immuno 2006年9月-10月29(5):499-511)及びMitchell MSら(HLA-A*0201制限MUC1シグナルシークエンスエピトープのペプチド類似体に対するサイトメックスT細胞応答、M1.2.Cancer Immunol Immunother.2006年7月28日)に記載されている。各方法は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0177】
他の実施形態において、本発明は、WT1タンパク質特異性CTLの形成及び増殖を誘導する方法を提供し、この方法は、リンパ球集団を、免疫原性組成物(例えば、本発明の免疫療法組成物)と、任意で、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に接触させ、それによって、WT1タンパク質特異性CTLの形成及び増殖を誘導することを含む。他の実施形態において、免疫原性組成物は、本発明のペプチドに関連する抗原提示細胞(APC)及びチェックポイント阻害剤を含む。他の実施形態において、本発明は、WT1タンパク質特異性CTLの形成及び増殖を誘導する方法を提供し、この方法は、リンパ球集団を、本発明のペプチド又は組成物と、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に接触させ、それによって、WT1タンパク質特異性CTLの形成及び増殖を誘導することを含む。他の実施形態において、本発明は、WT1タンパク質特異性CTLの形成及び増殖を誘導する方法を提供し、この方法は、リンパ球集団を、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に本発明のワクチンと接触させ、それによって、WT1タンパク質特異性CTLの形成及び増殖を誘導する工程を含む。他の実施形態において、CTLは、WT1発現細胞に特異的である。他の実施形態において、標的細胞は、WT1発現癌の細胞である。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0178】
他の実施形態において、本発明は、対象においてWT1タンパク質特異性CTLの形成及び増殖を誘導する方法を提供し、この方法は、対象を、本発明の免疫療法組成物等の免疫原性組成物と、任意で、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に接触させ、それによって、対象において、WT1タンパク質特異性CTLの形成及び増殖を誘導することを含む。他の実施形態において、免疫原性組成物は、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与される、本発明の少なくとも7つのWT1ペプチドの混合物に関連するAPCを含む。他の実施形態において、本発明は、対象においてWT1タンパク質特異性CTLの形成及び増殖を誘導する方法を提供し、この方法は、対象を、少なくとも1つの本発明のチェックポイント阻害剤、又は組成物と共に、少なくとも7つのWT1ペプチドの組み合わせと接触させ、それによって、対象においてWT1タンパク質特異性CTLの形成及び増殖を誘導することを含む。他の実施形態において、本発明は、WT1タンパク質特異性CTLの対象における形成及び増殖を誘導する方法を提供し、この方法は、対象を、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に、本発明のワクチンと接触させ、それによって、対象においてWT1タンパク質特異性CTLの形成及び増殖を誘導することを含む。他の実施形態において、標的細胞は、WT1発現癌の細胞である。他の実施形態において、対象は、WT1発現癌を有する。他の実施形態において、CTLは、WT1発現細胞に特異的である。
【0179】
他の実施形態において、本発明は、対象においてヘテロクリティック免疫応答を生成する方法を提供し、ここで、ヘテロクリティック免疫応答は、WT1発現癌に対して向けられ、この方法は、少なくとも7つのWT1ペプチドの組み合わせを、任意で、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤又は本発明の組成物と共に、対象に投与し、それによってヘテロクリティック免疫応答を生成することを含む。他の実施形態において、本発明は、対象においてヘテロクリティック免疫応答を生成する方法を提供し、ここで、ヘテロクリティック免疫応答は、WT1発現癌に対して向けられ、この方法は、本発明のワクチンのような免疫原性組成物を、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に対象に投与し、それによって、ヘテロクリティック免疫応答を生成することを含む。他の実施形態において、本発明は、対象においてヘテロクリティック免疫応答を生成する方法を提供し、ここで、ヘテロクリティック免疫応答はWT1発現癌に対して向けられ、この方法は、本発明のワクチンを、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に対象に投与し、それによって、ヘテロクリティック免疫応答を生成することを含む。
【0180】
各方法は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0181】
他の実施形態において、WT1発現癌は急性骨髄性白血病(AML)である。他の実施形態において、WT1発現癌は慢性骨髄性白血病(CML)である。他の実施形態において、WT1発現癌は骨髄異形成症候群(MDS)に関連する。他の実施形態において、WT1発現癌はMDSである。他の実施形態において、WT1発現癌は非小細胞肺癌(NSCLC)である。他の実施形態において、WT1発現癌は食道扁平上皮癌である。他の実施形態において、WT1発現癌は急性リンパ芽球性白血病(ALL)である。他の実施形態において、WT1発現癌は骨又は軟組織肉腫である。他の実施形態において、WT1発現癌はウィルムス腫瘍である。他の実施形態において、WT1発現癌は白血病である。他の実施形態において、WT1発現癌は血液癌である。他の実施形態において、WT1発現癌はリンパ腫である。他の実施形態において、WT1発現癌は線維形成性小円形細胞腫瘍である。他の実施形態において、WT1発現癌は中皮腫である。他の実施形態において、WT1発現癌は悪性中皮腫である。他の実施形態において、WT1発現癌は胃癌である。他の実施形態において、WT1発現癌は結腸癌である。他の実施形態において、WT1発現癌は肺癌である。他の実施形態において、WT1発現癌は乳癌である。他の実施形態において、WT1発現癌は生殖細胞腫瘍である。他の実施形態において、WT1発現癌は悪性胸膜中皮腫である。他の実施形態において、WT1発現癌は多発性骨髄腫である。他の実施形態において、WT1発現癌は骨髄性白血病である。他の実施形態において、WT1発現癌は星状細胞癌である。他の実施形態において、WT1発現癌は神経膠芽腫(例えば、多形神経膠芽腫)である。他の実施形態において、WT1発現癌は結腸直腸腺癌である。他の実施形態において、WT1発現癌は卵巣癌(例えば、漿液性、上皮性、又は子宮内膜)である。他の実施形態において、WT1発現癌は乳癌である。他の実施形態において、WT1発現癌はメラノーマである。他の実施形態において、WT1発現癌は頭頸部扁平上皮癌である。他の実施形態において、WT1発現癌は膵管細胞癌腫である。他の実施形態において、WT1発現癌は神経芽細胞腫である。他の実施形態において、WT1発現癌は子宮癌である。他の実施形態において、WT1発現癌は甲状腺癌である。他の実施形態において、WT1発現癌は肝細胞癌である。他の実施形態において、WT1発現癌は甲状腺癌である。他の実施形態において、WT1発現癌は肝臓癌である。他の実施形態において、WT1発現癌は腎癌(例えば、腎細胞癌)である。他の実施形態において、WT1発現癌はカポジ肉腫である。他の実施形態において、WT1発現癌は肉腫である。他の実施形態において、WT1発現癌が任意の他の癌腫又は肉腫である。
【0182】
他の実施形態において、WT1発現癌は固形腫瘍である。他の実施形態において、固形腫瘍はWT1発現癌に関連する。他の実施形態において、固形腫瘍は骨髄異形成症候群(MDS)に関連する。他の実施形態において、固形腫瘍は非小細胞肺癌(NSCLC)に関連する。他の実施形態において、固形腫瘍は肺癌に関連する。他の実施形態において、固形腫瘍は乳癌に関連する。他の実施形態において、固形腫瘍は結腸直腸癌に関連する。他の実施形態において、固形腫瘍は前立腺癌に関連する。他の実施形態において、固形腫瘍は卵巣癌に関連する。他の実施形態において、固形腫瘍は腎癌に関連する。他の実施形態において、固形腫瘍は膵臓癌に関連する。他の実施形態において、固形腫瘍は脳癌に関連する。他の実施形態において、固形腫瘍は胃腸癌に関連する。他の実施形態において、固形腫瘍は、皮膚癌に関連する。他の実施形態において、固形腫瘍はメラノーマに関連する。
【0183】
他の実施形態において、本発明の方法によって処置される癌又は腫瘍は、WT1を発現することが疑われる。他の実施形態において、WT1発現は、実際の腫瘍サンプルの試験によって検証されていない。他の実施形態において、癌又は腫瘍は、多くの場合、WT1を発現することが知られているタイプのものである。他の実施形態において、このタイプは、大多数の症例においてWT1を発現する。
【0184】
WT1発現癌又は腫瘍、及びWT1を発現することが疑われる癌又は腫瘍のそれぞれのタイプは、本発明の別個の実施形態を表す。
【0185】
本発明の組成物及び方法を使用して処置される癌型の非網羅的なリストを、表2に提供する。
【0186】
【表3】
【表4】
【表5】
【0187】
他の実施形態において、本発明の複数のペプチドは、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に、本発明の方法において免疫応答を刺激するために使用される。
【0188】
本明細書中に提供される、抗原特異的CD8T細胞応答を誘発するヘテロクリティックペプチドは、本発明の方法を使用して作製される。複数のHLAクラスII分子に対するCD4T細胞応答を誘発するWT1ペプチドを同定することができる。CD4T細胞は、APC上のHLAクラスII分子に結合したペプチドを認識する。他の実施形態において、抗原特異的CD4T細胞応答は、CD8細胞傷害性T細胞(CTL)応答の誘発及び維持を補助する。
【0189】
他の実施形態において、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与される本発明のペプチドは、HLAクラスI及びHLAクラスII分子の両方に結合する能力のために、CTL応答を誘発する増強された能力を示す。他の実施形態において、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与される本発明のペプチドは、WT1特異的CTLの生存及び増殖を増加させるチェックポイント阻害剤の能力のために、CTL応答を誘発する増強された能力を示す。他の実施形態において、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与される本発明のワクチンは、WT1抗原を認識するCD4及びCD8T細胞の両方を活性化又は誘発するという長所を有する。他の実施形態において、CD4及びCD8T細胞の両方の活性化又は誘発は、いずれかの集団単独の活性化と比較して、相乗的な抗WT1免疫応答を提供する。他の実施形態において、本発明のペプチドが複数のHLAクラスIIサブタイプに結合する能力に起因して、本発明のペプチドの増強された免疫原性が複数のHLAクラスIIサブタイプの個々において示される。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0190】
他の実施形態において、活性化CD4細胞は、樹状細胞をライセンスすることによって免疫を増強し、それによって細胞傷害性T細胞の活性化及び生存を維持する。他の実施形態において、活性化CD4T細胞は、腫瘍細胞との直接的な接触によって、又はアポトーシス経路の活性化によって、腫瘍細胞死を誘導する。例えば、中皮腫腫瘍細胞は、HLAクラスI及びクラスII分子のコンテキストにおいて抗原を処理し、提示することができる。
【0191】
本明細書に開示される方法は、HLAクラスI及びHLAクラスII分子の両方に結合することができる他のWT1由来ペプチドの設計を可能にすることが当業者によって理解される。本方法はさらに、本発明のWT1由来ペプチドを組み合わせた免疫原性組成物及びワクチンの設計を可能にする。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0192】
他の実施形態において、本発明の少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与される方法、ペプチド、ワクチン、及び/又は免疫原性組成物は、多数の異なるHLAクラスII対立遺伝子を含むWT1特異的CD4T細胞を活性化又は誘発するという長所を有する。他の実施形態において、ワクチンは、集団の実質的な比率でWT1特異的CD4T細胞を活性化又は誘発するという長所を有する。他の実施形態において、ペプチドは集団の10%においてWT1特異的CD4T細胞を活性化する。他の実施形態において、ペプチドは集団の15%においてWT1特異的CD4T細胞を活性化する。他の実施形態において、ペプチドは集団の20%においてWT1特異的CD4T細胞を活性化する。他の実施形態において、ペプチドは集団の25%においてWT1特異的CD4T細胞を活性化する。他の実施形態において、ペプチドは集団の30%においてWT1特異的CD4T細胞を活性化する。他の実施形態において、ペプチドは集団の35%においてWT1特異的CD4T細胞を活性化する。他の実施形態において、ペプチドは集団の40%においてWT1特異的CD4T細胞を活性化する。他の実施形態において、ペプチドは集団の45%においてWT1特異的CD4T細胞を活性化する。他の実施形態において、ペプチドは集団の50%においてWT1特異的CD4T細胞を活性化する。他の実施形態において、ペプチドは集団の55%においてWT1特異的CD4T細胞を活性化する。他の実施形態において、ペプチドは集団の60%においてWT1特異的CD4T細胞を活性化する。他の実施形態において、ペプチドは集団の70%においてWT1特異的CD4T細胞を活性化する。他の実施形態において、ペプチドは集団の75%においてWT1特異的CD4T細胞を活性化する。他の実施形態において、ペプチドは集団の80%においてWT1特異的CD4T細胞を活性化する。他の実施形態において、ペプチドは集団の85%においてWT1特異的CD4T細胞を活性化する。他の実施形態において、ペプチドは集団の90%においてWT1特異的CD4T細胞を活性化する。他の実施形態において、ペプチドは集団の95%においてWT1特異的CD4T細胞を活性化する。他の実施形態において、ペプチドは集団の95%超においてWT1特異的CD4T細胞を活性化する。他の実施形態において、ワクチンは特定の集団(例えば、アメリカ白人)のかなりの割合でWT1特異的CD4T細胞を活性化又は誘発する。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0193】
他の実施形態において、本発明の方法は、対象によって既に開始されている免疫応答の向上を提供する。他の実施形態において、本発明の方法は、ペプチド、組成物、又はワクチンを、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に、1回以上又は2回以上投与することを含む。他の実施形態において、ペプチドは、それらの組成物、濃度、又はそれらの組み合わせにおいて変化する。他の実施形態において、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与されるペプチドは、対象の抗原に対する免疫応答がまだ開始されていない対象において、対象の抗原に対する免疫応答の開始を提供する。他の実施形態において、誘導されるCTLは、APC又は癌細胞上のペプチドの提示に応答して増殖する。他の実施形態において、免疫応答の調節には、免疫系の体液性アーム及び細胞媒介アームのいずれか又は両方を含み、これはそれぞれTh2及びTh1 Tヘルパー細胞の存在を伴い、又は、他の実施形態において各アームを個別に伴う。
【0194】
他の実施形態において、腫瘍の成長に影響を及ぼす方法は、(1)腫瘍細胞分裂の直接的な阻害、又は(2)免疫細胞媒介性腫瘍細胞溶解、又はその両方をもたらし、これは、腫瘍細胞の正味の成長の抑制をもたらす。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与されるペプチド又はワクチンの使用は、チェックポイント阻害剤を使用しない場合よりも、腫瘍細胞分裂の直接的阻害、免疫細胞媒介性細胞溶解、又はその両方を増加させる。
【0195】
これら2つのメカニズムのいずれかによる腫瘍増殖の阻害は、多くある周知の方法に基づいて当業者によって容易に決定される。他の実施形態において、腫瘍阻害は、ある期間にわたって実際の腫瘍サイズを測定することによって決定される。他の実施形態において、腫瘍阻害は、当業者に周知の方法を利用して、(ある期間にわたって)腫瘍のサイズを推定することによって決定される。より具体的には、様々な放射線画像診断法(例えば、単一光子及び陽電子放出コンピュータ断層撮影、「臨床腫瘍学における核医学」、Winkler、C.(編)Springer-Verilog、New York、1986を参照)を利用して、腫瘍サイズを推定することができる。このような方法はまた、例えば、従来のイメージング剤(例えば、クエン酸ガリウム-67)、ならびに代謝産物イメージング、受容体イメージング、又は免疫学的イメージングのための特殊化された試薬(例えば、放射線標識モノクローナル抗体腫瘍マーカー)を含む、様々なイメージング剤を利用することができる。さらに、超音波(「腫瘍の超音波鑑別診断」、Kossoff及びFukuda(編)、Igaku-Shoin、New York、1984を参照のこと)のような非放射性方法もまた、腫瘍のサイズを推定するために利用することができる。
【0196】
上記の腫瘍阻害を決定するためのin vivo方法に加えて、in vivo腫瘍阻害を決定するために、様々なin vitro方法を利用することができる。代表的な例としては、例えば、51Cr放出アッセイ、腫瘍従属リンパ球増殖(Ioannidesら、J.Immunol.146(5):1700-1707、1991)、腫瘍特異的抗体のin vitro生成(Herlynら、J.Immunol.Meth.73:157-167、1984)、細胞(例えば、CTL、ヘルパーT細胞)又は体液性(例えば、抗体)媒介細胞増殖阻害in vitro(Gazitら、Cancer Immunol 35:135-144、1992)によって決定されるリンパ球媒介抗腫瘍細胞溶解活性、及びこれらのアッセイのいずれかについて、細胞前駆体頻度の決定(Vose、Int.J.Cancer 30:135-142(1982))等が挙げられる。
【0197】
他の実施形態において、腫瘍増殖を抑制する方法は、本発明の少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と接触しないか、又は共に投与されたペプチドに曝露されない増殖と比較して、減少した増殖状態を示す。腫瘍細胞増殖は、腫瘍の大きさを測定すること、腫瘍細胞が増殖しているかどうかをH-チミジン取り込みアッセイを用いて決定すること、又は腫瘍細胞を計数することを含むが、これらに限定されない、当該分野で公知の任意の手段によって評価することができる。腫瘍細胞増殖を「抑制する」とは、他の実施形態において、腫瘍増殖を遅らせる、遅延させる、もしくは停止させること、又は腫瘍収縮をいう。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0198】
本発明の方法及び組成物の他の実施形態において、WT1発現は、処置の投与前、処置の投与後、又は処置の投与前後の両方で測定される。他の実施形態において、WT1転写産物発現が測定される。他の実施形態において、腫瘍細胞又は癌細胞におけるWT1タンパク質レベルが測定される。他の実施形態において、癌細胞又は腫瘍細胞から循環液又は尿等の他の体液に放出されるWT1タンパク質又はペプチドが測定されるが、これらに限定されない。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0199】
本発明の方法及び組成物の他の実施形態において、対象に投与される1つ以上のチェックポイント阻害剤によって標的化されるチェックポイントタンパク質の発現は、腫瘍又は癌細胞において、又は全血、血清、又は血漿において、処置の投与前(基線)、処置の投与後、又は処置の投与前後の両方で(転写レベル又はタンパク質レベルで)測定される。本発明の方法及び組成物の一実施形態において、1つ以上のチェックポイントタンパク質は、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK1キナーゼ、CHK2キナーゼ、A2aR、及びB-7ファミリーリガンドの中から選択される。本発明の方法及び組成物の一実施形態において、PD1、PD2、CTLA4、又は上記の2つ以上の組み合わせの発現は、処置の投与前、処置の投与後、又は処置の投与前後の両方で測定される。一実施形態において、チェックポイントタンパク質発現は、原発腫瘍部位で測定される。他の実施形態において癌は転移性であり、チェックポイントタンパク質発現は、転移部位、又は原発腫瘍部位、又はその両方で測定される。
【0200】
本発明の方法及び組成物の他の実施形態において、以下のマーカー:単球性骨髄由来サプレッサー細胞(m-MDSC)、C反応性タンパク質(CRP)、絶対リンパ球、絶対リンパ球、及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のうちの1つ以上が、処置の投与前(基線)、処置の投与後、又は処置の投与前後の両方で測定される。他の実施形態において、チェックポイント調節に対する応答性を予測又は同定するための1つ以上のマーカーの使用は、本明細書に包含される。
【0201】
免疫応答の存在及び大きさを決定する方法は、当該分野で周知である。他の実施形態において、リンパ球増殖アッセイでは、放射性物質(例えば、H-チミジン)のT細胞取り込みが、細胞増殖の関数として測定される。他の実施形態において、T細胞増殖の検出は、インターロイキン-2(IL-2)製造、Ca2+フラックス、又は3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニル-テトラゾリウム等の色素取り込みの増加を測定することによって達成される。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0202】
他の実施形態において、CTL刺激は、細胞増殖、サイトカイン生成及びその他の検知を含む、当業者に公知の手段によって決定される。リガンドドパルス標的に接触した際にT細胞によって分泌されるサイトカインの型及び量の分析は、機能的活性の尺度である。サイトカインは、サイトカイン生産率及び総量を決定するために、ELISA、ELISPOTアッセイ又は蛍光活性化細胞選別(FACS)によって測定される。(Fujihashi Kら(1993)J.Immunol.Meth.160:181;Tanguay S及びKillion J.J.(1994)Lymphokine Cytokine Res.13:259)。
【0203】
他の実施形態において、CTL活性は、51Cr放出溶解アッセイによって決定される。抗原特異的T細胞によるペプチドパルス51Cr標識対象の溶解を、対照ペプチドでパルスした対象細胞について比較することができる。他の実施形態において、T細胞は、本発明のペプチドで刺激され、MHCのコンテキストにおいて天然ペプチドを発現する標的細胞の溶解が決定される。他の実施形態において、リガンド性能を評価するために、固定された時点(例えば、4時間)での溶解の動力学ならびに全体的な標的溶解が使用される。(Ware C.F.ら(1983)J Immunol 131: 1312)。
【0204】
HLA分子に対するペプチドの親和性を決定する方法は、当該分野で周知である。他の実施形態において、親和性は、TAP安定化アッセイによって決定される。
【0205】
他の実施形態において、親和性は、競合ラジオイムノアッセイによって決定される。他の実施形態において、以下のプロトコルが利用される。標的細胞は、1%ウシ血清アルブミン(BSA;Fisher Chemicals、Fairlawn、NJ)を含むPBS中で2回洗浄される。細胞を氷上10/mlで再懸濁し、天然の細胞表面結合ペプチドを、3mg/mlベータミクログロブリンの存在下でクエン酸-リン酸緩衝液を用いて0℃で2分間ストリッピングする。3mg/mlのベータミクログロブリン及び30mg/mlのデオキシリボヌクレアーゼの存在下、PBS/1%BSA中、5×10細胞/mlでペレットを再懸濁し、200mlのアリコートを、HLA特異的ペプチドの存在下又は非存在下、20℃で10分間、次いで125I標識ペプチドと共に20℃で30分間インキュベートする。全結合125Iは、PBS/2%BSAで2回洗浄し、PBSで1回洗浄した後に測定する。相対親和性は、既知の結合ペプチドに対する試験ペプチドの漸増濃度の比較によって決定される。
【0206】
他の実施形態において、生細胞(例えば、SKLY-16細胞)の表面上のHLAへのペプチドの結合の特異性分析を行って、結合が適切なHLA分子に対するものであることを確認し、その制限を特定する。これは、他の実施形態において、同じ又は異なるHLA分子に結合することが知られている過剰の非標識ペプチドとの競合、及び同じ又は異なるHLA型を発現する標的細胞の使用を含む。他の実施形態において、このアッセイは、生きた新鮮な又は0.25%パラホルムアルデヒド固定ヒトPBMC、白血病細胞株及び特定のHLA型のEBV形質転換T細胞株に対して行われる。特異的細胞上のMHC分子に結合することが見出されたペプチドの相対的結合活性は、関連するHLA分子、例えば、チロシナーゼ又はHBVペプチド配列に対する既知の高親和性の125I標識ペプチドに対する上記のような競合アッセイによってアッセイされる。
【0207】
他の実施形態において、本発明の方法及び組成物において使用される任意のWT1ペプチドは、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボキシレート(Kazmierskiら(1991)J.Am Chem.Soc.113:2275-2283)、(2S,3S)-メチル-フェニルアラニン、(2S,3R)-メチル-フェニルアラニン、(2R,3S)-メチル-フェニルアラニン及び(2R,3R)-メチル-フェニルアラニン(Kazmierski及びHruby(1991)Tetrahedron Lett.32(41):5769-5772)、2-アミノテトラヒドロナフタレン-2-カルボン酸(Landis(1989)Ph.D.Thesis、University of Arizona)、ヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボキシレート(Miyakeら(1984)J.Takeda Res.Labs.43:53-76)ヒスチジンイソキノリンカルボン酸(Zechelら(1991)Int.J.Pep.Protein Res.38(2):131-138)及びHIC(ヒスチジン環状尿素)、(Dharanipragadaら(1993)Int.J.Pep.Protein Res.42(1):68-77)((1992)Acta.Cryst.、Crystal Struc.Comm.48(IV):1239-124)のような1つ以上の非古典的アミノ酸を含む。このような非古典的アミノ酸は、本発明の修飾ペプチドにおいて具体化される。
【0208】
他の実施形態において、本発明の方法及び組成物において使用される任意のペプチドは1つ以上のAA類似体を含むか、又はペプチド模倣体であり、これは、他の実施形態において、特定の二次構造を誘導するか、又はそれに有利である。このようなペプチドは、他の実施形態において、以下を含む。LL-Acp(LL-3-アミノ-2-プロペニドン-6-カルボン酸)、β-ターン誘導ジペプチド類似体(Kempら(1985)J.Org.Chem.50:5834-5838)、β-シート誘導類似体(Kempら(1988)Tetrahedron Lett.29:5081-5082)、β-ターン誘導類似体(Kempら(1988)Tetrahedron Left.29:5057-5060)、アルファヘリックス誘導類似体(Kempら(1988)Tetrahedron Left.29:4935-4938)、ガンマ-ターン誘導類似体(Kempら(1989)J.Org.Chem.54:109:115)、以下の参考文献によって提供される類似体:Nagai及びSato(1985)Tetrahedron Left.26:647-650及びDiMaioら(1989)J.Chem.Soc.Perkin Trans.p.1687、Gly-Alaターン類似体(Kahnら(1989)Tetrahedron Lett.30:2317)、アミド結合アイソステレ(Jonesら(1988)Tetrahedron Left.29(31):3853-3856)、トレトラゾール(Zabrockiら(1988)J.Am.Chem.Soc.110:5875-5880)、DTC(Samanenら(1990)Int.J.Protein Pep.Res.35:501:509)及びOlsonら(1990)J.Am.Chem.Sci.112:323-333及びGarveyら(1990)J.Org.Chem.55(3):936-940に教示された類似体。ベータターン及びベータバルジの立体配置的に制限された模倣物、ならびにそれらを含有するペプチドは、1995年8月8日Kahn発行米国特許第5,440,013号に記載されている。
【0209】
他の実施形態において、本発明の方法で使用される任意のペプチドは、以下に記載されるように、共有結合又は非共有結合(複合体化)を介した各種の他の分子のうちの1つにコンジュゲートされ、その性質は、他の実施形態において特定の目的に応じて変化する。他の実施形態において、ペプチドは、天然及び合成ポリマー、タンパク質、多糖類、ポリペプチド(アミノ酸)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及び脂質を含むがこれらに限定されない、高分子キャリア(例えば、免疫原性キャリア)に共有結合的又は非共有結合的に複合体化される。他の実施形態において、本発明のペプチドは、基質に連結される。他の実施形態において、ペプチドは、リポソームへの導入のために、脂肪酸にコンジュゲートされる(米国特許第5,837,249号)。他の実施形態において、本発明のペプチドは、固体支持体と共有結合又は非共有結合で複合体化され、その様々なものが当該分野で公知である。他の実施形態において、キャリア、基質、脂肪酸、又は固体支持体へのペプチドの結合は、誘発された免疫応答を増加させるのに役立つ。
【0210】
他の実施形態において、キャリアは、チログロブリン、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、破傷風トキソイド、ポリ(リジン:グルタミン酸)等のポリアミノ酸、インフルエンザタンパク質、B型肝炎ウイルスコアタンパク質、キーホールリンペットヘモシアニン、アルブミン、又は別のキャリアタンパク質もしくはキャリアペプチド、B型肝炎ウイルス組換えワクチン、又はAPCである。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0211】
他の実施形態において、「アミノ酸」という用語は、天然の、又は他の実施形態において非天然又は合成のAAを指し、他の実施形態において、グリシン、D-又はL光学異性体、AA類似体、ペプチド模倣体、又はそれらの組合せを含むことができる。
【0212】
他の実施形態において、「癌」、「新生物」、「新生物の」又は「腫瘍」という用語は区別なく使用され、宿主生物に対して病的にする悪性形質転換を受けた細胞を指す。癌は、番号の付いた病期分類システム内のいずれかの病期(例えば、0期、1期、2期、3期、又は4期)であり、TNM病期分類システム内のいずれかの病期である。原発性癌細胞(すなわち、悪性形質転換部位の近くから得られた細胞)は、十分に確立された技術、特に、組織学的検査により、非癌性細胞と容易に区別することができる。本明細書で使用される癌細胞の定義は、原発癌細胞だけでなく、癌細胞祖先に由来する任意の細胞も含む。これには、転移した癌細胞、及び癌細胞に由来するin vitro培養物及び細胞株が含まれる。他の実施形態において、腫瘍は腫瘍塊に基づいて検出可能であり、例えば、CATスキャン、磁気共鳴イメージング(MRI)、X線、超音波、又は触診等の手順によって検出可能であり、他の実施形態において、生化学的又は免疫学的得られた知見によって同定され、後者は他の実施形態において癌性細胞を同定するためにも使用される。腫瘍は、固形腫瘍又は非固形腫瘍である。
【0213】
ペプチドを合成するための方法は、当該分野で周知である。他の実施形態において、本発明のペプチドは、適切な固相合成手順を使用して合成される(例えば、Steward及びヤング、Solid Phase Peptide Synthesis、Freemantle、San Francisco,CA(1968);Merrifield(1967)Recent Progress in Hormone Res 23:451を参照のこと)。これらのペプチドの活性は、他の実施形態において、本明細書中に記載されるようなアッセイを使用して試験される。
【0214】
他の実施形態において、本発明のペプチドは、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、差動溶解度を含む標準的な方法によって、又はタンパク質精製のための任意の他の標準的な技術によって精製される。他の実施形態において、イムノアフィニティークロマトグラフィーが使用され、それにより、エピトープはそのペプチド又は本発明の関連ペプチドに対して生成された抗体を含むアフィニティーカラムに結合することによって単離され、そして固定支持体に付着する。
【0215】
他の実施形態において、ヘキサ-His(Invitrogen)、マルトース結合ドメイン(New England Biolabs)、インフルエンザコート配列(Kolodziejら(1991)Meth.Enzymol.194:508-509)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ等の親和性タグを本発明のペプチドに結合させて、適切なアフィニティーカラムを通過させることによって容易に精製することができる。単離されたペプチドはまた、他の実施形態において、タンパク質分解、核磁気共鳴、及びx線結晶学のような技術を使用して、物理的に特定される。
【0216】
他の実施形態において、本発明のペプチドは当業者に明らかであるように、公知の技術を介して、in vitro翻訳によって生成される。他の実施形態において、ペプチドは、翻訳中又は翻訳後に、例えば、リン酸化、グリコシル化、架橋、アシル化、タンパク質分解開裂、抗体分子、膜分子又は他のリガンドへの結合によって、差次的に修飾される(Fergusonら(1988)Ann.Rev.Biochem.57:285-320)。
【0217】
他の実施形態において、本発明のペプチドは、検出可能な標識をさらに含み、これは他の実施形態において蛍光性であり、又は他の実施形態において発光性であり、又は他の実施形態において放射性であり、又は他の実施形態において高電子密度である。他の実施形態において、検出可能な標識は、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、DS-Red(赤色蛍光タンパク質)、分泌アルカリホスファターゼ(SEAP)、ベータ-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、32P、125I、H及び14C、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル及びウンベリフェロン、ルシフェリン、又は当業者に公知の任意の数の他のこのような標識を含む。使用される特定の標識は、使用されるイムノアッセイの型に依存する。
【0218】
他の実施形態において、本発明のペプチドは基質に連結され、これは、他の実施形態においてキャリアとして役立つ。他の実施形態において、基質へのペプチドの連結は、誘発された免疫応答を増加させるのに役立つ。
【0219】
他の実施形態において、本発明のペプチドは、カルボジミド等の従来の架橋剤を使用して、本明細書に記載されるように、他の分子に連結される。カルボジミドの例を挙げると、1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリニル-(4-エチル)カルボジイミド(CMC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)及び1-エチル-3-(4-アゾニア-44-ジメチルペンチル)カルボジイミドである。
【0220】
他の実施形態において、架橋剤は、臭化シアン、グルタルアルデヒド及び無水コハク酸を含む。一般に、ホモ二官能性アルデヒド、ホモ二官能性エポキシド、ホモ二官能性イミドエステル、ホモ二官能性N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、ホモ二官能性マレイミド、ホモ二官能性アルキルハライド、ホモ二官能性ピリジルジスルフィド、ホモ二官能性アリールハライド、ホモ二官能性ヒドラジド、ホモ二官能性ジアゾニウム誘導体及びホモ二官能性光反応性化合物を含む多数のホモ二官能性剤のいずれかを使用することができる。また、他の実施形態において、ヘテロ二官能性化合物、例えば、アミン反応性基及びスルフヒドリル反応性基を有する化合物、アミン反応性基及び光反応性基を有する化合物、カルボニル反応性基及びスルフヒドリル反応性基を有する化合物も想定される。
【0221】
他の実施形態において、ホモ二官能性架橋剤は、二官能性N-ヒドロキシスクシンイミドエステルジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)、スベリン酸ジスクシンイミジル、酒石酸ジスクシンイミジル、二官能性イミドエステルジメチルアジピミデート、ジメチルピメリミデート、ジメチルスベリミデート、二官能性スルフヒドリル反応性架橋剤1,4-ジ-[3'-(2'-ピリジルチオ)プロピオンアミド]ブタン、ビスマレイミドヘキサン、ビス-N-マレイミド-1,8-オクタン、二官能性アリールハライド1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン、4,4'-ジフルオロ-3,3'-ジニトロフェニルスルホン、二官能性光反応剤、例えば、ビス-[b-(4-アジドサリシルアミド)エチル]ジスルフィド、二官能性アルデヒドホルムアルデヒド、マロンジアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジパルデヒド、二官能性エポキシド、例えば、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、二官能性ヒドラジドアジピン酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド、及びコハク酸ジヒドラジド、二官能性ジアゾニウムo-トリジン、ジアゾ化及びビス-ジアゾ化ベンジジン、二官能性アルキルハライドN1N'-エチレン-ビス(ヨードアセトアミド)、N1N'-ヘキサメチレン-ビス(ヨードアセトアミド)N1N'-ウンデカメチレン-ビス(ヨードアセトアミド)、及びベンジルハライド及びハロマスタード、例えば、a1a'-ジヨード-p-キシレンスルホン酸及びトリ(2-クロロエチル)アミンを含む。
【0222】
他の実施形態において、本明細書中に記載されるように、ペプチドを他の分子に連結するために使用されるヘテロ二官能性架橋剤は、これらに限定されるものではないが、SMCC(スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート)、MBS(m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、SIAB(N-スクシンイミジル(4-ヨードアクチル)アミノ安息香酸)、SMPB(スクシンイミジル-4-(p-マレイミドフェニル)ブチレート)、GMBS(N-(ガンマ-マレイミドブチルオキシ)スクシンイミドエステル)、MPBH(4-(4-N-マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド)、M2C2H(4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシル-ヒドラジド)、SMPT(スクシンイミジルオキシカルボニル-a-メチル-a-(2-ピリジルジチオ)トルエン)及びSPDP(N-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート)を含む。
【0223】
他の実施形態において、本発明のペプチドは、イオン性、吸着性、又は生物特異的相互作用によるモノマーの非共有付加物として処方される。高度に正又は負に荷電した分子を有するペプチドの複合体は、他の実施形態において、脱イオン水中等の低イオン強度環境下での塩橋形成により得ることができる。他の実施形態において、多数の負電荷及び正電荷をそれぞれ含むポリ-(L-グルタミン酸)又はポリ-(L-リジン)等の荷電ポリマーを使用して、大きな複合体を生成することができる。他の実施形態において、ペプチドが微粒子ラテックスビーズ等の表面又は他の疎水性ポリマーに吸着され、他の実施形態において、架橋又は化学重合タンパク質を効果的に模倣する非共有結合ペプチド-超抗原複合体を形成する。他の実施形態において、ペプチドは、他の分子間の生体特異的相互作用の使用を介して非共有結合される。例えば、アビジン又はストレプトアビジン又はそれらの誘導体のようなタンパク質に対するビオチンの強い親和性を利用して、ペプチド複合体を形成することができる。この態様によれば、他の実施形態において、ペプチドは、利用可能なアミン基と反応する、D-ビオチン(NHS-ビオチン)のN-ヒドロキシスクシンイミジルエステルのような一般的なビオチン化試薬を使用して、ビオチン基を有するように修飾される。
【0224】
他の実施形態において、本発明のペプチドは、キャリアに連結されている。他の実施形態において、キャリアはKLHである。他の実施形態において、キャリアは、例えば、チログロブリン、ヒト血清アルブミン等のアルブミン、破傷風トキソイド、ポリ(リジン:グルタミン酸)等のポリアミノ酸、インフルエンザ、B型肝炎ウイルスコアタンパク質、B型肝炎ウイルス組換えワクチン等を含む、当該分野で公知の任意の他のキャリアである。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0225】
他の実施形態において、本発明のペプチドは、脂質(例えば、P3 CSS)にコンジュゲートされる。他の実施形態において、本発明のペプチドは、ビーズにコンジュゲートされる。
【0226】
前述の実施形態のいずれかにおいて、ペプチド、架橋ペプチド、結合ペプチド、又は任意の他の形態のペプチドが、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に本発明の方法において使用される。
【0227】
他の実施形態において、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の使用に加えて、本発明の方法及び組成物は、免疫調節化合物をさらに含む。他の実施形態において、免疫調節化合物は、免疫系アクセサリー又は接着分子、それらの受容体、又はそれらの組み合わせの発現を増強するサイトカイン、ケモカイン、又は補体成分である。いくつかの実施形態において、免疫調節化合物は、インターロイキン、例えば、インターロイキン1~15、インターフェロンアルファ、ベータ又はガンマ、腫瘍壊死因子、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、ケモカイン、例えば、好中球活性化タンパク質(NAP)、マクロファージ走化性因子及び活性化因子(MCAF)、RANTES、マクロファージ炎症性ペプチドMIP-1a及びMIP-1b、補体成分、又はそれらの組合せを含む。他の実施形態において、免疫調節化合物が、OX40、OX40L(gp34)、リンホタクチン、CD40、CD40L、B7.1、B7.2、TRAP、ICAM-1、2もしくは3、サイトカイン受容体、又はそれらの組み合わせの発現を刺激するか、又は発現を増強する。
【0228】
他の実施形態において、免疫調節化合物は、いくつかの実施形態において、免疫応答に関与する共刺激分子の発現を誘導又は増強する。
【0229】
一実施形態において、本発明によるWT1ワクチン及びチェックポイント阻害剤を投与された患者にはまた、最初のワクチン接種の前又はその日に、又はそれらの組み合わせでGM-CSFも投与される。一実施形態において、患者は、最初のワクチン投与の2日前及びその日に、70mcgのGM-CSFを皮下に投与される。
【0230】
他の実施形態において、組成物は、水、分散液培地、細胞培養培地、等張剤等を含む溶媒を含む。他の実施形態において、溶剤は、約7.0のpHを有する水性等張緩衝溶液である。他の実施形態において、組成物は、水、リン酸緩衝生理食塩水、又は生理食塩水等の希釈剤を含む。他の実施形態において、組成物は、プロピルエチレングリコール、ポリエチレングリコール及び植物油等の非水性である溶媒を含む。
【0231】
他の実施形態において、組成物は、当業者に公知の多くの技術のいずれかによる投与のために処方される。例えば、本発明は、医薬組成物の非経口、静脈内、皮下、皮内、粘膜内、局所、経口、又は吸入による投与を提供する。
【0232】
他の実施形態において、本発明の、少なくとも7つのWT1ペプチド、又は少なくとも7つのWT1ペプチドによって誘導されるCTLの組み合わせを送達するための1つ以上のWT1送達剤を含むワクチンの使用において、ワクチンは、他の実施形態において、リンパ球、単球、マクロファージ、樹状細胞、内皮細胞、幹細胞、又はそれらの組み合わせを含み、他の実施形態において、互いに対して自己、同系、又は同種異系である細胞集団をさらに含む。他の実施形態において、細胞集団は、本発明のペプチドを含む。他の実施形態において、細胞集団はペプチドを取り込む。一実施形態において、細胞は抗原提示細胞(APC)である。さらなる実施形態において、APCはプロフェッショナルAPCである。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0233】
他の実施形態において、本発明の細胞集団は、in vivo供給源、例えば、末梢血、白血球除去血液産物、アフェレーシス血液産物、末梢リンパ節、腸関連リンパ組織、脾臓、胸腺、臍帯血、腸間膜リンパ節、肝臓、免疫病変部位(例えば、滑液、膵臓、脳脊髄液、腫瘍サンプル、肉芽腫組織)、又はこのような細胞が得られる任意の他の供給源、から得られる。他の実施形態において、細胞集団は、ヒト供給源から得られ、これは、他の実施形態において、ヒト胎児、新生児、子供、又は大人供給源である。他の実施形態において、本発明の細胞集団は、動物供給源(例えば、ブタもしくはサル、又は任意の他の目的の動物)から得られる。他の実施形態において、本発明の細胞集団は、正常であるか、又は他の実施形態において、罹患しているか、又は他の実施形態において、当該の疾患に罹患しやすい対象から得られる。
【0234】
他の実施形態において、本発明の細胞集団は、アフィニティーベースの分離方法によって分離される。アフィニティー分離のための技術は、他の実施形態において、抗体被覆磁気ビーズを使用する磁気分離、アフィニティークロマトグラフィー、モノクローナル抗体に連結された細胞毒性剤、又はモノクローナル抗体(例えば、補体及び細胞毒素)と組み合わせた使用、プレートのような固体マトリックスに付着した抗体を用いた「パニング」、又は任意の他の簡便な技術を含む。他の実施形態において、分離技術は、多色チャネル、低角度及び鈍角光散乱検出チャネル、インピーダンスチャネル等、様々な程度の精巧さを有する蛍光活性化細胞選別器の使用を含む。他の実施形態において、本発明の細胞集団の分離を可能にする任意の技術が使用され、それは本発明の一部として考慮されるべきである。
【0235】
他の実施形態において、樹状細胞は、様々なリンパ組織及び非リンパ組織において見出される形態学的に類似した細胞型の多様な集団に由来する(Steinman(1991)Ann.Rev.Immunol.9:271-296)。他の実施形態において、本発明で使用される樹状細胞は、骨髄から単離され、又は、他の実施形態において、骨髄前駆細胞に由来する、又は、他の実施形態において、末梢血から単離される/由来する、又は、他の実施形態において、細胞株に由来する、又は細胞株である。
【0236】
他の実施形態において、本明細書に記載される細胞集団は、哺乳動物(例えば、マウス、サル又はヒト)の白血球分画から単離される(例えば、WO96/23060号参照)。白血球分画は、他の実施形態において、哺乳動物の末梢血から単離することができる。
【0237】
樹状細胞を単離する方法は、当該分野で周知である。他の実施形態において、DCは、以下のステップを含む方法を介して単離される。(a)白血球除去療法のような当該分野で公知の方法によって哺乳動物供給源から得られる白血球分画を提供するステップ、(b)向流遠心分離エルトリエーションによってステップ(a)の白血球分画を4つ以上のサブ分画に分離するステップ、(c)ステップ(b)の単球の樹状細胞への変換を、細胞をカルシウムイオノフォア、GM-CSF及びIL-13又はGM-CSF及びIL-4と接触させることによって刺激するステップ、(d)ステップ(c)からの樹状細胞富化分画を同定するステップ、ステップ(d)の富化分画を、好ましくは約4℃で収集するステップ。
【0238】
他の実施形態において、樹状細胞富化分画は、蛍光活性化細胞選別によって同定され、これは、他の実施形態において、以下のマーカーのうち少なくとも1つ:HLA-DR、HLA-DQ、又はB7.2を同定するものであり、以下のマーカー:CD3、CD14、CD16、56、57、及びCD19、20は同時非存在である。
【0239】
他の実施形態において、細胞集団はリンパ球を含み、これは、他の実施形態において、T細胞であり、又は、他の実施形態において、B細胞である。T細胞は、他の実施形態において、NK細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、TIL、ナイーブT細胞、又はこれらの組み合わせである。一次T細胞、又は細胞株、クローン等は、本発明の一部とみなすべきと考えられる。他の実施形態において、T細胞は、CTL、又はCTL株、CTLクローン、又は腫瘍、炎症性、又は他の浸潤物から単離されたCTLである。
【0240】
他の実施形態において、造血幹細胞又は初期前駆細胞は、本発明において使用される細胞集団を含む。他の実施形態において、このような集団は、白血球アフェレーシスによって単離又は誘導される。他の実施形態において、白血球アフェレーシスは、骨髄、末梢血(PB)又は新生児臍帯血からのサイトカイン投与に続いて起こる。他の実施形態において、幹細胞又は前駆細胞は、CD34として知られる表面抗原マーカーの表面発現、及び表面系列抗原マーカーLin-の発現の排除によって特徴付けられる。
【0241】
他の実施形態において、対象に、本発明のペプチド、組成物又はワクチンを骨髄細胞と共に投与する。他の実施形態において、骨髄細胞実施形態と共の投与は、対象における癌を抑制、阻害、又は処置するために、治療過程の一部として、対象の前の照射に続いてなされる。
【0242】
他の実施形態において「細胞に接触する」又は「集団に接触する」という言い回しは、露光の方法を指し、これは、他の実施形態において直接的又は間接的である。他の実施形態において、このような接触は、マイクロ注入等の当該分野で周知の任意の手段による細胞の直接注入を含む。また、他の実施形態において、細胞への供給は、例えば、細胞を取り囲む培養培地中での供給により、又は対象への投与を介して、当該分野で周知の任意の経路を介して、そして本明細書に記載されるように、間接的であることが想定される。
【0243】
他の実施形態において、本発明の方法のCTL生成はin vivoで達成され、そして、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与される、in vitroで本発明のペプチドと接触させた抗原提示細胞を対象に導入することによって達成される(例えば、Pagliaら(1996)J.Exp.Med.183:317-322)を参照のこと)。
【0244】
他の実施形態において、本発明の方法及び組成物のペプチドは、抗原提示細胞(APC)に送達される。
【0245】
他の実施形態において、ペプチドは、ペプチドをコードするcDNAの形態でAPCに送達される。他の実施形態において、「抗原提示細胞」という用語は、樹状細胞(DC)、単球/マクロファージ、Bリンパ球、又は提示されたペプチドのT細胞認識を有効に可能にする、必要なMHC/共刺激分子を発現する他の細胞型を指す。他の実施形態において、APCは癌細胞である。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。各実施形態において、患者又は対象へのワクチン又はAPC又は任意の形態のペプチド送達は、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与される。本明細書に記載されるように、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の投与は、WT1ワクチン又はその代替形態の同じワクチン、製剤、投与部位又は投与時間にある必要はない。本明細書に具体化されるように、WT1ワクチンと同時にチェックポイント阻害剤をその様々な実施形態のいずれかで投与すると、それを必要とする対象におけるWT1特異的CTLの形成が増強される。
【0246】
他の実施形態において、CTLは、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に、2つ以上の抗原提示細胞集団と接触する。他の実施形態において、2つ以上の抗原提示細胞集団は、異なるペプチドを提示する。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0247】
他の実施形態において、APCのサイトゾル(例えば、DC)における抗原の発現を導く技術が、ペプチドをAPCに送達するために使用される。APC上で抗原を発現させるための方法は、当該分野で周知である。他の実施形態において、この技術は、(1)本発明のペプチドをコードするネイキッドDNAのAPCへの導入、(2)本発明のペプチドを発現する組換えベクターでのAPCの感染、及び(3)リポソームを使用するAPCのサイトゾルへの本発明のペプチドの導入を含む。(Boczkowski Dら(1996)J.Exp.Med.184:465-472;Rouseら(1994)J.Virol.68:5685-5689;及びNairら(1992)J.Exp.Med.175:609-612を参照のこと)。
【0248】
他の実施形態において、ヒト細胞株174xCEM.T2に由来するもの等のフォスター抗原提示細胞(T2と呼ばれ、内因性ペプチドと細胞表面MHCクラスI分子との関連を制限するその抗原プロセシング経路における突然変異を含む)(Zweerinkら(1993)J.Immunol.150:1763-1771)は、本明細書に例示されるように使用される。
【0249】
他の実施形態において、本明細書に記載される方法のいずれかは、in vitroで誘発されるCTLを誘発するために使用される。他の実施形態において、CTLは、ex vivoで誘発される。他の実施形態において、CTLは、in vitroで誘発される。得られたCTLは、他の実施形態において、対象に投与され、それによって、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に投与される、ペプチド、ペプチドを含む発現産物、又はその相同体に関連する症状を処置する。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0250】
他の実施形態において、本発明の方法は、本発明の少なくとも7つのWT1ペプチドの組み合わせをコードする遺伝子配列の導入を伴う。核酸は、1つ以上のベクター内に含まれるため、他の実施形態において、本方法は、本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクターを対象に投与することを含む(Tindle、RW.ら、Virology(1994)200:54)。他の実施形態において、本方法は、ペプチドをコードするネイキッド核酸(DNA又はRNA)、又は他の実施形態において、本発明の2つ以上のペプチドを対象に投与することを含む(Nabelら、PNAS-USA(1990)90: 11307)。他の実施形態において、マルチエピトープ、類似体ベースの癌ワクチンが利用される(Fikesら、Expert Opin Biol Ther.,2003,Sep;3(6):985-993)。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。前述の実施形態のそれぞれにおいて、核酸は、各WT1ペプチドを個別に、又は7つまで、もしくはそれ以上のWT1ペプチドの組み合わせをコードすることができる。WT1ペプチドをコードする核酸は、WT1送達剤の1つの形態を表す。少なくとも7つのWT1ペプチドの組み合わせは、1つの形態のWT1送達剤、例えば、ペプチド、もしくは核酸、又は免疫細胞、又は上記の2つもしくは3つの任意の組み合わせによって送達される。
【0251】
核酸は、7つのWT1ペプチドのうちの単一のWT1ペプチドをコードしてもよく、又は、核酸は7つのWT1ペプチドのうちの複数(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つ全てのWT1ペプチド)をコードしてもよい。同様に、核酸は、利用される場合、1つ以上のさらなるWT1ペプチドをコードしてもよい。従って、本発明の組成物及び方法は、単一の核酸又は複数の核酸を使用して、WT1送達剤として働く。本発明の組成物及び方法は、単一のベクターを使用して、少なくとも7つのWT1ペプチド又は複数のベクターを送達する。
【0252】
核酸(DNA又はRNA)は、非経口的又は静脈内投与を含む、当該分野で公知の任意の手段を介して、又は他の実施形態において、遺伝子銃の手段によって、対象に投与される。他の実施形態において、核酸は、他の実施形態において本明細書に列挙される任意の実施形態に対応する組成物で投与される。DNA又はRNAは、ネイキッド核酸として対象に投与されるか、又はベクターによって保持される。
【0253】
本発明の方法に従った使用のためのベクターは、他の実施形態において、in vitro又はin vivoで細胞における本発明のペプチド(例えば、少なくとも7つのWT1ペプチドのうちの1つ以上)の発現を促進する、又は可能にする任意のベクターを含むことができる。「ベクター」という用語は、コード配列情報(例えば、WT1ペプチドをコードする核酸配列)を細胞又は対象に移すのに使用可能な任意の分子(例えば、核酸、プラスミド、粒子)を指すのに用いられる。いくつかの癌のための核酸ワクチンは、臨床試験に入っている(Wahren Bら、「DNA Vaccines:Recent Developments and Future」、Vaccines、2014、2:785-796;Fioretti D.ら、「DNA Vaccines:Developing New Strategies Against Cancer、Journal of Biomedicine and Biotechnology,2010(938):174378)。DNAワクチンを用いた増殖機能性WT1特異的T細胞についての戦略は知られている。(Chaise Cら[DNA vaccination induces WT1-specific T-cell responses with potential clinical relevance」、Blood,2008,112(7):2956-2964)。他の実施形態において、ベクターは非ウイルスベクターである。一実施形態において、非ウイルスベクターは、プラスミドDNA又はmRNAベクターのような核酸ベクターである(例えば、Weide B.ら、「Plasmid DNA- and messenger RNA-based Anti-Cancer Vaccination」、Immunol Lett、2008、115(1):33-42)、Kim H.ら、「Self-Assembled Messenger RNA Nanoparticles(mRNA-NP)for Efficient Gene Expression」、Sci Rep、2015、5:12737)、Ulmer J.B.ら、「RNA-based Vaccines」、Vaccine、2012、30:4414-4418を参照のこと)。他の実施形態において、「ベクター」は、本明細書に援用される、第4,722,848号に記載されているようなワクシニアや鶏痘のような弱毒化ウイルスを含む。他の実施形態において、ベクターは、Stoverら(Nature 351:456-460(1991))に記載されるようなBCG(Bacille Calmette Guerin)である。本発明のペプチドの治療的投与又は免疫化に有用な他のベクター(例えば、チフス菌ベクター等)は、本明細書の記載から当業者に明らかである。核酸分子を対象にin vivo及びin vitroで投与するために使用されるベクターの例としては、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、ウイルス様粒子(VLP)、プラスミド、カチオン性脂質、リポソーム、及びナノ粒子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0254】
「コード配列」は、mRNAに転写され、及び/又はポリペプチドに翻訳される核酸配列である。コード配列の境界は、5'末端にある翻訳開始コドンと3'末端にある翻訳終結コドンとによって決定される。コード配列としては、これらに限定されるものではないが、mRNA、cDNA、及び組換えポリヌクレオチド配列が挙げられる。変形又は類似体は、コード配列の一部の欠失によって、配列の挿入によって、及び/又は配列内の1つ以上のヌクレオチドの置換によって作製される。核酸配列を修飾するための技術、例えば、部位特異的突然変異誘発、は当業者に周知である(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Second Edition,1989;DNA Cloning、Vols.I及びII,D.NGlover編、1985を参照のこと)。任意で、本発明の核酸配列、及びそのようなポリヌクレオチドを利用する本発明の組成物及び方法は、非コード配列を含むことができる。
【0255】
「作動可能に連結された」という用語は、本明細書中では、そのように記載されたフランキング配列がそれらの通常の機能を実行するように構成又は組み立てられる、フランキング制御配列の配置を指すために使用される。従って、コード配列に作動可能に連結されたフランキング制御配列は、制御配列と適合性の条件下で、コード配列の複製、転写及び/又は翻訳に影響を及ぼす。例えば、プロモーターがそのコード配列の転写を指示することができる場合、コード配列はプロモーターに作動可能に連結される。フランキング配列は、それが正しく機能する限り、コード配列と連続している必要はない。従って、例えば、介在する非翻訳ではあるが転写されている配列がプロモーター配列とコード配列との間に存在することができ、プロモーター配列はなおコード配列と「操作可能に連結されている」と考えられる。ポリペプチド(例えば、WT1ペプチド)をコードする各核酸配列は、典型的には、それ自体の作動可能に連結されたプロモーター配列を有する。
【0256】
他の実施形態において、ベクターは、本明細書に記載されるように、免疫調節化合物をさらにコードする。他の実施形態において、本発明のペプチドをコードするベクターを対象に投与する前又は後に、連続的に、対象をコードする追加のベクターを対象に投与する。
【0257】
他の実施形態において、本発明のWT1送達剤、CTL、組成物、及びワクチンは、対象に投与されるか、又は本発明の方法において、他の抗癌化合物及び化学療法剤(代替の癌抗原に対するモノクローナル抗体、又は、他の実施形態において、本発明のペプチドが由来するものに対応するか、又は部分的にそれに対応するAA配列からなるエピトープを含む)と組み合わせて利用される。これは、本発明の様々な実施形態における少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の使用に追加されるものである。
【0258】
他の実施形態において、本発明は、対象におけるWT1特異的CD4T細胞応答を検出する方法を提供し、この方法は、対象に本発明のWT1送達剤、ワクチン、又は組成物を投与することを含む。他の実施形態において、遅延型過敏症試験を用いて、WT1特異的CD4T細胞応答を検出する。他の実施形態において、本発明のペプチドは、対象において、CD4T細胞応答を誘導する点で、その非突然変異対応物よりも優れている。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0259】
本明細書で使用される「患者」、「対象」及び「個体」という用語は、区別なく使用され、ヒト及び非ヒト動物種を含むことが意図される。例えば、対象は、ヒト又は非ヒト哺乳動物である。いくつかの実施形態において、対象は、非ヒト動物モデル又は患畜である。対象は、任意の年齢又は性別である。
【0260】
本発明の方法及び組成物の免疫原性組成物は、他の実施形態において、本発明の1つ以上のWT1送達剤及び/又はCTLに関連するAPCを含む。他の実施形態において、免疫原性組成物は、本発明の1つ以上のWT1送達剤及び/又はCTLに関連するAPCからなる。他の実施形態において、免疫原性組成物は、少なくとも7つのWT1ペプチドの組み合わせと関連するAPCを含む、又はそれからなる。
【0261】
本発明の方法及び組成物の組成物は、他の実施形態において、免疫原性組成物である。他の実施形態において、組成物は、医薬組成物である。他の実施形態において、組成物は、当該分野で公知の任意の他のタイプの組成物である。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。各組成物は、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤をさらに含む。
【0262】
用量範囲の様々な実施形態が、本発明によって意図される。他の実施形態において、用量は1日あたり20μg/ペプチドである。他の実施形態において、用量は10μg/ペプチド/日である。他の実施形態において、用量は30μg/ペプチド/日である。他の実施形態において、用量は40μg/ペプチド/日である。他の実施形態において、用量は60μg/ペプチド/日である。他の実施形態において、用量は80μg/ペプチド/日である。他の実施形態において、用量は100μg/ペプチド/日である。他の実施形態において、用量は150μg/ペプチド/日である。他の実施形態において、用量は200μg/ペプチド/日である。他の実施形態において、用量は300μg/ペプチド/日である。他の実施形態において、用量は400μg/ペプチド/日である。他の実施形態において、用量は600μg/ペプチド/日である。他の実施形態において、用量は800μg/ペプチド/日である。他の実施形態において、用量は1000μg/ペプチド/日である。
【0263】
他の実施形態において、用量は10μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は30μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は40μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は60μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は80μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は100μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は150μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は200μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は300μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は400μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は600μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は800μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は1000μg/ペプチド/ドーズ量である。
【0264】
他の実施形態において、用量は10~20μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は20~30μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は20~40μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は30~60μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は40~80μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は50~100μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は50~150μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は100~200μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は200~300μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は300~400μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は400~600μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は500~800μg/ペプチド/ドーズ量である。他の実施形態において、用量は800~1000μg/ペプチド/ドーズ量である。
【0265】
他の実施形態において、ドーズ量当たり又は1日当たりのペプチドの総量は上記の量のうちの1つである。他の実施形態において、ドーズ量当たりの総ペプチドドーズ量は上記の量のうちの1つである。
【0266】
上記ドーズ量の各々は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0267】
他の実施形態において、本発明は、本発明のペプチド、組成物又はワクチンを、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤と共に含むキットを提供する。他の実施形態において、キットは、ラベル又はパッケージングインサートをさらに含む。他の実施形態において、キットは、遅延型過敏症試験の使用を介してWT1特異的CD4応答を検出するために使用される。他の実施形態において、キットは、本明細書中に列挙される任意の他の方法のために使用される。他の実施形態において、キットは、当該分野で公知の任意の他の方法のために使用される。各可能性は、本発明の別個の実施形態に相当する。
【0268】
実施例
卵巣癌患者におけるニボルマブと共に投与される7価WT1免疫療法組成物の有効性の評価
卵巣癌と診断された適格患者は、化学療法終了後4カ月以内にワクチン接種スケジュールを開始する。患者は、最初に12週間にわたり6回のWT1ペプチドのワクチン接種を受け、14週間にわたり7回の免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブの注入を受ける。毒性評価は、ワクチンの各ドーズ量、15週目の治療終了から3週間後に実施する。患者は、治療後30分間、試験スタッフが観察する。ドーズ量増加は計画されていない。ルーチンの毒性評価は治験期間を通じて継続される。
【0269】
15週目の評価時に病勢進行が認められなかった患者には、約8週間毎に4回の追加のワクチンを接種することが許容される。この維持ワクチンコースは、19週目に開始される。
【0270】
ヘパリン添加血液サンプル40mlにより、基線(同意取得時及び初回投与前、基線の変動を確認するため)、最後のニボルマブ注入の5週後、6週後、3週後の6時点で免疫応答を評価する。可能であれば、3ヵ月の追跡調査時に追加の採血を行う。
【0271】
ELISAを用いて、ワクチン中の4つのWT1ペプチドに対して生成された抗体レベルを測定する。抗体は、一般に、4回目のワクチン接種の完了まで存在する。T細胞増殖応答アッセイは、以下を含む末梢血リンパ球について実施する。すなわち、白血球サブセット分析を含むFACSによる表現型分析のためのフローサイトメトリー、T調節細胞アッセイ(CD3、CD4、CD8、FOXP3、ICOS及びPD1を含む)、及び末梢血中及び腫瘍中(任意の生検が得られた場合)における骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC、CD14+HLA-DRlow細胞)。WT1 T細胞固有CD4及びCD8増殖応答は、多機能性細胞内サイトカイン染色(ICS)及びIFN-ガンマ生成により測定された機能性を有するMeso Scale Discovery Systemを用いたフローサイトメトリーに基づく細胞傷害性アッセイを用いて測定される。血液サンプル処理、T細胞モニタリング、抗体ELISA及び多機能T細胞アッセイのための詳細な手順は、[29]に記載されている。
【0272】
基線値及びT細胞応答の結果は、臨床的寛解の期間と相関する。
【0273】
15週以前に患者を試験から除外した場合は、試験後の免疫学的試験用の血液を採取する。基線時及び15週目(医学的に必要と判断された場合はこれより早く)にCTスキャンを実施し、その後は病勢進行まで最長1年間、3ヵ月毎にCTスキャンを実施する。腹部及び骨盤部CTの代わりに、腹部及び骨盤のMRIを用いてもよい。参照放射線科医は、疾患進行の判定に免疫関連反応基準を用いる[57]。CA125は、基線時、6週目及び15週目、その後は3ヵ月毎に、病勢進行まで最長1年間にわたって測定する。CA125は、ワクチン接種患者における炎症の可能性が交絡しているため、疾患進行の判定には使用しない。患者は、進行、許容できない毒性の発現、ワクチン接種シーケンスの完了又は患者の離脱が認められるまで治験を継続する。
【0274】
WT1ワクチン:本試験で使用するワクチンには、7種類の別のWT1ペプチドが含まれている:
・YMFPNAPYL(配列番号124、WT1-A1):CD8+応答を刺激するための突然変異アミノ酸R126Yを有するHLAクラスIペプチド。
・SGQAYMFPNAPYLPSCLES(配列番号125、WT1-122A1ロング):前臨床試験及びフェーズ1試験からのデータに従って、CD4+応答及びCD8+応答の両方を刺激するために、より長いペプチド内に埋込WT1-A1ヘテロクリティック配列を含むHLAクラスIIペプチド。
・RSDELVRHHNMHQRNMTKL(配列番号1、WT1-427ロング)及びPGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTG(配列番号2、WT1-331ロング):CD8+T細胞応答の長期持続を助けるCD4+応答を誘導するHLAクラスIIペプチド。
・NLMNLGATL(配列番号21、NLMショート)
・WNLMNLGATLKGVAA(配列番号26、NLMロング)
・WNYMNLGATLKGVAA(配列番号205、NLMロング)。
【0275】
薬剤製品:7つのペプチドを、ワクチン製品(「WT1Vax」)を製造するために、リン酸緩衝生理食塩水を含む滅菌溶液中に提供する。各バイアルは、0.7ml(0.4mg/mlの各ペプチド、40%の過剰充填)の総容量で280mcgの各ペプチドを含有する。GMP条件下でのバイアル及び無菌試験を実施した。ワクチンエマルジョンは、使用前に個別に調製される。これは、ペプチド溶液と免疫学的アジュバントモンタニドISA51VGとの混合物を必要とする。
【0276】
意図されるドーズ量:各ペプチドについて200mcgのドーズ量が選択されるが、それは他に使用される安全及び活性ドーズ量の範囲内にあるからである。ペプチドワクチンは、ドーズ量-応答関係の明確な証拠なしに、広範囲のドーズ量(100~2000mcg注入)内で免疫及び臨床応答を生じている。より高ドーズ量では、T細胞上の低親和性TCRを刺激し、応答を低下させるという理論上の可能性がある[30、33、34]。バイアルサイズ:各単回投与バイアルは0.7ml、投与経路:皮下。ニボルマブ:予定ドーズ量: 3mg/kg、バイアルサイズ:10mL、投与経路:静脈内。ニボルマブは3mg/kgで投与され、2週間に1回60分間静脈内注入により静脈投与される。注入の終わりに、十分な量の生理食塩水でラインをフラッシュする。対象の体重が、必要なドーズ量を計算するために使用された以前の体重と>10%異なる場合、必要な用量、補正されたドーズ量を計算すべきである。ニボルマブの増量や減量は認められない。初回のニボルマブ処置に推奨される前投薬はない。
【0277】
対象者は、ニボルマブ投与間に12日以上、予定されている投与日の後に3日以下で投与される。3日間の時間枠の後の投与は、投与延期とみなされる。前回の投与から最長6週間、処置を延期することがある。
【0278】
CT又はMRIによる腫瘍評価は、投与が遅れてもプロトコルに従って継続すべきである。
【0279】
処置/介入計画
・患者は外来患者として処置される。
・WT1ワクチンは0、2、4、6、8及び10週目に投与する。
・注入は全て、四肢間を回転させた部位に皮下投与する。
・全患者にサルグラモスチム(GM-CSF)70mcgを0日目と-2日目に皮下注入する。患者がSQ注入投与について適切に指導されていれば、GM-CSFを自己投与してもよい。患者には、注入部位での刺激といった予想される反応について知らせておく。患者は、注入の時間と場所に記録した記録簿を保管する。
・患者はまた、1.0mlのWT1ペプチドとモンタニドとのエマルジョンも受ける。GM-CSFと同じ解剖学的部位の皮下に、看護師が投与する(自己管理しない場合もある)。
・ワクチン接種後約30分間、患者を観察する。
・0、2、4、6、8、10及び12週目に、60分間の注入としてニボルマブを投与する。対象者には、ニボルマブ投与間に12日以上、予定されている投与日の後に3日以下で投与される。3日間の時間枠の後の投与は、投与延期とみなされる。前回の投与から最長6週間、処置を延期することがある。
【0280】
WT1ワクチンとニボルマブの併用処置は、WT1ワクチン単独又はニボルマブ単独治療と比較して、患者におけるWT1特異的CTL集団を増加させ、WT1発現腫瘍に対する活性を増加させることが期待される。
【配列表】
2022526011000001.app
【国際調査報告】