(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(54)【発明の名称】化合物、組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C07D 403/12 20060101AFI20220513BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220513BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220513BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20220513BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20220513BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20220513BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20220513BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220513BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20220513BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20220513BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
C07D403/12 CSP
A61P35/00
A61P29/00
A61P1/04
A61P21/00
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P19/00
A61P25/28
A61P25/16
A61K31/506
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559818
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(85)【翻訳文提出日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 US2020027742
(87)【国際公開番号】W WO2020210684
(87)【国際公開日】2020-10-15
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518086619
【氏名又は名称】デナリ セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Denali Therapeutics Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】デ ビセンテ フィダルゴ, ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】エストラーダ, アンソニー エー.
(72)【発明者】
【氏名】フェン, ジアンウェン エー.
(72)【発明者】
【氏名】スウィーニー, ザッカリー ケー.
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB09
4C063CC29
4C063DD22
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC42
4C086GA07
4C086GA13
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA68
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC41
(57)【要約】
本開示は、一般に、LRRK2阻害剤、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、それらの立体異性体の混合物、プロドラッグ、もしくは薬学的組成物、ならびにそれらの作製および使用の方法に関する。本開示はさらに、少なくとも部分的にLRRK2によって媒介される、疾患、障害、または状態を処置する方法における使用のための化合物またはその組成物を提供する。さらに、本開示は、少なくとも部分的にLRRK2によって媒介される、疾患、障害、または状態の処置のための医薬の製造における化合物またはその組成物の使用を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化8】
または、その薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ
(式中、
nは0、1、2、または3であり;
R
1は、ハロ、シアノ、C
1-6アルキル、C
1-6アルケニル、C
1-6アルキニル、シクロアルキル、C
1-6アルコキシ、シクロアルコキシ、C
1-6アルキルチオ、C
1-6アルキルスルホニル、-C(O)R
10、または-C(O)N(R
11)(R
12)であり、ここで、各C
1-6アルキル、C
1-6アルケニル、C
1-6アルキニル、シクロアルキル、C
1-6アルコキシ、シクロアルコキシ、C
1-6アルキルチオ、およびC
1-6アルキルスルホニルは、独立して必要に応じて置換されており;
R
2は、C
1-6アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、C
1-6アルキルチオ、C
1-6アルキルスルホニル、または-N(R
13)(R
14)であり、ここで各C
1-6アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、C
1-6アルキルチオ、およびC
1-6アルキルスルホニルは、独立して必要に応じて置換されており;
R
3は水素またはハロであり;
R
4は、水素、ハロ、シアノ、C
1-6アルキル、C
1-6アルケニル、C
1-6アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C
1-6アルキルチオ、C
1-6アルキルスルホニル、-C(O)R
10、または-C(O)N(R
11)(R
12)であり、ここで、各C
1-6アルキル、C
1-6アルケニル、C
1-6アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C
1-6アルキルチオ、およびC
1-6アルキルスルホニルは、独立して必要に応じて置換されており;
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素、C
1-6アルキルもしくはシクロアルキルであるか、またはR
5およびR
6は一緒になってヘテロシクリルを形成し、ここで、各C
1-6アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルは、独立して必要に応じて置換されており;
R
7はハロまたはC
1-6アルキルであり、各C
1-6アルキルは独立して必要に応じて置換されており;
各R
10は独立してC
1-6アルキルまたはC
1-6アルコキシであり、各C
1-6アルキルおよびC
1-6アルコキシは独立して必要に応じて置換されており;
各R
11およびR
12は独立して、水素、C
1-6アルキル、シクロアルキルであるか、またはR
11およびR
12は一緒になってヘテロシクリル基を形成し、ここで、各C
1-6アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルは独立して必要に応じて置換されており;そして
R
13およびR
14は、それぞれ独立して、水素、C
1-6アルキル、シクロアルキルであるか、またはR
13およびR
14は一緒になってヘテロシクリルを形成し、ここで、各C
1-6アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルは、独立して必要に応じて置換されている)。
【請求項2】
式IAの化合物:
【化9】
または、その薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ
(式中、
nは0、1、2、または3であり;
R
1は、ハロまたは必要に応じて置換されたC
1-6アルキルであり;
R
4は、水素、ハロ、シアノ、C
1-6アルキル、C
1-6アルケニル、C
1-6アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C
1-6アルキルチオ、C
1-6アルキルスルホニル、-C(O)R
10、または-C(O)N(R
11)(R
12)であり、ここで、各C
1-6アルキル、C
1-6アルケニル、C
1-6アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C
1-6アルキルチオ、およびC
1-6アルキルスルホニルは、独立して必要に応じて置換されており;
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素、C
1-6アルキルもしくはシクロアルキルであるか、またはR
5およびR
6は一緒になってヘテロシクリルを形成し、ここで、各C
1-6アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルは独立して必要に応じて置換されており;
R
7はハロまたはC
1-6アルキルであり、各C
1-6アルキルは独立して必要に応じて置換されており;
各R
10は独立してC
1-6アルキルまたはC
1-6アルコキシであり、各C
1-6アルキルおよびC
1-6アルコキシは独立して必要に応じて置換されており;
各R
11およびR
12は独立して、水素、C
1-6アルキル、シクロアルキルであるか、またはR
11およびR
12は一緒になってヘテロシクリル基を形成し、ここで、各C
1-6アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルは独立して必要に応じて置換されており;そして
R
14はC
1-6アルキルまたはシクロアルキルであり、ここで各C
1-6アルキルおよびシクロアルキルは独立して必要に応じて置換されている)。
【請求項3】
R
4が必要に応じて置換されたシクロアルキル以外である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R
4がメチルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
nが1である、先行する請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
R
7が必要に応じて置換されたC
1‐6アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
R
7がハロである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
nが0である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R
2が、必要に応じて置換されたC
1-6アルコキシ、必要に応じて置換されたシクロアルキル、または-N(R
13)(R
14)である、先行する請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
R
2が-N(R
13)(R
14)である、先行する請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
式IBの化合物:
【化10】
または、その薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ
(式中、
R
1は、ハロまたは必要に応じて置換されたC
1-6アルキルであり;
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素、C
1-6アルキルもしくはシクロアルキルであるか、またはR
5およびR
6は一緒になってヘテロシクリルを形成し、ここで、各C
1-6アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルは、独立して必要に応じて置換されており;
R
14は、C
1-6アルキルまたはシクロアルキルであり、ここで、各C
1-6アルキルおよびシクロアルキルは、独立して必要に応じて置換されており;そして
R
17は、水素、ハロまたは必要に応じて置換されたC
1-6アルキルである)。
【請求項12】
式ICの化合物:
【化11】
または、薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ
(式中、
R
1は、ハロまたは必要に応じて置換されたC
1-6アルキルであり;
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素、C
1-6アルキルもしくはシクロアルキルであるか、またはR
5およびR
6は一緒になってヘテロシクリルを形成し、ここで、各C
1-6アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルは、独立して必要に応じて置換されており;
R
14は、C
1-6アルキルまたはシクロアルキルであり、ここで、各C
1-6アルキルおよびシクロアルキルは、独立して必要に応じて置換されており;そして
R
17は、水素、ハロまたは必要に応じて置換されたC
1-6アルキルである)。
【請求項13】
R
1が、ハロ、シアノ、またはハロで必要に応じて置換されたC
1-6アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
R
1がハロである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
R
1がブロモである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
R
1が、1つまたは1つより多くのハロで必要に応じて置換されたC
1-6アルキルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項17】
R
1がC
1-6ハロアルキルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
R
1が-CF
3である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
R
14が必要に応じて置換されたC
1-6アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項20】
R
14がメチルまたはエチルである、先行する請求項に記載の化合物。
【請求項21】
R
14が必要に応じて置換されたシクロアルキルである、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
R
14がシクロプロピルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
R
14がメチルシクロプロピルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項24】
nが0である;R
1は、ハロ、シアノ、または1つまたは1つより多くのハロで必要に応じて置換されたC
1-6アルキルである;R
2は-N(R
13)(R
14)であり、ここでR
13は水素であり、そしてR
14は水素、C
1-6アルキル、またはシクロアルキルであり;そしてR
3は水素またはハロであり;R
4はメチルまたはシクロアルキルであり;そしてR
5およびR
6は、それぞれ独立して、水素、C
1-6アルキルまたはシクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
表1もしくは表2の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ。
【請求項26】
先行する請求項のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む薬学的組成物。
【請求項27】
LRRK2によって少なくとも部分的に媒介される疾患または状態を処置するための方法であって、該方法は、それを必要とする被験体に、有効量の請求項1~25のいずれかの化合物または請求項26に記載の薬学的組成物を投与することを含む方法。
【請求項28】
前記疾患または状態が、がんである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記がんが、腎臓がん、乳がん、前立腺がん、血液がん、乳頭がん、肺がん、急性骨髄性白血病、または多発性骨髄腫である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記疾患または状態が炎症性疾患である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記炎症性疾患が、ハンセン病、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ、または強直性脊椎炎である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記炎症性疾患がクローン病である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記疾患が神経変性疾患である、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記疾患がパーキンソン病である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
治療における使用のための請求項1に記載の化合物。
【請求項36】
がんまたは炎症性疾患の処置における使用のための請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
神経変性疾患の処置に使用するための請求項1に記載の化合物。
【請求項38】
神経変性疾患、がん、または炎症性疾患を処置するための医薬の製造のための請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項39】
前記がんが、腎臓がん、乳がん、前立腺がん、血液がん、乳頭がん、肺がん、急性骨髄性白血病、または多発性骨髄腫である、請求項38に記載の化合物の使用。
【請求項40】
前記炎症性疾患が、ハンセン病、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ、または強直性脊椎炎である、請求項38に記載の化合物の使用。
【請求項41】
前記炎症性疾患がクローン病である、請求項38に記載の化合物の使用。
【請求項42】
前記神経変性疾患がパーキンソン病である、請求項38に記載の化合物の使用。
【請求項43】
式Iの化合物、またはその塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグを調製する方法であって:
【化12】
式I-1の化合物を式I-2の化合物:
【化13】
と式Iの化合物を提供するのに適した条件下で、Xが脱離基であり、式Iの化合物、またはその塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグを提供するのに適した条件下で、カップリングすることを含む、方法
(式中、
nは0、1、2、または3であり;
R
1は、ハロ、シアノ、C
1-6アルキル、C
1-6アルケニル、C
1-6アルキニル、シクロアルキル、C
1-6アルコキシ、シクロアルコキシ、C
1-6アルキルチオ、C
1-6アルキルスルホニル、-C(O)R
10、または-C(O)N(R
11)(R
12)であり、ここで、各C
1-6アルキル、C
1-6アルケニル、C
1-6アルキニル、シクロアルキル、C
1-6アルコキシ、シクロアルコキシ、C
1-6アルキルチオ、およびC
1-6アルキルスルホニルは、独立して必要に応じて置換されており;
R
2は、C
1-6アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、C
1-6アルキルチオ、C
1-6アルキルスルホニル、または-N(R
13)(R
14)であり、ここで各C
1-6アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、C
1-6アルキルチオ、およびC
1-6アルキルスルホニルは独立して必要に応じて置換されており;
R
3は水素またはハロであり;
R
4は、水素、ハロ、シアノ、C
1-6アルキル、C
1-6アルケニル、C
1-6アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C
1-6アルキルチオ、C
1-6アルキルスルホニル、-C(O)R
10、または-C(O)N(R
11)(R
12)であり、ここで、各C
1-6アルキル、C
1-6アルケニル、C
1-6アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C
1-6アルキルチオ、およびC
1-6アルキルスルホニルは、独立して必要に応じて置換されており;
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素、C
1-6アルキルもしくはシクロアルキルであるか、またはR
5およびR
6は一緒になってヘテロシクリルを形成し、ここで、各C
1-6アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルは、独立して必要に応じて置換されており;
R
7はハロまたはC
1-6アルキルであり、ここで各C
1-6アルキルは独立して必要に応じて置換されており;
各R
10は独立してC
1-6アルキルまたはC
1-6アルコキシであり、各C
1-6アルキルおよびC
1-6アルコキシは独立して必要に応じて置換されており;
各R
11およびR
12は独立して水素、C
1-6アルキル、シクロアルキルであるか、またはR
11およびR
12は一緒になってヘテロシクリル基を形成し、ここで、各C
1-6アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルは独立して必要に応じて置換されており;そして
R
13およびR
14は、それぞれ独立して、水素、C
1-6アルキル、シクロアルキルであるか、またはR
13およびR
14は一緒になってヘテロシクリルを形成し、ここで、各C
1-6アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルは、独立して必要に応じて置換されている)。
【請求項44】
Xがハロである、請求項43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月11日に出願された米国仮出願番号62/832,775に対する米国特許法第119条(e)の下で利益を主張し、この仮出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、一般に、新規のヘテロアリール置換ピリミジン、および治療剤として、例えば、LRRK2の阻害剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
説明
ロイシンリッチリピートキナーゼ2(LRRK2)は、小胞輸送および免疫機能において重要な役割を果たし、いくつかのヒトの疾患と遺伝的に関連してきている。LRRK2はROCOタンパク質ファミリーのメンバーであり、他のすべてのファミリーメンバーと5つの保存されたドメインを共有している。LRRK2遺伝子に対する多くのミスセンス変異は、ファミリー研究において常染色体優性パーキンソン病(Trinh and Farrar, Nature Reviews in Neurology, Vol. 9, 2013, 445-454; Paisan-Ruiz et al., J. Parkinson’s Disease, Vol. 3, 2013, 85-103)ならびにクローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)などの炎症性腸疾患(IBD)(Hui et al., Sci. Transl. Med., 2018, 10, 7795)に関連している。
【0004】
最も一般的な病原性変異、G2019Sは、LRRK2の高度に保存されたキナーゼドメインで発生する(Gilks et al., Lancet, Vol 365, 2005, 415-416を参照)。インビトロ研究は、パーキンソン病に関連する変異が、LRRK2活性の増加およびGTP加水分解の速度の低下をもたらすことを示す(Guo et al.,Experimental Cell Research、Vol.313(16),2007,3658-3670)。本証拠は、LRRK2のキナーゼおよびGTPアーゼ活性が病因に重要であり、LRRK2キナーゼドメインが全体的なLRRK2機能を調節する可能性があることを示唆している(Cookson, Nat. Rev. Neurosci., Vol. 11, 2010, 791-797を参照)。
【0005】
LRRK2 N2081D変異は、クローン病リスク対立遺伝子として同定されている。この変異はG2019Sと同じキナーゼドメインに位置し、G2019S変異体のようにキナーゼ活性の増加に関する。LRRK2 N2081D変異は、一部のパーキンソン病患者にも見られる(Hui et al., Sci. Transl. Med., 2018, 10, 7795)。他の研究は、胃腸の炎症が脳の炎症およびパーキンソン病の前兆として関連付けられている(Kishimoto, Y. et. al., Neuromolecular Med. 2019, 21(3): 239-249); Grathwohl, S. et. al., bioRxiv, Dec. 22, 2018 - 11:51)。
本分野で進歩がなされてきたが、パーキンソン病、アルツハイマー病、および筋萎縮性側索硬化症などの様々な神経変性疾患の処置、ならびにクローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)を含む炎症性腸疾患(IBD)などの末梢障害の処置に有用である、LRRK2の改善された阻害剤の必要性が残っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Trinh and Farrar, Nature Reviews in Neurology, Vol. 9, 2013, 445-454
【非特許文献2】Paisan-Ruiz et al., J. Parkinson’s Disease, Vol. 3, 2013, 85-103
【非特許文献3】Hui et al., Sci. Transl. Med., 2018, 10, 7795
【非特許文献4】Gilks et al., Lancet, Vol 365, 2005, 415-416
【非特許文献5】Guo et al.,Experimental Cell Research、Vol.313(16),2007,3658-3670
【非特許文献6】Cookson, Nat. Rev. Neurosci., Vol. 11, 2010, 791-797
【非特許文献7】Kishimoto, Y. et. al., Neuromolecular Med. 2019, 21(3): 239-249)
【非特許文献8】Grathwohl, S. et. al., bioRxiv, Dec. 22, 2018 - 11:51
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で提供されるのは、LRRK2の阻害剤として有用である、化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである。本開示はまた、薬学的組成物を含む組成物、化合物を含むキット、ならびに化合物を使用(または投与)および作製する方法、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグを提供する。本開示はさらに、少なくとも部分的にLRRK2によって媒介される、疾患、障害、または状態を処置する方法における使用のための化合物またはその組成物を提供する。さらに、本開示は、少なくとも部分的にLRRK2によって媒介される、疾患、障害、または状態の処置のための医薬の製造における化合物またはその組成物の使用を提供する。
【0008】
特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである。
【0009】
別の実施形態において、提供されるのは、本明細書に記載の任意の式に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグを含む薬学的組成物である。
【0010】
別の実施形態において、提供されるのは、少なくとも部分的にLRRK2によって媒介される、疾患または状態を処置するための方法であって、方法が、それを必要とする被験体に、本明細書に記載の任意の式に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む有効量の薬学的組成物を投与することを含む方法である。
【0011】
特定の実施形態において、化合物は、表1もしくは表2中のもの、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである。
【0012】
別の実施形態において、提供されるのは、表1もしくは表2に示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される薬学的組成物、担体、希釈剤、または賦形剤を含む薬学的組成物である。
【0013】
別の実施形態において、提供されるのは、少なくとも部分的にLRRK2によって媒介される、疾患または状態を処置するための方法であって、表1もしくは表2に示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ、および薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む有効量の薬学的組成物を必要とする被験体に投与することを含む方法である。
【0014】
本明細書の記載は、本技術の例示的な実施形態を記載している。しかしながら、そのような記載は、本開示の範囲を制限することを意図するものではなく、代わりに、例示的な実施形態の記載として提供されることを認識されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.定義
本明細書で使用される場合、以下の単語、句、および記号は、それらが使用される文脈が別の方法で示す場合を除いて、一般に、以下に記載される意味を有することが意図される。
【0016】
2つの文字または記号の間にないダッシュ(「-」)は、置換基の結合点を示すために使用される。例えば、-C(O)NH2は炭素原子を介して結合する。化学基の前または端のダッシュは便宜上の問題である。化学基は、それらの通常の意味を失うことなく、1つまたは1つより多くのダッシュの有無にかかわらず表わされ得る。構造内の線を通る波線または破線は、基の指定された結合点を示す。化学的または構造的に必要な場合を除き、化学基の記述または命名の順序によって、方向性も立体化学も示されたり暗示されたりすることはない。化合物構造の場合、実線/破線のバーは、環上の2つの置換基の相対的なシスまたはトランス配向などの相対的な立体化学を表し、実線/破線のくさびは、2つの実線で定義される平面に対する絶対配置を表す。
【0017】
接頭辞「Cu-v」は、次の基がuからvまでの炭素原子を有することを示す。例えば、「C1-6アルキル」は、アルキル基が1から6個の炭素原子を有することを示す。
【0018】
本明細書における「約」の値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体に向けられた実施形態を含む(および記載する)。特定の実施形態において、用語「約」は、示された量±10%を含む。特定の実施形態において、用語「約」は、示された量±5%を含む。特定の実施形態において、用語「約」は、示された量±1%を含む。また、用語「約X」は、「X」の記載を含む。また、単数形の「a」および「the」は、文脈で特に明確に指示されていない限り、複数形の参照を含む。したがって、例えば、「化合物」への言及は、複数のそのような化合物を含み、「アッセイ」への言及は、当業者に公知の1つまたは1つより多くのアッセイおよびその同等物への言及を含む。
【0019】
「アルキル」は、非分枝または分枝の飽和炭化水素鎖を指す。本明細書で使用される場合、アルキルは、1から20個の炭素原子(すなわち、C1―20アルキル)、1から8個の炭素原子(すなわち、C1―8アルキル)、1から6個の炭素原子(すなわち、C1―6アルキル)、または1から4個の炭素原子(すなわち、C1-4アルキル)を有する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、2-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシルおよび3-メチルペンチルを含む。特定の数の炭素を有するアルキル残基が化学名によって命名されるか、または分子式によって識別される場合、その数の炭素を有するすべての位置異性体が包含され得る。したがって、例えば、「ブチル」は、n-ブチル(すなわち、-(CH2)3CH3)、sec-ブチル(すなわち、-CH(CH3)CH2CH3)、イソブチル(すなわち、-CH2CH(CH3)2)およびtert-ブチル(すなわち、-C(CH3)3)を含み;「プロピル」は、n-プロピル(すなわち、-(CH2)2CH3)およびイソプロピル(すなわち、-CH(CH3)2)を含む。
【0020】
特定の一般的に使用される代替化学名を使用することができる。例えば、二価の「アルキル」基、二価の「アリール」基などのような二価の基は、それぞれ「アルキレン」基または「アルキレニル」基、「アリーレン」基または「アリーレニル(arylenyl)」基も指し得る。また、特に明記しない限り、基の組み合わせが本明細書では1つの部分を指す場合、例えば、アリールアルキルまたはアラルキルの場合、最後に述べた基は、その部分が分子の残りの部分に結合する原子を含む。
【0021】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含み、2から20個の炭素原子(すなわち、C2―20アルケニル)、2から8個の炭素原子(すなわち、C2―8アルケニル)、2から6個の炭素原子(すなわち、C2―6アルケニル)または2から4個の炭素原子(すなわち、C2―4アルケニル)を有するアルキル基を指す。アルケニル基の例は、エテニル、プロペニル、ブタジエニル(1,2-ブタジエニルおよび1,3-ブタジエニルを含む)を含む。
【0022】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含み、2から20個の炭素原子(すなわち、C2―20アルキニル)、2から8個の炭素原子(すなわち、C2―8アルキニル)、2から6個の炭素原子(すなわち、C2-6アルキニル)または2から4個の炭素原子(すなわち、C2-4アルキニル)を有するアルキル基を指す。用語「アルキニル」はまた、1つの三重結合および1つの二重結合を有するそれらの基を含む。
【0023】
「アルコキシ」は、基「アルキル-O-」を指す。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシおよび1,2-ジメチルブトキシを含む。
【0024】
「アルコキシアルキル」は、基「アルキル-O-アルキル」を指す。
【0025】
「アルキルチオ」は、基「アルキル-S-」を指す。
【0026】
「アルキルスルフィニル」は、基「アルキル-S(O)-」を指す。
【0027】
「アルキルスルホニル」は、基「アルキル-S(O)2-」を指す。
【0028】
「アルキルスルホニルアルキル」は、-アルキル-S(O)2-アルキルを指す。
【0029】
「アシル」は、基-C(O)Ryを指し、ここで、Ryは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり;本明細書で定義されるように、それらのそれぞれは、必要に応じて置換され得る。アシルの例は、ホルミル、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチル-カルボニルおよびベンゾイルを含む。
【0030】
「アミド」は、基-C(O)NRyRzを指す「C-アミド」基および、基-NRyC(O)Rzを指す「N-アミド」基の両方を指し、ここで、RyおよびRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり、本明細書で定義されるように、それらのそれぞれは、必要に応じて置換され得るか、またはRyおよびRzが一緒になって、シクロアルキルまたはヘテロシクリルを形成し;本明細書で定義されるように、それらのそれぞれは、必要に応じて置換され得る。
【0031】
「アミドアルキル」は、1つまたは1つより多くの水素原子がアミド基によって置き換えられている、上記で定義されるようなアルキル基を指す。
【0032】
「アミノ」は、基-NRyRzを指し、ここでRyおよびRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり;本明細書で定義されるように、それらのそれぞれは、必要に応じて置換され得る。
【0033】
「アミノアルキル」は、基「-アルキル-NRyRz」を指し、ここで、RyおよびRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり;本明細書で定義されるように、それらのそれぞれは、必要に応じて置換され得る。
【0034】
「アミジノ」は、-C(NRy)(NRz
2)を指し、ここで、RyおよびRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり;本明細書で定義されるように、それらのそれぞれは、必要に応じて置換され得る。
【0035】
「アリール」は、縮合系を含む単環(例えば、単環式)または複数の環(例えば、二環式または三環式)を有する芳香族炭素環式基を指す。本明細書で使用される場合、アリールは、6から20個の環炭素原子(すなわち、C6-20アリール)、6から12個の炭素環原子(すなわち、C6-12アリール)、または6から10個の炭素環原子(すなわち、C6-10アリール)を有する。アリール基の例は、フェニル、ナフチル、フルオレニルおよびアントリルを含む。しかしながら、アリールは、いかなる方法においても以下に定義されるヘテロアリールを包含したり、重複したりすることはない。1つまたは1つより多くのアリール基がヘテロアリールと縮合している場合、得られる環系はヘテロアリールである。1つまたは1つより多くのアリール基がヘテロシクリルと縮合している場合、得られる環系はヘテロシクリルである。
【0036】
「アリールアルキル」または「アラルキル」は、基「アリール-アルキル-」を指す。
【0037】
「カルバモイル」は、基-OC(O)NRyRzを指す「O-カルバモイル」基および-NRyC(O)ORzを指す「N-カルバモイル」基の両方を指し、ここで、RyおよびRzは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり;本明細書で定義されるように、それらのそれぞれは、必要に応じて置換され得る。
【0038】
「カルボキシルエステル」または「エステル」は、-OC(O)Rxおよび-C(O)ORxの両方を指し、ここで、Rxは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり;本明細書で定義されるように、それらのそれぞれは、必要に応じて置換され得る。
【0039】
「シアノアルキル」は、1つまたは1つより多く(例えば、1から3)の水素原子がシアノ基で置き換えられている、上記で定義されたアルキル基を指す。
【0040】
「シクロアルキル」は、縮合、架橋およびスピロ環系を含む単環または複数の環を有する飽和または部分的に不飽和の環状アルキル基を指す。用語「シクロアルキル」は、シクロアルケニル基(すなわち、少なくとも1つの二重結合を有する環状基)および少なくとも1つのsp3炭素原子を有する炭素環式縮合環系(すなわち、少なくとも1つの非芳香族環)を含む。本明細書で使用される場合、シクロアルキルは、3から20個の環炭素原子(すなわち、C3-20シクロアルキル)、3から12個の環炭素原子(すなわち、C3-12シクロアルキル)、3から10個の環炭素原子(すなわち、C3-10シクロアルキル)、3から8個の環炭素原子(すなわち、C3-8シクロアルキル)、または3から6個の環炭素原子(すなわち、C3-6シクロアルキル)を有する。単環式基は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを含む。多環式基は、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7-ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどを含む。さらに、用語シクロアルキルは、分子の残りの部分への結合に関係なく、アリール環に縮合され得る、任意の非芳香族環を包含することを意図している。またさらに、シクロアルキルは、同じ炭素原子上に置換のための2つの位置がある場合、「スピロシクロアルキル」、例えば、スピロ[2.5]オクタニル、スピロ[4.5]デカニル、またはスピロ[5.5]ウンデカニル、も含む。
【0041】
「シクロアルコキシ」は「-O-シクロアルキル」を指す。
【0042】
「シクロアルキルアルキル」は、基「シクロアルキル-アルキル-」を指す。
【0043】
「イミノ」は、基-C(NRy)Rzを指し、ここで、RyおよびRzは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり;本明細書で定義されるように、それらのそれぞれは、必要に応じて置換され得る。
【0044】
「イミド」は、基-C(O)NRyC(O)Rzを指し、ここで、RyおよびRzは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり;本明細書で定義されるように、それらのそれぞれは、必要に応じて置換され得る。
【0045】
「ハロゲン」または「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードなど、周期表のVIIA族を占める原子を指す。
【0046】
「ハロアルキル」は、1つまたは1つより多くの水素原子(例えば、1から3)がハロゲンで置き換えられている、上記で定義された非分枝または分枝アルキル基を指す。例えば、残基が1個より多いハロゲンで置換されている場合、それは、結合しているハロゲン部分の数に対応する接頭辞を使用することによって指され得る。ジハロアルキルおよびトリハロアルキルは、2つ(「ジ」)または3つ(「トリ」)のハロ基で置換されたアルキルを指し、これらは、同じハロゲンである可能性があるが、必ずしもそうではない。ハロアルキルの例は、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、3-ブロモ-2-フルオロプロピル、1,2-ジブロモエチルなどを含む。
【0047】
「ハロアルコキシ」は、1つまたは1つより多くの水素原子(例えば、1から3)がハロゲンで置き換えられている、上記で定義されたアルコキシ基を指す。
【0048】
「ヒドロキシアルキル」は、1つまたは1つより多くの水素原子(例えば、1から3)がヒドロキシ基で置き換えられている、上記で定義されたアルキル基を指す。
【0049】
「ヘテロアルキル」は、炭素原子(および任意の関連する水素原子)の1つまたは1つより多く(例えば、1から3)がそれぞれ独立して、同じまたは異なるヘテロ原子基で置き換えられているアルキル基を指し、ただし分子の残りの部分への結合点は、炭素原子を介して行われる。用語「ヘテロアルキル」は、炭素およびヘテロ原子を有する非分枝または分枝飽和鎖を含む。例として、1、2、または3個の炭素原子は、同じまたは異なるヘテロ原子基で独立して置き換えられ得る。ヘテロ原子基は、-NRy-、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-などを含むが、これらに限定されず、ここで、Ryは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり;本明細書で定義されるように、それらのそれぞれは、必要に応じて置換され得る。ヘテロアルキル基の例は、エーテル(例えば、-CH2OCH3、-CH(CH3)OCH3、-CH2CH2OCH3、-CH2CH2OCH2CH2OCH3など)、チオエーテル(例えば、-CH2SCH3、-CH(CH3)SCH3、-CH2CH2SCH3、-CH2CH2SCH2CH2SCH3など)、スルホン(例えば、-CH2S(O)2CH3、-CH(CH3)S(O)2CH3、-CH2CH2S(O)2CH3、-CH2CH2S(O)2CH2CH2OCH3など)、およびアミン(例えば、-CH2NRyCH3、-CH(CH3)NRyCH3、-CH2CH2NRyCH3、-CH2CH2NRyCH2CH2NRyCH3など、ここで、Ryは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり;本明細書で定義されるように、それらのそれぞれは、必要に応じて置換され得る)を含む。本明細書で使用される場合、ヘテロアルキルは、1から10個の炭素原子、1から8個の炭素原子、または1から4個の炭素原子;および1から3個のヘテロ原子、1から2個のヘテロ原子、または1個のヘテロ原子を含む。
【0050】
「ヘテロアリール」は、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1つまたは1つより多くの環ヘテロ原子を有する、単環、複数の環、または複数の縮合環を有する芳香族基を指す。本明細書で使用される場合、ヘテロアリールは、1から20個の環炭素原子(すなわち、C1-20ヘテロアリール)、3から12個の環炭素原子(すなわち、C3-12ヘテロアリール)、または3から8個の炭素環原子(すなわち、C3-8ヘテロアリール);ならびに窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1から5個の環ヘテロ原子、1から4個の環ヘテロ原子、1から3個の環ヘテロ原子、1から2個の環ヘテロ原子、または1個の環ヘテロ原子を含む。特定の例において、ヘテロアリールは、5から10員環系、5から7員環系、または5から6員環系を含み、それぞれが独立して、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される、1から4個の環ヘテロ原子、1から3個の環ヘテロ原子、1から2個の環ヘテロ原子、または1個の環ヘテロ原子を有する。ヘテロアリール基の例は、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、イソキノリル、イソキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、1-オキシドピリジニル、1-オキシドピリミジニル、1-オキシドピラジニル、1-オキシドピリダジニル、フェナジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、およびトリアジニルを含む。縮合ヘテロアリール環の例は、ベンゾ[d]チアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンゾ[d]イミダゾリル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニルおよびイミダゾ[1,5-a]ピリジニルを含むが、これらに限定されず、ここでヘテロアリールは、縮合系のいずれかの環を介して結合され得る。少なくとも1つのヘテロ原子を含む、単数または複数の縮合環を有する任意の芳香環は、分子の残りの部分への結合(すなわち、縮合環のいずれか1つを介して)に関係なくヘテロアリールと見なされる。ヘテロアリールは、上記で定義されたアリールを包含も重複もしない。
【0051】
「ヘテロアリールアルキル」は、基「ヘテロアリール-アルキル-」を指す。
【0052】
「ヘテロシクリル」は、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される、1つまたは1つより多く(例えば、1から3)の環ヘテロ原子を有する飽和または部分的に不飽和の環状アルキル基を指す。用語「ヘテロシクリル」は、ヘテロシクロアルケニル基(すなわち、少なくとも1つの二重結合を有するヘテロシクリル基)、架橋ヘテロシクリル基、縮合ヘテロシクリル基、およびスピロヘテロシクリル基を含む。ヘテロシクリルは、単環または複数の環であり得、ここで複数の環は、縮合、架橋、またはスピロであり得、ならびに1つまたは1つより多くのオキソ(=O)またはN-オキシド(-O-)部分を含み得る。少なくとも1つのヘテロ原子を含む非芳香族環は、結合(つまり、炭素原子またはヘテロ原子を介して結合され得る)に関係なく、ヘテロシクリルと見なされる。さらに、用語ヘテロシクリルは、分子の残りの部分への結合に関係なく、少なくとも1つのヘテロ原子を含む任意の非芳香族環を包含することを意図し、その環は、アリールまたはヘテロアリール環に縮合され得る。本明細書で使用される場合、ヘテロシクリルは、2から20個の環炭素原子(すなわち、C2-20ヘテロシクリル)、2から12個の環炭素原子(すなわち、C2-12ヘテロシクリル)、2から10個の環炭素原子(すなわち、C2-10ヘテロシクリル)、2から8個の環炭素原子(すなわち、C2-8ヘテロシクリル)、3から12個の環炭素原子(すなわち、C3-12ヘテロシクリル)、3から8個の環炭素原子(すなわち、C3-8ヘテロシクリル)、または3から6個の環炭素原子(すなわち、C3-6ヘテロシクリル)を有し;窒素、硫黄または酸素から独立して選択される1から5個の環ヘテロ原子、1から4個の環ヘテロ原子、1から3個の環ヘテロ原子、1から2個の環ヘテロ原子、または1個の環ヘテロ原子を有する。ヘテロシクリル基の例は、アゼチジニル、アゼピニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾピラニル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラノニル、ジオキソラニル、ジヒドロピラニル、ヒドロピラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、フラノニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、インドリニル、インドリジニル、イソインドリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、オキシラニル、オキセタニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、トリチアニル、テトラヒドロキノリニル、チオフェニル(すなわちチエニル)、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニルおよび1,1-ジオキソ-チオモルホリニルを含む。用語「ヘテロシクリル」は、同じ炭素原子上に置換のための2つの位置がある場合、「スピロヘテロシクリル」も含む。スピロ-ヘテロシクリル環の例は、2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナニル、2-オキサ-6-アザスピロ[3.4]オクタニルおよび6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタニルなどの二環式および三環式環系を含む。縮合ヘテロシクリル環の例は、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル、4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジニル、インドリニルおよびイソインドリニルを含むが、これらに限定されず、ヘテロシクリルは縮合系のいずれかの環を介して結合され得る。
【0053】
「ヘテロシクリルアルキル」は、基「ヘテロシクリル-アルキル-」を指す。
【0054】
用語「脱離基」は、化学反応において、結合電子を伴う安定な種として、置き換えられた原子または原子の群を指す。脱離基の非限定的な例は、ハロ、メタンスルホニルオキシ、p-トルエンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、ノナフルオロブタンスルホニルオキシ、(4-ブロモ-ベンゼン)スルホニルオキシ、(4-ニトロ-ベンゼン)スルホニルオキシ、(2-ニトロ-ベンゼン)-スルホニルオキシ、(4-イソプロピル-ベンゼン)スルホニルオキシ、(2,4,6-トリ-イソプロピル-ベンゼン)-スルホニルオキシ、(2,4,6-トリメチル-ベンゼン)スルホニルオキシ、(4-tert-ブチル-ベンゼン)スルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ、(4-メトキシ-ベンゼン)スルホニルオキシなどを含む。
【0055】
「オキシム」は、基-CRy(=NOH)を指し、ここでRyが水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり;本明細書で定義されるように、それらのそれぞれは、必要に応じて置換され得る。
【0056】
「スルホニル」は、基-S(O)2Ryを指し、ここで、Ryは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり;本明細書で定義されるように、それらのそれぞれは、必要に応じて置換され得る。スルホニルの例は、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニルおよびトルエンスルホニルである。
【0057】
「スルフィニル」は、基-S(O)Ryを指し、ここで、Ryは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり;本明細書で定義されるように、それらのそれぞれは、必要に応じて置換され得る。スルフィニルの例は、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニルおよびトルエンスルフィニルである。
【0058】
「スルホンアミド」は、基-SO2NRyRzおよび-NRySO2Rzを指し、ここで、RyおよびRzは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールであり;本明細書で定義されるように、それらのそれぞれは、必要に応じて置換され得る。
【0059】
用語「必要に応じた」または「必要に応じて」は、その後に記載される事象または状況が発生する場合も発生しない場合もあり、記載は、前記事象または状況が発生する場合と発生しない場合とを含むことを意味する。また、用語「必要に応じて置換された」は、指定された原子または基上の任意の1つまたは1つより多く(例えば、1から5または1から3)の水素原子が、水素以外の部分で置き換えられても置き換えられていなくてもよいことを指す。
【0060】
本明細書で使用される用語「置換された」は、上記の基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、および/またはヘテロアルキル)のいずれかを意味し、ここで少なくとも1つの水素原子は、これらに限定されないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アミド、アミノ、アミジノ、アリール、アラルキル、アジド、カルバモイル、カルボキシル、カルボキシルエステル、シアノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、グアナジノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヒドラジン、ヒドラゾン、イミノ、イミド、ヒドロキシ、オキソ、オキシム、ニトロ、スルホニル、スルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、チオシアネート、スルフィン酸、スルホン酸、スルホンアミド、チオール、チオキソ、N-オキシド、または-Si(Ry)3、(ここで、各Ryは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルである)などの非水素原子への結合によって置き換えられる。
【0061】
特定の実施形態において、「置換された」は、1つまたは1つより多く(例えば、1から5または1から3)の水素原子は、-NRgRh、-NRgC(=O)Rh、-NRgC(=O)NRgRh、-NRgC(=O)ORh、-NRgSO2Rh、-OC(=O)NRgRh、-ORg、-SRg、-SORg、-SO2Rg、-OSO2Rg、-SO2ORg、=NSO2Rg、および-SO2NRgRhで置き換えられる、上記の基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、および/またはヘテロアルキル)のいずれかを含む。「置換された」はまた、1つまたは1つより多く(例えば、1から5または1から3)の水素原子が、-C(=O)Rg、-C(=O)ORg、-C(=O)NRgRh、-CH2SO2Rg、-CH2SO2NRgRhで置き換えられている上記基のいずれかを意味する。前述において、RgおよびRhは、同じまたは異なり、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、および/またはヘテロアリールアルキルである。「置換された」はさらに、1つまたは1つより多く(例えば、1から5または1から3)の水素原子が、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、および/またはヘテロアリールアルキル基への結合によって置き換えられている上記の基のいずれかを意味する。さらに、前述の置換基のそれぞれはまた、必要に応じて、上記の置換基の1つまたは1つより多く(例えば、1から5または1から3)で置換され得る。特定の実施形態において、用語「置換された」は、指定された原子または基上の任意の1つまたは1つより多くの水素原子が、基上の指定された原子の通常の原子価を超えないという条件で、水素以外の1つまたは1つより多くの置換基で置き換えられることを意味する。
【0062】
さらに置換基が無限に付加された置換基を定義することによって到達するポリマーまたは類似の不定構造(例えば、それ自体が置換アリール基で置換され、さらに置換ヘテロアルキル基で置換された置換アルキルを有する置換アリールなど)は、本明細書に含めることを意図していない。特に断りのない限り、本明細書に記載の化合物における連続置換の最大数は3個である。例えば、置換アリール基と他の2個の置換アリール基との連続置換は、((置換アリール)置換アリール)置換アリールに限定される。同様に、上記の定義は、許容されない置換パターン(例えば、5個のフッ素で置換されたメチルまたは2個の隣接する酸素環原子を有するヘテロアリール基)を含むことを意図していない。そのような許容されない置換パターンは、当業者に周知である。化学基を修飾するために使用される場合、用語「置換された」は、本明細書で定義される他の化学基を記載し得る。特に明記しない限り、基が必要に応じて置換されていると記載されている場合、その基の任意の置換基はそれ自体が非置換である。例えば、特定の実施形態において、用語「置換アルキル」は、ヒドロキシ、ハロ、アルコキシ、アシル、オキソ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールを含む1つまたは1つより多く(例えば、1から5または1から3)の置換基を有するアルキル基を指す。特定の実施形態において、1つまたは1つより多く(例えば、1から5または1から3)の置換基は、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールでさらに置換され得、これらのそれぞれが置換されている。特定の実施形態において、置換基は、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールでさらに置換され得、これらのそれぞれが非置換である。
【0063】
特定の実施形態において、本明細書で使用される場合、句「1つまたは1つより多く」は、1から5を指す。特定の実施形態において、本明細書で使用される場合、句「1つまたは1つより多く」は、1から3を指す。
【0064】
本明細書で与えられる任意の化合物または構造はまた、化合物の非標識形態ならびに同位体標識形態を表すことを意図している。化合物のこれらの形態は、「同位体濃縮類似体」と呼ばれ得る。同位体標識された化合物は、1つまたは1つより多くの原子が選択された原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられることを除いて、本明細書に示される構造を有する。開示された化合物に組み込むことができる同位体の例は、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、および125Iなどの、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素、およびヨウ素の同位体を含む。本開示の様々な同位体標識化合物、例えば、3Hおよび14Cなどの放射性同位体である化合物が組み込まれる。このような同位体標識化合物は、代謝研究、反応速度論研究、薬物もしくは基質組織分布アッセイを含む、陽電子放射断層撮影(PET)もしくは単一光子放射型コンピューター断層撮影(SPECT)などの検出またはイメージング技術、あるいは患者の放射線治療に有用であり得る。
【0065】
用語「同位体濃縮類似体」は、炭素原子上の水素などの、1つまたは1つより多くの水素が重水素で置き換えられている、本明細書に記載の化合物の「重水素化類似体」を含む。そのような化合物は、代謝に対する耐性の増加を示し、したがって、哺乳動物、特にヒトに投与された場合、任意の化合物の半減期を増加させるのに有用である。例えば、Foster、「Deuterium Isotope Effects in Studies of Drug Metabolism」、Trends Pharmacol. Sci. 5(12):524-527 (1984)を参照。そのような化合物は、当技術分野で周知の手段によって、例えば、1つまたは1つより多くの水素が重水素で置き換えられた出発物質を使用することによって合成される。
【0066】
本開示の重水素標識または置換された治療化合物は、分布、代謝、および排泄(ADME)に関連して、改善されたDMPK(薬物代謝および薬物動態)特性を有し得る。重水素などのより重い同位体での置換は、より大きな代謝安定性、例えば、インビボ半減期の増加、必要な用量の減少、および/または治療指数の改善から生じる特定の治療上の利点をもたらす可能性がある。18F、3H、11Cで標識された化合物は、PETまたはSPECT、またはその他の画像研究に役立つ可能性がある。本開示の同位体標識化合物およびそのプロドラッグは、一般に、スキームまたは実施例に開示される手順、および容易に入手可能な同位体標識試薬を非同位体標識試薬に置換することによって以下に記載の調製を実行することにより調製され得る。本文脈における重水素は、本明細書に記載の化合物の置換基と見なされることが理解される。
【0067】
そのようなより重い同位体、特に重水素の濃度は、同位体濃縮係数によって定義され得る。本開示の化合物において、特定の同位体として特に指定されていない任意の原子は、その原子の任意の安定同位体を表すことを意味する。特に明記しない限り、位置が特に「H」または「水素」として指定される場合、その位置は、その天然存在比の同位体組成で水素を有すると理解される。したがって、本開示の化合物において、重水素(D)として具体的に指定された任意の原子は、重水素を表すことを意味する。
【0068】
多くの場合において、本開示の化合物は、アミノ、および/またはカルボキシル基、またはそれに類似する基の存在により、酸および/または塩基塩を形成することができる。
【0069】
提供されるのはまた、本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、重水素化類似体、立体異性体、立体異性体の混合物、およびプロドラッグである。「薬学的に許容される」または「生理学的に許容される」は、獣医学的またはヒトの薬学的使用に適した薬学的組成物を調製するのに有用である、化合物、塩、組成物、剤形、および他の材料を指す。多くの場合、本開示の化合物は、アミノおよび/もしくはカルボキシル基またはそれに類似する基の存在により、酸および/または塩基塩を形成することができる。
【0070】
提供されるのはまた、本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、立体異性体およびプロドラッグである。「薬学的に許容される」または「生理学的に許容される」は、獣医学的またはヒトの薬学的使用に適した薬学的組成物を調製するのに有用な化合物、塩、組成物、剤形および他の材料を指す。
【0071】
所与の化合物の用語「薬学的に許容される塩」は、所与の化合物の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的にまたはその他においても望ましい塩を指す。「薬学的に許容される塩」または「生理学的に許容される塩」は、例えば、無機酸との塩および有機酸との塩を含む。さらに、本明細書に記載の化合物が酸付加塩として得られる場合、酸性塩の溶液を塩基性化することにより遊離塩基を得ることができる。逆に、生成物が遊離塩基である場合、塩基化合物から酸付加塩を調製するための従来の手順に従って、遊離塩基を適切な有機溶媒に溶解し、溶液を酸で処理することによって、付加塩、特に薬学的に許容される付加塩を生成することができる。当業者は、毒性のない薬学的に許容される付加塩を調製するために使用され得る様々な合成方法論を認識する。薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸から調製することができる。無機酸に由来する塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを含む。有機酸に由来する塩は、酢酸、プロピオン酸、グルコン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエン-スルホン酸、サリチル酸などを含む。同様に、薬学的に許容される塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基から調製することができる。無機塩基に由来する塩は、ほんの一例として、ナトリウム、カリウム、リチウム、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、およびマグネシウムの塩を含む。有機塩基に由来する塩は、アルキルアミン(すなわち、NH2(アルキル))、ジアルキルアミン(すなわち、HN(アルキル)2)、トリアルキルアミン(すなわち、N(アルキル)3)、置換アルキルアミン(すなわち、NH2(置換アルキル))、ジ(置換アルキル)アミン(すなわち、HN(置換アルキル)2)、トリ(置換アルキル)アミン(すなわち、N(置換アルキル)3)、アルケニルアミン(すなわち、NH2(アルケニル))、ジアルケニルアミン(すなわち、HN(アルケニル)2)、トリアルケニルアミン(すなわち、N(アルケニル)3)、置換アルケニルアミン(すなわち、NH2(置換アルケニル))、ジ(置換アルケニル)アミン(すなわち、HN(置換アルケニル)2)、トリ(置換アルケニル)アミン(すなわち、N(置換アルケニル)3、モノ-、ジ-またはトリ-シクロアルキルアミン(すなわち、NH2(シクロアルキル)、HN(シクロアルキル)2、N(シクロアルキル)3)、モノ-、ジ-またはトリアリールアミン(すなわち、NH2(アリール)、HN(アリール)2、N(アリール)3)または混合アミンなどの第一級、第二級および第三級アミンの塩を含むが、これらに限定されない。適切なアミンの特定の例には、ほんの一例として、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(イソプロピル)アミン、トリ(n-プロピル)アミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N-エチルピペリジンなどを含むが、これらに限定されない。
【0072】
いくつかの化合物は互変異性体として存在する。互変異性体は互いに平衡状態にある。例えば、アミド含有化合物は、イミド酸互変異性体と平衡状態で存在し得る。どの互変異性体が示されるかに関係なく、および互変異性体間の平衡状態の性質に関係なく、化合物は、当業者によって、アミドおよびイミド酸互変異性体の両方を含むと理解される。したがって、アミド含有化合物は、それらのイミド酸互変異性体を含むと理解される。同様に、イミド酸含有化合物は、それらのアミド互変異性体を含むと理解される。
【0073】
本発明の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩は、非対称中心を含み、したがって、絶対立体化学に関して、(R)-もしくは(S)-として、またはアミノ酸の場合(D)-もしくは(L)-として定義され得るエナンチオマー、ジアステレオマー、および他の立体異性体を生じさせ得る。本発明は、そのようなすべての可能な異性体、ならびにそれらのラセミおよび光学的に純粋な形態を含むことを意図している。光学活性(+)および(-)、(R)-および(S)-、または(D)-および(L)-の異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して調製され得るか、例えばクロマトグラフィーおよび分別結晶化の従来の手法を使用して分割され得る。個々のエナンチオマーを調製/単離するための従来の技術は、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または例えばキラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分離を含む。本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合または他の幾何学的非対称中心を含む場合、特に明記しない限り、化合物はEおよびZの両方の幾何異性体を含むことが意図される。
【0074】
「立体異性体」は、同じ結合によって結合されているが、互換性がない異なる三次元構造を有する同じ原子からなる化合物を指す。本発明は、様々な立体異性体およびそれらの混合物を企図し、分子が互いに重ね合わせることができない鏡像である2つの立体異性体を指す「エナンチオマー」を含む。
【0075】
「ジアステレオマー」は、少なくとも2つの不斉原子を有するが、互いの鏡像ではない立体異性体である。
【0076】
「プロドラッグ」は、そのようなプロドラッグが哺乳動物の被験体に投与されたときに、インビボで本明細書に記載の構造に従って活性な親薬物を放出する任意の化合物を意味する。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、修飾がインビボで切断されて親化合物を放出し得るような方法で、本明細書に記載の化合物に存在する官能基を修飾することによって調製される。プロドラッグは、修飾が日常的な操作またはインビボのいずれかで親化合物に切断されるような方法で、化合物に存在する官能基を修飾することによって調製することができる。プロドラッグは、本明細書に記載の化合物のヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、またはスルフヒドリル基が、インビボで切断されて遊離のヒドロキシ、アミノ、またはスルフヒドリル基をそれぞれ再生し得る任意の基に結合している、本明細書に記載の化合物を含む。プロドラッグの例は、本明細書などに記載の化合物中のエステル(例えば、アセテート、ホルメートおよびベンゾエート誘導体)、アミド、グアニジン、ヒドロキシ官能基のカルバメート(例えば、N,N-ジメチルアミノカルボニル)などを含むが、これらに限定されない。プロドラッグの調製、選択、および使用については、T. Higuchi and V. Stella, “Pro-drugs as Novel Delivery Systems,” Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series; “Design of Prodrugs,” ed. H. Bundgaard, Elsevier, 1985;およびBioreversible Carriers in Drug Design, ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987に記載され、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0077】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」または「賦形剤」は、ありとあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野で周知である。従来の媒体または薬剤が有効成分と適合しない場合を除いて、治療用組成物におけるその使用が企図されている。補助有効成分も組成物に組み込むことができる。
2.化合物
【0078】
本明細書で提供されるのは、LRRK2の阻害剤として有用である、化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである。
【0079】
一実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物:
【化1】
または、その薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである
(式中、
nは0、1、2、または3であり;
R
1は、ハロ、シアノ、C
1-6アルキル、C
1-6アルケニル、C
1-6アルキニル、シクロアルキル、C
1-6アルコキシ、シクロアルコキシ、C
1-6アルキルチオ、C
1-6アルキルスルホニル、-C(O)R
10、または-C(O)N(R
11)(R
12)であり、ここで、各C
1-6アルキル、C
1-6アルケニル、C
1-6アルキニル、シクロアルキル、C
1-6アルコキシ、シクロアルコキシ、C
1-6アルキルチオ、およびC
1-6アルキルスルホニルは、独立して必要に応じて置換されており;
R
2は、C
1-6アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、C
1-6アルキルチオ、C
1-6アルキルスルホニル、または-N(R
13)(R
14)であり、ここで各C
1-6アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、C
1-6アルキルチオ、およびC
1-6アルキルスルホニルは独立して必要に応じて置換されており;
R
3は水素またはハロであり;
R
4は、水素、ハロ、シアノ、C
1-6アルキル、C
1-6アルケニル、C
1-6アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C
1-6アルキルチオ、C
1-6アルキルスルホニル、-C(O)R
10、または-C(O)N(R
11)(R
12)であり、ここで、各C
1-6アルキル、C
1-6アルケニル、C
1-6アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C
1-6アルキルチオ、およびC
1-6アルキルスルホニルは、独立して必要に応じて置換されており;
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素、C
1-6アルキルもしくはシクロアルキルであるか、またはR
5およびR
6は一緒になってヘテロシクリルを形成し、ここで、各C
1-6アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルは、独立して必要に応じて置換されており;
R
7はハロまたはC
1-6アルキルであり、各C
1-6アルキルは独立して必要に応じて置換されており;
各R
10は独立して、C
1-6アルキルまたはC
1-6アルコキシであり、各C
1-6アルキルおよびC
1-6アルコキシは独立して必要に応じて置換されており;
各R
11およびR
12は独立して、水素、C
1-6アルキル、シクロアルキルであるか、またはR
11およびR
12は一緒になってヘテロシクリル基を形成し、ここで、各C
1-6アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルは独立して必要に応じて置換されており;そして
R
13およびR
14は、それぞれ独立して、水素、C
1-6アルキル、シクロアルキルであるか、またはR
13およびR
14は一緒になってヘテロシクリルを形成し、ここで、各C
1-6アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルは、独立して必要に応じて置換されている)。
【0080】
特定の実施形態において、R2は、必要に応じて置換されたC1-6アルコキシ、必要に応じて置換されたシクロアルキル、または-N(R13)(R14)である。
【0081】
特定の実施形態において、R2は、-N(R13)(R14)である。
【0082】
特定の実施形態において、R2は、-N(R13)(R14)であり、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、必要に応じて置換されたC1-6アルキル、または必要に応じて置換されたシクロアルキルである。
【0083】
特定の実施形態において、R2は、-N(R13)(R14)であり、R13は水素であり、R14は、水素、必要に応じて置換されたC1-6アルキル、または必要に応じて置換されたシクロアルキルである。
【0084】
特定の実施形態において、R2は、シクロプロピルアミノ、(1-メチルシクロプロピル)アミノ、-NH(CH3)、または-NH(CH2CH3)である。
【0085】
特定の実施形態において、R2は、-NH(CH3)または-NH(CH2CH3)である。
【0086】
特定の実施形態において、R2は、シクロプロピルアミノまたは(1-メチルシクロプロピル)アミノである。
【0087】
特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物:
【化2】
または、その薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである
(式中、
nは0、1、2、または3であり;
R
1は、ハロ、シアノ、または1つもしくは1つより多くのハロで必要に応じて置換されたC
1-6アルキルであり;
R
2は、-N(R
13)(R
14)であり、ここで、R
13は水素であり、そしてR
14は水素、C
1-6アルキル、またはシクロアルキルであり;
R
3は水素またはハロであり;
R
4は、メチルまたはシクロアルキルであり;
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素、C
1-6アルキルまたはシクロアルキルであり;そして
R
7はハロまたはC
1-6アルキルである)。
【0088】
特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物、または薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグであり、ここで
nは0であり;
R1は、ハロ、シアノ、または1つもしくは1つより多くのハロで必要に応じて置換されたC1-6アルキルであり;
R2は-N(R13)(R14)であり、R13は水素であり、そしてR14は水素、C1-6アルキル、またはシクロアルキルであり;
R3は水素またはハロであり;
R4はメチルまたはシクロアルキルであり;そして
R5およびR6はそれぞれ独立して、水素、C1-6アルキルまたはシクロアルキルである。
【0089】
特定の実施形態において、提供されるのは、式IAの化合物:
【化3】
または、その薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである
(式中、
nは0、1、2、または3であり;
R
1は、ハロまたは必要に応じて置換されたC
1-6アルキルであり;
R
4は、水素、ハロ、シアノ、C
1-6アルキル、C
1-6アルケニル、C
1-6アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C
1-6アルキルチオ、C
1-6アルキルスルホニル、-C(O)R
10、または-C(O)N(R
11)(R
12)であり、ここで、各C
1-6アルキル、C
1-6アルケニル、C
1-6アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C
1-6アルキルチオ、およびC
1-6アルキルスルホニルは、独立して必要に応じて置換されており;
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素、C
1-6アルキルもしくはシクロアルキルであるか、またはR
5およびR
6は一緒になってヘテロシクリルを形成し、ここで、各C
1-6アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルは独立して必要に応じて置換されており;
R
7はハロまたはC
1-6アルキルであり、各C
1-6アルキルは独立して必要に応じて置換されており;
各R
10は独立してC
1-6アルキルまたはC
1-6アルコキシであり、各C
1-6アルキルおよびC
1-6アルコキシは独立して必要に応じて置換されており;
各R
11およびR
12は独立して水素、C
1-6アルキル、シクロアルキルであるか、またはR
11およびR
12は一緒になってヘテロシクリル基を形成し、ここで、各C
1-6アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルは独立して必要に応じて置換されており;そして
R
14はC
1-6アルキルまたはシクロアルキルであり、ここで、各C
1-6アルキルおよびシクロアルキルは独立して必要に応じて置換されている)。
【0090】
特定の実施形態において、R4は、必要に応じて置換されたシクロアルキル以外のものである。
【0091】
特定の実施形態において、R4はメチルである。
【0092】
特定の実施形態において、nは0である。
【0093】
特定の実施形態において、nは1である。
【0094】
特定の実施形態において、nは1または2である。
【0095】
特定の実施形態において、nは0または1である。
【0096】
特定の実施形態において、R7は、必要に応じて置換されたC1-6アルキルである。
【0097】
特定の実施形態において、R7はハロである。
【0098】
一実施形態において、提供されるのは、式IBの化合物:
【化4】
または、その薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである
(式中、
R
1は、ハロまたは必要に応じて置換されたC
1-6アルキルであり;
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素、C
1-6アルキルもしくはシクロアルキルであるか、またはR
5およびR
6は一緒になってヘテロシクリルを形成し、ここで、各C
1-6アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルは、独立して必要に応じて置換されており;
R
14は、C
1-6アルキルまたはシクロアルキルであり、ここで、各C
1-6アルキルおよびシクロアルキルは、独立して必要に応じて置換されており;そして
R
17は、水素、ハロまたは必要に応じて置換されたC
1-6アルキルである)。
【0099】
一実施形態において、提供されるのは、式ICの化合物:
【化5】
または、その薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである
(式中、
R
1は、ハロまたは必要に応じて置換されたC
1-6アルキルであり;
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素、C
1-6アルキルもしくはシクロアルキルであるか、またはR
5およびR
6は一緒になってヘテロシクリルを形成し、ここで、各C
1-6アルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルは、独立して必要に応じて置換されており;
R
14は、C
1-6アルキルまたはシクロアルキルであり、ここで、各C
1-6アルキルおよびシクロアルキルは、独立して必要に応じて置換されており;そして
R
17は、水素、ハロまたは必要に応じて置換されたC
1-6アルキルである)。
【0100】
特定の実施形態において、R1は、ハロ、シアノ、または必要に応じて置換されたC1-6アルキルである。
【0101】
特定の実施形態において、R1は、ハロ、シアノ、または1つもしくは1つより多くのハロで必要に応じて置換されたC1-6アルキルである。
【0102】
特定の実施形態において、R1は、ハロ、シアノ、または1から5個のハロで必要に応じて置換されたC1-6アルキルである。
【0103】
特定の実施形態において、R1は、ハロ、シアノ、または1から3個のハロで必要に応じて置換されたC1-6アルキルである。
【0104】
特定の実施形態において、R1はハロである。
【0105】
特定の実施形態において、R1は、ブロモである。
【0106】
特定の実施形態において、R1は、必要に応じて置換されたC1-6アルキルである。
【0107】
特定の実施形態において、R1は、1つまたは1つより多くのハロで必要に応じて置換されたC1-6アルキルである。
【0108】
特定の実施形態において、R1は、1から5個のハロで必要に応じて置換されたC1-6アルキルである。
【0109】
特定の実施形態において、R1は、1から3個のハロで必要に応じて置換されたC1-6アルキルである。
【0110】
特定の実施形態において、R1は、C1-6ハロアルキルである。
【0111】
特定の実施形態において、R1は、-CF3である。
【0112】
特定の実施形態において、R14は、必要に応じて置換されたC1-6アルキルである。
【0113】
特定の実施形態において、R14は、C1-6アルキルである。
【0114】
特定の実施形態において、R14は、メチルまたはエチルである。
【0115】
特定の実施形態において、R14は、必要に応じて置換されたシクロアルキルである。
【0116】
特定の実施形態において、R14はシクロアルキルである。
【0117】
特定の実施形態において、R14はシクロプロピルである。
【0118】
特定の実施形態では、R14はメチルシクロプロピルである。
【0119】
特定の実施形態において、R17は水素である。
【0120】
特定の実施形態では、R17はハロである。
【0121】
特定の実施形態において、R17は、必要に応じて置換されたC1-6アルキルである。
【0122】
特定の実施形態において、R17は、C1-6アルキルである。
【0123】
特定の実施形態において、R17はメチルである。
【0124】
特定の実施形態において、提供されるのは、表1に示される化合物またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである。
【表1】
【0125】
特定の実施形態において、化合物は、表1のそれらの化合物から選択され得る。また、本開示に含まれるのは、本開示の化合物の薬学的に許容される塩、重水素化類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、またはプロドラッグである。特定の実施形態において、提供されるのは、本明細書に記載の方法における使用のための表1の化合物である。
【0126】
企図される特定の立体異性体は、表2中の以下を含む。
【表2】
【0127】
特定の実施形態において、化合物は、表2のそれらの化合物から選択され得る。また、本開示に含まれるのは、その薬学的に許容される塩、重水素化類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、またはプロドラッグである。特定の実施形態において、提供されるのは、本明細書に記載の方法における使用のための表2の化合物である。
3.処置方法および使用
【0128】
「処置」または「処置すること」は、臨床結果を含む有益なまたは望ましい結果を得るためのアプローチである。有益なまたは望ましい臨床結果は、以下の1つまたは1つより多くを含み得る:a)疾患または状態を阻害すること(例えば、疾患もしくは状態に起因する1つもしくは1つより多くの症状を減少させる、および/または疾患もしくは状態の程度を減少させる);b)疾患または状態に関連する1つまたは1つより多くの臨床症状の発症を遅延させるまたは阻止すること(例えば、疾患もしくは状態を安定化する、疾患もしくは状態の悪化もしくは進行を予防もしくは遅延させる、および/または疾患もしくは状態の拡大(例えば、転移)を予防もしくは遅延させること);および/またはc)疾患を軽減する、すなわち、臨床症状の退行を引き起こすこと(例えば、病状の改善、疾患または状態の部分的または完全な寛解の提供、別の薬物療法の効果の増強、疾患の進行の遅延、生活の質の向上および/または生存期間の延長。)
【0129】
「予防」または「予防すること」は、疾患または状態の臨床症状を発症させない疾患または状態の任意の処置を意味する。化合物は、特定の実施形態において、リスクがあるか、または疾患もしくは状態の家族歴を有する被験体(ヒトを含む)に投与され得る。
【0130】
「被験体」は、処置、観察または実験の被験体である、または被験体となるであろう哺乳動物(ヒトを含む)などの動物を指す。本明細書に記載の方法は、ヒトの治療および/または獣医学的用途において有用であり得る。特定の実施形態において、被験体は哺乳動物である。特定の実施形態において、被験体はヒトである。
【0131】
本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの用語「治療有効量」または「有効量」は、症状の改善または疾患の進行の遅延などの治療上の利益を提供するために、被験体に投与された場合に処置をもたらすのに十分な量を意味する。例えば、治療有効量は、本明細書に記載されるような疾患または状態の症状を減少させるのに十分な量であり得る。治療有効量は、被験体、ならびに処置される疾患または状態、被験体の体重および年齢、疾患または状態の重症度、および投与様式によって異なり得るが、これらは当業者によって容易に決定され得る。
【0132】
本明細書に記載の方法は、インビボまたはエクスビボでの細胞集団に適用され得る。「インビボ」は、動物またはヒト内のように、生きている個体内を意味する。これに関連して、本明細書に記載の方法は、個体において治療的に使用することができる。「エクスビボ」は、生きている個体の外を意味する。エクスビボ細胞集団の例は、インビトロ細胞培養物、および個体から得られた流体または組織サンプルを含む生物学的サンプルを含む。そのようなサンプルは、当技術分野で周知の方法によって得ることができる。例示的な生物学的流体サンプルは、血液、脳脊髄液、尿、および唾液を含む。これに関連して、本明細書に記載の化合物および組成物は、治療および実験目的を含む様々な目的に使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物および組成物をエクスビボで使用して、所与の適応症、細胞型、個体、および他のパラメータに対する本開示の化合物の投与の最適なスケジュールおよび/または投与量を決定することができる。そのような使用から収集された情報は、実験目的のために、または臨床でインビボ処置のためのプロトコルを設定するために使用され得る。本明細書に記載の化合物および組成物が適している可能性がある他のエクスビボ使用を以下に記載するか、または当業者に明らかになる。選択された化合物は、ヒトまたは非ヒトの被験体における安全性または耐性用量を調べるためにさらに特徴付けられ得る。そのような特性は、当業者に一般的に公知である方法を使用して調べられ得る。
【0133】
LRRK2は、軽度認知障害から、アルツハイマー病;L-ドーパ誘発性ジスキネジア(Hurley et al., Eur. J, Neurosci., Vol. 26, 2007, 171-177);神経前駆細胞の増殖および移動、ならびにLRRK2の調節に関連するCNS障害は、虚血性損傷後の神経学的転帰の改善、および虚血性脳卒中、外傷性脳損傷、脊髄損傷などの神経損傷後のCNS機能の回復の刺激に有用であり得る(Milosevic et al., Neurodegen., Vol. 4, 2009, 25; See Zhang et al., J. Neurosci. Res. Vol. 88, 2010, 3275-3281を参照);パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、およびHIV誘発性認知症(Milosevic et al., Mol. Neurodegen., Vol. 4, 2009, 25を参照);腎臓、乳房、前立腺(例えば、固形腫瘍)、血液がん、肺がん、および急性骨髄性白血病(AML);リンパ腫および白血病(Ray et al., J. Immunolo., Vol. 230, 2011, 109を参照);多発性骨髄腫(Chapman et al., Nature, Vol. 471, 2011, 467-472);乳頭状腎癌種および甲状腺癌種;多発性骨髄腫(Chapman et al., Nature, Vol. 471, 2011, 467-472);関節リウマチ、全身性エリテマトーデス自己免疫性溶血性貧血、赤芽球癆、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、エヴァンス症候群、血管炎、水疱性皮膚障害、1型糖尿病、シェーグレン症候群、デビック病(Delvic’s disease)および炎症性筋障害を含む免疫系の疾患(Nakamura et al., DNA Res. Vol. 13(4), 2006, 169-183;Engel et al., Pharmacol. Rev. Vol. 63, 2011, 127-156を参照; Homam et al., J. Clin. Neuromuscular Disease, Vol. 12, 2010, 91-102);強直性脊椎炎およびハンセン病感染症(Danoy et al., PLoS Genetics, Vol. 6(12), 2010, e1001195, 1-5;Zhang et al., N. Eng. J. Med. Vol. 361, 2009, 2609-2618を参照);α-シヌクレイノパチー、タウオパチー(taupathy)(Li et al., 2010 Neurodegen. Dis. Vol. 7, 2010, 265-271を参照);ゴーシェ病(Westbroek et al., Trends. Mol. Med. Vol. 17, 2011, 485-493を参照);嗜銀顆粒性認知症、ピック病、大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、ならびに17番染色体に関連する遺伝性前頭側頭型認知症およびパーキンソニズムなどのタウの高リン酸化を特徴とするタウオパチー疾患(Goedert, M and Jakes, R, Biochemica et Biophysica Acta, Vol. 1739, 2005, 240-250を参照);薬物依存症に関連する離脱症状/再発などのドーパミンレベルの低下を特徴とする疾患(Rothman et al., Prog. Brain Res., Vol. 172, 2008, 385を参照);ミクログリア炎症誘発性反応(Moehle et al., J. Neuroscience Vol. 32, 2012, 1602-1611を参照);クローン病の病因(Barrett et al.、Nature Genetics、Vol.40、2008、955-962を参照);および筋萎縮性側索硬化症(ALS)への移行に関連している。
【0134】
LRRK2活性の増加もまた、ALSの特徴である可能性がある。ニーマンピックタイプC(NPC)病患者の線維芽細胞において、LRRK2 mRNAのレベルが大幅に上昇していることが観察されており、異常なLRRK2機能がリソソーム障害に役割を果たしている可能性がある。
【0135】
別の局面において、本開示は、少なくとも部分的に、LRRK2によって媒介される疾患または状態を処置する方法に関する。特に、本開示は、哺乳動物におけるLRRK2に関連する障害を予防または処置するための方法を提供し、本明細書に記載の治療有効量の化合物(例えば、式Iの化合物、表1または表2の化合物など)、その薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、またはプロドラッグ、または本開示の治療調製物を前記哺乳動物に投与するステップを含む。
【0136】
特定の実施形態において、LRRK2によって少なくとも部分的に媒介される疾患または状態は、神経変性疾患、例えば、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、認知症(レビー小体型認知症および血管性認知症を含む)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、加齢に伴う記憶機能障害、軽度認知障害(例えば、軽度認知障害からアルツハイマー病への移行を含む)、嗜銀顆粒性認知症、リソソーム障害(例えば、ニーマン-ピックタイプC疾患、ゴーシェ病)、大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、17番染色体に関連する遺伝性前頭側頭型認知症およびパーキンソニズム(FTDP-17)、薬物依存症に関連する離脱症状/再発、L-ドーパ誘発性ジスキネジア、ハンチントン病気(HD)、およびHIV関連認知症(HAD)などの中枢神経系(CNS)障害である。特定の実施形態において、障害は、脳、心臓、腎臓、および肝臓を含むが、これらに限定されない器官の虚血性疾患である。
【0137】
処置メカニズムに拘束されないが、いくつかの実施形態において、血液脳関門を通過しないものなどのLRRK2阻害剤は、脳炎症を引き起こす末梢炎症を抑制し、それによってパーキンソン病などのCNS疾患を処置することができる。末梢炎症は、例えば、腸の炎症を含み得る(Kishimoto, Y. et. al., Neuromolecular Med. 2019, 21(3): 239-249)。
【0138】
いくつかの他の実施形態において、LRRK2によって少なくとも部分的に媒介される疾患または状態はがんである。特定の具体的な実施形態において、がんは、甲状腺がん、腎がん(乳頭状腎がんを含む)、乳がん、肺がん、血液がん、および前立腺がん(例えば、固形腫瘍)、白血病(急性骨髄性白血病(AML)を含む)、またはリンパ腫である。特定の実施形態において、がんは、腎臓がん、乳がん、前立腺がん、血液がん、乳頭がん、肺がん、急性骨髄性白血病、または多発性骨髄腫である。
【0139】
特定の実施形態において、本明細書に開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグが、炎症性障害の処置に使用される。特定の実施形態において、障害は、クローン病または潰瘍性大腸炎(両方とも一般に炎症性腸疾患として共に公知である)などの腸の炎症性疾患である。特定の実施形態において、炎症性疾患は、ハンセン病、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ、または強直性脊椎炎である。特定の実施形態において、炎症性疾患は、ハンセン病、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ、または強直性脊椎炎である。特定の実施形態において、炎症性疾患はハンセン病である。特定の実施形態において、炎症性疾患はクローン病である。特定の実施形態において、炎症性疾患は、炎症性腸疾患である。特定の実施形態において、炎症性疾患は潰瘍性大腸炎である。特定の実施形態において、炎症性疾患は筋萎縮性側索硬化症である。特定の実施形態において、炎症性疾患は関節リウマチである。特定の実施形態において、炎症性疾患強直性脊椎炎。
【0140】
特定の実施形態において、本明細書に開示される化合物、その薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、またはプロドラッグは、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、自己免疫性溶血性貧血、赤芽球癆、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、エヴァンス症候群、血管炎、水疱性皮膚障害、1型糖尿病、シェーグレン症候群、デビック病、および炎症性筋障害の処置方法において使用される。
【0141】
特定の実施形態において、本明細書に開示される化合物、その薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ、または本明細書に開示される組成物は、結核の処置方法において使用される。
【0142】
特定の実施形態において、本開示は、リソソーム蓄積障害を処置する方法であって、それを必要とする被験体に、有効量の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ、または本明細書に開示される組成物を投与することを含む、方法に関する。特定の実施形態において、障害は、ニーマンピックタイプA、ニーマンピックタイプB、およびニーマンピックタイプC、ゴーシェタイプI、ゴーシェタイプII、ゴーシェタイプIII、ハーラー(MPS I)、ハンター(MPS II)、サンフィリッポA、サンフィリッポB、サンフィリッポC、サンフィリッポD、スライ(MPS VII)、ポンペ、ムコリピドーシスIV、多発性スルファターゼ欠損症、GM1ガングリオシドーシス、GM2ガングリオシドーシスAB変異体、GM2ガングリオシドーシス(テイ-サックス)、GM2ガングガングリオシドーシス(サンドホフ)、α-マンノシドーシス、β-マンノシドーシス、α-フコシドーシス、シアリドーシス、I細胞疾患(MLII)、偽ハーラーポリジストロフィー(ML III)、ファーバー、アスパルチルグリコサミン尿症、クラッベ、シスチン症、サラ病、ウォルマン、シンドラー-神崎、ガラクトシアリドーシス、濃化異骨症、バッテン(CLN1-10)、ダノン、チェディアック-東、グリセリ、ファブリー、ヘルマンスキー-パドラック、マロトー-ラミー(MPS VI)、ヒアルロニダーゼ欠損症(MPS IX)、コレステロールエステル蓄積症、モルキオAまたはモルキオBである。
【0143】
特定の実施形態において、本開示は、オートファジー関連障害を処置する方法であって、それらを必要とする被験体に、有効量の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ、または本明細書に開示される組成物を投与することを含む、方法に関する。特定の実施形態において、障害は、クローン病、パーキンソン病、潰瘍性大腸炎、ALS、全身性エリテマトーデス、小児期運動失調、全身性硬化症、遺伝性痙性対麻痺タイプ15、成人期の神経変性を伴う小児期静的脳症(SENDA)、またはビチ症候群である。
【0144】
他の実施形態は、被験体の認知記憶を増強するための方法であって、方法は、それを必要とする被験体に、本明細書に記載の、有効量の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ、あるいは化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグを含む組成物を、投与することを含む方法を含む。
【0145】
特定の実施形態において、提供されるのは、哺乳動物におけるLRRK2に関連する障害を予防または処置するための方法であって、治療有効量の化合物7、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、もしくはプロドラッグ、またはそれらを含む薬学的組成物を前記哺乳動物に投与するステップを含む、方法である。
【0146】
特定の実施形態において、提供されるのは、哺乳動物におけるクローン病を予防または処置するための方法であって、治療有効量の化合物7、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、もしくはプロドラッグ、またはそれらを含む薬学的組成物を前記哺乳動物に投与するステップを含む、方法である。
【0147】
特定の実施形態において、提供されるのは、哺乳動物における炎症性腸疾患を予防または処置するための方法であって、治療有効量の化合物7、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、もしくはプロドラッグ、またはそれらを含む薬学的組成物を前記哺乳動物に投与するステップを含む、方法である。
【0148】
特定の実施形態において、提供されるのは、哺乳動物における潰瘍性大腸炎を予防または処置するための方法であって、治療有効量の化合物7、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、もしくはプロドラッグ、またはそれらを含む薬学的組成物を前記哺乳動物に投与するステップを含む、方法である。
【0149】
他の実施形態は、治療における本明細書に開示される化合物の使用を含む。いくつかの実施形態は、神経変性疾患、がん、または炎症性疾患の処置におけるそれらの使用を含む。
【0150】
特定の実施形態において、提供されるのは、アルツハイマー病、L-ドーパ誘発性ジスキネジア、パーキンソン病、認知症、ALS、腎臓がん、乳がん、前立腺がん、血液がん、乳頭がん、肺がん、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、ハンセン病、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ、または強直性脊椎炎の処置に使用するための、化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグである。
【0151】
特定の実施形態において、提供されるのは、神経変性疾患、がん、または炎症性疾患を処置するための医薬の製造のための、本明細書に開示される、化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの使用である。
【0152】
特定の実施形態において、提供されるのは、アルツハイマー病、L-ドーパ誘発性ジスキネジア、パーキンソン病、認知症、筋萎縮性側索硬化症、腎臓がん、乳がん、前立腺がん、血液がん、乳頭がん、肺がん、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、ハンセン病、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ、または強直性脊椎炎を処置するための医薬の製造のための、本明細書に開示される、化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの使用である。
【0153】
本明細書で使用される用語「外傷」は、暴力、事故、骨折などによって引き起こされる身体へのあらゆる物理的損傷を指す。用語「虚血」は、通常、動脈血供給の閉塞または組織の低酸素症につながる不十分な血流に起因する低酸素状態を特徴とする心血管障害を指す。用語「脳卒中」は、血餅または脳内出血によって引き起こされる心血管障害を指し、最も一般的には、血餅が血管を閉塞することによる脳内の血流の中断によって引き起こされ、本開示の特定の実施形態において、用語脳卒中は、虚血性脳卒中または出血性脳卒中を指す。用語「心筋梗塞」は、血液供給の閉塞に起因する限局性壊死を特徴とする心血管障害を指す。
【0154】
特定の実施形態において、本開示は、細胞死を阻害するための、化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグに関し、ここで化合物は本明細書に記載される通りである(例えば、表1または表2)。特定の実施形態において、本開示の化合物は、細胞死の阻害剤である。いずれにせよ、本開示の化合物は、好ましくは、約50μM未満の濃度、または約10μM未満の濃度、または1μM未満の濃度で細胞死を阻害する効果を発揮する。
【0155】
特定の実施形態において、本開示は、化合物7、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、もしくはプロドラッグを含む薬学的組成物に関する。特定の実施形態において、本開示は、LRRK2キナーゼを阻害するための、化合物7、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、もしくはプロドラッグを含む薬学的組成物に関する。特定の実施形態において、本開示は、クローン病を処置するための、化合物7、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、もしくはプロドラッグを含む薬学的組成物に関する。他の実施形態において、パーキンソン病を処置するための、化合物7、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、もしくはプロドラッグを含む薬学的組成物が提供される。
【0156】
特定の実施形態において、本開示は、LRRK2キナーゼを阻害するための、化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグに関し、化合物は、本明細書に記載されているとおりである(例えば、表1または表2)。特定の実施形態において、LRRK2キナーゼは、G2019SまたはN2081Dである。特定の実施形態において、化合物は、約5μM未満、または1μM未満のIC50濃度で、LRRK2キナーゼ、例えば、G2019Sを阻害する。特定の実施形態において、化合物は、約3nM未満のIC50濃度で、LRRK2キナーゼ、例えば、G2019Sを阻害する。特定の実施形態において、化合物は、生物学的実施例4の細胞アッセイに従って、約11、5、4、3または2nM未満のIC50濃度でLRRK2キナーゼを阻害する。
4.キット
【0157】
本明細書で提供されるのは、本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ、および適切な包装を含むキットでもある。特定の実施形態において、キットは、使用のための指示書をさらに含む。一態様において、キットは、本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグ、ならびに本明細書に記載されている疾患または状態を含む、適応症の処置における化合物の使用のための標識および/または指示書を含む。
【0158】
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグを適切な容器に含む製品である。容器は、バイアル、瓶、アンプル、プレロードされた注射器、または静脈注射用のバッグであり得る。
5.薬学的組成物および投与モード
【0159】
本明細書で提供される化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグは、通常、薬学的組成物の形態で投与される。したがって、本明細書で提供されるのはまた、本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの1つまたは1つより多く、および担体、アジュバントおよび賦形剤から選択される1つまたは1つより多くの薬学的に許容されるビヒクルを含む薬学的組成物である。適切な薬学的に許容されるビヒクルは、例えば、不活性固体希釈剤および充填剤、滅菌水溶液および様々な有機溶媒を含む希釈剤、浸透促進剤、可溶化剤およびアジュバントを含み得る。そのような組成物は、製薬分野で周知である様式で調製される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mace Publishing Co., Philadelphia, Pa. 17th Ed. (1985); およびModern Pharmaceutics, Marcel Dekker, Inc. 3rd Ed. (G.S. Banker & C.T. Rhodes, Eds.)を参照。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、固体の経口剤形である。
【0160】
薬学的組成物は、単回投与または複数回投与のいずれかで投与され得る。薬学的組成物は、例えば、直腸、頬、鼻腔内および経皮経路を含む様々な方法によって投与され得る。特定の実施形態において、薬学的組成物は、動脈内注射によって、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、経口、局所的に、または吸入剤として投与され得る。
【0161】
投与のための1つのモードは、例えば、注射による非経口である。本明細書に記載の薬学的組成物を注射による投与のために組み込むことができる形態は、例えば、ゴマ油、コーン油、綿実油、もしくは落花生油を含む水性または油性の懸濁液または乳濁液、およびエリキシル剤、マンニトール、デキストロース、または滅菌水溶液、ならびに同様の医薬ビヒクルを含む。
【0162】
経口投与は、本明細書に記載の化合物を投与するための別の経路であり得る。投与は、例えば、カプセルまたは腸溶性コーティング錠を介して行うことができる。少なくとも1つの本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグを含む薬学的組成物を作製する際、有効成分は通常、賦形剤によって希釈され、および/またはカプセル、小袋、紙または他の容器の形態をとることができるそのような担体中に封入される。賦形剤が希釈剤として機能する場合、それは、有効成分のビヒクル、担体、または媒体として機能する、固体、半固体、または液体材料の形態であり得る。したがって、組成物は、錠剤、丸薬、散剤、トローチ、小袋、オブラート、エリキシル、懸濁液、乳濁液、溶液、シロップ、エアロゾル(固体としてまたは液体媒体中で)、例えば、最大10重量%の活性化合物を含む軟膏、ソフトおよびハードゼラチンカプセル、滅菌注射剤溶液、ならびに滅菌パッケージ散剤の形態であり得る。
【0163】
適切な賦形剤のいくつかの例は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ、およびメチルセルロースを含む。製剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油などの滑沢剤;湿潤剤;乳化剤および懸濁化剤;メチルおよびプロピルヒドロキシベンゾエートなどの保存剤;甘味料;ならびに香料をさらに含むことができる。
【0164】
少なくとも1つの本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグを含む組成物は、当該分野で公知の手順を使用することによる、被験体への投与後の有効成分の急速、持続または遅延放出を提供するように製剤化され得る。経口投与用のための制御放出薬物送達システムは、浸透圧ポンプシステム、およびポリマーコーティングされたリザーバーまたは薬物-ポリマーマトリックス製剤を含む溶解システムを含む。経皮パッチを使用して、本明細書に記載の化合物を制御された量で連続的または非連続的に注入することができる。経皮パッチは、医薬品の連続的、脈動性、またはオンデマンド送達のために構築することができる。
【0165】
錠剤などの固体組成物を調製するために、主要な有効成分を薬学的賦形剤と混合して、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの均一混合物を含む固体予備製剤組成物を形成することができる。これらの予備製剤組成物を均質であると指す場合、有効成分を組成物全体に均一に分散させて、組成物を錠剤、丸薬、およびカプセルなどの同等に有効な単位剤形に容易に細分することができる。
【0166】
本明細書に記載の化合物の錠剤または丸薬は、長期作用の利点を与える剤形を提供するために、または胃の酸性状態から保護するために、コーティングされ得る、または他の方法で配合され得る。例えば、錠剤または丸薬は、内側用量および外側用量成分を含むことができ、後者は前者を覆うエンベロープの形態である。2つの成分は、胃での崩壊に抵抗し、内部成分が無傷で十二指腸に通過するか、放出を遅らせるのに役立つ腸溶層によって分離され得る。様々な材料をそのような腸溶層またはコーティングに使用することができ、そのような材料は、多くのポリマー酸、ならびにポリマー酸とシェラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースなどの材料との混合物を含む。
【0167】
吸入または吹送用の組成物は、薬学的に許容される水性または有機溶媒、またはそれらの混合物中の溶液および懸濁液、ならびに粉末を含み得る。液体または固体の組成物は、本明細書に記載されるような適切な薬学的に許容される賦形剤を含み得る。特定の実施形態において、組成物は、局所的または全身的効果のために経口または鼻呼吸経路によって投与される。特定の実施形態において、薬学的に許容される溶媒中の組成物は、不活性ガスの使用によって噴霧され得る。噴霧された溶液は、噴霧装置から直接吸入され得るか、または噴霧装置は、フェイスマスクテント、または断続的な陽圧呼吸器に取り付けられ得る。溶液、懸濁液、または粉末組成物は、適切な方法で製剤を送達する装置から、好ましくは経口または経鼻的に投与され得る。
6.投与
【0168】
任意の特定の被験体に対する本出願の化合物の特定の投与量レベルは、治療を受けている被験体における、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、健康全般、性別、食事、投与時間、投与経路、および排泄率、薬物の組み合わせ、および特定の疾患の重症度を含む様々な要因に依存する。例えば、用量は、被験体の体重1キログラムあたりの本明細書に記載の化合物のミリグラム(mg/kg)の数として表され得る。約0.1~150mg/kgの用量が適切であり得る。特定の実施形態において、約0.1および100mg/kgが適切であり得る。特定の実施形態において、0.5~60mg/kgの間の用量が適切であり得る。特定の実施形態において、1日あたり体重1kgあたり約0.0001~約100mg、体重1kgあたり約0.001~約50mgの化合物、または体重1kgあたり約0.01~約10mgの化合物の用量が適切であり得る。被験体の体重に応じて正規化することは、小児および成人のヒトの両方で薬物を使用する場合や、犬などのヒト以外の被験体の有効量をヒトの被験体に適した用量に変化する場合に起こるなど、大きく異なるサイズの被験体間で用量を調整する場合に有用である。
【0169】
1日の用量はまた、投与量当たりまたは1日当たりに投与される、本明細書に記載の化合物の総量として記載され得る。本明細書に記載の化合物(例えば、表1または表2)の1日の用量は、約1mg~4000mgの間、約2000~4000mg/日の間、約1~2000mg/日の間、約1~1000mg/日の間、約10~500mg/日の間、約20~500mg/日の間、約50~300mg/日の間、約75~200mg/日の間、または約15~150mg/日の間であり得る。
【0170】
経口投与される場合、ヒトの被験体の総1日用量は、1mg~1,000mgの間、約1,000~2000mg/日の間、約10~500mg/日、約50~300mg/日、約75~200mg/日の間、または約100~150mg/日であり得る。
【0171】
本出願の化合物またはその組成物は、上記の任意の適切なモードを使用して、1日1回、2回、3回、4回、または4回より多く投与され得る。
【0172】
特定の実施形態において、本方法は、本明細書に記載の化合物の約1~800mgの初期の1日の投与量を被験体に投与し、臨床効果が達成されるまで投与量を段階的に増加させることを含む。約5、10、25、50、または100mgの増分を使用して、投与量を増やすことができる。用量は、毎日、隔日、週に2回、または週に1回、増やすことができる。
7.併用療法
【0173】
本開示の別の態様において、化合物は、アポトーシス阻害剤である化合物;PARPポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ阻害剤;Src阻害剤;心血管障害の処置のための薬剤;高血圧、高コレステロール血症およびII型糖尿病;抗炎症剤、抗血栓剤;線維素溶解剤;抗血小板剤、脂質還元剤、直接トロンビン阻害剤;糖タンパク質IIb/IIIa受容体阻害剤;カルシウムチャネル遮断薬;ベータアドレナリン受容体遮断薬;シクロオキシゲナーゼ(例えば、COX-1およびCOX-2)阻害剤;アンジオテンシン系阻害剤(例えば、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤);レニン阻害剤;および/または細胞接着分子に結合し、白血球がそのような分子に結合する能力を阻害する薬剤(例えば、ポリペプチド、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体)を含む(ただしこれらに限定されない)、他の薬剤と組み合わせて投与することができる。
【0174】
特定の実施形態において、本開示の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグは、神経変性疾患の処置に活性を有する追加の薬剤と組み合わせて投与され得る。例えば、いくつかの実施形態において、化合物は、パーキンソン病の処置に有用な1つまたは1つより多くの追加の治療剤と組み合わせて投与される。特定の実施形態において、追加の治療剤は、L-ドーパ(例えば、シネメット(登録商標))、ドーパミン作動性アゴニスト(例えば、ロピネロールまたはプラミペキソール)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤(例えば、エンタカポン)、L-モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤(例えば、セレギリンまたはラサギリン)またはドーパミン放出を増加させる薬剤(例えば、ゾニサミド)である。
【0175】
いくつかの実施形態において、化合物は、クローン病の処置に有用な1つまたは1つより多くの追加の治療剤と組み合わせて投与される。特定の実施形態において、追加の治療剤は、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾンおよびブデソニド)、5-アミノサリチレート(例えば、スルファサラジン、スルファ、およびメサラミン)、免疫系抑制剤(例えば、アザチオプリン、メルカプトプリン、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、メトトレキサート、ナタリズマブ、ベドリズマブ、およびウステキヌマブ)、および抗生物質(例えば、シプロフロキサシンおよびメトロニダゾール)である。
【0176】
本開示はまた、細胞壊死を阻害する、2つまたは2つより多くの化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体濃縮類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグの組み合わせ物(例えば、本明細書に開示される化合物および壊死を阻害するための追加の薬剤)を提供する。本開示はまた、1つまたは1つより多くの追加の薬剤または化合物(例えば、疾患、状態、または感染症を処置するための他の治療化合物)と組み合わされた細胞壊死を阻害する1つまたは1つより多くの化合物の組み合わせ物を提供する。
8.化合物の合成
【0177】
化合物、またはその薬学的に許容される塩、重水素化類似体、互変異性体、立体異性体、立体異性体の混合物、もしくはプロドラッグは、本明細書に開示される方法およびその日常的な改変を使用して調製され得る。本明細書に記載の典型的な化合物の合成は、以下の実施例に記載されるように達成することができる。利用可能な場合、試薬は、例えば、Sigma Aldrichまたは他の化学薬品供給業者から商業的に購入することができる。
【0178】
本開示の化合物は、例えば、以下の一般的な方法および手順を使用して、容易に入手可能な出発物質から調製することができる。典型的または好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられている場合、特に明記しない限り、他のプロセス条件も使用できることが理解される。最適な反応条件は、使用される特定の反応物または溶媒によって異なり得るが、そのような条件は、当業者によって決定され得る。
【0179】
さらに、当業者に明らかであるように、保護基は、特定の官能基が望ましくない反応を受けるのを防ぐために必要であり得る。様々な官能基に適した保護基、ならびに特定の官能基を保護および脱保護するための適切な条件は、当該分野で周知である。例えば、多数の保護基が、Wuts, P. G. M., Greene, T. W., & Greene, T. W. (2006). Greene’s protective groups in organic synthesis. Hoboken, N.J., Wiley-Interscienceおよびそこに引用されている参考文献に記載されている。
【0180】
さらに、本開示の化合物は、1つまたは1つより多くのキラル中心を含み得る。したがって、所望される場合、そのような化合物は、純粋な立体異性体として、すなわち、個々のエナンチオマーもしくはジアステレオマーとして、または立体異性体に富む混合物として、調製または単離することができる。特に明記しない限り、そのようなすべての立体異性体(および濃縮混合物)は、本開示の範囲に含まれる。純粋な立体異性体(または濃縮混合物)は、例えば、当該分野で周知の光学活性出発物質または立体選択試薬を使用して調製することができる。あるいは、そのような化合物のラセミ混合物は、例えば、キラルカラムクロマトグラフィー、キラル分割剤などを使用して分離することができる。
【0181】
以下の反応の出発物質は、一般に公知の化合物であるか、または公知の手順またはその明らかな改変によって調製され得る。例えば、出発材料の多くは、Aldrich Chemical Co.(ミルウォーキー、ウィスコンシン、米国)、Bachem(トーランス、カリフォルニア、米国)、Emka-Chemce、またはSigma(セントルイス、ミズーリ、米国)などの商用供給業者から入手できる。他のものは、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis, Volumes 1-15 (John Wiley, and Sons, 1991), Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds, Volumes 1-5, および Supplementals (Elsevier Science Publishers, 1989) organic Reactions, Volumes 1-40 (John Wiley, and Sons, 1991), March’s Advanced Organic Chemistry, (John Wiley, and Sons, 5th Edition, 2001),および Larock’s Comprehensive Organic Transformations (VCH Publishers Inc., 1989)などの標準的な参照テキストに記載されている、手順またはその明らかな改変によって調製することができる。
【0182】
用語「溶媒」、「不活性有機溶媒」または「不活性溶媒」は、それと併せて記載されている反応の条件下で不活性な溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、クロロホルム、塩化メチレン(またはジクロロメタン)、ジエチルエーテル、メタノール、ピリジンなど)を指す。特に明記しない限り、本開示の反応に使用される溶媒は不活性有機溶媒であり、反応は不活性ガス、好ましくは窒素下で行われる。
【0183】
用語「q.s.」は、例えば、溶液を望まれる容量(すなわち、100%)にするなど、記載された機能を達成するのに十分な量を追加することを意味する。
【0184】
上記のスキームのそれぞれにおいて、任意の置換基の添加は、従来の技術を使用して単離および精製することができる任意またはすべての多数の異性体生成物(エナンチオマーまたは1つもしくは1つより多くのジアステレオマーを含むがこれらに限定されない)の生成をもたらし得ることも理解される。鏡像異性的に純粋または濃縮化合物が望まれる場合、キラルクロマトグラフィーおよび/または鏡像異性的に純粋または濃縮出発物質を、当該分野で従来使用されているように、または実施例に記載されているように使用することができる。
一般的な合成
【0185】
以下の一般的な反応スキームIは、本明細書に開示される化合物を作製する一般的な方法を示す。
【化6】
【0186】
一般的な反応スキームIを参照すると、式Iの化合物は、式I-1の置換ピリミジンを式I-2のアミンとカップリングすることによって調製することができ、ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびnは、本明細書で提供される式のいずれか、または本明細書で例示される特定の化合物(例えば、表1または表2)によって定義され、Xは脱離基である。特定の実施形態において、Xはハロである。式I-1またはI-2の適切な化合物は、以下に記載されるより具体的な方法に従って、または当業者に公知の方法によって調製することができる。酸の存在下での式I-1およびI-2の化合物のカップリングは、式Iの化合物を提供する。特定の実施形態において、酸は、トルエンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸である。特定の実施形態において、塩基の存在下での式I-1およびI-2の化合物のカップリングは、式Iの化合物を提供する。特定の実施形態において、塩基は、トリエチルアミンである。
【0187】
特定の実施形態において、提供されるのは、式Iの化合物を提供する条件下で式I-1の化合物を式I-2の化合物とカップリングすることを含む式Iの化合物を調製する方法であって、ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびnは、本明細書で提供される式のいずれか、または本明細書で例示される特定の化合物(例えば、表1または表2)によって定義され、Xは脱離基である、方法である。特定の実施形態において、Xはハロである。
【0188】
市販されていない場合、式I-2のアミンは、市販の出発物質から調製することができる。例えば、特定の実施形態において、式I-2のアミンは、対応するニトロ置換化合物を還元することから調製することができる。式I-2のアミンは、典型的には、式I-1の置換ピリミジンとのカップリングの前に官能化される。式Iの特定の立体異性体が望まれる場合、対応するアミンの単一の立体異性体を、式I-1の置換ピリミジンとカップリングする前に調製することができ、および/または生じる立体異性体の混合物を、公知の方法(例えば、キラルクロマトグラフィー)を使用して分割することができる。
【0189】
式I-2の例示的なアミンは、スキームIIに示されるように、適切に官能化された出発物質を使用して、1,3-双極子付加環化反応を介して調製することができる。
【化7】
【0190】
上記のスキームIIに示されるように、置換基は、適切に置換された出発物質を使用することにより、シクロプロピル環の形成中に設置することができ、ここで、R3、R4、R5、R6およびR17は、本明細書で定義される通りであり、R101はアルキルである。特定の実施形態において、R101はメチルである。式II-1の適切に置換されたピラゾールを、触媒の存在下で式II-2の適切に置換されたジアゾ化合物とカップリングさせて、式II-3のシクロプロピル中間体を提供することができる。当該分野で公知の方法を使用して、さらなる官能化/官能基相互変換を実施し、スキームIの方法で使用するための式II-4のアミンを提供することができる。
【実施例】
【0191】
以下の実施例は、本開示の特定の実施形態を実証するために含まれる。以下の実施例に開示される技術は、本開示の実施においてうまく機能する技術を表し、したがって、その実施のための特定のモードを構成すると見なすことができることを当業者は理解すべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示される特定の実施形態において多くの変更を行うことができ、それでも本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく同様または似た結果を得ることができることを理解すべきである。
一般的な実験方法:
【0192】
すべての非水性反応を、窒素雰囲気下でオーブンドライまたはフレームドライされたガラス器具中で実施した。特に指定のない限り、すべての化学物質は商業ベンダーから購入し、そのまま使用した。反応を磁気的に攪拌し、250μmのプレコートシリカゲルプレートを用いた薄層クロマトグラフィー(TLC)で観察し、UVまたはヨウ素チャンバーのいずれかで可視化した。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、シリカゲル(100~200メッシュ)を使用して実施した。1H NMRの場合、化学シフトはクロロホルム(δ7.26)、メタノール(δ3.31)、またはDMSO(δ2.50)と比較して報告される。HPLC分析は、フォトダイオードアレイ検出器およびLuna-C18(2)2.0×50mm、5μmカラムを備えたShimadzu 20AB HPLCシステムで、勾配溶媒移動相A(MPA、H2O+0.037%(v/v)TFA):移動相B(MPB、ACN+0.018%(v/v)TFA)(0.01分、10%MPB;4分、80%MPB;4.9分、80%MPB;4.92分、10%MPB;5.5分、10%MPB)を用いて1.2mL/分の流量で実施した。LCMSは、220および254nmで検出されるか、蒸発光散乱(ELSD)検出ならびにポジティブエレクトロスプレーイオン化(MS)を使用した。セミ分取HPLCを、酸性または中性条件のいずれかで実施した。酸性:LunaC18 100×30mm、5μm;MPA:HCl/H2O=0.04%、またはギ酸/H2O=0.2%(v/v);MPB:ACN。中性:Waters Xbridge150×25、5μm;MPA:H2O中の10mM NH4HCO3;MPB:ACN。両方の条件の勾配:20mL/分の流量で12分以内にMPBの10%からMPBの80%、次に2分にわたり100%MPB、2分にわたり10%MPB、UV検出器。SFC分析を、UV/Vis検出器およびAD-3、AS-H、OJ-3、OD-3、AY-3、およびIC-3、4.6×100mm、3μmカラム、流量4mL/分で勾配溶媒移動相A(MPA、CO2):移動相B(MPB、MeOH+0.05%(v/v)IPAm)(0.01分、10%MPB;3分、40%MPB;3.5分、40%MPB;3.56~5分、10%MPB)を含む一連のキラルカラムを備えたThar分析SFCシステムで実施した。SFC分取は、UV/Vis検出器およびAD-H、AS-H、OJ-H、OD-H、AY-H、およびIC-H、30×250mm、5μmカラム、流量65mL/分で勾配溶媒移動相A(MPA、CO2):移動相B(MPB、MeOH +0.1%(v/v)NH3H2Om)(0.01分、10%MPB;5分、40%MPB;6分、40%MPB;6.1~10分、10%MPB)を含む一連のキラル分取カラムを備えたThar 80分取SFCシステムで実施した。
化合物の調製
【0193】
出発物質の調製が記載されていない場合、これらは市販されているか、文献で公知であるか、または標準的な手順を使用して当業者によって容易に入手可能である。文献で公知であるか、または標準的な手順を使用して当業者によって容易に入手可能である。化合物が以前の実施例または中間体と同様に調製されたと述べられている場合、当業者は、反応時間、試薬の当量数、および温度を特定の反応ごとに改変でき、異なる後処理または精製技術を採用することが必要または望ましい場合があることが理解される。マイクロ波照射を使用して反応を行う場合、使用するマイクロ波はBiotage Initiatorである。供給される実際の電力は、一定の温度を維持するために、反応の過程で変化する。
実施例1
(1,2-シス)-1-メチル-2-(3-メチル-4-((4-((1-メチルシクロプロピル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボキサミド(1)の合成
【0194】
(1,2-シス)-1-メチル-2-(3-メチル-4-((4-((1-メチルシクロプロピル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボニトリル)のラセミ混合物をキラルSFCで分離した(カラム:IC(250mm*30mm、10μm);移動相:[Neu-IPA];B%:20%~20%、3分)。DMSO(2mL)中の(1,2-シス)-1-メチル-2-(3-メチル-4-((4-((1-メチルシクロプロピル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボニトリル(41.3mg、0.11mmol)の2番目の溶出異性体、および飽和K2CO3水溶液(0.7mL)の溶液にUHP(119mg、1.27mmol)を25℃でN2下で加えた。混合物を25℃で6時間撹拌した。混合物を20℃の水(20mL)に注ぎ、EtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(3×10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を以下の条件下:カラム:Waters Xbridge 150*25 5 μm;移動相:[水(10mM NH4HCO3)-ACN];B%:20%~45%、で分取HPLCにより精製し、7分で所望の生成物を得た。LC-MS, m/z = 410.1 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 8.24 (br s, 1H), 8.03 (s, 1H), 3.64 (dd, J = 5.3, 7.9 Hz, 1H), 2.24-2.17 (m, 4H), 1.49 (s, 3H), 1.47 (s, 3H), 1.30 (dd, J = 5.9, 7.7 Hz, 1H), 0.86 (br s, 2H), 0.78 (br s, 2H).
実施例2
(1,2-シス)-2-(3-シクロプロピル-4-((4-(メチルアミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボキサミド(2)の合成
【0195】
(1,2-シス)-2-(3-シクロプロピル-4-((4-(メチルアミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボニトリルのラセミ混合物をキラルSFC(機器:Thar SFC80分取SFC;カラム:Chiralpak AD-H 250 * 30 mm i.d. 5μm;移動相:AはCO2、およびBはEtOH(0.1%NH3H2O);勾配:B%=42%;流量:70g/分;波長:220nm;カラム温度:40℃;システム背圧:100bar)で分離した。DMSO(3mL)中の(1,2-シス)-2-(3-シクロプロピル-4-((4-(メチルアミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボニトリル(51mg、0.14mmol)の最初の溶出異性体の溶液に飽和K2CO3水溶液(0.9mL)およびUHP(160mg、1.70mmol)を25℃でN2下で加えた。混合物を25℃で12時間撹拌した。混合物を20℃の水(20mL)に注ぎ、EtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を以下の条件下:カラム:Waters Xbridge 150*25 5μm;移動相:[水(10mM NH4HCO3)-ACN]; B%:10%~40%、で分取HPLCにより精製し、7分で所望の生成物を得た。LC-MS, m/z = 382.1 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 8.02 (s, 1H), 7.96 (br s, 1H), 3.87-3.77 (m, 1H), 3.02 (s, 3H), 2.19-2.07 (m, 1H), 1.95 (q, J = 5.7 Hz, 1H), 1.87-1.74 (m, 1H), 1.46 (dt, J = 5.9, 8.0 Hz, 1H), 0.93-0.74 (m, 4H).
実施例3
(1,2-シス)-2-(4-((5-ブロモ-4-(エチルアミノ)ピリミジン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボキサミド(3)の合成
【0196】
(1,2-シス)-2-(4-((5-ブロモ-4-(エチルアミノ)ピリミジン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボニトリルのラセミ混合物をキラルSCF(カラム:IC(250mm * 30mm、10um);移動相:[Neu-IPA]; B%:33%~33%、5分)で分離した。DMSO(3mL)中の(1,2-シス)-2-(4-((5-ブロモ-4-(エチルアミノ)ピリミジン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボニトリルの最初の溶出異性体の溶液(60.70mg、0.16mmol)に飽和K2CO3水溶液(0.9mL)およびUHP(182mg、1.94mmol)を25℃でN2下で加えた。混合物を25℃で12時間撹拌した。反応混合物を20℃の水(10mL)に注ぎ、EtOAc(3×5mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(3×5mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を以下の条件下:カラム:Waters Xbridge 150*25 5μm;移動相:[水(10mM NH4HCO3)-ACN]; B%:10%~40%、で分取HPLCにより精製し、7分で所望の生成物を得た。LC-MS, m/z = 394.0, 396.0 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 7.83-7.78 (m, 2H), 3.62 (dd, J = 5.3, 7.9 Hz, 1H), 3.50 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.20 (t, J = 5.5 Hz, 1H), 2.15 (s, 3H), 1.47 (s, 3H), 1.29 (dd, J = 5.7, 7.9 Hz, 1H), 1.24 (t, J = 7.2 Hz, 3H).
実施例4
(1,2-シス)-1-メチル-2-(3-メチル-4-((4-((1-メチルシクロプロピル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボキサミド(4)の合成
【0197】
(1,2-シス)-1-メチル-2-(3-メチル-4-((4-((1-メチルシクロプロピル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボニトリルのラセミ混合物をキラルSFC(カラム:IC(250mm*30mm、10μm);移動相:[Neu-IPA]; B%:20%~20%、3分))で分離した。DMSO(1mL)中の(1,2-シス)-1-メチル-2-(3-メチル-4-((4-((1-メチルシクロプロピル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボニトリル(20mg、0.05mmol)の最初の溶出異性体および飽和K2CO3水溶液(3mL)の溶液にUHP(58mg、0.61mmol)を25℃でN2下で加えた。混合物を25℃で15時間撹拌した。混合物を水(10mL)に注いだ。水相をEtOAc(4×3mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(3mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を以下の条件下で分取HPLC(中性)により精製した。カラム:Xtimate C18 150*25mm*5μm;移動相:[水(10mM NH4HCO3)-ACN]; B%:25%~55%、10分で所望の生成物を得た。LC-MS: m/z: 409.9 [M+H]+. 1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.27 (br s, 1H), 8.10 (br s, 1H), 6.77 (br s, 1H), 5.76 (br s, 1H), 5.53 (br s, 1H), 5.20 (br s, 1H), 3.66 (dd, J = 5.2, 8.0 Hz, 1H), 2.24 (s, 3H), 2.19 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 1.57-1.51 (m, 1H), 1.53 (s, 2H), 1.49 (s, 3H), 1.31 (dd, J = 6.2, 7.9 Hz, 1H), 0.97-0.74 (m, 4H).
実施例5
(1R,2S)-および(1S,2R)-2-(3-シクロプロピル-4-((4-(エチルアミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボニトリル(5)の合成
【0198】
メチル2,2-ジブロモ-1-メチル-シクロプロパンカルボキシレート:メチル2-メチルプロパ-2-エノエート(110.28g、1.10mol)、ベンジル(トリエチル)アンモニウムクロリド(30.01g、131.75mmol)およびH2O(443.5mL)中のNaOH(449.88g、11.25mol)、ブロモホルム(557.44g、2.21mol)を0℃で滴下して加えた。次に、混合物を25℃で12時間撹拌した。反応混合物を濾過し、次に水(500mL)で希釈し、MTBE(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×300mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=30:1~1:1)で精製して、メチル2,2-ジブロモ-1-メチル-シクロプロパンカルボキシレートを得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 3.80 (s, 3 H), 2.43 (d, J=7.94 Hz, 2 H), 1.59 (d, J=7.94 Hz, 3 H).
【0199】
シスおよびトランスメチル2-ブロモ-1-メチル-シクロプロパンカルボキシレート:THF(500mL)中のメチル2,2-ジブロモ-1-メチル-シクロプロパンカルボキシレート(114g、419.22mmol)の溶液に、i-PrMgCl(230.57mL、2M)をN2下で-78℃で滴下して加えた。混合物を5分間撹拌した。反応混合物を20℃で、飽和NH4Cl(100mL)によりクエンチし、次に水(200mL)で希釈した。有機相を分離し、水相をEtOAc(2×500mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(500mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、シスおよびトランスメチル2-ブロモ-1-メチル-シクロプロパンカルボキシレートの混合物を得た。粗生成物をさらに精製することなく次のステップに使用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 3.77 (s, 3 H), 3.69 (s, 3 H), 3.52 (dd, J=8.16, 5.29 Hz, 1 H), 2.96 (dd, J=7.72, 5.51 Hz, 1 H), 1.79 - 1.88 (m, 2 H), 1.40 (s, 3 H), 1.48 (s, 3 H), 1.23 - 1.27 (m, 1 H), 1.02 (t, J=5.62 Hz, 1 H).
【0200】
シスおよびトランス-2-ブロモ-1-メチル-シクロプロパンカルボン酸:MeOH(500mL)およびH2O(50mL)中のメチル2-ブロモ-1-メチル-シクロプロパンカルボキシレート(71g、367.80mmol)の溶液にNaOH(44.12g、1.10mol)を加えた。混合物を25℃で16時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮した。残留物を水(500mL)で希釈した。水相をMTBE(300mL)で抽出して不純物を除去し、次に水相をHCl水溶液(2M)でpH=3に調整し、DCM(400mL×2)で抽出した。合わせた有機相をブライン(300mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、シスおよびトランス2-ブロモ-1-メチル-シクロプロパンカルボン酸の混合物を得た。粗生成物をさらに精製することなく次のステップに使用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 3.58 (dd, J=8.53, 5.52 Hz, 1 H), 3.02 (dd, J=7.78, 5.77 Hz, 1 H), 1.92 (dd, J=8.03, 6.02 Hz, 1 H), 1.81 (t, J=6.02 Hz, 1 H), 1.41 (s, 3 H), 1.32 (dd, J=7.53, 6.53 Hz, 1 H), 1.21 (s, 3 H), 1.09 (t, J=5.77 Hz, 1 H).
【0201】
シスおよびトランス-2-ブロモ-N-tert-ブチル-1-メチル-シクロプロパンカルボキサミド:SOCl2(370mL)中の2-ブロモ-1-メチル-シクロプロパンカルボン酸(60g、335.17mmol)の溶液を、80℃に加熱し、2時間撹拌した。次に、混合物を減圧下で濃縮した。残留物をTHF(200mL)に溶解した。溶液を、THF(500mL)中のTEA(74.22g、733.46mmol)および2-メチルプロパン-2-アミン(30.09g、411.42mmol)の混合物に、0℃でN2下で滴下して加えた。混合物を25℃に温め、1時間撹拌した。混合物をHCl(500mL、2M)でクエンチし、次に飽和NaHCO3によりpH=7に調整した。有機相を分離し、水相をEtOAc(500mL×2)で抽出した。合わせた有機相をブライン(500mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、シスおよびトランス-2-ブロモ-N-tert-ブチル-1-メチル-シクロプロパンカルボキサミドを得た。LCMS: RT 1.365 min, m/z = 235.1 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 5.43 - 5.68 (m, 1 H), 3.47 (dd, J=8.03, 5.02 Hz, 1 H), 2.86 (dd, J=7.53, 4.52 Hz, 1 H), 1.83 (dd, J=8.03, 6.02 Hz, 1 H), 1.63 (dd, J=6.78, 4.77 Hz, 1 H), 1.47 (s, 3 H), 1.34 - 1.40 (m, 12 H), 1.11 - 1.16 (m, 1 H), 0.83 - 0.87 (m, 1 H).
【0202】
N-tert-ブチル-1-メチル-シクロプロパ-2-エン-1-カルボキサミド:DMSO(15mL)中の2-ブロモ-N-tert-ブチル-1-メチル-シクロプロパンカルボキサミド(5.5g、23.49mmol)の混合物をKOH(2.64g、46.98mmol)および18-クラウン-6(621mg、2.35mmol)を25℃で加えた。混合物を25℃で72時間撹拌した。反応混合物を水(50mL)で希釈し、DCM:i-PrOH(3×50mL、v:v=3:1)で抽出した。次に、合わせた有機層をブライン(3×10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=20:1~5:1)で精製して、N-tert-ブチル-1-メチル-シクロプロパ-2-エン-1-カルボキサミドを得た。LCMS:RT 1.027 min, m/z = 154.2 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 7.09 (s, 2H), 1.36 (s, 3H), 1.29 (s, 9 H).
【0203】
(1,2-シス)-N-(tert-ブチル)-2-(3-シクロプロピル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボキサミド:THF(30mL)中の3-シクロプロピル-1H-ピラゾール(2.82g、26.11mmol)の混合物に、18-クラウン-6(690mg、2.61mmol)およびNaH(2.09g、52.21mmol、60%純度)を加えた。混合物を25℃で0.5時間撹拌した。N-tert-ブチル-1-メチル-シクロプロパ-2-エン-1-カルボキサミド(4g、26.11mmol)を反応溶液に加えた。次に、混合物を80℃でさらに16時間撹拌した。反応混合物を水(100mL)で希釈し、MTBE(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×20mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1~1:1)および分取HPLC(TFA)で精製して、(1,2-シス)-N-(tert-ブチル)-2-(3-シクロプロピル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボキサミドを得た。LCMS: RT 1.248 min, m/z = 262.18 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 7.26 (d, J=2.4 Hz, 1H), 5.80 (d, J=2.4 Hz, 1H), 5.72 (br.s, 1H), 3.56 (dd, J=5.1, 7.9 Hz, 1H), 2.02 (dd, J=5.1, 6.4 Hz, 1H), 1.95 - 1.88 (m, 1H), 1.43 (s, 3H), 1.13 (s, 9H), 0.90 (dd, J=2.2, 8.6 Hz, 2H), 0.75 - 0.60 (m, 3H).
【0204】
(1,2-シス)-N-(tert-ブチル)-2-(3-シクロプロピル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボキサミド:Ac2O(30mL)中のCu(NO3)2・3H2O(18.03g、74.61mmol)の混合物に(1,2-シス)-N-tert-ブチル-2-(3-シクロプロピルピラゾール-1-イル)-1-メチル-シクロプロパンカルボキサミド(1.95g、7.46mmol)を加えた。混合物を25℃で16時間撹拌した。反応混合物をH2O(100mL)で希釈し、次にEtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(3×20mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、(1,2-シス)-N-(tert-ブチル)-2-(3-シクロプロピル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボキサミドを得た。粗製物を精製せずに次のステップに使用した。LCMS: RT 1.245 min, m/z = 307.2 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 8.08 (s, 1H), 5.60 (br s, 1H), 3.68 - 3.40 (m, 1H), 2.61 - 2.51 (m, 1H), 2.25 - 2.22 (m, 1H), 1.46 (s, 3H), 1.19 (s, 9H), 1.07 - 0.91 (m, 4H).
【0205】
(1,2-シス)-2-(3-シクロプロピル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボニトリル:T3P(30mL、EtOAc中50%)中の(1,2-シス)-N-tert-ブチル-2-(3-シクロプロピル-4-ニトロ-ピラゾール-1-イル)-1-メチル-シクロプロパンカルボキサミド(2.2g、7.18mmol)を80℃で4時間撹拌した。反応混合物をH2O(50mL)で希釈し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×20mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=20:1~5:1)で精製して、(1,2-シス)-2-(3-シクロプロピル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボニトリルを得た。LCMS: RT 1.142 min, m/z = 233.1 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 8.22 (s, 1H), 3.71 (dd, J=5.1, 7.7 Hz, 1H), 2.64 - 2.57 (m, 1H), 2.22 (dd, J=5.2, 7.0 Hz, 1H), 1.55 (s, 3H), 1.52 (s, 1H), 1.06-1.02 (m, 4H).
【0206】
(1,2-シス)-2-(4-アミノ-3-シクロプロピル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボニトリル:EtOH(10mL)およびH2O(1mL)中の(1,2-シス)-2-(3-シクロプロピル-4-ニトロ-ピラゾール-1-イル)-1-メチル-シクロプロパンカルボニトリル(1g、4.31mmol)の混合物にFe(721mg、12.92mmol)およびNH4Cl(691mg、12.92mmol)を加えた。混合物を80℃で4時間撹拌した。反応混合物をセライトのパッドを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残留物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、(1,2-シス)-2-(4-アミノ-3-シクロプロピル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボニトリルを得、これをさらに精製することなく次のステップに使用した。LCMS: RT 0.779 min, m/z = 203.1 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 7.02 (s, 2H), 3.57 (dd, J=5.3, 7.5 Hz, 1H), 2.13 (br t, J=5.8 Hz, 1H), 1.74 - 1.63 (m, 1H), 1.48 (s, 3H), 1.37 (br t, J=7.2 Hz, 1H), 0.89 - 0.80 (m, 4H).
【0207】
(1R,2S)-および(1S,2R)-2-(3-シクロプロピル-4-((4-(エチルアミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボニトリル:1,4-ジオキサン(40mL)中の(1,2-シス)-2-(4-アミノ-3-シクロプロピル-ピラゾール-1-イル)-1-メチル-シクロプロパンカルボニトリル(650mg、3.21mmol)および2-クロロ-N-エチル-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-アミン(653mg、2.89mmol)の混合物にp-TsOH.H2O(611mg、3.21mmol)を25℃で加えた。混合溶液を90℃で4時間撹拌した。反応混合物をH2O(50mL)で希釈し、飽和NaHCO3によりpH=7に調整し、次に、EtOAc(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=20:1~5:1)で精製して、(1,2-シス)-2-(3-シクロプロピル-4-((4-(エチルアミノ)-5)-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボニトリルをラセミ体として得た。生成物をキラルSFC(カラム:AD(250mm*30mm、5μm);移動相:[0.1%NH3H2O MEOH]; B%:30%~30%、5.5分)でさらに分離し、(1R,2S)-および(1S,2R)-2-(3-シクロプロピル-4-((4-(エチルアミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボニトリルを得た。
【0208】
SFCによる最初の溶出異性体:SFCから得られた生成物に、MTBE(3mL)を加え、混合物を溶解するまで60℃に加熱した。溶液を濾過した。n-ヘプタン(20mL)を、濁るまで攪拌している濾液に加えた。次に混合物を25℃で12時間撹拌した。沈殿した生成物を濾過により収集し、減圧下で乾燥した。LCMS: RT 1.083 min, m/z = 392.2 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 8.15 (br s, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.07 - 6.82 (m, 1H), 5.15 (br d, J=16.1 Hz, 1H), 3.68 (dd, J=5.2, 7.7 Hz, 1H), 3.59 (br s, 2H), 2.17 (br s, 1H), 1.77 - 1.68 (m, 1H), 1.52 (s, 3H), 1.44 (br t, J=7.2 Hz, 1H), 1.32 (br s, 3H), 0.96 - 0.90 (m, 2H), 0.90 - 0.84 (m, 2H).
【0209】
SFCによる第2の溶出異性体:SFCから得られた生成物に、MTBE(3mL)を加え、混合物を溶解するまで60℃に加熱した。溶液を濾過した。n-ヘプタン(20mL)を、濁るまで攪拌している濾液に加えた。次に混合物を25℃で12時間撹拌した。沈殿した生成物を濾過により収集し、減圧下で乾燥した。LCMS: RT 1.084 min, m/z = 392.2 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 8.15 (br s, 1H), 8.01 (s, 1H), 7.15 - 6.62 (m, 1H), 5.41 - 4.80 (m, 1H), 3.68 (dd, J=5.1, 7.7 Hz, 1H), 3.59 (br s, 2H), 2.17 (br s, 1H), 1.77 - 1.68 (m, 1H), 1.59 (s, 3H), 1.44 (br t, J=7.1 Hz, 1H), 1.32 (br s, 3H), 0.97 - 0.90 (m, 2H), 0.90 - 0.83 (m, 2H).
【0210】
(1,2-シス)-2-(3-シクロプロピル-4-((4-(エチルアミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボキサミド:DMSO(5mL)中の(1,2-シス)-2-(3-シクロプロピル-4-((4-(エチルアミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボニトリル(150mg、0.38mmol)のSFCの最初に溶出するエナンチオマーの溶液に、飽和K2CO3水溶液(0.3mL)およびUHP(432mg、4.59mmol)を、25℃でN2下で加えた。混合物を25℃で12時間撹拌した。混合物を20℃の水(20mL)に注ぎ、EtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(3×10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を以下の条件下:カラム:Xtimate C18 150*40mm*10μm;移動相:[水(10mM NHHCO3)-ACN]; B%:35%~65%、で分取HPLCにより精製し、7分で所望の生成物を提供した。LC-MS, m/z = 410.1 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.12 (br s, 1H), 7.91 (s, 1H), 6.98 (br d, J = 18.1 Hz, 1H), 5.81 (br s, 1H), 5.35-5.02 (m, 2H), 3.63 (dd, J = 5.1, 7.9 Hz, 1H), 3.60-3.52 (m, 2H), 2.13 (br t, J = 5.6 Hz, 1H), 1.75-1.66 (m, 1H), 1.46 (s, 3H), 1.35-1.27 (m, 3H), 1.26 (s, 1H), 0.90 (dd, J = 1.8, 8.3 Hz, 2H), 0.85-0.73 (m, 2H).
実施例6
(1,2-シス)-2-(4-((4-(シクロプロピルアミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボキサミド(6)の合成
【0211】
(1,2-シス)-2-(4-((4-(シクロプロピルアミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボニトリルのラセミ混合物をキラルSCF(カラム:AD(250 mm * 30 mm、5μm);移動相:[0.1%NH3H2O MEOH]; B%:40%~40%、5分)で分離した。 DMSO(1mL)中の(1,2-シス)-2-(4-((4-(シクロプロピルアミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-メチルシクロプロパンカルボニトリル(19mg、0.05mmol)の最初の溶出異性体および飽和K2CO3水溶液(3mL)の溶液にUHP(57mg、0.6mmol)を25℃でN2下で加えた。混合物を25℃で15時間撹拌した。混合物を氷水(10mL)に注いだ。水相をEtOAc(4×3mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(3mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を以下の条件下:カラム:Xtimate C18 150*25mm*5μm;移動相:[水(10mM NH4HCO3)-ACN]; B%:20%~50%、で分取HPLC(中性)により精製し、10分で所望の生成物を得た。 LC-MS: m/z: 395.9 [M+H]+. 1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.23 (br s, 1H), 8.12 (br s, 1H), 6.91 (br s, 1H), 5.72 (br s, 1H), 5.41 (br s, 1H), 5.13 (br s, 1H), 3.66 (dd, J = 5.2, 8.0 Hz, 1H), 2.92 (br s, 1H), 2.25 (s, 3H), 2.17 (br s, 1H), 1.48 (s, 3H), 1.31 (dd, J = 6.4, 8.0 Hz, 1H), 0.93 (br s, 2H), 0.67 (br s, 2H).
実施例7および8
(1,2-シス)-2-(3-シクロプロピル-4-((4-(エチルアミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボキサミド(7および8)の合成
【0212】
3-シクロプロピル-4-ニトロ-1-ビニル-ピラゾール:1,2-ジクロロエタン(50mL)中の3-シクロプロピル-4-ニトロ-1H-ピラゾール(7g、45.71mmol)およびBETAC(1.04g、4.57mmol)の混合物にNaOH(9.14g、228.55mmol)および水(9mL)を20℃でN2下で加えた。混合物を80℃で8時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=100:1から1:1)によって精製して、3-シクロプロピル-4-ニトロ-1-ビニル-ピラゾールを得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 8.23 (s, 1 H), 6.87 (dd, J = 15.55, 8.71 Hz, 1 H), 5.70, (d, J = 15.66 Hz, 1 H), 5.06 (d, J = 8.60 Hz, 1 H), 2.53 - 2.68 (m, 1 H), 0.97 - 1.11 (m, 4 H).
【0213】
(1,2-シス)-エチル-2-(3-シクロプロピル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボキシレート:DCM(114mL)中の3-シクロプロピル-4-ニトロ-1-ビニル-ピラゾール(7.6g、42.42mmol)の溶液に、3-[3-(2-カルボキシ-2-メチル-プロピル)フェニル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;酢酸ロジウム(II)(0.32g、0.42mmol)を、25℃でN2下で加えた。次に、DCM(61mL)中のエチル2-ジアゾアセテート(29.04g、254.50mmol)の溶液を、25℃で10時間にわたって滴下して加えた。添加後、混合物を25℃で2時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1~1:1)で精製して、(1,2-シス)-エチル2-(3-シクロプロピル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボキシレートを得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.24-8.08 (m, 1H), 4.10-3.95 (m, 2H), 3.90 (dt, J = 5.6, 7.5 Hz, 1H), 2.58 (tt, J = 5.2, 8.1 Hz, 1H), 2.31-2.15 (m, 1H), 2.04-1.95 (m, 1H), 1.64-1.58 (m, 1H), 1.18 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.03-0.87 (m, 4H).
【0214】
(1,2-シス)-2-(3-シクロプロピル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボン酸:1,4-ジオキサン(9mL)中の(1,2-シス)-エチル2-(3-シクロプロピル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボキシレート(2.9g、10.93mmol)の溶液に、25℃で、N2下でHCl(2M、72.48mL)を加えた。混合物を60℃に加熱し、15時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮して、(1,2-シス)-2-(3-シクロプロピル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボン酸を得た。 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.15 (s, 1H), 4.12-3.92 (m, 2H), 2.64-2.51 (m, 1H), 2.29-2.18 (m, 1H), 2.05-1.94 (m, 1H), 1.60 (dt, J = 6.4, 8.0 Hz, 1H), 1.08-0.79 (m, 4H).
【0215】
(1,2-シス)-2-(3-シクロプロピル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボキサミド:DMF(30mL)中の(1,2-シス)-2-(3-シクロプロピル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボン酸(2.8g、11.8mmol)にNH4Cl(3.79g、70.82mmol)およびDIPEA(9.15g、70.82mmol、12.34mL)を25℃でN2下で加えた。混合物を10分間撹拌し、次にHATU(8.98g、23.61mmol)を加え、混合物を2時間撹拌した。混合物を水(150mL)に注いだ。水相をEtOAc(4×50mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をp-TLC(PE:EtOAc=100:1~0:1)によって精製して、(1,2-シス)-2-(3-シクロプロピル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボキサミドを得た。
【0216】
(1,2-シス)-2-(4-アミノ-3-シクロプロピル-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボキサミド:EtOH(16mL)およびH2O(4mL)中の(1,2-シス)-2-(3-シクロプロピル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボキサミド(0.8g、3.39mmol)の溶液に、NH4Cl(905.8mg、16.93mmol)およびFe(945.6mg、16.93mmol)を25℃で加えた。混合物を80℃に加熱し、2時間撹拌した。混合物を濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をDCM:MeOH(10mL、v:v=10:1)で洗浄し、濾過して減圧下で濃縮して、(1,2-シス)-2-(4-アミノ-3-シクロプロピル-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボキサミドを得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.32 (s, 1H), 3.80-3.75 (m, 1H), 2.13-2.05 (m, 1H), 1.93-1.87 (m, 1H), 1.76 (tt, J = 5.2, 8.3 Hz, 1H), 1.47-1.42 (m, 1H), 0.92-0.73 (m, 4H).
【0217】
(1,2-シス)-2-(3-シクロプロピル-4-((4-(エチルアミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボキサミド:1,4-ジオキサン(10mL)中の(1,2-シス)-2-(4-アミノ-3-シクロプロピル-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボキサミド(230mg、1.12mmol)および2-クロロ-N-エチル-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-アミン(251mg、1.12mmol)の混合物を、N2下、25℃でp-TsOH(63mg、0.33mmol)に加えた。混合物を90℃に加熱し、2時間撹拌した。混合物を水(10mL)に注ぎ、飽和NaHCO3でpH=7~8に調整し、EtOAc(3×5mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。混合物を以下の条件下:カラム:Waters Xbridge 150*25 5μm;移動相:[水(10mM NH4HCO3)-ACN]; B%:20%~40%、で分取HPLCにより精製し、10分で所望の化合物を得、SFC(DAICEL CHIRALPAK AD-H(250 mm * 30 mm、5μm);移動相:[0.1%NH3H2O MEOH]; B%:40%~40%、8分)によってさらに分離し、(1R,2S)-および(1S,2R)-2-(3-シクロプロピル-4-((4-(エチルアミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)を提供した。
【0218】
SFCによる最初の溶出異性体(8):保持時間:3.450分。 LC-MS: m/z: 396.2 [M+H]+. 1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.11 (br s, 1 H), 7.93 (s, 1 H), 6.43-7.04 (m, 1 H), 5.79 (br s, 1 H), 5.24 (br s, 2 H), 3.88 (q, J = 7.06 Hz, 1 H), 3.60 (br s, 2 H), 1.96-2.13 (m, 2 H), 1.66-1.70 (m, 1 H), 1.50 (td, J = 7.77, 5.62 Hz, 1 H), 1.32 (br s, 3 H), 0.77-0.95 (m, 4 H)。
【0219】
SFCによる第2の溶出異性体(7):保持時間:4.606分。 LC-MS: m/z: 396.2 [M+H]+. SFC:保持時間: 4.606分。 1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.12 (br s, 1 H), 7.95 (s, 1 H), 6.43-7.01 (m, 1 H), 5.73 (br s, 1 H), 5.18 (br s, 2 H), 3.82-3.99 (m, 1 H), 3.60 (br s, 2 H), 1.95-2.12 (m, 2 H), 1.67-1.76 (m, 1 H), 1.50 (td, J = 8.05, 5.51 Hz, 1 H), 1.32 (br s, 3 H), 0.78-0.95 (m, 4 H)。
化合物の生化学的アッセイ
生物学的実施例1
材料:
・LRRK2 G2019S酵素
・基質(LRRKtide)
・ATP
・TR-FRET希釈緩衝液
・pLRRKtide抗体
・384ウェルアッセイプレート
・DMSO
酵素反応条件
・50mM Tris pH 7.5、10mM MgCl2、1mM EGTA、0.01%Brij-35、2mM DTT
・5nM LRRK2
・134μM ATP
・60分の反応時間
・23℃の反応温度
・総反応容量10μL
検出反応条件
・1×TR-FRET希釈緩衝液
・10mM EDTA
・2nM抗体
・23℃の反応温度
・総反応容量10μL
【0220】
化合物は、最初にDMSOで1mMに希釈することによって調製される。35μLの参照化合物溶液、35μLの試験化合物溶液、および35μLのHPEをソースプレート(384ウェルアッセイプレート、Labcyte)に連続して添加する。プレートを2500rpmで1分間遠心分離し、ホイルで密封する。PODを使用して3.162倍段階希釈を実行し、100nLの参照化合物溶液、試験化合物溶液、HPEおよびZPEをアッセイプレートに移す。アッセイプレートを2500rpmで1分間遠心分離し、ホイルで密封する。
【0221】
酵素反応を実施するために、アッセイ緩衝液中の5μLのLRRKtide基質およびキナーゼ混合物を、アッセイプレートのすべてのウェルに添加する。プレートを遠心分離して、ウェルの底に混合物を濃縮する。アッセイプレートを23℃で20分間インキュベートする。インキュベーション後、アッセイ緩衝液中の2×ATP 5μLを各ウェルに添加し、プレートを遠心分離してウェルの底に混合物を濃縮する。プレートを23℃で60分間インキュベートする。
【0222】
反応の検出を行うために、TR-FRET希釈緩衝液に完全に混合されたEDTAを抗体試薬に添加する。アッセイプレートの各ウェルのすべてのウェルに10μLの検出試薬を添加し、プレートを遠心分離してウェルの底に混合物を濃縮する。次にプレートを23℃で60分間インキュベートする。プレートを、340nm励起フィルター、520nm蛍光発光フィルター、および490または495nmテルビウム発光フィルターを使用してTR-FRETモードでPerkin Elmer Envision 2104機器で読み取る。
【0223】
本明細書に開示される化合物のいくつかを、上記の方法に従って試験し、表3に示されるように、LRRK2 G2019S IC50を示すことが見出した。
生物学的実施例2
代謝安定性
【0224】
選択した化合物の代謝安定性を、96ウェルプレートアッセイフォーマットを使用して、ヒト肝ミクロソーム(CorningまたはXenoTech、LLCから)で評価した。化合物を、NADPH補因子の存在下または非存在下で、ミクロソームマトリックス(総タンパク質0.5mg/mL)中で最終濃度1μMで37℃でインキュベートした。NADP、MgCl
2、イソクエン酸、およびイソクエン酸デヒドロゲナーゼで構成されるNADPH再生システムをアッセイに使用した。酵素反応を、トルブタミドおよびラベタロール内部標準(100ng/mL)を含むアセトニトリルを添加して、終了前に0、5、10、20、30、または60分間実施した。10分間振とうした後、プレートを20分間遠心分離(4℃で4000rpm)に供し、上澄みをHPLCグレードの水と1:3で混合した。サンプルを、各分析物および内部標準(IS)に適切なMRMトランジションを使用してLC-MS/MSで分析した。分析物/ISピーク面積比を使用して、各時点で残っている化合物の割合を決定した。固有クリアランス(Cl
int;mL・分
-1・mg
-1として表される)を、試験品の崩壊の一次除去定数(k、分
-1)およびインキュベーションの量から計算した。これらの値を、ヒト固有のスケーリング係数(肝臓1gあたり48.8mgのミクロソームタンパク質;体重1kgあたり25.7gの肝臓)を使用して、固有臓器クリアランス(Cl
int)にスケーリングした。その後、臓器Cl
intは、十分に攪拌された肝排泄モデルを使用して、肝クリアランス、HLM(CL
hep、mL・分
-1・kg
-1)に変換した、ここで、Q
hはヒトの肝血流量(20.7mL・分
-1・kg
-1)である。
【数1】
【0225】
CLhepは、上記のインビトロアッセイに基づいて予測される肝臓のヒトクリアランスである。より低い値は、肝臓によって除去される化合物が少ないことを示す。このアッセイで試験した化合物のデータを表3に示す。
生物学的実施例3
MDR1-MDCK透過性
【0226】
血液脳関門(BBB)は、循環血液を中枢神経系(CNS)の細胞外液から分離する。受動膜透過性(Papp)およびMDR1(P-糖タンパク質)基質排出電位を、BBBを介した化合物の有効透過性のインビトロモデルとしてMDR1-MDCK細胞株を使用して決定する。双方向アッセイを、MDR1阻害剤(GF120918またはValspodar)の非存在下または存在下で、12または96ウェルプレートを使用して、事前にプレーティングされたMDR1-MDCK細胞で実施した。アッセイを、輸送緩衝液(HBSS、pH 7.4)で、37℃で90分または120分(分)、1μMの試験片濃度を使用して2回実行した。単層の完全性をルシファーイエローを使用して確認し、受動的透過性およびMDR1輸送の適切なポジティブコントロールが各実験に含まれていた。インキュベーション後、ドナーおよびレシーバーコンパートメントからのサンプルを取り出し、適切な内部標準(IS)を含むアセトニトリルでクエンチする。タンパク質を3220gで10分間遠心分離して沈殿し、上澄みを超純水で希釈してから(必要に応じて)、分析物とISに適切なMRMトランジションを使用したLC-MS/MSで分析した。Papp(cm/秒[センチメートル/秒]で表される見かけの透過性)の値は、次の式に従って計算した。
【数2】
ここで、V
Rはレシーバーチャンバー(頂端側または基底外側)の溶液容量であり、面積はインサート膜の表面積であり)、時間は秒単位で表されるインキュベーション時間であり、C
Rはレシーバーチャンバーのピーク面積比(分析物/IS)であり、C
Aはドナーチャンバーの初期濃度と最終濃度の平均であり、C
oはドナーチャンバーの初期ピーク面積比である。P
appを、頂端から基底外側(A→B)および基底外側から頂端(B→A)の両方の方向で決定した。
【0227】
単層排出比(ER)を、次の式を使用して導き出した。
【数3】
【0228】
MDR1-MDCK排出比が5より小さいまたは5に等しい化合物は、血液脳関門を通過する能力を示す可能性がある。MDR1-MDCK排出比が20を超える化合物は、血液脳関門を通過することは期待されていない。このアッセイで試験した化合物のデータを表3に示す。
生物学的実施例4
G2019S LRRK2を発現したHEK293細胞におけるpSer935の阻害
【0229】
このアッセイは、キナーゼ阻害の直接マーカーとしてのLRRK2の自己リン酸化の試験化合物阻害活性を示す。
【0230】
LRRK2は、GTPアーゼドメイン、キナーゼドメイン、およびいくつかの潜在的なタンパク質間相互作用ドメインを含むマルチドメインタンパク質をコードする。LRRK2で特定された病原性変異の大部分は、LRRK2に関連する最も一般的な変異(G2019SおよびN2081D)を含め、その触媒ドメイン内にある。これらの変異は、キナーゼドメイン自体の直接的な変異または間接的なメカニズムのいずれかによって、LRRK2のキナーゼ活性を増加させることが報告されている。キナーゼ活性の増加は、LRRK2を介した病因に寄与することが提案されており、本明細書に開示される化合物の治療可能性を支持している。
【0231】
残基セリン935(pS935)でのLRRK2のリン酸化は、LRRK2キナーゼ活性の薬理学的阻害に感受性であることが以前に実証されたキナーゼ活性の十分に確立されたバイオマーカーであり、細胞および組織の内因性レベルで検出することができる。小分子キナーゼ阻害剤による処置は、LRRK2の阻害後にSer935を急速に脱リン酸化することが示されている。このアッセイにおいて、試験化合物による残基セリン935(pS935)でのLRRK2のリン酸化の阻害をHEK293細胞で決定した。
【0232】
HEK293細胞を、最初に、強力な過剰発現のためにCMVプロモーターの制御下で、G2019S変異(p.G2019S)を有するFLAGタグ付きヒトLRRK2 cDNAを保有するプラスミドで一過性にトランスフェクトした。化合物処理有りまたは無しでのG2019S発現細胞のリン酸化Ser935のレベルを、抗FLAG捕捉抗体およびリン酸化特異的抗LRRK2 pS935モノクローナル検出抗体を使用したMSDによって測定した。IC
50を、10ポイントの投与量反応データを4つのパラメータの非線形回帰曲線と2回フィッティングすることによって決定した。
材料:
【表A】
試験プロトコル:
【0233】
(1日目)293T細胞の播種:293T細胞を、6ウェルプレートの各ウェルに播種した(1.4×106/ウェル)。培養2日後、細胞数は5x106/ウェルに増加する可能性があるため、N+1ウェルを播種した(N96ウェルアッセイプレートに十分である)。
【0234】
(2日目)293T細胞トランスフェクション:5μLのpCMV-FLAG-G2019SまたはpCMV-FLAG-WT LRRK2(0.5μg/μL)を145μLのDMEM培地に添加し、ピペットで数回上下に完全に混合した。15μLのSuperFectトランスフェクション試薬をサンプルに添加し、ピペッティングを上下に数回行って完全に混合し、室温で5~10分間平衡化させた。あらかじめ温めておいた細胞培養培地の0.5mLをサンプルに添加し、ピペッティングを上下に数回行って完全に混合した。650μLの混合物を6ウェルプレートの各ウェルに滴下して添加し、プレートを回転させて完全に混合し、5%CO2の加湿雰囲気の37℃インキュベーター内で20~24時間インキュベートした。
【0235】
(3日目)293T細胞を96ウェルプレートに播種する:細胞を収集し、0.96×106細胞/mL密度で細胞培養培地に再懸濁した。50μL/ウェルの細胞を96ウェル細胞培養プレート(48,000細胞/ウェル)にプレーティングし、プレートを5%CO2の加湿雰囲気下で37℃のインキュベーター内で20~24時間インキュベートした。
【0236】
(4日目)阻害剤処理および細胞溶解:化合物デスティネーションプレートを室温で解凍し、そして2000rpmで遠心分離した。55μLの細胞培養培地を化合物デスティネーションプレートに添加し、プレートを37℃で温めた。
【0237】
化合物を含む50μLの細胞培養培地を細胞培養プレートに移した。プレートを5%CO2の加湿雰囲気下で37℃のインキュベーター内で90分間インキュベートした後、化合物を含むすべての培地を300μLのピペットで手動で完全に吸引した。100μL/ウェルの溶解緩衝液を添加し、プレートを密封し、4℃で30分間振とうし、使用するまで-20℃で保存した。
【0238】
(5日目)MSD手順:PBSで希釈した2μg/25μL/ウェルのFLAG抗体をMSDプレートに加え、室温で2時間または4℃で一晩(4日目に)インキュベートした。96ウェルプレートあたり50μL(3.9μg/μL)のFLAG抗体と2.5mL PBS、または384ウェルプレートあたり50μL(3.9μg/μL)の抗FLAG抗体と5mL PBS。プレートを1000rpmで10秒間遠心分離し、プレートシェーカーで10秒間振とうした。
【0239】
抗FLAG抗体を廃棄し、ウェルを、マルチドロップ、低速を使用して、96ウェルプレートの場合は300μL/ウェルの洗浄緩衝液で2回、または384ウェルプレートの場合は70μL/ウェルの洗浄緩衝液で3回洗浄した。96ウェルプレートの場合は50μL/ウェルのブロッキング緩衝液、または384ウェルプレートの場合は25μL/ウェルのブロッキング緩衝液を添加し、プレートを室温で2時間インキュベートした。次に、ブロッキング緩衝液を廃棄し、マルチドロップ、低速を使用して、96ウェルプレートの場合は300μL/ウェルの洗浄緩衝液で2回、または384ウェルプレートの場合は70μL/ウェルの洗浄緩衝液で3回、ウェルを洗浄した。
【0240】
25μLの細胞溶解物を96ウェルMSDプレートに移すか、または12.5μLの細胞溶解物を384ウェルMSDプレートに移し、プレートを室温で1時間インキュベートした。
【0241】
注:細胞溶解物は、このステップの1時間前に解凍されるべきであり、プレートは、1000rpmで1分間遠心分離され、30秒間振とうされ、次いで、溶解物移動のために開封されるべきである。
【0242】
次に、溶解物を廃棄し、マルチドロップ、低速を使用して、96ウェルプレートの場合は300μL/ウェルの洗浄緩衝液で3回、または384ウェルプレートの場合は70μL/ウェルの洗浄緩衝液で4回、ウェルを洗浄した。
【0243】
抗LRRK2 pS935抗体をブロッキング緩衝液で希釈し(1:200)、各ウェルに添加し(96ウェルプレートに25μL/ウェル抗体、384ウェルプレートに12.5μL/ウェル抗体)、プレートを室温でインキュベートした。1時間後、抗体を廃棄し、マルチドロップ、低速を使用して、96ウェルプレートの場合は300μL/ウェルの洗浄緩衝液で3回、または384ウェルプレートの場合は70μL/ウェルの洗浄緩衝液で4回、ウェルを洗浄緩衝液で洗浄した。
【0244】
SULFOタグ付きヤギ抗ウサギ抗体をブロッキング緩衝液で希釈し(1:500)、各ウェルに添加し(96ウェルプレートに25μL/ウェル抗体、384ウェルプレートに12.5μL/ウェル抗体)、プレートを室温でインキュベートした。1時間後、抗体を廃棄し、マルチドロップ、低速を使用して、96ウェルプレートの場合は300μL/ウェルの洗浄緩衝液で3回、または384ウェルプレートの場合は70μL/ウェルの洗浄緩衝液で4回、ウェルを洗浄緩衝液で洗浄した。最終的な洗浄緩衝液のアリコートは、読み取り緩衝液が添加されるまで取り出されなかった。
【0245】
読み取り緩衝液を新たに調製し(MilliQ水で4X読み取り緩衝液を1:1に希釈)、光から保護した。次に、洗浄緩衝液を除去し、150μL/ウェルの2X読み取り緩衝液を各ウェル(96ウェルプレート)に、または50μL/ウェルの2X読み取り緩衝液を各ウェル(384ウェルプレート)に添加した。次に、プレートを3分間インキュベートし、MSDセクターリーダー(MSD6000)を使用して15分以内に読み取った。データ分析にドットマティクスを使用した。Zファクター>0.5。アッセイウィンドウ=3~6倍。阻害率は次のように計算した。
%阻害率=(処理済みサンプル-ZPE)/(HPE-ZPE)*100
【0246】
このアッセイで試験された化合物のデータを表3に示す。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0247】
生物学的実施例4(HEK293T LRRK2 G2019S pS935)の細胞アッセイからのIC50値は、一般に、生物学的実施例1(LRRK2 G2019S TR-FRET)の生化学的アッセイからの値よりも10倍大きく、IC50値が10nMまたは10nM未満に近づくと、その10倍の差は減少する。1桁のナノモルIC50濃度では、細胞アッセイは生化学的アッセイよりも感度が高く、したがってこの範囲の化合物の相対IC50値をより正確に解決することがわかった。
【0248】
上記の表に示されるように、化合物1~8は、生物学的実施例4の細胞アッセイに従って試験された場合、比較例Aよりもより活性なLRRK2阻害剤であることが驚くべきことに見出された。
【0249】
化合物1~8は、それらの計算された110の全極性表面の面積に基づいて(Ertl et al., J. Med. Chem. 2000, 43, 3714-3717)、P-糖タンパク質(P-gp)基質であり、脳への浸透が非常に乏しい(Hitchcock, J. Med. Chem. 2012, 55, 4877-4895)と予想される。化合物7をさらにインビトロで試験し(生物学的実施例3、MDR排出アッセイ)、非常に貧弱な脳浸透を示唆する透明なP-gp基質(排出比=110)であることを見出した。したがって、化合物1~8は、血液脳関門を通過できるLRRK2阻害剤と比較して、非CNS疾患の処置におけるCNS関連の副作用を回避するのに有利である。
【0250】
特に、化合物7を、非常に強力で、安定で、非脳浸透性のLRRK2阻害剤であることを驚くべきことに見出した。化合物7を、比較例Aよりも約12倍強力であることを見出した。
【0251】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0252】
本明細書に例示的に記載されている発明は、本明細書に具体的に開示されていない1つまたは1つより多くの要素、制限がない状態で適切に実施することができる。したがって、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」などは、広範かつ制限されないように読まれなければならない。さらに、本明細書で使用される用語および表現は、制限ではなく説明の用語として使用されており、示されて記載された特徴またはその一部の同等物を除外するような用語および表現の使用を意図していないが、本発明の請求項の範囲内で様々な改変が可能であることが認識される。
【0253】
したがって、本発明は、好ましい実施形態および必要に応じた特徴によって具体的に開示されてきたが、本明細書で具体化され本明細書に開示された本発明の実施形態の改変、改善および変形は、当業者によって再区分され得、そのような改変、改善および変形は、本発明の範囲内であると見なされることを理解されるべきである。本明細書で提供される材料、方法、および例は、好ましい実施形態の代表であり、例示であり、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0254】
本発明は、本明細書において広く一般的に記載されている。一般的な開示に含まれるより狭い種および下位概念の群のそれぞれもまた、本発明の一部を形成する。これは、切除された材料が本明細書に具体的に記載されているかどうかにかかわらず、属から主題を削除する但し書きまたは負の制限を伴う本発明の一般的な説明を含む。
【0255】
さらに、本発明の特徴または態様がマーカッシュ群に関して記載される場合、当業者は、本発明が、それによって、マーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループおいても記載されることを認識する。
【0256】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、それぞれが参照により個別に組み込まれるのと同じ程度に、その全体が参照により明示的に組み込まれる。矛盾する場合は、定義を含む本明細書が優先される。
【0257】
本開示は上記の実施形態と併せて記載されてきたが、前述の記載および実施例は、本開示の範囲を説明することを意図しており、制限するものではないことを理解されるべきである。本開示の範囲内の他の態様、利点、および改変は、本開示が関係する当業者には明らかである。
【国際調査報告】