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特表2022-526036ベータ-カルボリン化合物並びに癌の非細胞傷害的及び免疫学的治療のためのその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(54)【発明の名称】ベータ-カルボリン化合物並びに癌の非細胞傷害的及び免疫学的治療のためのその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/437 20060101AFI20220513BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220513BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20220513BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220513BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220513BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220513BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220513BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
A61K31/437
A61K45/00
A61K35/17 Z
A61P35/00
A61P37/04
A61K39/395 N
A61P43/00 105
C07D471/04 103A
C07D471/04 CSP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560180
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(85)【翻訳文提出日】2021-11-19
(86)【国際出願番号】 EP2020058070
(87)【国際公開番号】W WO2020193502
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】19164877.3
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521438870
【氏名又は名称】エーシー バイオサイエンス エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】オークレア クリスティアン
【テーマコード(参考)】
4C065
4C084
4C085
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4C065AA04
4C065BB04
4C065CC09
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH02
4C065JJ01
4C065KK01
4C065LL01
4C065LL03
4C065PP01
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB09
4C084ZB21
4C084ZB26
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB31
4C085CC22
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB09
4C086ZB21
4C086ZB26
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB64
4C087BB65
4C087CA04
4C087CA12
4C087MA02
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB21
4C087ZB26
(57)【要約】
本発明は、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)及び非細胞傷害的な癌免疫療法におけるその使用であって、免疫チェックポイント阻害剤療法を増強するため、癌免疫応答を活性化するため、ヒトの癌を治療するか、又はヒトの癌の症状を軽減するか、又はヒトの癌を予防するための、単独での、若しくは同時投与、別々の投与若しくは連続投与のために1種以上の癌免疫療法剤と組み合わせての使用を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同時投与、別々の投与又は連続投与のための、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物と1種以上の癌免疫療法剤との組合せ医薬であって、
前記β-カルボリン化合物は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物が前記β-カルボリン化合物の存在下で成長させられると、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、前記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たし、
前記癌免疫療法剤は、免疫チェックポイント阻害剤、TCR-T細胞、CAR-T細胞又はこれらの組み合わせを含む群から選択される組合せ医薬。
【請求項2】
前記β-カルボリン化合物が、以下を含む群から選択される請求項1に記載の組合せ医薬。
【化1】
【請求項3】
前記β-カルボリン化合物が、
【化2】
である請求項1に記載の組合せ医薬。
【請求項4】
前記癌免疫療法剤が免疫チェックポイント阻害剤である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項5】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、イピリムマブ、ダカルバジン、BMS 936559、アテゾリズマブ、ラムブロリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、又は任意のこれらの組み合わせを含む群から選択される請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項6】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、ペムブロリズマブ及び/又はニボルマブである請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項7】
癌免疫応答を活性化する方法に使用するための請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項8】
ヒトの癌を治療するか若しくはヒトの癌の症状を軽減するか、又はヒトの癌の進行を防ぐ非細胞傷害的な方法に使用するための請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項9】
前記ヒトの癌が、口腔扁平上皮癌、メルケル細胞癌を含む群から選択されるMHC-1を欠く癌細胞、又は結腸腺癌、乳癌、膀胱癌、肺癌、メラノーマを含む群から選択される低いMHC-1発現を示す癌細胞を含む請求項8に記載の使用するための組合せ医薬。
【請求項10】
非細胞傷害的な癌免疫療法方法に使用するための、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物であって、前記β-カルボリン化合物は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物が前記β-カルボリン化合物の存在下で成長させられるとき、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、前記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たす、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物。
【請求項11】
前記β-カルボリン化合物が、前記β-カルボリン化合物の投与前、及び/又は前記β-カルボリン化合物の投与中、及び/又は前記β-カルボリン化合物の投与後に、1種以上の癌免疫療法剤と共投与され、前記癌免疫療法剤が、免疫チェックポイント阻害剤、TCR-T細胞、CAR-T細胞又はこれらの組み合わせを含む群から選択され、好ましくは、前記癌免疫療法剤は免疫チェックポイント阻害剤である請求項10に記載の使用するための癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物。
【請求項12】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、イピリムマブ、ダカルバジン、BMS 936559、アテゾリズマブ、ラムブロリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、又は任意のこれらの組み合わせを含む群から選択され、好ましくは、前記免疫チェックポイント阻害剤が、ペムブロリズマブ及び/又はニボルマブである請求項11に記載の使用するための癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物。
【請求項13】
癌免疫応答を活性化する方法に使用するための、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物であって、前記β-カルボリン化合物は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物が前記β-カルボリン化合物の存在下で成長させられるとき、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、前記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たす、使用するための癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物。
【請求項14】
ヒトの癌を治療するか若しくはヒトの癌の症状を軽減するか、又はヒトの癌の進行を防ぐ非細胞傷害的な方法に使用するための、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物であって、前記β-カルボリン化合物は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物が前記β-カルボリン化合物の存在下で成長させられるとき、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、前記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たす、使用するための癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物。
【請求項15】
前記ヒトの癌が、口腔扁平上皮癌、メルケル細胞癌を含む群から選択されるMHC-1を欠く癌細胞、又は結腸腺癌、乳癌、膀胱癌、肺癌、メラノーマを含む群から選択される低いMHC-1発現を示す癌細胞を含む、請求項14に記載の使用するための癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物。
【請求項16】
前記β-カルボリン化合物が、以下を含む群から選択される、請求項10から請求項15のいずれか1項に記載の使用するための癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物。
【化3】
【請求項17】
前記β-カルボリン化合物が、
【化4】
である請求項10から請求項15のいずれか1項に記載の使用するための癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができる、β-カルボリン化合物等のインドール含有化合物、及び非細胞傷害的な癌免疫療法におけるその使用であって、免疫チェックポイント阻害剤療法を増強するため、癌免疫応答を活性化するため、ヒトの癌を治療するか、又はヒトの癌の症状を軽減するか、又はヒトの癌を予防するための、単独での、若しくは同時投与、別々の投与若しくは連続投与のために1種以上の癌免疫療法剤と組み合わせての使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
正常な細胞がどのようにして悪性化するかについては、大量のデータが蓄積されている。悪性形質転換(癌化)につながる細胞内機構の脱調節には、腫瘍遺伝子、腫瘍抑制遺伝子、DNA修復機構、微小環境、腫瘍の血管新生、代謝、染色体の不安定性、及び免疫サイレンシングが関与することが知られている。主にその遺伝子の不安定性のために、腫瘍細胞が自発的に悪性表現型を失い、いわゆる腫瘍復帰を起こす可能性があることが認められている。自発的な腫瘍復帰は非常に低い割合でしか起こらないが、遺伝子操作又は薬理学的な操作により、腫瘍復帰を制御できる可能性が示されている。例えば、腫瘍復帰は、癌を支配している原因の下方制御により、インテグリンβ1シグナル伝達の阻害により、又はTCTPの阻害により、実験的に達成することができる。
【0003】
アクチンマイクロフィラメントは、すべての真核細胞に存在するユビキタスなタンパク質ポリマーである。細胞内の主要タンパク質の1つとして、アクチン及びその関連タンパク質は、細胞の形態維持、細胞接着、運動性、エキソサイトーシス及びエンドサイトーシス、並びに細胞分裂等、構造的にも機能的にも重要な役割を果たしている。しかし、アクチン重合の変化、すなわちアクチンリモデリングが、悪性腫瘍につながる形態変化及び表現型変化を制御する上で極めて重要な役割を果たしていることを示すエビデンスが増えている。腫瘍細胞では、アクチンのホメオスタシスが乱れていることが多く、その結果、Src、Abl等の腫瘍遺伝子産物、又は最も注目すべきはアクチンのリモデリングに関与するRasスーパーファミリータンパク質の低分子GTPアーゼ(Rac、Rho及びCdc42)が関与する多くのシグナル伝達経路が活性化される。癌細胞では、アクチン細胞骨格ネットワークが破壊されると、カドヘリン、インテグリン、ICAM-1等の膜接着タンパク質の機能が低下し、その結果、細胞-細胞間の接着力や細胞-細胞外マトリクスの接着力が低下し、MHC-1発現細胞とCD8リンパ球、又はAPCとThCD4リンパ球との間の免疫学的シナプスの安定性も低下する。重要なことに、MHC-1制限抗原提示経路は、多くの異なる癌組織及び癌細胞株で下方制御されている。このことから、上記経路の欠損は、免疫監視機能の喪失に、及びおそらくは癌の進行の原因にも重要な役割を果たしているのではないかという仮説が立てられた。
【0004】
従って、癌を効率的に治療することができる治療方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、同時投与、別々の投与又は連続投与のための、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物と1種以上の癌免疫療法剤との組合せ医薬(医薬組み合わせ)であって、
上記β-カルボリン化合物は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物がこのβ-カルボリン化合物の存在下で成長させられると(培養すると)、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、上記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たし、
上記癌免疫療法剤は、免疫チェックポイント阻害剤、TCR-T細胞、CAR-T細胞又はこれらの組み合わせを含む群から選択され、好ましくは、上記癌免疫療法剤は免疫チェックポイント阻害剤である組合せ医薬を提供する。
【0006】
本発明の別の態様は、癌免疫応答を活性化する方法に使用するための本発明の組合せ医薬を提供する。
【0007】
本発明の別の態様は、ヒトの癌を治療するか若しくはヒトの癌の症状を軽減するか、又はヒトの癌の進行を防ぐ非細胞傷害的な方法に使用するための本発明の組合せ医薬を提供する。
【0008】
本発明の別の態様は、非細胞傷害的な癌免疫療法方法に使用するための、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物であって、このβ-カルボリン化合物は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物がこのβ-カルボリン化合物の存在下で成長させられると、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、上記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たすβ-カルボリン化合物を提供する。
【0009】
本発明の別の態様は、癌免疫応答を活性化する方法に使用するための、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物であって、このβ-カルボリン化合物は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物がこのβ-カルボリン化合物の存在下で成長させられると、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、上記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たすβ-カルボリン化合物を提供する。
【0010】
本発明の別の態様は、ヒトの癌を治療するか若しくはヒトの癌の症状を軽減するか、又はヒトの癌の進行を防ぐ非細胞傷害的な方法に使用するための、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物であって、このβ-カルボリン化合物は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物がこのβ-カルボリン化合物の存在下で成長させられると、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、上記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たすβ-カルボリン化合物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、A:融合遺伝子EWS-Fli1を発現するマウス悪性線維芽細胞を示す。B:ACB-1Eメタノール抽出物で処理した後のAと同様の線維芽細胞を示す。赤色:アクチン。
図2図2は、A:融合遺伝子EWS-Fli1を発現するマウス悪性線維芽細胞を示す。B:ACB-1Eメタノール抽出物で処理した後のAと同様の線維芽細胞を示す。緑色:アクチン、黄色:β-カテニン。C:細胞-細胞間の接着の模式図を示す。緑色:カドヘリン、青色:β-カテニン、赤色:アクチンフィラメント。
図3図3は、ACB-1Eからのメタノール抽出物(ME)が悪性線維芽細胞(E/F)抽出物のアクチン重合に及ぼす影響を示す。重合バッファ及び細胞抽出物を時間ゼロで加え、22℃でAlexa 488アクチンによって異方性増強を追跡した。測定は10秒ごとに行った。反応混合物の最終タンパク質濃度は0.2mg/mlに調整した。曲線は、方程式Y=Ymax.[1-exp(-K.x)]に従ってフィットさせた。データは平均±標準偏差、n=4を示す。(▼)NIH-3T3からの細胞抽出物、(●)EFからの細胞抽出物、(■)EFからの細胞抽出物に5mg/LのACB-1Eからのメタノール抽出物を加えたもの。E/Fは、発癌タンパク質EWS-Fli1を発現しているNIH-3T3細胞を指す。
図4図4は、ACB1801によって処理された悪性線維芽細胞における細胞-細胞間の接着の救済(回復)を示す。A:非悪性のNIH 3T3線維芽細胞。B:融合遺伝子EWS-Fli1を発現する悪性NIH 3T3線維芽細胞。C:10μMのACB1801で48時間処理した悪性NIH 3T3線維芽細胞。
図5図5は、A:マウスのメラノーマB16 F10細胞を示す。B:5μMのACB1801で24時間処理した後のメラノーマB16 F10細胞を示す。
図6図6は、A)半固体培地中の腫瘍細胞の成長に対するACB1801の効果(足場非依存性増殖)を示す。悪性線維芽細胞(E/F)は、メチルセルロースを添加した培養培地中で35mmディッシュごとに播種した(E/FはEWS-Fli-1発癌タンパク質を発現する悪性線維芽細胞を指す)。4週間後に直径が120μm超のクローンをカウントした。数値±SDは3回の異なる実験の結果である。B)標準的な操作条件で72時間培養したE/F細胞の、増加する濃度のACB1801の存在下でのフローサイトメトリー分析。細胞をヨウ化プロピジウムで標識し、G1/S/G2期のいずれかにある細胞の割合(%)を推定した。
図7(1)】図7は、A:MHCクラスIの構造を示す。ペプチド結合領域(PBR)を形成する、細胞膜から最も遠い2つの球状ドメインは、青で影が付けられている。2つのIg様ドメインは灰色で影が付けられている。図はAlbertsら、2008:図25-50 Molecular Biology of the Cell 5/e((著作権)Garland Science 2008)より引用。MHC Iの細胞内ドメインとF-アクチンとの間の橋渡し役としてのフィラミン(ピンク)アクチンの提案された結合が元の図に追加されていた。
図7(2)】B:MHCとフィラミンの共局在。
図8図8は、染色(緑)されたL929のMHCクラスI及び染色(赤)されたアクチンの画像についての免疫細胞化学を示す。L929対照(a)、L929+IFN-γ(b)。IFN-γで前処理した細胞は、細胞のみと比較して、より多くの蛍光強度を示した。バーマーカーは50μmを示す。(Prasanthi KumchalaM.Sc.、Acharya Nagarjuna University(アチャラ・ナガージュナ大学)、2006より)
図9図9は、メラノーマB16細胞膜におけるHMC I同種抗原(ハプロタイプb)の発現レベルに対するACB1801(ハルミン)の効果を示す。メラノーマB16細胞は5μMのハルミンで24時間処理した。HMC Iレベルは、FMIモードを用いたフローサイトメトリーにより評価した。
図10図10は、PD-L1発現レベルに対するハルミン及びインターフェロンγの比較効果を示す。メラノーマB16細胞は、5μMのハルミン又は50μg/mlのインターフェロンで24時間処理した。PD-L1レベルは、FMIモードを用いたフローサイトメトリーにより評価した。
図11図11は、対照マウス(ビヒクル/iso)、並びに抗PD-1単独(ビヒクル/αPD-1)、ACB-1801(ハルミン)単独(ACB-1801/iso)、又はACB-1801及び抗PD-L1の組み合わせ(ACB-1801/αPD-1)のいずれかで処理したマウスにおける、B16-F10メラノーマの腫瘍成長(Aパネル)及びg単位の重量(Bパネル)を示す。腫瘍体積は、示した時間点で測定した。腫瘍重量は17日目に測定した。結果は、1グループあたり5匹のマウスで行った2回の独立した実験から、1グループあたり10匹のマウスの平均として報告されている。データは平均±SEM(エラーバー)で示されている。統計的に有意な差(アスタリスクで示す)は、対応のない両側スチューデント(Student)のt検定を用いて算出されている(ns=有意ではない、***=P<0.0005)。
図12図12は、メラノーマB16-F10腫瘍細胞の表面上のH-2kbに結合したOVA257-264ペプチド提示に対するACB-1801の効果を示す。パルス処理していない(培地)又はOVA257-264ペプチドSIINFEKLで48時間パルス処理した(培地+OVA)B16-F10細胞を、5μM、10μM、25μM又は50μMのACB-1801で同時に処理した(ACB1801+OVA)。OVAでパルス処理し、IFN-γで処理した細胞(IFN-γ+OVA)を陽性対照として使用した。その後、SIINFEKL抗体に結合したPE抗マウスH-2Kb又はマウスIgG1、κPEアイソタイプコントロールで細胞を染色した。データは3回の独立した実験の平均として報告され、平均±SEM(エラーバー)で示されている。対応のない両側スチューデントt検定を用いて、対照条件(培地)と比較して算出した統計的に有意な差(アスタリスクで表示)を示している(**=p<0.005及び***=p<0.0005)。
図13図13は、B16-F10メラノーマ腫瘍保有におけるACB-1801の抗腫瘍効果を示す。左パネル:ビヒクルで処理した免疫不全のNOD Scidガンマ(NSG)マウス(ビヒクルMC)又は50mg/kgのACB-1801を毎日経口投与して処理した免疫不全のNSGマウス(ACB-1801)にシンジェニックに移植したB16-F10メラノーマ腫瘍の体積(mmで報告)。右パネル:ビヒクルを毎日経口投与して処理した免疫適格性のC57BL/6マウス(ビヒクル/iso)又は50mg/kg ACB-1801を毎日経口投与して処理した免疫適格性のC57BL/6マウス(ACB-1801)にシンジェニックに移植したB16-F10メラノーマ腫瘍の体積(mmで報告)。処理は、腫瘍が触知できるようになった時点、通常は7日目又は9日目に開始した。左側の曲線は、1グループあたり4匹のマウスを用いた3回の独立した実験を表す。右側の曲線は、1グループあたり5匹のマウスを用いた3回の独立した実験を表している。結果はすべて平均±SEM(エラーバー)で示されている。統計的に有意な差(アスタリスクで示す)は、対応のない両側スチューデントt検定を用いて、対照条件と比較して算出した。有意でない(ns)=p>0.05;及び***=p<0.0005。
図14図14は、B16-F10メラノーマ保有マウスにおけるACB-1801の用量依存的な抗腫瘍活性を示す。免疫免疫適格性のC57BL/6マウスにシンジェニックに移植し、毎日の経口投与によりビヒクル(ビヒクル)又は10mg/kg、20mg/kg又は50mg/kgのACB-1801(ACB-1801)で処理したB16-F10メラノーマ腫瘍の、mm単位で報告する体積(左パネル)、及びグラム(g)単位で報告する17日目の重量(右パネル)。処理は、腫瘍が触知できるようになった時点、典型的には9日目に開始した。左及び右のパネルで報告された結果は、1グループあたり10匹のマウスの平均を表し、平均±SEM(エラーバー)で示されている。統計的に有意な差(アスタリスクで示す)は、対応のない両側スチューデントt検定を用いて、対照条件(ビヒクル)と比較して算出した。有意でない(ns)=p>0.05;=p<0.05;**=p<0.005;及び***=p<0.0005。
図15図15は、B16-F10腫瘍保有マウスをACB-1801で処理することで、抗PD-1免疫療法の治療効果が向上することを示す。免疫適格性のC57BL/6マウスにシンジェニックに移植したB16-F10メラノーマの腫瘍成長曲線。左パネル:腫瘍は、ビヒクル及び対照アイソタイプ(ビヒクル/iso)、又はビヒクル及び抗PD-1(ビヒクル/αPD-1)で処理した。中パネル:腫瘍は、ビヒクル及び対照アイソタイプ(ビヒクル/iso)、又はACB-1801と対照アイソタイプ(ACB-1801/iso)で処理した。右パネル:腫瘍は、抗PD-1及びビヒクル(αPD-1/ビヒクル)、又は抗PD-1とACB-1801の組み合わせ(αPD-1/ACB1801)で処理した。結果は、1グループあたり10匹のマウスの平均として報告され、平均±SEM(エラーバー)で示されている。統計的に有意な差(アスタリスクで示す)は、対応のない両側スチューデントt検定を用いて算出した(ns=有意ではない、及び***=p<0.0005)。
図16図16は、ACB-1801を抗PD-1と組み合わせることで、B16-F10腫瘍保有マウスの生存率が向上することを示す。Aパネル:ビヒクル単独で(ビヒクル)又はビヒクルと抗PD-1を併用して(ビヒクル/αPD-1)処理したマウスの生存率。Bパネル:ビヒクル単独(ビヒクル)で又は50mg/kgのACB-1801(ACB-1801)で処理したマウスの生存率。Cパネル:PD-1とビヒクルの併用(αPD-1/ビヒクル)又はPD-1と50mg/kgのACB-1801の併用(αPD-1/ACB-1801)で処理したマウスの生存率。マウスの生存率曲線は、1グループあたり5匹のマウスから作成した。生存の欠如は、死亡又は腫瘍サイズが1000mmを超えると定義した。マウス生存率(%)は、Graph Pad Prismを用いて定義し、P値はログランク(マンテル・コックス(Mantel-Cox))検定を用いて算出した(ns=有意ではない、及び**-p≦0.01)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で言及されているすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。本明細書で取り上げた刊行物及び出願は、本出願の出願日前の開示のみを目的として提供されている。本明細書のいかなる部分も、本発明が先行発明のおかげでそのような公開に先立つ権利を有していないことを認めるものとは解釈されない。加えて、材料、方法、及び実施例は例示に過ぎず、限定することを意図したものではない。
【0013】
矛盾が生じた場合は、定義を含めて本明細書が優先される。特段の定義がない限り、本明細書で使用されているすべての技術用語及び科学用語は、本明細書の主題が属する技術分野の当業者が一般的に理解しているのと同じ意味を持つ。本明細書では、本発明の理解を容易にするために、以下の定義を提供する。
【0014】
用語「comprise(含む)」は、一般的に、include(含む)という意味で、すなわち、1つ以上の特徴又は成分の存在を許可するという意味で使用される。また、本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「comprising(含む)」という言葉は、「consisting of(…からなる)」及び/又は「consisting essentially of(実質的に…からなる)」の用語で記述された類似の実施形態を含むことができる。
【0015】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈と明らかに矛盾する場合を除いて、複数の指示対象を含む。
【0016】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、本明細書の「A及び/又はB」等の語句で使用される「及び/又は」という用語は、「A及びB」、「A又はB」、「A」、及び「B」を含むことが意図される。
【0017】
本明細書で使用されるように、用語「対象」及び「患者」は、当該技術分野で十分に認識されており、本明細書では、哺乳動物、最も好ましくはヒトを指すために使用される。いくつかの実施形態では、この対象は、治療を必要としている対象、又は癌若しくは免疫疾患を有する対象であり、本発明の併用療法による治療から恩恵を受ける可能性が高い。この用語は、特定の年齢又は性別を表すものではない。従って、男性か女性かにかかわらず、成人及び新生児の対象を包含することが意図されている。
【0018】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容できる賦形剤及び/又は担体」は、そのように記載された組成物又はその成分が、過度の毒性、不適合性、不安定性、刺激性、アレルギー反応等を伴わずに、哺乳動物の身体、好ましくは人体と接触して使用するのに適している、又は人体に投与する任意の他の手段に適していることを意味する。この用語には、あらゆる溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤、並びに吸収遅延剤等が含まれる。薬学的活性物質にこのような媒体や薬剤を使用することは、当該技術分野では周知である。加えて、当該技術分野で一般的に使用されているような様々なアジュバントが含まれていてもよい。医薬組成物に様々な成分を含めるための考慮事項は、例えば、Gilmanら(編)(1990);Goodman and Gilman’s:The Pharmacological Basis of Therapeutics、第8版、Pergamon Pressに記載されており、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
用語「treat(治療する)」及びその文法上の変形(例えば、「to treat(治療するため)」、「treating(治療すること)」、及び「treatment(治療)」)は、対象における状態若しくは病状の1つ以上の症状を改善するか又はそのような症状の発生率を減少させる目的で、その対象に本発明の有効な医薬成分又は併用療法を投与することを指す。このような症状は、慢性的なものであっても急性のものであってもよく、このような改善は部分的なものであっても完全なものであってもよい。本文脈では、治療は、本発明の組合せ医薬を対象に投与することを含む。
【0020】
本明細書で使用される用語「治療上有効な量」は、1回、又は経時的に繰り返し適用した場合に、例えば癌に関連する症状の軽減、症状の消失、又は症状の緩和を引き起こす特定の成分又は成分の組み合わせの任意の量を指す。例えば、免疫チェックポイント阻害剤等の癌免疫療法剤の治療上有効な量は、有益な若しくは所望の臨床結果をもたらすのに十分な量、並びに/又は癌若しくは免疫障害を改善し、安定化し、その進行を逆転し、緩慢化し、及び/若しくは遅延し、若しくは癌若しくは免疫障害を治癒するのに十分な量である。例えば、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の治療上有効な量は、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングを細胞内のアクチン組織化ネットワークに誘導するのに十分な非細胞傷害性の量である。非細胞傷害性の量である治療上有効な量は、当業者が日常的な実験を行い、当該技術分野で一般的に採用されている試験及び測定を用いて容易に決定することができ、又は治療を受けている患者の主観的な反応に基づくことができる。
【0021】
用語「腫瘍」及び用語「癌」は互換的に使用され、どちらも過剰な細胞分裂に起因する組織の異常な成長を指す。
【0022】
腫瘍の表現型の維持は、細胞-細胞間のコミュニケーション、細胞-細胞外マトリクス間のコミュニケーション、細胞-CTL間のコミュニケーション等、腫瘍細胞とその環境とのコミュニケーションの変化によって支配される。これらのコミュニケーションを回復させることで、腫瘍の表現型が復帰し、免疫応答が再活性化する可能性がある。腫瘍細胞とその環境との間の効率的なコミュニケーションは、主に接着分子の膜での発現及び機能性によって制御されており、それらはアクチン細胞骨格ネットワークの完全性に依存している。細胞骨格構造の変化は、悪性形質転換の基礎となる主要な分子メカニズムの1つであり、適切なターゲットプロセスとなりうる。その結果、腫瘍細胞における薬理学的に誘発されたアクチンネットワークの再編成は、接着及び運動性の制御を助けることによって、悪性の特徴を失うことになる可能性がある。
【0023】
実際、ほとんどの腫瘍細胞は、アクチン動態の劇的な変化を示し、その結果、F型のアクチンが減少する。このような細胞骨格のリモデリング(再構築)は、接着タンパク質の膜滞留時間の短縮と、それらの異常な配向性をもたらし、その結果、接触阻害の消失、インテグリンシグナル伝達の変化、及び免疫学的なシナプスの効率性の低下につながる。細胞骨格のリモデリングは、正常な免疫シナプス形成の重要な調節要素であり、おそらく接着性相互作用の強化とシナプスの構造的安定性の調節を介して行われていることを強調しておきたい。それゆえ、癌細胞では、アクチンネットワークの薬理学的なリモデリングにより、接着依存的なシグナル伝達プロセスがすべて救済され、悪性表現型が復帰する(すなわち、腫瘍復帰)と考えられる。
【0024】
実際、正常細胞と比較して、悪性細胞は主にアクチン動態制御の異常により細胞骨格構造が損なわれていることを特徴とする。アクチン動態に関与するほとんどの機能のプレーヤーである、β-チモシン(モノマーの隔離)、p41Arp2/3、コルタクチン、WASP、プロフィリン(フィラメントの核形成及び伸長)、ゲルゾリン、コフィリン(フィラメントのキャッピング、切断又は解重合)の発現が影響を受けている。このような細胞骨格編成の障害は、細胞運動性の増加、細胞-細胞間の接着力の低下、接触成長抑制の喪失、細胞内輸送の変化、並びに接着タンパク質、インテグリン及びMHC-1複合体等の様々なタンパク質の膜レベルでの発現低下を伴う。これらの特徴はすべて、腫瘍細胞の増殖及び浸潤に関与し、細胞傷害性T細胞を効率的に活性化できないことにも関与する腫瘍表現型の特徴である。
【0025】
本発明は、非細胞傷害性濃度で、細胞運動性の低下、細胞-細胞間の接着力の回復、細胞膜でのMHC-1複合体の発現の増加につながるアクチン動態パラメータを修正し、全体的に腫瘍の表現型を復帰させることができるインドール含有化合物、特にβ-カルボリン系及びカルバゾール系のインドール含有化合物、好ましくはβ-カルボリン系化合物を開示する。本発明は、ハルミン等のβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)が、癌細胞の細胞骨格のリモデリングに影響を与え、それによって腫瘍の表現型が復帰し、その後、癌細胞の免疫認識が回復することを開示する。
【0026】
本発明は、特に癌免疫療法に抵抗性のある患者、癌免疫療法への反応性が低い患者、又は癌免疫療法後の再発患者における非細胞傷害的な癌免疫療法を改善するために、本発明の化合物を抗腫瘍剤としてそれ自体で(単剤療法として単独で)使用すること、又は免疫チェックポイント阻害剤療法、TCR-T細胞療法、CAR-T細胞療法若しくはこれらの組み合わせ等の非細胞傷害的な癌免疫療法と組み合わせて使用することに関する。好ましくは、この癌免疫療法剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。
【0027】
本発明の一態様は、本発明の方法における、(i)癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができる、β-カルボリン化合物等のインドール含有化合物、及び(ii)1種以上の癌免疫療法剤の併用であって、このβ-カルボリン化合物等のインドール含有化合物は、上記1種以上の癌免疫療法剤の投与前、投与中、又は投与後に対象に投与される併用を提供する。
【0028】
このように、本発明は、同時投与、別々の投与又は連続投与のための、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるインドール含有化合物と、1種以上の癌免疫療法剤との組合せ医薬であって、
上記インドール含有化合物は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物がこのインドール含有化合物の存在下で成長させられると、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、上記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たし、
上記癌免疫療法剤は、免疫チェックポイント阻害剤、TCR-T細胞、CAR-T細胞又はこれらの組み合わせを含む群から選択され、好ましくは、上記癌免疫療法剤は免疫チェックポイント阻害剤である組合せ医薬を提供する。
【0029】
本発明はさらに、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるインドール含有化合物と、1種以上の癌免疫療法剤と、このインドール含有化合物及び1種以上の癌免疫療法剤を投与することについての説明書きを含む情報リーフレットとの組み合わせを含むキットであって、
上記インドール含有化合物は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物がこのインドール含有化合物の存在下で成長させられると、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、上記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たし、
上記癌免疫療法剤は、免疫チェックポイント阻害剤、TCR-T細胞、CAR-T細胞又はこれらの組み合わせを含む群から選択され、好ましくは、上記癌免疫療法剤は免疫チェックポイント阻害剤であるキットを提供する。
【0030】
当該組合せ医薬の個々の化合物は、同じ製剤若しくは異なる医薬製剤のいずれかで同時に、別々に、又は連続的に投与されてもよいことは理解されるであろう。別々の又は連続的な投与がある場合、上記1種以上の癌免疫療法剤の投与の遅れは、上記インドール含有化合物と1種以上の癌免疫療法剤との組み合わせの何らかの相乗的治療効果の恩恵を失うようなものであってはならない。
【0031】
本発明の組合せ医薬の一実施形態では、インドール含有化合物は、以下を含む群から選択される。
【化1】
【化2】
【化3】
【0032】
本発明の組合せ医薬の別の実施形態では、インドール含有化合物は、以下を含む群から選択されるβ-カルボリン化合物である。
【化4】
【0033】
本発明の組合せ医薬の好ましい実施形態では、インドール含有化合物はハルミンである。
【化5】
【0034】
本発明の組合せ医薬の別の実施形態では、インドール含有化合物は、以下を含む群から選択されるカルバゾール化合物である。
【化6】
【0035】
本発明の組合せ医薬の別の実施形態では、インドール含有化合物は、以下を含む群から選択されるピリドカルバゾール化合物である。
【化7】
【0036】
好ましい実施形態では、本発明は、同時投与、別々の投与又は連続投与のための、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物と1種以上の癌免疫療法剤との組合せ医薬であって、
上記β-カルボリン化合物は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物がこのβ-カルボリン化合物の存在下で成長させられると、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、上記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たし、
上記癌免疫療法剤は、免疫チェックポイント阻害剤、TCR-T細胞、CAR-T細胞又はこれらの組み合わせを含む群から選択され、好ましくは、上記癌免疫療法剤は免疫チェックポイント阻害剤である組合せ医薬を提供する。
【0037】
本発明はさらに、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物と、1種以上の癌免疫療法剤と、このβ-カルボリン化合物及び1種以上の癌免疫療法剤を投与することについての説明書きを含む情報リーフレットとの組み合わせを含むキットであって、
上記β-カルボリン化合物は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物がこのβ-カルボリン化合物の存在下で成長させられると、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、上記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たし、
上記癌免疫療法剤は、免疫チェックポイント阻害剤、TCR-T細胞、CAR-T細胞又はこれらの組み合わせを含む群から選択され、好ましくは、上記癌免疫療法剤は免疫チェックポイント阻害剤であるキットを提供する。
【0038】
当該組合せ医薬の個々の化合物は、同じ製剤若しくは異なる医薬製剤のいずれかで同時に、別々に、又は連続的に投与されてもよいことは理解されるであろう。別々の又は連続的な投与がある場合、上記1種以上の癌免疫療法剤の投与の遅れは、上記β-カルボリン化合物と1種以上の癌免疫療法剤との組み合わせの何らかの相乗的治療効果の恩恵を失うようなものであってはならない。
【0039】
本明細書で互換的に使用されるβ-カルボリン化合物又はβ-カルボリン又はβ-カルボリンアルカロイドは、異なるレベルの不飽和度(ジヒドロカルボリン、テトラヒドロカルボリン、及び芳香族β-カルボリン)の三環式ピリド[3,4-b]インドール環構造を含む天然及び合成のアルカロイドのグループを構成している。
【0040】
本発明の組合せ医薬の別の実施形態では、β-カルボリン化合物は、以下を含む群から選択される。
【化8】
【0041】
本発明の組合せ医薬の好ましい実施形態では、β-カルボリン化合物はハルミンである。
【化9】
【0042】
本発明の組合せ医薬の一実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-Ll、PD-L2、PD-L3、PD-L4、CTLA-4、LAG3、B7-H3、B7-H4、KIR又はTIM3の阻害剤であり、好ましくは、免疫チェックポイント阻害剤はPD-1の阻害剤である。別の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、イピリムマブ、ダカルバジン、BMS 936559、アテゾリズマブ、ラムブロリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、又はこれらの任意の組み合わせを含む群から選択され、好ましくは、免疫チェックポイント阻害剤は、ペムブロリズマブ及び/又はニボルマブである。
【0043】
本明細書で使用する場合、用語「免疫チェックポイント阻害剤」又は「チェックポイント阻害剤」は、1種以上のチェックポイントタンパク質を完全又は部分的に低減、阻害、干渉、又は調節する分子を指す。チェックポイントタンパク質は、T細胞の活性化又は機能を制御する。免疫チェックポイントプロセスの中心となるのは、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTL.A-4)及びプログラム死1(PD-1)免疫チェックポイント経路である。CTL-A-4経路及びPD-1経路は、免疫応答の異なる段階で作用すると考えられている。CTL.A-4は、通常、リンパ節でのナイーブT細胞の活性化の初期段階で、潜在的な自己反応性T細胞を阻止するため、CTL.A-4は、免疫チェックポイント阻害剤の「リーダー」と考えられている。PD-1経路は、主に末梢組織における免疫応答の後期段階で、既に活性化したT細胞を制御する。
【0044】
免疫チェックポイント経路を阻害することで、イピリムマブ(抗CTI_A-4)、ペムブロリズマブ(抗PD-1)、及びニボルマブ(抗PD-1)等のいくつかの新薬が承認されている。アテゾリズマブ(MPDL3280)、アベルマブ(MSB0010718C)、デュルバルマブ(MEDI4736)等のPD-L1阻害剤も利用できる。これらのアンタゴニスト抗体は、癌患者の客観的な臨床応答と関連付けられている。CTL.A-4を標的とした抗体はすでに販売されている(例えば、転移性メラノーマに対するイピリムマブ)。抗PD-L1(例えば、MPDL3280A)、抗PD-1(例えば、ニボルマブ)を用いた抗体療法も存在する。
【0045】
他の免疫チェックポイント阻害剤としては、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)阻害剤、例えば、可溶性Ig融合タンパク質であるIMP321等が挙げられる。他の免疫チェックポイント阻害剤としては、B7-H3阻害剤及びB7-H4阻害剤等のB7阻害剤が挙げられる。特に、抗B7-H3抗体MGA271が挙げられる。TIM3(T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3)阻害剤も含まれる。
【0046】
特定の実施形態では、PD-1ブロッカーは、抗PD-L1抗体を含む。特定の他の実施形態では、PD-1ブロッカーは、PD-1に結合してPD-1のリガンドPD-L1及びPD-L2によるPD-1の活性化をブロックする完全ヒトIgG4抗体であるニボルマブ(MDX 1106、BMS 936558、ONO 4538)、PD-1に対するヒト化モノクローナルIgG4抗体であるラムブロリズマブ(MK-3475又はSCH 900475)、PD-1に結合するヒト化抗体であるCT-011、B7-DCの融合タンパク質であるAMP-224、抗体のFc部分、PD-L1(B7-H1)を遮断するためのBMS-936559(MDX-1105-01)等の抗PD-1抗体及び同様の結合タンパク質を含む。特定の実施形態で使用可能なPD-L1阻害剤のさらなる例は、アテゾリズマブ(MPDL3280)、アベルマブ(MSB0010718C)及びデュルバルマブである。
【0047】
好ましくは、抗PD-1抗体のペムブロリズマブ(キートルーダ)、及びニボルマブ(オプジーボ)が本発明で使用される。デュルバルマブ等のPD-L1阻害剤も、抗PD-1-抗体と組み合わせて使用することができる。このように、本発明の好ましいチェックポイント阻害剤は、PD-1及びPD-L1に対するものである。
【0048】
PD-1は、活性化されたT細胞及びB細胞によって発現され、免疫抑制を媒介する重要な免疫チェックポイント受容体である。PD-1は、CD28、CTLA-4、ICOS、PD-1、及びBTLAを含む、CD28ファミリーの受容体のメンバーである。本明細書で使用する用語「PD-1」には、ヒトPD-1(hPD-1)、hPD-1のバリアント、アイソフォーム、及び種のホモログ、並びにhPD-1と少なくとも1つの共通エピトープを有する類似体が含まれる。
【0049】
CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4)は、免疫チェックポイントとして機能し、免疫系を下方制御するタンパク質受容体である。CTLA-4は、T細胞の表面に存在し、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーの一員でもあり、CTLA-4は、単一の細胞外Igドメインを含む。CTLA-4の転写産物は、細胞傷害活性を有するT細胞集団において見出されており、これは、CTLA-4が細胞溶解反応において機能する可能性を示唆している。
【0050】
さらなる実施形態では、本発明の組合せ医薬は、1種以上の薬学的に許容できる賦形剤及び/又は担体をさらに含む。
【0051】
用語「薬学的に許容できる担体」又は「薬学的に許容できる賦形剤」は、任意及びすべての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤並びに吸収遅延剤等を含む。薬学的活性物質にこのような媒体や薬剤を使用することは、当該技術分野では周知である。任意の従来の媒体又は薬剤が上記活性成分と相容れない限りを除いて、治療用組成物におけるその使用が企図されている。加えて、当該技術分野で一般的に使用されているような様々なアジュバントが含まれていてもよい。医薬組成物に様々な成分を含めるための考慮事項は、例えば、Gilmanら(編)(1990);Goodman and Gilman’s:The Pharmacological Basis of Therapeutics、第8版、Pergamon Pressに記載されており、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
望まれる特定の投与経路に応じて、当該技術分野で周知の様々な薬学的に許容できる担体が使用されてもよい。薬学的に許容できる担体としては、例えば、固体又は液体の充填剤、希釈剤、ヒドロトロピー、表面活性剤、カプセル化物質が挙げられる。上記化合物又は組成物の阻害活性を実質的に妨げない薬学的活性物質が任意で含まれていてもよい。上記化合物又は組成物と組み合わせて採用される担体の量は、化合物の単位用量あたりの投与のための材料の実用的な量を提供するのに十分なものである。本明細書に記載された方法に有用な投与形態を作るための技術及び組成物は、以下の参考文献に記載されており、それらはすべて参照により本明細書に組み込まれている:Modern Pharmaceutics、第4版、第9章及び第10章(Banker及びRhodes編、2002);Liebermanら、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets(1989);並びにAnsel、Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 第8版(2004年)。
【0053】
薬学的に許容できる担体又はその成分として機能することができる物質のいくつかの例は、ラクトース、グルコース及びスクロース等の糖類、コーンスターチ及びジャガイモデンプン等のデンプン類、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及びメチルセルロース等のセルロース及びその誘導体、粉末トラガカント、モルト、ゼラチン、タルク、ステアリン酸及びステアリン酸マグネシウム等の固体滑沢剤、硫酸カルシウム、ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及びテオブロマ油等の植物油、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール等のポリオール、アルギン酸、TWEEN(登録商標)類等の乳化剤、ラウリル硫酸ナトリウム等の湿潤剤、着色剤、矯味矯臭剤、打錠剤、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、パイロジェンフリー水、等張食塩水、並びにリン酸緩衝液である。
【0054】
本発明の組合せ医薬は、好ましくは単位投与形態で提供される。本明細書で使用する場合、「単位投与形態」は、良好な医療行為に従って、動物、好ましくは哺乳動物の対象に単回投与するのに適した量の、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物等のインドール含有化合物、又は1種以上の癌免疫療法剤を含有する組成物である。しかしながら、単回投与形態又は単位投与形態の調製は、その投与形態が1日1回又は治療過程で1回投与されることを意味するものではない。このような投与形態は、1日あたり1回、2回、3回、又はそれより多い頻度で投与されることが意図されており、一定時間(例えば、約30分から約2~6時間)にわたって点滴として投与されてもよく、持続点滴として投与されてもよく、そして、単回投与が特に除外されるわけではないが、治療過程のあいだに2回以上投与されてもよい。当業者は、本製剤が治療の全過程を具体的に想定しておらず、そのような決定は製剤ではなく治療の当業者に委ねられていることを認識するであろう。
【0055】
本発明の組合せ医薬は、様々な投与経路に、例えば、経口、舌下、口腔内、鼻腔内、直腸、局所(経皮及び皮内を含む)、眼内、脳内、頭蓋内、髄腔内、動脈内、静脈内、筋肉内、又は他の非経口的な投与経路に適した様々な形態のいずれかであってもよい。経口投与及び非経口投与は、好ましい実施形態の対象となる適応症を治療する際に慣用される。当業者であれば、経口及び鼻腔用組成物は、吸入により投与される組成物を含み、利用可能な方法論を用いて製造されることを理解するであろう。
【0056】
錠剤、カプセル(例えば、固体ゲルカプセル及び液体ゲルカプセル)、顆粒及びバルク粉末等の固体形態を含む、様々な経口投与形態を使用することができる。錠剤は、適切な結合剤、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、矯味矯臭剤、流動誘導剤、及び融解剤を含んで、圧縮されてもよく、粉薬錠剤であってもよく、腸溶性コーティングされていてもよく、糖衣錠であってもよく、フィルムコーティングされていてもよく、又は多重圧縮されていてもよい。液体経口投与形態には、水溶液、乳液(エマルション)、懸濁液、非発泡性顆粒から再構成された溶液及び/又は懸濁液、並びに発泡性顆粒から再構成された発泡性製剤が含まれ、これらは、適切な溶媒、防腐剤、乳化剤、懸濁剤、希釈剤、甘味料、融解剤、着色剤、及び矯味矯臭剤を含有する。
【0057】
口腔内投与のための単位投与形態の調製に適した薬学的に許容できる担体は、当該技術分野で周知である。錠剤は、通常、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトース及びセルロース等の不活性希釈剤、デンプン、ゼラチン及びスクロース等の結合剤、デンプン、アルギン酸及びクロスカルメロース等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及びタルク等の滑沢剤等、従来の薬学的に適合したアジュバントを含む。粉末混合物の流動性を高めるために、二酸化ケイ素等の流動促進剤(滑剤)を使用することができる。FD&C染料等の着色剤は、外観を整えるために添加することができる。アスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミント及びフルーツフレーバー等の甘味料や矯味矯臭剤は、チュアブル錠のアジュバントとして有用である。カプセルは、典型的には、上記に開示された1種以上の固体希釈剤を含む。担体成分の選択は、味、コスト及び保存安定性等の二次的な考慮事項に依存するが、これらは決定的に重要であるわけではなく、当業者が容易に行うことができる。
【0058】
経口用組成物には、液剤、乳剤、懸濁液等も含まれる。このような組成物の調製に適した薬学的に許容できる担体は、当該技術分野で周知である。シロップ剤、エリキシル剤、乳剤及び懸濁液の担体の代表的な成分としては、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液状スクロース、ソルビトール及び水が挙げられる。懸濁液の場合、代表的な懸濁剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、AVICEL C-591、トラガカント及びアルギン酸ナトリウムが挙げられ、代表的な湿潤剤としては、レシチン及びポリソルベート80が挙げられ、代表的な防腐剤としては、メチルパラベン及び安息香酸ナトリウムが挙げられる。経口用液状組成物は、上記で開示した甘味料、矯味矯臭剤及び着色料等の1種以上の成分も含有してよい。
【0059】
このような組成物は、当該組成物が所望の局所適用の近傍で、又は所望の作用を延長するために様々な時間に消化管内で放出されるように、従来の方法、典型的にはpH依存性又は時間依存性のコーティングでコーティングされてもよい。このような投与形態は、典型的には、酢酸フタル酸セルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、Eudragitコーティング、ワックス及びシェラックの1種以上を含むが、これらに限定されない。
【0060】
本発明の別の態様は、非細胞傷害的な癌免疫療法方法であって、必要とする対象に、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の治療上有効な量を投与する工程を含み、上記β-カルボリン化合物(インドール含有化合物)は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物がこのβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の存在下で成長させられると、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、上記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たす方法を提供する。
【0061】
本発明は、非細胞傷害的な癌免疫療法方法に使用するための、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)であって、このβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物がこのβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の存在下で成長させられると、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、上記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たすβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)も提供する。
【0062】
本発明の一実施形態では、当該非細胞傷害的な癌免疫療法方法は、β-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の投与前、及び/又はβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の投与中、及び/又はβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の投与後に、1種以上の癌免疫療法剤を投与する工程をさらに含み、この癌免疫療法剤は、免疫チェックポイント阻害剤、TCR-T細胞、CAR-T細胞又はこれらの組み合わせを含む群から選択され、好ましくは、上記癌免疫療法剤は免疫チェックポイント阻害剤である。
【0063】
上記1種以上の癌免疫療法剤は、特定のT細胞受容体(TCR)を発現する操作されたT細胞(TCR-T細胞)及び/又はキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)であることができ、養子縁組細胞移植(ACT)戦略として使用することができる。上記1種以上の癌免疫療法剤は、1種以上の免疫チェックポイント阻害剤であることもできる。
【0064】
本発明の文脈では、当該非細胞傷害的な癌免疫療法は、癌組織に関連する免疫抑制を克服するように設計された免疫調節剤に関する。これらの薬剤は、ヒトの免疫系が本来持っている能力を発揮して、癌と闘うことを可能にする。このような治療法には、細胞ベースの治療法(エクスビボで展開した患者由来の癌ネオアンチゲン特異的Tリンパ球、遺伝子操作したT細胞受容体(TCR)を持つTリンパ球、及びキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞技術)、腫瘍溶解性ウイルス(OV)、モノクローナル抗体及び遺伝子操作した抗体(例えば、二重特異性T細胞誘導抗体(Bi-specific T cell Engager、BiTE)技術、並びに免疫チェックポイント阻害剤(ICI)等)が含まれる。これらの治療法は、原発癌及び遠隔転移巣の両方でより効果的に癌と闘い、その結果、化学療法又は放射線等の細胞傷害的な治療よりも長期的な有効性を持つ全身治療をもたらすことを目的としている。
【0065】
本発明の別の態様は、免疫チェックポイント阻害剤療法を増強する方法であって、必要とする対象に、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の治療上有効な量を投与する工程を含み、上記β-カルボリン化合物(インドール含有化合物)は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物がこのβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の存在下で成長させられると、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、上記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たす方法を提供する。具体的な実施形態では、本発明の免疫チェックポイント阻害剤療法を増強する方法は、免疫チェックポイント阻害剤治療後の非奏功患者、又は免疫チェックポイント阻害剤治療後の再発患者に対するものである。
【0066】
本発明は、免疫チェックポイント阻害剤療法を増強する方法に使用するための、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)であって、このβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物がこのβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の存在下で成長させられると、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、上記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たすβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)も提供する。具体的な実施形態では、本発明の免疫チェックポイント阻害剤療法を増強する方法は、免疫チェックポイント阻害剤治療後の非奏功患者、又は免疫チェックポイント阻害剤治療後の再発患者に対するものである。
【0067】
当該免疫チェックポイント阻害剤療法を増強する方法の一実施形態では、β-カルボリン化合物(インドール含有化合物)は、免疫チェックポイント阻害剤の投与前、及び/又は免疫チェックポイント阻害剤の投与中、及び/又は免疫チェックポイント阻害剤の投与後に投与される。
【0068】
本発明の別の態様は、腫瘍復帰の方法であって、必要とする対象に、本発明に従って癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の治療上有効な量を投与する工程を含む方法を提供する。
【0069】
本発明は、腫瘍復帰の方法に使用するための、本発明に従って癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)も提供する。
【0070】
腫瘍復帰は、腫瘍の表現型を特徴づける選択的優位性の喪失をもたらす。腫瘍復帰は、細胞が半固体培地で成長する能力の喪失を伴う。腫瘍復帰は、カドヘリン/b-カテニン複合体の細胞膜への再局在化をももたらす。その結果、細胞接着の救済、細胞増殖率の低下、細胞の運動性の低下が起こる。腫瘍復帰が起こると、腫瘍細胞膜におけるMHC-1の発現も増加し、MHC-1/ネオアンチゲンペプチド複合体の配向も安定化する。MHC-1の機能性は、チェックポイント阻害剤の有効性の前提条件であることが判明している。
【0071】
本発明の別の態様は、癌免疫応答を活性化する方法であって、本発明の組合せ医薬を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法を提供する。
【0072】
本発明は、癌免疫応答を活性化する方法に使用するための本発明の組合せ医薬も提供する。
【0073】
本発明の別の態様は、癌免疫応答を活性化する方法であって、必要とする対象に、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の治療上有効な量を投与する工程を含み、上記β-カルボリン化合物(インドール含有化合物)は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物がこのβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の存在下で成長させられると、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、上記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たす方法を提供する。
【0074】
本発明は、癌免疫応答を活性化する方法に使用するための、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)であって、このβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物がこのβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の存在下で成長させられると、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、上記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たすβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)も提供する。
【0075】
本発明の別の態様は、ヒトの癌を治療するか若しくはヒトの癌の症状を軽減するか、又はヒトの癌の進行を防ぐ非細胞傷害的な方法であって、本発明の組合せ医薬を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法を提供する。
【0076】
本発明は、ヒトの癌を治療するか若しくはヒトの癌の症状を軽減するか、又はヒトの癌の進行を防ぐ非細胞傷害的な方法に使用するための本発明の組合せ医薬も提供する。
【0077】
本発明の別の態様は、ヒトの癌を治療するか若しくはヒトの癌の症状を軽減するか、又はヒトの癌の進行を防ぐ非細胞傷害的な方法であって、必要とする対象に、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の治療上有効な量を投与する工程を含み、上記β-カルボリン化合物(インドール含有化合物)は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物がこのβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の存在下で成長させられると、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、上記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たす方法を提供する。
【0078】
本発明は、ヒトの癌を治療するか若しくはヒトの癌の症状を軽減するか、又はヒトの癌の進行を防ぐ非細胞傷害的な方法に使用するための、癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)であって、このβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)は、悪性線維芽細胞(E/F)抽出物がこのβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の存在下で成長させられると、アクチン重合の動態が、非悪性線維芽細胞で観察されるのと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を呈し、上記悪性線維芽細胞(E/F)が、細胞-細胞間の接着特性を回復し、かつ非悪性線維芽細胞で起こるように自己組織化してクラスターを形成するという基準を満たすβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)も提供する。
【0079】
癌の進行を防ぐ(又は抑制する)ことは、癌の拡散及び/又は転移を防ぐために特に重要であり、例えば、癌が局所的に広がるステージIからステージIIへの進行、又は癌が他の器官に転移するステージIIIからステージIVへの進行を防ぐことが特に重要である。
【0080】
本発明のさらなる態様は、免疫応答を活性化する方法であって、本発明に従って癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)及び1種以上の癌免疫療法剤を、それを必要とする対象に共投与する工程を含む方法を提供する。
【0081】
本発明は、免疫応答を活性化する方法に使用するための、本発明に従って癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)であって、このβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)は1種以上の癌免疫療法剤と共投与されるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)も提供する。
【0082】
宿主における「免疫応答」は、抗原に対する体液性免疫応答、細胞性免疫応答、又は体液性及び細胞性免疫応答の発現を指す。通常、免疫応答は、当該技術分野で公知の標準的なイムノアッセイ及び中和アッセイを用いて決定することができる。用語「免疫応答を活性化する」は、T細胞媒介性免疫応答及び/又はB細胞媒介性免疫応答のレベルを高めることを指す。1つの実施形態では、増強のレベルは、少なくとも20、50%、あるいは少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも120%、少なくとも150%、又は少なくとも200%である。好ましい実施形態では、免疫応答を活性化することは、T細胞を活性化することを介して達成される。用語「T細胞を活性化する」は、T細胞が活性化され、免疫応答を促進するシグナル伝達経路に関与する現象を指す。
【0083】
本発明のさらなる態様は、ヒトの癌を治療するか若しくはヒトの癌の症状を軽減するか、又はヒトの癌の進行を防ぐ非細胞傷害的な方法であって、本発明に従って癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)及び1種以上の癌免疫療法剤を、それを必要とする対象に共投与する工程を含む方法を提供する。
【0084】
一実施形態では、本発明は、ヒトの癌の治療若しくはヒトの癌の症状の軽減、又はヒトの癌の進行の防止に使用するための、本発明に従って癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)であって、このβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)は、1種以上の癌免疫療法剤と組み合わせて患者に共投与されるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)を提供する。
【0085】
別の実施形態では、本発明は、ヒトの癌の治療若しくはヒトの癌の症状の軽減、又はヒトの癌の進行の防止に使用するための、本発明の組合せ医薬を提供する。
【0086】
本発明の文脈では、癌の候補は、主要な細胞骨格の無秩序化を示すものである。この特徴は、白血病及び肉腫等の間葉系由来の癌、並びに高レベルの間葉系マーカーを発現するメラノーマに見られるような、顕著な未分化表現型に相当する。本発明の方法の一実施形態では、ヒトの癌は、PD-1の結合リガンド又はCTLA-4の結合リガンドを発現している癌細胞を含む。好ましい実施形態では、PD-1の結合リガンドは、PD-Ll又はPD-L2である。本発明の方法の別の実施形態では、ヒトの癌は、頭頸部癌、肺癌、胃癌、大腸癌(結腸癌)、膵臓癌、前立腺癌、乳癌、腎癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸部癌、メラノーマ(黒色腫)、神経膠芽腫、骨髄腫、リンパ腫、又は白血病を含む群から選択される。本発明の方法のさらなる実施形態では、ヒトの癌は、口腔扁平上皮癌、メルケル細胞癌を含む群から選択されるMHC-1を欠く癌細胞、又は結腸腺癌、乳癌、膀胱癌、肺癌、メラノーマを含む群から選択される低いMHC-1発現を示す癌細胞を含む。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態は、ヒトの癌を治療する非細胞傷害的な方法であって、本発明の組合せ医薬を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法を提供する。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態は、本発明に従って癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)及び1種以上の癌免疫療法剤を、それを必要とする対象に共投与することにより、癌に対するT細胞活性化の共刺激を提供する方法を提供する。本発明のいくつかの他の実施形態は、本発明に従って癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)及び1種以上の癌免疫療法剤を、それを必要とする対象に共投与することにより、癌に対するナチュラルキラー細胞の共刺激を提供する方法を提供する。
【0089】
いくつかの実施形態では、本発明のヒトの癌を治療する非細胞傷害的な方法は、PD-1の結合リガンドを発現している癌細胞を特定する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、本発明のヒトの癌を治療する非細胞傷害的な方法は、PD-L1を発現している癌細胞を特定する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、本発明のヒトの癌を治療する非細胞傷害的な方法は、PD-L2を発現している癌細胞を特定する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、本発明のヒトの癌を治療する非細胞傷害的な方法は、PD-L3又はPD-L4を発現している癌細胞を特定する工程をさらに含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、PD-1の結合リガンドを発現している癌細胞を特定する工程は、その結合リガンドの存在を検出するためのアッセイを使用することを含む。適用可能なアッセイの例としては、Dako(ダコ)から入手可能なPD-L1 IHC 22C3 pharmDxキット及びPD-L1 IHC 28-8 pharmDxが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
いくつかの実施形態では、上記癌は、CTLA-4の結合リガンドを発現している癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、CTLA-4の結合リガンドは、B7.1又はB7.2である。
【0092】
いくつかの実施形態では、本発明のヒトの癌を治療する非細胞傷害的な方法は、CTLA-4の結合リガンドを発現している癌細胞を特定する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、本発明のヒトの癌を治療する非細胞傷害的な方法は、B7.1又はB7.2を発現している癌細胞を特定する工程をさらに含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、本発明は、ヒトの癌の治療若しくはヒトの癌の症状の軽減、又はヒトの癌の進行の防止における、本発明に従って癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の使用を提供する。
【0094】
いくつかの実施形態では、本発明は、ヒトの癌の治療若しくはヒトの癌の症状の軽減、又はヒトの癌の進行の防止における、本発明に従って癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の使用であって、このβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)は、1種以上の癌免疫療法剤と組み合わせてそれを必要とする対象に投与される使用を提供する。
【0095】
上述したように、いくつかの実施形態は、本発明に従って癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)及び1種以上の癌免疫療法剤を共投与する工程を含む。「共投与」又は「共投与する(こと)」とは、β-カルボリン化合物(インドール含有化合物)及び1種以上の癌免疫療法剤が、実際にいつ又はどのように投与されるかに関わらず、β-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の投与が癌免疫療法剤の有効性及び/又は安全性に影響を与えるような方法で投与されることを意味する。従って、1つの実施形態では、上記β-カルボリン化合物(インドール含有化合物)及び1種以上の癌免疫療法剤は同時に投与される。1つのこのような実施形態では、組み合わせて投与することは、β-カルボリン化合物(インドール含有化合物)及び1種以上の癌免疫療法剤を単一の投与形態で組み合わせることによって達成される。別の実施形態では、β-カルボリン化合物(インドール含有化合物)及び1種以上の癌免疫療法剤は連続的に投与される。1つの実施形態では、β-カルボリン化合物(インドール含有化合物)及び1種以上の癌免疫療法剤は、経口又は静脈内等の同じ経路で投与される。別の実施形態では、β-カルボリン化合物(インドール含有化合物)及び1種以上の癌免疫療法剤は、一方は経口投与され、他方は静脈内投与される等、異なる経路で投与される。いくつかの実施形態では、β-カルボリン化合物(インドール含有化合物)の投与と、共投与される1種以上の癌免疫療法剤の投与との間の期間は、約1時間、2時間、3時間、5時間、8時間、10時間、12時間、15時間、18時間、20時間、24時間、36時間、48時間、3日、4日、5日、6日、7日、10日、14日、21日、28日、又は30日とすることができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、治療サイクルは、β-カルボリン化合物(インドール含有化合物)を単独で投与すること、又は1種以上の癌免疫療法剤を単独で投与することと組み合わせて、本発明に従って癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)及び1種以上の癌免疫療法剤を共投与することを含むことができる。いくつかの実施形態では、本発明に従って癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)及び1種以上の癌免疫療法剤は、1日目に共投与され、その後、1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、2週間後、又は3週間後にβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)が単独で投与され、次いで、1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、2週間後、又は3週間後にβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)及び1種以上の癌免疫療法剤が共投与される。いくつかの実施形態では、本発明に従って癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)及び1種以上の癌免疫療法剤は、1日目に同時投与され、その後、2日目~31日目の間で選択された日にβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)又は1種以上の癌免疫療法剤が単独で投与され、次いで、3日目~31日目の間で選択された日にβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)及び1種以上の癌免疫療法剤が共投与される。いくつかの実施形態では、本発明に従って癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)及び1種以上の癌免疫療法剤は、1日目に共投与され、その後、8日目にβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)が単独で投与され、次いで、15日目にβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)及び1種以上の癌免疫療法剤が共投与される。いくつかの実施形態では、この治療サイクルを2回以上繰り返すことができる。
【0097】
他の実施形態では、本発明に従って癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)は、1種以上の癌免疫療法剤の投与の前に投与され、かつ/又は本発明に従って癌細胞のアクチンネットワークリモデリングをアクチン組織化ネットワークに誘導することができるβ-カルボリン化合物(インドール含有化合物)は、1種以上の癌免疫療法剤の投与中、及び/若しくは1種以上の癌免疫療法剤の投与後に投与される。
【0098】
本発明の方法の別の実施形態では、上記β-カルボリン化合物は、以下を含む群から選択される。
【化10】
【0099】
本発明の方法の好ましい実施形態では、上記β-カルボリン化合物はハルミンである。
【化11】
【0100】
本発明の非細胞傷害的な方法、例えば、癌免疫応答を活性化する方法、ヒトの癌を治療するか若しくはヒトの癌の症状を軽減するか、又はヒトの癌の進行を防ぐ方法、癌免疫療法方法及び免疫チェックポイント阻害剤療法を増強する方法の利点は、このような非細胞傷害的な方法が、任意の他の治療法が失敗した進行癌の患者、及び化学療法又は細胞傷害性薬剤を用いた療法等の細胞傷害的な抗癌療法に耐えられない脆弱な患者に提供できることである。
【0101】
当業者であれば、本明細書に記載された発明は、具体的に記載されたもの以外の変形や改変が可能であることを理解するであろう。本発明は、その趣旨又は本質的な特性から逸脱しない範囲で、そのようなすべての変形及び改変を含むことを理解されたい。また、本発明は、本明細書で言及されているか又は示されているすべての工程、特徴、組成物及び化合物も、個別に又はまとめて含み、そして、上記工程若しくは特徴の任意及びすべての組み合わせ又は任意の2つ以上も含む。それゆえ、本開示は、すべての態様において、例示されたものであり制限的なものではないと解釈されるべきであり、本発明の範囲は添付の請求項によって示され、趣旨及び均等物の範囲内に入るすべての変更が本発明に包含されることが意図されている。
【0102】
上述の説明は、以下の実施例を参照することにより、より完全に理解されるであろう。しかしながら、このような実施例は、本発明を実施する方法を例示するものであり、本発明の適用及び範囲を限定することを意図していない。
【実施例
【0103】
腫瘍の復帰を研究するために、本出願人は、ペガヌム・ハルマラ(Peganum Harmala)からのメタノール抽出物ACB-1Eによる悪性線維芽細胞の処理が、アクチン細胞骨格のリモデリング、細胞-細胞間の接着の回復、そして最終的には悪性の特性の喪失をもたらすことを発見した(図1)。
【0104】
さらに、ACB-1Eのメタノール抽出物で細胞を処理することで細胞-細胞間の接着が回復すると、それに伴ってβ-カテニンが膜近傍領域に再局在化することが観察された(図2)。
【0105】
単離された悪性細胞では、β-カテニンがサイトゾルに蓄積し、核に移動して、サイクリンD1等の細胞増殖に関わる遺伝子を活性化することがある。
【0106】
ACB-1Eのメタノール抽出物は、悪性線維芽細胞の細胞抽出物中のアクチン重合を増加させることができるということが見出された(図3)。悪性線維芽細胞では、アクチン重合の動態は、親である非悪性NIH-3T3線維芽細胞で観察されたものよりも顕著に低い。ACB-1Eのメタノール抽出物を悪性細胞の抽出物に加えると、アクチン重合の動態は、非悪性NIH-3T3で観察されたものと同様のパラメータ(速度定数及びプラトー値)を示すようになる。この性質は、図1及び図2に示す悪性線維芽細胞におけるアクチン細胞骨格の再編成を説明するものと思われる。
【0107】
活性のあるメタノール抽出物の同定は、抗腫瘍剤として作用することができる天然由来の化合物を同定することを目的とした広範なスクリーニングの結果であった。選択したACB-1Eメタノール抽出物は、ペガヌム・ハルマラから抽出されたものであり、ペガヌム・ハルマラは、ハルミン、ハルマン、ハルマロール、ハルマリン等、主にβ-カルボリン化合物として同定される様々なアルカロイドを含む。
【化12】
【0108】
さらに、ACB-1Eのメタノール抽出物中に存在する活性分子がハルミン(ACB1801)であったことが確認されている。ハルミン(7-メトキシ-1-メチル-9H-ピリド[3,4-b]-インドール)は、β-カルボリンファミリーの化合物に属し、精神賦活性及び血管弛緩性の薬剤であり、癌細胞に対する細胞変性活性も有する。ハルミンはDNAに低い親和性で結合することが判明した。非細胞傷害性濃度のハルミンで処理すると、悪性線維芽細胞は細胞-細胞間の接着特性を回復し、非悪性線維芽細胞で自然に起こるように自己組織化してクラスターを形成する(図4)。
【0109】
アクチン細胞骨格の大きな乱れ(無秩序化)は、肉腫並びにAML及びALL等の白血病、並びに間葉系マーカーを発現する浸潤性メラノーマ等、さまざまな間葉系腫瘍で観察される。
【0110】
図5は、ACB1801でマウスのB16 F10メラノーマ細胞を処理すると、アクチン細胞骨格構造の顕著なリモデリングが起こり、それに伴って細胞形態が丸い細胞からNodaら(1989)が記載したように「フラット・リバータント(flat revertant)」と呼ばれる線維芽細胞様形状に劇的に変化することを示している。
【0111】
ACB1801処理後の細胞-細胞間の接着力の救済は、実際の細胞-細胞間の接着力を測定することで客観的に確認することができる。表1のデータは、ACB1801処理により、悪性の細胞-細胞間の接着力が非悪性線維芽細胞で測定されたレベルまで回復することを示している。
【0112】
【表1】
表1. NIH-3T3及び3T3/EFの細胞破壊力。力はナノニュートン単位で表されている。各値±SDは、3回の独立した実験で行った20回の二重測定の平均である(材料及び方法を参照)。表示されている場合、3T3/EF細胞は10μMのACB1801の存在下で24時間インキュベートした。
【0113】
さらに、アクチン細胞骨格の再編成は、細胞-細胞間の接着の回復にとどまらず、ACB1801で処理した細胞が半固体培地で成長できないことで評価されるように、悪性度の低下をもたらすことが判明した。足場非依存性増殖は、主にインテグリンによって媒介される細胞外マトリクスからのシグナルがなくても、細胞が生存し、増殖する能力を反映する。悪性腫瘍のこの特徴は、半固体培地中の細胞のクローン形成能を評価することで知ることができる(図6A)。メチルセルロースを添加した培養培地に細胞を播種した(35mm皿に500個)。4週間後に直径が120μmより大きいクローンを数えた。ACB1801の濃度を上げて細胞を処理すると、IC50が約4.5μMとなり、顕著な増殖の阻害が認められた。MTT試験によって測定したACB1801の細胞傷害性のIC50は18.5μMであり、これより、半固体培地での増殖の抑制は、おそらくは直接的な細胞傷害効果によるものではないと考えられることに注目すべきである。この仮説は、図6Bに示されるように、フローサイトメトリーによって確認された。図6Bは、E/F細胞の細胞周期に対するACB1801の影響を示している。薬剤を投与していない状態では、E/F細胞の増殖状態により、ほとんどの細胞(84%)がG1期及びS期にあった。1μM、5μM及び10μMのACB1801とともに72時間インキュベートした後、細胞周期に有意な変化は認められず、特にアポトーシス細胞に特徴的なサブG1ピークは検出されなかった。ACB1801による細胞傷害効果がないことは、ACB1801を10μMまでの濃度で72時間処理した細胞におけるアネキシンV-FITC染色による評価でアポトーシスが見られないことで確認された(データは示していない)。対照的に、50μMのハルミンで処理した細胞では、細胞周期の変化及びアポトーシスの両方が認められた。
【0114】
クローニングの阻害は、細胞傷害性プロセスによるものではなく、悪性度の低下によるものであると結論づけられる。このことは、5μMのハルミンで48時間前処理した悪性線維芽細胞が、マウスにおいて腫瘍を形成する能力を失うという事実からも確認できる(データは示していない)。
【0115】
ファロイジン又はジャスプラキノリドのようなF-アクチン安定化分子とは対照的に、ハルミンはF-アクチンとは結合しない。このことは、ハルミンがアクチン動態のシグナル伝達に関与する主要な制御因子と相互作用しているということを示唆する。カイノームスキャン実験を行ったところ、ハルミンはいくつかのキナーゼ、つまりHIPK1、HIPK2、DIRK1A、DIRK1B、CDK7、CDK9と相互作用することが判明した。
【0116】
TCRやMHC-1等の、細胞膜に発現し、腫瘍細胞とTCLの間の免疫学的シナプスに関与するすべてのタンパク質の機能は、アクチン組織化に依存している。適切なタンパク質の配向及び接着力は、皮層のF-アクチンネットワークの完全性に依存している。F-アクチンは、免疫学的シナプスに関与する様々なタンパク質の細胞内ドメインと相互作用するフィラミン等のタンパク質の構造的組織化と局在化を可能にする。図6は、MHC-1の構造的組織化と、MHC I及びフィラミンの共局在を示す。図7Aは、MHC I及びアクチンの共局在を示しており、図7Bは、細胞膜におけるMHC Iの密度を増加させることが知られているインターフェロンγで細胞を処理すると、アクチンの密度が著しく増加することを示す。
【0117】
すべてのこれらの観察結果は、悪性細胞におけるアクチンネットワークの乱れが、MHC Iの機能の低下に関与していることを示しており、好都合な細胞骨格組織を回復させることで、復帰した腫瘍細胞とCD8 TCLとの間の分子コミュニケーションが改善されることを示唆している。
【0118】
この仮説によると、メラノーマB16を5μMのハルミンで処理した後のF-アクチンネットワークの救済(回復)は、細胞膜におけるHMC Iレベルの有意な上昇をもたらす(図9)。インターフェロンγとは対照的に、ハルミンはMHC I遺伝子の発現レベルにはほとんど影響を及ぼさず、これは、膜レベルでの増加は、フィラミン/アクチンの超分子構造による複合体の安定化によるものである可能性が高いことを示唆する。
【0119】
さらに、ハルミンはメラノーマB16細胞の膜におけるPD-L1の発現に限定的な影響しか与えないことが認められ、対照的にインターフェロンガンマ処理後には大きな効果があることが認められた。これは好ましい特性と考えることができる。というのも、腫瘍細胞におけるPD-L1の過剰発現は、癌患者の全生存率の低さと常に関連しているからである。
【0120】
メラノーマB16細胞を移植したシンジェニックマウスを用いたさらなる実験を行った。この実験モデルでは、抗PD1抗体は腫瘍の成長に影響を与えないことが知られていた。この効果のなさは、図11に示すように検証された。抗PD1抗体の効果がないのは、図10に示すようにPD-L1が発現していないためではなく、おそらく腫瘍細胞膜におけるMHC1複合体の異常な発現及び配置によるものである。メラノーマB16を保有するマウスにACB-1801(ハルミン)50mg/kgを毎日経口投与すると、腫瘍復帰と呼ばれる、主に腫瘍の表現型の障害に起因する顕著な抗腫瘍効果が得られる。注目すべき点は、ハルミンで処理したマウスでは、抗PD1抗体が有意な抗腫瘍活性を回復し、ACB-1801(ハルミン)及び抗PD1の併用で強い相乗効果が得られることである。
【0121】
ACB-1801はメラノーマB16-F10細胞におけるMHC-1を介した抗原提示を強く増加させる(図12
ACB-1801で処理すると、細胞膜上のMHC-1複合体によって促進されるH-2Kb結合OVAペプチドの提示が、用量依存的に増加する。50μMでは、この増加効果は、インターフェロンγによって誘発される効果に近い。
【0122】
ACB-1801は免疫依存的な抗腫瘍活性を示す(図13
ACB-1801は、免疫正常のマウスでは抗腫瘍活性を示すが、ヌードマウスでは示さない。この観察結果は、他の刊行物又は特許で開示されているデータとは異なる非細胞傷害的なメカニズムと一致している。
【0123】
ACB-1801は低用量で有意な免疫依存的な抗腫瘍活性を示す(図14参照)
【0124】
ACB-1801は、メラノーマB16-F10腫瘍を保有するマウスにおいて、抗PD-1の抗腫瘍活性を強く増強する
シンジェニックマウスにおけるメラノーマB16-F10腫瘍の成長に対するACB-1801及びACB-1801+抗PD-1の組み合わせの効果を図15に示す。メラノーマB16-F10腫瘍保有マウスの生存率に対するACB-1801及びACB-1801+抗PD-1の組み合わせの効果を図16に示す。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7(1)】
図7(2)】
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】