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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-23
(54)【発明の名称】摩擦波動減速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 13/06 20060101AFI20220516BHJP
   F16H 13/10 20060101ALI20220516BHJP
   F16H 1/32 20060101ALI20220516BHJP
   F16C 19/16 20060101ALI20220516BHJP
   F16C 23/06 20060101ALI20220516BHJP
   F16C 19/36 20060101ALI20220516BHJP
   F16C 19/10 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
F16H13/06
F16H13/10 A
F16H1/32 B
F16C19/16
F16C23/06
F16C19/36
F16C19/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534716
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(85)【翻訳文提出日】2021-06-15
(86)【国際出願番号】 KR2021002716
(87)【国際公開番号】W WO2021177766
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0028288
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0072464
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521261142
【氏名又は名称】シー アンド エム ロボティクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners 特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジュ,サン ワン
【テーマコード(参考)】
3J012
3J027
3J051
3J701
【Fターム(参考)】
3J012AB04
3J012BB03
3J012CB01
3J012EB14
3J012FB10
3J012FB11
3J012FB12
3J012GB10
3J027FA11
3J027FA17
3J027FA37
3J027FB31
3J027GC06
3J027GC22
3J027GD04
3J027GD08
3J027GD12
3J027GE11
3J027GE14
3J027GE21
3J051AA01
3J051BD02
3J051BE03
3J051EA01
3J051EA03
3J051EA05
3J051FA07
3J701AA02
3J701AA12
3J701AA42
3J701AA53
3J701AA54
3J701AA62
3J701AA72
3J701GA32
(57)【要約】
本発明は、主に産業用ロボットの関節に使用される従来の波動歯車装置から駆動原理を変更した摩擦波動減速機に関し、最外側に円錐加圧面を持つウェーブ・ジェネレータ(Wave generator)と、内側に前記ウェーブ・ジェネレータが収容され、前記円錐加圧面が密着して、内接する円錐摩擦管を持つ無歯(Toothless)型フレクスプライン(Flex spline)と、内側に前記無歯型フレクスプラインが収容されて、お互いに軸対称をなす複数の地点で、前記円錐摩擦管が内接する内接円錐摩擦面を持つことにより、前記無歯型フレクスプラインと内接摩擦車(Internal friction wheel)を構成する無歯(Toothless)型サーキュラ・スプライン(Circular spline)を含むことを特徴とする。
これにより、従来の波動歯車装置が持つ短所を乗り越えて、相対的に生産性が高いことはもちろん、回転精密度が高くて、振動、及び、騒音の発生がない減速機を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最外側に円錐加圧面を持つウェーブ・ジェネレータと、内側に前記ウェーブ・ジェネレータが収容され、前記円錐加圧面が密着して、内接する円錐摩擦管を持つ無歯型フレクスプラインと、内側に前記無歯型フレクスプラインが収容されて、お互いに軸対称をなす複数の地点で、前記円錐摩擦管が内接する内接円錐摩擦面を持つことにより、前記無歯型フレクスプラインと内接摩擦車をなす無歯型サーキュラ・スプラインを含むことを特徴とする摩擦波動減速機。
【請求項2】
前記ウェーブ・ジェネレータを軸方向に加圧することにより、前記円錐摩擦管と、前記内接円周摩擦面間の摩擦力を発生させるための加圧手段をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の摩擦波動減速機。
【請求項3】
前記加圧手段は、スラストベアリングを媒介で、前記ウェーブ・ジェネレータを加圧するプラグを含むことを特徴とする請求項2に記載の摩擦波動減速機。
【請求項4】
前記無歯型サーキュラ・スプラインの軸方向の一側端部に結合し、内側に前記プラグを収容するモータ安着用媒介プレートをさらに含み、
前記プラグの外周面と前記モータ安着用媒介プレートの内周面間には、お互いにネジ結合が行われることにより、これを介して前記プラグの前記ウェーブ・ジェネレータに対する加圧力を調節することを特徴とする請求項3に記載の摩擦波動減速機。
【請求項5】
前記プラグは、外周面が、前記モータ安着用媒介プレートの内周面とネジ結合するリムと、前記リムの内周面から内側に延長される弾性フランジと、前記弾性フランジの内側端部に形成されて、軸方向の一側端部を介して、前記スラストベアリングを加圧するハブが形成され、
前記ハブを介した、前記加圧力に比例して、前記弾性フランジが反対側の軸方向に弾性変形することを特徴とする請求項4に記載の摩擦波動減速機。
【請求項6】
前記プラグは、バネを媒介で、前記スラストベアリングを加圧し、
前記バネは、前記加圧力に比例して軸方向に弾性圧縮変形することを特徴とする請求項4に記載の摩擦波動減速機。
【請求項7】
前記ウェーブ・ジェネレータは、カムと、前記カムの外周面に結合するアンギュラー・コンタクトタイプのフレキシブル・ベアリングを含み、
前記円錐加圧面は、前記フレキシブル・ベアリングの外輪の外周面で構成されることを特徴とする請求項1に記載の摩擦波動減速機。
【請求項8】
前記フレキシブル・ベアリングの内輪は、前記カムの外周面で構成されることにより、前記カムの一部を構成することを特徴とする請求項7に記載の摩擦波動減速機。
【請求項9】
前記フレキシブル・ベアリングは、ボール・ベアリングであることを特徴とする請求項7に記載の摩擦波動減速機。
【請求項10】
前記フレキシブル・ベアリングは、ローラー・ベアリングであることを特徴とする請求項7に記載の摩擦波動減速機。
【請求項11】
前記ウェーブ・ジェネレータを軸方向に引っ張ることにより、前記円錐摩擦管と、前記内接円周摩擦面間の摩擦力を発生させるための引張手段をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の摩擦波動減速機。
【請求項12】
前記引張手段は、前記ウェーブ・ジェネレータから軸方向に延長され、前記無歯型フレクスプラインの中心を通過する延長シャフトと、前記延長シャフトを前記無歯型フレクスプラインに対して回転可能に支持するベアリング、及び、前記延長シャフトに結合し、前記ベアリングに密着されることにより、軸方向に支持されるプラグを含むことを特徴とする請求項11に記載の摩擦波動減速機。
【請求項13】
前記プラグの内周面と前記延長シャフトの外周面の間には、お互いにネジ結合が行われることにより、これを介して前記プラグの前記ウェーブ・ジェネレータに対する引張力を調節することを特徴とする請求項12に記載の摩擦波動減速機。
【請求項14】
前記プラグは、内周面が前記延長シャフトの外周面とネジ結合するハブと、前記ハブの外周面から外側に延長される弾性フランジと、前記弾性フランジの外側端部に形成されて、軸方向の一側端部を介して、前記ベアリングに支持されるリムが形成され、
前記ハブを介して、前記引張力に比例して、前記弾性フランジが反対側の軸方向に弾性変形することを特徴とする請求項13に記載の摩擦波動減速機。
【請求項15】
前記プラグは、バネを媒介で、前記ベアリングに支持され、
前記バネは、前記引張力に比例して軸方向に弾性圧縮変形することを特徴とする請求項13に記載の摩擦波動減速機。
【請求項16】
前記ウェーブ・ジェネレータは、最外側に前記円錐加圧面を持つウェーブ・ジェネレーティング・カムと、前記ウェーブ・ジェネレーティング・カムと軸方向に着脱可能に結合し、前記延長シャフトが形成されたウェーブ・ジェネレーティング・カム・シャフトを含むことを特徴とする請求項12に記載の摩擦波動減速機。
【請求項17】
前記ウェーブ・ジェネレータは、カムと、前記カムの外周面に結合するアンギュラー・コンタクトタイプのフレキシブル・ベアリングを含み、
前記円錐加圧面は、前記フレキシブル・ベアリングの外輪の外周面で構成されることを特徴とする請求項11に記載の摩擦波動減速機。
【請求項18】
前記フレキシブル・ベアリングの内輪は、前記カムの外周面で構成されることにより、前記カムの一部を構成することを特徴とする請求項17に記載の摩擦波動減速機。
【請求項19】
前記フレキシブル・ベアリングは、ボール・ベアリングであることを特徴とする請求項17に記載の摩擦波動減速機。
【請求項20】
前記フレキシブル・ベアリングは、ローラー・ベアリングであることを特徴とする請求項17に記載の摩擦波動減速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に産業用ロボットの関節に使用される減速機に関し、より詳細には、従来の波動歯車装置から駆動原理を変更した摩擦波動減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、産業用ロボット、工作機械、半導体工程などのように動作の精密度が要求される分野に適用される減速機では、波動歯車装置(Strain wave gearing)、RV減速機、遊星歯車減速機などがある。
【0003】
その中でも、いわゆるハーモニックドライブ(登録商標)とも呼ばれる波動歯車装置は、1:30~1:320の高い減速比を高精密度で具現しながらも、簡単な構造を持つことにより、小型化、軽量化に有利で産業用ロボットの分野では、広く採択されて使われている。
【0004】
従来の波動歯車装置(10)は、図1に示すように、ウェーブ・ジェネレータ(Wave generator、11)、フレクスプライン(Flex spline、12)、サーキュラ・スプライン(Circular spline、13)を核心構成要素とし、図2に示したように、モータ軸と一体に回転する楕円形のウェーブ・ジェネレータ(11)が回転することによって、これを取り囲んだ弾性体であるフレクスプライン(12)が回転するウェーブ・ジェネレータ(11)の形に合わせて変形を起こす。そして、フレクスプライン(12)は、外側に噛合されたサーキュラ・スプライン(13)と、一定の歯数差を持っていて、ウェーブ・ジェネレータ(11)の単位回転時にフレクスプライン(12)は、前記歯数差ほどの角度で逆方向に回転する(a→b→c→d)減速比が具現される。
【0005】
しかし、このような原理の波動歯車装置(10)は、前記のような長所にもかかわらず、フレクスプライン(12)に歯形を形成するための設計、及び、精密加工が行われる関係で製作が難しくて、原価も高くなるという問題があった。
【0006】
また、前記歯形の形成で歯面の間の摩擦による摩耗が生じるとか、歯形の加工誤差ないし形状誤差が存在する場合には、回転精密度が落ちて振動、及び、騒音が発生するという問題があった。
【0007】
また、前記歯形の形成は、必然的にバックラッシュ(Backlash)を持つので、回転遊撃を持つという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許公報第2018-0127794号(2018.11.30.)
【特許文献2】韓国公開特許公報第2017-0139191号(2017.12.19.)
【特許文献3】韓国特許登録第2033409号(2019.10.11.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来の波動歯車装置の駆動原理を変更することにより、前記のように、従来の波動歯車装置が持つ短所を乗り越えて、相対的に生産性が高いことはもちろん、回転精密度が高くて、振動、及び、騒音の発生がない摩擦波動減速機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は、最外側に円錐加圧面を持つウェーブ・ジェネレータ(Wave generator)と、内側に前記ウェーブ・ジェネレータが収容され、前記円錐加圧面が密着して、内接する円錐摩擦管を持つ無歯(Toothless)型フレクスプライン(Flex spline)と、内側に前記無歯型フレクスプラインが収容されて、お互いに軸対称をなす複数の地点で、前記円錐摩擦管が内接する内接円錐摩擦面を持つことにより、前記無歯型フレクスプラインと内接摩擦車(Internal friction wheel)をなす無歯(Toothless)型サーキュラ・スプライン(Circular spline)を含むことを特徴とする摩擦波動減速機を提供する。
【0011】
ここで、前記摩擦波動減速機は、前記ウェーブ・ジェネレータを軸方向に加圧することにより、前記円錐摩擦管と、前記内接円周摩擦面間の摩擦力を発生させるための加圧手段をさらに含むことができる。
【0012】
この場合には、前記加圧手段は、スラストベアリング(Thrust bearing)を媒介で、前記ウェーブ・ジェネレータを加圧するプラグ(Plug)を含むことができる。
【0013】
さらに、前記摩擦波動減速機は、前記サーキュラ・スプラインの軸方向の一側端部に結合し、内側に前記プラグを収容するモータ安着用媒介プレートをさらに含み、前記プラグの外周面と前記媒介プレートの内周面間にはお互いにネジ結合が行われる。これにより、前記プラグの前記ウェーブ・ジェネレータに対する加圧力を調節することができるように構成することもできる。
【0014】
この時、前記プラグは、外周面が、前記媒介プレートの内周面とネジ結合するリム(rim)と、前記リムの内周面から内側に延長される弾性フランジ(elastic flange)と、前記弾性フランジの内側端部に形成されて軸方向の一側端部を介して、前記スラストベアリングを加圧するハブ(hub)が形成されて、前記ハブを介して、前記加圧力に比例して、前記弾性フランジが反対側の軸方向に弾性変形する構成をすることもできる。
【0015】
または、前記プラグはバネを媒介で、前記スラストベアリングを加圧し、前記バネは、前記加圧力に比例して軸方向に弾性圧縮変形する構成をすることもできる。
【0016】
一方、前記摩擦波動減速機は、前記加圧手段に代って、前記ウェーブ・ジェネレータを軸方向に引っ張ることにより、前記円錐摩擦管と、前記内接円周摩擦面間の摩擦力を発生させるための引張手段をさらに含むこともできる。
【0017】
この場合には、前記引張手段は、前記ウェーブ・ジェネレータから軸方向に延長されて、前記フレクスプラインの中心を通過する延長シャフトと、前記延長シャフトを前記フレクスプラインに対して回転可能に支持するベアリング、及び、前記延長シャフトに結合して、前記ベアリングに密着されることにより、軸方向に支持されるプラグを含むこともできる。
【0018】
この時、前記プラグの内周面と前記延長シャフトの外周面の間にはお互いにネジ結合が行われることにより、これを介して前記プラグの前記ウェーブ・ジェネレータに対する引張力を調節することができるように構成することもできる。
【0019】
さらに、前記プラグは内周面が、前記延長シャフトの外周面とネジ結合するハブ(hub)と、前記ハブの外周面から外側に延長される弾性フランジ(elastic flange)と、前記弾性フランジの外側端部に形成されて軸方向の一側端部を介して、前記ベアリングに支持されるリム(rim)が形成され、前記ハブを介して、前記引張力に比例して、前記弾性フランジが反対側の軸方向に弾性変形するように構成することもできる。
【0020】
または、前記プラグはバネを媒介で、前記ベアリングに支持され、前記バネは、前記引張力に比例して軸方向に弾性圧縮変形する構成をとることもできる。
【0021】
そして、前記ウェーブ・ジェネレータは最外側に、前記円錐加圧面を持つウェーブ・ジェネレーティング・カムと、前記ウェーブ・ジェネレーティング・カムと軸方向に着脱可能に結合し、前記延長シャフトが形成されたウェーブ・ジェネレーティング・カム・シャフトを含むように構成することもできる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明に係る摩擦波動減速機によれば、従来のフレクスプラインとサーキュラ・スプラインの間の噛合構造を面対面接触の摩擦結合構造で転換することにより、歯型の設計や精密加工が不必要であるという長所があり、結果的に従来のハーモニックドライブ(登録商標)に比べて相対的に製作費が少なくて生産性が高い。特に、ウェーブ・ジェネレータの楕円半径や外郭形状寸法が正確でなくても、軸方向に設置される位置を調節することにより、内外円錐面間の摩擦接触を達成することができるので、加工精密度の負担が少ない。
【0023】
また、従来の歯形による小型化の限界を克服し、超小型、及び、超軽量の減速機を提供することができる。もちろん、歯形が形成されないので、耐摩耗性、及び、耐久性もより良くなる。
【0024】
さらに、高い面圧による相対的滑りがない定格容量の範囲内では、回転精密度が非常に高くて、バックラッシュが全くない。また、歯形の加工誤差や形状誤差などがまったく存在しないので、高速回転でも振動や騒音がほとんど発生しない。また、従来の噛合構造で不可欠であった高価な潤滑油が不必要である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】従来の波動歯車装置の主要部分解斜視図である。
図2図1の波動歯車装置の結合状態での動作段階別平面図である。
図3】本発明の第1実施例に係る摩擦波動減速機とモータの組立斜視図及び断面図である。
図4】本発明の第1実施例に係る摩擦波動減速機とモータの組立斜視図及び断面図である。
図5図4で波動歯車装置を分離して示す拡大された斜視図及び断面図である。
図6図4で波動歯車装置を分離して示す拡大された斜視図及び断面図である。
図7】本発明の第2実施例に係る摩擦波動減速機とモータの組立斜視図及び断面図である。
図8】本発明の第2実施例に係る摩擦波動減速機とモータの組立斜視図及び断面図である。
図9図8で摩擦波動減速機を分離して示す拡大された斜視図及び断面図である。
図10図8で摩擦波動減速機を分離して示す拡大された斜視図及び断面図である。
図11】それぞれ図6の変形例を示す断面図である。
図12】それぞれ図6の変形例を示す断面図である。
図13】それぞれ図10の変形例を示す断面図である。
図14】それぞれ図10の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の第1実施例に係る摩擦波動減速機(100)は、図3及び図4に示すように一側面に、結合されたモーター(20)の駆動軸(21)に、ウェーブ・ジェネレータ(110)が結合して一体で回転し、このためこれを取り囲んだ弾性体であるフレクスプライン(120)が回転するウェーブ・ジェネレータ(110)の形に合わせて変形を起こし(図2参照)、その外側のサーキュラ・スプライン(130)に対して一定の割合で逆方向に回転することにより、出力軸(140)の減速比を具現するという点では、従来の波動歯車装置(図1及び図2の10参照)と実質的に同一である。
【0027】
ただし、従来のフレクスプライン(図1の12)とサーキュラ・スプライン(図1の13)が噛合関係である反面、本発明に係るフレクスプライン(120)とサーキュラ・スプライン(130)は、面対面接触の摩擦結合関係という点に核心的な違いがある。
【0028】
本実施例では、このような摩擦結合関係を具現するために、図5及び図6に示すように、ウェーブ・ジェネレータ(110)側フレキシブル・ベアリング(Flexible bearing、111)は、その外輪(Outer race、112)の外周面(112a)が左側が高く右側が低い傾斜面、すなわち円錐加圧面で構成され、その垂直方向に外側に密着したフレクスプライン(120)に圧力をかける。
【0029】
前記圧力は、ウェーブ・ジェネレータ(110)のカム(Cam、113)をスラストベアリング(Thrust bearing、150)を媒介で軸方向に加圧するプラグ(Plug、160)によって発揮される。このため、前記フレキシブル・ベアリング(111)は、軸方向の力を半径方向に伝えることができるアンギュラー・コンタクト(Angular contact)タイプであることが好ましく、その例は、図示されたように、その他の円錐形軌道輪を持つフレキシブル・ベアリングまたはテーパー・ローリング・ベアリングも適用可能である。
【0030】
特に、本実施例では、カム(113)の外周面(113a)がフレキシブル・ベアリング(111)の内輪(Inner race)の形状、及び、機能を兼ねるように一体に形成される。
【0031】
プラグ(160)がカム(113)に加える力は調節可能なように構成され、本実施例では、外側のサーキュラ・スプライン(130)の軸方向へ一側に結合するモーター安着用媒介プレート(170)の内側に、前記プラグ(160)が結合するようにし、前記媒介プレート(170)の内周面とプラグ(160)の外周面の間にネジ結合が行われることにより、プラグ(160)の回転調節によってカム(113)に加える力を調節することができる。これにより、最外側の円錐加圧面(112a)がフレクスプライン(120)に加える圧力を調節することができる。
【0032】
このとき、フレキシブル・ベアリング(111)は、図示されたように、ボールベアリング(Ball bearing)である場合もあり、相対的に強い力を伝えることになる場合には、ローラーベアリング(Roller bearing)に取り替えられることもできる。
【0033】
フレクスプライン(120)は、前記円錐加圧面(112a)に対応して左側が広く、右側に行くほど狭くなる円錐摩擦管(121)を持つ。これにより、円錐加圧面(112a)は、円錐摩擦管(121)に密着して内接する。この円錐摩擦管(121)には、歯形が形成されないので、このような円錐摩擦管(121)を持つフレクスプライン(120)を「無歯(Toothless)型」フレクスプラインと呼ぶことにする。
【0034】
また、円錐摩擦管(121)に対応して外側のサーキュラ・スプライン(130)の内周面には、左側が広く、右側に行くほど狭くなる内接円錐摩擦面(131)をもつ。この内接円錐摩擦面(131)にも歯形が形成されないので、このような内接円錐摩擦面(131)を持つサーキュラ・スプライン(130)を「無歯(Toothless)型」サーキュラ・スプラインと呼ぶことにする。
【0035】
これにより、円錐摩擦管(121)と内接円錐摩擦面(131)間には、ウェーブ・ジェネレータ(110)のカム(113)の形状によってお互いに軸対称をなす2地点または3以上の地点でお互いに接触(つまり、内接)する。
【0036】
結果的に、無歯型フレクスプライン(120)と無歯型サーキュラ・スプライン(130)は、複数の地点でお互いに接触する内接摩擦車(Internal friction wheel)をなし、お互い間の円周方向への長さの差による減速比を具現する。
【0037】
本発明の第2実施例に係る摩擦波動減速機(200)は、図7及び図8に示すように一側面に結合したモーター(20)の駆動軸(21)に、ウェーブ・ジェネレータ(210)が結合して一体に回転し、このため、これを取り囲んだ弾性体であるフレクスプライン(220)が回転するウェーブ・ジェネレータ(210)の形に合わせて変形を起こし(図2参照)、その外側のサーキュラ・スプライン(230)に対して一定の割合で逆方向に回転することにより、出力端(222)の減速比を具現するという点では、従来の波動歯車装置(図1及び図2の10参照)と実質的に同一である。
【0038】
ただし、従来のフレクスプライン(図1の12)とサーキュラ・スプライン(図1の13)が噛合関係である反面、本実施例に係るフレクスプライン(220)とサーキュラ・スプライン(230)は、面対面接触の摩擦結合関係という点に核心的な違いがある。
【0039】
本実施例では、このような摩擦結合関係を具現するために、図9及び図10に示すように、ウェーブ・ジェネレータ(210)側のフレキシブル・ベアリング(Flexible bearing、211)は、その外輪(Outer race、212)の外周面(212a)が左側が高くて右側が低い傾斜面、すなわち円錐加圧面で構成され、その垂直方向へ外側に密着したフレクスプライン(220)に圧力をかける。
【0040】
前記圧力は、ウェーブ・ジェネレータ(210)の中心から軸方向に延長される延長シャフト(214)を軸方向に引っ張るプラグ(260)によって発揮される。このため、ベアリング(250)をフレクスプライン(220)の中心部に形成されるシリンダ面(223)に密着され挿入して内側の延長シャフト(214)を回転可能に支持する。延長シャフト(214)に結合するプラグ(260)は、ベアリング(250)の内輪に軸方向に密着される方式でウェーブジェネレーター(210)を引っ張る。ここで、ベアリング(250)は、アンギュラー・コンタクト(Angular contact)タイプである場合もあり、フレクスプライン(220)の中心部の形状によっては、スラストベアリング(Thrust bearing)が採用されることもできる。
【0041】
前記フレキシブル・ベアリング(211)は、軸方向の力を半径方向に伝えることができるアンギュラー・コンタクト・タイプであることが好ましく、その例は、図示されたように、その他の円錐形軌道輪を持つフレキシブル・ベアリングまたはテーパー・ローリング・ベアリングも適用可能である。
【0042】
特に、本実施例では、カム(213)の外周面(213a)がフレキシブル・ベアリング(211)の内輪(Inner race)の形状及び機能を兼ねるように一体に形成される。
【0043】
プラグ(260)が、ウェーブ・ジェネレータ(210)を軸方向に引っ張り力は調節可能なように構成され、本実施例では、前記プラグ(260)の内周面と延長シャフト(214)の外周面の間にネジ結合が行われることにより、プラグ(260)の回転調節によって、ウェーブ・ジェネレータ(210)を引っ張る力(つまり、引張力)が調節できる。これにより、最外側の円錐加圧面(212a)がフレクスプライン(220)に加える圧力を調節することができる。
【0044】
このとき、フレキシブル・ベアリング(211)は、図示されたように、ボールベアリング(Ball bearing)である場合もあり、相対的に強い力を伝えることになる場合には、ローラーベアリング(Roller bearing)に置き換えることもできる。
【0045】
フレクスプライン(220)は、前記円錐加圧面(212a)に対応して左側が広くて、右側に行くほど狭くなる円錐摩擦管(221)を持つ。これにより、円錐加圧面(212a)は、円錐摩擦管(221)に密着して内接する。この円錐摩擦管(221)には、歯形が形成されないので、このような円錐摩擦管(221)を持つフレクスプライン(220)を「無歯(Toothless)型」フレクスプラインと呼ぶことにする。
【0046】
また、円錐摩擦管(221)に対応して外側のサーキュラ・スプライン(230)の内周面には、左側が広くて、右側に行くほど狭くなる内接円錐摩擦面(231)をもつ。この内接円錐摩擦面(231)にも歯形が形成されないので、このような内接円錐摩擦面(231)を持つサーキュラ・スプライン(130)を「無歯(Toothless)型」サーキュラ・スプラインと呼ぶことにする。
【0047】
これにより、円錐摩擦管(221)と内接円錐摩擦面(231)との間には、ウェーブ・ジェネレータ(210)のカム(213)の形状によって軸対称をなす2地点または3以上の地点でお互いに接触(つまり、内接)する。
【0048】
結果的に、無歯型フレクスプライン(220)と無歯型サーキュラ・スプライン(230)は、複数の地点でお互いに接触する内接摩擦車(Internal friction wheel)をなし、お互い間の円周方向への長さの差による減速比を具現する。
【0049】
一方、図11は、前記した第1実施例に係る摩擦波動減速機(図6参照)の一変形例として、プラグ(360)は、外周面が媒介プレート(370)の内周面とネジ結合するリム(rim、361)、このリム(361)の内周面から内側に延長される弾性フランジ(elastic flange、362)、この弾性フランジ(362)の内側端部に形成されて軸方向の一側端部を介してスラストベアリング(350)を加圧するハブ(hub、363)が形成される。
【0050】
このような構成から、媒介プレート(370)にネジ結合するリム(361)をもっと締めることにより、前記リム(361)が(右側へ)少しずつ前進するほどハブ(363)がスラストベアリング(350)を介して、ウェーブ・ジェネレータ(310)に加える加圧力が次第に増加し、それに比例して弾性フランジ(362)は、反対側の軸方向(図面では左側方向)に弾性変形する。これはまるで、前記加圧力ほどのバネ力が弾性フランジ(362)に貯蔵されたことと同一である。
【0051】
これにより、フレキシブル・ベアリング(311)の部位での長時間の摩擦回転に起因した微細摩耗による摩擦加圧力の減少時にも、前記弾性フランジ(362)による軸方向加圧力でこれを自動的に補正することにより、円錐摩擦管(321)、及び、内接円周摩擦面(331)との接触力が常に維持されることができる。
【0052】
このような構成要素間の接触を維持するための他の変形例として、図12に示すように、プラグ(460)とスラストベアリング(450)の間に皿バネ(480)を介在させることにより、これを媒介でスラストベアリング(450)とウェーブ・ジェネレータ(410)に加圧力を提供する構成をすることもできる。
【0053】
前記加圧力に比例して皿バネ(480)は、軸方向に弾性圧縮変形をすし、このような皿バネ(480)に蓄積された復元力は、前記したところと同様に、フレキシブル・ベアリング(411)部位での摩耗による摩擦加圧力減少を自動で補正することができる。
【0054】
そして、前記変形例では、先に図6を参照して説明したところと異なり、ウェーブ・ジェネレータ(410)のカム(413)の外周面に、別途のフレキシブル・ベアリング(411)を内、外輪を含んで装着する構成をとることにより、摩耗の時には、新しいベアリングで入れ替えることができるようにして、維持管理の側面を考慮した設計を提供することができる。
【0055】
一方、前記のような変形された仕様は、本発明の第2実施例に係る摩擦波動減速機(図10参照)にも適用することができる。
【0056】
すなわち、図13に示すように、ウェーブ・ジェネレータ(510)を軸方向に引っ張る引張手段としてのプラグ(560)は、内周面が延長シャフト(514)の外周面とネジ結合するハブ(hub、561)、このハブ(561)の外周面から外側に延長される弾性フランジ(elastic flange、562)が、この弾性フランジ(562)の外側端部に形成されて、軸方向の一側端部を介してベアリング(550)に支持されるリム(rim、563)が形成される。
【0057】
これにより、フレキシブル・ベアリング(511)の部位での摩耗による段差の発生の時にも、前記弾性フランジ(562)の変形で蓄積された軸方向引張力により、円錐摩擦管(521)、及び、内接円周摩擦面(531)の接触力が常に維持されることができる。
【0058】
また、前述した別の変形例と同様に、図14に示すように、プラグ(660)とベアリング(650)間に皿バネ(680)を介在させることにより、これを媒介として、ウェーブ・ジェネレータ(610)に引張力を提供する構成をすることもできる。
【0059】
一方、本変形例では、ウェーブ・ジェネレータ(610)は、ウェーブ・ジェネレーティング・カム(613)の外周面に、別途のフレキシブル・ベアリング(611)を内、外輪を含んで装着する構成をとることはもちろん、このようなウェーブ・ジェネレーティング・カム(613)が延長シャフト(614)が形成されたウェーブ・ジェネレーティング・カム・シャフト(615)と着脱可能に結合する構成をする。これにより、ウェーブ・ジェネレータ(610)の部位別破損によるメンテナンスの側面を考慮した設計を提供することができる。
【0060】
以上で説明した摩擦波動減速機は、本発明の理解を助けるために、図面と明細書で最適の実施例を開示した。ここで特定の用語を用いたが、これは単に本発明を説明するための目的で用いたものであり、意味の限定や特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を制限するために用いたものではない。従って、当該技術分野の通常の知識を持つ者であれば、多様な変形および均等な他の実施例が可能であることを理解すべきである。また、本発明の真の技術的保護範囲は、添付された特許請求の範囲の技術的思想によって定められる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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【国際調査報告】