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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-23
(54)【発明の名称】自己膨張式板材成形
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/58 20120101AFI20220516BHJP
   D04H 1/542 20120101ALI20220516BHJP
   A47C 27/12 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
D04H1/58
D04H1/542
A47C27/12 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556365
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(85)【翻訳文提出日】2021-11-16
(86)【国際出願番号】 US2020022893
(87)【国際公開番号】W WO2020190831
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】62/820,294
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/837,235
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/879,029
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/970,060
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/975,326
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/594,279
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521431826
【氏名又は名称】ピアナ ノンウォーヴンズ
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】ホリス アンディ
(72)【発明者】
【氏名】デフランクス マイケル スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】マッキャン エリック
(72)【発明者】
【氏名】ジェファリ メヘラン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリーセン ヘリアス
(72)【発明者】
【氏名】リム サンフン
(72)【発明者】
【氏名】ピアナ アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ボルガッティ アルフィオ
【テーマコード(参考)】
3B096
4L047
【Fターム(参考)】
3B096AD06
4L047AA21
4L047AB02
4L047AB09
4L047BA12
4L047BB09
4L047CB01
4L047CC09
(57)【要約】
3次元構成部品が簡単な成形操作で製造される。半加工品と呼ばれる膨張性基材は、サーマルボンド不織布をその接着剤の融解温度を超えて加熱した後に圧縮することと、次に、蓄えられた運動エネルギーを有する圧縮された構成において、接着剤が硬化して不織布の繊維を互いに保持するように、圧縮された不織布を冷却することと、により作成される。板材は、2つ以上の半加工品を互いに積層することにより、および/または、半加工品を、非膨張性材料を含む他の材料と積層することにより、形成され得る。構成部品が製造される金型は、垂直に、隣接して、またはランダムな向きに積み重ねられた数多くの板材(または半加工品)で、部分的に満たされ得る。加えて、板材または半加工品は、金型内に置かれ得る部品の所望の形状を作成するために、切断されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の3次元物体を製造する方法であって、
不織布の3次元の塊における少なくともいくつかの隣接する繊維間が接着剤で接合された繊維から構成される繊維不織布材料を圧縮するステップと、
1つ以上の膨張性基材を金型内に置くステップと、
前記金型内の前記1つ以上の膨張性基材を前記接着剤の融解温度を超える温度に加熱するステップと、
前記接着剤を固化させて、少なくとも1つの物体に、前記金型により輪郭が定められた構成を少なくとも部分的に呈する形状を与えるために、前記少なくとも1つの物体を、前記接着剤の前記融解温度よりも低く冷却するステップと、
前記少なくとも1つの物体を取り出すために、前記金型を開けるステップと、
を含み、
前記不織布の3次元の塊は、高さ寸法と長さ寸法と幅寸法とを有し、
前記接着剤は、前記繊維の融解温度または分解温度よりも低い前記融解温度を有し、
前記圧縮するステップは、
前記融解温度を超えて前記接着剤を加熱する工程と、
前記繊維不織布材料の元の寸法よりも小さい少なくとも1つの寸法において前記繊維不織布材料が圧縮されるように、前記繊維不織布材料に圧力を加える工程と、
を含み、
前記圧縮するステップは、前記接着剤の硬化によって前記繊維が互いに接合するように前記繊維不織布材料が圧縮される一方で、前記接着剤を前記融解温度よりも低く冷却する工程を含み、
前記圧縮するステップは、前記繊維不織布材料から、前記元の寸法よりも小さい厚さを有する前記1つ以上の膨張性基材を生成し、
前記繊維不織布材料は、接着剤の融解とその後の硬化とを伴う圧縮の後、前記金型の外側が加熱されると、任意の方向に少なくとも5%膨張し、
前記1つ以上の膨張性基材は、前記金型を少なくとも部分的に満たし、1つ以上の膨張した基材を含む前記少なくとも1つの物体を形成するために、前記少なくとも1つの寸法において膨張する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記置くステップは、前記金型内に2つ以上の膨張性基材を置く工程を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記2つ以上の膨張性基材は、前記金型内で互いに重ね合わされる、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記2つ以上の膨張性基材は、前記金型内で互いに隣接して置かれる、
請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記置くステップは、前記1つ以上の膨張性基材とは異なる1つ以上の材料を前記金型内に置くステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の材料は、発泡体材料と、布地材料と、ゴム材料と、金属材料と、金属合金材料と、ポリマ材料と、セラミック材料と、紙材料と、からなる群から選ばれる、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
1つ以上の積層板材を形成するために前記1つ以上の膨張性基材を積層するステップを含み、
前記置くステップは、前記1つ以上の積層板材を前記金型内に置くことにより実行される、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の膨張性基材は、同じサイズと形状とを有し、
前記1つ以上の膨張性基材は、同じ繊維不織布材料から形成される、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の膨張性基材は、サイズと、形状と、同じ繊維不織布材料から形成されることと、のいずれかの点において互いに異なる、
請求項7記載の方法。
【請求項10】
1つ以上の積層板材を形成するために、前記1つ以上の膨張性基材と、1つ以上の非膨張基材と、を共に積層するステップを含み、
前記置くステップは、前記1つ以上の積層板材を前記金型内に置くことにより実行される、
請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の膨張性基材は、同じサイズと形状とを有し、
前記1つ以上の膨張性基材は、同じ繊維不織布材料から形成される、
請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上の膨張性基材は、サイズと、形状と、同じ繊維不織布材料から形成されることと、のいずれかの点において互いに異なる、
請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の非膨張基材は、前記1つ以上の膨張性基材のうちの少なくとも1つと同じサイズと形状とを有する、
請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上の非膨張基材は、前記1つ以上の膨張性基材のうちの少なくとも1つとは異なるサイズまたは形状を有する、
請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の非膨張基材は、発泡体材料と、布地材料と、ゴム材料と、金属材料と、金属合金材料と、ポリマ材料と、セラミック材料と、紙材料と、からなる群から選ばれる、
請求項10記載の方法。
【請求項16】
1つ以上の膨張性基材を積層する工程、または、少なくとも1つの膨張性基材を少なくとも1つの非膨張性基材と共に積層する工程、のいずれかの工程により、1つ以上の積層板材を形成するステップと、
前記1つ以上の積層板材を指定されたサイズの1つ以上の部品に切断するステップと、
を含み、
前記置くステップは、前記1つ以上の部品を前記金型内に置くことにより実行される、
請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上の部品は、少なくとも垂直、横、または幅寸法において同じサイズの、少なくとも2つの部品を含む、
請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上の部品は、少なくとも垂直、横、または幅寸法において異なるサイズの、少なくとも2つの部品を含む、
請求項16記載の方法。
【請求項19】
装置または材料を前記金型内に配置するステップを含み、
前記少なくとも1つの物体は、前記少なくとも1つの物体が前記金型から取り出された後に、前記装置または前記材料に接着またはその他の方法で取り付けられる、
請求項1記載の方法。
【請求項20】
前記装置または前記材料は、フレームである、
請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記フレームは、木、ポリマ、セラミック、または金属で作られる、
請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記1つ以上の膨張性基材は、少なくとも2つの膨張性基材を含み、
前記置くステップは、前記金型内で前記装置または前記材料の反対側に、少なくとも1つの膨張性基材を置く、
請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記加熱するステップは、
前記金型を気体で加圧するステップと、
その後、前記金型から前記気体の一部を放出している間または放出した後に、前記金型に蒸気を導入するステップと、
を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記気体は、空気である、
請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記加圧するステップは、
選択された設定点まで前記金型内の圧力を上げる工程と、
選択された一定時間の間、前記選択された設定点に前記圧力を保持する工程と、
前記選択された設定点の20%-80%の圧力に減圧する工程と、
その後、前記選択された設定点に前記金型を再加圧する工程と、
により実行される、
請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記圧力を上げる工程と、前記保持する工程と、前記減圧する工程と、前記再加圧する工程と、は複数回繰り返される、
請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記複数回は、2回乃至6回である、
請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記加熱するステップの後かつ前記開けるステップの前に、前記金型内で真空圧を引き出すステップと、
前記冷却するステップの前、間、または後に、前記真空圧を解放するステップと、
を含む、
請求項23記載の方法。
【請求項29】
前記開けるステップの前に、前記引き出すステップと、前記解放するステップと、を複数回繰り返すステップを含む、
請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記引き出すステップと、前記解放するステップと、を繰り返す前記複数回は、2回乃至6回である、
請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記加熱するステップの後かつ前記開けるステップの前に、前記金型内で真空圧を引き出すステップと、
前記冷却するステップの前、間、または後に、前記真空圧を解放するステップと、
を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項32】
前記開けるステップの前に、前記引き出すステップと、前記解放するステップと、を複数回繰り返すステップを含む、
請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記引き出すステップと、前記解放するステップと、を繰り返す前記複数回は、2回乃至6回である、
請求項32記載の方法。
【請求項34】
3次元物体を製造する方法であって、
1つ以上の膨張性基材を金型内に置くステップと、
前記金型内の前記1つ以上の膨張性基材を接着剤の融解温度を超える温度に加熱するステップと、
前記接着剤を固化させて、少なくとも1つの物体に、前記金型により輪郭が定められた構成を少なくとも部分的に呈する形状を与えるために、前記少なくとも1つの物体を、前記接着剤の前記融解温度よりも低く冷却するステップと、
前記少なくとも1つの物体を取り出すために、前記金型を開けるステップと、
を含み、
前記1つ以上の膨張性基材のそれぞれは、
不織布の3次元の塊における少なくともいくつかの隣接する繊維間が前記接着剤で接合された繊維から構成される繊維不織布材料の圧縮と、
前記融解温度を超えた前記接着剤への加熱と、
前記繊維不織布材料の元の寸法よりも小さい少なくとも1つの寸法において前記繊維不織布材料が圧縮されるような、前記繊維不織布材料への圧力の加圧と、
前記接着剤の硬化により前記繊維が互いに接合するように前記繊維不織布材料が圧縮される一方で、前記接着剤の前記融解温度よりも低い冷却と、
により作られ、
前記不織布の3次元の塊は、高さ寸法と長さ寸法と幅寸法とを有し、
前記接着剤は、前記繊維の融解温度または分解温度よりも低い前記融解温度を有し、
前記圧縮は、前記繊維不織布材料から、前記元の寸法よりも小さい厚さを有する膨張性基材を生成し、
前記繊維不織布材料は、前記接着剤の融解とその後の硬化とを伴う圧縮の後、前記金型の外側が加熱されると、任意の方向に少なくとも5%膨張し、
前記1つ以上の膨張性基材は、前記金型を少なくとも部分的に満たし、1つ以上の膨張した基材を含む前記少なくとも1つの物体を形成するために、前記少なくとも1つの寸法において膨張する、
ことを特徴とする方法。
【請求項35】
前記置くステップは、前記金型内に2つ以上の膨張性基材を置く工程を含む、
請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記2つ以上の膨張性基材は、前記金型内で互いに重ね合わされる、
請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記2つ以上の膨張性基材は、前記金型内で互いに隣接して置かれる、
請求項35記載の方法。
【請求項38】
前記置くステップは、前記1つ以上の膨張性基材とは異なる1つ以上の材料を前記金型内に置くステップを含む、
請求項34記載の方法。
【請求項39】
前記1つ以上の材料は、発泡体材料と、布地材料と、ゴム材料と、金属材料と、金属合金材料と、ポリマ材料と、セラミック材料と、紙材料と、からなる群から選ばれる、
請求項38記載の方法。
【請求項40】
1つ以上の積層板材を形成するために前記1つ以上の膨張性基材を積層するステップを含み、
前記置くステップは、前記1つ以上の積層板材を前記金型内に置くことにより実行される、
請求項34記載の方法。
【請求項41】
前記1つ以上の膨張性基材は、同じサイズと形状とを有し、
前記1つ以上の膨張性基材は、同じ繊維不織布材料から形成される、
請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記1つ以上の膨張性基材は、サイズと、形状と、同じ繊維不織布材料から形成されることと、のいずれかの点において互いに異なる、
請求項40記載の方法。
【請求項43】
1つ以上の積層板材を形成するために、前記1つ以上の膨張性基材と、1つ以上の非膨張基材と、を共に積層するステップを含み、
前記置くステップは、前記1つ以上の積層板材を前記金型内に置くことにより実行される、
請求項34記載の方法。
【請求項44】
前記1つ以上の膨張性基材は、同じサイズと形状とを有し、
前記1つ以上の膨張性基材は、同じ繊維不織布材料から形成される、
請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記1つ以上の膨張性基材は、サイズと、形状と、同じ繊維不織布材料から形成されることと、のいずれかの点において互いに異なる、
請求項43記載の方法。
【請求項46】
前記1つ以上の非膨張基材は、前記1つ以上の膨張性基材のうちの少なくとも1つと同じサイズと形状とを有する、
請求項43記載の方法。
【請求項47】
前記1つ以上の非膨張基材は、前記1つ以上の膨張性基材のうちの少なくとも1つとは異なるサイズまたは形状を有する、
請求項43記載の方法。
【請求項48】
前記1つ以上の非膨張基材は、発泡体材料と、布地材料と、ゴム材料と、金属材料と、金属合金材料と、ポリマ材料と、セラミック材料と、紙材料と、からなる群から選ばれる、
請求項43記載の方法。
【請求項49】
1つ以上の膨張性基材を積層する工程、または、少なくとも1つの膨張性基材を少なくとも1つの非膨張性基材と共に積層する工程、のいずれかの工程により、1つ以上の積層板材を形成するステップと、
前記1つ以上の積層板材を指定されたサイズの1つ以上の部品に切断するステップと、
を含み、
前記置くステップは、前記1つ以上の部品を前記金型内に置くことにより実行される、
請求項34記載の方法。
【請求項50】
前記1つ以上の部品は、少なくとも垂直、横、または幅寸法において同じサイズの、少なくとも2つの部品を含む、
請求項49記載の方法。
【請求項51】
前記1つ以上の部品は、少なくとも垂直、横、または幅寸法において異なるサイズの、少なくとも2つの部品を含む、
請求項49記載の方法。
【請求項52】
装置または材料を前記金型内に配置するステップを含み、
前記少なくとも1つの物体は、前記少なくとも1つの物体が前記金型から取り出された後に、前記装置または前記材料に接着またはその他の方法で取り付けられる、
請求項34記載の方法。
【請求項53】
前記装置または前記材料は、フレームである、
請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記フレームは、木、ポリマ、セラミック、または金属で作られる、
請求項53記載の方法。
【請求項55】
前記1つ以上の膨張性基材は、少なくとも2つの膨張性基材を含み、
前記置くステップは、前記金型内で前記装置または前記材料の反対側に、少なくとも1つの膨張性基材を置く、
請求項52記載の方法。
【請求項56】
前記加熱するステップは、
前記金型を気体で加圧するステップと、
その後、前記金型から前記気体の一部を放出している間または放出した後に、前記金型に蒸気を導入するステップと、
を含む、
請求項34記載の方法。
【請求項57】
前記気体は、空気である、
請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記加圧するステップは、
選択された設定点まで前記金型内の圧力を上げる工程と、
選択された一定時間の間、前記選択された設定点に前記圧力を保持する工程と、
前記選択された設定点の20%-80%の圧力に減圧する工程と、
その後、前記選択された設定点に前記金型を再加圧する工程と、
により実行される、
請求項56記載の方法。
【請求項59】
前記圧力を上げる工程と、前記保持する工程と、前記減圧する工程と、前記再加圧する工程と、は複数回繰り返される、
請求項58記載の方法。
【請求項60】
前記複数回は、2回乃至6回である、
請求項59記載の方法。
【請求項61】
前記加熱するステップの後かつ前記開けるステップの前に、前記金型内で真空圧を引き出すステップと、
前記冷却するステップの前、間、または後に、前記真空圧を解放するステップと、
を含む、
請求項56記載の方法。
【請求項62】
前記開けるステップの前に、前記引き出すステップと、前記解放するステップと、を複数回繰り返すステップを含む、
請求項61記載の方法。
【請求項63】
前記引き出すステップと、前記解放するステップと、を繰り返す前記複数回は、2回乃至6回である、
請求項62記載の方法。
【請求項64】
前記加熱するステップの後かつ前記開けるステップの前に、前記金型内で真空圧を引き出すステップと、
前記冷却するステップの前、間、または後に、前記真空圧を解放するステップと、
を含む、
請求項34記載の方法。
【請求項65】
前記開けるステップの前に、前記引き出すステップと、前記解放するステップと、を複数回繰り返すステップを含む、
請求項64記載の方法。
【請求項66】
前記引き出すステップと、前記解放するステップと、を繰り返す前記複数回は、2回乃至6回である、
請求項65記載の方法。
【請求項67】
物体を成型する基材であって、
少なくとも1つの他の材料に積層された少なくとも1つの半加工品または板材からなり、
前記少なくとも1つの半加工品または板材は、不織布の3次元の塊における少なくともいくつかの隣接する繊維間が接着剤で接合された繊維から構成される圧縮された繊維不織布材料からなり、
前記不織布の3次元の塊は、高さ寸法と長さ寸法と幅寸法とを有し、
前記接着剤は、前記繊維の融解温度または分解温度よりも低い融解温度を有し、
前記圧縮された繊維不織布材料は、
前記融解温度を超えた前記接着剤への加熱と、
前記繊維不織布材料の元の寸法よりも小さい少なくとも1つの寸法において前記繊維不織布材料が圧縮されるような、前記繊維不織布材料への圧力の加圧と、
続いて、前記接着剤の硬化により前記繊維が互いに接合するように前記繊維不織布材料が圧縮される一方で、前記接着剤の前記融解温度よりも低い冷却と、
により形成され、
前記繊維不織布材料は、前記接着剤の融解とその後の硬化とを伴う圧縮の後、金型の外側が加熱されると、任意の方向に少なくとも5%膨張し、前記金型内が加熱されると、前記金型の全てまたは一部を満たすように膨張可能である、
ことを特徴とする基材。
【請求項68】
前記少なくとも1つの他の材料は、前記少なくとも1つの半加工品または板材と同じである、
請求項67記載の基材。
【請求項69】
前記少なくとも1つの他の材料は、前記少なくとも1つの半加工品または板材との少なくとも1つの違いを有する、
請求項67記載の基材。
【請求項70】
前記少なくとも1つの違いは、形状とサイズとからなる群から選ばれる、
請求項69記載の基材。
【請求項71】
前記少なくとも1つの違いは、前記少なくとも1つの他の材料は非膨張性であることである、
請求項69記載の基材。
【請求項72】
3次元複合材料を製造する方法であって、
不織布短繊維と接着繊維とから2つ以上の半加工品を生成するステップと、
板材を形成するために、熱の存在下で所定の厚さまで前記2つ以上の半加工品を圧縮するステップと、
部品を作るために、所定の2次元形状に前記板材を切断するステップと、
3次元複合材料を作成するために、金型内で前記部品を加熱するステップと、
を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項73】
少なくとも1つの半加工品の前記接着繊維は、エラストマ接着繊維、または、低融点複合接着繊維である、
請求項72記載の方法。
【請求項74】
少なくとも1つの半加工品の前記短繊維は、ポリエステル短繊維である、
請求項72記載の方法。
【請求項75】
少なくとも1つの半加工品の前記接着繊維は、エラストマ接着繊維であり、
前記不織布短繊維は、ポリエステル短繊維である、
請求項72記載の方法。
【請求項76】
少なくとも1つの半加工品の前記接着繊維は、低融点複合接着繊維であり、
前記不織布短繊維は、ポリエステル短繊維である、
請求項72記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
●関連出願の相互参照
本願は、2020年2月12日出願の米国仮出願第62/975,326号、2020年2月4日出願の米国仮出願第62/970,060号、2019年7月26日出願の米国仮出願第62/879,029号、2019年4月23日出願の米国仮出願第62/837,235号、および2019年3月19日出願の米国仮出願第62/820,294号の優先権を主張するものである。各出願の内容全体が、参照により本願明細書に援用される。
【0002】
本発明は、概して3次元物体またはその一部分を成形することに関し、特に、圧縮された不織布材料を膨張性基材として金型内で使用するプロセス、ならびに最新式の製造プロセスにおけるこれらの膨張性基材から、シート(自動車のシート、飛行機のシート、ボートのシート、オフィスのシート、および他の家具)やマットレスなどを含む様々な構成部品の製造に関する。さらに、本発明の態様は、膨張性基材を異なる構成要素を有する他の膨張性基材と共に成形、膨張性基材を他の構成材(フェルト、金属、木、藁、ゴム、発泡体)と共に成形、または、膨張性基材を様々な構成(例えば、交差、オフセットなど)の他の膨張性基材と共に、または異なるサイズおよび形状の膨張性基材と共に成形、あるいは、これらの膨張性基材を様々な製法に従って成形することにより、目的に合った性質を有する構成部品を提供することを含む。
【背景技術】
【0003】
ポリウレタン(Polyurethane:PU)は、イソシアネートとポリオールとの最も単純な形態の反応における生成物である、熱硬化プラスチックである。その他の構成材が、様々な理由でこの反応に加えられる。例えば、その他の中で、触媒、発泡剤、鎖延長剤、架橋剤、顔料、および充填剤を、顧客のニーズに合った最終製品にするために、用いることができる。混合された構成材は、完全にまたは部分的に閉ざされた、最終のポリウレタン製品に形をつけるキャビティ内に注がれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポリウレタン(Polyurethane:PU)フォームは、長年、自動車のシート、マットレス、家具などのクッション材料として使用されてきた。これらの材料は、コスト、製造などの面で優れている。しかし、ポリウレタンフォームを繊維製品の不織布材料に置き換える取り組みがなされてきた。繊維製品の不織布材料(「不織布」と呼ぶ)は、重量、コスト、および性能において優れている。その性能は、例えば、自動車のシートにおいて人の近く、すなわち、その人の背中または臀部に隣接して、マットレスなどにおいて人体に隣接して不織布を設けることにより、その人の快適性が向上する。例えば、空気が不織布を通り抜けられるため「より涼しく」なり、その人が汗をあまりかかなくなる。加えて、不織布は、「硬さ」と優れた支持要素の点で利点があり、これより、PUフォームよりも不織布材料のほうが座ったり横になったりするのに快適である。
【0005】
ポリウレタンの製造は、一般的に、健康、安全、および環境に無視できない影響を及ぼす。米国保険社会福祉省(Department of Health and Human Services)の国家毒性プログラム(National Toxicology Program)に、トルエンジイソシアネート(TDI,CAS No.26471-62-5)は、「ヒト発がん性物質になると当然予期される」と記載されている。トルエンジイソシアネートは、「主に、家具、寝具、ならびに自動車および飛行機のシート用に、柔軟性のあるポリウレタンフォームを製造するために使用される」。また、ポリウレタンの製造は、対処する必要のある様々な有害大気汚染物質排出項目を有する。したがって、ポリウレタンの処理は、この環境を意識した時代への分岐点となり得る、いくつかの環境および安全のコンプライアンス要件を有する。加えて、ポリウレタンフォームは、容易にはリサイクルされず、多くの場合、耐用年数の最後には廃棄物埋立地に行くことになっている。これに対して、提案する不織布材料は、完全にリサイクル可能であり、今日の環境を意識した消費者の現在の期待に応えるものである。
【0006】
柔軟性のある3次元ポリウレタン成形部品に対する需要が増えつつある。これらは、例えば、自動車、航空宇宙産業、海洋、および家具用の座面材料から、寝具における特定の構成部品、および、上述の産業分野まで、様々である。ポリウレタンは、実に簡単にエンドユーザの仕様に合わせることができるので、その使用は、設計者の想像のみにより制限される。例えば、椅子張り材料およびマットレス産業において、発泡体密度および押込荷重たわみ(Indentation Load Deflection:ILD)は、エンドユーザが必ず知覚する重要な特性である。同じことは、自動車、船舶および航空宇宙産業の座面材料領域にも言えるが、燃費による軽量化の制約条件が加わる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態は、限定はされないが、寝具、家具、自動車のシート、飛行機のシート、ボートのシートなどを含む成形構成部品を作成する新しい手法を提供する。
【0008】
本発明の別の実施の形態は、寝具、家具、自動車のシート、飛行機のシート、ボートのシートなどの成形された3次元物体の製造に、不織布材料を使用することである。
【0009】
本発明のさらに別の実施の形態は、蒸気成形プロセスに改善をもたらすことである。
【0010】
不織布材料は寝具、家具および自動車産業で広く使用されてきたが、発明者らは、不織布から形成される圧縮された半加工品、または、板材、あるいは、切断された部品を用いる、寝具、家具、自動車、およびその他の産業で使用されるような3次元物体の効率的、かつ、低コストの製造を可能にする、製造/成形プロセスを開発した。圧縮された半加工品、または、板材、あるいは、切断部品は、膨張性基材である。これらは、積み重ねられ、垂直に置かれ、所定のパターンで(例えば、部品を重ね合わせて、または、オフセットさせるなどして)置かれ、または金型の中にランダムに配置されてもよい。また、これらは、複合材料部品と共に非膨張性基材に積層された後に金型内に配置されてもよい。膨張性基材は、同じサイズおよび形状のもの、または異なるサイズおよび形状のものでもよい。加えて、様々な構成要素(例えば、繊維の種類が異なる、密度が異なる、垂直に折り重ねられた繊維の層の数が異なる、非膨張性の層の有無が異なるなど)の膨張性基材を、製造業者の目標を達成するために立案された製法に従って、同じ金型内で用いてもよい。膨張性基材内の接着剤の融解温度を超える温度まで熱を加えると、膨張性基材は、膨張して金型の全てまたは一部を満たす。熱を加えた後、3次元物体を金型内で冷却することにより、接着剤を固化させることができる。このようなプロセスにより、金型により輪郭が定められた構成を少なくとも部分的に呈する形状を有する、少なくとも1つの物体が生成される。
【0011】
いくつかの実施の形態では、鋼鉄、ポリマ、または、木製のフレームを、膨張性基材と共に金型内に置いてもよい。3次元物体が形成されると、3次元物体は、鋼鉄、ポリマ、または、木製のフレームに接着され、そうでなければ接合される。この手法を、例えば、自動車のシート(背面または座面)、または、列車、飛行機、および、ボート用のシートを製造するために用いてもよい。同様に、この手法を、例えば、人がその上に横たわるために配置される成形されたクッションのような不織布部品を有し、かつ、その中に埋設されたフレームを有する、寝具(例えば、マットレス、マットレストッパ、枕など)を製造するために用いてもよい。
【0012】
この手法により、3次元物体を、その属性に合わせて希望のやり方で製造することが可能になる。例えば、金型内で用いられる膨張性基材の構成要素により決められるように「製法」に応じて、異なる寝具、または、座面材料の堅さ、あるいは、柔らかさを作り出すことができる。例えば、人が接触し、より柔らかく、かつ、膨張性非不織布材料を通って流れる空気の作用により「より涼しい」、シートまたはベッドの表層を製作するために、不織布材料のより膨張性のある層を有する積層板材を、金型の最上部に置くことができる。
【0013】
前記手法を、ほぼあらゆるサイズおよび形状の3次元物体を作成するために用いてもよい。唯一の制約は、金型自体の形状にあると思われる。
【0014】
例示的な実施の形態では、3次元物体は、以下のプロセスにより形成される。不織布材料は、接着剤を溶融させた後に不織布を圧力下で圧縮することにより、半加工品に形成される。圧縮プロセスの間の加熱は、熱エネルギーを加える熱風、オーブン、誘導コイル、赤外線などの手段を用いて実行できる。圧縮状態にある間に、接着剤が再硬化する(固化する)ように、不織布は冷却される。この冷却は、単に熱を除去することにより、および/または半加工品に冷気を吹き付けて通過させることにより実現されてもよい。このようにして形成された半加工品は、典型的には、高さ寸法が実質的に不織布の出発材料よりも小さくなる(例えば、厚さが圧縮前の組み付け品の10%-50%である。なお、圧縮後の寸法が不織布の(高さ、幅、または長さであれ)元の寸法より少なくとも小さく、好ましくは50%未満、60%未満、70%未満、80%未満、90%未満などである主要要件と共に、異なる厚さを用いてもよい)。
【0015】
必要があれば、半加工品は、板材を形成するために積層させることができる。または、半加工品は、発泡体、布地(例えば、編物材料)、ゴム、金属、金属合金、ポリマ、セラミック、および、紙の材料など、非膨張性の材料と共に積層することもできる。必要があれば、特定のサイズおよび形状を持つ部品を形成するために、これらの板材を、CNC工作機械、フライス盤、鋏、または、その他の適切な装置で、切断してもよい。
【0016】
半加工品、板材、または部品は、全て「膨張性基材」である。いくつかの適用例では、膨張性基材は、所望の3次元物体の形状を形成するための金型内に堆積させることができる。正確に切断した部品の利点は、金型を加熱すると膨張した基材により満たされる(または、所望の領域において少なくとも部分的に満たされる)ように、加工業者が該部品を金型内に順序だてて積み重ねられることである。なお、他の適用例では、特定数の板材は、金型内にランダムに単純に投下されてもよい。加工業者の仕様に応じて、膨張性基材は、一旦作成されると3次元物体の様々な属性(例えば、より柔らかな最上部および側部、および、より堅い中間部など)を実現するように、特定の順番で金型内に置かれてもよい。これらの特定の順番は、圧縮される不織布材料の選定のみならず、さらに金型に投入される非膨張性の材料も、目的に合った属性を有する3次元物体を製造することになる「製法」と見なすことができる。例えば、異なる製法が、堅いまたは柔らかいマットレス、あるいは堅いまたは柔らかい座面を製作するために用いられることもある。
【0017】
前述のとおり、フレームまたは他の装置、あるいは単に別の材料、例えば、金属製支持スクリーンなども金型に投入してもよく、その結果、3次元物体は、一旦作成されると、フレーム、装置、または、材料に接着またはその他の方法で接続される。金型が部分的に膨張性基材で満たされた後、金型は加熱される。加熱により、接着剤が軟化し(すなわち、融解し)、その結果として、不織布繊維の蓄えられた運動エネルギーが放出される。すなわち、不織布繊維が、少なくとも1つの寸法(例えば、圧縮された寸法)において、不織布の圧縮前の不織布材料におけるその元の構成に戻るように膨張する。金型が満たされるに応じて、膨張性基材は、金型の内部を満たすように膨張し、金型の輪郭(例えば、平面、曲面など)の形になる。膨張後に、金型を(例えば、冷気、真空などの適用により)冷却することができ、3次元物体を金型から取り出してもよい。
【0018】
本発明の別の態様は、膨張性基材の成形の改善に向けられる。蒸気加熱は、蒸気熱を導入する前に金型を圧縮空気で加圧することにより、改善される。そして、圧縮空気の一部を金型から排出することにより、蒸気を低い速度で金型へと流入させる。圧縮空気が金型から排出されるにつれて、圧縮蒸気が金型に流入させられる。予備加圧プロセスにより、金型内の膨張性基材に蒸気をより均一に加えることができ、そうでなければ高速移動する蒸気および該蒸気による力により生じる可能性のある膨張性基材への損傷を、低減または無くす。加えて、膨張性基材に蒸気熱を加えた後に、金型からの水分除去、蒸気除去、および関連する熱の除去を促進するために、蒸気加熱は、真空ポンプシステムを使用することにより改善される。真空ポンプシステムの使用によるさらなる成果には、改善されたより均一な膨張性不織布の膨張が含まれる。金型は、金型内に導かれる高圧飽和蒸気とほぼ同じ温度まで加熱されるのが好ましい。しかし、排出蒸気は、製作される3次元物体の中に多くの残留熱を残すため、金型から物体を損傷させることなく取り出すのは難しい。真空乾燥を用いることにより、蒸気からまたは膨張性基材自体の材料の一部から生じ得る金型の中の水を、より低い温度で蒸発させてもよい。蒸気熱の適用の最後に、金型内に真空圧をかけることによる、この膨張性不織布基材からの残留水分の急激な蒸発により、製品の潜熱が吸収できることで、3次元製品がより簡単に金型から取り外せるようになる。加えて、真空圧をかけることにより、膨張性不織布基材のより均一な膨張が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、繊維不織布材料の例示的な等角図である。
図2図2は、垂直に折り重ねられた繊維不織布材料の例示的な側面図である。
図3A図3Aは、繊維不織布材料が加熱および加圧の後に高密度化および圧縮され、その後に繊維不織布材料がその圧縮状態のまま接着剤が硬化するまで冷却されることを示す、概略側面図である。
図3B図3Bは、繊維不織布材料が加熱および加圧の後に高密度化および圧縮され、その後に繊維不織布材料がその圧縮状態のまま接着剤が硬化するまで冷却されることを示す、概略側面図である。
図4A図4Aは、マットレス用の金型内に置かれた膨張性材料が、加熱により膨張してマットレス(または他の所望の3次元物体)を形成し、金型から取り出せるようになる、簡略化されたプロセス手法を示す。
図4B図4Bは、マットレス用の金型内に置かれた膨張性材料が、加熱により膨張してマットレス(または他の所望の3次元物体)を形成し、金型から取り出せるようになる、簡略化されたプロセス手法を示す。
図5A図5Aは、膨張性板材の異なる積層レイアップを示す概略図である。図5Aは、非膨張層がない板材を示す。
図5B図5Bは、膨張性板材の異なる積層レイアップを示す概略図である。図5Bは、1つ以上の非膨張層を有する板材を示す。
図6図6は、互いに重ね合わされたいくつかの板材および金型内で垂直に置かれたその他の板材と共に金型を示す。
図7図7は、金型内に配置されたフレームとその中の複数の板材と共に金型を示す。
図8A図8Aは、本発明にかかる膨張性基材の蒸気成形の改善を説明するフローチャートである。
図8B図8Bは、本発明にかかる膨張性基材の蒸気成形の改善を説明するフローチャートである。
図8C図8Cは、本発明にかかる膨張性基材の蒸気成形の改善を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、不織布10の材料の例を示す。特に、本発明は、繊維状の塊(すなわち、「編まれた」または「織られた」ものではない)が、接着剤により様々な位置で共に接合された隣接する繊維を有する、サーマルボンド不織布材料と呼ばれることの多いものの使用に関する。不織布10は、高さ寸法、幅寸法、および、長さ寸法を有する(すなわち、性質上3次元である)。
【0021】
「不織布」は、種々の手段のいずれかにより互いに接着された、天然、および/または、人工の繊維または単繊維の、製造されたシート、ウェブ、または、詰材(バット(batt))である。不織布製品の製作は、カーク・オスマー化学技術百科事典(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)、第3版、16巻、1984年7月、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)、72-124ページの「不織布繊維製品(Nonwoven Textile Fabrics)」に、および、1988年11月、カロライナ・アカデミック・プレス(Carolina Academic Press)の「不織布繊維(Nonwoven Textiles)」にうまく説明されている。不織布は、数多くの製造業者から市販されている。
【0022】
図2は、垂直に折り重ねられた不織布12の材料の例を示す。垂直の折り重ねは、例えば、米国特許出願公開第2008/0155787号と米国特許第7,591,049号とに記載されているように、従来技術で周知の方法を用いて実行してもよい。これらのそれぞれは、参照により本明細書に援用される。垂直に折り重ねられた不織布は、数多くの供給元から市販されている。図2に示されるような折り重ねの構成のため、不織布12は、垂直方向に高い剛性および弾性を有する。
【0023】
特許請求する発明にかかる不織布で用いてよい繊維は、広い範囲に及ぶものであり、型から外された環境下で加熱された際に、任意の方向に少なくとも5%膨張する(すなわち、垂直方向、水平方向、または、横方向の少なくとも1方向における、および場合によってはこれらの方向の全てにおいて膨張)いかなる繊維状の網も含まれる。不織布は、数多くの市販供給元から入手でき、垂直に折り重ねられた構成、または、ランダムな構成でもよい。垂直に折り重ねられた(Vertically Lapped:V-Lap)構成は、V-Lapで作成された板材/半加工品が金型内で膨張し、かつ、これらが、例えば、人の背中または臀部の重量に対抗する方向に向いているときに、サポートまたは快適性の点でいくつかの効果をもたらす場合がある。本発明の実施技法において、後述のとおり、V-Lap不織布が使用されるのが好ましく、かつ、板材を形成するように圧縮されるのが好ましい。V-Lap不織布は、一般的に、その元の高さ寸法から50%、60%、70%、80%、90%などに圧縮され、その後の加熱において、その元の高さ寸法に向かって、該寸法まで、または、該寸法を超えて膨張することができる。
【0024】
本発明の実施技法における不織布は、典型的には、接着繊維と1つ以上の他の繊維とを含む繊維の塊から作られる。接着繊維は、前記1つ以上の他の繊維の融解温度または分解温度よりも融解温度が低く、例えば、接着繊維は、典型的には、融解温度が80℃-150℃である(ポリエステルが、不織布の製造で用いられる接着繊維の典型例である(弾性のあるポリエステル接着繊維として、ELK(登録商標)、E-PLEX(登録商標)、および、EMFタイプ高弾性LMFが挙げられ、それぞれ帝人株式会社(Teijin Limited)、東レケミカルコリア株式会社(Toray Chemical Korea Inc.)、および、ヒュービスコーポレーション(Huvis Corporation)から市販されている))。接着繊維は、一旦溶融すると一般的に前記1つ以上の他の繊維の外側に沿ってジグザグに進み、冷却時には硬化し、接着繊維の溶融と再硬化の結果として、隣接する繊維が不織布全体にわたって様々な位置で接着剤により互いに固定されることで、実質的に前記1つ以上の他の繊維との塊である不織布が生成される。これらの不織布は、サーマルボンド不織布と呼ばれることが多い。本発明の実施技法におけるサーマルボンド不織布は、最大95重量%の前記1つ以上の他の繊維と共に、少なくとも5重量%の接着剤を有することになる。物品製造業者のニーズに応じて、接着剤は、不織布の5重量%-50重量%を構成してもよく、残りは前記1つ以上の他の繊維、または、前記1つ以上の他の繊維に別の材料を加えたものでもよい。例えば、別の材料は、限定はされないが、難燃性化合物、芳香化合物、抗菌性の化合物または材料(例えば、銀の粒子または繊維)、ポリマ塗膜、金属またはセラミック粒子などを含んでもよい。FR化学物質/化合物の例としては、限定はされないが、リン酸およびその誘導体、ホスホン酸およびその誘導体、硫酸およびその誘導体、スルファミン酸およびその誘導体、ホウ酸、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウムが挙げられる。
【0025】
本発明の実施技法で用いられる不織布における接着剤と前記1つ以上の他の繊維の比率は、5重量%の接着剤:最大95重量%の1つ以上の他の繊維、10重量%の接着剤:最大90重量%の1つ以上の他の繊維、15重量%の接着剤:最大85重量%の1つ以上の他の繊維、20重量%の接着剤:最大80重量%の1つ以上の他の繊維、25重量%の接着剤:最大75重量%の1つ以上の他の繊維、30重量%の接着剤:最大70重量%の1つ以上の他の繊維、35重量%の接着剤:最大65重量%の1つ以上の他の繊維、40重量%の接着剤:最大60重量%の1つ以上の他の繊維、45重量%の接着剤:最大55重量%の1つ以上の他の繊維、50重量%の接着剤:最大50重量%の1つ以上の他の繊維、55重量%の接着剤:最大45重量%の1つ以上の他の繊維、60重量%の接着剤:最大40重量%の1つ以上の他の繊維、65重量%の接着剤:最大35重量%の1つ以上の他の繊維、70重量%の接着剤:最大30重量%の1つ以上の他の繊維、75重量%の接着剤:最大25重量%の1つ以上の他の繊維、など、それぞれに大きく異なってもよい。適用例に応じて、比率は、5:95から95:5までの範囲で変化してもよい。
【0026】
本発明の実施技法において用いてもよいサーマルボンド不織布の例として、限定はされないが、最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、ポリエステル繊維(本発明の実施技法で用いてもよいポリエステルの種類としては、限定はされないが、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate:PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(polytrimethylene terephthalate:PTT)、およびポリブチレンテレフタレート(polybuthylene terephthalate:PBT)が挙げられる)で作られた任意のサーマルボンド不織布と、最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、ポリアクリロニトリル繊維で作られた任意のサーマルボンド不織布と、 最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol:PVA)繊維で作られた任意のサーマルボンド不織布と、最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、例えば、テフロン(登録商標)などのポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene:PTFE)繊維で作られた任意のサーマルボンド不織布と、最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、例えば、ナイロンまたはペルロン(登録商標)などのポリアミド繊維で作られた任意のサーマルボンド不織布と、最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、羊毛繊維で作られた、任意のサーマルボンド不織布と、最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、ココナッツ繊維で作られた任意のサーマルボンド不織布と、最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、麻繊維で作られた任意のサーマルボンド不織布と、最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、亜麻繊維で作られた任意のサーマルボンド不織布と、最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、ジュート繊維で作られた任意のサーマルボンド不織布と、最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、綿繊維で作られた任意のサーマルボンド不織布と、最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、例えば、レーヨンなどのビスコース繊維で作られた任意のサーマルボンド不織布と、最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、ポリエチレン繊維で作られた任意のサーマルボンド不織布と、最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、ポリプロピレン繊維で作られた任意のサーマルボンド不織布と、最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、ケブラー(登録商標)繊維で作られた任意のサーマルボンド不織布と、最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、バソフィール(登録商標)繊維で作られた任意のサーマルボンド不織布と、最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、ベルコテックス(登録商標)繊維で作られた任意のサーマルボンド不織布と、最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、ノーメックス(登録商標)繊維で作られた任意のサーマルボンド不織布と、最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、O-PAN繊維で作られた任意のサーマルボンド不織布と、最大95%の任意のデニール、任意の繊維長、テンセル(登録商標)繊維で作られた任意のサーマルボンド不織布と、最大95%の、上記繊維のうちの任意のものの混合物、または、繊維と他の注目する繊維(例えば、抗菌性の耐性をもたらす銀繊維、玄武岩繊維、天然繊維(例えば、綿、ラミー、コイア、麻、マニラ麻、サイザル麻、カポック、ジュート、亜麻、リネン、ケナフ、ココナッツ繊維、パイナップル繊維、羊毛、カシミア、および絹)、人工繊維(例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリル繊維、アセテート、ポリオレフィン、メラミン繊維、エラストマ繊維、ポリベンゾイミダゾール、アラミド繊維、ポリイミド繊維、モドアクリル繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、酸化PAN繊維、炭素繊維、ノボロイド繊維、製造されたセルロース繊維(例えば、レーヨン、リヨセル、竹繊維、テンセル(登録商標)、およびモダール)、および製造された難燃性(fire-retardant:FR)セルロース繊維(例えば、Visil.RTM.(登録商標)、Anti-Fcell(登録商標)、ダイワボウのコロナ(登録商標)繊維、Anti-Frayon(登録商標)、SniaceのFRレーヨン(登録商標)、およびLenzing FR(登録商標)))との任意の混合物、で作られた任意のサーマルボンド不織布と、が挙げられる。
【0027】
なお、中空繊維、例えば、中空ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate:PET)を、本発明の実施技法で使用する不織布に用いてもよいということにも留意しておくべきである。加えて、本発明の実施技法で役立つ不織布を、芯鞘繊維と呼ばれることもある複合繊維を用いて形成することができる。本発明の実施技法で役立つ不織布を製造するために使用される接着繊維としては、鞘部がポリエステルまたは融解温度が低い他の何らかの材料である芯鞘繊維が含まれる。
【0028】
本発明の実施技法で使用可能ではない不織布の例として、接着繊維の融解温度以下の温度で融解する繊維で作られた任意のサーマルボンド不織布と、接着剤だけで作られた任意のサーマルボンド不織布と、が挙げられる。
【0029】
図3Aは、圧縮前の高さ寸法を有する不織布14を概略的に示す。図3Bは、圧縮後の、高さ寸法が実質的に小さくなった、本明細書で「半加工品」と呼ぶ圧縮で得られた製品16を概略的に示す。本発明の実施の形態において、半加工品は、繊維を互いに保持する接着剤の融解温度を超えて不織布14を加熱し、少なくとも1つの寸法において不織布14に圧力を加えることにより、作成される。不織布を圧縮した後、不織布を冷却することで、接着剤が再硬化(すなわち、固化)して、半加工品16と呼ばれる圧縮状態に繊維を互いに保持できるようになる。半加工品16は、未圧縮状態における不織布の高さ寸法の1/2から1/10の(またはさらに小さい)高さ寸法を有する(例えば、元の高さ寸法の50%、40%、30%、20%、10%など)。半加工品16における繊維は、半加工品16の繊維の向きが製造された不織布14の形態であるときの元の向きではないので、運動エネルギーを効率的に蓄えている。図3Aおよび図3Bは、高さ寸法における圧縮を示しているが、高さ、幅、および、長さ寸法のいずれか、または1つ以上において圧縮を実行してもよいことを理解されたい。接着剤を硬化させるための半加工品16の冷却は、単に熱を除去することにより、半加工品に空気を吹き付けて通過させることにより、または、その他の手段による冷却により実行できる。必要なのは、接着剤が再硬化するように、接着剤の融点温度よりも低く温度を下げることである。より詳細に後述するように、半加工品16などの半加工品は、他の半加工品に、および/または、非膨張材料に積層することができる。
【0030】
図4Aおよび図4Bは、本発明の一側面による、例えば、マットレスを作るための簡略化された製造プラットフォームを示す(ほとんどあらゆる他の3次元物体(例えば、自動車のシートなど)を、同じプロセスを用いる同じ製造プラットフォームにより製造できることが分かる)。図4Aでは、膨張性基材20(例えば、半加工品、板材、切断部品、および/または、これらの混合物および多重物のうちの1つ以上)が、金型22内に置かれまたは投下される。これは、手動またはロボットアーム24により行うことができる。金型22は、閉じられてから、例えば、コンベヤ26により、加熱ステーション28まで搬送される。例示のために、加熱ステーション28は、熱風、および/または、蒸気を金型22にまたはその中に吹き付ける複数のパイプとして示されているが、加熱ステーション28は、基材20を膨張性基材20における接着剤の融解温度を超える温度にすることができる、オーブンまたは他の装置でもよい。接着剤が一旦溶融すると、膨張性基材20は元の状態に戻るよう膨張できるようになる。この膨張の際には、基材20は、金型の全てまたは一部を満たすように膨張する(図4Bでは、金型全体が満たされたと見ることができる)。図4Bは、金型22が加熱ステーション28の横を通過した後に、冷却されて開けられ、膨張した基材30を収容していることを示している。マットレス製造または自動車シート製造プロセスにおいて、例えば、基材30は、金型20の(平面、曲面などの)内側輪郭にぴったり合うように膨張できる。冷却は、加熱ステーションで冷気または水の噴射、真空ポンプシステムを用いて、あるいは単純に金型22が冷えるのを待つことにより、実行してもよい。冷却の間に、接着剤は、溶融点温度よりも温度が下がるにつれて固化する。これにより、膨張した材料30は、成形された3次元物品として互いに保持される。
【0031】
図5Aは、3層板材の形態の膨張性基材31を示す。個々の層32と32’と32”とは、上記の図3Bで説明されたような積層された半加工品でもよい。半加工品32と32’と32”とは、図5Aに示されるように同じサイズおよび形状にすることができ、または、金型および製造対象の物品に対する製造要件に応じて、異なるサイズおよび形状にしてもよい。加えて、半加工品32と32’と32”とは、互いに同じ繊維および接着剤、および互いに同じ比率の繊維および接着剤を有してもよい。代わりに、加工業者の要望に応じて、半加工品32と32’と32”とは、接着剤に対して異なる比率の繊維構成を有してもよく、または各層において異なる繊維または異なる群の繊維を有してもよい。例えば、底面の半加工品32”が上面の半加工品32よりも小さくまたは大きく膨張するよう要望がある場合は、異なる半加工品32と32’と32”とにしてもよい。例えば、半加工品32と32’と32”のうちの1つ以上は、非V-Lapの不織布であるが、半加工品32と32’と32”のうちの1つ以上は、V-Lap不織布から形成され得る。代わりに、半加工品32と32’と32”のうちの1つ以上を非膨張性材料(例えば、紙、金属、ポリマ、セラミック、発泡体など)で作ってもよい。
【0032】
図5Bは、5層板材の形態の膨張性基材33を示す。図5Aと同様に、膨張性基材33は3つの半加工品34と34’と34”とを有し、半加工品34と34’と34”とは、サイズ、形状、繊維構成、および、繊維の接着剤に対する(重量パーセントによる)比率に関して、同じまたは異なっていてもよい。しかし、図5Bは、互いに同じまたは異なってもよい非膨張性層35と35’とも含んでいる。非膨張性層は、限定されることなく、発泡体と、布地と、ゴムと、金属と、金属合金と、ポリマと、セラミックと、藁と、紙の材料と、を含む、ほとんどあらゆる材料からなり得る。これらの非膨張性層は、製造される3次元製品に異なる属性(例えば、剛性、耐水性、耐火性、磁性、耐放射線性など)を提供するように選択されてもよい。層のそれぞれは、板材の形態の膨張性基材33を形成するために、共に積層されてもよい。図5Bの膨張性基材33および図5Aの膨張性基材31は、膨張性基材20が図4Aおよび図4Bにおいて形成される方法と同じ方法で、形成されてもよい。
【0033】
図6は、複数の板材40,41,42,43,44,45,46(または他の膨張性基材)が、金型48内に置かれてもよいことを示す。これらは、互いに重ねて配置する、または垂直に向けることができる。金型48において、板材40,42,45は、金型48内で垂直に膨張し得る一方で、垂直に向けられた板材41,43,44,46は、金型48内で横に膨張し得る。金型内での板材の配置は、きちんと置く、または、ランダムに向ける(例えば、投下する)ことができる。また、図6は、円形「部品」50の形態の膨張性基材も示している。部品50は、CNC工作機械、鋏、または、板材を任意の所望の(例えば、円形、多角形、または不定形の)形状に切断できる他の何らかの切断装置を用いて、作成することができる。部品50は、板材40に隣接させること、および、板材40と異なるサイズにすることも可能である。図6は、実質的には、本発明にかかるいかなる膨張性基材20(半加工品、板材、または部品)でも成形できること、および、1つ以上の膨張性基材をいかなる成形作業にも用いることができ、これらの膨張性基材を(例えば、3次元物体のための特定の性質を実現するために)特定の順番またはランダムな順番および位置で金型内に置くことができることを示している。また、図6から明らかなように、非膨張性材料49を、膨張性基材20が充満するようには膨張しない金型48の領域に置いてもよい(例えば、発泡体のブロックまたは木片(49を参照)を板材45よりも下に配置してもよい)。これらの方法により、最終製品を、サイズ、感触、および、堅さなどの所望の特徴に都合よく合わせて製造できるようになる。
【0034】
図7は、金型62内に延在するフレーム60を示す。金型の内側には、2つの垂直に向けられた板材64,64’と、2つの水平に向けられた板材66,66’と、がある。前述のとおり、板材64,64’,66,66’とは、サイズ、形状、繊維の構成、または、繊維の接着剤に対する(重量パーセントによる)比率に関して、同じまたは異なっていてもよい。図7は金型62内の板材を示しているが、部品50(図6参照)または半加工品(図3B参照)などの他の形態の膨張性材料を用いてもよい。2つの水平に向けられた板材66,66’は、それぞれフレーム60の上側および下側に配置される。フレーム60は、金属、金属合金、セラミック、木、または、他の何らかの非膨張性材料でもよい。図7の板材が一旦膨張すると、金型62から取り出すことのできる3次元物体は、金型内に配置されたフレームを有するものとなる。フレーム60は、膨張した基材に接着またはその他の方法で取り付けられる。
【0035】
一実施形態では、本発明にかかる3次元複合材料は、1)2つ以上の半加工品を不織布短繊維および接着繊維から作成するステップと、2)板材を形成するために熱の存在下で所定の厚さまで前記2つ以上の半加工品を圧縮するステップと、3)部品を作るために所定の2次元形状に前記板材を切断するステップと、4)3次元複合材料を作成するために金型内で前記部品を加熱するステップと、を含む方法により作成される。
【0036】
一実施形態では、最終製品のそれぞれの機能(性質)に基づいて選ばれた1つ以上の特別選定された短繊維が、制御された塊を形成するために、配合される。制御された塊は、短繊維および接着繊維の特定の重量濃度で作られる。短繊維および接着繊維は、接着繊維の濃度が約90%(重量%)-約5%(重量%)、例えば、接着繊維が約10%-80%、例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、または89%(重量%)となるように、投入される。一実施形態では、特別選定された接着繊維はエラストマ接着繊維であり、短繊維はポリエステル短繊維である。別の実施の形態では、特別選定された投入接着繊維は低融点複合ポリエステル短繊維であり、もう一方の選択された投入短繊維はポリエステル短繊維である。さらに別の実施の形態では、2つの特別選定された投入接着短繊維、すなわち、低融点複合ポリエステル短繊維とエラストマ接着繊維とが、別の特別選定された投入短繊維と共にある。
【0037】
いくつかの実施の形態では、短繊維および接着繊維に加え、他の繊維を配合に含めてもよい。例えば、レーヨンまたはビスコースなどの追加のセルロース繊維を含めてもよい。いくつかの実施の形態では、疎水性、親水性、および、抗菌性などの性質を1つ以上示すように処理された繊維が含まれる。
【0038】
特に好ましい実施の形態では、このようにして作られた不織布は、V-Lap不織布である。
【0039】
一実施形態では、板材を形成するために、1つまたは複数の半加工品が、重ね合わせて置かれ、加熱されてから、積層されるなど圧縮され、そして固められた所望の厚さに周囲空気などにより冷却される。半加工品は、約華氏300度-華氏500度、例えば、華氏350度-華氏350度、または華氏390度-華氏425度の温度に加熱してもよい。さらに別の態様では、板材は、厚さが半加工品の厚さの合計よりも薄い。さらなる実施の形態では、板材は部品を作るために2次元形状に切断される。板材は、例えば、ダイス板、および、油圧プレス、または、自動2軸CNCカッタを用いて、2次元形状に切断される。
【0040】
図8Aおよび図8Bは、金型内に置かれるまたは投下される膨張性基材を加熱するために蒸気加熱を用いる場合の様々な改善を示す。プロセスは、図4Aに示されるような金型の外側を加熱することとは対照的に、直接金型内に蒸気を導入することを伴う。2つの図における同じ参照符号は、同じ要素を表す。
【0041】
図8Aを特に参照すると、金型は、ステップ100で金型に導入される蒸気と同じまたはほぼ同じ温度まで加熱されるのが好ましい(100)。金型を予熱することにより、金型内に置かれた膨張性基材を加熱し膨張させるために蒸気が用いられる場合に、加熱が外側から内側までより均一になることで、膨張性材料の膨張が確実により均一になるようにできる。ステップ102に示されるように、膨張性基材は予熱された金型内に置かれる(102)。前述のとおり、膨張性基材は、1つ以上の半加工品、1つ以上の板材、1つ以上の切断部品、およびこれらの組み合わせでもよい。前述のとおり、金型に投入される膨張性基材は、同じでも異なってもよい。製造の規定の製法による異なる板材を用いることは、物体上の異なる位置で異なる性質(例えば、側面または上面をより柔らかくしつつ、中心はより硬いなど)を有する3次元物体を作成するために、可能である。ステップ104で金型が閉じられ(104)、ステップ106で金型までの全ての弁(例えば、蒸気入口、圧縮空気入口、排気口など)が閉じられる(106)。
【0042】
ステップ108に示されるように、金型の内部は、金型に導入される蒸気の蒸気圧と釣り合わせるために、圧縮空気で加圧される(108)。これは、金型の弁を開けて圧縮空気をポンプで注入することにより行われる。また、金型の内部を加圧するために、他の気体も使われる。一旦加圧され、気体圧力計により、または他の手段により判断できると、ステップ110で圧縮空気用の弁が再び閉じられる(110)。
【0043】
キャビティの上部、下部、および、側部など金型キャビティのどこにでも設けることができる、金型キャビティ内に蒸気を接続する弁が、ステップ112でゆっくり開けられる(112)。圧縮空気で金型キャビティを前もって加圧しているため、蒸気はすぐには金型に流入しない。すなわち、蒸気の圧力は、金型内の加圧空気と釣り合う。蒸気を金型に入れるために、ステップ114で金型キャビティ内の排気弁が所望の位置および時間長までゆっくりと開けられる(114)。これにより、蒸気が金型の内部に流入して通過できることで、金型内の膨張性基材が蒸気熱に晒され、膨張できるようになる。蒸気の注入は制御されたやり方で実行されるため、膨張性基材の膨張は、より均一になり、質の高い3次元物体を作成するのに好ましい。
【0044】
蒸気の導入後、ステップ116で弁が閉められ(116)、ステップ118で膨張性基材が金型の全てまたは一部を満たすように膨張する一定時間の間、金型は保持される(118)。必要な時間の後、ステップ120で蒸気が金型から排出され(120)、ステップ122で金型が開けられ(122)、ステップ124で金型から3次元物体が取り出される(124)。
【0045】
理論により制約はされないが、(エネルギーの保存、連続方程式、ベルヌーイの定理、および、ニュートンの運動の第2法則に基づく)核となる概念により、(成形プロセスの間に)金型内で生じる流体力学挙動を扱い、現在の製造方法でまだ管理されていないパラメータの制御を追加することで、エネルギーがシステムに加えられてシステムから排出される全体速度が緩やかになる。高圧蒸気を大気圧の金型に流入させるよりもむしろ、図8Aは、金型をまず圧縮空気で蒸気熱の圧力に等しい内部金型圧力まで加圧することを示している。金型への蒸気の入力圧力が金型内の圧力と等しければ、蒸気は、圧力差が初期化されるまでは、流れない。排出弁を僅かに開けることで、ゆっくりと金型内の圧力が低くなり、蒸気が蒸気熱の実質的に低下した速度で流れ始めることで、不織布膨張性基材に対するより均一なエネルギー適用が可能となる。蒸気成形に対する本発明のアプローチの例示的な利点として、膨張性基材のより均一な膨張と、不織布基材の膨張に続く金型キャビティの完全な充満と、高速移動する蒸気および高速移動する蒸気の結果生じる力に起因する膨張性基材に対する損傷の除去と、が挙げられる。
【0046】
図8Bは、ステップ130と、132と、134と、が追加された以外は、図8Aと全く同じである。図8Bは、金型内の膨張性基材に相当量の残留熱を残すという、蒸気の問題に対処している。水分、蒸気、および、付随する熱の除去を促進することが、真空ポンプシステムを使用することで対処されている。より低い温度の環境内に蒸気が加わると、蒸気が凝縮されて液体の水になることが知られている。これを考慮すると、蒸気成形パラメータは、典型的には、高圧の飽和蒸気の温度に等しい金型温度を必要とする。凝縮問題に対処しても、排出される蒸気が多くの残留熱を該部品に残すので、物品を損傷なく取り出すことが難しくなる。
【0047】
図8Bから分かるように、金型から蒸気圧が抜かれた後、または排出に付随して、ステップ130で金型内の真空引きをするために真空ポンプが用いられる(130)。真空引きの後、ステップ132で一定時間の間、金型を真空圧で保持する(132)。次に、ステップ134で、真空ポンプを停止し、金型は、ステップ122で開けられ、ステップ124で部品が取り出される前の雰囲気圧に戻される(134)。真空乾燥は、液体の蒸気圧が低下するにつれて、その沸点も低下する現象に基づく。液体の沸点は、液体の蒸気圧が外部圧力に等しいときの温度と定義される。液体より上の圧力が低下すると、沸騰を引き起こすのに必要な蒸気圧も低下し、液体の沸点が下がる。圧力を下げることにより、プロセスは、より低い温度で水を蒸発させることができる。(低い周囲圧力による)膨張性不織布基材からの残留水分のこの急速な蒸発により、相転移に必要な潜熱が製品自体から吸収される。蒸発に必要な潜熱は、製品の顕熱からほとんどが得られ、残留水分の蒸発により製品の温度は低下し、製品を、金型から安全に取り出せる所望の温度まで冷却できる。膨張性不織布基材のより均一な膨張は、一塊のパンがより均一に膨張するのと一致した形と予想され(焼成製品に真空冷却を利用する当業者により言及されている)、このことは金型から取り出す問題の解決に加えて望ましい成果である。
【0048】
図8C図8Bに似ているが、金型を複数回加圧し(208、210、212、および214)、蒸気圧を抜き(216)、および金型に複数回真空圧をかける(218、220、222、および224)追加のステップを含む。金型内に蒸気を注入する際に金型の加圧を制御することと、金型から部品を取り出す前に金型内への真空圧の適用を制御することと、の1つ以上により、不織布膨張性基材はより均一で金型内全体に膨張することが、分かった。
【0049】
図8Bでは、ステップ108で蒸気圧設定点と釣り合わせるために金型を気体(例えば、圧縮空気)で予備加圧することは、膨張性基材を膨張させる際に数多くの効果をもたらし得る、ことが示された。図8Cは、これらの目的を代わりに順序だてて達成する具体的なプロセスを示している。具体的には、ステップ208で、金型は、指定された蒸気圧設定点まで蒸気でゆっくり加圧される(208)。膨張性基材がキャビティ全体を満たすようになっている場合、あるいは、いくつかの適用例で、基材が上側または下側の金型においてのみ膨張させられるときなど、膨張性基材が下側または上側の金型だけにある場合に、この加圧は金型キャビティ全体で可能である。ステップ210では、所望の圧力下で一定時間の間、加圧された金型が保持される(210)。次に、例えば、蒸気の一部を金型から排出することにより、圧力は、好ましくは所望の設定点の20%-80%まで下げられる。このプロセスはステップ214で2回-6回繰り返される(214)。このプロセスにより、製造業者は、蒸気エネルギーを金型に加える機会が多く与えられるため、蒸気圧がかけられると膨張性基材のより適切かつより均一な膨張を確実に行うことができるようになる。
【0050】
図8Cのステップ216で、上側の金型のポートなどを通して、蒸気圧が金型から抜かれる(216)。これは、金型内が雰囲気圧に到達するまで可能である。次に、真空操作を実行する前に、ステップ118において、雰囲気圧で一定時間の間、金型が保持される(118)。
【0051】
図8Cでは、金型を開ける前のステップ218と、220と、222と、224とで、真空ポンプ操作が実行される。図8Bに関して述べたように、真空により、蒸気からの金型内に残った余分な熱、ならびに、金型内にあるかもしれない水または他の液体を引き出せる。ステップ218で、金型の内側キャビティの真空引きを行う(218)。この真空引きは、上側の金型のポートを通して、または、他の手段により実行できる。ステップ220で、一旦、金型内の選択された真空圧が達成されたら、一定時間の間、真空圧が維持される(220)。これにより、すでに膨張した膨張性基材は、不織布材料をより均一に膨張させる上で有用となり得る真空圧を受ける。ステップ222で、ポンプ操作は停止され、金型は雰囲気圧に戻ることができる(222)。ステップ224で、真空が適用され、一定時間の間、金型が真空圧の下で保持され、真空圧が金型から抜かれるプロセス全体が、例えば、2回-6回、繰り返される(224)。真空圧の適用は、金型内にあるかもしれない水、他の液体、気体、破片などの混入物質の除去に役立つ。加えて、真空圧は、金型からの余分な熱の除去に役立つ。最終的に、真空圧を繰り返しかけることにより、金型内で生成される製品はより均一になる。
【0052】
図8A図8B、および、図8Cは全て、自己膨張式膨張性基材を成形する際に、単独で、または、他のプロセスと組み合わせて実行できる、異なる起こり得るプロセスを示している。図8Aは、蒸気を金型に入れる速度を、まず同金型を空気で加圧することにより、緩めることを示している。図8Bは、板材の蒸発冷却およびより均一な膨張を促進させるために、サイクルの最後に真空ポンプを追加することを示している。図8Cは、システムに加えられるエネルギーの量を増すために、一連の「部分的蒸気排出サイクルを伴う蒸気噴射」と、熱および水分の除去速度を上げるために、一連の真空サイクルと、を用いることを示している。
【0053】
効率的な真空冷却を実行するにあたり、真空槽と、真空ポンプと、冷却システムと、が一体となって協調動作し、最適かつ効率的な冷却結果が確実に得られるようにするために、従うべきいくつかの考慮点がある。
【0054】
真空槽:真空槽は、冷却対象の製品を保持するために用いられる。上述の手法では、真空槽は、膨張性不織布基材を収容する金型である。
【0055】
真空ポンプ:真空ポンプは、真空槽(すなわち、金型)内の空気を排出する。熱く湿気のある空気の排出により、金型内で圧力が低下することで、蒸発冷却により製品(すなわち、膨張性不織布物品)内および槽内の温度が低下する。蒸発冷却は、真空槽内で真空ポンプによる減圧下で製品内の水分が蒸発するため、達成される。真空槽から排出対象の空気は、製品の周囲の空気と、膨張性不織布物品の開放構造内に見られる空間にある空気と、を含む。真空システムは、真空冷却器内の雰囲気圧を許容速度で下げるために、適切なサイズに作る必要がある。大きすぎる真空システムだと、余分で不必要な装置および操作コストが追加される可能性があり、一方、小さすぎるシステムだと、サイクルの時間要件を達成しないことがある。
【0056】
冷却システム:真空冷却器用の冷却システムは、冷却されている製品から蒸発する熱を含む蒸気を再凝縮させるために用いられる。これにより、真空システムは、槽内の雰囲気圧を下げ続けることができ、製品がさらに冷却される。また、蒸気の再凝縮により、水分の真空ポンプへの侵入が防止される。真空ポンプ内の過剰な水分は、ポンプ内の潤滑油の中で再凝縮する可能性がある。こうなると、槽の排気に関する性能および速度が低下し、真空ポンプの動作寿命も短くなる。前述の説明から明らかなように、互いに対抗して動作することを防ぐために、真空冷却システムの機能構成部品のそれぞれを、適切に設計しサイズを決めることが必要である。真空冷却器がその役目を効率的に、許容できるサイクル回数で、かつ高い費用対効果で果たすために、バランスのとれたシステムが必要である。
【0057】
なお、本明細書と添付の特許請求の範囲とで用いられる、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確にそうではないと示さない限り、複数形の指示対象を含む、ということに留意すべきである。さらに、特許請求の範囲は、任意選択の要素を排除するために起草され得る、ということに留意すべきである。それゆえ、この陳述は、特許請求の範囲における請求要素の記述に関連して「単独で(solely)」や「のみ(only)」などの排他的用語の記述、または「そこにおいて(wherein)[特定の特徴または要素]がない」や「[特定の特徴または要素]を除く」や「そこにおいて(wherein)[特定の特徴または要素]は存在しない(含まれない、など)・・・」などの「否定的(negative)」な制限の使用、を支持することを意図する。
【0058】
値の範囲が示される場合は、特記しない限り、範囲の下限の単位の10分の1までの、その範囲の上限と下限との間の、および、あらゆる他の記載した値、もしくは、その記載した範囲の間の値が本発明内に含まれると理解される。これらのより小さな範囲の上限と下限は、独立してより小さな範囲に含まれることがあり、本発明内に含まれ、記載した範囲内のあらゆる具体的に排除した制限を受ける。記載した範囲が上限および下限の一方または両方を含む場合は、それらを含む限界のいずれかまたは両方を排除する範囲も本発明に含まれる。
【0059】
本開示を読んだ当業者に明らかであるように、本明細書に記載し例示した個々の実施の形態は、それぞれ、本発明の範囲もしくは精神から逸脱することなく、あらゆる他の様々な実施の形態の特徴と容易に分離またはそれらと組み合わせることができる、個別の構成要素および特徴を有する。あらゆる記載した方法は、記載した事象の順番または論理的に可能なあらゆる他の順番で、実行可能である。
【0060】
本発明は、本発明をさらに例示する以下の限定されない実施例によりさらに説明されるが、これらは本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、またそのように解釈されるべきではない。
【0061】
●実施例●
●実施例1
硬い感触を有する自動車シートクッションを作るために、30重量%の帝人製6dtex×64mmのエラストマ接着短繊維と70重量%のヒュービス製3d×51mmの中空の乾式接合した捲縮ポリエステル短繊維とからなる3つの層を、密度550g/mおよび厚さ30mmで、互いに重ね合わせた。この3つの層を加熱、圧縮、冷却し、厚さ約30mmの1枚の板材を得た。この板材を、シートクッション金型の外のり寸法の内側に合うように切断することで、1つの部品を作成した。次に、この部品をクッション金型キャビティの内側に置き、金型を閉じて華氏400度で150分間加熱し、雰囲気温度で90分間冷却することで、形成された自動車シートクッションを得た。
【0062】
●実施例2
ふかふかな感触を有する自動車シートクッションを作るために、30重量%の帝人製6dtex×64mmのエラストマ接着短繊維と70重量%のヒュービス製3d×51mmの中空の乾式接合したクリンプポリエステル短繊維とからなる2つの層を、密度550g/mおよび厚さ30mmで、互いに重ね合わせた。この2つの層を加熱、圧縮、冷却し、厚さ約20mmの1枚の板材を得た。この板材を、シートクッション金型の外のり寸法の内側に合うように切断することで、1つの部品を作成した。次に、この部品をクッション金型キャビティの内側に置き、金型を閉じて華氏400度で150分間加熱し、雰囲気温度で90分間冷却することで、形成された自動車シートクッションを得た。
【0063】
●実施例3
堅いB面を有する自動車シートの背もたれを作るために、密度550g/mおよび厚さ30mmの、30重量%の帝人製6dtex×64mmのエラストマ接着短繊維と70重量%のヒュービス製3d×51mmの中空の乾式接合したクリンプポリエステル短繊維とからなる2つの層を、密度400g/mおよび厚さ20mmの、30重量%のヒュービス製4d×51mmの共重合PET/PET(鞘/芯)の低融点複合繊維であって鞘の融点が110℃のポリエステル短繊維と70%の6d×51mmの再生された機械的クリンプポリエステル短繊維とからなる1つの層の上に重ねた。この3つの層を加熱、圧縮、冷却し、厚さ約30mmの板材を形成した。この板材を、シート背もたれ金型の外のり寸法の内側に合うように切断することで、部品を作成した。この部品をシート背もたれ金型キャビティの内側に置き、金型を華氏400度で150分間加熱した後、雰囲気温度で90分間冷却することで、堅いB面を有する形成された自動車背もたれを得た。

図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図8C
【国際調査報告】