(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-23
(54)【発明の名称】線維芽細胞を用いたオピオイド付加の処置及びその製品
(51)【国際特許分類】
A61K 35/33 20150101AFI20220516BHJP
A61P 25/30 20060101ALI20220516BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220516BHJP
A61P 25/36 20060101ALI20220516BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220516BHJP
A61K 31/485 20060101ALI20220516BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20220516BHJP
A61K 31/13 20060101ALI20220516BHJP
C12N 5/0793 20100101ALN20220516BHJP
C07K 14/525 20060101ALN20220516BHJP
C07K 14/545 20060101ALN20220516BHJP
C07K 14/62 20060101ALN20220516BHJP
C07K 14/475 20060101ALN20220516BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20220516BHJP
C12N 15/117 20100101ALN20220516BHJP
【FI】
A61K35/33
A61P25/30
A61K45/00
A61P25/36
A61P29/00
A61K31/485
A61K9/48
A61K31/13
C12N5/0793
C07K14/525
C07K14/545
C07K14/62
C07K14/475
C07K14/705
C12N15/117 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556511
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(85)【翻訳文提出日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 US2020023332
(87)【国際公開番号】W WO2020191031
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516071686
【氏名又は名称】フィジーン、エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】FIGENE, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オヒーロン、ピート
(72)【発明者】
【氏名】イチム、トーマス
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C086
4C087
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AC20
4B065BB14
4B065BB19
4B065BB23
4B065BC22
4B065BC50
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4C076AA53
4C076CC01
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4C086MA02
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4C087ZC39
4C206AA01
4C206FA29
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA08
4C206ZC39
4H045AA10
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA03
4H045DA14
4H045DA38
4H045DA50
4H045DA89
4H045EA20
(57)【要約】
オピオイド中毒などの任意の種類の中毒を阻害及び/又は治療するための、線維芽細胞及び/又はそれに由来する産物を含む方法及び組成物が開示される。いくつかの実施形態では、方法が中毒関連脳損傷の抑制に十分な濃度で線維芽細胞集団を投与することによって、オピオイド中毒患者を治療することを含む。いくつかの実施形態では、線維芽細胞がCD31及び/又はCD73マーカーを発現する。いくつかの実施形態において、線維芽細胞は中毒に関連する脳の変化を克服するために、ニューロン再生を与えるために使用される。いくつかの実施形態は、中毒誘発損傷に続く海馬再生の刺激に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における嗜癖又は物質乱用を治療する方法であって、線維芽細胞、その複数及び/又はその由来の産物を含む組成物を対象に投与することを含み、前記細胞がCD31及び/又はCD73マーカーを発現する方法。
【請求項2】
前記細胞が、適切な条件下で複数の線維芽細胞を培養するステップと、前記複数の線維芽細胞から単一細胞懸濁液を得るステップと、マーカーCD31及び/又はCD73を発現する前記単一細胞懸濁液線維芽細胞から抽出するステップとを含む方法によって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、マーカーCD31及び/又はCD73を発現する前記線維芽細胞を、前記細胞のニューロン再生特性の産生を増強することができる1つ以上の薬剤でプライミングすることをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
1つ以上の薬剤が、アクチビンA、アドレノメドリン、aFGF、ALK1、ALK5、ANF、アンギオゲニン、アンギオポイエチン-2、アンギオポイエチン-3、アンギオポエチン-4、bFGF、B61、bFGF誘導活性、カドヘリン、CAM-RF、cGMPアナログ、ChDI、CLAF、クロージン、コラーゲン、cGMP類似体、コラーゲン、コラーゲン受容体、α
1-β
2、α
2-β
1、コネキシン、Cox-2、ECDGF(内皮細胞由来増殖因子)、心電図、EDM、EGF、EMAP、エンドセリン、エンドセリン、内皮細胞増殖阻害因子、内皮細胞生存率維持因子、内皮細胞分化フィンゴ脂質G-タンパク質共役受容体-1(EDG1)、ECG、ECI、EDM、EGF、EMAP、エンドグリン、エンドセリン、エンドスタチン、内皮細胞増殖抑制因子、内皮細胞生存率維持因子、内皮分化シンゴ糖脂質Gタンパク質結合受容体-1(EDG1)、エフリン、Epo、HGF、TGF-β、PD-ECGF、PDGF、IGF、IL8、成長ホルモン、フィブリン断片E、FGF-5、フィブロネクチンおよびフィブロネクチン受容体.α.5.β.1、ファクターX、HB-EGF、HBNF、HGF、HUAF、心臓由来血管細胞増殖抑制因子、Ill、IGF-2、IFN-γ、インテグリン受容体、K-FGF、LIF、平滑筋腫由来成長因子、MCP-1、マクロファージ由来成長因子、単球由来成長因子。MD-ECI、MECIF、MM2、MMP3、MMP9、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター、ニューロピリン(NRP1、NRP2)、ニューロテリン、一酸化窒素ドナー、一酸化窒素合成酵素(NOSs)、ノッチ、オクルジン、ゾナ・オクルーディン、オンコスタチンM、PDGF、PDGF-B、PDGF受容体、PDGFR-β、PD-ECGF、PAI-2、PD-ECGF、PF4、P1GF、PKR1、PKR2、PPAR-γ、PPAR-γリガンド、ホスホジエステラーゼ、プロラクチン、プロスタサイクリン、プロテインS、平滑筋細胞由来の成長因子、平滑筋細胞由来の遊走因子。スフィンゴシン-1-リン酸-1(SIP1)、Syk、SLP76、タチキニン、TGF-β、Tie1、Tie2、TGF-β、TGF-β受容体、TIMP、TNF-α、トランスフェリン、トロンボスポンジン、ウロキナーゼ、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、VEGF、VEGF
164、VEGI、EG-VEGF、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記線維芽細胞の培養が条件培地中で起こる、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ニューロン再生特性が、神経炎症を阻害すること、ニューロン前駆細胞の再生を増強すること、興奮毒性を阻害すること、脳細胞のアポトーシスを阻害すること、又はそれらの組み合わせを含む、請求項3、4、又は5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ニューロン再生が、海馬の再生を含む、請求項3~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記ニューロン前駆細胞が、歯状回に存在する細胞である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ニューロン前駆細胞が、心室下ゾーンに存在する細胞である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記神経炎症が、炎症性サイトカインTNF-αによって媒介される、請求項6記載の方法。
【請求項11】
前記神経炎症が、炎症性サイトカインIL-1によって媒介される、請求項6記載の方法。
【請求項12】
前記神経炎症が、炎症性サイトカインIL-6によって媒介される、請求項6記載の方法。
【請求項13】
前記アポトーシスの阻害がIGF-1の産生による、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記アポトーシスの阻害がVEGFの産生による、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
1つ以上のトール様受容体アゴニストへの暴露によって前記線維芽細胞を活性化することをさらに含む、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記トール様受容体がTLR-1である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
TLR-1の前記アゴニストがPam3CSK4である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記トール様受容体がTLR-2である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記TLR-2のアゴニストがHKLMである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記トール様受容体がTLR-3である、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記TLR-3のアゴニストがポリICである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記トール様受容体がTLR-4である、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記TLR-4のアゴニストがLPSである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
TLR-4の前記アゴニストがブプレノルフィンである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
TLR-4の前記アゴニストがカルバマゼピンである、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
TLR-4の前記アゴニストがフェンタニルである、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
TLR-4の前記アゴニストがレボルファノールである、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
TLR-4の前記アゴニストがメサドンである、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記TLR-4のアゴニストがコカインである、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記TLR-4のアゴニストがモルヒネである、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
TLR-4の前記アゴニストが、オキシカルバゼピンである、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
TLR-4の前記アゴニストがオキシコドンである、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
TLR-4の前記アゴニストがペチジンである、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
TLR-4の前記アゴニストが、Cryptococcus由来のグルクロノキシロマンナンである、請求項22に記載の方法。
【請求項35】
TLR-4の前記アゴニストがモルヒネ-3-グルクロニドである、請求項22に記載の方法。
【請求項36】
前記TLR-4のアゴニストがリポテイコ酸である、請求項22に記載の方法。
【請求項37】
TLR-4の前記アゴニストがβ-デフェンシン2である、請求項22に記載の方法。
【請求項38】
TLR-4の前記アゴニストが、低分子量ヒアルロン酸である、請求項22に記載の方法。
【請求項39】
TLR-4の前記アゴニストがフィブロネクチンEDAである、請求項22に記載の方法。
【請求項40】
前記TLR-4のアゴニストがスナピンである、請求項22に記載の方法。
【請求項41】
前記TLR-4のアゴニストがテネイシンCである、請求項22に記載の方法。
【請求項42】
前記トール様受容体がTLR-5である、請求項15に記載の方法。
【請求項43】
前記TLR-5のアゴニストがフラジェリンである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記トール様受容体がTLR-6である、請求項15に記載の方法。
【請求項45】
TLR-6の前記アゴニストがFSL-1である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記トール様受容体がTLR-7である、請求項15に記載の方法。
【請求項47】
TLR-7の前記アゴニストがイミキモドである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記TLR-8のトール様レセプターが、請求項15に記載の方法。
【請求項49】
前記TLR8のアゴニストがssRNA40/LyoVecである、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記TLR-9のトール様レセプターが、請求項15に記載の方法。
【請求項51】
前記TLR-9のアゴニストがCpGオリゴヌクレオチドである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
TLR-9の前記アゴニストがODN2006である、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記TLR-9のアゴニストがアガトリモドである、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記中毒がオピオイド中毒である、請求項1~53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記中毒がヘロイン中毒である、請求項1~53のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
細胞が対象に関して自己由来である、請求項1~55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
細胞が対象に関して同種異系である、請求項1~55のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
細胞が対象に関して異種である、請求項1~55のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
対象にもメマンチンが投与される、請求項1~58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
対象に5~100mg/日のメマンチンも投与する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
被験体がまた、10~30mg/日のメマンチンを投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
対象に1つ以上の鎮痛薬も投与される、請求項1~61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
対象にナロキソンも投与される、請求項1~62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
対象がアコムパターゼも服用される、請求項1~63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記線維芽細胞がタンパク質及び/又はペプチドを産生する様式で培養され、ここで、前記タンパク質及び/又はペプチドは、、アクチビンA、アドレノメドリン、aFGF、ALK1、ALK5、ANF、アンギオゲニン、アンギオポイエチン-2、アンギオポイエチン-3、アンギオポエチン-4、bFGF、B61、bFGF誘導活性、カドヘリン、CAM-RF、cGMPアナログ、ChDI、CLAF、クロージン、コラーゲン、cGMP類似体、コラーゲン、コラーゲン受容体、α
1-β
2、α
2-β
1、コネキシン、Cox-2、ECDGF(内皮細胞由来増殖因子)、心電図、EDM、EGF、EMAP、エンドセリン、エンドセリン、内皮細胞増殖阻害因子、内皮細胞生存率維持因子、内皮細胞分化フィンゴ脂質G-タンパク質共役受容体-1(EDG1)、ECG、ECI、EDM、EGF、EMAP、エンドグリン、エンドセリン、エンドスタチン、内皮細胞増殖抑制因子、内皮細胞生存率維持因子、内皮分化シンゴ糖脂質Gタンパク質結合受容体-1(EDG1)、エフリン、Epo、HGF、TGF-β、PD-ECGF、PDGF、IGF、IL8、成長ホルモン、フィブリン断片E、FGF-5、フィブロネクチンおよびフィブロネクチン受容体.α.5.β.1、ファクターX、HB-EGF、HBNF、HGF、HUAF、心臓由来血管細胞増殖抑制因子、Ill、IGF-2、IFN-γ、インテグリン受容体、K-FGF、LIF、平滑筋腫由来成長因子、MCP-1、マクロファージ由来成長因子、単球由来成長因子。MD-ECI、MECIF、MM2、MMP3、MMP9、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター、ニューロピリン(NRP1、NRP2)、ニューロテリン、一酸化窒素ドナー、一酸化窒素合成酵素(NOSs)、ノッチ、オクルジン、ゾナ・オクルーディン、オンコスタチンM、PDGF、PDGF-B、PDGF受容体、PDGFR-β.PD-ECGF、PAI-2、PD-ECGF、PF4、P1GF、PKR1、PKR2、PPAR-γ、PPAR-γリガンド、ホスホジエステラーゼ、プロラクチン、プロスタサイクリン、プロテインS、平滑筋細胞由来の成長因子、平滑筋細胞由来の遊走因子、スフィンゴシン-1-リン酸-1(SIP1)、Syk、SLP76、タチキニン、TGF-β、Tie1、Tie2、TGF-β、TGF-β受容体、TIMP、TNF-α、トランスフェリン、トロンボスポンジン、ウロキナーゼ、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、VEGF、VEGF
164、VEGI、EG-VEGF、及びそれらの組み合わせを含む、請求項1~64のいずれかに記載の方法
【請求項66】
線維芽細胞が、増殖培地、ならし培地又は再プログラミング培地中で培養される、請求項1~65のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
線維芽細胞又はその複数がカプセル化されている、請求項1~66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
線維芽細胞又はその複数が、膜、ポリマーカプセル、アルギン酸-ポリ-L-リジン-アルギン酸マイクロカプセル、バリウムポリ-L-リジンアルギン酸カプセル、アルギン酸バリウムカプセル、ポリアクリロニトリル/ポリ塩化ビニル(PAN/PVC)中空繊維、又はポリエーテルスルホン(PES)中空繊維によってカプセル化される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
請求項1~68のいずれかに記載の方法であって、それらに由来する産物が、線維芽細胞培養物由来の上清を含む、方法。
【請求項70】
線維芽細胞培養物からの上清が、少なくとも1つの栄養因子を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
栄養因子が、ホルモン、サイトカイン、細胞外マトリックス、タンパク質、小胞、抗体、顆粒、又はそれらの混合物である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
線維芽細胞又はその複数の培養物が、アクチビンA、アドレノメドリン、aFGF、ALK1、ALK5、ANF、アンギオゲニン、アンギオポイエチン-2、アンギオポイエチン-3、アンギオポエチン-4、bFGF、B61、bFGF誘導活性、カドヘリン、CAM-RF、cGMPアナログ、ChDI、CLAF、クロージン、コラーゲン、cGMP類似体、コラーゲン、コラーゲン受容体、α
1-β
2、α
2-β
1、コネキシン、Cox-2、ECDGF(内皮細胞由来増殖因子)、心電図、EDM、EGF、EMAP、エンドセリン、エンドセリン、内皮細胞増殖阻害因子、内皮細胞生存率維持因子、内皮細胞分化フィンゴ脂質G-タンパク質共役受容体-1(EDG1)、ECG、ECI、EDM、EGF、EMAP、エンドグリン、エンドセリン、エンドスタチン、内皮細胞増殖抑制因子、内皮細胞生存率維持因子、内皮分化シンゴ糖脂質Gタンパク質結合受容体-1(EDG1)、エフリン、Epo、HGF、TGF-β、PD-ECGF、PDGF、IGF、IL8、成長ホルモン、フィブリン断片E、FGF-5、フィブロネクチンおよびフィブロネクチン受容体.α.5.β.1、ファクターX、HB-EGF、HBNF、HGF、HUAF、心臓由来血管細胞増殖抑制因子、Ill、IGF-2、IFN-γ、インテグリン受容体、K-FGF、LIF、平滑筋腫由来成長因子、MCP-1、マクロファージ由来成長因子、単球由来成長因子。MD-ECI、MECIF、MM2、MMP3、MMP9、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター、ニューロピリン(NRP1、NRP2)、ニューロテリン、一酸化窒素ドナー、一酸化窒素合成酵素(NOSs)、ノッチ、オクルジン、ゾナ・オクルーディン、オンコスタチンM、PDGF、PDGF-B、PDGF受容体、PDGFR-β、PD-ECGF、PAI-2、PD-ECGF、PF4、P1GF、PKR1、PKR2、PPAR-γ、PPAR-γリガンド、ホスホジエステラーゼ、プロラクチン、プロスタサイクリン、プロテインS、平滑筋細胞由来の成長因子、平滑筋細胞由来の遊走因子。スフィンゴシン-1-リン酸-1(SIP1)、Syk、SLP76、タチキニン、TGF-β、Tie1、Tie2、TGF-β、TGF-β受容体、TIMP、TNF-α、トランスフェリン、トロンボスポンジン、ウロキナーゼ、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、VEGF、VEGF
164、VEGI、EG-VEGF、及びそれらの組み合わせを産生する、請求項2~71のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
前記線維芽細胞又はその複数がさらにCD45及び/又はCD34マーカーを発現する、請求項1~72のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
培養された線維芽細胞の単一の細胞懸濁液からCD31陽性及び/又はCD73陽性線維芽細胞を抽出することによって生成された治療有効量の細胞を個体に投与すること、及び任意選択で、前記線維芽細胞の1つ又は複数のニューロン再生特性の産生を増強することができる1つ又は複数の薬剤で線維芽細胞をプライミングすることを含む、個体におけるオピオイド依存症に関連する脳損傷を治療する方法。
【請求項75】
対象における関連する海馬損傷を治療する方法であって、前記対象の顆粒下ゾーン(SGZ)に前記線維芽細胞を配置することによって、CD31陽性及び/又はCD73陽性線維芽細胞を対象に投与することを含む方法。
【請求項76】
線維芽細胞を得ることを含む、対象における嗜癖を治療する方法;
前記線維芽細胞の増殖を可能にする培地中での前記線維芽細胞の培養;
単細胞懸濁細胞からの抽出;
【請求項77】
マーカーCD31及びCD73を発現する線維芽細胞を単離し;線維芽細胞を含む組成物を被験体に投与し、ここで該細胞はCD31及びCD73マーカーを発現する。
【請求項78】
被験体におけるオピオイド嗜癖関連脳損傷を治療する方法であって、CD31及び/又はCD73マーカーを発現する被験線維芽細胞に投与することを含む方法。
【請求項79】
前記線維芽細胞が、a)線維芽細胞を得るステップと、b)前記線維芽細胞の増殖を可能にする培地中で前記線維芽細胞を培養するステップと、c)単一細胞懸濁細胞から抽出するステップと、d)マーカーCD31及び/又はCD73を発現する線維芽細胞を単離するステップとを含む方法によって生成された、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記細胞が、a)線維芽細胞を得るステップと、b)前記線維芽細胞の増殖を可能にすることができる液体培地中で前記線維芽細胞を培養するステップと、c)マーカーCD31及び/又はCD73を発現する前記単細胞懸濁細胞から抽出するステップと、d)前記細胞のニューロン再生特性の産生を増強することができる薬剤で前記細胞を任意にプライミングするステップとによって生成される、請求項77又は78に記載の方法。
【請求項81】
前記ニューロン再生特性が、a)神経炎症を阻害すること;b)ニューロン前駆細胞の再生を増強すること;c)興奮毒性を阻害すること;及びd)脳細胞のアポトーシスを防止することを含む群から選択される、請求項77~79のいずれかに記載の方法。
【請求項82】
CD31及び/又はCD73を発現する単離された複数の線維芽細胞を含む、嗜癖の治療のための医薬組成物。
【請求項83】
前記複数が、a)線維芽細胞を得るステップと、b)前記線維芽細胞の増殖を可能にすることができる液体培地中で前記線維芽細胞を培養するステップと、c)マーカーCD31及びCD73を発現する前記単細胞懸濁細胞から抽出するステップと、d)任意選択で、前記細胞の1つ又は複数のニューロン再生特性の産生を増強することができる1つ又は複数の薬剤で前記細胞をプライミングするステップとによって生成される、請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項84】
前記ニューロン再生特性が、a)神経炎症を阻害すること;b)ニューロン前駆細胞の再生を増強すること;c)興奮毒性を阻害すること;d)脳細胞のアポトーシスを防止すること;及びe)それらの組み合わせからなる群から選択される、請求項82に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年3月19日に出願された米国仮特許出願第62/820721号の優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本開示は一般に、細胞生物学及び医学の実施形態に関する。特定の実施形態では、本開示が嗜癖の治療のための再生医療に関する。より詳細には、本開示がオピオイド依存症の治療のための、線維芽細胞又はそれに由来する産物を含む組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、ヘロイン又は処方薬の形でのオピオイドへの依存は、重大な健康上の懸念である。米国では、1999-2015期に568,699人が薬物過剰投与により死亡したことが知られている。米国における薬物過量投与による死亡は2014年から2015年にかけて11.4%増加し、2015年には52,404人の死亡をもたらし、そのうちオピオイドが関与した33,091人(63.1%)が含まれる。2014年から2015年までの最大の増加率は、メサドン以外の合成オピオイドが関与する死亡例(72.2%)であった。様々な薬物が関与する過量投与死には人口統計学的及び地理的なばらつきがあるため、米国疾病管理センター(CDC)は全オピオイド、オピオイドサブカテゴリー(すなわち、処方オピオイド、ヘロイン、合成オピオイド)、コカイン、乱用の可能性のある精神刺激薬(精神刺激薬)を含む過量投与の年齢調整死亡率を、人口統計、都市化レベル、31州及びコロンビア特別区(DC)で検討した。2016年には63,632例の薬物過剰投与による死亡が認められ、42,249例(66.4%)がオピオイドを含んでいた。2015年から2016年にかけて、死亡は検討したすべての薬物カテゴリーで増加した。全体の最大の増加率はコカイン(52.4%)及び合成オピオイド(100%)を含む死亡者の間で起こり、違法に製造されたフェンタニル(IMF)によってもたらされた可能性が高い。増加は、人口統計学、都市化レベル、ならびに州及びDCにわたって観察された[1]。著者らは、米国におけるオピオイド過剰摂取の流行が悪化し続けていると結論づけたことは一般に受け入れられている[2-4]。
【0004】
オピオイド依存症に対するメタドン維持療法は罹患率、死亡率、感染症の蔓延を減少させるが、米国の認可専門クリニックに限定され、頻回のクリニック受診を必要とし、過量投与の危険性が大きい[5]。
【0005】
これらの問題から、オピオイド嗜癖の治療としてブプレノルフィンの使用が増加しており、舌下処理されたブプレノルフィンの有効性を支持する研究が数多くある。米国では、ブプレノルフィンは診療所ベースの医師診療で処方することができる。しかしながら、舌下ブプレノルフィンの流用及び非内科的使用についてはいくつかの懸念がある。また、ブプレノルフィン舌下投与では、治療アドヒアランスが不良で、渇望や離脱症状を来し、再発の可能性が高くなることも懸念される[6,7]。
【0006】
一般的に言えば、嗜癖とは、薬物及び/又はアルコールの服用を義務づけ、摂取を抑制することを制御せず、離脱期間中に否定的な情動感情を有する慢性疾患と定義される。中毒は中毒者の生活に影響を及ぼすだけでなく、社会や経済にも大きな負担を与える。嗜癖性薬物は脳中枢に大きな解剖学的及び生理学的影響を及ぼし、心理的、行動的、及び感覚‐運動的変化をもたらすことが明らかになった。嗜癖性物質は、特に側坐核、扁桃体、腹側淡蒼球、海馬において、辺縁系を介して腹側被蓋野と前頭前野をつなぐドパミン作動性経路に影響を及ぼすことが実証された[8]。
【0007】
現在、オピオイド依存症を適切に治療及び/又は管理するのに役立つ安全な治療組成物ならびに方法及びレジメンが必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本開示の実施形態は、任意の種類の嗜癖又は物質乱用の治療又は予防に関連する方法及び組成物を包含する。特定の実施形態では、本開示がオピオイド中毒などの中毒を阻害及び/又は治療するために使用される線維芽細胞及び/又はその由来の産物の投与に関する。現在の実施形態は、とりわけ、嗜癖及び物質乱用の治療に関する組成物及び方法を含む。いくつかの実施形態では、組成物及び方法が線維芽細胞及び/又はその由来の産物の投与による嗜癖又は物質乱用の治療又は阻害に関する。いくつかの実施形態において、線維芽細胞は、他のマーカーを有するか又は有さないCD31及び/又はCD73を発現する。いくつかの実施形態では、物質中毒患者に、中毒及び/又は関連する脳損傷を抑制するのに十分な濃度で線維芽細胞集団を投与する。いくつかの実施形態において、線維芽細胞は中毒に関連する脳の変化を克服するために、ニューロン再生を与えるために使用される。いくつかの実施形態では、方法が中毒誘発損傷後の海馬再生を刺激することに関する。開示はまた、嗜癖状態の回復のための細胞療法としての線維芽細胞の使用を提供する。
【0009】
ここで、実施形態は、オピオイド嗜癖を処置するため、オピオイド使用障害を処置するため、オピオイド離脱症状を処置するため、中毒状態を回復するため、オピオイド嗜癖を阻害するため、オピオイド嗜癖を阻害するため、オピオイド嗜癖を処置又は改善するため、オピオイド離脱症状を予防又は処置又は改善するため、オピオイド嗜癖の重篤度又は持続期間を減少させるため、オピオイド嗜癖の再発を予防するため、オピオイド耐性の可能性を減少させるため、身体依存を減少させるため、オピオイド乱用を予防するため、又は中毒に関連する海馬損傷を克服するため、線維芽細胞を投与して海馬機能の付加関連変化を矯正するため、オピオイド嗜癖を処置するための増強された効力のために線維芽細胞を選択するため、任意の嗜癖を処置するため、ニューロン再生を与えるため、海馬再生を刺激するため、ニューロン前駆細胞の再生を阻害するため、ニューロン前駆細胞の再生を増強するため、興奮毒性を阻害するため、脳細胞のアポトーシスを予防するため、又はそれらの任意の組み合わせのための、線維芽細胞を含む組成物及び処方物を含む。
【0010】
開示の特定の局面は、オピオイド嗜癖の治療、オピオイド離脱症状の治療、嗜癖状態の治療、オピオイド嗜癖の予防又は改善のための線維芽細胞の使用、オピオイド離脱症状の抑制、オピオイド嗜癖の重症度又は持続期間の低減、オピオイド耐性の低下、オピオイド乱用の防止、嗜癖に伴う海馬の損傷の克服又は海馬機能の付加に伴う変化の修正のための線維芽細胞の選択、任意の嗜癖の治療のための線維芽細胞の使用、海馬再生の刺激、神経前駆細胞の更新の増強、興奮毒性の抑制、脳細胞のアポトーシスの防止、又はこれらの組みわせに関する。
【0011】
これらの方法の実施形態は、開示全体を通して開示される。1つの方法の任意の実施形態は、本明細書で論じる別の実施形態の文脈で実施することができる。同様に、本明細書に記載の任意の方法は、本明細書に記載の1つ以上のステップを除外することができる。いくつかの態様では、本明細書に開示される方法のいずれか1つは以下のステップ:診断、治療、改善、阻害、及び濃縮を含むことができる。
【0012】
本開示のさらなる局面は、被験体(対象)における嗜癖を処置する方法に関し、この方法は線維芽細胞、その複数又はその由来の産物を含む組成物を被験体に投与する工程を包含し、ここで、この細胞は、CD31及び/又はCD73マーカーを発現する。いくつかの実施形態では、細胞がa)線維芽細胞を得るステップと、b)前記線維芽細胞を培養するステップと、c)単一細胞懸濁液を得るステップと、d)マーカーCD31及びCD73を発現する前記単一細胞懸濁液線維芽細胞から抽出するステップとを含む方法によって生成される。いくつかの実施形態において、線維芽細胞又はその複数は、CD45及び/又はCD34マーカーをさらに発現する。
【0013】
いくつかの実施形態では、その由来の産物が線維芽細胞培養物からの上清を含む。いくつかの実施形態では、線維芽細胞培養物からの上清が少なくとも1つの栄養因子を含む。栄養因子は、ホルモン、サイトカイン、細胞外マトリックス、タンパク質、小胞、抗体、又は顆粒であり得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、本開示の方法がマーカーCD31及び/又はCD73を発現する前記線維芽細胞を、前記細胞のニューロン再生特性の産生を増大させることができる薬剤で任意にプライミングする工程をさらに含む。本明細書中で使用される場合、用語「前記細胞の神経再生特性の増強」は線維芽細胞に増殖する神経前駆細胞を増強する能力を付与し、そして既存の神経前駆細胞をアポトーシスから保護する1つ以上の薬剤で培養することをいう(以下を参照のこと)例えば、線維芽細胞が増強された神経再生特性を有することを可能にするaFGF中で線維芽細胞を培養することができる。特定の場合、本開示の方法は、マーカーCD31及び/又はCD73を発現する線維芽細胞を、「神経再生を促進する」ことができる1つ以上の薬剤で任意にプライミングする工程をさらに含む。
【0015】
本開示の方法又は組成物のいくつかの実施形態では、前記線維芽細胞の培養が前記線維芽細胞の増殖を可能にする培地中にある。いくつかの実施形態において、前記線維芽細胞又はその複数のものを培養すると、アクチビンA、アドレノメドリン、aFGF、ALK1、ALK5、ANF、アンギオゲニン、アンギオポイエチン-2、アンギオポイエチン-3、アンギオポエチン-4、bFGF、B61、bFGF誘導活性、カドヘリン、CAM-RF、cGMPアナログ、ChDI、CLAF、クロージン、コラーゲン、cGMP類似体、コラーゲン、コラーゲン受容体、α1-β2、α2-β1、コネキシン、Cox-2、ECDGF(内皮細胞由来増殖因子)、心電図、EDM、EGF、EMAP、エンドセリン、エンドセリン、内皮細胞増殖阻害因子、内皮細胞生存率維持因子、内皮細胞分化フィンゴ脂質G-タンパク質共役受容体-1(EDG1)、ECG、ECI、EDM、EGF、EMAP、エンドグリン、エンドセリン、エンドスタチン、内皮細胞増殖抑制因子、内皮細胞生存率維持因子、内皮分化シンゴ糖脂質Gタンパク質結合受容体-1(EDG1)、エフリン、Epo、HGF、TGF-β、PD-ECGF、PDGF、IGF、IL8、成長ホルモン、フィブリン断片E、FGF-5、フィブロネクチンおよびフィブロネクチン受容体.α.5.β.1、ファクターX、HB-EGF、HBNF、HGF、HUAF、心臓由来血管細胞増殖抑制因子、Ill、IGF-2、IFN-γ、インテグリン受容体、K-FGF、LIF、平滑筋腫由来成長因子、MCP-1、マクロファージ由来成長因子、単球由来成長因子。MD-ECI、MECIF、MM2、MMP3、MMP9、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター、ニューロピリン(NRP1、NRP2)、ニューロテリン、一酸化窒素ドナー、一酸化窒素合成酵素(NOSs)、ノッチ、オクルジン、ゾナ・オクルーディン、オンコスタチンM、PDGF、PDGF-B、PDGF受容体、PDGFR-β、PD-ECGF、PAI-2、PD-ECGF、PF4、P1GF、PKR1、PKR2、PPAR-γ、PPAR-γリガンド、ホスホジエステラーゼ、プロラクチン、プロスタサイクリン、プロテインS、平滑筋細胞由来の成長因子、平滑筋細胞由来の遊走因子。スフィンゴシン-1-リン酸-1(SIP1)、Syk、SLP76、タチキニン、TGF-β、Tie1、Tie2、TGF-β、TGF-β受容体、TIMP、TNF-α、トランスフェリン、トロンボスポンジン、ウロキナーゼ、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、VEGF、VEGF164、VEGI、EG-VEGF、及びそれらの組み合わせを産生する。いくつかの実施形態では、線維芽細胞が増殖培地中、条件培地中、又は再プログラミング培地中で培養される。
【0016】
いくつかの実施形態では、ニューロン再生特性が神経炎症の阻害、ニューロン前駆細胞の再生の増強、興奮毒性の阻害、脳細胞のアポトーシスの予防又は阻害、又はそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ニューロン再生が海馬の再生である。いくつかの実施形態では、ニューロン前駆細胞が歯状回に存在する細胞である。いくつかの実施形態では、ニューロン前駆細胞が心室下帯に存在する細胞である。いくつかの実施形態において、神経炎症は、炎症性サイトカインTNF-α又はサイトカインIL-1、サイトカインIL-6によって媒介される。
【0017】
いくつかの実施形態において、アポトーシスを予防又は阻害することは、IGF-1又はVEGFの産生による。
【0018】
いくつかの実施形態では、方法が1つ以上のトール様受容体アゴニストに曝露することによって、前記線維芽細胞を活性化することをさらに含む。トール様受容体は、TLR-1もしくはTLR-2もしくはTLR-3もしくはTLR-4もしくはTLR-5もしくはTLR-6もしくはTLR-7もしくはTLR-8もしくはTLR-9、又はそれらの組合せであり得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、TLR-1のアゴニストは、Pam3CSK4である。
【0020】
いくつかの実施形態において、TLR-2のアゴニストのアゴニストはHKLMである。
【0021】
いくつかの実施形態において、TLR-3のアゴニストは、Poly:ICである。
【0022】
いくつかの実施形態において、TLR-4のアゴニストは、LPS、ブプレノルフィン、カルバマゼピン、フェンタニル、レボルファノール、メサドン、コカイン、モルヒネ、オキサカルバゼピン、オキシコドン、ペチジン、Cryptococcus由来のグルクロノキシロマンナン、モルヒネ-3-グルクロニド、リポテイコ酸、β-デフェンシン2であり、小分子量ヒアルロン酸、フィブロネクチンEDA、スナピン、テネイシンCである。
【0023】
いくつかの実施形態では、TLR-5のアゴニストはフラジェリンである。
【0024】
いくつかの態様において、TLR-6のアゴニストはFSL-1である。
【0025】
いくつかの実施形態では、TLR-7のアゴニストはイミキモドである。
【0026】
いくつかの態様において、TLR8のアゴニストはssRNA40/LyoVecである。
【0027】
いくつかの実施形態では、TLR-9のアゴニストがCpGオリゴヌクレオチド、ODN2006、又はアガトリモドである。
【0028】
いくつかの実施形態では、中毒が、ヘロイン、オキシコンチン、又はビコジンの中毒などのオピオイド中毒である。オポイドは、処方オピオイドである場合としない場合がある。オピオイドはアルカロイドである天然のアヘン剤であってもよく、これにはアヘンケシなどの植物に存在する窒素含有塩基性化合物が含まれる。天然アヘン剤には、モルヒネ、コデイン、及びテバインが含まれる。オピオイドは、実験室で天然オピエートから作られる半合成/人工オピオイドであってもよい。半合成オピオイドには、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、オキシコドン(処方薬のオキシコンチン)のほか、モルヒネから作られるヘロインがある。オピオイドは、フェンタニル、ペチジン、レボルファノール、メサドン、トラマドール、及びデキストロポキシフェンを含む、完全に人工の完全合成/人工オピオイドであり得る。いくつかの実施形態では、中毒はヘロイン中毒である。
【0029】
本開示の方法又は組成物のいくつかの実施形態において、線維芽細胞は、線維芽細胞で処置される個体に対して、自己又は同種又は異種である。
【0030】
本開示の方法又は組成物のいくつかの実施形態では、対象にもメマンチンが投与される。メマンチンは線維芽細胞の投与と同時に、又はその前後に投与することができる。それは、5~100mg/日又は10~30mg/日を含むがこれらに限定されない種々の投薬量で投与され得る。いくつかの実施形態では、対象はまた、鎮痛剤、ナロキソン又はアコンパターゼ又は他のものを投与される。
【0031】
本開示の方法のいくつかの実施形態において、線維芽細胞又はその複数は、カプセル化される。いくつかの実施形態では、膜、ポリマーカプセル、アルギン酸-ポリ-L-リジン-アルギン酸マイクロカプセル、ポリ-L-リジンアルギン酸バリウムカプセル、アルギン酸バリウムカプセル、ポリアクリロニトリル/ポリ塩化ビニル(PAN/PVC)中空繊維、又はポリエーテルスルホン(PES)中空繊維によってカプセル化される。
【0032】
本開示のさらなる実施形態は治療細胞の投与を含む、オピオイド依存症に関連する脳損傷を処置する方法に関し、ここで、前記治療細胞は、a)線維芽細胞を得る工程;b)前記線維芽細胞の増殖を可能にすることができる液体培地中で前記線維芽細胞を培養する工程;c)マーカーCD31及び/又はCD73を発現する単細胞懸濁細胞から抽出する工程;及びd)前記細胞のニューロン再生特性の産生を増強することができる薬剤で前記細胞を任意にプライミングする工程、によって生成される。
【0033】
本開示のさらなる実施形態は、対象の顆粒下ゾーン(SGZ)に前記線維芽細胞を配置することによって、CD31及び/又はCD73マーカーを発現する線維芽細胞又は活性化線維芽細胞を対象に投与することを含む、対象における関連する海馬損傷を治療する方法に関する。
【0034】
本開示のさらなる実施形態は、線維芽細胞を得るステップと、前記線維芽細胞の増殖を可能にする培地中で前記線維芽細胞を培養するステップと、単細胞懸濁細胞から抽出するステップと、マーカーCD31及び/又はCD73を発現する線維芽細胞を単離するステップと、線維芽細胞を含む組成物を対象に投与するステップであって、前記細胞がCD31及び/又はCD73マーカーを発現するステップとを含む、対象における嗜癖を治療する方法に関する。
【0035】
本開示のさらなる実施形態は線維芽細胞を対象に投与することを含む、対象におけるオピオイド依存症関連脳損傷を治療する方法に関し、前記細胞は、CD31及び/又はCD73マーカーを発現する。いくつかの実施形態では、細胞がa)線維芽細胞を得るステップと、b)前記線維芽細胞の増殖を可能にする培地中で前記線維芽細胞を培養するステップと、c)単一細胞懸濁細胞から抽出するステップと、d)マーカーCD31及び/又はCD73を発現する線維芽細胞を単離するステップとを含む方法によって生成された。いくつかの態様において、細胞は、a)線維芽細胞を得る工程;b)前記線維芽細胞の増殖を可能にすることができる液体培地中で前記線維芽細胞を培養する工程;c)マーカーCD31及び/又はCD73を発現する前記単細胞懸濁細胞から抽出する工程;及びd)前記細胞のニューロン再生特性の産生を増強することができる薬剤で前記細胞を任意にプライミングする工程によって生成される。ニューロン再生特性は、a)神経炎症を阻害すること;b)ニューロン前駆細胞の更新を増強すること;c)興奮毒性を阻害すること;又はd)脳細胞のアポトーシスを防止することであり得る。
【0036】
本開示のさらなる実施形態は、CD31及び/又はCD73を発現する線維芽細胞又はその複数を含む、嗜癖の治療のための医薬組成物に関する。細胞は、a)線維芽細胞を得るステップと、b)前記線維芽細胞の増殖を可能にすることができる液体培地中で前記線維芽細胞を培養するステップと、c)マーカーCD31及び/又はCD73を発現する前記単細胞懸濁細胞から抽出するステップと、d)前記細胞のニューロン再生特性の産生を増強することができる薬剤で前記細胞を任意にプライミングするステップとによって生成することができる。
【0037】
本明細書に記載の任意の方法又は組成物は、本明細書に記載の任意の他の方法又は組成物に関して実施することができ、異なる実施形態を組み合わせることができることが企図される。
【0038】
1つ以上の組成物の使用は、本明細書中に記載される方法のいずれかに基づいて使用され得る。他の実施形態は、本開示全体にわたって論じられる。本開示の1つの態様に関して説明される任意の実施形態は、本開示の他の態様にも適用され、その逆も同様である。実施例のセクションにおける実施形態は、本明細書に記載される技術のすべての態様に適用可能な実施形態であると理解される。
【0039】
上記は以下の詳細な説明がより良く理解され得るように、本開示の特徴及び技術的利点をかなり広く概説した。本明細書の特許請求の範囲の主題を形成する追加の特徴及び利点を以下に説明する。開示された概念及び特定の実施形態は、本設計の同じ目的を実行するために他の構造を修正又は設計するための基礎として容易に利用され得ることが、当業者によって理解されるべきである。また、そのような同等の構成は、添付の特許請求の範囲に記載される精神及び範囲から逸脱しないことが当業者によって理解されるべきである。本明細書に開示される設計の特徴であると考えられる新規な特徴はさらなる目的及び利点とともに、動作の構成及び方法の両方に関して、添付の図面と関連して考慮される場合、以下の説明からより良く理解される。しかしながら、各図は、例示及び説明の目的のためだけに提供され、本開示の限定の定義として意図されないことが明確に理解されるべきである。
【0040】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、下記の詳細な説明によって明らかとなる。しかしながら、本発明の詳細な説明、特異的な実施例及び好適な実施例は例示として行われるものであって、この詳細な説明によって当業者に明らかになる各種の変更や修正は、本発明の精神及び範囲内にあることを理解しなくてはならない。
【発明の詳細な説明】
【0041】
オピオイド中毒などの中毒を阻害及び/又は治療するための、線維芽細胞及び/又はそれに由来する製品を含む方法及び組成物が開示される。一実施形態では、オピオイド中毒患者に、中毒関連脳損傷の抑制に十分な濃度で線維芽細胞集団を投与する。本発明の一実施形態において、線維芽細胞は中毒に関連する脳の変化を克服するために、ニューロン再生を与えるために使用される。いくつかの実施形態は、中毒誘発損傷に続く海馬再生の刺激に関する。
【0042】
特定の実施形態では、線維芽細胞及び/又はその由来の産物の投与を含む方法であって、オピオイド中毒などの中毒を阻害及び/又は治療するために用いることができる方法がある。現在の実施形態は、とりわけ、嗜癖及び物質乱用の治療に関する組成物及び方法を含む。いくつかの実施形態では、組成物及び方法が線維芽細胞及び/又はその由来の産物の投与によるオピオイド依存症の治療又は阻害に関する。いくつかの実施形態では、オピオイド中毒患者に、中毒及び/又は関連する脳損傷を抑制するのに十分な濃度で線維芽細胞集団を投与する。いくつかの実施形態において、線維芽細胞は中毒に関連する脳の変化を克服するために、ニューロン再生を与えるために使用される。いくつかの実施形態では、方法が中毒誘発損傷後の海馬再生を刺激することに関する。開示はまた、嗜癖状態の回復のための細胞療法としての線維芽細胞の使用を提供する。線維芽細胞(治療用細胞)は、自己由来、同種異系又は異種異系であり得る。
【0043】
意図される用語の意味は、本明細書において以下に定義される。
I.定義
【0044】
「オピオイド嗜癖」又は「オピオイド使用障害」とは、反復オピオイド使用の有害な結果、強迫的オピオイド使用のパターン、及びときに耐性及び/又は離脱症状を含むオピオイドに対する生理学的依存を特徴とする状態をいう。
【0045】
「薬物離脱」とは、薬物やレクリエーション用医薬品の摂取を急激に中止したり、急激に減らしたりしたときに起こる一群の症状を指し、その結果、「オピオイド離脱」とはオピオイドやオピエート類の摂取を急激に減らしたり、急に中止したり、減らしたりしたときに起こる一群の症状を指す。また、投与間隔をあけて離脱症状があらわれることがある。オピオイドによる離脱症状には、不安、抑うつ、発汗、嘔吐、及び下痢、筋痙攣、激越、不眠症、あくび散大瞳孔、ガチョウの隆起、腹部痙攣、鼻水、及び涙液増加などが含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
「実質的に同じ」又は「有意に異ならない」という用語は、比較されるものと有意に異ならない発現レベルを指す。あるいは又は組み合わせて、実質的に同じという用語は比較される発現又は活性レベルよりも2、1.5、又は1.25倍未満異なる発現レベルを指す。
【0047】
「対象(被験体)」、「個体」又は「患者」は、本明細書中で交換可能に使用され、そして脊椎動物(例えば、霊長類、哺乳動物又はヒト)をいう。哺乳動物としてはウマ、イヌ、ウシ、ヒツジ、ネズミ、ラット、サル、ヒト、家畜、スポーツ動物及びペットが挙げられるが、これらに限定されない。また、対象として組み入れることが意図されているのは、疾病の臨床的徴候を示さない臨床研究試験に関与する対象、疫学的研究に関与する対象、又は制御として用いられる対象である。
【0048】
「診断」は、可能性のある疾患又は障害を決定又は同定することを試みるプロセス、又はこのプロセスによって到達される意見を指し得る。統計学の観点から、診断手順は、分類試験を含み得る。
【0049】
「約」及び「およそ」は、一般に、測定の性質又は精度が与えられた場合に測定された量について許容可能な程度の誤差を意味する。典型的には、誤差の例示的な程度が所与の値又は値の範囲の20パーセント(%)以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である。あるいは、特に生物学的システムにおいて、用語「約」及び「およそ」は、大きさのオーダー内、好ましくは所与の値の5倍以内、より好ましくは2倍以内である値を意味することができる。いくつかの実施形態では、本明細書で論じられる数値が用語「およそ」又は「およそ」と共に使用することができると考えられる。
【0050】
本明細書中で使用される場合、用語「含む」は、列挙された要素を含むが、他を排除しないことを意味することを意図する。組成物及び方法は、組成物及び方法を定義するために使用される場合、記載された目的のための任意の必須の重要性の他の要素を排除することを意味する。本開示の医薬組成物の文脈における「本質的に構成する」は、列挙された活性剤のすべてを含むことを意図し、任意の追加の非列挙の活性剤を排除することを意図するが、活性成分ではない組成物の他の成分を排除しない。したがって、本明細書中で定義される要素から本質的になる組成物は単離及び精製方法からの微量汚染物質、ならびにリン酸緩衝生理食塩水、防腐剤などの薬学的に許容される担体を排除しない。「構成する」は、本発明の組成物を投与するための微量元素より多くの他の成分及び実質的な方法ステップ、又は組成物を生成するか、又は意図された結果を達成するためのプロセスステップを排除することを意味する。これらの遷移用語のそれぞれによって定義される実施形態は本発明の範囲内である。用語「備える」の文脈で説明される実施形態が用語「から成る」又は「本質的にから成る」の文脈で実装されてもよいと考えられる。
【0051】
用語「タンパク質」、「ポリペプチド」及び「ペプチド」は、遺伝子産物又は機能性タンパク質をいう場合、本明細書中で互換的に使用される。
【0052】
用語「改善する」、「阻害する」、又は「減少させる」、又はこれらの用語の任意のバリエーションは、特許請求の範囲及び/又は明細書において使用される場合、所望の結果を達成するための任意の測定可能な減少又は完全な阻害を含む。
【0053】
用語「阻害剤」はタンパク質、プロセス(例えば、代謝プロセス)、又は生化学的経路の活性又は発現を間接的又は直接的に阻害する治療剤を指す。
【0054】
用語「アゴニスト」は、例えば、オピオイド受容体のような受容体と相互作用して活性化し、それによってその受容体に特徴的な生理学的又は薬理学的反応を開始することができる部分又は薬剤を記述する。
【0055】
本明細書中で使用される場合、「部分アゴニスト」は、所定のレセプターに結合し、そして活性化するが、完全なアゴニストと比較してレセプターにおいて部分的な効力のみを有する部分、又は薬剤である。
【0056】
本明細書中で使用される場合、「アンタゴニスト」は、アゴニストと同じ部位でレセプターに競合的に結合するが、レセプターの活性型によって開始される細胞内応答を活性化せず、それによってアゴニスト又は部分アゴニストによって細胞内応答を阻害し得る部分を記載する。
【0057】
用語「医薬製剤」は、本明細書に記載される化合物の塩、溶媒和物、及び水和物を含むが、これらに限定されない、少なくとも1つの活性成分を含む組成物又は組成物の混合物を意味することが意図される。
【0058】
本明細書中で使用される場合、「処理する」、「処理」又は「治療」は、有益な又は所望の臨床結果を得るためのアプローチである。これには、症状の減少又は軽減、疼痛の減少又は軽減、又は離脱症状の頻度の減少、及び/又は不安又は抑うつの発生の減少及び/又は自殺思考の減少が含まれる。さらに、これらの用語は、状態又は疾患の少なくとも1つの症状の治癒ならびに改善を包含することが意図される。例えば、オピオイド使用障害の場合、治療に対する反応には、オピオイドの使用における停止、又は少なくとも1つのオピオイド離脱症状の停止が含まれる。
【0059】
用語「治療有効量」は、対象における嗜癖又は離脱症状を処置又は阻害する細胞の量をいう。いくつかの実施形態では、治療有効量が症状発現の少なくとも又は最大で又は正確に100、99、98、96、94、92、90、85、80、75、70、65、60、55、50、40、30、20、もしくは10%、又はその中の任意の誘導可能な範囲を阻害する。
【0060】
「投与される」又は「投与する」という用語は、本明細書中で使用される場合、組成物が患者に対して意図される効果を有するように、組成物を個体に提供する任意の方法をいう。例えば、投与の1つの方法はカテーテル、アプリケーターガン、シリンジなどの医療デバイスを使用する間接機構によるものであるが、これらに限定されない。投与の第2の例示的な方法は、局所組織投与などの直接機構によるものである。
【0061】
本明細書中で使用される場合、「同種異系」は、同じ種の1つ以上の個体由来であるが、天然の設定において免疫学的に不適合であるか、又は免疫学的に不適合であり得る、別の身体由来の組織又は細胞をいう。
【0062】
本明細書中で使用される場合、用語「同種移植」は、ドナーからレシピエントへの器官、組織、及び/又は細胞の移植をいい、ここで、ドナー及びレシピエントは異なる個体であるが、同じ種のものである。このような手順によって移植される細胞又は組織は、同種移植片又は同種移植片と呼ばれる。
【0063】
本明細書中で使用される場合、「自己」とは、同じ個体の身体に由来するか、又はそれから移入される組織又は細胞をいう(すなわち、自己献血;自己骨髄移植)。
【0064】
本明細書中で使用される場合、用語「自己移植」は、個体における身体のある部分から別の部分への、同一の個体(すなわち、ドナー及びレシピエントは同一の個体である)における器官、組織、及び/又は細胞の移植をいい、このような「自己」手順によって移植される組織は、自己移植又は自己移植と呼ばれる。
【0065】
「生物学的に活性である」という用語は、構造的、調節的又は生化学的機能を有する任意の分子を指す。例えば、生物学的活性は、例えば、タンパク質活性を欠く細胞における野生型増殖の回復によって決定され得る。タンパク質活性を欠く細胞は、多くの方法(すなわち、例えば、点変異及びフレームシフト変異)によって産生され得る。相補性は、タンパク質活性を欠く細胞を、タンパク質、その誘導体、又はその一部を発現する発現ベクターでトランスフェクトすることによって達成される。他の場合において、遺伝子産物のフラグメント(例えば、タンパク質)は、完全長の遺伝子産物の活性の低減された、しかし検出可能なレベルであるかもしれないが、完全長の遺伝子産物の活性を保持している場合、生物学的に活性であると考えられる(または、機能的に活性であると呼ばれることもある)。
【0066】
特許請求の範囲における「又は」という用語の使用は、代替のみを指すことが明示的に示されない限り、「及び/又は」を意味するために使用されるか、又は代替は相互に排他的であるが、開示は代替及び「及び/又は」のみを指す定義をサポートする。本発明の1つの実施形態に関して論じられた任意の限定が、本発明の任意の他の実施形態に適用され得ることが特に企図される。さらに、本発明の任意の組成物は、本発明の任意の方法において使用され得、そして本発明の任意の方法は本発明の任意の組成物を産生又は利用するために使用され得る。さらに、実施例で論じられる実施形態は、本明細書で論じられる任意の他の実施形態の文脈で適用されてもよい。
【0067】
特許請求の範囲及び/又は本明細書において、用語「含む」と共に使用される場合の、用語「a」又は「an」の使用は、「1つ」を意味し得るが、それはまた、「1つ以上」、「少なくとも1つ」及び「1つ又はそれ以上」の意味と一致する。
II.様々な実施形態
【0068】
本開示の実施形態は、薬物、麻薬、アルコール、マリファナ、幻覚剤(キノコ、PCP、LSDなどを含む)、吸入剤(ペイントシンナー又はグルーなど)、鎮静剤、睡眠薬、抗不安薬、トランキライザー、コカイン、メタンフェタミン、任意の種類の刺激剤、タバコ、性別、ギャンブル、又はそれらの組み合わせを含む、任意の種類の嗜癖又は物質乱用の治療又は予防に関する。
【0069】
一実施形態において、再生特性を有するものを含む線維芽細胞は、神経系が任意の種類の嗜癖又は物質乱用を克服するのを補助するために使用される(場合によっては化学的及びナノ粒子支持体を提供するために)。当技術分野では、中毒の主な特徴が禁酒期間後の再犯の傾向であることが知られている。側坐核(NA)におけるドーパミン(DA)伝達は報酬過程に関与する。DA受容体アゴニストは、自己投与し、オピオイド探索行動を調節するが、NA中のD1 DAアンタゴニストはオピオイドの強化効力を低下させる。NAにおけるグルタミン酸伝達は行動感作と関連しており、一方、AMPA受容体阻害は感作ラットにおけるオピオイド投与後の感作の発現とグルタミン酸伝達の増加の両方を防止する。精神運動刺激薬に対する行動感作は中側坐核ドーパミン(DA)系の異常と相関する。これらには、腹側被蓋領域における少なくともDA自己受容体サブセンシティビティ及び側坐核におけるD1受容体の過敏性が含まれる。
【0070】
動物実験から、NMDAアンタゴニスト(非競合的及び競合的)とAMPAアンタゴニストの両方が、オピオイド感作と受容体変化の両方を防止した。内側前頭前皮質から中側坐核DA系へのグルタミン酸伝達は、オピオイド感作と受容体相関の誘導に重要であった。グリシン結合部位NMDAアンタゴニスト及び一酸化窒素合成酵素(NOS)の阻害剤は、モルヒネ耐性の開発を減弱させ、確立された耐性又は依存を逆転させることさえ報告されている。モルヒネの鎮痛効果を及ぼすことなくグルタミン酸アンタゴニストによる耐性と依存性の調節は、NMDA/NOカスケードによって媒介される適応変化に関連するニューロン可塑性の防止を示唆する。NMDA及びミューオピオイド受容体の両方を発現するニューロン内では、ミューオピオイド作動薬によってNMDA受容体を介する内向き電流の大きさが増強される。Mu受容体の活性化はMg+ブロックを除去することによって機能し、NMDAの活性化を増加させ、それに続くNOの生成を可能にする。このカスケードは、遺伝子発現を変化させ、神経可塑性を生じさせ、耐性と依存性の両方をもたらす。後者の神経化学的事象はモルヒネの鎮痛カスケード効果を減少させる。このように、N‐メチル‐D‐アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニストは、ミューオピオイド刺激の鎮痛効果に直接作用することなく、薬物耐性の現象を妨げることができる。
【0071】
一実施形態では、本開示が部分的にはNMDA伝達を調節することによって依存性を低減するための治療用細胞源としての線維芽細胞の使用を包含する。オピオイド常用者と慢性疼痛患者の両方に生じる薬物耐性、依存、嗜癖及び離脱の症状は、NMDA受容体複合体によって部分的に媒介される可能性がある。動物実験では、グリシン部位受容体拮抗薬により、離脱症状の軽減とオピエート薬物嗜癖の除去に有効であることが明らかになった。対照的に、動物試験における薬物離脱及び嗜癖の症状の除去におけるメマンチンの結果は矛盾しており、通常は陰性であり、これは不十分な治療期間を反映している可能性がある。ヘロインとコカインを慢性的に常用している患者にグリシン部位アンタゴニストを投与したところ、予期しなかった所見は嗜癖、耐性及び依存の漸減であり、その結果、薬物を中止しても再流行のエビデンスはなく、数年間薬物フリー状態が得られた。
【0072】
本開示の1つの実施形態において、線維芽細胞は中毒を減少させる相乗効果を得るために、メマンチンと一緒に投与される。5~100mg/日、有利には10~30mg/日(0.25~2.0μg/mlの範囲の血清レベル)の経口用量で慢性的に投与されるメマンチンは、急性及び慢性オピオイド耐性の治療に有効である。急性及び慢性疼痛におけるメマンチン及び鎮痛薬の併用は、オピオイド耐性及び身体依存の可能性を低下させるのであろう。線維芽細胞とともに現在の標準的な薬物療法(すなわち、ナロキソン又はアコンパターゼ)と併せて、慢性的な耐性及び依存性を有する患者にメマンチンを投与することも、違法薬物嗜癖の治療において提案されている。また、急激なオピオイド投与や違法な過量投与時のメマンチン静注も提案されている。特定の実施形態では、対象に、本開示の線維芽細胞組成物を含むメマンチン、ナロキソン、アコパターゼ又は他の化合物を、本開示の線維芽細胞組成物と一緒に、約、少なくとも約、または最大で、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7.3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0.19.5、20.0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、410、420、425、430、440、441、450、460、470、475、480、490、500、510、520、525、530、540、550、560、570、575、580、590、600、610、620、625、630、640、650、660、670、675、680、690、700、710、720、725、730、740、750、760、770、775、780、790、800、810、820、825、830、840、850、860、870、875、880、890、900、910、920、925、930、940、950、960、970、975、980、990、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、5000、6000、7000、8000、9000、10000ミリグラム(mg)もしくはマイクログラム(mcg)もしくはμg/kgもしくはマイクログラム/kg/分もしくはmg/kg/分もしくはマイクログラム/kg/時もしくはmg/kg/時、又はそれらに由来する任意の範囲で投与する。
【0073】
いくつかの実施形態において、本発明は、中毒に関連する海馬損傷を克服するための線維芽細胞の投与を教示する。脳は、成人期に新しい神経幹/前駆細胞(NSPC)を産生する能力を有することが知られている。海馬は脳の最も可塑性の高い領域の1ち、歯状回の顆粒細胞は成人期に生まれる。これらの細胞の前駆体は、肺門と顆粒細胞層との間の組織である顆粒下ゾーン(SGZ)に配置される。海馬の成体ニューロンの特徴の1つは、成熟の初期段階で必要とされる極端な変化に対する特異的な電気生理学的能力である。この特性は、記憶の形成及びさらなる生理学的作用にとって重要である。SGZは、歯状回における幹細胞の増殖と分化のための適切なニッチを提供する。一実施形態では、線維芽細胞又は活性化線維芽細胞の投与がニューロン修復を誘導するようにSGZ細胞の増殖を刺激することができ、いくつかの場合には嗜癖記憶に関連しない記憶の形成を引き起こすような様式で行われる。
【0074】
別の実施形態において、線維芽細胞及び/又は活性化線維芽細胞は、SGZ細胞の環境を調節するために使用される。例えば、線維芽細胞は、アストロサイトによる炎症性サイトカイン及び炎症性メディエーター産生を減少させるために投与される。SGZの重要な細胞成分としての星状細胞は、Wntタンパク質及びソニックヘッジホッグ(Shh)のような分子シグナルの放出を一部介して、NSPCの増殖及びニューロン運命決定において積極的な役割を果たすことが当技術分野で知られている。従って、本開示のいくつかの実施形態において、線維芽細胞は、線維芽細胞活性におけるオピオイド関連変化を克服するために投与される。例えば、線維芽細胞は、神経細胞の生存、免疫応答、及び神経伝達物質の調節及び代謝において必須の役割を果たすことが示されている。従って、NSPC又は海馬におけるそれらのニッチに影響を及ぼし得る各刺激剤は、記憶及び行動において大幅な改変を行い得る。多くの研究から、うつ病、統合失調症、双極性障害、嗜癖などの神経心理学的障害における成体の海馬の神経新生の変化が明らかにされている。したがって、一実施形態では、本開示が海馬機能の中毒に関連する変化を矯正するための線維芽細胞の投与を包含する。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態において、前記タンパク質/ペプチドを産生するために治療的に有効な線維芽細胞は、アクチビンA、アドレノメドリン、aFGF、ALK1、ALK5、ANF、アンギオゲニン、アンギオポイエチン-2、アンギオポイエチン-3、アンギオポエチン-4、bFGF、B61、bFGF誘導活性、カドヘリン、CAM-RF、cGMPアナログ、ChDI、CLAF、クロージン、コラーゲン、cGMP類似体、コラーゲン、コラーゲン受容体、α1-β2、α2-β1、コネキシン、Cox-2、ECDGF(内皮細胞由来増殖因子)、心電図、EDM、EGF、EMAP、エンドセリン、エンドセリン、内皮細胞増殖阻害因子、内皮細胞生存率維持因子、内皮細胞分化フィンゴ脂質G-タンパク質共役受容体-1(EDG1)、ECG、ECI、EDM、EGF、EMAP、エンドグリン、エンドセリン、エンドスタチン、内皮細胞増殖抑制因子、内皮細胞生存率維持因子、内皮分化シンゴ糖脂質Gタンパク質結合受容体-1(EDG1)、エフリン、Epo、HGF、TGF-β、PD-ECGF、PDGF、IGF、IL8、成長ホルモン、フィブリン断片E、FGF-5、フィブロネクチンおよびフィブロネクチン受容体.α.5.β.1、ファクターX、HB-EGF、HBNF、HGF、HUAF、心臓由来血管細胞増殖抑制因子、Ill、IGF-2、IFN-γ、インテグリン受容体、K-FGF、LIF、平滑筋腫由来成長因子、MCP-1、マクロファージ由来成長因子、単球由来成長因子。MD-ECI、MECIF、MM2、MMP3、MMP9、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター、ニューロピリン(NRP1、NRP2)、ニューロテリン、一酸化窒素ドナー、一酸化窒素合成酵素(NOSs)、ノッチ、オクルジン、ゾナ・オクルーディン、オンコスタチンM、PDGF、PDGF-B、PDGF受容体、PDGFR-β、PD-ECGF、PAI-2、PD-ECGF、PF4、P1GF、PKR1、PKR2、PPAR-γ、PPAR-γリガンド、ホスホジエステラーゼ、プロラクチン、プロスタサイクリン、プロテインS、平滑筋細胞由来の成長因子、平滑筋細胞由来の遊走因子。スフィンゴシン-1-リン酸-1(SIP1)、Syk、SLP76、タチキニン、TGF-β、Tie1、Tie2、TGF-β、TGF-β受容体、TIMP、TNF-α、トランスフェリン、トロンボスポンジン、ウロキナーゼ、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、VEGF、VEGF164、VEGI、EG-VEGF、及びそれらの組み合わせを含むがこれに限定されない、タンパク質/ペプチドを産生する方法で培養している。
【0076】
本開示の文脈において、「CD45」、「CD34」及び「CD31」への言及は、これらの分子のすべての形態、ならびにその機能的フラグメント、変異体又は改変体への言及である。さらに、CD45、CD34及びCD31 mRNAの選択的スプライシング、又はこれらの分子の異性体もしくは多型から生じる可能性のある任意のアイソフォームへの言及である。
【0077】
「表現型プロフィール」への言及は、被験体マーカーをコードする遺伝子の転写及び/又はそこから翻訳される発現産物の細胞表面発現の有無に関する参照として理解されるべきである。クレームされた線維芽細胞集団の範囲内に入るほとんどの細胞は、細胞表面固定発現産物としての被験マーカーの有無によって特徴付けられるが、規定された集団内に入るいくつかの細胞は与えられたマーカーの転写がアップレギュレートされているが、まだ細胞表面固定発現産物をもたらしていない可能性がある場合など、トランスクリプトームレベルでのみ変化を最初に示すことがあることを認識すべきである。一般に、新たな分化段階に進行する細胞は、発現産物のレベルへの変化との関連においてまだ明らかでない遺伝子発現変化を一時的に示そう。しかしながら、これらの細胞はそれにもかかわらず、請求される細胞集団の範囲内にあるが、それらは細胞表面マーカー発現が生じるような時間まで、本明細書に定義される方法によって単離可能ではない。本発明のいくつかの実施形態において、CD31及びCD73を発現する線維芽細胞は、嗜癖の処置のために利用される。
【0078】
いくつかの実施形態は、CD73の発現、又は特定のタンパク質の発現の欠乏に基づいて、オピオイド嗜癖の処置における増強された効力のために線維芽細胞を選択する方法又は手段に関する。様々な用語が、培養中の細胞を記載するために使用される。「細胞培養」とは、通常、生体から採取し、管理された条件(「培養」又は「培養」)で培養される細胞をいう。「初代細胞培養」とは最初の継代培養前に直接採取した細胞、組織又は器官を培養したもので、細胞の増殖及び/又は分裂を促進する条件で培養培地に入れて培養することにより、細胞の集団を大きくするものであり、培養により細胞を増殖させる場合には細胞の増殖速度を細胞数の2倍にするのに要する時間で測定することがある。これを「倍加時間」という。「細胞株」とは、初代細胞培養の1回以上の継代培養により形成される細胞の集団をいう。継代培養の各ラウンドは、継代と呼ばれる。細胞が継代培養される場合、それらは継代されたものと呼ばれる。特定の細胞集団、又は細胞株は、時に、それが継代された回数に言及されるか、又は特徴付けられる。例えば、10回継代された培養細胞集団は、P10培養物と呼ぶことができる。初代培養、すなわち組織から細胞を単離した後の最初の培養をP0とする。最初の継代培養に続いて、細胞を二次培養(P1又は継代1)として記載する。2回目の継代培養後、細胞は三次培養(P2又は継代2)になり、以下同様である。継代の期間中に多くの集団倍加があり得ること;したがって、培養物の集団倍加の数は継代数よりも多いことが、当業者によって理解される。継代間の期間中の細胞の増殖(すなわち、集団倍加の数)は、播種密度、基質、培地、増殖条件、及び継代間の時間を含むがこれらに限定されない多くの因子に依存する。
【0079】
「ならし培地」は、特定の細胞又は細胞集団が培養され、次いで除去された培地である。細胞を培地で培養すると、他の細胞に栄養支持を提供できる細胞因子を分泌することがある。栄養因子とは、細胞の生存、成長、増殖及び/又は成熟を促進又は少なくとも支持する物質、又は細胞の活性増加を刺激する物質である。このような栄養因子にはホルモン、サイトカイン、細胞外マトリックス(ECM)、タンパク質、小胞、抗体、及び顆粒が含まれるが、これらに限定されない。細胞因子を含有する培地は、ならし培地である。本発明の組成物又は方法のいくつかの実施形態では、栄養因子が使用される。いくつかの実施形態において、組成物及び方法は本開示の線維芽細胞に由来する産物(例えば、線維芽細胞培養物からの上清)を含む。線維芽細胞のような再生細胞から上清を収集することが望ましい。前記上清及び/又はその成分は、オピオイド依存症の治療のための因子の供給源として利用される。いくつかの実施形態において、線維芽細胞はオピオイド嗜癖からの回復を補助する因子(例えば、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト、インターロイキン-10、インターロイキン-20、インターロイキン-35、インターロイキン-37、TGF-β、BDNF、及び/又はNGF)の産生を増強できるようにするために、1つ又は複数の遺伝子をトランスフェクトされる。
【0080】
本開示の組成物又は方法のいずれも、細胞カプセル化を含むことが意図される。いくつかの実施形態において、細胞は、個別にカプセル化される。いくつかの実施形態において、多くの細胞は、同じ膜内にカプセル化される。移植後に細胞が除去されるいくつかの実施形態では、単一の膜内など、多くの細胞を封入する比較的大型の構成が回収のための好都合な手段を提供するために使用されてもよい。幹細胞のマイクロカプセル化のための様々な実施形態において、多種多様な材料を使用することができる。このような材料としては、例えば、ポリマーカプセル、アルギン酸塩-ポリ-L-リジン-アルギン酸マイクロカプセル、ポリ-L-リジンアルギン酸バリウムカプセル、アルギン酸バリウムカプセル、ポリアクリロニトリル/ポリ塩化ビニル(PAN/PVC)中空繊維、及びポリエーテルスルホン(PES)中空繊維が挙げられる。幹細胞の投与のために使用され得る細胞のマイクロカプセル化のための技術は当業者に公知であり、そして例えば、Chang、P.ら、1999;Matthew、H.W.ら、1991;Yanagi、K.ら、1989;Cai Z.H.ら、1988;Chang、T.M、1992及び米国特許に記載される。No.5、639、275(これは、例えば、生物学的に活性な分子を安定に発現する細胞の長期維持のための生体適合性カプセルを記載する)。カプセル化のさらなる方法は、欧州特許公開第301、777号及び米国特許に記載されている。No.。4、353、888;4、744、933;4、744、933;4、749、620;4、814、274;5、084、350;5、089、272;5、578、442;5、639、275;及び5、676、943。上記の全ては、幹細胞のカプセル化に関連する部分において、参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
本開示の特定の実施形態は、幹細胞をポリマー(例えば、生体ポリマー又は合成ポリマー)に組み込む。生体高分子の例としては、フィブロネクチン、フィブリン、フィブリノーゲン、トロンビン、コラーゲン、及びプロテオグリカンが挙げられるが、これらに限定されない。他の因子(例えば、上記のサイトカイン)もまた、このポリマーに組み込まれ得る。本開示の他の実施形態では、幹細胞が三次元ゲルの隙間に組み込まれてもよい。大きなポリマー又はゲルは、典型的には外科的に移植される。十分に小さい粒子又は繊維に製剤化することができるポリマー又はゲルは、他の一般的な、より便利な、非外科的経路によって投与することができる。
【0082】
培養脊椎動物細胞に言及する場合、老化(複製老化又は細胞老化も)という用語は有限の細胞培養に起因する特性;すなわち、有限の数の集団倍加を超えて増殖することができないこと(時にヘイフリック限界と呼ばれる)を意味する。細胞老化は線維芽細胞様細胞を用いて最初に記述されたが、培養でうまく増殖できるほとんどの正常なヒト細胞型は細胞老化を受ける。異なる細胞型のインビトロ寿命は様々であるが、最大寿命は典型的には100個体群倍加未満である(これは培養物中のすべての細胞が老化し、したがって、培養物を分裂不能にするための倍加の数である)。老化は、時系列時間に依存せず、むしろ、培養が受けた細胞分裂又は集団倍加の数によって測定される。従って、必須増殖因子を除去することによって静止状態にされた細胞は増殖因子が再導入された場合に増殖及び分裂を再開することができ、その後、連続的に増殖させた同等の細胞と同数の倍加を行う。同様に、細胞が種々の数の集団倍加後に液体窒素中で凍結され、次いで解凍され、そして培養される場合、それらは、培養物中で凍結されずに維持された細胞と実質的に同じ数の倍加を受ける。老化した細胞は死んだ細胞でも死ぬ細胞でもなく、実際にはプログラム細胞死(アポトーシス)に抵抗性があり、3年間も非分裂状態を維持している。これらの細胞は非常に生きており、代謝的に活性であるが、分裂しない。老化細胞の非分裂状態は、いかなる生物学的、化学物質、又はウイルス因子によっても可逆的であることはまだ見出されていない。
【0083】
本明細書中で使用される場合、用語「増殖培地」は、一般に、臍由来細胞の培養に十分な培地をいう。特に、本明細書中の本発明の細胞の培養のための1つの現在好ましい培地は、ダルベッコの修正必須培地(本明細書中でDMEMとも略される)を含む。特に好ましいのは、DMEM-低グルコース(本明細書中ではDMEM-LGも)(Invitrogen、Carlsbad、CA)である。DMEM低グルコースは好ましくは15%(v/v)ウシ胎仔血清(例えば、規定ウシ胎仔血清、Hyclone、Logan Utah)、抗生物質/抗真菌薬(好ましくは、ペニシリン(100単位/ミリリットル)、ストレプトマイシン(100ミリグラム/ミリリットル)、及びアンホテリシンB(0.25マイクログラム/ミリリットル)、(Invitrogen、Carlsbad、CA)、ならびに0.001%(v/v)2-メルカプトエタノール(Sigma、St.LouisMo)で補充される。いくつかの場合において、異なる増殖培地が使用されるか、又は異なる補充物が提供され、そしてこれらは、通常、増殖培地への補充物として本文中に示される。
【0084】
本開示のいくつかの実施形態では、標準成長条件が利用される。本明細書で使用する「標準増殖条件下」とは、5% CO2を含む標準大気中で37o℃で細胞を培養することをいう。相対湿度を約100%に維持する。前述の条件は培養に有益であるが、このような条件は細胞を培養するために当業者が利用可能な選択肢、例えば、体温、CO2、相対湿度、酸素、増殖培地などを変化させることによって変化させることができることを理解されたい。
【0085】
本開示のいくつかの実施形態では、嗜癖を治療するために使用されるならし培地が脱分化線維芽細胞を使用することによって生成される。いくつかの実施形態では、線維芽細胞が多能性の増大をもたらすことができる様々な脱分化組成物で処理される。いくつかの実施形態において、線維芽細胞は、より未分化の細胞由来の細胞質で処理される。多能性幹細胞として一般に知られているこのような細胞は当技術分野で周知であり、誘導の方法は、公開され、参照により組み込まれる。限定することなく、細胞質の抽出の有用な多能性細胞は、単為生殖幹細胞[9~23]、胚性幹細胞[24~25]、誘導性多能性幹細胞[26~30]、多能性の刺激誘発性獲得(STAP)[31]、及び体細胞核移植由来幹細胞[32~34]を含む。細胞質物質の抽出は、当技術分野で記載されているように行うことができる。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態において、多能性細胞は細胞周期の間期段階に入るように作製され、そして通常の方法を使用して回収され、そして4oCで10mlのコニカルチューブ中で500×gで10分間の遠心分離によって洗浄され、上清は廃棄され、そして細胞沈殿物は50mlの冷PBSの総容量中に再懸濁される。細胞を500×gで10分間、4o℃で遠心分離し、この洗浄工程を繰り返し、そして細胞沈殿を、約20容量の氷冷間相細胞溶解緩衝液(20mM Hepes、pH8.2、5mM MgCl2、1mM DTT、10μMアプロチニン、10μMロイペプチン、10μMペプスタチンA、10μMダイズトリプシンインヒビター、100μM PMSF、及び好ましくは20μg/mlサイトカラシンB)に再懸濁する。細胞を800×gで10分間、4oCで遠心分離することによって沈降させ、上清を廃棄し、細胞沈殿を1容量以下の間期細胞溶解緩衝液に注意深く再懸濁する。細胞を氷上で1時間インキュベートし、細胞を膨潤させる。細胞を、チップソニケーターを使用する超音波処理又はガラスモルタル及び乳棒を使用するDounceホモジナイゼーションのいずれかによって溶解する。細胞溶解は細胞及び核の少なくとも90%が溶解されるまで行われ、これは位相差顕微鏡を使用して評価され得る。細胞及び核の少なくとも90%を溶解するために必要とされる超音波処理時間は、抽出物を調製するために使用される細胞の型に依存して変化し得る。細胞溶解物を1.5ml遠心管に入れ、卓上遠心分離機を用いて10,000~15,000×gで15分間、4oCで遠心分離する。チューブを遠心分離機から取り出し、直ちに氷上に置く。200μlのピペットチップを使用して上清を注意深く収集し、そしていくつかのチューブからの上清をプールし、そして氷上に置く。この上清は、「間期細胞質」又は「IS15」抽出物である。この細胞抽出物を、氷上で1管当たり20μLの容量の抽出物に等分し、直ちに液体窒素上でフラッシュ凍結し、使用するまで-80o℃で保存することができる。あるいは、細胞抽出物を氷上の超遠心管(例えば、SW55 Tiローター;Beckmanに適合)に入れる。必要であれば、管の上部を鉱油で覆う。抽出物を200,000×gで3時間、4oC.で遠心分離し、IS15抽出物に含まれる膜小胞を沈降させる。遠心分離の終わりに、油を廃棄する。上清を注意深く収集し、必要であればプールし、氷上の冷1.5mlチューブに入れる。この上清は、「IS200」又は「間期細胞質ゾル」抽出物と呼ばれる。抽出物を、IS15抽出物について記載したようにアリコートし、凍結する。所望であれば、抽出物を追加の核因子で濃縮することができる。例えば、核は、再プログラミング抽出物が由来する細胞型の細胞から精製され得、そして上記のような超音波処理によって溶解され得る。核因子を、撹拌下で0.15~800mMの濃度でNaCl又はKClを含有する核緩衝液中で10~60分間インキュベートすることによって抽出する。溶解物を遠心分離して、抽出できない成分を沈降させる。抽出された目的の因子を含む上清を透析して、NaCl又はKClを除去する。透析した核抽出物をアリコートし、凍結保存する。この核抽出物は再プログラム化のために核を添加する前に、上記の細胞抽出物全体に様々な濃度で添加される。
【0087】
本開示のいくつかの実施形態は、細胞抽出物の代替物(例えば、再プログラミング培地)を含む。再プログラミング培地は、1つ以上の天然又は組換え因子(例えば、核酸又はタンパク質(例えば、T細胞レセプター又は他のシグナル伝達表面分子、DNAメチルトランスフェラーゼ、ヒストンデアセチラーゼ、ヒストン、核ラミン、転写因子、アクチベーター、リプレッサー、成長因子、ホルモン、又はサイトカイン)を溶液(例えば、緩衝液)に添加することによって形成され得る。好ましくは、1つ以上の因子がドナー細胞がなることを望む細胞型に特異的である。
【0088】
いくつかの実施形態において、抽出物は、培養による線維芽細胞の再プログラミングのために使用される。一実施形態では、カバースリップ上で増殖させた線維芽細胞を、細菌毒素ストレプトリシンOで可逆的に透過性にし、多能性幹細胞の抽出物に暴露し、2mM CaCl2で再シールし、培養物中で増殖させる。一実施形態において、線維芽細胞は、12ウェルプレート中のRPMI1640~100,000細胞/カバースリップ中の16mmポリ-L-リジン被覆カバースリップ上で増殖される。細胞を、Ca+2を含まないハンクス平衡塩類溶液(Gibco-BRL)フリー200ng/mlのストレプトリシンO中、37o℃で50分間、通常の大気中で透過性にする。ヨウ化プロピジウムの取り込みによって判断されるように、線維芽細胞の80%以上がこれらの条件下で透過性にされる。ストレプトリシンOを吸引し;カバースリップにいずれかの多能性幹細胞抽出物80χ1を重層し;CO2大気中37o℃で1時間インキュベートする。各抽出物は、ATP生成系及び1mMの各ATP、CTP、GTP及びUTPを含有した。多能性幹細胞からの抽出物を、上記のように調製する。原形質膜を再密封するために、2mMのCaCl2(H2O中の1Mストックから添加)を含むRPMI1640をウェルに添加し、細胞を37o℃で2時間インキュベートし、この方法は、透過化された細胞の約100%を再密封した。RPMIを含むCa+2をRPMIに置き換え、細胞を数週間増殖させた。細胞質移入のいくつかの説明が公開されており、参照により組み込まれる[35~37]。脱分化した線維芽細胞が得られたら、ならし培地、及び/又は前記ならし培地からのエキソソームを濃縮し、中毒患者に投与することによって治療的に使用する。投与は、鼻腔内、静脈内、経口、及び/又は皮下で行うことができる。
製剤、用法・用量及び投与経路
【0089】
実施形態は、線維芽細胞又はその由来の産物を含む、オピオイド依存症を処置するための医薬、治療組成物、製剤、調製物及び関連する方法を含む。
【0090】
組成物は例えば、溶液、懸濁液、フィルムの形態をとり、約10%~約95%又は約25%~約70%の細胞又はそれらに由来する産物を含有する。実施形態において、組成物は、多くの適切な方法のいずれかで投与される。組成物は手段(例えば、静脈内及び動脈内)によって、局所的に、手段(例えば、くも膜下腔内、脳室内)によって、又はOmmayaリザーバーの手段によって、全身的に投与され得る。経皮、直腸、膣、舌下、及び鼻腔内を含む他の手段。
【0091】
組成物は治療的に有効であり、耐容性があり、安全であるような適合性のある様式で、そしてそのような量で投与される。投与される量は、治療される対象に依存する。投与するのに必要な細胞の正確な量は、医師の判断に依存する。
【0092】
多くの場合、多くとも約3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上(又はその中で導き出せる任意の範囲)の複数回投与を有することが望ましいことがある。投与は、1日~1、2、3、4、5、6、7、8、9、10週間又はそれ以上の週間の複数週間隔(又はそこで導き出せる任意の範囲)の範囲であり得る。投与の経過に続いて、例えば、症状、疼痛、気分、行動、又は破局視の評価を行うことができる。
【0093】
本明細書中で使用される場合、「薬学的に受容可能である」又は「薬学的に受容可能である」組成物。
【0094】
医薬組成物及び製剤の用量は、製剤の種類に依存し、対象のサイズ及び健康に応じて変化する。種々の組み合わせ及び投薬量が意図され、本発明の範囲内であり、そして「薬学的に受容可能である」又は「薬学的に受容可能である」組成物の範囲内であり、例えば、本開示の細胞又は組成物と組み合わせたメマンチンについての5~100mgの間のいずれかの投薬量である。用語「薬学的に受容可能である」は動物又はヒトに投与された場合に、有害な、アレルギー性の、又は他の不都合な反応を生じない分子実体及び組成物をいう。
【0095】
製剤化の際に、ソリューションは、投薬製剤と適合する様式で、そして治療的又は予防的に有効であるような量で投与される。製剤は、種々の投薬形態で容易に投与される。治療用又は予防用組成物の有効量は、意図される目標に基づいて決定される。「単位用量」又は「用量」という用語は対象における使用に適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、その投与、すなわち適切な経路及びレジメンに関連して上記で論じた所望の応答を生じるように計算された所定量の組成物を含む。投与されるべき量は、処置の数及び単位用量の両方に従って、所望される結果及び/又は保護に依存する。組成物の正確な量はまた、開業医の判断に依存し、そして各個体に特有である。用量に影響を及ぼす因子には、対象の身体的及び臨床的状態、投与経路、意図される治療目標(症状対治癒の軽減)、ならびに特定の組成物の効力、安定性、及び毒性が含まれる。
【0096】
特定の実施形態では、対象に、本開示の線維芽細胞組成物を含むメマンチン、ナロキソン、アコパターゼ又は他の化合物を、その値、少なくとも、又は最大で、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7.3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0.19.5、20.0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、410、420、425、430、440、441、450、460、470、475、480、490、500、510、520、525、530、540、550、560、570、575、580、590、600、610、620、625、630、640、650、660、670、675、680、690、700、710、720、725、730、740、750、760、770、775、780、790、800、810、820、825、830、840、850、860、870、875、880、890、900、910、920、925、930、940、950、960、970、975、980、990、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、5000、6000、7000、8000、9000、10000ミリグラム(mg)もしくはマイクログラム(mcg)もしくはμg/kgもしくはマイクログラム/kg/分もしくはmg/kg/分もしくはマイクログラム/kg/時もしくはmg/kg/時、又はそれらに由来する任意の範囲で投与する。
【0097】
用量は、必要に応じて、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、もしくは24時間(又はその中で誘導可能な任意の範囲)、又は1日あたり1、2、3、4、5、6、7、8、9回、もしくは1日あたり1回(又はその中で誘導可能な任意の範囲)毎に投与され得る。病状の徴候が現れる前又は後に、まず投与することがある。いくつかの実施形態では、患者がレジメン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12時間(又はそこで誘導可能な任意の範囲)の第1用量、又は患者が状態の徴候又は症状(又はそこで誘導可能な任意の範囲)を経験又は示す1、2、3、4、又は5日後に投与される。患者は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日以上(又はその中で導き出され得る任意の範囲)、又は状態の症状が消失もしくは軽減されるまで、又は症状が消失もしくは軽減された後6、12、18、もしくは24時間、又は1、2、3、4、もしくは5日後に処置され得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、対象の治療が、例えば、1、2、3、4、5、6、もしくは7日ごと、又は1、2、3、4、及び5週ごと、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月ごとに繰り返されてもよい。これらの治療は同様に変化させる容量のものとすることができる。
【0099】
患者は、本明細書に記載の組成物又は化合物の組み合わせを、少なくとも、又は最大で、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100mg/kg(又はその中で誘導可能な任意の範囲)の量で投与される。
【0100】
患者は、本明細書に記載の組成物又は化合物の組み合わせを、少なくとも、又は最大で、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、92、93、94、95、96、97、98、100、110、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、441、450、460、470、480、490mg/kg/日(又はそこで導き出される任意の範囲)の量で投与される。
細胞封入
【0101】
いくつかの実施形態において、本開示の線維芽細胞は、カプセル化され得る。利用可能な細胞カプセル化の多くの方法のいずれかが使用され得ることが意図される。いくつかの実施形態において、細胞は、個別にカプセル化される。いくつかの実施形態において、多くの細胞は、同じ膜内にカプセル化される。移植後に細胞が除去される実施形態では、単一の膜内など、多くの細胞を封入する比較的大型の構成が回収のための好都合な手段を提供することができる。幹細胞のマイクロカプセル化のための様々な実施形態において、多種多様な材料を使用することができる。このような材料としては、例えば、ポリマーカプセル、アルギン酸塩-ポリ-L-リジン-アルギン酸マイクロカプセル、ポリ-L-リジンアルギン酸バリウムカプセル、アルギン酸バリウムカプセル、ポリアクリロニトリル/ポリ塩化ビニル(PAN/PVC)中空繊維、及びポリエーテルスルホン(PES)中空繊維が挙げられる。幹細胞の投与のために使用され得る細胞のマイクロカプセル化のための技術は当業者に公知であり、そして例えば、Chang,P.ら、1999;Matthew,H.W.ら、1991;Yanagi,K.ら、1989;Cai Z.H.ら、1988;Chang,T.M、1992及び米国特許に記載される。No.5,639,275(これは、例えば、生物学的に活性な分子を安定に発現する細胞の長期維持のための生体適合性カプセルを記載する)。カプセル化のさらなる方法は、欧州特許公開第301,777号及び米国特許に記載されている。No.。4,353,888;4,744,933;4,744,933;4,749,620;4,814,274;5,084,350;5,089,272;5,578,442;5,639,275;及び5,676,943。上記の全ては、幹細胞のカプセル化に関連する部分において、参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態は幹細胞をポリマー(例えば、生体ポリマー又は合成ポリマー)に組み込む。生体高分子の例としてはフィブロネクチン、フィビン、フィブリノーゲン、トロンビン、コラーゲン、及びプロテオグリカンが挙げられるが、これらに限定されない。他の因子(例えば、上記のサイトカイン)もまた、このポリマーに組み込まれ得る。本発明の他の実施形態において、幹細胞は、三次元ゲルの隙間に組み込まれ得る。大きなポリマー又はゲルは、典型的には外科的に移植される。十分に小さい粒子又は繊維に製剤化することができるポリマー又はゲルは、他の一般的な、より便利な、非外科的経路によって投与することができる。
【0102】
本開示及びその利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される設計の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、及び変更を本明細書で行うことができることを理解されたい。さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、及びステップの特定の実施形態に限定されることを意図していない。当業者であれば、本開示から容易に理解するように、本明細書で説明される対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行するか、又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在するか又は後に開発されるプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、又はステップを、本開示に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲はその範囲内に、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又はステップを含むことが意図される。
【0103】
(参考文献)
本明細書全体を通して参照される以下の参考文献及び刊行物は、本明細書に記載されるものを補足する例示的な手順又は他の詳細を提供する範囲で、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
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【手続補正書】
【提出日】2021-11-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における嗜癖又は物質乱用を治療する方法であって、線維芽細胞、その複数及び/又はその由来の産物を含む組成物を対象に投与することを含み、前記細胞がCD31及び/又はCD73マーカーを発現する方法。
【請求項2】
前記細胞が、適切な条件下で複数の線維芽細胞を培養するステップと、前記複数の線維芽細胞から単一細胞懸濁液を得るステップと、マーカーCD31及び/又はCD73を発現する前記単一細胞懸濁液線維芽細胞から抽出するステップとを含む方法によって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、マーカーCD31及び/又はCD73を発現する前記線維芽細胞を、前記細胞のニューロン再生特性の産生を増強することができる1つ以上の薬剤でプライミングすることをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
1つ以上の薬剤が、アクチビンA、アドレノメドリン、aFGF、ALK1、ALK5、ANF、アンギオゲニン、アンギオポイエチン-2、アンギオポイエチン-3、アンギオポエチン-4、bFGF、B61、bFGF誘導活性、カドヘリン、CAM-RF、cGMPアナログ、ChDI、CLAF、クロージン、コラーゲン、cGMP類似体、コラーゲン、コラーゲン受容体、α
1-β
2、α
2-β
1、コネキシン、Cox-2、ECDGF(内皮細胞由来増殖因子)、心電図、EDM、EGF、EMAP、エンドセリン、エンドセリン、内皮細胞増殖阻害因子、内皮細胞生存率維持因子、内皮細胞分化フィンゴ脂質G-タンパク質共役受容体-1(EDG1)、ECG、ECI、EDM、EGF、EMAP、エンドグリン、エンドセリン、エンドスタチン、内皮細胞増殖抑制因子、内皮細胞生存率維持因子、内皮分化シンゴ糖脂質Gタンパク質結合受容体-1(EDG1)、エフリン、Epo、HGF、TGF-β、PD-ECGF、PDGF、IGF、IL8、成長ホルモン、フィブリン断片E、FGF-5、フィブロネクチンおよびフィブロネクチン受容体.α.5.β.1、ファクターX、HB-EGF、HBNF、HGF、HUAF、心臓由来血管細胞増殖抑制因子、Ill、IGF-2、IFN-γ、インテグリン受容体、K-FGF、LIF、平滑筋腫由来成長因子、MCP-1、マクロファージ由来成長因子、単球由来成長因子。MD-ECI、MECIF、MM2、MMP3、MMP9、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター、ニューロピリン(NRP1、NRP2)、ニューロテリン、一酸化窒素ドナー、一酸化窒素合成酵素(NOSs)、ノッチ、オクルジン、ゾナ・オクルーディン、オンコスタチンM、PDGF、PDGF-B、PDGF受容体、PDGFR-β、PD-ECGF、PAI-2、PD-ECGF、PF4、P1GF、PKR1、PKR2、PPAR-γ、PPAR-γリガンド、ホスホジエステラーゼ、プロラクチン、プロスタサイクリン、プロテインS、平滑筋細胞由来の成長因子、平滑筋細胞由来の遊走因子。スフィンゴシン-1-リン酸-1(SIP1)、Syk、SLP76、タチキニン、TGF-β、Tie1、Tie2、TGF-β、TGF-β受容体、TIMP、TNF-α、トランスフェリン、トロンボスポンジン、ウロキナーゼ、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、VEGF、VEGF
164、VEGI、EG-VEGF、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記線維芽細胞の培養が条件培地中で起こる、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ニューロン再生特性が、神経炎症を阻害すること、ニューロン前駆細胞の再生を増強すること、興奮毒性を阻害すること、脳細胞のアポトーシスを阻害すること、又はそれらの組み合わせを含む、請求項3、4、又は5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ニューロン再生が、海馬の再生を含む、請求項3~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記ニューロン前駆細胞が、歯状回に存在する細胞である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ニューロン前駆細胞が、心室下ゾーンに存在する細胞である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記神経炎症が、炎症性サイトカインTNF-αによって媒介される、請求項6記載の方法。
【請求項11】
前記神経炎症が、炎症性サイトカインIL-1によって媒介される、請求項6記載の方法。
【請求項12】
前記神経炎症が、炎症性サイトカインIL-6によって媒介される、請求項6記載の方法。
【請求項13】
前記アポトーシスの阻害がIGF-1の産生による、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記アポトーシスの阻害がVEGFの産生による、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
1つ以上のトール様受容体アゴニストへの暴露によって前記線維芽細胞を活性化することをさらに含む、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記トール様受容体がTLR-1である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
TLR-1の前記アゴニストがPam3CSK4である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記トール様受容体がTLR-2である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記TLR-2のアゴニストがHKLMである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記トール様受容体がTLR-3である、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記TLR-3のアゴニストがポリICである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記トール様受容体がTLR-4である、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記TLR-4のアゴニストがLPSである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
TLR-4の前記アゴニストがブプレノルフィンである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
TLR-4の前記アゴニストがカルバマゼピンである、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
TLR-4の前記アゴニストがフェンタニルである、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
TLR-4の前記アゴニストがレボルファノールである、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
TLR-4の前記アゴニストがメサドンである、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記TLR-4のアゴニストがコカインである、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記TLR-4のアゴニストがモルヒネである、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
TLR-4の前記アゴニストが、オキシカルバゼピンである、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
TLR-4の前記アゴニストがオキシコドンである、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
TLR-4の前記アゴニストがペチジンである、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
TLR-4の前記アゴニストが、Cryptococcus由来のグルクロノキシロマンナンである、請求項22に記載の方法。
【請求項35】
TLR-4の前記アゴニストがモルヒネ-3-グルクロニドである、請求項22に記載の方法。
【請求項36】
前記TLR-4のアゴニストがリポテイコ酸である、請求項22に記載の方法。
【請求項37】
TLR-4の前記アゴニストがβ-デフェンシン2である、請求項22に記載の方法。
【請求項38】
TLR-4の前記アゴニストが、低分子量ヒアルロン酸である、請求項22に記載の方法。
【請求項39】
TLR-4の前記アゴニストがフィブロネクチンEDAである、請求項22に記載の方法。
【請求項40】
前記TLR-4のアゴニストがスナピンである、請求項22に記載の方法。
【請求項41】
前記TLR-4のアゴニストがテネイシンCである、請求項22に記載の方法。
【請求項42】
前記トール様受容体がTLR-5である、請求項15に記載の方法。
【請求項43】
前記TLR-5のアゴニストがフラジェリンである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記トール様受容体がTLR-6である、請求項15に記載の方法。
【請求項45】
TLR-6の前記アゴニストがFSL-1である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記トール様受容体がTLR-7である、請求項15に記載の方法。
【請求項47】
TLR-7の前記アゴニストがイミキモドである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記TLR-8のトール様レセプターが、請求項15に記載の方法。
【請求項49】
前記TLR8のアゴニストがssRNA40/LyoVecである、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記TLR-9のトール様レセプターが、請求項15に記載の方法。
【請求項51】
前記TLR-9のアゴニストがCpGオリゴヌクレオチドである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
TLR-9の前記アゴニストがODN2006である、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記TLR-9のアゴニストがアガトリモドである、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記中毒がオピオイド中毒である、請求項1~53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記中毒がヘロイン中毒である、請求項1~53のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
細胞が対象に関して自己由来である、請求項1~55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
細胞が対象に関して同種異系である、請求項1~55のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
細胞が対象に関して異種である、請求項1~55のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
対象にもメマンチンが投与される、請求項1~58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
対象に5~100mg/日のメマンチンも投与する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
被験体がまた、10~30mg/日のメマンチンを投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
対象に1つ以上の鎮痛薬も投与される、請求項1~61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
対象にナロキソンも投与される、請求項1~62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
対象がアコムパターゼも服用される、請求項1~63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記線維芽細胞がタンパク質及び/又はペプチドを産生する様式で培養され、ここで、前記タンパク質及び/又はペプチドは、、アクチビンA、アドレノメドリン、aFGF、ALK1、ALK5、ANF、アンギオゲニン、アンギオポイエチン-2、アンギオポイエチン-3、アンギオポエチン-4、bFGF、B61、bFGF誘導活性、カドヘリン、CAM-RF、cGMPアナログ、ChDI、CLAF、クロージン、コラーゲン、cGMP類似体、コラーゲン、コラーゲン受容体、α
1-β
2、α
2-β
1、コネキシン、Cox-2、ECDGF(内皮細胞由来増殖因子)、心電図、EDM、EGF、EMAP、エンドセリン、エンドセリン、内皮細胞増殖阻害因子、内皮細胞生存率維持因子、内皮細胞分化フィンゴ脂質G-タンパク質共役受容体-1(EDG1)、ECG、ECI、EDM、EGF、EMAP、エンドグリン、エンドセリン、エンドスタチン、内皮細胞増殖抑制因子、内皮細胞生存率維持因子、内皮分化シンゴ糖脂質Gタンパク質結合受容体-1(EDG1)、エフリン、Epo、HGF、TGF-β、PD-ECGF、PDGF、IGF、IL8、成長ホルモン、フィブリン断片E、FGF-5、フィブロネクチンおよびフィブロネクチン受容体.α.5.β.1、ファクターX、HB-EGF、HBNF、HGF、HUAF、心臓由来血管細胞増殖抑制因子、Ill、IGF-2、IFN-γ、インテグリン受容体、K-FGF、LIF、平滑筋腫由来成長因子、MCP-1、マクロファージ由来成長因子、単球由来成長因子。MD-ECI、MECIF、MM2、MMP3、MMP9、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター、ニューロピリン(NRP1、NRP2)、ニューロテリン、一酸化窒素ドナー、一酸化窒素合成酵素(NOSs)、ノッチ、オクルジン、ゾナ・オクルーディン、オンコスタチンM、PDGF、PDGF-B、PDGF受容体、PDGFR-β.PD-ECGF、PAI-2、PD-ECGF、PF4、P1GF、PKR1、PKR2、PPAR-γ、PPAR-γリガンド、ホスホジエステラーゼ、プロラクチン、プロスタサイクリン、プロテインS、平滑筋細胞由来の成長因子、平滑筋細胞由来の遊走因子、スフィンゴシン-1-リン酸-1(SIP1)、Syk、SLP76、タチキニン、TGF-β、Tie1、Tie2、TGF-β、TGF-β受容体、TIMP、TNF-α、トランスフェリン、トロンボスポンジン、ウロキナーゼ、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、VEGF、VEGF
164、VEGI、EG-VEGF、及びそれらの組み合わせを含む、請求項1~64のいずれかに記載の方法
【請求項66】
線維芽細胞が、増殖培地、ならし培地又は再プログラミング培地中で培養される、請求項1~65のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
線維芽細胞又はその複数がカプセル化されている、請求項1~66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
線維芽細胞又はその複数が、膜、ポリマーカプセル、アルギン酸-ポリ-L-リジン-アルギン酸マイクロカプセル、バリウムポリ-L-リジンアルギン酸カプセル、アルギン酸バリウムカプセル、ポリアクリロニトリル/ポリ塩化ビニル(PAN/PVC)中空繊維、又はポリエーテルスルホン(PES)中空繊維によってカプセル化される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
請求項1~68のいずれかに記載の方法であって、それらに由来する産物が、線維芽細胞培養物由来の上清を含む、方法。
【請求項70】
線維芽細胞培養物からの上清が、少なくとも1つの栄養因子を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
栄養因子が、ホルモン、サイトカイン、細胞外マトリックス、タンパク質、小胞、抗体、顆粒、又はそれらの混合物である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
線維芽細胞又はその複数の培養物が、アクチビンA、アドレノメドリン、aFGF、ALK1、ALK5、ANF、アンギオゲニン、アンギオポイエチン-2、アンギオポイエチン-3、アンギオポエチン-4、bFGF、B61、bFGF誘導活性、カドヘリン、CAM-RF、cGMPアナログ、ChDI、CLAF、クロージン、コラーゲン、cGMP類似体、コラーゲン、コラーゲン受容体、α
1-β
2、α
2-β
1、コネキシン、Cox-2、ECDGF(内皮細胞由来増殖因子)、心電図、EDM、EGF、EMAP、エンドセリン、エンドセリン、内皮細胞増殖阻害因子、内皮細胞生存率維持因子、内皮細胞分化フィンゴ脂質G-タンパク質共役受容体-1(EDG1)、ECG、ECI、EDM、EGF、EMAP、エンドグリン、エンドセリン、エンドスタチン、内皮細胞増殖抑制因子、内皮細胞生存率維持因子、内皮分化シンゴ糖脂質Gタンパク質結合受容体-1(EDG1)、エフリン、Epo、HGF、TGF-β、PD-ECGF、PDGF、IGF、IL8、成長ホルモン、フィブリン断片E、FGF-5、フィブロネクチンおよびフィブロネクチン受容体.α.5.β.1、ファクターX、HB-EGF、HBNF、HGF、HUAF、心臓由来血管細胞増殖抑制因子、Ill、IGF-2、IFN-γ、インテグリン受容体、K-FGF、LIF、平滑筋腫由来成長因子、MCP-1、マクロファージ由来成長因子、単球由来成長因子。MD-ECI、MECIF、MM2、MMP3、MMP9、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター、ニューロピリン(NRP1、NRP2)、ニューロテリン、一酸化窒素ドナー、一酸化窒素合成酵素(NOSs)、ノッチ、オクルジン、ゾナ・オクルーディン、オンコスタチンM、PDGF、PDGF-B、PDGF受容体、PDGFR-β、PD-ECGF、PAI-2、PD-ECGF、PF4、P1GF、PKR1、PKR2、PPAR-γ、PPAR-γリガンド、ホスホジエステラーゼ、プロラクチン、プロスタサイクリン、プロテインS、平滑筋細胞由来の成長因子、平滑筋細胞由来の遊走因子。スフィンゴシン-1-リン酸-1(SIP1)、Syk、SLP76、タチキニン、TGF-β、Tie1、Tie2、TGF-β、TGF-β受容体、TIMP、TNF-α、トランスフェリン、トロンボスポンジン、ウロキナーゼ、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、VEGF、VEGF
164、VEGI、EG-VEGF、及びそれらの組み合わせを産生する、請求項2~71のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
前記線維芽細胞又はその複数がさらにCD45及び/又はCD34マーカーを発現する、請求項1~72のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
培養された線維芽細胞の単一の細胞懸濁液からCD31陽性及び/又はCD73陽性線維芽細胞を抽出することによって生成された治療有効量の細胞を個体に投与すること、及び任意選択で、前記線維芽細胞の1つ又は複数のニューロン再生特性の産生を増強することができる1つ又は複数の薬剤で線維芽細胞をプライミングすることを含む、個体におけるオピオイド依存症に関連する脳損傷を治療する方法。
【請求項75】
対象における関連する海馬損傷を治療する方法であって、前記対象の顆粒下ゾーン(SGZ)に前記線維芽細胞を配置することによって、CD31陽性及び/又はCD73陽性線維芽細胞を対象に投与することを含む方法。
【請求項76】
線維芽細胞を得ることを含む、対象における嗜癖を治療する方法;
前記線維芽細胞の増殖を可能にする培地中での前記線維芽細胞の培養;
単細胞懸濁細胞からの抽出;
マーカーCD31及びCD73を発現する線維芽細胞を単離し;
線維芽細胞を含む組成物を被験体に投与し、ここで該細胞はCD31及びCD73マーカーを発現する。
【請求項77】
被験体におけるオピオイド嗜癖関連脳損傷を治療する方法であって、CD31及び/又はCD73マーカーを発現する被験線維芽細胞に投与することを含む方法。
【請求項78】
前記線維芽細胞が、a)線維芽細胞を得るステップと、b)前記線維芽細胞の増殖を可能にする培地中で前記線維芽細胞を培養するステップと、c)単一細胞懸濁細胞から抽出するステップと、d)マーカーCD31及び/又はCD73を発現する線維芽細胞を単離するステップとを含む方法によって生成された、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記細胞が、a)線維芽細胞を得るステップと、b)前記線維芽細胞の増殖を可能にすることができる液体培地中で前記線維芽細胞を培養するステップと、c)マーカーCD31及び/又はCD73を発現する前記単細胞懸濁細胞から抽出するステップと、d)前記細胞のニューロン再生特性の産生を増強することができる薬剤で前記細胞を任意にプライミングするステップとによって生成される、請求項77又は78に記載の方法。
【請求項80】
前記ニューロン再生特性が、a)神経炎症を阻害すること;b)ニューロン前駆細胞の再生を増強すること;c)興奮毒性を阻害すること;及びd)脳細胞のアポトーシスを防止することを含む群から選択される、請求項77~79のいずれかに記載の方法。
【請求項81】
CD31及び/又はCD73を発現する単離された複数の線維芽細胞を含む、嗜癖の治療のための医薬組成物。
【請求項82】
前記複数が、a)線維芽細胞を得るステップと、b)前記線維芽細胞の増殖を可能にすることができる液体培地中で前記線維芽細胞を培養するステップと、c)マーカーCD31及びCD73を発現する前記単細胞懸濁細胞から抽出するステップと、d)任意選択で、前記細胞の1つ又は複数のニューロン再生特性の産生を増強することができる1つ又は複数の薬剤で前記細胞をプライミングするステップとによって生成される、請求項81に記載の医薬組成物。
【請求項83】
前記ニューロン再生特性が、a)神経炎症を阻害すること;b)ニューロン前駆細胞の再生を増強すること;c)興奮毒性を阻害すること;d)脳細胞のアポトーシスを防止すること;及びe)それらの組み合わせからなる群から選択される、請求項82に記載の医薬組成物。
【国際調査報告】