(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-23
(54)【発明の名称】水処理プラントにおける異常を検出する方法
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20220516BHJP
【FI】
G05B23/02 R
G05B23/02 302R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556796
(86)(22)【出願日】2020-02-12
(85)【翻訳文提出日】2021-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2020053650
(87)【国際公開番号】W WO2020193000
(87)【国際公開日】2020-10-01
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ルフラン、マリー
(72)【発明者】
【氏名】ブルジョワ、トーマス
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA06
3C223EA04
3C223FF04
3C223FF24
3C223FF26
3C223FF45
3C223GG01
3C223HH02
(57)【要約】
【解決手段】 水処理プラントを動作させる方法であって、プラントの動作における異常を検出する段階を含む方法において、異常検出段階は、- プラントの動作状態を表すデータが提供される措置であって、これらのデータは、プラント自体における選択された位置又はプラントの入力若しくは出力管に設置されるセンサーによって提供され、- 必要に応じて、追加のデータも提供され、これらのデータは、i)プラントの動作が追跡されていた日付/期間に関するデータ、j)プラントで処理される排出物を生成する上流機械の状態を表すデータ、k)プラントの動作が追跡されていた気候条件を特徴付ける気象データによって形成される群に含まれる、措置、- これらのデータを取得及び処理するためのシステムが提供される措置であって、このシステムは、これらのデータを処理するためのアルゴリズムを搭載され、a)センサーの全てに関する確率法則のパラメータ及び必要に応じて前記追加のデータをシステムが計算する訓練段階を実行すること、b)アルゴリズムを使用する段階を実行することであって、システムは、センサーの全てに関する確率密度を計算し、且つこの密度の結果に応じて、この確率が低い場合、センサーが、それらが訓練段階中に送出したものと非常に異なる値を送出しているという結論を下し、且つその後、異常の警告を与えるために、センサーによってリアルタイムで読み取られる値をアルゴリズムに挿入する、実行することを実行することができる、措置の実施を含むことを特徴とする方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理プラントを動作させる方法であって、前記プラントの前記動作における異常を検出する段階を含む方法において、前記異常検出段階は、
- 前記プラントの動作状態を表すデータが提供される措置であって、前記データは、前記プラント自体における選択された位置又は前記プラントの入力若しくは出力管に設置されるセンサーによって提供され、- 必要に応じて、追加のデータも提供され、前記データは、
i)前記プラントの前記動作が監視されていた日付/期間に関するデータ、
j)前記プラントで処理される排出物を生成する上流機械の状態を表すデータ、
k)前記プラントの前記動作が監視されていた気候条件を特徴付ける気象データ
によって形成される群に含まれる、措置、
- 前記データを取得及び処理するためのシステムが提供される措置であって、前記システムは、前記データを処理するためのアルゴリズムを搭載され、
a)前記センサーの全てに関する確率分布のパラメータ及び必要に応じて前記追加のデータを前記システムが計算する学習段階を実行すること、
b)前記アルゴリズムを使用する段階を実行することであって、前記システムは、前記センサーの全てに関する確率密度を計算し、且つ前記密度の結果に応じて、前記確率が低い場合、前記センサーが、それらが前記学習段階中に送出したものと非常に異なる値を送出しているという結論を下し、且つその後、異常の警告を与えるために、前記センサーによってリアルタイムで読み取られる値を前記アルゴリズムに挿入する、実行すること
を実行することができる、措置
の実施を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記取得及び処理システムは、
- クラウド/ホストされたITシステムと通信すること、
- 前記センサーによって提供される前記データ及び必要に応じて前記追加のデータ並びに前記アルゴリズムによって提供される結果を遠隔サーバに伝送することであって、前記サーバは、それ自体、前記データを受信し、それをデータベースに記憶し、表示に適している形式に前記データを変換し、且つ勧告に従って前記データを処理し、全ての許可された個人に対して、デジタル媒体上の前記データ及び結果への遠隔アクセスを可能にすることができる、伝送すること
が可能であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理の分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、水処理プラントの動作における異常の検出に関する。
【背景技術】
【0003】
例として、検出異常は、以下であり得ることが知られている。
- 設備又は機器の破損又は故障の検出。
- 異常事象(例えば、泡立ち)の検出。
- 動作変更(例えば、オペレーターの変更)の検出。
- 処理に入力される、処理される排出物の性質又は量の変化の検出。
- その他。
【0004】
異常のこの検出は、複数の理由のために有益であり得ることが理解される。
- 一方では、現場オペレーターが(不可能でない場合)リアルタイムでプラントの全てのパラメータを監視することは、困難である。従って、オペレーターにプラント内の問題を非常に迅速に警告することができるため、プラントの様々なパラメータの関連する測定と合わせた異常検出アルゴリズムは、特に有利であり、その結果、最も早い機会に問題に対処することができる。
- 他方では、設備及び消耗品の供給業者は、通常、プラントにいない。従って、このようなツールは、設備の品目の1つの品目の故障の場合(又は故障を示す、「正常」動作からのずれの場合)に供給業者に警告するか、又は消耗品(例えば、気体)の1つの消耗品の過剰消費(又は最適でない使用)の場合に故障を防止し、且つ供給業者がプラントの異常の確率をリアルタイムで監視する(及び処理最適化のために必要に応じて遠隔で現場オペレーターに警告して役立つ)ことができるため、極めて有益であり得る。
【0005】
この業界及び文献で現在提案されている解決策は、センサーの使用を提唱していない。解決策は、異常を検出することができるように、一定の間隔、例えば毎週又は毎月実行される実験室分析の実行を提唱している。従って、異常を検出する頻度が低く、この方法は、プラントで発生するかなり多くの大事象を見逃すことがあることが理解される。
【0006】
間違いなく関連性がやや高い既述の別の解決策は、実験室分析及び現場に設置され、極めて定期的に(例えば、15分毎に)測定を行うセンサーによって提供されるデータの両方を監視することを含む。
【0007】
この場合の問題は、オペレーターが、一般的に、大きい変動を有する、多数のセンサーのために極めて大量の利用可能データを有することであり、互いに無関係にこれらのセンサーの全てを監視することは、多くの誤警報を引き起こすことがある一方、「真の」異常を見逃すことがある。
【0008】
例として、他の測定と無関係に考えられると、酸素濃度の極めて大幅な増加は、その増加が異常であるため、警報を引き起こすことがある。しかし、この大幅な増加は、それ自体異常でない流入排出物における汚染物質の濃度の極めて大幅な減少によって説明することができる。この場合、誤警報を引き起こす。
【0009】
同様に、槽を曝気するポンプの電流の増加は、2つの原因、ポンプの速度の増加(例えば、気体流量を増加する場合)又はモーターの故障を有することがある。従って、電流のみの測定は、信頼できる警報を与えるのに不十分であるが、他の測定(例えば、曝気槽の酸素要求量、溶存酸素の濃度又は酸素流量)と一緒である場合、適切な異常検出ツールにより、信頼できる警報を生成することができる。
【0010】
最後に、幾つかの水処理プラントは、上流処理によってプラントの動作が大幅に異なることに留意されたい。
【0011】
例えば、薬剤又は農業食品製造現場の下流の水浄化プラントについて言及し得る。排出物の性質は、製造工程毎に大幅に変わり、従って測定パラメータも変わる。その結果、プラントで測定されるパラメータを上流製造工程のタイプと結合すると、観測された変動が異常に起因するか、又は上流製造工程の変化に起因するかを直ちに判定することができる。
【0012】
従って、誤警報は、限定され、正しく検出される異常の数が最大になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、従って、アルゴリズムに基づく、このような排出物処理設備で発生する異常を検出する新しい方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
後により詳細に分かるように、ここで提案される方法は、以下の多くの利点を有する。
- アルゴリズムは、様々な性質のデータ(例えば、センサー測定値、(使用中/停止中の)機械の状態、製造工程番号、センサー較正データ、実験室分析ファイル)を処理することができ、各入力データ項目を発生確率に関連付け、これにより複雑なシナリオを分析することができる。
- アルゴリズムは、大量のデータを処理することができる。センサーの数及び有効データ量の増加が予想される場合、非常に大量のデータがある場合でも、このデータの全てを集約することができるツールを有することが重要である。使用される入力データの量及び性質は、制限されない。
- 記述モデルは、実施するのが複雑である。記述モデルは、各浄化プラント構成及び場合により各動作モードに対して、開発及び検証ステップを必要とする。一方、ここで提案されるアルゴリズムは、統計ツールである。統計ツールは、容易に実施され、セットアップで1つの学習ステップのみを必要とする。次に、プラントの寿命にわたる新しいデータ、例えば新しいセンサー又はプラント若しくはプラント環境に関する新しい情報源の追加で統計ツールを補足し得る。
- リアルタイムで複雑な分析を行うことができる。多くの弱い信号(即ちパラメータを互いに別々に考慮する場合、警告を引き起こさない様々なパラメータのわずかな変動)を関連付けることにより、より大きい問題を明らかにすることができる。グローバルな視点から信号を分析し、従って特定の事象間の依存を考慮するために、確率分布は、様々な信号を連結する。
- 使用されるデータの量及び性質にかかわらず、アルゴリズムは、プラントの一般的な状態を反映する単一の指標、確率をもたらす。この確率が高い場合、これは、アルゴリズムに入力されるデータの組み合わせが非常に起こりそうであることを意味し、動作が正常であることを意味する。確率が低い場合、これは、アルゴリズムの単一のデータ項目又はデータ項目の組み合わせが低い発生確率を有し、この低い発生確率がプラント内の異常を警告することを意味する。
【0015】
上述のように、モデルの入力データは、様々な性質のデータであり得る。入力データは、例えば、以下に関するものであり得る。
- センサー。センサーは、プラントにおける様々な位置に設置され得、例えば設備(ポンプ、タービンなど)若しくは更に曝気槽に直接又はプラントの入口若しくは出口管などに設置され得る。
- 日付。動作は、季節(夏にプラントの停止、冬に低い平均温度など)、曜日(週末に特定のプラントの上流での製造なし)又は更に時刻(夜間に市営浄化プラントが排出物をあまり受け入れない)などによって異なり得る。このような理由のため、プラントのデータを時刻、曜日又は季節と相関させることは、有益であり得る。
- 上流機械及び上流生成データの状態。使用工業用水の浄化のためのこれらのプラントにおいて、排出物の性質は、プラントの上流の処理に左右される。このような理由のため、機械の状態は、上流処理で使用されるか、又は動作中の製造工程の基準は、排出物の性質を説明することができ、従って浄化プラントで測定される特定の値と相関可能である。
- 気象データ。気候事象(大雨、干ばつ、極端な温度)を使用して、検出ツールが機能することができるデータベースを補足することもできる。
【0016】
以下は、使用可能なセンサーの例のリストである。
- 溶存酸素センサー。このセンサーは、電気化学又は光学センサーであり得る。しかし、光学センサーを使用することが好ましい。曝気槽に置かれたこのセンサーは、溶存酸素の濃度を測定することができる。この測定値は、同時に、槽の強い曝気と特に関連があり得る。なぜなら、曝気中の溶存酸素の濃度の増加率(及び曝気の停止時の減少率)は、一方では、それぞれ(曝気流量と一緒に)曝気設備の正しい動作の優れた指標であり、他方では、曝気槽における活性汚泥の酸素要求量の優れた指標であるからである。
- pH又はレドックスプローブなどの電気化学プローブ。特定の妨害イオンの影響を補償するために、3つの電極を含むプローブを使用することが好ましく、温度の影響を補償するために、温度センサーが搭載されたプローブを使用することが好ましい。プローブの使用の時間及び測定の時間にわたる変動が監視され得る。なぜなら、これらの使用時間及び変動は、プローブの正しい動作、従って測定の信頼性の指標であるからである。
- 選択膜プローブ。これらの電気化学プローブは、化学種のみが透過できる膜を含む。従って、これらのプローブは、アンモニウム、硝酸塩又はプラントで分解しようとする他の化学種の濃度を測定することができる。pH/レドックスプローブと同様に、3つの電極及び温度補償を含むプローブが好ましい。
- スペクトルプローブ。分光光度法によって有機負荷、窒素負荷又は浮遊物質量を測定することができる多くのプローブは、市場で入手できる。多くのタイプのプローブ(1つ又は複数の波長での吸収の測定、比較的大きい波長範囲にわたる蛍光ピークの測定)を使用し得る。全ての場合に光学測定値を有機又は窒素汚染の濃度と相関させ得る。一方では、拡張範囲にわたる吸収スペクトルを測定し、従って濁度の影響を補償することができ、他方では、よりロバストな相関関係を構築することができるプローブが好ましい。有利には、このプローブは、曝気槽の上流及び/又は下流に置かれる。
- オンライン分析器。代わりに、様々な化学種の濃度をオンライン分析器によって得ることができる。この場合、有利には、分析器を槽の近くに置き、分析のために試料を一定の間隔で採取する。
- 濁度。濁度を測定することができるプローブが使用され得るか、又は濁度若しくは浮遊状態の固体の濃度と相関させることができる任意の他の測定(後方散乱光、60度で散乱する光、吸収光など)が使用され得る。場合により、このプローブを曝気槽の上流若しくは下流又は曝気槽に直接置く。
- 伝導率。伝導率は、かなり信頼でき、容易に測定できる水質の指標である。場合により、伝導率を化学的酸素要求量(例えば、市営水道水におけるCOD)と相関させ得る。伝導率は、伝導若しくは誘導方法又は伝導率を推定することができる任意の他の方法によって測定され得る。このプローブをプラントの上流又は下流の管又は曝気槽に直接置き得る。
- 気体流量。曝気槽に注入される酸素(又は空気)の流量を監視することができる。流量計(好ましくは熱質量流量計)は、気体を槽に注入するために使用される設備の上流に置かれる。
- 振動センサー。気体を水に注入する設備の振動を測定する。好ましくは、センサーを歯車付きモーター(又は代わりにモーター)に置く。監視信号は、振動スペクトル又は正常動作中に生成される振動スペクトルからの偏差から選択され得る。
- 電流クランプ。曝気設備への電気供給の周りに置かれたこのクランプは、モーターの電流を測定することができる。このクランプは、温度測定を伴い得る。
- 水又は汚泥流量。プラントの様々な地点(例えば、汚泥再循環中において、入力排出物流れに対して上流、出力処理水流れに対して下流)で超音波又は電磁流量計を使用し得る。
【0017】
センサーのこのリストは、当然のことながら、決して網羅的でない使用可能なセンサーの例示に過ぎない。
【0018】
本発明によって提案されるアルゴリズムに関して、対象の浄化プラントで特に関心があるパラメータを監視することができ、上述されていない任意のセンサーを追加する可能性がある。
【0019】
上述のように、本発明は、データを解釈するアルゴリズムの実施を提案し、センサーが表示する値を与えるセンサーの確率がどのようなものであるかを計算することができる。この確率が高い場合、異常がないと考えられ、この確率が低い場合、アルゴリズムは、異常を検出する。
【0020】
より正確には、以下の通りである。
- 訓練段階(即ちエキスパートシステムの生成の段階)では、センサーの全てに関する確率分布を計算する。
- アルゴリズムの使用の段階では、センサーによって読み取られる値を確率計算アルゴリズムに挿入する。この確率が低い場合、これは、センサーが、それらが学習段階中に送出したものと非常に異なる値を送出していることを意味する。従って、アルゴリズムは、異常を検出するか又は異常の警告を与える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、確率計算の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
数学的に、アルゴリズムの2つの例、独立ガウス分布を用いた簡易バージョン及び多変量ガウス分布を用いたより複雑及びより正確なバージョンを以下に提示する。
【0023】
アルゴリズム1
1.期間t
1~t
mにわたる訓練
a.異常を示すことができる入力データx
j(t)、j=1...nの選択。例:x
jは、(例えば、上述のセンサーの例によって)プラントで実行される全測定値であり得る。
b.以下の式を用いたパラメータμ
1、...、μ
n、σ
1、...、σ
nの計算
【数1】
ここで、μ
jは、訓練期間にわたる変数jの平均であり、σ
jは、訓練期間にわたる変数jの標準偏差である。
2.期間t>t
mにわたるアルゴリズムの使用
【0024】
新しい時間ステップtを考慮すると、p(t)が以下のように計算される。
【数2】
【0025】
p(t)<εの場合、異常が検出される。
【0026】
数値例
2つの入力変数
- x1、槽における酸素の濃度
- x2、入口における汚染物質の濃度
3ヶ月の訓練期間にわたって以下が計算される。
μ1=2g/m3
μ2=100g(炭素)/m3
σ1=0.3g/m3
σ2=5g(炭素)/m3
【0027】
最小異常閾値をε=10-4に設定する。
【0028】
次に、アルゴリズムの使用の期間にわたり、以下の新しいセンサー値が観測される。
- x1(t)=2.1g/m3
- x2(t)=96g/m3
【0029】
次に、以下の確率密度を計算することができる。
【数3】
【0030】
この第1の時間ステップにわたり、確率が高く、従って異常が検出されない。
【0031】
第2の時間ステップにわたり、以下の通りである。
- x
1(t)=2.7g/m
3
- x
2(t)=85g/m
3
【数4】
【0032】
この第2の確率は、非常に低いため、これは、異常を示す。
【0033】
この第2の確率は、非常に低いため、これは、異常を示す。
【0034】
アルゴリズム2
1.期間t
1~t
mにわたる訓練
a.異常を示すことができる入力データx
j(t)の選択。例:x
jは、(例えば、上述のセンサーの例によって)プラントで実行される全測定値であり得る。
b.以下の式を用いたパラメータμ及びΣの計算
(注記:x、μ及びΣは、この第2のバージョンで多次元である。)
【数5】
2.t>t
mにわたるアルゴリズムの使用
【0035】
新しい時間ステップtを考慮すると、p(t)が以下のように計算される。
【数6】
【0036】
p(t)<εの場合、異常が検出される。
【0037】
数値例
ここで、第2の時間ステップの値を用いて、上述と同じ例を考える。
- x1(t)=2.7g/m3
- x2(t)=85g/m3
【0038】
【0039】
【0040】
アルゴリズムは、変数x2に対して変数x1の依存性を考慮する。
【0041】
酸素濃度が高いという事実は、入口における汚染物質の低濃度によって説明することができる。従って、異常は、検出されない。
【0042】
以下では、フランスにおける水処理プラントの状況で実現される例示的な実施形態であって、以下のリストからの約20個のセンサーを配置した実施形態を提示する。
- 槽における酸素濃度のセンサー
- 注入酸素流量のセンサー
- 槽の入口における炭素含有汚染物質のセンサー(ここでは実験室で測定されるCOD、即ち「化学的酸素要求量」の測定値)
- 同様に槽入口における表面固体のセンサー(ここでは実験室で測定されるSM「浮遊物質」の測定値)
- プラント入口における排出物の流量の測定値
【0043】
【0044】
対象の期間の月を横軸に示し、毎回(ここではアルゴリズム2を用いて)計算された確率密度の対数を縦軸に示す。特定の時期における確率の大幅な低下をよりよく見えるようにするために、対数は、「値を平坦化する」ことができる。
【0045】
アルゴリズム(アルゴリズム2)を2ヶ月(11月及び12月)の期間にわたって「訓練」する。次に、アルゴリズムは、12月から12月までの1年の期間にわたってセンサーによって測定された値に連結される確率を与える。アルゴリズムは、以下の期間において、非常に容易に説明可能な非常に低い確率値を示す。
- 休日期間。12月末、8月の1ヶ月、様々な銀行休業日(例えば、5月における)
- 3月のごく初めのプラントの停止の期間
【0046】
しかし、アルゴリズムは、以下の期間において、非常に低い値を更に示す。
- 7月の初め及び9月~10月の全て。これらの時期には、泡が現場でプラントに生じたように思われる。アルゴリズムは、この期間中に異常を効果的に検出することを示す。
- 6月の初めには既に、アルゴリズムは、訓練期間中よりも非常に低い確率値を示す。これらの低い確率は、プラントのオペレーターの変更によって説明することができる。
【0047】
最後の2つの事象の検出は、ガス供給業者及び現場ユーザにとって非常に有益である。これにより、例えば設備による酸素の過剰消費を理解することができる。これは、設備を守る観点から更に有益であり得る。
【0048】
要約すれば、以下の事実を図から推測することができる。
- Aにおいて、最初に、7月の初めに泡を検出した。
- Bにおいて、多くの泡を9月~10月に観測した。
- Cにおいて、この現象を、プラントのオペレーターの変更後、早ければ7月に予想することができたという事実がある。
【0049】
従って、本発明は、水処理プラントを動作させる方法であって、プラントの動作における異常を検出する段階を含む方法において、異常検出段階は、
- プラントの動作状態を表すデータが提供される措置であって、これらのデータは、プラント自体における選択された位置又はプラントの入力若しくは出力管に設置されるセンサーによって提供され、及び必要に応じて、追加のデータも提供され、これらのデータは、
- i)プラントの動作が監視されていた日付/期間に関するデータ、
- j)プラントで処理される排出物を生成する上流機械の状態を表すデータ、
- k)プラントの動作が監視されていた気候条件を特徴付ける気象データ
によって形成される群に含まれる、措置、
- これらのデータを取得及び処理するためのシステムが提供される措置であって、システムは、これらのデータを処理するためのアルゴリズムを搭載され、
a.センサーの全てに関する確率分布のパラメータ及び必要に応じて前記追加のデータをシステムが計算する学習段階を実行すること、
b.アルゴリズムを使用する段階を実行することであって、システムは、センサーの全てに関する確率密度を計算し、且つこの密度の結果に応じて、この確率が低い場合、センサーが、それらが学習段階中に送出したものと非常に異なる値を送出しているという結論を下し、且つその後、異常の警告を与えるために、センサーによってリアルタイムで読み取られる値をアルゴリズムに挿入する、実行すること
を実行することができる、措置
の実施を含むことを特徴とする方法に関する。
【0050】
本発明の好ましい実施形態によれば、データを取得及び処理するためのシステムは、以下の方法で通信することもできる。
- システムは、クラウド/ホストされたITシステムと通信することができる。
- システムは、(有線又は無線で)集約データをサーバに伝送することができる。
- サーバは、データを受信し、それをデータベースに記憶し、表示に適している形式にこれらのデータを変換し、且つ勧告に従って前記データを処理するようにプログラムされる。
- 従って、アルゴリズムの結果及びアルゴリズムの計算に必要なデータは、デジタル媒体(タブレット、電話、コンピュータなど)上において遠隔で入手可能である。
【国際調査報告】