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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-23
(54)【発明の名称】積荷取り扱い装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20220516BHJP
【FI】
B65G1/04 555Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556999
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(85)【翻訳文提出日】2021-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2020057776
(87)【国際公開番号】W WO2020193406
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】1903982.5
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515134368
【氏名又は名称】オカド・イノベーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ポーパ、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】マヤディーン、デル
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】シャープ、ニック
(72)【発明者】
【氏名】ピッライ、ビピン
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022EE05
3F022EE09
3F022FF00
3F022JJ04
3F022JJ11
3F022MM01
(57)【要約】
保管システム(1)中のスタック(12)に積み重ねられたコンテナ(10)を持ち上げて移動させるための積荷取り扱い装置(100)が提供される。積荷取り扱い装置(100)は、本体(102)と、本体(102)を支持するように配置されたホイール組立体と、コンテナを本体(102)に、またはコンテナを本体から持ち上げるように構成されたコンテナ持ち上げ機構と、ホイール組立体のホイールの第1のセット(116)を保管システム(1)のレールまたは軌道の第1のセット(22a)と選択的に係合させるか、またはホイール組立体のホイールの第2のセット(118)を保管システム(1)のレールまたは軌道の第2のセット(22b)と選択的に係合させるためのホイール係合手段を備えるホイール位置付け機構とを含む。ホイール係合手段は、少なくとも1つの非垂直方向リニアアクチュエータおよび/または少なくとも1つの偏心回転ベースのホイール係合手段を備えることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管システム(1)中のスタック(12)に積み重ねられたコンテナ(10)を持ち上げて移動させるための積荷取り扱い装置(100)であって、前記保管システム(1)は、コンテナ(10)の前記スタック(12)の上方に格子パターンで配置された複数のレールまたは軌道(22)を含み、前記積荷取り扱い装置(100)は、前記スタック(12)の上方の前記レールまたは軌道(22)上を移動するように構成され、前記積荷取り扱い装置(100)は、
上部(112)および下部(114)を有する本体(102)と、前記上部(112)は1つ以上の動作構成要素を収容するように構成され、前記下部(114)は前記上部(112)の下に配置され、前記下部(114)は少なくとも1つのコンテナ(10)に適合するためのコンテナ収容空間(120)を備え、
前記本体(102)を支持するように配置されたホイール組立体と、前記ホイール組立体は、第1の方向に前記装置(100)の移動をガイドするようにレールまたは軌道の第1のセット(22a)を係合するためのホイールの第1のセット(116)と、第2の方向に前記装置(100)の移動をガイドするようにレールまたは軌道の第2のセット(22b)を係合するためのホイールの第2のセット(118)とを備え、ここで、前記第2の方向は、前記第1の方向に対して横向きであり、
コンテナ持ち上げ機構と、前記コンテナ持ち上げ機構は、コンテナ(10)を係合するように構成されたコンテナ係合手段と、前記コンテナ係合手段を前記コンテナ収容空間(120)に対して上昇および下降するように構成された持ち上げ手段とを備え、
ホイール位置付け機構とを備え、前記ホイール位置付け機構は、前記ホイールの第1のセット(116)を前記レールまたは軌道の第1のセット(22a)と選択的に係合させるか、または前記ホイールの第2のセット(118)を前記レールまたは軌道の第2のセット(22b)と選択的に係合させるためのホイール係合手段を備え、前記ホイール係合手段は、前記本体(102)に対して前記ホイールの第1のセット(116)または前記ホイールの第2のセット(118)を上昇または下降させ、それによって前記積荷取り扱い装置(100)が前記保管システム(1)の前記軌道(22a、22b)を横切って前記第1の方向または前記第2の方向のいずれかに選択的に移動することを可能にするように構成され、
ここで、前記ホイール係合手段は、少なくとも1つの非垂直方向リニアアクチュエータを備える、積荷取り扱い装置(100)。
【請求項2】
前記ホイール位置付け機構は、前記本体(102)の前記下部(114)に位置付けられている、請求項1に記載の積荷取り扱い装置(100)。
【請求項3】
前記ホイール位置付け機構は、前記本体(102)の外面上またはその近傍に位置付けられている、請求項1または2に記載の積荷取り扱い装置(100)。
【請求項4】
前記ホイール係合手段は、前記本体(102)に対して前記ホイールの第1のセット(116)または前記ホイールの第2のセット(118)を上昇または下降するために前記少なくとも1つの非垂直方向リニアアクチュエータの作用下で移動するように構成されたリンケージ、枢動コネクタ、およびローラを備える、請求項1、2または3に記載の積荷取り扱い装置(100)。
【請求項5】
前記リンケージは傾斜している、請求項4に記載の積荷取り扱い装置(100)。
【請求項6】
前記ホイール係合手段は、前記少なくとも1つの非垂直方向リニアアクチュエータの作用下で移動して、前記ホイールの第1のセット(116)または前記ホイールの第2のセット(118)を前記本体(102)に対して上昇または下降するように構成された1つ以上のくさびを備える、請求項1、2または3に記載の積荷取り扱い装置(100)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの非垂直方向リニアアクチュエータは、前記積荷取り扱い装置(100)の側面上の2つのホイール(116、118)の間に接続される、請求項1、2または3に記載の積荷取り扱い装置(100)。
【請求項8】
前記本体(102)は、1つ以上の実質的に垂直に方向付けられたシャフトを含み、ここで、少なくとも2つのパネル(324)は、前記1つ以上の実質的に垂直に方向付けられたシャフトのそれぞれに摺動可能に取り付けられている、請求項1から7のいずれか一項に記載の積荷取り扱い装置(100)。
【請求項9】
前記ホイール位置付け機構は、前記ホイールの第1のセット(116)および/または前記ホイールの第2のセット(118)の上昇構成または下降構成への移動またはそれらからの移動を制限するように構成された1つ以上の制動、ラッチおよび/または停止手段を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の積荷取り扱い装置(100)。
【請求項10】
本体(102)と、ホイールの第1のセット(116)およびホイールの第2のセット(118)を含むホイール組立体とを備える積荷取り扱い装置(100)が、保管格子(1)の軌道の横方向のセット(22a、22b)を横切って移動することを可能にする方法であって、前記ホイールの第1のセット(116)は、ホイール係合手段を備えるホイール位置付け機構によって前記本体(102)に対して移動可能であり、前記方法は、
前記本体(102)の下部に、前記ホイールの第1のセット(116)のホイールを前記軌道の第1のセット(22a)の軌道と接触しないように上昇、およびそれと接触するように下降するように構成されている少なくとも第1の非垂直方向リニアアクチュエータを含むホイール係合手段を提供することと、
前記ホイールの第1のセット(116)のホイールを下降させて前記軌道の第1のセット(22a)の軌道と接触するように前記第1の非垂直方向リニアアクチュエータを制御することとを含む、方法。
【請求項11】
前記ホイールの第2のセット(118)は、前記ホイール位置付け機構によって前記積荷取り扱い装置(100)の前記本体(102)に対して移動可能であり、前記方法は、
前記本体(102)の下部に、前記ホイールの第2のセット(118)のホイールを前記軌道の第2のセット(22b)の軌道と接触しないように上昇、およびそれと接触するように下降するように構成された少なくとも第2の非垂直方向リニアアクチュエータを提供することと、
前記積荷取り扱い装置(100)が前記ホイールの第1のセット(116)上で前記軌道の第1のセット(22a)の軌道に沿って移動することを可能にするために、前記ホイールの第2のセット(118)のホイールを前記軌道の第2のセット(22b)の軌道と接触しないように上昇するように前記第2の非垂直方向リニアアクチュエータを制御することとを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
本体(102)と、保管格子(1)の軌道の横方向のセット(22a、22b)を横切るホイールの第1のセット(116)およびホイールの第2のセット(118)を含むホイール組立体とを備える積荷取り扱い装置(100)の移動を可能にするためのコンピュータプログラムであって、前記ホイールの第1のセット(116)はホイール係合手段を備えるホイール位置付け機構によって前記本体(102)に対して移動可能であり、前記ホイール係合手段は、前記ホイールの第1のセット(116)のホイールを前記軌道の第1のセット(22a)の軌道と接触しないように上昇およびそれと接触するように下降するように構成された少なくとも第1の非垂直方向リニアアクチュエータを含み、前記コンピュータプログラムは命令を含み、前記命令は、前記プログラムがコンピュータによって実行されるとき、前記コンピュータに、
前記ホイールの第1のセット(116)のホイールを下降させて前記軌道の第1のセット(22a)の軌道と接触するように少なくとも前記第1の非垂直方向リニアアクチュエータを制御するステップを実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項13】
前記ホイールの第2のセット(118)は、ホイール係合手段を備える前記ホイール位置付け機構によって前記積荷取り扱い装置(100)の前記本体(102)に対して移動可能であり、前記ホイール係合手段は、前記ホイールの第2のセット(118)のホイールを前記軌道の第2のセット(22b)の軌道と接触しないように上昇およびそれと接触するように下降するように構成された少なくとも第2の非垂直方向リニアアクチュエータをさらに含み、前記コンピュータプログラムは命令を含み、前記命令は、前記プログラムがコンピュータによって実行されるときに、前記コンピュータに、
前記積荷取り扱い装置(100)が前記ホイールの第1のセット(116)上で前記軌道の第1のセット(22a)の軌道に沿って移動することを可能にするために、前記ホイールの第2のセット(118)のホイールを前記軌道の第2のセット(22b)の軌道と接触しないように上昇するように、少なくとも前記第2の非垂直方向リニアアクチュエータを制御するステップを実行させる、請求項12に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
保管システム(1)中のスタック(12)に積み重ねられたコンテナ(10)を持ち上げて移動させるための積荷取り扱い装置(100)であって、前記保管システム(1)は、コンテナ(10)の前記スタック(12)の上方に格子パターンで配置された複数のレールまたは軌道(22)を含み、前記積荷取り扱い装置(100)は、前記スタック(12)の上方の前記レールまたは軌道(22)上を移動するように構成され、前記積荷取り扱い装置(100)は、
上部(112)および下部(114)を有する本体(102)と、前記上部(112)は1つ以上の動作構成要素を収容するように構成され、前記下部(114)は前記上部(112)の下に配置され、前記下部(114)は少なくとも1つのコンテナ(10)に適合するためのコンテナ収容空間(120)を備え、
前記本体(102)を支持するように配置されたホイール組立体と、前記ホイール組立体は、第1の方向に前記装置(100)の移動をガイドするようにレールまたは軌道の第1のセット(22a)を係合するためのホイールの第1のセット(116)と、第2の方向に前記装置(100)の移動をガイドするようにレールまたは軌道の第2のセット(22b)を係合するためのホイールの第2のセット(118)とを備え、ここで、前記第2の方向は、前記第1の方向に対して横向きであり、
コンテナ持ち上げ機構と、前記コンテナ持ち上げ機構は、コンテナ(10)を係合するように構成されたコンテナ係合手段と、前記コンテナ係合手段を前記コンテナ収容空間(120)に対して上昇および下降するように構成された持ち上げ手段とを備え、
ホイール位置付け機構とを備え、前記ホイール位置付け機構は、前記ホイールの第1のセット(116)を前記レールまたは軌道の第1のセット(22a)と選択的に係合させるか、または前記ホイールの第2のセット(118)を前記レールまたは軌道の第2のセット(22b)と選択的に係合させるためのホイール係合手段を備え、前記ホイール係合手段は、前記本体(102)に対して前記ホイールの第1のセット(116)または前記ホイールの第2のセット(118)を上昇または下降させ、それによって前記積荷取り扱い装置(100)が前記保管システム(1)の前記軌道(22a、22b)を横切って前記第1の方向または前記第2の方向のいずれかに選択的に移動することを可能にするように構成された移動手段を備え、
ここで、前記ホイール係合手段は、偏心回転ベースのホイール係合手段を備える、積荷取り扱い装置(100)。
【請求項15】
前記偏心回転ベースのホイール係合手段は、
回転手段(601)と、
前記ホイールの第1のセット(116)または前記ホイールの第2のセット(118)のホイールに接続されたコネクタ(607)と、
前記コネクタ(607)中または上に回転可能に据え付けられた軸受(606)とを備え、
ここで、前記回転手段(601)は、前記回転可能な軸受(606)の偏心回転を引き起こすように構成され、前記回転可能な軸受(606)の前記偏心回転は、前記コネクタ(607)の上昇または下降を引き起こし、前記ホイールの第1のセット(116)または前記ホイールの第2のセット(118)のホイールの上昇または下降に対応する、請求項14に記載の積荷取り扱い装置(100)。
【請求項16】
前記偏心回転ベースのホイール係合手段は、前記ホイールの第1または第2のセット(116、118)に固定して接続されたさらなる軸受(615)をさらに備え、前記さらなる軸受(615)は、前記コネクタ(607)の移動に適合するように前記コネクタ(607)中または上に回転可能に据え付けられる、請求項15に記載の積荷取り扱い装置(100)。
【請求項17】
前記ホイール位置付け機構は、前記本体(102)の前記下部(114)に位置付けられる、請求項14、15または16に記載の積荷取り扱い装置(100)。
【請求項18】
前記ホイール位置付け機構は、前記本体(102)の外面上またはその近傍に位置付けられる、請求項14から17のいずれか一項に記載の積荷取り扱い装置(100)。
【請求項19】
前記本体(102)は、1つ以上の実質的に垂直に方向付けられたシャフトを含み、ここで、少なくとも2つのパネル(617)は、前記1つ以上の実質的に垂直に方向付けられたシャフトのそれぞれに摺動可能に取り付けられる、請求項14から18のいずれか一項に記載の積荷取り扱い装置(100)。
【請求項20】
前記ホイール位置付け機構は、前記ホイールの第1のセット(116)および/または前記ホイールの第2のセット(118)の上昇構成または下降構成へのまたはそれらからの移動を制限するように構成された1つ以上の制動、ラッチおよび/または停止手段を含む、請求項14から19のいずれか一項に記載の積荷取り扱い装置(100)。
【請求項21】
本体(102)と、ホイールの第1のセット(116)およびホイールの第2のセット(118)を含むホイール組立体とを備える積荷取り扱い装置(100)が、保管格子(1)の軌道の横方向のセット(22a、22b)を横切って移動することを可能にする方法であって、前記ホイールの第1および第2のセット(116、118)は、ホイール係合手段を備えるホイール位置付け機構によって前記本体(102)に対して移動可能であり、前記方法は、
前記本体(102)の下部に、前記ホイールの第1のセット(116)のホイールを前記軌道の第1のセット(22a)の軌道と接触しないように上昇およびそれと接触するように下降するように構成された少なくとも第1の偏心回転ベースのホイール係合手段を含むホイール係合手段を提供することと、
前記ホイールの第1のセット(116)のホイールを下降させて前記軌道の第1のセット(22a)の軌道と接触するように前記第1の偏心回転ベースのホイール係合手段を制御することとを含む、方法。
【請求項22】
前記ホイールの第2のセットは、前記ホイール位置付け機構によって前記積荷取り扱い装置(100)の前記本体(102)に対して移動可能であり、前記方法は、
前記本体(102)の下部に、前記ホイールの第2のセット(118)のホイールを前記軌道の第2のセット(22b)の軌道と接触しないように上昇、およびそれと接触するように下降するように構成された少なくとも第2の偏心回転ベースのホイール係合手段を提供することと、
前記積荷取り扱い装置(100)が前記ホイールの第1のセット(116)上で前記軌道の第1のセット(22a)の軌道に沿って移動することを可能にするために、前記ホイールの第2のセット(118)のホイールを前記軌道の第2のセット(22b)の軌道と接触しないように上昇するように前記第2の偏心回転ベースのホイール係合手段を制御することとをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
本体(102)と、保管格子(1)の軌道の横方向のセットの(22a、22b)を横切るホイールの第1のセット(116)およびホイールの第2のセット(118)を含むホイール組立体とを備える積荷取り扱い装置(100)の移動を可能にするコンピュータプログラムであって、前記ホイールの第1のセット(116)はホイール係合手段を備えるホイール位置付け機構によって前記本体(102)に対して移動可能であり、前記ホイール係合手段は、前記軌道の第1のセット(22a)の軌道と接触しないように上昇およびそれと接触するように下降するように構成された少なくとも第1の偏心回転ベースのホイール係合手段を含み、前記コンピュータプログラムは命令を含み、前記命令は、前記プログラムがコンピュータによって実行されるときに、前記コンピュータに、
前記ホイールの第1のセット(116)のホイールを下降させて前記軌道の第1のセット(22a)の軌道と接触するように少なくとも第1の偏心カムベースのホイール係合手段を制御するステップを実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項24】
前記ホイールの第2のセット(118)は、ホイール係合手段を備える前記ホイール位置付け機構によって前記積荷取り扱い装置(100)の前記本体(102)に対して移動可能であり、前記ホイール係合手段は、前記ホイールの第2のセット(118)のホイールを軌道の第2のセット(22b)の軌道と接触しないように上昇およびそれと接触するように下降するように構成された少なくとも第2の偏心回転ベースのホイール係合手段をさらに含み、前記コンピュータプログラムは命令を含み、前記命令は、前記プログラムがコンピュータによって実行されるときに、前記コンピュータに、
前記積荷取り扱い装置(100)が前記ホイールの第1のセット(116)上で前記軌道の第1のセット(22b)の軌道に沿って移動することを可能にするために、前記ホイールの第2のセット(118)のホイールを前記軌道の第2のセット(22b)の軌道と接触しないように上昇するように、少なくとも前記第2の偏心回転ベースのホイール係合手段を制御するステップを実行させる、請求項23に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積荷取り扱い装置に関する。特に、本発明は、異なるロケーション間で1つ以上の積荷を移動させるのに適したロボット積荷取り扱い装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット積荷取り扱い装置(「ロボット」または「ボット」)は、積荷をあるロケーションから別のロケーションに移動させるために使用される。それらは、例えば、図1中に図示された保管格子1のような保管システム内および/または保管システム中または保管システムから、例えば、トート、ボックスまたは他のコンテナを移動させるために使用されてもよい。フレーム構造14を含む図示した保管格子1は、水平の部材18、20を支持している複数の直立の部材16を備えている。直立の部材16によって支持されている複数の水平の格子構造を形成するために、平行な水平の部材の第1のセット18は、平行な水平の部材の第2のセット20に直角に配置されている。部材16、18、20は、典型的に、金属から製造されている。コンテナ10は、フレーム構造14の部材16、18、20の間で積み重ねられているので、フレーム構造14は、コンテナ10のスタック12の水平移動に対してガードし、コンテナ10の垂直の移動をガイドまたは制限する。
【0003】
図示する保管格子1はまた、コンテナ10のスタック12の上方に格子パターンで配置された複数のレールまたは軌道22を含み、格子パターンは複数の格子空間を含み、コンテナ10の各スタック12は単一の格子空間のみのフットプリント内に位置付けられる。ボットは、スタックの上方のレールまたは軌道22上で横方向に移動し、少なくとも1つのトートをボットのコンテナ収容空間内に持ち上げることを可能にする、それぞれのコンテナ持ち上げ機構を使用して、格子に対してトートを移動させるように構成される。
【0004】
特許請求の範囲に記載された積荷取り扱い装置、方法およびコンピュータプログラムは、既知の積荷取り扱い装置に対する改良を提供することを意図している。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態によれば、請求項1に記載の積荷取り扱い装置が提供される。さらなる実施形態によれば、請求項10に記載の方法が提供される。別の実施形態によれば、請求項12に記載のコンピュータプログラムが提供される。異なる実施形態によれば、請求項14に記載された積荷取り扱い装置が提供される。別の実施形態によれば、請求項21に記載の方法が提供される。さらに別の実施形態によれば、請求項23に記載のコンピュータプログラムが提供される。さらに別の実施形態によれば、保管システム中のスタックに積み重ねられたコンテナを持ち上げて移動させるための積荷取り扱い装置が提供され、保管システムは、コンテナのスタックの上方に格子パターンで配置された複数のレールまたは軌道を含み、積荷取り扱い装置は、スタックの上方のレールまたは軌道上を移動するように構成され、積荷取り扱い装置は、上部および下部を有する本体と、上部は1つ以上の動作構成要素を収容するように構成され、下部は上部の下に配置され、下部は少なくとも1つのコンテナに適合するためのコンテナ収容空間を備え、本体を支持するように配置されたホイール組立体と、ホイール組立体は、第1の方向に装置の移動をガイドするようにレールまたは軌道の第1のセットを係合するためのホイールの第1のセットと、第2の方向に装置の移動をガイドするようにレールまたは軌道の第2のセットを係合するためのホイールの第2のセットとを備え、ここで、第2の方向は、第1の方向に対して横向きであり、コンテナ持ち上げ機構と、コンテナ持ち上げ機構は、コンテナを係合するように構成されたコンテナ係合手段と、コンテナ係合手段をコンテナ収容空間に対して上昇および下降するように構成された持ち上げ手段とを備え、ホイール位置付け機構とを備え、ホイール位置付け機構は、ホイールの第1のセットをレールまたは軌道の第1のセットと選択的に係合させるか、またはホイールの第2のセットをレールまたは軌道の第2のセットと選択的に係合させるためのホイール係合手段を備え、ホイール係合手段は、本体に対してホイールの第1のセットまたはホイールの第2のセットを上昇または下降させ、それによって積荷取り扱い装置が保管システムの軌道を横切って第1の方向または第2の方向のいずれかに選択的に移動することを可能にするように構成され、ここで、ホイール係合手段は、流体ベースのホイール係合手段を備えている。
【0006】
そのような積荷取り扱い装置、方法またはコンピュータプログラムは、以下の詳細な説明において詳細に説明されるように、積荷取り扱い装置の有用性、ホイール位置付け機構の機械的利点、積荷取り扱い装置内で利用可能な空間の容積、および他の要因に関して、1つ以上の利点を提供できる。任意の特徴は、従属請求項に記載されている。
例を参照してトート取り扱い装置を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、保管格子を概略的に図示する。
図2図2は、積荷取り扱い装置を概略的に図示する。
図3図3は、積荷取り扱い装置を概略的に図示する。
図4図4は、積荷取り扱い装置を概略的に図示する。
図5図5は、積荷取り扱い装置用のホイール位置付け機構を概略的に図示する。
図6図6は、積荷取り扱い装置用のホイール位置付け機構を概略的に図示する。
図7図7は、積荷取り扱い装置用のホイール位置付け機構を概略的に図示する。
図8図8は、積荷取り扱い装置用のホイール位置付け機構を概略的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態は、積荷取り扱い装置の態様をどのように実現するかの好ましい例を表すが、必ずしもそのような態様をどのように実現できるかの唯一の例ではない。
【0009】
図1は、保管格子1を備える保管システムを図示する。保管格子1は、コンテナ10のスタック12上に格子パターンで配置されている複数のレールまたは軌道22を含んでいる。コンテナ10はそれぞれ、アイテムが必要とされるときまで、例えば、コンテナ10内のアイテムのうちの1つについて注文が出されるときまで、保管格子1中に保管される1つ以上のアイテムを収容することができる。代替的に、保管格子1中のコンテナ10のうちの1つ以上は、空であり、1つ以上のアイテムを収容する準備ができていてもよい。
【0010】
保管格子1の格子パターンは、複数の格子空間を含み、コンテナ10の各スタック12は、単一の格子空間のフットプリント内に位置付けられる。図2に中に図示される積荷取り扱い装置100などの複数の積荷取り扱い装置100(「ロボット」または「ボット」)は、スタック12の上方のレールまたは軌道22上を横方向に移動し、コンテナ10の任意の所定のスタック12の上方の格子空間に行き、スタック12から1つ以上のコンテナ10を取り出すように構成される。図示された例において、各ボット100は、保管格子1の上部の単一の格子空間のみを占有する。他の例では、ボットは複数の格子空間を占有することができる。
【0011】
図2中に図示するように、ボット100は、上部112と下部114を有する本体102を備える。
【0012】
上部112は、1つ以上の動作構成要素を少なくとも部分的に収容するように構成される。上部112に収容されてもよい動作構成要素の可能な例は、ボット100の1つ以上の他の構成要素に電力を供給するように構成されたバッテリ191などの1つ以上の電力構成要素、ボット100の1つ以上の他の構成要素を制御するように構成された1つ以上の制御構成要素、保管格子1の軌道22に沿ってボット100を駆動させるように構成された1つ以上の駆動構成要素、およびスタック12からコンテナ10を持ち上げるように構成された1つ以上のコンテナ持ち上げ機構を含む。図示の例では、簡略化のためにバッテリ191のみが示されている。
【0013】
下部114は、上部112の下方に配置されている。下部114は、コンテナ10に適合するコンテナ収容空間120または空洞120を含む。上述のコンテナ持ち上げ機構は、保管格子1中のコンテナ10のスタック12からコンテナ収容空間120に1つ以上のコンテナ10を持ち上げ、コンテナ収容空間120から1つ以上のコンテナ10を、例えばコンテナ10の異なるスタック12上に、コンテナ10の同じスタック12上に、または1つ以上のコンテナ10からアイテムを出し入れすることができるピッキングステーションもしくは保管格子1の出口点(すなわち、コンテナ10が保管格子1を出ることができる点)などの異なるロケーションに降ろすように構成することができる。コンテナ持ち上げ機構は、例えば、1つ以上のコンテナを把持するかまたはそうでなければ係合して保持するように構成されたコンテナ係合手段と、コンテナ係合手段およびコンテナ係合手段によって係合された任意のコンテナをコンテナ収容空間120の内外に上昇および下降するように構成された1つ以上のモータまたは他の持ち上げ手段とを備えてもよい。コンテナ係合手段は、コンテナ把持手段またはグリッパと呼ばれるかもしれない。コンテナ持ち上げ機構は、コンテナ持ち上げ機構が収縮位置にあるときに、本体102の下部114中に少なくとも部分的に収容されてもよい。
【0014】
ボット100が図1中に図示された保管格子1のレールまたは軌道22と係合することを可能にするように構成されたホイール組立体は、本体102の下部114においてボット100の本体102に接続される。保管格子1のレールまたは軌道22は、第1の方向に(図1中に図示されたx軸に沿ってまたは実質的に平行に)伸長するレールまたは軌道の第1のセット22aと、第2の方向に(図1中に図示されたy軸に沿ってまたは実質的に平行に)伸長するレールまたは軌道の第2のセット22bとを備える。図示された例では、第2の方向は第1の方向に実質的に直交する(すなわち、レール22aはレール22bに対して約90°である)が、他の例では、2つのレールのセット間の角度は異なっていてもよい。ホイール組立体は、第1の方向におけるボット100の移動をガイドするために、レールまたは軌道の第1のセット22a中の軌道22aと係合可能であるように構成されたホイールの第1のセット116と、第2の方向におけるボット100の移動をガイドするために、レールまたは軌道の第2のセット22b中の軌道22bと係合可能であるように構成されたホイールの第2のセット118とを備える。
【0015】
図示されたホイールの第1のセット116は、合計4つのホイール、すなわち、ボット100の第1の側(例えば、図2で右側に向かって図示された長い方の側)に位置付けられた2つのホイールと、第1の側とは反対側のボット100の第3の側(図2では適切には見えないボットの第3の側)に位置付けられた2つのホイールとを含む。同様に、図示されたホイールの第2のセット118は、合計4つのホイール、すなわち、ボット100の第2の側(例えば、図2で左側に向かって図示された短い方の側)に位置付けられた2つのホイールと、第2の側の反対側のボット100の第4の側(図2では適切には見えないボットの第4の側)に位置付けられたた2つのホイールとを含む。他の実施形態では、異なる数のホイールが、第1のセットおよび/または第2のセットに提供されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ボット100の1つ以上の側に3つまたは4つのホイールを有することが有利であるかもしれない。
【0016】
ホイール位置付け機構は本体102の下部114に設けられている。ホイール位置付け機構は、ホイールの第1のセット116をレールまたは軌道の第1のセット22aの軌道22aと選択的に係合させてボット100が第1方向に移動できるようにするか、またはホイールの第2のセット118をレールまたは軌道の第2のセット22bの軌道22bと選択的に係合させてボットが第2方向に移動できるようにするホイール係合手段を含む。ホイール係合手段は、図2に図示した実施形態では、それぞれの対のホイールに上昇力または下降力を加えるように構成されたリニアアクチュエータの形態をとる移動手段を含む。
【0017】
図2に図示した例では、第1のリニアアクチュエータ188は、ボット100のより長い可視側(第1の側と呼ぶ)に枢動可能に据え付けられ、ボット100のその第1の側で一対のホイール116に間接的に接続される。図2において116とラベル付けされた2つのホイールは、ホイールの第1のセット116における4つのホイールのうちの2つを構成する。
【0018】
第1のリニアアクチュエータ188は、図示された一対のホイール116をボット100の本体102に対して上昇または下降させ、一対のホイール116を軌道の第1のセット22aの軌道22aから離れるように持ち上げ、または軌道22aに向かって下降させる。対応する第3のリニアアクチュエータ(図2では完全には見えない)が、ボット100の反対側の長い方の側(第3の辺と呼ばれる)に枢動可能に据え付けられ、ボット100のその第3の側で一対のホイールに間接的に接続される。ボット100の第3の側にある2つのホイールは、ホイールの第1のセット116における4つのホイールのうちの他の2つを構成する。第3のリニアアクチュエータは、対応する一対のホイールをボット100の本体102に対して上昇または下降させ、一対のホイールを軌道の第1のセット22aの軌道22aから離れるように持ち上げ、または軌道22aに向かって下降させる。
【0019】
同様に、第2のリニアアクチュエータ189が、図2のボット100のより短い可視側(第2の側と呼ぶ)に枢動可能に据え付けられ、ボット100のその第2の側で一対のホイール118に間接的に接続される。ボット100の第2の側の2つのホイール118は、ホイールの第2のセット118における4つのホイールのうちの2つを構成する。第2のリニアアクチュエータ189は、図示された一対のホイール118をボット100の本体102に対して上昇または下降させ、一対のホイール118を軌道の第2のセット22bの軌道22bから離れるように持ち上げ、または軌道22bに向かって下降させる。対応する第4のリニアアクチュエータ(図2では完全には見えない)が、ボット100の反対側のより短い側(第4の辺と呼ばれる)に枢動可能に据え付けられ、ボット100のその第4の側で一対のホイールに間接的に接続される。ボット100の第4の側の2つのホイールは、ホイールの第2のセット118における4つのホイールのうちの他の2つを構成する。第4のリニアアクチュエータは、対応する一対のホイールをボット100の本体102に対して上昇または下降させ、一対のホイールを軌道の第2のセット22bの軌道22bから離れるように持ち上げるか、または軌道22bに向かって下降させる。
【0020】
4つのリニアアクチュエータは、独立して制御可能であってもよいが、概して、第1のリニアアクチュエータ188および第3のリニアアクチュエータが、それらのそれぞれのホイール116を互いに実質的に同時に上昇または下降するように、および第2のリニアアクチュエータ189および第4のリニアアクチュエータが、それらのそれぞれのホイール118を互いに実質的に同時に上昇または下降するように制御される。これにより、ホイールの第1のセット116の4つのホイール全てが軌道の第1のセット22aの軌道と一度に接触するか、またはホイールの第2のセット118の4つのホイール全てが軌道の第2のセット22bの軌道と一度に接触するかのいずれかが可能となり、ボット100が格子を横切って第1(x)方向または第2(y)方向のいずれかに選択的に移動することが可能となる。
【0021】
有利には、ボット100の本体102に対してそれぞれの対のホイール116、118を上昇および/または下降するように構成された4つのリニアアクチュエータのこの構成は、ボット100が移動方向を変更する(すなわち、第1の方向で軌道の第1のセット22aに沿って移動するように構成された状態から第2の方向で軌道の第2のセット22bに沿って移動するように構成された状態に、またはその逆に変更する)ときに、ボット100の重心の移動を最小限に抑えることを可能にする。例えば、ボット100が軌道の第1のセット22aに沿って第1の方向に移動している場合、(第1および第3のリニアアクチュエータに間接的に接続された)ホイールの第1のセット116は下降構成に維持され、ホイールの第1のセット116は軌道の第1のセット22aの軌道22aと接触し、(第2および第4のリニアアクチュエータに間接的に接続された)ホイールの第2のセット118は上昇構成に維持され、ホイールの第2のセット118は軌道の第2のセット22bの軌道22bと接触しない。
【0022】
ボット100が格子1上の接点に到達し、その移動方向を変更する必要があるとき、第2および第4のリニアアクチュエータは、ホイールの第2のセット118が軌道の第2のセット22bの軌道22bと接触するように、ホイールの第2のセット118を下降することができる。(現在、車両のコンテナ収容空間120内にある任意のコンテナ10およびコンテナ内容物を含む)ボット100の質量の大部分が、ホイールの第1のセット116によって支持されてz方向に静止したままであるため、これは、ボット100の重心の移動をほとんどまたは全く伴わない。ホイールの第2のセット118が軌道22bと接触しているとき、第1および第3のリニアアクチュエータは、ホイールの第1のセット116がもはや軌道の第1のセット22aの軌道22aと接触しないように、ホイールの第1のセット116を上昇させてもよい。(任意のコンテナ10およびコンテナ内容物を含む)ボット100の質量の大部分が静止したままであり、ホイールの第2のセット118によって支持されるので、これも、ボット100の重心の移動をほとんどまたは全く伴わない。次いで、ボット100は、軌道の第2のセット22bの軌道22bに沿って第2の方向に進むことができる。ボット100が再び方向を変える必要がある場合、第1および第3のアクチュエータがホイールの第1のセット116を下降させて軌道22aと接触させている間、ホイールの第2のセット118は軌道22bと接触したままであってもよい。ホイールの第1のセット116が軌道22aと接触しているとき、第2および第4のアクチュエータは、ホイールの第2のセット118を軌道22bから持ち上げ、その結果、ボット100の重量はホイールの第1のセット116のみによって支持され、ボット100は軌道22aに沿って第1の方向に移動することができる。第1、第2、第3、および第4のアクチュエータを使用してホイールのセット116、118を上昇および下降するプロセス全体を通して、ボット100の重心の移動は最小限に抑えられる。
【0023】
ボット100の重心の移動を最小化することは、非常に多くの利点を有することができ、ボットの質量の増加による格子1にかかる力の変化は最小限に抑えられることから、軌道22a、22bおよび格子1の他の構成要素における摩滅を最小限に抑えること、ボット100が方向を変えるとき、格子1の振動および対応するノイズおよび崩壊を最小限に抑えること、ボット100が方向を変えるとき、構成要素に適応される力は最小限に抑えられることから、ボット100の構成要素上の摩滅を最小限に抑えること、ホイールの1セット116または118のみがボット100の本体に対して上昇または下降するように構成された配置に対するリニアアクチュエータに対して力要件を最小限に抑えること(このような実施形態では、ボット100の全体の重量は、ホイールの1つのセットが下降されるときに持ち上げられる必要がある一方で、本明細書の構成では、ホイールの重量およびこれらが据え付けられる構成要素のみが持ち上げられる必要がある)を含み、これは、代替配置においてよりもより軽く、速く、および/または低コストのホイール係合手段(図示した例では、リニアアクチュエータ)を使用することを可能にする。
【0024】
車両の重心の移動を最小化することは、さらに、使用の間にボット100の実質的に一定の高さをもたらすことができる。これは、有利なことに、ボット100の外部、例えば保管格子1の上方または保管格子1の縁部に据え付けられた対応するコネクタまたは他の構成要素と接続または相互作用する必要がある、ボット100に取り付けられた任意のコネクタまたは他の構成要素が、ボット100および/または外部コネクタもしくは他の構成要素を調整することなく、対応するコネクタ/構成要素とより確実に接続または相互作用できることを意味するかもしれない。これにより、保管格子1の周囲に位置付けられた充電ステーションでのボット100の充電などのルーチン動作を、ボットの重心が大幅に上下に移動してボットが方向を変えることができるボットの実施形態よりも効率的で少ない外部入力で行うことが可能になる(そのようなケースでは、ボットが充電機器と係合することができるように、充電機器および/またはボットを上昇または下降する必要がある)。
【0025】
いくつかの例では、ホイールの一方のセット116、118は、他方のセットが上昇されるのと実質的に同時に下降されてもよく、これは、ボット100の重心のより大きな移動をもたらすかもしれないが、有利なことに、ボット100の移動方向を変更するのに必要な時間を短縮することができる。
【0026】
4つのリニアアクチュエータのうちの2つの構成要素と、これらの2つのリニアアクチュエータをそれらのそれぞれの対のホイール116、118に接続する構成要素とは、図3においてラベル付けされている。図示された2つのリニアアクチュエータおよび接続構成要素の共通の特徴を示すために同じ参照番号が使用されている。図示された例では、2つのラベル付けされたリニアアクチュエータは、互いに同一であり、ボット100の他の2つの側にある完全には図示されていないリニアアクチュエータと同一である。したがって、以下の説明は、4つのリニアアクチュエータすべてに等しく適用される。他の例では、リニアアクチュエータは互いに異なっていてもよい。いくつかの例では、ボットの4つの側面上の4つのリニアアクチュエータのうちの1つ以上は、回転モータ、空気圧もしくは油圧ピストン、または代替構成など、異なるタイプの移動手段および/またはホイール係合手段によって置き換えられてもよい。他の実施形態では、2つの係合および移動手段(例えばリニアアクチュエータ)のみが、例えばボットの第1および第3、または第2および第4の側に設けられてもよい。 そのようなケースでは、ボットの重量は、一方のホイールのセットがそれぞれの軌道との接触から外され、他方のホイールのセットがそれぞれの軌道と接触させられると、上昇または下降させられてもよい。
【0027】
各リニアアクチュエータは、それぞれの第1の枢動点P1(図4参照)でボット100の本体102に枢動可能に取り付けられたハウジング318を備える。リニアアクチュエータの伸縮部材316は、ハウジング318に移動可能に接続されている。伸長/収縮部材316は、例えばハウジング318内に位置付けられてもよい対応するモータまたは他の移動手段によって、ハウジング318の中へまたは外へ更に移動されることができる。伸長/収縮部材316は、枢動コネクタ314を介してリンケージ312の第1端に枢動可能に接続されている。リンケージ312は、それぞれの第2の枢動点P2(図4参照)において、ボット100の本体102に枢動可能に取り付けられる。ローラ310は、リンケージ312の第2の端部に回転可能に接続される。フレーム320は、2つのホイール116または118が回転可能に据え付けられたパネル324に取り付けられる。フレーム320は、開口322または凹部322を含み、その中でローラ310が転がることができる。2つの枢動点P1およびP2ならびにフレーム320は、ハウジング318、伸長/収縮部材316、枢動コネクタ314、リンケージ312およびローラ310が受けることができる移動の範囲を制限する。
【0028】
次に、図示の例を参照して、完全収縮(ホイール下降)構成から完全伸長(ホイール上昇)構成への1つのリニアアクチュエータおよびその関係する構成要素の移動について説明する。リニアアクチュエータが完全に収縮した構成にあるとき、伸長/収縮部材316は、ハウジング318内へのその最も収縮した位置にある(図3の左側に向かって、ボットの長い方の側上のリニアアクチュエータの伸長/収縮部材316を参照されたい。伸長/収縮部材316の一部は、完全に収縮した構成において依然としてハウジング318の外側にあってもよい)。したがって、枢動コネクタ314は、ハウジング318に最も近い。リンケージ312は、リンケージ312の第1の端部が(図で見て)第2の枢動P2の右側になるように、第2の枢動P2を中心に枢動する。リンケージの第2端部は、第2枢動P2の左側にある。したがって、ローラ310も第2の枢動P2の左側にあり、フレーム320中の開口322の下面に下向きの押圧力を加える。この下向きの押圧力は、フレーム320によって、ホイールが据え付けられたパネル324に加えられる。したがって、ホイールは、リニアアクチュエータがその完全に収縮した構成にあるとき、それらの下方構成に保持される。ボット100は、完全に収縮した位置または完全に伸長した位置から離れる伸長/収縮部材316の移動を制限するために、1つ以上の制動、ラッチ、または停止手段を含むことができる。例えば、伸長/収縮部材316が収縮構成にあるときに、意図された完全収縮位置を超えるおよび/または伸長構成に向かう伸長/収縮部材316の移動を制限するのを助けるために、制動および/または端部停止がハウジング318内に設けられてもよい。これは、ハウジング318、伸長/収縮部材316、リニアアクチュエータ接続された構成要素への、および/またはボット100の他の構成要素もしくは格子1への損傷を防止するのに役立つことができる。なぜならば、これは、ボット100の支持ホイールが下降構成から上昇構成に予想外に移動するリスクを低減するのに役立つことができ、したがって、格子1上へのボット100の突然の崩壊のリスクを低減するからである。
【0029】
ホイールを下降構成から上昇構成に移動させるために、リニアアクチュエータは、(図の右側に向かって図示される)図3のボットのより短い可視側上の伸長/収縮部材316がある位置に向かって、伸長/収縮部材316をハウジング318からさらに外に駆動する。枢動コネクタ314の移動は、リンケージ312への枢動コネクタ314の接続、および第2の枢動P2の周りを移動するためのリンケージ312の制限によって制限される。したがって、枢動コネクタ314は、第2の枢動P2の周りを円弧を通って移動し、その初期位置の左かつそれよりも低い位置で終了する。枢動コネクタ314(伸長/収縮部材316が接続されるか、または伸長/収縮部材316の一部である)のこの円弧に適合するために、ハウジング318は、枢動コネクタ314が円弧の上向きの曲線上を移動すると最初に時計回りに、次いで枢動コネクタ314が円弧の下向きの曲線上を移動すると反時計回りに、第1の枢動P1の周りを枢動する。(枢動コネクタ314が取り付けられる)リンケージ312の第1の端部は、枢動点P2の制限下で、対応する円弧を通って移動する。リンケージ312の第2の端部は、枢動点P2の周りを対応して移動し、その初期位置の右かつそれよりも高い位置で終了する。ローラ310はそれに対応して移動し、その初期位置の右およびそれより高い位置で終了する。ローラ310の右および上方へのこの移動により、ローラ310が開口322の上面に持ち上げ力を加え、これによりフレーム320がボット100の本体102に対して上昇する。ホイール116、118が据え付けられたパネルに接続されたフレーム320は、パネルおよびホイール116、118をボット100の本体102に対して上昇させる。これにより、特定のリニアアクチュエータに対応するホイール116、118をそれぞれの軌道22a、22bから持ち上げることができる。ホイール116、118がそれらのそれぞれの軌道22a、22bから持ち上げられたとき、他のホイール118、116は、それらのそれぞれの軌道22b、22aと接触したままであり、ボット100が以前とは異なる方向に移動することを可能にしてもよい。リニアアクチュエータは、対応するホイールがボット100の本体102に対して予め定められた距離に持ち上げられるまで、対応するホイール116、118と対応する軌道22a、22bとの間に予め定められた間隙が達成されるまで、または別の基準もしくは閾値が満たされるまで、ハウジング318から伸長/収縮部材316伸長させることができる。ホイール116、118のそれぞれの軌道22a、22bの上方の最小高さは、例えば、ボット100が軌道22a、22bに沿って移動するときの、例えば、ボット100が移動するときのホイール組立体の屈曲による、および/または軌道22a、22bの不完全性による、または他の要因による、ボット100の高さの予想される変形に依存して決定されてもよい。
【0030】
リニアアクチュエータが完全に収縮した位置にあるときの図示されたリンケージ312の角度は、説明のために誇張されている。リニアアクチュエータが完全に収縮した位置にあるときの(図のように、ボットの外側から見たときの)垂直線を越えて時計回りのリンケージ312の角度は、非常に小さいかまたは0である。例えば、垂直線を時計回りに通過するリンケージ312の角度は、0°と5°の間、またはより好ましくは0°と1°の間であってもよい。リンケージ312および接続された構成要素に対して「オーバーセンター」ロック機能を提供することをこれは可能にすることから、角度が0より大きいことは、有利であるかもしれない。特に、ローラ310およびリンケージ312が垂直線を越えて移動することを可能にすることは、ローラ310およびリンケージ312が不安定な「平衡点」を越えて移動され、そこからローラ310およびリンケージ312が独立して移動し(したがって、対応するホイールの予期せぬ上昇または下降を可能にし)、ローラ310およびリンケージ312が(例えば、リニアアクチュエータの駆動手段によって)離れて移動される必要がある安定したオーバーセンター位置まで移動されることを意味するかもしれない。これは、例えば、ホイールが下降位置から予想外に移動するリスクを最小限に抑えるのに役立つことができる。これは、ボット100の本体102が格子1上で崩壊することを回避するのに役立つことができる。それはまた、ホイールを下降構成に保持するためにリニアアクチュエータに必要とされる力を最小化するのに役立つことができる。
【0031】
代替的な例では、リニアアクチュエータおよび関係する構成要素が「ホイール下降」構成にあるとき、垂直線に対するリンケージ312の角度が0であることが有利であるかもしれず、これにより、「ホイール下降」構成と「ホイール上昇」構成との間のより速いおよび/またはより低いエネルギーの移行が可能になるかもしれない。なぜなら、「ホイール下降」構成が、上述したような不安定な「平衡点」を伴う配置に対応できるからであり、構成要素を安定な「オーバーセンター」位置から離れるように移動させるよりも、それぞれの構成要素をそれから離れるように移動させる方が容易であるからである。
【0032】
ホイールを(図3の右側に向かって図示された)上昇位置から(図3の左側に向かって図示)下降位置に移動させるプロセスは、実質的に同様であるが、逆である。リニアアクチュエータは、伸長/収縮部材316をハウジング318内に収縮させる。枢動コネクタ314は、前述した円弧に沿って前述とは反対方向に移動する。リンケージ312は、枢動点P2の周りに対応して移動し、ローラ310を下および左に移動させる。ローラ310は、フレーム320の開口322の下面と接触し、フレーム320に下向きの力を加え、それにより、パネル324およびその上に据え付けられたホイールを、ボット100の本体102に対して下降させる。これにより、ホイールを保管格子1の軌道と接触させることができる。
【0033】
したがって、4つのそのようなリニアアクチュエータを有することは、異なる対のホイールが必要に応じて対応する軌道と係合することを可能にすることによって、「x」構成(すなわち、ボットが図1に図示されたx軸に沿ってまたはx軸に平行に移動することができる構成)と「y」構成(すなわち、ボットが図1に図示されたy軸に沿ってまたはy軸に平行に移動することができる構成)との間のボットの移行を容易にする手段を提供する。
【0034】
図示された実施形態では、各リニアアクチュエータは、ボットの一方の側の右側端部に向かって枢動可能に据え付けられているが、他の実施形態では、図示されたリニアアクチュエータおよび接続構成要素は、他の場所に据え付けられてもよい。例えば、それらは、図示されたリニアアクチュエータおよび構成要素とは逆方向に据え付けられてもよく、即ち、ボットの各側部の中心線の周りに鏡映されてもよく、その結果、リニアアクチュエータは、代わりに左側に向かって枢動可能に据え付けられるか、または他の方法で配置される。
【0035】
上述したように、一方のホイールのセット116、118の上昇は、他方のホイールのセット118、116の下降の直後または下降の間に行われて、ボット100が対応する軌道22a、22bに沿って異なる方向に移動することを可能にする。
【0036】
有利なことに、フレーム320の開口322の下面との接触と、開口322の上面との接触との間で転がることができるローラ310を含む図示の構成は、ホイールを上昇および下降するための滑らかな力の印加を提供する。これは、ホイール116、118が軌道22a、22bと接触させられるときに、ホイール116、118および/または保管格子1の軌道22a、22bによって経験される力の変化を最小化するのに役立つことができる。この構成は、有利には、格子1上のボット1の重量がホイールに加わる時間期間を延長し、格子1および/またはボット100への衝撃を最小限に抑えることができる。これは、ホイール116、118の一方のセットからホイール118、116の他方のセットへの変更によって発生する騒音および振動を低減するとともに、ボット100および格子1の構成要素への損傷を最小限に抑えるのに役立つことができる。
【0037】
図示の例では、フレーム320内の開口322は、輪郭が実質的に矩形である。他の例では、開口322は異なる形状を有してもよい。例えば、開口322は、フレーム320、パネル324および対応するホイールの特定の持ち上げ軌道または持ち上げスピードを達成するような形状とすることができる。例えば、リンケージ312が最初に垂直から離れるように移動されると、リンケージ312の小さい回転角度が、フレーム320および接続された構成要素の大きい程度の上昇に対応し、リンケージ312が垂直からさらに離れるように移動されると、上昇の速度が遅くなることが望ましいかもしれない。他の例では、逆であることが好ましいかもしれず、すなわち、リンケージ312が最初に垂直から離れるように移動すると、リンケージ312の小さい回転角度はフレーム320および接続された構成要素のわずかな持ち上げに対応し、リンケージ312が垂直からさらに離れるように移動すると、持ち上げ速度が増加する。開口は、上述したように、1つ以上の「オーバーセンター」位置を提供するように成形されてもよく、リンケージ312およびローラ310が意図せずに離れるように移動する可能性が低く、すなわち、ローラ310が制限されない限り回転して離れることができる「平衡点」よりもむしろ、ローラ310が離れるように移動させるためにリニアアクチュエータの駆動手段によって加えられる正の力を必要とする。
【0038】
上述したように、1つ以上の端部停止、制動手段またはラッチを設けて、伸長/収縮部材316および/もしくは他の構成要素の、ある位置を越える、またはある位置から離れて移動する制限に役立つことができる。例えば、リンケージ312が「ホイール下降」構成において垂直に対して0°を超えない(または垂直に対して0°を超えてわずかな角度しか超えない)ように意図されている実施形態では、0°の角度までまたはわずかに超えるリンケージ312の移動を制限するために、1つ以上の端部停止を設けることができる。端部停止は、様々な位置のいずれかに設けることができる。例えば、端部停止は、リンケージ312の実質的に垂直な向き(すなわち、0°の角度)に対応する位置を過ぎたローラ310の移動を停止させるためにフレーム320上に設けられてもよい。いくつかの実施形態では、フレーム320の直立端部セクションは、端部停止を構成してもよく、すなわち、フレーム320および/またはリンケージ312に接続された他の構成要素は、ローラ310がフレーム320の直立端部セクションに到達するので、ローラ310がリンケージ312の実質的に垂直な向きに対応する位置を過ぎて回転することができないような寸法および配置であってもよい。代替的または追加的に、端部停止をリニアアクチュエータのハウジング318上またはその内部に設けて、伸長/収縮部材316をハウジング318内に十分遠くまで引っ込めて、リンケージ312が実質的に垂直な向きを越えて近づくことを防止することができる。伸長/収縮部材316上には、ハウジング318内への伸長/収縮部材316の収縮を制限するために、ハウジング318の対応する特徴または表面と係合するようなサイズおよび位置にされた特徴があってもよい。代替的または追加的に、回転停止の形態の端部停止が、例えば、リニアアクチュエータが据え付けられるボット100の構成要素上に設けられて、リンケージ312が実質的に垂直な向きを越えて回転することを停止させてもよい。回転停止は、リンケージ312に隣接して位置付けられてもよく、リンケージ312が意図された最も遠い位置まで回転したときにリンケージ312が回転停止と接触するように位置付けられてもよい。代替的または追加的に、回転停止は、伸長/収縮部材316、枢動コネクタ314、および/またはハウジング318に隣接して位置付けられてもよく、伸長/収縮部材316、枢動コネクタ314、および/またはハウジング318が意図された最も遠い位置まで回転したときに、伸長/収縮部材316、枢動コネクタ314、および/またはハウジング318が回転停止と接触するように位置付けられてもよい。回転停止は、代替的または追加的に、リンケージ312、枢動コネクタ314、および/または伸長/収縮部材316上に位置付けられ、リンケージ312および伸長/収縮部材316が占有できる相対角度の範囲を制限してもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの回転停止が設けられてもよい。1つの回転停止は、例えば、意図された「ホイール下降」構成を超えた構成要素の移動を制限することができ、別の回転停止は、例えば、意図された「ホイール上昇」構成を超えた構成要素の移動を制限することができる。
【0039】
上記の説明では、「ホイール下降」構成に移動するときに実質的に垂直な向きを超えないようにリンケージ312を制限する例が与えられているが、端部停止は、リニアアクチュエータおよび/またはその接続された構成要素の移動に任意の所望の制限を提供するように配置されてもよい。例えば、端部停止は、代替的または追加的に、「ホイール上昇」構成に対応する向き、すなわち、対応するホイールの意図された持ち上げ範囲に対応するある角度を超えて回転しないようにリンケージ312を制限してもよい。これは、有利なことに、ボット100が横断方向に移動することを可能にするために必要以上にホイールが持ち上げられないことを確実にすることを助けることによって、ホイールを上昇する際にリニアアクチュエータによって行われる作業を最小化することを助けることができる。
【0040】
有利なことに、そのような1つ以上の端部停止は、例えば、ボット100の重量または当該のリンケージ312が接続されるパネル324およびホイール116、118の重量により、リニアアクチュエータの駆動手段などのホイール位置付け機構の特定の構成要素によって支えられる必要がある力を最小限に抑えるのに役立つことができる。力またはその成分は、代わりに、端部停止または対応する端部停止の組み合わせ(例えば、ボット100の反対側)によって少なくとも部分的に支えられてもよい。力が、ボット100上のリニアアクチュエータの駆動手段によってのみよりもむしろ、端部停止機能によって少なくとも部分的に支えられので、これはリニアアクチュエータの予想寿命を延ばすのに役立つことができる。
【0041】
上述した端部停止の代わりにまたはそれに加えて、制動手段を、例えばリニアアクチュエータ上またはその内部に設けることができる。制動手段は、上述の端部停止と同様の目的を果たすことができる。例えば、制動手段は、リニアアクチュエータの駆動手段によって支えられる必要がある力を最小化するのを助けることができる。制動手段は、伸長/収縮部材316をクランプして伸長/収縮部材316のハウジング318内への収縮または伸長/収縮部材316のハウジング318からの伸長を制限し、伸長/収縮部材316をハウジングに対して所定の位置に保持するよう構成されたクランプ手段の形態をとることができる。制動手段は、例えば、リンケージ312が実質的に垂直構成(すなわち、垂直に対して0°)のままであるように、伸長/収縮部材316をクランプしてもよい。これは、対応するホイールが下降構成から上昇構成に、またはその逆に予想外に移動しないことを確実にするのに役立つことができる。制動手段は、リニアアクチュエータの一部を形成し、リニアアクチュエータの一部として制御可能な動力付き電気機械構成要素であってもよく、またはリニアアクチュエータとは別個に制御可能な別個の構成要素であってもよい。
【0042】
したがって、端部停止および/または制動手段は、対応するリニアアクチュエータが収縮(ホイール下降)構成、すなわち、所定のリニアアクチュエータに対応するホイールが下降して保管格子1上の軌道22a、22bと接触する構成にあるとき、ボット100の重量の少なくとも一部、および/または、対応するリニアアクチュエータが伸長(ホイール上昇)構成、すなわち、所定のリニアアクチュエータに対応するホイールが上昇して、保管格子1上の軌道22a、22bと接触しない構成にあるとき、ホイール116、118および対応するパネル324の重量の少なくとも一部を支持するのを助けることができる。好ましくは、リニアアクチュエータのそれぞれは、類似または同一の端部停止および/または制動手段特徴を含み、4つのリニアアクチュエータの端部停止および/または制動手段特徴のそれぞれは、対応するリニアアクチュエータが収縮(ホイール下降)構成にあるときのボット100の重量の少なくとも一部を、および/または対応するリニアアクチュエータが伸長(ホイール上昇)構成にあるとき、それぞれのパネル324およびホイールの重量の少なくとも一部を支持するように構成される。したがって、端部停止および/または制動特徴は、リニアアクチュエータの駆動手段が係合されていないときにボットの重量を保持して、伸長/収縮部材316に駆動力を加えるのを助けることができ、および/またはリニアアクチュエータの駆動手段が伸長/収縮部材316に駆動力を加えて、伸長/収縮部材316を対応するハウジング318から伸長させたとき、ホイールおよびホイールが据え付けられたパネルの重量を保持するのを助けることができる。
【0043】
ラッチ手段は、上述の制動手段および/または上述の端部停止に加えて、またはその代替として設けられてもよい。ラッチ手段は、ホイールの動きを、特に所定の位置への動き、または所定の位置からの動きを制限する働きをすることができる。第1の例として、ラッチ手段は、2つの磁石を備える磁気ラッチ機構の形態で提供されてもよく、例えば、一方はリンケージ312またはローラ320に据え付けられ、他方はフレーム324に据え付けられ、これらは互いに引き付けられ、所定の分離力まで互いに、およびそれらのそれぞれの構成要素を実質的に一緒に保持する役割を果たす。第2の例として、プランジャボールローラ(すなわち、ボールを凹部に押し込んでローラ310などの構成要素の邪魔にならないようにすることを可能にする収縮機能を有する凹部内に据え付けられたボール)または別の適切な特徴もしくは機構などの機械的ローララッチの形態のラッチ手段を設けることができる。ラッチ手段は、ローラ310、またはリニアアクチュエータおよび対応するホイール116、118を接続する別の構成要素の移動に対する抵抗を提供する。例えば、ローラ310が「ホイール上昇」構成に移動すると、ローラ310がその対応するリニアアクチュエータによってローララッチ上を移動し(ローララッチをその凹部内に押し下げ)、ローララッチに打ち勝ち、ローラ310が「ホイール下降」構成に移動することを可能にするのに十分な力がローラ310に(すなわち、リニアアクチュエータによって)加えられない限り、ローララッチ上を戻ることを制限されるように、ローララッチは、フレーム320の開口322に設けられてもよい。したがって、ラッチは、ホイールを「ホイール上昇」構成に保持するのを助けることができる。代替または追加のローララッチを適切な位置に設けて、ローラ310が「ホイール下降」構成に移動すると、ローラ310の対応するリニアアクチュエータによって代替または追加のローララッチ上をローラ310が移動し、代替または追加のローララッチに打ち勝ち、ローラ310が「ホイール上昇」構成に移動することを可能にするのに十分な力がローラ310に(すなわちリニアアクチュエータによって)加えられない限り、代替または追加のローララッチ上を戻ることが制限されるようにすることができる。ローララッチに打ち勝つことは、例えば、ローラ310の意図された移動の方向の邪魔にならないように、ローララッチのばね付きまたは付勢された構成要素を変位させることを伴うことができる。ローララッチのばねまたは付勢のレベルは、ローラ310が上昇および下降に関与するパネルおよびホイールの重量の結果としてローラ310が経験する可能性がある力、ボット100の重量、および/または対応するリニアアクチュエータがローラ310に及ぼすことができる力、に対応する抵抗を提供するように選択されてもよい。
【0044】
上述したように、ボット100の本体102に対してそれぞれのついてのホイール116、118を上昇および下降するように構成されたリニアアクチュエータの図示した構成は、有利なことに、例えば、実質的にボットの全体の重量がボット100の移動の方向の変更を容易にするように持ち上げられ、保持される構成よりも少ない電力を必要とする(例えば、ホイールの第2のセットがボットの本体に対して下に移動しており、ホイールの第2のセットを移動面と接触させ、ホイールの第1のセットを移動面と接触させないようい移動することにより、ボットの本体が比較的下降した構成であるとき、動かないホイールの第1のセット上のある方向に、ボットの本体が比較的上昇した構成であるとき、移動可能なホイールの第2のセット上の別の方向に、ボットは移動することができる)。特に、ホイール116、118が下降構成に移動されるときに、図示されたリンケージ312が実質的に垂直方向に移動される構成では、対応するリニアアクチュエータは、ホイール116、118およびホイール116、118が据え付けられる構成要素の重量を超えて支持または持ち上げる必要がないかもしれない。リニアアクチュエータは、特に、ボット100の重量を持ち上げる必要がないかもしれない。構成要素のこの配置は、有利には、リニアアクチュエータの性能要件を低減することができ、それにより、ボットを製造するコストおよび/またはボットを動作させるコストを低減することができる(なぜなら、リニアアクチュエータは、ボットの全重量を持ち上げるために必要とされるリニアアクチュエータよりも、その上昇ストロークおよび下降ストロークを行う際により少ない電力を消費することができるからである)。ボット100の隣接する側面上のリニアアクチュエータが、それらのそれぞれのホイールを実質的に同時に上昇および下降するように構成される(例えば、第1および第2のリニアアクチュエータ188、189が、それらのそれぞれのホイール116、118を実質的に同時に上昇および下降するように構成される、および/またはその逆)実施形態では、リニアアクチュエータは、ボット100の重量を上昇させる必要があるかもしれないが、単一セットの可動ホイールのみを伴う実施形態と同程度の距離を通して重量を上昇させる必要はないかもしれない。
【0045】
有利なことに、リニアアクチュエータと、実質的にボット100の外部およびボット100の下部114に位置付けられた、接続された構成要素とを備えるホイール位置付け機構の図示された構成は、例えば、ボットの構築、サービス、または分解の間に、設置および取り外しが比較的容易であるかもしれない。図示されたホイール位置付け機構は、ボット100から迅速に取り外すことができる比較的「クイックリリース」のホイール位置付け機構、および/または必要に応じて交換モジュールと交換することができる比較的「モジュール式」のホイール位置付け機構を提供することができる。これは、ボットの上部に少なくとも部分的に位置付けられたホイール位置付け機構を有し、したがって、ホイールに到達するためにボットのより多くを通って伸長するより長い構成要素を含むボットと比較したケースに特に当てはまるかもしれない。そのような構成は、ホイール位置付け機構が、構成要素を除去または交換するために十分に露出される前に、ボットのより多くの部分が除去されることを必要とするかもしれない。さらに、図示されたホイール位置付け機構は、例えば、ホイール位置付け機構をボット100の下部114に位置付けることにより、ボット100の本体102内に収容された他の構成要素への妨害されないアクセスを可能にすることによって、ボット100の本体102内に収容された他の構成要素へのアクセスを容易にすることができる。
【0046】
図示された構成はまた、有利なことに、ボット100において比較的小さい空間を消費することができる。構成は、例えば、50mm未満の深さ(例えば、第1のリニアアクチュエータ188についてはy方向の、または第2のリニアアクチュエータ189についてはx方向の、ボット内への寸法)を有することができる。構成は、より具体的には、40mmから45mmの深さを有することができ、特定の実施形態では、44mmの深さを有することができる。この構成は、さらに、比較的狭い幅(例えば、第1のリニアアクチュエータ188についてはx方向の、または第2のリニアアクチュエータ189についてはy方向の、ボットのそれぞれの側面に沿った寸法)および/または比較的低い高さ(リニアアクチュエータのいずれについてもz方向の、ボットのそれぞれの側面に沿った寸法)を有することができる。したがって、図示されたホイール位置付け機構は、ボット100の本体102に対してホイール116、118を上昇および下降するためのホイール位置付け機構の比較的コンパクトな例であるかもしれない。これは、有利には、コンテナ収容空間120および/またはボット100の他の構成要素のために、例えば、より大きな電力構成要素191および/またはボット100の本体102内に収容されてもよい他のタイプの構成要素のより大きなバージョンのために、例えば、制御構成要素、駆動構成要素および/またはコンテナ持ち上げ構成要素のような上部112において、ボット100の本体102内により多くの空間が存在することを意味することができる。これにより、ボットは、対応する構成要素のための空間がより少ないボットよりも迅速に、その作業の他の態様(コンテナ10を上昇または下降すること、または軌道22a、22bに沿って移動することなど)を実行することが可能になるかもしれない。さらに、比較的浅い深さ、狭い幅および/または低い高さのホイール位置付け機構が、代替的なホイール位置付け機構よりも、ボット100の他の構成要素をほとんど妨害しないので、ボット100の保守を簡略化することができる。
【0047】
図示された構成では、ホイール位置付け機構のリニアアクチュエータおよび他の構成要素が見えるが、1つ以上のカバーパネルをボットの外側に設けて、視界から覆い隠し、構成要素を保護することができる。カバーパネルは、例えば、ボット100内の構成要素の保守または交換を可能にするために、容易に取り外しおよび交換できるように配置されてもよい。他の実施形態では、リニアアクチュエータおよび/または他の構成要素は、ボット100の外部パネル上に据え付けられてもよい。そのような実施形態では、リニアアクチュエータおよび/または他の構成要素は、ボット100の通常使用の間に見える。ホイール位置付け機構のリニアアクチュエータおよび他の構成要素は、必ずしも、ボット100の本体102の内部に(すなわち、本体102によって規定される空間内に)設けられる必要はない。それらは、代わりに、ボット100の本体102の外側に設けられてもよく、例えば、本体102の外面に据え付けられてもよいが、クラッディングまたは他の保護層によって保護されてもよい。
【0048】
ボット100の本体102の上部112および下部114は、必ずしもボット100の本体102によって境界付けられるわけではなく、それらは、例えば、本体102の外側の周囲に空間を含んでもよく、その結果、本体102の外側に接続された構成要素(ホイール組立体またはホイール位置付け機構等)は、上側または下部112、114内にあると見なされることができる。
【0049】
ボット100の本体102は、実質的にz方向に伸長する4つのシャフトを含むことができ、1つは本体102の各コーナーの近傍にあり、パネル324は、摺動可能に取り付けられてもよい。例えば、各パネル324は、パネル324の各端部に1つずつ、2つの摺動軸受開口または穴を含むことができ、これらは、対応するコーナーシャフトを受け入れるようなサイズおよび位置にされる。このような構成では、ボット100の4つのパネル324のうちの2つが各シャフトに取り付けられる。パネル324はそれぞれ、リニアアクチュエータ188、189がパネル324を上昇または下降させる(すなわち、z方向に移動させる)と、シャフトを上下に摺動することができる。シャフトを収容する軸受開口または穴は、パネル324の相補的に位置付けられ成形された部分上に位置付けられてもよい。例えば、各パネル324は、パネル324の一端の左下位置に第1の縮小z寸法部分と、パネル324の他端の右上位置に第2の縮小z寸法部分とを含むことができ、各縮小z寸法(または「縮小高さ」)部分は、パネル324のその端部用のそれぞれの軸受開口または穴を含む。2つの縮小z寸法部分は、隣接するパネル324の対応するz寸法縮小部分が同じシャフトを収容し、上下に摺動可能であることを可能にできる。これは、有利なことに、パネル324をボット100の本体102の残りに対して上下にガイドするために、ボット100の各コーナーに単一のシャフトのみが存在してもよく、パネル324の重量は、パネル324の端部における縮小z寸法部分により縮小されてもよいので、ホイール位置付け機構および関係する構成要素に対して必要とされる空間および重量を低減できる。
【0050】
代替的にまたは追加的に、ボット100の本体102は、パネル324が上下に摺動することを可能にするために、それぞれのパネル324に据え付けれたまたはその一部を形成する対応するリニアガイドと相互作用するように配置されたリニアガイドを含んでもよい。リニアガイドは、例えば、パネル324がリニアガイドによってガイドされて上下に摺動することを可能にするための蟻継ぎ特徴(例えば、パネルリニアガイド上の突出部および本体リニアガイド上の凹部、またはその逆)を含むことができる。
【0051】
ホイール116、118は、ホイール116、118がそれぞれの回転軸の周りを回転できるように、それぞれのパネル324に回転可能に据え付けられている。これは、ボット100が軌道22a、22bに沿って移動することを可能にする。ホイールをパネルに対して上昇および下降するよりもむしろ、パネルをボット100の本体102に対して上昇および下降する。換言すれば、ホイール組立体は、ホイールが回転可能であるが他の方法で固定的に据え付けられるパネルを備えるシャーシを含む。ホイールシャーシのそれぞれのパネルは、ボット100の本体102に対して移動して、ホイール116、118を本体102に対して移動させるように構成される。そのようなシャーシを含む図示された構成は、有利なことに、ホイール116、118は、ボット100の重量を支持し、軌道22a、22bに沿ったボット100の移動を可能にするために、意図された位置付けまたは整列から外れて広がる、枢動する、または別様に移動する可能性が、ホイールが搭載されるパネルまたは他の構造に対して上下に移動し、軌道22a、22b上へのホイールの上昇および下降をもたらすようにホイールが配列される、ホイール組立体の代替構成よりも少ないことを意味することができる。これは、図示された構成におけるホイールがより頑丈におよび/またはより堅く据え付けられ、ボット100により大きな剛性を提供することを意味することができる。これは、ボット100が軌道22a、22b上に載って、軌道22a、22bに沿って移動するときに、および/または第1の方向に移動するように構成された状態から第2の方向に移動するように構成された状態に移行するときに、ボット100をより安定させるのに役立つことができる。
【0052】
有利には、ホイール116、118をボット100の本体102に対して上昇および下降するためのホイール位置付け機構のリニアアクチュエータおよび他の構成要素は、図3に図示されるように、ボット100の下部114に位置付けられてもよい。これは、有利なことに、ボット100の重心を下げるのに役立ち、ボットの安定性を改善するのに役立つことができる。ホイール位置付け機構は、有利には、コンテナ収容空間120に隣接して、コンテナ収容空間120の頂部の実質的にまたは完全に下方に位置付けられてもよい。このような位置付けは、特に有利には、コンテナ収容空間120が空であるか、または空であるかもしくは軽い荷物だけを積んだコンテナ10を収容しているときに、ボット100の重心を下げるのに役立つことができる。コンテナ収容空間120またはコンテナ収容空間120の中または外に移動する任意のコンテナ10を著しく干渉、衝突または妨害することなく、ボット100の下部114にホイール位置付け機構をこのように位置付けすることは、選択された構成要素および構成要素の選択された向きによって可能になり、ホイール位置付け機構は、上述のように、1つ以上の比較的狭い寸法を有することが可能になる。他の実施形態では、ホイール位置付け機構の1つ以上の構成要素は、ボット100の上部112に位置付けられてもよい。
【0053】
有利には、4つのリニアアクチュエータのそれぞれを互いに独立して作動させて、ホイール116、118の対の位置付けを互いに独立して制御することができる。これは、軌道22a、22bの表面の不完全性に適合するために、および/または軌道22a、22bの意図的な湾曲に適合するために、ボット100の運動中に個々の対のホイールを上昇および下降するなどの様々な有利な機能性を可能にすることができる。リニアアクチュエータの独立した作動可能性は、例えば、湾曲したおよび/または傾斜した軌道上、ならびに図1に図示された保管格子1上に図示されるような実質的に真っ直ぐで直交して配置された軌道上での移動を促進するかまたはより容易にすることができる。ホイール位置付け機構はさらに、湾曲した軌道22a、22bに適合するのを助けるために、ホイールをそれぞれのパネルに対しておよび/またはボット100の本体102に対して枢動させるための手段を含むことができる。これは、例えば、ホイールの面する方向を変えるためにホイールを回転させる操舵手段、および/またはボット100の移動の方向に実質的に沿ってまたは平行に進むそれぞれの軸の周りでホイールが枢動することを可能にするように構成された傾斜手段を含むことができる。これらのそれぞれの軸は、例えば、ホイールの対の中心を通って進むことができる。
【0054】
リニアアクチュエータまたは代替的なホイール係合手段の伸長および収縮は、電気的に、機械的に、空気圧でまたはその他の方法で制御して、それぞれのホイールが据え付けられたパネルの上昇および下降を制御することができる。
【0055】
いくつかの例では、第2の枢動点P2の両側のリンケージ312の長さは、レバー作用または回転モーメントを最適化するように選ばれてもよい。例えば、枢動コネクタ314(すなわち、リニアアクチュエータの力が加えられるリンケージ312上の点)と第2の枢動点P2との間の距離を最大化して、リニアアクチュエータによって提供される同じ力からより大きな回転モーメントを達成することができる。代替的または追加的に、ローラ310と第2の枢動点P2との間の距離は、フレーム320、パネル324およびホイールの重量からの回転モーメントを低減するために最小化されてもよい。言い換えれば、第2の枢動点P2の両側のリンケージ312の長さは、リニアアクチュエータによって提供される力の効果を増幅するように選ばれてもよい。
【0056】
図示の実施形態では、リンケージ312は直線状である。他の実施形態では、リンケージは直線状でなくてもよい。例えば、傾斜していてもよく(これは、この文脈では、例えば第2の枢動点P2の両側に1つずつ、少なくとも2つの異なる向きの(すなわち相互に傾斜した)セクションを有することを意味し、そのうちの1つ以上は直線であってもよい)、または湾曲していてもよい。リンケージが角度付けられているとき、第2の枢動点P2より下のリンケージの一部分は、非角度付きリンケージ312の文脈で上述したように、垂直線を越えて進むことができないか、または垂直線を越えて小さい角度(例えば、5°未満、または好ましくは1°未満)だけ進むことができるように制限されてもよい。上述したように、リンケージは、1つ以上の端部停止、制動手段、またはラッチ手段によって、第2の枢動点P2より下のリンケージの部分を垂直位置またはその近傍に保持することができる。有利には、角度付きまたは湾曲したリンケージを有することは、リニアアクチュエータによって提供される回転モーメントのさらなる最適化を可能にできる。例えば、リンケージの適切に角度をつけることは、ホイール位置付け機構を配置することを可能にし、リニアアクチュエータがリンケージに力を加える間に、(例えば、リニアアクチュエータが最初にリンケージに力を加えて、リンケージの第2の枢動点P2より下の部分が実質的に垂直である構成からリンケージを移動させるとき、および/または対応するホイールが最も上昇した位置に達するようにリンケージがその回転の最も遠い範囲に近づいているとき)リニアアクチュエータは、リンケージの移動の間のより多くの時間またはより重要な時間にリンケージに90°またはほぼ90°で力を加えることしたがって、リニアアクチュエータの力によって生成される回転モーメントまたはトルクを最大化する、または、(比較的より重要な時間で最大回転モーメントを加えるために)リニアアクチュエータが最大回転モーメントまたはトルクを提供できる時間を最適化する。これは、エネルギー効率を改善し、リニアアクチュエータがそれぞれのホイールを上昇するのにかかる時間を短縮し、および/またはリニアアクチュエータの電力要件を低減するのに役立つことができる。
【0057】
角度付きまたは湾曲したリンケージは、リンケージおよびその接続された構成要素のオーバーセンターロック構成に関して利点をさらに提供することができる。角度付きまたは湾曲したリンケージはまた、ホイール位置付け機構によって占められる空間を減少させることができ(例えば、第1のリニアアクチュエータ188もしくは第3のリニアアクチュエータのケースではx方向、第2のリニアアクチュエータ189もしくは第4のリニアアクチュエータのケースではy方向、および/またはリニアアクチュエータのいずれかのケースではz方向)、それにより、ボット100の本体102内に収容された他の構成要素のための、またはコンテナ収容空間120のためのより多くの空間を可能にすることができる。コンテナ収容空間120のサイズを増大させることは、有利には、ボット100がより大きなコンテナ10に適合することができることを意味することができ、これは、コンテナ10内に保管され、ボット100によって操作されることができるアイテムの数および/または体積を増大させることができる。
【0058】
リニアアクチュエータによって提供される回転モーメントのさらなる最適化は、枢動点P1およびP2の相対的な位置付けを通して達成されてもよい。例えば、枢動点P1およびP2の適切な相対的位置付けは、リニアアクチュエータがリンケージに力を加える間に、リニアアクチュエータがより多くの時間またはより重要な時間にリンケージに90°またはほぼ90°で力を加えること(例えば、リニアアクチュエータが最初にリンケージに力を加えて、リンケージの少なくとも第2の枢動点P2より下の部分が垂直から離れて移動する構成からリンケージを移動させるとき、および/または対応するホイールが最も上昇した位置に達するようにリンケージがその回転の最も遠い範囲に近づいているとき)を意味することができ、したがってリニアアクチュエータの力によって生成される回転モーメントまたはトルクを最大化する。
【0059】
図2から図4に図示される枢動コネクタ314は、伸長/収縮部材316の一体部分であってもよく、またはそれを含んでもよく、さらなる構成要素を含んでもよい。例えば、枢動コネクタ314は、伸長/収縮部材316の端部に位置付けられた一対の開口付きフォークと、フォークの開口およびリンケージ312の対応する開口を貫通するピンとを含むことができる。そのような実施形態では、枢動コネクタ314およびリンケージ312の上端部は、ピンによって一緒に並進移動するように制限されてもよい。
【0060】
図示の実施形態では、リニアアクチュエータおよびその関係する構成要素の完全収縮構成は「ホイール下降」構成に対応し、リニアアクチュエータおよびその関係する構成要素の完全伸長構成は「ホイール上昇」構成に対応する。これは、リニアアクチュエータが収縮力よりも大きい伸長力を生成することができる場合に特に有利であるかもしれない。しかしながら、他の実施形態では、これらの構成は逆であってもよく、すなわち、リニアアクチュエータおよびその関係する構成要素の完全収縮構成は、「ホイール上昇」構成に対応してもよく、リニアアクチュエータおよびその関係する構成要素の完全伸長構成は、「ホイール下降」構成に対応してもよい。そのような構成の一例では、リニアアクチュエータが完全に収縮した構成にあるとき、リンケージは、(ローラが回転可能に取り付けられる)リンケージの第2の(下側)端部が第2の枢動点P2の左側にあり、z方向において比較的高いように、枢動位置にあってもよい。
【0061】
リニアアクチュエータが伸長/収縮部材をハウジングから伸張構成に向かって伸張させると、ローラは、リンケージが枢動点P2の周りを回転するにつれて、枢動点P2の周りを円弧状に右下方向に移動する。リンケージは、リンケージの少なくとも下部(枢動点P2より下)が実質的に垂直な向きに達するかまたはちょうど通過したときに(例えば、上述したように、制動手段または1つ以上の端部停止により)回転を停止することができ、その時点で、ローラは、その円弧の最下点にあることができる。したがって、対応するフレーム、パネルおよびホイールは、それらの下降構成にあってもよい。ホイールを下降構成からそれらの上昇構成に移動させるために、リニアアクチュエータは、伸長/収縮部材を収縮させ、リンケージの少なくとも下部が垂直位置にある構成から離れるようにリンケージを移動させてもよい。したがって、ローラは、リンケージが枢動点P2の周り回転すると左上方に移動し、フレーム、パネルおよびホイールに上向きの力を加え、ホイールを上昇構成に移動させる。
【0062】
上述のように、伸長/収縮部材316は、リニアアクチュエータおよび他の構成要素が「完全に伸長した」構成にあるとき、依然として少なくとも部分的にハウジング318内にあってもよい。同様に、伸長/収縮部材316の少なくとも一部は、リニアアクチュエータおよび他の構成要素が「完全に収縮した」構成にあるとき、依然としてハウジング318から突出するかもしれない。伸長および収縮の完全性は、対応するホイール116、118の意図された最大上昇または下降に基づいて定義されてもよい。完全に伸長した構成および完全に収縮した構成は、上述したように、または他の方法で、1つ以上の端部停止によって区切られてもよい。
【0063】
ホイール位置付け機構のさらなる実施形態が図5に図示されている。図5の例は、ボット100のそれぞれの側に据え付けられるように構成されたリニアアクチュエータ401を含む。図2から図4の例とは異なり、リニアアクチュエータ401は、ボット100のそれぞれの側に固定して(非枢動可能に)据え付けられるように構成される。リニアアクチュエータ401は、伸長および収縮部材403を介して、第1のくさび405に伸長および収縮力を加えて、第1のくさび405を図5に図示したx軸に実質的に沿ったまたは平行な方向に駆動するように構成されている。第1くさび405の傾斜面411には、略T字状の突出部を含む第1リニアガイド407が据え付けられている。第2のくさび413がパネル415に据え付けられており、このパネルは、図2から図4で説明したパネル324と機能が実質的に同じである。第2くさび413の傾斜面421には、略T字状の凹部を含む第2リニアガイド417が据え付けられている。第2のリニアガイド417の略T形状の凹部は、第1のリニアガイド407のほぼT形状の突出部を摺動可能に収容するようなサイズ、形状、および構成である。換言すれば、T形突出部およびT形凹部は、T形突出部がT形凹部に沿って少なくとも部分的にT形凹部内でいずれかの方向に摺動することができるような方法で、蟻継ぎにして互いに係合する。いくつかの実施形態では、1つ以上の「端部停止」特徴が、T形状突出部が摺動することができる距離を制限するように、(例えば、T形状凹部の縦方向端部に)提供されてもよい。
【0064】
パネル415は、パネル415が上下に(すなわちz方向に)摺動することができるが、他のいかなる方向にも移動することができない(すなわちx方向またはy方向に移動することができない)ように、ボット100の本体102上に摺動可能に据え付けられる。パネル415は、例えば、上述したようにパネル324が取り付けられる方法と同様の方法でシャフト上に摺動可能に据え付けられてもよく、または異なる方法で据え付けられるが、パネル415がz方向にのみ移動することを可能にする同様の効果を達成してもよい。パネル415は、追加的または代替的に、ボット100の本体102に据え付けられた1つ以上の対応するリニアガイドと相互作用するように配置された1つ以上のリニアガイドまたは他の特徴を含んでもよい。
【0065】
リニアアクチュエータ401が伸長および収縮部材403を介して第1のくさび405に伸長力を加えるとき、第1のくさび405の移動は、ボット100の本体102に固定的に(移動不能に)据え付けられたブロック419によってさらに制限される。ブロック419は、ブロック419が第1のくさび405のすぐ上でボット100の本体102に固定して取り付けられているために、第1のくさび405が実質的にz方向に移動できないように第1のくさび405を制限する。換言すれば、ブロック419は、z方向における第1のくさび405の移動を妨げる。ブロック419はまた、第1のくさび405がy方向に実質的に移動できないように第1のくさび405を制限することに寄与することができる。図示の実施形態では、これは、ブロック419の下側に据え付けられた第3のリニアガイド423と、第1のくさび405の上面に据え付けられた第4のリニアガイド425との相互作用を通して達成される。第3および第4のリニアガイド423、425は、第1および第2のリニアガイド407、417と実質的に同様であり、一方は、そのそれぞれの据え付け構成要素に沿って長手方向に伸長するT字形突出部を含み、他方は、そのそれぞれの据え付け構成要素に沿って長手方向に伸長するT字形凹部を含む。第1および第2のリニアガイドに関連して上述したように、第3または第4のリニアガイド423、425のT形突出部は、第4または第3のリニアガイド425、423のT形凹部内で少なくとも部分的に摺動するように配置されることができる。(ボット100の本体102に固定的に据え付けられている)ブロック419はy方向に移動することができず、ブロック419に対する第1のくさび405のy方向の移動は、T形突出部とT形凹部との係合によって制限されるので、T形突出部とT形凹部との長手方向の係合は、第1のくさび405がy方向に実質的に移動することができないことを確実にするのに役立つことができる。
【0066】
したがって、リニアアクチュエータ401が伸長/収縮部材403を介して第1のくさび405に伸長力を加えると、第1のくさび405は、実質的にx方向のみに沿ってまたはx方向と平行に移動する。第1のくさび405は、第1および第2のリニアガイド407、417を介して第2のくさび413に対応する力を加える。第1のくさび405によって第2のくさび413に加えられる力は、(第1および第2のリニアガイド407、417が据え付けられる傾斜面411および421の角度によって)x方向およびz方向の成分を有する。第2のくさび413はパネル415に据え付けられ、パネル415は、パネル415がz方向のみにスライドできるようにボット100の本体102に据え付けられているので、第2のくさび413に加えられる力のx方向成分は、パネル415がボット100の本体102に取り付けられるシャフト、リニアスライダ、および/または他の据え付け手段によって弱められる。第2のくさび413に加えられる力のz方向成分により、第2のくさび413およびパネル415は、ボット100の本体102に対して下方に移動する。これにより、(図2から図4の文脈で上述したように、パネル415に据え付けられた)ホイールが下方に移動し、例えば軌道22aまたは22bと接触する。第1のリニアガイド407のT形突出部は、第1のくさび405がx方向(図5の左側)に摺動し、第2のくさび413がz方向(図5の下側)に摺動すると、第2のリニアスライダ417のT形凹部内で摺動する。
【0067】
リニアアクチュエータ401が伸長/収縮部材403を介して第1のくさび405に収縮力を加えるとき、第1のくさび405はx軸に沿ってまたはほぼ平行に、ただし前とは反対方向(図5の右側)に移動する。第1のくさび405は、第1および第2のリニアガイド407、417を介して第2のくさび413に対応する力を加える。具体的には、第1のくさび405の右方向への移動により、第1のリニアガイド407のT形突出部が、第2のくさび413に据え付けられた第2のリニアガイド417のT形凹部に力を加える。第1のくさび405によって第2のくさび413に加えられる力は、第1および第2のリニアガイド407、417が据え付けられる傾斜面411および421の角度によって、x方向(右方向)およびz方向(上方向)の成分を有する。第2のくさび413はパネル415に据え付けられ、パネル415は、パネル415がz方向にのみ摺動できる方法でボット100の本体102に据え付けられているので、第2のくさび413に加えられる力のx方向成分は、パネル415をボット100の本体102に据え付けるシャフト、リニアスライダまたは他の据え付け手段によって弱められる。第2のくさび413に加えられた力のz方向成分は、第2のくさび413およびパネル415をボット100の本体102に対して上方に移動させる。これにより、(図2から図4の文脈で上述したようなパネル415に据え付けられた)ホイールが上方に移動し、例えば軌道22aまたは22bと接触しなくなる。第1のくさび405がx方向(図5の右側)に摺動し、第2のくさび413がz方向(図5の上側)に摺動すると、第1のリニアガイド407のT字形突出部は、第2のリニアスライダ417のT形凹部内で摺動する。
【0068】
上述の例では、T字形突出部は第1のリニアガイド407上にあり、T字形凹部は第2のリニアガイド417上にあるが、他の例では、T字形突出部は第2のリニアガイド417上にあってもよく、T字形凹部は第1のリニアガイド407上にあってもよい。さらに、いくつかの例では、突出部および/または凹部の異なる形状または断面プロファイルが使用されてもよいが、ただし、第1のくさび405がリニアアクチュエータ401によって収縮させられるときに、突出部および凹部の配置が依然として第1のくさび405が第2のくさび413を上昇することを可能にすることを条件とする。例えば、突出部の断面は、円形、楕円形、正方形、または他の形状の部分になるスプールまたは軸を有してもよく、形状の部分は、他方のガイドの対応する形状の凹部と係合するように配置される。第3および第4のリニアガイド423、425は、同様に、1つ以上の蟻継ぎ特徴を有することができ、これらは、上述のように対応する第1のくさび405の移動を制限することを可能にする任意の方法で配置することができる。
【0069】
有利には、図2から図5で図示した例では、ホイール位置付け機構のリニアアクチュエータは、非垂直に向けられる。これに関連して、「向ける」という用語およびその派生語は、リニアアクチュエータの作動(すなわち、伸長および収縮)の方向、および/またはリニアアクチュエータの長手方向軸を指す方向を指す。より具体的には、図5図示される実施形態におけるリニアアクチュエータは、実質的に水平に向けられる。図2から図4に図示したリニアアクチュエータはまた、実質的に水平に向けられてもよいが、前述のように、各リニアアクチュエータがある範囲の向きを占めることができるように、枢動可能に据え付けられる。図2から図4のリニアアクチュエータは、より具体的には、水平と垂直に近づく間、またはより具体的には水平と水平から45°との間のある範囲の向きを占めることができる。リニアアクチュエータのこの非垂直の向きは、有利なことに、リニアアクチュエータによって消費される垂直空間が最小化され、他の構成要素のために上部セクション112内により多くの空間を可能にすることを意味する。所定のリニアアクチュエータのハウジングおよび伸長/収縮部材は、完全に伸長した構成において、実質的にボット100の本体102の下部114内に嵌合することができ、ボット100の本体102の上部112における動作構成要素(例えば、より大きなバッテリ191)のためのより多くの空間を可能にすることを、リニアアクチュエータの非垂直の向きは有利に意味することができる。さらに、上述のように、リニアアクチュエータの非垂直の向きは、例えば、リニアアクチュエータを使用してより大きな回転モーメントが提供されることを可能にする枢動レバー(リンケージ312など)および/または別の回転構成要素を使用して、または、ボットの本体に対してホイールを持ち上げるためにリニアアクチュエータからの入力を出力に拡大する歯車手段を使用して、機械的利点が利用されることを可能にできる。
【0070】
上記の段落では、第3および第4のリニアガイド423、425は、y方向に移動できないように第1のくさび405の移動を制限するものとして説明および図示されているが、リニアガイドに加えて、またはリニアガイドの代替として、第1のくさび405の移動を制約するのを助けるために、1つ以上のさらなる図示されていない構成要素(ボット100のサイドパネルなど)を設けることができる。
【0071】
リニアガイドのうちの1つ以上は、それぞれのリニアガイドの互いに対する摺動を促進するのを助けるために、低摩擦材料の層で作製されてもよく、または低摩擦材料の層を含んでもよい。
【0072】
図5に図示されたリニアアクチュエータを識別するために新しい参照番号(401)が使用されているが、リニアアクチュエータ401は、図2から図4の例に図示されたリニアアクチュエータ188、189のいずれかまたは両方と実質的に同じであってもよい。枢動コネクタ314の代わりに、図5に図示されたリニアアクチュエータ401は、伸長/収縮部材403の遠位端に取り付けられた第1のくさび405を有する。
【0073】
非垂直に据え付けられたリニアアクチュエータを備えるホイール位置付け機構を有するボット100のさらなる実施形態が、説明される。さらなる実施形態では、ホイール組立体内のホイールのうちの1つ以上(すなわち、ホイール116の第1のセット内のホイール116のうちの1つ以上および/またはホイール118の第2のセット内のホイール118のうちの1つ以上)は、ボット100が軌道22aまたは22bに沿って移動するとホイールが回転するホイールの軸から、ホイールの平面内でオフセットされた枢動点で、ボット100の本体102上に枢動可能に取り付けられる。枢動点は、偏心、すなわちホイールの中心から離れていると説明することができる。リニアアクチュエータ(図2から図5に図示されたリニアアクチュエータ318、401、または異なる形態のリニアアクチュエータなど)は、ボット100の本体102上に枢動可能に据え付けられ、リニアアクチュエータの伸長/収縮部材の遠位端で、枢動可能に取り付けられたホイール116または118に接続され、伸長/収縮部材の伸長または収縮は、ホイール116、118に偏心枢動点の周りを枢動させる。この枢動は、ホイール116、118を偏心的に(すなわち、偏心枢動点の周りを)回転させ、ホイール116、118が偏心枢動点の周りで弧を描くと、ホイール116、118の最下点を下降または上昇する。リニアアクチュエータが伸長または収縮されると、ホイール116、118の最下点の下降または上昇は、ホイールが対応する軌道22a、22bと接触または接触しないことを可能にし、保管格子1の軌道22a、22bに沿ったボット100の移動の方向の変更を容易にする。先に説明したホイール116、118と同じボット100の側にある他方のホイール116、118もまた、偏心枢動点の周りにボット100の本体102に枢動可能に据え付けることができ、それぞれのリニアアクチュエータを備えることができ、このリニアアクチュエータもまた、ボット100の本体102に枢動可能に据え付けられ、その伸長/収縮部材の遠位端で、枢動可能に据え付けられたホイール116、118に接続される。2つのリニアアクチュエータは、2つのホイール116、118を実質的に同時に下降または上昇するために実質的に同時に伸長または収縮するように制御されてもよい。ボット100の他の側面のうちの1つ以上におけるホイール116、118は、同様に、それぞれの枢動可能に据え付けられたリニアアクチュエータで枢動可能に据え付けられてもよく、または本明細書に説明される他のタイプのホイール位置付け機構のうちの1つを使用してもよく、またはボット100の本体102の下降または上昇を生じさせるために、代わりに、隣接側上のホイールを上昇または下降することに依存して、ボット100の本体102に移動不可能に固定されてもよい。したがって、この実施形態は、偏心回転ベースとして説明されてもよいホイール位置付け機構およびホイール係合手段を備える。ホイール位置付け機構の1つ以上の構成要素の偏心回転は、ホイール116、118の上昇および/または下降を引き起こす。
【0074】
前の段落で説明したさらなる実施形態の変形では、ボット100の本体102の片側にある一対のホイール116、118は両方とも、ボット100の本体102上に偏心して(すなわち、ホイールの平面内でホイールの中心からオフセットされたそれぞれの点の周りに)据え付けられてもよく、単一のリニアアクチュエータは、2つのホイールの間に、例えば偏心据え付け点からホイールの中心の反対側の点に接続されてもよい。したがって、単一のリニアアクチュエータの伸長または収縮は、ホイール116、118の両方をそれらのそれぞれの偏心据え付け点の周りで偏心回転させ、ホイール116、118の最下点の下降または上昇を引き起こすことができる。これにより、ホイール116、118を軌道22a、22bと接触させたり、接触させなかったりすることができ、ボット100の移動方向の変更を容易にすることができる。ボット100上のホイールの他の対は、同様に偏心して据え付けられ、それぞれの対の両方のホイールに接続されたそれぞれの単一のリニアアクチュエータをそれぞれ設けるか、または本明細書に記載された他のホイール位置付け機構の1つ以上を設けることができる。さらなる変形では、2つのリニアアクチュエータが、ホイール116、118の間で互いに堅固に接続されてもよい。これは、単一のリニアアクチュエータよりも大きな伸長および/または収縮を有利に提供することができる。したがって、この変形はまた、偏心回転ベースとして説明されてもよい、ホイール位置付け機構およびホイール係合手段を備える。ホイール位置付け機構の1つ以上の構成要素の偏心回転は、ホイール116、118の上昇および/または下降を引き起こす。
【0075】
図6は、ボット100の本体102に対してホイールを上昇および下降するように構成されたホイール位置付け機構のさらなる例を図示する。図示の例では、ボット100の本体102上および/または本体内に据え付けるように構成された回転モータ601が設けられている。モータ601の回転出力軸603は、軸受606の開口605に挿入されるように構成されている。軸受606は、コネクタ607の第1の端部608に向かってコネクタ607内に回転可能に据え付けられる。出力軸603および開口605は、開口605を介して出力軸603と軸受606との間で回転が伝達されることを可能にするように構成されてもよい。例えば、出力軸603および開口605は、2つの表面間に十分な摩擦を提供して、回転力が出力軸603から開口605へ、したがって軸受606へ伝達されることを可能にするために、高摩擦表面、例えば、ギザギザの表面、点刻された表面、または別様にテクスチャ加工された表面を有してもよい。いくつかの実施形態では、出力軸603および開口605の表面は、回転力が伝達されることを可能にするように、キー溝および/または溝が付けられてもよい。いくつかの実施形態では、高摩擦コーティングが、出力軸603および開口605の表面に塗布されてもよい。いくつかの実施形態では、出力軸603と開口605との間の嵌合は、回転力の伝達を可能にするのに十分であるかもしれない。
【0076】
出力軸603が開口605と係合するとき、モータ601は、出力軸603の長手方向軸の周りで出力軸603を回転させる。出力軸603の回転は、軸受606を、出力軸603の長手方向軸および開口605の中心の周りで回転させる。図6に図示するように、開口605の中心は偏心している(すなわち、軸受606の中心からオフセットしている)ので、開口605の中心の周りで軸受606を回転させることは、軸受606の中心の上昇または下降、すなわち軸受606の偏心回転を生じさせる。軸受がコネクタ607内で回転すると、軸受606の中心が上昇または下降することにより、コネクタ607が対応して上昇または下降する。図示される実施形態では、さらなる軸受(フレーム613の背後に見えない)が、軸受606からコネクタ607の第2の反対端609に向かって、コネクタ607内に回転可能に据え付けられる。さらなる軸受は、1つ以上の接続点611において、パネル617上に据え付けられたフレーム613に接続される(さらなる軸受内のコネクタ611を示すためにフレーム613の一部が切り取られている)。接続点611は、例えば、フレーム613内の開口であってもよく、それを通してボルト、ピン、または他の締結手段が駆動されて、フレーム613およびさらなる軸受をともに固定し、フレーム613およびさらなる軸受がともに並進して移動するように制限されてもよい。パネル617は、図2から図4および図5の文脈で説明および図示されたパネル324、415と機能が実質的に同様であってもよい。
【0077】
出力軸603がその長手方向軸の周りを回転すると、軸受606を開口605の中心の周りを偏心回転させ、したがってコネクタ607が第1の(上)端部608において、上下に、左右に移動し、軸受606の偏心回転に適合し、さらなる軸受がコネクタ607内で回転してコネクタ607の上端の左右の動きに適合し、(コネクタ607およびフレーム613とともに)上下に移動してコネクタ607の上下の動きに適合する。さらなる軸受の上方または下方への移動は、フレーム613およびパネル617を上方または下方に移動させる。ホイールは、回転可能であるが他の方法でパネル617に固定して据え付けられ、ホイールがフレーム613およびパネル617と共に上下に移動する。したがって、モータ601の出力軸603の回転は、パネル617上に据え付けられたホイールの上昇または下降をもたらし、ホイールを保管格子1の軌道22a、22bと接触させない、またはそれと接触させる。
【0078】
図6に図示されたホイール位置付け機構およびホイール係合手段は、したがって、偏心回転ベースのホイール位置付け機構/ホイール係合手段と呼ばれるかもしれず、その理由は、回転軸受606が偏心軸の周りを回転して、回転可能に据え付けられたコネクタ607を上昇または下降させ、したがってコネクタ607が間接的に接続されたホイールを上昇または下降するからである。
【0079】
図6に図示されたホイール位置付け機構の修正された実施形態では、モータ601は、出力軸の中心からオフセットされた軸の周りを回転する出力軸を有することができる。モータが出力軸を回転させるとき、モータの出力軸は円弧を描く。モータの出力軸は、コネクタ607の第1の(上)端部の開口に回転可能に挿入されてもよい。モータの出力軸がモータによって回転されると、出力軸は、出力軸が移動する円の弧を通ってコネクタ607の開口を移動させる。これは、コネクタ607の第1の(上)端部を上昇および下降し、図6に図示した実施形態で生じたコネクタ607の上昇および下降と同様に、フレーム613およびパネル617の対応する上昇および下降を生じさせる。したがって、この修正された実施形態は、偏心回転ベースのホイール位置付け機構/ホイール係合手段と呼ぶこともできる。これは、クランクおよびカム動作に類似しているとみなすことができる。
【0080】
ボット100には、ボット100のそれぞれの4つの側面上のホイールの対の上昇および下降を引き起こすために、4つのそのような偏心カムベースのホイール位置付け機構が設けられてもよい。代替的に、ボット100には、図6に図示されるような1つ以上の偏心カムベースのホイール位置付け機構と、図2から5に図示されるホイール位置付け機構などの1つ以上の代替的なホイール位置付け機構とが設けられてもよい。
【0081】
図6に図示された偏心回転ベースのホイール位置付け機構の例は、出力軸603を回転させるように構成されたモータ601と、出力軸603の長手方向軸の周りで出力軸603と係合した軸受606とを含むが、他の例は、ボットのホイールの上昇および下降をもたらす1つ以上の構成要素の偏心回転を提供するための異なる回転手段を含んでいてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、非垂直に据え付けられたリニアアクチュエータ(図2から図4に図示されているリニアアクチュエータ188、189など)が、ボット100の本体102上に枢動可能に据え付けられてもよく、軸受606の開口のうちの1つを通って突出するピンを使用して、リニアアクチュエータの伸長/収縮部材の遠位端で回転可能な軸受606に接続されてもよい。ボット100の本体102に据え付けられたさらなるピンは、軸受606の開口のうちの1つを通って突出することができる。リニアアクチュエータの伸長および/または収縮は、次いで、軸受606を本体102に据え付けられたピンの周りで偏心的に回転させ、軸受606が回転するとコネクタ607の上昇または下降および左右の動きを生じさせる。軸受606の偏心回転によるコネクタ607の上昇または下降は、ホイールが据え付けられたパネル617の対応する上昇または下降を生じさせ、それによってホイールを上昇または下降させて軌道22a、22bと接触させないまたはそれと接触させることができる。したがって、この実施形態は、偏心回転ベースのホイール位置付け機構/ホイール係合手段を有するものと呼ぶこともできる。
【0082】
別の実施形態では、モータまたは他の回転生成手段が、ボット100の本体102に据え付けられ、シャフトを介して偏心して据え付けられたホイールを介して(例えば、偏心据え付け点からホイールの反対側の点で)接続されてもよい。回転発生手段の回転は、シャフトがホイールに力を加えて、ホイールをその偏心取り付け点の周りで偏心的に回転させ、ホイールの最下点を上昇または下降させることができる。いくつかの実施形態では、回転生成手段は、シャフトを介してボット100の片側の2つのホイールに接続されてもよい。回転生成手段の回転は、両方のホイールの偏心回転を引き起こすことができ、2つのホイールの最下点の上昇または下降を同時にもたらし、ホイールが軌道22a、22bと接触するまたは接触しないことを可能にする。ホイールは偏心据え付け点の周りを回転するので、この実施形態もまた、偏心回転ベースのホイール位置付け機構/ホイール係合手段を有するものと呼ばれるかもしれない。
【0083】
回転ベースのホイール位置付け機構の変形が図7に図示されている。図示した機構は、図6に示したものと同様のモータ701または他の回転生成手段を組み込んでいる。モータ701の出力703は、カム707の穴705に位置付けられている。カム707は、シャフト711に据え付けられたシリンダ709に隣接する。シャフト711は、ホイール据え付けフレーム713に接続されている。ばね715は、シャフト711、シリンダ709およびホイール据え付けフレーム713を上方に付勢する。カム707は、モータ701およびモータ出力703の作用下で、ばね715がホイール据え付けフレーム713を持ち上げ続けることができる程度を制御する。図7において、カム707は、その「最長」構成で図示されている。換言すれば、カム707の長軸は実質的に垂直に向けられており、従ってシリンダ709、シャフト711およびホイール据え付けフレーム713は可能な限り完全に下降される。これは、例えば、ホイール据え付けフレーム713に据え付けられたホイールが保管システム1の軌道22と接触するために必要とされる構成であってもよい。ばね715は、その最小伸長および最大ポテンシャルエネルギーに保持される。カム707がこの実質的に垂直な向きから離れるように回転すると、シリンダ709、シャフト711およびホイール据え付け組立体713は、ばね715の作用を受けて上昇し、ポテンシャルエネルギーを伸長に変換する。カム707およびシリンダ709の特定の寸法および他の物理的特性に依存して、垂直線に対するカム707の長軸の角度の小さな変化が、ホイール据え付けフレーム713の垂直変位の比較的大きな変化をもたらすことができるので、有利には、図示された構成は、対応するホイールの比較的迅速な上昇および下降を可能にできる。さらに、上昇はばね715の作用下で起こり、下降はモータ701の回転作用下で起こるので、対応するホイールを上昇および下降する比較的低エネルギーの方法であってもよく、これはシステムの全体的な利点に合わせることができる。所望の構成に応じて、シリンダ709は、カム707の長軸の角度が変化すると、シリンダがカム707の外面に沿って回転するように、回転可能に据え付けられてもよい。他の実施形態では、カム707およびシリンダ709の係合面は、互いに摺動するように構成されてもよい。そのような例では、表面は、容易な摺動を可能にするように平滑であってもよく、またはカム707およびシリンダ709のより制御された相対運動を提供するように所望のレベルの摩擦を提供されてもよい。ホイール据え付けフレーム713は、フレーム713の斜め(横方向)の移動を防止するがフレーム713の垂直方向の移動を可能にするガイド内で、積荷取り扱い装置100の本体102上に据え付けることができる。
【0084】
ホイール位置付け機構のさらなる例が図8に図示されている。図示の例では、ポンプシステム801は、加圧流体(鉱油または他の流体など)をチャンバシステム803に提供する。チャンバシステム803内の流体の圧力は、プランジャ805に加えられる力を制御する。プランジャ805は、図7に図示されたホイール据え付けフレーム713と同様のホイール取付フレーム807に接続される。チャンバシステム803内の流体803によってプランジャ805に加えられる力は、ホイール据え付けフレーム807が下降する程度を制御する。プランジャ805は、チャンバシステム803内の上部チャンバと下部チャンバとの間の境界を規定するピストンのように作用することができ、チャンバシステム803の上部および下部チャンバ内のそれぞれの流体の圧力および/または流れは、ポンプシステム801の作用下で制御されて、ホイール据え付けフレーム807が押し下げられる程度を制御し、保管システム1の軌道22に向かってホイールを下降する。いくつかの実施形態では、ホイール据え付けフレーム807の垂直位置は、ポンプシステム801、チャンバシステム803、およびプランジャ805のみによって制御されてもよい。他の実施形態では、他の構成要素またはシステムが、ホイール据え付けフレーム807の垂直位置を制御することに寄与してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ホイール据え付けフレーム807を所定の方向に付勢するために、図7に図示されたばね715などのばねを設けることもできる。そのようなケースでは、ばねおよびシステム801、803、および805は、特定の設計選択および要件に応じて、互いに対向してもよく、または同じ方向に作用してもよい。図8に図示された構成は、流体ベースのホイール係合手段を備える流体ベースのホイール位置付け機構と見なすことができる。流体の特性(体積および/または圧縮性など)は、作用のスピード(すなわち、ホイール据え付けフレーム807および付随するホイールの上昇および下降)、作用の効率性(すなわち、ポンプシステム801に対する入力エネルギー)および/または他の要因を最適化するように選ばれてもよい。
【0085】
積荷取り扱い装置のいくつかの実施形態は、異なる対のホイールを上昇および下降するために上述のタイプのホイール位置付け機構のうちの2つ以上を含んでもよい。例えば、積荷取り扱い装置は、第1の側の一対のホイールを上昇および下降する、積荷取り扱い装置の第1の側に図2から4に図示されたようなホイール位置付け機構と、積荷取り扱い装置の第3の側に図示され、第3の側の一対のホイールを上昇および下降する、積荷取り扱い装置の第3の側に図5に図示されたようなホイール位置付け機構と、第2の側の一対のホイールを上昇および下降する、ボットの第2の側に図6に図示されたようなホイール位置付け機構と、第4の側の一対のホイールを上昇および下降する、積荷取り扱い装置の第4の側に図7に図示されたようなホイール位置付け機構とを含むことができる。いくつかの実施形態は、2つの異なるタイプのホイール位置付け機構、例えば、積荷取り扱い装置の側面1および2上の第1のタイプのホイール位置付け機構と、積荷取り扱い装置の側面3および4上の別のタイプのホイール位置付け機構とを含んでもよく、その結果、同じタイプのホイール位置付け機構は、ホイールの第1のセット116内のホイールの全てを上昇および下降するように構成され、同じタイプのホイール位置付け機構は、ホイールの第2のセット118内のホイールの全てを上昇および下降するように構成される。いくつかの実施形態は、1つのタイプのホイール位置付け機構のみを含んでもよく、例えば、図2から4に図示されたホイール位置付け機構は、積荷取り扱い装置の両側に存在してもよい。
【0086】
本明細書では、用語「n方向の移動」(および関連する表現)(nは、例えば、x、yおよびzのうちの1つである)は、いずれかの方向(すなわち、n軸の正の端部に向けた、またはn軸の負の端部に向けた)における、n軸に実質的に沿ったまたは平行な移動を意味することが意図される。
【0087】
本明細書では、「接続」という用語およびその派生語は、直接接続および間接接続の可能性を含むことが意図される。例えば、「xがyに接続される」は、xが介在する構成要素なしでyに直接接続される可能性、およびxが1つ以上の介在する構成要素を伴ってyに間接的に接続される可能性を含むことを意図する。直接接続が意図される場合、「直接接続された」、「直接接続」または類似した用語が使用される。
【0088】
本明細書において、用語「含む(comprise)」およびその派生語は、排他的な意味よりもむしろ包含的な意味を有することが意図される。例えば、「xはyを含む」は、xが唯一のy、複数のy、または1つ以上のy、および1つ以上の他の要素を含む可能性を含むことが意図される。排他的な意味が意図される場合、「xはyから成る」という言葉が使用され、xがyのみを含み、他に何も含まないことを意味する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】