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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-23
(54)【発明の名称】スライド式レンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20220516BHJP
   F24C 15/20 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
F24F7/06 101B
F24F7/06 101Z
F24C15/20 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557098
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(85)【翻訳文提出日】2021-11-19
(86)【国際出願番号】 US2020026546
(87)【国際公開番号】W WO2020206227
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】62/829,218
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508058169
【氏名又は名称】オーワイ ハルトン グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100134636
【弁理士】
【氏名又は名称】金高 寿裕
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【弁理士】
【氏名又は名称】小磯 貴子
(72)【発明者】
【氏名】ヒルシュマン,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】リューナネン,ヨウニ
(72)【発明者】
【氏名】タン,チュン カイ
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BH03
3L058BH05
3L058BK01
3L058BK09
(57)【要約】
排気装置は、ファンを有するファンプレナムと、遠位端に一以上のジェット流開口部を有して平面ジェット流を生成するよう構成した略平面形状のジェットプレナムと、を有する。ジェットプレナムは、その近位端でファンプレナムに移動可能に取り付けられており、ファンプレナムに対するジェットプレナムの摺動を可能にする。ファンプレナムとジェットプレナムとは、他方の開口部と重なる流れ伝達開口部をそれぞれ有し、各開口部は、ジェットプレナムがファンプレナムに対して移動するすべての位置で重なったままであるような形状としそのように配置され、ファンプレナムの内部とジェットプレナムは流体連結を維持して空気がファンから流れてファンプレナムからジェットプレナムへと流れる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンを有するファンプレナムと、
その遠位端に一以上のジェット流開口部を有し、平面ジェット流を生成するよう構成されているジェットプレナムと、を有する排気装置であって、
前記ジェットプレナムは、その近位端において前記ファンプレナムに移動可能に取り付けられ、前記ファンプレナムに対する前記ジェットプレナムの摺動を可能にし、
前記ファンプレナムと前記ジェットプレナムとは、他方の開口部と重なる流れ伝達開口部をそれぞれ有し、各開口部は、前記ジェットプレナムが前記ファンプレナムに対して移動するすべての位置で重なったままであるような形状と配置とを有し、それによって前記ファンプレナムの内部と前記ジェットプレナムは流体連結を維持して空気が前記ファンから前記ジェットプレナムへと前記一以上の開口部に流れ、かつ前記一以上のジェット開口部を通じてジェット流を形成可能とする、排気装置。
【請求項2】
第2のジェットプレナムを含む少なくとも1つのエンドパネルをさらに備え、
前記第2ジェットプレナムは、前記少なくとも1つのエンドパネルの上端に設けられた一以上のジェット流開口部を備え、
前記上端の前記一以上のジェット流開口部は、前記ジェットプレナムに向けた第2の平面ジェット流を生成する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の平面ジェット流が斜め上向きである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ジェットプレナムが略平面形状を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ファンプレナムによって覆われるように前記ファンプレナムの下に配置した排気口をさらに備え、前記ジェットプレナムの遠位端から前記排気口につながる連続的な煙流ガイドを形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ファンプレナムおよび前記ジェットプレナムの一方が、前記ファンプレナムおよび前記ジェットプレナムの他方よりも大きな煙流伝達開口部を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記煙流伝達開口部同士が、前記ファンプレナムから前記ジェットプレナムに流れる空気を保持する周回密封部で互いに結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ファンプレナムの上部において前記ファンが吸気口を有し、前記ジェットプレナムが完全に後退した位置にあるときに前記吸気口は前記ジェットプレナムのルーバー式グリルで覆われ、それによって空気が前記吸気口に流入することを可能とする、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ジェットプレナムに接続されたモータ駆動装置をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
調理器具の検出された調理状態に応じて前記ジェットプレナムを延長および後退させるように前記モータ駆動装置を制御するように接続した制御装置をさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記調理器具の調理状態が、前記調理器具に接続された通信システムからの信号によって伝えらえる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
調理器具を覆うように構成した延長可能なフード部を備えた固定支持体と、
電動または手動のアクチュエータと、を備え、前記アクチュエータによって、前記フード下の調理器具の作業者が前記調理器具をよりよく見え易くなるように前記フード部を移動させることができる、排気システム。
【請求項13】
前記アクチュエータがモータ駆動される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記アクチュエータが手動である、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
調理器具の状態を示す信号に応答して前記電動アクチュエータを制御するように接続された駆動装置をさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記駆動装置に接続され、前記器具の状態を直接検出するよう構成したセンサ要素によって、前記信号が加えられる、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
2つ以上の排気モジュールを備え、各モジュールが可動フード部を有し、各可動フード部が水平煙流ガイドを形成し、
前記2つ以上の排気モジュールの可動フード部はそれぞれ、他の可動フード部から独立して移動可能であり、
前記可動フード部の下に配置した排気入口によって、調理器具をその下に配置できる、排気システム。
【請求項18】
前記水平煙流ガイドが略平坦である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
その下の調理器具に向かって光を下向きに向けるように配置および配向された照明パネルを有する固定部分によって各フード部が支持される、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
各排気モジュールの可動フード部が他の可動フード部に対して移動可能であり、異なるサイズおよび構造の調理器具をそれらの下に配置できる、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記可動フード部に接続されたモータ駆動装置をさらに備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項22】
調理器具の検出された調理状態に応じて前記可動フード部を延長および後退させるように前記モータ駆動装置を制御するよう接続された制御装置をさらに備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記調理器具の調理状態が、前記調理器具に接続された通信システムからの信号によって伝えらえる、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記2つ以上の排気モジュールのそれぞれの対向する端部に、水平方向に摺動可能な側部囲いを有するエンドキャップをさらに備え、
前記摺動可能な側部囲いは、作業者によって後退させられるか、又は延長されるスロットに入り、かつスロットから出るように移動されるように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項25】
固定吸引プレナムと、前記固定吸引プレナムに近位端で移動可能に取り付けた可動吸引プレナムとを備え、前記固定吸引プレナムは、相互に向かい合う開口部を介して前記可動吸引プレナムと流体連結しており、
前記固定吸引プレナムは排気ダクトに取り付けられ、
前記固定吸引プレナムと前記可動吸引プレナムとの組み合わせにより、調理器具の上方に配置するよう構成した張り出しフード部を形成し、
前記可動吸引プレナムの遠位端に長穴の吸入口を備える、排気装置。
【請求項26】
前記可動吸引プレナムが均一な深さを有する、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記可動吸引プレナムは、ブラケットによって前記固定吸引プレナムに対して保持される、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
可動点検口の後部のダクト内にフィルタがあり、前記点検口を介して前記フィルタへのアクセスが可能である、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
煙の発生源からの煙を排気する方法であって、
ファンを備えるファンプレナムを設ける工程と、
遠位端に一以上のジェット流開口部を有して平面ジェット流を生成するよう構成したジェットプレナムを設ける工程と、
前記ジェットプレナムと前記ファンプレナムの間の流体接続を継続的に維持しながら、前記ファンプレナムに対して前記ジェットプレナムを摺動させる工程と、
前記ファンを作動させて、前記流体接続を通じて前記ジェットプレナムに流れるよう前記ファンプレナム内に空気の流れを生成する工程と、
前記ジェットプレナムの遠位端に平面ジェット流を生成する工程と、を備える方法。
【請求項30】
前記ジェットプレナムの下に前記煙の発生源を設ける工程をさらに備え、
前記煙の発生源は、前記ジェットプレナムの遠位端を越えて水平に延びる遠位境界を有し、
前記ジェットプレナムを摺動させることによって、少なくとも前記煙の発生源の遠位境界にまで前記平面ジェット流の初期方向が延びる位置まで前記ジェットプレナムの遠位端が到達するようにする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ジェットプレナムの下に配置された調理器具の調理状態に基づいて前記ジェットプレナムの摺動が制御される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記ジェットプレナムの下に排気口を設ける工程と、
前記排気口から煙を排気する工程と、をさらに備える請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記一以上のジェット流開口部が前記煙の発生源に向かう、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記平面ジェット流によって前記ジェットプレナム下部の煙を捕捉する、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記ジェットプレナムの下方に第2のジェットプレナムを設ける工程をさらに備え、前記第2のジェットプレナムが、水平方向上方に向けた一以上のジェット流開口部を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記第2のジェットプレナムの前記一以上のジェット流開口部によって、前記ジェットプレナムの遠位端で発生する平面ジェット流と交差する第2の平面ジェット流を生成する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記平面ジェット流と前記第2の平面ジェット流とが一緒になって、前記発生源からの煙が前記ジェットプレナムの下から漏れることを防止する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
煙の発生源からの煙を排気する方法であって、
静止した状態で吸引状態を生成または伝達する固定吸引プレナムを設ける工程と、
排気された煙を吸引するよう構成した一以上の吸引口を遠位端に有する可動吸引プレナムを設ける工程と、
前記固定吸引プレナムと前記可動吸引プレナムの間の流体接続を継続的に維持しながら、前記ファンプレナムに対して前記可動吸引プレナムを摺動させる工程と、
ファンを作動させて前記流体接続と前記可動吸引プレナムとを通じて流れるよう前記固定吸引プレナム内に空気の流れを生成する工程と、を備える方法。
【請求項39】
前記可動吸引プレナムの下に前記煙の発生源を設ける工程をさらに備え、
前記煙の発生源は、前記ジェットプレナムの遠位端を越えて水平に延びる遠位境界を有し、
前記可動吸引プレナムを摺動させることによって、前記煙の発生源から放出されるすべての排気された煙を捕捉する位置まで前記可動吸引プレナムの遠位端が到達するようにする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
調理器具の調理状態に基づいて前記可動吸引プレナムの摺動が制御される、請求項38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本出願は、2019年4月4日に出願した米国仮特許出願第62/829,218号の優先権および利益を主張し、この文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
レンジなどのキッチン調理器具からの汚染物質を換気するための排気フードによって、汚染物質の捕捉と封じ込めとを促進する。つまり、調理の際にキッチンから排出されるすべての汚染物質を確実に捕捉および排気することによって、隣接する占有ゾーンの汚染を防ぐものである。大規模な業務用厨房では、内部に大きな空洞を持つ背の高いフードによってこのような機能を実現しており、これによって煙の変動を減らし易くしている。このようなフードは大型で背が高い傾向があり、キッチン全体の視界を遮ってしまう傾向がある。さらにフードは、全ての煙を確実に捕捉するために、部屋の空気を大量に吸い込む必要がある。内部の空洞がないと、室内の大量の空気を取り込めず、完全に捕捉および封じ込めを行うことが難しくなる。
【0003】
基本的な排気フードは、排気送風機を使って負圧ゾーンを作り、汚染源から廃液を含む空気を直接吸引する。キッチンフードにおいて、一般的に排気送風機が部屋の空気を含む汚染物質を、フィルタを通して吸引し、ダクトシステムを介してキッチンの外へと送り出す。排気フード内に含まれる可変速ファン等の排気送風機は、室内からの廃液を除去するために使用され、通常、汚染源と送風機との間に配置されたフィルタの吸込側に配置される。廃液が生成される速度と汚染源付近での廃液の蓄積状態とに応じて、捕捉と封じ込めを実現する最低点で流量を最小化するように排気送風機の速度を設定することができる。
【発明の概要】
【0004】
用途に合わせて張り出し部を最適化する実施形態、及び、必要に応じた実施形態において、排気フードは、再配置可能な背の低いフードとして機能する浅いジェットプレナムを備える。例えば、フードモジュールを取り付ける際に、設置作業者がジェットプレナムの位置を変更することができる。他の実施形態では、フードの下に配置する特定の器具に合わせてジェットプレナムの位置を変更してもよい。さらに他の実施形態では、調理中の食品を見ることができるように、調理人がジェットプレナムの位置を変更してもよい。ジェットプレナムの位置は、制御システムによって自動的に変更することもできる。
【0005】
制御システムを備えた実施形態の場合、設置作業者が最初にフードの位置決めをした後に、調理人がジェットプレナムの現在の位置決めを行うことができる。
【0006】
このシステムは、水平に移動可能なサイドバリアまたは囲い(skirt)を含み得る。
【0007】
このシステムは、それぞれが独自のジェットプレナムを備えた複数の排気ユニットを並べることによって調理ラインが形成されたモジュール式でああって、各ジェットプレナムが同じ調理ライン内の他のジェットプレナムと独立して配置可能であるようなものであってもよい。
【0008】
たとえば、鉄板や鍋などの特定の調理器具で調理している食品を料理人が見るのが難しい場合があり、その特定の器具の真上にあるジェットプレナムだけを移動させる場合がある。このような場合、調理人は、1つのジェットプレナムを後退させることができる。別の実施形態では、オフ、アイドル状態、および調理中などの調理器具の状態を検出することができるセンサーシステムによってジェットプレナムの動きを自動的に制御する。たとえば、米国特許第9,494,324号では、赤外線センサと高感度温度センサ(sensible temperature sensor)とを用いて器具の状態を検出する装置が開示されている。
【0009】
この開示されたシステムでは、システムからの入力に応答してジェットプレナムの位置を制御することができる。たとえば、調理器具がオフの場合、ジェットプレナムを後退させてもよい。器具がアイドル状態の場合には、ジェットプレナムを部分的に延ばし、器具の調理状態が検出されると、完全に延ばすことができる。実施形態によっては、自動化システムが行う任意のアクションを覆すような制御を調理人が行ってもよい。つまり、調理人は、プッシュボタンを使用する等のユーザーインターフェースを用いたり、手動でジェットプレナムを押したりしてジェットプレナムの位置を制御し、制御システムの指令を覆してもよい。
【0010】
本発明の実施形態の目的および利点は、以下の記載を参照しさらに添付の図面と併せることによって、より容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下、添付の図面を参照して幾つかの実施形態を詳細に説明する。各図において同様の参照番号は同様の要素を表す。添付の図面は、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。必要に応じて、下側の要素を分かりやすくするために一部の要素を図示しない場合がある。
図1A】後退および延長位置にある小型フードとして機能する2つの可動ジェットプレナムをそれぞれ有する2つのモジュールを備えた排気装置の断面斜視図。
【0012】
図1B】本発明の実施形態に係る、浅目のフードをそれぞれ形成するファンプレナムおよびジェットプレナムの概略図。
図1C】本発明の実施形態に係る、深目のフードをそれぞれ形成するファンプレナムおよびジェットプレナムの概略図。
【0013】
図2】本発明の実施形態に係る、ジェットプレナムの内側の部分を示す図であって、ファンからの空気がどのように可動ジェットプレナムを加圧するかを説明する図。
【0014】
図3】本発明の実施形態に係る、排気入口とグリスフィルタとが前方に傾斜している構成を示す図であって、設置面積の観点からの利点を説明する図。
【0015】
図4A】本発明の実施形態に係る、排気ダクトを備えたモジュール式の供給用壁部と、フィルタと、可動吸引フードとを示す図。
【0016】
図4B】本発明の実施形態に係る、可動吸引プレナム用の別の煙流ガイドを示す図。
【0017】
図5A】本発明の実施形態に係る、ジェットプレナムがより延長された位置にある隣接する2つのモジュールとの調理ラインの中間にあって、ジェットプレナムが後退位置にあるモジュールについての2つの視点の一方からの図であって、ファンの入口からの流れを阻害しないように覆っているジェットプレナムの上部にある入口グリルをさらに示す図。
図5B】本発明の実施形態に係る、ジェットプレナムがより延長された位置にある隣接する2つのモジュールとの調理ラインの中間にあって、ジェットプレナムが後退位置にあるモジュールについての2つの視点の他方からの図であって、ファンの入口からの流れを阻害しないように覆っているジェットプレナムの上部にある入口グリルをさらに示す図。
【0018】
図6】本発明の実施形態に係る、床を通じて側面から排気が引き出される4つのモジュールからなる片側調理ラインを示す図。
【0019】
図7A】本発明の実施形態に係る、天井を通じて排気を引き出せるようにするための配管を備えた4つのモジュールからなる片側調理ラインを示す図。
【0020】
図7B】本発明の実施形態に係る、図7Aの実施形態の裏側を横切る断面図であり、煙がダクトを通って天井に取り付けられた排気ダクトへと横方向にどのように伝わっていくかを示す図。
【0021】
図8】本発明の実施形態に係る、8つのモジュールからなる両側調理ラインを示す図であって(片側にそれぞれ4つのモジュール)、ジェットプレナムが異なる位置にあることを示す図。
【0022】
図9】本発明の実施形態に係る、ラインの両端部に配置した排気およびユーティリティ配給筐体を備えた4つのモジュールの実施形態を示す図。
【0023】
図10】本発明の実施形態に係る、隣接する各モジュールから端部のユーティリティ配給筐体に向かって煙を引き込むダクトを示すための、図9のユーティリティ配給筐体の底面図。
【0024】
図11A】本発明の実施形態に係る、側部パネルを備えたキャビネットと可動ジェットプレナムとを形成する単一の排気モジュールの斜視図。
【0025】
図11B】本発明の実施形態に係る、図11Aに示す側部パネルを備えたキャビネットと可動ジェットプレナムとを形成する単一の排気モジュールの断面図。
【0026】
図12A】本発明の実施形態に係る、各排気モジュールのファンプレナムとジェットプレナムを、排気モジュールの残りの部分から分離して、それぞれ2つの異なる視点の一方から示す図。
図12B】本発明の実施形態に係る、各排気モジュールのファンプレナムとジェットプレナムを、排気モジュールの残りの部分から分離して、それぞれ2つの異なる視点の他方から示す図。
【0027】
図12C】本発明の実施形態に係る、ファンプレナムに対してジェットプレナムを保持するためのブラケットを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1Aは、可動ジェットプレナム103および104をそれぞれ有する2つの排気モジュール116Aおよび116Bを備えた排気システム100の断面斜視図であり、付属のファンプレナム119と共に、後退および延長可能な小型フードとして機能する。ファンプレナム119は、ジェットファン118を収容している。ファンプレナム119は、排気ダクト1280を囲む排気モジュール116Aの筐体に固定された状態である。排気モジュール116Aは、互いに隣接して示される2つの排気モジュール116Aおよび116Bのうちの1つである。調理器具は各エンドパネル114の間に配置されるが、そのうちの1つだけが図示されている。各エンドパネル114は、プレナムを囲っており、一連の穴129として示すジェット発生器128に空気を供給する。各穴から放出されたジェット流は合体してジェット発生器128から少し離れたところで平面ジェット流を形成する。エンドパネル114は、図1の紙面とは反対側に配置された独自のジェットファン(図示せず)を有し、ジェット発生器128に空気を供給してもよい。ジェット発生器128が放出した各ジェット流は、水平方向上向きとしても、斜め上向きにしてもよく、ジェットプレナム104のジェット発生器から放出される各ジェット流と交差してもよい。
【0029】
ジェット流は、高速で低質量の空気流であり、ジェット発生器(たとえば、一連の穴129を備えた上記のジェット発生器128)から初期流として周囲の空気塊に放出され、周囲の空気の質量に大きな影響を与えることなく推進力(momentum)を与える。ジェット流の機能は推進力の伝達であり、外部の物質(例:補給空気)を導入して、それによって周囲の空間に質量を追加するようなものではない。初期流が高速で放出されるため、周囲の空気と混合して周囲の空気に推進力を与え、それによって主に周囲の空気塊で構成される平面ジェット流を形成する。初期流の質量がジェット流の総質量に占める割合はごくわずかである。
【0030】
床135内のダクト(図示せず)を介して排気ファン(図示せず)を接続し、排気ダクト1280のプレナム内を負圧にすることで、グリスフィルタ110を介して煙を吸引する。グリスフィルタ110を介して吸引された煙は、排気ダクト1280のプレナムを通って処理システム(図示せず)に運ばれるか、または床のダクトを通って建物の外部に排出される。
【0031】
ジェットファン118は、一方のジェットプレナム103に流体接続されるファンプレナム119の内部容積121を加圧する。ジェットプレナム104の内部を加圧するために同じ構成が存在する。ジェットプレナム103は、ジェット発生器106を有する。ここでは一連の穴139として図示されており、各穴から放出されるジェット流は合体して、矢印141の方向に斜め下向きに向いた平面ジェット流を形成する。ジェットプレナム104も同様の構成である。別の実施形態において、ジェット発生器106またはジェット発生器128を一連の穴ではなく長穴(スロット;slot)の形で実現し、一連の穴と同様の方法で平面ジェット流を形成してもよい。図示されるように、ジェット発生器106の各穴139は、ジェットプレナム103および104が適切に配置された場合に放出されるジェット流が、それぞれのジェットプレナムの下に配置した調理器具の外縁とほぼ交差するように、斜め下に向けられている。調理器具は図面には示されていないが、各調理器具が異なる奥行きを有する場合があり、ジェットプレナム103、104の位置を変えることによって、ジェット流の方向を上述のように変えることができるようにしてもよい。また、さらに外側に延びるより奥行きのある調理器具の場合は、ジェットプレナムをさらに延ばすことによってうまく覆うことができる。ファンプレナム119の内部容積を参照符号121で示すが、近位部では高く延び遠位部では徐々に狭くなるように遠位方向に向かって先細りになり、湾曲面112を形成する様子が観察される。
【0032】
図1B図1Cは、ファンプレナム159とジェットプレナム103の組み合わせと、それらがどのように協働して、延長または後退可能な単一のフード180を効率的に形成するかをより具体的に示す図である。ファンプレナム159は、ファンプレナム159を加圧するファン168を取り囲んでいる。ファンプレナム159は単一の位置にあって、参照符号181で示す位置から182に示す位置にジェットプレナム103を移動させることによってジェットプレナム103を延長または後退させる。奥行きの浅い器具170は奥行きが小さく、奥行きの浅い器具170の外縁174とジェット流185とが交差するよううまく方向づけられるように、ジェットプレナム178が後退位置181にあることが示されている。一方、奥行きの深い器具172は奥行きが大きく、奥行きの深い器具172の外縁175とジェット流185とが交差するよううまく方向づけられるように、ジェットプレナム178が延長位置182にあることが示されている。排気モジュールの後壁158と協働し、ファンプレナム159とジェットプレナム178とが協働して、奥行きの浅い(図1B)及びより奥行きの深い(図1C)のフードとして双方の条件で機能し、奥行きの浅い器具170及びより奥行きの深い器具172からの煙を捕捉するよう機能することが観察されるであろう。この機能は、ジェットプレナム104、および任意の特定の実施において存在し得る他の任意のジェットプレナムでも提供できることが理解されよう。
【0033】
再び図1Aを参照すると、ジェットプレナム103および104はそれぞれ湾曲した端部102を有しており、これによって、その表面に沿って空気を誘導し易くし、ジェット発生器106から放出するジェット流を供給する。第2のジェットプレナム104は、ジェットプレナム103に隣接して示されている。ジェットプレナム103は、排気モジュール116Aに移動可能に取り付けられ、ジェットプレナム104は、排気モジュール116Bに移動可能に取り付けられている。矢印141は単一の狭いジェット流のように示されているが、ジェット発生器106のすべての穴139からのジェット流の集合が合体して平面ジェット流を形成すると理解できる。
【0034】
各排気モジュール116Aおよび116Bは、実質的に同じ構成であり得る。それぞれのジェットプレナム103、104は、調理器具の種類や大きさに応じて各位置に設定することができる。異なる実施形態に応じて様々な時点で、ジェットプレナム103、104の再配置を行ってもよい。たとえば、幾つかの実施形態では、ジェットプレナム103、104の位置は、調理器具の設置作業者によって確立または調整される。さらなる実施形態では、ジェットプレナム103、104の位置は、調理器具を使用する料理人によって確立または調整されてもよい。さらなる実施形態では、ジェットプレナム103、104は、ジェットプレナムの位置を制御するモータ駆動装置の制御装置が受信した調理状態データに従って自動的に配置され得る。
【0035】
水平に移動可能な側部囲い108は、不透明でも透明でもよく、一体になったハンドル109によって水平方向に調整可能である。可動である側部囲いの一部は隠れているが、パネル117の内側からスライドして外に出てくる。
【0036】
図2は、(上部206が通常の位置から持ち上げられた)ジェットプレナム103の内側の部分を示す図であって、(入口グリル208の下にあって、本図面では見えない)ファンからの空気がどのように可動ジェットプレナム103を加圧するかを説明する図である。参照符号121で示すファンプレナム119の筐体の下にあるファンプレナム119の内部は、ファン118によって加圧される(図1A参照)。ファン118は、空気入口グリル208の下にあり、それに接続されている。図2では、ジェットプレナム103の上部206を外してジェットプレナム103の内部容積214の様子を示している。この内部容積は、上部206が所定の位置にあるときには幅の狭い長穴部202を通して空気を受け入れる開口部201を除いて完全に囲まれている。この狭い長穴部は、ファンプレナム119の内部と流体連結しているので、入口グリル208を通して引き込まれた空気は、ファンプレナムに流れ込み、スロット202を通って内部容積214に上に流れ込み、ジェット発生器106から空気が排出されることになる。開口部201は長穴部202よりも実質的に大きく、ジェットプレナム103が移動しても、長穴部202と開口部201は重なり合ったままであり、加圧されたファンプレナム119からジェットプレナム103内部容積214に空気を流すことができる。パネル204、210は、ジェットプレナム103の外縁を形成する部分を示している。一部分のみが示されているが、上部206が取り付けられると、パネルによってジェットプレナム103の内部容積214を一周して完全に囲むことが分かる。但し、上部206はジェットプレナムの一部であり、説明のために、ジェットプレナムの他の部分から分離して示されていることに留意されたい。
【0037】
図3は、排気入口とグリスフィルタ310とが前方に傾斜している構成を示す図であって、全体的な設置面積の観点から、排気モジュールおよび器具の全体的な奥行きの点でこのような配置の利点を示している。器具3302は、移動可能に接続されたジェットプレナム302を備えるファンプレナム308の下に配置される。上述したように、ジェットプレナム302は、ファンプレナム308に対して移動することができる。湾曲した矢印によって、ファンプレナム308からの空気が長穴部319を通過してジェットプレナム302に入って加圧し、それによってジェット発生器316から斜めの平面ジェット流を形成する様子を示している。この構成は、図1Aおよび図2の実施形態と共通する要素を有しており、特に、ファンプレナム308およびジェットプレナム302の形状および配置、ジェット流の方向、および平面ジェット流323が器具3302の前縁と交差するような向きとなっている点で共通している。
【0038】
煙を排出する方法において、平面ジェット流323の(破線で示した)初期方向が器具3302の遠位境界に到達するか、またはそれを超えて延びる位置に到達するまでジェットプレナム302を移動させてもよい。これにより、平面ジェット流323は、ジェットプレナム302の下で煙を捕捉し、(フィルタ310を通過した後)ダクト領域315だけを通って煙が出ていくようにできることがわかる。
【0039】
ファンプレナム308のファン304は、ジェットプレナム302の平らな上部領域に配置され得るグリル306を通して空気を引き込む。グリル306の開口部309を備えたジェットプレナムの上部は、この上部が少なくともファンの入口305よりも高くなるように、開口部309が打ち抜かれて形成された単なる平板であってもよい。ファンモータ307は、遠心送風機であるジェットファン304を駆動する。
【0040】
なお、幾つかの実施形態では、平面ジェット流323は、器具3302の前縁3378を越えて通り過ぎることがある。たとえば、幾つかの実施形態では、器具3302がオーブンなどの前開きの装置であって、平面ジェット流323の最適な位置は、前縁3378を超えて延びる開く扉から放出される煙を確実に捕捉および封じ込めし易くするよう、斜めにさらに外側に向けられてもよい。
【0041】
前方に傾斜したグリスフィルタ310は、各実施形態に応じて、煙を下向きまたは上向きに排出できるようにしてもよい。本図では、ダクト領域315と、電気や燃料などの供給管路のために確保したさらなるダクトまたはチャンバ317を介して、煙を天井に向けて排気している。図1Aおよび図2の構成とは違って、煙の配管315が、図1Aの構成の場合のように調理器具3302の後方に位置するのではなく、器具の上方に位置しているため、必要なスペースが少なくて済むことがわかる。このように、器具3302を内側に(図面上では左側に)移動させることができるので、排気システムと器具3302とを組み合わせた奥行き寸法空間、すなわち設置面積をより小さくすることができる。下向きに煙を流す構成では、煙のダクト用のスペースがもっと必要である。煙の流れを示す矢印312を参照のこと。
【0042】
図4Aは、本発明の実施形態による、モジュール式の供給用壁部(modular services wall)414とその内部の排気ダクト420と、グリスフィルタ412および可動吸引フード406とを示す図である。本実施形態では、固定ファンプレナムとジェットプレナムを設ける代わりに、固定された吸引プレナムによって可動吸引プレナムの吸引を行い、排気ダクトに供給されるのが吸引であって、別個のジェットファン(たとえば、図3の304)が存在しないという点でジェット流の流れが異なる以外は前述の構成と類似している。
【0043】
モジュール式の供給用壁部414は、電気ケーブル、導水管、排気ダクト420および供給ダクトなどの供給導管(ただし、排気ダクト420を除いて図示されない)のための内部空間を備えたキャビネットである。可動吸引プレナム406は、モジュール式供給用壁部414内の排気ダクト420の内部を介して固定吸引プレナムに直接吸引が行われることを除いて、図3を参照して説明したのと同様の方法で固定吸引プレナム408と相互接続する。具体的には、可動吸引プレナム406の開口部419が細長い長穴部418の上にあり、固定吸引プレナム408に対する可動吸引プレナム406の位置の範囲で、固定吸引プレナム408の内部と可動吸引プレナム406との間の流体連続性が得られる。この構成は、図1B図1Cのジェット流の実施形態に示されるように、単一のフードとして動作する。すなわち、固定吸引プレナム408と可動吸引プレナム406とが協調して、調整可能な奥行きを有する単一のフードとして機能する。
【0044】
理解されることではあるが、煙を排出する方法は、可動吸引プレナム406の下に調理器具402を配置し、(固定吸引プレナムを介して)可動吸引プレナム406内で吸引を発生させ、調理器具からの煙を捕捉するよう可動吸引プレナム406を延長したり後退させたりする工程を含む。器具402がアイドルモードにある場合、器具は少量の排気ガスを生成するだけなので、可動吸引プレナム406を後退させておいてもよい。一方、器具402が調理モードにあるとき、より多くの煙が発生する。この状態では、矢印409の一方側で示すように、可動吸引プレナム406をダクト420から離れるように延ばして、調理器具402のより大きな部分が可動吸引プレナム406で覆われるようにして、より多くの煙を捕捉することができるようにする。この方法は、器具の調理状態に応じて、可動吸引プレナム406の延長および後退を自動制御する工程を備えてもよい。可動吸引プレナム406の前縁を越えて漏れる煙が検出された場合に、この自動制御を行うことも可能である。ある量の煙の漏れが検出された場合、可動吸引プレナム406を一定量延長してもよい。このプロセスは、煙の漏れがなくなるまで、または漏れる量がしきい値を下回るまで繰り返してもよい。
【0045】
グリスフィルタ等のフィルタ412は、ダクト420の内側に配置され、取り外しおよび洗浄のために点検口(access hatch)410を通じてアクセス可能である。固定吸引プレナム408は、開口部417を介してダクト420に取り付けられる。固定吸引プレナム408は、ファン422が生成するダクト420内の吸引によって、可動吸引プレナム406の端部の入口長穴部405に煙を引き込むように、任意の適切な手段によってダクト420に取り付けても、取付けて密封されてもよい。可動吸引プレナム406は、両方向矢印409によって示されるように、滑らせて出し入れすることができる。リニア軸受け等の可動摺動アタッチメントを使用して、可動吸引プレナム406を固定吸引プレナム408と係合させておくことができる。固定吸引プレナム408と可動吸引プレナム406の下に、調理器具402が示されている。調理器具402は、揺動式の扉404を備えるが、扉が開くと煙が放出される。煙は、湾曲矢印429によって示されるように、入口長穴部405を通って可動吸引プレナム406内に引き込まれ、可動吸引プレナムの開口部419、固定吸引プレナムの長穴部418、開口部417を通って、ダクト420内に入り、最終的にフィルタ412を通過する。フィルタ412は、グリスフィルタ、メッシュフィルタ、またはその両方を組み合わせたものであってもよい。フィルタ412は、図示するブラケットとブラケット423とによって所定の位置に保持され、各ブラケットは開口部または隙間を有し、図示するように煙が長穴部423を通って流れるようになっている。なお、ここで示した種類のフィルタは、矢印425でも示すように、正面からの煙の流れを受け入れ、端部からその煙が流出していくようになっている。バッフルフィルタを使用する場合は、ブラケット415、423には開口部や隙間が必要ない。
【0046】
可動吸引プレナム406を移動させることにより、入口長穴部405の位置を自由に変更できることが明らかである。可動吸引プレナム406は、留め具、掛け金、または(たとえば、図示しないモータによって駆動される)機械駆動装置を含む任意の適切な手段によって固定吸引プレナムに固定することができる。入口長穴部405を移動させることによって、器具402から放出される煙を最も効果的に捕捉および閉じ込めることができるよう吸引点を最適化することができる。前述の実施形態のように、可動吸引プレナム406の位置は、器具402を設置または変更する設置作業者または作業者によって設定してもよい。たとえば、より大きな調理器具402の場合は、可動吸引プレナム406を外側、すなわち図面において右側に移動させることで対応することができ、一方、より小さな調理器具402の場合は、可動吸引プレナムを内側、すなわち図面において左側に移動させることで対応することができる。
【0047】
封止部442および441を準備して、可動吸引プレナムに取り付けてもよく、低摩擦の滑動とし、重なり合う長穴部418と開口部419とによって形成される空気の通路を密封することができる。
【0048】
固定吸引プレナム408は、モジュール式の壁部ダクトに取り付けるのではなく、図6に示すような排気モジュールに取り付けてもよい。このような実施形態では、煙の流れは、図6の実施形態のように下向きにすることができる。
【0049】
幾つかの実施形態では、可動吸引プレナムの端部に参照符号407Aで示すような前方煙流ガイドを設けて、吸引領域を下方向に向けることができる。この407Aの実施形態は、可動吸引プレナムの端部に取り付けた角度の付いた平板が示されている。さらなる実施形態では、煙流ガイドは、図4Bの407Bに示すように垂直であってもよい。
【0050】
図5Aおよび図5Bは、調理ラインの中間(モジュール262と266の間)にある単一の排気モジュール264の背面図および正面図である。ジェットプレナム242が後退位置にあって、隣接する2つのモジュール262および266のジェットプレナム244および246は、より延長された位置にある。各調理器具は示されていないが、ジェットプレナム246、242、および244下の特定の器具に合うように各調理器具のそれぞれの場所が設定されており、ジェットプレナム242は、(図面には見えない)取り付けられたファンプレナムと組み合わされる。また、ジェットプレナム部分の上部に入口グリル240の輪郭が示されており、流れを妨げることなくファン入口を覆っている。各排気モジュール262、264、266は、それぞれ独自のファンプレナムおよびジェットプレナム245および247を有し、ジェットプレナム242と連結するファンプレナム243は、図5Aの図ではジェットプレナム242によって隠れているが、図5Bにはこの様子が観察される。図1Aのように、ジェット発生器106と各穴139も示されている。
【0051】
図6は、床を通じて側面から排気が引き出される4つのモジュールからなる片側調理ラインを含むシステム601を示す図である。側面プレナム630および632は、床634を通じて排気環状部(collars)に接続される。煙は、各モジュール610、612、614、および616のグリスフィルタ638を通じて吸引される。モジュール610、612、614、および616間のダクト接続部を介して側面プレナム630および632にこの煙を運ぶ、または、各モジュール610、612、614、616から、床のダクトに接続する環状部を介して直接下方へと煙を誘導してもよい。図示するように、ジェットプレナム600、602、604、および606は、それぞれの下に配置される器具に応じて様々な位置にある。ここでも各モジュール610、612、614、616は、各モジュールに接続されたジェットプレナム600、602、604、606をそれぞれ有する。煙が直接下に引き込まれる実施形態では、プレナム630および632は、火災安全システム用の水用の弁(参照符号624で示す消火ノズル)、電気接続、ガス接続などの供給のための分配キャビネットとして機能し得る。 側部囲い620は、図1の実施形態のように、ハンドル622によって水平方向に移動可能である。本例では、調理ラインの両端に側部囲い620が設けられる。
【0052】
図7Aは、天井を通じて排気を引き出せるようにするための配管を備えた4つの排気モジュール372、374、376、および378からなる片側調理ラインを示す図である。図7Bの断面図に示すように、上昇ダクト354および352は、後部で側方ダクト360に接続される。4つの排気モジュール372、374、376、および378はそれぞれ、ジェットプレナム782、784、786、および788を有する。図7Bは、図7Aの実施形態の裏側を横切る断面図であり、煙がダクトを通って天井に取り付けられた排気ダクトへと横方向にどのように伝わっていくかを示す図である。各湾曲矢印362、364、366、368は、排気モジュール372、374、376、および378のフィルタを通る煙の流れをそれぞれ示している。垂直ダクト領域382、384、386、および388をそれぞれ通って、煙が側方ダクト390へと導かれ、上昇ダクト352につながる開口部391Aおよび上昇ダクト354につながる開口部391Bを通って流れ出る。参照符号256は、複数の消火ノズルの一つを示す。
【0053】
図8は、8つのモジュールを含む両側調理ラインを示す図であって(互いに反対方向を向いた片側同士600に4つのモジュール)、ジェットプレナム802、804、806、808、810、812、814、816がそれぞれの位置にあることを示す図である。個々のモジュールは、背中合わせに配置された4つのモジュールが2組あることを除いて、図6に示すものと同じである。
【0054】
図9は、ラインの両端部に配置した排気およびユーティリティ配給筐体(service supply housing)を備えた4つのモジュール972、974、976、および978の実施形態を示す図である。排気およびユーティリティ配給筐体902および904は、水等の防火液体、飲用水供給、電力供給、天然ガス配管、データ信号線を送達する導管、ならびに排気用のダクトを収容する。煙は、図10に示すように引き込まれる。図10は、図9のユーティリティ配給筐体の実施形態の底面図であって、隣接するモジュールから両端のユーティリティ配給筐体に向かって煙を引き込むダクトを示す。この配置は、図7Bに示したものと概ね同じであり、各モジュールのフィルタプレナムは、垂直ダクト952(分かりやすくするために2つのモジュールのみを示しているが、隣接するモジュールの数は問わない)によって、ユーティリティ配給筐体904内のダクトに両端で(図では一端のみを示す)取り付ける側方ダクト950に接続される。
【0055】
図11Aは、側部パネル1120、1122を備えたキャビネット1116と、上述のファンプレナム(たとえば、ファンプレナム119)のように、固定ファンプレナム1112上で可動に支持された可動ジェットプレナム1114とを形成する単一の排気モジュールの斜視図である。可動ジェットプレナム1114は、上記の実施形態のように、その端部に、ジェット流を生成するための一連の穴1118または細長いスリット(図示せず)を有する。照明器具は、参照符号1120に示すように、固定ファンプレナム筐体上に配置することができる。参照符号1133は、電気ケーブルの通路を示す。調理器具からの煙は、フィルタ1110を介して吸引され、構成に応じて下方向または上方向に伝わる。図11Bに示すように、排気モジュール1116は、下向きのダクト1140を有し、そこを通って煙が矢印1142および1144に沿って通過する。煙は、第1段グリスフィルタ1110を通過し、次にメッシュ型フィルタ等の第2段フィルタ1138を通過する。上記のように、第1段グリスフィルタ110は、煙が一面から入り、端部から出るタイプのものである。ファンプレナム1121を加圧するジェットファン1155がファンプレナム内に見られる。ファンプレナム1121は、図1Aの構成よりも短い筐体を有するが、ジェットプレナム開口部に供給して後者を加圧する長穴部用の十分なスペースが依然としてあることがわかる。
【0056】
図12A図12Bは、個々の排気モジュールのファンプレナムとジェットプレナムを、排気モジュールの残りの部分から分離して、それぞれ2つの異なる視点から示す図である。ジェットプレナム1202は、図1A他に示されるものと同じ構成である。全体的な形状は、ファンプレナム1204に対する摺動性を向上させるように均一な深さを有するものであることがわかる。ジェットプレナム1202は、ファンプレナム1204の長穴部1206およびジェットプレナム1202の開口部1208からの空気通路を密封し易くする低摩擦滑動部の上に載っている。図12Bに、ファン空気入口1210を示す。開口部1208は、ファンプレナム上の長方形の囲い部1214内に嵌合して、開口部1208と長穴部1206との間で密封部を形成する長方形の囲い部1212によって囲まれていることが分かる。なお、代替的な実施形態では、参照符号1208で示されるような大きな開口部がファンプレナム1204に配置され、小さな長穴部1206がジェットプレナムに配置されてもよい。また、ジェットプレナム1228が均一な深さがあるので、ファンプレナム1204に対するジェットプレナム1202の移動が容易となる。ファンプレナムは、ジェットプレナム1202をファンプレナム1204に対して保持するために、U字形のブラケットを備えていてもよい。たとえば、図6の参照符号627および図12Cの参照符号627で示すブラケットを参照。設置者が新しい器具を設置する場合など、ジェットプレナム1202がめったに動かされない構成に特に適合して、他のタイプの締め具や固定具を使用してもよい。照明器具1216は、ファンプレナム1204の底部にある。
【0057】
前述の実施形態の長穴部及び開口部において、ジェットプレナムおよびファンプレナムを固定フード部で置き換えてもよく、ファンプレナムを置き換えるものが、後退および延長可能であって、ジェットを生成しない固定小型フードであるようにしてもよい。たとえば、そのようなさらなる実施形態によれば、本発明は、調理器具を覆うように構成した延長可能なフード部を備えた固定支持体を備えた排気システムを含む。延長可能なフード部は、固定支持体に移動可能に取り付ける。固定支持体は、電動式または手動のアクチュエータを備えており、作業者かフードまたは調理器具の設置作業者が、器具またはキッチンの状態に最適化された所望の位置にフード部分を移動できるようにしてもよい。
【0058】
実施形態によれば、本発明の排気装置は、ファンを有するファンプレナムと、略平面形状のジェットプレナムであって、その遠位端に一以上のジェット流開口部を有して平面ジェット流を生成するよう構成したジェットプレナムと、を有する。ジェットプレナムは、その近位端がファンプレナムに移動可能に取り付けられており、ファンプレナムに対するジェットプレナムの摺動を可能にする。ファンプレナムとジェットプレナムとは、他方の開口部と重なる流れ伝達開口部をそれぞれ有し、各開口部は、ジェットプレナムがファンプレナムに対して移動するすべての位置で重なったままであるような形状としそのように配置され、ファンプレナムの内部とジェットプレナムは流体連結を維持して空気がファンから流れてファンプレナムからジェットプレナムへと一以上の開口部に流れ、一以上のジェット流開口部を通じてジェット流を形成可能とする。
【0059】
変形例では、ファンプレナムによって覆われるようにファンプレナムの下に配置した排気口を備え、ジェットプレナムの遠位端から排気口につながる連続的な煙流ガイドを形成するよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態とすることができる。
【0060】
変形例では、ファンプレナムおよびジェットプレナムの一方が、ファンプレナムおよびジェットプレナムの他方よりも大きな煙流伝達開口部を有するよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態とすることができる。
【0061】
変形例では、煙流伝達開口部同士が、ファンプレナムからジェットプレナムに流れる空気を保持する周回密封部で互いに結合されるよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態とすることができる。
【0062】
変形例では、ファンプレナムの上部においてファンが吸気口を有し、ジェットプレナムが完全に後退した位置にあるときに吸気口はジェットプレナムのルーバー式グリルで覆われ、それによって空気が吸気口に流入するよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態とすることができる。
【0063】
変形例では、ジェットプレナムに接続されたモータ駆動装置を含むよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態としてもよい。
【0064】
変形例では、調理器具の検出された調理状態に応じてジェットプレナムを延長および後退させるようにモータ駆動装置を制御するように接続した制御装置を含むよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態とすることができる。
【0065】
変形例では、調理器具の調理状態が、調理器具に接続された通信システムからの信号によって伝えらえるよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態とすることができる。
【0066】
実施形態によれば、本発明の排気システムは、2つ以上の排気モジュールを備え、各モジュールが可動フード部を有し、各可動フード部が略平坦な水平煙流ガイドを形成する。2つ以上の排気モジュールの可動フード部はそれぞれ、他の可動フード部から独立して移動可能である。可動フード部の下に配置した排気入口によって、調理器具をその下に配置できる。
【0067】
実施形態によれば、本発明は、発生源からの煙を排気する方法に関する。この方法は、ファンプレナムにファンを設ける工程と、平面ジェットを生成するように構成した一以上のジェット流開口部をその遠位端に有するジェットプレナムを設ける工程と、ジェットプレナムとファンプレナムとの流体接続を継続的に維持しながらジェットプレナムをファンプレナムに対して摺動させる工程と、ファンを作動させて、流体接続を通じてジェットプレナムに流れるようファンプレナム内に空気の流れを生成する工程と、ジェットプレナムの遠位端に平面ジェット流を生成する工程と、を備える。
【0068】
変形例では、ジェットプレナムの下に煙の源を設ける工程をさらに備えるよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態としてもよく、煙の源は、ジェットプレナムの遠位端を越えて水平に延びる遠位境界を有し、ジェットプレナムを摺動させることによって、少なくとも煙の発生源の遠位境界にまで平面ジェット流の初期方向が延びる位置までジェットプレナムの遠位端が到達するようにする。
【0069】
変形例では、ジェットプレナムの下に配置された調理器具の調理状態に基づいてジェットプレナムの摺動が制御されるよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態としてもよい。
【0070】
変形例では、ジェットプレナムの下に排気口を設け、その排気口から煙を排気するよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態としてもよい。
【0071】
変形例では、一以上のジェット流開口部が煙の発生源に向かうよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態としてもよい。
【0072】
変形例では、平面ジェット流によってジェットプレナム下部の煙を捕捉するよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態としてもよい。
【0073】
変形例では、ジェットプレナムの下方に第2のジェットプレナムを設け、第2のジェットプレナムが、水平方向上方に向けた一以上のジェット流開口部を有するよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態としてもよい。
【0074】
変形例では、第2のジェットプレナムの一以上のジェット流開口部によって、ジェットプレナムの遠位端で発生する平面ジェット流と交差する第2の平面ジェット流を生成するよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態としてもよい。
【0075】
変形例では、平面ジェット流と第2の平面ジェット流とが一緒になって、発生源からの煙がジェットプレナムの下から漏れることのないようにするよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態としてもよい。
【0076】
実施形態によれば、本発明は、発生源からの煙を排気する方法に関する。この方法は、静止した状態で吸引状態を生成または伝達する固定吸引プレナムを設ける工程と、排気された煙を吸引するように構成した一以上の吸引口を遠位端に有する可動吸引プレナムを設ける工程と、固定吸引プレナムと可動吸引プレナムの間の流体接続を継続的に維持しながら、固定プレナムに対して可動吸引プレナムを摺動させる工程と、ファンを作動させて流体接続と可動吸引プレナムとを通じて流れるよう固定吸引プレナム内に空気の流れを生成する工程と、を備える。
【0077】
変形例では、可動吸引プレナムの下に煙の源を設ける工程をさらに備えるよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態としてもよく、煙の源は、ジェットプレナムの遠位端を越えて水平に延びる遠位境界を有し、可動吸引プレナムを摺動させることによって、煙の発生源から放出されるすべての排気された煙を捕捉する位置まで可動吸引プレナムの遠位端が到達するようにする。
【0078】
変形例では、調理器具の調理状態に基づいて可動吸引プレナムの摺動が制御されるよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態としてもよい。
【0079】
変形例では、その下の調理器具に向かって光を下向きに向けるように配置および配向された照明パネルを有する固定部分によって各フード部が支持されるよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態としてもよい。変形例では、各排気モジュールの可動フード部が他の可動フード部に対して移動可能であり、異なるサイズおよび構造の調理器具をそれらの下に配置できるよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態としてもよい。変形例では、可動吸引プレナムに接続されたモータ駆動装置を含むよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態としてもよい。変形例では、調理器具の検出された調理状態に応じて可動フード部を延長および後退させるようにモータ駆動装置を制御するように接続した制御装置を含むよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態とすることができる。変形例では、調理器具の調理状態が、調理器具に接続された通信システムからの信号によって伝えらえるよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態とすることができる。変形例では、各フード部は固定部によって支持され、可動フード部がその下の調理器具に向かって光を下向きに向けるように配置および配向された照明パネルを有するよう前述の実施形態を変更し、新しい実施形態としてもよい。
【0080】
従って、本発明によれば、小型の排気システムが提供される。多くの代替、修正、および変形が本開示によってなされ得る。開示した実施形態の特徴は、本発明の範囲内で結合したり、再構成したり、省略したりしてさらなる実施形態を作ることができる。さらに、特定の機能は、他の機能を使用することなく、有利に使用できる場合がある。したがって、出願人は、本発明の精神および範囲内にあるそのようなすべての代替、修正、同等物、および変形を包含することを意図する。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
【国際調査報告】