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特表2022-526196浸透性が低いタンパク質、ペプチド、及び小分子の経口送達用の製剤
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  • 特表-浸透性が低いタンパク質、ペプチド、及び小分子の経口送達用の製剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-23
(54)【発明の名称】浸透性が低いタンパク質、ペプチド、及び小分子の経口送達用の製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/496 20060101AFI20220516BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220516BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 9/30 20060101ALI20220516BHJP
   A61P 29/02 20060101ALN20220516BHJP
【FI】
A61K31/496
A61K45/00
A61K47/14
A61K47/10
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P43/00 111
A61K9/30
A61P29/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560705
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(85)【翻訳文提出日】2021-12-10
(86)【国際出願番号】 US2020027800
(87)【国際公開番号】W WO2020210722
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】62/832,508
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501477831
【氏名又は名称】アール.ピー. シェーラー テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】521446886
【氏名又は名称】バイオヘブン・ファーマシューティカル・ホールディング・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンサン・プラサ
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ・イルボルド
(72)【発明者】
【氏名】オレリア・ガリュ
(72)【発明者】
【氏名】トマ・ポワントー
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・メソニエ
(72)【発明者】
【氏名】ジーン・エム・ドゥボウチック
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・エム・コンウェイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA44
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD08
4C076DD09
4C076DD39
4C076DD46
4C076FF27
4C076FF32
4C084AA17
4C084MA35
4C084MA52
4C084NA11
4C084ZA081
4C084ZA082
4C085AA13
4C085BB11
4C085EE01
4C085GG08
4C086AA02
4C086BC50
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA12
4C086ZA08
4C086ZC42
(57)【要約】
本開示は、治療活性を有する合成若しくは天然の浸透性が低いカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)阻害剤、又はその塩/溶媒和物の経口送達を意図した医薬製剤に関する。医薬製剤は、製剤の総質量の0.01~10wt%の量で合成若しくは天然の浸透性の低いCGRP阻害剤又はその塩若しくは溶媒和物;製剤の総質量の50~80wt%の量で脂肪酸のトリグリセリドを含む親油性相;並びに、製剤の総質量の約10~50wt%の量でポリオール及び脂肪酸の部分エステルを含む少なくとも1つの親油性界面活性剤を含みうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製剤の総質量の0.01~20wt%の量で合成若しくは天然の浸透性の低いカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)阻害剤又はその塩若しくは溶媒和物;
製剤の総質量の50~80wt%の量で脂肪酸のトリグリセリドを含む親油性相;並びに
製剤の総質量の10~50wt%の量でポリオール及び脂肪酸の部分エステルを含む少なくとも1つの親油性界面活性剤
を含む、医薬製剤。
【請求項2】
合成又は天然の浸透性の低いCGRP阻害剤が、CGRP抗体、CGRP受容体抗体、CGRP抗体若しくはCGRP受容体抗体由来の抗原結合フラグメント、CGRP注入阻害性タンパク質、CGRP生体中和剤、小分子CGRP受容体アンタゴニスト、小分子CGRP阻害剤、又はポリペプチドCGRP阻害剤である、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
合成又は天然の浸透性の低いCGRP阻害剤が、小分子CGRP受容体アンタゴニストである、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
小分子CGRP受容体アンタゴニストが、(R)-N-(3-(7-メチル-1H-インダゾール-5-イル)-1-(4-(1-メチルピペリジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)-1-オキソプロパン-2-イル)-4-(2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-3-イル)ピペリジン-1-カルボキサミド(BHV-3500)である、請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
製剤の総質量の1~30wt%の量で10超の親水親油バランス(「HLB」)を有する少なくとも1つの親水性界面活性剤を更に含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
少なくとも1つの親水性界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)モノオレエート、PEG 8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEG 6カプリル酸/カプリン酸グリセリド、ポリ(オキシエチレン)(4)ラウリルエーテル、及びその混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
脂肪酸のトリグリセリドが、中鎖脂肪酸である、請求項1に記載の製剤。
【請求項8】
親油性界面活性剤が、中鎖脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリドの混合物を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項9】
水を含まない、請求項1に記載の製剤。
【請求項10】
製剤の総質量の0.01~20wt%の量で合成若しくは天然の浸透性の低いCGRP阻害剤又はその塩若しくは溶媒和物;
製剤の総質量の50~80wt%の量で脂肪酸のトリグリセリドを含む親油性相;並びに
製剤の総質量の10~50wt%の量でポリオール及び脂肪酸の部分エステルを含む少なくとも1つの親油性界面活性剤
を含む医薬製剤を含む、遅延放出性の医薬剤形であって、
その放出がpH依存性であるコーティングされた剤形である、
遅延放出性の医薬剤形。
【請求項11】
患者を処置するための方法であって、
製剤の総質量の0.01~20wt%の量で合成若しくは天然の浸透性の低いCGRP阻害剤又はその塩若しくは溶媒和物;
製剤の総質量の50~80wt%の量で脂肪酸のトリグリセリドを含む親油性相;並びに
製剤の総質量の10~50wt%の量でポリオール及び脂肪酸の部分エステルを含む少なくとも1つの親油性界面活性剤
を含む有効量の医薬製剤を、それを必要とする人に投与する工程を含む、方法。
【請求項12】
合成又は天然の浸透性の低いCGRP阻害剤が、CGRP抗体、CGRP受容体抗体、CGRP抗体若しくはCGRP受容体抗体由来の抗原結合フラグメント、CGRP注入阻害性タンパク質、CGRP生体中和剤、小分子CGRP受容体アンタゴニスト、小分子CGRP阻害剤、又はポリペプチドCGRP阻害剤である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
合成又は天然の浸透性の低いCGRP阻害剤が、小分子CGRP受容体アンタゴニストである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
小分子CGRP受容体アンタゴニストが、(R)-N-(3-(7-メチル-1H-インダゾール-5-イル)-1-(4-(1-メチルピペリジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)-1-オキソプロパン-2-イル)-4-(2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-3-イル)ピペリジン-1-カルボキサミド(BHV-3500)である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
医薬組成物が、製剤の総質量の1~30wt%の量で10超の親水親油バランス(「HLB」)を有する少なくとも1つの親水性界面活性剤を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの親水性界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)モノオレエート、PEG 8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEG 6カプリル酸/カプリン酸グリセリド、ポリ(オキシエチレン)(4)ラウリルエーテル、及びその混合物からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
脂肪酸のトリグリセリドが、中鎖脂肪酸である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
親油性界面活性剤が、中鎖脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリドの混合物を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
製剤が、水を含まない、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
医薬製剤が、その放出がpH依存性であるコーティングされた剤形を含む遅延放出剤形である、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年4月11日に出願された米国特許仮出願第62/832,508号の優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、浸透性が低いタンパク質、ペプチド、及び小分子の経口送達用の製剤に関する。より具体的には、本開示は、治療活性を有する浸透性が低い任意の合成若しくは天然の分子、又はその塩若しくは溶媒和物の経口送達を意図した医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
浸透性の低い分子は、腸管膜を通した吸収が乏しい化合物である。そのため、これらは、静脈内又は皮下投与される。腸管膜を通した吸収が乏しいことにより、その臨床用途は、IV投与し、1日数回投与する必要がある場合、非常に限定される(例えば糖尿病に対するインスリン)。これら浸透性の低い化合物は、Amidon GL等、A theoretical basis for a biopharmaceutic drug classification: the correlation of in vitro drug product dissolution and in vivo bioavailability (Pharm Res. 1995年3月; 12(3):413~20頁)により提案されている分類でのBCSのクラスIII及びクラスIVの化合物として識別されており、これは、その全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第9,259,389号
【特許文献2】CA2439366
【特許文献3】WO 03/104236
【特許文献4】米国特許第8,481,546号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Amidon GL等、A theoretical basis for a biopharmaceutic drug classification: the correlation of in vitro drug product dissolution and in vivo bioavailability (Pharm Res. 1995年3月; 12(3):413~20頁)
【非特許文献2】2006年6月2日付けのICH Harmonized Tripartite Guideline ICH Q3B(新規薬物製品の不純物)
【非特許文献3】1999年8月3日付けの産業に対するFDA指針、ANDAS: ブレンドの均一性
【非特許文献4】連邦規則集、タイトル9、パート3、1991年改訂
【非特許文献5】実験動物の管理と使用に関する指針(研究評議会、2011年)
【非特許文献6】連邦規則集のタイトル21、パート38
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願人等は、経口投与される浸透性の低い分子用の製剤を開発している。分子は、CGRP阻害剤でありうる。これらの製剤は、1日に数回の投与を必要とする患者にとって非常に有益である。浸透性の低いCGRP阻害剤の経口送達用のこのような製剤を調製するために、本出願人等は、腸管膜に対する少なくともこの低い浸透性を克服し、これらの阻害剤、特にペプチド及びタンパク質のいくつかのために、消化管での化学的及び物理的な不安定性、具体的には胃での酸性状態による活性の消失、及び腸全体での酵素的分解を克服すべきであった。したがって、本出願人等は、その生物学的利用能を高める浸透促進剤のin-situ生成を伴って、腸において浸透性の低いCGRP阻害剤を送達することができる遅延放出性のコーティングされた剤形を開発した。
【0007】
米国特許第9,259,389号では、本発明者等は、消化性の逆エマルジョンがオリゴ糖の生物学的利用能を高めることができることを見出した。予想外に、本出願人等は、製剤において粉末として分散させる浸透性の低い分子を有する脂質添加剤の溶液が、この特定のクラスの分子(即ち、Amidon GL等(Pharm Res.1995年3月; 12(3):413~20頁)により提案されている分類でのBCSのクラスIII及びクラスIVの化合物)に対する生物学的利用能のより良好な結果を可能にすることを見出した。具体的には、本出願人等は、浸透性の低い分子、具体的にはBCSのクラスIIIのタンパク質及びペプチド化合物に対して、水を添加しない製剤が有益でありうることを見出した。いずれの理論にも拘束されることなく、水が、このクラスの浸透性が低い分子を互いに凝集させる傾向があると考えられる。より具体的には、本出願人等は、製剤において粉末として分散させる浸透性が低いBCSのクラスIIIのタンパク質又はペプチド分子若しくは塩を有する脂質系添加剤の溶液を含む製剤において水を含まなかった場合、生物学的利用能のより高度な結果が、この特定のクラスの分子で達成されたことを見出した。対照的に、水の除去は、米国特許第9,259,389号の糖類では有害であった。
【0008】
加えて、本出願人等は、活性な医薬成分(「API」)を可溶化することが必要ない場合に水中のAPIを可溶化する必要がない粉末としてAPIを分散することができる場合、薬物充填量を増大することができる。更に、製剤は、本質的により物理的に安定であるが、それは、脂質添加剤が、単一相として溶液中に存在しうるからである。故に、相を安定化する二酸化ケイ素のような安定化剤を添加する必要はなくてよい。一部の実施形態では、増粘剤は、プロセスの間に懸濁剤中のAPI粉末の均質性を維持する製造目的のために添加することができる。一部の実施形態では、増粘剤は、二酸化ケイ素でありうる。最終的に、浸透促進剤のような添加剤を使用する文献で見出された他の製剤と比較して、本明細書に開示される製剤は、安全な添加剤又は既に市販される成分としてのみ一般に認識されて使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一部の実施形態では、医薬製剤は、製剤の総質量の0.01~20wt%の量で合成若しくは天然の浸透性の低いCGRP阻害剤又はその塩若しくは溶媒和物;製剤の総質量の50~80wt%の量で脂肪酸のトリグリセリドを含む親油性相;並びに、製剤の総質量の10~50wt%の量でポリオール及び脂肪酸の部分エステルを含む少なくとも1つの親油性界面活性剤を含む。一部の実施形態では、合成若しくは天然の浸透性の低いCGRP阻害剤又はその塩若しくは溶媒和物は、CGRP抗体、CGRP受容体抗体、CGRP抗体若しくはCGRP受容体抗体由来の抗原結合フラグメント、CGRP注入阻害性タンパク質、CGRP生体中和剤、小分子CGRP受容体アンタゴニスト、小分子CGRP阻害剤、又はポリペプチドCGRP阻害剤である。一部の実施形態では、小分子CGRP受容体アンタゴニストは、(R)-N-(3-(7-メチル-1H-インダゾール-5-イル)-1-(4-(1-メチルピペリジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)-1-オキソプロパン-2-イル)-4-(2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-3-イル)ピペリジン-1-カルボキサミド(BHV-3500)である。一部の実施形態では、製剤は、製剤の総質量の1~30wt%の量で10超の親水親油バランス(「HLB」)を有する少なくとも1つの親水性界面活性剤を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの親水性界面活性剤は、ポリオキシエチレン(20)モノオレエート、PEG 8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEG 6カプリル酸/カプリン酸グリセリド、ポリ(オキシエチレン)(4)ラウリルエーテル、及びその混合物からなる群から選択される。一部の実施形態では、脂肪酸のトリグリセリドは、中鎖脂肪酸である。一部の実施形態では、親油性界面活性剤は、中鎖脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリドの混合物を含む。一部の実施形態では、製剤は、水を含まない。一部の実施形態では、遅延放出性の医薬剤形は、上述の製剤のいずれかを含み、遅延放出剤形は、その放出がpH依存性であるコーティングされた剤形である。一部の実施形態では、患者を処置するための方法は、それを必要とする人に有効量の上述の製剤のいずれかを投与する工程を含む。
【0010】
追加の利点は、以下の詳述から当業者には容易に明らかであろう。本明細書の実施例及び説明は、本質的に例示と考えられ、限定とは考えられない。
【0011】
本出願で参照される特許文献、科学論文及びデータベースを含む全ての出版物は、各個々の出版物が参照により個々で組み込まれたのと同程度で、全ての目的でその全体を参照により組み込まれる。本明細書で示される定義が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、公開された出願、及び他の出版物で示される定義とは反対である、又は矛盾する場合、本明細書で示される定義は、参照により本明細書に組み込まれる定義に優先する。
【0012】
これらの態様及び/又は他の態様は、添付図面と関連付けられた、実施形態の以下の説明から明らかとなり、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】1群~3群(カプセル剤; 20mg)に対するイヌの血漿での平均BHV-3500濃度プロファイルを示すグラフである。
図2】4群~6群(カプセル; 50mg)に対するイヌの血漿での平均BHV-3500濃度プロファイルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、治療活性を有する合成若しくは天然の浸透性の低い分子、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物を含有する経口投与を意図した医薬製剤に関する。これらの製剤は、脂質系製剤でありうる。加えて、これらの製剤は、遅延放出剤形でありうる。一部の実施形態では、剤形は、遅延放出性のソフトゲルカプセル剤、硬質カプセル剤、又はこれらの組合せでありうる。一部の実施形態では、この遅延放出剤形は、腸放出性の剤形でありうる。
【0015】
製剤は、(A)合成若しくは天然の浸透性の低い分子; (B)親油性相: (C)少なくとも1つの親油性界面活性剤;及び/又は(D)少なくとも1つの親水性界面活性剤を含みうる。一部の実施形態では、製剤は、化学的及び/又は物理的な安定剤を含みうる。
【0016】
合成又は天然の浸透性の低い分子
一部の実施形態では、製剤は、製剤の総質量の最大で約1wt%、約2wt%、約5wt%、約10wt%、約15wt%、又は約20wt%の量で合成若しくは天然の浸透性の低い分子、又はこれら浸透性の低い分子の任意の薬学的に許容される塩を含みうる。一部の実施形態では、製剤は、製剤の総質量の約0.01~30wt%、約0.1~30wt%、約0.01~20wt%、約0.1~20wt%、約0.1~15wt%、約0.1~10wt%、約0.1~5wt%、約0.1~2wt%、約0.1~1wt%、約0.1~0.5wt%、又は約0.5~1.5wt%の量で合成若しくは天然の浸透性の低い分子、又はこれら浸透性の低い分子の任意の薬学的に許容される塩を含みうる。
【0017】
合成若しくは天然の浸透性の低い分子、又は薬学的に許容されるその塩は、経口送達を意図した浸透性の低い任意のタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、又は小分子を含むことができ、本発明による有効成分は、限定されないが、インスリン、ヒト成長ホルモン、カルシトニン(例えばサケのカルシトニン)、α-、β-、又はγ-インターフェロンのようなインターフェロン、グルカゴン、ゴナドトロピン放出ホルモン、エンケファリン、ワクチン、酵素、ホルモン類似体、酵素阻害剤、抗体、及び抗体模倣物でありうる。合成若しくは天然の浸透性の低い分子、又は薬学的に許容されるその塩は、Amidon GL等、A theoretical basis for a biopharmaceutic drug classification: the correlation of in vitro drug product dissolution and in vivo bioavailability (Pharm Res.1995年3月; 12(3):413~20頁)により提案されている分類でのBCSのクラスIII及びクラスIVとして識別されているものである。
【0018】
CGRP阻害剤
合成又は天然の浸透性の低い分子は、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)阻害剤でありうる。本明細書で使用される場合、用語「CGRP阻害剤」とは、CGRPリガンド又はCGRP受容体の阻害剤でありうる化学物質を指す。故に、用語「CGRP阻害剤」は、CGRP受容体阻害剤を包含する。CGRP阻害剤は、CGRP阻害剤又はCGRP受容体阻害剤でありうる。CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、37個のアミノ酸の神経ペプチドであり、これは、カルシトニン、アドレノメデュリン、及びアミリンを含むペプチドのファミリーに属する。実質的な証拠は、CGRPが片頭痛の病理生理学に関係していることを示すために収集されている。臨床試験を実施して、CGRP阻害剤が片頭痛を処置するのに有効であることを示した。
【0019】
CGRP阻害剤は、CGRP抗体、CGRP受容体抗体、CGRP抗体若しくはCGRP受容体抗体由来の抗原結合フラグメント、CGRP注入阻害性タンパク質、CGRP生体中和剤、小分子CGRP受容体アンタゴニスト、小分子CGRP阻害剤、又はポリペプチドCGRP阻害剤でありうる。一実施形態では、CGRP阻害剤は、小分子CGRP受容体アンタゴニストでありうる。小分子CGRP受容体アンタゴニストは、(R)-N-(3-(7-メチル-1H-インダゾール-5-イル)-1-(4-(1-メチルピペリジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)-1-オキソプロパン-2-イル)-4-(2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-3-イル)ピペリジン-1-カルボキサミド(BHV-3500)でありうる。
【0020】
CGRP阻害剤は、1日に約1~1000mgの用量で投与されうる。別の態様では、CGRP阻害剤は、1日に約1、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、200、250、300、400、500、750、又は1000mgの用量で投与される。CGRP阻害剤の一日用量は、上記の値のいずれかの間の範囲でありうる。
【0021】
親油性相
一部の実施形態では、製剤は、製剤の総質量の最大で約50wt%、約55wt%、約60wt%、約65wt%、約70wt%、又は約80wt%の量で親油性相を含みうる。一部の実施形態では、製剤は、製剤の総質量の約50~80wt%、約55~75wt%、約60~70wt%、約62~68wt%、約64~66wt%、又は約65wt%の量で親油性相を含みうる。
【0022】
一部の実施形態では、親油性相は、脂肪酸のトリグリセリドでありうる。脂肪酸のトリグリセリドは、薬学的で経口的に許容される飽和又は不飽和脂肪酸の任意のトリグリセリドを意味することができる。一部の実施形態では、脂肪酸のトリグリセリドは、以下の式:
【0023】
【化1】
【0024】
(式中、R1、R2、及びR3は、互いに独立して、親脂肪酸のアルキル又はアルケニル基を表す)
を有しうる。
【0025】
脂肪酸は、飽和又は不飽和でありうる。特に、脂肪酸は、不飽和脂肪酸がより遅い消化速度及びより低い消化率をもたらしうるので、飽和することができる。いくつかの共通の飽和脂肪酸は、以下のTable 1(表1)に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
R1、R2、及びR3は、直鎖又は分岐鎖を表しうる。一部の実施形態では、R1、R2、及びR3は、C3~C23アルキル若しくはアルケニル基、C5~C13アルキル若しくはアルケニル基、又はC7~C9アルキル若しくはアルケニル基でありうる。一部の実施形態では、脂肪酸は、飽和脂肪酸であり、中鎖脂肪酸である。そのため、親油性相は、長鎖(例えばダイズ油及び魚油)、中鎖、又は短鎖(例えばグリセリルトリアセテート)脂肪酸のトリグリセリドでありうる。一部の実施形態では、トリグリセリドは、カプリル酸、カプリン酸、又はその混合物(例えば、市販品Miglyol 812(登録商標)、Captex 355(登録商標)、Estasan(登録商標)、Neobee M5(登録商標)、Labrafac CC(登録商標)、及びCaptex 1000(登録商標))のものでありうる。一部の実施形態では、トリグリセリドは、C6~C12脂肪酸又はC8~C10脂肪酸のトリグリセリドでありうる。
【0028】
親油性界面活性剤
一部の実施形態では、製剤は、製剤の総質量の最大で約1wt%、約5wt%、約10wt%、約15wt%、約20wt%、約25wt%、約30wt%、約35wt%、約40wt%、約45wt%、又は約50wt%の量で少なくとも1つの親油性界面活性剤を含みうる。一部の実施形態では、製剤は、製剤の総質量の約10~50wt%、約15~35wt%、約20~30wt%、約22~28wt%、約24~26wt%、又は約25wt%の量で少なくとも1つの親油性界面活性剤を含みうる。製剤が、約10wt%未満の少なくとも1つの親油性界面活性剤を含む場合、動的な消化は、最適化することはできない。製剤が、50wt%超の少なくとも1つの親油性界面活性剤を含む場合、カプリン酸ナトリウムの放出に利用可能な親油性相の量は、最適ではない可能性がある。
【0029】
一部の実施形態では、少なくとも1つの親油性界面活性剤は、ポリオール及び脂肪酸の部分エステルでありうる。ポリオール及び脂肪酸の部分エステルは、薬学的で経口的に許容されるポリオール及び飽和又は不飽和脂肪酸のエステル化により得られる任意の部分エステルを意味することができる。共通の飽和脂肪酸は、上述のTable 1(表1)に示す。脂肪酸は、C6~C12脂肪酸のような中鎖脂肪酸であり、特にカプリル酸及び/又はカプリン酸でありうる。ポリオールは、例えば、プロピレングリコール及びグリセロールでありうる。例えば、ポリオール及び脂肪酸の部分エステルは、脂肪酸のプロピレングリコールのモノエステル及び/若しくはジエステル(例えば、商標名Lauroglycol(登録商標)で販売されるプロピレングリコールモノラウレート、商標名Mirpyl(登録商標)で販売されるプロピレングリコールモノミリステート、若しくは商標名Captex 200(登録商標)、Miglyol 840(登録商標)、若しくはNeobee M-20(登録商標)で販売されるプロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート)、並びに/又は、脂肪酸のポリグリセロールエステル(例えば、商標名Plurol Oleique(登録商標)若しくはDrewpol 10.10.10(登録商標)で販売されるポリグリセリルオレエート、若しくは商標名Caprol ET(登録商標)で販売されるポリグリセリル混合脂肪酸)でありうる。
【0030】
少なくとも1つの親油性界面活性剤は、プロピレングリコール及び脂肪酸の部分エステル(例えば、市販品Capryol PGMC(登録商標)及びCapmul PG-8(登録商標))でありうる。一部の実施形態では、少なくとも1つの親油性界面活性剤は、脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリドの混合物、中鎖脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリドの混合物、カプリル酸及び/若しくはカプリン酸のモノグリセリド及びジグリセリドの混合物(例えば、市販品Capmul MCM及びCapmul MCM C8(登録商標)、Imwitor 988(登録商標)、Imwitor 742(登録商標))、又はカプリン酸のモノグリセリド及びジグリセリドの混合物(例えば、市販品Capmul MCM C100若しくはImwitor 308(登録商標))でありうる。
【0031】
一部の実施形態では、少なくとも1つの親油性界面活性剤は、レシチン、例えばダイズレシチンがありうるが、ダイズレシチンに限定されない。
【0032】
親水性界面活性剤
一部の実施形態では、製剤は、製剤の総質量の最大で約2wt%、約5wt%、約8wt%、約10wt%、約15wt%、約20wt%、約25wt%、又は約30wt%の量で少なくとも1つの親水性界面活性剤を含みうる。一部の実施形態では、製剤は、製剤の総質量の約0~30wt%、約0~15wt%、約0~10wt%、約1~30wt%、約5~15wt%、約8~12wt%、約9~11wt%、又は約10wt%の量で少なくとも1つの親水性界面活性剤を含みうる。少なくとも1つの親水性界面活性剤の量が製剤の約30wt%超である場合、カプリン酸ナトリウムの放出に利用可能な親油性相の量に支障をきたす可能性がある。
【0033】
一部の実施形態では、少なくとも1つの親水性界面活性剤は、薬学的で経口的に許容される10超の親水親油バランス(「HLB」)値を有する任意の親水性界面活性剤でありうる。HLB値は、当業者が非イオン性界面活性剤の相対的な親水性及び親油性を特徴付けるのに通常使用される経験的なパラメータである。
【0034】
一部の実施形態では、少なくとも1つの親水性界面活性剤は、リン脂質;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸誘導体、例えばポリオキシエチレン(20)モノラウレート(商標名Tween 20(登録商標)で販売)、ポリオキシエチレン(20)モノオレエート(商標名Tween 80(登録商標)及び/若しくはCrillet 4(登録商標)で販売)、若しくはポリオキシエチレン(20)モノパルミテート(商標名Montanox 40(登録商標)で販売); 10超のHLB値のヒマシ油若しくは硬化ヒマシ油エトキシレート、例えばポリオキシエチレン(35)ヒマシ油(商標名Cremophor EL(登録商標)で販売)、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油(商標名Cremophor RH40(登録商標)で販売)、ポリオキシエチレン(40)ヒマシ油(商標名Etocas 40(登録商標)で販売)、若しくはポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油(商標名Nikkol HCO-60(登録商標)で販売);10超のHLB値の脂肪酸エトキシレート、例えばポリオキシエチレン(8)ステアレート(商標名Myrj 45(登録商標)で販売)、ポリオキシエチレン(30)モノラウレート(商標名Tagat L(登録商標)で販売)、ポリオキシエチレン(20)ステアレート(商標名Marlosol 1820(登録商標)で販売)、若しくはポリオキシエチレン(15)オレエート(商標名Marlosol OL15(登録商標)で販売); 10超のHLB値のアルコールエトキシレート、例えばポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル(商標名Brij 96(登録商標)で販売)、ポリオキシエチレン(15)オレイルエーテル(商標名Volpo 015(登録商標)で販売)、ポリオキシエチレン(30)オレイルエーテル(商標名Marlowet OA30(登録商標)で販売)、若しくはポリオキシエチレン(20)C12~C14脂肪エーテル(商標名Marlowet IMA20(登録商標)で販売); 10超のHLB値のポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー及びブロックコポリマー、例えばHLB値=16の商標名Syperonic PE L44(登録商標)で販売される製品若しくはHLB値=22の商標名Syperonic F127(登録商標)で販売される製品;アニオン性界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム若しくはジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、若しくは10超のHLB値のアルキルフェノール界面活性剤、例えばポリオキシエチレン(9~10)ノニルフェノール(商標名Triton N-101(登録商標)で販売)、若しくはポリオキシエチレン(9)ノニルフェノール(商標名Synperonic NP9(登録商標)で販売);ビタミンE; D-アルファ-トコフェリルポリエチレン(Polyethyelene)グリコールスクシネート(TPGS);又は、PEG 15ヒドロキシステアレート(商標名Solutol HS15(登録商標)で販売)でありうる。
【0035】
一部の実施形態では、少なくとも1つの親水性界面活性剤は、ポリエトキシル化界面活性剤である。一部の実施形態では、少なくとも1つの親水性界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及び脂肪酸のポリオキシエチレンエステル、例えばグリセロール及び脂肪酸のポリオキシエチレンエステルからなる群から選択される。一部の実施形態では、脂肪酸は、飽和又は不飽和である。共通の飽和脂肪酸は、上述のTable 1(表1)に示す。一部の実施形態では、脂肪酸は、C6~C12脂肪酸のような中鎖脂肪酸(例えば、ラウリン酸、カプリル酸及び/又はカプリン酸)である。
【0036】
一部の実施形態では、界面活性剤中のエチレンオキシド基単位の数は、4~20個でありうる。一部の実施形態では、少なくとも1つの親水性界面活性剤は、ポリオキシエチレン(20)モノオレエート(例えば、市販品Tween 80(登録商標))、PEG 8カプリル酸/カプリン酸グリセリド(例えば、市販品Labrasol(登録商標))、PEG 6カプリル酸/カプリン酸グリセリド(例えば、市販品Softigel 767(登録商標))、ポリ(オキシエチレン(4)ラウリルエーテル(例えば、市販品Brij 30(登録商標))、及びその混合物からなる群から選択することができる。
【0037】
親水性溶媒
一部の実施形態では、製剤は、APIを可溶化するのを補助するために、製剤の総質量の最大で約15wt%、約10wt%、約5wt%、又は約1wt%の量で少なくとも1つの無水親水性溶媒を含みうる。一部の実施形態では、製剤は、少なくとも1つの親水性溶媒を含まない。一部の実施形態では、少なくとも1つの親水性溶媒は、例えば、増粘剤を可溶化するために添加される。
【0038】
一部の実施形態では、少なくとも1つの親水性溶媒は、プロピレングリコール、PEG 400ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロールトリアセテート、エタノール、グリセロール、ジメチルイソソルビド、N-メチル-2-ピロリドン、ポロキサマー、及びその混合物からなる群から選択することができる。
【0039】
化学的及び/又は物理的な安定剤
一部の実施形態では、製剤は、製剤の総質量の最大で約25wt%の量で少なくとも1つの化学的及び/又は物理的な安定剤を含みうる。一部の実施形態では、物理的な安定剤は、プロセスの間にAPI粉末の懸濁剤の均一性を維持するために添加しうる。以下で述べる通り、プラセボ製剤は、溶液中の脂質添加剤からなる単一相である場合、物理的に安定であるが、API粉末が懸濁剤として均質性を維持するために分散するので、増粘剤を添加する。
【0040】
化学的及び/又は物理的な安定剤は、2006年6月2日付けのICH Harmonized Tripartite Guideline ICH Q3B(新規薬物製品の不純物)の要件、現在のステップ4バージョンに従うために製剤における浸透性の低い分子の化学的安定性を改善するか、又は浸透性の低い分子製剤の物理的安定性を改善する、任意の医薬成分でありうる。
【0041】
一部の実施形態では、化学的な安定剤は、親油性界面活性剤でありうる。例えば、化学的な安定剤は、脂肪酸のモノグリセリド及び/又はジグリセリドの酢酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、及び/又は酒石酸のエステル、例えば蒸留アセチル化モノグリセリド(商標名Myvacet 9-45(登録商標)で販売)、カプリル酸/カプリン酸ジグリセリルスクシネート(商標名Miglyol 829(登録商標)で販売)、モノ/ジ-スクシニル化モノグリセリド(商標名Myverol SMG(登録商標)で販売)、グリセリルステアレートシトレート(商標名Imwitor 370(登録商標)で販売)、グリセリルモノステアレート/シトレート/ラクテート(商標名Imwitor 375(登録商標)で販売)、若しくはモノグリセリドのジアセチル酒石酸エステル(aster)(商標名Cordatem T22(登録商標)で販売);エチレンオキシドを10未満のHLB値の脂肪酸若しくは脂肪酸のグリセロールエステルと反応させることにより形成される酸エステルエトキシレート、例えばポリオキシエチレン(4)ラウリン酸(商標名Crodet 04(登録商標)で販売)、ポリオキシエチレン(2)ステアリン酸(商標名Cithrol 2MS(登録商標)で販売)、ポリオキシエチレン(3)ステアリン酸(商標名Marlosol 183(登録商標)で販売)、若しくはグリセリル12 EOジオレエート(商標名Marlowet G12DO(登録商標)で販売);脂肪酸のソルビタンエステル、例えばソルビタンモノラウレート(商標名Span 20(登録商標)若しくはCrill 1(登録商標)で販売)、若しくはソルビタンモノオレエート(商標名Crill 4(登録商標)で販売);天然若しくは硬化植物油のトリグリセリド及び10未満のHLB値のポリアルキレンポリオールのエステル交換反応生成物、例えばポリオキシエチル化キョウニン油(apricot kernal oil)(商標名Labrafil M1944CS(登録商標)で販売)、ポリオキシエチル化コーン油(商標名Labrafil M2125CS(登録商標)で販売)、若しくはポリオキシエチル化硬化油(商標名Gelucire 37/06(登録商標)で販売);又は、10未満のHLB値のアルコールエトキシレート(ethyoxylate)、例えばポリオキシエチル化(3)オレイルエーテル(商標名Volpo N3(登録商標)で販売)、ポリオキシエチル化(2)オレイルエーテル(商標名Brij 93(登録商標)で販売)、若しくはポリオキシエチル化(4)ラウリルエーテル(商標名Marlowet LA4(登録商標)で販売)でありうる。
【0042】
一部の実施形態では、化学的な安定剤は、シトレート、ホスフェート、若しくはアセテート緩衝剤のような緩衝化剤、及び/又は、部分硬化油、硬化油、若しくは、不飽和若しくは飽和脂肪酸のモノエステル、ポリビニルピロリドン誘導体、ポリエチレンオキシドのような増粘化剤でありうる。
【0043】
一部の実施形態では、物理的な安定剤は、二酸化ケイ素である。一部の実施形態では、二酸化ケイ素は、コロイド状二酸化ケイ素でありうる。コロイド状二酸化ケイ素はまた、燻蒸二酸化ケイ素、シリカフューム、又は焼成シリカとしても知られている。このような二酸化ケイ素は、商標Aerosil(登録商標)(Evonik industries社)、Cab-O-Sil(登録商標)(Cabot Corporation社)、及びWacker HDK(登録商標)(Wacker-Chemie GmbH社)で市販されている。
【0044】
一部の実施形態では、製剤は、脂質性増粘剤を含みうる。脂質増粘剤の例として、限定されないが、Akosoft 36、Geleol、Gelucire、Koliwax、硬化油、又はその組合せが挙げられる。一部の実施形態では、製剤は、製剤の総質量の約5~25wt%、約10~20wt%、約12~18wt%、約14~16wt%、又は約15wt%の量で脂質性増粘剤を含みうる。
【0045】
一部の実施形態では、製剤は、ポビドンを含みうる。ポビドンの例として、K30又はK90のような異なるグレードのポビドンを含みうる。一部の実施形態では、製剤は、製剤の総質量の約0.5~10wt%、約1~10wt%、約2~8wt%、約4~6wt%、又は約5wt%の量でポビドンを含みうる。
【0046】
製剤形成
一部の実施形態では、製剤は、溶液の形態で液体でありうる。一部の実施形態では、製剤は、浸透性の低い分子(例えばAPI)が粉末として製剤において懸濁される溶液である。一部の実施形態では、製剤は、無水逆マイクロエマルジョン又は無水逆エマルジョンでありうる。一部の実施形態では、製剤は、均質である。均質な製剤は、1999年8月3日付けの産業に対するFDA指針、ANDAS:ブレンドの均一性に準拠したバルク充填製剤の製造、及び/若しくは、含量均一性試験判定基準(質量変動評価 - 欧州薬局方、投与単位の均一性2.9.40、USP一般章<905>、及び日本薬局方、6.02投与単位の均一性を除く)に準拠した実行可能な最終医薬剤形の製造に使用することができる、並びに/又は、製造プロセスにわたって得られる層状化されたサンプルでの安定した原薬のアッセイ結果のコンプライアンスを満たすことができる、任意の単一相又は多相の製剤でありうる。
【0047】
本明細書に開示される製剤は、以下のプロセスに従って調製することができる。製剤は、異なる添加剤のブレンドでありうる。一部の実施形態では、最小量の添加剤は、最初に添加することができ、増粘剤は、APIを添加する前に終了に近づくにつれて添加することができる。一部の実施形態では、製剤は、透明な溶液であり、API(即ち、浸透性の低い分子又はその塩)は、粉末として本製剤において懸濁される。APIは、微粉化法、凍結乾燥法、噴霧乾燥法、又は大気噴霧凍結乾燥のような固体のAPIを得るための当業者に公知の任意の方法により粉砕される、純粋なAPI結晶でありうる。グルコシド誘導体、セルロース誘導体のような固体のAPIを得る、又は、メソポーラスシリカ、ナノチューブ、若しくは吸着特性を有する、若しくはAPIが限定されないがイオン交換樹脂との複合体のように複合化されうる任意の材料のような別の添加剤に吸着する、固体成分との混合物中のAPIでもありうる。
【0048】
本明細書に開示される製剤は、消化性でありうる。そのため、グリセリドは、GI液中の膵リパーゼにより2-モノグリセリド及び遊離脂肪酸に脱エステル化することができる。製剤は、製剤に含まれる浸透性の低い分子の吸収を促進するための浸透促進剤として作用することができるカプリン酸ナトリウムを放出することができる。コリパーゼの存在下での膵リパーゼは、乳化油の脂肪分解(加水分解又は脱エステル化とも称す)を触媒して、脂肪酸を生成することができる。脂肪酸生成の速度、及びそれ故の脂肪分解の速度の測定は、その全体を参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,259,389号に記載される、pHスタットを使用する連続滴定を介して追跡することができる。37.5℃+/-0.5℃での250mg/mlの投与量で、蒸留水中の乾燥粉末の1mg当たりおよそ8トリブチリン単位(TBU)の活性を有するパンクレアチン抽出物を含有するパンクレアチン溶液での120分後の消化の程度は、少なくとも約1mmol、約1.5mmol、又は約1.7mmolの全遊離脂肪酸が本明細書に開示される製剤から放出されるようなものでありうる。
【0049】
一部の実施形態では、CPSモデルでの120分後の消化の程度(それ故の消化の速度)は、少なくとも約0.2mmol、約0.4mmol、約0.6mmol、又は約0.7mmolのC10脂肪酸(即ちカプリン酸)が本明細書に開示される製剤から放出されるようなものである。
【0050】
一部の実施形態では、本明細書に開示される製剤は、液体又は半固体(即ち、室温より高い範囲の融解温度を有する)であり、当業者に周知の医薬剤形を使用してそれを必要とする患者に経口投与することができる。このような医薬剤形は、ゼラチン又は非ゼラチンの硬質カプセル剤若しくはソフトゲルカプセル剤でありうる。このようなカプセル剤は、硬質ゼラチンカプセル剤及び軟質ゼラチンカプセル剤、並びにその組合せ(例えば、硬質ゼラチンカプセル剤又は非ゼラチンの軟質及び/若しくは硬質カプセル剤での軟質ゼラチンカプセル剤のオーバーカプセル化)を含みうる。本製剤はまた、当業者に周知の技術、例えば吸着、熱溶融造粒/コーティングにより、並びに/又は、選択された担体、希釈剤、添加物質、及び/若しくは結合剤により、従来の固体剤形に翻訳することができる。
【0051】
浸透性の低い分子の吸収の部位は、腸内でありうる。そのため、製剤及び浸透性の低い分子を吸収の部位及び製剤が消化される場所に同時送達するのに有利である。この場合、胃内部での製剤の希釈は避けなければならない。その結果、一部の実施形態では、医薬剤形は、本明細書に開示される製剤を含有する遅延放出剤形である。様々な薬物送達システムが、遅延放出剤形を得るために、当業者には想定できる。様々な材料により、遅延放出剤形を得るのが可能になる。これらの材料は、マトリックス形態(例えばCA2439366に記載)又はコーティングされた形態を得るのに使用することができる。いくつかの遅延放出及び保護の結果は、コーティングされた剤形を使用して得ることができる。
【0052】
遅延放出剤形を製造するのに使用することができる様々な種類の材料は、以下の通りである:エステラーゼ及びリパーゼ(例えば、サロール、セラック、脂質性化合物(ステアリン酸、部分グリセリド)、カルナバワックス、硬化ヒマシ油)、又はプロテアーゼ(例えば、ケラチン、グルテン、ゼイン)のような腸酵素に対して感受性であるポリマー;腸内pHで可溶なポリマー(この選択肢は医薬品工業で最も広く使用される)。これらのポリマーは、ペクチン、セルロース、又はデンプン誘導体として多糖類でありうる。例えば、セルロースアセトフタレート(acetophtalate)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースアセトヘミスクシネート(acetohemisuccinate)、デンプン及びアミロースアセトフタレート;ビニル誘導体(例えば、ポリビニルアセテート、ポリビニルアセトフタレート);アクリル誘導体(例えば、Eudragit L、Eudragit FS30D);又は、マレイン酸コポリマー。
【0053】
遅延放出性の医薬剤形は、pH依存性であるので、腸内pHで可溶なポリマーを使用することができる。一部の実施形態では、遅延放出性の医薬剤形は、腸溶性剤形、特に腸溶性軟質ゼラチンカプセル剤又は腸溶性硬質カプセル剤として腸溶性カプセル剤、より具体的には腸溶性の楕円形軟質ゼラチンカプセル剤、更により具体的には腸溶性の7.5の楕円形又はより小さい軟質ゼラチンカプセル剤でありうる。一部の実施形態では、ゼラチンカプセル剤は、以下に示す試験に従って8~12N、特に9.5Nの硬度を有する。より小さい剤形は、浸透性の低いものを腸に送達するのに更により便利でありうる。3mm以下のサイズの遅延放出剤形は、より大きな剤形より早く幽門の入口を通過し、次いで患者による吸収の後に腸内で浸透性の低い分子をより早く放出することができる。この場合、投与に対する投与量は、同時に嚥下されるいくつかの小さい剤形からなる剤形を必要としうる。
【0054】
腸溶性軟質ゼラチンカプセル製剤の製造は、米国特許第9,259,389号に記載されるように当業者に周知されているが、これは、その全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
最終的な遅延放出性の医薬剤形は、一体構造又は多粒子でありうる。これは、最終剤形(硬質カプセル剤、ソフトゲルカプセル剤、又は他の剤形)及び中間生成物(ペレット、顆粒等)の両方をコーティングすることができることを意味する。特定の剤形は、個体間の変動を最小にするために、多粒子形態(硬質カプセルに充填されたコーティングされたペレット、顆粒、又はいくつかの小錠剤を形成するのに使用されるペレット)でありうる。アクリル誘導体(例えば、Eudragit L)に関連しうる腸溶コーティングのための可逆剤の例は、以下の通りである:グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、ソルビトール/ソルビタンブレンド、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジブチルセバケート、トリエチルシトレート、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド9-45、ポリエチレングリコール。
【0056】
治療活性
本明細書に開示される製剤は、それに含有される浸透性の低い分子又はその塩と同じ治療活性を有することができる。故に、本開示はまた、薬物としての使用のための本明細書に開示される腸溶性医薬製剤に関する。
【0057】
用語「治療有効量」とは、本明細書で使用される場合、標的化した疾患状態を処置、改善、若しくは予防するか、又は、検出可能な治療若しくは予防的効果を呈するのに必要な薬剤の量を指すことができる。一般に、治療有効量は、ヒトにおける製品の非経口投与に利用可能なデータに基づいて推測することができる。
【0058】
本明細書に開示される化合物の有効用量は、従来の方法により確認しうる。任意の特定の患者に必要な具体的な投与量レベルは、処置される状態の重症度、患者の全身健康(即ち年齢、体重及び食事)、患者の性別、投与の時間及び頻度、並びに療法に対する寛容性/応答性を含む、いくつかの因子に依存する。しかし、一般に、一日用量(単回用量で投与されようと分割用量で投与されようと)は、1日当たり1~1000mg、最も一般的には1日当たり5~200mgの範囲である。或いは、投与量は、単位体重当たりで投与することができ、この例では、典型的な用量は、0.01μg/kg~50mg/kg、とりわけ10μg/kg~10mg/kg、50μg/kg~2mg/kgである。
【実施例1】
【0059】
本明細書に開示される製剤の例示される組成物は、以下のTable 2(表2)で見出されうる。
【0060】
【表2】
【0061】
上記の製剤でのAPIは、約700g/molの分子量を有する5つのアミノ酸のペプチドであった。上記の製剤では、Miglyol、Capmul、及びトリエチルシトレートは、浸透促進剤であり、Tween及びKolliphor ELは、消化の運動を助け、次いでMiglyol及びCapmulの効果を改善する界面活性剤である。水及びPEG 400及びプロピレングリコールは、APIを可溶化するが、浸透性に対する活性はない。製剤は、腸管膜に対して分子の低い浸透性に作用するように設計される。消化管の化学的及び物理的な不安定性、並びに胃内部の酸性条件による活性の消失は、コーティングにより制御することができる。
【0062】
製剤1~4(F1~F4)を、米国特許第9,259,389号に記載される通り調製し、本明細書に開示される発明により提供される生物学的利用能の向上を確認するコンパレータとして使用した。
【0063】
製剤1の調製:APIの量を最初に水に溶解し、次いでTween 80を添加する。得られた混合物を撹拌して、均質な溶液を得る。次いで、所定比(table 2(表2)を参照)でのMiglyol 812N及びCapmul MCMの溶液を、先の混合物に添加する。最終的なエマルジョンを、均質な混合液(相分離なし、APIが完全に可溶化)を得られるまで、室温で撹拌する。この製剤は、二酸化ケイ素により安定化すべきである。
【0064】
製剤2の調製:この製剤は、発明製剤を包含する。選択された比でのCapmul MCM及びMiglyol 812Nを、室温で共に混合する。次いで、所定量でのTween 80を溶液に添加する。得られる混合液を、室温で撹拌しながら均質化する。API量を最後に添加し、最終混合液を、均質な懸濁液(相分離なし、APIが調合物に良好に分散)を有するまで撹拌する。
【0065】
製剤3の調製:この製剤は、かなり低い消化性であるが、別の浸透促進剤(トリエチルシトレート)を有するAPIの別の溶液である。APIの量を最初にPEG400及びプロピレングリコールの溶液に溶解し、次いでトリエチルシトレート及びKolliphor ELを添加する。Capmul MCMを、最後に添加する。得られる混合液を、室温で撹拌して、均質な溶液(相分離なし、APIが完全に可溶化)を得る。
【0066】
製剤4の調製:選択された比でのCapmul MCM及びMiglyol 812Nを、室温で共に混合する。次いで、所定量でのTween 80及びトリエチルシトレートを、溶液に逐次添加する。得られる混合液を、室温で撹拌しながら均質化する。API量を最後に添加し、最終混合液を、均質な懸濁液(相分離なし、APIが調合物に良好に分散)が得られるまで撹拌する。
【0067】
API送達用の他の例示的なビヒクルは、以下を含みうる:Crodamol GMCC-SS/トリエチルシトレート/Kolliphor EI/PEG 400/プロピレングリコール、Miglyol 812N/Crodamol GMCC-SS/Tween 80、Miglyol 812N/Crodamol GMCC-SS/トリエチルシトレート/Tween 80、水を添加したMiglyol 812N/Crodamol GMCC-SS/Tween 80。
【0068】
本明細書に開示される製剤の消化性
消化性成分(Miglyol 812N及びCapmul MCM)比について、85%超の製剤1(逆エマルジョン)及び製剤2(懸濁液中のAPI)は、消化性が高い。消化の30分後、製剤1は、製剤1g当たり2.3mmolの脂肪酸を放出し、製剤2は、製剤1g当たり2.1mmolの脂肪酸を放出する。3時間後、製剤1及び製剤2により放出される最大量の脂肪酸は、製剤1g当たり約2.8mmolであり、この放出量は、4つの製剤全てで可能な最大放出である。75%超の脂肪酸は、これら2つの製剤で30分未満で放出される。トリグリセリド(Miglyol 812N)を含まない製剤3(溶液中のAPI)は、最小量の脂肪酸を放出する:消化の3時間後、製剤1g当たり0.6mmolの脂肪酸。消化の30分後、製剤1g当たり0.3mmol(50%)の脂肪酸のみを放出する。製剤4は、他の3つと比較して、脂肪酸の中間計の量(消化の3時間後、製剤1g当たり2.0mmolの脂肪酸)を放出するので、消化成分のレベルは約70%である。1.7mmolの脂肪酸は、30分後に放出され、30分以内の放出の約85%に相当する。
【0069】
以下のTable 3(表3)は、約700Daの5つのアミノ酸ペプチドの生物学的利用能を示す。このペプチドは、酵素的分解に対して感受性がなく、イヌへの投与後に、本明細書に開示される製剤に含まれた。
【0070】
【表3】
【0071】
イヌでの製剤の十二指腸内投与後の薬物動態学的研究は、本発明による製剤において送達される場合、未処理ではない雄のビーグル犬(6.5~10kg)を利用して実施して、浸透性の低い分子の生物学的利用能を決定する。これを行うために、調合した製剤を、麻酔下での内視鏡により投与した。
【0072】
動物を、0.03mL/kgのRompunの筋肉内注射と、続く0.1mL/kgのZoletil 100(登録商標)又は任意の同様の薬物の筋肉内注射を使用して麻酔した。
【0073】
試験製剤を、内視鏡の中心管を通過するカテーテルを装着したプラスチックシリンジを使用して十二指腸内(幽門括約筋の少なくとも4cm後ろ)に送達した一方、動物は、内視鏡の間、左側を下にして横になっていた。投与する浸透性の低い分子の投与量を、各イヌが動物の体重1kg当たり同じ用量を受けるように、投与の日に記録した各イヌの体重に調節した。
【0074】
各投与の前、各動物の間で、カテーテルを、5mLのNaCl 0.9%、及び少なくとも20mLの空気ですすいだ。1mLの血液サンプルを、無麻酔(unanesthesised)の動物の伏在静脈又は橈側皮静脈から、クエン酸ナトリウム管に、様々な時点(通常、投与前;投与の0.25、0.5、1、2、3、4、6、8、12時間後)にわたって収集した。血漿を、サンプルの遠心分離(10分間、3000g、+4℃)後に収集し、解析するまで-20℃で保管した。
【0075】
静脈内投与後の薬学動態学的研究
研究された浸透性の低い分子の薬物動態学では、経口及び十二指腸内投与後のその薬物動態学パラメータ及び生物学的利用能を計算するために、静脈内投与後に調査している。
【0076】
イヌは、各静脈内投与前の14時間絶食させ、投与の6時間後(動力学的測定の間)に給餌した。静脈内投与のために、浸透性の低い分子を、プラスチックシリンジを使用して末梢静脈(伏在静脈又は橈側皮静脈)に単一のボーラス注射としてイヌに投与した。
【0077】
投与する浸透性の低い分子の投与量を、各イヌが動物の体重1kg当たり同じ用量を受けるように、投与の日に記録した各イヌの体重に調節した。1mLの血液サンプルを、無麻酔の動物の伏在静脈又は橈側皮静脈から、クエン酸ナトリウム管に、様々な時点(通常、投与前;投与の0.083、0.166、0.25、0.5、1、2、3、4、6、8、12時間後)にわたって収集した。血漿サンプルを、上に詳述したように調製した(遠心分離、及び更なる解析までの-20℃での保管)。
【実施例2】
【0078】
本明細書に開示される製剤の例示される組成物は、以下のTable 4(表4)で見出されうる。
【0079】
【表4】
【0080】
APIは、抗体模倣物であった。製剤F5は、プラセボ製剤F2と等価であった。製剤F6~F8を使用して、薬物充填量の増加を試験した。
【0081】
本明細書に開示される製剤の消化性:
プラセボ製剤(F5)では、遊離脂肪酸の放出は速く、製剤の85%超の可消化部分は、腸管膜を通して浸透性を高めることが知られている遊離脂肪酸(主にC8及びC10脂肪酸)を放出する30分未満内で消化される。
【0082】
製剤製造:
プラセボ製剤を、所定比(table 4(表4)を参照)で3つの添加剤を共に添加することにより室温で調製し、単一相の溶液を達成するまで(即ち、撹拌せずに24時間後に相分離なし)、磁気撹拌しながら混合する。
【0083】
実施例2で選択されるAPIは、約12kDaのタンパク質であり、より具体的には抗体模倣物である。凍結乾燥したAPIを、プラセボ製剤に添加する前に、乳鉢及び乳棒で粉砕した。製造される製剤に相当する選択される量のAPI(table 4(表4)を参照)を、連続して撹拌しながらプラセボ溶液にゆっくりと添加する。APIを全量添加した後、得られる混合液を、少なくとも24時間撹拌しながら均質化する。
【0084】
以下のTable 3(表3)は、ラット(製剤6、7、及び8)並びにイヌ(製剤7)に添加後に、本明細書に開示される製剤に含まれるタンパク質の生物学的利用能を示す。
【0085】
【表5】
【0086】
製剤6、7、及び8は、十二指腸の処置での直接注射を介してラットに投与される。製剤250mgを、ラット(Sprague Dawleyラット、n=4)ごとに投与した。これは、それぞれ25、50、及び100mg/体重1kgの抗体に相当する。血清サンプルを、投与後のt=0、3、8、24、24、72、120、及び168時間で収集した。血清サンプルの抗体の濃度を、抗体特異的サンドイッチELISAを使用して定量化した。平均AUC、標準偏差、及び生物学的利用能(F%)を、上記の表に記載する。これらの値は、いかなる製剤も含まないゼロ(PBS緩衝液中のAPI)と同等の生物学的利用能と比較させることになる。
【0087】
イヌ研究は、4匹の絶食させた未処理ではない雄のビーグル犬において製剤7で実施した。イヌは、用量投与の15~16時間前に絶食させ、食餌は、投与のおよそ1時間後に戻した。各イヌは、6日間連続で1日当たり5つのカプセル剤を投与した。用量を、1日当たりおよそ10mg/動物1kgの抗体であった。血清サンプルを、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、及び6日目の投与前、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、及び6日目の投与2時間後、並びに6日目の投与1、2、4、8、24、48、96、及び168時間後に採取した。血清の抗体の濃度を、抗体特異的サンドイッチELISAを使用して定量化した。結果により、APIをPBS緩衝液に単に溶解した場合、吸収なしに対して、個体間のいくつかの変動を伴って4匹の動物全てにおける抗体分子の取込み(吸収)を示された。
【実施例3】
【0088】
BHV-3500(vazegepant)は、以下の式Iを有する、親和性が高く(ヒトCGRP Ki=0.023nM)、選択的で構造的に独特な小分子CGRP受容体アンタゴニストである。
【0089】
【化2】
【0090】
BHV-3500の化学名は、(R)-N-(3-(7-メチル-1H-インダゾール-5-イル)-1-(4-(1-メチルピペリジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)-1-オキソプロパン-2-イル)-4-(2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-3-イル)ピペリジン-1-カルボキサミドである。BHV-3500は、例えば、2003年12月18日公開のWO 03/104236、及び2013年7月9日発行の米国特許第8,481,546号に記載され、これらは、その全体を参照により本明細書に組み込まれる。BHV-3500は、浸透性が低く、本研究の目的として選択された。BHV-3500-d8は、BHV-3500の八重水素化した(octadeuterated)類似体であるが、以下の式IIを有する。
【0091】
【化3】
【0092】
イヌにおけるBHV-3500の単一経口カプセル剤の後のBHV-3500の薬物動態(PK)を調査した。
【0093】
材料及び方法
1. 実験計画及び投与
各群に対して、3匹の雌のビーグル犬に、Table 6(表6)で示す通り、BHV-3500を一度投与した。
【0094】
【表6】
【0095】
2. 採血
各投与後、BHV-3500の血漿レベルの決定用の血液サンプル(頚静脈からおよそ3mL)を、6時点(投与前、投与の15、30、及び60分後、並びに2及び4時間後)で、各イヌから得た。EDTAを、抗凝固剤として使用した。血漿サンプルを、解析までおよそ-70℃で凍結した。
【0096】
3. 標準品及び内部標準、並びに血漿サンプルの調製
BHV-3500及びBHV-3500-d8に対する標準品を準備し、室温で保管した。標準を、校正標準の調製用の更なる精製をせずに使用し、血漿サンプルのBHV-3500濃度の決定用の品質管理(QC)サンプルを本研究中に収集した。
【0097】
血漿でのBHV-3500の決定のために、各サンプル由来の50μLのアリコートを、96ウェルプレートの適切なウェルに移し、これに水中の10μLの50%アセトニトリル(ACN)を添加し、その後、250μLの内部標準溶液(ACN中の10ng/mLのBHV-3500-d8)を添加した。プレートを密封し、およそ5分間振り交ぜた後、プレートを、4±4℃で10分間、4,000rpmで遠心分離した。得られる上清の一部(100μL)を、別の96ウェルプレートの適切なウェル(水中の300μLの0.15%ギ酸を含有)に移した。このプレートを密封し、その内容物を機器分析の前に混合した。
【0098】
新たに調製したBHV-3500の標準曲線及びQCサンプルを、研究サンプルと共に分析した。機器の校正物質を、10μLのBHV-3500原液を50μLのブランクのイヌ血漿に添加することにより調製した。ブランクのイヌ血漿を、BioIVT社(Hicksville、NY)から購入し、-20℃で凍結させて保管した。公称の校正物質濃度は、2.00~200ng/mLの範囲であった。QCサンプルを、6.00、50.0、及び150ng/mLの濃度で調製した。校正物質及びQCサンプルは、上述の抽出手順に続く分析のために処理した。
【0099】
4. 分析装置及び条件
校正物質、QC、及び研究サンプルを、Table 7(表7)に詳述したLC-MS/MS装置条件下で分析した。
【0100】
【表7】
【0101】
校正曲線を、内部標準に対する分析物のピーク面積比対分析物濃度の線形回帰(重み計数1/x2)から計算した。サンプルの分析物の濃度を、ピーク面積比及び校正曲線の回帰パラメータを使用して決定した。
【0102】
5. 薬物動態
指定された(公称)サンプリング時間での個々の動物の血漿BHV-3500濃度データを、Phoenix WinNonlinソフトウェア(バージョン8.1; Certara社、Princeton、NJ)で、血管外投与に対する区画分けしないモデルを使用して分析した。
【0103】
排出速度定数(λz)を、データにより可能な場合、末期のデータ点での対数線形回帰(Phoenix WinNonlinのBest Fit Lambda Z Calculation Methodオプションを使用)により計算し、血漿排出半減期(t1/2)を、ln(2)/λzとして計算した。0時間から4時間時点での濃度までの血漿濃度-時間曲線値下面積(AUC0-4時間)を、線形アップ/対数ダウン台形法(linear-up/log-down trapezoidal rule)により計算した。
【0104】
公称用量レベルを、PK分析に使用した。以下に列挙したPKパラメータを、(適用可能であり、データにより可能な場合)評価した。
・排出半減期(t1/2)
・最大血漿濃度の発生時間(Tmax)
・最大血漿濃度(Cmax)
・血漿濃度-時間曲線下面積[0から4時間時点まで; AUC0-4時間]
【0105】
PKの略称及び測定の単位は、Table 8(表8)に表す。
【0106】
【表8】
【0107】
結果
BHV-3500濃度の決定は、Table 9(表9)に表し、図1及び図2にグラフで示す。
【0108】
【表9A】
【0109】
【表9B】
【0110】
PKパラメータを、Table 10(表10)に表す。
【0111】
【表10A】
【0112】
【表10B】
【0113】
概要
BHV-3500を経口カプセル剤(1群、ビヒクルなし)として20mgでイヌにビヒクルなしで投与した場合、血漿レベルは、全ての時点で定量化限界未満(BQL)だった。20mgの用量をビヒクル6及びDDMと組み合わせて(それぞれ2群及び3群)送達する場合のみ、血漿中で測定可能なBHV-3500であった(図1参照)。この20mgの用量で、血漿BHV-3500は、2群及び3群に対して最初の15分の時点でのBQLであり、最高濃度は、それぞれ14.2及び18.9ng/mLの平均曝露を伴う投与の2時間後で見られ、これは、それぞれ956×(22nM)及び1,282×(29.5nM)によりヒトCGRP受容体(Ki=0.023nM)に対するBHV-3500親和性を超える。BHV-3500を経口カプセル剤として50mgでイヌにビヒクルなしで投与した場合(4群、ビヒクルなし)、血漿レベルは、1及び2時間で見られるが、4時間で見られない測定可能なレベルで、15及び30分の時点でのBQLであった。50mgの用量をビヒクル6と組み合わせて送達した場合(5群)、1及び2時間での血漿レベルは、それぞれ11.5及び40.6ng/mLの平均曝露で3.4×から6.6×へ上昇し、これは、それぞれ782×(18nM)及び2,763×(63.3nM)によりヒトCGRP受容体(Ki=0.023nM)に対するBHV-3500親和性を超える(図2参照)。ビヒクル6と共に、測定可能な血漿レベルは、(BHV-3500の血漿レベルが4時間でのBQLであった場合のビヒクルなしの条件(4群)とは異なる)7.97ng/mLの平均曝露での4時間で見出された。50mgの用量を、DDMと組み合わせて送達した場合(6群)、1及び2時間での血漿レベルは、ビヒクルなしの条件(4群)と同様であった。4時間でのDDM(6群)(4時間の血漿レベルがBQLであった場合のビヒクルなしの条件と対照的)と共に、BHV-3500の測定可能な血漿レベルは、8.67ng/mLの平均曝露での4時間で見出され、これは、590×(13.5nM)によりヒトCGRP受容体(Ki=0.023nM)に対するBHV-3500親和性を超える。
【0114】
PK結果の概要を、Table 11(表11)に表す。
【0115】
【表11】
【0116】
研究プロトコルの説明:
研究タイトル: イヌにおけるBHV-3500の単回用量の経口カプセル剤研究
【0117】
研究目的: イヌにおける単回の経口及び舌下投与後のBHV-3500カプセル製剤の薬物動態を決定すること。
【0118】
研究期間: 3週間
【0119】
試験物質の製剤:
同定。試験物質をBHV-3500として識別する。試験物質は、カプセル剤として供給される。
【0120】
人員への危険性。危険な又は潜在的に危険な化学物質を扱うのに使用される慣用の安全対策は、試験物質を扱う人員の健康及び安全性を確実にするために従う。
【0121】
試験物質の特徴付け。試験物質の同定又は純度を検証する分析証明書(又は、他の適切な文書)を提供する。
【0122】
用量の調製及び分析。投与する製剤で分析は実施しない。
【0123】
保存。BHV-3500カプセル剤は、室温で保存する。
【0124】
サンプルの配置及び保持。調剤される試験物質の全量を文書化する。保持サンプルは、本期間の研究に必要ではない。
【0125】
試験物質の用量の選択のための基礎。試験物質の用量レベルは、試験物質の先のPK研究に基づいて選択した。
【0126】
投与経路。試験物質を、ヒトでの投与の意図した経路の1つである経口(カプセル剤)、並びに舌下で投与する。
【0127】
試験物質の配置。試験が完了すると、あらゆる残留する試験物質を戻し、廃棄する。
【0128】
実験計画:
上記のTable 6(表6)を参照。
【0129】
試験システム:
試験動物。3匹又は3匹の雌のビーグル犬を、本研究で使用するためにRidglan Farms社、Mount Horeb、WIから得る。全ての動物は、供給者により、ジステンパー、2型アデノウイルス、パラインフルエンザ、ボルデテラ、狂犬病、パピローマウイルス、及びパルボウイルスに対して免疫化される。イヌは、投与の開始時に、およそ1歳であり、体重およそ8~12kgである。同じ3匹の動物は、全ての試験物質の投与に使用される。
【0130】
正当性。イヌは、非臨床毒性研究で使用される標準種であり、医薬品の薬物動態の安全性評価に対して、大型動物(非齧歯類)モデル系として米国食品医薬品局に認められている。
【0131】
動物の数の正当性。使用される動物の数は、有意義なデータを得るのに必要最小限である。試験依頼者及び試験責任者の知る限り、本試験の実施は、種、試験物質、用量、経路、及び投与期間について、既存のデータの不必要な重複をもたらさない。
【0132】
収容。イヌは、自動給水システムを備えた檻に個別に収容する。檻は、毎日清掃する。米国農務省の福祉基準(連邦規則集、タイトル9、パート3、1991年改訂)、及び実験動物の管理と使用に関する指針(研究評議会、2011年)で示される標準に従って、イヌを収容する。
【0133】
食餌。Certified Canine Diet #2021C(Harlan Teklad社、Madison、WI)。およそ400gの食餌は、最低2時間、毎日各イヌに利用可能にできる。食餌の各ロットは、汚染物質について分析して、本試験の実施又は目的に干渉すると予測される濃度で存在しないことを確実にする。試験中に使用される食餌のロット由来の分析データは、試験施設でファイルに保持される。イヌは、投与前に絶食させる。食餌は、投与のおよそ1時間後に提供する。
【0134】
水。粗めにろ過したシカゴ市の水は、自動給水システムを介して全てのイヌに適宜与える。水は、細菌汚染及び化学組成物(例えば、電解質、金属等)に対して周期的に分析する。水の分析記録は、試験施設でファイルに保持される。本試験に干渉すると予測される汚染物質は、水に存在しないと知られている。
【0135】
動物識別。各イヌは、右耳又は左耳に、USDAの入墨番号により識別される。各イヌはまた、本試験内で独自番号を割り当てる。全ての檻は、プロジェクト番号、動物番号、及び性別で識別する。ゲージカードは、群により色分けする。
【0136】
環境管理。動物室の温度及び相対湿度は、毎日手動で記録する。12時間の明暗サイクル(自動タイマーで維持)を使用する。動物室は、それぞれ、およそ20℃~25℃の範囲の温度、及び30%~70%の範囲の相対湿度で保持される。
【0137】
方法:
隔離。本試験に購入した動物は、試験物質の投与前の少なくとも2週間、隔離されて保持する。隔離期間にわたって、動物は、死亡又は瀕死の証拠を1日に少なくとも1回観察する。
【0138】
無作為化。動物が隔離から解放された後、動物を群に無作為に割り当てる。無作為化の後、各イヌは、詳細な臨床観察を受けて、試験動物としてのその適正を確実にする。
【0139】
投与。1群~2群の動物は、20mg/イヌで、BHV-3500の経口カプセル剤単回投与を受ける。4群~6群の動物は、50mg/イヌの用量で、BHV-3500の経口(カプセル剤)単回投与を受ける。各群は、投与される次の群の前に、少なくとも48時間のウォッシュアウト期間が続く。
【0140】
瀕死/死亡の観察。投与の開始の前に、動物は、死亡又は瀕死の証拠を1日に少なくとも1回観察する。投与の開始時と、その後の観察期間の残りにわたって、生存する全ての試験動物は、死亡又は瀕死の証拠を1日に少なくとも2回観察して、その全身健康を評価する。あらゆる異常な臨床徴候を記録する。瀕死/死亡のチェックを、最小で4時間により分離する。
【0141】
瀕死の動物。瀕死/死亡の観察の間、次の指定された観察期間まで生存の可能性が低いと判断される任意の動物は、担当する獣医師及び試験責任者が同意すると、試験から排除し、秤量し、安楽死させ、培検する。これらの動物は、死に際に安楽死させるので試験ノートで記録する。死亡した動物は、培検のために直ちに排除し、死亡を試験ノートに記録する。
【0142】
傷害性又は疾患性の動物。試験での動物は、標準的な獣医学的実施に従って任意の疾患又は傷害を処置される。影響を受けた任意の動物の環境及び配置の完全な記録を、試験ノートに作製する。他の試験に潜在的な感染性の脅威を与える任意の動物を隔離する。
【0143】
臨床観察。臨床観察は、各用量投与のおよそ1時間後に行う。
【0144】
体重管理。動物は、各投与前に秤量する。
【0145】
食餌量測定。個々の動物の食餌量は、本試験では測定しない。
【0146】
血漿薬物レベル。BHV-3500の血漿レベルの決定用の血液サンプル(頚静脈から収集したおよそ3mL)を、6時点(投与前、各投与の15、30、及び60分後、2及び4時間後)で、各イヌから得る。EDTAを、抗凝固剤として使用する。血漿サンプルを、BHV-3500の濃度に対して試験センターで分析するまで、およそ-70℃で凍結する。薬物動態学的モデリングは、AUC、t1/2、Tmax、及びCmaxを含む。
【0147】
検死。これは、終端のない試験である。イヌは、最後の採血の後に隔離するために戻す。
【0148】
データノート。試験センターで生成される全ての原紙データは、ルーズリーフのノートに維持される。ルーズリーフのノートに維持される紙データは、限定される必要はないが、以下を含む。
・署名される本来のプロトコル、並びに任意の補正例及び/又は逸脱例;
・動物の受領記録;
・動物の飼育記録;
・試験物質データ;
・採血データ;
・TKデータ
ToxData(登録商標)を使用して電子的に獲得されるデータ(例えば、用量投与、毎日の瀕死/死亡及び環境データ、診療観察、体重等)は、コンピュータシステムのデータベース内に維持され、ToxData(登録商標).htmのファイルの電子コピーもまた、CD-ROMにバックアップし、ディスクは、生データで維持される。
【0149】
計画の変更。プロトコルでの変更は、プロトコルの補正の形態で試験を進めることもありうる。プロトコルでの変化は、試験依頼者の具体的な書面による同意なしに行うことはない。
【0150】
規制規準及びコンプライアンス。本試験の指標となる性質により、試験は、U.S. FDA(連邦規則集のタイトル21、パート38)に記載される優良試験所基準(GLP)規則に準拠して実施しない。試験は、試験センターの標準的な動作手順に従って実施される。
【0151】
報告。報告の草案は、作成し、レビューのために試験依頼者に提出する。報告における情報は、限定される必要はないが、以下を含む。
・任意の補正例及び/又は逸脱例を含む、承認されたプロトコルのコピー
・使用した動物の種及び系統
・臨床観察データ
・体重データ
・血漿薬物レベルデータ
・薬物動態的データ
【0152】
報告草案の試験依頼者のレビューに従って、最終報告を試験依頼者に提出する。
【0153】
データ保持。本試験の結果として生成された全ての生データ及び本試験からの最終報告のコピーは、本試験の完了の日から1年の期間、試験センターで保管される。試験依頼者は、試験センター保管庫での保存資料の継続的な保管又はこれらの資料の別の保管施設への輸送に関連する全ての費用の責任がある。試験センターQAUは、全ての保管資料の配置の完全な記録を維持する。
【0154】
人員。本試験の遂行に含まれる全ての試験センターの人員の略歴は、試験センターでファイルされる。
【0155】
プロトコルの承認。本プロトコルは、試験依頼者の具体的な文書を準拠する。
【0156】
定義
別段定義しない限り、本明細書に使用される全ての技術用語、表記法、並びに他の技術的及び科学的用語又は専門用語は、特許請求される主題が関連する当業者が通常理解するのと同じ意味を有することを意図する。一部の例では、通常理解される意味を有する用語は、明確さ及び/又は容易な参照のために本明細書で定義され、本明細書でのこのような定義を含めることは、当該技術分野で一般に理解されるものとの実質的な相違を表すと解釈される必要はない。
【0157】
本明細書での「約」の値又はパラメータの参照は、値又はパラメータ自体に関する変形を含む(及び、記載する)。例えば、「約X」とする記述は、「X」の記述を含む。加えて、値又はパラメータの一続きが続く成句「~未満」、「~超」、「多くとも」、「少なくとも」、「~以下」、「~以上」、又は他の同様の成句の参照は、値又はパラメータの一続きにおける各値又はパラメータに成句を適用することを意味する。例えば、製剤が多くとも約10wt%、約15wt%、又は約20wt%の成分を有するという記述は、製剤が、多くとも約10wt%、多くとも約15wt%、又は多くとも約20wt%の成分を有することを意味する。
【0158】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a、an)」及び「その(the)」は、別段内容が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も同様に含むことを意図する。用語「及び/又は」とは、本明細書で使用される場合、関連する列挙項目の1つ又は複数のあらゆる全ての可能な組合せを指し、それらを包含することも理解すべきである。用語「含む(includes)」、「含むこと(including)」、「含む(comprises)」、及び/又は「含むこと(comprising)」が、本明細書で使用される場合、記述した特徴、整数、工程、操作、要素、成分、及び/又は単位の存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、工程、操作、要素、成分、単位、及び/又はその群の存在又は追加を否定しないことを更に理解すべきである。
【0159】
本出願は、本明細書でのいくつかの数値範囲を開示する。本開示が開示される数値範囲にわたって実施することができるので、開示される数値範囲は、明確な範囲制限が本明細書で逐語的に記述されないとしても、端点を含む開示される数値範囲内の任意の範囲又は値を本質的に支持する。
【0160】
上述は、当業者が本開示を作製し、使用することを可能にするように提示され、特定の用途及びその要件の文脈において提供される。好ましい実施形態に対する様々な改変は、当業者に容易に理解され、本明細書で定義された一般的な原理は、本開示の精神及び範囲を逸脱せずに、他の実施形態及び適用に適用しうる。故に、本開示は、示した実施形態を制限することを意図しないが、本明細書に開示される原理及び特徴と一致する最も広い範囲に従うべきである。
図1
図2
【国際調査報告】