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特表2022-526208偏光変調軌道角運動量のための軌道角運動量生成装置および方法
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  • 特表-偏光変調軌道角運動量のための軌道角運動量生成装置および方法 図1
  • 特表-偏光変調軌道角運動量のための軌道角運動量生成装置および方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-24
(54)【発明の名称】偏光変調軌道角運動量のための軌道角運動量生成装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20220517BHJP
   H04B 10/70 20130101ALN20220517BHJP
【FI】
G02F1/01 F
H04B10/70
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538489
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(85)【翻訳文提出日】2021-08-25
(86)【国際出願番号】 CN2019129493
(87)【国際公開番号】W WO2020135787
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】201811652935.2
(32)【優先日】2018-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521287197
【氏名又は名称】広東国騰量子科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】NATIONAL QUANTUM COMMUNICATION (GUANGDONG) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 1319, Fumin Building, NO. 18, Beijiang Avenue, National High-Tech Zone, Zhaoqing, Guangdong, 526238, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】郭 邦紅
(72)【発明者】
【氏名】何 翼龍
【テーマコード(参考)】
2K102
5K102
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102BA11
2K102BB07
2K102BB10
2K102BC04
2K102BD04
2K102CA18
2K102DA01
2K102DB09
2K102EA02
2K102EB01
2K102EB02
2K102EB11
2K102EB12
2K102EB20
5K102AB11
5K102PH22
5K102PH23
5K102PH24
5K102PH25
5K102PH50
5K102RB01
5K102RB02
(57)【要約】
本発明は、偏光変調軌道角運動量のための軌道角運動量生成装置および方法を提供し、前記装置は、ガウス光源モジュール、第一軌道角運動量変調モジュール、第二軌道角運動量変調モジュール、および多重化モジュールを含む。該装置が動作しているとき、ガウス光源モジュールは任意の偏光状態のガウスビームを生成し、多重化モジュールに入り、多重化モジュールは、ガウスビームを水平偏光方向と垂直偏光方向という2つの偏光成分に分解し、そして、第一または第二軌道角運動量変調モジュールに導入し、変調モジュールは、偏光に依存しない軌道角運動量で2つの成分をそれぞれ変調し、2つの変調された光成分は多重化モジュールに戻り、多重化モジュールは2つの光成分を重ね合わせ、最後に軌道角運動量状態または重ね合わせ状態を出力する。その構造がコンパクトで、製造コストが低く、必要なデバイスおよび技術は比較的成熟し、任意のトポロジカルチャージ数の軌道角運動量状態および重ね合わせ状態を高速で生成でき、速度はMHzのオーダーに達する可能性がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光変調軌道角運動量のための軌道角運動量生成装置であって、前記装置は、ガウス光源モジュール、第一軌道角運動量変調モジュール、第二軌道角運動量変調モジュール、および多重化モジュールを含み、
前記ガウス光源モジュールは、ポンプ光源および偏光子を含み、
前記ポンプ光源は、ガウスパルス光を生成するために使用され、前記偏光子は、ガウスパルス光ビームを必要な偏光状態に変調し、
前記第一軌道角運動量変調モジュールは、第一遅延器、第一1/4波長板、第一ホログラフィックグレーティングスイッチ、第一スパイラル位相板および第一全反射ミラーを含み、前記第一ホログラフィックグレーティングスイッチ、第一スパイラル位相板および第一全反射ミラーは、第一往復光路を形成するように順次接続され、
前記第二軌道角運動量変調モジュールは、第二遅延器、第二1/4波長板、第二ホログラフィックグレーティングスイッチ、第二スパイラル位相板および第二全反射ミラーを含み、前記第二ホログラフィックグレーティングスイッチ、第二スパイラル位相板および第二全反射ミラーは、第二往復光路を形成するように順次接続され、
前記多重化モジュールは、第一偏光ビームスプリッタ、第二偏光ビームスプリッタ、第三偏光ビームスプリッタ、半波長板、およびビームコンバイナを含み、
前記ガウス光パルスが第一または第二軌道角運動量変調モジュールに入ると、まず第一または第二遅延器を通過し、次に第一または第二1/4波長板がビームの偏光状態を初めて回転させ、次に、前記第一または第二往復光路に入り、第一または第二ホログラフィックグレーティングスイッチのスイッチング時間を制御することにより、軌道角運動量状態の変調を完了することができ、変調された光パルスは元の光路に沿って出射され、前記多重化モジュールのビームコンバイナに入り、重ね合わせて軌道角運動量状態または重ね合わせ状態を生成する、ことを特徴とする
偏光変調軌道角運動量のための軌道角運動量生成装置。
【請求項2】
前記第一または第二遅延器は、第一または第二軌道角運動量変調モジュールにおける周期的往復変調によって引き起こされる相対的な時間差を補償するために使用される、ことを特徴とする
請求項1に記載の軌道角運動量生成装置。
【請求項3】
前記第一または第二1/4波長板が入射光を受けると、入射された直線偏光が円偏光になり、第一または第二全反射ミラーで前記円偏光が反射されてから再び該波長板を通過すると、円偏光は、入射時の偏光状態に直交する直線偏光になる、ことを特徴とする
請求項1に記載の軌道角運動量生成装置。
【請求項4】
前記第一または第二ホログラフィックグレーティングスイッチは、結晶内にブラッグレーティングを生成し、ブラッグレーティングによって光の選択的反射を完了する、ことを特徴とする
請求項1に記載の軌道角運動量生成装置。
【請求項5】
電圧が印加されると、前記ブラッググレーティングはビームを反射し、電圧が印加されない場合、ビームは結晶を直接透過する、ことを特徴とする
請求項4に記載の軌道角運動量生成装置。
【請求項6】
前記第一または第二スパイラル位相板は、光学的厚さが回転方位角に比例する純粋な位相回折光学素子である、ことを特徴とする
請求項1に記載の軌道角運動量生成装置。
【請求項7】
前記第一、第二または第三偏光ビームスプリッタは、水平偏光を透過し、垂直偏光を反射する、ことを特徴とする
請求項1に記載の軌道角運動量生成装置。
【請求項8】
前記半波長板は、垂直偏光を水平偏光に変換する、ことを特徴とする
請求項1に記載の軌道角運動量生成装置。
【請求項9】
前記ビームコンバイナは、第二偏光ビームスプリッタと第三偏光ビームスプリッタからの垂直偏光を結合するために使用される、ことを特徴とする
請求項1に記載の軌道角運動量生成装置。
【請求項10】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子情報および光通信の技術分野、特に偏光変調軌道角運動量のための軌道角運動量生成装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
量子暗号は、実証可能な安全性を持つ現在の情報技術であり、高ビットレートの長距離伝送は、量子暗号で解決されるべき緊急の問題となる。科学者たちは、信号を多重化および変調するために不確かさの関係にある複数の自由度を使用することにより、伝送容量を拡張し、キーレートを上げることができることを発見した。ここで、軌道角運動量(OAM)は、偏光、位相、波長などの自由度に加えて、量子暗号変調のもう1つの重要な自由度である。軌道角運動量(OAM、Orbital Angular Momentum)を持つビームは、lhの軌道角運動量を運ぶ位相因子exp(ilθ)を持ち、ここで、θは方位角、lはトポロジカルチャージである。理論的には、トポロジカルチャージ数lは任意の整数値をとることができ、lの値が異なるOAM状態間の直交性により、無限次元のヒルベルト空間を構築することができる。このようなOAMの理論的特性により、量子情報、光通信、光マイクロマニピュレーション、生物医学などの分野で幅広く適用されている。
【0003】
現在、スパイラル位相板、空間光変調器、シリンドリカルレンズに基づくモードシフター、およびqプレートなど、軌道角運動量ビームを発生するための多くのデバイスおよび方法がある。しかしながら、これらのデバイスには独自の制限があり、例えば、スパイラル位相板は単一のOAMモードしか実現できず、空間光変調器は、異なるOAMモードの動的変調を実現できるが、その応答速度は一般にKHz未満であるため、その適用が大幅に制限され、そして、デバイスのサイズが大きいため、統合されにくく、qプレートはスピンと軌道角運動量の間の変換を可能にし、対応するOAM重ね合わせ状態を生成できるが、高次元のOAMを生成しにくく、単一のOAMモードを生成する。
【0004】
【0005】
要約すると、既存の技術は量子コーディングと量子鍵配送(QKD)の将来の適用にまだ対応できない。OAMの研究と適用をさらに拡大するために、構造がコンパクトで、統合しやすく、モードが調整可能で、OAM状態と重ね合わせ状態を高速で生成できるという条件を同時に満たすことができるデバイスが緊急に必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許出願公開第101251655号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第101726868号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第104065418号明細書
【特許文献4】中国特許出願公開第104007567号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Alipasha Vaziri,atal.Superpositions of the orbital angular momentum for applications in quantum experiments.Journal of Optics B: Quantum and Semiclassical Optics, 2002,4(2), 1-19.
【非特許文献2】Xiao, Q,atal.Generation of photonic orbital angular momentum superposition states using vortex beam emitters with superimposed gratings. Optics Express, 2016,24(4), 3168.
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、従来技術の不足を克服するために、偏光変調軌道角運動量のための軌道角運動量生成装置および方法を提供することである。本発明は、ホログラフィックグレーティングスイッチ、スパイラル位相板、および全反射ミラーを使用して往復光路を形成し、光パルス周期の往復時間を制御することによって特定の軌道角運動量の状態変調を達成する。偏光ビームスプリッタとビームコンバイナを用いて直交偏光成分の分離とコヒーレント重ね合わせを達成する。本発明の偏光変調軌道角運動量のための軌道角運動量生成装置および方法は、任意のトポロジカルチャージの軌道角運動量状態とその重ね合わせ状態を高速で生成できるだけでなく、構造がコンパクトで、統合しやすく、製造コストが低いという特徴もある。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、偏光変調軌道角運動量のための軌道角運動量生成装置を提供し、前記装置は、ガウス光源モジュール、第一軌道角運動量変調モジュール、第二軌道角運動量変調モジュール、および多重化モジュールを含む。
前記ガウス光源モジュールは、ポンプ光源および偏光子を含む。
前記ポンプ光源は、ガウスパルス光を生成するために使用され、前記偏光子は、ガウスパルス光ビームを必要な偏光状態に変調する。
【0010】
前記第一軌道角運動量変調モジュールは、第一遅延器、第一1/4波長板、第一ホログラフィックグレーティングスイッチ、第一スパイラル位相板および第一全反射ミラーを含み、前記第一ホログラフィックグレーティングスイッチ、第一スパイラル位相板および第一全反射ミラーは、第一往復光路を形成するように順次接続される。
【0011】
前記第二軌道角運動量変調モジュールは、第二遅延器、第二1/4波長板、第二ホログラフィックグレーティングスイッチ、第二スパイラル位相板および第二全反射ミラーを含み、前記第二ホログラフィックグレーティングスイッチ、第二スパイラル位相板および第二全反射ミラーは、第二往復光路を形成するように順次接続される。
【0012】
前記第一または第二遅延器は、2つの成分の時間的整合性を確保するために、第一または第二軌道角運動量変調モジュールにおける周期的往復変調によって引き起こされる相対的な時間差を補償するために使用される。
【0013】
前記第一または第二1/4波長板が入射光を受けると、入射された直線偏光が円偏光になり、第一または第二全反射ミラーで円偏光が反射されてから再び該波長板を通過すると、円偏光は、入射時の偏光状態に直交する直線偏光になり、すなわち、水平偏光は垂直偏光に変換される。
【0014】
前記第一または第二ホログラフィックグレーティングスイッチは、レーザーを使用したホログラフィック技術であり、ホログラフィックの形で結晶内にブラッグレーティングを生成し、ブラッグレーティングに依存して光の選択的反射を達成し、その応答速度はナノ秒のオーダーに達する可能性がある。電圧が印加されると、ブラッググレーティングはビームを反射し、電圧が印加されない場合、ビームは結晶を直接透過し、実際の適用では、ホログラフィックグレーティングスイッチの代わりに他の透過型または反射型の光スイッチを使用することもできる。
【0015】
前記第一または第二スパイラル位相板は、光学的厚さが回転方位角に比例する純粋な位相回折光学素子であり、その目的は透過ビームの位相を制御することであり、そのプロセスは偏光に依存しない。ガウスビームが透明なスパイラル位相板を通過するとき、スパイラル位相板のスパイラル表面が透過ビームの光路を異なる方法で変化させるため、位相変化の量も異なり、透過ビームにスパイラル位相因子を生成させ、そのトポロジカルチャージ数はLである。
【0016】
ガウス光パルスが第一または第二軌道角運動量変調モジュールに入ると、まず第一または第二遅延器を通過し、次に第一または第二1/4波長板がビームの偏光状態を初めて回転させ、第一往復光路または第二往復光路に入り、第一または第二ホログラフィックグレーティングスイッチのスイッチング時間を制御することにより、特定の軌道角運動量状態の変調を完了することができ、変調された光パルスは、元の光路に沿って出射され、すなわち、第一または第二1/4波長板、第一または第二遅延器を再び通過し、ここで、第一または第二スパイラル位相を通過するたびに、軌道角運動量のトポロジカルチャージの絶対値が|L|に加えられ、変調された光パルスは元の光路に沿って出射され、前記多重化モジュールのビームコンバイナに入り、重ね合わせて軌道角運動量状態または重ね合わせ状態を生成する。
【0017】
前記多重化モジュールは、第一偏光ビームスプリッタ、第二偏光ビームスプリッタ、第三偏光ビームスプリッタ、半波長板、およびビームコンバイナを含む。
【0018】
前記第一、第二または第三偏光ビームスプリッタは、水平偏光を透過し、垂直偏光を反射する。
【0019】
前記半波長板は、垂直偏光を水平偏光に変換する。
【0020】
前記ビームコンバイナは、第二偏光ビームスプリッタと第三偏光ビームスプリッタからの垂直偏光を結合するために使用される。
【0021】
上記軌道角運動量生成装置が動作しているとき、ガウス光源モジュールは任意の偏光状態のガウスビームを生成し、多重化モジュールに入り、多重化モジュールは、ガウスビームを水平偏光方向と垂直偏光方向という2つの偏光成分に分解し、そして、第一または第二軌道角運動量変調モジュールに導入し、変調モジュールは、偏光に依存しない軌道角運動量で2つの成分をそれぞれ変調し、2つの変調された光成分は多重化モジュールに戻り、多重化モジュールは2つの光成分を重ね合わせ、最後に軌道角運動量状態または重ね合わせ状態を出力する。
【0022】
【0023】
【0024】
具体的には、上部の分岐は、垂直方向の第一偏光ビームスプリッタの上部光路であり、右側の分岐は、水平方向の第一偏光ビームスプリッタの右側光路である。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
上記の偏光変調軌道角運動量のための軌道角運動量生成装置および方法において、その構造がコンパクトで、製造コストが低く、必要なデバイスおよび技術は比較的成熟し、任意のトポロジカルチャージ数の軌道角運動量状態および重ね合わせ状態を高速で生成でき、速度はMHzのオーダーに達する可能性がある。ここで、本装置の速度は、ホログラフィックグレーティングスイッチの応答時間によってのみ制限される。
【0030】
【0031】
本発明の有益な効果は、以下のとおりであり、
(1)本発明の提供する技術的解決手段は、偏光自由度とOAM自由度の間の状態変換を達成でき、入射光の偏光状態を直接調整することで、対応する軌道角運動量状態または重ね合わせ状態を出力することができる。
【0032】
(2)本発明の提供する技術的解決手段は、MHzオーダー以上の速度で任意の軌道角運動量状態と任意の軌道角運動量状態間の重ね合わせ状態の両方を生成でき、それは、ホログラフィックグレーティングスイッチの応答時間のみに制限される。
【0033】
(3)本発明の提供する技術的解決手段は、高出力入射光と互換性があり、全体構造がコンパクトで、製造コストが低いという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は本発明の実施例によって提供される装置の構造ブロック図である。
図2図2は本発明の実施例によって提供される装置の動作原理図である。
図3図3は本発明の実施例によって提供される方法の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下では、添付の図面を参照して本発明の具体的な実施形態について説明する。
【0036】
図1に示すとおり、本発明の提供する偏光変調軌道角運動量のための軌道角運動量生成装置は、ガウス光源モジュール0、第一軌道角運動量変調モジュール1、第二軌道角運動量変調モジュール2、および多重化モジュール3を含む。
【0037】
図2に示すとおり、前記ガウス光源モジュール0は、ポンプ光源001および偏光子002を含み、前記ポンプ光源001は、ガウスパルス光を発生する。
【0038】
前記偏光子002は、ガウスパルス光ビームを必要な偏光状態に変調する。
【0039】
前記第一軌道角運動量変調モジュール1は、第一遅延器101、第一1/4波長板102、第一ホログラフィックグレーティングスイッチ103、第一スパイラル位相板104および第一全反射ミラー105を含む。
【0040】
前記第二軌道角運動量変調モジュール2は、第二遅延器201、第二1/4波長板202、第二ホログラフィックグレーティングスイッチ203、第二スパイラル位相板204および第二全反射ミラー205を含む。
【0041】
前記第一遅延器101または第二遅延器201は、2つの成分の時間的整合性を確保するために、第一軌道角運動量変調モジュール1または第二軌道角運動量変調モジュール2における周期的往復変調によって引き起こされる相対的な時間差を補償するために使用される。
【0042】
前記第一1/4波長板102または第二1/4波長板202が入射光を受けると、入射された直線偏光が円偏光になり、第一全反射ミラー105または第二全反射ミラー205で円偏光が反射されてから再び該波長板を通過すると、円偏光は、入射時の偏光状態に直交する直線偏光になり、すなわち、水平偏光は垂直偏光に変換される。
【0043】
前記第一ホログラフィックグレーティングスイッチ103または第二ホログラフィックグレーティングスイッチ203は、レーザーを使用したホログラフィック技術であり、ホログラフィックの形で結晶内にブラッグレーティングを生成し、ブラッグレーティングに依存して光の選択的反射を達成し、その応答速度はナノ秒のオーダーに達する可能性がある。電圧が印加されると、ブラッググレーティングはビームを反射し、電圧が印加されない場合、ビームは結晶を直接透過し、実際の適用では、ホログラフィックグレーティングスイッチの代わりに他の透過型または反射型の光スイッチを使用することもできる。
【0044】
前記第一スパイラル位相板104または第二スパイラル位相板204は、光学的厚さが回転方位角に比例する純粋な位相回折光学素子であり、その目的は透過ビームの位相を制御することであり、プロセスは偏光に依存しない。ガウスビームが透明なスパイラル位相板を通過するとき、スパイラル位相板のスパイラル表面が透過ビームの光路を異なる方法で変化させるため、位相変化の量も異なり、透過ビームにスパイラル位相因子を生成させ、そのトポロジカルチャージ数はLである。
【0045】
ガウス光パルスが第一軌道角運動量変調モジュール1または第二軌道角運動量変調モジュール2に入ると、まず第一遅延器101または第二遅延器201を通過し、次に第一1/4波長板102または第二1/4波長板202がビームの偏光状態を初めて回転させ、第一ホログラフィックグレーティングスイッチ103、第一スパイラル位相板104、および第一全反射ミラー105からなる第一往復光路に入り、または第二ホログラフィックグレーティングスイッチ203、第二スパイラル位相板204、および第二全反射ミラー205からなる第二往復光路に入り、第一ホログラフィックグレーティングスイッチ103または第二ホログラフィックグレーティングスイッチ203のスイッチング時間を完了することにより、特定の軌道角運動量状態の変調を達成することができ、変調された光パルスは、元の光路に沿って出射され、すなわち、第一1/4波長板102または第二1/4波長板202、第一遅延器101または第二遅延器201を再び通過し、ここで、第一スパイラル位相104または第二スパイラル位相204を通過するたびに、軌道角運動量のトポロジカルチャージ数の絶対値が|L|に加えられる。
【0046】
前記多重化モジュール3は、第一偏光ビームスプリッタ301、第二偏光ビームスプリッタ302、第三偏光ビームスプリッタ303、半波長板304、およびビームコンバイナ305を含む。
【0047】
前記第一偏光ビームスプリッタ301、第二偏光ビームスプリッタ302または第三偏光ビームスプリッタ303は、水平偏光を透過し、垂直偏光を反射する。
【0048】
前記半波長板304は、垂直偏光を水平偏光に変換する。
【0049】
前記ビームコンバイナ305は、第二偏光ビームスプリッタ302と第三偏光ビームスプリッタ303からの垂直偏光を結合するために使用される。
【0050】
本発明は、偏光変調軌道角運動量のための軌道角運動量生成装置を提供し、ガウス光源モジュール0によって任意の偏光状態のガウスビームを生成し、生成されたビームは、偏光ビームスプリッタ301、302、303、半波長板304、およびビームコンバイナ305から構成される多重化モジュール3を通過し、水平偏光方向と垂直偏光方向という2つの偏光成分に分解し、そして、第一軌道角運動量変調モジュール1または第二軌道角運動量変調モジュール2に導入する。変調モジュールは、スパイラル位相板104および204を用いて、偏光に依存しない軌道角運動量で2つの成分をそれぞれ変調し、ここで、第一ホログラフィックグレーティングスイッチ103または第二ホログラフィックグレーティングスイッチ203、第一スパイラル位相板104または第二スパイラル位相板204、第一全反射ミラー105または第二全反射ミラー205は、一緒に往復光路を形成し、第一ホログラフィックグレーティングスイッチ103または第二ホログラフィックグレーティングスイッチ203のスイッチング時間を制御することで、特定の軌道角運動量状態の変調を達成することができる。2つの変調された光成分は多重化モジュール3に戻る。多重化モジュール3はビームコンバイナ305を用いて2つの光成分を重ね合わせ、最後に軌道角運動量状態または重ね合わせ状態を出力する。
【0051】
【0052】
【0053】
具体的には、上部の分岐は、垂直方向の第一偏光ビームスプリッタ301の上部光路であり、右側の分岐は、水平方向の第一偏光ビームスプリッタ301の右側光路である。
【0054】
【0055】
【0056】
ステップS4:入射光は、第一軌道角運動量変調モジュール1または第二軌道角運動量変調モジュール2に同時に入射し、一定の遅延の後、第一1/4波長板102または第二1/4波長板202が偏光状態の第一偏光回転を行い、続いて、第一ホログラフィックグレーティングスイッチ103または第二ホログラフィックグレーティングスイッチ203、第一スパイラル位相板104または第二スパイラル位相板204、および第一全反射ミラー105または第二全反射ミラー205からなる往復光路に入射してOAM変調を行う。
【0057】
【0058】
【0059】
上記装置および方法において、その構造がコンパクトで、製造コストが低く、必要なデバイスおよび技術は比較的成熟し、任意のトポロジカルチャージ数の軌道角運動量状態および重ね合わせ状態を高速で生成でき、速度はMHzのオーダーに達する可能性がある。ここで、本装置の速度は、ホログラフィックグレーティングスイッチの応答時間によってのみ制限される。
【0060】
【0061】
上記明細書の開示および教示に基づいて、本発明が関係する当業者はまた、上記実施形態に変更および修正を加えることができる。したがって、本発明は、上記で開示および説明された特定の実施形態に限定されず、本発明に対するいくつかの修正および変更もまた、本発明の特許請求の範囲内に含まれるべきである。また、本明細書では特定の用語を使用しているが、これらの用語は説明の便宜のためにのみ使用され、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0062】
0-ガウス光源モジュール、1-第一軌道角運動量変調モジュール、2-第二軌道角運動量変調モジュール、3-多重化モジュール、
001-ポンプ光源、002-偏光子、
101-第一遅延器、102-第一1/4波長板、103-第一ホログラフィックグレーティングスイッチ、104-第一スパイラル位相板、105-第一全反射ミラー、
201-第二遅延器、202-第二1/4波長板、203-第二ホログラフィックグレーティングスイッチ、204-第二スパイラル位相板、205-第二全反射ミラー、
301-第一偏光ビームスプリッタ、302-第二偏光ビームスプリッタ、303-第三偏光ビームスプリッタ、304-半波長板、305-ビームコンバイナ
図1
図2
図3
【国際調査報告】