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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-24
(54)【発明の名称】流体を印刷する方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20220517BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220517BHJP
   B41J 2/16 20060101ALI20220517BHJP
   B41J 3/407 20060101ALI20220517BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
B41J2/14 501
B41J2/01 303
B41J2/01 401
B41J2/14 613
B41J2/16 401
B41J2/16 301
B41J2/01 451
B41J3/407
B41M5/00 120
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541730
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(85)【翻訳文提出日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 IB2019052287
(87)【国際公開番号】W WO2020157548
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】PL428770
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(31)【優先権主張番号】PL429147
(32)【優先日】2019-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521318941
【氏名又は名称】エックスティーピーエル エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】グラネック,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ウィアトロウスカ,アネタ
(72)【発明者】
【氏名】フィジャク,クシシュトフ
(72)【発明者】
【氏名】ダスザ,ミハウ
(72)【発明者】
【氏名】チチョン,プシェミスワフ
(72)【発明者】
【氏名】コワルジェフスキ,ピョートル
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
2H186
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB08
2C056EB36
2C056EC08
2C056EC11
2C056EC28
2C056EC31
2C056EC32
2C056EC33
2C056EC35
2C056EC72
2C056FA04
2C056FA15
2C056FC01
2C056HA12
2C056HA17
2C056HA20
2C056HA38
2C056KA08
2C056KD06
2C057AF21
2C057AG03
2C057AG07
2C057AG09
2C057AG44
2C057AM15
2C057AN07
2C057AP13
2C057AP21
2C057BA03
2C057BA14
2H186AA17
(57)【要約】
流体を基板(110)の印刷可能面(112)に印刷する方法。印字ヘッド(104)は、出力部(166)、細長い入力部、及び出力部(166)と細長い入力部との間のテーパー部からなる微細構造流体排出器(200)を含む。出力部(166)は、0.1μmと5μmとの間の範囲にある内径の出口オリフィス、及び0.1μm未満の表面粗さを有する端面を含む。微細構造流体排出器(200)の出力部(166)が下方に向いた状態で、印字ヘッド(104)を基板(110)の上に位置決めする。印刷中に、印字ヘッド位置決めシステム(108)は、端面と基板(110)の印刷可能面(112)との間の縦方向距離を0μmから5μmの範囲内に維持し、空気圧システム(106)は、-50,000パスカル(Pa)から1,000,000パスカル(Pa)の範囲で、微細構造流体排出器(200)における流体に圧力を加える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を基板の印刷可能面に印刷する方法であって、
前記基板を基板台の上の固定位置に位置決めするステップと、
微細構造流体排出器を含む印字ヘッドを供給するステップであって、前記微細構造流体排出器は、(1)0.1μmと5μmとの間の範囲にある出力内径の出口オリフィス、及び0.1μm未満の表面粗さを有する端面を含む出力部、(2)少なくとも100倍分だけ前記出力内径よりも大きい入力内径を有する細長い入力部、及び(3)前記細長い入力部と前記出力部との間のテーパー部を含むステップと、
前記印字ヘッドを前記基板の上に位置決めするステップと、
前記出口オリフィスが下方に向き、前記端面が前記印刷可能面の方に面した状態で、前記微細構造流体排出器を方向付けるステップと、
空気圧システムを前記印字ヘッドに連結するステップと、
前記基板に対して前記印字ヘッドの縦方向変位及び前記印字ヘッドの横方向変位を制御する印字ヘッド位置決めシステムを供給するステップと、
印刷中に、前記印字ヘッド位置決めシステムを動作させて、前記端面と前記印刷可能面との間の縦方向距離を0μmから5μmの範囲内に制御するステップと、
前記印刷中に、前記印字ヘッド位置決めシステムを動作させて、前記印字ヘッドを横方向に変位させるステップと、
前記空気圧システムを動作させて、前記細長い入力部を介して前記微細構造流体排出器における前記流体に圧力を加えるステップであって、前記印刷中に、前記圧力を、-50,000パスカル(Pa)から1,000,000パスカル(Pa)の範囲内に調節するステップと
を含み、
前記印刷中に、前記印字ヘッドと前記基板との間の印加電界無しで連続的な流れで前記出口オリフィスを介して流体を排出し、前記連続的な流れは、前記印刷可能面に流体の線を形成する
方法。
【請求項2】
前記表面粗さは、1nmと20nmとの間の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記印字ヘッド位置決めシステムを動作させて、前記印字ヘッドを横方向に変位させる前記ステップは、前記印刷中に、0.01mm/secから1000mm/secの範囲にある速度で前記基板に対して前記印字ヘッドを横方向に変位させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記印刷可能面の上の前記線は、1.0倍分から20.0倍分の範囲だけ前記出力内径よりも大きい線幅を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記印字ヘッド位置決めシステムを動作させて、前記縦方向距離を10μm以上に増加し、前記印刷可能面への流体の流れを停止するステップを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記微細構造流体排出器は、ガラスを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記空気圧システムは、ポンプ及び圧力調節器を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記印字ヘッド位置決めシステムを動作させて、前記縦方向距離を制御する前記ステップは、前記印刷中に、前記縦方向変位を調整して、前記印刷可能面と接触して前記テーパー部を維持することを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記印字ヘッド位置決めシステムを動作させて、前記印字ヘッドを横方向に変位させる前記ステップは、前記印刷中に、横方向変位の方向に沿って前記基板に対して前記印字ヘッドを横方向に変位させることを含み、
前記テーパー部を、前記印刷中に、横方向変位の前記方向に沿って傾斜させる又は曲げる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
撮像システムを動作させて、前記テーパー部の前記傾斜又は曲げを検出するステップを更に含み、
前記印字ヘッド位置決めシステムを動作させて、前記縦方向距離を制御する前記ステップは、前記検出傾斜に応じて前記縦方向変位を調整することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
縦方向変位センサーを動作させて、前記印刷可能面の上の基準位置に対する基準縦方向変位を測定するステップを更に含み、
前記印字ヘッド位置決めシステムを動作させて、前記縦方向距離を制御する前記ステップは、前記測定基準縦方向変位に応じて前記縦方向変位を調整することを更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記縦方向変位センサーは、レーザー変位センサーである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記印字ヘッド位置決めシステムを動作させて、前記印字ヘッドを横方向に変位させる前記ステップは、前記印刷中に、横方向変位の方向に沿って前記基板に対して前記印字ヘッドを横方向に変位させることを含み、
前記縦方向変位センサーを、前記印刷中に、横方向変位の前記方向に沿って前記微細構造流体排出器の前方に位置決めする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
第1の歯を含む音叉を供給するステップであって、マーカー部位は、前記第1の歯に位置し、前記音叉は、前記出力部が前記マーカー部位と接触している場合、非摂動共振周波数f、及び前記非摂動共振周波数fと測定可能に異なる摂動共振周波数fを特徴とするステップと、
前記マーカー部位の座標を第1の座標系で判定するステップと、
前記印字ヘッドを位置決めして、前記出力部を前記音叉の近傍に持って来るステップと、
測定回路を前記音叉に連結するステップと、
前記非摂動共振周波数f及び前記摂動共振周波数fを含む周波数の範囲にある可変周波数信号を前記音叉に伝送して、前記音叉が振動するようにするステップと、
前記出力部を多数の座標に変位させながら、前記信号に対する前記音叉の周波数応答を測定して、前記摂動共振周波数が検出される前記出力部の前記座標を判定するステップと、
前記摂動共振周波数が検出される前記出力部の前記座標に応じて、前記印字ヘッド位置決めシステムを較正するステップと
を更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記マーカー部位は、マーカー点を含み、
前記マーカー点を含む前記マーカー部位のマップをメモリ記憶装置に供給するステップと、
前記マーカー点の座標が前記マップから判定されるまで、前記周波数応答を測定する前記ステップを繰り返すステップと
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記流体は、1センチポイズから2000センチポイズの範囲にある粘度を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記流体は、1センチポイズから10センチポイズの範囲にある粘度を有し、前記空気圧システムを動作させる前記ステップは、前記印刷中に、前記圧力を、-50,000パスカル(Pa)から0パスカル(Pa)の範囲内に調節することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記流体は、100センチポイズから200センチポイズの範囲にある粘度を有し、前記空気圧システムを動作させる前記ステップは、前記印刷中に、前記圧力を、20,000パスカル(Pa)から80,000パスカル(Pa)の範囲内に調節することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記流体は、ナノ粒子を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ナノ粒子は、量子ドットを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記流体は、銀、チタン、及び炭素を含む群から選択される元素を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記印字ヘッドは、第2の微細構造流体排出器を更に含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
流体タンクを前記印字ヘッドに連結するステップを更に含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
圧電アクチュエータを前記流体タンクに連結するステップと、
前記圧電アクチュエータを動作させて、前記流体タンクの振動を引き起こすステップと
を更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記圧電アクチュエータを動作させる前記ステップは、前記流体タンクの前記振動を変調することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記流体タンクと前記細長い入力部との間に弾性流体導管を供給するステップを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
圧電アクチュエータを前記印字ヘッドに連結するステップと、
前記圧電アクチュエータを動作させて、前記微細構造流体排出器の振動を引き起こすステップと
を更に含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記圧電アクチュエータを動作させる前記ステップは、前記微細構造流体排出器の前記振動を変調することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
印字ヘッドを供給する前記ステップは、
ガラス管を供給することと、
前記ガラス管を集束イオンビーム装置に設置することと、
前記ガラス管のテーパー部の方へ集束イオンビームを向け、前記テーパー部を横切って、前記出口オリフィス及び前記端面を含む出力部を規定することと、
前記端面の前記表面粗さが0.1μm未満であるように、前記集束イオンビームを用いて前記端面を研磨して、微細構造流体排出器を得ることと、
前記微細構造流体排出器を前記集束イオンビーム装置から取り外すことと
を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記空気圧システムを動作させて、10,000パスカル(Pa)から1,000,000パスカル(Pa)の範囲にある圧力を加えながら、溶剤に前記出力部を浸漬させることを含む、前記出力部を洗浄するステップを更に含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記印字ヘッド位置決めシステムを動作させて、前記印字ヘッドを横方向に変位させる前記ステップは、第1の方向に経路に沿って前記印字ヘッドを横切り、次に、前記第1の方向と反対側の第2の方向に前記経路に沿って前記印字ヘッドを横切ることを含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
請求項1~31のいずれか一項に記載の方法を含む、オープン欠陥を修理する方法。
【請求項33】
微細構造流体排出器を装着容器に装着するステップであって、前記微細構造流体排出器は、前記装着容器に装着される場合、前記微細構造流体排出器の縦軸を中心として回転可能であるステップと、
回転デバイスを前記微細構造流体排出器に連結するステップと、
前記微細構造流体排出器の縦軸を中心として前記微細構造流体排出器に制御回転を与えるステップと
を更に含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
流体を基板の印刷可能面に印刷する方法であって、
前記基板を基板台の上の固定位置に位置決めするステップと、
第1の端部、及び前記第1の端部と反対側の第2の端部を有する共通レールと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記共通レールに沿って配列される微細構造流体排出器のバンクであって、前記微細構造流体排出器の各々は、(1)0.1μmと5μmとの間の範囲にある出力内径の出口オリフィス、及び0.1μm未満の表面粗さを有する端面を含む出力部、(2)少なくとも100倍分だけ前記出力内径よりも大きい入力内径を有する細長い入力部、及び(3)前記細長い入力部と前記出力部との間のテーパー部を含むバンクと、
前記第1の端部の近くに位置決めされる第1の縦方向変位センサーと、
前記第2の端部の近くに位置決めされる第2の縦方向変位センサーと、
ベース支持体と、
前記第1の端部を前記ベース支持体に取り付ける第1の圧電スタック線形アクチュエータと、
前記第2の端部を前記ベース支持体に取り付ける第2の圧電スタック線形アクチュエータと
を含む印字ヘッドモジュールを供給するステップと、
前記印字ヘッドモジュールを前記基板の上に位置決めするステップと、
前記出口オリフィスが下方に向き、前記端面が前記印刷可能面の方に面した状態で、前記微細構造流体排出器の各々を方向付けるステップと、
空気圧システムを前記印字ヘッドモジュールに連結するステップと、
前記基板に対して前記印字ヘッドモジュールの前記ベース支持体の縦方向変位及び前記印字ヘッドモジュールの前記ベース支持体の横方向変位を制御する印字ヘッドモジュール位置決めシステムを供給するステップと、
印刷中に、前記印字ヘッドモジュール位置決めシステムを動作させて、前記基板に対して前記印字ヘッドモジュールの前記ベース支持体を横方向に変位させるステップと、
前記空気圧システムを動作させて、前記それぞれの細長い入力部を介して前記微細構造流体排出器における前記流体に圧力を加えるステップであって、前記印刷中に、前記圧力を、-50,000パスカル(Pa)から1,000,000パスカル(Pa)の範囲内に調節するステップと、
前記第1の縦方向変位センサーを動作させて、前記印刷可能面の上の第1の基準位置に対する第1の基準縦方向変位を測定するステップと、
前記第2の縦方向変位センサーを動作させて、前記印刷可能面の上の第2の基準位置に対する第2の基準縦方向変位を測定するステップと、
前記第1の圧電スタック線形アクチュエータを動作させて、前記第1の基準縦方向変位に応じて前記第1の端部と前記ベース支持体との間の第1の縦方向間隔を調整するステップと、
前記第2の圧電スタック線形アクチュエータを動作させて、前記第2の基準縦方向変位に応じて前記第2の端部と前記ベース支持体との間の第2の縦方向間隔を調整するステップと
を含む方法。
【請求項35】
前記印字ヘッドモジュール位置決めシステムを動作させる前記ステップは、前記印刷中に、横方向変位の方向に沿って前記基板に対して前記印字ヘッドモジュールの前記ベース支持体を横方向に変位させることを含み、横方向変位の前記方向は、前記第1の端部から前記第2の端部へのベクトルに対して略垂直である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の変位センサーを横方向変位の前記方向に沿って前記微細構造流体排出器の前方に位置決めするステップと、
前記第2の変位センサーを横方向変位の前記方向に沿って前記微細構造流体排出器の前方に位置決めするステップと
を更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
第2の印字ヘッドモジュールを供給するステップを更に含む、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
微細構造流体排出器を製造する方法であって、
ガラス管、細長い入力部及びテーパー部を供給するステップと、
前記ガラス管を集束イオンビーム装置に設置するステップと、
前記テーパー部の方へ集束イオンビームを向け、前記テーパー部を横切って、出口オリフィス及び端面を含む出力部を規定するステップと、
前記端面の表面粗さが0.1μm未満であるように、前記集束イオンビームを用いて前記端面を研磨して、微細構造流体排出器を得るステップと、
前記微細構造流体排出器を前記集束イオンビーム装置から取り外すステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
フォトレジスト層のフォトリソグラフィーパターン形成、次いで、パターン形成フォトレジストをマスクとして用いた下地金属層のエッチングによって、金属線を形成することができる。しかし、フォトリソグラフィー及びエッチング設備のコストが高いので、特に約1μmから約10μmの範囲にある線幅に対して、非常に生産的な代替案が必要である。
【0002】
インクジェット印刷は、非常に生産的であることができる加法処理である。減法処理であるフォトリソグラフィー及びエッチングと対照的に、無駄な材料が少ない。これは、量子ドットなどの高コスト材料のパターンの形成に対して特に考慮すべき事項である。それにもかかわらず、従来のインクジェット印刷工程は、約1μmから約10μmの範囲にある線幅を有するパターンの形成に最適でないことが分かっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
1つの態様において、本開示は、流体を基板の印刷可能面に印刷する方法に関する。この方法によれば、印字ヘッドは、流体を連続的な流れで排出する。方法は、出力部、細長い入力部、及び出力部と細長い入力部との間のテーパー部を含む微細構造流体排出器を含む印字ヘッドを供給することを含む。出力部は、0.1μm~5μmの間の範囲にある内径の出口オリフィス、及び0.1μm未満の表面粗さを有する端面を含む。微細構造流体排出器の出力部が下方に向いた状態で、印字ヘッドを基板の上に位置決めする。印刷中に、印字ヘッド位置決めシステムは、端面と基板の印刷可能面との間の縦方向距離を0μm~5μmの範囲内に維持し、空気圧システムは、-50,000パスカル(Pa)から1,000,000パスカル(Pa)の範囲で、微細構造流体排出器における流体に圧力を加える。
【0004】
別の態様において、印刷中に、微細構造流体排出器の出力部を、基板の印刷可能面と接触して維持する。テーパー部を、横方向変位の方向に沿って傾斜させる又は曲げる場合、撮像システムは、テーパー部の傾斜又は曲げを検出し、出力部の縦方向変位を、検出傾斜又は曲げに応じて調整する。
【0005】
更に別の態様において、縦方向変位センサーは、縦方向変位センサーと印刷可能面上の基準位置との間の基準縦方向変位を測定し、基準縦方向変位に応じて、出力部の縦方向変位を調整する。
【0006】
更に別の態様において、座標が第1の座標系で正確に知られている音叉を用いて、微細構造流体排出器の出力部の位置を較正する。出力部が音叉と接触する場合、音叉の共振周波数を、測定可能に摂動させる。
【0007】
更に別の態様において、ガラス管を集束イオンビーム装置に設置し、集束イオンビームを使用して、テーパー部を横切って、出口オリフィス及び端面を含む出力部を規定する。集束イオンビームを使用して、端面を研磨して微細構造流体排出器を得る。
【0008】
更に別の態様において、微細構造流体排出器を、装着容器に装着する。微細構造流体排出器は、微細構造流体排出器の縦軸を中心として回転可能であり、回転デバイスは、微細構造流体排出器に連結されて、微細構造流体排出器の縦軸を中心として微細構造流体排出器に制御回転を与える。
【0009】
更に別の態様において、流体を基板の印刷可能面に印刷する方法は、印字ヘッドモジュールを供給することを含む。印字ヘッドモジュールは、共通レール、及び共通レールに沿って配列される微細構造流体排出器のバンクを含む。微細構造流体排出器は、より高い生産性のために、同時に流体を印刷する。共通レールは、共通レールの端部の近くに位置決めされる圧電スタック線形アクチュエータによって、印字ヘッドモジュールのベース支持体からつるされる。縦方向変位センサーは、共通レールの各端部に位置決めされ、印刷可能面の上の基準位置に対するそれぞれの基準縦方向変位を測定するように構成される。それぞれの基準縦方向変位に応じて、圧電スタック線形アクチュエータは、端部とベース支持体との間のそれぞれの縦方向間隔を調整する。
【0010】
上述の概要は、各開示の実施形態又は特許請求の範囲の主題のあらゆる実装形態を説明するように意図されていない。より詳細には、下記の説明は、例示的な実施形態を示す。出願全体にわたる幾つかの場所で、様々な組み合わせで使用可能な例を通して、指針を与える。リストの何れの場合も、列挙リストは、代表的なグループとして単に役立ち、排他的なリストとして解釈されるべきではない。
【0011】
図面の簡単な説明
開示は、添付図面に関連して開示の様々な実施形態の下記の詳細な説明を考慮してより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態による例示的な流体印刷装置のブロック図である。
図2】毛細ガラス管の略側面図である。
図3】毛細ガラス管の一部の走査電子顕微鏡(SEM)図である。
図4】低倍率下の、毛細ガラス管のテーパー部の走査電子顕微鏡(SEM)図である。
図5】高倍率下の、毛細ガラス管のテーパー部の走査電子顕微鏡(SEM)図である。
図6】高倍率下の、集束イオンビーム処理後の出力部の走査電子顕微鏡(SEM)図である。
図7】第2の実施形態による微細構造流体排出器を形成する方法のフロー図である。
図8】印刷方法のフロー図である。
図9】印字ヘッドの切り取り略側面図である。
図10】印刷中に基板と接触している微細構造流体排出器の側面図の写真である。
図11】第3の実施形態による例示的な流体印刷装置のブロック図である。
図12】印字ヘッド、縦方向変位センサー、及び印字ヘッド位置決めシステムのブロック図である。
図13】音叉の写真である。
図14】第4の実施形態による位置較正システムの動作を例示する音叉の略斜視図である。
図15】第5の実施形態による位置較正システムの動作を例示する音叉の略側面図である。
図16】較正方法のフロー図である。
図17】第6の実施形態による例示的な流体印刷装置のブロック図である。
図18】第7の実施形態による例示的な印字ヘッドのブロック図である。
図19】例示的な印字ヘッドモジュールの略側面図である。
図20図19の構成要素の一部の略上面図である。
図21】第8の実施形態による例示的な流体印刷装置のブロック図である。
図22】第8の実施形態の例示的な流体印刷装置の動作を含む印刷方法のフロー図である。
図23】オープン欠陥を有する基板の略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
例示的な実施形態の詳細な説明
本出願の出願人は、各開示内容全体を参照により本明細書に引用したものとする下記のポーランド特許出願を所有する。
【0014】
2019年3月5日に出願の「FLUID PRINTING APPARATUS」と称するポーランド特許出願第PL429145号
【0015】
2019年3月5日に出願の「METHOD OF PRINTING FLUID」と称するポーランド特許出願第PL429147号
【0016】
2019年2月19日に出願の「CONDUCTIVE INK COMPOSITIONS」と称するポーランド特許出願第PL428963号
【0017】
2019年2月1日に出願の「FLUID PRINTING APPARATUS」と称するポーランド特許出願第PL428769号
【0018】
2019年2月1日に出願の「METHOD OF PRINTING FLUID」と称するポーランド特許出願第PL428770号
【0019】
本開示は、流体を基板の印刷可能面に印刷する方法に関する。この方法によれば、印字ヘッドは、流体を連続的な流れで排出する。方法は、出力部、細長い入力部、及び出力部と細長い入力部との間のテーパー部を含む微細構造流体排出器を含む印字ヘッドを供給することを含む。出力部は、0.1μm~5μmの間の範囲にある内径の出口オリフィス、及び0.1μm未満の表面粗さを有する端面を含む。微細構造流体排出器の出力部が下方に向いた状態で、印字ヘッドを基板の上に位置決めする。印刷中に、印字ヘッド位置決めシステムは、端面と基板の印刷可能面との間の縦方向距離を0μmから5μmの範囲内に維持し、空気圧システムは、-50,000パスカル(Pa)から1,000,000パスカル(Pa)の範囲で、微細構造流体排出器における流体に圧力を加える。
【0020】
この開示において、用語「好ましい(preferred)」及び「好ましくは(preferably)」は、特定の状況下で特定の利益を与えることができる特許請求の範囲に記載の主題の実施形態を意味する。しかし、他の実施形態も、同じ又は他の状況下で好ましい。更に、1つ又は複数の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が、有用でなく、特許請求の範囲に記載の主題の範囲から他の実施形態を除外するように意図されていないことを意味しない。
【0021】
用語「含む(comprises)」及びこの用語の変型例は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲で見られる限定的な意味を有しない。
【0022】
特に指示がない限り、「1つ(a)」、「1つ(an)」、「その(the)」及び「少なくとも1つ(at least one)」は、交換可能に使用され、1つ又は複数を意味する。
【0023】
更に、終点による数値範囲の朗読は、その範囲内に包含される全数を含む(例えば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0024】
別個のステップを含む本明細書に開示の任意の方法に対して、実現可能な順番にステップを実行してもよい。必要に応じて、2つ以上のステップの任意の組み合わせを、同時に実行してもよい。
【0025】
第1の実施形態による例示的な流体印刷装置について、図1を参照して説明する。図1は、第1の実施形態による例示的な流体印刷装置のブロック図である。流体印刷装置100は、基板台102、印字ヘッド104、空気圧システム106、及び印字ヘッド位置決めシステム108を含む。基板110は、印刷中に、基板台102の上の適所に固定され、上方に面し、印字ヘッド104の方に面している印刷可能面112を有する。印字ヘッド104を、基板110の上に位置決めする。
【0026】
基板110は、任意の適切な材料(例えば、ガラス、プラスチック、金属、又はシリコン)であることができる。可撓性基板を使用することもできる。更に、基板は、既存の金属線、回路、又は基板上の他の付着材料を有することができる。例えば、本開示は、既存の回路にオープン欠陥がある領域に線を印刷することができるオープン欠陥修理装置に関する。このような場合、基板は、液晶ディスプレイ(LCD)用の薄膜トランジスタアレイ基板であることができる。
【0027】
印字ヘッド104は、第2の実施形態による微細構造流体排出器を含む。発明者は、本開示における微細構造流体排出器として、市販の毛細ガラス管を改造して使用することができることが分かっている。例えば、0.5μmの先端内径を有するEppendorf(商標) Femtotips(商標) Microinjection Capillary Tipsと呼ばれる毛細ガラス管は、Fisher Scientificから入手できる。市販の毛細ガラス管120を、図2に概略的に示す。プラスチックハンドル122を、毛細ガラス管の周囲の毛細ガラス管120に取り付ける。プラスチックハンドル122は、入力端部124、及び入力端部124に近いネジ込み部126を含み、ネジ込み部126は、外部物体又は外部導管(図2では図示せず)へのネジ接続を行うことができる。入力端部124は、1.2mmの内径を有する。
【0028】
毛細ガラス管は、細長い入力部128及びテーパー部130を含む。毛細ガラス管120の外部可視部134がある。細長い入力部128一部を、周囲プラスチックハンドル122によって不透明にしてもよい。テーパー部130は、0.5μmの公称内径を有する出力端部132の方へ先細になる。細長い入力部128から出力端部132へのテーパー部130に沿った直径の減少を、図3図5に一層はっきりと例示する。図3は、毛細ガラス管120の外部可視部134全体の走査電子顕微鏡写真図(複数のSEM像の縫合から形成される)である。走査電子顕微鏡(SEM)における低倍率下で観測される、出力端部132を含むテーパー部130の第1の拡大部位136を、図4に示す。更に、走査電子顕微鏡(SEM)における高倍率下で観測される、第1の拡大部位136内に位置する第2の拡大部位138を、図5に示す。図5では、出力端部132において、テーパー部に沿った異なる長手方向位置(140、142、144、146、及び148)で測定された外径を、図5及び表1に示す。外径は、出力端部132で最小であり、出力端部132から長手方向距離が増大するにつれて増大する。出力端部136と長手方向位置148との間の長手方向距離90は、約10.07μmであると測定される。
【0029】
【表1】
【0030】
出力内径(この例で、公称0.5μm)が小さ過ぎる場合、テーパー部130に沿って適切な長手方向位置(例えば、長手方向位置140、142、144、146、又は148)で毛細ガラス管120を切断することによって、出力内径を増大することができる。微細構造流体排出器200を得るために毛細ガラス管120を処理する方法150を、図7に示す。ステップ152で、例えば、図2に示す毛細ガラス管120を供給する。ステップ154で、毛細ガラス管を、集束イオンビーム(FIB)装置に設置する。例えば、プラズマ源XeFIB(PFIBとも呼ばれる)を使用する。ステップ156で、テーパー部130に沿った長手方向位置を選択し、ガラス管を切断するのに十分なエネルギー密度で、集束イオンビームを、その長手方向位置に向ける。ステップ156で、選択長手方向位置でテーパー部にわたって集束イオンビームを用いて、切断を行う。前のステップ156の完了後、(FIB装置における)走査電子顕微鏡を使用して、出力端部における内径を測定する(ステップ158)。測定された内径が小さ過ぎる場合、テーパー部に沿って別の長手方向位置で、ステップ156を実行し、ステップ158を実行する。所望の内径が得られるまで、ステップ156及び158を繰り返す。図6に示すように、最終切断(ステップ156)は、出口オリフィス168及び端面170を含む出力部166を規定する。出口オリフィス168は、0.1μm~5μmの間の範囲にある出力内径を有する。図6に示す例において、出力内径は、1.602μmであると測定され、出力外径は、2.004μmであると測定される。次に、ステップ160で、集束イオンビームのエネルギーを減少し、集束イオンビームを端面170に向ける。0.1μm未満、好ましくは1nm~20nmの間の範囲にある表面粗さを有する端面を得るために、集束イオンビームを用いて、端面170を研磨する。図6に示す例の端面において、端面は0.1μm未満の表面粗さを有することを、外径及び内径寸法から推定することができる。FIB装置の研磨性能を考慮する場合、端面の表面粗さは、1nm~20nmの間の範囲にあると多分考えられる。ステップ160の完了時に、微細構造流体排出器200が得られる。次に、ステップ162で、微細構造流体排出器200を、FIB装置から取り外す。更に、10,000パスカル(Pa)から1,000,000パスカル(Pa)の範囲にある圧力を加えながら、溶剤への浸漬によって、微細構造流体排出器、特に出力部を洗浄することが好ましい(ステップ164)。流体に使用される溶剤と同じ溶剤を使用することが効果的であると分かっている。例えば、流体がメタノールを含む場合、このステップ164で洗浄するための溶剤としてメタノールを使用することが効果的であると分かっている。上述は、毛細ガラス管を改造によって得られる微細構造流体排出器の例の説明である。より一般的には、微細構造流体排出器を、他の材料(例えば、プラスチック、金属、及びシリコン)、又は材料の組み合わせから得ることができることが考えられる。
【0031】
ステップ162及び/又はステップ164の完了時に、微細構造流体排出器200は、印字ヘッド104に設置する準備ができている。図8は、流体印刷装置を動作させる(図1図11)印刷方法180のフロー図である。ステップ182で、基板110を、基板台102の上の固定位置に位置決めする。ステップ184で、印字ヘッド104を供給する。このステップは、図7に記載のような微細構造流体排出器を用意すること、及び微細構造流体排出器を印字ヘッド104に設置することを含む。ステップ186で、印字ヘッド104を、基板110(図1)の上に位置決めする。ステップ188で、出口オリフィス168が下方に向き、端面170が基板110の印刷可能面112の方に面した状態で、微細構造流体排出器200を方向付ける。ステップ190で、空気圧システム106を印字ヘッド104に連結する。例えば、空気圧システムは、ポンプ及び圧力調節器を含む。
【0032】
印字ヘッド104の例を、図9に示す。印字ヘッド104は、微細構造流体排出器200を含む。微細構造流体排出器200の一部、及びプラスチックハンドル122を、外部ハウジング204に収容する。細長い入力部128は、外部ハウジング204から下方に延在する。出口オリフィス168及び端面170を含む出力部166(図6)は、細長い入力部128から下方に位置する。テーパー部130は、出力部166と細長い入力部128との間に位置する。外部ハウジング204は、空気圧導管210及び流体導管208を含む本体202を収容する。空気圧導管210及び流体導管208の両方を、プラスチックハンドル122の入力端部124に接続する。プラスチックハンドル122を、プラスチックハンドル122のネジ込み部126によって本体202に取り付ける。空気圧導管210は、空気圧コネクタ216の出力端部を取り付けるために使用される入力端部にネジ込み部214を有する。空気圧コネクタ216は、空気圧システム106(図9では図示せず)を接続する入力端部220を有する。流体導管208を介して、流体(例えば、インク)を、微細構造流体排出器200に供給する。図9に示すように、流体が微細構造流体排出器200に供給された後、流体導管208に、流体入口プラグ212を差し込む。
【0033】
印刷方法180について、引き続き図8を参照して説明する。ステップ192で、印字ヘッド位置決めシステム108を供給する。印字ヘッド位置決めシステム108は、基板に対して印字ヘッド104の縦方向変位及び印字ヘッド104の横方向変位を制御する。ステップ194で、印刷中に、印字ヘッド位置決めシステム108を動作させて、端面170と印刷可能面112との間の縦方向距離を0μmから5μmの範囲内に制御する。ステップ196で、印刷中に、印字ヘッド位置決めシステム108を動作させて、基板に対して印字ヘッド104を横方向に変位させる。基板に対する印字ヘッド104の横方向変位は、下記の選択肢のうち1つを意味する。選択肢(1)は、基板が静止しており、印字ヘッド104を横方向に移動させる、選択肢(2)は、印字ヘッド104を横方向に移動させず、基板を横方向に移動させる、及び選択肢(3)は、印字ヘッド104及び基板の両方を横方向に移動させる。選択肢(1)において、印字ヘッド104を横方向及び縦方向に移動させる。選択肢(2)において、印字ヘッド104を、縦方向に移動させるけれども、横方向に移動させず、基板が適切な位置に固定される基板台を、横方向に移動させる。更に、選択肢(2)において、印字ヘッド位置決めシステム108は、印字ヘッド104に連結された縦方向位置決め器、及び基板台に連結された横方向位置決め器を含む。ステップ198で、空気圧システム106を動作させて、細長い入力部128を介して微細構造流体排出器200における流体に圧力を加える。印刷中に、圧力を、-50,000パスカル(Pa)から1,000,000パスカル(Pa)の範囲内に調節する。
【0034】
印字ヘッド位置決めシステム108は、印刷中に、端面170と印刷可能面112との間の縦方向距離を0μmから5μmの範囲内に制御する。図10の写真は、出力部166が基板110の印刷可能面112と接触している実装形態を示す。テーパー部130の小さい直径のために柔軟であるテーパー部130を、微細構造流体排出器200(及び印字ヘッド104)の横方向変位の方向に沿って傾斜させる又は曲げる。微細構造流体排出器200の横方向変位の方向を、矢印228(図10で右の方へ)によって示す。例えば、印刷可能面の凹凸のために、出力部166が印刷可能面と接触しなくなった場合、テーパー部130の傾斜又は曲げは減少する。この実装形態において、装置は、印刷可能面112との出力部166の接触の結果としてテーパー部130の傾斜又は曲げを検出する撮像システム114(図1)を含む。印字ヘッド位置決めシステム108は、撮像システム114によって検出されたテーパー部130の傾斜又は曲げに応じて縦方向変位を調整し、これによって、印刷中に、印刷可能面112と接触して出力部166を維持する。印字ヘッド位置決めシステム108は、印字ヘッド104及び撮像システム114を一緒に変位させる。
【0035】
流体印刷装置100において、印字ヘッド104は、出口オリフィスを介して流体の連続的な流れで排出することができる。流体の流れは連続的であるので、流体の線を、印刷可能面112に形成することができる。その後、流体の線を、乾燥及び/又は焼結することができる。印字ヘッド位置決めシステム108は、印刷中に、0.01mm/secから1000mm/secの範囲にある速度で基板に対して印字ヘッド104を横方向に変位させることができることが分かっている。印刷可能面112に形成される線の線幅は、出口オリフィス168のサイズ、即ち、出力内径に部分的に左右される。印字ヘッド位置決めシステム108が、印刷中に、0.01mm/secから1000mm/secの範囲にある速度で基板に対して印字ヘッド104を横方向に変位させる場合、線幅は、1.0倍分~20.0倍分の範囲だけ出力内径よりも大きいことが分かっている。
【0036】
印刷中に、圧力を、-50,000パスカル(Pa)から1,000,000パスカル(Pa)の範囲内に調節し、端面170と印刷可能面112との間の縦方向距離を、0μmから5μmの範囲内に維持する。適切な圧力範囲は、流体の粘度に部分的に左右される。1センチポイズから2000センチポイズの範囲で、流体を印刷することができる。より低い粘度の場合、1センチポイズから10センチポイズの範囲で、印刷中に、圧力を、-50,000パスカル(Pa)から0パスカル(Pa)の範囲内に調節する。これらのより低い粘度の場合、出口オリフィス168からの過剰な流体流れを防止するために、負圧を必要とする。100センチポイズから200センチポイズの範囲にある粘度を有する流体の場合、印刷中に、圧力を、20,000パスカル(Pa)から80,000パスカル(Pa)の範囲内に調節する。メニスカスは、出口オリフィス168から突出し、印刷可能面112と接触すると仮定し、流体と印刷可能面112との間の接触によってぬれ張力がある。印刷可能面112への流体の流れを停止するために、印字ヘッド位置決めシステム108は、端面170と印刷可能面112との間の縦方向距離を10μm以上に増加する。印刷可能面への印刷の端部における圧力の減少は、微細構造流体排出器における流体の詰まりを引き起こすことがあることが分かっている。従って、縦方向距離を10μm以上に増加することによって、流体は、印刷可能面112に印刷される代わりに、出口オリフィス168を介して排出され続け、微細構造流体排出器の外壁に蓄積する。印刷可能な流体は、ナノ粒子インク(例えば、二酸化チタンナノ粒子及び銀ナノ粒子を含むインク)を含む。ナノ粒子は、量子ドットナノ粒子(例えば、CdSe、CdTe、及びZnO)であることができる。カーボンブラックを含むインクを、印刷することもできる。
【0037】
図11は、第3の実施形態による例示的な流体印刷装置のブロック図である。流体印刷装置90は、第1の実施形態に記載のように、基板台102、印字ヘッド104、空気圧システム106、及び印字ヘッド位置決めシステム108を含む。基板110は、印刷中に、基板台102の上の適所に固定され、上方に面し、印字ヘッド104の方に面している印刷可能面112を有する。印字ヘッド104を、基板110の上に位置決めする。印字ヘッド104は、図1及び図2に関してより詳細に説明されるように、出力部166を含む微細構造流体排出器200を含む。1つの微細構造流体排出器だけを示しているけれども、印字ヘッド104は、単一微細構造流体排出器よりも高い生産性のために、同時に流体を印刷する多数の微細構造流体排出器を含むことができる。出力部166は、出口オリフィス168及び端面170(図6)を含む。印字ヘッド位置決めシステム108は、印刷中に、出力部166の端面170と印刷可能面112との間の縦方向距離を、所望の範囲内(例えば、0μmから5μmの範囲内)に維持する。流体印刷装置90は、印字ヘッド104に連結された流体タンク116を含む。流体タンク116を介して、空気圧システム106を印字ヘッド104に連結する。従って、空気圧システム106は、流体タンク116及び微細構造流体排出器200における流体の圧力を調節する。
【0038】
流体印刷装置90は、レーザー変位センサーとして実施可能な縦方向変位センサー118を含む。レーザー変位センサーの例は、Panasonic Industrial DevicesからのHL-C2シリーズレーザー変位センサーである。実装形態の詳細を、図12に示す。印字ヘッド位置決めシステム108は、印字ヘッド横方向位置決め器222及び印字ヘッド縦方向位置決め器224を含む。印字ヘッド104を、印字ヘッド横方向位置決め器222に装着される印字ヘッド縦方向位置決め器224に装着する。印字ヘッド104の横方向変位の方向を、矢印228(図12で右の方へ)によって示す。縦方向変位センサー118は、印字ヘッド横方向位置決め器222に装着され、縦方向変位センサーと印刷可能面112上の部位172との間の距離174を測定する。部位172は、基準位置と呼ばれ、距離174は、基準縦方向変位と呼ばれる。同時に、微細構造流体排出器200の出力部166を、印刷可能面112上の部位176の上に位置決めする。縦方向変位センサー118は、部位172と部位176との間の横方向距離226である横方向距離Δxだけ、出力部166の前方にある。基準縦方向変位174を、メモリ記憶装置(例えば、バッファメモリ)に記憶する。出力部166が部位172に到達した時に、縦方向位置決め器224は、出力部166の端面170と印刷可能面112の部位172との間の縦方向距離を所望の範囲内(例えば、0μmから5μmの範囲内)に維持するために、基準縦方向変位174(メモリ記憶装置から検索されている)に応じて縦方向変位を調整する。この先読み機能の使用によって、印字ヘッド位置決めシステム108は、印刷可能面112の輪郭が、図12に示すように凹凸のある場合、端面170と印刷可能面112との間の距離を所望の範囲内に維持することができる。印刷可能面の凹凸は、裸基板の凹凸であることがあり、又は、基板上の事前付着材料(例えば、導電線又は絶縁層)に起因することがある。
【0039】
本開示による位置較正システムについて、図11図13図14図15図16及び図23を参照して説明する。図23は、読者の方に面する印刷可能面112を有する基板110の略上面図である。基板台に対する横方向座標系(X及びY座標)400が規定されている。上述の工程ステップで、金属線402及び404が形成されている。実際には、金属線402及び404を含む連続的な金属線が望ましかったけれども、金属線402の右端部位410と金属線404の左端部位412との間にオープン欠陥406がある。この場合、流体印刷装置90は、この欠陥を補正するオープン欠陥修理装置として構成可能である。流体印刷装置90を使用して、部位410と部位412との間に流体(金属又は金属前駆体を含むインク)の線を印刷することができる。次に、流体の線を、乾燥及び/又は焼結して、部位410と部位412との間に金属線を形成する。部位410で印刷を開始するために、部位410の座標を知る必要がある。
【0040】
流体印刷装置90は、出力部166の位置を較正するために使用される位置較正システム92を含むことができる(図11)。従って、位置較正システム92は、出力部位置較正システムと呼ばれることもある。位置較正システム92は、音叉96、及び音叉96に連結された測定回路94を含む(図11)。図13は、第1の歯98及び第2の歯99を含む例示的な音叉96の写真である。音叉96は、出力部166が第1の歯98と接触している場合、約32.79kHzの非摂動共振周波数f、及び約8.17kHzの摂動共振周波数fを有する。測定回路94は、非摂動共振周波数f及び摂動共振周波数fを含む周波数の範囲にある可変周波数信号を生成し、この信号を音叉96に伝送する。この信号は、音叉96が振動するようにする。測定回路94は、信号に対する音叉96の周波数応答を測定する。出力部166が第1の歯98と接触している場合、摂動共振周波数fが検出される。
【0041】
第4の実施形態による位置較正システムの音叉の実装形態の詳細を、図14に示す。図14は、第1の歯98及び第2の歯99を含む音叉96の簡易斜視図である。三次元座標系230(X、Y、及びZ座標)を規定する。座標系230は、第1の座標系と呼ばれる。第1の歯98は、上面232(X-Y平面内)、側面234(X-Z平面内)、及び前面236(Y-Z平面内)を含む。出力部166が、上面232、側面234、又は前面236と接触すると、摂動共振周波数fが検出される。上面232及び側面234は、境界線252で交わり、側面234及び前面236は、境界線254で交わり、上面232及び前面236は、境界線256で交わる。上面232、側面234、及び前面236は、頂点250で交わる。この場合、頂点250は、マーカー点と呼ばれ、上面232、側面234、及び前面236は、総称してマーカー部位と呼ばれる。図14で分かるように、マーカー点は、マーカー部位に含まれる。マーカー部位及びマーカー点の座標は、第1の座標系(座標系230)で既に正確に知られている。例えば、第1の座標系は、基板台の座標系400(図23)であることができる。
【0042】
一方、マーカー部位及びマーカー点の座標は、第2の座標系231(x、y、及びz座標)で近似的に知られている。出力部166の座標は、第2の座標系231で正確に知られている。例えば、第2の座標系は、印字ヘッド位置決めシステム108の座標系であることができる。まず、印字ヘッド位置決めシステム108は、出力部166が音叉96の近傍で開始位置238にあるように、印字ヘッド104を位置決めする。測定回路94は、可変周波数信号を音叉96に伝送し、音叉96の周波数応答を測定しながら、印字ヘッド位置決めシステム108は、音叉96の方へ軌道240に沿って出力部166を変位させる。出力部166が軌道240を横切るにつれて、出力部166は、マーカー部位と接触せず、その結果、非摂動共振周波数fだけが検出される。非摂動共振周波数fが検出される第2の座標系における座標を、判定する。次に、出力部は、開始位置238に戻り、新しい開始位置242に軌道246を横切る。測定回路94は、可変周波数信号を音叉96に伝送し、音叉96の周波数応答を測定しながら、出力部166は、開始位置242から音叉96の方へ軌道244を横切る。出力部166が、側面234におけるマーカー部位と接触すると、摂動共振周波数fが検出される。摂動共振周波数fが検出される第2の座標系における座標を、判定する。例えば、出力部166が側面234と接触しなくなった座標、及び出力部166が側面234と接触した座標を知ることから、境界線254の座標を判定することができる。
【0043】
同様に、測定回路94は、音叉96の周波数応答を測定し、境界線252又は境界線256の座標を判定しながら、出力部166は、上面232(又は前面236)と接触する、及び上面232(又は前面236)と接触しなくなる多数の座標に変位されることができる。これは、マーカー点を含むマーカー部位のマップからマーカー点の座標を推定することができるまで、繰り返される。マーカー点の座標が第2の座標系231で知られている場合、印字ヘッド位置決めシステム108を較正することができる。印字ヘッド位置決めシステム108が較正された後、第1の座標系230における既知の位置で印字ヘッド104を正確に位置決めすることが可能になる。例えば、オープン欠陥修理装置の例の場合、部位410(図23)で印字ヘッドの出力部166を正確に位置決めすることが可能になる。
【0044】
第5の実施形態による位置較正システムの第2の音叉の実装形態を、図15に示す。図12を参照して上述された印字ヘッド位置決めシステム108を示す。印字ヘッド位置決めシステム108を、音叉96の第1の歯98の上面232の上に位置決めする。座標系260は、印字ヘッド位置決めシステム108の座標系であり、第1の座標系と呼ばれる。縦方向変位センサー118及び縦方向位置決め器224を、横方向位置決め器222に装着する。しかし、出力部166の座標は、第1の座標系で必ずしも正確に知られている必要がない。なぜなら、各微細構造流体排出器200の長さは異なり、各微細構造流体排出器200を印字ヘッド104における僅かに異なる位置に設置することができ、微細構造流体排出器200は使用中にすり減るからである。従って、出力部166の正確な座標に基づいて印字ヘッド位置決めシステム108を較正する必要があることがある。縦方向変位センサー118は、縦方向変位センサーから上面232上のマーカー部位262までの距離174を測定する。この測定から、マーカー部位262の座標(Z座標)を、第1の座標系260で正確に知る。横方向位置決め器222は、印字ヘッド104を横方向に変位させて、出力部166をマーカー部位262の真上に持って来る。測定回路94(図11)は、可変周波数信号を音叉96に伝送し、音叉96の周波数応答を測定しながら、縦方向位置決め器224は、印字ヘッド104をマーカー部位262の方へ縦方向に変位させる。出力部166がマーカー部位262と接触すると、摂動共振周波数fが検出される。この測定から、第1の座標系260における出力部166の座標を判定することができ、印字ヘッド位置決めシステム108を較正することができる。
【0045】
印字ヘッド位置決めシステム108を較正する方法270を、図16に示す。ステップ272で、音叉96を供給する。音叉96は、第1の歯98に位置するマーカー部位を有する第1の歯98を含む。音叉96は、出力部166がマーカー部位と接触している場合、非摂動共振周波数f、及び非摂動共振周波数fと測定可能に異なる摂動共振周波数fを特徴とする。ステップ274で、マーカー部位の座標を、第1の座標系で判定する。図15の場合、第1の座標系は、印字ヘッド位置決めシステム108の座標系であり、縦方向変位センサー118を用いて、マーカー部位の座標を判定する。図14の場合、第1の座標系は、基板台102の座標系であり、マーカー部位は、上面232、側面234、及び前面236を含む。第1の座標系におけるこれらの面232、234、及び236の座標は、判定されている。更に、図14の場合、マーカー点を含むマーカー部位のマップを供給する(ステップ276)。ステップ278で、印字ヘッド104を位置決めして、出力部166を音叉96の近傍に持って来る。図15の場合、このステップは、印字ヘッド104を変位させて、出力部166をマーカー部位262の真上に持って来ることに対応する。図14の場合、このステップは、印字ヘッド104を変位させて、出力部166を開始位置238に持って来ることに対応する。ステップ280で、測定回路94を音叉96に連結する。ステップ282で、測定回路94は、非摂動共振周波数f及び摂動共振周波数fを含む周波数の範囲にある可変周波数信号を音叉96に伝送して、音叉96が振動するようにする。ステップ284で、測定回路94は、出力部166を多数の座標に変位させながら、この信号に対する音叉96の周波数応答を測定して、摂動共振周波数が検出される出力部166の座標を判定する。ステップ286で、摂動共振周波数が検出される出力部166の座標に応じて、印字ヘッド位置決めシステム108を較正する。図14の場合、マーカー点を含むマーカー部位のマップからマーカー点の座標が判定されるまで、信号を伝送して(ステップ282)周波数応答を測定する(ステップ284)ステップを繰り返す。
【0046】
図17は、第6の実施形態による例示的な流体印刷装置のブロック図である。流体印刷装置290は、図11を参照して上述されたように、基板台102、空気圧システム106、印字ヘッド104、印字ヘッド位置決めシステム108、流体タンク116、縦方向変位センサー118、及び位置較正システム92を含む。更に、流体印刷装置290において、構成要素に取り付けられた圧電アクチュエータは、この構成要素が振動するようにし、その結果、構成要素における流体の詰まりが減少する。更に、圧電アクチュエータを変調することができる。例えば、圧電アクチュエータ292を流体タンク116に取り付けることができ、圧電アクチュエータ292を動作させて、流体タンク116が振動するようにすることができる。例えば、圧電アクチュエータ294を印字ヘッド104に取り付けることができ、圧電アクチュエータ294を動作させて、微細構造流体排出器200が振動するようにすることができる。弾性流体導管296を、流体タンク116と微細構造流体排出器200の細長い入力部128との間に挿入することができ、その結果、弾性流体導管296を介して、流体は、流体タンク116から細長い入力部128に流れる。このような弾性流体導管296は、圧電アクチュエータ294を動作させる場合、印字ヘッド104から流体タンク116への振動、又は圧電アクチュエータ292を動作させる場合、流体タンク116から印字ヘッド104への振動の伝達を減らすことができる。
【0047】
図10を参照して説明されたように、出力部166が印刷可能面112と接触している場合、微細構造流体排出器200のテーパー部130を、基板に対して印字ヘッド104の横方向変位の方向に沿って傾斜させる又は曲げる。この接触モードにおける動作は、出力部166の不均一な摩耗を引き起こすことが分かっている。摩耗をより均一にする1つの方法は、第1の方向(例えば、図10で右の方へ)に経路に沿って印字ヘッド104を横切り、次に、第1の方向と反対側の第2の方向(例えば、図10で左の方へ)に同じ経路に沿って印字ヘッド104を横切ることである。例えば、印字ヘッド104は、基板102の端部部位に到達した後、方向を逆にすることができる。
【0048】
図18を参照して、別の解決策を例示する。図18は、第7の実施形態による例示的な印字ヘッド300を示す。印字ヘッド300は、出力部上の摩耗をより均一にする改良印字ヘッドである。印字ヘッド300は、ここに開示の例示的な印刷装置における印字ヘッド104を交換することができる。印字ヘッド300は、印字ヘッド104に記載のように、微細構造流体排出器200を含む。微細構造流体排出器200を、装着容器302に装着する。装着容器302に装着される場合、微細構造流体排出器200は、微細構造流体排出器の縦軸306を中心として回転可能である。回転デバイス304を、微細構造流体排出器200に連結する。動作中に、回転デバイス304は、微細構造流体排出器の縦軸306を中心として微細構造流体排出器200に制御回転を与える。例えば、装置が流体を印刷しながら、回転デバイス304を動作させる。その結果、微細構造流体排出器200の出力部166は、微細構造流体排出器の縦軸306を中心として均一に摩耗する。
【0049】
第8の実施形態による例示的な流体印刷装置について、図19図20図21及び図22を参照して説明する。例示的な印字ヘッドモジュール310を、図19に示す。印字ヘッドモジュール310は、微細構造流体排出器320、322、324、326、328のバンク308を含む。印刷中に、微細構造流体排出器は、単一微細構造流体排出器よりも高い生産性を実現するために、同時に印刷する。好ましい微細構造流体排出器及び微細構造流体排出器の作製は、図2図7を参照して説明されている。微細構造流体排出器のバンク308を、第1の端部316と第1の端部316と反対側の第2の端部318との間の共通レール312に沿って配列する。第1の縦方向変位センサー346を、第1の端部316の近くに位置決めし、第2の縦方向変位センサー348を、第2の端部318の近くに位置決めする。図19において、出力部が下方に向き、端面が印刷可能面112の方に面した状態で、微細構造流体排出器が方向付けられた状態で、印字ヘッドモジュール310を、基板110の上に位置決めする。流体印刷装置で実施される場合、微細構造流体排出器のバンク308を、共通レール312からつるす。印刷可能面112の上の第1の基準位置342に対する第1の基準縦方向変位352を測定するように、第1の縦方向変位センサー346を方向付け、印刷可能面112の上の第2の基準位置344に対する第2の基準縦方向変位354を測定するように、第2の縦方向変位センサー348を方向付ける。
【0050】
第1の端部316をベース支持体314に取り付ける第1の圧電スタック線形アクチュエータ336、及び第2の端部318をベース支持体314に取り付ける第2の圧電スタック線形アクチュエータ338を介して、共通レール312をベース支持体314に取り付ける。流体印刷装置で実施される場合、共通レール312を、圧電スタック線形アクチュエータ336、338を介してベース支持体314からつるす。第1の縦方向変位センサー346によって測定される第1の基準縦方向変位352に応じて第1の端部316とベース支持体314との間の第1の縦方向間隔337を調整するように、第1の圧電スタック線形アクチュエータ336を方向付けて構成する。第2の縦方向変位センサー348によって測定される第2の基準縦方向変位354に応じて第2の端部318とベース支持体314との間の第2の縦方向間隔339を調整するように、第2の圧電スタック線形アクチュエータ338を方向付けて構成する。第8の実施形態による例示的な流体印刷装置を、図21に示す。流体印刷装置360は、図11を参照して説明されたように、基板台102、空気圧システム106、及び流体タンク116を含む。流体印刷装置360は、印字ヘッドモジュール310を含み、単一印字ヘッドモジュール310よりも高い生産性のために、追加の印字ヘッドモジュール310Bを含むことができる。印字ヘッドモジュール310のベース支持体314を、ベース支持体314の縦方向変位及び横方向変位を制御する印字ヘッドモジュール位置決めシステム368に装着する。
【0051】
図19に例示の状況において、基板110の印刷可能面112は、凹凸がある。先読み機能について、図12を参照して説明する。同様な先読み機能を、図21の流体印刷装置で実施することができる。図20は、印字ヘッドモジュール310の構成要素の一部の略上面図である。印刷中に、印字ヘッドモジュール310のベース支持体314を、第1の端部316から第2の端部318へのベクトル352に対して略垂直である、横方向変位350の方向に沿って基板に対して横方向に変位させる。この構成によれば、微細構造流体排出器320、322、324、326、328は、同時に流体を印刷し、その結果、単一微細構造流体排出器よりも高い生産性が得られる。第1の端部316から延在する、又は第1の端部316に取り付けられる第1の共通レール延長部356に、第1の縦方向変位センサー346を装着する。同様に、第2の端部318から延在する、又は第2の端部318に取り付けられる第2の共通レール延長部358に、第2の縦方向変位センサー348を装着する。この構成によれば、第1の縦方向変位センサー346及び第2の縦方向変位センサー348を、横方向変位350の方向に沿って微細構造流体排出器のバンク308の前方に位置決めする。
【0052】
図22は、第8の実施形態の装置360を動作させる(図21)印刷方法370のフロー図である。ステップ372で、基板110を、基板台102の上の固定位置に位置決めする。ステップ374で、図19を参照して説明されるような印字ヘッドモジュール310を供給する。ステップ376で、印字ヘッドモジュール310を、基板110(図19及び図21)の上に位置決めする。ステップ378で、それぞれの出口オリフィスが下方に向き、それぞれの端面が基板110の印刷可能面112の方に面した状態で、微細構造流体排出器を方向付ける。ステップ380で、空気圧システム106を印字ヘッドモジュール310に連結する。ステップ382で、印字ヘッドモジュール位置決めシステム368を供給する。印字ヘッド位置決めシステム368は、基板に対して印字ヘッドモジュール310のベース支持体314の縦方向変位及び印字ヘッドモジュール310のベース支持体314の横方向変位を制御する。ステップ384で、印刷中に、印字ヘッドモジュール位置決めシステム368を動作させて、基板に対して印字ヘッドモジュール310のベース支持体314を横方向に変位させる。ステップ386で、空気圧システムを動作させて、それぞれの細長い入力部を介して微細構造流体排出器320、322、324、326、328における流体に圧力を加える。印刷中に、圧力を、-50,000パスカル(Pa)から1,000,000パスカル(Pa)の範囲内に調節する。第1の縦方向変位センサー及び第1の圧電スタック線形アクチュエータに関するステップ(ステップ388、390)、及び第2の縦方向変位センサー及び第2の圧電スタック線形アクチュエータに関するステップ(ステップ392、394)を、同時に実行することができる。ステップ388で、第1の縦方向変位センサー346を動作させて、印刷可能面112の上の第1の基準位置342に対する第1の基準縦方向変位352を測定する。ステップ390で、第1の圧電スタック線形アクチュエータ336を動作させて、第1の基準縦方向変位352に応じて第1の端部316とベース支持体314との間の第1の縦方向間隔337を調整する。同様に、ステップ392で、第2の縦方向変位センサー348を動作させて、印刷可能面112の上の第2の基準位置344に対する第2の基準縦方向変位354を測定する。ステップ394で、第2の圧電スタック線形アクチュエータ338を動作させて、第2の基準縦方向変位354に応じて第2の端部318とベース支持体314との間の第2の縦方向間隔339を調整する。これらの調整を行って、微細構造流体排出器320、322、324、326、328の一部又は全部に対して、端面と印刷可能面との間の縦方向距離を所望の範囲内(例えば、0μmから5μmの範囲内)に維持する。印刷中に、印刷可能面112の上で基板に対して印字ヘッドモジュール310を横方向に変位させる時に、ステップ388、390、392及び394を繰り返す。
【0053】
特に指示がない限り、明細書及び特許請求の範囲で使用される構成要素、分子量などの量を表す全ての数は、全ての場合に用語「約(about)」によって変更されると理解されるべきである。従って、特に指示がない限り、明細書及び特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、得られる所望の特性によって変わることがある近似である。少なくとも、均等論を特許請求の範囲に限定しようとする試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告有効桁の数を踏まえて、通常の丸め技法を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。
【0054】
特許請求の範囲の主題の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータが近似であるにもかかわらず、特定の例に記載の数値は、出来るだけ正確に報告される。しかし、全ての数値は、数値の各試験測定値に見られる標準偏差によって必然的に生じる範囲を本質的に含む。
【0055】
全ての見出しは、読者の便宜のためにあり、特に指示がない限り、見出しに続く本文の意味を限定するために使用されるべきではない。
図1
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【国際調査報告】