(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-24
(54)【発明の名称】蛇行又は螺旋変形可能ビーム及び過負荷ビームを有する力/トルクセンサ
(51)【国際特許分類】
G01L 5/1627 20200101AFI20220517BHJP
【FI】
G01L5/1627
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021554386
(86)(22)【出願日】2020-03-10
(85)【翻訳文提出日】2021-11-09
(86)【国際出願番号】 US2020021796
(87)【国際公開番号】W WO2020185730
(87)【国際公開日】2020-09-17
(32)【優先日】2019-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508274529
【氏名又は名称】エーティーアイ インダストリアル オートメーション, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ATI INDUSTRIAL AUTOMATION, INC.
【住所又は居所原語表記】Pinnacle Park, 1031 Goodworth Drive, Apex, North Carolina 27539, USA
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グラシエク, アンドリュー
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AB09
2F051BA03
2F051DA03
2F051DB03
(57)【要約】
力/トルクセンサ(110、130、140、150)は、TAP(112)およびMAP(114)を接続する複数の蛇行(116、132、142)または螺旋(152)変形可能ビームを含む。これらのクラスの形状は変形可能なビーム(116、132、142、152)の全長を増加させ、これにより、それらの剛性を減少させる。変形可能なビーム(116、132、142、152)に加えて、複数の直線状の過負荷ビーム(118)があり、それぞれ第1の端部で前記TAP(112)およびMAP(114)の一方に接続され、所定幅の過負荷ギャップ(120)によって第2の端部で前記TAP(112)およびMAP(114)の他方から分離されている。力およびトルクの第1の範囲にわたって、変形可能なビーム(116、132、142、152)上の歪みゲージ(134)は圧縮歪みおよび引張歪みを電気信号に変換し、これを処理して、力およびトルクを特定する。前記第1の範囲を超える力およびトルクの第2の範囲にわたって、前記過負荷ビーム(118)は、前記過負荷ギャップ(120)を閉じ、前記TAP(112)およびMAP(114)の両方への堅固な接触を確立する。力およびトルクの前記第2の範囲におけるセンサ(110、130、140、150)の剛性は、第1の範囲にわたるそれよりも大きい。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の物体に接続されるように動作するツールアダプタプレート(TAP)(112)と、第2の物体に接続されるように動作する取付アダプタプレート(MAP)(114)とを備える力/トルクセンサ(110、130、140、150)であって、
前記TAP(112)を前記MAP(114)に接続する1つ以上の蛇行変形可能ビーム(116、132、142)であって、前記TAP(112)への取り付けポイントから前記MAP(114)への取り付けポイントまでの前記蛇行変形可能ビーム(116、132、142)の中心線に沿った少なくとも1つの有向経路が、瞬間的な直線から少なくとも1回は左に、少なくとも1回は右に連続的に逸脱する、1つ以上の蛇行変形可能ビームと、
前記蛇行変形可能ビーム(116、132、142)の少なくともいくつかの1つ以上の表面に取り付けられた歪みゲージ(134)であって、前記歪みゲージは、前記ビーム(116、132、142)の変形によって生じる蛇行変形可能ビーム(116、132、142)の歪みを信号に変換するように動作する、歪みゲージと、
すべての歪みゲージ(134)からの信号に応答して、前記第1の及び第2の物体の間の力およびトルクの方向および大きさを測定するように動作する測定回路と、
を備えることを特徴とする力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項2】
第1の端部で前記TAP(112)およびMAP(114)の一方に接続され、第2の端部で前記TAP(112)およびMAP(114)の他方から所定の幅の過負荷ギャップ(120)だけ分離された、1つ以上の過負荷ビーム(118)を特徴とし、各過負荷ビーム(118)は蛇行変形可能ビーム(116、132、142)よりも大きな剛性を示す、請求項1に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項3】
前記過負荷ギャップ(120)は、前記TAP(112)またはMAP(114)の一方に堅固に取り付けられ、前記TAP(112)またはMAP(114)の他方と前記過負荷ギャップ(120)を形成する、前記TAP(112)またはMAP(114)のいずれかとは異なる部分によって形成される、請求項3に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項4】
各蛇行変形可能ビーム(116、132、142)は、前記TAP(112)とMAP(114)との間の蛇行構成で接続された複数の並列変形可能ビームセグメントを備える、請求項1乃至3の何れか1項に記載の請求項に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項5】
各蛇行変形可能ビーム(116、132、142)は、
第1のセグメントと、
各々が、前記第1のセグメントと、前記MAP(114)およびTAP(112)の一方の別個のポイントとの間に接続された、第1および第2の蛇行セクションと、
前記第1のセグメントと前記MAP(114)およびTAP(112)の他方との間に接続された第2のセグメントと、
を備える、請求項1乃至4の何れか1項に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項6】
複数の過負荷ビーム(118)の各々は、複数の蛇行変形可能ビーム(116、132、142)の各々の間に放射状に点在する、請求項2乃至5の何れか1項に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項7】
各過負荷ギャップ(120)は、略円形である、請求項2乃至6の何れか1項に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項8】
過負荷ビーム(118)ごとに、過負荷ギャップによって前記過負荷ビーム(118)から分離された前記MAP(114)またはTAP(112)の上下に取り付けられたプレートをさらに備え、前記プレートは、前記TAP(112)、MAP(114)、および過負荷ビーム(118)の共通平面に垂直な前記過負荷ビーム(118)の移動を制限するz方向ギャップを画定する、請求項2乃至7の何れか1項に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項9】
前記z方向ギャップを画定するシムストックをさらに備える、請求項8に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項10】
前記プレートは、前記z方向ギャップを画定するように機械加工される、請求項8に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項11】
前記TAP(112)およびMAP(114)の間に加えられる力またはトルクの第1の範囲内では、前記蛇行変形可能ビーム(116、132、142)は、変形するように動作し、及びMAP(114)、前記過負荷ビーム(118)の前記第2の端部は、前記過負荷ギャップ(120)のために、前記TAP(112)またはMAPに接触せず、
前記第1の範囲よりも大きい前記TAP(112)およびMAP(114)の間に加えられる力またはトルクの第2の範囲内では、少なくとも1つの過負荷ビーム(118)の前記第2の端部が、前記過負荷ギャップ(120)を閉じて前記TAP(112)またはMAP(114)に接触し、前記TAP(112)およびMAP(114)の間のさらなる動きを防止し、したがって前記蛇行変形可能ビーム(116、132、142)のさらなる変形を名目上防止する、請求項2乃至10の何れか1項に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項12】
前記センサ(110、130、140、150)は、力またはトルクの前記第1の範囲全体にわたって、前記加えられた力またはトルクの下での移動に対する第1の剛性または抵抗を示し、力またはトルクの前記第2の範囲内では第2の剛性を示し、前記第2の剛性は前記第1の剛性よりも大きい、請求項11に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項13】
第1の剛性に対する第2の剛性の比が5以上である、請求項12に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項14】
第1の剛性に対する第2の剛性の比が10以上である、請求項13に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項15】
第1の物体に接続されるように動作するツールアダプタプレート(TAP)(112)と、第2の物体に接続されるように動作する取付アダプタプレート(MAP)(114)とを備える力/トルクセンサ(110、130、140、150)であって、
前記TAP(112)を前記MAP(114)に接続する1つ以上の螺旋変形可能ビーム(152)であって、前記TAP(112)への取り付けポイントから前記MAP(114)への取り付けポイントまでの前記螺旋変形可能ビーム(152)の中心線に沿った少なくとも1つの有向経路が、瞬間的な直線から左右の一方に逸脱し、当該逸脱の累積和は90度未満である、1つ以上の螺旋変形可能ビームと、
前記螺旋変形可能ビーム(152)の少なくともいくつかの1つ以上の表面に取り付けられた歪みゲージ(134)であって、前記歪みゲージ(134)は、前記ビーム(152)の変形によって生じる螺旋変形可能ビーム(152)の歪みを信号に変換するように動作する、歪みゲージと、
すべての歪みゲージ(134)からの信号に応答して、前記第1の及び第2の物体の間の力およびトルクの方向および大きさを測定するように動作する測定回路と、
を備えることを特徴とする力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項16】
第1の端部で前記TAP(112)およびMAP(114)の一方に接続され、第2の端部で前記TAP(112)およびMAP(114)の他方から所定の幅の過負荷ギャップ(120)だけ分離された、1つ以上の過負荷ビーム(118)をさらに備え、各過負荷ビーム(118)は、螺旋変形可能ビーム(152)よりも大きな剛性を示す、請求項15に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項17】
前記過負荷ギャップ(120)は、前記TAP(112)またはMAP(114)の一方に堅固に取り付けられ、前記TAP(112)またはMAP(114)の他方と前記過負荷ギャップ(120)を形成する、前記TAP(112)またはMAP(114)のいずれかとは異なる部分によって形成される、請求項16に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項18】
複数の過負荷ビーム(118)の各々は、複数の螺旋変形可能ビーム(152)の各々の間に放射状に点在する、請求項16又は17に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項19】
各過負荷ギャップ(120)は、略円形である、請求項16乃至18の何れか1項に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項20】
過負荷ビーム(118)ごとに、過負荷ギャップによって前記過負荷ビーム(118)から分離された前記MAP(114)またはTAP(112)の上下に取り付けられたプレートをさらに備え、前記プレートは、前記TAP(112)、MAP(114)、および過負荷ビーム(118)の共通平面に垂直な前記過負荷ビーム(118)の移動を制限するz方向ギャップを画定する、請求項16乃至19の何れか1項に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項21】
前記z方向ギャップを画定するシムストックをさらに備える、請求項20に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項22】
前記プレートは、前記z方向ギャップを画定するように機械加工される、請求項20に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項23】
前記TAP(112)およびMAP(114)の間に加えられる力またはトルクの第1の範囲内では、前記螺旋変形可能ビーム(152)は、変形するように動作し、前記過負荷ビーム(118)の前記第2の端部は、前記過負荷ギャップ(120)のために、前記TAP(112)またはMAP(114)に接触せず、
前記第1の範囲よりも大きい前記TAP(112)およびMAP(114)の間に加えられる力またはトルクの第2の範囲内では、少なくとも1つの過負荷ビーム(118)の前記第2の端部が、前記過負荷ギャップ(120)を閉じて、前記TAP(112)またはMAP(114)に接触し、前記TAP(112)およびMAP(114)の間のさらなる動きを防止し、したがって前記螺旋変形可能ビーム(152)のさらなる変形を名目上防止する、請求項16乃至22の何れか1項に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項24】
前記センサ(110、130、140、150)は、力またはトルクの前記第1の範囲全体にわたって、前記加えられた力またはトルクの下での移動に対する第1の剛性または抵抗を示し、力またはトルクの前記第2の範囲内では第2の剛性を示し、前記第2の剛性は前記第1の剛性よりも大きい、請求項23に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項25】
第1の剛性に対する第2の剛性の比が5以上である、請求項24に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項26】
第1の剛性に対する第2の剛性の比が10以上である、請求項25に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年3月10日に出願された米国仮特許出願第62/816,191号および2019年11月13日に出願された米国特許出願第16/682,475号の優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は概して、力/トルクセンサに関し、特に、蛇行または螺旋変形可能ビームおよび過負荷ビームの使用による、過負荷作動前の剛性に対する過負荷作動後の高い比の剛性を示すコンパクトなセンサに関する。
【背景技術】
【0003】
ロボット工学は、産業、医療、航空宇宙、科学、および他の用途において、ますます重要になっている分野である。多くの場合、ロボットアームまたはそれに取り付けられたツールがワークピースなどの表面または物体に接触する場合、加えられる力および/またはトルクは、厳密に監視されなければならない。従って、力/トルクセンサは多くのロボットシステムの重要な部分である。
【0004】
ロボット工学用途のための力/トルクセンサは、当技術分野で公知である。例えば、ロボットツール力/トルクセンサが、米国特許10,422,707、米国特許10,067,019に記載されている。前者の
図1および
図2は、歪み(ひずみ)ゲージに基づく力/トルクセンサの概念の紹介として、本明細書に含まれる。このクラスのセンサ内では、多くの変形(バリエーション)が当技術分野で知られており、
図1および
図2に示される特定の設計(デザイン)は代表的であること、または限定的であることを意味しない。
【0005】
上述の特許に記載されているように、
図1を参照すると、1つのタイプの力/トルクセンサ10は、歪みゲージ1~6を使用して、2つの機械部品(一方はロボットアームに接続され、他方はロボットツール(またはツールへの機械的結合)または他方のエンドエフェクタに接続される)を接続する小ビーム16a~cの変形を測定する。例えば、当技術分野でツールアダプタプレート(TAP)12と呼ばれる中央「ハブ」をツールに接続することができる。当技術分野で取付(マウンティング)アダプタプレート(MAP)14と呼ばれる、TAPの周りに環状に配置され、TAPから間隔を置いて配置された別の本体(ボディ)を、ロボットアームに接続することができる(またはその逆も)。TAP12およびMAP14は、TAP12の周囲に放射状に配置された複数の比較的薄い(したがって、機械的に変形可能である)ビーム16a、16b、16cによって互いに接続されており、この設計(デザイン)では、車輪のスポークに似ている。TAP12およびMAP14にそれぞれ取り付けられた物体間の相対的な力またはトルク、はMAP14をTAP12に対して移動しようとし、その結果、
図2に描かれているように、少なくとも一部のビーム16のわずかな変形、すなわち曲がりを生じる(縮尺によらない)。変形は、各ビーム16をMAP14に接続する非常に薄い湾曲部17によって強化される。
【0006】
歪みゲージ1~6は、各ビーム16の1つ以上の表面に取り付けられる。ゲージ1~6は、ビーム(梁)の機械的変形によって生じるビームの表面の歪みを電気信号に変換する。例えば、ゲージ1~6は、伸長または収縮に応答して抵抗を変化させることによって、引張、圧縮、および剪断歪みのいくつかの組合せに応答する歪みゲージであり得る。一旦較正されると、すべてのビーム16上の歪みゲージ1~6からの信号は、ロボットアームと取り付けられたツールとの間の相対的な力および/またはトルクの大きさおよび方向を特定するために一緒に処理される。本明細書で使用される「歪み(ひずみ)ゲージ」という用語はデータの機械的変形に予測可能に応答する任意のセンサまたはトランスデューサ(あるいはセンサまたはトランスデューサの組合せ)を指し、その応答は変形を引き起こす力またはトルクを特定する際に検出し、定量化し、使用することができる。上述の特許は、本発明の改良が記載されている特定の力/トルクセンサ10の特定の態様についてより詳細に説明している。
【0007】
この一般的なタイプの力/トルクセンサは、限られた範囲の力および/またはトルク値内で良好に機能する。典型的なセンサは、アルミニウムまたは鋼のような剛性材料から形成され、加えられた非常に小さい力に対しては全く変形しないであろう。力/トルク値の限られた範囲にわたって、ビーム(梁)または他の変形可能な部材はわずかに変形し、結果として生じる引張力および圧縮力は、歪みゲージによって検出され、測定電子機器によって定量化される。しかしながら、加えられる力またはトルクの大きさが増加するにつれて、変形可能な部材がかなり短く、非常に硬いために、それらは金属疲労または降伏を受ける前に、それぞれセンサの耐用年数を減少させるかまたは終了させるさらなる変位をほとんど経験しないだろう。力/トルクセンサは、典型的には異なるサイズで製造され、それぞれの指定範囲内の力/トルク値のみを経験する操作のために指定される。しかしながら、全てのロボット用途が制御された環境を享受するわけではない。例えば、法執行、軍隊、宇宙探査などの現実世界環境で展開されるロボットは、設計定格を超える一時的なまたは持続的な力およびトルクに遭遇する可能性がある。
【0008】
過負荷(オーバーロード)状況における力/トルクセンサの損傷を防止する1つの方法は、過負荷特徴(機能)の提供である。過負荷特徴の1つのタイプは、本明細書では「過負荷ビーム」(「変形可能なビーム」とは区別され、取り付けられもよい)と呼ばれる。1つの例は本明細書に
図3として含まれる中国公開出願103528726の
図1に描かれている。このセンサでは、変形可能ビーム2がTAP1を+/-xおよびy方向のMAP4に接続する。変形可能ビーム2には、各ビーム2の反対側に歪みゲージR17-R20、R21-R24、R25-R28、およびR29-R32が取り付けられている。45度の角度で変形可能ビーム2の間に放射状に点在するのは、一組の過負荷ビーム3である。過負荷ビーム3には、歪みゲージが取り付けられていない。過負荷ビーム3は一端がTAP1に接続されているが、他端がMAP4との接触から狭いギャップ(間隙)、例えば1インチの数千分の1だけ離れている。このギャップの幅は、変形可能ビーム2の変形の通常の範囲全体にわたって過負荷ビーム3の自由な移動を可能にするように設計されている-すなわち、TAP1とMAP4とを接続する変形可能ビーム2がそれらの設計された可動範囲全体にわたって移動(変形)することを可能にし、TAP1とMAP 4との間の僅かな相対運動を可能にする。しかしながら、加えられた力またはトルクが、センサが設計された最大値に達し、変形可能ビーム2がその最大設計量だけ変形すると、1つ以上の過負荷ビーム3がギャップを閉じ、MAP4と強く接触する。過負荷ビーム3は、変形可能ビーム2よりも硬く/強靭であり、従って、更に加えられた力/トルクは過負荷ビーム3が過剰な力を吸収し、TAP1とMAP4との間のいかなる更なる相対移動も阻止するので、変形可能ビーム2を更に変形させない。
【0009】
図4は、中国公開出願1283985からの、異なる形式(形態)の過負荷特徴を示す。変形可能ビーム2は、TAP6をMAP9に接続する。TAP6およびMAP9の相対的な水平移動は、変形可能ビーム2の変形の限界において、MAP9に堅固に取り付けられたピン5によって拘束され、TAP6内の孔8内に配置される。孔8は、ピン5の半径よりδ
1だけ僅かに大きい半径を有している。TAP6及びMAP9の相対的な上下移動はそれらの間隔によって制約され、TAP6及びMAP9は幅δ
2を有するギャップによって分離される。過負荷特徴の他の構成は、当技術分野で知られている。
【0010】
図3および
図4に描かれたギャップのような従来の過負荷特徴は、嵌合過負荷特徴間に維持される非常に厳しい公差を必要とする。これは、力/トルクセンサのコストを増加させ得る。加えて、非常に厳しい公差を達成するには、部品の機械加工/位置合わせをセンサへの組み立て後に必要とする場合があり、これはセンサに損傷を与えるリスクがあり、製造プロセスに別個の工程を追加することにつれて、機械加工部品のリードタイムを増加させる可能性がある。さらに、厳しい公差があり、センサがその予想されるゼロ負荷位置からわずかにオフセットされている場合、センサが正確に測定することができる範囲はゼロ負荷位置の周りに集中されず、これはセンサの早期故障またはセンサがその述べられた範囲全体にわたって正確に測定することができないことにつながる可能性がある。
【0011】
過負荷特徴を備える部材(すなわち、
図3の過負荷ビーム3、または
図4のピン5)の剛性は、典型的にはセンサ内の変形可能な部材の剛性よりもいくらか大きく、それは感知され、測定され、力およびトルクに変換される変形を受ける。理想的には、過負荷特徴がいったんアクティブ化する(作動する)と、-例えば、ギャップが解消され、過負荷特徴がTAPとMAPの間でハード接触をすると-、変形可能な部材におけるさらなる変形(歪みとして測定される)はすべて増加を止めるはずである。しかしながら、実際には、過負荷特徴の剛性が変形可能部材の剛性に類似している場合、センサにさらに多くの荷重を加えることにより、歪みゲージによって測定される応力を増加させ続けるのであろう。この事実は、過負荷特徴にもかかわらず、センサ構造が生み出す前に、過負荷作動ポイントの後、センサにどれだけの力またはトルクを加えることができるかについての制限を設定する。
【0012】
本明細書の背景技術のセクションは、当業者が本発明の範囲および有用性を理解するのを助けるために、本発明の実施形態を技術的および動作上の文脈に置くために提供される。背景技術のセクションで説明したアプローチは追求することができるが、必ずしも以前に考案された、または追求されたアプローチではない。そのように明示的に識別されない限り、本明細書の記載は、単に背景技術のセクションに含まれることによって、従来技術であると認められない。
【発明の概要】
【0013】
以下は当業者に基本的な理解を提供するために、開示の簡略化された発明の概要を提示する。この概要は、本開示の広範な概観ではなく、本発明の実施形態の重要/重大な要素を特定すること、または本発明の範囲を描写することを意図しない。この概要の唯一の目的は、本明細書で開示されるいくつかの概念を、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして簡略化された形態で提示することである。
【0014】
本明細書で説明し、特許請求する1つ以上の実施形態によれば、力/トルクセンサは、TAPとMAPとを接続する複数の蛇行または螺旋変形可能ビームを含む。各蛇行変形可能ビームに対して、TAPへの取り付けポイントからMAPへの取り付けポイント(またはその逆)まで蛇行変形可能ビームの中心線をたどる(中心線に沿った、中心線を通る)少なくとも1つの有向経路は、少なくとも左側に1回、少なくとも右側に1回、連続して瞬間的な直線から逸脱する。各螺旋変形可能ビームについて、TAPへの取り付けポイントからMAPへの取り付けポイントまで(またはその逆)螺旋変形可能ビームの中心線をたどる(中心線に沿った、中心線を通る)少なくとも1つの有向経路は、瞬間的な直線から左右の一方に逸脱し、そのような逸脱の累積和は90度より大きい。これらのクラスの形状は、蛇行または螺旋変形可能ビームの全長を増加させ、その剛性を減少させる。蛇行または螺旋変形可能ビームに点在するのは、複数の過負荷ビームであり、これは直線状であってもよい。各過負荷ビームは、第1の端部でTAPおよびMAPの一方に接続され、第2の端部でTAPおよびMAPの他方から所定の幅の過負荷ギャップだけ分離される。力およびトルクの第1の範囲の間、蛇行または螺旋変形可能ビームは、TAPとMAPとの間の相対的な動きの下で変形し、その上の歪みゲージは、歪みを電気信号に変換し、電気信号は、力およびトルクを特定するように処理される。第1の範囲よりも大きい力およびトルクの第2の範囲にわたって、1つ以上の過負荷ビームが過負荷ギャップを閉じ、TAPおよびMAPの両方に堅固な接触を確立し、TAPとMAPとの間のさらなる相対的な動きを名目上停止させる。力およびトルクの第2の範囲におけるセンサの剛性は、第1の範囲にわたる剛性よりも大きい。この高い剛性比は、過負荷作動ポイントでの歪み/力曲線に急激な屈曲をもたらし、荷重が増加することにつれて低い傾斜を有する。これにより、金属を疲労させる前にセンサが過負荷状態になることができるサイクル数が増加し、センサが降伏または破損することなく耐えることができる最大の力/トルクが増加する。
【0015】
一実施形態は、力/トルクセンサに関する。センサは、第1の物体に接続されるように動作するTAPと、第2の物体に接続されるように動作するMAPとを含む。また、センサはTAPをMAPに接続する1つ以上の蛇行変形可能ビームを含み、TAPへの取り付けポイントからMAPへの取り付けポイントまで蛇行変形可能ビームの中心線をたどる(中心線に沿った、中心線を通る)少なくとも1つの有向経路は、少なくとも1回左に、少なくとも1回右に、連続して、瞬間的な直線から逸脱する。歪みゲージは、蛇行変形可能ビームの少なくともいくつかの1つ以上の表面に固着される(取り付けられる)。歪みゲージは、ビームの変形によって引き起こされる蛇行変形可能ビームの歪みを電気信号に変換するように動作する。全ての歪みゲージからの電気信号に応答して、第1の物体と第2の物体との間の力およびトルクの方向および大きさを測定するために、測定回路が作動する。
【0016】
別の実施形態は、力/トルクセンサに関する。センサは、第1の物体に接続されるように動作するTAPと、第2の物体に接続されるように動作するMAPとを含む。センサはまた、TAPをMAPに接続する1つ以上の螺旋変形可能ビームを含み、TAPへの取り付けポイントからMAPへの取り付けポイントまで螺旋変形可能ビームの中心線をたどる(中心線に沿った、中心線を通る)少なくとも1つの有向経路は、瞬間的な直線から左右の一方に逸脱し、そのような逸脱の累積和は90度より大きい。歪みゲージは、螺旋変形可能ビームの少なくともいくつかの1つ以上の表面に固着される(取り付けられる)。歪みゲージは、ビームの変形によって引き起こされる、螺旋変形可能ビームの歪みを電気信号に変換するように動作する。全ての歪みゲージからの電気信号に応答して、第1の物体と第2の物体との間の力およびトルクの方向および大きさを測定するために、測定回路が作動する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下、本発明の実施形態を示す添付図面を参照して、本発明をより完全に説明する。しかし、本発明は、本明細書に記載された実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分かつ完全になるように提供され、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるだろう。同じ参照符号は全体を通して同じ要素を指す。
【
図1】
図1は、従来技術の力/トルクセンサ(米国特許第10,422,707号明細書および米国特許第10,067,019号明細書の
図1)の平面図である。
【
図2】
図2は、ビームの変形を示す
図1のセンサの拡大図である(米国特許第10,422,707号明細書の
図2)。
【
図3】
図3は、過負荷ビームを有する従来技術の力/トルクセンサの平面図である(中国特許第103528726号の
図1)。
【
図4】
図4は、過負荷ピンを有する従来技術の力/トルクセンサの断面図である(中国特許第1283985号の
図1)。
【
図5】
図5は、過ロ負荷作動開始後と過負荷作動前の剛性の比率が低いセンサの歪み対負荷(荷重)のグラフである。
【
図6】
図6は、過ロ負荷作動開始後と過負荷作動前の剛性の比率が高いセンサの歪み対負荷(荷重)のグラフである。
【
図7】
図7は、片持梁の静的力解析のためのグラフと方程式を示す。
【
図8】一実施形態による、蛇行変形可能ビームを有する力/トルクセンサの平面図である。
【
図9】別の実施形態による、蛇行変形可能ビームを有する力/トルクセンサの平面図である。
【
図10】
図9の力/トルクセンサの1つの蛇行変形可能ビームの斜視図である。
【
図11】別の実施形態による、蛇行変形可能ビームを有する力/トルクセンサの平面図である。
【
図14】一実施形態による、螺旋変形可能ビームを有する力/トルクセンサの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
単純化および説明目的のために、本発明は、その例示的な実施形態を主に参照することによって記載される。これから述べる説明において、本発明を完全に理解するために、数多くの具体的な詳細が説明される。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細に限定されることなく実施され得ることは、当業者には容易に明らかであろう。この説明では、本発明を不必要に曖昧にしないように、周知の方法および構造については詳細に説明していない。
【0019】
力/トルクセンサにおける過負荷特徴は、典型的には歪みを測定する変形可能部材よりも幾分大きな剛性を有するが、実際には過負荷特徴が作動した後のセンサの剛性の、その通常の動作範囲におけるセンサ剛性に対する比であり、これは過負荷特徴の有効性を評価する際に重要である。このような比率を高くすると、過負荷特徴が作動した後にセンサにかかる応力が増加する速度が減少し、次に、故障前にセンサに加えることができる最大の力がさらに増加する。
【0020】
上述したように、理想的には、すべてのセンサの動き(モーション)(すなわち、TAPとMAPとの間の相対的な動き(モーション))は、過負荷特徴がアクティブ化すると、-すなわち、一旦、ギャップが閉じられ、過負荷ビームまたは他の部材が関連する対向面とハード接触すると-、停止する。しかし、実際には力またはトルクが増加すると、ギャップの2つの側面の間の接触が無限に硬くはないので、センサ部品は、過負荷特徴作動の前ほどではなく、移動を続ける。従って、過負荷特徴作動後のセンサ剛性の、その前のセンサ剛性に対する比は、クリティカルな指標(メトリック)である。
【0021】
図5および6はこれを実証する。これらは、2つの異なるセンサのグラフであり、x軸に加えられる負荷(荷重)(力またはトルク)と、y軸にセンサによって観察される最大応力を示す。力の単位は重要ではないく、センサのサイズに合わせてスケールすることに留意されたい。第1のセンサ(
図5)では、過負荷特徴の作動後の剛性は、その作動前よりもあまり大きくなく、すなわち、k_overload/k_sensor ~= 1である。第2のセンサでは、過負荷特徴の作動後の剛性は、その作動前よりもかなり大きく、すなわち、k_overload/k_sensor ~= 10である。
【0022】
図5及び
図6の検査により、両方のセンサが最大5の加えられた負荷に対して、その設計された範囲を通じて直線的に応答することを見ると、両方のセンサは、最大5の対応する応力を報告する。過負荷特徴作動のポイントである加えられた5の力を超えると、両方のグラフは勾配を変化させる。
図5に描かれている第1のセンサでは、過負荷作動後はセンサは以前よりあまり剛性がなく、応力の出力は、過負荷作動前と同様に、負荷の増加が継続するとともにほぼ急激に増加する。
【0023】
対照的に、
図6に描かれている第2のセンサは、過負荷作動後はそれ以前よりもかなり剛性が高く、負荷の増加が続くにつれて、応力の出力は、ずっと緩やかに増加する-すなわち、過負荷特徴作動ポイントの後のグラフは、はるかに低い勾配を有する。
【0024】
特に、制御されていない環境で展開される力/トルクセンサのための、有効な過負荷特徴を設計する際の1つの目標(ゴール)は、センサが金属疲労、降伏、破損、または破片になる前に、センサに大きな力/トルクを加える能力(機能)である。第2のセンサ(
図6)は、第1のセンサ(
図5)よりもはるかに大きい程度で、この目標を満たしていることは明らかである。例えば、両方のセンサが応力レベル7で破損する場合、第2のセンサは破損する前に最大27の負荷(荷重)をとることができる一方、第1のセンサはわずか9の負荷(荷重)で破損するだろう。
【0025】
したがって、通常の動作範囲のセンサ剛性よりもはるかに大きい過負荷特徴作動後の剛性を有するセンサが、過負荷状態(条件)でかなり良好である。別に言えば、過負荷特徴を持つ力/トルクセンサを作ると、動作範囲の剛性が低くなるため、故障前に耐えられる最大の力が大きくなる。
【0026】
変形可能ビーム型の力/トルクセンサをその動作範囲でより剛性の低いものにする1つの方法は、(過負荷ビームの高い剛性、または他の過負荷特徴を維持しながら)変形可能ビームの剛性を低減することである。ビーム(梁)の応力を増加させずにビーム(梁)の剛性を減少させる簡単な方法は、その長さを増加させることである。ビーム(梁)のたわみはその長さの三乗に比例するが、ビーム(梁)の応力はその長さに比例するだけである。
図7は、長さLの片持梁について、関連する方程式と、せん断VとモーメントMのグラフを示している。
【0027】
変形可能ビームの長さを直接増加させることは、全体の直径に制約がある、
図1~
図3に描かれているような多くのセンサ設計では不可能である。さらに、これは、必ずしも、
図3の過負荷ビームの長さを増加させ、それらの剛性を減少させ、過負荷特徴作動後の剛性の、作動前の剛性に対する比の所望の増加を否定するのであろう。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によれば、例えば
図8~
図11に描かれているように、変形可能ビームの長さ-しかし過負荷ビームではない-は、蛇行変形可能ビームを形成することによって増大される。本明細書で使用される「蛇行」という語は、一方の側に、次いで他方の側に交互に湾曲または屈曲することによって、直線から逸脱する形状を意味する。言い換えれば、蛇行変形可能ビームの中心線をたどり(に沿って)、TAPへの取り付けポイントからMAPへの取り付けポイントまで(またはその逆)、その長さに沿って取られる有向経路は、少なくとも1回左(または右)に曲がるか、湾曲するか、または角度をつけることによって直線状であることから逸脱し、次いで、少なくとも1回右(または左)に曲がるか、湾曲するか、または角度をつけることによって直線状であることからさらに逸脱する。もちろん、蛇行変形可能ビームは、TAPからMAPへの取り付けポイントまで、その範囲に沿って左右両方に数回逸脱することがある。交互の逸脱は連続している必要はない。すなわち、蛇行変形可能ビームは同一方向に複数曲がり、次いで、反対方向に曲がってもよい。直線からの逸脱は、鋭角の形態であってもよく、又は緩やかな曲線であってもよい。直線から、1回だけの逸脱を経験する、すなわち、左または右であって、しかし両方(
図1の変形可能ビーム16など)ではない、有向経路は、本明細書で使用される用語として「蛇行」の意味内に包含されないことに留意されたい。
【0029】
一実施形態では、蛇行変形可能ビームは、種々の角度で接続された複数の直線ビームセグメントを備えることができ、これらのセグメントのいくつかは、蛇行変形可能ビームを小さな空間に閉じ込めながら、より大きな全変形可能ビーム長を達成するように、互いに平行に延びることができる。いくつかの実施態様では、蛇行変形可能ビームのセグメント又は一部分は、「折り返す」ことができ、又は、ビームの先行セグメント又は一部分と反対の方向に延びることができる。
【0030】
図8は、ツールに接続され得るツールアダプタプレート(TAP)112と、ロボットアームに接続され得る取付(マウンティング)アダプタプレート(MAP)114とを備える、力/トルクセンサ110を示す(またはその逆もしかり)。MAP 114は、TAP 114の周りにほぼ環状に配置される。複数の蛇行変形可能ビーム116a、116b、116cは、それぞれが角度をなして接続された複数の変形可能ビームセグメントを備えており、TAP112をMAP114に接続する。
図8に示す実施形態では、各蛇行変形可能ビーム116は、TAP112に接続する第1の部分を含む。次いで、この第1の部分は「T」コネクションを介して、第2の部分に接続する。第2の部分の各端部において、蛇行変形可能ビームは、次いで、蛇行状に「折り畳む」。次に、これらの蛇行セクションの各々は、MAP114に接続する。したがって、この実施形態では、各蛇行変形可能ビーム116は、TAP112への取り付けポイントからMAP114への2つの異なる取り付けポイントまでの2つの別個の有向経路を含む。これらの有向経路の各々は、本明細書で定義され使用されるように、蛇行形状を画定(規定)する。
【0031】
それらの延長(拡張)された全長のために、蛇行変形可能なビーム116は、x-y平面、ならびに比較的低い剛性を有するz方向(紙の外側)においてTAP 112とMAP 114との間のわずかな相対的な動き(モーション)を可能にする。すなわち、センサ110はその動作範囲内で、例えば、
図1~3に示される従来技術のデザインの直線またはT字形の変形可能ビームを有する同等のサイズのセンサよりも、より大きな程度の「緩み」または「遊び」を有する。蛇行変形可能ビーム116は、蛇行変形可能ビーム116の表面における圧縮力および引張力を電気信号に変換する歪みゲージ(図示せず)を1つ以上の側面(サイド)に備えている。歪みゲージは、当技術分野で知られているように、フルホイートストンブリッジ構成、ハーフホイートストンブリッジ構成、またはクォーターホイートストンブリッジ構成で配線することができる。データ取得処理システム(図示せず)は、歪みゲージ出力を処理して、例えば、当該技術分野で公知のように、TAP112とMAP114との間に作用する6つの力およびトルク(Fx、Fy、Fz、Tx、Ty、Tz)を特定する。
【0032】
また、力/トルクセンサ110は、第1の端部でTAP112から第2の端部でMAP114の近くに(またはその逆に)延びるが、接していない複数の過負荷ビーム118a、118b、118cを含む。過負荷ビーム118は、蛇行変形可能ビーム116の間に放射状に点在している。狭い過負荷ギャップ120a、120b、120cは、例えば、1インチの数万分の1から1インチの数千分の1まで、それぞれの過負荷ビーム118a、118b、118cをMAP114から分離する。実際、過負荷ギャップ120は、各過負荷ビーム118の第2の(非接続の)端部を画定(規定)する。いくつかの実施形態では、TAP112、蛇行変形可能ビーム118、過負荷ビーム118、およびMAP114は、単一の金属片から機械加工され、これによって、過負荷特徴の製造から積み重ね公差が除去される。
【0033】
一実施形態では、各過負荷ギャップ120は実質的に(ほぼ)円形である。図示されているように、3つの過負荷ビームでは、円形ギャップ120が円の円周の270度よりも大きく延びなければならないため、TAP112が異なるギャップ距離で移動できる方向がないことを確実にするのに十分な向きで接触することになる。一様なギャップ距離、又はFxy/Tzにおいて異なる作動距離を可能にするために異なる方向に特別にオフセットされたもの、例えば4つの過負荷ビームを有するものは、過負荷ビーム118がMAP114に接触したときの駆動因子である。ギャップ120が追従する正確な経路、すなわち、円形、楕円形などは、過負荷ビーム118がMAP114に接触したときの局所接触応力を決定する。一実施形態では、過負荷ギャップ120は、ワイヤ放電加工(EDM)を用いて形成することができ、これにより、ギャップ120を厳しい公差で容易に機械加工することができる。蛇行変形可能ビーム116とは対照的に、過負荷ビーム118は、曲がりや角度がなく、真っすぐであり、両方とも蛇行変形可能ビーム116よりも短くて厚い。その結果、それらはるかに高い剛性を示す。
【0034】
過負荷ビーム118とMAP114との間の過負荷ギャップ120は、TAP112をx-y平面内でMAP114に対して移動させる力(Fxy)およびトルク(Tz)に対する過負荷作動、すなわち停止を提供する。z方向(ページの外側)への動き(モーション)のための過負荷停止を提供するために、各過負荷ビーム118がMAP 114と出会うエリアの上下に-すなわち過負荷ギャップ120の上下に、小さなギャップ幅を画定(規定)するシムストックを備えた、平らなプレートが取り付けられる。あるいは、このエリアを覆うプレートは、それらに機械加工された正確なステップを有する可能性がある。したがって、すべての過負荷停止は、センサ110の損傷を脅かすことのない容易に利用可能な技術を使用して、小さなギャップおよび厳しい公差で作成され、製造プロセスには明らかには追加されない。z方向のための過負荷停止特徴の1つの代替実施形態は、検知要素の上下のプレートに機械加工された平坦部およびテーパ部の両方を有することである。平坦部は、トランスデューサの中心により近くに配置することができ、テーパ部が平坦部から外に連続するため、純粋な力の過負荷とトルクの過負荷の両方が過負荷イベント中に大きな接触面積を有し、接触応力を減少させ、疲労寿命/強度を再び向上させる。
【0035】
図9は、別の実施形態による力/トルクセンサ130を示す。この実施形態では、蛇行変形可能ビーム132a、132b、132cは、TAP112とMAP114との間に接続される。この実施形態における各蛇行変形可能ビーム132は、1つのポイントのみでTAP112およびMAP114のそれぞれに接続される。蛇行変形可能ビーム132は、
図8の実施形態と同様に「折り畳まれ」、延長された全長を提供するが、小さな空間内にある。MAP114本体は、
図8の実施形態の蛇行変形可能ビーム116の他の「半分」によって占められる空間の一部を占め、さらに、センサ130全体の過負荷後作動剛性に寄与してもよい。過負荷ビーム118および過負荷ギャップ120は、上述のように構成される。
【0036】
図10は、歪みゲージ134が取り付けられた、
図9の実施形態の1つの蛇行変形可能ビーム132の詳細を示す。歪みゲージの取り付けは、
図8の実施形態の蛇行変形可能ビーム116と同様であり得る。歪みゲージの配線は、明確化のために示されていない。1つの表面上に示されているが、歪みゲージは複数の表面(例えば、対向する面上のペアにおいて)、および任意の位置または向きにおいて、蛇行変形可能ビーム116、132に取り付けられてもよい。
【0037】
図8~
図10に描かれた蛇行変形可能ビーム116、132は、次の連続するセグメントに対向する端部で接続され、したがって「扇形折り返し」形状を形成するビーム116、132のセグメントの長さの並列的な延在を描いているが、この形状は例示的なものに過ぎず、限定的なものではない。
【0038】
図11は、蛇行変形可能なビーム142を有する力/トルクセンサ140のさらに別の実施形態を示す。この場合、蛇行変形可能ビーム142a、142b、142cはそれぞれ、TAP112上の取付けポイントの後に左にわずかな曲がりを示し、その後、MAP114に取付ける前に右に数回曲がる。しかしながら、ビーム142はそれぞれ、一方の側(左側)に、次いで他方の側(反復的に右側)に交互に湾曲または屈曲することによって、直線から逸脱するので、本明細書で使用されるように、「蛇行」ビームの定義に合致する。
【0039】
図12は、様々な変形可能ビームの形状を示し、その全ては、本明細書で定義されるように「蛇行」である。
【0040】
変形可能ビームの形状12(a)は、
図9および
図10(または
図8の実施形態の片側)に示されたものと同様である。TAP取り付けポイントからMAP取り付けポイントへの有向線は直線で進み、90度右折して直線から逸脱する。次いで、ビームは、それぞれが同じ側に2つの連続した90度のターンを含む、6つの180度の方向の変化を実行する。これは、両方向に直線から逸脱するが、連続的ではない蛇行変形可能ビームの例である。本明細書で使用されるように、変形可能ビームの中心線の下方への有向線からの逸脱は、検討ポイントがビームに沿って移動することにつれて、瞬間的な中心線からの逸脱であり、-逸脱は必ずしも初期中心線の何れかの側にあるとは限らない。
【0041】
形状12(b)は、変形可能ビームのための蛇行経路の別の実施形態を示す。TAP取り付けポイントから始めて、ビームは直線に延び、次いで、90度未満の左旋回、90度を超える右旋回、90度を超える別の左旋回、次いで90度未満の別の右旋回を行い、その後、MAP取り付けポイントまで直線で続く。蛇行変形可能ビームの曲がりは、ビームの中心線を下る有向線からの弓形、直角、または鈍角であってもよい。
【0042】
形状12(c)は、変形可能ビームのための蛇行経路のさらに別の実施形態を示す。この形状は、ハードな角度を有していない。しかしながら、ビームの中心線に沿った有向経路は、右に90度の曲線を経験し、次いで、左、右、および左の曲線を経験し、それぞれ合計で180度の逸脱を経験し、その後、右に90度の曲線を経験して、MAP取り付けポイントに出会う。ビームはハードな角度を有さないが、その有向経路は両方向において直線から逸脱し、従って、本明細書で使用されるように、蛇行の定義に合致する。
【0043】
本発明の他の実施形態によれば、螺旋変形可能ビームを形成することによって、-過負荷ビームではなく-、変形可能ビームの長さが増大される。本明細書で使用される「螺旋」という語は、90度を超える累積合計に対して、同じ側に繰り返しまたは連続的に湾曲または屈曲することによって、直線から逸脱する形状を意味する。言い換えれば、TAPへの取り付けポイントからMAPへの取り付けポイントまでの長さに沿って、螺旋変形可能ビームの中心線をたどる(中心線に沿った、中心線を通る)有向経路は、90度を超える累積合計を通って、一方向、すなわち左または右のいずれかに、複数回、または連続的に回転、湾曲、または角度付けすることによって、直線であることから逸脱する。(
図1の変形可能なビーム16のような)90度以下の合計に対して、一方向に直線からの逸脱を経験する有向経路は、本明細書で使用される用語として「螺旋」の意味に包含されないことに留意されたい。
【0044】
図14は、螺旋変形可能ビーム152を有する力/トルクセンサ150の実施形態を示す。この場合、螺旋変形可能ビーム152a、152b、152cは、それぞれ、合計180°の間、片側、すなわち左側のみに曲がり(ターン)を示す。これは、本明細書で使用される螺旋変形可能ビームの定義によれば、片側への90度を超える逸脱の累積最小合計を超える。
【0045】
図13は、本明細書で使用される「螺旋」変形可能ビームの形状の多数の例を示す。
【0046】
変形可能ビームの形状13(a)は、全て右側への一連の8つの90度のターンを含む。TAPへの取り付けポイントからMAPへの取り付けポイントまでの有向線の右への累積逸脱は720度である。この実施形態では、MAPの少なくとも一部が、螺旋変形可能ビームの平面の外に、それに取り付けるために、配置されなければならない。
【0047】
形状13(b)は、変形可能ビームのための螺旋経路の別の実施形態を示す。TAP取り付けポイントから始めて、ビームは直線状に走り、その後、連続して左にカーブ逸脱する。ビームはMAPに取り付ける前に、1と3/4の完全な円を通って巻く。-すべて同じ側(この場合は左側)への方向の全逸脱は630度である。この実施形態はまた、MAP(またはそれに接続するアームまたは他の部材)が、螺旋変形可能ビームの平面の外に配置されることを必要とする。
【0048】
形状13(c)は、変形可能ビームのための螺旋経路のさらに別の実施形態を示す。この実施形態では、ビームが、TAPへの取り付けポイントから、一連の左ターンを介して、MAPへの取り付けポイントまで延在する。この複合ビームの最初のセグメントおよび最終セグメントは平行ではないので、TAPを離れる直線から左側への全角度逸脱は、180度よりもいくらか大きく、したがって、90度よりも大きい逸脱の本明細書の定義の範囲内であることは明らかである。この実施形態では、TAPおよびMAPは、螺旋変形可能ビームと同じ平面内に形成されてもよい。
【0049】
本発明の実施形態では、蛇行変形可能ビーム116、132、142または螺旋変形可能ビーム152の長さは、それらの剛性を減少させるために増加されるが、蛇行変形可能ビーム116、132、142または螺旋変形可能ビーム152はTAP112とMAP114との間の空間内で「折り畳み」されるため、力/トルクセンサ110、130、140、150の全体のサイズは増加されない。これらの蛇行変形可能ビーム116、132、142または螺旋変形可能ビーム152のより低い剛性は、過負荷作動後のセンサ剛性の、加えられた負荷(荷重)の動作範囲中の剛性に対する比を増加させ、一方、比例する歪み読み取り値をもたらす。この構成は、容易に製造される過負荷特徴の使用を可能にする。
【0050】
力/トルクセンサ110、130、140、150の設計された、または定格の動作範囲全体にわたって、蛇行変形可能ビーム116、132、142または螺旋変形可能ビーム152上の歪みゲージは、TAP112とMAP114との間に加えられる力および/またはトルクによってこれらの部材に誘起される圧縮力および引張力を検出する。それらの大きな全長のために、蛇行変形可能ビーム116、132、142又は螺旋変形可能ビーム152は、屈曲又は変形を経験することがあり、TAP112とMAP114との間の僅かな相対移動を可能にする。
【0051】
最大の設計された力および/またはトルクがセンサ110、130、140、150に印加され、蛇行変形可能ビーム116、132、142または螺旋変形可能ビーム152のうちの1つ以上が変形または屈曲し、TAP112とMAP114との間の最大設計相対移動(モーション)を可能にすると、1つ以上の過負荷ビーム118は、関連するギャップ120を閉じ、MAP114か、または、センサ110、130、140、150の上または下に配置されたプレートかのいずれかに直接接触する。このポイントで、さらなる相対移動が名目上停止される。実際には、過負荷ビーム118およびMAP114は無限の剛性ではないので、非常にわずかな動きが続く。しかしながら、蛇行変形可能ビーム116、132、142または螺旋変形可能ビーム152上のさらなる歪みとして検出され出力されるこのような移動は、印加される力/トルクの動作範囲中に経験される速度よりも低い速度で増加する。すなわち、歪み/力の出力曲線は、
図5ではなく、
図6のものに似ているのであろう。
【0052】
本発明の実施形態は、従来技術の力/トルクセンサに勝る多くの利点を提示する。蛇行変形可能ビーム116、132、142または螺旋変形可能ビーム152のより大きな全長により、これらの部材の剛性は、それらの歪みに影響を及ぼすことなく低下する。これは、過負荷特徴118の剛性に実質的な差をもたらし、過負荷作動前(すなわち、通常の動作範囲内)のセンサ剛性に対する、過負荷作動後のセンサ剛性の比率を増加させる。この高い剛性比は、過負荷作動ポイントでの歪み/力曲線に急激な屈曲をもたらし、負荷(荷重)が増加することにつれて低い傾斜(勾配)を有する。これは、センサ110、130、140、150が、金属を疲労させる前に過負荷状態になり得るサイクル数を増加させ、センサ110、130、140、150が降伏または破損することなく耐え得る最大力/トルクを増加させる。変形可能ビーム116、132、142、152の全長を、蛇行形状又は螺旋形状に形成することによって増大させるアプローチは、効率的な空間利用をもたらし、これは、全体のセンササイズを増大させない。MAP114に過負荷ギャップ120を形成することによって、過負荷ビーム118の非接続端部を画定(規定)することは、従来技術のアプローチと比較して、過負荷特徴118上の公差を緩め、組立後に部品を機械加工する必要性を排除する。
【0053】
もちろん、本発明は、本発明の本質的な特徴から逸脱することなく、本明細書に具体的に記載された方法以外の方法で実施されてもよい。本実施形態はすべての点で、例示であって限定ではないと見なされるべきであり、添付の特許請求の範囲の意味および同等の範囲内に入るすべての変更は、その中に包含されることが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の物体に接続されるように動作する
中央ツールアダプタプレート(TAP)(112)と、第2の物体に接続されるように動作
し、前記TAP(112)の周囲に環状に配置された取付アダプタプレート(MAP)(114)とを備える力/トルクセンサ(110、130、140、150)であって、
各々が前記TAP(112)の周囲に放射状に配置され、前記TAP(112)を前記MAP(114)に接続する1つ以上の蛇行変形可能ビーム(116、132、142)であって、前記TAP(112)への取り付けポイントから前記MAP(114)への取り付けポイントまでの前記蛇行変形可能ビーム(116、132、142)の中心線に沿った少なくとも1つの有向経路が、瞬間的な直線から少なくとも1回は左に、少なくとも1回は右に連続的に逸脱する、1つ以上の蛇行変形可能ビームと、
前記蛇行変形可能ビーム(116、132、142)の少なくともいくつかの1つ以上の表面に取り付けられた歪みゲージ(134)であって、前記歪みゲージは、前記ビーム(116、132、142)の変形によって生じる蛇行変形可能ビーム(116、132、142)の歪みを信号に変換するように動作する、歪みゲージと、
各々が蛇行変形可能ビーム(116、132、142)の間で前記TAP(112)の周囲に放射状に配置され、第1の端部で前記TAP(112)およびMAP(114)の一方に接続され、第2の端部で前記TAP(112)およびMAP(114)の他方から所定の幅の過負荷ギャップ(120)だけ分離された、1つ以上の過負荷ビーム(118)であって、各過負荷ビーム(118)は蛇行変形可能ビーム(116、132、142)よりも大きな剛性を示す、1つ以上の過負荷ビームと、
すべての歪みゲージ(134)からの信号に応答して、前記第1の及び第2の物体の間の力およびトルクの方向および大きさを測定するように動作する測定回路と、
を備えることを特徴とする力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項2】
各蛇行変形可能ビーム(116、132、142)は、
第1のセグメントと、
各々が、前記第1のセグメントと、前記MAP(114)およびTAP(112)の一方の別個のポイントとの間に接続された、第1および第2の蛇行セクションと、
前記第1のセグメントと前記MAP(114)およびTAP(112)の他方との間に接続された第2のセグメントと、
を備える、請求項
1に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項3】
過負荷ビーム(118)ごとに、過負荷ギャップによって前記過負荷ビーム(118)から分離された前記MAP(114)またはTAP(112)の上下に取り付けられたプレートをさらに備え、前記プレートは、前記TAP(112)、MAP(114)、および過負荷ビーム(118)の共通平面に垂直な前記過負荷ビーム(118)の移動を制限するz方向ギャップを画定する、請求項
1又は2に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項4】
前記TAP(112)およびMAP(114)の間に加えられる力またはトルクの第1の範囲内では、前記蛇行変形可能ビーム(116、132、142)は、変形するように動作し、及びMAP(114)、前記過負荷ビーム(118)の前記第2の端部は、前記過負荷ギャップ(120)のために、前記TAP(112)またはMAPに接触せず、
前記第1の範囲よりも大きい前記TAP(112)およびMAP(114)の間に加えられる力またはトルクの第2の範囲内では、少なくとも1つの過負荷ビーム(118)の前記第2の端部が、前記過負荷ギャップ(120)を閉じて前記TAP(112)またはMAP(114)に接触し、前記TAP(112)およびMAP(114)の間のさらなる動きを防止し、したがって前記蛇行変形可能ビーム(116、132、142)のさらなる変形を名目上防止する、請求項
1乃至
3の何れか1項に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項5】
前記センサ(110、130、140、150)は、力またはトルクの前記第1の範囲全体にわたって、前記加えられた力またはトルクの下での移動に対する第1の剛性または抵抗を示し、力またはトルクの前記第2の範囲内では第2の剛性を示し、前記第2の剛性は前記第1の剛性よりも大きい、請求項
4に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項6】
第1の物体に接続されるように動作する
中央ツールアダプタプレート(TAP)(112)と、第2の物体に接続されるように動作
し、前記TAP(112)の周囲に環状に配置された取付アダプタプレート(MAP)(114)とを備える力/トルクセンサ(110、130、140、150)であって、
各々が前記TAP(112)の周囲に放射状に配置され、前記TAP(112)を前記MAP(114)に接続する1つ以上の螺旋変形可能ビーム(152)であって、前記TAP(112)への取り付けポイントから前記MAP(114)への取り付けポイントまでの前記螺旋変形可能ビーム(152)の中心線に沿った少なくとも1つの有向経路が、瞬間的な直線から左右の一方に逸脱し、当該逸脱の累積和は90度未満である、1つ以上の螺旋変形可能ビームと、
前記螺旋変形可能ビーム(152)の少なくともいくつかの1つ以上の表面に取り付けられた歪みゲージ(134)であって、前記歪みゲージ(134)は、前記ビーム(152)の変形によって生じる螺旋変形可能ビーム(152)の歪みを信号に変換するように動作する、歪みゲージと、
各々が螺旋変形可能ビーム(152)の間で前記TAP(112)の周囲に放射状に配置され、第1の端部で前記TAP(112)およびMAP(114)の一方に接続され、第2の端部で前記TAP(112)およびMAP(114)の他方から所定の幅の過負荷ギャップ(120)だけ分離された、1つ以上の過負荷ビーム(118)であって、各過負荷ビーム(118)は、螺旋変形可能ビーム(152)よりも大きな剛性を示す、1つ以上の過負荷ビームと、
すべての歪みゲージ(134)からの信号に応答して、前記第1の及び第2の物体の間の力およびトルクの方向および大きさを測定するように動作する測定回路と、
を備えることを特徴とする力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項7】
前記過負荷ギャップ(120)は、前記TAP(112)またはMAP(114)の一方に堅固に取り付けられ、前記TAP(112)またはMAP(114)の他方と前記過負荷ギャップ(120)を形成する、前記TAP(112)またはMAP(114)のいずれかとは異なる部分によって形成される、請求項
6に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項8】
過負荷ビーム(118)ごとに、過負荷ギャップによって前記過負荷ビーム(118)から分離された前記MAP(114)またはTAP(112)の上下に取り付けられたプレートをさらに備え、前記プレートは、前記TAP(112)、MAP(114)、および過負荷ビーム(118)の共通平面に垂直な前記過負荷ビーム(118)の移動を制限するz方向ギャップを画定する、請求項
6又は7に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項9】
前記TAP(112)およびMAP(114)の間に加えられる力またはトルクの第1の範囲内では、前記螺旋変形可能ビーム(152)は、変形するように動作し、前記過負荷ビーム(118)の前記第2の端部は、前記過負荷ギャップ(120)のために、前記TAP(112)またはMAP(114)に接触せず、
前記第1の範囲よりも大きい前記TAP(112)およびMAP(114)の間に加えられる力またはトルクの第2の範囲内では、少なくとも1つの過負荷ビーム(118)の前記第2の端部が、前記過負荷ギャップ(120)を閉じて、前記TAP(112)またはMAP(114)に接触し、前記TAP(112)およびMAP(114)の間のさらなる動きを防止し、したがって前記螺旋変形可能ビーム(152)のさらなる変形を名目上防止する、請求項
6乃至
8の何れか1項に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【請求項10】
前記センサ(110、130、140、150)は、力またはトルクの前記第1の範囲全体にわたって、前記加えられた力またはトルクの下での移動に対する第1の剛性または抵抗を示し、力またはトルクの前記第2の範囲内では第2の剛性を示し、前記第2の剛性は前記第1の剛性よりも大きい、請求項
9に記載の力/トルクセンサ(110、130、140、150)。
【国際調査報告】