(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-24
(54)【発明の名称】ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含む共重合体発泡体を製造する方法
(51)【国際特許分類】
C08J 9/12 20060101AFI20220517BHJP
B29C 45/00 20060101ALI20220517BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
C08J9/12 CFG
B29C45/00
B29C44/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555595
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(85)【翻訳文提出日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 FR2020050546
(87)【国際公開番号】W WO2020188211
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】コケト, クリオ
【テーマコード(参考)】
4F074
4F206
4F214
【Fターム(参考)】
4F074AA22
4F074AA23
4F074AA71B
4F074AA76B
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4F214UA08
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4F214UC02
4F214UC12
(57)【要約】
本発明は、以下の工程: - 発泡剤と溶融状態にある共重合体を混合することと; - 共重合体と発泡剤との混合物を発泡させることと;を含む、ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有する共重合体発泡体を製造する方法であって、発泡剤は、二窒素と二酸化炭素の混合物を含む、方法に関する。本発明はまた、そのような製造方法によって得ることができる、ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有する共重合体発泡体にも関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
- 発泡剤と溶融状態にある共重合体とを混合することと;
- 共重合体と発泡剤との混合物を発泡させることと
を含む、ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有する共重合体発泡体の製造方法であって、
発泡剤は、二窒素と二酸化炭素との混合物を含む、
方法。
【請求項2】
発泡剤は、20重量%~95重量%、好ましくは40重量%~95重量%の二窒素、および5重量%~80重量%、好ましくは5重量%~60重量%の二酸化炭素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
共重合体のポリアミドブロックは、600~5000g/mol、好ましくは600~4000g/molの数平均分子量を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
共重合体のポリエーテルブロックは、250~2000g/mol、好ましくは650~2000g/molの数平均分子量を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
共重合体のポリアミドブロックのポリエーテルブロックに対する質量比が0.3~10、好ましくは0.3~3である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
共重合体のポリアミドブロックは、ポリアミド6の、ポリアミド11の、ポリアミド12の、ポリアミド5.4の、ポリアミド5.9の、ポリアミド5.10の、ポリアミド5.12の、ポリアミド5.13の、ポリアミド5.14の、ポリアミド5.16の、ポリアミド5.18の、ポリアミド5.36の、ポリアミド6.4の、ポリアミド6.9の、ポリアミド6.10の、ポリアミド6.12の、ポリアミド6.13の、ポリアミド6.14の、ポリアミド6.16の、ポリアミド6.18の、ポリアミド6.36の、ポリアミド10.4の、ポリアミド10.9の、ポリアミド10.10の、ポリアミド10.12の、ポリアミド10.13の、ポリアミド10.14の、ポリアミド10.16の、ポリアミド10.18の、ポリアミド10.36の、ポリアミド10.Tの、ポリアミド12.4の、ポリアミド12.9の、ポリアミド12.10の、ポリアミド12.12の、ポリアミド12.13の、ポリアミド12.14の、ポリアミド12.16の、ポリアミド12.18の、ポリアミド12.36の、ポリアミド12.Tのブロックまたはそれらの混合物、またはそれらの共重合体、好ましくはポリアミド11の、ポリアミド12の、ポリアミド6のまたはポリアミド6.10のブロックである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ポリエーテルブロックは、ポリエチレングリコールの、プロピレングリコールの、ポリトリメチレングリコールの、ポリテトラヒドロフランのブロック、またはそれらの混合物もしくは共重合体であり、好ましくはポリエチレングリコールのまたはポリテトラヒドロフランのブロックである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
発泡体は、0.8g/cm
3以下の密度、好ましくは0.05~0.8g/cm
3、より優先的には0.08~0.5g/cm
3、さらにより優先的には0.08~0.3g/cm
3の密度を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
発泡体は非架橋である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
共重合体のおよび発泡剤の混合物を型に注入する工程を含み、混合物を発泡させることは型を開放することによって行われる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
発泡剤は、発泡剤の重量およびポリアミドブロックとポリエーテルブロックを含有する共重合体の重量の合計に対して、0.1%~10%、好ましくは0.2%~5%、さらにより優先的には0.2%~1.5%の質量の量で、共重合体のおよび発泡剤の混合物中に存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
溶融状態にある共重合体を、好ましくはエチレンのおよび酢酸ビニルの共重合体、エチレンのおよびアクリレートの共重合体、ならびにエチレンのおよびアルキル(メタ)アクリレートの共重合体から選択される、1つまたは複数の添加剤と、および発泡剤と混合することを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
射出成形方法である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の製造方法によって得ることができる、ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有する共重合体発泡体。
【請求項15】
0.8g/cm
3以下の密度、好ましくは0.05~0.8g/cm
3、より優先的には0.08~0.5g/cm
3、さらにより優先的には0.08~0.3g/cm
3の密度を有する、請求項14に記載の発泡体。
【請求項16】
2~25、好ましくは3~20、より優先的には4~15の範囲の膨張率を有する、請求項14または15に記載の発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有する共重合体発泡体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々のポリマー発泡体が、とりわけスポーツ用具、例えば、靴底または靴底成分、グローブ、ラケットまたはゴルフボール、特にスポーツを行う場合の個人用防護アイテム(ジャケット、ヘルメットの内装部品、覆い等)の分野で使用されている。例えば、ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有する共重合体発泡体(またはPEBA発泡体)は、これらの用途に特に適している。
【0003】
このような用途には、反発能力、低圧縮ひずみ、および変形することなく反復衝撃に耐えかつ初期形状に回復する能力を確保する、一連の特定の物理的特性が必要である。
【0004】
文献FR 3047245では、起泡剤として二窒素を使用した射出成形方法によって得られたPEBA発泡体が記載されている。かかる発泡体は、比較的低い密度を有することができる。しかし、一部の用途では、さらにより低い密度の発泡体を得ることが望ましい場合がある。
【0005】
文献EP 0405227およびEP 0402883では、種々のポリマーから製造された発泡体および靴底でのそれらの使用が記載されている。
【0006】
文献EP 1650255では、ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有する共重合体から得られた架橋発泡体が記載されている。
【0007】
架橋発泡体には、製造方法の観点から高い制約を有するという欠点がある:製造時間は一般に長く、製造は一般にバッチモードでのみ必然であり、望ましくない化学製品を扱う必要がある。
【0008】
加えて、架橋発泡体は使用後にリサイクルするのが困難である。
【0009】
文献WO 2013/148841では、ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有する共重合体を含めて、種々のポリマーを使用する二層押出し方法が記載されている。
【0010】
文献WO 2015/052265では、任意のエラストマー性熱可塑性樹脂ポリマーを使用する発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法が記載されている。
【0011】
文献US 2015/0174808では、発泡性ポリマーペレット、特にポリウレタンペレットの製造方法が記載されている。
【0012】
Kin Linの論文、Development of high strength microcellular foams using polyether block amide、2010年、Department of Mechanical & Industrial Engineering、University of Torontoでは、二酸化炭素を使用するバッチ方法で得られたPEBA発泡体またはPEBA混合発泡体が記載されている。
【0013】
文献GB 2296014は、熱可塑性樹脂ポリマー発泡体、例えばポリアミドまたはポリエーテルポリアミド共重合体のコアを備えるゴルフボールに関する。
【0014】
文献US 2005/0049545では、第2のポリマー性材料が第1のポリマー性材料上にオーバーモールドされ、第2のポリマー性材料は発泡体に変換される、医療デバイスの製造方法が記載されている。
【0015】
文献JP 2005350574では、不活性ガス(二酸化炭素または二窒素)を使用して製造された熱可塑性樹脂ポリマーの発泡体が記載されている。
【0016】
さらに、Zotefoams社は、ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有する共重合体から製造された架橋発泡体を、名称Zotek(登録商標)PEBAで市場に出している。架橋の欠点が上で思い出される。さらに、製品の耐久性は理想的ではない。
【0017】
二窒素または二酸化炭素は、ポリマー発泡体の製造中において、特に射出成形方法で、従来から使用されている。しかし、PEBA発泡体の場合、これらの発泡剤にはある特定の欠点がある。
【0018】
リサイクルも可能である、良好な品質の極めて低密度の発泡体を得ることを可能とする、ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有する共重合体発泡体の製造方法を提供することが真に求められている。
【発明の概要】
【0019】
本発明は第一に、以下の工程:
- 発泡剤と溶融状態にある共重合体を混合すること;
- 共重合体と発泡剤の混合物の発泡
を含む、ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有する共重合体発泡体の製造方法であって、
発泡剤は、二窒素と二酸化炭素の混合物を含む、
方法に関する。
【0020】
実施形態によれば、本発明は、以下の工程:
- 発泡剤と溶融状態にある共重合体を混合すること;
- 共重合体と発泡剤の混合物の発泡
を含む、ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有する共重合体発泡体の製造方法であって、
発泡剤は、二窒素と二酸化炭素の混合物を含み、
前記方法は射出成形方法である、
方法に関する。
【0021】
実施形態によれば、発泡剤は、20重量%~95重量%、好ましくは40重量%~95重量%の二窒素、および5重量%~80重量%、好ましくは5重量%~60重量%の二酸化炭素、を含む。
【0022】
実施形態によれば、共重合体のポリアミドブロックは、400~20,000g/mol、好ましくは500~10,000g/molの数平均分子量を有する。
【0023】
実施形態によれば、共重合体のポリエーテルブロックは、100~6000g/mol、好ましくは200~3000g/molの数平均分子量を有する。
【0024】
実施形態によれば、共重合体のポリアミドブロックのポリエーテルブロックに対する質量比が0.1~20、好ましくは0.3~3、さらにより優先的には0.3~0.9である。
【0025】
実施形態によれば、共重合体のポリアミドブロックは、ポリアミド6の、ポリアミド11の、ポリアミド12の、ポリアミド5.4の、ポリアミド5.9の、ポリアミド5.10の、ポリアミド5.12の、ポリアミド5.13の、ポリアミド5.14の、ポリアミド5.16の、ポリアミド5.18の、ポリアミド5.36の、ポリアミド6.4の、ポリアミド6.9の、ポリアミド6.10の、ポリアミド6.12の、ポリアミド6.13の、ポリアミド6.14の、ポリアミド6.16の、ポリアミド6.18の、ポリアミド6.36の、ポリアミド10.4の、ポリアミド10.9の、ポリアミド10.10の、ポリアミド10.12の、ポリアミド10.13の、ポリアミド10.14の、ポリアミド10.16の、ポリアミド10.18の、ポリアミド10.36の、ポリアミド10.Tの、ポリアミド12.4の、ポリアミド12.9の、ポリアミド12.10の、ポリアミド12.12の、ポリアミド12.13の、ポリアミド12.14の、ポリアミド12.16の、ポリアミド12.18の、ポリアミド12.36の、ポリアミド12.Tのブロックまたはそれらの混合物、またはそれらの共重合体、好ましくはポリアミド11の、ポリアミド12の、ポリアミド6のまたはポリアミド6.10のブロック、である。
【0026】
実施形態によれば、ポリエーテルブロックは、ポリエチレングリコールの、プロピレングリコールの、ポリトリメチレングリコールの、ポリテトラヒドロフランのブロック、またはそれらの混合物もしくは共重合体であり、好ましくはポリエチレングリコールのまたはポリテトラヒドロフランのブロックである。
【0027】
実施形態によれば、発泡体は、0.8g/cm3以下の密度、好ましくは0.05~0.8g/cm3、より優先的には0.08~0.5g/cm3、さらにより優先的には0.08~0.3g/cm3の密度を有する。
【0028】
実施形態によれば、発泡体は非架橋である。
【0029】
実施形態によれば、本発明の方法は、共重合体および発泡剤の混合物を型に注入する工程を含み、混合物の発泡は型を開口することによって行われる。
【0030】
実施形態によれば、発泡剤は、発泡剤のおよびポリアミドブロックとポリエーテルブロックを含有する共重合体の重量の合計に対して、0.1%~10%、好ましくは0.2%~5%、さらにより優先的には0.2%~1.5%の質量の量で、共重合体および発泡剤の混合物中に存在する。
【0031】
実施形態によれば、本発明の方法は、溶融状態にある共重合体を、好ましくはエチレンのおよび酢酸ビニルの共重合体、エチレンのおよびアクリレートの共重合体、ならびにエチレンのおよびアルキル(メタ)アクリレートの共重合体から選択される、1つまたは複数の添加剤と、および発泡剤と、混合することを含む。
【0032】
本発明はまた、上記の製造方法によって得ることができる、ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有する共重合体発泡体に関する。
【0033】
実施形態によれば、発泡体は、0.8g/cm3以下の密度、好ましくは0.05~0.8g/cm3、より優先的には0.08~0.5g/cm3、さらにより優先的には0.08~0.3g/cm3の密度を有する。
【0034】
実施形態によれば、発泡体は、2~25、好ましくは3~20、より優先的には4~15の範囲の膨張率を有する。
【0035】
本発明は、上に明記のニーズを満たす。本発明はより具体的には、ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有する共重合体発泡体の製造方法であって、同時にリサイクル可能で、低密度またはさらには極めて低密度であり、かつ良好な機械的特性、例えば良好な強度を有する発泡体を得ることを可能にする、方法を提供する。
【0036】
このことは、二窒素と二酸化炭素の混合物を含む、特定の発泡剤を使用して、共重合体の発泡を生じさせることを通して、達成される。
【0037】
実際、PEBA発泡体の製造に二窒素または二酸化炭素を単独で使用することには、ある特定の欠点がある。
【0038】
したがって、二窒素によって弱い膨張が生じ、これでは、発泡体の極めて低い密度値を達成することはできない。
【0039】
発泡剤として二酸化炭素を使用すると、発泡体の外側に二酸化炭素が非常に急速に拡散することに起因して、PEBA発泡体の内側での真空の生成につながる。これは、発泡体をそれ自体で崩壊させ、使用不能とする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】1重量%の量で導入した、発泡剤として二窒素75重量%と二酸化炭素25重量%の混合物を使用して、実施例1に記載の方法に従って得られた発泡体番号1の胞巣状構造の走査電子顕微鏡(SEM)によって得られた画像である。
【
図2】1.2重量%の量で導入した、発泡剤として二窒素75重量%と二酸化炭素25重量%の混合物を使用して、実施例1に記載の方法に従って得られた発泡体番号2の胞巣状構造のSEMによって得られた画像である。
【
図3】0.6重量%の量で導入した、発泡剤として二窒素を使用して、実施例1に記載の方法に従って得られた発泡体番号3の胞巣状構造のSEMによって得られた画像である。
【
図4】0.8重量%の量で導入した、発泡剤として二窒素を使用して、実施例1に記載の方法に従って得られた発泡体番号4の胞巣状構造のSEMによって得られた画像である。
【
図5】1.2重量%の量で導入した、発泡剤として二窒素75重量%と二酸化炭素25重量%の混合物を使用して、実施例1に記載の方法に従って得られた発泡体番号2の画像である。
【
図6】0.6重量%の量で導入した、発泡剤として二窒素を使用して、実施例1に記載の方法に従って得られた発泡体番号3の画像である。
【
図7】6~8重量%の量で導入した、発泡剤として二酸化炭素を使用して、実施例1に記載の方法に従って得られた発泡体番号5の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
次に本発明を、以下の説明においてより詳細にかつ非限定的に記載する。
【0042】
別途指示がない限り、全てのパーセンテージは質量パーセンテージである。
【0043】
本発明は、ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロック(またはPEBA)を含有する共重合体発泡体の製造方法に関する。
【0044】
PEBAは、反応性末端を持つポリエーテルブロックとの反応性末端を持つポリアミドブロックの重縮合から、例えば、特に:
1)ジカルボキシル鎖末端を持つポリオキシアルキレンブロックとのジアミン鎖末端を持つポリアミドブロックの;
2)ポリエーテルジオールとして知られるα,ω-ジヒドロキシル化脂肪族ポリオキシアルキレンブロックのシアノエチル化および水素化によって例えば得られる、ジアミン鎖末端を持つポリオキシアルキレンブロックとのジカルボキシル鎖末端を持つポリアミドブロックの;
3)得られる生成物が、その特定の場合、ポリエーテルエステルアミドである、ポリエーテルジオールとのジカルボキシル鎖末端を持つポリアミドブロックの、
重縮合から生成する。
【0045】
ジカルボキシル鎖末端を持つポリアミドブロックは、例えば、連鎖制限ジカルボン酸の存在下でのポリアミド前駆体の縮合に由来する。ジアミン鎖末端を持つポリアミドブロックは、例えば、連鎖制限ジアミンの存在下でのポリアミド前駆体の縮合に由来する。
【0046】
3つのタイプのポリアミドブロックを有利に使用することができる。
【0047】
第1のタイプによれば、ポリアミドブロックは、ジカルボン酸、特に4~20個の炭素原子を含有するもの、好ましくは6~18個の炭素原子を含有するものの、および脂肪族または芳香族ジアミン、特に2~20個の炭素原子を含有するもの、好ましくは6~14個の炭素原子を含有するものの、縮合に由来する。
【0048】
ジカルボン酸の例として、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ブタン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、テレフタル酸およびイソフタル酸、ダイマー化脂肪酸も、挙げられる。
【0049】
ジアミンの例として、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)および2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)の各異性体、パラ-アミノジシクロヘキシルメタン(PACM)、イソホロンジアミン(IPDA)、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン(BAMN)ならびにピペラジン(Pip)、が挙げられる。
【0050】
有利には、ポリアミドブロックPA 4.12、PA 4.14、PA 4.18、PA 6.10、PA 6.12、PA 6.14、PA 6.18、PA 9.12、PA 10.10、PA 10.12、PA 10.14およびPA 10.18を使用する。表記法PA X.Yでは、通常どおり、Xはジアミン残基に由来する炭素原子の数を表し、Yは二酸残基に由来する炭素原子の数を表す。
【0051】
第2のタイプによれば、ポリアミドブロックは、4~12個の炭素原子を含有するジカルボン酸のまたはジアミンの存在下で、6~12個の炭素原子を含有する1つまたは複数のα,ω-アミノカルボン酸のおよび/または1つまたは複数のラクタムの縮合から生成する。ラクタムの例として、カプロラクタム、オエナントラクタムおよびラウリルラクタムが挙げられる。α,ω-アミノカルボン酸の例として、アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸および12-アミノドデカン酸が挙げられる。
【0052】
有利には、第2のタイプのポリアミドブロックは、PA 11(ポリウンデカンアミド)、PA 12(ポリドデカンアミド)またはPA 6(ポリカプロラクタム)の各ブロックである。表記法PA Xでは、Xはアミノ酸残基に由来する炭素原子の数を表す。
【0053】
第3のタイプによれば、ポリアミドブロックは、少なくとも1つのα,ω-アミノカルボン酸(またはラクタム)、少なくとも1つのジアミンおよび少なくとも1つのジカルボン酸の縮合から生成する。
【0054】
この場合、ポリアミドPAブロックは:
- X個の炭素原子を含有する直鎖脂肪族または芳香族ジアミンの;
- Y個の炭素原子を含有するジカルボン酸の;ならびに
- Z個の炭素原子を含有するラクタムおよびα,ω-アミノカルボン酸ならびに、(X1、Y1)は(X、Y)とは異なって、X1個の炭素原子を含有する少なくとも1つのジアミンのおよびY1個の炭素原子を含有する少なくとも1つのジカルボン酸の等モル混合物、から選択される、コモノマー{Z}の、
重縮合であって、
- 前記コモノマー{Z}は、ポリアミド前駆体モノマーの総量に対して、有利には50%まで、好ましくは20%まで、さらにより有利には10%までの範囲の重量割合で導入され;
- ジカルボン酸から選択される連鎖制限剤の存在下で、
の重縮合によって調製される。
【0055】
有利には、Y個の炭素原子を含有するジカルボン酸が連鎖制限剤として使用され、これは、ジアミンの化学量論に対して過剰に導入される。
【0056】
この第3のタイプの一変異体によれば、ポリアミドブロックは、6~12個の炭素原子を含有する、少なくとも2つのα,ω-アミノカルボン酸の縮合からもしくは少なくとも2つのラクタムの縮合から、または同数の炭素原子を有さない、1つのラクタムおよび1つのアミノカルボン酸の縮合から、必要に応じて連鎖制限剤の存在下で、生成する。脂肪族α,ω-アミノカルボン酸の例として、アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸および12-アミノドデカン酸が挙げられる。ラクタムの例として、カプロラクタム、オエナントラクタムおよびラウリルラクタムが挙げられる。脂肪族ジアミンの例として、ヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンおよびトリメチルヘキサメチレンジアミンが挙げられる。脂環式二酸の例として、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。脂肪族二酸の例として、ブタン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸およびダイマー化脂肪酸が挙げられる。これらのダイマー化脂肪酸は好ましくは、少なくとも98%の二量体含有量を有し;それらは好ましくは水素化されており;それらは、例えば、Crodaによってブランド名Pripolで、BASFによってブランド名Empolで、またはOleonによってブランド名Radiacidで販売されている製品であり、ポリオキシアルキレンα,ω-二酸である。芳香族二酸の例として、テレフタル酸(T)およびイソフタル酸(I)が挙げられる。脂環式ジアミンの例として、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)および2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)の各異性体、ならびにパラ-アミノジシクロヘキシルメタン(PACM)が挙げられる。通常使用されるその他のジアミンは、イソホロンジアミン(IPDA)、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン(BAMN)およびピペラジンとすることができる。
【0057】
第3のタイプのポリアミドブロックの例として、以下が挙げられる:
- PA 6.6/6、ここで、6.6は、アジピン酸と縮合したヘキサメチレンジアミン単位を表示し、6はカプロラクタムの縮合から生成する単位を表示する;
- PA 6.6/6.10/11/12、ここで、6.6はアジピン酸と縮合したヘキサメチレンジアミンを表示し、6.10はセバシン酸と縮合したヘキサメチレンジアミンを表示し、11はアミノウンデカン酸の縮合から生成する単位を表示し、12はラウリルラクタムの縮合から生成する単位を表示する。
【0058】
表記法PA X/Y、PA X/Y/Z等は、X、Y、Z等が上記のホモポリアミド単位を表すコポリアミドに関連する。
【0059】
有利には、本発明で使用される共重合体のポリアミドブロックは、ポリアミドPA 6、PA 11、PA 12、PA 5.4、PA 5.9、PA 5.10、PA 5.12、PA 5.13、PA 5.14、PA 5.16、PA 5.18、PA 5.36、PA 6.4、PA 6.9、PA 6.10、PA 6.12、PA 6.13、PA 6.14、PA 6.16、PA 6.18、PA 6.36、PA 10.4、PA 10.9、PA 10.10、PA 10.12、PA 10.13、PA 10.14、PA 10.16、PA 10.18、PA 10.36、PA 10.T、PA 12.4、PA 12.9、PA 12.10、PA 12.12、PA 12.13、PA 12.14、PA 12.16、PA 12.18、PA 12.36もしくはPA 12.Tの各ブロック、またはそれらの混合物もしくは共重合体を含み;好ましくは、ポリアミドPA 6、PA 11、PA 12、PA 6.10、PA 10.10もしくはPA 10.12の各ブロック、またはそれらの混合物もしくは共重合体を含む。
【0060】
ポリエーテルブロックは、アルキレンオキシド単位から形成される。
【0061】
ポリエーテルブロックはとりわけ、PEG(ポリエチレングリコール)ブロック、すなわち、エチレンオキシド単位から形成されたブロック、および/またはPPG(プロピレングリコール)ブロック、すなわち、プロピレンオキシド単位から形成されたブロック、および/またはPO3G(ポリトリメチレングリコール)ブロック、すなわち、ポリトリメチレングリコールエーテル単位から形成されたブロック、および/またはPTMGブロック、すなわち、ポリテトラヒドロフランとしても知られているテトラメチレングリコール単位から形成されたブロック、とすることができる。PEBA共重合体は、それらの鎖中にいくつかのタイプのポリエーテルを含むことができ、コポリエーテルはブロック形態であっても統計形態であってもよい。
【0062】
ビスフェノール類、例を挙げるとビスフェノールAのオキシエチル化によって得られたブロックを使用することもできる。後者の製品は、文献EP 613 919にとりわけ記載されている。
【0063】
ポリエーテルブロックはまた、エトキシル化一級アミンから形成することができる。エトキシル化一級アミンの例として、式:
の製品が挙げられる[式中、mおよびnは1~20の間の整数であり、xは8~18の間の整数である]。これらの製品は例えば、CECAからブランド名Noramox(登録商標)で、Clariantからブランド名Genamin(登録商標)で市販されている。
【0064】
可撓性ポリエーテルブロックは、NH2鎖末端を持つポリオキシアルキレンブロックを含むことができ、かかるブロックは、ポリエーテルジオールと称されるα,ω-ジヒドロキシル化脂肪族ポリオキシアルキレンブロックのシアノアセチル化によって得ることができる。より具体的には、市販製品JeffamineまたはElastamineを使用することができる(例えば、Huntsman製の市販製品であるJeffamine(登録商標)D400、D2000、ED 2003、XTJ 542であり、JP 2004/346274、JP 2004/352794およびEP 1482011の各文献にも記載されている)。
【0065】
ポリエーテルジオールブロックは、非修飾型で使用され、そしてカルボキシル末端基を持つポリアミドブロックと共重縮合されるか、またはアミノ化されてポリエーテルジアミンに変換され、そしてカルボキシル末端基を持つポリアミドブロックと縮合されるか、いずれかである。PAブロックとPEブロックとの間にエステル結合を含有するPEBA共重合体のツーステップ調製の一般的な方法が知られており、例えば、文献FR 2846332に記載されている。PAブロックとPEブロックとの間にアミド結合を有するPEBA共重合体の調製の一般的な方法が知られており、例えば、文献EP 1482011に記載されている。ポリエーテルブロックはまた、ポリアミド前駆体および連鎖制限二酸と混合して、ランダムに分配された単位を有するポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有するポリマーを調製することもできる(ワンステップ方法)。
【0066】
言うまでもなく、本発明の本説明における名称PEBAは、Arkemaにて販売のPebax(登録商標)製品に、Evonik(登録商標)にて販売のVestamid(登録商標)製品に、およびEMSにて販売のGrilamid(登録商標)製品に限らず、Sanyoにて販売のPelestat(登録商標)タイプのPEBA製品にもまたはその他のサプライヤー製の他の任意のPEBAにも、関連する。
【0067】
上記のブロック共重合体が一般に、少なくとも1つのポリアミドブロックおよび少なくとも1つのポリエーテルブロックを含む場合、本発明はまた、本説明に記載のものから選択される異なる2つ、3つ、4つ(またはさらにより多く)のブロックを含む全ての共重合体アロイもカバーするが、これらのブロックは、少なくともポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含むことを条件とする。
【0068】
例えば、本発明による共重合体アロイは、異なる3つタイプのブロックを含むセグメント化ブロック共重合体(または「トリブロック」共重合体)を含むことができ、これは、上記のいくつかのブロックの縮合から生成する。前記トリブロック共重合体はコポリエーテルエステルアミドおよびコポリエーテルアミドウレタンから選択されるのが好ましい。
【0069】
本発明の文脈において特に好ましいPEBA共重合体は、以下の内からのブロックを含む共重合体である:
- PA 11およびPEG;
- PA 11およびPTMG;
- PA 12およびPEG;
- PA 12およびPTMG;
- PA 6.10およびPEG;
- PA 6.10およびPTMG;
- PA 6およびPEG;
- PA 6およびPTMG。
【0070】
PEBA共重合体中のポリアミドブロックの数平均分子量は、好ましくは400~20,000g/mol、より優先的には500~10,000g/molである。ある特定の実施形態では、PEBA共重合体中のポリアミドブロックの数平均分子量は、400~500g/mol、または500~600g/mol、または600~1000g/mol、または1000~1500g/mol、または1500~2000g/mol、または2000~2500g/mol、または2500~3000g/mol、または3000~3500g/mol、または3500~4000g/mol、または4000~5000g/mol、または5000~6000g/mol、または6000~7000g/mol、または7000~8000g/mol、または8000~9000g/mol、または9000~10,000g/mol、または10,000~11,000g/mol、または11,000~12,000g/mol、または12,000~13,000g/mol、または13,000~14,000g/mol、または14,000~15,000g/mol、または15,000~16,000g/mol、または16,000~17,000g/mol、または17,000~18,000g/mol、または18,000~19,000g/mol、または19,000~20,000g/molである。
【0071】
ポリエーテルブロックの数平均分子量は、好ましくは100~6000g/mol、より優先的には200~3000g/molである。ある特定の実施形態では、ポリエーテルブロックの数平均分子量は、100~200g/mol、または200~500g/mol、または500~800g/mol、または800~1000g/mol、または1000~1500g/mol、または1500~2000g/mol、または2000~2500g/mol、または2500~3000g/mol、または3000~3500g/mol、または3500~4000g/mol、または4000~4500g/mol、または4500~5000g/mol、または5000~5500g/mol、または5500~6000g/molである。
【0072】
数平均分子量は連鎖制限剤の含有量によって設定される。これは、方程式:
Mn=nmonomer×MWrepeating unit/nchain limiter+MWchain limiter
に従って計算することができる
【0073】
本式では、nmonomerはモノマーのモル数を表し、nchain limiterは過剰な二酸制限剤のモル数を表し、MWrepeating unitは反復単位のモル質量を表し、MWchain limiterは過剰な二酸のモル質量を表す。
【0074】
ポリアミドブロックのおよびポリエーテルブロックの数平均分子量は、ISO規格16014-1:2012に準拠してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって、両ブロックの共重合の前に、測定することができる。
【0075】
有利には、共重合体のポリアミドブロックのポリエーテルブロックに対する質量比は、0.1~20、好ましくは0.3~3、さらにより優先的には0.3~0.9である。この重量比は、ポリアミドブロックの数平均分子量をポリエーテルブロックの数平均分子量で割ることによって計算できる。具体的には、共重合体のポリアミドブロックのポリエーテルブロックに対する質量比は、0.1~0.2、または0.2~0.3、または0.3~0.4、または0.4~0.5、または0.5~0.6、または0.6~0.7、または0.7~0.8、または0.8~0.9、または0.9~1、または1~1.5、または1.5~2、または2~2.5、または2.5~3、または3~3.5、または3.5~4、または4~4.5、または4.5~5、または5~5.5、または5.5~6、または6~6.5、または6.5~7、または7~7.5、または7.5~8、または8~8.5、または8.5~9、または9~9.5、または9.5~10、または10~11、または11~12、または12~13、または13~14、または14~15、または15~16、または16~17、または17~18、または18~19、または19~20、とすることができる。
【0076】
好ましくは、本発明で使用される共重合体は、40ショアD以下、より好ましくは35ショアD以下の瞬間硬度を有する。硬度測定は、ISO規格868:2003に準拠して行うことができる。
【0077】
ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有する共重合体を、好ましくは架橋工程なしで、発泡体を形成するために使用する。発泡体は、発泡剤(起泡剤とも呼ばれる)と溶融状態にある共重合体を混合することによって、これに続いて発泡工程を実行することによって形成される。
【0078】
発泡剤は二窒素と二酸化炭素の混合物を含む。好ましくは、発泡剤は、二窒素と二酸化炭素の混合物から本質的になるか、またはそれからなる。
【0079】
二窒素は、核形成能が高いが膨張能は低い。二酸化炭素は、膨張能が高いが、核形成能は低い。二窒素と二酸化炭素の組合せは相乗作用を作り出し、これによって、高核形成能も高膨張能もどちらも呈する発泡剤を得ることが可能になる。
【0080】
有利には、発泡剤は、20重量%~95重量%、好ましくは40重量%~95重量%の二窒素、および5重量%~80重量%、好ましくは5重量%~60重量%の二酸化炭素を含むか、またはそれらから本質的になるか、またはそれらからなる。実施形態では、発泡剤は、1重量%~5重量%の二窒素および95重量%~99重量%の二酸化炭素、または5重量%~10重量%の二窒素および90重量%~95重量%の二酸化炭素、または10重量%~15重量%の二窒素および85重量%~90重量%の二酸化炭素、または15重量%~20重量%の二窒素および80重量%~85重量%の二酸化炭素、または20重量%~25重量%の二窒素および75重量%~80重量%の二酸化炭素、または25重量%~30重量%の二窒素および70重量%~75重量%の二酸化炭素、または30重量%~35重量%の二窒素および65重量%~70重量%の二酸化炭素、または35重量%~40重量%の二窒素および60重量%~65重量%の二酸化炭素、または40重量%~45重量%の二窒素および55重量%~60重量%の二酸化炭素、または45重量%~50重量%の二窒素および50重量%~55重量%の二酸化炭素、または50重量%~55重量%の二窒素および45重量%~50重量%の二酸化炭素、または55重量%~60重量%の二窒素および40重量%~45重量%の二酸化炭素、または60重量%~65重量%の二窒素および35重量%~40重量%の二酸化炭素、または65重量%~70重量%の二窒素および30重量%~35重量%の二酸化炭素、または70重量%~75重量%の二窒素および25重量%~30重量%の二酸化炭素、または75重量%~80重量%の二窒素および20重量%~25重量%の二酸化炭素、または80重量%~85重量%の二窒素および15重量%~20重量%の二酸化炭素、または85重量%~90重量%の二窒素および10重量%~15重量%の二酸化炭素、または90重量%~95重量%の二窒素および5重量%~10重量%の二酸化炭素、または95重量%~99重量%の二窒素および1重量%~5重量%の二酸化炭素、を含むか、またはそれらから本質的になるか、またはそれらからなる。
【0081】
発泡剤は、液体または超臨界の形態で共重合体と混合され、次いで、発泡工程中において気相に変換される。
【0082】
発泡剤は、発泡剤のおよびポリアミドブロックとポリエーテルブロックを含有する共重合体の重量の合計に対して、0.1%~10%、好ましくは0.2%~5%、さらにより優先的には0.2%~1.5%の質量の量で、混合物中に存在するのが好ましい。とりわけ、発泡剤は、発泡剤のおよびポリアミドブロックとポリエーテルブロックを含有する共重合体の重量の合計に対して、0.1%~0.2%、または0.2%~0.4%、または0.4%~0.6%、または0.6%~0.8%、または0.8%~1%、または1%~1.5%、または1.5%~2%、または2%~2.5%、または2.5%~3%、または3%~3.5%、または3.5%~4%、または4%~4.5%、または4.5%~5%、または5%~6%、または6%~7%、または7%~8%、または8%~9%、または9%~10%、の質量の量で存在することができる。
【0083】
本発明による方法を介して得られる発泡体は、上記のPEBA共重合体を含む:好ましくは、かかる共重合体1つのみが使用される。しかし、上記の2つ以上のPEBA共重合体の混合物を使用することが可能である。
【0084】
ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有する共重合体は、種々の添加剤、例えばエチレンおよび酢酸ビニルの共重合体もしくはEVA(例えば、Arkemaによって名称Evatane(登録商標)で販売されているもの)、またはエチレンのおよびアクリレートの共重合体、またはエチレンのおよびアルキル(メタ)アクリレートの共重合体、例えばArkemaによって名称Lotryl(登録商標)で販売されているもの、と組み合わせることができる。これらの添加剤によって、発泡部品の硬度、その外観およびその快適さを調整することを可能とすることができる。添加剤は、ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有する共重合体に対して、0~50質量%、優先的には5質量%~30質量%の含有量で添加することができる。
【0085】
本発明による発泡体の製造方法は、射出成形方法であることが好ましい。この技法により、複雑な形状を備えた3次元発泡物品を直接製造することができる。好ましくは、共重合体のおよび発泡剤の混合物を型に注入し、型を開口することによって発泡を行う。
【0086】
本発明による発泡体の製造方法はまた、とりわけ先行技術に記載の発泡粒子を溶融するある特定の方法と比較して、実行するのが比較的簡単な技法である:詳細には、型に発泡ポリマー顆粒を充填し、これに続いて粒子を溶融して、発泡体の構造を破壊することなく部品の機械的強度を確保することは、難しい操作である。
【0087】
使用することができる他の発泡技法(より好ましくはないが)は、特に「バッチ」発泡および押出し発泡である。
【0088】
実施形態によれば、このように形成された発泡体は、上記の共重合体(または、共重合体の混合物が使用される場合は複数種の共重合体)と、発泡剤が発泡体の気孔に依然として存在したままである場合、とりわけ発泡体が孤立気孔を有する発泡体である場合、必要に応じて発泡剤と、から本質的になるか、またはそれらから全くなる。
【0089】
本発明に従って製造される発泡体は、特にそれが孤立気孔発泡体である場合、二窒素と二酸化炭素の混合物を含有する場合がある。
【0090】
本発明に従って製造される発泡体は好ましくは、0.8g/cm3以下の密度を有する。好ましくは発泡体の密度は、0.05~0.8g/cm3、より優先的には0.08~0.5g/cm3、さらにより優先的には0.08~0.3g/cm3である。実施形態によれば、発泡体は、0.05~0.08g/cm3、または0.08~0.1g/cm3、または0.1~0.12g/cm3、または0.12~0.15g/cm3、または0.15~0.18g/cm3、または0.18~0.2g/cm3、または0.2~0.3g/cm3、または0.3~0.4g/cm3、または0.4~0.5g/cm3、または0.5~0.6g/cm3、または0.6~0.7g/cm3、または0.7~0.8g/cm3の密度を有する。密度は、製造方法のパラメータを適合することによって制御することができる。密度はISO規格845:2006に準拠して測定することができる。
【0091】
有利には、発泡体は、2~25、好ましくは3~20、より優先的には4~15の範囲の膨張率を有する。膨張率は、発泡体の体積とポリマーの体積との比に相当し、特に式:
膨張率=ポリマー密度/発泡体密度
に従って、計算される。好ましくは、発泡体は、2~3、または3~4、または4~5、または5~6、または6~7、または7~8、または8~9、または9~10、または10~11、または11~12、または12~13、または13~14、または14~15、または15~16、または16~17、または17~18、または18~19、または19~20、または20~21、または21~22、または22~23、または23~24、または24~25の範囲の膨張率を有する。
【0092】
特に好ましくは、発泡体は架橋されていない。
【0093】
好ましくは、本発泡体は、ISO規格8307:2007に準拠して、55%以上の反発弾性を有する。
【0094】
好ましくは、本発泡体は、ISO規格7214:2012に準拠して、10%以下、より特に好ましくは8%以下の圧縮ひずみを有する。
【0095】
好ましくは、本発泡体はまた、疲労強度および減衰の点でも優れた特徴を有する。
【0096】
本発明による発泡体は、スポーツ用具、例えば、靴底の種々のパーツ(例えばかかとやアーチ)における挿入物形態での、運動靴の靴底、スキーシューズ、ミッドソール、インソールもしくは機能性靴底の成分、または、靴上部の構造への補強材や挿入物の形態でのもしくは防護物の形態での靴上部の成分、を製造するのに使用することができる。
【0097】
本発明による発泡体はまた、インフレータブルボール、スポーツグローブ(例えばサッカーグローブ)、ゴルフボール成分、ラケット、防護要素(ジャケット、ヘルメット内部要素、覆い等)を製造するのにも使用することができる。
【0098】
本発明による発泡体は、設備財に適した触覚特性と組み合わせて、有利な耐衝撃性、耐振性および耐騒音性を有する。したがって、本発明による発泡体はまた、鉄道レールソール、または自動車工業における、輸送における、電気電子機器における、建設におけるもしくは製造工業における種々の部品、を製造するのに使用することもできる。
【0099】
本発明による発泡体物品の一利点は、例えば、それらを(必要に応じてそれらを断片へと切り刻んだ後)脱気排気口を備えた押出し機において溶融することにより、容易にリサイクルすることができることである。
【実施例】
【0100】
以下の実施例は、本発明を制限することなく本発明を例示する。
【0101】
実施例1
2つの発泡体を、数平均分子量600g/molのPA 11のブロックおよび数平均分子量1000g/molのPTMGブロックを含むPEBA共重合体から調製する。
【0102】
PEBA共重合体から形成した発泡体を、TrexelシリーズIIタイプの物理的発泡剤射出システムを備える、Arburg Allrounder 270C射出成形機を使用して製造する。操作パラメータは以下のとおりである:
- シース温度:50~230℃(フィードホッパーからインジェクターノズルまで);注入された混合物の温度を、インジェクターノズルでのシース温度に準えることができる;
- 射出速度:80cm3/秒;
- 型開口前の維持時間:30秒;
- 維持圧力:150MPa;
- 冷却時間:100秒;
- 型温度:60℃;
- 型開口速度:20mm/秒;
- 型厚さ:3mm;
- 型開口距離:12mm。
【0103】
型開口距離は、良好な品質の発泡体を得ながら型を開口することができる最大距離と定義される。
【0104】
使用する発泡剤は、二窒素75重量%と二酸化炭素25重量%の混合物であり、1重量%(発泡体番号1)または1.2重量%(発泡体番号2)の量で導入される。
【0105】
加えて、3つの比較発泡体を、発泡剤が0.6重量%(発泡体番号3)もしくは0.8重量%(発泡体番号4)の量で導入された二窒素、または6~8重量%の量で導入された二酸化炭素(発泡体番号5)のいずれかであることの他は、同じ共重合体から、同じ手順に従って調製する。
【0106】
種々の発泡体の密度を、ISO規格845に準拠して測定する。
【0107】
膨張率は、発泡体の体積とポリマーの体積との比であると定義され、特に式:
膨張率=ポリマー密度/発泡体密度
に従って計算される
【0108】
【0109】
発泡体番号1および2(本発明に従って製造された)は、密度概0.14g/cm3および膨張率7を有する。
【0110】
発泡体番号3および4(比較例)は、密度概0.2g/cm3および膨張率5を有する。
【0111】
発泡体番号5(比較例)はそれ自体で崩壊した。
【0112】
反発弾性特性をISO規格8307に準拠して測定した(直径16mmの16.8gの鋼球を、500mmの高さから発泡体試料上に落下させる;反発弾性は次いで、ボールに戻されるエネルギーのパーセンテージ、または反発時にボールが到達した最初の高さのパーセンテージに相当する)。
【0113】
【国際調査報告】