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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-24
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/593 20210101AFI20220517BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20220517BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20220517BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20220517BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20220517BHJP
   H01M 50/583 20210101ALI20220517BHJP
【FI】
H01M50/593
H01M50/55 101
H01M50/15
H01M50/184 A
H01M50/586
H01M50/583
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557725
(86)(22)【出願日】2020-04-13
(85)【翻訳文提出日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 CN2020084445
(87)【国際公開番号】W WO2020228461
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】201920680459.9
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼柏松
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA13
5H011BB03
5H011EE04
5H011GG02
5H043AA04
5H043AA05
5H043AA13
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA12
5H043DA10
5H043EA06
5H043EA35
5H043GA04
5H043GA22
5H043GA24
5H043GA26
5H043GA30
5H043JA01E
5H043JA02D
5H043JA09E
5H043JA12D
5H043JA12E
5H043JA13D
5H043JA13E
5H043KA22E
5H043KA33E
5H043LA02E
5H043LA21E
5H043LA22E
(57)【要約】
二次電池(10)であって、それは、電極引出孔(131a)を有するトップカバープレート(131)と、電極引出孔(131a)を覆う電極端子(132)と、トップカバープレート(131)と電極端子(132)との間に設けられているシールリング(133)と、互いに接続されたベース部(134a)及び突出部(134b)を有する下部絶縁部材(134)と、互いに接続された本体部(141)及び延在部(142)を有する集電体(14)と、本体部(141)とベース部(134a)との間に設けられている支持部材(15)と、を含み、ベース部(134a)は、トップカバープレート(131)の下側に位置し、ベース部(134a)の厚さは、0.01mm~10cmであり、突出部(134b)は、少なくとも一部が電極引出孔(131a)に設けられており、本体部(141)は、ベース部(134a)の下方に位置し、延在部(142)は、電極引出孔(131a)内に挿入され、且つ、電極端子(132)に接続されている。二次電池(10)は、支持部材(15)により下部絶縁部材(134)の位置を制限して、下部絶縁部材(134)が下へ移動することを効果的に阻止することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極引出孔を有するトップカバープレートと、
前記電極引出孔を覆う電極端子と、
前記トップカバープレートと前記電極端子との間に設けられているシールリングと、
互いに接続されたベース部及び突出部を有する下部絶縁部材と、
互いに接続された本体部及び延在部を有する集電体と、
前記本体部と前記ベース部との間に設けられている支持部材と、
を含み、
前記ベース部は、前記トップカバープレートの下側に位置し、前記ベース部の厚さは、0.01mm~10cmであり、
前記突出部は、少なくとも一部が前記電極引出孔に設けられており、
前記本体部は、前記ベース部の下方に位置し、
前記延在部は、前記電極引出孔内に挿入され、且つ、前記電極端子に接続されている、
二次電池。
【請求項2】
前記電極引出孔の径方向に沿って、前記支持部材と前記延在部とは、間隔を隔てて配置されており、及び/又は、
前記電極引出孔の径方向に沿って、前記本体部における前記延在部から離れた外周面は、前記支持部材における前記延在部から離れた外周面を超えている、
請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記二次電池は、電極アセンブリをさらに含み、
前記電極アセンブリは、前記本体部に接続された電極タブを有し、
前記本体部及び前記電極タブは、接続領域を形成し、
前記電極引出孔の径方向に沿って、前記支持部材は、前記接続領域と間隔を隔てて配置されている、
請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記本体部は、溶断構造を有し、
前記二次電池は、前記溶断構造の外部に嵌設されたプラスチック部材をさらに含み、
前記プラスチック部材における前記本体部と前記ベース部との間に設けられた部分は、前記電極引出孔の軸方向に沿った厚さが前記支持部材における前記軸方向に沿った厚さ以下である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記本体部における前記トップカバープレートに背向する一側に収容部が配置されており、
前記電極タブは、前記収容部に収容され、且つ、前記本体部に接続されている、
請求項3又は4に記載の二次電池。
【請求項6】
前記支持部材と前記本体部は一体式構造であるか、又は、前記支持部材と前記ベース部は一体式構造である、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項7】
前記支持部材と前記本体部は分離式構造であるか、又は、前記支持部材と前記ベース部は分離式構造である、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項8】
前記支持部材は、弾性構造体であり、
前記電極引出孔の軸方向に沿って、前記支持部材の自由状態での厚さは、前記本体部と前記ベース部との間の間隔以上である、
請求項7に記載の二次電池。
【請求項9】
前記支持部材の剛度は、前記シールリングの剛度より小さい、
請求項8に記載の二次電池。
【請求項10】
前記シールリングは、少なくとも一部が前記突出部と前記電極端子との間に設けられており、
前記電極引出孔の軸方向において、前記シールリング、前記突出部及び前記支持部材の投影は、少なくとも部分的に重なり、
前記突出部は、前記シールリングと密封接続されている、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項11】
前記突出部は、前記シールリングに面する傾斜面を有し、
前記シールリングは、傾斜面に接触して密封し、
前記軸方向に沿って、前記シールリングにおける前記傾斜面と前記電極端子との間に位置する部分は、圧縮量が5%~60%である、
請求項10に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年5月13日に提出された発明名称が「二次電池」である中国特許出願201920680459.9の優先権を主張し、当該出願の全ての内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、二次電池の技術分野に関し、特に、二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン二次電池は、ハイブリッド自動車や電気自動車分野に広く用いられている。これは、リチウムイオン二次電池が高エネルギー、高容量及び高電力等の利点を有するからである。二次電池は、トップカバープレートと、トップカバープレートの一側に設けられている電極端子と、トップカバープレートに接続された下部絶縁部材と、電極端子に接続された集電体と、を含む。実際の使用過程において、電池に発火、爆発等の安全リスクが現れることを見出した。
【発明の概要】
【0004】
本願は、二次電池を提供し、支持部材により下部絶縁部材に位置制限を形成して、下部絶縁部材が下へ移動することを効果的に阻止することができる。
【0005】
本願の実施例は、二次電池を提供し、当該二次電池は、電極引出孔を有するトップカバープレートと、電極引出孔を覆う電極端子と、トップカバープレートと電極端子との間に設けられているシールリングと、互いに接続されたベース部及び突出部を有する下部絶縁部材と、互いに接続された本体部及び延在部を有する集電体と、本体部とベース部との間に設けられている支持部材と、を含み、ベース部は、トップカバープレートの下側に位置し、ベース部の厚さは、0.01mm~10cmであり、突出部は、少なくとも一部が電極引出孔に設けられており、本体部は、ベース部の下方に位置し、延在部は、電極引出孔内に挿入され、且つ、電極端子に接続されている。
【0006】
本願の実施例の一態様によれば、電極引出孔の径方向に沿って、支持部材と延在部とは、間隔を隔てて配置されており、及び/又は、電極引出孔の径方向に沿って、本体部における延在部から離れた外周面は、支持部材における延在部から離れた外周面を超えている。
【0007】
本願の実施例の一態様によれば、二次電池は、電極アセンブリをさらに含み、電極アセンブリは、本体部に接続された電極タブを有し、本体部及び電極タブは、接続領域を形成し、電極引出孔の径方向に沿って、支持部材は、接続領域と間隔を隔てて配置されている。
【0008】
本願の実施例の一態様によれば、本体部は、溶断構造を有し、二次電池は、溶断構造の外部に嵌設されたプラスチック部材をさらに含み、プラスチック部材における本体部とベース部との間に設けられた部分は、電極引出孔の軸方向に沿った厚さが支持部材の軸方向に沿った厚さ以下である。
【0009】
本願の実施例の一態様によれば、本体部におけるトップカバープレートに背向する一側に収容部が配置されており、電極タブは、収容部に収容され、且つ、本体部に接続されている。
【0010】
本願の実施例の一つの態様によれば、支持部材と本体部は一体式構造であるか、又は、支持部材とベース部は一体式構造である。
【0011】
本願の実施例の一つの態様によれば、支持部材と本体部又はベース部は、分離式構造である。
【0012】
本願の実施例の一態様によれば、支持部材は、弾性構造体であり、電極引出孔の軸方向に沿って、支持部材の自由状態での厚さは、本体部とベース部との間の間隔以上である。
【0013】
本願の実施例の一つの態様によれば、支持部材の剛度は、シールリングの剛度より小さい。
【0014】
本願の実施例の一つの態様によれば、シールリングは、少なくとも一部が突出部と電極端子との間に設けられており、電極引出孔の軸方向において、シールリング、突出部及び支持部材の投影は、少なくとも部分的に重なり、突出部は、シールリングと密封接続されている。
【0015】
本願の実施例の一つの態様によれば、突出部は、シールリングに面する傾斜面を有し、シールリングは、傾斜面に接触して密封し、軸方向に沿って、シールリングにおける傾斜面と電極端子との間に位置する部分は、圧縮量が5%~60%である。
【0016】
本願の実施例に係る二次電池によれば、支持部材が集電体の本体部と下部絶縁部材のベース部との間に配置されているため、支持部材はベース部に対して位置制限の作用を果たし、これにより、下部絶縁部材全体の位置を制限することにより、下部絶縁部材が軸方向に沿って下へ移動して初期位置からずれることを効果的に阻止し、二次電池の使用安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下、図面を参照して、本願の例示的な実施例の特徴、利点及び技術的効果を説明する。図面において、図示は、実際の比率に応じて描かれていない。
【0018】
図1】本願の一実施例に係る二次電池の分解構造概略図である。
図2】本願の一実施例に係る二次電池の部分分解構造概略図である。
図3】本願の一実施例に係る二次電池の部分断面構造概略図である。
図4図3におけるA部分の拡大図である。
図5図4におけるB部分の拡大図である。
図6】本願の一実施例に係る二次電池の断面構造概略図である。
図7図6におけるC部分の拡大図である。
図8】本願の他の実施例に係る二次電池の部分断面構造概略図である。
図9】本願のさらに他の実施例に係る二次電池の部分断面構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面及び実施例を参照して、本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は、本願の原理を例示的に説明するのに用いられるが、本願の範囲を限定するものではなく、即ち、本願は、記述された実施例に限定されない。
【0020】
本願の説明において、説明すべきものは、特に説明がない限り、「複数」の意味は二つ以上であり、用語「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等が示す方向又は位置関係は本願を説明しやすくし、説明を簡略化するためのものであり、示された装置又は素子が特定の方向を有し、特定の方向で構成され且つ操作されなければならないことを指示するか又は暗示するものではないため、本願を限定するものと理解すべきではない。また、「第1」、「第2」等の用語は、単に説明のために用いられ、相対的な重要性を指示するか又は暗示するものと理解されてはいけない。
【0021】
本願の説明において、さらに、説明すべきものは、明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「装着」、「連結」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能に接続されてもよく、又は、一体的に接続されてもよく、直接接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0022】
発明者は、従来の技術において、集電体における下部絶縁部材の下方に位置する部分と下部絶縁部材との間に隙間があるため、下部絶縁部材が下へ移動して初期位置から離脱するリスクが存在し、二次電池の使用安全性に影響を与えることを見出した。
【0023】
本願は、上記問題に鑑みて、二次電池の安全性を向上させるために、二次電池を改善した。
【0024】
以下、本願をよりよく理解するために、図1乃至図9を参照して、本願の実施例を説明する。
【0025】
図1を参照すると、本願の実施例の二次電池10は、ハウジング11と、ハウジング11内に配置された電極アセンブリ12と、ハウジング11に密封接続されたトップカバーアセンブリ13と、を含む。
【0026】
本実施例のハウジング11は、5つの面を有する方形構造又は他の形状である。ハウジング11は、電極アセンブリ12と電解液とを収容する内部空間を有する。ハウジング11は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、プラスチック等の材料により製造することができる。
【0027】
本実施例の電極アセンブリ12は、第1の電極シート、第2の電極シート及びセパレータを共に巻回軸線の周りに螺旋巻きすることにより本体を形成することができ、ここで、セパレータは、第1の電極シートと第2の電極シートとの間に介在する絶縁体である。本実施例の電極アセンブリ12は、全体的に扁平状構造であり、所定の厚さ、高さ及び幅を有する。本実施例において、例示的に第1の電極シートを正極シートとし、第2の電極シートを負極シートとして説明する。同様に、他の実施例において、第1の電極シートが負極シートであり、第2の電極シートが正極シートであってもよい。また、正極シートの活物質は、正極シートの塗布領域に塗布され、負極シートの活物質は、負極シートの塗布領域に塗布されている。本体の塗布領域から延在した未塗布領域を電極タブ121とし、電極アセンブリ12は、二つの電極タブ121、即ち正極タブ及び負極タブを含み、正極タブは、正極シートの塗布領域から延在し、負極タブは、負極シートの塗布領域から延在している。
【0028】
図2を参照すると、本願の実施例のトップカバーアセンブリ13は、トップカバープレート131、電極端子132、シールリング133及び下部絶縁部材134を含む。トップカバープレート131はハウジング11に密封接続されて、電極アセンブリ12をハウジング11内に密封している。トップカバープレート131は、電極引出孔131aを有する。電極端子132は、電極引出孔131aを覆っている。電極端子132は、トップカバープレート131に接続されている。シールリング133は、トップカバープレート131と電極端子132との間に設けられている。シールリング133により、電極端子132とトップカバープレート131とが密封されている。シールリング133の中心孔は、電極引出孔131aに対応して設けられている。下部絶縁部材134は、ベース部134a及び突出部134bを有する。ベース部134aと凸部134bとは、互いに接続されている。電極引出孔131aの軸方向Xに沿って、ベース部134a及び電極端子132は、それぞれ、トップカバープレート131の両側に配置されており、ここで、ベース部134aは、トップカバープレート131の下側に位置し、電極端子132は、トップカバープレート131の上側に位置する。一実施例において、ベース部134aの厚さは、0.01mm~10cmである。ベース部134aの厚さは、電極引出孔131aの軸方向Xに沿って測定される数値である。ベース部134aの厚さが0.01mmより小さい場合、ベース部134aの剛度が小さく、外力を受けると構造的な破損が発生しやすく絶縁不良を引き起こし、それと同時に、厚さが小さいと自体の絶縁性が悪く、これにより、トップカバープレート131及び集電体の本体部に高圧が存在する場合、自体に絶縁破壊が発生されるリスクが存在する。ベース部134aの厚さが10cmより大きい場合、ベース部134aの厚さが大きく、二次電池10の内部の取付空間を多く占有し、二次電池10のエネルギー密度を低下させる。下部絶縁部材134の突出部134bは、少なくとも部分的に電極引出孔131aに設けられている。一実施例において、突出部134bはシールリング133と接触して、互いの密封を実現する。
【0029】
図2乃至図4を参照すると、本願の実施例の二次電池10は、集電体14をさらに含む。集電体14は、互いに接続された本体部141及び延在部142を有し、ここで、本体部141は、ベース部134aの下方に位置し、延在部142は、電極引出孔131a内に挿入され、且つ、電極端子132に接続されている。電極端子132は、集電体14によって、電極アセンブリ12の電極タブ121に接続されている。
【0030】
一実施例において、図2を参照すると、下部絶縁部材134は、電極引出孔131aの軸方向Xに沿って延在する貫通孔134cを有する。貫通孔134cは、電極引出孔131aに対応して設けられている。集電体14の延出部142は、貫通孔134cを貫通して電極引出孔131a内に挿入されて電極端子132に接続されている。貫通孔134cは、ベース部134a及び突出部134bを貫通している。
【0031】
図5を参照すると、本願の実施例の二次電池10は、支持部材15をさらに含む。支持部材15は、本体部141とベース部134aとの間に設けられている。集電体14と電極端子132との接続が固定された後、支持部材15は、本体部141とベース部134aとの間の隙間を補償することができる。下部絶縁部材134が軸方向Xに沿って下へ移動する傾向があるか又は下へ移動すると、支持部材15は、下部絶縁部材134を支持して下部絶縁部材134の位置を制限し、下部絶縁部材134が下へ移動して初期位置からずれることを阻止することができる。
【0032】
本願の実施例の二次電池10は、トップカバーアセンブリ13、集電体14及び支持部材15を備える。支持部材15が集電体14の本体部141と下部絶縁部材134のベース部134aとの間に配置されているため、支持部材15は、ベース部134aに対して位置制限の作用を果たすことができ、これにより、下部絶縁部材134全体の位置を制限して、下部絶縁部材134が軸方向Xに沿って移動して初期位置からずれることを効果的に阻止し、二次電池10の使用安全性を向上させることができる。
【0033】
一実施例において、電極引出孔131aの径方向Yに沿って、支持部材15と延在部142とは間隔を隔てて配置されている。支持部材15と延在部142との間に凹部が形成され、これにより、支持部材15と延在部142との間に位置干渉が発生しない。
【0034】
一実施例において、電極引出孔131aの径方向Yに沿って、本体部141における延在部142から離れた外周面が支持部材15における延在部142から離れた外周面を超えているため、本体部141と支持部材15との間に階段状構造が形成されている。本体部141は、支持部材15全体に対して支持作用を果たし、支持部材15全体に支持力を提供し、且つ、支持部材15全体を介して、下部絶縁部材134に支持力を伝達することができる。
【0035】
一実施例において、電極引出孔131aの径方向Yに沿って、支持部材15と延在部142とは間隔を隔てて配置され、且つ、本体部141における延在部142から離れた外周面は、支持部材15における延在部142から離れた外周面を超えている。電極引出孔131aの径方向Yに沿って、支持部材15と延在部142との間に凹部が形成されている。本体部141と支持部材15との間には、階段状構造が形成されている。
【0036】
一実施例において、支持部材15は、環状構造である。支持部15は、延在部142の周方向に沿って延在し、且つ、延在部142を取り囲んで設けられている。
【0037】
一実施例において、図6及び図7を参照すると、電極アセンブリ12の電極タブ121は集電体14の本体部141に接続されている。本体部141及び電極タブ121は、接続領域を形成している。電極引出孔131aの径方向Yに沿って、支持部材15は、接続領域と間隔を隔てて配置されている。支持部材15は、接続領域の外部に位置し、即ち、電極引出孔131aの軸方向Xでの支持部材15の投影と電極引出孔131aの軸方向Xでの接続領域の投影とは、重畳しない。二次電池10の使用過程において、電極タブ121と本体部141との接続領域には大量の熱量が生成されるため、接続領域の温度が高くなってしまう。支持部材15が接続領域と間隔を隔てて配置される方式は、接続領域の熱量が支持部材15に伝導されることにより支持部材15の温度が上昇されることを効果的に阻止することができるため、支持部材15の受熱による構造破損の可能性を低減し、支持部材15の耐用年数を向上させるのに有利である。一例としては、本体部141及び電極タブ121は、溶接方式により接続領域を形成している。
【0038】
一実施例において、図2及び図7を参照すると、本体部141は、溶断構造を有する。二次電池10の使用過程で異常が発生された場合、溶断構造が溶断されるため、電極タブ121と電極端子132との接続が切断される。一例では、本体部141は、切り欠きを有し、切り欠きに対応する部分は、過電流面積が小さい溶断構造を形成している。二次電池10は、溶断構造の外部に嵌設されたプラスチック部材143をさらに含む。電極引出孔131aの軸方向Xに沿って、支持部材15の上面はベース部134aに接触され、下面は本体部141に接触されている。一例では、プラスチック部材143における本体部141とベース部134aとの間に設けられた部分の、電極引出孔131aの軸方向Xに沿った厚さは、電極引出孔131aの軸方向Xに沿った支持部材15の厚さより小さいか、又は、プラスチック部材143における本体部141とベース部134aとの間に設けられた部分の、電極引出孔131aの軸方向Xに沿った厚さは、電極引出孔131aの軸方向Xに沿った支持部材15の厚さと等しく、これにより、プラスチック部材143の厚さが厚すぎることによりプラスチック部材143とベース部134aとが接触されて支持部材15がベース部134aに接触できない可能性を低減させる。
【0039】
一実施例において、図7を参照すると、本体部141におけるトップカバープレート131に背向する一側に収容部141aが配置されている。電極タブ121は、収容部141aに収容され、且つ、本体部141に接続されているため、電極引出孔131aの軸方向Xでの電極タブ121及び本体部141の構造のコンパクト性を向上させるのに有利であり、さらに、二次電池10のエネルギー密度を向上させるのに有利である。一例では、本体部141の一部は、下部絶縁部材134に向けて突出して、上記収容部141aを形成している。電極タブ121は、本体部141の下方に位置し、収容部141a内に挿入された部分が本体部141に接続されている。
【0040】
一実施例において、図4及び図5を参照すると、支持部材15と本体部141とが分離式構造であるか、又は、支持部材15とベース部134aとが分離式構造である。支持部材15は、単独で設けられた構造部材である。支持部材15は、単独で加工して製造することができる。選択的に、支持部材15と本体部141、支持部材15とベース部134aは、接着方式で接続されている。
【0041】
一例では、図5を参照すると、支持部材15は、弾性構造体である。電極引出孔131aの軸方向Xに沿って、支持部材15の自由状態での厚さは、本体部141とベース部134aとの間の間隔D以上である。支持部材15の自由状態での厚さが本体部141とベース部134aとの間の間隔Dより大きい実施例において、集電体14の延在部142と電極端子132との接続が固定された後、集電体14の本体部141及び下部絶縁部材134のベース部134aは、支持部材15を共に押圧し、これにより、支持部材15が圧縮されて本体部141及びベース部134aの押圧応力を吸収する。このように、一方では、支持部材15は弾性復元力の作用下で下部絶縁部材134と緊密に接触することができるため、下部絶縁部材134に効果的な支持を提供し、且つ、支持部材15の弾性復元力が下部絶縁部材134に作用することができ、下部絶縁部材134が下へ移動することを効果的に阻止することができ、他方では、集電体14の延在部142と電極端子132との接続過程において、集電体14の本体部141は支持部材15を圧縮することができるため、支持部材15は本体部141と干渉することがなく、延在部142が電極端子132と緊密に接触することを保証し、さらに、延在部142と電極端子132との溶接の信頼性を向上させるのに有利であり、集電体14の本体部141が支持部材15の阻害を受けることにより、延在部142と電極端子132とが接触不良になってしまって誤溶接が発生される可能性を低減することができる。支持部材15の自由状態での厚さが本体部141とベース部134aとの間の間隔Dに等しい実施例において、集電体14の延在部142と電極端子132との接続が固定された後、本体部141及びベース部134aはいずれも支持部材15に接触することができる。ただし、本体部141及びベース部134aは、いずれも、支持部材15に圧縮応力を印加しない。このように、一方では、下部絶縁部材134が下へ移動する時に、下部絶縁部材134が支持部材15を圧縮して、支持部材15に弾性復元力を蓄積させることができる。支持部材15の弾性復元力は下部絶縁部材134に反作用して、下部絶縁部材134を初期位置に押し戻すことができる。他方では、集電体14の延在部142と電極端子132との接続過程において、本体部141は支持部材15に接触することはできるが支持部材15に圧縮応力を印加しないため、支持部材15が本体部141と干渉することがなく、延在部142と電極端子132との緊密な接触を保証し、さらに、延在部142と電極端子132との溶接の信頼性の向上に有利であり、集電体14の本体部141が支持部材15の阻害を受けることにより、延在部142と電極端子132とが接触不良になってしまって誤溶接が発生される可能性を低減することができる。さらに、支持部材15の剛度は、シールリング133の剛度より小さい。支持部材15の変形能力は、シールリング133の変形能力より大きい。支持部材15及びシールリング133が、大きさ及び方向がいずれも同じである外力を受けた場合、支持部材15はシールリング133に対してより変形しやすい。このように、集電体14の延在部142と電極端子132との接続が固定された場合、集電体14の本体部141は支持部材15を押圧して支持部材15を変形させることができるため、支持部材15が本体部141を阻害して延在部142が電極端子132と良好に接触しにくくなる可能性を低減すると同時に、延在部142と電極端子132との接続部分に作用して延在部142と電極端子132とが分離傾向を有するようにする応力を低減し、延在部142と電極端子132との接続信頼性及び安定性を向上させるのに有利である。
【0042】
好ましくは、支持部材15はバネである。バネの剛度係数をシールリング133の弾性率と横断面積(ここで、横断面積はシールリング133における突出部134bと電極端子132との間に位置する部分の横断面積)との積より小さくすることにより、支持部材15の剛度をシールリング133の剛度より小さくする。選択的に、支持部材15自体の材料はゴムである。シールリング133の材料はゴムである。支持部材15の硬度をシールリング133の硬度より小さくすることで、支持部材15の剛度をシールリング133の剛度より小さくする。一例では、支持部材15は環状構造である。集電体14の延在部142は、支持部材15の中心孔を貫通している。
【0043】
一実施例において、図8を参照すると、支持部材15と本体部141は一体式構造である。支持部材15と本体部141は、同時に加工し製造されて形成されることができるため、加工工程を減少し、加工コストを低減することができる。同時に、支持部材15と本体部141との全体的な接続強度が高いため、支持部材15は本体部141に対して位置ずれが発生しない。
【0044】
一実施例において、図9を参照すると、支持部材15とベース部134aは一体式構造である。支持部材15とベース部134aは、同時に加工し製造されて形成されることができるため、加工工程を減少し、加工コストを低減することができる。一例では、支持部材15とベース部134aは一体射出プロセスにより加工し製造されることができる。同時に、支持部材15とベース部134aとの全体的な接続強度が高いため、支持部材15はベース部134aに対して位置ずれが発生しない。
【0045】
一実施例において、図5を参照すると、シールリング133は、少なくとも一部が突出部134bと電極端子132との間に配置されている。電極引出孔131aの軸方向Xにおいて、シールリング133、突出部134b及び支持部材15の投影は少なくとも部分的に重なっている。集電体14が電極端子132に接続された後、支持部材15によって、下部絶縁部材134に対して軸方向Xに沿った支持力を提供し、次に、下部絶縁部材134によって、シールリング133に対して支持力を提供して、下部絶縁部材134の突出部134b及び電極端子132が共にシールリング133上の突出部134bと電極端子132との間に位置する部分を押圧するようにする。一例では、突出部134bはシールリング133に密封接続されているため、両者の間に密封界面を形成する。支持部材15の配置によって下部絶縁部材134が下へ移動することを阻止することができるため、下部絶縁部材134の突出部134bとシールリング133との間に隙間が生じにくく、これにより、両者の良好な密封を保証している。このように、一方では、トップカバープレート131と電極端子132、又はトップカバープレート131と集電体14の延在部142の間に、直接的な電気的隙間が発生する可能性を低減し、トップカバープレート131と電極端子132との間、トップカバープレート131と集電体14の延在部142との間に絶縁破壊が発生するリスクを低減する。他方では、電解液は突出部134bとシールリング133との間に形成された密封界面内に入ることができず、突出部134bとシールリング133との間の過剰な電解液の集積によってトップカバープレート131と電極端子132との間の抵抗が小さくなる可能性を低減し、さらに、二次電池10が高圧を受ける際にトップカバープレート131と電極端子132との間に絶縁破壊が発生されるリスクを低減し、二次電池10の使用過程での安全性を向上させる。
【0046】
一実施例において、突出部134bは、シールリング133に面する端面を有する。突出部134bの端面は、シールリング133に接触して密封されている。
【0047】
一実施例において、図5を参照すると、突出部134bはシールリング133に面する傾斜面134dを有する。シールリング133は、傾斜面134dに接触して密封している。電極引出孔131aの軸方向Xに沿って、シールリング133における傾斜面134dと電極端子132との間に位置する部分は、圧縮量が5%~60%である。ここで、圧縮量とは、シールリング133上の圧縮された部分の圧縮状態での総厚さと自由状態での総厚さとの比を百分率に変換した数値である。突出部134bとシールリング133とは、締りばめられている。突出部134bは、シールリング133に軸方向X及び径方向Yに沿った作用力を同時に印加することができるため、突出部134bとシールリング133との間の接触をより緊密且つ確実にし、両者の密封信頼性をさらに向上させ、突出部134bとシールリング133との間に電気的隙間が発生されるリスクを低減すると同時に、突出部134bとシールリング133との間の沿面経路で電解液を集積する可能性を効果的に低減する。一例では、傾斜面134dは、電極引出孔131aの軸線に背向するか又は対向することができる。シールリング133における傾斜面134dと電極端子132との間に位置する部分の圧縮量が5%より小さい場合、シールリング133における傾斜面134dと電極端子132との間に位置する部分のリバウンドが小さく、下部絶縁部材134が下へ移動する時に、リバウンド量が下部絶縁部材134の下移動量より小さいことにより突出部134bとシールリング133との間に隙間が生じる可能性がある。シールリング133における傾斜面134dと電極端子132との間に位置する部分の圧縮量が60%より大きい場合、シールリング133における傾斜面134dと電極端子132との間に位置する部分が解放可能な弾性復元力が相対的大きい。当該弾性復元力は、順次に、突出部134b、支持部材15を介して、集電体14に伝達され、最終的に、集電体14が電極端子132から離れた比較的大きい応力作用を受け、さらに、集電体14の延在部142と電極端子132とが接続状態から離脱する可能性を向上させる。いくつかの選択可能な実施例において、シールリング133における傾斜面134dと電極端子132との間に位置する部分は、圧縮量が5%~30%である。
【0048】
選択的な実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲から逸脱しない限り、様々な改善を行うことができ、且つ等価物でその中の部材を置き換えることができ、特に、構造衝突が存在しない限り、各実施例に言及された各技術的特徴は、いずれも任意の方式で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、請求の範囲内に属する全ての技術的解決手段を含む。
【符号の説明】
【0049】
10 二次電池、
11 ハウジング、
12 電極アセンブリ、121 電極タブ、
13 トップカバーアセンブリ、131 トップカバープレート、131a 電極引出孔、132 電極端子、133 シールリング、134 下部絶縁部材、134a ベース部、134b 突出部、134c 貫通孔、134d 傾斜面、
14 集電体、141 本体部、141a 収容部、142 延在部、143 プラスチック部材、
15 支持部材、
X 軸方向、
Y 径方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】