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特表2022-526384油連続ナノエマルジョンを含む多層エマルジョンおよびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-24
(54)【発明の名称】油連続ナノエマルジョンを含む多層エマルジョンおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20220517BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20220517BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20220517BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20220517BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/44
A61K8/67
A61K8/36
A61K8/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558026
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(85)【翻訳文提出日】2021-10-22
(86)【国際出願番号】 EP2020058433
(87)【国際公開番号】W WO2020200979
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】19166593.4
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ルー,アンジン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB032
4C083AB332
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC151
4C083AC152
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC251
4C083AC252
4C083AC302
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC422
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD531
4C083AD532
4C083AD621
4C083AD622
4C083AD631
4C083AD632
4C083AD641
4C083AD642
4C083AD651
4C083AD652
4C083AD661
4C083AD662
4C083AD671
4C083AD672
4C083CC01
4C083CC02
4C083CC03
4C083CC31
4C083DD05
4C083DD32
4C083DD35
4C083EE07
4C083EE12
4C083EE13
(57)【要約】
油連続ナノエマルジョンである内部相を含む多層エマルジョンが記載されている。多層エマルジョンは、水連続性で安定であり、保湿効果を提供し、高濃度の水溶性活性物質を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)乳化剤を含む油中水型ナノエマルジョンを含む内部相であって、前記ナノエマルジョンが100~850nmの粒径を有し、前記ナノエマルジョンの総重量に基づいて0.0~15%(重量基準)の油溶性有益剤、0.0~15%(重量基準)の水溶性有益剤および0.0~20%(重量基準)の湿潤剤をさらに含む、内部相と、
(b)水と、外部水相の総重量に基づいて0.0~20%(重量基準)の湿潤剤と、0.0~15%(重量基準)の水溶性有益剤とを含む外部水相と、
を含む多層エマルジョンを含む化粧品組成物であって、
前記化粧品組成物が、前記化粧品組成物の総重量に基づいて20~65%(重量基準)のナノエマルジョンを含み、ただし、前記ナノエマルジョンおよび前記外部水相は0.0%(重量基準)の湿潤剤を同時に有さず、前記多層エマルジョンの前記ナノエマルジョンの前記水相はフェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シスチンまたはそれらの混合物から選択される不溶性アミノ酸から選択される水不溶性有益剤を含み、前記水不溶性有益剤は前記多層エマルジョンの総重量の0.02~5%(重量基準)を構成する、化粧品組成物。
【請求項2】
前記ナノエマルジョンの油相が、0.01~15%(重量基準)の油溶性有益剤を含む、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項3】
前記油溶性有益剤が、ビタミンA、D、E、K、エチルヘキシルメトキシシンナメート、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェノールトリアジン、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロパン酸、ドロメトリゾールトリシロキサン、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル2-ヒドロキシベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-ヒドロキシベンゾエートまたはそれらの混合物である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記油溶性有益剤が、4-フェニルエチルレゾルシノール、4-シクロペンチルレゾルシノール、4-シクロヘキシルレゾルシノール4-イソプロピルレゾルシノール、4-シクロヘキシル-5-メチルベンゼン-1,3-ジオール、4-イソプロピル-5-メチルベンゼン-1,3-ジオールまたはそれらの混合物である、請求項1~3に記載の組成物。
【請求項5】
前記ナノエマルジョンの水相および/または前記多層エマルジョンの外部水相が、0.001~10%(重量基準)の水溶性有益剤を含む、請求項1~4に記載の組成物。
【請求項6】
前記水溶性有益剤が、アルギニン、バリン、ヒスチジン、ビタミンB、ナイアシンアミド(ビタミンB)、ビタミンB、ビタミンC、テトライソパルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビルグリコシド、4-エチルレゾルシノール、セージ抽出物、アロエベラ抽出物、緑茶抽出物、ブドウ種子抽出物、タイム抽出物、カモミール抽出物、ヤロウ抽出物、キュウリ抽出物、カンゾウ抽出物、ローズマリー抽出物、エンスリゾールまたはそれらの混合物である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記油溶性有益剤が、オメガ-3脂肪酸、オメガ-6脂肪酸、クリンバゾール、ファルネソール、ウルソール酸、ミリスチン酸、ゲラニルゲラニオール、オレイルベタイン、ココイルヒドロキシエチルイミダゾリン、ヘキサノイルスフィンゴシン、12-ヒドロキシステアリン酸、ペトロセリン酸、共役リノール酸、テルピネオール、チモールレチノール、レチナール、プロピオン酸レチニル、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニルまたはそれらの混合物である、請求項1~6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ナノエマルジョンおよび/または前記外部水相中の水が、0.001~15%(重量基準)の湿潤剤を含む、請求項1~7に記載の組成物。
【請求項9】
前記湿潤剤がグリセリンである、請求項1~8に記載の組成物。
【請求項10】
皮膚を保湿するための、請求項1に記載の組成物の使用。
【請求項11】
前記多層エマルジョンの前記内部相の前記油中水型ナノエマルジョンが、
前記水不溶性有益剤を可溶化するために10~14のpHを有する第1の油中水型マクロエマルジョンを作製するステップと、
前記第1の油中水型マクロエマルジョンを、pH2.5~4を有し、有益剤を有さない第2の油中水型マクロエマルジョンと組み合わせるステップと、
前記第1および第2のマクロエマルジョンを75:30~50:50の重量比で混合するステップと、
得られたマクロエマルジョンの混合物を均質化または剪断して、油連続ナノエマルジョンを生成するステップと、
を含む工程によって調製される、請求項1~9に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油連続ナノエマルジョンを含む多層エマルジョンおよびその使用方法に関する。より詳細には、本発明は、水連続であるが内部相として油連続ナノエマルジョンを含有する多層エマルジョンに関する。
【背景技術】
【0002】
ナノエマルジョンの使用は、美容およびパーソナルケア組成物においてますます普及しつつある。ナノエマルジョンは、一般に安定であり、その単位体積を考慮すると高い表面積を有する。ナノエマルジョンは、その水相および油相に活性物質を担持することができ、そのサイズが皮膚を通じた活性物質の浸透を促進するのに役立つので望ましい。エマルジョン、特にナノエマルジョンに関連する利点にもかかわらず、エマルジョンの一般的な問題は、多くの場合、複数の活性物質ならびにグリセリンのような高レベルの湿潤剤を含むことができないことに関係し、これは重要な活性物質の水への溶解性を妨げることが多い。さらに、含水量が多い組成物では、微生物学的安定性のためにかなりの量の防腐剤が必要とされる。
【0003】
予想外にも、油連続ナノエマルジョンが水連続多層エマルジョン中に内部相として存在する場合、親水性活性物質を分離することができ、高い含水量を有する最終用途組成物を作製して、良好な感覚的および保湿的利益をもたらすことができることが発見された。内部相として油連続ナノエマルジョンを有する多層エマルジョンが調製される場合、得られた多層エマルジョンは、微生物学的安定性のために必要な防腐剤が少ないことも発見された。
【0004】
高レベルの防腐剤を含まずに、活性物質および保湿利益を有する組成物を消費者に送達することに対する関心が高まっている。
【0005】
したがって、本発明は、油連続ナノエマルジョンを含む多層エマルジョンおよびその使用方法に関する。本発明の多層エマルジョンは、驚くべきことに、その水相中に高濃度の親水性有益剤を有することができ、優れた保湿効果をもたらし、微生物学的安定性のために高レベルの防腐剤を必要としない。そのような多層エマルジョンは安定であり、良好な感覚特性(グリセリンを含まない伝統的な水中油型エマルジョンと一致する)を有し、グリセリンが存在する場合でも非粘着性である。本発明はまた、そのような多層エマルジョンを使用する方法に関する。
【0006】
追加情報
エマルジョンを作製するための試みが開示されている。米国特許出願公開第2017/0112764号には、可逆的な連続相および分散相を有するナノエマルジョンが記載されている。
【0007】
エマルジョンを作製するためのさらに他の試みが開示されている。国際公開第03/039724号には、ナノメートル寸法の粒子を含む多層エマルジョンが記載されている。
エマルジョンを作製するためのさらに他の試みが開示されている。米国特許第5,589,177号には、リンスオフ油中水型多層エマルジョン組成物が記載されている。
上記の追加情報のいずれも、本特許請求の範囲に記載の多層エマルジョンおよび多層エマルジョンを使用する方法を記載していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0112764号明細書
【特許文献2】国際公開第03/039724号
【特許文献3】米国特許第5,589,177号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
第1の態様では、本発明は、
(a)油中水型ナノエマルジョンを含む内部相と、
(b)水および湿潤剤を含む外部水相と、
を含み、
外部水相中の水および湿潤剤が95:5~50:50の重量比であり、油中水型エマルジョンが、8未満のHLBを有する乳化剤を含み、外部相が、8以上のHLBを有する乳化剤を含み、外部水相が、多層エマルジョンの25~70%(重量基準)を構成する多層エマルジョンに関する。
【0010】
第2の態様では、本発明は、
(a)乳化剤を含む油中水型ナノエマルジョンを含む内部相であって、ナノエマルジョンが100~850nmの粒径を有し、ナノエマルジョンの総重量に基づいて0.0~15%(重量基準)の油溶性有益剤、0.0~15%(重量基準)の水溶性有益剤および0.0~20%(重量基準)の湿潤剤をさらに含む、内部相と、
(b)水と、外部水相の総重量に基づいて0.0~20%(重量基準)の湿潤剤と、0.0~15%(重量基準)の水溶性有益剤とを含む外部水相と、
を含む多層エマルジョンを含む化粧品組成物に関し、
化粧品組成物は、化粧品組成物の総重量に基づいて20~65%(好ましくは、40~60%)(重量基準)のナノエマルジョンを含み、ただし、ナノエマルジョンおよび外部水相は0.0%(重量基準)の湿潤剤を同時に有さない。
【0011】
第3の態様では、本発明は、化粧品の皮膚特性を改善するための本発明の第1および第2の態様の多層エマルジョンおよび化粧品組成物の使用に関する。
【0012】
本発明の他のすべての態様は、以下の説明および実施例からより容易に明らかになるであろう。
【0013】
本明細書で使用される皮膚は、腕(脇の下を含む)、顔、足、首、胸、手、脚、臀部および頭皮(毛髪を含む)の皮膚を含むことを意味する。粒径は、多層エマルジョンおよびナノエマルジョンに関連する場合、それぞれミクロンまたはナノメートル単位の水滴の体積平均直径を意味する。水滴サイズは、市販のMalvern Mastersizerを用いて測定され得る。化粧品組成物は、局所適用のための組成物であり、クリーム、ローション、バーム、セラム、ゲル、ムース、エアロゾル、デオドラント、制汗剤、シャンプー、コンディショナー、メークアップ、またはバーおよび液体を含むパーソナルウォッシュを含む。そのような組成物は、本発明の多層エマルジョン、または油(シリコーン、魚油または鉱油など)、香料、有益剤(ビタミンB、レゾルシノールおよびレチノイドなど)および/または着色剤などの追加の成分が添加された多層エマルジョンであり得る。本明細書で定義される有益剤(または活性物質)は、局所適用後に皮膚に利益をもたらす水溶性または不溶性成分である。水不溶性とは、25℃、大気圧および中性pHで0.05%(重量基準)以下の水への溶解度を有することを意味する。特定のアミノ酸(例えば、シスチン)のような不溶性有益剤の場合、水のpHを調整して、そのような溶質の水への溶解度を誘導することができる。本明細書で使用される中性pHは、6.0~7.5のpHを有することを意味する。本明細書で使用される粘度は、特に断らない限り、ブルックフィールドヘリパスTDを用いて4rpmで1分間測定される。多層エマルジョンは、本明細書で使用される場合、本発明のナノエマルジョンを含む水連続(水中油中水)エマルジョンを意味する。そのような多層エマルジョンは、典型的には、その内部相内に、包含されるすべての範囲を含む1~35ミクロンの油滴サイズを有する。別の実施形態では、本発明の化粧品組成物は、リーブオンスキンローション、クリームまたは液体パーソナルウォッシュ組成物である。さらに別の実施形態では、化粧品組成物は、皮膚に局所的に塗布して残すためのローションまたはクリームである。特に明記しない限り、本明細書に記載のすべての範囲は、その中に包含されるすべての範囲を含むことを意味する。含む(comprising)という用語は、本質的にからなる(consisting essentially of)およびからなる(consisting of)という用語を包含することを意味する。誤解を避けるために、および例示により、油、水、乳化剤および有益剤を含む本発明の油連続ナノエマルジョンは、本質的にそれらからなるナノエマルジョンおよびそれらからなるナノエマルジョンを含むことを意味する。動作比較例を除いて、または他に明示的に示されている場合を除いて、材料もしくは条件の量もしくは比、ならびに/または材料および/もしくは使用の物理的特性を示す本明細書のすべての数字は、「約」という語によって修飾されると理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の多層エマルジョンに使用される油連続ナノエマルジョンに関して、これは典型的にはナノエマルジョンの総重量に基づいて30~70%、別の実施形態では35~65%、さらに別の実施形態では40~60%(重量基準)の水を含み、その中に包含されるすべての範囲を含む。
【0015】
ナノエマルジョン中の油に関して、油は、典型的には、ナノエマルジョンの総重量に基づいて、ナノエマルジョンの25~70%、別の実施形態では30~65%、さらに別の実施形態では35~60%(重量基準)を構成し、その中に包含されるすべての範囲を含む。そのようなナノエマルジョンは、典型的には、100~850、別の実施形態では150~800、さらに別の実施形態では200~750ナノメートルの粒子(水滴)サイズを有し、その中に包含されるすべての範囲を含む。
【0016】
ナノエマルジョン内の本発明で使用するための油は、室温で液体(または約35℃に加熱した後の液体)であり、皮膚に適用される局所組成物での使用に適している範囲のみに限定される。
【0017】
使用に適した油の実例としては、シリコーン油が挙げられる。
【0018】
シリコーン油は、揮発性および不揮発性の種類に分けることができる。本明細書で使用される「揮発性」という用語は、周囲温度で測定可能な蒸気圧を有する材料を指す。揮発性シリコーン油は、3~9個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含有する環状または線状ポリジメチルシロキサンから選択されることが好ましい。
【0019】
本発明において有用な不揮発性シリコーン油としては、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマーが挙げられる。本明細書で有用なこのような本質的に不揮発性のポリアルキルシロキサンとしては、例えば、25℃で5~10万センチストークスの粘度を有するポリジメチルシロキサン(ジメチコンなど)が挙げられる。
【0020】
しばしば好ましいシリコーン源は、シクロペンタシロキサンおよびジメチコン溶液である。
【0021】
本発明においてエマルジョンを作製するために使用するのに適切なエステルには、
(1)パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソナノン酸イソノニル、ミリスチン酸オレイル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイルなどの炭素原子が10~20個の脂肪酸のアルキルエステルまたはアルキルエステル、
(2)エトキシル化脂肪アルコールの脂肪酸エステルなどのエーテルエステル、
(3)多価アルコールエステル、例えばエチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200-6000)モノおよびジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、エトキシル化グリセリルモノステアレート、1,3-ブチレンモノステアリン酸グリコール、1,3-ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、
(4)大豆ステロールおよびコレステロール脂肪酸エステルがその例であるステロールエステル
が含まれる。
【0022】
本発明で使用され得るさらに他の油としては、大豆油、ヒマワリ油、ヤシ油、パーム核油、ヒマシ油、ナタネ油、パーム油、ブドウ種子油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ベニバナ油、魚油またはそれらの混合物などのトリグリセリド(動物および/または植物)が挙げられる。
【0023】
使用に適したさらに他の油としては、鉱油、ホホバ油、イソパラフィン、C12-C15アルキルベンゾエート、ポリアルファオレフィン、イソヘキサデカン、ワセリン、それらの混合物(上記の油を含む)などが挙げられる。本発明の一実施形態では、大豆油およびヒマワリ油は、使用されるトリグリセリド油である。
【0024】
さらに別の実施形態において、カプリル酸カプリン酸トリグリセリドは、本発明のナモエマルジョンにおける使用に適した別の油である。
【0025】
本発明の多層エマルジョン中の水相のpHを調整するのに適した調整剤を使用してもよい。そのようなpH調整剤としては、トリエチルアミン、NaOH、KOH、HSO、HCl、C(すなわち、クエン酸)またはそれらの混合物が挙げられる。pH調整剤は、本発明の多層エマルジョンの得られるpHが5~7.5になるような量で添加される。一実施形態では、pHは6~7.5、さらに別の実施形態では6~7である。
【0026】
本発明の一実施形態では、有益剤がシスチンのようなアミノ酸である場合、アミノ酸が溶解したpH10~14の油連続マクロエマルジョンを、pH2~5のマクロエマルジョンと組み合わせることが特に注目される。マクロエマルジョンを混合および剪断して、本発明の水連続多層エマルジョンの内部相としての使用に適したナノエマルジョンを生成する。
【0027】
本発明の所望のナノおよび多層エマルジョンの水相pH値は、Thermo Scientific(登録商標)から市販されているpH計などの従来の機器を使用することによって評価される。
【0028】
ナノエマルジョンを作製するための本発明での使用に適した乳化剤は、典型的には、2.5~8.0未満、好ましくは3~7.0、最も好ましくは3~6.5のHLBを有し、その中に包含されるすべての範囲を含む。
【0029】
本発明の油連続ナノエマルジョンを作製するための使用に適した乳化剤の種類の実例は、プロピレングリコールイソステアレート、グリコールステアレートソルビタンセスキオレエート、レシチン、オレス-2、ステアレス-2、セテス-2グリセリルステアレート、PEG-30ジポリヒドロキシステアレートである。
【0030】
使用に適したさらに他の乳化剤としては、ジステアリン酸グリコール、オレイン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、ラウリルPEG-10、(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチコン(Dow Corning(登録商標)ES-5300)またはそれらの混合物が挙げられる。
【0031】
本発明のナノエマルジョンを含む水連続エマルジョンを作製するための使用に適した乳化剤の種類の実例は、ポリソルベート85、ラウレス-4、ラウリン酸ナトリウム、セテアリルグルコシド、PEG-8オレエート、Tween20、Tween40、オレス-10またはそれらの混合物である。
【0032】
本発明の油連続ナノエマルジョンおよび水連続多層エマルジョンでは、乳化剤は、典型的におよび独立して、各エマルジョン(すなわち、ナノおよび水連続の両方)の1.0~10、好ましくは1.2~8、最も好ましくは1.5~7.5%(重量基準)を構成し、その中に包含されるすべての範囲を含む。
【0033】
水連続エマルジョンの外部相は、典型的には、水中油中水型エマルジョンの25~70%(重量基準)を構成する。一実施形態では、外部相は、水中油中水型エマルジョンの35~65%(重量基準)を構成する。さらに別の実施形態では、外部相は、水中油中水型エマルジョンの40~60%(重量基準)を構成する。
【0034】
本発明での使用に適した任意選択の皮膚有益剤に関して、局所的に適用することができ、本発明の多層エマルジョンの油相または水相のいずれかに溶解するのに適している範囲に限定される。水相中の有益剤の溶解度は、本明細書に記載の調整剤で水相のpHを変更または調節することによって影響を受け得ることが理解される。
【0035】
多層エマルジョンの水相に含めるのに適した有益剤の実例は、アルギニン、バリンまたはヒスチジンなどのアミノ酸のような酸である。使用に適したさらなる水溶性有益剤としては、ビタミンB、ナイアシンアミド(ビタミンB)、ビタミンB、ビタミンC、それらの混合物などが挙げられる。このようなビタミンの水溶性誘導体も使用され得る。例えば、テトライソパルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウムおよびアスコルビルグリコシドなどのビタミンC誘導体を単独でまたは互いに組み合わせて使用することができる。本発明の多層エマルジョンの水相での使用に適した他の水溶性有益剤としては、4-エチルレゾルシノール、セージ、アロエベラ、緑茶、ブドウ種子、タイム、カモミール、ヤロウ、キュウリ、カンゾウもしくはローズマリー抽出物などの抽出物、またはそれらの混合物が挙げられる。エンスリゾールのような水溶性日焼け止め剤も使用され得る。本発明のエマルジョン(すなわち、ナノおよび多層)の水相中に存在する場合の水溶性有益剤(混合物を含む)の総量は、ナノエマルジョンおよび多層エマルジョンの水相(場合による)の総重量に基づいて、0.0~15%、好ましくは0.001~10%、最適には0.01~6%(重量基準)の範囲であり得、その中に包含されるすべての範囲を含む。
【0036】
多層エマルジョンのナノエマルジョンの水相中に、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シスチンまたはそれらの混合物のような不溶性アミノ酸などの水不溶性有益剤を、それらの水pH修飾との溶解性を高めることによって含むことも本発明の範囲内である。一実施形態では、不溶性有益剤は、多層エマルジョンの総重量の0.02~5%、別の実施形態では0.1~3%、さらに別の実施形態では0.3~2%(重量基準)を構成し、その中に包含されるすべての範囲を含む。
【0037】
不溶性有益剤(例えば、シスチン)を有するナノエマルジョンを調製する場合、典型的には、不溶性有益剤を可溶化するために、pH10~14の第1の油中水型マクロエマルジョンを作製する。これを、pH2.5~4を有し、有益剤を含まない第2の油中水型マクロエマルジョンと組み合わせる。マクロエマルジョンを混合する(重量比で高pH対低pH75:30~50:50、または70:30~60:40(その中に包含されるすべての比を含む))。得られたマクロエマルジョンの混合物を本明細書に記載の条件下で均質化または剪断して、本発明の多層エマルジョンの内部相としての使用に適した油連続ナノエマルジョンを生成する。
【0038】
ナノエマルジョンの油相中に油溶性有益剤が含まれてもよいことも本発明の範囲内である。このような油溶性有益剤に関する唯一の制限は、局所適用された場合に皮膚に利益を提供するのに適していることである。
【0039】
本発明で使用されてもよい油溶性有益剤の種類の実例としては、ビタミンA、D、EおよびK(およびそれらの油溶性誘導体)などのビタミン、エチルヘキシルメトキシシンナメート、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェノールトリアジン、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロパン酸、ドロメトリゾールトリシロキサン、3,3,5トリメチルシクロヘキシル2-ヒドロキシベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-ヒドロキシベンゾエートまたはそれらの混合物などの日焼け止め剤が挙げられる。
【0040】
使用に適した他の任意選択の油溶性有益剤としては、4-ヘキシルレゾルシノール、4-フェニルエチルレゾルシノール、4-シクロペンチルレゾルシノール、4-シクロヘキシルレゾルシノール4-イソプロピルレゾルシノールまたはそれらの混合物などのレゾルシノールが挙げられる。また、4-シクロヘキシル-5-メチルベンゼン-1,3-ジオール、4-イソプロピル-5-メチルベンゼン-1,3-ジオール、これらの混合物などの5-置換レゾルシノールを使用してもよい。5-置換レゾルシノールおよびそれらの合成は、同一出願人による米国特許出願公開第2016/0000669号に記載されている。
【0041】
使用に適したさらに他の油溶性活性物質としては、オメガ-3脂肪酸、オメガ-6脂肪酸、クリンバゾール、ファルネソール、ウルソール酸、ミリスチン酸、ゲラニルゲラニオール、オレイルベタイン、ココイルヒドロキシエチルイミダゾリン、ヘキサノイルスフィンゴシン、12-ヒドロキシステアリン酸、ペトロセリン酸、共役リノール酸、テルピネオール、それらのチモール混合物などが挙げられる。
【0042】
本発明の一実施形態では、使用される任意の油溶性有益剤はレチノイン酸前駆体である。
【0043】
本発明の一実施形態では、レチノイン酸前駆体は、レチノール、レチナール、プロピオン酸レチニル、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニルまたはそれらの混合物である。プロピオン酸レチニル、パルミチン酸レチニルおよびそれらの混合物が典型的に好ましい。
【0044】
さらに別の実施形態では、使用に適したレチノイン酸前駆体は、Molecular Design Internationalによって供給されるRetextra(登録商標)という名称で市販されているヒドロキシアナサチルレチノエートである。同じものを、本明細書に記載の油溶性活性物質との混合物中で使用することができる。
【0045】
任意の(すなわち、0.0~15%(重量基準))油溶性活性物質が本発明のナノエマルジョンの油相で使用される場合、それは通常、本発明の多層エマルジョン中のナノエマルジョンの総重量の0.001~15%、別の実施形態では0.05~7.0、さらに別の実施形態では0.1~5%(重量基準)を構成し、その中に包含されるすべての範囲を含む。
【0046】
潜在的に有害な微生物の増殖から保護するために、本発明のナノエマルジョンの水相および本発明の多層エマルジョンの外部相に防腐剤を望ましく組み込むことができるが、そのようなエマルジョンが防腐剤を含まないことは本発明の範囲内である。本発明での使用に適した伝統的な防腐剤は、パラ-ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステルである。他の防腐剤としては、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、および種々の第4級アンモニウム化合物が挙げられる。化粧品化学者は、適切な防腐剤に精通しており、防腐剤負荷試験を満たし、製品の安定性を提供するためにそれらを日常的に選択する。特に好ましい防腐剤は、ヨードプロピニルブチルカルバメート、フェノキシエタノール、1,2-オクタンジオール、ヒドロキシアセトフェノン、エチルヘキシルグリセリン、ヘキシレングリコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびベンジルアルコールである。防腐剤は、組成物の使用および防腐剤とエマルジョン中の他の成分との間の起こり得る不適合性を考慮して選択されるべきである。防腐剤は、好ましくは、多層エマルジョンの総重量の0.01%~2%(重量基準)の範囲の量で使用され、その中に包含されるすべての範囲を含む。1,2-オクタンジオールおよびフェノキシエタノール、またはヨードプロピニルブチルカルバメートおよびフェノキシエタノールと、フェノキシエタノールおよび1,2-オクタンジオールとの組み合せが好ましく、集合的にかつ好ましくは、本発明のエマルジョンまたは最終用途組成物の総重量の1.8%(重量基準)未満を構成する。ヒドロキシアセトフェノン単独または他の防腐剤との混合物を含む防腐剤系も好ましい。
【0047】
増粘剤は、本発明のエマルジョンでの使用に適している。多糖類は特に有用である。例としては、繊維、デンプン、天然/合成ゴムおよびセルロースが挙げられる。デンプンの代表例は、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸ナトリウムおよびアルミニウムデンプンオクテニルスクシネートなどの化学修飾デンプンである。タピオカデンプンが、マルトデキストリンと同様に、しばしば好ましい。適切なガムとしては、キサンタン、スクレロチウム、ペクチン、カラヤ、アラビア、寒天、グアー(アカシアセネガルグアーを含む)、カラギーナン、アルギネートおよびそれらの組み合せが挙げられる。適切なセルロース系としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(セルロースガム/カルボキシメチルセルロース)およびセルロース(例えば、セルロースミクロフィブリル、セルロースナノ結晶または微結晶セルロース)が挙げられる。セルロースミクロフィブリルの供給源には、二次細胞壁材料(例えば、木材パルプ、綿)、細菌セルロース、および一次細胞壁材料が含まれる。好ましくは、一次細胞壁材料の供給源は、果実、根、球根、塊茎、種子、葉およびそれらの組み合せからの実質組織から選択され、より好ましくは、柑橘類果実、トマト果実、モモ果実、カボチャ果実、キウィフルーツ、リンゴ果実、マンゴー果実、サトウダイコン、ビートルート、カブ、パースニップ、トウモロコシ、エンバク、コムギ、エンドウおよびそれらの組み合せから選択され、さらにより好ましくは、柑橘類果実、トマト果実およびそれらの組み合せから選択される。一次細胞壁材料の最も好ましい供給源は、柑橘類果実由来の実質組織である。Herbacel(登録商標)によってAQ Plusとして入手可能なものなどの柑橘類繊維も、セルロースミクロフィブリルの供給源として使用することができる。セルロース源は、Colloidal Polymer Science,Kalia et al「Nanofibrillated cellulose:surface modification and potential applications」(2014)、Vol 292,Pages 5-31に記載されているものを含む公知の方法のいずれかによって表面修飾することができる。
【0048】
合成ポリマーは、さらに別の種類の有効な増粘剤である。このカテゴリーには、カルボマーなどの架橋ポリアクリレート、Sepigel(登録商標)305などのポリアクリルアミド、ならびにSimulgel(登録商標)EGおよびAristoflex(登録商標)AVCなどのタウレートコポリマーが含まれ、コポリマーは、それぞれのINCI命名法によって、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムおよびアクリロイルジメチルタウリン酸/ビニルピロリドンコポリマーとして同定されている。増粘に適した別の好ましい合成ポリマーは、Seppicによって市販され、Simulgel INS100の名称で販売されているアクリレート系ポリマーである。炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、およびマグネシウム-アルミニウム-ケイ酸塩も使用することができる。
【0049】
増粘剤の量は、使用される場合、多層エマルジョンの総重量に基づいて、多層エマルジョンの重量で0.001~20%、好ましくは0.1~15%、最も好ましくは0.2~10%の範囲であり得、その中に包含されるすべての範囲を含む。マルトデキストリン、キサンタンガム、およびカルボキシメチルセルロースがしばしば好ましい。
【0050】
香料、固定剤、キレート剤(EDTAなど)、塩(NaClなど)および剥離剤が、本発明の多層エマルジョンに含まれていてもよい。これらの物質の各々は、多層エマルジョンの総重量の約0.03~約5%、好ましくは0.1~3%(重量基準)の範囲であり得、その中に包含されるすべての範囲を含む。
【0051】
従来の湿潤剤は、本発明の多層エマルジョン(ナノエマルジョンおよび/または多層エマルジョンの外部水相)中の添加剤として使用されて、そのようなエマルジョンが局所適用される場合に皮膚の保湿を助けることができる。これらは一般に多価アルコール型材料である。典型的な多価アルコールとしては、グリセロール(すなわち、グリセリン(glycerine)またはグリセリン(glycerin))、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロールおよびそれらの混合物が挙げられる。グリセリン、プロピレングリコールまたはそれらの混合物が最も好ましい。使用される湿潤剤の量は、多層エマルジョンの外部水相および/またはナノエマルジョンの総重量の0.0~35%(重量基準)のいずれかの範囲であり得る。多くの場合、湿潤剤は、多層エマルジョンの外部水相の総重量および/またはナノエマルジョンの総重量の0.0~20%、好ましくは0.001~15%(重量基準)(最も好ましくは、2~12%(重量基準))を構成する。湿潤剤が外部水相およびナノエマルジョンの両方に15%(重量基準)以上で存在する場合、一実施形態では、多層エマルジョン中の防腐剤の総重量は、多層エマルジョンの総重量に基づいて1.3%(より好ましくは0.15~0.65%)(重量基準)を超えない。
【0052】
本発明のナノエマルジョンを作製する場合、所望の成分を混合して水相および油相を生成することができる。同じものを周囲温度~85℃の大気条件下で中程度の剪断下で乳化剤と混合することができる。得られたプレナノエマルジョン(すなわち、マクロエマルジョン、1~20ミクロン)を作製するための混合は、磁気撹拌子を用いて行うことができるか、または例えばインペラ(例えば、タービンまたはアンカー)を備えた市販のミキサー、またはEsco-Labs、AG、Silverson(登録商標)もしくはCharles Ross&Sonなどの供給業者によって市販されているロータ/ステータ高剪断ミキサーで達成することができる。混合のための剪断速度は様々であり得、好ましくは、得られたプレナノエマルジョンが目に見えるエアポケットを示す点まで通気されないように設定される。多くの場合、プレナノエマルジョンを作製するための混合は、撹拌機またはスクレーパを用いて35~500、好ましくは40~250、最も好ましくは45~150rpmに設定される。所望の油連続ナノエマルジョンを作製するためのロータ/ステータによる剪断は、典型的には、1000~8000、好ましくは2000~7000、最も好ましくは2500~6,250rpmに設定された回転で達成され、その中に包含されるすべての範囲を含む。
【0053】
得られるプレナノエマルジョンは、典型的には、1,000~65,000cps、好ましくは2,000~45,000cps、最も好ましくは5,000~35,000cpsの粘度を有し、粘度はその中に包含されるすべての範囲を含み、マクロエマルジョンの粘度は、ブルックフィールド(DV-1+)粘度計、温度25℃で20RPM、RV6に30秒間設定して測定される。
【0054】
さらに、油連続ナノエマルジョンは、本発明の所望の油中水型ナノエマルジョンを生成するために、得られたプレナノエマルジョン(または有益剤がアミノ酸である場合のようなプレナノエマルジョンの混合物)を予備混合後または同時に高剪断ミキサー(ロータ/ステータのような)ミキサーまたはホモジナイザーに供給することによって作製することができる。このようなナノエマルジョンはこの場合でも、その中に包含されるすべての範囲を含めて100~850nmの粒滴サイズを有する。油連続ナノエマルジョンの生成は、驚くべきことに、その中に包含されるすべての範囲を含めて50~2000psi、好ましくは250~1000psi、最も好ましくは300~800psiに設定された圧力でホモジナイザーを1回通過した後に(ホモジナイザーが選択される場合)達成される。本発明のナノエマルジョンを作製するための好ましい装置は、Silverson(登録商標)ロータ/ステータミキサーまたはホモジナイザー(Sonic Sonolatorなど)である。特に好ましい実施形態では、ホモジナイザーを使用する場合、圧力は50~1000psiに設定される。得られたナノエマルジョンの粘度は、その中に包含されるすべての範囲を含めて750~55,000cps、好ましくは1,200~4万cps、最も好ましくは1,500~3万cpsの範囲内に入る。
【0055】
湿潤剤を含むまたは含まない水を、得られた油連続ナノエマルジョン(およびHLB8以上の乳化剤)と合わせ、中程度の剪断下で混合して、本発明の多層エマルジョンを生成する。多層エマルジョンは、油中水型エマルジョンではなく油を用いて調製された従来の水中油型エマルジョンの範囲内の粘度を有する。多くの場合、多層エマルジョンの内部相の油滴サイズは、その中に包含されるすべての範囲を含めて1~35、好ましくは2~30、最も好ましくは8~20ミクロンである。多層エマルジョンの粘度は、典型的には1,000~6万cps、別の実施形態では3,000~55,000cpsであり、その中に包含されるすべての範囲を含む。別の実施形態では、本発明の外部水相中の水対湿潤剤の重量比は、その中に包含されるすべての比を含めて70:30~55:45である。
【0056】
本発明の多層エマルジョンは、身体、特に毛髪または皮膚への局所適用のために、最も好ましくは皮膚の保湿に使用するために、消費者によって使用され得る。
【0057】
本発明の多層エマルジョンのための包装は、典型的には、ボトル、チューブまたはジャーである。他の適切なパッケージには、ブリスターパックまたは小袋が含まれる。本発明の複数はまた、自動ディスペンサまたは推進剤で加圧された包装から分配されてもよい。
【0058】
提供される実施例は、本発明の理解を容易にするためのものである。それらは特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0059】
[実施例]
[実施例1]
ナノエマルジョン、1%シスチン(有益剤としてのアミノ酸)、油連続およびpH7
高pH(pH12)プレナノエマルジョンおよび低pH(pH2.5)プレナノエマルジョンを別々に調製した。高pHプレナノエマルジョン(表1a)を調製する際、水相中のすべての成分を混合容器中で合わせ、磁気撹拌子で(室温および中程度の剪断で)混合し、透明な混合物を得た。油相は、オーバーヘッドスターラーを備えた別個の混合容器内で成分を合わせ(同様に中程度の剪断および室温で)混合することによって調製した。得られた混合物が透明になったときに混合を終了した。続いて、撹拌(agitation)/撹拌(stirring)を行いながら、水溶液を油相との混合容器に徐々に添加して、2つの相を混合した。均一な混合物が得られ、油連続マクロエマルジョンが約10ミクロンの粒径になった後、撹拌を停止した。
【0060】
【表1】
【0061】
約10ミクロンの低pHプレナノエマルジョン(表1b)を、本実施例に記載の高pHプレナノエマルジョンについて記載したものと同様の方法で調製した。
【0062】
【表2】
【0063】
得られた高pHおよび低pHマクロエマルジョンを、スクレーパおよびロータ/ステータ高剪断装置(ESCO-LABOR AG、スイス)を備えた1リットルESCOミキサーで、それぞれ2.6/1の比で2分間ブレンドし、スクレーパは約50~100RPMの速度でのみオンにした。高pHおよび低pHの両方のマクロエマルジョンを有する混合物が生成された。
【0064】
高pHおよび低pHのプレナノエマルジョン混合物を作製した後、同じESCOミキサー内でロータ/ステータを作動させて混合物を3000~6000rpmの速度で、1%(重量基準)のシスチンを含む液滴サイズ(650nm)のナノエマルジョンが形成されるまで(表1c)、最大5分間剪断した。
【0065】
【表3】
【0066】
[実施例2]
実施例2のナノエマルジョンを以下の成分と合わせて混合し、多層エマルジョンを作製した。
【0067】
【表4】
【0068】
得られた混合物を、大気圧下、室温(25℃)で150rpmに設定した金属インペラで剪断した。15ミクロンの水粒径を有する多層エマルジョンを回収した。多層エマルジョンは、約45%(重量基準)の外部水相、約24%(重量基準)の油相および約31%(重量基準)の内部水相であった。
【0069】
[実施例3]
実施例2の多層エマルジョンを45℃で3ヶ月間保存した。驚くべきことに、多層エマルジョンの走査型電子顕微鏡法の後、いかなる種類のシネレシス、合体または凝集も観察されなかった。さらに、実施例2に従って作製した多層エマルジョンについて、粘度対剪断速度プロファイルを評価した。本発明のナノエマルジョンは活性物質および/または湿潤剤を含み得るが、本発明の多層エマルジョンの感覚プロファイルは、3%(重量基準)未満のグリセリンを有するかまたはグリセリンを含まない水中油型エマルジョンと一致することが予想外に発見された。
【国際調査報告】