(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-24
(54)【発明の名称】三次元LEDベースの発光型ディスプレイスクリーンを製造する方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20220517BHJP
H01L 33/20 20100101ALI20220517BHJP
H01L 33/08 20100101ALI20220517BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20220517BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
G09F9/00 342
H01L33/20
H01L33/08
G09F9/33
G09F9/30 337
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558544
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2020058845
(87)【国際公開番号】W WO2020201150
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507362786
【氏名又は名称】コミサリア ア エナジー アトミック エ オックス エナジーズ オルタネティヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】アバンチュリエ,ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】デジール,ヨハン
【テーマコード(参考)】
5C094
5F241
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA45
5C094BA23
5C094CA19
5C094CA24
5C094DB01
5C094EA05
5C094ED11
5C094FB12
5C094GB01
5F241CB36
5G435AA17
5G435BB04
5G435CC09
5G435CC12
5G435EE12
5G435FF02
5G435FF03
5G435GG14
5G435HH12
5G435KK05
(57)【要約】
【解決手段】本開示は、三次元LEDベースの発光型スクリーンを製造する方法に関し、この方法は、a)第1の金属層(207) を制御回路の表面に堆積させる工程、b)第2の金属層(117) を光電子回路の表面に堆積させる工程、c)光電子回路の異なる放射セル(101R, 101G, 101B)が制御回路の異なる接続用金属パッド(203) に対向して配置されるように光電子回路を制御回路に対して整列させることにより、第1の金属層(207) への第2の金属層(117) の直接接合によって光電子回路を制御回路に接合する工程、及び、d)制御回路と反対側の光電子回路の表面から、各放射セル(101R, 101G, 101B)を横方向に画定するトレンチ(211) を形成する工程を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDを備えた発光型スクリーンを製造する方法であって、
a) 複数の接続用金属パッド(203, 205)を有する制御回路の表面に、前記制御回路の表面全体に亘って延びて前記制御回路の接続用金属パッド(203, 205)に電気的に接続される第1の金属層(207) を堆積させる工程、
b) 三次元半導体素子(109R, 113R)で夫々形成されている一又は複数のLEDを夫々有して第1の波長で電磁放射線を放射することができる第1の放射セル(101R)、及び前記第1の波長とは異なる第2の波長で電磁放射線を放射することができる第2の放射セル(101G)を有する光電子回路の表面に、前記光電子回路の表面に亘って延びて前記光電子回路の各三次元半導体素子の第1の端部に電気的に接続される第2の金属層(117) を堆積させる工程、
c) 前記光電子回路の異なる放射セル(101R, 101G)が前記制御回路の異なる接続用金属パッド(203) に対向して配置されるように前記光電子回路を前記制御回路に対して整列させることにより、前記第1の金属層(207) への前記第2の金属層(117) の直接接合によって前記光電子回路を前記制御回路に接合する工程、並びに
d) 前記制御回路と反対側の前記光電子回路の表面から、前記光電子回路の各放射セル(101R, 101G)を横方向に画定するトレンチ(211) であって、異なる放射セル(101R, 101G)が前記制御回路の異なる接続用金属パッドに接続されるように前記第2の金属層(117) 及び前記第1の金属層(207) を横切る前記トレンチを形成する工程
を有する、方法。
【請求項2】
前記第2の放射セル(101G)は、三次元半導体素子(109G, 113G)で夫々形成されている一又は複数のLEDを夫々有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の金属層(117) は、前記第1の放射セル(101R)及び前記第2の放射セル(101G)によって放射される電磁放射線を反射する少なくとも1つの反射層(117A)を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記反射層(117A)は銀又はアルミニウムを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の金属層(207) は、前記第2の金属層(117) の金属接合層(117B)と接する金属接合層(207B)を有し、前記第1の金属層(207) の金属接合層(207B)及び前記第2の金属層(117) の金属接合層(117B)を同一の材料で形成する、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記第1の金属層(207) の金属接合層(207B)及び前記第2の金属層(117) の金属接合層(117B)を、Ti、Ni、Pt、Sn、Au、Ag、Al、Pd、W 、Pb、Cu、AuSn、TiSn、NiSn又はこれらの材料の全て若しくは一部の合金から形成する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記トレンチ(211) に側方絶縁壁(213; 313)を形成する、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記側方絶縁壁(213) を電気絶縁性材料で形成する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記側方絶縁壁(313) は、前記トレンチ(211) の側壁及び底部を被覆する絶縁層(313A)と中央導電壁(313B)とを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記中央導電壁(313B)を、反射材料、例えばアルミニウム又はタングステンで形成する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記トレンチ(211) は、傾斜した側壁を有する、及び/又は
交互に形成された異なる屈折率の誘電体層で形成された反射体を前記トレンチの側壁に形成する、請求項1~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記光電子回路の各三次元半導体素子の第2の端部と接して、前記光電子回路の全ての放射セル(101R, 101G)に共通する電極を形成する透明導電層(215; 315)を、前記制御回路と反対側の前記光電子回路の表面に堆積させる工程を更に有する、請求項1~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記透明導電層(215; 315)を、グラフェン又は透明導電性酸化物で形成する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記透明導電層(215; 315)を前記制御回路の一又は複数の接続パッド(205) に電気的に接続する金属被膜(223, 323)を形成する、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記透明導電層(315) の下面が、前記側方絶縁壁(313) の中央導電壁(313B)の上面と接する、請求項9に関連する請求項12~14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
前記光電子回路は、前記第1の波長及び前記第2の波長とは異なる第3の波長で電磁放射線を放射することができる第3の放射セル(101B)を更に有する、請求項1~15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
LEDを備えた発光型スクリーンであって、
- 複数の接続用金属パッド(203, 205)を含む表面を有する制御回路であって、第1の金属層(207) が前記制御回路の表面全体に亘って延びて前記制御回路の接続用金属パッド(203, 205)に電気的に接続されている前記制御回路と、
- 第1の波長で電磁放射線を放射することができる第1の放射セル(101R)、及び前記第1の波長とは異なる第2の波長で電磁放射線を放射することができる第2の放射セル(101G)を有する光電子回路であって、前記第1の放射セル(101R)は、三次元半導体素子(109R, 113R, 109G, 113G)で夫々形成されている一又は複数のLEDを夫々有しており、第2の金属層(117) が前記光電子回路の表面に亘って延びて前記光電子回路の各三次元半導体素子の第1の端部に電気的に接続されている前記光電子回路と
を備えており、
前記光電子回路の異なる放射セル(101R, 101G)が前記制御回路の異なる接続用金属パッド(203) に対向して配置されるように、前記第1の金属層(207) への前記第2の金属層(117) の直接接合によって前記光電子回路は前記制御回路に接合されており、
前記発光型スクリーンは、前記制御回路と反対側の前記光電子回路の表面から形成された複数のトレンチ(211) を備えており、前記トレンチ(211) は、前記光電子回路の各放射セル(101R, 101G)を横方向に画定しており、異なる放射セル(101R, 101G)が前記制御回路の異なる接続用金属パッドに接続されるように、前記トレンチは前記第2の金属層(117) 及び前記第1の金属層(207) を横切っている、発光型スクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に光電子デバイスに関し、より具体的には、例えばナノワイヤ又はマイクロワイヤのタイプの三次元半導体素子を有する発光ダイオード(LED)を備えた発光型ディスプレイの形成を目的とする。
【背景技術】
【0002】
特許出願の国際公開第2011/048318号パンフレットには、LEDを備えた発光型スクリーンを製造する方法が記載されており、発光型スクリーンの夫々の画素は、発光型スクリーンのアクティブ制御回路の2つの電極間に並列に接続された半導体ナノワイヤを夫々有する複数の基本LEDを有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような方法の制限は、スクリーンの様々な画素の基本LEDが同一又は同様であるため、スクリーンの全ての画素が同一の波長で電磁放射線を放射する(つまり、スクリーンの全ての画素が同一の波長で発光ピークを有する)ということである。スクリーンは単色と称される。
【0004】
カラースクリーンとも称される多色スクリーン、すなわち、異なる波長で電磁放射線を放射する(つまり異なる波長で発光ピークを有する)ことができる異なるタイプの画素を備えたスクリーンを形成するために、画素のLEDによって放射される電磁放射線を別の波長の電磁放射線に変換することができる波長変換素子をスクリーンのある画素に設けることが可能である。しかしながら、このために、特にスクリーンの画素間のピッチが小さい場合にスクリーンの製造が複雑になり、電気光変換効率の低下を更に引き起こす場合がある。
【0005】
特許出願の国際公開第2019/002786号パンフレットには、いわゆる直接発光型カラースクリーン、すなわち、異なるタイプの画素が、波長変換素子を使用することなく画素の発光波長で夫々直接発光する、異なる性質のLEDを備えているスクリーンを製造する方法の例が記載されている。この方法によって形成されるスクリーンの各画素は複数の基本LEDを有しており、各基本LEDは、スクリーンのアクティブ制御回路の2つの電極間に並列に接続されている三次元半導体素子、例えば半導体のナノワイヤ又はマイクロワイヤによって形成されている。このスクリーンでは、異なるタイプの画素の基本LEDのアクティブ領域が、異なる発光波長を得るために異なる組成を有する。
【0006】
この方法の制限は、金属領域及び誘電領域が交互に形成されているアクティブ制御回路の表面を、交互に形成された金属領域及び誘電領域の対応するパターンを有する光電子回路の表面に接合する工程を有するということである。光電子回路へのアクティブ制御回路の接合を、ハイブリッド直接接合、すなわち、光電子回路の対応する金属領域へのアクティブ制御回路の金属領域の直接金属間接合と、光電子回路の対応する絶縁領域へのアクティブ制御回路の絶縁領域の直接誘電体間接合とによって行ってもよい。しかしながら、ハイブリッド直接接合の実施は、比較的実施が困難な、接合される表面の準備を必要とする。特に、このような接合は、被覆率、及び接合される表面の金属/絶縁体分散に関連する特定の条件を順守することを伴う。このため、これらの条件を順守することを目的とする、一般に銅で形成された追加の金属被膜レベルが、アクティブ制御回路の接合表面側及び/又は光電子回路の接合表面側に設けられるべきであるので、スクリーンの製造が複雑になる。
【0007】
例えばナノワイヤ又はマイクロワイヤのタイプの三次元半導体素子を有する直接発光型のLEDを備えたカラーディスプレイスクリーンを製造する方法を提供することが望ましく、このような方法は、このようなスクリーンを製造する既知の方法の不利点の全て又は一部を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、実施形態は、LEDを備えた発光型スクリーンを製造する方法であって、
a) 複数の接続用金属パッドを有する制御回路の表面に、前記制御回路の表面全体に亘って延びて前記制御回路の接続用金属パッドに電気的に接続される第1の金属層を堆積させる工程、
b) 三次元半導体素子で夫々形成されている一又は複数のLEDを夫々有して第1の波長で電磁放射線を放射することができる第1の放射セル、及び前記第1の波長とは異なる第2の波長で電磁放射線を放射することができる第2の放射セルを有する光電子回路の表面に、前記光電子回路の表面に亘って延びて前記光電子回路の各三次元半導体素子の第1の端部に電気的に接続される第2の金属層を堆積させる工程、
c) 前記光電子回路の異なる放射セルが前記制御回路の異なる接続用金属パッドに対向して配置されるように前記光電子回路を前記制御回路に対して整列させることにより、前記第1の金属層への前記第2の金属層の直接接合によって前記光電子回路を前記制御回路に接合する工程、並びに
d) 前記制御回路と反対側の前記光電子回路の表面から、前記光電子回路の各放射セルを横方向に画定するトレンチであって、異なる放射セルが前記制御回路の異なる接続用金属パッドに接続されるように前記第2の金属層及び前記第1の金属層を横切る前記トレンチを形成する工程
を有する、方法を提供する。
【0009】
実施形態によれば、前記第2の放射セルは、三次元半導体素子で夫々形成されている一又は複数のLEDを夫々有する。
【0010】
実施形態によれば、前記第2の金属層は、前記第1の放射セル及び前記第2の放射セルによって放射される電磁放射線を反射する少なくとも1つの反射層を有する。
【0011】
実施形態によれば、前記反射層は銀又はアルミニウムを含む。
【0012】
実施形態によれば、前記第1の金属層は、前記第2の金属層の金属接合層と接する金属接合層を有し、前記第1の金属層の金属接合層及び前記第2の金属層の金属接合層を同一の材料で形成する。
【0013】
実施形態によれば、前記第1の金属層の金属接合層及び前記第2の金属層の金属接合層を、Ti、Ni、Pt、Sn、Au、Ag、Al、Pd、W 、Pb、Cu、AuSn、TiSn、NiSn又はこれらの材料の全て若しくは一部の合金から形成する。
【0014】
実施形態によれば、前記方法では更に、前記トレンチに側方絶縁壁を形成する。
【0015】
実施形態によれば、前記側方絶縁壁を電気絶縁性材料で形成する。
【0016】
実施形態によれば、前記側方絶縁壁は、前記トレンチの側壁及び底部を被覆する絶縁層と中央導電壁とを有する。
【0017】
実施形態によれば、前記中央導電壁を、反射材料、例えばアルミニウム又はタングステンで形成する。
【0018】
実施形態によれば、
前記トレンチは、傾斜した側壁を有する、及び/又は
交互に形成された異なる屈折率の誘電体層で形成された反射体を前記トレンチの側壁に形成する。
【0019】
実施形態によれば、前記方法は、前記光電子回路の各三次元半導体素子の第2の端部と接して、前記光電子回路の全ての放射セルに共通する電極を形成する透明導電層を、前記制御回路と反対側の前記光電子回路の表面に堆積させる工程を更に有する。
【0020】
実施形態によれば、前記透明導電層を、グラフェン又は透明導電性酸化物で形成する。
【0021】
実施形態によれば、前記方法では更に、前記透明導電層を前記制御回路の一又は複数の接続パッドに電気的に接続する金属被膜を形成する。
【0022】
実施形態によれば、前記透明導電層の下面が、前記側方絶縁壁の中央導電壁の上面と接する。
【0023】
実施形態によれば、前記光電子回路は、前記第1の波長及び前記第2の波長とは異なる第3の波長で電磁放射線を放射することができる第3の放射セルを更に有する。
【0024】
別の実施形態は、LEDを備えた発光型スクリーンであって、
- 複数の接続用金属パッドを含む表面を有する制御回路であって、第1の金属層が前記制御回路の表面全体に亘って延びて前記制御回路の接続用金属パッドに電気的に接続されている前記制御回路と、
- 第1の波長で電磁放射線を放射することができる第1の放射セル、及び前記第1の波長とは異なる第2の波長で電磁放射線を放射することができる第2の放射セルを有する光電子回路であって、前記第1の放射セルは、三次元半導体素子で夫々形成されている一又は複数のLEDを夫々有しており、第2の金属層が前記光電子回路の表面に亘って延びて前記光電子回路の各三次元半導体素子の第1の端部に電気的に接続されている前記光電子回路と
を備えており、
前記光電子回路の異なる放射セルが前記制御回路の異なる接続用金属パッドに対向して配置されるように、前記第1の金属層への前記第2の金属層の直接接合によって前記光電子回路は前記制御回路に接合されており、
前記スクリーンは、前記制御回路と反対側の前記光電子回路の表面から形成された複数のトレンチを備えており、前記トレンチは、前記光電子回路の各放射セルを横方向に画定しており、異なる放射セルが前記制御回路の異なる接続用金属パッドに接続されるように、前記トレンチは前記第2の金属層及び前記第1の金属層を横切っている、スクリーンを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
前述及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明を限定するものではない実例として与えられる以下の特定の実施形態に詳細に記載されている。
【0026】
【
図1】実施形態に係るLEDを備えた発光型ディスプレイスクリーンを製造する第1の方法の工程を示す図である。
【
図17】実施形態に係るLEDを備えた発光型ディスプレイを製造する第2の方法の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
同様の特徴が、様々な図面で同様の参照符号によって示されている。特に、様々な実施形態に共通する構造的特徴及び/又は機能的特徴は同一の参照符号を有してもよく、同一の構造特性、寸法特性及び材料特性を有してもよい。
【0028】
明瞭化のために、本明細書に記載されている実施形態の理解に有用な工程及び要素のみが示されて詳細に記載されている。特に、記載されたディスプレイスクリーンのLEDを制御するための制御回路の形成については詳述されておらず、記載された実施形態は、このような制御回路の通常の実装と適合する。更に、記載されたディスプレイスクリーンの三次元基本LEDを形成するために実行される様々なエピタキシャル成長工程は詳述されておらず、記載された実施形態は、このような三次元基本LEDを形成する既知の方法、例えば上記の特許出願の国際公開第2019/002786号パンフレットに記載されている方法と適合する。
【0029】
特に示されていない場合、共に接続された2つの要素を参照するとき、これは、導体以外のいかなる中間要素も無しの直接接続を表し、共に連結された2つの要素を参照するとき、これは、これら2つの要素が接続され得るか、又は一若しくは複数の他の要素を介して連結され得ることを表す。
【0030】
以下の記載では、「前」、「後ろ」、「最上部」、「底部」、「左」、「右」などの絶対位置、若しくは「上方」、「下方」、「上側」、「下側」、「側方」などの相対位置を限定する文言、又は「水平方向」、「垂直方向」などの方向を限定する文言を参照するとき、この文言は図面の向きを指し、実際、記載された構造は異なって方向付けられてもよいと理解される。
【0031】
特に指定されていない場合、「約」、「略」、「実質的に」及び「程度」という表現は、該当する値の10%の範囲内、好ましくは5%の範囲内を表す。
【0032】
本願は特に、例えばナノワイヤ又はマイクロワイヤのタイプの三次元半導体素子で夫々形成された基本LEDを備えたLEDディスプレイスクリーンに関する。ここで、三次元半導体素子という用語は、長手方向と称される主方向に沿って細長い素子を表す。このような素子は、ワイヤ形状、更に円錐形状、円錐台形状又は角錐形状を有してもよい。例として、各三次元半導体素子は、5nm~2.5 μmの範囲、例えば50nm~1μmの範囲内の最大横断寸法、及び最大横断寸法の1倍以上、好ましくは5倍以上の長手寸法を有する。
【0033】
図1~16は、実施形態に係るLEDを備えた発光型ディスプレイを製造する方法の例の工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。三次元半導体素子を備えた直接発光型カラーディスプレイ(波長変換素子を備えない)の形成が、より具体的に本明細書で検討されている。この例では、ディスプレイは、図面では参照符号R、G及びBで夫々示されている3つの異なる画素タイプを有しており、3つの異なる画素は、3つの異なる波長で電磁放射線を夫々放射することができ、例えば赤色の光、緑色の光及び青色の光を夫々放射することができる。しかしながら、記載されている実施形態は、スクリーンの異なる画素タイプの数が2以上であっても適用され得る。図面には赤色の画素R、緑色の画素G及び青色の画素Bのみが示されている。実際には、スクリーンは各タイプの多数の画素を備えてもよく、同一のタイプの画素が(製造ばらつきの範囲内で)実質的に同一であることが理解される。画素間のピッチは、例えば15μm未満であり、好ましくは5μm未満である。
図1~16は、(図示されていない)平面図で全てのR、G及びBのスクリーン画素を囲むスクリーンの周縁部分PERIPHの一部を更に示す。
【0034】
図1~7は、画素の発光波長で電磁放射線を放射することを個々に制御可能な放射セル101R, 101G, 101BをスクリーンのR、G及びBの画素毎に夫々有する光電子回路の製造の連続的な工程をより具体的に示す。各放射セルは、ナノワイヤ又はマイクロワイヤのタイプの三次元半導体素子で夫々形成されて並列に接続されている一又は複数の基本LEDを有している。各基本LEDは、その基本LEDが属する画素の発光波長で電磁放射線を放射することができる。スクリーンの全ての三次元素子の長手軸芯は実質的に平行である。各放射セルでは、放射セルの基本LEDは実質的に同一の大きさを有し、放射セルの表面に亘って規則的に分散している。しかしながら、異なるタイプの画素の基本LEDは異なる横断寸法を有する、及び/又は異なるタイプの画素の放射セルは異なる間隔又はピッチをLED間に有する。
【0035】
図1は、
- シード層とも称される核生成層105 を支持基板103 の上面に堆積させる工程、
- 核生成層105 の上面に電気絶縁層107 を堆積させる工程、
- 電気絶縁層107 に貫通開口部108R, 108G, 108Bを形成して、スクリーンの基本LEDの所望の位置で核生成層105 の一部を露出させる工程、及び
- 開口部108R, 108G, 108Bに対向する核生成層105 から半導体ワイヤ109R, 109G, 109Bを同時的に夫々成長させる工程
を連続的に行った後に得られた構造を示す。
【0036】
基板103 はモノブロック構造であってもよく、又は別の材料で形成された支持体を覆う層に相当してもよい。基板103 は、例えば半導体材料、例えばシリコンで形成されている。例として、基板103 は単結晶シリコンで形成されており、基板103 の上面は、例えば<111> の結晶方向を有する。基板103 は、SOI とも称されるシリコン・オン・インシュレータタイプの多層構造に相当してもよい。変形例として、基板103 は、ゲルマニウム、炭化ケイ素、GaN 若しくはGaAsのようなIII-V 族化合物で形成された基板、又はZnO 基板であり、或いは導電性基板、例えば金属又は金属合金、特に銅、チタン、モリブデン、ニッケル基合金又は鋼で形成された基板である。
【0037】
核生成層105 は、光電子回路の基本LEDを形成する三次元半導体素子の成長を有利にする一又は複数の材料を含んでいる。例として、核生成層105 は、異なる材料の少なくとも2つの層の(図面に詳細に示されていない)積層体を有しており、積層体の層の各々は、元素の周期表のIV列、V 列又はVI列の遷移金属の金属、金属酸化物、窒化物、炭化物若しくはホウ化物、又はこれらの化合物の組合せであってもよく、好ましくは元素の周期表のIV列、V 列又はVI列の遷移金属の窒化物、又はこれらの化合物の組合せであってもよい。例として、積層体105 の層の各々は、窒化アルミニウム(AlN) 、酸化アルミニウム(Al2O3) 、ホウ素(B) 、窒化ホウ素(BN)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN) 、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN) 、ハフニウム(Hf)、窒化ハフニウム(HfN) 、ニオブ(Nb)、窒化ニオブ(NbN) 、ジルコニウム(Zr)、ホウ化ジルコニウム(ZrB2)、窒化ジルコニウム(ZrN) 、炭化ケイ素(SiC) 、炭窒化タンタル(TaCN)、又はMgxNyの形態の窒化マグネシウム(ここでxは略3であり、yは略2であり、例えばMg3N2の形態の窒化マグネシウム)で形成されてもよい。積層体105 の層の各々の厚さは例えば1nm~100 nmの範囲内であり、好ましくは10nm~30nmの範囲内である。
【0038】
絶縁層107 は単層であってもよく、又は異なる材料で形成された複数の連続的な絶縁層の積層体を有してもよい。例として、絶縁層107 は、異なる材料で形成された(図面に詳細に示されていない)2つの絶縁層の積層体を有しており、積層体の2つの層の各々は、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SixNy、ここでxは略3であり、yは略4であり、例えばSi3N4)、(特に一般的な式SiOxNyの)酸窒化シリコン(例えばSi2ON2)、酸化ハフニウム(HfO2)及び酸化アルミニウム(Al2O3) を含む群から選択された材料で形成されている。例として、積層体107 の第1の層又は下層は酸化シリコンで形成されており、積層体107 の第2の層又は上層は窒化シリコンで形成されている。積層体107 の各絶縁層の厚さは、例えば10nm~100 nmの範囲内であり、好ましくは20nm~60nmの範囲内であり、例えば略40nmである。
【0039】
この例では、開口部108R, 108G, 108Bは、放射セル101R, 101G, 101Bの基本LEDの所望の位置に夫々形成されている。開口部108R, 108G, 108Bの横寸法は、スクリーンのR画素、G画素及びB画素の基本LEDを形成する三次元半導体素子の所望の横断寸法に対応する。従って、各放射セル101R, 101G, 101Bでは、放射セルの開口部108R, 108G, 108Bは実質的に同一の大きさを有し、放射セルの表面に亘って規則的に分散している。しかしながら、異なるタイプの画素の開口部108R, 108G, 108Bが異なる横寸法を有する、及び/又は異なるタイプの画素の放射セルが異なる間隔又はピッチを開口部間に有する。
【0040】
各半導体ワイヤ109R, 109G, 109Bは、例えばIII-V 族化合物、II-VI 族化合物、IV族の半導体及び化合物を含む群から選択された半導体材料である。各半導体ワイヤ109R, 109G, 109Bは、III-V 族化合物、例えばIII-N 化合物、II-VI 族化合物又は少なくとも1つのIV族元素を主に含む第1の半導体材料から少なくとも部分的に形成されてもよい。III 族元素の例として、ガリウム(Ga)、インジウム(In)又はアルミニウム(Al)がある。III-N 化合物の例として、GaN 、AlN 、InN 、InGaN 、AlGaN 又はAlInGaN がある。他のV 族元素、例えばリン又はヒ素を更に使用してもよい。一般に、III-V 族化合物内の元素は異なるモル分率で組み合わせられてもよい。II族元素の例として、IIA 族元素、特にベリリウム(Be)及びマグネシウム(Mg)、並びにIIB 族元素、特に亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)及び水銀(Hg)がある。VI族元素の例として、VIA 族元素、特に酸素(O) 及びテルル(Te)がある。II-VI 族化合物の例として、ZnO 、ZnMgO 、CdZnO 、CdZnMgO 、CdHgTe、CdTe又はHgTeがある。一般に、II-VI 族化合物内の元素は異なるモル分率で組み合わせられてもよい。IV族半導体材料の例として、シリコン(Si)、炭素(C) 、ゲルマニウム(Ge)、炭化ケイ素(SiC) 合金、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)合金又は炭化ゲルマニウム(GeC) 合金がある。ワイヤ109R, 109G, 109Bの半導体材料は、ドーパント、例えばIII-N 化合物のN型ドーピングのためのシリコン、又はIII-N 化合物のP型ドーピングのためのマグネシウムを含んでもよい。
【0041】
各ワイヤ109R, 109G, 109Bは、基板103 の上面に実質的に垂直な軸芯に沿って細長い形状、例えば一般に円筒形状を有してもよい。各ワイヤ109R, 109G, 109Bの直径は、断面で5nm~2.5 μmの範囲内であってもよく、例えば50nm~1μmの範囲内であってもよい。2つの隣り合うワイヤ109R, 109G, 109Bの長手軸芯は、100 nm~3μm、好ましくは200 nm~1.5 μm離れてもよい。
【0042】
成長工程の終了時の各ワイヤ109R, 109G, 109Bの高さ(長手寸法)は250 nm~15μmの範囲内であってもよく、好ましくは500 nm~5μmの範囲内であってもよく、より好ましくは1μm~3μmの範囲内であってもよい。この例では、成長工程の終わりに、ワイヤ109R, 109G, 109Bの高さが異なる。各ワイヤ109R, 109G, 109Bの高さは、特にワイヤの直径とワイヤ間の間隔とに応じて決められる(これら自体は開口部108R, 108G, 108Bの横寸法と開口部間の距離とに応じて決められる)。
【0043】
例として、ワイヤ109R, 109G, 109Bを形成する方法では、III 族元素の前駆体及びV 族元素の前駆体を反応器に注入してもよい。III 族元素の前駆体の例として、トリメチルガリウム(TMGa)、トリエチルガリウム(TEGa)、トリメチルインジウム(TMIn)又はトリメチルアルミニウム(TMAl)がある。V 族元素の前駆体の例として、アンモニア(NH3) 、第三ブチルホスフィン(TBP) 、アルシン(AsH3)又はジメチルヒドラジン(UDMH)がある。
【0044】
図1の構造の形成は、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる上記の特許出願の国際公開第2019/002786号パンフレットの
図8Aの構造の形成と同一又は同様である。
【0045】
図2は、
-
図1の構造の上面全体に亘って、すなわち、半導体ワイヤ109R, 109G, 109B及び絶縁層107 の上面に亘って誘電体層又はポリマー層111 を堆積させる工程、並びに
- 誘電体層111 及びワイヤ109R, 109G, 109Bの上方部分を薄層化して平坦化し、好ましくは基板103 の上面と平行な平坦な上面を画定する工程
を更に連続的に行った後に得られた構造を示す。
【0046】
誘電体層111 は、絶縁層107 の上方部分を形成する材料とは異なる材料で形成されてもよい。薄層化及び平坦化の前の誘電体層111 の最小の高さは、例えばワイヤ109R, 109G, 109Bの内の最も小さいワイヤの高さより大きい。薄層化及び平坦化の前の誘電体層111 の最小の高さは、ワイヤ109R, 109B, 109Gの内の最も大きいワイヤの高さより大きく、例えば、ワイヤ109R, 109B, 109Gの内の最も大きいワイヤの高さの少なくとも1.5 倍に等しいことが好ましい。
【0047】
誘電体層111 及びワイヤ109R, 109G, 109Bの薄層化及び平坦化を、例えば化学機械平坦化、つまりCMP によって行う。この工程の後、全てのワイヤ109R, 109G, 109Bは、絶縁層107, 111の厚さの合計に相当して、例えば150 nm~10μmの範囲内の実質的に同一の高さを有する。
【0048】
図3は、誘電体層111 を完全に除去して絶縁層107 及びワイヤ109R, 109G, 109Bの側部の上方部分を露出させた後に得られた構造を示す。絶縁層107 は、誘電体層111 のエッチング中に停止層の機能を果たしてもよい。誘電体層111 の除去をウェットエッチングによって行ってもよい。誘電体層111 がポリマー材料で形成されている場合、誘電体層の除去を、剥離又はウェットエッチングによって行ってもよい。変形例として、誘電体層111 のエッチングを部分的にのみ行って、残りの層を絶縁層107 上に保持してもよい。
【0049】
変形例として、
図1の工程の終わりにワイヤ109R, 109G, 109Bが既に実質的に同一の高さを有する場合、
図2及び
図3の工程を省略してもよい。
【0050】
図4は、ワイヤ109R, 109G, 109Bの最上部にワイヤ109R, 109G, 109Bの上面と接して頭部113R, 113G, 113Bをエピタキシャル成長によって夫々同時的に形成する工程の終わりに得られた構造を示す。各頭部113R, 113G, 113Bは、ワイヤと同一の材料で形成されて第1の導電型、例えばN型のドープされた下側半導体部分、アクティブ領域、及び第2の導電型、例えばP型のドープされた上側半導体部分を対応するワイヤ109R, 109G, 109Bの上面からこの順番で含む(図面に詳細に示されていない)垂直積層体を有してもよい。不図示のパッシベーション層が頭部の側面に設けられてもよい。
【0051】
各ワイヤ109R, 109G, 109B及び関連付けられた頭部113R, 113G, 113Bによって形成された集合体が、アキシャル構成のワイヤ状の基本LEDを形成している。頭部113R, 113G, 113Bは特にアクティブ領域を有し、アクティブ領域は、LEDによる電磁放射線の大部分が放射される層である。例として、アクティブ領域は、多重量子井戸などの閉込め手段を有してもよい。頭部113R, 113G, 113Bの下側半導体部分と上側半導体部分との間のPN接合は、半導体ワイヤ109R, 109G, 109Bの中心長手軸芯と実質的に直交する平面接合であるので、LEDはアキシャル構成と言われる。
【0052】
図4に示されている例では、ワイヤ109R, 109G, 109Bまでの距離が増大するにつれて、各頭部113R, 113G, 113Bの断面が増大し、隣り合うLEDの頭部113R, 113G, 113Bの上側半導体部分は離れている。変形例として、隣り合うLEDの頭部113R, 113G, 113Bの上側半導体部分は一体化されてもよい。より一般的に、LEDの頭部113R, 113G, 113Bは、
図4に示されている形状以外の他の形状、例えば、上記の特許出願の国際公開第2019/002786号パンフレットの
図2、
図3、
図4、
図5、
図6及び
図7に関連して記載されている形状を有してもよい。
【0053】
頭部113R, 113G, 113Bを形成する連続した層は、ワイヤ109R, 109G, 109Bの形成に使用される方法と同様の方法によって形成されてもよい。頭部113R, 113G, 113Bのアクティブ領域を形成する際に、III 族元素の前駆体及びV 族元素の前駆体を反応器に注入することに加えて、追加の元素、例えばインジウムの前駆体を注入してもよい。追加の元素をアクティブ領域に混合する割合は、特にアクティブ領域の横寸法及びワイヤ間の距離に応じて決められる。従って、頭部113R, 113G, 113Bのアクティブ領域を同時的に形成するが、インジウムを混合する異なる割合が頭部113R, 113G, 113Bのアクティブ領域に存在する。そのため、頭部113R, 113G, 113Bは、動作中、異なる波長の電磁放射線を放射することができる。
【0054】
頭部113R, 113G, 113Bは、例えば上記の特許出願の国際公開第2019/002786号パンフレットに記載されている頭部と同一又は同様に形成されている。
【0055】
図5は、
-
図4の構造の上面全体に亘って、すなわちワイヤ109R, 109G, 109B及び頭部113R, 113G, 113Bによって形成された基本LEDと絶縁層107 の上面とに亘って誘電体層又はポリマー層115 を堆積させる工程、並びに
- 誘電体層115 及び頭部113R, 113G, 113Bの上方部分を薄層化して平坦化し、好ましくは基板103 の上面と平行な平坦な上面を画定する工程
を更に連続的に行った後に得られた構造を示す。
【0056】
薄層化及び平坦化の前の誘電体層115 の最小の高さは、例えば頭部113R, 113G, 113Bの内の最も小さい頭部の高さより大きい。薄層化及び平坦化の前の誘電体層115 の最小の高さが、頭部113R, 113G, 113Bの内の最も大きい頭部の高さより大きいことが好ましい。誘電体層115 及び頭部113R, 113G, 113Bの薄層化及び平坦化を、例えばCMP によって行う。この工程の終わりに、頭部113R, 113G, 113Bの上側半導体部分の上面が誘電体層115 の上面と面一になる。
【0057】
変形例として、平坦化を頭部113R, 113G, 113Bの上面の上側で停止してもよく、そのため、
図6の追加のエッチング工程中に頭部の上面を露出する。
【0058】
図6は、誘電体層115 の上方部分をエッチングする追加の工程の終わりに得られた構造を示す。この工程中、頭部113R, 113G, 113Bをエッチングしない。この任意の工程は、頭部113R, 113G, 113Bの上面を十分に清浄化して、各頭部の上側半導体部分の一部の側部を露出して、電気接点を頭部113R, 113G, 113Bに形成することを目的とする。エッチングを、好ましくは頭部113R, 113G, 113Bのアクティブ領域の側部に達する前に停止する。この工程中に実行されるエッチングは、例えば反応性イオンエッチング(RIE) タイプのエッチング又は誘導結合プラズマエッチング(ICP) である。
【0059】
図7は、光電子回路の頭部113R, 113G, 113Bの上面に電気接点のための金属層117 を堆積させる追加の工程の終わりに得られた構造を示す。金属層117 は、光電子回路の実質的に上面全体に亘って連続的に延びている。従って、この段階で、光電子回路の全てのLEDの上側半導体部分が、金属層117 によって互いに接続されている。
【0060】
図8及び
図9は、ディスプレイスクリーンのアクティブ制御回路を製造する連続的な工程を示す。
【0061】
図8は、半導体基板201 、例えばシリコン基板の内側及び最上部に形成されて一体化された制御回路を概略的に示す。この例では、制御回路は、セルの基本LEDの集合体を流れる電流を制御可能とするため、及び/又はセルの基本LEDの集合体に電圧を印加可能とするために、スクリーンのR画素、G画素及びB画素毎に、画素の放射セル101R, 101G, 101Bの基本LEDの各々の(
図7の向きの)上部電極に接続されるように構成されている接続用金属パッド203 を制御回路の上面側に有している。制御回路は、例えば、画素の基本LEDの集合体を流れる電流及び/又は画素の基本LEDの集合体に印加される電圧の制御を可能にする一又は複数のトランジスタを有する(図面に詳細に示されていない)基本制御セルを、画素の金属パッド203 に接続された画素毎に有している。基本LEDの(
図7の向きで)下部電極との接点は、例えば、金属パッド203 と同一又は同様の一又は複数の接続用金属パッド205 を介して制御回路の周縁領域PERIPHにまとめて形成されてもよい。制御回路は、例えばCMOS技術で製造されている。制御回路が、金属領域203, 205及び絶縁領域が交互に配置された実質的に平坦な上面を有するように、金属パッド203, 205は、絶縁材料、例えば酸化シリコンに横方向に囲まれてもよい。
【0062】
変形例として、金属パッド203, 205は、
図8に示されていない絶縁性のパッシベーション層で被覆されてもよく、その場合、金属パッドは制御回路の上面側と面一ではない。
【0063】
図9は、
図8の制御回路の上面に金属層207 を堆積させる工程後に得られた構造を示す。金属層207 は、制御回路の実質的に表面全体に亘って連続的に延びている。この例では、金属層207 は、制御回路の全ての接続用金属パッド203, 205と電気的に接している。
図9の例では、相互接続構造体209 が
図8の構造の上面と金属層207 との間の界面を形成している。相互接続構造体209 は、
図8の構造の実質的に表面全体に亘って連続的に堆積した誘電体層209Aを有しており、制御回路の接続用金属パッド203, 205毎に、例えば金属で形成されて誘電体層209Aを横切り、金属パッド203, 205の上面を金属層207 の下面に連結する一又は複数の導電ビア209Bを有している。誘電体層209Aは、制御回路の表面に既に存在して金属パッド203, 205を密閉するパッシベーション層、又は金属パッド203, 205が制御回路の上面と面一である場合には制御回路の表面に移される層であってもよい。変形例として、相互接続構造体209 を省略してもよく、そのため、金属層207 を
図8の制御回路の最上部に直接堆積させて
図8の制御回路の上面と接触させてもよい。
【0064】
図10~16は、
図7の光電子回路及び
図9の制御回路からディスプレイスクリーンを形成する連続的な工程を示す。
【0065】
図10は、
図7の光電子回路を
図9の制御回路に移す工程の後に得られた構造を示し、光電子回路の金属層117 は、制御回路の金属層207 に対向している。
図10~16では、光電子回路の向きが
図7に対して逆である一方、アクティブ制御回路の向きは
図9の向きと同じである。
【0066】
移送中、光電子回路の異なる放射セル101R, 101G, 101Bがアクティブ制御回路の異なる接続用金属パッド203 に対向して配置されるように、光電子回路をアクティブ制御回路に対して位置合わせする。このために、光電子回路は、制御回路上に予め形成されているマーク(不図示)と位置合わせされてもよく、及び/又は、制御回路は、光電子回路上に予め形成されているマーク(不図示)と位置合わせされてもよい。移送工程の前に、例えば位置合わせマークに対向する金属層207 及び/又は金属層117 を局所的に除去することにより、位置合わせマークを露出してもよい。図示された例では、各放射セル101R, 101G, 101Bは、垂直投影で制御回路の単一の金属パッド203 に対向して設けられている。
【0067】
その後、光電子回路の金属層117 の(
図10~16の向きの)下面と制御回路の金属層207 の上面との直接金属間接合により、光電子回路は制御回路に接合される。ここで直接接合とは、接合される2つの表面間に要素が追加されない接合、例えば分子接合及び/又は熱圧着接合を意味する。
【0068】
光電子回路及びアクティブ制御回路を組み立てるために直接金属間接合(又は均一金属間接合)を使用する利点は、このような接合は実行がより簡単であり、ハイブリッド直接金属間/誘電体間接合より少ない準備工程で済むということである。このため、銅が完全に除かれたスクリーンの形成が更に可能であってもよい。
【0069】
適切な接合を行うために、金属層117 は、好ましくは金属層207 の上方部分と同一の金属で形成された下方部分を有している。更に、金属層117 は、画素の基本LEDの(
図10~16の向きの)下側半導体部分との確実なオーミック接触を達成すべく選択されていることが好ましい。金属層117 は、発光効率を高めて制御回路での光の損失を回避すべく、画素の基本LEDによって放射される電磁放射線を反射することが更に好ましい。形成されたスクリーンは実際、(
図10の向きの)スクリーンの上面から、すなわち制御回路と反対側の表面から光を放射するように構成されている。更に、制御回路の接続用金属パッド203, 205の金属、例えば銅が光電子回路の基本LEDの下側半導体部分に拡散して、特に金属層117 と基本LEDとのオーミック接触の質を低下させる場合があることを避けるべく、金属層207 及び/又は金属層117 は選択されてもよい。
【0070】
実際、金属層207 及び金属層117 の各々は単一の層であってもよく、又は上記の機能の全て又は一部を保証し得る異なる材料の一又は複数の層の積層体であってもよい。
【0071】
例として、金属層207 は、金属層117 の下層と同一の性質の金属で形成された上層を有しており、金属は、2つの構造間の良好な結合を達成すべく選択されており、例えば、チタン、ニッケル、白金、錫、金、銀、アルミニウム、パラジウム、タングステン、鉛、銅、金-錫合金、チタン-錫合金、ニッケル-錫合金、及びこれらの材料の全て又は一部の合金を含む群から選択された金属である。金属層207 及び金属層117 によって形成された積層体は、LEDによって発せられる光を反射することができる金属、例えば銀又はアルミニウムから形成された一又は複数の層を更に有してもよい。更に、金属層207 及び金属層117 によって形成された積層体は、積層体207/117 及び/又は金属パッド203, 205に含まれる銅又は銀などの金属の拡散に対する障壁を形成し得る一又は複数の層、例えば、窒化タンタル、窒化チタン、窒化タングステン、チタンタングステン合金、及びこれらの材料の全て又は一部の組み合わせを含む群から選択された一又は複数の層を有してもよい。
【0072】
図示されている例では、金属層117 は、LEDによって放射される電磁放射線を反射してLEDの下側半導体部分との良好なオーミック接触を達成する材料、例えばアルミニウム又は銀で形成された上側にある下層117Aを(場合によってはP型の窒化ガリウムの場合に良好なオーミック接触を保証し得る、例えば白金、ニッケル又はパラジウムで形成された薄い界面層と共に)有し、金属層207 との良質な接合を保証することができる金属、例えばチタンで形成された上層117Bを有する。更に、この例では、金属層207 は、(場合によってはビア209Bにより)金属パッド203, 205と良好な電気接続部分を形成することができる金属、例えばタングステン又は銅で形成された下層207A、及び上層117Bと同一の金属で形成された上層207Bを有している。
【0073】
図11は、支持基板103 及び光電子回路の核生成層105 を除去する工程後に得られた構造を示す。この工程中、誘電体層107 の上面及び半導体ワイヤ109R, 109G, 109Bの上面を露出する。基板103 を、研磨及び/又はウェットエッチング及び/又はドライエッチングによって取り除いてもよい。核生成層105 を、ウェットエッチング、ドライエッチング又はCMP によって取り除いてもよい。絶縁層107 を、この工程中のエッチング停止層として使用してもよい。
【0074】
図12は、
図11の構造に構造の上面から、例えばフォトリソグラフィ及びエッチングによって垂直のトレンチ211 を形成する工程後に得られた構造を示す。トレンチ211 は、誘電体層107, 115を完全に横切り、スクリーンの異なる画素の放射セル101R, 101G, 101Bを横方向に画定する。各放射セル101R, 101G, 101Bは、トレンチ211 で横方向に完全に囲まれており、隣り合う放射セル101R, 101G, 101Bはトレンチ211 によって隔てられている。トレンチ211 は、金属層117, 207を更に完全に横切って、スクリーンの異なる画素の放射セル101R, 101G, 101Bを互いに電気的に絶縁する。この例では、トレンチ211 は、垂直投影で制御回路の接続パッド203, 205を横方向に分離する絶縁領域に対向して設けられている。図示されている例では、トレンチ211 は、相互接続構造体209 の絶縁層209A内又は絶縁層209Aの上面で停止する。相互接続構造体209 が設けられていない場合、トレンチ211 は、制御回路の接続用金属パッド203, 205を横方向に分離する絶縁領域内又は絶縁領域の上面で停止してもよい。
【0075】
トレンチ211 を形成する工程の終わりに、スクリーンの各放射セル101R, 101G, 101Bでは、放射セルの各基本LEDの、例えばアノード領域に相当する下側半導体部分は、下にある接続用金属パッド203 に電気的に接続されている。しかしながら、異なる放射セルの基本LEDの下側半導体部分は、トレンチ211 によって電気的に絶縁されている。このため、制御回路は放射セル101R, 101G, 101Bを個々に制御することができる。
【0076】
図13は、絶縁材料、例えば酸化シリコンでトレンチ211 を充填して、スクリーンの異なる画素の放射セル101R, 101G, 101B間に絶縁壁213 を形成するその後の工程の終わりに得られた構造を示す。トレンチを充填する際に、
図12の構造の上面全体に亘ってトレンチ211 を完全に充填するのに十分大きい厚さ全体に絶縁材料の層を堆積させて、その後、実質的に平坦な上面を画定して半導体ワイヤ109R, 109G, 109Bの上面を露出すべく、例えばCMP によって絶縁層を薄層化して平坦化する工程を行ってもよい。
【0077】
図14は、
図13の構造の上面に導電層215 を堆積させる工程後に得られた構造を示す。導電層215 は、放射セル101R, 101G, 101Bの基本LEDによって放射される電磁放射線を少なくとも部分的に通す。この工程の終わりに、各基本LEDの、例えばLEDのカソード領域に相当する半導体ワイヤ109R, 109G, 109Bは、導電層215 の下面に上面で電気的に接続されている。従って、導電層215 は、スクリーンの全ての基本放射セル101R, 101G, 101Bに共通する電極を形成している。導電層215 を形成する材料は、グラフェン又は透明導電性酸化物(TCO) などの透明な導電性材料であってもよく、例えば酸化インジウムスズ(ITO) 、アルミニウム、ガリウム又はホウ素でドープされているか又はドープされていない酸化亜鉛であってもよい。例として、導電層215 の厚さは20nm~500 nmの範囲内であり、好ましくは20nm~100 nmの範囲内である。導電層215 は、スクリーンの実質的に表面全体に亘って連続的に延びている。しかしながら、導電層215 は、
図14に示されているように、スクリーンの周縁部分PERIPHの表面の少なくとも一部から取り除かれてもよい。
【0078】
図15は、
-
図14の構造の上面全体に亘って、すなわち、導電層215 の上面に亘って、場合によってはスクリーンの周縁部分PERIPHの誘電体層107 の上面に亘って、例えば酸化シリコンで形成された絶縁層217 を堆積させる工程、
- 導電層215 の上面で開口する垂直のトレンチ219 を絶縁層217 に側方絶縁壁213 に対向させて形成して、トレンチ219 は平面視で側方絶縁壁213 に実質的に積み重ねられた連続ゲートの形態のパターンを形成する工程、及び
- スクリーンの周辺領域PERIPHで絶縁層217 の上面から、金属層117 の上面に開口する一又は複数の垂直の開口部221 を形成する工程
の後に得られた構造を示す。
【0079】
開口部221 は、絶縁層217 を堆積させる前に導電層215 が取り除かれたスクリーンの部分に形成されてもよい。この場合、開口部221 は、絶縁層217, 107, 115 のみを横切る。変形例として、導電層215 は、堆積前に周縁部分から取り除かれず、この場合には開口部221 は導電層215 を更に横切る。
【0080】
開口部219, 221は、例えばフォトリソグラフィ及びエッチングによって形成される。
【0081】
図16は、
- 開口部219 内に延びて、開口部219 の底部で導電層215 の上面と接している連続した金属ゲート223A、
- 開口部221 内に配置されて、開口部221 の底部で金属層117 の上面と接している一又は複数の金属ビア223B、及び
- スクリーンの周縁部分PERIPHで絶縁層217 の上面に亘って延びて、金属ゲート223Aを金属ビア223Bに接続する一又は複数の金属トラック223C
で形成された金属被膜223 を形成する工程の後に得られた構造を示す。
【0082】
金属被膜223 を形成する工程は、
図15の構造の上面全体に亘って連続的に延びている一又は複数の金属層の積層体、例えばTi/TiN/AlCu タイプの積層体を堆積させる工程と、続いて、特にスクリーンの放射セル101R, 101G, 101Bに対向してこの積層体を局所的にエッチングして、金属被膜223 のみを保持する工程とを有してもよい。
【0083】
金属被膜223 により、スクリーンの全ての基本LEDに共通する電極を形成する透明導電層215 を制御回路の一又は複数の接続パッド205 に接続することが可能になる。図示されている例では、ゲート223Aにより、導電層215 の表面全体に亘って電流を均一に分散し得ることが有利である。変形例として、金属ゲート223Aは省略されてもよく、金属被膜223 と透明導電層215 との接点がスクリーンの周縁領域PERIPHのみに形成されてもよい。
【0084】
金属被膜223 を形成した後、絶縁材料で形成された不図示の上側のパッシベーション層を、スクリーンの上面全体に亘って堆積させてもよい。
【0085】
光電子回路をアクティブ制御回路に組み立てている間に直接金属間接合を使用することにより製造方法を簡略化するという利点に加えて、
図1~
図16の方法で形成されるスクリーンの利点は、側方絶縁壁213 により、放射セルをスクリーンの異なる画素から光学的に分離し得るということである。側方絶縁壁213 の一又は複数の材料は、例えば、絶縁層115 及び/又は絶縁層107 の材料と比べて、例えば0.5 より大きい相対的に高い屈折率を有するように選択されているため、側方絶縁壁213 は、スクリーンの基本LEDによって放射される電磁放射線を反射する。
【0086】
例として、絶縁壁は、屈折率が低い材料、例えば空気又は多孔質酸化シリコンを含んでもよい。例として、絶縁壁213 は、トレンチ211 の側壁及び底部を被覆する第1の誘電体材料、例えば酸化チタン(TiO2)又はアルミナ(Al2O3) の(図面に詳細に示されていない)薄層、例えば、電気絶縁を保証する厚さが5~50nmの範囲の層、及びトレンチ211 の残り部分を充填する屈折率が比較的低い第2の誘電体材料、例えば空気又は多孔質酸化シリコンのコア(又は中央壁)を夫々有している。
【0087】
三次元基本LEDが封止されている絶縁層115 の材料は、相対的に高い屈折率を有する材料、例えばSimona Checcucci らの"Multifunctional Metasurfaces Based on Direct Nanoimprint of Titania Sol-Gel Coatings"という題名の論文(Adv. Optical Mater. 2019, 1801406, 2019)に記載されているような、例えばゾル・ゲル法によって堆積する酸化チタン(TiO2)であってもよい。
【0088】
基本LEDによって放射されて隣り合う放射セルに向かって絶縁層115 の材料を伝搬する光を各放射セルの内側に向かって有利に反射すべく、トレンチ211 を形成する際にエッチングスロープが更に設けられてもよい。例として、トレンチ211 の側壁は実質的に平坦であってもよく、トレンチ211 の幅が(
図12の向きで)トレンチ211 の底部(又は基部)から開口部(又は最上部)に向かって減少するように、垂直方向に対して傾いてもよい。例として、トレンチ211 及び(ひいては絶縁壁213 )の側壁の傾斜角は、絶縁層115 及び絶縁壁213 の充填材料の夫々の屈折率に応じて選択されているため、三次元基本LEDによって放射されて、放射セルを隣り合う放射セルから分離する絶縁壁213 の平均平面に直交する方向に応じて放射セル内で絶縁層115 の材料に伝搬する光線が、絶縁層115 と絶縁壁213 の充填材料との間の界面で全反射によって反射する。例として、絶縁層115 が酸化シリコン(屈折率が1.46程度である)で形成されて、絶縁壁213 が空気のコア(屈折率が1である)を含む場合、絶縁壁213 の側面の傾斜角は40度程度であってもよい。絶縁層115 がゾル・ゲル法によって形成された酸化チタン(屈折率が2.3 程度である)で形成されて、絶縁壁213 が空気のコア(屈折率が1である)を含む場合、絶縁壁213 の側面の傾斜角は25度程度であってもよい。
【0089】
絶縁層115 の上面(又は出力面)は、絶縁層115 の外側から入る光の全反射の現象を回避して、ひいては三次元LEDによって放射される光の抽出を有利にし得る回折格子領域を形成する(図面に示されていない)表面の凹凸を有してもよい。
【0090】
変形例として、トレンチ211 の側壁及び底部は、交互に形成された第1の屈折率を有する第1の透明な誘電体材料の第1の層及び第2の屈折率を有する第2の透明な誘電体材料の第2の層で被覆されてもよく、交互に形成された前記層はトレンチの側面に反射体を形成する。第2の材料は、好ましくは第1の材料と比べて、例えば0.5 より大きい相対的に高い屈折率を有する。第1の層及び第2の層は相対的に薄くてもよく、例えば10~100 nmの範囲内の厚さを有してもよい。交互に形成された層の数は、例えば1~5の範囲内である。例として、第1の層は、酸化チタンで形成されて、例えば50nm程度の厚さを有し、第2の層は、酸化シリコンで形成されて、例えば84nm程度の厚さを有する。変形例として、第1の層は、アルミナで形成されて、例えば70nm程度の厚さを有し、第2の層は、酸化シリコンで形成されて、例えば84nm程度の厚さを有する。トレンチ211 の残り部分は、空気又は多孔質酸化シリコンで充填されてもよい。
【0091】
別の変形例では、垂直の絶縁壁213 は、例えば酸化チタン又はアルミナで形成されてトレンチ211 の側壁及び底部を被覆する(図面に詳細に示されていない)絶縁層と、例えばアルミニウム又はタングステンで形成されてトレンチの残り部分を充填する(図面に詳細に示されていない)反射性中央金属壁とを夫々有してもよい。
【0092】
光学的分離を更に高めるために、多層誘電体ミラー及び金属ミラーの組み合わせを設けてもよい。例として、トレンチ211 の側壁及び底部は、上述したように交互に形成された異なる屈折率の第1及び第2の誘電体層で被覆されてもよく、トレンチの残り部分は、反射性中央金属壁で充填されてもよい。交互に形成された誘電体層の数は、例えば1~3の範囲内である。例として、第1の層は、酸化チタンで形成されて、例えば44nm程度の厚さを有し、第2の層は、酸化シリコンで形成されて、例えば74nm程度の厚さを有する。変形例として、第1の層は、アルミナで形成されて、例えば62nm程度の厚さを有し、第2の層は、酸化シリコンで形成されて、例えば75nm程度の厚さを有する。中央の金属層は、例えば50nmより大きい厚さを有するアルミニウム又はタングステンで形成されてもよい。
【0093】
図17~19は、
図1~16に関連して記載されたLEDを備えた発光型ディスプレイを製造する方法の変形例の工程で得られた構造を示す部分的な断面略図である。このような変形例は、
図1~
図12に関連して前述した工程と同じ初期工程を有する。
【0094】
図17は、絶縁された導電壁313 を
図12の構造のトレンチ211 に形成する工程の後に得られた構造を示す。絶縁された導電壁を形成する工程は、
-
図12の構造の上面全体に亘って、すなわち、トレンチ211 の側壁及び底部並びに誘電体層107 及び半導体ワイヤ109R, 109G, 109Bの上面に、例えば酸化シリコンで形成された絶縁層313Aを共形堆積法によって堆積させて、絶縁層313Aがトレンチ211 を完全には充填しない工程と、
- 構造の上面全体に亘ってトレンチ211 を完全に充填するのに十分な厚さ全体に金属層313Bを堆積させる工程と、
- 構造の上面を、例えばCMP によって薄層化して平坦化し、実質的に平坦な表面を得て、トレンチ211 に絶縁層313A及び金属層313Bのみを保持する工程と
を連続的に有してもよい。
【0095】
図18は、
図17の構造の上面に
図14の導電層215 と同一又は同様の透明な導電層315 を堆積させる工程の後に得られた構造を示す。この変形例では、導電層315 の下面が、基本LEDの半導体ワイヤ109R, 109G, 109Bだけでなく、側方絶縁壁313 の導電壁313Bとも接している。
【0096】
図19は、
-
図18の構造の上面全体に亘って、例えば酸化シリコンで形成された絶縁層217 を堆積させる工程と、
- 絶縁層217 の内部及び最上部並びに誘電体層107, 115の内部に、導電層315 の上面を金属層117 の周縁部分の上面に接続する金属被膜323 を形成する工程と
を連続的に行った後に得られた構造を示す。
【0097】
この変形例では、金属被膜323 は完全にスクリーンの周縁部分PERIPHに配置されている。側方絶縁壁313 の導電壁313Bは、透明な導電層315 の下面と接する連続的な導電構造を形成し、導電層315 における電流の均一な分散をもたらす。
【0098】
金属被膜323 は、
図15及び
図16に関連して記載されている金属被膜223 を形成する方法と同一又は同様の方法によって形成されてもよい。
【0099】
金属被膜323 を形成した後、絶縁材料で形成された不図示の上側のパッシベーション層を、スクリーンの上面全体に亘って堆積させてもよい。
【0100】
図17~
図19の変形例の利点は、透明な導電層315 を制御回路に接続する金属被膜による、この導電層層の遮蔽を制限する、又は抑制することもできるということである。更に、側方絶縁壁313 の金属壁313Bにより、異なる画素の放射セル間の光学的分離を補強すること、及び/又はスクリーンの動作中に画素で発生する熱の放散を改善することが可能になる。
【0101】
様々な実施形態及び変形例が述べられている。当業者は、これらの実施形態のある特徴を組み合わせることができると理解し、他の変形例が当業者に容易に想起される。特に、記載された実施形態は、本開示に記載されている寸法及び材料の例に制限されない。
【0102】
更に、変形例として、
図4の工程では、ワイヤの最上部に頭部が形成されるべきではないワイヤをマスクする3つの別個の成長工程で、画素の異なるタイプの基本LEDの頭部113R, 113G, 113Bをワイヤ109R, 109G, 109B上に同時的ではなく順次的に形成する。そのために、ワイヤ109R, 109G, 109Bは全て同一の直径及びワイヤ間の同一のピッチを有してもよく、頭部113R, 113G, 113Bのアクティブ領域が異なる組成、例えばインジウムの異なる割合で形成され、異なる波長の放射光を得てもよい。
【0103】
更に、画素の放射セルの三次元基本LEDがアキシャル構成の半導体のナノワイヤ又はマイクロワイヤである実施形態のみが上述されているが、記載されている実施形態は、この特定の場合に限定されない。変形例として、画素の三次元基本LEDは、例えば上記の特許出願の国際公開第2019/002786号パンフレットに記載されているように、コアシェルタイプのラジアル構成の角錐形ナノ構造体又はマイクロ構造体であってもよく、そのため、(導電層215 又は導電層315 を介した)上側の電気接点が角錐の先端に形成されてもよい。
【0104】
更に、画素の放射セルが一又は複数の三次元基本セルを夫々有する実施形態のみが上述されているが、変形例として、スクリーンは、上述したような一又は複数の三次元基本LEDを夫々有する放射セルを有している画素と、放射セルの表面全体に亘って連続的に延びている実質的に平坦な半導体層の積層体で形成された1つの平面LEDを夫々有する放射セルを有している画素とを組み合わせてもよい。
【0105】
本出願は、仏国特許出願第19/03380 号明細書の優先権を主張しており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】