(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-24
(54)【発明の名称】組織止血又は組織閉鎖用の医療器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558877
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(85)【翻訳文提出日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 CN2020084280
(87)【国際公開番号】W WO2021004107
(87)【国際公開日】2021-01-14
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519000319
【氏名又は名称】南▲微▼医学科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MICRO‐TECH (NANJING) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO. 10, GAOKE THIRD ROAD, NATIONAL NEW & HIGH TECHNOLOGY INDUSTRIAL DEVELOPMENT ZONE, PUKOU DISTRICT, NANJING, JIANGSU 210032, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クーン,ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD03
4C160DD19
4C160DD29
4C160DD64
(57)【要約】
医療器具は、シース装置(2)と、シース装置(2)の遠位端にセットされるクランプハウジング(6)及び少なくとも2つのクランプアーム(8a、8b)を備えるクランプ装置(3)と、シース装置(2)を穿通して延在するコントロールワイヤ(4)とを備え、クランプハウジング(6)が少なくとも1つの接続素子(23)によりシース装置(2)に直接接続され、少なくとも1つの接続素子(23)がクランプハウジング(6)に固定的に取り付けられ又はクランプハウジング(6)の一部として形成されるとともに、シース装置(2)に外し可能に接続され、各接続素子(23)と協働する釈放機構が設置され、クランプアーム(8a、8b)が閉じたとき、コントロールワイヤ(4)の近位端方向への移動により釈放機構が駆動されて、シース装置(2)から各接続素子(23)が外されることによりクランプハウジング(6)が釈放される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル(1)と、
ハンドル(1)に取り付けられるシース装置(2)と、
少なくとも2つのクランプアーム(8a、8b)と、クランプベース(7)を備えるクランプハウジング(6)とを備え、特に、クランプベース(7)が、前記シース装置(2)の遠位端にセットされるスリーブの形態のものであるクランプ装置(3)と、
前記シース装置(2)を穿通して延在し、遠位端方向及び近位端方向に可逆的に移動可能であるコントロールワイヤ(4)と、
前記コントロールワイヤ(4)の近位端に連結され、前記コントロールワイヤ(4)を前記遠位端方向及び前記近位端方向に可逆的に移動させるように駆動されることができるアクチュエータ(5)と、
を備え、
前記クランプアーム(8a、8b)のそれぞれが前記コントロールワイヤ(4)の遠位端に連結され、
前記コントロールワイヤ(4)の前記近位端方向への移動が前記クランプアーム(8a、8b)の閉じる移動に変換され、前記コントロールワイヤ(4)の前記遠位端方向への移動が前記クランプアーム(8a、8b)の開放移動に変換されるように、前記コントロールワイヤ(4)の移動により、前記クランプ装置(3)の前記クランプアーム(8a、8b)が開閉駆動され、
前記クランプハウジング(6)が少なくとも1つの接続素子(23)により直接前記シース装置(2)に接続され、
各前記接続素子(23)が、前記クランプハウジング(6)に固定的に取り付けられ、又はクランプハウジング(6)の一部として形成され、前記シース装置(2)に外し可能に接続され、
各前記接続素子(23)と協働する釈放機構が設置され、前記クランプアーム(8a、8b)が閉じたとき、前記コントロールワイヤ(4)の前記近位端方向への移動により前記釈放機構が駆動されることにより、前記シース装置(2)から各前記接続素子(23)がリリースされて前記クランプハウジングが釈放される
ことを特徴とする組織止血又は組織閉鎖用の医療器具。
【請求項2】
前記シース装置(2)は、シース(19)を備え、前記シース(19)の遠位端に設置される接続管(20)をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の医療器具。
【請求項3】
前記シース(19)は、伸長可能な螺旋のものである
ことを特徴とする請求項2に記載の医療器具。
【請求項4】
前記接続管(20)は、その縦方向の中心軸線回りに前記シース(19)に対して回動できるように前記シース(19)に接続される
ことを特徴とする請求項3に記載の医療器具。
【請求項5】
前記接続管(20)が前記シース(19)に接続されるように、前記接続管(20)の外周面に環状溝(21)が設けられ、係合部材(22)が前記シース(19)に固定的に設置され、前記係合部材が前記環状溝(21)に係合される
ことを特徴とする請求項4に記載の医療器具。
【請求項6】
前記係合部材(22)が前記シース(19)に溶接され、前記係合部材(22)が前記環状溝(21)の環状の肩部と係合する
ことを特徴とする請求項5に記載の医療器具。
【請求項7】
少なくとも2つの前記接続素子(23)が設置され、前記接続素子が前記クランプハウジング(6)の外周に沿って規定の角度でずれて位置設定される
ことを特徴とする上記の請求項のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項8】
2つの接続素子(23)が設置され、前記接続素子がそれぞれ前記クランプハウジング(6)の対向する両側に位置する
ことを特徴とする請求項7に記載の医療器具。
【請求項9】
前記接続素子(23)は、弾性を有して弾性変形可能な接続アームで構成され、前記接続素子(23)の遠位端が前記クランプハウジング(6)に固定的に取り付けられ、前記接続素子(23)の自由近位端が、前記クランプハウジング(6)を前記シース装置(2)に接続するように前記シース装置(2)における相応の係合手段(25)と係合する係合部(24)として形成され、
前記釈放機構は突起部(30)を有し、前記突起部が前記接続素子(23)の間に配置されるとともに前記接続素子と協働し、前記突起部(30)が前記接続素子(23)を押圧し、前記接続素子が外側へ弾性変形して、前記接続素子(23)の前記係合部(24)が外側へ押されて前記シース装置(2)の相応の係合手段(24)と係合することにより、前記クランプハウジング(6)が前記シース装置(2)に接続され、そして、前記突起部(30)が前記コントロールワイヤ(4)に連結され、特に、前記コントロールワイヤ(4)に固定的に設置されることにより、前記クランプアーム(8a、8b)が閉じた後、前記コントロールワイヤ(4)が近位端方向へさらに移動すると、前記突起部(30)が前記コントロールワイヤ(4)と共に移動して前記接続素子(23)との係合から外され、前記接続素子がその弾性復元力によって内側へ変形して前記接続素子(23)の前記係合部(24)が前記シース装置(2)の相応の係合手段(25)との係合から外されて、前記シース装置(2)から前記クランプハウジング(6)が釈放される
ことを特徴とする請求項8に記載の医療器具。
【請求項10】
前記接続素子(23)に凸起セクション(29)が設けられ、特に、前記凸起セクションが前記接続素子(23)の自由端の箇所に設けられ、前記突起部(30)が、前記接続素子(23)の前記凸起セクション(29)の間に配置され、前記接続素子(23)を外側へ変形させるように前記凸起セクションと協働し、前記突起部(30)が移動して前記凸起セクション(29)との係合から外されると、前記接続素子(23)がその弾性復元力によって内側へ変形する
ことを特徴とする請求項9に記載の医療器具。
【請求項11】
押入接続により前記クランプハウジング(6)が前記シース装置(2)に接続されて、重なり合った部分が形成され、前記係合手段(25)が前記シース装置(2)の内周壁における凹部又は貫通孔で構成される
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の医療器具。
【請求項12】
前記クランプハウジング(6)の近位端が前記シース装置(2)の遠位端に挿入され、前記接続素子(23)の前記係合部(24)が外向きの指状係合部と形成される
ことを特徴とする請求項11に記載の医療器具。
【請求項13】
前記クランプハウジング(6)を前記シース装置(2)に接続するように、前記シース装置(2)の前記係合手段(24)及び対応の孔(26)が、前記シース装置(2)と前記クランプハウジング(6)との重なり合った部分に設置され、前記接続素子(23)の前記係合部(24)が前記クランプハウジング(6)における前記孔(26)に通されて外側へ押されて前記シース装置(2)の前記係合手段(25)内に押される
ことを特徴とする請求項12に記載の医療器具。
【請求項14】
前記接続素子(23)はストレートセクション(28)を有し、前記近位端方向に向かって観察する場合、前記ストレートセクションが前記クランプハウジング(6)の縦方向の中心軸線に対して内側へ傾斜し、特に、前記傾斜角度が3°~15°であり、好ましくは、5°である
ことを特徴とする請求項9~13のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項15】
前記接続素子(23)は、前記遠位端セクションで前記クランプハウジング(6)に固定的に接続される
ことを特徴とする請求項9~14のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項16】
前記接続素子(23)の前記遠位端は、径方向において外側に向かって、前記クランプハウジング(6)に設けられた相応の保持孔(27)内まで延在し、溶接により前記保持孔に固定される
ことを特徴とする請求項15に記載の医療器具。
【請求項17】
前記クランプハウジング(6)は、前記クランプベース(7)から前記遠位端方向へ延在する2つの軸受アーム(14a、14b)を有し、前記接続素子(23)が前記軸受アームの自由端セクションで前記軸受アーム(14a、14b)に固定的に取り付けられ、特に、前記の2つの軸受アーム(14a、14b)の間にガイドピン(13)が保持され、前記接続素子(23)が前記ガイドピン(13)の前記遠位端側に設置される
ことを特徴とする請求項16に記載の医療器具。
【請求項18】
各前記クランプアーム(8a、8b)にそれぞれ少なくとも2つの側歯が設けられ、片側の前記クランプアーム(8a、8b)における少なくとも2つの側歯が前記クランプアームの軸線に対する両側に対称の位置で配置され、歯の形状が互いに逆になっている
ことを特徴とする上記の請求項のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項19】
ハンドル(1)と、
ハンドル(1)に取り付けられるシース装置(2)と、
少なくとも2つのクランプアーム(8a、8b)と、クランプベース(7)を備えるクランプハウジング(6)とを備え、特に、クランプベース(7)が、前記シース装置(2)の遠位端にセットされるスリーブの形態のものであるクランプ装置(3)と、
前記シース装置(2)を穿通して延在し、遠位端方向及び近位端方向に可逆的に移動可能であるコントロールワイヤ(4)と、
前記コントロールワイヤ(4)の近位端に連結され、前記コントロールワイヤ(4)を前記遠位端方向及び前記近位端方向に可逆的に移動させるように駆動されることができるアクチュエータ(5)と、
を備え、
前記クランプアーム(8a、8b)のそれぞれが前記コントロールワイヤ(4)の遠位端に連結され、
前記コントロールワイヤ(4)の近位端方向への移動が前記クランプアーム(8a、8b)の閉じる運動に変換され、前記コントロールワイヤ(4)の遠位端方向への移動が前記クランプアーム(8a、8b)の開放運動に変換されるように、前記コントロールワイヤ(4)の移動により、前記クランプ装置(3)の前記クランプアーム(8a、8b)が開閉駆動され、
特に、上記の請求項のいずれか1項に記載の医療器具であって、
前記クランプ装置(3)が、2つのクランプアーム(8a、8b)と、ガイドピン(13)とを備え、
前記2つのクランプアームが、互いに別体の素子として構成され、各クランプアームが枢動ピン(9)によって規定された共通の枢動軸線回りに枢動可能に前記コントロールワイヤ(4)の遠位端に連結され、各クランプアーム(8a、8b)のそれぞれにガイド溝(12)が設けられ、前記の2つのクランプアーム(8a、8b)の前記ガイド溝(12)が部分的に重なり合い、
前記ガイドピン(13)が前記クランプハウジング(6)に取り付けられるとともに前記ガイド溝(12)の重なり合った部分を穿通してに延在し、前記ガイドピン(13)と前記ガイド溝(12)との係合により、前記コントロールワイヤ(4)の前記近位端方向への移動が前記クランプアーム(8a、8b)の閉じる移動に変換され、前記コントロールワイヤ(4)の前記遠位端方向への移動が前記クランプアーム(8a、8b)の前記枢動軸線回りの開放移動に変換される
ことを特徴とする組織止血又は組織閉鎖用の医療器具である。
【請求項20】
前記ガイドピン(13)は、前記クランプハウジング(6)から前記遠位端方向へ延在する2つの軸受アーム(14a、14b)の間に保持され、特に、前記軸受アーム(14a、14b)の自由端セクションに保持される
ことを特徴とする請求項19に記載の医療器具。
【請求項21】
前記クランプアーム(8a、8b)に保持凸部(31)が設けられ、前記保持凸部(31)は、前記ガイド溝の側面から前記ガイド溝(12)内まで延在するとともに、前記ガイドピン(13)が前記保持凸部を通過して前記ガイド溝(12)の遠位端に到達することを許容するが、前記ガイドピン(13)の反対方向への通過を阻止するように構成され、特に、前記ガイド溝(12)が軸方向に延在するストレートな遠位端セクション(12a)を有し、前記ガイドピン(13)が、前記クランプアーム(8a、8b)の回動にならないように前記遠位端セクション内を移動可能であり、前記保持凸部(31)が前記ストレートな端部(12a)内まで延在する
ことを特徴とする請求項19又は20に記載の医療器具。
【請求項22】
前記ガイド溝(12)の側面において、前記保持凸部(31)の遠位端側に凹部(12b)が形成され、前記ガイドピン(13)が前記保持凸部(31)を通過して前記ガイド溝(12)の遠位端位置に到達することを許容するように前記保持凸部(31)が弾性変形して前記凹部(12b)に入ることができる
ことを特徴とする請求項21に記載の医療器具。
【請求項23】
各前記クランプアーム(8a、8b)にそれぞれ少なくとも2つの側歯が設けられ、片側の前記クランプアーム(8a、8b)における少なくとも2つの側歯が前記クランプアームの軸線に対する両側に対称の位置で配置され、歯の形状が互いに逆になっている
ことを特徴とする請求項19~22のいずれか1項に記載の医療器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、医療器具の分野に属し、具体的に、組織止血又は組織閉鎖用の医療器具に関する。
【0002】
関係出願の相互参照
本出願は、2019年7月10日に欧州特許庁に提出された、出願番号がEP19185556.8であり、名称が「血管止血用医療器具」である欧州出願に基づいて優先権を主張し、その全ての内容が、参照により本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
従来技術において、例えば、EP 1 328 199 B1に、特に消化管の出血の治療に使用される医療器具が開示された。具体的に、このような装置は、血管に必要な収縮力を与えることにより該血管における血液の流動を制限し又は遮断するように、出血している血管を挟むためのクランプ又はクリップをセットすることに用いられる。
【0004】
EP 1 328 199 B1による医療器具は、ハンドルと、ハンドルに取り付けられるシースとを備える。コントロールワイヤは、シースを穿通して延在し、アクチュエータによって駆動でき、該アクチュエータがコントロールワイヤの近位端に連結され、コントロールワイヤを、遠位側方向及び近位側方向に可逆的に移動させる。医療器具は、シースの遠位端に設置されるスリーブと、J形フックによってコントロールワイヤの遠位端に連結された2つのクランプアームを備えるクリップとを含むクランプ装置とをさらに備える。近位側方向へコントロールワイヤを引っ張るとき、クランプアームがスリーブの前縁と接触して内側へ弾性変形しながら閉じられ、遠位側方向へコントロールワイヤを押すとき、クランプアームがスリーブから遠位側へ押し出され、クランプアームが弾性復元力よって自動的に再開放するように、クランプアームはスリーブと協働する。クランプ装置は、繰り返して開閉できるため、クランプ装置の設置が容易である。
【0005】
クランプ装置を正確に位置にセットできたら、クランプアームとスリーブとを含むクランプ装置を医療器具の他の部分から分離させればよい。そうするために、クランプ装置が完全に閉じたとき、コントロールワイヤをさらに引き戻せば、J形フックが破断し、クランプアームとコントロールワイヤとの連結が解除される。そして、コントロールワイヤをさらに引き戻せば、コントロールワイヤとスリーブとを接続する保持部材が駆動され、保持部材とスリーブとが分離されて、コントロールワイヤとスリーブとの接続が解除される。
【発明の概要】
【0006】
従来技術における少なくとも1つの問題を解決するため、本発明は、操作、製造及び組立に容易である医療器具を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の実施例による組織止血又は組織閉鎖用の医療器具は、ハンドルと、ハンドルに取り付けられるシース装置と、クランプベースを有するクランプハウジングと、少なくとも2つのクランプアームを備え、特に、該クランプベースが、シース装置の遠位端にセットされるスリーブの形態のものであるクランプ装置と、シース装置を穿通して延在し、遠位側方向及び近位側方向に可逆的に移動可能であるコントロールワイヤと、コントロールワイヤの近位端に連結され、コントロールワイヤを遠位端方向及び近位端方向に可逆的に移動させるように駆動されることができるアクチュエータと、を備え、クランプアームのそれぞれがコントロールワイヤの遠位端に連結され、コントロールワイヤの近位側方向への移動がクランプアームの閉じる移動に変換され、コントロールワイヤの遠位側方向への移動がクランプアームの開放移動に変換されるように、コントロールワイヤの移動により、クランプ装置のクランプアームが開閉駆動される。
【0008】
任意選択で、クランプハウジングが少なくとも1つの接続素子により直接シース装置に接続され、各接続素子がクランプハウジングに固定的に取り付けられ又はクランプハウジングの一部として形成されるとともに、シース装置に外し可能に接続され、各接続素子と協働する釈放機構が設置され、クランプアームが閉じたとき、コントロールワイヤの近位端方向への移動により該釈放機構が駆動されることにより、シース装置から各接続素子がリリースされてクランプハウジングが釈放される。
【0009】
任意選択で、クランプハウジングとシース装置とは相応の接続素子により互いに直接接続され、前記接続素子がクランプハウジングに固定的に設置され又はクランプハウジングの一部として形成されるとともに、シース装置に外し可能に接続される。このようにして、クランプハウジングとシース装置とは、とても確実且つ安定に接続することができる。また、本出願に係る医療器具は、設計構成が簡単で、製造が容易である。
【0010】
クランプアームが閉じたとき、接続素子を駆動して、クランプベースをシース装置から釈放することができる。具体的に、クランプアームが閉じたときにコントロールワイヤを近位端方向へさらに移動させれば、クランプハウジングがシース装置から釈放されるように構成される。
【0011】
本出願の選択可能な実施形態によれば、シース装置はシースを備え、任意選択で、伸長可能な螺旋シース(coiled sheath)を備え、シースの遠位端に設置される接続管をさらに備える。任意選択で、接続管がシースに接続される方式により、接続管がその縦方向の中心軸線回りにシースに対して回動することができる。このために、接続管をシースに接続/連結するように、接続管の外周面に環状溝が設けられ、係合部材がシースに固定的に設置され、任意選択で、シースに溶接され、係合部材が環状溝に係合される。このような接続関係で、係合部材が環状溝における環状の肩部と係合可能である。
【0012】
任意選択で、少なくとも2つの接続素子が設置され、接続素子がクランプハウジングの外周に沿って規定の角度でずれて位置設定される。任意選択で、2つの接続素子が設置され、この2つの接続素子がそれぞれクランプハウジングの対向する両側に設置される。
【0013】
本出願の選択可能な実施形態として、接続素子は、弾性を有して弾性変形可能な接続アームで構成され、接続素子の遠位端がクランプハウジングに固定的に取り付けられ、接続素子の自由近位端が、クランプハウジングをシース装置に接続するようにシース装置における相応の係合手段と係合する係合部として形成され、釈放機構は突起部を有し、該突起部が接続素子の間に配置されるとともに接続素子と協働し、突起部が接続素子を押圧し、接続素子が外側へ弾性変形して、接続素子の係合部が外側へ押されてシース装置の相応の係合手段と係合することにより、クランプハウジングがシース装置に接続され、そして、突起部がコントロールワイヤに連結され、特に、コントロールワイヤに固定的に設置されることにより、クランプアームが閉じた後、コントロールワイヤが近位端方向へさらに移動すると、突起部がコントロールワイヤと共に接続素子との係合から外され、接続素子がその弾性復元力によって内側へ変形して接続素子の係合部がシース装置の相応の係合手段との係合から外されて、シース装置からクランプハウジングが釈放される。
【0014】
任意選択で、接続素子に凸起セクションが設けられ、特に、該凸起セクションが接続素子の自由端の箇所に設けられ、突起部が、接続素子の凸起セクションの間に配置され、接続素子を外側へ変形させるように凸起セクションと協働し、突起部が凸起セクションとの係合から外されると、接続素子がその弾性復元力によって内側へ変形する。
【0015】
任意選択で、弾性接続素子の係合部は、突起部と接続素子(特に、接続素子の凸起セクション)との係合によりクランプベースに設置される係合手段と主動的に係合する。この係合が解除された場合、コントロールワイヤが近位端方向へ引き戻されて、突起部が接続素子/凸起セクションの間に配置/位置しなくなるため、接続素子がその復元力によって内側へ弾性変形する。つまり、コントロールワイヤの突起部が接続素子又は凸起セクションの範囲外に移動することにより、シース装置とクランプベースとの接続が受動的に解除される。
【0016】
本出願の選択可能な形態として、押入(嵌入)接続によりクランプハウジングがシース装置に接続されて、重なり合った部分が形成され、任意選択で、クランプハウジングの近位端がシース装置の遠位端に挿入され、係合手段がシース装置の内周壁における凹部又は貫通孔で構成され、好ましくは、接続素子の係合部が外向きの指状係合部と形成される。
【0017】
任意選択で、クランプハウジングをシース装置に接続するように、シース装置の係合手段及び対応の孔は、シース装置とクランプハウジングとの重なり合った部分に設けられ、接続素子の係合部がクランプハウジングにおける孔に通されて外側へ押されてシース装置の係合手段に押される。
【0018】
接続素子はストレートセクションを有し、近位端方向に向かって観察する場合、該ストレートセクションがクランプハウジングの縦方向の中心軸線に対して内側へ傾斜し、特に、傾斜角度が3°~15°であり、任意選択で、5°である。
【0019】
本出願の選択可能な実施形態として、接続素子が遠位端セクションでクランプハウジングに固定的に接続され、特に、接続素子の遠位端が、径方向において外側に向かってクランプハウジングに設けられた相応の保持孔内まで延在し、任意選択で、溶接により保持孔に固定される。
【0020】
任意選択で、クランプハウジングは、クランプベースから遠位端方向へ延在する2つの軸受アームを有し、接続素子が軸受アームの自由端セクションで軸受アームに固定的に取り付けられ、特に、2つの軸受アームの間にガイドピンが保持され、接続素子がガイドピンの遠位端側に設置される。
【0021】
本出願の選択可能な実施形態として、クランプアームは枢動ピンを介してコントロールワイヤに連結され、該枢動ピンがコントロールワイヤの遠位端セクションに設置されるとともに、クランプアームの尾端における相応の貫通孔を穿通して延在し、クランプアームの尾端において、貫通孔の近位端側に出口通路が設けられ、クランプアームが閉じた後、該枢動ピンが、該出口通路に通されて貫通孔及びクランプアームから引き出されることができ、コントロールワイヤとクランプアームとを分離させるためのコントロールワイヤの近位端への移動により尾端セクションが断裂することがないように、出口通路の対向する両側においてクランプアームの尾端セクションが離間する。
【0022】
任意選択で、クランプアームがコントロールワイヤに直接連結されるため、J形フックのような形態の別体の連結素子を設置する必要がない。具体的に、コントロールワイヤの遠位端セクションに枢動ピンが設置され、該枢動ピンがクランプアームの近位端セクションに設けられた相応の貫通孔と係合する。
【0023】
貫通孔はクランプアームの近位端に向かって開放する。具体的に、出口通路は、枢動ピンのクランプアームからの意図しない脱出がないとともに、コントロールワイヤに十分な引張力を与えることにより出口通路の対向する両側のクランプアームの尾端セクションが離間して変形するように意図的に枢動ピンを出口通路に通して貫通孔から引き出すことができるように、十分小さく設計されている。
【0024】
出口通路は、例えば、クランプアームの尾端におけるスリットで形成される。
【0025】
本出願の選択可能な実施形態によれば、クランプアームの尾端セクションが離間するとき、弾性変形又は塑性変形する。いずれの状況でも、尾端セクションが断裂することがなく、断裂したアームの一部が勝手に患者の体内に残されることを防ぐことができる。
【0026】
本出願の選択可能な一実施形態では、クランプアームをクランプベースにロックするように、出口通路の対向する両側のクランプアームの尾端セクションが、クランプベースの少なくとも1つの肩部の後方に係合される。任意選択で、クランプアームをクランプベースにロックするように、出口通路の対向する両側のクランプアームの尾端セクションが、クランプベースの前記少なくとも1つの肩部の後方に係合するフックと形成される。
【0027】
肩部は、クランプベースの環状突起部で形成され、特に、環状突起部が中央開口を有するクランプベースの遠位端面を形成し、クランプアームが完全に閉じたとき、クランプアームの尾端が該開口を通過してクランプベース内まで延伸することができる。
【0028】
クランプアームの出口通路の対向する両側の尾端セクションは、塑性変形する場合、枢動ピンをクランプアームとの係合から引き出すときにクランプアームの近位端を後方、即ちクランプベースの肩部の近位端側に位置させ、クランプアームを塑性変形させて肩部の後方に係合させてクランプアームをクランプベースにロックし、したがって、クランプアームがクランプベースから取り外されることができなくなる。このようにして、別体のロック素子が不要になる。
【0029】
本出願の選択可能な実施形態では、コントロールワイヤの遠位端にカップリングヘッドが設置され、カップリングヘッドに枢動ピンが設置される。任意選択で、カップリングヘッドは、遠位端側で開放したU字状保持構造を有し、クランプアームの一部がU字状保持構造の脚部の間に配置され、枢動ピンが、U字状保持構造の脚部の間に保持されるとともに、クランプアームの貫通孔を穿通して延在する。特に、クランプアームがU字状保持構造の開放した側面から側方に外へ延出する。該実施形態において、クランプアームがU字状保持構造に配置されるため、互いに直接接触できる。
【0030】
本出願の選択可能な実施形態では、その目的が最初に言及した医療器具で達成される。その特徴として、クランプ装置は、2つのクランプアームと、ガイドピンとを備え、2つのクランプアームが、互いに別体の素子として構成され、各クランプアームが枢動ピンによって規定された共通の枢動軸線回りに枢動可能にコントロールワイヤの遠位端に連結され、クランプアームのそれぞれにガイド溝が設けられ、クランプアームのガイド溝が部分的に重なり合い、ガイドピンが、クランプハウジングに取り付けられるとともにガイド溝の重なり合った部分でガイド溝を穿通して延在し、ガイドピンとガイド溝との係合により、コントロールワイヤの近位側方向への移動がクランプアームの閉じる移動に変換され、コントロールワイヤの遠位側方向への移動がクランプアームの枢動軸線回りの開放移動に変換される。
【0031】
任意選択で、クランプアームは互いに直接接続しない素子/部品である。逆に、クランプアームは、それぞれ貫通孔と枢動ピンとの係合によりコントロールワイヤに連結される。そして、クランプアームは、ガイドピンとガイド溝との係合によりクランプハウジングに連結されて、コントロールワイヤの軸方向の移動がクランプアームの枢動軸線回りの閉じる移動/開放移動に変換される。選択可能な一実施形態では、ガイドピンは、クランプハウジングにおける、クランプベースから遠位端方向へ延在する2つの軸受アームの間に保持され、特に、軸受アームの自由端セクションに保持される。この場合、ガイドピンの近位端側に接続素子を設置することができる。
【0032】
任意選択で、クランプアームに保持凸部が設けられ、該保持凸部は、ガイド溝の側面からガイド溝内まで延在するとともに、ガイドピンが保持凸部を通過してガイド溝の遠位端に到達することを許容するが、ガイドピンの反対方向への通過を阻止するように構成された。特に、ガイド溝が軸方向に延在するストレートな遠位端セクションを有し、ガイドピンが、クランプアームの更なる回動にならないように該遠位端セクション内を移動可能であり、保持凸部がストレートな端部内まで延在する。特に、保持凸部の遠位端側において、ガイド溝の側面に凹部が形成され、ガイドピンが保持凸部を通過してガイド溝における遠位端位置に到達することを許容するように保持凸部が弾性変形して該凹部に入ることができる。
【0033】
任意選択で、ガイドピンを保持凸部によってガイド溝の遠位端に拘束(制限)することにより、クリップをクランプベースにロックする。このようにして、別体のロック素子が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
以下、図面を参照しながら本開示の実施例を説明する。
【0035】
【
図1】本開示の一実施形態による医療器具の正面図である。
【
図2】
図1における医療器具の遠位端部分の前部を拡大した部分断面図であり、クランプ装置とシース装置とが分離された状態である。
【
図3】クランプアームが完全開放したクランプ装置の部分断面図である。
【
図4】クランプアームが閉じたクランプ装置の部分断面図である。
【
図5】
図4に対応し、クランプアームが完全に閉じられて固定される位置に位置するときのクランプ装置を示すものである。
【
図6】
図5に対応し、クランプアームからコントロールワイヤを分離させる過程を示すものである。
【
図7】クランプベースのシース装置からの釈放を示す医療器具の遠位端部分の部分断面図である。
【
図8】クランプベースのシース装置からの釈放を示す医療器具の遠位端部分の部分断面図である。
【
図9】クランプ装置のクランプアームの正面図である。
【
図10】突起部とカップリングヘッドとを備えたコントロールワイヤの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1~13には、本出願に係る医療器具の実施形態が示されている。該医療器具は、内視鏡によりクリップを目標部位まで送り、消化管に沿って分布する血管の止血のためのクリップをセットすることに用いられる。
【0037】
図1に示すように、医療器具は、ハンドル1と、ハンドル1に取り付けられるシース装置2と、シース装置2の遠位端にセットされるクランプ装置3とを備える。コントロールワイヤ4は、シース装置2を穿通して延在し、シース装置の近位端の箇所でアクチュエータ5に接続され、該アクチュエータがハンドル1にスライド可能に保持されるとともにコントロールワイヤ4を遠位端方向及び近位端方向に可逆的に移動させるように駆動される。
【0038】
図3に示すように、クランプ装置3は、2つのクランプアーム8a、8bと、スリーブとして形成されるクランプベース7を備えるクランプハウジング6とを含み、前記クランプアームのそれぞれがコントロールワイヤ4の遠位端に連結される。具体的に、2つのクランプアーム8a、8bは、枢動ピン9を介してコントロールワイヤ4と連結される別体の素子/部品であり、該枢動ピンが、コントロールワイヤ4の遠位端セクションに設置されるとともに、クランプアーム8a、8bの近位端セクションに設けられた相応の貫通孔10を穿通して延在する。本実施形態において、枢動ピン9はカップリングヘッド10に設置され、該カップリングヘッドがコントロールワイヤ4の遠位端に設置されている。
【0039】
図8に示すように、カップリングヘッド10は、遠位端で開放したU字状又は二股の分岐状の保持構造を有し、クランプアーム8a、8bの一部がU字状保持構造の脚部の間に配置される。枢動ピン9は、U字状保持構造の脚部の間に保持されるとともに、クランプアーム8a、8bの貫通孔10を穿通して延在し、該貫通孔がU字状保持構造の開放した側から側方に外へ延出し、又は側方に突出する。
【0040】
図5~7及び
図11に示すように、2つのクランプアーム8a、8bは、枢動ピン9によって形成された共通の枢動軸線回りに回動可能にして2つのクランプアームの開閉を実現するように、コントロールワイヤ4の遠位端に連結される。クランプアーム8a、8bのそれぞれにガイド溝12が設けられ、クランプアーム8a、8bのガイド溝12が部分的に重なり合う。
【0041】
クランプ装置3は、ガイドピン13をさらに備え、ガイドピンがクランプハウジング6に取り付けられるとともにガイド溝の重なり合った部分でガイド溝12を穿通して延在し、ガイドピン13とガイド溝12との係合により、コントロールワイヤ4の近位端方向への移動がクランプアーム8a、8bの閉じる移動に変換され、コントロールワイヤ4の遠位端方向への移動がクランプアーム8a、8bの枢動軸線回りの開放運動に変換される。本実施形態において、ガイドピン13は2つの軸受アーム14a、14bの間に保持され、この2つの軸受アーム14a、14bが、クランプハウジング6の、クランプベース7の遠位端から直立して延在する二股の分岐状の構造と形成され、クランプアーム8a、8bが軸受アーム14a、14bの間に配置されるるとともにその構造から側方に外へ延出する。
【0042】
図9に示すように、クランプアーム8a、8bの近位端セクションにおける、枢動ピン9のための貫通孔10の後(近位)側が開放する。つまり、クランプアーム8a、8bの尾端において、貫通孔10の近位端に出口通路15が設けられ、クランプアーム8a、8bが閉じた後、枢動ピン9を出口通路に通して貫通孔10から引き出すことができ、開口の対向の両側のクランプアーム8a、8bの尾端セクション16、17が離間し、尾端セクションが断裂することがない。このようにして、コントロールワイヤ4がクランプアーム8a、8bから分離されて、クランプ装置3から分離される。ここで、出口通路15は、クランプアーム8a、8bの尾端におけるスリットで形成されている。
【0043】
クランプアーム8a、8bの尾端セクション16、17は、後に詳細に説明するように、クランプアーム8a、8bをクランプベース7にロックするために、離間するとき、塑性変形して、1つの尾端セクション16がクランプベース7の肩部18の後方に係合するフックとして形成される。肩部18は、クランプベース7の遠位端に設けられるとともにクランプベースの遠位端面を形成する内向きの環状突起部で形成される。
【0044】
図5~7に示すように、シース装置2は、ハンドル1に接続される螺旋のシース19と、螺旋のシース19の遠位端に設置される接続管20とを含み、シース装置2が分離不能なユニットにされる。接続管20のシース19に対する接続方式により、接続管20がシース19に対してその縦方向の中心軸線回りに回動自在である。このために、接続管20をシース19に回動可能に接続するように、接続管20の外周面に環状溝21が設けられ、係合部材22がシース19に固定的に設置され、任意選択で、係合部材22がシース19に溶接され、係合部材が環状溝21に係合される。本実施形態において、係合部材22は保持スリーブに設置される環状部材と形成され、該保持スリーブがシース19に溶接される。上記の環状溝21も1つの別体の環状部材であり、その遠位端側の末端に環状凸部を有し、本出願では肩部とも呼ばれる。相応に、係合部材22の近位端の末端にも凸部が設けられ、上記の2種の凸部の係合関係により、接続管20がシース19に接続された後、その長手方向において固定されて運動できないとともに、その縦方向の中心軸線回りにシース19に対して回動できるように構成される。
【0045】
図7及び
図8に示すように、シース装置2は、クランプハウジング6の対向する両側に位置決めされるとともに弾性接続アームの形態である2つの接続素子23によってクランプハウジング6に接続される。具体的に、接続素子23の遠位端はクランプハウジング6に固定的に取り付けられ、接続素子23の自由近位端が係合部24と形成され、該係合部が接続管20の内周面に設けられた相応の係合手段25と係合することにより、クランプハウジング6がシース装置2に連結される。押入(嵌入)接続によりクランプハウジング6をシース装置2に接続し、クランプハウジング6の近位端がシース装置2の接続管20の遠位端に挿入/延伸する。
図12に示すように、接続管20の重なり合ったセクションにおいて、シース装置2の係合手段25が貫通孔の形態に設けられ、クランプハウジング6に貫通孔に対応する孔26を設けることにより、接続素子23の係合部24が、孔26及びクランプハウジング6に通されて外へシース装置2の係合手段25に圧入されることにより、クランプハウジング6がシース装置2に接続される。
【0046】
図13に示すように、接続素子23は内向きの凸起セクションを有する。また、接続素子23の遠位端は、径方向に外側に向かってクランプハウジング6に設けられた対応の保持孔27内まで延在し、任意選択で、溶接により保持孔に固定される。接続素子23は、接続素子23の遠位端に向かって延在するストレートセクション28をさらに有し、近位端方向に向かって観察する場合、該ストレートセクションが、クランプハウジングの縦方向の中心軸線に対して5°の傾斜角度で内側へ傾斜する。接続素子23のストレートセクション28と係合部24との間において、接続素子23の近位端の箇所に内向きの凸起セクション29が設けられる。
【0047】
図10に示すように、一実施形態において、クランプハウジング6と接続管20との接続を解除するための釈放機構が設置される。該釈放機構は、コントロールワイヤ4上に設置された突起部30を有する。突起部30は、接続素子23の内向きの凸起セクション29と協働するとともに該内向きの凸起セクションの間に位置し、内向きの凸起セクション29を弾性的に外へ押圧することにより、接続素子23が変形して、その自由端が押圧される。コントロールワイヤ4を近位端へ引っ張ることにより突起部30が接続素子23との係合から離脱すると、凸起セクション29がその弾性復元力で内向きに変形して元の形状になり、接続部24が接続管20の係合手段25との係合から外される。
【0048】
使用時に、内視鏡によりクランプ装置3を目標部位まで送り、クランプ装置3を目標部位における所定位置で血管に固定する。血管をしっかりと挟むために、アクチュエータ5によりコントロールワイヤ4を遠位端方向及び近位端方向へ移動させることにより、クランプアーム8a、8bを繰り返して開閉させることができる。
【0049】
クランプ装置3をセットできたら、クランプアーム8a、8bをコントロールワイヤ4から分離させる。このために、
図9に示すように、近位側方向へコントロールワイヤ4を引っ張って、クランプアーム8a、8bを完全に閉じて血管閉鎖位置に固定する。この図面に示すように、ガイド溝12は軸方向に延在するストレートな遠位端セクション12aを有し、ガイドピン13が、クランプアーム8a、8bの更なる回動にならないように該遠位端セクション12a内を移動可能である。ガイドピン13がガイド溝12の遠位端の先端位置に到達すると、クランプアーム8a、8bに設けられた保持凸部31によりガイドピンが該位置に固定/ロックされる。保持凸部31は、ガイド溝の側方からガイド溝12のストレートな遠位端セクション12a内まで延在するとともに、ガイドピン13がこれらの保持凸部31を通過してガイド溝12の遠位端まで到達することを許容するが、ガイドピン13の反対方向への通過を阻止するように構成された。具体的に、保持凸部31は、ガイドピン13が保持凸部31の近位端の側に押圧されるとき、保持凸部がガイド溝12の側面における凹部12bへ弾性変形して、ガイドピン13が保持凸部31を通過してガイド溝12の遠位端位置に到達することが許容され、ガイドピン13が最終位置に到達したとき、保持凸部がその弾性復元力によって元の形状に復元してガイドピン13の後方に係合され、ただし、ガイドピン13が保持凸部31の遠位端の側に押圧されるとき、ガイド溝12を再開放するように保持凸部が変形することができなく、ガイドピン13がガイド溝12の遠位端位置に拘束されるように構成される。したがって、クランプアーム8a、8bがクランプベース7に確実にロックされて、クランプハウジング6にロックされる。
【0050】
コントロールワイヤ4をさらに引き戻す場合、クランプアーム8a、8bの更なる移動が不能になり、そして、この場合、枢動ピン9が貫通孔の後側の出口通路15を通って貫通孔10から引き出される。該過程において、出口通路15の対向する両側に位置するクランプアーム8a、8bの尾端セクション16、17が塑性的に離間して、出口通路15が開放される。
【0051】
クランプハウジング6をシース装置2から分離/釈放するために、近位端方向へコントロールワイヤ4をさらに引き戻し、したがって、カップリングヘッド10の突起部30が接続素子23の内向きの凸起セクション29との係合から解除されて、接続素子23が、その自由端とシース装置2の接続管20の係合手段25との係合が解除されるように元の形状に復元される。
【0052】
クランプアーム8a、8bの閉じる過程において、クランプアーム8a、8bの尾端が環状の肩部18の中央開口を通過してクランプベース7に進入し、クランプアームがクランプベース7の肩部18の後方に係合されて、クランプアーム8a、8bがクランプベース7にロックされる。
【0053】
任意選択で、
図2~9に示すように、本出願の各実施例による医療器具におけるクランプ装置3のクランプアーム7a、7bそれぞれに、少なくとも2つの歯状部材が設けられ、以下、側歯と称する。任意選択で、各側歯と、対応するクランプアーム7a、7bとが一体成形される。ここで、各側歯が歯頂と歯底とを有し、各クランプアームにおける側歯の数が同じである。任意選択で、片側のクランプアーム7aにおける各側歯と、もう片側のクランプアーム7bにおける各側歯とは、位置が対称で、歯の形状が逆になっている。また、例えば、本出願における
図11~20に示すように、クランプアームのそれぞれにおける少なくとも2つの側歯は、それぞれ該当クランプアームの軸線(即ち、長手方向の中心線)に対する両側に対称の位置で配置され、歯の形状が互いに逆になっている。ここで、片側のクランプアーム7aを例にする。図面に示すように、該クランプアームの軸線に対する左側の歯の形状が雄歯であり、右側の歯の形状が雌歯である。したがって、片側のクランプアーム7aをその軸線回りに180度回転させれば、もう片側のクランプアーム7bになることができる。このような設計を採用することにより、本出願によるクランプ装置3のクランプアーム7a、7bについて、1種の金型で両方のクランプアームも作製することができるので、製造プロセスが簡素化されて、製造コストを抑えることができる。各クランプアームに上記の側歯を設けることによれば、該医療器具は、生物組織をより確実につかむことができて、臨床止血や創傷閉鎖に使用する場合、操作がより安全でコントロール性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本出願は、操作、製造及び組立に容易である組織止血又は組織閉鎖用の医療器具を提供する。本開示に係る医療器具によれば、クランプハウジング及びシース装置は相応の接続素子によって互いに直接接続され、接続素子がクランプハウジングに固定的に設置され、又はクランプハウジングの一部として形成され、シース装置に外し可能に接続される。このようにして、クランプハウジングとシース装置とは、確実且つ安定に接続することができて、本出願に係る医療器具は、設計構成が簡単で、製造が容易になる。
【符号の説明】
【0055】
1 ハンドル
2 シース装置
3 クランプ装置
4 コントロールワイヤ
5 アクチュエータ
6 クランプハウジング
7 クランプベース
8a、8b クランプアーム
9 枢動ピン
10 貫通孔
11 カップリングヘッド
12 ガイド溝
12a 遠位端セクション
12b 凹部
13 ガイドピン
14a、14b 軸受アーム
15 出口通路
16、17 尾端セクション
18 肩部
19 シース
20 接続管
21 環状溝
22 係合部材
23 接続素子
24 係合部
25 係合手段
26 孔
27 保持孔
28 ストレートセクション
29 凸起セクション
30 突起部
31 保持凸部
【国際調査報告】