(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-24
(54)【発明の名称】組換えエラスチンおよびその産生
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20220517BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20220517BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20220517BHJP
C07K 14/78 20060101ALI20220517BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220517BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20220517BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20220517BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20220517BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220517BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20220517BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220517BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20220517BHJP
C12N 15/70 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
C12N15/12
C12N15/62 Z ZNA
C07K19/00
C07K14/78
C12N1/21
C12P21/02 C
A61K38/16
A61K8/64
A61Q19/00
A61Q17/04
A61P17/00
A61P17/02
C12N15/70 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560019
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(85)【翻訳文提出日】2021-12-08
(86)【国際出願番号】 US2020027399
(87)【国際公開番号】W WO2020210440
(87)【国際公開日】2020-10-15
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518346812
【氏名又は名称】ジェルター, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ウズノフ, ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】エリアソン, ターニャ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C083
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA20
4B065AA26X
4B065AA93Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA46
4B065CA50
4C083AA111
4C083AA121
4C083AC011
4C083AC071
4C083AC101
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC151
4C083AC171
4C083AC211
4C083AC231
4C083AC421
4C083AC481
4C083AC531
4C083AC791
4C083AC851
4C083AD041
4C083AD091
4C083AD151
4C083AD171
4C083AD411
4C083AD661
4C083BB11
4C083CC02
4C083CC04
4C083DD08
4C083DD14
4C083DD45
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE17
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084CA53
4C084MA63
4C084NA14
4C084ZA891
4C084ZA892
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045EA15
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、天然に存在しない短縮されたエラスチン分子を提供する。天然に存在しない短縮されたエラスチンは、皮膚の硬度、弾性、輝度、水分、触感および/または見た目の質感を改善することができる。天然に存在しない短縮されたエラスチンは、細胞外基質の分解を低下させることができる。一態様では、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの短縮型に対して少なくとも80%配列同一性を有するアミノ酸配列;ならびに必要に応じて、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる、天然に存在しないポリペプチドが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも100アミノ酸を有する)に対して少なくとも80%配列同一性を有するアミノ酸配列;ならびに必要に応じて、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる、天然に存在しないポリペプチド。
【請求項2】
配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも100アミノ酸を有する)に対して少なくとも85%配列同一性を有するアミノ酸配列;ならびに必要に応じて、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる、請求項1に記載の天然に存在しないポリペプチド。
【請求項3】
配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも100アミノ酸を有する)に対して少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列;ならびに必要に応じて、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる、請求項1または2に記載の天然に存在しないポリペプチド。
【請求項4】
配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも100アミノ酸を有する)に対して少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸配列;ならびに必要に応じて、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の天然に存在しないポリペプチド。
【請求項5】
配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも100アミノ酸を有する)に対して少なくとも98%配列同一性を有するアミノ酸配列;ならびに必要に応じて、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の天然に存在しないポリペプチド。
【請求項6】
配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも100アミノ酸を有する);ならびに、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の天然に存在しないポリペプチド。
【請求項7】
配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列;ならびに分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の天然に存在しないポリペプチド。
【請求項8】
配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの短縮型からなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の天然に存在しないポリペプチド。
【請求項9】
配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の天然に存在しないポリペプチド。
【請求項10】
前記分泌タグが、DsbAである、請求項1~7のいずれか一項に記載の天然に存在しないポリペプチド。
【請求項11】
組換えポリペプチドである、請求項1~10のいずれか一項に記載の天然に存在しないポリペプチド。
【請求項12】
0.001%~30%w/wの間の請求項1~11のいずれか一項に記載の天然に存在しないポリペプチドを含む組成物。
【請求項13】
0.001%~1%w/wの間の前記天然に存在しないポリペプチド、0.001%~0.05%w/wの間の前記天然に存在しないポリペプチド、0.001%~0.03%w/wの間の前記天然に存在しないポリペプチド、0.001%~0.02%w/wの間の前記天然に存在しないポリペプチド、0.001%~0.01%w/wの間の前記天然に存在しないポリペプチド、0.005%~0.1%w/wの間の前記天然に存在しないポリペプチド、0.005%~0.03%w/wの間の前記天然に存在しないポリペプチド、0.005%~0.02%w/wの間の前記天然に存在しないポリペプチドまたは0.005%~0.01%w/wの間の前記天然に存在しないポリペプチドを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
線維芽細胞の成長を刺激すること、トロポエラスチンの合成を刺激すること、チミン-チミン(TT)二量体形成の形成を減少させること、またはこれらのいずれかの組合せが可能な、請求項12または13に記載の組成物。
【請求項15】
局所的塗布のために製剤化されている、請求項12~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
局所的担体および保存料のうち1種または複数を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記局所的担体が、水、油グリセレス-8エステル、グリセリン、ココナツアルカン、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、ペンチレングリコール、二ナトリウムEDTA、カプリリルグリコール、クロルフェネシン、フェノキシエタノール、リポソーム、生分解性マイクロカプセル、ローション、スプレー、エアロゾル、散布剤、生分解性ポリマー、鉱物油、トリグリセリド油、シリコーン油、グリセリン、グリセリンモノステアレート、アルコール、乳化剤、石油、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ワックス、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、シクロメチコンおよびシクロペンタシロキサンからなる群から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記保存料が、トコフェロール、ジヨードメチル-p-トリルスルホン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、シス異性体1-(3-クロロアリル)-3,5,7-トリアザ-1-アゾニアアダマンタンクロライド、グルタルアルデヒド、4,4-ジメチルオキサゾリジン、7-エチルビシクロオキサゾリジン、メチルパラベン、ソルビン酸、ゲルマベンII、ローズマリー抽出物およびEDTAからなる群から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
化粧品である、請求項12~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
対象の皮膚を処置する方法であって、請求項12~19のいずれか一項に記載の組成物を対象の皮膚に投与し、これにより、前記対象の皮膚を処置するステップを含む方法。
【請求項21】
前記処置するステップが、皮膚損傷を減少させること、損傷した皮膚の修復を促進すること、UV損傷から皮膚を保護すること、皮膚細胞の生存率を増加させること、都市粉塵曝露の効果からの皮膚細胞の保護、またはこれらのいずれかの組合せを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記対象の皮膚に存在する線維芽細胞、ケラチノサイト細胞またはその両方の生存率が増加する、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記対象の皮膚に存在する線維芽細胞によるプロコラーゲンの合成が増加する、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記対象の皮膚に存在するケラチノサイトによる1種または複数の抗酸化剤遺伝子の発現が増加する、請求項20~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記1種または複数の抗酸化剤遺伝子が、SOD2、GPX2、GPX4、GSTK1、GSTZ1、GSTA4、GSTM2、CCS、GPX1、GLRX、PRDX5、PRDX6およびPRDX2からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記対象の皮膚に存在するケラチノサイトによる1種または複数のアポトーシス促進性遺伝子の発現が減少する、請求項20~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記1種または複数のアポトーシス促進性遺伝子が、APAF1、BAK1、CASP7、CASP8、FADD、MCL1およびMETからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記対象の皮膚に存在するケラチノサイトによる炎症性サイトカインの産生が減少する、請求項20~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記炎症性サイトカインが、IL-1αである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記対象の皮膚に存在するケラチノサイトの生存率が増加する、請求項20~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
請求項1~11のいずれか一項に記載の天然に存在しないポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項32】
ベクター内に含有される、請求項31に記載のポリヌクレオチド。
【請求項33】
配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号16および配列番号18からなる群から選択される核酸配列に対して少なくとも80%配列同一性を含む核酸配列を含む、請求項31または32に記載のポリヌクレオチド。
【請求項34】
配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号16および配列番号18からなる群から選択される核酸配列に対して少なくとも85%配列同一性を含む核酸配列を含む、請求項31~33のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項35】
配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号16および配列番号18からなる群から選択される核酸配列に対して少なくとも90%配列同一性を含む核酸配列を含む、請求項31~34のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項36】
配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号16および配列番号18からなる群から選択される核酸配列に対して少なくとも95%配列同一性を含む核酸配列を含む、請求項31~35のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項37】
配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号16および配列番号18からなる群から選択される核酸配列に対して少なくとも98%配列同一性を含む核酸配列を含む、請求項31~36のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項38】
配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号16および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含む、請求項31~37のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項39】
分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位のうち1種または複数をコードする核酸配列をさらに含む、請求項31~38のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項40】
前記核酸配列が、宿主細胞における発現のためにコドン最適化されている、請求項31~39のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項41】
請求項1~11のいずれか一項に記載の天然に存在しないポリペプチドをコードする少なくとも1コピーの異種核酸配列を含む組換え細胞。
【請求項42】
微生物細胞である、請求項41に記載の組換え細胞。
【請求項43】
前記微生物細胞が、細菌細胞である、請求項42に記載の組換え細胞。
【請求項44】
前記細菌細胞が、Escherichia coli種のものである、請求項43に記載の組換え細胞。
【請求項45】
前記異種核酸配列が、配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号16および配列番号18からなる群から選択される核酸配列に対して少なくとも95%配列同一性を含む核酸配列を有する、請求項41~44のいずれか一項に記載の組換え細胞。
【請求項46】
前記異種核酸配列が、配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号16および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含む、請求項41~45のいずれか一項に記載の組換え細胞。
【請求項47】
前記異種核酸配列が、細胞における発現のためにコドン最適化されている、請求項41~46のいずれか一項に記載の組換え細胞。
【請求項48】
前記天然に存在しないポリペプチドを細胞外に分泌することができる、請求項41~47のいずれか一項に記載の組換え細胞。
【請求項49】
請求項41~48のいずれか一項に記載の組換え細胞と、請求項1~11のいずれか一項に記載の天然に存在しないポリペプチドを含む培養培地とを含む組成物。
【請求項50】
天然に存在しないポリペプチドを産生する方法であって、
a)請求項41~48のいずれか一項に記載の組換え細胞を培養培地においてインキュベートするステップであって、前記組換え細胞が、組換えポリペプチドを前記培養培地中に分泌する、ステップと、
b)分泌された前記組換えポリペプチドを含む前記培養培地を収集するステップと、
c)前記培養培地から前記組換えポリペプチドを精製するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2019年4月12日に出願された米国仮出願第62/833,415号、および2019年8月20日に出願された同第62/889,397号の利益を主張するものであり、これらの出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
エラスチンは、動脈、肺、腱、靱帯、皮膚および他の組織の適切な機能にとって非常に重要な弾性タンパク質である。エラスチンは、組織に、伸展し、かつその本来の形状に戻る能力を与える。タンパク質トロポエラスチンは、エラスチンの基本単位である。遺伝子のファミリーを含むコラーゲン等の他の構造タンパク質とは対照的に、ヒトには1種のトロポエラスチン遺伝子が存在する。トロポエラスチンをコードする遺伝子が発現されると、単一のトロポエラスチン遺伝子がスプライスされて、異なる形態のトロポエラスチンタンパク質を産生する。多くのトロポエラスチン分子が互いに会合して、エラスチンを形成する。
【0003】
天然エラスチンの構造は、グリシンおよびプロリンに富むアミノ酸配列を有するコラーゲンと同様である。個々のポリペプチド鎖は、可撓性をもたらすアラニンのストリングが散りばめられた、GLY-X-Yと命名される反復トリプレットアミノ酸配列で構成される。XおよびYは、いかなるアミノ酸であってもよく、第1のアミノ酸はグリシンである。アミノ酸プロリンおよびヒドロキシプロリンは、エラスチンにおいて高濃度で見出される。エラスチンは通常、リジルオキシダーゼ酵素の作用によって、他のエラスチンペプチドに共有結合により架橋される。エラスチンペプチドの大規模架橋のため、動物組織からエラスチンを抽出することは困難である。
【0004】
エラスチンのある特定のドメインは、細胞内情報交換のためのシグナル伝達ドメインとして作用することができる。加えて、ある特定のエラスチンドメインは、ポリペプチドおよび他の生物学的分子のための結合ドメインとして機能することができる。エラスチンの分解産物は、ファゴサイトーシス等の細胞プロセスを活性化することが実証された。これらの細胞相互作用ドメインは、エラスチンの特徴である可撓性で伸縮性のある構造を産生するアラニンのストレッチが散りばめられている(interspaced)。アラニンのストレッチは、リシンにも富み、リシンは、組織において、リジルオキシダーゼによってアリシンへと変換され、互いに架橋されて漁網様の構造となり、動物組織からのエラスチンの抽出を非常に困難なものにし、この構造は、放出のためにエラスチン分子の崩壊を要求する。このような困難な抽出プロセスのため、市販のエラスチンは、3~5kDaのサイズしかない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
ヒト天然エラスチンにおいて、分子の2個のセクションが存在し、セクションのそれぞれが、VGVAPGの3個の連続する反復、すなわち、VGVAPGVGVAPGVGVAPGを含有する。アミノ酸配列VGVAPGは、細胞外基質分解を促進することが報告された。
【0006】
一態様では、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140または150アミノ酸を有するポリペプチド)に対して少なくとも80%配列同一性を有するアミノ酸配列;ならびに必要に応じて、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる、天然に存在しないポリペプチドが提供される。一部の場合には、天然に存在しないポリペプチドは、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140または150アミノ酸を有するポリペプチド)に対して少なくとも85%配列同一性を有するアミノ酸配列;ならびに必要に応じて、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる。一部の場合には、天然に存在しないポリペプチドは、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140または150アミノ酸を有するポリペプチド)に対して少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列;ならびに必要に応じて、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる。一部の場合には、天然に存在しないポリペプチドは、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140または150アミノ酸を有するポリペプチド)に対して少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸配列;ならびに必要に応じて、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる。一部の場合には、天然に存在しないポリペプチドは、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140または150アミノ酸を有するポリペプチド)に対して少なくとも98%配列同一性を有するアミノ酸配列;ならびに必要に応じて、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる。一部の場合には、天然に存在しないポリペプチドは、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140または150アミノ酸を有するポリペプチド);ならびに、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる。一部の場合には、天然に存在しないポリペプチドは、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列;ならびに分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる。一部の場合には、天然に存在しないポリペプチドは、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140または150アミノ酸を有するポリペプチド)からなる。一部の場合には、天然に存在しないポリペプチドは、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。一部の場合には、分泌タグは、DsbAである。一部の場合には、天然に存在しないポリペプチドは、組換えポリペプチドである。
【0007】
別の態様では、0.001%~30%w/wの間の前述のいずれか1つの天然に存在しないポリペプチドを含む組成物が提供される。一部の場合には、組成物は、0.001%~1%w/wの間の天然に存在しないポリペプチド、0.001%~0.05%w/wの間の天然に存在しないポリペプチド、0.001%~0.03%w/wの間の天然に存在しないポリペプチド、0.001%~0.02%w/wの間の天然に存在しないポリペプチド、0.001%~0.01%w/wの間の天然に存在しないポリペプチド、0.005%~0.1%w/wの間の天然に存在しないポリペプチド、0.005%~0.03%w/wの間の天然に存在しないポリペプチド、0.005%~0.02%w/wの間の天然に存在しないポリペプチドまたは0.005%~0.01%w/wの間の天然に存在しないポリペプチドを含む。一部の場合には、組成物は、線維芽細胞の成長を刺激すること、トロポエラスチンの合成を刺激すること、チミン-チミン(TT)二量体形成の形成を減少させること、またはこれらのいずれかの組合せが可能である。一部の場合には、組成物は、局所的塗布のために製剤化されている。一部の場合には、組成物は、局所的担体および保存料のうち1種または複数を含む。一部の場合には、局所的担体は、水、油グリセレス-8エステル、グリセリン、ココナツアルカン、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、ペンチレングリコール、二ナトリウムEDTA、カプリリルグリコール、クロルフェネシン、フェノキシエタノール、リポソーム、生分解性マイクロカプセル、ローション、スプレー、エアロゾル、散布剤、生分解性ポリマー、鉱物油、トリグリセリド油、シリコーン油、グリセリン、グリセリンモノステアレート、アルコール、乳化剤、石油、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ワックス、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、シクロメチコンおよびシクロペンタシロキサンからなる群から選択される。一部の場合には、保存料は、トコフェロール、ジヨードメチル-p-トリルスルホン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、シス異性体1-(3-クロロアリル)-3,5,7-トリアザ-1-アゾニアアダマンタンクロライド、グルタルアルデヒド、4,4-ジメチルオキサゾリジン、7-エチルビシクロオキサゾリジン、メチルパラベン、ソルビン酸、ゲルマベンII、ローズマリー抽出物およびEDTAからなる群から選択される。一部の場合には、組成物は、化粧品である。
【0008】
別の態様では、対象の皮膚を処置する方法が提供され、前述の組成物を対象の皮膚に投与し、これにより、対象の皮膚を処置するステップを含む。一部の場合には、処置するステップは、皮膚損傷を減少させること、損傷した皮膚の修復を促進すること、UV損傷から皮膚を保護すること、皮膚細胞の生存率を増加させること、都市粉塵曝露の効果からの皮膚細胞の保護、またはこれらのいずれかの組合せを含む。一部の場合には、対象の皮膚に存在する線維芽細胞、ケラチノサイト細胞またはその両方の生存率が増加する。一部の場合には、対象の皮膚に存在する線維芽細胞によるプロコラーゲンの合成が増加する。一部の場合には、対象の皮膚に存在するケラチノサイトによる1種または複数の抗酸化剤遺伝子の発現が増加する。一部の場合には、1種または複数の抗酸化剤遺伝子は、SOD2、GPX2、GPX4、GSTK1、GSTZ1、GSTA4、GSTM2、CCS、GPX1、GLRX、PRDX5、PRDX6およびPRDX2からなる群から選択される。一部の場合には、対象の皮膚に存在するケラチノサイトによる1種または複数のアポトーシス促進性遺伝子の発現が減少する。一部の場合には、1種または複数のアポトーシス促進性遺伝子は、APAF1、BAK1、CASP7、CASP8、FADD、MCL1およびMETからなる群から選択される。一部の場合には、対象の皮膚に存在するケラチノサイトによる炎症性サイトカインの産生が減少する。一部の場合には、炎症性サイトカインは、IL-1αである。一部の場合には、対象の皮膚に存在するケラチノサイトの生存率が増加する。
【0009】
なお別の態様では、前述の天然に存在しないポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが提供される。一部の場合には、ポリヌクレオチドは、ベクター内に含有される。一部の場合には、ポリヌクレオチドは、配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号16および配列番号18からなる群から選択される核酸配列に対して少なくとも80%配列同一性を含む核酸配列を含む。一部の場合には、ポリヌクレオチドは、配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号16および配列番号18からなる群から選択される核酸配列に対して少なくとも85%配列同一性を含む核酸配列を含む。一部の場合には、ポリヌクレオチドは、配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号16および配列番号18からなる群から選択される核酸配列に対して少なくとも90%配列同一性を含む核酸配列を含む。一部の場合には、ポリヌクレオチドは、配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号16および配列番号18からなる群から選択される核酸配列に対して少なくとも95%配列同一性を含む核酸配列を含む。一部の場合には、ポリヌクレオチドは、配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号16および配列番号18からなる群から選択される核酸配列に対して少なくとも98%配列同一性を含む核酸配列を含む。一部の場合には、ポリヌクレオチドは、配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号16および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含む。一部の場合には、ポリヌクレオチドは、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位のうち1種または複数をコードする核酸配列をさらに含む。一部の場合には、核酸配列は、宿主細胞における発現のためにコドン最適化されている。
【0010】
なお別の態様では、前述の天然に存在しないポリペプチドをコードする少なくとも1コピーの異種核酸配列を含む組換え細胞が提供される。一部の場合には、組換え細胞は、微生物細胞である。一部の場合には、微生物細胞は、細菌細胞である。一部の場合には、細菌細胞は、Escherichia coli種のものである。一部の場合には、異種核酸配列は、配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号16および配列番号18からなる群から選択される核酸配列に対して少なくとも95%配列同一性を含む核酸配列を有する。一部の場合には、異種核酸配列は、配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号16および配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含む。一部の場合には、異種核酸配列は、細胞における発現のためにコドン最適化されている。一部の場合には、組換え細胞は、天然に存在しないポリペプチドを細胞外に分泌することができる。
【0011】
なお別の態様では、前述の組換え細胞と、前述の天然に存在しないポリペプチドを含む培養培地とを含む組成物が提供される。
【0012】
なお別の態様では、天然に存在しないポリペプチドを産生する方法が提供され、a)前述の組換え細胞を培養培地においてインキュベートするステップであって、組換え細胞が、組換えポリペプチドを培養培地中に分泌する、ステップと、b)分泌された組換えポリペプチドを含む培養培地を収集するステップと、c)培養培地から組換えポリペプチドを精製するステップとを含む方法。
【0013】
一態様では、配列番号19に従うアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140または150アミノ酸を有するポリペプチド)に対して少なくとも80%配列同一性を有するアミノ酸配列;ならびに必要に応じて、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる、天然に存在しないポリペプチドが提供される。一部の場合には、天然に存在しないポリペプチドは、配列番号19に従うアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140または150アミノ酸を有するポリペプチド)に対して少なくとも85%配列同一性を有するアミノ酸配列;ならびに必要に応じて、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる。一部の場合には、天然に存在しないポリペプチドは、配列番号19に従うアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140または150アミノ酸を有するポリペプチド)に対して少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列;ならびに必要に応じて、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる。一部の場合には、天然に存在しないポリペプチドは、配列番号19に従うアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140または150アミノ酸を有するポリペプチド)に対して少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸配列;ならびに必要に応じて、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる。一部の場合には、天然に存在しないポリペプチドは、配列番号19に従うアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140または150アミノ酸を有するポリペプチド)に対して少なくとも98%配列同一性を有するアミノ酸配列;ならびに必要に応じて、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる。一部の場合には、天然に存在しないポリペプチドは、配列番号19に従うアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140または150アミノ酸を有するポリペプチド);ならびに、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質およびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数からなる。一部の場合には、天然に存在しないポリペプチドは、配列番号19に従うアミノ酸配列またはそれらの短縮型(例えば、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140または150アミノ酸を有するポリペプチド)からなる。一部の場合には、天然に存在しないポリペプチドは、配列番号19に従うアミノ酸配列からなる。一部の場合には、分泌タグは、DsbAである。一部の場合には、天然に存在しないポリペプチドは、組換えポリペプチドである。別の態様では、0.001%~30%w/wの間の天然に存在しないポリペプチドを含む組成物が提供される。一部の場合には、組成物は、0.001%~1%w/wの間の天然に存在しないポリペプチド、0.001%~0.05%w/wの間の天然に存在しないポリペプチド、0.001%~0.03%w/wの間の天然に存在しないポリペプチド、0.001%~0.02%w/wの間の天然に存在しないポリペプチド、0.001%~0.01%w/wの間の天然に存在しないポリペプチド、0.005%~0.1%w/wの間の天然に存在しないポリペプチド、0.005%~0.03%w/wの間の天然に存在しないポリペプチド、0.005%~0.02%w/wの間の天然に存在しないポリペプチドまたは0.005%~0.01%w/wの間の天然に存在しないポリペプチドを含む。一部の場合では、組成物は、線維芽細胞の成長を刺激すること、線維芽細胞またはケラチノサイト細胞の生存率を増加させること、トロポエラスチンの合成を刺激すること、プロコラーゲンの合成を刺激すること、1種または複数の抗酸化剤遺伝子の発現を刺激すること、1種または複数のアポトーシス促進性遺伝子の発現を低下させること、1種または複数の炎症性サイトカインの産生を減少させること、およびチミン-チミン(TT)二量体形成の形成を減少させることからなる群から選択される1種または複数が可能である。一部の場合には、組成物は、局所的塗布のために製剤化されている。一部の場合には、組成物は、局所的担体および保存料のうち1種または複数を含む。一部の場合には、局所的担体は、水、油グリセレス-8エステル、グリセリン、ココナツアルカン、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、ペンチレングリコール、二ナトリウムEDTA、カプリリルグリコール、クロルフェネシン、フェノキシエタノール、リポソーム、生分解性マイクロカプセル、ローション、スプレー、エアロゾル、散布剤、生分解性ポリマー、鉱物油、トリグリセリド油、シリコーン油、グリセリン、グリセリンモノステアレート、アルコール、乳化剤、石油、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ワックス、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、シクロメチコンおよびシクロペンタシロキサンからなる群から選択される。一部の場合には、保存料は、トコフェロール、ジヨードメチル-p-トリルスルホン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、シス異性体1-(3-クロロアリル)-3,5,7-トリアザ-1-アゾニアアダマンタンクロライド、グルタルアルデヒド、4,4-ジメチルオキサゾリジン、7-エチルビシクロオキサゾリジン、メチルパラベン、ソルビン酸、ゲルマベンII、ローズマリー抽出物およびEDTAからなる群から選択される。一部の場合には、組成物は、化粧品である。別の態様では、天然に存在しないポリペプチドをコードする少なくとも1コピーの異種核酸配列を含む組換え細胞が提供される。一部の場合では、組換え細胞は、Escherichia coli種のものである。
【0014】
ある特定の実施形態では、様々なポリペプチド、斯かるポリペプチドを含む組成物、ならびに斯かるポリペプチドおよび/またはその組成物を使用する方法が本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、斯かるポリペプチドは、本明細書に記載されている天然に存在するエラスチン等の天然に存在するエラスチン(例えば、全長エラスチン)と比べて短縮されている1種または複数のアミノ酸配列を含む等、天然に存在しないおよび/または組換えポリペプチドを含む。ある特定の例では、斯かるポリペプチドは、「短縮されたエラスチン」として本明細書に記載されている。特異的な実施形態では、ポリペプチドは、天然に存在するヒトエラスチンの1種または複数の(例えば、2種またはそれよりも多い)短縮されたアミノ酸配列を含む。
【0015】
一態様では、天然に存在しない全長または天然に存在しない短縮されたヒトエラスチン分子が提供される。一実施形態では、短縮されたヒトエラスチン分子は、宿主細胞によって産生される。天然に存在しないエラスチンは、ヒトエラスチンであり得る。ある実施形態では、天然に存在しないエラスチンは、全長または短縮されたエラスチン(例えば、天然に存在するおよび/または全長エラスチンと比べて)であり得る。
【0016】
一実施形態では、天然に存在しないポリペプチド(例えば、短縮されたヒトエラスチン)であって、天然に存在しないポリペプチドが、1個または複数の連続するアミノ酸配列を含まず、1個または複数の連続するアミノ酸配列のそれぞれが、VGVAPG(配列番号1)の配列を有する、天然に存在しないポリペプチドが提供される。別の実施形態では、天然に存在しないポリペプチド(例えば、短縮されたヒトエラスチン)は、2個またはそれよりも多くの連続するアミノ酸配列VGVAPGを含まない。例えば、ある実施形態では、天然に存在しないポリペプチド(例えば、短縮されたヒトエラスチン)は、アミノ酸配列VGVAPGVGVAPG(配列番号2)を含まない、または天然に存在しないポリペプチド(例えば、短縮されたヒトエラスチン)は、アミノ酸配列VGVAPGVGVAPGVGVAPG(配列番号3)を含まない。一部の場合では、本明細書に記載されている天然に存在しないポリペプチド(例えば、短縮されたヒトエラスチン)は、細胞外基質分解を低下させる、または細胞外基質分解を促進しないもしくは引き起こさない。
【0017】
様々な態様では、本明細書に開示されている天然に存在しないポリペプチド(例えば、短縮されたヒトエラスチン)は、1kDa~60kDaの間、5kDa~55kDaの間、5kDa~50kDaの間、5kDa~45kDaの間、5kDa~40kDaの間、5kDa~35kDaの間、5kDa~30kDaの間、5kDa~25kDaの間、5kDa~20kDaの間、5kDa~15kDaの間、5kDa~10kDaの間、10kDa~40kDaの間、10kDa~35kDaの間、10kDa~30kDaの間、10kDa~25kDaの間または10kDa~20kDaの間の分子量を有することができる。
【0018】
さらに別の実施形態では、天然に存在しないポリペプチド(例えば、短縮されたヒトエラスチン)であって、天然に存在するおよび/もしくは全長ヒトエラスチンと比べてC末端において、天然に存在するおよび/もしくは全長ヒトエラスチンと比べてN末端において短縮された、天然に存在するおよび/もしくは全長ヒトエラスチンと比べて内部で短縮された、または天然に存在するおよび/もしくは全長ヒトエラスチンと比べてC末端およびN末端の両方において短縮された、天然に存在しないポリペプチドが提供される。一部の場合では、本明細書に記載されている天然に存在しないポリペプチドは、配列番号20と比べて短縮(例えば、N末端における、C末端における、および/または内部短縮)を含む。
【0019】
本明細書に記載されている天然に存在しないポリペプチド(例えば、短縮されたヒトエラスチン)は、10~700アミノ酸の間の長さ、10~600アミノ酸の間の長さ、10~500アミノ酸の間の長さ、10~400アミノ酸の間の長さ、10~300アミノ酸の間の長さ、10~200アミノ酸の間の長さ、10~100アミノ酸の間の長さ、10~50アミノ酸の間の長さ、50~800アミノ酸の間の長さ、50~700アミノ酸の間の長さ、50~600アミノ酸の間の長さ、50~500アミノ酸の間の長さ、50~400アミノ酸の間の長さ、50~300アミノ酸の間の長さ、50~200アミノ酸の間の長さまたは50~100アミノ酸の間の長さであり得る。別の実施形態では、本明細書に記載されている天然に存在しないポリペプチド(例えば、短縮されたヒトエラスチン)は、全長ヒトトロポエラスチンまたは全長ヒトエラスチンよりも、少なくとも1、5、10、20、50、100個またはそれよりも多いアミノ酸だけ短い分子であり得る。
【0020】
特異的な実施形態では、本明細書における天然に存在しないポリペプチドは、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19およびそれらのホモログ(例えば、それらに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%配列同一性を有する)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。より特異的な実施形態では、本明細書における天然に存在しないポリペプチドは、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19およびそれらのホモログ(例えば、それらに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%配列同一性を有する)からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0021】
別の態様では、本明細書に記載されている天然に存在しないポリペプチドは、分泌タグ、ヒスチジンタグ、緑色蛍光タンパク質タグおよびプロテアーゼ切断部位からなる群から選択される1種または複数のアミノ酸配列をさらに含む。一態様では、分泌タグは、DsbA、PelB、OmpA、TolB、MalE、lpp、TorA、Hy1A、DegP、または第2の分泌タグの部分に融合されたある1つの分泌タグの部分を含むハイブリッド分泌タグである。特異的な実施形態では、分泌タグは、DsbAである。
【0022】
ある特定の実施形態では、組成物が本明細書に提供される。一部の実施形態では、斯かる組成物は、本明細書に記載されているいずれかのポリペプチド(例えば、短縮されたおよび/または天然に存在しないエラスチン)を含む。一態様では、0.001%w/w~30%w/wの間等のいずれか適した量の、本明細書に提供されるいずれかのポリペプチド(例えば、短縮されたおよび/または天然に存在しないエラスチン)を含む組成物が本明細書に提供される。一部の場合では、組成物は、0.001%w/w~1%w/wの間、0.001%w/w~0.05%w/wの間、0.001%w/w~0.03%w/wの間、0.001%w/w~0.02%w/wの間、0.001%w/w~0.01%w/wの間、0.005%w/w~0.1%w/wの間、0.005%w/w~0.03%w/wの間、0.005%w/w~0.02%w/wの間または0.005%w/w~0.01%w/wの間の、本明細書に提供されるいずれかのポリペプチド(例えば、短縮されたおよび/または天然に存在しないエラスチン)を含む。
【0023】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、局所的投与または使用のために製剤化されたおよび/またはこれに適した組成物等、局所的組成物である。本明細書に提供される局所的組成物は、本明細書に記載されているいずれかのポリペプチド(例えば、短縮されたおよび/または天然に存在しないエラスチン、例えば、いずれか適した量の)および少なくとも1種の追加的な成分を含むことができる。一態様では、対象の皮膚に利益(例えば、本明細書に記載されている)をもたらす等の方法であって、局所的組成物を対象の皮膚に局所的に投与するステップを含む方法が本明細書に提供される。特異的な実施形態では、局所的組成物は、皮膚損傷を減少させる、損傷した皮膚の修復を促進する、皮膚細胞によるコラーゲンの産生を刺激する、皮膚の健康および加湿を改善する、皮膚の外観を改善するための方法において使用することができる。ある特定の実施形態では、局所的組成物は、皮膚におけるエラスチン産生を増加させる、促進する、刺激するまたは他の仕方で増加させるための方法において使用することができる。ある特定の実施形態では、局所的組成物は、線維芽細胞の成長を刺激する、および/またはトロポエラスチンの合成を刺激する、および/または細胞におけるチミン-チミン(TT)二量体形成の形成を減少させるための方法において使用することができる。局所的組成物は、局所的担体または保存料を含む少なくとも1種の追加的な成分をさらに含むことができる。
【0024】
ある実施形態では、局所的組成物は、水、油グリセレス-8エステル、グリセリン、ココナツアルカン、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、ペンチレングリコール、二ナトリウムEDTA、カプリリルグリコール、クロルフェネシン、フェノキシエタノール、リポソーム、生分解性マイクロカプセル、ローション、スプレー、エアロゾル、散布剤、生分解性ポリマー、鉱物油、トリグリセリド油、シリコーン油、グリセリン、グリセリンモノステアレート、アルコール、乳化剤、石油、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ワックス、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、シクロメチコンおよびシクロペンタシロキサンからなる群から選択される1つまたは複数の局所的担体を含む。
【0025】
ある実施形態では、局所的組成物は、トコフェロール、ジヨードメチル-p-トリルスルホン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、シス異性体1-(3-クロロアリル)-3,5,7-トリアザ-1-アゾニアアダマンタンクロライド、グルタルアルデヒド、4,4-ジメチルオキサゾリジン、7-エチルビシクロオキサゾリジン、メチルパラベン、ソルビン酸、ゲルマベンII、ローズマリー抽出物およびEDTAからなる群から選択される1つまたは複数の保存料を含む。
【0026】
一部の実施形態では、皮膚損傷を減少させる、および/または損傷した皮膚の修復を促進するための方法が提供される。本方法は、本明細書に記載されているいずれかの天然に存在しないポリペプチド(例えば、短縮されたおよび/または天然に存在しないヒトエラスチン)を含む組成物(例えば、局所的組成物)を対象の皮膚に適用するステップを含むことができる。一部の場合では、本方法は、対象の皮膚の線維芽細胞またはケラチノサイトの生存率を増加させる。一部の場合では、組成物(例えば、局所的組成物)の適用は、対象の皮膚の線維芽細胞によるトロポエラスチンの合成を増加させる。一部の場合では、組成物(例えば、局所的組成物)の局所的塗布は、UV損傷から皮膚またはケラチノサイトを保護する。一部の場合では、対象の皮膚への組成物(例えば、局所的組成物)の適用は、チミン-チミン(TT)二量体形成を減少させる。
【0027】
別の態様では、天然に存在しないポリペプチド(例えば、短縮されたヒトエラスチン)は、組換えポリペプチド(例えば、宿主細胞によって、例えば、組換え発現により産生された)である。組換えポリペプチドは、組換えヒトエラスチン(例えば、天然に存在しないおよび/または短縮されたヒトエラスチン)であり得る。ある実施形態では、組換えエラスチンは、全長または短縮されたエラスチンである。一実施形態では、組換えポリペプチド(例えば、短縮されたヒトエラスチン)は、天然および/もしくは全長エラスチンと比べてC末端において、天然および/もしくは全長エラスチンと比べてN末端において短縮されている、天然および/もしくは全長エラスチンと比べて内部で短縮されている、または天然および/もしくは全長エラスチンのC末端およびN末端の両方において短縮されている。
【0028】
一部の態様では、本明細書に記載されている組換えポリペプチド(例えば、天然に存在しないおよび/または短縮されたヒトエラスチン)は、10~700アミノ酸の間の長さ、10~600アミノ酸の間の長さ、10~500アミノ酸の間の長さ、10~400アミノ酸の間の長さ、10~300アミノ酸の間の長さ、10~200アミノ酸の間の長さ、10~100アミノ酸の間の長さ、10~50アミノ酸の間の長さ、50~800アミノ酸の間の長さ、50~700アミノ酸の間の長さ、50~600アミノ酸の間の長さ、50~500アミノ酸の間の長さ、50~400アミノ酸の間の長さ、50~300アミノ酸の間の長さ、50~200アミノ酸の間の長さまたは50~100アミノ酸の間の長さであり得る。
【0029】
別の実施形態では、本明細書に記載されている組換えポリペプチド(例えば、天然に存在しないおよび/または短縮されたヒトエラスチン)は、1kDa~60kDaの間、5kDa~55kDaの間、5kDa~50kDaの間、5kDa~45kDaの間、5kDa~40kDaの間、5kDa~35kDaの間、5kDa~30kDaの間、5kDa~25kDaの間、5kDa~20kDaの間、5kDa~15kDaの間、5kDa~10kDaの間、10kDa~40kDaの間、10kDa~35kDaの間、10kDa~30kDaの間、10kDa~25kDaの間または10kDa~20kDaの間の分子量を有することができる。
【0030】
様々な態様では、組換え宿主細胞は、本明細書に記載されている組換えポリペプチド(例えば、天然に存在しないおよび/または短縮されたエラスチン)をコードする少なくとも1コピーの異種核酸配列を含むことができる。一部の場合では、組換えポリペプチド(例えば、天然に存在しないおよび/または短縮されたヒトエラスチン)をコードする核酸配列は、配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、およびそれらのホモログ(例えば、それらに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%配列同一性を有する)からなる群から選択される核酸配列を含むことができる。別の実施形態では、組換えポリペプチド(例えば、天然に存在しないおよび/または短縮されたヒトエラスチン)をコードする核酸配列は、配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、およびそれらのホモログ(例えば、それらに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%配列同一性を有する)からなる群から選択される核酸配列からなっていてもよい。
【0031】
別の実施形態では、本明細書に記載されている組換えポリペプチドは、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質タグおよびプロテアーゼ切断部位からなる群のうち1種または複数を含むことができる。一部の場合では、分泌タグは、DsbA、PelB、OmpA、TolB、MalE、lpp、TorA、Hy1A、DegP、または第2の分泌タグの部分に融合されたある1つの分泌タグの部分を含むハイブリッド分泌タグである。特異的な実施形態では、分泌タグは、DsbAである。
【0032】
本明細書に記載されているポリペプチド(例えば、天然に存在しないおよび/または短縮されたエラスチン)をコードするポリヌクレオチド、およびポリヌクレオチドを含むベクターを使用して、宿主細胞を形質転換することができ、この細胞は次いで、組換えポリペプチド(例えば、天然に存在しないおよび/または短縮されたヒトエラスチン)を発現することができる。
【0033】
別の実施形態では、開示されている組換えポリペプチド(例えば、天然に存在しないおよび/または短縮されたエラスチン)を発現するように操作された宿主細胞(例えば、組換え宿主細胞)が提供される。宿主細胞は、細菌細胞、酵母細胞、真菌細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞、植物細胞、および外因性ポリヌクレオチドの発現に使用される他のいずれかの細胞を含むいずれかの宿主細胞であり得る。特異的な実施形態では、宿主細胞は、Escherichia coliである。特異的な実施形態では、宿主細胞は、組換えポリペプチドを細胞外に(例えば、培養培地中に)分泌することができる。
【0034】
別の実施形態では、本明細書に記載されているポリペプチドを産生する方法が提供される(例えば、例えば、天然に存在しないエラスチンおよび/または短縮されたエラスチン等、組換えポリペプチド)。本方法は、本明細書に記載されているポリペプチド(例えば、天然に存在しないおよび/または短縮されたエラスチン)をコードする少なくとも1コピーの異種核酸配列を含む組換え宿主細胞を培養培地に接種するステップと、宿主細胞を培養し(例えば、培養培地において宿主細胞を培養し)、それによって、宿主細胞が、組換えポリペプチドを細胞外に(例えば、培養培地中に)分泌する、ステップと、組換えポリペプチドを(例えば、宿主細胞および/または培養培地から)単離するステップとを含む。
【0035】
別の態様では、皮膚細胞における炎症性サイトカインの産生を減少させるための方法が本明細書に提供される。一実施形態では、皮膚細胞は、ケラチノサイトまたは線維芽細胞である。本方法は、本明細書に記載されているポリペプチド(例えば、局所的製剤における、例えば、天然に存在しないおよび/または短縮されたエラスチン)を、対象の皮膚細胞または皮膚に適用するステップを含む。一部の例では、炎症性サイトカイン(例えば、TNFα、IL-1α、IL-1β、IL-3、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-18およびIL-1RA)の産生は、減少する。
【0036】
別の態様では、皮膚損傷を減少させる、または損傷した皮膚の修復を促進するための方法が提供される。本方法は、本明細書に記載されている天然に存在しないポリペプチド(例えば、短縮されたエラスチン)を含む組成物(例えば、局所的塗布のために製剤化された組成物)を、対象の皮膚に適用するステップを含むことができる。一部の場合では、本方法は、対象の皮膚の線維芽細胞またはケラチノサイトの生存率を増加させる。一部の場合では、組成物の適用は、対象の皮膚の線維芽細胞またはケラチノサイトによるトロポエラスチンの合成を増加させる。一部の場合では、組成物の局所的塗布は、UV損傷から皮膚、線維芽細胞またはケラチノサイトを保護する。一部の場合では、チミン-チミン(TT)二量体形成は、本明細書に提供される組成物の局所的塗布によって減少する。
【0037】
別の態様では、都市粉塵(urban dust)への曝露の効果から皮膚細胞を保護する方法が本明細書に提供される。一部の場合では、本方法は、本明細書に記載されている天然に存在しないポリペプチド(例えば、短縮されたエラスチン)を、対象の皮膚細胞または皮膚に適用するステップを含む。一部の場合では、天然に存在しないポリペプチドへの対象の皮膚細胞または皮膚の曝露は、都市粉塵への曝露後の皮膚細胞の生存率を増加させる。皮膚細胞は、ケラチノサイトまたは線維芽細胞であり得る。
【0038】
本発明の新規特色について、添付の特許請求の範囲において詳しく示す。本発明の特色および利点のより深い理解は、本発明の原理が利用されている説明的な実施形態を示す後述する詳細な説明、および次の添付の図面を参照することにより得ることができよう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、タンパク質ゲルの写真を示す。レーン1は、サイズマーカーである。レーン2および3は、実施例10の23kDa短縮されたヒトエラスチンが、ゲルにおいて予想される分子量に泳動することを示す。レーン4は、タンパク質がロードされていないブランクである。レーン5および6は、実施例11の13kDa短縮されたヒトエラスチンが、ゲルにおいて予想される分子量に泳動することを示す。
【0040】
【
図2】
図2は、本明細書に記載されている組換えにより産生されたポリペプチド(天然に存在しない短縮されたエラスチンアミノ酸配列を含む)の高い純度および均一性を示すSDS-PAGEタンパク質ゲルを描写する。
【0041】
【
図3】
図3は、本明細書に提供される例示的なポリペプチド(天然に存在しない短縮されたエラスチンアミノ酸配列を含む)による線維芽細胞の処置後の、I型プロコラーゲンCペプチドの分泌レベルを描写する。
【0042】
【
図4】
図4は、本明細書に提供される例示的なポリペプチド(天然に存在しない短縮されたエラスチンアミノ酸配列を含む)の抗酸化能を描写する。
【0043】
【
図5】
図5は、本明細書に提供される例示的なポリペプチド(天然に存在しない短縮されたエラスチンアミノ酸配列を含む)によるケラチノサイトの処置後の、様々な抗酸化剤遺伝子のmRNAの発現レベルを描写する。
【0044】
【
図6】
図6は、本明細書に提供される例示的なポリペプチド(天然に存在しない短縮されたエラスチンアミノ酸配列を含む)によるケラチノサイトの処置後の、様々なアポトーシス促進性遺伝子のmRNAの発現レベルを描写する。
【発明を実施するための形態】
【0045】
説明
次の記載において、本開示の様々な実施形態の徹底的な理解が得られるように、ある特定の具体的詳細が示される。しかし、当業者であれば、このような詳細なしでも本開示を実施することができることを理解するであろう。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、±10%を一般に指す。
【0047】
用語「からなる」は、「を含み、これに限定される」を意味する。一般に、「を含む」の開示は、「からなる」の開示を含む。
【0048】
用語「から本質的になる」は、組成物、方法または構造物が、追加的な成分、ステップおよび/または部分を含むことができるが、ただしこれは、追加的な成分、ステップおよび/または部分が、請求されている組成物、方法または構造物の基本的および新規の特徴を実際的に変更しない場合に限ることを意味する。一般に、「を含む」の開示は、「から本質的になる」の開示を含む。
【0049】
本明細書で使用される場合、文脈がそれ以外を明らかに指示しない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、複数形の指示対象を含む。例えば、用語「1つの化合物(a compound)」または「少なくとも1つの化合物」は、複数の化合物(それらの混合物を含む)を含むことができる。
【0050】
本文書を通して、本開示の様々な実施形態は、範囲形式で提示することができる。範囲形式での記載は、単に利便性および簡潔性のためのものであり、本開示の範囲における不動の限定として解釈するべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、特に開示されているあらゆる可能な部分的範囲と共に、当該範囲内の個々の数値を有すると考慮するべきである。例えば、1~6等、範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等、特に開示されている部分的範囲と共に、当該範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5および6を有すると考慮するべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0051】
本明細書において数値的範囲が指し示されている場合は常に、指し示されている範囲内のいずれか引用されている数字(分数または整数の)を含むことを意図する。第1の指し示されている数と第2の指し示されている数と「の間に及んでいる/に及ぶ」、および第1の指し示されている数「から」第2の指し示されている数「に及んでいる/に及ぶ」という語句は、本明細書で互換的に使用されており、第1の指し示されている数および第2の指し示されている数、ならびにその間のあらゆる分数および整数の数字を含むことを意図する。
【0052】
用語「エラスチン」または「エラスチン様」は、本明細書で使用される場合、一部の場合では、1つもしくは複数のエラスチンもしくはエラスチン様ポリペプチドに会合することができる、および/または別のポリペプチド、核酸、多糖、脂質もしくは他の分子に結合することができる、1つの(例えば、単量体)ポリペプチドを指す。一般に、用語「エラスチン」または「エラスチン様」は、天然に存在するエラスチンに関連する1種または複数の機能を有するポリペプチドを指す。本明細書に提供される天然に存在しないポリペプチド(例えば、短縮されたエラスチン)は、天然に存在するエラスチンに関連する1種または複数の機能を有する場合、「エラスチン」または「エラスチン様」と命名することができる。用語「トロポエラスチン」は、本明細書で使用される場合、さらにプロセシングして(例えば、切断、スプライシング等によって)エラスチンポリペプチドを産生することができるポリペプチドを一般に指す。エラスチンの非限定的な例は、配列番号20に従ったアミノ酸配列を有する天然に存在するヒトエラスチンである。
【0053】
用語「発現ベクター」または「ベクター」は、本明細書で使用される場合、外因性遺伝子の発現を方向付けることができる核酸アセンブリを一般に指す。発現ベクターは、外因性遺伝子に作動可能に連結したプロモーター、制限エンドヌクレアーゼ部位、1種または複数の選択マーカーをコードする核酸、および組換え技術の実施において有用な他の核酸を含むことができる。
【0054】
用語「細胞外基質」は、本明細書で使用される場合、多細胞生物における細胞に足場を提供するエラスチン、コラーゲン、酵素および糖タンパク質等の細胞外巨大分子のネットワークを一般に指す。細胞外基質は、細胞接着、細胞間の情報交換および他の機能を媒介する構造的構成成分を提供することができる。
【0055】
用語「線維芽細胞」は、本明細書で使用される場合、トロポエラスチン、プロコラーゲンおよび他の構造タンパク質を合成する細胞を一般に指す。線維芽細胞は、身体中に広く分布し得、皮膚、結合組織および他の組織に見出され得る。
【0056】
用語「蛍光タンパク質」は、外因性ポリヌクレオチドの発現のレポーターとして使用される、遺伝子操作技術において使用され得るタンパク質を一般に指す。タンパク質は、紫外線または青色光に曝露されると、蛍光を発し、明るい可視光を発する。緑色光を発するタンパク質として、緑色蛍光タンパク質(GFP)が挙げられ、赤色光を発するタンパク質として、赤色蛍光タンパク質(RFP)が挙げられる。
【0057】
用語「遺伝子」は、本明細書で使用される場合、特異的タンパク質をコードするポリヌクレオチドを一般に指し、また、コード領域単独を指すことができる、またはコード配列に先行する(5’非コード配列)およびそれに続く(3’非コード配列)調節配列を含むことができる。
【0058】
用語「ヒスチジンタグ」は、組換えポリペプチドにおける2~30個の連続する一連のヒスチジン残基を一般に指す。
【0059】
用語「宿主細胞」は、導入された外因性ポリヌクレオチドを発現するように操作された細胞を一般に指す。
【0060】
用語「ケラチノサイト」は、皮膚の上皮層に見出されるケラチン、トロポエラスチンおよび他の細胞構成成分を産生する細胞を一般に指す。
【0061】
用語「天然に存在しない」は、本明細書で使用される場合、自然界では通常見出されない遺伝子、ポリペプチドまたはタンパク質、例えば、エラスチンを一般に指す。天然に存在しないエラスチンは、組換えにより産生することができる(例えば、組換え宿主細胞による発現により)。天然に存在しないエラスチンは、組換えエラスチンであり得る(例えば、組換え宿主細胞によって産生された)。天然に存在しないエラスチンは、短縮されたエラスチンであり得る。他の天然に存在しないエラスチンポリペプチドは、キメラエラスチンを含む。キメラエラスチンは、エラスチンポリペプチドのある一部分が、第2のエラスチンポリペプチドの部分と連続するポリペプチドであり得る。例えば、別のヒトポリペプチドの部分と連続するヒトエラスチンの部分を含む分子は、キメラエラスチンであり得る。別の実施形態では、天然に存在しないエラスチンは、分泌タグ、ヒスチジンタグ、緑色蛍光タンパク質、および/またはプロテアーゼ切断部位等、追加的なアミノ酸を含む融合ポリペプチドを含む。
【0062】
一般に、特異的なアミノ酸配列を有する等、本明細書に提供されるエラスチンまたは短縮されたエラスチンの開示は、当該の正確なアミノ酸配列およびそのホモログを有するまたはこれを含むポリペプチドを含む。一部の例では、本明細書に提供されるアミノ酸配列のホモログは、より長いまたはより短い配列を有することができ、斯かるアミノ酸配列の1個または複数のアミノ酸残基の置換を有することができる。斯かるホモログは、本明細書に提供される量で等、列挙されている配列に対して特異的な配列同一性を有する。パーセント同一性を評価する目的の等、配列同一性は、Needleman-Wunschアルゴリズム(例えば、必要に応じてデフォルト設定を用いた、www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_needle/nucleotide.htmlで入手できるEMBOSS Needleアライナ(aligner)を参照)、BLASTアルゴリズム(例えば、必要に応じてデフォルト設定を用いた、blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiで入手できるBLAST整列ツールを参照)またはSmith-Watermanアルゴリズム(例えば、必要に応じてデフォルト設定を用いた、www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_water/nucleotide.htmlで入手できるEMBOSS Waterアライナを参照)が挙げられるがこれらに限定されない、いずれか適した整列アルゴリズムによって測定することができる。最適な整列は、デフォルトパラメーターを含む、選択されたアルゴリズムのいずれか適したパラメーターを使用して評価することができる。一部の場合では、天然に存在しないエラスチンは、本明細書に開示されている配列に対する少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%配列同一性を有し得る。
【0063】
用語「プロテアーゼ切断部位」は、特異的プロテアーゼによって切断されるアミノ酸配列を一般に指す。
【0064】
用語「分泌タグ」または「シグナルペプチド」は、発現されたタンパク質を宿主細胞の特定の場所または細胞のオルガネラに輸送するために、宿主細胞の細胞の仕組みをリクルートするアミノ酸配列を一般に指す。
【0065】
用語「トランケートされたエラスチン」は、全長エラスチンの1個または複数の部分が存在しない、全長コラーゲンよりも小さい単量体ポリペプチドを一般に指す。エラスチンポリペプチドは、全長エラスチンと比べてC末端、全長エラスチンと比べてN末端において短縮することができる、全長エラスチンポリペプチドの内部部分(単数または複数)の除去によって短縮することができる(例えば、内部短縮)、または全長エラスチンと比べてC末端およびN末端の両方において短縮することができる。非限定的な実施形態では、短縮されたヒトエラスチンは、配列番号19に従ったアミノ酸配列、またはそのホモログを含むことができる。一般に、本明細書に提供される短縮されたエラスチンは、天然または全長エラスチンと同様のまたは実質的に同様の機能を有することができる、および/または天然または全長エラスチンと同様のまたは実質的に同様の利益(例えば、本明細書に提供される)を提供することができる。一部の場合では、本明細書に提供される短縮されたエラスチンは、天然または全長エラスチンと比較して改善されたまたは増加した機能および/または利益(例えば、本明細書に提供される)を有することができる。
【0066】
アミノ酸位置を参照して使用される場合、「短縮」は、前記アミノ酸位置を含む。例えば、全長タンパク質のアミノ酸位置100におけるN末端短縮は、全長タンパク質のN末端からの100個のアミノ酸の短縮を意味する(すなわち、短縮されたタンパク質は、全長タンパク質のアミノ酸位置1~100を失う)。同様に、全長タンパク質(1000アミノ酸全長タンパク質を仮定)のアミノ酸位置901におけるC末端短縮は、C末端からの100アミノ酸の短縮を意味する(すなわち、短縮されたタンパク質は、全長タンパク質のアミノ酸位置901~1000を失う)。同様に、アミノ酸位置101および200における内部短縮は、全長タンパク質の100個のアミノ酸の内部短縮を意味する(すなわち、短縮されたタンパク質は、全長タンパク質のアミノ酸位置101~200を失う)。
【0067】
一部の実施形態では、細胞培養は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化カルシウム、アミノ酸、硫酸鉄(II)、硫酸マグネシウム、ペプトン、リン酸カリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウムおよび酵母抽出物をさらに含む。
【0068】
宿主細菌細胞は、連続的にまたは不連続的に;バッチプロセス、フェドバッチプロセスまたは反復フェドバッチプロセスにおいて培養することができる。
【0069】
一態様では、天然に存在しないエラスチンが提供される。一部の場合では、天然に存在しないエラスチンは、宿主細胞(例えば、組換え細胞)によって産生された組換えポリペプチドである。一部の場合では、天然に存在しないエラスチンは、ヒトエラスチンであり得る。一部の場合では、天然に存在しないエラスチンは、短縮されたエラスチンであり得る。短縮されたエラスチンは、全長エラスチン(例えば、配列番号20に従ったアミノ酸配列を有する)と比べて短縮されていてよい。短縮は、全長エラスチンと比べて内部短縮、全長エラスチンと比べてN末端部分における短縮、全長エラスチンと比べてC末端部分における短縮、または全長エラスチンと比べてC末端およびN末端の両方における短縮であり得る。
【0070】
短縮されたエラスチンは、全長エラスチンに対して10~700アミノ酸の間の長さ、10~600アミノ酸の間の長さ、10~500アミノ酸の間の長さ、10~400アミノ酸の間の長さ、10~300アミノ酸の間の長さ、10~200アミノ酸の間の長さ、10~100アミノ酸の間の長さ、10~50アミノ酸の間の長さ、50~800アミノ酸の間の長さ、50~700アミノ酸の間の長さ、50~600アミノ酸の間の長さ、50~500アミノ酸の間の長さ、50~400アミノ酸の間の長さ、50~300アミノ酸の間の長さ、50~200アミノ酸の間の長さ、または50~100アミノ酸の間の長さの短縮を有し得る。別の実施形態では、短縮されたエラスチンは、全長エラスチンに対して50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、,510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、650、700、または750アミノ酸だけ短縮され得る。短縮されたエラスチンは、本明細書に開示されているポリヌクレオチド配列の部分またはポリヌクレオチド配列全体によってコードされ得る。
【0071】
一部の実施形態では、短縮されたエラスチン(例えば、そのアミノ酸配列)(例えば、本明細書に提供されるポリペプチドのもの)は、C末端(全長エラスチンと比べて)において、任意の好適な数のアミノ酸残基、例えば、最大10、10~800、10~700、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、50~800、50~700、50~600、50~500、50~400、50~300、50~200、50~100などだけ短縮され得る。一部の場合では、短縮されたエラスチンは、C末端(全長エラスチンと比べて)において、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800またはそれより多くのアミノ酸だけ短縮され得る。
【0072】
一部の実施形態では、短縮されたエラスチン(例えば、そのアミノ酸配列)(例えば、本明細書に提供されるポリペプチドのもの)は、N末端(全長エラスチンと比べて)において、任意の好適な数のアミノ酸残基、例えば、最大10、10~800、10~700、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、50~800、50~700、50~600、50~500、50~400、50~300、50~200、50~100などだけ短縮され得る。一部の場合では、短縮されたエラスチンは、N末端(全長エラスチンと比べて)において、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800またはそれより多くのアミノ酸だけ短縮され得る。
【0073】
一部の実施形態では、短縮されたエラスチン(例えば、そのアミノ酸配列)(例えば、本明細書に提供されるポリペプチドの)は、全長エラスチンと比べてN末端およびC末端の両方において短縮されていてよい。一部の例では、短縮されたエラスチンは、N末端(全長エラスチンと比べて)において、任意の好適な数のアミノ酸残基、例えば、最大10、10~800、10~700、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、50~800、50~700、50~600、50~500、50~400、50~300、50~200、50~100などだけ短縮され得;C末端(全長エラスチンに対して)において、任意の好適な数のアミノ酸残基、例えば、最大10、10~800、10~700、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、50~800、50~700、50~600、50~500、50~400、50~300、50~200、50~100などだけ短縮され得る。一部の場合では、短縮されたエラスチンは、N末端(全長エラスチンに対して)において、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800またはそれより多くのアミノ酸だけ短縮され得;C末端(全長エラスチンに対して)において、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800またはそれより多くのアミノ酸だけ短縮され得る。
【0074】
一部の実施形態では、短縮されたエラスチン(例えば、そのアミノ酸配列)(例えば、本明細書に提供されるポリペプチドのもの)は、任意の好適な数のアミノ酸残基、例えば、最大10、10~800、10~700、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、50~800、50~700、50~600、50~500、50~400、50~300、50~200、50~100などだけ内部短縮され得る(全長エラスチンに対して)。一部の場合では、短縮されたエラスチンは、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800またはそれより多くのアミノ酸だけ内部短縮され得る(全長エラスチンに対して)。
【0075】
本明細書に開示されている短縮されたエラスチンは、全長エラスチンと比べて短縮を含むことができる。一部の実施形態では、本明細書に開示されている短縮されたエラスチンは、全長ヒトエラスチンと比べて短縮を含むことができる。一部の場合では、全長ヒトエラスチンは、下の表1に提示する配列番号20に従ったアミノ酸配列を有する。
【表1】
【0076】
一部の場合では、本明細書に記載の短縮されたエラスチンは、配列番号20の任意のアミノ酸位置、アミノ酸位置1~68の間;アミノ酸位置1~73の間;アミノ酸位置1~78の間;アミノ酸位置1~83の間;アミノ酸位置1~88の間;アミノ酸位置1~93の間;またはアミノ酸位置1~98の間においてN末端短縮を含み得る。一部の場合では、本明細書に記載の短縮されたエラスチンは、配列番号20の任意のアミノ酸位置、アミノ酸位置213~760の間;アミノ酸位置218~760の間;アミノ酸位置223~760の間;アミノ酸位置228~760の間;アミノ酸位置233~760の間;アミノ酸位置238~760の間;または243~760の間においてC末端短縮を含み得る。一部の場合では、本明細書に記載の短縮されたエラスチンは、N末端短縮およびC末端短縮の両方を含み得る。例えば、本明細書に記載の短縮されたエラスチンは、配列番号20の任意のアミノ酸位置、アミノ酸位置1~68の間;アミノ酸位置1~73の間;アミノ酸位置1~78の間;アミノ酸位置1~83の間;アミノ酸位置1~88の間;アミノ酸位置1~93の間;またはアミノ酸位置1~98の間においてN末端短縮を;配列番号20の任意のアミノ酸位置、アミノ酸位置213~760の間;アミノ酸位置218~760の間;アミノ酸位置223~760の間;アミノ酸位置228~760の間;アミノ酸位置233~760の間;アミノ酸位置238~760の間;または243~760の間においてC末端短縮を含み得る。具体的な実施形態では、本明細書に開示の短縮されたエラスチンは、配列番号20のアミノ酸位置83においてN末端短縮を;配列番号20のアミノ酸位置228においてにおいてC末端短縮を含み得る。
【0077】
一部の場合では、本明細書に記載の短縮されたエラスチンは、配列番号20の任意のアミノ酸位置、アミノ酸位置1~68の間;アミノ酸位置1~73の間;アミノ酸位置1~78の間;アミノ酸位置1~83の間;アミノ酸位置1~88の間;アミノ酸位置1~93の間;またはアミノ酸位置1~98の間においてN末端短縮を含み得る。一部の場合では、本明細書に記載の短縮されたエラスチンは、配列番号20の任意のアミノ酸位置、アミノ酸位置331~760の間;アミノ酸位置336~760の間;アミノ酸位置341~760の間;アミノ酸位置346~760の間;アミノ酸位置351~760の間;アミノ酸位置356~760の間;またはアミノ酸位置361~760の間においてC末端短縮を含み得る。一部の場合では、本明細書に記載の短縮されたエラスチンは、N末端短縮およびC末端短縮の両方を含み得る。例えば、本明細書に記載の短縮されたエラスチンは、配列番号20の任意のアミノ酸位置、アミノ酸位置1~68の間;アミノ酸位置1~73の間;アミノ酸位置1~78の間;アミノ酸位置1~83の間;アミノ酸位置1~88の間;アミノ酸位置1~93の間;またはアミノ酸位置1~98の間においてN末端短縮を;配列番号20の任意のアミノ酸位置、アミノ酸位置331~760の間;アミノ酸位置336~760の間;アミノ酸位置341~760の間;アミノ酸位置346~760の間;アミノ酸位置351~760の間;アミノ酸位置356~760の間;またはアミノ酸位置361~760の間においてC末端短縮を含み得る。具体的な実施形態では、本明細書に開示の短縮されたエラスチンは、配列番号20のアミノ酸位置83においてN末端短縮を;配列番号20のアミノ酸位置346においてC末端短縮を含み得る。
【0078】
一部の場合では、短縮されたエラスチンは、下の表2に提示するいずれかのアミノ酸配列を含むことができる。一部の場合では、短縮されたエラスチンは、下の表2に提示するいずれかのアミノ酸配列からなっていてもよい。一部の場合では、短縮されたエラスチンは、下の表2に提示するいずれかのアミノ酸配列から本質的になることができる。具体的な実施形態では、天然に存在しないエラスチンは、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17、および配列番号19のいずれか1つのアミノ酸配列であるか、これを含む。一部の実施形態では、短縮されたエラスチンは、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17、および配列番号19のいずれか1つに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0079】
一部の実施形態では、短縮されたエラスチンは、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17、および配列番号19のいずれか1つの短縮体(例えば、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、または少なくとも150アミノ酸を有するポリペプチド)であり得る;あるいは配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17、および配列番号19のいずれか1つに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列の短縮体(例えば、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、または少なくとも150アミノ酸を有するポリペプチド)であり得る。例えば、短縮されたエラスチンは、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17、および配列番号19のいずれか1つと比べてN末端短縮、C末端短縮、および/または内部短縮を;あるいは配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号15、配列番号17、および配列番号19のいずれか1つに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列と比べてN末端短縮、C末端短縮、および/または内部短縮を有し得る。
【表2-1】
【表2-2】
【0080】
様々な態様では、短縮されたヒトエラスチンは、2個またはそれよりも多い連続するアミノ酸配列のVGVAPG(配列番号1)を含まない。一部の場合では、短縮されたヒトエラスチンは、VGVAPGVGVAPG(配列番号2)を含まない。一部の場合では、短縮されたヒトエラスチンは、VGVAPGVGVAPGVGVAPG(配列番号3)を含まない。一部の場合では、天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンは、細胞外基質分解を低下させる、または細胞外基質分解を引き起こさない。
【0081】
一部の場合では、短縮されたエラスチンは、100~150アミノ酸の間、100~200アミノ酸の間、100~300アミノ酸の間、140~250アミノ酸の間、140~200アミノ酸の間、150~250アミノ酸の間、160~250アミノ酸の間、160~220アミノ酸の間、170~200アミノ酸の間、180~190アミノ酸の間、または185~190アミノ酸の間の長さであり得る。
【0082】
一部の態様では、短縮されたヒトエラスチンは、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50または50超kDaの分子量を有することができる。一部の実施形態では、分子量は、約10、15、20、25、30、35、40、45、または50kDa未満である。一部の実施形態では、分子量は、1kDa~60kDaの間、5kDa~55kDaの間、5kDa~50kDaの間、5kDa~45kDaの間、5kDa~40kDaの間、5kDa~35kDaの間、5kDa~30kDaの間、5kDa~25kDaの間、5kDa~20kDaの間、5kDa~15kDaの間、5kDa~10kDaの間、10kDa~40kDaの間、10kDa~35kDaの間、10kDa~30kDaの間、10kDa~25kDaの間、または10kDa~20kDaの間である。
【0083】
天然に存在しないエラスチンは、一部の実施形態では、シグナル配列を含むことができる。一般に、シグナル配列は、発現ベクターの成分であり得る、またはベクターへと挿入される外因性遺伝子の一部であり得る。選択されるシグナル配列は、宿主細胞によって認識およびプロセシングされる(例えば、シグナルペプチダーゼによって切断される)シグナル配列となるべきである。外因性遺伝子のネイティブシグナル配列を認識およびプロセシングしない細菌宿主細胞のため、シグナル配列は、いずれかの一般的に公知の細菌シグナル配列によって置換され得る。一部の実施形態では、組換えにより産生されたポリペプチドは、DsbAシグナル配列を使用して、周辺質空間へと標的化することができる。Dinh and Bernhardt, J Bacteriol, Sept. 2011, 4984-4987。
【0084】
天然に存在しないエラスチンは、一部の実施形態では、分泌タグを含むアミノ酸配列をさらに含むことができる。分泌タグは、エラスチンを、宿主細胞の細胞膜周辺腔に方向付けることができる。特定の実施形態では、シグナルペプチドは、DsbA、PelB、OmpA、TolB、MalE、lpp、TorA、DegPもしくはHy1A、または第2の分泌タグの部分に融合されたある1つの分泌タグの部分を含むハイブリッド分泌タグに由来する。一態様では、分泌タグは、天然に存在しないエラスチンに取り付けられる。別の態様では、分泌タグは、天然に存在しないエラスチンから切断される。
【0085】
一部の実施形態では、天然に存在しないエラスチンは、ヒスチジンタグをさらに含む。ヒスチジンタグまたはポリヒスチジンタグは、エラスチンに取り付けられ得る、2~20個のヒスチジン残基の配列である。ヒスチジンタグは、2~20個のヒスチジン残基、5~15個のヒスチジン残基、5~18個のヒスチジン残基、5~16個のヒスチジン残基、5~15個のヒスチジン残基、5~14個のヒスチジン残基、5~13個のヒスチジン残基、5~12個のヒスチジン残基、5~11、5~10個のヒスチジン残基、6~12個のヒスチジン残基、6~11個のヒスチジン残基または7~10個のヒスチジン残基を含み得る。ヒスチジンタグは、ニッケルに基づくクロマトグラフィー培地を利用したクロマトグラフィー方法によるタンパク質の精製において有用であり得る。一態様では、ヒスチジンタグは、天然に存在しないエラスチンに取り付けることができる。別の態様では、ヒスチジンタグは、天然に存在しないエラスチンから切断することができる。
【0086】
一部の実施形態では、天然に存在しないエラスチンは、蛍光タンパク質をさらに含む。例示的な蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)または赤色蛍光タンパク質(RFP)を含む。蛍光タンパク質は、本技術分野で周知である。一実施形態では、天然に存在しないエラスチンは、GFPおよび/またはRFPを含む。一実施形態では、スーパーフォルダー(superfolder)GFPが、天然に存在しないエラスチンに融合され得る。スーパーフォルダーGFPは、不十分にフォールドされたポリペプチドに融合された場合であっても、適切にフォールドするGFPであり得る。
【0087】
一部の実施形態では、天然に存在しないコラーゲンは、プロテアーゼ切断部位をさらに含む。プロテアーゼ切断部位は、組換えにより産生されたエラスチンを切断して、ポリペプチドの1つまたは複数の部分を除去するのに有用であり得る。除去することができるポリペプチドの部分は、分泌タグ、ヒスチジンタグ、蛍光タンパク質タグおよび/またはプロテアーゼ切断部位を含む。プロテアーゼは、エンドプロテアーゼ、エキソプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼおよびメタロプロテアーゼを含む。例示的なプロテアーゼ切断部位は、トロンビン、TEVプロテアーゼ、第Xa因子、エンテロペプチダーゼおよびライノウイルス3Cプロテアーゼによって切断されるアミノ酸を含む。一態様では、切断タグは、天然に存在しないエラスチンに取り付けられ得る。別の態様では、切断タグは、天然に存在しないエラスチンから、適切なプロテアーゼによって除去され得る。
【0088】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される1種または複数のポリペプチドを含む(例えば、局所的)組成物または製剤が本明細書に提供される。一部の実施形態では、組成物は、いずれか適した量(例えば、個体または細胞に与えられたまたは投与されたときに、利益をもたらすのに適した量)等、いずれか適した量の本明細書に提供されるポリペプチドを提供する。一部の特異的な実施形態では、組成物は、対象の皮膚に(例えば、局所的に)投与されたときに、対象の皮膚に有益な効果をもたらすのに適した量を含む。特異的な実施形態では、組成物は、0.001%~30%w/wの間の本明細書に提供される等のポリペプチド(例えば、天然に存在しないエラスチン)を含む。より特異的な実施形態では、組成物は、0.001%~20%w/wの間の本明細書に提供される等のポリペプチド(例えば、天然に存在しないエラスチン)、0.001%~10%w/wの間の本明細書に提供される等のポリペプチド(例えば、天然に存在しないエラスチン)、0.001%~5%w/wの間の本明細書に提供される等のポリペプチド(例えば、天然に存在しないエラスチン)、0.001%~2%w/wの間の本明細書に提供される等のポリペプチド(例えば、天然に存在しないエラスチン)、0.001%~1%w/wの間の本明細書に提供される等のポリペプチド(例えば、天然に存在しないエラスチン)、0.001%~0.5%w/wの間の本明細書に提供される等のポリペプチド(例えば、天然に存在しないエラスチン)および0.001%~0.2%w/wの間の本明細書に提供される等のポリペプチド(例えば、天然に存在しないエラスチン)を含む。
【0089】
一態様では、天然に存在しないヒトエラスチンを含む組成物は、パーソナルケア製品(例えば、化粧品)である。一部の実施形態では、組成物は、局所的投与のために製剤化されている。組成物は、ヒトの使用に適した他の化粧品成分を含有することができる。パーソナルケア製品は、ヒトの皮膚または毛髪に対する紫外線照射損傷の予防または処置に有用となることができる。パーソナルケア製品は、皮膚の硬度、弾性、輝度、水分(hydration)、触感もしくは見た目の質感(visual texture)の増加に有用となることができる、および/またはコラーゲン産生を刺激することができる。パーソナルケア製品は、皮膚または毛髪に適用することができる。組成物は、例えば、マスク、石鹸、クレンジングクリーム、クレンジングローション、洗顔クレンザー、クレンジングミルク、クレンジングパッド、洗顔料等の皮膚洗浄剤、顔用および身体用クリームおよび保湿剤、顔用セラム、顔用および身体用マスク、顔用化粧水およびミスト、アイクリームおよびアイトリートメント、エクスフォリエーター処方、リップクリームおよび口紅、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナーおよびボディシャンプー、ヘアおよびスカルプセラム、ヘアミストおよびスプレー、アイシャドー、コンシーラー、マスカラ、ならびに他のカラー化粧品を含む。
【0090】
天然に存在しないエラスチンを含む組成物は、局所的担体または保存料を含む少なくとも1種の追加的な成分をさらに含むことができる。局所的担体は、リポソーム、生分解性マイクロカプセル、ローション、スプレー、エアロゾル、散布剤、生分解性ポリマー、鉱物油、トリグリセリド油、シリコーン油、グリセリン、グリセリンモノステアレート、アルコール、乳化剤、石油(liquid petroleum)、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ワックス、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、シクロメチコン(cyclomethicone)、シクロペンタシロキサンおよび水からなる群から選択される局所的担体を含む。保存料は、トコフェロール、ジヨードメチル-p-トリルスルホン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、シス異性体1-(3-クロロアリル)-3,5,7-トリアザ-1-アゾニアアダマンタンクロライド、グルタルアルデヒド、4,4-ジメチルオキサゾリジン、7-エチルビシクロオキサゾリジン、フェノキシエタノール、ブチレングリコール、1,2ヘキサンジオール、メチルパラベン、ソルビン酸、ゲルマベン(Germaben)II、ローズマリー抽出物およびEDTAからなる群から選択される保存料を含む。
【0091】
皮膚損傷を減少させる、損傷した皮膚の修復を促進する、UV損傷から皮膚を保護する、および/または都市粉塵への曝露の効果から皮膚細胞を保護する方法も本明細書に提供される。別の実施形態では、皮膚の硬度、弾性、輝度、水分、触感もしくは見た目の質感を増加させる、および/またはエラスチンもしくはコラーゲン産生を刺激する方法が提供される。本方法は、天然に存在しないエラスチンを含む組成物を対象の皮膚に適用するステップを含む。特定の理論または機構に制約されるものではないが、組成物中の天然に存在しないエラスチンは、UV損傷から保護することにより、皮膚損傷を減少させる、および/または皮膚に適用された場合に細胞の生存率を増加させることによりおよび/またはトロポエラスチンもしくはプロコラーゲン合成を増加させることにより、損傷した皮膚の修復を促進する、および/または皮膚細胞の生存率を促進する。天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンは、一態様では、チミン-チミン(TT)二量体形成の形成を減少させる。
【0092】
本明細書に提供される方法は、本明細書に提供されるステップによる等、方法において指し示される処置のための組成物の使用を包含する。実施形態では、本開示は、本明細書に提供される方法における本明細書に提供される組成物(例えば、短縮されたエラスチン、または短縮されたエラスチンを含む製剤)の使用を提供する。
【0093】
一部の実施形態では、組成物の適用は、線維芽細胞の成長を刺激する、および/またはトロポエラスチンの合成を刺激する、および/またはチミン-チミン(TT)二量体形成の形成を減少させる。一部の実施形態では、組成物の適用は、組成物が適用されていない皮膚または皮膚細胞と比較して、線維芽細胞の成長を少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%または100%超刺激する。一部の実施形態では、組成物の適用は、組成物が適用されていない皮膚または皮膚細胞と比較して、トロポエラスチンの合成を少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%または100%超刺激する。一部の実施形態では、組成物の適用は、組成物が適用されていない皮膚または皮膚細胞と比較して、TT二量体形成の形成を少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%または100%超減少させる。一部の実施形態では、TT二量体形成の形成は、ELISAに基づくアッセイを使用して測定される。
【0094】
一部の実施形態では、損傷した皮膚の修復を促進する、UV損傷から皮膚を保護する、または皮膚細胞の生存率を増加させる方法であって、組成物を対象の皮膚または皮膚細胞に適用するステップを含む方法が本明細書に開示されている。一部の実施形態では、損傷した皮膚は、組成物が適用された場合に、組成物が適用されていない皮膚または皮膚細胞と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%または100%超修復され得る。一部の実施形態では、皮膚は、組成物が適用された場合に、組成物が適用されていない皮膚または皮膚細胞と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%または100%超UV損傷から保護され得る。一部の実施形態では、皮膚細胞の生存率は、組成物が適用されていない皮膚または皮膚細胞と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%または100%超増加する。一部の実施形態では、皮膚細胞は、ケラチノサイトであり得る。一部の実施形態では、皮膚細胞は、線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、線維芽細胞の生存率は、MTTアッセイを使用して測定することができる。
【0095】
一部の実施形態では、組成物を対象の皮膚または皮膚細胞に適用することにより、線維芽細胞によるプロコラーゲンの合成を増加させる方法が本明細書に開示されている。一部の実施形態では、対象の皮膚に存在する線維芽細胞によるプロコラーゲンの合成は、組成物が適用された場合に、組成物が適用されていない皮膚または皮膚細胞と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%または100%超増加し得る。一部の実施形態では、対象の皮膚に存在する線維芽細胞によるプロコラーゲンの合成は、ELISAに基づくアッセイによって測定される場合、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%または100%超増加し得る。一部の実施形態では、ELISAに基づくアッセイは、I型プロコラーゲンCペプチドのレベルを測定する。
【0096】
一部の実施形態では、皮膚細胞による炎症性サイトカインの産生を減少させる方法であって、天然に存在しないエラスチンまたは天然に存在しないエラスチンを含む組成物を対象の皮膚または皮膚細胞に適用するステップを含む方法が本明細書に開示されている。一部の実施形態では、サイトカインは、TNFα、IL-1α、IL-1β、IL-3、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-18、IL-1RAまたはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、炎症性サイトカインは、IL-1、IL-6またはIL-8等のインターロイキンであり得る。一部の実施形態では、炎症性サイトカインは、IL-1aであり得る。一部の実施形態では、皮膚細胞による炎症性サイトカインの産生は、組成物が適用された場合に、組成物が適用されていない皮膚または皮膚細胞と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%または100%超減少し得る。一部の実施形態では、皮膚細胞は、ケラチノサイトであり得る。一部の実施形態では、皮膚細胞は、線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、サイトカイン産生は、ELISAに基づくアッセイを使用して測定することができる。
【0097】
一部の実施形態では、本明細書に提供される短縮されたエラスチンは、対象の皮膚細胞または皮膚における抗酸化剤遺伝子の発現を刺激することができる。一部の場合では、本明細書に提供される短縮されたエラスチンは、SOD2、GPX2、GPX4、GSTK1、GSTZ1、GSTA4、GSTM2、CCS、GPX1、GLRX、PRDX5、PRDX6およびPRDX2からなる群から選択される1種または複数の抗酸化剤遺伝子の発現を刺激することができる。一部の場合では、mRNA発現は、測定することができる(例えば、マイクロアレイ、RNA配列決定他によって)。
【0098】
一部の実施形態では、本明細書に提供される短縮されたエラスチンは、対象の皮膚細胞または皮膚におけるアポトーシス促進性遺伝子の発現を低下させることができる。一部の場合では、本明細書に提供される短縮されたエラスチンは、APAF1、BAK1、CASP7、CASP8、FADD、MCL1およびMETからなる群から選択される1種または複数のアポトーシス促進性遺伝子の発現を低下させることができる。一部の場合では、mRNA発現は、測定することができる(例えば、マイクロアレイ、RNA配列決定他によって)。
【0099】
一部の実施形態では、皮膚細胞の生存率を増加させる方法であって、天然に存在しないエラスチンまたは天然に存在しないエラスチンを含む組成物を対象の皮膚または皮膚細胞に適用するステップを含む方法が本明細書に開示されている。一部の実施形態では、皮膚細胞の生存率は、組成物が適用された場合に、組成物が適用されていない皮膚または皮膚細胞と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%または100%超増加し得る。一部の実施形態では、皮膚細胞は、ケラチノサイトであり得る。一部の実施形態では、皮膚細胞は、線維芽細胞であり得る。
【0100】
一部の実施形態では、都市粉塵への曝露の効果から皮膚細胞を保護する方法であって、天然に存在しないエラスチンまたは天然に存在しないエラスチンを含む組成物を対象の皮膚または皮膚細胞に適用するステップを含み、皮膚細胞の生存率が増加する、方法が本明細書に開示されている。一部の実施形態では、皮膚細胞の生存率は、無処置細胞と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%または100%超増加し得る。一部の実施形態では、皮膚細胞は、ケラチノサイトであり得る。一部の実施形態では、皮膚細胞は、線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、生存率は、MTTアッセイを使用して測定することができる。
【0101】
一部の実施形態では、組成物は、抗酸化能を有する。一部の実施形態では、抗酸化能は、酸素ラジカル吸収能(ORAC)アッセイを使用して測定することができる。一部の実施形態では、抗酸化能は、トロロクス当量(equivalent)単位で測定することができる。一部の実施形態では、組成物の抗酸化能は、少なくとも約50μM、100μM、150μM、200μM、250μMまたは250μM超のトロロクス当量単位であり得る。
【0102】
一部の実施形態では、天然に存在しないエラスチンは、ポリヌクレオチド(例えば、天然に存在しないエラスチン;例えば、宿主細胞における発現のための)によってコードされ得る。ポリヌクレオチドは、全長エラスチンまたは短縮されたエラスチンをコードすることができる。様々な実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号4、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、またはそのホモログ(例えば、それらに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%配列同一性を有する)のうちいずれか1種に従ったポリヌクレオチドを含むことができる。一部の場合では、ポリヌクレオチドは、コドン最適化されていてよい(例えば、宿主細胞における発現のために)。
【0103】
ポリヌクレオチドは、一態様では、ベクター内に含有され得る(例えば、宿主細胞を形質転換するために)。ポリヌクレオチドは、宿主生物が、選択用薬剤の存在下で成長することを可能にする酵素をコードする核酸をさらに含み得る。選択用薬剤は、ガラクトース含有糖を含むある特定の糖、またはアンピシリン、ハイグロマイシン、G418、その他を含む抗生物質を含む。選択用薬剤に対する抵抗性の付与に使用される酵素は、β-ガラクトシダーゼを含み得る。
【0104】
一態様では、開示されているポリヌクレオチド(および前記ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド)を発現する宿主細胞が提供される。一部の場合では、宿主細胞は、少なくとも1コピーの異種核酸配列(例えば、本明細書に記載されているポリペプチドをコードする)を含むことができる。宿主細胞は、グラム陰性細菌細胞、グラム陽性細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞、植物細胞、または外因性ポリヌクレオチドの発現に使用される他のいずれかの細胞を含む、いずれかの宿主細胞であり得る。特異的な実施形態では、宿主細胞は、Escherichia coliである。様々な態様では、宿主細胞は、天然に存在しないエラスチンを細胞外に(例えば、培養培地中に)分泌することが可能となり得る。
【0105】
炭素、窒素および無機リン酸塩源の他の、いずれか必要なサプリメントが、単独で、または複合窒素源等、別のサプリメントもしくは培地との混合物として導入されて、適切な濃度で含まれていてもよい。ある特定の実施形態では、培地は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化カルシウム、カザミノ酸、硫酸鉄(II)、硫酸マグネシウム、ペプトン、リン酸カリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウムおよび酵母抽出物から選択される1種または複数の成分をさらに含む。
【0106】
別の実施形態は、天然に存在しないエラスチンを産生する方法を提供する。本方法は、天然に存在しないエラスチンをコードする少なくとも1コピーの異種核酸配列を含む組換え宿主細胞を培養培地に接種するステップと、宿主細胞を培養するステップ(例えば、培養培地において宿主細胞を培養するステップ)と、宿主細胞から天然に存在しないエラスチンを単離するステップとを含む。一部の場合では、本方法は、培養培地において組換え宿主細胞を培養するステップであって、組換え宿主細胞が、培養培地中に天然に存在しないエラスチンを分泌する、ステップと、そこに分泌された天然に存在しないエラスチンを含有する培養培地を収集するステップと、培養培地から天然に存在しないエラスチンを精製および/または単離する(例えば、遠心分離、濾過他によって)ステップとを含む。
【0107】
別の態様では、タンパク質の発酵による調製のためのプロセスが提供される。プロセスは、
a)マグネシウム塩を含む培地において組換え細菌細胞を培養するステップであって、培地中のマグネシウムイオンの濃度が、少なくとも約6mMであり、細菌細胞が、タンパク質をコードする外因性遺伝子を含む、ステップと、
b)培地からタンパク質を収集するステップと
を含む。
【0108】
細菌は、標的タンパク質を産生する目的で、バッチプロセス(バッチ培養)においてまたはフェドバッチもしくは反復フェドバッチプロセスにおいて、例えば、WO05/021772に記載されている通りに連続的に、または不連続的に培養することができる。一部の実施形態では、タンパク質産生は、大規模で行われる。組換えタンパク質の産生のため、様々な大規模発酵手順を利用できる。大規模発酵は、少なくとも1,000リットルの容量、好ましくは約1,000~100,000リットルの容量を有する。このような発酵槽は、撹拌用羽根車を使用して、酸素および栄養素、特に、グルコース(好まれる炭素/エネルギー源)を分布させる。小規模発酵は、一般に、およそ20リットル以下の容積の発酵槽における発酵を指す。
【0109】
標的タンパク質の蓄積のため、宿主細胞は、標的タンパク質の蓄積に十分な条件下で培養される。斯かる条件は、例えば、細胞によるタンパク質発現および蓄積を可能にする温度、栄養素および細胞密度条件を含む。さらに、斯かる条件は、当業者にとって公知の通り、細胞が、転写、翻訳、および分泌タンパク質についてはある細胞区画から別の細胞区画へのタンパク質の移行の基本的細胞機能を果たすことができる条件である。
【0110】
細菌細胞は、適した温度で培養される。E.coli成長のため、例えば、典型的な温度は、約20℃~約39℃に及ぶ。一実施形態では、温度は、約20℃~約37℃である。別の実施形態では、温度は、約30℃である。一実施形態では、非スイッチ状態またはスイッチ状態の宿主細胞は、ある温度で培養され、タンパク質産生を誘導するために異なる温度にスイッチされる。宿主細胞は、先ず、細胞を増やすためのある温度で培養され、次いで、タンパク質産生を誘導するために、細胞は、より低い温度で培養される。第1の温度は、23°、24°、25°、26°、27°、28°、29°、30°、31°、32°、33°、34°、35°、36°または37℃であり得る。第2の温度は、20°、21°、22°、23°、24°、25°、26°、27°、28°、29°、30°、31°、32°、33°、34°、35°または36℃であり得る。第2の温度における培養は、1時間~100時間の間、5時間~90時間の間、5時間~80時間の間、5時間~80時間の間、5時間~70時間の間、10時間~70時間の間、15時間~70時間の間、15時間~65時間の間、15時間~60時間の間、20時間~60時間の間、20時間~55時間の間、20時間~50時間の間、24時間~50時間の間、24時間~48時間の間、30時間~50時間の間、30時間~45時間の間または30時間~40時間の間に行うことができる。
【0111】
培養培地のpHは、主に宿主生物に応じて、約5~9のいずれかのpHであり得る。E.coliのため、pHは、約6.0~約7.4、約6.2~約7.2、約6.2~約7.0、約6.2~約6.8、約6.2~約6.6、約6.4または約6.5であり得る。
【0112】
遺伝子発現の誘導のため、典型的に、細胞は、ある特定の光学密度が達成されるまで、例えば、OD600が約1.1になるまで培養され、このポイントで、誘導が開始されて(例えば、誘導因子の添加により、抑圧因子、抑制因子または培地成分の枯渇により、等)、標的タンパク質をコードする外因性遺伝子の発現を誘導する。一部の実施形態では、外因性遺伝子の発現は、例えば、イソプロピル-β-d-1-チオガラクトピラノシド、ラクトース、アラビノース、マルトース、テトラサイクリン、アンヒドロテトラサイクリン、バブリシン(vavlycin)、キシロース、銅、亜鉛等から選択される誘導因子により誘導性であり得る。遺伝子発現の誘導は、発酵中の溶存酸素レベルを減少させることにより達成することもできる。細胞を増やす際の発酵の溶存酸素レベルは、10%~30%の間であり得る。遺伝子発現を誘導するために、溶存酸素レベルは、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%未満にまたは0%に低下させることができる。生理学的状態またはスイッチ状態のいずれかの宿主細胞において、タンパク質産生は、本明細書に開示されている通り発酵温度を低減させることにより誘導することができる。
【実施例】
【0113】
(実施例1)
25kDa短縮されたヒトエラスチン
Hisタグ、リンカーおよび/またはトロンビン切断部位なしの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンが、下に開示されている。天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンは、全長ヒトエラスチン(配列番号20)と比べて短縮された。このエラスチンをコードするコドン最適化されたヌクレオチド配列、およびアミノ酸配列が、下に開示されている。配列番号4において、DsbA分泌タグは、ヌクレオチド1~57によってコードされ、配列番号5のアミノ酸1~19をコードする。配列番号4において、天然に存在しない短縮されたヒトエラスチン配列は、ヌクレオチド58~927によってコードされ、配列番号5のアミノ酸20~309をコードする。
【0114】
この天然に存在しない短縮されたエラスチンをコードするコドン最適化されたヌクレオチド配列は、配列番号4に提示されている。
【0115】
【0116】
DsbA分泌シグナルを含む25kDaの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチン配列のアミノ酸配列は、配列番号5に開示されている。
【0117】
【0118】
DsbA分泌タグなしの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンをコードするコドン最適化されたヌクレオチド配列は、配列番号6に提示されている。
【0119】
【0120】
DsbA分泌タグなしの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンのアミノ酸配列は、配列番号7に開示されている。
【0121】
【0122】
配列番号4のポリヌクレオチドは、Gen9 DNA(現在Ginkgo Bioworks)内部DNA合成によって合成された。pET28ベクターおよび配列番号4および配列番号6の間の重複は、20~30bp長の間となるように設計し、酵素PrimeSTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ(www.takarabio.com/products/pcr/gc-rich-pcr/primestar-gxl-dna-polymerase)を用いたPCRを使用して付加した。次に、In-Fusion Cloning(www.takarabio.com/products/cloning/in-fusion-cloning)を使用して、開環したpET28aベクターおよびインサートDNA(配列番号4)を一体にアセンブルして最終プラスミドとした。次に、Genewiz(www.genewiz.com/en)によるサンガー配列決定によりプラスミドの配列を検証した。
【0123】
形質転換された細胞を最小培地において培養し、細胞のグリセリンに対する50:50の比で野菜グリセリンを含有する1.5mLアリコートにおいて凍結した。この凍結培養物の1本のバイアルを、一晩、37℃にて200rpmで、50mLの最小培地において復活させた。細胞を300mLの最小培地に移し、5~10のOD600に達するまで6~9時間培養した。
【0124】
本実施例においておよび本開示全体を通して使用された最小培地は、次の通りに調製される:
1)DI水における濃度で5Lの550g/kgグルコースシロップをオートクレーブする(VWR、製品#97061-170)。
2)3946mLのDI水において次のものをオートクレーブする:
20g (NH4)2HPO4(VWR、製品#97061-932)
66.5g KH2PO4(VWR、製品#97062-348)
22.5g H3C6H5O7(VWR、製品#BDH9228-2.5KG)
8.85g MgSO4.7H2O(VWR、製品#97062-134)
10mLの1000×微量金属製剤(表3)。
【0125】
オートクレーブ後に、
118gの(1)を(2)に添加し、
5mLの25mg/mLカナマイシン硫酸塩(VWR-V0408)を添加する。
28%NH
4OH(VWR、製品#BDH3022)を使用して、pHを6.1に調整する。
【表3】
【0126】
25°~28℃に及ぶ様々な温度で発酵を実行した。一部の発酵のため、発酵の温度は、一定温度で維持した。他の発酵のため、発酵の温度を所望の期間維持し、OD600が10~20の細胞密度に達したら、温度を低下させて、タンパク質産生を誘導した。典型的には、温度は、28℃から25℃へと低下させた;25℃での発酵を40~60時間続けた。
【0127】
精製された天然に存在しない短縮されたエラスチンをSDS-PAGEゲルにおいて解析したところ、対照系統ではバンドがない位置に、25キロダルトンの予想されるサイズにおいて明らかなバンドが観察された。
(実施例2)
21kDa短縮されたヒトエラスチン
【0128】
天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンは、実施例1の方法に従って合成される。
【0129】
全長ヒトエラスチン(配列番号20)と比べてN末端において短縮された21kDaの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンのアミノ酸配列は、配列番号8に開示されている。21kDaの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンは、全長ヒトエラスチン(配列番号20)からアミノ酸1~522が欠失されている。
【0130】
【0131】
21kDaの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンをコードするコドン最適化されたポリヌクレオチド配列は、配列番号9に開示されている。
【0132】
【0133】
実施例1に開示されている通りに細胞を培養し、配列番号9のポリヌクレオチドを発現させる。
(実施例3)
60kDa短縮されたヒトエラスチン
【0134】
全長ヒトエラスチン(配列番号20)と比べて内部で短縮された60.3kDaの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンのアミノ酸配列は、配列番号10に開示されている。60.3kDaの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンは、全長ヒトエラスチン(配列番号20)からアミノ酸461~527が欠失されている。
【0135】
【0136】
60.3kDaの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンをコードするコドン最適化されたポリヌクレオチド配列は、配列番号11に開示されている。
【0137】
【0138】
実施例1に開示されている通りに細胞を培養し、配列番号11のポリヌクレオチドを発現させる。
(実施例4)
線維芽細胞生存率、プロコラーゲン合成およびトロポエラスチン合成における短縮されたエラスチンの効果
【0139】
ヒト線維芽細胞培養を使用して、プロコラーゲンおよびトロポエラスチン合成に影響を与える、実施例1の天然に存在しない短縮されたヒトエラスチン分子の能力を評価する。ヒト線維芽細胞培養を使用して、短縮されたエラスチンへの曝露後のヒト線維芽細胞の生存率も決定する。
【0140】
実施例1の短縮されたエラスチンから、2%w/w短縮されたエラスチンのストック溶液を調製する。次に、2%ストック短縮されたエラスチン溶液のアリコートを、後述する実験において使用する。
線維芽細胞の調製
【0141】
線維芽細胞を、24ウェルプレートの個々のウェル内で、0.5mLの線維芽細胞成長培地(FGM)において播種し、37±2℃および5±1%CO2で一晩インキュベートする。翌日、培地を吸引により除去して、いかなる非接着細胞も排除し、0.5mLの新鮮FGMに置き換える。培地を48~72時間毎に交換しつつ、細胞をコンフルエントになるまで育てる。コンフルエンシーに達したら、細胞を、1.5%ウシ胎仔血清(FBS)を補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)で24時間処置して、通常培養培地に含まれていた増殖因子によるいかなる効果も洗い流す。24時間の洗い流し期間後に、細胞を、1.5%FBSを有するFGMに溶解された指定濃度の短縮されたエラスチンで処置する。トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)(20ng/mL)を、コラーゲンおよびエラスチン合成のための陽性対照として使用する。無処置細胞(陰性対照)は、1.5%FBSを有するDMEMのみを受ける。細胞を48時間インキュベートし、インキュベーション期間の終わりに、細胞培養培地を収集し、凍結貯蔵するか(-75℃)、または直ちにアッセイする。材料を3回複製して検査する。
MTTアッセイ
【0142】
MTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド、テトラゾール)アッセイは、細胞の代謝活性の決定に使用される比色アッセイである。細胞数の変化をMTTアッセイにより評価する。細胞がMTTに曝露されると、生細胞におけるミトコンドリアによるMTTの還元により、不溶性の紫色のホルマザン(formazin)結晶が形成され、この結晶は、イソプロパノールにより細胞から抽出されて、分光光度測定により定量化される。生きていない細胞は、MTTを還元することができず、したがって、紫色のホルマザン結晶を産生することができない。紫色の強度は、生きている細胞(代謝活性がある細胞)の数に正比例する。紫色の強度は、細胞の代謝活性に正比例し、検査材料の毒性に反比例する。
【0143】
上に記す2日間のインキュベーション後に、細胞培養培地を除去し(上述を参照)、線維芽細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)で2回洗浄して、いかなる残っているエラスチン分子も除去する。最終洗浄後に、0.5mg/ml MTTを補充したDMEMを500μL各ウェルに添加し、細胞を1時間37±2℃および5±1%CO2でインキュベートする。インキュベーション後に、DMEM/MTT溶液を除去し、細胞をPBSで再度1回洗浄し、次いで、0.5mLのイソプロピルアルコールをウェルに添加して、紫色のホルマザン結晶を抽出する。200マイクロリットルのイソプロピル抽出物を96ウェルプレートに移し、ブランクとしてイソプロピルアルコールを使用して540nmでプレートを読み取る。
【0144】
陰性対照細胞の平均MTT吸光度値を計算し、100%細胞生存率を表すために使用する。次に、様々な処置を受けている細胞の個々のMTT吸光度値を、陰性対照細胞の平均値で割り、パーセントとして表現して、各処置に起因する細胞生存率の変化を決定する。
プロコラーゲン合成
【0145】
線維芽細胞は、構造タンパク質コラーゲンおよびエラスチンを含む細胞外基質ペプチドの主要供給源である。プロコラーゲンは、皮膚の真皮層における線維芽細胞によって合成される大型ペプチドであり、コラーゲンの前駆体である。ペプチドは、プロセシングされて成熟コラーゲンタンパク質を形成するため、プロペプチド部分は、切断除去される(I型Cペプチド)。次に、成熟コラーゲンタンパク質およびI型Cペプチド断片の両方が、細胞外環境へと放出される。コラーゲンが合成されると、I型Cペプチド断片は、組織培養培地中に蓄積する。プロコラーゲンペプチドの2つの部分の間には1:1化学量論比が存在するため、I型Cペプチドについてのアッセイは、合成されたコラーゲンの量を反映する。I型Cペプチドは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)に基づく方法によりアッセイすることができる。
【0146】
0ng/mL~640ng/mLに及ぶ、一連のI型Cペプチド標準が調製される。次に、プレートフレームからいかなる不必要なストリップ(strip)も除去し、続いてアッセイにおいて使用される各ウェルに100μLのペルオキシダーゼ標識抗I型プロコラーゲンCペプチド抗体を添加することにより、ELISAマイクロプレートを調製する。次に、20μLの試料(収集された組織培養培地)または標準のいずれかを適切なウェルに添加し、マイクロプレートにカバーをかけ、3±0.25時間37℃でインキュベートさせる。インキュベーション後に、ウェルを吸引し、400μLの洗浄緩衝剤で3回洗浄する。最後の洗浄液が除去された後に、100μLのペルオキシダーゼ基質溶液(過酸化水素+色素原(chromagen)としてのテトラメチルベンジジン)を各ウェルに添加し、プレートを15±5分間室温でインキュベートする。インキュベーション後に、100μLの停止溶液(1N硫酸)を各ウェルに添加し、450nmでマイクロプレートリーダーを使用してプレートを読み取る。
【0147】
存在する各物質の量を定量化するために、公知濃度の各物質を使用して検量線を作成する。回帰解析を実行して、これらのデータ点に最もよく適合する線を確立する。検査材料および無処置試料の吸光度値を使用して、各試料に存在する各物質の量を推定する。
エラスチン合成
【0148】
エラスチンは、一過性伸展後に跳ね返る能力を組織に与える、弾性線維のネットワークの主要構成成分である。このタンパク質は、線維芽細胞によって細胞外間隙へと放出され(可溶性エラスチン)、次いでそこで、他のエラスチンタンパク質に架橋されて、線維およびシートの大規模ネットワークを形成する(不溶性エラスチン)。可溶性エラスチンは、細胞培養培地から、ELISAに基づく方法により容易に測定することができる。
【0149】
可溶性α-エラスチンを、1.25μg/mLの濃度で0.1M炭酸ナトリウム(pH9.0)に溶解する。次に、150μLのこの溶液を96ウェルMaxisorp Nuncプレートのウェルにアプライし、プレートを一晩4℃でインキュベートする。翌日、ウェルを、0.25%ウシ血清アルブミン(BSA)および0.05%Tween(登録商標)20を含有するPBSで飽和させる。次に、プレートをこのブロッキング溶液と共に1時間37℃でインキュベートし、次いで0.05%Tween(登録商標)20を含有するPBSで2回洗浄する。
【0150】
0~100ng/mLに及ぶ、1セットのα-エラスチン標準を作製する。次に、180μLの標準または短縮されたエラスチンのいずれかを、650μL微量遠心分離管に移す。抗エラスチン抗体溶液を調製し(抗体は、0.25%BSAおよび0.05%Tween(登録商標)20を含有するPBSにおいて1:100希釈する)、20μLの溶液をこの管に添加する。次に、管を一晩4±2℃でインキュベートする。翌日、各管から96ウェルエラスチンELISAプレートへと150μLを移し、プレートを1時間室温でインキュベートする。次に、プレートを、0.05%Tween(登録商標)20を含有するPBSで3回洗浄する。洗浄後に、0.25%BSAおよび0.05%Tween(登録商標)20を含有するPBSに希釈されたペルオキシダーゼ連結二次抗体を含有する溶液を200μL添加し、プレートを1時間室温でインキュベートする。プレートを3回洗浄した後に、200μLの基質溶液を添加し、プレートを10~30分間暗所で室温にてインキュベートする。この最終インキュベーションの後に、プレートリーダーを使用して460nmでプレートを読み取る。
(実施例5)
ケラチノサイト増殖およびUVB保護における短縮されたエラスチンの効果
【0151】
ヒトケラチノサイト細胞培養モデルを使用して、細胞増殖における効果を発揮する検査材料の能力を評価する。加えて、UVBへの曝露後の細胞生存率における検査材料の影響も評価する。
【0152】
実施例1の短縮されたエラスチンから、2%w/w短縮されたエラスチンのストック溶液を調製する。次に、2%ストック短縮されたエラスチン溶液のアリコートを、後述する実験において使用する。
【0153】
本研究は、2つの部分において行われる。第1の部分において、培養されたケラチノサイトを検査材料と共に48時間インキュベートし、その後、MTTアッセイを使用して生細胞の数の変化を評価する。研究の第2の部分において、培養されたケラチノサイトにUVBを照射し、次いで、検査材料で48時間処置する。48時間の期間の終わりに、MTTアッセイにより生細胞の数を再度評価する。
【0154】
生細胞の細胞数の変化は、MTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド、テトラゾール)アッセイを使用して決定することができる。MTTアッセイは、生細胞の数の反映である、細胞の代謝活性の比色解析である。生細胞におけるミトコンドリアによるMTTの還元により、不溶性の紫色のホルマザン(formazin)結晶が形成され、この結晶は、イソプロパノールにより細胞から抽出されて、分光光度測定により定量化される。紫色の強度は、代謝活性がある細胞の数に正比例する。
増殖アッセイ
【0155】
増殖アッセイのため、増殖因子なしで96ウェルプレートにケラチノサイトを播種し、24時間37±2℃および5±1%CO2でインキュベートする。この初期インキュベーションの後に、培地を、検査材料を補充した培地に置き換える。陽性対照として通常培地(増殖因子あり)を使用する。検査材料の添加後に、上に記載されている通り、細胞を48時間培養する。インキュベーション期間の終わりに、MTTアッセイを使用して、生細胞の数の変化を決定する。
UVB保護アッセイ
【0156】
UVB保護アッセイのため、通常培地を使用して96ウェルプレートにケラチノサイトを播種し、24時間37±2℃および5±1%CO2でインキュベートする。この初期インキュベーションの後に、培地を、100μLのリン酸緩衝食塩水(PBS)に置き換え、細胞をUVB(40mJ/cm2)に曝露する。UVB曝露後に、PBSを、検査材料(100μg/mLのアスコルビン酸を陽性対照とする)を補充した新鮮培地に置き換え、細胞を48時間37±2℃および5±1%CO2で培養する。48時間インキュベーションの終わりに、MTTアッセイを使用して細胞生存率を決定する。
(実施例6)
チミン二量体形成における短縮されたエラスチンの効果
【0157】
紫外線照射への曝露後に、細胞に存在するDNA中のチミン二量体(TT二量体)含量は増加する。TT二量体形成の増加は、皮膚損傷、および皮膚がんを含むある特定の種類の細胞増殖性疾患と相関する。
【0158】
実施例1の短縮されたエラスチンを検査して、ヒト上皮ケラチノサイトにおけるTT二量体形成を低下させることができるか否か決定する。通常培地を使用して12ウェルプレートにヒトケラチノサイトを播種し、24時間37±2℃および5±1%CO2でインキュベートする。この初期インキュベーションの後に、培地を100μLのリン酸緩衝食塩水(PBS)に置き換え、細胞をUVB(25mJ/cm2)に曝露する。UVB曝露後に、PBSを、検査材料またはトロロクス(100μg/ml、陽性対照)を補充した新鮮培地に置き換え、細胞を一晩37±2℃および5±1%CO2で培養する。インキュベーションの終わりに、細胞DNAを抽出し、ELISAに基づく方法を使用してチミン二量体含量についてアッセイする。
【0159】
一晩インキュベーション後に、ウェルから細胞培養培地を除去し、200μLのPBSおよび20μLのプロテイナーゼKに置き換える。プレートを回旋して、PBSおよびプロテイナーゼKを混合した後に、200μLの緩衝剤ALを各ウェルに添加する。プレートを再度回旋して、試薬を混合した後に、プレートを10分間55±2℃でインキュベートする。プレートを室温に冷却した後に、200μLの100%エタノールの添加によってDNAを沈殿させる。次に、沈殿したDNA混合物を、2mL収集管におけるDNEasyスピンカラムに移し、8,000RPMで1分間遠心分離する。フロースルーおよび収集管を廃棄し、500μLの洗浄緩衝剤1をスピンカラムに添加し、カラムを新たな収集管内に置き、8,000RPMで1分間遠心分離する。フロースルーおよび収集管を再度廃棄し、500μLの洗浄緩衝剤2をスピンカラムに添加し、カラムを新たな収集管内に置き、14,000RPMで3分間遠心分離する。次に、スピンカラムを新たな1.5mL遠心分離管内に置き、110μLの超純水をカラムに添加する。カラムを1分間室温でインキュベートし、次いで8,000RPMで1分間遠心分離する。
【0160】
抽出されたDNAを蛍光定量的アッセイにより定量化する。DNA試料の2μLアリコートを、96ウェルプレートにおいて100μL Tris-EDTA(TE)緩衝剤と混合する。一連のDNA標準も、96ウェルプレートにおけるウェルに移す(2回複製して)。最後に、100μLの希釈されたCyQUANT Green色素を各ウェルに添加し、励起波長480nmおよび発光波長520nmを使用して、各ウェルの蛍光強度を決定する。
【0161】
チミン二量体検出は、OxiSelect(商標)UV誘導性DNA損傷ELISAキットを使用して決定することができる。
【0162】
試料を95℃で10分間インキュベートし、次いで氷上で冷やすことにより、ゲノムDNA試料または標準のアリコートを一本鎖DNAに変換する。100μLの各試料または標準をDNA結合ELISAプレートに移し、一晩4℃でインキュベートする。翌日、ウェルを100μLのPBSで1回リンスし、次いで150μLのアッセイ希釈剤により1時間室温でブロッキングする。アッセイ希釈剤を除去した後に、100μLの抗CPD抗体を各ウェルに添加し、プレートを1時間室温でインキュベートする。このインキュベーションの後に、プレートをウェル当たり250μLの洗浄緩衝剤で3回洗浄し、次いで150μLのブロッキング試薬をプレートに添加する。プレートを1時間室温で再度ブロッキングし、次いで前述の通り3回洗浄する。次に、100μLの二次抗体を各ウェルに添加し、プレートを1時間室温でインキュベートする。再度プレートを洗浄した後に、100μLの基質を各ウェルに添加し、プレートを5~20分間インキュベートして、プレート内での発色を可能にする。100μLの停止溶液の添加により発色反応を停止し、プレートリーダーを使用して460nmでプレートを読み取る。
【0163】
存在するDNAの量を定量化するために、公知濃度のDNAおよびそれぞれの蛍光強度(RFUまたは相対蛍光単位で測定)を使用して検量線を作成する。回帰解析を実行して、データ点に最もよく適合する線を確立する。次に、未知試料毎の相対蛍光単位(RFU)を使用して、DNAの量を推定する。
【0164】
公知量のチミン二量体含量を有する一連のDNA標準を使用して、検量線を作成する。この検量線を使用して、試料DNAにおけるDNA損傷の量を決定する。処置群毎の平均を計算し、ANOVAを使用して比較する。
(実施例7)
線維芽細胞における短縮されたヒトエラスチンの保護効果
【0165】
線維芽細胞生存率、プロコラーゲン合成およびエラスチン合成における天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンの効果は、実施例4の方法に従って決定される。
【0166】
ケラチノサイト増殖およびUVB保護における天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンの効果は、実施例5の方法に従って決定される。
【0167】
UV照射への曝露後のチミン二量体形成における天然に存在しない短縮されたヒトコラーゲンの効果は、実施例6の方法に従って決定される。
(実施例8)
炎症性サイトカインにおける短縮されたエラスチンの効果
【0168】
ケラチノサイトおよび真皮線維芽細胞は、皮膚の免疫応答における重要な役割を果たす。刺激性化学物質またはUV照射(炎症促進性/刺激作用促進性(pro-irritation)刺激)に応答して、ケラチノサイトは、数多くのサイトカインを放出することができる。そのようなサイトカインは、炎症部位へと免疫細胞を関与させるのに役立つと考えられる。ケラチノサイトによって放出されるサイトカインは、TNFα、IL-1α、IL-1β、IL-3、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-18およびIL-1RAを含む。
【0169】
本研究に使用される検査モデルは、MatTek EpiDermである。この皮膚モデルは、ヒト表皮の多層状の高度に分化したモデルを形成するように培養された正常ヒト由来上皮ケラチノサイトからなる。超微細構造的解析は、ケラトヒアリン顆粒、トノフィラメント束、デスモソーム、およびin vivo表皮に特徴的なパターンで配置された細胞間層状脂質層を含有する多層状角質層の存在を明らかにした。プロフィラグリン、K1/K10サイトケラチン対、インボルクリンおよびI型上皮トランスグルタミナーゼ等、成熟表皮特異的分化のマーカーは、このモデルにおいて局在していた。MatTek EpiDermはまた、有糸分裂的および代謝的に活性でもある。
【0170】
MatTek EpiDerm組織を使用して、炎症性メディエーターIL-1αの放出を阻害する様々な検査材料の能力を評価する。検査材料を、店頭販売の(over the counter)局所的ヒドロコルチゾン調製物(陽性対照)と共に、無処置組織(陰性対照1)および無処置非炎症組織(陰性対照2)と比較する。この検査を使用して、検査材料への曝露後の組織の生存率も評価する。
【0171】
IL-1α、IL-6およびIL-8は、ケラチノサイトにおいて合成および貯蔵され、皮膚刺激作用および炎症のメディエーターとして同定された。これらのサイトカインの放出は、組織培養培地において、比色に基づく酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により直接的に測定することができる。簡潔に説明すると、固体支持体に共有結合により連結された抗体は、使用済み培養培地試料に存在するIL-1α、IL-6またはIL-8に結合することができる。次いで、アセチルコリンエステラーゼ酵素に共有結合により取り付けられている二次抗体は、特異的結合サイトカインを検出することができる。適切な呈色基質の添加後に、アセチルコリンエステラーゼ酵素は、分光光度測定され得る有色最終産物を生成することができる。
【0172】
MatTek EpiDerm組織は、MatTek社から購入され、使用まで4℃で貯蔵される。使用に先立ち、使用されるべき組織を、アガロース配送トレーから取り出し、0.9mLのヒドロコルチゾン不含アッセイ培地(37±2℃)を含有する6ウェルプレート内に置く。一晩37±2℃および5±1%CO2で組織をインキュベートさせる。この初期インキュベーションの後に、アッセイ培地を0.9mLの新鮮ヒドロコルチゾン不含培地(37±2℃)に置き換える。検査材料毎に3回組織を調製する。
【0173】
組織における炎症性応答は、UV照射(UVB)により惹起される。UVランプを使用して、300mJ/cm2線量のUVB照射を組織に与える。炎症性刺激の適用直後に、50μLまたはmgの検査材料を、組織表面に直接的に適用する。陽性対照として店頭販売のヒドロコルチゾンクリームを使用する。陰性対照のため、組織は、炎症性刺激に曝露されるが、いずれの種類の抗炎症性材料によっても処置されない。追加的な1セットの組織は、炎症性刺激に曝露せずに置いて、サイトカインのためのベースライン測定値を提供する。炎症性刺激への曝露後に、組織を37±2℃および5±1%CO2で24時間インキュベートする。24時間のインキュベーション後に、細胞培養培地を収集し、サイトカインの解析まで-75℃で貯蔵する。
【0174】
適切な捕捉抗体をPBSに希釈することにより、ELISAプレートを調製する。次に、100μLの希釈された捕捉抗体を96ウェルELISAプレートのウェルに添加し、プレートを一晩室温でインキュベートする。翌日、プレートを300μL洗浄緩衝剤(PBS中0.05%Tween(登録商標)20)で3回洗浄し、次いで各ウェルに300μLのブロッキング緩衝剤(PBS中1%BSA)を添加することによりブロッキングする。プレートをブロッキング緩衝剤と共に少なくとも1時間インキュベートする。インキュベーション後に、ブロッキング緩衝剤を除去し、上に記載されている通り、プレートを3回洗浄する。
【0175】
一連の標準を調製し、これらの標準のそれぞれの100μLを、適切な96ウェルプレートにおける2個のウェルに分注する(2回複製)。その後、100μLの各試料を追加的なウェルに添加し、プレートを2時間室温でインキュベートする。インキュベーション後に、上に記載されている通り、プレートを3回洗浄する。最後の洗浄液が除去されたら、100μLのビオチンコンジュゲートされた検出抗体を添加する。プレートを2時間室温でインキュベートした後に、上に記載されている通り、再度プレートを洗浄する。次に、100μLのHRP-ストレプトアビジンを各ウェルに添加し、プレートを20分間室温でインキュベートする。次に、100μLの基質溶液(過酸化水素+色素原としてのテトラメチルベンジジン)を各ウェルに添加する。十分なレベルの発色現像が起こったら、50μLの停止溶液(2N硫酸)を各ウェルに添加し、460nmでプレートを読み取る。
【0176】
24時間のインキュベーションの後に、組織を少なくとも100μLのリン酸緩衝食塩水で2回リンスして、検査材料を除去し、次いでMTT(1mg/mL)を補充したアッセイ培地を1.0mL含有する6ウェルプレートに移し、3±0.25時間37±2℃および5±1%CO2でインキュベートさせる。インキュベーション後に、組織を100μLのリン酸緩衝食塩水で少なくとも2回リンスし、吸い取って乾燥させ、次いで、ウェル当たり2mLのイソプロパノールを含有する24ウェルプレート内に置く。24ウェルプレートにカバーをかけ、振動プラットフォームにおいて室温で少なくとも2時間インキュベートさせて、組織から還元型MTTを抽出する。抽出後に、イソプロパノール/MTT混合物の200μL試料を96ウェルプレートに移し、ブランクとして200μLのイソプロパノールを使用して、プレートリーダーにより540nmで試料の吸光度を読み取る。
(実施例9)
短縮されたエラスチンによる都市粉塵保護
【0177】
ケラチノサイト細胞培養モデルを使用して、都市粉塵への曝露後に細胞生存を促進することにより保護効果を発揮する短縮されたエラスチンの能力を評価する。
【0178】
ヒト上皮ケラチノサイトを検査材料で前処置し、次いで都市粉塵に曝露する。処置期間の終わりに、MTTアッセイにより細胞生存率の変化を決定する。
【0179】
ケラチノサイトを、100μLの培地において96ウェルプレートの個々のウェル内に播種し、一晩37±2℃および5±1%CO2でインキュベートする。翌日、培地を吸引により除去して、いかなる非接着細胞も排除し、100μLの新鮮培地に置き換える。培地を48~72時間毎に交換しつつ、細胞をコンフルエントになるまで育てる。
検査材料による前処置と、それに続く都市粉塵処置
【0180】
細胞培養培地において2×最終所望濃度で検査材料を調製する。都市粉塵(Sigma Chemicals社のNIST 1649B)も2×溶液で調製する。前処置のため、50μLの2×検査材料を50μLの培養培地と組み合わせ、細胞を24時間インキュベートする。前処置期間の終わりに、検査材料含有培養培地を除去し、50μLの2×都市粉塵および50μLの培地に置き換える。別のセットの細胞を培地単独で処置し(非粉塵曝露)、100%細胞生存率を表す参照対照として使用する。次に、細胞を24時間インキュベートし、次いでMTTアッセイに供して、細胞生存率の変化を決定する。
【0181】
処置期間の終わりに、細胞培養培地を除去し、細胞をPBSで洗浄する。洗浄後に、0.5mg/mL MTTを補充した細胞培養培地を100μL、各ウェルに添加し、細胞を30分間37±2℃および5±1%CO2でインキュベートする。インキュベーション後に、培地/MTT溶液を除去し、細胞をPBSで再度1回洗浄し、次いで100μLのイソプロピルアルコールをウェルに添加して、紫色のホルマザン結晶を抽出する。次に、ブランクとしてイソプロピルアルコールを使用して、540nmで96ウェルプレートを読み取る。
【0182】
非粉塵曝露細胞の平均MTT吸光度値を計算し、細胞数に対する100%値を表すために使用する。次に、様々な処置を受けている細胞の個々のMTT値を、非粉塵曝露細胞の平均値で割り、パーセントとして表現して、各処置に起因する細胞数の変化を決定する。
(実施例10)
23kDa短縮されたヒトエラスチン
【0183】
Hisタグ、リンカーおよびトロンビン切断部位なしの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンが、下に開示されている。この短縮されたエラスチンをコードするコドン最適化されたヌクレオチド配列、およびアミノ酸配列が、下に開示されている。配列番号12において、DsbA分泌タグは、ヌクレオチド1~57によってコードされ、配列番号13のアミノ酸1~19をコードする。配列番号12において、短縮されたエラスチン配列は、ヌクレオチド58~843によってコードされ、配列番号13のアミノ酸20~281をコードする。
【0184】
この天然に存在しない短縮されたエラスチンをコードするコドン最適化されたヌクレオチド配列は、配列番号12に提示されている。
【0185】
【0186】
DsbA分泌シグナルを含む23kDaの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチン配列のアミノ酸配列は、配列番号13に開示されている。
【0187】
【0188】
DsbA分泌タグエラスチンなしの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンをコードするコドン最適化されたヌクレオチド配列は、配列番号14に提示されている。
【0189】
【0190】
DsbA分泌タグなしの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンのアミノ酸配列は、配列番号15に開示されている。
【0191】
【0192】
配列番号12のポリヌクレオチドは、Twist DNAによって合成された。pET28ベクターおよび配列番号12の間の重複は、20~30bp長の間となるように設計し、酵素PrimeSTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ(www.takarabio.com/products/pcr/gc-rich-pcr/primestar-gxl-dna-polymerase)を用いたPCRを使用して付加した。次に、In-Fusion Cloning(www.takarabio.com/products/cloning/in-fusion-cloning)を使用して、開環したpET28aベクターおよびインサートDNA(配列番号12)を一体にアセンブルして最終プラスミドとした。次に、Genewiz(www.genewiz.com/en)によるサンガー配列決定を使用して、プラスミドの配列を検証した。
【0193】
実施例1の最小培地において形質転換された細胞を培養し、細胞のグリセリンに対する50:50の比で植物(vegetable)グリセリンを有する1.5mLアリコートにおいて凍結した。1本のバイアルのこの凍結培養物を、50mLの最小培地に入れて、一晩37℃、200rpmに供して起こした。細胞を300mLの最小培地に移し、OD600が5~10に達するまで6~9時間育てた。
【0194】
23kDaの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンを、12%BisTrisタンパク質ゲルにおいて検出した。ゲルの写真は、
図1に描写されている。23kDaの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンは、液体クロマトグラフィー質量分析を使用したインタクト質量分析によって、正確な質量であることが確認された。
(実施例11)
13kDa短縮されたヒトエラスチン
【0195】
Hisタグ、リンカーおよびトロンビン切断部位なしの天然に存在しない短縮されたヒトが、下に開示されている。このエラスチンをコードするコドン最適化されたヌクレオチド配列、およびアミノ酸配列が、下に開示されている。配列番号16において、DsbA分泌タグは、ヌクレオチド1~57によってコードされ、配列番号17のアミノ酸1~19をコードする。配列番号16において、短縮されたエラスチン配列は、ヌクレオチド58~489によってコードされ、配列番号17のアミノ酸20~163をコードする。
【0196】
このエラスチンをコードするコドン最適化されたヌクレオチド配列は、配列番号16に提示されている。
【0197】
【0198】
DsbA分泌シグナルを含む13kDaの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチン配列のアミノ酸配列は、配列番号17に開示されている。
【0199】
【0200】
DsbA分泌タグなしの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンをコードするコドン最適化されたヌクレオチド配列は、配列番号18に提示されている。
【0201】
【0202】
DsbA分泌タグなしの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンのアミノ酸配列は、配列番号19に開示されている。
【0203】
【0204】
配列番号16のポリヌクレオチドは、Twist DNAによって合成された。pET28ベクターおよび配列番号16の間の重複は、20~30bp長の間となるように設計し、酵素PrimeSTAR(登録商標)GXLポリメラーゼ(www.takarabio.com/products/pcr/gc-rich-pcr/primestar-gxl-dna-polymerase)を用いたPCRを使用して付加した。次に、In-Fusion Cloning(www.takarabio.com/products/cloning/in-fusion-cloning)を使用して、開環したpET28aベクターおよびインサートDNA(配列番号16)を一体にアセンブルして最終プラスミドとした。次に、Genewiz(www.genewiz.com/en)によるサンガー配列決定によりプラスミドの配列を検証した。
【0205】
最小培地において形質転換された細胞を培養し、細胞のグリセリンに対する50:50の比で植物(vegetable)グリセリンを有する1.5mLアリコートにおいて凍結した。1本のバイアルのこの凍結培養物を、50mLの最小培地に入れて、一晩37℃、200rpmに供して起こした。細胞を300mLの最小培地に移し、OD600が5~10に達するまで6~9時間育てた。
【0206】
13kDaの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンを、12%BisTrisタンパク質ゲルにおいて検出した。ゲルの写真は、
図1に描写されている。13kDaの天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンは、液体クロマトグラフィー質量分析を使用したインタクト質量分析によって、正確な質量であることが確認された。
(実施例12)
13kDaの天然に存在しない短縮されたエラスチンの純度および均一性
【0207】
配列番号19に従ったアミノ酸配列を有するポリペプチドをSDS-PAGEによって解析して、純度および均一性を評価した。
図2は、配列番号19に従ったアミノ酸配列を有するポリペプチドが、SDS-PAGEタンパク質ゲルにおいて単一のバンドとして出現したことを実証し、高い純度および均一性を指し示す。対照的に、市販のエラスチンは、タンパク質ゲルにおけるスメアとして出現し、高い不均一性を指し示す。
(実施例13)
天然に存在しない短縮されたヒトコラーゲンのin vitro研究
天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンは、コラーゲンI型タンパク質の線維芽細胞産生を刺激する
【0208】
線維芽細胞は、構造タンパク質コラーゲンおよびエラスチンを含む細胞外基質ペプチドの主要供給源である。ヒト初代線維芽細胞を、コラーゲンI型タンパク質分泌について評価した。線維芽細胞を配列番号19に従ったポリペプチドと共に48時間培養した。総分泌コラーゲンI型タンパク質の読み出し情報であるI型プロコラーゲンCペプチドに対するELISAによって、培養上清を解析した。
図3は、配列番号19に従ったポリペプチドの0.1%w/w溶液(
図3、「B」)、0.05%w/w溶液(
図3、「C」)および0.025%w/w溶液(
図3、「D」)で処置した線維芽細胞が、無処置対照線維芽細胞(
図3、「A」)よりも高いレベルのコラーゲンI型を分泌したことを実証する。
天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンは、抗酸化能を実証する
【0209】
酸素ラジカル吸収能(ORAC)アッセイを実行して、配列番号19に従ったポリペプチドの抗酸化能を解析した。ORACアッセイは、蛍光読み出し情報を使用して抗酸化能を測定する無細胞アッセイである。データは、トロロクス(ビタミンE)当量(TE)で報告される。
図4に示す通り、配列番号19に従ったポリペプチドの0.0125%w/w溶液(
図4、「E」)、0.025%w/w溶液(
図4、「D」)、0.05%w/w溶液(
図4、「C」)、0.1%w/w溶液(
図4、「B」)および0.2%w/w溶液(
図4、「A」)はそれぞれ、抗酸化特性を実証した。例えば、配列番号19に従ったポリペプチドの0.2%w/w溶液は、228μMトロロクスに相当する抗酸化特性を実証した。
天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンは、ケラチノサイトにおける抗酸化剤遺伝子を刺激する
【0210】
ケラチノサイトを、培地単独または配列番号19に従ったポリペプチドの0.03%w/w溶液と共に24時間インキュベートした。細胞からRNAを抽出し、Clariomマイクロアレイ(ThermoFisher)によって網羅的遺伝子発現について解析した。
図5は、SOD2、GPX2、GPX4、GSTK1、GSTZ1、GSTA4、GSTM2、CCS、GPX1、GLRX、PRDX5、PRDX6およびPRDX2を含む多くの抗酸化剤遺伝子が、無処置細胞(
図5、「A」)と比べて、配列番号19に従ったポリペプチドで処置したケラチノサイト(
図5、「B」)において上方調節されたことを実証する。
天然に存在しない短縮されたヒトエラスチンは、ケラチノサイトにおけるアポトーシス遺伝子の発現を低減する
【0211】
ケラチノサイトを、培地単独(非処置)または配列番号19に従ったポリペプチドの0.03%w/w溶液と共に24時間インキュベートした。細胞からRNAを抽出し、Clariomマイクロアレイ(ThermoFisher)によって網羅的遺伝子発現について解析した。
図6は、APAF1、BAK1、CASP7、CASP8、FADD、MCL1およびMETを含む多くのアポトーシス促進遺伝子が、無処置細胞(
図6、「A」)と比べて、配列番号19に従ったポリペプチドで処置したケラチノサイト(
図6、「B」)において下方調節されたことを実証する。
【0212】
本明細書に記載されている実施例および実施形態が、単に説明を目的としており、それを踏まえた様々な修正または変化が、当業者に示唆され、本出願の精神および範疇ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書に引用されているあらゆる刊行物、特許および特許出願は、これによりあらゆる目的のためそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】