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特表2022-526435被加工物をレーザー加工するための機械加工装置、被加工物をレーザー加工するための機械加工装置用の部品セット、およびそのような機械加工装置を用いて被加工物をレーザー加工するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-24
(54)【発明の名称】被加工物をレーザー加工するための機械加工装置、被加工物をレーザー加工するための機械加工装置用の部品セット、およびそのような機械加工装置を用いて被加工物をレーザー加工するための方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/70 20140101AFI20220517BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20220517BHJP
【FI】
B23K26/70
B23K26/38 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021560109
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2020072878
(87)【国際公開番号】W WO2021032625
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】102019122064.5
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503168692
【氏名又は名称】バイストロニック レーザー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャイディガー ジーモン
(72)【発明者】
【氏名】ルーディ アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ツォーリンガー ローラント
(72)【発明者】
【氏名】ムメンターラー マーティン
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD07
4E168CB04
4E168DA02
4E168EA15
4E168EA24
4E168EA25
4E168KA17
(57)【要約】
機械加工部位13において被加工物12をレーザー加工するための機械加工装置が提供される。機械加工装置は、加工用レーザービーム15を生成する加工用レーザー光源用の第1のインターフェース14と、加工用レーザービーム15用の出口開口部18と、第1のインターフェース14と出口開口部18との間の光学系であって、少なくとも1つの可動面24および可動面24を動的に調整可能である少なくとも1つのアクチュエータ26を有する少なくとも1つのレーザービームガイド装置22を有する光学系と、少なくとも1つのアクチュエータ26を冷却する冷却装置28であって、アクチュエータ26と接触することなく第1の冷却流体が流れることができる少なくとも1つの一次回路30を有する冷却装置28と、を備える。さらに、被加工物12をレーザー加工するための機械加工装置用の部品セット、およびそのような機械加工装置を用いて被加工物12をレーザー加工する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械加工部位(13)において被加工物(12)をレーザー加工、特にレーザー切断するための機械加工装置、特にレーザー加工ヘッドであって、
加工用レーザービーム(15)を生成するための加工用レーザー光源(16)のための第1のインターフェース(14)と、
前記加工用レーザービーム用の出口開口部(18)と、
前記第1のインターフェースと前記出口開口部との間の光学系であって、少なくとも1つの可動面(24)および前記可動面(24)を動的に調整可能である少なくとも1つのアクチュエータ(26)を有する少なくとも1つのレーザービームガイド装置(22)を有する光学系と、
前記少なくとも1つのアクチュエータを冷却するための冷却装置(28)であって、前記アクチュエータと接触することなく第1の冷却流体が流れることができる少なくとも1つの一次回路(30、32)を有する冷却装置(28)と、を備えることを特徴とする機械加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載の機械加工装置であって、
前記冷却装置が、それを通って第2の冷却流体が前記アクチュエータと接触して流れることができ、第1の前記一次回路(32)によって冷却され得る閉じた二次回路(34)を有することを特徴とする機械加工装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の機械加工装置であって、
前記冷却装置が、前記少なくとも1つのアクチュエータおよび/または前記レーザービームガイド装置が少なくとも部分的に配置されている内部(36)から選択された少なくとも1つの要素と、冷却構造(37)と、を有することを特徴とする機械加工装置。
【請求項4】
請求項3に記載の機械加工装置であって、
前記内部が前記二次回路の一部であり、および/または、
前記冷却構造が前記第1もしくは第2の一次回路の一部であることを特徴とする機械加工装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の機械加工装置であって、
前記冷却構造は、流れを通すことができ、特に、前記冷却装置および/もしくは前記レーザービームガイド装置の前記内部を少なくとも部分的に取り囲む、前記冷却装置の壁を有し、ならびに/または
前記冷却構造は、流れを通すことができ、特に、前記冷却装置の前記内部に配置される少なくとも1つの冷却フィンを有することを特徴とする機械加工装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の機械加工装置であって、
前記機械加工装置は、前記冷却装置および/もしくは前記レーザービームガイド装置が互いに交換可能に提供される第2のインターフェース(17)を有し、ならびに/または、
前記第1の冷却流体は液体であり、および/もしくは前記第2の冷却流体はガス状であり、ならびに/または、
前記冷却装置、特に前記冷却装置の前記壁は、前記機械加工装置上に気密に設けられていることを特徴とする機械加工装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の機械加工装置であって、
前記少なくとも1つのアクチュエータは、ピエゾアクチュエータ、検流計スキャナのアクチュエータ、それらの複数、およびそれらの組合せから選択され、ならびに/または
前記少なくとも1つの可動面は、前記加工用レーザービームに対して少なくとも部分的に反射性であり、ならびに/または
前記少なくとも1つの可動面は動的に方向付け可能であり、ならびに/または
前記少なくとも1つの可動面は、動的に変形可能である連続面であり、ならびに/または
前記可動面(24)は、時間的に統合された前記加工用レーザービームのビームパラメータ積を変更するように動的に調整可能であり、ならびに/または
前記少なくとも1つの可動面は、前記光学系の焦点距離を変更するように調整可能であり、ならびに/または
前記少なくとも1つの可動面は、前記加工用レーザービームの軸方向の焦点位置を変更するように調整可能であることを特徴とする機械加工装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の機械加工装置であって、
前記レーザービームガイド装置は、前記少なくとも1つの可動面として、それぞれが動的に配向可能な複数のミラーセグメントを含む少なくとも1つのセグメント化されたミラーを有し、および/または
前記レーザービームガイド装置は、前記少なくとも1つの可動面として、少なくとも1つの動的に変形可能なミラーを有することを特徴とする機械加工装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の機械加工装置であって、
前記少なくとも1つの可動面は、前記加工用レーザービームを伝播方向に対して少なくとも垂直に動的に移動させるように調整可能であり、ならびに/または
前記少なくとも1つの可動面は、前記加工用レーザービームを動的に移動させ、少なくとも1つの振動振幅および少なくとも1つの振動周波数を有し、2次元もしくは3次元のリサージュ図形または2次元もしくは3次元のリサージュ図形の組合せに対応する焦点振動経路を有する少なくとも1つの焦点振動を生成するように調整可能であることを特徴とする機械加工装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の機械加工装置であって、
前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記可動面を高周波で動的に調整するように構成され、および/または
前記少なくとも1つの可動面は、10Hzから15kHzの間、好ましくは100Hzから10kHzの間、より好ましくは400Hzから10kHzの間の周波数で調整可能であることを特徴とする機械加工装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の機械加工装置であって、
前記レーザービームガイド装置、特に前記少なくとも1つの可動面は、前記加工用レーザービームが90°未満、90°、もしくは90°より大きい角度で偏向されるように配置および構成されており、ならびに/または
前記第1のインターフェース(14)は、前記加工用レーザービーム(15)を生成するための加工用レーザー光源(16)に接続され、もしくは含み、ならびに/または
前記レーザービームガイド装置、特に前記少なくとも1つのアクチュエータを制御するための制御ユニット(27)が提供され、ならびに/または
前記加工用レーザー光源は、少なくとも1kW、好ましくは少なくとも4kW、より好ましくは1から30kWの間、最も好ましくは1から25kWの間のレーザー出力を提供することを特徴とする機械加工装置。
【請求項12】
被加工物をレーザー加工、特にレーザー切断するための請求項1から11のいずれか1項に記載の機械加工装置の使用。
【請求項13】
機械加工部位(13)において被加工物(12)をレーザー加工、特にレーザー切断するための、特に請求項1から11のいずれか1項に記載の機械加工装置用の部品セットであって、
レーザー加工ヘッド(100、200、300)であって、加工用レーザービーム(15)を生成するための加工用レーザー光源(16)用の第1のインターフェース(14)、前記加工用レーザービーム用の出口開口部(18)、および前記第1のインターフェースと前記出口開口部との間の第2のインターフェース(17)を有し、
前記第2のインターフェースが、少なくとも1つの可動面(24)および前記可動面(24)を動的に調整可能である少なくとも1つのアクチュエータ(26)を有する光学系用の少なくとも1つのレーザービームガイド装置(22)を受け入れるように構成されている、レーザー加工ヘッド(100、200、300)と、
前記少なくとも1つのアクチュエータを冷却するための冷却装置(28)であって、前記アクチュエータと接触することなく第1の冷却流体が流れることができる少なくとも1つの一次回路(30、32)を有し、
前記レーザービームガイド装置および前記冷却装置が、前記第2のインターフェースに配置、特に取り付けられ得る、冷却装置(28)と、を備えることを特徴とする部品セット。
【請求項14】
請求項13に記載の部品セットであって、少なくとも1つの可動面(24)および前記可動面(24)を動的に調整可能である少なくとも1つのアクチュエータ(26)を有する光学系用の少なくとも1つのレーザービームガイド装置(22)を有することを特徴とする部品セット。
【請求項15】
請求項1から11のいずれか1項に記載の機械加工装置を用いて被加工物をレーザー加工、特にレーザー切断するための方法であって、
機械加工装置(100、200、300、400)の第1のインターフェース(14)に提供される加工用レーザー光源(16)からの加工用レーザービーム(15)により、前記機械加工装置の出口開口部(18)を通して被加工物(12)の機械加工部位(13)を照射するステップと、
レーザービームガイド装置の少なくとも1つのアクチュエータ(26)を、前記アクチュエータと接触することなく少なくとも1つの一次回路(30、32)を通って流れる第1の冷却流体によって冷却するステップと、
冷却された前記少なくとも1つのアクチュエータ(26)を用いて前記可動面(24)を動的に調整するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記アクチュエータを冷却するステップは、
第1の前記一次回路(32)を通って流れる前記第1の冷却流体によって冷却される閉じた二次回路(34)を通って前記アクチュエータと接触して流れる第2の冷却流体によって前記アクチュエータを冷却するステップと、
前記第1および/または第2の一次回路(30、32)、特に冷却構造(37)を通って流れる前記第1の冷却流体によって前記アクチュエータを冷却するステップと、
から選択される少なくとも1つのステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項15または16に記載の方法であって、
前記可動面(24)は、時間的に統合された加工用レーザービームのビームパラメータ積を変更するように動的に調整され、ならびに/または
前記レーザービームガイド装置、特に前記少なくとも1つの可動面(24)は、前記加工用レーザービームを伝播方向に対して少なくとも垂直に動的に移動させ、ならびに/または
前記レーザービームガイド装置、特に前記少なくとも1つの可動面は、前記加工用レーザービームを動的に移動させて、少なくとも1つの振動振幅および少なくとも1つの振動周波数を有し、2次元もしくは3次元のリサージュ図形または2次元もしくは3次元のリサージュ図形の組合せに対応する焦点振動経路を有する少なくとも1つの焦点振動を生成することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物をレーザー加工するための機械加工装置、被加工物をレーザー加工するための機械加工装置の使用、被加工物をレーザー加工するための機械加工装置用の部品セット、および被加工物をレーザー加工するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー加工装置は、被加工物のレーザー加工、特にレーザー切断などのレーザー放射による材料の熱分離方法において使用される。多くの場合、加工用レーザービームを被加工物、たとえば加工するシートにガイドするためにレーザー加工ヘッドが使用される。たとえば、フラットベッド切断システムでは、レーザービームおよびガスジェットを用いて被加工物が加工される。機械加工ヘッドは切断ヘッドとして構成され、2つのビームを最適な方法で被加工物に向ける。被加工物(材料および厚さ)と所望の処理に応じて、最適なレーザービームは異なり得る。
【0003】
1kWを超える中程度のレーザー出力で利用可能な切断ヘッドのほとんどは、加工する被加工物へのレーザービームの光学投影が不変である。この投影は妥協点を表す。ビームは、さまざまな材料だけでなく、薄い被加工物および厚い被加工物にも使用できる。対照的に、レーザービームの剛直な光学投影は、ほとんどの材料および厚さで切断品質および/または送り速度の低下を伴う。
【0004】
そのため、レーザー加工用にズーム光学系が開発され、切断ヘッドに使用されている。これらを使用すると、特に被加工物の種類および厚さに応じて、イメージング比、すなわち光学系の焦点距離を特定の範囲内で変更できる。ズーム光学系では、通常、加工用レーザービームの焦点の位置がその伝搬方向と平行に変位するように、少なくとも2つの光学素子を設定することができる。
【0005】
さらに、レーザービームを成形するレーザー加工のアプローチがある。ビーム成形は、レーザービームのビームパラメータ積を変更すること、および/または電磁レーザーモードの混合を変更すること、および/またはレーザービームの出力の横方向分布を変更することを意味すると理解することができる。欧州特許出願公開第3412400(A1)号に記載されているように、ビームパラメータ積が1度にまたは複数の特異な(分離された)時間に調整される、静的ビーム成形がある。さらに、ビームパラメータ積が、レーザービームの一定期間にわたる連続的な動的移動によって、平均化または統合された方法で、たとえばビーム振動によって変化する、動的ビーム成形(DBS:dynamic beam shaping)もある。この方向のさまざまな解決策が知られており、たとえば、静的ビーム成形用の米国特許第8781269(B2)号、米国特許第9250390(B2)号、米国特許第9346126(B2)号、欧州特許出願公開第2730363(A1)号、欧州特許出願公開第2762263(A1)号、独国特許第2821883(B1)号、独国特許出願公開第102015116033(A1)号、欧州特許第2778746(B1)号、および独国特許出願公開第102015101263(A1)号や、動的ビーム成形用の独国特許第102008053397(B4)号がある。
【0006】
動的ビーム成形を使用するレーザー加工では、レーザービームは、たとえば100Hzから10kHzの周波数で、すなわちレーザービームと材料との間の通常の反応時間よりも大幅に高い周波数で、機械加工される被加工物を横切って移動する。したがって、被加工物は、時間の経過と共に平均化された、または時間の経過と共に統合された加工用レーザービームの出力分布で機械加工される。動的ビーム成形により、レーザービームスポットのほぼすべての出力分布および強度分布を生成できる。そのような適合されたレーザービームを用いて、より良い切断結果を達成できることも知られている。たとえば、https://www.iws.fraunhofer.de/en/pressandmedia/press_releases/2016/press_release_2016-15.htmlを参照。
【0007】
適応ミラーまたは変形可能ミラーは、AOS(Active Optical Systems、LLC)またはフラウンホーファー(Fraunhofer)IOFから入手可能なものなどのレーザービームのビーム成形に使用できる(「材料処理用の高速適応集束ミラー(Fast adaptive focusing mirrors for material processing)」https://www.iof.fraunhofer.de/de/presse-medien/pressemitteilungen/2019/LASER-Messe-Highlights.htmlも参照)。ミラーの表面積を互いに独立して、たとえば100Hzを超える周波数ですばやく調整できる場合は、そのようなミラーを使用して動的ビーム成形を実行できる。
【0008】
さらに、フラウンホーファー(Fraunhofer)IWS Dresdenは、チップ/チルトピエゾスキャナが動的ビーム成形に適しているように見えることを示した。C.ゴッポルド(C.Goppold)らの、「チップ-チルトピエゾプラットフォームスキャナは、切断用途での高レーザー出力の動的ビーム成形に適している(Tip-Tilt piezo platform scanner qualifies dynamic beam shaping for high laser power in cutting applications)。」、LIM会議、ミュンヘン、2019年6月、を参照。この目的のために、約1インチ(2.54cm)のミラーが、非常に動的な方法でミラーを動かすピエゾアクチュエータに結合された。このようにして、2kHzまでは短期間の動作で達成された。市販のガルバノスキャナ(またはガルバノメータースキャナ)システムは、通常、kHzの範囲まで使用できる。
【0009】
ただし、動的レーザービーム成形用に市場で入手可能な装置、たとえばチップ/チルトピエゾスキャナは、特に高い振動周波数(数100Hzから数kHz)の範囲で、および/または長期的な用途で、高熱暴露/発生を伴う障害の影響を受けやすいことが示されている。結果として生じる高い振動振幅により、特に連続運転において、アクチュエータによって高熱発生自体が決定され得る。
【0010】
欧州特許出願公開第1030206(A2)号は、レーザービーム用の変形可能なミラーと、冷却水チャネルを有するミラーマウントとを開示している。米国特許第5777807(A)号および米国特許出願公開第2001008469(A)号によれば、レーザー処理機の変形可能ミラーのミラープラットフォームを冷却することが提案されている。欧州特許出願公開第1104940(A1)号は、コールドフィンガーを備えたソリッドステートアクチュエータについて説明している。欧州特許出願公開第1104940(A1)号は、アクチュエータの空冷が技術的に複雑であり、閉鎖系として設計することはできないとも述べている。ピエゾアクチュエータの空冷については、https://www.piezomechanik.com/fileadmin/filestorage/Kataloge/de/Piezomechanik_Katalog_D_2010-05-05_web.pdf、42ページ、https://static.physikinstrument.com/fileadmin/user_upload/physik_instrument/files/user_manuals/P-21x-Benutzeranleitung-PZ249D110.pdf、26ページ、およびhttp://www.dyneos.ch/pdf/Dyneos_Katalog_Piezoelektrische_Aktor.pdf、62ページ、図48、に記載されている。
【0011】
レーザー加工ヘッドは、高い清浄度要件を満たす必要がある。ミラーによるレーザービーム成形の一般的な装置、たとえばチップ/チルトピエゾスキャナでは、ミラーの後部の下にレーザー加工ヘッドの光学チャンバへの開口部がある。ガス状の冷却媒体を使用して、スキャナを積極的に冷却することができる。この目的のために、大量の冷却媒体(冷却空気の標準値>100l/分)がスキャナハウジングに導入される。しかしながら、冷却媒体は、開口部を通って光学チャンバに入り、ミラー表面および他の光学素子(たとえば、偏向ミラー、レンズ、および保護ガラス)と接触する可能性がある。ただし、レーザービームとの相互作用による汚染は、これらの光学素子の損傷または破壊にさえつながる可能性がある。したがって、冷却媒体は、それ自体がスキャナハウジングおよび/または光学チャンバ内の汚れの原因となり得るか、または高い流速で光学チャンバ内に存在する汚れを渦巻かせ、したがってそれらを光学素子内のレーザービームの有効範囲内に向けることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、信頼性が高く、および/またはエラーが発生しにくいレーザービーム成形を可能にする、被加工物のレーザー加工のための機械加工装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、請求項1に記載の被加工物をレーザー加工するための機械加工装置、請求項12に記載の機械加工装置の使用、請求項13に記載の被加工物をレーザー加工するための機械加工装置の部品セット、および請求項15に記載の被加工物をレーザー加工するための方法によって達成される。
【0014】
本発明の一実施形態では、機械加工部位において被加工物をレーザー加工、特にレーザー切断するための機械加工装置、特にレーザー加工ヘッドであって、加工用レーザービームを生成するための加工用レーザー光源のための第1のインターフェースと、加工用レーザービーム用の出口開口部と、第1のインターフェースと出口開口部との間の光学系であって、少なくとも1つの可動面および可動面を動的に調整可能である少なくとも1つのアクチュエータを有する少なくとも1つのレーザービームガイド装置を有する光学系と、少なくとも1つのアクチュエータを冷却するための冷却装置であって、アクチュエータと接触することなく第1の冷却流体が流れることができる少なくとも1つの一次回路を有する冷却装置と、を備えることを特徴とする機械加工装置が提供される。
【0015】
一次回路の少なくとも1つは、第1の冷却流体によって能動的に通過するように構成することができる。たとえば、一次回路の少なくとも1つは、ポンプ装置など、一次回路を通して第1の冷却流体を能動的に流すための装置を含むことができる。機械加工装置の内部は、第1のインターフェースと出口開口部との間に設けることができる。レーザービームガイド装置は、機械加工装置の内部への開口部を有することができる。可動面は、機械加工装置の内部および/または機械加工装置の内部への開口部に配置することができる。
【0016】
機械加工装置は、第1の冷却流体がアクチュエータと接触することなく、少なくとも1つのアクチュエータを冷却することを可能にする。したがって、アクチュエータおよび可動面の汚染が回避される。このようにして、アクチュエータの周囲からの第1の冷却流体が、光学チャンバとも呼ばれる機械加工装置の内部に入り、そこでさらなる光学素子と接触したり、汚れ粒子を渦巻かせたりすることも回避される。さらに、アクチュエータの冷却により、たとえば、産業用途での長期間の動作においてさえ、高温でのレーザービームガイド装置の機能が安定する。したがって、少なくとも1つの可動面は、少なくとも1つの冷却されたアクチュエータによって、所望の周波数範囲で、さらには数100Hzから数kHzの高周波でさえも確実に調整でき、特に高熱暴露/高熱発生の干渉はほとんどなしで確実に動作することができる。
【0017】
したがって、実施形態の機械加工装置では、少なくとも1つの可動面を調整することにより、時間的に統合された加工用レーザービームのビームパラメータ積を、長期間の使用およびレーザー加工に典型的な熱暴露/発生の場合でさえ、確実に修正することができる。また、可動面を空間的にのみ調整する場合は、ビームパラメータ積を設定し、加工用レーザービームの静的ビーム成形を行うことができる。可動面が空間的だけでなく時間的にも調整される場合、すなわち1つ以上の期間にわたって、ビームパラメータ積を設定または変更することができ、加工用レーザービームの動的ビーム成形が可能になる。このようにして、加工用レーザービームのビームスポットおよびビームパラメータ積のほぼすべての強度分布を提供することができる。可動面により、焦点距離の変化の機能、軸方向の焦点位置の調整、ならびに静的および/または動的ビーム成形の機能も、単一の構成要素で実施することができる。したがって、加工用レーザービームのビーム経路の省スペース配置も、冷却装置と一緒に実現することができる。さらに、焦点距離を変更する機能、焦点位置調整、ならびに静的および/または動的ビーム成形の機能を提供するために、レーザービームガイド装置全体を移動または変位させる必要はない。したがって、少なくとも1つのレーザービームガイド装置および/または少なくとも1つのアクチュエータは、機械加工装置に静止して提供することができ、冷却することができる。
【0018】
一実施形態では、冷却装置は、それを通って第2の冷却流体がアクチュエータと接触して流れることができ、第1の一次回路によって冷却され得る、閉じた二次回路を有することができる。したがって、冷却中に、第2の冷却流体が少なくとも1つのアクチュエータと接触する可能性がある。さらに、二次回路は実質的に閉じている。いくつかの実施形態では、二次回路は、機械加工装置の内部(光学チャンバ)を少なくとも部分的に含み得る。これは、たとえば、第2の冷却流体が、特にレーザービームガイド装置の光学チャンバへの開口部を通って光学チャンバに入ることができる場合に当てはまる可能性がある。これらの実施形態においても、機械加工装置の出口開口部から、したがって光学チャンバから少量またはわずかな量の第2の冷却流体しか出てこないので、二次回路は本質的に閉じている。さらに、第2の冷却流体は、一次回路によって冷却することができる。二次回路は、第2の冷却流体によって能動的に通過して流れるように構成することができる。たとえば、二次回路は、ポンプ装置など、二次回路を通して第2の冷却流体を能動的に流すための装置を含むことができる。
【0019】
これらの対策により、少なくとも1つのアクチュエータの最適かつ効果的な冷却を実現できる。同時に、第2の冷却流体が汚染を引き起こす可能性があることを回避する。第2の冷却流体は、第2の冷却流体または二次回路の清浄度を維持することができるように、閉じた冷却回路内を特に循環する。したがって、二次回路と第2の冷却流体は、光学チャンバに適用されるのと同じ清浄度要件を満たす。このことは、二次回路も、光学チャンバを含む外部に対して実質的に閉じた系を形成するため、2次冷却流体の一部が光学チャンバに到達した場合にも当てはまる。さらに、任意の量の第2の冷却流体が二次回路を通って流れ得る。さらに、実質的に閉じた二次回路のために、第2の冷却流体の損失が回避され、および/または比較的少量の第2の冷却流体が必要とされる。これにより、高い冷却効率が保証される。
【0020】
機械加工装置において、冷却装置は、少なくとも1つのアクチュエータおよび/またはレーザービームガイド装置が少なくとも部分的に配置されている内部から選択される少なくとも1つの要素、ならびに冷却構造を有することができる。これらの要素は、アクチュエータの効果的な冷却を促進する。
【0021】
したがって、内部は二次回路の一部であり得る。少なくとも1つのアクチュエータが少なくとも部分的に内部に配置されている場合、少なくとも1つのアクチュエータは第2の冷却流体で冷却することができる。レーザービームガイド装置が少なくとも部分的に内部に配置されている場合、少なくとも1つのアクチュエータだけでなく、レーザー処理過程中に熱にさらされるレーザービームガイド装置の他の要素も、たとえば熱伝導によって、第2の冷却流体で冷却することができる。これにより、特に高周波でのレーザービームガイド装置の信頼性が最適化される。
【0022】
さらに、冷却構造は、第1または第2の一次回路の一部であり得る。冷却構造が第1の一次回路の一部である場合、第1の冷却流体は、二次回路だけでなく、冷却構造も冷却することができる。冷却構造が第2の一次回路の一部である場合、二次回路と冷却構造とは互いに独立して冷却され得る。
【0023】
機械加工装置の実施形態では、冷却構造は、流れを通すことができ、特に、冷却装置および/またはレーザービームガイド装置の内部を少なくとも部分的に取り囲む、冷却装置の壁を有することができる。結果として、アクチュエータを取り囲む内部、特にそこに含まれるガス、たとえば第2の冷却流体を冷却することができる。したがって、内部に配置された少なくとも1つのアクチュエータも冷却することができる。追加的または代替的に、レーザービームガイド装置は、少なくとも部分的に冷却することができる。たとえば、冷却装置の壁は、少なくとも部分的に、レーザービームガイド装置の外壁に隣接し得る。このようにして、レーザービームガイド装置の外壁およびレーザービームガイド装置の他の部分の両方を、熱伝導によって冷却することができる。
【0024】
代替的または追加的に、冷却構造は、流れを通すことができ、特に冷却装置の内部に配置される少なくとも1つの冷却フィンを有することができる。結果として、アクチュエータを取り囲む内部、特にそこに含まれる流体、たとえば空気、またはアクチュエータの周りを流れる流体、たとえば第2の冷却流体を冷却することができる。したがって、内部に配置された少なくとも1つのアクチュエータも冷却することができる。
【0025】
実施形態では、機械加工装置は、冷却装置および/またはレーザービームガイド装置が互いに交換可能に提供される第2のインターフェースを有することができる。したがって、冷却装置もしくはレーザービームガイド装置、またはその両方を第2のインターフェースに取り付け、必要に応じて取り外しまたは交換することができる。
【0026】
さらに、第1の冷却流体は液体であり得、および/または第2の冷却流体はガス状であり得る。このようにして、一次回路は、たとえば、第1の冷却流体としてHOを用いて動作され得る。さらに、ガス状の第2の冷却流体、たとえば、Nが、少なくとも1つのアクチュエータの周りを流れることができる。
【0027】
さらに、冷却装置、特に冷却装置の壁は、機械加工装置上に気密に設けることができる。これにより、第1の冷却流体および/または第2の冷却流体の損失が最小限に抑えられる。
【0028】
機械加工装置の実施形態では、少なくとも1つのアクチュエータは、ピエゾアクチュエータ、検流計スキャナのアクチュエータ、それらの複数、およびそれらの組合せから選択され得る。したがって、言及されたアクチュエータは、効果的に冷却され、確実に動作され得る。
【0029】
実施形態によれば、少なくとも1つの可動面は、加工用レーザービームに対して少なくとも部分的に反射性であり得る。少なくとも1つの可動面はまた、動的に方向付け可能であり得る。さらに、少なくとも1つの可動面は、動的に変形可能な連続面であり得る。代替的または追加的に、可動面は、時間的に統合された加工用レーザービームのビームパラメータ積を変更するように動的に調整可能である。少なくとも1つの可動面はまた、光学系の焦点距離を変更するように調整可能であり得る。さらに、少なくとも1つの可動面は、加工用レーザービームの軸方向焦点位置を変更するように調整可能であり得る。これらの手段を個別にまたは組み合わせて、加工用レーザービームを最適な形で被加工物に向けることができ、たとえば、被加工物の材料および/または厚さに適合させ、所望の処理過程と調整することができる。
【0030】
実施形態では、レーザービームガイド装置は、少なくとも1つの可動面として、それぞれが動的に配向可能な複数のミラーセグメントを有する少なくとも1つのセグメント化されたミラーを有することができる。さらに、レーザービームガイド装置は、少なくとも1つの可動面として、少なくとも1つの動的に変形可能なミラーを有することができる。これらの対策により、加工用レーザービームの柔軟性の高いおよび/または高周波の動的ビーム成形が可能になる。代替的または追加的に、光学系の焦点距離の変更および/または加工用レーザービームの焦点位置調整を実行することができる。
【0031】
実施形態の機械加工装置では、少なくとも1つの可動面は、加工用レーザービームを伝播方向に対して少なくとも垂直に動的に移動させるように調整可能であり得る。少なくとも1つの可動面は、加工用レーザービームを動的に移動させ、少なくとも1つの振動振幅および少なくとも1つの振動周波数を有し、2次元もしくは3次元のリサージュ図形または2次元もしくは3次元のリサージュ図形の組合せに対応する焦点振動経路を有する少なくとも1つの焦点振動を生成するように調整可能である。これらの手段はまた、加工用レーザービームの非常に柔軟で非常に動的なおよび/または高周波のビーム成形を可能にする。
【0032】
実施形態の機械加工装置では、少なくとも1つのアクチュエータは、可動面を高周波で動的に調整するように構成することができる。さらに、少なくとも1つの可動面は、10Hzから15kHzの間、好ましくは100Hzから10kHzの間、より好ましくは400Hzから10kHzの間の周波数で調整可能であり得る。これにより、加工用レーザービームの動的ビーム成形が容易になる。特に、可動面の高周波動的調整、およびそれによる加工用レーザービームの高周波動的移動、たとえば、加工用レーザービームのビーム振動または焦点振動を行うことができる。
【0033】
機械加工装置において、レーザービームガイド装置、特に少なくとも1つの可動面は、加工用レーザービームが90°未満、90°、または90°より大きい角度で偏向されるように配置および構成することができる。これにより、機械加工装置の柔軟な空間構成が可能になる。さらに、第1のインターフェースは、加工用レーザービームを生成するための加工用レーザー光源に接続され、または含むことができる。さらに、レーザービームガイド装置、特に少なくとも1つのアクチュエータを制御するための制御ユニットが提供され得る。さらに、加工用レーザー光源は、少なくとも1kW、好ましくは少なくとも4kW、より好ましくは1から30kWの間、最も好ましくは1から25kWの間のレーザー出力を提供することができる。
【0034】
本発明はまた、被加工物のレーザー加工、特にレーザー切断のための、前述の実施形態のいずれか1つに記載の機械加工装置の使用に関する。このようにして、機械加工装置について説明したレーザー加工、特にレーザー切断のための対策および有利な効果を実施することができる。
【0035】
さらに、本発明は、機械加工部位において被加工物をレーザー加工するための機械加工装置、特に前の実施形態の1つによる機械加工装置、特にレーザー切断のための部品セットに関する。部品セットは、加工用レーザービームを生成するための加工用レーザー光源のための第1のインターフェース、加工用レーザービームのための出口開口部、および第1のインターフェースと出口開口部との間の第2のインターフェースとを有するレーザー加工ヘッドを含む。それにより、第2のインターフェースは、少なくとも1つの可動面および可動面を動的に調整可能である少なくとも1つのアクチュエータを有する光学系用の少なくとも1つのレーザービームガイド装置を受け入れるように構成される。さらに、部品セットは、少なくとも1つのアクチュエータを冷却するための冷却装置を備え、冷却装置は、アクチュエータと接触することなく第1の冷却流体が流れることができる少なくとも1つの一次回路を有する。したがって、レーザービームガイド装置および冷却装置は、第2のインターフェースに配置することができ、特に取り付けることができる。したがって、部品セットにより、少なくとも1つのアクチュエータを冷却するための冷却装置を備えた既存の機械加工装置の改造、ならびにその修理が可能になる。
【0036】
上記の実施形態の変形において、部品セットは、少なくとも1つの可動面と、可動面を動的に調整することができる少なくとも1つのアクチュエータとを有する光学系用の少なくとも1つのレーザービームガイド装置を備える。したがって、機械加工装置は、アクチュエータ用の冷却装置だけでなく、レーザービームガイド装置も備えることができる。
【0037】
本発明はさらに、前述の実施形態のいずれか1つによる機械加工装置を用いて被加工物をレーザー加工するための方法、特にレーザー切断のための方法に関する。方法は、機械加工装置の第1のインターフェースに提供された加工用レーザー光源からの加工用レーザービームにより、機械加工装置の出口開口部を通して被加工物の機械加工部位を照射するステップと、レーザービームガイド装置の少なくとも1つのアクチュエータを、アクチュエータと接触することなく少なくとも1つの一次回路を通って流れる第1の冷却流体によって冷却するステップと、冷却された少なくとも1つのアクチュエータを用いて可動面を動的に調整するステップと、を含む。
【0038】
上記の実施形態の方法において、アクチュエータを冷却するステップは、第1の一次回路を通って流れる第1の冷却流体によって冷却される閉じた二次回路を通ってアクチュエータと接触して流れる第2の冷却流体によってアクチュエータを冷却するステップと、第1および/または第2の一次回路、特に冷却構造を通って流れる第1の冷却流体によってアクチュエータを冷却するステップと、から選択される少なくとも1つのステップを含むことができる。
【0039】
実施形態の方法では、可動面は、時間的に統合された加工用レーザービームのビームパラメータ積を変更するように動的に調整することができる。代替的または追加的に、レーザービームガイド装置、特に少なくとも1つの可動面は、加工用レーザービームを伝播方向に対して少なくとも垂直に動的に移動させる。さらに、レーザービームガイド装置、特に少なくとも1つの可動面は、加工用レーザービームを動的に移動させて、少なくとも1つの振動振幅および少なくとも1つの振動周波数を有し、2次元もしくは3次元のリサージュ図形または2次元もしくは3次元のリサージュ図形の組合せに対応する焦点振動経路を有する少なくとも1つの焦点振動を生成することができる。
【0040】
上記の実施形態の被加工物をレーザー加工するための方法を用いて、特に同一および/または類似の特徴を有する、被加工物をレーザー加工するための機械加工装置の実施形態と同じ利点、動作モードおよび機能を実現することができる。
【0041】
さらなる特徴および利点は、以下の実施形態の説明、図および従属請求項から明らかになる。
【0042】
本明細書に記載の実施形態の相互に排他的でないすべての特徴は、互いに組み合わせることができる。実施形態の同じ要素には、以下の説明において同じ参照記号が与えられている。一実施形態の個々のまたは複数の要素は、さらに言及することなく、他の実施形態で使用することができる。ここで、本発明の実施形態は、それによるいかなる制限を意図することなく、図を参照して以下の実施例を使用してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の実施形態による第1の例として、被加工物をレーザー加工するための機械加工装置100を概略的に示す図である。
図2】本発明の実施形態による第2の例として、被加工物をレーザー加工するための機械加工装置200を概略的に示す図である。
図3】本発明の実施形態による第3の例として、被加工物をレーザー加工するための機械加工装置300を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の実施形態による機械加工装置は、とりわけ、本発明をそれに限定することなく、機械加工ヘッドを備えた例として以下に説明される。本発明の実施形態による機械加工装置および方法はまた、機械加工ヘッドなしで実現することができる。
【0045】
さらに、ここで値の範囲が説明されている場合、より狭い代替または優先範囲を伴う広い範囲の指定は、指定された下限範囲および指定された上限範囲の任意の組合せによって形成され得る範囲を開示すると見なされる。
【0046】
「経時的に統合された」または「経時的に平均化された」という用語は、ある期間またはある期間にわたって統合または平均化されたことを意味する。焦点振動に関連して、「経時的に統合された」または「経時的に平均化された」という用語は、少なくとも1つの振動周期にわたって統合または平均化され、少なくとも1つの振動周期にわたってビーム振動に関連して統合または平均化されることを意味する。
【0047】
レーザービームの「動的移動」または「動的に移動する」レーザービームという用語およびそれらの変形は、レーザービームが高周波、たとえば10Hzから15kHzの周波数で移動することを意味する。同じことが、機械加工装置の「動的に」移動可能、方向付け可能、および/または調整可能な要素にも同様に当てはまる。
【0048】
図1は、機械加工部位13において被加工物12をレーザー加工するための本発明の実施形態による機械加工装置100の第1の例を概略的に示す。この例では、機械加工装置100は、機械加工ヘッドとして設計されている。
【0049】
機械加工装置100は、加工用レーザービーム15を生成するための加工用レーザー光源16用の第1のインターフェース14を有し、これは、破線を1つのビームとして図1に示されている。加工用レーザー光源は図1には示されていない。図3の例に示されるように、加工用レーザー光源16または加工用レーザー光源16の輸送繊維は、特に気密様式で、第1のインターフェース14に提供され得る。本例では、加工用レーザー光源16は、約6kWのレーザー出力を提供し、1070nmの波長を含むスペクトル範囲で加工用レーザービームを生成する。しかしながら、6kW未満、たとえば約1kWの出力、または6kwを超える、たとえば約20kWの出力の加工用レーザー光源も使用することができる。
【0050】
さらに、機械加工装置100は、加工用レーザービーム15用の出口開口部18を有する。第1のインターフェース14と出口開口部18との間、特に第1のインターフェース14と出口開口部18の前の保護ガラス、たとえば図3に示されるような保護ガラス40cとの間に、光学チャンバとしても知られる機械加工装置100の内部が存在する。
【0051】
機械加工装置100は、断面図の形で図1に示されているレーザービームガイド装置22を備えた光学系を有する。レーザービームガイド装置22は、第1のインターフェース14と出口開口部18との間の領域の固定位置に配置されている。レーザービームガイド装置22は、光学チャンバへの開口部23を有する。
【0052】
この例では、レーザービームガイド装置22は、加工用レーザービーム15を反射する可動面24を有し、可動面24は、機械加工ビーム15を90°偏向させるように光学チャンバ内に配置および整列される。図1に示されるように、加工用レーザービーム15は、出口開口部18を通って被加工物に向けられる前に、機械加工装置内で、たとえば90°で、再び偏向され得る。この目的のために、たとえば、図3に示されるような偏向ミラー40dを提供することができる。
【0053】
反射面24は、少なくとも1つのアクチュエータ26によって少なくとも部分的に動的に移動可能である。図1および以下の説明において、本例は、アクチュエータ26を用いて示され、説明されるが、反射面24が少なくとも部分的に調整され得る複数のアクチュエータ26を提供することも可能である。
【0054】
この例では、レーザービームガイド装置22は、可動面24を提供する、SiC(炭化ケイ素)で作られた動的に配向可能な平面ミラーを含む。平面ミラーは、レーザービームを反射する表面コーティング、たとえば誘電体層、金属層(たとえば銅)または金属酸化物層を備えている。あるいは、誘電体層、金属層(たとえば、銅)または金属酸化物層を備えたガラス基板(たとえば、溶融石英、石英ガラス)またはサファイアで作られたミラーを使用することができる。ミラーのサイズは、ミラーの位置にある加工用レーザービームの直径に対応するように選択される。ピエゾアクチュエータは、アクチュエータ26として提供され、それによって、ミラーを動的に動かすことができ、それによって方向付けることができる。ミラーと少なくとも1つのアクチュエータで構成されるユニットは、ピエゾスキャナとも呼ばれる。複数のアクチュエータの場合、各ピエゾアクチュエータ26は、制御ユニット(図1には示されていない)によって個別に制御することができる。この例では、これは、120Vの標準駆動電圧を持つ修正されたPZT(lead-zirconate-titanate:チタン酸ジルコン酸鉛)セラミックに基づくピエゾアクチュエータである。
【0055】
冷却装置28は、レーザービームガイド装置22上に設けられている。これは、冷却流体、たとえば水が流れることができる一次回路30を含む。この例では、冷却装置28は、レーザービームガイド装置22を冷却構造として壁37で部分的に囲み、たとえばフランジを使用して、または一体的に機械加工装置100に気密に取り付けられた冷却ハウジングとして設計されている。「気密」という用語は、たとえば、<10-4(mbar*l)/sでのヘリウム気密を意味する。
【0056】
この例では、冷却ハウジングの壁37、したがって冷却装置の壁は、冷却流体供給ラインおよび冷却流体排出ラインと共に、冷却装置28の一次回路30を形成する内部ラインを有する。
【0057】
動作中、冷却流体、たとえば水は、一次回路30および冷却ハウジングを通過する。これにより、冷却ハウジング内のアクチュエータ26を取り囲む流体、たとえば空気が冷却される。したがって、アクチュエータ26も冷却される。冷却ハウジングの壁37は、レーザービームガイド装置の外壁に少なくとも部分的に隣接しているので、レーザービームガイド装置の外壁およびレーザービームガイド装置の他の部分の両方が、熱伝導によって冷却される。
【0058】
レーザー加工の場合、可動面24を備えたミラーは、加工用レーザービーム15が偏向されるように、ピエゾアクチュエータ26によって傾斜される。同時に、ミラー24は、ピエゾアクチュエータ26によって動的に移動され、偏向に適切な傾斜角を提供し、その結果、加工用レーザービーム15が動的に移動される。このようにして、加工用レーザービーム15の焦点は、たとえば10Hzから15kHzの間の周波数でその伝播方向に少なくとも垂直になるように動的に移動され、したがってレーザービームスポットが成形されるので、加工用レーザービーム15のビームパラメータ積および被加工物12上のレーザービームスポットの強度分布を、レーザー加工のそれぞれの方法に対して最適に設計することができる。たとえば、加工用レーザービーム15が動的に移動するとき、少なくとも1つの振動振幅および少なくとも1つの振動周波数を有し、2次元もしくは3次元のリサージュ図形または2次元もしくは3次元のリサージュ図形の組合せに対応する焦点振動経路を有する焦点振動が生成される。
【0059】
第1の例の機械加工装置100が冷却装置28を有することにより、加工用レーザービーム15の動的ビーム成形中に、少なくとも1つのアクチュエータ26を第1の冷却流体と接触することなく冷却することができる。これにより、アクチュエータおよびミラーの汚染が防止される。このようにして、第1の冷却流体が機械加工装置の光学チャンバに入り、他の光学素子と接触したり、汚れ粒子を渦巻かせたりする可能性も回避される。さらに、アクチュエータの冷却により、数百Hzから数kHzの高周波でもビーム形成が安定する。したがって、少なくとも1つのアクチュエータは、高熱暴露/発生の場合、および、たとえば産業用途などの長期動作においても確実に使用することができる。
【0060】
第1の例の変形(図示せず)では、レーザービームガイド装置22は、検流計スキャナの一部である2つの可動面24を含む。この目的のために、検流計スキャナは、それぞれが可動面24を提供する2つのミラーを含むことができる。これらはそれぞれ、個別に制御可能な検流計を使用して、アクチュエータとして個別に動的に移動できる。アクチュエータは、それに応じて構造的に適合された冷却装置28によって冷却される。検流計スキャナは、たとえば、加工用レーザービーム15が90°よりも大きい角度で少なくとも1回、および90°よりも小さい角度で少なくとも1回偏向されるように配向可能な2つのミラーを備えている。動作中、2つのミラーは、加工用レーザービーム15が2回偏向され、同時に動的に移動するように、互いに対して配向および移動される。結果として、動的ビーム成形によって加工用レーザービーム15のビームスポットおよびビームパラメータ積のほぼすべての強度分布が提供され、特にレーザービームで被加工物にリサージュ図形を書き込むことができる。アクチュエータの冷却により、高熱暴露/発生および長期間の動作でも安定した方法で行うことができる。
【0061】
図2は、被加工物12をレーザー加工するための本発明の実施形態による機械加工装置200の第2の例を概略的に示す。第1の例とは対照的に、冷却装置28は、機械加工装置200とは別の一次回路32と、二次回路34とを有する。第1の例の一次回路30と同様に、一次回路32は、供給ラインおよび排出ラインを介して、第1の冷却流体、たとえば、HOを通すことができる。二次回路34は、少なくとも1つのアクチュエータと接触しているガス状の第2の冷却流体、たとえばNを通すことができ、第1の一次回路30によって冷却され得る。この例では、一次回路32は、二次回路34も部分的に流れ、したがって冷却され得る熱交換器を含む。
【0062】
二次回路34は、この場合、循環ポンプ35(図2の円内の矢印によって示される)を備えた、冷却装置の内部36への供給ラインを有する。内部36は、機械加工装置200の外側に対して、冷却装置の壁によって気密に密封されている。この場合、壁はハウジングとして設計されている。レーザービームガイド装置22は、ハウジング内に配置されている。さらに、二次回路は内部36からの排出ラインを有する。二次回路34の供給ラインおよび排出ラインは、一次回路32の熱交換器内で互いに接続されている。このようにして、二次回路34は実質的に閉じている。したがって、図2から分かるように、第2の冷却流体は、内部36に導入され得、また、そこから排出され得る。この目的のために、この例の二次回路34は、循環ポンプ35を含む。代替的または追加的に、第2の冷却流体は、一次回路32を介した冷却に起因して、排出ラインに拡散して戻ることができる。両方の手段は、個別にまたは組み合わせて、第2の冷却流体が実質的に損失なしに内部36から二次回路34の排出に戻されることができるという結果をもたらす。冷却装置28の内部36は、本例の二次回路34の一部である。
【0063】
この例の変形では、二次回路34は、少なくとも部分的に、機械加工装置200の内部(光学チャンバ)も含む。これは、たとえば、第2の冷却流体が開口部23を通過して光学チャンバに入る場合に当てはまる可能性がある。この変形においても、機械加工装置200の内部、特に出口開口部18から漏洩する第2の冷却流体がわずかまたは少量のみであるため、二次回路は実質的に閉じられている。
【0064】
動作中、第2の冷却流体(この場合はガス状N)は二次回路34を通過し、第1の冷却流体(この場合はHO)は一次回路32を通過する。このようにして、第2の冷却流体が冷却され、内部36に送られる。レーザー加工の場合、可動面24を備えたミラーは、加工用レーザービーム15が偏向されるように、少なくとも1つのピエゾアクチュエータ26によって傾斜される。同時に、ミラー24は、ピエゾアクチュエータ26によって動的に移動され、偏向に適切な傾斜角を提供し、その結果、加工用レーザービーム15が動的に移動される。ピエゾアクチュエータ26は、内部36内においてその周りを流れる第2の冷却流体で冷却される。加工用レーザービーム15の焦点は、たとえば10Hzから15kHzの間の周波数で、その伝播方向に少なくとも垂直に動的に移動され、レーザービームスポットが成形される。したがって、アクチュエータの冷却により、加工用レーザービーム15の所望のビームパラメータ積および被加工物12上のレーザービームスポットの所望の強度分布が、高熱暴露/発生および長期動作においてさえ確実に提供される。
【0065】
少なくとも1つのアクチュエータ26が内部36内に少なくとも部分的に配置されているので、アクチュエータ26は、第2の冷却流体で冷却することができる。さらに、上で説明したように、この例では、レーザービームガイド装置22は、ハウジング内に配置され、したがって、少なくとも部分的に内部36内にも配置される。したがって、アクチュエータ26だけでなく、レーザー加工処理中に熱にさらされるレーザービームガイド装置22の他の要素、たとえばミラーも、第2の冷却流体で冷却することができる。その結果、レーザービームガイド装置22の信頼性がさらに向上する。
【0066】
一次回路32と二次回路34との組合せは、アクチュエータ26の最適な冷却を保証するだけではない。実質的に閉じた二次回路34のために、機械加工装置の光学チャンバ内の第2の冷却流体が汚染を引き起こす可能性があることがさらに回避される。さらに、実質的に閉じた二次回路34のために、第2の冷却流体の損失が最小限に抑えられ、および/または比較的少量の第2の冷却流体が必要とされる。
【0067】
図3は、被加工物12をレーザー加工するための本発明の実施形態による機械加工装置300の第3の例を概略的に示している。第3の例では、冷却装置28は、第1の例の一次回路30と、第2の例の一次回路32および二次回路34との組合せを含む。
【0068】
図3はまた、光学系のオプションの光学素子40a、40b、40cおよび40dを示している。このことは、光学系のすべての例と実施形態において、1つ以上の追加の透過光学素子(たとえば、レンズ40a、40bおよび保護ガラス40c)および/または反射光学素子(たとえば、平面偏向ミラー40d)を、たとえば、加工用レーザービーム15を偏向させるために提供することができることを意味する。さらに、図3では、例として、加工用レーザー光源16のファイバ端が第1のインターフェース14に取り付けられている。同様に、図3は、例として、2つのアクチュエータ26を備えたレーザービームガイド装置22を示している。図3はまた、アクチュエータ26を制御するために、レーザービームガイド装置22が、有線または無線のデータ伝導方式で制御ユニット27に接続され得ることを示している。たとえば、27個のリサージュ図形を制御ユニットのデータベースに保存でき、制御ユニットはそれに応じて個々のアクチュエータを制御できる。前述の変形はまた、図1および図2の機械加工装置100および200においても提供され得る。
【0069】
したがって、第3の例の冷却装置28は、第1の例の一次回路30と、第2の例の一次回路32および二次回路34とからなる。冷却装置28はこのようにして2つの段階で設計され、一次回路30が第1の段階を形成し、一次回路32および二次回路34が第2の段階を形成する。第1および第2の一次回路30および32は、同じ冷却流体で結合および動作することができる。第1および第2の例の要素および機能は、第3の例でも同様に実装されている。したがって、第2の例ではハウジングを形成し、レーザービームガイド装置22を部分的に取り囲む、冷却装置28の壁は、第1の例のように冷却ハウジングの壁37として設計される。冷却ハウジングは、冷却流体供給ラインおよび冷却流体排出ラインと共に、冷却装置28の第1の一次回路30を形成する内部ラインを有する。
【0070】
二段冷却装置28は、機械加工装置300およびレーザービームガイド装置22の動作中に優れた冷却性能を提供することができる。二次回路34によって内部36に導入され、アクチュエータ26の周りを流れる第2の冷却流体は、すなわち、一次回路32だけでなく一次回路30によっても冷却される。したがって、アクチュエータ26は、特に効果的に冷却され、動作中に安定化される。このようにして、高熱暴露/発生および長期間の動作においてさえ、加工用レーザービーム15の設計されたビームパラメータ積および被加工物12上のレーザービームスポットの所望の強度分布が確実に提供され得る。一次回路30によって引き起こされる内部36内の第2の冷却流体の追加の冷却はまた、冷却流体が内部36内に保持されることを容易にし、光学チャンバに流入するわずかな傾向のみを示す。このようにして、実質的に閉じた二次回路34が安定化される。第2の冷却流体による光学チャンバの汚染が回避され、第2の冷却流体の損失が最小限に抑えられる。
【0071】
図3の例の変形では、レーザービームガイド装置22は、約50mmの直径を有する実質的に円形のセグメント化ミラーを、同心パターンを形成する41個のミラーセグメントが互いに分離され、互いに隣接して配置された反射可動面24として有することができる。各ミラーセグメントは金のコーティングが施され、加工用レーザービーム15に対して反射性であり、ピエゾアクチュエータ26によって個別に動的に配向され得る。この変形では、ミラーセグメントのパターンに従って配置された、いくつかのピエゾアクチュエータ26が提供される。この例では、これらは、120Vの標準動作電圧を持つ修正されたPZTセラミックに基づくピエゾアクチュエータである。したがって、レーザービームガイド装置22は、加工用レーザービーム15を反射するセグメント化された全表面を提供し、その表面形状、特にその曲率は、非常に動的な方法で調整することができる。
【0072】
セグメント化されたミラーを使用した第3の例の上記の変形の次の用途が可能である。レーザービームガイド装置22は、ズーム光学系として使用することができ、加工用レーザービーム15は、所望の選択可能なビーム発散を伴ってセグメント化されたミラーによって偏向される。光学系の焦点距離も、レーザービームガイド装置22を用いて変更され得る。レーザービームガイド装置22はまた、静的ビーム成形光学系として使用することができる。セグメント化されたミラーの表面24は、所望の収差に応じて適切な制御可能な表面曲率を想定している。セグメント化されたミラーを動作するアクチュエータが多いほど、表面はより任意になり得る。さらに、レーザービームガイド装置22は、動的ビーム成形に使用することができる。したがって、セグメント化されたミラーの表面24は、10Hzより上、特に100Hzより上で十分に高い周波数で変化し、その結果、被加工物12への結果として生じる焦点は、レーザービーム伝搬に対して少なくとも横方向に所望の動きを実行する。このような動きは、必要に応じて構成でき、たとえば、可能なすべてのリサージュ図形を被加工物に書き込むことができ、時間の経過と共に統合される加工用レーザービームのビームパラメータ積が変更される。
【0073】
第3の例のさらなる変形では、レーザービームガイド装置22は、可動で反射性の連続した表面24を提供するために、変形可能なミラー(dynamic mirror:DM、動的ミラー)を有する。ミラーは、アクチュエータによって動的に変形可能である変形可能な材料で作られた膜によって形成されている。この例では、膜は直径が約45mmの円形である。膜の下側には、円形パターンで均一に分布された個別に制御可能なピエゾアクチュエータ26がある。この例は、120Vの標準動作電圧を持つ修正PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)セラミックに基づくピエゾアクチュエータに関するものである。たとえば、32個のピエゾアクチュエータ26が提供され、これらを用いて、膜の32個の個別の平坦な領域を個別に調整することができる。膜の上部は、銅を含み得る反射率の高い多層誘電体コーティングで覆われている。このように、提供された変形可能で反射性の連続した表面は、1060から1090nmの波長で最大120kWのレーザービームに適している。変形可能ミラー(DM、動的ミラー)の可動で反射性の連続した表面24は、前述のセグメント化ミラーと同じ方法で動作することができる。
【0074】
機械加工装置の実施形態では、少なくとも1つの可動面は、少なくとも1つの冷却されたアクチュエータによって調整可能である。さらに、少なくとも1つの可動面は、その表面形状、特にその曲率を動的に調整することができるレーザービームガイド装置の表面ユニットを提供することができる。結果として、加工用レーザービームは、その伝播方向に対して少なくとも垂直に成形および/または移動できるだけでなく、加工用レーザービームの発散も変更することができ、および/または加工用レーザービームの焦点位置をその伝播方向に平行にシフトすることができる。
【0075】
レーザービームガイド装置および動的に調整可能な可動面を用いることで、機械加工装置の実施形態は、加工用レーザービームのビームパラメータ積を変更することができる。ビームパラメータ積は、加工用レーザービームの静的または動的ビーム成形で変更することができ、その結果、そのビームスポットの有利な強度分布および出力分布が提供され得る。
【0076】
少なくとも1つのアクチュエータを冷却することにより、レーザービームガイド装置の前述の機能は、特に、たとえば、産業用途における長期の動作において、高熱暴露/発生の場合でさえ安定化される。したがって、少なくとも1つの可動面は、少なくとも1つの冷却されたアクチュエータによって、所望の周波数範囲および数100Hzから数kHzの高周波でさえ、高熱暴露/発生で、および長期間の動作でさえ、確実に調整され得る。
【0077】
実施形態による機械加工装置はさらに、第1の冷却流体がそれに接触することなく、少なくとも1つのアクチュエータを冷却することを可能にする。したがって、アクチュエータおよび機械加工装置の光学チャンバの第1の冷却流体による汚染が回避される。さらなる実施形態は、アクチュエータと接触して冷却する第2の冷却流体が、実質的に閉じた冷却回路を通って流れることを可能にする。このようにして、光学チャンバ内の光学素子への汚染および損傷が最小限に抑えられる。
【0078】
最後に、本発明の説明および例示的な実施形態は、本発明の特定の物理的実現に関して限定的であると理解されるべきではないことに留意されたい。本発明の個々の実施形態に関連して説明および示されるすべての特徴は、それらの有利な効果を同時に実現するために、本発明による主題において異なる組合せで提供され得る。
【0079】
本発明の保護の範囲は、特許請求の範囲によって与えられ、説明に示されている、または図に示されている特徴によって限定されない。
【0080】
本発明がレーザー加工システムだけでなく、レーザーを含む他のデバイスにも使用できることは、当業者には特に明らかである。さらに、被加工物をレーザー加工するための機械加工装置の構成要素は、複数の物理的な製品に分散するように製造することができる。
【符号の説明】
【0081】
12 被加工物、13 機械加工部位、14 第1のインターフェース、15 加工用レーザービーム、16 加工用レーザー光源、17 第2のインターフェース、18 出口開口部、22 レーザービームガイド装置、23 開口部、24 可動面、26 アクチュエータ、27 制御ユニット、28 冷却装置、30 一次回路、32 一次回路、34 二次回路、35 循環ポンプ、36 内部、37 冷却構造、壁、40a レンズ、40b レンズ、40d 偏向ミラー、40c 保護ガラス、100 機械加工装置、200 機械加工装置、300 機械加工装置。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-05-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械加工部位(13)において被加工物(12)をレーザー加工、特にレーザー切断するための機械加工装置、特にレーザー加工ヘッドであって、
加工用レーザービーム(15)を生成するための加工用レーザー光源(16)のための第1のインターフェース(14)と、
前記加工用レーザービーム用の出口開口部(18)と、
前記第1のインターフェースと前記出口開口部との間の光学系であって、少なくとも1つの可動面(24)および前記可動面(24)を動的に調整可能である少なくとも1つのアクチュエータ(26)を有する少なくとも1つのレーザービームガイド装置(22)を有する光学系と、
前記少なくとも1つのアクチュエータを冷却するための冷却装置(28)であって、前記アクチュエータと接触することなく第1の冷却流体が流れることができる少なくとも1つの一次回路(30、32)を有する冷却装置(28)と、を備え
前記冷却装置が、それを通って第2の冷却流体が前記アクチュエータと接触して流れることができ、第1の前記一次回路(32)によって冷却され得る閉じた二次回路(34)を有する、
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項2】
請求項に記載の機械加工装置であって、
前記冷却装置が、前記少なくとも1つのアクチュエータおよび/または前記レーザービームガイド装置が少なくとも部分的に配置されている内部(36)から選択された少なくとも1つの要素と、冷却構造(37)と、を有することを特徴とする機械加工装置。
【請求項3】
請求項に記載の機械加工装置であって、
前記内部が前記二次回路の一部であり、および/または、
前記冷却構造が前記第1もしくは第2の一次回路の一部であることを特徴とする機械加工装置。
【請求項4】
請求項またはに記載の機械加工装置であって、
前記冷却構造は、流れを通すことができ、特に、前記冷却装置および/もしくは前記レーザービームガイド装置の前記内部を少なくとも部分的に取り囲む、前記冷却装置の壁を有し、ならびに/または
前記冷却構造は、流れを通すことができ、特に、前記冷却装置の前記内部に配置される少なくとも1つの冷却フィンを有することを特徴とする機械加工装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載の機械加工装置であって、
前記機械加工装置は、前記冷却装置および/もしくは前記レーザービームガイド装置が互いに交換可能に提供される第2のインターフェース(17)を有し、ならびに/または、
前記第1の冷却流体は液体であり、および/もしくは前記第2の冷却流体はガス状であり、ならびに/または、
前記冷却装置、特に前記冷却装置の前記壁は、前記機械加工装置上に気密に設けられていることを特徴とする機械加工装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載の機械加工装置であって、
前記少なくとも1つのアクチュエータは、ピエゾアクチュエータ、検流計スキャナのアクチュエータ、それらの複数、およびそれらの組合せから選択され、ならびに/または
前記少なくとも1つの可動面は、前記加工用レーザービームに対して少なくとも部分的に反射性であり、ならびに/または
前記少なくとも1つの可動面は動的に方向付け可能であり、ならびに/または
前記少なくとも1つの可動面は、動的に変形可能である連続面であり、ならびに/または
前記可動面(24)は、時間的に統合された前記加工用レーザービームのビームパラメータ積を変更するように動的に調整可能であり、ならびに/または
前記少なくとも1つの可動面は、前記光学系の焦点距離を変更するように調整可能であり、ならびに/または
前記少なくとも1つの可動面は、前記加工用レーザービームの軸方向の焦点位置を変更するように調整可能であることを特徴とする機械加工装置。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載の機械加工装置であって、
前記レーザービームガイド装置は、前記少なくとも1つの可動面として、それぞれが動的に配向可能な複数のミラーセグメントを含む少なくとも1つのセグメント化されたミラーを有し、および/または
前記レーザービームガイド装置は、前記少なくとも1つの可動面として、少なくとも1つの動的に変形可能なミラーを有することを特徴とする機械加工装置。
【請求項8】
請求項1からのいずれか1項に記載の機械加工装置であって、
前記少なくとも1つの可動面は、前記加工用レーザービームを伝播方向に対して少なくとも垂直に動的に移動させるように調整可能であり、ならびに/または
前記少なくとも1つの可動面は、前記加工用レーザービームを動的に移動させ、少なくとも1つの振動振幅および少なくとも1つの振動周波数を有し、2次元もしくは3次元のリサージュ図形または2次元もしくは3次元のリサージュ図形の組合せに対応する焦点振動経路を有する少なくとも1つの焦点振動を生成するように調整可能であることを特徴とする機械加工装置。
【請求項9】
請求項1からのいずれか1項に記載の機械加工装置であって、
前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記可動面を高周波で動的に調整するように構成され、および/または
前記少なくとも1つの可動面は、10Hzから15kHzの間、好ましくは100Hzから10kHzの間、より好ましくは400Hzから10kHzの間の周波数で調整可能であることを特徴とする機械加工装置。
【請求項10】
請求項1からのいずれか1項に記載の機械加工装置であって、
前記レーザービームガイド装置、特に前記少なくとも1つの可動面は、前記加工用レーザービームが90°未満、90°、もしくは90°より大きい角度で偏向されるように配置および構成されており、ならびに/または
前記第1のインターフェース(14)は、前記加工用レーザービーム(15)を生成するための加工用レーザー光源(16)に接続され、もしくは含み、ならびに/または
前記レーザービームガイド装置、特に前記少なくとも1つのアクチュエータを制御するための制御ユニット(27)が提供され、ならびに/または
前記加工用レーザー光源は、少なくとも1kW、好ましくは少なくとも4kW、より好ましくは1から30kWの間、最も好ましくは1から25kWの間のレーザー出力を提供することを特徴とする機械加工装置。
【請求項11】
被加工物をレーザー加工、特にレーザー切断するための請求項1から10のいずれか1項に記載の機械加工装置の使用。
【請求項12】
機械加工部位(13)において被加工物(12)をレーザー加工、特にレーザー切断するための、特に請求項1から10のいずれか1項に記載の機械加工装置用の部品セットであって、
レーザー加工ヘッド(100、200、300)であって、加工用レーザービーム(15)を生成するための加工用レーザー光源(16)用の第1のインターフェース(14)、前記加工用レーザービーム用の出口開口部(18)、および前記第1のインターフェースと前記出口開口部との間の第2のインターフェース(17)を有し、
前記第2のインターフェースが、少なくとも1つの可動面(24)および前記可動面(24)を動的に調整可能である少なくとも1つのアクチュエータ(26)を有する光学系用の少なくとも1つのレーザービームガイド装置(22)を受け入れるように構成されている、レーザー加工ヘッド(100、200、300)と、
前記少なくとも1つのアクチュエータを冷却するための冷却装置(28)であって、前記アクチュエータと接触することなく第1の冷却流体が流れることができる少なくとも1つの一次回路(30、32)を有し、
前記レーザービームガイド装置および前記冷却装置が、前記第2のインターフェースに配置、特に取り付けられ得る、冷却装置(28)と、を備え
前記冷却装置(28)が、それを通って第2の冷却流体が前記アクチュエータと接触して流れることができ、第1の前記一次回路(32)によって冷却され得る閉じた二次回路(34)を有する、
ことを特徴とする部品セット。
【請求項13】
請求項12に記載の部品セットであって、少なくとも1つの可動面(24)および前記可動面(24)を動的に調整可能である少なくとも1つのアクチュエータ(26)を有する光学系用の少なくとも1つのレーザービームガイド装置(22)を有することを特徴とする部品セット。
【請求項14】
請求項1から10のいずれか1項に記載の機械加工装置を用いて被加工物をレーザー加工、特にレーザー切断するための方法であって、
機械加工装置(100、200、300、400)の第1のインターフェース(14)に提供される加工用レーザー光源(16)からの加工用レーザービーム(15)により、前記機械加工装置の出口開口部(18)を通して被加工物(12)の機械加工部位(13)を照射するステップと、
レーザービームガイド装置の少なくとも1つのアクチュエータ(26)を、前記アクチュエータと接触することなく少なくとも1つの一次回路(30、32)を通って流れる第1の冷却流体によって冷却するステップと、
冷却された前記少なくとも1つのアクチュエータ(26)を用いて前記可動面(24)を動的に調整するステップと、
を含み、
前記第2の冷却流体は、前記アクチュエータと接触して、前記閉じた二次回路(34)を通って流れ、
前記閉じた二次回路(34)は、前記第1の前記一次回路(32)を通って流れる前記第1の冷却流体によって冷却される、
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記アクチュエータを冷却するステップは、
記第1および/または第2の一次回路(30、32)、特に冷却構造(37)を通って流れる前記第1の冷却流体によって前記アクチュエータを冷却するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14または15に記載の方法であって、
前記可動面(24)は、時間的に統合された加工用レーザービームのビームパラメータ積を変更するように動的に調整され、ならびに/または
前記レーザービームガイド装置、特に前記少なくとも1つの可動面(24)は、前記加工用レーザービームを伝播方向に対して少なくとも垂直に動的に移動させ、ならびに/または
前記レーザービームガイド装置、特に前記少なくとも1つの可動面は、前記加工用レーザービームを動的に移動させて、少なくとも1つの振動振幅および少なくとも1つの振動周波数を有し、2次元もしくは3次元のリサージュ図形または2次元もしくは3次元のリサージュ図形の組合せに対応する焦点振動経路を有する少なくとも1つの焦点振動を生成することを特徴とする方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物をレーザー加工するための機械加工装置、被加工物をレーザー加工するための機械加工装置の使用、被加工物をレーザー加工するための機械加工装置用の部品セット、および被加工物をレーザー加工するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー加工装置は、被加工物のレーザー加工、特にレーザー切断などのレーザー放射による材料の熱分離方法において使用される。多くの場合、加工用レーザービームを被加工物、たとえば加工するシートにガイドするためにレーザー加工ヘッドが使用される。たとえば、フラットベッド切断システムでは、レーザービームおよびガスジェットを用いて被加工物が加工される。機械加工ヘッドは切断ヘッドとして構成され、2つのビームを最適な方法で被加工物に向ける。被加工物(材料および厚さ)と所望の処理に応じて、最適なレーザービームは異なり得る。
【0003】
1kWを超える中程度のレーザー出力で利用可能な切断ヘッドのほとんどは、加工する被加工物へのレーザービームの光学投影が不変である。この投影は妥協点を表す。ビームは、さまざまな材料だけでなく、薄い被加工物および厚い被加工物にも使用できる。対照的に、レーザービームの剛直な光学投影は、ほとんどの材料および厚さで切断品質および/または送り速度の低下を伴う。
【0004】
そのため、レーザー加工用にズーム光学系が開発され、切断ヘッドに使用されている。これらを使用すると、特に被加工物の種類および厚さに応じて、イメージング比、すなわち光学系の焦点距離を特定の範囲内で変更できる。ズーム光学系では、通常、加工用レーザービームの焦点の位置がその伝搬方向と平行に変位するように、少なくとも2つの光学素子を設定することができる。
【0005】
さらに、レーザービームを成形するレーザー加工のアプローチがある。ビーム成形は、レーザービームのビームパラメータ積を変更すること、および/または電磁レーザーモードの混合を変更すること、および/またはレーザービームの出力の横方向分布を変更することを意味すると理解することができる。欧州特許出願公開第3412400(A1)号に記載されているように、ビームパラメータ積が1度にまたは複数の特異な(分離された)時間に調整される、静的ビーム成形がある。さらに、ビームパラメータ積が、レーザービームの一定期間にわたる連続的な動的移動によって、平均化または統合された方法で、たとえばビーム振動によって変化する、動的ビーム成形(DBS:dynamic beam shaping)もある。この方向のさまざまな解決策が知られており、たとえば、静的ビーム成形用の米国特許第8781269(B2)号、米国特許第9250390(B2)号、米国特許第9346126(B2)号、欧州特許出願公開第2730363(A1)号、欧州特許出願公開第2762263(A1)号、独国特許第2821883(B1)号、独国特許出願公開第102015116033(A1)号、欧州特許第2778746(B1)号、および独国特許出願公開第102015101263(A1)号や、動的ビーム成形用の独国特許第102008053397(B4)号がある。
【0006】
動的ビーム成形を使用するレーザー加工では、レーザービームは、たとえば100Hzから10kHzの周波数で、すなわちレーザービームと材料との間の通常の反応時間よりも大幅に高い周波数で、機械加工される被加工物を横切って移動する。したがって、被加工物は、時間の経過と共に平均化された、または時間の経過と共に統合された加工用レーザービームの出力分布で機械加工される。動的ビーム成形により、レーザービームスポットのほぼすべての出力分布および強度分布を生成できる。そのような適合されたレーザービームを用いて、より良い切断結果を達成できることも知られている。たとえば、https://www.iws.fraunhofer.de/en/pressandmedia/press_releases/2016/press_release_2016-15.htmlを参照。
【0007】
適応ミラーまたは変形可能ミラーは、AOS(Active Optical Systems、LLC)またはフラウンホーファー(Fraunhofer)IOFから入手可能なものなどのレーザービームのビーム成形に使用できる(「材料処理用の高速適応集束ミラー(Fast adaptive focusing mirrors for material processing)」https://www.iof.fraunhofer.de/de/presse-medien/pressemitteilungen/2019/LASER-Messe-Highlights.htmlも参照)。ミラーの表面積を互いに独立して、たとえば100Hzを超える周波数ですばやく調整できる場合は、そのようなミラーを使用して動的ビーム成形を実行できる。
【0008】
さらに、フラウンホーファー(Fraunhofer)IWS Dresdenは、チップ/チルトピエゾスキャナが動的ビーム成形に適しているように見えることを示した。C.ゴッポルド(C.Goppold)らの、「チップ-チルトピエゾプラットフォームスキャナは、切断用途での高レーザー出力の動的ビーム成形に適している(Tip-Tilt piezo platform scanner qualifies dynamic beam shaping for high laser power in cutting applications)。」、LIM会議、ミュンヘン、2019年6月、を参照。この目的のために、約1インチ(2.54cm)のミラーが、非常に動的な方法でミラーを動かすピエゾアクチュエータに結合された。このようにして、2kHzまでは短期間の動作で達成された。市販のガルバノスキャナ(またはガルバノメータースキャナ)システムは、通常、kHzの範囲まで使用できる。
【0009】
ただし、動的レーザービーム成形用に市場で入手可能な装置、たとえばチップ/チルトピエゾスキャナは、特に高い振動周波数(数100Hzから数kHz)の範囲で、および/または長期的な用途で、高熱暴露/発生を伴う障害の影響を受けやすいことが示されている。結果として生じる高い振動振幅により、特に連続運転において、アクチュエータによって高熱発生自体が決定され得る。
【0010】
欧州特許出願公開第1030206(A2)号は、レーザービーム用の変形可能なミラーと、冷却水チャネルを有するミラーマウントとを開示している。米国特許第5777807(A)号および米国特許出願公開第2001008469(A)号によれば、レーザー処理機の変形可能ミラーのミラープラットフォームを冷却することが提案されている。欧州特許出願公開第1104940(A1)号は、コールドフィンガーを備えたソリッドステートアクチュエータについて説明している。欧州特許出願公開第1104940(A1)号は、アクチュエータの空冷が技術的に複雑であり、閉鎖系として設計することはできないとも述べている。ピエゾアクチュエータの空冷については、https://www.piezomechanik.com/fileadmin/filestorage/Kataloge/de/Piezomechanik_Katalog_D_2010-05-05_web.pdf、42ページ、https://static.physikinstrument.com/fileadmin/user_upload/physik_instrument/files/user_manuals/P-21x-Benutzeranleitung-PZ249D110.pdf、26ページ、およびhttp://www.dyneos.ch/pdf/Dyneos_Katalog_Piezoelektrische_Aktor.pdf、62ページ、図48、に記載されている。米国特許出願公開第20190151985(A1)号は、複数の反射領域を含む連続的な曲率を有する反射面を備えた変形可能な制御された表面反射要素と、直接チャネリングによって水で冷却されるコンタクトホルダへの取り付けとを含む、レーザー加工用の作業ヘッドを開示している。ドイツ特許出願公開4206792(A1)号は、固定カラーによってアクチュエータに取り付けられたミラープレートからなる変形可能なミラーを対象としている。液体窒素の冷却剤は、チャネルを通じて装置に流入出する。また、液体窒素の冷却剤を供給してカラーの温度を低下させ、交換のためにミラーを解放する。特開昭和60-102290号公報は、冷却水で冷却される凸面鏡を開示している。米国特許第6706999(B1)号には、X軸とY軸のステージを採用した3次位置決めシステムにおいて、ガルバノメータ駆動ミラー、および高速ステアリングミラーを用いて、レーザービームをワークピース上の目標位置に照射する、ことが開示されている。
【0011】
レーザー加工ヘッドは、高い清浄度要件を満たす必要がある。ミラーによるレーザービーム成形の一般的な装置、たとえばチップ/チルトピエゾスキャナでは、ミラーの後部の下にレーザー加工ヘッドの光学チャンバへの開口部がある。ガス状の冷却媒体を使用して、スキャナを積極的に冷却することができる。この目的のために、大量の冷却媒体(冷却空気の標準値>100l/分)がスキャナハウジングに導入される。しかしながら、冷却媒体は、開口部を通って光学チャンバに入り、ミラー表面および他の光学素子(たとえば、偏向ミラー、レンズ、および保護ガラス)と接触する可能性がある。ただし、レーザービームとの相互作用による汚染は、これらの光学素子の損傷または破壊にさえつながる可能性がある。したがって、冷却媒体は、それ自体がスキャナハウジングおよび/または光学チャンバ内の汚れの原因となり得るか、または高い流速で光学チャンバ内に存在する汚れを渦巻かせ、したがってそれらを光学素子内のレーザービームの有効範囲内に向けることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、信頼性が高く、および/またはエラーが発生しにくいレーザービーム成形を可能にする、被加工物のレーザー加工のための機械加工装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、請求項1に記載の被加工物をレーザー加工するための機械加工装置、請求項11に記載の機械加工装置の使用、請求項12に記載の被加工物をレーザー加工するための機械加工装置の部品セット、および請求項14に記載の被加工物をレーザー加工するための方法によって達成される。
【0014】
本発明の一実施形態では、機械加工部位において被加工物をレーザー加工、特にレーザー切断するための機械加工装置、特にレーザー加工ヘッドであって、加工用レーザービームを生成するための加工用レーザー光源のための第1のインターフェースと、加工用レーザービーム用の出口開口部と、第1のインターフェースと出口開口部との間の光学系であって、少なくとも1つの可動面および可動面を動的に調整可能である少なくとも1つのアクチュエータを有する少なくとも1つのレーザービームガイド装置を有する光学系と、少なくとも1つのアクチュエータを冷却するための冷却装置であって、アクチュエータと接触することなく第1の冷却流体が流れることができる少なくとも1つの一次回路を有する冷却装置と、を備え、前記冷却装置が、それを通って第2の冷却流体が前記アクチュエータと接触して流れることができ、第1の前記一次回路によって冷却され得る閉じた二次回路を有する、ことを特徴とする機械加工装置が提供される。
【0015】
一次回路の少なくとも1つは、第1の冷却流体によって能動的に通過するように構成することができる。たとえば、一次回路の少なくとも1つは、ポンプ装置など、一次回路を通して第1の冷却流体を能動的に流すための装置を含むことができる。機械加工装置の内部は、第1のインターフェースと出口開口部との間に設けることができる。レーザービームガイド装置は、機械加工装置の内部への開口部を有することができる。可動面は、機械加工装置の内部および/または機械加工装置の内部への開口部に配置することができる。
【0016】
機械加工装置は、第1の冷却流体がアクチュエータと接触することなく、少なくとも1つのアクチュエータを冷却することを可能にする。したがって、アクチュエータおよび可動面の汚染が回避される。このようにして、アクチュエータの周囲からの第1の冷却流体が、光学チャンバとも呼ばれる機械加工装置の内部に入り、そこでさらなる光学素子と接触したり、汚れ粒子を渦巻かせたりすることも回避される。さらに、アクチュエータの冷却により、たとえば、産業用途での長期間の動作においてさえ、高温でのレーザービームガイド装置の機能が安定する。したがって、少なくとも1つの可動面は、少なくとも1つの冷却されたアクチュエータによって、所望の周波数範囲で、さらには数100Hzから数kHzの高周波でさえも確実に調整でき、特に高熱暴露/高熱発生の干渉はほとんどなしで確実に動作することができる。
【0017】
したがって、実施形態の機械加工装置では、少なくとも1つの可動面を調整することにより、時間的に統合された加工用レーザービームのビームパラメータ積を、長期間の使用およびレーザー加工に典型的な熱暴露/発生の場合でさえ、確実に修正することができる。また、可動面を空間的にのみ調整する場合は、ビームパラメータ積を設定し、加工用レーザービームの静的ビーム成形を行うことができる。可動面が空間的だけでなく時間的にも調整される場合、すなわち1つ以上の期間にわたって、ビームパラメータ積を設定または変更することができ、加工用レーザービームの動的ビーム成形が可能になる。このようにして、加工用レーザービームのビームスポットおよびビームパラメータ積のほぼすべての強度分布を提供することができる。可動面により、焦点距離の変化の機能、軸方向の焦点位置の調整、ならびに静的および/または動的ビーム成形の機能も、単一の構成要素で実施することができる。したがって、加工用レーザービームのビーム経路の省スペース配置も、冷却装置と一緒に実現することができる。さらに、焦点距離を変更する機能、焦点位置調整、ならびに静的および/または動的ビーム成形の機能を提供するために、レーザービームガイド装置全体を移動または変位させる必要はない。したがって、少なくとも1つのレーザービームガイド装置および/または少なくとも1つのアクチュエータは、機械加工装置に静止して提供することができ、冷却することができる。
【0018】
却装置は、それを通って第2の冷却流体がアクチュエータと接触して流れることができ、第1の一次回路によって冷却され得る、閉じた二次回路を有する。したがって、冷却中に、第2の冷却流体が少なくとも1つのアクチュエータと接触する可能性がある。さらに、二次回路は実質的に閉じている。いくつかの実施形態では、二次回路は、機械加工装置の内部(光学チャンバ)を少なくとも部分的に含み得る。これは、たとえば、第2の冷却流体が、特にレーザービームガイド装置の光学チャンバへの開口部を通って光学チャンバに入ることができる場合に当てはまる可能性がある。これらの実施形態においても、機械加工装置の出口開口部から、したがって光学チャンバから少量またはわずかな量の第2の冷却流体しか出てこないので、二次回路は本質的に閉じている。さらに、第2の冷却流体は、一次回路によって冷却することができる。二次回路は、第2の冷却流体によって能動的に通過して流れるように構成することができる。たとえば、二次回路は、ポンプ装置など、二次回路を通して第2の冷却流体を能動的に流すための装置を含むことができる。
【0019】
これらの対策により、少なくとも1つのアクチュエータの最適かつ効果的な冷却を実現できる。同時に、第2の冷却流体が汚染を引き起こす可能性があることを回避する。第2の冷却流体は、第2の冷却流体または二次回路の清浄度を維持することができるように、閉じた冷却回路内を特に循環する。したがって、二次回路と第2の冷却流体は、光学チャンバに適用されるのと同じ清浄度要件を満たす。このことは、二次回路も、光学チャンバを含む外部に対して実質的に閉じた系を形成するため、2次冷却流体の一部が光学チャンバに到達した場合にも当てはまる。さらに、任意の量の第2の冷却流体が二次回路を通って流れ得る。さらに、実質的に閉じた二次回路のために、第2の冷却流体の損失が回避され、および/または比較的少量の第2の冷却流体が必要とされる。これにより、高い冷却効率が保証される。
【0020】
機械加工装置において、冷却装置は、少なくとも1つのアクチュエータおよび/またはレーザービームガイド装置が少なくとも部分的に配置されている内部から選択される少なくとも1つの要素、ならびに冷却構造を有することができる。これらの要素は、アクチュエータの効果的な冷却を促進する。
【0021】
したがって、内部は二次回路の一部であり得る。少なくとも1つのアクチュエータが少なくとも部分的に内部に配置されている場合、少なくとも1つのアクチュエータは第2の冷却流体で冷却することができる。レーザービームガイド装置が少なくとも部分的に内部に配置されている場合、少なくとも1つのアクチュエータだけでなく、レーザー処理過程中に熱にさらされるレーザービームガイド装置の他の要素も、たとえば熱伝導によって、第2の冷却流体で冷却することができる。これにより、特に高周波でのレーザービームガイド装置の信頼性が最適化される。
【0022】
さらに、冷却構造は、第1または第2の一次回路の一部であり得る。冷却構造が第1の一次回路の一部である場合、第1の冷却流体は、二次回路だけでなく、冷却構造も冷却することができる。冷却構造が第2の一次回路の一部である場合、二次回路と冷却構造とは互いに独立して冷却され得る。
【0023】
機械加工装置の実施形態では、冷却構造は、流れを通すことができ、特に、冷却装置および/またはレーザービームガイド装置の内部を少なくとも部分的に取り囲む、冷却装置の壁を有することができる。結果として、アクチュエータを取り囲む内部、特にそこに含まれるガス、たとえば第2の冷却流体を冷却することができる。したがって、内部に配置された少なくとも1つのアクチュエータも冷却することができる。追加的または代替的に、レーザービームガイド装置は、少なくとも部分的に冷却することができる。たとえば、冷却装置の壁は、少なくとも部分的に、レーザービームガイド装置の外壁に隣接し得る。このようにして、レーザービームガイド装置の外壁およびレーザービームガイド装置の他の部分の両方を、熱伝導によって冷却することができる。
【0024】
代替的または追加的に、冷却構造は、流れを通すことができ、特に冷却装置の内部に配置される少なくとも1つの冷却フィンを有することができる。結果として、アクチュエータを取り囲む内部、特にそこに含まれる流体、たとえば空気、またはアクチュエータの周りを流れる流体、たとえば第2の冷却流体を冷却することができる。したがって、内部に配置された少なくとも1つのアクチュエータも冷却することができる。
【0025】
実施形態では、機械加工装置は、冷却装置および/またはレーザービームガイド装置が互いに交換可能に提供される第2のインターフェースを有することができる。したがって、冷却装置もしくはレーザービームガイド装置、またはその両方を第2のインターフェースに取り付け、必要に応じて取り外しまたは交換することができる。
【0026】
さらに、第1の冷却流体は液体であり得、および/または第2の冷却流体はガス状であり得る。このようにして、一次回路は、たとえば、第1の冷却流体としてHOを用いて動作され得る。さらに、ガス状の第2の冷却流体、たとえば、Nが、少なくとも1つのアクチュエータの周りを流れることができる。
【0027】
さらに、冷却装置、特に冷却装置の壁は、機械加工装置上に気密に設けることができる。これにより、第1の冷却流体および/または第2の冷却流体の損失が最小限に抑えられる。
【0028】
機械加工装置の実施形態では、少なくとも1つのアクチュエータは、ピエゾアクチュエータ、検流計スキャナのアクチュエータ、それらの複数、およびそれらの組合せから選択され得る。したがって、言及されたアクチュエータは、効果的に冷却され、確実に動作され得る。
【0029】
実施形態によれば、少なくとも1つの可動面は、加工用レーザービームに対して少なくとも部分的に反射性であり得る。少なくとも1つの可動面はまた、動的に方向付け可能であり得る。さらに、少なくとも1つの可動面は、動的に変形可能な連続面であり得る。代替的または追加的に、可動面は、時間的に統合された加工用レーザービームのビームパラメータ積を変更するように動的に調整可能である。少なくとも1つの可動面はまた、光学系の焦点距離を変更するように調整可能であり得る。さらに、少なくとも1つの可動面は、加工用レーザービームの軸方向焦点位置を変更するように調整可能であり得る。これらの手段を個別にまたは組み合わせて、加工用レーザービームを最適な形で被加工物に向けることができ、たとえば、被加工物の材料および/または厚さに適合させ、所望の処理過程と調整することができる。
【0030】
実施形態では、レーザービームガイド装置は、少なくとも1つの可動面として、それぞれが動的に配向可能な複数のミラーセグメントを有する少なくとも1つのセグメント化されたミラーを有することができる。さらに、レーザービームガイド装置は、少なくとも1つの可動面として、少なくとも1つの動的に変形可能なミラーを有することができる。これらの対策により、加工用レーザービームの柔軟性の高いおよび/または高周波の動的ビーム成形が可能になる。代替的または追加的に、光学系の焦点距離の変更および/または加工用レーザービームの焦点位置調整を実行することができる。
【0031】
実施形態の機械加工装置では、少なくとも1つの可動面は、加工用レーザービームを伝播方向に対して少なくとも垂直に動的に移動させるように調整可能であり得る。少なくとも1つの可動面は、加工用レーザービームを動的に移動させ、少なくとも1つの振動振幅および少なくとも1つの振動周波数を有し、2次元もしくは3次元のリサージュ図形または2次元もしくは3次元のリサージュ図形の組合せに対応する焦点振動経路を有する少なくとも1つの焦点振動を生成するように調整可能である。これらの手段はまた、加工用レーザービームの非常に柔軟で非常に動的なおよび/または高周波のビーム成形を可能にする。
【0032】
実施形態の機械加工装置では、少なくとも1つのアクチュエータは、可動面を高周波で動的に調整するように構成することができる。さらに、少なくとも1つの可動面は、10Hzから15kHzの間、好ましくは100Hzから10kHzの間、より好ましくは400Hzから10kHzの間の周波数で調整可能であり得る。これにより、加工用レーザービームの動的ビーム成形が容易になる。特に、可動面の高周波動的調整、およびそれによる加工用レーザービームの高周波動的移動、たとえば、加工用レーザービームのビーム振動または焦点振動を行うことができる。
【0033】
機械加工装置において、レーザービームガイド装置、特に少なくとも1つの可動面は、加工用レーザービームが90°未満、90°、または90°より大きい角度で偏向されるように配置および構成することができる。これにより、機械加工装置の柔軟な空間構成が可能になる。さらに、第1のインターフェースは、加工用レーザービームを生成するための加工用レーザー光源に接続され、または含むことができる。さらに、レーザービームガイド装置、特に少なくとも1つのアクチュエータを制御するための制御ユニットが提供され得る。さらに、加工用レーザー光源は、少なくとも1kW、好ましくは少なくとも4kW、より好ましくは1から30kWの間、最も好ましくは1から25kWの間のレーザー出力を提供することができる。
【0034】
本発明はまた、被加工物のレーザー加工、特にレーザー切断のための、前述の実施形態のいずれか1つに記載の機械加工装置の使用に関する。このようにして、機械加工装置について説明したレーザー加工、特にレーザー切断のための対策および有利な効果を実施することができる。
【0035】
さらに、本発明は、機械加工部位において被加工物をレーザー加工するための機械加工装置、特に前の実施形態の1つによる機械加工装置、特にレーザー切断のための部品セットに関する。部品セットは、加工用レーザービームを生成するための加工用レーザー光源のための第1のインターフェース、加工用レーザービームのための出口開口部、および第1のインターフェースと出口開口部との間の第2のインターフェースとを有するレーザー加工ヘッドを含む。それにより、第2のインターフェースは、少なくとも1つの可動面および可動面を動的に調整可能である少なくとも1つのアクチュエータを有する光学系用の少なくとも1つのレーザービームガイド装置を受け入れるように構成される。さらに、部品セットは、少なくとも1つのアクチュエータを冷却するための冷却装置を備え、冷却装置は、アクチュエータと接触することなく第1の冷却流体が流れることができる少なくとも1つの一次回路を有し、前記冷却装置が、それを通って第2の冷却流体が前記アクチュエータと接触して流れることができ、第1の前記一次回路によって冷却され得る閉じた二次回路を有する。したがって、レーザービームガイド装置および冷却装置は、第2のインターフェースに配置することができ、特に取り付けることができる。したがって、部品セットにより、少なくとも1つのアクチュエータを冷却するための冷却装置を備えた既存の機械加工装置の改造、ならびにその修理が可能になる。
【0036】
上記の実施形態の変形において、部品セットは、少なくとも1つの可動面と、可動面を動的に調整することができる少なくとも1つのアクチュエータとを有する光学系用の少なくとも1つのレーザービームガイド装置を備える。したがって、機械加工装置は、アクチュエータ用の冷却装置だけでなく、レーザービームガイド装置も備えることができる。
【0037】
本発明はさらに、前述の実施形態のいずれか1つによる機械加工装置を用いて被加工物をレーザー加工するための方法、特にレーザー切断のための方法に関する。方法は、機械加工装置の第1のインターフェースに提供された加工用レーザー光源からの加工用レーザービームにより、機械加工装置の出口開口部を通して被加工物の機械加工部位を照射するステップと、レーザービームガイド装置の少なくとも1つのアクチュエータを、アクチュエータと接触することなく少なくとも1つの一次回路を通って流れる第1の冷却流体によって冷却するステップと、冷却された少なくとも1つのアクチュエータを用いて可動面を動的に調整するステップと、を含み、前記第2の冷却流体は、前記アクチュエータと接触して、前記閉じた二次回路を通って流れ、前記閉じた二次回路は、前記第1の前記一次回路を通って流れる前記第1の冷却流体によって冷却される
【0038】
上記の実施形態の方法において、アクチュエータを冷却するステップは、第1の一次回路を通って流れる第1の冷却流体が、第1および/または第2の一次回路、特に冷却構造を通って流れるステップを含むことができる。
【0039】
実施形態の方法では、可動面は、時間的に統合された加工用レーザービームのビームパラメータ積を変更するように動的に調整することができる。代替的または追加的に、レーザービームガイド装置、特に少なくとも1つの可動面は、加工用レーザービームを伝播方向に対して少なくとも垂直に動的に移動させる。さらに、レーザービームガイド装置、特に少なくとも1つの可動面は、加工用レーザービームを動的に移動させて、少なくとも1つの振動振幅および少なくとも1つの振動周波数を有し、2次元もしくは3次元のリサージュ図形または2次元もしくは3次元のリサージュ図形の組合せに対応する焦点振動経路を有する少なくとも1つの焦点振動を生成することができる。
【0040】
上記の実施形態の被加工物をレーザー加工するための方法を用いて、特に同一および/または類似の特徴を有する、被加工物をレーザー加工するための機械加工装置の実施形態と同じ利点、動作モードおよび機能を実現することができる。
【0041】
さらなる特徴および利点は、以下の実施形態の説明、図および従属請求項から明らかになる。
【0042】
本明細書に記載の実施形態の相互に排他的でないすべての特徴は、互いに組み合わせることができる。実施形態の同じ要素には、以下の説明において同じ参照記号が与えられている。一実施形態の個々のまたは複数の要素は、さらに言及することなく、他の実施形態で使用することができる。ここで、本発明の実施形態は、それによるいかなる制限を意図することなく、図を参照して以下の実施例を使用してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の実施形態による第1の例として、被加工物をレーザー加工するための機械加工装置100を概略的に示す図である。
図2】本発明の実施形態による第2の例として、被加工物をレーザー加工するための機械加工装置200を概略的に示す図である。
図3】本発明の実施形態による第3の例として、被加工物をレーザー加工するための機械加工装置300を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の実施形態による機械加工装置は、とりわけ、本発明をそれに限定することなく、機械加工ヘッドを備えた例として以下に説明される。本発明の実施形態による機械加工装置および方法はまた、機械加工ヘッドなしで実現することができる。
【0045】
さらに、ここで値の範囲が説明されている場合、より狭い代替または優先範囲を伴う広い範囲の指定は、指定された下限範囲および指定された上限範囲の任意の組合せによって形成され得る範囲を開示すると見なされる。
【0046】
「経時的に統合された」または「経時的に平均化された」という用語は、ある期間またはある期間にわたって統合または平均化されたことを意味する。焦点振動に関連して、「経時的に統合された」または「経時的に平均化された」という用語は、少なくとも1つの振動周期にわたって統合または平均化され、少なくとも1つの振動周期にわたってビーム振動に関連して統合または平均化されることを意味する。
【0047】
レーザービームの「動的移動」または「動的に移動する」レーザービームという用語およびそれらの変形は、レーザービームが高周波、たとえば10Hzから15kHzの周波数で移動することを意味する。同じことが、機械加工装置の「動的に」移動可能、方向付け可能、および/または調整可能な要素にも同様に当てはまる。
【0048】
図1は、機械加工部位13において被加工物12をレーザー加工するための本発明の実施形態による機械加工装置100の第1の例を概略的に示す。この例では、機械加工装置100は、機械加工ヘッドとして設計されている。
【0049】
機械加工装置100は、加工用レーザービーム15を生成するための加工用レーザー光源16用の第1のインターフェース14を有し、これは、破線を1つのビームとして図1に示されている。加工用レーザー光源は図1には示されていない。図3の例に示されるように、加工用レーザー光源16または加工用レーザー光源16の輸送繊維は、特に気密様式で、第1のインターフェース14に提供され得る。本例では、加工用レーザー光源16は、約6kWのレーザー出力を提供し、1070nmの波長を含むスペクトル範囲で加工用レーザービームを生成する。しかしながら、6kW未満、たとえば約1kWの出力、または6kwを超える、たとえば約20kWの出力の加工用レーザー光源も使用することができる。
【0050】
さらに、機械加工装置100は、加工用レーザービーム15用の出口開口部18を有する。第1のインターフェース14と出口開口部18との間、特に第1のインターフェース14と出口開口部18の前の保護ガラス、たとえば図3に示されるような保護ガラス40cとの間に、光学チャンバとしても知られる機械加工装置100の内部が存在する。
【0051】
機械加工装置100は、断面図の形で図1に示されているレーザービームガイド装置22を備えた光学系を有する。レーザービームガイド装置22は、第1のインターフェース14と出口開口部18との間の領域の固定位置に配置されている。レーザービームガイド装置22は、光学チャンバへの開口部23を有する。
【0052】
この例では、レーザービームガイド装置22は、加工用レーザービーム15を反射する可動面24を有し、可動面24は、機械加工ビーム15を90°偏向させるように光学チャンバ内に配置および整列される。図1に示されるように、加工用レーザービーム15は、出口開口部18を通って被加工物に向けられる前に、機械加工装置内で、たとえば90°で、再び偏向され得る。この目的のために、たとえば、図3に示されるような偏向ミラー40dを提供することができる。
【0053】
反射面24は、少なくとも1つのアクチュエータ26によって少なくとも部分的に動的に移動可能である。図1および以下の説明において、本例は、アクチュエータ26を用いて示され、説明されるが、反射面24が少なくとも部分的に調整され得る複数のアクチュエータ26を提供することも可能である。
【0054】
この例では、レーザービームガイド装置22は、可動面24を提供する、SiC(炭化ケイ素)で作られた動的に配向可能な平面ミラーを含む。平面ミラーは、レーザービームを反射する表面コーティング、たとえば誘電体層、金属層(たとえば銅)または金属酸化物層を備えている。あるいは、誘電体層、金属層(たとえば、銅)または金属酸化物層を備えたガラス基板(たとえば、溶融石英、石英ガラス)またはサファイアで作られたミラーを使用することができる。ミラーのサイズは、ミラーの位置にある加工用レーザービームの直径に対応するように選択される。ピエゾアクチュエータは、アクチュエータ26として提供され、それによって、ミラーを動的に動かすことができ、それによって方向付けることができる。ミラーと少なくとも1つのアクチュエータで構成されるユニットは、ピエゾスキャナとも呼ばれる。複数のアクチュエータの場合、各ピエゾアクチュエータ26は、制御ユニット(図1には示されていない)によって個別に制御することができる。この例では、これは、120Vの標準駆動電圧を持つ修正されたPZT(lead-zirconate-titanate:チタン酸ジルコン酸鉛)セラミックに基づくピエゾアクチュエータである。
【0055】
冷却装置28は、レーザービームガイド装置22上に設けられている。これは、冷却流体、たとえば水が流れることができる一次回路30を含む。この例では、冷却装置28は、レーザービームガイド装置22を冷却構造として壁37で部分的に囲み、たとえばフランジを使用して、または一体的に機械加工装置100に気密に取り付けられた冷却ハウジングとして設計されている。「気密」という用語は、たとえば、<10-4(mbar*l)/sでのヘリウム気密を意味する。
【0056】
この例では、冷却ハウジングの壁37、したがって冷却装置の壁は、冷却流体供給ラインおよび冷却流体排出ラインと共に、冷却装置28の一次回路30を形成する内部ラインを有する。
【0057】
動作中、冷却流体、たとえば水は、一次回路30および冷却ハウジングを通過する。これにより、冷却ハウジング内のアクチュエータ26を取り囲む流体、たとえば空気が冷却される。したがって、アクチュエータ26も冷却される。冷却ハウジングの壁37は、レーザービームガイド装置の外壁に少なくとも部分的に隣接しているので、レーザービームガイド装置の外壁およびレーザービームガイド装置の他の部分の両方が、熱伝導によって冷却される。
【0058】
レーザー加工の場合、可動面24を備えたミラーは、加工用レーザービーム15が偏向されるように、ピエゾアクチュエータ26によって傾斜される。同時に、ミラー24は、ピエゾアクチュエータ26によって動的に移動され、偏向に適切な傾斜角を提供し、その結果、加工用レーザービーム15が動的に移動される。このようにして、加工用レーザービーム15の焦点は、たとえば10Hzから15kHzの間の周波数でその伝播方向に少なくとも垂直になるように動的に移動され、したがってレーザービームスポットが成形されるので、加工用レーザービーム15のビームパラメータ積および被加工物12上のレーザービームスポットの強度分布を、レーザー加工のそれぞれの方法に対して最適に設計することができる。たとえば、加工用レーザービーム15が動的に移動するとき、少なくとも1つの振動振幅および少なくとも1つの振動周波数を有し、2次元もしくは3次元のリサージュ図形または2次元もしくは3次元のリサージュ図形の組合せに対応する焦点振動経路を有する焦点振動が生成される。
【0059】
第1の例の機械加工装置100が冷却装置28を有することにより、加工用レーザービーム15の動的ビーム成形中に、少なくとも1つのアクチュエータ26を第1の冷却流体と接触することなく冷却することができる。これにより、アクチュエータおよびミラーの汚染が防止される。このようにして、第1の冷却流体が機械加工装置の光学チャンバに入り、他の光学素子と接触したり、汚れ粒子を渦巻かせたりする可能性も回避される。さらに、アクチュエータの冷却により、数百Hzから数kHzの高周波でもビーム形成が安定する。したがって、少なくとも1つのアクチュエータは、高熱暴露/発生の場合、および、たとえば産業用途などの長期動作においても確実に使用することができる。
【0060】
第1の例の変形(図示せず)では、レーザービームガイド装置22は、検流計スキャナの一部である2つの可動面24を含む。この目的のために、検流計スキャナは、それぞれが可動面24を提供する2つのミラーを含むことができる。これらはそれぞれ、個別に制御可能な検流計を使用して、アクチュエータとして個別に動的に移動できる。アクチュエータは、それに応じて構造的に適合された冷却装置28によって冷却される。検流計スキャナは、たとえば、加工用レーザービーム15が90°よりも大きい角度で少なくとも1回、および90°よりも小さい角度で少なくとも1回偏向されるように配向可能な2つのミラーを備えている。動作中、2つのミラーは、加工用レーザービーム15が2回偏向され、同時に動的に移動するように、互いに対して配向および移動される。結果として、動的ビーム成形によって加工用レーザービーム15のビームスポットおよびビームパラメータ積のほぼすべての強度分布が提供され、特にレーザービームで被加工物にリサージュ図形を書き込むことができる。アクチュエータの冷却により、高熱暴露/発生および長期間の動作でも安定した方法で行うことができる。
【0061】
図2は、被加工物12をレーザー加工するための本発明の実施形態による機械加工装置200の第2の例を概略的に示す。第1の例とは対照的に、冷却装置28は、機械加工装置200とは別の一次回路32と、二次回路34とを有する。第1の例の一次回路30と同様に、一次回路32は、供給ラインおよび排出ラインを介して、第1の冷却流体、たとえば、HOを通すことができる。二次回路34は、少なくとも1つのアクチュエータと接触しているガス状の第2の冷却流体、たとえばNを通すことができ、第1の一次回路30によって冷却され得る。この例では、一次回路32は、二次回路34も部分的に流れ、したがって冷却され得る熱交換器を含む。
【0062】
二次回路34は、この場合、循環ポンプ35(図2の円内の矢印によって示される)を備えた、冷却装置の内部36への供給ラインを有する。内部36は、機械加工装置200の外側に対して、冷却装置の壁によって気密に密封されている。この場合、壁はハウジングとして設計されている。レーザービームガイド装置22は、ハウジング内に配置されている。さらに、二次回路は内部36からの排出ラインを有する。二次回路34の供給ラインおよび排出ラインは、一次回路32の熱交換器内で互いに接続されている。このようにして、二次回路34は実質的に閉じている。したがって、図2から分かるように、第2の冷却流体は、内部36に導入され得、また、そこから排出され得る。この目的のために、この例の二次回路34は、循環ポンプ35を含む。代替的または追加的に、第2の冷却流体は、一次回路32を介した冷却に起因して、排出ラインに拡散して戻ることができる。両方の手段は、個別にまたは組み合わせて、第2の冷却流体が実質的に損失なしに内部36から二次回路34の排出に戻されることができるという結果をもたらす。冷却装置28の内部36は、本例の二次回路34の一部である。
【0063】
この例の変形では、二次回路34は、少なくとも部分的に、機械加工装置200の内部(光学チャンバ)も含む。これは、たとえば、第2の冷却流体が開口部23を通過して光学チャンバに入る場合に当てはまる可能性がある。この変形においても、機械加工装置200の内部、特に出口開口部18から漏洩する第2の冷却流体がわずかまたは少量のみであるため、二次回路は実質的に閉じられている。
【0064】
動作中、第2の冷却流体(この場合はガス状N)は二次回路34を通過し、第1の冷却流体(この場合はHO)は一次回路32を通過する。このようにして、第2の冷却流体が冷却され、内部36に送られる。レーザー加工の場合、可動面24を備えたミラーは、加工用レーザービーム15が偏向されるように、少なくとも1つのピエゾアクチュエータ26によって傾斜される。同時に、ミラー24は、ピエゾアクチュエータ26によって動的に移動され、偏向に適切な傾斜角を提供し、その結果、加工用レーザービーム15が動的に移動される。ピエゾアクチュエータ26は、内部36内においてその周りを流れる第2の冷却流体で冷却される。加工用レーザービーム15の焦点は、たとえば10Hzから15kHzの間の周波数で、その伝播方向に少なくとも垂直に動的に移動され、レーザービームスポットが成形される。したがって、アクチュエータの冷却により、加工用レーザービーム15の所望のビームパラメータ積および被加工物12上のレーザービームスポットの所望の強度分布が、高熱暴露/発生および長期動作においてさえ確実に提供される。
【0065】
少なくとも1つのアクチュエータ26が内部36内に少なくとも部分的に配置されているので、アクチュエータ26は、第2の冷却流体で冷却することができる。さらに、上で説明したように、この例では、レーザービームガイド装置22は、ハウジング内に配置され、したがって、少なくとも部分的に内部36内にも配置される。したがって、アクチュエータ26だけでなく、レーザー加工処理中に熱にさらされるレーザービームガイド装置22の他の要素、たとえばミラーも、第2の冷却流体で冷却することができる。その結果、レーザービームガイド装置22の信頼性がさらに向上する。
【0066】
一次回路32と二次回路34との組合せは、アクチュエータ26の最適な冷却を保証するだけではない。実質的に閉じた二次回路34のために、機械加工装置の光学チャンバ内の第2の冷却流体が汚染を引き起こす可能性があることがさらに回避される。さらに、実質的に閉じた二次回路34のために、第2の冷却流体の損失が最小限に抑えられ、および/または比較的少量の第2の冷却流体が必要とされる。
【0067】
図3は、被加工物12をレーザー加工するための本発明の実施形態による機械加工装置300の第3の例を概略的に示している。第3の例では、冷却装置28は、第1の例の一次回路30と、第2の例の一次回路32および二次回路34との組合せを含む。
【0068】
図3はまた、光学系のオプションの光学素子40a、40b、40cおよび40dを示している。このことは、光学系のすべての例と実施形態において、1つ以上の追加の透過光学素子(たとえば、レンズ40a、40bおよび保護ガラス40c)および/または反射光学素子(たとえば、平面偏向ミラー40d)を、たとえば、加工用レーザービーム15を偏向させるために提供することができることを意味する。さらに、図3では、例として、加工用レーザー光源16のファイバ端が第1のインターフェース14に取り付けられている。同様に、図3は、例として、2つのアクチュエータ26を備えたレーザービームガイド装置22を示している。図3はまた、アクチュエータ26を制御するために、レーザービームガイド装置22が、有線または無線のデータ伝導方式で制御ユニット27に接続され得ることを示している。たとえば、27個のリサージュ図形を制御ユニットのデータベースに保存でき、制御ユニットはそれに応じて個々のアクチュエータを制御できる。前述の変形はまた、図1および図2の機械加工装置100および200においても提供され得る。
【0069】
したがって、第3の例の冷却装置28は、第1の例の一次回路30と、第2の例の一次回路32および二次回路34とからなる。冷却装置28はこのようにして2つの段階で設計され、一次回路30が第1の段階を形成し、一次回路32および二次回路34が第2の段階を形成する。第1および第2の一次回路30および32は、同じ冷却流体で結合および動作することができる。第1および第2の例の要素および機能は、第3の例でも同様に実装されている。したがって、第2の例ではハウジングを形成し、レーザービームガイド装置22を部分的に取り囲む、冷却装置28の壁は、第1の例のように冷却ハウジングの壁37として設計される。冷却ハウジングは、冷却流体供給ラインおよび冷却流体排出ラインと共に、冷却装置28の第1の一次回路30を形成する内部ラインを有する。
【0070】
二段冷却装置28は、機械加工装置300およびレーザービームガイド装置22の動作中に優れた冷却性能を提供することができる。二次回路34によって内部36に導入され、アクチュエータ26の周りを流れる第2の冷却流体は、すなわち、一次回路32だけでなく一次回路30によっても冷却される。したがって、アクチュエータ26は、特に効果的に冷却され、動作中に安定化される。このようにして、高熱暴露/発生および長期間の動作においてさえ、加工用レーザービーム15の設計されたビームパラメータ積および被加工物12上のレーザービームスポットの所望の強度分布が確実に提供され得る。一次回路30によって引き起こされる内部36内の第2の冷却流体の追加の冷却はまた、冷却流体が内部36内に保持されることを容易にし、光学チャンバに流入するわずかな傾向のみを示す。このようにして、実質的に閉じた二次回路34が安定化される。第2の冷却流体による光学チャンバの汚染が回避され、第2の冷却流体の損失が最小限に抑えられる。
【0071】
図3の例の変形では、レーザービームガイド装置22は、約50mmの直径を有する実質的に円形のセグメント化ミラーを、同心パターンを形成する41個のミラーセグメントが互いに分離され、互いに隣接して配置された反射可動面24として有することができる。各ミラーセグメントは金のコーティングが施され、加工用レーザービーム15に対して反射性であり、ピエゾアクチュエータ26によって個別に動的に配向され得る。この変形では、ミラーセグメントのパターンに従って配置された、いくつかのピエゾアクチュエータ26が提供される。この例では、これらは、120Vの標準動作電圧を持つ修正されたPZTセラミックに基づくピエゾアクチュエータである。したがって、レーザービームガイド装置22は、加工用レーザービーム15を反射するセグメント化された全表面を提供し、その表面形状、特にその曲率は、非常に動的な方法で調整することができる。
【0072】
セグメント化されたミラーを使用した第3の例の上記の変形の次の用途が可能である。レーザービームガイド装置22は、ズーム光学系として使用することができ、加工用レーザービーム15は、所望の選択可能なビーム発散を伴ってセグメント化されたミラーによって偏向される。光学系の焦点距離も、レーザービームガイド装置22を用いて変更され得る。レーザービームガイド装置22はまた、静的ビーム成形光学系として使用することができる。セグメント化されたミラーの表面24は、所望の収差に応じて適切な制御可能な表面曲率を想定している。セグメント化されたミラーを動作するアクチュエータが多いほど、表面はより任意になり得る。さらに、レーザービームガイド装置22は、動的ビーム成形に使用することができる。したがって、セグメント化されたミラーの表面24は、10Hzより上、特に100Hzより上で十分に高い周波数で変化し、その結果、被加工物12への結果として生じる焦点は、レーザービーム伝搬に対して少なくとも横方向に所望の動きを実行する。このような動きは、必要に応じて構成でき、たとえば、可能なすべてのリサージュ図形を被加工物に書き込むことができ、時間の経過と共に統合される加工用レーザービームのビームパラメータ積が変更される。
【0073】
第3の例のさらなる変形では、レーザービームガイド装置22は、可動で反射性の連続した表面24を提供するために、変形可能なミラー(dynamic mirror:DM、動的ミラー)を有する。ミラーは、アクチュエータによって動的に変形可能である変形可能な材料で作られた膜によって形成されている。この例では、膜は直径が約45mmの円形である。膜の下側には、円形パターンで均一に分布された個別に制御可能なピエゾアクチュエータ26がある。この例は、120Vの標準動作電圧を持つ修正PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)セラミックに基づくピエゾアクチュエータに関するものである。たとえば、32個のピエゾアクチュエータ26が提供され、これらを用いて、膜の32個の個別の平坦な領域を個別に調整することができる。膜の上部は、銅を含み得る反射率の高い多層誘電体コーティングで覆われている。このように、提供された変形可能で反射性の連続した表面は、1060から1090nmの波長で最大120kWのレーザービームに適している。変形可能ミラー(DM、動的ミラー)の可動で反射性の連続した表面24は、前述のセグメント化ミラーと同じ方法で動作することができる。
【0074】
機械加工装置の実施形態では、少なくとも1つの可動面は、少なくとも1つの冷却されたアクチュエータによって調整可能である。さらに、少なくとも1つの可動面は、その表面形状、特にその曲率を動的に調整することができるレーザービームガイド装置の表面ユニットを提供することができる。結果として、加工用レーザービームは、その伝播方向に対して少なくとも垂直に成形および/または移動できるだけでなく、加工用レーザービームの発散も変更することができ、および/または加工用レーザービームの焦点位置をその伝播方向に平行にシフトすることができる。
【0075】
レーザービームガイド装置および動的に調整可能な可動面を用いることで、機械加工装置の実施形態は、加工用レーザービームのビームパラメータ積を変更することができる。ビームパラメータ積は、加工用レーザービームの静的または動的ビーム成形で変更することができ、その結果、そのビームスポットの有利な強度分布および出力分布が提供され得る。
【0076】
少なくとも1つのアクチュエータを冷却することにより、レーザービームガイド装置の前述の機能は、特に、たとえば、産業用途における長期の動作において、高熱暴露/発生の場合でさえ安定化される。したがって、少なくとも1つの可動面は、少なくとも1つの冷却されたアクチュエータによって、所望の周波数範囲および数100Hzから数kHzの高周波でさえ、高熱暴露/発生で、および長期間の動作でさえ、確実に調整され得る。
【0077】
実施形態による機械加工装置はさらに、第1の冷却流体がそれに接触することなく、少なくとも1つのアクチュエータを冷却することを可能にする。したがって、アクチュエータおよび機械加工装置の光学チャンバの第1の冷却流体による汚染が回避される。さらなる実施形態は、アクチュエータと接触して冷却する第2の冷却流体が、実質的に閉じた冷却回路を通って流れることを可能にする。このようにして、光学チャンバ内の光学素子への汚染および損傷が最小限に抑えられる。
【0078】
最後に、本発明の説明および例示的な実施形態は、本発明の特定の物理的実現に関して限定的であると理解されるべきではないことに留意されたい。本発明の個々の実施形態に関連して説明および示されるすべての特徴は、それらの有利な効果を同時に実現するために、本発明による主題において異なる組合せで提供され得る。
【0079】
本発明の保護の範囲は、特許請求の範囲によって与えられ、説明に示されている、または図に示されている特徴によって限定されない。
【0080】
本発明がレーザー加工システムだけでなく、レーザーを含む他のデバイスにも使用できることは、当業者には特に明らかである。さらに、被加工物をレーザー加工するための機械加工装置の構成要素は、複数の物理的な製品に分散するように製造することができる。
【符号の説明】
【0081】
12 被加工物、13 機械加工部位、14 第1のインターフェース、15 加工用レーザービーム、16 加工用レーザー光源、17 第2のインターフェース、18 出口開口部、22 レーザービームガイド装置、23 開口部、24 可動面、26 アクチュエータ、27 制御ユニット、28 冷却装置、30 一次回路、32 一次回路、34 二次回路、35 循環ポンプ、36 内部、37 冷却構造、壁、40a レンズ、40b レンズ、40d 偏向ミラー、40c 保護ガラス、100 機械加工装置、200 機械加工装置、300 機械加工装置。
【国際調査報告】