(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-24
(54)【発明の名称】システム
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6813 20180101AFI20220517BHJP
C40B 40/06 20060101ALI20220517BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20220517BHJP
C12N 15/10 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
C12Q1/6813 Z
C40B40/06
C12Q1/6844 Z
C12N15/10 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504039
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(85)【翻訳文提出日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 US2020024055
(87)【国際公開番号】W WO2020191376
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521434986
【氏名又は名称】シャーロック バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, カール ウェイン ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】ブレイク, ウィリアム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ダンダ, ラフル ケー.
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA18
4B063QA20
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR14
4B063QR20
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4B063QR35
4B063QR55
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4B063QR82
4B063QS24
4B063QS34
4B063QS36
4B063QX01
(57)【要約】
本開示は、目的の核酸(すなわち、そのヌクレオチド配列が標的配列であるかまたは標的配列を含む核酸)の高感度検出を可能にする技術を記載している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって:
異なるヌクレオチド配列を有する複数の核酸分子と;
以下を含むライゲーションオリゴヌクレオチドのセットであって:
そのヌクレオチド配列が鋳型化エレメント及び第1の標的ハイブリダイゼーションエレメントを含む第1のライゲーションオリゴヌクレオチド;及び
そのヌクレオチド配列が第2の標的ハイブリダイゼーションエレメント及びCas認識エレメントを含む第2のライゲーションオリゴヌクレオチド;を含むライゲーションオリゴヌクレオチドのセットと
任意選択で、そのヌクレオチド配列が1つ以上の追加の標的ハイブリダイゼーションエレメントであるかまたはそれを含む1つ以上の架橋オリゴヌクレオチド、とを含み、
前記標的ハイブリダイゼーションエレメントは、共通の標的部位の異なる部分に結合するので、前記複数の核酸分子は、そのヌクレオチド配列が標的部位を含む少なくとも1つの核酸分子を含む場合、前記ライゲーションオリゴヌクレオチドのセットが、前記標的部位にハイブリダイズして、リガーゼとのライゲーションを受けやすいギャップのある核酸鎖を形成して、ライゲーションされた鎖を生成する、前記システム。
【請求項2】
リガーゼをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記オリゴヌクレオチドのうちの1つ以上が固体支持体と会合している、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の核酸が固体支持体と会合している、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ライゲーションオリゴヌクレオチドの第1のセットのものとは異なる、第2の標的部位に関するライゲーションオリゴヌクレオチドの第2のセットをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ライゲーションオリゴヌクレオチドの第1のセット及び第2のセットの前記鋳型化エレメントが同じである、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ライゲーションオリゴヌクレオチドの第1のセット及び第2のセットの前記鋳型化エレメントが異なる、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記ライゲーションオリゴヌクレオチドの第1及び第2のセットの前記Cas認識エレメントが同じである、請求項5~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記ライゲーションオリゴヌクレオチドの第1及び第2のセットの前記Cas認識エレメントが異なる、請求項5~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記鋳型化エレメントが、プロモーターもしくはその補体であるか、またはそれらを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記鋳型化エレメントが複製起点もしくはその補体であるか、またはそれらを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記鋳型化エレメントが、第1の伸長可能なプライマーのための結合部位であるか、またはそれを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
第1の伸長可能なプライマーをさらに含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
DNAポリメラーゼをさらに含む、請求項12または請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2のライゲーションオリゴヌクレオチドが、第2の伸長可能なプライマーの結合部位の前記補体を含む配列を有する、請求項12または請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2の伸長可能なプライマーをさらに含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
DNAポリメラーゼをさらに含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記DNAポリメラーゼが熱安定性である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
RNAポリメラーゼをさらに含む、先行請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
ライゲーションオリゴヌクレオチドのセットであって:
そのヌクレオチド配列が鋳型化エレメント及び第1の標的ハイブリダイゼーションエレメントを含む第1のライゲーションオリゴヌクレオチドと;
そのヌクレオチド配列が第2の標的ハイブリダイゼーションエレメント及びCas認識エレメントを含む第2のライゲーションオリゴヌクレオチドと;
任意選択で、そのヌクレオチド配列が1つ以上の追加の標的ハイブリダイゼーションエレメントであるかまたはそれを含む1つ以上の架橋オリゴヌクレオチド、とを含み、
前記標的ハイブリダイゼーションエレメントが、共通の標的部位の異なる部分に結合し、前記ライゲーションオリゴヌクレオチドのセットが、そのヌクレオチド配列が標的部位を含む核酸分子と接触される場合、前記ライゲーションオリゴヌクレオチドのセットが、前記標的にハイブリダイズして、リガーゼとのライゲーションを受けやすいギャップのある核酸鎖を形成して、ライゲーションされた鎖を生成する、前記セット。
【請求項21】
前記ライゲーションオリゴヌクレオチドのセット中の前記オリゴヌクレオチドの、前記核酸試料中の1つ以上の個々の核酸分子への同時ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、請求項20に記載のライゲーションオリゴヌクレオチドの前記セットを前記核酸試料と接触させるステップと;
前記ライゲーションオリゴヌクレオチドのセットをリガーゼと同時にまたは続いて接触させて、前記核酸試料が、そのヌクレオチド配列が前記標的部位を含む少なくとも1つの核酸分子を含む場合に、前記ライゲーションされた鎖が生成されるようにするステップと、を含む、方法。
【請求項22】
前記鋳型化エレメントが、伸長可能なプライマーのための結合部位であるか、またはそれを含み、前記方法が、以下のステップ:
前記拡張可能なプライマーを前記ライゲーションされた鎖にハイブリダイズさせるステップと、
二本鎖が形成されるように前記伸長可能なプライマーを伸長するステップとをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記鋳型化エレメントがプロモーターであるか、またはプロモーターをさらに含み、前記方法が以下のステップ:
前記Cas認識エレメントを含む転写物が生成されるように前記プロモーターから転写するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
それぞれがCas認識エレメントを含む一本鎖または二本鎖核酸分子の集団が生成されるように、前記二本鎖の一方または両方の鎖を複製するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
請求項23または請求項24に記載の方法であって、前記Cas認識エレメントを以下:
コラテラル活性を特徴とするCas酵素、及び
前記Cas認識エレメントに結合するガイドRNAと接触させるステップであって、
前記接触は、前記Cas酵素によるコラテラル切断を受けやすい核酸プローブが存在した状態で行われているステップと、
前記核酸プローブの切断を検出するステップと、をさらに含む、前記方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、前記検出が、そのヌクレオチド配列が標的部位を含む標的核酸が核酸試料中に存在することを示しており、さらに以下:
前記核酸試料に存在する前記標的核酸量を定量すること、をさらに含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
特に非常に少量で存在する場合、目的の核酸を特異的に検出し得る技術を開発することがますます重要になっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本開示は、目的の核酸(すなわち、そのヌクレオチド配列が標的配列であるかまたは標的配列を含む核酸)の高感度検出を可能にする技術を記載している。
【0003】
いくつかの実施形態では、提供される技術は、特定のCas酵素に特徴的な核酸切断活性を利用する。多くの実施形態では、提供される技術は、特定のCas酵素のコラテラル切断活性を利用する。本開示は、Casコラテラル切断活性を利用する特定の以前に開発された技術に関連する問題の原因を特定する。本開示は、そのような問題を解決し、さらに、代替の利用可能なシステムと比較して、予期しない利点及び/または能力を備えた技術を提供する。
【0004】
重要なことに、多くの実施形態では、本開示は、Cas酵素による切断の活性化から配列検出を切り離す技術を提供する。したがって、本開示は、Cas酵素の特徴に焦点を当てるほとんどのCasベースの技術システム(それらの活性は、ガイドRNA配列の操作を介して目的の任意の配列に特異的に向けられ得る)からの重大な逸脱に相当する。
【0005】
いくつかの実施形態では、本開示は、特定の配列を検出するためにCasシステムを使用するが、その配列とハイブリダイズするようにCasガイドRNAを操作することなく、反対のアプローチをとることによって特定の利点が達成され得るか、及び/または問題が解決され得るという洞察を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、初期標的核酸ハイブリダイゼーションのためのライゲーションベースのシステムの使用を教示しており、このライゲーションベースのシステムの構成要素は、ライゲーション事象が核酸分子(複数可)(Casコラテラル切断活性のために核酸を活性化するかまたはその鋳型である)を生成するように設計されている。提供されるシステムによって、活性化核酸が元の標的核酸に見出される必要のない配列を有することが可能になる。したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、1つまたは比較的少数のガイドRNA配列を利用して、他の核酸配列と単一の塩基が異なる標的を含む、目的の様々な異なる核酸標的を検出し得る技術を提供する。
【0006】
あるいは、またはさらに、いくつかの実施形態では、本開示は、最初の標的核酸の増幅なしに、飛躍的な(例えば、アトモル)感度でさえ、核酸検出を可能にする戦略を提供する。
【0007】
提供される技術の利点としては、とりわけ、(i)標的核酸の前増幅(pre-amplification)を省き得、それにより、アッセイ結果を歪め得る配列変異の潜在的な原因を取り除き得る(例えば、偽陽性及び/または偽陰性の読み出しの生成を介して)こと;(ii)Casコラテラル活性の活性化から標的検出を切り離すことにより、目的の標的配列ごとに異なるgRNAを特異的に設計する必要が回避されること;(iii)標的検出をCasコラテラル活性の活性化から切り離すことにより、DNA及びRNAのいずれかまたは両方は生成されるか及び/または活性化核酸に利用され得るので、Casシステムの選択において柔軟性がさらに可能になること;(iv)ライゲーションの特異性により、単一塩基の識別が可能になること;(v)Casコラテラル活性の活性化から標的検出を切り離すことにより、とりわけ、Cas活性化配列(すなわち、gRNA/crRNAによって結合される配列)の多量体化が可能になり、それにより、単一のライゲーション生成物(またはその鋳型またはコピー)からの複数のCas酵素の活性化が潜在的に可能になること;ならびに(vi)それらの組み合わせが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1-1】
図1A及び
図1Bは、まとめて、本開示による核酸検出の例示的な実施形態を示す。
【
図1-2】
図1A及び
図1Bは、まとめて、本開示による核酸検出の例示的な実施形態を示す。
【
図2】本開示による核酸検出の例示的な実施形態を示す。
【
図3】SHERLOCK(商標)プロセス(上部パネル、Science 356:438、2017から)と、ライゲーションベースの転写活性化及びCRISPRコラテラル活性を使用した核酸の検出に関する本明細書に記載の技術(下部パネル)の比較を示している。
【
図4】産生されるaRNAの速度及び/または量の増大の例示的な実施形態を示す。
【
図5】本明細書に記載される多重化分析の例示的な実施形態を示す。
【
図6】例えば、ハニカムシステムなどの、例えば、流体システムを介して(例えば、米国特許Cepheidへの出願US2014/0087958号に記載されているように)、そのような分析をどのように実施できるかの図示を含む、本明細書に記載の多重分析の例示的な実施形態を示す。
【
図7】Cas認識エレメントの配置を変えたライゲーションオリゴヌクレオチドセットの例を示している。Hyb-Cas:Cas標的領域の上流のハイブリダイゼーション領域、T7プロモーター及びCas標的(別々の鎖にある);Cas-Hyb:Cas標的の下流のハイブリダイゼーション領域、T7プロモーター及び同じ鎖上のCas標的領域。
【
図8】ssDNAセンサーからのRNAの効率的な生成を保証するために試験された、さまざまなレポータータイプ(RNA、RNAポリメラーゼによって転写されたdsDNA、及びdsDNAにインサイチュで変換されたssDNA)を示している。
【
図9】
図8で説明した配列から生成されたRNAレポーターのCas13による検出を示している。
【
図10-1】標的ハイブリダイゼーション領域がCas標的配列の上流または下流に配置された場合、首尾よい標的RNA検出を示している。
【
図10-2】標的ハイブリダイゼーション領域がCas標的配列の上流または下流に配置された場合、首尾よい標的RNA検出を示している。
【
図11】
図11A及び11Bは、一本鎖DNA(ssDNA)によるLwaCas13活性の活性化を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
アミノ酸:本明細書で使用する場合、最も広義には、例えば、1以上のペプチド結合の形成によってポリペプチド鎖に組み込まれ得る任意の化合物及び/または物質を指す。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、一般構造H2N-C(H)(R)-COOHを有する。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸である。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、非天然アミノ酸である。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、D-アミノ酸である。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、L-アミノ酸である。「標準アミノ酸」とは、天然に存在するペプチドに一般的に見出される20種類の標準的なL-アミノ酸のうちのいずれかを意味する。「非標準アミノ酸」とは、それが合成的に調製されるかまたは天然源から得られるか否かによらず、標準アミノ酸以外の任意のアミノ酸を指す。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、ポリペプチドにおけるカルボキシ末端及び/またはアミノ末端のアミノ酸を含め、上記の一般構造と比較して構造修飾を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、アミノ酸は、一般構造と比較して、(例えば、アミノ基、カルボン酸基、1つ以上のプロトン、及び/またはヒドロキシル基の)メチル化、アミド化、アセチル化、ペグ化、グリコシル化、リン酸化、及び/または置換によって修飾されていてもよい。いくつかの実施形態では、このような修飾は、例えば、修飾されたアミノ酸を含むポリペプチドの循環半減期を、修飾されていないことを除いては同一のアミノ酸を含むものと比較して変化させ得る。いくつかの実施形態では、このような修飾は、修飾されたアミノ酸を含むポリペプチドの関連する活性を、修飾されていないことを除いては同一のアミノ酸を含むものと比較して有意に変化させない。文脈から明らかになるように、いくつかの実施形態では、「アミノ酸」という用語は、遊離アミノ酸を意味するように使用される場合がある。いくつかの実施形態では、この用語は、ポリペプチドのアミノ酸残基を指して使用される場合がある。
【0010】
アナログ:本明細書で使用される場合、「アナログ」という用語は、1つ以上の特定の構造的特徴、エレメント、構成要素、または部分を参照物質と共有する物質を指す。通常は、「アナログ」とは、参照物質との有意な構造類似性を示し、例えばコアまたはコンセンサス構造を共有するが、特定の明確な様式で参照物質と異なる物質である。いくつかの実施形態では、アナログは、例えば、参照物質の化学的操作によって参照物質から生成され得る物質である。いくつかの実施形態では、アナログとは、参照物質を生成するプロセスと実質的に類似する(例えば、複数のステップを共有する)合成プロセスを行うことによって生成され得る物質である。いくつかの実施形態では、アナログとは、参照物質を生成するために使用されるものとは異なる合成プロセスの実行を通じて生成されるか、または生成され得る。
【0011】
関連(会合)した:2つの事象または実体が互いに「関連(会合)した(associated)」という用語が本明細書で使用されるのは、一方の存在、レベル、程度及び/または形態が他方のそれと相互に関連している場合である。例えば、特定の実体(例えば、ポリペプチド、遺伝子シグネチャー、代謝産物、微生物、など)は、その存在、レベル及び/または形態が、(例えば、関連する集団にわたって)疾患、障害、または状態の発生及び/または易罹患性と相関する場合、特定の疾患、障害、または状態と関連すると見なされる。いくつかの実施形態では、2以上の実体は、互いに物理的に近接するか及び/または近接状態を保つように直接的または間接的に相互作用する場合、互いに物理的に「関連(会合)している」。いくつかの実施形態では、互いに物理的に関連付けられている2以上の実体が互いに共有結合され、いくつかの実施形態では、互いに物理的に関連付けられている2以上の実体が共有結合で互いに結合されないが、例えば、水素結合、ファン・デル・ワールス相互作用、疎水性相互作用、磁気、及びそれらの組み合わせによって、非共有結合性に結合される。
【0012】
生物学的試料:本明細書で使用される場合、「生物学的試料」という用語は、典型的には、本明細書に記載される目的の生物学的供給源(例えば、組織または生物または細胞培養物)から得られたか、またはそれに由来する試料を指す。いくつかの実施形態では、目的の供給源は、動物またはヒトのような生物体であるかまたはそれを含む。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、細胞学的組織もしくは流体であるか、または細胞学的組織もしくは流体を含む。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、骨髄、血液、血液細胞、腹水(ascite)、組織または細針生検試料、細胞含有体液、浮遊核酸、喀痰、唾液、尿、脳脊髄液、腹水(peritoneal fluid)、胸水、糞便、リンパ、婦人科体液、皮膚スワブ、膣スワブ、口腔スワブ、鼻腔スワブ、そのような乳管洗浄液または気管支肺胞洗浄液のような洗液もしくは洗浄液、吸引液、擦過物、骨髄標本、組織生検標本、手術標本、糞便、他の体液、分泌物、及び/または排泄物、及び/またはそれら由来の細胞などであってもよいし、またはこれらを含んでもよい。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、個体から得られた細胞であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、得られた細胞は、試料が得られた個体由来の細胞であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、試料は、任意の適切な手段によって、目的の供給源から直接得られる「一次試料」である。例えば、いくつかの実施形態では、一次生物学的試料は、生検(例えば、細針吸引液または組織生検)、手術、体液(例えば、血液、リンパ、糞便など)などの採取などからなる群より選択される方法によって得られる。いくつかの実施形態では、文脈から明らかになるように、「試料」という用語は、一次試料の加工によって(例えば、1以上の成分を除去することによって及び/または1つ以上の作用物質を加えることによって)得られる調製物を指す。例えば、半透膜を使用するろ過。かかる「加工試料」は、例えば、試料から抽出されたか、もしくはmRNAの増幅または逆転写、特定の構成要素の単離及び/または精製などのような技術に一次試料を供することにより得られた核酸またはタンパク質を含み得る。
【0013】
特徴的な部分:本明細書で使用される場合、「特徴的な部分」という用語は、最も広義には、その存在(または非存在)が物質の特定の特徴、属性、または活動の存在(または非存在)と相関する物質の部分を指す。いくつかの実施形態では、物質の特徴的な部分とは、特定の特徴、属性または活性を共有する物質及び関連物質に見られるが、その特定の特徴、属性または活性を共有しないものには見られない、部分である。特定の実施形態では、特徴的な部分は、インタクトな物質と少なくとも1つの機能的特徴を共有する。例えば、いくつかの実施形態では、タンパク質またはポリペプチドの「特徴的な部分」とは、一緒にタンパク質またはポリペプチドの特徴であるアミノ酸の連続的なストレッチ、またはアミノ酸の連続的なストレッチの集合を含むものである。いくつかの実施形態では、そのような各連続ストレッチは、一般に、少なくとも2、5、10、15、20、50、またはそれ以上のアミノ酸を含む。一般に、物質の特徴的な部分(例えば、タンパク質、抗体など)とは、上記で指定された配列及び/または構造的同一性に加えて、関連するインタクトな物質と少なくとも1つの機能的特徴を共有する部分である。いくつかの実施形態では、特徴的な部分は、生物学的に活性であってもよい。
【0014】
特徴的な配列:「特徴的な配列」とは、ポリペプチドまたは核酸のファミリーの全てのメンバーに見られる配列であり、したがって、当業者がファミリーのメンバーを定義するために使用され得る。
【0015】
特徴的な配列エレメント:本明細書で使用される場合、「特徴的な配列エレメント」という句は、そのポリマーの特徴的な部分を表すポリマー(例えば、ポリペプチドまたは核酸)に見られる配列エレメントを指す。いくつかの実施形態では、特徴的な配列エレメントの存在は、ポリマーの特定の活性または特性の存在またはレベルと相関する。いくつかの実施形態では、特徴的な配列エレメントの存在(または非存在)は、特定のポリマーを、そのようなポリマーの特定のファミリーまたはグループのメンバー(またはメンバーではない)として定義する。特徴的な配列エレメントは、典型的には、少なくとも2つのモノマー(例えば、アミノ酸またはヌクレオチド)を含む。いくつかの実施形態では、特徴的な配列エレメントは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、またはそれ以上のモノマー(例えば、隣接して連結されたモノマー)を含む。いくつかの実施形態では、特徴的な配列エレメントは、その長さがその配列エレメントを共有するポリマー間で変化する場合もしない場合もある1つ以上のスペーサー領域によって隔てられた隣接モノマーの少なくとも第1及び第2のストレッチを含む。
【0016】
比較可能:本明細書で使用される場合、「比較可能」という用語は、2つ以上の因子、実体、状況、条件のセットなどであって、それらは、互いに同一ではないかもしれないが、それらの間の比較を可能にするのに十分に類似しており、その結果、当業者は、観察された相違点または類似点に基づいてその結論が合理的に導き出され得るものであることを理解する。いくつかの実施形態では、条件、状況、個体、または集団の匹敵するセットは、複数の実質的に同一の特徴及び1つまたは少数の変更された特徴により特徴付けられる。当業者は、文脈において、2つ以上のそのような因子、実体、状況、条件のセットなどが匹敵するものであると見なされるために、任意の所与の状況においてどの程度の同一性が必要とされるかを理解するであろう。例えば、当業者は、状況、個体、もしくは集団の異なるセット下または状況、個体、もしくは集団の異なるセットと共に得られた結果または観察された現象における相違が、変更されたこれらの特徴における変動によって引き起こされるか、またはそれを示すという妥当な結論を保証するために十分な数及び種類の実質的に同一の特徴によって特徴付けられるとき、この状況、個体、または集団のセットが互いに同等であることを、理解するであろう。
【0017】
対応する:本明細書で使用される場合、「対応する」という用語は、適切な参照化合物または組成物との比較を通じて、化合物または組成物中の構造的エレメントの位置/同一性を示すために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ポリマー中の単量体残基(例えば、ポリヌクレオチド中のアミノ酸残基またはポリヌクレオチド中の核酸残基)は、適切な参照ポリマー中の残基と「対応する」と特定され得る。例えば、当業者は、簡単にするために、ポリペプチドの残基は、参照関連ポリペプチドに基づく標準的な番号付けシステムを使用して指定される場合が多く、その結果、位置190の残基「に対応する」アミノ酸は、例えば、実際に、特定のアミノ酸鎖の190番目のアミノ酸である必要はないが、参照ポリペプチドの190に見入される残基に対応することを理解する。当業者は、「対応する」アミノ酸を同定する方法を容易に理解する。例えば、当業者は、例えば、本開示に関連してポリペプチド及び/または核酸中の「対応する」残基を特定するために、利用され得る、例えば、BLAST、CS-BLAST、CUSASW++、DIAMOND、FASTA、GGSEARCH/GLSEARCH、Genoogle、HMMER、HHpred/HHsearch、IDF、Infernal、KLAST、USEARCH、parasail、PSI-BLAST、PSI-Search、ScalaBLAST、Sequilab、SAM、SSEARCH、SWAPHI、SWAPHI-LS、SWIMM、またはSWIPEなどのソフトウェアプログラムを含む、様々な配列アラインメント戦略を承知しているであろう。
【0018】
検出可能な実体:本明細書で使用される「検出可能な実体」という用語は、検出可能な任意の元素、分子、官能基、化合物、フラグメントまたは部分を指す。いくつかの実施形態では、検出可能な実体が単独で提供または利用される。いくつかの実施形態では、検出可能な実体は、別の薬剤と関連して(例えば、結合されて)提供及び/または利用される。検出可能な実体の例としては、限定するものではないが、以下が挙げられる:様々なリガンド、放射性核種(例えば、3H、14C、18F、19F、32P、35S、135I、125I、123I、64Cu、187Re、111In、90Y、99mTc、177Lu、89Zrなど)、蛍光色素(特定の例示的な蛍光色素については、以下を参照)、化学発光剤(例えば、アクリジナムエステル、安定化ジオキセタンなど)、生物発光剤、スペクトル分解可能な無機蛍光半導体ナノ結晶(すなわち、量子ドット)、金属ナノ粒子(例えば、金、銀、銅、白金など)ナノクラスター、常磁性金属イオン、酵素(酵素の特定の例については、以下を参照)、比色標識(例えば、染料、金コロイドなど)、ビオチン、ジオキシゲニン、ハプテン、及び抗血清またはモノクローナル抗体が利用可能なタンパク質。
【0019】
操作された:一般に、「操作された」という用語は、人間の手によって操作されていたという側面を指す。例えば、ポリヌクレオチドは、本質的にその順序で一緒に連結されていない2つ以上の配列が、操作されたポリヌクレオチドにおいて互いに直接連結されるように人間の手によって操作される場合、「操作された」と見なされる。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、操作されたポリヌクレオチドは、第1のコード配列と動作可能に会合され自然に見出されているが、第2のコード配列とは動作可能に会合されておらず、人の手によって連結され、その結果、それが第2のコード配列と動作可能に会合されている、調節配列を含む。比較可能な程度に、細胞または生物は、その遺伝情報が変更されるように操作された場合、「操作された」と見なされる(例えば、以前は存在しなかった新しい遺伝物質は、例えば形質転換、交配、体細胞ハイブリダイゼーション、トランスフェクション、形質導入、もしくは他のメカニズムによって導入されるか、または以前に存在した遺伝物質は、例えば、置換もしくは欠失突然変異によって、または交配プロトコルによって変更または除去される)。一般的な慣行であり、当業者によって理解されているように、操作されたポリヌクレオチドまたは細胞の子孫は、実際の操作が以前の実体に対して行われたとしても、通常、やはり「操作された」と呼ばれる。
【0020】
マーカー:マーカーとは、本明細書で使用される場合、その存在またはレベルが特定の状態または事象の特徴である実体または部分を指す。いくつかの実施形態では、特定のマーカーの存在またはレベルは、疾患、障害、または状態の存在または段階に特徴的であり得る。一例をあげれば、いくつかの実施形態では、この用語は、特定の腫瘍、腫瘍サブクラス、腫瘍のステージなどの特徴である遺伝子発現産物を指す。代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、特定のマーカーの存在またはレベルは、例えば、特定のクラスの腫瘍であり得る特定のシグナル伝達経路の活性(または活性レベル)と相関する。マーカーの存在または非存在の統計学的有意性は、特定のマーカーに依存して変化し得る。いくつかの実施形態では、マーカーの検出は、それが、腫瘍が特定のサブクラスである高い確率を反映している点で、非常に特異的である。かかる特異性は、感度を犠牲にして生じ得る(すなわち、腫瘍がマーカーを発現することが期待される腫瘍である場合でも、負の結果が起こり得る)。逆に、感度の高いマーカーは、より特異的でないもので、低感度である場合がある。本発明によれば、有用なマーカーは、100%の正確性で特定のサブクラスの腫瘍を区別する必要はない。
【0021】
核酸:本明細書で使用される場合、最も広義には、オリゴヌクレオチド鎖中に組み込まれているか、組み込まれ得る任意の化合物及び/または物質を指す。いくつかの実施形態では、核酸とは、ホスホジエステル結合を介してオリゴヌクレオチド鎖に組み込まれているか、または組み込まれ得る化合物及び/または物質である。文脈から明らかなように、いくつかの実施形態では、「核酸」とは、個々の核酸残基(例えば、ヌクレオチド及び/またはヌクレオシド)を指す。いくつかの実施形態では、「核酸」とは、個々の核酸残基を含むオリゴヌクレオチド鎖を指す。いくつかの実施形態では、「核酸」とは、RNAであるか、またはRNAを含む。いくつかの実施形態では、「核酸」とは、DNAであるか、またはDNAを含む。いくつかの実施形態では、核酸とは、1つ以上の天然の核酸残基であるか、それを含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、核酸とは、1つ以上の核酸アナログであるか、それを含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、核酸アナログは、それがホスホジエステル骨格を利用しないという点で核酸とは異なる。例えば、いくつかの実施形態では、核酸は、当該分野で公知であり、かつ主鎖中のホスホジエステル結合の代わりにペプチド結合を有している1つ以上の「ペプチド核酸」であるか、それを含むか、またはそれからなり、本発明の範囲内であるとみなされる。あるいは、またはさらに、いくつかの実施形態では、核酸は、ホスホジエステル結合ではなく、1つ以上のホスホロチオエート及び/または5’-N-ホスホルアミダイト結合を有する。いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上の天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、及びデオキシシチジン)であるか、それを含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上のヌクレオシドアナログ(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニルウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、0(6)-メチルグアニン、2-チオシチジン、メチル化塩基、挿入塩基、及びそれらの組み合わせ)であるか、それらを含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、核酸は、天然の核酸におけるものと比較して、1つ以上の修飾された糖(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、及びヘキソース)を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、RNAまたはタンパク質などの機能的遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上のイントロンを含む。いくつかの実施形態では、核酸は、天然の供給源からの単離、相補的鋳型に基づく重合による酵素的合成(インビボまたはインビトロ)、組換え細胞またはシステムにおける複製、及び化学合成のうちの1つ以上によって調製される。いくつかの実施形態では、核酸は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000以上の残基長である。いくつかの実施形態では、核酸は、部分的または全体的に一本鎖である。いくつかの実施形態では、核酸は、部分的または全体的に二本鎖である。いくつかの実施形態では、核酸は、ポリペプチドをコードするか、またはポリペプチドをコードする配列の補体である少なくとも1つのエレメントを含むヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、核酸は酵素活性を有する。当業者は、本明細書を読めば、ライゲーションオリゴヌクレオチドセット、活性化核酸、及び/またはガイドRNAがそれぞれ、例えば、ヌクレオチドアナログなどを組み込むように改変され(engineered)てもよいし及び/または操作され(manipulated)てもよいことを理解するであろう。
【0022】
動作可能に連結している:本明細書において用いる場合、記載されている構成要素が、それらがそれらの意図される様式で機能することを可能にする関係にある並置を指す。機能的エレメントに対して「動作可能に連結された」制御エレメントは、機能的エレメントの発現及び/または活性が、その制御エレメントと互換性のある条件下で達成されるように会合される。いくつかの実施形態では、「動作可能に連結された」制御エレメントは、目的のコードエレメントと連続している(例えば、共有結合している);いくつかの実施形態では、制御エレメントは、目的の機能的エレメントに対してトランスで、またはそうでなければ、そのエレメントから作用する。
【0023】
ポリペプチド:本明細書で使用される場合、アミノ酸の任意の高分子鎖を指す。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、自然界に存在するアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、自然界に存在しないアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、それが人の手の作用によって設計されるか、及び/または生成されるという点で、操作されているアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、またはその両方を含むか、またはそれらからなってもよい。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、天然アミノ酸のみ、または非天然アミノ酸のみを含むか、またはそれらからなってもよい。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、D-アミノ酸、L-アミノ酸、またはその両方を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、D-アミノ酸のみを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、L-アミノ酸のみを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、1つ以上のペンダント基もしくは他の修飾(例えば、ポリペプチドのN末端、ポリペプチドのC末端、またはそれらの任意の組み合わせにおいて、1つ以上のアミノ酸側鎖を修飾するかまたはそれに対する結合)を含み得る。いくつかの実施形態では、そのようなペンダント基または修飾は、アセチル化、アミド化、脂質化、メチル化、ペグ化など(それらの組み合わせを含む)からなる群より選択され得る。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、環状であってもよく、及び/または環状部分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、環状ではないか、及び/または環状部分を含まない。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは線状である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、ステープルポリペプチドであっても、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、「ポリペプチド」という用語は、参照ポリペプチド、活性、または構造の名前に付加され得る。そのような場合、本明細書では、関連する活性または構造を共有し、したがって同じクラスまたはファミリーのポリペプチドのメンバーであると見なされ得るポリペプチドを指すために使用される。そのようなクラスのそれぞれについて、アミノ酸配列及び/または機能が公知であるクラス内の例示的なポリペプチドを、本明細書は提供するか、及び/または当業者は承知しているであろう。いくつかの実施形態では、そのような例示的なポリペプチドは、ポリペプチドクラスまたはファミリーの参照ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドクラスまたはファミリーのメンバーは、このクラスの参照ポリペプチドと有意な配列相同性または同一性を示すか、共通の配列モチーフ(例えば、特徴的な配列エレメント)を共有するか、及び/または共通の活性を共有する(いくつかの実施形態では、同等のレベルでまたは指定された範囲内で)(このクラス内の全てのポリペプチドを含むいくつかの実施形態において)。例えば、いくつかの実施形態では、メンバーポリペプチドは、少なくとも約30~40%であり、しばしば約50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上である参照ポリペプチドとの全体的な程度の配列相同性または同一性を示すか、及び/またはしばしば90%を超え、さらには95%、96%、97%、98%、または99%でさえある、非常に高い配列同一性を示す、少なくとも1つの領域(例えば、いくつかの実施形態では特徴的な配列エレメントであるかまたはそれを含み得る保存領域)を含む。このような保存領域は通常、少なくとも3~4個、多くの場合最大20個以上のアミノ酸を含む;いくつかの実施形態では、保存領域は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15またはそれ以上の連続するアミノ酸の少なくとも1つのストレッチを包含する。いくつかの実施形態では、関連するポリペプチドは、親ポリペプチドのフラグメントを含んでもよいし、またはそれからなってもよい。いくつかの実施形態では、有用なポリペプチドは、複数のフラグメントを含んでもよいし、またはそれからなってもよく、そのそれぞれは、目的のポリペプチドに見出されるものとはお互いに対して異なる空間的配置で同じ親ポリペプチドに見出され(例えば、親において直接連結されているフラグメントは、目的のポリペプチドにおいて空間的に分離されてもよいし、もしくはその逆であってもよく、及び/またはフラグメントは、目的のポリペプチドにおいて親とは異なる順序で存在してもよく)、その結果、目的のポリペプチドはその親ポリペプチドの誘導体である。
【0024】
参照:本明細書で使用する場合、比較を行う対象に対する標準または対照を表す。例えば、いくつかの実施形態では、目的の因子、動物、個体、集団、試料、配列または値が、参照または対照の因子、動物、個体、集団、試料、配列または値と比較される。いくつかの実施形態では、参照または対照は、目的の試験または決定と実質的に同時に試験及び/または決定される。いくつかの実施形態では、参照または対照は、任意選択で有形媒体に具現化された歴史的参照または対照である。典型的には、当業者に理解されるように、参照または対照は、評価されるものと匹敵する条件または状況下で決定または解析される。当業者は、可能性のある特定の参照または対照への依存及び/または比較を正当化するのに十分な類似性が存在する場合を理解するであろう。
【0025】
特異的結合:本明細書で使用される場合、「特異的結合」という用語は、結合が起こる環境において可能な結合パートナーを区別する能力を指す。他の潜在的な標的が存在するときに1つの特定の標的と相互作用する結合剤は、それが相互作用する標的に「特異的に結合する」と言われる。いくつかの実施形態では、特異的結合は、結合剤とそのパートナーとの間の会合の程度を検出または決定することによって評価される。いくつかの実施形態では、特異的結合は、結合剤-パートナー複合体の解離の程度を検出または決定することによって評価される。いくつかの実施形態では、特異的結合は、そのパートナーと別の実体との間の代替の相互作用と競合する結合剤の能力を検出または決定することによって評価される。いくつかの実施形態では、特異的結合は、ある範囲の濃度にわたってそのような検出または決定を実行することによって評価される。
【0026】
特定の実施形態の詳細な説明
最近、特定のCas酵素に存在するいわゆる「コラテラル切断(collateral cleavage)」活性を利用する様々な核酸検出及び/または操作システムが記載されている。これらのシステムには、例えば、Cas13(及び/またはCsm6酵素)を利用するSHERLOCK(商標)システムが挙げられ、例えば、AbudayehらのWO2018/107129;Gootenberg et al.,Science 356:438、2017;Gootenberg et al、Science 360:439、2018に記載されており、及びCas12酵素を利用するDETECTR(商標)システムは、例えば、DoudnaのWO2017/218573;Chen et al.Science360:436,2018に記載されている。著名なジャーナルでのこれらのシステムのレビューは、それらを「大きな進歩(major advance)」(Kocak&Gersbach Nature 557:168,2018)及び「分子診断の分野に革命を起こす(revolutionizing the field of molecular diagnostics)」(Chertow Science 360:381,2018)と説明している。さらに、コラテラル活性が多くのCas酵素の特徴であり、そのような活性を示すものを容易に同定するための技術が利用可能であることがますます明らかになりつつある(例えば、Cas14遺伝子座及びその中の酵素を説明するHarrington et al.,Science 362:839,2018を参照のこと)。
【0027】
大まかに言えば、核酸を検出するためにCasコラテラル切断活性を利用する既存のシステムは、gRNAが目的の特定の標的配列とハイブリダイズするように操作されたCas酵素を必要とする。このようなCas酵素(及びそのgRNA)が、目的の標的部位を有する核酸を含む試料と接触すると、Cas酵素のコラテラル活性が活性化される。そのような活性化は、その切断が検出可能であるように標識されたプローブを含めることによって検出され得る。一例を挙げると、プローブがフルオロフォアとクエンチャーとの両方で標識されたオリゴヌクレオチドである場合、オリゴヌクレオチドの切断により、フルオロフォアがクエンチャーから放出され、検出可能なシグナルが生成される。本明細書に注記されるSHERLOCK(商標)及びDETECTR(商標)システムは、標的増幅と組み合わされ、及び具体的には等温増幅と、組み合わされた場合、アトモルの感度を達成し得るものとして説明されている(Gootenberg et al.Science 360:439,2018及びChen et al.Science 360:436,2018を参照のこと)。
【0028】
本開示は、記載されたSHERLOCK(商標)及びDETECTR(商標)システムが多くの強力な属性を有することを理解する。しかしながら、本開示はまた、それらが、目的の各標的核酸についての新しいガイドRNAの設計を必要とすることを含む、これらのシステムに関する特定の問題(複数可)の原因を特定する。本開示は、個々のgRNA-標的対を一緒に及び/または特定のCas酵素と一緒に使用するために最適化する必要がある場合があるので、標的特異的gRNAに対するこの要件は開発に重大な負担を課す場合があることに留意する。
【0029】
本開示はさらに、SHERLOCK(商標)及びDETECTR(商標)システムが、元の標的核酸の増幅と一緒に使用された場合にのみ極端な感度を達成することが報告されていることに留意する。本開示は、初期標的増幅の要件が、偽陽性及び/または偽陰性の結果を生成し得る突然変異を導入する場合があるので、問題の原因となる場合があることを教示している。
【0030】
本開示は、これらの問題を解決し、さらに、Cas切断の活性化から標的配列を切り離すことの様々な予想外でかつ驚くべき利点を発見する。
【0031】
様々な実施形態では、本開示は、目的の標的核酸への初期(及び標的配列依存性)ハイブリダイゼーションのためにライゲーションベースの技術を利用するシステムを提供し、それらのシステムを使用して、Cas切断(例えば、コラテラル切断)活性を始動させるCas活性化核酸を生成する。Cas活性化核酸は、目的の標的核酸が存在する場合にのみ生成されるので、CasガイドRNAは、標的配列に特異的である必要はなく、むしろ活性化核酸の他の場所に結合し得る。
【0032】
図1A及び
図1Bは、まとめて、本開示による核酸検出の例示的な実施形態を示す。
図1Aに示されているように、少なくとも1つの目的の核酸を含み得る(すなわち、そのヌクレオチド配列が目的の標的部位であるかまたは含む)核酸試料を、ライゲーションオリゴヌクレオチドのセットと接触させ、このセットは、(i)そのヌクレオチド配列が鋳型化エレメント及び第1の標的ハイブリダイゼーションエレメントを含む第1のライゲーションオリゴヌクレオチド;(ii)そのヌクレオチド配列が第2の標的ハイブリダイゼーションエレメント及びCas認識エレメントを含む第2のライゲーションオリゴヌクレオチド;ならびに(iii)任意選択で、そのヌクレオチド配列が1つ以上の追加の標的ハイブリダイゼーションエレメントであるかまたはそれを含む1つ以上の架橋オリゴヌクレオチドを含む。セットのオリゴヌクレオチドは、それらが目的の核酸に同時にハイブリダイズされるとき、それらが互いに隣接し、リガーゼ酵素がそれらを連結して単一のライゲーションされた鎖を形成し得るように選択される。このライゲーションされた鎖は、少なくとも1つのCasタンパク質による切断(例えば、コラテラル切断)を活性化する核酸の補体または構成要素(例えば、二本鎖実体の一本鎖である)であるか、またはそうである。
【0033】
原則として、ライゲーションされた鎖自体をCas活性化核酸として利用してもよい(この場合、鋳型化エレメントは必要ない)。しかしながら、多くの実施形態では、
図1Aに示されるように、ライゲーションされた鎖は、鋳型化エレメントに作用するシステムによってコピーされる。例えば、鋳型化エレメントがプロモーター(またはその補体)及び/または1つ以上の転写調節エレメント(またはその補体)であるかまたはそれを含む場合、このシステムは、RNAポリメラーゼであっても、またはRNAポリメラーゼを含んでもよい。鋳型化エレメントが複製起点及び/または伸長性プライマーの結合部位(またはその補体)であるかまたはそれを含む場合、このシステムは、DNAポリメラーゼ(いくつかの実施形態では、熱安定性DNAポリメラーゼであってもよい、特に、ライゲーションされた鎖が第2の伸長可能なプライマーに対応する配列エレメントを含み、このシステムがライゲーションされた鎖とその補体の二重鎖を増幅するための適切なプライマーの対を含む場合)であってもよいし、またはそれを含んでもよい。このようなコピーは、この実施例及び
図1A及び1Bで「Cas活性化核酸」と呼ばれる核酸分子の集団を生成する。なぜなら、それらは検出される切断(例えば、コラテラル切断)活性を有するCasタンパク質のcrRNA/gRNAに相補的な配列を含むからである。
図1Bに示すように、Cas活性化核酸に存在する核酸のタイプ(すなわち、RNA、ssDNA、またはdsDNA)に適したCasが、Cas標的核酸と接触すると、その切断(例えば、コラテラル切断)活性が活性化され、適切なレポーター核酸が切断され、検出可能なシグナルが得られる。
【0034】
以下に、本発明の様々な要素及び/または実施形態の特定の特徴及び/または属性がより詳細に論じられる。当業者は、本開示を読めば、当該技術の1つの技術の範囲内であり、また本開示の趣旨及び範囲内でもある特定の修正及び/または変形に気付くであろう。当業者はまた、核酸鎖の鋳型化特性、及びそれらが互いにハイブリダイズする能力を考慮すれば、この分野では、特定の「配列エレメント」または「部位」を参照することが従来的であり、「フォワード(順方向)」または「センス」形式が参照されているとき、及びその補体(「リバース(逆方向)」または「アンチセンス」形式)が参照されるときを、当該技術に依拠して文脈から理解することを理解する。
【0035】
標的核酸
当業者は、本明細書で提供される技術が、例えば、感染性因子(例えば、ウイルス、微生物、寄生虫など)由来の核酸、特定の生理学的状態または条件の指標である核酸(例えば、がんまたは炎症性もしくは代謝性疾患、障害または状態などのような疾患、障害または状態の存在または状態)、出生前の核酸などを含む広範な核酸の検出を達成するために広範に適用可能であることを直ちに理解する。
【0036】
多くの実施形態では、提供される技術は、少量(例えば、約10fM未満、または約1fM、または約100aM)の核酸の検出に特に有用または適用可能である。
【0037】
通常、提供される技術は、試料中の1つ以上の標的核酸の存在及び/またはレベルを評価するために1つ以上の試料に適用される。いくつかの実施形態では、試料は生物学的試料である。いくつかの実施形態では、試料は環境試料である。
【0038】
いくつかの実施形態では、試料が処理される(例えば、核酸は、一次試料から部分的または実質的に単離または精製される)。いくつかの実施形態では、最小限の処理のみが実行されている(すなわち、試料は粗試料である)。
【0039】
ライゲーションオリゴヌクレオチドセット
本明細書に記載されるように、本開示は、最初の標的核酸とのハイブリダイゼーション/最初の標的核酸の検出のためのライゲーション技術を利用する。したがって、ライゲーションステップは、目的の標的配列に対して配列特異的である。そのような標的部位ごとに、リガーゼの活性がハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドを一緒に連結して単一のライゲーション鎖を形成するように、互いに隣接する目的の標的配列にわたって一緒にハイブリダイズするライゲーションオリゴヌクレオチドのセットを設計する。このライゲーションされた鎖は、選択された標的部位全体の補体を含み、Cas認識エレメント、及び通常、ライゲーション前は同じオリゴヌクレオチドの一部ではなかった鋳型化エレメントも含む。
【0040】
当業者は、ライゲーションオリゴヌクレオチドのセットを利用して、目的の標的核酸(セット内のオリゴヌクレオチドのそれぞれが、標的部位の隣接部分でハイブリダイズする)の存在下で起こるように、セットがライゲーションによって連結された場合にのみ、セットの別個のオリゴヌクレオチド上に位置する機能的エレメントをまとめる様々なシステムが存在することを承知している。(例えば、米国特許5194370号に記載されている、核酸配列のプロモーターライゲーション活性化転写増幅;米国特許6955901号に記載されている多重ライゲーション可能なプローブ増幅[MLPA]、及びNucleic Acids Research 30:e27,2002;RNA-splinted polynucleotide ligase activity as described,for example,in Nucleic Acids Research 42:1831,2013,US patent application US2014/0179539及びNucleic Acids Research 33:e116,2016を参照のこと)。したがって、当業者は、本明細書に記載されているオリゴヌクレオチドセット内のオリゴヌクレオチドの構築に関連する設計パラメータを十分に認識している(米国特許出願US2008/0090238号も参照のこと)。
【0041】
標的ハイブリダイゼーションエレメント
図1に示されるように、本開示に従って使用するためのライゲーションオリゴヌクレオチドセットは、それぞれが、セットの別のオリゴヌクレオチドが存在する場所に隣接する位置で標的核酸にハイブリダイズする配列エレメントを含むように設計され、その結果、特定のセットの全てのオリゴヌクレオチドは、標的核酸に(すなわち、標的部位を含む核酸に)ハイブリダイズされ、それらは、リガーゼによって互いに共有結合され得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、ライゲーションオリゴヌクレオチドのセットは、2つ(すなわち、第1及び第2)のオリゴヌクレオチドのみを含み、そのそれぞれは、標的ハイブリダイゼーションエレメントを含み、その1つは、Cas認識エレメントを含む。いくつかの実施形態では、他は鋳型化エレメントを含む。いくつかの実施形態では、ライゲーションオリゴヌクレオチドのセットは、第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドとの間の標的部位にハイブリダイズする1つ以上の架橋オリゴヌクレオチドを含む。
【0043】
標的認識エレメント
当業者は、本開示を読めば、標的部位が、任意の目的の配列(例えば、特定の試料においてその存在が評価されるべきである)であり得ることを理解するであろう。当業者は、ライゲーションオリゴヌクレオチドのセット内のオリゴヌクレオチド中の個々の標的ハイブリダイゼーションエレメントの長さ及び/または配列特性(例えば、GC含量など)の選択に関連する設計上の考慮事項をさらに承知している(例えば、本明細書に引用されたものを含む、文献に記載された他のライゲーションシステムから)。
【0044】
Cas認識エレメント
当業者は、本開示を読めば、Cas認識エレメントが、Cas gRNAによって結合され、本明細書に記載されるような検出システムでの使用のために特に設計、選択、及び/または最適化され得る配列(または、いくつかの実施形態では、その補体)であることをさらに理解するであろう。すでに注記したように、提供される技術の1つの特徴は、標的核酸ごとに異なるCas認識エレメントを設計または利用する必要がないことである。Cas認識エレメントは通常、ライゲーションステップ中に標的核酸にハイブリダイズしない。
【0045】
本開示のいくつかの実施形態では、例えば、複数のライゲーションオリゴヌクレオチドセット(すなわち、異なる標的核酸の検出のために設計された)が同時に(例えば、同じ反応において一緒に)使用される場合、異なるライゲーションオリゴヌクレオチドセットが異なるCas認識エレメントを有する(例えば、各ライゲーションオリゴヌクレオチドセットはそれ自身のCas認識エレメントを有し得る)ことが望ましい場合があるが、いくつかの実施形態では、複数の異なるライゲーションオリゴヌクレオチドセット、または全てのライゲーションオリゴヌクレオチドセットでさえ同じCas認識エレメントを含み得る。
【0046】
当業者は、本開示を読めば、いくつかの実施形態では、Cas認識エレメントが、標的認識エレメントに先行するか、前にあるか、上流にあるか、及び/または5’であり得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、Cas認識エレメントは、標的認識エレメントの次に続くか、その後に続くか、後にあるか、下流にあるか、及び/または3’であり得る。例えば、
図7を参照のこと。
【0047】
鋳型化エレメント
ライゲーションオリゴヌクレオチドセット内の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、典型的には、ライゲーションされた鎖の鋳型化を可能にするか、及び/または指示する鋳型化エレメントを含むであろう。
【0048】
多くの実施形態では、鋳型化エレメントは、伸長可能なオリゴヌクレオチド(すなわち、プライマー)の結合部位であるか、またはそれを含む。ライゲーションされた鎖をそのようなオリゴヌクレオチド及び適切な伸長酵素(例えば、DNAポリメラーゼ)とインキュベートすると、鋳型鎖が生成され、その結果、二本鎖核酸が作成される。
【0049】
いくつかの実施形態では、そのような二本鎖核酸は、結合部位の第2の伸長可能なオリゴヌクレオチド(すなわち、第2のプライマー)を含み、その結果、この二本鎖は、ポリメラーゼ連鎖反応によって増幅され得る。そのような実施形態では、第2の伸長可能オリゴヌクレオチドの結合部位は、典型的には、第1のオリゴヌクレオチドに対して、Cas認識エレメントの遠端の第2のオリゴヌクレオチドにあり、その結果、この二本鎖が第1及び第2のプライマー(または、Cas認識エレメントにまたがる限り、異なるプライマー対)及びDNAポリメラーゼ(例えば、熱安定性DNAポリメラーゼ)とインキュベートされるとき、Cas認識エレメントを含む二本鎖の複数のコピーが生成される。
【0050】
いくつかの実施形態では、鋳型化エレメントは、プロモーター及び/または1つ以上の転写調節エレメント(例えば、エンハンサー、リプレッサー結合部位など)であってもよいし、またはそれらを含んでもよく、その結果、ライゲーションされた鎖の複数のRNA鋳型(またはコピー)は、例えば、上記のような二本鎖をRNAポリメラーゼと共にインキュベートすることによって生成される。
【0051】
いくつかの実施形態では、鋳型化エレメントは、複製起点であってもよいし、またはそれを含んでもよく、その結果、ライゲーションされた鎖の複数のDNA鋳型(またはコピー)が、DNAポリメラーゼとのインキュベーションによって生成される。
【0052】
当業者は、本開示を読めば、特定の実施形態で使用するための適切な鋳型化エレメントを選択して、Cas酵素(例えば、Cas9、Cas12、Cas13、Cas14など)が本明細書に記載の切断プロセスで利用されるいずれの場合でも、Cas活性化核酸として有効である、鋳型化された生成物(例えば、RNA、ssDNA、またはdsDNA)を生成し得る(または、例えば、変性によって、すぐに生成することを可能にする)ことを理解するであろう。
【0053】
核酸の活性化
「活性化」核酸は、その用語が本開示で使用される場合、gRNAがハイブリダイズし、それによって関連するCas酵素(より具体的には、そのコラテラル活性)を活性化する核酸である。
【0054】
当業者は、異なるCas酵素が異なるタイプの活性化核酸(例えば、RNA、ssDNA、dsDNA、またはそれらの組み合わせ)によって活性化されることを承知しており、特定の利用されたCas酵素に適切な活性化核酸を生成するシステムを、本開示に従って容易に設計し得るであろう。
【0055】
当業者は、例えば、Cas13酵素がしばしばRNAによって活性化されるのに対して、Cas12酵素はしばしばDNAによって活性化されることに気付くであろう。
【0056】
本開示のいくつかの実施形態では、Cas活性化核酸は、RNAであるか、またはRNAを含む。いくつかの実施形態では、Cas活性化核酸は、ssDNAであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、Cas活性化核酸は、dsDNAであるか、またはそれを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、Cas活性化核酸は、増幅された標的核酸ではない。
【0058】
典型的には、本開示による活性化核酸は、鋳型化エレメント(複数可)の作用を介して生成される。
【0059】
Cas酵素
Cas酵素はもともと、微生物に感染性核酸に対する適応免疫を提供する、CRISPR(「規則的に間隔を空けた短いパリンドロームリピートのクラスター(clusters of regularly interspaced short palindromic repeats)」を表す)-Cas(「CRISPR関連」を表す)システムの一部として識別される。当業者は、膨大な数のCas酵素、ならびにそれらを異なるクラスに分類する配列エレメント及び機能的特徴を承知している。クラス1 CRISPR-Casシステムにはマルチサブユニットエフェクター複合体がある。クラス2システムには、単一サブユニットのエフェクターがある。
【0060】
少なくとも6つの異なる「タイプ」のCasタンパク質が記載されている。タイプI、II、及びIVはクラス1酵素であるが、タイプII(Cas9を含む)、V(Cas12及びCas14を含む)、及びVI(Cas13を含む)はクラス2酵素である。Cas酵素を同定し、それらを分類するための技術(例えば、RuvCドメイン及び/または1つ以上の他の配列エレメントの存在、組織化、及び/または配列に基づいて)は、現在、当該技術分野で周知である。さらに、多くのCasバリアントが調製されており、当業者は、Cas酵素の活性に関与する(例えば、必要であるか及び/または十分である)構造(例えば、配列)エレメントをよく理解している。
当業者は、本明細書を読めば、提供される技術が、様々な実施形態では、読み取って利用するのに適切であり、gRNA結合によって活性化される、切断活性を有する任意のCas酵素(またはそのバリアント、例えば、操作されたバリアント)を利用できることを理解するであろう。さらに、当業者は、本開示を読めば、例えば、特定のタイプのCasを特定のCas活性化核酸及び/または切断基質(例えば、プローブ)と一致させるのに適切な設計選択などに精通するであろう。
【0061】
コラテラル切断
特定のCas酵素、特にCas12、Cas13、及びCas14などの特定のタイプV及びタイプVIのCas酵素を特異的に含む特定のCas酵素(例えば、Cpf1/Cas12a、C2c2/Cas13a、Cas13b、Cas13c、Cas14aなど)は、それらのgRNA/crRNAがその標的に結合するときに活性化される非特異的なヌクレアーゼ活性を有することが実証されている。この非特異的な切断活性は、しばしば「コラテラル切断(collateral cleavage)」と呼ばれる。
【0062】
上記のように、Casタンパク質のコラテラル切断活性を利用して、目的の標的核酸(または、より正確には、そのヌクレオチド配列が標的部位を含む核酸)の存在を検出する核酸検出システムが最近開発されている。多くの実施形態では、本発明は、コラテラル活性を有するCasタンパク質を利用し、そしてプローブのその活性/切断の活性化を検出する。
【0063】
部位特異的な切断
特定の実施形態では、本開示は、コラテラル切断以外の方法で基質を切断するCas酵素を利用し得る。当業者は、多くのまたはほとんどのCas酵素が、しばしばそのgRNA結合部位またはその近くで、部位特異的切断活性を示すことを理解するであろう。
【0064】
標的核酸配列ハイブリダイゼーションからCas活性化を切り離す技術を提供することにより、本開示は、目的の各核酸標的のために新しいgRNAを操作する必要性を依然として回避しながら、部位特異的Cas切断読み出しシステムの使用を可能にする。したがって、いくつかの実施形態では、部位特異的Cas切断を、読み出しとして使用し得る。いくつかのそのような実施形態では、関連するCas(例えば、Cas9)は、コラテラル切断活性を有さない。
【0065】
当業者は、Cas部位特異的切断活性を検出するために開発されたか、及び/または使用され得る様々なシステムを承知している。ほんの数例を挙げると、無細胞レポーター発現を可能にするdsDNA発現カセットからの不活性化DNA配列の切断、またはdsDNA切断を検出する他の手段を使用してもよい。
【0066】
ガイドRNA
Cas酵素は、それらのガイドRNAが相補的配列(本明細書では「Cas認識エレメント」と呼ばれる)とハイブリダイズするときに、(特異的であろうと非特異的であろうと)核酸を切断するように活性化される。ガイドRNAを研究者が操作することによって、目的の配列とハイブリダイズし得ることは十分に確立されている。さらに、ガイドRNAが天然ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、及び/またはそれらの組み合わせを含み得ることは十分に確立されている。その確立された知識の全ては、本開示に関連しており、本開示の実施に使用され得る。
【0067】
例えば、当業者は、ガイドRNAが、いくつかの実施形態では、約16~28ヌクレオチドの範囲内で(例えば、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、または約28ヌクレオチド)、ある長さ(及び/またはCas認識エレメントにハイブリダイズする部分)を有し得ることを理解するであろう。
【0068】
当業者はまた、特定の実施形態では、ガイドRNAが、関連するCas認識エレメントと100%未満の完全な相補性(例えば、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または100%相補的であり得る)を有し得ることを理解するであろう。
【0069】
本明細書に記載のシステムの1つの特徴は、特定の実施形態では、それらは、コラテラル切断活性を有するCas酵素のガイドRNAに相補的な配列エレメントを含まない標的核酸を検出するように設計及び/または利用され得るということである。実際、提供された技術の利点の1つは、目的の標的核酸ごとに異なるガイドRNAを操作する必要がないということである。むしろ、1つ以上の効果的な(例えば、最適化された及び/またはそうでなければ望ましい)ガイドRNA/Cas認識エレメント対が提供されるか、及び/または目的の様々な異なる標的核酸を検出するために利用され得る。
【0070】
プローブ
本開示によれば、Cas酵素の切断(例えば、コラテラル切断)活性は、適切なプローブの切断を検出することによって検出され得る。当業者は、異なるCas酵素が、異なるプローブに関して切断(及び特にコラテラル切断)活性を示し得る(例えば、Cas13酵素は、通常、RNAプローブをコラテラルに切断する。Cas12酵素は通常、ssDNAプローブを切断する)ことを承知している。Cas9酵素は通常、コラテラル活性を有さず、dsDNA基質を切断する。当業者は、本開示を読めば、特定のCas酵素によるコラテラル切断を受けやすい適切なプローブを容易に設計、選択、及び/または生成することができるであろう。
【0071】
典型的には、本開示に従って使用するためのプローブは、その切断が検出され得るという特徴がある。当業者は、特定のCas酵素によるコラテラル切断が検出可能であるプローブのための様々な戦略及びその実施形態を承知している。一例を挙げれば、いくつかの実施形態では、プローブは、蛍光発光色素対(例えば、FRET対または蛍光/クエンチャー対)で標識されてもよく、その結果、プローブが切断されると、蛍光の変化(例えば、増大-例えば、切断が、消光、減少、波長の変化、またはそれらの組み合わせを緩和する場合)が観察される。適切なFRET対は、当該技術分野(例えば、Bajar et al sensors(Basel),2016;Abraham et al.PLoS One 10:e0134436,2015を参照のこと)で公知である。
【0072】
プローブの切断を検出するための様々な他の戦略も当技術分野で公知であり、例えば、SHERLOCK(商標)に関して記載されたマスキング構築物を含む(例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO2018/107129を参照のこと)。
【0073】
あるいは、またはさらに、いくつかの実施形態では、プローブは、表面に結合された適切な核酸であり得るので、プローブの切断は、例えば、表面に近接するDNAまたはRNA結合粒子を検出することによって検出され得る。
【0074】
適用
当業者は、本明細書を読めば、本明細書が提供する技術が広範囲の状況で有用であり、かつ様々な形式で適用され得ることを直ちに理解するであろう。
【0075】
いくつかの実施形態では、1つ以上の構成要素(例えば、標的核酸、ライゲーションオリゴヌクレオチド(複数可)、ライゲーションされた鎖、Cas活性化核酸、Cas、及びそれらの組み合わせ)は、固体支持体に会合(例えば、付着)され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、複数のライゲーションオリゴヌクレオチドセットが実質的に同時に利用され、その結果、複数の標的核酸が同時に検出され得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、提供される技術は、例えば、異なる標的核酸配列及び/または異なるライゲーションオリゴヌクレオチドに対して異なるCas酵素(及び/または読み出し)を利用して多重化され得る。
【実施例】
【0078】
実施例1:ライゲーションベースの転写活性化及びCRISPRコラテラル活性を使用した核酸の高感度で特異的な検出のための例示的なシステム
本実施例は、ライゲーションベースの転写活性化及びCRISPRコラテラル活性を使用した核酸の高感度で特異的な検出のための例示的なシステムを記載している。この提供されたシステムの属性の中で特に注目に値するのは、(i)CRISPRコラテラル活性の活性化を検出される標的配列から切り離し得ること;及び/または(ii)増幅技術(例えば、等温増幅)を使用しなくても、単一塩基の識別に至るまで、高感度でかつ特異的な検出を提供し得ることである。
【0079】
本明細書に記載されているように、核酸を検出するために特定のCas酵素について同定されたいわゆる「コラテラル切断」活性を利用する最近開発されたシステムは、「主要な進歩(major advance)」(Kocak&Gersbach Nature 557:168,2018)及び「分子診断の分野に革命を起こす(revolutionizing the field of molecular diagnostics)」(Chertow Science 360:381,2018)と記載されている。これらのシステムを説明する文献は、多くの場合、増幅技術の使用の利点、またはその必要性さえも強調しており(特に、例えば、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅、RPAなどの特定の等温増幅技術を強調しており)、この増幅技術は、超高感度核酸検出を達成するために標的核酸を増幅するために標的試料に適用される(例えば、以下に記載されたSHERLOCK(商標)システム:例えば、Abudayehらに対するWO2018/107129;Gootenberg et al.Science 356:438,2017;Gootenberg et al,Science 360:439,2018;ならびに、例えば、以下に記載されたDETECTR(商標)システム:Doudnaに対するWO2017/218573;Chen et al.Science 360:436,2018;例えば、以下にレビューされるものを含む:Chertow Science 360:381,2018 and Kocak & Gersbach Nature 557:168,2018、を参照のこと)。
【0080】
本開示は、とりわけ、そのような増幅への依存が、特定の状況において問題があるか及び/または望ましくない可能性があることを認識している。さらに、本開示は、様々な利益を提供し、そのような標的核酸増幅を利用しない、この実施例に記載されるようなシステムを提供する。
【0081】
この文献に記載されているSHERLOCK(商標)システムでは、標的配列は等温増幅され、次いで、例えば、Cas13a及び設計されたcrRNAによって検出される。この検出により、Cas13aコラテラル切断活性、及びそれに続くレポーター分子(例えば、RNAによって連結されたフルオロクエンチャー)の切断が活性化される。本実施例は、例えば、
図2に示されるように、コラテラル切断活性を標的配列から切り離し得る技術を説明している。
図2に示す実施形態では、このような切り離しは、標的配列の存在に基づいて、crRNA互換配列(「活性化RNA」と呼ばれる場合があり、
図2において「aRNA」標識される)の産生によって達成される。aRNAは、標的配列によって架橋された(すなわち、標的配列へのハイブリダイゼーションによって並置された)一本鎖DNAの2つの分子のライゲーションによって活性化された無細胞転写によって生成される。ライゲーションとそれに続く第2鎖合成により、aRNAのプロモーター駆動型転写を可能にする機能的なdsDNA転写カセットが生成される。
【0082】
このシステムの利点には、例えば、(i)一般的に実施されている等温増幅による前置増幅が(無細胞転写によるaRNA増幅に起因して)省かれ得ること;(ii)標的配列に特異的なプライマーの設計が必要ないこと、(iii)DNAとRNAの両方を使用してaRNAの発現を活性化し得ること;(iv)ライゲーションの特異性により、単一塩基の識別が可能になること;(v)aRNAは、Cas活性化配列(すなわち、crRNAによって結合される配列)の繰り返しを有する場合があり、これは、単一のaRNAからの複数のCas酵素の活性化を潜在的に可能にする場合があること;ならびに(vi)それらの組み合わせが挙げられる。
【0083】
図2に示される特定の実施形態では、標的配列が2つの一本鎖を架橋するように、一緒になって転写カセット(プロモーター及びaRNA発現配列を含む)を構成するDNAの2つのセンス鎖を使用して、標的配列を検出する。上流鎖の3’末端は、標的配列の領域にハイブリダイズする配列を含み、下流鎖の5’末端は、標的配列の隣接領域にハイブリダイズする配列を含み、5’リン酸と一緒になってライゲーションを可能にする。標的配列が存在する場合、それは2つの鎖を架橋し、それによってリガーゼ酵素(例えば、クロレラウイルスDNAリガーゼまたはT4 DNAリガーゼ)によるライゲーションを可能にする。鎖置換DNAポリメラーゼを介した第2鎖合成(例えば、含まれるプライマーまたはヘアピン末端から)は、aRNAの転写に機能的である二本鎖DNA転写カセットを生成する(例えば、T7転写を介して)。この機能的なaRNAは、適切なCas酵素(例えば、Cas13a)のコラテラル活性を活性化し、そのcrRNAはaRNAコード配列に結合する。
【0084】
特定の実施形態では、生成されるaRNAの速度及び/または量は、例えば、1つ以上の追加の構成要素を利用されるシステムに組み込むことによって増大され得る。例えば、いくつかの実施形態では(例えば、
図4に示されるように)、RNA-DNAハイブリッドにおいてRNAの加水分解的切断を触媒する逆転写酵素及びエンドヌクレアーゼを利用し得る。
図4を参照してわかるように、「ステップ4」とラベル付けされたステップでは、プライマーは、適切な5’プロモーター配列を持つ別個に設計されたプライマーであってもよいし、または図の上部に示される上流センサー分子と同じ分子であってもよい。このようなライゲーション後の増幅は、転写媒介増幅(Transcription Mediated Amplification)(TMA)、及び核酸配列ベースの増幅(Nucleic Acid Sequence-Based Amplification)(NASBA)として以前に記載されている技術を活用する。
【0085】
実施例2:例示的な多重化システム
図5は、本明細書に記載される例示的なマルチプレックスアッセイ、すなわち、複数の標的核酸が、例えば、同時に検出され得るものを提示する。示されるように、複数の異なる核酸分子上にあってもよいし、または単一の核酸分子上の複数の領域(例えば、異なる遺伝子もしくは部位、または単一の遺伝子内の異なる領域)に相当する場合もある複数の標的核酸は、異なるプローブ/プライマーセットによって標的化される。
【0086】
それぞれが特定の標的核酸に関する複数のライゲーションオリゴヌクレオチドセットを試料と接触させ、ライゲーションする。任意選択で、それぞれが特定のライゲーション産物と相補的である1つ以上の第2の鎖(複数可)が合成される。いくつかの実施形態では、複数のそのような第2の鎖が合成される。いくつかのそのような実施形態では、2つ以上のそのような第2の鎖、及び任意選択で全ての第2の鎖は、ライゲーションプライマーの関連するセットのそれぞれの1つのプライマーに存在する配列にハイブリダイズする、同じプライマーの伸長によって生成される。さらに任意選択で、いくつかの実施形態では、そのような第2の鎖合成によって形成された二本鎖の一方または両方の鎖の追加のコピーが、例えば、PCRまたはLCRなどの増幅によって生成される。この場合も、いくつかの実施形態では、共通のプライマー(複数可)は、2つ以上、または任意選択で全てのライゲーションされた鎖のコピーの合成のために使用され得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、ライゲーション及び(任意の)第2の鎖の合成及び/または増幅のための試薬は、「シングルポット」反応に含まれる。
【0088】
いくつかの実施形態では、ライゲーション(及び任意の第2鎖合成及び/または増幅)の生成物を、複数のウェルに分配し、標的核酸の1つの認識によって活性化されるコラテラル活性を特徴とする異なるCasシステムと接触させる。示されるように、いくつかの実施形態では、Casシステムは、Cas12/Cas12様(すなわち、特定のDNA配列の認識によって活性化されるコラテラル活性を有するCas)システムであってもよいし、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、Casシステムは、Cas13/Cas13様(すなわち、特定のRNA配列の認識によって活性化されるコラテラル活性を有するCas)システムであってもよいし、またはそれを含んでもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、ライゲーション及び/または伸長/増幅は、「シングルポット」において実施され得る。いくつかの実施形態では、伸長/増幅及び/またはコラテラル切断は、「シングルポット」において実施され得る。場合によっては、ライゲーション及び/またはコラテラル切断、ならびに任意選択で任意の鎖伸長及び/または増幅を「シングルポット」で実施してもよい。当業者は、特に伸長/増幅及びコラテラル切断が「シングルポット」で行われるアッセイの場合、その関連する活性(複数可)が十分に熱安定性である酵素(例えば、DNAポリメラーゼ及び/またはCas酵素(複数可))を利用することが望ましい場合があることを理解するであろう。
【0090】
図6は、増幅が行われ、さらに、全てのライゲーションされた産物が二本鎖にされ、次いで、単一セットの「ユニバーサル」プライマーの伸長によって増幅される、そのような例示されたアッセイの特定の実施形態を示す。次いで、生成物をウェルに分配し、Cas12及び/またはCas13アッセイを実行する。この図によって示される特定の実施形態は、例えば、米国特許出願第US2014/0087958号を含むCepheidによって記載されているような、いわゆる「ハニカム」チューブ内で実施されることが示される。
【0091】
図5及び6に示されるようなアッセイの特定の利点としては、例えば、(i)特にpre-amp PCRまたはLCRを利用する実施形態では、低コピー検出を達成し得ること(転写);(ii)高い特異性-pre-amp及びCas活性化の両方のステップで単一ヌクレオチドの識別を実現できること;(iii)ユニバーサルプライマーを使用した高度に多重化可能なPCR/LCR;(iv)公知のシステム(例えば、ハニカムシステム)と互換性があることが挙げられる。
【0092】
実施例3 様々なCas認識エレメント配置を有する追加の例示的なシステム
単一分子オリゴヌクレオチドは、Cas認識エレメントが標的認識エレメントの上流または標的認識エレメントの下流のいずれかで、追加のスペーサーエレメントと組み合わせて配置された、ライゲーション後の本明細書に記載のオリゴヌクレオチドセット(例えば、オリゴヌクレオチドABを形成するためにライゲートされたオリゴヌクレオチドA及びオリゴヌクレオチドB)を表すように設計された。
図8を参照のこと。次いで、各オリゴヌクレオチドを使用して、RNA、RNAポリメラーゼによって転写されたdsDNA、またはインサイチュでdsDNAに変換され次いでRNAに転写されたssDNAのいずれかから単一のCas標的RNAオリゴヌクレオチドを生成した。
図9は、各オリゴヌクレオチドCas標的が、Casコラテラル切断を効率的に活性化できたことを実証している。
【0093】
次に、ライゲーションオリゴヌクレオチドセットを設計し、同族の標的核酸(CT=クラミジア、FLU=インフルエンザA)とインキュベートして、
図2に記載されるアッセイを実行した。
図10Aに示すように、Cas認識エレメントが標的認識エレメントの下流3’にある(すなわち、Cas認識エレメントがハイブリダイゼーションエレメントの下流にある)ようにライゲーションオリゴヌクレオチドセットを設計した場合、このシステムは活性であり、バックグラウンドが低く高感度であった。ただし、
図10Bでは、逆の順序で、すなわち、標的認識エレメントの上流または5’のCas認識エレメントは、アッセイがそれほど堅牢ではなく、より高いバックグラウンドシグナルを示していることを示している。
実施例4 Cas13活性化核酸としてのssDNAの実証
本実施例は、一本鎖DNA(ssDNA)によるLwaCas13活性の活性化を実証している。
図11Aは、ssRNA標的Cas13システムの標準的な活性を示している。標的RNAがCas13-ガイドRNA複合体に結合すると、コラテラルCas切断が活性化され、これは、(例えば)RNA架橋によって連結されたフルオロフォア-クエンチャー対の切断によってモニターされ得る。特に、コラテラル切断活性は、標準的なssRNA(
図11B、右)またはssDNA(
図11B、左)のいずれかの標的配列の存在下で観察される。
【0094】
等価物
当業者であれば、常法による実験のみを使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、または確認することができよう。本発明の範囲は、上記の説明に限定されるものではなく、むしろ以下の特許請求の範囲に記載される。
【国際調査報告】