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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-25
(54)【発明の名称】器官潅注・排液ユニット
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20220518BHJP
   A61M 39/26 20060101ALI20220518BHJP
   A61M 39/24 20060101ALI20220518BHJP
   A61B 17/94 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
A61M25/00
A61M39/26
A61M39/24 100
A61B17/94
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544446
(86)(22)【出願日】2019-01-29
(85)【翻訳文提出日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 IB2019050709
(87)【国際公開番号】W WO2020157542
(87)【国際公開日】2020-08-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521455109
【氏名又は名称】ウィスメド ピーエル エスピー. ゼット オー.オー.
【氏名又は名称原語表記】Wismed PL Sp. z o.o.
【住所又は居所原語表記】ul Wielka 31/2, 53-338 Wroclaw, Poland
(74)【代理人】
【識別番号】100139044
【弁理士】
【氏名又は名称】笹野 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】ウィズニュースキー パヴェル
【テーマコード(参考)】
4C066
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C066AA10
4C066QQ15
4C066QQ27
4C160EE01
4C160EE21
4C160GG21
4C267AA03
4C267AA05
4C267CC26
(57)【要約】
器官潅注・排液ユニット10の形態にある器官潅注・排液圧力調整装置が、排液チャンバ12を取り囲んでいる排液体と、マウス16の形態の結合通路であって、これを介してユニット10が尿管アクセスシースと結合可能である、結合通路と、器具貫通中心位置22を有する可撓性の閉塞部材20とフィットした器具挿入孔18と、排液カム充填スタブ24の状態の排液カム充填位置と、を備える。閉塞部材20はまた、低圧リリーフ・クラッキング機能と過剰圧力開放機能を実行する。ユニット10は、器官のキャビティ内における圧力の上昇を抑制するとともに、要求された圧力開放効果を実行するために使用される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体潅注処置中に身体の器官内の圧力の上昇を少なくとも抑制するための器官潅注・排液圧力調整装置であって、器官作業器具の手段を使って医療目的を達成する際に液体が該装置を通るように流れるものであり、該器官作業器具は、作動状態においては器官アクセスシースに沿って通過するものであり、該器官アクセスシースの先行端部がその器官内へ配置されている一方で、該装置が使用状態になると、潅注用液体の供給源が高い位置にあることで圧力上昇傾向がつくり出されるような、器官潅注・排液圧力調整装置において、
排液ゾーンを取り囲んでいる排液体と、
上記排液体の壁を通るように延びている結合通路であって、上記アクセスシースの後続端部と不意に離脱することのないように、上記排液体の閉塞可能な係合を可能にするように整合性のある寸法に形成されている、結合通路と、
器具挿入孔であって、上記器官作業器具が該器具挿入孔内へ挿入されること、更には使用のために上記排液体の結合した上記アクセスシースに沿った上記結合通路に通されることを可能にするように、上記排液体の壁を通る上記結合通路から適切に離間しかつ上記結合通路と整列して延在する器具挿入孔と、
排液カム充填位置であって、器官の機能中に、潅注用液体が上記排液ゾーンに沿って通過すると、上記アクセスシースに沿って戻るか或いは上記アクセスシースに充填されるようにこの位置に沿って流れるように構成された排液カム充填位置と、
を備え、
上記器具挿入孔は貫通可能な閉塞手段とともに形成されており、該閉塞手段は、該器具挿入孔に沿って挿入された上記器官作業器具に対して通常の操作上の変位を妨げることのないように閉塞効果を維持するものであり、該装置が作動状態になると、上記器官アクセスシースの先行端部よりも低位置で概ね少なくとも圧力均衡している高さ位置に、排液放出の位置を維持することと併せて、上記排液ゾーンの閉塞効果によってもたらされる圧力低減サイフォン作用を高める受動的な潅注液圧を生じさせる効果を奏する、器官潅注・排液圧力調整装置。
【請求項2】
上記閉塞手段は、器官作業器具の挿入方向に対して横切るように、排液体に沿って延在する膜型の貫通可能な可撓性部材の形態であり、該部材は、少なくとも一度貫かれた位置に内方リップを形成する器具貫通中心位置を有するように形成されており、該リップは、上記可撓性部材に沿って挿入された後の器官作業器具に対して閉塞するように働く、請求項1に記載の器官潅注・排液圧力調整装置。
【請求項3】
低圧リリーフ機能であって、該装置の作動中に過剰なサイフォン式圧力低減があった場合に、圧力安定効果を実行する際に環境空気を上記排液ゾーン内への進入を可能にする低圧リリーフ機能を有するように、上記排液体は形成されている、請求項1又は請求項2に記載の器官潅注・排液圧力調整装置。
【請求項4】
上記低圧リリーフ機能は、上記閉塞手段に組み込まれている、請求項3に記載の器官潅注・排液圧力調整装置。
【請求項5】
上記閉塞手段は、器官作業器具の挿入方向に対して横切るように、上記排液体に沿って延在する膜型の貫通可能な可撓性部材の形態であり、該部材は、少なくとも一度貫かれた位置に、リップを形成する器具貫通中心位置を有するように形成されており、該リップは、上記可撓性部材に沿って挿入された後の器官作業器具に対して閉塞するように働くものであり、上記可撓性部材の可撓性は、閉塞部材に関する最小値よりも低い圧力に晒されると低圧リリーフ・クラッキング機能も実行するように選択されている、請求項4に記載の器官潅注・排液圧力調整装置。
【請求項6】
上記閉塞部材の可撓性は、該部材の内方端部から、該部材が上記部材と器官作業器具との間の空気流路内へ引っ込んでチャンバに関する圧力が再び安定するまでその位置への空気の進入を可能とすることに応答して、閉塞部材に関する最小値よりも低い圧力に晒されると、低圧リリーフ・クラッキング機能を実行するように、選択されている、請求項5に記載の器官潅注・排液圧力調整装置。
【請求項7】
上記閉塞手段から離間して延在する案内構成であって、作動位置になると、これに沿って器官作業器具が上記器具挿入孔内を通るように案内され得るように構成された案内構成を有するように、上記排液体は構成されている、請求項1~6のいずれかに記載の器官潅注・排液圧力調整装置。
【請求項8】
上記案内構成は、上記排液体と一体に形成されかつ上記器具挿入孔に近接した位置で尖っている案内じょうごの形態である、請求項7に記載の器官潅注・排液圧力調整装置。
【請求項9】
上記結合通路は、結合可能に構成された該インレットにおける広がりのある端部領域内へ入れ子式に受けられることに応答して、器官アクセスシースの後続端部を形成している一般的なじょうご型インレットに、不意に離脱することなく閉塞可能に係合し得るマウスに沿って延在する、請求項1~8のいずれかに記載の器官潅注・排液圧力調整装置。
【請求項10】
上記マウスは、一般的な尿管アクセスシースのインレットじょうごに接続されるべき立体的形状に形成されている、請求項9に記載の器官潅注・排液圧力調整装置。
【請求項11】
上記排液カム充填位置が排液機能を実行する排液位置の状態にあり、器官の機能中に上記アクセスシースに沿って戻される潅注用液体が、この位置に沿って、排液ゾーンから排液位置の排液放出の位置を経由して排液される、請求項1~10のいずれかに記載の器官潅注・排液圧力調整装置。
【請求項12】
上記排液位置は、上記結合通路に対して適切に離間して配置されていることにより、器官作業器具が断続的な取外しを必要としていることに応答して器官から取り外された場合にも、該装置の作動中に上記結合通路よりも高い位置に維持されて、粒子状物質がその位置まで進入することを制限し、上記器官作業器具は、そのような物質が上記排液ゾーン内に蓄積されることの効果を有する行為にも関係している、請求項11に記載の器官潅注・排液圧力調整装置。
【請求項13】
上記排液カム充填位置が充填位置の状態にあり、この位置を経て、潅注用液体が供給源から上記結合通路と器官アクセスシースに沿って器官内まで通流するように充填され、そこから器官作業器具に沿って、該器官作業器具の遠位端領域から流れるとともに、排液位置の限界が上記排液位置の排液済み液体放出の位置において終端している、請求項1に記載の器官潅注・排液圧力調整装置。
【請求項14】
上記排液カム充填位置が、排液チューブとしても充填チューブとしても機能する柔軟なチューブを介して接続可能な排液カム充填位置スタブの状態であるとともに、ユニットの状態にある請求項1に記載の器官潅注・排液圧力調整装置。
【請求項15】
上記ユニットは、上記排液ゾーン、上記結合通路、及び上記閉塞手段とフィットした上記器具挿入孔に沿って延びる中心軸の周りに形成されており、上記排液カム充填位置は上記排液体から該軸に対して横切るように延びている、請求項14に記載の器官潅注・排液圧力調整装置。
【請求項16】
上記排液ゾーンは、上記結合通路と上記閉塞手段との中間に画定された管状の排液チャンバの形態であることを特徴とする、請求項15に記載の器官潅注・排液圧力調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体潅注の採用時に器官内での圧力上昇を少なくとも抑制するための器官潅注・排液圧力に関する。詳しくは、器官アクセスシースを通って作動している作業器具を使って医療目的を達成する際に、先行端部が器官内へ位置決めされていてその器官内へ液体が供給される一方で、器官アクセスシースの後続端部が患者の身体の外にあるままで該器官アクセスシースの先行端部よりも高い位置になると、器官内に圧力上昇傾向がつくり出される。本発明は特には、腎臓内視鏡検査及び腎結石の治療の分野で応用されるが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
泌尿器内視鏡学の分野は、腎結石の治療における内視鏡検査時の腎臓からの流体の排出を含む。軟性腎盂尿管鏡検査の際に明瞭な視界を維持するために、腎臓内の作業領域が適切な潅注(洗浄)を必要とする一方で、同時に、腎内の泌尿器内視鏡学的処置を行うときに腎臓へのダメージを抑えるために、低圧を維持することが望ましい。他の方法もある中で、本発明の目的は、上部尿路からの向上した排液効果を促進するとともに、そのプロセスにおいて、腎臓内の処置を施す際に、内視鏡を通して腎臓への潅注用液体を導入することにより生じる圧力上昇を抑えることにある。泌尿器内視鏡学の分野において、粉砕された結石の小さな破片を除去することも大切である。本発明の目的は特には、軟性尿管鏡検査を提示することに関し、この詳細な説明に限定することを意図するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明者及び出願人に周知のこととして、先行技術においては、尿管アクセスシース(UAS)に関係する事象における器官の圧力上昇は、その圧力上昇が明らかな状況においては、電子的ないし機械的に制御された吸引をそのUASに適用することによって対処されるべきものとされている。http://www.ijcem.com/files/ijcem0022325.pdf のウェブサイトを参照されたい。腎臓などの器官についての医療処置に関するUASの実行中に、通常の器官機能圧力を超えて不本意な結果につながり得るような圧力変化が生じたときに、適切に制御することが大切である。しかし、UASに活発な吸引作用を適用することは、過剰に補償的な降圧をつくり出し、これが器官の適切な機能について大きなマイナスの結果を招く恐れもあり、ひいては腎臓が機能しなくなることさえある。本発明は、この状況に自然法則を利用して対処し、すなわち種々の特定のUASの使用において生じる高過ぎる圧力或いは低過ぎる圧力を、調整のための特別な吸引発生装置を使用することなく、調整する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願発明は、添付の図面を参照しつつ以下に説明される実施例によって理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】器官潅注・排液ユニットの形態の器官潅注・排液圧力調整装置を示す立体的斜視図。
図2図1に示されるA-A線に沿って切り出されたユニットの立体的断面図。
図3】ユニットを示す側面図。
図4図5に示されるB-B線に沿って切り出されたユニットの断面図。
図5図3に示される矢印D方向から視たユニットの端部を示す図。
図6図3に示される矢印C方向から視たユニットの端部を示す図。
図7】一般的な尿管アクセスシースの形態の器官アクセスシースと連結されて作動位置にあるユニットを示す斜視図。
図8図7に示される作動位置にあるユニットであって、腎石除去器具の形態の器官作業器具を保持しているユニットを示す図。
図9】ユニットが患者に使用される様子を概略的に示す図。
図10】ユニットの作動中に過剰な圧力変化が生じた場合に、ユニットの一部を形成している膜型の柔軟な可撓性部材の形態の閉塞手段が、圧力安定効果を奏する際に降圧機能もするように動作する詳細を示す図。
図11】逆流時のユニットを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1図8を参照すると、液体の潅注(洗浄)中の器官のキャビティ内に生じる圧力の上昇を抑制するとともに圧力リリーフ効果を実行するための器官潅注・排液ユニットの形態の器官潅注・排液圧力調整装置が、参照符号10で概略的に示されている。
【0007】
ユニットは、ユニット壁14内に取り囲まれた排液チャンバ12の形態の排液ゾーンを取り囲んでいる排液体と、チャンバ12の開放端部12.1に画定されたマウス16の形態の結合通路と、該マウス16と整列した器具挿入孔18と、を備え、該ユニットは、膜型の貫通可能な可撓性の閉塞部材20を使ってフィットされることによる貫通可能な閉塞手段を有するように形成されており、この可撓性の閉塞部材20は、器具貫通中心位置22を画定しており、この位置に沿って、器官作業器具が閉塞可能に挿入され得る。また、排液カム充填スタブ24の状態にある排液カム充填位置が、チャンバ12から該ユニット10の壁14を貫くように延びている。
【0008】
ユニット10は、器具貫通位置22を貫くとともに閉塞部材20に沿って且つチャンバ12とマウス16の中心に沿って延びている軸26に関して対称的に延在する。スタブ24は、軸26を横切るように延在する。
【0009】
閉塞部材20は、閉塞効果を奏することに加え、低圧リリーフ・クラッキング機能(特に図10に示されている)と過剰圧力開放機能も実行する。この機能を奏するために、器具貫通位置22からチャンバ12内へ屈曲して引っ込み得るように、部材20が可撓性を有するように選択されており、これによって、チャンバ12内の圧力が、閉塞部材に関する最低値よりも低くなるように変化して、ユニット10が作動状態になると、空気の進入路がつくり出されて空気の流入つまり吸引が可能となる。さらには部材20の可撓性は、閉塞部材に関する最大値を超える圧力に晒されると、外側へ屈曲して(図示せず)、該部材20と器官作業器具との間に流体の逃がし経路をつくり出すように選択されており、作動状態になると、こうしてチャンバに関する圧力を安定させるようにそこにフィットする。このような挙動はたいてい、図11を参照しつつ後述するように、ユニット10の逆流の使用態様と関連している。
【0010】
図7及び図8にさらに明瞭に示されているように、マウス16は、広がりのある端部領域46内へ入れ子式に受けられるべき立体的形状に形成されていることにより、尿管アクセスシース30の後続端部30.2を形成している一般的なじょうご型インレット28の形態の器官アクセスシースの後続端部に、不意に離脱することなく閉塞可能に係合し得るように構成されている。壁14の外面に沿って延びている周囲の閉塞リング32によって閉塞効果が得られる。
【0011】
図8にさらに明確に示されているように、ユニット10に沿って配置された腎石除去器具36などの器官作業器具の作動位置を決め易くするために、ユニット10と一体に形成された案内じょうご38であってその頂点40が孔18に近接するように配置された案内じょうご38の形態の案内構成を有し、これにより、部材20を貫く器具貫通位置22が確定される。
【0012】
また、腎結石除去器具36或いはこれの同等物としての器官作業器具はたいてい、腎石(腎結石)の残留物などの微粒子を除去することに関連するものである。図8図10を参照すると、排液カム充填スタブ24に沿った種々の流出を微粒子が封止してしまう可能性を低減し、従って、排液スタブとして機能し、後者は、器具10の作動中にマウス16よりも高い位置に位置決めされることとなる。こうして、微粒子が排出路まで素通りして流れることなく、チャンバ12内に集積されることが可能となる。この効果を奏するために、スタブ24は、ユニット10の構築によって許容されているときに軸26を概ね横切るように延在するとともに、マウス16から可能な限り離間している。そのように離間した状態で(特にユニット10の位置決めに関連する図7図8を参照されたい)、この実施例で作動すると、器官から、器具36と尿管アクセスシース30との間の環状セクションに沿って流出される腎石などの微粒子42は、重力によってチャンバ12内に溜められる。この結果、液体(腎石が除去される場合には、水)はスタブ24まで自由に流れ、そこからさらに後続の排出路まで流れるように促される。微粒子が溜まり過ぎた場合には当然、チャンバ12からときどき取り除かれる必要がある。
【0013】
図9に概略的に示されている一実施例においては、この種の身体器官の液体潅注(洗浄)(この種の潅注において、発明のユニット10は腎結石除去処置などに適用される)を実行することは、尿管アクセスシース30などの器官アクセスシースに関連する、腎臓などの関連の器官44(それの先行端部30.1が適切な流出効果を奏するように、後続端部30.2よりも低い位置にある)内へ挿入することに関する。腎石が除去されるような場合、そのような処置をされている患者46はたいてい、図9に示されるように、仰臥位で両足を上げた結石摘出姿勢にある。このときシース30は、液体が腎石除去器具などの器官作業器具36に沿って器官44まで送られるためのリムーバル・コンジットとして機能し、これにより、従来通りに潅注用液体が供給されたときにその器官適用処置が実行される。シースの先行端部30.1が後続端部30.2よりも低い位置にあるときに、静水力学上の液柱の高さに応じて、該処置が高さ方向の空間48に反映される高い圧力で器官に適用される。このような追加の圧力は、器官の健康に弊害をもたらすので、除去することまではできなくとも、緩和(軽減)することが必要とされる。
【0014】
図8及び図9に示される実施例の作動状態にあるときのユニット10は、器官44から器官アクセスシース30に沿ってチャンバ12を通ってスタブ24まで上昇し更にはこれを越える閉塞された流れコンジット50を形成する。器官アクセスシース30まで通流する潅注用液体は結局、排液位置52を経て、スタブ24から延びている排液コンジット54の遠位端において排液される。排出スタブ24にフィットした排液コンジット54から排液の放出位置52の高さを、器官アクセスシース30の先行端部30.1よりも低くなるように、調節可能に選択することにより、液体流路50に沿って調節可能で受動的なサイフォン誘導の吸引作用が生じる。このサイフォン作用は、排液位置の52の高さ位置に応じて、上述した供給液体による圧力増加を相殺するまではできなくとも抑制し、器官に関する処置がなされているときに器官に加わる潅注用液体による圧力を排除するまではできなくとも全体として低減する効果を奏する石除去装置36によってもたらされる。またユニット10の作動時に、液体フローの閉塞効果が流れコンジット50に沿って維持されるとともに、閉塞部材20が機能することは、ユニット10に沿ってフィットした器官作業器具36の従来の手技による維持(メンテナンス)を保証するものである。
【0015】
図10をさらに参照すると、低圧リリーフ・クラッキング機能も実行している閉塞部材20において、流路50に沿った圧力及び特にはチャンバ12内の圧力が、閉塞部材に関する最低値よりも低い値まで下がると、空気の流入を可能にするように器官作業器具36との間に空気流の開口56がつくり出され、ついには、チャンバに関する圧力が再び安定し、その条件の下で、閉塞部材20が閉塞状態にまで戻る。この機能は、器官に望ましくないであろう過剰な負圧の発生を防ぐ。上述したように、高過ぎる圧力(過剰圧力)もまた、液体放出経路をつくり出す程度にまで閉塞部材20が外方へ屈曲して過剰圧力リリーフ機能をもたらすによって対処され得る。
【0016】
図11に示されるさらなる実施例においては、頭上の液体供給源58から供給されたときに液体供給機能をもたらすような場合に、ユニット10を通流する液体が逆流して、排液カム充填スタブ24を介して潅注(洗浄)が提供され得る。このような場合、流出と破片除去機能を実行している液体がユニット10から下流の尿管アクセスシース30へ向かって、器官44を通流し作業器具30まで上昇するように流れるが、その位置から、液体及び破片の排出路60に沿って捨てられていく。排出路60の長さを適切に選択すると、閉塞部材20を使ってサイフォン効果が再び実現され、特に図8図10に示される実施例を参照しつつ説明したように圧力を安定させる機能がまた発揮される。使用状態において、閉塞部材20は、純粋に潅注目的で使用される場合に、閉塞部材に関する最大値を超える圧力に晒されると、外方へ適度に屈折して、液体フロー過剰圧力の逃がし経路を提供し、チャンバ関連の圧力を安定化させる。
【0017】
本発明の少なくとも著しい利点は、望ましくない圧力低減効果に対処して適切な流出効果を常に維持しつつ、腎石の処置などの内視鏡による処置中に液体を流出させることによって、圧力の上昇を完全に是正することができないとしても抑制することにある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】