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特表2022-526493抗IL12/IL23抗体を用いた小児被験者の乾癬の治療方法
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  • 特表-抗IL12/IL23抗体を用いた小児被験者の乾癬の治療方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-25
(54)【発明の名称】抗IL12/IL23抗体を用いた小児被験者の乾癬の治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20220518BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20220518BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20220518BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20220518BHJP
   C07K 16/46 20060101ALN20220518BHJP
【FI】
A61K39/395 U ZNA
A61P17/06
C12N15/13
C12N15/62 Z
C07K16/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556391
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(85)【翻訳文提出日】2021-10-19
(86)【国際出願番号】 IB2020052387
(87)【国際公開番号】W WO2020188466
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】62/819,860
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】シュー,ミン-チュン
(72)【発明者】
【氏名】リ,シュ
(72)【発明者】
【氏名】ランダッツォ,ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ソン,クン
(72)【発明者】
【氏名】チュー,ヤオウェイ
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB17
4C085BB18
4C085BB41
4C085BB43
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4C085GG04
4H045AA11
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA29
4H045FA74
(57)【要約】
抗IL-12/IL-23p40抗体(例えば、ウステキヌマブ)は、小児患者の乾癬、具体的には中程度~重度の慢性プラーク乾癬の安全かつ有効な治療のための方法及び組成物に使用される。本方法及び組成物は、この患者集団において、明らかに満たされていない医療ニーズに対処する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする小児患者の乾癬を治療する方法であって、安全かつ有効な量の抗IL-12/IL-23p40抗体を含む医薬組成物を前記小児患者に投与することを含み、前記抗体が重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含み、前記小児患者が、少なくとも6歳かつ12歳未満であり、治療後に0又は1の医師総合評価(PGA)スコアを有すると識別され、及び/又は乾癬面積及び重症度指数スコア(PASI)が少なくとも75%、90%又は100%減少したと識別されることによる、前記抗IL-12/IL-23p40抗体による治療に対する応答者である、方法。
【請求項2】
前記抗体が、前記小児患者に皮下投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記小児患者が、前記投与時に60kg未満の体重を有し、前記抗IL-12/IL-23p40抗体が、投与当たり、前記小児患者の体重に対して、約0.5mg/kg~1.0mg/kg、好ましくは0.75mg/kgの前記安全かつ有効な量で前記患者に皮下投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記小児患者が、前記投与時に60kg~100kgの体重を有し、前記抗IL-12/IL-23p40抗体が、投与当たり、約35mg~55mgの前記安全かつ有効な量で、前記患者に皮下投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体が、投与当たり、45mgで投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記小児患者が、前記投与時に100kgを超える体重を有し、前記抗IL-12/IL-23p40抗体が、投与当たり、約80mg~100mgの前記安全かつ有効な量で、前記患者に皮下投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記抗IL-12/IL-23p40抗体が、投与当たり、90mgで投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記抗体が、配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記安全かつ有効な量の前記抗IL-12/IL-23p40抗体が、前記小児患者に繰り返し投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記安全かつ有効な量の前記抗IL-12/IL-23p40抗体が、前記治療の0週目及び4週目に前記小児患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記安全かつ有効な量の前記抗IL-12/IL-23p40抗体が、4週目後12週毎に、前記小児患者に更に投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記小児患者が、乾癬薬又は乾癬治療にナイーブである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記小児患者が、局所剤、光線療法、非生物学的全身性薬剤、及び生物学的薬剤からなる群から選択される少なくとも1つの乾癬薬又は乾癬治療を受けたことがある、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記小児患者が、前記少なくとも1つの乾癬薬又は乾癬治療に応答性がないか、又は応答性が悪い、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記小児患者が、局所剤に応答性がないか、又は応答性が悪い、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記小児患者が、前記抗IL-12/IL-23p40抗体による前記治療に対する応答者であり、前記治療の52週目、28週目又は12週目までに0又は1の医師総合評価(PGA)スコアを有すると識別される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記小児患者が、前記抗IL-12/IL-23p40抗体による前記治療に対する応答者であり、前記治療の52週目、28週目、又は12週目までに前記乾癬面積及び重症度指数スコア(PASI)が少なくとも75%、90%、又は100%減少していると識別される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記小児患者が、前記抗IL-12/IL-23p40抗体による前記治療に対する応答者であり、前記治療の12週目までに小児の皮膚科的生活の質指数(CDLQI)のベースラインからの変化を有すると識別される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記小児患者が、前記抗IL-12/IL-23p40抗体の定常状態のトラフ血清濃度を有し、前記定常状態のトラフ血清濃度が、前記治療の52週目、40週目、又は28週目までに達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記定常状態のトラフ血清濃度が、前記治療の52週目まで維持される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記抗IL-12/23p40抗体が、ウステキヌマブである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記治療される乾癬が、中程度から重度の慢性プラーク乾癬である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記治療される乾癬が、少なくとも3の医師総合評価(PGA)スコア、少なくとも12の乾癬面積及び重症度指数スコア(PASI)、及び/又は少なくとも10%の影響を受けた体表面積(BSA)のパーセント、によって定義される重度の慢性プラーク乾癬である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
小児患者の重度の慢性プラーク乾癬を治療する方法であって、前記重度の慢性プラーク乾癬が、少なくとも3の医師総合評価(PGA)スコア、少なくとも12の乾癬面積及び重症度指数スコア(PASI)、及び/又は少なくとも10%の影響を受けた体表面積(BSA)のパーセントによって定義され、前記方法が、前記小児患者に、安全かつ有効な量の抗IL-12/IL-23p40抗体を皮下投与することを含み、前記抗体が、(i)配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列、並びに配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、(ii)配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、又は(iii)配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖、及び配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖、を含む重鎖可変領域を含み、前記安全かつ有効な量の前記抗IL-12/IL-23p40抗体が、
1)前記小児患者が前記投与時に60kg未満の体重を有する場合、投与当たり、前記小児患者の体重に対し、約0.5mg/kg~1.0mg/kg、好ましくは0.75mg/kg、
2)前記小児患者が前記投与時に60kg~100kgの体重を有する場合、投与当たり、約35mg~55mg、好ましくは約45mg、又は
3)前記小児患者が前記投与時に100kgを超える体重を有する場合、投与当たり、約80mg~100mg、好ましくは90mg、である、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(電子的に提出された配列表の参照)
本出願は、2019年2月27日付で作成されたファイル名「Sequence Listing_688097.0601」のASCII形式の配列表としてEFS-Webを介して電子的に提出され、14.1kbのサイズを有する配列表を含む。EFS-Webを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、乾癬、具体的には、抗IL-12/IL-23抗体の投与により、6歳~12歳未満の小児患者における中等度~重度の慢性プラーク乾癬の安全かつ有効な治療方法に関する。
【0003】
(発明の背景)
乾癬は、乾癬性関節炎(psoriatic arthritis、PsA)、うつ病、心血管疾患、高血圧、肥満、糖尿病、代謝症候群、及びクローン病などの重大な共存症を伴う一般的な慢性免疫媒介性皮膚疾患である。それは、異なる内因性因子及び外因性因子によって病因が誘発される自己免疫状態である。乾癬には、滴状乾癬、膿疱状乾癬などの様々な形態がある。それらの中でもプラーク乾癬は最も一般的な疾患であり、通常、膝及び肘の伸展部に銀色の鱗屑を伴った赤みを帯びた境界のはっきりした斑が現れることが特徴である。斑は、掻痒性、有痛であり、外観を損ないかつ障害をもたらすことが多く、乾癬患者の大部分は、手/爪、顔、足、及び生殖器上に斑を有する。したがって、乾癬は、健康関連の生活の質(HRQoL)にかなりの程度まで悪影響を及ぼす。その悪影響の例としては、身体的な皮膚症状を越え、日常活動にさえ干渉する、物理的及び心理社会的負担を強いることが挙げられる。
【0004】
乾癬病変の組織学的特徴付けにより、異常なケラチノサイト増殖及び分化に起因する表皮の肥厚、並びにCD3+Tリンパ球及び樹状細胞の皮膚浸潤及び共局在化が明らかにされている。乾癬の病因は、十分には明らかにされていないが、遺伝子及びタンパク質の分析によって、インターロイキン(IL)-12、IL-23、及びそれらの下流分子が乾癬病変において過剰発現し、一部は乾癬疾患の重症性と相関し得ることが示されている。乾癬の治療に使用されるいくつかの療法は、それらの有効性に寄与すると推測されるIL-12及びIL-23のレベルを調節するものである。Th1及びTh17細胞は、血管拡張因子、化学誘因物質の産生、及び内皮細胞上の接着分子の発現を誘導するエフェクタサイトカインを産生することができ、これらは、順に、単球及び好中球の動員、T細胞浸潤、血管新生、並びにケラチノサイトの活性化及び過形成を促進する。活性化ケラチノサイトは、好中球、単球、T細胞、及び樹状細胞輸送を促進する化学誘引物質因子を産生することができ、したがって、炎症及びケラチノサイト過剰増殖の周期が確立される。
【0005】
乾癬は、どの年齢でも発症する可能性があり、患者の約3分の1が20歳より前に症状を有する(Farber and Nall,Dermatologica.1974,148:1-18)。小児患者の治療は、限られた承認された治療、及びこの集団に利用可能な無作為化比較試験からのデータの相対的な不足によって、複雑である(Menter et al.,J.Am.Acad.Dermatol.,2011,65:137-1742;Fotiadou et al.,Adolesc.Health Med.Ther.,2014,5:25-34)。
【0006】
IL-12/23のp40サブユニットを標的とするヒトモノクローナル抗体である、ウステキヌマブは、成人患者における中等度~重度のプラーク乾癬に対する安全かつ有効な治療であることが証明されている。PHOENIX治験では、ウステキヌマブは、成人患者における乾癬の徴候及び症状を効果的に低減した(Leonardi et al.,Lancet,2008,371:1665-1674;Papp et al.,Lancet,2008 371:1675-1684)。更に、臨床試験CADMUSでは、活性乾癬を有する12~17歳の青年期の患者におけるウステキヌマブの皮下投与による有効性と安全性が評価されている。
【0007】
2008年以降、ウステキヌマブは、中等度~重度のプラーク乾癬を有する12歳以上の成人及び小児の治療薬として、カナダ、欧州及び米国で承認されている。2013年9月24日に、FDAは、ウステキヌマブを乾癬性関節炎の治療に使用することを承認した。
【0008】
本発明の前には、12歳未満の小児患者の乾癬に対するウステキヌマブの研究は行われなかった。当技術分野では、12歳未満の小児患者における乾癬、具体的には中等度~重度の慢性プラーク乾癬を治療する改善方法が求められている。
【0009】
(発明の簡単な概要)
本出願は、患者に抗IL-12/IL-23p40抗体を投与することにより、小児患者における中等度~重度の慢性プラーク乾癬を治療するための方法及び組成物に関し、それにより、この患者集団において満たされていない医療ニーズに対処する。
【0010】
1つの一般的な態様では、本出願は、乾癬、好ましくは中等度~重度の慢性プラーク乾癬を、それを必要とする小児患者において治療する方法であって、安全かつ有効な量の抗IL-12/IL-23p40抗体を含む医薬組成物を小児患者に投与することを含み、抗体は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む、方法に関する。
【0011】
いくつかの実施形態では、小児患者は、中程度~重度の慢性プラーク乾癬を有する6歳~12歳未満である。
【0012】
いくつかの実施形態では、小児患者は、少なくとも3の医師総合評価(PGA)スコア、少なくとも12の乾癬面積及び重症度指数スコア(PASI)、及び少なくとも10%の影響を受けた体表面積(BSA)によって定義される、中程度~重度の慢性プラーク乾癬を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、小児患者における中程度~重度の慢性プラーク乾癬の持続時間は、少なくとも6ヶ月、好ましくは少なくとも1年である。
【0014】
特定の実施形態では、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、以下の安全かつ有効な量で、小児患者に皮下(SC)投与される。
(i)小児患者が投与時に60kg未満の体重を有する場合、投与当たり、小児患者の体重に対し、約0.5mg/kg~1.0mg/kg、好ましくは0.75mg/kg、
(ii)小児患者が投与時に60kg~100kgの体重を有する場合、投与当たり約35mg~55mg、好ましくは約45mg、又は
(iii)小児患者が投与時に100kgを超える体重を有する場合、投与当たり、約80mg~100mg、好ましくは90mg。
【0015】
特定の実施形態では、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、0週目及び4週目に小児患者に皮下投与される。
【0016】
特定の実施形態では、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、12週間毎に(q12w)、好ましくは0週目及び4週目に投与した後、16週目、28週目、40週目、及び/又はそれ以降に、小児患者に皮下投与される。
【0017】
特定の実施形態では、本発明の方法で使用される抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、(i)配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン、及び(ii)配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインを含む。
【0018】
特定の実施形態では、本発明の方法で使用される抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、(i)配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖、及び(ii)配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。本発明の方法で使用される抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、ウステキヌマブであり得る。
【0019】
特定の実施形態では、小児患者象は、本出願の実施形態に係る方法の治療に対する応答者であり、下記のうちの少なくとも1つを有すると識別される。(1)0又は1の医師総合評価(PGA)スコア、(2)乾癬面積及び重症度指数スコア(PASI)の減少、及び(3)治療後の小児の皮膚科的生活の質指数(CDLQI)のベースラインからの変化。好ましくは、上記の(1)~(3)のうちの少なくとも1つは、治療の52週目までに、好ましくは40週目までに、より好ましくは28週目又は16週目までに、最も好ましくは12週目までに、小児患者から識別される。
【0020】
特定の実施形態では、小児患者は、本出願の実施形態に係る方法の治療に対する応答者であり、治療の12週目までに0又は1の医師総合評価(PGA)スコアを有するものとして識別される。
【0021】
他の実施形態では、小児患者は、本出願の実施形態に係る方法の治療に対する応答者であり、治療の8週目に、PASI 75、PASI 90、又はPASI 100、などの、乾癬面積及び重症度指数スコア(PASI)の減少を有するものとして識別される。
【0022】
他の実施形態では、小児患者は、本出願の実施形態に係る方法の治療に対する応答者であり、治療の12週目までにベースラインからの小児の皮膚科的生活の質指数(CDLQI)の変化を有するものとして識別される。
【0023】
特定の実施形態では、小児患者は、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体の定常状態血清濃度を有し、これは、治療の52週目、好ましくは40週目、より好ましくは28週目までに達成される。更なる実施形態では、定常状態のトラフ血清濃度は、治療の52週目まで維持される。
【0024】
特定の実施形態では、安全かつ有効な量の抗IL-12抗体及び/又は抗IL-23抗体は、(i)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列、並びに(ii)配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列を有する単離された抗体を、医薬組成物mL当たり約77mg~約104mg、医薬組成物mL当たり、L-ヒスチジンを約0.27~約0.80mg、医薬組成物mL当たり、L-ヒスチジン一塩酸塩一水和物を約0.69~約2.1mg、医薬組成物mL当たり、ポリソルベート80を約0.02~約0.06mgの、並びに、医薬組成物mL当たり、スクロースを約65~約87mg、を含む医薬組成物で皮下投与され、希釈剤は、標準状態の水であり、医薬組成物は、約5.5~約6.5のpHを有する。好ましくは、単離された抗体は、配列番号9の残基1-88を含むペプチド鎖に結合する。
【0025】
本願の他の態様には、12歳未満、好ましくは6歳~12歳未満の小児患者における中等度~重度の慢性プラーク乾癬を治療する安全かつ有効な方法に使用するための抗IL-12抗体及び/又は抗IL-23抗体を含む医薬組成物、並びに組成物の調製方法及び医薬組成物を含むキットが含まれる。
【0026】
特定の実施形態では、本発明の方法に有用なキットは、本発明の皮下投与用医薬組成物の少なくとも1つを含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
上述の「発明の概要」及び以降の「発明を実施するための形態」は、添付の図面と併せて読むことでより良好に理解されるであろう。本発明は、図面に示される正確な実施形態に限定されない点が理解される必要がある。
図1】試験設計の図式表現を示す。
図2】0週目から52週目までの血清ウステキヌマブ濃度の中央値及び四分位(IQ)範囲を示す。
図3A】4週目から52週目までの経時的なPGAスコアのクリア(0)又は最小(1)(図3A)、PASI75応答(図3B)、PASI90応答(図3C)、及びPASI100(図3D)応答を達成した被験者の割合を示す。
図3B】4週目から52週目までの経時的なPGAスコアのクリア(0)又は最小(1)(図3A)、PASI75応答(図3B)、PASI90応答(図3C)、及びPASI100(図3D)応答を達成した被験者の割合を示す。
図3C】4週目から52週目までの経時的なPGAスコアのクリア(0)又は最小(1)(図3A)、PASI75応答(図3B)、PASI90応答(図3C)、及びPASI100(図3D)応答を達成した被験者の割合を示す。
図3D】4週目から52週目までの経時的なPGAスコアのクリア(0)又は最小(1)(図3A)、PASI75応答(図3B)、PASI90応答(図3C)、及びPASI100(図3D)応答を達成した被験者の割合を示す。
【0028】
(発明の詳細な記述)
背景技術において、また、本明細書全体を通じて各種刊行物、論文及び特許を引用又は記載する。これら参照文献の各々は、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれる文書、操作、材料、デバイス、物品などの考察は、本発明のコンテキストを与えるためのものである。かかる考察は、これらの事物のいずれか又は全てが、開示又は特許請求されるいずれかの発明に対する先行技術の一部を構成することを容認するものではない。
【0029】
特に規定のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。そうでない場合、本明細書で使用される特定の用語は、本明細書に記載される意味を有するものである。本明細書に引用する全ての特許、公開された特許出願及び刊行物は、参照によってあたかもその全体が本明細書に記載されているものと同様にして組み込まれる。
【0030】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に文脈上明らかでない限り、複数の指示被験者物を含むことに留意する必要がある。
【0031】
別途記載のない限り、一連の要素に先行する「少なくとも」という用語は、一連の全ての要素を指すと理解されるべきである。当業者であれば、単なる通常の実験手順を使用するだけで、本明細書に記載した特定の実施形態に対して多くの同等物を認識するか、又は確認することができよう。このような等価物は、本発明によって包含されることが意図される。
【0032】
本明細書及び以下の特許請求の範囲を通して、文脈上必要としない限り、用語「含む(comprise)」並びに「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などの変形は、指定の整数若しくはステップ又は整数若しくはステップの群を含むが、任意の他の整数若しくはステップ又は整数若しくはステップの群を除外するものではないことを意味すると理解されるであろう。本明細書で使用するとき、用語「含む(comprising)」は、用語「含有する(containing)」又は「含む(including)」に置き換えることができ、又はときに本明細書で使用するとき、用語「有する(having)」に置き換えることもできる。
【0033】
本明細書で使用するとき、「からなる(consising of)」は、特許請求の範囲の要素において指定されていない任意の要素、ステップ、又は成分を除外する。本明細書で使用するとき、「から本質的になる(consising essentially of)」は、特許請求の範囲の基本的かつ新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない材料又はステップは除外しない。本発明の態様又は実施形態に関連して本明細書で使用するとき、本開示の範囲を変化させるために、「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、「含む(including)」、及び「有する」という上記用語のいずれかを、用語「からなる」又は「から本質的になる」に置き換えることができる。
【0034】
本明細書で使用するとき、複数の列挙された要素間の接続的な用語「及び/又は」は、個々の及び組み合わされた選択肢の両方を包含するものとして理解される。例えば、2つの要素が「及び/又は」によって接続される場合、第1の選択肢は、第2の要素なしの第1の要素の適用性を指す。第2の選択肢は、第1の要素なしに第2の要素が適用可能であることを指す。第3の選択肢は、第1及び第2の要素が一緒に適用可能であることを指す。これらの選択肢のうちのいずれか1つは、意味に含まれ、したがって、本明細書で使用されるとき、用語「及び/又は」の要件を満たすことが理解される。選択肢のうちの2つ以上の同時適用性もまた、意味に含まれ、したがって、用語「及び/又は」の要件を満たすことが理解される。
【0035】
本明細書で使用するとき、「被検者」とは、本発明の実施形態に係る方法によって治療される、又は治療された任意の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。本明細書で使用するとき、用語「哺乳動物」とは、あらゆる哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、これらに限定されるものではないが、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル又は類人猿などの非ヒト霊長類(NHP)、ヒト等、より好ましくはヒトが挙げられる。
【0036】
本明細書で使用するとき、「小児患者」は、年齢6ヶ月~12歳未満のヒト被験者を指す。例えば、小児患者は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10歳若しくは11歳、又はそれらの間の任意の年齢のヒト被験者であってもよい。小児患者は、11歳~12歳のヒト被験者であってもよい。好ましくは、小児患者は、6歳~12歳未満である。より好ましくは、小児患者は、乾癬の局所治療などの乾癬に対する別の治療に応答しないか、又は応答性が悪い。
【0037】
本明細書で使用するとき、用語「併用される」は、被験者への2つ以上の治療薬の投与との関連において、複数の治療薬の使用を指す。用語「併用される」の使用は、治療薬を被験者に投与する順序について限定しない。例えば、第1の治療薬(例えば、本明細書に記載される組成物)を、被験者への第2の治療薬の投与の前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間前)、同時、又はその後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間後)に投与することができる。
【0038】
本明細書で使用するとき、「抗IL-12抗体」、「抗IL-23抗体」、「抗IL-12/23p40抗体」、又は「IL-12/23p40抗体」は、サイトカインのインターロイキン-12及びインターロイキン-23(IL-12/23p40)によって共有される40kDa(p40)サブユニットに結合するモノクローナル抗体(mAb)又はその抗原結合フラグメントを指す。この抗体は、RNA、DNA、若しくはタンパク質合成、IL-12/23放出、IL-12/23受容体シグナル伝達、膜IL-12/23切断、IL-12/23活性、IL-12/23産生及び/又は合成などであるが、これらに限定されない、IL-12/23活性又は機能のうちの少なくとも1つに影響を及ぼすことができる。
【0039】
用語「抗体」は、抗体模倣薬を含む、あるいは単鎖抗体及びそのフラグメントなどといった抗体の構造及び/若しくは機能を模倣する抗体の部分又はその特定フラグメント若しくは一部分を含む、抗体、その消化フラグメント、特定された部分、及び変異体を包含することを更に意図する。機能フラグメントとしては、哺乳類のIL-12/23に結合する抗原結合フラグメントが挙げられる。例えば、Fab(例えば、パパイン消化による)、Fab’(例えば、ペプシン消化及び部分的還元による)及びF(ab’)2(例えば、ペプシン消化による)、facb(例えば、プラスミン消化による)、pFc’(例えば、ペプシン又はプラスミン消化による)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分的還元及び再集合による)、Fv又はscFv(例えば、分子生物学的技術による)フラグメントが挙げられるがこれらに限定されない、IL-12/23又はその部分に結合することができる抗体フラグメントが、本発明に包含される(例えば、上記のColligan,Immunologyを参照)。
【0040】
かかるフラグメントは、当該技術分野において既知であるような、及び/又は本明細書に記載のような、酵素による切断、合成又は組換え技術により生成することができる。抗体は、1つ以上の終止コドンが天然の終止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を使用して、様々な切断型で生成することもできる。例えば、F(ab’)2重鎖部をコード化する遺伝子の組み合わせは、重鎖のCH1ドメイン及び/又はヒンジ領域をコード化するDNA配列を含むよう設計することができる。抗体の様々な部分を従来の技術により化学的に結合でき、又は遺伝子工学技術を用いて隣接タンパク質(contiguous protein)として調製できる。
【0041】
本明細書で使用するとき、用語「ヒト抗体」は、実質的にタンパク質の全ての部分(例えば、CDR、フレームワーク、CL、CHドメイン(例えば、CH1、CH2、CH3)、ヒンジ(VL、VH))が軽微な配列の変化又は変異だけで実質的にヒトにおいて非免疫原性である抗体を指す。「ヒト抗体」はまた、ヒト生殖細胞系列型の免疫グロブリン配列に由来する抗体でも、又は厳密に一致する抗体でもあり得る。ヒト抗体は、生殖細胞系列型免疫グロブリン配列にコード化されていないアミノ酸残基(例えば、インビトロにおけるランダムな若しくは部位特異的な変異の導入により、又はインビボにおける体細胞突然変異により導入された変異)を含み得る。多くの場合、これは、ヒト抗体がヒトにおいて実質的に非免疫原性であることを意味する。ヒト抗体は、それらのアミノ酸配列の類似性に基づいたグループに分類されている。したがって、配列類似性検索を使用して、類似の直鎖配列を有する抗体を、ヒト抗体を作り出すためのテンプレートとして選択することができる。同様に、名称に霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジー等)、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスター等)及び他の哺乳類を含む抗体は、かかる種、亜属、属、亜科、及び科の特異的抗体を指定する。更に、キメラ抗体は、上記の任意の組み合わせを含み得る。かかる変化又は変異は、場合によりかつ好ましくは、改変していない抗体に比べて、ヒト又は他の種における免疫原性を保持するか又は低減させる。したがって、ヒト抗体は、キメラ抗体又はヒト化抗体とは異なる。
【0042】
ヒト抗体は、機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖及び/又は軽鎖)遺伝子を発現することができる、ヒト以外の動物、又は原核若しくは真核細胞により生成され得ることが指摘される。その上、ヒト抗体が単鎖抗体である場合、天然のヒト抗体ではみられないリンカーペプチドを含み得る。例えば、Fvは、重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域とを接続する2~約8個のグリシン又は他のアミノ酸残基などのリンカーペプチドを含み得る。かかるリンカーペプチドは、ヒト由来のものと見なされる。
【0043】
本発明の方法及び組成物において有用である抗IL-12/23p40抗体(IL-12/23p40抗体とも称される)(又はIL-23に対する抗体)は、所望により、IL-12/23p40への高親和性結合、任意選択でかつ好ましくは低毒性を有することを特徴とし得る。具体的には、可変領域、定常領域、及びフレームワークなどの個々の構成要素が、個々に及び/又は集合的に、任意選択的にかつ好ましくは、低い免疫原性を有する、本発明の抗体、その特定されたフラグメント、又はバリアントが本発明において有用である。本発明で使用することができる抗体は、所望により、症状の測定可能な緩和並びに低い及び/又は許容できる毒性を備えて、長期間被験者を治療する能力を特徴とする。低い若しくは許容できる免疫原性、及び/又は高い親和性、並びに他の好適な特性が、得られる治療結果に寄与することができる。「低い免疫原性」は、本明細書では、治療される被験者の約75%未満、若しくは好ましくは約50%未満で有意にHAHA、HACA若しくはHAMA応答が増加する、及び/又は、治療される被験者において低い力価(二重抗原酵素免疫アッセイで測定したとき約300未満、好ましくは約100未満)が増加することとして定義される(Elliott et al.,Lancet 344:1125-1127(1994)、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。「低い免疫原性」は、治療期間中の推奨療法経過の間、推奨投与量で治療される被験者の25%未満、好ましくは治療される被験者の10%未満で発生するとき、抗IL-12抗体で治療される被験者における抗IL-12抗体に対する滴定レベルの抗体の発生率としても定義することができる。
【0044】
用語「有効性」及び「有効な」とは、投与量、投与レジメン、治療又は方法の文脈において本明細書で使用するとき、特定の投与量、投与、治療レジメンの有効性を意味する。有効性は、本発明の薬剤に応答した、疾患の経過中の変化に基づいて測定され得る。例えば、本発明の抗IL12/23p40(例えば、ウステキヌマブ)は、治療されている障害の重症度を反映する少なくとも1つの指標において改善、好ましくは持続的な改善を引き起こすのに十分な量及び時間で、被験者に投与される。その治療の量及び時間が十分であるかどうかを判定するために、被験者の病気、疾患又は病状の程度を反映する様々な指標が評価され得る。かかる指標には例えば、疾患重篤度、症状、又は被験者となっている障害の発現についての、臨床的に認識されている指標が含まれる。改善度は全体的に医師により判定され、医師はこの判定を、徴候、症状、生検、又は他の検査結果に基づいて行うことができ、また被験者に対して行うアンケート、例えば所与の疾患に関して開発された生活の質に関する質問票などを採用することもできる。例えば、本発明の抗IL12/23p40又は抗IL23抗体は、乾癬に関連する被検者の状態の改善を達成するために投与され得る。
【0045】
この改善は、疾患活動性指標の改善、臨床症状の寛解、又は疾患活動性の任意の他の測定によって示すことができる。そのような疾患指数の1つは、乾癬の重症度の測定に最も広く使用されるツールである、乾癬面積及び重症度指数(PASI)である。乾癬面積及び重症度指数又はPASIは、乾癬病変の重症度及び治療に対するそれらの応答を評価し、評定するために使用されるシステムである。PASIは、0~72の範囲の数値スコアを生成することができる。疾患の重症度は以下のように計算される。PASIシステムでは、身体は、頭、胴体)、上肢、下肢の、4つの領域に分割され、それぞれ身体の総表面積の10%、30%、20%、40%を占める。これらの面積の各々は、紅斑、硬結、及び鱗屑について別々に評価され、各々0~4のスケールで評定される(0=なし、1=わずか、2=中等度、3=重度、及び4=非常に重度)。PASIは、病変の重症度と罹患面積の評価を組み合わせて、0(疾患なし)~72(最大疾患)の範囲の単一のスコアにする。PASIスコアの減少は、乾癬の治療の有効性を評価するために使用されることが多い。例えば、乾癬面積及び重症度指数(PASI)スコアの75%の低下(PASI 75)は、乾癬のほとんどの臨床試験の主要エンドポイントの現在のベンチマークである。
【0046】
乾癬の他の疾病活性指数としては、例えば、乾癬の体表面積(BSA)スコア及び医師総合評価(PGA)スコアが挙げられる。BSAは、乾癬に罹患した体表面積全体の割合として定義される、皮膚疾患の重症度の一般的に使用される尺度である。PGAは、所与の時点で、参加者の乾癬病変全体を決定するために使用される。全体的な病変は、0(斑隆起の証拠なし)~5(重度の斑隆起)の範囲の硬結スケール、0(紅斑の証拠なし、色素沈着の可能性あり)~5(くすんだ色から深紅の色調)の範囲の紅斑スケール、0(鱗屑の証拠なし)~5(重度、非常に厚い強粘着性の鱗屑が優勢)の範囲の鱗屑スケールで評価される。3つのスケールの合計を3で割って、0~5の範囲で最終的なPGAスコアを算出する:0=クリア、1=最小、2=軽度、3=中等度、4=顕著、5=重度。
【0047】
更に、小児の生活の質に及ぼす疾患の影響を評価するように設計された、子供の皮膚科学的生活の質指数(CDLQI)は、皮膚科学固有の生活の質の測定器である。CDLQIは、10項目からなる質問票で、4項目の回答オプション及び1週間の想起期間を有する。CDLQIは、全体的な生活の質の評価に加えて、生活の質に影響を与える可能性のある6つの異なる側面:症状及び感情、余暇、学校又は休日、個人的な関係、睡眠、並びに治療、を評価するのに使用することができる。CDLQIは、各質問のスコアを合計することによって計算され、30の最大値及び0の最小値が得られ、スコアが高いほど、生活の質の低下が大きくなる。
【0048】
いくつかの実施形態では、本願の実施形態に係る治療を受ける前に、小児患者は、少なくとも3の医師総合評価(PGA)スコア、少なくとも12の乾癬面積及び重症度指数スコア(PASI)、及び少なくとも10%の影響を受けた体表面積(BSA)のパーセントの少なくとも1つ、好ましくは全てによって定義される中等度~重度の慢性プラーク乾癬を有する。いくつかの実施形態では、小児患者は、少なくとも3のPGAスコア、少なくとも12のPASI、及び少なくとも10%のBSAによって定義される中等度~重度の慢性プラーク乾癬を有する。いくつかの実施形態では、小児患者は、少なくとも6ヶ月、1年、1.5年、2年、2.5年、3年以上など、少なくとも6ヶ月間の中等度~重度の慢性プラーク乾癬を有する。
【0049】
治療に対する被検者の応答性は、疾患活性の指標、臨床症状、又は疾患活性の任意の他の尺度によって測定することができる。本明細書で使用するとき、「治療に応答しないか又は応答性が悪い患者」は、治療後に改善がない又は最小限の改善を有する患者を指す。
【0050】
本発明の抗IL-12/IL-23p40抗体(例えば、ウステキヌマブ)を用いた投与量、投与レジメン、治療又は方法に関連するとき、用語「安全」は、標準治療又は別の比較被験者と比較して、治療起因の有害事象(AE又はTEAEと呼ばれる)の許容可能な頻度及び/又は許容可能な重症度を有する、良好なリスク:利益比を指す。本明細書で使用するとき、「有害事象」、「治療起因の有害事象」「有害反応」とは、医薬品(治験薬又は非治験薬)を投与された臨床試験被検者に生じたあらゆる不都合な医学的事象を意味する。AEは、必ずしも治療と因果関係を有するわけではない。したがって、AEとは、医薬品(治験用又は非治験用医薬品)の使用と時間的に関連のある、あらゆる好ましくない、意図しない徴候(例えば、臨床検査値の異常)、症状又は疾患のことであってもよく、医薬品(治験用又は非治験用医薬品)との因果関係の有無は問わない。(医薬品規制調和国際会議([International Conference on Harmonisation、ICH]による定義)。有害事象の有害又は望ましくない結果がこのような重症度に達すると、規制当局は、医薬組成物又は治療薬を提案される使用には許容できないと見なし得る。具体的には、本発明の抗IL12/23p40又は抗IL23抗体による投与量、投与レジメン又は治療に関連する「安全」は、有害事象が抗IL12/23p40又は抗IL23抗体の使用による可能性がある、可能性が高い、又は非常に高いと考えられる場合、抗体の投与に関連する有害事象の許容される頻度及び/又は許容される重症度を指す。
【0051】
本明細書で使用するとき、「mg/kg」単位での抗IL-12/IL-23p40抗体の投与量は、抗体を投与される被験者の体重キログラム当たりの抗IL-12/IL-23p40抗体のミリグラムの量を指す。
【0052】
乾癬治療
乾癬治療は、炎症を低減し、皮膚をきれいにする。治療は、局所剤、光線療法、及び全身性薬物の3つの主要なタイプに分けることができる。
【0053】
局所剤は、軽度から中等度の乾癬を治療することができるクリーム及び軟膏である。局所乾癬治療としては、局所コルチコステロイド、ビタミンD類似体、アントラリン、局所用レチノイド、カルシニューリン阻害剤、サリチル酸、コールタール、及び保湿剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
光線療法は、自然の太陽光又は人工的な紫外線であり得る、制御された量の紫外線を皮膚に照射するもので、光治療とも呼ばれる。光線療法の最も単純かつ最も容易な形態は、皮膚を制御された量の自然太陽光に曝露することを含む。他の形態の光線療法には、人工的な紫外線A(UVA)又は紫外線B(UVB)を単独で又は薬物と組み合わせて使用する方法がある。
【0055】
全身性薬物は、非生物学的及び生物学的に分類される経口薬品又は注射薬品である。非生物学的全身性薬剤としては、レチノイド、メトトレキサート、シクロスポリン、アクリトレチン、アピミスト、及びトファシチニブが挙げられるが、これらに限定されない。生物学的薬品としては、エタネルセプト(エンブレル)、インフリキシマブ(レミケード)、アダリムマブ(ヒュミラ)、ゴリムマブ(シンポニー)、セクキヌマブ(コセンティクス)、イクセキズマブ(タルツ)、アレファセプト、エファリズマブ、ブリアキヌマブ、ブロダルマブなどの免疫系を変化させる生物学的薬品が挙げられる。それらの中でも、アダリムマブ(ヒュミラ)、エタネルセプト(エンブレル)、インフリキシマブ(レミケード)は抗TNFα剤である。
【0056】
本発明の抗体-産生及び生成
本発明の方法において使用される少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)は、任意選択的に、当該技術分野において周知の細胞株、混合細胞株、不死化細胞、又は不死化細胞のクローン集団によって産生することができる。例えば、Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY,NY(1987-2001)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Harlow and Lane,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1994-2001)、Colligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY,(1997-2001)を参照されたく、各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0057】
ヒトIL-12/23p40若しくはIL-23タンパク質又はそのフラグメントに特異的なヒト抗体は、単離されたIL-12/23p40タンパク質、IL-23タンパク質、及び/又はそれらの一部分(合成ペプチドなどの合成分子を含む)などの適切な免疫原性抗原に対して生じ得る。他の特異的な又は一般的な哺乳動物の抗体も同様に生じ得る。免疫原性抗原の調製及びモノクローナル抗体の産生は、本開示を考慮して、任意の好適な技術を用いて実施することができる。
【0058】
1つのアプローチでは、適切な不死細胞株(例えば、限定されないが、Sp2/0、Sp2/0-AG14、NSO、NS1、NS2、AE-1、L.5、L243、P3X63Ag8.653、Sp2 SA3、Sp2 MAI、Sp2 SS1、Sp2 SA5、U937、MLA 144、ACT IV、MOLT4、DA-1、JURKAT、WEHI、K-562、COS、RAJI、NIH 3T3、HL-60、MLA 144、NAMALWA、NEURO 2Aなどの骨髄腫細胞株、又はヘテロミローマス、その融合産物、又はそれに由来する任意の細胞若しくは融合細胞、又は当該技術分野において既知の任意の他の好適な細胞株)(例えば、www.atcc.org、www.lifetech.comなどを参照されたい)を、限定されないが、単離された又はクローン化された脾臓、末梢血、リンパ、扁桃腺、又は他の免疫若しくはB細胞含有細胞などの抗体産生細胞、あるいは内因性又は異種核酸として、組換え若しくは内因性、ウイルス、細菌、藻、原核生物、両生類、昆虫、爬虫類、魚、哺乳類、げっ歯類、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ヒツジ、霊長類、真核生物、ゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNA若しくはRNA、葉緑体DNA若しくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、単一、二重若しくは三重鎖、ハイブリダイズなど、又はそれらの任意の組み合わせとしてのいずれかで、重鎖又は軽鎖の定常若しくは可変、又はフレームワーク若しくはCDR配列を発現する任意の他の細胞と融合することによりハイブリドーマを産生する。例えば、上記のAusubel、及び上記のColligan,Immunologyの第2章を参照されたい。なお両文献は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0059】
抗体産生細胞はまた、目的の抗原で免疫化されたヒト又は他の好適な動物の末梢血、又は好ましくは脾臓若しくはリンパ節から得ることもできる。任意の他の好適な宿主細胞を使用して、本発明の抗体、特定されたフラグメント又はそのバリアントをコード化する異種核酸若しくは内在核酸を発現させることもできる。融合細胞(ハイブリドーマ)又は組換え細胞は、選択的培養条件又は他の好適な既知の方法を使用して単離し、限界希釈若しくは細胞選別又は他の既知の方法によってクローニングすることができる。所望の特異性を有する抗体を産生する細胞は、好適なアッセイ(例えばELISA)によって選択することができる。
【0060】
必要な特異性を有する抗体を製造又は単離する他の適切な方法を使用することができ、これには、ペプチド又はタンパク質ライブラリ(例えば、バクテリオファージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、RNA、cDNAなどのディスプレイライブラリ、例えば、Cambridge antibody Technologies,Cambridgeshire,UK、MorphoSys,Martinsreid/Planegg,DE、Biovation,Aberdeen,Scotland,UK、BioInvent,Lund,Sweden、Dyax Corp.,Enzon,Affymax/Biosite、Xoma,Berkeley,CA、Ixsysから入手可能であるがこれらに限定されないものなど、から組換え抗体を選択する方法が含まれるが、これらに限定されない。例えば、欧州特許第368,684号、国際出願PCT/GB91/01134号、国際出願PCT/GB92/01755号、国際出願PCT/GB92/002240号、国際出願PCT/GB92/00883号、国際出願PCT/GB93/00605号、米国特許出願第08/350260号(5/12/94)、国際出願PCT/GB94/01422号、国際出願PCT/GB94/02662号、国際出願PCT/GB97/01835号、(CAT/MRC)、国際公開第90/14443号、国際公開第90/14424号、国際公開第90/14430号、国際出願PCT/US94/1234号、国際公開第92/18619号、国際公開第96/07754号(Scripps)、国際公開第96/13583号、国際公開第97/08320号(MorphoSys)、国際公開第95/16027号(BioInvent)、国際公開第88/06630号、国際公開第90/3809号(Dyax)、米国特許第4,704,692号(Enzon)、国際出願PCT/US91/02989号(Affymax)、国際公開第89/06283、欧州特許第371 998号、欧州特許第550 400号、(Xoma)、欧州特許第229 046号、国際出願PCT/US91/07149号(Ixsys)、又は確率的に生成されたペプチド又はタンパク質-米国特許第5723323号、同第5763192号、同第5814476号、同第5817483号、同第5824514号、同第5976862号、国際公開第86/05803号、欧州特許第590 689号(Ixsys、Applied Molecular Evolution(AME)の前身、各々参照により全体が本明細書に組み込まれる))又はトランスジェニック動物の免疫化に依存する(例えば、SCIDマウス、Nguyen et al.,Microbiol.Immunol.41:901-907(1997)、Sandhu et al.,Crit.Rev.Biotechnol.16:95-118(1996)、Eren et al.,Immunol.93:154-161(1998)、各々は、当技術分野で知られているように、及び/又は本明細書に記載されているように、ヒト抗体のレパートリを産生することができる関連する特許及び出願)と同様に、参照により全体が組み込まれる。かかる技術には、リボソームディスプレイ(Hanes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:4937-4942(Can 1997)、Hanes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:14130-14135(Nov.1998))、単一細胞抗体生成技術(例えば、選択リンパ球抗体方法(「SLAM」)(米国特許第5,627,052号、Wen et al.,J.Immunol.17:887-892(1987)、Babcook et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:7843-7848(1996))、gel microdroplet and flow cytometry(Powell et al.,Biotechnol.8:333-337(1990)、One Cell Systems,Cambridge,MA、Gray et al.,J.Imm.Meth.182:155-163(1995)、Kenny et al.,Bio/Technol.13:787-790(1995)、B-cell selection(Steenbakkers et al.,Molec.Biol.Reports 19:125-134(1994)、Jonak et al.,Progress Biotech,Vol.5,In Vitro Immunization in Hybridoma Technology,Borrebaeck,ed.,Elsevier Science Publishers B.V.,Amsterdam,Netherlands(1988))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
ヒト以外の抗体又はヒト抗体を工学的処理又はヒト化する方法も同様に使用でき、当該技術分野において周知である。一般に、ヒト化抗体又は改変抗体は、ヒト以外、例えば、これらに限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、ヒト以外の霊長類、又は他の哺乳動物の供給源からの1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらのヒト以外のアミノ酸残基は、しばしば「インポート」残基と呼ばれる残基により置き換えられる。かかる「インポート」残基は、典型的には既知のヒト配列の「インポート」可変ドメイン、定常ドメイン、又は他のドメインから得られる。
【0062】
既知のヒトIg配列が、例えば以下に開示されている:www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi、www.ncbi.nih.gov/igblast;www.atcc.org/phage/hdb.html;www.mrc-cpe.cam.ac.uk/ALIGNMENTS.php;www.kabatdatabase.com/top.html;ftp.ncbi.nih.gov/repository/kabat、www.sciquest.com;www.abcam.com;www.antibodyresource.com/onlinecomp.html;www.public.iastate.edu/~pedro/research_tools.html;www.whfreeman.com/immunology/CH05/kuby05.htm;www.hhmi.org/grants/lectures/1996/vlab;www.path.cam.ac.uk/~mrc7/mikeimages.html;mcb.harvard.edu/BioLinks/Immunology.html、www.immunologylink.com;pathbox.wustl.edu/~hcenter/index.html、www.appliedbiosystems.com;www.nal.usda.gov/awic/pubs/antibody;www.m.ehime-u.ac.jp/~yasuhito/Elisa.html;www.biodesign.com;www.cancerresearchuk.org;www.biotech.ufl.edu;www.isac-net.org;baserv.uci.kun.nl/~jraats/links1.html、www.recab.uni-hd.de/immuno.bme.nwu.edu;www.mrc-cpe.cam.ac.uk;www.ibt.unam.mx/vir/V_mice.html;http://www.bioinf.org.uk/abs;antibody.bath.ac.uk、www.unizh.ch;www.cryst.bbk.ac.uk/~ubcg07s、www.nimr.mrc.ac.uk/CC/ccaewg/ccaewg.html;www.path.cam.ac.uk/~mrc7/humanisation/TAHHP.html;www.ibt.unam.mx/vir/structure/stat_aim.html;www.biosci.missouri.edu/smithgp/index.html;www.jerini.de;Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Dept.Health(1983)であり、各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0063】
かかるインポートされた配列は、免疫原性を低減させるため、あるいは、当該技術分野において既知のように、結合、親和性、結合速度定数、解離速度定数、結合活性、特異性、半減期、又は任意の他の好適な特性を低減、増強又は改変するために使用することができる。一般的に、CDR残基は、抗原結合に直接的にかつほとんど実質的に影響する。したがって、ヒト以外のCDR配列又はヒトCDR配列の一部又は全てを維持しつつ、可変領域及び定常領域のヒト以外の配列を、ヒトのアミノ酸又は他のアミノ酸に置き換えることもできる。
【0064】
抗体は、任意選択的に、ヒト化されてもよく、又はヒト抗体は、抗原に対する高い親和性及び他の有利な生物学的特性を保持させたまま改変され得る。この目的を達成するためには、任意選択的に、親配列及びヒト化配列の3次元モデルを使用して親配列及び様々な理論上のヒト化産物を解析するプロセスによって、ヒト化(又はヒト)抗体を調製することができる。3次元の免疫グロブリンモデルが一般的に利用可能であり、当業者によく知られている。選択された免疫グロブリン配列候補について可能性の高い3次元立体構造を図示及び表示するコンピュータプログラムを利用可能である。これらの表示を調べることにより、免疫グロブリン配列候補の機能において残基が示す可能性の高い働きの解析、すなわち免疫グロブリン候補の抗原結合能に影響する残基の解析が可能となる。このようにして、標的抗原(複数可)に対する親和性の増強などといった望ましい抗体特性が達成されるように、コンセンサス配列及びインポート配列からフレームワーク(FR)残基を選択し組み合わせることができる。
【0065】
加えて、本発明の方法において使用されるヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体は、ヒト生殖系列軽鎖フレームワークを含み得る。特定の実施形態では、軽鎖生殖系列配列は、A1、A10、A11、A14、A17、A18、A19、A2、A20、A23、A26、A27、A3、A30、A5、A7、B2、B3、L1、L10、L11、L12、L14、L15、L16、L18、L19、L2、L20、L22、L23、L24、L25、L4/18a、L5、L6、L8、L9、O1、O11、O12、O14、O18、O2、O4、及びO8を含むが、これらに限定されない、ヒトVK配列から選択される。ある特定の実施形態では、軽鎖ヒト生殖系列フレームワークは、V1-11、V1-13、V1-16、V1-17、V1-18、V1-19、V1-2、V1-20、V1-22、V1-3、V1-4、V1-5、V1-7、V1-9、V2-1、V2-11、V2-13、V2-14、V2-15、V2-17、V2-19、V2-6、V2-7、V2-8、V3-2、V3-3、V3-4、V4-1、V4-2、V4-3、V4-4、V4-6、V5-1、V5-2、V5-4、及びV5-6から選択される。
【0066】
他の実施形態では、本発明の方法において使用されるヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体は、ヒト生殖系列重鎖フレームワークを含み得る。特定の実施形態では、この重鎖ヒト生殖系列フレームワークは、VH1-18、VH1-2、VH1-24、VH1-3、VH1-45、VH1-46、VH1-58、VH1-69、VH1-8、VH2-26、VH2-5、VH2-70、VH3-11、VH3-13、VH3-15、VH3-16、VH3-20、VH3-21、VH3-23、VH3-30、VH3-33、VH3-35、VH3-38、VH3-43、VH3-48、VH3-49、VH3-53、VH3-64、VH3-66、VH3-7、VH3-72、VH3-73、VH3-74、VH3-9、VH4-28、VH4-31、VH4-34、VH4-39、VH4-4、VH4-59、VH4-61、VH5-51、VH6-1、及びVH7-81から選択される。
【0067】
特定の実施形態では、軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域は、フレームワーク領域、又はフレームワーク領域の少なくとも一部分(例えば、FR2及びFR3などの2又は3つの小領域を含む)を含む。ある特定の実施形態では、少なくともFRL1、FRL2、FRL3、又はFRL4は、完全ヒトである。他の実施形態では、少なくともFRH1、FRH2、FRH3、又はFRH4は、完全ヒトである。いくつかの実施形態では、少なくともFRL1、FRL2、FRL3、又はFRL4は、生殖系列配列(例えば、ヒト生殖系列)であるか、又は特定のフレームワークのためのヒトコンセンサス配列(上述の既知のヒトIg配列の供給源で容易に入手可能である)を含む。他の実施形態では、少なくともFRH1、FRH2、FRH3、又はFRH4は、生殖系列配列(例えば、ヒト生殖系列)であるか、又は特定のフレームワークのためのヒトコンセンサス配列を含む。好ましい実施形態では、フレームワーク領域は、完全なヒトフレームワーク領域である。
【0068】
本発明の抗体のヒト化又は工学的処理は、Winter(Jones et al.,Nature 321:522(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323(1988)、Verhoeyen et al.,Science 239:1534(1988))、Sims et al.,J.Immunol.151:2296(1993);Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901(1987)、Carter et al.,Proc.89:4285(1992);Presta et al.,J.Immunol.151:2623(1993)、米国特許第5723323号、同第5976862号、同第5824514号、同第5817483号、同第5814476号、同第5763192号、同第5723323号、同第5,766886号、同第5714352号、同第6204023号、同第6180370号、同第5693762号、同第5530101号、同第5585089号、同第5225539号、同第4816567号、国際出願PCT/:US98/16280号、US96/18978号、US91/09630号、US91/05939号、US94/01234号、GB89/01334号、GB91/01134号、GB92/01755号、国際公開第90/14443号、同第90/14424号、同第90/14430号、欧州特許第229246号(各々、参照により全体が明細書に組み込まれ、その中に引用される文献を含む)に記載されるものなどであるがこれらに限定されない、任意の既知の方法を使用して行うことができる。
【0069】
所定の実施形態において、抗体は、変更された(例えば、変異を導入された)Fc領域を含む。例えば、いくつかの実施形態において、Fc領域は、抗体のエフェクタ機能を低減又は増強するために変更されている。いくつかの実施形態において、Fc領域は、IgM、IgA、IgG、IgE、又は他のアイソタイプから選択されるアイソタイプである。あるいは、又は加えて、アミノ酸修飾と、IL-23結合分子のFc領域のC1q結合及び/又は補体依存性細胞毒性機能を変更する1つ以上の更なるアミノ酸修飾とを組み合わせることが有用であり得る。特定の目的の出発ポリペプチドは、C1qに結合するものであることができ、補体依存性細胞毒性(CDC)を示す。既存のC1q結合活性を有し、任意選択的に更にCDCを介在する能力を有するポリペプチドは、これらの活性のうちの1つ又は両方が増進するように、修飾され得る。C1qを変更する、かつ/又はその補体依存性細胞傷害機能を修飾するアミノ酸修飾は、例えば、国際公開第0042072号に記載され、参照により本明細書に組み入れる。
【0070】
上記に開示されるように、例えば、C1q結合及び/又はFcγR結合を修飾し、それにより、補体依存性細胞毒性(CDC)活性及び/又は抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、ADCC)活性を変化させることによって、変更されたエフェクタ機能を有する本発明のヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体のFc領域を設計することができる。「エフェクタ機能」は、(例えば、被験者における)生物活性を活性化又は低減させる役割を果たす。エフェクタ機能の例として、これらに限定されるものではないが、C1q結合、CDC、Fc受容体結合、ADCC、貪食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体、BCR)のダウンレギュレーションなどが挙げられる。かかるエフェクタ機能は、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と結合することを必要とする場合があり、また多種多様なアッセイ(例えば、Fc結合アッセイ、ADCCアッセイ、CDCアッセイなど)を使用して評価することができる。
【0071】
例えば、改善されたC1q結合及び改善されたFcγRIII結合を有する(例えば、改善されたADCC活性及び改善されたCDC活性の両方を有する)ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体の変異体Fc領域を生成することができる。あるいは、エフェクタ機能を低減又は除去することが所望される場合、変異体Fc領域は、CDC活性を低減させるよう及び/又はADCC活性を低減させるよう改変することができる。他の実施形態において、これらの活性の1つだけが増強されてもよく、任意選択的に、同時に他の活性が低減され得る(例えば、改善されたADCC活性と低減されたCDC活性を有するFc領域バリアント、及びこの逆のFc領域バリアントを生成するため)。
【0072】
Fc変異は、胎児性Fc受容体(FcRn)との相互作用を変更し、それらの薬物動態特性を改善するように遺伝子を操作して、導入することもできる。FcRnへの結合を改善したヒトFc変異体の収集は、説明されている(Shieldsら.,(2001).High resolution mapping of the binding site on human IgG1 for FcγRI,FcγRII、FcγRIII,and FcRn and design of IgG1 variants with improved binding to the FcγR、J.Biol.Chem.276:6591-6604)。
【0073】
別の種類のアミノ酸置換は、ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体のFc領域のグリコシル化パターンを変更するのに役立つ。Fc領域のグリコシル化は、典型的に、N結合型又はO結合型のいずれかである。N結合型とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付加を指す。O連鎖グリコシル化は、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンも使用され得るが、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンへの糖類、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの1つの付着を言う。アスパラギン側鎖ペプチド配列への炭水化物部分の酵素的付加のための認識配列は、アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニンであり、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である。このため、ポリペプチド中にこれらのいずれかのペプチド配列が存在すると、潜在的なグリコシル化部位がもたらされる。
【0074】
グリコシル化パターンは、例えば、ポリペプチドに見出される1つ以上のグリコシル化部位(複数可)を欠失させること、及び/又はポリペプチド中に存在しない1つ以上のグリコシル化部位を付加することによって変更され得る。ヒトIL-23特異的抗体のFc領域へのグリコシル化部位の付加は、上記のトリペプチド配列の1つ以上を含むようにアミノ酸配列を変更することによって首尾よく達成される(N結合型グリコシル化部位の場合)。例示的なグリコシル化変異体は、重鎖の残基Asn 297のアミノ酸置換を有する。この変更は、元々のポリペプチド配列への1つ以上のセリン又はスレオニン残基の付加、又はこれらによる置換によっても行われ得る(O結合型グリコシル化部位の場合)。加えて、Asn 297をAlaに変更すると、グリコシル化部位の1つを除去することができる。
【0075】
ある特定の実施形態では、本発明のヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体は、GnT IIIがGlcNAcをヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体に付加するように、ベータ(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnT III)を発現する細胞において発現される。かかる様式で抗体を産生するための方法は、国際公開第9954342号、同第03011878号、特許公開第20030003097(A1)号、及びUmana et al.,Nature Biotechnology,17:176-180,Feb.1999に提供されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる。
【0076】
ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体はまた、任意選択的に、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知であるように、ヒト抗体のレパートリを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、非ヒト霊長類など)の免疫化により生成することもできる。ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体を産生する細胞を、かかる動物から単離し、本明細書に記載される方法などの好適な方法を使用して不死化してもよい。
【0077】
ヒト抗原に結合するヒト抗体のレパートリを産生することができるトランスジェニックマウスは、既知の方法によって生成することができる(例えば、これらに限定されないが、Lonbergらに発行された米国特許第5,770,428号、同第5,569,825号、同第5,545,806号、同第5,625,126号、同第5,625,825号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、及び同第5,789,650号、Jakobovitsらの国際公開第98/50433号、Jakobovitsらの国際公開第98/24893号、Lonbergらの国際公開第98/24884号、Lonbergらの国際公開第97/13852号、Lonbergらの国際公開第94/25585号、Kucherlapateらの国際公開第96/34096号、Kucherlapateらの欧州特許第0463 151(B1)号、Kucherlapateらの欧州特許第0710 719(A1)号、Suraniらの米国特許第5,545,807号、Bruggemannらの国際公開第90/04036号、Bruggemannらの欧州特許第0438 474(B1)号、Lonbergらの欧州特許第0814 259(A2)号、Lonbergらの英国特許第2 272 440(A号)、LonbergらのNature 368:856-859(1994)、TaylorらのInt.Immunol.6(4)579-591(1994)、GreenらのNature Genetics 7:13-21(1994)、Mendezら,Nature Genetics 15:146-156(1997)、TaylorらのNucleic Acids Research 20(23):6287-6295(1992)、Tuaillonら,Proc Natl Acad Sci USA 90(8)3720-3724(1993)、LonbergらのInt Rev Immunol 13(1):65-93(1995)及びFishwaldら,Nat Biotechnol 14(7):845-851(1996)、これらは、参照により各全体が本明細書に組み込まれる)。一般に、これらのマウスは、機能的に再構成された、又は機能的な再構成を受けることができる少なくとも1つのヒト免疫グロブリン遺伝子座に由来するDNAを含む、少なくとも1つの導入遺伝子を含む。かかるマウスの内因性免疫グロブリン遺伝子座を破壊又は欠失させて、当該マウスの、内因性遺伝子によりコード化されている抗体の産生能を除去することができる。
【0078】
類似のタンパク質又はフラグメントへの特異的結合についての抗体のスクリーニングは、ペプチドディスプレイライブラリを使用して首尾よく達成することができる。この方法は、望ましい機能又は構造をもつ個々のメンバーについてペプチドの大規模コレクションをスクリーニングすることを含む。ペプチドディスプレイライブラリの抗体スクリーニングは当該技術分野において周知である。ディスプレイされたペプチド配列の長さは、3~5000個以上のアミノ酸であり、頻繁には5~100個のアミノ酸長、多くは約8~25個のアミノ酸長であり得る。ペプチドライブラリを作成する直接化学合成法に加えて、いくつかの組換えDNA方法も記述されている。1つのタイプには、バクテリオファージ又は細胞の表面上でのペプチド配列のディスプレイを含む。各バクテリオファージ又は細胞は、特定のディスプレイされたペプチド配列をコード化するヌクレオチド配列を含有する。かかる方法は、国際出願公開第91/17271号、同第91/18980号、同第91/19818号、及び同第93/08278号に記載されている。
【0079】
ペプチドライブラリを作成するための他のシステムは、生体外での化学合成法及び組換え法の両方の態様を有する。国際出願公開第92/05258号、同第92/14843号、及び同第96/19256号を参照されたい。また、米国特許第5,658,754号及び同第5,643,768号も参照されたい。ペプチドディスプレイライブラリ、ベクタ、及びスクリーニングキットは、Invitrogen(Carlsbad,CA)及びCambridge antibody Technologies(Cambridgeshire,UK)のような供給元から市販されている。例えば、Enzonに譲渡された米国特許第4704692号、同第4939666号、同第4946778号、同第5260203号、同第5455030号、同第5518889号、同第5534621号、同第5656730号、同第5763733号、同第5767260号、同第5856456号、Dyaxに譲渡された米国特許第5223409号、同第5403484号、同第5571698号、同第5837500号、Affymaxに譲渡された米国特許第5427908号、同第5580717号、Cambridge antibody Technologiesに譲渡された米国特許第5885793号、Genentechに譲渡された米国特許第5750373号、上記のXoma、Colliganに譲渡された米国特許第5618920号、同第5595898号、同第5576195号、同第5698435号、同第5693493号、同第5698417号、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたく、上記特許及び刊行物の各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0080】
本発明の方法に使用される抗体は、かかる抗体を乳中に産生するヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギなどのトランスジェニック動物又は哺乳動物を提供するために、核酸をコード化する少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体を使用して調製することもできる。かかる動物は、既知の方法を使用して準備することができる。例えば、これらに限定されないが、米国特許第5,827,690号、同第5,849,992号、同第4,873,316号、同第5,849,992号、同第5,994,616号、同第5,565,362号、同第5,304,489号などを参照されたい(それらの各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。
【0081】
本発明の方法に使用される抗体は、植物部分又はそれから培養された細胞において、かかる抗体、特定された部分、又は変異体を産生するトランスジェニック植物及び培養された植物細胞(例えば、タバコ及びトウモロコシであるが、これらに限定されない)を提供するために、核酸をコード化する少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体を使用して更に調製することができる。非限定的な例として、例えば、誘導プロモータを用いて、組換えタンパク質を発現するトランスジェニックタバコ葉をうまく使用して大量の組換えタンパク質が提供されてきた。例えば、Cramerら,Curr.Top.Microbol.Immunol.240:95-118(1999)及びその中で引用される文献を参照されたい。また、トランスジェニックトウモロコシは、他の組換え系において生成されるタンパク質又は天然資源から精製されるタンパク質に等しい生物学的活性を有する哺乳動物タンパク質を、商業生成レベルで発現するために使用されてきた。例えば、Hoodら,Adv.Exp.Med.Biol.464:127-147(1999)及びその中で引用される文献を参照されたい。抗体は、単鎖抗体(scFv)などの抗体フラグメントを含む、タバコ種子及びポテト塊茎などといったトランスジェニック植物の種子からも大量に産生されてきた。例えば、Conradr,Plant Mol.Biol.38:101-109(1998)及びその中で引用される文献を参照されたい。したがって、本発明の抗体はまた、既知の方法に従って、トランスジェニック植物を使用して産生することもできる。例えば、Fischer et al.,Biotechnol.Appl.Biochem.30:99-108(Oct.,1999),Ma et al.,Trends Biotechnol.13:522-7(1995)、Maら,Plant Physiol.109:341-6(1995)、Whitelamら,Biochem.Soc.Trans.22:940-944(1994)、及びそれらの中で引用される文献も参照されたい。上記文献の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0082】
本発明の方法において使用される抗体は、広範囲にわたる親和性(KD)でヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合することができる。好ましい実施形態では、ヒトmAbは、任意選択的に、高い親和性でヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合することができる。例えば、ヒトmAbは、ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23を約10-7M以下、例えば、限定されないが、0.1~9.9(又はその中の任意の範囲若しくは値)X 10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13、又はその中の任意の範囲若しくは値などのKDで結合することができる。
【0083】
抗原に対する抗体の親和性又は結合活性は、任意の好適な方法を用いて実験により求めることができる。(例えば、Berzofsky,ら,「Antibody-Antigen Interactions,」In Fundamental Immunology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press:New York,NY(1984)、Kuby,Janis Immunology,W.H.Freeman and Company:New York,NY(1992)、及び本明細書に記載される方法を参照されたい)。特定の抗体抗原相互作用について測定される親和性は、異なる条件(例えば、塩濃度、pH)下で測定された場合に異なり得る。したがって、親和性及び他の抗原結合パラメータ(例えば、KD、Ka、Kd)の測定は、好ましくは、抗体及び抗原の標準化溶液、及び本明細書で記載される緩衝剤等の標準化緩衝剤を用いて行われる。
【0084】
ベクタ及び宿主細胞
本発明は、単離された核酸分子を含むベクタ、組換えベクタで遺伝子工学処理される宿主細胞、及び当該技術分野において周知である組換え技術による少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40抗体の産生にも関する。例えば、上記のSambrookら、上記のAusubelらを参照されたく、各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0085】
ポリヌクレオチドは、任意選択で、宿主の増殖についての選択マーカを含有するベクタに結合することができる。一般に、プラスミドベクタは、リン酸カルシウム沈殿物のような沈殿物内、又は荷電脂質との複合体内に導入される。ベクタがウイルスである場合は、適切な包装細胞株を用いて生体外でこれを包装し、その後、宿主細胞内に形質導入することができる。
【0086】
DNA挿入物は、適切なプロモータに機能的に連結されるべきである。発現コンストラクトは、転写開始部位、転写終結部位、及び転写された領域内では翻訳のためのリボソーム結合部位を更に含む。構築により発現する成熟した転写産物のコード部分は、好ましくは、翻訳されるべきmRNAの最後に適切に位置する開始及び終止コドン(例えば、UAA、UGA、又はUAG)で始まる翻訳を含み、哺乳類又は真核生物細胞の発現ではUAA及びUAGが好ましい。
【0087】
発現ベクタは、好ましくは少なくとも1つの選択マーカを含むが、これは任意選択的である。かかるマーカは、例えば、真核細胞培養のためのメトトレキサート(methotrexate、MTX)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dihydrofolate reductase、DHFR、米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、同第4,656,134号、同第4,956,288号、同第5,149,636号、同第5,179,017号、アンピシリン、ネオマイシン(G418)、マイコフェノール酸又はグルタミンシンセターゼ(GS、米国特許同第5,122,464号、同第5,770,359号、同第5,827,739号)抵抗性遺伝子、並びに大腸菌(E.coli)及び他の細菌又は原核生物における培養のためのテトラサイクリン又はアンピシリン抵抗性遺伝子を含むが、これらに限定されない(上記特許は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。上記の宿主細胞に対して適切な培養培地及び条件は、当該技術分野において既知である。好適なベクタは、当事者にとって容易に明白となるであろう。宿主細胞へのベクタコンストラクトの導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染又は他の既知の方法により影響を受け得る。かかる方法については、上記のSambrook、第1~4章及び第16~18章、上記のAusubel、第1、9、13、15、16章など、当該技術分野において記載されている。
【0088】
本発明の方法に使用される少なくとも1つの抗体は、融合タンパク質などの修飾された形態で発現され得、分泌シグナルだけでなく、追加の異種機能領域も含み得る。例えば、追加アミノ酸の領域、特に荷電アミノ酸を抗体のN末端に追加して、精製中又は後続の処理及び保存中に、宿主細胞における安定性及び持続性を改善することができる。また、ペプチド部分を本発明の抗体に追加して、精製を促進することもできる。抗体又は少なくとも1つのそのフラグメントの最終調製前に、かかる領域を除去することができる。かかる方法は、上記のSambrook、第17.29~17.42章及び第18.1~18.74章、上記のAusubel、第16、17及び18章など、多くの標準的な実験室マニュアルに記載されている。
【0089】
当業者であれば、本発明の方法に使用されるタンパク質をコード化する核酸の発現に利用可能な多数の発現系について精通している。あるいは、核酸は、抗体をコード化する内因性DNAを含有する宿主細胞内で、(操作により)オン切換えすることにより、宿主細胞中で発現させることができる。かかる方法は、米国特許第5,580,734号、同第5,641,670号、同第5,733,746号、及び同第5,733,761号に記載されているように、当該技術分野において周知であり、これらは参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0090】
抗体、その特定された部分又は変異体の産生に有用な細胞培養物の一例は、哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞系は、しばしば細胞からなる単層形態を取るが、哺乳動物細胞の懸濁液又はバイオリアクターも使用可能である。無傷なグリコシル化タンパク質を発現可能ないくつかの好適な宿主細胞株が当該技術分野において開発されており、これにはCOS-1(例えばATCC CRL 1650)、COS-7(例えばATCC CRL-1651)、HEK293、BHK21(例えばATCC CRL-10)、CHO(例えばATCC CRL1610)及びBSC-1(例えばATCC CRL-26)細胞株、Cos-7細胞、CHO細胞、hep G2細胞、P3X63Ag8.653、SP2/0-Ag14、293細胞、HeLa細胞などが挙げられ、これらは例えば、American Type Culture Collection,Manassas,Va(www.atcc.org)から容易に入手できる。好ましい宿主細胞としては、骨髄腫及びリンパ腫細胞などのリンパ系に由来する細胞が挙げられる。特に好ましい宿主細胞は、P3X63Ag8.653細胞(ATCC登録番号CRL-1580)及びSP2/0-Ag14細胞(ATCC登録番号CRL-1851)である。特に好ましい実施形態では、組換え細胞は、P3X63Ab8.653又はSP2/0-Ag14細胞である。
【0091】
これらの細胞の発現ベクタは、複製起点、プロモータ(例えば、後期又は初期SV40プロモータ、CMVプロモータ(米国特許第5,168,062号、同第5,385,839号)、HSV tkプロモータ、pgk(ホスホグリセレートキナーゼ)プロモータ、EF-1αプロモータ(米国特許第5,266,491号)、少なくとも1つのヒト免疫グロブリンプロモータ、エンハンサ、及び/又はリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位(例えば、SV40ラージT Agポリ付加部位)、並びに転写終結配列などのプロセシング情報部位などであるがこれらに限定されない、発現制御配列のうちの1つ以上を含み得る。例えば、上記のAusubelら、上記のSambrookらを参照されたい。本発明の核酸又はタンパク質の生成に有用なその他の細胞は既知であり、並びに/あるいは例えば、American Type Culture Collectionの細胞株及びハイブリドーマのカタログ(www.atcc.org)又はその他の既知の若しくは商業的供給源から入手可能である。
【0092】
真核宿主細胞が利用されるとき、典型的には、ベクタ内にポリアデニル化又は転写終結配列が組み込まれる。終結配列の一例は、ウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニル化配列である。転写の正確なスプライシングのための配列も、同様に含むことができる。スプライシング配列の一例は、SV40由来のVP1イントロンである(Sprague,ら.,J.Virol.45:773-781(1983))。加えて、当該技術分野において既知であるように、宿主細胞内の複製を制御するための遺伝子配列をベクタ内に組み込むことができる。
【0093】
抗体の精製
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、プロテインA精製、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィ、ホスホセルロースクロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ及びレクチンクロマトグラフィが挙げられるがこれらに限定されない、周知の方法により、組換え細胞培養物から回収し、精製することができる。高速液体クロマトグラフィ(「high performance liquid chromatography、HPLC」)を精製に利用することもできる。例えば、Colligan、Current Protocols in Immunology又はCurrent Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY(1997-2001)の、例えば、第1、4、6、8、9、10章を参照されたく、各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0094】
本発明の方法に使用される抗体には、天然に精製された産物、化学合成による手法の産物、並びに例えば、酵母、高等植物、昆虫、及び哺乳動物細胞を含む、真核宿主から組換え法により産生された産物が含まれる。組換え産物の手順に利用される宿主に応じて、抗体は、グリコシル化されてもグリコシル化されなくてもよいが、グリコシル化されるのが好ましい。かかる方法は、上記のSambrook、セクション17.37-17.42、上記のAusubel、第10、12、13、16、18、及び20章、上記のColligan,Protein Science、第12~14章などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載されており、全て参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0095】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体
本発明による抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、抗体に組み込むことができる、免疫グロブリン分子の少なくとも一部分、例えば、限定されないが、少なくとも1つのリガンド結合部分(ligand binding portion、LBP)、例えば、限定されないが、重鎖若しくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)又はそのリガンド結合部分、重鎖又は軽鎖可変領域、フレームワーク領域(例えば、FR1、FR2、FR3、FR4、又はそれらのフラグメント、更に場合により、少なくとも1つの置換、挿入、又は欠失を含む)、重鎖又は軽鎖定常領域(例えば、少なくとも1つのCH1、ヒンジ1、ヒンジ2、ヒンジ3、ヒンジ4、CH2、若しくはCH3、又はそれらのフラグメント、更に場合により、少なくとも1つの置換、挿入、又は欠失を含む)、又はそれらの任意の部分を含む任意のタンパク質又はペプチド含有分子を含む。抗体は、ヒト、マウス、ウサギ、ラット、げっ歯類、霊長類、又はこれらの任意の組み合わせなどであるがこれらに限定されない、任意の哺乳動物を含むか、又はそれに由来し得る。
【0096】
好ましくは、ヒト抗体又は抗原結合フラグメントは、ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合し、それにより、タンパク質の少なくとも1つの生物学的活性を部分的又は実質的に中和する。少なくとも1つのIL-12/IL-23p40又はIL-23タンパク質又はフラグメントの少なくとも1つの生物学的活性を部分的に又は好ましくは実質的に中和する抗体又はその特定された部分若しくは変異体は、タンパク質又はフラグメントに結合し、それによりIL-12/IL-23p40又はIL-23の、IL-12及び/若しくはIL-23受容体への結合を通して、又は他のIL-12/IL-23p40若しくはIL-23依存性若しくは媒介型機序を通して媒介される活性を阻害することができる。本明細書で使用するとき、「中和抗体」という用語は、アッセイに応じて約20~120%、好ましくは少なくとも約10、20、30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%以上、IL-12/IL-23p40又はIL-23依存活性を阻害することができる抗体を指す。抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体がIL-12/IL-23p40又はIL-23依存活性を阻害する能力は、好ましくは、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知の、少なくとも1つの好適なIL-12/IL-23p40又はIL-23タンパク質又は受容体アッセイによって評価される。ヒト抗体は、任意のクラス(IgG、IgA、IgM、IgE、IgD等)又はアイソタイプのものであってもよく、カッパ又はラムダ軽鎖を含み得る。一実施形態では、ヒト抗体は、IgG重鎖又は規定された断片、例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4(例えば、γ1、γ2、γ3、γ4)のうちの少なくとも1つのアイソタイプを含む。このタイプの抗体は、本明細書に記載され、かつ/又は当該技術分野において既知の、少なくとも1つのヒト軽鎖(例えば、IgG、IgA、IgM)トランス遺伝子を含むトランスジェニックマウス又は他のトランスジェニック非ヒト哺乳動物を用いることによって調製することができる。別の実施形態において、抗IL-23ヒト抗体は、IgG1重鎖と、IgG1軽鎖とを含む。
【0097】
抗体は、少なくとも1つのIL-12/IL-23p40又はIL-23タンパク質、サブユニット、フラグメント、部分、又はそれらの任意の組み合わせに特異的な少なくとも1つの特定されたエピトープに結合する。この少なくとも1つのエピトープは、タンパク質の少なくとも一部分を含む少なくとも1つの抗体結合領域を含むことが可能であり、このエピトープは好ましくは、タンパク質の少なくとも1つの細胞外部分、可溶性部分、親水性部分、外側部分、又は細胞質部分から構成されている。
【0098】
一般に、ヒト抗体又は抗原結合フラグメントは、少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2、及びCDR3)又は少なくとも1つの重鎖可変領域の変異体、及び少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2、及びCDR3)又は少なくとも1つの軽鎖可変領域の変異体を含む抗原結合領域を含む。CDR配列は、ヒト生殖細胞系列型配列に由来するものでよく、又は生殖細胞系列型配列に厳密に一致するものでもよい。例えば、元のヒト以外のCDRに由来する合成ライブラリからのCDRを使用することができる。これらのCDRは、元のヒト以外の配列に由来する保存的置換の組込みによって形成され得る。別の特定の実施形態では、抗体又は抗原結合部分又は変異体は、対応するCDR1、2及び/又は3のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの軽鎖CDR(すなわち、CDR1、CDR2、及び/又はCDR3)の少なくとも一部分を含む抗原結合領域を有することができる。
【0099】
かかる抗体は、組換えDNA技術に関する従来技術を使用して抗体をコード化する(すなわち、1つ以上の)核酸分子を調製して発現させることによって、又は任意の他の好適な方法を使用することによって、従来技術を使用して抗体の様々な部分(例えば、CDR、フレームワーク)を一緒に化学的に結合させることにより調製できる。
【0100】
一実施形態では、本発明に有用な抗IL-12/23p40抗体は、それぞれ配列番号1、2、及び3の重鎖相補性決定領域(CDR)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3と、それぞれ配列番号4、5、及び6の軽鎖CDR LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、モノクローナル抗体、好ましくはヒトmAbである。
【0101】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体は、規定されたアミノ酸配列を有する重鎖又は軽鎖可変領域のうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、好ましい実施形態では、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、配列番号7に少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、及び最も好ましくは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8に少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、及び最も好ましくは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を有する抗IL-12/IL-23p40抗体を含む。
【0102】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体はまた、規定されたアミノ酸配列を有する重鎖又は軽鎖のうちの少なくとも1つを含むことができる。別の好ましい実施形態では、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、配列番号10に少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、及び最も好ましくは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号11に少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、及び最も好ましくは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を有する抗IL-12/IL-23p40抗体を含む。
【0103】
好ましくは、抗IL-12/23p40抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖と、を含むウステキヌマブ(Stelara(登録商標))である。本発明に有用な抗IL12/23p40抗体の他の例としては、ブリアキヌマブ(Briakinumab)(ABT-874、Abbott)及び米国特許第6,914,128号、同第7,247,711号、同第7700739号(これらの内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている他の抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
本発明はまた、本明細書に記載されるアミノ酸配列と実質的に同じである配列中のアミノ酸を含む抗体、抗原結合フラグメント、免疫グロブリン鎖及びCDRにも関する。好ましくは、かかる抗体又は抗原結合フラグメント及びかかる鎖若しくはCDRを含む抗体は、高い親和性(例えば、KDが約10-9M以下)で、ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合することができる。本明細書に記載されている配列と実質的に同じであるアミノ酸配列としては、保存的アミノ酸置換並びにアミノ酸欠失及び/又は挿入を含む配列が挙げられる。保存的アミノ酸置換は、第1のアミノ酸のものに類似する化学的及び/又は物理的特性(例えば、電荷、構造、極性、疎水性/親水性)を有する第2のアミノ酸で、第1のアミノ酸を置換することを指す。保存的置換は、限定されないが、1個のアミノ酸を、以下の群内の別のアミノ酸で置き換えることを含む:リジン(K)、アルギニン(R)、及びヒスチジン(H);アスパラギン酸塩(D)及びグルタミン酸塩(E);アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、チロシン(Y)、K、R、H、D、及びE;アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、システイン(C)、及びグリシン(G);F、W、及びY;C、S、及びT。
【0105】
ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合し、画定された重鎖又は軽鎖可変領域を含む抗体は、当該技術分野で既知及び/又は本明細書に記載の、ファージディスプレイ(Katsube,Y.,ら,Int J Mol.Med,1(5):863-868(1998))又はトランスジェニック動物を採用する方法など、好適な方法を使用して調製することができる。例えば、機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン重鎖導入遺伝子と、機能的な再構成を受けることが可能なヒト免疫グロブリン軽鎖遺伝子座からのDNAを含む導入遺伝子とを含むトランスジェニックマウスを、ヒトIL-12/IL-23p40若しくはIL-23又はそのフラグメントで免疫化して抗体の産生を誘発することができる。所望する場合、抗体産生細胞を単離することができ、本明細書に記載されるように、かつ/又は当該技術分野において既知であるように、ハイブリドーマ又は他の不死化させた抗体産生細胞を調製することができる。あるいは、抗体、特定された部分又はバリアントは、好適な宿主細胞内で、コード化核酸又はその一部分を使用して発現させることができる。
【0106】
本発明の方法に使用される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、本明細書で特定されるように、自然突然変異又はヒトによる操作のいずれかによる、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、又は付加を含み得る。
【0107】
当業者が行い得るアミノ酸置換の数は、上記のものを含む多くの要因に依存する。一般的に言えば、所与の抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体、フラグメント又は変異体のアミノ酸置換、挿入又は欠失の数は、本明細書で特定されるように、40、30、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、例えば、1~30又はこの中の任意の範囲若しくは値を超えない。
【0108】
機能上不可欠である抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体内のアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発又はアラニンスキャニング突然変異誘発などの、当該技術分野において既知の方法により特定することができる(例えば、上記のAusubel、Chapters 8,15;Cunningham and Wells,Science 244:1081-1085(1989))。後者の手順では、分子内の各残基毎に単個のアラニンによる変異を導入する。得られた突然変異分子は、次いで、例えば、限定されないが、少なくとも1つのIL-12/IL-23p40又はIL-23中和活性などの生物活性について試験される。抗体結合にとって極めて重要である部位もまた、結晶化、核磁気共鳴又は光親和性標識などの構造解析によって同定することができる(Smith,.ら,J.Mol.Biol.224:899-904(1992)及びde Vos,ら,Science 255:306-312(1992))。
【0109】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、10、又は11のうちの少なくとも1つの隣接アミノ酸のうちの5個~全てから選択される、少なくとも1つの部分、配列、又は組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。
【0110】
IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体又は特定の部分若しくは変異体としては、上記配列番号の少なくとも3~5個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~17個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~10個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~11個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~7個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~9個の隣接アミノ酸から選択される少なくとも1つの部分、配列、又は組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0111】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、更に任意選択的に、上記配列番号5、17、10、11、7、9、119、108、449、又は214個の隣接アミノ酸の70~100%の少なくとも1つのポリペプチドを含むことができる。一実施形態では、免疫グロブリン鎖、又はその一部分(例えば、可変領域、CDR)のアミノ酸配列は、上記配列番号のうちの少なくとも1つの対応する鎖のアミノ酸配列と、約70~100%の同一性(例えば、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、又はこの中の任意の範囲若しくは値)を有する。例えば、軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、上記配列番号の配列と比較することができ、又は重鎖CDR3のアミノ酸配列を、上記配列番号と比較することができる。好ましくは、70~100%のアミノ酸同一性(すなわち、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、又はこの中の任意の範囲若しくは値)は、当該技術分野において既知であるように、好適なコンピュータアルゴリズムを使用して決定される。
【0112】
当該技術分野において既知のように、「同一性」は、配列を比較することにより決定される、2つ以上のポリペプチド配列間又は2つ以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当該技術分野において、「同一性」はまた、かかる線状の配列間の一致によって決定されるような、ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度を意味する。「同一性」及び「類似性」は、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988、Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993、Computer Analysis of Sequence Data,Part I,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994、Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987、及びSequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991、並びにCarillo,H.,and Lipman,D.,Siam J.Applied Math.,48:1073(1988)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない、既知の方法によって容易に算出することができる。加えて、同一性の割合に関する値は、Vector NTI Suite 8.0(Informax,Frederick,MD)の構成要素であるAlignXのデフォルト設定を用いて作成される、アミノ酸及びヌクレオチド配列アラインメントから得ることができる。
【0113】
同一性を決定する好ましい方法は、試験される配列間で最大の一致度が得られるように設計される。同一性及び類似性を決定する方法は、公的に入手可能なコンピュータプログラムにおいて成文化(codified)されている。2つの配列間の同一性及び類似性を決定するための好ましいコンピュータプログラム方法は、GCGプログラム包装(Devereux,J.ら,Nucleic Acids Research 12(1):387(1984))、BLASTP、BLASTN、及びFASTA(Atschul,S.F.ら,J.Molec.Biol.215:403-410(1990))を含むが、これらに限定されない。BLAST Xプログラムは、NCBI及び他のソース(BLAST Manual,Altschul,S.ら,NCBINLM NIH Bethesda,Md.20894:Altschul,S.ら,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)から公的に入手可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムも同一性を決定するために使用され得る。
【0114】
例示的な重鎖及び軽鎖可変領域の配列、並びにそれらの部分は、上記配列番号に示される。本発明の抗体、又はその特定された変異体は、本発明の抗体から任意の数の隣接アミノ酸残基を含むことができ、その数は、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体における隣接残基数の10~100%からなる整数の群から選択される。任意選択的に、隣接アミノ酸のこの部分列は、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、又はそれ以上のアミノ酸長、又はその中の任意の範囲若しくは値である。更に、かかる部分列の数は、少なくとも2、3、4、又は5などの、1~20からなる群から選択される任意の整数であり得る。
【0115】
当業者には明らかとなるように、本発明には、本発明の少なくとも1つの生物活性のある抗体が含まれている。生物活性抗体は、天然(非合成)、内因性、又は関連する、及び既知の抗体のものの、少なくとも20%、30%、又は40%、好ましくは少なくとも50%、60%、又は70%、最も好ましくは少なくとも80%、90%、又は95%~100%以上(限定されないが、比活性の最大10倍を含む)の比活性を有する。酵素活性及び基質特異性のアッセイ及び定量測定の方法は、当業者にとって周知である。
【0116】
別の態様では、本発明は、有機部分の共有結合により修飾される、本明細書に記載されるヒト抗体及び抗原結合フラグメントに関する。かかる修飾は、改善された薬物動態特性(例えば、増大した、インビボでの血清半減期)をもつ抗体又は抗原結合フラグメントを産生することができる。有機部分は、直鎖又は分枝鎖親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル基であることができる。特定の実施形態では、親水性ポリマー基は、分子量が約800~約120,000ダルトンの分子量を有することができ、かつポリアルカングリコール(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG))、炭水化物ポリマー、アミノ酸ポリマー又はポリビニルピロリドンにすることができ、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基は、約8~約40の炭素原子を含むことができる。
【0117】
修飾された抗体及び抗原結合フラグメントは、抗体に直接的又は間接的に共有結合される、1つ以上の有機部分を含み得る。本発明の抗体又は抗原結合フラグメントに結合される各有機部分は、独立して、親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル基であり得る。本明細書で使用するとき、「脂肪酸」という用語は、モノカルボン酸及びジカルボン酸を含む。本明細書で使用するとき、「親水性ポリマー基」という用語は、オクタンよりも水に対する溶解度が高い有機ポリマーを意味する。例えば、ポリリシンは、オクタンよりも水に対する溶解度が高い。よって、ポリリシンの共有結合により修飾された抗体は、本発明に包含される。本発明の抗体を修飾する好適な親水性ポリマーは、直線状又は分岐状であり得、例えば、ポリアルカングリコール(例えば、PEG、モノメトキシ-ポリエチレングリコール(mPEG)、PPGなど)、炭水化物(例えば、デキストラン、セルロース、オリゴ糖、多糖など)、親水性アミノ酸のポリマー(例えば、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリアスパラギン酸など)、ポリアルカンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)、及びポリビニルピロリドンを含む。好ましくは、本発明の抗体を修飾する親水性ポリマーは、個別の分子体として、約800~約150,000ダルトンの分子量を有する。例えば、PEG5000及びPEG20,000を使用することができる。下付き文字は、ポリマーの平均分子量(ダルトン)である。親水性ポリマー基は、1~約6個のアルキル基、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基で置換することができる。脂肪酸又は脂肪酸エステル基で置換される親水性ポリマー類は、好適な方法を利用することによって調製することができる。例えば、アミン基を含むポリマーを、脂肪酸又は脂肪酸エステルのカルボン酸塩に連結させることができ、脂肪酸又は脂肪酸エステル上の活性化カルボン酸塩(例えば、N,N-カルボニルジイミダゾールで活性化されている)をポリマー上のヒドロキシル基に連結させることができる。
【0118】
本発明の抗体を修飾するために好適な脂肪酸及び脂肪酸エステルは、飽和されてもよいし、又は1つ以上の不飽和単位を含有してもよい。本発明の抗体を修飾するために適切な脂肪酸としては、例えば、n-ドデカン酸(C12、ラウリン酸)、n-テトラデカン酸(C14、ミリスチン酸)、n-オクタデカン酸(C18、ステアリン酸)、n-エイコサン酸(C20、アラキジン酸)、n-ドコサン酸(C22、ベヘン酸)、n-トリアコンタン酸(C30)、n-テトラコンタン酸(C40)、シス-Δ9-オクタデカン酸(C18、オレイン酸)、全てのシス-Δ5,8,11,14-エイコサテトラエン酸(C20、アラキドン酸)、オクタンジオン酸、テトラデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、ドコサンジオン酸などが挙げられる。好適な脂肪酸エステルは、直鎖又は分枝鎖の低級アルキル基を含む、ジカルボン酸のモノエステルを含む。低級アルキル基は、1~約12個、好ましくは1~約6個の炭素原子を含んでもよい。
【0119】
修飾ヒト抗体及び抗原結合フラグメントは、1つ以上の修飾剤と反応させるなど、好適な方法を使用して調製することができる。本明細書で使用されるとき、用語「修飾剤」は、活性化基を含む好適な有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)を意味する。「活性化基」とは、適切な条件下で第2の化学基と反応し、これにより修飾剤と第2の化学基との間に共有結合を形成することのできる、化学部分又は官能基である。例えば、アミン反応性活性化基としては、トシル酸、メシル酸、ハロ(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)などの求電子基、N-ヒドロキシスクシニミジルエステル(N-hydroxysuccinimidyl esters、NHS)などが挙げられる。チオール類と反応可能な活性化基としては、例えば、マレイミド、ヨードアセチル、アクリロリル、ピリジルジスルフィド、5-チオール-2-ニトロ安息香酸チオール(TNB-チオール)などが挙げられる。アルデヒド官能基は、アミン-又はヒドラジド-含有分子と連結することができ、及び、アジド基は、三価リン基と反応してホスホルアミデート又はホスホルイミド結合を形成することができる。分子中に活性基を導入するための好適な方法が、当該技術分野において既知である(例えば、Hermanson,G.T.、Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)参照)。活性化基は、有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)に直接的に、又はリンカー部分(例えば、二価のC1~C12基、ここで1つ以上の炭素原子は酸素、窒素又は硫黄などのヘテロ原子に置換できる)を介して、結合することができる。適切なリンカー部分としては例えば、テトラエチレングリコール、-(CH2)3-、-NH-(CH2)6-NH-、-(CH2)2-NH-及び-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH-NH-が挙げられる。リンカー部分を含む修飾剤は、例えば1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の存在下で、モノ-Boc-アルキルジアミン(例えば、モノ-Boc-エチレンジアミン、モノ-Boc-ジアミノへキサン)を脂肪酸と反応させることにより、遊離アミンと脂肪酸カルボキシレートとの間のアミド結合を形成することによって生成可能である。Boc保護基を、トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid、TFA)処理により生成物から除去し、記載されているように別のカルボン酸塩に連結し得る一級アミンを露出させることができ、又はこれを無水マレイン酸と反応させ、得られた生成物を環化させて脂肪酸の活性化マレイミド誘導体を生成することができる。(例えば、国際公開第92/16221号(Thompsonら)を参照されたく、参照によりこの教示の全体が本明細書に組み込まれる)。
【0120】
修飾された抗体は、ヒト抗体又は抗原結合フラグメントを修飾剤と反応させることによって産生することができる。例えば、有機部分は、アミン反応性修飾剤、例えば、PEGのNHSエステルを利用して、部位特異的なものではない方法で抗体に結合させることができる。抗体又は抗原結合フラグメントのジスルフィド結合(例えば鎖内ジスルフィド結合)を還元することによって、修飾されたヒト抗体又は抗原結合フラグメントを調製することもできる。このとき、還元された抗体又は抗原結合フラグメントをチオール反応性修飾剤と反応させて、本発明の修飾された抗体を産生することが可能である。本発明の抗体の特定の部位に結合される有機部分を含む修飾されたヒト抗体及び抗原結合フラグメントは、逆タンパク質分解など(Fischら,Bioconjugate Chem.,3:147-153(1992)、Werlenら,Bioconjugate Chem.,5:411-417(1994)、Kumaranら,Protein Sci.6(10):2233-2241(1997);Itohら,24(1):59-68(1996)、Capellasら,Biotechnol.Bioeng.,56(4):456-463(1997))の適切な方法、及びHermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)に記載される方法などを使用して調製することができる。
【0121】
本発明の方法はまた、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知であるように、非自然発生組成物、混合物、又は形態で提供される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ以上のその抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を含む、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物も使用する。かかる組成物は、上記配列番号の隣接アミノ酸の70~100%、又はその特定されるフラグメント、ドメイン、若しくは変異体からなる群から選択される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体のアミノ酸配列の、少なくとも1つ又は2つの完全長、C及び/若しくはN末端欠失変異体、ドメイン、フラグメント、又は特定された変異体を含む非自然発生組成物を含む。好ましい抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、例えば、上記配列番号の70~100%の、本明細書に記載される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体配列、又はその特定されたフラグメント、ドメイン、若しくは変異体の、少なくとも1つのCDR又はLBP含有部分として、少なくとも1つ又は2つの完全長、フラグメント、ドメイン、又は変異体を含む。更に好ましい組成物は、例えば、上記配列番号などの70~100%、又はその特定されたフラグメント、ドメイン、若しくは変異体のうちの少なくとも1つを40~99%含む。かかる組成物の百分率は、当該技術分野において既知であるように、又は本明細書に記載されるように、重量、容量、濃度、モル濃度、あるいは液体若しくは無水溶液(dry solution)、混合物、懸濁液、エマルション、粒子、粉末、又はコロイドとしてのモル濃度によるものである。
【0122】
更なる治療活性成分を含む抗体組成物
本発明の方法に使用される抗体組成物は、任意に更に、抗感染症薬、心血管(cardiovascular、CV)系作用薬、中枢神経系(central nervous system、CNS)薬、自律神経系(autonomic nervous system、ANS)薬、呼吸器薬、消化(gastrointestinal、GI)管作用薬、ホルモン薬、体液又は電解質平衡薬、血液作用薬、抗腫瘍薬、免疫調節薬、眼、耳又は鼻用薬、局所作用薬、栄養薬などのうち、少なくとも1つから選択される、少なくとも1つの化合物又はタンパク質を有効量含むことができる。かかる薬品は、本明細書に示されるそれぞれの製剤、適応症、投与量、及び投与を含めて、当該技術分野ではよく知られている(例えば、Nursing 2001 Handbook of Drugs,21st edition,Springhouse Corp.,Springhouse,PA,2001、Health Professional’s Drug Guide 2001,ed.,Shannon,Wilson,Stang,Prentice-Hall,Inc,Upper Saddle River,NJ、Pharmacotherapy Handbook,Wellsら,Appleton & Lange,Stamford,CTを参照されたく、各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。
【0123】
本発明の方法の抗体と組み合わせることができる薬品の例として、抗感染薬は、殺アメーバ薬又は少なくとも1種の抗原虫薬、駆虫薬、抗真菌薬、抗マラリア薬、抗結核薬又は少なくとも1種の抗らい菌薬、アミノグリコシド、ペニシリン、セファロスポリン、テトラサイクリン、スルホンアミド、フルオロキノロン、抗ウイルス薬、マクロライド抗感染薬、及び種々の抗感染薬から選択される少なくとも1種であり得る。ホルモン薬は、コルチコステロイド、アンドロゲン、又は少なくとも1種のアナボリックステロイド、エストロゲン、又は少なくとも1種のプロゲスチン、ゴナドトロピン、抗糖尿病薬、又は少なくとも1種のグルカゴン、甲状腺ホルモン、甲状腺ホルモン拮抗薬、下垂体ホルモン、及び副甲状腺様薬から選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種のセファロスポリンは、セファクロル、セファドロキシル、セファゾリンナトリウム、セフジニル、塩酸セフェピム、セフィキシム、セフメタゾールナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォタキシムナトリウム、セフォテタン二ナトリウム、セフォキシチンナトリウム、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシムナトリウム、セフトリアキソンナトリウム、セフロキシムアキセチル、セフロキシムナトリウム、塩酸セファレキシン、セファレキシン一水和物、セフラジン、及びロラカルベフから選択される少なくとも1種であり得る。
【0124】
少なくとも1種のコルチコステロイドは、ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾン又はリン酸ベタメタゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸コルチゾン、デキサメサゾン、酢酸デキサメサゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、酢酸フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、及び酢酸トリアムシノロンから選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種のアンドロゲン又はタンパク質同化ステロイドは、ダナゾール、フルオキシメステロン、メチルテストステロン、デカン酸ナンドロロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、テストステロン、シピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、プロピオン酸テストステロン、及びテストステロン経皮系から選択される少なくとも1種であり得る。
【0125】
少なくとも1種の免疫抑制剤は、アザチオプリン、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ、リンパ球免疫グロブリン、ムロモナブ-CD3、ミコフェノール酸モフェチル、塩酸ミコフェノール酸モフェチル、シロリムス、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミゾリビン、及びタクロリムスから選択される少なくとも1種であり得る。
【0126】
少なくとも1種の局所抗感染薬は、アシクロビル、アンホテリシンB、アゼライン酸クリーム、バシトラシン、硝酸ブトコナゾール、リン酸クリンダマイシン、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、エリスロマイシン、硫酸ゲンタマイシン、ケトコナゾール、酢酸マフェニド、メトロニダゾール(局所)、硝酸ミコナゾール、ムピロシン、塩酸ナフチフィン、硫酸ネオマイシン、ニトロフラゾン、ナイスタチン、スルファジアジン銀、塩酸テルビナフィン、テルコナゾール、塩酸テトラサイクリン、チオコナゾール、及びトルナフテートから選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種の疥癬殺虫剤若しくは殺シラミ薬は、クロタミトン、リンデン、ペルメトリン、及びピレトリンから選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種の局所コルチコステロイドは、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメサゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、二酢酸ジフロラゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ハルシノニド(halcionide)、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、フロ酸モメタゾン、及びトリアムシノロンアセトニドから選択される少なくとも1種であり得る。(例えば、Nursing 2001 Drug Handbookの1098~1136ページを参照されたい。)
【0127】
具体的には、本発明の方法で使用される抗体組成物は、乾癬治療に有用な有効量の少なくとも1つの薬品を更に含むことができる。薬品は、局所剤、非生物学的全身系薬物、及び生物学的薬物からなる群から選択される乾癬治療のうちの1つである。局所乾癬治療としては、局所コルチコステロイド、ビタミンD類似体、アントラリン、局所用レチノイド、カルシニューリン阻害剤、サリチル酸、コールタール、及び保湿剤が挙げられるが、これらに限定されない。非生物学的全身性薬剤としては、レチノイド、メトトレキサート、シクロスポリン、アクリトレチン、アピミスト、及びトファシチニブが挙げられるが、これらに限定されない。生物学的薬剤としては、エタネルセプト(Enbrel)、インフリキシマブ(Remicade)、アダリムマブ(Humira)、ゴリムマブ(Simponi)、セクキヌマブ(Cosentyx)及びイキセキズマブ(Taltz)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、かかる調節、処置、又は治療を必要とする細胞、組織、器官、動物、又は被験者に接触されるか又は投与される少なくとも1つの抗IL-12/23p40又はIL-23抗体を含み、場合により更に、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、限定されないが、TNF化学若しくはタンパク質拮抗薬、TNFモノクローナル若しくはポリクローナル抗体又はフラグメント、可溶性TNF受容体(例えば、p55、p70、又はp85)又はフラグメント、その融合ポリペプチド、又は小分子TNF拮抗薬、例えば、TNF結合タンパク質I若しくはII(TBP-1又はTBP-II)、ネレリモンマブ(nerelimonmab)、インフリキシマブ、エタナセプト(eternacept)、CDP-571、CDP-870、アフェリモマブ、レネルセプトなど)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、ヒドロキシクロロキン硫酸塩、レフルノミド、スルファサラジン)、免疫化、免疫グロブリン、免疫抑制薬(例えば、アザチオプリン、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、サイトカイン又はサイトカイン拮抗薬から選択される少なくとも1種を含む、任意の好適かつ有効な量の組成物又は医薬組成物のうちの少なくとも1つを更に含むことができる。かかるサイトカインの非制限的な例としては、IL-1~IL-23など(例えば、IL-1、IL-2等)のいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。好適な投与量は、当該技術分野において周知である。例えば、Wellsら,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,CT(2000)、PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000)を参照されたく、これらの各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0129】
本発明の方法に使用される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体化合物、組成物、又は混合物は更に、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝剤、塩、親油性溶媒、保存剤、アジュバントなどであるがこれらに限定されない、任意の好適な助剤のうちの少なくとも1つを含み得る。薬学的に許容される助剤が好ましい。かかる滅菌溶液を調製する方法及びその非限定例は、当該技術分野において周知であり、例えば、Gennaro,Ed.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Co.(Easton,PA),1990が挙げられるが、これに限定されない。当該技術分野において周知である、又は本明細書に記載されるように、抗IL-12/IL-23p40、フラグメント、又は変異体組成物の投与方法、溶解度、及び/又は安定性に好適な医薬的に許容される担体を、日常的に選択することができる。
【0130】
本組成物において有用な薬学的賦形剤及び添加剤は、これらに限定されないが、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質及び炭水化物(例えば、単糖類、二糖、三糖、四糖、及びオリゴ糖を含む糖類、アルジトール、アルドン酸、エステル化糖などの誘導体化糖、並びに多糖類又は糖ポリマー)を含み、これらは、単独で又は組み合わせて存在してもよく、単独で又は組み合わせて1~99.99重量%又は容量%含まれる。例示的なタンパク質賦形剤には、ヒト血清アルブミン(human serum albumin、HSA)などの血清アルブミン、組換えヒトアルブミン(recombinant human albumin、rHA)、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。緩衝能においても機能し得る代表的なアミノ酸/抗体構成要素には、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテームなどが挙げられる。好ましいアミノ酸の1つはグリシンである。
【0131】
本発明で使用するのに好適な炭水化物賦形剤としては、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなどの単糖類、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖類、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン類などの多糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、ミオイノシトールなどのアルジトールが挙げられる。本発明で使用するのに好ましい炭水化物賦形剤は、マンニトール、トレハロース、及びラフィノースである。
【0132】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、緩衝剤又はpH調整剤も含み得、典型的には、緩衝剤は、有機酸又は塩基から調製される塩である。代表的な緩衝剤としては、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、又はフタル酸の塩などの有機酸塩、トリス、トロメタミン塩酸塩、又はリン酸緩衝剤が挙げられる。本組成物で使用するのに好ましい緩衝剤は、クエン酸などの有機酸塩である。
【0133】
更に、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、ポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマー糖)、デキストレート(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、着香剤、抗菌剤、甘味料、抗酸化剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN20」及び「TWEEN80」などのポリソルベート)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)、及びキレート剤(例えば、EDTA)などのポリマー賦形剤/添加剤を含み得る。
【0134】
本発明にかかる抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体、部分又は変異体組成物における使用に好適なこれら及び追加の既知の薬学的賦形剤及び/又は添加剤は、当該技術分野において既知であり、例えば、「Remington:The Science & Practice of Pharmacy」、19th ed.,Williams & Williams,(1995)、及び「Physician’s Desk Reference」、52nd ed,Medical Economics,Montvale,NJ(1998)に列挙されており、これらの開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。好ましい担体又は賦形剤材料は、炭水化物(例えば単糖類及びアルジトール)及び緩衝剤(例えばクエン酸)又はポリマー剤である。例示的な担体分子はムコ多糖、ヒアルロン酸であり、これらは関節内送達に有用であり得る。
【0135】
製剤
上述の通り、本発明は、好ましくは、生理食塩水又は選択された塩を含むリン酸緩衝剤を含む安定した製剤、並びに保存剤を含有する保存溶液及び製剤、並びに薬学的に許容できる製剤中に少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を含む薬学的又は獣医学的用途に好適な多用途保存製剤を提供する。保存製剤は、水性希釈剤中に、少なくとも1つの既知の、すなわち少なくとも1つのフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば、六水和物)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール、又はそれらの混合物からなる群から任意選択的に選択される保存剤を含有する。当該技術分野において既知であるように、0.001~5%、又は0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、又はその中の任意の範囲若しくは値などであるがこれらに限定されない、その中の任意の範囲若しくは値の、任意の好適な濃度又は混合物が使用され得る。非限定的な例としては、保存剤無添加、0.1~2%m-クレゾール(例えば、0.2、0.3.0.4、0.5、0.9、1.0%)、0.1~3%のベンジルアルコール(例えば、0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%)、0.001~0.5%のチメロサール(例えば、0.005、0.01)、0.001~2.0%のフェノール(例えば、0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005~1.0%のアルキルパラベン(複数可)(例えば、0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9、1.0%)などが挙げられる。
【0136】
上述の通り、本発明の方法は、包装材と、任意選択的に水性希釈剤中に処方された緩衝剤及び/又は保存剤を有する少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体の溶液を含む少なくとも1つのバイアルと、を含む製品を使用し、当該包装材は、かかる溶液を1、2、3、4、5、6、9、12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、66、72時間以上の期間にわたり保持することができることを記すラベルを含む。本発明は、包装材と、凍結乾燥された抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を含む第1のバイアルと、処方された緩衝剤又は保存剤の水性希釈剤を含む第2のバイアルと、を含む製品を更に使用し、当該包装材は、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を水性希釈剤でもどして、24時間以上にわたって保持することができる溶液を形成するように被験者に指示するラベルを含む。
【0137】
本発明に従って使用される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において既知のように、哺乳類細胞又はトランスジェニック製剤からといった組換え手段により産生され得るか、又は他の生物源から精製され得る。
【0138】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体の範囲は、湿式/乾式系の場合、再構成するときに約1.0μg/mL~約1000mg/mLの濃度が得られる量で含まれるが、より低い濃度及び高い濃度でも作業可能であり、意図される送達ビヒクルに依存し、例えば溶液製剤では、経皮パッチ、肺、経粘膜、又は浸透圧性若しくはマイクロポンプ方法とは異なる。
【0139】
好ましくは、水性希釈剤は任意選択的に、薬学的に許容できる保存剤を更に含む。好ましい保存剤には、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及びチメロサール又はそれらの混合物からなる群から選択されるものが含まれる。製剤中で使用される保存剤の濃度は、抗菌効果を生み出すのに十分な濃度である。かかる濃度は選択された保存剤によって異なり、当業者により容易に決定される。
【0140】
他の賦形剤、例えば、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、及び保存剤エンハンサは、任意選択的にかつ好ましくは希釈剤に添加することができる。グリセリンなどの等張剤が、既知の濃度で一般に使用される。好ましくは、生理学的に耐性の緩衝剤を添加して、改善されたpH制御を提供する。製剤は、約pH4~約pH10、及び好ましくは約pH5~約pH9の範囲、及び最も好ましくは約6.0~約8.0の範囲などの、広範囲のpH範囲を被験者にすることができる。好ましくは、本発明の製剤は、約5.5~約6.5のpHを有する。例示的な緩衝剤としては、リン酸ナトリウムなどのリン酸塩緩衝剤、具体的にはリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。
【0141】
他の添加剤、例えばTween20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、Tween40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、Tween80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、Pluronic F68(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー)、及びPEG(ポリエチレングリコール)などの、薬学的に許容できる可溶化剤、又はポリソルベート20若しくは80又はポロキサマー184若しくは188、Pluronic(登録商標)polylsなどの非イオン性界面活性剤、他のブロックコポリマー、並びにEDTA及びEGTAなどのキレート剤を製剤又は組成物に任意選択的に添加することで、凝集を低減させることができる。これらの添加物は、製剤を投与するためにポンプ又はプラスチック容器が使用される場合に特に有用である。薬学的に許容できる界面活性剤の存在により、タンパク質が凝集する傾向が軽減される。
【0142】
製剤は、少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体と、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール又はこれらの混合物からなる群から選択される保存剤と、を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスにより調製することができる。少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体と保存剤との水性希釈剤中での混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、緩衝溶液中の一定量の少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を、所望の濃度のタンパク質及び保存剤を提供するのに十分な量の緩衝溶液中で所望の保存剤と組み合わせる。このプロセスの変化形態は、当業者によって認識されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0143】
製剤は、透明な溶液として、又は水、保存剤及び/若しくは賦形剤、好ましくはリン酸塩緩衝剤及び/若しくは生理食塩水、並びに選択された塩を水性希釈剤中に含有する第2のバイアルでもどされる、凍結乾燥された抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体のバイアルを含む併用バイアル(dual vial)として被験者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とする併用バイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の被験者治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な治療レジメンを提供することができる。
【0144】
本製品は、即時から24時間以上の範囲の期間にわたる投与に有用である。したがって、本発明により特許請求される製品は、被験者に大きな利益を提供する。本発明の処方は、約2℃~約40℃の温度で所望により安全に保管し、長期間タンパク質の生物学的活性を保持することができ、したがって包装ラベルには、溶液が6、12、18、24、36、48、72、又は96時間以上にわたって保存及び/又は使用できることを示すことができる。保存されている希釈剤を使用する場合には、かかるラベルに最高1~12ヶ月、半年、1年半及び/又は2年までの使用を含むことができる。
【0145】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体の溶液は、少なくとも1つの抗体を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスにより調製することができる。混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な希釈剤を調製するために、例えば、水又は緩衝剤中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質、及び任意選択的に保存剤又は緩衝剤を提供するのに十分な量で組み合わせる。このプロセスの変化形態は、当業者によって認識されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0146】
本発明に有用な製品は、透明な溶液として、又は水性希釈剤を含む第2のバイアルを用いて再構成された凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40若しくはIL-23特異的抗体のバイアルを含む併用バイアルとして、被験者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とする併用バイアルは、いずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の被験者治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な治療レジメンを提供する。
【0147】
製品は、薬局、診療所、又は他のそのような機関及び施設に、水性希釈剤を含む第2のバイアルを用いて再構成された、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40若しくはIL-23特異的抗体のバイアルを含む透明な溶液又は併用バイアルを提供することによって、被験者に間接的に提供することができる。この場合の透明溶液は最高1リットル又は更にはそれを超える容量であってもよく、この大きな容器からより少量の少なくとも1つの抗体溶液を1回又は複数回取り出してより小さなバイアルに移し、かつ薬局又は診療所により顧客及び/又は被験者に提供できる。
【0148】
単一バイアル系を含む承認済みデバイスとしては、例えば、Becton Dickensen(Franklin Lakes,NJ,www.bectondickenson.com)、Disetronic(Burgdorf,Switzerland,www.disetronic.com、Bioject,Portland,Oregon(www.bioject.com)、National Medical Products,Weston Medical(Peterborough,UK,www.weston-medical.com)、Medi-Ject Corp(Minneapolis,MN,www.mediject.com)が製造又は開発した、BD Pens,BD Autojector(登録商標),Humaject(登録商標),NovoPen(登録商標),B-D(登録商標)Pen,AutoPen(登録商標),and OptiPen(登録商標),GenotropinPen(登録商標),Genotronorm Pen(登録商標),Humatro Pen(登録商標),Reco-Pen(登録商標),Roferon Pen(登録商標),Biojector(登録商標),Iject(登録商標),J-tip Needle-Free Injector(登録商標),Intraject(登録商標),Medi-Ject(登録商標),Smartject(登録商標)などの、溶液送達用のペン型インジェクタデバイス、及び類似の適切なデバイスが挙げられる。併用バイアルシステムを含む承認済みデバイスとしては、HumatroPen(登録商標)などの、溶解した溶液を送達するためのカートリッジ内で凍結乾燥された薬品を溶解させるためのペン型注射器システムが挙げられる。好適な他のデバイスの例としては、予め充填された注射器、自動注射器、針なし注射器、及び針なしIV注入セットが挙げられる。
【0149】
製品は、包装材を含み得る。包装材は、規制当局によって必要とされる情報に加えて、製品を使用することができる条件を提供する。本発明の包装材は、該当する場合、少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を水性希釈剤でもどして溶液を形成し、2~24時間以上の期間にわたって、この溶液を湿式/乾式の2つのバイアル製品に使用する、という指示を被験者に提供する。単一バイアルの溶液製品、予め充填された注射器、又は自動注射器の場合、ラベルは、かかる溶液が2~24時間以上の期間にわたって使用することができることを示す。製品は、ヒト用医薬製品用途に有用である。
【0150】
本発明の方法に使用される製剤は、抗IL-12/IL-23p40及び選択された緩衝剤、好ましくは生理食塩水又は選択された塩を含有するリン酸塩緩衝剤を混合することを含むプロセスにより調製することができる。抗IL-12/IL-23p40抗体と緩衝剤との水性希釈剤中での混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、水又は緩衝剤中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質及び緩衝剤を提供するのに十分な量の水中で所望の緩衝剤と組み合わせる。このプロセスの変化形態は、当業者によって認識されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0151】
本発明の方法は、ヒト又は動物の被験者に投与するのに有用かつ許容できる様々な製剤を含む医薬組成物を使用する。かかる医薬組成物は、希釈剤として「標準状態」の水、及び当業者に周知の日常的な方法を使用して調製される。例えば、ヒスチジン及びヒスチジン一塩酸塩水和物などの緩衝構成要素が最初に提供され、続いて適切な非最終容量の「標準状態」の水希釈剤、スクロース、及びポリソルベート80が添加され得る。次いで、単離された抗体を添加することができる。最後に、水を希釈剤として使用する「標準状態」条件の下で、医薬組成物の容量を所望の最終容量に調整する。当業者は、医薬組成物の調製に好適ないくつかの他の方法を認識する。
【0152】
医薬組成物は、水の容量単位当たりの示される質量の各構成成分を含むか、又は「標準状態」の示されるpHを有する水溶液又は懸濁液であり得る。本明細書で使用するとき、「標準状態」という用語は、25℃±2℃の温度及び1気圧の圧力を意味する。用語「標準状態」は、当技術分野で認識されている単一の温度又は圧力のセットを指すのに使用されるものではなく、代わりに、基準となる「標準状態」条件の下で特定の組成物を有する溶液又は懸濁液を記述するために使用される温度及び圧力を指定する基準状態を意味する。これは、溶液の容量が一部温度及び圧力の関数であるためである。当業者は、本明細書に開示されるものと同等の医薬組成物が他の温度及び圧力で製造され得ることを認識するであろう。かかる医薬組成物が本明細書に開示されるものと同等であるかは、上記に定義された「標準状態」条件下(例えば、25℃±2℃及び1気圧の圧力)で決定されるべきである。
【0153】
重要なことに、かかる医薬組成物は、医薬組成物の単位容積当たり「約」ある特定の値(例えば、「約0.53mgのL-ヒスチジン」)の構成要素質量を含有するか、又は約ある特定の値のpH値を有し得る。医薬組成物中に存在する構成要素質量又はpH値は、単離された抗体が医薬組成物に存在するか、又は単離された抗体が医薬組成物から除去された後(例えば、希釈により)に、医薬組成物中に存在する単離された抗体がペプチド鎖に結合することができる場合の、「約」所与の数値である。つまり、構成要素の質量値又はpH値などの値は、単離された抗体を医薬組成物中に入れた後に単離された抗体の結合活性が維持され、検出可能であるときの、「約」所与の数値である。
【0154】
競合結合解析を行って、IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的mAbが類似の若しくは異なるエピトープに結合し、かつ/又は互いに競合するかを決定する。ELISAプレート上にAbを個々にコーティングする。競合するmAbを添加し、続いてビオチン化hrIL-12又はIL-23を添加する。陽性対照には、コーティングに同じmAbを競合mAb(「自己競合」)として使用され得る。IL-12/IL-23p40又はIL-23結合は、ストレプトアビジンを使用して検出される。これらの結果は、mAbがIL-12/IL-23p40又はIL-23上の類似の又は部分的に重複するエピトープを認識するかどうかを示す。
【0155】
医薬組成物の一実施形態では、単離された抗体濃度は、医薬組成物のmL当たり約77mg~約104mgである。例えば、本発明に有用な医薬組成物は、a重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む抗IL-12/IL-23p40抗体の約77mg/mL、80mg/mL、85mg/mL、90mg/mL、95mg/mL、100mg/mL、104mg/mL、又はその間の任意の濃度を含むことができ、重鎖可変領域は、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む。
【0156】
別の実施形態では、医薬組成物は、約5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5又はそれらの間の任意の値などの、約5.5~約6.5のpHを有する。
【0157】
安定又は保存製剤は、透明な溶液として、又は水性希釈剤中に保存剤若しくは緩衝剤及び賦形剤を含有する第2のバイアルでもどされる、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40のバイアルを含む併用バイアルとして、患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とする併用バイアルは、いずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の患者治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な治療レジメンを提供する。
【0158】
抗IL-12/IL-23p40抗体を安定化するその他の処方又は方法は、抗体を含む凍結乾燥粉末の透明溶液以外のものであってよい。非透明溶液としては、微粒子懸濁液を含む処方があり、このような微粒子は、ミクロスフェア、微小粒子、ナノ粒子、ナノスフェア、又はリポソームとして様々に知られる種々の大きさの構造内に、抗IL-12/IL-23p40抗体を含有する組成物である。活性薬剤を含有するかかる比較的均質な本質的に球状の微粒子製剤は、米国特許第4,589,330号に教示される通り、活性薬剤及びポリマーを含有する水相と非水相とを接触させ、次いで非水相を蒸発させて水相からの粒子の合体を引き起こすことにより形成することができる。多孔性微小粒子は、米国特許第4,818,542号に教示される通り、連続溶媒中に分散された活性薬剤とポリマーとを含有する第1相を使用し、凍結乾燥又は希釈-抽出-沈殿により懸濁液からこの溶媒を除去することで調製することができる。こうした調製に好ましいポリマーは、ゼラチン寒天、デンプン、アラビノガラクタン、アルブミン、コラーゲン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド-L(-)ラクチドポリ(エプシロン-カプロラクトン、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-乳酸)、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-グリコール酸)、ポリ(β-ヒドロキシ酪酸)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン、ポリ(アルキル-2-シアノアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリアミド、ポリ(アミノ酸)、ポリ(2-ヒドロキシエチルDL-アスパルトアミド)、ポリ(エステル尿素)、ポリ(L-フェニルアラニン/エチレングリコール/1,6-ジイソシアナトヘキサン)及びポリ(メチルメタクリレート)からなる群から選択される、天然又は合成のコポリマー又はポリマーである。特に好ましいポリマーは、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド-L(-)ラクチドポリ(エプシロン-カプロラクトン)、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-乳酸)、及びポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-グリコール酸)などのポリエステルである。ポリマー及び/又は活性物質を溶解させるのに有用な溶媒としては、水、ヘキサフルオロイソプロパノール、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ベンゼン、又はヘキサフルオロアセトンセスキ水和物が挙げられる。活性物質含有相を第2相に分散させるプロセスは、ノズル内のオリフィスに上記の第1相を圧力で強制的に通して液滴形成に作用させる工程を含むことができる。
【0159】
乾燥粉末製剤は、凍結乾燥以外のプロセス、例えば、噴霧乾燥、蒸発による溶媒抽出、又は結晶性組成物の沈殿に続いて水性又は非水性溶媒を除去する1つ以上のステップを経て得ることができる。噴霧乾燥抗体製剤の調製は、米国特許第6,019,968号に教示されている。抗体ベースの乾燥粉末組成物は、抗体の溶液又はスラリーを、及び任意選択的に、呼吸用乾燥粉末を提供するための条件下で溶媒中の、賦形剤を、噴霧乾燥させることによって生産できる。溶媒には、容易に乾燥可能な、例えば水及びエタノールなどの極性化合物が挙げられ得る。抗体の安定性は、酸素不在下、例えば窒素ブランケット下において噴霧乾燥手順を実施すること、又は乾燥用気体として窒素を使用することにより増強させることができる。別の比較的乾燥した製剤は、国際公開第9916419号に教示されているような、典型的にヒドロフルオロアルカン噴射剤を含む懸濁培地中に分散した、複数の有孔微細構造の分散物である。安定化された分散物は、定量吸入器を用いて被験者の肺に投与できる。噴霧乾燥された薬物の商業的製造において有用な機器は、Buchi Ltd.又はNiro Corp.により製造されている。
【0160】
本明細書に記載される安定若しくは保存製剤又は溶液のいずれかの抗IL-12/IL-23p40は、SC若しくはIM注射、経皮、経肺、経粘膜、埋め込み、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプ又は当該技術分野において周知であり当業者により理解される他の手段などの様々な送達方法を介して、本発明により被験者に投与することができる。
【0161】
治療適用
本発明は、当技術分野において既知又は本明細書に記載のように、少なくとも1つの本発明のIL-23抗体を用いて、例えば、細胞、組織、器官、動物、又は被験者に、治療有効量のIL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体を投与又は接触させて、細胞、組織、器官、動物、又は被験者における乾癬を調節又は治療するための方法も提供する。
【0162】
本発明のいずれの方法も、かかる調節、治療、又は療法を必要としている細胞、組織、臓器、動物、又は被験者に、IL-12/IL-23p40を含む組成物又は医薬組成物を有効量で投与することを含み得る。かかる方法は、所望により、このような疾病又は疾患の処置のための同時投与又は併用療法を更に含むことができ、ここで、その少なくとも1つのIL-12/IL-23p40、特定部分又はその変異体を投与することは、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、以下に限定されないが、化学物質性若しくはタンパク質性TNF拮抗薬、TNFモノクローナル若しくはポリクローナル抗体若しくはフラグメント、可溶性TNF受容体(例えば、p55、p70又はp85)若しくはフラグメント、その融合ポリペプチド、又は低分子TNF拮抗薬、例えば、TNF結合タンパク質I又はII(TBP-1又はTBP-II)、ネレリモンマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト(Enbrel(商標))、アダリムマブ(Humira(商標))、CDP-571、CDP-870、アフェリモマブ、レネルセプトなど)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサラジン)、筋弛緩薬、麻薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(例えば、5-アミノサリチレート)、鎮痛薬、麻酔薬、鎮静薬、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌薬(例えば、アミノグリコシド、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、カルバペナム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、その他抗菌薬)、乾癬治療薬、コルチコステロイド、アナボリックステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、栄養薬、甲状腺剤、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、止瀉薬、鎮咳薬、制吐剤、抗腫瘍薬、緩下剤、抗凝固薬、エリスロポエチン(例えば、エポエチンアルファ)、フィルグラスチム(例えば、G-CSF、Neupogen)、サルグラモスチム(GM-CSF、Leukine)、免疫付与剤、免疫グロブリン、免疫抑制剤(例えば、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体調節薬、散瞳剤、毛様体筋麻痺薬、アルキル化剤、代謝拮抗薬、分裂阻害剤、放射性医薬品、抗うつ薬、抗躁薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、交感神経刺激薬、刺激薬、ドネペジル、タクリン、ぜんそく治療薬、ベータ作用薬、吸入ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリン若しくは類縁体、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme)、サイトカイン若しくはサイトカイン拮抗薬から選択される少なくとも1つを、前に、同時に、及び/又は後に、投与することを更に含む。好適な投与量は、当該技術分野において周知である。例えば、Wellsら,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,CT(2000)、PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000)、Nursing 2001 Handbook of Drugs,21st edition,Springhouse Corp.,Springhouse,PA,2001、Health Professional’s Drug Guide 2001,ed.,Shannon,Wilson,Stang,Prentice-Hall,Inc,Upper Saddle River,NJ,を参照されたく、これらの参考文献の各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0163】
治療処置
乾癬の治療は、抗IL-12/23p40組成物の有効量又は投与量を、それを必要とする被験者に投与することによって影響を行われる。投与される投与量は、特定の薬剤の薬力学的特徴並びにその投与方法及び経路、レシピエントの年齢、健康状態及び体重、症状の性質及び程度、同時処置の種類、処置頻度、並びに所望の作用などの既知の因子により異なり得る。場合によっては、望ましい治療量に達するために、反復投与、すなわち特定の監視された量又は計量された量の反復個別投与を提供することが必要となる場合があり、この場合、個別投与は、所望の1日の投与量又は効果が得られるまで繰り返される。
【0164】
治療下の被験者は、6ヶ月~12歳未満の小児患者である。好ましくは、小児患者は、約6歳、7歳、8歳、9歳、10歳、11歳、それらの間の任意の年齢、又は11歳~12歳などの、6歳~12歳未満である。より好ましくは、小児患者は、乾癬の局所治療などの乾癬の別の治療に応答しないか、又は応答性が悪い。
【0165】
それを必要とする小児患者に、中等度~重度の慢性プラーク乾癬の安全かつ効果的な治療を提供する1つの例示的なレジメンでは、体重ベースの投与量の抗IL-12/IL-23p40抗体が患者に皮下投与される。
【0166】
一実施形態では、小児患者が投与時に60kg未満の体重を有する場合、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、投与当たり約0.5mg/kg~1.0mg/kg、好ましくは0.75mg/kgの投与量で患者に皮下投与される。例えば、投与される組成物の総量は、投与当たり約0.50mg/kg、0.55mg/kg、0.60mg/kg、0.70mg/kg、0.75mg/kg、0.80mg/kg、0.90mg/kg、0.95mg/kg、1.0mg/kg、又はそれらの間の任意の投与量で、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体の標的投与量を患者に提供するように適切に調節される。
【0167】
別の実施形態では、小児患者が投与時に60kg~100kgの体重を有する場合、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、投与当たり約35mg~55mg、好ましくは約45mgの投与量で患者に皮下投与される。例えば、投与される組成物の総量は、投与当たり約35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、又はそれらの間の任意の投与量で、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体の標的投与量を患者に提供するように適切に調節される。
【0168】
別の実施形態では、小児患者が投与時に100kgを超える体重を有する場合、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、投与当たり約80mg~100mg、好ましくは90mgの投与量で、患者に皮下投与される。例えば、投与される組成物の総量は、投与当たり約80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、又はそれらの間の任意の投与量で、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体の標的投与量を患者に提供するように適切に調節される。
【0169】
抗IL-12/IL-23p40抗体の総投与量は、1日に1回、1週間に1回、2週間に1回、4週間又は1ヶ月に1回、12週間に1回、6ヶ月毎に1回など、又はそれらの任意の組み合わせで、1日、1週間、1ヶ月、6ヶ月、1年、2年又はそれ以上の期間にわたって投与することができる。各々本明細書に記載された総投与量で、抗IL-12/IL-23p40抗体の複数回の投与を、それを必要とする被験者に投与することができる。
【0170】
体内投与に好適な剤形(組成物)は、一般に、ユニット又は容器当たり約0.001ミリグラム~約500ミリグラムの活性成分を含む。
【0171】
非経口投与には、抗体は、薬学的に許容できる非経口ビヒクルと合わせて、又は別個に提供される、溶液、懸濁液、エマルション、粒子、粉末、若しくは凍結乾燥粉末として、製剤化され得る。かかるビヒクルの例は、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、及び1~10%ヒト血清アルブミンである。リポソーム及び不揮発性油などの非水性ビヒクルを使用することもできる。ビヒクル又は凍結乾燥粉末は、等張性及び化学安定性を維持する添加剤(例えば、等張性に関しては塩化ナトリウム、マンニトール;化学安定性に関しては緩衝剤及び保存剤)を含有することができる。製剤は、既知の又は好適な技術によって滅菌される。
【0172】
好適な薬学的担体は、この分野での標準的参考テキストであるRemington’s Pharmaceutical Sciences,A.Osolの最新版の中で記載されている。
【0173】
代替的投与
IL-12/IL-23p40抗体の薬学的に有効な量を投与するために、本発明に従って、多くの既知の及び開発された方式を使用することができる。本発明のIL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、担体中で、溶液、エマルション、コロイド若しくは懸濁液として、又は乾燥粉末として、吸入によるか、又は本明細書に記載される若しくは当該技術分野において既知である他の方式による投与に好適な様々なデバイス及び方法のいずれかを使用して、送達することができる。
【0174】
非経口製剤及び投与
非経口投与用製剤は、一般的な賦形剤として滅菌水又は生理食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物性油、水素化ナフタレンなどを含有してもよい。注射用の水性又は油性懸濁液は、既知の方法に従って、適切な乳化剤又は加湿剤及び懸濁剤を使用することによって調製可能である。注射剤は、例えば水溶液、無菌注射液又は溶媒中懸濁液などの非毒性の非経口投与可能な希釈剤であってもよい。使用可能なビヒクル又は溶媒としては、水、リンゲル液、等張生理食塩水などが可能であり、通常の溶媒又は懸濁溶媒としては、無菌の不揮発性油を使用することができる。これらの目的では、天然又は合成若しくは半合成の、脂肪油又は脂肪酸、天然又は合成若しくは半合成の、モノグリセリド又はジグリセリド又はトリグリセリドを含む、あらゆる種類の不揮発性油及び脂肪酸を使用することができる。非経口投与は当該技術分野において既知であり、従来の注射手段、米国特許第5,851,198号に記載されているようなガス加圧式無針注射デバイス、及び米国特許第5,839,446号に記載されているようなレーザー穿孔機デバイスが挙げられるが、これらに限定されず、これらは参照によって全体が本明細書に組み込まれる。
【0175】
代替的送達
本発明は更に、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹内、包内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑液嚢内、胸郭内、子宮内、膀胱内、病巣内、ボーラス、膣内、直腸、口腔内、舌下、鼻腔内、又は経皮手段による抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体の投与に関する。抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、非経口(皮下、筋肉内、又は静脈内)又は任意の他の投与、特に、液体溶液若しくは懸濁液の形態で使用するために、特に、クリーム及び座薬などであるがこれらに限定されない半固体形態で、膣若しくは直腸の投与における使用のために、錠剤若しくはカプセルなどであるがこれらに限定されない形態で、口腔若しくは舌下投与用に、あるいは粉末、点鼻薬若しくはエアロゾル、又はある特定の薬剤などであるがこれらに限定されない形態で、鼻腔内に、あるいは皮膚構造を改変するか、又は経皮パッチ中の薬剤濃度を増加させるかのいずれかのために、ジメチルスルホキシドなどの化学的促進剤を用いて(Jungingerら、In「Drug Permeation Enhancement」;Hsieh,D.S.,Eds.,pp.59-90(Marcel Dekker,Inc.New York 1994、参照により全体が本明細書に組み込まれる)、又はタンパク質及びペプチドを含有する製剤の皮膚への適用(国際公開第98/53847号)、又はエレクトロポレーションなどの一過性の輸送経路を作り出すための、若しくはイオントフォレシスなどの皮膚を通して荷電薬剤の移動度を増加させるための電界の適用、又は超音波導入などの超音波の適用(米国特許第4,309,989号及び同第4,767,402号)を可能にする酸化剤を用いて、ゲル、軟膏、ローション、懸濁液若しくはパッチ送達系などであるが、これらに限定されない形態で、経皮的に、調製することができる(上記の刊行物及び特許は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。
【0176】
実施形態
本発明は以下の非限定的な実施形態も提供する。
【0177】
実施形態1は、それを必要とする小児患者の乾癬、好ましくは中等度から重度の慢性プラーク乾癬を治療する方法であって、安全かつ有効な量の抗IL-12/IL-23p40抗体を被験者に投与することを含む、方法である。
【0178】
実施形態1aは、実施形態1の方法であり、抗体は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む。
【0179】
実施形態2は、実施形態1と実施形態1aのいずれか1つに記載の方法であり、抗体は、配列番号7と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。
【0180】
実施形態2aは、実施形態2の方法であり、抗体は、配列番号7と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。
【0181】
実施形態2bは、実施形態2の方法であり、抗体は、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域と、を含む。
【0182】
実施形態3は、実施形態1と実施形態1aのいずれか1つに記載の方法でり、抗体が、配列番号10と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号11と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖と、を含む。
【0183】
実施形態3aは、実施形態3に記載の方法であり、抗体は、配列番号10と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号11と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖と、を含む。
【0184】
実施形態3bは、実施形態3に記載の方法であり、抗体は、配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖と、を含む。
【0185】
実施形態4は、実施形態1~実施形態3bのいずれか1つに記載の方法であり、小児患者は約6ヶ月~6歳未満である。
【0186】
実施形態4aは、実施形態4に記載の方法であり、小児患者は、約6ヶ月齢、1歳、2歳、3歳、4歳、5歳、それらの間の任意の年齢、又は5歳~6歳である。
【0187】
実施形態4bは、実施形態1~実施形態3bのいずれか1つに記載の方法であり、小児患者は約6歳~12歳未満である。
【0188】
実施形態4cは、実施形態4bに記載の方法であり、小児患者は、約6歳、7歳、8歳、9歳、10歳、11歳、それらの間の任意の年齢、又は11歳~12歳である。
【0189】
実施形態4dは、実施形態4~実施形態4cのいずれか1つに記載の方法であり、治療前に、小児患者は、少なくとも3の医師総合評価(PGA)スコア、少なくとも12の乾癬面積及び重症度指数スコア(PASI)、及び少なくとも10%の影響を受けた体表面積(BSA)のうちの少なくとも1つによって定義される、中等度~重度の慢性プラーク乾癬を有する。
【0190】
実施形態4eは、実施形態4dに記載の方法であり、治療前に、小児患者は、少なくとも3の医師総合評価(PGA)スコア、少なくとも12の乾癬面積及び重症度指数スコア(PASI)、及び少なくとも10%の影響を受けた体表面積(BSA)のうちの少なくとも2つによって定義される、中等度~重度の慢性プラーク乾癬を有する。
【0191】
実施形態4fは、実施形態4dに記載の方法であり、治療前に、小児患者は、少なくとも3の医師総合評価(PGA)スコア、少なくとも12の乾癬面積及び重症度指数スコア(PASI)、及び少なくとも10%の影響を受けた体表面積(BSA)によって定義される、中等度~重度の慢性プラーク乾癬を有する。
【0192】
実施形態4gは、実施形態4~実施形態4fのいずれかに記載の方法であり、小児患者は、少なくとも6ヶ月間の中等度~重度の慢性プラーク乾癬を有する。
【0193】
実施形態4hは、実施形態4gに記載の方法であり、小児患者は、少なくとも6ヶ月、1、2、3、4、5年以上の間、中等度~重度の慢性プラーク乾癬を有する。
【0194】
実施形態5は、実施形態1~実施形態4hのいずれか1つに記載の方法であり、抗体は小児患者に皮下投与される。
【0195】
実施形態5aは、実施形態5に記載の方法であり、小児患者は、投与時に60kg未満の体重を有し、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、投与当たり、小児患者の体重に対し、約0.5mg/kg~1.0mg/kg、好ましくは0.75mg/kgの安全かつ有効な量で患者に皮下投与される。
【0196】
実施形態5a1は、実施形態5aに記載の方法であり、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、投与当たり、小児患者の体重に対し、約0.50mg/kg、0.55mg/kg、0.60mg/kg、0.70mg/kg、0.75mg/kg、0.80mg/kg、0.90mg/kg、0.95mg/kg、又は1.0mg/kgの安全かつ有効な量で患者に皮下投与される。
【0197】
実施形態5bは、実施形態5に記載の方法であり、小児患者は、投与時に60kg~100kgの体重を有し、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、投与当たり約35mg~55mg、好ましくは約45mgの安全かつ有効な量で患者に皮下投与される。
【0198】
実施形態5b1は、実施形態5bに記載の方法であり、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、投与当たり、約35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、又はそれらの間の任意の投与量の安全かつ有効な量で患者に皮下投与される。
【0199】
実施形態5cは、実施形態5に記載の方法であり、小児患者は、投与時に100kgを超える体重を有し、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、投与当たり約80mg~100mg、好ましくは90mgの安全かつ有効な量で患者に皮下投与される。
【0200】
実施形態5c1は、実施形態5cに記載の方法であり、IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、投与当たり、約80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、又はそれらの間の任意の投与量の安全かつ有効な量で患者に皮下投与される。
【0201】
実施形態6は、実施形態1~実施形態5c1のいずれか1つに記載の方法であり、安全かつ有効な量の抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を、2回以上小児患者に投与することを含む。
【0202】
実施形態6aは、実施形態6に記載の方法であり、0週目の初期投与の4週間目以後に、安全かつ有効な量の抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を皮下投与することを含む。
【0203】
実施形態7は、実施形態6に記載の方法であり、安全かつ有効な量の抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を、12週毎(q12w)に小児患者に皮下投与することを含む。
【0204】
実施形態7aは、実施形態7に記載の方法であり、4週後に、0週目、4週目、及び12週毎(q12w)に、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を小児患者に皮下投与することを含む。
【0205】
実施形態7bは、実施形態7に記載の方法であり、0週目、4週目、16週目、28週目、及び40週目に、小児患者に安全かつ効な量の抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を皮下投与することを含む。
【0206】
実施形態7cは、実施形態7bに記載の方法であり、40週後に、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を小児患者に皮下投与することを更に含む。
【0207】
実施形態8は、実施形態1~実施形態7cのいずれか1つに記載の方法であり、小児患者は乾癬薬又は乾癬治療にナイーブである。
【0208】
実施形態8aは、実施形態1~実施形態7cのいずれか1つに記載の方法であり、小児患者は、局所剤、光線療法、非生物学的全身性薬剤、及び生物学的薬剤からなる群から選択される少なくとも1つの療法を以前に受けていた。
【0209】
実施形態8bは、実施形態8aに記載の方法であり、小児患者は局所剤で治療されている。
【0210】
実施形態8cは、実施形態8aに記載の方法であり、小児患者は光線療法で治療されている。
【0211】
実施形態8dは、実施形態8aに記載の方法であり、小児患者は非生物学的全身性薬剤で治療されている。
【0212】
実施形態8eは、実施形態8aに記載の方法であり、小児患者は生物学的薬剤で治療されている。
【0213】
実施形態8fは、実施形態8eに記載の方法であり、小児患者は抗TNFα剤で治療されている。
【0214】
実施形態8gは、実施形態8aに記載の方法であり、小児患者は、少なくとも1つの療法に応答しないか、又は応答性が悪い。
【0215】
実施形態8hは、実施形態8gに記載の方法であり、小児患者は、少なくとも1つの療法に応答しないか、又は応答性が悪い。
【0216】
実施形態8iは、実施形態8gに記載の方法であり、小児患者は光線療法に応答しないか、又は応答性が悪い。
【0217】
実施形態8jは、実施形態8gに記載の方法であり、小児患者は、非生物学的全身性薬剤に応答しないか、又は応答性が悪い。
【0218】
実施形態8kは、実施形態8gの方法であり、小児患者は、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体ではない生物学的薬剤に応答しないか、又は応答性が悪い。
【0219】
実施形態8lは、実施形態8kに記載の方法であり、小児患者は抗TNFα剤に応答しないか、又は応答性が悪い。
【0220】
実施形態9は、実施形態1~実施形態8lのいずれか1つに記載の方法であり、皮下投与用の医薬組成物は、実施形態1aの単離された抗体、医薬組成物mL当たり約0.27~約0.80mgのL-ヒスチジン、医薬組成物mL当たり約0.69~約2.1mgのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、医薬組成物mL当たり約0.02~約0.06mgのポリソルベート80、及び医薬組成物mL当たり約65~約87mgのスクロースを含み、希釈剤は、標準状態の水である。
【0221】
実施形態9aは、実施形態9に記載の方法であり、皮下投与のための医薬組成物は、の間の任意の濃度を含む、約77mg/ml、80mg/ml、85mg/ml、90mg/ml、95mg/ml、100mg/ml、104mg/ml、又はそれらの間の任意の濃度の実施形態1aの抗IL-12/IL-23p40抗体を含む。
【0222】
実施形態9bは、実施形態9又は実施形態9aに記載の方法であり、皮下投与用の医薬組成物が、約5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5の又はそれらの間の任意の値のpHなど、約5.5~約6.5のpHを有する。
【0223】
実施形態10は、実施形態1~実施形態9bのいずれか1つに記載の方法であり、小児患者は、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体による治療に対する応答者であり、治療の52週目までに、好ましくは28週目までに、より好ましくは12週目までに、0又は1のレシピエント(PGA)スコアを有すると識別される。
【0224】
実施形態11は、実施形態1~実施形態10のいずれか1つに記載の方法であり、小児患者は、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体による治療に対する応答者であり、治療の52週目までに、好ましくは28週目までに、より好ましくは12週目までに、乾癬面積及び重症度指数スコア(PASI)75が75%減少していると識別される。
【0225】
実施形態12は、実施形態11に記載の方法であり、小児患者は、治療の52週目までに、好ましくは28週目までに、より好ましくは12週目までに、乾癬面積及び重症度指数スコア(PASI)90が90%減少していると識別される。
【0226】
実施形態13は、実施形態12に記載の方法であり、小児患者は、治療の52週目までに、好ましくは28週目までに、より好ましくは12週目までに、乾癬面積及び重症度指数スコア(PASI)100が100%減少していると識別される。
【0227】
実施形態14は、実施形態1~実施形態10のいずれか1つに記載の方法であり、小児患者は、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体による治療に対する応答者であり、治療の52週目までに、好ましくは40週目までに、より好ましくは28週目までに、より好ましくは16週目までに、最も好ましくは、12週目までに、ベースラインからの小児の皮膚科的生活の質指数(CDLQI)の変化を有すると識別される。
【0228】
実施形態15は、実施形態1~実施形態14のいずれか1つに記載の方法であり、小児患者は、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体の定常状態のトラフ血清濃度を有し、定常状態のトラフ血清濃度は、治療の52週目までに、好ましくは40週目までに、より好ましくは28週目までに達成される。
【0229】
実施形態15aは、実施形態15に記載の方法であり、定常状態のトラフ血清濃度は、治療の52週目まで維持される。
【0230】
実施形態16は、小児患者に安全かつ有効な量の抗IL-12/IL-23p40抗体を皮下投与することを含む、小児患者の中等度~重度の慢性プラーク乾癬を治療する方法であり、抗体は、(i)配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列、並びに配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、(ii)配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、又は(iii)配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖、及び配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖、を含み、安全かつ有効な量の抗IL-12/IL-23p40抗体は、
1)小児患者が投与時に60kg未満の体重を有する場合、投与当たり、小児患者の体重に対し、約0.5mg/kg~1.0mg/kg、好ましくは0.75mg/kg、
2)小児患者が投与時に60kg~100kgの体重を有する場合、投与当たり約35mg~55mg、好ましくは約45mg、又は
3)小児患者が投与時に100kgを超える体重を有する場合、投与当たり、約80mg~100mg、好ましくは90mg、である。
【0231】
実施形態16aは、実施形態16に記載の方法であり、小児患者は、投与時に60kg未満の体重を有し、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、投与当たり、小児患者の体重に対し、0.55mg/kg、0.60mg/kg、0.70mg/kg、0.75mg/kg、0.80mg/kg、0.90mg/kg、0.95mg/kg、若しくは1.0mg/kg、又はそれらの間の任意の投与量の安全かつ有効な量の約0.50mg/kgで患者に皮下投与される。
【0232】
実施形態16bは、実施形態16に記載の方法であり、小児患者は、投与時に60kg~100kgの体重を有し、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、投与当たり約35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、又はそれらの間の任意の投与量の安全かつ有効な量で、患者に皮下投与される。
【0233】
実施形態16cは、実施形態16に記載の方法であり、小児患者は、投与時に100kgを超える体重を有し、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体は、投与当たり約80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、又はそれらの間の任意の投与量の安全かつ有効な量で、患者に皮下投与される。
【0234】
実施形態17は、実施形態16~実施形態16cのいずれか1つに記載の方法であり、抗体は、配列番号7と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。
【0235】
実施形態17aは、実施形態17に記載の方法であり、抗体は、配列番号7と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。
【0236】
実施形態17bは、実施形態17に記載の方法であり、抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。
【0237】
実施形態18は、実施形態16~実施形態16cのいずれか1つに記載の方法であり、抗体は、配列番号10と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号11と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖と、を含む。
【0238】
実施形態18aは、実施形態18に記載の方法であり、抗体は、配列番号10と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号11と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖と、を含む。
【0239】
実施形態18bは、実施形態18に記載の方法であり、抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖と、を含む。
【0240】
実施形態19は、実施形態16~実施形態18bのいずれか1つに記載の方法であり、小児患者は約6ヶ月~6歳未満である。
【0241】
実施形態19aは、実施形態19に記載の方法であり、小児患者は、約6ヶ月、1歳、2歳、3歳、4歳、5歳、それらの間の任意の年齢、又は5歳~6歳である。
【0242】
実施形態19bは、実施形態16~実施形態18bのいずれか1つに記載の方法であり、小児患者は約6歳~12歳未満である。
【0243】
実施形態19cは、実施形態19bに記載の方法であり、小児患者は、約6歳、7歳、8歳、9歳、10歳、11歳、それらの間の任意の年齢、又は11歳~12歳である。
【0244】
実施形態19dは、実施形態19~実施形態19cのいずれか1つに記載の方法であり、治療前に、小児患者は、少なくとも3の医師総合評価(PGA)スコア、少なくとも12の乾癬面積及び重症度指数スコア(PASI)、及び少なくとも10%の影響を受けた体表面積(BSA)のパーセントうちの少なくとも1つによって定義される、中等度~重度の慢性プラーク乾癬を有する。
【0245】
実施形態19eは、実施形態19dに記載の方法であり、治療前に、小児患者は、少なくとも3の医師総合評価(PGA)スコア、少なくとも12の乾癬面積及び重症度指数スコア(PASI)、及び少なくとも10%の影響を受けた体表面積(BSA)のパーセントのうちの少なくとも2つによって定義される、中等度~重度の慢性プラーク乾癬を有する。
【0246】
実施形態19fは、実施形態19dに記載の方法であり、治療前に、小児患者は、少なくとも3の医師総合評価(PGA)スコア、少なくとも12の乾癬面積及び重症度指数スコア(PASI)、少なくとも10%の影響を受けた体表面積(BSA)のパーセントによって定義される、中等度~重度の慢性プラーク乾癬を有する。
【0247】
実施形態19gは、実施形態19~実施形態19fのいずれかに記載の方法であり、小児患者は、少なくとも6ヶ月間の中等度~重度の慢性プラーク乾癬を有する。
【0248】
実施形態19hは、実施形態19gに記載の方法であり、小児患者は、少なくとも6ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年以上の間、中等度~重度の慢性プラーク乾癬を有する。
【0249】
実施形態20は、実施形態16~実施形態19hのいずれか1つに記載の方法であり、小児患者は乾癬薬又は乾癬治療にナイーブである。
【0250】
実施形態20aは、実施形態16~実施形態19hのいずれか1つに記載の方法であり、小児患者は、局所剤、光線療法、非生物学的全身性薬剤、及び生物学的薬剤からなる群から選択される少なくとも1つの療法を以前に有していた。
【0251】
実施形態20bは、実施形態20aに記載の方法であり、小児患者は局所剤によって治療されている。
【0252】
実施形態20cは、実施形態20aに記載の方法であり、小児患者は光線療法によって治療されている。
【0253】
実施形態20dは、実施形態20aに記載の方法であり、小児患者は非生物学的全身性薬剤によって治療されている。
【0254】
実施形態20eは、実施形態20aに記載の方法であり、小児患者が生物学的薬剤によって治療されている。
【0255】
実施形態20fは、実施形態20eに記載の方法であり、小児患者は抗TNFα剤によって治療されている。
【0256】
実施形態20gは、実施形態20aに記載の方法であり、小児患者は、少なくとも1つの療法に応答しないか、又は応答性が悪い。
【0257】
実施形態20hは、実施形態20gに記載の方法であり、小児患者は、局所剤に応答しないか、又は応答性が悪い。
【0258】
実施形態20iは、実施形態20gに記載の方法であり、小児患者は、光線療法に応答しないか、又は応答性が悪い。
【0259】
実施形態20jは、実施形態20gに記載の方法であり、小児患者は、非生物学的全身性薬剤に応答しないか、又は応答性が悪い。
【0260】
実施形態20kは、実施形態20gに記載の方法であり、小児患者は、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体ではない生物学的薬剤に応答しないか、又は応答性が悪い。
【0261】
実施形態20lは、実施形態20kに記載の方法であり、小児患者は、抗TNFα剤に応答しないか、又は応答性が悪い。
【0262】
実施形態21は、実施形態16~実施形態20lのいずれか1つに記載の方法であり、安全かつ有効な量の医薬組成物を、小児患者に2回以上皮下投与することを含む。
【0263】
実施形態21aは、実施形態21に記載の方法であり、0週目の初回投与後に、安全かつ有効な量の薬学的組成物を小児患者に4週目以後に皮下投与することを含む。
【0264】
実施形態22は、実施形態21に記載の方法であり、安全かつ有効な量の薬学的組成物を小児患者に12週毎(q12w)に皮下投与することを含む。
【0265】
実施形態22aは、実施形態22に記載の方法であり、4週後に、0週目、4週目、及び12週毎(q12w)に、安全かつ有効な量の薬学的組成物を小児患者に皮下投与することを含む。
【0266】
実施形態22bは、実施形態22に記載の方法であり、0週目、4週目、16週目、28週目、及び40週目に、小児患者に安全かつ有効な量の医薬組成物を皮下投与することを含む。
【0267】
実施形態22cは、実施形態22bに記載の方法であり、40週後に、小児患者に安全かつ有効な量の医薬組成物を皮下投与することを更に含む。
【0268】
実施形態23は、実施形態1~実施形態22cのいずれか1つに記載の方法にかかる、小児患者の中等度~重度の慢性プラーク乾癬の治療に使用するための、安全かつ有効な量の抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を含む医薬組成物である。
【0269】
実施形態24は、実施形態23の医薬組成物を含むキットである。
【0270】
本発明を一般的に記述してきたが、上記と同様のことは、実例として提供されるが制限することを意図していない以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されるであろう。更に、本発明の詳細は、以下の非限定的実施例によって例示される。本明細書の全ての引用の開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【実施例
【0271】
実施例1:小児患者のプラーク乾癬の治療におけるウステキヌマブの試験
中等度~重度の慢性プラーク乾癬を有する6歳以上~12歳未満の年齢の小児参加者における以下の非盲検及び多施設臨床試験を実施した:第3フェーズ、非盲検、多施設試験を行い、中等度から重度の慢性プラーク乾癬を有する被験者における、ウステキヌマブ導入及び維持療法の有効性及び安全性を評価した。
【0272】
全体的な理論的根拠
中等度~重度の慢性プラーク乾癬を有する被験者における皮下(SC)投与の有効性及び安全性を評価する試験を行った。参加者は、体重ベースの投与量のウステキヌマブを0週目と4週目に皮下投与され、その後、12週毎(q12w)に40週目まで投与された。
【0273】
組み入れ基準
参加者集団は、試験薬の初回投与の前に少なくとも6ヶ月間乾癬性関節炎(PsA)を有する又は有さないプラーク型乾癬の診断を受け、12以上(>=)の乾癬面積及び重症度指数スコア(PASI)、>=3の医師総合評価(PGA)、及び>=10パーセント(%)の関与体表面領域(BSA)によって定義される中等度~重度の慢性プラーク乾癬を有する、男児及び女児から構成された。参加者は、光線療法若しくは全身治療の候補者であるか、又は局所療法による制御性が悪いと研究者によって見なされた。
【0274】
参加者の概要
合計52人の被験者をスクリーニングし、そのうち44人の被験者を登録し、少なくとも1回のウステキヌマブの注射で治療した。試験は、ベルギー、カナダ、ドイツ、ハンガリー、オランダ、ポーランド、及び米国の7つの国にわたる20個所で実施した。
【0275】
被験者の大多数は、白人(90.9%)及び男性(61.4%)であった。年齢中央値は9.5歳であり、中央ベースライン体重は33.3kgであった。乾癬の中央罹患期間は2.9年であった。ベースラインにおいて、関与する体表面領域(BSA)の中央パーセントは18.0であり、中央PASIスコアは16.1であった。更に、65.9%の被験者がPGA=3(中等度)、34.1%の被験者がPGA≧4を示し、顕著な又は重度の疾患であることがわかった。
【0276】
全体として、34.1%は以前に光線療法を受け、18.2%が以前に全身療法を受け、4.5%が以前に生物学的療法を受けていた。更に、56.8%は非生物学的全身性療法及び光線療法にナイーブであり、被験者の77.3%は以前の全ての非生物学的全身性療法及び生物学的療法にナイーブであった。
【0277】
凡例のベースライン人口構成、乾癬疾患特性、及び以前に受けた乾癬薬/療法を表1に要約する。
【0278】
【表1】
【0279】
合計で3名(6.8%)の被験者が40週目前に試験薬を中止した。これら3人の被験者のうち、2人の被験者は、PASIの受け入れ基準を満たさなかったため試験薬剤を中止し、1人の被検者は有効性の欠如ため、試験薬剤を中止した。
【0280】
試験設計
試験は、スクリーニングフェーズ(試験薬投与前10週間まで)、治療期間(0週目~52週目)、安全性追跡(56週目)からなる。参加者には、体重ベースの投与量のウステキヌマブを0週目と4週目に皮下投与し、その後12週毎(q12w)に投与し、40週目に最終投与を行った。長期延長試験(LTE)に参加した適格者は、56週目~264週目に、q12wで体重ベースのウステキヌマブの投与量を継続した。図1に、試験デザインの図を示す。
【0281】
投与量及び投与
ウステキヌマブの標準投与量の投与段階は、各訪問時の体重による。
【0282】
【表2】
【0283】
目的
主要有効性分析は、試験中にウステキヌマブの注射を少なくとも1回受けた、登録され治療を受けた全ての被験者に基づいて行われた。これは、全分析セットとも呼ばれる。全分析セットを、全ての主要及び主二次有効性エンドポイントに使用した。
【0284】
この試験の主要目的は、中等度~重度の慢性プラーク乾癬を有する≧6~<12歳の年齢の小児患者におけるウステキヌマブの有効性及び安全性を評価することである。主要効率エンドポイントは、12週目におけるクリア(0)又は最小(1)の医師総合評価(PGA)である。
【0285】
PGAは、所与の時点で参加者の乾癬病変を全体的に判断するの使用される。全体的な病変は、0=斑隆起の証拠なし~5=重度の斑隆起の範囲の硬結スケール、0=紅斑の証拠なし、色素沈着の可能性あり~5=くすんだ色から深紅の色調の範囲の紅斑スケール、0=鱗屑の証拠なし~5=重度、非常に厚い強粘着性の鱗屑が優勢の範囲の鱗屑スケールで評価される。3つのスケールの合計を3で割り、四捨五入して最終的なPGAスコア(合計スコア=0~5)を得る。
【0286】
本試験の二次的目的は、(1)血清ウステキヌマブ濃度を経時的に評価すること、(2)12週目のPASI 75応答率(すなわち、(>=75)パーセント(%)以上の乾癬領域及び重症度指数スコア(PASI)を達成する参加者の割合)を評価すること、(3)12週目のPASI 90応答率を評価すること、及び(4)12週目のベースラインからの小児の皮膚病理学的生活指標(CDLQI)の変化を評価すること、を含む。
【0287】
主要エンドポイント結果
全分析セットに基づいて、12週目にクリア(0)又は最小(1)のPGAスコアを達成する被験者の割合は77.3%(34/44)、正確な95%CIは(62.2%、88.5%、表3)であった。
【0288】
【表3】
【0289】
主二次エンドポイント分析
血清ウステキヌマブ濃度
血清ウステキヌマブ濃度を、52週まで経時的に要約した(図2及び表4)。
【0290】
【表4】
【0291】
12週目にPASI 75応答を達成した被験者の割合は84.1%(37/44)で、正確な95% CIは(69.9%、93.4%)(表5)であった。
【0292】
【表5】
【0293】
12週目にPASI 90応答を達成した被験者の割合は63.6%(28/44)で、正確な95% CIは(47.8%、77.6%)(表6)であった。
【0294】
【表6】
【0295】
12週目に、ベースラインからのCDLQIの平均変化(SD)は-6.3(6.43)で、95% CIは(-8.29、-4.28)(表7)であった。
【0296】
【表7】
【0297】
他の有効性エンドポイントの結果
経時的なIGA及びPASI応答
4週から52週の期間に、PGAスコアがクリア(0)又は最小(1)、PASI 75応答、PASI 90応答、PASI 100応答を達成した被験者の割合を図3A図3Dに要約する。
【0298】
他の薬物動態
血清ウステキヌマブ濃度を、有効な電気化学発光イムノアッセイ(ECLIA)法を用いて測定した。平均又は中央定常状態トラフ血清ウステキヌマブ濃度は、0.75mg/kg投与量で治療されたベースライン体重<60kgの被験者と、45mgの固定投与量で治療されたベースライン体重≧60kg~≦100kgの被験者との間で概ね同等であったが、限定数の被験者(N=4)のみが≧60kg~≦100kgのベースライン体重を有した(表8)。
【0299】
【表8】
【0300】
免疫原性
抗体を測定するために適切な検体を有した治療を受けた被験者で、ウステキヌマブに対する抗体を測定した(免疫原生分析セット)。56週まで、ウステキヌマブに対する抗体の発生率は9.5%(4/42)であり、高感度で薬物耐性のあるアッセイで検出された(表9)。
【0301】
【表9】
【0302】
ウステキヌマブに対する抗体が陽性であった4人の被験者のうち2人は、インビトロでウステキヌマブの生理活性を中和できる抗体を有した(表10)。
【0303】
【表10】
【0304】
安全性の結果
安全性は、少なくとも1回の投与量のウステキヌマブを投与した全ての登録された被検者の間で評価した。安全分析セットは、完全分析セットと同じであった。凡例安全性事象を表11にまとめる。
【0305】
【表11】
【0306】
合計3人の被験者は、重度の有害効果(SAE)を報告した。被験者1人は単核球症の診断及び治療のために4日間入院し、完全に回復し、ウステキヌマブの投与を継続した。別の被験者は外傷性眼瞼損傷の治療のために入院し、3人目の被験者は注意欠陥多動性障害(ADHD)の追加評価のために、外来患者ユニットから選択的に入院した。
【0307】
著しく異常な化学的血液試験結果は生じなかった。4人の被験者は、リンパ球低下1人、好中球低下1人を含む顕著な血液学的異常を報告した。両方とも通過し、その後、ウステキヌマブ治療の中断なしに解決した(表12)。
【0308】
【表12】
【0309】
当業者は、広い発明概念から逸脱することなく前述の実施形態に変更を行うことができることを理解するであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、具体的な説明によって定義された本発明の精神と範囲内の変更をカバーすることが意図されていることが理解される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
【配列表】
2022526493000001.app
【国際調査報告】