(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-25
(54)【発明の名称】癌療法のためのイアダデムスタット(IADADEMSTAT)の組み合わせ物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/135 20060101AFI20220518BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220518BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220518BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220518BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
A61K31/135
A61P43/00 121
A61P35/00
A61K45/00
A61K39/395 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557187
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(85)【翻訳文提出日】2021-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2020058362
(87)【国際公開番号】W WO2020193631
(87)【国際公開日】2020-10-01
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520198627
【氏名又は名称】オリソン ヘノミクス,ソシエダ アノニマ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100203828
【氏名又は名称】喜多村 久美
(72)【発明者】
【氏名】フィリッポ シセリ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
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4C206AA01
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4C206MA02
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA05
4C206ZB26
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、PD(L)1阻害剤と組み合わせたイアダデムスタットの投与を含む癌の処置のための組み合わせ物、方法及び組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イアダデムスタット(iadademstat)、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物。
【請求項2】
治療法に使用するための、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物。
【請求項3】
疾患の処置に使用するための、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物。
【請求項4】
癌の処置に使用するための、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物。
【請求項5】
PD(L)1阻害剤と組み合わせて癌の処置に使用するための、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物。
【請求項6】
イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物と組み合わせて癌の処置に使用するための、PD(L)1阻害剤。
【請求項7】
それを必要としている患者の癌を処置するための方法であって、該患者に治療的有効量の、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物を投与することを含む方法。
【請求項8】
それを必要としている患者の癌を処置するための方法であって、該患者に治療的有効量の、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及び治療的有効量のPD(L)1阻害剤を投与することを含む方法。
【請求項9】
PD(L)1阻害剤と組み合わせて使用されるべき、癌の処置向けの治療薬の製造のための、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の使用。
【請求項10】
イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物と組み合わせて使用されるべき、癌の処置向けの治療薬の製造のための、PD(L)1阻害剤の使用。
【請求項11】
癌の処置向けの治療薬の製造のための、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物の使用。
【請求項12】
癌の処置のための、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物の使用。
【請求項13】
PD(L)1阻害剤と組み合わせた癌の処置のための、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の使用。
【請求項14】
イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物と組み合わせた癌の処置のためのPD(L)1阻害剤の使用。
【請求項15】
前記PD(L)1阻害剤がPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤である、請求項1に記載の組み合わせ物、請求項2~4のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ物、請求項5又は6に記載の使用のための化合物、請求項7又は8に記載の方法、或いは請求項9~14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
前記PD(L)1阻害剤が、ペムブロリズマブ(Pembrolizumab)、ニボルマブ(Nivolumab)、セミプリマブ(Cemiplimab)、カムレリズマブ(Camrelizumab)、チスレリズマブ(Tislelizumab)、シンチリマブ(Sintilimab)、トリパリマブ(Toripalimab)、スパルタリズマブ(Spartalizumab)、AGEN-2034、AK-103、AK-104、AK-105、AK-112、AK-123、AM-0001、AMP-224、AT16201、BCD-100、BH-2950、BH-2996h、BI-754091、BMS-1001、BMS-1166、CS-1003、CX-188、ENUM-244C8、GLS-010、hAb21、HLX-10、IKT-202、JNJ-63723283、JTX-4014、KN0-46、MEDI-0680、MGA-012、MGD-013、PF-06801591、PRS-332、RO7121661、STI-A1110、TSR-042、XmAb-20717、アテゾリズマブ(Atezolizumab)、アベルマブ(Avelumab)、デュルバルマブ(Durvalumab)、AK-106、APL-502、AVA-004、BGB-A333、BH-2996h、BMS-936559、CA-170、CA-327、CBA-0710、CK-301、CS-1001、CX-072、FAZ-053、FS-118、GR1405、HLX-20、IKT-201、JS-003、KD033、KN-035、KY-1003、LY3300054、M-7824、MCLA-145、MSB-2311、及びSHR-1316から成る群から選択される、請求項1又は15に記載の組み合わせ物、請求項2~4又は15のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ物、請求項5、6又は15のいずれか一項に記載の使用のための化合物、請求項7、8又は15のいずれか一項に記載の方法、或いは請求項9~15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
前記PD(L)1阻害剤が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブから成る群から選択される、請求項1、15又は16のいずれか一項に記載の組み合わせ物、請求項2~4、15又は16のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ物、請求項5、6、15又は16のいずれか一項に記載の使用のための化合物、請求項7、8、15又は16のいずれか一項に記載の方法、或いは請求項9~16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
前記PD(L)1阻害剤がPD-1阻害剤である、請求項1又は15に記載の組み合わせ物、請求項2~4又は15のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ物、請求項5、6又は15のいずれか一項に記載の使用のための化合物、請求項7、8又は15のいずれか一項に記載の方法、或いは請求項9~15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
前記PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、スパルタリズマブ、AGEN-2034、AK-103、AK-104、AK-105、AK-112、AK-123、AM-0001、AMP-224、AT16201、BCD-100、BH-2950、BH-2996h、BI-754091、BMS-1001、BMS-1166、CS-1003、CX-188、ENUM-244C8、GLS-010、hAb21、HLX-10、IKT-202、JNJ-63723283、JTX-4014、KN0-46、MEDI-0680、MGA-012、MGD-013、PF-06801591、PRS-332、RO7121661、STI-A1110、TSR-042、及びXmAb-20717から成る群から選択される、請求項18に記載の組み合わせ物、請求項18に記載の使用のための組み合わせ物、請求項18に記載の使用のための化合物、請求項18に記載の方法、又は請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、及びセミプリマブから成る群から選択される、請求項18又は19に記載の組み合わせ物、請求項18又は19に記載の使用のための組み合わせ物、請求項18又は19に記載の使用のための化合物、請求項18又は19に記載の方法、或いは請求項18又は19に記載の使用。
【請求項21】
前記PD(L)1阻害剤がPD-L1阻害剤である、請求項1又は15に記載の組み合わせ物、請求項2~4又は15のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ物、請求項5、6又は15のいずれか一項に記載の使用のための化合物、請求項7、8又は15のいずれか一項に記載の方法、或いは請求項9~15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
前記PD-L1阻害剤が、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、AK-106、APL-502、AVA-004、BGB-A333、BH-2996h、BMS-936559、CA-170、CA-327、CBA-0710、CK-301、CS-1001、CX-072、FAZ-053、FS-118、GR1405、HLX-20、IKT-201、JS-003、KD033、KN-035、KY-1003、LY3300054、M-7824、MCLA-145、MSB-2311、及びSHR-1316から成る群から選択される、請求項21に記載の組み合わせ物、請求項21に記載の使用のための組み合わせ物、請求項21に記載の使用のための化合物、請求項21に記載の方法、又は請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記PD-L1阻害剤が、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブから成る群から選択される、請求項21又は22に記載の組み合わせ物、請求項21又は22に記載の使用のための組み合わせ物、請求項21又は22に記載の使用のための化合物、請求項21又は22に記載の方法、或いは請求項21又は22に記載の使用。
【請求項24】
前記PD(L)1阻害剤がPD-L2阻害剤である、請求項1に記載の組み合わせ物、請求項2~4のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ物、請求項5又は6に記載の使用のための化合物、請求項7又は8に記載の方法、或いは請求項9~14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項25】
前記癌が、メラノーマ、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頚部癌、腎細胞癌腫腫、ホジキンリンパ腫、尿路上皮癌腫、結腸直腸癌、肝細胞癌、皮膚扁平上皮細胞癌腫、卵巣癌、胃癌、胃食道癌、メルケル細胞癌腫腫、上咽頭癌、乳癌及び食道扁平上皮細胞癌腫から成る群から選択される、請求項4又は15~24のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ物、請求項5、6又は15~24のいずれか一項に記載の使用のための化合物、請求項7、8又は15~24のいずれか一項に記載の方法、或いは請求項9~24のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
前記癌がメラノーマである、請求項25に記載の使用のための組み合わせ物、請求項25に記載の使用のための化合物、請求項25に記載の方法、又は請求項25に記載の使用。
【請求項27】
前記癌が小細胞肺癌である、請求項25に記載の使用のための組み合わせ物、請求項25に記載の使用のための化合物、請求項25に記載の方法、又は請求項25に記載の使用。
【請求項28】
前記癌が、PD(L)1阻害剤療法に対して難治性、無応答性又は再発性癌である、請求項4又は15~27のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ物、請求項5、6又は15~27のいずれか一項に記載の使用のための化合物、請求項7、8又は15~27のいずれか一項に記載の方法、或いは請求項9~27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
前記イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物がイアダデムスタット二塩酸である、請求項1又は15~24のいずれか一項に記載の組み合わせ物、請求項2~4又は15~28のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ物、請求項5、6又は15~28のいずれか一項に記載の使用のための化合物、請求項7、8又は15~28のいずれか一項に記載の方法、或いは請求項9~28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項30】
前記イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物が経口的に投与される、請求項2~4又は15~29のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ物、請求項5、6又は15~29のいずれか一項に記載の使用のための化合物、請求項7、8又は15~29のいずれか一項に記載の方法、或いは請求項9~29のいずれか一項に記載の使用。
【請求項31】
前記イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤が、別々の製剤を使用して投与される、請求項2~4又は15~30のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ物、請求項5、6又は15~30のいずれか一項に記載の使用のための化合物、請求項7、8又は15~30のいずれか一項に記載の方法、或いは請求項9~30のいずれか一項に記載の使用。
【請求項32】
前記イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤が、同時レジメンとして投与される、請求項2~4又は15~31のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ物、請求項5、6又は15~31のいずれか一項に記載の使用のための化合物、請求項7、8又は15~31のいずれか一項に記載の方法、或いは請求項9~31のいずれか一項に記載の使用。
【請求項33】
前記イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤が、連続レジメンとして投与される、請求項2~4又は15~31のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ物、請求項5、6又は15~31のいずれか一項に記載の使用のための化合物、請求項7、8又は15~31のいずれか一項に記載の方法、或いは請求項9~31のいずれか一項に記載の使用。
【請求項34】
前記患者がヒトである、請求項7、8又は15~33のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、癌療法のためのイアダデムスタット(iadademstat)の組み合わせ物、特に、本明細書中に定義する免疫チェックポイント阻害剤を用いた組み合わせ物に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
免疫腫瘍学とも呼ばれる、癌の免疫療法は、癌を治療するために免疫系の人為的な刺激である。チェックポイント阻害剤療法は、その作用を刺激又は阻害する、免疫チェックポイントである免疫系の主要調節因子を標的化する癌の免疫療法の形態であって、そしてそれは、腫瘍が免疫系による攻撃から腫瘍自体をかばうのに使用され得る。チェックポイント療法は阻害チェックポイントを遮断し、そして、免疫系の機能を復元する。特に、PD(L)1阻害剤は、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1、PDCD1又はCD279とも呼ばれる)の、そのリガンド、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1、CD274としても知られている)及びプログラム細胞死リガンド2(PD-L2、CD273としても知られている)への結合を阻害する阻害するのに作用する免疫チェックポイント阻害剤の群である。これらの細胞表面タンパク質の相互作用は、免疫系の抑制に関与するので、感染に続いて近傍の宿主細胞の殺滅の制限が起こり、自己免疫疾患を予防するが、異なったタイプの癌でも同様である。
【0003】
癌細胞に対して免疫系を動員することによって、PD(L)1阻害剤療法はいくつかの悪性状態における持続的な応答を達成することが期待でき、そして、いくつかのPD-1阻害剤とPD-L1阻害剤は数タイプの癌に向けた処置として既に承認された。しかしながら、PD-1又はPD-L1阻害剤などの免疫チェックポイント阻害剤に対する療法応答は、癌患者のわずかな一部だけで観察される。
「免疫原性がない(cold)」腫瘍の低い変異上の負担は、それらが宿主炎症応答(固有の抵抗性)によって検出されないままでいられることを可能にする。また、癌細胞は、免疫チェックポイント阻害剤を用いた処置によって適用される選択圧(制御性細胞の動員、欠陥がある抗原提示、免疫抑制伝達物質、低減された副刺激、及びT細胞アポトーシス)に対応して多くの複製ストラテジーを発現する。
したがって、免疫チェックポイント阻害剤、特にPD(L)1阻害剤に対する抵抗性及び応答性不足の問題に対処する、癌を処置するための改良された方法及び組成物の必要性がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、免疫チェックポイント阻害剤、特に(本明細書中に定義した)PD(L)1阻害剤、を伴ったイアダデムスタットの組み合わせ物)が、免疫チェックポイント阻害剤単独で用いた処置と比較した場合、癌細胞の増殖を阻害する際に極めて優れた活性を発揮するという予想外の知見に基づいている。これにより、イアダデムスタットは、PD(L)1阻害剤に対して腫瘍を感作し、PD(L)1阻害剤療法に対する腫瘍の応答性を改善するのに使用できる。
【0005】
よって、本発明は、(本明細書中に定義した)PD(L)1阻害剤を伴った、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の組み合わせ物に関する。
したがって、本発明は、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物を提供する。
本発明はさらに、癌の処置に使用するためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物を提供する。
本発明はさらに、それを必要としている患者(好ましくはヒト)の癌を処置する方法であって、該患者に治療的有効量のイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物を投与することを含む方法を提供する。
【0006】
本発明はさらに、それを必要としている患者(好ましくはヒト)の癌を処置する方法であって、該患者に治療的有効量のイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及び治療的有効量のPD(L)1阻害剤を投与することを含む方法を提供する。
本発明はさらに、PD(L)1阻害剤と組み合わせて使用されるべき、癌の処置向けの治療薬の製造のためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
本発明はさらに、癌の処置のためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施例1でより詳細に説明されるように、マウスB16F10メラノーマモデルにおける腫瘍体積に対する、PD(L)1阻害剤単独を用いた処置(四角形)と比較したイアダデムスタット(「ORY-1001」とも呼ばれる)とPD(L)1阻害剤の組み合わせ物を用いた処置(三角形)の効果を示す。データは、平均±平均の標準誤差(SEM)として表される;p=0.004。
【
図2】
図2は、実施例1でより詳細に説明されるように、同じマウスB16F10メラノーマモデルにおける腫瘍重量に対する、PD(L)1阻害剤単独を用いた処置(四角形)と比較したイアダデムスタット(「ORY-1001」)とPD(L)1阻害剤の組み合わせ物を用いた処置(三角形)の効果を示す。データは、平均±平均の標準誤差(SEM)として表される;p=0.001。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明の詳細な説明
先に示したとおり、本発明は、PD(L)1阻害剤とイアダデムスタットの組み合わせ物がPD(L)1阻害剤単独を用いた処置と比較して優れた抗癌効果を伴う、極めて優れた抗癌活性を発揮するという発見に基づいている。イアダデムスタットとPD(L)1阻害剤を用いた併用処置は、インビボにおけるマウスメラノーマモデルを使用した実施例1及び
図1と2で例示したとおり、PD(L)1阻害剤単独を用いた処置と比較して、抗腫瘍効果の有意な増大を引き起こす。組み合わせ物を用いた処置は、それぞれ
図1及び2に示したように、PD(L)1阻害剤単独を用いた処置と比較して、腫瘍体積及び腫瘍重量の両方に統計的に有意な低減を生じさせる。よって、イアダデムスタットを用いた処置は、PD(L)1阻害剤の有効性を高めるか、そうでなければ、PD(L)1阻害剤との相乗的に作用する。
【0009】
これにより、イアダデムスタットは、PD(L)1阻害剤療法に対する癌の応答性を増強すること、及び/又はPD(L)1阻害剤に対して難治性、無応答性又は再発性癌を感作することを含め、癌を処置するためにPD(L)1阻害剤と組み合わせて使用され得る。
本発明によると、「PD(L)1阻害剤」は、PD-1と、あらゆるそのリガンド、PD-L1、PD-L2、又はPD-L1とPD-L2との相互作用を阻害する、PD-1のシグナル伝達を阻害する、或いは腫瘍細胞に対するT細胞媒介性免疫応答のPD-1依存性阻害を軽減する化合物を意味する。したがって、本明細書中で使用される場合、PD(L)1阻害剤としては、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤及びPD-L2阻害剤が挙げられる。その例は「PD(L)1阻害剤」の見出しで以下に提供される。
詳細には、本発明は、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物を提供する。
【0010】
本発明はさらに、治療的活性物質として使用するためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物を提供する。
本発明はさらに、治療法に使用するためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物を提供する。
本発明はさらに、疾患の処置に使用するためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物を提供する。
本発明はさらに、癌の処置に使用するためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物を提供する。
【0011】
本発明はさらに、PD(L)1阻害剤と組み合わせて癌の処置に使用するためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物を提供する。
本発明はさらに、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物と組み合わせて癌の処置に使用するためのPD(L)1阻害剤を提供する。
本発明はさらに、癌の処置に使用するためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物を提供し、ここで、該イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物は、PD(L)1阻害剤と組み合わせて投与されるべきである。
本発明はさらに、癌の処置に使用するためのPD(L)1阻害剤を提供し、ここで、該PD(L)1阻害剤は、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物と組み合わせて投与されるべきである。
【0012】
本発明はさらに、それを必要としている患者の癌を処置する方法であって、該患者に治療的有効量のイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物を投与することを含む方法を提供する。
本発明はさらに、それを必要としている患者の癌を処置する方法であって、該患者に治療的有効量のイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及び治療的有効量のPD(L)1阻害剤を投与することを含む方法を提供する。
本発明はさらに、PD(L)1阻害剤と組み合わせて使用されるべき、癌の処置向けの治療薬の製造のためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
本発明はさらに、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物と組み合わせて使用されるべき、癌の処置向けの治療薬の製造のためのPD(L)1阻害剤の使用を提供する。
【0013】
本発明はさらに、癌の処置向けの治療薬の製造のためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物の使用を提供する。
本発明はさらに、癌の処置のためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物の使用を提供する。
本発明はさらに、PD(L)1阻害剤と組み合わせた癌の処置のためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
本発明はさらに、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物と組み合わせた癌の処置のためのPD(L)1阻害剤の使用を提供する。
【0014】
本発明はさらに、PD(L)1阻害剤を用いた処置に対して癌を感作することによる癌の処置に使用するためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物を提供する。
本発明はさらに、PD(L)1阻害剤を用いた処置に対して癌を感作することによる癌の処置のためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
本発明はさらに、PD(L)1阻害剤を用いた処置に対して癌を感作することによる癌の処置向けの治療薬の製造のためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
本発明はさらに、PD(L)1阻害剤を用いた処置に対して癌を感作することよる、必要としている患者の癌を処置する方法であって、該患者に治療的有効量のイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物を投与することを含む方法を提供する。
【0015】
本発明はさらに、PD(L)1阻害剤を用いた処置に対して癌を感作する際に使用するためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物を提供する。
本発明はさらに、PD(L)1阻害剤を用いた処置に対して癌を感作するためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
本発明はさらに、PD(L)1阻害剤を用いた処置に対して癌を感作するための治療薬の製造のためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
本発明はさらに、それを必要としている患者においてPD(L)1阻害剤を用いた処置に対して癌を感作する方法であって、該患者に治療的有効量のイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物を投与することを含む方法を提供する。
【0016】
本発明はさらに、PD(L)1阻害剤療法に対する癌の応答性を増強する際に使用するためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物を提供する。
本発明はさらに、PD(L)1阻害剤療法に対する癌の応答性を増強するための治療薬の製造のためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
本発明はさらに、それを必要としている患者においてPD(L)1阻害剤療法に対する癌の応答性を増強する方法であって、該患者に治療的有効量のイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物を投与することを含む方法を提供する。
【0017】
本発明はさらに、PD(L)1阻害剤療法に対して難治性、無応答性又は再発性癌を感作する際に使用するためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物を提供する。
本発明はさらに、PD(L)1阻害剤療法に対して難治性、無応答性又は再発性癌を感作するための治療薬の製造のためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
本発明はさらに、それを必要としている患者におけるPD(L)1阻害剤療法に対する難治性、無応答性又は再発性癌を感作するための方法であって、該患者に治療的有効量のイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物を投与することを含む方法を提供する。
【0018】
本発明はさらに、PD(L)1阻害剤に対する補助療法として使用するためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物を提供する。
本発明はさらに、PD(L)1阻害剤に対する補助療法としてのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
本発明はさらに、PD(L)1阻害剤に対する補助療法として使用するための治療薬の製造のためのイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
本発明はさらに、それを必要としている患者の癌を処置するための方法であって、前記患者にイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物の投与によって前記癌を感作し、続いて、治療的有効量のイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物を投与することを含む方法を提供する。
本発明はさらに、それを必要としている患者の癌を処置するための方法であって、前記患者にイアダデムスタット(又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物)だけが投与される(すなわち、PD(L)1阻害剤なし)第一の処置と、その後のイアダデムスタット(又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物)とPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物を用いた処置の開始を含む方法を提供する。
【0019】
いくつかの実施形態において、癌は固形腫瘍である。
いくつかの実施形態において、癌はPD(L)1阻害剤を用いて処置するのに好適であり、ここで、これは特に、それに関してPD(L)1阻害剤療法が承認されている、すなわち、それが少なくとも1カ国で監督機関によって販売承認を受けた癌である。
いくつかの実施形態において、癌は、メラノーマ、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頚部癌、腎細胞癌腫腫、ホジキンリンパ腫、尿路上皮癌腫、結腸直腸癌、肝細胞癌、皮膚扁平上皮細胞癌腫、卵巣癌、胃癌、胃食道癌、メルケル細胞癌腫腫、上咽頭癌、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌)及び食道扁平上皮細胞癌腫から成る群から選択される。
【0020】
いくつかの実施形態において、癌は、メラノーマ、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頚部癌、腎細胞癌腫、ホジキンリンパ腫、尿路上皮癌腫、結腸直腸癌、肝細胞癌、皮膚扁平上皮細胞癌腫、及びメルケル細胞癌腫から成る群から選択される。
いくつかの実施形態において、癌はメラノーマである。
いくつかの実施形態において、癌は小細胞肺癌である。
【0021】
いくつかの実施形態において、癌は、PD(L)1阻害剤療法に対する難治性、無応答性又は再発性癌である。したがって、いくつかの実施形態において、癌は、PD(L)1阻害剤を用いた単独療法に対する難治性、無応答性又は再発性癌である。
本発明による方法及び用途において、患者はヒト又は動物であり、好ましくはヒトである。
いくつかの実施形態において、前記癌を患っている患者は、(単独又は他の治療薬と組み合わせた)PD(L)1阻害剤を含む、前記癌に対する少なくとも1つの前処置を受けた。
【0022】
イアダデムスタット:
イアダデムスタットとは、以下の式(I):
【化1】
【0023】
[CAS登録番号1431304-21-0]の化合物に関する国際一般名称(INN)であり、そしてそれは、ORY-1001又は(trans)-N1-((1R,2S)-2-フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン-1,4-ジアミンとしても知られている。イアダデムスタットは、例えば、国際特許出願WO2013/057322の実施例5に記載されている。塩酸塩[CAS登録番号1431303-72-8、二塩酸塩]を含めて、薬学的に許容されるその塩もまたそこに記載されている。最も好ましい薬学的に許容される塩は二塩酸塩である。イアダデムスタットは選択的LSD1阻害剤として作用する。
【0024】
「イアダデムスタット」、「式(I)の化合物」、(trans)-N1-((1R,2S)-2-フェニルシクロプロピル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン」及び「ORY-1001」という用語は、本明細書中(すなわち、今明細書及び請求項を通じて)互換的に使用される。別の方法で特別に示さない限り、本明細書及び請求項を通じたイアダデムスタットに対するあらゆる言及が、あらゆるイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物を含む。好ましくは、イアダデムスタットは、薬学的に許容される塩の形態で、好ましくは塩酸塩、より好ましくは二塩酸塩として使用される。
【0025】
好ましくは、イアダデムスタット(又はその又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物)は経口的に投与される。経口的摂取を介して投与され得る例示的な製剤は、さらに以下でより詳細に記載される。
【0026】
PD(L)1阻害剤:
先に示したとおり、本明細書中で使用される場合、「PD(L)1阻害剤」とは、PD-1と、そのリガンド、PD-L1及び/又はPD-L2のいずれかとの相互作用を阻害する、PD-1シグナル伝達を阻害する、又は腫瘍細胞に対するT細胞媒介性免疫応答のPD-1依存性阻害を軽減する化合物を示す。したがって、「PD(L)1阻害剤」という用語は、PD1阻害剤、PD-L1阻害剤及びPD-L2阻害剤を含む。これにより、PD(L)1阻害剤は、PD1阻害剤、PD-L1阻害剤、又はPD-L2阻害剤であってもよい。
【0027】
PD(L)1阻害剤は当該技術分野で周知であり、PD(L)1阻害剤として作用するあらゆる分子が、本発明による組み合わせ物、方法及び用途に関連して原則的に使用され得る。PD(L)1阻害剤は、例えば、小分子、ペプチド、抗体又はワクチンであってもよい。
いくつかの実施形態において、PD(L)1阻害剤は、抗体、より好ましくは、ヒト抗体又はヒト化抗体である。
【0028】
本発明に従って使用され得るPD-1阻害剤の非限定的な例としては:ペムブロリズマブ(Pembrolizumab) (Merck & Co)、ニボルマブ(Nivolumab) (Bristol-Myers Squibb)、セミプリマブ(Cemiplimab) (REGN-2810としても知られている) (Regeneron Pharmaceuticals/Sanofi)、カムレリズマブ(Camrelizumab) (SHR-1210としても知られている) (Shanghai Hengrui)、ゲノリムズマブ(Genolimzumab) (APL-501、GB226又はCBT-501としても知られている) (Apollonomics Inc/Genor Biopharma)、チスレリズマブ(Tislelizumab) (BGB-A317としても知られている) (Beigene/Celgene)、シンチリマブ(Sintilimab) (IBI-308としても知られている) (Eli Lilly/Innovent)、トリパリマブ(Toripalimab) (JS-001としても知られている) (Shanghai Junshi)、スパルタリズマブ(Spartalizumab) (PDR-001としても知られている) (Novartis)、AGEN-2034 (Agenus)、AK-103 (Akeso Bio)、AK-104 (Akeso Bio)、AK-105 (Akeso Bio)、AK-112 (Akeso Bio)、AK-123 (Akeso Bio)、AM-0001 (ARMO Bio/Eli Lilly)、AMP-224 (Medimmune/GSK/NCI)、AT16201 (AIMM)、BCD-100 (Biocad)、BH-2950 (Beijing Hanmi)、BH-2996h (Beijing Hanmi)、BI-754091 (Boehringer Ingelheim)、BMS-1001 (Bristol-Myers Squibb)、BMS-1166 (Bristol-Myers Squibb)、CS-1003 (CStone Pharmaceuticals)、CX-188 (CytomX)、ENUM-244C8 (Enumeral)、GLS-010 (Harbin/Wuxi/Arcus/Gloria Pharmaceuticals)、hAb21 (Suzhou Stainwei)、HLX-10 (Shanghai Henlius)、IKT-202 (Icell Kealex)、JNJ-63723283 (J&J)、JTX-4014 (Jounce Therapeutics)、KN0-46 (Alphamab)、MEDI-0680 (AMP-514としても知られている) (Medimmune/GSK)、MGA-012 (Macrogenics)、MGD-013 (Macrogenics)、PF-06801591 (Pfizer)、PRS-332 (Pieris/Servier)、RO7121661 (RG-7769としても知られている) (Roche)、STI-A1110 (Servier/Sorrento)、TSR-042 (Tesaro)及びXmAb-20717 (Xencor)が挙げられる。
【0029】
本発明に従って使用されるPD-L1阻害剤の非限定的な例としては:アテゾリズマブ(Atezolizumab)、アベルマブ(Avelumab)、デュルバルマブ(Durvalumab)、AK-106 (Akeso Bio)、APL-502 (TQ-B2450としても知られている) (Apollonomics Inc)、AVA-004 (Avacta)、BGB-A333 (BeiGene)、BH-2996h (Beijing Hanmi)、BMS-936559 (MDX-11105としても知られている) (Bristol-Myers Squibb)、CA-170 (Curis/Aurigene)、CA-327 (Curis/Aurigene)、CBA-0710 (Sorrento)、CK-301 (CheckPoint Therapeutics/TG Therapeutics)、CS-1001 (CStone Pharmaceuticals)、CX-072 (CytomX)、FAZ-053 (Novartis)、FS-118 (F Star/Merck KGaA)、GR1405 (Genrix Biopharmaceutical)、HLX-20 (Shanghai Henlius)、IKT-201 (Icell Kealex)、JS-003 (Shanghai Junshi)、KD033 (Kadmon/Jinghua Pharma)、KN-035 (3D Medicines Co、Ltd)、KY-1003 (Kymab)、LY3300054 (Eli Lilly)、M-7824 (Merck KGaA)、MCLA-145 (Merus/Incyte)、MSB-2311 (Mabspace Biosciences)、及びSHR-1316 (HTI-1088としても知られている) (Atridia/Jiangsu Hengrui Therapeutics)が挙げられる。
【0030】
好ましいPD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、及びセミプリマブである。
ニボルマブ(Pembrolizumab)(MK-3475又はlambrolizumabとしても知られている、Keytruda(登録商標))は、メラノーマの処置に関して食品医薬品局によって2014年に初めて承認された。その後、それは転移性非小細胞肺癌及び頭頚部扁平上皮細胞癌腫に関して承認された。薬物は、SCLC、ホジキンリンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞性リンパ腫、尿路上皮癌腫、胃癌、食道癌、子宮頚癌、肝細胞癌、メルケル細胞癌腫、腎細胞癌腫、及び子宮内膜癌腫に関してさらに承認された。
【0031】
ニボルマブ(Nivolumab)(Opdivo(登録商標))は、Bristol-Myers Squibbによって開発され、そして、メラノーマの処置に関してFDAによって2014年に初めて承認された。その後、それは非小細胞肺癌、腎細胞癌腫、ホジキンリンパ腫、頭頚部扁平上皮細胞癌腫、尿路上皮癌腫、転移性大腸癌及び肝細胞癌腫、並びにSCLCに関して承認された。
セミプリマブ(Cemiplimab)(Libtayo(登録商標))は、Regeneronによって開発され、そして、皮膚扁平上皮細胞癌腫(CSCC)の処置に関してFDAによって2018年に初めて承認された。
好ましいPD-L1阻害剤は、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブである。
【0032】
アテゾリズマブ(Atezolizumab)(Tecentriq(登録商標))は、Roche Genentechによって開発された。2016年に、FDAは、尿路上皮癌腫及び非小細胞肺癌に関してatezolizumabを承認した。その後、それはSCLC及びトリプルネガティブ乳癌に関して承認された。
アベルマブ(Avelumab)(Bavencio(登録商標))は、Merck Serono及びPfizerによって開発された。Avelumabは、転移性メルケル細胞癌腫の処置に関してFDAによって2016年に承認され、その後、尿路上皮癌腫及び腎細胞癌腫に関して承認された。
【0033】
デュルバルマブ(Durvalumab)(Imfinzi(登録商標))は、AstraZenecaによって開発された。Durvalumabは、2017年に初めてFDA承認を受け、現在、尿路上皮癌腫及び非小細胞肺癌の処置に関して承認されている。
いくつかの実施形態において、PD(L)1阻害剤は、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤である。
【0034】
いくつかの実施形態において、PD(L)1阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、スパルタリズマブ、AGEN-2034、AK-103、AK-104、AK-105、AK-112、AK-123、AM-0001、AMP-224、AT16201、BCD-100、BH-2950、BH-2996h、BI-754091、BMS-1001、BMS-1166、CS-1003、CX-188、ENUM-244C8、GLS-010、hAb21、HLX-10、IKT-202、JNJ-63723283、JTX-4014、KN0-46、MEDI-0680、MGA-012、MGD-013、PF-06801591、PRS-332、RO7121661、STI-A1110、TSR-042、XmAb-20717、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、AK-106、APL-502、AVA-004、BGB-A333、BH-2996h、BMS-936559、CA-170、CA-327、CBA-0710、CK-301、CS-1001、CX-072、FAZ-053、FS-118、GR1405、HLX-20、IKT-201、JS-003、KD033、KN-035、KY-1003、LY3300054、M-7824、MCLA-145、MSB-2311、及びSHR-1316から成る群から選択される。いくつかの実施形態において、PD(L)1阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブから成る群から選択される。
【0035】
いくつかの実施形態において、PD(L)1阻害剤はPD-1阻害剤である。いくつかの実施形態において、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、スパルタリズマブ、AGEN-2034、AK-103、AK-104、AK-105、AK-112、AK-123、AM-0001、AMP-224、AT16201、BCD-100、BH-2950、BH-2996h、BI-754091、BMS-1001、BMS-1166、CS-1003、CX-188、ENUM-244C8、GLS-010、hAb21、HLX-10、IKT-202、JNJ-63723283、JTX-4014、KN0-46、MEDI-0680、MGA-012、MGD-013、PF-06801591、PRS-332、RO7121661、STI-A1110、TSR-042、及びXmAb-20717から成る群から選択される。いくつかの実施形態において、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、及びセミプリマブから成る群から選択される。
【0036】
いくつかの実施形態において、PD(L)1阻害剤はPD-L1阻害剤である。いくつかの実施形態において、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、AK-106、APL-502、AVA-004、BGB-A333、BH-2996h、BMS-936559、CA-170、CA-327、CBA-0710、CK-301、CS-1001、CX-072、FAZ-053、FS-118、GR1405、HLX-20、IKT-201、JS-003、KD033、KN-035、KY-1003、LY3300054、M-7824、MCLA-145、MSB-2311、及びSHR-1316から成る群から選択される。いくつかの実施形態において、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブから成る群から選択される。
【0037】
いくつかの実施形態において、PD(L)1阻害剤はPD-L2阻害剤である。
いくつかの実施形態において、本発明は、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、並びにPD-1阻害剤及びPD-L1阻害剤から選択されるPD(L)1阻害剤を含む組み合わせ物を提供する。いくつかの実施形態において、PD(L)1阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、スパルタリズマブ、AGEN-2034、AK-103、AK-104、AK-105、AK-112、AK-123、AM-0001、AMP-224、AT16201、BCD-100、BH-2950、BH-2996h、BI-754091、BMS-1001、BMS-1166、CS-1003、CX-188、ENUM-244C8、GLS-010、hAb21、HLX-10、IKT-202、JNJ-63723283、JTX-4014、KN0-46、MEDI-0680、MGA-012、MGD-013、PF-06801591、PRS-332、RO7121661、STI-A1110、TSR-042、XmAb-20717、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、AK-106、APL-502、AVA-004、BGB-A333、BH-2996h、BMS-936559、CA-170、CA-327、CBA-0710、CK-301、CS-1001、CX-072、FAZ-053、FS-118、GR1405、HLX-20、IKT-201、JS-003、KD033、KN-035、KY-1003、LY3300054、M-7824、MCLA-145、MSB-2311、及びSHR-1316から成る群から選択される。いくつかの実施形態において、PD(L)1阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブから成る群から選択される。
【0038】
いくつかの実施形態において、本発明は、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD-1阻害剤を含む組み合わせ物を提供する。いくつかの実施形態において、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、シンチリマブ、トリパリマブ、スパルタリズマブ、AGEN-2034、AK-103、AK-104、AK-105、AK-112、AK-123、AM-0001、AMP-224、AT16201、BCD-100、BH-2950、BH-2996h、BI-754091、BMS-1001、BMS-1166、CS-1003、CX-188、ENUM-244C8、GLS-010、hAb21、HLX-10、IKT-202、JNJ-63723283、JTX-4014、KN0-46、MEDI-0680、MGA-012、MGD-013、PF-06801591、PRS-332、RO7121661、STI-A1110、TSR-042、及びXmAb-20717から成る群から選択される。いくつかの好ましい実施形態において、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、及びセミプリマブから成る群から選択される。
【0039】
いくつかの実施形態において、本発明は、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD-L1阻害剤を含む組み合わせ物を提供する。いくつかの好ましい実施形態において、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、AK-106、APL-502、AVA-004、BGB-A333、BH-2996h、BMS-936559、CA-170、CA-327、CBA-0710、CK-301、CS-1001、CX-072、FAZ-053、FS-118、GR1405、HLX-20、IKT-201、JS-003、KD033、KN-035、KY-1003、LY3300054、M-7824、MCLA-145、MSB-2311、及びSHR-1316から成る群から選択される。いくつかの好ましい実施形態において、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブから成る群から選択される。
【0040】
いくつかの実施形態において、本発明は、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD-L2阻害剤を含む組み合わせ物を提供する。
別の実施形態は、本明細書中に記載した組み合わせ物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物又は治療薬、並びに斯かる組み合わせ物、組成物及び治療薬を調製するために式(I)の化合物を使用する方法を提供する。
【0041】
この明細書を通じたイアダデムスタットに対するあらゆる言及は、化合物それ自体、すなわち、(例えば、遊離塩基としての)非塩形態、或いはあらゆる薬学的に許容されるその塩又は溶媒和物の形態の対応する化合物に対する言及、並びに前記化合物と1若しくは複数の薬学的に許容される賦形剤又は担体を含むあらゆる医薬組成物に対する言及を含む。
この明細書を通じたPD(L)1阻害剤に対するあらゆる言及は、PD(L)1阻害剤それ自体、或いは(妥当である場合)あらゆる薬学的に許容されるその塩又は溶媒和物の形態の対応する化合物に対する言及、並びに前記PD(L)1阻害剤と1若しくは複数の薬学的に許容される賦形剤又は担体を含むあらゆる医薬組成物に対する言及を含む。
【0042】
医薬製剤
本明細書中に記載した組み合わせ物、並びに本明細書中に記載した医薬組成物で使用するためのイアダデムスタット及びPD(L)1阻害剤は、経口、局所(口腔及び舌下を含む)、直腸内、膣内、経皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、皮内、髄腔内及び硬膜外及び鼻腔内、並びに、必要に応じて局所治療、病巣内投与を含む任意の適切な方法により投与され得る。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与を含む。
【0043】
イアダデムスタット及び本明細書中に記載した組み合わせ物における使用のための他の治療剤と同様に、本明細書中に記載した医薬組成物も、例えば、錠剤、散剤、カプセル剤、液剤、分散剤、懸濁剤、シロップ剤、スプレー剤、坐剤、ゲル剤、乳剤、貼付剤などの医薬製品形態で投与され得る。そのような組成物は、例えば、希釈剤、担体、pH調節剤、保存剤、溶解剤、安定剤、湿潤剤、甘味剤、着色剤、香料、浸透圧を変更するための塩、緩衝剤、マスキング剤、抗酸化剤、及びさらなる活性剤などの、医薬製剤における通常の成分を含んでいてもよい。それらは他の治療上価値のある物質もさらに含むことができる。
【0044】
典型的な製剤は、イアダデムスタット又は本明細書中に記載した他の治療剤又は本明細書中に記載した組み合わせ物と、薬学的に許容される添加剤とを混合することによって調製される。適切な添加剤は当業者に周知であり、例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (2004) Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia;Remington: The Science and Practice of Pharmacy (2000) Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia;及びHandbook of Pharmaceutical Excipients (2005) Pharmaceutical Press, Chicagoに詳細が記載される。製剤は、薬物(すなわち、本発明の化合物又はその医薬組成物)の美しい見栄え又は医薬製品(すなわち、治療薬)の製造における補助を提供するために、1つ以上の緩衝剤、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤、抗酸化剤、不透明化剤、流動化剤、加工助剤、着色剤、甘味剤、香料、香味料、希釈剤及び他の既知の添加剤も含み得る。
【0045】
経口デリバリーのために、化合物は、結合剤(例えば、ゼラチン、セルロース、ガムトラガカント)、賦形剤(例えば、デンプン、乳糖)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素)、崩壊剤(例えば、アルギン酸塩、プリモゲル、及びコーンスターチ)、及び甘味料又は香料(例えば、グルコース、スクロース、サッカリン、サリチル酸メチル、及びペパーミント)などの薬学的に許容される担体を含む製剤に配合することができる。製剤は、例えば、カプセル化されたゼラチンカプセル又は圧縮錠剤の形態で、経口デリバリーされうる。カプセル及び錠剤は、任意の従来技術により調製されうる。カプセル及び錠剤は、カプセル及び錠剤の香味、味、色、及び形状を変更するために、当該技術分野で知られているさまざまなコーティングでコーティングすることもできる。また、脂肪油などの液体担体もカプセルに含有されうる。適切な経口製剤は、懸濁液、シロップ、チューインガム、ウエハー、エリキシルなどの形態でもありうる。必要に応じて、特殊な形態の香味、味、色、及び形状を変更するための従来の薬剤も含有されうる。さらに、飲み込むことができない患者における経腸栄養チューブによる便利な投与のために、活性化合物を、オリーブ油、コーン油及びベニバナ油などの許容できる親油性植物油ビヒクルに溶解することができる。
【0046】
化合物は、溶液又は懸濁液の形態で、又は使用前に溶液又は懸濁液の形態に変換できる凍結乾燥形態で非経口投与することもできる。このような製剤では、希釈剤又は薬学的に許容される担体、例えば、滅菌水及び生理食塩水緩衝液を使用することができる。他の従来の溶媒、pH緩衝液、安定剤、抗菌剤、界面活性剤、及び酸化防止剤がすべて包含されうる。例えば、有用な成分として、塩化ナトリウム、酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩緩衝液、グリセリン、デキストロース、固定油、メチルパラベン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、重硫酸ナトリウム、ベンジルアルコール、アスコルビン酸などが挙げられる。非経口製剤は、バイアル及びアンプルなどの従来の容器に保管することができる。
【0047】
局所投与の場合、化合物は、ローション、クリーム、軟膏、ゲル、粉末、ペースト、スプレー、懸濁液、点滴及びエアロゾルに製剤化されうる。したがって、1つ以上の増粘剤、保湿剤、及び安定剤が、製剤に包含されうる。そのような薬剤の例として、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キサンタンガム、ワセリン、蜜蝋、又は鉱油、ラノリン、スクアレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。局所投与の特別な形態は、経皮パッチによるデリバリーである。経皮パッチを製造する方法は、例えば、Brown、et al. (1988) Ann. Rev. Med. 39:221-229などに開示され、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
化合物の持続放出のための皮下移植も適切な投与経路でありうる。これには、任意の適切な製剤中の活性化合物を皮下空間、例えば、前腹壁の下に埋め込むための外科的処置が必要である。例えば、Wilson et al. (1984) J. Clin. Psych. 45:242-247を参照。ハイドロゲルは、活性化合物の持続放出のための担体として使用することができる。ハイドロゲルは、当該技術分野で一般的に知られている。それらは通常、高分子量の生体適合性ポリマーをネットワークに架橋することによって作られ、ネットワークは、水に膨潤してゲルのような材料を形成する。ヒドロゲルが、生分解性又は生体吸収性であるのが好ましい。本発明の目的のために、ポリエチレングリコール、コラーゲン、又はポリ(グリコール酸-co-L-乳酸)で作られたヒドロゲルが有用でありうる。例えば、Phillips et al. (1984) J. Pharmaceut. Sci., 73: 1718-1720を参照。
【0049】
経口及び非経口組成物のような医薬組成物は、投与を容易にし、用量を均一にするために、単位剤形で製剤化することができる。本明細書で使用される「単位剤形」とは、対象者に投与するための単位用量として適切な物理的に個別の単位を意味し、各単位は、1つ以上の適切な医薬担体とともに、所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の有効成分を含む。
【0050】
処置用途では、医薬組成物は、医療分野の当業者によって決定される、処置される疾患に適切な方法で投与されるべきである。適切な用量及び適切な投与期間及び投与頻度は、幅広い制限の範囲内で変えることができ、そして、患者の状態、疾患の種類及び重症度、有効成分の特定の形態、投与方法などの因子によって決定される。一般に、適切な用量及びレジメンは、治療的利益、例えば、より頻繁な完全又は部分寛解、又はより長い無病及び/又は全生存、又は症状の重症度の軽減、又は臨床医が指摘した目的を特定できる他の改善などの臨床結果の改善を提供するのに十分な量の医薬組成物を提供する。有効用量は、一般に、インビトロ若しくは動物モデルの試験システムから、又は臨床試験から得られた用量-応答曲線のような実験モデルを使用して評価又は推定することができる。
【0051】
PD(L)-1阻害剤の好適な用量は、典型的には、それぞれの免疫チェックポイント阻害剤に関して医師によって現在使用されている用量、特にそれぞれの政府当局によって承認された(単数若しくは複数の)用量である。他の用量もまた可能であり得、例えば、PD(L)-1阻害剤の用量は、前記PD(L)-1阻害剤とイアダデムスタットとの新たに同定された組み合わせ物の複合作用に起因してより低くてもよい。
【0052】
本明細書中に記載した組み合わせ物は、同時又は逐次レジメンとして投与され得る。逐次的に投与されるとき、その組み合わせ物は、2回以上の投与で投与され得る。併用投与は、別個の製剤を使用する同時投与、及びどちらかの順序での連続投与を含み、その際、好ましくは、双方の(又は全ての)活性剤がそれらの生物学的活性を同時に発揮する期間がある。本発明の組み合わせ物は、式(I)の化合物とPD(L)1阻害剤とを含む、単一の医薬組成物としても投与され得る。
【0053】
本発明の医薬組成物は、投与のための指示書とともに容器、パック又はディスペンサーに中に包含されうる。
本発明の別の実施態様において、先に記載の疾患及び障害の治療に有用な組み合わせ物を含有する製造品、又は「キット」が提供される。
いくつかの実施形態において、製造品又はキットは、コンテナ及び本明細書中に記載した本発明による組み合わせ物を含む。
いくつかの実施形態において、製造品又はキットは、以下の:a) イアダデムスタット(又はその又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物)を含むコンテナ及びb) PD(L)1阻害剤を含むコンテナ、を含む。
【0054】
製造品又はキットはさらに、ラベル又は添付文書を含んでもよい。用語「添付文書」は、治療製品の商品パッケージに通例含まれる、治療製品の効能効果、用法、用量、投与、禁忌、及び/又は使用に関する警告についての情報を含む説明書のことを言及するのに使用される。適切なコンテナは、例えばボトル、バイアル、シリンジ、ブリスターパッグなどを含む。コンテナはガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。コンテナは、病態を治療するのに有効な、組み合わせ物又はその製剤を保持してもよく、無菌アクセスポート(例えば、コンテナは、皮下注射針によって穿孔可能なストッパーを有する静脈注射用溶液のバッグ又はバイアルとすることができる)を有してもよい。ラベル又は添付文書は、組成物が、癌、例えば、本明細書中に記載したような癌、などの選択した状態を治療するために使用されることを示す。一実施態様において、ラベル又は添付文書は、組み合わせ物を含む組成物が、癌を治療するために使用され得ることを示す。代替的に、又は追加的に、製品は、薬学的に許容される緩衝剤、例えば注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液及びブドウ糖液などを含む追加的なコンテナをさらに含んでもよい。それは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的及び使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。
【0055】
キットは、組み合わせ物、及び、存在する場合、第二の医薬製剤、の投与についての説明書をさらに含んでもよい。例えば、キットが、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩を含む第一の組成物、及びPD(L)1阻害剤を含む第二の組成物を含む場合、そのキットは、必要とする患者への第一及び第二の医薬組成物の、同時、逐次又は別個の投与についての説明書をさらに含んでもよい。
【0056】
別の実施態様において、キットは、例えば錠剤又はカプセル剤などの、組み合わせ物の固体経口形態の送達に適している。このようなキットは、好ましくは多数の単位用量を含む。このようなキットは、その意図された使用の順序向けの投与量を記したカードを含むことができる。このようなキットの例は、「ブリスターパック」である。ブリスターパックは、包装産業においてよく知られており、医薬単位剤形を包装するために広く使用される。必要に応じて、記憶の助けとなるものが、例えば、用量が投与され得る治療スケジュール中の日にちを示す、数字、文字若しくは他のマークの形で、又はカレンダー挿入物とともに、提供され得る。
【0057】
一実施形態によれば、キットは、(a) その中に含有されるイアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物が入った第一のコンテナ;(b) PD(L)1阻害剤が入った第二のコンテナを含んでもよい。代替的に、又は追加的に、キットは、薬学的に許容される緩衝剤、例えば注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液及びブドウ糖液などを含む別のコンテナを含んでもよい。それは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的及び使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。
【0058】
キットが、イアダデムスタット、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及びPD(L)1阻害剤の組成物を含む場合、該キットは、例えば分割ボトル又は分割ホイルポケットなどの、別個の組成物を収容するためのコンテナを含んでもよいが、別個の組成物は、単一の、分割されていないコンテナに収容されてもよい。一般的に、キットは別個の成分の投与のための説明書を含む。キットの形態は、別個の成分が、好ましくは異なる剤形(例えば、経口及び非経口)で投与されるとき、異なる投与間隔で投与されるとき、又は組み合わせ物の個々の成分の用量調整が処方医により望まれるときに、特に有利である。
【0059】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が関係する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
以下の定義は、特段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体に適用される。
本発明の目的のための「患者」又は「対象者」には、ヒト及び他の動物の両方、特に、哺乳動物が包含される。したがって、本発明の方法及び使用は、人間の処置及び獣医学の適用の両方に適用可能である。好ましい態様では、対象者又は患者は、哺乳動物であり、最も好ましい態様では、対象者又は患者は、ヒト(例えば、男性又は女性)である。
【0060】
本明細書では、「処置」、「処置する」などの用語は、一般に、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得ることを意味するために使用される。効果は、疾患(本明細書では、癌)又はその症状を完全又は部分的に予防するという点では予防的であり、及び/又は疾患(すなわち、癌)及び/又は疾患に起因する症状若しくは副作用を部分的又は完全に治癒又は改善する、又は疾患及び/又は疾患に起因する症状若しくは副作用の進行を部分的若しくは完全に停止させるという点では治療的である。本明細書で使用される「処置」という用語は、患者における疾患(すなわち、癌)のあらゆる処置に広がり、以下のいずれか1つ以上を包含するが、これらに限定されない:(a)癌に対する素因がある/癌を発症するリスクがある患者の癌を予防すること;(b)癌の開始を遅らせること;(c)癌を阻害すること、すなわち、その発症/進行を阻止、遅延化又は減速すること;又は癌を緩和すること、すなわち、癌の退行、是正又は軽減を引き起こすこと。本発明は、具体的かつ明確にこれらの処置形態のそれぞれに関する。
【0061】
本明細書で使用される「治療的有効量」という用語は、対象者において所望の生物学的効果(例えば、治療効果)を生み出すのに十分な量を意味する。したがって、化合物の治療的有効量は、その病気に苦しんでいるか、又はその病気にかかりやすい対象者に投与した場合に、疾患を処置する、及び/又は疾患の開始又は進行を遅らせる、及び/又は疾患の1つ以上の症状を緩和するのに十分な量でありうる。
【0062】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」とは、特定の化合物の遊離酸及び/又は塩基の生物学的有効性を保持し、生物学的又はその他の点で望ましくなくない塩を意味するものとする。化合物は、十分に酸性の、十分に塩基性の、又は両方の官能基を有し、したがって、多数の無機又は有機塩基、及び無機及び有機酸のいずれかと反応して、薬学的に許容される塩を形成しうる。例示的な薬学的に許容される塩として、本発明による化合物、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、モノヒドロリン酸塩、ジヒドロリン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-二酸塩、ヘキシン-1,6-二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、マンデル酸塩、ピルビン酸塩、ステアリン酸塩、アスコルビン酸塩、又はサリチル酸塩などの、イアダデムスタットと、鉱酸又は有機酸との反応によって調製された塩が挙げられる。化合物が酸性部分を有する場合、その適切な薬学的に許容される塩として、ナトリウム又はカリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム又はマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;及びアンモニア、アルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミン、リシン、アルギニン、N-メチルグルカミン、プロカインなどの適当な有機リガンドと形成された塩が挙げられる。薬学的に許容される塩は、当該技術分野でよく知られている。
【0063】
本明細書で使用される「薬学的に許容される溶媒和物」とは、溶質と、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒とによって形成される可変化学量論の複合体を意味する。水との複合体は水和物として知られている。本発明は、その非塩形態及び薬学的に許容される塩の形態での、任意のイアダデムスタットの薬学的に許容される溶媒和物を包含することを理解されたい。
【0064】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される賦形剤」とは、医薬品の製剤において使用される崩壊剤、結合剤、充填剤、及び滑沢剤などの非API(APIは有効医薬成分を意味する)物質を意味する。それらは、米国食品医薬品局及び/又は欧州医薬品庁によって公布されたものなどの確立された政府基準に従うヒトへの投与にとって、一般的に安全である。薬学的に許容される担体又は賦形剤は、当業者によく知られている。
【0065】
本明細書で使用される「小分子」とは、分子量が900ダルトン未満、好ましくは500ダルトン未満の有機化合物を意味する。分子量は分子の質量であり、各構成要素の原子量の合計に分子式中のその要素の原子数を乗じて計算される。
【0066】
本発明による用語「抗体」は、その最も広い意味で使用され、そして、抗原、この場合には免疫チェックポイントへの結合能を有するあらゆる抗体、抗体断片、及びその誘導体を含む。これは、完全モノクローナル抗体及びまたそうした抗体のエピトープ結合断片も包含する。これに関連して、エピトープ結合断片(本明細書では抗体断片又は抗体誘導体とも称される)は、抗原への結合能を有する抗体中のあらゆる領域を含む。本発明における詳細な抗体断片の例は、これだけに限定されるものではないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、個々の鎖の(単鎖)可変断片(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド結合した可変断片(sdFv)、及び軽鎖の可変領域(VL)又は重鎖の可変領域(VH)をいずれか含有する断片を含む。さらに、これには、ダイアボディ、及びテトラボディなど、組換えで調製された抗体が含まれる。抗体断片は、単独か、又はヒンジ領域並びに定常領域の第一、第二及び第三領域(CH1、CH2、CH3)から選択される更なる領域との組み合わせかのいずれかで可変領域を含有する。また、用語の抗体は、抗体の異なる領域が異なる種に由来するキメラ抗体、例えば、マウス可変領域がヒト定常領域と組み合わされた抗体を含む。抗体断片は、任意選択でリンカーによって互いにつながっている。リンカーは、完全抗体の抗原特異性を呈するようなVLとVHとの三次元の折り畳みを抗体断片が有するように選択される短い(詳細には10~20アミノ酸残基)可動性のペプチド配列を含む。さらに、詳細なリンカーは、抗体誘導体のプロテアーゼ耐性を高めることのできるペプチド配列を含む。
【0067】
「阻害剤」という用語は、本明細書中で使用される場合、特定の受容体又は酵素への特定のリガンドの結合によりいずれかの形で低減、遮断、阻害、破棄又は干渉と競合する、及び/又は特定のタンパク質の、例えば、受容体又は酵素の活性のいずれかの形で低減、遮断、阻害、破棄又は干渉する化合物を意味する。
【0068】
本明細書で使用される「を含む(comprising)」(又は「を含む(comprise)」、「を含む(comprises)」、「を含む(contain)」、「を含む(contains)」、又は「を含む(containing)」)という用語は、特段の指示又は文脈による矛盾がない限り、「特に、を含む」、すなわち、「さらなる任意の要素、…のうち、を含む」という意味を有する。それに加えて、この用語は、「本質的に、からなる」及び「からなる」というより狭い意味も包含する。例えば、用語「B及びCを含むA」は、「特に、B及びCを含むA」という意味を有し、ここで、Aは、さらなる任意の要素を含むことができる(例えば、「B、C及びDを含むA」も包含される)が、この用語は、「本質的に、B及びCからなるA」(すなわち、B及びC以外の要素は、Aに含まれない)という意味も包含する。
【0069】
特段の指示又は文脈による矛盾がない限り、本明細書で使用される「a」、「an」及び「the」という用語は、「1つ以上」及び「少なくとも1つ」と互換的に使用される。したがって、例えば、「a」PD(L)1阻害剤を含む組成物は、「1つ以上」のPD(L)1阻害剤を含む組成物を意味すると解釈することができる。
【実施例】
【0070】
以下の実施例を、本発明の例示のために提供する。それらは、本発明の範囲を限定するとみなされるのではなく、単にその代表例とみなされるべきである。結果はまた、図面と図面の凡例にも提示及び記載する。
【0071】
実施例1:マウスでのメラノーマのインビボモデルにおけるPD(L)1阻害剤と組み合わせたイアダデムスタットの効果の評価
方法:
B16F10メラノーマ細胞を、10%のウシ胎仔血清(ThermoFisher, 10500064)を補足したDMEM-高グルコース(Sigma, D5796)中の単層培養としてインビトロで維持した。指数増殖中の細胞を腫瘍接種のために採収した。6~8週齢のC57/BL6雌マウスには、0.050mLのDMEM(ダルベッコ変法イーグル培地):マトリゲル1:1中のB16F10メラノーマ細胞(0.5×106)を右脇腹に皮下接種した(1群あたり15匹のマウス)。第1群及び第2群からのマウスにビヒクル処置細胞を与え、その一方で、第3群に対して注射したB16F10細胞を、接種直前に96時間にわたり5nM イアダデムスタット2HClに晒した。処置を接種の日に開始した。動物には、4、7及び11日目に滅菌ダルベッコリン酸緩衝食塩水(DPBS)(第1群)又は抗PD1 mAb(100μgのBioXcell製のクローンRMP1-14;cat. #BE0146;ラット抗マウスmAb)のいずれかをi.p.注射した(第2群及び第3群)。加えて、第3群からの動物には、経口強制飼養による10μg/kgのイアダデムスタット2HClを、0日目から開始して実験終了(22日目)まで5/2投与スケジュール(1111100)に従って与えた。インビトロ処置のためのイアダデムスタットの濃度は、遊離塩基として表し、その一方で、インビボで投与した用量は、イアダデムスタット二塩酸塩について言及する。腫瘍体積は、キャリパーを使用して二次元で毎週2回計測し、そして、体積を、式:V = 0.5a×b2{式中、「a」及び「b」はそれぞれ腫瘍の長径及び短径である}を使用してmm3で表した。腫瘍重量を試験終了時点で計測した。統計解析を、対応のないt-検定を使用して実施した。
【0072】
結果:
腫瘍体積(TV)の統計的に有意な(p=0.004)差が、単剤として抗PD1 mAbで処置した動物(22日目の平均TV=1099mm3)又は組み合わせ物イアダデムスタット+抗PD1 mAb(22日目の平均TV=509mm3)を比較して観察された。溶媒対照の平均腫瘍体積は、19日目において1677mm3であった。
計測した腫瘍重量もまた、それぞれ単剤としての抗PD1 mAb(22日目に採集)又はビヒクル(19日目に採集)での処置を受けた動物における1.03g及び1.39gの平均腫瘍重量と比較して、組み合わせ物イアダデムスタット+抗PD1 mAbで処置した腫瘍(22日目に採集)における0.29gの平均体量により、単独で抗PD1 mAbを受けた動物と比較した組み合わせ物イアダデムスタット+抗PD1 mAbで処置した動物の腫瘍重量(p=0.001)における統計的に有意な減少を示した。
実施例1に記載のものに類似の方法を使用して、他の癌型におけるPD(L)1阻害剤を伴ったイアダデムスタットの組み合わせ物の処置効果を確認できる。
【0073】
本発明をその特定の実施態様に関連して説明したが、さらなる変更が可能であり、本出願は、一般的に、本発明の原理に従い、そして、本発明が関係する技術分野内の既知の又は慣習的な範囲内にあり、上記及び以下の特許請求の範囲に記載されている本質的な特徴に適用できる本開示からの逸脱を含む、本発明のあらゆる変形、使用、又は適応をカバーすることを意図することが理解されるべきである。
【国際調査報告】