(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-25
(54)【発明の名称】ロボットマニピュレータのマニュアルガイダンス中の方位角表示
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20220518BHJP
【FI】
B25J13/08 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557754
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(85)【翻訳文提出日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2020057563
(87)【国際公開番号】W WO2020193348
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】102019107969.1
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521181769
【氏名又は名称】フランカ エーミカ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】FRANKA EMIKA GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】ローカール,ティム
(72)【発明者】
【氏名】スペニンガー,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707KS20
3C707KT15
3C707KX06
(57)【要約】
本発明は、ロボットマニピュレータ(3)と視覚出力ユニット(9)とを備えるロボットシステム(1)に関し、ロボットマニピュレータ(3)はロボットリンク(5)を備え、ロボットリンク(5)は慣性測定ユニット(7)を備え、慣性測定ユニット(7)は、姿勢ジャイロを用いてロボットリンク(5)が不動であるときの重力ベクトルの方向を判断し、複数の時点にかけて、重力ベクトルに関するロボットリンク(5)の現在の方位を判断し、視覚出力ユニット(9)に対して重力ベクトルに関するロボットリンク(5)の現在の方位を伝達するよう構成され、視覚出力ユニット(9)は、重力ベクトルに関するロボットリンク(5)の現在の方位を表示するよう構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットマニピュレータ(3)と視覚出力ユニット(9)とを備えるロボットシステム(1)であって、
前記ロボットマニピュレータ(3)はロボットリンク(5)を備え、前記ロボットリンク(5)は慣性測定ユニット(7)を備え、
前記慣性測定ユニット(7)は、姿勢ジャイロを用いて前記ロボットリンク(5)が不動であるときの重力ベクトルの方向を判断し、複数の時点にかけて、前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンク(5)の現在の方位を判断し、前記視覚出力ユニット(9)に対して前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンク(5)の現在の方位を伝達するよう構成され、
前記視覚出力ユニット(9)は、前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンク(5)の現在の方位を表示するよう構成される、
ロボットシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットシステム(1)であって、
前記視覚出力ユニット(9)は、第1のディスプレイ要素(11)と第2のディスプレイ要素(12)とを備え、
前記第1のディスプレイ要素(11)と前記第2のディスプレイ要素(12)との間のシフトおよび/または回転は、前記複数の時点のそれぞれにおいて、前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンク(5)の相対方位に従って、対応する軸を中心とする少なくとも1つの角度と相関する、ロボットシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のロボットシステム(1)であって、
前記複数の時点のそれぞれにおいて、前記第2のディスプレイ要素(12)に対する前記第1のディスプレイ要素(11)の第1の角度は、前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンク(5)の相対方位に従う第1の軸を中心とする角度と相関する、ロボットシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のロボットシステム(1)であって、
前記複数の時点のそれぞれにおいて、前記第2のディスプレイ要素(12)に対する前記第1のディスプレイ要素(11)の第2の角度は、前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンク(5)の相対方位に従う第2の軸を中心とする角度に対応し、前記第1の軸および前記第2の軸は互いに直交する、ロボットシステム。
【請求項5】
請求項3に記載のロボットシステム(1)であって、
前記複数の時点のそれぞれにおいて、前記第2のディスプレイ要素(12)に対する前記第1のディスプレイ要素(11)のシフトは、前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンク(5)の相対方位に従う第2の軸を中心とする角度と相関し、前記第1の軸および前記第2の軸は互いに直交する、ロボットシステム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のロボットシステム(1)であって、
前記視覚出力ユニット(9)はスクリーンである、ロボットシステム。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のロボットシステム(1)であって、
前記視覚出力ユニット(9)はLEDアレイである、ロボットシステム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のロボットシステム(1)であって、
前記慣性測定ユニット(7)は、加速度センサーを用いて前記ロボットリンク(5)が不動であるときの前記重力ベクトルの方向を判断するよう構成される、ロボットシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のロボットシステム(1)であって、
前記慣性測定ユニット(7)は、前記加速度センサーによって測定された並進的加速度に基づいて、および前記ロボットリンク(5)の現在の方位に基づいて、前記ロボットリンク(5)が不動であるときの位置に対する現在の相対位置を判断するよう構成される、ロボットシステム。
【請求項10】
重力ベクトルに関するロボットマニピュレータ(3)のロボットリンク(5)の現在の方位を視覚出力ユニット(9)に出力する方法であって、
・前記ロボットリンク(5)に配置された慣性測定ユニット(7)を用いて、前記ロボットリンク(5)が不動であるときの重力ベクトルの方向を判断し(S1)、
・複数の時点にかけて、前記慣性測定ユニット(7)の姿勢ジャイロを用いて、前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンク(5)の現在の方位を判断し(S2)、
・前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンク(5)の現在の方位を、前記慣性測定ユニット(7)から前記視覚出力ユニット(9)へ伝達し(S3)、
・前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンク(5)の現在の方位を前記視覚出力ユニット(9)に表示する(S4)、ステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットマニピュレータと視覚出力ユニットとを備えるロボットシステムに関し、また、重力ベクトルに関するロボットマニピュレータのロボットリンクの現在の方位を視覚出力ユニットに出力する方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の目的は、マニュアルガイダンス中に、ユーザが、ロボットマニピュレータのロボットリンクをその方位の観点からより正確に方位を合わせることができるよう、ロボットマニピュレータのマニュアルガイダンスを改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、独立請求項の特徴に由来する。好都合な発展形および実施形態は、従属請求項の主題である。
【0004】
本発明の第1の局面は、ロボットマニピュレータと視覚出力ユニットとを備えるロボットシステムに関し、前記ロボットマニピュレータはロボットリンクを備え、前記ロボットリンクは慣性測定ユニットを備え、前記慣性測定ユニットは、姿勢ジャイロを用いて前記ロボットリンクが不動であるときの重力ベクトルの方向を判断し、複数の時点にかけて、前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンクの現在の方位を判断し、前記視覚出力ユニットに対して前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンクの現在の方位を伝達するよう構成され、前記視覚出力ユニットは、前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンクの現在の方位を表示するよう構成される。
【0005】
好ましくは、このロボットリンクはエンドエフェクタであり、エンドエフェクタは、ロボットマニピュレータの遠位端に配置され、慣性測定ユニットを備える。
【0006】
慣性測定ユニットは、特に、慣性を用いて運動学的データを取得する測定ユニットである。特に、慣性測定ユニットによって加速度センサーの加速度が取得され、慣性測定ユニットの筐体と姿勢ジャイロとの間の方位を判断することができる。
【0007】
ロボットリンクの方位は、好ましくは、地面固定座標系に関して、方位角で表現され、好ましくはオイラー角、または代替的に好ましくは四元数により表現される。したがって、ロボットリンクの方位は、地面固定座標系に関するロボットリンクの位置とは無関係である。
【0008】
重力ベクトルは、ロボットマニピュレータにローカルに作用する重力による下向きの力のベクトルであり、加速度を表す量および方向による時間の定数により特徴づけられる。
【0009】
視覚出力ユニットは、特に、重力ベクトルに関するロボットリンクの現在の方位を、ロボットリンクの方位の判断に対してリアルタイムに、特に同時に、表示するよう構成される。
【0010】
「リアルタイム」という用語は、コンピュータテクノロジーから定着した用語であるが、無限に短い計算時間は当然ながら不可能であるため、予測される待ち時間を無視するものである。したがって、「リアルタイム」という用語は、近似的な同時処理実行を意味するものとして理解され、プロセス間の無駄時間および待ち時間(具体的には、このプロセスは重力ベクトルに関するロボットリンクの現在の方位の取得、およびこの方位の表示)は、人間の知覚閾値をはるかに下回る。よって、好都合には、重力ベクトルに関するロボットリンクの方位が、判断されるのとほとんど全く同時にユーザに表示される。この意味で、重力ベクトルに関するロボットリンクの現在の方位の判断はリアルタイムに行われ、すなわち無視できる程度の待ち時間しかない。同じことは「同時」という用語にも当てはまる。
【0011】
本発明の好都合な効果は、ロボットマニピュレータのロボットリンクが重力ベクトルに関連する方位について、ユーザにフィードバックを与えられるということである。水位とは対照的に、姿勢ジャイロは、ロボットリンクまたは慣性測定ユニットが加速運動を行う場合でも、姿勢ジャイロの運動の状態とは無関係に、重力ベクトルに関するロボットリンクの正確な方位を判断することを可能とする。一方、水位は、水位線に接線方向の運動によって引き起こされる加速度に反応する。対照的に、ロボットリンクが不動であるときに重力ベクトルの方向が判断される場合、ほかの干渉する加速度が、特に加速度センサーによって誤取得されることはない。ここで、安定した方位角の姿勢ジャイロは、好都合には、ロボットリンクの運動による加速度、例えばコリオリの加速度または遠心加速度があるときも、重力ベクトルに関するロボットリンクの現在の方位を判断することができる。
【0012】
好都合な実施形態によれば、姿勢ジャイロは機械的回転ジャイロである。回転機械ジャイロは、特にジンバル搭載であり、比較的早い回転速度で回転する。回転速度が速いほど、より強く姿勢ジャイロの安定性が働き、これによって、ジャイロがジンバル搭載である筐体の地面に対する方位が修正された場合でも、機械的ジャイロは元の方位のままとなる。したがって、機械的ジャイロは安定した方位角を有し、慣性測定ユニットがロボットリンクに固定して配置され、重力ベクトルの方向が本発明の第1の局面にしたがって判断されるため、慣性測定ユニットの筐体の位置的に安定したジャイロに対する相対方位によって、慣性測定ユニットの相対方位、ひいては重力ベクトルに関するロボットリンクの相対方位を常に判断することができる。
【0013】
さらに好都合な実施形態によれば、姿勢ジャイロは光学ジャイロである。光学ジャイロは、特に、導光性材料、特にグラスファイバーからなるリングを備える。光の速度が常に一定である事実を利用して、特に導光リングのレーザービームの回転の期間から光学ジャイロの方位の相対変化を導き出し、そこから光学ジャイロの開始方位に対する現在の方位を判断することが可能である。したがって、慣性測定ユニットの方位に関する情報は開始方位を介して異なる技術的手段を用いて生成されるが、光学ジャイロと機械的ジャイロとは同じ機能を持つものである。
【0014】
さらに好都合な実施形態によれば、前記視覚出力ユニットは、第1のディスプレイ要素と第2のディスプレイ要素とを備え、前記第1のディスプレイ要素と前記第2のディスプレイ要素との間のシフトおよび/または回転は、前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンクの相対方位に従って、対応する軸を中心とする少なくとも1つの角度と相関する。
【0015】
好ましくは、この対応する軸はロボットリンクに対して固定されている。
【0016】
さらに好都合な実施形態によれば、前記視覚表示ユニットは、第1のディスプレイ要素および第2のディスプレイ要素を備え、前記複数の時点のそれぞれにおいて、前記第2のディスプレイ要素に対する前記第1のディスプレイ要素の第1の角度は、前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンクの相対方位に従う第1の軸を中心とする角度と相関する。
【0017】
最も単純なケースでは、第1のディスプレイ要素は第2のディスプレイ要素とともに共通面に設けられており、第1のディスプレイ要素が第2のディスプレイ要素に対して回転可能である。第2のディスプレイ要素に対する第1のディスプレイ要素の回転の相対角度は、ここでは、重力ベクトルに関するロボットリンクの正確に1つの軸を中心とする相対角度に対応する。好都合には、本実施形態は、特に、重力ベクトルに関するロボットリンクの正確に1つの角度のみが関連する場合、ユーザには直感的に理解可能である。
【0018】
さらに好都合な実施形態によれば、前記第2のディスプレイ要素に対する前記第1のディスプレイ要素の第2の角度は、複数の時点のそれぞれにおいて、前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンクの相対方位に従う第2の軸を中心とする角度に対応し、前記第1の軸および前記第2の軸は互いに直交する。本実施形態によれば、上述の実施形態とは対照的に、第2の軸を中心とする角度も、第2のディスプレイ要素に対する第1のディスプレイ要素によって表示される。
【0019】
さらに好都合な実施形態によれば、前記第2のディスプレイ要素に対する前記第1のディスプレイ要素のシフトは、前記複数の時点のそれぞれにおいて、前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンクの相対方位に従う第2の軸を中心とする角度に対応する。また、前記第2のディスプレイ要素に対する前記第1のディスプレイ要素の角度は、前記複数の時点のそれぞれにおいて、前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンクの相対方位に従う第1の軸を中心とする角度に対応する。
【0020】
さらに好都合な実施形態によれば、複数の時点のそれぞれにおける第2のディスプレイ要素に対する第1のディスプレイ要素の第1のシフトが、重力ベクトルに関するロボットリンクの相対方位による第1の軸を中心とする角度に対応し、複数の時点のそれぞれにおける第2のディスプレイ要素に対する第1のディスプレイ要素の第2のシフトが、重力ベクトルに関するロボットリンクの相対方位による第2の軸を中心とする角度に対応する。
【0021】
さらに好都合な実施形態によれば、前記視覚出力ユニットはスクリーンである。このスクリーンは、好ましくはコンピュータのスクリーンであり、このコンピュータはロボットマニピュレータからは独立しており、有線または無線のみでロボットマニピュレータに接続されている。代替的に、スクリーンは、好ましくはロボットマニピュレータ自体に配置されており、特に好ましくはロボットマニピュレータの遠位端に配置されており、さらに好ましくはロボットマニピュレータのロボットリンクまたはエンドエフェクタに配置される。
【0022】
さらに好都合な実施形態によれば、前記視覚出力ユニットはLEDアレイである。LEDアレイは、特に個々のLED(発光ダイオード)の配列であり、LEDは、好ましくは一列に配列されて、重力ベクトルに関するロボットリンクの方位による軸を中心とした角度の大きさが、配列の半分の発光したLEDの数と相関する。好都合には、ユーザに対して、非常に直観的で技術的に簡単な方法で、考慮対象の軸を中心とする重力ベクトルに関するロボットリンクのどの角度が現在存在するのかを表す視覚的な表示が与えられる。
【0023】
さらに好都合な実施形態によれば、視覚出力ユニットは、数値を示すよう構成されたディスプレイである。好ましくは、このために簡単な液晶ディスプレイが用いられる。さらに好都合な実施形態によれば、視覚出力ユニットはプロジェクタである。さらに好都合な実施形態によれば、視覚出力ユニットはレーザーエミッタである。
【0024】
さらに好都合な実施形態によれば、前記慣性測定ユニットは、加速度センサーを用いて前記ロボットリンクが不動であるときの前記重力ベクトルの方向を判断するよう構成される。この加速度センサーは、特に、並進的加速度センサーであり、さらに好ましくは、3つの加速度センサーがそれぞれ、いずれの2つもが互いに直交する三軸に配置される。一般に、3つの加速度センサーのうち1つが、本来的に正確な重力ベクトルの方向ではない場合、各加速度センサーの個々の要素を介して重力ベクトルの方向を導き出すことができる。これは、好ましくは、単純な力の三角形および単純な幾何学的計算により行われる。
【0025】
さらに好都合な実施形態によれば、慣性測定ユニットは、加速度センサーによって測定された並進的加速度に基づいて、およびロボットリンクの現在の方位に基づいて、ロボットリンクが不動であるときの位置に対する現在の相対位置を判断するよう構成される。
【0026】
好都合には、本実施形態によれば、ユーザは、重力ベクトルに関するロボットリンクの方位のフィードバックにより、より高い正確性でロボットリンクの方位を判断することができるだけでなく、例えばロボットマニピュレータの基部に相対的な、またはマニュアルガイダンス前の開始位置に対するロボットリンクの位置を判断することができる。これは、好都合には、地面に対するロボットリンクの方位およびロボットリンクの位置の双方に関して、ユーザによるマニュアルガイダンスによるロボットマニピュレータの学習プロセスの正確な実行を簡単にする。
【0027】
本発明のさらなる局面は、重力ベクトルに関するロボットマニピュレータのロボットリンクの現在の方位を視覚出力ユニットに出力する方法に関し、この方法は、
・前記ロボットリンクに配置された慣性測定ユニットを用いて、前記ロボットリンクが不動であるときの重力ベクトルの方向を判断し、
・複数の時点にかけて、前記慣性測定ユニットの姿勢ジャイロを用いて、前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンクの現在の方位を判断し、
・前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンクの現在の方位を、前記慣性測定ユニットから前記視覚出力ユニットへ伝達し、
・前記重力ベクトルに関する前記ロボットリンクの現在の方位を前記視覚出力ユニットに表示する、ステップを含む。
【0028】
重力ベクトルに関するロボットリンクの現在の方位の視覚出力ユニットへの表示は、特にオンラインで行われ、言い換えると、重力ベクトルに関するロボットリンクの現在の方位の判断に対してリアルタイム、特に同時に行われる。
【0029】
提案される方法の利点および好適な発展形は、提案されるロボットシステムとの関連で上述された説明を類似した適切な形で適用することによって得られる。
【0030】
さらなる利点、特徴、および詳細は、該当する場合には図面を参照し、少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する以下の説明から得られる。同一、類似、および/または機能的に等価な要素には同一の参照符号を与える。
【図面の簡単な説明】
【0031】
以下のとおり図に示す。
【0032】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態にかかるロボットマニピュレータと視覚出力ユニットとを備えるロボットシステムである。
【
図2】
図2は、本発明のさらなる実施形態にかかる視覚出力ユニットである。
【
図3】
図3は、本発明のさらなる実施形態にかかる視覚出力ユニット上に重力ベクトルに関するロボットマニピュレータのロボットリンクの現在の方位を出力する方法である。
【0033】
図面の表現は、図式化されたものであり、縮尺通りではない。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、ロボットマニピュレータ3と視覚出力ユニット9とを備えるロボットシステム1であり、視覚出力ユニット9はモバイルコンピュータのスクリーンであり、モバイルコンピュータは、データ処理のために、少なくとも慣性測定ユニット7に接続されている。ロボットマニピュレータ3の遠位端に、ロボットリンク5となるエンドエフェクタが配置され、ロボットリンク5は慣性測定ユニット7を備える。この慣性測定ユニット7は、加速度センサーを用いてロボットリンク5が不動であるときの重力ベクトルの方向を判断し、機械的姿勢ジャイロを用いて、複数の時点にかけて、ロボットリンク5が動いていても不動であっても、重力ベクトルに関するロボットリンク5の現在の方位を判断する。慣性測定ユニット7は、重力ベクトルに関するロボットリンク5の現在の方位を視覚出力ユニット9に伝達する。その後、視覚出力ユニット9は、重力ベクトルに関するロボットリンク5の現在の方位を表示する。視覚出力ユニット9は、スクリーン9に対して固定された十字状の点線であり、互いに直交して配置された2つのバンドからなる第1のディスプレイ要素11を備える。また、視覚出力ユニット9は、空間的に表されたサークルである第2のディスプレイ要素12を備える。第2のディスプレイ要素12に対する第1のディスプレイ要素11の第1の角度は、複数の時点において、重力ベクトルに関するロボットリンク5の相対方位による第1の軸を中心とする角度と相関する。ロボットリンク5の長手軸が重力ベクトルの方向と相関するように、すなわち座標系の残り2つの軸が水平面にあるように、ロボットリンク5に対して固定された座標系が重力ベクトルに関して方向づけられた場合、ユーザは、第1のディスプレイ要素11の水平軸と相関するサークル12の面を直接見る。このケースからは逸脱するが、重力ベクトルに関するロボットリンク5の方位において、サークル12は、対応する水平軸を中心とする2つの方位角によって適切に表され、2つの水平軸は地面に対する水平面に残って2つの水平軸は互いに直交する。したがって、ロボットリンク5が第1の水平軸を中心に傾くと、スクリーン9のサークル面が第1のディスプレイ要素11の水平のバンドに対して傾く。また、ロボットリンク7が第2の水平軸を中心に傾くと、ユーザのサークル12に対する仮想視野角が、サークル面に角度をつけてサークル面からシフトする。ここで、一般に、ロボットリンク5が、水平面上、よって重力ベクトルに関して不正確に方向づけられるとき、サークル12は、スクリーン9に変形した楕円体として表される。
【0035】
図2は、視覚出力ユニット9を示し、視覚出力ユニット9はLEDアレイである。ここで、重力ベクトルに関するロボットリンク5の正確に1つの軸を中心とする1つの角度のみを考慮する。この角度がゼロではない場合、この角度の表示に応じて、また角度の大きさに相関して、LEDアレイの左側または右側がさらに左側または右側に向かって点灯し、よって中央から始まって外側に向けて、一定数のLEDが点灯される。
【0036】
図3は、重力ベクトルに関するロボットマニピュレータ3のロボットリンク5の現在の方位を視覚出力ユニット9に出力する方法を示す。この方法は、以下のステップを含む、
・ロボットリンク5に配置された慣性測定ユニット7を用いて、ロボットリンク5が不動であるときの重力ベクトルの方向を判断しS1、
・複数の時点にかけて、慣性測定ユニット7の姿勢ジャイロを用いて、重力ベクトルに関するロボットリンク5の現在の方位を判断しS2、
・重力に関するロボットリンク5の現在の方位を、慣性測定ユニット7から視覚出力ユニット9へ伝達しS3、
・重力ベクトルに関するロボットリンク5の現在の方位を、視覚出力ユニット9に表示するS4。
【0037】
以上、好適な実施形態を用いて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は開示された例に限定されるものではなく、ここから当業者によって本発明の保護の範囲を逸脱することなくその他の変形例を得ることも可能である。したがって、多数の変形例の可能性が存在することは明らかある。また、例示された実施形態は、実際に単なる例であり、例えば、保護の範囲、利用可能性、または本発明の構成を限定するものとして理解されるべきではないことも明らかである。むしろ、上記の説明および図面の説明は、当業者に例示される実施形態を正しく実施することを可能にするものであり、開示された発明のアイデアを認識している当業者には、例えば例示される実施形態に記載の個々の要素の機能または構成について、請求項、および、例えば明細書におけるより詳細な説明など、請求項の法的な等価物に規定される保護の範囲を逸脱することなく、数多くの修正を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1:ロボットシステム
3:ロボットマニピュレータ
5:ロボットリンク
7:慣性測定ユニット
9:出力ユニット
11:第1のディスプレイ要素
12:第2のディスプレイ要素
S1:判断する
S2:判断する
S3:伝達する
S4:表示する
【国際調査報告】