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特表2022-526561過酸素化塩及び酸化染料を含む基材を使用する染色方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-25
(54)【発明の名称】過酸素化塩及び酸化染料を含む基材を使用する染色方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/22 20060101AFI20220518BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20220518BHJP
   D06P 3/08 20060101ALN20220518BHJP
【FI】
A61K8/22
A61Q5/10
D06P3/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557793
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 EP2020058856
(87)【国際公開番号】W WO2020201157
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】1903399
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】レイラ・エルクエ
(72)【発明者】
【氏名】シモン・ドンク
(72)【発明者】
【氏名】アンリ・サマン
【テーマコード(参考)】
4C083
4H157
【Fターム(参考)】
4C083AB012
4C083AB032
4C083AB272
4C083AB282
4C083AB322
4C083AB352
4C083AB372
4C083AB411
4C083AB412
4C083AB432
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC242
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC582
4C083AC642
4C083AC782
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC892
4C083AD042
4C083AD352
4C083AD642
4C083BB53
4C083CC36
4C083DD06
4C083DD12
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE26
4H157AA02
4H157BA01
4H157DA01
4H157DA21
4H157GA21
4H157HA01
(57)【要約】
本発明は、ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトのケラチン繊維を染色する方法であって、(i)少なくとも1つの過酸素化塩を含有する組成物(A)と、(ii)1つ以上の酸化染料を含有する少なくとも1つの層で完全に又は部分的にコーティングされた表面を含む基材との前記繊維への連続的な適用を含み、繊維への基材の適用中、いずれの過酸化水素も使用しない方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトのケラチン繊維を染色する方法であって、前記繊維に、
(i)1つ以上の過酸素化塩を含有する組成物(A)、
(ii)1つ以上の酸化染料を含有する少なくとも1つの層でコーティングされた表面を含む基材
を、前記方法が、前記繊維への前記基材の適用中、いずれの過酸化水素も使用しないことを考慮して、連続的に適用する方法。
【請求項2】
(i)前記組成物(A)の適用と、(ii)前記基材の前記適用との間にすすぎステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(ii)前記基材の前記適用は、組成物(A)のリーブオン時間の終了後の3時間未満、好ましくは組成物(A)のリーブオン時間の終了後の1時間未満、さらにより良好には45分未満で実施されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記過酸素化塩は、特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属のペルスルフェート、ペルボレート、過酸及び/又はその塩、ペルカーボネート並びにその混合物から、好ましくはペルスルフェートから選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記酸化染料は、カプラー及び任意選択的に酸化性塩基、好ましくはカプラーから選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記カプラーは、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフタレンベースのカプラー及び複素環式カプラー並びにまたその付加塩及び/又はその溶媒和物から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記カプラーは、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、1-ヒドロキシ-3-アミノベンゼン、1-メチル-2-ヒドロキシ-4-β-ヒドロキシエチルアミノベンゼン、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、5-アミノ-6-クロロ-2-メチルフェノール、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、3-ウレイドアニリン、3-ウレイド-1-ジメチルアミノベンゼン、セサモール、1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、5-メトキシ-6-ヒドロキシインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、3-アミノ-6-メトキシ-2-メチルアミノピリジン、3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン、1-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、6-ヒドロキシインドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、2-クロロ-3,5-ジアミノピリジン、2-クロロ-3,5-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-クロロ-3,5-ジアミノ-6-メチルピリジン、1-H-3-メチルピラゾル-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾル-5-オン、4-(3,5-ジアミノピリジン-2-イル)-1-(2-ヒドロキシエチル)-1-メチルピペラジン-1-イウムクロリド、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、2,4,6-トリメトキシアニリンヒドロクロリド、2,6-ジメチル[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール、6-メチルピラゾロ[1,5-a]ベンゾイミダゾール、2,6-ジアミノピラジン、その付加塩及び/又はその溶媒和物並びにその混合物から、好ましくは1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、1-ヒドロキシ-3-アミノベンゼン、1-メチル-2-ヒドロキシ-4-β-ヒドロキシエチルアミノベンゼン、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、5-アミノ-6-クロロ-2-メチルフェノール、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、α-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3-アミノ-6-メトキシ-2-メチルアミノピリジン、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、その付加塩及び/又はその溶媒和物から、さらにより良好には3-アミノ-6-メトキシ-2-メチルアミノピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、5-アミノ-6-クロロ-2-メチルフェノール、1-メチル-2-ヒドロキシ-4-β-ヒドロキシエチルアミノベンゼン、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、その付加塩及び/又はその溶媒和物並びにその混合物から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ケラチン繊維を加熱するステップも含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記加熱ステップは、前記ケラチン繊維の温度を60~250℃の範囲の温度、好ましくは80℃~180℃、好ましくは100℃~160℃、さらにより良好には120℃~150℃の範囲の温度に高めることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ケラチン繊維上での前記基材のリーブオン時間は、20分未満であり、好ましくは1~15分間継続し、さらに好ましくは1~10分間継続することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記基材は、シート形態の要素であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記シート形態の要素は、プラスチック材料、特に熱可塑性物質、紙、金属、特にアルミニウム、織物、非吸収性繊維、特にセルロース若しくはその誘導体の不織物又はポリアミド6,6から作られることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記シート形態の要素は、接着層であって、少なくとも前記酸化染料を含有する前記層がその上に堆積されている接着層を含むことを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1、11又は12のいずれか一項に記載の基材を使用した後、組成物(B)を使用することも含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
組成物(B)は、1つ以上の有機溶媒を含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維の染色の分野、より詳細には染毛の分野に関する。
【0002】
本発明は、特に、ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトのケラチン繊維を染色する方法であって、(i)少なくとも1つの過酸素化塩を含有する組成物(A)と、(ii)1つ以上の酸化染料を含有する少なくとも1つの層で完全に又は部分的にコーティングされた表面を含む基材との前記繊維への連続的な適用を含み、繊維への基材の適用中、いずれの過酸化水素も使用しない方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の酸化染色方法は、一般に、酸化性塩基及びカプラーの混合物を含む染料組成物を酸化剤としての過酸化水素(H又は過酸化水素水溶液)と一緒にケラチン繊維に適用することと、それを拡散させるために放置することと、次いで前記繊維をすすぐこととを含む。その結果としてもたらされる着色は、一般に、永久的であり、発色が強く、且つ外的要因、特に光、悪天候、洗浄、汗及び摩擦に耐性を示す。
【0004】
しかしながら、従来の酸化染色技法を用いた着色によって新規な視覚効果を得ることは、多くの場合、困難であるか又はさらに不可能であることが分かっている。特に、そのような方法は、頭髪全体に新規で魅力的な光学効果をもたらすことができる、鮮明且つ正確な着色又は多着色パターンを満足に付与することができない。
【0005】
これらの従来の酸化染色方法は、染料組成物及び酸化剤組成物を混合することにより得られる、直ちに使用できる状態の組成物を毛髪に適用する際、使用者又はヘアスタイリストの手を汚す欠点も有する。同様に、この種の方法を用いると、適用時の手違い及び/又は組成物が垂れる問題によって発生し得る望ましくない染みが使用者の頭皮、顔の輪郭線及び/又は衣服に付く。
【0006】
このような従来の酸化染色方法は、染料組成物及び酸化剤組成物の取扱中に起こる手違い又は出発染料組成物の選択が適当でなかったことなどに起因して、最終的に使用者が所望する色が得られないというリスクも伴う。
【0007】
所望の色を得るために使用される染料組成物及び酸化剤組成物を貯蔵する場合、特にヘアサロンにおいて、スペースが占有されるという問題が起こり得ることも分かっている。
【0008】
したがって、このような酸化染色方法は、異なる使用者に応じて多様な着色を行うために実際的でないことが判明し得る。
【0009】
これらの種々の欠点を解決するために、(特許文献1)において、1つ以上の酸化染料を含む組成物及び次いで水性酸化組成物で前処理されたシートの形態の基材と接触させてケラチン繊維を配置することを含む染色方法を実行することがすでに提案されている。この前処理により、酸化染料は、基材の表面を部分的に又は完全にコーティングする層を形成する。したがって、酸化染料は、均一又は不均一に基材の表面上に堆積され得、且つ種々の種類の着色パターンを生じるように1つ以上の新規の幾何学的形状を採用し得る。
【0010】
特に、ケラチン繊維が基材上に配置され、次いで酸化組成物が前記繊維及び/又は基材に適用される。染色方法の過程において、酸化染料は、ケラチン繊維に向かって移動してそれらに浸透するように、基材の表面から抽出され、且つ酸化組成物の酸化剤と反応して繊維を染色する。
【0011】
そのような方法は、均一であり、多色であり得、且つ/又は着色パターンを有し得る持続的な色彩が導かれ、例えばケラチン繊維上でのぼかし、斑点、新規形状及び/又はイメージの複製が製造され得るという利点を有する。特に、そのような方法は、消費者によってカスタマイズすることができる視覚的に新規の着色パターンを作成することを可能にする。
【0012】
しかしながら、そのような方法は、特にケラチン繊維を染色する前に酸化染料を基材から最初に抽出しなければならないという事実のため、一般に約30分程度の、むしろ長いことが明らかであり得るリーブオン時間を伴う。
【0013】
このリーブオン時間を短くするために、それらが酸化組成物の酸化剤と反応することができ、より容易にケラチン繊維に接近することができるように、染料のより迅速な抽出を促進するようにまさに基材の性質を変性することが想定された。
【0014】
この目的のため、特に可塑化されたシートを使用して、酸化染料を吸収しない基材を使用することがすでに提案されている。
【0015】
しかしながら、この種の方法に関して観察されたリーブオン時間は、依然として一般に25分程度の長いままであることが多い。
【0016】
さらに、この種の基材は、大規模製造に関して問題となる。特に、酸化染料を含有する組成物による基材の前処理中、前記組成物は、不適切に堆積され得、且つ基材の表面上にプールが生じ得る。それは、着色パターンの鮮明度に対して悪影響を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】仏国特許第3015895号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、上述の欠点を有しない、ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトのケラチン繊維を染色する方法、すなわち同時にスペースを占領するという課題を低減し、使用される組成物と使用者の手、頭皮及び/又は衣類との間で生じ得る接触のリスクを最小化しながら、特に迅速且つ簡単に鮮明且つ正確な着色パターンを導くことが可能である方法を実施することが実際に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的は、本発明によって達成され、本発明の1つの主題は、特に、ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトのケラチン繊維を染色する方法であって、前記繊維に、
(i)1つ以上の過酸素化塩を含有する組成物(A)、
(ii)1つ以上の酸化染料を含有する少なくとも1つの層でコーティングされた表面を含む少なくとも1つの基材
を、方法が、繊維への基材の適用中、いずれの過酸化水素も使用しないことを考慮して、連続的に適用することによる方法である。
【0020】
したがって、本発明による染色方法により、迅速且つ簡単に、すなわち短いリーブオン時間で鮮明且つ正確な着色パターンをケラチン繊維上に作成することが可能となり、したがって新規且つ魅力的な美的外観が与えられる。
【0021】
特に、本発明による染色方法により、従来の染色方法で観察されるものよりも短いリーブオン時間でそのような結果を達成することが可能となる。
【0022】
換言すると、本発明による方法に関連するリーブオン時間は、有利には、短くなる。
【0023】
特に、基材のリーブオン時間は、有利には、5~10分の範囲であり得、これは、組成物(A)のリーブオン時間よりわずかに長いのみである。
【0024】
したがって、本発明による染色方法は、1つ以上の酸化染料を含有する少なくとも1つの層でコーティングされた表面を含む少なくとも1つの基材を使用する。換言すると、この基材は、1つ以上の酸化染料を含有する染料調製組成物でその表面上において前処理されている。
【0025】
基材は、従来の酸化染色方法に使用される染料組成物の使用と比較して、使用者が家庭で容易に保管することができるため、占有するスペースを実質的に減らすことが可能になるという利点を有する。
【0026】
基材は、有利には、ヘアサロンで又はその前に直接調製され得る。
【0027】
したがって、本発明による染色方法により、視覚的に鮮明な着色パターンを高い正確性でケラチン繊維上に生成することが可能になる。より詳細には、この方法により、容易に再現可能なあらゆる種類の形状、例えば斑点又は波形を有するミリメートルサイズの着色パターンを作成することが可能になる。これらのパターンは、次いで、それらを頭髪全体上で繰り返す場合、新規な光学効果を導き得る。
【0028】
換言すると、本発明による染色方法により、頭髪全体上において、均一に又は頭髪の一部分に局在化された様式でパターン、特にミリメートルサイズのパターンを得ることが可能になる。これらのパターンは、審美的観点から創作的なものであり得るか、又は特に毛髪が再び成長及び毛先が褪色した場合、ケラチン繊維の色及び外観のムラを隠す役割を果たし得る。
【0029】
さらに、1つ以上の酸化染料を含む基材、すなわちそのような染料を含有する組成物で前処理された基材を使用することにより、この方法は、使用者の手、頭皮、顔及び/又は衣服を汚すリスクを低減することが可能になる。具体的には、この方法により、染料組成物及び酸化剤組成物の適用時における垂れ及び/又は手違いの問題をより容易に回避することが可能になる。
【0030】
本発明による染色方法により、発色が強く、且つ外的要因(シャンプー、光、汗、悪天候など)に耐性を示す着色及び/又はパターンを得ることが可能となる。
【0031】
特に、本発明による染色方法は、発色が強く、且つ耐シャンプー性を示すパターンの生成を導く。
【0032】
さらに、本発明による方法によってもたらされる着色強化は、高い。
【0033】
本発明によると、この方法は、ケラチン繊維への基材の適用中、いずれの過酸化水素も使用しない。
【0034】
換言すると、基材がケラチン繊維に適用されるとき、すなわち基材が前記繊維と接触するとき、過酸化水素を含有する組成物が添加されない。
【0035】
換言すると、本発明による方法は、ケラチン繊維への基材の適用中、過酸化水素を含む組成物のケラチン繊維への適用を含まない。
【0036】
さらに換言すると、本発明の方法は、過酸化水素を含む組成物をケラチン繊維に、上記で定義された基材が前記繊維に適用されるときに適用するステップを含まない。
【0037】
特に、基材をケラチン繊維に適用するステップは、過酸化水素を含有する組成物の実施を伴わない。
【0038】
より詳細には、基材がケラチン繊維に適用されるとき、過酸化水素は、ケラチン繊維に適用されない。
【0039】
本方法の実施形態によると、基材がケラチン繊維に適用される前、前記方法中に過酸化水素が実施され得る。
【0040】
本発明の他の主題、特徴、態様及び利点は、以下の説明及び実施例を読むことにより、更により明確に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の目的に関して且つ別段の指定がない限り、
「ヘテロアリール基」は、窒素、酸素、硫黄及びセレンから選択される1~6個のヘテロ原子を含む、任意選択的にカチオン性の5~22員単環式又は縮合若しくは非縮合多環式基を表し、且つその少なくとも1つの環が芳香族であり、優先的には、ヘテロアリール基は、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾビストリアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾピリダジニル、ベンゾキノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズオキサゾリル、ピリジニル、テトラゾリル、ジヒドロチアゾリル、イミダゾピリジル、イミダゾリル、インドリル、イソキノリル、ナフトイミダゾリル、ナフトオキサゾリル、ナフトピラゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾロピリジル、フェナジニル、フェノキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリリル、ピラゾイルトリアジル、ピリジル、ピリジノイミダゾリル、ピロリル、キノリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チアゾロピリジル、チアゾイルイミダゾリル、チオピリリル、トリアゾリル、キサンチル及びチオキサンチニルから選択され、
「アリール」基は、6~22個の炭素原子を含む単環式又は縮合若しくは非縮合多環式炭素ベース鎖を表し、その少なくとも1つの環が芳香族であり、優先的には、アリール基は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、インデニル、アントラセニル又はテトラヒドロナフチルであり、
「アリール」若しくは「ヘテロアリール」基又は基のアリール若しくはヘテロアリール部分は、以下:
- ヒドロキシル、C~Cアルコキシ、C~C(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、アシルアミノ、同一であるか又は異なり得る2つのC~Cアルキル基で置換されているアミノから選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されており、任意選択的に少なくとも1つのヒドロキシル基を保持するか、又はその2つの基が、それらが結合する窒素原子と共に、他の窒素原子又は非窒素ヘテロ原子を任意選択的に含む飽和又は不飽和の任意選択的に置換されている5~7員及び好ましくは5又は6員複素環を場合により形成する、C~C、好ましくはC~Cアルキル基、
- ハロゲン原子;
- ヒドロキシル又はチオール基;
- C~Cアルコキシ又はC~Cアルキルチオ基;
- (ポリ)ヒドロキシ(C~C)アルコキシ基;
- アミノ基、
- (C~C)アルキル基、優先的にはメチルで任意選択的に置換されている5又は6員ヘテロシクロアルキル基、優先的にはモルホリノ、ピペラジノ、ピペリジノ又はピロリジノ、
- (C~C)アルキル基、優先的にはメチルで任意選択的に置換されている5又は6員ヘテロアリール基、優先的にはイミダゾリル、
- 1つ又は2つの同一の又は異なるC~Cアルキル基で置換されているアミノ基であって、任意選択的に、少なくとも、
ヒドロキシル基、
1つ又は2つの任意選択的に置換されているC~Cアルキル基で任意選択的に置換されているアミノ基であって、前記アルキル基は、場合により、それらが結合する窒素原子と共に、少なくとも1つの他の窒素又は非窒素ヘテロ原子を任意選択的に含む飽和又は不飽和の任意選択的に置換されている5~7員複素環を形成する、アミノ基、
第4級アンモニウム基-NR’R’’R’’’,M(式中、同一であるか又は異なり得るR’、R’’及びR’’’は、水素原子又はC~Cアルキル基を表し、Mは、アニオン対イオンを表す)、又は
(C~C)アルキル基、優先的にはメチルで任意選択的に置換されている、任意選択的にカチオン性の5又は6員ヘテロアリール基、優先的にはイミダゾリウム
を保持するアミノ基、
- アシルアミノ基(-NR-C(O)-R’)(式中、基Rは、水素原子又は少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択的に保持するC~Cアルキル基であり、且つ基R’は、C~Cアルキル基である);
- カルバモイル基((R)N-C(O)-)(式中、同一であるか又は異なり得る基Rは、水素原子又は少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択的に保持するC~Cアルキル基を表す);
- アルキルスルホニルアミノ基(R’-S(O)-N(R)-)(式中、基Rは、水素原子又は少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択的に保持するC~Cアルキル基であり、且つ基R’は、C~Cアルキル基又はフェニル基を表す);
- アミノスルホニル基(R)N-S(O)-)(式中、同一であるか又は異なり得る基Rは、水素原子又は少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択的に保持するC~Cアルキル基を表す);
- 酸又は(好ましくはアルカリ金属又は置換若しくは未置換アンモニウムによる)塩化状態のカルボキシル基、
- シアノ基;
- ニトロ又はニトロソ基;
- ポリハロアルキル基、優先的にはトリフルオロメチル
から選択される、炭素原子によって保持される少なくとも1つの置換基で置換され得、
環式若しくは複素環式基又はアリール若しくはヘテロアリール基の非芳香族部分は、1つ以上のオキソ基でも置換され得、
「アルキル基」は、直鎖状又は分岐状C~C10、特にC~C、より好ましくはC~C、好ましくはC~C炭化水素ベースの基であり、
値の範囲の限界値は、その範囲、とりわけ「~」及び「~の範囲」の表現に含まれ、
「少なくとも1つ」という表現は、「1つ以上」という表現と同義であり、且つそれと置き換えられ得る。
【0042】
第1のステップ - 組成物(A)
上記で示されるように、本染色方法は、前記繊維上において、化学酸化剤として1つ以上の過酸素化塩を含有する組成物(A)を使用する。
【0043】
組成物(A)は、ケラチン繊維上で使用され、すなわち、それは、ケラチン繊維に適用され得るか、又はそれは、1つ以上の化学酸化剤、好ましくは過酸化水素を含む組成物と混合され得、次いで、得られた混合物は、前記繊維に適用される。
【0044】
換言すると、組成物(A)は、ケラチン繊維に適用され得るか、又は組成物(A)は、1つ以上の化学酸化剤、好ましくは過酸化水素を含む組成物(すなわち混合から生じる組成物)との混合後にケラチン繊維に適用される。
【0045】
「化学酸化剤」という用語は、大気酸素以外のいずれの化学酸化剤も意味する。
【0046】
過酸素化塩は、特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属のペルスルフェート、ペルボレート、過酸及び/又はその塩並びにその混合物から特に選択される。
【0047】
好ましくは、過酸素化塩は、ペルスルフェートから選択される。
【0048】
より優先的には、過酸素化塩は、過硫酸ナトリウム、カリウム及びアンモニウム並びにその混合物、特に過硫酸ナトリウムから選択される。
【0049】
過酸素化塩の含有量は、組成物(A)の全質量と比較して1質量%~60質量%、好ましくは10質量%~50質量%の範囲であり得る。
【0050】
組成物(A)は、1つ以上のアルカリ性剤も含み得る。
【0051】
アルカリ性剤は、カーボネート、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びまたその誘導体など)、オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エチレンジアミン、無機又は有機水酸化物、アルカリ金属シリケート(メタケイ酸ナトリウムなど)、アミノ酸、好ましくは塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン、オルニチン、シトルリン、ヒスチジンなど)及びまた以下に示す式(I):
【化1】
(式中、
- Wは、任意選択的に、特にヒドロキシル基又はC~Cアルキル基で置換されている2価の(C~C)アルキレン基、好ましくはプロピレン基であり、
- 同一であるか又は異なり得るR、R、R及びRは、水素原子又はC~Cアルキル若しくはC~Cヒドロキシアルキル基を表す)
の化合物から選択され得る。
【0052】
無機又は有機水酸化物は、好ましくは、i)アルカリ金属の水酸化物、ii)アルカリ土類金属の水酸化物、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、iii)遷移金属の水酸化物(第III、IV、V及びVI族からの金属の水酸化物など)、iv)ランタニド又はアクチニドの水酸化物、第四級アンモニウム水酸化物及び水酸化グアニジンから選択される。
【0053】
水酸化物は、その場で形成することもでき、例えば、水酸化グアニジンは、水酸化カルシウムを炭酸グアニジンと反応させることにより形成される。
【0054】
好ましくは、組成物(A)は、アルカリ金属シリケート、特にメタケイ酸ナトリウムから選択される1つ以上のアルカリ性剤を含む。
【0055】
組成物(A)は、1つ以上の界面活性剤、好ましくは1つ以上のノニオン性及び/又はアニオン性界面活性剤も含み得る。
【0056】
好ましくは、ノニオン性界面活性剤は、オキシアルキレン化され、且つオキシエチレン化C~C30アルコール並びに飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状C~C30酸及びソルビトールのポリオキシエチレン化エステルから選択される。
【0057】
アニオン界面活性剤は、スルフェート、スルホネート、カルボン酸(又はカルボキシレート)界面活性剤及びその混合物、特にスルフェート及びカルボン酸界面活性剤から選択され得る。
【0058】
好ましくは、アニオン界面活性剤は、特にアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属、アンモニウム又はアミノアルコール塩の形態における、以下:
- C~C24、特にC12~C20アルキルスルフェート;
- C~C24、特にC12~C20アルキルエーテルスルフェート;好ましくは2~20のエチレンオキシド単位を含むもの;
- C~C24アルキルスルホサクシネート、特にC12~C20アルキルスルホサクシネート;特にラウリルスルホサクシネート;
- C~C24、特にC12~C20アルキルエーテルスルホサクシネート;
- (C~C24)アシルイセチオネート、好ましくは(C12~C18)アシルイセチオネート;
- C~C24、特にC12~C20アシルサルコシネート;特にパルミトイルアシルサルコシネート;
- (C~C24)アルキルエーテルカルボキシレート、好ましくは(C12~C20)アルキルエーテルカルボキシレート;
- ポリオキシアルキレン化(C~C24)アルキル(アミド)エーテルカルボン酸及びその塩、特に2~50アルキレンオキシド、特にエチレンオキシド基を含むもの;
- C~C24、特にC12~C20アシルグルタメート;
- C~C24、特にC12~C20アシルグリシネート;及び
- その混合物
から選択される。
【0059】
アニオン性界面活性剤が塩型である場合、前記塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウム又はカリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、特にアミノアルコール塩及びアルカリ土類金属、例えばマグネシウム塩から選択され得る。
【0060】
記載され得るアミノアルコール塩の例には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン又はトリイソプロパノールアミン塩、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール塩、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール塩及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩が含まれる。
【0061】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、とりわけナトリウム又はマグネシウム塩が好ましくは使用される。
【0062】
好ましくは、界面活性剤は、組成物(A)の全質量と比較して0.1質量%~50質量%、好ましくは0.5質量%~30質量%の範囲の含有量を表し得る。
【0063】
一実施形態によれば、組成物(A)の使用は、有利には、ケラチン繊維を漂白することを導く。
【0064】
本発明の目的に関して、「ケラチン繊維を漂白する」という用語は、組成物(A)の適用により、Minolta CM 2002比色計などのCIE L、a国際系の標準比色機によって決定される、未漂白のケラチン繊維に対して2以上のケラチン繊維の色の差ΔEが導かれることを意味する。
【0065】
ΔEは、漂白された毛髪の房と、未漂白の毛髪、すなわち組成物(A)で処理されない毛髪の房との間の色差に対応し、以下の式によって測定される。
【数1】
【0066】
この式において、L、a及びbは、それぞれ漂白された毛髪の房の上で測定された値を表し、且つL 、a 及びb は、それぞれ未漂白毛髪の房の上で測定された値を表す。
【0067】
このL系において、Lは、明度を表し、aは、緑色/赤色軸を示し、bは、青色/黄色軸を示す。Lの値が高いほど、明るくなるか又は色の強度が低くなる。逆に、Lの値が小さくなるほど、暗くなるか又は色の強度が高くなる。aの値が高いほど、色合いがより赤くなり、bの値が高いほど、色合いが黄色くなる。
【0068】
本実施形態によると、過酸素化塩の含有量は、組成物(A)の全質量に対して1質量%~60質量%、好ましくは10質量%~50質量%の範囲であり得る。
【0069】
本実施形態によると、組成物(A)は、好ましくは、1つ以上の化学酸化剤、特に過酸化水素を含む組成物と混合され、次いで、得られる混合物は、ケラチン繊維に適用される。したがって、そのようにしてケラチン繊維が漂白される。
【0070】
本実施形態によると、組成物(A)は、10質量%~60質量%(すなわち化学酸化剤との混合後に5質量%~30質量%)を含み;好ましくは、pHは、アルカリ性である(8~10)。
【0071】
別の実施形態によると、組成物(A)の使用は、ケラチン繊維を漂白することを導かない。
【0072】
本発明の目的に関して、「ケラチン繊維を漂白しない」という用語は、組成物(A)の適用により、Minolta CM 2002比色計などのCIE L、a国際系の標準比色機によって決定される、未漂白のケラチン繊維に対して厳密に2未満のケラチン繊維の明色化ΔEが導かれることを意味する。
【0073】
ΔEは、漂白された毛髪の房と、未漂白の毛髪、すなわち組成物(A)で処理されない毛髪の房との間の色差に対応し、上記で定義された式(i)によって測定される。
【0074】
したがって、色差ΔEが厳密に2未満である場合、これは、漂白された毛髪の房と未漂白の毛髪の房との間の色の差が有意に異ならないこと及び組成物(A)の適用が房の漂白を導かなかったことを意味する。
【0075】
本実施形態によると、組成物(A)は、特に、1~12、好ましくは7未満のpH範囲を有し、且つ上記で定義された過酸素化塩を含有する水性組成物である。
【0076】
より優先的には、組成物(A)のpHは、1~6、なおより優先的には1.5~5、さらにより良好には2~5の範囲である。
【0077】
本実施形態によると、酸性化剤は、塩酸、リン酸、乳酸又はクエン酸及びその混合物、好ましくはリン酸などの有機又は鉱物酸から選択され得る。
【0078】
本実施形態によると、組成物(A)は、酸性pH、すなわち7未満のpH、好ましくは1.5~5の範囲のpH、さらにより良好には2~4のpHを有する水性組成物であり、好ましくはペルスルフェート、特に過硫酸ナトリウムから選択される1つ以上の過酸素化塩からなる。
【0079】
好ましくは、本実施形態によると、組成物(A)は、粉末形態の過酸素化塩と、水及び少なくとも1つの酸性化剤を含む水性相、好ましくは水及び少なくとも1つの酸性化剤からなる水性相とを混合することにより、使用直前に調製され得る。
【0080】
本実施形態によると、過酸素化塩の含有量は、組成物の全質量に対して0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~5質量%の範囲であり得る。pHは、好ましくは、1.5~5の範囲である。
【0081】
好ましくは、組成物(A)の使用は、ケラチン繊維の漂白を導かない。
【0082】
好ましくは、本実施形態による組成物(A)は、過酸化水素を含まない。
【0083】
好ましい実施形態によると、組成物(A)は、有利には、1~12、好ましくは7未満の範囲のpHを有し、且つ上記で定義された過酸素化塩を含有する水性組成物である。好ましくは、pHは、1.5~5、さらにより良好には2~4の範囲である。
【0084】
好ましくは、過酸素化塩は、ペルスルフェート、特に過硫酸ナトリウムから選択される。
【0085】
好ましくは、組成物(A)は、すすがれるか又はリーブオンされ、好ましくはリーブオンされる。
【0086】
より好ましくは、本方法は、(i)組成物(A)の適用と、(ii)基材の適用との間にすすぎステップを含む。
【0087】
特に、本方法は、組成物(A)のリーブオン時間の終了時にケラチン繊維をすすぐことを含む。
【0088】
第2のステップ - 基材
上記で示された通り、染色方法は、前記繊維上において、1つ以上の酸化剤を含有する少なくとも1つの層でコーティングされた表面を含む少なくとも1つの基材を使用する。
【0089】
基材は、ケラチン繊維が、上記で定義された組成物(A)と接触して配置された後に使用される。
【0090】
本発明の基材は、シート形態の要素の形態又は他の実施形態であり得る。
【0091】
好ましくは、基材は、シート形態の要素である。
【0092】
シート形態の要素は、プラスチック材料、特に熱可塑性物質、紙、金属、特にアルミニウム、織物、非吸収性繊維、特にセルロース若しくはその誘導体の不織物又はポリアミド6,6から作られ得る。
【0093】
好ましくは、シート形態の要素は、プラスチック材料、特に熱可塑性物質又は非吸収性繊維の不織材料、特にセルロース若しくはその誘導体をベースとする不織物のシートである。
【0094】
特に、シート形態の要素は、非吸収性繊維の不織材料、特にセルロース又はその誘導体をベースとする不織物のシートである。
【0095】
より特に、シート形態の要素は、クラフト型の紙であり得、これは、良好に印刷され、正確なパターンが得られるという利点を有する。具体的には、ケラチン繊維上に得られる着色パターンは、組成物(A)と接触して配置された後に垂れない。
【0096】
特に、染色方法に用いられるシート形態の要素は、プラスチックシートである。
【0097】
この場合、シート形態の要素は、十分な着色力が付与され、着色が強力なパターンを得ることができるという利点を有する。さらに、プラスチック材料のシートは、組成物(A)中に存在し得る水を吸収しないため、前記組成物を適用する間にケラチン繊維上に乾燥領域が生じることを回避することができる。
【0098】
シート形態の要素は、水溶性材料からなるものであり得、これにより、例えば洗髪によって除去することが可能になる。
【0099】
好ましくは、シート形態の要素は、水溶性材料の層と、非水溶性材料の層、例えばアルミ箔との集合体を含む。
【0100】
毛髪の房の周囲を囲むことができるように基材が設計され得る。その場合、そのような基材は、例えば、このような状態を維持するための固定手段、例えば一方の端部付近に配置された接着剤又は機械的に開閉可能な留め具を備えられる。
【0101】
好ましくは、シート形態の要素は、20~300g/mの範囲、さらにより優先的には30~200g/mの範囲の目付けを有する。
【0102】
シート形態の要素の厚さは、特に40~1000マイクロメートルの範囲、好ましくは40~400マイクロメートル、さらにより良好には60~200マイクロメートルの範囲である。
【0103】
シート形態の要素は、不透明又は透明であり得る。好ましくは、シート形態の要素は、透明であり、これにより、特に1種以上のパターンを毛髪の房上又は頭髪上の正確な位置に作成することが望まれる場合に毛髪上での位置決めが容易になる。換言すると、シート形態の要素が透明であることにより、染色方法の実施は、特に着色パターンを作成する場合に容易になり、正確性が向上する。
【0104】
本発明による染色方法に使用されるシート形態の要素は、好ましくは、可撓性を有すると共に高強度である。優先的には、シートの強度は、300kPaを超える(TAPPI-T403標準)。
【0105】
好ましくは、シート形態の要素は、耐水性である。詳細には、前記要素の吸水度は、COBB 60試験により測定され、これは、前記要素に水を60秒間接触させた際の吸水度に対応する(手順は、ISO 535標準、TAPPI-T411測定に定められている)。
【0106】
したがって、シート形態の要素は、100g/m未満、優先的には40g/m未満の水を吸収する。
【0107】
好ましくは、シート形態の要素は、油性化合物に耐性を示す。したがって、「食品用」ペーパー、すなわち水及び油に対するバリア機能を示すことができる、紙とポリエチレン型の高分子化合物との複合体又は紙とパラフィンとの複合体から作製されたものを使用し得る。
【0108】
シート形態の要素は、任意選択的に、接着剤組成物の堆積によって被覆され得る。この接着層により、シート形態の要素の表面への酸化層の付着力を強化することができる。
【0109】
好ましい実施形態によれば、1つ以上の酸化染料を含む少なくとも1つの層でコーティングされた表面を含むシート形態の要素は、前記要素の表面を外的要因から保護する役割を果たす保護手段で被覆され得る。したがって、シート形態の要素は、保護層で被覆され得る1つ以上の酸化染料をその表面上に含む。そのような保護層により、水分、光又は大気中の酸素による酸化染料の劣化をさらに最小限に抑えることができる。
【0110】
したがって、シート形態の要素は、紙のワニス処理技法(オイルニス、アクリルワニスなど)に用いられる方法を実施することにより、特に水系又は有機系アクリルワニス組成物を用いて保護され得る。
【0111】
このように、シート形態の要素の表面をアクリルワニスの層で保護することができる。
【0112】
換言すると、シート形態の要素は、その表面上において、1つ以上の酸化染料を含有する少なくとも1つの層と、1つ以上の酸化染料を含有する層と重なっているアクリルワニスの層とを含む。
【0113】
アクリルワニス層の単位面積あたりの質量は、1~10g/m、より詳細には2~5g/mの範囲である。
【0114】
一変形形態によれば、シート形態の要素は、取り外し可能な保護シートで被覆される。この目的のため、シート形態の要素の端部及び保護シートの端部を締結手段、特に接着剤により結合する。これは、任意の種類の方法、特にヒートシールにより製造され得る。したがって、保護シート及びシート形態の要素間に良好な結合が確保される。
【0115】
有利には、保護シートは、UV不透過性であり、それによってより良好な保護が確保される。
【0116】
別の変形形態によると、シート形態の要素は、(減圧下又は不活性雰囲気下で)要素の上部に酸素を含まない空間を画定する別の保護手段、すなわち気密性ラッピングによって被覆され得る。
【0117】
有利な実施形態によれば、シート形態の要素は、詳細には厚さが50μm未満、より優先的には30μm未満である紙の薄層、例えばシガレットペーパー若しくは水の存在下で細かく分解することができるトイレットペーパーなど、又は好ましくは5~200μmの範囲の厚さを有する、セルロース若しくは親水性シリカなどの親水性材料の薄層によって被覆されたプラスチックシートである。
【0118】
本実施形態によれば、紙の薄層は、速やかに乾燥させることができるため、以下に定義される組成物(B)が適用された後の垂れによる着色が防止される。さらに、薄い紙の下側に位置する紙の層は、その厚さが薄いため、シート形態の要素に由来する酸化染料をほとんど又は全く吸収しない。したがって、ケラチン繊維上に薄い紙の層が存在することにより、色が良好に付与され、それにより特に鮮明な着色パターンが得られる。さらに、この実施形態によるシート形態の要素により、ケラチン繊維の下側の乾燥した領域を最小限に抑えることが可能になる。
【0119】
水に接触すると分解することができる紙の層によって被覆された紙の層(優先的には低吸収性又は非吸収性である)から形成された支持体を利用する場合、分解可能な紙の層(厚さは、場合により、10~200μmの範囲である)が存在することにより、速やかに乾燥させることが可能になり、以下に定義される組成物(B)を適用した後の垂れによる着色が防止される。さらに、分解可能な紙の下側に位置する紙の層は、厚さが薄いため、シート形態の要素に由来する酸化染料をほとんど又は全く吸収しない。したがって、ケラチン繊維上に薄い紙の層が存在することにより、色が良好に付与され、それにより特に鮮明な着色パターンが得られる。さらに、この実施形態によるシート形態の要素により、ケラチン繊維の下側の乾燥した領域を最小限に抑えることが可能になる。
【0120】
親水性材料の層から形成された支持体が使用される場合、親水性材料の層は、通常、厚さが5~200μmであり、それにより速やかに乾燥させることが可能になり、酸化水性組成物を適用した後の垂れによる着色が防止される。こうすることにより、特に鮮明な着色パターンが得られる。
【0121】
第2の有利な実施形態によれば、シート形態の要素は、微細な窪みを有するシート、すなわちプラスチック材料が介在することで互いに離間されている孔を有する、穿孔されたシートである。したがって、以下に定義される組成物(B)は、基材の孔内に収容され、それにより、以下に定義される組成物(B)を配置した後のケラチン繊維の染料の力をより良好に与えることが可能になるであろう。
【0122】
シート形態の要素の表面に位置する孔は、シートの厚さの10%~90%の範囲の厚さ上に形成される。
【0123】
酸化染料は、1つ以上のカプラーから選択され得、任意選択的に1つ以上の酸化性塩基と併用される。
【0124】
一実施形態によると、酸化染料は、1つ以上のカプラー及び1つ以上の酸化性塩基から選択され得る。
【0125】
好ましくは、カプラーは、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフタレンベースのカプラー及び複素環式カプラー並びにまたその付加塩及び/又はその溶媒和物から選択される。
【0126】
例としては、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、1-ヒドロキシ-3-アミノベンゼン、1-メチル-2-ヒドロキシ-4-β-ヒドロキシエチルアミノベンゼン、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、5-アミノ-6-クロロ-2-メチルフェノール、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、3-ウレイドアニリン、3-ウレイド-1-ジメチルアミノベンゼン、セサモール、1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、5-メトキシ-6-ヒドロキシインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、3-アミノ-6-メトキシ-2-メチルアミノピリジン、3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン、1-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、6-ヒドロキシインドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、2-クロロ-3,5-ジアミノピリジン、2-クロロ-3,5-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-クロロ-3,5-ジアミノ-6-メチルピリジン、1-H-3-メチルピラゾル-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾル-5-オン、4-(3,5-ジアミノピリジン-2-イル)-1-(2-ヒドロキシエチル)-1-メチルピペラジン-1-イウムクロリド、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、2,4,6-トリメトキシアニリンヒドロクロリド、2,6-ジメチル[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール、6-メチルピラゾロ[1,5-a]ベンゾイミダゾール及び2,6-ジアミノピラジン、その付加塩及び/又はその溶媒和物並びにその混合物が挙げられ得る。
【0127】
好ましくは、本発明の方法において使用されるカプラーは、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、1-ヒドロキシ-3-アミノベンゼン、1-メチル-2-ヒドロキシ-4-β-ヒドロキシエチルアミノベンゼン、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、5-アミノ-6-クロロ-2-メチルフェノール、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、α-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3-アミノ-6-メトキシ-2-メチルアミノピリジン及び2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、その付加塩及び/又はその溶媒和物並びにその混合物から選択される。
【0128】
さらにより優先的には、本発明の方法に使用されるカプラーは、3-アミノ-6-メトキシ-2-メチルアミノピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、5-アミノ-6-クロロ-2-メチルフェノール、1-メチル-2-ヒドロキシ-4-β-ヒドロキシエチルアミノベンゼン及び2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、その付加塩及び/又はその溶媒和物並びにその混合物から選択される。
【0129】
一般に、本発明に関連して使用され得るカプラーの付加塩は、特に、塩酸塩、臭化水素酸塩、スルフェート、シトレート、スクシネート、タートレート、ラクテート、トシレート、ベンゼンスルホネート、ホスフェート及びアセテートなど、酸との付加塩から選択される。
【0130】
酸化性塩基は、パラ-フェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルト-アミノフェノール及び複素環塩基並びにその付加塩から選択され得る。
【0131】
パラ-フェニレンジアミンの中で、言及され得る例としては、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トリレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-フルオロ-パラ-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラ-フェニレンジアミン、N-エチル-N-(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(4’-アミノフェニル)-パラ-フェニレンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノフェニルピロリジン、2-チエニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-アミノトルエン及び3-ヒドロキシ-1-(4’-アミノフェニル)ピロリジン並びに酸とのその付加塩が挙げられ得る。
【0132】
上述のパラ-フェニレンジアミンの中で、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トリレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン及び2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン並びに酸とのその付加塩が特に好ましい。
【0133】
ビス(フェニル)アルキレンジアミンの中で、言及され得る例としては、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4’-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4’-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(エチル)-N,N’-ビス(4’-アミノ-3’-メチルフェニル)エチレンジアミン及び1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタン並びにその付加塩が挙げられ得る。
【0134】
パラ-アミノフェノールの中で、言及され得る例としては、パラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-クロロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール及び4-アミノ-2-フルオロフェノール並びに酸とのその付加塩が挙げられ得る。
【0135】
オルトアミノフェノールの中で、言及され得る例としては、2-アミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、5-アセトアミド-2-アミノフェノール及びその付加塩が挙げられ得る。
【0136】
複素環式塩基の中で、言及され得る例としては、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体及びピラゾール誘導体が挙げられ得る。
【0137】
言及され得るピリジン誘導体の中で、例えば英国特許出願公開第1026978号明細書及び英国特許出願公開第1153196号明細書に記載される化合物、例えば2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン及び3,4-ジアミノピリジン並びにその付加塩が挙げられ得る。
【0138】
本発明に有用な他のピリジン酸化性塩基は、例えば、特許出願仏国特許第2801308号明細書に記載される3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン酸化性塩基又はその付加塩である。
【0139】
例として、ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-(アセチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボン酸、2-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)メタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)エタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)エタノール、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-2-イル)メタノール、3,6-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、3,4-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,7-ジアミン、7-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,5-ジアミン、5-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-オル、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-オル、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-オル、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-オル及びその付加塩が挙げられ得る。
【0140】
ピリミジン誘導体の中で、例えば独国特許第2359399号明細書、特開88-169571号公報、特開平05-63124号公報及び欧州特許第0770375号明細書又は国際公開第96/15765号パンフレットに記載されている化合物、例えば2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノピリミジン及びその互変異性体形態(互変異性平衡が存在する場合)並びにその付加塩が挙げられ得る。
【0141】
言及され得るピラゾール誘導体の中には、特許独国特許第3843892号明細書、独国特許第第4133957号明細書並びに特許出願国際公開第94/08969号パンフレット、国際公開第94/08970号パンフレット、仏国特許第A-2733749号明細書及び独国特許第19543988号明細書に記載されている化合物、例えば4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4’-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-第三ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-第三ブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4’-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピルピラゾール、4-アミノ-5-(2’-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾール及び3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-1-メチルピラゾール並びにその付加塩がある。4,5-ジアミノ-1-(β-メトキシエチル)ピラゾールも使用され得る。
【0142】
好ましくは、4,5-ジアミノピラゾール、さらにより優先的には4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール及び/又はその塩が使用される。
【0143】
同様に言及され得るピラゾール誘導体としては、ジアミノ-N,N-ジヒドロピラゾロピラゾロン、特に仏国特許第A-2886136号明細書に記載されているもの、例えば以下の化合物及びその付加塩:2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-エチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-イソプロピルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-(ピロリジン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジメチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ビス(2-ヒドロキシエチル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、2-アミノ-3-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-ジメチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2,3-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H,6H-ピリダジノ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4-アミノ-1,2-ジエチル-5-(ピロリジン-1-イル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4-アミノ-5-(3-ジメチルアミノピロリジン-1-イル)-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、2,3-ジアミノ-6-ヒドロキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オンが挙げられ得る。
【0144】
好ましくは、2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン及び/又はその塩が使用されるであろう。
【0145】
複素環式塩基としては、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール及び/又は2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン及び/又はその塩が優先的に使用される。
【0146】
好ましくは、酸化染料は、複素環塩基及び芳香環上で少なくとも1つのアミン置換基を有する複素環式又はベンゼンベースのカプラーから選択される。
【0147】
好ましくは、酸化染料は、カプラー及びより優先的には芳香環上で少なくとも1つのアミン置換基を有する複素環式又はベンゼンベースのカプラーから選択される。
【0148】
本発明によると、基材は、酸化染料を含む、染料調製組成物と呼ばれる染料組成物で前処理される。
【0149】
したがって、染料組成物は、基材表面の全部又は一部を被覆し得る。したがって、基材表面は、染料組成物を形成する1つ以上の層で完全に又は部分的に被覆され得る。
【0150】
好ましくは、染料調製組成物を基材表面の一部に堆積させることによってパターンが生じ、これにより、ケラチン繊維との接触後、前記繊維上に着色パターンを形成することが可能になるであろう。換言すると、酸化染料は、基材表面上でパターン形状に堆積される。したがって、基材表面は、パターンとして知られる1つ以上の特定の幾何学形状に配置される染料組成物の1つ以上の層を含み、これにより、反応後、前記繊維上に着色パターンが生成する。
【0151】
このパターンは、任意の形状、特に幾何学形状であり得る。
【0152】
好ましくは、パターンは、四角形、円形、長円形、楕円形又は三角形であり得、このパターンは、塗り潰した形態又はパターンを囲む線の形態であり得る。これらは、厚い若しくは薄く、直線若しくは曲線であり、交差した線であり、文字を表し、又は定型化された図若しくは又は幾何学パターンであり得る。これらは、点線又は斑点であり得る。
【0153】
基材は、酸化染料を保持する面と反対側の面上に所望のパターンの複写を含み得る。こうしたパターンを反対側の面上に生成することにより、その後、酸化染料を堆積させることができる基材上の位置を示すことが可能になる。このような製造を行うことにより、その後、ケラチン繊維上のパターンを形成させることが望まれる場所に基材を配置しやすくなる。換言すると、反対側の面上のパターンの存在は、染料調製組成物が堆積し得る場所を示すことを可能にする。
【0154】
好ましくは、基材は、透明である。
【0155】
一実施形態によると、本発明による染色方法は、上記の組成物(A)をケラチン繊維に適用し、続いて上記の基材を前記繊維に適用することを含む。
【0156】
組成物(A)及び基材は、室温、特に23℃~33℃の範囲であり得る温度においてケラチン繊維上で使用され得る。
【0157】
組成物(A)は、30秒~2時間の範囲であり得るリーブオン時間でケラチン繊維に適用され得る。
【0158】
組成物(A)は、塗布具、特にブラシを用いて又は手で適用され得る。
【0159】
好ましくは、組成物(A)のリーブオン時間の終了時、ケラチン繊維を水ですすぐことができる。
【0160】
好ましくは、ケラチン繊維は、界面活性剤で洗浄されず、特にシャンプーで洗浄されない。
【0161】
好ましい実施形態によると、本方法は、上記で定義された1つ以上の過酸素化塩を含有する組成物(A)の適用と、上記で定義された1つ以上の酸化染料を含有する少なくとも1つの層でコーティングされた表面を含む基材の適用との間において、ケラチン繊維への界面活性剤を含む洗浄組成物、特にシャンプー組成物の適用を含まない。
【0162】
好ましくは、基材は、次いで、処理されるケラチン繊維の種々の領域に適用される。
【0163】
好ましくは、(ii)基材の適用は、(i)組成物(A)の適用後の3時間未満、好ましくは(i)組成物(A)の適用後の1時間未満、さらにより良好には45分未満で実行する。
【0164】
特に、基材の適用は、組成物(A)のリーブオン時間の終了後の3時間未満、好ましくは組成物(A)のリーブオン時間の終了後の1時間未満、さらにより良好には45分未満で実行する。
【0165】
有利には、ケラチン繊維上での基材のリーブオン時間は、20分未満であり得、好ましくは1~15分間継続し得、より好ましくは1~10分間継続し得る。
【0166】
より有利には、ケラチン繊維上での基材のリーブオン時間は、1~10分間継続する。
【0167】
基材のリーブオン時間の終了時、ケラチン繊維は、水ですすがれ、任意選択的にシャンプーで洗浄され、次いで水ですすがれ、その後、乾燥されるか又は乾燥するまで放置される。
【0168】
本実施形態によると、上記で定義された基材の適用前に、ケラチン繊維への組成物(A)の適用により、前記繊維の漂白が導かれ得るか又は導かれ得ない。
【0169】
ケラチン繊維への組成物(A)の適用により、ケラチン繊維の漂白が導かれる場合、基材の使用により、組成物(A)によって漂白された領域の全て又は一部上での着色バターンの作成が可能となる。
【0170】
この変形形態は、5未満のトーン深さを有するケラチン繊維に関して特に適切である。
【0171】
この変形形態によると、30秒~2時間の範囲の時間後に基材がケラチン繊維上で使用され得る。
【0172】
本実施形態によると、本発明による方法は、
- 組成物(A)と、1つ以上の化学酸化剤、特に過酸化水素を含む組成物との混合から得られる組成物のケラチン繊維への適用、
- ケラチン繊維の任意選択的なすすぎ、
- 上記の少なくとも1つの基材の前記繊維への適用
を含み、この方法は、繊維への基材の適用中、過酸化水素を使用しない。
【0173】
特に、本発明による方法は、
- 組成物(A)と、1つ以上の化学酸化剤、特に過酸化水素を含む組成物との混合、
- 組成物(A)と、1つ以上の化学酸化剤、特に過酸化水素を含む組成物との混合から得られる組成物のケラチン繊維への適用、
- ケラチン繊維の任意選択的なすすぎ、
- 上記の少なくとも1つの基材の前記繊維への適用
を含み、この方法は、繊維への基材の適用中、過酸化水素を使用しない。
【0174】
ケラチン繊維への組成物(A)の適用により、ケラチン繊維の漂白が導かれない場合、基材の使用により、組成物(A)によって処理された領域の全て又は一部上での着色バターンの作成が可能となる。
【0175】
この第2の変形形態によると、30秒~2時間の範囲の時間後に基材がケラチン繊維上で使用され得る。
【0176】
本実施形態によると、本発明による方法は、
- 組成物(A)のケラチン繊維への適用、
- ケラチン繊維の任意選択的なすすぎ、
- 上記の少なくとも1つの基材の前記繊維への適用
を含み、この方法は、繊維への基材の適用中、過酸化水素を使用しない。
【0177】
別の実施形態によると、本発明による方法は、ケラチン繊維を加熱するステップも含む。
【0178】
好ましくは、加熱ステップは、60~250℃の範囲の温度、好ましくは80℃~180℃の範囲、好ましくは100℃~160℃、さらにより良好には120℃~150℃の範囲の温度への加熱を可能にする。
【0179】
好ましくは、加熱ステップは、1~30秒、優先的には1~10秒の範囲であり得る時間にわたって実行される。
【0180】
換言すると、本発明による方法は、連続的に、
- 上記の組成物(A)のケラチン繊維への適用、
- 上記の少なくとも1つの基材の前記繊維への適用、
- ケラチン繊維の加熱
を含み得る。
【0181】
有利には、ケラチン繊維の染色は、数秒後に得られ得る。
【0182】
一実施形態によると、本発明による方法は、組成物(A)をすすいだ後、過酸化水素を含まない組成物(B)の使用も含み得る。
【0183】
特に、基材と組成物(A)との間で接触を促進するように、組成物(B)は、ケラチン繊維に、これらの繊維が基材と接触して配置される前又は配置された後に適用される。
【0184】
好ましくは、ケラチン繊維が基材と接触して配置された後に組成物(B)が適用される。
【0185】
組成物(B)は、好ましくは、3つ以上のヒドロキシル官能基、例えばグリセロールを含有するポリオールから選択される上記の1つ以上の有機溶媒を含み得る。
【0186】
好ましくは、組成物(B)は、水性であり得、且つ1つ以上の有機溶媒を含み得る。
【0187】
組成物(B)は、1つ以上の界面活性剤、好ましくは1つ以上のノニオン性及び/又はアニオン性界面活性剤も含み得る。
【0188】
好ましくは、ノニオン性界面活性剤は、オキシアルキレン化され、且つオキシエチレン化C~C30アルコール並びに飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状C~C30酸及びソルビトールのポリオキシエチレン化エステルから選択される。
【0189】
組成物(B)は、1つ以上の脂肪物質を含み得る。
【0190】
「脂肪物質」という用語は、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で水中に不溶性である(溶解度が5%未満、好ましくは1%未満、さらにより優先的には0.1%未満である)有機化合物を意味する。それらは、少なくとも6個の炭素原子又は少なくとも2個のシロキサン基の連続を含む、少なくとも1つの炭化水素ベースの鎖をその構造中に有する。加えて、その脂肪物質は、一般的に、同じ温度及び圧力条件下で有機溶媒、例えばクロロホルム、エタノール、ベンゼン、液状石油ゼリー又はデカメチルシクロペンタシロキサンなどに可溶性である。
【0191】
本発明によると、その脂肪物質は、室温及び大気圧で液状又はペースト状である化合物から選択される。
【0192】
より特に、脂肪物質は、C~C16低級アルカン、動物、植物、鉱物若しくは合成由来の非シリコーン油、脂肪アルコール、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールのエステル、非シリコーンワックス並びにシリコーンから選択される。
【0193】
本発明の目的のため、脂肪アルコール、エステル及び酸は、より特に、任意選択的に特に1個又は複数のヒドロキシル基(特に1~4個)を用いて置換される、6~30個の炭素原子を含む少なくとも1種の直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和の炭化水素ベースの基を担持することが想起される。これらが不飽和である場合、これらの化合物は、1~3つの共役又は非共役炭素-炭素二重結合を含み得る。
【0194】
好ましくは、脂肪物質は、脂肪アルコール、特に8~30個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和アルコールから選択されるものである。
【0195】
言及され得る例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びその混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコール及びリノレイルアルコールが含まれる。
【0196】
より優先的には、組成物(B)は、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びその混合物、特にセチルアルコールを含む。
【0197】
組成物(A)及び/又は(B)は、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性若しくは両イオン性ポリマー又はその混合物、鉱物増粘剤、特にフィラー、例えばクレー又はタルク、有機増粘剤/ゲル化剤の1つ以上の助剤を、特に上に述べたポリマー以外のアニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性高分子会合型増粘剤、酸化防止剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、香料、分散剤、皮膜形成剤、セラミド、防腐剤、乳白剤と一緒に含み得る。
【0198】
それぞれの助剤は、考察される組成物の全質量に対して0.01~20質量%の範囲の量で存在し得る。
【0199】
好ましくは、基材は、上記で定義された1つ以上の酸化染料を含む少なくとも1つの染料調製組成物によって前処理される。
【0200】
染料調製組成物は、室温で液体又は粉末形態であり得、好ましくは室温で粉末であり得る。
【0201】
染料調製組成物は、上記で定義された1つ以上のアルカリ性剤を含む。
【0202】
前記染料調製組成物が水性であり、1種以上のアルカリ剤を含有する場合、前記組成物のpHは、好ましくは、7.5~13、さらにより良好には8~12、なおもさらにより良好には8~11の範囲である。
【0203】
好ましくは、上記で定義された基材の製造方法は、前記基材の表面上において、1つ以上の酸化染料を含有する少なくとも1つの染料調製組成物を堆積する少なくとも1つのステップと、前記基材を乾燥する少なくとも1つのステップとを含み、より優先的には、前記染料調製組成物は、印刷方法によって基材の表面上に堆積される。
【0204】
換言すると、染料調製組成物は、すなわち、上記で定義された基材を得ることを可能にする印刷方法を使用して、基材の表面上に印刷される。
【0205】
この好ましい態様に従い、染料組成物を基材表面に堆積させる役割を果たす印刷方法は、スクリーン印刷方法、フレキソ印刷方法、オフセット印刷方法、インクジェット印刷方法又はレーザー印刷方法であり得る。
【0206】
優先的には、染料調製組成物は、インクジェット印刷方法又はレーザー印刷方法により、特にインクジェットプリンター又はレーザープリンターを使用して基材の表面上に印刷される。
【0207】
基材の印刷方法に対応するこの好ましい製造方法は、本発明による染色方法を実施する前に、ヘアサロン自体で特にインクジェットプリンター又はレーザープリンターを用いて実施され得る。
【0208】
代わりに、この好ましい方法は、ヘアサロン外で実施され得、その場合、使用者は、毛髪を染色するために単にこの基材を使用するのみでよい。
【0209】
この場合、前処理された基材は、毛髪上で均一な着色及び/又はパターンを作成するために使用者に提供され得る。
【0210】
好ましくは、酸化染料を含有する染料調製組成物は、基材表面上に1つ以上のパターンの形態で堆積される。特に、パターンは、四角形、円形、長円形、楕円形又は三角形であり得、このパターンは、塗り潰した形態又はパターンを囲む線の形態であり得る。
【0211】
これらは、厚い若しくは薄く、直線若しくは曲線であり、交差した線であり、文字を表し、又は定型化された図若しくは幾何学パターンであり得る。これらは、点線又は斑点であり得る。
【0212】
基材表面上に染料調製組成物を堆積させたら、次いで基材を乾燥させる。
【0213】
そのようにして製造方法に従って前処理された基材は、好ましくは、5分~120分以内、優先的には5分~90分以内、より優先的には1分~60分以内、さらにより良好には5分~60分以内に乾燥する。
【0214】
好ましくは、前記基材を乾燥させるステップは、前記基材を開放空気中で乾燥させることを含む。
【0215】
基材が調製されたら、基材は、上記で定義された1つ以上の酸化染料を含む少なくとも1つの層でコーティングされた表面を含む。
【0216】
基材の表面をコーティングする層は、上記で定義された1つ以上の酸化染料を含む染料組成物である。
【0217】
本発明によれば、この層は、好ましくは、染料組成物の全質量に対して20質量%未満、好ましくは15質量%以下、より優先的には10質量%以下の全含水量を含む。
【0218】
以下の実施例は、本発明を例示するのに役立つが、決して限定する性質のものではない。
【実施例
【0219】
以下の実施例において、全ての量は、組成物の全質量に対する活性物質の質量パーセントとして示される。
【0220】
実施例1
a)試験組成物
以下の組成物は、その含有量が以下の表に示されている成分から調製された。
【0221】
【表1】
【0222】
【表2】
【0223】
【表3】
【0224】
【表4】
【0225】
b)手順
b1)基材の調製
HandCoater(RK Print Coat Instruments Ltd.社によって販売される、K-HandCoaterレンジ、黄色識別色下)を使用して、染料調製組成物(P1)を紙タイプの基材S1に均一に適用する。染料調製組成物の堆積は、5mg/cmである。
【0226】
b2)方法の実施
組成物(A1)及び(A2)を、ペルスルフェートをベースとする組成物(A)を得るための質量で混合する。
【0227】
33℃の温度において、毛髪の房1gあたり10gの組成物の割合でTD6毛髪の房に組成物(A)を適用する。
【0228】
50分間継続するリーブオン時間が終了したら、房を水ですすぐ。
【0229】
次いで、漂白された房に、ステップb)に従って調製された基材S1を適用する。シートと房との間で良好な接触が得られるように、房1gあたり3gの組成物の割合で組成物(C)を使用して毛髪の房を含浸させる。
【0230】
5分間継続するリーブオン時間が終了したら、房を水ですすぎ、次いで標準的なシャンプーで洗浄する。
【0231】
一方では、組成物(A)によって漂白されたばかりの毛髪の房(新たに漂白された房)に、且つ他方では、1週間前に組成物(A)によって漂白された毛髪の房に基材を適用する。
【0232】
c)結果
ステップb2)に従い、本発明による方法によって処理された毛髪の房の色差ΔEは、組成物(A)の適用後に漂白された毛髪の房に対して評価される。
【0233】
色差ΔEは、CIE L国際系でMinolta CM 2002比色計を使用して決定される。
【0234】
ΔEは、漂白された毛髪の房と、未漂白の毛髪、すなわち組成物(A)で処理されない毛髪の房との間の色差に対応し、以下の式によって測定される。
【数2】
【0235】
この式において、L、a及びbは、それぞれ本発明による方法の実施に従って漂白された房の上で測定された値を表し、且つL 、a 及びb は、それぞれ組成物(A)によって漂白された房の上で測定された値を表す。
【0236】
このL系において、Lは、明度を表し、aは、緑色/赤色軸を示し、bは、青色/黄色軸を示す。Lの値が高いほど、明るくなるか又は色の強度が低くなる。逆に、Lの値が小さくなるほど、暗くなるか又は色の強度が高くなる。aの値が高いほど、色合いがより赤くなり、bの値が高いほど、色合いが黄色くなる。
【0237】
結果は、以下の表で照合される。
【0238】
【表5】
【0239】
本発明による方法の実施により、5分間継続する基材のリーブオン時間で十分な着色が得られることが明らかである。
【0240】
実施例2
a)試験組成物
【0241】
【表6】
【0242】
b)手順
b1)基材の調製
HandCoater(RK Print Coat Instruments Ltd.社によって販売される、K-HandCoaterレンジ、黄色識別色下)を使用して、染料調製組成物(P2)を紙タイプの基材S2に均一に適用する。染料調製組成物の堆積は、5mg/cmである。
【0243】
b2)方法の実施
組成物(A1)及び(A2)を、ペルスルフェートをベースとする組成物(A)を得るための質量で混合する。
【0244】
33℃の温度において、毛髪の房1gあたり10gの組成物の割合でTD6毛髪の房に組成物(A)を適用する。
【0245】
50分間継続するリーブオン時間が終了したら、房を水ですすぐ。
【0246】
次いで、漂白された房に、ステップb)に従って調製された基材S2を適用する。シートと房との間で良好な接触が得られるように、房1gあたり3gの組成物の割合で組成物(C)を使用して毛髪の房を含浸させる。
【0247】
5分間継続するリーブオン時間が終了したら、房を水ですすぎ、標準的なシャンプーで洗浄する。
【0248】
一方では、組成物(A)によって漂白されたばかりの毛髪の房(新たに漂白された房)に、且つ他方では、1週間前に組成物(A)によって漂白された毛髪の房に基材を適用する。
【0249】
c)結果
ステップb2)に従い、本発明による方法によって処理された毛髪の房の色差ΔEは、組成物(A)の適用後に漂白された毛髪の房に対して評価される。
【0250】
色差ΔEは、CIE L国際系でMinolta CM 2002比色計を使用して決定される。
【0251】
ΔEは、漂白された毛髪の房と、未漂白の毛髪、すなわち組成物(A)で処理されない毛髪の房との間の色差に対応し、以下の式によって測定される。
【数3】
【0252】
この式において、L、a及びbは、それぞれ本発明による方法の実施に従って漂白された房の上で測定された値を表し、且つL 、a 及びb は、それぞれ組成物(A)によって漂白された房の上で測定された値を表す。
【0253】
このL系において、Lは、明度を表し、aは、緑色/赤色軸を示し、bは、青色/黄色軸を示す。Lの値が高いほど、明るくなるか又は色の強度が低くなる。逆に、Lの値が小さくなるほど、暗くなるか又は色の強度が高くなる。aの値が高いほど、色合いがより赤くなり、bの値が高いほど、色合いが黄色くなる。
【0254】
結果は、以下の表で照合される。
【0255】
【表7】
【0256】
実施例5
a)試験組成物
酸性過硫酸ナトリウム溶液A3(リン酸によってpH2.4の10%の過硫酸ナトリウム)を調製する。
【0257】
b)手順
27℃の温度において、10分間、房1gあたり5gの組成物(A3)の割合でTD8の毛髪の房に組成物(A3)を適用する。次いで、房をすすぐ。
【0258】
毛髪の房を基材S1の上に配置する。配置した後、シートと房との間での良好な接触を促進するために、毛髪1gあたり3gの組成物(C)の割合で組成物(C)を使用して房を含浸させる。10分間のリーブオン時間が終了したら、房を水ですすぎ、次いで標準的なシャンプーで洗浄する。
【0259】
この方法を、溶液(A3)の代わりに水を適用する方法と比較する。
【0260】
c)結果
本発明による方法によって処理された毛髪の房の色差ΔEは、未漂白の毛髪の房に対して評価される。
【0261】
色差ΔEは、CIE L国際系でMinolta CM 2002比色計を使用して決定され、L、a及びbが、それぞれ本発明による方法の実施に従って漂白された房の上で測定された値を表し、且つL 、a 及びb が、それぞれ未漂白のブロックの上で測定された値を表す上記の式(i)に従って測定される。
【0262】
c1)(A3)による房の漂白を行わない試験
最初に、毛髪の房への溶液(A3)の適用がそれらの漂白をもたらさないことが確認される。
【0263】
このために、27℃の温度において、15分間、房1gあたり5gの溶液(A3)の割合でTD4の房に溶液(A3)を適用する。
【0264】
結果は、以下の表で照合される。
【0265】
【表8】
【0266】
TD4の毛髪の房への溶液(A3)の適用によって2未満の色差ΔEが導かれることが分かる。これは、毛髪の房が漂白されていないことを意味する。
【0267】
c2)本方法の結果
【0268】
【表9】
【0269】
本発明による方法により、基材S1と一緒に水が使用される方法よりも高い着色強化を得ることが可能であることが分かる。
【国際調査報告】